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1974-05-16 第72回国会 衆議院 内閣委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十六日(木曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君   理事 加藤 陽三君 理事 小宮山重四郎君    理事 中山 正暉君 理事 野呂 恭一君    理事 箕輪  登君 理事 上原 康助君    理事 大出  俊君 理事 中路 雅弘君       越智 伊平君    大石 千八君       笠岡  喬君    近藤 鉄雄君       斉藤滋与史君    竹中 修一君       旗野 進一君    三塚  博君       吉永 治市君    岡田 春夫君       木原  実君    横路 孝弘君       吉田 法晴君    瀬長亀次郎君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         内閣総理大臣  田中 角榮君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      小坂徳三郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 山中 貞則君  出席政府委員         内閣審議官   粟屋 敏信君         内閣審議官   小幡 琢也君         内閣総理大臣官         房総務審議官  佐々 成美君         防衛政務次官  木野 晴夫君         防衛庁参事官  大西誠一郎君         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       丸山  昂君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      高瀬 忠雄君         防衛庁衛生局長 鈴木 一男君         防衛庁経理局長 小田村四郎君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 田代 一正君         防衛施設庁次長 鶴崎  敏君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         自治大臣官房審         議官      山下  稔君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局宇宙開発         課長      今村  宏君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   笠岡  喬君     久野 忠治君   近藤 鉄雄君     中垣 國男君   林  大幹君     河本 敏夫君   三塚  博君     江崎 真澄君   楯 兼次郎君     横路 孝弘君 同日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     三塚  博君   久野 忠治君     笠岡  喬君   河本 敏夫君     林  大幹君   中垣 國男君     近藤 鉄雄君 同月十六日  辞任         補欠選任   奥田 敬和君     箕輪  登君   林  大幹君     斉藤滋与史君   川崎 寛治君     岡田 春夫君 同日  辞任         補欠選任   斉藤滋与史君     林  大幹君   岡田 春夫君     川崎 寛治君 同日  理事奥田敬和君同日委員辞任につき、その補欠  として箕輪登君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律  案(内閣提出第四五号)  国土総合開発庁設置法案内閣提出、第七十一  回国会閣法第二三号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任に関する件についておはかりいたします。  理事奥田敬和君が本日委員辞任されましたことに伴いまして、現在理事が一名欠員となっておりますので、これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事箕輪登君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  5. 上原康助

    上原委員 この防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案については、すでに各委員から問題点ども御指摘があって、政府考え方なり、あるいはこの法案に盛られている内容についても、おおむね議論されたような感を受けるわけですが、まだまだ釈然としない面が多々ございますので、法案を中心にしばらくお尋ねをさしていただきたいと思います。  そこで、法律案要綱などあるいは趣旨説明の中で提案理由説明をされているわけですが、まず、内容をより明確にしておく意味において、順を追ってお尋ねしていきたいと思うのです。  従来の周辺整備法は「施設運用により生ずる障害防止」ということが主になっておったように思います。それが今回、「防衛施設設置若しくは運用」というように「設置」ということが新しく挿入されているという点、あるいは特定防衛施設を設けたということなどが、現在の法律と大きく変わった要点じゃなかろうかと思うのです。もちろん、そのほかにも若干ございますが、そこで、防衛施設設置ということを新たに挿入をせざるを得なかった理由、また設置とは一体どういうことを意味するのか、その点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  6. 山中貞則

    山中国務大臣 設置というものを入れざるを得なかったのではなくて、現行周辺整備法、略称で申しますが、これを行政運用してまいりました。その運用の間、それぞれの周辺地域市町村長住民方々あるいはまた私どもから見て、確かにこの点は肯綮に当たると思うような御要望等がありましても、現在の施設運用の実態による阻害要因というものだけではとらえにくい問題がある。さらにまた、将来の問題あるいは現在の客観情勢を踏まえましても、たとえば三沢等は、賛否は別として、国の大型開発地域になっております。   〔委員長退席加藤(陽)委員長代理着席〕 しかし、三沢市はその中にあるにもかかわらず、広大な面積空港用地提供しておるということで、三沢市としては、もちろん不本意でありますが、この計画の中に空白部分が生ずる、計画に組み込めないという問題がある。これは施設存在する、そのことによって起こっている問題であろう。あるいはまた、横田に象徴されるように、返還された地域施設付近人々は、今度は自分たちに安く払い下げろ、無償で渡してほしいといういろいろの、ある意味ではうれしい努力と申しますか、そういうものをやっておられるが、反面横田人々は、それは幾ら国土防衛のためとはいっても、それを理解しても、自分たちがそこに非常な重圧をさらに加えられるという基地もあり得る。存在そのものであります。これは運用よりも存在の問題だ。  さらに、沖繩県嘉手納等が象徴的に示すように、嘉手納村、北谷村、読谷村等のほとんどの面積基地によって占められている現状から見れば、基地存在することそのことが、たとえ運用が一時的にかりに阻害する現象がなくなったとしても、基地が返らない限り、その市町村独自の行政計画都市計画を含めて一切の諸振興開発計画等について、あるいは住民福祉等についての政策の決定、展望というものがきわめて根本的に阻害される。したがって根本的には、その村の行政区画全部が基地でなくなればいいのですけれども、それが現状においてすぐにきょう、あす望めないとするならば、やはりその基地存在することそのことによって、数多くの周辺市町村への御迷惑というものがある。そこで法律運用ばかりでなくて、基地があるという事実そのことをまずとらえようということをもって、設置ということばを入れたわけであります。
  7. 上原康助

    上原委員 そういたしますと、この設置とは、基地存在するがゆえに起きる被害基地存在という解釈ですか。新しく基地を、施設区域設置をする、あるいは提供をする、そういう場合も含まれるのか、その点もお答えをいただきたいと思います。
  8. 山中貞則

    山中国務大臣 本来は、いま申し上げたように、現在設置されておる基地設置ということをとらえております。これから先自衛隊しても——米軍は、もちろんもう新しい基地取得ということはないと思いますが、もし取得をしなければならなくて取得がなされた場合においては、結果としてその基地がそこに存在するわけでありますから、結果における存在というものの中には入るということでありますけれども基地を新たに取得するための便宜に供するために、設置ということばを入れたというものではありません。
  9. 上原康助

    上原委員 基地新規提供ということは、この設置ということには含まない、そういうことですか。
  10. 山中貞則

    山中国務大臣 新規提供というか、新規取得ですね。取得のためにこの設置ということばを入れたのではなくて、かりに取得が、これは、もちろん周辺市町村との話し合い、県との話し合いその他を通じてあった場合には、その取得されて基地がつくられた瞬間から、この設置ということばの概念の中に入ってくる、結果的には入るということであります。
  11. 上原康助

    上原委員 ですから、そうなりますと、やはり基地の新たな取得、あるいは自衛隊だろうが米軍だろうが、新規提供する場合も入る可能性があるということにいまのお答えではなるわけですね。それはリロケーションの場合どうですか。
  12. 山中貞則

    山中国務大臣 これはケースがいろいろございますが、リロケーションで新たなる、国有、民有、公有を問わず、敷地そのものも含めて取得行為は行なわなければならないという場合と、新たなる取得行為は行なわれないけれども建物その他代替施設というものが新しくつくられるという形状とに分かれると思います。大体、予想される現在のリロケーションの場合は、この後者のほうに属する範疇が多いだろうと思います。その場合においては、別段、施設設置ということにおいて、面積その他においては影響ありませんが、その中における建物その他から関係をして、むしろ運用という面のほうに問題は起こってくるだろう。したがってリロケーションの場合、いろいろケースはあるでしょうけれども、新たに敷地そのものも求めてやる場合においては、もしそういうものがあれば前者である。それも入る、結果的に入るということですね。大体はケースとしては、後者であろうということです。
  13. 上原康助

    上原委員 そこが私がまず懸念しておった一点なんですが、やはり設置というのは、いわゆる既存基地存在、それによって起きるもろもろの被害防止をしていくということであれば、もちろんそのことにも同意をするわけじゃありませんが、本来の周辺整備というならばそうでなければいけないと思うのですが、いま大臣お答えによりますと、やはり本来は既存基地存在なんだが、ケースによっては新規提供もあり得る、あるいはリロケーションもあり得るということになりますと、やはり基地固定化であると同時に、新しい基地拡大提供にもつながる危険性が、この法律によっても、解釈いかんによって、あるいは運用いかんによっては広げられていく。そのことも問題点一つであるということが、いま明らかになりましたが、一つずつ明らかにして、さらに議論を進めていきたいと思います。  そこで、たいへん恐縮な点をお尋ねするんですが、皆さんがここで生活環境等整備ということをばく然とうたっておりますが、一体生活環境等整備という場合に、具体的にはどういうことなのか。もちろん法律において、いろいろ規定はされております。生活環境等整備ということと、現に基地存在をするがゆえに起きている被害あるいは地域住民に対する重圧、圧迫との、この折り合いというのはある面では矛盾なんですね。実際からいって基地があって生活環境等整備ができるはずがない。しかし、あえて生活環境等整備というからには、単なる政治的な宣伝じゃなくして、本来のいわゆる被害根源というものをなくしていくということが、生活環境の具体的な整備につながるとわれわれは判断をするわけですが、そういう面は、法律的にただここで羅列したあれじゃなくして、具体的な考え方生活環境等整備ということについては、どういうお考えを持っているのか。いま私が指摘した矛盾というものはないのかどうか。そこも一応明確にしておいていただきたいと思うのです。
  14. 田代一正

    田代政府委員 生活環境整備ということに関連した問題でございますが、いまおっしゃっていることは、つまり今度われわれが考えておりますことは、防衛施設がそこにあって運用されている、それに伴っていろいろな障害が起こる、この障害を軽減、防止または緩和に資するということで、いろいろな施策を考えているというような考え方でございます。  そこで、防衛施設がありますと、何かにつけてやはり地域開発も十分にできないでしょう、町づくりも十分にできないでしょう、あるいはまた福祉水準もほっておけば下がるということもありましょう、そういうことを考えまして、基地があるがために、そういうことがないようにしようではないかというのが、この法律のものの考え方でございます。基地がある、なしという問題もまた別の議論があるかと思いますが、とにかく基地があることによって、そういうことが起こって住民福祉水準が落ちるということを防止するということが、いってみれば、この法案の基本的な考え方でございます。
  15. 上原康助

    上原委員 逆に言いますと、基地存在そのもの必要悪といいますか、あるいは基地提供存在というのを前提にしたその範疇での生活環境整備、そういうことですね。ですから、根源はなくならない。それを一応踏まえて、この法律では生活環境整備をやろうとしているのだということでいいですね。
  16. 田代一正

    田代政府委員 この法律がねらいといたしておりますのは、過去三回の委員会審議でも何回か申し上げたと思いますが、基地の安定とか基地そのものに対する価値判断は一応含まない、現にそこに基地があるから基地による障害というものをどうするかということが、この法律のたてまえでございます。そういうことでいろんな規定があるわけであります。別途基地政策につきましては、これは、わが国の安全保障政策の問題でございますとかあるいは日米安保条約の円満なる履行といった角度から、この整理統合の問題あるいは配置の問題を考えるということじゃないかと思います。
  17. 上原康助

    上原委員 その点も、全く議論の分かれるところで、一応考え方だけで相違点だけを、私は明らかにして進めたいと思うのです。  そこで、要綱の二のほうの中段ですが、「特定公共施設等について必要な工事又は学校病院等防音工事を行う地方公共団体その他の者に対し、」、その他の者というのは、一体どういう団体なのか、個人なのか、その他の者の具体的な内容を明らかにしておいていただきたいと思います。
  18. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 これは、法案の三条で「地方公共団体その他の者が」ということで出ておりますが、これは地方公共団体以外に、たとえば学校でも私立学校、あるいは病院等でもいわゆる私立病院と申しますか個人病院、そういった施設防音等対象施設になるわけでございます。単に地方公共団体だけの範囲ではなくて、その他の者ということで、そういった者を含めて考えております。
  19. 上原康助

    上原委員 個人団体もその他の者に含む、いわゆるこの法律に基づいて、かりに被害措置をしようとして手続をとる、申請をする、そういう場合は、団体であろうが個人であろうがすべて入る、その他の者というのは、そういう意味ですね、そう解していいですか。
  20. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 この法律対象になります施設並びにそれに関しまして政令等で定められている範囲におきまして、先ほど御答弁しましたような当事者が該当する場合には、その他の者の中に入るわけでございます。
  21. 上原康助

    上原委員 その他の者で、その条に基準がないわけですから、政令でということがあったのですが、基準といいますか、あるいは該当するのかどうかというのは、どういうふうに判断なさるのですか。
  22. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 これは、法律の第三条及びそれに関しますところの政令で定められております障害対象となります施設に関しまして、その施設管理者あるいはその障害防止するために、そういった施設工事を行なう当事者になる、そういった方々として該当する者が、その他の者に入るわけでございますので、おのずからその範囲というものは法律政令範囲の中できまってくることになると思います。
  23. 上原康助

    上原委員 政令の問題については、後ほどお尋ねしますが、要綱三番目の「特定飛行場等周辺」、一体特定飛行場というのは、どういうものなのか、具体的にあげてみていただきたいと思います。
  24. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 現行周辺整備法におきましても、同じような特定飛行場ということばが掲げられておりますが、この場合にはターボジェットエンジンを有する飛行機の離発着している飛行場ということに考えております。ところが、この新しい法案におきましては、昨年十二月二十七日に環境庁から告示されましたところの航空機騒音に関するところの環境基準、これに基づきまして、WECPNLという航空騒音基準に従いまして、その騒音のいわゆるレベルと申しますか、静穏度を保つ以上のレベル騒音を発しております飛行場というものが、この特定飛行場に該当する、これが新しい法案特定飛行場考え方でございます。
  25. 上原康助

    上原委員 大体、自衛隊とか米軍が使っているのは、おそらくほとんどターボジェット飛行機を使用している飛行場であって、あえて特定飛行場というなら、じゃ具体的に地名をあげてください。三沢なら三沢横田なら横田、あるいは嘉手納なら嘉手納、普天間なら普天間、岩国なら岩国と。幾つぐらいあるの。
  26. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 ターボジェットエンジンを有する飛行機が離発着しております飛行場は、米軍及び自衛隊を合わせまして二十一カ所でございます。
  27. 上原康助

    上原委員 それだけが特定飛行場になるわけですか。
  28. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 先ほど御答弁いたしましたように、新しい法案におきましては、推進力に使いますところのエンジンがどうであるかというようなとらえ方ではなくて、航空機が発します騒音というものが、周辺に及ぼしておりますところの影響の度合いによりまして、WECPNLという騒音基準一定基準を越える騒音を発して、離発着等運用を行なっておりますところの飛行場というものが、この特定飛行場範疇に入るわけでございます。したがって、必ずしもターボジェットエンジンを有する飛行機離発着飛行場のみに限定されるものではないわけであります。  ただ、具体的にそれではプロペラ機あるいはヘリコプターの離発着しております飛行場が、騒音基準一定基準を上回る騒音というものを周辺環境に与えているかどうかということは、今後この基準に従っての調査をしてみた上で、その結果に基づいて出てくる答えになろうかと思います。
  29. 上原康助

    上原委員 具体的には、あとでお尋ねしますが、そういたしますと、環境庁がきめた「航空機騒音に係る環境基準」、これは特定飛行場の場合、あるいは騒音防止米軍もしくは自衛隊が使っている飛行場基地施設には適用するという考え方ですね。
  30. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 昨年の環境庁告示の中にも、備考の欄で「自衛隊等が使用する飛行場周辺地域においては、平均的な離着陸回数及び機種並びに人家の密集度を勘案し、」云々とありまして、最後に、一般公共飛行場の区分に準じて、「環境基準が達成され、又は維持されるように努めるものとする。」、そういうふうに告示内容として示されておりますので、自衛隊等飛行場、いわゆる防衛施設たる飛行場に関しましても、この環境基準に関する告示趣旨を踏まえ、できるだけ早い時期にこの環境基準趣旨に合った飛行場周辺環境維持につとめる、そういうことで、この法案におきましても、この環境基準に従った一つレベルを設けて、特定飛行場周辺整備につとめる、そういう構想でいるわけでございます。
  31. 上原康助

    上原委員 ですから、この基準で定められた内容は、特定飛行場施設の使用にあたっては適用する。つとめるということは、努力したができなかったということもあるんですよね。その基準を下回らない措置はとるということでなければいけない。私は、それを聞いているんですよ。努力してみたが、できませんでしたということではだめなんでね。そのことは明確にしておいていただきたいと思うのです。やるのか、やらぬのか、努力するのか、適用はしないのか。
  32. 田代一正

    田代政府委員 この環境基準を拝見しますと、これは主として民間公共用飛行場についての基準だと思います。備考に、先ほど施設部長から話もしましたように、「努めるものとする。」というぐあいにしてございますので、どんぴしゃりの適用はございませんが、そういう基準に準じて自衛隊あるいはまた米軍飛行場について努力をするということでございます。
  33. 山中貞則

    山中国務大臣 いまのは、環境基準について説明をしているのでありまして、それを受ける防衛庁というものは、その環境基準を守るために、すなわち民間空港と同じ、たとえば一種、二種、三種の指定等基準についても、同じくいたしますから、それを守るための基準というものは同じであるということでありまして、その努力をするということは、さっきおっしゃったように、やったができないこともあったということではなくて、環境庁のほうは、防衛庁もこうせよとは言っておりません、しかし私どもは、それを受けて、今度の法律では、民間航空機騒音基準と同じ基準区域設定についても措置についてもとりますということでございます。
  34. 上原康助

    上原委員 少しは前進したような御答弁で……。  あとで、また内容を聞きますが、これは騒音規制だけじゃないんですよね、いろいろ勧告されておりますので。まず考え方を、一つ一つ明らかにしてから進めたいと思うのです。  次に、お尋ねしたいのですが、航空機の爆音というのは、私に言わせれば、もう殺人的な騒音であって、何かピアノの音じゃなくて——音響というふうに皆さん法律上いっているわけですよね。表現の問題だが、ここいらに私は防衛施設庁の姿勢なり、防衛庁考え方の基本があるような感じがするのです。環境庁にしたってどこだって、騒音という表現で法文はなっている。だが、この施設周辺整備法では、音響防止というふうになっている。これは、あくまで騒音じゃないのか。たとえば第四条なんかにも「ひん繁な実施により生ずる音響に起因する障害が著しいと認めて」云々一体音響とした考え方、どうしてそういうところまで配慮するのか、騒音ということにはならないのか、その考え方もぜひ明らかにしておいていただきたいと思います。
  35. 田代一正

    田代政府委員 これは従来、第三条で障害防止というカテゴリーでこの問題を考えてまいりました。したがいまして、障害という場合にはいろいろございます。さっきおっしゃったように、騒音のほかにいろいろな問題があるわけでございまして、これは第三条第一項をお読みいただくとおわかりと思います。そういうことで、総括的な意味障害ということばを使ってまいったわけでございます。そこで、このたび新たに第四条を設けるに際しましても、そういう過程の中で障害ということばを使うといたしますと、どうしてもここにございますように、「自衛隊等航空機の離陸、着陸等のひん繁な実施により生ずる音響に起因する障害」、こういう表現になってくるということであります。実態は、俗に申しますと、騒音ということとあまり変わらないことだと思います。
  36. 上原康助

    上原委員 小っちゃいことと思うかもしれませんが、これは騒音に変える御意思はないのですか。やっぱり騒音でしょう。かつてはB52の音は、ドルの音なんだと言った方も、おらなかったわけでもないのですが、ちょっとしたことなんだが、皆さん生活環境等整備をやりますということを言い、基地存在するがゆえに痛めつけられている地域住民の、単なる経済的な面じゃなくして、生活環境あるいは肉体的、精神的なものに対する措置というものを、ほんとうに親身になってやっていこうということであるならば、だれが見ても正しい表現なり、条文の打ち方をやるのが筋だと私は思うのですが、そこいらにも問題が非常に残されているという点を、ここで強く指摘をしておきたいと思うのです。  そこで第三条に、障害防止工事の助成あるいは補助をする具体的な項目がいろいろあげられております。その内容基準については、ほとんどが政令に委任をされるかっこうになっているわけですね。そこも問題ですが、たとえば基地周辺存在する学校、二項であげられている学校教育法に基づく学校、医療法に基づく病院、あるいは診療所、助産所、そういった施設の数は一体どのくらいあるのか。具体的にそういうものをつかんでいらっしゃるのか。詳細についての調査をなさってここで列挙しておるのか。そうでないと、これこれは助成措置をして、防止対策をやりますと言ってみても、実際に実態をつかんでいない限りにおいては、どういう計画を立て、どういう方向でやっていくのかさだかでないわけですね。その面についての確たる説明をいただきたいと思います。
  37. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 新しい法案の三条の、御指摘の学校の防音とか医療施設等の防音のたてまえは、現行周辺整備法のたてまえと大体同様でございます。そこで、従来から実施してきておりますこの三条に基づきます防音工事対象施設につきましては、われわれのほうといたしましては、大体その飛行場運用の態様によりまして、飛行機音響による障害がどういう範囲で、どの程度及ぶかということは、実績から出てきておりますので、そういった面におきましては、たとえば義務教育の学校は今後どのくらい工事が必要であろうか、あるいは幼稚園、保育所、あるいは病院等がどのぐらい今後必要な形として出てくるであろうかということにつきましては、一応その時点、その時点ではとらえております。しかしながら、地域社会のいろいろな変化に基づきまして、当然そういったものの変動は考えられるわけであります。  たとえば義務教育等の学校につきましては、一級防音工事を施すに必要な学校は、すでに九七%防音工事が完了しておりまして、残り約三%ぐらいでございます。二級防音工事を施す必要がある学校は、現在約六九%の進捗状況でございますので、残り三一%ほどが対象として残ってこようかと思います。そのような形で、学校等は比較的掌握しやすいわけでございます。病院あるいは診療所等につきましても、それぞれ一応の今後の見通しは考えております。
  38. 上原康助

    上原委員 私がお尋ねしているのは、そういうことを聞いているのじゃないんですよ。一体学校は幾つ該当するのがあるのか、病院は幾つあるのか、診療所は幾つあるのか、助産所は幾つあるのか、そういう具体的な実態というものをつかんでおらないと——もう基地周辺整備法の新法ができるとあれもやってあげます、これもやってあげますと、地方自治体には盛んに宣伝をしておる。しかし、該当する公共施設なりあるいは民家なりが、具体的にどうなっているのかということをつかんでおらないと、実際問題できぬでしょう。後ほど触れますが、それに伴う予算は一体幾らかかるのか、かりにやるとすればどういう年次計画でやるのか、そういう具体的なものまで、皆さんがほんとうにやろうという意思があるとするならば、出さないといかないので、やってみたところが九〇%ほどでき上がったとか、そういうことを私は聞いているのじゃないんだ。この法律がかりに通って適用されるという段階においては、全国に学校は幾つあるのか、病院は幾つあるのか、やらなければいかない公共施設なり民家なりはどうなっているのか、その具体的なあれをつかんでいらっしゃるのかどうかを聞いているのです。
  39. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 先ほど申し上げましたパーセンテージは、結果論ということではありましょうが、全体計画というものは、一応われわれのほうでは把握しております。たとえば学校につきましては、一級防音工事を施す必要のある学校は三百五十校、二級防音工事の必要なものは六百九十四校、病院の場合におきましては、一級防音工事を施すに必要な対象病院は八十九病院、二級防音工事を施すに必要な病院は百二十五、診療所につきましては、一級防音工事対象が百六十、二級防音工事対象が二百七十四、こういうふうに一応対象数字は把握しております。  年次計画として今後どういう計画でやるかということは、一応われわれなりには考えております。しかし、その当該年度年度の予算の成立の状況とのかね合いにおいて、この計画が遂行されていくというのが実態になろうかと思います。
  40. 上原康助

    上原委員 こういった公共施設だけをとらえてみましても、たいへんな数なんですね。いま病院とか診療所、学校だけをあげましたが、せんだってもどなたかの御質問に、該当する民家の数も大体八万から十万ですか、七、八万は下らぬ。こういう膨大なものをやろうとしておるわけですが、ある程度の構想はあるにしても、具体的な年次計画というものは、まだこれからだということになりますと、法律をつくる過程においては、いろいろ言われておっても、それが実をあげ得るのか、実効を伴うのかどうかは、率直にいって非常に疑問を持たざるを得ません。その点も指摘をしておきたいし、できればいま御答弁のあった具体的な資料等についても、後ほどお出しをいただきたいと思います。  そこで、政令で定める「予算の範囲内」とか「全部又は一部」というようなことになっておるわけですが、その政令で定めていく場合の基準は、一体どういうふうにお考えなのか。
  41. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 たまたまお話が出ておりますのは、第三条第二項の防音に関するものでございます。そこで政令といたしましては、「その他政令で定める行為により生ずる」、まず騒音障害が生じます行為というものを、政令で定めることにいたしております。これは従来現行法におきましても、同様でございます。それから著しい音響に関しますところの基準というものも、政令及び政令を受けた告示でもってどういう音響が著しい音響であるかということを、たとえば学校の場合と病院の場合、あるいは幼稚園、保育所の場合、それぞれ障害の、同じ音でございましても、やはり学校の場合には、学校の授業にどういう支障を与えるかという点で、とらえていかなければなりません。また幼稚園、保育所の場合には、やはり学校教育とは違った態様での幼稚園の課業というものがございます。また病院の場合には、医師の診察に必要な静穏の度合いとか患者の安息休養のための必要な静穏の度合いというふうに、おのずからものさしも変わってまいりますので、そういった音響基準というものも、政令及び告示等で定める、そういうことに考えております。
  42. 上原康助

    上原委員 実際に補助をする場合の割合を私は聞いているのです。
  43. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 第三条の補助率につきましては、原則としては十分の十の補助率でございます。ただし、その障害の発生が、いわゆる自衛隊等の行為以外のものの行為にも帰せられる部分もある、あるいは補助にかかる工事そのものが、たとえば学校とかあるいは病院とかで、補助を受ける側に立って、その障害防止をこえて利する限度というものがおのずから出てくる場合もあります。そういった場合には、そういった点を考慮して、十分の十の補助率からそれだけの分を補助率としては減ずることにしておりますが、しかし三条は、あくまで障害防止するというたえまえから十分の十を補助率の原則といたしております。
  44. 上原康助

    上原委員 労務部長いらっしゃいますか。お帰りになりましたか。それではいいです。   〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕  いまの御答弁は、原則として十分の十というのは、騒音防止に限定するわけですね。
  45. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 これは三条にございます前段の障害防止関係、たとえば自衛隊等の機甲車両その他重車両のひんぱんな使用等によって農業用施設とか道路とか防風施設、水道、下水道、そういったものに障害が生じた場合の防止工事、これも十分の十でございます。それから三条二項にありますところの音響に関する障害防止工事、これとあわせまして両方とも十分の十を原則としております。
  46. 上原康助

    上原委員 次に、第八条の民生安定施設の項ですが、「事業活動が阻害されると認められる場合において」というのがあります。この「事業活動」にはどういうのが入るのか。たとえば小売り店とかそういった商業を営む方々は、対象になるのかどうか不明確なんですよ。その点も明らかにしておいていただきたいと思います。
  47. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 第八条の条文で申しますと、防衛施設設置または運用によって、その周辺地域におきますところの地域住民の事業活動が阻害されるという意味においては、条文の解釈上は事業活動であれば含まれてくるわけでございます。防衛施設周辺のこういった民生安定、助成の対象としてどういうものがしかるべきものであるか、過去の経過におきまして、どういうものが、そういった障害の実態とつながる助成施設として適当であるかということを考えまして、第八条に関します対象施設、いわゆる事業活動の阻害の緩和に資するような施設に関しまして、政令で一応限定されてまいりますので、そういった範囲になろうかと思います。したがって具体的に、中小企業の障害というものが対象になるかどうか、これは、やはりその障害の実態と、それから緩和に資するための事業として適切なものがあり、地方公共団体が事業主体として行なうに適切であるかどうか、そういった点から判断さるべきものとなろうかと思います。
  48. 上原康助

    上原委員 そこも非常に不明確な点で、その判断基準なりそういったものもすべて政令で定める、政令防衛施設庁長官の権限でやるということになると、商売を営んでいる中小企業の方々にむらが出てくるということになりますね。  そこで第九条ですが、せんだってからいろいろ議論がありましたし、この法案の最大のポイントともいえるかとも思うのです。ここも非常に抽象的に条文を規定しているわけなんですが、この第九条でうたっている「次に掲げる防衛施設のうち、その設置又は運用がその周辺地域における生活環境又はその周辺地域の開発に及ぼす影響の程度」、「周辺地域の開発に及ぼす影響の程度」の判定は、一体どうなのか。「開発に及ぼす影響の程度」とは、どういう意味なのか。これも具体的に明らかにしていただきたいと思います。「及び範囲その他の事情を考慮し、」の範囲や、その他の事情を考慮するということは、どういうふうな意味なのか、具体的に内容をお示しいただきたいと思います。  さらに、後段のほうで、続いてきて「特に配慮する必要があると認められる防衛施設があるときは、」、二つ問題があるわけですね。「開発に及ぼす影響の程度及び範囲その他の事情を考慮」する、さらにまた、「特に配慮する必要があると認められる防衛施設があるときは、」、その場合に、ここでうたっているのは、具体的にはどういう施設なり、どういうことをいわんとしているのか。しかも、ここの場合は、その基準とかそういうものを政令でうたうということは書いてないんですね。ほかの条文ではそういうこともあるんだが、もっぱら総理大臣のいわゆる権限といいますか、恣意によってできる。総理大臣がこう思ったら、これは非常に影響を及ぼしているから、これだけの補助をしなさいとか、また特に配慮する必要があると思うから、この基地についてはこうしようという、まあつかみ金的なものを乱発できないとも限らないわけですね、皆さんがどう御答弁をしようが。せんだってもそういう答弁がありましたが……。  こういう抽象論では、山中長官がよく御存じと思うのだが、かつて沖繩に弁務官資金というのがあった。これは山中防衛庁長官資金になりかねない、あるいは防衛庁資金になりかねない。あっちの簡易水道を直してあげます、こっちの道路を舗装します、公民館をやってあげます、だから、おれの言うことを聞けというようなことにもなりかねないわけですね、この条文というのは。したがって、ここはきわめて抽象的に表現をして、条文をつくってあるわけですが、いま私が指摘をした問題の中身というのは、具体的にどういうことを言わんとしているのか、また、なぜ政令とかあるいは法律によって、そういう特定施設を設ける場合のいわゆる判定基準というものを明確にしておかないのか。その点は、私は、これまでの議論を通してまだまだ十分明らかにされていないと思いますので、もう一度考え方なり、いま指摘をした点についての御答弁をいただきたいと思います。
  49. 田代一正

    田代政府委員 お答えいたします。  何回か御答弁いたしたとおりでございますが、この第九条の規定を設けたゆえんのものは、全部の法体系的に概観していただきますと、まず、われわれ考えております新法の基本的な考え方といたしまして、一つは、基地運用される、あるいはまた存在するということに伴っていろいろな障害が出てまいる、その障害につきまして、現在の科学技術の進歩、経済性その他を勘案いたしまして、その障害防止できるもの、あるいは軽減できるものがあろうと思いますが、それは、まずそういうことで防止、軽減ということでやりましょう、それで、防止、軽減しようといたしましてもなかなかできない、できないけれども、やはり障害というものは残っているという場合に、その障害の緩和に資するためのいろんな民生安定の事業をして差し上げましょうという考え方でございます。  そこで、これも何回か申し上げたと思いますが、過去八年間の現行法の運用の過程におきまして、やはりその後、都市化現象という問題、あるいはまた住民各位の環境意識の高揚という問題、あるいはそれを受けまして、公共団体その他から、これじゃとても十分じゃないから、何か考えてほしいという切なる御要望もございました。そういうことを踏まえていろいろ考えたわけでございますが、この法案でお出ししておりますものの考え方は、さっき申しました現行法のジャンルのみでは十分救済されない何かがあるということで、約一年近く検討いたしました結果、それを補完する一つの形として、第九条の考え方を出したわけであります。  法律理論的に申しますと、どちらかというと障害防止、軽減という範疇のものと、それから現行法の四条、新法の八条でありますが、この障害の緩和に資するという二つのカテゴリーで考えますと、どちらかと申しますと、後者のほうを補完するという立場、態度になる。そこで、この法律でとられております考え方は、先ほど来大臣からもお話がございましたように、現在の周辺整備の諸施策の中で欠けている問題は、従来は基地運用ということに主として着目してまいった。ところが、現実には、基地存在するということによっても、大きな不満、不平というものが残っているであろうということで、特に第九条でその考え方を出しているわけでございますが、ここにございます「その設置又は運用がその周辺地域における生活環境又はその周辺地域の開発に及ぼす影響の程度及び範囲その他の事情を考慮し」ということがございますが、それは、やはり基地運用に伴ういろいろなその他の公害的な現象のほかに、基地存在する、たとえばある行政区画の中でその大半を基地が占めている、したがって、村づくり、町づくりということも意にまかせないことがある、そういったいろいろな苦情と申しますか、御要望と申しましょうか、そういうことを踏まえて、この考え方を出したわけでございます。  そういうことでございますので、その生活環境周辺地域の開発に及ぼす影響の程度及び範囲というものを、具体的にものさしで考える場合で申しますと、一つはその地域の静態人口あるいは動態人口——ということは、こういう増加率があるかということが一つの目安になるでありましょう。それからまた、その基地自身が、その公共団体等においてどの程度のウエートを占めているか、また絶対的にどの程度の量になっているかという問題、あるいはまた防衛施設運用に伴ういろいろな障害というものが、どういうような影響をその地方住民の皆さま方に及ぼしているかということを勘案いたしまして、一定の客観的な基準をつくりまして、その基準に基づいて内閣総理大臣があらかじめ関係行政機関の長と協議してきめる。この内閣総理大臣と申しますのは、これも何回か御説明したと思いますが、総理府の長官という資格、いってみれば各省大臣という資格でもって関係行政機関の長と協議して具体的にきめるということを考えたわけでございます。  したがいまして、御質問にございましたように、何らかの恣意性でもってかってにやるのじゃないか、弁務官資金じゃないかというお話がございましたけれども、私どもこの法の運用につきましては、そういうことは一切考えていない。やはり客観的なものさしというものを手に持ちまして、たとえばことしは予算が五億しかございませんので、指定しようといたしましても、そうたくさんの地域は指定できないということで、いずれにしましても、客観性を確保しながらこの法律運用したい、こういう気持ちであります。
  50. 上原康助

    上原委員 この間から、この議論を聞いて私はまだ釈然としない。一定の判定基準もない、政令事項でもない、客観的な事情を考慮し、判断をしていくのだということになりますと、この第九条というのは、法律としての条文というよりも、すべて政治用語なんですよね。政治的な判断にまかすという、簡単にいうとそういうことにしかなっていないと思うんですね。それは、まさしく、沖繩の例でたいへん恐縮なんですが、かつての弁務官資金と同じような性格を持つ危険性なきにしもあらずなんです。客観的な判断一体だれがやるのか。こういう抽象的なことで特定防衛施設として指定をしていくということでは、どうしても納得がいかないわけですよ。  では、いまおっしゃる客観的な判定をするその基準は、どういうふうにおきめになるのですか。それは要綱か何かつくってやるのか、あるいはあくまで、これまでの答弁からすると、大体基地面積あるいはその地域に占める占有率とか、人口密度、都市化の状況、そういう面を考えているように受けるわけですが、これとても見方によっては違うわけですよ。だから、邪推をすれば——邪推というよりも、運用いかんによっては、せんだっても議論がありましたように、ここは、よく基地の問題に対して協力をしているのだから、特定に指定をしましょう、どうもあそこは、自衛隊にも反対をしているし、あまり基地問題には協力もしない、そういう客観的な判断というのも政治的に出てくるわけですね。これは、ぜひ大臣にもお答えいただきたいのですが、やはり法律運用するのは人間なんですよ。人間には思想的な問題もあるし、主観的ないろいろなものがあるわけですから、えり好みによって運用されないとも限らない危険性が、この第九条というものには十分考えられる。  したがって、そういう特定防衛施設に指定をされ、そのための調整交付金の交付をするという場合は、だれが見ても、公平の原則に基づいた判断によってなされたという基準というものが設けられないと、法案がいざ通って運用される段階では、政治的な裁量によってしかこれは運用されない結果になる。そういう面は、運用の段階ではほんとうにどうやっていこうとするのか。  これは、あとで聞きたいのですが、では、この法律に基づいて申請をすれば、基地から起きている被害についてはいろいろ手当てをしていく、補助もする、助成もしていくということになるのだが、そういうやり方は好まない、あくまで基地そのものに反対をして起きている被害に対しては除去をやれ、補償をやれという場合も問題が出てくるわけですね。法律に基づいて申請をするからこれはやりましょう、しかしあとはやらない。非協力的、それを拒否する市町村というものは、そのままでいいかというと、やはりそうはいかないわけですよ、同じ被害を受けているのだから。  そういう面、いろいろ考えた場合には、現在もいろいろありますが、この条文の乱用によって、幾らでも運用されていく。結果的にいうと、もうあんまりめんどうくさいから協力せざるを得ないやと、不本意ながらもこの条文にしばられて、基地周辺整備等の資金というものを受けざるを得ない。何かそういう方向に将来持っていこうという意図さえ、われわれとしては感じられるわけなんです。そういう面はあってはいかない点だと思いますので、この判断をする基準といいますか、あるいは政令とのかかわり合いも、全然なくしている点——もちろん政令にゆだねるということが、すべていいとは私は言いません。この点については、いまのお答えでもきわめて抽象論なんですよ。もう一度明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  51. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、そういう恣意にわたるものが入り込む余地がない。   〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕 たとえば、一番わかりやすい例で申しますと、嘉手納飛行場というものをかりに指定をするとしますね。そうすると、嘉手納村の村長さんは保守である、読谷、北谷、沖繩市は、これは革新である、保守、革新という通常の使いなれたことばで言えばですよ。それによって恣意に、それを額を減らしたりなどすることは、実際上できないのです。  たとえば額を決定するにあたっては、特定防衛施設面積、これは思想と関係ないのです。当該施設運用の態様、これも事実関係です。当該施設特定防衛施設関連市町村の行政区域に占める割合、これもきわめて明確に比率が出ます。それから、当該市町村の人口、こういう各種のファクターでもって積み上げた係数をかけていきますから、その金額が出る。かといって、それはつかみ金ではなくて、メニュー方式を示します。  したがって、使っていい公共用の施設というものは、当然政令でも道路、レクリエーション施設、教育施設、医療施設、社会福祉施設等までは入りますということを言っておりますが、そういう法律政令というものでもってその対象をきめて、そうしていままでやってまいりましたもので、今度若干発生源とか対象とか広げたりしておりますが、そういう既存の法令を、今度新しく装いをこらしまして、そこまで届かないものというものでも、公共用のものについてのメニューを示して、そのメニューを選択されて持ってこられる、それは各町村の自由意思でありますが、それで持ってこられたものに対して、この第九条の指定された周辺の市町村であれば、それに対して十分の十の補助を出しますということでありまして、むしろ私どもは、そういう恣意の入る余地よりも、金額が少ないこと並びにこれらの条件を考えてみますと、その特定施設適用される、適用を受ける施設がきわめて数が少ないであろう、その際に、現在の基地周辺関係市町村長さん、知事さん等の実際の今日までの運用にあたっての苦情なり、御意見なり、陳情、要請等を拝見しますと、むしろもっと数をふやせという御意見に私たちがこたえられないで困るのではなかろうかという点のほうを心配しておりまして、恣意に運用する余地がまず第一ない、そして客観的に、これはきわめて明確な指数でもって示されるということで、そのようなことは運用上もないということを明言しておきたいと思います。
  52. 上原康助

    上原委員 客観的なファクターに基づいてやっていく、そうしますと、そういった要綱なり判断を、指定をする基準あるいは交付をする配分の問題もあるわけですね。どうしてもそこでいろいろな内部的な問題なりが出てくると思うのです。ですから、要綱なり配分はどうするとか、嘉手納飛行場だって、おっしゃるように嘉手納村だけじゃない。沖繩市が入るし、北谷村が入るし、読谷も入る、石川市も場合によっては入る。多岐にまたがっている。横田だってそうでしょう。そういう場合のいわゆる基準というものは、要綱というものは公にされて、やはりそこでは、いま言う恣意的な判断が入る余地のないということが公にされない限り、問題が出てくると思うのです。その点は、要綱なり判定基準というものは明確にしていくということでいいですね。  私は、もちろんこの条文に賛成するわけではありませんよ。これは、きわめて運用の——いま山中長官はそうおっしゃいますが、かりに防衛庁長官が変わった場合はやるかもしれない。あいつはおれの言うことを聞かぬから、少し苦しめてやれという、中にはそういういじ悪の人もたくさんいるんですよ。施設庁長官だって、年がら年じゅう反対する人には、このやろうと思うかもしれない。これは思うのが個人で、そういう感情の入らぬ余地がないということは、この条文では言えない。だから、その要綱なり判定基準というものを明確にしていく、あるいは配分をどうするかということも、より明確にしておいていただかないと、この条文を読んでの感じにおいては、恣意的判断が入る余地が大いにある、むしろ乱用されて困る面が出てくる。そういう面は運用段階で、具体的に要綱なり基準なりを設けて運用していくという考えであるということを、あらためて確認をしておきたいと思うのですが、よろしいですか。
  53. 田代一正

    田代政府委員 まず最初に申し上げておきますけれども、非常に恣意性と申されましたけれども、私、施設庁長官半年の経験でございますが、この法案が出るということに相なりますと、全国の基地から、それぞれ私のところにたくさん来ておられまして、これは政治的な党派、党別という問題を越えていろいろ問題になっていると思います。そういう情勢でもございますので、われわれとして、そういう客観的なものさしでもってこの問題を渡り切るということは、とうてい不可能だということをまず申し上げておきたいと思います。  それから、この特定防衛施設あるいはまた特定防衛施設関連市町村というものをきめる場合の一つ基準と申しますか、それは当然大臣のところでもってわれわれ協議いたしまして、そこできめるということに相なろうと思います。なるべく客観的なものをつくって、説明の十分できるものをつくりたいという気持ちでおります。
  54. 上原康助

    上原委員 それと、いまの特定防衛施設の指定ですが、四十九年度わずか五億円しか組まれていない。さっきのいろいろなお話を聞いても、後ほどまとめてもう少しお尋ねしておきたいのですが、指定は、私の聞いた限りでは、嘉手納横田と、あと一カ所はどこでしたか。三カ所くらいだ、具体的に指定をするその基地は、どこどこなんですか。
  55. 田代一正

    田代政府委員 ただいま事務当局に研究はさしておりますけれども、まだ法案も通ったわけでもございませんし、法案が通りました暁にもっと本格的に検討さしていただきたいと思います。したがいまして、ただいまおっしゃったようなことでは必ずしもないかもしれません。それは、そのときにならぬと何とも申し上げられないという問題であります。
  56. 上原康助

    上原委員 大体考え方はわかるような気がするのです。  そこで、自治省に伺いたいのですが、私は、いまほかにも、十三条などもいろいろ問題ありますか、この基地周辺整備ということを防衛施設庁が窓口になってやっていく、その対象ももう際限なく広がってきているわけですね。厚生部門があるし、文教部門があるし、あるいは農業、河川、道路、もう総合庁舎みたいに防衛施設庁がごりごりやっているようなもので、本来ならば、基地から起きる被害とかそういった問題については、地方自治が主体ですから——県にしたって市町村にしたって、地方公共団体であるというたてまえからすると、やはり自治省が中心になるべきだと思うのです。あるいは私は文部省関係の学校施設なら、公民館にしたって、これは文部省予算で消化をしていくべきだと思う。病院とか診療所とかそういうのは、厚生省というのがあるわけだから、厚生省予算でほんとうに被害についてやっていくというのが、本来のあり方でなければいけないと思うのです。  そこで、そこまではきょう時間の関係もありますのでいけませんが、自治省としては非常にやりにくい面が出てきはせぬのか。こういうふうに調整交付金というものが出される、また、いま自治省から出ている基地調整金あるいは基地交付金というのもあるわけでしょう。それをもっと上積みをしていく形でこの種の問題を解決していくというのが、私は地方自治体の自治を重んずる、あるいは上からの行政介入というものを軽減していく意味においてはあるべき姿だと思うのです。そういうふうにいま自治省から出されている基地調整金なり交付金というものをもっと上積みしていくという方向がなぜ出ないのかということ。  いま一つは、もちろんそれだけでは限度がありますから、基地によって、基地をかかえているがゆえにいろんな人的、行財政的に負担をしいられている市町村に対しては、特別交付税という形で——これは、かつて山中長官も総務長官時代は実際そういうお考えもあった。防衛庁長官になったら、いつの間にか基地をふくらますことに一生懸命になっておられる。そういう形でやっていくのが、本来の地方の行財政のあり方であるべきであるし、また問題解決において、いまさっきから指摘をされているいろんな憶測なり、その法律に基づいて市町村でそれをやっていこうという場合の障害なり、弊害というものがなくなると思うのですが、その点については、自治省はどういうお考えなのかお聞かせいただきたいと思います。
  57. 山下稔

    ○山下政府委員 自治省で所管をいたしております基地交付金、調整交付金、特別交付税につきましては、それぞれの性格がございます。たとえば基地交付金で申し上げますと、市町村の区域の中に広大な面積を占める基地がありますために、市町村の財政上に非常に大きな影響を及ぼすという点を考慮いたしまして、固定資産税の代替的な考え方を基本にした財政補給金でございますし、調整交付金は、国有提供資産とのバランスを考え、あるいは税制上の非課税措置による地方団体が受けます影響を考慮いたしまして交付する財政補給金でございます。いずれも一般財源でございます。特別交付税につきましても、市町村の特別の財政事情というものを考慮して交付する一般財源でございまして、調整交付金、基地交付金、いずれもその交付について条件をつけたり、使途について制約を設けたりしてはならないということになっております。  いま問題になっております特定防衛施設周辺整備調整交付金は、法の九条に規定がございますように、公共用の施設整備を行なうための費用に充てさせるために、予算の範囲内において交付されるいわば特定財源でございまして、私どもの所管をいたしておりますものの一般財源とは性格が全く異なるものでございますので、それぞれがそれぞれの立場で制度を運用するということは、意義のあることであろうと思います。
  58. 上原康助

    上原委員 おたくの立場では、そういう説明しかできないかもしれませんが、やはりそれで合っているのは筋なんですよ。だから問題は、いま自治省から出している調整金なり交付金というのは一般財源なんですよ。これは、ひもつきじゃないんだよ。だから本来そうあるべきだと思うんですね。防衛施設庁の、現法にしたって新法にしたってこの法律によって出されるのは、みんなひもがつくんですよ。きょうはカレーライス食べますか、オムライスですか、すき焼きですか、メニューを見せて、公共もやらなければいかぬということになる。しかも一般財源には入れられない。だから本来、地方自治体としては、自治省のいまの調整交付金なりそういったものは——もちろん限界がありますよ。これは固定資産税の代替的な考え方ということもありますからね。それをむっと強化をしていくということ、あなたが言っているのは本筋なんだ。そうすれば、ひものつかない財源の確保というものができるのです。実際問題としてそういう方法はあると私は思う。なおかつ、それでできないようなものについては、特別交付税制度でもっともっと充足をしていくという、ほんとうはそこに持っていかなければいけないという感じが私はするわけですよ。  なぜ、あえてそれを強力に推進をしていかれようとしないのかが疑問で、それぞれの省の職務分限でやっていって合わせていけば、多く財政が流れるからという考えかもしれませんが、財政上から見ても本来のあるべき姿じゃないわけですね。その点を私は指摘をしておきたいし、いま申し上げました基地調整金あるいは交付金、そういうものは、たとえ固定資産税の代替的なものであるにしても、それをもっと強化をしていく道はまだ残されているわけでしょう。あるいは特別交付税でまかなっていくという考え方は、自治省としては検討しないのかどうか、またこれに対しては、防衛施設庁はどう思うのか、ここもぜひ明確にしておいていただきたいと思います。
  59. 山下稔

    ○山下政府委員 基地交付金、調整交付金のより強化充実につきましては、さらに一段と努力をいたしていく必要があると考えております。ただ先ほども申し上げましたように、それぞれ性格の違う制度でございますが、基地交付金の配分にあたりましては、たとえば総額の二五%を施設の種類、用途等によって配分いたします場合には、施設庁とも十分協議を整え、お互いの考え方を協議し合いながら配分をするというふうに運用もいたしておりますし、実際の運用面においても支障はございません。そういう意味で自治体としての一般財源の強化については、さらに別途一段と努力をいたしたいと考えます。
  60. 田代一正

    田代政府委員 おっしゃるように、地方自治体の財源問題ということもありましょう。それから同時に、防衛施設存在に伴う障害防止という問題あるいは障害の緩和という問題もございましょう。そこで、なぜこういった私どもが今回提案いたしておりますような交付金が要るかということでありますが、これは先ほど来申し上げておりますように、基地あるがゆえに、あるいは基地運用ということに関連いたしまして障害がある、その障害を目してのいろんな対策の一環としてとらえているわけでございます。  そこで、現在自治省でおやりになっております基地交付金あるいは調整交付金と申しますのは、やはり現在の姿といたしましては、固定資産税的なものであります。ですから、基地所在の市町村にしてみれば、固定資産税が基地あるがために、その分だけ取れなかったのをもらうのだ、もともとじゃないか、こういう議論が残る、そうすると平たくいえば、基地あるがゆえに、それ以上のことをしていただかなければいかぬ、やはりそういう問題が残っている問題じゃなかろうかと思います。そういうことのために、現行の周辺整備法がありますし、また今回の新法もある、こういうぐあいにお考えになっていただいたらいかがかと思います。
  61. 上原康助

    上原委員 それ以上のことをやらなければいかぬのは、それは当然であって、そのやる方法を私は問題にしている。それはなぜじゃ、そのひもつきにならざるを得ないのかということも問題になるわけですね。たとえば自治省の「施設等所在市町村調整交付金交付要綱」、その第七条では「調整交付金の交付にあたっては、その使途について条件をつけ又は制限することはしないものとする。」と明確になっているわけですよね。これは、ひもつきではない。これは一般財政に市町村は入れられるので、だから、そういった調整交付金については役立っている。考え方は、固定資産税の評価という、取れないからそのかわりにめんどう見てやる。めんどうというより調整交付金をやるのだという。それじゃ、もしそれ以上のことをやるということであるならば、この法律においても、すべての交付金については、その使途について条件をつけ、または制限することはないということなら、一般財源に入れて市町村は使えるということにもなるわけですね。  もう一々ワクをはめてこうやられているところにも問題がある。そういう面の違いで、やはり私の立場でいうと、基地に対して何らかの形で締めつけていって、どうしてもそうせざるを得ないような立場に追い込むというのが、この周辺整備法のねらいの大どころだと私は見ているのです。自治省から出ているお金の支出のやり方とそういう違いがある。防衛施設周辺整備法でたとえ補助をする、助成をする、しかし、その財源の使い方においても、市町村にとってはきわめて手かせ足かせの問題点があるということも、やはり指摘しておかなければいけませんし、直すべき点もあると思うので、そういう点を私は強く申し上げているわけですよ。この点について、そういうお考えはないのでしょうか。
  62. 田代一正

    田代政府委員 交付金という形をとりますと、たとえば現在、自治省がやっておられますような基地交付金とか調整交付金、これは財政的な使い方から申しますと、一般財政補給金ということばでとらえているわけです。私どものほうの今度考えております交付金と申しますのは、どちらかと申しますと、補助金の延長線上でとらえたものの考え方であります。財政的な一般交付金という形でございますと、これは当然、国の行政配分の立場から申しまして、自治省の所管になるわけでございますが、私どもが考えておりますのは、先ほど来何回も申しましたように、補助金的な性格を持っており、ただ補助金と違いますことは、一定の客観基準のもとでその公共団体に総額幾ら参りますという金額が先に出る、そこが一般の補助金と違う。その金額の中で一定のメニューがある。メニューの中でいろいろな事業を選択していただくという形になる。そこが補助金と違うということでございます。  これは、やはり今回第九条というものを考えました場合に、第八条のような個別の障害対応というものの考え方だけでは十分に律し切れないというために第九条を考えたわけでございます。したがいまして、公共団体全体として見て国の助成と申しますか、補助と申しますか、それが幾らになるということを先に出して、そのあとで事業をきめるというほうが、この第九条の制定目的からいって合理的ではなかろうかという判断のもとになったわけでございます。そういうわけで、自治省でおやりになります交付金と私どもでやります交付金とはおのずから性格が違う、また内容も違う、こういうことに相なるのじゃないかと思います。
  63. 上原康助

    上原委員 しかし第九条は、何もひもつきのものでなくなるわけじゃないのでしょう。メニューを選択させて、これこれの事業しかできないということになったら、それは一般財源になりませんよ。新しくそれを設けたからといって、先ほど大臣の御答弁があっただけなんです。それを、そういうやりとりを幾らやっても、考え方が基本的に違うのだから——しかし、それはやはり地方自治の本旨からいうと自治省を中心にやる筋だ。また文教予算について文部省予算でやるべきなんです。厚生省関係については厚生省予算でやるべきなんです。皆さん調査するのはそれはいい。そういうところに非常に問題が出ているという点も、私は、かつて予算の分科会で高見文部大臣でしたか、何も公民館まで施設庁や防衛庁にめんどうを見ていただく筋はないということをはっきり明言した。しかも補助金の率を少しアップしたような形で、それはまさしく基地協力資金で、これは弁務官資金の新版なんだ。  それといま一つ、お聞きしておきたいことは、国有提供施設等所在市町村に対する助成交付金と施設等所在市町村調整交付金、この違いをちょっと御説明いただきたい。まあ、わかるのですが、たとえば沖繩の場合、四十八年度幾ら交付されたのか、これは施設庁の担当ですかね。
  64. 山下稔

    ○山下政府委員 御指摘の前段は略して、基地交付金と申しておりますが、基地交付金は、日本国政府提供いたしました資産に対する配慮の制度でございますし、後段は調整交付金と申しておりますが、調整交付金は、提供されました国有資産とのバランスを考えまして、米軍が自身で建設しました資産に対する配慮及びいろいろ非課税の規定がございまして、それによって市町村が財政上の影響を受けております。そういう点を考慮するという制度が調整交付金でございます。沖繩県に対しまして、四十八年度に交付されました基地交付金及び調整交付金は、基地交付金が二億、調整交付金が十四億一千万でございます。
  65. 上原康助

    上原委員 施設庁にお尋ねしたいのですが、いわゆる交付金、一般に基地交付金といわれている交付金が二億円、これはおもに国有財産のあれですね。調整交付金というのは、もともと米ドル資産、アメリカがつくったものに対しての資産、一方は二億円で一方は十四億一千万円、どんな沖繩の基地の実態であるか、ここでも明らかになっているわけです。この米ドル資産でつくった資産の評価については、これは外務省になるのか、きょうは大蔵省は来ていらっしゃいますか。この資産評価については、十分やっているのですか。たとえば嘉手納飛行場とか米軍施設、区域の、本来米軍がつくった資産の評価というものがどうなされているのか。だから、私はまだとるべきものがあると思うのです。もっと支出できる限度、要因というものがまだあると思うのです。特に米ドル資産でつくった施設の評価について、ここいらはどうなっているのか、これもきょうは深くは入りませんが、明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  66. 山下稔

    ○山下政府委員 基地交付金の対象資産は、国有財産台帳に登載されました資産価格を使っております。これは、行政財産についてはそれぞれの所管省、普通財産については大蔵省が五年ごとに評価をいたしまして、台帳に登載いたしておりますが、その価格を使っております。調整交付金の対象になります米ドル資産につきましては、私ども施設庁の御調査をいただきまして、その数字を使っているわけでございます。
  67. 上原康助

    上原委員 施設庁はどういう調査をして、どういう評価をしているのか、この点は重要な点なので、明確にしておいていただきたい。
  68. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 防衛施設の中に所在しますところのいわゆるドル財産と称せられるものにつきましては、防衛施設庁米軍から資料を求めまして、米軍が持っておりますところのそのドル財産の台帳価格というものを資料として求めて、それを自治省のほうに資料としてお送りしている、そういう形をとっております。
  69. 上原康助

    上原委員 その米側の提供したいわゆる資料というのは、復帰段階のやつですか。いつですか。米側の資料に基づいて施設庁が評価をしたというわけでしょう。復帰時点のものなのか。国有財産というのは、確かに五カ年で評価をやっているわけですが、たとえばアメリカが増設をしている施設、区域はいろいろあるわけですが、これは何もP3の移転とかそういうものは、日本政府提供する、いわゆるわがほうの負担によってやるものじゃなくして、アメリカ独自でどんどんふやしていっている。そういうものが逐次評価されているのかどうかは、私は、つかまれていないのじゃないかと思う。だから、そういったものを、委員長、これは資料があるというのだから、相談して出していただきたい、米軍施設、区域の資産。その点はどういうふうに評価をし、どういうぐあいになっているのか明らかにしておいていただきたい。
  70. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 確かに御指摘のとおり、米軍のドル資産に関しましては、米軍の維持管理機能の一環として逐年改良等が行なわれ、付加価値というものがついていっている実態にあろうかと思います。われわれのほうといたしましては、毎年自治省のほうで調整交付金を算定されます基礎資料として、米軍側からその毎年の時点におけるそれぞれの建物の台帳評価というものを求めて、それを自治省のほうにお送りしている、そういう実情でございます。
  71. 上原康助

    上原委員 その資料は提示できますか。
  72. 田代一正

    田代政府委員 私も現物を見た記憶はございませんけれども、いま聞いてみますと、米軍の資料でございますので、やはり米軍の了承を得ないと国会にお出しするということはできないのじゃないかと思いますので、米軍と一回相談した上でのことにしていただきたいと思います。
  73. 上原康助

    上原委員 それはおかしいですよ。肝心の責任者の施設庁長官が、その台帳資料も見ていない。見ないでどういう評価ができるの。だから私は、この調整交付金については、そこにまだ問題があると思う。肝心かなめのあなたが全然知らぬで、じゃだれが知っているの。そういう御答弁には納得できません。
  74. 田代一正

    田代政府委員 私も就任早々でございますし、そういった資料のやりとりということについては係でやっております。しかも私自身が、予算の実際幕切れの段階で就任したということもございまして、十分そういった資料を点検する機会がなかったことは、非常に残念に思っております。
  75. 上原康助

    上原委員 どうもいまの御答弁納得いきません。ですから、基地被害の面あるいは交付金でひもつきでない自治省から出される調整交付金にしても、調整金にしても、もっと十分に点検をすれば、基地あるがゆえにいろいろな弊害、被害を受けている市町村にとっては、財政的な当然取るべきものがまだあると私は思うんですね。本来、やるなら政府はそれをもっと積極的にやるべきなんです。就任してやがてもう一年になるわけでしょう。それは責任継承の原則なんだ。そういうことはあれですが、大臣、これは、やっぱり評価については、きびしくやらなければいけませんよ。わがほうから出すのは、何やかやいろいろ出しておって、アメリカの側については、資産も隠してどんどんつくって太っていったって、どうなっているかわからぬじゃ、話にならぬじゃないですか。そこは少し、施設庁長官の権限かもしれませんが、防衛庁における最高責任者は山中大臣だから、その資産評価の問題については、もっと再点検をしてみる。特に沖繩の場合はもっと調整交付金もふえるとぼくは思う。これは本土だって同じだと思うんですよ。大体いいかげんな資料に基づいていつもされているのじゃないですか。その点について、再検討して改めていく御意思があるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  76. 山中貞則

    山中国務大臣 これは国有財産ですと、五カ年ごとの評価ということで、自治省自体大蔵省と相談してやるわけですが、いまの米ドル資産に対する問題は、毎年その実態というものを米軍の——これは虚偽の事実を報告したりなどする余地はないので、米軍が腹が痛むわけでもありませんし、そのとおりの客観的な資料をつくるのでありますから、それをもって私どものほうが、自治省のほうに配付の基礎資料としてお渡しするということで、むしろそれの事実の積み重ねというものは、毎年それを認めていくということでありますから、五年ごとの評価がえよりも毎年毎年見ていくことによって、比較的私は正確を期せられると思うのです。これは米軍のほうが腹が痛む問題でありますと、隠したりすることもあるかもしれませんが、米軍のほうは関係ないわけですから、事実は事実として出すと思うのです。客観的には、非課税その他の恩典のために、当該市町村が収入を得られなかったもの、これのほうは調査を、何も米軍に求めなくてもはっきり資料が出るわけでありますから、そういうようなことであります。  先ほど長官が申しましたのは、これはよけいなことですけれども、彼は予算が済んでから就任して、予算編成をまだ始めていませんから、実務上基礎資料を自分が点検をし、目を通す余裕がなかったということを申し上げたわけで、平井施設部長以下の担当者というものは、全員それを基礎にして自治省と緊密な連絡をとって作業しているわけであります。その点は、御寛容のほどを願います。
  77. 上原康助

    上原委員 米側が腹を痛めることにはならぬかもしれませんが、しかし、資産の評価によってどういう施設でどういう状態になっているかということは、ふえたのか減ったのかわかるわけですから、そこは私は、問題があると思いますので、御検討をいただきたいと思います。なさいますね。これは、はいと言ってくださいよ。
  78. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 先ほども御答弁いたしましたが、毎年米軍から求めておりますのは、米軍の台帳価格でございますが、その中身といいますのは、その毎年の当該建物の新建築費、これから経年減価というものを考慮して、一つの評価というものが出てきて、それを毎年施設庁のほうで米軍から求めて、当然その当該年度における変化というものも加えられたものを、資料といたしまして自治省のほうにお送りしているわけでございます。今後ともそういった点につきましては、十分実態を踏まえながら的確な資料の確保につとめていくつもりです。
  79. 上原康助

    上原委員 後ほど御相談いただいて、資料の提示についても、ぜひ私の要求に沿えるように御努力をいただきたいと思います。  そこで、時間がだんだん来ますので、あとこの件で維持費の問題があるわけですね。たとえば防音校舎をつくる、いろいろなことをやっているわけですが、この間の御答弁を聞いていますと、維持費についても補助をするのだというようなことを言っておられたんですが、一体防音校舎をつくる、あるいは防音施設をつくる、あとの維持費はだれが負担するのか、これがむしろ問題なんですよ。つくるのは、一ぺんつくってしまえばそれはいいかもしらぬ。だが、電力料金も上がる、いろいろな面で、維持費というのは、たいへんな市町村の負担になっているわけですよ。これは今後、この新しい法律ができた段階においてはどうなっていくのか、これも明確にしておいていただきたいと思うのです。
  80. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 防音工事を施しました施設のうち、義務教育の学校施設につきましては、現在、その防音工事に伴いますところの温度保持、除湿機能を果たすための施設運用に伴いますところの経費、すなわち御指摘の維持費でございますが、そういった面につきまして、適正な範囲におきまして、補助を行なっているというのが実情でございます。今後これらの維持費の運用につきましては、防音工事その他の実態あるいは地域の特性、そういったものも踏まえながら、これらの改善には十分つとめていく考えであります。
  81. 山中貞則

    山中国務大臣 沖繩においては、米軍が施しました義務教育のクーラー維持のための電気料金その他は米軍が見ております。本土に復帰いたしまして、本土法をそのままかぶせますと、これは行政負担の問題ですけれども、全額は見れないという問題が起こりまして、私も気がつかなくて申しわけなかったのですが、そういうことがありましたので、沖繩については、一応全額がカバーできるように措置はいたしております。ただいま答弁しましたのは、全般の問題として今年度から取り組んでおるということを申し上げたわけであります。
  82. 上原康助

    上原委員 これは私、沖繩だけのことを言っているのじゃないんですよ。沖繩でできるなら——これは法の平等ですからね。何か沖繩にやってあげていますということで、まあお気持ちはわかりますがね、そういうことじゃないんです。  ですから、いま大臣がおっしゃるように、たとえば嘉手納の例からしますと、防音施設の維持運営の費用は、復帰前は全額米合衆国が負担しておったのです。そして琉球政府の予算に繰り入れて、公立義務教育諸学校の運営補助金として全額交付されておったのです。ところが、復帰後は全然それがなされていない。いま全額やっていらっしゃると言うが、嘉手納の例だけを申し上げますと、そうなっていないんですよ。  ですから、維持費の問題については、これは公立学校だけといいますと、じゃ、先ほどの法律の第三条でいっているいろいろな公共施設があるわけでしょう、これなども、たいへんな経費がかかるんですよ、ほんとうにやろうという場合は。そういうところまでやるのかどうか。適正な補助というのも、もう聞こえは非常にいいわけだが、適正な補助とは一体どういうものか。維持運営するために——それはもちろん適正ということは、たとえば小学校ですと、八時ごろから始まって午後の四時か五時でしょう。それが二十四時間つけっ放しという場合は、これは適正でなくなりますね。少なくとも、そういった常識で判断をして、基準に沿った維持費というものは全額、国の補助とかそういうことでなくして、いわゆるこれは実費補償ですよ。そういうことまで今後全国的にやっていくのかどうか。補助対象としてごまかすと言ったらおこられるかもしれませんが、そういうことでお茶を濁すのか、そこもぜひ明らかにしておいていただきたいと思います。
  83. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 先ほど公立学校ということをおっしゃいましたが、義務教育の学校対象としております。  それで、なぜ義務教育の学校対象としたかと申しますと、やはり国民教育の基本の場である義務教育の学校施設については、維持費の面を、やはり防音工事の補助金を出したわれわれのほうの立場でも見ていくべきではなかろうかという考えに立っているわけでございます。それ以外の一般の病院施設とか診療所とか、そういう問題になってまいりますと、同じくこれは防音の必要性を生じた行為者であるという立場においては、国の立場は同様であろうかと思いますが、やはり施設の特性等からおのずから、維持費の問題について、いまの時点においてどの施設対象にすべきかという判断が出てこようかと思います。御指摘の点につきましては、今後の一つの課題として積極的に検討してまいりたい、そういうふうに考えております。  なお、維持費の負担に関しまして、全額であるべきかどうかという点につきましては、除湿にいたしましても、温度保持にいたしましても——温度保持というのは、裏返せば暖房でございますし、除湿と申しますのは、裏返せば冷房、クーラーになるわけでございます。しかし、それは単に防音工事を施したということに全く一〇〇%結びつく施設であるかどうか、そういった点がおのずから維持費の負担の範囲をどうするかということの一つ判断になるのではなかろうか、そういうふうに考えております。
  84. 上原康助

    上原委員 いわゆる義務教育の学校については、全額負担するわけですね。あとの診療所とか、第三条でいろいろうたわれているんだが、そういうものについては、補助対象にする——補助もないのですか。防音装置ということで冷房装置はする、また地域によっては、暖房も必要でしょう、それじゃ維持費がかえってかさむということもあるんですよ。一カ年なら話は別。人間はずっとその公共施設というのを使うわけだから、そのことも不明確のままに、ただ、こういうことをやってあげますよといってみたって、中身としてはやはりいろいろな問題が出てくる。   〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕 ここも非常に疑問があるという点を、指摘をしておきたいと思います。  それで、幾つか問題をあげてお尋ねをしたのですが、まだ釈然としない面が多過ぎる。そこで、いま皆さんがいろいろな答弁もあったわけですが、公共施設なりにこれから防音対策なり、騒音対策をやっていかなければいけないものがたくさんあるわけです。周辺整備、これだけ第三条であげているいろいろなことをやっていく。一体これだけをやるには、どのくらいの予算がかかって、どういう年次計画でやっていくのか、その予算の捻出方法はどうなさるのか。単年度ではできないということはわかります。しかし、少なくともこれだけの膨大なことを、北は北海道から南は沖繩まで基地周辺整備をやりますということで、もうあっちこっち各市町村から、昭和四十九年度の申請書を出して、すでに通っているが、予算はわずかしか、今年度ははめられていない。  基本的に、これだけの事業をやっていくという場合は、当然それなりの目標なり、予算の措置というものがあってこそ、私は、この法案の——かりに皆さんが言うような方向で解決していく、あるいは緩和をしていくということであれば、やらにゃいかないと思いますが、そういう計画なり構想というものはあるのかどうか。先ほど言ったように、ただばく然とした形でまあ毎年何とかやりくりやっていきましょうという程度のことなのか。そうであれば、この法案は実際問題としては実効を伴わない、絵にかいたもちなんです。実際そうなりかねないのです。これだけのことをやろう、またこれだけのことをやりますよという宣伝をしている以上は、そこには当然それなりのプランニングというものがなければいかないと私は思うのだが、そういった点はどうなっているのか。それが一つ。  いま一つは、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害防止等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議というものがつけられているわけですね。先ほど、公害基準については、つとめるということでなく守っていきたい。これにはあくまで「航空機の音源対策を強化するとともに便数の抑制又は削減についても十分配慮をすること。」、だから自衛隊が使う、あるいは米軍が使っている飛行場基地についても、当然、騒音を規制をしていく、その音源をなくしていくということはどうなるのか。また夜間飛行の制限は一体やるのか、あるいはどんどん訓練をやっている、そういうことも規制をしていくのか。そうじゃなくて、そういうものは手放しにしておって、出た音響だけをなくしていくというようなことなのか。被害根源の対策についてはどうお考えなのか。この二点をぜひ明確にしておいていただきたいと思うのです。
  85. 田代一正

    田代政府委員 第一点について、私から答弁いたしたいと思いますが、今度、新しい法案を提出いたしておるわけでございまして、これに対する将来の見通しについて、具体的な計量的な計算があるかということでございますが、これは残念ながら、まだはっきりした一種の中期計画的なものをつくっているわけではございません。しかしながら、さっき申しましたように、たとえば第三条の問題で申しますと、たとえば学校については、一級防音についてはもう九十数%いっている、いよいよこれから二級防音にかかるといった方向性というものは、問題として意識しているわけであります。それから計量的に非常に大きな問題といたしましては、やはり新法の四条で出てまいりました個人防音の問題、住宅防音の問題、これは何回も申し上げましたように、将来巨額な金がかかるということで、それについてどういうぐあいな配分を考えたらいいかということにつきましては、かなり内部でもって検討している次第であります。  それから、ことしの予算、これは法律を出す年にいたしましては、まことに周辺対策の予算が伸びていない年でありまして、防衛庁全体の伸び率の一六・八%と全く同じになっております。しかし、これは、ことしの予算のスタート自身が、総需要の抑制ということでございますので、その国家の大方針に従ってやむを得ずしているわけでありまして、今後は、そういうことはない、かなり伸びた予算にいたしてまいりたい、こう考えております。
  86. 長坂強

    ○長坂政府委員 騒音対策のもとになりますところの音源の対策は、どうなっているかというお問い合わせだと思いますが、これは各飛行場におきまして、たとえば消音装置を設置する、それからエンジンテストの規制時間、たとえば千歳で申しますと、二十二時から午前の七時までは規制をする、それから深夜、早朝飛行を、通常の場合規制する、二十二時から七時まで、あるいは日没から早朝までは規制をする、それから、おおむねの飛行場でやっておりますが、人口密集地の上空の飛行を規制する、市街地の上空、特に人口密集地帯の上は飛ばないようにしていこう、そういう飛行パターンでやっております。  それから、学校病院等防音工事建物の移転措置、あるいは学習教養等施設への防音工事、そういうのを周辺対策としてやっているわけでございます。  概略以上でございます。
  87. 上原康助

    上原委員 そんな長々述べたって、そうなっていないんだよ、あなた。何やっていますか、実際。そういうことじゃ困るのです。嘉手納の場合ですと、いま、夜間もどんどん音をまき散らしているじゃないですか。そういう規制は、前は九時以降の飛行はやめるということを、嘉手納基地司令官と嘉手納村長がやったというような話もあった。実際しかし実行されていない。  回数やそういった夜間のことについては、公害騒音防止基準ではやられているわけでしょう。大阪空港を見てごらんよ。そういうことも、この周辺整備法の場合も適用していく姿勢があるのかどうか、それをお尋ねしているんですよ。あれもやります、これもやります、しかし実態はそうなっていない。自衛隊の場合にしても、米軍にしたって、少なくとも公害騒音防止基準でやられているすべての音源規制については、あるいは飛行の規制、夜間飛行訓練の規制、そういうものまで施設庁はやるのか、防衛庁はやるのか、やらぬのかを聞いている。いまの答弁では、それは音源対策にはならぬじゃないですか。
  88. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 先ほど長坂参事官のほうから御答弁がありました点、主体としては、自衛隊飛行場の音源対策についての御答弁であったわけでございますが、具体的に嘉手納飛行場という米軍飛行場に関する音源対策と申しますか、騒音対策についての御質問でございますので、御答弁申し上げますが、まず騒音の対策としましては、音源対策あるいは運航改善対策、周辺対策、こういった三つの範疇というものがあろうかと思いますが、防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案、この法案でもって対処してまいりますものは、いわゆるその騒音に関する周辺の対策を考えているものであります。  音源対策、運航改善対策につきましては、別途、米軍飛行場に関しましては日米間で、日米合同委員会のもとに、航空機騒音対策分科委員会というのがございまして、前々からこの分科委員会でいろいろそういう音源対策、運航改善対策等が協議されまして、これが日米合同委員会の合意事項になっているわけであります。現在、具体的には昭和三十八年、三十九年、それから一部改正が四十四年でございましたか、厚木及び横田飛行場に関しますところの音源あるいは運航改善の、運航の各種規制についての合意が成立しておりまして、これは厚木、横田に関する規制であると同時に、その他の米軍飛行場にも準用されるということになっているわけであります。  しかし、御指摘の嘉手納飛行場に関しましては、原則として夜間飛行訓練というものは、特別な事情がない限りは行なわないということになっているわけでありますが、夜間飛行の回数というものが、御指摘のような点でかなりあるという実態をわれわれも承知しております。そこで航空機騒音対策分科委員会に、嘉手納のこういった運航改善の問題につきましては、日米間の当面の協議事項としてこの問題等を至急に詰めていきたい、そういうふうに考えております。
  89. 上原康助

    上原委員 いろいろ話し合いはあるかもしれませんが、実際は、原則といったって、戦争をやる連中に原則なんかないんですよ。それは夜も昼もないのです。だから、少なくともそこいらまである程度網をかぶせるということにならないと、何が生活環境整備かと言いたくなるんですよ。ときおり電話したって、実際もう爆音でやかましくて聞こえやせぬよ。しかも夜間の九時以降の空港、これは岩国だってそうなんだ、何も嘉手納だけでなくて、米軍基地はみんなそうなんだ。そういう面は、法律をつくって生活環境の安定福祉をはかるなんていったって、とてもじゃないがいまの姿勢じゃできない。訓練飛行を中止する、あるいはエンジンテストはやめさせる、そういうものまで積極的に打ち出せないと、起こったものはしようがないから、もうその範囲でやろうということでは、この問題は決して片づかないという点をあらためて指摘しておきたいし、騒音防止対策委員会か何かあるかわかりませんが、そこでも具体的に取り上げていってもらいたい、と思います。  そこで、前段の質問とちょっと関連するのですが、最近、基地特別会計を防衛庁が設けていくという構想があるということが報道されております。私は、あとで四次防問題についても、ちょっと触れますが、これだけのことをやるには、法案がまだ提出の段階なので、十分な構想なり計画を持っていないということですが、ほんとうにこれだけのことを全国的にやるというのであるならば、予算にしても相当大きな問題になると思う、四次防ならもう第一次から三次まで五カ年計画でどんどん倍増してきたんだから。これだけの法案を出すからには、もし善意に解釈するならば、そういう計画まで含めて具体的に出すのが、本来の政府の姿勢でなければいけないと私は思う。それが全然ない。そのことは、ほぼ明らかになったわけですが、基地特別会計を設けるというのは、こういうものもあるので、そういう構想が出たのか、あるいは四次防構想に対する総需要抑制とか、いろいろな最近の経済情勢の変化なり物価、インフレの問題等があるので、風当たりが強いから特別会計構想というものを出したのか、その点についても、一応考えの内容、構想というものをお聞かせいただきたいと思います。
  90. 田代一正

    田代政府委員 これは、私からお答えしたほうがいいと思います。  実は私、ことしの予算編成のまぎわに施設庁長官になりまして、やったわけでございますが、その節感じましたことは、リロケーションの問題、これに対する財源対策という問題、非常に苦労したわけでございます。御案内のとおり、リロケーションの問題につきましては、本土におきましては、ほとんどが特特会計というものに乗っかる、つまりKPCPにいたしましても、キャンプ渕野辺にいたしましても、すべて国有地がございますので、その見合いでもって、そういった事業ができるわけでございます。沖繩につきましては、国有地も非常に——非常にというとおかしいのですが、ほとんどないという状態の中でリロケーションを進めますと、全部税金負担というかっこうになってしまうということで、このままでいきますと、ことしの十五回安保委じゃございませんけれども、沖繩につきましては、リロケーションという問題も相当大きい、ついては、こういった事態に対処して、いかなることを財政的に考えたらいいかというものを検討してくれということを、私は部下に命じたことがございます。  これは、私の腹づもりといたしましては、五十年度予算の概算要求、つまり、ことしの八月の末までに、防衛施設庁なりあるいは防衛庁でもって、最終的に検討する場合の素材として検討を命じたわけであります。それが何かの拍子に、新聞に一部出たということであり、実態はまだ事務当局のいろいろな検討の段階でありまして、私自身がまだ全然聞いていないということでございますので、そのようにお考え願いたいと思います。
  91. 上原康助

    上原委員 何らかのはずみに新聞に出たんじゃない。一応構想はちゃんとあるんじゃないですか。そうしますと、これはきょうは多くは議論しませんが、一応構想はあるんだ、しかも、その前提になっているのはリロケーション、きょう、そこも触れようと思って、外務省にもいらしていただいたのですが、大体あのときも、私はから手形だと言って、大平大臣は何がから手形かとおっしゃったのですが、まさしくあの十五回安保委というのはから手形なんだ。  この間も、那覇軍港にしたって、施設庁長官は、浦添市長お会いしたときに、移る場所がないと那覇軍港は移りませんとはっきり言ったでしょう。その議論は別としても、リロケーションなりいろいろな基地のいわゆるいわれているところの移転費、条件つき返還、代替施設というものを、新たに提供せざるを得ない羽目に追い込まれているので、その財源捻出について、特別会計を設けてみたいということが事務当局で検討されているんだということですね。
  92. 田代一正

    田代政府委員 先ほど申しましたように、リロケーションに関連いたしまして、このままでまいりますと、やはり相当な金額を将来負担しなければならないということもございますので、何らかの財源措置は考えられないかということで事務当局に検討さしている、その一つの姿と申しますか形が新聞に出たんじゃないか、こう思います。
  93. 上原康助

    上原委員 それはリロケーションを含んで、この基地周辺整備法も一応入る、入らないのですか。
  94. 田代一正

    田代政府委員 法律をお読みいただきますと、リロケーションのりの字も書いてございませんので、そういうことは直接の関係はございません。
  95. 上原康助

    上原委員 おことばを返すようだが、私は、長いことしゃべっておっても、さっきの答弁は覚えています。長官は、最初に基地設置というものは何かといったら、ケース・バイ・ケースによってはリロケーションも入りますということを、あなたよりえらい大臣が答弁しておられるんだよ。だから、私は、設置の問題、提供新規取得ということもあり得るんじゃないかということを言った。それは、いろいろあるということを承っておきたいと思うのです。  そこで、時間がだんだん迫っていますが、あとだいぶありますので、委員長、ひとつゆっくりお願いしたいと思います。  外務省にお尋ねしたいのですが、新しい周辺整備法どもできて、いろいろ環境整備をやっていく、あるいは基地被害を軽減していくんだというお考えのようですが、沖繩の場合は、これまでのいろいろな被害があるわけですね。復元補償の問題なり、たくさんあるのですが、本来やるべきことについては、ほとんどまだ解決をされていない問題が多いのです。地籍の調査にしたってしかり、返還された土地のあと利用の問題も全然できない。その中でも、きょうはもうたくさんはお尋ねできませんが、本来やるべきものをまず優先してやるのが当然かと思うのですが、旧上本部飛行場あと地返還の補償問題ですね。これは一体どうなっているのか、まず、その取り扱いがどうなっているか、これからお聞かせください。
  96. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 これは、復帰後の地位協定に基づきます米軍施設、区域の問題じゃなくて、御存じのように復帰前に米軍が使用しておりまして、米軍から返還になった飛行場でございます。しかしながら、この問題に関しまして原状回復、復元補償等の問題につきましては、復帰前までのいわゆる米軍との間の土地裁判所関係との間の処理事案としては、処理することができないという一つの答えが出ております。したがって、この問題を今後処理していくとするならば、沖繩の返還協定四条一項の放棄された請求権という問題の範疇の中で、実態を踏まえながら処理されていくべき問題ではなかろうかと思います。
  97. 上原康助

    上原委員 四条一項で処理するんですか。すっかり忘れていらっしゃるんじゃないの。それだから困るんだよ、皆さんは全く。むしろ大臣は、わかっていらっしゃると思うんだが。これは前々から問題になってきたんですよね。しかも、いま海洋博やら何やかんやでどんちゃん騒ぎしているのですが、それは、その海洋博の中心のところにあるんだ。私のほうから言いましょうか、そんなにわからぬようだったら。いわゆる旧上本部飛行場というのは、その面積が約七十二万坪で、そのうち十七万坪は、昭和四十四年六月三十日で返還をされて、残りの五十五万坪は、昭和四十六年六月三十日付で返還されているんですね。だから、復帰前の返還には間違いない。しかし、現在に至るまで、アメリカも復元補償はしない。政府も復帰前のことだからということで、もうなしのつぶて。四十六年の六月三十日付で返還されて、その後、地籍の調査も全然されていない。区画の整理もできない。地料も入らない。予算委員会山中大臣は、そういうところについては、復帰後の返還については、地籍の確定ができるまでは、賃貸料に相応する額は払うということを、この前、私への答弁に明言なさった。  こういう問題が取り残されているんですよ。このことは一体だれの責任なのか。VFWだってそうでしょう。自分たちがミスを犯して、いまごろ土地裁判所に持っていったって、それでは話にならぬ。きょうは多くは言いませんが、この処理は一体だれがやるのかということは、明確にしておいていただきたいと思うのです。その間の損失補償は一体どうするのか。周辺整備もいいのだが、むしろ、こういった復帰処理として残された問題をやるのが、もっと県民のためになりますよ。それを実際望んでいるのです。その復元補償の早期解決というのは、一体どうなるのか。  しかも、靖国ではないんですが、この返還された施設の中には、墓が二百五十墓もある。関係者は三百世帯もいる。遺骨も収集できない、ギンネムがはえて雑草地になっているから。これは一体、アメリカの責任なのか、政府が責任を持ってやるのか、こんなことぐらいは、はっきりしてもらわないといかないと思うのです。お答えいただきたいと思います。
  98. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 上本部の元飛行場につきましては、復帰前に米側から返還があったわけでございますが、その後、一部につきましては、米側から補償額の提示がございました。しかしながら、この補償額につきまして、地元側との意見の調整ができないままに来ておりますし、残りの問題につきましても、まだその後、来側との話が進んでおらないところでございます。この問題につきましては、かねて米側に対しまして、復帰前における返還ということで、早急な措置方を要求いたしておりますけれども、米側との調整がつかないまま、今日に及んできておるという実は状況でございます。
  99. 上原康助

    上原委員 四十四年に一部は返された。もういまは四十九年ですよ、何年になりますか、四十六年六月三十日から。こういうことだから困るんですよ。補償額の提示がアメリカ側から一部あったというのですが、いつごろ、どのくらいどうあったのですか。
  100. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 米軍が使っておりましたころに、飛行場として形質の変更を行ないました分について、約七百万円の補償額の提示がございました。これにつきまして、意見がととのっておらないわけであります。
  101. 上原康助

    上原委員 七百万円ですか、七百万ドルですか。
  102. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 正確な資料を、手元へ持ち合わせておりませんけれども、七百万円というふうに承知しております。
  103. 上原康助

    上原委員 そんな、子供でもあるまいし、七十二万坪もある土地の復元補償、ほとんどがあれは形質変更ですよ。それでは話がまとまるはずがないじゃないですか、常識で考えても。  そうしますと、この旧上本部飛行場あと地の復元補償については、アメリカ側が補償すべきものという判断をとっていらっしゃるわけですね。
  104. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 復帰前に米側から返還が行なわれた問題でございますから、復帰後に行なわれた返還とは、おのずから法律的な性格を異にしておるわけでございます。土地の問題につきましての係争につきましては、返還協定四条二項の救済規定もございますので、状況によりましては、この救済規定適用ということも考えられるかと思いますけれども、米側とさらに話を詰めてみたいというふうに考えております。
  105. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 先ほど、本部の事案に関しまして、米側と話し合いがつかなかったので、私は、答弁といたしまして、四条一項の範疇に入るというふうに答弁いたしましたが、その後、米軍が提示した額との間に折り合いがついていないという状況でございますので、ただいまアメリカ局長からの答弁がございましたような事情ということで、私の先ほどの答弁は訂正させていただきたいと思います。
  106. 上原康助

    上原委員 そうぽんぽん変わったら、いけないです。とにかく、これは二項によって、皆さんが土地裁判所に申し出なさいという、異議があればやれる、そういうルートじゃ解決しないのです。解決しないから、いままでほったらかされているのじゃないですか。ほんとうにアメリカ側とどのくらい折衝してきたのかも疑問なんです。  そこで、山中長官、この種の問題、もうおわかりのように四十四年に一部返還されて、四十六年六月三十日返還、復帰後今日まで約三カ年経過しているのです。地籍の調査もできない、復元補償もできない、全くの野放し状態なんです。法律とか条約とか協定とかいうような問題以前に政治的な問題なんだ。これは、もう政治的判断でやらなければいけない。施設庁と外務省お話し合いをいただいて、早急にこの問題を解決していただく。そして、その間の補償の問題、いろいろなことがありますから、それについてやる御意思があるのかどうか。実際いつまでほっておくのですか。四条二項で異議があれば、裁判所云々といったって、あんな一人しかいない審問委員会に持っていったってできっこない。そういう面で処理するのかどうか、あるいはもう折り合いがつかないからということでほっておくのか、きわめて私は重要な問題だと思う。  ほかにもたくさんありますが、いま一つの例としてあげましたが、これに対してどうやっていかれようとするのか、お答えいただきたいと思います。
  107. 山中貞則

    山中国務大臣 もちろんほっておきません。これは地元の人たちにとっての、きわめて重大な問題として周辺人々の待望しておられる完全返還、復元補償というものは、どうしても米側の譲歩というものを得て、かちえられなければならないケースのものでありますから、事務当局同士の折衝もいたしておるようでありますが、大臣レベルの問題としても取り上げて、一そう促進をして、いままでがすでに長い経過を経ておりますので、なるべく早く終止符を打つ努力をします。
  108. 上原康助

    上原委員 ぜひ早急にこの点は善処をしていただきたいと思います。  そこで、次に進みますが、科学技術庁来ておられますね。ちょっとお尋ねをしたいのだが、これも防衛庁と場合によっては関連するかもしれないような気がいたします。いわゆる宇宙開発計画ということでクエゼリン島に宇宙開発局を設けるという報道がなされているわけですが、その構想なり、どういうことでクエゼリン島を選んだのか。御承知のように、ミクロネシアというのは、この一帯はアメリカの信託統治下において要塞化されているわけですね。しかもクエゼリン島そのものというのは、最大の通信衛星墓地になっている。その構想の真意というものを明らかにしていただきたいと思うのです。
  109. 今村宏

    ○今村説明員 宇宙開発事業団が、昭和五十年度に人工衛星を打ち上げ始めるわけでございますけれども、二つございまして、技術試験衛星1型というものと、同じく同じ年度の冬期でございますけれども、電離層観測衛星ISSというものでございます。  大ざっぱにこの目的を申しますと、初めの技術試験衛星1型と申しますのは、ロケットの実用衛星打ち上げ実験というものの修得でございます。それから衛星追跡管制技術の修得、アンテナを伸張させる実験とか、それから衛星環境を測定するとか、そういうことでございます。  それから、二番目の電離層観測衛星と申しますのは、いわゆる短波で世界通信、世界じゅうやられているわけでございますけれども、この電離層が時々刻々、時期、季節によっていろいろ変わりまして、そのつど世界じゅう周波数をいろいろ変えているのでございます。これを宇宙から観測することによって、非常に効率よく電離層を観測し、世界の商業無線通信に役立てようということで、よその国でも上げており、日本でも実験的に上げるというものでございます。いずれも五十年度夏期と、それからあとのほうは冬期に上げる予定でございます。  これを打ち上げますのに、ロケットに搭載された衛星が、ずっと軌道に順調に投入されるかどうかということを追跡する必要があるわけでございまして、日本で打ち上げますと、やがて南東のほうに参りまして、日本の視界から没しまして、いわば地球の裏側といいますか、視界の下に入るわけでございます。入りましてからしばらくの間、完全に軌道に乗るまでの間は、ロケットの状態とか人工衛星の中の状態、そういうものが刻々と正常に働いているか、正常な軌道に乗っているかというのが、電波で送られてくるわけでございますけれども、これを追跡して的確に把握して、いざというときには、安全措置をとるとか軌道を修正するとか、そのようなことをする局が必要なわけでございます。  この両衛星、多少軌道が違うのでございますけれども、大体、南東の方向に打ち上げられまして、ちょうどその視界の没する地点の、両者の中間のところというあたりに、一つ追跡局がぜひとも要る。これが人工衛星、特に実用衛星を将来打ち上げるときの正確な軌道に投入する前提になるということでございまして、その地域が大体マーシャル群島の海域あたりでございます。  そこで、日本政府から米国政府あてに、そういう追跡する局を置かしてくれないかという申し入れをいたしましたところ、先方から、先ほど先生おっしゃいましたクエゼリン島に置いてもよろしいという了解があったわけでございまして、現在準備を進めているところでございます。  それから、どういう装置かと申しますと、いま大体申し上げてしまったわけでございますけれども、アンテナが何基かございまして、ロケット及び人工衛星から送られてくる電波を受信いたします。そして、それをいろいろ処理する電気的な設備でございます。それから逆に、そこで得た情報を、日本側の中枢のほうに送るという送信の設備でございます。それから、ロケットあるいは人工衛星に必要な電源系その他の指令を発する、やはりこれもアンテナでございます。いずれも非常に小型でございまして、コンテナに設備が入れられておりまして、可搬型でございます。  そうしまして、人工衛星の打ち上げの五十年度の夏期及び冬期、それぞれの少し前からその準備をいたしまして、実際に打ち上げて追跡をいたします。なお、地球を何周かしまして、軌道が正式に確定するまで約数日間、追跡作業をいたしまして、その後はそのまま撤去して、また日本に持って帰ってくるという可搬型のものでございます。  それで、クエゼリン島につきましては、先方から指定があったわけでございますけれども、米国には、聞くところによりますと、幾つかのロケットあるいは実用の衛星打ち上げのためのナショナルレンジというものがございまして、われわれ国立試験場と申しているわけでございますけれども、たとえばケープケネディ、これもナショナルレンジの一つでございますけれども、そのようなナショナルレンジ……(上原委員「ひとつ簡潔に願います」と呼ぶ)クエゼリン島は、そのナショナルレンジの一つであるということで、ナショナルレンジは、NASAをはじめとした米国の一般政府機関、それから民間機関の依頼によって追跡あるいは打ち上げをしていく、それから、外国政府機関からも依頼があれば、やはり軌道をずっと正確に保つために、各地で援助するということをやっているそうでございまして、われわれといたしましては、このナショナルレンジがクエゼリン島の中にあるのだそうでございますけれども、そこの敷地に、ただいま申しましたような設備を一時置かせていただいて、そして追跡をやらしていただきたい。  以上でございます。
  110. 上原康助

    上原委員 クエゼリン島を指定したのは先方からだ、わがほうがクエゼリン島に置かしてもらいたいという提案はしなかったわけですか。それが一つ。  もう一つ、この地域に入域するには、太平洋諸島信託統治地域への入域規定というのがあるはずなんです。このクエゼリン島に衛星追跡ステーションを置くということであるならば、当然アメリカ側との何らかの取りきめなり、話し合いというものがなければできないと思うんですね。その米側との交渉過程は、一体どうなのか、どういう取りきめがあるのか。ここは、きわめて制限区域なんだ。入域はむずかしい。どういう取りきめをして、どういうような話し合いが持たれたのかということも明らかにしていただきたいと思います。
  111. 今村宏

    ○今村説明員 初めよ御質問でございますけれども、実用衛星を打ち上げて追跡をする場合には、ある程度のサークルの中の地点でよろしいわけでございます。それで二種類、衛星がございまして、二種類の形状が多少違いますので、そのサークルの合ったあたりの面積がマーシャル群島のあたりになる。中間の地点でございます。そういう意味で、日本側から外交ルートを通じまして、適当な島ということで、こちらで指定したことではございません。  それから二番目といたしまして、これは普通衛星の打ち上げ計画がだんだん固まりまして、軌道なども固まってきた段階、去年あるいは一昨年あたりから公式、非公式に科学技術庁の研究調整局のほうから、外交ルート、外務省を通じまして折衝してまいりまして、現在のところ外交ルートを通じまして、そのような設備を一時置いてもよろしいという了解が得られたわけでございまして、なお細目は、これから同じく外交ルートを通じて詰めさしていただきたい。  それから、先ほど国立試験場と申しましたけれども、われわれの聞く範囲では、NASAその他の衛星についても、同レンジが実際使われているということのようでございます。
  112. 上原康助

    上原委員 外交ルートを通して米側と話をしてきまった。アメリカ局長、どういう話をしたのか。何か取りきめがあるのでしょう。先ほど言いました太平洋諸島信託統治地域入域規定の第五章、ここでは、この地域に「入域もしくは通過しようとする者は信託地域訪問許可証を所有し、かつ、しかるべき軍入域管理司令官からこれら地域の入域もしくは通過の許可書をとらねばならない。」と明確になっているんですよ。それだけ入域するのにきびしい地域である限りにおいては、いろいろな条件なり制約なり、アメリカ側の要求というものがいれられない限り入れないと思うんですよ。その取りきめの内容は、一体どうなっているかということを明らかにしていただきたいのです。
  113. 今村宏

    ○今村説明員 アメリカとの取りきめの、いまの立ち入り関係の法規については、外務省を通じておりまして、われわれ直接そのほうの法律までについてはタッチしておりません。ただ、アメリカ政府との間では、外務省との間で、さきにそのような立ち入りを認めるという文書の交換があったというふうに承っております。  それで、立ち入りの詳細につきましては、現在すぐお答えすることはできませんけれども、たとえば設備は日本の設備を持っていくわけでございまして、所要の人数が中に搬入その他で立ち入るということ、それから、その設備の管理が要るということで、最低限の人がその追跡する間は居住する、そういうふうに承っております。
  114. 上原康助

    上原委員 外務省、アメリカ局長おられるんだから、どういう話し合いでどういう取りきめがあるのか。報道によると、三月段階で米側との間に契約を結んだ、じゃ、あるんでしょう。それはないのですか。どういう取りきめでやったということを明らかにできないのですか。
  115. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 この問題は、外務省の国連局が主管でやっているようでございまして、私ども実は詳細存じません。したがいまして、責任ある御答弁はできませんので、ごかんべん願いたいと思います。
  116. 上原康助

    上原委員 国連局でやっているわけですね。取りきめはあるわけですね。
  117. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 その詳細は存じません。ただ外務省でいえば、国連局の主管であるということだけ申し上げられると思います。
  118. 上原康助

    上原委員 国連局で取りきめをしているということであるなら、科学技術庁はその内容はわかるわけでしょう。どういう取りきめをやったか。これだけの制限区域に追跡ステーションを設けるという限りにおいては、相当の禁上条項なりいろいろなことがあると思うんです。それは国連局と話し合って資料を提示できますか。
  119. 今村宏

    ○今村説明員 さっそく国連局に照会いたしまして、御報告いたしたいと思います。
  120. 上原康助

    上原委員 宇宙開発事業団の職員なりあるいは技術者が行かなきゃならぬと思うんですが、何名派遣するのですか。
  121. 今村宏

    ○今村説明員 現在こちらで了解している限りにおいては、二名の宇宙開発事業団の職員が、その設備の稼働その他で入る、それからコンテナに入れていった機材を搬入したり、それを開いたりということで、最大六名の日本人が必要であるというふうに存じております。
  122. 上原康助

    上原委員 二名ないし六名派遣をする。宇宙開発のわが国の方針というのは、原則はあくまでも平和利用が目的だということでしょう。そうしますと、こういった宇宙衛星ステーションになっている、あるいはABM基地になっているきわめて要塞化されたところに、平和利用という目的で、こういうステーションを置くというのが、政治的な面あるいは軍事的な面から判断して、適策なのかどうか疑問を持つわけですよ。私たちは、何らかの軍事的な関係があるんじゃないかという感じがいたします。  そこで、いま二名ないし六名を派遣するというのですが、たとえば、じゃ内閣委員会は防衛問題担当委員会だから、われわれが行ってどういうふうになっているのか、その施設を点検したい。そういう場合には出入りが可能ですか。おそらくそういうことはできないであろうという条件が付されていると思う、いま国連局できめた取りきめというのには。平和利用が目的といいながらも、宇宙開発が軍事的目的に使われつつあるんじゃないかという疑問を、この科学技術庁の方針というものはぬぐい去れない。この点について、明確にそうでないと実証できるのかどうか。また入域は可能なのかどうか。たとえば宇宙衛星を打ち上げる、じゃマスコミの皆さんが、そこまで行って追跡をした結果を報道したいということでやれるのかどうか、そこも明確にしてください。
  123. 今村宏

    ○今村説明員 宇宙開発事業団の行なえる業務は、事業団法にございますけれども、平和目的に限るという前提になっております。それから、宇宙開発事業団が行なう業務は、宇宙開発委員会計画あるいはさらに、その上の宇宙開発基本計画というものに従って行なうようになっております。  それから、米側との宇宙開発に関する協力関係といいますのは、昭和四十四年七月三十一日に交換公文が取りかわされておりまして、米国政府が日本にいろいろ援助したり、協力したりするという項目でございますけれども、「平和的応用のための」ということで、平和利用に限っております。そういう実績できておりまして、われわれ関係者としては、これは全く平和利用であるというふうに了解しております。  それからもう一つ、この設備は、日本が打ち上げますロケットの周波数あるいは衛星の周波数だけに適合する設備になっておりまして、それ以外の、ほかのものを動かしたり、ほかに利用されるというのは、電気的、技術的に不可能であるというふうにわれわれ思っております。
  124. 徳安實藏

    徳安委員長 ちょっと政府委員に言いますけれども、質問者からも先ほど注意があったように、時間が長くなりますから、きわめて要領を得た答弁を簡潔におっしゃってください。
  125. 今村宏

    ○今村説明員 それから一番最後に、先生おっしゃっいました立ち入りの問題でございますけれども、宇宙開発事業団のそのような業務に基づいて、外交ルートを通じて所要の人間が入るということだけでございまして、一般の人の立ち入りその他については、何らわれわれ了解しておらないところでございます。
  126. 上原康助

    上原委員 そこが問題なんですよ。そんな非公開のもとで建設されることが——最近の科学技術庁の、いろいろな原潜のコバルト問題、原潜寄港に対するあの捏造データの実態なんか見てごらんよ。そういうことを考えると、皆さんが平和利用とかいろいろなことを言ったって、疑問を持つのは当然でしょう。ですから、いま国連局でやったというその取りきめというものを、明らかにしていただきたい。いいですね、それは。
  127. 今村宏

    ○今村説明員 はい、さっそく相談してみたいと思います。
  128. 上原康助

    上原委員 よもや、これには防衛庁はかかわり合いは持っておらないと思うのですが、この派遣される職員の中に、そういった専門家なり技術者を入れるというような計画はないですね。
  129. 山中貞則

    山中国務大臣 無関係。
  130. 上原康助

    上原委員 いま申し上げた点は、疑問が多いのでもっと解明をしていきたいと思いますので、先ほど申し上げた資料については、科学技術庁、事業団、外務省で打ち合わせて明らかにしていただきたいと思います。  そこで、時間が来て大臣もかなりあれのようですから、最後に一点だけお聞かせをいただきたい。  四次防問題について、せんだってもいろいろお尋ねがあったようですが、あらためて聞いておきたいと思います。  四次防については、四十七年、この方針が出される段階からいろいろな議論があったのですが、計画そのものを練り直すとか、あるいは一部断念せざるを得ないということも、せんだっての鈴切先生の御質問にもお答えがあったようですが、そういたしますと、四次防が当初計画どおり遂行できないということであるとするならば、当然修正ということをやらなければいけない問題が出てくると思うのです。ここらの点については、どうお考えなのか、あらためてお聞かせをいただきたいと思います。
  131. 山中貞則

    山中国務大臣 先般、御答弁しましたとおりでありまして、一応五十年度予算編成は、最終年度たる五十一年度を踏まえて編成要求をするということでありますが、四次防のあとについてどうするかは、その形式も含め、最終的な決定は五十年度の予算要求のときまでに行なうということでありまして、われわれとしては、四次防は計画どおり達成したいという願望は持っているということに尽きると思います。
  132. 上原康助

    上原委員 五十年度の予算編成にあたって練り直すということですが、そうしますと、四十七年の九月でしたか、四次防を決定する段階で、事情の変化によっては、すみやかに修正をする必要があるということが出されているわけですが、修正の意思はあるわけですか。
  133. 山中貞則

    山中国務大臣 私が申しておりますのは、時期であって、予算は五十一年度の意思決定の際において、四次防のあとの問題を考える、その時期は五十年の八月ということになるであろうということを言っておるわけでありまして、したがって、その時期においては、これは明らかに最終年度を踏まえるわけですから、しなければなりません。非常に困難な環境がある。しかし、われわれの願望としては、やはり四次防というものを、その年度内において達成をしたいという願望は持っているということを申し上げておるわけであります。
  134. 上原康助

    上原委員 願望と実際のことは異なってくるわけですね。  あらためてお尋ねしておきたいのですが、あと二年度あまり残っているのだから、そういう方向で計画を遂行していくんだというお考えでしょうが、先ほど言いましたように、第四次防衛力整備五カ年計画の主要項目を決定するにあたって、その第六項で、「計画の実施に際しては、長期的見通しに留意しつつ、随時再検討するものとし、必要ある場合はすみやかにこれを修正する。」、こういうことになっているんですね。「必要ある場合はすみやかにこれを修正する。」という状況にいまきているんじゃないのか。したがって、国防会議なりいろいろな面で、四次防が当初目的を達成できないということであるならば、最近の経済情勢なりいろいろな国内情勢、国外情勢というものを考えて、修正をして新しい方針を出すということが、本来のあるべき姿でなければいけないと思うのです。この決定されている第六項でいう「すみやかにこれを修正をする。」、これはどういう場合に該当するのですか。いまこそその時期じゃないのですか。
  135. 山中貞則

    山中国務大臣 ことしの契約繰り延べ等から見ても、非常に困難な背景を持っている。しかし、日本の経済諸指標、価格体系というものがまだ定着していない。これは国際的に各国も悩んでいるようでありますが、それに大体見通しがつくのが、今年度の——私は、経済閣僚ではありませんが、閣僚の立場から勉強しておる、あるいはその他の知り得たものからいえば、秋口ごろには、大体、日本経済の価格体系というものが、国際的なものも踏まえてでき上がるのではなかろうか。そうすると、日本の貿易、外貨、そういうものも踏まえながら、国民総生産、経済成長率、自然増収、政策的な減税、予算の規模、そういうもの等もきまってまいります。そういうものを、もう少し見ませんと——あるいは許容される環境というものか出てくるかもしれません。GNPの一%以内というような議論もありますが、これは私は、あまり強調しませんで、やはりその当該年度において負担をいたしました財源による国民への配分という、予算におけるウエートというものが一番大きな問題であろうと思います。  そういうことを踏まえますと、そのウエートというものは、おのずから予算規模というものにもかかってまいりますし、現在押えられております最も大きな総需要抑制というものが開放されるのかどうかというようなことも、成長率その他万般にわたっての指標を踏まえてきまっていくわけでありますから、そのような変動きわまりない最中において将来を展望してきめるには少し早過ぎる。かといって、それが、じゃいまの状態、現時点において完全達成の願望というものは、根拠があるかといわれると、これは防衛庁のみならず大蔵省も各省も、あと二年先の予算までは見通しがつかないだろう。したがって、いまおっしゃった点は、きまっておることでありますから、そのことが明確になったら、当然きまっておるとおりの措置をとらなければならぬ、そう思っております。
  136. 上原康助

    上原委員 もう少し時期を見て修正する、あるいは新しい方針といいますか、考え方を明らかにしていきたいということだと思うのですが、やはり四次防の問題というのは、当初計画された段階からいろいろないきさつがあったわけですね。特に決定段階において、陸上自衛隊にしましても、海上自衛隊にしても、航空自衛隊にしても、四十八年度あるいは四十九年度の当初計画というものが大幅におくれをとってきている。われわれのほうからすると、非常に喜ばしいことであるんですがね。そういう実態を踏まえたならば、そういう願望は持っておったにしても、すみやかに修正をして、新しい方針というものに即応していくという姿勢こそ、いまいろいろな面で防衛問題に対しての国民の不信なり疑惑というものを払拭といいますか、なくしていく一つの方向づけになると思うのです。大ワクはできるならば達成をしたい。大ワクは変えたくないのだ、しかし、現実問題として当初計画は実行できないというような段階において、なおそれに固執するということは、残念ながら同意しかねるわけです。  そこで、じゃ具体的にお尋ねをいたしたいわけですが、この四次防計画の中で、いわゆる申し合わせ事項というのがございますね。次期対潜哨戒機あるいはAEW、早期警戒機、これなども国産にするのかあるいは輸入にするのかということがペンディングになっておるわけです。これも一体どうするお考えなのか。しかも、この決定の段階においては、この種の高度の技術的判断を要することについては、国防会議事務局に専門家の会議を設けること等により慎重に検討する、四十七年から今日まで二カ年を経過しておるわけですが、どういうふうに具体的に検討を進められてきたのか、これもぜひ明らかにしていただきたいと思います。
  137. 山中貞則

    山中国務大臣 PXL、AEW等については、これは国産か輸入かを含め、輸入する場合においては、どのような国のどのような機種にするかが当然問題になりますが、それらも一切を含めて、ただいまお話のありましたように、国防会議の専門家会議においてこれを決定するということでありますから、私どもとしては、その決定に従う。したがって、その作業はいま検討がなされておるわけでありますが、御承知のように、国防会議の専門家自体で御調査願うということではなくて、自衛隊の現在持っておりまする能力あるいはその他のものでもって、輸入にするとすればPXLは三カ国、AEWは二カ国という予定がございますから、そういうことになりますから、それらの該当国に対して調査団を派遣いたしまして、その報告を国防会議の専門家会議にいたしておるわけであります。  目下のところは、PXLをまず手初めに報告をしておりまして、現在の時点では一応外国産のものについての諸元比較その他について御報告いたしまして、専門家の方々に御検討願っております。報告書みたいなものをつくっておるわけであります。さらに現時点では、国産するとした場合には、しからばどういうものが考えられ、開発に幾ら、あるいはまたどのくらいの量産ができていくかが問題になりますが、一機当たりの単価はどのくらいになるかというようなことについての防衛庁側の試算を求められておりますので、それを御報告申し上げております。したがって、この問題は決定権、審査権すべてが国防会議の専門家会議において決定される、その結果を私たちは受け取るということで、なるべく早くしてもらいたいとは思っておりますが、その御決定を待つという形でございます。
  138. 上原康助

    上原委員 そういたしますと、そういった検討事項を含めて、先ほど御答弁がありましたように、昭和五十年度の防衛庁予算の試算といいますか、検討段階で、四次防の問題あるいは次期対潜哨戒機、AEW等の、国産にするのか輸入にするのか等を含めて結論を出すということですか。
  139. 山中貞則

    山中国務大臣 先ほど来申しておりますように、結論を出すのは昭和五十一年度、最終年度の予算要求の際でありますから、時期的には五十年の八月末ということになります。でありますから、五十年度予算ではない。しかし、五十年度予算は、五十一年度のそのような最終年度というものを踏まえないで、硬直した、残り二分の一を要求するというような姿勢ではないということを申し上げておるわけであります。
  140. 上原康助

    上原委員 そこで、いまの答弁からいたしますと、五十年の八月段階にしか結論が出ないということになりますと、先ほど言いましたように、それまでは四次防、四十七年度に決定したものの、修正とかそういう手直しというものは一切やらない、方針はそれでいくということになろうかと思うのですが、私は、そうあってはいかぬと思うんですよ。もう達成できないということは、長官御自身が再三答弁もするし、あるいは新聞などでも報道されているわけですから、そういう状態の中で予算の面だけにかかわるということになりますと、むしろ国民の防衛に対する不信というものを招きかねないと思うのです。  それで、現実に、当初の四次防の予算というのは、一応皆さんの決定した段階においては四兆六千三百億円、しかし一部では五兆円あるいは六兆円ともいわれておるわけですね。かりに、決定した四次防を、目標どおり装備の調達をするということであるならば、現在の経済情勢からして、どのくらいを防衛庁はお考えなんですか。
  141. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、おおむね四兆六千三百億でありますし、この中には、たびたび申し上げておるとおり、ベースアップ等は含んでおりませんから、したがって、年度ごとに締めてまいりますと、そのベースアップ分だけでも、それがはみ出してくるということであります。別途、その単価の問題等については——ことしの問題は、確かに三〇%アップその他がありまして、妥結したものもあり、妥結し得ないで、春闘の賃金コストその他の面を見きわめながら、あらためて交渉をしようというもの等もあることは事実であります。しかし反面、いまの時点で四次防をこのように修正するということをきめるには、これまた非常に未確定要素が多うございます。すなわち、五十年度予算と五十一年度予算とは、どのような規模になるのか、そして防衛庁予算として許容される範囲の金額は、どれくらいになるのか、これらの問題すべてが未知数でありますから、したがって、五十年度予算では硬直しないで行けということを言っているだけでありまして、そこいらで、五十年度予算を終わって、そして年度を執行しつつ五十一年度予算の、最終年度の編成作業に入った場合においては、もし達成できない場合においては、いかなる代替手段をとるかも含めて、これの変更がもしある場合は、また国防会議にかけるということになると思います。
  142. 上原康助

    上原委員 予算の目途については、お答えいただけませんでしたが、言われているように、人件費やら装備の単価のいろんな増加分を考えると、おそらく最終年度においては、六兆をこすんじゃないかと思います。そういう膨大な軍事費というものが、はたして現在の総需要抑制とかインフレ、物価問題等を考えて——さらに、ここで指摘をされている国際情勢の判断についても、四十七年段階よりはかなり緩和の方向に来ているとわれわれは見ているわけです。そういう問題。あるいは昨年の九月の長沼判決、国内情勢等を考えた場合に、確かにわが国の防衛問題あるいは安全保障をどうするかということについては、私の立場とは議論は分かれますが、しかし新しい方向づけといいますか、現段階における国防の分析、国際情勢の変化のあり方等について、経済問題を含めて、私は、もう一ぺん洗い直す必要があると思うんですが、それがない。うやむやの形で四次防が、でき得べくんば踏襲をしていくというようなことでは、国民のコンセンサスをますます分断していく結果にしかならないと思うのです。  その点は御検討いただきたいし、そういうような客観的あるいは国内情勢、いろいろなことを考えた場合に、前から問題になっておった、この段階で国防白書というようなことも新たに編成をしてみて、四次防やポスト四次防はどうするのかというようなことなども、明らかにすべきだと思うのですが、そういう山中白書というのをおつくりになる御意思があるのかどうか、その点もあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  143. 山中貞則

    山中国務大臣 確かに、四次防を策定いたしまする前提の国際情勢、極東の軍事情勢その他について、その後、大国間のデタントの傾向への変化があることは私も認めます。しかし、それが直ちにわが国の防衛計画そのものをずばり変えるというところまで来ておってくれれば、むしろ私どもは、それを歓迎いたしますが、そのようになかなか受け取れない。SALT IIの交渉の難航とか、その他いろいろございますから、極東における状態も、完全にデタントの方向が定着したと言うにはなかなかむずかしい問題があります。  時間がございませんから、そのようなことをくどくど申し上げるつもりはありませんが、そこで、先ほど申しました経済事情あるいはまた原材料、資材等の単価という問題等の定着よりも、日本経済全体として、国際経済の中に位置づけられる時期は遠からず来るし、またそうしなければならぬ、そのときに初めて、日本の国民総生産を前提とした、あるいは貿易、外貨を前提とした予算のあり方というものが性格づけられる。そういうことから、われわれの許容されるアッパーリミットというものはどこまでになるかということを踏まえてみませんと、あまりにもたくさんの問題が、未知数が多過ぎるということで、この段階で国防白書というものをつくるかどうかについては、問題が多過ぎて中途はんぱな解明に終わるおそれがあるという気もいたしておりますが、別段出す、出さないということを、いまここできめておるわけではありません。
  144. 上原康助

    上原委員 もう時間が来ましたので、まだお尋ねしたかったこともありますが、しかし、防衛問題というのは、国民の疑問をなくしていく、あるいはこういった経済情勢のいろいろな変化等に対応して、もちろん基本そのものは政府の立場で変えるという御意思はないかもしれませんが、少なくともそういう疑問にこたえていく姿勢というのは、政治的な面からあってしかるべきだと私は思うのですが、そういう意味で、きょうはこの程度にとめておきたいと思います。  そこで、やはり、基地周辺整備法にしましても、いろいろな法律ができたにしても、根源がなくならない限り、被害というものはなくならない。私は、基地公害なんて公害じゃないと思う。まさしく被害なんだ。そういう意味で、われわれの主張とは相いれませんが、基地存在、その騒音なり被害根源というものをなくしていくという立場に立ってものごとを進めていただかないと、幾ら法律をつくっても、地域住民の要望にこたえることにはならない、そのことが議論を通して幾分明らかになったような感じがいたしますので、政府としても、そういう基本的な面についての御努力をいただきたいということを強く要求して、私の質問を終えたいと思います。
  145. 徳安實藏

    徳安委員長 午後二時三十分より委員会を開会することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時五十九分休憩      ————◇—————    午後二時三十一分開議
  146. 徳安實藏

    徳安委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬長亀次郎君。
  147. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初に、山中防衛庁長官にお伺いしたいのですが、これは直接現在の法案には関係ないのですが、いまのVFWの問題について、現在地主が、いまだに返還されてないということで、現地ですわり込みをやっているわけです。これは大臣すでにおわかりだと思いますが、その問題について、去年の、四十八年の六月十四日の内閣委員会において、大出委員の質問に対する答弁で、はっきり「これは復帰に伴う事務の明らかな処理上のミスであります。したがって、ミスのために地主である沖繩県民の関係各位が迷惑を受けられた。しかも、それは本来収用すべきではなかった対象であったにもかかわらず収用をかけられたという問題において、いまさら申し開きのできないことであります。」ということと関連して、次にじゃどうするかという問題なんですが、この問題は、「私が就任いたしました以上は、」、その当時は大臣ではなかったが、「その当時タッチした一人として、協定あるいは施設、区域の提供その他の手続等については、部外者でありましたけれども、少なくとも沖繩県民の立場を代表する大臣としての立場において参画した立場から言うならば、心外千万なことがずいぶんあります。」ということで、結局「外務省、外務大臣、総理大臣にも協力を求めて、本来あるべきであった姿、これはすみやかに明らかにして決着をつけていく。」、すなわち大臣の責任において決着するということが明らかにされております。  ところで、復帰後きのうでちょうど二年、しかもすわり込みをやらなければならないといったような状態をなぜこのように放置されておるのか。大臣は、責任ある大臣としてここに明らかに答弁されておる。その点を、責任をひとつ明らかにしてもらって、さらに将来一体どうするのか。これについては、長い時間質問するわけにまいりませんが、この前、外務省の大河原局長ですか、これはアメリカの委員会にかけるとかいったようなことまで答弁しておる。これでは地主が助かりません。これは、やはりあくまでも政府の責任なんです。これについての責任の所在を明らかにして、将来じゃない、いますぐどう手を打つかということの答弁をしてもらいたいと思います。
  148. 山中貞則

    山中国務大臣 ただいまお読みになりましたとおりの心境でありますし、その後、積極的に地主の方々の御意向も承り、また私どもの役所ももちろんでありますが、外務省の窓口を通じて、米側との間のあるべき当然の撤去についての相談を進めさせておるわけでありますけれども、米国自身の建物ではなくして、いわゆる政府のものでなくて、在郷軍人会の建設のものであるということもありまして、なかなかそこらのところがうまくまいりません。私のほうとしては、どうしてもこの話がうまくいかないようならば、これは、たいへん不穏当なことばでありますけれども、私ども自衛隊施設隊でもって建物をこわしましょうかということまで申し上げたのですが、実はそれは地主さんも困る、その建物は実はあと使う計画もある、そういうことであって、やろうとすれば、これは不穏当なことなんです。しかし、そこまでやらなければ、経営主体である在郷軍人会のクラブ組織というものは、実際は使っていないわけでありますから、おそらくなかなかうんと言わないのではないか。  しかしまた、一方においては、それを買い取って運用をしてもいいという、あるいはもっと別にホテル等も建設してもいいという方も出られまして、その方から実際上賃借料相当のものを支払っておられる等の事実もございまして、そうすると既存建物というのも、やはり円満に明け渡すこと、これがある場合においては、必要と地主さんも認めておられる、そこで、やはり相手方のほうと話し合いをどうしても詰めなければならぬということでありますが、おっしゃるようになかなかうまく進んでいないという点を、私としてはまことに申しわけなく存じます。  ことに、復帰のときにおいて、一応五月十五日の午前零時、提供施設でなくなったということでありますけれども、しからば、その事実を地主の方々が知ったのはいつかという問題になりますと、これは私は、事務上の私どもの手落ちを認めざるを得ないということを申しております。責任は私どもにあると思うのです。したがって、私としては、なお積極的に働きかけもし、外務省も動いてくれておりますが、この解決方法等について、地主さんとも相談をいたしながら、問題は建物だけの問題でありますので、何とか経営者との間に、建物の所有者との間に一日も早い円満な解決がついて、そして地主の方々が、それをあるいは復元補償費として評価されるか、あるいは建物そのものを、自分たちの共通の所有物にされるか、それらの問題等もございましょうから、要するに向こうの経営者の手を早く離れさせるということで、一生懸命やっておりますけれども、現実は地主の皆さんがすわり込み等をなされなければならないような状態が示しておりますとおり、まだ解決に至っておらないことを、私はたいへん残念に存じ、それに対しては、責任を通感しておりますが、痛感しておるだけでは、解決いたしませんので、責任の上に立っての努力をいたしたいとなお考えております。
  149. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 このVFWについては、いま申し上げました内閣委員会でも、微に入り細にわたってその協会の本質まで暴露されています。ばくちの本拠であるとか、あるいは麻薬の巣くつであるとか、ほんとうにこの大将自身がそれをやったんだ。これが居すわっている。しかも、あなたの答弁なさったのが、四十八年六月ですから、もう一カ年になるのです。自分の責任、ミスを認めた。その間一カ年でしょう。一カ年になるにかかわらず、いまだに地主が——自分の土地なんですよ。所有権がある。憲法が施行されておりますから、私有財産は当然認められている。この私有財産すら否定される。あの土地は、布令によって強奪された土地だが、この建物をつくるために強奪したんじゃないんですね。アメリカはちゃんと基地としてやっている。その中にばくち、あるいは麻薬の巣くつにしますなんというようなことは、別に布令でも出ておらぬのです。それを知っておられるものだから、さすがの沖繩大臣として山中さんが、その当時出られて、どうあっても責任を持ってやらなくちゃいかぬということになっておりますが、いま一番心配しておるのは地主です。私、この前、外間という地主の会長にも会いました。また、すわり込みをやっている現場にも行きました。極東放送が前にある。いま金網を張って入れもせぬものだから、その外側で——自分の土地ですよ。しかも金網が張られている。金網の中に入れないというような状態で、道ばたでじっと自分の土地を見ながらやっているという状況が、復帰後二カ年になる今日、まだ残されているということは、これは政党政派を離れても、少し常識では考えられないようなことなんですね。  したがって、いま外務省が言うように、いやこれはあっちだ、これはこっちだというふうな、賠償を補償する委員会にかけたらどうだなんというふうなことになりますと、一体この地主はどうなるか。外間会長は、実は大臣に会うために来たが、大臣が会わなかったと言っておりました。防衛庁に行ったようですが、一応会ってもいないし、さらに……(山中国務大臣「会いましたよ」と呼ぶ)会ったですか。そこで、責任を持って解決するなどということを、文書でくれと言ったら文書はくれなかったといったことまで言っております。  したがいまして、責任を持って解決するというときに、あの建物自体が不法だから、いまの自衛隊でも使ってこわそうかというところまで非常に強いことばで決意を述べられたわけでありますが、これを防衛庁長官の責任で解決するということを、もう一ぺんはっきり言ってもらいたい。これをほしがっている、この問題はどこへ行ったらいいか、窓口すらない。しかも、この委員会の発言で、責任は痛感する、こういったミスもおかしているということまで確認された上での山中大臣の答弁であるだけに、もうそれにすがるよりほかにないのじゃないかということが地主たちの願いなんですよ。もう一ぺんはっきり言ってください。
  150. 山中貞則

    山中国務大臣 具体的な事実を曲げて言われると困りますので、事実だけは申し上げます。外間会長にお会いいたしました。そして私は、責任を持って解決に努力しますということを申しました。さらに申し上げれば、自衛隊防衛庁というものが、地主さんの皆さん方の代理人となって、これは憲法の私有財産の問題とも関係がありますから、これに対して国内法で訴訟を起こしましょうか、そこまで申し上げました。しかし、通常の地主さん方は、大体いいと思うけれども、部落の区有と申しますか、部落有の土地があるので、それにはたいへん数多くの方々が、名前としては一応権利がある、そうすると、その中には、はっきり申し上げて防衛庁自分たちの代理者になることについて、賛成をしない方がおられるということでございまして、その点も、地主さんの総意というものを代表しない限りは、代理を行使できませんが、そこまでお話をしております。  したがって、外交折衝を要するということは、一応お認め願えませんと——米国の国籍を有する法人が建てた、日本政府が建てたものでもない、アメリカ国の軍が建てたものでもない建物でございますので、それらの権利の問題は、一応外交ルートというものでやってもらわなければならない。これも、もちろん急いでもらわなければなりませんが、それに対して私は、もちろん責任を持っておりますし、責任を感じておりますし、責任を持ってこれを早く片づけないと——地主さんたちが、本来もう自分たちのものになっている土地の問題で、そこにすわり込まなければならない、そういう考えられない異常な事態というものを放置してはならぬがたい決意を持っておりますけれども、私の一存でできることならばいたします。しかしなかなか、相手方が一応の権利を主張いたしております。法的な根拠もあるものでございますから、そこらのところを、できれば詰めてみたいと思っておりますので、しばらく御猶予を賜わりたいと思います。
  151. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうしますと、地主が二十名余りおりますが、これが全員でたたきこわしてくれという要求があれば、自衛隊の力でこわせますか。
  152. 山中貞則

    山中国務大臣 こわすことは可能であります。しかし、先ほど申しましたように、現在その建物を含めて利用することを計画しておる第三者の方が、私がそれにかわって賃借料を払いますからということが裏にあって、お払いくださっておるようであります。そうすると、その方あるいはそれに賃借料をもらっておられる地主の方々は、その建物も含めたホテルその他の計画があるようでありますが、そういうものとして利用されることを一応認めておられると見なければなりません。そうすると、それをこわすことは可能である。物理的に可能です。ですけれども、そこらのところが、一応建物は、できればそのまま残して利用もしたいということでありますると、その御希望にも沿わなければならぬ。そうすると、やはり完全に、そこから管理人といえども全部が権利者としては出ていく、そして、その建物が完全に、地主さんたちの土地と建物として権利が戻ってくるということになるのが、一番理想じゃなかろうかというふうに思っておりますけれども、なお一番いい方法というものを御相談しまして、それに応じていくつもりであります。
  153. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題は、もう大臣が答弁された去年の六月から数えても約一カ年、ことし一ぱいにかなり地主の要望に従って解決していきたいということであるとか、その期限をはっきり設定してもらいませんと、この地主は、第二回のすわり込みをやるのだといったところまで決意を固めておるようなんです。そのいつまでにどうするという見通し、これは、もちろん外務省の関係もあるでしょう。いろいろ関係もあるでしょうが、その見通しをはっきりさしてほしいと思います。
  154. 山中貞則

    山中国務大臣 私は、もう今日までの経過を踏まえても、とにかく私としては、何と申しますか申しわけない気持ちで一ぱいでありますから、何をぐずぐずしているのだという表現をとれば、そういう表現でもって絶えず督励をしておるわけであります。しかしながら、依然として外交ルートの窓口において、米国側とその所有者である米国法人というものとの間の話がどうもうまくいかないというようなことで、私としては、ほんとうに申しわけない、なるべく早くということで、ことし一ぱいでなくとも、私は、もうなるべく早くこれを片づけないと、復帰の後遺症と申しますか、そういうことを残しておくこと自体が、本土が沖繩に対してほんとうの誠意を尽くしているのかということを問われていくと思います。したがって、それに対して全力を尽くして、なるべく早く解決するようにしたいと考えます。
  155. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、防衛施設周辺生活環境整備する今度の法案に対して質問をいたします。  現在、沖繩の嘉手納基地であれ、横田あるいは厚木、三沢あるいは横須賀の基地であれ、さらに北富士の射爆場ほか、そういった基地周辺に住んでいる住民の生活権、環境権、これは侵されてはならないが、侵されつつある。これは日本国憲法にも、ちゃんと規定しているように、いわゆる文化的で健康な生活は憲法で保障されている。そういった憲法で保障されている生活権や環境権が侵害されつつあるので、侵害されてはいけないという立場、さらに地方自治体の自治権、まあ三割自治とかいわれておりますが、この自治権をより一段と拡大し強化していく、そして自治権を守るという立場、さらにもう一つは、いわゆる基地公害の発生源を追及して、これをむしろなくするということが一番大事じゃないか、この三つの基本的な立場に立って質問をしたいと思います。  まず最初に、いわゆる現在の基地周辺整備法と、いま審議になっておる周辺生活環境整備法との基本的な違い、前進面があるのかどうか。いま私、三つ申し上げました。個人的な生活権や環境権の問題、自治権を狭めてはいかぬ、むしろ拡大すべきという立場、それから基地公害、これは、しかたがないじゃないかといったような立場ではなくて、むしろなくする立場からいって、現在の整備法と比べて何か前進している面が具体的にあるかどうか、これをまず伺いたいと思います。これは大臣でなくてもいいと思いますが、この点、明らかにしてください。
  156. 田代一正

    田代政府委員 ただいまの御質問は、住民の福祉という問題、それから自治権との関係の問題、発生源の問題、この三つ御指摘になりましたけれども、そこで今回提案いたしております法律に即して申しますと、一番大きな問題といたしましては、御案内のとおり今回、四条、五条、六条、七条という規定でもって一種、二種、三種という区域を設定いたしまして、一種の区域につきましては、個人の住宅防音をいたしましょう、二種につきましては集団の移転と申しますか、そういった措置を考えましょう、三種につきましては緑地帯を整備いたしましょう、こういう形を考えております。これは、いずれも過般、運輸省関係で成立いたしました運輸省関連の法規とほぼ同じような考え方のもとに、一種につきましてはWECPNL八十五以上、二種につきましては九十以上、三種につきましては九十五以上ということにいたしたいと思いますが、これはまさに先生御指摘のとおり、住民の福祉、まあ環境権と申しますか、そういうものに即応いたしまして、こういった規定を考えてみたという問題かと思います。  それから、さらに大きな新規の事項といたしまして、第九条をもちまして、特定防衛施設周辺調整交付金という制度を考えました。これも従来は、現行法三条に基づく障害防止、軽減あるいはまた四条、これは新法の八条でございますが、障害の緩和に資するという、もろもろの施策につけ加えまして、この交付金システムを考えたわけでございます。これも結果といたしましては、住民皆さんの福祉に役に立つ問題かと思います。  そこでもう一つ、自治権の問題でございます。これは自治権が、今回の措置によっていろいろ侵されるのじゃないか、狭められるのじゃないかという御意見がございますけれども、私どもが考えております今回の第九条の規定にいたしましても、これは別に自治権を侵すとか、そういうことではございませんで、やはり従来の措置のみでは十全なる対策がとれないということで、今回新たに考えたわけでございまして、そういう角度から申しますと、あえて自治権を狭めるとか、そういうようなことを意図したものではございません。  それから、発生源の音源対策の問題かと思いますが、これは法律には直接触れておりません。法律の問題としてじゃなく、また別の角度で考えるべき問題かと思います。
  157. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま防音工事対象、これが拡大されている問題が取り上げられておりまして、この前の委員会で中路議員の質問に対して、その第一種に線引きされる地域に住んでいる住民は、約十万戸という答弁をされておりますが、そのとおりですか。
  158. 田代一正

    田代政府委員 私は、これまでの答弁の中で、まだ線引きが終わっておりませんので、正確なことは申し上げかねますが、過去に、たとえば三条で防音をやっておりまして、これは一種、二種という防音がございますが、そういった防音地区の設定とかあるいは現行法の第五条に基づきます集団移転の地区指定がございますが、そういった地区指定にかんがみて見るならば、数万戸、場合によっては、これは十万戸になるかもしれません、こういう言い方をしておるわけであります。
  159. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それで、今度の予算で一億組まれていますね。一戸で一室に防音室というのですか、設けると思いますが、これはかりに十万戸ということで、一戸ずつ幾らになるのですか。予算に一億組んであるでしょう。あなた、いま、該当するものが十万戸と言われましたね。こうなると、全部やらなければいかぬわけでしょう。一戸当たり幾らになるのですか。
  160. 田代一正

    田代政府委員 仰せのとおり初年度は、四十九年度予算としましては一億でございます。かりに一戸百万円、一室百万円というぐあいにいたしますと百戸ぐらいしかできないということになります。それで、十万戸近くも一体どうなるのだということかと思いますが、これは今後なるべく早くコントア、線引ききを設定いたしまして、極力すみやかに実施してまいりたいと思います。十万戸にいたしますと、大体一戸百万円しますと、算術計算しますと一千億ということになりますから、相当な金額であることは間違いございません。
  161. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、それを聞きましたのは、いわるる基地周辺個人、この生活権、環境権なんです。この法案は、あめとむちの法案だとよくいわれておりますが、あめは全然ないんですね。いま計算してもわかるように、初年度は大体百戸、一億。まず一戸、百万円。よく調べてみますと、何か三里塚あたりで個人で一室をつくった人の話ですが、百三十万円かけてなおだめらしいですね。というのは、防音関係になりますと、テレビが映らないだけではなくて音が聞こえぬ、電話など全然聞こえぬ。そういったような装置まで含めていきますと、あるいはインフレ、物価高もあるし、百万円で一体百戸できるのかどうかということも、実は疑問になってくるから、私聞いておるわけなんですよ。だいじょうぶと思うのですか。
  162. 田代一正

    田代政府委員 ただいまの仰せは、一つは単価の問題だと思いますが、これは予算積算の際に百万円ということで考えたわけでございますけれども法案が成立して、実際に施行するという段階になりましたならば、さらに精細に運輸省とも、全く同じ問題がございますから、詰めまして、その単価を適当なところで考えてみたいと思っております。  したがいまして、若干単価が変わりますと、予算が一億でございますから、着工できない。何だ、その程度では、こういう御意見かと思いますが、これは先生も御承知のとおり、わが庁におきましても、過去何年かかけて六つぐらいの建物をつくって、いろいろな実験をしてまいった過程がございます。ことしは、幸いにして法案が通りますれば、初年度になります。そこで、初年度につきましては、やはり若干実験的な要素が残るということもございますので、非常に慎重に処してまいりたい、こういう気持ちでございます。  それで自今は、五十年度以降につきましては、さらに、そういったことをもとにいたしまして、急角度にこの措置を上げてまいりたいというのが、率直なところ、私ども現在の考え方でございます。
  163. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この予算の問題について聞きましたのは、この法案がかりに施行された場合に、地域住民には、この法案が通れば、われわれの防音装置も非常に完備されるのだといったような要求があるし、いろいろな要求があるわけなんです。そういった面で、もっと明らかにしたいと思いますが、私の質問は引き続きあとでやることにいたしまして、一応保留します。      ————◇—————
  164. 徳安實藏

    徳安委員長 この際、防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案及び国土総合開発庁設置法案を議題といたします。  これより、田中内閣総理大臣に対する質疑を行ないます。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。木原実君。
  165. 木原実

    ○木原委員 総理に、まず、周辺整備法に関連をしてひとつお伺いをいたしておきます。  周辺整備法の第九条によりますと、総理は、特定防衛施設とその関係市町村を、特定防衛施設市町村として指定をし、公共用の施設整備を行なう費用をまかなうため、特定防衛施設周辺整備調整交付金を交付する、こういう条項があるわけなんです。いろんな意味で問題を含んでいると思います。  一つは、この総理の権限の行使いかんによっては、基地強化の助成であり、あるいはまた、このような方式が行なわれるとすれば、他の省庁の所管に属する問題を飛び越えて、基地の機能を優先的に確保する、そういう道を開くことにもなるのではないか。したがって、この法律がもし成立をして、この条項が生きてくるとなりますと、総理の権限の行使について、きびしい基準なり考え方なりがあってしかるべきだと思うのです。したがって、総理の見解をまず伺いたいと思います。
  166. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 この法律は、御承知のとおり日本に基地は必要であるわけであります、必要でございますが、周辺住民に迷惑をかけてはならない、こういう考えから周辺整備を行なおうということになっているのでございまして、厚きに過ぎることは、一向差しつかえないわけでございますが、薄きに過ぎたら困るわけです。ですから、この法律の立法の精神から考えて、手厚い住民保護を行ないたいという挙に出るものである、まずこれが第一であります。  総理大臣と書いてあるのは、総理大臣を目のかたきにされることはないのであって、これは法制上の問題でしかない、これは申すまでもないわけでございまして、御承知のとおり、防衛庁というのが総理府の中にある、それで内閣総理大臣ということに法制上はなっております。だから、それをただ置きかえただけであるということは、これは当然のことでございます。現実的には、防衛庁の仕事は、防衛庁長官が国会でお答えをしております。当然のことです。しかし必要があれば、法制上の主管者である内閣総理大臣の出席を求めるということと同じことでございまして、これは私の権限がむやみやたらに行使されるものではございませんし、特に総理大臣の恣意によって適当な法運用が行なわれる、そんなことが許されるはずはありません。これは審議段階における国会の意見が反映されなければならぬことも当然でありますし、これは、ただ法律上の区分として内閣総理大臣が、というにすぎないわけであります。  これは経済企画庁とかいろいろな問題も、みなそうなっております。法制上の問題だけでございまして、これは、もう還境庁もしかりでございますし、いろいろな問題がみな法制上内閣総理大臣という名称にかかっておるということでございまして、私がこの法律運用にあたって、恣意にわたるようなおそれは全くありません。これは、もう国会を無視してやろうということになれば、別でございますが、そんなことはございません。これは、もう民主政治、議会制民主主義の中に生まれ育ってきておる私でございますし、そういうおそれは全くない。だから、これは、ただ法制上のたてまえで内閣総理大臣、こういうことが明示されておるにすぎないというふうに単純に御理解いただきたい。
  167. 木原実

    ○木原委員 ただ、基地という問題については、御承知のように、いままでの長い経過があり、特殊な問題をやはり含んでいると思うのです。したがって、ただ法制上の措置にすぎない、そうでしょう。それからまた、必要な権限行使にあたっての基準なり何なりというものは、きちんとしたものをつくってもらいたいという要求をわれわれは持っておりますけれども、しかし基地の本質の問題をとらえますと、総理、金を出して手厚い処遇をすれば済むという問題ではないわけなんですね。そうなりますと、基地住民の関係というのは、できれば基地なんかないほうがいいというのが、一般の考え方なんです。だから、基地がもたらすさまざまな被害や公害という問題は、根本には、できればやはり基地はいてもらいたくないという気持ちがあるわけなんです。  そうしますと、手厚い保護を加えれば、加えるほど、基地がそこに居すわって長期化するという問題が起こり、逆に住民の側に不安を生ぜしめるという問題もあるわけなんです。基地問題の持っているむずかしさは、そういうことにあるわけですね。ですから、総理が、基地は必要なんだと強調されましても、しかし、多くの国民は、必要性はかりに認めたにしても、そこにやはり基地はいてもらいたくない、さまざまな不安がやはりつきまとっているわけなんです。  そういう基地問題の本質を踏まえて考えますと、ただ厚遇をすればいい、ですから、逆に総理の権限を使って厚遇をされればされるほど、住民の不安というものをぬぐい去れないという問題が起こってくる。そこに基地問題のジレンマがあるわけです。これは私と総理の立場の違いの問題ではないと思うのです。そういう受けとめ方をされているのです。見解、いかがですか。
  168. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 基地が必要であるということは、これは事実なんです。国会でもきまっているのです。これは、もうどこにもあるのです。外国にもあるわけですし、日本にもあるということでございまして、基地が必要でないという立論に立てば、これは、いかんともなしがたい議論でございますが、基地は必要である、これは国会の意思はきまっておる、こういうことを前提にひとつ議論をしていただきたい、こう思います。  基地があるということであれば、これは基地があることによって住民に迷惑をかけてはならないということに対して、政府が相当な施策を行なわなければならぬ、これは、もう公共の負担で、国民全体の負担で、基地周辺整備を行なったり、周辺住民に対して、できる限りの投資を行なうということは当然でございます。投資が行なわれることによって、基地の恒久化が行なわれるということになると、これは堂々めぐりの議論でござ  いまして、そうなると全然かまわぬでおけばいいのかということになるわけです。そうすると、基地が必要か必要でないかというもとの議論に戻るわけでございます。  これは駅は必要である。駅は必要であるが、がたがたします。車が飛び込んでくるし、騒音公害もある、しかし駅は公共のために必要である。そうすると周辺のために何らかの措置を行なう。新幹線は必要である、あるということが前提であるならば、その沿線住民に対して、しかるべき保護措置を行なう、これは当然のことでございまして、そこらは、ひとつ割り切って考えていただきたい。  それから、もっと基本論に戻りますが、基地が必要であっても、基地というものが、設置せられた当時とその後の社会環境の変化によって状態が違うというようなことになれば、しかるべき代替地を求めるために、政府努力をするということは当然です。基地が必要であるといっても、無制限に拡大をすることはないわけです。ですから、可能な限り最大の縮小を行なう、合理化を行なう、そのためには努力を続けておるわけでありますから、そういう意味でこの法律そのものが出たこと  によって、基地が恒久化されるというような議論ではなく、やはりこれは基地周辺住民市町村長等の要請をいれて、このような法律政府はこたえているわけです。  ですから、あなた方も御審議をいただくときには、現実問題として基地存在する、それで周辺住民はいろいろな苦情がある、この苦情にこたえて、政府も国会も、これに対応しよう、こういう誠意にいずるものであるということを、ひとつ御理解の上御判断をいただきたい、このように思います。
  169. 木原実

    ○木原委員 これは総理、長い経過がありますから、その問題は繰り返しませんけれども基地という問題についての国民の持っている悩みについて、総理は、もっと謙虚に考えてもらいたい面があると思うのです。  形を変えてお聞きしますけれども、七〇年代後半、そろそろ七〇年代も半ばに達しておりますけれども基地の態様をどういうふうに描いておられますか。整理、統合、縮小の方向に向かうのですか。それとも新設を含めて、五次防の問題などがちらちらしておりますけれども、ますます新しい基地が必要だとお考えになっていらっしゃるのですか、どうですか。
  170. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 基地は、二つ考えられるわけであります。  一つは、日本の自衛隊基地というものは、国際情勢の変化に対応しまして、これが目的達成のために、万全の措置を講じなければならないということは当然なんでございます。しかし基地が必要であっても、国民生活、予算というものとの比較の中で取捨選択をしながら、順次整備をされなければならぬ、こう考えております。  米軍基地そのものは、これは安保条約によって提供しておる基地でございますから、基地提供しなければならないということでございますが、これは、しかしだんだんと整理、統合せられて、できるだけ広範にまたがらないようにつとめていかなければならないということで、全国において広範な基地の返還を求めておるわけでございますし、また去年の一月以来、沖繩基地を中心にして返還を求めているわけでございますので、これらは前段にある日米安全保障条約による基地提供ということの義務を果たし、同時に、国民生活に与える影響というものが最小限に限られるように、日米間で合意につとめておるというのが現状でございます。
  171. 木原実

    ○木原委員 米軍基地の問題は、さておきまして、自衛隊基地自体も再編といいますか、整理、統合して縮小の方向に向かう、こういうふうには考えられませんね。
  172. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 それは、そう簡単には申し上げられません。これは、いままでスピードが百キロで走っておったものが百五十キロになれば、カーブも大きくなるわけでございますから、いままでの面積でもって利用できない、これは科学的、技術的にやむを得ないものがあります。また、船のトン数が大きくなれば、水深は深くなるわけでございますから、そのためには港の整備を行なわなければならない、これは当然でございます。  これは、相手のある話でございまして、国際情勢の推移に対応して——これは、いずれにしましても、要らぬという考えに立たれれば別でございますが、そうではなく、自衛力というものは国家が存立する限り、日本国民が存在する限り、生命財産を維持する政治の最大の目標である、こういう考え方に立って国会の議決を求めておるわけでございまして、これは、やはりただ観念的に整理、縮小いたしますと、こう述べられない問題であることは、もう当然でございます。ただ、むやみやたらに拡大をする意思などは、ごうまつもないということだけは、念のために申し上げておきます。
  173. 木原実

    ○木原委員 これは総理、たいへんなことですね。冷静に考えてもらいたいと思うのです。去年からの石油不足だとか、インフレの問題で、たとえば石油が少し足らなくなったということだけで、自衛隊がおそらく初めての経験をしたと思うんですね。油がなくなれば、ただ鉄のかたまりを持っているだけにすぎないわけなんです。そういう現実に直面しかかった。インフレの問題につきましても、この委員会でわれわれは四次防についてきびしい批判を加えた、縮小したらどうだという意見もあった。それを押し切って、今日の姿の中では、総需要抑制か何か知りませんけれども、四次防の中で結果的には繰り延べないし縮小という問題に直面しておるでしょう。  そういう状態があるのならば、総理に私は提案をしたいのですけれども、この段階で一ぺん自衛隊のあり方や防衛力整備のあり方や、進んで国の防衛政策のあり方について、国民が冷静に考える場というものを提供する考え方ございませんか。たとえば、いままではGNPの伸び率にほぼ比例をするスピードで防衛力の整備というのは、急角度で進んできたわけですね。しかも国民の中には、自衛隊は認められないという意見が依然として強くあるわけなんです。ですから、われわれとあなた方の間に永遠の交わりのないような議論を繰り返してきている。  しかし幸いにして、総理も認められるように、国際的な環境も緊張緩和という状態がある、こういうような……(「領空侵犯をしている」と呼ぶ者あり)ちょっと待ってください。その問題ではない。青嵐会ちょっと待ってくれ。いずれにいたしましても、そういう情勢がある。一番大事なことは、国民の合意を求めるということじゃないですか、自衛隊のあり方について、防衛力のあり方について。その機会というものがなかったわけですね。ですから、もしこの情勢の中で総理が決断をされるならば——一方て走りっぱなしに走らしておいて、他方で合意を求めるなんということをいえば、それはやはりこんちくしょうということになるわけなんです。これは不幸なことです。  ですから、もし総理に御決断があるならば、そういう情勢もこれあり、引き続いて五次防というようなかっこうで走っていくのではなくて、一つ間を置いて、防衛力の整備のあり方についても、思い切ってこれをしばらくの間凍結をして、その間に国民の合意を求めるという努力をやったらどうですか。そうしてまた、その中で、きょうは基地の問題ですけれども基地のあり方などという問題についても、もっときめこまかく、たとえば過密な都市周辺にある基地整備の問題であるとか−国際情勢に対応するといいましても、防衛力の整備の問題は、国際情勢にかかわりはないと、あなたの部下たちは、そう言っているんですよ。どうですか。
  174. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 政府は、防衛力の整備に対しては、非常に慎重にやってまいったわけでございます。これは、そうでなければ——各国との比較を見ても、この程度でおさまっているという現状を考えれば、これは問題なく最善の努力をしてまいっておるということがいえると思うのでございます。  国防力は要らぬのか、防衛力は要らぬのかということになれば、これは別でございます。百四十六の国がございますが、防衛力、自衛力を持たない国は一つもないということでございますので、地球上に存在する国家、国民である限り、少なくとも相応の自衛力は必要である、こう認定するのはこれは当然である、こう思います。  しかも、これは戦後あらゆる選挙で、この問題を国民的に判断をせられてきたわけです。御承知のとおり、二十五年間の間に衆議院総選挙は十二回やった、参議院の通常選挙は九回やりました。いまや十回目を迎えんといたしております。こういう状態において、最大のテーマであったことは事実じゃありませんか。  それで、国民的合意が得られない、こんなことはありません。国民的合意が得られておるから、衆参両院の議決を経ておるわけであります。そういう御議論をなさるとしたなら、これは原則論でございまして、私は、木原さん、率直に言いまして、ここが一緒になれば、政権は直ちにそっちに行くと思っているんですよ。いや、基本政策ですよ、ほんとうに。この問題が、いまのような状態で論じられておることは、日本人、不幸だと思うのです。  そういう意味で、少なくともどこの場というのは、国会が最大の場であります。憲法の条章を申すまでもありません。国会以上の、国民の判断によって、国民に代理権を委任されてきておるこの国会の議決を尊重せず——国会の議決というものが、国民の最高の決定である、こういう御認識をお持ちになっていただかないと——学者を集めたり、いろいろな手があります、審議会をやったり。しかし、それは何の選挙もしてきた人ではありません。七千数百万票という選挙によって選ばれてきておるという国会が、最大の議論の場である。そういう議論がずっと続いてまいって、今日の日本の自衛力、防衛力が存在するということは、ひとつ認めていただきたいのです。  そういうたてまえに立って考えますと、これは、国際情勢というものの推移によって、重要な政策というものが考えられなければならぬというのは当然であります。ですから、あなたの御質問に対して私が言っているのは、拡大するということも申し上げません。縮小するというような状態も、また申し上げられません。ですから、国際的な情勢の推移に徴しながら、日本人の生命、財産を守るに必要な自衛力というものは確保していかなければならぬと思います。それで、確保できるのは、政府の力で確保できるのではないのです。国会の議決を経て確保していくわけでございますので、そこらは、ひとつ御理解いただきたいのです。
  175. 木原実

    ○木原委員 私は、むしろ一つの場を提供したいと思って、一つの提案をしたわけですけれども、意外に総理のほうが、この問題については教条的でがんこです。それは、手続として国会で合意を得たいとか選挙云々というお話はございましたけれども、ともかく現に防衛力のあり方、自衛隊のあり方について、国民の中に疑問があること、疑惑があることも事実なんです。ですから、国会の中でも、議論がかみ合わないわけなんですね。  いま総理がおっしゃったようなことも、長年私ども議論をしてまいりました。その議論を蒸し返そうと思ったわけではないのです。ただ情勢も、一つの変化が見られるような時期であるし、大事な時期に差しかかっていると思うから、たとえば五次防などという話もちらちらしておりますけれども、そういう前の一つの段階で、一度、防衛力のあり方について、自衛隊のあり方について、基地のあり方について、国民の理解や合意を求める努力政府のほうでおやりになる意思はありませんかと、前向きな話をしているのです。どうだ、こうだということを言っているわけじゃないんですけれども、どうですか。
  176. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 私も、現実を述べておるわけでございます。政府は五次防など、いますぐやるなんというようなことはきめておりません。これは、ひとつ明確にしておきます。  それから、四次防そのものも、いまの状態では、総需要抑制の一環として、防衛庁の支出、予算、その他も抑制しておるわけでございまして、四次防そのものの見通しというものを、いま考えておる段階でございます。五次防というような問題を、国会に出すような意思はありません。これは明確にいたします。  それから、いろいろな状態に対して勉強すべきである。政府は勉強しております。絶えず勉強しております。これだけ国会で、三十年に近く御議論をいただいておる問題ですから、その衝にある政府が、国民の声を聞きながら勉強しておらぬはずはありません。勉強しております。成案を得れば、国会に御審議をお願いいたします。これは御審議がなければ、自民党がいかに考え、政府がどう考えても、実行できるわけはありません。そのための国会があるわけでございますし、こういう討論があるわけでございますから、これは絶えず勉強しております。また民間有識の声も、意見も、十分徴しながら勉強いたしておるということだけは申し上げておきます。
  177. 木原実

    ○木原委員 もう時間がなくなりましたけれども、勉強云々の問題よりも、前段の問題でそれでは伺っておきますけれども、いままでのような形で、三次防から四次防へやってきた、こういうエスカレートしていくような形で五次防に直進をしていくという、つまり防衛力整備という名のもとに防衛力の増強を一直線に進んでいくという、そういうことは考えていない、したがって、別の解釈をすれば、四次防から五次防に移っていく、あるいは来年か再来年の段階、政権の座におありになるかどうかわかりませんけれども、その段階では、一度防衛力整備計画のいままでのあり方については十分な検討を加える、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  178. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 防衛力整備の問題は、常に検討、研さんを続けております。明確にいたしております。  四次防中でございまして、五次防を予測したり、五次防の作業などは、全くいたしておりません。これは第二点でございます。  それから、いままで三次防とか四次防とかいっておったことは、どうも国会に無用な議論を巻き起こすことになる。何でこんなことをしなきゃならぬか。予算は単年度主義である、そこで四次防とか三次防とかになるんです、こういうことになるわけです、堂々めぐりの議論ですけれどもね。それはそうでしょう。とにかく艦船の発注をしても、年度をまたがってやるわけであります。そういう意味で、歳出を行なう場合には、契約から竣工、支払い完済までには相当の年月を要する。そうすると艦船を何隻発注をする、それから何年間で納入完成をする、飛行機を何機発注するということになれば、やはり三年とか五年というようなものを見通して、国会の審議を仰がざるを得ない。ただ、予算は単年度主義でありますから、単年度、単年度に予算の決定をお願いいたしております。  そういうことだと、いつの間にやら何次防というようなことが……(木原委員政府が出したわけです」と呼ぶ)そうですな。政府も、もう少し考えて出せばよかったということで、山中長官などは、そういうところ明敏でございますから、何次防なんというのはやめよう、現在の予算で発注するものはこうでございます、そして後年度に支払うものはこうでございますということを述べるほうが、より合理的だ。国会審議で無用な、無用というか、とにかく野党の皆さんに、政府が考えておらないようなことまでお考えいただくということを避けるためにも、予算どおり単年度で、質問があったら三十億円の艦船の発注に対して十億円しか頭金見てないのだから、年次計画を後年度に幾らであるか、質問に答えていわく、こうでございますと、そういう議論もあります。また、政府でも真剣に、国会の審議をスムーズにやっていただくために考えているんです。考えているんですが、いい案がなくて今日まで来ました。  ですから、五次防とか六次防とかといういままでの言い回わし、発表のしかたよりも、そういうところは単年度で出してきて、こちらは質問するから、質問したら、これは大体何年間でできる予定でございますというほうがよろしいという御示唆があれば、そういうこともちゃんと考えながら努力をしてまいりたい、こう思います。
  179. 木原実

    ○木原委員 私は、四次防、五次防の手続論じゃなくて、直線的に、防衛力整備と称して武力の増強をはかられるということに、非常な不安と批判を持っておる、こういうことを申し上げておきたいと思います。  最後に一つだけ、もう時間がなくなりましたけれども、総理は、最近、道徳論をだいぶ委員会で発言なさっていらっしゃるんですが、自衛隊の内部的な士気の問題や規律の問題等にも、いろいろ問題があるんですが、まさか自衛隊員に対して、一つの道徳的規律を持たせるというようなお考え方はないでしょうね。
  180. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 これは、いまどういうものがあるか、私もよくつまびらかにいたしておりません。おりませんが、自衛隊員は、やはり自衛隊員の心がまえというものはあるべきであります。警察官にはございます。公務員にも、公務員法で明定してございます。公の立場に立つ者は、何のために自分の職務があるのか、何のために国費の支弁を受けておるのかというぐらいな、そういうものに対する、私は現在でもしかるべき規範はあると思います。私は、ここで新たにどういうものをつくりたい、旧軍人勅諭のように、「一、自衛官は」というようなものをつくるということは考えておりません。
  181. 木原実

    ○木原委員 ありがとうございました。
  182. 徳安實藏

  183. 上原康助

    上原委員 限られた時間ですので、簡単にお尋ねをしたいと思います。  まず、防衛問題について政府としては御検討といいますか、勉強しておられるというのですが、いま木原委員とのやりとりを聞いて、どうも思いつきじゃないのかという感じを受けざるを得ないのです。第一次から第四次の防衛力整備計画を立ててきたのは、まさしく政府自体であって、その方針がどうもおかしかったんだというようなことになりますと、納得がいきかねる面があります。この新基地周辺整備法議論する過程においても、現在の四次防問題についていろいろ議論がされましたが、当初の計画がすでに実行できない。装備の調達にしましても、あるいは経済状況、社会情勢から考えても、修正をせざるを得ない段階に来ていると思うのですが、先ほど五次防とか六次防というお考えはないということを言明なされましたが、四次防そのものを変えていくという、修正をするという考えがあるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  184. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 いま四次防で、五次防は考えておりません、こういうことでございます。現在四次防中でございます。四次防は、まだその年度の途中にあるわけでございます。年度の途中にあって、これが緩急よろしきを得てやられなければならないということは、予算のワクに制約されるわけでございますから、当然のことでございます。  道路の五カ年計画の十九兆五千億というのがございます。これは年次計画もございますが、年次計画どおりにいかない。また、年次計画よりもオーバーしているものもございます。それは下水道計画などオーバーしているわけです。それは、もう先取りをして、三年次目、四年次目をやっているわけです。そういう面もございますし、実際は予算の制約がございますので、その年次どおりにいかないというものもございます。  今度、経済社会基本計画の中でいろいろな年次計画がありますが、おおむね国会の論戦中でも申し上げておりますが、この中で、完全にやろう、どんな場合でもやろう、GNPの伸びがどんなに落ちてもやろうというのは、社会保障計画だけはやりたい、こう明確に述べているわけです。ですから、これは五年とか、そういう期間の中の問題でありますので、ことし一年間相当スローダウンしたから、これでいますぐ計画みんな再検討しろということでないと思うのです。ことしじゅうにはわが家をつくりたいということで発注したけれども、とにかく金詰まりになって、銀行から貸せられないから、ことしの十二月に入居の予定を来年の六月にしようということは、あり得るわけであります。月給が上がったから、もう少し繰り上げようということもあり得るわけでございます。  ですから、いま四十九年度の予算の数字だけを見て、いますぐ四次防全体を練り直したり、再検討したりという議論は、多少飛躍的だと考えておりまして、まあ議論がございますから、予算を組んでも、執行の過程においても、絶えず非常に繊細な気持ちをもちまして、厳密な予算執行をしております。そういう意味で、政府は非常に努力をしておるという事実を御認識いただいて、いますぐ四次防をどうしようというふうな問題については、修正とか改定とかいう段階に至っておりません。考えておりません。こういうことで御理解いただきたいと思います。
  185. 上原康助

    上原委員 どうも総理の引用なさる例というのは、非常に極端な例を引用なさるので、ちょっとかみ合わないのですが、家を建てるとかそういうのと、いまの防衛力整備計画というのは、国民の側からすると、根本的に違うわけです。  そこで、五次防ということがないとすると、規模とか装備のいわゆる防衛力ということにおいては、現段階では四次防の範疇でしか政府は考えていない、こういうことですね。
  186. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 長期的展望に立っていろいろ思いをめぐらさなければならぬことは当然でございますが、現時点においては、四次防ということで国会の御審議を得ておるわけでございますし、四次防予算執行中でございます。この予算を適正に執行するということ、乏しい予算であっても、これで任務を果たす、責任を果たすということに専心努力を続けておるわけでございまして、四次防以後の問題に対して検討いたしておりません。
  187. 上原康助

    上原委員 これだけに時間をさくことはできませんので、別の質問に移らせていただきますが、総理の「列島改造論」が、総理のお立場からすると非常に御不満があるかもしれませんが、結局大幅に修正せざるを得ない状態に来たというのは、万々御理解いただいていると思うのです。四次防だっていまの状況からすると、そういううき目をわれわれは見るものと思います。  そこで、国土総合開発庁設置法というものが、いま審議をされているわけですが、これもいろいろ問題がございまして、基本であるいわゆる国土総合開発法というのが国土利用計画法に、母体が根本的に改定をされた。国総法というのはたな上げにされ、もう廃案になった。もちろん二十五年のやつはありますよ。それは別として、総理が打ち出した「列島改造論」は、われわれは、もうたな上げになったものと理解をするわけです。したがって、国土利用計画法を着実に遂行していくための国土庁なり国土総合開発庁設置法でなければいかないと思うのですが、総理は、この件についてはどうお考えですか。
  188. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 国土総合開発法というのは、昭和二十五年制定でございますが、これは表面から見ますと、閣法でございますが、実体は議員立法でございます。特に政府も与党もなく検討した結果、議員立法として提案を予定しておったものを、基本法であるからということでもって閣法にすりかえただけでございます。これは当時の記録を読めば、明らかでございます。この国土総合開発法を土台として、実体法というのは、その後たくさんできております。五十法ぐらいできていると思います。ここで述べても、三十法ぐらい述べられます。  その中の一つは、どういうことかというと、電源開発促進法もしかりでございますし、明治二十九年制定の河川法の一部改正、原因者負担の大原則を確立したのも議員立法でございますし、公営住宅法も議員立法でございますし、北海道を含めた十ブロックの地域開発法もそのとおりでございます。そればかりでなく、旧軍港都市整備法とか温泉都市整備法とか、地域整備法がたくさんございます。それから新産業都市建設法になっております。それだけでなくて、離島振興法や山村振興法になっているわけでございます。そういうものを全部議員立法でやっているのです。首都の建設促進に関する法律もそのとおりであります。これを全部やっているのです。その中には水資源開発法もありますし、ガソリン税を目的税にした道路三法がある。これは、みんな御承知のとおり与野党の共同提案になっておるわけですから、そういう意味でずっと二十五年間来て、そしていよいよ、それでもなお——総論が先であったものを、各論からやってきたということでございます。  ですから、これらの内政関係に対する問題で野党が反対したというようなものは、ごく例が少ないわけであります。防衛とか文教とか、それから外交案件に対しては、激突をいたしました、激突もありましたが、しかし、国内法にはなかったんですよ。それが国土総合開発法という五十法目ぐらいに出てきたものを反対ということになったわけであり、私は、ちょっと解せないところがあったのです。各論は全部賛成、そして網をかぶせる総論反対ということになったのですが、これは、お立場もございますし、国会の審議は尊重しよう。  私は、多数党の総裁でありながら、御反対があれば小選挙区法の提案さえも遠慮しているわけですから、そういう立場から、国民のために果たされる法律が成立を得るならメンツにはこだわらぬ、こういうことで私は一切御審議にゆだねたわけでございます。  まあ今度の、あの国土総合開発法の改正案なるものは、国土を計画的に利用しようというのがもとになっておりますから、そういう意味で、国土利用計画法というものになったとすれば、国会というものはやはり高い立場にあるな、こうしみじみたる思いでございます。ですから、私はそういう意味で心はメンツにとらわれておりません。責任が果たせるなら一向差しつかえない、国会の決定にほんとうに心から服しておるわけです。いさぎよくなんかも申し上げません。私は、もう国会の御決定がおおよそのラインで私が意図したようなもの、しかも名前が変わったことによって、私のものは廃案になり、内閣のものは廃案になりということでお済みになるなら、それは、もうけっこうでございますという、ほんとうにすなおな、謙虚な気持ちでおります。  そういう意味で、この法律というものは、いままでたくさん議論をされたいろいろな問題を含むものであるし、これはスタートをするものとしては、たいへんりっぱなものだ、りっぱなものになるという考え方を私は持っておりますし、また、これによってつくられる国土庁というのは、いままでの国土開発法と新しい土地利用計画法と一緒に所管する。いままで国会で一体土地のことぐらいわからぬのか、こういっても、建設省に行ってもわからぬ、いろいろなことをやって御迷惑かけておったわけで、今度は土地だけに関しても、国土庁がちゃんと答弁申し上げるということになりますし、ですから、窓口は一つになる。国民の利便の面から考えても、この国会の決定というものはたいへん有効である、敬意を払っております。
  189. 上原康助

    上原委員 どうも総理のおことば、御答弁のいろいろな法律をあげることを聞いていますと、やはり頭は開発中心ということが抜け切らない感じがするわけですね。そのことは別として、二十五年前からのことを、私に長々言われても私になんか全然わかりません。要するに、この開発庁設置というのは、国土利用計画法を母体として、それを主軸に運用していく、執行していく庁だというふうに理解していいんですね。それが一つ。  さらに、これとの関連で、最近、総理は住宅省をつくるんだ、やれ中小企業庁を省に昇格させるんだということを、気まぐれではないと思うんですが、ぼんぼん打ち上げておられる。審議の過程でいろいろ行管なり関係省庁に聞いても、全く所管の大臣も事前に話がなかった、また閣議でも全然話し合われなかった、こうなりますと、やはり私たち問題があると思うんですね。せっかく建設省にある宅地部門をここに持ってくる、あるいは企画庁にある調整局を持ってくる、そういうことをやりながら——最近また中小企業庁の書法の一部改正の審査の場合も全然そういうことがなかった。一体その真意はどうなのか総理といえども、所管の大臣や、あるいは内閣法なり国家行政組織法なりを無視して、どんどんやるというわけにはまいらぬと思うんですね。その三点について明確に答弁をしていただきたい。
  190. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 国土開発庁は、御承知のとおり列島改造ではありませんで、国土総合開発法を所管する役所として提案をしているわけです。ところが、国会で御修正になるということであれば、これはもうその決定どおりになるわけでございます。国会で新しい法律を御制定中でございます。それを所管する役所が国土開発庁である、国土庁になるかもしれませんが、いずれにしても、この役所であるということですから、国土総合開発法の改正案のかわりになる、変わった法律、国土利用計画法の所管官庁であることは間違いありません。そうすると、改正案が却下されるということになりますと、本案は生きるわけでございますから、これを経済企画庁に置くか、それから最終的には国土庁に移管するかという問題が残るわけですが、政府は当然のこととして、新設される国土開発庁に所管をさすべきものだ、こういうことを考えています。  それで、いままで問題がたくさんあって、たいへんおしかりを受けた土地の問題については、少なくとも国土庁が一まとめにお答えできるような、調査もできるような官庁になる。これは、同じように環境庁がつくられたとき、環境庁というものは、建設省とそれから厚生省と通産省に分離をすべきである、分属をさるべきであるという議論があったことは事実です。生産、工開は通産省に、それから国土の保全問題は建設省にという議論がございましたが、しかし環境庁は必要であるということで環境庁設置になったと同じような考え方で設立されるものだ、こう考えております。  それから、住宅省と中小企業省というのは、これは私、つくると言っているのじゃありません。これは横浜の会合に出ましたときに質問があったわけです。住宅省及び中小企業省というものは、中小企業団体それから住宅を必要とする者の長い間の懸案であるが、政府は本件に対して明確な発言をせられたい。これは主権者の質問でございますから、主権者に答えなければいかぬなどということで責めが果たされるものじゃありませんが、そういう意味ではちゃんと答える、あたりまえのことであります。答えるときにいいかげんに答えたのじゃありません。新聞の縮刷版をお読みになれば、そこらにずっと新聞社おられるのですから。  これは四十九年度予算編成の過程で、中小企業省の設置か住宅省の設置かという問題は一面トップの記事になっています。これは閣議後の懇談会で、中小企業省及び住宅省は各国にも例がある、しかも西ドイツなどは、わずか二百人の定数で住宅省をつくって、その効果をあげておる。日本のようにピラミッド式であって、省になると何局あって、まず車からというようなピラミッド型のそういう官庁を必要としない。住宅問題がこれほど大きいならば、公害問題が大きいときに環境庁ができたように、経済問題が大きいときに経済企画庁ができたように、科学技術の問題が非常に大きいときに文部省と通産省から分離して科学技術庁の設立をやったように、中小企業省、住宅省というものの検討を命じたわけです。明確に命じてあります。  しかも、この問題に対しては、新聞にも書いてありますとおり、住宅省及び中小企業省については、ちゃんと省議で検討を命じてあります。予算編成のときの問題として、自民党との折衝事項にもなっておったわけでございます。中小企業省というのは、これは大企業、中小企業というような関係が非常に密接であって、このまま分離すると、対立を生んで支払い遅延防止法をつくったときの十数年前に逆戻りをするというようなこともありまして、だから、そういう意味で中小企業省というものに対しては十分な検討が必要である。だから、四十九年度に関しては、住宅庁として通産省の外局にする改正案で了とせられたいということで、政府及び党の了解を得ておるわけでございます。  それから、住宅省につきましては、建設省から住宅局を分離をするということになりますと、いま住宅で一番問題なのは大都市の住宅である。このときに住宅というものを、住宅局だけを移すということでは効果をあげることはできない。都市局及び計画局も同時に移す必要があるという議論が強いということで、五十年度予算編成までもっと勉強をさしてもらいたい、こういうことで四十九年度予算では本件に対しては終止符を打ったわけでございます。  これは、選挙前でございますから、何も選挙目当てでやったわけじゃございません。選挙目当てでやって来年にできなかったら、これは、ますますマイナスになるわけですから、そんなことを言ったんじゃないのです。そうじゃなく、国民の質問に対して、事情をすなおに述べた、こういうことでございまして、そこらはひとつ十分御理解いただきたい。
  191. 上原康助

    上原委員 もう時間が来ましたので……。総理の真意の点がある程度明らかになったと思うのですが、どうも新しい省庁を設置する場合には、それなりのルートを踏まなければいけないと思うのです。その点が欠けておることを強く指摘しておきたいと思うのです、これは国土総合開発庁設置法と重大な、密接な関係がありますので。私が聞かぬことまでおっしゃるから、よっぽど選挙目当てにおっしゃったかもしれません。そのことは別として、そういう方向であるということは問題があるということと、これは大臣インフレにもなりかねない、その点も、われわれとしては納得しかねるという点を申し添えておきたいと思います。これは御答弁ありましたら、後ほどまたお聞かせいただきたいと思います。  時間がありませんので最後に、沖繩問題は基地問題を抜きにしては考えられませんし、いま総合開発庁設置に伴って、海洋博との関連において乱開発がいろいろ出てきておるわけです。そのことを議論する時間はありませんが、総理は沖繩に行くということを、再三新聞などであげられてきているわけです。私は、きょうもいろいろ議論しましたが、戦後処理が全然未解決であるということ、復元補償の問題あるいは返還協定の取りきめの段階で、日米両政府の責任においてなさるべきであったVFWクラブの問題などが全然解決されていない、そういったことを根本的に政府の責任においてやる必要があると思います。それには相当の財政支出をしなければいけない。そういった面を含めて、もう沖繩問題終わったんだという感覚が総理御自身にもありはしないのかという気がしますが、こういう問題に対しては、どう対処していかれるのか、決意をお伺いしたいと思います。
  192. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 沖繩問題が終わったなどと考えておりません。これは戦後四半世紀余にわたって、異民族統治のもとに泣いておられたわけでありますから、沖繩九十余万、百万に近い県民がいかに苦痛を味わわれたかということは、国民すべて、みな理解をいたしております。政府は、もとより深刻にこれを理解しております。そういう意味で、沖繩が非常に苦労をされた過程において、本土はこのように経済復興がなし遂げられたわけでございますから、本土にも金がない、予算がないというようなときとは違ってまいったわけでございます。でございますので、沖繩県民の長い間の御苦労に対して、本土国民がこれにこたえなければならないという考え方が、これは、ほんとうに大前提になっておるわけでございます。  しかし、これは四半世紀という長い間でございますから、精神的な負担とかいろんなものがすべていやされるとは思いません。思いませんが、国民的課題として政府もその事態を訴えながら、沖繩県民が少なくとも本土以上になるように、政府は全力を傾くべきでございますし、国民の理解も支持も十分得られる、こういう考えでございます。
  193. 上原康助

    上原委員 終わります。
  194. 徳安實藏

  195. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初に、総理に国総法関係についてお伺いします。  田中総理は、四月十九日に舞鶴の演説会で、国土利用計画法に関連しまして、この法案は名を捨てて実をとったものであるといったような発言、それから、これはNHKの対談でありますが、今回成立の運びとなった国土利用計画法は、国総法の名称が変わっただけだというような発言をされておりますが、国土利用計画法についての評価、これは、いまでもそういうふうにお考えであるか。
  196. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 先ほどの御質問にもお答えを申し上げたとおり、国土総合開発法の目的とする相当部分が、国土利用計画法なるものに盛られておるということをもって、おおむね満足をしておるということでございます。  もう一つ、あなたがいま述べられた二つの表現は、自由民主党の所属議員で建設委員会に所属をしておられる諸君が私のところへ来て、あなたも人の子でございますから、いろいろな考え方や発言もあると思いますが、これは名を捨てて実をとったようなものでございますから、そういうことで御理解をいただきたい、こう言っているから、わが党の議員の言うことでございますから、それならよろしい、何も言わぬことにしよう、こう言っているわけです。それをオウム返しに述べておることでございまして、私の人間のすなおさが、そういうふうな表現をした、こう理解をしていただきたい。
  197. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、あなたのおっしゃるいわゆる日本列島改造あるいは政府の考えている国土の総合開発、これは現在通りました国土利用計画法で十分やっていけるというお考えですか。
  198. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 これは政府が、国会の意思が決定したら、その法律に基づいて最善の努力をする以外にはないわけでございます。また付加すべき条文が必要であるならば、その時点に国会の審議を仰ぐということでございまして、これは国会の決定を待つ、それで国会の決定が行なわれたら、現行法として残る国土総合開発法もあるわけでございますから、これらの問題、その他諸法規、諸法令とあわせて政府の責任を果たしてまいるということでございます。
  199. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 周辺整備法とも関連いたしますが、具体的に申し上げますと、沖繩県の北部に福地ダムほか三つ、いわゆる四つのダムを建設する、そのダムをアメリカに演習で使わせるというふうな合意事項ができております。これについても伺いたいのですが、その前に明らかにしておかなければならないのは、きのうでちょうど復帰二年になります。にもかかわらず、復帰してよかったというふうな県民の意思表示があまりに少ないという問題は幾つもあります。経済問題からいえば、本土資本が入り込んできて、いろいろ土地の買いあさりをやるとか、文化財、自然その他が破壊されるという問題、物価の問題もあります。さらにとりわけ基地の問題。この基地重圧は、ほとんど変わっておりません。返還されたといいながら、面積からいってもわずかである、むしろ強化されつつある。そのあらわれとして基地から生ずる被害、これはたいへんなことなんです。  今月の九日、十七歳の少女がおじさんと一緒に国道を歩いていた。おじさんは鈍器で頭をなぐられて意識不明になった。十七歳の少女は拉致され輪姦された。こういった問題が復帰後二年になる今日、実に日本国土の一部でアメリカの海兵隊、この海兵隊こそ北部のダムで演習をしようという部隊なんです。この海兵隊によって輪姦をされ、いまだに犯人全部が逮捕されたという報道もないわけでありますが、いずれにいたしましても、日本国民が堂々と国道あるいは県道を安全に歩けない状態が、現実に基地あるがゆえに沖繩にある。しかも輪姦されておる。これは裁判権の問題でありますが、この点が一つ。  もう一つは、まとめて申し上げますが、すでに総理御承知だと思うのですが、あの北部のダムというのは——沖繩は御承知のように水が非常にないのです、不足なんです。せっかくダムをつくって五十四万人くらいがたぶん飲めるだろうという計画のもとにダムをつくって、そしてアメリカに提供する、そのダムの上で演習をする。演習は七種類だといわれておる。浮き橋の建設利用、水質浄化訓練、応急渡河訓練、小舟、いわゆる小舟艇操作訓練、波乗り訓練あるいは水陸両用車の利用法に関する訓練、ヘリコプターによる空海救助訓練などというのが、せっかくつくられたダムの上でやられておる。これは飲む水であります。いま現地では新聞も、まるでわれわれに大衆ぶろの水を飲めというのとひとしいじゃないか。沖繩に住んでいる県民百万人は日本国民である。水道法、河川法その他からいいましても、森林法からいいましても、あくまでもやはり森林は大事にして、水源地を確保する、そこでは一切演習を、ダムの上でなくても、そこで演習してはいかぬというのが当然起こる問題なんです。  これは別に政党政派を抜きにして、県議会では一致してダムの上で演習をやめなさいという問題さらにあの演習場を返してほしい、全面返還という要求をしております。二者拓一ではありません。現在アメリカが演習しておる。ずっと演習を続けさせるのか、それともダムをつくって県民にダムを与えるのかという二者拓一ではなくて、むしろ県民の命の泉である水、これを清潔な水が飲めるようにという要求、この要求について、二月の日米合同委員会できめられた合意事項の中にあるということが明らかにされておるので、そういった演習はやめさせよといったような対米再折衝の問題、さらにダムの上だけではなしに、あの北部の訓練、あの演習をやめさせて、当然のことながら、あれは全面的に返還しろという要求があります。これについて総理のお考えを聞きたい。いまの少女の輪姦の問題、北部ダムの問題。以上です。
  200. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 第一は、沖繩返還の問題でございますが、返還は、沖繩県民の熾烈な希望であり、全国民の希望であったと思います。これが返還されたということは、非常に望ましいことでございまして、評価ができるわけでございます。しかし返還後、県民全体が要望しておられるようなことが一挙に解決できない、漸次改善を行ないつつあるという現状は、私もすなおに認めます。そういう意味で、沖繩県民がすべての問題に対して喜んでおるというような事態でないことも、承知できるわけでございますが、これは政府が県民の意をくみ取りながら、これからも日々改善を行ない、県民の福祉向上にこたえてまいるということで、解決をする以外にはないと考えます。  第二の問題、不幸な事件が起こったことは、はなはだ遺憾でございます。遺憾でございますが、いま加害者は逮捕せられないような御発言でございましたが、二人は直ちに逮捕され、あとの一人も基地内で逮捕されて、現に審理中であるということでございます。いずれにしましても、このような事件が起こるということに対しては、これは、もう非常に遺憾なことでございまして、これらの問題に対しては、日米間でも十分話し合って、こういうことを未然に防止するように全力を傾けてまいりたい、こう考えるわけでございます。  これら、日本がかつて、いろんなところに進駐をされた当時も、たいへんな問題として非難された問題でございますし、戦後、進駐してきた各国の兵隊等によって惹起された忌まわしい事件がたくさんあります。そういう問題、どんな場合でも起こしてはならない。起こさないために全力を傾けるということは、当然のことだと考えておるわけでございます。  北部ダムの問題は、私も承知をしておりますが、沖繩は御承知のとおり、水が非常に不足であるということでございます。ですから、水が不足であるから水をつくらなければならないということは、もう私も通産大臣当時から十分承知をしておるわけです。また沖繩の水をどうしてつくるのだという質問にもお答えをしたことがございます。基地内にダムをつくるということしかないと思います、そういう意味で、アメリカ側を説得して、何とかまず水をつくるということを実行したいと思いますと、こういう意見を述べておるわけでございます。  あなたがいま述べられたとおり、まず水をつくる前に基地を全面的に返還せよ、また演習場を全部返還しなさい、これも理論としては当然の御発言だと思いますが、現に演習用地として長いこと使われておるわけでございます。これにかわる演習地をすぐ提供できるという状態にもありません。そうすれば、まず具体的に現実的な問題の処理方法としては、沖繩が当面必要とする水をつくるということが最大の目標でなければなりません。そういう意味で、日米間でさんざん折衝した結果、四カ所のダムサイトにダムを建設する了解を得たわけでございます。ですから、まず水をつくるという大目的は達成されたわけでございますが、私もその後、ああよかったと思ったのです。よかったら、ボートを浮かべたりいろんなことをする、こういうことで、下のほうでもって水を飲むわけですから、なるべく飲料水の水源地はきれいにしておくことが望ましいなあ、こう思ってはみましたが、しかしこれ、すぐ演習場を返すということにもならないだろう、演習をやめるという、演習をしないということの理解が得られるかどうか。これは、いろんなことで、折衝をするにしても、なかなか簡単にはそうならぬだろう。  それは、もう日本本土にある湖沼、沼沢等においては、大部分同じようなことが行なわれておるわけであります。しかし、いろんな演習をしたあとの水ということになって、いろいろ調査もさしたのですが、これは一番いい例は琵琶湖がございます。琵琶湖だけではなく、大阪との間には京都がある。この水を取水しておるのが、大阪であり神戸である。理屈はそうだが、何とかうまくいかぬかなあと胸を痛めておることは、あなたと同じです。私も日本の政治の責任者としまして、ダムの四つもつくることを承諾してくれたら、せめてありがとうございましたと言えるような状態に何とかできないものかなあ、こういうことで、いろいろ調査もし、連絡もしておるわけでありますが、これだけ、四つのダムをつくることを承諾をした、まあその代償というわけではありませんが、とにかく水陸両用というようないろんなものもあるわけでありますし、演習をすることによって、水が汚染されることはないということで、これを了とせられたいというのが先方側の意見でございます。  これは、やはり基地提供をしなければならない義務があるということと、それから、いまの水をつくるという大目的を達成するという第一段階がまず達成された、あとは、とにかく浄化装置を、最大というよりも、最も効率的な浄化装置をやることにおいて、飲料水を送られる住民方々には、ここでひとつごしんぼうくださいということが、いまの段階における本問題に対する結論かなあ、しかし住民の声も十分聞き取りながら、あらゆる問題に対して、積極的な努力を続けておるという事実は御認識いただきたいと思います。
  201. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの水の問題ですが、この少女を輪姦したというのが、いま総理がおっしゃった湖上における演習をする海兵隊なんです。これと、国会図書館でいろいろ調べましたが、海兵隊の訓練基準というのがあり、いろいろ書かれております。その中で水陸両用車というのはどんなものであるか、それを入れて、そこからまたあがっていくという問題、さらに波乗り訓練とは一体どんなものかと聞いたら、波はもちろん湖水で、ない。これにどんな大きい板かわからぬが、板を持っていって波を立てて、それで乗り切る訓練をするとかいう問題、さらに橋をかけるわけなんですが、これはベトナムあたりでよう行なわれているゴムボートじゃだめだ。鉄舟、これをかけなければいかぬ、こういうことになりますと、これはたいへんに水をよごす。当然のことなんです。結局いまの湖上演習だけでもやめさせるための対米再折衝をやらないと——現実に多目的ダムとはいいながら、その八割は飲料水なんです。この飲料水を、こういった海兵隊の演習に使わせるということ自体が、一体政府はアメリカの演習を中心に置いているのか、あるいは沖繩に住む日本国民の命の問題を主に考えておるのか、非常に理解に苦しんでおる。だからきれいな水を返せ、さらに演習をやめよ、あの北部の訓練場を返せということが、党派を越えて県民の声になっているということは、問題は命の泉だからです。  この泉に対して、最高裁判決でも、からだには別に異常はないが、食紅、これを入れて赤く汚染したというだけでも、精神的な不安を感じたというので、有罪という判決が下っている状況なんです。このもとで、当然七つの種類の演習をさせるならば、どんなに浄化しようが、安心して飲めない状態になるということは、これは常識でわかります。こういう意味でも、この問題についての対米再交渉を始めてほしいというのが、偽らざる県民の世論であると考えます。これについて、もう一ぺん総理のお考えを聞きたいと思います。
  202. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 県民、地域住民がいろいろの要望を持っておるということは承知しておりますし、これらの問題は、政府が理解をしながら、あらゆる角度から合理的な解決のために努力をするということは申すまでもなく当然のことでございます。しかしこの問題は、まず水をつくるということが一番県民にとっては必要なことでございます。ダムサイトを適当に求めることができない。アメリカ軍にすでに提供しておる演習地内につくらなければならない。まずつくるということに対して、日米間の合意を必要とする。いろいろな問題がございましたが、合意に達して、ダムは四カ所つくるようになったということでございます。ですから、目的の相当部分は達成せられたということになる。  それを、あなたの言うように、それは福地山の中腹にダムがあって、その水を浄化しなくても飲めることが望ましい。望ましいけれども、これは先ほども一つの例として申しましたが、大阪の人に全然きれいな水を飲めと言ったってそれは無理です。大阪の代議士もおられるわけですが……。だから、とにかく少なくとも琵琶湖開発をして、水をつくることが先だ。それで水をつくれば、その水はずっと通って、大阪に来るわけです。二百万の京都の市街があるわけです。京都から伏見からずっとあるわけです。それはゴムボートで演習するがごときものではないわけですが、それは水が必要であるということで、ちゃんとそれは科学的に、技術的に万全の滅菌作用をやって、第二の大都会である大阪の大住民は、ちゃんとこれを飲用に供しているわけです。  ですから、それは気持ちはわかりますよ。それは色がついただけでも気持ちが悪い。私もそういうほうなんです。よくわかるのです。わかるのですが、それを一挙にその理想を実現しようとしても、無理な場合もあるわけです。今度の場合は、まさにそれなんです。ダムをつくって、水をつくるということで、まずやったわけですから、今度は、いまあなたが言われるように、それならそれに匹敵するような演習地を一体別に提供できるのかどうかという問題になれば、それは先ほど申し上げたように、あまり井戸がない。そうすれば、そんなに七つも八つも演習しなくていいじゃないですか、この中で特に人のいやがると思うようなものだけでも別にやれませんか、こういうところをお互いが現実問題として努力をしていこうということでありまして、私も、この経緯は全部知っておりますし、特に新聞は、この間出ましたときに、いろいろ世の中には問題があるな、こう思ったのです。実際に。政治というものはほんとうにたいへんなものだということをしみじみ思いましたがね。それは、あなたの気持ちと同じことなんです。  そういう意味で、政府沖繩県民の期待にこたえて、努力をしておるのだということで、ひとつ御理解をいただきたい。いまここで、どうしますと言って、解決できる問題じゃありませんし、国会でもってあなたに質問を受けて、私が誠意をもって答弁しておるということだって、ちゃんと現実の問題として相手方もわかるわけでありますし、まあそういう問題、お互いが最善の努力をしておるということで、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  203. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう時間ですので締めますが、総理は、まず水からだと言いましたが、よごれておるだろうという水を解決してもらっても、安心できないということなんですよ。しかも、この問題は秘密事項だったのです。これがたまたま参議院で暴露されて、初めて新聞に出る。総理は、知らなかったというお話ですが、そういった秘密事項を、総理が知らないということはないと思います。  いずれにしても、このダムの問題は、まだ解決されておりません。ほんとうに安心して飲める水、この問題ですから、これを要望して、質問を終わります。
  204. 徳安實藏

    徳安委員長 鈴切康雄君。
  205. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国防会議の議長である総理の考え方は、今後の大きな方向を示唆するものである、私は、そのように思うわけであります。  防衛庁は、御存じのように、昭和四十九年度予算の中で、目玉商品というものの自主削減をされたわけであります。しかし、今度防衛庁長官が五十年、五十一年を見通して、そして五十年度に二年間を見通した上においての、言うならば、防衛予算というもの、業務計画というものを組んでいきたい、このようなお考え方であったわけでありますが、御存じのように、四十九年度に積み残された目玉商品というものは、五十年度に組み入れられてくるわけであります。しかし、防衛予算というものも、おのずと限度があるわけでありまして、そういうことからいいますと、五十年度、五十一年度を見通しても、しょせんは、五十一年度の四次防が終わる時点においては、積み残されるものがかなりあるということは間違いないし、それも防衛庁長官は明らかにされておったわけであります。  そうなりますと、その積み残された問題について、いま総理は、五次防を私は考えておりません、こういうお話でありますが、五次防自体を、いわゆる五カ年計画でやるということをお考えになっていないのか、あるいは単年度にしたほうがよいというふうにお考えになっておるのか。その点のお考え方を聞かしていただきたいと同時に、四次防は、最終年度である五十一年度に積み残されるものがかなりあるということになれば、その積み残されるものについては、五十一年度であくまでもそれを打ち切ってしまうのであるか、あるいは五十一年度を四次防の終期としないで五十二年度まで延ばしていくのかという、そういう問題について、総理のお考え方をお聞きいたします。
  206. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 先ほど申し上げましたとおり、現在は、四十九年度予算、国会で決定をしたものを執行するわけでございます。その中でも、もうすでに今度人事院勧告もあると思いますので、相当装備に対しては窮屈になるということは事実でございます。事実でございますが、これは総需要抑制、国家財政の規模の問題の中で処理さるべき問題でありますから、真にやむを得ざる問題である、こう理解をしておるわけでございます。  いま四次防の中でもって、いろいろな計画が国会でも議論されたわけでございますし、政府計画をいたしておりますし、国会でも説明いたしました。いたしましたが、四次防期間中で、これが完結するかどうかという問題は、まだ二年残しておるわけでございますから、五十年、五十一年度の情勢を見なければ、さだかに申し上げられないという実態でございます。  先ほど五次防ということを当然考えているのじゃないかという質問がございましたから、四次防を実施中でございまして、五次防というような四次防終了後の予算の組み方、防衛庁予算の実体、そういうものを想定いたしておりません、勉強をしておりません、こう述べておるわけです。ですから、ことし発注するということになれば、五十年度、五十一年度でもってこれは完結するかどうか、その場合には他のものが一体どれだけ抑制ができるのかどうかという問題も起こってくると思います。そういう意味で慎重に、この五十一年度までの見通しというものは立てなければならぬわけです。四次防内のものは見通しを立てなければいかぬ、そういうものをいま勉強しております。おりますが、これはいつ発注いたします、これは来年度に発注いたします、五十一年度には完結しませんので五十二年度になります、幾ら残りますというようなことをさだかにまだ申し上げられるような段階にありません。これは事実でございます。事実を申し述べておるわけであります。  ですから、いま御発言ございましたように、実際、このままでいけば、防衛庁の予算が二五%も三〇%も伸びるということは考えられないから、五十二年に延びるのじゃないかというようなお気持ちで御質問、御発言になっておることも理解できます。そういう問題、まだ取捨選択もしなければなりませんし、それから実際まだ総需要抑制という状態でございまして、現実的に二年、三年後を予測して国会の席で申し上げられる段階にないということだけは御理解いただきたい。ですから、先ほど申し上げたように、五次防というようなものを考えておりません。また、策定作業も進めておりません。四次防の中で、これは一体五十一年までにできるのかできないのかというような問題を勉強しておるというのが実態でございますので、いずれ国会で成案を得れば、御説明申し上げ、御批判を得たい、こう思います。
  207. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総理大臣がいま御答弁された、確かに防衛予算については、二〇%というような大台を計画するということは、もう無理であるということはわかるわけであります。しかし、いままでのいわゆる伸び率を見てみた場合に、大体平均一六・何%か一七%ぐらいが防衛予算であります。そういう観点から考えますと、少なくとも完全に四次防を達成をするということになると、これは、もう六兆円台になんなんとする膨大な予算がかかるわけでありまして、そういうことが、現在のわが国の経済情勢下にあって適当であるかどうかということは、言うならば非常に疑義があるわけであります。  そういう意味からいうならば、当然積み残されてくるそういうものに対する処理、これが非常に問題になってくるわけでありまして、そういう意味において、その処理のしかたについて、総理としては当然、二年間を見通すというわけでありますから、こういう問題も含めて、少なくとも国会明けには、国防会議を招集されていろいろ御検討されるか、あるいは国際情勢等の分析等も含めて国防会議を開かれてやられるか、もしも国防会議でやられる場合においては、どういう問題を検討されるお考えでしょうか。
  208. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 四次防自体が、五十一年度までに完結できるかどうかという問題は、これは流動的な問題がございますので、現に検討を進めておるということでございます。勉強中であるということを御運解いただきたい。国防会議というのは、予算編成の過程等でも国防会議にかけますし、もちろん国防会議というものが、そういう決定をするというだけではなくて、国防問題というものに対して随時勉強するということでも意義があるが、またそういうことが形式的に流れない、シビリアンコントロールの実をあげることにもなるということを常に考えております。  そういう意味で、国際情勢の変化もございますから、あらゆる角度から可能な時期には国防会議でも、国防会議懇談会でも、これは随時開いて、国会の要請にもこたえたい、また国民の要望にもこたえなければならない、こう考えております。しかし、国会が終わっていつ開くのか、議題をどうするのかというようにまだ固まっておる段階ではないということだけ御承知願います。
  209. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総理は、今国会におきまして、核防条約の早期批准についてやっていきたいというような、言うならばお考えを明らかにしたわけでありますが、もう今国会もあと残すところ少ないわけであります。批准の承認を国会に提出されるというような、そういう気配も見えないわけでありますが、核防条約の早期批准についての見通しと、そして具体的にはどのようにお考えになっておられるか、その点についてお伺いします。
  210. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 核防条約に対しては、できるだけ早い機会に国会の批准を求めたいという基本的な姿勢は変わっておりません。おりませんが、これは、やはり相手のあることでもございますし、やはり唯一無二の被爆国であるという日本の特性、特に原子力を平和利用以外に使わないという大前提を持っておる日本としては、これで日本民族の利益をそこねるようなことでは困るのであります。ですから、要求すべきは要求しなければなりません。それで日本が少なくともばかを見ないように、日本人の権益が擁護されるということが大前提でなければならないということで、外務当局また専門家も通じまして、いろいろな機会にサウンドをし、また同調を求め、努力を続けておるわけであります。  しかし、ただ批准を早急にするということだけで千載に悔いを残してはならない、こういう重要な問題でありますので、これは国際的な問題としては、批准を早期に行なうという基本姿勢を明らかにする必要があることは申すまでもないことであります。しかし、させるには、相手の国も日本の要求に対して、提案に対して合意をするような前向きな姿勢、国際情勢がそう転化することが前提でないと、ただ単に観念的に批准を行なうということにはなりません。そこらが政府の苦慮しておるところでございまして、早期批准という基本的な姿勢は、国の内外に明らかにしたとおりでございますが、国益を守り、真にこの批准された案件が人類の平和に貢献できる、裨益できるということの確証を求めるために、全力投球を行なっておるわけでございます。
  211. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今度の生活環境整備等に関する法律、この法律の中に、やはり総理の権限に属する部分が第九条にあります。その九条について、特定防衛施設の関連市町村の指定といわゆる調整交付金の支給が、総理の権限によってなされるわけでありますが、この問題について、やはり公平を期するという意味が一番大切じゃないか。そういう意味において、総理は、政治的な配慮を排除して、関係公共団体の意見を十分に尊重すると同時に、明確な基準を定めて適正を期すべきではないか。このところが非常にあいまいであるところに、私は問題があると思うのでありますが、総理の御見解をお伺いします。
  212. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 これは、総理大臣というのは、先ほども述べましたとおり——総理府の所管の省庁の長というものは、法制上総理大臣というふうになっておることは、先ほど述べたとおりであります。これは経済企画庁でも、それから科学技術庁でも、私が原子力発電所に対して設置許可を与える、それは私が与えるわけはありません。私は判も押してはいません。これは、ただ法制上の問題であるということで御理解いただきたい。そういう意味防衛庁は防衛省、国防省にしたいということでいろんな議論もあったわけです。法律の提案をしたこともあったわけです。しかし、それは総理府に置くことが望ましいということで、国の最高責任者に全責任を負わしておくほうがより合理的だということで、防衛省とか国防省設置法というのは、ついに実現を見ずして、四半世紀近く来ているわけですから、そこらは御理解いただけると思います。  それで、これは私がえこひいきしたり、政治的な判断、そういうことはありません。政治的な判断をするとすれば、もう少し予算をふやして、予備費でも何でも出しても住民の要求にこたえろというぐらいなことはやりますが、こっちにやってこっちにやらない、そんな不公平なことを、いやしくも総理大臣の職にある私はやりません。これがきまるときには、各省の次官会議とかいろいろな折衝がありまして、そしてきまるわけですから、これは法律に明定がなくとも、基準らしきものは、当然に自治省とか大蔵省とか防衛庁も入りましてきめなければ、予算ではまかなえないということもあると思うのです。  ですから、そういう意味で、私が恣意によって、この条文にあるからといって、つかみ金をやるようなことはできない組織になっておりますし、断じていたしません。御懸念ないように明確にいたしておきます。
  213. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、総理がこちらのほうに予算をふやしたいからということで、そのほうに予算をふやすというものの考え方に不公平があってはならないということを、私は申し上げているのであって、結局そういうことでどんどんと、言うならばそういうところに予算をつけるということを前向きに考えるということは、これはいいことであるけれども、しかし不公平があってはならないということ、だから、基準については明確にしなくてはならない、そのように申し上げているわけであります。  国土利用計画法がこのたびできたわけでありますが、その国土利用計画法は、いわゆる土地対策に対しての国土の利用計画という観点から重要な法案であるわけでありますが、この制定に伴って国土総合開発庁の果たすべき役割りというものについては、どのようにお考えになっていましょうか。
  214. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 狭い国土の計画的利用ということが、真に必要な段階を迎えておるということは、もう私が申し上げるまでもないわけでございます。現在東京、大阪、名古屋、三地点、全国土の一%の地域に総人口の四四%が住んでおるわけでございます。これが六十年まで何らかのことをしないで、いまのままの数字をそのまま引き伸ばしてまいりますと、六十何%過度に集中する、その場合の災害の発生を考えると、まさに背筋にあわを生ずるがごとき状態でございます。そういう中で物価を下げ、コストを下げるために、交通を効率的に行なう、土地を与える、地価を抑制する、公害を抑制するということになれば、これは働いた以上の投資が必要だと思います。しかも、それは算術的計算でも不可能であるということにもなります。第一水がないという問題もございます。  そういうような意味で、国土というものを、三十七万平方キロという国土を、やはり鳥瞰的、俯瞰的に見ながら、水というものやいろいろなものを考えながら、また国民の所得の均衡という面も考えながら、国土の総合利用というものが必要である、計画が必要である。この計画は、ただ一方的にやむを得ずといって押しつけるのではなく、国民が国民の立場でこういう計画を立て、合意に達するということが望ましい、長い間の懸案でございましたが、いままでそうでなかったのです。道路を敷くから道路の敷地だけは法律によって収用します、こういうことだったのです。収用するに際しては、換地も与えないで適正な価格でもって金銭賠償で済む、これは非常に物価を引き上げ、それから地価をつり上げ、住民の不信を買ってきたわけです。そういう意味住民主体にする国土の総合利用計画が策定せられるということは、望ましいことであることは言うをまちません。その大きな仕事をここでやる、この省庁でやるということになりますから、これは相当効率的なものになるというふうに考えます。  もう一つは、土地問題が国会でもってあれだけ大きな声、大きな声というよりも、どなたからもみんなやられたのに、結局最後に建設省がまとめる。建設省は土地に対する主管官庁じゃありません。全くそうなんです。土地問題じゃない。今度初めて土地局というのができる。いままでなぜ土地問題というのに法制上の整備をしなかったか。これは実際において、責められてもやむを得ないと思います。経済企画庁でもよくわからぬ、それから建設省でもわからぬ、それから自治省に聞けば、自治省は地方税の基本的な数字はありますが、法務省に聞けば、それはとにかく全国の法務局から集めて、登記所から集めて、とてもそれは一カ月や二カ月じゃできません。大蔵省は税を取っているじゃないか、こう言ったって、とても一年くらいかからなければわかりません。これは、あれだけ土地問題が前国会から問題になっておるにもかかわらず、土地に対しては、私が答える以外にない、こういうことでございました。  そういう意味で、この国土開発庁もしくは国土庁というものが発足することによって、大きな国民的課題が一応組織の上、法令の上では整備されるということになるわけでございます。
  215. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後ですから。今後の国土利用行政を進めるにあたっての基本的な方針をお伺いしたいわけでありますが、総理が「日本列島改造論」という立場に立って国総法を推進されようとされたわけでありますが、やはり国民の多くの中に、国総法に対する問題についての異論もこれあり、国土利用計画という考え方になったわけでありますが、それは、どこまでも産業中心、工業中心という、そういう考え方ではなくして、言うならば地域の自主性あるいは人間尊重という立場に立って利用をするという問題のとらえ方に変わってきているのじゃないかという、いま総理は、実際に名を捨てて実をとったというふうにおっしゃるわけですが、そういう大きな変わり方をしているということを、私は、総理の御答弁の中から明確にしていただきたいと思うのです。
  216. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 私は「日本列島改造論」というのをものしまして、これだけ必要なものを、私が配慮を欠いたために、あのくらいいろいろの物議をかもしたということに対しては、やはり文章を公にするときには慎重でなければいかぬな、こういうことを感じましたよ。それは私の考え方は、人間尊重であり、生活尊重なんです。ちゃんとあの中に書いてございます。それが通産大臣であったころに書き出しをしたわけです。厚生大臣なら、もっと別な角度から書き出しをしておって、世に問うにふさわしき名著である、こういわれたと思う。ところが、私はそういう意味で、あれは総理大臣にならない前のものなんです。(鈴切委員「総理大臣としてはどうなんですか」と呼ぶ)だから、あの内容は必要である。これは必要でありますが、あれだけの議論を巻き起こしたことは、それなりに私は大きなメリットがあったと思いますよ。しかし、私個人から見ますと、同じ内容でも書き出し方によって、これだけ評価が違うかなと大きな示唆を受けたものと考えております。  これはいまから、先ほども申し上げましたように、ちょっとだけ申し上げますが、一億一千万人の国民が、いま百三十五万人ずつふえていきますと、黙っていて昭和六十年、十二年間で千五百万人ふえるのです。この人間がどこへ行くのかということが、何も論じられておらない。しかも、先ほどの三十七万平方キロといえば、カリフォルニア州よりもちょっと小さいわけです。その小さいところで総人口の四四%が住んでおる。しかも六十年には六一%から六十何%になる。その場合、幾ら押えても五七、八%にはなるという計算を経済企画庁はしているのですから、その五七、八%で押えたとしても、三地域において約二十億トンの水が足らないじゃありませんか。しかし日本には、その他の地域に百億トン以上の水が余っている。さっきの沖繩の問題と同じなんです。水がなくて生きられますか。  そういう状態から考えまして、これは、やはりいままでと違って高い成長の結果、国民所得はふえたわけでありますから、交通網の整備を行なう、しかも生活環境、生活の拠点、職場を提供することができれば、日本全国の国土が利用できる。しかも八五%山地だというけれども、山地農業というものに移れるわけです。二百万ヘクタール近い適地があるわけであります。優良農地というけれども、都市の周辺は、これは優良農地じゃないのです。米をつくるには優良農地でありますが、これを畑にしろといっても、水平畑は乾田化するためには、たいへんな費用がかかるわけです。  そういうような意味で、国土全体を考えなければ、真に生活環境整備され、この国に生まれたことを喜び合えるような日本はできない。そういうために国土、列島改造が必要である、こういうふうに、まあ同じことを述べておるのです。述べておるのですが、その中に工場とか、いろいろな指数を羅列したところに別な評価が生まれたということで、はなはだ惜しかったと、こう思っています。思っていますが、これは、ほんとうに必要なものである。しかも、あなたが述べた人間尊重と生活環境整備は、列島すべてを対象にする政策を進める以外に方途はない。そうでなければ海外に雄飛をする、狭い日本には住めないといった、かつての轍をもう一ぺん踏む以外には、ほんとうに理想を達成する道はない。これの信念に変わりありません。
  217. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 答弁にいささか不満のところがあるわけでありますが、時間がございませんので、これまでにします。
  218. 徳安實藏

    徳安委員長 受田新吉君。
  219. 受田新吉

    ○受田委員 国土総合開発庁設置の体制が固まってきたわけでございますが、この機会に私、総理に端的にお尋ねしたいことは、この国土利用におきまして、日本は地震国である。この間、南伊豆でもあれだけの大事件を起こしておる。これが大がかりな大地震となったならば、どのようなことになるかという不安があるわけですが、国土利用の前提として、全国的に地質の厳密な調査、地勢その他を明確にして、その上に国土利用を考えるべきではないか。そういう対策を私、提案しておきたいのですが、南伊豆の場合も、初め地盤が岩盤と思っておったら砂質土壌であったというので、見通しの誤りです。川崎の山くずれ実態調査の山くずれ事件の大失敗等にかんがみて、科学日本が国土利用の前提として、全国的、全面的に完全な地質調査、地震対策等を考慮した思い切った措置を、私、この国土利用の前提として総理みずからがかけ声をかけてやってもらいたい。
  220. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 まさにそのとおりであります。いままで国土地理院という小さなところでいわゆる地図をつくるということを、旧参謀本部でつくっておった地図の肩がわりをするということを目標にして、行政機構がこれまで来たったわけです。そういうところに問題があります。しかし、あなたがいま指摘されたような地殻の問題や地震の問題でも、飛行機からいろいろ科学的な手法によって、相当な部分まで調査ができるということになっております。ですから、水の問題、それから地形、地勢の問題、それから、いわゆる気候とか潮流による変化とか、そういう問題は十年、二十年前に比べますと、ちょっとした予算をつければ、百年分を一年間でできるような事態になっておるわけなんです。そういうところに目がなかったということは、ある意味行政のマイナス点であったとも自覚をいたしております。  幸いこういう省庁ができれば、来年度から国土の利用計画を地方でおつくりになるとしても、あなたのところはこういうふうな状態でございますよ、地質はこういうことでございますよ、地下水はこの程度でございますよということは、国が提供せざるを得ないということで、そういう立場からも予算的にも十分な配慮をしてまいりたい。国土利用の基礎的なデータは、政府が責任をもって提供する、こういう考えであります。
  221. 受田新吉

    ○受田委員 そこへ力点を置く役所の名前、役所の機構というものが十分私、拝見できないと思うわけです。機構的にも、そうした地質の実態調査等に思い切った大きな力を注ぐような機構を、まずつくっていかないと、いけない。いまのような国土地理院などをこちらへ移譲するというような程度でなくて、総合的な手を打たなければならぬ。  あなたに私、そこで御注文をしたいのですが、国土総合開発庁、名前が最終的にどうなるかわからないけれども、これだけ国土の改善、改良に熱意を入れられたあなたのようなタイプの総理が生まれたということに、国民は圧倒的な支持をしたおととしのことを私、思い起こして、人気が下落した現在においても、なおあなたが意気込みをもって、この列島改造を新鮮な国土利用という立場に立て直すならば、三木さんがみずから環境庁長官、副総理として買って出ておると同じように、あなたみずからが、国土開発庁の初代の長官として、意気込みをもって担当するという私は熱意を持っていただきたいのです。
  222. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 私は、私の人気に対して御発言がございましたが、たいへん友情を感謝いたします。しかし人気というものは、大体上がったり下がったりするものでございますから、そういうことを顧慮せず、不退転の決意をもって国民の福祉向上に全力投球する、これが政治家の真価でなければならぬ、こう思っております。それから毀誉褒貶にあまり目を奪われず、責任を果たすことに全力をあげます。  それから、国土の問題で、国土庁の中の機構というものでは、私にも多少のあれがあるのです。あるのですし、四十九年度の予算編成のときに、もう少し発言すればよかったなということも考えています。これは土地問題がこれだけになったときに、土地局というものと水と一緒にする、私は、どうもこういうところがよろしくないという感じなのです。土地も水も両方生命に関する問題なのです。ですから、普通なら土地省をつくれとさえもいわれた経緯があるだけに、土地と水は、これは食糧庁もそうですが、三つの大きな問題なのです、土地と食糧と水。私は、そういう意味で、これは国会の権限でございまして、国会がおきめになれば政府は異論は申し上げない、こういう考え方でございます。  それから、初代の国土庁の大臣を私が兼務をせよということでございます。これは貴重な御意見として拝聴いたしておきます。拝聴しておきますが、これは大臣をつくっていただかないと、私が兼務するわけにもまいりません。もうほんとうにこれだけの大問題、これは一省よりも大きな影響を持つものでございます。政治の基本は土地であります。これは、もういろいろな外交上の問題でも、政治の最も大きなものは土地である。土地問題で外国と争うときには戦争になったわけですから、そういう意味で、土地は専門的一分野のものであるというような考え方は誤りである、私は真にそう考えております。
  223. 受田新吉

    ○受田委員 みずから買って出ていただくべきであると私は思うのです。それで、国務大臣の兼務状況などを見ましても、ときどき変な結び合わせがある。たとえば建設大臣が国家公安委員長を兼ねられるとか、いろいろある。今回この閣僚の顔ぶれを見ましても、そこにおられる小坂さんが沖繩を兼ねておられる。当然国務大臣をもって充てる省庁である。それから、兼ねておられるお役職の中で、自治相がいま国家公安委員長を兼ねておる。こういう調子で、そのときどきによって国務大臣をもって充てるポストが、総理の心づかいで適当にかわっておるんだね。いまは二十人しかいない。今度二十一人になると、おれは、その二十一番目の大臣になりたいという大臣病患者が続出するというような状態ではまずい。したがって、総理みずからが、ここで一つポストができたら、それに対してはおれみずからが買ってやるのだ、総理みずからが兼務してもいいポストがあるのだ、こういう熱情をもって、あなたが国土総合開発庁初代長官として、七月の参議院選挙後に内閣改造をやられぬのかやるのか知らぬけれども——やりませんか。そういうことと兼ね合わせて、あなたがこの問題をどう扱われるか。選挙後に改造をするのかせぬのか、そのことを、いまちょっと縦に首を振られたから、やるのかどうかをも含めて御答弁を願います。
  224. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 いま、内閣の改造などは、全然考えておりません。  それからいま、あなたがいみじくも御指摘になられたように、北海道開発庁でも沖繩開発庁、特に沖繩などは、これは民族的な大事業であります。こういう沖繩開発庁をつくっていただくときには、内閣法の改正をやっていただいて、専任国務大臣を置くべきである、私はそう考えておるのです。  そうして、先ほども述べたように、省は全部ピラミッド型であるということが間違いなんです。私は、ある意味において百人の省があってもいい、庁があってもいいと思うのです。そして、その任務が終わったら廃止をすべきであります。そういうことによって、国会にも、国民にも、内閣として責任が果たせるわけでありますし、私は、いろいろなものを兼務をすること自体は望ましいことだと考えておりません。これは政治責任を明確にするためにも、一つの機関をつくるときには、国会に対して責任を負える、その責任を明確にするということでなければならぬし、国務大臣がえらいなどと考えておる人はないと思うのです。国会は国権の最高機関である。こういう意味で、国会議員が一番憲法でもってはっきりしてもらっておるわけです。私たちも国会議員が本務であって、議院内閣制のもとに内閣を組織しておるというから、こういうことを申し上げられるわけです。そういう意味で私は、あなたの御発言、非常に傾聴すべき御議論だと銘記しておきます。
  225. 受田新吉

    ○受田委員 私、いまあなたのお説で賛成することは、大臣病患者があなたのお説によったらなくなるのです。その信念でやっていただきたい。  もう一つ、総理、あなたのような風格の総理がおられることに、実は私、一つの妙味を感じておるものでございます。あなたによって国土を利用するにあたって、イタリアが海外に約五百五十万の移住者を持っている、それからイギリス、フランスにしても、彼らは領土的野心を持って植民地政策に乗り出したんだけれども、われわれとしては、そういう国々がいろいろな六大州に分散している——中南米等にあなたがおいでになるように、ちょうどいま日系人会から大量に日本を訪問しておる。母国からの名誉ある代表者として、ブラジルなどは国務大臣も国会議員も続出しておる。パラグアイなどに、日系大統領が生まれようかという意気込みを持っておる。  ついきょう、新聞報道によると、カワバタというアルゼンチンの二世大使が日本へ来て、百万人をアルゼンチンに引き受けると、こう言うておるのです。雄大な構想が海外から、来よ来よと日本人を招いておる。狭い国土よどこへ行くじゃなくして、世界じゅうにわれわれの天地が開けておるという意味から、海外移住政策に思い切って手を出す。あなたも中南米を訪問されるそうでございまするが、訪問計画があるのかないのか。その目的の中に、オーストラリアとか中南米へ行かれるときに、思い切って、この優秀なる日本民族を、世界の新しい天地に開拓地を求めて大いに進出させるという雄大な構想をやってこられるのかどうか。海外旅行の御計画とあわせて、その目的を果たすために御提案します。
  226. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 あなたがいま御発言になられたこと、非常に重要な問題なんです。先ほど私が述べましたとおり、いま百三十五万ずつ人間は一年間にふえているのです。そして六十年といえば、十二年間に千五百万人ふえるのです。いまでさえも住宅がない、何がない、公害でございますというのに、今度の法律を出していただければ、北海道をどうする、東北をどうするというふうに、人口やいろいろなものの再分布図をかきます。かきますが、まだまだ日本人が減るような状態じゃないのです。だからこれを、この狭い日本にこれから百年間でも全部とめ置かれるのかどうかという問題は、たいへんな問題だと思います。  私は、そういう意味で、深刻にそういう人口問題から来る、日本人が将来どうあるべきかということは、政治の最重要な課題として勉強すべきものだと考え、現に勉強しています。明治から百年の長きにわたって外国に定住しておる日本人は、百五十三万人であります。これが千五百万人ふえるものを、一体どうするのか。政治家というものは、人の馬のころんだような、慢然として看過できるものではありません。  ですから、これから十年計画でもって千万戸つくりますというときには、千五百万人人がふえるわけですから、そういう問題を真剣に考えなきゃいかぬ。その場合にどういう教育を必要とするかという、文部省にも私は、将来海外に出る場合でも、中級な技術屋としてどういう人が必要なのかということを検討してもらっております。そういう意味でこれらに対しては……(受田委員「移住政策を聞いておる」と呼ぶ)  移住政策というのは、これはかってに言うと、今度は相手方を刺激します。ですから、そういう意味で、国際的には今度の海外事業団、これは一つには、現地でお互いがジョイントベンチャーでもって仕事をするとか、民間だけにまかさないで、政府ベースにおける協定を前提としてやっていこう、こういうことでございます。  私が南米訪問という意図はあります。中南米からも数カ国から、訪問の要請を受けております。これは、いろいろな国内的な情勢もございますが、私は、可能な状態であれば、国会にもお許しを得まして、これらの国をかけ足でも回ってきたい。これは、ただ旅行したいというような気持ちじゃ全くないのです。私は、案外外国に出るのは体質的に性が合わないわけですが、国益のためには責任を果たさなきゃいかぬ、ほんとうにそう思っているんです。そういうまじめな考え方でございます。
  227. 受田新吉

    ○受田委員 時間があっという間に来たわけで、私、十五分しかないんです。非常にかけ足に質問したんですが、惜しいところです。総理、私は一分間だけで答えができるような答弁をお願いします。  今度、国土庁という新役所の発足と同時に、各省の人事でいろいろとごたごたが起こっている。大蔵省の次官候補者が、一人は国土開発庁の次官に行くというような説もあったり、いろいろの問題が出ておる。こういうところは、少し公正な人事をやって、適材適所でいくというところでびしゃっとやる。くだらぬうわさを立てられないようにすること。これと同時に、総理御自身で、国土の中に防衛施設庁の担当のもの、あるいは米軍基地というようなものが、少なくとも三百分の一以上の部位を占めておる、こういうところを考えて、国土利用計画の中にそうした基地を、できるだけ米軍基地は減らす、そうして防衛基地も適材を適所に、不要のところに、つまり人口稠密のところに防衛基地がある場合は、これを過疎地に持っていくとかいうような、そういう防衛構想も十分含めて、国土利用を総理としてやっていただきたい。総理でなければわからぬ問題なんです。  私、十五分しかないんです。そこで非常に惜しいんだが、国防会議についても、総理がひとつもっと高い立場で議員を握って、そうして国家安全保障会議のような雄大な構想の中には、武備を持つだけでなくして、外交努力によって戦争を防止するというような構想を持って、国防会議もインナーキャビネットという意味でなくして、民間人も入れたようなかっこうでいくならば、これは、ほんとうに筋が通るのです。かつて国防会議設置のときに、「国防会議は、国防に関する重要事項について、必要に応じ、内閣総理大臣に対し、意見を述べる」という規定があるんだが、インナーキャビネットで意見を述べる前に——同じ人間だから意味がない。民間人を予想してこういう規定がある。こういう意味からも、国防会議をしてシビリアンコントロールの根拠にする、いろいろな検討をして、すみやかに平和的な防衛に重点を置くような国防会議にひとつやる。こういう意味で、われわれは自衛隊を合憲と見ておるわけですから、そういう意味では、最小限に自衛力を食いとめていく努力を、十分総理として陣頭に立っていただきたい。これは、ほかの大臣にはなかなかいい答弁が出ぬのです。あなたによって、ひとつそういう答弁をしてもらいたい。
  228. 田中角榮

    ○田中内閣総理大臣 国土庁をはじめとする新設の役所の人事に対しては、公正な人事をいたします。少なくとも、批判を受けるような行動は戒め、最終的な判断においては、国会の意思に沿えるような人事を実行いたしたい、こう考えます。  それから、国防会議の問題については、間々御提言があるわけでございますが、重要な問題でございますので、この運営に対しても、慎重な配慮を続けてまいりたいと思います。  ただ、民間人を入れなさいという問題は、前からあるわけですが、ここらが問題のポイントでございまして、これは、いろいろな例に徴しましても、国防会議政府メンバーがよろしい。しかも、実質的には国防の大本を議論をしていただくのは国会である。だから、国会の意向というものを、国防会議にも反映せしめながら運営に全きを期すということでなければならない。しかし、せっかくの御発言でございますから、勉強はいたしてまいります。そういうことで、ひとつ御理解をいただきたいと考えるわけでございます。
  229. 受田新吉

    ○受田委員 御苦労でございました。  では、これで質問を終わります。
  230. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて田中内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  231. 徳安實藏

    徳安委員長 引き続き、防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田春夫君。   〔委員長退席、小宮山委員長代理着席
  232. 岡田春夫

    岡田(春)委員 割り当ての時間が三十分です。問題を二つに分けて質問をいたしてまいります。ここにある、あとで実物を見せますが、この問題はあとで質問いたします。  最初は、周辺整備法の関係でございますので、横須賀の基地に関連する問題を若干伺ってまいります。それは、アメリカの攻撃用航空母艦といわれているミッドウエーの問題、この問題を中心に質問いたします。  まず、ミッドウエーが日本海に二回にわたって入った……   〔発言する者あり〕
  233. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員長代理 静かにしてください。
  234. 岡田春夫

    岡田(春)委員 二回にわたって入ったということに関連をいたしまして、その前提として、ソ連の極東艦隊の動きの問題を、おそらく防衛庁では、こういう機会にいろいろ話したいんだろうと思いますが、ミッドウエーが入ったことに関連をいたしましても、防衛庁ではソ連の極東艦隊の動きについて、いろいろ調査をしているんだということを聞いておりますだけに、これは防衛局長久保さんも来ておられますから、防衛局長から御答弁いただきたいと思います。
  235. 久保卓也

    ○久保政府委員 私どもは、常日ごろから日本国周辺におきます外国の軍事能力というものは調査、検討いたしております。その一環として、現在のソ連の太平洋艦隊の動きについて御質問がありましたので、お答えいたしますが、艦艇の規模は約百万トンで、五百隻をこえておりますけれども、その中で巡洋艦が六隻、駆逐艦が六十数隻、潜水艦が約六隻、そういった陣容でありますが、これらの大部分、約六割から七割見当はウラジオにおります。それから、カムチャツカの東海岸のほうに、ペトロパブロフスクでありますが、残りが大部分そこにおります。  最近までの状況で申しますと、一番大規模に太平洋艦隊が太平洋に出ましたのは、七〇年でありまして、有名なオケアン演習というものであります。その後では七一年にミサイル巡洋艦をはじめとしまして、約四十隻ばかりが夏ごろにかけて、また七三年、昨年には、やはりミサイル駆逐艦十数隻をもちまして、これも夏ごろに太平洋で演習を行なっております。   〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕 そして対馬、宗谷、津軽といったような地域には、往々にしてソ連の艦艇が遊よくいたしております。特に対馬海峡のほうは、年間で申せば大体三分の二から四分の三程度、つまり年間のその程度の日数は、大体二隻程度の艦艇がおります。現在は、五月の初めまでおりましたが帰っておりまして、今日ただいまは対馬にはおりません。そしてグアムの周辺に泊地を設けまして、演習あるいは哨戒等のときには、そこに投錨をするといったような事例もございます。それから、それらのほかに、いわゆる情報船と私ども申しておりますけれども、小型艦艇で日本の周辺によく出てまいりまして、これはソ連でありますか北鮮でありますか、よくわかりませんが、そういった船が出てまいるというような状況もございます。そういったようなものが艦艇の動きでありまして、航空機等にもやはり日本周辺に、年間二百ないし三百回程度いろいろな航跡がありますけれども、そういう動きを示しておるというようなのが現状でございます。
  236. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あとでミッドウエーの問題は、詳しく聞いてまいりますけれども、ミッドウエーが日本海に二回にわたって行動したというのは、三月の末から今月の初めまで、こういう状態を見ると、その期間の間に何かソ連の艦隊に特殊な動きがあった、こういうことでも考えられておったために、日本海にミッドウエーが入ったということになるのであろうかというようなことも考えられるわけだが、こういう点は、いまの御答弁の中では、最近の情勢についての御答弁もございませんが、そういう点も伺っておきたいと思います。
  237. 久保卓也

    ○久保政府委員 三月の末から四月の初めまでと四月の下旬から五月の初めと、ほぼ二回ミッドウエーが対馬から日本海方面に入っているように思われますが、これはソ連、その他の国を対象にしたものではございません。少なくともソ連艦艇の動向が、何らか出たので動いたということではございません。通常の演習に出たものであろうと思います。これに関連して、ソ連の艦艇あるいは航空機が動いたということは若干ございますけれども、むしろミッドウェーの動静を、おそらく探ろうとしたのであろうというふうに私どもは見ております。
  238. 岡田春夫

    岡田(春)委員 ミッドウエーが日本海に入ったのは、三月二十五日に横須賀を出港して釜山にまず寄港いたしまして、それから日本海に約十日間行動いたしましてから、帰りにもう一度釜山に寄って四月十三日に横須賀に帰っております。それから第二回目は、いまのは西回りでございましたけれども、今度は東回りで、ミッドウエーは東を回って津軽海峡を通って、そして出発は二回目は四月二十二日に出港いたしまして、戻ってまいりましたのは五月の六日であります。こういう点を見ますと、東回り、西回りというようなことで何か特別の事情があるように考えられるのです。  まず、そこで伺っておきたいのは、防衛局長でなくとも、アメリカ局長が見えておられますから伺ってけっこうですが、私のただいま申し上げた日にち、あるいはそういう行動については、間違いないと思いますし、それから出港いたしまして、二回にわたって日本海を行動したその目的は何であったのか、こういう点をひとつ伺っておきたいと思います。
  239. 久保卓也

    ○久保政府委員 私どものほうの記録によりますと、三月二十五日、おっしゃるとおりであります。そして、それから対馬を経て日本海、朝鮮半島の東のほうに出て、それから四月五日に釜山に入っておることになっております。したがいまして、行きのときに釜山に入ったということを、私ども知っておりません。それから帰港が十二日になっております。それで、第二回目のほうの日にちは、おっしゃるとおりでありますが、あるいは津軽を経ているのかもしれませんが、ちょっとそこのところは、私、承知いたしておりません。
  240. 岡田春夫

    岡田(春)委員 大体、私の言ったとおりなんだが、この次も私の言うとおりだと思うのだが、第一日目には、日本の海上自衛隊の護衛艦一隻それから潜水艦一隻、これが初めから終わりまで行動をともにいたしております。それから二回目は、東回りのときには、護衛艦二隻が函館からこれに対して随行をいたしております。こういう事実はおわかりだろうと思うが、その点から伺ってまいりたいと思います。
  241. 久保卓也

    ○久保政府委員 自衛隊の海上艦艇の行動も調べさせてみましたけれども、これはミッドウェーとは明らかに違っております。ミッドウェーに随伴はいたしておりません。ミッドウェーともし合同演習をやるようであれば、当然長官の承認を得なければなりませんので、そういうことはありません。当時の艦艇の行動記録が私の手元にありますけれども、そういったものは出ておりません。
  242. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私のほうで調べたのは、いま申し上げたとおりなんですが、それじゃ、航空自衛隊は出動したことは事実でございますね。
  243. 久保卓也

    ○久保政府委員 これは三月の末から四月にかけてのミッドウェーの行動に関連をいたしまして、ソ連機と思われる航跡が相当出ております。これに対しまして、領空侵犯措置ということで、自衛隊機は相当スクランブルをあげております。
  244. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そういう点では、ミッドウェーと航空自衛隊は共同作戦をやった、こういうことですが、私の見ている限りでは、護衛艦も一緒に行動しているから、日本の自衛隊の場合には、海と空がミッドウェーと共同作戦をやっている。これは、あなたのほうは御存じないというお話でございますが、私は間違いないと考えております。  もう一点、それじゃ伺っておきますが、ミッドウェーは、あなたの御答弁では四月の五日に釜山に寄った、帰りに、こういうお話ですね。そうですね。そのときに朴正煕大統領がミッドウェーに乗艦いたしておりますが、これは御存じですか。
  245. 久保卓也

    ○久保政府委員 私も実は、日本海から帰った後に、ミッドウェーに見学に行きまして艦長から聞いたのでは、たしか釜山の市長が来て、釜山の市長が剣であったか何であったかおみやげをもらったという話も聞いておりましたが、そのとき大統領の話は全然出ておりませんし、防衛庁の内部で調べたところでは、少なくとも防衛庁内部では承知いたしておらないということであります。
  246. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これは外務省、御存じじゃないかと思うのですが、どうですか。
  247. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 私どもも、ミッドウェーが四月の初めに釜山に入港したということは、承知しておりますけれども、朴大統領がそれに乗船したかどうかについては、承知いたしておりません。
  248. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これは両役所とも、もう一度お調べを願いたい。私は確証があって言っているのです。  そこで、先ほどの御答弁では非常にはっきりしない点なんですが、ミッドウェーが二回にわたって日本海に入ったという目的は、一体何なんですか。
  249. 久保卓也

    ○久保政府委員 最初のときには、朝鮮半島の東、つまり日本海西部におきます訓練であったでありましょうし、二度目の場合には、この行動の目的は知っておりません。
  250. 岡田春夫

    岡田(春)委員 西部の訓練とおっしゃるのは、それは西から入ったのだから西部の訓練に間違いない。それから東のほうの津軽を回って入ったのなら、東部の訓練でございましょう、こうお話なんだろうが、具体的に何が目的であったのですかと伺っているのです。
  251. 久保卓也

    ○久保政府委員 米側の艦艇の行動については、実はそのつど私ども知る立場にはございませんので、よく承知いたしておりませんけれども、艦艇に対するソ連と思われる航空機の哨戒といいますか、米艦艇に近寄った航跡から申しますれば、日本海西岸においてしばらくの間、ミッドウェーを中心にして訓練が行なわれたであろうというふうに推測をいたしております。
  252. 岡田春夫

    岡田(春)委員 外務省筋の見解、これは公式見解であるかどうかは、私はわかりませんが、第一回目のときは、むしろ南朝鮮の群山それから鳥山、ここの米軍の軍事力強化、この点を中心にするために、ミッドウェーが日本海に入って、それによって補強体制をつくる、一言で言うならば、北朝鮮との関係を一つの目的として行動しているということを、外務省の非公式な見解として私は聞いておりますが、これについてはどうですか。
  253. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 私どもも、米軍の艦艇の一々の行動につきまして、必ずしも知る立場にないわけでございますが、ミッドウェーが日本海に行動したということが、どういう目的を持っているのかということについては、全く推測の域を出ませんし、ここで御答弁申し上げるのは、控えさせていただきたいと思います。
  254. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私は、きのう質問の内容を通告してあるのだが、お調べになったのですか、アメリカに対して。
  255. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 米側は、艦艇の一々の行動につきまして、日本側が問い合わせましても、必ずしもそれに対して答えをいたさないことが間々ございます。
  256. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それは、あなたはいままで答えなかったから調べなかったという意味ですね。
  257. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 ミッドウェーの四月初めの日本海における行動につきまして、具体的なその行動目的ということにつきましては調べておりません。と申しますのは、先ほど御答弁申し上げましたように、米側は艦艇の行動につきまして、日本側の問い合わせに対しまして、それに対する回答をしてこないという場合がきわめて多いという状況があるわけでございます。
  258. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃ、もう外務省には事前に知らせません。私は、知らせないことにします。先に言っても調べないことにしている、こういうお話ですから、私は、もうこれからは知らせません。これは、はっきり申し上げておきますよ。いろいろな予算委員会その他でも、外務省にだけは事前にお知らせいたしませんから、そのおつもりでどうぞ今後対処なさっていただきたいと思います。  しかし、この問題については、ミッドウェーの問題、まだ私いろいろ問題を持っておりますが、防衛庁も外務省もお調べになっておらないようですから、今後お調べになるのならば、ここで御答弁いただくし、もしこのままだったら、私は質問を留保しておきます。
  259. 久保卓也

    ○久保政府委員 もう一度可能な限り調べてみます。
  260. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 私どもといたしましても、ただいまの御発言にも関連いたしまして調べてみたいと思います。
  261. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃ、お調べになって、それまで私は、そのあと残余は留保しておきます。  三十分ですから、あまり長くありませんので、次の問題に入るのですが、これは、ここにある問題に入ります。  四月の十日、北海道の日高の静内というところに私は参りました。そうしましたところが、その町の有勢内というところから約二キロ離れたところに、その有勢内というところは漁村ですが、そこから二キロ離れたところに陸上自衛隊の第七特科隊があります。ここは、ちょうど私の入りましたときには、高射砲の実弾演習の最中でありました。もちろん、この実弾演習の場合には、海に向けて実弾を演習して撃っているわけですが、立ち入りの禁止区域になっている射場の水域外のところに有勢内の漁場があるわけですが、その漁場で有勢内の漁民は、非常にたくさんの砲弾の破片が海底から漁網にひっかかってくる。そのために漁網が実は切れてしまって困っている。こういうことで、海産物に非常に被害が出ているわけです。そういう訴えがありましたので、私はその現場を見てみました。  現場を見ましたところが、大体漁民のうちのほとんどの家で、大臣、ビニールの肥料袋があるでしょう、あれの大体三分の一ないし半分くらいが砲弾の破片で、一週間でこれくらいになるのだ、こう言う。これくらいの破片があるし、その辺の地域は御存じかどうか知らないが、襟裳魚田といって世界的に豊富な漁場なんです。それの隣接の地域なんです。しかも、この地域は、北海道の特産であるホッキガイという貝、それの養殖地帯だ。この養殖地帯で爆弾の破片が落ちたために、ホッキガイが直接爆弾の破片によって、ずいぶんこわされて、養殖が非常にたいへんなことになっているということであったものだから、私は、その翌日の四月の十一日に、礼幌の北部総監部に行きまして、総監に会おうと思ったら、ちょうど旭川出張でおりませんでした。大西という幕僚長に会いまして、こういうたいへん危険なことはやめてもらいたい。まず私の申し入れたのは、演習はすぐやめてくれ。実態調査をやりなさい。そして被害があったら補償しなければだめですよ。この三つの点をとりあえず実は申し入れたわけです。ところが幕僚長は、事実をあまり知らないと、こう言うわけだ。それで被害はないと思う、こういう話です。それで、被害はないと思うから演習はまだやります。四月の十五日ころまで演習をやります。そのあと被害調査をやりましょう。こういう話であったわけです。  そこで、こういう点についても、事前に、私、昨日防衛庁の関係にそういうことをお話ししておきましたので、おそらく防衛庁では、いま調べておられましょうが、あとで見せますけれども、落ちた爆弾、これですよ、砲弾の破片、こればかりじゃありません。こういうのです。こういう大きいものが落ちてくるんですよ。しかもこれは、はっきりしておきますが、禁止区域に落ちたんじゃありませんよ。禁止区域以外のところにこれが落ちている。これは、こんなに重いんですよ。ちょっとお持ちくださいよ。これ防衛庁の人、どなたか、ちょっと長官に見せてあげてもらいたい。こういう重いものですね。私は、これは百五ミリだと思うのだが、実弾です。もちろん、こういう小さいのもありますよ。高射砲の実弾演習の被片です。  そこで、私はちょっと経過をお答えいただきますが、申し上げておきますが、これは、その漁民のところで預かってきたものです。別に私はほかから持ってきたものじゃないことは、長官だってひとつ御信用いただけると思いますが、その漁民の名前は言わないでくれと言われていますから、私は申し上げません。しかも、これは禁止区域以外のところで網をあれしていたら、これだけ出たのです。しかも、そこの家で聞いて、これをもらってきたところでは、ビニールの肥料袋の半分ありました、一週間で。こういう状態なんですが、これについて、どういう調査をされておられるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  262. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 御指摘のような問題が、北部方面総監部のほうから、礼幌防衛施設局のほうへは連絡がございました。礼幌防衛施設局におきましては、実は本年四月、そういう連絡がある前、昨年からそういう問題が地元漁民の間から指摘されているということを踏まえまして、さっそくその海域の調査計画を立てまして、外部団体であります北海道庁の水産試験場、これは函館にございますが、これに調査を委嘱いたしまして、ただいまも実は調査は継続中でございますが、静内から東静内を経て春立に至るまでの海岸一帯、全部で幅五百メートル、長さ千メートルの一区画の水域を、全部で九十三区画のかなり広大な範囲にわたりまして、調査計画を立てておるわけでございます。  そのうち現在までに調査を完了しましたところでは、御指摘のホッキガイの操業区域にあたります海岸から水深約二十メートルないし二十五メートルに至る海域に関しまして、先ほど申しました区画で申しますと四十八区画、全体の半分ぐらいでございますが、その区画につきまして、函館の水産試験場の調査を終えました。その調査範囲と申しますのは、演習場のたまが落ちます制限水域の、御指摘の有勢内前面水域からさらに西のほう、静内に至るまでの水域の全部を含めての調査を行なったわけでございますが、その結果出てまいりましたのは、十三区画から四十六個、小さいの大きいの合わせて四十六個でございます。重量にしまして四キロ余りの程度のものが出てきたわけでありまして、いまそこに御披露いただいたようなものは、今回の調査では出てまいらなかったわけでございますが、なおさらにホッキガイ水域だけではなくて、その沖にあります水域につきましても、調査を進めまして、すべての調査が完了しました時点で実態を検討してみたい、そういうふうに考えております。
  263. 岡田春夫

    岡田(春)委員 こういうものは出なかったとおっしゃるが、あなた、そこの有勢内の住民のところに行ってごらんなさい。みんなこういうのをたくさん持っていますから……。  これについては、ちょっと伺っておきますが、昭和三十五年に東静内の自衛隊の演習場ができたんですね、そのときに、三十四年にこういうことをあなた方は言って、静内の町民なり漁業協同組合を納得させた。この高射砲の演習は、一万メートル上に打ち上げますから、砲弾の炸裂した破片は、空中を降下するときに、全部灰になってしまいますから被害はありません、こういうことを言って、それならば心配がない、こういうことで基地を設けることになったのではありませんか。どうですか。
  264. 長坂強

    ○長坂政府委員 設置当時の事情については、ちょっと私、把握いたしておりませんので、またあらためて現地にも照会したいと思います。
  265. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そんなことじゃ困るんだな。それは基地を貸与するときの条件ですよ。  しかも、そのあとで、こういうことを言っているでしょう。あなたのほうで、これは去年ですわ。これは昭和四十六年までの米軍用の不良弾が炸裂をしないで途中で割れるものだから、こういうかっこうで落ちるのです、不良弾ですから心配ありません、こういうことをあなた方言っているのです。そういうことも御存じございませんか。それは北部総監に聞いたらすぐわかりますよ、私が行ったときも、そう答弁しているんだから。もしあってもそういうものでしょう、こういう答弁を、大西幕僚長についてきた幕僚の人がはっきり言っているんだから。それはどうなんです。
  266. 長坂強

    ○長坂政府委員 現在そういうことを言ったかどうか確認をいたしておりませんので、さっそく現地に照会したいと思います。
  267. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私にそう言ったのだから間違いない。  ところが、それがうそである証拠、見てごらんなさいよ。海の中に落ちているのに、こんな青いですよ。ほんとうは、四十六年なら、いま四十九年だから、三年ですな。三年もたっているなら、こんなに青くなっているわけないですよ。皆さんごらんなさい。これは最近のものですよ。これを見たって、そういういいかげんなことを言ってはいけないですよ。  それから、先ほどの答弁では、海中だけをあなたはお調べになっているそうですが、有勢内の陸にずいぶん落ちているでしょう。ある一軒の漁民のところに私は行ってみましたが、ノリの小屋に三回も落ちたと言っていますよ。それから、それ以外の漁民のところの漁具の小屋にも落ちたと言っていますよ。そういう補償をした事実は、あなたのほうでお調べになった事実ございますか。
  268. 長坂強

    ○長坂政府委員 たいへん不勉強で申しわけございませんが、把握いたしておりません。
  269. 岡田春夫

    岡田(春)委員 困るな。それじゃ今度は、防衛庁にも事前に私は言わないことにしましょうね、結局言ってみたって同じだもの。きのう、このものは見せなかったけれども、実情を調べなさいということをあなたのほうに言ってあるんですよ。  それからホッキガイの漁場について、非常に被害のあったことは御存じでしょう。ホッキガイに対する被害のあったのは事実でしょう。これは、どうです。答弁願います。わからなければしようがないが……。
  270. 長坂強

    ○長坂政府委員 この静内前面の水域に関しましては、演習期間中、水域に立ち入って漁業の操業をされるのを制限しておりますことに伴う漁業補償は行なっておりますが、それ以外にホッキガイの被害に関して、特にその補償ないしは損害賠償を行なった例はございません。
  271. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それだから困るんですよ。補償をしてないんでしょう。ところが被害を与えているのです。これはホッキガイですよ。これを長官見てごらんなさい、ホッキガイに突き刺さっている。これをちょっと見せてあげてください。ホッキガイに突き刺さっている証拠に、貝が残っているじゃないですか。これほどの状態になっているんですよ。
  272. 山中貞則

    山中国務大臣 私からまとめをしておきたいと思います。  これは、いま第三者の、しかも専門家をお願いして調べておりますから、事実関係は調査の結果が出ると思います。その結果、漁網の断片による切損あるいはホッキガイ等の養殖漁場に影響を与え、それによって繁殖、収獲等に影響があるというような事実が明らかになりました場合は、補償法に基づいてその措置を、当然漁民に対して行なうべきものと考えております。目下調査中でありますから、一応私のほうで取りまとめて姿勢を申し上げたいと思います。
  273. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これは、漁業補償をやっているんですよ。禁止区域内の漁業補償はやっているのです。ところが禁止区域外の補償も、先ほどの小屋をつぶしたという補償も、ほんとうはやっているのです。これは最近の問題じゃないんですよ。それを、いまになって調査しているのはおかしいのです。昭和三十五年から始まっているのです。その証拠に禁止区域の漁業補償は、もう十四年間補償しているのです。その際ごとに補償をやっているんですよ。ところが、こういういま言ったような問題については、見ても見ない顔をして、ほってあるのです。隠すことのできない小屋をつぶしたとかそういうものだけは補償しているのです。  ですから、長官に伺っておきたいのですが、こういう補償の問題は、やはり前にさかのぼって徹底的にやってもらわないと困ります。その点が第一点。  第二点は、こういう問題については、あなたも鹿児島の御出身で、よく実情はおわかりの方ですが、漁業協同組合といっても、組合によってはなかなか独裁的な幹部がおって、漁民なんか、言いたくても言えないという人がずいぶんいるのです。だから私は、ここで名前は言わないでくれと言われているのです。そんなこと言ったら、あとで村八分になっちゃう、こう言うのです。ですから、やはり調査をする場合には、漁協だけにまかせないで、現実にその辺の漁民が実際被害を受けているのですから、関係住民にも直接当たって調査することが、私は必要だと思う。  そういう点を含めて、徹底的な調査をおやりになるというお考えがあるのかどうか。この点は、まず調査を徹底的にやる、そして、いま言ったようにこういう状態になっているのですから、これは被害があることは間違いないのですから、これに対して、漁民の実情を聞いて、そういうものに対しては補償すべきものは当然補償する、こういう点は、ここではっきりと明言をしていただくことが、関係漁民を安心させることになるわけですから、この点は、あなたはいつも歯切れのいい方でございますので、はっきり御答弁をいただきたいと思います。
  274. 山中貞則

    山中国務大臣 私も漁連の会長でございます。決して漁民が私をおそれてものを言わないということはありませんが、その話は別にして、私は、全漁連の理事でもあります。漁業者の方々の、ただでさえ客観情勢、水質汚濁その他の中で、沿岸漁業の停滞の一途に置かれておる状態の中で、このような国の自衛隊のおかした行為というものは、漁網切損も含め、あるいはまたホッキガイの収獲減等も含めて、実情が把握できましたならば、これは当然、国の責務として補償すべきことである、このように考えておりますので、諸調査も徹底的に調査いたします。
  275. 岡田春夫

    岡田(春)委員 漁民に対して直接調べてくれますか。
  276. 山中貞則

    山中国務大臣 漁業者の方にも、もちろんそのような証拠もお持ちでしょうし、また漁獲がどのように減ったか等については、当然漁業者の方でなければわからないわけですから……。実情は専門家の御調査、そして、それぞれの被害の実情等については漁業者、あるいは場合によっては組合も、これは協同組合法の組合ですから、そういう方々にも御相談をすることになると思います。
  277. 岡田春夫

    岡田(春)委員 もう十分ばかりこえておりますので、私はやめますけれども、いままで私、多少調べてみると、実際に漁業協同組合には補償したと言っているが、被害者にはお金が渡ってないことがある。漁業協同組合で積み立ての金か何かにしちゃっているのじゃないかと思う。そういうことなどもありますので、そういう点は、ひとつこの機会ですから、過去十四年間にわたる被害について、徹底的にお調べをいただきたいと思います。  それから、そうなると、やはりこの被害調査が済むまでは、演習をやるべきじゃありませんよ。空の上からこれが降ってくるんですからね。こういうものが降ってくるのにそれでも演習はやる、被害は補償しますよなんて言っていたら——こんなのがいつ落ちてくるかわからないんですよ。だから私は、この機会に演習はやめてもらいたいと思う。  それからもう一つ、もう時間がありませんからあれしますが、さっきもお見せしましたが、これは銅だから硫黄がどんどん出ているでしょう。当然その付近の海域は、これによって相当よごれていますよ。よごれているということも、あなた方ひとつ知っておいていただいて、そういう点の被害調査もやられないと、最近の公害問題のときですから。この付近、背骨の曲がった魚なんかずいぶんとれるところなんです。背骨が曲がった魚なんというのは、これに関係があるのじゃないかと思う。こういう点も含めて、御調査をいただくこと、過去十四年間にわたっての実態調査を、この際徹底的に御調査いただく、これが第一点ですね。それから第二点、これは、その調査被害がはっきりするまでは、演習は中止すべきだと思うがこの点はどうか。この二点、これだけを伺って、私は質問を終わりたいと思います。
  278. 山中貞則

    山中国務大臣 調査及び調査結果に基づく補償等はきちんといたします。  それから、演習をやめるということについては、御同意できませんが、その演習を行なうことによって、補償されている水域外というものが、被害対象区域に入っておることが判明すれば、地元の御了解を得て、その水域も補償を、禁止水域にしたことに伴って補償する対象の水域に加えることにするか、あるいはそこは射角その他方向等を考えながら、風なり何なりによって、あるいは落下したあとの海流等によって、そちらのほうに流れていかないようなくふうをこらすか、いずれにしても、禁止区域外であるために、何の措置も受けておらないということのないようにいたしたいと考えます。(「もっと精度のいい高射砲を使えばいいんだ」と呼ぶ者あり)
  279. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これは、いま言われたように、ほんとうのことを言ったら、方角が違って落ちているんだ。これはどうですか。私も質問やめようと思ったのだけれども、これは九十ミリじゃないんですよ。おそらく百五ミリですよ。こういう大きいもの、あなた手に持ったが、相当重いものでしょう。これはあなたの頭でなくても、胸に当たってもあなた死にますよ。だいじょうぶですか。いや防衛庁長官だから死なないなんということはないですよ、こういうものが落ちるんですから。  しかも、私、いま答弁を聞いていて、ちょっとわからない節があるんだが、これは私、何度も言いますが、禁止区域外からとったものですよ。さっきの調査しましたというのは、禁止区域だけではなくて、禁止区域外のことも調べたと言っているのです。しかも禁止区域外から事実上——禁止区域外ではないんですか。何か変なあれしているから、やめようと思ったけれども、答弁してください。
  280. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 私の先ほどの答弁が不十分であったかもしれませんが、制限水域内も外も含めてでございますが、四十八カ所を調べまして、その中で十三区画から全部で目方四キロほどの断片が検出されましたが、その十三カ所の部分は、全部制限水域内であったわけです。
  281. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これは水域外からです。あなた方、水域内は調べたかもしれないが、水域外のときは、あまり本気で調べなかったのじゃないかな。これは水域外のところばかりですよ。いまも発言があったように、高射砲の方向が正確でない。しかも正確でないというのは、自衛隊の訓練がとんでもないところに撃たしているのかもしれないのだ。だから、こういう点はきょうは質問やめますけれども、区域外のところでこれはとったものだ。もし必要があれば、防衛庁長官一緒に行きましょうよ。私は、見せてあげてもいい。防衛庁長官にひまがないというなら、次官かだれか出してください。私一緒に連れていって見せてあげますよ。  そういう点はともあれ、徹底的に調査してください。漁民の諸君は、自分の名前さえ言うのを、いまいやがっているのですから、やはり区域外にこういうものがあるということを認識の上で、ひとつ具体的な調査を願っておきます。  ちょっと時間が超過しましたが、これで終わります。
  282. 徳安實藏

    徳安委員長 木原実君。
  283. 木原実

    ○木原委員 もう同僚がだいぶお疲れのようでございますので、二つばかり伺っておきたいと思います。  一つは、先ほどの総理の御発言に触れてですが、多少どうでもとれるようなところがありましたけれども、いまは四次防の四十九年度の予算を執行中である、五次防等については考えていないということと同時に、どうも単年度方式みたいな形でやるべきではないかと受け取られるような御発言があったわけです。従来とも、これは問題のあったことなんですけれども、やはり防衛力整備計画を、長期にわたって計画的にやっていかれるという方式がずっととられてきたわけなんですが、ただ長官の御経験で、これからやはりやっていくにあたって、このように改善をしていったらいいのではないのか、あるいはまたこの辺で相当思い切って改めなければならぬのじゃないのか、こういうようなお考えがあれば、総理の御発言に触れて御見解を承っておきたいと思います。
  284. 山中貞則

    山中国務大臣 総理の御見解、私がここで述べておりますこととそう違っておりません。総理は、明敏なと言われましたが、そこだけはカットしまして、山中長官もとおっしゃいましたので……。それは三次防の次は四次防、四次防の次は五次防と自動的にいく行き方については考えてみたい、また、いままでのことも、やや考え直しているところだとおっしゃいました。そこで私は、かねがね申し上げておりますとおり、単年度予算で処理して御相談申し上げても、シビリアンコントロール等でさしておしかりを受けない性格の範囲のもの、人件費あるいは食糧費その他付随する被服費その他、こういうものは、それでもよろしいのではないか、しかし、あくまでも最終的なシビリアンコントロールの場は国会でありますから、その国会の御審議で、単年度限りの予算では、とてもわからぬという、先ほど総理の言われましたことを繰り返しませんが、長期にわたって多額の経費を要して取得に至るもの、こういうものは、やはり年次計画そのものを国会にお示しするということが必要であろう、そういうことで考えまして、研究をしておるということであります。昨年来しておりますが、まだ結論は得ておる段階ではありませんし、まだ五次防そのものをどうするかについて、いま結論を出す時期でもないということであります。
  285. 木原実

    ○木原委員 これは、問題のあるところだと私は思います。やはり長期計画そのものはお持ちなんですから、単年度だけではわからないという要素もあります。ただ、はっきりしておることは、いずれにいたしましても、五カ年計画でやりますと、これは予算の先取りとまでは断言できないまでも、ワクをはめてしまうわけですね。そうしますと、これは、また言いにくいことなんだけれども、やはりよりいいものを、あるいはより強力なものを求めていく。少なくともいままでは、そうであったわけですね。それと相からみまして、特に二次防、三次防あたりを一つの山にしまして、四次防、五次防、どこまでいってしまうのだという気持ちが、国民の中に当然出てくるわけです。  ですから、いま長官の御答弁を、あれいたしますと、一つは単年度で区切っていくということと、それからある意味では、長期計画に必要なものは国会で示す。いままでは四次防だ何だと言いましたけれども、国会の審議事項でなかったわけですね。ただ、行政上のことでやってこられたわけです。ですから私は、ここまでくれば、これは一つの手続論として見ても、いままでのやり方を相当やはり変えていかないと、国会の審議の問題にしましても、それからまた、国民の理解を求めるという面からいたしましても、あるいはまた防衛庁が、自衛隊が欲しておるものを端的に示してもらう意味からいきましても、どうもいままでのやり方では限度がきた、こういう考え方を持つのです。これが一つ。  それから、もう一つの問題は、時間がなかったので、総理には中途はんぱな申し上げ方しかできなかったのですが、私は、やはり基地の態様、それから装備の充実増強、こういうような問題につきまして、一度思い切って停止をさせてみて、そして一ぺんそのもので何か国民の合意を得られるような場を持つ、そういう時期が来ているような感じがするのです。何といいましても、防衛力が必要か必要ないかということに総理はずいぶんこだわって、そういう議論をしておりましたけれども、そういうレベル議論じゃないと思うんですね。  そうではなくて、一方があまりに突っ走っているものですから——ある意味では、われわれから見れば問答無用のような形で走っている。石油危機に直面したり、総需要抑制で防衛庁も協力せざるを得ないような状況も出てくる。いろいろな体験があったわけですが、幸いにして、どこかに火種があって、大急ぎで防衛力を増強しなければならぬという問題があるわけでもない。そんなようなことを考えますと、いまは一つの節目に来ているんじゃないか。ですから、長年の間懸案でかみ合わないまま走っている問題について、国民の合意を求める場、その条件を政府の側でつくる御意思はないか、こういうことを総理に尋ねたのです。  私のほうは、かなり建設的な提案をしていると思うのですが、そういうことについても、ピンチヒッターで出てこられまして一年目を迎えられました長官ですけれども、われわれの防衛力のあり方という問題について、考えられるところがありましたら御見解を聞かせていただきたい。こういうことです。
  286. 山中貞則

    山中国務大臣 日本の防衛は戦後ゼロから、日本人の体格、寸法、規格等に合わない貸与兵器で何とか足並みをそろえて出発したのがその成り立ちでございました。したがって、その間において、日本自体から考えても、日本人のからだに合う、まず小銃その他から始めて、確かにおっしゃるとおり新しきものを求めてきたと思うのです。しかし、普遍的にいいますならば、防衛力というものは、世界各国の軍事上の科学、その進歩というものに日本だけが取り残されておって、役に立たないようなものを持っておるというわけにもまいらない半面がございます。しかし、かといって硬直しておるかといえば、皆さんは当然のことと受け取られるかどうか知りませんが、今国会には防衛二法というものを出しておりません。それも私としては私なりの非常な決断を持ってやったことであります。また十八万名というようなものも、陸上においてはこれ以上予算要求もいたしておりませんし、今後も要求するつもりはない。むしろ十八万名の中身について、どのようにすべきかという、自分の脚下照覧という立場でいま検討を加えているところである。  したがって、今後のあり方についても、日本の防衛の最低必要不可欠のものについて、また日本を取り巻く国際情勢の中における兵器の進歩等に、日本が分相応な範囲の中において対応できるもの、こういうものの範囲は、私どもの立場では目をつぶるわけにはまいりませんが、しかし少なくとも硬直した考えでもって、私どもが次の防衛力の整備のあり方について臨もうとしているわけではないということだけは、現時点でも申し上げられるかと思います。
  287. 木原実

    ○木原委員 少なくとも来年度あたりから、また五次防だ何だという話が出て来る可能性がないわけではありません。だから、繰り返すようですけれども、いまは大事な節目に来ていると思うのです。防衛論争なるものが必要か必要でないかというレベル議論に、一度われわれも終止符を打ちたいと思うのです。そういう時期に来ておると思うんですね。ですから、そのことはいろいろな情勢とも関連してくるわけですが、やはり政府の側でも、それを受けとめて、どこまでも合意を求める努力をやるべきだ、その条件を政府側で整える努力をしてもらいたい、こういうことなんです。長官のお気持ちはよくわかりました。  そこで、それに関連をいたしまして、もう一つの問題なんですが、基地の問題ですね。私が聞いた限りでは、基地問題についてどうも総理とわれわれと考え方がかみ合いません。基地の問題についても、基地被害というのはまた性格が違うわけなんです。必要だからということは、どこまでも政府側の立場でありまして、たとえ必要であっても、おれのところは基地は来てもらいたくないという国民だって一ぱいいるわけです。そういう性格がある。もう一つの問題は、いわゆる戦略上の配置、それこそ何といいますか必要ということなんですが、新しく基地設置を求める、ましてや広大な敷地を要する、そういう性格のものは、なかなかむずかしい状況に来ているわけですね。  それの裏返しとして、従来からあった問題なんですけれども、過密な都市の中、都市の周辺、こういうところの基地のあり方という問題についても、うらはらな関係であると思うんですね。だから、それらのことを含めて、この際、米軍基地の問題は、ここでははずしますけれども、必要とする基地、それからまた、そういう状況を踏まえて、これからの基地の態様はどうあるべきなのか、あるいは部内で整理統合努力を、さらに強めるなら強めるというような幾つかの新しい努力が求められているんじゃないかと思うのです。ただ、あまり使わなくなっても、放してしまいますと、再びそれだけのものが求められないからなかなか放さないんだ。不要不急になったような基地もないわけではありません。そのようないろいろな問題があろうかと思うのです。ですから、これだけの周辺整備法を出されるんなら、もう一歩踏み込んで、基地の態様についても新しく検討をする、整備統合するその分を強化する、こういう考え方で臨んでもらいたいと思うのです。  そういう努力と合わされませんと、さっきの話じゃありませんが、これだけのものを出しましても、あめとむちじゃないかという批判だって起こりかねない。基地だけの問題ではありませんけれども、この種の問題について、それほど国民の不信というものがあるわけです。だから、その辺を考えられて、基地の態様、あるべき姿、こういう問題についてのこれからの努力、そういう方向についてひとつ見解を示してください。
  288. 山中貞則

    山中国務大臣 部内事務当局で、そのような検討もいたしておりますし、現実に他の官庁でも、かつては相当郊外にありました刑務所等が、宅地化等で等価交換その他の手段をとっておるようでありますが、移ったりしておりますので、私どもも、普通の部隊ならばさして問題もありませんが、市街地になったところ、住宅地になったところで部隊としていろいろ問題があると思われる点は、やはり地元と御相談しながら、縮小なり移転なり、そういうことも考えて弾力をもっていかなければならぬと思います。  また他面、地元の御意向には沿うのですが、現象としては、新しい敷地を取得するというのは——たとえば千歳にファントムを移します。そうすると、滑走路を南に延ばしてくれ、南のほうの、千歳の市街地から遠いところに滑走路をつくれという御要望がございまして、それに沿うために、いま努力をしております。これは地元の御要請に沿う努力でありますが、施設としては、実は長く延びていくということもありますけれども、それ以外には、地元と御意見がなかなか合いにくいものは、ナイキの配備計画に伴う展開、こういうもの等があり得ると思います。本来、固定式のナイキのようなものが日本の地形になじむのか、あるいは中東戦争で威力を発揮したソ連のSAM6みたいな移動原則のものであれば、日本の場合にはより合っているのではないか、これらのところは、防衛庁の研究開発分野として、日本に合った兵器、国民大衆になるべく迷惑をかけない、そして要求性能を果たし得る日本独自の兵器の開発をすべきであるというようなことも私、命じておりまして、いろいろなことをくふういたしながら、相なるべくんば国民の皆さま方の御理解を得たい。自衛隊存在は認めるといっても、自分のところに基地があることはごめんであるという方が多いことも知っておりますし、そこらのところについての十分な配慮を、私どもは謙虚に考えていかなければならない、そう思っております。
  289. 木原実

    ○木原委員 これは、私も幾つか具体的な問題を持っておりますけれども、きょうは申し上げません。いずれにいたしましても、訓練をされる側だって困っているところはたくさんあるわけですよ。習志野の空挺団なんかそうなんです。以前は確かに原っぱであったわけですが、周辺にたいへん住宅が押し寄せましてどうにもならない。そこでもやらなくてはならぬわけですね。やれば必ず、いまの話じゃないですが、異物が降ってくるというようなことがしょっちゅうあるわけです。だから、団の司令に聞いてみますと、われわれも困っているんですと言う。空挺隊というのは、エリートの訓練をやらなくてはならないのだが、まるでお嬢さんが二階から飛びおりるような程度のことしかやれない、演習にならぬというんですね。これでは、しようがない、こういうことなんです。ある意味では双方にとって不幸なこと、ただ、それでもしがみついているというわけなんです。  ですから、近隣の市議会や市長連中は、あの訓練場はどうせあぶなくて、あまり使いものにならないのだから、それなら何とかしてもらえないだろうかという要望が実はあるわけです。しかも悪いことには、そこにはナイキが配備されているんですね。これは、われわれのところですから、県民性がたいへんおだやかですから、あまり大きな騒ぎになっておりませんけれども、考えようによっては、非常に不合理になっているのです。  そういうところもあるわけですから、やはりおっしゃいましたように思い切った、何といいますか装備を変えていくこと、あるいはまた、基地のあり方を検討するというように、幾つかそういうことができていると思うので、鋭意ひとつ、国民の意思に沿って努力をしてもらいたいと思います。  それから、時間を節約する意味で重ねてもう一つだけ。ほかのことなんですが、この委員会は靖国問題をやって、まだそれが議長の手元にあがっているのですが、例の隊友会の人たちがいろいろやられまして、自衛隊の事故でなくなった人たち、こういう方たちの、幾つか問題が起こっているのですが、護国神社に合祀をされる、こいう動きがあるわけです。  そこで、伺いたいのですが、これは隊友会なるものがいろいろ世話をしておるようなんですが、自衛隊はこの隊友会に対して、どういう関係を持っておるのか、まずそのことをひとつ聞かしてください。
  290. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 隊友会は、自衛隊を退職しました者が会員でございまして、現在十万三千名ばかりの会員がございますが、これは国民と自衛隊とのかけ橋として、相互の理解を深めるというようなことが趣旨でございます。  具体的な内容につきましては、防衛知識の普及高揚とか、あるいは自衛隊の諸業務に対する各種の協力、機関紙の発行、あるいは会員の親睦、それから会員の遺家族に対する援護、それから会員の就職、そういうようなこともやっております。  それで、防衛庁との関係でございますが、先ほど申しましたように、隊友会の目的定款からいたしましても、自衛隊員との相互の理解、協力を深めるということでございます。  そういうことで、具体的にはどんなことをやっているかということでございますが、防衛庁といたしましては、隊友会が発行しております「隊友」という新聞がございますが、それを買い上げております。それから、自衛隊の募集のポスターを町に張ってもらうというような仕事を引き受けてもらったり、それから、これは去年から始めたのでございますが、予備自衛官が実際に自衛隊に勤務する意欲があるかどうかということで、予備自衛官の一人一人に当たって、その意欲を確かめるというようなことで、それも隊友会に委託しております。というのは、隊友会の会員の三分の一が予備自衛官なものですから、隊友会に頼むのが非常に都合がいいというようなことで、そういったことで仕事を頼んでおりますが、そういった仕事の大部分を地方連絡部を通じてやる。地方の支部やなんかがございますので、本部はもちろん接触いたしますが、地方では地方連絡部が窓口ということで、隊友会と地連というものが接触して、いまのような仕事をしておるわけでございます。現在のところ、隊友会と自衛隊というものの関係は、大要こういうところでございます。
  291. 木原実

    ○木原委員 簡潔にひとつお願いをしたいのですが、そうしますと、隊友会と自衛隊の関係というのは、機関紙を買い上げたり、ポスターを張るときに手間賃を出すというような、多少そういう意味でのつながりがあることと、予備自衛官の人たちが三分の一入っているということは、予備自衛官というのは多少予算上の措置がありますね、ですから、その辺のつながりということですか。そして、隊友会というのは、財団法人か何かになっているのですか。
  292. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 社団法人になっております。
  293. 木原実

    ○木原委員 そこで、それはいいのですが、隊友会の人たちが、隊員の人で事故等でなくなられた方たちを、護国神社に合祀をされるということなんですね。隊友会の人たち、これは民間の団体ですから、それが遺族の意思を体して、そういうことをおやりになるということの範囲だと、問題は、厳密にいってないと思うのです。しかしながら、自衛隊としてあるいは防衛庁として事故等でなくなられた隊員の慰霊のこと、それで護国神社に合祀されるということについて意思表示をなさったことがございますか。
  294. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 自衛隊の隊員が殉職をしまして、その殉職をした隊員に対しまして、これは宗教とかかわりなしに、私どもは、敬意を表するという気持ちは十分持っておりますし、それから、隊友会自身もそういった気持ちは持っておると思います。  それで、いまの護国神社の合祀の問題でございますが、これは府県によって違いますけれども、隊友会が音頭をとりまして、そして殉職隊員の霊を護国神社に配祀といいますか、併祀と申しますか、そういった事業をしておるようでありますが、この問題は御承知のように、自衛隊地連といたしましては、宗教的な活動に関知をすることはできませんから、そういうことは——隊員の殉職者に対しまして、宗教とは別に敬意を表するということはいたしますけれども、われわれのほうで、特に護国神社に祭ってほしいとか何とかいうことはできません。これは隊友会または隊友会と父兄が奉斎会みたいなものをつくりまして、そして殉職者の霊を配祀するというようなことを、若干の県でやっておりますけれども、これは自衛隊の指導、地連の指導というようなものではございません。
  295. 木原実

    ○木原委員 幾つかのところで、たとえば山口県でいま裁判が進行したりなんかしておりまして、これは、あらためてここで申し上げるまでもないことなんですが、なかなか微妙なところでして、もし防衛庁の意思というようなものが、隊友会に反映をしていて、そして殉職者の人たちを護国神社に合祀することを、たとえばすすめる、望ましい、やりなさいというようなことになれば、これは、たいへんな憲法上の問題が出るのは、よく御認識だと思うんですね。そういう指示を出したことはございませんね。
  296. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 いまの指示というのは、自衛隊のほうから配祀をするようにというような指示でございますか。——そういう指示は、出したことはございません。
  297. 山中貞則

    山中国務大臣 自衛隊といたしましては、毎年殉職隊員の出ないことを祈りますが、やはり出ますので、市ケ谷において慰霊祭を陸海空合同で執行いたします。そして、いかなる宗教の方式にもとらわれない、新しいみたまをお祭りする儀式をやりまして、そして同駐とん地内にございます慰霊碑に自衛隊としてきちんとお祭りをして、そのとうとい犠牲に対して報いておるという措置をとっておるわけであります。
  298. 木原実

    ○木原委員 その点は、私も了承いたしました。ただ、私がここで念を押すようですけれども自衛隊の意思として、防衛庁の意思として、たとえば護国神社に合祀されることが望ましい、あるいは合祀をしなさいというようなことがあれば、これはたいへんはっきりした別個の問題が出てくると思うのです。それについてきょう、私は、ここでこれ以上のことは申し上げません。少しデリケートな問題があります。しかし、どうもやはり自衛隊から一つの指示もしくは解釈あるいはまた考え方が出ているようなんです。これは、はっきりした段階で、いずれ見解を承る機会があろうかと思います。私は、非常に遺憾なことだと思う。なくなった方の慰霊をすること、そのことは、たいへんりっぱなことですからいいのですが、しかし明らかに憲法上の、しかも民主主義の根幹にかかわるような問題が明記をされていて、かりそめにもそれに触れるような行為があっては、やはり別個の問題が出てくる、私はこう考えておるわけです。  これは、おそらく他のところで、裁判等が進行しておる過程の中で、またいろいろな問題が出てこようかと思います。ですから、ここで申し上げることは、かりそめにも殉職をなさった方々に対して、防衛庁もしくは自衛隊そのものが敬弔の誠を尽くす、慰霊のことを行なう、宗教にかかわらないで行なうということは、当然のことであり、りっぱなことだと思うのです。しかし、そのワクを踏みはずさないようにしてもらいたい、こういう要望にとどめておきます。それ以上のことにつきましては、ひとつ厳に自戒を求めておきたいと思います。  終わります。
  299. 徳安實藏

    徳安委員長 関連質問がありますから許します。受田新吉君。
  300. 受田新吉

    ○受田委員 この法案審議が終わるにあたりまして、関連した質問をさせていただきたいのです。  かつて、占領軍が日本に占領政策を行なった時代の、占領軍の行為によって死亡し、あるいは負傷した人々に対する補償の特別措置法が生まれ、途中で一度これが改正されたのでありますが、その後、沖繩の本土復帰が行なわれまして、結果的に見ると、沖繩における同様の事件による補償と、本土における補償と同じ形になっていない。本土において有利な点もあるが、同時に沖繩において有利な点も拝見できる。最高補償額で二百万をこえる金額が支払いされたという事例もあるわけで、本土に復帰した機会に、もう一度、占領車の行為によって死亡し、あるいは負傷した皆さん、特に今日、生活苦にあえいでいる、実情を見るにたえ得ない者もあるわけでございますので——この問題の処理について閣議で、昨年の暮れやらに一度処理済みのような結論を出したようであります。しかし現に、苦労されている遺族や負傷者、傷病者の実情を見ると、本土と沖繩との公平を期して、それぞれ有利な立場で公平な処理をされる必要があると思うのです。これは、うやむやに葬るべき問題ではなかった。あらためてこの問題の処理を、本法案の審査に関連して提案をし、当局の対策を要望いたしまして質問を終わります。  答弁を要求して、終わります。
  301. 安斉正邦

    ○安斉政府委員 お答えいたします。  いま先生おっしゃいましたとおり、沖繩の復帰の前には布令六十号というのがございました。これによって当時の人身の被害の方に、それなりの補償がなされたわけでございます。ところが、復帰になりました時点で、まだやり残したというか、いわゆる補償漏れがあったということで、沖繩復帰に伴いまして法律をつくりまして、それに対する補てんをしたというのがございました。これは四十八年度をもって完了をいたしました。これは沖繩の復帰に伴って、沖繩における人身被害のバランスを、きちっととったということが、その法律の目的だったわけでございます。  一方、本土のほうを見ますと、本土はずっと前に講和になったわけでございますが、当時の占領軍のいろいろな不法行為につきましては、閣議決定あるいは閣議了解によりまして、数度にわたる見舞い金の支給が行なわれました。また三十六年に立法がありまして、補償をいたしました。また四十二年には、これの改正がございまして、いわゆるかさ上げと申しますか、増額をしたわけでございまして、この分は四十五年度をもって一応全部の支払いを完了したわけでございます。  両方の制度を比較いたしますと、沖繩の場合には駐留軍の従業員あるいは民間のおつとめ人の方、大学生、幼児というように、職種なり年齢なりその社会における環境によりまして、それぞれ賃金の較差がございます。それをとって、それぞれに計算してございます。一方、本土の場合は一律に計算してございます。たとえば死亡ならば三十六万円というふうになっております。したがいまして、これを一律にしておりますので、沖繩と同じように並べますことは、いまから考えますと、三十年前のことでございますので、非常に技術的に困難でございます。  それからもう一点は、もしこれをいま是正するということになりますと——昭和二十七年に、いわゆる占領が終わって講和が発効したわけでございます。発効直後に、地位協定十八条に基づいて補償を受けた方がございます。この方は二十七年の賃金で補償されておりますが、もし、これをいまの時点まで持ってくるということになりますと、正規に十八条で補償された方との比較においても、アンバランスが生じないか、本土内でもアンバランスが生じないかという技術的に非常に困難な問題がございます。  そこで、先生おっしゃいましたように、昨年の暮れ、十二月の二十七日でございますが、閣議によりまして、この問題は一応全部済んだ、一応のけりがついたという決定があったわけでございまして、ただいまのところは、そういう形で考えておる次第でございます。
  302. 受田新吉

    ○受田委員 閣議で処理済みだという問題でなくして、現実にこの問題に関与する被害者の側から見たときに、できるだけ公平を期する上に、さらに一そうの検討を加えるべきであった。それをあっさり閣議で処理したということでございますが、すでに半年を経過しようとする現時点であるけれども、閣議決定というものを取り消して、もう一度この問題の処理に当たるという熱情を、これらの被害者のためには持つべきであると思うのです。われわれ国会で、ちょうど昨年の暮れに、この問題も残っているということで、理事会の懇談の席上で議題にもなったような問題が、われわれの知らぬ間に閣議で処理されておるというような状態については、われわれとしては非常に残念に思っているわけですが、この祖国復帰の機会に、沖繩と本土との公平を期するという意味で、もう一度検討する性格のものであると思うのです。その点、被害を受けた人に、できるだけ有利な条件で、しかも本土と沖繩の双方のバランスの上で公平を期するという意味で、この問題をもう一度検討してもらうべき性質のものであるということを長官に要望しておきます。
  303. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  304. 徳安實藏

    徳安委員長 ただいま委員長の手元に、野呂恭一君より本案に対する修正案が提出されております。
  305. 徳安實藏

    徳安委員長 提出者より趣旨説明を求めます。野呂恭一君。
  306. 野呂恭一

    ○野呂委員 ただいま議題となりました防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げますと、原案では、その施行期日を昭和四十九年四月一日としているのでありますが、すでにその日が経過しておりますので、これを公布の日に改めようとするものであります。よろしく御賛成をお願い申し上げます。
  307. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて修正案についての趣旨説明は終わりました。     —————————————
  308. 徳安實藏

    徳安委員長 これより討論に入ります。  原案及び修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  309. 上原康助

    上原委員 防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案に対して、反対の討論を行ないます。  本案について、わが党はこれまで次の三点について特に指摘をして反対をしてまいりました。  それはまず第一に、新法案がその第一条によって基地の新設、拡張あるいは固定化に通ずるものであるということであります。  第二に、日米安保体制にとって基幹基地である横田あるいは嘉手納基地などを、本法案の第九条により首相権限で特定防衛施設に指定し、これらの基地周辺の市町村に特定防衛施設周辺整備調整交付金を支出することによって、基地周辺住民の本来の強い要求である基地撤去の要求をそらそうとする危険性が十分に考えられるということであります。  第三に、現行の基地周辺整備法と比較して、新しい法案では、第二章で対象事業の範囲が民生全般の事業に拡大をしているという点であります。  法案全体を通じてきわ立っているのは、基地周辺の自治体に基地被害を名目として、基地とは直接関係のない民生安定施設にまで交付金を出すことにより、住民基地存在に対しての反対意識という、被害の発生源をなくしていこうという要求に対して、財政支出でそれを回避しようという露骨なあらわれではないかと思われます。  たとえば、現行法による財政支出では、一、障害防止、二、周辺整備、三、道路改修、四、騒音防止対策、五、防音に対する助成となっておるのでありますが、このうち四の騒音防止対策事業が、予算規模から見ても最もこれまでは大きかった。ところが新法案では、この部分についての対象範囲を、著しく拡大することによって、地方自治体の苦しい財政状況にうまくつけ込んでいこうとする点が見られるということ、基地反対を要求している住民に対して、財政支出という名目で生活環境等整備をやろうということは、本末転倒であるといわざるを得ません。  現行法で対象施設となっている学校病院、保育所あるいは精神薄弱児施設などのほかに、新法案では保健所や健康福祉施設どもつけ加えているということ。  さらに五の周辺整備事業では、基地被害とは全く関係のない水道、ごみ、屎尿処理施設、消防施設、体育館、プールなどのスポーツ関係施設までも対象としていることなど、きわめて矛盾する点があります。  基地周辺の自治体に補助金を出して、これら施設をつくったところで、基地存在することによって生ずる騒音などの基地被害をなくすことはできないということが、より明確になってきております。したがって、基地被害がなくなることこそ住民は求めているのであって、住民はスポーツ施設などいろんな環境整備は、望んではいるにしても、その財政支出については、防衛施設庁が主管になってやるということではなくして、たとえば学校とかについては文部省、あるいは病院その他の面については当然、厚生省の予算でまかなうべきものだと私たちは判断をいたします。  これらの諸点について、本委員会における法案審査を通して、私たちが主張してきたことが、より明確にされたものと判断をいたします。また、基地被害の質疑に対する政府の答弁を、いろいろお伺いをしても、基地被害根源、発生源をなくしていくという考え方やその対策については、ほとんど明らかにされませんでした。  そういう立場から、私たちは、基地被害を根本的になくしていくということが、国民や地域住民の求めている本来の要求であるということを明確にいたしまして、本法案に反対をいたします。  以上です。
  310. 徳安實藏

    徳安委員長 加藤陽三君。
  311. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 私は、ただいま議題となっております防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案につきまして、修正案及び修正部分を除く原案に賛成の討論をいたすものでございます。  わが党は、平和外交を推進しますと同時に、日米安保条約を堅持し、国力に応じた自衛力を整備することを、安全保障政策の基本としており、このことは多くの国民の支持を得ておるところと確信をいたしております。したがって、基地はでき得る限り、整理統合努力はいたすべきでございますが、必要欠くべからざる基地は、これを維持しなければなりません。しかし、このことに伴う地元民の物心両面にわたる犠牲は、否定できないところであります。国の安全保障に伴う負担は、国民ひとしく負うべきものでありまして、基地対策については、地元民の犠牲を極力少なくするため、十分なる対策を講ずることが必要であるのでございます。ただ、いままでの基地対策は、この点が十分でないために、地元民からいろいろ強い要望がございました。  今回の法案におきましては、いままでの多方面の要望を取り入れてつくられておりまして、大いに進歩した内容を持っておるものと認めます。特に特定防衛施設周辺整備調整交付金及び地元の地方公共団体に対する資金の融通等の援助、飛行場周辺における障害防止工事や住宅の防音工事、緑地帯の整備等は、画期的ともいうべく、大いにこれを評価するものでございます。  ただ、審議の過程において明らかになりましたごとく、本法案は、基地の対策について、制度としては大いに評価できますけれども、本年度の予算に見る限り、十分なる予算措置がとられておると思われません。したがって、本法案が所期の実効をあげるように、政府におかれましても、さらに予算措置について、十分なる努力をとられることを要望いたしまして、賛成の討論を終わります。
  312. 徳安實藏

    徳安委員長 中路雅弘君。
  313. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、日本共産党・革新共同を代表しまして、防衛施設周辺生活環境整備等に関する法案に対する反対討論を行ないます。  この新基地周辺整備法案が提出されてきた背景は、本委員会での質疑における山中長官の答弁でも明らかなように、七〇年代における基地をめぐる諸情勢——ニクソン・ドクトリンに基づく拠点基地の集中化、日米共同作戦体制の一そうの強化と基地周辺住民と自治体との矛盾の拡大、深化の中で、基地被害の全面補償の要求や被害の発生源の規制、さらに基地そのものの撤去の要求が高まり、現行の周辺整備法では、有効に対応できない状態をつくり出していることであります。  政府は、これまで現行周辺整備法をてこに、特にこの不当な拡張解釈や恣意的運用によって、自治体や住民の要求に対応しようとしてきましたが、基地闘争の前進、周辺住民の諸要求による自治体、政府への突き上げ、自治体固有の行財政の矛盾の展開によって、基地の安定的確保がますます困難となってきています。  かくして政府は、かかる事態への対応策としての現行周辺整備法運用で生じた諸問題を検討し、ニクソン・ドクトリンに基づく米軍拠点基地、アメリカの総合戦略構想に組み込まれた自衛隊基地の安定的確保を意図し、住民や自治体の要求の一部を組み込みながら、今回の新法案をつくり出したのであります。  共産党は、基地をかかえているため、特別に行政困難にある関係地方自治体や周辺住民の正当な、具体的要求については、これを支持し、その実現のため、今後も努力するものでありますが、この法案の基本的性格は、政府に対する義務を定めるものでなく、各地で自治体ぐるみ激化している基地反対運動を鎮静させ、米軍自衛隊基地の安定的維持を目的としているものであり、特に新法案では、次の幾つかの重要な問題点が含まれています。  その第一は、従来より補償対象を広げるといっても、基地をかかえている自治体への支給が重点になっていて、基地被害を直接こうむる住民に対する救済措置は、全く微量にすぎないわけであります。これは防音工事、全国百戸、予算一億円を見ても明らかであります。  第二に、こうして住民の移転希望者の増大をひそかに期待しておいて、第五条で基地周辺区域の土地家屋の買いたたきを、従来どおり続けることであり、これが重点基地基地拡張のこうかつな伏線という可能性も強い問題であります。  第三に、各省庁が当然、自治体にそれぞれ予算上措置すべきものに防衛庁が介入できる道を開くもので、法案十条と関連した地元負担分を特別交付税で見ていくことや、九条の特別防衛施設の設定と調整交付金などは、地方自治の財源の自主性を防衛庁が踏みにじることを意味するものであり、また、それは財政困難にあえぐ自治体側を防衛庁依存の危険な姿勢に引き込む策謀でもあります。  第四に、具体的な基準等は、防衛庁がつくる政令にゆだねられる部分が少なくないので、従来よりも一段と給付を通じて各地の基地反対運動を懐柔したり、分裂させたりできる危険も考えられるのであります。  以上の諸点から、本法案に反対するものであります。  共産党は、今後も基地周辺住民の生活権、基本的人権を擁護し、地方自治権への干渉を排し、基地によるあらゆる被害の補償と自治権確立のため戦うとともに、基地の撤去と住民のための都市計画を柱とするあと地の、全面的な平和利用実現のために努力することを表明し、本法案に対する反対討論を終わります。
  314. 徳安實藏

    徳安委員長 受田新吉君。
  315. 受田新吉

    ○受田委員 民社党を代表して、防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案に対しまして、賛成の討論をいたします。  私たち民社党は、自衛隊の合憲性を掲げているわけでございますが、しかし、それはあくまでも最小限の自衛措置であるべきであり、専守防衛であるという立場であります。ところが、現に祖国日本には数多くの米軍基地がそのまま残されており、また、自衛隊基地にいたしましても、人口密集地帯等がそのまま踏襲されているというような実態で、その生活環境を阻害していることは、著しいものがあるわけです。基地の整理縮小を常に提案をし、また多数の住民の生活しているような環境を避けて、被害の少ないところへ基地の移転縮小等をはかるべく提案をしてまいりました。しかし、現に基地存在する環境住民たちが、非常に多くの迷惑を受けていることを考えるときに、これらの周辺で生活する人々に対して、生活環境整備して、その損害部分を補ってあげるということは、当然のことでありまして、これを行なうために、今回の法案生活環境という広い意味で、そこに生活する人々環境を完全に近いほうへ持っていこうという配慮をしていることについては、これに賛意を表します。  ただ、私たちが懸念することは、この条文を拝見すると、内閣総理大臣の権限が非常に強い。他の行政機関等の協力関係においてもリード格は内閣総理大臣である。政令委任事項が多い。そういう過程において、独裁的な配慮がこの生活環境整備に振り当てられる危険があると思うのです。できれば第三者による公正な機関としての審議会等を設けて、そこで国家として防衛施設周辺生活環境にきわめて公正な中央の財政的援助その他の損失補償がはかられるべきであって、生活環境が一方的な独裁的な意図でそれが色どられることのないように、きわめて公平な関係を樹立するために、いま申し上げたような審議機関等の設定を要望しておる次第であります。  願わくは、この法案の実施にあたって、政府自身がいま申し上げたような国民全体に公平な施策が行なわれること、そして、それが総理を中心とした強力な政府の独断的意図で行使されないような注文をつけて、賛成の討論を終わります。
  316. 徳安實藏

    徳安委員長 鈴切康雄君。
  317. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 本法案は、防衛施設周辺整備等に関する法律に所要の改正を加え、国の助成の拡充強化をはかろうとするものでありますが、その一面だけを見て、この法案に公明党としては賛成するわけにはいかないのであります。  米軍のベトナムからの撤退に関連して、わが国内における米軍基地存在と、その運用に対する国民の関心が、むしろ基地の撤廃、縮小、移転を望む動きが強まっているのが現状であります。しかも、長沼判決を契機として自衛隊のあり方自体が各方面でも問題になっているさなか、今後わが国の防衛をどうするかについて、根本的な再検討を加える時期に来ているのであります。  かかる観点から見ると、国防に関する新しい基本構想を明らかにした上で、国民の理解と協力を求めるとともに、この基本構想に基づいて防衛施設周辺生活環境整備計画を進めていくのでなければ、いわゆる基地問題の根本的解決をはかることは困難であります。その意味において、基地の不満を吸収するため、あめ的要素である国の助成の拡充強化は、一面切実に基地公害に悩んでいる地方自治体には、それなりの恩恵を与えることになるが、恒久的な解決とはならないのであります。むしろ基地をなくするということに力を入れなければなりません。  日米安保条約即時廃棄というわが党の考え方に立って、反対の立場を明らかにしておきます。
  318. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、野呂恭一君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  319. 徳安實藏

    徳安委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  320. 徳安實藏

    徳安委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  321. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認めます。  よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  322. 徳安實藏

    徳安委員長 次回は、明十七日金曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時四十一分散会