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1974-05-14 第72回国会 衆議院 内閣委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十四日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君   理事 加藤 陽三君 理事 小宮山重四郎君    理事 中山 正暉君 理事 野呂 恭一君    理事 上原 康助君 理事 大出  俊君    理事 中路 雅弘君       大石 千八君    笠岡  喬君       竹中 修一君    旗野 進一君       林  大幹君    三塚  博君       吉永 治市君    横路 孝弘君       吉田 法晴君    和田 貞夫君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀岡 高夫君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      小坂徳三郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         内閣審議官   粟屋 敏信君         内閣審議官   小幡 琢也君         内閣総理大臣官         房総務審議官  佐々 成美君         近畿圏整備本部         次長      石川 邦夫君         行政管理政務次         官       小澤 太郎君         行政管理庁行政         管理局長    平井 廸郎君         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁長官         官房参事官   北川 博正君         環境庁水質保全         局長      森  整治君         建設政務次官  内海 英男君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省計画局宅         地部長     大富  宏君         建設省都市局参         事官      國塚 武平君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省道路局長 菊池 三男君         建設省住宅局長 沢田 光英君  委員外出席者         経済企画庁長官         官房参事官   藤井 直樹君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         資源エネルギー         庁石炭部炭地         域振興課長  安河内健吉郎君         建設省都市局下         水道部下水道事         業課長     井前 勝人君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 五月十四日  辞任         補欠選任   横路 孝弘君     楯 兼次郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国土総合開発庁設置法案内閣提出、第七十一  回国会閣法第二三号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、第七十一回国会閣法第二三号、国土総合開発庁設置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
  3. 和田貞夫

    和田(貞)委員 まず、最初にお聞きいたしたいのは、すでに衆議院を通過したわけでありますが、前国会から継続審議になっておりました新国土総合開発法は、その開発部面を削除して、そして土地利用土地規制中心にした法律に改められて、国土利用計画法という法律が、いま参議院において審議されておるわけでありますが、私は、政府が、あくまでもこの国土総合開発法というのが、国土利用計画法という形になって変身されたものに過ぎないのだ、こういうふうに考えられておるのかどうかということについて、議員立法としていま審議されております国土利用計画法についての認識について、どういう認識を持っておられるか、そのことを、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
  4. 内田常雄

    内田国務大臣 いま、和田さんから御発言がございましたように、国土総合開発法案という政府提案を、しばらくの間片方へ置きまして、与野党四党で国土利用計画法として、しかも、委員長提案発議をされたものでございまして、その際、委員長発議の御趣旨、また政府とのお互いの了解のやりとりの中におきましては、国土総合開発法なる政府提案を、名前を変えただけで、中身精神とか進め方というものは、政府提案がそのまま生きているんだというふうには、私は理解をいたしておりません。  議員立法による新しい法律案は、新しい精神のもとに国土の総合的、計画的利用ということがはかられますとともに、主として土地取引規制、すなわち土地が投機の対象になったり、また地価が著しく暴騰するような事態を防除する、あわせて遊休地などにつきましては、それが有効に活用せられるようなそういう措置をも、これは政府の国総法にはなかった措置でございますが、そういうものまで新しく取り入れる、こういうようなことに私は理解をいたしておるわけであります。しかも、主要な点の違いは、政府案というものは、国土総合的開発というものを前面に押し立てながら、国土総合開発と並んで、ある種の土地取引規制というようなものもやるたてまえでございましたのを、国土総合的開発とかあるいはまたある特定地域における総合開発計画の策定というようなものは、議員提案法律案におきましては、それは全く除いてしまっておりますので、その辺に大きな内容の相違が出てきておる。そのことを了解の上、私は、政府を代表して、四党提案委員長発議には政府としても異存がない、こういうふうにお答えをいたした次第でございます。
  5. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは、さらにお尋ねしたいのですが、形式的にはいかにあれ、政府提案国土総合開発法というのは、あきらめたというように理解していいですね。
  6. 内田常雄

    内田国務大臣 あきらめるということの表現は、私は、必ずしもいい表現ではないように思います。  というのは、それはいまの事態のもとにおいては、御承知のとおり、政府は総需要抑制とか物価対策とか土地対策を、最も緊急かつ重要な課題として取り上げておりますので、それに抵触するような大規模な積極的開発計画というようなものを、表面に押し立てていくことは適当でないという考え方については、私も、議員提案者皆さま方と同じ考え方を持つ者でありますけれども、しかし、日本国土は有限であり、人口はまた毎年百何十万人ずつも増加をいたしておりますし、社会福祉を高めたり、あるいはまた雇用の維持というようなことを考えます際に、さらにはまた過密過疎の元凶というようなものを見ますときには、いままでのような産業第一主義とか生産第一主義とかいうような意味における国土開発とは別な意味において、私は、政府としては、当然施策を進めるべき時期もあろうかというように思います。しかし、いま私の申し上げた冒頭にもありますように、現在においては、そういうことを前面に進めるために土地規制をするということよりも、もう土地問題そのものが緊急かつ重要な課題であるから、まず、そのことについて政府・与党のみならず、野党の皆さま方のお考えも取り入れて進もう、こういうことにいたしたと私は理解をいたします。
  7. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そうすると、念のためにお聞きしますが、いま当面は、土地規制あるいは土地利用を主眼に考えていくが、いつの時期かは、また開発主体とした国総法を政府として提案されてくるということなんですか。
  8. 内田常雄

    内田国務大臣 必ずしもそういう意味ではございません。開発ということばが適当かどうかさえも、私は、いまの時期においては問題があろうと思うわけでありまして、産業優先生産優先開発ということではなしに、有限な国土を増加する国民のために、またその国民福祉優先という立場において総合的、計画的に活用してまいる、こういう意味政府推進ということは、これは将来にわたっては当然考えていくべき時期がある、かように私は思うものでございます。  いずれにいたしましても、今日の人口産業というものは、あまりに太平洋ベルト地帯といわれるような地域に超過密状態で集まっておりますので、これは、やはり何らかの形において、国土有効利用の線に沿った地方分散とか、あるいは人間太平洋ベルト地帯だけに集まらなくても、他の地域経済的にも社会的にも文化的にも十分幸福な生活ができるような国土利用のしかたというものは、進めるほうがいいのではないかと私は思います。
  9. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それは、今度の議員立法法律の中にも、土地利用計画国土利用計画あるいは土地利用基本計画という中に含まれておるものであって、いま大臣のほうから述べられておりますところの、いわゆる列島改造構想に基づく開発行為主体とした政府提案の国総法とは、私は意味が違うと思うのですが、私の言っておるのは、政府構想によるところの開発主体とした国土総合開発法という法律が近い時期に、この国会では一応あきらめておっても、近い時期において、再び顔を出してくるというようなことが、まだ脳裏におありなのかどうかということを質問しておるわけです。
  10. 内田常雄

    内田国務大臣 これは、もののとり方であると思いますが、たびたび申し述べておりますような産業第一、生産第一主義による国土開発というものを、いまはもちろんのこと、また今後においても、昔のような発想による開発というものを、私は、持ち出すのは適当でないと思うわけであります。  それゆえに、今度の四党の作成をせられました国土利用計画法案におきましては、政府の案にございました国土開発計画とか、あるいは特定総合開発地域というような、開発を主とする条文はすべて落としてありますというところを御理解いただきたい、と申しますよりも、私のほうで、政府のほうで、さような趣旨の四党提案理解いたしまして、それでこの際はまいりましょう、こういうことにいたしたつもりでございます。
  11. 和田貞夫

    和田(貞)委員 昨日、田中総理が、新潟県人会の主催する田中総理を励ますつどいに出席をして、国土改造の十カ年計画をぶちまいておるわけですが、これは田中さんが言うところの新ふるさと構想、私たちは「新版列島改造論」と、こういうように受けとめるわけなんですが、やはりこの法律政府案、形式的には別として、それにこだわらないで、与野党が一緒になって議員立法という形で、いま国民期待するところの地価対策あるいは土地規制主体とするところの国土利用計画法が審議されておるわけですが、依然として総理脳裏から、この列島改造構想というのが忘れ去られておらないというように把握するわけなんですが、どうも私が心配するのは、田中さん自身にそのような考え方がある限りにおいては、やはりこの国会においては、いま長官が言われたように事済まされようが、あるいは早い時期では次の国会で、あるいは次の国会に、近い時期に再び顔を出してこようと、こういうことが非常に心配されるわけなんですが、国民期待を裏切って、やはり再びそのような構想が出てくるというようなことはないですか。  また、このきのうの田中総理のぶちまかれた構想というもの、これは、いま審議されておる国土利用計画法に私は反した構想ではないか、こういうように思うのですが、これらについて、どういうような把握をしておられるかのお考えを述べてもらいたい。
  12. 内田常雄

    内田国務大臣 私は、その総理が心境を述べられたという会合には、出席をいたしておりませんので、直接、総理の声には接しておりません。しかし、けさの新聞で、和田さんがいま御指摘になりましたような総理発言があったことを見て知っております。しかし、これには二つの面から、私は私なりに理解をいたします。  一つは、先ほどからたびたび申しますように、総理発言内容というものも、従来の開発計画のように、物的な生産第一主義産業第一主義開発ではなしに、たしか新聞にもそのような表現があったようでございましたが、新福祉社会建設計画といったような、そういう心の幸福に沿う、人間尊重考え方に沿う国土活用計画であろうということ。  それからもう一つは、国土の活用なり、あるいは一歩下がって従来と同じような、中身は違うにしても、ことば国土開発ということばを使う場合におきましても、それらの国土の活用なり、開発なりということの中身は、今度の四党の法律案の中に、そのためにレールを敷いた規定は、先ほど来申し述べますように、また和田さんもすでに御承知のように、全くないわけでありまして、それらは、国の政策としては、あるいは国の公共事業予算に、あるいは財政投融資計画に、そういう面で、法律に基づかずして国の政策としては取り上げられ得ることであろうと思います。したがって、必ずしも法律と直接には結びつけて考えられるものではないというふうに私は理解をいたしておりますので、法律がこういう形になりました以上は、その法律に、開発についての促進規定がないことを念頭に置いて、今後の予算の編成なり、財政投融資計画なり、それらの施策を通じての政策の出し方についても、私が第一の点として取り上げたような人間尊重福祉建設というような意味において、その線に沿った諸政策を遂行されることになるだろうと、私はそういうふうに考えます。
  13. 和田貞夫

    和田(貞)委員 表現のしかたは別としても、やはりきのうの田中総理発言では、ふるさとにおる親元から離れて出かせぎに来ておる娘やむすこが、親元に帰っても出かせぎをする必要なく、ふるさと親元で十分かせいで収入も得て、そうして生活できるようなふるさとにしようじゃないか、こういう新ふるさと構想という形で出ているわけでしょう。そうすると、やはり列島改造構想再版であると同時に、やはり列島改造構想政府提案国土総合開発法という形になってきておった以上は、やはり低開発地域開発、あるいは先進地域後進地域をまたにかけたところの交通網の確立、あるいは道路整備ということが、同じように頭の中に描かれておるというように私は思うわけなんです。したがいまして、先ほど申し上げましたように、列島改造新版である、再版であるというように私は解釈するわけなんです。  もう一度、私、お尋ねしたいのは、そのような田中総理構想のもとに、近い将来においては——いま国民が一番期待をしておる土地規制土地対策というものに視点を置いて、この国会で成立するであろう国総法にかわる国土利用計画法に基づいて、地価対策専心政府は努力すべきであって、総理がどのような構想を描こうが、それは総理構想であって、政府としては、再びそのような構想に基づく法案を提出する考えはない、こういうように受けとめていいですか。
  14. 内田常雄

    内田国務大臣 これは、いま和田さんの所属しておられる社会党の皆さま方も含まれて、また政府を構成する自民党、公明、民社の皆さま方をも含まれて、りっぱな考え方のもとに新しい法律案をお出しになられたわけでありますから、その法律案が可決されました以上は、行政府におります私どもは、その法律精神にのっとって、しかも、法律の文言ばかりでなしに、提案趣旨の説明などをも十分心に踏まえまして、そして国の政策をこの面については進めてまいる、こういうこと以外に踏み出すつもりはございません。  ただ、和田さんもこんなことを言われておるのじゃない、私がこれから申すようなことを考えられておるのじゃないと思いますが、日本国土が限られておっても、人口が毎年ふえても、したがって、また雇用問題というようなものが、今後いろいろ起きてまいっても、わが国における国土利用の面においては、相変わらずやはり東北からは東京に出てこなければ仕事がない、あるいはまた山陰からは京阪神に出てこなければ仕事がないというような状態のまま放置していいということには私は思いません。日本がそのままの状態で縮こまってしまうということではなしに、産業第一、物的生産第一ではありませんけれども、一億数千万人にやがては増加するであろう国民が、失業もなしに社会福祉のもとに伸び伸びと日本の国、全国土利用する計画のもとに暮らせるような、この法律以外の財政的、資金的な措置あるいは地方行政的な措置というものは肝心ではないか。まあ、私は、いつまでも経済企画庁におるわけではないのでございましょうけれども、やはり私の脳裏には、この四党でつくられました新しい法律の第二条でございますか、目的とか理念とかいうところにありますようなことは、いま私があとから申したことをうたっているものだと思いますので、その点につきましては、これは、あなたにおことばを返す趣旨では全くございませんけれども法律を生かすという趣旨においては、国の政策としては、繰り返しますが、これは開発第一という意味ではなしに、置いておく必要はあるのではないかということは、私の心のどこかにひっかかる問題ではございます。
  15. 和田貞夫

    和田(貞)委員 やはり日本経済発展というのは、重化学工業中心とした経済発展であって、その反面に自然が破壊されておるし、農業破壊されておるし、いま実際出かせぎに来ておられる地域後進地域は、産業を再配置して開発していくというようなことは、私たちは、それは列島自体を改造して死に追いやってしまうことになるのだ、日本列島全体を死に追いやってしまうことになるのだ、列島全体を破壊させてしまうことになるのだ、こういうことで産業優先経済優先開発行為というものは、まかりならぬという考え方に私たちは立っておるわけなんです。したがいまして、いま長官言われましたように、人口過密化を防ぎ、人口過疎というものに対処していくためには、産業を配置していくのだというような一本立ての構想じゃなくて、やはりいま破壊に追いやられておるところの農業振興というものを、ここらあたりでもっと深刻な考え方に受けとめて対処していかないと、やがては食糧危機という時期がここ二、三年の間にやってきて、国民に非常に多大の迷惑をかけるということにもなりかねないわけでありますから、新法によるところの土地利用基本計画に基づいて、農地農地として守っていく、保全地域保全地域として守っていく、自然環境自然環境として守っていく、これ以上日本列島全体を、産業中心地域にして破壊に追い込むというようなことがあってはならない、こういう発想のもとで、政府提案によるところの総合開発法とかわって国土利用計画法というのが、四党一致をして提案されたわけであります。  いま言われた答弁の中で、一つ私、気にかかるのは、いまも指摘いたしましたように、後進地域にもやはり産業を配置しなければ、その地域の住民がどうなるのだ、その地域振興はどうなるのだというようなことばのニュアンスがございましたが、非常に気にかかるわけなんです。産業一本で日本経済発展させていくというのじゃなくて、農業にもやはり力を入れる、林業にも力を入れる、水産業にももちろん力を入れる、そういう構想のもとに経済発展というものを考えていく、こういう考え方でなければ、私は、あやまちを起こすというように思うわけなんです。いま言われたから、そういうように言うておるのじゃあありませんが、もう一度ひとつその点話してもらいたい。
  16. 内田常雄

    内田国務大臣 和田さんのおっしゃることに、私も全く賛成でございます。今度の四党提案法律案というものは、その趣旨でできておると私ども了解の上、政府としても異存がない、こういうことを申し述べておるわけでございますので、この法律が置きかえられました経緯、また和田さんのいま御所論をも十分踏まえまして、政府としては対処いたしていくべきだと考えます。
  17. 和田貞夫

    和田(貞)委員 この間の新聞情報によりまして拝見させていただきましたところによりますと、四十八年度の確定申告、いわゆる長者番付、これを見ましても、とにかく譲渡所得申告者というのは、かなり大きなウエートを占めておる。去年よりもそれがさらに増大されておる。億万長者、大型化した長者番付に載る人も、その大半というのが譲渡所得所得者である。譲渡所得以外の所得者で、上位百番以内に入っているのは、わずか三人にすぎない。去年は六人であったが、それよりもさらに、譲渡所得者長者番付のほうがウエートを占めるようになってきた。しかも、それが大型化してきた。こういうことであって、非常にそのために土地が取得することができない。自分のマイホームの夢というものは全く失われてしまった。そういう国民期待というものを裏切らないようにするために、やはり開発行為というものを中心にするということは、もう一切考えないで、やはりそういう国民期待にこたえてもらいたいものだ、こういうように思うわけなんです。  このように、四十八年度の確定申告の結果を見てみましても、譲渡所得者がその上位を占める、しかも大型化しておるというようなことになりましたのは、これは、かなり日本列島改造構想にあおられた土地ブームによって、土地の異常な買い占め、買い付け、そのようなことが災いをして、原因になって、いま申し上げましたような結果になっておるんじゃないかというように思うわけなんですが、列島改造構想あるいは田中さんの「日本列島改造論」というものが、非常に刺激をしてこのような結果になったんだというように把握するわけなんですが、その点はどうですか。
  18. 内田常雄

    内田国務大臣 四十八年確定申告における高額所得者の大部分、百九十数人が土地譲渡所得をもって構成されたという発表は、私は、こういうふうに理解を実はいたしております。  それは、必ずしも日本列島改造計画とのつながりではございませんで、いま譲渡所得課税のやり方は、昭和四十四年以前から長期保有をしている土地を、土地所有者が握ったままにしないで、それをできる限り放出させようという考え方のもとに、昭和四十四年の特別税法ができまして、これは御承知だと思いますが、長期保有土地を処分した場合の譲渡所得については、昭和四十五年、四十六年は譲渡所得に対する税率は一〇%、しかもこれは、他の一般所得と分離して分離課税で一〇%、それから昭和四十七年と四十八年、四十八年というのは、すなわち昨年でございますが、この二カ年間においては、同じような土地譲渡所得に対する税率分離課税で一五%、しかりしこうして本年から、昭和四十九年、五十年からはこの税率が二〇%に上がるわけであります。  こういう税法をつくりました趣旨は、でき得る限り前から持っている土地を早く他に処分をさせよう、早く処分した人は税金も安い、いつまでも握っておると、それは税率がだんだん高くなりますということで、昨年度は一五%の最後の年、ことしからは、先ほど申しましたように二〇%に上がるわけでありますから、税率の安い間に前から持っておる土地を処分しようということで、土地が非常に売り出された、動いた、こういうことになるわけであります。ですから、税の負担感からいいますと、私ども国民の一人といたしまして、とにかくわれわれは、いろいろな所得に対して相当高い税率税金を取られているけれども、昔から持っている土地であろうが何であろうが、土地を処分したその譲渡所得については、安い税率で済むということには、税の公平の負担感からいうと、私どもも、まことにどうも変な思いをさせられざるを得ません。が、一方しかし、そのあらわれた数字は、それだけ土地が動いたということになるわけでありまして、一面においては、そのような税制の目的が達せられた、こう解せられる面もあると思います。  ただ問題は、私なら私がかりに長い間持っていた土地を、税金の安い間に売って所得をあげたが、安い税金で済んだ。しかし、私が売った土地がだれに売ったかというところに、その問題があるのであって、それが住宅を建てる人々、あるいは住宅公団とか都道府県の住宅供給公社とかいうようなところに売られたならば、これは百点満点であったろうけれども、その売った先が、土地投機を目的とするような法人に売られておったのではないか、こういう観測がかなりあるようでありまして、結論から言うと、せっかく土地は動いた、税金も安くしてやったことは効果があったけれども、その土地は、土地の投機的取引を目的とするような法人の手に入ってしまったのではないかという点が批判をされるわけであります。しかし、この制度は四十九年、ことしと来年で終わりになるはずでありますが、いま私が申しましたような税の負担感の問題もありますので、この際しまいまで、五十年の終わりまでそのままいくか、途中で改正をするように検討するかということが、政府部内あるいは税制調査会の課題にもなりつつあるようでございます。そのように私は理解をいたしております。
  19. 和田貞夫

    和田(貞)委員 経済の成長政策を背景に人と産業が大都市に集中する、そのことによって土地が高騰するということと、それに拍車をかけたように、やはりいわゆる日本列島改造構想、これによってさらに土地ブームをかり立てられて、それが、土地というものは限りがあるにもかかわらず、やはり投機を目的として買い占めて、そしてそれによってもうけよう、こういう考え方が手伝ってくるのは、私は当然のことだと思う。だから、先ほども申し上げましたように、やはり列島改造構想がより土地の高騰をあおったのだというように私たちは受けとめておるわけなんです。  だから、いま長官は、列島改造が必ずしも土地の高騰をあおったんだということじゃないのだというように言われますが、これは買う者の心理としては、土地を商品的な見方に見ておる限りにおいては、やはりそういう思惑というものが手伝ってくるのは当然なんです。それが大きな災いになっておる、こういうように私は思っておるわけなんです。そうじゃないですか。
  20. 内田常雄

    内田国務大臣 私が申し述べましたのは、安い特別税法というものができて、昔から持っておる土地、すなわち田中さんの「列島改造論」が公表される以前から持っておった土地を、いまのうちに売れば税金が安いということで、土地の売買が昭和四十五年以来行なわれておった。そのこと自身は、前から持っておる土地でありますから、「日本列島改造論」そのものには影響がないので、税金が安いうちに売っておけ、こういうことであったろうと思います。  しかし、一面から見ると、買う人は何の目的で買ったかというと、それは投機の目的で買った法人等も多いということになりますと、それらの法人は、いま和田さんが指摘されましたようなそういう発想といいますか、受けとめ方を持っておった法人もあるいはあるかもしれないと思います。しかしこれは、私は、経済企画庁に参りまして、いろいろな面から勉強したり教えられたりいたしましたところによりますと、要するに、土地を買うだけの何兆という金が、いまから二、三年前までの間には動いておった。つまり過剰流動性、これは日本の国際収支が非常に受け取り超過で、年間百億ドルくらいの受け取り超過が何年か続いた、これは貿易収支においても貿易外においても。それが政府の外国為替特別会計に売られたり、あるいは日本銀行に売られたりしまして、その対価の円が市場にわっと出されたというのが、過剰流動性のそもそものもとになっておるわけでありますが、それが、ちょうど土地のほうの投機に結びついたということの面もかなり多いようであります。  いずれにいたしましても、今度皆さんおつくりくださる法律によりますと、そういう土地の投機売買というものは、おおむね押えられると思いますし、また買い取った土地にいたしましても、それを三年以上遊休地のままにいたしておきました場合には、都道府県知事がそれの活用目的等を問いただして、その遊休地有効利用のほうに追い込む、こういうような規定も盛られることになりましたので、先般衆議院を通していただきましたあの法律は、その面から私どもも、非常に期待をいたしておりますし、国会で御苦労いただいた各党の皆さま方に、深い敬意を表しておるわけであります。  また、あの法律中心とした土地行政の運用のために、国土庁というものもつくっていただきたいということで、総理府のほうから国土庁設置法を提案されておる。こういう一連の関係でございますので、そのようなことを私どもは念頭に置いて、日本国土の総合利用計画なりあるいは成長計画なりあるいは土地規制なり、そういうことに大きく進み得る段階にやっと来た、かように実は思っておるわけでございます。
  21. 和田貞夫

    和田(貞)委員 国民所得の上昇率に比べれば、土地の高騰率というものが、その四倍になっておるということで、やはり最終的には、国民がいま期待をしておるのは安い住宅を手に入れたい、安い土地を手に入れたい、こういう要望であるわけですから、この国民期待を裏切ることをやってはいけない。どうしても成立するであろう土地利用計画法に基づいて、これが土地騰貴の防止のきめ手になる、地価の抑制のきめ手になる、そういうように政府は全身全霊を打ち込んで対処してもらわなくてはならないと思います。  そうなってまいりますと、そのほうの行政事務を行なうところの行政庁が、やはり国土利用計画法に基づいて土地の騰貴を防止していく、地価の抑制をはかっていく、そういうきめ手になることを中心とした行政庁でなければならないのでありますが、提案されておる国土総合開発庁設置法によるところの提案理由というものは、そのようなことが全然うたわれておらないで、あくまでも総合開発主体とした行政を推進する事務を行なう行政庁なのだ、こういうふうに提案しておりますし、また、この法律内容を見てまいりましても、国土総合開発庁の任務によっても、開発部面を主たる内容の行政を推進することがおも立った任務としての行政庁になっておるわけです。  そうなってまいりますと、国土利用計画法による行政事務を推進する行政庁としては、あまりにもかけ離れた設置法じゃないかというように思うわけです。まして、土地利用土地規制に何らかかわりもない電源開発、あるいは水資源開発、あるいは国土開発のための幹線自動車道の建設計画というようなものが中心となった行政庁というものは、どうも新しい発想によるところの法の運営にあたって、適当な設置法じゃないのじゃないかというように私は思うわけなんです。その間についての御見解を承りたい。
  22. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま和田委員の御指摘の点は、われわれ十分踏まえておるわけでございまして、特に国土利用計画法が決定されまして以後は、このわれわれの提案しております国土総合開発庁そのものも、当然、土地の問題を中心にする総合的な行政官庁としての国土総合開発庁に変貌していく必要がある、われわれはそのように考えております。  もう一つは、先ほど来御議論が出ておりました、いわゆる開発ということでございますが、先ほども企画庁長官が御答弁申し上げたとおり、過疎過密の問題は、これもやはり一つ重大な問題でございますし、その過疎過密に取り組む姿勢としましては、国土利用計画法ができましたのですから、この精神にのっとって国土総合開発庁そのものの運営も規制を受けることは当然だし、先ほど申し上げたように、まず土地価格の問題や土地の不公平な所在というようなものについての修正をなすことが第一義でございますが、同時にまた、過疎過密をやる場合にも、いままでのように政府が主導権をとって、ここには鉄道を敷く、ここは工業地帯にする、ここはどうするというようなことでなしに、むしろ今後は、各自治体の要請に基づいて利用計画を進めてまいるわけでございますから、その各自治体からの要請の中での利用計画の中で、この地点においてはある程度の工業化をやる、この地点においてはある程度の農業の基地化をはかっていく、あるいは文化的な都市をつくって、いく、いろいろな問題が私はあると思います。そうしたような問題を踏まえながら、過疎過密の問題にも対処していくということは、私は本質的にやはり国土総合開発庁のような行政機関が、その任務を担当すべきではないかというふうに考えておる次第であります。
  23. 和田貞夫

    和田(貞)委員 国土総合開発法中身であって、国土総合開発庁というのは、その入れものとして、表裏一体として去年の国会に提案されたんじゃないですか。
  24. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 そのとおりでございますが、しかし、その一番の基本法である国総法そのものが、国土利用計画法に修正をされましたわけですし、またわれわれも、それが現時点においては、非常にいい法律であるという考えのもとに、これを今後の日本土地行政の基本に置いてまいるというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、これをやります場合にも、もう和田委員承知のとおり、私は思うのでございますが、土地政策そのものも、各省がみんなそれぞれ縦割り行政で分担しておりますから、その結果、国民期待をするような地価の安定とかあるいは有効利用というような問題についても、それぞれ文句がうんと出るわけでございまして、いまわれわれが考えております土地行政の総合一元化ということのたてまえは、やはり国土利用計画法に基づいて、御提案申し上げている新しい総合的な行政官庁が担当すべきであるというふうに考えておるわけでございます。  繰り返して申し上げますが、法律内容が変わったわけであります。したがって、その法律内容は、われわれもたいへんけっこうだと思っているわけです。しかし、これを実施していく場合に、どうしても従来のようなばらばらの縦割り行政ではだめなんだから、それを一元的、総合的な行政官庁の中で実施して、そして御期待に沿っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  25. 和田貞夫

    和田(貞)委員 中身が変わった。中身が変われば、その中身に対処する入れものを変えていかなければならぬじゃないですか。中身が変わろうが、入れものは旧態依然というようなことじゃ、入れものが大き過ぎるのか小さ過ぎるのか、これは別として、それの受け入れ対策としての行政庁の機構の面、あるいは所掌事務の面なりあるいは機能の面なり権限の面なり、旧態依然として政府案によるところの国総法の受け入れ体制のもとに描かれた入れものである、設置法である、行政庁であるということは、私は、当を得ておらないのじゃないかというように思うわけなんです。  したがいまして、やはり中身が変わったんだから、その中身に対処する機構にしていく、権限にしていく、あるいは所掌事務にしていく、あるいは果たす機能の役割りを十分に生かした行政庁にしていく、こういうことでなければならないのじゃないかと思うのですが、中身が変わっても、入れものはやはり従来どおりに固執されるのですか。
  26. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 中身が変わっておりますので、それに対応した行政の組織を、もちろんわれわれ考えておるわけでございまして、その考えの基本は、先ほど来申し上げておりますように、土地利用計画法を中心に運営していくということ、それを基本的なラインに置くと同時に、先ほど来の大都市の問題、あるいはまた地方の過疎地の問題、あるいはまたさらにございます災害対策の問題等も含めまして、また一方におきましては、水資源の問題等につきましても、全体としての総合的な対処及び発想の中で運営されるような、そうした仕組みを考えておるわけでございます。もちろん、この問題については、この内閣委員会においても、いろいろとお考えもあると考えますし、そうした皆さま方の御意見を、十分拝聴していく用意を持っておるわけでございます。
  27. 和田貞夫

    和田(貞)委員 土地対策地価抑制と水資源の開発ということは、どこにかかわりがあるのですか。
  28. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 土地の問題は、るる申し上げたとおりでございますが、水資源そのものも、われわれ国にとっても、また国民生活にとっても、きわめて重大な自然的資源でございます。現状におきましては、水資源そのものにつきましても、各官庁の縦割り行政で、おそらくかんでおる役所の数は、ほとんど全官庁がかんでおるような状態ではないかと思います。したがいまして、国土の保全とかあるいは住みよい都市をつくるとか、あるいは住民がもっと安心して生活できるような環境を整備すること、またもっと大きく言うならば、国全体における水の利用をもっと合理的にやるためには、ちょうどここで土地の問題を一元的に取り扱うという同じ発想の中で、ばらばら行政を統合して、水資源につきましても、国土総合開発庁においてそれを処置していくということが合理的であるし、また、そのほうが能率があがるし、また同時に、その処理方法がよろしきを得るならば、現在のいろんな大都市における水の問題やその他の災害問題にまで波及して、いい成果があがるのではないかとわれわれは期待しておるわけでございます。
  29. 和田貞夫

    和田(貞)委員 具体的にお聞きしますが、計画局というのは、そうすると、土地規制なり地価抑制にどういうかかわりのある所掌事務をやるのですか。
  30. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 計画局の土地政策にかかわります分野といたしましては、今度四党でおきめいただいております国土利用計画法の中の、国土利用計画関係の計画を策定をするという任務を負うことになるかと思います。
  31. 和田貞夫

    和田(貞)委員 調整局は、どういうことをやるのですか。
  32. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 調整局は、先ほど大臣から、今度の新しい機構の任務が、国土利用計画法を軸といたしまして土地対策を総合的に確立し、推進をしていくと同時に、現下の問題でございます過密過疎対策を推進していくためには、大都市対策でございますとかあるいは地方振興対策、こういうものの各省庁の実施の面を、この新しい役所で横割り官庁として総合的に調整していく必要があるということを申し上げたわけでございますが、そういうふうに大都市の整備でございますとか地域振興にかかわります各省庁の事務の調整に当たるということを、主たる任務といたすわけでございます。
  33. 和田貞夫

    和田(貞)委員 水資源はわかりますが、土地・水資源局は、土地の面について、それではどういう事務をやるのですか。
  34. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 土地・水資源局の所掌事務といたしましては、現在、土地政策の実施につきましては、関係省庁が多岐にわたっておるわけでございます。たとえて申し上げますと、土地政策には土地規制あるいは取引の規制、さらに税制、金融の問題、さらには宅地の供給というふうな問題があるわけでございますが、現在、これらの総合的な土地対策を講じます場合に、地価対策閣僚協議会というのがございまして、そこで基本的な方針を決定しているわけでございます。それをフォローする事務部局としては、現在、内閣審議室が総合調整という見地でやっているわけでございまして、土地の総合的な政策を樹立する中心官庁がないわけでございます。その中心官庁たるの役割りを新しい機構に負わすわけでございます。その際に、今度おきめいただきます国土利用計画法の施行をいたすわけでございますが、これを基本法といたしまして、各種の土地政策の総合的な企画、立案、調整を行なってまいるというわけでございます。
  35. 和田貞夫

    和田(貞)委員 続いて、大都市圏整備局は、どういう事務所掌ですか。
  36. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 大都市圏対策につきましては、現在、政府の機構といたしましては、首都圏につきましては、首都圏整備委員会がございます。また近畿圏につきましては近畿圏整備本部、中部圏につきましては中部圏開発整備本部があるわけでございます。これらの、いわゆる三圏官庁におきましては、三圏の整備、特に大都市の整備を広域的な、圏域的な見地で計画を立てて実施をするという見地で、それぞれ三圏の計画を立てておるわけでございますが、大都市圏整備局は、いま申し上げました、現在ございます三圏の機構を統合いたしまして、大都市圏対策を総合的に推進していくという任務を負っておるわけでございます。
  37. 和田貞夫

    和田(貞)委員 地方振興局は。
  38. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 現在、地方の振興整備に関する業務につきましては、総合的に企画、立案し実施をしていく、そういう面につきましては、経済企画庁総合開発局が所掌している面が多いわけでございます。たとえて申しますと、離島振興でございますとか、山村豪雪地帯の振興あるいは東北開発、そういう面につきましては、経済企画庁が所掌いたしております。なお、奄美、小笠原の振興整備、さらに過疎対策につきましては、自治省が所掌をいたしているわけでございます。このように、地方の振興整備が、各省庁にまたがっておりますのを、この際統合いたしまして、地方の振興整備が、均衡ある調和を保ちつつ整備されていくことを、この局で所掌するわけでございます。  なお、地方の振興整備につきましては、過密過疎対策の一環といたしまして、地方の都市の整備でございますとか、あるいは国民がどこに住んでも快適な生活を行なえるような農村集落の整備というようなことも必要でございますので、そういう問題に対する基本的な政策の企画、立案も地方振興局で所掌いたすことにいたしております。
  39. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そうすると、いま述べられました各局の所掌事務というのは、国土総合開発法によるところの所掌事務として用意されておったのか、国土利用計画法によるところの所掌事務として改められたのか、どちらですか。
  40. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 この法律を御提案申し上げた時代には、国土利用計画法は、まだ議題にのぼっておらなかったわけでございます。  そこで、国土利用計画法が四党の御提案により成立する運びになりましたので、先ほど大臣も申し上げましたように、土地・水資源局、特に土地行政につきましては、この法律を基軸として国土庁の行政運営をはかってまいり、また地域開発整備等を進めるにあたりましても、この国土利用計画法に書いてございます規定あるいはその立案の趣旨を踏まえまして、土地対策を基本に据えて地方の開発整備を進めてまいりたいということでございます。
  41. 和田貞夫

    和田(貞)委員 役人さんというのは、とにかく機構をつくるのが非常に好きであって、いままでの関係分野にわたって関係法で、それぞれ分散して事務機構を持っておられる、それを総合的に事務機構を整理統合していくということは、一面私はわかると思うのです。しかし、実体法が根本的に変わったわけですから、開発主体とした実体法から土地利用土地規制というものを主体とした実体法に変わったわけですから、やはり過去に提案をしてまいったこの機構を、そのまま固執するという意味ではなくて、実体法が変われば、入れものもそれを主体とした行政事務を中心とした入れものに変えていく、こういう謙虚な気持ちに立ってもらいたいものだと思うんですがね。せっかくこういうように用意したのだから、このまま通していって、そして中身が変わったけれども中身はこの部分でやっていくんだ、しかし、他の構想の機構もそのまま固執してやっていくんだというようなことじゃ、あまりにも提案者としては幼稚過ぎるんじゃないかと私は思うのです。実体に即した機構に変えていく、こういう考え方、おありじゃないですか。
  42. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 和田委員のおっしゃるとおりにわれわれ考えておるわけでございまして、基本的な考え方が、私は必ずしも開発だけを中心にして国土総合開発庁というようなものを考えたわけではなかったと思いますが、しかし、いろいろな面から見て、開発中心のための総合的な一元的な強力な機関の設置というふうにだんだんと理解されてしまったような時代であったと思います。しかし、国土利用計画法が本院において決定をされたというこの現実は、われわれは、先ほどから申し上げておりますとおり決して困ったことだと思っていないのであって、むしろたいへん時宜に適した改善がなされた、われわれとしましても、むしろ現在のこの社会情勢の中では、国土利用計画法を何としても中心にしてやっていくということのほうがいいんだという考え方でございます。  ただ、その入れものの仕組みその他につきましても、基本的な考え方が大きく変わって、法律もはっきりと変わったということを、十分認識して運営してまいるつもりでございますので、私は、一応の入れものの姿勢、あり方というものも、よって立つところの法律の基本的な精神が変わっておるということを十分踏まえて、今後運営してまいればよろしいのではないかというふうにも考えるわけでございまして、その点は、繰り返して申し上げますが、国土利用計画法中心に、すべてのいままでの土地政策というものを、もう一回再検討していくという強い考え方の中で、今後運営をしてまいりたいというふうに思っております。
  43. 和田貞夫

    和田(貞)委員 運営面は、長官、そうであろうとも、先ほどからいろいろと事務分掌をお聞きしましても、やはり入れものの大半というものは開発計画利用計画、これが主たる事務分掌になっておるわけです。ただ土地・水資源局の中で土地政策の総合的な計画をやっていく、こういうことにすぎないわけです。やはり法律が変わった以上は、中身が変わった以上は、それに基づくところの行政庁にすべきであって、従来のそれぞれの開発計画が厳然としてあるわけですから、それを統合するなら統合するということも、私は、やはり決してけしからぬというように言いませんが、一緒にすることによって、大半が開発計画利用計画に基づくところの計画立案に当たるというような行政庁の中に、土地対策地価規制の行政というものは、その中に埋没してしまうという心配がするわけなんです。  だから、やはり土地利用土地規制主体とするところの行政事務をやる役所と開発計画構想を立案する役所と、この機会に別個にすべきじゃないか、私は、そういうように思うのですが、それについてはどうですか。
  44. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 和田委員の御心配な点は、いままでのいきさつから見ると、あるいは当然の御心配ではなかろうかと思います。  しかし私は、この新しい国土利用計画法が成立したというきわめて現実的な事態に立ちます場合に、同時に、この大都市の問題あるいは地方の振興の問題を考えましても、地価が安定しなければどうにもならないし、また、土地というものに対しての地域住民の理解が得られなければ、何をしようとしてもできないということも現実でございます。したがいまして、ただいま和田委員の御指摘の御心配の問題は、十分われわれもわかるわけでございますので、今後、まずそうした土地の問題が基本的に国民の合意の中で解決されていくという努力を、国土総合開発庁が全力をふるってやるということが、同時に過密対策になり、また過疎対策になっていくわけであるというふうにも思います。  それからもう一つは、この大都市対策あるいは過疎対策というものを考えましても、私は、やはりその基本に土地の問題とかあるいは水の問題とかいうものが総合的に調整されたという、そうした一つの、ばらばら行政の中でなしに、一元的にそういう問題が配慮され、考究されていくという姿勢の中で、初めて過密過疎の問題についても、具体的な対策が立て得るのではないか。同時に、それがまた多くの人々の理解を得る基本につながるのではないかというふうに私は思うわけでございまして、必ずしも便宜的に、国土利用計画法が出たから、それでは入れものは同じ名前で、同じかっこうでいきますよというふうにわれわれは考えておりません。基本的に、そこには大きな変化があったという認識を十分持って対処してまいりたいと思っております。
  45. 和田貞夫

    和田(貞)委員 念のためにお尋ねしておきますが、せっかく立ち消えになった列島改造構想が——入れものが開発主体とした従来のそのままの機構をもって行政庁が出発する、そうすると、当面は、いま長官が言われたように、土地利用土地規制というものを主体に置いた運営のしかたをやっていかなくちゃならないのだ、こういうふうに言われますが、これが、列島改造構想の再燃する震源地にこの国土総合開発庁がなりはしないか、こういう心配は、よけいな心配ですか。
  46. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 それは、御心配は大いに理由があると思います。したがいまして、われわれといたしましては、今後の運営につきましては、その御心配が十分あるということを踏まえて善処したいし、対処したいし、また、ちょうど発想の転換と申しますか、ここ一年くらいの間に非常に大きな、開発とか地方の振興とかいうような問題についても、私は発想が大きく変わっていると思います。こうした現実を踏まえていくならば、御心配のような事態は起こらしてはならないというような強い考え方の中で、新官庁の総合的な力を、国民のために使っていくという方向に努力してまいりたいというふうに申し上げたいと思います。
  47. 和田貞夫

    和田(貞)委員 いま、長官がそういうように言われ、あるいは内田長官がそういうように言われましても、この法に基づくところの初代の国務大臣がどなたになるかということによって、またこの考え方も変わってきはしないかというように思うのです。したがいまして、内閣法の改正で国務大臣を一人ふやして、そして専任大臣がこの長官の任に当たる、こういう構想でありますが、その構想も、依然としてやはり変わらないわけですか。
  48. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 私は、いま御提案申し上げておるこの新しい役所をつくるということ、そして専任の国務大臣をこれに充てるということは、国土利用計画法の基本的に持つ大きな意味、そしてまた現在の社会における土地の問題、こうしたことを考えますれば考えるほど、この役所にこそ国務大臣を、専任の者を置いて、全力をあげてこの問題に取り組んでいくということは、非常に必要なことじゃないかというふうにさえ、積極的にいま考えておるものでございます。そしてまた、どなたが国務大臣として担当されるかということは、これは全く私としては考えておらない。まだこの時点においては、考えるべき段階ではもちろんないと思います。しかし、この役所の持つ意味は、非常に重要であるということ、それからまた、ばらばらの縦割り行政そのものが初めてここで、本質的な土地という問題を含めて、日本国民生活の一番基盤をなす土地問題に対して総合的にぶつかっていこう、こういう仕組み、これは私は、今後も、行政にとっては非常に大きな示唆を持つ改革ではなかろうかというふうに思うわけでございます。
  49. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私は、やはりこの法案の審議にあたって、その決意を述べておられる総務長官なりあるいは経企庁長官なり、あなた方のいずれかに兼任をしていただくということが、一番当を得ているんじゃないかと思うのです。ことさらに大臣を一人ふやす必要はないというように思います。大臣が数さえよけいにあればいいというような考え方じゃなくて、やはりこの法案審議にあたってその責任者であり、国会を通じて決意を述べられ、答弁を繰り返されておる両大臣の、いずれかが兼務するという考え方にお立ちにならないですか。
  50. 内田常雄

    内田国務大臣 その件につきましては、小坂総務長官がお述べになりましたとおり、私は、やはり現内閣のこの問題に対する姿勢を示したり、また、まともにこの問題と取り組んでもらうためには、専任の独立した国土長官というものを国務大臣として置くことが、一番いいと考えておるわけでございます。
  51. 和田貞夫

    和田(貞)委員 大臣が数がふえたところで、この間の本会議におきましても私が、経済協力担当大臣、この内閣法の改正のあとを追いかけておるもう一つの内閣法の改正案に対して質問したわけですし、意見も述べさせていただいたわけでありますが、やはり内閣一体の責任であるわけですから、専任大臣を置かなければいけない、兼任大臣であれば悪いというようなことは、私は、その理由にはならないと思うのです。やはり閣議でいろいろと論議をされて、そしてその閣議できめられたことに基づいて行政官庁の責任者として、長として運営の任に当たっていかれるのであれば、ことさら専任大臣にしなくても、兼任大臣で十分事が足るんじゃないですか。
  52. 内田常雄

    内田国務大臣 和田さんの御見解としては承りましたが、政府といたしましては、これは私なりあるいは小坂総務長官のこの場における思いつきの、あるいは個人的の考え方の答弁ではございませんで、この役所を設置していただくにあたりましては、専任の国務大臣を長とする長官を置く、こういうことで内閣としては一致をいたしておるわけでございますので、そのように御理解をいただきました上、ぜひその趣旨をもちまして御審議、御可決をいただきたいと考えます。
  53. 和田貞夫

    和田(貞)委員 日常のこの行政事務の運営にあたっては、これは兼任大臣よりも専任大臣がおったほうがいいといたしましても、やはりこの基本的な政府施策、基本的な政府政策に基づくところの計画あるいは立案、そういうものを決定されるについては、むしろ大臣が数多くおられるよりも、閣議に出る大臣が少ないほうがスムーズに閣議の運営としては利点があるんじゃないか、こういうふうにも思いますが、それはどうですか。
  54. 内田常雄

    内田国務大臣 これは、世界各国の内閣制度などを見ましても、和田さんのおっしゃるように、少数の閣僚をもってまとまりのよいような仕組みらしきものをとっておる国もないではありませんけれども、また、わが国の今日の閣僚数よりもはるかに多い閣僚を置く制度を持つ国もあるようでございまして、これは、まあそれぞれの国のたてまえなり、あるいはその問題を処理する内閣の姿勢のあり方だと私は思います。小坂長官すでに述べられましたように、国土の合理的、総合的、計画的な活用なりあるいはまた土地利用とか、あるいは取引に対する規制なり地価の問題というものは、今日の時点においては内閣としても、これはまあ物価問題と同じように、あるいはそれ以上に、より恒久的に大きな政治の課題であり、国民課題である、こういうたえまえをとっておるものでございますので、あえて政府提出のこの法律案におきましては、独立の国務大臣をもって国土長官に充てる、こういう一貫した考え方をもって臨んでおるわけでございますので、ぜひひとつ御理解、御賛成をいただきたいと思うわけでございます。
  55. 和田貞夫

    和田(貞)委員 山中長官は見えておられませんけれども、山中長官は常に一貫して、大臣の数をふやすということ、これには閣議の中でも反対の主張を述べられてきておるというように承っておるわけですが、あなた方お二人は、やはり大臣をふやすことのほうに賛成論者ですか。
  56. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 いま御討議いただいておりますこの国土総合開発庁、国土庁でも、名前は何でも、非常に重要なものであって、他省を運営しておる国務大臣が片手間でやれる仕事ではないと思うのです。また、片手間でやるような仕事であるならば、もっと大きな行政機構改革がなければならないと思うのです。事実、新しい庁に所属されるとわれわれが考えております災害対策一つとりましても、全国に五万カ所も危険な地域があることがわかっておっても、それをやる場合には、いまの機構でありますと、各省のばらばら予算の中でごくわずかしかその問題が扱えない。あるいはまた土地鑑定委員会というものは、きわめて重要だと思いますので、全力を傾けてこの委員会の運営に国務大臣が当たって、その結果について十分、地方自治体とも話をしていく、あるいは地方自治体の意見も吸い上げていくということをしなければ、地価そのものの決定だって、公示価格一つとりましたって、非常に問題が多いのではないか。ましてや、今度の国土総合開発庁は、そうした基本的な調整をするための予算の執行権も持っているわけでございますから、そうしたいろいろな点を考えますと一専任大臣が全力をあげて——この問題は、一日二十四時間努力をしましても、なかなか大きな成果の出ないほどいろいろなむずかしい問題があると存じます。  そうしたことを考えて、形式的な閣僚の数をあまりふやさないほうがいいということも、よくわかりますけれども、同時にまた、この仕事をほんとうに責任を持ってやっていく国務大臣がいたほうが、さらにベターだと私は考えるわけでございまして、単純に国務大臣を一人ふやすのだという考え方で、この問題を御提案しているつもりはございません。むしろ、御提案して、この問題を早く解決することが、きわめて重要なんだという考えの中で、それには、やはり兼務ではいけないのではないかと思うわけでございます。
  57. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私たちは、今日置かれておる小規模企業者を中心とした中小企業対策が、非常に重要なウエートを占める行政でなくてはいけない、こういうことで、中小企業庁を省に昇格しろということを常に主張しておるわけですが、それに対して政府のほうは、大臣をむやみやたらにふやすべきではない、こういうふうに答弁している。どちらにウエートをかけるかは別として、片方では大臣をふやすことについてはよくない、片方では大臣をふやさなくてはやっていけないということでは、論理は一貫しておらないと私は思うのです。それは、あなた方のほうに言ったところで始まらぬわけでありますが、私たちは、この面での専任大臣を置くということであれば、むしろ中小企業庁を省に昇格して、当面する中小企業対策に責任を持った専任大臣をもって対処していく、そのほうを優先すべきじゃないか、こういうように考えておりますので、この面についての専任大臣を置くということについて、それに伴うところの内閣法を改正することについて、反対の意見であることを申し添えておきたいと思うのです。  それに伴って、第七条、第八条、長官の任務あるいは特別な職の項を拝見いたしますと、第七条では、長官に、国土総合開発に関する重要事項について、勧告あるいは報告を求めるという権限が付与されておりますし、それから第八条では、当面土地の問題について、一番重要なものとして運営していかなければならないにもかかわらず、調整局と地方振興局には次長制度を置くけれども、肝心の土地・水資源局は、そのような陣容を整えるという構想がないわけです。  したがいまして、先ほどの構想発想、運営の基本を土地に求めていくということであれば、第七条、第八条の条文について、この際整理をする必要があるのではないか、こういうように思うのですが、その間についての御見解をお聞きしたい。
  58. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま御指摘の土地・水資源局に局長だけでございますが、重要度からいいますときわめて重要でありますが、こうしたところに次長を置いておりませんのは、むしろ審議官制度を幅広く活用して、審議官の活動の中で調整をはかり局長を助けるというシステムのほうが、かえっていいのではないかという考え方でもあるわけでございます。  しかし、局長があれば次長を置いたほうが局の機構上より能率的であるということでもあれば、その点につきましては、われわれ別に、次長を置かないときめたわけじゃないので、むしろ次長を置かないで審議官制度で運営したほうがいいのではないかという考えでございますので、それらの点につきましては、さらに当委員会の御意見を十分承ってもいいという考えでございます。
  59. 和田貞夫

    和田(貞)委員 形としては、やはりこれは国総法の入れものとして予定された機構でありますから、調整局なり地方振興局、開発主体とした部局に次長制度を設けて、非常にウエートをかけておる形になっておるわけですね。  それが中身が変わったわけでありますから、先ほどからるる繰り返されておるように、土地規制土地抑制というものを主体に運営していくんだという考え方がおありだということが、両長官の答弁を通じてよくわかるわけですから、機構の面についても、それに対処した機構に変えていくということが当然の姿じゃなかろうか、私は、こういうように思うのですが、もう一度お聞かせ願いたい。
  60. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 和田委員の御意見を十分踏まえまして、検討してみたいと思います。
  61. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そこで、少し横道に入るかもわかりませんが、今後の運営にあたって、近畿圏整備法に基づくところの近畿圏整備、あるいは琵琶湖の総合開発計画の住民に与える影響、これについて、ちょっと触れてみたいと思うのですが、琵琶湖の総合開発計画の重要な事業の一つとして、琵琶湖周辺の流域下水道計画が立てられておるわけですが、この流域下水道計画の施設の構造あるいは能力、あるいは汚水の量なり水質の見通し、あるいは下水として放流されるその地域の工場等の状況、もちろん、その中に公害企業として指摘される企業もありますし、そうでない企業もあるわけですが、その間の状況を、この機会にひとつお聞かせ願いたい。
  62. 石川邦夫

    ○石川(邦)政府委員 お答え申し上げます。  琵琶湖の問題につきましては、いま先生御指摘のように、水質の問題が非常に重要な問題であります。これは法律の中におきましても、汚濁した水質の回復、保全をはかるということが重要な項目になっておるわけでございまして、計画の中でも、特に下水道に重点を置くというふうなことに相なっております。  御案内のように、滋賀県はほとんど下水道がないわけでございまして、しかも、流域に七十数万の人口が張りついておる、また工場等も張りついておるということで、現在、比較的きれいといわれておる琵琶湖の水質も、ほっておけば急速に汚濁するというふうな状況に相なっておるわけでございまして、その意味におきまして、この計画の中でも流域下水道を四本、それから単独の公共下水道一本、これを早期に達成するということで掲げておるわけでございます。  いま御指摘の琵琶湖中南部流域下水道でございますが、これは昭和四十七年度から着工いたしておりまして、現在工事を進めておりますが、その際、現在のままに放置しておきますと、いかに水質規制をきびしくいたしましても、やはり下流に対して影響があるということで、これは、高度の処理をいたしまして放流するというふうな計画に相なっておるわけでございます。  いろいろ問題があるわけでございますが、われわれといたしましては、現在の下水道計画を早期に整備するという方針が、琵琶湖の水質を守り、また下流淀川の水質を守る上で最良の道だというふうに考えている次第でございます。
  63. 和田貞夫

    和田(貞)委員 琵琶湖の水質を保全するために立てられた計画が、逆に琵琶湖の水質を汚濁したり、あるいは宇治川、淀川の水質を悪くする、こういうようなことに現在の計画の中ではなりはしないか、こういう点を、いま下流地域では非常に心配をしておるわけです。  具体的には、大阪の高槻におきましては、いまの計画については反対であるという議会決議がなされておりますし、あるいは最末端の地域の泉大津、堺市のそれぞれの議会におきましても、反対決議がなされております。あるいは和泉市においては、理事者側がこれらの計画について中止をしてほしい、そういう申し入れをしていることを御存じですか。
  64. 石川邦夫

    ○石川(邦)政府委員 大阪府の一部におきまして、そういう声があるということは承知いたしております。  ただ、これは非常に誤解があるのじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、これは、あとで詳しい問題は、建設省のほうで答弁されると思いますけれども、現在の下水道整備を強力に進めるということは、結果として水の浄化に役立つことは間違いございません。でございますから、やはり現在の技術水準なり今後の技術開発というものを見通しまして、下水道整備を進めるということが十分に説明されれば、納得いただける話ではないかというふうに考えております。
  65. 和田貞夫

    和田(貞)委員 河川の汚濁は心配する必要はないですか。
  66. 松村賢吉

    ○松村政府委員 琵琶湖の水質に基因する宇治川あるいは淀川の水質、この問題につきましては、琵琶湖の水質を維持するために、流域下水道等の計画をするわけでございます。  御承知のように、現在、琵琶湖の水質につきましては、環境基準が設けられております。両方ともAAということで、特に良質な水質を期待するわけでございますが、残念ながら現在、南湖においてはこの水質基準が守られておらない。しかしながら、この水質基準については、五カ年のめどということがございまして、この間に水質を維持するよう流域下水道等を整備しておるわけでございます。したがいまして、そういう計画整備された暁におきましては、琵琶湖並びに下流の淀川につきましては、琵琶湖に基因します水質上の問題というものはないというふうに考えております。
  67. 和田貞夫

    和田(貞)委員 浄化センターを建設する予定の、いわゆる埋め立て地、人工島ですね、その建設の作業の中で水質が汚濁される、それがひいては河川に影響があるということが心配されるわけですが、そのようなことはないですか。
  68. 松村賢吉

    ○松村政府委員 先生すでに御案内のように、この下水道の処理センター、これは琵琶湖の一部を実は埋め立てをして処理センターをつくる計画になっております。この埋め立ての問題につきましては、原則といたしまして、水質を汚濁する要素というものが全然ないとは申されません。  一つは、工事中の期間内、この琵琶湖の埋め立てをする際に、まあ土砂で埋め立てるわけでございますが、その土砂を埋める際に、いわゆる、これが水質汚濁を来たすということが一つ考えられるわけであります。このことにつきましては、施工の問題といたしまして、水質の汚濁が出ないように十分監視、指導しつつやっていく所存でございます。  また、この人工島をつくると申しますか、埋め立てをしたことによりまして、その周辺等において水の停滞するところができるおそれがございます。この水が停滞いたしまして、交換をいたしませんと、そこのところに、いわゆる死に水ができまして、モの発生あるいは汚濁の沈でん等によりまして、局部的な水質の汚濁を生ずるおそれがないことはございません。これにつきましては、この水の循環等の十分できるような道、たとえば今度の処理センターにおきましても、岸から相当な距離の水路等をつくりまして、そこに水の停滞することのないように考えております。  また一方、これは定説ではございませんが、逆説といたしまして、湖面の浅い部分、こういうところで、モの発生等によりまして、これが水質の浄化に寄与しているという説もあります。この説につきましては、まあいろいろとあるわけでございますけれども、ただ、われわれといたしましては、琵琶湖の水質の一番悪化する原因といたしましては、やはり流域の汚水の流入でございます。したがいまして、こういうものの流入を、下水道等の処理によりまして少なくするということによりましてより以上の、この埋め立てをやることによりましての水質汚濁がかりにもしあるといたしましても、それ以上の水質浄化の効果があるというふうに考えておる次第でございます。  なお、この問題につきましては、現在いろいろと検討をしております。もちろん、この埋め立てにつきましては、奨励しているわけではございません。必要やむを得ざる埋め立てのみをするということで、この処理センターに使う埋め立て島は、必要やむを得ざるものとわれわれは考えて、許可しておる次第でございます。
  69. 和田貞夫

    和田(貞)委員 まあ、いかに指導されても、いかに監視、監督をされても、常識的に考えて水面を埋め立てると、これは海の場合でも同じことですが、湖底のヘドロをさわらないで埋め立て作業をするというようなことは万々不可能です。その作業の中で、ヘドロがかき回されるということによって、一時的にしろ湖水が汚濁されるということになるわけなんですから、いまも、全然汚濁されないということは保証の限りでないということを言われたわけなんですが、そのことによって、流域に住んでおる住民に、工業用水は別として、飲料水として下流地域の住民があてにしておるわけですから、これらに対するところの、人体に被害を与えるというようなことは絶対ないですか。
  70. 松村賢吉

    ○松村政府委員 工事中における埋め立ての作業、これによって、下流の水道用水等に影響を及ぼすことはないと確信しております。
  71. 和田貞夫

    和田(貞)委員 もしも今後、工事が進むにつれて、ことしの暮れには大体完成予定ですが、島自体が、埋め立て自体が、下流の流域が汚濁して人体に支障がある、被害をこうむる、危害をかけるというようなことがかりに起こった場合に、これは、責任とれますね。
  72. 松村賢吉

    ○松村政府委員 埋め立てに関します河川の管理といたしましては、建設省なりで、これについては、われわれ絶対に人体に影響を及ぼすような埋め立てはしないというふうに考えておりますし、これに対する責任も十分考えております。
  73. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは、この浄化センターが完成になって、家庭汚水、工場排水、これが一緒に浄化されるわけですが、いま行なわれようとしておる、あるいは従来から終末処理場として行なわれておる活性汚泥法によって工場排水というものが十分処理されて、そして河川に影響がない、ひいては飲み水に影響がないということも保証されますか。
  74. 松村賢吉

    ○松村政府委員 これにつきましては、下水道の担当課長が来ておりますので、詳しく担当課長から説明させます。
  75. 井前勝人

    ○井前説明員 下水道の問題についてお答えいたします。  御案内のように、下水道の持つ意味は、一般家庭汚水並びに事業所等からの排水汚水を含めて、きれいにして公共用水域に放流するというのが、たてまえになっておるわけでございます。御案内の浄化センターの処理場の計画の中でも、もちろん、一般家庭汚水並びに事業所等の排水も含めた処理計画を立てておるわけでございます。  そこで、一番御心配の点は、おそらく事業所等からの排水の中に含まれます重金属についての問題であろうと考えるわけでございます。下水道のたてまえから申しますと、一般家庭は別でございますが、事業所等からの排水を下水道に入れる場合は、いわゆる下水道法で、害を除く施設、つまり除害施設を設けた上で下水道に入れるというたてまえになっております。問題は、この除害施設の監視、監督が十分に保証されるのかということだろうと思います。  実は、確かにいままでの除害施設についての下水道管理者の指導は、必ずしも十分じゃなかったとわれわれも考えておるわけでございます。また、下水道法の法律の中でも、必ずしもそういう重金属に対して万全な法体系ではなかったということを反省しておりまして、そこで去る一月に、いわゆる水質汚濁防止法または公共団体の上のせ等の条例がかかった場合には、必ず下水道法にいう除害施設の処理の基準にかかるような、そういう施行令の改正をいたしたわけでございます。  したがいまして、下水道へ入ってくる、そういう重金属の問題につきましても、公共用水に出される場合であろうが、下水道で出される場合であろうが、全く同じ処理を工場側でやるという形になっておるわけでございます。ただ問題は、やはり下水道に入れる場合も、そういう重金属については、行政指導といたしましては、できるだけ放流のないように、工場の中で、いわゆる一般生産に使う下水の排水とそれから重金属を含む排水とは分離いたしまして、そういう重金属を含む汚水は、できるだけ工場の中で、クローズドシステムのような形をとることが、もちろん望ましいと思いますので、今度の除害施設の政令の改正の機会におきまして、そういう指導を各下水道管理者に強く指導していきたいというように考えておるわけでございます。
  76. 和田貞夫

    和田(貞)委員 個々の企業、個々の工場で工場排水を処理しておる場合は、これはどの企業あるいはどの工場が有害物質、有毒物質を流出しておるかということは明確でありますが、家庭排水と同じように、その処理がなくして放流された場合に、どの企業、どの工場がその原因者であるかということは——かりに今後被害が出てきたときにはもうおそいわけですが、その被害が出てきたときに、その責任が明らかにならないのじゃないですか。そこを、やはり私たちは心配するわけなんです。末端の流域では飲み水にしておるわけですから、やはり工場排水というものは、家庭排水と同時に排水をさせない、流出をさせない、そういうようなことをやってもらわないと、いかに基準を強化して、濃度規制を強めてもらったところで、やはり一定の量が流出してくるわけですから、これは根本的に総量規制をしてもらわないと、安心して生活できないんですよ。  これは、先ほど河川局のほうから、埋め立て地の工事について、そのような迷惑をかけるようなことはない、そんなことは万々ない、もしもあった場合には、その責任をとる、こういうことを言われておるわけですが、あなたのほうで、そのようなことを聞かないで、規制基準を強めたからだいじょうぶだ、今後一切被害は起こらないのだ、こういう保証的な責任はとれますか。
  77. 井前勝人

    ○井前説明員 まず、各家庭が下水道につなぐ場合及び事業所が下水道につなぐ場合には、下水道法のたてまえで、排水設備を設置する場合は必ず承認をとるということになっておりますから、どの地点どの地点でどういう排水が入っておるかということは、まず確認できるわけでございます。またあわせて、どういう水質をどれくらいの量出すかということを、つなぐ場合に事前に届け出るというような制度になっております。ですから、まずそこで第一段階はきちんと下水道管理者が、それをキャッチして把握しておる。同時にそこで、一定以上の水質を出す場合は、必要な除害施設をつくって処理した上で下水道に入れるという形になっておりますから、絶えず除害施設の設置、監督を、公共用水管理者としてはする義務があるわけでございます。また、それをやりませんと——いわゆる終末処理場からの放流水の基準は、すべて水質汚濁防止法が適用になるわけでございますから、下水道管理者として、それは自衛上必要でございますので、その辺は取りつけの段階から十分チェックしまして、かつ、常時監視していくということが必要であろうと思うわけでございます。
  78. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それは、あなたのほうの計画ですが、私が言っておるのは、今後浄化センターが操業して——河川流域の住民に飲料水として充てておるわけですから、今後、一切被害が起こることがないということは、断言できますね。
  79. 井前勝人

    ○井前説明員 少なくとも、現在の水質汚濁防止法の範囲内の排水につきましては、その基準を必ず守っていくということを考えておるわけでございます。
  80. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私は、別の機会に、これをもう少し論議いたしますが、下流の住民にとっては非常に不安なんですよ。だからこそ、いろいろと誤解があるとかロッカイがあるとかナナカイがあるとか言われても、やはりしろうとはしろうとなりに考えて憶測するところでは、有機物が完全に処理されないで流れていく、その放出されるときには、基準内であるといたしましても、やはり大量の有害物質や有毒物質が流れてきて、全く被害がないというようなことは保証できない、だからこそ不安で、住民を代表するそれぞれの地方議会が、これを中止してほしい、何とかしてほしい、こういう反対決議がなされたり、あるいは行政の責任者としても、何とか考えてほしいということの意見を述べておるわけです。  私は、この機会に、家庭排水と工場排水というものを同時に処理するというような方法は、やはり住民の不安を一掃することができない、こういうように思いますし、それがまた河川の汚濁、ひいては大阪湾の汚濁にも通ずるわけで、単に流域住民の被害だけじゃなく、水産業に携わる人たちにも、今後被害が起こるということを危惧するわけです。したがいまして、それぞれの地域住民の声というものは、やはり十分把握して、あとからではおそいわけですから、この機会に計画をもう一度練り直すというようなことをしてもらいたいものだということを、強く要望しておきたいと思うわけです。この点については、私は、またあらためてもう少し論議をしてみたいと思うのです。  この一例をとってみましても、開発というものがむぞうさに行なわれることによって、行政庁が主体となって開発をされる場合も、住民の不安というのが一掃されないわけでありますし、琵琶湖の総合開発というのが、本来、湖水の保全のためだということを基本に置きながら、結果的には湖水、河川が汚濁されることになり、あるいは住民がその影響を受けるというような心配も全く解消されない、こういうことになるわけでありますので、今後、開発計画につきましては、万全の体制をとってもらいたいものだということを、あわせてこの機会に警告しておきたいと思うわけであります。  そこで、この国土利用法を、先ほど両長官のほうから、新しく設置される開発庁によって運営を行なうのだと言われたわけなんですが、それに適した名称も私は必要じゃないかと思うのです。国土総合開発庁あるいは国土総合開発長官ということが、すべてを通じまして、関係法文に至るまでその名称に書きかえられることが、この設置法の内容になっておるわけですが、国土総合開発ということばは、やはり固執されるわけですか。
  81. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいまのところ、固執するかしないかということは申し上げかねるのでございますが、先ほどから申し上げているとおり、国土利用計画法が決定されまして、それの受けざらとしての行政官庁でございますので、名称等につきましても、委員会の御議論を十分承ってまいりたいというふうに考えております。
  82. 和田貞夫

    和田(貞)委員 委員会のほうで意見がまとまれば、名称にこだわる必要はないということですね。
  83. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 そのとおりです。
  84. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そのあなたのほうの機構については、今後、運営面で何とかしてもらうといたしましても、この実体法がいざ施行ということになりますと、たいへんなことになるわけです。府県なり市町村は、陣容の面におきましても、機構の面におきましても、そして権限を行使して具体的に処理する面におきましても、たいへんなことになる。いまこの法の施行にあたって、各県のほうではどうしようかということで、非常に頭を痛めておるというのが実態であります。  まず、この実施にあたりまして、各自治体で一体どの程度の陣容が必要であるというように把握しておられるのですか。
  85. 藤井直樹

    ○藤井説明員 今度の国土利用計画法に基づきます実際の土地利用規制の事務につきましては、実際にまだそういう前例がございませんので、その事務の量についての想定はなかなか困難でございます。一応現在、各県に置かれております土地の行政に関する組織、定員等をながめまして、そして具体的にどの程度の量が予想されるかということについて検討する必要がありますが、いまのところでは、七人程度のものが一応県の行政組織となっているのではないかと考えます。これは、実際にその量が具体的に明らかになったときにおきます段階において、やはりその量に応じて考えていくというふうに考えておる次第でございます。(和田(貞)委員「七人ですね」と呼ぶ)都道府県の分といたしまして七人、交付税上も大体そういうことで織り込んでおるという状況でございます。
  86. 和田貞夫

    和田(貞)委員 七人で規制区域を、いわゆる線引きをする作業をやったり、あるいはそれに追いかけて規制をしていったり、あるいは遊休地を認定する作業をやっていったり、あるいは土地の時価を評価していく作業をやっていったり、もろもろの仕事をこれからやっていかなくちゃならぬのですが、各県で七人の陣容でやっていけますか。
  87. 藤井直樹

    ○藤井説明員 ただいま申し上げました土地規制の問題につきましては、一般的に届け出監督制の人員というものについて申し上げたわけですけれども、具体的に土地規制区域として特別な許可制をしくという場合になりますと、その人員というのは、まさに各県さまざまな事情によって変わってくるわけでございますが、その辺については、実情を見た上で考えていきたいと思っております。
  88. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私の大阪府では、聞きますと、大体最低三百人、最高五百人要るというんですよ。七人や八人の騒ぎじゃないのです。最低三百人、最高五百人、これだけの陣容を整えないと、この法の運営に当たっていけぬというんですよ。かなりの大きな隔たりのある認識じゃないですか。どうですか。
  89. 藤井直樹

    ○藤井説明員 先ほどちょっと御説明申し上げました人員につきましては、実際に許可制の運用の内容いかんになるかと考えるのです。それがはたして、どの県でどの程度のことが行なわれるかということになりますと、その地域、それからそれに対応する許可に出てまいります件数その他については、現在のところ非常に予測困難、場合によっては相当大きな人数が必要になるかもわかりません。一応いまのところ、届け出監督制等については、条例等も各県で設けられております。そういう運用状況について二、三感じを申し上げたわけですけれども、一にかかって、これからの土地規制の実態がどうなっていくかということにかかっていくかと思います。
  90. 和田貞夫

    和田(貞)委員 この物価対策でのGメンも、あなたのほうで考えられたような構想じゃ、去年の暮れからこの春にかけてとてもできなかった、こういうことで陣容も強化したくらいでありますが、それどころの騒ぎじゃないんですよ、これは。  それじゃ、この法を実施するにあたって、自治体では、それが機関委任事務として義務づけられるのか、あるいは団体委任事務として義務づけられるのか、その点はどっちですか。
  91. 藤井直樹

    ○藤井説明員 この法案におきます地方公共団体の事務といたしましては、土地利用基本計画の作成、規制区域の指定、それから土地売買等の規制、それから遊休土地に関する土地規制等がございますが、これらにつきましては、機関委任事務として考えております。それから都道府県の国土利用計画、市町村の国土利用計画につきましては、これは地方公共団体の事務というふうに見ております。
  92. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そうすると、いずれにいたしましても、人件費を含めて財政的な措置というものはなされるわけですね。
  93. 藤井直樹

    ○藤井説明員 この機関委任事務に関しまして財源措置をどうするかということは、その業務の内容等によるわけでございまして、それぞれ他の例等を見ましても、取り扱いにつきましては、補助金を出しているものもありますし、地方交付税の措置となっているものもございます。また、地方債の措置がとられているものもございますが、この法案におきましては、四十九年度予算におきまして、土地規制事務の経費、それから土地利用基本計画の策定に関するものにつきまして、八億五千万の予算を計上いたしております。
  94. 和田貞夫

    和田(貞)委員 政府案によるところの国土総合開発法では、これはもう要らないわけですが、財政上の措置、あるいは国の負担または補助の割合の特例、地方債についての配慮、資金の確保、国の普通財産の譲渡、課税の特例、こういうように多岐にわたって、開発部面については、非常に微に入り細にわたって財政的な措置、援助、補助、資金の確保というものが明文化されておったのですが、今度の利用法では、それがないわけなんですね。これは両大臣、どうですか。開発部面については、これだけの力こぶを入れて、そして何とか財政的な面について、自治体に迷惑をかけないというように力こぶを入れておられたのが、今度の土地規制あるいは地価抑制、これにあたっては、非常にすげない態度ではないかと思うのですが、この機会に、国の自治体に対する財政措置、財政援助、それらのことをどの程度まで考えておられるのか、ひとつお聞かせ願いたい。
  95. 内田常雄

    内田国務大臣 この法律に基づく地方の業務は、仰せのことばにもありましたように、機関委任事務もございましょうし、また公共団体の固有事務になるものもあるようでございますが、いずれにいたしましても、今度四党で起草されました新しい国土利用計画法におきましては、第四十条というのが置かれまして、これは「経費の補助」と書いてありますが、「国は、予算の範囲内で、政令で定めるところにより、土地利用基本計画の作成に要する経費その他のこの法律の施行に要する経費の一部を補助する。」、こういう規定がございますので、四十八年度におきましては、かりに前の国総法が政府提案として国会で御可決をいただきましても、それが施行されるのは、ことしのかなりおそい時期になることを想定いたさざるを得なかったし、またこの四党の委員長提出の法律によりましても、この法律の施行が、法律公布後六カ月以内に政令で定める、こういうことになっておりますので、いろいろの実体的な政令その他の準備を考えてみますと、法律公布後六カ月のぎりぎりぐらいまではいろいろな準備段階がある、こういうことになるわけでございますので、四十九年度におきましては、公共団体等に対する国の補助金は、政府委員から先ほど述べられましたように、補助金としては八億五千万円、それとはまた別に公共用地の先行取得などのための地方債というようなものを、五百十二億円を想定いたしまして、この地方債については、それだけの幅を予定いたし、また、これに対しては、一部の利子補給までもするような体制をとっております。  ところが、先般、国土利用計画法案建設委員会における御可決の際に、委員長からこの件につきましてお尋ねがございました。趣旨は、和田さんのただいまおっしゃる趣旨と同じような意味を持つものだろうと考えるわけでありますけれども委員長の御趣旨では、これは委員会の御意見として読み上げられましたが、「本法案の施行に伴う地方公共団体の事務及び事業の増大に対処するとともに遊休土地有効利用を促進するため、行財政上具体的な措置を講ずるよう一層の努力をすること。」、こういう御見解、御要望の表明がございました。それに対しまして私から、右の御趣旨については、昭和四十九年度は、先ほど申し述べましたような金額であるが、これが通年施行になります五十年になりますと、とうていその程度の経費でまかなわれないことは当然でございましょうし、また、公共団体の公共用地の取得のための資金をでき得る限り準備しないことには、規制を受ける土地所有者の買い取り請求とか、あるいはまた買い取りの協議などに公共団体が応ずる際に、資金上の梗塞を来たすことも当然考えられますので、四十九年度に引き続いて昭和五十年度以降においては、御趣旨により、これらの行政上、財政上の措置についても十分拡充することにつとめてまいる、実はこういうことを述べておきました。その趣旨によりまして、これはいま申しますように、実際に通年経費が要りますのは来年度の予算、こういうことになりましょうから、来年度予算編成期になります本年の暮れ、ちょうど実体法が動き出しますころの状況によりまして、遺憾ないような措置を準備してまいりたい、かように思っております。
  96. 和田貞夫

    和田(貞)委員 要望決議だとか附帯決議というのは、ややもいたしますと形式的になってしまって、あまり拘束力を受けておらないように思われて、なかなかやってくれないんですよ。附帯決議というのを何ぼつけたところで、意見として聞き及ぶということで、法文化しておるのと附帯決議では、おのずから性質が違う。ややもいたしますと軽視されがちです。今回の場合は、これは政府提案じゃなくて議員立法でありますから、いま言われたように、四十条の法文しかありません。「土地利用基本計画の作成に要する経費」、これよりもむしろそのあとにうたわれておる「その他のこの法律の施行に要する経費」、これがたいへんなことなんです。それを一部補助するなり、あるいは地方債を五百十二億ほど用意しておる。地方債というのは借金ですから、返していかなければならぬ。先ほど言いましたように、政府提案の新国土総合開発法によりましたならば、特定総合開発計画に基づく事業を実施するについては、政府みずからが、国みずからが必要な資金の確保につとめなければならないという強い条文がうたわれておるわけですね。だから、地方債を用意しておるから、借金の能力のあるところは、これだけ用意してあるから貸してやるぞというようなことじゃなくて、財政能力のない自治体に対しましても、政府みずからが財政援助する、政府資金を貸すのじゃなくて、財政援助するということでなければ、とうてい及びもつかない結果になってしまうのじゃないか。  先ほど長官が言われたように、規制区域の買い取り請求があった地主、あるいはもっと大きく大企業が買い占めておる遊休地、この遊休地国民に開放していかなければならぬのですから、これを住宅建設用地として国民に返していかなければならぬのですから、それに要するところの買い取り資金というものは、四百億や五百億ではこと足らない、たいへんなことなんです。そのようなところまで力こぶを入れて資金確保にこれつとめるというような考え方でなければ、この法律ができましても、この法律が寝てしまうということになるわけですから、そういうような強い決意であるということを、この機会に、おありであればひとつお聞かせ願いたい。
  97. 内田常雄

    内田国務大臣 和田さんのような気持ちでおるわけでございます。土地の買い取り資金というものは、土地を受け入れる対価でありますので、これは、私、起債の方式とかあるいはまた利子補給というような方式がよかろうと思うわけでありまして、府県であれ、市町村であれ、土地を財産として受け入れるその対価を、国から補助の形で全部持ち出すことはいかがかと思われます。それは地方債の幅を、特定目的に沿うようにして、今年度の五百十二億というようなことに限らず、ふやしていく必要もあろうかと思います。  なお今度は、事務や人件費等の補助等につきましては、私の考えるところでは、それぞれの事務、事業に要する経費の補助であることもあるし、あるいは地方公共団体の一般的な財源を豊富にするというような方法もございましょうから、それは交付税、あるいは交付税であるばかりでなしに、特定の財源を与えるというようなこともございましょうし、いろいろの面から、実態に適するような形で、地方公共団体が、実体法の運営上そごを来たさないようにいたしたいと思っております。
  98. 和田貞夫

    和田(貞)委員 スムーズに処理ができるように、法の運営ができるように、万全の財政措置の用意があるということですね。
  99. 内田常雄

    内田国務大臣 そういうことです。
  100. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは、この法の施行にあたって、いま自治体が一番頭を痛めておるところであります。特に大都市圏の府県では、心配するところが大きいわけですから、画一的な補助のやり方あるいは画一的な起債のつけ方じゃなくて、適合した財政措置というものを講じていただきたいということを、ひとつつけ加えておきたいと思うのです。  それから、政府提案の国総法では、開発主体になっておったわけでありますから、かりに開発計画に府県の知事が応じなかった場合に、総理大臣が指示権を持つ、こういう内容でありましたが、今度は逆に土地規制国土利用法ということになりまして、何とか住民の要望にこたえていくために極力規制の範囲を広げよう、こういう考え方が各県の知事におありです。  今度は逆に、そんな広範囲にわたって規制区域、にしてもらっては困るというようなことで、総理大臣の指示権が府県の知事の行政権に介入して規制区域を縮めていこう、そういうようなために、指示権を乱用するというようなことはないでしょうね。
  101. 内田常雄

    内田国務大臣 起草に当たられました四党の間でも、その辺が一つの大きな検討の中心課題であったようでございますが、でき上がりました四党の成案におきましては、指定を積極的にする場合も、また指定をした区域を縮める場合も、双方を取り入れて、一定の手続を経た上で地方公共団体と事前の打ち合わせをいたしたり、あるいはまた土地利用審査会というような公の審査会の確認などを得るような手続をも添えながら、地方の発意を十分生かしながら、一方においては、全国的に均衡のとれた措置総理大臣が最小限度指示をする。それも頭から指示するんじゃなしに、いま申しますように、一定の期間を置いて打ち合わせ、納得の期間を置いて指示をする、こういうようなことになったわけでございまして、私ども政府がどうのこうのといいますよりも、各党の間で、この点はいろいろな面から検討をされた結果、ああいう条項になったわけだと思いますので、政府がこれを執行いたします場合には、その法律の条文の趣旨を十分生かすようにつとめてまいる考えでございます。
  102. 和田貞夫

    和田(貞)委員 具体的に申し上げますと、ある県で開発の途上にある地域、これは、もうこの限りで、これ以上に開発されては困るということで、開発途上の地域規制区域にする、こういうように知事が考えた。それに対して何ものかの圧力があって、それはいけない、それは規制区域から除外せいというようなことで、開発に拍車をかけるというような、自治体の知事の考え方に相反した、しかも、そういうことによって住民が、この法の施行にあたって、むしろ逆に心配をするような指示権というものを行使するというようなことはないでしょうね。
  103. 内田常雄

    内田国務大臣 それは、ないことに私どもは進めるつもりでございます。  なお、その点につきましても、衆議院建設委員長から、四党を代表しての御発言がございました。これは、かなり詳しい、長い文言になっておりまして、前段のほうは、主務大臣である内閣総理大臣の指示権、代行権について、「地方自治の本旨に則り、地方公共団体の長の権限を最大限に尊重するものとし、その行使は、事前に地方公共団体の長に対して適切な指導を行い、正当な理由なく一定期日を起えて地方公共団体の長が適切な措置を講じないときに限るものとする」、こういう発言をされております。それに対して、私から政府を代表して、この指示権、代行権については、御趣旨のように、地方自治の本旨にのっとって運用すべきものとする、こういうことを明確にお答えをいたしておきましたのも、いま和田さんと私の問答の趣旨でございますので、そのまま御理解をいただきたいと思います。
  104. 和田貞夫

    和田(貞)委員 念のために、くどいようですが、知事が規制区域を策定した、そのことに対して総理大臣の指示権、代行権を発動する、この場合に、地方自治の本旨にのっとり、地方自治の本旨に基づきということでありますから、よほどの理由がない限り、そのようなことはしない。いわば地方自治の本旨に基づくわけでありますから、代行権や指示権というものは、これは明文化されておるけれども、むしろ空文にひとしいものだというように受けとめておきたいと思うのですが、それでもいいですか。
  105. 内田常雄

    内田国務大臣 成文化されているが、空文にひとしいものだとお受け取りになっては困るわけでありまして、その執行権を持たれるところの地方公共団体の長が、なすべきことを正当な事由がなくして怠ったり、また、総理大臣と事前の打ち合わせを遂げた上で、一定の期間に理由なくして打ち合わせ事項を執行しないような場合には、それは指示権の発動というものもあり得ることを頭に置かれて、国民大衆のために、また地域の利益のために、知事が良識をもって執行に当たられることをこの条文のとおり期待をする、こういうふうにやるべきじゃないでしょうか。空文だということを申すことは、せっかく国会皆さま方が立法されたものでございますから、私どもは、成文どおり忠実に読みながら忠実に執行する、こういうことでまいりたいと思います。
  106. 和田貞夫

    和田(貞)委員 空文にひとしいというよりも、空文に近いものだ。「ひとしい」でなくて、「近い」だ。それほど地方自治の本旨というものは生かしてもらいたい。そうむやみやたらに指示権や代行権というものを乱用してもらったら困る。そのことをひとつ言うておきたいと思います。  時間もありませんので、締めくくりたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、この法の実施にあたりまして、いま自治体のほうでは、規制区域をどういうように線引きしようかということに非常に頭を痛めている。これは、たいへんな作業量です。あるいはどういう基準価格にするかということについての作業も、これからたいへんなことです。あるいはどれを遊休土地に認定していくかということについても、たいへんなことです。あるいは将来にわたって買い取りにあたっての事務的な作業もたいへんなことです。これに要するところの陣容というものは、先ほども申し上げましたように、大阪でも最低三百人から最高五百人ぐらいの陣容が必要であるということで、どうしようかということで非常に頭を悩ましておるわけです。  したがいまして、このような人件費に対する財政措置等を含めて、この法が完全に地価の騰貴を防止する、あるいは土地規制のためのきめ手になる法律として運用してもらうためには、よほどの財政的な援助措置というものが必要であろうと思いますので、これらにつきましては、長官のほうから答弁があったわけでございますが、ひとつ万全の対策を講じていただきたいものだということを、つけ加えて申しておきたいと思うのです。  そこで、私は、この機会に、この法の施行にあたって、ひとつ大蔵省のほうにお聞きしたいわけですが、従来からもそうでありますが、地価が高騰していくというのは、もちろん、先ほども言いましたように、大企業の土地の買い占めで土地が少なくなっていくために、需要と供給とのバランスがとれないようになってくる、だから、土地が上がっていくのだということもありますし、それから元来、土地が上がっていくという中に大きなウエートを占めておるのは、公共事業を進めていく、特に道路建設していく、あるいは住宅公団や県営住宅が団地として造成していく、そのために、その用地として提供する土地所有者については、その当時の地価で売却するわけですから、安い価格で公共用地に取得されていく。それとは逆に、その公共事業が進められることによって、残部の土地所有者は、その影響を受けて非常に地価が高騰していく、そのために、土地の売却によってかなりの差益を得るという土地成金といいますか、土地の売却によって、不当な利益を受けるというものとがあるわけなんですが、少なくとも公共事業によって、地価の高騰がなされた、地価の高騰があった、そのことによって土地を売却して得た差益というものは、これは当然の姿として、税の措置としてその差益金を徴収するという姿が好ましいのじゃないか、こういうように思うのですが、そのことについての大蔵省の考え方をひとつお聞かせ願いたい。
  107. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 ただいまの御意見で、公共事業の施行に伴って土地が値上がりする、その自然の値上がりと、その公共事業の影響による値上がり分とを区別して、その公共事業の影響による値上がり分については、課税を行なうべきだというお考え、あるいは御意見については、われわれとしても十分わかります。  その点につきましては、実はすでに昭和四十四年のときに、政府の税制調査会においても、その点がある程度具体的に検討されております。その結果によりますと、やはり一番むずかしいのは、実際上——考え方としては、私はあると思います。執行の問題として、一体、公共事業とその値上がり益の関係をどのようにつかまえるか、あるいはその範囲をどのように考えたらいいか、あるいは自然の値上がりとの区別をどうするかというようなこと、あるいはさらに実現した場合だけ課税をするか、それではまた、この税としての意味が非常に薄くなるのじゃないか、未実現益に課税するということは、現在、世界的にもあまり行なわれておりませんから、非常にむずかしい問題だということ、実際にこういう難点をすべて解決していくには、地域の住民と一つの協議方式みたいなものをとって、税を賦課していくという考え方が当時出されております。しかし、それも実際上、税としてはいままで例を見ない、そこまでいくことは、むずかしいのではないかということで、基本的なお考えとしては、重々わかりながら、やはり現在の段階では、受益者負担方式、むしろ、そちらの方向へ進んでいただくのがいいのじゃないだろうかというのが、当時の税制調査会の意見として出されております。  私ども、現在やはりそのように考えておりまして、お考えとしては、十分わかりながら、これを実行することは、きわめて困難ではないかと考えております。
  108. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは、いまも申し上げましたように、そのままに放置しておるから、やはり土地を提供する側に立ってみたら、ばかばかしくて提供することをちゅうちょするという面もあるわけなんです。だから、そのことを促進するためにも、結果的に、残った土地でも、公共事業に提供したものについても、同じことなんだということであれば、公共事業によるところの土地の取得というのを、もっと安易にできる道にも私はなっていくと思うのです。やはり土地が高騰したからということで、税をかけていくということを、私は言うておるのではなくて、公共事業を進めたことによって残部の土地が高騰して、その土地を売却することによって、公共事業が行なわれる以前の価格よりもはね上がって、その差益を利益として得る、その部分については、これは私、極端な言い方ですが、全額これに税を課していくというようなことを考える必要があるのではないか。これは私、当然の姿であると思う。そのような措置を、税の面で検討課題にのぼせていただきたいものだというように思うのですが、そういうお考え方に立ってもらえるかどうか。
  109. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 開発利益の吸収問題というのは、土地に関する税としては、やはり主要な一つの項目としてわれわれとしては常時考えさせていただいております。今後ともその点につきまして、ただいまきわめて困難と申し上げましたが、検討は十分続けてまいりたいと考えております。
  110. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは、一定の地域を、土地所有者がお互いにその土地を出し合って、たとえば区画整理方式というようなことで、一様に土地の値打ちを自分たちの負担によってつけていく、これであれば、そういう必要性がないわけですね、お互いに負担をし合っておるんですから。しかし、少なくとも公共事業は、これは税金を使っておるのですから、税金を使って公共事業をやって、そして不当な利益を得る、売却によって不当な差益を得る、これは地価が自然に上がったのじゃないわけですから、当然の姿として税によってその差益を徴収する、こういうことは、ぜひとも私は必要であろう、今後の公共事業を進めるにあたっても必要な措置ではなかろうか、こういうように思いますので、いつまでも検討課題にするのではなくて、一日も早くこれを実施するように踏み切っていただくという前提に立って、さらに検討していただきたい、こういうようにつけ加えておきたいと思うわけであります。  最後に、この設置法がどういう形で成立するかわかりませんが、ひとつ、先ほども申し上げましたように、開発主体とした行政庁にならないように、国民期待する土地規制地価の抑制というものにこたえる行政庁であってほしい、こういうように思いますし、また総理の指示権や代行権、これが地方自治の本旨にそむかないような形で、この法の運営に当たってもらいたいと思いますし、また、近く成立する国土利用計画法は、完全に地価の抑制、騰貴を防止するきめ手になるように、法の運営にあたってこれに対処していただく、国民期待にこたえる行政庁として発足をしてほしいということを強く要望いたしまして、私の質問を、この辺で終わらせていただきたいと思います。
  111. 徳安實藏

    徳安委員長 中路雅弘君。
  112. 中路雅弘

    ○中路委員 二時の本会議までに終わりたいと思っていましたが、少し時間がずれておりますので、若干本会後にまたがるかもしれませんが、私は、この法案に主として即してだけ、幾つか御質問したいと思います。  この国土総合開発庁設置法の提案理由の説明の中に、最初に、「人口産業の急激な都市への集中の結果、過密過疎問題が発生し、また、環境の悪化、交通難、住宅難、地価高騰等のひずみが深刻化」したということですね。そして、「これらの諸問題を早急に解決しなければならない」ということが書かれてあるわけですが、この中でも、いま読みましたところでも、いままで政府がやってきた国土政策がうまくいっていない、ある意味では破綻をしているということを認められているわけですが、どこにこの問題が、行き詰まりといいますか、深刻化した問題があったのかということについては、この提案理由の中では、触れられていない。国総法、今度の国土総合開発庁設置法が通れば、すぐこういう問題が解決するんだという、いわば最初のいま読みましたところを、これらの法律を通すための一つの理由づけにされているわけですが、このような深刻化した事態を生み出している原因といいますか、責任といいますか、この点について、最初簡潔にお考えをお聞きしたいと思います。
  113. 内田常雄

    内田国務大臣 今度の共産党を除く四党の新しい法律案発議趣旨説明におきましても、いま中路さんが言われたような説明がなされております。ここでは読み上げませんが、同じ趣旨を四党ともごらんになられて、それに対応する法律案として国土利用計画法案というものをつくる、こういうようなことが書いてありますので、私ども政府ばかりではなしに、自民党、社会党、公明党、民社党の諸君も同じ姿勢に立って、タイトルも違うし、中身も違いますけれども法律案を出された、こういうふうに私は考えております。  なおまた、実体的には、土地の値段が上がったり過密過疎が生じたりというようなことは、単純な一つ二つの原因ばかりでなしに、戦後の日本経済が復興したり、あるいは今日、そのことばをお好きではないようでありますけれども経済が成長をしたり、あるいは国民生活が、敗戦があったにもかかわらず、高度化をしてまいる過程における国内的、国際的な要因もございまして、土地が非常に暴騰したり、過密過疎事態が片寄ったり、このまま放置することは適当でない、ことに、公害の問題なども発生したと申しますか、その発生の状態国民的、国家的に着目、反省されるような、そういう事態が近年においてあちらこちらにびまんしてきた、こういうことであろうと私は考えます。放置できない問題だ、そういうふうに考えております。
  114. 中路雅弘

    ○中路委員 端的に言いまして、いま、いろいろおっしゃいましたけれども、いままでの、先ほどの和田議員の質問の中での問答で使われておりました生産第一主義といいますか、産業第一主義、あるいは従来の開発ですね、国土利用といいますか国土開発、こういう中に、こういう問題を生み出した一つの大きな要因があるということについては、だれしも認めるところだと思うのですが、その点はどうですか。
  115. 内田常雄

    内田国務大臣 今日の時点におきましては、私も、先ほどからことばにあらわしておりますように、生産第一主義産業第一主義というような、あるいはまた物的生産第一主義というような行き方は、国土の状況に照らしたり、また今日の国内外の事情に照らすと、反省をしなければならない時点に立っていると、私はすなおに思うものでございます。
  116. 中路雅弘

    ○中路委員 この設置法が提案されまして、国土総合開発推進本部準備室が一昨年の十二月にスタートしてからすでに五百日たつわけですが、当時の状況を見ますと、この法案の提出そのものが、当時の田中総理列島改造を具体化するための総合開発庁をつくっていく、構想からいえばそういう構想で発足されたのじゃないか。それがこの提案理由の説明の中にも出ていますし、現にこれは、四十八年の一月二十七日の七十一国会における田中総理の施政方針演説の中で、この国土総合開発庁設置法の問題、これを創設するというところは、国土総合開発という問題の中でこの理由を、設置をすることを述べられているわけですが、その後の特に地価の騰貴やこういう事態の中で、列島改造国土総合開発といわれているのが、全国的な土地の値上がりやインフレに一そう拍車をかけてきているという、これも、どなたも認められている事実だと思うのですが、そういうところから、建設委員会での論議や、いろいろ修正その他の議論が行なわれてきたと私は思うわけです。  準備室の方は、話を聞きますと、五百日から総理府の地下室で、地下の講堂ですか、仕事をやっておられるというので、たいへんだと思いますが、そういう事態の中で、この法案が、国土総合開発法の提出に伴って、これを所管する官庁として新設された、いわば、これとの関連で出された法案であるということは、総理の施政方針演説や、この提案理由の説明を見ても、経過から見ても明らかだと私は思うんですが、この国土総合開発法との関連法案として出された法案である、この点は間違いありませんね。
  117. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 御指摘のとおりの関係だったと思います。
  118. 中路雅弘

    ○中路委員 そうだとしますと、最初出された国土総合開発法というのは、これはどういうことになるのですか。いずれにしても、これは廃案といいますか、それにかわる衣がえをした別の法案が、四党の委員長提案でいま審議をされているわけですから、この国土総合開発法の提出と関連して出されたこの設置法は、撤回をされるのが一応筋ではないか、法案の提出の筋からいえば、方向としては、というふうに考えるのですが、最初にその点について、大臣のひとつお考えを聞きたい。
  119. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 確かに、関連は先ほどお答え申し上げたとおりだと思いますが、しかし、その後、国土利用計画法がきまりまして、結局これは、現在の物価問題やあるいはまた国内に起こっております過疎過密の問題や、すべてをずっと一番基礎的に考えた場合には、この土地の問題、地価の問題、こうしたことが非常に大きな問題であるということがあらためて指摘されて、そして、もちろん国土開発ということも重要であることは、過疎過密考える場合には、一日もゆるがせにできないことではありますけれども、そうした議論をやる前に、何としてもこの土地の問題を早く解決する、あるいは安定をさせるということのほうが、より重要であるという利用計画法のような新しい発想の転換が行なわれたわけであります。  同時に、この国土総合開発をいたす場合にも、やはり従来のようなばらばら行政であっては、効果があがらないということも、だれも考えられる点でありますが、同時にまた、今日提案されておると申しますか、今日決定された国土利用計画、この問題をとらえてみましても、前より以上にさらに行政力というものを一元的に集約して、そして土地の問題に取り組む必要がある、私は、そういう意味で、この行政機構としての国土総合開発庁という考え方、これは、よしんばその内容が多少変更されたといたしましても、今日、国土利用計画法を実践するためには、同じようなシステムで行政をつかさどるほうがいいのではないかというような考え方でございまして、同時に、すでに提案をされております国土総合開発庁設置法案なるものも御審議をいただきながら、基本的には行政能力を一元化していくということでありますが、さらにこの運営等につきましても、十分国会の御意見を承って、運用に万遺憾なきを期していきたい、そのような考えでおります。
  120. 中路雅弘

    ○中路委員 そうしますと、たとえばこの法案の三条に任務があり、「国土総合開発に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」と書かれていますし、これと関連して提案理由の説明の中では、「現在、開発行政を所管し、開発行政に関係する省庁は、きわめて多岐にわたっております。これは、開発行政が内政全般に及ぶきわめて広範な政策分野であることを物語っているわけであります。」というふうに述べ、そして、「新たに国土総合開発に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする国土総合開発庁」を設置するという説明になっているわけです。少なくとも、設置法の三条の任務や提案理由の説明からは、明らかに、従来の一連の国土政策を引き継いだ国土総合開発計画を、さらに効率的に一本化して推進するための機構上の保証としてこの開発庁をつくるのだということが読み取れるわけです。  いまの御説明ですと、このところは、いずれにしても、いまお話しされた御意見との関係では、内容上問題が出てくるというように私は考えるのです。今後この設置法を進められる中で、機構の運営をどのようにお考えなのか、その点について、もう一度お伺いしたいと思います。
  121. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 先ほど来、お答え申し上げておりますとおり、やはりもう一回、土地問題について総合的に、徹底的に見直すということが、国土総合開発庁の最も重要な任務であるというふうに私は思います。  したがいまして、三条の場合にも、総合的な行政について、土地行政を含めて総合的に推進するという字句を、当然考えてしかるべきであるし、あるいはさらに、これをもっと強く打ち出していただいてもいいというふうに思います。ただ、開発ということばにとらわれますと、非常に従来の行きがかりもございますが、しかし、私が先ほど来申し上げておるとおり、過疎過密問題というのは、見方によれば開発ということばでも表現できる面がたくさんあるわけでございまして、そうした意味合いも含めて、同時にまた、今後の運営は地方自治体のイニシアチブというものを、大いに尊重していくというたてまえで運用してまいりたいと考えております。  したがいまして、この設置法そのものの字句については、別にこだわるつもりはございません。その精神が生かされればいいというふうに私は理解します。
  122. 中路雅弘

    ○中路委員 それでは、もう少しいまの問題と関連して、具体的にお聞きしていきたいのです。  この設置法を出されている国土総合開発庁、まあ、いまのお話ですと名称も変わるかもしれませんが、所掌事務、権限、具体的な構想、こういった点について、第四条等で相当長く書かれていますけれども総合開発庁の所掌事務については、これ一つずつやってもたいへんですから、簡潔に要約して、どういうお仕事をやられることになるのか。また、ここで書かれている中で、特にいまの御趣旨からいえば、こういう点は検討をし直さなければいけないというのか、所掌事務としては、大体これに変わりはないというお考えなのか、その点もお聞きしたいと思います。
  123. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 基本的には、開発という問題よりもむしろ地価の安定、土地利用、そうしたことについての安定を目ざすということが、この国土開発庁の一番の中心的な課題であるということが一つでございます。  それから、さらに災害対策。先般も伊豆に地震がございましたが、こうした災害対策につきましても、さらに徹底して責任をもってこれを遂行していくということも、国土開発庁の一つのファンクションに入れたらどうか。  あるいはまた総合交通対策。これはコミュニケーション、そうした機能も含めて、土地利用そのものについても、価値を高めていくというような施策も必要だと思います。  さらにまた、先ほども和田委員にお答え申し上げましたが、水資源という問題についても、これが非常にばらばらな行政機構の中にあるわけでございまして、水の問題は、国民生活にとっても、きわめて重要であることは、もう申すまでもないので、これを一元的に、この開発庁において処理をしていくということも、重要なファンクションになると思います。  なお、大都市圏の首都圏、近畿圏中部圏等の総合あるいは過疎対策としての地方振興、これもまた、たいへんばらばらに各省の権限に所属しているものが多いわけでございますが、それらも一つにまとめた形で、国土総合開発庁の行政守備範囲としていくというようなことが考えられるわけでございます。
  124. 中路雅弘

    ○中路委員 この第四条の中の幾つかを取り上げて、いま御説明いただいたのですが、もう一度確認しますけれども、第四条全体を見ますと、一つは、これまで経済企画庁あるいは建設省、自治省などに分かれていた国土総合開発計画の作成、あるいは大規模開発事業の調整やそういった問題、それから道路や治山治水、港湾、空港などの長期計画、いまお話しのように三大都市圏整備計画、琵琶湖総合開発計画などの地方ブロックの開発計画、離島、豪雪地域振興計画、こういうものの立案、推進、これを一本化していくということが、この条文の中では流れているわけですが、いま私がお話ししたこういう点については、全く変わらないということは間違いありませんか。
  125. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま御指摘のとおりでございます。
  126. 中路雅弘

    ○中路委員 この所掌事務、権限に関して、いまと関連してもう少し具体的に、法律についてここへあげられていますが、「次に掲げる法律に基づく内閣総理大臣の権限に属する事項について内閣総理大臣を補佐する」ということで、ここでは三十五本出ていますが、その後、昨年から一年たっていますから、これ以外に、国土利用計画法が通れば、当然これも入ると思いますけれども、それ以外にありますか、扱う法律が。
  127. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 この法律を御提案申し上げた後に、すでに成立した法律が二つございます。一つは、水源地域対策特別措置法、もう一つは、活動火山周辺の避難施設等の整備に関する法律の二本でございます。それから、いま先生御指摘ございましたように、国土利用計画法案が、現在御審議中でございますが、その附則におきまして、国土利用計画法について内閣総理大臣の権限を、国土総合開発長官が補佐するようになっています。それと同時に、地域振興整備公団、先般の衆議院の建設委員会で御可決いただきまして、本日の本会議にかかる予定でございますが、それにつきましても、国土総合開発長官が、内閣総理大臣の権限を補佐するというふうになっておるわけでございます。以上、四本でございます。
  128. 中路雅弘

    ○中路委員 そうしますと、ここに出ている三十五本に活動火山の周辺整備だとかあるいは水源地域の対策措置、それから法案が通れば国土利用計画地域振興整備公団、これを含めまして、三十九本があげられることになる。間違いありませんね。  そうしますと、このあげられている中で、たとえば第一番目に出ている現行の国土総合開発法、あるいは新産業都市建設促進法、工業整備特別地域整備促進法、こういった、いままで国土開発に活用されてきた開発法律、あるいはこれに基づいた諸計画というのは、この法案が提出されたときと同じように、名称は変わっても、当然この官庁が扱うことになるし、それに国土利用計画法が、いわばこの官庁で一体になって結びつけられるといいますか、一諸に扱われるというふうに理解をして間違いありませんか。
  129. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 所管の問題につきましては、先生御指摘のとおりでございます。  ただ、国土利用計画法は、先ほど来、経済企画庁長官からも、総務長官からもお話し申し上げておりますように、国土の適正な利用をはかり、現下の緊急な土地問題に対処しようとするものでありまして、開発法ではないわけでございます。むしろ、この国土利用計画法で示された長期的なあるべき国土利用の展望、すなわち土地私権の制約を踏まえました、環境の保全を踏まえました長期的なフレームがおそらく設定されると思いますが、それを踏まえて、開発行政がそれにチェックをされて進むということで、同一官庁が所掌することによって、開発行政というものも、より的確に適正に行なわれるようになるのではないかと考えておるわけでございます。
  130. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほど、土地問題あるいは水資源問題、こういった点を非常に前面に出して強調されているわけですけれども、少なくとも、いま出されている設置法では、提案理由の説明でも、土地問題あるいは長期的な水需要に関する政策を、総合的に企画立案するということも書かれているわけですが、その前提として土地問題を扱う場合も、提案理由の説明では、「さらに、国土総合開発の前提である土地問題及び長期的な水需給に関する政策を総合的に企画立案することとしております。」ということを書かれているわけで、提案理由の説明で言われている土地問題、水資源問題というのは、これまで続けてきた総合開発計画、これを一そう促進していく前提としての土地問題というふうに書かれてあるわけです。この点は、先ほどの御説明ですと、もう一度検討されるということになるわけですか。
  131. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 現時点における国土利用計画法というものは、私は、きわめて重要な法案だと考えるわけであります。したがって、これからの日本国土考える場合に、まず国土利用計画というようなもののこうした考え方発想の上に立ってもう一回見直す必要があるということは、私は、きわめて重大だと考えております。  しかし、一方におきましては、現実になお過疎問題あり過密問題あり、その他もろもろの問題が渦巻いておるわけでございますが、少なくとも、この国土総合開発庁におきましての任務は、まずこの利用計画法に基づく土地問題の安定ということに最重点を置くということ、そして、それがある程度成功する努力をしていかなければならぬということ、そして、また同時にその成功する努力、また成功するという事態を踏まえるならば、現在行なわれている諸種の開発という問題も、おのずからその中で前進がはかられるというふうに私は思うものであります。ただ開発ということだけをとらえて、従来なされてきたことを全部白紙に戻してしまうということは、きわめて役資効果の悪いことである。しかし、考え方としては、今後はまず地価の安定ということを何としても実現していくということに最重点を置いていきたい、そのように考えております。
  132. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほどの御説明にもありましたし、私が聞いてまいりました所掌事務、権限あるいは扱う法律を見ましても、いまも白紙に戻すわけではないというお話もございましたが、いままでの開発関係の法律、諸計画と、成立しましたら今度の国土利用計画法、こういったものが一体になって扱われる、そういう所管であることは間違いないと思うのです。  この点で、建設委員会で国土利用計画法が可決されたときに、朝日新聞でしたか、木村委員長が述べられた談話の中で、これで列島改造の土台ができたんだ、これから与野党歩調を合わせて、列島改造をやろうということだという趣旨のことも話しておられますが、この名称がどう変わりますか、若干、目的等で文言の修正が行なわれるにしても、扱う法律、そして構想、これは、いまお聞きしましたところでも、変わりがないわけですから、木村さんがおっしゃったような事態にならざるを得ないんじゃないかというふうにも私は感ずるわけです。  もう少し具体的にお聞きしますと、たとえば大規模な開発計画で、むつ小川原のいまの計画ですね、これは今度、いずれにしてもこの官庁ができ、そしていろいろ調整、検討もされるわけですが、その場合に、現在すでに計画されている、たとえばむつ小川原の計画、こういった計画については一度計画を根本的に再検討する、あるいは一時ストップして検討し直す、そういうことになりますか。
  133. 藤井直樹

    ○藤井説明員 むつ小川原地域開発につきましては、四十八年に閣議了解をいたしまして、青森県のほうから出てまいりました第一次基本計画につきまして、政府の方針を示しております。その内容におきましては、第一次基本計画内容の工業開発の規模その他につきましては、これから環境面、それから用水の面、用地の面、こういうものについて、十分検討を行なった上でこれをきめていくということ、それから住民対策その他につきまして、十分な配慮をしてほしいというような条件をつけまして、この計画の取り扱いをきめておるわけでございます。  現在、用地の交渉について地元の住民と交渉を行なっておるところでございますが、いずれにいたしましても、その前提となります環境アセスメントその他について十分な調査をして、それで十分な工業開発として、公害のないそういうものができるという前提が明らかになったときに、それを実行に移してまいりたい、そういうようなことで現在事務を進めておる状況でございます。
  134. 中路雅弘

    ○中路委員 一つ一つ、いまその計画内容について、私は、時間もあれですから、詳しくお聞きしているのではなくて、先ほど長官の説明の趣旨からいって、いままでのそういう大規模な総合開発計画を、これからも一応いままでの計画どおり進められるのか。この論議の時点、あるいはこの所管の官庁は——今後はこういうことを主体にやりたいというお話ですから、それと関連して聞いているのですが、そうだとすれば、いままでのそういう巨大な開発計画については、もう一度根本的に再検討されていくのかということで、一つあげてお聞きしているのですが、それでは、たとえば鹿児島の志布志湾の計画、これについてはどうですか。
  135. 藤井直樹

    ○藤井説明員 志布志湾につきましては、四十六年に鹿児島県が一つの案を出したわけです。いわゆる新大隅開発計画と称するものでございますが、これに対しまして、地元にいろいろ意見が出ておるということで、現在その意見について、地元の意見を聞きながら調整をしておる段階でございます。もっぱら現在、鹿児島県で作業しているということになります。  それから、大規模な工業基地全般の問題につきましては、現在、新全総計画の総点検の項目の中に、工業問題というものを一つの項目として置きまして、四十四年の新全総制定以来の環境問題の激化、そういうものを背景といたしまして、見直し作業をいたしているところでございます。さらに、それを踏まえまして、五十年中には、五十一年度に始まる新全国計画というものをつくりたい、こういうように考えておりまして、そういうような作業の中で十分その工業基地の開発問題については意見を聞き、検討していきたいと考えております。
  136. 中路雅弘

    ○中路委員 いままでの開発計画の推進の中で、公害だけではなくて、土地問題その他非常に深刻な事態が実は出てきているということは、この提案理由の説明でもお認めになっているわけですから、その点で私は、先ほどからの長官趣旨を生かしていくとすれば、これまでのこれらの巨大開発計画については、この時点でもう一度根本的に再検討をし直すということが当然ではないかということから、幾つか例をあげているわけですけれども、いまむつ小川原、志布志湾、それからたとえば北海道の苫小牧の東部の計画もあります。それから、この法案の中でも出ておりますけれども、筑波研究学園都市の建設の問題あるいはその他の長期計画、総合計画ひっくるめて、こういう問題について、こういう進行中の開発計画について、全体として再検討するという点については、大臣のほうの御意見はどうですか。
  137. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 いま再検討と申しましても、決定案を再検討する場合と、現在進行中の検討を、さらにいろいろな面から、この新しい国土利用法に基づく精神でもう一回見直していくということは、それは、まだ決定されたプロジェクトではないわけでありますから、今後の検討の中には、おのずから新しい考え方のもとに立っての検討が加えられても、当然だと考えております。
  138. 中路雅弘

    ○中路委員 たとえば、開発計画だけではなくて、この中にもありますが、相当大規模な公共事業計画、新幹線計画、いままでですと、たしか一九八五年までの七千キロメートルを目標にした新幹線計画あるいは高速自動車の国道計画、こういう点についても、やはりこの所管の官庁が企画調整ということも出ているわけですけれども、そういう立場から根本的に検討される、あるいは見直されるということに当然しなければいけないと私は思うのですが、その点についてもどういうことにされるのか、御意見をお伺いしたいと思います。
  139. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま打ち出されておりますいろいろな開発、大型プロジェクトと称するものは、まだアイデアの段階でありまして、したがって、アイデアの段階でありますから、すぐこれが行政的にどうというようなことには、まだほど遠いと私は思います。しかし、基本的に国民がしあわせだと思うような環境づくりというものが、単に高速道路であるとか、鉄道であるとか、あるいはまた工場の誘致であるとかいうことだけに限定して考えるという発想から、いまわれわれが立てていることは、国土利用計画法精神にもありますように、もっと他のものへの活用、またあるいは、言うならば地方都市等においても、文化都市をつくっていくということも、いままでは、これは経済的にとてもだめなんだというふうに考えられておったものが、日本経済が非常に発展しました結果、文化都市としても、あるいは文化的な問題をとらえても、地方都市は生きていけるのだというような段階になってきているわけでございまして、このような日本の社会の発展に応じて、われわれは慎重に今後の日本国土開発と申しますか、発展と申しますか、あるいはまた国土の保全と申しますか、そうした面を、公害問題も含めて慎重に見直して、国民の喜ぶ方向を求めていくという姿勢で貫いていけばいいのではないかと思います。
  140. 中路雅弘

    ○中路委員 まだ若干質問を続けたいものですから、この区切りで、本会議後にしたいと思います。
  141. 徳安實藏

    徳安委員長 この際、暫時休憩いたします。  本会議散会後委員会を再開いたします。    午後一時五十七分休憩      ————◇—————    午後四時十五分開議
  142. 徳安實藏

    徳安委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出、第七十一回国会閣法第二三号、国土総合開発庁設置法案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中路雅弘君。
  143. 中路雅弘

    ○中路委員 あと若干続けたいと思うのですが、本会議前に質問で確認しましたけれども国土利用法案に変わった関連で、名称やあるいは表現で改められるところがあっても、この構想について、所管する官庁として、その所掌事務や権限については変わらないという御答弁を、先ほどされているわけですし、簡潔に言えば、これまでの国土開発に活用されてきた現行総合開発法をはじめとした諸法あるいは諸計画、これと今度の国土利用計画法が結びつけられて、一体になってこの官庁で推進されるということだと思うのです。  国土利用計画法について、私は、ここで論議するつもりはありませんが、国土利用計画の中で全国計画というのがあります。あの法案を見ますと、全国計画の具体的な内容については触れておられない。政府に一任されている形になっているわけですが、これが通れば、この国土利用計画法の中にある全国計画と、すでにいままで推進してこられた新全国総合開発計画などの総合開発計画、これが一本でこの官庁で扱われるわけですけれども、この間には、推進される上で矛盾は起きませんか。
  144. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 国土利用計画法による国土利用計画、特に全国計画内容でございますけれども、政令で内容を定めることにいたしておりますが、政令で考えておる事項といたしましては、国土利用に関する基本構想、都市地域農業地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域、公共用地等の利用区分別の規模及びその配置に関する目標、それから、そういう土地利用を達成するために配意すべき環境保全に関する事項等であります。  具体的にどういうことかと申しますと、長期的な計画でございますので、わが国の資源の制約を踏まえまして、将来のあるべき土地利用構想というものを定める予定であります。この中には、現在の国総法による全国総合開発計画考えておりますような開発に関する計画部門が含まれておりませんで、土地利用の展望を示すものでございます。国土総合開発計画のほうは、この資源制約論に立ちました、あるいは環境保全の見地に立ちました将来の土地利用展望を踏まえまして、それに沿うように開発の具体的な構想を定めるということになるわけでございます。
  145. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの新全国総合開発計画ですね、これは、すでに決定して推進されてきておるわけです。しかも、その関係の法律を扱うわけですね。法律も三十数本、先ほどお尋ねしましたように、ここで所掌してやられる。それに国土利用計画法が通れば、この全国計画もこちらでやられる。それは政令できめられるから、中身はまだ白紙だと  いうことですが、これは推進されていくわけですから、当然この全国計画に、いままでの新全国総合開発計画などの開発計画中身が、関連していろいろな形で織り込まれることは、必至ではないかというふうに思うわけですね。この二つが全く矛盾するということになれば別ですけれども、たしか木村建設委員長も、この法案について、新全国総合開発計画と今度の全国計画に矛盾が起きるようなことはないという発言もされているわけですが、その点でも、全国計画はまだ白紙ですが、しかし、総理が閣議決定を経て定めるわけですし、都道府県の知事が定める土地利用計画も、首相の承認を必要としているわけですから、いずれにしても、新しい官庁は、目的やあるいは総合開発表現がいろいろの面で改められるということがあっても、中身において、権限も変わらない、所掌事務の法律も変わらない、そして一体となって推進をされる、特に列島改造に執念を燃やした総理がやられるということですから、この点では、この設置法の最初の構想というのが、全体としてこの官庁の扱う具体的な仕事の中で流れるというふうに私は思うわけです。  この問題と関連して一、二お聞きしておきたいのですが、昨年の十月三日ですか、経済企画庁が各都道府県知事に対して、下河辺総合開発局長の名前で、土地利用計画を作成するように要請する通達を出したという新聞記事がありますが、これは、当時の時点で考えれば当然国総法ですね。建設委員会で一応廃案になる国総法の成立を見越して出された通達であると思うのですが、法律がまだいまのような話し合いが進んでいないときです。法律の成立を待たないで出した。国総法の成立を見越した先取り的な措置だということを書いた新聞もありましたが、この通達はどういう趣旨で出されたわけですか。
  146. 藤井直樹

    ○藤井説明員 昨年の十月に、各県に利用基本計画の作成の準備という意味でお願いしたことは事実でございます。その当時、国土総合開発法を提案していたわけでございますが、これが、たまたま審議中であったわけですが、実際にそれが通った段階で、すぐに土地利用基本計画といいますと、作業が非常に複雑でございまして時間がかかる。いずれにしても、土地問題というのは、放置することがなかなか困難な情勢でございますので、都道府県のほうに事前に、土地利用基本計画をつくるということについてはどういう問題があるか、またその場合には、どういうものをつくるかということについて十分準備をしていただきたい、そういう趣旨でその通達を出したわけでございます。
  147. 中路雅弘

    ○中路委員 しかし、この通達は国総法の成立を見越して、その関連で、いまおっしゃったように準備しておかなければいけないということで出されたわけですね。私たちの党は反対しましたけれども土地利用計画法が、そのあと四党でつくられて出てきている。それと性質が違うわけですね。国総法と関連して、土地利用基本計画の準備ということで通達を出されたわけですから、その土地利用計画のもとに上がってきたいろいろな意見をもとにして検討するわけにいかない、今度の新しい法案との関係では、そういうことになるわけですね。法案の成立を待たないで内容だけを先取りする、しかも、それはすでにもう廃案になるというその法案の関連で出された。  このような措置は、非常に問題があるというふうに思うわけですけれども、今度の法案趣旨に沿った土地利用基本計画の作成についての指示なり、そういうものはあらためて出されることになるわけですか。いままでに出された通達との関係はどうなるのですか。
  148. 藤井直樹

    ○藤井説明員 今度この法案が成立いたしますれば、当然、それに従いまして新しい観点に立っての土地利用基本計画というものを作成するように依頼することになるわけでございます。その際には、いままで都道府県のほうでつくりました、また相当作業が進んだものにつきましては、当然そういう新しい方向に沿って修正をされる、それが計画として出てくるということになる、そういうふうに考えております。
  149. 中路雅弘

    ○中路委員 一言だけ大臣にお聞きしておきたいのですが、いまちょっとやりとりでお聞きになったと思いますけれども、まだ法律の成立の見通しも立たないという時点で、一応準備だということでも、その法の成立を見越して通達を出して知事に計画を要請されるということは、やはり行政のやり方としても非常に問題があると私は思うのです。当然、いまお話しのように、上がってきたやつをそのまま使うわけにいかない。今度はもう一度、新しい趣旨での要請を出さざるを得ないという事態にいまあるわけですから、昨年出された局長の名前での通達、こういう行政のやり方については改めなければいけない。これはあくまで上意下達的なやり方だと私は考えるのですが、これについて、御意見を一言聞かせていただきたい。
  150. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 いまのようなのは、いわゆる先取りというのとは違うんじゃないか。先取りというのは、土地利用基本計画というような、地価の安定についてのもっと決定的な一つのスタンスの中でやることであって、ただいまのようなものは、先物を買ったというような形で、あまりほめられたことではないように思いますが、しかし、当時の情勢、昨年の十月という情勢が、そうした事前の通達を出すほど煮詰まっていたものかどうか、私、つまびらかにいたしておりませんのであれでありますが、御審議をいただいて、今後、国土総合開発庁が国土利用計画法に基づいて運営される場合には、そのような先取りというものではなしに、もっと地に足のついた運営をはかっていきたいというふうに考えます。
  151. 中路雅弘

    ○中路委員 御存じのように、国土総合開発法については、野党全部が反対をしていたわけですね。当然、地方自治体でいえば、革新知事等はこれに反対をしている。そこへ法案の成立を見越して計画の作成の要望なり通達がおりるということになれば、むしろ地方自治体に新しい混乱を持ち込むことになると私は思うのです。現に新聞の報道によると、この通達について、京都府等では非常に強く反発をしているということも出ていましたけれども、この点では、こういう行政の進め方は十分反省して、慎重にしなければいけないし、検討もしていただきたいということを、私は要望として述べておきたいのです。  時間が限られているので、法案の関係でもう一、二点お聞きしたいのですが、先ほど所掌事務や権限について変わらないということで、いろいろ御質問して御答弁もありましたが、機構の問題です。今度の機構が、いままでの十二機関の寄り合い世帯と書かれた新聞もありますけれども、一応中心になるのは、とこの部門か——いまの法案ですと国土総合開発庁ですね、ここへ集められるのか、中心のところだけでいいのですが、お聞かせ願いたい。
  152. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 今度、御提案申し上げております国土総合開発庁は、土地政策及び大都市圏対策、あるいは地方の振興整備に関連をする関係省庁の部局を統合いたすわけでございます。  おもなものといたしましては、首都圏整備委員会、近畿圏整備本部、中部圏開発整備本部、それと経済企画庁総合開発局、建設省の宅地部でございまして、それから、その他自治省等から必要な課を移管をすることにいたしております。
  153. 中路雅弘

    ○中路委員 いずれにしましても、新機構においても、いままでの全国総合開発計画などの国土開発計画を、文字どおり立案、作成してきた経済企画庁総合開発局の仕事が、おそらく人事も含めてだと思いますが、全面的に移管され、この官庁の一つ中心になることは、いまお話しのように明白だと思うのです。  この点で、行政機構の問題ですけれども、一般世論の中でも幾つかの意見も出てきているわけです。たとえば、これは行政監理委員をやっておられた太田薫さんが新聞で述べられておるのに、「土地総合開発をうんぬんしながら、林野庁は残し、建設省の関連事業も吸収できないのなら、なんのための総合庁なのか。屋上屋を重ねるとはこのこと。」というような話も出ているわけですし、また、これは朝日新聞の社説だったと思いますが、「「国土開発庁」構想を批判する」という昨年の社説で、「本来そうした開発行政を調整する目的経済企画庁総合開発局を置いたはずが、どうして思うように機能してこなかったか、その原因をつきつめないまま新機構の設立を急いでいることに疑問を提示せねばならない。」という趣旨の意見も出ています。行政機構の面からこういう幾つかの意見も出ていますが、この点について、簡潔にお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  154. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 新しい行政組織をつくる場合には、やはりそれなりのいろいろの考えが盛り込まれていっていいのではないか。特に、第三者の批判等については、謙虚に耳を傾けていくという、そうした姿勢が、今度、国土利用計画法というものが施行されるような事態の中では、特に必要なのではないかというようにわれわれは考えておるわけでございます。  したがいまして、現在は多少各省の現業部門を切り取りしてきてくっつけるというような考え方みたいになっておりますけれども、しかし、それはそれなりに、いままでやってまいりました豊富な経験と蓄積された技術、技能というものが、そのセクションについてくるわけでございます。問題は、この国土総合開発庁の運営そのものを、基本的にはだれが、どのようにしてやっていくか。言うなれば、先般来たいへん御議論いただいておりますが、担当の国務大臣が、現在の日本の情勢の中で土地の問題をどのように処理していくかという基本的な姿勢、哲学、そうしたものが当然、今後の開発庁の運営の基本になっていかなければならない、私は、そのようにも考えるものでございます。  しかし、いずれにいたしましても、当委員会の御意見も十分拝聴いたしたいし、また第三者の意見というものにも謙虚に耳を傾けて、国土総合開発そのものの持つ重要な政治的意義を全うしていく、そのような行政官庁にしてまいりたいというふうに考えております。
  155. 中路雅弘

    ○中路委員 行政官庁の問題、だれがどのようにやっていくか、土地の問題をどのようにやっていくかという姿勢、そういうことが大きな問題じゃないかというふうにおっしゃっているわけですけれども、先ほど来の御質問で御答弁いただいているように、この構成も機構も提案説明の趣旨からいえば、大きく変わらない行政官庁でありますし、いままでの総合開発計画、一番最初に提案理由でも述べられている、深刻化してきているこういう事態に対処するためのその計画あるいはその法案、そういうものをそのままにして、機構を一体にしていくということになりますと、かえって一そうある面では、強力に効率的に総合開発を進めるという結果になる危険もあると私は思うわけです。  その点で、今度の総合開発庁が、先ほど来述べていますように、名称やあるいは若干の文言の変更があっても、その中身において変わらないとすれば、土地の問題をどのようにやっていくかということが中心だとおっしゃっても——この土地の問題を扱うのにも、いろいろな立場があります。ほんとうに生活用地なり国民の立場に立って土地問題をどうしていくかという立場、あるいはいままでの総合開発を進めていくという前提で土地問題をどう解決するかという立場もあるわけですから、私は、そういう点で、行政機構の改革を見る場合に、ただ縦割りのやつを、関連のを一本にすれば、それでほんとうに国民のいま望んでいる行政を推進していく機構としてやっていけるのかどうかということにも、強い批判の意見を持っているわけです。  総合開発ということばだけ抜いても、実際には、この機構が形を変えて列島改造を推進するための官庁にならないという保証はどこにも、前に御質問した中でも出てきていないんじゃないかという点で、一番最初にも御質問しましたけれども、これは国土総合開発法案の提出と関連して出された、それを推進する官庁として提案をされたわけですから、やはりこの法案が通らないという時点で、この設置法については一度撤回をされて、ほんとうに国民のために土地問題をやっていくということになれば、それを、あらためてどういう機構でやっていくのかということを検討されるのが筋ではないかということを、私は強く感じるわけですけれども、約束の時間もありますので、その点について、この質問の終わりにもう一度、いままでの質問の中でも、そのことを強く感じるものですから、大臣のほうから、この設置法の扱いについて、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  156. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 強い御懸念を表明されておりますが、私らといたしましては、国土利用計画法が成立をいたすわけでございまして、この国土利用計画法を実践的に行政の中でやっていくために国土総合開発庁、仮称でございまして、もちろん、名前は今後の御検討の中で変えていただいてけっこうだと思いますが、このような一元的な機構をもって国土利用計画そのものを実践していくことが、最も時宜に適したことではないかと考えるものでございます。
  157. 中路雅弘

    ○中路委員 この点では、全く立場も意見も違うわけですし、おそらく、国土利用計画法を作成された他の与野党の皆さんとも意見が分かれるところであるかもしれませんが、一応法案の問題については——私は、先ほど言いましたように、いま国民がほんとうに求めているもの、土地規制と言われますけれども規制についても、だれのために規制していくのかということが根本です。ほんとうにいま望んでいる生活用地の確保を中心にしたものをやれる法案が必要ですし、そのための機構が必要だということを強く感じるわけですが、その意見を述べさしていただいて、私は、あと五分ぐらいなので、一、二点だけ、この機会に建設省の皆さんにお聞きしたいと思うのです。  過日の伊豆の地震の問題もありましたが、現在、建設省で進めておられる川崎、横浜を中心にした、いわゆる京浜臨海部の防災の遮断帯の構想の問題ですが、大都市のコンビナートを中心にした防災問題の構想として、コンビナートと居住地帯、人口密集地帯との分離の問題を中心にして検討されておる中で、すでに四十七年、四十八年度調査費がつきまして、川崎等でもいま住民の意識調査、アンケート調査が進んでいますが、この問題の、現在までの進行というのは、どういうものなのか。
  158. 國塚武平

    國塚政府委員 ただいまお話がございました京浜臨海部の遮断帯整備基本計画の調査の問題でございますが、この調査は、昭和四十七年、四十八年の二年にわたりまして建設省が調査をいたしておるものでございますが、ただいまお話がございましたように、この調査の目的は、横浜市及び川崎市をモデルにいたしまして、御承知のとおり、横浜市及び川崎市につきましては、埋め立て地を中心にいたしまして、工業集積がなされておりますし、また隣接いたします市街地は、相当長距離にわたって市街地が連檐をいたしておるところでございますので、このような密集市街地が連檐いたしておりますところで、コンビナートにおける爆発、火災等が起こりました場合には、どのような被害が生ずるかということを想定をいたしまして、この場合にコンビナート内における技術的な、あるいは設備的な安全対策だけでなくて、都市計画的な安全対策としては、どの程度のものをする必要があるかということを調査する目的で開始したものでございます。  まず、四十七年度の調査でございますが、コンビナート災害の様相につきまして、コンビナートにおきましては、原料から最終製品に至りますまで可燃性の高い処理がなされております結果、自然重合性でございますとか、あるいは分解爆発、混合危険という危険が重合する関係に相なりますので、これらが、災害時にはどのような様相で災害が発展するかということを調査いたしたものでございます。  大体、四段階に分けて調査をいたしておりまして、地震時におけるコンビナートで起こり得る災害の状況は、第一段階の個別火災、個別爆発段階、第二段階の局地小災あるいは局地爆発段階、第三段階の地区火災、地区爆発段階、第四段階のコンビナート全面火災または爆発という四段階の事態が不連続的に展開するという予想をいたしておるわけでございます。この第三段階以降第四段階は、もっぱら都市計画的な安全対策が必要になるということを調査いたしたものでございます。  なお、その危険の範囲が、第三、第四段階に拡大した場合に、都市計画上どのような対応をするかということをきめますために、原単位と申しますか、災害の規模とその影響範囲を数値的にどのように把握するかという調査をいたしたわけでございます。この調査につきましては一各種の危険を五種類に分類いたしまして、爆発の危険性、海上火災の危険性、油類タンク火災の危険性、有毒物資の危険性、危険物輸送の危険、この五段階に分けて調査をいたしたわけでございます。  その上で、防災遮断帯の形態及び幅員の態様をいかにすべきかということでございますが、大地震などにおきますコンビナート災害が、市街地に及びますのを中途で阻止するという都市計画上の対策が必要でございますので、両地域間に一定の距離を確保して影響力を遮断する方法と、また何らかの立体構造物をもって空間を分離して影響力を減らすという二つの方法が指摘されておるわけでございます。具体的には、公園緑地化によるオープンスペースの確保でございますとか、あるいは都市交通輸送施設の有効利用による防災交通路の建設でございますとか、あるいは河川、運河等の有効利用あるいは地形の起伏を利用した遮断、場合場合によっていろいろ得失が論ぜられておるわけでございます。  なお、四十八年度は横浜市及び川崎市及び日本都市センターに委託して、調査を実施いたしておるわけでございますが、まず横浜市につきましては……(中路委員「簡潔でいいですよ」と呼ぶ)高島操車場を防災遮断帯内の施設に取り入れる問題でございますとか、あるいは川崎につきましては、住工混合地区がございますので、そこにおきます住民の意識調査を実施しておるという段階でございまして、その結果の報告につきましては、いまだ提出を見ていないわけでございます。
  159. 中路雅弘

    ○中路委員 この問題で、もう一問だけお聞きしておきたいと思いますが、四十九年度以降、この問題をどういうふうに進められようとしているのかということと、それから、川崎で聞きましたら、防災分離帯の設定をもし考えますと、一兆円ぐらい費用がかかるのではないかというような話もありますけれども、財源の問題を含めて、四十九年度以降、この構想をどのように進められようとしているのか、簡潔でいいのですが、その点だけ。
  160. 國塚武平

    國塚政府委員 四十九年度の調査につきましては、四十八年度の調査をもって一応終わるという形にいたしたいと考えております。  今後の取り扱いといたしましては、ただいま申し上げましたように、新しい意味での都市の計画でございますので、かなり慎重に、密集市街地において実施する計画でございますから、地域住民の御意向でございますとか、あるいは企業の態様等々、その実施の可能性につきましては困難があると考えられますので、横浜市あるいは川崎市において、これから計画の検討を開始されるにつきましては、建設省といたしましても、十分協力をして進めていきたい、こういうように考えております。
  161. 中路雅弘

    ○中路委員 財源の問題はどうなりますか。
  162. 國塚武平

    國塚政府委員 この計画の事業化につきましては、まだ幾が熟しておりませんで、財源等の問題につきましては、大きなプロジェクトでございますので、まだ調査をいたしておりません。
  163. 中路雅弘

    ○中路委員 時間が来ましたので、もう一点だけ。これは別の問題ですが、やはりお聞きしておきたいのですが、いま全国的に高速道路による公害問題ですね、騒音や排気ガスの公害問題というものが大きい問題になっておりますが、具体的な点で一点だけお聞きしておきたいのですが、新聞、テレビ等でもこれは報道されておりますが、東名高速道路の周辺の自動車公害の問題で、川崎のインターチェンジの周辺ですね、具体的には市営の南平団地という大きい団地が周囲にある。その他団地があるのですが、この騒音、排気ガス問題で、川崎市としては、いままでは室内騒音四十五ホン以上を二重窓を設置するとか、換気扇だとかあるいはピンチブロック工事とか植樹等を実施してきておりますが、この問題の根本的な対策としまして、いままで道路公団のほうでは、防音のへいを設置するという考えがあるというようなことはお聞きしているのですが、住民や川崎市のほうからは、いろいろ実態調査もやりまして、相当専門家も入れた長期の調査もやって、この高速道路のこの区間の間のドームトンネル化の実現が、最善の施策だという意見になりまして、この点では、道路公団あるいは建設省にも、川崎の市長からことしになってからも要請書が正式の文書でいっているはずだと思うのですが、まだ問題の解決に至っていないわけですが、このドームトンネル化の要請されている問題についてどのようにお考えなのか、こういう方向で検討していただけるのか、その点だけ最後にお聞きしておきたいと思います。
  164. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまの東名高速道路の東京料金所の付近のところの話でございますが、実はこれは、道路公団が道路の工事着工をいたしまして、しばらくたってから市営の団地ができたわけでございます。工事の時間が違いますので、入ったときは、供用開始よりちょっとおくれて入居したということでございます。  その後、音がひどいということで地元の方、川崎市からドームをつくれという話がございます。実は、このところは料金所につながっておりますので、料金所のところが、全部で幅が百四十メートルぐらいございます。二十三車線ぐらいの料金所でございますので、幅が非常に大きくなっております。したがいまして、ドームをかけるといいましても、ちょうど野球場をおおうような形になりますので、非常に技術的には困難と思います。それからまたドームをつくりますと、その排気ガス等がドームの出入り口にどうしても集中することになりますし、中で働く料金所の方の健康の問題もございますので、いま公団としては、それにかわるものとしてお話しのような防音壁を建てていきたい。この防音壁も、いままでは通常三メートルとかせいぜい五メートルぐらいのものでありますけれども、ここの場所では、すぐ高層ビルでありますので、壁が短いと四階、五階のほうに、やはり直接音がまいりますので、できるだけ高くするということで、いま七メートル五十の壁というよりは、もう擁壁に近いようなもの、壁ではなくて、擁壁でございますが、そういうものを建てるということで、いま地元の方と話中であります。  昨年暮れに、市と地元と公団とそれじゃひとつ協議会をつくって詰めていこうじゃないかということで、ことしの二月に第一回の会合を開いておりますけれども、まだ三者が全部意見が一致するというところまでいっておりません。  それで、今度の防音壁をつくりますだけでは、やはり五階のほうでは、どうしても直接音がいきますので、その防音壁では足りませんので、どうしても二重窓というようなこともあわせとり、それからさらに交通規制をやりまして、やはり速度を落とすとかあるいは走る位置を変えるとか、そういうようなことで、できるだけ騒音の対策を、総合的に減らそうということで、いま三者で詰めている最中でございます。
  165. 中路雅弘

    ○中路委員 これで終わりますが、いまの問題、確かに私も技術的に見て、料金所等も近くにありますから、むずかしい問題だと思うのですが、ドームはどの範囲でドームにするかという問題もありますし、もちろんその他の対策も、ドームになれば、その出入り口の問題とか、新たに排気ガスだとか、トンネル内の事故の問題とか、いろいろ検討しなければいけない問題もあるかと思いますけれども、いま地元の住民の代表あるいは川崎市、三者という話がありましたので、十分この点では協議していただいて、自動車公害でも一つの典型的なところだと思いますので、こういう問題をどう解決するかという点では大事な問題なので、十分住民の、いろいろ具体的な調査もやっていますから、意見も聞いていただいて、解決に努力をしていただきたい。  その中で、一番強く出ている、市のほうからも要請が出ているドーム化についても、その中で引き続いて検討の一つ課題として入れてやっていただく。これできめるということを、私はきょう御返事をほしいとまで言っていませんけれども、いろいろの施策の中で、市のほうや住民のほうはドーム化ということで、相当長い間検討もして出ているわけですから、この問題も、引き続いてあわせて十分検討していただきたいと思うのですが、その点はいかがですか。
  166. 菊池三男

    ○菊池政府委員 先ほど申し上げましたように、道路公団としてはドームが非常に困難であるということを回答してございますが、これは三者の協議でありますので、地元のほうからそういう話が出れば、それに対して、できなければできない理由というものがはっきりしなければいけないと思いますし、そういう意味では、やはりドームというものも、当然その三者協議の問題、議題にはなっていくと思います。
  167. 中路雅弘

    ○中路委員 では、時間が過ぎていますので終わります。
  168. 徳安實藏

    徳安委員長 吉田法晴君。
  169. 吉田法晴

    ○吉田委員 国土総合開発法は、実質的にたな上げになりまして、審議未了になると聞いておりますが、国土利用計画法になったのですが、この国土総合開発庁、名前も変わりそうですが、この設置法に関連いたしまして、生きておる法律は何と何かを、まずどなたかにお尋ねしておきたい。
  170. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 いま先生御指摘のように、政府で提案をいたしました国土総合開発法案は、たな上げというかっこうで御処理になって、新しい土地対策の基本法でございます国土利用計画法案が、いま成立を見んとしておる状態でございます。  なお、昭和二十五年に制定をされました国土総合開発法は、政府提案国土総合開発法案が成立いたしませんと、そのままのかっこうで残ることになっておるわけでございます。  なお、地域振興整備国土開発整備あるいは災害対策、水対策、土地対策等の法案を、新しい国土総合開発庁で所掌することになるわけでございますけれども、現在、お手元に御提案申し上げているその関係法律といたしましては、第四条の所掌事務のところに書いてございますけれども、十五号から二十一号までの法律、それと二十二号で内閣総理大臣の権限を補佐いたしますところの法律といたしまして三十五、合計四十一がございます。  なお、今後これに追加すべき問題といたしましては、すでに成立をいたしました水源地域対策特別措置法あるいは活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律、それに国土利用計画法、それに本日の本会議で御可決をいただきました地域振興公団法、分わせまして四十五の法律国土総合開発庁の所管法律と相なるわけでございます。
  171. 吉田法晴

    ○吉田委員 その法律に関連をいたしまして、昭和二十五年の国土総合開発法が生きているということになりますと、かわりができなかったから生きているということですが、そうしますと、昨年できました経済社会基本計画というのは、どういうことになるのですか。
  172. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 お答え申し上げます。  経済社会基本計画は、これは経済企画庁経済企画庁設置法の規定に基づきまして、総合的な経済政策の確立ということで立案をされまして、閣議決定になったものでございまして、これは別に法律的な根拠はなく、法律的な根拠といたしましては、経済企画庁設置法でございます。
  173. 吉田法晴

    ○吉田委員 二十五年の国土総合開発法に基づいて新全総ができた。その新全総を全面的に改定し、その中で通信交通のネットワークその他の要素が取り入れられるべきだということでした。法的な根拠は違いますけれども総合開発計画という点では、若干の関係があるんではないかと思いますが、それらの点がどうなるか。この国土総合開発法のいわばたな上げ、それから経済社会基本計画の昨年閣議決定されました計画との関連は、どうなるかということをお尋ねしておきたいと思います。
  174. 内田常雄

    内田国務大臣 政府委員から答弁がございましたとおりでございまして、経済社会基本計画というのは、国土開発計画内容とすることを目的とするものではございませんで、物価対策でありますとか、あるいは社会福祉政策でありますとか、国際収支の問題でありますとか、あるいは経済成長率、そういうような、これから先の日本の国の社会経済あるいは財政の問題なども含んでおりまして、すべての政策の基調になる理念、考え方というものを内容として昨年つくられたものでございまして、これは、昭和二十五年の現行の国土総合開発法に基づく新全総の各論というようなものでは全くございません。発想の出発点を異にするものでございますので、それはそのまま経済企画庁の私のほうでこれを再検討いたしながら、日本の国の進路というものを別の角度からつくっていく、こういうことになっておるものでございます。  今度の政府提案国土総合開発法案、それがまた姿を変えることになりました国土利用計画法案、あるいはまたそれらを担当をする新しい官庁としての国土総合開発庁、これは名前は今後変えられるものと思いますけれども、それとは全く別のものと私は理解をいたすものでございます。
  175. 吉田法晴

    ○吉田委員 そういたしますと、昭和二十五年の国土総合開発法に基づいてつくられました新全総、その全面再検討もなされておるようでありますが、その中におけるいわば政策的な基本問題あるいは考え方の変更等を、経済社会基本計画でしょうとした、それは、いわばこの新全総あるいは国土総合開発の問題だけではなくて、政治全般にわたって、あるいは経済社会の基本的な政策的な柱を立てようとしたものだと考えていいでしょうか。  それからもう一つは、この新しい国土総合開発法はたな上げになりましたが、二十五年の総合開発法は生きておる、それに基づく新全総は再検討をされるということだけれども、一応たてまえとしては残っている、こう考えなければなりません。それとの関連の中で、その経済社会基本計画がどうなるだろうか、こういうことをお尋ねをしたわけですが、いまのように、基本的な政策的な立場を議論した。こう理解してよろしゅうございますか。
  176. 内田常雄

    内田国務大臣 そのような御理解でよろしいと考えております。
  177. 吉田法晴

    ○吉田委員 国土総合開発庁が、これは名前がなくなるだけでなくて、いわばその根拠法規といいますか、実がなくなった。名前は国土庁になりますか、どうなるかということが一つ。  それからもう一つ、この国土総合開発法がなくなりますと、いままでの計画法律とか残るわけですが、新全総を全面的に再検討をするというときに、国土利用計画あるいは国土総合開発を前提にして、経済企画庁総合開発局、それから建設省の計画局の宅地部、それから地方開発の組織、首都圏整備委員会等々、そういうものを合わせて、いわば開発行政の総合調整機構として一つの省といいますか、あるいは庁をつくろうと考えたわけですが、それがはたして必要なのか、必須なのかどうか、こういうことが議論になると思いますが、どうお考えになりますか、お尋ねしたい。
  178. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 いままでの国土利用計画法が成立するまでの間は、いま御指摘のような形の開発業務の一元化ということが、一応国土総合開発庁の主たる目的ではなかったかと思いますが、しかし、そのような開発業務そのものに対しても強い反省と、また、いろいろの反省が加えられておるところに、国土利用計画法が成立いたしまして、このねらうところは、やはり現在の土地の問題、地価の問題を含めまして、土地の問題がきわめて国民生活にとっての重要な問題であるという認識は、これは何人も否定できなかったことだと思いますが、たまたま今回の利用計画法の成立に伴って、政府としては、この利用計画法の精神を生かし、また実際的に土地問題に対して、この際思い切って一元的な行政力をぶち込んで、この問題の解決に全力を傾けようというような考え方の中で、今回、国土総合開発庁、名前は同じでございますが、基本的に土地問題の解決ということを前面に掲げた総合開発の行政を行ないたいという考えで、御提案を申し上げているわけであります。  土地問題は、とても現在のような形の各省縦割りのばらばら行政の中では、いかにいいことを言いましても、なかなかこれの目的が達成されないということは、もうすでに多くの方々の御指摘されるとおりでございまして、総合開発に一元的な行政力を結集するということよりも、むしろ現在の一番の問題である土地問題に総合的な行政力をぶち込んでいくというふうに発想が変わって、ただいま御提案を申し上げておるわけでございます。
  179. 吉田法晴

    ○吉田委員 総合開発の実施機関としての国土総合開発庁というものを考えた。ところが、総合開発という点はたな上げになって、いままでの行政の反省の上に土地問題に集約をして、土地規制中心にしてやる、こういうようにいま任務が違ってきておりますね。任務が違ってきたものを、経済企画庁総合開発局と建設省の計画局の宅地部、そのほかに首都圏整備委員会というか、あるいは地方別のあるいは特殊地域振興行政部門というものを一緒にして——これらは総合開発という点では一緒になります。一緒になりますが、土地規制ということを中心にしてやるとすれば、これはやはり同じ屋根の下に同居するには、いささか目的が違いはしませんか。
  180. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま、私の答弁が少し舌足らずでございましたので、補足させていただきたいと思います。  このような開発、大都市圏の整備あるいは地方振興等々に関連いたしましては、やはり現在におきましても、過疎過密の問題というものが、きわめて重要な社会問題であることはいなめないことでございます。同時にまた、この過疎過密問題を解決するためにも、きわめて重要なことは、現在の土地問題がある程度国民のコンセンサスの中で安定をしていくということが基盤にならなければならない。そのような意味で、先ほどは、特に総合開発庁の主たる任務を、国土利用計画法の成立によって土地問題に第一義的な重点を置きますということを強調いたしましたが、同時に、このような土地問題の解決の足がかりができて初めて、また現実の問題でもある過疎過密問題、大都市の問題あるいは地方の都市の問題、さらには農村との格差の問題等々、いろいろな問題の解決をはかっていくのがより合理的であるし、土地問題を中心にした一つのプロジェクトを通しまして、過疎過密問題に対しても、同時に一つの行政官庁の中で処理できるということのほうが、行政的にも能率的であるというように判断をいたしておるわけでございまして、この過疎過密問題も同時に、この国土総合開発庁において取り扱うということが適当ではないかというふうに考えておるものでございます。
  181. 吉田法晴

    ○吉田委員 その過疎過密の同時解決云々と言われると、どうも「日本列島改造論」の少なくとも一部、一課題であります。国土総合開発庁の構想が、国土総合開発法、そして、その裏はといいますか、その出発点は、何といっても、やはり田中さんの「列島改造論」というものが基礎になって出てきたのじゃないですか。その国土総合開発あるいは「日本列島改造論」というもの、その弊害をここで詳細には論じませんけれども、反省の上に立って、物価の値上がり、あるいはインフレの高進が緊急な課題だということで政府も取り組まれましたが、この総合開発の問題からいうと、何よりも、やはりその中心をなしました土地問題の解決、そして土地規制国土利用の中の一番大きな問題が土地だと考えたというお話でありますが、その点も同じだと思います。  そうしますと、過疎過密を同時に解決する、その具体的な方法として通信交通のネットワークをつくる、そのネットワークをつくるという点は、言われませんけれども過疎過密を同時に解決する方法として、通信交通のネットワークの整備という構想ができ、それから、それに関連をしていろいろな問題が出てきた。そのやり方を総合開発法でやろうというのであったのですが、その総合開発のいわば開発行政、あるいは行き詰まっておる生産拡大方法を反省しようというのが、去年の経済社会基本計画の中にもございますが、与党も野党も一緒になって決定をいたしました国土利用というのは、あるいはまた計画的にやっていこうというのは、過疎過密の同時解決、そして、その方法としての通信交通のネットワークの整備等々についてはたな上げをしたのじゃないですか。列島改造といいますか、国土総合開発構想は依然として残っておって、当面一具体的には土地規制ということに重点を置くというのでしょう。その点は基本問題でございますから、重ねてお尋ねをします。
  182. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 いま、問題を二つ、三つに分類してみると、あるいはおっしゃるような考え方というものがいいのかもしれません。しかし、私は率直に申し上げますと、いまの日本の社会あるいは都市の情勢や、あるいは過疎化した地方農村の状態というものを見ます場合に、これでいいといってほっておくわけにもいかない問題じゃないかと思います。これが総理の言っておる列島改造構想であるとかないとかいうことをさらに越えましても、私は、現実の問題として、過疎過密問題というものは、このまま放置していいということには決してならないというふうに考えます。同時にまた、その過疎過密ということをただ放置しておいて、地価の安定にだけ行政の総合力を一点に集めてこれを処理するという努力、私は、それほどまた土地問題は重要であるという認識も、十分踏まえておるつもりでございますが、同時に、そうしたような土地問題の解決の第一歩が、過疎過密問題の解決への次の大きな足がかりになっていくということも、否定できないのではないかと思います。  繰り返して申し上げますが、過疎過密という問題も、一省の、あるいは数省の縦割り行政の中で、これを幾ら取り扱おうといたしましても十分なる効果が出ない。たとえば、反省で申し上げますけれども、首都圏整備委員会としましても、中部圏の問題にしましても、近畿圏問題にいたしましても、りっぱな事務局を持ち、大ぜいの人が関与しておるけれども、必ずしもそれだけの大きな成果はあがってこなかったのではないか。同時にまた、農村の問題あるいはその他の中小都市の問題等々を見ましても、必ずしも現状だけでいいのだというふうにも言い切れない。ちょうどたまたま、ここに一つの行政力を総合的に結集して問題をとらえ、その解決に当たろうじゃないかという一つの大きな新しい発想の転換の中で、国土利用計画法が成立したわけでありますから、それをやっていくためにも、総合的な行政力を結集する、同時に一方においては、過疎過密問題についても、同じような総合的な行政力を結集していくということを考えましても、別に私は非常に間違った方向ではないのではないかというふうに考えるものでございます。
  183. 吉田法晴

    ○吉田委員 国土総合開発というやり方については、そういうやり方は弊害があるということでたな上げにして、国土利用あるいは土地規制、こういうことで国土利用計画法、こういう法律をつくった。そこで、過疎過密も重大な問題で、それも同時に解決しなければならぬ。解決するとして、土地問題が大きな要素だというのは、ここで初めて総理府総務長官に聞きますけれども、与党、野党の協議の中ではあったんでしょうか。ぼくは、きょう審議をするにあたって、社会党の政審の事務局長に聞いたのですけれども、それは聞きませんでした。この庁舎、入れものをどうするかという問題は、与野党で相談をした中には入っていなかったから、内閣委員会で相談をして、きめてよろしい、こういう話でございます。これは間違いないようですが、この本体がなくなって、法律でいえば、いままでありました法律が生きるでしょう。そうすると、その入れものをいままでどおりに考えてやらなければならぬかどうかということは、これは新しい問題ではないでしょうか。これは経済企画庁なりあるいは建設省に聞く問題でもございますけれども土地問題で一つの新しい庁をつくるということが必要なのかどうなのか。  先ほど来、各同僚議員から、経済企画庁総合開発局をつくったときには、総合開発計画は、経済企画庁総合開発局をつくればそれでよろしい、こういうことでつくった。そしてまた、いままでもそれを中心でやってこられた。計画をつくるだけなら——だけならと言うとおかしいですけれども、これは各省庁協力のもとに経済企画庁が総合してやってこられました。国土総合開発庁をつくるについては、そういう計画の総合調整だけではなくて、実施機関だから、経済企画庁総合開発局も建設省の計画局宅地部も、そのほかの地域開発あるいは特殊地域振興行政部門を一緒にして実施機関にする、こういうことであったはずです。土地の問題について、首都圏整備だとかいうものについては、あるいは土地の必要があるのかもしれません。しかし、産炭地振興も、これからこの庁が担当するということになりますが、産炭地土地の問題はありません。ですから、本体の母法がなくなって、土地問題を中心にして、その実施官庁として、特に新しい庁をつくらなければならぬのかどうなのか。名前もございますけれども、名前はおそらく国土庁というか、国土ということが入りましょうが、そういうものが必要なのかどうなのか。過疎過密の同時解決という話は、私は、ここで総理府総務長官に聞くところですけれども、与党、野党の協議の中では、必ずしも必須のものとしてあったわけではないように聞くのですが、母法がなくなって、いままでどおりの法律と、それから土地問題を中心にしてやっていくというのに、経済企画庁総合開発局も、それから各首都圏整備なりあるいは中部、近畿等々の開発行政組織、それから産炭地域振興だとかあるいは工場再配置だとか特殊地域振興行政組織、それに建設省の計画局を集めなければやれないのかどうか、ひとつ経済企画庁長官、それから建設省の政務次官に来ていただいておりますけれども、お考えをいただきたい。
  184. 内田常雄

    内田国務大臣 入れものと申しますか、政府提案国土総合開発法案、あるいはそれが換骨奪胎をいたしまして、委員長提案の四党共同の国土利用計画法案ということになったわけでありますが、これは吉田さんも御承知のとおり、政府提案国土総合開発法案の中にも、それは国土総合開発計画とかあるいは特定総合開発地域というような総合開発というようなものを前面に押し出してうたった条項はございますが、それは、やはり政府提案の中に含まれる一つの分野でございまして、多くの規定は特別規制区域の設定、その中においては土地取引はすべて許可制にするとか、あるいはまた特別規制区域外でありましても、都市計画の区域内外にわたりまして、広く全国的に規模に応じて土地取引の届け出制をやりますとか、特定総合開発計画あるいは地域とうたいました中におきましても、その地域の中においては土地取引は許可制にするとかいうような、随所に土地取引の許可制、届け出制というようなものがございまして、そして土地を対象とする投機行為あるいは地価の暴騰というものを押えることは、政府提案においても主要な内容でございました。  また一方におきまして、先ほどからお話もございますように昭和二十五年の古い、これは思想はだいぶ変わってきてしまっておるわけでありますが、国土総合開発法というものも形骸だけといいますか、形の上では、今度は生かされていることになっておりまして、その法律の流れをくむ全国各地の大規模の開発計画というようなものも、新全総というような計画の中に織り込まれたものが幾つかございます。たとえば志布志湾もそうでございましたでしょうか、むつ小川原もそうであったかもしれませんし、苫小牧のことにも触れておるかもしれませんが、そういうものが前の古い国土総合開発法の系列に属する、昭和四十四年の新全総の中においてはそういうものがございますが、しかし、新全総そのものが、それこそ経済企画庁における経済社会基本計画の理念に照らしまして、必ずしも適当なものではないという反省に基づきまして、現在、実は総点検をやっておるわけでございます。これは新しく第二志布志湾、第三志布志湾というようなものを見つけ出して、どうこうするということではございませんで、すでにある特定地域開発行政というようなものを総点検する仕組みになっておりますが、その総点検の仕事を、今度は政府提案による国土総合開発庁、今度はおそらくそれは名前が変えられるのだろうと思いますが、そこに一緒に持っていって、古いそういう新全総の総点検もやっていただくつもりでおりました。  でございますから、今度、政府提案国土総合開発法委員会提案の国土利用計画法になりまして、理念的に土地取引とかあるいは地価対策とかいうものが前面に押し出されて、そして総合開発計画式なものが削られてしまいましたけれども、新しい法律のもとにおきましても、いま私が長々述べましたような関連のある仕事を、やはり昨年国会に提案しました国土総合開発庁の仕事として、これは当然一部分の修正を、私は当委員会の皆さま方によって検討されることと思いますが、そこに持っていくことが決して不自然なことでも曲ったことでもない。本来実体法が変わってしまったのに、おまえは入れものだけはまだ昔のものでやるか、こう言われるわけでありますが、実体法は変わりましたけれども政府提案の実体法も委員会提案の実体法も、思想で違った面はございますけれども、やる仕事としては、国土庁といいますか国土総合開発庁に持っていって総合的にやったほうがよろしい、こういうことは、私ども今日の段階でもそう考えておるものでございますので、吉田さんの言われることもわからぬのではありませんで、論理的にはわかりますけれども、実体的には、私はいま政府がやっているような形でこの開発庁の設置というものを、これは名称その他中身仕事表現等において加わるものや修正されるものはあるにいたしましても、私はこれでよろしい、これは小坂さんの領分かもしれませんけれども、実体関係を従来受け持っておりました私どものほうから考えましても、それでよろしいのではないかと思います。
  185. 吉田法晴

    ○吉田委員 建設政務次官はまだですか。
  186. 徳安實藏

    徳安委員長 いま食事に行っておるそうですから。宅地部長はおります。
  187. 吉田法晴

    ○吉田委員 いや、事柄は宅地部長にお尋ねすることじゃないと思いますので、お待ちします。  内田経済企画庁長官が立たれましたからお尋ねいたしますが、なるほど総合開発計画の経緯を見ますと、四十四年の新全総以前には、新産都市という方法がありましたね。何年であったか、もうだいぶ前になる。そこで結局拠点を求めて、特定地域を限って発展をはかる。そのときにも過密過疎との解決云々という話がありました。東京、大阪、あるいは中京を含んでおったかわかりませんが、大都市の過密の弊害を解消しようという方向は、そのときもあったと私は思います。ここは、やはり手法だと思うのですが、新産都市あるいは新全総、その新全総も新産都市から新全総に発展をしたのか、より大きい地域を限って考えられていった。その間に、県を越えて開発計画されるものだから、道州制等も考えられたりいたしました。ところが、道州制については、強い反対がございます。  それから列島改造は、全国的に過密過疎とを一挙に同時解決しよう、そのためにネットワークをつくろう、こういうことであったろうと思うのです。条件整備についても、従来の所得倍増政策といいますか、それから開発計画は、全国的に大規模に一気に開発する、それだけの力が出てきた、こういう前提であったと思う。ところが、弊害のほうが先行いたしましたから、特に強く出てまいりましたから、この国土総合開発法というものがたな上げになった。これは政府をあげて、あるいはこの国会をあげて、物価狂乱を押えるにはどうしたらいいかということでしたから、国土総合開発に関しては、土地規制ということが中心になった。ですから、国土総合開発ということは、一応たな上げになったと私どもは思っておる。  そこで、その点は理解は同じだと思いますけれども、本来の総合開発の従来の計画、あるいはいま過密過疎の同時解決ということを総務長官言われましたが、これは政治的に与野党を通じて批判をして、そして、これはあな上げと言いましたが、われわれからすると、政治的には方策が変わったのだ。方策が変わって、列島改造というものはしばらく置いておこう。ところが、その実施官庁は、同じ考えに基づいて、まず土地規制から始めるけれども土地の安定から始めるけれども土地の確保を含んで、地方における大きな開発あるいは過密過疎の同時解決というものをやろうとする。いつになるかわかりませんけれども、参議院選挙が済んだら、いろいろなものが上がってきますけれども、いつかはまたあの亡霊が生き返ってくるということを考えますだけに、そこはやはり、与党の皆さんと私どもには大きな違いがあります。違いがあって、その危険性を指摘しながら、一応たな上げになったのなら、実施官庁としての国土総合開発庁というものも考え直したらどうか、いままでの行政組織で何か不自由があったか、こういうことを言うわけです。  それからもう一つは、総合計画官庁としての経済企画庁としては、その目玉の総合開発局をとられて、まあ計画も立てるが、実施官庁に移ったとすると、経済企画庁経済企画庁であるゆえんは、物価だけは残っておるかもしれませんが、はたして経済企画庁経済企画庁としての任務が果たせるかという点もあります。それは、いままでのほうが何もかもよかったというわけじゃありません。国土総合開発計画の経緯は知っております。経緯は知っておるところですけれども国土総合開発法はたな上げになったけれども、取りやめになったけれども国土総合開発計画の中で土地の問題は相当重要でございます。だから、列島改造計画に基づいて過密過疎を同時に解決する、ネットワークをつくる、新幹線も九州で三本、あるいは東北で数本、あるいは北海道でも三ルートといったようなのが必要なのかどうなのか、あるいは本土——四国の橋も三つ要るのかどうなのか、その辺の問題もございますけれども、とりあえず、とにかく総需要の抑制ということで押えたということだけではないように私は思いますだけに、重ねてお尋ねをいたします。
  188. 内田常雄

    内田国務大臣 吉田さんのおっしゃること、私もよくわかります。どうも私どもも舌をかむような法律のタイトルやら、あるいは計画のタイトルが幾つもございまして、しばしば混淆を来たすわけでありますが、昨年、政府から提案をいたしましたのは、現在生きておるところの昭和二十五年制定の国土総合開発法というものが古くなって、とても今日の間尺に合わないから、それを殺してしまって、そして新しい国土総合開発法というものを提案いたしたわけでございます。  その中には、吉田さんがいまここで強く御指摘になられますように、国土総合開発あるいは地域総合開発ということに関するいろいろな手法についての規定がたくさんございます。現に総括的には全国総合開発計画ということばもございますし、また特定総合開発地域の指定というようなことばもございます。昭和二十五年の古い国土総合開発法の中にも、これは、ことばは逆になっていますが、特定地域総合開発計画というようなものもございまして、そして、いかにも問題になって、公害を出しておりますような大規模な工業基地を連想させるような規定もございました。しかし、こうして新産、工特という法律ができましたのは、現在まで生きております国土総合開発法ができまして十年以上あとでございます。三十七年ごろであったと思います。新産業都市建設促進法といいますか、工業整備特別地域整備促進法というようなものでございまして、たとえば茨域県の鹿島地域のごときは、たしか工特法に準拠してできたようなものであると私は記憶をいたしております。しかし、その背景には、昭和二十五年の古い国土総合開発法というものによる特定地域開発計画とか、あるいは全国の過密過疎の解消を連想させる精神もあったと思われるわけでありますが、そこに二つの問題が起こってきたと思います。  その間におきまして、一つは公害の問題で、たとえば新産、工特ができました昭和三十七年のころには、公害対策基本法がまだできておらなかったころでございますので、工業地域建設は進んだけれども、予測しなかったような公害を残してきた。これの対策を公害関係の法律のほうでも考えなければならないが、今後、新しい地域開発をする場合におきましては、公害関係だけにこの問題を片寄らせることなしに、総合開発という見地におきましても、取り上げていかなければならないというような問題を新しく生じてきました。これは鹿島についても、そうでございましょうが、新しい地域としては、周防灘なんかの問題が、その最も大きな代表的なものとして、環境アセスメントというようなことを対象とした特別法までも、あれは議員立法でございましょうか、つくられておるはずでございます。  それから、もう一つの問題は、過密過疎と申しますか、狭い日本人口がふえていく。このままでは土地もなければ、水もないし、非常な不均衡の国土利用状況になるということで、実際上の計画は進められてきたにいたしましても、そこに土地騰貴の問題、土地の異常な値上がり、これは物価を上回るような値上がりの問題が出てまいりましたので、これに何とか対処しなければならない、こういう問題が出てきたわけでございます。  昨年、国会に提案しました政府提案国土総合開発法、新しい国土総合開発法は、この二つの問題に着目をいたしておるわけでありますけれども、しかし、題名からして総合開発法というような題名でございますし、法律の中にも総合開発に関する、先ほど申しましたような幾つかの規定が、いままで提案をしてまいりました法律の中にもありまして、それが田中総理大臣の「日本列島改造論」につながる、田中構想にレールを敷く法律である。そうなってくると、公害は一そうひどくなるし、土地騰貴はとうていおさまらない心配があるから、そんなものは、そのままでは通せないということで、今回、与野党が非常に御熱心な討論をされた上、昨年来いわば凍結されておった政府提案法律案を、衣がえといいますか、換骨奪胎して、国土利用計画法というものに直されて、直されたとたんに、総合という字は一切落とされてしまったわけでございます。  落とされたが、先ほどから吉田さんがおっしゃるように、開発ということが全然なくなったかというと、全然なくなったわけではないので、開発をする場合がありとしても、それは公害防除とか土地騰貴の規制とかいうことを十分踏まえてやらなければならないし、ことに、いまつくられておりますところの新全総というものが、これがやはり公害防除とか土地騰貴の規制という点から考えると、総点検をしなければならないといわれておりますので、その総点検の、少なくともその仕事というものは、新しく国会でおつくりになろうとする国土利用計画法による土地取引規制などとともに、総点検の仕事は一緒にやってもらうのがいい、こういうふうに考えられますので、そこに別に入れものとして提案をされておりますところの国土庁といいますか、おそらく、国土総合開発庁という名前で提案はしておるのですが、国土庁ということか何かに、これは委員会に干渉するわけでは全くありませんけれども、お直しになられる場合には、それはそれでけっこうでございますと、小坂大臣も言われるだろうと思いますが、そういうふうになってまいりましても、国土総合開発庁なり国土庁設置の意義というものは十分ある。  ことに、吉田さんも御承知のように、これに関する関連の法律が二十も三十もたくさんございます。今度の国土総合開発庁設置法の条文の中にも、ずらっと関連法がたくさんございまして、この法律を動かしておるのは、全部が全部経済企画庁ではございません。首都圏整備法とか近畿圏整備法とか中部圏何とかという法律があったり、あるいはその他の建設省とかあるいは自治省などでも関連のある法律仕事を持っておられますので、できるならば、この際、ここに並べられたような法律仕事を全部一緒にして、国土総合開発庁というか国土庁というか、そこでおやりになることが——いまの土地問題あるいは開発に対する新しい進路、反省というようなものを一括してやる上に、大臣を置いてやらしたほうがいいんじゃないか、こういう構想でございまして、これは私が着任してつくったわけじゃございませんが、あとからいろいろ皆さんから御論議を聞きましても、それはもっともだ、こういうことで、現在、企画庁をおあずかりいたしております私としても、手は入れるところは入れてもらってけっこうですが、実体法並びに入れものの法律とも、両々相まって進めていただきたい。  非常に長くお話ししましたが、それが全部でございます。
  189. 吉田法晴

    ○吉田委員 内閣の一員だから、政府の方針それから与野党の申し合わせには忠実に従われるのが普通ですから、そういう答えもあるだろうと思いますが、しかし、問題は残りますね。入れものは同じ、法は違った。新全総なり二十五年の国総法による国土総合開発計画の全般的な読み直し、そういうものが必要なことはわかります。そういうものが必要なことはわかりますが、それがいま一番日本の政治で緊急な土地問題の規制、それだけを中心にするのに、はたしてそういう行政機関が必要なのかどうか。そうすると、死んだはずだけれども、たなの上に置かれたはずだけれども、やはり化けものが出てくる心配があると考えるのは、これは私一人じゃなかろうと思います。その辺はどういうことにしますか。話し合いと、そのときのいわば注文ということになろうと思いますから、その程度にいたします。  建設省政務次官、せっかく食事おそくなったのに、そこそこに食べて出てきてくださいましたからお尋ねいたしますが、二人にお尋ねしておったのですが、新しい国土総合開発法、これが列島改造の具体的な実施法律として、あるいはそれの実施官庁として国土総合開発庁が考えられる。その総合開発ということよりも、土地規制あるいは物価を押えることが、土地のあれを押えることが、何よりも急務だということで、この国土利用計画法ということになった。そうするならば、わざわざ国土総合開発の実施官庁として、あるいは宅地も相当重要になるようですが、建設省の中から計画局の宅地部を総合実施機関に移す必要があるのかどうか、こういうことをお尋ねをしたわけであります。特に住宅省の構想もございましたが、それを詳しく聞こうとは思いません。この間、大臣がここで答弁されました。それは建設省としては、いまのところ固まったものとしてありませんという話です。しかし、建設省の中から住宅行政を、あるいは宅地の造成部分を出すか出さぬかということは重大な問題だと思います。従来の国土総合開発法構想に対する反省の上に、批判の上に国土利用計画法というものができただけに、これらの点については、土地が上がらぬようにといいますか、別な方法が考えらるべきじゃないかと思います。私に経験もございますけれども、まず、この構想について、母法がといいますか、国土総合開発法がなくなりましたから、お尋ねをいたします。
  190. 内海英男

    ○内海(英)政府委員 先生御指摘のように、いろいろな問題もございますが、先ほど来、長官から御答弁がございましたように、新しい国土総合開発庁ができましても、土地規制の問題であるとか地価の抑制の問題であるとか、四党で御提出になりました国土利用計画法を受けて、国土開発庁という名前になりますか、名称の点についても、長官からお話がございましたとおり、御審議の中で……。国土利用計画法を受けての土地規制地価の抑制、こういった方面は、おもに新しい国土庁のほうに移管をいたしまして、宅地供給その他の実施の面につきましては、建設省のほうに残す考えでございますので、新しい国土庁ができましても、一体となって土地規制というものについても十分な連絡の上に実施してまいりたい、こういう考え方でございます。
  191. 吉田法晴

    ○吉田委員 あなたは、おられませんでしたが、総務長官はさっき、国土総合開発法はたな上げになりましたけれども過密過疎の同時解決という問題の中で土地の問題もたいへん重大だ、こう言われました。それに反論したのですけれども、実はこの間、二、三日でしたけれども東北に参りました。参りましたのは山形から以北の三県です。あの東北の地帯でさえも、鉄道、国道の沿線でいいますと、土地の値段は、荒れ地で二、三万じゃないというんですね。宅地になっておるところは、おそらく五、六万をこすだろう、秋田市等で聞いたところによりますと、こういうことです。それは、ほかならぬ、列島改造過密過疎の同時解決、そのための通信交通のネットワーク、新幹線も通すあるいは縦貫道路も通す、その話を先取りして大企業がその沿線の土地を買った。実施するときには大企業から買わねばならぬ。これは地方開発事業の場合でもそうですね。そういうやり方を続けるかどうかというのが、問題なんじゃないですか。ですから、土地規制開発するというときには許可を要する、それから取得価格についても地価の七、八割、こういう方法を与野党を通じて新しい法律考えた。そういう手法をどうするかという問題、それから去年つくられた経済社会基本計画の中でも、私有財産とそこから出てくる果実の問題については、考え方を変えなければならぬのではないか。私は、やはり私有財産の一番中心土地だと思うのです。土地についての考え方は、経済企画庁内田さんのところでつくられた経済社会基本計画の中でも、やはり変えなければならぬのではなかろうか。それから資本主義的な自由と公共のウエートを違えなければならないのではないか、こういうのが共通の意見だと思います。  端的に申しますと、私も社会党ですから、国有化を言いたいところですが、そんな公式論よりも、実際には地方公共団体が遊んでいる土地は取得する、あるいは相当の土地を国なり地方公共団体の援助で取得して、大部分の土地は公有化するていのことを講じないと、安い土地は得られない、あるいはいま高騰している土地は得られないと私は思います。規制だけでは、水の流れるのを板でせきとめるわけにはいかぬ。板でせきとめたとしても、石があったり穴があったら水は通っていきます。経済現象でもございますから、それは経済的に可能な方法を講じなければなりませんけれども土地の私有権の社会化といいますか、これは必然的に必要だと思うのです。それを実施する方法が問題であって、名前は変わるかもしれませんけれども国土総合開発庁のような実施機関をつくらなければ、土地の抑制はできぬのだという考えは、私は間違っておると思うのです。宅地が足りないから、宅地を一家族に一つずつ、あるいは一人に一つずつ供給するためには一都会の農地も云々という話がございますが、そういう無理をするんじゃなしに、可能な方法を社会化、公有化の方法で講ずることこそ、私は、具体的な方法だと思うのですけれども建設省として宅地取得部門を実施機関としての総合官庁にやらなければならぬのでしょうか。建設政務次官、せっかく出ていただいておりますからお尋ねします。
  192. 内海英男

    ○内海(英)政府委員 ただいまも申し上げましたとおり、宅地部の所掌しております事務のうちで、土地政策の企画、地価公示法の施行等の事務を国土庁に移管する考えでございまして、宅地供給の企画、新住宅市街地開発事業等の宅地開発事業の実施、宅地建物取引業法の施行等の事務は、従来どおり建設省が実施をしていく、こういう考え方でございます。
  193. 吉田法晴

    ○吉田委員 宅地部長がおられたのですけれども、あえて食事が終わられるのを待ったのは、その方針だけを承るために待ったわけではありませんが、まあ、しようがありません、時間がありませんから。  ちょっと深入りをし過ぎて、あとで尋ねようという問題に関連をして、少し横に広げ過ぎましたが、公団はどうなるのでしょうか。国土総合開発公団を考えられておりましたが、名称がどう変わるのか、それから内容は、やはり前の法律のときと同じなのかどうか承りたい。
  194. 内田常雄

    内田国務大臣 きょうの本会議で……。
  195. 吉田法晴

    ○吉田委員 それじゃ、法律中身を聞いてもしようがありませんが、工業再配置、産業基盤の整備あるいは地方都市の開発、その他付帯設備としての上水道、下水道等の従来考えられておった業務については、どういうことになるのか。中身は、国土総合開発公団として考えられておったものと全く同じなのかどうかということだけ承ります。
  196. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 本日の衆議院本会議で御議決をいただいたわけでございますけれども政府のほうで、現在の工業再配置・産炭地域振興公団法の一部を改正いたしまして、名称を国土総合開発公団と改め、従来の工業再配置業務、産炭地域振興業務のほかに、地方都市の開発業務を加えるということで御提案をいたしたわけでございますが、本日の衆議院本会議で御議決いただきましたのは、名称を地域振興整備公団と改めるとともに、原案では、その公団に所掌させることとしておりました筑波研究学園都市の建設業務を、従来どおり住宅公団にやらせるという御修正を受けて御議決をいただいた次第でございます。
  197. 吉田法晴

    ○吉田委員 先ほど来の質問に対して、国土総合開発法は、国土利用計画法に変わったけれども、新全総その他二十五年の国土総合開発法による計画は再検討しなければならぬ、その再検討はこの新しい省庁でやっていく、こういうことですね。
  198. 内田常雄

    内田国務大臣 総点検です。
  199. 吉田法晴

    ○吉田委員 その新全総の全面的な再検討と、それから、さっき総理府総務長官は、過密過疎の同時解決ということを言われましたが、いまもお話に出ましたけれども、公害問題あるいは巨大都市問題、それから地域開発計画は、公団のいまの仕事の中にも入っていますから、これは新しい省庁になりますが、過密過疎の同時解決の具体的な方法として、田中総理構想の中には、先ほども引き合いに出しましたけれども、通信交通網整備等がございました。従来のやり方について、これは先ほどの経済社会基本計画の中にも引き合いに出されておりますが、基本原則を変えるべきじゃないかということがございましたが、それは何が残っておって、そして変えるべきものの大きな問題は何なのか、その点をひとつ双方から、総理府総務長官、経済企画庁等でお答えをいただけるならばお願いいたします。
  200. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 たいへん失礼でございますけれども、ちょっと御質問の意味が私、十分に理解し得ないのですが、過疎過密を同時に解決するということを、どのような方法でしょうとしているのかということでございますか。(吉田委員「それが一つ」と呼ぶ)じゃ、まずそれから申し上げます。  過疎過密をどういう方法で同時に解決し得るか。これは口では非常に簡単でございますけれども、実際問題としては、もう今日までずいぶん苦労してまいりましたけれども、なかなかそのいい解決方法が見つからない。そしてまた、そのことをすることが、現在の社会生活の安定には、非常に重大な問題になっておる。解決しないままにきているということが、きわめて重大であるという認識は、皆さん同じではなかろうかと考えるわけです。したがいまして、これを同時に解決するということは、私、必ずしも同時に解決はできないということも、ある場合には十分踏まえていくべきだし、いずれにいたしましても、大都市問題が少しでも住民の方々が安心できるようなものになること、それからまた、地方においては、とても生活が苦しくてできないというような、そういう格差のある生活から離脱すること、私は、やはりその辺の問題を踏まえて、問題をもう一回、新しい目から、日本全体のバランスのある社会ということを基本に、十分考えていくべきではなかろうかと思います。  しかし、ただ一つ、これは私見でございますけれども、いままでは開発とか発展とかいうことは、すべて工業生産力に依存しなければとても食っていけないんだという発想が支配的だったと思います。つまり、これが工業化への非常なインセンティブになっておったと思いますが、しかし、過去十年間の非常な経済発展の中で、一方におきましては、公害問題が非常に発生したけれども、同時に、日本の国の経済そのものは、必ずしも地域社会の人たちが、工業化をしなければ食っていけないのだというものよりも、大きな経済力を日本は持ってきたと思うのであります。そうした意味から申しますと、文化的なものを地方都市において扱っても、あるいはまた文化的な施設をしても十分ペイする、また、その文化的な施設で働くことによっても、十分生活ができるのだというような、一種の高度工業社会に日本がなってきたから、必ずしも工場を引っぱってきて、あるいは鉄道を引っぱり、物をつくり、それを売るというようなことだけを、対策の基本に置かなくてもいいのではないか。文化的なものあるいは商業的なものでも十分食っていけるような、そうしたような日本全体の経済力にまで成長しているから、そうしたことを踏まえて過疎過密問題を、もう一つ、そういった面からも、光を当てていったらいいのではないかというふうに私は考えております。
  201. 吉田法晴

    ○吉田委員 まあ、言われる相当なものについて同感を感ずるのですが、たとえば、これは西日本で新幹線とそれから縦貫道をつくりますために、それから宅地開発の著しい進行のために、埋蔵文化財が至るところで荒らされておる。そして魏志倭人伝には出ておりますが、日本でははっきりしておりません奴の国の様相、あるいは金印が出ましたあの有史以前の歴史の状況等が、いま断片的に出ようとしている。  そこで、これは全九州的に、自然と歴史を守るという運動が相当起こっています。その一つのあらわれが、まあやり方の弊害、あるいは鹿島等で、あるいは大分等で出ました新産都市なり、あるいは新全総の弊害の結果もあると思いますが、あの志布志湾での新全総計画に対する反対は、こういう人たちがかんでいます。生活が破壊されるという地元の漁民と、それからそういう文化人が入っております。これは新しい市民運動として、相当われわれ考えなければならぬと思います。そして、文化的なもの、あるいは文化施設も、日本開発一つの重要な問題だということと、歴史と文化を守るということとは、私においては関連する問題だと思いますだけに、日本じゅうどこでも工場地をつくって、安い土地、水、それから運搬施設というものをつくって、日本じゅう工場にする。しかも、知恵なしに、どこもここも重化学工業、公害を伴う産業をつくるというのは、もうやめなければならない、再検討しなければならぬという意味においては、いまのお話はたいへん賛成もするところです。  そうしますと、基本的に従来のやり方あるいは考え方を、やはり転回すべきではないかと考えますし、そういう意味では、やはり一ぺんたな上げをした構想を、もう一ぺん亡霊が生き返ってくるような方策は講ずべきではないという点は、総理府総務長官も賛成をしてくださると思います。  そこで、新全総の再検討と言われるけれども過密過疎の同時解決の中で、ネットワークの整備だとか日本じゅう全体をつなぐ、あるいは二十五万都市、その間をつないでいく、日本全体を公害とそれから生産工場、GNP方式でおおうということはやめるべきではないかと考えますが、その点はどうですか。
  202. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 そのような具体的な問題については、私がお答えするのが適当かどうかわかりませんが、いわゆるハードウエアよりもむしろソフトウエアの部門に、一九七〇年代の都市の問題はもっと幅広く入るべきだし、また、開発であるとかあるいは進歩であるとかいうようなそうした考え方も、もっと、ただいま申し上げましたような文化的なものとか人間的なものを尊重していくという方向の中で、探究されてしかるべきではないかと考えるものであります。
  203. 吉田法晴

    ○吉田委員 それから、先ほど申し上げましたけれども経済社会基本計画の中でも、私的投機あるいは利益第一、こういうものは公益原則に変わるべきじゃないか、公共の利益優先に変わるべきではないかといわれておりますが、こういう点にも御異議はなかろうかと思いますが、いかがでしょう。
  204. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 私見といたしましては、そうした方向を大切にしていくということは、これからきわめて大事なことだというふうに考えております。   〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕
  205. 吉田法晴

    ○吉田委員 そうしますと、実は、そういう開発優先方式、それに一つ最近加わりましたのが、これは狂乱物価の問題を集中審議をしたときに、参考人の意見を聞きながら、私はやはり大事な問題が一つあったと思うのですが、それは、いまの世の中で、物を買って売ってもうけて何が悪いか。これは、いまの公共の利益優先に対しては逆な方向です。ところが、いまの私的投機あるいは利益第一が何が悪いか。その基礎は、資本主義の世の中だから、利潤を生んで何が悪い、方法は問題じゃないではないかということになります。  もう一つ、最近の政治の中で、選挙にも金はかかる、政治にも金はかかる。だから、その中から、損はさせない、もうけた中から、やはり政治資金といいますか、あるいは選挙資金といいますか、そういうものが出てくるという制度といいますか、あるいは慣習といいますか、そういうものがございます。これは政治の上での大きな要素だと思うのです。ここで政治資金規正法の話をしようとは思いませんけれども、政治の原則、社会経済の原則が、私的利益の優先よりも公共の利益優先というならば、政治の原則についても、この転回をはかるべきだということなしには、これは実現し得ないという点については、おそらく御賛成をいただけると思うのですが、どうでしょうか。
  206. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいまの、私的な利益よりも公共の利益が優先するということ、これは千古の哲理だと考えます。しかし、また一方におきまして、そうした理念と現実の間に、生活を維持していくというような考え方の中に、まだ非常に大きな混乱があるように私は思います。  たとえば、いい物をつくって、それがたくさん輸出できるならば、よしんば公害が出たっていいじゃないかという考え方が、一方にはずいぶんあったわけでありますが、そうしたことも今日の時点では、やはり公害を出してはならないのだ、公害を出すことをやめるために、むしろ利益が減ってもしかたがないじゃないかという理念に変わりつつあるわけでございます。同じように、この土地の問題にしましても、また社会生活あるいは政治生活の中における個人的な利益の追求の問題と、公的な利益と申しますか、やはりその辺のところに、まだ、この数年来の考え方の混乱が、頭でわかっていながら、なかなか実際のからだでは、それが覚えられないというような面もありまして、混乱があると思います。  しかし、いま御指摘のような方向は間違っておらないと私も思いますから、そのような方向が、もしもこの国土総合開発庁というものが土地の問題を取り扱い、あるいはまた市民生活の安定と発展のために都市の過密、農村の過疎という問題を解決するような場合にも、やはりそうしたような考え方を、開発庁の基本的な運営の中心に据えていくということは、私は間違っておらないというふうに思います。
  207. 吉田法晴

    ○吉田委員 先ほど建設政務次官にお尋ねをいたしましたが、いわばその考え方の変化、あるいはやり方を変えるべき問題について、私的な利益第一でなしに、公共の利益優先、少なくとも土地問題についても、あるいはその他の問題についても、社会化という問題はいまこそ大胆に推進すべきだ、それに矛盾する政治のあり方等については、これをなくしていくために努力をしなければ、将来はないと思います。これは与党、野党を問わず、あるいは議会政治なら議会政治、民主主義の基本の問題だと思うのですが、そこまでは、少し脱線になるかもしれませんけれども、お認めいただけると思うのです。  ただ、具体的に土地問題に関連をして、先ほど土地問題の社会的な具体的な姿、規制だけでなくて、国や地方公共団体による膨大な資金援助も含めて、土地の公有化を進めるべきではないかと私は考えるのですが、いかがでしょうか、ひとつお尋ねいたします。
  208. 内田常雄

    内田国務大臣 これは、政府提案国土総合開発法におきましても書いてございましたし、また、今度の四党共同の国土利用計画法規定も、同じようなものがさらに拡大して置かれてございますが、たとえば規制地区につきまして土地所有者が、土地につきまして法律的の処分をいたします場合に許可を求める、その許可が得られなかった場合には、土地所有者は知事に対して買い取り請求権を持つということになっておりますし、また、遊休地として指定をされましたものにつきまして、当局の納得するような処置が講ぜられなかった場合には、当局は、例の公有の拡大の推進に関する法律を一方にかまえながら、その遊休土地所有者と協議の上、土地の売り渡しを求める公共団体を指定をすることになっております。あるいはまた、全国的な地域にわたる届け出制度の運用による勧告、公表などの過程におきましても、勧告を受けた者に対しまして、その土地の処置につきまして助言をするというような規定も置いてあったはずでございますので、それらの法律の中に規定したメカニズムを通じまして、そうした土地をできるだけ公共団体に広く持たせる、こういう考え方をとっております。  それは、なぜかと申しますと、一つには、それを吉田さんが主張されますように、土地というものは公共用の財産である、こういう考え方もございましょうし、もう一つは、土地の取引の目的あるいは価格を凍結といいますか、規制します結果、かえって土地が動かなくなる。こういうような場合には、動かなくなった土地を公共団体のほうに売り渡させることをしないと、土地対象の投機はおさまっても、地価の暴騰はおさまっても、土地が動かないということになりますので、そうした規定が置かれていると思います。そうしたメカニズムを通じまして、公有地としての土地の保有の範囲を広げていくたてまえになっております。  ただ、その際、問題は、そのような場合に、当該公共団体にその土地を買い入れるだけの十分な財政的な用意があるかないかということでございますが、これにつきましては、昭和四十八年度は、政府法律であれ、また国会委員長提出の法律であれ、どちらに動くにいたしましても、現実に動きますのは、本年の終わりぐらいからになりますので、一年の何分の一かの期間しかございませんので、それほど多くのお金、起債などの用意ではございませんけれども、それでも何百億かの起債を割り当てておりますし、ことに、その起債の利子につきましては国から利子補給までする、こういう財政上のたてまえを、四十八年度においても頭を出しております。同じ考え方を年間を通じて、この法律がフルに動くであろう四十九年度におきましてはさらに拡大をして、そして公有地の取得の推進と申しますか、拡大をはかっていく方向にいき得る。これは吉田さんのお考えに近いものであろうと思います。  ただ、全面的に日本国土面積で、民有地に属するものを、とにかく一挙に公共団体等で買い上げて公有地にするということのお考えでありますといたしますならば、考え方としてはわかりますけれども、実務の上からあるいは財政面から、非常に現実的でないとも思われる点もございますので——今度の委員会提出の法律のメカニズムは、いま申しましたとおりになっており、政府もそれをお受けして同意をいたしておる、こういうわけでございます。
  209. 吉田法晴

    ○吉田委員 国土総合開発法のときに五十億用意をしてあったようですね。ところが、国土総合開発法ができて、そして特定地域に指定されるのは、法律ができるときにはもうすでに、どことどこが候補になっているのだ、そして、その計画に基づいてどれだけの費用が要る、それに充てるために、法律が通ったら五十億のいく先はもうきまっているのだ、こういううわささえございます。そういううわささえございました。それを「列島改造論」の弊害から、東北の実例で申しました土地問題に集約をして、そして土地規制あるいは国土利用ということで、全国的に平等になった点はいいと思うが、問題は、これからのやり方です。  そこで、これは私の例を申しますけれども、北九州市という百万の都市で、できたてのときですが、住宅事情は、これはどこよりも悪かった。したがって、住宅供給公社に市のほうから、これは金融公庫からも借りられます。借りられますけれども、そのほかに三億、四億、五億と歳計現金を貸して、何十万坪の土地を確保いたしました。そのとき三千円ぐらいで入手したんです。それを造成をいたしますと一万そこそこ、二万円になりません。それがある間は、大量にある間は、あまり土地の騰貴はございません。それで去年、おととしになって聞きますと、便利の悪いところで、そして山ですけれども、荒地が三万では手に入らぬということになりました。それは全国的な「列島改造論」、東北のいなかで国道に沿っているところは、もう五、六万ではないということがいわれるようになったときであります。  そこで、財政的に国と地方公共団体とが、どれだけそのために援助をするかということが、具体的な解決の成果を得るかどうかの話になると思う。公共的な土地、それを安く国民に提供するためには、産業の基盤だけの整備じゃなくて、国民福祉というものが中心になっていくならば、それが可能になる方法が講ぜられなければならぬと思います。それには、やはり国や地方公共団体の財政的な援助、産業にだけ条件整備の金をつぎ込むあるいは貸すということから、いわば国民福祉のために国民全体に、宅地の取得等については、そういう方法が講ぜられなければならぬと思うのですが、これから国土利用計画法を実施していかれます総務長官と、それからいま言われましたから経済企画庁建設省、ひとつお尋ねをいたします。
  210. 内田常雄

    内田国務大臣 おっしゃるとおりであると私は思います。  でありますから、ただ法律土地取引規制をして、また遊休地措置を講ずることにして、それらを紙の上で地方公共団体に押しつけましても、財源のないことでは目的を達成できないという趣旨から、特に今年度のわずか何カ月間だけにつきましても、起債をたしか五百十二億円ぐらいの予定であったと思いますが、起債のワクを設定したり、それに、それの全部ではないと思いますが、それの一部に対する利子補給というような財政の補助が、頭を出しておるわけでありまして、このことは、四十九年にはさらに金額を増額して対処する、こういうことにいたすべきであると私は考えます。  実は、建設委員会におきましても、同趣旨のお尋ねが建設委員長から四党を代表して御発言がございまして、私も政府を代表して、御趣旨に沿って政府としても善処する旨のお答えをいたしておるわけであります。また、そうした起債なり補助なりのほかに、これは御承知の都市開発基金の制度とか、あるいはまたそうした都市における土地の宅地化などを補助するための特別会計の制度などもございますので、そうした制度をもさらに見直して、これを有効に活用してまいれるような財政的措置も検討してまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、この実体法が、国土利用計画法が公布をされまして、それが、動きだすまでの間には六カ月ございます。附則におきまして、公布の日から六カ月以内に施行すると書いてございますので、その間、地方公共団体とも十分な打ち合わせをいたしまして、そしてお金の要る側面あるいはその額、またそのお金の調達のしかたなどにつきましても、打ち合わせをした上で対処いたしていく、こういうことになろうかと考えております。
  211. 吉田法晴

    ○吉田委員 全般的な問題については、一通り触れましたが、やり方は総合開発計画の再検討、そして土地問題の規制等による土地問題の解決、国土利用ということでございますが、公害問題について、瀬戸内海環境保全臨時措置法のように、もうこれ以上瀬戸内海はよごさぬ、公害は拡大しないという方針がございますが、具体的に地方で問題になります地域開発計画、私は、周防灘の問題を取り上げますが、おそらくむつ小川原あるいは志布志湾等についても、同じような問題があると思います。その具体的な地域開発をどう進めるか。総合開発計画の再検討、見直しということがいわれておりますけれども、実際に地方で進んでおるのは、全国的な再検討あるいは見直しにかかわらず、どんどん進んでおるのではなかろうかという感じがいたします。これは全国的なやり方の問題と、あるいは法律構想なり、あるいは実施官庁の再検討と、どれだけ関係があるのかという問題として、具体的に取り上げたいところであります。  周防灘総合開発計画というのは前からございました。しかし、具体的にどう進めるかということについては、福岡県議会なり福岡県政でも問題になりまして、知事は再検討をする、こういうことを言明されたのですけれども、ごく最近、瀬戸内海環境保全審議会の答申が出ますと、この埋め立てを避けるべき海域の中に、西瀬戸地域は入っていないということで、知事は二、三日前に、豊前海の埋め立てについて許可する方針だ、こういうことが新聞に報ぜられました。  問題は、具体的には環境庁長官になると思いますが、これは総務長官もそれから経済企画庁長官も、ひとつ聞いておいていただきたいと思うのです。法律のたてまえあるいは庁の設置法なら設置法に関連をしては、りっぱなことを言われますけれども、実際には、それと逆行することが地方では進みつつあるという例で私は申し上げます。
  212. 藤井直樹

    ○藤井説明員 周防灘地域におきます開発につきましては、地元の三県一市で、かねてから周防灘総合開発構想というのをつくってまいったわけでございます。これが、いわゆる大規模工業基地、そういう構想であることは事実でございますが、実はこの地域は、ただいまおっしゃいましたように、瀬戸内海に面した非常に環境条件がきびしくなくてはならない地域でございます。そういうことで、非常に慎重を期しまして、かねてからその調査については、万全の配慮を払っておるわけでありますが、気象の面、海象の面、生態系その他、種々の面から総合的な環境の調査をやっておりまして、それが四十五年から四十八年まで約四年間にわたって、国土総合開発事業の調整費を使ってやってまいっているわけでございます。現在もこの調査を進めておりますので、その成果をまとめまして、そして周防灘について、どういうような開発を進めたらいいかということをきめようということにいたしております。  ただ、いままで調査したところでは、当初ありましたように、五万ヘクタール以上の大規模埋め立てをやるということについては、非常にむずかしいというように考えられるわけでございます。  いずれにいたしましても、新しいこういう情勢に即応した、そうして瀬戸内海環境保全法というものができたということを前提といたしまして、周防灘地域につきましては、慎重な調査をしておるという状況でございます。
  213. 吉田法晴

    ○吉田委員 瀬戸内海環境保全臨時措置法というのは、大臣も二、三年前に行かれて、これ以上瀬戸内海をよごしてはいかぬ、こういうことで瀬戸内海環境保全、いわば公害の拡大を防ぐだけでなしに、解決するつもりでこの法律ができたと思うのです。前に、この問題を言うことを忘れましたけれども、ロンドンでは千名をこすスモッグでなくなった人が出て、根本的に再建を始めました。新しい衛星都市をつくるのにも、ニュータウンをつくるのにも、公害がないように厳重に考えて、町の中に軽工業なり公害のない工場がありますが、これは十何年前の話でありますけれども、テムズ川には魚が帰ってきたという話、きれいになったという話。  どうしてそういうことにならぬだろうかと思うのですが、せっかく瀬戸内海をこれ以上にはよごさないと決意をし、また天下に声明をし、そうして特別措置法をつくって、大阪湾あるいは播磨灘等は、これ以上の埋め立てはしないということだけれども、それをもとのきれいな水に返す、海に返すという方策がとられるのかどうか知りませんけれども、反面に、いま、まだ少しきれいなのは西瀬戸地域であります。あの九州のフグは、西日本の名産ですけれども、あなたたちも九州に行かれたら食べられると思うのですけれども、それもだんだんよごれてきつつある。瀬戸内海で残っているのは、西瀬戸だけというのに、どうしてそれは埋め立て規制の対象にはならぬのだ、こういう結論が出るだろう。そしてまた、それを利用して、埋め立て抑制の地域には入っていないから、西瀬戸地域についていえば、あるいは福岡、大分の環境についていえば、埋め立てをどんどんしてもいいんだ、こういう受け取り方をせられるならば、法律やあるいは政府の方針というものは、実際に無視されていくではないかと思うのですが、いかがでしょうか。このことは、これは環境庁の責任者のお答えをひとつ願います。
  214. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生御指摘のように、瀬戸内海の臨時措置法が全会一致で可決されまして、その後、瀬戸内海につきましては、いわゆる総量規制といいますか、CODの汚濁負荷量を四十七年の半分にするということで、まず各府県別の割り当てを行ないました。三年後にそういう状態に持っていくということで、段階的に各府県でその排出量を規制していくという措置をすでにとったわけでございます。  まず、そういうことできれいにしていくということが一つと、それから、いま御指摘の埋め立てにつきまして、去る九日に、埋め立てに関します、これは公有水面埋立法の免許または承認に関します運用にあたっての基本的な方針でございますけれども、それがきめられました。これは若干説明させていただきたいのですが、審議会では、中間的なものであるということをいっております。この中で、やむを得ず埋め立てを認める場合にも、海域環境に与える変化、影響、それから自然環境に与える影響、それから水産資源に与える影響、そのそれぞれの項目につきまして、チェックをしていただきたいということをはっきりいっております。したがいまして、ただいま福岡県で、おそらくそのチェックの作業をやっておられるのではないかと思います。けれども、私ども、まだ、この方針に従ったデータについてはいただいておりません。  それから、先ほど御指摘ございました大阪湾、播磨灘等の海域の区分けをいたしておりますけれども、これは、全体のよごれているところとそうでないところというのを、一応整理をしたということで、入っていないからいいとか入っているからいけないとか、そういう性格のものではございません。先ほど申しました、くどいようですが、あくまでも海域環境に対する影響、それから自然環境保全、それから水産資源、そういうものについて、それぞれこまかく、どういうことをチェックしてくださいということをいっておりまして、そういうところの結論が出た上で、知事が態度をきめられる、また、それが、知事の免許があるとすればあるということになろうかと思います。
  215. 吉田法晴

    ○吉田委員 そうしますと、この瀬戸内海環境保全審議会には、知事のかわりに副知事が出たという話ですが、新聞記事によりますと、副知事の帰ってきた報告によると、これは豊前火力のあの豊前の海域の埋め立ては、規制区域の中に入っていないから——会議では両方言われたけれども先進地域というか、よごれているところ、大阪とかあるいは神戸とかそういう地域発言と、それから後進地域発言と両方あったけれども、意見は述べなかった。意見は述べなかったけれども、その答申は、西瀬戸地域については規制区域に入っていないから、これは許可してよろしい。それは、アセスメントや何かについては、若干の調査があったかもしれません。しかし、そのことが、もしそういうように反対的にとられるならば、残っておる西瀬戸地域の埋め立てや、あるいはいまのような、先ほど来申しましたけれども、その開発方式は、やはり残っておるならば——土地規制についてはございます。土地規制については、この法律とそれからこの官庁でできるかもしれませんけれども、しかし、それも抜け道をくぐっていくという話になれば、結局、何も環境保全などできぬじゃないか。環境保全の問題については、環境庁がやっておられることだけれども、その環境庁の外郭団体というか、審議会の答申がそういうことで出て、そして、それが逆用せられるということになるならば、瀬戸内海の環境汚染は、さらに全般的になっていくおそれがあるのではないかという意味において、連絡がないから——県の公有水面埋め立て問題について、その方途、やり方も知っておる。知っておりますが、その審議会にも知事が出ていくのです。ですから、問題は、管内は知事の一存で、そしてこういう審議会の決定がなされたとするならば、それを逆用するならば何でもできるということならば、環境庁やあるいは瀬戸内海環境保全審議会は要らぬじゃないか。  そういう意味でお尋ねをしておるところでありますが、環境庁としてはどうされますか、あるいはどういう段階でチェックをされますか、承りたい。
  216. 森整治

    ○森(整)政府委員 先ほど申しましたように、瀬戸内海をきれいにしていくという立場から、四十七年の汚濁負荷量を半分にする。まず、既存の工場であろうと、新しい工場であろうと、そういうものについて束縛規定まであります基準、そういう基準を、各県の割り当てをすでに示しております。  そこで、埋め立ての問題につきましては、私、先ほど言いましたように、基本的な方針というのを、中間報告として出されましたけれども、その答申の頭には、厳に抑制をすべきだと考えており、そこで、総合的に判断をしてやむを得ないというふうに認められた場合には、先ほど私が申しました三項目をまずチェックしてください、そしてあと、そういう法律で保護すべきもの、あるいは先ほどの海域についての留意事項というのを書いております。基本は、あくまでもさっきの三項目をチェックして判断をしていただきたい、こういうことになっておるわけでございます。  それで、公有水面埋立法に基づきます埋め立てでございますから、公有水面埋立法の規定に従って知事さんがやられる。その基準が、一定の面積以下のものにつきまして、知事さんがそれをやられるということは、公有水面埋立法のたてまえから、そういうふうにきめられておるわけでございます。その場合に、知事さんが判断される場合の、先ほどの運用条件というのは、知事であろうと国であろうと、そういうことを守っていただきたいという性格のものでございまして、くどいようですけれども、公有水面埋立法のたてまえから、知事さんが免許を与えられるというケースにつきましての御質問でございますから、それにつきましての運用方針はこうでございますということで、私どもといたしましては、そういうふうなチェックがよく行なわれているかどうか、十分指導をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  217. 吉田法晴

    ○吉田委員 この法律に関連するたてまえと、それから実際にやられる地方での問題ですが、同じ九州でも志布志につきましては、これは漁民と文化人との地元の市民運動の結果でもございますが、チェックされたことは御承知のとおりであります。だから要望をしておきます。この法律の施行については、抜け穴のないようにひとつしっかりやっていただきたいということを要望しておきます。  それからもう一つ、時間がもうあとわずかしかございませんから、一括して申し上げますが、産炭地振興の問題でございます。この法律ができますと、そして官庁ができますと、名前はどういうことになりましょうか。国土総合開発庁といわれたものが、実際には名前はどういうことになりましょうか。
  218. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 先ほど来、大臣からお答え申し上げておりますように、名称の問題につきましては、当委員会において御審議いただき、修正の問題としてお取り上げいただければ、そういう方向で政府としても対処いたしたいということでございます。まだ名称の問題、具体的な案が出ておりませんが、おそらく国土総合開発庁ではなくて、国土庁というような名前になるのではないかと思います。
  219. 吉田法晴

    ○吉田委員 名称の問題だけは委員会にまかせるけれども、あと中身の問題については触れさせぬという態度は、たいへんけしからぬと思うのです。母法である国土開発法がなくなったら、機構については、もう一度再検討されるべきであります。いままでのものでいいというのは、はっきりわかりません。  それから、もう一つ心配をしますのは、総合開発ということでなくて、土地規制中心になりますと、産炭地振興といったような問題は、産炭地域振興事業団でできましたものが、工業再配置と一緒になりまして、工業再配置・産炭地域振興公団ということになりました。今度は産炭地振興という名前もなくなるわけです。そして庁の中心的な課題土地問題。土地問題について、すでにいままでの土地はございますし、それから、いままでの産炭地振興のおかげで相当土地も造成されております。あるいはまいりました工場もございますが、ほとんどそれは軽工業、そして女子雇用型の産業が大部分。それも昨年来の狂乱物価とそれから総需要の引き締めその他で、あるいは材料高等で、あるいはつぶれたり、あるいは縮小いたしましたり、合理化をいたしましたり、いわば惨たんたる経過をたどっておるわけであります。  そこで、新しいものに総合せられると、あるいは行政が一本にしぼられると、産炭地振興という方向が、あるいは法律精神が薄れるのではないかということが一般に心配をされております。それから、誘致企業が軽工業であり、女子雇用型でございますために、産炭地のなお多くの失業者が、失対かあるいは生活保護か、それから少しましなので緊急就労あるいは特別開発事業等、これは法律がございませんで、予算措置で特別に産炭地のために行なわれております就労事業、それともう一つは、もう農業も昔のように、あしたに星をいただいて出る、あるいは夕べには暗くなって仕事ができなくならなければ帰らぬという状態は、だんだん軽減されてきておりますが、朝五時前から起きて、そしてバスにゆられて北九州に行く。北九州では下請、孫請の仕事に従事をして、帰ってくるのは七時過ぎ。たまたまそういう家を訪問いたしますと、暗くなった家の中に、母親の帰りを待って児童がしょんぼり待っておるというような状態。しかも、そこで得られる賃金は、開就、特開もそうでございますけれども、今日でようやく失対よりもましでございますけれども、とうてい公務員その他の給料には及びません。私は、それが日本全体の低賃金の原因になっておると思いますけれども、ほんとうの仕事、ほんとうの職業を得たいというのが真剣な願い。ですから数字をいただきますと、通産省は産炭地振興の実があがっておる、こう言われますけれども、実態は、これは放置を許さぬ実態でございます。そういう意味で、産炭地振興はどうなるんだろうという心配をしておりますが、これらの点について、この心配を解消する方策を含めて、決意をひとつ承りたいと思います。
  220. 安河内健吉郎

    ○安河内説明員 産炭地域振興につきましては、当委員会で御審議いただいております新しい機構ができましたあとにおきましても、業務面におきましては、通商産業大臣の所管事項になっておりまして、実質的には従来のやり方と何ら変更がない形で推進をしてまいりたいと思います。  また、本日議決をいただきました地域振興整備公団におきましても、従来と同じく産炭地域の事業につきましては、資金経理の面におきましては、区分経理を明確にいたしますし、それから機構、人員の面におきましても、これは別立てで推進をするということになっておりますので、従来のやり方に何ら変更はないわけでございます。  産炭地域振興の業務につきましては、昭和三十六年に産炭地域振興臨時措置法ができまして、関係各省庁力を合わせまして、産炭地域の再建のために諸般の事業を行なってまいりまして、それなりの実績をあげておるわけでございますが、過去の閉山によります地域の疲弊は、依然としてきびしいものがございまして、先生御指摘のように、いろいろな問題が現実の問題としてあるわけでございます。そういうことで、今後も引き続き諸般の対策を各省庁力を合わせまして、なお一そう強力に推進していく必要があろうかと思います。  当面の対策といたしましては、通産省といたしましては、第五次石炭政策及び産炭地域振興審議会の建議によりますいろいろな施策の実効を確保するということのほかに、最近におきます環境保全の問題、公害防止の問題あるいは地域の住民の方々の福祉の問題等も十分に踏まえながら、基本的には産炭地域振興基本計画並びにその実施計画を推進いたしまして、企業誘致ほか産業基盤の整備、生活環境の整備、地方財政対策等、諸般の施策を、従来にまして鋭意推進してまいりたいと考えております。
  221. 吉田法晴

    ○吉田委員 時間がなくなりましたから最後に、そこに三大臣そろっておられますからひとつ承りますが、先ほどロンドンの公害解消の方策を述べました。イギリスでできることが日本でできぬはずがないと思うのです。基本原則の転換その他口ではいろいろ言われますけれども、成長第一よりも福祉第一、こう言われますけれども、しかし、実際にはなかなか、列島改造がたな上げされたようですけれども、また出てくる心配は多分にある。それを具体的に論ずるよりも、むしろ、ロンドンのテムズ川に魚が帰ってきたような、あるいは衛星都市をつくってでも、公害が全くないような都市計画の手法がどうしてできぬのか。これは、ほかに、シベリアのどまん中でも町づくりを見ました。あるいは中国へもしばしば行って見ております。日本だけがその例外であり得るはずはないと思います。一つ違うのは、人間の評価が違います。一人一人の人間をかけがえのないものとして評価をする制度が、ほんとうに確立されていないという感じがするのです、具体的な方法を含めて。  私は、この省庁は独立のものは別に要らぬと思うのですけれども、運営の基本として、せっかく総務長官が先ほど来その思想については、考えについては同調されましたから、具体的な方法について再考を願う、確立を願う御意思があるかどうか、ひとつ最後に承ります。
  222. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 国土総合開発庁の設置につきましては、ただいまるるといろいろな面から、この問題についての御討議をいただきまして、私、拝聴いたしておりまして、やはり非常に示唆に富んだ御説であると敬意を表します。  もう一つの面としまして、いま起こっておるこの公害問題一つをとりましても、あるいはまた物価問題をとりましても、特に土地の問題等をとります場合に、日本の行政官庁が、遺憾ながら縦割り行政であって、その何分の一かずつを押え、それの何分の一かずつの予算を持っておって、もしも、その総額が一点に集中して投資されるならば、ずいぶんいろいろなこともできるし、また、一つのところに集まっておれば、思想統一ができますから、たとえばロンドンのテムズ川に魚が住むようになるということだって、私は、やはり個々ばらばらの行政機関の中でもしやったとするならば、それはおそらくもっと時間がかかったであろうと想像いたします。  同時にまた、そうしたテムズ川に魚を住まわせよう、つまり先ほどから吉田委員の主張されております人間を大切にするというような、そういう発想が政治の基本に置かれる場合には、よしんばばらばら行政であっても、目的を達することが、あるいは可能であるかもしれません。しかし、その辺のところが、まだ日本が一九七〇年に入ってからのこの数年というものは、やはりそうしたことが、理念ではわかるけれども、なかなかそれがはだで覚えられないという一つの混迷期にあると私は考えます。そうした混迷期にある事態の中であっても、まいってしまうのは国民でございますから、やはり国民をもっと安心した生活に戻すという理念を掲げる場合には、その一つの方法として、行政官庁の一元化ということをはかって、そうして横割り行政の中で、この一番困難な問題に少し挑戦してみるということも、私は、理論をこえても許されていいのではないか。私は、いまのように、このばらばら行政の中では、とてもだめだろうというふうにも思うわけでございまして、そのような考えの中で、この国土総合開発庁の御審議を賜わっておりますが、吉田委員の仰せられるような諸種の点について十分配慮しつつ、また理念的にはずいぶん理解申し上げることも多い御説でございますので、今後そうした点も十分踏まえて、運営の成果をあげてまいりたい、そのように考えます。
  223. 吉田法晴

    ○吉田委員 結論だけをいただきましたから、終わります。
  224. 野呂恭一

    ○野呂委員長代理 上原康助君。
  225. 上原康助

    ○上原委員 先ほど来、同僚委員のほうからいろいろ、いま提案されております法案についての御質問なり、あるいは政府のそれに対する御答弁もあったわけですが、質問が重複する形になる、あるいは焼き直しになる面もあって恐縮ですが、四、五点お尋ねをさしていただきたいと思います。  そこで、先日からやりとりを聞いておりますと、この国土開発庁設置法が出された当初の段階においては、すでに指摘されております国総法というものを受けて、それを推進していく所管官庁を設置するというかっこう、かっこうといいますか、そういう目的で提案されたと思うんですね。しかし、今日国総法そのものが全面的に改正といいますか、あるいは当初の開発中心から土地利用規制あるいは地価の抑制、そういうことに重点を置いて大きく本体が変わってきているわけです。  そうであるならば、当然この国総庁設置法のほうも、政府みずからが修正をするなり、国土利用計画法に即応する形で改めていくべきだと思うのです。なぜ、そういう措置をとられようとしなかったのか。もちろん物理的、時間的な問題もあろうかと思うのですが、その点を明確にしていただきたいと思うのです。本法案を修正なりあるいは国土利用計画法案に沿って改正をしていく御意思は政府はないのかどうか、その点は、まだこの質疑応答を通してさだかでないような感じがいたしますので、その点を最初に明らかにしていただきたいと思います。
  226. 内田常雄

    内田国務大臣 実体法と申しますか、政府提案国土総合開発法案は、それといたしまして、御承知のように、与野党四党が中心となって当院の建設委員会の委員長提案として国土利用計画法案が制定をされたわけでございます。その実体法と並行して、実体法を総合的に運営する新しい官庁として国土総合開発庁設置法案というものが、当内閣委員会に並行して出されておったわけでございますので、私は、実体法がそのような形で変更がありました限りにおきましては、入れものと申しますか、これらを担当する国土総合開発庁の設置法案につきましても、それが政府の修正なりあるいは当委員会における修正なり、いずれかは、委員長以下与野党皆さま方におまかせをいたすべきことでありますけれども、これは、当然それなりの修正を受けることはあってしかるべきであると考えておるものでございます。  なおまた、これは、よけいな例でございますけれども、この実体法を動かすもう一つの機関といたしまして、従来の工業再配置・産炭地域振興公団というのがございますが、これを政府は第三の法律案といたしまして、国土総合開発公団に改組をするという法律案国会に提出をいたしておりました。これにつきましても、実体法の変更に応じまして、このたび国会で修正が行なわれました。政府修正ではなしに、国会修正が行なわれまして、その名称も、政府の改正案における国土総合開発公団というのを修正をせられまして、地域振興整備公団、こういうことになりまして、御承知のように委員会でも可決せられ、本日の衆議院の本会議におきましても、多数をもって可決せられたわけでございますので、この国土総合開発庁につきましても、さきに私が述べた趣旨と、いまの公団法の国会修正の線に沿った取り扱いがされることに相なるのではないか。その場合には、同意できる修正案である限り、政府はその修正に同意をする、こういうことでまいることになろうと考えます。
  227. 上原康助

    ○上原委員 そういたしますと、本体である国総法が委員会で修正された、それを受ける設置法の点も、先ほど来議論がありましたように、当然国土利用計画法に沿った形で修正なり、改正をすべきだという考えなんですね。結論的に言いますと、その取り扱いについては、本委員会にまかすということになるわけですか。
  228. 内田常雄

    内田国務大臣 これは、政府といたしましては、国土総合開発庁ということで国会法律案を出しているわけでございますけれども一つの実体法ともう一つの公団法のほうが、国会で別の形を取り上げられました以上、この国土総合開発庁につきましても、これが国会で修正されることは、やむを得ないと申しますか、ある場合におきましては、当然その流れに沿ったものであると、政府としても考えてしかるべきものだと私は思います。
  229. 上原康助

    ○上原委員 そこで、中身についてこれからお尋ねをしていきたいのですが、いろいろ政府の御出席されている方々に何か御用があるようで、行管の政務次官来ていただいたのですが、せんだっての建設大臣の御答弁もありましたが、当初の国土総合開発庁設置ということは、非常に膨大な構想であると同時に、各関係する省庁というのが、あまりにも幅広くこれに統一されるという形をとっているわけです。それも問題ですが、最近の政府から出される報道などを見ておりますと、せっかく国土庁といいますか、国土総合開発庁設置法を審議している過程で、やれ住宅省をつくるのだ、あるいは中小企業庁を省に昇格させるのだというようなことが、最高責任者である総理の口からぼんぼん打ち出されているわけですね。しかも、それを受けて官房長官も、五十年度の予算編成にあたっては、その点は十分考慮し、来年夏までには両省の設置というものを実現したいという、ほぼ言明めいたことも言われているわけですね。  そうなりますと、じゃ、何のためにこの間は、中小企業庁に小規模企業部を設置し、中小企業庁の一部改正をしたあの段階でも、省昇格の考えがあるのかというのに対しては、検討に値するのだが、そういう方針はないということであったのか。また、住宅問題にしても、確かに問題がありますが、住宅省設置ということは、どうも思いつきで出されたような感じがしないわけでもないのです。  そこで、こういう新しい役所を設置する、しかも省とか庁とかいうものをつくる場合には、当然行管のほうで検討して、政府部内での意思統一というものなりがあって、初めて構想というか、方針というものが出てくると思うのです。一体、行管には、この件については相談があったのか。そういう点について、まず行管の立場で、総理が打ち出している住宅省あるいは中小企業庁を省にするという問題に対して、どう検討されたのか、またどうお考えなのか、明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  230. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 ただいまお話しのありました総理発言の問題でございますが、まだ行管には正式な相談はございません。ございませんが、住宅行政、中小企業行政が非常に重要な問題であるということは、御承知のとおりでございまして、そういう観点から、総理のような構想が出るということは、これは考えられ得る問題でございます。また、この問題は真剣に検討すべき問題だと思います。まだ相談がありませんから、検討はいたしておりません。ただし、この問題は関連するところが、いま先生のおっしゃったとおりきわめて多く、重大な問題を含んでおりますので、総理から行管に相談がありました段階で慎重に検討を加えていきたい、こういう考えでおるのでございます。
  231. 上原康助

    ○上原委員 行管としては、総理から相談があった段階で検討をする。総理がそういう構想を打ち出す過程においては、全然話はなかったわけですね。  お二人の大臣にお伺いしたいのですが、この間、建設大臣の御答弁はあったのですが、企画庁長官、閣議では、住宅省を設置するとかあるいは中小企業庁を省に昇格させるのだというような話し合いは、今日まであったのですか。
  232. 内田常雄

    内田国務大臣 閣議では、正式にそういう話は出ません。
  233. 上原康助

    ○上原委員 そこで問題は、総理が、政治家ですから、しかも一国の総理大臣ですから、夏の参議院選挙もあるし、いろいろなことで、外部であれこれ構想を述べられるということは、これは自由かもしれません。しかし、こういう法案を真剣に審議している過程で、担当の行管とも全然相談のない、あるいは閣議でもそういうことが一顧だにされていない、一ぺんも議論されていないということで、言明めいたことを言うというのは、あまりに軽率だと私は言わざるを得ないわけですよ。少なくとも、ここに行政管理庁の所管の分があるわけですが、いわゆる「行政機関の機構、定員及び運営に関する調査、企画、立案及び勧告。各行政機関の機構の新設、改正及び廃止並びに定員の設置、増減及び廃止に関する審査。法律により直接に設立される法人又は」と、こういうふうにはっきり、行管のほうでもそれ相応に検討して、初めて省の設置とか、あるいは定員の問題というのは打ち出されるべきだと思う、たとえ総理であるにしても。そういうことも全然とられないままに、ぼんぼんいろいろな構想だけが打ち上げられたのじゃ、これは与党の方だって、たまったものじゃないと思うんですね。  したがって、そのことがやはりはっきりしないと、この国土総合開発庁の設置の問題についても、かりに住宅省をつくるとか、あるいは中小企業庁を省に昇格させるということになるとしますと、せっかくいま建設省にある宅地部をここに持ってきたって、来年の夏までにはやると言ったって、そんな朝令暮改の機構いじりというものは、これはロスにしかならないと思うんですね。   〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、その点は、政府として明確にしておいていただきたい点なんです。これは、官房長官総理が来てはっきり言わないといけない問題かもしれませんが、現段階では行管は、二つの省をつくるということについてはどうお考えなんですか。行管の立場では、現段階はどうなのかという点を、もう一度念を押しておきたいと思います。
  234. 小澤太郎

    ○小澤(太)政府委員 先生の先ほどの御見解は、私も賛成でございます。行管が先立って省をつくるというようなことは、やらないたてまえになっております。そういう議が起こりまして、行管に相談が参りました際に、いろいろな面で総合的に判断いたしまして、行管としての意見を出す、それが閣議決定によって政府政策になる、こういう段階でございます。したがいまして、私どもといたしましては、まだ十分に検討いたしておりません。積極、消極両方の判断を申し上げる段階ではございません。
  235. 上原康助

    ○上原委員 たいへん失礼な言い分かもしれませんが、政務次官のお立場で積極、消極の、いわゆる行管としての見解を明確にできないというお答えも、わからないわけではありません。  そこで、これは、いまも問題になっております海外協力大臣のポストを一つふやすという内閣法の一部改正も、おいおいこの委員会で議論がされるかもしれません。その過程において、閣内においてもいろいろ問題があったわけでしょう。インフレ大臣でもあるまいし、大臣の首だけをたくさんふやしたって、はたして実のある行政ができるのか、効果があるのかという御意見もあったわけですが、いま総理構想でいきますと、国土開発庁が国土庁になろうが、この法案ではちゃんと専任大臣長官をふやすということになっているわけです。海外協力大臣、かりに住宅省をつくるとすると住宅相、あと中小企業省ですか、もう四人も大臣がふえるということになるわけですね。こんな大量生産というのは、物だって大量生産はあまりよくないといって、いま国土利用計画も出ているわけですから、この件については、やはり政府の見解を明確にしていただかないといけないと思います。  そこで、これは委員長に要求ですが、せんだってからの木原委員の御質問にも明確な御答弁がなかったわけです。もちろん建設大臣にしたって、企画庁長官にしたって、行管の政務次官にしたって、御自分がおっしゃったことなら責任持って、私の見解はこうだということが言えるかもしれませんが、一番えらい総理が言ったものだから、みんな遠慮して、こんなことは、あってはいかぬと内心は思っておられても、なかなか言えっこないということだと思う。やはり国総法の問題は、田中さんが「列島改造論」をぶちあげて、それから発展してきたわけですから、この省設置の問題と、今後の土地利用の問題、あるいはこの役所ができた場合の機構のあり方、性格、任務等について、最高責任者である総理の明確な答弁がないといけないと思うんですね。その点は、最終的にこの法案をどう処理するかまだわかりませんが、それの結論を出すまでには、一ぺんぜひ総理出席していただくことができますか。
  236. 徳安實藏

    徳安委員長 話はしますけれども、私、いまここで引き受けるわけにいきませんから、理事会でよく相談しまして交渉しましょう。
  237. 上原康助

    ○上原委員 それは、そんなすげない返事ではだめなんです。委員長は責任をもってやるということでなければ……。私はたくさん問題はありますが、あまり同じ質問を何回やってもいけない面もありますので、もしその点が十分いくとなると、私の持ち時間の範囲でとめたいと思います。これは、私も理事ですから、ぜひ理事会でやっていただいて、住宅省と、あるいは中小企業庁を省に昇格させるのか、そういう面は、やはり明確にしてもらわぬと困ると思うのです。その点、強く要求しておきたいと思います。  そこで、先ほどから議論がありましたが、この名称ですが、当委員会のほうで考えていただきたいということで、どうも政府の御答弁を聞いていますと逃げ腰なんですね。国土庁なら国土庁としてもらいたいとか、あるいは本体は変わったけれども、必ずしも国土利用計画法だけをこの所管にするあれじゃないので、広範な法案だから国土総合開発庁でいいとか、そういう見解はあると思うのだが、なかなかそれを言っていただかない。  私は、なぜその点を念を押すかといいますと、どうも先ほどからのやりとりを聞いて感ずることは、国土総合開発庁ということに非常にこだわっているような感じがするんですね。総務長官も、行政の一元化ということと、縦割りだけではいかない、横割りの総合調整をやって行政の実をあげなければいかぬということを言ってはおるわけですが、実際問題として、かりに新しく通過をする  であろう国土利用計画法中心にこの官庁が所管するとするならば、その問題を中心に新しく設置されるこの庁が扱うとするならば、何といってもやはり土地問題が中心になると思うんですね。しかし、実際に皆さんの頭の中には、それだけでは  いかないのだ、最初の段階できめた国土総合開発法案を受けてつくろうとしたその窓口にしたいということが、非常に強いような感じを受けるのですが、そこらをもう一度整理しておいていただきたいんですよ。あくまでも国土利用計画法を執行していく、それに基づいた計画、立案をしていくのが主たる任務なのか。当初から皆さんが御提案をなされた、数えてみても、出されておる法案というのは五十近くあるんですが、その後、関連法案ができたわけですから、おそらく七、八十本になるかもしれませんが、それだけ膨大な法案を調整していく窓口にということになると、そういう多くの中の国土利用計画法にしかならないわけですね。その点が非常に不明確なんですよ。それをあらためて、総務長官なり企画庁長官のほうから御答弁をいただいておきたいと思います。
  238. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 上原委員のおっしゃいましたとおり、われわれとしましては、今度の国土利用計画法の成立を待って、国土総合開発庁の発足をしたいという考えでございますが、この場合の国土総合開発庁の任務の最も大きな部分は、国土利用計画法精神を、さらに具体的に進めるということでありまして、そのことは同時に、土地問題の解決の足がかりをここで築いて、そして現在の物価問題にしろ、あるいは過疎過密の問題にしろ、いろいろな面でわれわれが行き詰まっておる社会の事態の転回をはかっていきたいというのが、その趣旨でございます。  繰り返して申し上げますが、国土利用計画法精神とその基本的な考え方中心に、いままでやってきたものも、逆に言うならば、洗い直してもかまわないというくらいの意気込みで当たっていく所存でございます。
  239. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、先ほどもちょっと御質問があったのですが、いま修正案なりすっきりしたものが出されれば、審議も非常にやりやすいわけですが、この最初の提案、これを本体として議論をするものだから、ますますこんがらかる結果になるとも思います。この当初出された国土総合開発庁設置法案要綱というものでいろいろうたってありますね、この中で、削除されるというものは全然ないわけですか。
  240. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 先ほど先生御指摘いただきましたように、この総合開発庁で所掌をする法律は、この原案で所掌させることとしているのが四十一でございまして、その後、国土利用計画法をはじめとして、成立しまたは成立予定の法律が四本でございますので、合計四十五本の法律を所掌することになるわけでございます。  いま先生せっかくの御指摘でございますけれども、先ほど来、総務長官が申しておりますように、この国土総合開発庁の主たる任務は、今般御制定いただきます国土利用計画法を軸とした総合的な土地政策の転回、これがもちろん中心の任務でございますが、同時にあわせて、その土地政策を踏まえながら過密過疎問題、地方農山村の均衡ある整備をはかりまして、国民がどこに住んでも快適な生活を送られるような地域社会の建設をはかるということも必要であると思いますので、現在のところ、われわれといたしましては、いま申し上げました四十五本の法律のどれを削るかということについては、考えておらない次第でございます。
  241. 上原康助

    ○上原委員 その点が私は重要なポイントだと思うんですね。確かに表現上は、やりとりをする過程においては、国土利用計画法を主たる任務としていくのだということをおっしゃる。だが、当初の提案されているものから全然削除されるものはないのだ、むしろ国土利用計画法なりその他のものが若干入るということになりますと、当初の提案された段階の皆さんの構想というものは、全然変更がないということに法律上はなるわけでしょう。  そうしますと、具体的にお尋ねしたいのですが、表現は別ですけれども、いまこの役所の主たる任務は、新しくできた国土利用計画法を執行するといいますか、遂行していく役所なんだ、目的や任務の面で当然それが入らなければいかぬと思うんですね。そういう条文がないままに、ただ会議録には載ったって、実際に役所ができたあとは、こういうことしかやらないわけですよ並列にしか並べてないわけだから。どこかにそういう表現が入って、この新しくできるであろう役所の主たる任務というものは、国土利用計画法を実あらしめるための施策をやるのだ、計画なり立案をやっていく役所なんだということが、皆さんのほうから提案があるか、そういう構想が明らかになされない限り、できるまではいろいろおっしゃったが、物価局ができたときには、物価は下がりますなんて言って、とたんに上ってしまう、何の役にも立たなかった、そういう役所にしていけないと思うんですね。そういうお考えはあるのですか。もし、いまあなたが御答弁なさるような考えがあるとするならば、「任務」かどこかでそういう表現を明確にうたわぬ限り、このできるであろう法律の性格といいますかは、明確にされないわけですね。また、国土利用計画法を受けて、それをこなしていく役所にはならないわけですから、その点はどうお考えですか。これは、むしろ大臣のほうからお答えいただきたい。
  242. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 それらの問題につきましては、委員会のいろいろな御討議は、われわれとしては十分尊重してまいりたいと思っておりますが、一つの試案といたしましては、第三条にございます主たる任務のところでございますが、「国土総合開発に関する行政」を土地行政を含めて、あるいは中心として、総合的に推進するというふうにいたせば、目的はきわめて明確になるのではないか。  それからまた、四条以下に並んでございます「その権限の行使」云々のところでございますが、六番と七番に地価対策と水の問題が出ておりますが、これが、むしろ一のところに位するようにすればいいのではないか。そういたしますれば、ただいままでのわれわれの御答弁申し上げているようなこととの関連も、おのずからはっきりするのではないかというふうに考えております。
  243. 上原康助

    ○上原委員 いま考え方については、私が申し上げた点を取り入れて、三条あるいは四条で表現としてといいますか、修正なり挿入をしていきたいというお考えが出たわけですが、国土利用計画法を受けて、これだけのものを修正していくということになると、相当時間を要するわけですね。また、かなり検討を加えないといけない面もあるわけですが、少なくとも各委員から指摘されておりますように、最初に出された法案そのものがすんなり入って、国土利用計画法は、ただそれにくっつけたというようなかっこうの役所にしてはいけない。皆さんもそういう方向には持っていかないと言われ、また、持っていってはいけないわけですから、その点は、われわれとしてもいろいろ考えていきたいと思いますので、ぜひ政府のほうもそういう方向で、この利用計画法が生かされるような方針を、より明らかにしていただきたいと思います。  そこで、なぜ私がそのことを強く申し上げるかといいますと、建設委員会においてのこの国土利用計画法の取り扱いも、いろいろな過程を踏んできているわけですが、実際問題として国土利用計画という名称になったというのも、これは、ある意味じゃ、与野党の妥協点を見出したにすぎないのじゃないかという感じを受けるわけですよ。むしろ、それは、地価対策に重点を置いたと言っても過言ではないと思いますね。そうしますと、この新しく設置をされる役所にいたしましても、まず地価の高騰というものをどう抑制していくのか、あるいは宅地の供給というものをどうはかっていくのか、そういう国民や庶民の求めている土地政策というものを、具体化していくことでなければ、せっかく設置をしても、本来の目的を達成することにならないし、先ほどから御答弁のあったような方向で、国土利用計画法が生かされるということにもならないわけですね。  そこで、お尋ねしたい点は、国土利用計画法を具体化していくその具体的な方針といいますか、今後の考え方というのは、一体どういうふうにお考えになっておるのか。もちろん、まだ法案そのものが通らない、あるいは役所もできないという段階では、確たる面は出てこないと思いますが、具体的にそれをどういうふうに進めていく考えか、その点もあわせて明らかにしておいていただきたいと思います。
  244. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 やはり、現在の土地問題の一番根本的なことは土地の取得、売買等がきわめて乱脈になっておるということに尽きるのじゃないかと思います。したがいまして、国土利用法にも明確にございますように、この取引の規制を行なうということ、やはりこれが一番大きな任務であるし、同時に、取引の規制を行なうということは、単純に私権制限するということでなしに、もっと広い意味での公共の利益というような問題を、国民によく理解してもらうような行動も非常に必要なことだと考えます。  しかし、その方法論については、またいろいろと当委員会においても御議論いただくことを十分に拝聴してまいりますが、問題は、取引の規制ということをまず中心に据えてみたい、同時にまた、その結論を、さらに他の大都市における問題やあるいは過疎地帯の問題を解決するためにも、それらを一元的、総合的な行政力の中でこなしながら、先ほど来申し上げております都市問題や農村問題等についても、前向きに対処していくという方向をとるべきではないかと考えます。
  245. 上原康助

    ○上原委員 いま、おっしゃった土地の取引の規制ということも、もちろん大事なことだと思います。しかし、この国土法に国民一般が非常に関心を持つのは、やっぱり高騰している地価が抑制をされて、安いというよりも、適正なと言ったほうがむしろいいのかもしれませんが、そういう宅地が手に入るかということに非常に関心、期待があるのじゃないかと私は思いますね。そういう面を具体化していくにはどうすべきなのか。あるいはおっしゃる三大都市圏の地価凍結や土地取引規制問題ももちろんあります。いま一つ、けさも和田委員から指摘されておりましたが、確かに首相の指示権、代行権というのは問題があるわけですが、この土地利用計画法を見てみますと、都道府県知事に大幅な権限を移譲しているわけですね。その都道府県における土地利用計画というものを、どう具体化していくかということも、この法律の重要な要点になっていると私は思うのです。ですから、そういう面を一元化していく役所ということであるならば、土地利用計画法の趣旨なり、それが成立した後の行政指導なり方針なり立案というものを、どのように政府が立てて、各地方自治体に対して、あるいは関係者に対して徹底をさしていくかということにもかかっていると思うんですね。その点については、どういうお考えでやろうとしているのか。あまり政府が先行すると、確かに自治権への介入だといわれてこれも困る、消極的にならざるを得ないという、いまのいろんなむずかしい面もあると思うんですが、少なくとも、そういうものを重点的にこの役所はまとめていくのか、そこいらはどうお考えですか。
  246. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 上原委員も当然、御理解いただいていると思いますが、政府は、そういう方向の中で、各地方自治体の自主性をもちろん非常に高度に尊重しながらも、基本的には、国民大衆が土地というものに対して現在持っているイメージを変えていく、また、実際生活の中で土地が手に入るなり住宅ができる、あるいは高度に自分らの地域社会やコミュニティーにとって有益なものがそこにつくられるというようなことが、目に見えて実践されなければ意味ないことであります。  したがいまして、そうしたことをやるのに、われわれは、ともかく第一義的に地方自治体の自主的な判断というものを尊重していくことは変わりございませんけれども、同時にわれわれは、そうした地方自治体が土地という問題については、いままでにないような高度の政治的な責任と社会的な責任を自覚していただきたい、私はそのように思うわけです。同時にまた、そうしたことについては、繰り返し理解を得るような行政的努力を、当然、国土開発庁としては、各自治体に対しても行なうということになると思います。
  247. 上原康助

    ○上原委員 私が、なぜそういったことを、要望を含めて申し上げておくかといいますと、今日土地問題というのが、ここまで深刻化してきたことは、これは、いろんな背景なり原因があると思うのですが、一口にいえば、やはり生産第一主義といいますか、開発中心政策を推進してきたことに尽きると思うんですね。それを何とか改めていかなければいけないというところで、いろいろな議論の中から、いま新しい土地法ともいわれているものが生まれてきたわけであります。今回の場合だって、おそらくこの法律ができたから、いまの土地問題なり住宅問題というものが、そうたやすく解決されるとは思わないのです。なぜならば、今日までだって、いろいろな土地政策は、単発的にはなかったとはいえないわけです。要は、それが実効を伴ったかどうかということなんです。政治姿勢の問題と、ほんとうにその法律目的なり、内容に沿った行政が執行されてきたかということが、むしろ問われるべきだと私は思うのです。  そういう反省の上で国土利用計画法なり、これを受けていく国土庁というものを考えないといけないのじゃないか。またしても法律はつくった、役所もつくったが、結果的には地価も下がらないし、宅地の供給も従来とあまりかわりばえしないということであってはいけないと思います。それがゆえに、そういった趣旨の徹底の問題などをどう考えておられるかということをお尋ねしているわけです。  たとえば、今日までもいろいろな土地対策として、全国総合開発計画が三十七年に立法化され、制定されている。あるいは新住宅市街地開発法、不動産の鑑定評価に関する法律、三十八年、三十九年、こういうものが、いわゆる三十年代に一つ土地政策として打ち出されながら、高度経済成長という大ワクの中で、法律そのものの趣旨が生かされなかったという反省は、私は十分やるべきじゃないかという感じがしてならないわけです。ですから、そういう過去の例などを考えてみた場合に、今回のこの国土総合開発庁というものが、もし従来のような方向であるならば、私は、個人的な意見として、あえてこういう総合調整的なものを設置しないでもいいんじゃないかという感じがするわけです。それがどうしても必要というのであるならば、やはり従来とは変わった政策、実効が出るという条件がなければ、いまの庁を設置するということではなくして、建設省に国土局を設置するか、あるいは企画庁に国土局といいますか、そういう局の設置だけでもいいんじゃないのか、そういう極論さえあるわけです。  ですから、どうしてもそういった総合調整をやって、一つその大臣のポストもつくってやるということであるならば、従来とはかわりばえのした政策というものが具体的に出されるという大前提でない限り、われわれとしては、どうしても納得しかねる面が多いわけです。そういう点についても、もう少し企画庁なり総務長官の確たる考え方というものを出していただかないと、どうも役所をつくるまでは、いろいろ法律を通すまではたいへんいいことで、こういうふうにやります、ああいうふうにしますということが言われるわけだが、つくったあとはなかなかその効果があがらないというのが、これまでの前例ですから、そういうことは万々ないのかどうか、あらためて念を押しておきたいと思います。
  248. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 上原委員のただいまの御所見は、まことに傾聴に値するものであると考えます。同時にまた、新しい組織をつくって、それが少しも効果が出ないということになれば、これは非常な行政上のむだでもあると同時に、国民に対しても相すまぬことでございます。  たまたま、この二年間、国土総合開発庁を心に持ちながら、また、こうした土地問題を中心にし、また過疎過密問題と果敢に取り組んで日本の現在の社会のゆがみを直そう、そんなような発想でずっと待機を続けてきておったわけでありまするから、その間におきまして、現在考えられております機構は、それぞれの主務官庁との間においては、二年間にわたって十分なる打ち合せがすでになされております。そこへ今度、国土利用計画法という今日までとはまことに発想の違った、しかし、時代的に見てきわめて適切な法案の成立を見ることになったわけでありますので、この理念は、われわれとして少しも否定するものではないし、同時に、今日までいろいろ考えてきた問題も、国土利用計画法に盛られたこの発想が、今後のわれわれの土地政策国土に関するいろいろな施策にとっては非常に有意義、有効に働くという確信を持って、今回、国土総合開発庁というものを、さらに国土利用計画法の実施体として御審議を賜わるというふうに考えておるわけでございまして、その間には十分なる討議と、十分に成果のある運営をはかるための各省間の連絡は、すでに長い間かかって調整をされてきつつあるものであるということを申し上げたいと思います。
  249. 上原康助

    ○上原委員 そういう効果が出るようなお役所にするという前提であるならば、先ほど私が一、二点申し上げたようなことも入れて、条文的にも十分整理をしていかないといけない問題があろうかと思います。  そこで、もう少しこの中身でお尋ねをさせていただきたいことは、たとえば、「総合的な交通施設の体系の整備方針に関し、基本的な政策を企画し、立案し、及び推進し、並びに関係行政機関の事務を調整すること。」というのも、所掌事務及び権限に入っているわけですね。総合交通体系の整備ということになりますと、運輸省とのかかわり合いというものが当然出てまいります。いま一つは、水資源の面がうたわれておりますが、これは建設省あるいは厚生省、場合によっては自治省などともかかわり合いがある。一体、交通体系というものを、私がなぜ削除する考えが全然ないのかということをお尋ねしたのは、もちろん土地問題は、交通のネットワークの整備ということになりますと、関連しないわけでもないのですが、あえてこういうことまでこの役所に入れて、ほんとうに交通体系の整備というのができるのかどうかという疑問を、逆に持つのもまた不自然ではないと思うのです。水資源の問題にしても、ある面では建設省が担当するのが、むしろ効果がある面があるんじゃないか。具体的にこういうことについては、単なる白書を出すとか資料を集めるとかいうようなことではなくして、先ほどの答弁を聞いても、計画、立案をやっても執行機関じゃないわけですが、その関連性は一体どうなっていくのか。そういうのがまだ不明確なような感じがしてならないわけですよ。  さらに、経企庁のほうから総合開発局というのを、これに移すわけですが、開発局というものを移した場合は、先ほど来議論がありました新全総あるいは経済社会基本計画、そういう立案などは、従来どおり経企庁でやる、また開発庁をおこして、ほかの総合的なものはここでやるんだということになると、そこにまた何かばらばらな感じを受けないわけでもないわけですが、そういったのは、一体責任ある窓口はどこになって、どこがその政策や立案に対する最終責任を持つのか。これもある程度明確にしていただかないと、ただ表現の上で、文言の上で書いただけでは、将来において困る可能性が私はあると思うのです。なぜならば、むずかしい問題になると、いや、これは私の役所ではありません、向こうなんです、そういうのが過去においてたくさんあるのです。たとえば沖繩問題にしても、大かたそういう面があるわけであります。そこいらの点についても、いま少し明確な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  250. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  詳細につきましては、担当参事官から申し上げる場合もあると思いますが、第一点の総合交通の問題でございますが、これは何も鉄道を引っぱるというようなことではなしに、現在ある鉄道網あるいは輸送力、そうしたものの地域的な偏在等がある場合には、それの調整をするというようなことがまず取り上げるべき主体ではないかと思います。そうした意味で、この総合交通というようなものを、調整局において責任をもって取り扱うことを考えてはどうかというふうに思います。  それから、水の問題でございますが、御承知のとおり、水がなくては人間は生存できません。同時にまた、水があらゆる問題の基本に、いまやなりつつあるわけでございまして、同時に、非常に不足であるというのも、御承知のとおりでございますが、こうした水の需給に対して、現在のようなばらばらの行政の中で、個々においては全力を尽くしておっても、総合的な成果があがっておらぬというのは、土地対策と同じではないかと思うわけでございます。この水の問題の取り扱いをどこの部局において責任をとったらいいか、これは、ひとつ委員会におきましても、十分御検討を賜わりたいのでありますが、一つの案としましては、土地問題と一緒に扱うような体制がいいのではないかというふうにも考えるわけでございます。
  251. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 基本的な点につきましては、ただいま総務長官から御説明をしたとおりでございますが、まず第一点の総合交通施設の体系の整備に関する問題でございますが、交通施設といたしましては、鉄道あり道路あり、あるいは航空あり海運があるわけでございます。これらの交通施設が、体系がとれて、むだなく整備をされなければならないわけでございまして、それは総合的な将来の輸送の的確な見通しの上に立って整備を進めるべきだと思うわけでございます。  ところが、その交通施設につきましては、御承知のように建設、運輸両省にまたがっておるわけでございまして、往々にして、その整備につきまして重複をしたりする懸念もございますので、そういう施設整備の問題につきましては、総合的な長期的な見通しに立ちまして、とりあえず国土総合開発庁におきまして、体系の整備方針を確立するということに相なるわけでございます。なお、交通機関に関連をいたします運賃、料金制度の問題でございますとか、交通企業経営等の問題につきましては、運輸省が所管をすることに相なるわけでございます。  それから、水資源の問題でございますが、水問題につきましては、需要と供給の両面があると思うわけでございます。需要につきましては、農業用水につきましては農林省、上水、生活用水につきましては厚生省、工業用水につきましては通商産業省が、それぞれの見通しを立てて、政策を実施しているわけでございます。また供給対策につきましては、河川開発につきましては建設省が主力でございまして、農林省も河川開発で農水の開発を行なっている面もあるわけでございます。なお、供給対策といたしましては、単なる河川開発のみでございませんで、海水の淡水化の問題でございますとか、あるいは還元水の再利用の問題でございますとか、今後、河川開発だけでは長期の需要に対応できない面がございますので、そういう総合的な供給方策というものを確立する必要があるわけでございます。  そういうふうに水問題につきましては、需要、供給両面にわたりまして、関係省庁にわたっておりますので、この際、国土総合開発庁におきまして、長期的な水需給の見通しを明確に立てまして、それに対応して多角的な水供給の方策を確立してまいりたい、それに沿って各省で事業の実施を行なっていただきたい、こういう趣旨でございます。
  252. 上原康助

    ○上原委員 おっしゃるような構想だと思いますが、しかし、実際の運用の面では、相当これも問題があると思うんですね。工業用水は通産かんがい用水は農林だ。私、先ほどから長官がおっしゃっている縦割り行政だけではだめだという、その点は非常に傾聴するんですよ。どうもいまの役所は、それぞれの部位を守ることには一生懸命なんですね。自分の持ち場だけをやる。だが、はたしていまあなたがおっしゃるような、ここで日本の一億一千万の将来の水の需給はどのくらいになるのか、工業用水はどのくらい要るのか、昭和六十年なりあるいは七十年なり、あるいは農業用水はどうなのか、河川はどうなのか、いろいろなダムはどうなのか、それは計算、試算をして、プランを立てるだけはできるかもしれません。しかしそのことが、はたして、じゃ通産や農林やあるいは厚生などとの横の連携の中でうまくドッキングをしていく、それだけの権限と執行できるような政策立案がなされるかというところを、私は問題にしているわけですよね。そういうところまで高めて、縦割りでなくして横の連携、チームワークというものをほんとうにとらない限り、幾ら役所をつくっても私はだめだと思うんですよ。だから、その点は、この間から総務長官がおっしゃっておるように、縦割り行政では、今日の多様化しているいろいろな行政というもの、政策というものは執行できない。おっしゃるとおりだと思うんです。  しかし、今日までのいろいろなことを聞いてみると、皆さんの質問に対する答弁はそうはね返ってきても、実際の運用なり執行の面では、そう生かされていない面があると思うんです。だから、この水問題や交通問題をとらえても、はたして——もちろん、これが鉄道まて敷くということじゃないでしょうが、体系というからには、やはり日本の交通体系全体をどうするという、いろいろなあれがあると思うんですね、長期、短期の、また現在の問題解決というのも。そういうものを、ほんとうに総合調整をして、実効あらしめる役所になるのかどうか、ここを問題にしたいわけですよね。それだけの効果がないと、やはり最初に申し上げたように、大臣が一人ふえたが、あるいはいろいろうわさされているような結果にしかならない。そうさせないような庁でなければいけないということを、私は強調しているわけですが、それだけのことを運用面、執行面では考えておられるんですか、いま私が言ったようなこと。
  253. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいまのお説には、大いに私も傾聴すべき点が多々あると思います。現状におきましては、必ずしも横割り行政の組織体をつくることだけで満足なものにはならぬということは、よくわかります。  しかし、現在われわれのかかえております土地の問題をはじめ、国土といいますか、一億一千万の国民の生活の問題に最も密接をしているこの問題を扱うために、国土総合開発庁を設置して、その上にさらに専任の国務大臣を置いて、責任体制をはっきりとして、そして閣内においても十分なる発言を確保しつつ、この困難な問題に挑戦をしていくというために考えておるものでございまして、ただいまのような御議論を十分踏まえて、今後の運営については万全を期していきたい、そのように率直に申し上げたいと思います。
  254. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと横道にそれるのですが、いま御答弁の中であったので、この法案では、専任の国務大臣を長として置くということを書いてございますが、これは、あくまで専任の国務大臣というお考えなのか、兼任ではだめなのか、御答弁がありましたから、そこいらもお聞かせをしておいていただきたいと思います。
  255. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 これは、専任でなければならぬと私は思います。と申しますのは、問題が問題であるということ、それから環境庁がやはり横割り行政でございまして、この環境庁長官も、やはり専任の国務大臣として国会において御承認をいただいているわけであります。  この環境問題と土地問題、こうしたことは、私は現代においては、最も重要な二つの問題ではなかろうかと思うので、これは、とても兼務のような形でやれるものではない。また、これは国民に対しても、ほんとうの専任の責任ある人が、長期にわたってこの国土開発庁を指導する。もちろん初めは寄り合い世帯でございますから、各省との関係等についても、非常に私は困難があると思います。しかし、現時点において、この土地の問題は最も重要であるという認識は、これは単に議会答弁だけではなしに、わが党の党並びに政府にはしみついているような、しみ渡っていることだと私は思っております。そうした一つの、ここ数年来の大きな変化、考え方の変化、そうしたものを踏まえて、この問題に専任の国務大臣を充てて、全力でこの問題の解決に努力をしてもらうということが、一番正しい解決ではないかというふうに私は思っております。
  256. 上原康助

    ○上原委員 その点は、お考えを承っておくことといたします、また別の意見もありますので。  せっかくそういうお考えがあるという話が出ましたから、あと一点、重ねてお尋ねしたいのですが、この法案の関係でお尋ねしておきたいのは、国土の調査というので、いわゆる地籍調査などは一体ここでやるのか。そういった点についても、国土調査の促進なんかやるというようなこともあげてあるのですが、地籍不明の問題が方々にあるのだが、そういうのは、実際にこれも執行まではできないと思うんですけれども、そこいらは、どういうお考えを持っておられるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  257. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 いまの国土調査の問題でございますが、国土調査法並びに国土調査促進特別措置法に関する事務を所掌いたしまして、地籍調査を実施していくつもりでございます。  なお、特別措置法におきましては、十カ年計画を立てまして、一筆ごとの地籍調査、処理その他の系統をやっておるわけでございます。  それから、先生御指摘の点は、あるいは沖繩の特殊事情等によります、全く所有者不明というものの土地についての問題でございますが、これは、現在のところ、国土調査法の対象とはなっておらないわけでございまして、別個沖繩開発庁等におきまして、それに対する措置が講ぜられるものと考えるわけでございます。
  258. 上原康助

    ○上原委員 だから、対象にならないと困るんですよね、それは。あとで基地周辺のほうでもやりますが、三年以上遊休地にしているのは買い上げるということまで、この国土法では出しているわけですからね。地籍の調査もできないだだっ広いところを、いつまでもかかえているということは、これは本末転倒であって、ここで議論することじゃありませんが、そこいらに対しても、やはり積極的に調査なりあるいは政策というものを出せるということでないと、これだけはできますが、こっちは権限外だからやらないということになると困りますので、これは念のために申し添えておきたいと思うのです。  もう一つ、地方振興局という局が設けられるわけですが、やはり開発という表現はどうかと、過疎過密の解消という面でもいろいろ言われているわけですが、アンバランスの開発をするから過疎ができるのであって、地方振興局の果たす役割りというのは、私は非常に大きいと思うのです、この国土庁が設置された場合に。ややもすると、こういった地方振興局なんというのはつけ足しで置かれて、都市中心の、あるいは大型プロジェクトの開発だけを先行させていくということになると、これはまた問題になると思う。だから、本来、土地利用法でいうように、ほんとうに開発を適度に押えて、バランスのとれた過疎過密対策までやっていくということになれば、当然この地方振興局に対して、役所としてどのように重点的に人事の配置とか政策の立案、予算の配分、いろいろな問題を含めてやるかということに、目玉が出るかどうかで評価ができると思うんですね。この点については、どういうお考えを持っておるのか。ただ、ここにいろいろな法律が羅列されているから、それを扱う窓口として入れておくというような程度のことなのか、どの程度重点的にこの地方振興局というものを強化していくお考えなのか、そこも、将来のこともありますので、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  259. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 詳細につきましては、また担当の者から申し上げますが、われわれの考えといたしましては、地方振興局は御指摘のように非常に重要なところでありまして、特に過疎対策として、この問題の取り上げ方はきわめて重要だと思います。  したがいまして、局長の下にさらに次長を置くということで、スタッフワークをさらに強化いたしまして、行政系統の強化もあわせて行なうと同時に、地方振興課において過疎対策を行ない、さらに地方都市整備課というのを置きたいと思います。これは、大都市集中をある程度食いとめるための受けざらのような地方都市でありますが、この地方都市をじょうずにつくり上げていくということが、地方振興にはきわめて重要だと思います。また、農村の整備課、さらにまた山村豪雪地帯の整備課、離島振興課、特別地域振興課、これは奄美や小笠原であります。東北開発等々の組織でもってまいりたいというふうに考えております。
  260. 上原康助

    ○上原委員 時間もあれですから、大体基本的な点だけお尋ねしておきますが、地方振興局の点については、ぜひ十分な配慮をしていくべきだと思います。  そこで、これとの関連でちょっと住宅問題についてお尋ねをしたいのですが、土地問題イコール住宅難の解決と言っても過言ではないと思うんですね。この間もちょっと議論がありましたが、建設省にある現在の宅地部をここに移して、住宅政策というものがうまくいくのかどうか、そこにも幾分疑問があるわけですよ。一元化をするといいながら、部分的に何かこの庁の陣容なり機構というものを庁らしくするために移したのじゃないかという感じもしないでもないのですが、建設大臣住宅問題がここまで、この間のあれを見てもわかると思うんですが、宅地部門を移したのが、はたして住宅政策がスムーズにいくとお考えなのか、その点、あらためてお尋ねしておきたいと思います。
  261. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 実は、宅地部を移すわけじゃございません。これは、土地・水資源局というより大きな土地問題を所掌する局ができますので、建設省としては宅地部というものを廃止いたします。しかし、宅地供給の企画、新住宅市街地開発事業等の宅地開発事業そのものは、建設省で実は従来どおり担当することに相なっておるわけでございます。しかも、今国会に御審議をいただいております宅地開発公団法という法案もございます。国土利用計画法案が、いままさに国会で成立を見ようといたしておるわけでございますが、この土地に関する大きな権限を持った母法というものが生まれて、私どもといたしましてはこの母法によって、良質な宅地を、しかも比較的安価に、いわゆる政府の手、公共機関の手によって造成をしていくという措置が、従来非常におくれておると申しますか、欠けておったわけでございますが、そういう面で、行政機構をなるべく簡素化して、宅地部がなくなりましても、事実上の仕事をする面においては、むしろ整備をされ、しかも宅地を供給するために、宅地を大規模につくっていく宅地開発公団というものを設置する。そして、何といっても一番家が建たない原因は、宅地がないからでございます。これは個人の家だけに限らず、公営住宅にいたしましても、あるいは共同分譲住宅にいたしましても、結局、宅地がないために住宅問題がなかなか前進しない、これがもうはっきりいたしておりますので、良質の大規模な宅地開発をこの際、早急にやりたい、こういう気持ちで、実は宅地部を廃止したかわりに、宅地開発公団というものを新設いたしまして、宅地面の開発をはかって住宅問題に光明をともしたい、こういう気持ちでいるわけでございます。
  262. 上原康助

    ○上原委員 お話の内容はわかるのですが、私は、ちょっと疑問を持つわけです。宅地部がせっかくあるのに、これは国土庁に移して、新しくまた宅地開発公団をつくる。役所をたくさんつくるために、こっちは移し、あっちはまた設けるというような、一元化を言いながら、どうも一元的でないような感じをいまの御答弁からは受けるわけです。  この宅地部を移すというのは、宅地供給のための土地について、国土庁で国土調査とかそういうことをしながら土地確保を重点にやっていく。あとつくるほうは、公団なり建設省で本来のようにやっていく。そういたしますと、この兼ね合いはどうなるのですか。この国土庁との関係は。
  263. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 大まかに申し上げますと、建設省は実施省である。現実に住宅をつくり、道路をつくり、また河川の整備を行ない、下水の整備を推進するという省であり、今度できます国土総合開発庁というものは、国土の実態と申しますか、そういうものを明らかにして、土地に対するいろいろの政策を積極的に立案をし進めてまいるということで、計画庁とでも申しますか、大まかに言えばそういう状態になるのではないかと思います。
  264. 上原康助

    ○上原委員 そこで、今後の住宅政策について、ちょっとお尋ねをしておきたいのですが、これも住宅難であるということなどもあってのことだと思いますが、せんだって建設省の調査で、全国で三五%は住宅に困っている。これは住宅白書ともいわれるものが出ているわけです。田中総理は、いろいろなことを、よくぼんぼん打ち上げるので、建設大臣のお考えも聞いておきたいのですが、かねがね昭和六十年までに、一千万戸の公団住宅を達成していくということを打ち出しているわけですね。そのうち五百万戸は、工業再配置・産炭地域振興公団を中心土地つきでやり、あるいはあとの五百万戸については、大都市を中心に高層住宅建設する計画だ。これは建設省の住宅五カ年計画、そういうものに沿っての構想なのか、建設省が出している住宅計画とは別にまたこういう考えがあるのか、この点を明確にしておいていただきたいと思います。
  265. 沢田光英

    ○沢田政府委員 総理の言われます一千万戸の内訳、五百万戸が立体化されたもの、そのほかの五百万戸は戸建ての宅地を供給することによって住宅を保障しよう、そういうお考えは、私ども伺っておりますけれども、私ども考えておりますことといたしましては、いまのところ、昭和六十年までの見通しで、総理の言われましたのも六十年までに一千万戸、こういうことを言っておるわけですが、私どもは、四十九年度から六十年度までの間におきます全国における総建設必要戸数、新規に出していく住宅の戸数というものは、二千四百四十万戸ということを、見通しとして持ってございます。そのうち、公的施策のものは、おおむね四割程度になるだろう。そういたしますと、おおむね一千万戸になる。私どもは、これのことを総理はおさしになっておるじゃないかというふうに思っておりまして、その中で総理は、大都市は戸建て住宅は主にはできない、立体化されたものを五百万戸大都市周辺にということを言われておるのだと思います。大都市周辺でも、宅地を持った戸建ても、もちろん考えられますが、地方を含めまして、残り五百万戸を宅地として供給したらどうだ、こういうふうに、私ども総理の言ったことを、いろいろなところから承っておりますが、結果といたしましては、私どものこの四十九年から六十年までの見通しと、おおむね合っておるというふうに私どもは思っております。そういうことで、私ども計画はわりに長期の見通しでございますから、正確には申せませんが、そういう結果になっております。
  266. 上原康助

    ○上原委員 いかに総理でも、あまり担当所管を無視して、ぼんぼんやられたら困るんですね。おおむね合っておると言ったって、選挙向けにぼんぼん、やれ五百万つくってあげますとか、こんなやり方は、建設大臣はどういうあれか、私は知りませんが、どうも出先を無視した発言というものが多過ぎますね。だから混乱する。  そこで、六十年までに二千四百四十万戸の約四割を公的ですか。住宅問題は、いつかもどなたか御質問しておるのを承って感じたのですが、これだけ住宅難ということになりますと、従来は量なのか質なのかというようなことがあったと思うんです、公団にしても、あるいは民間デベロッパーでやっていくものにしても。今日の段階に来ますと、量もさることながら、規格、構造、質というものも考えなければいけないのじゃないかという気がするのです。特に公的な住宅をつくっていく、アパートなりいろいろなものをやっていく場合に、従来の考え方といいますか、基準なり規格を変えていくお考えがあるのか。二DKとかあるいは三DKとか、そういう型にはまったことでは、今日の国民なり庶民の求めている、あるいは労働者を含めて、家族の生活環境というようなことも考えると、従来の方式ではいかないと私は思うんですね。規格なりいろいろな構造面においても、検討を加える段階に来ていはせぬのか。そういう面は、いまの一千万戸でもいいし、二千四百万戸でもいいわけですが、そういう具体的な内容は、どういうことになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
  267. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 上原委員のおっしゃるとおりでございます。実は、昨年住宅の実態調査をやりまして、その中間報告が出ておるわけであります。いわゆる借家率というものが、非常に年々ふえてきておるわけであります。ということは、住宅の戸数そのものは、相当な数ができてきておる、しかし、先般も発表いたしましたとおり、国民の三五%がとにかく住宅に対して何らかの不満を持っておる、その不満の中でも、狭い、もう少し公的住宅の中でも便利な住宅にならぬかといったような不満が多いわけであります。そういうのを一応取り上げまして、四十九年度の予算編成をいたしました際にも、実はその点、住宅公団におきましても、公営住宅におきまして、予算上の平均の面積、部屋の面積を五平米ずつふやすという予算の基礎積算をいたしておるわけでございます。これは住宅金融公庫の融資の対象につきましても、そのように考えて、とにかく住宅の質をよくしていく段階に入ってきておるということを、私ども認めまして予算措置を講じておるところでございます。  こういうふうにやりますと、公団等におきましても、いままでは三DKというのは、ほんの一部しかできなかったわけですが、四十九年度においては、約半数の公団住宅が三DKという方向に持っていける、こういうふうになっているわけであります。
  268. 上原康助

    ○上原委員 それは、ぜひ改善をしていただかないと、量か質かということになると、困っている方がまだまだいるんだから、あるいは家賃の問題もありますからあれでしょうが、しかし、労働者やサラリーマンといってもだんだん、いろんなあれはあるにいたしましても、それぞれに家具もふえるし、子供も大きくなるというようなことであると、狭いというのが一番不満なんですね。この間の住宅調査の結果を見ましても、その前に出された総理府の面でも、住宅難、困窮者というのが、ちょっと建設省のほうと総理府の調査結果については、若干そごもございますけれども、しかし、狭いとかあるいは住宅公団なんかに入れないという不満が非常に多いわけで、そういうことを考えた場合には、いま大臣もおっしゃったように、従来のように量をふやしていくということじゃなくして、それも考えねばいけませんが、できるだけ家族構成なり、住みよい環境の、いわゆるいこいの場として——住宅は、やはり家族がいこいの場としての雰囲気の住宅であると同時に、あすへの生産性の問題等を考えた場合に、従来の考え方でいかないと思いますね。それは、ぜひ早急に改めていただきたいと思うのです。  そこで、私、この住宅問題が出て、ここにある一つ新聞なんですが、「団地ってタンスみたい」と、実に子供の自分の住んでいる住宅に対する実感というのを、ここで言っていると思うんですよ。ちょっと引用してみたいのですが、「だんちさんこんにちは。あなたはタンスみたいですね。わたしは いつもそとからみてそう思います。にんげんを入れるタンスみたいですね。ひきだしはベランダでしょう。だってようふくや シャツや くつ下が いっぱい ほしてあるもん。でも タンスはひきだしてから入れたり 出したりするのにだんちさんは どうしてはんたいがわのさむいところから 人げんを入れるのですか。わたしはふゆになるといつもそうおもいます。どうしてベランダみたいなあったかいところからはいるようにしないのかなあとおもいます。学校へ いくときも とをあけると さむいかぜがビューとふくし かえるときも さむいかいだんをのぼってかえります。」こういうような、いまの団地に住んでいる子供の、いかにうちが狭いとかあるいはその構造に対して不満を持っているかということを、幼いながらも——これは小学校一年生の作文ですが、こういうことなんですね。こういうのもひとつ参考にしていただいて、やってもらいたいと思うのです。  もう一つは、また狭いということを、これもうまく表現してあると思うのですが、あと一つ引用してみますと、「おかあさんは少しふとりぎみなので おかあさんが台所にはいると おかあさんのおしりが後ろのガラスに軽くあたっています。おかあさんが台所で仕事をしていると小さい台所が一だんと小さく見えます。こんなせまい所ばかりのぼくの家だけど 家族みんながこのせまい家を広く広く使おうと みんなは いっしょうけんめいやっています。」こういうように子供心にも、いまの団地のあり方というものを、非常に的確といいますか、むしろ痛烈な批判を加えてやっているわけですね。  ですから、住宅問題もいろんな、用地問題を含めて、たいへんむずかしい面があるということはわかりますけれども、従来のように、量だけふやせばいいということではなくして、家族の住めるような、また、住めるというより、今日の段階まで来ると、ただ雨露をしのげばいいということではないと思うのです。そういうことも積極的に改善をしていただかないといかない段階に来ていると思いますので、いま私が読み上げたようなことなども含めて、大臣の感想なり——先ほど若干あったのですが、今後、積極的に構造改善あるいはスペースの問題ということ、また、自分のうちを持ちたい、これはサラリーマンの一番の大きな強い願望だと思いますね。宅地法で地価が七、八〇%に押えられたとしても、分譲住宅というのは、むしろ地代に押えられた分を今度はつくった建物のほうに、家賃のほうにはね返る傾向といいますか、そういう危険性もなきにしもあらずなんですね。そういう面を含めて、総合的な住宅政策ということも打ち出さないといかないと思うのです。  そういうことを含めて、やるとするならば、やはり建設省一本でやったのが私はいいと思うのですが、それは別として、そういった住宅に対する政策というものを、根本的にもう一度洗い直してやっていく段階に来ていると思うのですが、これに対して、ただ従来の、四十九年から十カ年計画ということを、そのまま踏襲していかれるのか、いま申し上げたようなことも参酌をしながら改めていくお考えがあるのか、そういった点もあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  269. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 特に住宅問題につきましては、三大都市圏ここがひどいわけでございます。ただいまの御紹介のありました子供の感想等につきましては、これは建設大臣である私だけではなく、住宅局の諸君はもちろん、また住宅公団の総裁以下、最近はそういう点に対して非常に心を配っておるわけであります。  そこで私も、この間、江東地区の大島四丁目に、あれは千百戸ほどの高層団地を見てまいったわけでありますが、非常に子供たちが喜々として、緑の木に囲まれた高層住宅の間の公園で遊んでおる。もうほんとうに隣人関係とか、そういうものが東京の生活にはなくなっていくのじゃないかという心配をしておったわけでありますけれども、行ってみますと、子供たちが端から端まで集まって非常に喜々として遊んでおる。こういうふうでなければならぬなと思いました。ただ、中供といいますか、高校生のそういう遊ぶ場所が、いまの住宅建設に非常に足りないなということを指摘をいたしてきておるわけでありまして、そういう面につきましては、住宅公団におきましても、建設省におきましても十分調査をし、その住宅団地で生活をし、子供を教育し、そうして一家団らんの生活をそこで楽しくやれるというような住宅政策を進めていかなければならないということで、先ほど申し上げましたように、部屋の数をふやすことにも努力をいたしておりますけれども、やはり広さを広くするとか、あるいは環境をよくするとか、日当たりをよくするとか、そういう面には、現在の研究の成果と技術の最高の水準を取り入れまして、住宅公団並びに建設省においては政策を進めておる次第でございます。  私も、やかましく住宅局に言うておるわけでありますが、今度宅地開発公団を、国会の審議をお願いしておるわけでありますけれども、この宅地開発公団が開発する場合には、さっきも申し上げましたように、いろいろな、同じ年齢の同じ世代の同じ子供たちを持ったような人ばかりが住むようなところでは、生活が非常に潤いがなくなってくるのじゃないか。やはりそこには、若者も青年も女性も学生も社会人も一緒に住めるような、地域都市というものをつくっていくような構想を持たなければいかぬのではないかというところまで考えつつ、今後の住宅政策を進めていかなければならない、こういうことをやかましく言って、その方向に種々準備を進めているところでございまして、上原委員の御指摘のとおり、ほんとうにそこで生活をし、そこで子供たちを教育し、そこで老後を十分に迎えられるという住宅を供給するというふうにしていかなければならぬ、こう考えておるわけであります。
  270. 上原康助

    ○上原委員 環境問題、特に緑の問題など、たいへんむずかしい点はあると思うのです。住宅政策を具体化していく、それには何としても土地の確保というのがあれですから、そういったものが総合的に調整をされていって、この庁ができた場合に、住宅政策なりあるいは国土の実態把握が十分できるということでなければいかないと思いますし、特に住宅問題においては、子供は、飾られたブランコとかすべり台を置くよりも、どろんこで遊べるのが、自然の環境というものが一番いいんだということなんですね。こういう自然というものは、公団住宅ではなかなか得られにくいと思うのですが、しかし、最初の計画を立てる段階においてこうすれば、そういうことはできないことではないと思うんですね。ですから、そういったこまかいところまで、今後の住宅政策というものは配慮をしないと、どうもこれまでのあり方ではいかないと思いますので、いま大臣も御答弁ありましたし、年次計画でしかできないでしょうが、そういった庶民の声というもの、あるいは子供たちが求めているものを十分取り入れる、一〇〇%とはいかないにしても、かなりの部分は反映されていくというようなあり方でなければいかないと思いますので、その点、特に要望をつけ加えておきたいと思います。  そこで、時間も少し残しておきたいので急ぎますが、経企庁長官にあと一、二点お尋ねするつもりでしたが、政務次官せっかくお見えになっていますから、先ほど、経済社会基本計画について、現在、経企庁では総点検をしているのだという御答弁があったわけです。新全総も——新々全総になるのですかね、そういうあれも、新しく、この国土利用計画法なり、いろいろな現在のインフレ、経済動向等も見合わせて総点検をしているのだということでしたが、その総点検をして、経企庁の新しい政策というものが結論が出るのはいつごろなのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  271. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 御指摘のとおり、ただいま総点検中でございますが、五十年度中にその点検を終わり、五十一年度から六十年度にかけての計画を樹立することに相なろうかと思います。
  272. 上原康助

    ○上原委員 ずいぶん先の話ですね。五十年中に総点検を終わって五十一年から。まあ急ぐだけがいいとは申しませんが、その総点検をなさる場合は、当然土地問題なり——経企庁はおもに経済とか物価が中心になると思うのですが、この新しく設置された場合の役所、この庁との関係においての、特に土地問題についての調整などはやっていくのかどうか。経企庁は経企庁として従来のような方針を出す、国土庁は国土庁として出す、あるいはまた大蔵は大蔵で出す、もちろんそれぞれの所管がありますから、それはいいわけですが、しかし、国の一つ経済政策なりあるいは土地政策、そういった総合的なものになると、一つの方針というか、政策というものは、まとまったものでないといかないと思うんですね。その点はどうお考えになっておられるのか、そこらもお聞かせをいただきたいと思います。
  273. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 先生お話の総点検の問題につきましては、二つあると思うわけでございます。  経済社会基本計画、これはフォローアップというように経済企画庁ではおっしゃっております。それからもう一つは、新全国総合開発計画の総点検ですが、新全国総合開発の総点検につきましては、すでに経済企画庁で、先般来、巨大都市問題と土地問題につきましては、総点検結果の中間報告をなさったわけでございます。そのほか総点検項目といたしましては、経済政策の調整、農業問題、環境保全の問題、地方都市問題等につきまして、現在、総点検作業を進められておるわけでございます。  いま申し上げました新全国総合開発の総点検につきましては、これは国土庁が成立をいたしましたならば、国土庁において引き続き総点検作業を継続して、なるべく早く総点検作業を終わって、新しい展望に立った、新しい経済社会情勢に適応した計画づくりに邁進をしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  274. 上原康助

    ○上原委員 その両方をあわせて、いま政務次官御答弁ありましたように、五十年中に点検をして、大体五十一年ぐらいにまとまるということを目途にしておられるということでいいですか。
  275. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 新全国総合開発の総点検につきましては、先ほどお話し申し上げましたように、二項目につきましては、すでに中間報告を出しておりますので、残りの項目につきましても、なるべく総点検作業を進めたいと考えておりますが、総点検の結果を踏まえまして、新しい国土政策の基本を確立したい。その新しい国土政策の基本の確立を、五十年度内に終えたいというふうに考えておるわけでございます。
  276. 上原康助

    ○上原委員 その点は、またいずれ機会があると思うのですが、ただ、なぜその点をお尋ねしておくかといいますと、いま国民が、一体政府の今後の、この国土利用計画法案なりを出した、あるいは物価に対して、これからの国の経済基本方針というもの、社会開発振興というものをどういうことでやっていくかという面に非常に関心があると思うんですね、物価問題を含めて。総需要抑制ということはいわれておって、その実をあげているんだという、経企庁から出された報告にもありますが、しかし今後、公共料金なりいろいろな面が上がっていった場合に、インフレの現象というものは、私たちはそうはとまるとは思っていません。そういう経済状況なり社会状況の中で、新しい国づくりの方向づけは、はたして従来の新全総なり基本計画のようなことでいいのかどうか。総点検をするという以上は、どうしてもそれではいかないから新しいものを方向づけて、こういうことで施策を進めていくんだという新鮮味のあるものを求めていると思うんですね。そうであるならば、やはりいまの物価問題なり経済動向全般について、何らかの形の新しいファクターといいますか、方向づけというもの、指針というものが、私は出てしかるべきだと思うのです。それでその目途というものを聞いたのですが、なかなかかなり先のようですので、その点は、またいずれお尋ねをさしていただきたいと思います。  そこで、時間が来ましたので、最後になりましたが、総務長官に一点だけお尋ねしておきたいのです。  きょうは五月十四日で、明日は五月十五日で、沖繩が施政権返還されてちょうど満二カ年になるわけです。きょう、そのことを重点に聞こうと思いませんでしたが、たまたまあしたが二周年を迎えておりますので、沖繩問題も、決して土地問題やあるいは開発の問題と無関係ではないわけですね。そのことはさておきますが、現地の新聞のいわゆる世論調査で明らかにされておりますように、二周年目を迎えて、復帰してよかったというのが四五%、ほんとうによかったと思っているのが二一・一%で、ある程度よかったが二四・七%、約四五%ですね。これは四十七年の十二月、いわゆる復帰した段階の四十七年十二月の世論調査では、復帰してよかったというのが実に七五%だったのです。四十八年五月においては五〇%、それからさらに後退をしてきているわけです。五〇%を割ってしまっている。  こういう結果が、県民の復帰二周年を迎えての率直な受けとめ方になっているわけですが、こういうことを踏まえた場合に、沖繩に対する復帰後の施策についても、担当である開発長官として、この国土利用計画法が生まれざるを得なかったようなことと関連して、いろいろな面で考え直す点もあろうかと思うのです。そのことについて、感想と今後の決意のほどを伺っておきたいと思います。
  277. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 新聞社の世論調査でございますので、私は、大体そうしたことが県民の現在考えている心持ちであるというふうに理解しております。  私は、特に沖繩におきまして、現在非常に問題なのは、やはり物価の問題が一番大きな問題で、もう一つは駐留軍の演習場、基地の問題がなお今日そのままであるというようなこと、そうした問題は、なるべく早く問題の解決に努力をしていかなければなりませんが、同時に、その努力の方向が、やや先ほど申し上げたような開発面に重点が置かれ過ぎておるのじゃないか。私は、先ほどから国土総合開発庁の設置に関してのいろいろな考えを述べておりますが、私個人の考えに終わるかもしれませんけれども国土総合開発というふうなこと、あるいは皆さま方がおきめいただいた利用計画等の運営にあたって、最も注意すべきことは、現時点においては、もっと人間の心の問題をとらえたいし、先ほどからもるる申し上げているように、文化の問題、これは経済的価値はゼロであるというような評価が過去十数年、二十年来続いてきたわけでありますが、幸いにして日本全体の経済力から見るならば、文化も、それ自体経済的にゼロであるというような考え方は、もう古いのじゃないか。むしろ、文化的なものが逆に非常に経済的な価値さえも持ってきている。同時に、それは県民や市民や住民の心をあたたかく包むものだというふうに私は思っているので、沖繩については、特に三年目を迎えるにあたりましては、たとえば首里城の復旧を大いに具体的に進めてみるとか、あるいは海洋博のあとに海洋研究所のようなものを考えてみるとか、あるいはまた、石垣等においては、ぜひひとつ熱帯医学というようなものの研究所をつくってみるとか——私は、むしろ現在進んでおりまする工業化への道は、特に先般来も長期計画の中でるるお話をいたしまして、上原委員とはなかなか意見が合わない点でもありますが、さればといって、全部工業化ということを捨ててはならないわけだと思います。しかし、工業化と同時に、やはり文化的な問題を、もっと大胆率直に施策の中に取り入れていくということが、非常に大事な時期に来ているように考えるわけでございます。  ちょうどいま、たまたまこの国土総合開発庁設置に関連しての一つ考え方として申し上げていることは、即それは現在の沖繩についてもいえることであって、そのような方向で、今後は少し努力をしてみたいというふうに考えております。
  278. 上原康助

    ○上原委員 かなりの面について、私もなるほどそうしなければいけないと思います。これは決して政府だけを責める立場は私はとりません。われわれの努力の足りなさもあろうかと思いますが、しかし、今日のこういう県民の世論調査の結果が出たということは、基本的には、復帰の方法や復帰後の施策に重大な欠陥があったということは指摘できると思いますので、その点を踏まえて、きょう多くは申し上げませんが、あした二周年を迎えていることでもありまして、そのことをお尋ねしているわけです。これは、建設大臣もぜひ御理解いただきたいと思うのです、沖繩問題は、何も開発長官や総務長官だけのお仕事じゃないわけですから。  それで、特に復帰二年の体験から、将来の生活の見通しはどうかということに対して、だんだんよくなると答えたのは、わずかに一四・二%なんですね。いまより悪くなるというのが二三・六%、苦しい状態が続くというのが二九・四%、こういうふうに、いまは海洋博という大型プロジェクトがあって、物価問題とかいろいろなことがあっても、何とか生活は推持できるという面もあるのですが、ポスト海洋博という事柄を誤ると、ほんとうに将来全くどうしていいかわからないという結果を招かないとも限らないと思うんですね。そういう不安を非常に持っているという点は、政府全体として率直に受けとめていただいて、それなりの対策を早急にお考えになっていただきたいし、われわれもまた努力をしていきたいと思うのです。過去四回の調査で、実は復帰前のほうがよかったと答えた人はだんだんふえてきているわけですよ。二二%、二四%、三六・三%、三八・六%、こういうふうに次第に復帰前のほうがよかったというような結果になりますと、やはり相当沖繩問題に対しては政府全体として、もう明後日から三年目に入るわけですから、考えていただかないといけない重要な結果が出ているという点をひとつ御理解をいただいて、その面に対しても特段の御配慮をいただきたいと思います。  また別の場で、このことについてはお尋ねをしますので、もしいまの点について、建設大臣というお立場から、何か今後こうしていきたいという、特に海洋博との関係なともありますので——道路問題、先ほど申し上げた住宅問題も、沖繩もそれは別ではありません。家賃なんかはどんどん上がってしまって、全国でも四位に入っているんだな、沖繩は。東京のどまん中とそう変わらない家賃というのも出てきているわけですから、そういった面を含めて、政治家という立場で建設大臣は、あるいは一つの内閣の国務大臣というお立場で、こういう沖繩県民の心情というものをとらえて、どうこれからの政策を推進していかれようと思うのか、その点もできればお聞かせをいただきたいと思います。
  279. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 私も、沖繩の本島並びに先島全部一通り、かつて郵政政務次官のころ、沖繩にテレビを引くために調査に参りました。お説のとおり、復帰をいたしましてよかったという、沖繩県民がすべてそういう気持ちに一日も早くなっていただかなければならぬということは、もう論をまたないことでありまして、私も、建設大臣として道路問題、とりあえず海洋博の施設整備の問題につきましては、全力をあげて促進を期しておるところであり、また道路整備、また水道、下水道の整備、さらには住宅の問題、建設省の所管ではありませんけれども、やはり海上交通というものも、これはまた、たいへん大事な問題でもあろうかと思うわけでございます。そういう面につきましても、政府の一員として、今後、沖繩県民の、今日まで、復帰まで苦労されたその労にもお報いをしなければならないというような気持ちで取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
  280. 上原康助

    ○上原委員 約束の時間まだ少し残っているのですが、最後に、海洋博入場料金のあれがきまりましたね、総務長官。それは、私のほうにも非公式にあれがあったのですが、やはり高過ぎますよ。あれはもう決定ですか。それも、もう少し再検討していただかないと、沖繩県民に一体何のメリットがあるかという疑問がまた出てきますよ。ところが高校生の入場料、あれは三十人以上でしょう。三十人グループになって入場できるかという問題もありますし、高校生の入場料については、若干私は再検討する必要があると思いますので、きょうすぐ結論を聞きませんが、もう少しそういった面も検討していただきたいし、大体万博の二倍以上というのも少し問題があると思いますので、そこいらについても、再検討を要求しておきたいと思うのですが、それについて何か御答弁ございますか。
  281. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 海洋博の入場料につきましては、本日、閣僚懇談会の席で通産省から説明がありまして、五百万人が入場してくれるであろう、その中で有料入場と思われるのは四百六十万人くらいを想定している、そして現在の施設あるいは運営費等々のカバーをするのに約五十億くらいの不足が予想されるので、そうしたものをカバーするために千八百円の入場料を決定することを了解してくれという話がございまして、われわれといたしましては、それらの事情を考えまして、閣僚懇において了解ということになったわけでございます。  なお、その他の割引につきましても、たいへんきめこまかい割引の制度をつくっております。私、それを拝見しますと、特に四時から以降入場する場合には非常に安くなっている。七月からでございますから、相当日も長いし、夏休みにも当たるというようなこと等の説明がありましたので、そうしたものやあるいは割引制度等を活用すれば、まあまあというところではなかろうかというふうに考えております。
  282. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  283. 徳安實藏

    徳安委員長 受田新吉君。
  284. 受田新吉

    ○受田委員 十一時までということでございますが、質疑応答を通じていろいろな問題が発生して、答弁が長引いたりして、十二時を過ぎるようなことにでももしなった場合には、すでに内閣委員会でも先例のあるような、明日午前零時五分から開会する手続をとるか、そのときは、余分は次の日に回すということでよろしいかどうかということを、まず委員長にお尋ねいたします。
  285. 徳安實藏

    徳安委員長 何か、議運以外ではなかなか異例なことで、普通の委員会ではないそうですけれども、まあしかし例もあるそうですから、そういう事態に至りましたら、理事諸君もおられますから、相談いたしまして決断いたします。
  286. 受田新吉

    ○受田委員 委員会のいろいろな運営に、委員長の職権でやれることもあるし、特に、このように電灯をつけて審査するのは、私は不賛成なんです。前に提案したことがありますね。太陽の光を最高に利用しよう、石油危機を救うためには、それがよいという提案をしたわけでございますが、非常な事態が起こっておるようでございますので、この時刻から質問するという、ここにおられる方々にはたいへん御迷惑な話であるが、国家のために質問をいたします。国家国民のためにごしんぼうを願います。じゃ、なるべく十一時までで終わるようにひとつ……。  総務長官、担当国務大臣として、この法案そのものについてお尋ねをさせていただきます。国土総合開発庁というお役所、去年提案されたこの法律は、その母法が国土利用計画法という形に塗り変えられたために、当然この国土総合開発庁設置法も変えられなければならない数多くのものをかかえておるわけです。建設大臣には最初のほうで質問させていただきます、せっかくきょうは、おいでいただいて調子がいいことでしたから。それで総務長官、一番よけい来る職員の役所が経企庁、建設省、それからその他五、六人の、大蔵省等もあるわけでございますが、この役所は、国土利用計画法に母法が変わっても、この定数は当初計画した形になるのか、多少変更されるのか。あるいは母法が国土利用計画法になった関係上、国土総合開発庁も、われわれ議員の問題じゃなく、政府側から見たら、母法が変わって以上は、この国土総合開発庁を、たとえば国土庁とかいう形に変えたほうがいいと思われるのか。われわれはわれわれで相談をする道がありますが、政府自身は政府なりに構想がおありだと思うのです。あなた方まかせというお立場もあろうけれども政府が見る場合には、母法が変われば当然この法律も、名称その他が変わってしかるべきだ、そして、それぞれのセクションも新構想が織り込まれてよろしい、そこに配置される職員の数も、当初予想されたよりも変更があっていいと思うが、どういうお考えでございましょうか。
  287. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 お答え申し上げます。  国土利用計画法が制定されまして、それに基づいてわれわれといたしましては、特に重要な土地問題を中心に、総合的な行政機能の結集をはかって問題解決に努力してまいりたいという考えで、国土総合開発庁を御提案申し上げているわけでございます。その意味合いにおきまして、国土利用計画法そのものが、政府提案ではなしに国会の提案であって、したがって、それが決定をされるということになりましたことは、一方からいうと、われわれとしましては、非常に長い間、日の目を見なかった一元的な土地政策担当庁が、国土利用計画法の出現によって可能になったというふうに考えております。むしろ非常に喜んでおるわけであります。  そういう意味で、国土総合開発庁という名前が、開発ということばに非常にこだわれば、いやな名前だというふうにお考えかもしれませんけれども、現状におきましては、国土総合開発庁でいいのではないか。もちろん基礎は、あくまでも国土利用計画法、忠実にそれを実践していく行政官庁というふうに考えておりますが、名称はそのように考えております。
  288. 受田新吉

    ○受田委員 国土総合開発庁という名称のほうが、むしろこのままにしておくほうがいいのだ。国土利用計画法という方向へ母法が変わってきたにもかかわらず、名称はそのままでよい。そうしますと、その国土総合開発庁設置法の第四条に、この権限行使の諸点がここに掲げてあるのですが、この中にある、「国土総合開発に関する総合的かつ基本的な政策及び計画を企画し、立案し、及び推進する」ということ、このことと、国土利用計画という母法の精神からいうたら、国土の適正利用ということをむしろ正面に打ち出したほうがいいのじゃないか、こういう感じがするんですがね。   〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕 母法の性格は、そういう方向に行っておるのですが、この四条の目的も、そういう範囲の方向へ持っていくようにすべきだ。つまり、そのまま受け継いでもいいというお考えがあるとするならば、母法の性格が非常な転移をしておるそのときに、設置法は同じようなレッテルで、同じような内容でというお考えは、どうも担当国務大臣としては、適切を欠いていると思うのです。
  289. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 適切な判断であるとは、私も思わずに御答弁申し上げておるわけでございまして、むしろ第四条は第一項で、ただいまの国土利用計画法、その精神をうたうべきであるということは、先ほども御答弁申し上げたわけでございます。  そうした意味で、このような一連の基本的な考え方の改正を踏まえての国土総合開発庁そのものの名称についても、私は、提案した立場から従来の名前を申し上げておるわけでありますが、本委員会におけるいろいろな御討議を通じて、その御討議の結論に対しては、十分尊重してまいりたいというふうに考えます。
  290. 受田新吉

    ○受田委員 そしてこの母法が、今度土地利用計画を掲げる、地価対策に基本を置いて住民に安い土地を提供し、同時に、遊休土地を開放させるというような趣旨からいうならば、そうした土地に関する総合的かつ基本的な政策を企画するという問題が、ぐっと正面に打ち出されなければならぬ問題だと思うんですね。母法がそういう方向へ行っておるのです。そうすると、この第四条の六にある規定などは、もっと順序をうんと上のほうへ上げていくのが、法の性質としては適切じゃないかと思うのです。
  291. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、この六が一番目に出てきたらいい、むしろそれを、さらに国土利用計画法のメーンタイトルをつけて、六を一番目に持ってくるべきであるというふうに考えております。
  292. 受田新吉

    ○受田委員 このお役所の局が六つあるわけです、官房を入れて。これを見ると、いまの国土利用計画というのは土地です。国土である。そうすると、土地・水資源という局は、この新しいお役所の中の目玉商品になると私は思う。長官、私の見る目はひが目かすぐ目か、どちらですか。
  293. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 御指摘のとおりであります。
  294. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、この原案には、土地・水資源局の中には水資源部など置いて、非常に重視している局のほうに次長制がなくて、調整局のほうに次長制がある。これは各省の調整をはかる任務の必要性、重要性は十分わかるけれども、その人的資源のウエートの置かれ方、そこにおる職員の数、またこのお役所の持つ特殊の任務、使命等を感じたならば、調整局にぽこっと次長が一つだけ置いてある、地方振興局にもあるわけだが、とにかく目玉商品のところに、次長を置くほうが筋が通るのじゃないですか。
  295. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 行政の執行部としての次長制も、もちろん考えないわけではありませんが、一応この土地・水資源局そのものが、非常に重要な役割りをいたしますし、同時に、また非常に多面的なタスクフォースとしてのスタッフを置いて局長を補佐したほうがいいのではないかという考えから、審議官制度を特に土地・水資源局には配置をして、万全を期したいというのが原案であります。
  296. 受田新吉

    ○受田委員 何制度ですか、もう一ぺん……。
  297. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 審議官制度、タスクフォースです。
  298. 受田新吉

    ○受田委員 どこへ審議官を置くのですか。
  299. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 局長の下につけたいと思います。
  300. 受田新吉

    ○受田委員 原案には審議官がないですね。おかしいじゃないですか。
  301. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 これは、別にここに書いてないだけでありまして、われわれは、局長の下に審議官を配置していきたいというふうに考えております。
  302. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、あなた方が用意された機構図の原案の中には、いろいろの矛盾があることが発見できるわけですが、これはほんとうの素案だ。審議官は長官官房に十人置き、参事官を三人置くということになっておる。その参事官の一人は監理官だそうです。これは公団の監督をする立場に立つそうでございますから、そういうことになれば、むしろ監理官という名称にしてその当該局のところへ置くべきだ。こういう配置図というものを明確化するような方法をおとりにならないで、ついいいかげんに役所を寄せ木細工のようにやるということは、国家行政組織法を冒涜するわけなんです。
  303. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 審議官の配置につきましては、この図面では一応長官官房に置くことになっておりますが、この中の審議官を土地・水資源局の局長の下に配置をいたしまして、運営の万全を期したいというのが、原案の趣旨でございます。
  304. 受田新吉

    ○受田委員 審議官の十人を、そのままそこへ持ってくるのですか。
  305. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 その一部でございます。  なお、土地・水資源局の業務内容に応じまして審議官の配置を増減していく、その辺のところは、ある程度の弾力性を持って運営をしてまいりたい。その他の局につきましても、同じような考えでございまして、一応、長官官房に所属することにいたしておりますが、運営はそのような形で、審議官を幅広く活用していきたいという考えであります。
  306. 受田新吉

    ○受田委員 それは非常にあいまいな御答弁なんです。公務員の任務は明確であるわけです。一応長官官房に置いておくけれども、それぞれの局へ配置するんだ、こんなあいまいな答弁では、法案審査の答弁としては不合格です。職務の内容と責任がもっと明確になるように、たとえば土地・水資源局に二人の審議官が要るなら二人、計画局、調整局その他の局にそれぞれ一人、長官官房に総括審議官が三人なら三人、こういうふうにぴちっと区分けすべきです。他の省はみなそうなっておる。大蔵省などにちょっと審議官がごちゃごちゃっとしておるが、これは特殊の財政計画上やむを得ない問題として、こうした新しいお役所をつくるときは、大体行政機構の各省とのバランスも考えなければいけない。行政管理庁、どなたか来ておられますか。御答弁願いたい。
  307. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 審議官、参事官等につきまして、現在従事している業務に即して局に配置するのが適切ではないかというお考えは、確かに一理あるお考えだと思います。  現実の問題といたしまして、各省を通じてどうなっているかということからまず御説明申し上げますと、確かにそういう形で各省の機構図をながめました場合に、先生御指摘のように、各局に配置されておるものも相当ございます。ただ、本来審議官制度なり参事官制度は、局、部、課といったような固定的な所掌行政にとらわれないで、機動的にスタッフ機能を活用しようという見地からつくられておるものでございまして、そういう意味で、最近におきましては、全体として官房に集中するという傾向が出ております。たとえば、四十三年度には大蔵省がそういう例をとっておりますし、その後、四十七年度には企画庁、農林省、自治省、四十八年度には通産省というような形で、一応官房集中という形をとりまして、行政需要の変動に応じて機動的なスタッフ機能の活用ができるように配慮いたしておるところでございます。  ただし、先生御指摘のように、そういった現実の配置に即した形が明確にならないということは、確かに問題でございますので、機構図等につきましては、当然そういった点を注記いたしまして、官房の欄をごらんいただきますとおわかりになりますが、官房に審議官を置きました場合におきましても、注釈として、何々局担当何名、何々局担当何名というような形で明確にあらわすようにいたしておるわけでございます。したがいまして、実質的には、先生御指摘のような明確性を欠くような運用を避けたい、現実に従事しておるポストにつきましては、明らかになるように措置いたしておるわけでございます。
  308. 受田新吉

    ○受田委員 平井さん、国家行政組織全体をながめて、各省とのバランスをとらなければならない。集中するなら集中して一斉にやればいいです。それは幾らでも改革できる問題です。そういう問題を各省ばらばらにしたままで、最近のところでは経企庁がそういう傾向を持っておるわけですが、しかし、その他の省は、それぞれの局に参事官なり審議官が配置されておる。そういうふうに国家行政組織が省によってばらばらになるというのは、行管はそういうものを調整する責任があるんですよ。そういうところを高い観点から、各省にまたがる調整をはかる責任をどうしておとりにならないか。  それから、いまの担当がどれなどという注釈は、言いわけをしなければならないようなポストというのは、非常に骨の折れるポストなんです。言いわけをしなくても、そして、それぞれの局に配置しておっても、総合的な任務をするお役人であることもわかるんだから、総合的任務がなくて、その局だけの仕事ですよというわけにはいかぬ。それは審議官会議によって各局間の調整がとれるわけなんですからね。そういう意味から、いま最初に総務長官土地・水資源局は目玉商品、したがって、審議官をここへ配置する。審議官をここへ配置していないじゃないかと私が指摘したら、最後になって、長官官房にあるが、それが担当するんだというようなことなら、これは変な答弁で、答弁としては非常にまずいと私がいま申し上げたところなんです。そういうところを、ひとつ国家行政組織全体に大きな目を向けて、新しくできる役所は、特にそこを明確にする必要があると私、指摘したいわけなんです。これは、いま検討するということですから、善処を要望しておきます。  平井さん、審議官と参事官を、審議官を上にして参事官を下にするというふうに最近は仕向けておるということですが、かつてこの委員会でも指摘したことがある。内閣官房に内閣参事官内閣審議官がおりまして、内閣参事官のほうを上位に置いて審議官を下へ書いてある。これは、どうしたことですか。
  309. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 確かに御指摘のように、審議官、参事官の名称につきまして、内閣にも例の見られるような、いわば上下逆転したような形は、他の省庁にもまだございます。そういう意味におきまして、先生御叱正の点は、まことにごもっともであると私ども考えております。  ただ、現実の問題といたしまして、これらの審議官、参事官制度のみを切り離して一斉に改正をするということは、非常に手数のかかるような点もございまして、一応、全体として機構を見直しをするというような段階におきまして、各省に相当大規模な機構改正とあわせて、そういった制度の是正をお願いしておるところでございまして、その点がおくれていることについては、まことに申しわけないのでございますけれども、方向といたしましては、統一的な方向に持っていきたいということについては、先生と同じ気持ちで仕事をやっておる次第でございます。
  310. 受田新吉

    ○受田委員 同じようなかっこうのものが、警察庁では長官官房に審議官がおる、刑事局とか警備局とかには参事官がおる。審議官と参事官とで同じ名称が全く混同したような形で、長官官房は審議官でなければならない、刑事局や警備局は参事官でもいいというような、こんな不統一があり、また防衛庁でも、長官官房には防衛審議官がおって、内局のそれぞれには参事官がおるということになっておる。これはひとつ平井さん、この際総ざらいをされたい。参事官のほうが上におって審議官のほうが下におるというような役所もあれば、その反対もあるというように、同じ国家行政組織の中がこんなばらばらということは、体系の上においても非常に問題である。これは行管のお仕事として、今度新設される国土総合開発庁などを参考にされまして、全面的調整を要望申し上げておきます。  私、もう一つここで、国土総合開発庁の長官は国務大臣をもって充てると書いてあるが、国務大臣をもって充てる場合に、兼務でもよいのか、専任でなければならないのか、御答弁を願いたいのです。
  311. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 国土総合開発庁の現在持っておる政治的または行政的なウエートから申しますと、私は、兼務というようなものではならない、むしろ積極的に専務の国務大臣を充てるべきであるいうふうに考えております。  と申しますことは、これから国土利用計画法に基づいて国土庁が活動いたしますが、その問題は、国民にとりまして非常に重要な問題でございます。現在の社会において最も重要な土地の問題を扱うわけでありまして、そのためには各省との関連もあり、また六局ある組織体を全責任をもって指導していくためにも、ぜひ専任の国務大臣をもって充てるべきだというふうに考えております。
  312. 受田新吉

    ○受田委員 法律的に見れば、専任でなければならぬということになっておるのか、兼任しても差しつかえないのか、そこを御答弁願いたい。
  313. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 法律的には、兼務であっても差しつかえないということになります。
  314. 受田新吉

    ○受田委員 そのとおりなんです。現に北海道開発長官、沖繩開発長官は兼務ですね。科学技術庁長官が兼務される場合もある。こういうふうに現に兼務されておる長官がおるわけです。これは政治的な立場で専任する場合もあるし、ときに、この役所は新しい役所だから、大臣の数はあまり多くても目立つから、遠慮しようかというような総理が出たら、これを兼務にする場合も起こる。あなた自身は専任にしたいということであっても、総理自身が専任にしないということになればおしまいなんですよ。さようならということです。そういうことでございますから、こういう問題は内閣法の問題に関連してくる。この際、内閣法で国務大臣の数を、国土総合開発庁の長官の分だけ一人ふやさなければいけない問題だと思うのですが、どうでしょうかね。
  315. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 そのとおりであります。
  316. 受田新吉

    ○受田委員 内閣法をこれと一緒に合わせておやりになるのですか、どうですか。
  317. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 先ほど大臣が御説明申し上げましたように、この新しい機構は、国土利用計画法中心といたしまして、現下緊要な総合的な土地政策を推進することを中心に据えまして、あわせて、過密過疎対策にまつ正面から取り組もうということでございます。この組織図をごらんいただきましても、おわかりいただけますように、非常に広範かつ複雑な業務を所掌することになりますので、国務大臣を一名増員するということで、附則で内閣法を改正いたしまして、現在の十九人を二十人に改めた次第でございます。
  318. 受田新吉

    ○受田委員 現に、国際経済協力をするための国務大臣を出す内閣法の改正があるわけです。附則のほうにそれをひっつけてやるようなかっこうでなくて、内閣法の改正が別個に出ておる。その中にびしっと盛り込むのが筋ではなかったか。
  319. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 先生の御意見でございますけれども、この法案を提案いたしました時期には、いまの海外経済協力担当大臣を一名増員する内閣法の改正は提案されていなかったわけでございます。実は附則で改正いたしましたにつきましては、この国務大臣の増員が、国土総合開発庁の設置を契機として増員をされるということで、一体不可分のものでございますので、附則で処理をいたしたわけでございます。  なお、前例といたしましては、総務長官を国務大臣にいたしますのも、例のILO条約の批准にからみます国家公務員法の一部改正によりまして、公務員制度審議会とか人事局を設置するということに関連をいたしまして附則で改正をいたしておりますし、環境庁設置の際も、環境庁設置法の附則におきまして国務大臣の増員をはかっておる。その先例によったものでございます。
  320. 受田新吉

    ○受田委員 その先例がある。しかし、ついでに内閣法一触れるというのは——最近そういう法律が乱用されておるわけですけれども、原則論からいえば、内閣法の改正によって堂々たる定員増をはかるのが筋ではないかということです。
  321. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 国務大臣の増員につきましては、先生の御意見のように、一体何人の国務大臣で内閣を構成したらいいかという内閣の構成自体の問題ではあるかと思うわけでございますけれども、そういうことも判断をいたしまして、国土総合開発長官は国務大臣をもって充てる、さらにこの国務大臣の事務というものは、非常に広範、複雑多岐であって、かつ非常に重要なものであるという認識のもとに、両方の判断を合わせまして附則で改正をいたしたわけでございます。
  322. 受田新吉

    ○受田委員 附則で改正をして、その専任のポストをほかのところへ取られる、ひさしを貸しておもやを取られるという答えが出る場合が起こるわけですね。
  323. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 国務大臣の兼任の問題につきましては、これは、また総理の御判断の問題であろうかと思いますけれども、この法律趣旨といたしましては、やはり国土総合開発長官が主務の国務大臣であって、あるいは他の長官が兼務されることもあり得る、こういうふうな趣旨理解をいたしております。
  324. 受田新吉

    ○受田委員 専任でなければならぬという法律的根拠はない。兼任の場合も起こるというような不安定なポストである。そこに一つ問題がある。  お役所に関係する問題を一応とめて、建設大臣のお顔色が非常に悪い。お疲れのところがよくわかる。昼間参議院で苦労されておる、そのことはよくわかりますし、いま官房長が迎えに来られているのを、私よく知っておりますので、あなたに一言だけお尋ねしておきます。私、この法案に関係して、日本住宅政策について一言お尋ねしておきたいのです。  宅地と宅地の上に建てられる住宅、これは一体不離のものである。宅地が供給されても、そこに建てられる建物の値段が、宅地を安くした分だけつり上げられれば、結果的には、そこへ入る利用者は負担増ということになる。したがって、現場のお仕事をなさる建設省としては、宅地とその上に建てられる建物と、双方を安く仕入れる方法を考えておられると思うのです。いま上原さんの質問に対しまして、住宅建築計画の中で公共的性格を持つ住宅は四割だ、昭和六十年の時点において約一千万戸、こういう御答弁をされた。この四割という比率をぐっと引き上げて、むしろ公的性格の住宅の比率を六割ぐらいに逆転さしてはどうなんですか。
  325. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 御承知のとおり、第二期五カ年計画の総戸数九百五十万戸で、その内容を見ますと、確かに公的住宅が三百八十万戸、民間の自力によるものが五百七十万戸、比率にして公的が四で民間に依存するもの六、こういう五カ年計画になっておりますことは御指摘のとおりであります。  私も、就任以来、なぜ家が建たないのだろうかということで、ずいぶん役所を督励し、住宅公団を奮起せしめまして、いろいろと検討をいたしました。その四対六の四の三百八十万戸の公的住宅が、最近目立って建たなくなってきたわけであります。本来であれば公的住宅は、こういうきびしい情勢になればなるほどよけいに建てていかなければならぬときに、逆に建たなくなってきておる。これは、いま御指摘ありましたとおり土地の高騰、建築資材の高騰、もろもろの理由もございます。特に地方自治体、県及び市町村が、これ以上三大都市圏においては人口はふやしたくないというお気持ち、地方行財政の超過負担がものすごいというようなことで建たなくなってきておるわけでございます。しかし、こういうきびしい、むずかしい、困難な情勢を突破して、住宅難にあえぐ庶民のために住宅は建てていかなければならぬわけであります。  幸い、今回土地問題、地価問題を解決する、私権を制限するといった思い切った措置国会でとられようといたしておるわけであります。これを母法といたしまして強力なる住宅政策を進め得ると、実は私は半年間建設大臣をやってみまして、強く感じておるわけでございます。  そこで、前置きがたいへん長くなりましたけれども、公的住宅にもっと力を入れるべきであるという御指摘は、まさにそのとおりでございます。ところが、五カ年計画でございまして、これは五十年でもう五カ年計画が完成するわけでございます。そして昨年度の住宅の実態調査の詳細も、ことしの暮れになりますと分析されてでき上がりますので、それをもとにして第三期の五カ年計画作成に取りかからなければならぬわけであります。その際には、公的住宅にもっともっとウエートを入れるという意気込みで取り組むべく、事務当局に指示をいたしておるような次第でございます。
  326. 受田新吉

    ○受田委員 同時に、私がその比率を高めようという理由は、日本住宅の中には木賃アパートが多いのです。そして全国的規模でいえば、二百七、八十万戸というものが木賃アパートで、東京だけを例にとっても百万戸に近い数字を示されておる。そして、その木賃アパートは、八年なり十八年前に建てられたような古いアパートで、そしてその中に便所のついているのが四二%、浴室のあるのは一二%しかない。ヨーロッパ先進諸国家は、その双方を持っているのが九〇%以上あるのと比べたならば、はなはだ劣悪な住宅事情。そして平均するところでは、部屋の数一・五、七畳平均しかない。したがって、四畳か五畳のところに五人も六人も住んで、寝返りをして赤ちゃんが圧死する事件が続出しているという、これは悲劇ですよ。人権無視もはなはだしい住宅事情なんです、日本は。  これは建設省が、特に亀岡先生のような若くて迫力のある大臣がおる間に長期計画をすかっと立てて、木賃アパートを整理するんだ、そして公営アパートをうんとふやすんだ、そして固定資産税その他も、ある模範的なグループの密集勤労者住宅などでは、そういう税制上の減免措置もとるなど、あらゆる方法をとって、働く人々の住宅に希望を与えるように、思い切った住宅政策が要ると思うんですよ。宅地を造成する、同時にその上に住宅をりっぱにつくる、その二つが相互因果関係を強く持つことは当然でございまするが、いま現実に木賃アパートの大整理、この課題とどう取っ組んでおられるかを御答弁願いたいのです。
  327. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 まさに、今後の住宅政策の正鵠を得られた御所論でございます。私もそのとおりに考えるわけでございます。  そこで、建設省といたしましては、いわゆる木賃公営住宅というようなものにつきましては、これは、ことしから実は始めておるわけでございますけれども、いわゆるころがし方式というような手法を用いまして、そうして、そこに高層住宅を建て、しかも、木造の非常に劣悪な条件の住宅を高層住宅に建てかえまして、そこにいままで以上の間数を持った分譲住宅に入ってもらい、住宅も緑地もそこに生み出すというような手法を、実はことしから東京、大阪等で始めておる次第でございます。と同時に、筑波学園都市に十数カ所の研究機関が移るわけでございます。そのあとは緑地と一部の住宅地に開放していこうというような手法も、実はとっておる次第でございます。と同時に、先輩の方々が、やはり住宅問題に心を注がれまして、東京都内にある大きな工場をずいぶん実は東京都以外に移転をいたしておりますが、その移転あとに、最近住宅公団によって相当理想的に近い住宅建設をいたしておるわけでございまして、私は、今度できますこの国土利用計画法に基づいて地価の安定がもたらされ、その安定した土地の上に、国と地方自治体との協力関係が十分できるような施策が、いままで十分じゃなかったわけでございますので、その点に国としても思い切った措置も、実は公共施設の建てかえでありますとか、あるいは宅地開発公団法を通していただければ、学校でありますとか、道路でありますとか、下水でありますとか、そういうものは全部宅開公団が建設をいたしまして、そうして、その建設をいたしました宅地の上に、分譲住宅あるいは公営住宅、あるいは一戸建ての住宅等を建設し得るようにしてまいりたい、こういうことでございます。  と同時に、私、考えますことは、木賃アパートが御指摘のとおり非常にふえておるわけであります。これは、やはり上京してきた学生、つとめたばかりの勤労者の諸君、そういう諸君に対する公的配慮というものが、いままで非常に少ないという感じがいたすわけでございます。これも、いろいろこれから実態調査をいたしておるわけでございますけれども、こういう面にも、やはり公的住宅の担当しなければならない面があるのではないか、私はこういう考え方を実は持っておるわけであります。たとえば独身用の公営住宅でございますね、公団住宅と申しますか、そういうものが、公団が設立された当時は相当できておったわけでありますが、最近はほとんどそういう配慮がなされておらないということが、やはり住宅問題に一つの大きな不満をもたらしている面ではないかというような感じも持っているわけであります。
  328. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、官房長が迎えに来ておるが、何かあるんじゃないですか。だいじょうぶですか。ひとつ災難と思って——災難じゃない、国家国民のためですから、非常に光栄と思ってやってもらいたいのです。(亀岡国務大臣「迎えに来たわけじゃありません」と呼ぶ)そういうことであればひとつ。やはりこの国土総合開発庁の仕事は、建設省が現実に主軸になっていると私は思うのです。経済企画庁計画性がそれに食いついてくるというような役所ですから、この二つの役所を中心にできた新しい役所という意味から、あなたに重い責任があるわけですから、私はひとつひっかけてお尋ねをいたします。もうすでに御睡眠の方々もおられるわけですから、その事情は十分知りながら質問するわけです。  私、木賃アパートの問題がどうも気にかかってしょうがないのですが、私たちの関係者の中にも、住宅を得ることができなくて、これをやむなく借りておる。いまの時点で大体一万六、七千円が平均ですよ。月収の大体二割近いものを払っておるのです。たいへんなことですわ。非常に家賃が高いのです。これは公営住宅と比べて高い。しかし、最近公団住宅も、あなた方が建てられたのがばかに高くなって、四十八年では三万円平均となっておる。そして市街地へ入ってくると四万円ということになると、これは庶民から見たら高ねの花のような住宅。そこから安いところを得ようとすれば、交通が不便です。一時間半も二時間もかかるところに建った公団住宅というものは、通勤上の不便がきびしい。  いずれにしても、この住宅問題は国家のガンですね、国民生活の。安住の地を求めて、安らかな生活を営もうとする国民にとっては、よき住宅を得る政策建設省が、せっかく住宅局があり、また宅地政策を進めるお役所があり、今度宅地開発公団もつくろうとされておるのですから、そういうところが強烈な熱情を捧げられまして、この問題と取っ組んでもらって、年次計画を短縮して、そして大幅に住宅をつくる、そして民間で住宅をつくる者に対しては、低利でその資金を融通する、あるいは宅地をつくるための貯蓄制度を考える、財形貯蓄などについては、また特別の恩典を与える、こういうふうな、とにかく総合的な住宅政策を、建設省を中核にしてお進めになっていただかなければならぬと私は思うのです。  大臣、あなたはまだ閣僚の中で一番若いのですから、意気込みよろしくこれと取っ組んで、おれが大臣の間に、この住宅問題は基本的に解決するんだという熱情をお持ちいただきたいと思うのです。建設行政の中で国民生活に密着する大事な仕事を、ひとつ勇気をもって当たっていただきたい。激励にこたえて御答弁を願います。
  329. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 実は、私も建設大臣に就任しまして、住宅問題に一番力を入れておる次第でございます。先ほど申し上げましたとおり、三大都市圏においては、これ以上人口増をさせたくないという知事さん方、市町村長さん方が非常に多いわけでございます。しかし、自然増の分だけでも十分収容し得る住宅が建っておるかというと、それも建っておらない。そこに、三大都市圏内における住宅問題の非常に困難な面ときびしさがあるわけでございます。  しかし、先ほども申し上げましたように、いろいろ分析してみますと、解決できない問題ばかりかというと、そうではなくて、やはり知恵と資金を注ぐことによって解決できる問題ばかりであると私は確信をいたしておるわけでございます。したがいまして、建設省といたしましても、従来も住宅建設には意欲を燃やしてきておりますが、今後はさらに馬力をかけまして、住宅の面に対する国民の要望、持に三大都市圏における要望にこたえていきたいと考えております。
  330. 受田新吉

    ○受田委員 地価とかあるいは資材、労賃、こういうものの高騰によって、新しく建設しようとする公営住宅、公団住宅等がなかなか思いようにいかない。当初計画した予算を大幅にはみ出るというような実情、こういうものに一体どう対処されておるのですか。
  331. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 その面につきましては、実は昭和四十八年度におきましては、公営住宅の場合はやむを得ませんので、戸数を減らしまして、それを資材の値上がり等に対する措置として、その分で埋め合わせをして、戸数を減らして建てておるという実態でございます。
  332. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、公的性格を持ったほうの比率が下がって、民間に依存するというほうが逆にふえるという結果が出る。これを逆転させるための政策を、私は進めてもらいたいのです。それは、住宅局長、どうですか。これは大臣では、まだ新任日なお浅く——浅いことはないね。だけれども住宅局長は事情に詳しいのですから、その困難を克服する、その問題が当面の住宅政策課題の最も大きいものだと思うのです。
  333. 沢田光英

    ○沢田政府委員 住宅建設が、ことに公共を中心といたしまして三大都市圏で落ち込んできておるという原因には、二つの面があろうと存じます。一つは、いわゆる下ものの問題でございまして、関連公共の問題からいろいろございますが、地価の問題、そういう問題がここ数年ことにきびしくなってきた。それにからんで団地お断わりというのも出てきておる。こういう下ものの問題があろうかと思います。もう一つは、上ものの問題でございまして、これは建物でございます。これは通常の年次でございますと、毎年の値上がり率というものは六%程度、六ないし七ぐらいでございます、構造によって違いますが。ところが、四十八年を通じました一年間では三五%、私どもの積算によると上がっております。相場はもっとそれ以上上がっております。  しかし、この問題は、私ども上ものの問題と下ものの問題を分けまして、下ものの問題は、基本的にやはりこの国土利用計画法、こういうものを基盤といたしまして、さらに宅地をいい形で供給するという手法を、現在ある手法あるいは新しい手法、こういうものを充実して、整備をするということが基本的には必要ではないか。こうしなければ、やはり地価の問題は征服できないだろうと思いますが、こういう問題が軌道に乗ってきたというふうな状態が、いまの状態ではないかと思います。  建物の問題は、これは、いままで建築費を下げるために、いわゆる工業化を進めております。工業化と申しますのは、いわゆる労賃を節約する方法でございまして、大工、左官が現場でやることを工場でやりまして、そこで能率をあげて労務費を下げる、こういうかっこうでございますが、それでかなり効果はプレハブ等であがってきたわけでございますが、今回の物価は、いわゆる工場生産資材も値上がりしたということで三五%上がっておる、さような結果でございます。しかし、これは早晩六、七%の通常ペースに戻るだろうという予想を私は持っております。そういうことで、両者を合わせますれば、将来基本的に住宅建設増強の方向に向かえるというふうに思っております。  ただし、それではここ一年どうするのかという話がございました。これは、やはり緊急の問題として、基本的な問題をやりながら、緊急に手を打たなければ困るということでございまして、それには先ほど来建設大臣が申し上げましたような、いまあいている宅地をどういうふうにうまく利用していい住宅を供給していくか、こういうことでございまして、たとえば、先ほど大臣が申しましたころがしというふうなものは木賃に関係をいたしておりまして、いわゆる研究学園都市等で都内にあき地がありますれば、それを公園にするのもけっこうでございましょうが、ここに公共住宅を建てまして、その周辺一定距離内の木賃住宅等の悪い住宅に入っている方を優先的に公共住宅に入れる、そして、そのこわしたあと地を東京都なら東京都が買い上げる、こういう制度が実は四十九年度から出発しておりまして、大臣が申し上げましたように、東京、大阪等でそれがころがり始める。そういう緊急策と、先ほど来言っております新開発、再開発の恒久策というものをあわせて将来にわたります住宅対策というものを確立することが、一番のもとだろうというふうに思います。
  334. 受田新吉

    ○受田委員 この問題に関連するわけですが、いま東京都心から四十キロ以内の周辺地域で、百六十五平方メートルで五十平方メートル程度の家を建て、自己資金で家を求めたいという人々の要望にこたえるのにはどのくらいの金が要るのか、調べておられると思いますので伺いたい。
  335. 沢田光英

    ○沢田政府委員 距離もございますけれども、鉄道に近いとかそういうふうな問題もございますが、いまの相場でございますと、土地、建物含めましておおむね千五百万円程度はかかるのではないか、私はそう考えております。
  336. 受田新吉

    ○受田委員 おおむね千五百万から八百万ぐらいの間でしょう。それだけなければそんな小さな家でも求められないのです。五十坪と十五坪くらいの土地と家、そのささやかな家さえも、いまの勤労者にとっては高ねの花ですね。わずかな貯蓄をしても間に合わない。家を求める人々の非常に悲惨な悲劇があるのを、建設省は十分心得て対策を立てておられますか。   〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕
  337. 沢田光英

    ○沢田政府委員 建設省の政策は、五カ年計画にあらわれておると思いますが、ただいま先生の御指摘の持ち家の問題は、私ども主として住宅金融公庫の住宅融資、金融、こういうものに主眼を置いて考えております。もちろん、公団住宅の長期特別分譲等もございますけれども、量からいいますと公庫住宅のほうが重点でございます。これは二年ぐらい前までは、申すまでもなく百万円以下の貸し付け金額でございました。それを逐年非常な勢いで上げてきておりまして、四十九年度におきましては五百万まで上がりました。しかし、その間に、私どもが目標としておりました当時の七百万から八百万程度のものが一ぺんに千五百万ぐらいに上がった、しかもこのうち、約一千万程度は土地費というふうなかっこうで、土地の値上がりが響いておるということでございます。私どもは、今後ともこの持ち家に関しましては、公庫の金融に最重点を置いて、これを実際にお借りになった人が償還できる状態あるいは買える金額、こういうふうなものに、いままで以上の勢いで近づけなければいけないというふうに思っております。  また、もう一つは、実は公団住宅に長期特別分譲住宅という新たな制度がございます。これは金額融資と同じように、立体化されたものを、土地の負担を少なくして持ち家として共同住宅を建てまして、最初は金利だけ、元金は据え置き、その後だんだんとふえていく、収入もいわゆる中堅階層は上がりますから、そういうものにあわせてだんだんと掛け金を上げていく、賃貸住宅並みの支払いで、いわゆる三DK以上の持ち家が持てる、こういう政策も公団でだんだんと力を入れております。この二本の線で、公的施策は中核をなして進めていく所存でございます。
  338. 受田新吉

    ○受田委員 この土地問題で、私たちは過去を顧みて、明治維新当時の土地改革、第二次大戦のあとの農地解放を中心とした土地改革、そして現時点のこれからの土地改革、この三つのポイントを考えながら、これからの土地改革、それは土地利用計画をりっぱになし遂げることによって実を結ばせなければならぬという感じを持っている。それで土地利用計画法の中に、それらの問題にポイントをしぼって、われわれの党が提唱した問題が実を結んだかっこうになって、野党が共同して、そしてここに議員提案として誕生したわけです。せっかく国土総合開発計画の中から、国土利用計画というポイントをしぼった母法が生まれたのでありますが、これを運用する役所が、いま長官がすなおにおっしゃった、最初は寄り合い世帯で調子が悪いが、だんだんよくなるという夢を持つのだというお話がありましたが、最初から、やはり寄り合い世帯であるけれども、そうした国土利用計画を最高に国民期待にこたえる方向へおもむけていくという努力をする使命が、この新しい役所にあるのです。  そこで、今度はその土地利用計画の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、経済企画庁の関係の人にいろいろとお聞きをいたします。  経済企画庁が点検をされた新全国総合開発計画中身を拝見をしていきますと、人口の都市集中型に対する展望が出ておるのであります。昭和六十年の時点において、三大都市を中心としての人口の密度が、全国に比してどういうところにいくかということでございまするが、十一年後には、いまの時点ぐらいのところで落ちつくということですか。
  339. 藤井直樹

    ○藤井説明員 総点検の第一の項目といたしまして、巨大都市問題の検討をしたわけでございますが、その際に、人口の集中がどの程度行なわれるかという見通しを立てましたわけですが、それにつきまして、現在の趨勢のままでいった場合にどうなるかということを、まず第一のパターンとして計算をいたしております。その場合には、昭和四十五年でございますが、三大都市圏に四四%の人口が集まっているというのが、五六%にまで上がってくるというのが、現在の趨勢を伸ばした場合の数字でございます。そして最近五カ年ごとに大都市への人口の増加というのが鈍化しております。その鈍化の傾向がさらに進むというふうにいたしましてみますと、約四九%になる。そしてその場合の、たとえば東京圏の数字で申し上げますと、その場合には三千三百万人ほどになる。現在の二千四百万人に対して九百万人ほどの増加ということになるはずでございます。  それで、こういう状態でございますと、やはり水とか環境の面、それから土地の面、そういう点でいろいろな制約が出てまいります。われわれといたしましては、それを四十五年現在のシェア程度、要するに四四%程度に押えるという意味での分散型というものを、今後の政策の目標とすべきではないか、そういうように人口の推定をいたしたわけでございまして、その場合には東京圏は約二千八百万人ぐらいのものになる、そういう三つの計算をいたしまして、将来の人口想定をやったわけでございます。
  340. 受田新吉

    ○受田委員 分散型をもって現時点の比率に押える、四四%に押える。趨勢を分散型で押えたいという計画をお持ちである。地方圏の場合は、今度五六を五六で押える、こういう計画のようでございます。私は、これは国土利用計画の中の非常に大事な背景になると思う。つまり、十年あるいは二十年、三十年後の展展の上に立つ国土利用計画をりっぱに打ち立てていかなければならぬ。  そこで、マルサスの人口学説じゃないけれども人口の増加と食糧の増加とが、等比級数的と等差級数的の問題にも関連をするのでございますが、その趨勢、そしてそれに対する分散型の採用等を、見通しを誤ると計画はくずれるわけです。経済企画庁のその計画というのは、非常に大事なポイントを握っているわけなんです。  それで、十年なり二十年後に、いま国土の中で農業地帯をどれだけ置き、牧畜地帯をどれだけ置いて、そして、どのくらいの食糧を確保したらよいか、昭和六十年には外国の食糧を輸入するのか、自給自足体制にいくのか、そういうことによって国土利用計画もまた道が開けてくるわけなんです。土地が足らぬようになったら、移住をどんどんやるという方針を経済企画庁考えるのかどうか。移住政策、これは政策的なものなんです。世界じゅうのどこか土地が非常に余っているところに大量の人口移動をやるというようにやるか。もしもせっぱ詰まったら、往年の軍国主義のように、どこかの土地をとりにいく、戦争をやる、そういう勇ましいことをやるような政府でもあられたら、これは、たいへんなことなんでございますが、平和裏に日本の将来を展望しながら、国土利用計画を立てる経済企画庁の任務はたいへん重いと思うのです。そういうものに対して、食糧の状態は、昭和六十年においては、自給自足体制を確立するという前提に立っているのかどうか、御答弁願いたい。
  341. 藤井直樹

    ○藤井説明員 総点検の項目の中に、農業問題という項目を設けて現在検討いたしております。その点検の内容を詰めてまいるわけでございますが、さらに、その結果によりまして、新しい新々全総といいますか、そういうものを五十一年度からスタートいたすべきものとして考えておるわけでございます。その際には当然に、現在問題となっております食糧自給の問題、そういうものを基本的に検討いたしまして、一つの展望をし、それを計画に織り込んでいくということになるわけでございまして、現状におきまして、六十年度の食糧自給をどうするかということについては、現在まだ作業を終えておりませんので申し上げかねるわけでございますけれども、最近の農業問題、特に輸入食糧の供給についての不安もある、そういう状況を踏まえまして、そういう点に重点を置いて作業をいたしてまいりたいと思っております。
  342. 受田新吉

    ○受田委員 年次計画的に土地利用計画を立て、農業、工業地帯、森林その他のそうした総合的な立場で土地利用考えていくということになるならば、自然に食糧事情——食わなければならぬのだから、食糧事情というものを、年次計画的に見通しを立てていかなければならぬ。外国の食糧の輸入を、どこまで前提とするのかというようなところまでも、私、経済企画庁というものは立ててこなければいかぬ問題だと思うのですが、どうでしょうかね。いまのお話では、どうも非常に不安があるのです。
  343. 藤井直樹

    ○藤井説明員 今回の国土利用計画法に基づいて、新しく国土利用計画というものをつくることになるわけでございますが、その際には、当然そういう土地のフレームといいますか、それが問題になるわけでございます。その際に、やはり耕地面積をどうするかということは最大の問題でございまして、いま、おっしゃったような最近の食糧輸入の状況等を踏まえて、自給率その他について真剣に検討するということでこれからも考えていく、そういうつもりでございます。
  344. 受田新吉

    ○受田委員 従来、経済企画庁は、そうした十年後の日本の食糧事情、二十年後の事情、人口の増加、趨勢、そういうものをどう考えてきたか。そして日本を工場地帯としてどこどこを考えるか、あるいは工場地帯はこの限度で置くとかいうようなものを、一緒に総合計画でお立てになっておるのじゃないのですか。国土法、今度の役所ができて初めてやるのじゃだめなんです。すでに経済企画庁が長い間、これだけの職員を擁して、一生懸命に優秀な公務員がやってきておるんですからね。今度の役所へ責任を転移するのでなくして、現在の時点で昭和六十年度の食糧事情というものぐらいは、展望は十分できておらなければいかぬと思います。
  345. 藤井直樹

    ○藤井説明員 現在の新全国総合開発計画の中の土地利用の構成ということで、要するに将来の国土の三千七百万ヘクタールの面積がどういうような分布になるかということについて、六十年の想定をいたしております。その際には、農用地の面積が、昭和四十年の六百方ヘクタールというのが、昭和六十年には六百五十万ないし七百万ヘクタールになるというようなことで、その食糧の自給の問題を考慮に入れまして、農用地造成をはかっていくというようなことでやっておりまして、現在は、その内容の総点検をしている、そういう状況でございますので、新しい事態での見通しというものはこれからつくる、そういうことを申し上げているわけでございます。
  346. 受田新吉

    ○受田委員 公有水面埋立法という法律もある。これに対して、埋め立て問題が建設省と運輸省の共管でやられる。東京湾の埋め立てについては、首都圏整備委員会が担当しておる。そういうところで新しい、いまおっしゃった六百五十万という数字、現在より五十万ふえるのは、一体そういう埋め立ての土地考えるのか、あるいは干拓、開拓というようなものも含めた数字か、あるいは工場用地などになっている分をやめるのか、あるいは山林を開発するのか、そういうものについて御説明いただきたい。
  347. 藤井直樹

    ○藤井説明員 全体としてこの計画の数字を申し上げますと、昭和四十年で三千六百九十八万ヘクタールというものが、六十年には三千七百八万ヘクタールになる。約十万ヘクタールは埋め立てによって増加する、総量としてそう見ております。その内容におきまして、農用地が五十万ないし百万ヘクタールふえるといいますのは、主として森林とそれから原野、これが耕地に変わるということで内容の構成ができております。
  348. 受田新吉

    ○受田委員 国土は限られた資源です。したがって、これを広げようと思えば、よその国をとりにいくか、あるいは埋め立てをするか、あるいは火山が爆発して島ができて、そこを開拓、開墾するか。しかし、爆発した直後の火山のところは岩ばかりですから、耕地などはすぐは期待できない。いろいろの問題があるわけです。そういう埋め立て計画、いま十万の数字をお出しになられておって、大体山林を開発していくというようなお話でございます。したがって、この土地は非常に貴重な、私的の問題でなくして公的性格を持つ土地であるだけに、そういう計画を立てるときには、そういう計画は国家がタッチし、そうして国家目的土地を造成していくということですね。私人の開墾、開拓を許すのですかどうですか。
  349. 藤井直樹

    ○藤井説明員 農用地をどう確保していくかということにつきましては、これが、たとえば大規模畜産の問題になりますれば、草用地というものを造成していくという形になりますし、その場合には、国がその草地造成事業に補助をするという形になりますので、耕地の増強につきましては、かなり公的な資金を投入してもやるという体制が、今後とも必要であろうと思います。
  350. 受田新吉

    ○受田委員 農業経営形態というものをどういう方向へ持っていくかというような、そうした経営規模等を含めた経済企画というものがあるのですか。たとえば、一戸当たりの担当農耕面積を二町平均にするとか、あるいは兼業農家を整理して専業農家に集中するとか、こういうものは農林省のやる仕事ではあるが、同時に企画性を持つ事業として、経済企画庁、今度のこの新しい役所、そういうものがやらなければいかぬ問題だと思うのですが……。
  351. 藤井直樹

    ○藤井説明員 この農林水産業振興という項におきましても、高生産農業を展開する、これは自立経営農家の造成につながってくるわけでございますが、たとえば就業者が、一人当たり所得として二百万円というものが二十年後には期待できるというようなことを考えております。また大型機械の導入をはかって、水田二百万ヘクタールぐらいについて、そういう形の農業の手法をとるということで、全体としての高生産性、能率の拡大というところに重点を置いた農業振興をはかっていくべきだ。同時に、畜産につきましても、同様でございまして、大規模畜産基地を造成して、もっと高度に集約された畜産、そして乳牛それから肉牛、乳製品等の需要に応じていこうというような計算をいたしておるわけでございます。
  352. 受田新吉

    ○受田委員 「列島改造論」の問題にちょっと触れなければならぬのですが、高度経済成長政策を進める上で新産都市工業を中心にするとか、あるいは臨海工業地帯ですか、そういうものを中心にした産業中心主義開発というものは、一応経済企画から押えるのですか。
  353. 藤井直樹

    ○藤井説明員 たとえば新産業都市の問題でございますが、実際問題として、新産業都市のその後の事業の推移を見ますと、生産関連施設の整備のほうが進んで、生活関連施設のほうがおくれているとか、それから環境に対する対応が十分でなかったというようなことで、現実に公害の発生を見ている例が各地に多いわけでございます。こういうものにつきましては、その後の公害対策基本法等の制定を機といたしまして、公害防止計画を策定するとか、また各県におきまして公害防止条例、それから公害防止協定等を結んで、その環境の悪化というものに対処した対策をとってきておるわけでございます。  そういうような方向につきましては、工業開発重点ということではなくて、最近は自然環境の問題、生活環境の問題、そして文化的な側面、そういうものも全部含めました、むしろ総合的な都市というものを造成していく必要があろうというようなことで、地方都市問題というのが非常に大きな課題になってきておるわけでございます。そういうような地方都市との関連で、さらに新産都市の問題を考えていくというような体制で、現在作業を進めておるような次第でございます。
  354. 受田新吉

    ○受田委員 いま日本課題は、大都市中心産業重点主義、こういうようなかっこうにきておる。そして田中総理が提唱されたおかげで、むつ小川原などは、あそこに何とかいう公社があって土地を買い占めておる。志布志湾とか周防灘、苫小牧の周辺とかいうような、一応「列島改造論」の中に出てきた地域というものには夢があり過ぎて、すでにその準備に着手して、土地の買い占め等が行なわれておるという結果が出てきておるのです。むつ小川原のあと始末などは、どういうふうになってくるのですか。
  355. 藤井直樹

    ○藤井説明員 むつ小川原につきましては、青森県が第一次基本計画というものをつくりまして、それを政府に出してきたわけであります。それに対しまして、政府としていろいろ検討いたしたわけですが、その開発というものは行なう、しかし、その内容となります工業開発の規模、こういうものにつきましては、はたして用地がどのくらい買えるのか、また環境にどういう影響があるのか、そういうような点について十分に検討いたしたその上で、工業開発の規模をきめよう。さらにはまた、住民対策について十分な措置をとって、地元の方の理解を得る、そういうようなことを条件といたしまして、価格の交渉に入るという形をとっておりまして、現在、民有地の七割程度のものにつきまして、買い入れができるのではないかという状況になっております。  そして、その第一次基本計画というものにつきましては、先ほどのような二点につきまして、政府からの指導をいたしまして、それに基づいて、現在、第二次基本計画というものを青森県で策定している、そういう段階でございます。その基本計画ができますれば、その購入された土地というものについて、具体的にどういう規模でやるかということをきめる。そして、そのときの社会経済の情勢というものを考えまして、計画の推進をはかる。現在そういう事情にございますので、ただいま、県の計画の策定ということについての事前の調査というものを進めておる段階でございます。
  356. 受田新吉

    ○受田委員 日本国民はどこに生まれ、どこに住み、そして一どこで生活しても、できるだけ公平に幸福が享受できるような政治が要るのです。したがって、離れ島であろうと、山村、僻村であろうと、それなりの国家の公平な愛の政治が要るわけですね。それを抜きにしては、政治というものは、もう全く空白といいますか、ゼロと言っていい問題なんです。したがって、今度の国土利用計画なるものには、いまの離島振興、山村、僻村対策の全部を含めて、都市、農村の土地利用をできるだけ、それぞれの立場で公平に守っていこうとしておられることは、よくわかるのです。  ただ、これをやる上に、自民党が従来とってきたような産業中心主義、資本主義、大企業中心主義というようなものを、これ以上のさばらすと、もうこれの恩典に浴しない者が出てくる。日本のどこに生まれても、どこに住んでも、できるだけ公平なしあわせを受けることができなくなる。そこへ非常に大きな一つの転換が要るわけなんです。だから、大都市の改造もやらなければいかぬ、都市周辺地区の改造もやっていくというふうにして、生活環境をより高度に文化生活に持っていく必要があるわけなんですが、従来、少し自民党の政治が、そうした経済成長に走り過ぎ、大都市中心主義に走り、産業中心主義に走り過ぎて、いま、それに残された地域が、非常なダウンを来たしてきたわけです。  そこで、今度は長官、お尋ねするのですが、私、長官に比較的きびしいですね、いつも。これは、あなたが私の担当委員会の大臣ですから、大臣に激励の意味で、愛するがゆえにときどききびしいことを言う。他の省の、当該委員会以外の方はお客さんですから、比較的私はやさしく言うておる。それをひとつ小坂先生、十分含んで御答弁を願いたいのですが、一番身近な長官としてひとつお願いをしたいのです。  これは、お互いの党の政策もあるわけでございますが、われわれは庶民をあたたかく愛する側からいきますから……。たとえばこの間、長谷川さんというお方は五十一億も土地を売却した所得があった。にもかかわらず、それに対しては、税法上の恩典もあって、八億しか税金を納めておられない。四十三億はポケットに入る。これはポケットがたいへん大きくなければ四十三億は入らぬ金でございますが、こういう方々と、そして一般勤労者の方々がせっせと働いて、もし高額の所得があれば、累進課税でたいへんな税負担をするのに比べていくと、非常に大きな矛盾がそこにあるのです。これは、この土地利用計画の問題に触れるわけですけれども、政治の一つの貧困、不公平、土地成金をのさばらしているというこの現実は、大臣、たいへん不公平であるとお考えにならないか。私は、むしろこういう方々に、勤労者のような所得累進課税によって——五十一億もごっそり不当利得をしたようなかっこうの方々は、周囲の土地の値上がりであるとか、いろいろな環境の不統制というようなところで、そういう者をのさばらすようにしたのですから、そういうところから思い切って税金を取って、せめて四十億ぐらいは税金に取り上げる、十億ぐらいは御苦労分として残すとかいうぐらいの思い切った措置をして、一般国民に公平な政治の観念を植えつけなければいかぬと思ったのですが、このことについて、土地成金に対して寛大であり過ぎたという反省が、国務大臣としてあるかないかの御答弁です。
  357. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 私も、やはり現在の土地による利益と申しますか、収入というものに対して、一般の勤労所得税率に比べれば非常に低過ぎるということは、これは、もう言わずもがなのことではないかと思います。また、現在の土地の問題が、そうした税の不均衡と申しますか、一方においては、ほんとうに一生かかったって、とてもためられないような金がごそっと入るようなことがあたりまえなことだということであっては、やはり近代資本主義としては、まことにまずいと私は思います。  したがいまして、今度のこの国土総合開発庁という役所の性格の中には、当然、この不平等といいますか、アンバランスを直すということがやはり強く意識される必要がある。そうしたような役所であればあるほど、国土利用計画法そのものの持つ合理的な再配分のプログラムというものもまた、私は、相当効果的に発動ができるのではないかというふうにも考えます。  いずれにいたしましても、現在の日本における最大の問題は、土地の問題であるというふうに考えております。
  358. 受田新吉

    ○受田委員 今度の法律の母法である国土利用計画法によると、知事が規制区域内での価格の抑制をすることができるわけです。その指定した地域では、七〇%から八〇%に押えるということですが、それは五年間くぎづけにする。しかし、資力のある不動産業者などは、五年間ぐらいはじっと持ちこたえるですよ。持ちこたえた場合には、どうなるかということです。
  359. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 やはり社会的な批判というものが、民主主義の社会には非常に有力な力を持つべきものでありますから、その批判に耐え得るか耐え得ないかということは、その土地所有者なり、その土地を買い占めた企業経営者がみずから判断すべきことではないかと思います。しかし、やはり五年間の塩づけの後がどうなるかということについては、もちろん、そうした土地がさらに活用される方向を、政府としては推進しなければならないわけでありますから、五年間そうした土地を放置しておくということ自体も、政府においては十分なる責任を感じて行動するというような、積極的な考えと行動が必要なのではないかというふうにも思います。
  360. 受田新吉

    ○受田委員 ここでちょっと私、不安が一つあるんですがね。今度この問題について政令をつくるわけですが、七、八〇%に押えるための計算方式というのは一体どうやるのですか。そう簡単な問題ではないと思います。
  361. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 その前に、先ほど五年間というお話が出たわけでございますが、一応五年間ということにいたしておりますけれども、指定をいたしました場合には、周辺の地域における地価の動向とか、土地取引の状況等を常時把握するために、都道府県知事は調査を行なうわけでございます。その調査結果によりまして、依然として規制をする必要が存在をするという場合においては、再び再指定を行ないまして、五年間の期間を十年にする、さらに十五年にするということも可能なわけでございます。  それから、ただいまのお話の、いわゆる凍結地価と申しますか、地価の算定方法の問題でございますけれども、この規制地域を指定した場合の地価の目安といたしましては、先般の衆議院建設委員会におきまして、木村委員長の御発言がございまして、市場相場の七、八割程度を政策的な目標として、適切な算定方式を定めるようという御要望に対しまして、経済企画庁長官が、その趣旨によって地目別、地域別に十分調査、検討の上定めるものとするという御答弁をされておられるわけでございます。この基準につきましては、政令で定めるわけでございますが、いま申しましたような木村委員長の御発言経済企画庁長官の答弁を踏まえまして、算定をしてまいりたいというふうに考えております。  で、算定の基準を政令で定めるわけでございますけれども、これは現在の地目によって違うわけでございます。現在すでに宅地であるものにつきましては、これは地価公示価格がある場合には地価公示価格、あるいは固定資産税評価額等を検討いたしまして、その相関関係等を見ながら、算定の基準をきめるわけでございます。なお、現況山林であるとかあるいは農地である等の場合につきましては、その固定資産税評価額というものは、非常に低い場合もございますし、また地価公示がない場合もございますので、これが宅地として転用される場合の価格算定方法につきましては、収益還元法でございますとか、近傍類地の比較その他の手法を活用いたしまして基準を定めることにいたしますが、いずれにしろ、この基準の決定は非常に重要な問題でございますので、あらゆる知識を総動員いたしまして、早急に関係省庁で協議を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、政令では基準をきめるわけでございまして、具体的には都道府県知事が許可をされる際に、個別の判断基準は、またその政令の基準をもとにして知事がおきめになるわけでございます。知事がおきめになります場合には、都道府県に土地利用審査会というものを法律で置くことになっておりまして、その中に土地問題に関する専門家、学識経験者等を集めることになっております。その意見を聞き、かつまた、地方にも不動産鑑定士等の資格を持った土地鑑定の専門家がおられますので、そういうような者の意見も聞きながら、知事のほうでおきめになるということになると思うわけでございます。
  362. 受田新吉

    ○受田委員 もうこれは、非常に大事な問題で、ここにポイントがあるわけなんです。これを誤れば意味がないわけです。それから、できるだけ全国的規模でこれが公平が期せられなければならぬ。ある一部は実行できたが、あと一部は実行できないというようなことでもいけない。  その意味でも、私は、この国土総合開発庁は、中央的な機関だけはあるが地方機関がさっぱりない。出先が一つもない。出先が一つもないような役所というものは、これは、あまりよけいはないわけです。経済企画庁ぐらいなものです。あとはみな出先機関がある。つまり地域との接触を保つ出先機関がある。東北開発室というものが、この地方振興局の中にはあるけれども、それも中央集権の開発しかない。そういう意味で、地方との接触を保つのに、常に中央と府県だけでいくようなかっこうでなくして、その中間機関、もっと親切なための出先機関というものの設置が必要でなかったかどうか。全国の公平を期する上においては、そういう心づかいも要ったのじゃないかということを私は考えるのです。どうでしょう。
  363. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 御提案申し上げております国土総合開発庁は、その所掌事務が主として総合的な政策計画の企画、立案と関係省庁の事務の総合調整でございます。なお、法律を直接施行するものといたしましては、今度おきめを願う国土利用計画法等があるわけでございますが、本質的に企画、立案、調整等でございますので、関係省庁を通じて地方の意見をくみ上げながら、調整をしていくということが本来でございまして、その意味においては、特段の出先機関は必要はないと思ったわけでございます。  ただ、国土利用計画法、これは具体的事務は知事さんが執行されるわけでございます。知事さんが執行される場合に、いま先生御指摘のような、各県がばらばらであったり、その運用なり方針に違いがございましたならば、土地政策は混乱するおそれがあるわけでございます。この点につきましては、国土総合開発庁本庁におきまして、各府県の土地対策部局あるいは企画関係部局とも十分相談をしながら進めてまいりたいということにいたしておるわけでございます。
  364. 受田新吉

    ○受田委員 国土に関する限り、農地とか工場とか森林とか、いろいろな問題に関連をするわけです。そうすれば、農林省の出先機関の地方局、建設省の地方局、そういう出先機関は、他の省庁の出先機関を利用するのですか。そういう場合があるのですか、ないのですか。
  365. 粟屋敏信

    ○粟屋政府委員 原則的には、関係各省庁を通じてそういう地方の実情をくみ上げてまいろうと思いますが、場合によりましては、直接関係省庁の地方出先機関と緊密な連携を保ちまして、協力を得たいと考える次第でございます。
  366. 受田新吉

    ○受田委員 この法案は、非常に大事な問題をかかえておるし、次代を背負う青少年にも、ずっと後世に残す国土、その国土を大事にする問題ですから、このお役所の持つ使命は非常に重いのです。  私、こうしていま一部だけ質問したのですが。いままだ一時間半しかやっておらぬのです。考えてみると、いま十時半を過ぎたわけなんです。まさに質問が佳境に入ったというところなんですが、皆さんのお疲れの色も、さぞ濃厚であろうというような感じがするし、そして非常に苦しい聞き取りをしていただいている方々もあるわけなんです。苦しみて後の楽しみが大きいということもありまして、これで私は質問を終わることにいたしまして、予定より一時間半早く打ち切って、皆さんが家路を急がれるよう、きょうこの時点で質問を終わって解放をさしていただきます。  この役所の意義の大きさを考えながら、ひとつ大いに奮励努力していただきたいことを要望して、耐えがたきを耐えて質問を終わることにいたします。皆さん御苦労さまでございました。
  367. 徳安實藏

    徳安委員長 次回は、来たる十六日木曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後十時三十三分散会