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1974-05-10 第72回国会 衆議院 内閣委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十日(金曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 奥田 敬和君 理事 加藤 陽三君   理事 小宮山重四郎君 理事 中山 正暉君    理事 野呂 恭一君 理事 上原 康助君    理事 大出  俊君 理事 中路 雅弘君       赤城 宗徳君    大石 千八君       旗野 進一君    三塚  博君       楢崎弥之助君    横路 孝弘君       吉田 法晴君    和田 貞夫君       東中 光雄君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 山中 貞則君  出席政府委員         国防会議事務局         長       内海  倫君         防衛政務次官  木野 晴夫君         防衛庁参事官  大西誠一郎君         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       丸山  昂君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      高瀬 忠雄君         防衛庁衛生局長 鈴木 一男君         防衛庁経理局長 小田村四郎君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 田代 一正君         防衛施設庁次長 鶴崎  敏君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         外務省条約局長 松永 信雄君  委員外出席者         警察庁警備局参         事官      星田  守君         大蔵省主計局主         計官      矢澤富太郎君         運輸省航空局飛         行場部長    隅  健三君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   川崎 寛治君     楢崎弥之助君   木下 元二君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   楢崎弥之助君     川崎 寛治君   東中 光雄君     木下 元二君 同日  理事服部安司君同月九日委員辞任につき、その  補欠として奥田敬和君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律  案(内閣提出第四五号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任に関する件についておはかりいたします。  理事服部安司君が昨九日委員辞任されましたに伴いまして、現在理事が一名欠員になっおりますので、この際、その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事奥田敬和君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案を議題といたします。  質疑の通告がございますので、順次これを許します。楢崎弥之助君。
  5. 楢崎弥之助

    楢崎委員 基地というのは、防衛そのものと非常に関係が深いし、防衛構想なり防衛計画とも関係が深いわけでありますので、まず、そちらのほうから質問に入っていきたいと思います。  せんだって、わが党の和田委員も取り上げたと思いますが、五月三日のわが党の成田委員長刺殺未遂事件についてであります。重複するところもあるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。  佐藤元二士が入隊以来、自衛隊法との関連で政治的な言動あるいは思想的な言動をやった具体的な事例を明白にしてもらいたい。
  6. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 佐藤元二士は、昭和四十八年八月二十九日に、武山教育隊に入隊いたしました。これは前期の新隊員教育を受けるためですが、その年の十月二十八日に、この教育隊中隊の便所の中に、特定政党を誹謗するような落書きがございまして、それを調べましたら、これが佐藤二士のものであるということがわかりました。そのとき中隊長から、そういうことはいかぬ、ここは政治的に中立でなければいかぬということで、厳重に本人に対しまして注意を喚起いたしました。  それから、四十八年の十一月十九日に、今度は後期の新隊員教育を受けるために、三四普通科連隊教育隊といいますが、これは、ただいま申しましたように、後期の新隊員教育を受けるためでございますが、そこへ配属になりまして、翌四十九年一月二十七日に、本人は、ある革新系結成大会があることを聞きまして、それを妨害しようということで、その大会の会場に臨みまして、責任者に会おうとしたわけでございますが、しかし、そのとき責任者に会うことができませんで、その目的を果たせませんでした。そのときも、これをあと教育連隊中隊長が聞きまして、同じような姿勢で、そういう行動はいかぬということで厳重に注意いたしました。  それから、四十九年の二月に、後期の新隊員教育の課程が終わりまして、二月の十六日に、三四普通科連隊の重迫撃砲中隊所属を命ぜられたわけですが、そのとき本人所属する中隊長は、当該佐藤二士が、従前いろんなさような行動に及んだということを聞き及びましたので、特に所属の上司の中隊長としまして、いままでの行動につきまして一つ一つあげまして注意をして、今後、この中隊配属された以上は、いままでのようなことを改めて、しっかりやりなさいというような注意をしたわけであります。  ところが、四月の十日に、佐藤二士は、ビラ八枚を中隊の各場所にばらまいたわけです。四月の十日の十二時十五分ごろから五十分ごろまでの間に、中隊の八カ所にビラをばらまいた。そのばらまき方は、あるものは文章を書いた文字を中にして四つ折りにしたもの、あるいは二つ折りにしたもの、それから、そのまま開いたものなどで、大学ノートの切れ端にマジックインクで書いておるのですが、やはり特定政党を誹謗するような内容のものを書いてばらまいたわけであります。そのことを知りましたので、部内で行政の面としての懲戒処分規律違反の面の調査と同時に、自衛隊法六十一条の政治的行為制限に反するという疑惑から警務隊調査をいたしました。  それで、その警務隊調査の結果、この問題は四月二十三日に、静岡地検隊法六十一条違反、すなわち、これを受けている政令八十六条の第三号、それから八十七条の第十三号違反の疑いがあるということで送致をいたしました。それで一方、四月の二十七日に、行政的な処置といたしまして懲戒処分をいたしました。それは停職五日という処分をいたしました。  ところが本人は、自衛隊においては、自分のいろんな考えが十分に生かせないということで依願退職——それ以前に申し出たわけてありますけれども、その日の日付で依願退職を認めました。  その間におきまして、中隊長は二月の十六日に、当該部隊配属になりましたときに、従前のことについての注意をしたことは、先ほど申し上げましたが、そのほかしばしば、四回に及びまして政治的行為についての指導をいたしております。二月二十八日、三月十日、それから三月二十三日ということで、具体的な点を取り上げまして一つ一つ注意をして指導をしております。  以上が、佐藤二士が去年の八月二十九日入隊いたしまして退職するまでの、部隊の中における行動の概要でございます。  当該中隊長に対しましては、かようにしばしば注意を払いまして、厳重な指導をしておったわけでありますけれども、その監督責任ということで、本人に対しましても、連隊長から注意という処分をいたしました。
  7. 楢崎弥之助

    楢崎委員 ちょっと大きな声で言ってください。  いまお聞きしますと、具体的に四回ですか、三回ですかね。その種の言動なり行動を再三繰り返しておるんですね。したがって、教育の効果というのは全然及んでいない。  佐藤元二士愛国党入党したのはいつですか。警察のほう、見えているでしょう。
  8. 星田守

    星田説明員 彼の自称によりますと、四十八年の四月と言っておりますけれども、その後、関係者のほうの赤尾愛国党総裁をはじめといたしまして、関係者を調べましたところでは、入党の日時は、必ずしもはっきりいたしておりません。御案内のとおり、規約等も整っておる団体でもございませんし、それから党員証を発行するというような団体でもございませんので、本人が自称しておるところでは、そういうことを言っておりますが、これを裏づけるものはない、こういう状況でございます。
  9. 楢崎弥之助

    楢崎委員 愛国党との関係自衛隊が知ったのはいつですか。
  10. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 採用時におきましては、その関係はわかりませんでしたが、四十八年の十二月、これは三四普通科連隊後期教育配属された後でありますが、愛国党員の宅に一泊をしたということが、その後わかりまして、その泊まったという日が、四十八年十二月二十二日でございますが、そういうことがありまして、愛国党との関係がありそうであるということ、具体的な事実として、そういう状況であるということがわかったわけであります。
  11. 楢崎弥之助

    楢崎委員 その関係がわかった段階で、何か措置されましたか。
  12. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 このわかりました段階で、先ほど申しましたように中隊長から注意をいたしました。どういうことであるかということを聞いたわけでありますが、本人は必ずしも明確に言いませんでした。
  13. 楢崎弥之助

    楢崎委員 隊員は、政党所属でもいいわけですか。
  14. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 自衛隊員に採用する場合には、御承知のように、調査票に記載の事実の確認と、それから欠格条項調査をいたします。この欠格条項に当たらなければ、隊員として採用することができるわけでございますが、欠格条項というのは……。
  15. 楢崎弥之助

    楢崎委員 党員でもいいのですかということに答えてもらえばいいのです。
  16. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 私どもは、欠格条項調査のときに、単に党員という調査はいたしておりません。したがいまして、党員であるかどうか、具体的な事実があらわれましたときには、わかりますけれども、そういう調査をしておりませんので、党員であるかどうかということは、調査段階ではわからなかったわけです。
  17. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は、そういうことを聞いてないのです。特定政党党員自衛隊員になられますかということを聞いているのです。なられるかなられないか言えばいい。
  18. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 自衛隊法の三十八条に欠格条項というのがありまして、いまの問題に関係するのは、その第四号で、「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者」というものが欠格条項に当たりますから、あれでございますが、しかし、こういう団体は現在ないわけでありまして、これに当たらなければ採用して差しつかえないわけであります。
  19. 楢崎弥之助

    楢崎委員 特定政党党員でもいいんですね、自衛隊員は。
  20. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 ただ単に党員ということであれば差しつかえありません。
  21. 楢崎弥之助

    楢崎委員 どの程度の政党活動が許されるのですか、自衛隊員の場合は。
  22. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 先ほどちょっと申し上げましたが、自衛隊法には六十一条で「政治的行為制限」というのがございまして、その「政治的行為制限」に反しなければよろしいわけです。反する場合にはいかぬということであります。それは政令で八十六条に、こういう政治的目的を持った具体的な内容政治的行為をしてはいかぬということがありまして、それに該当する政治的目的を持った政治的行為はいかぬということになっています。
  23. 楢崎弥之助

    楢崎委員 党費を納めることはどうですか。——長官、わかりませんか。
  24. 山中貞則

    山中国務大臣 自衛隊法施行令第八十七条「政治的行為の定義」というところに、「政治的目的をもって、賦課金寄附金会費若しくはその他の金品を求め、若しくは受領し、又はなんらの方法をもってするを問わず、これらの行為に関与すること。」ということがありますから、そういうことは禁止されておる行為一つである、そう解釈いたします。
  25. 楢崎弥之助

    楢崎委員 普通、政党党員というのは、党費を納めるわけですよ、愛国党はどういう組織になっているか知りませんが。だから、党員でも自衛隊員になれるということは——われわれの常識として、党費を納めるということが党員一つの、最低の義務ですからね。どうなんですか、その辺は。明確にしておいてください。
  26. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 党費との関係はあれでございますが、党員であることは差しつかえない、というのは、自衛隊の……(楢崎委員「聞いていることに答えてくださいよ、党費のことを聞いているのですから」と呼ぶ)ですから、党費を納めることは、いまの政治的行為云々に反するということでございます。
  27. 楢崎弥之助

    楢崎委員 間違いありませんね。——長官、間違いありませんね。
  28. 山中貞則

    山中国務大臣 「政治的目的をもって、賦課金寄附金会費若しくはその他の金品を求め、若しくは受領し、又はなんらの方法をもってするを問わず、これらの行為に関すること。」、ですから、本人が第三者に、他人に対して賦課金寄附金会費その他の金品を求め、もしくは受領し、ということですから、先ほどの私の説明が少し間違っていると思います。これは事務当局から、説明させますが、本人が納めることまで禁止しておるとはちょっと、いま読んでみたのですが、そこまでは読めないような気がします。
  29. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 ちょっと先ほどの答弁、訂正さしていただきます。  この八十七条の第三号は、「政治的目的をもって、賦課金寄附金会費若しくはその他の金品を求め、」、これは求めることはいかぬということです。「若しくは受領し、」、受領することはいかぬ。「又はなんらの方法をもってするを問わず、これらの行為に関与すること。」、求めること、受領することに関与することはいかぬということでありますから、先ほどの説明を訂正さしていただきますが、会費を納めることば、これに該当しないと思います。
  30. 楢崎弥之助

    楢崎委員 たいへんあいまいですね。いまごろ御勉強なさっていらっしゃるのですか。これは未遂事件に終わったからいいようなものの、そうでなかったらたいへんな責任ですよ。長官、ただじゃ済みませんよ。愛国党だから、いわゆる右翼政党だから、そういう点をあなた方は非常に甘く見ているんじゃないですか。政党党員政治目的を持って入るのです。入党するのです。党員であっても自衛隊になって差しつかえない、党員自衛隊に入隊することは差しつかえない、また自衛隊員身分入党することも差しつかえない、もう一ぺん確認しておきます。
  31. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 そのとおりであります。
  32. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、愛国党との関係がわかった段階で、中隊長はどのような注意をしたのですか。脱党しなさいということは言わなかったでしょうね、もちろん。関係を断ちなさいということも言わなかったでしょうね、党員であるということは差しつかえないというのですから。具体的にどういう注意をしたのですか。
  33. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 先ほど申しましたように、何回か、数回にわたりまして中隊長から、たとえば前期武山における中隊長、それから第三四普通科連隊教育隊における中隊長、それから実際に配属された重迫撃砲中隊中隊長から何回も注意をいたしております。それでその際、党員であることをやめろというようなことは申しません。というのは、自衛隊法の先ほどの政治的行為制限では、政党の役員その他の責任者になることを禁止されておりますから、そういうことはいけませんけれども、単なる党員であるということは、それはいかぬということは言えないかと思います。
  34. 楢崎弥之助

    楢崎委員 われわれが自衛隊員に対して、たとえば社会党に入ってくれという勧誘をすることはどうか、それが一つ。  本人自発的意思入党するならばいい、そういうことなのかどうか。
  35. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 これは、あくまでも本人隊員が自主的な判断でみずから入党するということであるならば、これはそれで差しつかえないと思います。
  36. 楢崎弥之助

    楢崎委員 われわれが入党をすすめることはどうなんですか。
  37. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 すすめられることは、よろしいかと思いますが、強制をするということになりますと、これは問題であると思いますが、入るか入らないかは各人がきめることでありますから、それは各人判断にまかすべきだと思います。
  38. 楢崎弥之助

    楢崎委員 非常に重要な御答弁であると思いますが、間違いありませんね、もう一ぺん念を押しておきますが。政党への入党要請運動をやっても差しつかえないということでありますから、もう一ぺん確認しておきます。
  39. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 自衛隊は不偏不党、中立の立場で仕事をしなければなりませんから、なるべくならばそういった他からの働きかけというようなものは、これは好ましいことではないと私は思います。ただ、隊員個人が自主的な判断でいろいろな政党主義主張を選ぶというようなことは、これは隊員個人の自由であろうかと思いますが、それが他から、中立であり、全体の奉仕者として働かなくちゃならない隊員に、各政党があちらからも、こちらからも隊員に対して働きかけるというようなことは、姿勢としては好ましくないことだと思いますが、しかし働きかけるという事実、そいつをどうだといわれると、直ちにそれをとめるということもできない問題だと思います。
  40. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そのことは、しかと承っておきます。  今日までの元自衛官に対する処置なり処分佐藤元二士に対する処分処置が違っている理由は何ですか。
  41. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 小西元三曹に対する処分は、——航空自衛隊の佐渡の第四六警戒群通信電子隊で勤務しておりました四十四年の十月五日から十八日までの間におきまして、佐渡分支とん地で隊員に対しまして、特別警備訓練を実施しますときに、それに対しまして参加拒否の呼びかけをしました。そういった呼びかけのビラ基地内の庁舎内に張ったわけです。あるいは、それをばらまいたわけです。同基地所属の多数の自衛隊員に対しまして、この警備訓練を拒否するよう、いわゆる怠業行為の遂行を扇動いたしました。これによりまして、自衛隊法六十四条及び同法百十九条第一項、第二項違反ということで処分をしたわけであります。  それから、今度の佐藤二士の場合におきましては、先ほど申しましたようにビラをつくりまして、それを部隊の中の八カ所にまいたわけでありますが、ことに電話ボックスの中にまいた三枚のビラは、広げたものがまいてあったわけでございます。この三枚のビラにつきましては、これは先ほど申しました自衛隊法における政治的行為制限違反というものに当たります。これは先ほど申しましたように、政治的目的、すなわち特定政党を誹謗するという目的をもってビラを掲示したということに当たりますので、このことは非常に重大なことであります。そこで、これに対しまして停職五日という行政処分をすると同時に、この事案は、自衛隊法違反ということで静岡地検送致をしたということであります。
  42. 楢崎弥之助

    楢崎委員 依願退職をした段階警察のほうに連絡しましたか。
  43. 星田守

    星田説明員 連絡をいただいております。
  44. 楢崎弥之助

    楢崎委員 追跡しておりましたか。
  45. 星田守

    星田説明員 追跡調査を行なっております。
  46. 楢崎弥之助

    楢崎委員 では、九段会館周辺に来たときに、すでにわかっておったのですか。
  47. 星田守

    星田説明員 当日は、彼の所在を確認できませんでした。
  48. 楢崎弥之助

    楢崎委員 じゃ追跡しておらぬじゃないですか、一番重要な日に、何やっておるんです。
  49. 星田守

    星田説明員 手配をいたしております。同時に、この集会に備えまして、当時、特別な状況はございませんが、また特別な要請もなかったわけでございますが、制服の警察官七名とそれからガードといたしまして六名、合計十三名の警察官を配置いたしまして身辺をガードいたしました。
  50. 楢崎弥之助

    楢崎委員 このことだけに時間を費やされませんが、再三、短期間の自衛隊員生活の中で事件を重ね、しかも懲戒免にもしないで依願退職にした。具体的には、結果論かもしれないが、一週間後にこの犯行未遂を起こしているわけですね。あの楯の会と自衛隊との関係といい、自衛隊としてたいへん右翼のほうに甘いんじゃないか、あるいは改憲勢力に対して甘いんじゃないか。つまり私は、自衛隊教育の中に、われわれとしては右翼的な傾向に属する皇国史観、これを柱にした教育をやっておるから、こういう思想を持った者が甘やかされると申しますか、非常な責任があると思うのです。せんだっての金大中事件でもそうでしょう。元自衛隊員がからんでいる。第二の浅沼事件のようになったら、これは、ただでは済まされないんですよ。非常にこれは重大な問題である。連休中だから、新聞の取り扱いも、単に社会面に少し載っておっただけですけれども。  私は、そういった自衛隊教育についての責任も含めて、この際、防衛庁長官、公式の場でありますけれども、日本社会党成田委員長に対する謝罪の意を表してもらいたいと思います。
  51. 山中貞則

    山中国務大臣 自衛隊現職隊員でありましたならば、当然、言われなくとも、公式の場であろうとそれを含めて、私個人も、成田委員長のもとに出向いて謝罪をしなければならぬことだと思います。しかし先ほど人教局長から、話をるるいたしましたように、隊法に照らし、そして施行規則に照らして、政令その他に照らして該当する行為大学ノート八枚のなぐり書きであったにしても、開かれたビラが三枚もあったということでありますから、もうそのことで本人自衛隊にとどめるわけにはいかぬということで、これは明らかに隊法違反の送検に値する行為である、そこで、その処置をとって、しかし本人は、処分をされればやめますということですから、処分をしたということでありまして、そのあと自衛隊をやめた者について——警察へは、そういう不穏な者については連絡をちゃんととるようでありますが、自衛隊としてやめた者について、それをどうこうするという——予備自衛官なら別でありますけれども、そこまでのことは、ちょっとできかねると思います。  また、自衛隊の中に党員がいるということも、これは事実でありましょう。これは共産党も含めて党員自衛官がおります。しかし、それに対して、隊内において自衛隊法なり、その他の政治行為の禁止された行動をとるようなことがあれば別ですけれども、正常なる勤務を続けておる限り、それに対してわれわれとしては、不当なものとしてそれを排除することができませんし、する意思もありませんので、人教局長答弁したとおり、隊法違反政治行為を行なえば処分します。しかし行なわない場合においては、そのままつとめてもらっております。したがって、やめたあと未遂に終わったからといっても、非常に重大なことを企画して、実行しようと試みたそのことは、これは自衛隊統括責任者たる私が、公の場であやまらなければならない——心情的にはそうですけれども、形式的にやめた隊員について、これは極論すると、ずっと前からやめた者が一ぱいおるわけでありますから、それはちょっと、心情的にはわかりますが、公式にはできかねることだと思います。
  52. 楢崎弥之助

    楢崎委員 身分あるいは法的な関係、直接の関係を離れておることはわかっております。しかし、それほどの注意人物教育できなかったのですよ、自衛隊としては。そして一週間後に、そのような犯行が行なわれた。私は、防衛庁長官として全然責任ないことにならないと思うんですね。もし、あなたがあやまる必要ないといういまの御答弁であれば、公式にそうわれわれとしては受け取りますが、いいですかそれで。
  53. 山中貞則

    山中国務大臣 現職の隊員でありましたならば、御要求があるまでもなく、私のほうから直接にも公的の場においても陳謝、遺憾の意を表しますし、場合によっては、責任をとらなくちゃならぬと思います。しかし、やめた隊員について、それがやめてからしばらくたった、わずかしかたってないからというだけで、わびろということでありますと、それは日にちのいかんを問わず、やめた隊員というのは、毎年たくさんおるわけでありますから、それについて全部そのつど長官責任をとらなければならぬということには、やはり法的にはならないと思うのです。しかし心情的に私はそういう気持ちを持っております。しかし、ここでわびろと言われても、それは防衛庁長官としてはできませんということを言っているわけで、必要がないということを言っているわけじゃありません。
  54. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は、一般論として言っているのじゃないのです。一党の委員長に対して、そのような犯行未遂ではあるけれどもあった。これは未遂、既遂を問わないと思うんですよ、その質的な問題の性質としては。しかも、やめてすぐでしょう。そして再三言うようですけれども、教育できなかったんですね。だから、そういう点をすなおに——心情的にはというようなことて片づけられる問題じゃないと思うんですよ、ほんとうに。自衛隊姿勢とも関係がある、教育的な態度という問題等も含めて。防衛庁長官がそういう御見解であれば、われわれもここで議論を深めません。考えがあります。過去の事件を見てごらんなさい。笑いごとじゃないです。もし、これが既遂になっておったらどうしますか。だから私は、自衛隊教育ともからめて、今後に問題を留保しておきたいと思うのです、きょうは与えられた時間が少のうございますから。謝罪を拒否された点だけは承っておきます。
  55. 山中貞則

    山中国務大臣 謝罪を拒否するとか拒否しないとかいう前に、現職自衛官でない者について、かつてそうであったからといって、長官謝罪をしなければならないという、いわゆる法的な立場にないということを申し上げているわけです。心情的には十分わかります。そういう気持ちも心の中であります。しかし自衛隊としては、自衛隊法に照らして検察庁に送検もし、書類送致をして、そして本人処分されるならやめますと言うから、処分をしてやめさしたという処置をとっておるわけでありますから、そのあと起こした行動について、いわゆる防衛庁長官たる者は、やめた隊員についても、事柄が重大であるから成田委員長に対して謝罪しろと言われても、拒否するつもりじゃないのですが、法的な立場がそういうことになっておりませんということを申し上げるわけで、心情的には、おっしゃることのごもっともであるということはわかるのです。だから、要請を拒否した、そういうふうに表現をされないで——おわびをしようにも、そういう立場にないということを申し上げているわけです。
  56. 楢崎弥之助

    楢崎委員 もうくどくは言いません。教育に対する責任は十分あるわけです。そうでしょう。結局、教育効果がなかったわけでしょう。そして懲戒免にもし得なかった人物です。だからこの問題は、ここで一応打ち切っておきます。  六月の海洋法会議で、大体領海が十二海里になることは既定事実のようであります。十二海里になったときに、これは領域に入りますけれども、周辺海域の警備区域に変化なり影響はありませんか。
  57. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、外務省が国際海洋法会議でわが国の態度を表明すると思いますが、いまや、わが国の三海里説は少数意見になりつつある。十二海里説が最も多い。八十一カ国中四十一カ国だと思うのです。その大勢に対して、日本国政府がどうするかは、外務省のほうで検討されるし、また私どもにも、そうなった場合はどうなるかということの御相談があると思いますが、防衛上の見地から申しますと、対馬海峡においては十二海里の領海線を設定いたしますと、公る公海は約一海里をちょっとこす程度の幅になります。  一方、津軽海峡においては、完全にこれが領海だけになります。そうすると、これに対して私どもとしては、どこの国の船であっても、たとえば潜水艦等に対しては、浮上して航行してもらいたいというような立場も留保できる。あるいはまた通行する国の、ことに軍用艦船等については、その領海を持つ主権国に対してその旨を通報する、許可を求めることにはならないということになりますので——海洋法会議の行く先が、どうなるかわかりません。あとはまた漁業専管水域とか軍事専管水域とかあるいは多島嶼国家については、全体の島の外縁を結ぶ直線をとかいろいろな主張が入りまじっておるようであります。また海岸を持たない内陸国にも、権限を持たせろといういろいろな意見がありますから、どう落ちつくかわかりませんが、われわれとしては、日本の防衛上の立場からいって、領海三海里が十二海里になったからといって、その海峡の問題以外は、特別に現在の海上自衛隊あるいは航空自衛隊等の自衛措置というものについて、その対応策を迫られるという問題は存在しないと思います。
  58. 楢崎弥之助

    楢崎委員 自衛隊の文書の中あるいは四次防の文書の中にも、周辺海域の防衛ということがいわれております。少なくとも領域は広がるわけです。そうすると、周辺海域の警備区域というものは影響を受けませんか。
  59. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、常時五、六百海里ぐらいのところを、その周辺を日本の海上自衛隊行動しておりますし、問題は空だと思うのです、スクランブルをかけるのが十二海里ということになりますから。領空ということですね。よく聞いてみましたが、三海里のほうが、かえって実は判別しにくいそうであります。ものすごいスピードで行きますので、三海里の限界はどこらかということが、双方ともに判別しにくい。十二海里ぐらいのほうが同じ防空体制と申しますか、警戒体制を保つためには、かえってよろしいというような感触でおるようであります。
  60. 楢崎弥之助

    楢崎委員 ウラジオストックを根拠地にするソ連の核搭載原潜は、いまどのくらいの隻数になっておるか、情報としてお知らせをいただきたい。
  61. 久保卓也

    ○久保政府委員 原子力潜水艦三十数隻の中で、核兵器を搭載し得るものは、おそらくこれの全部、それと原子力でない通常型の潜水艦の中で、核兵器を搭載し得るものは、ちょっと正確でありませんが、十隻のうちであろうと思います。
  62. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、非核三原則と関連をいたしまして、かつて私は、ポラリスが領海に入ってきたときの措置の問題について、問いただしたことがあります。特に津軽海峡を中心にして考えた場合に、非核三原則の関係で、ソ連の核搭載潜水艦が通峡する場合があり得ると思うのです。あらかじめ、こういう場合に備えて、外務省はその通峡について、どのような措置をとられる方針であるか。たとえば、いまもちょっと長官が触れかけましたけれども、事前通告とか許可制——核搭載の疑いのある潜水艦を中心にして聞いておるのです。それから必ず浮上して通峡するとか、あるいは国旗を必ず立てるとか、そういうことがかつて言われたわけです、ポラリスの場合は。外務省として、もし十二海里になった場合、どういう方針で考えておられますか。
  63. 松永信雄

    ○松永政府委員 来たるべき海洋法会議におきまして、領海の幅員を十二海里とするという国際的な合意が成立いたしました場合には、先ほど防衛庁長官からもお話がございましたごとく、津軽海峡は全部領海で埋まる、津軽海峡はいわゆる国際海峡になるわけでございます。そのほかにも朝鮮海峡、宗谷海峡、大隅海峡といった日本周辺の海峡が、同じような状況になってくるわけであります。  そこで、この国際海峡におきます船舶ないし航空機の通航問題が、どういうふうに処理されるかという問題でございますけれども、これは実は、私ども今度の海洋法会議におきまして、まさしくいろいろな国から、いろいろな主張が行なわれるであろうと予想いたしております。主たる海洋国の立場からしますと、できるだけ公海に近い自由な航行を認められるべきである。船舶及び航空機につきまして、公海と同じような自由な航行を認められるべきであるということを強く主張いたしておりますアメリカ、ソ連その他があるわけでございます。これに対しまして、沿岸国側の立場から、航行の安全でありますとか、海洋汚染でありますとか、あるいは国の安全上の問題から、そういう国際海峡にも、かなり強い沿岸国の管轄権による規制が行なわれるべきであるという立場がございます。  そこで、わが国としてどのような立場をとるのかという御質問でございますけれども、わが国といたしましては、ただいま申し上げました海洋国としての立場と沿岸国としての立場と、実は両方あるわけでございます。この両方の立場というのは、その相互の間において調整を必要とするというふうに考えております。今度の海洋法会議におきましても、いろいろな主張、論議が行なわれまして、その結果どういうふうな海峡の制度というものが国際的に確立されることになりますか、これは、まだいまその帰趨を見きわめがたいわけでございまして、外務省といたしましては、海洋法会議におきます論議の進展等ともにらみ合わせまして、慎重に対処してまいりたい、こう考えているわけでございます。
  64. 楢崎弥之助

    楢崎委員 特にわが国は、非核三原則を持っているわけですね。したがって、核搭載の潜水艦の場合、アメリカの場合は、ポラリスあるいはポセイドン、今度はソ連のほうが、非常に通峡の可能性が出てくるわけですが、特に日本は、独自の非核三原則という原則を持っておりますから、そういう点はどうなのかということを中心に聞いているのです。一般的なことじゃなしにですね。
  65. 松永信雄

    ○松永政府委員 その点は、いま私が申し上げました国際海峡の法的な地位がどういうことになるかということによって、非常に変わってくるわけでございます。全く純然たる領海と同じ地位ということが認められるといたしますと、これは、ただいま御質問がございました非核三原則について申しますと、日本としては、核装備をした船舶、艦船の通航は認められないということになると思います。ただし、いま申し上げましたように、国際海峡の国際法上の地位がどういうことになりますか、それが現在の段階では、まだ予想できないという状況にあるわけでございます。
  66. 楢崎弥之助

    楢崎委員 じゃ、海洋法会議である方向がきまったらば、米ソとさっき申し上げた問題についての話し合いが、当然行なわれるわけですね。
  67. 松永信雄

    ○松永政府委員 そのときに出てきました状況に対応しまして、わが国としてどういう方針をとるべきかを、まずわが国自身が検討しなければならないと思います。その結果、必要が出てくれば、それは関係国と話をするということにもなってくるかとは思いますけれども、いまから米ソと話をするということを、申し上げるわけにはまいらないのじゃないかと思っております。
  68. 楢崎弥之助

    楢崎委員 次に移りますが、昭和四十三年十二月二十三日ですか、第九回の日米安保協議委員会で基地再編の話し合いが行なわれた。それ以来、返還された米軍基地の面積、施設数と、それを受け継いだ自衛隊基地面積、施設数を御報告いただきたい。
  69. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 昭和四十三年十二月末に、第九回の日米安保協議委員会が開かれました。そのときに約五十の施設の調整計画が協議されたわけでございます。それ以来、その協議に基づきまして、返還等の処置がとられ、またその後の第十二回、第十四回安保協議委員会その他の日米間の個別的な取りきめによって、返還されたものを含めまして、今日までの施設の返還状況は、全部返還が七十二施設で、四千三百七十四万五千平米、一部返還が七十二施設で、三千十三万四千平米でございます。それから使用転換と申しますか、いわゆる二条一項(a)の施設であったのが、二条四項(b)の施設に振りかわったものが、六施設で五千百十一万平米、それから自衛隊等の施設を、二条四項(b)で米軍が使用しておりましたものが、その二条四項(b)の使用が終了して返還になったものが、七施設で五千八百十七万四千平米、合計いたしまして関係施設は百五十七施設で、面積といたしましては一億八千三百十六万平米になっております。  以上の返還施設のうちで、二条四項(b)に切りかわった施設は、一たん返還になった形にはなっておりますが、引き続き地位協定二条の施設でございます。この使用転換の施設、それから自衛隊施設であって、二条四項(b)として米軍に使用を認めていた施設、この部分を除きまして、いわゆる純粋の返還施設というものは、全部で七千三百八十七万平米でございます。  そのうち、返還後、自衛隊が使用しておりますものは、千二百二十五万九千平米でございまして、この比率は約一六%に当たっております。
  70. 楢崎弥之助

    楢崎委員 防衛力の限界論争があったことは、御承知のとおりですが、防衛力の限界ということが問題になって、自衛隊基地のほうの限界と申しますか、ちょっとおかしいですけれども、何かそこにどれだけ自衛隊基地の面積をふやせばいいのか、そういった方針なり計画がおありなんですか。ただ、米軍が返還したから、これぐらいはひとつ使わせてもらいたい、半分ぐらいとか三分の一ぐらいとかというように、そのつどの感覚でやられておるのかどうかお伺いをいたします。
  71. 山中貞則

    山中国務大臣 自衛隊基地の数、面積の限界というものは、議論をして、それを定めたものは、率直に言ってありません。私は、就任第一声で、米軍基地であったものが返還されたところを、自動的に優先的に自衛隊が入る権利を持っておると思ってはならないということを言ったわけでありますが、そういう姿勢で検討しております。  ただ、限界論争は別途になりましょうが、今後のわが国の防衛力の整備というもので、この程度の基地が必要なんだというものがあれば、特徴的なものといえば、ナイキの配備等になりますが、そういうもの等はあると思いますけれども、そう特別に、自衛隊のほうがさらに大きな施設、面積を求めるというようなことは、いまのところ考えられない、こう思います。
  72. 楢崎弥之助

    楢崎委員 ところが、個々のケースを見てみると、絶えずあるじゃありませんか。かつての山田弾薬庫のあと地の問題にしても、いま懸案になっている春日原のあと地の問題にしても、ナイキ、ホークの施設じゃないのですよ。だから、どうも無方針で、とにかく米軍から返されるのは、国民に返されるのじゃなくて、自衛隊に返されるのじゃないかという印象が非常に強いわけですね。だから、そこに何か方針がなくちゃおかしいと思うのです。そのつどそのつど、返されたからこれくらいはとっておこう、新しくとるのはむずかしいからといったようなことで進められている印象をわれわれは受けるのです。その点について、もう一ぺん長官、何か具体的な考えがあれば、承っておきたいと思います。
  73. 山中貞則

    山中国務大臣 ですから、原則論として返還された米軍基地であったものに、自衛隊が優先して入る、そういう姿勢はとらないということを言っておるわけです。しかも返還されますと、大体国有財産として大蔵省の一般財産になりますから、大蔵省は審議会の慎重な議を経て、それを審査いたしますので、周辺なりあるいは地域なりの県、市町村等の御希望等があったり、その他いろいろな要請があります中で、自衛隊がある程度必要とする理由を、同じ官庁であっても述べなければなりません。山田弾薬庫の問題は、まだ大蔵省で審議中でありますが、そういう場合には、じゃなぜ、一部だけでも使わしてほしいというのかといえば、それはわがほうとしては、西日本地区に弾薬庫としてのキャパシティーが不足しておるということは事実でありますので、相なるべくんばお願いをしたいという、これは大蔵省の国有財産処分の方針に対しての並行した、権利者じゃなくて申請というものをしておるだけでありまして、大蔵省が決定したら従います。
  74. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そこで、いまのような個々の問題があるわけでしょう。だから、一度防衛庁として、今後こういう施設にこれくらいのやつが要るとかといったような青写真を、一応示す必要があるのじゃないか、こう思うんですよ。その点はどうでしょうか。そういう用意があるかどうか、あるいはしてみようというお考えがあるかどうか。
  75. 山中貞則

    山中国務大臣 それは、検討もしてみるべき課題だと思います。思いますが、しからば、それはどこだというようなことを事前に想定するには、やはりその地域の人たちに事前の相談なり何なりしないと、表に出せない問題も出てくるわけですね。ですから、一方的に自分たちが、自衛隊はどの程度のものを今後必要とするのだということを宣言してみても、実際はそうならないことのほうが多いので、必要な場合には、やはり地元の人たちや県やその他と相談して許される範囲、あるいは大蔵省が審議会の議を経て認める範囲というものに落ちつかざるを得ないでありましょうから、現実論としては、むずかしいのですが、おっしゃることの意味は、私もわかりますから、そういう種類の、米軍基地は別でありますが、どの程度が自衛隊としては必要かという問題は、一ぺん検討してみましょう。
  76. 楢崎弥之助

    楢崎委員 時間が、もうわずかしかありませんから、急いでやりたいと思います。  福岡空港を自衛隊がいま使っておりますね。米軍も使っておる。これの根拠を簡単に言ってください。
  77. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 板付空港におきますところの米軍及び自衛隊の使用の根拠は、第十二回日米安保協議委員会におきまして、日米協議されたところに基づきまして、空港の管理、維持の責任は航空局のほうでとられることになるが、引き続き米軍としても、通信施設及び連絡等のための出入に必要な部分を、地位協定の根拠に基づいて使いたいという点が話し合われました。昭和四十七年四月一日から、米軍に関しましては、滑走路部分に関しましては地位協定の二条四項(b)、それから残っております建物、通信施設の部分に関しましては、地位協定二条一項の施設として使用しておる、こういう状態になっております。  自衛隊部分に関しましては、航空局と自衛隊との話し合いによりまして、国有地に関しましては国有財産関係の手続、民有地に関しましては民有地の所有者との関係自衛隊が話し合いをつけた形で使っておる、そういう形になっておるわけであります。
  78. 楢崎弥之助

    楢崎委員 その米軍使用の区域の中の滑走路の中に、参議院議員松本英一氏所有の土地があるわけですね。全く契約なしに無法、無権限で使っておるのは、どういうことですか。
  79. 隅健三

    ○隅説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、福岡空港の用地の中に松本英一先生と奥さまの共有にかかります敷地が三千三百十七平米ございます。それにつきましては、契約をいろいろお願いいたしましたけれども、いまだにその契約の成立を見るに至りませんので、いま運輸省といたしましては、きわめて残念、遺憾でございますけれども、無契約の状態で使用させていただいておるということが実情でございます。
  80. 楢崎弥之助

    楢崎委員 残念ですがとか何とか言って、不法無法に何で使っておるのですか。何を根拠にして、賃料も払わずに黙って使っておるのですか。賃料は、米軍基地の場合と違って契約がない限り、供託もできないんですよ。無賃で無法で何で使っておるのですか。言うことばがありますか。
  81. 隅健三

    ○隅説明員 この点につきましては、所有者でございます松本先生のほうに契約の……(楢崎委員「しないと言っておるんでしょう。拒否しておるんでしょう。何で使っておる」と呼ぶ)無権限で使っておることは事実でございます。
  82. 楢崎弥之助

    楢崎委員 事実でございますと、よくあなた立法府でそういうことが言えますね。そして、この自衛隊の覚書によると、福岡空港整備計画が進捗したら、自衛隊が使っておるところはC地区にたるんでしょう。これはC地域の中に含まれておるんでしょう。契約なしに自衛隊はC地域を使用できますか、防衛庁長官。この覚書では、C地区にいつでも移るようになっておるんですよ。A地区から移れますか。
  83. 隅健三

    ○隅説明員 ただいま先生御指摘のとおり、福岡にはA地区、B地区、C地区、これは自衛隊でございまして、C地区に松本先生の御所有の土地があるということですが、ただいま私の手元に持っておりますものでは、C地区には、この松本先生の所有の土地は入ってないように思います。さらに精査をいたしまして……。
  84. 楢崎弥之助

    楢崎委員 入っておりますよ。入っておるでしょう。じゃ確認しておきますが、入っておったら、そこに自衛隊は移れませんね、契約がない以上。
  85. 長坂強

    ○長坂政府委員 C地区に、もしもそういうような、いわば無権限の土地がございます場合には、私どもといたしましては、C地区からそれを除外いたしまして、そういうような問題が起こらないようにして移りたいと思っております。
  86. 楢崎弥之助

    楢崎委員 じゃ、いま、なぜしないのですか。これは施設庁にお伺いしたい。いま施設庁の管轄下でしょう、滑走路は。(山中国務大臣「運輸省です」と呼ぶ)運輸省ですか。二4(b)は運輸省の管轄ですか。——いま運輸省だけれども、あなた方、またC地区へ行くんですよ。他人ごとのようなことを言っちゃいけませんよ。  時間ありませんから確認しておきますが、じゃ、どうするのです。いままでずっと無法、不法、無権限ですが、ただで使い続けるつもりですか、拒否をする意思は、もうはっきりしているんですから。
  87. 隅健三

    ○隅説明員 この点につきましては、いまでも再三関係官庁とも話をいたしまして、また松本先生に何らかのあれでお願いをしたいということで、折衝を今後とも続けていきたいと思います。
  88. 楢崎弥之助

    楢崎委員 だめです。拒否されたらどうするのです。もう拒否しますよ、私、代理人だから。公式の場ではっきりしておきますよ。どうするのです。提訴するのですか。収用法をかけますか。
  89. 隅健三

    ○隅説明員 この代理人は、確かに楢崎先生がおやりになっております。松本先生とお話を何回かいたしてまいりましたけれども、拒否をずっと続けておられますので、今後、これを土地収用法で強制収用するというような問題もございますけれども、われわれといたしましては、民間空港としての福岡を使っていきたいと思っております。いまのところ、土地収用法によってこれを強制収用するということは考えておりません。何とかお話し合いをしていただきたいということだけでございます。
  90. 楢崎弥之助

    楢崎委員 だめですと言っているんですから、何言っているのです。この契約書の第一条の二項、これを抜きさえすればやっていいというんですよ、民間空港だけなら。ところが、おたくのほうは、これ入れなくちゃだめだとおっしゃるんでしょう。だから、だめだと言っておるのです。あなた逮捕します、そんなこと平然としてやっていると。無法、不法、ただで、無権限で、のうのうと使っていて、これは、いつまでも説得し続けますじゃだめですから、早急にその対策考えなさい。それが一つ。  それから、もう時間がありませんから、一ぺんに聞いておきます。  昨年六月に聞きました第六航空部隊の阪神の青野原、一番中心の候補地になっておりますが、その後どうなっておるか、それが一つ調査費がことしついておるかどうか、それも一つ。それからもう一つ自衛隊は、四十八年度から自衛隊専用の電話を施設しだしたですね、自営の回線を。これの計画の全貌を、資料として提出してください、予算も含めて。四十八年度も予算出ておるし、四十九年度も予算出ておるし、総額の予算も含めて。
  91. 山中貞則

    山中国務大臣 青野原は、予算措置もいたしておりませんし、現在のところは、全くの未定であるということであります。資料のほうは提出いたします。
  92. 楢崎弥之助

    楢崎委員 これでやめます。もう時間ないんでしょう。
  93. 徳安實藏

    徳安委員長 ありません。
  94. 楢崎弥之助

    楢崎委員 これは、相当の石油化学製品を使うわけですね、この自営回線です。これは計画どおりやるつもりですか、総需要抑制ということもいわれておりますが。予算は総額五十億ぐらいでしょう、どうなんですか。
  95. 山口衛一

    ○山口政府委員 統合自営骨幹回線につきましては、いま御指摘のとおり、全体としましては、五十億という考え方もございます。ただ、これは四次防の大綱とか主要項目とかいうふうなところで明確にしてあるわけではありませんので、毎年度の予算折衝できまりますから、当然、財政経済事情に左右されます。したがいまして、その基本方針に沿いまして、予算を組むようにしております。現在、特に四十九年度におきましては、そういう意味からいいまして、当初予定はかなり大きかったのでございますけれども、実は概算要求は二十億程度出しましたが、実際におきまして、四十九年度では、三ツ岳の中継所の整備費約六千四百万というふうに、四十九年度も削減をしております。このような形で、各年度予算におきまして、その財政経済事情に沿って計画を進めたいというふうに現在は考えております。
  96. 楢崎弥之助

    楢崎委員 これでやめますけれども、いまの自営回線ですね、いままでそういうことなしにやってきているんですから、これは非常な基地機能の強化というか防衛力の強化というんですか、それにつながるわけですね。総需要とも関係するし……。しかも一方において、第一審ではあるけれども、違憲判決も出ておる段階ですので、この計画はおやめになったらどうですか、一応凍結して。それだけ最後に承っておきます。
  97. 山口衛一

    ○山口政府委員 ただいまの先生の御指摘でございますが、現在自衛隊は、約五十二万チャンネルキロメーター程度の回線を使っております。これは、その七割程度が電電公社からの借用回線でございまして、実際に使っておることは使っておるわけでございます。特に九州その他におきまして、救難その他の問題におきまして、専用回線だけでは、非常に経費もかかりますが、その専用回線に置きかえるというような考え方を実はとっておりますので、専用回線プラスアルファということで実は考えておりますので、その辺また十分検討してまいりたいと思います。
  98. 楢崎弥之助

    楢崎委員 これでやめます。ありがとうございました。
  99. 徳安實藏

    徳安委員長 受田新吉君。
  100. 受田新吉

    ○受田委員 法律案そのものについて、質問をまずいたします。  防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案の中身を拝見すると、新構想が幾つか盛り込まれているわけです。大体この防衛施設周辺生活環境整備等に関するという、この生活環境ということばの意義は一体どこにあるのか。防衛計画、国防、安全保障、こういうような問題の中における生活環境の意義を御説明願いたいです。
  101. 山中貞則

    山中国務大臣 いままでいろいろと基地の運用に対処するための現行法があるわけでありますが、その際の衆議院内閣委員会、参議院内閣委員会において、それぞれ附帯決議がつきまして、もっとこれを弾力的に拡大して考えろ、対処しろというようなことがございました。そういうことも踏まえながら、いろいろと現行法で対処、行政を展開してまいったのでありますが、地域の方々の御希望になかなか沿いかねる限界がございます。そういうことを踏まえまして、この際、防衛施設が存在する、いわゆる設置されているということ自体、そのことか一たとえばある町村においては、八〇%をこえる面積を基地が占めているために、全くその町として行政上何らの計画も立てられない、こういうところもあるわけであります。したがって、運用による被害の阻止ということだけではいくまい。やはり地域住民の生活環境というものが、その基地が設置されていること自体、面積も態様もいろいろございますが、そのこと自体で、都市計画なりあるいは開発振興計画なり住居環境なりというものが制約をされる、そういうところを新法でもって対処できるようにしないと——現実に周辺市町村長さんからの、基地がある以上は、これだけのことはしてもらいたいということに、こたえられないということが、その趣旨でございます。
  102. 受田新吉

    ○受田委員 基本的な御説明を承りました。  そこで、この生活環境を整備する、地域住民に御協力を願うという意味、また考え方によるならば、地域住民に迎合して防衛力の整備計画を推進しょうという考えを持つ人もあらわれてくる、そのやり方を、真に地域住民のしあわせにつながるようにしむけていかないと、別のほうで派生的な逆効果の出る危険があるわけです。私、沖繩を何回も視察しまして、沖繩の現地住民の声の中に、いま長官の指摘されたような生活環境を整備する、そのためには地方公共団体に、国からの財政的な支援をする、しかし地域の負担分が少しでもあることは、ありがたいけれども、また別のほうで御迷惑もあるのだという声も出ておるわけです。  そこで、全部を国がめんどうを見るという構想、必要によってはそういう構想も加味されていい。つまり、地域の事情によっては全額国がめんどうを見る、そういうことはどうでありますか。
  103. 山中貞則

    山中国務大臣 おっしゃることは、ごもっともでございまして、沖繩の場合には、何よりもまず基地の縮小ということが基本的な要請でございます。しかし、それでも現実に基地があるということも、また現実でございますので、われわれはアメリカの施設について、アメリカ側の要請とわれわれの要請とが衝突をしますけれども、絶えず議論をしながら、逐次返還を進める姿勢をとって、その成果も若干はあがっておるわけであります。しかし、それであっても、基地があるということが、どれほど阻害しているかは、おっしゃるとおりだと思いますし、沖繩については、沖繩の特例法というものを踏まえてものを考えなければなりませんから、今回の法律についても、附則の第七項におきまして、「第八条の規定の沖繩県の区域における適用については、当分の間、同条中「一部」とあるのは「全部又は一部」とする。」ということで、そういうことは、沖繩の場合には、この関係では全部やられるということを、わざわざ法律の中に書き込んで、そういう配慮は一応しておるわけでございます。
  104. 受田新吉

    ○受田委員 これは、沖繩に限らず、本土でも同様の考え方が成立すると思うのですが……。
  105. 山中貞則

    山中国務大臣 本土においては、基地の賛否は別として、周辺のところで仕事をしたいとおっしゃっている方々については、仕事の、その補助率その他は、なるべく高いほうがいい、しかし、いまの補助率でもいいが、地元負担というものを、何とかしてくれという声が強いと思うのです。現実にそう感じております。でありますから、今回は、自治省とよく事前に相談をいたしまして、適債対象事業として、裏負担を起債対象にしてもらいまして、補助率において定められておるものを、残りの負担の二分の一を特別交付税で自治省が交付する、それから定額補助のものは、これは付帯していろいろなものをつくられますので、地元負担がどこまでかわかりませんから、定額補助のものは、定額国庫補助の二分の一を、同じく特交で交付するということで、ことしで大体、総額五十億円くらいに達すると思いますが、自治省の省令の中に、それをきちんと書き込んでいただくということで、文章その他も合意してございます。  本土のほうは、一応、関係市町村さんは、そこまでの配慮は、非常な前進であるということで受けとめていただいておりますが、これに私ども満足しているということでは決してございません。
  106. 受田新吉

    ○受田委員 一例をあげるならば、今度、第四条に規定しておいでます新しい規定、「(住宅の防音工事の助成)」などは、全額めんどうを見てあげていい性質のものだと思うのです。「助成の措置を採るものとする。」というのでなくして、全部めんどうを見るという考えに立つべきはないか。  運輸省の飛行機部長さんがおいでになっておりますので、関連してお尋ねしたいのですけれども、現に実験住宅というものが、すでに八畳と四畳半でしたか、実施されておる。これは全額めんどうを見ておるのか、一部であるのか、それをあわせて双方、御答弁をいただきます。
  107. 隅健三

    ○隅説明員 民家の防音工事は、本年の三月二十七日に成立をさせていただきました航空機騒音防止法の改正に基づきまして、四十九年度から実施をすることになっております。なお、四十八年度は三億円の予算がついておりますが、これは実施をいたしておりませんので、四十九年度に繰り越します。なお、四十七年度におきましては、実験住宅といたしまして、大阪、東京に十戸ばかりの実験住宅をいたしました。これは全額いたしましたけれども、四十八年度からは、原則といたしまして、七五%を国、残りをほかに負担をいただく。なお、これにつきましては、いろいろの問題がございますので、われわれといたしましては、都道府県に補助をお願いしたいという希望は持っておりますけれども、その財源につきましては、目下、いろいろの点から検討いたしております。
  108. 受田新吉

    ○受田委員 いまの航空機騒音防止法、長たらしい名称を略して騒音防止法、それに基づいて国が七・五、地方が二・五ということですね、本人の負担があるんですから。
  109. 隅健三

    ○隅説明員 この残りの二五%につきましては、明確に、地方公共団体が持つというふうにはいたしておりません。ある部分は本人にも御負担をいただきたい。また、全額を本人に御負担いただくということも、いろいろの問題がございますので、地方公共団体からの補助を何とかお願いしたい。そのときに、その補助の財源といたしまして、国から地方公共団体に何らかの措置を講じたいというのが現状でございます。
  110. 受田新吉

    ○受田委員 地方公共団体で残りの二・五割を負担するということはさまっていない、しかし何かの形で、中央の地方への財政的支援体制によって、本人は負担をしなくて済むようにしようという努力をしておるのか、本人にも負担をさせることが前提になっておるのか、いまちょっと明確な御答弁がなかったので……。
  111. 隅健三

    ○隅説明員 われわれといたしましては、その点は、それぞれの地方公共団体の住民の福祉のために、全額を地方公共団体が持つというところもございます。また、若干の面は個人に負担をさしていただくというようなところもございます。この点につきましては、国といたしましては、やはり若干の部分は、個人に御負担をしていただくのがいいのではないかというふうに考えておりますが、まだ、これは最終決定を見ておりません。
  112. 受田新吉

    ○受田委員 空港周辺において、生活する人々の苦痛というものは容易でないのです。だから、いまの実験住宅の場合などは、その家屋の中で二間だけを、実験住宅として四十七年においてサービスされたわけだね。防音装置のしてある部屋を二間だけ、他の部屋は防音装置になっていないという形のものですか。
  113. 隅健三

    ○隅説明員 二間ということでございませんで、実験住宅でございますので、いろいろの形をテストしてみる。ですから、現在の予算では、いまのところ、民家の防音工事をする数が非常に多うございますので、原則として、まず一戸一室から始めるということでございます。実験住宅では六畳をやり、あるいは四畳半をやった場合もございますけれども、原則といたしましては、一戸一室ということで始めたいというふうに考えております。
  114. 受田新吉

    ○受田委員 一戸一室くらいは本人負担をしなくて、せめて家屋の中に一室くらいは、そうした非常な苦痛を味わう住民に対してサービスをするのが、私は筋だと思うのです。その一室さえも、本人負担を考えるというようなきびしいものは、こういう法律の性格からいうて考えていけない問題だ。まだきまっておらぬというお話でございますから、自分の住宅の中のせめて一室か二室は、皆さんの御苦痛に対してお国が完全にめんどうを見ましょうというくらいの基本的な態度を、明確にしておく必要があると思うのです。
  115. 隅健三

    ○隅説明員 今後この制度を確立するにあたりまして、先生のただいまのお話は、十分尊重をいたしまして、補助要綱その他をつくりたいというふうに考えております。   〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕
  116. 受田新吉

    ○受田委員 運輸省では、そういう考えだということになると、同じような条件で——しかし自衛隊の飛行機になると、ちょっと断続的にやかましいときがあるのです。演習のような、ガガーンと瞬間的には非常にやかましいことが続く。定期的な民間航空のように、時間を切ってやかましいのとちょっと性格が違うところがある。あるけれども、そういう違いは、その地域住民から見たら、区別なく考えてあげなきゃいかぬのです。だから、条件を同じに、運輸省と相談されてやっておられるのかどうか、御答弁願いたい。
  117. 田代一正

    ○田代政府委員 お答えいたします。  防衛施設庁といたしましては、この個人防音につきましては、たてまえとしては、とりあえず一室程度をやっていくという方針でございます。それから、たてまえとしては、補助率は十分の十でやっていきたい、こういうことで現在考えております。  ただ、非常にむずかしいことは、先生御案内のとおり、私のところは二十畳敷きのところをやっていただきたいという方もいるかもしれないし、私のところは六畳でけっこうでございますということもあるかもしれない。そこで、やはりそういった公平という問題もございますので、これから補助要綱というかっこうで、いろいろ詰めてまいらなければいけませんけれども、一つの考えとしましては、たとえばスタンダードは六畳である、六畳については国は全額負担をもって見ます、しかし、それ以上をやりたい方は、自前でやってほしいとか、そういういろいろな調整を考えなければいかぬというぐあいに、現在考えておるわけでございます。
  118. 受田新吉

    ○受田委員 大体一戸当たり百万という金額をきめておるのですか。
  119. 田代一正

    ○田代政府委員 予算積算の根拠といたしましては、一戸当たり百万ということでございますけれども、これも先生御案内のとおり、予算策定時の単価できておりますので、昨今のような建築費とか労務費の騰貴の状況で、はたしてこれでできるかどうかということにつきましては、新法が成立した暁におきまして、さらに検討いたしまして、また運輸省等ともいろいろ相談いたしまして、そこできめていきたい、こう考えております。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 長官、国の政治というものは、国家自身が地方公共団体に迷惑をかけないで直接責任を負うべき問題と、地方の自治体の自主性も考慮しながら、地方交付税等の配慮によって検討する問題とがあると思うのです。ところが、こうした航空機騒音というものは、その地域に限られた問題であって、空港のないところは関与しない問題だけに、重点的に国がめんどうを見ていく施策の対象にすべきものだと私は思うのです、性格的に。いかがでございましょうか。
  121. 山中貞則

    山中国務大臣 そのとおりの姿勢を、いま施設庁長官説明したわけであります。おっしゃるとおりです。
  122. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、地方公共団体に一部を……(山中国務大臣「一部じゃない、十分の十ですよ、全額です」と呼ぶ)十分の十だがね、そういうことを、全部地方公共団体に、地方交付税等の差し繰りでやることでなくして、国が最初から全部を負担しましょう、地方公共団体抜きの措置をとるべきじゃないかと思うのです。
  123. 山中貞則

    山中国務大臣 そういうことを田代長官が申し上げたわけで、私のほうは、全額国費、十分の十ということは全額国費ということでございまして、地方公共団体その他関係ありません。
  124. 受田新吉

    ○受田委員 それによく類似した問題が一つ出てくるのは、いま住宅だけがそうだ。防衛庁は、住宅は全部国がめんどうを見る、地方公共団体は関与さしていないということでございますが、運輸省は、その点で防衛庁と話をされたかどうかです。
  125. 隅健三

    ○隅説明員 公共用飛行場は、私のほうでやっております。防衛庁と共用の飛行場につきましては、この点、防衛庁と十分お話をいたしております。
  126. 受田新吉

    ○受田委員 共用の飛行場ということになると、これは全く条件を同じにすべき問題だ。全く条件を同じにされる方針でございますか。
  127. 隅健三

    ○隅説明員 この点につきましては、今後、財政当局あるいは防衛施設庁とも十分御協議を申し上げまして、防衛施設庁の線に、できるだけわれわれの線も高めていくという努力をいたしたいと思っております。
  128. 受田新吉

    ○受田委員 これは、役所が違うことで差別待遇をしてはいけない。これは国家の機関として、平等の原則に立って、常に連絡を密にしてやられるべきであります。  そこで第四条で、この新規の規定の中に、第一種区域住宅の防音工事の助成について、全額国がめんどうを見るということがございます。「その工事に関し助成の措置を採るものとする。」という、この一番最後の規定の中には、個人の住宅、それから従来公共の建物、たとえば学校、病院というものが、すでに過去において措置されつつあるのですが、そんなものも全部一括した方針になるのかどうか。つまり地元負担はなくして、防音工事は全部国がめんどうを見ますという基本方針になっておるのか。区域がだんだん広がって遠距離になってきた場合を除いて、一番騒音の被害を受ける区域については、国が直接全部めんどうを見る……。
  129. 田代一正

    ○田代政府委員 この新法の第四条は、個人の住宅防音ということでとらえてあります。そこで一般の公共施設は、いかがかという御質問だと思いますが、これは新法の三条二項をお読みいただきますと、ここで従来から学校防音とか病院防音とかいうジャンルを立てておりますので、それでやってまいりたい、こう考えております。  ただ、今度の考え方で違いますのは、三条の学校の防音とかあるいは病院の防音ということになりますと、これは、なぜ防音するかといういわれが違うと思うのです。つまり、学校ですと、授業時間中に静穏な状態に置く、病院なら診療時間中に静穏な状態に置くということでございますので、そこで従来からもやっておりましたが、一級防音地区とか二級防音地区というのがございますけれども、これは、そういった一授業時間当たりどれくらいの音響があるかということによって、一つの線を引きまして、その範囲内でもって助成するという形を続けてまいりました。  今回、第四条におきましては、そうではないのでありまして、これは住宅と申しますと、二十四時間人間の生活が行なわれる場所である、こういうことで、そこで、この地区指定につきましては、何回も申し上げておりますけれども、WECPNLというものを基準にして、その区域を指定する、こういうことにいたしてございます。
  130. 受田新吉

    ○受田委員 港湾施設は、この第三条に入りますか。
  131. 田代一正

    ○田代政府委員 九条の三項です。
  132. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっと質問を進めていきますが、九条の対象になる予算を五億円、四十九年度に計上しておられるようですが、港湾その他のずらりと並んだ対象を、わずかの五億円だけで処理できるのかどうか。
  133. 田代一正

    ○田代政府委員 これも昨日来、御答弁申し上げているわけでございますけれども、今回、新たに特定防衛施設周辺整備調整交付金というのを設けたわけでございますが、この九条の考え方は、御案内のとおり、第八条の規定を補うということでできているわけでございます。それで、もう法律の趣旨その他は省略いたしますけれども、初年度でもございますので、とりあえず五億円でスタートするということであります。ただ、法律は半永久的な存在でございますし、予算はその年限りの問題でございますので一私どもは、昭和五十年度以降につきましては、相当この金額をあげてまいりたい、こう考えております。
  134. 受田新吉

    ○受田委員 この法律の直接の質問に、時間がかかり過ぎるわけですけれども、早く打ち切りたいのですが、内閣総理大臣が関係行政機関の長と協議してそれをきめようとされておる。ところが、関係行政機関の長というのは、これは長官のことか、国務大臣以外のポストにある者がやるのか、お答え願いたい。
  135. 田代一正

    ○田代政府委員 これは、第九条以下、特に第十二条以降にも、内閣総理大臣ということがたくさんあるわけでありますが、この内閣総理大臣という意味は、防衛庁、これは総理府に所属するわけでございまして、総理府の長としての内閣総理大臣という意味であります。  したがいまして、先生御案内のとおり、防衛庁設置法等で内閣を代表して、内閣総理大臣は云々ということばがございますが、立場が違うわけであります。いわば各省大臣という角度でとらえた内閣総理大原、こういうぐあいに御理解願ってけっこうでございます。
  136. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、行政機関の長が総理大臣と協議する、総理自身の意向で大体きまりますね、これに抵抗するようなやつはすぐ処分されるから。おまえもうやめてくれ言うてすぐ首になる、首にする権限がある。ですから、ときに、山中さんのように気骨のある人がたまにおって、抵抗する場合でも、やがてはこれに服従するようになる。ちょっと抵抗してみるが、最後は服従する。  そういう行きがかりを見ると、総理大臣の政治的意図でこうするということになれば、それで最後はもうきまる。ですから、むしろこの機会に、第三者によって構成された審議会なるものの議を経る、そこへ諮問してきめるとかいうようにしたほうが公正になるんじゃないか。ある政治的意図を持ってやるサービス本位の総理大臣がおって、その行政機関の長に、おい、おまえこれをやれ、はっ、そのとおりになってしまう。ところが、気骨のある第三者構成の審議会みたいな機関に、一応相談してやるということになれば、そこに公正さがより強度に保たれると私は思うのです。   〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕
  137. 田代一正

    ○田代政府委員 ただいま内閣総理大臣が、各省行政機関の長に相談すると、いろんな問題が起こるというお話でございます。したがって、審議会でもつくったらどうかという御意見かと思いますが、これも一昨昨日来、何回も申し上げておりますけれども、九条によって特定防衛施設を指定する、あるいはまた特定防衛施設関連の市町村を指定するという場合には、法律にもその片りんが見えておりますが、客観的な基準をつくりまして、その基準に基づいて内閣総理大臣が意思決定し、同時に、関係行政機関の長に御相談するという形をとりますし、さらにまた第二項によりまして、具体的に調整交付金を配分するという場合も、客観的な基準に従ってやりますので、そういう問題は起こり得ないというぐあいに、実はわれわれは考えておるわけです。
  138. 受田新吉

    ○受田委員 この問題は、公正を期するという意味から、きのうも論議された問題ではあるが、審議会機関というようなもの、これは非常に妙味がある。第三者の力をかりるということは、こういう法律の規定を設ける上で、国民を納得させる非常に親切な規定だと思うのですが、法律にそれをうたうような努力をされる必要はないのか。
  139. 田代一正

    ○田代政府委員 審議会というお話もございました。御意見もございましたけれども、この条文をつくるときに、いろいろ考えてみたわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、第一項によって客観的な基準ができ、また第二項でも客観的な基準ができるということならば、わざわざこのためにのみ審議会をつくるのはいかがかということもございまして、実はこういった法文の体系にいたしたわけでございます。
  140. 受田新吉

    ○受田委員 法律は、できるだけ住民を納得させ、そして強権発動的な印象を与えないような配慮をすることが立法家の責任である、政府もそういう配慮をする必要があると思っております。  では、法律に直接関係をしないけれども、しかし間接には関係する問題にいまから触れていきます。  国の安全保障とそしてこの法律関係ですが、防衛基地というものが住民に非常に密接なつながりを持っている、たとえば飛行場が、岩国のように石油コンビナート地帯、周辺には幾つかの石油コンビナートの施設があって、何か不用意な投下物でもあると、すぐ爆発する危険がある、離着陸にあたって煙突がじゃまになる、こういうような、その周辺に被害を強度に及ぼすような危険のある地帯は、むしろその防衛基地を、そうした危険の少ないところに移転さして、そして、こういう問題を考えていくという、生活防衛の上からいうならば、国の安全保障全般の問題と考えて、基地の移転その他の総合的計画が要るのではないか。この問題をあわせて、この法律にひっかけて検討すべきではないかと思うのです。これは防衛局長答弁されてもいいし、長官は権威ある人ですから、長官みずから、でもけっこうです。
  141. 山中貞則

    山中国務大臣 この問題は、やはり深刻な問題ですが、幸いといってはおかしいのですが、海面のほうに滑走路を突き出すことによって、それがカバーできるという地元や国会議員のいろいろな御意見がございます。そこで、これは膨大な金も食いますし、はたしてそれが可能であるかどうかの調査も要りますので、予算で調査費をつけて、その構想について検討するというところまできておりますので、調査の結果、それがよろしいということであれば、着手ということになると思います。
  142. 受田新吉

    ○受田委員 沖合いに飛行場を移転させる、これは一つ方法ですが、またもう一つは、別にこうした人口密集地帯に航空基地などを置かないで、比較的閑散な地域にこれをかえていくという——ここしかないのか、どうしても岩国でなければならぬかという問題が一つある。  かつて増田防衛庁長官時代に、私、この質問をしたときに、岩国がここでなきゃならぬという、金科玉条ではないのだという答弁をされたことがあるのです。だから、そういう意味で、国の安全保障の問題にひっかけて、日本の基地をどこに置くかという、総合的な対策ということを同時に考えておかるべきである。もちろん、これを引き受けるところには、またそこで反対運動が起こるでしょう。しかしまた歓迎するところもある——ないかね。  いままでに、防衛施設が来たというので、産炭地その他でいいのをいただきましたと喜んだところの例はないかどうか。防衛庁で調べたことがあるはずですよ。
  143. 山中貞則

    山中国務大臣 駐とん地的なものは、誘致運動等があります。たとえば、いま誘致運動が一番熱心なのは、北海道の沼田の産炭地区、もとの産炭地区ですね。ここらは、ぜひきてくれと町長さん以下町民あげて、ポスターまで張ってやっていらっしゃいますが、それは普通の駐とん地であって、飛行場となると、やはりどうしても広大な面積と、先ほど来議論になっているこの法律の必要な、大きな一つの理由にもなっている騒音あるいはまた不時の事故あるいは落下物、そういうようなことが心配されますから、飛行場をうちのほうにつくっていいよというところは全くありません。  したがって、岩国がおっしゃるような、問題点のあるところに現在ではなっているという事実は私も認めます。ただ、じゃ、これをどこかよそへ移せるかというと、なかなか困難であるし、アメリカの陸海空、ことに海兵隊というものとの関係がなかなかうまくいっていない。そういうお互いが、一緒に使おうじゃないかということは、なかなかうまくいかない。沖繩で典型的に見られましたように、那覇空港のP3を嘉手納が受け入れるということは、軍の系統が違うと非常に抵抗がある、そういうようなことも経験しております。ですから、おっしゃることはよくわかるのです。岩国を外に出せ、これはわかる。しかし、じゃ、どこに出せるかというとなかなか出せない。岩国の海兵隊というものに、基地としての航空機の施設の提供をやめられるかという問題になりますと、日米安保体制のもとでの話でありますが、これは、かりに主張しても、現時点ではなかなかむずかしい問題であろう、そういうふうに思います。
  144. 受田新吉

    ○受田委員 長官御自身も、岩国のような人口密集地帯は、避けたほうがいいと基本的には考えておるが、これに代替するところがなかなかないので、御苦労じゃが、岩国の皆さんがまんしてください、そのかわり、できるだけ被害を少なくして御迷惑を軽減する措置をとろう、こういうことですか。
  145. 山中貞則

    山中国務大臣 まさに、そのとおりでございます。ことに私にとっては、たいへんな関係の方の御意向も直接ございまして、真剣に取り組んでおります。
  146. 受田新吉

    ○受田委員 そういうことで、できるだけ地元の負担を軽くし、その影響を軽減するという方法についてはどうか。そのために金が相当かかるということについては、がまんをしなければならぬという問題が一つ起こると思うのです。それで、その検討を終始しておるようでございますから、それに期待を申し上げるとして、ところで部長さん、この岩国については、地元からも、基地沖合い移転の問題にあわせて民間航空機の発着の空港をつくってもらいたい、かつて岩国は、米軍の了解を得て、民間航空機を発着させていた実績がある、それから広島は、ジェット機の発着には非常に便利だが霧が多い、むしろ岩国のほうが、霧が少ないのだという世論もあるわけです。  この点、岩国に、民間空港をあわせてつくるということについて、地元の要望等を聞いておられるか。また広島空港との関係で、ジェット機発着は、広島はなかなかむずかしいのだ、そうすれば中国地方の中心に岩国の空港を考慮する、こういうことはどうか。防衛施設庁あるいは防衛庁とそういう問題を相談されたことがあるかないか、御一緒に御答弁願いたい。
  147. 隅健三

    ○隅説明員 岩国の民間航空の使用につきましては、防衛施設庁のほうからもお話がございました。また全日空と東亜国内航空が、岩国——東京間のジェット機の就航の認可の申請をしてまいっております。  それで、先生がおっしゃいましたように、かつて全日空は岩国を使っておりました。あそこの施設を、いまだに、わずかではございますが、保有もしくは借りております。  それから、広島の空港につきましては、ジェット可能のように整備はいたしましたけれども、いろいろの事情がございまして、いまだにジェット機が就航いたしておりません。そういうことから、岩国の市長さんはじめ商工会議所の皆さま方が、数回私のところへ参りまして、岩国への民間航空、ことにジェット機の乗り入れについて、御陳情があったことは事実でございます。  運輸省といたしましては、飛行場の共用の点がございますので、防衛施設庁とも相談をいたしまして、また広島空港の今後のジェット機の就航の見込み等もともに考慮いたしまして、この話を前向きに考えております。
  148. 受田新吉

    ○受田委員 そういうことで、前向きでかつ早急に答えが出るように御配慮を願いたい。  そこで今度は、この基地周辺の生活環境整備問題と別の角度から、長官にお尋ねしたいことがある。  私、この間あなたに、自衛隊の実力は、量よりも質であるということを提案した。われわれは、自衛隊を一応合憲と見る政党です、しかしながら、防衛費に巨大な国家資金をつぎ込むことを避けて、国民生活の安定のために、最小限度の自衛措置をとるというところにとどむべきである、そのかわり量よりも質という点を、人的にも装備的にも考えていくべきだという提案をして、あなたは一応これに賛成をされた。覚えておられますか。  そこで、私、どうもいつも気にかかるのですが、先年の例の平和時における防衛力の整備の限界という問題にもひっかけられるのですが、陸上の場合、当初スタートした当時の、アメリカとの話できまった十八万に固執しておられるが、これに固執の時期ではない。現に十五万ばかりしか採用していない陸上自衛官、しかも、それは募集に非常な困難を来たして、よいかげんな隊員を募集して、あとからその始末に困るような事態が起こっている。むしろこの機会に、十二万か十三万に減らして、師団の数も減らし、あるいは師団の人員も減らすとかいう考慮をして、この際質のいい、国家国民のために信頼の置ける隊員だけ、そのかわり、その隊員には、待遇を一割なり二割なり増して、職務に精励する代償を与えるべきであるという提案をしたのです。これにあなたは、原則として賛成だとおっしゃったですが、いまもなお、その心境に変化はないか、ひとつお答え願います。
  149. 山中貞則

    山中国務大臣 その数とかなんとかまで原則的に賛成と言ったわけではありませんが、そういう考え方というものは、検討に値する時期に来ておるし、検討せざるを得ないということは私、認めたわけです。  ただ、私としては、十八万名定員というものは、それに当然伴うべき装備その他の日本のあるべき国防の姿としての十八万名の定員でございますから、これが充足できて、完全にその体制に入ることが理想であります。しかしこれは、もうくどくど申しませんが、じゃ、いつ充足できるかといわれると、答えに窮するような環境の中にあって、なお架空の十八万名に固執した状態でいいのかどうか、これは真剣に検討しております。たとえば実際は十六万程度、しかし、おっしゃったように、質のりっぱな精強なものでもって十八万がどうしても要る非常事態になった場合には、予備自衛官その他を優先充当しながら、十八万名分の装備その他あるわけでありますから、それで対応していくということが考えられるかどうか。あるいはまた師団の数まではいっておりませんが、師団そのものを、これは人に関する限り、装備とともに満ぱいの、いつでも即戦即応体制の師団を幾つかっくる、そして、その他の師団は、主として新入隊員の訓練あるいはその他の基礎訓練等に平時は充当し、あるいは施設隊、業務的なものも含めながらいろんな、即戦即応体制とはやや離れる師団というものが考えられないか、こういうことで、いま検討を命じておりますが、同じ師団でありながら、実際上、天地の開きのある戦力の師団というものでいいのかどうか。現在は九千名、七千名といっておりますけれども、これも実は、それぞれ充足率は、士の階級に至れば至るほど非常に不足しておる。したがって、本来やるべきでない仕事まで、曹の地位の諸君が実際はやらされている。ここらにも、私は、表にあまり出ない不満があると思います。  そういうことを考えますと、何らか検討の時期に来ておるということを考えておりまして、まだ具体的にここでどういうことにするつもりだというところまで言えない、検討中の段階でありますが、ただ十八万名というものを、名目だけかちえて、それで満足している、実態は、どこに行ってみても、土台はぐらぐらしておるような状態ということでよろしいかどうか、これは基本的に検討すべき問題だということについては同感であります。
  150. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、自衛隊発足以来二十年になんなんとして、なおかつ十五万ばかりでやっとこさ、その面目を保っているという状態を——これは、もう固定したのです。つまり陸上自衛隊の場合は、十八万という目標にはとうていもう国民がついてこないのだ。現についてこないのです。あれだけいろいろな手段を弄して、誘惑的な名目を弄して募集してもやってこない。その定着した現時点において、つまり募集は困難だとなれば、この際、もう架空の十八万人に固執しないで、その中から精鋭主義で転換をすべきだ。師団が十三師団要ると限ったわけではない。もっと新構想で言えば、もうこういう時代、平和体制が国際的に浸透している時代に、陸上の数を十八万に固執しなければならぬことはないですよ。もう師団でも十三師団要らない。北海道に四師団ある。これは十三師団のうち四師団北海道に持っていっている。この北海道に四師団というのは、防衛局長目的は何ですか。
  151. 久保卓也

    ○久保政府委員 以前、自衛隊は十個の単位があったわけでありますが、日本の地勢を検討しまして、基幹部隊の単位を検討いたしました場合に、十三ないし十五あるのが適当であろうという結論が出ました。それは地勢でありますから、たとえば四国を一つにするとか、あるいは北海道の場合でいいますと、ちょうど山脈の関係で四つ置きますと適当であるという、地勢的な検討が一つありました。  もう一つは、やはりどこの国でもそうでありますが、外国に近い地域には、比較的厚い配置をするということであります。これは、その国がどうこうということではございませんで、一般的な抑圧体制をとるならば、そういうことをやっておるということに並んで、われわれもそういう体制をとっておるということであります。
  152. 受田新吉

    ○受田委員 外国に近い地域というのは、別に仮装敵国というものを考えないでも、充実した防備をするのだ——北海道は外国に近いですかね。むしろ中国や九州のほうは、韓国に非常に近いです。ここらは九州に二個師団、中国に一個師団しかないです。
  153. 久保卓也

    ○久保政府委員 外国に近いという意味で——たとえば外国に近いということと地勢的な見地で申しますと、九州は北と南で二個師団が適当であろう、中国地方は中国の西のほうに一個師団が適当であろう、同様に、師団ではありませんけれども、沖繩は、一つの単位として必要な機能を、比較的小さいながらもまとめたものを置くのが必要であろう、そういうような見当で、観念的にはやはり同じだと思います。
  154. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、北海道の四個師団は、もう九州と同じにして二個師団でもできる。それは、いまから検討していい時期に来ておる。二十年前の構想を、そのまま持続しておるから、こういうことになるので、一個師団を七千にしてもいければ、五千の旅団というのもある、混成旅団。朝鮮から越境した嘉村混成旅団長というのは、旅団で適当な部隊をしつけて、師団的な性格を持ってきたこともあるのです。  そういう意味からいうならば、従来の十三個師団、十八万というようなことにあまり固執しないで、新構想で——それから、もう陸上も道路がよくなっておる。ある局部的な紛争が起こった、すぐ移動できる。ヘリコプター部隊もある。そういうようなことからいうならば、北海道に四個師団もおって、旧態依然たる防備をしておるということは、何だか時代おくれの感じを与えておる。この際、いま長官が新構想を検討しておるということでございますから——また、師団というのは、外国では大体一万以上おるのじゃないですかね、防衛局長
  155. 久保卓也

    ○久保政府委員 一番小さくても、一万一千前後から二万数千まであります。
  156. 受田新吉

    ○受田委員 そういうことになると、日本の師団は、かっこうの上では国際的な基準をはるかに下回った、旅団みたいなものですよ。それだから、もう師団の名称にとらわれなくて、十二、三万の精鋭によって——二割なり三割なり、その程度は処分する。志願者の中から優秀なのをとれるのですから、そこで定着すると思うのです。そして、それにかけた経費も節約できる、そして一部は待遇改善に持っていく、国民の負担も軽くなるということで、新構想で——陸上十八万というのは、どう見てもあまりにも陳腐な感覚を持続し過ぎておると思います。  それからもう一つ局長さん、十八万という架空の体制のもとに、一応装備も用意してあるのですか。
  157. 久保卓也

    ○久保政府委員 定員の十八万に合わせまして、装備を持っております。
  158. 受田新吉

    ○受田委員 だから、非常にむだな装備があるわけです。結局、十五万ばかりしかおらぬ。装備だけは十八万分、予備自衛官のときも、装備を用意しておると思うのですが、そんなむだな装備に金をかけなくて——実際にいま外部の武力攻撃があったとしても、それに出動することのできるのは、十五万五千しかおらぬ。にもかかわらず、二万五千という余分のものを装備しておく、そのむだだけでも、たいへんなものです。その装備の中には、衣服もあれば食糧もあるし、また満タンのときと平時といろいろ相違はありますが、小銃その他の兵器もある。ほんとうにむだなものがある。そのむだなものを、何年もかぶせるうちには、その時代の進運でだめな兵器になる。もっと進んだ兵器をつくらなければいかぬのに、だめな兵器を何年もかかえて、古い部隊で防備に当たっておるということになるわけですから、もう余分なものはやめて、そして実力を持った部隊に編成がえをする。  これは長官、特にあなたのような、すかっとした割り切った長官時代にやっておかぬと、またあと長官が、迎合主義のような長官が出てくると、いつまでたっても、この改革はできないです。つまり国家予算もできるだけ節約し、そして部隊も少数精鋭でやっていく、装備もこれに伴うた少数精鋭にしていく、こういうふうな配慮をすべきである。政務次官、私の質問に答えてください。
  159. 山中貞則

    山中国務大臣 それはおかしい。それは当然、私が答えるべき問題であります。どうして政務次官、指名されたのか。
  160. 受田新吉

    ○受田委員 いやいや、政務次官にもその感じを、長官補佐者として感じを聞きたいのです。
  161. 山中貞則

    山中国務大臣 政務次官は私を補佐しますが、私の命令に従います。
  162. 受田新吉

    ○受田委員 命令に従う……。
  163. 山中貞則

    山中国務大臣 そのとおりです。
  164. 受田新吉

    ○受田委員 それじゃ、あなたから答弁してください。
  165. 山中貞則

    山中国務大臣 国会議員としては同じですけれども、しかし、いま職務上、政務次官である以上……。
  166. 受田新吉

    ○受田委員 それじゃ、長官にひとつ……。
  167. 山中貞則

    山中国務大臣 大臣の意向に従わない政務次官というのは、やめてもらわなければならぬ。
  168. 受田新吉

    ○受田委員 やめてもらわなければならぬ……。
  169. 山中貞則

    山中国務大臣 それは、そうです。
  170. 受田新吉

    ○受田委員 しかし、われわれは長官にも、それから政務次官にも聞く権利がある。
  171. 山中貞則

    山中国務大臣 私がいないときに聞いてください。
  172. 受田新吉

    ○受田委員 いないときも——これは、やっぱりおっても聞いてみるのです。
  173. 山中貞則

    山中国務大臣 聞いてもらっても、長官の答えたとおりですという答弁をするでしょう。ですから、私から申し上げておきます。
  174. 受田新吉

    ○受田委員 それでいいのですが、それじゃ長官ひとつ……。
  175. 山中貞則

    山中国務大臣 いまのお考え方ですが、先ほどの実体論については、私は、そういう考え方について同意を示しましたが、しかし、いまおっしゃるところまでまいりますと、実は同意できません。それは前提として、わが国独力で戦いを、国土を守るためのすべての戦闘を遂行できないことは御承知のとおりです。したがって、わが国は、最低限の自主防衛、専守防衛の立場ですから、われわれとしては、安保条約をもって、アメリカの核抑止力を含む実際上の攻撃力その他場合によっては兵員まで、そういうことを期待しなければ、今日の自衛隊の力で日本列島を完全に守り切れない、その前提に立っておりますが、しかし、それは十八万名の編成、装備というものがあって対応できるという前提に立っておるわけです。  したがって、それらのものについて、十八万名をいかに充足できるかという問題はありますが、それは予備自衛官から直ちに当てはめていけば、十八万にはなれるわけですが、そういうことを考えながらも、実人員、現在、毎年要る予算定員というものが、なかなかそこまでいかないということで、その後半ばお考えに賛成できるのですが、現在の十八万名を前提とした編成、装備、そういうものをくずせということになりますと、日本の防衛体制というものに対して、基本的に重大なる変化をもたらしますし、また、そういう変化をもたらしてもいいというほどのデタントの進行、あるいは日本をめぐる諸外国が全く平穏無事である——究極的にいえば、日本が軍備をしなくても、国連の武力だけで全世界の国民が、地球人として国際紛争を、武力に訴えて解決するようなことはあり得ない時期の来る日を念願していますが、しかし、いまの状態の中において、中東紛争特殊であるといっても、とにかく予期するような状態で戦争というものが起こることはきわめて少ない。外交努力を一生懸命展開しているが、ある日突然というのがやはり私は戦争だろうと思うのです。  そこで、それにやはり対応できる最低の編成というものは、どういうものであるかということは、十八万名体制というものを前提にしておりますから、そこのところだけは、ちょっと御理解を賜わりたい点がある、こう思います。
  176. 受田新吉

    ○受田委員 それは、基本的な問題はくずせないのだということでございますが、その基本的な問題を検討する時期が、私は来ておるのじゃないかといま提案したのです。それには長官としても、基本的な問題は変更をすることはできない、その内部における配慮しかできないのだという、あなたの基本的なお考えを、いま初めて明らかにさせていただきました。しかし私は、その基本的な構想を転換する時期が来ておるということを提案したわけです。つまり、現実をやはり直視しながら、国の状態を勘案しながら、防衛を考えていくのが当然なんです。国民の支持を得ながらいくのが当然なんですが、その国民合意は、自衛隊陸上十八万に到達していないのです。二十年間たって到達しなかった。そうすると国民は、陸上自衛隊の十八万というのは、適当でないと判断しておるんですよ。  そう判断しておるのを、なお国民の合意を得られないままで、その募集に応じられない確保をそのままで、目標はそのまま置いておくということで、装備もそのために不要な装備をしておる、いま装備は、全部十八万で装備しておるそうですが、それはどうかなということを提案したわけです。  もう一つ長官、防衛庁はむだをときどきやられる。たとえばパイロットの養成で、一応養成したパイロット、数千万円、一億近い金をかけて養成したパイロットを、適当な時期に運輸省へ持っていかれる。運輸省のパイロットとしてこれを横取りされておる。運輸省は運輸省で、航空大学校で当然、運輸省で所期の目的のパイロットを養成していくべきであるにかかわらず、それをやられないで、防衛庁の精鋭としてようやく役に立つ、ものになったころを横取りしておられる。そういうところで防衛予算は、その分だけ余分に要っておるわけだ。つまりパイロット養成費、そういうようなもので防衛予算の額が大きいことを、裏づけることにもなるのですが、そういうことは、この際やめられて、防衛庁が単独で防衛目的のために養成した者は、防衛庁が最後までこれを確保して、そして自衛官として最後を全うしていくべきだ。そいつを途中から待遇のいいほうへ持っていかれるというようなことは、基本的に防衛庁長官として、はなはだ不愉快なことか、非常に喜ぶべきことかということで御答弁を願い、また部長さんのほうでも、パイロット養成は、自衛官にたよっているという方針を改めて、防衛庁から要りません、われわれのほうで養成しますという基本方針が立てられないか、御答弁願いたいのです。
  177. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、本人意思によってやめたいと申し出た場合に、実はとめられない、そういう問題が一つございます、志願制度でございますから。それで現実には、そう数はよけいないと思うのですが、やはり例としては、運輸省のほうあるいは運輸省といったって監督下の民間会社ですね、そういうところに持っていかれる。最近は、どうも新聞社あたりも最新鋭の装備をされますから、新聞社のヘリとか連絡機の操縦なんかも、自衛隊上がりが入って使っていただいておるそうですが、たいへんありがたいことですけれども、ただ養成費を非常にかけたジェットパイロット等が、まだまだ十分国に対して、その養成費に対してでも、御奉公と申すのが古いことばならば、努力をして任務に精進しなければならぬという者が、あまりにも多く抜かれていくことについては、これは、やっぱり困る問題だというふうに考えておりますが、何しろ本人がやめたいと言いますと、これを強制することはできませんので、そこらのところが、悩みの一つであることは正直に申し上げます。
  178. 隅健三

    ○隅説明員 運輸省といたしましては、以前に自衛隊のほうから、民間航空のほうにパイロットの割愛をお願いした事実はございますけれども、最近は、航空大学校の募集定員をふやしまして、それから訓練委託も徐々に減らしております。たしか、いまヘリコプターだけの訓練をお願いしておると思います。われわれといたしましても、民間航空のほうでも、みずから募集をいたしまして、外国あるいは適当なる訓練機関において、自家養成も最近はいたしておりますので、この点につきましては、自衛官の方の割愛を正式にお願いするということは、数は少ないと思います。  ただ、長官がおっしゃいましたように、再就職というような面で若干あるのかと存じます。現状では、そのように伺っております。
  179. 受田新吉

    ○受田委員 人事教育局長、パイロット自衛官が、運輸省所管にかわってくる数字、お持ちじゃないですか。
  180. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 これは、いまから十年ぐらい前と現在とだいぶ事情が違いまして、従前は民間航空に自衛隊から行きたい者、それから民間航空のほうでも、自衛隊の者を歓迎するということがございまして、かなりの者が退職する事情がございました。その後、いまお話しのような趣旨で、そういうことではいけないということで、運輸省、大蔵省それから防衛庁の三者の協議会をつくりまして、そこで毎年の割愛をする数を大体きめまして、それでワクをきめて、そのワクの中で運営するということでありましたけれども、実際は、そのワクどおりの、自衛官の中から、民間の航空会社へ行きたいという方が、最近は非常に少のうございまして、いまは、先ほど運輸省のほうから話がありましたように、再就職のためにということで、こちらで実は周旋をしたというような感じで行くということで、ワク組みの大体半分以下という数字が、最近この二、三年示されているところであります。大体五十名くらい考えておりますが、二十五名以下でございます。本年もそういうことになっております。
  181. 受田新吉

    ○受田委員 本年二十五名やはりパイロット自衛官が運輸省所管の民間へ行っておる、それから新聞社のほうへも行っておる。新聞社へは最近行きだしたんですね、長官
  182. 山中貞則

    山中国務大臣 ジェットじゃないですよ。
  183. 受田新吉

    ○受田委員 だから、そういうことになると、相当な数ですよ。これは優秀な人材を自衛官として採用し、そして訓練しておる。確かに、航空大学を従来出た者よりも優秀なパイロットが多い。これは部長さんも認めますね。ちょっとそれを言ってください。
  184. 隅健三

    ○隅説明員 航空大学校では、単発の初期の教育しかいたしておりませんので、卒業いたしましてから、各民間航空会社なりに行って、さらにジェットに乗りますまでに、いろいろの教育を受けております。航空大学校と申しますのは、初期の訓練でございますので、その技量と申しますと、これを比べるのは、どういう段階で比べるかというのが問題だと思いますが、航空大学校では初期の教育をしておる、それで卒業生を民間のほうにお願いしておるということでございます。
  185. 受田新吉

    ○受田委員 現に民間航空は、採用者の中に航空大学の卒業者を非常に厳選してから——結果論からいったら、航空大学の卒業生は、全くかぶとをぬいでおるという現状です。ですから、そういうことは、もっと基本的にパイロット養成を検討され、自衛官のほうに御協力いただくのを、本質的に改善されることを要望しておきます。  時間が参りますので、最後に、国防会議の議長にかわって事務局長、まあ事務局としてでいいですが、答弁を願いたいことがある。  最近の国際情勢は、流動的で常に変わっておる。そういうときに、国防会議の任務というものは、それに即応する体制でなければならない。国防の基本に関する問題です。防衛大綱に関しても、それは常に外交を伴っておる。山中長官が、外務省は十分外交の実態などを報告するのを欠いておるという不満があるという御発言をされたのが、間違いかどうかですが、これは長官としては、国防のために外交の実態も知りたい、外務省に終始連絡することを期待しておるにもかかわらず、そういう手落ちをしておるというのを——職務に精励しようとする熱意があるほど、そういうことが起こるのは当然なのです。当然なのですが、それについて国防会議として一体何をしておるのか。国防会議が国防の基本と防衛の大綱をきめ、また四十八年、四十九年と例の防衛関係予算をやるようになったので、毎年一回これをやるようになった。それまで長い間、国防会議を開いておらぬ時代もあった。防衛予算をやらなければいけないようになってから、やむなくあれは一回ずつやるようになった。これは今後は、必ず一年に一ぺんだけやるようになるんですね。ところが、そうした基本的な問題について、一体会議をしようとしておるのかどうか。  いまの流動的な国際情勢、確かに例示するまでもなく、たいへんないまの変化、その中で日本の防衛をどこへ持っていくかというのが国防の基本問題です。それについて、その線から国防会議を近く開催していきたいという熱意を、事務局として把握しておるのか。総理やその他の閣僚から、そういう話が出ておるのか。かつて中曽根防衛庁長官は、国防会議の事務局長は、茶坊主であるとたんかを切られたことがあったわけですが、山中長官は、そういう軽率な発言をする人でないことは、よく知っておるのですが、それだけ国防会議の権威も、防衛庁長官、十分考えてもらっておると思うのですが、この流動する国際情勢の中で、日本の防衛をどう見るかという外交防衛の線から、事務局として近く会議をすることになっておるのかどうか。
  186. 山中貞則

    山中国務大臣 私から先にちょっと発言させていただきます。  私が就任しまして、去年の八月、大蔵省に予算要求をいたしました後、石油問題等で総需要抑制というものが閣議決定されました。そのときに、防衛庁というものの存在は、目に見えない自衛権が目に見える存在、いわゆる国家そのものである、国家組織である、ほかの道路とか港湾とかの五カ年計画とは違う、したがって、国としての意思が閣議できまった以上、防衛庁みずからその姿勢を示すべきであると考えて、ふだんならば予算のおおむね詰まりましたときに、形式的にと言っては失礼ですが、開かれておった国防会議というものを、議員懇談会と一緒に開いていただきまして、御承知のとおりの措置をいたしました。  またさらに、予算のときには、形式どおりやったわけですが、そのとき私が感じましたことは、国防会議というものは、もっと広範な、あらゆる世界の国防の変化、戦略の変化等を、総理をはじめ関係閣僚に知らしめる唯一の場所である。閣議がございますが、そんなところで世界戦略の変化なんて、私が説明する時間はなかなかございません。ですから、私のほうで事務局長のほうに、どうだ、近くひとつ議題なしで、最近の世界の軍事情勢の変化というものを、いろいろとあるので——たとえばシュレジンジャー長官か就任して以来の弾道弾戦略、いわゆる誘導弾ですね、そういうもの、あるいは潜水艦からのSLBM等の問題あるいは標的の変更を試みた問題 一方においては第二次SALTの交渉が始まった日から、日本列島を越えて太平洋で、ソ連側がMIRVといわれる個別誘導複数弾頭のミサイルの実験を連日続けた、こういうようなこと、それから地中海というものが、スエズ運河の再開という好むべき、喜ばしき結果であるけれども、軍事的にはジェゴ・ガルシア島あるいはまたソ連艦隊が常時遊よくしているというような現状等もありますし、また中ソ間のいろいろな問題もございます。  こういうような問題を踏まえ、やはり日本を中心ではありますが、国際戦略、ことに米ソ核不戦なんということの、条約といいますか取り決めが起こっているわけですから、こういえ大きな変化の中で、われわれは何をとらえなければならないかということを、ぜひ総理以下、関係の国防会議の大臣たちに知ってもらいたい、そしてまた、そこで自由なトーキングをしたい、そのために国防会議事務局に、近いうちに——まだいまのところ、こういう状態でありますから、お願いしてもできませんが、私のほうから、そういう意味で議題なし、最近の国際情勢について、主として軍事面ですが、ぜひひとつ会合を開いてほしい、そういう取り運び方を、事務当局を通じてお願いをしておりますが、時期はなるべく早くと思っておりますが、法案をかかえておりますので、私が出ない国防会議議員懇談会というのは、ナンセンスでありますから、私が出れる日取りを見て、総理とも相談をして、開催をしてみたいと考えております。
  187. 受田新吉

    ○受田委員 総理と相談して、山中防衛庁長官の都合のいい日に、国防会議を開きたいということでございまして、事務局としては、常にそういうことによってこれを取り計らうことになれば、まさに茶坊主にひとしいことになると思います。つまり、国防会議というものの権威というものからいって、長官から提案された、総理が賛成した、集まろうという形、それを事務局が忠実にやるということになると、防衛庁長官の指示みたいな、結果論からいって、事務局長は茶坊主。  そういうことでなしに、事務局長というのは、大勢をつかんで、山中長官の提案ということを抜きに、常にそういうものへ関心を持って動くべき性質のものではないかと思いますが、事務局長どうですか。
  188. 山中貞則

    山中国務大臣 それは、事務局長に対して法制上酷なことをおっしゃるので、国防会議の議長は総理なんです。ですから、国防会議の議長が、開催するということをきめなければ、事務当局が開催することをきめて、議長たる総理以下関係閣僚出席せよという、そういう権限を与えられているわけではないのでありますから、したがって、それらの間を、いまおっしゃったように形骸化しないように、国防会議を大切にしていこう、だから、国防会議の、事実上これがシビリアンコントロールの一つの過程でありますから、これを尊重しなければいかぬ、だから、事務当局間で、いま事務局長に対していつごろがよかろうか、どういうことがよかろうかという相談をさしておるということで、非常に尊重しておるわけであります。かといって、総理の意向も、私の意向も聞かずに、事務局長が国防会議を開く権限はございません。
  189. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、山中先生、従来、総理が大所高所から、防衛庁長官だけではなくて、ほかの外務大臣、財政上の大臣などと実際に動いていくべきで、つまり防衛庁長官が推進する国防会議というものでなくて、総理みずからが、大局から推進する国防会議でなければならぬと思うんですよ。それが、ほんとうの国防会議の権威を保つことになるのです。つまり防衛庁長官が、常にスクリューになって国防会議を動かす。結果論から言うたら、防衛庁長官がおらにゃ国防会議が開かれぬということではなくて、国防会議には防衛庁長官いなくても、欠席の形でも開けれるんですから、ほんとうは。ほかの閣僚全部がそろわなければできぬことはないわけですから、そういう意味では、国防会議は総理が常に主宰し、総理が常に議員たる閣僚を動かすようにしむけるように、山中長官によって支配される形でなくして、総理に常に大所、高所から、この国防会議を率いろという意味の進言をしていただくのは、私は大賛成なんですがね。そこを私、申しあげたわけなんです。
  190. 山中貞則

    山中国務大臣 それは、おっしゃるとおりなんですが、総理が、よしじゃ開こうとおっしゃらない限り、それは開けない。しかし引っかかるのは、防衛庁長官がいなくても開いていいのだとおっしゃるのですが、国防会議防衛庁長官を抜いて、出れないことを承知の上で、開催することは、それは私おかしいと思うのです。防衛庁長官を除いた国防会議の開催ということはあり得ない、そう思うのです。ですから、おっしゃったとおりのことをやっているので、私は、国防会議を尊重したい。ただ、形式的に年一回なんということはいかぬということを、私は、国防会議を尊重する意味から言っているので、その意味の尊重の推進力ならよろしいのじゃございませんか。牽引力じゃないのです。
  191. 受田新吉

    ○受田委員 そういう熱意を持っておる長官がおることは、非常に好ましいことであるが、同時に、防衛庁長官が支配するような形の国防会議にならないように、他の大臣たちも平等の立場で国防会議が構成されているのですから、そういうことで、結果論からいったら、すべての議員、閣僚が平等の立場で、国防会議が尊重されるようにしむけていただきたいということでございます。あなたの御努力、御熱意は、私はよく知っておるのです。知っておるだけに、この結果、すみやかに国防会議が開かれて、国家安全保障の大綱を早く打ち立てていただくことを要望しておきます。  それから、政務次官を率いておられる長官として、大臣がいなければ質問せぬというわれわれじゃないのです。長官がいなくてもわれわれは、質疑はわれわれの立場でいつでもやるから、あなたの指揮監督を受けておる政務次官ですから、そういうことについては、おれがおらぬでも出て答弁せよ——おれかおらぬときは、君出て答弁するなというようなことを命令するのじゃないでしょうね。そのことをひとつ……。
  192. 木野晴夫

    ○木野政府委員 政務次官の木野であります。  受田先生の先ほどの御質問につきまして、大臣からお答えを願いました。私も全くそのとおりでございます。なお、政務次官の仕事といたしましては、大臣を補佐してということでございまして、私は、政務次官といたしまして、懸命の努力を払っていることをお答え申し上げる次第であります。その点、御安心願いたいと思います。
  193. 受田新吉

    ○受田委員 国防に関する大局の質問をもう少し、外交問題と防衛との関係、都合によっては、ちょっとだけ追加させていただきますが、約束の時間がきたので、これで質問を終わります。
  194. 徳安實藏

    徳安委員長 午後三時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      ————◇—————    午後三時一分開議
  195. 奥田敬和

    奥田委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所要のためおくれますので、委員長が御出席になるまで、指名により私が委員長の職務を行ないます。  防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。東中光雄君。
  196. 東中光雄

    東中委員 防衛庁長官にお伺いしたいのですが、自衛隊部隊として特定の宗派の、あるいは宗教の宗教活動に参加することは、許されないことだと思うのでありますが、その点どういうふうにお考えになっておりますか。
  197. 山中貞則

    山中国務大臣 憲法第二十条第三項「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」ということでありますから、いま、おっしゃる限りにおいては、やってはならないということであります。
  198. 東中光雄

    東中委員 実は、この間、四月の二十一日に、静岡市の柚木にある護国神社で、第四回戦没者慰霊祭と慰霊軍歌祭が催されました。これに航空自衛隊浜松南基地司令、同時に、第一術科学校の校長さんである小川英人空将の代理という資格で山崎辰哉一空佐が参加をしています。さらに術科本部長の寺本光空将の代理として黒崎隆雄一空佐が参加、また静岡の地方連絡部長の中村達雄一陸佐が参加をしている。さらに航空自衛隊浜松南基地の音楽隊が参加をして、この護国神社の慰霊の儀式に直接参加をしておりますが、この点どういうふうにお考えになっておるか。
  199. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 全般の問題から申し上げますと、一術校長それから術科教育部長それから地連部長に、静岡の少飛会の会長から招待状が参りました。それで、そのとき、これは二十一日、日曜日でございますけれども、一術校からは第一教育部長の山崎一佐が、それから術科部からは黒崎一佐、それから静岡の地連部長に招待状が来ておりますが、地連部長ではありませんで静岡地連の静岡市の事務所長、一等陸尉本杉というのが出席をしました。  それで、これをどう考えるかということでございますが、これは実は、音楽隊の話が出たわけでありますが、音楽隊を派遣する、その音楽隊派遣に対する儀礼的な意味で招待がきたわけでありまして、それで、これに応ずるという考え方、まあ社会的儀礼といいますか、そういう観点で出席を考えたこと。それからもう一つは、この主催者が少飛会——少年飛行隊という宗教に関係のない団体の主催する戦没者の慰霊行事であるということで、そういうことで出席いたしまして、それで出席した場所におきましては、玉ぐし奉賛など行ないましたが、これも、その場にふさわしい形で英霊に敬意を表したというようなことでありまして、こういうことがありましたけれども、これは先ほどの憲法二十条の第三項、国及びその機関は宗教教育その他の行事をしてはいかぬということに必ずしも含まれないで参加したわけでありまして、直ちにわれわれは二十条第三項に違反するものではないというふうに考えております。
  200. 東中光雄

    東中委員 音楽隊三十名が参加をした、そして、この慰霊祭に対する行事の参加のしかたですね、それを防衛庁としては、どういうふうにつかんでおられますか。
  201. 丸山昂

    ○丸山政府委員 参加のしかたというのは、スケジュールの中にどういう組まれ方という御趣旨でございましょうか。そういう御趣旨でございましたら……。
  202. 東中光雄

    東中委員 行事の中で何をやったかということです。
  203. 丸山昂

    ○丸山政府委員 これは、一部と二部に分かれておりまして、一部のほうは英霊に対します礼拝ということが主になっております。それから二部のほうは歌祭りでございます。一部の式次第の中で、国歌の斉唱、それから慰霊のための軍歌、それから、これは「山の幸」「海の幸」という慰霊奏楽がございます。こういうものを奏楽をした。以上でございます。
  204. 東中光雄

    東中委員 二部ではなくて、一部の儀式を主宰したのはだれですか。主催者は少飛会ですが、礼拝の儀式の主宰者はだれでしたか。
  205. 丸山昂

    ○丸山政府委員 ただいまおっしゃっておるのは、祭主のことだと思いますけれども……。
  206. 東中光雄

    東中委員 それじゃ、端的に聞きますと、要するに、神主さんが主宰したのじゃないかと言っているのです。そうでしょう。
  207. 丸山昂

    ○丸山政府委員 ですから、ここでいう祭主だろうと思いますが、調べませんとわかりません。
  208. 東中光雄

    東中委員 神社で、そして、いま言われた英霊という観念自体が、これは宗教的な観念です。ある宗教では英霊慰霊といい、ある宗教では英霊慰霊という概念、そういうものはないというふうにいっているわけですね。これは宗派によってみんな違うわけです。キリスト教や仏教では、普通は慰霊あるいは英霊に礼拝するとか、そういうことはやらないわけですね。そういうのはないわけです。神は神であって、英霊という概念は出てこないわけです、これが神道では英霊というわけですけれども。  それで、私、この護国神社は宗教法人の護国神社、その宗教法人の護国神社で神主が主宰するその礼拝の儀式というのは、これは、まさに宗教活動そのものなんです。それに今度は自衛隊が参加をして、そして「海の幸」、「山の幸」、こういった演奏をやって、それと一体になって玉ぐし奉典という宗教行為が行なわれておる。こういう経過になっておると思うのですが、これは、まさに宗教儀式そのものに参加をしておるということになるわけでありますが、その点、そういう事実を防衛庁としては、お認めになるかならぬか、いかがでしょう。
  209. 丸山昂

    ○丸山政府委員 宗教活動という中身が、どういうものを意味するかということは、これは一つ問題があると思うのでありますが、ただいま御指摘になりましたような、たまたま護国神社が会場に使われまして、この行事を主催いたしましたのは、静岡の少飛会という、元少年飛行兵出身の方々が結成されておる団体でございます。ここで少年飛行兵出身の英霊の慰霊祭をするということで、護国神社でございますから、大体この式の次第を見てみますと、いわゆる神式の行事のように私には受け取れるわけでございますが、ただ、いわゆるこれが宗教活動であるというふうに断定をしてよろしいかどうかという点については、私ども宗教活動ではないというふうに判断しているわけでございます。
  210. 東中光雄

    東中委員 宗教活動であるかどうかということをきめるのには、基準をあなた方はどういうふうに思っているのですか。
  211. 丸山昂

    ○丸山政府委員 やはり宗教でございますので、その宗教の趣旨を布教宣伝するということが、やはり宗教活動ではないかと思うのであります。私どもの生活の中ににじみ込んでおる一種の宗教的な、淵源は宗教的な淵源を持っているかと思いますが、いわゆる習俗的行事といわれるものとは、多少違うものではないかというふうに判断しております。
  212. 東中光雄

    東中委員 えらいたいへんなことをおっしゃっているわけですが、それじゃ、いま宗教法人靖国神社がありますね。九段にある、現にある宗教法人靖国神社、ここへ自衛隊部隊として音楽隊を繰り出して、そして大祭に参加をして、その大祭の式次第の中で構成メンバーになって、そして「海の幸」とか「山の幸」とかいうような軍楽を演奏する、それは憲法二十条のたてまえからいって許されるという見解を、防衛庁はとっておるということですか。
  213. 丸山昂

    ○丸山政府委員 ちょっと話が仮定の話になりましたので、いまのこの静岡の護国神社のことに限定してお話を申し上げたいと思いますが、この場合、参加というふうに御指摘でございますけれども、この式典の主催者に私どもが一緒に参加をしているということではなくて、この式の進行に寄与いたします音楽の演奏、これをお手伝いしておるということでございまして、本来、この主催に積極的に参加をしておるという趣旨とは、ちょっと違うというふうに私は考えております。
  214. 東中光雄

    東中委員 参加というのは、たまたまそこへ参拝するという意味の参拝じゃなくて、あなたがいままさに言われたように、手伝っておる。だから、式の進行を手伝って、構成メンバーになっているわけですね。全部自衛隊がやっているんじゃないことは、これは、もうわかり切っているわけです。しかし、その神式——先ほど神式の行事ということばも言われましたが、神式の行事ということは、神社神道の儀式、その儀式の進行を手伝っておるんですから、そこへ一緒に参加をしておるわけです。参拝するというようなことじゃなくて参加をしておる。これを私たちは、護国神社という宗教法人が、いわゆる英霊を英霊として遺族の方が集まり、それを崇拝し、お参りするということをやられる、その気持ちというのはよくわかりますし、それ自体を否定しているのでも何でもない。むしろそれに、要するに国家機関が参与していくということがぐあいが悪いのだ。もし、それが許されるのだったら、じゃキリストの何かミサをやっている、あるいはカソリックなら相当荘重な儀式をやりますが、その儀式に自衛隊が参加をしていってもいいのかということになったら、あるいはそのほかの国家機関が参加してもいいのかということになったら、どの宗教には、神道ならいいけれども、カソリックならいかぬとか、あるいは日蓮正宗ならいいとかいうようなことになってくれば、これはたいへんなことになりますね。  そういう意味で国家機関として、部隊として参加するということは、これは許されぬことになるんじゃないか。そういうあなたの言われる神式の行事に、しかも、その行事の儀式の——宗教的儀式であることは、もう間違いない、神式の行事というんだから、神式なんですから。正確にいえば、神社神道式行事という意味でしょう。宗教的行事、儀式です。それに部隊として参加するということが、憲法上かまわぬというふうな見解を、いま示されておるんだとしたら、これは、たいへんなことになると思うのだが、この点どうでしょう。
  215. 丸山昂

    ○丸山政府委員 たまたまこの事例が、いわゆる神式的な形式で行なわれた行事でございますが、私ども神式だから応援をする、そうでないから応援をしない、支援をしないというのではなくて、主催者の側からの御要望があり、かつそれが国民と自衛隊との相互理解のために大いに役立つということでございましたら、積極的に音楽隊を派遣するという方針のもとに実施をしておるわけでございます。現に仏教方式でおやりのところにも派遣をしてございますし、そういう事例もあるわけでございます。宗教によって差別をしているということはないわけでございます。
  216. 東中光雄

    東中委員 これは、自衛隊部隊として行っているわけですから、命令によって、職務行為として行っているということになるわけですが、そうですか。
  217. 丸山昂

    ○丸山政府委員 音楽隊は、そのとおりでございます。
  218. 東中光雄

    東中委員 そうすると、音楽隊は上司の命令で——自衛隊法律上服従の義務がありますから、それに従って行かなければいけない。護国神社の式に参加をして、その歌を演奏するという行事ですね、これが宗教上の行事であることは間違いないですね、護国神社ですから、護国神社の行事、儀式ですから。そういう命令があった場合に、自衛隊員、音楽隊の隊員は、それはいやですと拒否できますか、できないですか。
  219. 丸山昂

    ○丸山政府委員 これは運用の実態でございますが、神社に参拝をいたしますときも同様でございますが、これは事前に、隊員にそれに参加しなくてもいいということで選択の機会を十分与えてございます。したがいまして、いま御懸念のような問題は、いままで起きておりません。
  220. 東中光雄

    東中委員 私の言っておるのは、音楽隊の場合を言っているのですが、それは命令で行くわけでしょう。命令で行くのだから、命令を受けたら行かなければいけないということになりますね、自衛隊法上のたてまえは。その点はどうなんですか。
  221. 丸山昂

    ○丸山政府委員 ですから、いま申し上げましたように、命令を出します前に、そういう機会を与えておりますので、その行ける者について一般命令が出される、こういうことでございます。
  222. 東中光雄

    東中委員 そうすると、その宗教的儀式あるいは宗教的行事に、自分の信教のたてまえからいって、参加したくないという人には命令を出さない、こういうことですね。
  223. 丸山昂

    ○丸山政府委員 これは、宗教的な儀式ではございませんので、問題ございませんが、いずれにしましても、実は、ざっくばらんに申しますと、鳥居をくぐるのは困るという隊員も中にはおるわけです。そういう者については強制をしない、その残余の者について命令を出しておる、こういうことでございます。
  224. 東中光雄

    東中委員 鳥居をくぐるのはいやだという人が、それはおるかもしれません。私なんか鳥居をくぐるのは、別に何とも思わぬけれども……。しかし私が言うのは、宗教的な——だって護国神社の祭壇のところで、護国神社の神主さんが参加をして、玉ぐし奉奠をやって……   〔発言する者あり〕
  225. 奥田敬和

    奥田委員長代理 不規則発言はやめてください。続けてください。   〔発言する者あり〕
  226. 東中光雄

    東中委員 不規則発言、とめてください。
  227. 奥田敬和

    奥田委員長代理 ちょっと静かにしてください。
  228. 東中光雄

    東中委員 いま護国神社の祭壇の中で、あなたの言う神式行事をやっているんでしょう、あなたの言ったこと自体でいえば、そうなんだから。神式行事をやっている、それに参加することがいやだということを言う人には命令をしない、こういうことなのかと聞いているんですよ。その点、はっきり言ってください。
  229. 丸山昂

    ○丸山政府委員 そのとおりでございます。
  230. 山中貞則

    山中国務大臣 ちょっとここらで整理しましょうか。これは護国神社の霊大祭とか護国神社の行事が行なわれたことに参加したわけじゃありません。少年飛行隊の生き残りの方々でつくっておられる少飛会というものが、場所を護国神社をお借りして、なき戦友たちの霊を慰め、しのばれるという会をやる、したがって、自衛隊の音楽隊に協力してもらいたい——これは普通いろんな行事に頼まれますから、その限りにおいて、戦友の集団である方々の主催によるものがお願いをされた場合には、それに応ずることはおかしくないと思うのです。ただ場所が護国神社であった、したがって、それに対して行なわれた行事は、文字どおり神道、宗教上のそういう形で行なわれたということは、結果としてあったかもしれません。しかし、ほかのものは、これは来賓として招かれたわけでありますから、行事の主催者でもなければ何でもありません。自衛隊が主催、共賛あるいは共催、援助という、そういう行事についての関与するところは全くないわけです。ただ招かれたことに対して、音楽隊を出すことについて同意を与え、そして、それに対していまおっしゃったようなことが、かりにあったとしても、これは自衛隊が宗教的な行為に対して、組織として参加して何かを行なったというケースには入らぬだろうと私は思うのです。  ことに、いやだという者は、拒否できるのだということは——これは自衛隊法の前に優先するのは憲法です。憲法には、もう私があらためて言うまでもなく、「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」ということで、これは、もうすべての国民に普遍的な基本法が示しているわけですから、この例外を自衛隊がつくるわけはない。また、つくってはならないし、つくれないわけでありますから、そういうことは、ただいま官房長が説明したとおりであります。
  231. 東中光雄

    東中委員 そうすると、命令で行くということも言われているわけですね。任意に行っているのじゃなくて、部隊として——自衛隊行動は、全部自衛隊法に基づいて、命令で動いているわけですから、音楽隊が行って、神式の行事にお手伝いをする、官房長のことばをそのまま言えば、そういうことですが、そのことが命令でやられている、しかし、その命令を出すときに——命令というのは、強制力を持っているから命令なのです。ところが、行きたくないという者には、強制できないから命令は出さない、こういうこと、そういうふうに分けてやっているということなのかどうかということを、まず一点として確かめておきたいのです。
  232. 山中貞則

    山中国務大臣 繰り返しますが、自衛隊がその主催でもなければ、共催でもなければ、共賛でもなければ、後援者でもない。音楽隊を出してほしいという御要請、それに対して、まあ音楽隊というものの性格から、啓蒙宣伝等の意義を多分に持った行事に参加しますので、それに対して参加してもよろしいという判断を、当該司令が下したものと思います。その判断に基づいて出るわけでありますから、その場合に、自衛隊の音楽隊といえども、当然隊としての行動をしますから、その場合において、自分はいやであるという者があれば、憲法の二十条に定めてあることに自衛隊法が優先することはできませんし、また憲法二十条を踏まえて自衛隊法も、その他の法律もすべてがあるわけですから、そういうことは実際上、強制はしていないということでありますので、音楽隊を出すことがいけない、いいという議論であれば、また別でありますけれども、そのことについては、自衛隊法上、特別に憲法に背反するような行為をとっておるとは思いません。
  233. 東中光雄

    東中委員 私の言っているのは、命令で行くということ。部隊として行くということは、命令で行くのだということは、官房長、いまも首を振っておられるのだけれども、認めておられる。しかし、こういう儀式に参加することについては、長官は憲法二十条の二項があるから強制されることはないのだ、いやだという者は行かぬでいいのだ、こういうことになると、命令を拒否する権利があると言われておるのか。実際上のやり方として、あらかじめ取り組むのをいやであると言っておる者には、命令を出さない。これは実際上の扱いの問題ですが、国の機関としての軍楽隊が行動を起こすことになったら、これは公務でしょう。上からの命令で行くわけでしょう。それをいやだと言って、拒否することができるのかできないのか。できるという解釈に立っているのか。そこのところを、はっきりしていただきたいと思います。
  234. 丸山昂

    ○丸山政府委員 命令は、拒否できないというたてまえでございます。したがいまして、それなるがゆえに、事前に宗教上の理由で参加できない者は省いておるということが、実際の運用上の配慮でございます。
  235. 東中光雄

    東中委員 そうすると、命令を出したら行かなければいけないわけですね。いやだと言うても、命令が出されたら行かなければいけないというふうに、官房長としては考えておるということですか。
  236. 丸山昂

    ○丸山政府委員 いやだと言う可能性がないように命令を出すわけでございます。
  237. 東中光雄

    東中委員 そうすると、一々そのことについては、命令を出す前に確かめるということですか。確かめなければ命令が出せないということになるのですか。
  238. 丸山昂

    ○丸山政府委員 実際問題として、こういうことで心配のあるケースというのは、ごくわずかでございますから、そういうときに限って、慎重な手続をとるということでございます。
  239. 東中光雄

    東中委員 自衛隊は、自衛隊員に命令を出すのについて、特定の宗教を信教の自由でそれぞれ持っているわけですから、それに参加してもいいという宗教的考えを持っている人には命令をする、そして宗教的信条から参加したくないという人には命令を出さない、そういうふうに運用しているということになるわけですね。いま言われたのは、そういうことですね。
  240. 丸山昂

    ○丸山政府委員 本件に関する限りにおいては、御指摘のとおりでございます。
  241. 東中光雄

    東中委員 そうすると、特定の宗教、信条を持っている人については命令し、また違う宗教的観点を持っている人には命令をしない。思想、信条によって命令が出され、出されない、そういう差別が出てくることになる。そうなるでしょう。
  242. 丸山昂

    ○丸山政府委員 私は、そのような現象をとらえて、差別というべきではないというふうに考えております。
  243. 東中光雄

    東中委員 憲法の十四条だったと思いますが、人種、信条、性別、社会的身分等によって、政治的、経済的、社会的に一切差別をしてはならない。これは、まさに信条によって——自衛隊の職務行為としてあるのだという見解をとられる限りは、職務行為でありながら、ある信条を持っている者には命令し、ある信条を持っている者には命令しない、明白な差別じゃないですか。これは参加すること自体が宗教に関することであるからこそ、そういう、いま言いのがれをしようと思って、命令しないようにしているんだということを言われるから、論理的にははっきりとそれは十四条違反行為をやっていることにならざるを得ないんですよ。  きょうは法制局は来てもらってないから、場合によっては法制局に来てもらって、その点について言いますが、先ほど長官が、これは少飛会がやっておることで、護国神社の例祭とかなんとかいうものではないと言われたわけですけれども、実は、この五月五日から五月八日まで新潟県の護国神社が春季大祭をやっています。これに自衛隊がやはり参加をしています。これは春季大祭ですから、護国神社自身が主催しているわけです。  この式次第というか祭日によると、一、開扉。とびらをあける。神さまを出してくるわけです。二は献饌。それから、のりと、祭文奉上。それから祝電招介、玉ぐし奉奠。それから撤饌というのですか、これはあくまでも宗教上の神道のことばです。それから閉扉。とびらをしめる。こういう儀式をやるわけです。   〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕 開扉と献饌、それから撤饌、閉扉。この儀式をやられるときに、自衛隊の音楽隊が、その式を進あていく構成メンバーの一つとして音楽を演奏するわけです。これは五月八日にやられた行事です。  だから、主催はどうであるかということよりも、これは明白に神式の護国神社という宗教法人の儀式、そこへ直接参加をしている。たまたま礼拝に行った、招待されてあいさつに行ったというようなものじゃないわけです。これも、やはり自衛隊部隊として普通科連隊音楽隊二十名、新発田駐とん地内にありますが、これが参加をしておる。これは、いまの静岡の例とは違うわけですけれども、長官はどうお考えになりますか。
  244. 丸山昂

    ○丸山政府委員 ただいま御指摘の、五月八日、新潟県の護国神社の春季例祭でございますが、これに参加をいたしました新発田の駐とん地からの隊員でございますが、新発田には音楽隊がございません。これは音楽同好会ということになっておりまして、参加人員十九名でございますが、これは、いずれも個人の資格で参加をしております。先ほどの静岡県のように、音楽隊として、一般命令によって出ておるということではございません。  それから、ここでの演奏曲目は、「国の鎮め」とかいう、これは必ずしも式それ自体ばかりではございませんで、演奏会で演奏をしておるわけでございます。
  245. 東中光雄

    東中委員 いま、私が言っているのは、演奏会でやっている演奏じゃなくて、この式の中でやっていることは間違いないでしょうということ。  それから同好会と言われたけれども、これは私的な同好会ですか。持っておる楽器とかなんとかいうのは、私有ですか。
  246. 丸山昂

    ○丸山政府委員 式の中で演奏しておる者は若干ございます。  それから、これは、いわゆるクラブ活動的なものでございまして、同好会でございます。
  247. 東中光雄

    東中委員 楽器は、私的所有かと聞いているのです。自衛隊のものでしょう。
  248. 丸山昂

    ○丸山政府委員 楽器は、職員厚生経費で購入をいたしておるものでございまして、個人持ちではございません。
  249. 東中光雄

    東中委員 公的なものじゃないですか。これは公的なもの、いわゆる軍楽隊——音楽隊ではないけれども、自衛隊の中の公的なものとして、自衛隊の援助の中でやっているのじゃないですか。
  250. 丸山昂

    ○丸山政府委員 これは、御案内のように、共済組合経費でございまして、クラブ活動の、野球のミットとかバットとかいうようなものと同じ性格のものでございまして、その愛好者に貸与をされておるというものでございます。
  251. 東中光雄

    東中委員 そうしますと、これは全く私的な行為であるというふうに考えておられるようにもとれるのですが、自衛隊員が、そういう私的な行為として、神式の行事に十九名の者が一つ団体で参加するのは、これは問題ないというお考えのようです。だから、そこへ参加をして、お金をもらってもよろしい、こういうことになっておるわけですね。——金をもらっていますね。
  252. 丸山昂

    ○丸山政府委員 別に、出演料その他をもらっておるわけではございません。無料でございます。
  253. 東中光雄

    東中委員 何を言っていますか。護国神社側では、交通費を出したとはっきり言っております。どうですか。
  254. 丸山昂

    ○丸山政府委員 これは、私どもよく調べてみないとわかりませんが、私の聞いております限りでは、出演料などは取っておらない、おそらく実費弁償的なものを、主催者側のほうで出しておるのじゃないかと思います。
  255. 東中光雄

    東中委員 これは、全く私的な行為で、それで私的に実費弁償をもらっておる、それは防衛庁としては、全く関与しないことである、特定宗教のそういう活動に参加しても、これは防衛庁として関与しないことである、こういう見解だというふうにお聞きしてよろしいですか。
  256. 丸山昂

    ○丸山政府委員 全く関与しないというと、ちょっとあれでございますが、たとえば村の祭りがありましたときなんかには、勤務時間外に——これも、やはり勤務時間外でございます。勤務時間外に村の祭りに出て、太鼓をたたいたりするということは、大いに奨励をしております。ですから、できるだけあの地域の住民の方々ととけ合うということを指導しておりますので、そういう広い意味では、私どもの趣旨の線に沿っておるというふうに考えておりますが、ただ、これが命令で動かしたのかどうかという点についての御指摘でございましたら、そうではないというふうに申し上げざるを得ない。
  257. 東中光雄

    東中委員 村の祭りというのは、宗教法人がやるわけじゃないでしょう。特定の宗教儀式をやっているわけでもないでしょう。そんなことを、いま言っているのじゃないのです。いま言っているのは、宗教法人護国神社、それが、その神社の祭壇のところで、そこの神式の様式に従って参加をしているということについて言っておるわけで、いまは例祭、それから少飛会主催だからいいということを先ほどは言われた。今度は例祭だけれども、任意だから、命令で行っておるのでないからいいのだ、こういうケースになったわけです。  もう一つあるのです。弘前市の護国神社の大祭の場合は——これは大祭です。この四月二十九日にあった。それで私たちは、慰霊祭そのものに何か文句を言っておるのじゃないんですよ。これは、その宗教活動として遺族の皆さんがやられること、そのことの自由は、当然保障しますし、その気持ちはよくわかるわけですから、それを言っているのじゃなくて、それに自衛隊が参加するということが問題だと言っている。  この場合は、自衛隊の第五普通科連隊の音楽隊二十人ぐらいがこれに参加をしています。これは隊として、命令で護国神社の例大祭に参加をしておるということでありますが、そういう事実はどうですか。
  258. 丸山昂

    ○丸山政府委員 四月の二十九日、青森県の護国神社の例大祭、これに第九師団の音楽隊が参加をいたしております。
  259. 東中光雄

    東中委員 これは、命令で行っていますね。
  260. 丸山昂

    ○丸山政府委員 そのとおりでございます。
  261. 東中光雄

    東中委員 これは、要請があって行ったのじゃなくて、むしろ自衛隊のほうから申し入れて、護国神社側が受け入れるという形で行くことになった、そういう経過ではございませんか。
  262. 丸山昂

    ○丸山政府委員 私どものほうは、そのように承知しておりません。社団法人青森県遺族連合会の会長から御要請があって、参加をしたというふうに聞いております。
  263. 東中光雄

    東中委員 遺族連合会から要請があって、護国神社の例大祭に命令で参加をした、神社側からいえば、自分たちのほうから来ていただきたいという要請をしたのではない、こういう経過であります。  そこで、長官、先ほど静岡の例で申し上げているときに、少飛会だということと、そこから要請を受けて行ったことだから、そういう前提であのケースについては言われたわけであります。しかし、いまの弘前の場合は、神社からの要請でないということは、いま言われたとおりでありますし、そして神社の大祭に参加をしておる。しかもその大祭という神社の行事、儀式に参加をしておる。それに参拝したというようなものじゃなくて、部隊の命令で行っている、こういうことになると、これは、ここへ参加する人は、命令ですから命令が出たら行かなければいけない、行かなかったら自衛隊法違反になる、こういう関係になって、強制されておるということになるわけです。こういう問題について、自衛隊の宗教、特に神道に対する関与という問題が起こってくると思うのですが、長官どうお考えになりますか。
  264. 丸山昂

    ○丸山政府委員 ただいまの青森県の例でございますが、式には県知事の代理、それから弘前の市長が出て、霊に対する哀悼の辞を述べておられます。それから、この式典の運び方でございますが、のりとと読経が並立して行なわれております。それから玉ぐし奉賛と焼香が並立して行なわれておるわけでございまして、いわゆる一つの宗教に偏したという形式ではないということでございまして、地方公共団体が行なっておる慰霊祭であるということと、それから——失礼いたしました。いまのは間違いでございまして、遺族会でございまして、それに地方公共団体の方が参列をされておる。それから式のやり方も、いま申し上げましたように、一つの宗教儀式に偏した形ではないというようなことがございます。  まあ、いずれにいたしましても、私どもは、これには、先ほど一番最初に申し上げましたように、お手伝いをするということであって、その行事自体の主催者もしくはそれに準ずる参加者という形ではございませんで、憲法違反の問題については、問題にならないというふうに考えておるわけでございます。
  265. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、あなたのほうが認められたように、護国神社のほうで来てくれと言われたものではないので、遺族会が慰霊祭を行なうということで、遺族会の御主催に対して協力を申し上げたということでありますから、直接の宗教活動に援助したということではないのじゃないでしょうか。
  266. 東中光雄

    東中委員 これは、護国神社の例大祭ですよ。護国神社の例大祭で遺族会が主催しているわけです。それはそうですよ、主催はどこかありますよ。しかし、例大祭であることは間違いない。
  267. 山中貞則

    山中国務大臣 神社のほうは招かなかったと言っているんでしょう。だから、遺族会の方が主催されて行なわれたわけですから、場所が護国神社であったということでありますが、遺族会が音楽隊を出してくれとおっしゃれば、それがいかぬかどうかの問題は、宗教活動と関係ないと思うんですね。
  268. 東中光雄

    東中委員 護国神社から要請をしたのではなく、来てくれと言ったのではなくて、自衛隊のほうから護国神社のほうへ、そういうふうに軍楽隊として参加をするということを言ってきたから、それじゃ来てもらいましょうということになったのですと、こういうことですよ。そういうふうになるに至った経過は、主催者である遺族会が自衛隊要請したという経過はあるでしょう、しかし神社との関係からいえば、神社に対しては、自衛隊のほうから言われて、神社のほうは来てもらうことになった、こういう経過です。  それで、護国神社の大祭に焼香もやったというわけですか。そういうことですか。
  269. 丸山昂

    ○丸山政府委員 そのとおりでございます。焼香、読経というのが、あれに入っておりまして、これは全部、やはり遺族のいろいろ御意向をくんで、遺族会御自身でこういう計画をお立てになったのではないかというふうに考えております。
  270. 東中光雄

    東中委員 津市の地鎮祭の判決、御承知だと思いますが、名古屋高裁の判決があります。これを主催をしたのは津市です。そういう行事を催したのは津市で、その地鎮祭という式を神式で主宰したのは、要するに式を進めた人は神主さんです。それについて名古屋高裁の判決では、「当該行為の主宰者が宗教家であるかどうか」、「当該行為の順序作法(式次第)が宗教界で定められたものかどうか」、「当該行為が一般人に違和感なく受け容れられる程度に普遍性を有するものかどうか」ということ、この三点から見て、違う宗派の人、違う宗教を持っている人から見たら、そういうやり方には賛成できないというふうに考える人がたとえ少数でもあれば、それは違和感なく受け入れられる程度に普遍性を持っているものとはいえない、これは信教の自由からいったら当然そうなるわけです。そういう観点から、地鎮祭は津市が主催をした、地方公共団体が主催をした、それは憲法違反である、そういう判決が出ておるわけです。  そういう点からいえば、これは自衛隊特定の宗教法人の宗教儀式に、式次第の進行を進めていく側に参加をしているということ、それを宗教行為でないとか、宗教儀式に国が関与したものでないというふうなことを言うとすれば、その防衛庁の見解というのは、むちゃくちゃということになるわけですね。そういうむちゃくちゃなことであるからこそ、先ほど言ったような、隊員は命令であっても強制されないというふうな論理が出てくる。これは体系的に大きな問題を持っておるので、ひとつ長官、根本的に考えてみられるということはないですか。
  271. 山中貞則

    山中国務大臣 自衛隊としては、どうだということになりますと、自衛隊の一番の姿勢を示すものとして、毎年一回、慰霊祭を行なっております。いわゆる自衛隊の殉職者の新たなるみたまを祭る、そして、すべての殉職者の霊を慰める儀式をやっておりますが、それは既存のいかなる宗教の形態にも属しない、全く宗教色のない形で、私肩身がとり行なったことの経験を持っておりますが、何式でもない、ただ殉職隊員の霊よ安らかと祈る、そういう式をやっております。ですから、自衛隊としては、ちゃんとそういうけじめを持っておりまして、自衛隊姿勢は、それによって明確であると考えます。
  272. 東中光雄

    東中委員 自衛隊は、特定の宗教の方式によってはやらない、ところが、自衛隊が命令で特定の宗教の宗教儀式に参加をしているという場合が、いま命令で行ったというのが二カ所出てきているわけですね、式次第に参加しているのですから。そういうことについて、自衛隊自体として考えておることと、個々の宗教法人の宗教活動に関与するということとは、明らかに私は矛盾しているように思うわけです。  八月十五日の総理なんかの、あれば追悼式——追悼ということを、はっきり言っていますね。これは戦没者をしのぶというのですか、いたむというのですか。要するに慰霊とは言ってないですね。戦没者の慰霊とは言っていないのです。明白に区別をしています。私、「追悼」と「慰霊」とどう違うのかと思って字引きを引いてみたら、「慰霊」は「死者の霊魂を慰めること。」とある。それから「追悼」は「死者をしのんで、いたみ悲しむこと。」、こういうふうにいっております。だから、後者の場合は、宗教的概念というのは全然入ってこないわけですね。だから、天皇が関与する、あるいは総理大臣がやっているというやつは、その点は、はっきりと「追悼式」と書いてある。自衛隊の場合も、殉職者、公務でなくなった場合に、追悼式をやっていますね。だから、宗教的な概念からはっきりと違うものとしてやるということになっているわけですね。  ところが、特定の宗教法人の行動自衛隊が参加して一緒にやっていると、一般の人から見たら、自衛隊がその宗教の活動に参加していることになりますね。だって神主さんと一つのセットになって式を進めているわけですから。神主さんがとびらをあける、そのときにおごそかに演奏するという形になるわけですから。そういうのは、その宗教に関与することになるのではないか。これは、すらっと見たら、だれだってそう思いますよ。遺族会が遺族会として慰霊祭をやられる、それはけっこうなことであります。遺族の人たちが、その信仰に基づいて、あるいはその信条に基づいての慰霊をされる、あるいは追悼をされる人もあるかもしれない、それはけっこうであります。しかし自衛隊が隊として、命令でそこへ参加するというのは、これは靖国神社でやれば、大きな問題になりますよ。事柄の性質は同じでありますから、慎重にやるということでひとつ検討をされるつもりはないですか。やはり依然としてやっていく……。
  273. 山中貞則

    山中国務大臣 神社、仏閣その他の宗教の社祀、そういうところにおいて、それぞれの宗教団体が行なうものに自衛隊を派遣することは、これは、いけないと思うのです。しかし主催者団体が、少飛会とかあるいは遺族会というものであります場合は、あながちそう宗教活動に参加しているといわれる概念の中にぴったり入るかどうか、これは議論の分かれるところだと思いますし、私たちはそうは思わない。  私も三十七師団戦友会会長で、毎年秋に靖国神社で慰霊——これは私ども、慰霊と言っておりますが、自衛隊の場合、追悼です。防衛庁長官になりましてからも、昨年行ないましたが、これは私が祭文を読み上げますけれども、国務大臣とも防衛庁長官とも言いません。ただ山中貞則であります。ですから、そこは、もう個人の資格でやっておりますし、そこらのところは、だから、神社、仏閣その他宗教団体の象徴的なものであるところで、宗教的な儀式で行なわれるものに直接自衛隊が主催、共催あるいはまた協賛、後援という形をとってやる場合は、これは、やはりいけない範疇に属すると私は思うのです。まあ、せっかくの長時間にわたる御意見ですから、そういうことのけじめがわかるようなことに、誤解を招くようなことのないように改良してみたいと思います。
  274. 東中光雄

    東中委員 それともう一点、先ほど言った、自衛隊員に宗教上の行為、儀式に参加することを、命令で強制することはできない、それはしないということでございますね。その点、もうちょっと……。
  275. 山中貞則

    山中国務大臣 だから、宗教団体がその宗教の象徴である場所、神社、仏閣、社祠等、そういうところでやる行事に、自衛隊が国の機関として参加することは、憲法上も認められない、そう思うのです。ですから、それは明白であります。その他の民間団体が、あるいは生き残りの戦友会とか遺族会とかいう方々がおやりになる場合に、それにも参加していけないかどうかは、議論の分かれるところであろうということですね。あなたは、それを問題があるとおっしゃる。私どものほうは、その程度ならば問題はないではないかと言っておるわけですけれども、しかし、これは事、憲法の基本にかかわる問題でありますから、国の機関としての自衛隊でありますし、せっかくの御提案でありますから、私としても、もう一ぺんどういうことにいたしますか、慎重な検討を加えてみたいと思います。
  276. 東中光雄

    東中委員 私が最後に言うたのは、憲法二十条との関係で、「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」、自衛隊員も空教上の行為、祝典、儀式、行事に参加することは強制されない。したがって、命令で行事への参加ということは、これは国家機関としてではなくて、自衛隊員として強制されないという意味で命令されない、命令というのは強制することですから。そういうふうに、さっき官房長は命令を出さぬようにしておる、こう言われておったわけですけれども、命令を出さない、強制しないということだというふうにお聞きしてよいのかどうか。
  277. 山中貞則

    山中国務大臣 それは、憲法で定められている最も大切な個人の基本的な権利の一つですから、それを越えてその他の国内法が存在することはできません。でありますから、それを強制することは、もちろんできません。
  278. 東中光雄

    東中委員 くどいようですけれども、隊として参加するように隊員に命令をすれば、それは強制になる。命令というのは、命令に反したら自衛隊法違反で、行政上あるいはその他の処分がされるわけですから、そういう意味では、そういう命令は出せないということですねということを、確認をしておいていただきたい。
  279. 山中貞則

    山中国務大臣 これは今度は、憲法第二十条第三項の「國及びその機關は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」ということで、さらにきちんと、国の機関としてとしてありますから、したがって、われわれは国の機関の自衛隊として宗教活動その他のことには参加してはならぬし、してはならない。ましてや、個人の基本的人権の一つである二十条の二項、「何人も、」ということは、当然その前提となっておるので、それを越えて自衛隊法の行使はできない、それは明確であります。
  280. 東中光雄

    東中委員 だから、命令はしないということですか。
  281. 山中貞則

    山中国務大臣 だから、申し上げておりますように、いずれであっても、宗教の団体が、宗教の本拠である、あるいは象徴であるところで、その宗教のために行なわれる儀式等については、これは隊の命令そのものを出すことができないわけです。出してはならないわけです。そういうことです。
  282. 東中光雄

    東中委員 だから、宗教上の行為、祝典、儀式または行事に参加する命令は出せないということでございますね。
  283. 山中貞則

    山中国務大臣 それは、憲法の命ずるところでありますから、そのとおりであります。
  284. 東中光雄

    東中委員 それで、結論的に申し上げておきたいのですが、護国神社の式に参加をする、要するに大祭であれ主催者がどこであれ、その儀式自身が宗教上の儀式であるという場合には、あるいは宗教上の行事であるという場合には、それは何人も、それに参加することを強制されないというのが、憲法の命ずるところでありますから、自衛隊も当然、そういうことはできないということになるわけですね。
  285. 山中貞則

    山中国務大臣 それが違うのであって、あなたも言われたでしょう、護国神社側は要請しなかったとおっしゃったでしょう。だから、遺族会にお願いしますと言われて、そして部隊で検討して、遺族会のそういう行事に音楽隊を出して差しつかえないと判断したわけですから、したがって、それは遺族会との関係であって、神社側は呼んでもいないのにとあなたもおっしゃったのだから……。神社側が呼んだ場合には、神社の例大祭に参加してもらいたい、こう言われたら、これは正式にお断わりする以外に道はない、こういうことであります。
  286. 東中光雄

    東中委員 神社が呼んだら断わる、しかし自衛隊が、主催者から言われて、そして神社が儀式を主宰するんですからね。その神社の主宰する宗教的儀式です。この主催しているほうの遺族会は、宗教上の儀式を主宰しないわけです。そういう儀式をやることの全体を催すわけですね。その宗教上の行為、儀式あるいは行事を、実際に動かしていくのは——これは護国神社が空教上の儀式としてやるわけです。地鎮祭の場合を考えたら、非常によくわかるわけでしょう。津市がやっても、津市が神主さんを頼んできて、そして特定の場所へ来て、神社じゃないわけですが、そこでおはらいをやったり、何かいろいろ儀式をやったわけですね。それは主催者は津だけれども——地鎮祭の儀式は、いろいろやり方があります。宗教的に全然関係のない地鎮祭のやり方もあります。それを神式でやったということで問題になっているわけです。  その神式でやることについて、宗教上の行事、式次第に自衛隊が参加するということは——あるいは自衛隊員でなくとも、だれでも強制的に参加させられるということはない。参加したいという人は、自由に参加したらいいわけです、神社側が承知すれば。神社側が承知しなければ参加できないわけでしょう。ところが、これは自衛隊が、主催者である遺族会から言われて、それで神社側へ申し入れて、神社側も、そう言われるなら一緒にやってもらいましょうということで軍楽をかなでた、こういう経過ですから、宗教儀式に参加しているのです。これは、どうも「シュサイ」ということばが、音が一緒で字が違う、そして趣旨が違うということがあって、混同することもあるんですけれども、これは慎重に検討してもらいたい。  私は、きょうは法制局を呼んでいなかったから、場合によっては法制局の見解も聞いて、これは、はっきりせにゃいかぬ、こう思いますので、検討をしていただきたい。
  287. 山中貞則

    山中国務大臣 それは、法制局も呼んでもらってけっこうでありますが、護国神社で場所を借りて、遺族会が行なわれたのであるという証拠は——神社の中でお坊さんによる読経、焼香等もやったというのですから、これは、やはり何といっても神社主宰じゃないでしょうね。だから、遺族会はいろいろな宗教の方がおられるから、神社でやっても仏壇と焼香と読経、僧侶、そういうものをそろえたわけでしょう。(東中委員「神社に仏壇ないでしょう」と呼ぶ)どうですか、よくわかりませんが。ですから、そういうものがいいか悪いか、議論があるところであろうと私、言っているのです。  しかし、はっきりしていることは、憲法の条章を踏まえても、どの宗教であっても、宗教の団体が、その宗教の社祠もしくはシンボル的な場所においてとり行なう宗教の儀式に、国の機関である自衛隊が、命令等によって、それに対して参加することは憲法違反である、こう申し上げているのです。
  288. 東中光雄

    東中委員 検討もするということでありますから、要するに具体的な実態に即して、先ほど何か主催、協賛、何とか、そういうことになれば問題だということも言われましたから、そこらの点も、ひとつはっきり御検討されて、憲法二十条に違反するような国家機関の宗教関与に絶対ならない、そういうことはしないというような具体的なものを示してもらいたい、こう思います。  次の問題に入りますが、この前決算委員会で、ちょっとお聞きした「精神教育参考資料の総点検について」という、四十九年二月十六日の次官通達に関連してでありますが、ここで「整理基準の細目を例示すると、」ということで、九項目があげられているわけでありますが、「特定の主義思想の否定」、あるいは「軍国主義の是認」、あるいは「特定政党を支持し、又は誹謗すること」、こういう文書、書籍、参考資料は、整理するということであります。  これは、参考資料についての問題ですが、精神教育教育の方針といいますか、あるいは講師の選択といいますか、そういう観点から見ても、この基準は、やはり一つの基準として考えておられるのかおられないのか。これは確かに、参考資料の整理基準として出されているわけですけれども、精神教育を隊務としてやられているわけですから、それをやるについての、内容的にこういうことはやるべきでないという基準にもなるのかならないのかということを、お聞きしたいわけです。
  289. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、精神教育の資料としての問題は、やはりきちんとしなければならぬということは、私も同感しましたから、もう間もなく済みますが、目下整理中であります。ただ、いろんな人の話を聞くということは、これは一般の町で売っている図書その他の購入等も自由でありますし、閲覧も自由でありますから、極端にあの人の話を聞くななんという人がおれば、問題だと思いますけれども、そういう非常識なことは、あまり考えられませんし、講師の話の内容とか講師の選定の基準とか、そこまでは私のほうとしては、基準を定めるつもりはありません。
  290. 東中光雄

    東中委員 たとえば、いまこの基準に該当するものとして排除された書籍があるとしますね。整理された書籍がある。ところが、その書籍の著者を呼んできて、それと同じような話をしているということになったのでは、これはナンセンスということになりますからね。そういう点を聞いているわけです。いままでのものでいえば、実は講師を呼んでいろいろ話がある、その講演の内容を、今度はプリントして冊子にして隊員に資料として配る、こういうこともやられているわけですね。だから、ここの基準に書かれておるようなことに該当する資料は、参考資料としては廃棄するということであれば、その基準に該当するような話あるいは教育というものはやらないということに当然なるような気がするのですけれども、そうではないのかどうかということなんです。
  291. 山中貞則

    山中国務大臣 それは、参考資料もそうするのですから、教育はそのとおりです。しかし、いろんな人の話を聞かしてやるということは、これは必要なんであって、いまおっしゃったように、それを一々印刷をして配るという行為は、やっぱりよしあしですから、そこら辺は検討中ですけれども、いろんな知識の、いろんな角度からの人の話を、耳で聞くということは、やっぱりあったほうがいいのじゃないかと思うのですけれども、あの人はこの基準に該当するからだめだとかなんとかいうことは、そういうことはなかなか言いにくいと思うのです。
  292. 東中光雄

    東中委員 それじゃ、逆にこう聞きます。自衛隊の精神教育の中で、特定政党を批判するというふうなことを、講師を呼んできてやるということは、自衛隊としての精神教育という科目を設定されている防衛庁長官として、精神教育の中身として、そういうことをやっていいというようにお考えになっているのか、それは悪いというふうに考えていらっしゃるのですか。
  293. 山中貞則

    山中国務大臣 自衛隊員特定政党を支持し、もしくは誹謗し、その他の政治活動を行うのは禁止されております。しかし、いろいろな人の話を聞くという場合において、その人の話が始めから終わりまで全部、一つ政党を攻撃するためにのみ話をするというなら、これは、また考え直さなければなりませんが、話のどこかに、そういう政党の批判が入ったということでもって言われますと——いまサンケイ新聞とあなたのほうと何かやっておられるようですが、自衛隊員にはサンケイ新聞も読ましちゃならぬというようなことまでなってきますね。そういうようなものじゃないのです。それば講演は講演で聞かしてやったっていいじゃないですか。
  294. 東中光雄

    東中委員 私が言っているのは、自衛隊員個人として広く知識を持つ、そのために、たとえば「共産主義読本」とか「経済学批判」とか、こういう本も置いておいて、読みたい人は読むというように、大いに個人で選択をして読む、そういうふうにするというのは、これは私いいことだと思うんですよ。何もそれだけをやるというのじゃないのですが、広くという意味では、それは大いによろしいと思うのです。  ところが、私が言うのは、精神教育というものを、ほかではどこもやってないでしょう。自衛隊だけでやっているわけですよ。その自衛隊だけでやっている、精神教育の目ざしておるものは、何かということになったら、広く聞いたらいいと言われるけれども——特定政党を支持しまたは誹謗することはいかぬ、そういう参考資料はいかぬと書いてあるけれども、じゃ、特定政党をとにかく批判するということだったらよろしいということに——教育の方針ですよ、個々の講師を選択する場合に、当然出てきますからね。精神教育という思想教育のようなものがあるから、こういう問題が出てくるのであって、講師の選択が、いま長官の言われている広いほうがよろしい、いろいろなこと聞いたらよろしい、それはテレビを見ておれば、政党討論会をやれば、各党のやつも聞いているわけですから、それはそれでいいわけですよ。しかし自衛隊の中での精神教育という公的行為をやるのに、特定政党の批判をそこでやる必要があるのだろうか。むしろ個人の信条の自由あるいは政治的信条の自由というものを尊重するとすれば、自衛隊としては、そういうことには触れるべきでないのではないかということを言っているわけです。どうでしょう。
  295. 山中貞則

    山中国務大臣 ですから、訓練参考資料とかいうような問題になりますと、議論の余地が存在するということで整理をしますが、耳で聞く、そして判断は、各自衛隊員が個々の判断でするわけですから、その人が、たまたま一時間なら一時間の話をしているときに、そのどこかに、一分かあるいは行数にして一行半か、どこかの政党を批判したということで、その講師の全体がいけないのだというように言えるかどうかは、なかなかむずかしいので、話は気楽に聞かしてやるということがいいのじゃないかと思うんですよ。  ただ、それを印刷して、そしてまた配ったりすると、参考資料ではないが、やはり印刷物で渡りますから、そういうことば個々の耳で聞いて、その場で判断しても、それでも一過性のものであるというものとは、やや違いますから、そこらのところは、研究の余地があるということは私も考えます。しかし講師を選別するにあたって、基準を設けて排除する、この人は許容範囲という、そういうわけにはなかなかいかぬですよ。
  296. 東中光雄

    東中委員 話の過程で何か出てきた、自由民主党は名前と実態とが違うというような話がかりに出たとして、それを一々とがめて、どうこうということを言っているんじゃないわけです。ただ、特定政党を批判するという立場で教育をやるとか、そういうようなことであってはならぬということを言っているわけです。大体、長官も、それを前提にして話をされているように思うわけですけれども、それで、この前のときに、憲法に従ってということを、山中さんのほうから、だいぶ言われたわけですが、自衛隊の精神教育では、憲法のことを話をするんですか。憲法の講座というか、講義というか、そういうものはやるんですか、やらないんですか。
  297. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 防衛大学におきまして、法学の一環として憲法の講座がございます。これは全体で三十時間でございますが、これ以外の部隊あるいは機関では、幹部学校で十時間程度の部外講師による教育があるほかは、特に憲法と銘打って教育をしていることばございません。しかしながら、精神教育の中で、民主主義の考え方あるいは民主政治のもとにおける自衛隊のあり方、そういうような問題につきまして、隊員の理解を深めるために話をする、あるいはディスカッションをするということはございます。
  298. 東中光雄

    東中委員 その民主主義、たとえば言論の自由とか思想、良心の自由とか、さっきの信仰の自由とかいうふうなことは、憲法のたてまえなんですね。だから、憲法の中でいっている、たとえば平和主義とかあるいは議会制民主主義とか基本的人権尊重主義とか、そういう主義の内容を理解させるというのなら、これは、われわれもすなおにわかるわけですよ。  ところが、民主主義と共産主義との関係とか、民主主義と社会主義との関係とか、こういうことになると、全然違うんですね。要するに、思想を問題にしているわけですよ。憲法の平和主義はどうなんだというのだったら、これは憲法の理解であり、それなら公務員として当然やるべきことだ、こう思うんですが、この前示した「陸上自衛隊教育訓練実施に関する達の一部を改正する達」ですね、ここでいわれているような民主主義と共産主義、社会主義、全体主義との関係を理解させるということが、カリキュラムにあって、憲法の平和主義とか人権尊重主義とか議会制民主主義とかいうことを理解させるということには、全然なってないという点で、憲法に従ってやっているのだというのは、むしろ逆なんじゃないか。  社会主義や共産主義や民主主義やという非常に多元的な、いろいろな思想は自由だということを言っているのが、憲法の基本的人権尊重主義のたてまえなんですから、その特定内容について、それぞれの講師——講師というのか、自衛隊隊員教育をする担当者が、常識的な意味で民主主義とは何か、全体主義とは何かというような話をするというのは、これは、むしろ思想の自由にかかわってくる問題であって、憲法のたてまえ、憲法が掲げている主義、言論の自由を保障するという人権尊重主義、そういうものからいったら、まるっきり逆になっておる、こう思うのですが、いかがでしょう。
  299. 山中貞則

    山中国務大臣 そこらの点に問題点があるということを、おたくの党の松本善明君が指摘されましたから、私も、それの再点検をやろう、徹底してないようだということで、ことしの二月十六日に、私の決裁を経た事務次官通達を出したことは、もうお伝えして、お渡ししてありますが、その冒頭に、「自衛隊における精神教育は、憲法を尊重し、自衛隊法にのっとり、「自衛官の心がまえ」を基調として行われるべきものである。」、こういうふうに書いて、教育資料を作成する場合とか市販図書を購入して配布する場合とかいうようなことをいいながら、実施要領というものでずっと点検対象、整理基準というものをきちんと書いてございます。これは、もうお渡ししてありますから読みませんが、それでもって、「特定政党を支持し、又は誹謗すること」というようなものも、その中にちゃんと入っておりますから、今後は、これをきちんとやっていきたい、誤解を招くような点がないようにしていきたい、そう思います。
  300. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 前回、衆議院の決算委員会での御質問のときに、突然のお尋ねで私が確認をできませんでしたので、ここで前回、お引きになりました「達」の現状を申し上げますと、これは四十七年の教育関係資料の点検の考え方で達等も点検をいたしました結果、前回、先生がお読みになりました部分は、四十七年とそれから四十九年の二月に改正をされておりまして、たとえば陸曹候補生のところを申し上げますと、主要内容としては、「一、自衛隊の使命に対する誇りを核心とする堅確な志操、二、国家存立の意義及び民主主義の歴史、特性並びに民主主義と自衛隊」、あと四番目は、「集団安全保障体制と日本の国防方針及び中立主義の概容」、五番目が「陸曹の地位、職責についての自覚及び陸曹としての必要な徳操」というふうに現在は改正をされております。
  301. 東中光雄

    東中委員 いま言われたのは、ちょっと場所がよくわからないのですが、これは昭和四十五年六月三十日の達の一部を改正する達ですけれども、それの七、私のほうから申し上げますと、「生徒課程の教育基準 昭和四十五年三月二十四日以降に採用された陸曹候補生たる生徒に適用し、同日前に採用された陸曹候補生たる生徒についてはなお従前の例による。」ということで、生徒課程の前期で、目的のほかに教育実施上の準拠というのがある。この準拠の第二、第三学年というところについて、この前いろいろお聞きしたわけですけれども、この部分がどう変わっているんですか。
  302. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 その部分を申し上げますと、「第二学年、第三学年 一、自衛隊の使命の自覚、二、国家と国民の基本的関係及び民主主義の歴史、特性並びに主要な国内情勢と世界情勢の概要、三、国防の重要性及び日米安保条約の概要、四、国民としての道徳心及び自衛官の心がまえ。」、このように直っています。
  303. 東中光雄

    東中委員 それは、全面的改定ですね。それは、いつ改定されたのですか。
  304. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 一度は四十七年の三月、二度目の改正が四十九年の二月でございます。
  305. 東中光雄

    東中委員 それをもらえますか。(山中国務大臣「ちょっとお目にかけますよ」と呼ぶ)そうすると、前のときには、たとえば「国内の治安情勢の概要」というのがあったのですが、今度はなくなっている。教育内容も変わるわけですね。私たちは、この間、時間がなくて聞かなかったのですけれども、「国内の治安情勢の概要」ということになれば、どこが把握する治安情勢なのか、警察なのかあるいは自衛隊独自でやるのか。そういうものの教育ということになったら、これは相当的確なテキストでもない限り、全くばく然としたものになるということで、概要をお聞きしたいと思っていたのですが、そういうカリキュラムというか、これは、なくなっちゃったということですか。
  306. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 そのとおりでございます。
  307. 東中光雄

    東中委員 これは、ことしの二月に、現在ここに書かれているようなふうに変わった、最終的にはこういうことですね。そうお聞きしましたので、あとで検討させてもらいたいと思います。  それから、もう時間がありませんので、長官がこの間、決算委員会で、京都でまいた共産党のビラのことについて言われたので、ちょっと聞いておきたいのですが、ビラを持ってなかったので、私のほうはわからなかったのですが、どこが事実と違うとおっしゃるのですか。
  308. 山中貞則

    山中国務大臣 「隊員の転職に責任をもつ」という最後のところの中で、「自衛隊員の味方顔している自民党政治のもとで隊員、とりわけ曹の人たちは、子どもさんも小さい四十歳台で隊をやめさせられることに、つよい不安をもっているではありませんか、生活に不安のないのは、軍需産業に天下りできる高級将官だけです。日本共産党は、みなさんの将来にあたたかい手をさしのべているのです。」、たいへんソフトなことなんですが、しかし私が事実と反すると言ったのは、それは昭和四十九年度予算編成の際において、四十三歳、四十五歳停年は、ここで共産党さんから、こういうふうに丁寧に呼びかけていただかなくても、私も同じように心配しまして、だから、生涯自衛隊で送るというには四十三、四十五という停年というのは、あまりにも酷であるということで、しかも本人が継続する御意思がある場合は、つとめられる年限というものを考えなければいけないというので、二佐以下と並べて五十歳まで全員がいけるように、予算定員措置その他をいたしました。  でありますから、現実にその問題は消えている。ただ、自衛隊法政令の中で、いろいろな付表についております中のたんざく部分ですね、これを、まだ手続として済ましておりませんので、あるいはそこらのところをお間違いになったのではないか。しかし事実と違うのは、確かにそこの点であります。
  309. 東中光雄

    東中委員 これは、公式に出ている文書というか、たとえば「防衛六法」とかいうものでいえば、四十三歳、四十五歳、五十歳ということになっていますね。まだ、そういう出版物についての整理がされていない。われわれが四十歳代といったのは、五十歳といったら五十歳になると停年ですから、五十歳に達したときですから、四十九歳までしか仕事できぬわけです。だから、四十歳代である。どっちにしても、事実を間違っていっているというような問題じゃなくて、四十歳代といっている趣旨は、四十九年度に変えるということになったばかりでしょう。しかも五十歳停年というのは、ほかの職種からいっても、非常に早い停年であることは間違いないわけです。いま大体、五十五歳から六十歳あるいは六十五歳というようなことまでいわれておるときでありますから、曹の場合は早いということは、一つも間違っていないわけでって、ただ、こういったいわば制度の変わり目であったということで、趣旨自体は、共産党のいっていることが間違っておると言われるような、そういう性質のものではない。  それから、選挙の政策を自衛隊員に訴えるということは、自衛隊員が、それぞれの政党なり社会団体なりの広い正確な見解を知るということは、これは、いいことなんでしょう。長官の、識見を広める、そういう立場からいっても、精神教育の立場からいっても、それは、いいことであるはずなんですけれども、そうじゃないですか。
  310. 山中貞則

    山中国務大臣 私は、悪いと言っておりません。私は、あのときびっくりしたということを言いました。野党、相当正面に出てこられたなという感じですね。「自衛隊員と家族のみなさんに」というチラシですからね。そして「この参院補選のなかで、自衛隊員やご家族のみなさんも、」ということで呼びかけをしておられるわけです。それを舞鶴とか福知山とか、あっちにもこっちにも各戸に投げ込んで、そして、あくる日回っていってきのうのビラの感じはどうですかと言う。そういうことまでなかなか巧妙におやりになる。(東中委員「巧妙とは何ですか」と呼ぶ)それは私のほうから見てですよ。おやりになる、ただ、自衛隊員中立性というものは、そういうふうに政策的におやりになることについては限度があろう。私どもも、それに対しては中立を守るために防衛をしなければならぬ、こういうことにもなるということなんです。  そのことは御自由ですから、かまいませんが、しかしいまの四十歳というのは、ちょっとあなたのほうが苦しいですよ。五十も四十代のところに入るんだからと言う。これは二佐以下と同じ退職年齢になりましたから、いま御好意のある発言ですから、私も来年あたりから二佐あたりも、頭のほうももう少し停年を延ばしてやりたいと思っております。実際に気の毒です。そういうように思っておりますから、その点は御声援をいただいてたいへんありがたいのですが、京都の参議院補選のときですから、ことしの予算は通っておるわけですよ。その予算の中で私は話もしておるのです。四十歳代停年は、処遇改善の一環として今度なくなりました、そういうことを言っておるので、私としては、これは事実と違っておると申し上げたのは、その点であります。
  311. 東中光雄

    東中委員 いま、防衛庁長官として自衛隊員中立を守らなければいかぬから、防衛せねばならぬということを言われましたけれども、何を防衛されるのですか。自衛隊員政党支持の自由、これは自衛隊員が自分の支持政党をきめるために、それぞれの政党の政策なり考え方なりを聞く自由です。隊としてはでなくて、隊員はそういう自由を持っています。その自由を行使することをじゃまするというのじゃないんですね。それじゃ何を防衛されるのですか。
  312. 山中貞則

    山中国務大臣 それは、共産党がおっしゃっておることは、私たちとしては、客観的に見て正しいと思わないのです。「自民党の宣伝とはちがう共産党の政策」、「米軍との関係をたちきる」、「民主主義を尊重する隊員教育を」、「隊員の転職に責任をもつ」、中には、いまここに持ってきておりませんが、皆さんの御支持を共産党へでしたかな、なんとかいうところまでいっておられますね。しかし、それは御自由なんです。  しかし、われわれとしては事実と違う、米軍のためにおまえたちが——何と書いてありましたかな。「自衛隊がこうした米軍によってつくられ、育てられ、事実上掌握されている軍隊であることは、だれよりもみなさんがいちばんよく知っています。」、「一般隊員にはもちろん、下級幹部にさえかくしながら、米軍と自衛隊の高級司令部のあいだで、自衛隊をアメリカの侵略戦争にくみこむ危険な作戦計画がいろいろとねられています。」、「自衛隊がアメリカの侵略戦争に動員され、国民を侵略戦争にまきこませないようにするためには、いっさいの日米軍事とりきめを破棄し、自衛隊と米軍との協議、連絡、交流、共同演習など、いっさいの関係をうちきることが大切です。」、これは、ここだけ取り上げたんですよ。ですけれども、これは事実と違うのです。(東中委員「そのとおりですよ」と呼ぶ。)あなたたちがそう思っていらっしゃるのは、御自由なんですよ。しかし、それは客観的な事実と違うので、米軍が自衛隊に指揮命令権を持ったり、あるいはそういうことが事実上行なわれたりということは、これは何もありませんし、また日本の政治にも関与しておりません。  また、もう一つのほうは、「アメリカのための自衛隊」とか「国の安全をおびやかす日米軍事同盟」、「真に独立すれば「中立・自衛」で守る」、「あなたの支持を日本共産党へ」、こういうようなものもあります。ですから、あなた方としては、そう思っていらっしゃってけっこうです。しかし事実がそのとおりであるというのには、ちょっとかけ離れていますから、ここらのところが、われわれいつも国会で議論する分かれ目なんですから、われわれはそう思ってないので、思っていないという以上、私どもがこれを防御するということは、こういうことを共産党のビラで直接自衛隊員と家族に呼びかけておられるが、しかし事実はそうではないということを、当然言わざるを得ない。それが、ある意味の防御という意味です。
  313. 東中光雄

    東中委員 それは、当然言わざるを得ないというのは、自由民主党としてですか。防衛庁長官あるいは防衛庁、要するに国家機関としてそういうふうに言わざるを得ない、こういうことですか。
  314. 山中貞則

    山中国務大臣 自衛隊は自由民主党のものではありません。自衛隊というものは、特別職でありますけれども、国家公務員でありますから、したがって、国家公務員としての自衛隊の特殊な存在というものが、事実と違うことを自衛隊員と家族を相手に——それは行動されることは、御自由なんですよ。そういうことをされた場合に、事実と違う点は、私どもは、この点は事実と違うということを言うのは、あたりまえのことだと思うのです、全体として。  たとえば私は、いま隊を時間を見ては回っています。訓示しています。そして処遇改善の一環として、つとめたい者は、四十三歳、四十五歳停年はなくなった、安心して五十歳までつとめられるということを言いますよ。しかし、そのときでも、共産党はこういううそを言っているということは、私は言っていません。いまのところ言っていませんけれども、これからあまり事実と違うことを言われれば、あれは事実と違う、そのときには、たいへん恐縮ですが、日本共産党の呼びかけているあのことは事実と違うということで、残念ながら、恐縮ですが、政党の名前を出さしていただく。いまは出しておりません。そういうことを言っているんです。
  315. 東中光雄

    東中委員 事実と違う、いまのその四十歳代というのは、過渡期の問題で、特に事実と違う——いわば制度が変わるときの表現の問題ということだと思います。あとのずっと部分的に拾い読みされた問題というのは、まさに評価、見解ですね。それの違いはある。それは共産党と自由民主党と違うことは、これはもう明白であって、一緒だったら、もう日本は変わっておるわけですから。だから、その点についての言論活動、政治活動というのは、それぞれの政党がやればいいことであって、自衛隊として特定の見解で、日本共産党の言っていることは、あれは違うのだというふうなことを国家機関として——評価にわたること、また体制に関することというようなのは、政治的な立場によってとらえ方が違うわけですから、それを間違っておるというふうに、防衛庁が防衛庁として、国家機関としてそういう行動を起こすということになったら、これは政治的中立から逸脱することになる。防衛庁が、国家機関が自由民主党の考えによって動いておるということになるわけですからね。そうでしょう。それは、むしろ政治的中立という点からいえば、明らかに逸脱しているということなんです。自由民主党の山中貞則さん個人がいろいろ言われるのはいいと思います。それから、自衛隊の方針を言われるのはいいと思います。しかし、ほかの政党の見解について、それは違うとか違わぬとかということを、行政府行政官として言われるということになったら、これは、その地位を利用しての政治活動になるんですよ。そうじゃないですか。  選挙におけるビラについて、国会で防衛庁として——いま言われた停年の問題は、まさに言われていること自体が、どっちもわかっていることですから、単なる表現の問題であって、それは事実と違うというふうに言っても、あれはこういう意味ですというだけのことであるから。しかし、それ以外のことについて言うならば、これは評価、政見に関することでありますから、それについての防衛庁としての行動というのは許されないというふうに思うわけなんですが、いかがですか。
  316. 山中貞則

    山中国務大臣 そういうふうにおとりになると困るのですが、たとえば「アメリカのための自衛隊」、これは違いますね。あなたたちはそう思っているわけです。(東中委員「と思っているんですよ、あなたたちは」と呼ぶ)いやいや、アメリカのための自衛隊じゃありませんよ。日本の国民のための、日本のための自衛隊です。(東中委員「だと思っているんです」と呼ぶ)いや、だから、それはあなたたちは御自由だと言っているんです。そして「国の安全おびやかす日米軍事同盟」、私たちは、そうじゃなくて、今日まで二十九年もの平和が続いたのは、このワク組みの日米安保条約の結果である、そう思っています。だから、それはあなた方のほうは御自由なんですけれども、事実は違うでしょう。しかし共産党のほうでも、おもしろいことも言っておられるんですね。「真に独立すれば「中立・自衛」で守る」、「そして将来、日本がほんとうの独立国、民主的な国になったときには。」とこう言っておられますが、私たちは、日本は独立国だと思っておりますが、共産党は独立国と思っていらっしゃらないんでしょう。「日本がほんとうの独立国、民主的な国になったときには、「中立・自衛」の立場にもとづき、必要最小限の軍隊をつくることもふくめ、」、これは共産党では軍隊を持つとおっしゃっているわけですね。「憲法上のあつかいを国民の総意にもとづいてきめようと、日本共産党は主張しているのです。」ということは、憲法改正ということもあるわけですね。だから、こういうところは、なかなかユニークなところですね。  ですけれども、事実と違うところを、そのままほっておくわけにいかぬです。アメリカのための自衛隊であるとわれわれが言われても、それでいいんだというならば、私がここで時間をかけて答弁する必要はないですよ。あなただけが言われて、私は黙って、防衛庁は無言のうちにそれを認めた、こういうことにしておけばいいわけですよ。しゃべって認めないというのは、あなたたちと私たちの見解が違うわけです。だから、アメリカのための自衛隊では断じてない。諸君は日本国民のためにのみ存在し、日本国の平和と独立を守るための、そして国家民族の生命財産を守るための存在であるということは——誤解するといけませんが、そういうことを言わなければならぬようになるということですよ、あまりおやりになると。そういうことを言っているわけです。いままでは、こんなことをされなかったんですね。
  317. 東中光雄

    東中委員 時間がなくなってきておるから、討論会みたいなことはやめますけれども、問題は、山中さんがそういう見解であるということは、これは共産党の見解と違う。自衛隊は、たとえば米軍基地を攻撃されたら、それに対しても防衛するということを言うんでしょう。そしたら、特に沖繩なんか見れば、米軍基地を守るのが、客観的には任務になってしまっている。これは事実なんだ。こうわれわれは考えている、全体を総合的に見て。それは見解の違いなんですよ。その見解の違いがあるから、だから、それぞれの見解を、国民にみんな知ってもらって、そして国民が判断をするということになるわけでしょう。民主主義というのは、そういうものです。  だから、防衛庁という国家機関は、どっちの見解がいいのかというようなことを議論するのではなくて——共産党の見解は間違っておるとか、自民党の見解はまるっきり間違っているのだというようなことを、かりに防衛庁が国家機関として言うとすれば、これは特定政党を支持し、また特定政党の政策に反対する立場を明らかにしていくことになる。民主主義の法治国家ですから、法律に従って行政をやればいいわけでしょう。そういう思想教育をすべきでない。それは、むしろ政治活動で、政治的中立性をなくしていくことになるのだ。与党側の見解を言うていくということになるわけだということを言っているわけです。  だから私は、私どもはというふうに山中さんが言われるときは、自民党としての私どもということを——政治家としての山中さん、もしくは山中さんと同じ考えを持っている人を私ども、こう言うているのは、これはいいと思うんですよ。しかし防衛庁という国家機関がそういう見解で、特定政党の見解を、あれは事実と違うのだというようなことを言うようなことになったら、これは公務員としては許されないことだ、この点をはっきりとしておきたいということであります。  それから、自衛隊員がそれぞれの政党の見解を聞く機会を持つこと、あるいはそれぞれの政党の機関誌を読むこと、これは自由ですね。それだけをひとつ確認をしておいてもらいたい。
  318. 山中貞則

    山中国務大臣 それは、もちろんいろいろな本を読むことは自由ですが、いま議論しておるのは私ですからね。防衛庁長官です。私は、日本国憲法のもとの文民たるべき要請を受けた防衛庁長官の職にある者として、防衛庁はどのような目的のもとに設置されておるのか、自衛隊目的は何か、これは自衛隊法第三条に書いてあるでしょう。そのことは、自衛隊法第三条は、国の平和と独立を守りという、もう言わぬでもいいことが書いてあるわけですから、そういう自衛隊法に基づいて設置されておるものであるにもかかわらず、アメリカのための軍隊だ、アメリカのための自衛隊だ、そういうことは事実と違うでしょう。法律にも背反する、法律と違うでしょう。だから、自衛隊法目的と違う。事実と反するということを、それは言わざるを得なくなる。いままでは、そういうことをなさっていらっしゃらなかったのですが、今度は組織的に、戦略的に、大々的におやりになるようですから、そうなると事実と違う点は、私どもも防衛せざるを得ません、そういう意味でも防衛庁でございます。そういうことです。
  319. 東中光雄

    東中委員 田中内閣は、物価値上げの内閣である、私たちはそう思うているわけです。あなた方は、そうではない、物価を下げるために一生懸命努力しているのだ、あるいは安定さすため、こうおっしゃるでしょう。それは、まさに見解の違いなんで、実際には性格からいえば、田中内閣は物価値上げ、大企業奉仕の内閣である、私たちはそう思っています。しかし、そんな内閣だと、自民党さんがそういうふうにいわれるとは、われわれ思うておりません。しかし今度は公務員が、自民党の見解でものを動かすということは、これは許されないということをはっきり申し上げて、時間が来ましたので、質問を終わりたいと思います。しようがないです。
  320. 山中貞則

    山中国務大臣 ちょっと待って。その田中内閣がどうであるとか、これは憲法にもどこにも、この内閣は物価を上げるために存在する内閣である、そんな設置の目的なんか書いてありませんよ、自衛隊の場合は、しかたがないからじゃ読みますが、自衛隊法第三条、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」ということがはっきり法律にも書いてある。そのもとに存在をするのですから、それが、いやそうではないのだ、第三条は偽りであって、アメリカのためにおまえたちは存在する組織であるぞという、こういうことを言われては、それは事実と違うと言わざるを得ないでしょう。そういうことを言っているんですよ。内閣の性格の問題なんかと違いますよ。
  321. 東中光雄

    東中委員 同じことなんですよ。そういうたてまえになっておるということです。自衛隊法にそうなっていることは、われわれは知っているし、そういうたてまえになっていることも知っている。しかし客観的には、違う方向へ動いていくということもある。それば、もう事実なんですね。  天皇は、現人神だという規定が憲法にあった。「神聖ニシテ侵スヘカラス」という規定があった。だから、天皇は神聖にしておかすべからざるものであったかどうか。事実は違いますね。憲法にそう書いてあるからそうなんだと言ったって、それは違いますよ。社会科学的に事実は事実として見る。われわれは総合的に、歴史的に事実を事実としてつかむ。その一部の中に、自衛隊目的自衛隊法ではこう書いてある、それも含めてそういう判断をしているわけであって、そこの見解の違いじゃないですか。それは見解が一致するわけがないですよ。一致したら、それこそ交代しますから。そういうことであります。
  322. 山中貞則

    山中国務大臣 私は、あなた方は御自由だと言っているんですよ。「赤旗」でどういう論説を出されようと、記事を出されようと御自由である。また、各戸投げ込みも、これは一般市民として、有権者として投げ込まれたんでしょう。しかし投げ込まれたのは、自衛官のうちばかりなんですね。そこまできますと、皆さんの支持は共産党へというところまできますと——それは選挙運動ですから御自由ですよ。ですけれども、その前提はアメリカのための自衛隊、そんなことは法律のどこにも書いてないですよ。事実関係でもアメリカの指揮命令系統を受けることは、全然ありませんよ。そういうことを考えて、事実と違うことをあまりしつこくおやりになると、私どもも防衛せざるを得ない。まあ、いまのところは、この程度ならばたいしたことはないと思うんですよ。
  323. 東中光雄

    東中委員 われわれは自由だ。自由民主党もそういう政治活動、言論の自由を持っておる。しかし公務員は政治活動の自由はないということを言っているのです。(山中国務大臣「自民党の意見、広告にあなたたちは文句があるんでしょう」と呼ぶ」それはまた別の話です。   〔発言する者多し〕
  324. 徳安實藏

    徳安委員長 静粛に願います。
  325. 東中光雄

    東中委員 だから、政治活動の自由と、そして公務員の政治的中立、これは公務員の政治的目的を持った政治的行為制限があるんだから、そういう観点から防衛庁の職員といえども公務員だ、だから、特定政党の見解に対して違う見解を、自由民主党・与党が持っているからといって、そういう活動をすることは、それは政治活動になるから許されないという点を、はっきりと指摘しておきたい、こういうことです。質問を終わります。
  326. 山中貞則

    山中国務大臣 だから、指摘されても御自由であるし、何をおやりになっても御自由であります。しかし自衛隊というものを、アメリカのための自衛隊だとか、そういうことをあまりおっしゃると、私たちのほうは、自衛隊法第三条その他を引用して、あれは間違っておるということを言わざるを得ないわけですよね。それは事実なんですから、法律があって。したがって——もうこれ以上やってもしようがないのですけれどもだから、あなたはあなたの御意見。しかし自衛隊法の示すところに存在する自衛隊というものは、法律のもとのきちんとした根拠のある存在であって、というところまででやめておきますか。
  327. 東中光雄

    東中委員 やっぱり地球は回る。われわれの言うておることは、やっぱり地球は回るということになるわけです。  終わります。
  328. 徳安實藏

    徳安委員長 鈴切康雄君。
  329. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大臣、引き続いてどうも御苦労さまです。  私がきょう取り上げる問題は、つい最近大臣が、「昭和五十年度の業務計画の作成に関する長官指示」というのをお出しになりましたが、その内容について、まずお伺いをしたいと思うのであります。引き続いてFXの問題を、これは時間がかかりませんが、若干やりまして、そのあと日米安保条約と基地の問題について、基本的な考え方をお伺いしたい、こう思うわけです。  そこで、きょう私は、防衛論争を大臣とやるというのでなくして、また、それは機会を見てやるとしても、一それぞれ安全保障の問題防衛の問題というものは、その党その党においての考え方もあるでありましょうし、よりベターであるということは、国民の方々が判断をする問題でありますから、その問題は別といたしまして、少なくとも「昭和五十年度の業務計画の作成に関する長官指示」が出たということは、私は、それなりの見識のもとに出されたというように判断をいたしております。そうなりますと、やはり今後、各局において、それなりの作業にかかるわけでございますので、長官の考え方を明らかにしていただくということは——これが昭和五十年度、五十一年度の四次防、またさらに五次防と引き続く考え方に発展をしていくわけでございますので、そういう意味において、私、きょうは長官と少し論議をしたい、こういう考え方でございます。  初めに、この「昭和五十年度の業務計画の作成に関する長官指示」が出されたことにつきはしては、その基本的な考え方について長官の御所見を伺っておいて、それから中に入っていきたいと思います。
  330. 山中貞則

    山中国務大臣 お手元に資料がございますので、読み上げることは省略いたします。  まず、最も私が基本的に踏まえておる五十年度予算の編成に着手するにあたっての姿勢と申しますか、スタンスと申しますか、そういうものは、今回は単に昭和五十年度の予算の要求のための作業であってはならない、要するに四次防の五カ年計画の第四年度ではあるが、それだけで切り離して、昭和五十年度予算だけを考えてはならない。   〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕 したがって「計画策定に当たっては、」、残り二カ年でございますから、「二か年度を見渡すとともに、今後の経済財政事情を勘案しつつ、現実的な観点に立って着実かつ円滑な防衛力の整備に努めるものとする。」、また「内政の年」云々は、これは直接のあれではありませんで、自衛隊のいろいろ問題の長い惰性を洗い直してみようという作業を引き続きやる、そういうような意味でございますから、問題点は、そこのところだろうと思うのです。  ということは、何を意味するかと申しますと、たとえば、ことし御承知のように、見送った分もございますし、残り二年間であるから四次防に残されたものの真半分を、単純に二分の一を、昭和五十年度予算に要求するというような機械的なものであってはならないということが第一ですね。したがって、そのことは、昭和五十一年度、四次防最終年度ともなるべき五十一年度を展望して、踏まえた上で五十年度の予算要求というものを考えなければならぬ、こういうことになります。  しかも、それを今度は、さらに具体的に計算作業をするにあたって、「今後の経済財政事情を勘案しつつ、」ということは——日本の経済指数というものが、まだ出そろっているとは私は見ておりません。これは、私、経済閣僚ではございません。しかし閣僚の一人として、日本経済の基礎的な諸指数と申しますか、そういうものをなるべく早く出して、そして日本経済の体質というものを、はっきり国民に示す時期はそう遠くないと思うのでありますが、その上に立って予算編成が行なわれていくであろう。それがどのような状態になるかは、これから電力、鉄鋼、セメントその他数多くの基礎物資その他によって、日本経済の貿易あるいは外貨、国内の国民総生産あるいは自然増収、予算の規模、こういうものが次々と出てくるわけですが、そういうことをよく念頭に置きながら、そして現実的な観点に立って「着実かつ円滑な防衛力の整備」につとめようということでありまして、いまのその諸指標から見て、現実離れしたような予算要求を——査定はまたあるわけですけれども、要求自体が、そういうものであってはならぬということを言っているわけであります。  したがって、四次防というものがあと二年である、そしてその最後の一年を余す残り一年が昭和五十年度である、その意義を重大に踏まえなさい、かといって、しゃにむに残ったものを、二分の一単純に計算しなさいということを言っていない。ということは、四次防を最終的にどうするかという問題も若干議論をしたい。これは、まだ五十一年度予算がありますので、最終的な結論にはならぬと思いますが、そのことも過程としては議論をして、そして、それに基づいて五十年度予算を編成しようではないかということを言っているわけでございまして、例年と著しくその点違っておるということは言えると思います。
  331. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防衛力整備計画をやる上においては、何といっても国際関係の見通しというものを、どういうふうに踏まえてやるかということが重大な問題になると同時に、国内経済の動向、物価の高騰等も含めてこれは考えなくてはならない問題になってくると私は思うのです。そういう観点からいきまして、いま私が申し上げました国際関係の見通しとか、あるいは国内経済の物価動向について、卓越した識見を持っておられる大臣は、どのように判断をされて、今度の五十年度からさらに五十一年度を見通しての二年間の、言うならば整備計画に当たろうとされているのか。  なぜ私が、そう申し上げるかといいますと、これは、もうそんなに時間がない問題であります。少なくとも防衛庁といたしましては、八月の概算要求というものが、もう目の前に迫っているわけでありまして、ここで皆さん方は、そのすべての作業に取りかからなければならないわけです。そういうことからいいますと、わずかの期間にこれだけのものを仕上げるについては、それなりの考え方というものがないと作業も進みませんし、また見通しということについて、たいへんに間違った見通しになってしまうような結果になるといけないのじゃないか、私は、こう思うのですが、その点どういうふうにお考えになっておられますか。
  332. 山中貞則

    山中国務大臣 私は、先ほど申しましたとおり、大蔵大臣でも経企庁長官でもありませんので、日本経済の価格体系が、たとえば九月なら九月明確になるというようなことをここで言うのは、私の立場からちょっとどうかと思いますが、一定のそういう時期が早く来ないと、国民も混乱しておりますし、そして国際経済の中で、日本経済がどのような価格体系の体質のもとで今後生きていくのかという問題がありますし——そうするとGNPから予算の規模から、さっき言ったようなことがずっと逐次固まってくるわけです。その際に、私どもとしてGNP対比の問題も必要でありますが、これは全部予算の規模に対比することでありますから——まず当該年度の、その年度の国民が負担する財源によって、歳出が組まれる国家予算の中に占めるウエートというものについては、防衛予算には限度がある。抽象的に言えば、将来の国民を育てる教育、あるいはおくれている社会資本の整備、あるいは社会福祉関係、いわゆる弱い立場の人たちに、これからスポットを当てていかなければなりませんが、そういう予算を組むにあたって、防衛費が大きくなって、それらに財源上支障が起こるというようなことは、絶対に避けなければならない一つの制約だと思います。  こういうことを考えますと、まず予算額にもおのずから限度があるであろう。それから、いま言ったような総予算の見通しも立てながら、なるべくその総予算対比というもののウエートをよく考えて、国民の了解し得る、納得し得る範囲のものにとどめないと、単純にことし見送った分まで含めて五十、五十一と割りますと、押せ押せで来ておりますから、相当巨額なものを予算に計上しなければ消化できないことになります。そこらのところを、あまりこだわらないで、昭和五十年度は現実的な予算というものをつくろうではないか、簡単に言えば、こういうものでございまして、いまここで私のほうから、どのような展望を持つかと言われますと、いまのところ各種の指標がまだ出ておりませんし、この段階では私の分野限りであっても、ちょっと御答弁いたしかねる要素が多過ぎると思いますが、姿勢はそういう姿勢でございます。
  333. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 八月は、概算要求をお出しになるわけでありますが、そのときには、少なくとも経済見通しというものの、それなりの動向を見ながら、防衛庁としては概算要求を出されるわけです。それについて、年末の言うなら大蔵省折衝時におきまして、政府としての経済見通しというものの明らかな指標によって、概算要求の部分は訂正をされるわけですけれども、もうすでに現在五月も半ばでございまして、そういう意味からいうならば、どういうふうな経済見通しをしながら、あるいは国際情勢を踏まえてやるかということは、かなり重要な部分となってくると私は思うのです。概算要求をするということから、さらに政府が決定をする間に、いろいろの折衝等があるにしても、出すのは八月出すわけでありますから、そういう意味において、いわばその見通しというものを的確につかんでいなければならないのではないか、私は、こういうように思うわけであります。  何かそれに対して御答弁があれば、御答弁いただいてけっこうでございますが、このいわゆる「業務計画の作成に関する長官指示」の中に、あえて「内政の年」、それから「内省の年」ということを明記されておるわけでありますから、そういうふうなものの考え方というものは、内部充実型ということでいかれるのではないかと、私は私の考え方で推測をするわけでありますが、その点の考え方と、それからさらに長官が、この基本的な考え方の中において、一番強調したいという点はどの部分にあるのかということを、ひとつお伺いいたしましょう。
  334. 山中貞則

    山中国務大臣 まず第一点の、八月概算要求の場合には、当然何らかの見通しを立ててつくらなければならぬはずであるし、したがって、もう五月だから、そろそろ何か見通しというものがなければならぬというお話でありますが、これは国家経済全体の問題でありますから、たとえば昨年は、総需要抑制というのは、愛知さんがなくなったあと、石油事情その他によって急に登場したものでありますから、したがって、私としては、まず国の自衛権というものの存在、目に見える存在である自衛隊、防衛庁の予算というものは、その国家の姿勢そのものは、まず自分で示さなければならぬということを考えまして、異例でありますが、国防会議を招集してもらい、議員懇談会を招集してもらって、御承知のような措置をとりました。でありますから、一応私の承知しておる範囲では、予算作業の過程では、下から積み上げてくる過程で、私が中に入って、そして一緒にディスカッションして、それからまた作業をさせるようにということをやっておるのです。私の能力も、乏しい能力でありますが、精一ぱいやってみます。やってみまして予算要求をする。しかし、その後なおかつ、そのときの見通した経済状態と違ってくるというような場合においては、また途中ででも、私どもは自主的な態度の変更というものもあり得るということであります。  それから第二点の、内政の年を強調する意味は何か。これは、もう私、就任しましてから、四十九年度予算上でも配慮し、また目に見えないものとしての自衛隊、防衛庁になりましてからでも二十年になりますので、人間でも成人式を迎えるようなもので、この際ひとつ過去の、いままでやってきたことは、これでよかったのか、あるいはこういうことは自衛隊の中ではわかっていても、国民から見れば、自衛隊のみに常識として認められることで、一般社会常識ではおかしいと思うことはないかとか、こまかく点検をずっとやって直しております。  幾つもございますから、例をあげませんが、それは、なおことしで終わったのではないぞ、来年もやるんだ、それは省みる意味の、内政でも内省でもけっこうでありますが、そういう意味である。これは隊員に対して、あるいは隊の行政、業務、そういうものに対して、サラリーマン的な根性になっていやしないか、マンネリズムでやっていやしないかということを、精神的なものも含めてやろうということであります。内政のほうは、なおかつ隊員処遇等において、問題が残っております。食費なども、国民は、隊内に居住し、あるいは船に乗って外に出ている者は、当然国費でめしを食わしてもらっているんだろうと思っていると思うのですが、実際は、給与体系に食費はめり込まして、それだけ、実際は自分たちが現実に払っている形はとっていませんが、払わされている。しかも、それの選択権は、きょう自分は何を食べたいと思っても、きめられたものしか出てきませんから、そういうことを考えると、そういう問題等も何らか措置しなければならぬのかなという気持ちもあります。その他給与体系その他もいろいろありますから、これは私の独断でそういうことをやってはいけませんので、学識経験者二名を含め、私ども防衛庁でつくっております給与制度調査会というところで、いろいろな問題点を、現地の部隊等も見ていただいて、何が問題かということを点検してもらっておりまして、近く中間答申をいただけると思います。そういうものを踏まえて、さらに私が国民から見て御了解賜わる範囲であるかどうか、それらを判断して、隊員の処遇改善その他について努力をしたい、これが内政、内のまつりごとの意味であります。  そこで、何に一番重点を置いたかといわれれば、それは質の問題で、装備面からいけば四次防の第四年度という単純な考え方をするな、あと残り二年しかないという単純な考え方をするなということも大きな問題ですが、しかし人の問題、今後、自衛隊員として、この組織体がほんとうに国民のための存在であり続ける、あるいはもっとよい存在、国民の理解を得る存在になるためには、これでいいかという問題を問いかけさせ、それをきびしくしていく、直していくということも、これはある意味では大きな問題だと思うのです。私が自分で直接洗ってみただけでも、なぜ、こんなことを二十年間もほっておいたんだということがずいぶんございました。そういうようなことでありますから、重点をいずれに置いたかということになりますと、これは質の問題で分けにくいのですけれども、予算の金額からいえば、これはやはり五十一年度も展望しつつ五十年度予算を要求するというところに重点があるとお受け取りください。
  335. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 長官、確認のような形になりますけれども、五十年度の計画は、単に五十年度一年間を見るのではなく、五十、五十一年度の二カ年度を見渡して、その角度からというふうに示されているわけでありますが、これは、まさしく四次防の終了時点までも見通して定めるということになると私は思うんですね。そこで五十年度計画によって、二年度を見渡して作成するということは、五十一年度は多少の変更があっても、四次防のワク組みの中で五十年度に大体きめていこうというお考えでしょうか。
  336. 山中貞則

    山中国務大臣 実はこれは、今度は昭和五十一年度予算のときの日本の経済環境、予算規模その他はどういうふうになるであろうかというのは、なかなかむずかしい問題だと思うんですね。だから、昭和五十一年度予算で許容される自衛隊予算、防衛費というものがどれぐらいになるかの見通しは、なかなか困難だと思います。しかしそれを、単純に五十一年度しか残っていないのだから、あと残ったこれだけのものを二分の一ずつという、そういう単純な作業ではない。やはり五十一年度が最終年度であることを前提として五十年度を考える。それは、しかしそのあとに書いてありますように、あと二カ年しかないのだから、精一ぱいとにかくもう積み残しの出ないように、全部予算化するのだということを意味しているものではないということであります。
  337. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、五十年度、五十一年度、五十一年度は四次防の最終年度でありますけれども、五十一年度が五次防のいわゆる初年度になる、このように理解してよろしいでしょうか。
  338. 山中貞則

    山中国務大臣 五十一年度が五次防の初年度になるのかということですか。——五次防については、五カ年計画を立てるかどうか。いままで一次防の次は二次防、三次防の次は四次防、自動的にきたのですが、しかし、そのことが引き続き五次防となっていいのかどうか。五カ年計画、こういう問題については、いままでも鈴切先生には答弁してないかもしれませんが、人件費、それから先ほどの食糧費とか衣服費とか、そういうような単年度予算でいっても、おかしくないものと、やはり最終のシビルコントロールの場所は国会ですから国会で、相当巨額で、しかも年度を越え、あるいは長期にわたって幾ら、どんなものを取得するのだというようなものは、また性格上別にありますから、そういうもの等については、やはり一定の年次割りの計画の初年度であることを示さなくてはなるまい。しかし、そういう制度を取り入れられるかどうか、これは、いままだ時間がありますので、検討中でありまして、甲論乙駁いろいろな意見があります。したがって、それはまだきまっておりません。ですけれども、四次防以降というものが、どんな形になるにせよ、それは五十一年度からではなくて、五十二年度からであって、やはり五十一年度は、どんな形になるにせよ、四次防の最終年度ということにはならざるを得ないだろうと思うのです。
  339. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実は、私が予算委員会の理事をやっておりましたときに、ちょうど防衛予算でだいぶ紛糾をしたことは御存じだと思います。二十一日間、国会がとまったのは、あれはたしか昭和四十七年度が第三次防衛力整備計画の最終年度であったわけですが、それが、三次防のいわゆる最終年度であると同時に、言うならば四次防の初年度であったという……。
  340. 山中貞則

    山中国務大臣 いや、やはり五年経過した翌年ですから、四次防の初年度です。四十六年で終わります。
  341. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうですか。それじゃ間違っておりました。  そういうことで、それじゃ五十一年度という二年間ですね。二年間を見通すということであるわけでありますけれども、この八月の概算要求のときまでに業務計画を作成することになるわけでありますけれども、この段階で四次防全体のスケール、内容を再調整し、決定をすることになるのか、あるいは四次防の推進にあたっては、当初の予定どおりを一応進めていこうというようなお考えであるのか、その点をちょっとお伺いします。
  342. 山中貞則

    山中国務大臣 願望としては、五十一年度までに既定方針どおりの四次防計画を達成したい、五十一年度を最終年度とする四次防計画を達成したいという願望は持っております。しかし客観情勢がそれを許すのか許さないのか。ひとり防衛庁のみが残り二カ年で、五十一年度が最終でございますから、何が何でも四次防を達成するということが環境上許されるかどうかという、全体を見渡す必要があるということを、私は述べているわけであって、したがって、五十一年度の世界経済、日本経済、そして直接には予算規模、成長率なんかもありますけれども、そういうものがどうなるかは、いまのところ全く未知数ですね。あるいはまた再び、日本は新しい価格体系で、大きな飛躍をする年になっておるかもしれません。そうすると、予算規模や成長率その他も含めて、また防衛費として許さるべき許容限度も、金額にして相当大きなものが出てくるかもしれませんけれども、しかし、ここらのところは、全く未知数でありますから、要するに五十一年度に終了させるために何が何でも、あと残り二年しかないから、五十年度は、とにかくことし残したものも含めて、予定の年次のものは、全部要求するというような単純な発想はいけないということを言っているわけであります。
  343. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに、単純な発想はいけないわけです。それは御存じのように、四十九年度の概算要求の中から、すでに防衛庁長官は艦船、航空機、自走砲等の主要目玉装備品を、自主的に削減をされたといういきさつがあるわけです。それを削減しても、言うならばことしの予算の伸び率というのは、前年度に対して一六・八%、すなわち一兆九百二十九億円という超大型の予算になったといういきさつがあるわけです。そういうことから考えると、単純にそんなことを言われるということは、これは解せない点が出てくるわけであります。  そこで、概算要求から目玉の装備品を削除された、いま私が申し上げた装備品の種類と、それから、そのときの概算要求の金額は、大体幾らぐらいになっておりましたか、その点について、ちょっとお聞きします。
  344. 山中貞則

    山中国務大臣 見送りましたものは、一〇五ミリ自走りゅう弾砲及び戦車百六十両を四十両に減らす。これは積載火砲が、イギリスの会社のものですから、ことしの予算で発注しませんともうつくらない、生産を打ち切るということがございまして、したがって、四十両の頭出しはやむなくいたしたわけであります。そして海においてはDDH、これは初めて五千トンをこえる規模のものでありますが、これを見送りました。さらに空においてはFST2改の予算化を見送ったわけであります。  これに対して、実予算は七十億円でございますが、総需要抑制効果と申しますか、それに引き伸ばしますと千八十八億というものの貢献をしたということになります。大蔵省は、それを途中で節減をかけますね、節減をかければ、千億だと言っておりますが、いずれにしても、そこらのところは、どうでもよろしいのですが、千億以上のものを、総需要抑制に防衛庁として貢献するためにこのことをやった。単年度予算額はたいした金額ではありませんが……。  一兆円をこえたというのは、これは人件費、食糧費だけで一兆円をこしますので、私は、たびたび答弁しておりますが、一兆円の大台の内か外かという議論はこだわっていないし、そういうことは、もう問題ではない、そのことは予算編成前から申し上げておったわけであります。
  345. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこで、いま自主的に削除をしたというふうにおっしゃっても、実際には、これは四次防の実は目玉商品であるわけです。そうなりますと、まるっきりそれをつくらないのかという考え方と、いやそうじゃないのだ、予算の関係、それから総需要の関係があるので、言うならば繰り延べをするのだという考え方が、私はあろうかと思うのです。そうなった場合に、削除をして全くこれをつくらないという考え方か、あるいは繰り延べて五十年度、五十一年度の予算の計上にあたっては、これをやはり実現をしたい、そのようにお考えになっておるのか、その点はどうでしょう。
  346. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、国防会議及び議員懇談会の席においても、明らかにしておりますが、今年度予算要求からは、自主的な削減をいたします、したがって、来年度予算の要求といたします、そういうことです。来年度、昭和五十年度予算の要求には、ことし見送った分、すなわち戦車はあと六十両、これは六十両になりまして六十両、一〇五ミリ自走りゅう弾砲二十六両、DDH一隻、FST2改二十二機というものを、昭和五十年度予算で要求いたします。
  347. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、削除をしたというのではなくして、言うならば一年間、総需要抑制に沿って繰り延べをしたのである、だから、五十年度においては、まずそういう目玉項目については計上しよう、こういうお考えであるということは、明らかになったわけでありますけれども、そこで今後二年間、四次防を進めるにあたって、そっくり四次防を完遂するということになれば、物価の高騰等によって相当巨額な金が必要になってくるのではないかと思うんですけれども、いわゆるその積算的な金額、今後二年間、四次防を進めるにあたって、物価の高騰を考慮した場合には、予算はどれくらいになるというふうに御判断になっておられましょうか。
  348. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、なかなか五十一年度の見通しがわかりませんので、もちろん五十年度も、未確定なんですけれども、推定をせざるを得ないのですが、それは今年度見送った分というものを予算化するということばかりでなくて、去年の昭和四十八年度予算において、国庫債務負担行為で契約を終わらなければならないもののうち、潜水艦一隻を含む護衛艦二隻、合計三隻、これが実は契約できませんでした。一応、造船工業界等の春闘その他の賃金相場も終わったようでありますから、これから契約について、あらためて相談しなければならないという状態が起こりましたし、そして年を越すことのできないもので、いろいろスペックダウンその他をやってみましたけれども、ついに小型LST一隻は建造を断念いたしました。その分をいろいろと操作して、断念した以上は、予算を返納しなければなりませんから、大蔵省には二億円の予算を返上いたしたわけであります。  なお、そのほかにも若干の——これは主要装備品じゃありませんが、七〇式の戦車回収車あるいは六七式の戦車橋、七〇式の自走浮橋というようなものも、今回は断念をしたという背景がございます。したがって、今後の主として艦船建造ですが、これは、きわめてコスト高のもので計算をしなければ、第一、業者のほうも、手をあげてこないわけなんですね。そこらのところの背景がございますから、やはり現実に、業界も人件費その他を企業努力で——ほかの部門も一ぱいありますから、防衛産業はウエートが小さいですから、努力を要請して、それをのんでもらっても、受注者が出ない、希望価格を持ってくる者がいないという状態では困る。ここらのところは、大蔵省ともよく相談をして、常識上可能な予算単価というもので考えてみたい。  そういたしますと、やはり先ほど申しました総予算の規模、そして、配分さるべき防衛費の割合、そういうものにもろにぶつかってまいりますから、そこらで非常な苦心を来年度予算はしなければならない。今年度予算でも非常に油を食う、皿に比べて三・七倍も油を食うファントムがふえてまいりましたし、艦船襲撃機等もふえておりますけれども、四十七年度の予定しておりました実績より五千トン少ない六十三万五千トンの主燃料ということで大蔵と——私どものほうが引いたということで、要求は八十三万キロリットルの要求を、六十三万五千キロに落としております。これも非常に苦しい、ことに単価の問題になりますと、なお、その価格アップがございましたので、今年の燃料の泳ぎ方も、非常に苦しい泳ぎ方をしなければならぬだろうと思っております。大蔵省もこれはわかっております。しかし、なおかつ、私どもとして許容される範囲内での努力はしなければならぬ。そういう意味で、来年度の予算編成は、テクニックの面でも、一種の考え方と申しますか、そういう踏まえる姿勢によっても、非常にむずかしい年を迎える、そういう覚悟で、いま予算の指示をしておるということであります。
  349. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 数字的なことをちょっとお伺いしますので、どなたでもけっこうでありますけれども、四十七年度の予算と四十八年度の予算、四十九年度の予算、この三カ年間、言うならば四次防の中においては予算をとったわけでありますけれども、その金額と、それから前年度の伸び率がどういうふうな状態になっているかということについて御報告願いましょうか。
  350. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 お答え申し上げます。  四十七年度の防衛関係費でございますが、八千二億円、前年度対比伸び率一九・三%、それから四十八年度九千三百五十五億円、対前年度増加率二八・九%、四十九年度一兆九百三十億円、対前年度一六・八%の増加ということになります。
  351. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま私、数字を見させていただいた上において感ずる点から、率直にお伺いをしておきましょう。   〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕 このところ、御存じのように、田中政権は、一応内政の年という考え方から、福祉予算については、それなりの二十数%一応つけておるわけでありますけれども、防衛費については、いま御報告がありましたように、四十七年度の初年度においては一九・三%、それから四十八年度には一六・九%、そして四十九年度では一六・八%、こういう状態の前年度比の伸び率になるわけでありますから、そういうことを考えてまいりますと、五十年度もあるいは五十一年度も、一応やはり予算のワクというものの中において操作をしなくてはならないわけでしょうから、防衛庁といたしましては、概算要求をするについては、その予算のワクを少なくとも平均の一七%ぐらいに押えて考えていかれるのかどうか、その点についてお伺いしておきます。
  352. 山中貞則

    山中国務大臣 そこらのところは、来年度の予算編成方針をどういう前提でやるかについては、一応の経済見通しと、大蔵省の編成方針というものも閣議できめますから、それらでアウトラインはわかるわけです。でありますから、おおむね、いまおっしゃった程度の伸び率といいますか——私は、むしろ総予算に占める防衛費の割合というものを重視するのです。GNPに比べると——GNPは場合によっては、これからも、またどんどんふくれるときが来ますから、GNP対比では、やはり金額はどんどんふくれるときも来る。だから、総予算というものが、その年の国民の負担によって、どのように国民に分配されるかという問題で、私は、やはり予算比率、予算対比というものを重点にいつも考えているわけです。その意味では、やはりアッパーリミットと申しますか、そういうものはあります。だから、そこらの兼ね合いで、来年度予算のまず総ワクというものは、防衛庁は防衛庁なりに一応の積算をしなくちゃならぬだろうと思います。
  353. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ですから、いままでの三年度の前年度比の伸び率というものが、比較的数字がそろりてきているわけです。一六・八、二八・九あるいは初年度においては一九・三%というわけでございますけれども、私は、それよりかなり大幅に望めるというような経済情勢でないということは、よくわかるわけでありますから、そういう点から考えますと、やはり防衛庁長官は、私が先ほど申し上げました一応一七%ぐらいのめどか、あるいはそれより少ない程度のめどで一応概算要求をお組みになる考え方であるかどうかということですね。これは、やはり常識的な問題ですから、一応伺っておきます。
  354. 山中貞則

    山中国務大臣 実は、予算の伸び率は、私はあまり問題ではないと考えているのです。それは、たとえば来年度予算で日本の新しい経済価格体系と申しますか、そういうものが出そろって、外貨なども、石油その他でどんどん減っていくと思ったのですが、ところが、これが逆にふえまして、いま百二十二億ドルくらいになっていると思いますが、そういうことを背景にして、日本は世界経済の中で石油を中心とする原料高の中でも前進できるのだということになりますと、経済の運用の問題は別にありますけれども、それと関連をして、たとえば来年度予算が二五%の伸びを示す、これは、かりの話ですが、そういうときにおいても、防衛予算は依然として一六か一七でなければいかぬのかという問題は、総予算の伸びの額の中のウエートという問題でとらえていって、その結果、伸び率が出てくるということにしたほうがよろしいのじゃないか、そういうように考えております。
  355. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに経済の伸び率の上からとらえていきませんと、また一七%がたいへんな額になるということも考えられるわけでありますから、そういうふうな考え方は、私もいいと思うわけでありますけれども、しかし、いままでの状態からいって、五十年度、五十一年度の二年間、少なくともそのような線で進んでまいりますと、これは、たいへんな額になるわけですね。ちょっと私、試算をしてみましたけれども、五十年度は、前年度比伸び率を一七%ぐらいにいたしますと、一兆二千七百八十七億円です。それから五十一年度を一七%としますと、一兆四千九百六十一億円、合わせて二兆七千七百四十八億円という膨大な金になるわけです。そうしますと、いままでの三年間の予算が加わりますと五兆六千億、そして四十八年度から繰り延べされてきたのが、先ほどお話がありました一千億、おそらく五十年度も、さらに計画からいうならば、繰り延べをしなければならぬものも出てくるでしょう。となりますと、これは全く六兆円台になんなんとする大型な四次防ということになりかねない感じがするわけです。四次防のワクというものを、一応国防会議等でもきめているわけでございますから、そうなる場合、必ずはみ出してくる。何らかの状態で四次防も、装備品とかそういうものが、物価の高騰や資材の高騰、人件費等が急激に上がっているがゆえに、はみ出してくるのではないか、こういうふうに思うのですが、その見通しは、どういうふうにお考えになっていましょうか。
  356. 山中貞則

    山中国務大臣 四兆六千三百億というのが四次防の一応のおおむねの数字ですね。これは御承知のとおり、ベースアップの数字が入っていないわけでありますが、事実はベースアップも、一般国家公務員に準じてやっておりますので、それらを累計していきますと、ことしは人件費と食糧費関係だけでも一兆円を突破したというのでありますから——六兆とかなんとかいうことが一体許されるか許されないか、このことを私は問題にして、いま予算編成の作業開始の命令を出したわけです。私も、おっしゃることを念頭に置いて、許される環境であるかないかを十分議論して、それならばどうするかという議論も、見通しをほぼつけて、しかし最終年度がまだわからないから断定的にはいたしませんが、おおむね見通しをつけて、二年を踏まえて翌五十年度の予算をつくろう、こういうことを言っておるわけであります。おっしゃっているようなお気持ちは私も持っている。だからこそ、こういう指示というものを出したということであります。
  357. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに、そうだというふうに計算の上から成り立つわけであります。そこで四十九年度の予算品目の中から、物価高騰とかあるいは受注をしたくないというような動きのために、もうすでに調達できないものが出てきているんじゃないかというふうに思いますけれども、その見通しをお聞かせ願いたいわけであります。そうなりますと、今度四十九年度から五十年度、五十一年度の予算に、またそういうものが入ってくるということになれば、これまた、たいへん膨大な予算にふくれ上がってくるわけでありますけれども、その見通しはどんなものでしょうか。
  358. 山口衛一

    ○山口政府委員 先生のお尋ねが、四十九年度ということでございますが、実は先ほど長官から申し上げましたとおり、一部船につきまして、現在、三隻分でございますが、四十八年度の継続費艦艇につきまして、これから折衝に入るところでございます七例年ですと、なるべく早く、四月、五月ぐらいまでになるべく契約に持ち込みたいと思っておったわけでございますけれども、御承知のとおりの春闘によります賃上げ、これは特に造船関係の統一的な比率がはっきりしませんでしたし、また艦艇に使います鋼材に関しまして、昨年四月以降、据え置かれました鋼材価格が、最近ではトン当たり一万円の値上げというような話も伝わっておりますし、その辺の人件費及び主要な材料費についての見通しが立たないということで、実は四十八年度積み残し分について、現在、鋭意やっておる最中でございまして、四十九年度は、これからの話になりますが、ただいま先生御指摘の五十年度業務計画に関する長官指示事項の中にもありますとおり、四十九年度、五十年度におきまして、なるべく調達が年度末に集中しないようにという注意事項も出されております。  したがいまして、できるだけ早くきめたいと思っておりますが、これまでのところでは、人件費はおおむね見通しがつきましたが、主要な鋼材その他の材料費、また電力、ガスその他の公共料金によります原価へのはね返り等がはっきりいたしません。それから一般に使います石油、重油関係でございますが、これは燃料重油じゃなくて、実際に製造に関します石油のはね返り、こういうものが今後、一体国際的にどういう動きを示すのか、この秋以降というふうにも聞いておりますが、そのような見通しが立てられませんので、なるべく早くとはいいながらも、やはりこの秋ぐらいまでにできるだけ早く、周囲を見渡しながら、関係会社と話し合いを進めたいというのが基本方針でございます。  どのようなものが非常にむずかしいかという御質問でございますが、四十八年度にできました契約の単価と四十九年度におきまして予想されております予算上の単価というものを比較してみますと、艦船の関係及び一部、装甲車でありますとかあるいは高射機関砲の関係でありますとか、このようなものにつきましては、予算上の金額というものが、すでにでき上がりました四十八年度の契約実績に比べましても、幾ぶんきついかなというような感触を持っておりまして、今後、業者ともいろいろと意見が分かれるというような面が出るかと思います。ただ航空機関係につきましては、現在までのところ、比較的見通しはつけられるように考えております。これも一部、初度部品等の調達におきます影響等が出るかもしれませんが、ほかの種類に比べますと航空機のほうは、相対的な問題でありますが、それほどむずかしくないとてうような感触を持っております。  いずれにいたしましても、主要な原価要素というものの見通しを、この夏以降につけまして、なるべく年度末に集中しないようなやり方で調達に向かいたいというふうに考えております。
  359. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 四十九年度の予算をとってから、かなり物価が高騰してきているという中において、実際に契約ができない、調達ができないという姿が、もうそろそろあらわれてきているんじゃないかというふうに私は思うのです。いま装備局長は、艦船とか装甲車とか高射機関砲とか航空機とおっしゃいましたけれども、具体的にどういう種類のものというふうにお考えになっておるのか。それから積み残しの分ですが、予算が増額され、業界に生産能力があれば回復が可能であるけれども、もともと発注計画があるわけですから、そういう点から考えますと、残り二年度に上乗せをして、さらに注文をするということは、これは、またむずかしい問題が起こってくるのではないかというように思うのですけれども、その二点をお聞きしますと同時に、材料費の値上がりですね、材料費の値上がりは、年率の伸び率は、大体どれぐらいか、人件費の伸び率というのは、年率どのぐらいか、その点について、ちょっとお伺いします。
  360. 山中貞則

    山中国務大臣 あとの伸び率の問題は、事務当局にお答えいたさせますが、ちょっとお願いがあるのです。ということは、やはり契約にあたりましては、虚々実々やるわけです。そこで、何がむずかしそうだとかなんとかというのを、ここで——質問ですから、事務当局は言うと思うんですよ。しかし私からお願いするのは、国損をもちろんかけないような努力をしなければなりませんし、何とか話し合いのつく努力を業者にも要請をするわけですが、こっちが初めから、これはむずかしそうだと思っているものをあげますと、向こうのほうは、このごろえらい強腰になりまして、防衛産業なんというのは、防衛庁に対して何か鼻息をうかがうどころではなくて、このごろはえらい逆でございまして、そんなものは別段私のほうでつくらなくてもというような顔をしているらしいのです、私は、会いませんからわかりませんが。ですから、そこら辺のところは、ひとつその質問だけ御了解を賜わって、それは、いずれの機会ということで、あとの問題だけにしていただけませんか。お願いします。
  361. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 では、伸び率のほうをひとつ。
  362. 山口衛一

    ○山口政府委員 四十九年度、これからの契約に関します加工費及び材料費の伸び率につきましては、私、先ほど先生への御答弁に申し上げましたとおり、まだ不確定要素が原価項目として非常に多いものですから、せいぜいわかりましたのは、造船関係及びそれに属します航空機業界で、そこで、その人件費アップというものが、春闘で約三〇・一%というふうにいわれておりますが、これも、それがどの程度コストにはね返るかというのは、主要装備費におきます加工費のウエートというものがございまして、そのそれぞれによって、そのままもろに三割がイコール三割アップということには決してならないわけでございますので、その辺の感覚ではないかと思っております。  それからまた、材料費につきましては、現在、一番主要なものであります鋼材及びその他石油関係というものの今後の値段の動きが、どのように建て値が変わっていくかという点が、まだきわめて不確定でございまして、その点の積算は、ちょっといまの段階で申し上げることは、非常にむずかしいかというふうに考えております。
  363. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほど大臣からお話がありましたが、大臣自体も、そういうことを非常に心配している。確かに、そういうふうな膨大な予算と、それから、これから調達をする装備との関係、これは、「昭和五十年度の業務計画の作成に関する長官指示」の中の「現実的な観点に立って」という短い文の中に、はからずもそれが端的にあらわれているのではないかというふうに私は実は思うわけです。  現在、日本においても、外貨が減少しておりますので、武器を購入するということも困難になってきておりますし、昨年の石油危機以前の物価見通しのもとで編成された四十九年度予算では、予算額どおりの調達はできなくなってしまうのではないか、そういうふうに思います。ですから、四次防の重要事項については、予定どおり計画内に消化するものと、四次防以後に積み残しをするものとが当然出てくるのではないか。その仕分けについては、どういうふうにされるのか。それから四次防以降の防衛力整備計画との関係を、どのようにお考えになっているのか、その点についてお伺いしましょう。
  364. 山中貞則

    山中国務大臣 これまた、きわめてむずかしい問題なんです、ということは、五十一年度の日本経済と予算規模がわかりませんから。でありますから、あるいは消化できるような予算規模になるかもしれませんが、しかし常識上、現在の国際環境から見て、なかなかそういかない。各経済価格体系というものが、高値で国際的に構成されるということになりますと、それを踏まえてどのような形になるかが見通しが立ちません。でありますから、議論はいたしますが、最終的に決断をするのは、五十一年度予算編成のときである。これは、ぜひ御理解願いたい。  そのときには、五十一年度予算編成の背景というものから、おおむねの見通しを立ててやるわけですから、最も悪い場合——願望としては達成したい。しかし、それは不可能であるという事態が起こった場合に、それは四次防の装備を、四次防中には調達できない分野として切り離すということにするか、それとも完全年次というものを、五十一年といっていた五カ年計画を六カ年計画に置きかえて、五十二年までかかってやるかという議論等が出てくると思うのです。しかし、これは五十年度予算編成のときには、まだそこまでの——議論は相当してみてもいいのですけれども、五十一年が何しろもっとさらに未知数ですから、そこまでの方針決定には至らないであろうと思っております。
  365. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 「現実的な観点」という短いことばの  中に、もうそのことを、すでに防衛庁長官としてはすべて見通されて、「現実的な観点」ということばで端的にあらわされているわけです。そうしますと、四十九年度積み残しをする、それを五十年度に持っていく、五十年度もさらにむずかしいという状態がさらに積み残される。五十一年度も言うならば予算のワク内でいくということになれば、結局はたいへんにたくさんのいわゆる積み残しができてしまう。  それについて、いまはかならずも防衛長官は、先手必勝だとお思いになったのか、布石をされまして、それを言うならば五十一年度で切ってしまうか、あるいは五十一年度を四次防の終期としないで、五十二年度までやるようなお考えでいるのか、あるいは四次防以降に積み残しを含めて新たな対策をとられるのか、こういう三つの姿に私はなろうかと思うんですね。そういうすべてお見通しの上で、もうずっときてこれは出されているわけです、実際には。となると、長官——いま私は、長官のお考え方を固定するものではないんですよ。しかし、そういうことになった場合、三つのうちの一つのケースが出てくるわけですが、出てきた場合、長官としてはどういう姿をとるのが一番いいのかということについては、いかがお考えでしょうか。
  366. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、どうしてもやはり五十一年度を見通すことは、現時点においては困難である。ですから、私は二つ言いましたけれども、残された道は、もう一つあるわけで、三つの様式と申しますか、そういうことをあなたのほうから言われたわけですが、まだそれを五十年度予算、来年度予算の要求で最終的にきめるというには、ことしの八月でございますから、それはなかなかむずかしかろう。最悪の場合のケースというのが、いまおっしゃった三種類の中に入るでしょう。しかし今度は思いもよらざる最善の予算編成環境というものが五十一年には、あるいは五十年にも出てくるかもしれぬ。これは、わからないわけです。そのときには、これはたいへん幸いなことであるが、先ほど申しました各種の許容範囲の中で消化できたということもあり得るわけです。ですから、全く未知数である、こういうことです。
  367. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十一年度は、見通すことがむずかしいとおっしゃったのでは、これは、せっかく遠大な構想である五十年、五十一年度を見通してということに、言うならば全く反してしまうようなかっこうになるわけです。長官は二年間を見通して、君たち、やれよということになっているわけですから、ですから、五十一年の見通しは全くつかないというわけには、ちょっといかないと思うんですね。だから、こまかいことは、それは確かに五十一年になってみなくちゃわからないでしょう。しかし五十年度、五十一年度を見通してこういうのをつくりなさいというふうに言われた以上は、それは五十年から五十一年を見通してきめたことが——多少五十一年に変更されることはあるにしても、私は、それはいいと思うのです。いいと思うんですけれども、全く五十一年は見通しがきかないですなんというように、何も五十一年ということを、あなたはお隠しになることはないじゃないですか。その点はどうなんでしょう。
  368. 山中貞則

    山中国務大臣 そういうふうな意味ではないのです。四次防の完成年度としての五十一年度というものを、どうするかという三つの方式をあげて言われると、その結論はまだ出せません。しかし五十年度は最後の二カ年の四年度分になる、四次防の五カ年計画の四年度分になるというだけの考え方だけではいけないぞ、だから五十一年度を、「二か年度を見渡すとともに、今後の経済財政事情を勘案しつつ、現実的な観点に立って」ということをいっているわけでして、大体これは考え方の哲学みたいなものですよ。しかし具体的な作業に入ると、これを、じゃどのように具現して、五十年度予算ができるかということは、これは当然答えとして出てくるわけです。
  369. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、五十一年度がいわゆる最終の年度になるわけですから、五十一年の八月には、もう五十二年度の概算要求を出さなくてはならないわけですね。それが五次防になるのかあるいは一年間繰り延べになるのか、そのことはわからないにしても、少なくとも八月の時点に、概算要求を組まれたときに、議員懇談会、国防会議をお開きになるのか、あるいは政府の正式な決定を待って、いわゆる国防会議ということになるのか、その点はどうなんでしょうか。
  370. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、またちょっと別な国防会議のあり方ですけれども、予算要求そのものを国防会議できめますと、総理が議長で、大蔵大臣も含めて拘束するということにもなります。ですから、ことしのように途中で予算要求をかえますと、しかも、それは減らす、そういう場合においては、これは、もう緊急にその方針を承認してもらいたいということで国防会議を開いてもらいました。  私は、ちょっと横道にそれて恐縮ですが、国防会議というものはもっと活用したい。そうして、やはり政府の内部におけるシビリアンコントロールの一つの組織、仕組みでございますから、これを、予算できまったものを短時間にセレモニーみたいにして、国防会議の議を経たというのじゃ、これじゃ国防会議というものは、有名無実になるんじゃないか。だから、国防会議のあり方についても——私は、国防会議責任者じゃありません。しかし国防会議の場における、最も重要な閣僚であることは間違いありません。責任者は、議長は総理です。だから、昨年の予算編成以降、数多くの国際的な軍事戦略の変化等が見られますので、こういうようなもの等を、予算も何も関係のない、四次防とも関係のない、ただ、そういう客観的な情勢の変化等を、国防関係議員懇談会ぐらいは、総理以下知ってもらいたいということで、いま事務当局から連絡をとらして、内海事務局長のほぼ同意を得つつありますが、いずれ、このような状態ですからできませんけれども、時間をなるべく早くに見つけて、いろんな国際軍事戦略、戦術の顕著な例等を説明して、常識としていろいろなことを知ってもらいたい、そして御意見があれば、また私たちも承っていきたいという会合を持ちたいと思っております。  これは、全くよそ道にそれましたけれども、国防会議はそういう意味で重視してまいりたいと思うのですが、予算要求そのものを、国防会議できめてしまいますと、大蔵省も困ると思いますし、そこらのところは、御意見のあるところはわかりますので、国防会議を尊重する姿勢はとっていきたいと思います。
  371. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私も同感です。国防議員懇談会あるいは国防会議、これは、やはり大いに活用しなくてはいけないと思うんですね。活用しないで唐突に出されるから、言うならばちぐはぐなそういう予算編成等が出てくるわけでありまして、国民の合意を得る上において、そういう意味においては、私、国防会議あるいは国防議員懇談会、これを開くことには非常に賛成です。  そこで、大臣は、そういうことで、もうすでにそういうふうな呼びかけをしているというお話ですけれども、大体いつごろにそれを開きたいというふうにお思いになっておられるか、その点ひとつお聞かせをいただきたい。
  372. 山中貞則

    山中国務大臣 なるべく早くと思いますが、この法律案が最終の、参議院で会期来ぎりぎりまで審議がありますと、なかなか会期中には開催できそうもないということでありますが、そこらのところで、見通しはいまのところ立てておりませんが、なるべく早くその会議を開いて、具体的に申し上げる必要もないかもしれませんが、シュレジンジャー長官になってからの戦略ミサイルの考え方の巨大な変化あるいはその前の米ソ核不戦あるいはスエズ運河の開通は喜ぶべき反面であると同時に、インド洋のあのような騒ぎが起こっておる、あるいは中東紛争から見た教訓とかあるいは中ソの間の問題点はどういうことになっておるのか、そういうような一般常識というようなものを——これは、私もしろうとですけれども、いまは相当ほかの大臣よりも知っておると思うわけです。そういうものを、やはり私が説明をしておく必要がある、こういうことを考えております。
  373. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 時間もだいぶ迫ってきましたので、次に進んでいきましょう。  四次防が終わる五十一年度末において、航空自衛隊の戦闘機の保有機数と種別というのは、どういうふうな姿になっておりましょうか。
  374. 久保卓也

    ○久保政府委員 五十一年度で104の部隊が六個飛行隊、それからF4が四個飛行隊、それから86の部隊が三個飛行隊、FST2改はまだ出ておらないという状況であります。  機数はちょっと、数字を見ればわかりますが、いま手元にありませんが、大体、104でそれぞれ百三十機程度、F4で七、八十機程度、それから86は、おそらく八十機程度あると思います。
  375. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 F104J、F86Fがだんだん古い機種になってくるわけでありますけれども、それを、やはり代がえを必要とするのは、大体いつごろなんでしょうか。
  376. 久保卓也

    ○久保政府委員 従来の計画によりますると、三次防以降、大体要撃部隊は十個飛行隊を持っておりますが、その十個が欠けますのが、昭和五十五年度に一個飛行隊欠け、五十六年度に二個飛行隊欠けということでありますので、従来の計画でありますと、五十五年度あたりから手当てをしないといけないということになります。  それから、支援戦闘機の部隊は、従来から四個飛行隊ございますけれども、それが欠け始めるのが、実は五十一年度から欠けます。これは実は、四次防の計画を立てますときに、若干縮小した関係で、四個飛行隊を持っておったのが五十一年度に一個飛行隊欠ける、それから五十二年度に、従来の計画でいきますと、二個飛行隊、五十三年度に三個飛行隊欠けます。そこで最小限、五十一年度の三個飛行隊を維持するためには、五十二年度以降一個飛行隊、五十三年度に二個飛行隊の手当をする、そういう計画になっております。
  377. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、次期のやはり戦闘機についても、何らかある程度研究費あるいは調査費等を、五十年度あるいは五十一年度に組み込まなければならないんじゃないでしょうか。
  378. 久保卓也

    ○久保政府委員 先ほど支援戦闘機が五十一年度から若干減ると申しましたが、その五十一年度の数字を維持するためには、五十二年度から手当てをしなければなりません。その点につきましては、FST2改の分について、五十年度から手当てをする。これは四十九年度に手当てする分が一年ずれた、先ほど長官が御説明になった分でありますが、したがって、支援戦闘機については、ここ数年分の手当ては、おそらく四次防の範囲でできるでありましょうということであります。  それから、要撃機につきましては、従来の計画で、先ほど五十五年度からの分を手当てしなければならないと申しましたが、この点については、四十九年度では何ら手当てをいたしておりませんが、五十年度あたりは、あるいは調査費あたりの手当てが必要かもしれません。以降、五十一年ないし五十二年あたりに、国防会議で御決定願うというような段取りになるかもしれません。
  379. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 次期戦闘機は、ファントムあるいはF104あるいはF105というのが、名前があがってきておりますけれども、やはりある程度、そういうふうなもうすでに使って経験済みである、言うならば同じような生産の会社ということが一番なれもあるでしょうし、そういう意味から言うならば、そういうのがやはり重点的な考え方の中に入るのか、あるいはまるっきり違うところの機種というものが、突如としてあらわれる可能性があるのか、その点についてはどうなんでしょうか。
  380. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、局長説明しましたように、予算もまだ調査費も組んでおりませんし、FXの選定についての議論はいたしておりません。
  381. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 FXは、その程度にいたしまして、この法案の中身のいわゆる基地の問題について、基地に対しての補助金を出すとかそういうことでありますけれども、基地に対するものの考え方、これを、やはり整理をしてみなくちゃいけないのではないか。ただ単に、基地に補助金を出すから、それでいいというものではない。基地が果たしている機能というものは、どういう機能があるのかということを、やはりこの際検討していかなくちゃならぬと私は思うのです。  私が申し上げたいのは、日米安保条約と基地との関係、これは密接な問題でありますけれども、安保条約の第六条には、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」とありますけれども、私どもとその考え方は異にしておりますけれども、政府の立場から申し上げますと、日本国の安全に寄与し、極東における国際の平和及び安全の維持に寄与しているというので、わが国は、ばく大な土地を米軍の肩がわりに負担をしておるし、それも全部、国民の税金でまかなわれているわけであります。そういう意味からいいますと、ばく大な金が基地の整備費の中から払われているわけでありますけれども、一応、四十七年度、四十八年度、四十九年度の基地整備費の中から、そういうお金がどれくらい負担されておるか、ちょっと数字を話してください。——答弁あとでけっこうです。  それでは、その次に行きます。いわゆるばく大な金が支払われておるし、広大な土地を、日米安保条約によって提供しておると私は思うのですが、それはそれなりに、わが国として納得がいく代価がなくてはならぬと思うのです。代価がなくして公害をまき散らされたり、あるいは風紀を乱されたり、必要以上のゴルフ場を提供したり、あるいは娯楽施設を提供するのでは、国民感情としては、許せないという気持ちになるのは当然であります。その点、言うならば明確に、日本の国の安全に寄与するための具体的な取りきめが日米間で行なわれているかどうかという問題、大臣いかがでしょうか。
  382. 山中貞則

    山中国務大臣 もちろん、その取りきめに基づいて基地を提供しているわけでありますが、かといって、日本における沖繩復帰前の本土からの陸の撤退というようなこと、あるいは関東計画、一方、沖繩が返ってまいりまして、沖繩の最も大切な、重要な場所に対する広大な——全体としても広大でありますが、最も目ぼしい場所が基地であるという沖繩の現状等考えて——アメリカ側は、アメリカ側の極東戦略があるでしょう。そして日本との関係がそこに生ずる。それは、この安保条約のいま読み上げられました条項においても、そのことを踏まえておると思います。しかし沖繩県民の二十五年の苦労、復帰後は二十九年になるわけでありますけれども、今日までのその労苦というものが、基地のためにどれだけのものであったかということを考えると、これは安保条約の趣旨に従って、沖繩においてアメリカの基地が最低どこまでが必要なのか、この問題は、意見は違っておりますけれども、私どもとしては、沖繩の人々を、この広大な基地から解放してあげるということが、本土の者の義務である。かといってアメリカは、沖繩のキーストーン的な役割りまで放棄するとは思われません。しかし、それについては、あくまでも安保条約の趣旨に沿うことを妨げない範囲で、どうしても沖繩県民のために、本土の良心の名において、あるいはまた義務において、これは縮小への努力をねばり強く続けていきたいと思います。若干の成果もすでに出ております。  本土においても、逐次整理統合はされつつあります。しかし他面、統合された場所、いわゆる集約された基地ですね、それば人間の体重が、ハイヒールのかかとが細ければ細いほど、その重みが一点に集中するように、その基地の周辺の方々にとっては、それはなるほど日本の安全のために、安保条約があって米軍が駐留しているのだ、基地を持っているのだということはわかっても、全国民の平和と安全のために、そこの人たちだけが非常に重い、負担と申してはなんですが、苦労をさせられるということ等については、どうしても国としておこたえするところがなければならぬ、そういうようなことも、今回の法律の前提に一応あるわけであります。
  383. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 日米安保条約の中に、核のかさという考え方もあるわけでありますけれども、たとえば核のかさに入るといっても、実際には核の抑止力を期待するだけだというように私は思うのです。非核三原則であるがゆえに、実際に日本の国の基地に核を持ってくるなんということは、ないわけでありますから、そういう意味からいうならば、ある程度無関係にひとしいのじゃないかというように思うわけです。だから、たいして基地は必要ない。そういう観点から考えるならば、いまアメリカに貸しているところの基地一つ一つ——いわゆる明確な働き、またそれが日本の国の安全にどういうふうに寄与しているかということを一つ一つ、これは日本の政府、しかも有能なる山中大臣が、こういう問題に鋭くメスを入れて、そして、これは必要ないのだ、これは国民に返すべき基地であるということを、明確に再検討をする時期が来ているのじゃないかというように私は思うのですが、その点はいかがお考えでしょうか。
  384. 山中貞則

    山中国務大臣 核のかさについては、これは世界に日本だけが核爆弾、原子爆弾の初期のものを二発受けたという被爆民族がおって、それから後、われわれの犠牲において世界に、核の恐怖の均衡ではあっても、それが破れて核を使う大規模な国際紛争というものは絶えておるし、その限りにおいて、国際平和というものか——大きく全地球を巻き込むような脅威というものが逐時除かれる方向にいきつつある。ただしかし、最近ソ連のMIRV化等の成功等によって、SALT IIの交渉あたりがやや思わしくいっていないようでありますが、しかし、それとても、破れたからといって、それを使用する戦争が起こるだろうということは、超核大国である米ソともに考えてないと思うのです。その意味では、日本は、その核の均衡の中で、アメリカ側の均衡の下にあるということで——これは、ある意味では、実際にそれが目に見えたらおしまいだという問題ですから、あるいはおっしゃるとおりの、現実に目に見えないものであって、それがまた、そうあるべきだと思うのです。  そこで、一方においては、じゃ国内の基地はどうか。いま、おっしゃるとおり、ただずっといたのだからということではいかぬということは、沖繩の例をとりましたが、本土にとっても地域的に言えるところがあります。ただ御承知のように、私たちは、現実的にあるいは憲法その他の制約下において、海外派兵はもちろんのこと、兵器においても相手の領海、領空、領土というものの中に入って行けない、わがほうの領海、領空、領土のみを守るという制約を、将来も破ることのできない国であります。そうすると、ここらにアメリカのほうの若干の疑問点もあるようでありますけれども、その日本がもし急迫不正の侵害を受ける、そのときに日本は、みずからの努力でそれは守ります。しかし逆に、相手方にその攻撃をやめさせる手段を、外交交渉以外には私たちはとれないわけです。そうすると、その力、いわゆる反撃力というものは、核兵器でなくとも米側にたよらざるを得ない。その意味で、安保条約ははっきり目に見えてもらっちゃ困るのですが、しかし、その仕組み、ワク組みというものはなければ、日本の自衛隊の防衛力だけでもって、この長大な緯度に横たわっている日本列島、ジェット機だったら十数分で通り過ぎてしまうが、そういうものを守るのはきわめてむずかしい、不可能に近いということであります。  それらのための基地というものもやはり必要である。現実に陸なんというものは、まだ沖繩に海兵隊が若干おりますが、これは私には私の見解がありますが、アメリカとしては、やはり極東地域の中の一つ存在として考えているようでありまして、本土のほうでは、大体陸は引き揚げるということ等か証明しておりますように——いまおっしゃった気持ちは、私もわかりますし、そういうことは私も取り組んでおります。ただ、これは私だけの見解ではいけませんので、外務省と相談をし、内閣を代表した最高の指揮権者である総理の御意向も聞きながら、アメリカ側との折衝事項になるように、その努力は続けていく。しかし、いまおっしゃったように、一つ一つ基地を、これは不要、これはまあいいということを、私たちが言っても、必ずアメリカ側がそれは不要ではないということで、いままでやってきているわけです。そういうようなことで、いわゆる基地機能という問題になりますと問題が起こる。しかし逐次返還もしておりますように、向こう側がもう日本に、そういう施設なり基地なりを持つ必要はないと思うものについては、比較的話は進みますから、いまおっしゃった御趣旨は、私もわれわれ日本国民として必要最小限というものにとどむべきであるという気持ちでおりますので、そういう姿勢は続けてまいりたいと思います。
  385. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大臣の見解は、大臣がお持ちであるけれども、しかし、それは日米安保条約との関係からいいますと、ただ大臣の見解で、ひとりよがりというわけにはいかないと私は思うんですね。だから、少なくともアメリカと大臣と——外務省なんか中に入れるといったってだめです。言うならば、防衛の担当者である山中さんが、直接アメリカとデスカッションをする機会がなければだめだと私は思うのです。現在、緊張が緩和されておりますから、万が一にもそんなことはございません。しかし、いま政府が考えているのは、万が一の通常戦争というものがあるということを仮定して、防衛力を整備しているわけでしょう。となると、通常戦争になった場合、具体的にどのような手続をすれば、アメリカがどのような方法で、どのような具体的な援助をしてくれるかということについて、それがすべて約束されているのかどうかという問題については、どうなんでしょうか。
  386. 山中貞則

    山中国務大臣 この点は、制服の間で連絡会議を持っておりますけれども、基本的には、アメリカという国を私どもが信頼し、そして、その信頼の上に立って安保条約を結んでおる、基地を提供しておるというならば、私たちが期待するものに対して、一応理屈の上ではそうなっているのですが、アメリカは具体的にどういうふうな体制をとるのかということについては、私は絶えざる対話が必要だと思うのです。  特にシュレシンジャー長官というのは、非常に性格の——性格といいますか、率直明快にものを言う。たとえば長期間固定していた観念ですが、米ソともに相互報復力でもって一億ずつ殺し合う力を持っている、だからこそ、使えないのだという考え方を——いやアメリカのほうか、自分の国民も一億死ぬのだからちゅうちょするだろうということで、使うという場合があり得る、それならばということでSLBMを含めて、軍事基地その他、その目標を修正したというようなこと等を考えますと、やはりシュレシンジャー長官と私と、そして安全保障問題の専門家であるキッシンジャー国務長官、そして実際の戦術部隊の最高の責任者であるアメリカの統合参謀本部議長、こういう人と真に腹をぶちあけあって話をしなければならぬ。しかも歴代防衛庁長官、もう四年近く行ってないですね。アメリカに行くということがいけなければ、シュレシンジャー長官に日本に来てもらってもけっこうなんです。要するに、そういう対話が必要である。  さらに一応、私の念頭にありましたことは、いま国会が延長になってだめになりましたので実現はしないかと思いますが、非常に特色のあるスウェーデン。それから日本と似たような境遇で、敗戦国になったが、しかし基本法を改正して、国軍を持ってNATOに参加している、アメリカの駐留経費の全額を相殺する契約までしている、二年間で二十二億ドルというような巨大なものをやって割り切っている国。あるいはまたイギリスはいまや島国、とすると、イギリスの防衛は、日本と同じように島国の防衛という構造にならざるを得ないのではないか。そういう三つの国。スイスあたりはもうわかっております。そこらをおとずれて、軍の最高——国防大臣と率直にお互いの意見を交換することによって、日本の将来あるべき国防の姿、これを模索したいと思ったのです。  しかし、これも時間的に不可能になりましたけれども、少なくともアメリカの、安保条約を結んでいる当事者に、強烈な個性の持ち主が登場しているわけですから、これは、やはりアメリカの国防大臣と日本の防衛庁長官とが、ほんとうに腹を打ち割って、どこがどういう場合には、いつ何日後にどういう形でという、そういうものも議論をしておく必要がある、そういう気持ちを持っておりますが、時間が許されますかどうか、それもいまのところ未定であります。御意見は、私もたいへん有意義であり、また同感に思っておるところであります。
  387. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 アメリカのいわゆる防衛の担当の長官が強烈な個性の持ち主であるならば、わが山中防衛庁長官も、これまた強烈な個性の持ち主です。そういう意味からいうならば、常にそういうコミュニケーションをつくっておくということが、たいへん大切なんです。私は、あなたたちと防衛の問題についての考え方は違いますよ。違いますけれども、日本の国をどうするかということになると、そこにやはりいろいろ疑念がわいてくるわけです。  たとえて言うならば、あなたたちは日米安保条約があるから、だいじょうぶだろうと言うが、これは信頼の盲点ですね。いざというときになったら、自衛隊が受け持つ任務と、アメリカが受け持つ任務というものについてディスカッションされて、どういうところにおいてコントロールされるのかということがなければ、てんでんばらばらに、日本は日本の国でやるのだ、アメリカは指揮系統が違って、かってにやるというのでは、いかにもお粗末な話になってしまうのではないか。だから、通常戦争ということは、私は万が一もないと思います。ないと思うけれども、もし、そういうことが現実に起きた場合、こういう問題は、非常に大切な問題であるだけに——また、そういうことかはっきりしないがゆえに、基地を持っているところの住民は納得しないわけですよ。基地を持っている住民は、これが日本の国の安全に貢献をしているのだということがはっきりすれば、私はある程度納得すると思うのです。そういうことがはっきりしないまま、うやむやにされている上に、公害とかいろいろな被害があるがゆえに、幾らか補助金をふやしてくれたって、とても納得がいかないというのは、私はそこに原因があると思うのです。  時間になってしまって、論戦がちょうど佳境に入ったのにやめなくちゃならないわけでありますけれども、そういう意味においては、防衛庁長官は、機会があればアメリカでも、あるいはスウェーデンでもスイスでも西ドイツでも、どこでも行って、そういうコミュニケーションをつくって、ためになることについては、一応話し合ってくるということですが、そういう意味において、何も私は、防衛力を増大させるという意味でなくして、何か新しいものをつくらないといけないのではないかと思うのですが、そういう点について、最後にお聞きしておきましょう。
  388. 山中貞則

    山中国務大臣 全く同感であります。
  389. 徳安實藏

    徳安委員長 横路孝弘君。
  390. 横路孝弘

    ○横路委員 初めに、今回の法案の出てきた背景について、少しお尋ねしたいのですが、「防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律の制定について」という皆さんのほうで出された文書で、「現行の整備法では基地周辺市町村の要望を十分に果し得ない状況にある」、したがって、新法が必要なんだ、こういう説明でありますが、「要望を十分に果し得ない」というのは、一体どういうことですか。
  391. 田代一正

    ○田代政府委員 今回の新法を制定した経緯につきましては、文書にもございますと思いますが、一つは、経済成長に伴う都市化現象の問題。それから周辺住民の皆さん方の環境意識の向上ということがございましょう。それを受けまして、地元住民の皆さまから、特に公共団体を中心といたしました御要望というものが背景になりまして、今回の制定になったわけでございます。もう一つ、ついでに申し上げますと、四十一年法が制定されましたときに、これじゃ不十分だから、もう少ししっかりやってくれ、こういう附帯決議が当時ついているわけでございます。そういった四つの点を中心にいたしまして組み立てられたのが、新法ということに相なるわけでございます。
  392. 横路孝弘

    ○横路委員 住民意識の変化というのは、いままでがまんしておったのを、もうがまんしなくなったという意味ですか。
  393. 田代一正

    ○田代政府委員 環境意識と申しますか、公害意識と申しますか知りませんけれども、ここ最近来の世の中の風潮の移り変わりという過程におきまして、従来ですならば、受忍するとかがまんするとかいう点がありましたでしょうけれども、だんだんそれはそうではなくなってきている、こういうことであります。
  394. 横路孝弘

    ○横路委員 基地周辺事業の当初予算額で、その推移を四十五年から見てみますと、非常に大幅に上がってきているわけですね。  少しお尋ねしたいのですけれども、たとえば障害の防止事業は、四十五年が四十一億四千百万ですか。それが四十九年度になりますと、ほぼ倍になっているわけですが、これは中身はどういう点がこのようにふえて、四年間でほぼ倍になったということですか。
  395. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 三条の障害防止工事がここ三、四年間でふえておりますのは、大体、障害防止に要します工事費の単価アップ等が、むしろ増額の主たる原因であろうかと思います。
  396. 横路孝弘

    ○横路委員 個所そのものはふえてないのですか。
  397. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 障害防止の案件を、個々につぶさに比較してみないとわかりませんが、案件におきましても、四年間に一割ないし一割五分ぐらい件数としてはふえております。
  398. 横路孝弘

    ○横路委員 たとえば、道路の改修事業のほうを、見ると、昭和四十五年度の当初予算が十九億九千四百万、四十九年度になりますと五十一億七千六百万、こういうぐあいになっていますね。これも倍以上の額ですけれども、これは、どういう理由でしょうか。
  399. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 道路の予算が伸びておりますのも、一般障害防止と同様の理由であります。
  400. 横路孝弘

    ○横路委員 そうすると、事業量そのものは、そんなにふえてないのに単価のほうが倍になった、こういうことですか。
  401. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 件数におきましてもふえておりますし、工事費の単価もアップしておる、両方の理由でございます。
  402. 横路孝弘

    ○横路委員 施設庁の関係の質問が、大体一時間半ぐらい続きますから、あとの方は、その間、晩御飯どきでもありますし、どうぞ退席されてけっこうです。  それで、民生安定関係の事業ですが、これも、ほぼ同じように、昭和四十五年度の当初予算二十八億から四十九年度八十七億とふえていますね。この辺は、どういう理由でしょうか。
  403. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 民生安定助成でその中を分けますと、一般助成と防音助成がございます。防音助成と申しますのは、民生安定助成の中で防音工事を施す施策を行なうものでございます。これが件数にいたしまして、かなり伸びたのが増額の原因であろうと思います。いわゆる一般助成、道路だとかあるいは有線放送だとかあるいは農林漁業施設だとか、そういうものに関する一般助成の面におきましては、件数におきまして、さほどの伸びはありませんが、ただ、これらは、やはり工事単価等のアップというものが相当上昇率を示しております。
  404. 横路孝弘

    ○横路委員 なぜ、こんな質問をしたかというと、いま都市化現象ということと住民の意識の変化という二つの問題を、皆さん方新法の理由として掲げられております。つまり都市化現象というのは、むしろ基地が先にあって、そこにあとで住民がやってきた、したがって、それに伴う要求というのが、今日は以前に比べてふえてきているのだという点が第一点ですね。それからもう一つは、住民の意識の変化で、いままでがまんしておったのが、最近はがまんしなくなったのだ、こういうことを言われたのですけれども、しかし、この新法の制定の過程を見ておると、私はそうじゃないと思うのです。その辺のところを、少し実はこれから議論をしていきたいというように思うわけです。  本法律の制定に至る過程というのは、私たちより皆さん方のほうが、むしろ十分御存じだろうと思うのですけれども、ほぼ一年間ぐらいに限って少し推移を見てみると、去年の二月の二十六日でしたか、後藤田官房副長官を中心にして防衛、大蔵などの事務次官による基地問題閣僚協の幹事会ですか、これが開かれて、米軍と自衛隊の重要基地の地元対策を話し合っていますね。これは間違いございませんね。
  405. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ちょっと手元にありませんので、正確な二十六日という日付の点は確認できませんが、その時期にそういう会議が持たれたということは事実でございます。
  406. 横路孝弘

    ○横路委員 その席上、島田防衛庁の事務次官は、自民党の基地対策特別委員会と相談の上、地元の抵抗をかわす特別立法を検討しているということを報告をして、関係省庁の協力を求めた。その特別立法の内容というのは、大きくいいますと、二つになっておりまして、一つは、演習場、飛行場、弾薬庫、港湾、射撃場など、地元に影響の大きい施設は、重要基地として周辺市町村との調和をはかる、これは今度の新法でいえば、九条の関係だろうと思うのです。それからもう一つは、この町づくりに協力するため、現在の周辺整備法でカバーできない対象等について、財政援助をして地元の負担を軽減をするのだ、これは新法でいうと、従来の、つまり現行法の四条を拡大するということだろうと思うのです。そして、なおかつ防衛庁側としては、四十八年度予算案についても、基地周辺の市町村について、特別立法で盛り込む内容等を、各省庁の行政的裁量によって、できるだけ地元の要望に沿った措置をとってもらいたいという要望を出している。したがって、この会議の中身というのは、やはりこの新法が必要だというあたりの話、いま私が言った二点が、話の内容であるという点について間違いございませんか。
  407. 長坂強

    ○長坂政府委員 お答えいたしたいと思いますが、その二点ももちろん含んでおります。しかし実は、そういう昨年の二月というようなときが、この新法が必要であるということを感じた時点ではなくて、すでに昭和四十七年の七月ごろから検討を始めております。それから四十七年の十二月におきますところの各都道府県知事会議の要望とか、それから各市町村長会議、市議会議会議の要望というようなものは、四十七年の十二月にすでに盛んに出ております。そういうようなところに発端がございます。
  408. 横路孝弘

    ○横路委員 私は、一年に限っての動きをお話するという前提でお話をしたのですが、その四十七年の夏ぐらいから出ているというところに、実はこの法律の制定の一番ねらいがあるだろう、皆さんのほうで先にお答えになりましたから。つまり北富士の使用転換の問題、これが本法律案をつくる一番大きな動機になっているだろうと思うのですが、これは、あとでもう少し議論をしていきたいと思います。  次いで、その基地問題閣僚協の幹事会を開いたあとで、自民党の基地対策特別委員会、ここで大蔵、自治、防衛、内閣官房などの各省庁の基地問題担当者とそれから全国市長会、いまもお話の出ておった市長会の基地対策協議会代表、あるいは東京都下の昭島とか武蔵村山等の市長を交えて基地問題を協議しております。これに防衛庁も出席していると思いますけれども、間違いございませんね。
  409. 長坂強

    ○長坂政府委員 具体的な日にちは、いまちょっと不確かでございますけれども、そういうような防衛庁側、防衛施設庁側も出席いたしました会議が持たれております。
  410. 横路孝弘

    ○横路委員 この中で地方の自治体の代表から、基地問題をこのまま放置すると、立川市のように、革新市長のもとでの基地紛争が続出するおそれがあるので、政府・自民党は、特別立法などによる抜本的な対策を早急に打ち出すべきだという強い要請が出されて、それに対して防衛庁側は、四つの項目からなる基本方針を提出しているわけです。その一つは、周辺整備法による補助事業を、市町村だけでなくて都道県にも拡大をするという点ですね。それからもう一つは、演習場、飛行場、弾薬庫などの重要基地を持つ地元に対する予算の重点配分、それからもう一つは、地方債の発行による地元負担の軽減、基地交付金の効率的な運用というような点が提出をされて、議論をされたというように聞いておりますけれども、これも間違いございませんか。
  411. 長坂強

    ○長坂政府委員 そういうような会議を通しまして、非常に強調されましたことは、地方公共団体のいわゆる負担、基地の所在する市町村だけが、この防衛関係について特に負担をしていかなければいけないというのは、国民負担の公平という原則から見てどうだろうかというような点が、地方公共団体側から力説されました。それから、そういうような重点基地というような考え方も、その当時ございました。それから従来は、マイナスを単に補てんしていく、マイナスをゼロにまで持っていくという施策だけに限られている、しかし、これを何とかゼロからプラスの施策を加えることはできないであろうかというような観点の意見交換がなされております。
  412. 横路孝弘

    ○横路委員 さらに、三月の中旬に、二階堂官房長官が、横田基地の周辺の各市町村から要請が出されていた基地対策についての当面の措置という形で、諸対策事項として、いま御答弁のあったような点を含めた回答書を出しておって、その内容は、関係政府機関と協議、調整した結果をまとめたものという形で出されているわけですけれども、一つは、現行の周辺整備法による基地対策事業をできるだけ拡充する。それからもう一つは、関係行政機関の補助事業が重点的に実施できるように調整をする。もう一つは、周辺整備事業にかかってくる地元負担を軽くするために地方債を弾力的に広げる。もう一つは、市町村に対する交付金の重点的配付。これは二月の自民党の基地対策特別委員会に、各省庁と市町村の関係者が出席したときとほぼ同じような内容の回答が出されている。これも間違いございませんね。
  413. 長坂強

    ○長坂政府委員 三月十五日付で、内閣官房長官二階堂進という名前で「横田飛行場周辺地域における基地対策について」という回答文書が出ております。その内容は、方向としまして、ほぼ先生御指摘のとおりだと思います。
  414. 横路孝弘

    ○横路委員 ちょうど当時は、北富士の使用転換の問題をめぐって、地元との間にいろいろな話が一方でずっと進められておったわけです。それは、四十七年の夏ぐらいからの話だろうと思うのです。そして昨年の三月三十日の日に、「北富士演習場の使用に関する措置について」ということで、閣議了解が行なわれているわけです。これは長官も御存じだろうと思いますが、その中で「この北富士演習場の使用と地元民生の安定とを両立させるため、山梨県及び演習場周辺地方公共団体に対し、次の措置を講ずるものとする。」として、一つは、「周辺整備事業の実施については、この地域の特殊性に立脚した地元の要望を勘案し積極的に推進するものとし、これに必要な助成措置を行なう。」というのが一点ですね。それからもう一つは、「前記事業に対する地元負担の軽減をはかる等のため、関係法令の運用の改善等について積極的に検討する。」という閣議了解がございますね。これも間違いございませんね。
  415. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 閣議了解の内容、そのとおりでございます。
  416. 横路孝弘

    ○横路委員 そして四月三日のあの使用協定の第六条でも、周辺整備事業については、この三月三十日の閣議了解で定められた方針により実施するということになり、さらに「北富士演習場の使用に関する覚書」の第2のところで、乙というのは、二階堂官房長官ですが、「乙は周辺整備事業について、山梨県が地元市村等と協議して策定する概ね五ヶ年間の計画により実施することを要望していることにも留意しつつ、各年度の予算の範囲内で実施するよう措置するものとする。」、「なお、実施にあたっては関係法令の運用等について積極的に検討する」、こういう経過で昨年の——話は、一昨年の夏から出ておったのだろうと思うのでありますけれども、昨年の二月段階にずっと来ておるわけです。  そうすると、この問題の経緯というのは、北富士と、この話の中で出てくるのは、横田ですけれども、使用転換、つまり米軍の基地が日本側に返還をされる、そのあと地をめぐって、やはり基地の確保という観点からこれは出されてきたのであって、一番初めに、都市化現象による問題と住民の意識の変化ということじゃなくて、基本的な自衛隊基地の確保という観点で、この法律の制定作業というものがずっと準備をされてきた。  ですから長官、住民の意識の変化とかなんとか言わぬで、この辺のところを、むしろ率直にお認めになったほうがいいのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  417. 長坂強

    ○長坂政府委員 この渉外関係の都道県知事会議からの要望とか市町村長会議、それから市議会議会議の要望というものは、必ずしも一地域の要望、たとえば北富士とか横田とかいう一地域の要望をもとにしての全国的なそういう会議の要望ではございません。むしろ広く各都道県におかれても、それから各基地を持っております市町村の大かたのところからも、大きな声として盛り上がってきたのだというふうに私どもは受けとめております。  ただ、四十七年から四十八年にかけて、一番私どもが頭を悩ましたものは、横田周辺のいわゆる関東集約計画、それを実際に、具体的に実現をはかっていくにはどうしたらいいのだろうか。その基地が廃止される地域は喜んでも、集約される地域でありますところの市町村というものは、それを受け入れるのにどうやったらいいだろうかということで市町村側も苦慮しておりましたし、私どもも非常に苦慮しておった。その横田の問題というものが、この法律のいわゆる牽引車になったことは事実でございますけれども、しかし全国的な声であったということ、それを背景にして、横田の声がやはり牽引車となり、起点となったというように理解をいたしております。
  418. 横路孝弘

    ○横路委員 この法案を閣議決定をされたのはいつですか。
  419. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 本年二月の八日でございます。
  420. 横路孝弘

    ○横路委員 その二月の八日の日に、施設庁長官は山梨県に行っていますね。これは、どんな用事で行ったのですか。
  421. 田代一正

    ○田代政府委員 私、たしか二月の八日の日に、山梨県に行ったことは事実であります。これは山梨県の知事に、表敬をするということで参りまして、十分ばかり会ってまいりました。
  422. 横路孝弘

    ○横路委員 つまり、この法案が閣議決定された日に、横浜防衛施設局の局長と一緒に知事の公舎で田辺知事にあいさつをしておるわけですね。その後、記者会見をして、あなたは、この法律というのは、背景に横田基地と北富士演習場の問題があったからなんだということを説明して、その記者会見に出た記者の受けとめ方としては、この新法でいう特定防衛施設調整交付金制度の恩恵が、北富士の演習場にも適用されるということをほのめかした、こういう各新聞社の新聞記事が出ておるわけでありますけれども、非常に率直に、新法の閣議決定の日に、直ちに表敬訪問をされたというのは、北富士で皆さん方苦労されて、これで北富士問題は解決できるからだろうというようにお考えになったからでありましょうが、この記者会見の発言は、間違いございませんね。
  423. 田代一正

    ○田代政府委員 これは、閣議決定になるから、その日に私が山梨県の知事を訪問したというわけではございません。これは、かねがね、私が昨年の十一月に就任いたしまして以来、北富士関係ではいろいろとごめんどうを願っておるということで、私の手がすいたら参りたいという気持ちでおったわけでありますけれども、たまたま閣議決定の見通しがついたということでもございますので、その日に参ったというわけでございます。  それから、記者会見の模様でございますが、これは、いろいろ新法の内容について御説明いたしまして、先ほど長坂君が牽引車だと言いましたけれども、新法を制定するに至った問題点といたしまして、横田の問題とか、北富士の問題というものは、やはりバックミュージックというものの一環をなしているという説明をしたことは事実であります。しかし北富士を特定防衛施設に指定しますというようなことは、一切記者会見で、質問はありましたけれども、申し上げなかったというのが事実であります。
  424. 横路孝弘

    ○横路委員 まあ、つまらぬことですけれども、こちらのほうから出向いていって、やはり言わなければならぬ理由があったのでしょうけれども、ただ問題は、だから、この法案というのは、都市化現象というのは、確かにそれはあるのでしょうけれども、問題の基本は、横田基地の今度の集約化計画、それから北富士の使用転換に伴う諸問題、やはりこれらの問題の解決、あわせていろいろ要望もあちこちから来ているし、沖繩の問題もあるでしょうから、ということなんでしょう。率直にお答えになったほうがいいのじゃないかと思います。
  425. 田代一正

    ○田代政府委員 先ほど私は、新法の制定のバックになった基本的な考え方として、都市化現象と住民の環境意識の高揚ということを申し上げました。それで全般的な現象として、先ほど来長坂君が答弁しているわけでございますが、やはり北富士の使用転換という問題あるいはまた横田集中という一つの激動期に際しまして、そういった機運が盛り上がったということは事実でありますが、そのよってきたるゆえんは、やはり都市化現象という問題があり、それからまた住民の環境意識の高揚ということじゃないかというぐあいに考えます。
  426. 横路孝弘

    ○横路委員 そうすると、自衛隊のほうには何にも問題がない、こういうことですよ、皆さんの言っていることは。しかし実際は、そうじゃないでしょう。それは、ここにあるいろいろな障害の関係にしても何にしても、機種がどんどんかわれば、たとえばF104からファントムにかわれば、騒音の度合いだって大きくなる。それから北富士あたりでも、従来の米軍よりは、たとえば演習の回数がふえるとか、やはりいろいろな問題が起きてきているわけでしょう。  だから問題は、国民のサイドにあるというよりも、やはりこういう状況の中で、何とか基地を維持していきたいという皆さん方の要求にあるわけですよ。そうでしょう。だから、今度のこのような法案なんていうのは、ほんとうにどういう範疇に入る法案か、公害対策に入る法案なのか何か損失補償に入る法案なのか、さっぱりわけがわからぬ。いろいろ議論をすれば、議論ができるわけです。騒音といったって、これは山中長官は一番御存じだろうと思いますけれども、いま新幹線だ、従貫道路だ、飛行機の騒音といったって、民間の飛行機の騒音だって、国民の側からいえば、何も発生源が民間航空だろうと自衛隊の飛行機だろうと関係ないわけですよ。同じような影響をこうむっているわけでしょう。ところが、基地だからということで、こういう制度を皆さん方はつくろうとしている。それは何かといえば、都市化現象だとか住民の要求だとかいうことではなくて、やはり基地を維持したいということなんでしょう。そのために、いろいろ何かわけのわからぬ、お金をとにかくばらまくから何とかがまんしてくれ、中身はこういう法律でしょう。あとで個別の各条の議論をしていきますけれども、基本はそこでしょう。そこが、あなたのいまおっしゃるように、国民のほうの意識が変化して、要求が出てきたからで、つまり基地そのものの態様とか運用の中身は変わってないのだということでは、決してないと私は思うんですよ。違いますか。
  427. 田代一正

    ○田代政府委員 基地の維持、確保のための法案だという認定を、横路先生しておられると思うのですが、私ども本法案に取り組んだスタッフといたしましては、先ほど来申しておりますように、基地政策は別にいたしまして、いやしくも基地がある、基地がどうしても必要であるという場合に、そこで、いろいろな公害現象と申しますか、そういった現象が起こる、それに対しまして、住民の方々がいろいろ御迷惑になる、その御迷惑に対しまして、現時点に立った考え方から申しまして、どういうぐあいに対応したらいいかということが、この基本的な考え方であります。  さらに、これは大臣の答弁事項かもしれませんけれども、基地政策というものは、また別途あると私は思うのです。これは日本の安全保障政策、そういったものから誘導されてくる基地の適正配分という問題あるいは日米安保の履行という問題の過程における基地の問題ということであります。そういうわけで、基地の安定、維持というものを、当面この法律のねらいとしたということではないということを申し上げておきます。
  428. 横路孝弘

    ○横路委員 そうしたら、この法律目的というのは、基地の設置、運用によって出てくる障害を防止するというわけでしょう、そうすると、法の体系の中からいえば、これは公害対策の法案の範疇に入る、そういう位置づけになるのですか、この法律は。
  429. 田代一正

    ○田代政府委員 先ほど来申し上げておりますように、この法案は、基地がある、あることによっていろいろな騒音の発生とか、基地の存在によるいろいろな障害というものを、いかに緩和、防止、軽減するかということをねらっているわけでございますので、——まあ、法律的なジャンルはいろいろあると思います。私も専門家じゃございませんから、はっきりわかりませんけれども、どちらかと申しますと、公害的な現象をとらえた法案じゃないか、こういうぐあいに考えております。
  430. 横路孝弘

    ○横路委員 それは、重要なことなんですよ。これが公害対策の関係の法案の中に、法律の法体系の中でもって位置づけられるということであれば、いま新幹線だ、縦貫道路だとか、いろいろ騒音の問題がたくさんあるんですから、これは政府としても、やはり統一的な行政というものをしてもらわなければ、国民のほうは、こっちはがまんしろ、こっちはだめだ、こういうのでは困るわけです。こっちは、いろいろやってあるけれども、こっちはがまんしろというのでは困るわけです。その辺のところ、これは皆さんも、法制局といろいろ議論しながら、この法律をつくったわけでしょうが、そのときにはどういうお考えだったのでしょうか。公害対策法案という位置づけなのか……。
  431. 田代一正

    ○田代政府委員 明確に公害法案だという意識は、実を言うと私ども持っていないので、やはりそこに基地がある、基地の存在あるいはまた基地の運用というものから生ずるいろいろな障害に対して、いかに防止、軽減あるいはまた緩和をしたらいいかという角度でとらえているということであります。  私も専門家でございませんので、これが全く公害と同じだというぐあいにはいえないのでありますが、一種独特な、日本の法体系におけるジャンルではないかというぐあいに考えます。
  432. 横路孝弘

    ○横路委員 まあ、かってにあれしてもらっては困るので、それが実は非常に大事なことなんですよ。あるいは逆に、これは損失補償の関係での特別立法なんだというならば、この法案の意義も、また別に出てくるわけです。公害対策ということで位置づけられるのだったら、それはまたそれで意義というものが出てくるわけです。ところが、やはりそうじゃないんでしょう。  この八条、九条を見たって、そうじゃなくて、やはりこれは基地確保法案じゃありませんか。基本的に、私は、そこを皆さんごまかされないで、基地が必要なのだから、そのために、いろいろ迷惑料を払うのだ、金を出すから少し協力してもらいたい、こういう法案なんだというふうにお考えになっておるならば、そのように御答弁されたほうがいいと思うんですよ。こんな議論をしたってしようがありませんから……。
  433. 山中貞則

    山中国務大臣 まあ、施設庁長官答弁させておったわけでありますが、この法案を公害法のジャンルに入れるのか入れないのかという議論は、実はそういう角度からこれを考えていませんので、そういう議論をしたことはありません。  私は、いままで基地の既存法は、運用によって生ずる障害ということをいっておりましたので、それは運用だけでは問題がある。たとえば、いつも例をあげて部内では話をしておったのですが、三沢というところに広大な飛行場がある。ところが一方、賛否は別ですが、むつ小川原湖開発という巨大な国家の開発計画というものを、地元市町村では歓迎しておられる。そうすると、なかなか言い回しがむずかしいのですが、三沢市だけは、その計画の中にぽっかりと空白をつくらなければならぬ。それは基地があるからだ。そうすると、基地の存在そのもので、三沢においては国家的なビッグプロジェクトの中に入れない部分を持つ、そういう大きなデメリットになるのじゃないか。またなるだろう。あるいはまた、部市周辺における宅地化その他も含めますが、横田に象徴されるように、出ていってもらい、返してもらう基地は、けっこうであるけれども、そこに集約される基地というものは、これは先ほども、ちょっと言いましたけれども、自分たちの周辺でもって相当部分の、国民のための存在とするならば、それの負担を自分たちだけがさせられるという問題重みがいよいよ加わるという問題がある。さらに沖繩の嘉手納飛行場等に見られるように、行政区画の八割、七割、六割というものが基地の中に入ってしまうと、もうその町村は、都市計画はおろか、その村のあらゆる計画というものが立案できない。居住する場所さえやっとである。北谷村のごときは、自分の村の敷地内に自分の義務教育の小学校すらつくれない、こういうようなことは、これは運用によって生ずる弊害の除去、デメリットをゼロにするという、そういうことではとても対応できない。やはり設置そのもの、存在そのものがとらえらるべきである。  したがって、そういうことを、例として二、三あげたわけでありますが、そういうことを前提にして、現行法が昭和四十一年に国会で制定されました際、衆参両院の内閣委員会における附帯決議、これは現行法をもっと研究して、地元の要望にこたえる努力をしろとか、事こまかに、参議院ではもっとこまかに、いろいろな内容の附帯決議がつきました。それを踏まえながら、現行法で行政を今日までやってまいったのですけれども、やはり因果関係の問題とか、そういうような問題で限界がありますし、また、それをやろうにも、明確に対象事業の範囲外である等の問題については、どうしても現在の法律では対応できない。こういう実態に対して、反面、市町村長さん、知事さん方は、新しい法律をつくって——われわれは基地をなくすることを望む、望むが、どうしても必要であるということならば、その基地について、国は、われわれ市町村周辺の者の迷惑に対して、もっと積極的な姿勢を示す、あるいは行政を展開できる法律をつくりなさいという御要望を、私、野におりましたけれども、政策審議会等におりまして、よく聞いておりました。  でありますから、そのような背景をもって、その御要望等も踏まえながら、新しい考え方を持ち込んで基地というものを考えていこう、対策を考えていこうということであります。そこで基地の確保、恒久化ということに直接につながり得ないのは、自衛隊基地については、これ以上巨大なる基地を取得する理由、そういうようなことも大体考えられませんし、また自衛隊基地を日本の国土からなくしてしまうというのには、私たちは、応分の——憲法の許容する範囲内の非核三原則を踏まえた自主防衛の努力は放棄しないのだ、こういう方針をとっておりますから、自衛隊基地をなくすることはできない。であれば、いろいろの御意見があっても、基地があることについての、周辺に対するできる限りの努力を展開する義務がある、責任がある、そう思っておるわけであります。  他方、もう一方のほうは、安保条約に基づいて日本が提供しておる施設、区域、こういう基地があります。これは沖繩に象徴されるのですが、これは先ほども議論いたしましたように、日本本土から陸上等は引き揚げていきつつある、ほとんど引き揚げたということの変化等が示しますように、やはりその態様を改めてもらって、アメリカ側の最低の極東戦略と、そして日本側との間に結ばるべき安保条約の範囲の中において、アメリカ側の許容できる範囲、そして私どもが、またそれを認め得る範囲というものまで——少なくとも沖繩においては、あの一番利用しなければならない土地が全部基地である。基地の中にある沖繩という感じの沖繩本島を中心に、極力努力をして米側の理解を得て、そして、これを縮小する努力をしなければならぬ。このような二つに分けて考えておるわけでありまして、沖繩の場合はなるべく基地を減らす、そして米側との間に粘り強い折衝をするということで今日までもまいっておりますし、これからもまいるわけでありますが、粘り強い交渉をしても、なおかつ一ぺんにはなくなりませんし、あるいは嘉手納空港一つをとってみても、嘉手納がここ二、三年のうちに返されるであろうという見通しはなかなか立てにくい、私どもですらそう思います。そう思いますと、やはりその存在しておる基地について、周辺の方々に、私どもは、できるだけの配慮をしてあげる義務があるのではないか、こういう気持ちでおるわけであります。  取りまとめて、私の新法律案に対する考え方というものを申し上げました。
  434. 横路孝弘

    ○横路委員 山中さんは、環境庁の長官もたしかおやりになった。公害対策の基本は、公害発生源を除去するというのが一番いいわけですね。皆さん方だって、その考えをおとりになったはずなんです。たしか二年ほど前、例の立川への基地の強行移駐のあったときに、野呂政務次官が中心になって、市街地の中の自衛隊基地についてどういう必要性があるのか、全国的に洗い直しをして検討をするということでしたが、この委員会でも、たぶんたびたび議論になっていることだろうと思うんですけれども、そっちのほうを整理したという話は、さっぱり伝わってこない。せっかく皆さんのほうで、公害発生源を除去されるということで立てられた計画、これは一体どうなっているのですか。そっちのほうを、やはりきちんとやるべきじゃないかと私は思うのです。
  435. 長坂強

    ○長坂政府委員 一昨年、防衛庁の中に設けられました基地総合調査本部の作業のことを、御指摘になっておられるものと思いますけれども、これもいろいろ検討いたしまして、一つは、在日米軍基地に関しますところの、整理統合の方針で進んでいくけれども、やはり一面、安保体制の堅持ということもあり、それから地域社会との調和ということも考えて整理を進めていくということで、昨年の二月、この整理に関する基本的な考え方をまとめまして、そして防衛施設庁長官のほうにリファーしております。その結果が、ことしの一月末の第十五回安保協議委員会の成果となってあらわれております。  それから同じく、その制度の一環としまして、やはり立川移駐の際にもいわれておりましたような、基地対策をどうするかということについての規則的な考え方をまとめまして、それもやはり防衛施設庁長官のほうにリファーしまして、今回御審議をいただいております新法の形になっておるわけでございます。  それからほかに、これは都市の中にといわれましても、飛行場の問題とそれから演習場の問題、射爆場の問題というようなものが、地元との間で非常に摩擦の起きる問題だと思いますけれども、岡垣の射爆場については、これは五年の期間を限って使用することにしよう、あとはひとつ代替地等を求めていこうじゃないかという態度を決定いたしました。それから水戸の対地射爆場につきましても、県知事さんとも相談いたしまして、三年の間使用を認めよう、あとはこれを移していこう、そして地元の開発計画等との調和をはかっていこうということを打ち出しております。それから千歳の滑走路につきましては、これを千メートル、札幌の市街地から離すということで、南方に移動させようということで、ことし予算化も見ました。  そういうようなことで、岡垣、水戸の射爆場、それから飛行場についても千歳は、そういうようなことができる。ただ都市周辺にありますといわれましても、たとえば厚木というようなものをとりましても、これをどう適地へ移設するかということになりますと、費用の点ばかりでなく、これの代替地を求めることが、非常に困難であるというふうなのが現実でございます。  そういうような点から、考え方としては、そういう基地の移設あるいは別府の基地の湯布院への移設とか、そういうことも逐次やってはおりますけれども、趣旨は、そういうようなところを生かして、あとう限りのことはやってきたというような感じでおりますけれども、さらに残っておる問題もございますので、さらに努力を重ねていきたい、このような感じでおります。
  436. 横路孝弘

    ○横路委員 私が当初聞いておったのは、都市の構造とかそれに合わせて基地の機能というのを一つ一つ点検をして、そして、たとえばここに置く必要はない、しかも、それが都市の住民にとって非常に問題になっているというようなものについて、単に射撃場とか飛行場ばかりじゃなくて、全面的に検討して、移すものは移す、取り除くものば除く、あるいは統合するものは統合するというようなことの全国的な、全面的な検討をやるというように、当時方針を伺ったのですけれども、そうじゃないのですか。
  437. 長坂強

    ○長坂政府委員 そういう面の検討も、もちろんいたしております。  それから、在日米軍基地につきましても、どのような使用の状態であるかというようなことは、防衛施設庁のほうでも、全国的な基地について把握をしております。そして、それを今度組み立てまして、では、どういうふうに実際移設をしていくかということになりますと、たとえば関東集約計画あるいは淵野辺の座間への統合、医療センターの座間への統合とかいうようなものになってあらわれてきているわけでございます。
  438. 横路孝弘

    ○横路委員 たとえば北海道でいうと、札幌市内で丘珠飛行場というのがありますね。これは、いま東亜国内航空が使用しておりますけれども、これは、いずれ千歳のほうに移るわけです。それから札幌市内の住宅街のまん中に、真駒内の自衛隊がありますね。それから、あと交通の非常な障害になっているんですけれども、苗穂というところに陸上自衛隊部隊がおりますね。ああいうようなものも含めて、射撃場とか飛行場ばかりでなくて——先ほど千歳と言ったけれども、千歳はファントムを導入するためにやるわけでしょう。別に、そういう既存の基地について、そういう意味での都市構造とか基地機能を検討して再建をするというよりは、むしろ新機種導入のために、地元の了解をはかるためにということでおやりになったのだろうと思うんですよ。そういう、いま私が言った、たとえば札幌の丘珠飛行場を見ますと、もう周辺全部住宅になって、夜間は飛行機の離発着ができないのです。一般家庭のあかりと飛行場との関係が非常に込み入っていますから、たいへんあぶないということで、きっとヘリコプターぐらいでしょう。  そうすると、そういうような基地みたいなものもあわせて検討されないと、その検討された結果がこの新法だ、こう言われても、そうじゃなくて——二年前出発されたときには、当時、立川の問題がずいぶん議論されて、都市のまん中における基地というのをどうするかということを検討するんですということが一方で言われて、そして、たしか出発されたのだろうと思うのです。そこで、もう作業は終わったわけでなくて、そういうようなのに、全面的にまだおやりになっているわけですか。その辺のところを、ちょっと確認して、そして、こういうような一つ一つの都市の中にある基地というものは洗い直しをして検討する。先ほど来言っているように、こういう法律をつくるよりは、ともかく公害発生源を押えるのが、一番の公害対策なわけですから、何といっても、そういう検討を一方で進めてもらわなければ困ると思うのです。
  439. 長坂強

    ○長坂政府委員 先ほど来申し上げていますように、本年度、具体的にあらわれてまいりましたのは、千歳であり、別府の基地の移設であり、崎辺の防備隊の移設であり、それから岡垣であり、水戸でありということでございまして、もちろんまだ検討は終わっているわけではございません。いろいろな問題点がございます。それを、さらに検討を続けてまいる所存でございます。
  440. 横路孝弘

    ○横路委員 その場合の基本方針というのは、去年何かきめられたというさっきお話だったのですが、基本方針というのは、どういう方向でいかれるわけですか。
  441. 長坂強

    ○長坂政府委員 基地総合調整本部のやるべき仕事としましては、防衛施設を総合的に検討しまして、そして今後における防衛施設のあり方についての基本的な指針を得るということをきめられております。それで、そのために在日米軍基地については、安保条約の目的達成と地域社会との調和をはかりながら、整理統合の具体策を得る。それから自衛隊施設については、地域社会からくる諸要請を考慮しながら、自衛隊施設の将来における安定的使用をはかるということで、その具体的な方針と具体策を定めるというふうになっております。それに基づきまして、作業をいたしました結果につきましては、先ほどるる申し上げたとおりでございます。
  442. 横路孝弘

    ○横路委員 そこで、今度の法律の具体的な内容に入っていきたいと思うのですが、その前に、防衛庁のほうでは、だいぶあちこちにもうすでに約束をしておるようでありまして、この法律が通ると、ここはこうするとかああするという話が、ずいぶん私のところにも聞えてくるわけですが、今度の法律制定の過程を見ていくと、いろいろな住民の要求というものもあるでしょう。あるけれども、一つは、やはり自衛隊側の基地確保という大きな要素があるので、こういう名称よりは、むしろ自衛隊基地確保法案とか、あるいは特定防衛施設なんというのを見ると、もう昔の軍都創設みたいですから、軍都創設法案とでもしたほうが、より内容にふさわしいように思いますけれども……。  そこで、北富士の関係について、これは従来の周辺整備法の運用等も含めて、少しお尋ねをしてみたいと思います。  一番初めに質問したように、今回の法案ができてくる過程の中で、北富士演習場の使用転換に伴ってずいぶんいろいろな動きがあり、その中で今回の新法制定ということが、やはり一つの大きな要素になってきているだろうと思うのです。というのは、閣議了解の中で百三十億に及ぶ山梨県の周辺整備事業計画というのを政府は尊重して、四十八年度から予算の範囲内において実行するとしてきているわけです。北富士の問題は、従来ずいぶんいろいろな議論が、いろいろな委員会で行なわれておりますので、少し整理を込めて御質問していきたいと思うのですけれども、この百三十億に及ぶ山梨県の周辺整備事業計画というのを政府は尊重するのだ、こういう閣議了解になっているのですが、尊重するというのは、単なる精神的規定ではないのでしょう。具体的にどのくらいの額を、皆さん方のほうで想定されているのですか。
  443. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 昨年、この北富士演習場の使用転換に伴いまして、閣議決定の付記にそのような表現を加えましたのは、北富士演習場の使用転換に関する地元との間の長い交渉の過程を踏まえて、こういった結論を得たわけであります。これは隣接いたします静岡県の、ほぼ同規模の東富士演習場と並びまして、従来から米軍の演習場、あるいは東富士に関しましては、昭和三十四年以来自衛隊の演習場にもなっているわけでありますが、この東富士演習場におきまして、そういう演習を実施するに伴いまして生じますところの障害問題、そういった点をいろいろ防止し、あるいは緩和する措置というものを、多年にわたってとってきたわけでありますが、北富士演習場に関しましては、使用転換あるいは各種の補償問題をめぐって、地元各市村の間に、いろいろ問題もあったために、なかなか問題が一つにまとまらなかった経緯でございます。  そのために、東富士演習場におきましては、講和条約発効後昨年までの間に、周辺対策事業といたしまして、百三十一億という事業を実施しておるのに比べまして、北富士演習場に関しましては、同期間に二十八億という周辺対策事業しか実施してないという状況でございます。演習の態様、周辺の市街地、村落の形成の状況あるいは演習場に、従来依存している農民の生活環境、そういった点におきまして、ほぼ同様の状態にありながら、そういう点が問題になっていたわけでありますので、昨年、使用転換の機会に、これら立ちおくれている周辺整備事業を実施することによって、演習場の運用に伴う障害の防止というものの万全を、今後期していく必要があるという点で、地元といろいろと話し合いました。  県及び地元のほうからは、それぞれの立ちおくれている事案等の提示があったわけでありますが、東富士の従来の実績と今後考えられる東富士演習場の障害対策というものとの比較におきまして、北富士演習場が使用転換された後、今後どういう障害対策を施していくべきであるか、その必要性というものは大体どの範囲であるというものを、そういった実績なり周辺の事情等から勘案いたしまして、最終的に県がまとめました総事業費百三十億という事業が妥当であろうというふうに考えて、閣議の付記にそれを尊重するということで記したわけであります。  なお、この百三十億の事業の実施に関しましては、年度年度の予算の成立の状況を見、北富士演習場の周辺の実態等も勘案しながら、事業の実施計画というものをきめていくことになるわけであります。
  444. 横路孝弘

    ○横路委員 その百三十億の根拠については、少しまたお尋ねをしていきますけれども、大蔵大臣が参議院の予算委員会で、大蔵省のほうは留保すると言っていますね。大蔵省来ていますか。——留保するという答弁をされていますね。これは根拠をいろいろ議論してから、あとのほうがいいんじゃないかと思いますけれども、この留保する理由というのは、どういうことでしょうか。
  445. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 ただいま御指摘ございましたように、大臣の国会の答弁を拝見いたしますと、確かにそのような表現でございます。理由といたしましては、この閣議了解の付記にございますように、「政府はこれを尊重し、」と、まさに文字どおり尊重ということから出てきていることではないかと考えます。
  446. 横路孝弘

    ○横路委員 つまり、それは拘束力がなくて、いわば精神的な規定だ、こういう意味ですね。そういう解釈で留保をされた、こういうように受け取ってよろしいですか。
  447. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 政府の閣議了解で「尊重し、」ときめたものでございますから、その拘束力云々の点につきましては、いろいろ微妙なニュアンスがあろうかと存じますが、ただいま、先ほど申し上げましたような意味での「尊重し、」というふうに私どもは解釈しております。
  448. 横路孝弘

    ○横路委員 もうちょっと大蔵省の方おってください。長官、そこでよけいなこと言わないでいいです。(山中国務大臣「私はその大蔵大臣の発言を知らぬものですから」と呼ぶ)ああそうですか。四十八年四月七日の参議院予算委員会の愛知大蔵大臣の答弁です。  そこで、百三十億を妥当だというように施設部長さんのほうは御答弁されたわけですけれども、それは金額の面で妥当だというのですか。事業計画をずっと検討した上で妥当だというのですか。あなたの御答弁になったのはどっちなんですか。
  449. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 これは、あくまで県案でございます。また今後の演習場の運営の実態ともあわせて、障害というものが関連して考えられるわけでございますが、一応、東富士演習場の過去の実施状況との関連において、いろいろ事業の積み上げについて大体このぐらいのところが妥当であろうと考えたわけでございます。ただ一つ一つの個別の事案につきまして、県は県なりには考えておりますけれども、しかし、その一つ一つの事案について、これは妥当だ、あれは妥当だというような意味の妥当という意味ではないわけでございます。
  450. 横路孝弘

    ○横路委員 これはつかみ金ですか。
  451. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 まだ実施をするということになっておりませんので、つかみ金とかそういう意味じゃなくて、あくまで県の百三十億という計画を尊重するという意味でございます。
  452. 横路孝弘

    ○横路委員 幾ら演習場があるといったって、一つの地方公共団体に、これからともかく百三十億という金を出しますよという話は——これは別に国会できちんと法律なり予算なり、そういうものに基づいてやるわけじゃないでしょう。あるいは政府のほうでもって立てられて、将来的な計画としてこうしますということでもないわけでしょう。しかも、その根拠というのは、皆さんのほうで積み重ねじゃなくて、ともかく東富士のほうにこれくらい金を出しているから、こっちもこれくらいかかるだろうということですね。長官、そういう行政というのでいいのですか。全く根拠なくて、ともかく演習場を防衛庁のほうが使いたいばかりに、百三十億出そうじゃないか。たぶん表現は、いろいろ苦労されて、あまり拘束力を持つような表現にしたのじゃまずいから——そんなことはできないでしょう。だから、尊重するというような形で、これは逃げたのじゃないですか。
  453. 山中貞則

    山中国務大臣 どうも私は、その間の交渉の経過あるいは防衛庁長官が調印しないで、なぜ官房長官が調印をしておるのか、そこらのいきさつ等もはっきりしないのです。私だったら、自分でやります。やりますが、そういうことになっておるようです。でありますから、政府を代表してそういう調印をされたのですから、それは法的な問題ではなくとも、政府の相手方に対する約束ということですから、行政的な拘束というものは当然あるわけであります。それは、尊重ということであれば、文字どおり尊重して実施していくべきものと、私も後任者として、そういう路線を継承しなければならぬと思っております。
  454. 横路孝弘

    ○横路委員 行政的拘束力があるということになれば、この百三十億は、一体何に基づいて出される金なのか。ともかく政府が国民の税金で金を出すわけですからね。根拠のないやつを拘束力あるのですというのは、これはおかしいじゃありませんか。何らか当然の権利が向こうにあって、それに対応してこちらが金を出しますというならば、それはそういう約束というものはあるいはあるかもしれません。しかし、そういうものと、全く防衛庁長官が知らないで、約束したから行政的拘束力あるというのは、やはりこれはおかしいのじゃありませんか。
  455. 山中貞則

    山中国務大臣 その後、閣議了解もされている経過がございますし、それを実行しないということは、これは、また政府の信義の問題でもありますから、ただいま積算といえば、平井施設部長が申しましたような東富士との関連、比較、そういうもの等において積算があるといえばあるということでありましょうから、そういうことが閣議で決定されているということでありますので、やはりこれは拘束力を持つと思います。
  456. 横路孝弘

    ○横路委員 つまり、積算があるといえばあるというならば、じゃ、その根拠というのは周辺整備法ですか。
  457. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 周辺整備事業を行ないますわけですから、ほとんど大部分が周辺整備法に基づくことになろうかと思います。  ただ、過去の周辺対策の事案で予算措置、行政措置等で行なっている事例もございますので、すべてというわけではないとは思いますが、ただ北富士において考えておりますのは、周辺整備法の中でやっていきたい、そういうふうに考えておるわけであります。
  458. 横路孝弘

    ○横路委員 そうすると、周辺整備法の各条文でいう障害防止事業とか、それから例の民生安定事業という、そういう分け方をすると、それぞれについてどのくらいになるのですか、百三十億の内訳というのは。
  459. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 これは、あくまで県案でございますが、県案の総事業費百三十億の内訳としまして、当時、障害防止事業で約五十億、道路整備事業で約三十億、一般民生安定助成事業で四十五億、その他の事業で五億、合わせて百三十億というふうになっていたわけでございます。
  460. 横路孝弘

    ○横路委員 県案といったって、県がやるわけじゃないでしょう。この周辺整備法に基づいて執行するのは、皆さん方が執行されるので、その根拠というのは、この現行の法律にあるわけです。そうすると、こちらで五十億、こちらで三十億というのは、県の積み重ねがあって、一応それを皆さん方がやはり妥当だと考えたから、こういう金額になったのでしょう、それはいろいろ交渉の過程の中で。しかも、その他の法律といっても、ともかく現状についてこの周辺整備法というのでやはりお金が出されるわけですね。現状、つまり現在の事実について、あるいは現在の状況について……。したがって、その中身というのは、やはりきちんとされてしかるべきじゃないですか。一体どういうことなのかということ……。
  461. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 閣議了解の付記にも書いてありますように、「政府はこれを尊重し、」ということであります。尊重するに妥当であるという判断であります。したがって、障害防止が五十億であるから、後年度必ず五十億障害防止を実施するのだとか、民生安定事業四十五億を実施するのだとか、そういう意味の拘束的な意味で、妥当であるということで話し合いをしたわけではないわけであります。  先ほど来も申し上げていますように、東富士演習場における同様な規模、同様な障害の発生状態、同様な周辺の住民生活環境の状態、演習場があるということに伴って置かれている住民の生活環境の状態、そういったものを踏まえながら、過去の実績等も勘案して、こういった姿の県案が、将来にわたっての大きな計画の中で妥当であろうという考えで話し合ったわけであります。
  462. 横路孝弘

    ○横路委員 たとえば民生安定事業の関係で、富士吉田市とか山中湖村とか忍野村とかいう各市町村別の内訳はわかりますか。
  463. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 県が作用しました積み上げの中には、いろいろ各市村の要望を聞かれた上での積み上げがあったろうと思いますけれども、われわれのほうといたしましては、特に富士吉田市にどれだけ、忍野村にどれだけというような意味での百三十億ということでは話し合ってはおりません。
  464. 横路孝弘

    ○横路委員 その県の積み上げた資料というのは、皆さんのほうに届いているのでしょう。
  465. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 話し合いの段階で、そういった資料をお互いにながめながら、話し合ったという経過はございます。
  466. 横路孝弘

    ○横路委員 それは提出していただけませんか。
  467. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 これは、あくまで県の三百億をこえる計画の中から、こういった百三十億という事業を妥当であろうと考えたわけでございます。したがって、その計画の中のどれが百三十億の中に入るとか、そういう意味での計画ではございません。
  468. 横路孝弘

    ○横路委員 あなたは、先ほど現行の周辺整備法に基づいていろいろ考えられたというわけでしょう。そうすると、現行の周辺整備法の中で、こういう障害が発生している、したがって、工事をすると大体どのくらいのお金がかかる、そのためにどれだけ補助金で出そうということを、作業としてはやられたわけでしょう。
  469. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 一つ一つの事案について、そういうふうな詰めをやった百三十億ではないわけでございます。全体の姿をながめて、東富士演習場とのバランスによって、あるいは北富士演習場における過去に実施しました二十八億の事業の実態といったものを勘案して、今後考えられるであろう障害防止事業はどのくらいの額になるであろう、民生安定事業はどのくらいになるであろうというような観点から話し合った百三十億でございます。
  470. 横路孝弘

    ○横路委員 だから、やはり大蔵省あたりで留保するということになるわけですね。しかも演習場の使用に関する覚書というのは、官房長官で、防衛庁のほうも、防衛施設庁のほうも関与していないということですね。閣議了解は付記という形で、いまのような形で出ているという一連の経過の中から考えると、要するに金をやるから基地の使用を認めてくれ、こういうことですね、この百三十億というのは。
  471. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 いや、そういう意味じゃございませんで、当然、北富士演習場が使用転換されて、今後、演習場として使用していくということになれば、立ちおくれていた周辺対策事業というものを、隣の東富士演習場と同じように実施しなければ、障害の防止なり緩和というものが、依然として引き続き立ちおくれていく、そういうことから今後、こういう周辺対策事業を実施すべきであるという観点に立ったわけでございます。
  472. 横路孝弘

    ○横路委員 それは、あたりまえのことなんでしょう、現行法のもとでは。やることはやらなければならぬことになっておるわけでしょう。そうすると、個別に要求が出てきて、法律の要件に当たっていれば、皆さんのほうで金を出せばいいわけで、何も百三十億なんという、さっぱり根拠のわからぬのをきめる必要はないわけでしょう。違いますか。
  473. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 北富士演習場の使用転換というのは、長い経過を踏まえ、たいへんな紛争の歴史の中から生まれてきた一つの成果であります。したがって、この問題をおさめるために、地元といたしましても、県当局といたしましても、たいへんな努力を払ったわけであります。特に国と地元公共団体なり地元住民の中に入って、この問題をまとめる県の立場というものには、たいへん御苦労があったわけであります。そういった苦労の中から、この話をまとめる段階で、やはり長い間の懸案がまとまる時期に、立ちおくれている周辺整備事業というものを、国もちゃんと今後、立ちおくれていたがゆえに、少し早いペースでやってもらわないと困るという声が、地域社会なり関係市村の間から出てきた点を踏まえて、県が特にこの使用転換の際に、この問題を国との間にお互いにはっきりと確認し、方向づけをしておきたい、そういう考えが出てきて、特にこの問題をうたったという次第でございます。
  474. 横路孝弘

    ○横路委員 四十八年度の場合は、総額幾らですか。
  475. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 総額にいたしまして、八億二千万の補助額でございます。
  476. 横路孝弘

    ○横路委員 北富士演習場周辺整備事業推進連絡協議会というのがありますね。そこから防衛施設周辺整備事業等の促進についての要望書が出ておる。それから富士吉田市から防衛施設周辺整備事業等についての要望書というのも出ておるはずですけれども、この要望書を見てみると、結局いろいろな経過があって、北富士演習場の使用転換ということになった、そしていまの百三十億という話にもなった、しかし結局、何が問題かというと、いろいろ要求したけれども、現行法の解釈、運用の範囲の中では、事業実施が困難であってだめだ、したがって、すみやかに新法をつくれ、それが政府との約束事項なんだという形で要望書が出されているわけですよ。  ちょっとお尋ねしたいのですが、この富士吉田市からの四十九年度の要求を見ると、産業会館の建設とか駐車場の建設とか花卉園芸の施設事業というような要求が出ていますね。これは間違いございませんか。
  477. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 そういう要望をいただいていることは事実でございます。
  478. 横路孝弘

    ○横路委員 これは、現行法ではどうなりますか、たとえば花卉園芸施設事業とか駐車場建設事業なんというのは。
  479. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 御要望はいただいておりますが、事業の実態、障害の実態、そういったものを十分に検討してみないことには、その事案が現行周辺整備法で採択できるかできぬかということは、私の立場としては、この場では軽々には申し上げにくいと思います。
  480. 横路孝弘

    ○横路委員 駐車場の場合どうですか、現行法でできますか。
  481. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 現在の周辺整備法の法律政令の事項としては、駐車場という表現は出ておりません。しかしながら、現行周辺整備法でも、その障害の実態というもの、採択する事業が適当であるかどうかという判断が出てきた場合に、防衛施設庁長官の定める施設ということで、施設庁長官の告示事項に採択するということは、法律のたてまえとしてはございます。具体的にその事案がどうこうということは別でございます。
  482. 横路孝弘

    ○横路委員 いまその告示はないわけですから——駐車場についてないでしょう。花卉園芸についてもないでしょう。だから、これは、やはり新法で、つまり現行法ではかなり無理だということじゃないのですか。
  483. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 こまかいことはあれで、基本的な考えを私、申し上げたわけです。たまたま花卉園芸ということばがございましたが、これは現在の農業施設の中の事業として実施することは、法律の一般論として申し上げれば可能であります。
  484. 横路孝弘

    ○横路委員 つまり、この要望書を見ると、四十八年度が先ほど言ったように九億ちょっと足らずですか、八億幾らということでしたね。そういう事業をやるので、そちらのほうからも非常な、現行法についての拡大解釈に次ぐ拡大解釈の要求と、それがだめな場合には、新法を制定しろというのが出てきているわけです。そして、その根拠は、これら北富士の周辺市町村からいいますと閣議了解だ、こういうことになっているわけですね。あるいはその使用協定あるいはその覚書だというわけです。つまり現行法のワクの中では、やはり解決できないということで、この北富士の使用転換のときに従って、こういう新法の方向というのが基礎づけられているということを私、指摘をしたいわけです。間違いがないと思うんですけれども、どうですか。
  485. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 先ほど来、私どものほうの長官からも御答弁申し上げましたように、たまたま新法案というものの作業を開始しました時期に、防衛施設の問題としてクローズアップされているのが北富士演習場の使用転換であり、あるいは横田飛行場をめぐる関東集約計画であるという点で、時期的にそういった問題が、大きな一つの問題点であったことは事実でございます。しかし北富士演習場のこの問題が動機になって、この法案が考えられたというつながりではないと私は考えます。
  486. 横路孝弘

    ○横路委員 じゃ、ちょっとその四十八年度の周辺整備事業についてお伺いしたいのですけれども、道路の関係をお尋ねしますけれども、道路はどこどこを実施しておりますか。
  487. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 四十八年度におきまして、道路改修事案は全部で七件でございます。道路の事案名といたしましては、明見東通り線、城山東線、大溝支線、山中三号線、山中二十七号線、山中道線、神鶴線、以上の七件でございます。
  488. 横路孝弘

    ○横路委員 それは、周辺整備法の何条に基づいて……。
  489. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 全部、現行周辺整備法第四条の事案でございます。
  490. 横路孝弘

    ○横路委員 そうすると、たとえば下宿ですか、責草線というのですか、これはついていますね。——これはないですか。大溝支線というのはありますね。明見東通り線、これもついていますね。これは四条の関係でいうと、要件としては、どういう要件があって、その要件にどのように該当しているわけですか。
  491. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 現行周辺整備法四条におきまして、防衛施設の運用によりまして生じますところの障害、それによってその防衛施設周辺の住民の生活ないしは事業活動が、著しく阻害されているという実態から、もろもろの施策というものが当該市町村において検討され、その障害の緩和に資するために、こういう事業をやってもらいたいということで出てくるわけであります。その中に道路事案というものも、出てくるわけでございます。  これは、いろいろな態様がございますが、たとえば北富士の演習場の周辺道路を四条で採択します場合に、演習場に出入し、あるいは演習場の周辺を通行する自衛隊の車両等が、一般交通というものに支障を与え、あるいは路盤等が砂利つくとか、そういうことのために、いろいろ砂ぼこり等も出るであろう、そういった点から、これの緩和に資するために、それを舗装するとかいう場合もございますし、あるいは北富士演習場周辺の国道百三十九号、百三十八号線を、主として自衛隊車両あるいは米軍車両等が通るために、バイパス的な意味で別の路線というものを改修することによって、交通の緩和をはかることによって、住民生活環境なり、あるいは事業活動の阻害を緩和する、そういった採択の理由によって、道路事案というものを従来から実施しているわけであります。
  492. 横路孝弘

    ○横路委員 一般論は、そうだろうと思うのですけれども、大溝支線というのは、どういう申請の理由になっていて、どういう関係でそのいまあなたが一般論としておっしゃった四条の要件に該当するわけですか。
  493. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 これは、たまたまいま例示的に申し上げました国道百三十九号線及び百三十八号線を経由して北富士演習場に進入する部隊車両、あるいは米軍車両等の交通によりますところの一般交通の障害というものをあげてございますが、国道百三十九、百三十八号線が、一般交通がひんぱんであるために、通常この国道を経由して演習車両が入るのが一番便利なわけでありますけれども、そういうことに伴う交通渋滞を避けるために、演習場へ進入する道路としてバイパス道を使用するという意味で、この大溝支線の改良工事を行なうというのが、事案採択の理由でございます。
  494. 横路孝弘

    ○横路委員 大溝支線というのは、行きどまりになっている道路ですよ。写真がありますけれども、行きどまりの道路ですよ。通じてないですよ。
  495. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 行き詰まりでないはずでございますが、資料を確認した上ではっきりとお答えしたいと思います。
  496. 横路孝弘

    ○横路委員 見えるでしょう。これが道路の一番先ですが、車はここでもう行きどまりになっている道路ですよ。いま指摘された道路の何本かは、そういうのがありますよ。  では、委員長、いま四十八年度で認めた道路の四条関係の申請の書類を出してください。申請書によると、必要とする理由とか目的や何かが全部出ているでしょう。皆さん方の通達によって、ちゃんとどういう形で申請しなさいということになっていますから、その申請の書類をちょっと——これはきょうでなくていいですから、この次、十六日議論することになっていますから、そのときの前までに出していただければけっこうです。よろしいですね。
  497. 徳安實藏

    徳安委員長 いま資料の要求等がありましたけれども、一ぺん理事会にかけまして、そして、こちらの要求をするようにしますから……。
  498. 横路孝弘

    ○横路委員 いや、要求はこっちが要求するので……。
  499. 徳安實藏

    徳安委員長 いや、じかじゃいけません。
  500. 横路孝弘

    ○横路委員 政府のほうの答弁を聞いてみないと、出せるものなのか出せないものなのか……。
  501. 徳安實藏

    徳安委員長 あなたから要求があれば、理事会にかけて……。
  502. 横路孝弘

    ○横路委員 理事の人がいないから、きょうはあれなんですけれども、一応、政府のほうの考えを……かまわないでしょう、それを出すこと自身は。ちょっとそれだけ答弁を聞いておきます。
  503. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 後刻提出いたします。
  504. 横路孝弘

    ○横路委員 そういうことで解決するんですよ。  次に、四十八年度で児童体育館の建設が山中湖村に認められていますね。これは、どういう……。
  505. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 現行周辺整備法四条の学習等教養施設として、児童体育施設を山中湖村に実施するということで、四十八年度実施計画を認めております。
  506. 横路孝弘

    ○横路委員 その四条の関係というのは、どういうことになっていますか。
  507. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 演習場が、かつては山中湖村の前面に広がる山野でございましたので、山中湖村の児童たちは、その山野を遊び場として、開放された形で利用していたわけでありますが、現在、演習場地域に入っているために、そういう児童の野外での遊び場というものが失われて、そういうことに伴う障害というものを緩和するために、児童体育施設というものをつくってもらいたいという要望が山中湖村であり、そういう障害の実態を考えて、これを採択したわけでございます。
  508. 横路孝弘

    ○横路委員 かつてというのは、何年前ですか。
  509. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 演習場であった以前ということになりますと、まず旧陸軍時代が一つあると思います。しかし旧陸軍時代には、付近住民の演習場内への立入りというものは、相当緩和された状態であったわけでありますが、米軍が演習場として使用することになってから、立ち入りというものが制限されてきているという実態でございます。
  510. 横路孝弘

    ○横路委員 これは、自衛隊が使用するようになったということじゃなくて、ずっと昔にさかのぼっていって、旧陸軍ですか、これは何年くらい前になるのですか、相当前でしょう。四、五十年くらい前になるのじゃないですか。そんなにならないですか。
  511. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 昭和十一年から十三年にかけまして、旧陸軍があの辺の山野一帯を買収し、また隣接地を借りたりして演習場として、実際には昭和十四、五年ころから使用していたと思います。
  512. 横路孝弘

    ○横路委員 そうすると、それが理由なわけですか。そのときに奪われたということで、今回周辺整備法に基づいて出す、こういうことですか。
  513. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 演習場としての開始を申せば、旧陸軍時代ということを、先ほど私ちょっと申し上げたのですが、これは申し上げる必要もなかったことでありまして、周辺整備法として考えるのは、米軍の演習場として使用しているという実態を考えるべきであったと思います。
  514. 横路孝弘

    ○横路委員 いままでは要求がなかったのですか。
  515. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 先ほど申し上げましたように、北富士演習場は、周辺対策事業というものを、地元市村からこういうことでやってもらうというような形で出てくる姿というものが、演習場問題の紛争の過程の中において十分行なわれてなかった、そういうことで、こういった事案も立ちおくれておる、そういうふうに考えております。
  516. 横路孝弘

    ○横路委員 少ししつこいようですが、もう一つ、保育所というものが認められておりますね。これは、どういうあれですか。
  517. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 富士吉田市に、同じく学習等教養施設としての保育用施設というものを、四十八年度で実施しておりますが、これは補助額にしまして千六十万円でございます。  これの採択理由は、富士吉田市、特に上吉田地区の農民の皆さんが、従来演習場の中に、いわゆる入り会いと称せられる採草、採木等のために立ち入られる場合に、そういう幼児を家庭に置いておくわけにいかないということで、そういう幼児を伴って採草地に入られる親御さんたちが、採草、採木をやっておられる間、子供さんたちは、その山野で遊んでおられるというのが実態であったわけであります。演習場が設置され、特に米軍の演習実施の状態から考えて、そういう入り会い山野が荒廃しておったり、あるいは危険性がある、そういうことのために、採草、採木の立ち入り等に行かれる場合にも、そういう幼児を帯同していくことができない、そういうふうな状態を勘案して、富士吉田市上吉田地区の保育施設というものを、四条で採択したわけであります。
  518. 横路孝弘

    ○横路委員 対象人員は、どのくらいなんですか。
  519. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 対象農家七十尺幼児百五人で、実際保育施設としては百人収容の施設であります。
  520. 横路孝弘

    ○横路委員 そこに入れる人は、入り会い慣行権を持っておる人ですね。
  521. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ことばじりをつかまえて申しわけありませんが、慣行権とかそういうことではなくて、中に実際に入っておられた方たちの障害緩和のための施設でございます。
  522. 横路孝弘

    ○横路委員 つまり、入り会い慣行はあったわけでしょう。
  523. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 そういう採草、採木のために入っておられた慣行はありました。
  524. 横路孝弘

    ○横路委員 入り会い権の議論はするつもりはないのですけれども、申請の理由、そのほか私たちのほうで調べた範囲では、そういう慣行といいますか、上吉田地区だけでもってそれだけの人がいるのかどうか、また申請の理由、これも、あわせてちょっと検討したいと思いますので、道路と一緒に出していただきたいと思いますが、よろしいですか。
  525. 徳安實藏

    徳安委員長 横路君、私は、決してあなたの要求を退けるわけではありませんが、要求するのには、やはり委員会のルールがあるわけですから、みんなそういうときには、理事会に一ぺんかけまして、記録に出ておりますが、ルールによって私が請求するのですから、そういう処置をとるようにしてください。
  526. 横路孝弘

    ○横路委員 理事会で検討する事項というのは、大体いままでの委員会の慣行ですと、もめて話のつかないやつは理事会でじゃ検討して、政府のほうともあれしょう。何でもかんでも理事会ということでなく、政府のほうがそれはいいですよというやつについては、この場で、たとえば先ほど東中委員に対しても、すぐ提出されたように、そういう形でやっているわけですよ。
  527. 徳安實藏

    徳安委員長 いや、そうでもないですよ。ですから、ルールだけは守るようにしてください、拒否する考えはないですから。
  528. 横路孝弘

    ○横路委員 一つ一つ、また理事会にはかってといっていたら、大体時間がたって、この次の十六日に、議論できるかどうかわからなくなるじゃありませんか。
  529. 徳安實藏

    徳安委員長 むろん、そういうこともありますけれども、きょう言ってきょう、すぐ資料が整うものでもないものもありますしね。
  530. 横路孝弘

    ○横路委員 いや、もちろんきょうくれと言っているわけじゃないのです、ただ次の理事会までということになれば、時間もかかるわけですから。委員長、きょうはめずらしく委員会の運営を何か……。
  531. 徳安實藏

    徳安委員長 いや、そういうことは別として、やっぱり直取引ではなしに、ルールだけは守ってください。
  532. 横路孝弘

    ○横路委員 いやいや、だから——まあ、ここで委員長と議論して時間をつぶすのはもったいないですから、それはそれでもいいですけれども、理事会でやってといっても、やっていると時間ばかりたつわけですよ。別にもめるわけではなくて、政府のほうがいいというやつはすぐ……。
  533. 徳安實藏

    徳安委員長 それは、そうでしょうが、そこで要求されれば、いかぬとかなんとか言えないこともあるでしょうから、ですから、それで一応ルールを……。
  534. 横路孝弘

    ○横路委員 ただ、慣行になると困るんですよ。ちょっとその辺だけ、私のほうで留保しておきますから……。
  535. 徳安實藏

    徳安委員長 あなたの言うことが慣行になっては困るんですよ。
  536. 横路孝弘

    ○横路委員 いやいや、そんなことはないですよ、委員長。それは、やっぱり委員会の運営というのは……。
  537. 徳安實藏

    徳安委員長 やっぱり委員会には、委員会としての従来の慣行があるわけです。
  538. 横路孝弘

    ○横路委員 いや、従来の慣行があるわけですから……。
  539. 徳安實藏

    徳安委員長 慣行ということは、あり得ないんですよ。
  540. 横路孝弘

    ○横路委員 それでは、私のほうで委員長のいまの発言については留保して——ともかく要求しておきます。政府のほうでもしかるべく……。
  541. 徳安實藏

    徳安委員長 これまでそうしていますから、私の場合におきましては。
  542. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ただいまの問題で、先ほど私、出しますというふうに御答弁をいたしましたが……(横路委員「何言っている、おかしいよ」と呼ぶ)ちょっと理由をお聞きいただきたいと思いますが、申請書は、あくまで申請書を出します当事者の立場がございます。それから事案の申請書を出しましても、こちらが審査いたしまして採択して、採択理由を付して交付決定をする内容と申請書というものが違っているわけでございます。したがって、もし資料として御必要であるならば、むしろ当方が交付決定のときに決定した採択の理由というものを明らかにしたものをお出しするほうが、先ほどの御質問の趣旨に合うのではなかろうかと思います。
  543. 横路孝弘

    ○横路委員 あなた、ここでそういうよけいなことを言っちゃだめですよ。さっき約束したでしょう、あなたは。先ほど約束いただいたやつは、いただいたやっとして出していただいて、決定したやつもあわせて出してください。
  544. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 申請者の立場がありますので、先ほど出しますと申し上げましたのは、私の軽率でございましたので、取り消さしていただきたいと思います。
  545. 横路孝弘

    ○横路委員 そんな、あなたおかしいですよ、それは。委員長がよけいなことを言うから、ああいうことになるわけですよ。
  546. 徳安實藏

    徳安委員長 そういうルールなんだから、別にあなただけに言うんじゃない。
  547. 横路孝弘

    ○横路委員 申請者の立場といったって、いずれにしても、それによってお金が流れていくわけでしょう。その間、大蔵のほうでも査定しているわけでしょう。そうすると、当事者のほうがどういう要求かということも見なければ、ほんとうの理由というのはわからぬじゃありませんか、あなた。何言っているのですか。だめですよ、そんなのじゃ。
  548. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、前言は取り消さしていただいて、お出しするとすれば、交付決定をいたしました交付決定通知の内容を出さしていただきたいと思います。
  549. 横路孝弘

    ○横路委員 それでは、私、承服しません。何言っている。ふざけちゃだめだよ。
  550. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、与野党も何も関係なしに、みんなわかっていることですが、そういう事業を認めてもらいたい、補助してもらいたいという要望をいたしますけれども、これは各省が大蔵省にやっても、それは査定される。ですから、やはり審査をした結果、交付対象として認められる範囲の事業と、その金額、その理由とをつけるわけ手から、それにしてもらわないと、それは——各省が大蔵省に予算要求した原案を全部出して、なぜ、この省のこんないい要求を大蔵は切ったのだといわれたのでは、大蔵の予算編成権というものは、全然だめになっちゃうわけですね。私は、特別弁護するつもりはありませんが、良識の線で交付の理由というものが明らかになれば、それでよろしいんじゃないですか。
  551. 横路孝弘

    ○横路委員 これは、あなた先ほど約束したんですからね。私、申請の理由とそれに対して決定した理由とそれぞれあるのを、承知の上で聞いたんですからね。一度約束したことを、そうやって軽々しく簡単に撤回してもらっては困りますよ。だから、両方出してください。
  552. 山中貞則

    山中国務大臣 私が命令権者、任命権者でありますから、あらためて平井部長の最初の答弁は私が取り消させます。そして行政姿勢として、交付決定の理由書というものしか出せないということで、私の責任において処理いたします。
  553. 横路孝弘

    ○横路委員 ちょっと私もその答弁では承服できないから、これは、ほんとうに理事会のほうで検討してください。委員長に要望しておきます。いいですか。——返事しないと困りますよ。
  554. 徳安實藏

    徳安委員長 理事会で相談いたします。すべてがそうなんですけれどもね。いま出すからいかぬのですよ。そういうことはいけないですよ。やはりルールがあるわけですから、規則が。
  555. 横路孝弘

    ○横路委員 そこで、私のほうで言いたいのは、この百三十億に基づく四十八年度の実施事業そのものが、だいぶいいかげんなんですよ。それが一つは、やはりこの新法の理由にもなっているのじゃないかということと、それから周辺整備事業そのものが、基地確保ということで、施設庁のほうがかなり恣意的に行なっているわけです。そういう面があるわけですよ。具体的な例としては、たとえば私の地元の長沼の例のスロットマシンと射的の問題ですが、あれは、どういうことになりましたか。
  556. 山中貞則

    山中国務大臣 私のほうで、確かに国会において指摘されたことには問題があり、さらに会計検査のときに看板がかけかえになった、ことに防衛施設局も、それに加担していたというような事実等も明らかになりましたので、補助金交付の目的に沿った適正なる執行、運営がなされるように、是正方を命じておきました。その内容については、事務当局答弁させます。
  557. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 長沼にいわゆる馬追コミュニティーセンターというものが設置されましたが、ただいま大臣からも御答弁ありましたように、補助金の趣旨に一部反する運営が行なわれていたという実態を踏まえまして、札幌防衛施設局長から長沼町長に対して、注意を喚起いたしまして、運営の改善方をはかりました。昭和四十八年の七月二十七日に、文書をもって勧告いたし、八月九日、長沼町長から、今後、目的に沿って適正に運営する旨の回答を得、その後、随時また定期的にも資料を求めながら、その後の運営の実態を調査しておりますが、その後は適正に運営されている状況でございます。
  558. 横路孝弘

    ○横路委員 実は個別に拾い上げていくと、問題というのは、ずいぶんあるんですね。たとえばプールの問題一つとってみても、自衛隊の何らの行動——たとえばプールの設置基準というのは、自衛隊の演習によって、従来子供たちが泳いでいた川がよごれたとか、あるいはそういう場所がなくなったという場合でしょう、プールをつくる四条の関係からいけば。ところが、全然そんなところもないところに、ぽつんとできておったり、私は、地元ですから、よくあっちこっち行って、何でこんなところにプールがあるのかと行ってみると、ちゃんと施設庁の例の何とかいうものが張ってある。そうして、いままで子供はどこで泳いでいたのかというと、そばに川もないわけですよ。そういうケースがあるわけです。それを調べてきて、幾つか議論しようと思ったんですけれども、時間がだいぶ回って、皆さん方のほうも、こちらで議論しておると、さっきから時計ばかり見ておられるようですから、今度の新法の中身について、少しお尋ねをしてみたいと思うのです。  今度の場合、この一条の目的ですが、防衛施設の設置と運用によって生ずる障害の防止ということですけれども、設置による障害というのは、どういうようなことを考えておられるのですか。たとえば新設という意味ですが、いままでだって、運用の範疇の中に入れて運用してきたわけでしょう、現実の運用そのものは。長沼のミサイル基地をつくるということになれば、つくる前からいろいろな工事を一緒に、あるいは基地そのものの工事と並行的に行なうというようなことをやってきたわけですね。今回の場合、特にこの設置というのが入ってきたのは、どういう理由なんでしょうか。
  559. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 防衛施設の設置と申しますのは、防衛施設がそこにあるということ、それから防衛施設を新たに設置すること、この二つを含むわけでありまして、従来の防衛施設が運用されていることに伴う障害と申しますのは、防衛施設がその機能を発揮し、そこにおいて何らかの動的活動が行なわれることによって生ずる障害というもの、そこに基地そのものがあるということによって生ずる障害、これをこの際、明らかに分けたわけでございます。
  560. 横路孝弘

    ○横路委員 具体的には、どんなことを想定していますか。
  561. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 これは、たとえば防衛施設である林野等に、山菜等を取りに入っていた慣習というものがかつてあった、それが、そこに防衛施設が存置されているということに伴って、そういう立ち入りができなくなったとか、あるいは牛馬の放牧地として自由に使えていたものが、その防衛施設が存置されているということによって、そういう利用ができなくなったとか、そういう障害が、一つの例としては考えられると思います。
  562. 横路孝弘

    ○横路委員 そういうのは、従来、運用の解釈の中に入っていたんじゃないですか。運用というのは、何も自衛隊行動ばかりじゃなくて、防衛施設というものの機能を発揮するための人員の配置とか整備とかというようなことで、活動ばかりじゃなくて、つまり、そういうもの全体から生ずる障害というのを、従来も運用の範疇に入れておったんでしょう。
  563. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 御指摘の点は、従来の整備法四条の運用というものは、従来は広く、その防衛施設の静的な運用あるいは動的な運用を含めた形で考えていたわけでありますが、この際に、静的なそこに存在しているという、設置という表現と、動的な機能を発揮するところの活動面を表現する運用というものとに分け、さらに、その設置に新たに設置するものも加えた形で、設置と運用というふうに分けるほうが妥当であろうと考えたわけでございます。したがって、先ほど申し上げたような事案は、従来の面では防衛施設の運用という範疇の中で考えられていた事案でございます。
  564. 横路孝弘

    ○横路委員 それば、おかしな話でして、従来こういう解釈だったのを、今度はこっちを狭くして、範疇を二つに分けてことばを二つつくる、ただそれだけのことなんですか。私は、どうもこの法律を見ておって、どうしてここに設置が入ってきたのか、よくわからないんですよ。
  565. 山中貞則

    山中国務大臣 設置という、存在すること自体というものを取り上げましたのは、たとえば先ほども例をあげましたが、沖繩の嘉手納基地というようなものを例にとりますと、嘉手納村の八〇%以上、北谷村の七六%、読谷村の六十何%というふうにコザ、新しい沖繩市ですが、その行政区画の巨大なる部門が、施設の面積に占められておるということになりますと、運用による障害だけの問題ではない。都市計画から含めて、あらゆる町村の行政区画外における——先ほど学校の例もとりましたが、そういうものすらできない状態にある。これは、やはり設置されていること自体というものをつかまえる必要があるということで——では、それが法律のどこに端的にあらわれているかといえば、一番端的にそれがあらわれるのは、第九条になるだろうと思います。
  566. 横路孝弘

    ○横路委員 そうすると、いわば自衛隊そのものを、存在悪としてとらえるようにお考えが変わったのならば、私は、いまの長官——存在悪というか公害発生源そのものだ、つまり存在自体がですよ。いま存在自体がというお話だった。つまり、そういうように解釈が変わって、考え方を変えられて設置という概念を持ち込まれたのだというんならば、それはそれで理解ができるんですが、要するに、この法律目的というのは、設置や運用から生ずる障害の防止ということなんですね。
  567. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 この設置または運用というものが、条文の中に入っているところによりまして違うわけでございまして、たとえば第八条の場合は、設置または運用によって生ずる障害というものの緩和に資する施策を行なうということでございます。
  568. 横路孝弘

    ○横路委員 つまり法律目的は、障害の防止、それから、ここでいうと軽減と緩和ということでしょう、「等」ということばの中でいうと。つまり、この法律全体の目的というのは、そういうことなんでしょう。「障害の防止等」とある。法律全体の目的は、当然そうでしょう。別にむずかしいことを聞いているわけじゃない。
  569. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 法律の第一条、目的というところに書いてあることばのとおりでございます。
  570. 横路孝弘

    ○横路委員 そこで、その障害の防止等のために必要な措置をとる、その必要な措置の中に「防衛施設周辺地域の生活環境等の整備」が含まれる、これでよろしいですね。
  571. 田代一正

    ○田代政府委員 いまの御質問の法律目的は、ここの一番最後に書いてありますように、「関係住民の生活の安定及び福祉の向上」ということをねらうわけでございますが、そのとらえ方の問題といたしまして、一つは、運用または設置によって障害がある、その障害に対してそれを防止する、あるいはまた軽減するということが、一番大事なことでございます。それを三条以下の条文でとらえてあるわけであります。ただし、障害防止のいろいろな技術や手だてがない、しかし、やはり障害が残るという場合には、初めてここで八条の体系に入りまして、そういった障害に対して障害の緩和ということに資するために、いろいろな事業をやって差し上げましょう、こういうかっこうになるわけでございます。
  572. 横路孝弘

    ○横路委員 だから、その必要な措置というのは、ここでいう「防衛施設周辺地域の生活環境等の整備について」というのは、防止のための必要な措置の中身なんでしょうと、こういうことなんですよ。
  573. 田代一正

    ○田代政府委員 防止、軽減、緩和、こういうことになるんじゃないかと思います。
  574. 横路孝弘

    ○横路委員 それは、「防止等」ということですよ。だから「等」の中には、いま、あなたのおっしゃっている三つの事項が入るわけですよ。防止等のために必要な措置をとるというわけでしょう、だから、その必要な措置の中に、この生活環境等の整備というのが含まれるのだ、それでいいんでしょう。別にそんな——こんなところで時間を食っていると……。
  575. 田代一正

    ○田代政府委員 そのとおりでございます。
  576. 横路孝弘

    ○横路委員 そこで、八条の関係に行くんですけれども、八条の場合も、結局、従来の四条についての解釈もあったと思うんですけれども、設置並びにその運用と阻害、つまり阻害というのは、目的からいうと障害防止という点がかかってくるのだろうと思うんですけれども、この阻害とのやはり因果関係というのが、どうしても必要なわけでしょう。
  577. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 「防衛施設の設置又は運用」と「住民の生活又は事業活動が阻害」というこの阻害との間には、相当の因果関係があるということでございます。
  578. 横路孝弘

    ○横路委員 それは、従来の四条の解釈と変わりないわけですね。相当因果関係が必要だ。それから、その阻害されるということですが、これも、やはり相当因果関係があるということになれば、そのことが、一般通常人が見ても、つまり客観的に明らかであるという、そういう阻害の状況でなければだめですね。これも従来の四条解釈と同じでよろしいですね。
  579. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 現行法の四条の解釈と同様に、そういう阻害というものが、客観的に具体的に認められるということでございます。
  580. 横路孝弘

    ○横路委員 つまり、それは防衛庁のほうの恣意ではなくて、客観的な基準というものが必要だというわけですね。その基準というのは、従来は防衛施設庁の施設部長から施本施九百十五号、「民生安定施設の助成事業の処理について」という通達が出ていますね。御存じないですか。
  581. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ただいまの文書番号を、もう一度おっしゃっていただけませんか。
  582. 横路孝弘

    ○横路委員 いろいろあるようですな。九百十五号、昭和四十五年の十二月四日になっていますよ。「民生安定施設の助成事業の処理について」ということで、有線放送の関係とか屎尿処理の関係、ごみ処理、消防施設、それからさっき話がありました保育用施設、児童体育館等について、いろいろな要件をきめたやつですよ。出ているでしょう。
  583. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 昭和四十五年のものは、手元に持っておりませんので、その番号のとおりかどうかあれてございますが、これは毎年——御指摘の昭和四十五年十二月四日付、施本施九百十五号でもって「民生安定施設の助成(一般助成関係)事業の処理について」という通達を出しておりますが、これは毎年というわけじゃございませんが、その当該年度の実施の状態、政令、告示の改正等に伴いまして、それの改正を行ないながら、事業の処理についての指導を行なっている文書でございます。
  584. 横路孝弘

    ○横路委員 すると、これは変わっていますか、現在。
  585. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 失礼いたしました。従来改正しておりましたものを、昭和四十八年三月七日、施本施第百六十七号をもって、この四十五年の通達を廃止し、件名は同じでございますが、新たな通達を流しております。
  586. 横路孝弘

    ○横路委員 それは、要件は相当大幅に変わっていますか。
  587. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 四十五年当時に採択されてなかった事案等が加わった分が改まったわけでございまして、大筋においては、従来の採択事案については変わっていないと思います。
  588. 横路孝弘

    ○横路委員 これを見ると、四条の関係の、いま言った相当な因果関係と客観的な基準ということで、皆さん方この基準をつくられたわけでしょう、かなり明確にいろいろなことをいっているわけです。そこで、これが具体的に、八条になっても、相当な因果関係とそれから客観的な基準が必要だということになれば、やはりこれと同じような形で個別にきめられる、これは当然そうなるだろうと思うんですけれども、いかがですか。
  589. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 基本的な考え方においては、同様でございますが、新法案が成立し、これに伴うところの政令あるいは告示等が出されることに伴って、実施段階になりますれば、新法案と現行法案との間にあるところの差異というものは、当然新しい通達の中に変更となってあらわれてまいります。
  590. 横路孝弘

    ○横路委員 ただ大筋は、相当因果関係と客観的基準が必要だというわけでしょう。だから、この二つは、きちんとした形で出されるわけでしょう。それの中身は検討されてないのですか、まだ。
  591. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 まだ通達そのものの中身は、検討しておりません。
  592. 横路孝弘

    ○横路委員 この補助の割合というのは、政令できめるんですね。八条の関係の各政令、施行のやつは、これは大体従来と変わりないわけですか。
  593. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 この新法案に伴います政令案につきましては、防衛施設庁といたしましては、大体の原案はつくっておりますが、関係各省と最終的な調整を行なった上で成案とし、本法案成立と同時に、施行令も施行される運びに持っていきたいと思っておりますが、基本的には、現行周辺整備法の四条の事案の補助率と大体同様の補助率を考えております。また新たに加わりますところの施策につきましては、それらとの並びにおきまして新しい補助率を考えることにいたしております。
  594. 横路孝弘

    ○横路委員 時間が何か非常に限られていまいまして、当初は、一番最後だから時間がよけいとれるということで、私、最後を希望したんですけれども、もう九時までにやめろという話なんで……。  実は、この法案を、一番最初にお話ししたように、公害対策の関係の法案の範疇に入れたほうがいいのか、損失補償の関係に入れたらいいのか、いや、基本はやはり基地確保法案じゃないかというお話を私、申し上げたのですけれども、この法案の中身を見ると、これは運用によって、恣意的に運用される危険性というのが実は非常にあるのです。これは、さっきのように設置だとか障害の防止等あたりのところで、あれこれ言っているようじゃ、ほんとうは逐条的に議論していったら、きっといろいろな問題がたくさん出てくるんじゃないかと思いまして、ほんとうはその議論を行ないたいんですけれども、先ほど理事会で、検討いただく資料等をいただいたときに、十六日ですか、若干の時間をいただいて、その補充質問ということで少しこの関係をお願いすることにして、次の質問にちょっと入って、ケリをつけてしまいたいというように思うわけです。  せっかくお待ちいただいたので、千歳基地に対するファントムの移駐時期の問題と、それからもう一つ、三沢の返還の問題、この陳情が施設庁のほうに行っていると思いますので、その関係。それから、ほんとうは千歳のジャンボリーの問題も議論したかったのですが、これは、どうも時間がないようなので、あらためてすることにして、その二点だけちょっとお尋ねしたいと思うのですが、ファントムは大体いつごろになりそうですか。
  595. 久保卓也

    ○久保政府委員 現在F4は、百里に置いてありますが、四十九年度中には百里から千歳に移駐させまして、千歳で部隊を編成させたいというふうに考えております。
  596. 横路孝弘

    ○横路委員 それは、いつごろになりますか。
  597. 久保卓也

    ○久保政府委員 一応、防衛庁内部の予定といたしましては、四十九会計年度の中ごろということでありますけれども、これは地元の方々と御協議申し上げて、具体的には長官から日取りをきめていただくということになろうかと思います。まだ決定しておりません。
  598. 横路孝弘

    ○横路委員 例の昨年の飛行機の墜落事故のときにも、市議会のほうで決議があったのは、御存じだろうと思うのです。皆さん方は、滑走路を一千メートル南に伸ばしたから、それで了解ができたと思っているかもしれませんが、やはり現地にはファントム等の飛行機そのものについての議論も相当あって、かなり議論のあるところでありますので、その辺のところを、ひとつ慎重に検討していただきたいというふうに思うわけです。  時間がないので申しわけありませんが、次に、三沢の米軍基地の遊休地の返還で、先日も施設庁のほうに現地のほうから要請に来たと思うのです。三沢基地におけるゴルフ場、米人の専用水泳場、オートレースの問題、あそこの小川原湖についての道路の問題、基地前正門のあき地の問題というように、問題があるのですけれども、まずゴルフ場の問題ですが、これを、ちょっと調べてみると、あそこに日米ゴルフ友好会というものがあって、西岡さんというお医者さんが会長になっていて、事務所が青年会議所の中にあるんですね。そして、この西岡という会長と司令官のサインのもとで会員券が五万二千五百円で発行されているという事実があるんですけれども、御存じですか。
  599. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 そういう会員券が発行されている、そして価格が五万二千円であるという実態については、私、承知しておりません。
  600. 横路孝弘

    ○横路委員 五万二千五百円です。会員は、一般の会員が百三十五人、自衛隊員が四十人、こういうことになっているんですけれども、これは御存じでしょうか。
  601. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 そういう事情は承知しておりません。
  602. 横路孝弘

    ○横路委員 これは、一勝負するごとに三千円をゴルフハウスに払っているんですね。そのための通行証も発行され、それから会員券はもちろん写真つきです。会員券に写真が張ってあって、司令官と西岡という会長のサインがあるわけですね。この五万二千五百円を百七十五人で計算すると八百万以上のお金になる。これがどこにいっておるか、よくわからないのですが、一たんは青年会議所の事務局に納められて、そこからたぶんゴルフハウスに支払っているのではないか。これは一年ごとの契約で変わるわけです。自衛隊員が四十人ほどおって、おもに幹部ですけれども、この米軍への提供施設の中で、そういう人たちが使用しているという事実がありますので、これを調べて、ひとつ報告をしていただきたい。特に百三十五人の一般人というのは、おもに青年商工会議所の会員とか役所の関係警察署長というような、三沢市内のいわば幹部の人ですが、自衛隊員の四十人というのは、どういう人なのか、これも、大幹部だろうと思うんですけれども、ひとつその辺調べていただきたい。その費用は、自衛隊員の場合、個人負担なのか、何らかの形でもって出されているのか。それはどこにいっているのか。  これは一般に開放して、全員が使えるというならいいですけれども、そういう特定の人間、しかもこれは、そういうところで使っておるわけですから、ほんとうは市のほうに返還をしてもらいたいというのが要求なんですけれども、その辺、事実を調べて報告をしてもらいたいと思います。
  603. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 三沢のゴルフ場のそういう実態については、さっそく調査いたします。三沢の飛行場の北側部分に存在しますゴルフ場は、地位協定十五条の歳出外諸機関が運営します厚生施設であります。米軍人、軍属、家族等の厚生施設として本来使われておるわけでございます。その実態につきましては、さっそく調査いたします。  なお、先ほど御指摘のありました三沢飛行場関係の地元関係者から、いろいろ出ております御要望の点につきましては、たとえば専用海水浴場という御指摘がございましたが、これは三沢飛行場の航空機の離発着の運営のために、小川原湖における救難活動のために、海岸及び水域を使っておるわけでありますが、夏は三沢の飛行場におりますところの米軍人、軍属、家族が、その水域を海水浴場として使っている実態は承知しております。(山中国務大臣「海水か、あれは」と呼ぶ)湖水浴です。水浴をやっております実態は承知しております。  それから、オートレース場という御指摘がございました地域は、ゴルフ場と同様に副次的効果を持っておるわけでございまして、これは、それに隣接しますところの弾薬庫の保安区域にもなっておるわけであります。そこで米軍人、軍属、特に大体若い軍人等がおもでございますが、バイクを持っていって、その地域において、モトクロスと申しますか、そいう感じのバイクの運転等をやっておる実情もございます。これらの地域につきまして、三沢市からも市民の森にぜひ開放してもらいたいという要望が出てきておるわけであります。全部が全部すべて返還になるかどうかという点につきましては、ただいま申し上げましたゴルフ場そのものが、十五条諸機関の運営の厚生施設でもあり、あるいは弾薬庫の保安区域という関連もあるわけでありますが、地元の御要望を踏まえて、できるだけ返還の御期待にこたえたいということで、米側とも前々から折衝はしておりますが、さらに折衝を促進したいと思っております。  また正門わきのあき地の問題につきましても、あわせてこの問題を至急解決して、できれば返還させたいというふうに考えております。  それから、姉沼のところを通ります道路につきましては、これは防衛施設庁におきまして、あの道路が三沢飛行場の施設、区域の部分を通り抜けて、三沢市の南と北とを結ぶ通路にもなっておるわけでございますので、一般通行をもう少し自由にできるようなくふうというものが必要であろうかと思い、周辺整備事業でもって、昨年度調査費をもって調査を行ない、本年度からその道路の改良、改修工事等を行なうことによって、一般の通行も可能にするような道路にしていきたい、そういう解決案を考えております。
  604. 横路孝弘

    ○横路委員 三沢の問題、よく問題点御承知のようでありますが、たとえば基地前のフェンスの外にあるあき地の開放の問題、いま、そういう方向でやりたいというお話があったのですが、きょうは外務省呼んでいませんけれども、こういう米軍基地の場合、問題が幾つかあって、それがそう簡単にいかないというのは、われわれ承知なわけですけれども、たとえば全然使ってないところ、つまり基地のフェンスの外のあき地、これを市のほうでは、駐車場かなんかにしたいという話のようでありますが、そういう問題とか、基地の中の通行ですね、一部バスが入っておるようですけれども、マイカーを通したい要求があるということになれば、やはりそういう要望を実現させるとか、いまでもできることは、たくさんあるわけですから、この三沢の問題についても、そういう方向でひとつやっていただきたいというように思います。  時間が来たので、これで終わりにして、お待ちいただいて、質問する予定でしなかった方に、まことに申しわけないのですけれども、さっき共産党のほうから議論があった、例の護国神社の問題ですね、実は、いま裁判が山口県で行なわれております。これは自衛隊隊員がなくなったというのを、自衛隊のほうでかってに護国神社に祭ったということで、裁判になっているわけであります。この問題等も、実は非常に大きな問題なので、時間をかけて議論をしたいと思いますが、きょうは、そういうことで九時になりましたので、終わりにしたいと思います。
  605. 徳安實藏

    徳安委員長 次回は、来たる十四日火曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後九時一分散会