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田代政府委員 お答えいたします。
何回か御答弁いたしたとおりでございますが、この第九条の
規定を設けたゆえんのものは、全部の法体系的に概観していただきますと、まず、われわれ考えております新法の基本的な
考え方といたしまして、
一つは、
基地が
運用される、あるいはまた
存在するということに伴っていろいろな
障害が出てまいる、その
障害につきまして、現在の科学技術の進歩、経済性その他を勘案いたしまして、その
障害を
防止できるもの、あるいは軽減できるものがあろうと思いますが、それは、まずそういうことで
防止、軽減ということでやりましょう、それで、
防止、軽減しようといたしましてもなかなかできない、できないけれ
ども、やはり
障害というものは残っているという場合に、その
障害の緩和に資するためのいろんな民生安定の事業をして差し上げましょうという
考え方でございます。
そこで、これも何回か申し上げたと思いますが、過去八年間の現行法の
運用の過程におきまして、やはりその後、都市化現象という問題、あるいはまた
住民各位の
環境意識の高揚という問題、あるいはそれを受けまして、公共
団体その他から、これじゃとても十分じゃないから、何か考えてほしいという切なる御要望もございました。そういうことを踏まえていろいろ考えたわけでございますが、この
法案でお出ししておりますものの
考え方は、さっき申しました現行法のジャンルのみでは十分救済されない何かがあるということで、約一年近く検討いたしました結果、それを補完する
一つの形として、第九条の
考え方を出したわけであります。
法律理論的に申しますと、どちらかというと
障害の
防止、軽減という
範疇のものと、それから現行法の四条、新法の八条でありますが、この
障害の緩和に資するという二つのカテゴリーで考えますと、どちらかと申しますと、
後者のほうを補完するという立場、態度になる。そこで、この
法律でとられております
考え方は、先ほど来
大臣からもお話がございましたように、現在の
周辺整備の諸施策の中で欠けている問題は、従来は
基地の
運用ということに主として着目してまいった。ところが、現実には、
基地が
存在するということによっても、大きな不満、不平というものが残っているであろうということで、特に第九条でその
考え方を出しているわけでございますが、ここにございます「その
設置又は
運用がその
周辺地域における
生活環境又はその
周辺地域の開発に及ぼす影響の程度及び
範囲その他の事情を考慮し」ということがございますが、それは、やはり
基地の
運用に伴ういろいろなその他の公害的な現象のほかに、
基地が
存在する、たとえばある
行政区画の中でその大半を
基地が占めている、したがって、村づくり、
町づくりということも意にまかせないことがある、そういったいろいろな苦情と申しますか、御要望と申しましょうか、そういうことを踏まえて、この
考え方を出したわけでございます。
そういうことでございますので、その
生活環境、
周辺地域の開発に及ぼす影響の程度及び
範囲というものを、具体的にものさしで考える場合で申しますと、
一つはその
地域の静態人口あるいは動態人口——ということは、こういう増加率があるかということが
一つの目安になるでありましょう。それからまた、その
基地自身が、その公共
団体等においてどの程度のウエートを占めているか、また絶対的にどの程度の量になっているかという問題、あるいはまた
防衛施設の
運用に伴ういろいろな
障害というものが、どういうような影響をその地方
住民の皆さま方に及ぼしているかということを勘案いたしまして、
一定の客観的な
基準をつくりまして、その
基準に基づいて
内閣総理大臣があらかじめ関係
行政機関の長と協議してきめる。この
内閣総理大臣と申しますのは、これも何回か御
説明したと思いますが、総理府の長官という資格、いってみれば各省
大臣という資格でもって関係
行政機関の長と協議して具体的にきめるということを考えたわけでございます。
したがいまして、御質問にございましたように、何らかの恣意性でもってかってにやるのじゃないか、弁務官資金じゃないかというお話がございましたけれ
ども、私
どもこの法の
運用につきましては、そういうことは一切考えていない。やはり客観的なものさしというものを手に持ちまして、たとえばことしは予算が五億しかございませんので、指定しようといたしましても、そうたくさんの
地域は指定できないということで、いずれにしましても、客観性を確保しながらこの
法律を
運用したい、こういう気持ちであります。