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内田国務大臣 吉田さんのおっしゃること、私もよくわかります。どうも私
どもも舌をかむような
法律のタイトルやら、あるいは
計画のタイトルが幾つもございまして、しばしば混淆を来たすわけでありますが、昨年、
政府から提案をいたしましたのは、現在生きておるところの
昭和二十五年制定の
国土総合開発法というものが古くなって、とても今日の間尺に合わないから、それを殺してしまって、そして新しい
国土総合開発法というものを提案いたしたわけでございます。
その中には、吉田さんがいまここで強く御指摘になられますように、
国土の
総合開発あるいは
地域の
総合開発ということに関するいろいろな手法についての
規定がたくさんございます。現に総括的には全国
総合開発計画という
ことばもございますし、また
特定総合開発地域の指定というような
ことばもございます。
昭和二十五年の古い
国土総合開発法の中にも、これは、
ことばは逆になっていますが、
特定地域総合開発計画というようなものもございまして、そして、いかにも問題になって、公害を出しておりますような大規模な工業基地を連想させるような
規定もございました。しかし、こうして新産、工特という
法律ができましたのは、現在まで生きております
国土総合開発法ができまして十年以上あとでございます。三十七年ごろであったと思います。新
産業都市
建設促進法といいますか、工業
整備特別
地域整備促進法というようなものでございまして、たとえば茨域県の鹿島
地域のごときは、たしか工特法に準拠してできたようなものであると私は記憶をいたしております。しかし、その背景には、
昭和二十五年の古い
国土総合開発法というものによる
特定地域の
開発計画とか、あるいは全国の
過密過疎の解消を連想させる
精神もあったと思われるわけでありますが、そこに二つの問題が起こってきたと思います。
その間におきまして、
一つは公害の問題で、たとえば新産、工特ができました
昭和三十七年のころには、公害対策基本法がまだできておらなかったころでございますので、工業
地域の
建設は進んだけれ
ども、予測しなかったような公害を残してきた。これの対策を公害関係の
法律のほうでも
考えなければならないが、今後、新しい
地域開発をする場合におきましては、公害関係だけにこの問題を片寄らせることなしに、
総合開発という見地におきましても、取り上げていかなければならないというような問題を新しく生じてきました。これは鹿島についても、そうでございましょうが、新しい
地域としては、周防灘なんかの問題が、その最も大きな代表的なものとして、環境アセスメントというようなことを対象とした特別法までも、あれは
議員立法でございましょうか、つくられておるはずでございます。
それから、もう
一つの問題は、
過密過疎と申しますか、狭い
日本で
人口がふえていく。このままでは
土地もなければ、水もないし、非常な不均衡の
国土の
利用状況になるということで、実際上の
計画は進められてきたにいたしましても、そこに
土地騰貴の問題、
土地の異常な値上がり、これは物価を上回るような値上がりの問題が出てまいりましたので、これに何とか対処しなければならない、こういう問題が出てきたわけでございます。
昨年、
国会に提案しました
政府提案の
国土総合開発法、新しい
国土総合開発法は、この二つの問題に着目をいたしておるわけでありますけれ
ども、しかし、題名からして
総合開発法というような題名でございますし、
法律の中にも
総合開発に関する、先ほど申しましたような幾つかの
規定が、いままで提案をしてまいりました
法律の中にもありまして、それが
田中総理大臣の「
日本列島改造論」につながる、
田中構想にレールを敷く
法律である。そうなってくると、公害は一そうひどくなるし、
土地騰貴はとうていおさまらない心配があるから、そんなものは、そのままでは通せないということで、今回、
与野党が非常に御熱心な討論をされた上、昨年来いわば凍結されておった
政府提案の
法律案を、衣がえといいますか、換骨奪胎して、
国土利用計画法というものに直されて、直されたとたんに、総合という字は一切落とされてしまったわけでございます。
落とされたが、先ほどから吉田さんがおっしゃるように、
開発ということが全然なくなったかというと、全然なくなったわけではないので、
開発をする場合がありとしても、それは公害防除とか
土地騰貴の
規制とかいうことを十分踏まえてやらなければならないし、ことに、いまつくられておりますところの新全総というものが、これがやはり公害防除とか
土地騰貴の
規制という点から
考えると、総点検をしなければならないといわれておりますので、その総点検の、少なくともその
仕事というものは、新しく
国会でおつくりになろうとする
国土利用計画法による
土地取引の
規制などとともに、総点検の
仕事は一緒にやってもらうのがいい、こういうふうに
考えられますので、そこに別に入れものとして提案をされておりますところの
国土庁といいますか、おそらく、
国土総合開発庁という名前で提案はしておるのですが、
国土庁ということか何かに、これは
委員会に干渉するわけでは全くありませんけれ
ども、お直しになられる場合には、それはそれでけっこうでございますと、小坂
大臣も言われるだろうと思いますが、そういうふうになってまいりましても、
国土総合開発庁なり
国土庁設置の意義というものは十分ある。
ことに、吉田さんも御
承知のように、これに関する関連の
法律が二十も三十もたくさんございます。今度の
国土総合開発庁設置法の条文の中にも、ずらっと関連法がたくさんございまして、この
法律を動かしておるのは、全部が全部
経済企画庁ではございません。首都圏
整備法とか近畿圏
整備法とか中部圏何とかという
法律があったり、あるいはその他の
建設省とかあるいは自治省などでも関連のある
法律や
仕事を持っておられますので、できるならば、この際、ここに並べられたような
法律の
仕事を全部一緒にして、
国土総合開発庁というか
国土庁というか、そこでおやりになることが——いまの
土地問題あるいは
開発に対する新しい進路、反省というようなものを一括してやる上に、
大臣を置いてやらしたほうがいいんじゃないか、こういう
構想でございまして、これは私が着任してつくったわけじゃございませんが、あとからいろいろ皆さんから御論議を聞きましても、それはもっともだ、こういうことで、現在、企画庁をおあずかりいたしております私としても、手は入れるところは入れてもらってけっこうですが、実体法並びに入れものの
法律とも、両々相まって進めていただきたい。
非常に長くお話ししましたが、それが全部でございます。