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1974-05-07 第72回国会 衆議院 内閣委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月七日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君   理事 加藤 陽三君 理事 小宮山重四郎君    理事 中山 正暉君 理事 野呂 恭一君    理事 服部 安司君 理事 上原 康助君    理事 大出  俊君 理事 中路 雅弘君       越智 伊平君    大石 千八君       田中  覚君    竹中 修一君       旗野 進一君    三塚  博君       吉田 法晴君    和田 貞夫君       瀬長亀次郎君    鈴切 康雄君       折小野良一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 山中 貞則君  出席政府委員         内閣官房長官 大村 襄治君         内閣官房内閣審         議室長         兼内閣総理大臣         官房審議室長  亘理  彰君         防衛政務次官  木野 晴夫君         防衛庁参事官  大西誠一郎君         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       丸山  昂君         防衛庁人事教育         局長      高瀬 忠雄君         防衛庁衛生局長 鈴木 一男君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 田代 一正君         防衛施設庁次長 鶴崎  敏君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         外務大臣官房長 鹿取 泰衛君         外務省アジア局         長       高島 益郎君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         外務省条約局長 松永 信雄君         厚生大臣官房審         議官      三浦 英夫君         運輸省航空局長 寺井 久美君         建設省河川局長 松村 賢吉君  委員外出席者         警察庁警備局参         事官      星田  守君         防衛庁長官官房         防衛審議官   伊藤 圭一君         防衛施設庁施設         部首席連絡調整         官       奈良 義説君         法務大臣官房審         議官      鈴木 義男君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 川崎 昭典君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   国川 建二君         水産庁海洋漁業         部審議官    米澤 邦男君         自治省財政局財         政課長     石原 信雄君         自治省税務局固         定資産税課長  川俣 芳郎君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 五月七日  辞任         補欠選任   受田 新吉君     折小野良一君 同日  辞任         補欠選任   折小野良一君     受田 新吉君     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律  案(内閣提出第四五号)  在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員の給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第三八号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤陽三君。
  3. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 地元民からのたいへん長い間の要望でございますし、同時に、私どもも非常に熱心に主張してまいりました基地対策が、本法案によりまして画期的に前進を見ましたことは、私どもとして、たいへん喜びにたえないところでございます。  申し上げるまでもなく、自由民主党としては、日米安保条約自衛隊の存在ということを認めておるわけでございますから、基地の問題が起こることは当然でございます。ただ、この基地は、同時に地元地域開発とか生活環境の阻害ということの原因になっておるということも、また否定できない。私どもは、この基地が安定をして、しかも効率的に使用できるように基地対策を十分に進めなければいけないという立場でございます。以下、この方向に基づきまして、若干の質問をしてまいりたいと思います。  まず第一に、一昨年、防衛庁では基地整備特別委員会をおつくりになりまして、ここに野呂さんおいでになりますが、あなたが政務次官のときに……   〔発言する者あり〕
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 静粛にお願いします。
  5. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 基地整備の基本的な整備計画を立てられて、検討するということでございましたが、これは現在、どういうふうな状況になっておりますか、これからお聞かせを願いたいと思います。
  6. 長坂強

    長坂政府委員 お答え申し上げたいと存じます。  先生御指摘委員会とおっしゃるのは、基地総合調整本部という名前で発足いたしました、事務次官を長といたします内部の検討委員会審議委員会という意味であると存じますが、この委員会設置目的は、防衛施設の取り扱いについての基本的な方針、指針を策定しようというものでございまして、米軍施設については、安保条約目的達成ということと、その防衛施設所在地域との調和をはかりながら、整理統合を進めていこう、その方針のもとに具体案を策定する。それから自衛隊施設についても、地域社会における諸情勢を考慮しながら、これと調和した形で施設安定的使用が得られる、その処理方針具体案を策定するというのが主要な目標でございます。  それで、この検討結果は、すでに昨年の二月、三月ごろから、第一次の沖繩関係米軍整理計画の原案と申しますか、基礎となる考え方をとりまとめました。それからまた三、四月ごろ、本日、御審議をいただいておりますこの新しい基地対策法案、これの基礎的な考え方というようなものを取りまとめてまいりました。さらに、個々基地につきましては、この検討作業の段階から、米軍施設整理統合とか自衛隊の引き継ぎとか自衛隊施設整備というような形で逐次実施に移されてございます。今後におきましても、防衛施設配備計画に随時反映させていくつもりでございます。  また、そういう計画基礎的な考え方に基づきまして、なお、このできました考え方防衛施設庁のほうに引き継ぎまして、具体的には関東地域集約計画とか、例の沖繩の第十五回の安保協議会における合意というような形で実を結んでおるわけでございます。  以上でございます。
  7. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 私は、たとえば自衛隊施設についても、都市の中にある施設をどう移転するとか、あるいはどう統合するとかいうふうな基地の配置についての整備計画の御検討だというふうにいままで承知しておったのですが、いまちょっと承りますと、そうでもないようなんですね。それで、一般的に基地整理統合についての御検討はなさっておるのですかどうですか。
  8. 長坂強

    長坂政府委員 米軍関係基地整理統合につきましては、先ほど申し上げましたように、ちょうど昨年の三月、四月ごろ、この基礎的考え方をまとめまして、既存の組織でございます防衛施設庁長官のほうに引き継いでございます。  それから、なお個々には、自衛隊関係でも崎辺における防備隊施設移転とか別府の部隊の湯布院への移設、千歳の滑走路南方移動、その他、竹松豊川などの自動車訓練場移設、そういうような個々の問題も、また扱っておるところでございます。
  9. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これの現在の進捗状況と申しますか、どういうふうに進めており、どういうふうなことを具体的に検討しているということは、お示しが願えないものですかどうですか。
  10. 長坂強

    長坂政府委員 いろいろ先ほど来申し上げておりますような崎辺移転とか別府移転とか、あるいは竹松豊川等移設計画というようなのが、一つの成果でございます。なお、いろいろ基地問題の特殊性から申しまして、一々ここで、いまどんなことをやっているかということについての詳細は、ごかんべんいただきたいと思いますが、着意といたしましては、地域社会との調和をどのようにはかっていくかというような着意で従事をしているつもりでございます。
  11. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 それでは、この問題はこれでよろしいです。  次に、これはアメリカ局長、いままで過去五年間に、日本におる米軍が使っております金ですね、米軍負担といいますか、米軍の支出といいますか、これは、どれぐらいになっておりますか、おわかりですか。
  12. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ただいま御質問のございました資料につきまして、必ずしも詳細な数字をつかんでおるわけではございませんけれども、たとえば七一年の一月に、サイミントン聴聞会におきまして、ジョンソン国務次官が証言いたしておりますが、その際の数字によりますと、五億七千二百万ドルという数字が出ております。それから昨年、行政府国際経済政策委員会、これの報告が出ておりまして、この一九七三年版によりますと、一九七一年度に六億ドル、七二年度に八億ドル、こういう数字が出ておりますので、おおよそこの見当のものであろうというふうに承知しております。
  13. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 こういう御質問をいたしましたのは、大体、私の調べたところで、米軍が駐とんすることに伴う日本側負担が、いろいろとり方がございましょうけれども、昨年が七百億円ぐらいですか、一昨年が四百九十億円ぐらいになっておるわけです。これは、もちろん集約移転というふうな関係で金が要るということはわかりますけれども日本国民としては、米軍が駐とんすることに伴って、大体、日本側はどれぐらいの負担をすることが適当だろうかというふうな判断が要るのじゃないか。現実の必要に追われて、毎年毎年予算を計上しておるということは、これはわかります。わかりますけれども、そういう判断がやはり要るのじゃなかろうかという気がするのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  14. 田代一正

    田代政府委員 お答えいたします。  米軍駐留に伴う日本側負担でございますが、私のほうでいろいろ試算をしてみますと、その中には、たとえば提供経費、これは借料でございますとか、あるいはまたリロケーションでございますとか、そういう経費もございますし、また原状回復という問題もございます。それから、これは周辺対策と称せられるもの、これの米軍基地にかかわるもの、それから自治省で出しております基地交付金調整交付金、これの米軍基地にかかわるもの、それから労務対策についても若干ございますが、そういったものを集計いたしますと、これは特別会計も入れまして、四十八年度で、私どもの推定では、大体六百億ぐらいじゃなかろうか。それから四十九年度は、これは、まだ予算が執行段階——始まったばかりでございますが、推定いたしますと、大体、七百七十億円ぐらいじゃなかろうか、こう考えます。そういたしますと、先ほど大河原局長が申されました、米軍日本駐留に関連いたしました諸経費等に比べますと、相当差があるという状況でございます。  そこで、どういったシーリングでものを考えたらいいかということに相なるわけでございますけれども、特に問題になりますのは、御案内のとおりリロケーション経費だと思うのです。あと周辺対策、その他につきましては、大体、年率ということで、ある程度比例的に上がってまいりますが、リロケーションの問題があると思います。このリロケーションの問題につきましても、私どもといたしましては、日米安保条約というものの目的とか、あるいはそのときの財政状況、あるいはまた経済社会の動向というものを勘案いたしまして、ケースバイケースで片づけるという考え方をとっておるわけでございます。したがいまして、トータルの金額の目安が何もないじゃないかという御指摘でございますけれども、やはり私どもは、現在やっておりますような形でもって、ケースバイケースで積み上げていく、バックには相当大きなものの考え方をしながら、ケースバイケースで片づけていくというのが妥当じゃないか、こういうぐあいに考えております。
  15. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 ケースバイケースでおやりになるという考え方もわかるのです。わかるのですが、私は、やはり日米安保条約というものを有効に持続していくためには、どの程度の日本側負担というものが適正なのか、たいへんむずかしい問題であると思います。むずかしい問題であると思いますが、国民を納得させるためには、やはり必要なんじゃないか。米軍日本駐留は、日本防衛のためでもありますと同時に、極東の安全のためにも駐留しているわけなんですね。そこらのところが、ケースバイケースでこれだけ要るから、これだけ要るからということでは、どうも私は説得力がないような気がしてならないのであります。  これはひとつ、政府としていまここで、どれぐらいの金額——多いとか少ないとかいう意味じゃ毛頭ございません。そういう適正な基準というものは考えられないものだろうかということを私は思うものですから、御検討を願いたいと思う次第であります。
  16. 山中貞則

    山中国務大臣 日本アメリカの場合は、私は非常に幸いだと思っています。それは日本側が、先ほど防衛施設庁長官が申しましたような範囲で、義務的な経費としては、予算に、日本駐留する安保条約のためのみの職員、施設等に対するわずかな、六千万ぐらいの金額でございますから、間接的にいま数えたものをあげれば、そうであるとも言えるし、ないとも言えるものであります。  しかし他面、諸外国も、アメリカとの関係でそういうことをやっておるかといえば、西ドイツあたりは、御承知のとおり、やはりもうきちんとした駐留経費分担がありまして、最近の情報によれば、一九七二年及び七三年の両会計年度だけで二十二億ドルを、完全に駐留米軍経費そのものに相当する金額を、米側からそれなりの物品を調達するということで、要するに差し引きゼロにしょう、そういうことがまとまっておるようであります。もちろん西ドイツの中でも、全部相殺することはどうかという議論もあるようでありますけれども、それは両国の間にそういう約束ごとで出発しておりますから、それに比べたら日本の場合には、ずいぶん、われわれ自身の裁量の余地があることであり、義務的な経費といわれるべきものは、ほとんどないのじゃないかというような気がいたします。  一方的におんぶにだっこという形だけでもどうかという考え方は、むしろアメリカのほうに強いと思いますが、基地を提供しておること自身、そのことに伴う経費というものが、ある意味ではそういうことの、米側日本との安保条約目的遂行のための手段を容易ならしめているということで議論がとまっておることは、ある意味において日本の場合には幸いだと思いますが、かといって、そう安易にそれを考えていいものであるとも思っておりません。しかし日米間で、いまこれが議論されておるということは存在しておりません。
  17. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 私も、いま長官のお話しのとおり、西欧諸国と事情は違いますけれども日本はわりかた好条件だと思うのです。しかしアメリカの動きを見ておりましても、昨年の秋、ジャクソン修正法が通りまして、国際収支のバランスを、軍の駐留経費、その負担金との関係でとろうというふうなことも出ておる。いずれ近く、こういう問題が具体的に取り上げられるのじゃないかという気が、私はするわけであります。そういう場合に、日本国民を納得させるような適正な日本側負担というものを検討しておくことが、やはり必要じゃないかと思うので申し上げた次第であります。御研究をお願い申し上げます。  その次に、審議室長見えていますか。——お伺いいたしたいことは、今度のこの法案、私、たいへん評価するわけでございますけれども、私ども考えております基地対策というものは、単に防衛庁防衛施設庁だけでは足りないと思うのです。地元の方々の要望を見ましても、これは、その基地所在市町村重点事業というものは、国が優先的に取り上げ、補助してくれということを言うておられます。そういうお気持ちも、私は、よくわかるわけなんでございます。  そこで、お聞きしたいことは、基地問題閣僚協議会基地等周辺問題対策協議会というものが、内閣官房所管で設けられておるようでありますが、これらは、どういうふうに開催をせられ、どういう問題を取り上げて審議をしてきておられますか、お答えを願います。
  18. 亘理彰

    亘理政府委員 お答え申し上げます。  基地問題につきましては、一防衛庁防衛施設庁だけの問題ではなくて、内閣全体として取り組むべきであるということは、まことにおっしゃるとおりだと思うのであります。この問題につきましては、ただいまお話がございました基地問題閣僚協議会、それから基地等周辺問題対策協議会という機構が、三十六年に設けられておりますが、実のところを申し上げますと、この二つ会議開催状況は、最近においてはあまりないわけでございます。基地問題閣僚協議会につきましては、四十年、四十三年、四十五年に、それぞれ各一回ずつ開かれまして、あと開催されておりません。それから基地等周辺対策協議会は、総務長官を長といたします事務レベル協議会でございますが、これは、やはり三十年代にひんぱんに開いておりましたが、四十年以降は開催されていない状況でございます。しかしながら、基地問題につきましては、この二つ会議開催状況は、あまりないわけでございますけれども、いろいろな形で内閣官房も、防衛施設庁等連絡をとりまして、連絡調整の仕事はやっておるわけでございます。  基地整理統合の問題につきましては、一昨年の秋に、基地問題連絡調整会議というものを設けまして、これは官房長官を長にいたしまして、防衛庁防衛施設庁、それから大蔵省との間で基地の大筋の整理統合の問題についての方針協議を行なっておるわけでございますが、これは一昨年の暮れにつくられましてから以降、ひんぱんに開かれておりまして、日米安保協議委員会できめられますKPCPの問題あるいは沖繩基地整理統合の問題の最終方針の決定に必要な、いま申し上げました関係各省調整をやっておるわけでございます。  それから、周辺対策につきましては、本日、御審議いただいております法案の成案を得るまでの間に、これも一昨年から昨年にかけまして、ずっと何回となく関係各省会議を開いておりまして、当初は防衛外務、自治、それから内閣官房の間で協議をいたしまして、それから関係次官会議あるいは担当課長関係省庁連絡会議等を何回も開いております。  それから、なおそのほか北富士の問題でありますとか基地公害の問題でありますとか、随時必要に応じまして、関係各省協議内閣官房もお手伝いをいたしまして、実務的に連絡調整の実があがるようにいろいろお手伝いを申し上げておるということでございます。
  19. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 防衛施設庁予算も大事なんですけれども、私どもからいたしますれば、防衛施設庁予算は十分でないと思うわけなんです。昨年、横田への集約に伴いまして、横田基地周辺都市都市計画街路改修だとか、あるいは国道十六号線の横田基地沿い部分改修、それから北富士演習場周辺における地元要望のため池とか農林道等改修、こういうようなものについて、自民党の基地対策委員会で取り上げて、やかましく論議をしたことがあるわけなんですが、農林省建設省予算相当地元要望に沿える大きなことがなされるわけなんですね。こういう点は亘理さんのところで中心になって、しょっちゅう各省と緊密な連絡をとってやってもらいたいと思うのです。  この間も、あるところで聞いたのですけれども保育所補助でも、基地のある町村補助は取り上げられないで、ほかの、隣の町村保育所補助が取り上げられたということで、基地所在の町長さんがたいへん不平を言うておられました。もちろん、それにはそれなりの理由があったと思いますけれども基地所在町村長は、非常に苦労しておられるわけですね。こういうふうな国庫補助の問題については、何とか優先的に見てもらいたいという希望が非常に強いわけであります。これは、やはり内閣官房のほうでまとめて一まとめてというと語弊がありますけれども、よく注意をしていただいて、対策をおとり願うようにお願いを申し上げたいと思うのであります。  その次に、また、あなたに一つお聞きしたいのですが、旧軍当時の行為による障害防止工事、たとえば防空壕を戦争中つくりました。この間、沖繩でたいへんな陥没事故があったようでありますが、あれとか旧軍当時の毒ガスのまだ残っておるところとか、あるいは不発弾もそうですが、こういうものについての所管が、はっきりしないというふうな声をしきりに聞くわけでありますが、これは、どういうふうにいまなっておりますか。
  20. 亘理彰

    亘理政府委員 お答えいたします。  おっしゃるとおり、旧軍当時の工事に起因する障害の問題については、いろいろな問題がございます。  一つ一つ簡単に申し上げますと、一応の行政的な処理体制はでき上がっておりまして、地下壕の問題につきましては、原則として都市計画上の市街化区域内にあるものにつきましては、建設省において処理する、それから、それ以外の地域のものにつきましては、農林省補助金を計上いたしまして、埋め戻し等の措置をとるということになっておるわけであります。  それから、毒ガスにつきましては、大久野島の問題に端を発しまして、自来、環境庁中心になりまして、内閣官房もこれに協力をいたしまして、関係省庁連絡会議を開いておりまして、それぞれ案件ごと処理を進めておりますが、具体的な毒ガス弾処理というものは、自衛隊にお願いするわけでありますけれども、その間の各省調査からその処理に至る間の連絡調整につきましては、環境庁中心とする関係省連絡会議対策を講じております。  それから、不発弾につきましては、三十三年に防衛庁警察庁それから通産省、自治省、四省庁事務次官通達というのがございまして、自衛隊それから地方公共団体警察相互に協力して、実施するということでやってまいっておりますが、特に近年におきましては、内地におきまして、だんだん処理が進みまして、非常に深いところに埋まっておる不発弾処理の問題から、地方団体の発掘の費用が多額にかかるということで、地方財政負担の軽減が問題になりまして、昨年度から総理府に処理交付金を計上いたしておりますが、実際の処理体制としましては、地方団体におきまして、地元情報等によりまして調査し、発掘いたしまして、そのあと処理自衛隊が行なう、それから、その間の地元住民との連絡とか警戒体制については、警察が協力するというふうな仕組みで行なわれておるわけでございます。  そういうことで、一応それぞれ処理体制が、そのほか機雷等についてもできているわけでありますが、問題はいろいろで、その態様も千差万別でございますので、特定の機関で窓口を設けて処理するというわけにはまいりませんので、関係省庁相互連絡し、協調してそれぞれの分担のもとに、効率的に処理をしていくということでやっておるわけでございます。いろいろ地元からの要望も随時出てまいりますが、いま申し上げましたように、一応処理体制は整っておりますので、問題が出てまいり次第、迅速に処理できるという体制になっておるかと思います。
  21. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いま、あなたのおっしゃったことは、府県や市町村にどうも徹底していないように思うんですね。問題が起こったたびごとに、どこへ持っていったらいいのだろうというふうなことで、よく相談を受けます。これは、ぜひ地方公共団体のほうへも、徹底をするようにしていただきたいとお願いを申し上げます。  その次に、地方自治との関係で若干お尋ねいたしますが、大体この法案を拝見いたしまして、障害防止工事については、全額国でやるべきもの、民生安定事業については、国が補助するものだというふうなたてまえでこの法案ができておるように思いますが、そう了解してよろしゅうございますか。
  22. 田代一正

    田代政府委員 お答えします。  たてまえとして、そういうことになっております。
  23. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そうしますと、たとえば小学校、中学校の防音工事をやりますね、その防音施設の維持管理費ですが、防音工事障害防止工事ですから、国が全部やるべきものだと思うのですが、その維持管理費の負担などはどうなるのですか。どっちへ入るのですか。
  24. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 学校に防音工事を行ないましたあとの温度保持、除湿等のために必要な維持費というものが、従来の構造であった時期以上にかかるという事実がございます。この問題につきましては、多年問題になっていたわけでございますが、本年度から義務教育の学校に関しましては、その維持費の一部に関しまして、国におきまして補助をするということにいたしております。
  25. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いまのような問題が、その両方の混淆している領域の問題だと思うのです。割り切ることは、むずかしいかもわかりませんが、国庫の補助をしていらっしゃるのなら、それでもいいかと思います。  その次に、予算を拝見いたしますと、地方公共団体の委託費というのがありますが、これは、どういう内容の予算ですか。
  26. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 米軍施設、区域の提供その他、返還補償等の問題もございますが、直接所有者、関係者等と防衛施設庁ないしは現地の防衛施設局が、いろいろ事務的に折衝さしていただくに際しまして、現地市町村が、それぞれの地域の行政の立場におられて、地域の事情にも非常にお詳しいというような点から、市町村の行政組織を通じて、いろいろとそういった事務の処理についての御援助なりめんどうを見ていただく、そのために、いろいろ経費等もおかけしているわけでございます。そういった点を踏まえて、これらの市町村が、それらの所要されるところの経費というものを、国においてカバーするという意味において、本年度におきまして、一億二千万計上さしていただいております。
  27. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 一億二千万、わずかな金ですが、通信費とかそういうふうなものですか。これは、人件費じゃもちろんないと思うのだが……。
  28. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 そういった事務をやっていただくに伴う通信費等も含まれたところの旅費、庁費、そういったものでございます。
  29. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これは本来が、防衛施設庁なり防衛施設局がおやりになる仕事だと私は思うんですね。これを地方公共団体にお願いされるわけなんですから、一億二千四百万というのは、いかにも少ないように思います。これは、ひとつ御検討願いたいと思います。  その次に、基地交付金のことについてお伺いいたしますが、基地交付金は、どういう性格のものだと了解していいのですか。
  30. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 基地交付金の性格についてのお尋ねでございますけれども、私どもは、基地交付金は固定資産税に淵源を発する制度でございますけれども米軍自衛隊施設が、市町村の区域内に広大な面積を有し、かつ、これらの施設所在することによりまして、市町村の財政に著しい影響を及ぼしている状況を考慮いたしまして、市町村のこういった財政需要に対処するため、予算の範囲内で交付される財政補給金としての性格を有する交付金である、かように考えております。
  31. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 市町村内における国有財産というのは、相当あるわけですね。ただ防衛庁関係施設米軍関係施設に限って、その固定資産税に相当するものを、基地交付金として与えるということは、どういうふうに了解したらいいのでしょうか。そういう財政補助を与えることは、ぼくは必要だと思うんですよ。固定資産税相当額ということでやられることは、どうなんでしょうね。大学とかなんとか国立の施設は、市町村内にずいぶんありますね。どういうふうに了解したらいいのですか。
  32. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 米軍ないしは自衛隊基地の場合は、一般の他の国有財産、行政財産と異なりまして、これが通常、非常に広大な面積を所有しておるということでございまして、このために基地の財政収入に与える影響も非常に大きい、かようなことで、他の国有財産と異なりまして、基地交付金が交付されているというふうに理解をいたしております。  なお、基地交付金は、固定資産税に淵源を発する制度でございますけれども、固定資産税の身がわりそのものではない、あくまでも基地所在することによりまして、基地所在市町村に生じます財政需要に対処するための一般財源としての財政補給金であるというふうに考えておるわけでございます。
  33. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 私も、その考え方に賛成なんです。やっぱり固定資産税相当額というふうにおっしゃると、何か割り切れないものを私、感じるわけなんです。一応の基準として、固定資産税相当額ということをおとりになることは、いいと思うんですけれども基地交付金そのものが、固定資産税相当額でいいのだという考え方は、どうも私は理解できない点なんですね。  それはそれとして、固定資産税相当額でいま基地交付金をおやりになっているのだが、地元のほうの要望は、国有財産台帳は五年ごとに改定される、固定資産税の台帳は三年ごとだ、非常にアンバランスだ、これをぜひ訂正してもらいたいという御希望が非常に強いのですが、この問題については、どういうふうにお考えになりますか。
  34. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 ただいま御指摘のとおり、基地交付金の配分の基礎となります対象資産の価格につきましては、国有財産台帳に登録された価格を用いることといたしております。これは基地交付金の算定の必要上、国有財産の管理のために整備をされております国有財産台帳を利用しておるというものでございまして、国有財産台帳については、五年ごとに価格の改定が行なわれておるわけでございますが、基地交付金の算定の便宜のためのみに、これにつきまして国有財産台帳上の扱いを変更するということは、現段階では困難ではないかというふうに考えております。  なお、この国有財産台帳に登録されております価格が、固定資産税の評価額に比較してどのような水準にあるかというようなことが、地元基地所在市町村では、いろいろ問題になっておるわけでございますけれども、固定資産税の評価額と同じように、国有財産台帳に登録される価格も、適正な時価に基礎を置くということになっておると  ころでございまして、国有財産台帳に登録されました価格は、総体的には類似の固定資産の評価額  とおおむねバランスがとれておる、かように考え  ております。ただ、個々の資産によりましては、両者の間に格差がある場合が十分考えられますの  で、調査をいたしまして、五十一年度には、国有財産台帳の改定が行なわれるわけでございますので、その際に、固定資産税の評価額と均衡のとれた価格となるように関係行政機関に働きかけをしていきたい、かように考えております。
  35. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 私は、固定資産税相当額にこだわるなという考え方でありますので、若干考え方は違うのですが、これは地元の方が、現在対象になっていない飛行場や演習場の建物、工作物、自衛隊の港湾施設などをもこの対象に入れてくれ、こういうような要望が非常に強いわけなんです。この点については、自治省としては、根本的な問題は別として、来年度、交付金を要求なさる際には、こういうものも対象にお入れになる考えはありますか、どうですか。
  36. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 ただいま御指摘のとおり、基地所在市町村からは、基地交付金の対象資産として自衛隊米軍使用の飛行場の建物、工作物あるいは自衛隊の港湾施設、特定飛行場の周辺の土地で国が買い入れたもの、これらについて基地交付金の対象にすべきであるという要請を受けてまいっております。私どもも、その要請を受けまして、毎年これらの資産を、基地交付金の対象にするように予算要求をしてまいっておるところでございます。  御案内のとおり、四十九年度の基地交付金につきましては七十一億円、対前年度比にいたしまして三四%、かなり大幅な上昇を見たわけでございまして、ただいま申し上げました三資産のうちのいずれかについては、四十九年度から基地交付金の対象資産に入れることも可能であるのではなかろうかというふうに考えております。なお、残余の部分につきましては、来年度以降、予算に計上されるよう努力をしてまいりたい、かように考えております。
  37. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 了承しました。ぜひ努力を願いたいと思います。  これに関連いたしまして、第九条に特定防衛施設周辺整備調整交付金という制度を今度お立てになる。私は、これはたいへんけっこうだと思うのです。むしろ基地交付金が、こちらのほうへ変わるべきものじゃなかろうかとさえ思うのでありますが、第九条によりますと、内閣総理大臣が特定防衛施設及び特定防衛施設関連市町村を指定するということになっております。この場合、「内閣総理大臣は、あらかじめ、関係行政機関の長と協議する」、こう書いてあるのですが、この関係行政機関の長とはどういうものか。それから内閣総理大臣が指定するのは、どういう基準で指定なさるのか、これをお答え願いたいと思います。
  38. 田代一正

    田代政府委員 第九条の特定防衛施設の指定の問題でございますが、これは、ここにございますように、特定防衛施設を指定し、同時に、特定防衛施設の関連市町村というものを指定するということになっております。この場合の基準といたしましては、やはりこの法律の条文にございますように、なぜこういうものができたかということで、周辺地域における生活環境または周辺地域の開発に及ぼす影響の程度とか範囲とかいうものが基準になりますので、当然、その特定防衛施設の面積でございますとか、あるいはその特定防衛施設所在する市町村の人口でございますとか、あるいは動態でございますとか、そういった問題、並びに防衛施設によるいろんな障害の度合いというものを総合勘案いたしまして、そこで一定の基準をつくりまして、その基準に基づきまして指定する、こういうことに相なろうかと思います。  それから、関係行政機関の長と協議するということでございますが、この関係行政機関の長と申しますのは、たとえば今度の問題が、ほとんど公共への施設整備というものに充てられるという性格でございますので、公共への施設整備ということに相関連いたしました関係所在地、こういうぐあいに理解しております。
  39. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 ちょっと、いまの最後のお答えわからなかったのですが、公共施設に関連をする行政機関の長、たとえば建設大臣とか農林大臣とか、こういうものを考えていらっしゃるのですか。
  40. 田代一正

    田代政府委員 そのとおりでございます。
  41. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 この「関係行政機関の長」とありますが、これは府県会とか市町村会のいろいろな機関がございますね、こういうふうなものの意見を聞かれることは、どうかなと私は個人的な感じがいたしますが、これは国家機関だけで協議をしてきめていこう、こういうお考えですか、念を押しておきます。
  42. 田代一正

    田代政府委員 たてまえといたしましては、国家機関である関係行政機関の長に協議するということで十分かと考えておりますが、具体的に指定をするという段階になりますと、当然、地元の市町村等々につきましても、自治省にお話しをするということはあり得ると思います。
  43. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 それから、これは、いまあなたの御答弁もあったとおり、「政令で定める公共用の施設整備を行うための費用に充てさせるため、」と用途が限定されているわけですね。地元の方々からは、これは、こういうように用途を限定しないで、何か一般財源にしてほしいという要望が非常に強いのですが、これはお考えをいただくわけにはまいりませんか。
  44. 田代一正

    田代政府委員 ただいま仰せの問題につきましては、実は四十九年度予算編成、あるいはこの法律を立案する過程において、非常に大きな問題になった要因でございます。ただ、先生おっしゃいましたようなことで、一般的な財政補給金という形になりますと、やはりどうしても権限配分委譲と申しますか、資金の性格から申しまして自治省所管になる、しかも、その自治省が、さっきお話がございましたように、基地交付金とか調整交付金とかいうものを、すでに支出しているという形でもございますので、やはり一般的な財政補給金というものを、ここで考えるのは、いかがなものであろうかということで、結局こういうぐあいに目的をしぼり、また対象をしぼるという形の調整交付金という形にいたしたわけでございます。
  45. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 意見がありますが、これは、たいへんな前進だと思います。こういう制度をきめていただいたことに、私は非常に敬意を表しますので、これはこれでおいておきます。  第十条に、「(資金の融通等)」とありますね、これは障害防止工事とか民生安定施設を行なう此方公共団体に対して、必要な資金の融通または航っせんその他の援助につとめる。これは具体的には、どういうことをお考えになっておりますか。
  46. 田代一正

    田代政府委員 第十条で申しております「必要な資金の融通又はあっせん」ということでございますが、これにつきましては、たとえば公共団体で裏負担がある、その裏負担を起債で仰ぐといたしますと、その起債を、たとえば資金運用部資金とか、あるいは簡保資金というものでもって消化をする、こういうような場合があると思います。  それから、あっせんの場合でございますが、これは、たとえば農協なら農協がいろいろな事業をする、やはり国の補助金だけでは足らないという場合が起こると思います。そういう場合に、たとえば農林漁業金融公庫にあっせんをいたしまして、その裏分を見てもらうとかいうことが、あっせんということだと思います。  それから、その他の援助ということがございますが、これは従来の関連で申しますと、関係の行政機関が相互連絡いたしまして、意見を調整するなどして、側面から協力するというぐあいに読まれておりますが、今回の新法にあたりましては、その解釈を少し広げまして、たとえば第三条、障害防止施設、第八条、民生安定施設でございますが、それでやりますと、場合によっては、地方の負担額が残る、この負担額をどうするかということは、今度の新法制定の場合に、一つの問題があったわけでございますけれども自治省のたいへんな御配慮によりまして、この新法制定と相関連いたしまして、公共団体の地方負担分に相当する分の半分に相当する金額は、特別交付税でめんどうを見るということに現在話ができております。そういう場合は、この条文で申しますならば、やはりその他の援助ということに解釈できるのではないかと思います。
  47. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これは地元がたいへん喜ぶと思うのですが、自治省との間に、もう話がついておると了解していいのですか、特別交付税で半分見るというやつ−…。
  48. 山中貞則

    山中国務大臣 自治省のほうとは、直接私が折衝をいたしまして、いろいろな構想を相談をいたしましたのですが、落ちつくところは、ただいま長官が申しましたように、補助率にあっては、残りを起債、その他の措置で地元負担としておりますが、それについて、補助率の残りの二分の一を、特交において当該市町村に交付する、補助額、定額補助のものについては、ついでにいろいろつくられるものですから、したがって、定額補助の二分の一というものを、特交において交付しようということで、省令によって改正してもらうように、その文章も、すでに両者合意しております。四十九年度において、自治省の試算を、私ども検討いたしましたが、これによって大体五十億、関係町村に行くであろうと見込まれております。
  49. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これは、たいへん私はいいことだと思うのです。基地問題が、たいへん前進したように思いまして、うれしくてなりません。  その次に、お伺いいたしますのは、第四条以下にあるのですか、飛行場周辺の対策です。これは三月の末に、公共用の飛行場についての周辺の防音対策法律が成立したわけでありますが、読んでみますと、少しこれと違うようなんですね。  これは、新聞ですが、これによりますと、「騒音のひどい特定飛行場周辺の加重等価騒音レベル八十五以上の第一種区域では、二戸百万円を限度に国と地方公共団体が防音工事の助成をする。特定飛行場の設置者である国や都道府県は、加重等価騒音レベル九十以上の第二種区域では民家の移転補償をし、移転先の代替地を造成する。加重等価騒音レベル九十五以上の第三種区域については、飛行場設置者は土地を買いとり緑地、倉庫など騒音がひどくても支障のない施設整備する。これらの事業を実施する空港周辺整備機構を新設できる」、こういうふうに新聞では内容を伝えております。  今度は、空港周辺整備機構というふうなものも、この法律案にはございませんが、この一般公共飛行場の周辺の対策と、自衛隊及び米軍の飛行場の周辺の対策とどういう点が違うかということを御説明願いたいと思います。
  50. 田代一正

    田代政府委員 先般、公共用飛行場周辺航空機騒音防止法というのが成立いたしましたが、これが、私ども今回、提案いたしております新法の四条、五条、六条、七条というものに非常に関連するわけでございますが、基本的な考え方といたしまして、一種地域、二種地域、三種地域をつくるということにつきましては、同じでございます。  それで、その場合、騒音のレベルをWECPNL、これではかりまして、どうするかという問題でございますが、これは実は、まだ長官とも十分相談をしておりませんけれども、運輸省とほぼ同様に、一種地区については大体、WECPNL八十五以上、二種地区につきましては九十以上、三種地区につきましては九十五以上というぐあいに現在考えております。そういう点につきましては、全く同じだというぐあいにお考え願ってけっこうじゃなかろうかと思います。  ただ、違う点を幾つか申し上げますと、一つは、私ども法案におきましては、飛行場のみならず射爆撃場を加える、これは防衛施設の特性から申しまして当然のことかと思いますが、それが一つの問題。  それから第二に、先ほど先生御指摘になりましたように、運輸省の法案におきましては、空港周辺整備機構、国、公共団体の合同出資によって、そういった特別機構をつくって、それでもって推進するという形でございますが、私どもは、現在そういうものを考えてはおりません。国または公共団体の御協力を得ながら、この事業をやりたいという気持ちで現在進んでおりますが、そういった機構を、現段階で用意しているというわけじゃございません。その点が違うと思います。  それから、運輸省の法案におきましては、空港というものを、都市施設というぐあいに観念いたしまして、都道府県知事が、空港周辺整備計画というものを策定するということでございますが、私ども防衛施設は、これは都市施設でございませんので、そういう点につきましては、欠落があるということだと思います。  そういうことで、若干こまかい推進のしかた等等におきまして、違いはございますけれども、おおむねの考え方は違わないというぐあいに御理解願ってよろしいのじゃないかと思います。  それから、先ほど個人防音の話が出ておりましたが、個人防音につきましては、一種地域について個人防音、つまり個人住宅防音を始めるという考え方、これも同じでございます。ただいまのところでは、主として各住宅について一室程度、単価も百万円前後ということで、全額国費負担でもってこの事業をやりたいという考え方でございます。
  51. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 そうしますと、この公共飛行場の周辺対策では、二種区域では民家の移転補償をしたり、移転先の代替地を周辺整備機構がつくって提供する、こういうふうなたてまえになっているようですが、この法案によりますと、代替地の造成などということは、どこが責任を持ってやるのですか。
  52. 田代一正

    田代政府委員 私ども法案では、そういった整備機構はございません。そこで先生、第五条の第三項をお開きいただきますと、わかると思いますが、私ども考え方は、それにかえまして、地方公共団体が主として土地を造成した、その住宅団地と申しますか、そういうものに関連いたしまして、土地にかかる道路とか水道とか排水施設、その他の公共施設整備したときには、その分については国がめんどうを見ましょう、こういう仕組みにしてございます。そういうインセンティブをつけることによりまして、公共団体によって、そういった団地がつくられるということを期待しておるわけでございます。
  53. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 ちょっと、いま法文を読んで気になったのですが、四条にも「助成」と書いてあり、五条にも「助成」と書いてありますね。これは、どういうことですか。補助なんですかどうですか。どうして「助成」という字を使ったのですか。
  54. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 四条の場合にも五条の場合にも、「助成」ということばを使ってございますが、内容といたしましては、補助を考えております。しかしながら、たとえば住宅の防音工事のために、その障害を防止、軽減するために必要な工事を行なう場合の工事費助成につきましては、基本的には十分の十の補助ということを考えております。
  55. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 この第六条の第二項に「国は、前項の土地以外の第三種区域に所在する土地についても、できる限り、緑地帯その他の緩衝地帯として整備されるよう適当な措置を採るものとする。」、こうありますけれども、これは、やはり地元の市町村都市計画などをつくってやる場合のほうが多いのじゃないかと思うのですが、なぜ、これは国だけ規定したのですか。地元公共団体のことは規定しなかったのですか。
  56. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 この第六条第二項にございますのは、第五条等で買収しました土地以外に、そこに既存の国有地あるいは民公有地等がございます。第三種区域の土地の性格といたしましては、居住区域としては、適さない地域ということで、できるだけ防衛施設と周辺市民生活環境との間に緩衝地帯を設けるというたてまえで、この六条というのができているわけでございます。  国といたしましても、できるだけ、そういう買い入れた土地以外の国有地あるいは民公有地については、所有者等の御理解、御協力を得て、国みずから緩衝地帯にしていくという努力をしたいという旨を、ここに書いているわけでございますが、御指摘のような都市計画との関係につきましては、当然、現地におきまして、十分調整をさせていただきまして、そういう都市計画の中に乗りながら、この緩衝地帯の目的にも合致するようなものについては、御協力をお願いしたい、また、わがほうで、そういった都市計画の関連で御協力できるような点につきましては、御相談さしていただきたい、そういう点も十分考えております。
  57. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これは、ちょっと考え方が違うんじゃないかと思うのです。やはり都市計画上、非居住地域などに指定してもらうことのほうが、先じゃないかと思うのですが、その辺は、この規定ではだいじょうぶなんでしょうか。
  58. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、国有地、公有地でありますと、比較的話が順調にいくと思うのですが、個人の敷地でありますと、そこに住むことも、あるいは新しく入ってきて住宅を建てることも、個人の財産権でございますから、ここまで束縛をすることはいかがか。したがって、考え方としては、このような表現で、一応束縛はしておりませんし、つとめるように——まず国有地が、その周辺にありますならば、国有地は話がつくだろうと思うのです。そして、その次に話がつくのは、公有地だと思います。民有地については、御相談はできますが、強制も一できませんし、本人の意思が優先いたしますので、そこに非居住地域を、都市計画上まず網をかぶせてからということは、おそらく市町村自身もやりにくいのではないか、また事実上、抵抗があれば不可能ではないか、そういうふうに考えますから、そこらのところは現実に合わせて、まず国有地、公有地というものから先に、緑地の緩衝地帯の目的に沿うような運用をしていくという考え方をとっていきたいと思います。
  59. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 わかりました。附則の五項を読んでみますと、「旧法第五条第三項の規定により買い入れた土地は、第五条第二項の規定により買い入れた土地とみなす。」、こう書いてあります。いままで国が買い入れた土地で、飛行場周辺の土地で、管理が悪いために蚊が出て困るとか、伝染病の蔓延のもとになるとか、いろいろな苦情が地元から私どもの耳に入るのですが、現在どういうふうな状況になっておりますか。どれくらいの面積を国がすでに買い入れており、管理の状況は、どういうふうになっておりますか。
  60. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 現在の周辺整備法またはそれ以前の行政措置等も含めまして、昭和四十九年三月末、まだ台帳整理が完全に、正確にはできておりませんが、一応見込みの数字といたしましては、われわれのほうで、いわゆる周辺財産と称しておりますものの面積は、全国で三百六十五万平方メートルでございます。そのうちで国以外のものに、国有財産法の規定を一応適用いたしまして、行政財産ではありますが、行政財産の目的にかなう範囲で、その使用を地方公共団体その他の方々に認めております面積が約七十二万平米、それから国みずからが管理しておりますもので、植樹等を行なっておりますのが四十八万平米、それから除草等を随時行なっておりますのが五十五万平米でございます。残り約百九十万平米につきましては、先ほど御指摘がございましたように、一応そのままの状態で置いてあるということでございます。
  61. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いま実情を御報告になったのですが、私どもは、地元から非常に不平を聞いておるわけです。国のものなら、もう少しきれいにして、伝染病が出たり、あるいは蚊が出たりするようなことのないようにしてくれ。これは、もし公共団体で使わなければ、飛行機の障害にならないように、民間にも使わしてやるようなことをお考えになるほうが、国の経費も助かるのではないかというふうに思います。  時間がありませんので、まとめて質問いたしますから、簡単にお答え願いたいと思うのですが、第三条で対象として新しく拡張した事業は何かということと、第四条の助成の内容ですね。それから第八条で、「著しく阻害」とあったのを、「著しく」を取られたわけです。それと、いままで「市町村」であったのを、「地方公共団体」に変えられたわけですが、この理由。それから離職者対策ですね。これから駐留軍労働者の離職者がずいぶん出てくると思います。この対策については、ことしの一月の日米安全保障協議委員会でも、十分な配慮をするのだということが声明されておりますが、どういうふうな措置をとっておられますか。以上、まとめて簡単にお答え願いたいと思います。
  62. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 新しい法案の第三条のものの考え方、構成は、現行法の第三条とほとんど同様でございます。そこで、一応法律の段階で、まず新法において加えられておりますのは、第二項の防音工事に関しまして、従来は医療法第一条一項に規定する病院を考えておったわけでございますが、今回は、医療法第一条二項に規定する診療所または同法第二条一項に規定する助産所というものを、これに加えております。なお、政令段階でいま考えておりますのでは、第三条一項の自衛隊等の行為でございますが、「その他政令で定める行為」の中に、従来、航空機の離着陸等飛行のひんぱんな実施とか、艦船、舟艇のひんぱんな使用という政令事項がございました。これに電波のひんぱんな発射というものを一つ加えたいと思います。これは電波のひんぱんな発射によりまして、周辺地域でテレビジョンの難視聴現象が起こっているという点をとらえたわけでございます。それから政令の三条におきましては、保健所と母子保健法に基づきます母子健康センターというものを防音施設の対象にしたい、政令事項で加えたいというふうに考えております。これが新法第三条の現行法との相違点でございます。  次に、第八条におきまして、今回、「著しく阻害」の「著しく」ということばを除きました点は、本来、防衛施設の、従来で申しますならば「運用」、新法案で申しますならば、「設置又は運用」によって生じますところの障害、これが防衛施設の周辺の市民生活、生活環境に阻害を与え、あるいは事業活動に阻害を与えている、自衛隊等の防衛施設の運用は、一般の地域社会の活動と違った特性がある、そういう点から生ずるところの障害というものが、一般地域社会で通常生じ得る障害よりもその度合いが高い、そして、それが客観的に具体的に認められるという点で、こういった阻害の状態をとらえて、これを緩和するための施策を、従来の四条でも考えておったわけでございますが、最近、生活環境に対する住民の環境意識の高まりだとか、あるいは生活環境改善施策というものが、一般的にも向上してきております情勢にかんがみまして、住民の生活環境なり市民生活の中における事業活動のいわゆる一般的阻害のレベルといいますか、阻害保全のレベルというものも相当高まってきている、そういった状態を踏まえまして、今回その阻害の状態というものを、弾力的に考えていくという意味において、「著しく」ということばを取ったわけでございます。  また、事業主体と申しますか、緩和のために実施する事業を考える主体も、従来、市町村でございましたのを、新法案におきまして、地方公共団体といたしまして、都道府県あるいは一部事務組合等も、これに加えることにしましたのは、従、来、現行法四条のいろいろな施策を行なってまいりました過程におきましても、具体的な施策を行なう場合の事業主体として、その地域状況から都道府県にやっていただくことが適当であるというような事案もずいぶんございまして、予算措置等でも行なってきた過去の経緯等もございますので、今回、地方公共団体というふうに幅を広げたわけでございます。  それから、この点につきましては、四十一年、現行周辺整備法が成立いたしましたときの衆参両院の附帯決議におきましても、こういった都道府県等の問題につきまして、御指摘いただいている経過もございます。
  63. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 お答えいたします。  一月の日米安保協議委員会で、先生いまおっしゃいましたように、日米双方は人員整理を受けた人々の困難を軽減するために、最善を尽くすということが確認されております。そのことのために、どういう対策がとられているかということについて要約して申し上げます。  日米双方で協力して行なう施策と、それから日本政府独自で行なう施策と大別してございますが、最初のほうの、双方協力して行なう施策といたしましては、日米連絡を密にいたしまして、できる限り早期に人員整理に関する見込みを把握するようにつとめる、九十日以上前の事前報告に努力中でございます。二番目に、実際の実解雇者をできるだけ少なくするよう配置がえ、希望退職者による振りかえその他を努力しております。特に沖繩関係で、この点について目下努力中でございます。三番目に、解雇予告期間内において、従業員が新たな就職口を探すために、三日間の管理休暇を与える。それから退職金は、公務員の場合に比して高率のものを支給する。それから離職前に、職業訓練を防衛施設庁が行ないます場合に、アメリカ軍は、その施設とか設備の使用を、できる限り認めるというようなことを取りきめております。  それから、日本政府独自で行なう施策といたしましては、駐留関係離職者等臨時措置法というものがございますが、それによる施策が、関係政府機関の協力のもとで行なわれております。最近のことといたしまして、四十九年の四月の二十五日、中央駐留関係離職者等対策協議会が行なわれまして、駐留関係離職者対策の大綱が決定され、四月三十日に閣議に報告を了しておりますが、この中で特に沖繩関係につきましては、いろいろ特別な配慮を行なう事項を書いてございます。  これは長くなりますので、省略いたしますが、この中で、特に防衛施設庁所管の施策というものを申し上げますと、一つは、特別給付金の増額措置でございます。これは今回の予算の際に、四十八年度離職者に対するものと、四十九年度離職者に対するものにつきまして、それぞれ大幅な増額を認められまして、四十八年分に対しましてはことしの一月、四十九年の基準増額分に対しましては四月の十一日に、おのおの政令改正を終わっております。  ちなみに、四十九年度と四十七年度との対比を申し上げますと、人員整理を受けました者の受けます特別給付金の基準額は、最高三十五万円でございましたものが、最高六十万円になっています。比率で申しますと、四三%増しでございます。  次に、離職前の職業訓練でございますが、これは最近の労働需要の動向等に即しました種目の選定を心がけまして、一方、受講人員の大幅増加というものを考えております。予算額で対前年比一三%増、受講人員の計画人員は、対前年比二六%増にいたしたいと思っております。  最後に、離職者対策センターというものが各地域に、全国で八つ公益法人として設立されております。これは無料職業紹介等、労働大臣の免許を受けて事業を行なっておりますが、これに対しまして四十九年度求人開拓費を、新たに全センターに助成する、それから昨年の終わりに設立されました沖繩対策センターに対して、新しく本年から助成を開始するということで、対前年比一六六%の予算を計上いたしております。
  64. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 終わります。
  65. 徳安實藏

    徳安委員長 和田貞夫君。
  66. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 法案質問に入る前に、この間の五月三日の憲法記念日におきまして、わが党の成田知巳委員長が護憲連合主催の憲法施行二十七周年記念集会で、ちょうど演説をしておる最中のできごとでありますが、元自衛隊の隊員であった佐藤信幸が、殺意をもって、成田委員長を殺害の未遂に終わっておるという事件が起こりまして、その間の事情につきまして、私たちは、新聞情報でしか熟知いたしておりませんので、その後の捜査の内容、経過を、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
  67. 星田守

    ○星田説明員 お答えいたします。  五月三日、千代田区の九段会館におきまして、護憲連合主催の憲法施行二十七周年記念中央集会が行なわれておりました。その集会に御出席になっておりました成田委員長が、登壇されてごあいさつ中に、ちょうど午後一時半ごろでございますが、会場一階の東側廊下におきまして、警戒中の警察官が挙動不審者を発見いたしたわけでございます。そこで職務質問をしようといたしましたところ、これを振り切って逃走しようといたしましたため、付近の麹町警察署九段下派出所に任意同行を求めたわけでございます。  なお、当日は、事前に右翼が集会を妨害するというふうな情報がございませんでしたが、万一に備えまして、私どものほうで、会場に私服の警察官五名、制服が二名、合計七名、このほかに直接警護に当たります警察官六名の、合計十三名を配置いたしまして、警戒警護に当たっておったわけでございます。  その後、この派出所に任意同行いたしまして調べましたところ、同人が自称大日本愛国党員佐藤信幸と名乗りまして、所持しておりました紙袋の中から、刃渡り二十一・五センチメートルの肉切りぼうちょうと、それから「亡国憲法改正国民大会」、大日本愛国党名でございますが、のビラ二十八枚を持っておりまして、現憲法は、社会党、共産党に都合よくできている、成田委員長をやれば、憲法擁護運動を停滞させることができると思って、やる気で来た、こういう自供をいたしましたので、その場で、殺人予備、建造物侵入、銃砲刀剣類所持等取締法違反容疑で現行犯逮捕いたしますとともに、肉切りぼうちょう及びビラを押収いたしております。  その後、身柄を麹町警察署に移しまして取り調べましたあと、五月五日、東京地方検察庁に身柄つきで送付いたしまして、即日、勾留になっておる状況でございます。  なお、事件当日、大日本愛国党本部事務所の捜索をあわせて行ないましたが、証拠資料は発見できない状況でございました。それで現在、引き続きまして、これについての動機並びに背後関係等を追及中でございます。  以上でございます。
  68. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、犯人の佐藤が、成田委員長殺害計画、犯行の動機、いま報告があったとおりですが、この背後関係といいますか、愛国党員であるということを本人も認めておるし、愛国党の本部も、党員であるということを認めておるわけですが、愛国党に入党した時期は、大体いつごろであって、入党する動機は、本人に聞いておられませんか。
  69. 星田守

    ○星田説明員 現在、佐藤の入党時日につきましては、本人が愛国党員であると自称いたしておりますし、それから愛国党の本部でも、党員であると言っておりますので、さらに、そういったものを、客観的に裏づけるものがあるかどうか、引き続いて取り調べの過程で糾明いたしたい、こういうふうに考えております。
  70. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 新聞情報によりますと、自衛隊に入隊して——犯行のあったときには、すでに自衛隊を退職しておるわけですが、それ以前、六カ月前から入党しておるというようなことが、新聞情報として書いてあるわけですが、そのようなことも、まだ調べてないわけですね。
  71. 星田守

    ○星田説明員 警察のほうにおきましては、本人が昨年の四月ごろ、入党したということは、自供いたしておるわけでございますけれども、確認の段階にはまだ至っていないという、現在取り調べ糾明中であるという状況でございます。
  72. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 この佐藤の、当日は単独の犯行だったわけですか。
  73. 星田守

    ○星田説明員 現在のところ、単独でございます。
  74. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これも、新聞情報によりますと、過去にもう一人の男と、ことしの一月にある集会に参加しているという記事も載っておるわけですが、その連れ立っておった男も自衛隊員ですか。
  75. 星田守

    ○星田説明員 その集会に出たもう一人の男というのは、自衛隊員と聞いておりますが、こちらのほうでは、この事件とは直接の関係はございませんので、まだ調査をやっておりません。
  76. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 防衛庁にお尋ねしたいのですが、いまお聞きいたしますと、警察のほうでは、昨年の四月に入党しておるということを、本人が自供しているわけです。自衛隊員として採用いたしましたのが昨年の八月。そこで、お聞きしたいのですが、自衛隊員を採用するにあたって、右翼団体、左翼団体にかかわらず、思想団体として、あるいは過去に政治団体として活動しておったかどうかというようなことは、採用の時点では、調査というのはやらないわけですか。
  77. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 隊員として採用いたします場合に、事前に調査をいたしますが、その調査の内容は、志願者の現住所とか、それから前住所あるいは勤務先というようなものを確認するというようなことでございまして、そのほかに自衛隊員となるためには、欠格条項というのがありまして、その欠格条項に該当する者は、自衛隊員となることはできません。そういった欠格条項の調査をするというのが、事前における調査の内容でございます。  欠格条項というのは、自衛隊法の三十八条一項に四号ございますが、第一項で、一つは、「禁治産者及び準禁治産者」、二が「禁こ以上の刑に処せられ、その執行を終るまで又は執行を受けることがなくなるまでの者」、三が「法令の規定による懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者」、四が「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者」ということで、こういうことに該当しているかどうかというような調査をいたします。
  78. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、自衛隊員は、自衛隊法によって、政治団体の制限は受けておるけれども、政党員であるということは、拘束されないわけですね。
  79. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 単に政党員であるということでは、そういう制限はございません。ただ、四号に、「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者」ということがありますけれども、これに規定をされた団体がございませんので、いまのところ、こういったことに該当する構成員であるのはないわけでございますから、ただいまのところ、ございません。
  80. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 うがった質問ですが、左翼思想については調査するが、右翼思想については調査はやらない、こういうことじゃないのですか。
  81. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 思想的な調査につきましては、右翼につきましても、左翼につきましても、いたしません。
  82. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 先ほど警察のほうも、認めておりましたように、佐藤が、一月の段階で、ある集会に参加をいたしましたときも、自衛隊員であるということが、警察の捜査で明らかになっておるわけですが、自衛隊員の中で、このような右翼団体に関係する隊員は、ほかにどのくらいおりますか。
  83. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 その思想の関係につきましては、いま人事教育局長から御説明しましたように、右翼、左翼というふうに分けて調査などいたしておりませんので、右翼関係が何人ということはわかっておりません。
  84. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 隊員に、自衛隊法に基づく政治活動が制限されておるということを、どういうような方法で徹底されておりますか。
  85. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 政治活動の制限につきましては、これは一般の国家公務員法と同様でございますが、自衛隊法の六十一条の規定がございまして、さらに、それをこまかくいろいろ、政治目的とは何ぞや、それから政治的行為とは何ぞやということが、詳しく規定されておりますが、この政治的な目的または政治的な行為ということを、隊員がよく知っておるということ、これは自衛隊員にとりまして、非常に基本的なことでございますので、学校におきまして教育をいたしますと同時に、常日ごろ、部隊におきましても、教育をいたしております。自衛隊員は、国家公務員でございますから、全体の奉仕者として片寄らずに、不偏不党、中立な立場でつとめなくちゃいかぬ、それが自衛隊員のすべての行為を律する基本であるということは、常日ごろ教育をいたしております。
  86. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これも、新聞情報でありますが、教育隊におった当時に、便所に右翼めいた落書きをしたことがある、こういうことも記事として登載されておるわけですが、そのときには注意をしなかったわけですか。
  87. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 便所の中に落書きがありました。で、それを調べましたら、本人であるということがわかりましたので、教育隊の中隊長から厳重な注意をすると同時に、かような考え方、かようなことはけしからぬ、いけないということを注意いたしました。
  88. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 四月十日に、隊内でビラまきをやった、その時点で、停職五日間の行政処分をやったということですが、その前に、先ほども申し上げましたように、一月の時点で、他の自衛隊員と一緒にある集会に参加をしておる、そのような政治活動を行なったことについて、処分はやらなかったのですか。
  89. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 一月二十七日に、ある団体の結成大会が行なわれているということを聞きまして、それをやめさせようということで、その大会の責任者と会って話をしようということで、責任者に会談を申し入れましたが、断わられました。そういった事実はございます。  それで、そのとき本人が、他の隊員と一緒であったかどうかということは、確認しておりませんが、これにつきましては、その事実を知りまして、直接指導監督に当たります中隊長から、やはり厳重に指導をいたしました。前にもあったけれども、かようなことがあってはいかぬということで、一そう強く指導監督をいたしまして、さらに、こういった考え方を矯正しようという努力をいたしました。
  90. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そのときに、もう少し厳重に注意をするなり、あるいは処分をするなりしておったら、今度のような事件が起こらなかったように思うわけなんですが、いま言われました注意というのは、どの程度の注意ですか。
  91. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 中隊長の口頭の注意でございます。
  92. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 私は、今日、自衛隊員の中から、こういうような事件が起きたということを、非常に残念に思うわけです。憲法で、自衛隊員といえども、公務員でありますので、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者であってはならない、少なくとも自衛隊員として採用するにあたりましては、憲法を順守するという誓約をとっておるはずであります。しかしながら、先ほど警察庁のほうからの報告もありましたように、みずからが、今日の憲法は平和憲法でない、これは、もう社会党、共産党に都合のよいものだ、成田委員長を殺せば、護憲運動というものをやらないだろう、こういうことを堂々と自供する元自衛隊員。少なくとも今日の憲法につきましては、自主憲法ということに名をかりて、憲法を改めようという考え方の方もあることは事実でありますが、また憲法を守っていかなくちゃならない、憲法を順守していかなくちゃならない、こういう考え方のある者も、これは事実である。  しかしながら、一方、憲法を守るということ、自分みずからが公務員の一人として、憲法を守るということを誓約して自衛隊員になっておる。ところが、この憲法を守るという運動に対して、これはけしからぬ、こういう少なくとも思想のある自衛隊員が、一人二人あるというようなこと、これは一人や二人というようなことじゃなくして、根本的に自衛隊員に対するところの憲法順守の教育のやり方について、私は問題があると思う。そのような点について、せっかくの機会でありますから、一体、この自衛隊というのは、憲法を守るということについて、そういう国民に対して、敵がい心に燃えた自衛隊員の養成を行なっておるのか、はっきりしてもらいたい。
  93. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 自衛隊員が憲法を守り、自衛隊法に従って、先ほど申しましたように、その政治的な中立を守りまして、不偏不党、全体の奉仕者として勤務するということは、言うまでもないことであります。これは非常に基本的なことでございますので、自衛隊員になります場合には、憲法を守り云々ということで、隊員の一人々々、この誓約をしておるわけです。まさに憲法のもとにおける自衛隊ということで、この点は非常に基本的なものでございますから、学校におきましての教育はもちろん、それから日常の毎日の隊員の生活におきましても、その点につきましては、十分な教育をいたしておるつもりでございます。  たまたま当該本人につきまして、さような考えを持っておりましたので、われわれは、そういう思想、そういう考え方はいかぬということで、隊員としてあるべき心がまえといいますか、そういうことを、三十四連隊に配属されましてからも、本人に対しましては、中隊長は五十三日間の間、一緒にしておったわけでございますが、実に四回も注意をいたしました。そうして隊員として預かった者でありますから、そういった考えはいけないということを、非常に懇切丁寧に指導もしつつ注意を、先ほどの事態が起こりましたときに、厳重に注意をするという姿勢をとりまして、預かった以上は、りっぱな自衛隊員にしようというような考えで、中隊長も一生懸命にやったという事実は、私どもも認めておるわけでございます。  ただ、中隊長につきましては、やはり五十三日という短い期間でありますが、一生懸命さような注意監督をしたわけでございますが、またそのような結果が起こりましたということは、非常に残念なことでございますので、監督指導——先ほどのビラの配布の点につきましては、その点をとりまして注意をいたしました。
  94. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 中隊長に注意という処分をしたというのですか。(高瀬(忠)政府委員「はい」と呼ぶ)私、そこらはそう長く言いませんが、元自衛隊員であったということも、これはピンからキリまであって、十年前に自衛隊員であった、五年前に自衛隊員であった、こうじゃなくて、もうつい最近まで自衛隊員であった、しかも自衛隊に入隊する以前から、右翼の団体に関係しておる、そうして、この憲法を順守するという誓約をとってはおるものの、本人の腹の底というものは、少年時代のころから、これも新聞情報によりますと、やはり右翼がかった思想の持ち主であるということを、本人自身も認めておるわけでありますし、警察の捜査の中でも、それが明らかであるわけです。また人教局長は、いま、一月の集会に、もう一人連れを誘って行ったというのが、自衛隊員であるかどうかということは明らかではないと言っておられますが、警察のほうで、いま話されましたように自衛隊員である、こういうことは警察のほうからの報告にあるわけですが、その連れの自衛隊員に対しても、何らかの処置をやられましたか。
  95. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 連れにつきましては、詳細承知しておりませんが、調べまして、もし隊員でありますならば、必要なる指導監督をいたしたいと思います。
  96. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 もう一人の連れが、自衛隊員であったということは、先ほど警察庁から報告があったわけですが、そのもう一人の連れの自衛隊員に対して、何らかの措置をとったかどうかということをお尋ねしておるわけです。
  97. 高瀬忠雄

    ○高瀬(忠)政府委員 調査をしたいと思います。
  98. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 この機会に、その連れだけでなくて、そのような思想の持ち主、憲法を守るということを誓約して入っておる自衛隊員で、みずからが憲法を否定をして、憲法を守るという人々に対して殺害を加える、こういうような自衛隊員がかりに一人でもあるということは、大体けしからぬ話である、そういうようなことが、今後皆無になるような措置を講じてもらわなければいかぬ。少なくともそういう措置を講じないで、再びこのような自衛隊員が出てくるというようなことになりましたら、これは国民に矢を向ける自衛隊員である、国民に矢を向ける自衛隊員がおるということは、自衛隊自身国民に鉄砲を向ける、矢を向ける自衛隊である、こういうように断定されてもいたし方ないわけです。  今後、そういうようなことが再びないことを、私は願ってやまない次第であります。そのような措置を含めまして、この機会に、今後、そのような自衛隊員が出てこないように、万全の措置を講じてもらいたいと思うわけなんですが、ひとつ防衛庁長官のこのことにかかわる決意のほどを述べてもらいたい。
  99. 山中貞則

    山中国務大臣 人教局長のところに、どうも詳細があがっていないのかどうか知りませんが、私の承知している範囲では、某団体結成を妨害しようとして行って、同行した者もわかりました。したがって、その直後、本人の取り調べをいたしまして、本人にはもちろん注意したわけですが、なぜ、そういうことをしたのか、自分はもうああいう過激な行動にはついていけない、したがって、彼と一緒にいることはいやだからと言って、転属を希望いたしまして、本人は、彼がやめますまでいました迫撃砲中隊を離れて、すでに本人の希望どおり、転属させて引き離してあります。したがって、他に波及してつながりを持っておるとかいうことは全く心配ありません。  なお、ビラについては、二十枚ほどでありますが、特別に張ったという形よりも、あちこちに、大学ノートに自分でマジックペンで書いたものを、置いていた、それがすぐ発見されたわけです。したがって、本人に、おまえのこういう行為は、自衛隊員の政治的なあれを逸脱しておる、いままでの言動もあったということで、この際は処分をすると言ったら、自分はこの活動を続けたいから、したがって、処分されたらやめる、こういうことでありましたので、本人がやめることがわかっておりますし、処分をいたしまして、直ちに本人はやめたということでありまして、それが事情の詳細であります。  人教局長が答弁いたしておりますとおり、憲法のもとに定められた——特定の政党を支持し、もしくは誹謗し、あるいはその他自衛隊法あるいは政令に定められました条項に、隊員たちが、一個人の行動でありましても、自衛隊員である限りにおいて、そのような逸脱した行動をなした場合には、直ちに注意もし、聞かなければ処分もし、だめならば懲戒免職にもする、場合によっては、司法権にこれを告発するという措置をとることにおいて、きちんとした姿勢をとっていきたいと考えます。
  100. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 警察のほうにもお願いしておきたいと思います。  憲法を擁護する、守るという運動をしている、現行憲法の中でこれほど正しい、まじめな国民は私はないと思う。それに対して、けしからぬ考え方を持ったり、けしからぬ行動に出るような右翼団体に対して、このような不祥事件が起こった機会に、こういう事件が再び起こらないように、もっと厳重な取り締まりをやってもらいたい、こういうように思うわけですが、あなたしか来ておられませんが、この機会に警察庁としての見解を承っておきたい。
  101. 星田守

    ○星田説明員 申すまでもなく、警察といたしましては、不偏不党の立場を堅持いたしまして、違法行為に対しましては、対象の信条、性格のいかんによらず、厳正な取り締まりを行なってきておるわけであります。従来から右翼事件等の未然防止と早期検挙につきましても、その徹底を期するため、全力を傾けておるところでございまして、今後とも一そう努力いたす所存でございます。
  102. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 その点は、これで終わりまして、けっこうです。  防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律の内容に触れたいと思うわけなんですが、先ほどの質問あるいは質問に対する答弁をお聞きいたしておりますと、現行法と新法との比較をとってみますと、確かに、基地周辺の自治体に対する交付金の制度、あるいは周辺の住民に対する住宅の防音工事、あるいは移転の補償、土地の買い入れによる移転先の補償、あるいは緑地帯の整備、さらには国有地を広場として住民に開放するというような、基地周辺の住民ないし自治体に対して、現行よりも恩典的な内容が盛られておるということは事実でありますが、しかしながら、このような新法ができることに対しまして、一方では、この法律を早く制定するようにという要請もありますし、片方では、このような法律が施行されることによって、基地が従来以上に固定化し定着化され、そして基地を新設する場合にも、それがいわば防衛庁側のほうの一つの武器になって、この設置にあたって、スムーズに施設ができ上がっていくというような試みを盛った法律であるので、少なくとも基地を撤去してほしい、基地があっては困るという住民の側から言うならば、この法律については、全くけしからぬ法律であって、この法律を制定してもらいたくない、こういう要請もあるわけなんです。  あなたのほうは、基地周辺住民を救済する法律なんだ、こういうように言っておられるわけですが、少なくとも基地に悩んでおる地域の住民、周辺の住民、これは、さきに成立いたしました民間空港についての航空機騒音障害防止法の新法改正案、これについても、たとえば大阪の空港周辺の住民におきましては、その法律をありがたがってはおらないわけなんです。その法律ができたことによって、大阪空港を撤去してほしいという住民の要求が踏みにじられて、そのことによって大阪空港が固定化される、撤去をされる見込みがなくなった、こういうことで、不満を持っておるわけです。したがいまして、この基地周辺の新法につきましても、私は同様のことが言えるんじゃないかと思うのです。  少なくとも、沖繩の百万県民は、沖繩基地が撤去されて、初めて沖繩が返還されたのだというように、いまもなお考えておられます。無造作に、だれはばかるとなく米軍が接収していった土地が、大かたの今日の沖繩基地であるわけですから、むしろ、このような法律で周辺の住民にあめ玉を恵ませてやらう、こういうことよりも、基地を撤去してほしい、こういう要求のほうが私は強いと思います。沖繩に限らず、北富士でも同じことでありますし、基地周辺の真剣な考え方に立って、基地を何とかなくしてほしいという考え方に立っての住民の願いというものは、同じ考え方にあるんじゃないか、このように思うわけであります。  そのような考え方を持っておる住民が存在するということ、あるいはそういう住民の組織が存在するということ、そのことを、あなたのほうでは十分熟知しながら、あえて従来の法律——運用にあたってでありますが、これから基地を設置していく、防衛施設を新設していく、それまでも含めた内容の法律をつくるようになった、こういう経緯について、この機会にまず説明していただきたい。
  103. 山中貞則

    山中国務大臣 まず、昭和四十一年の五月二十六日、これは当衆議院内閣委員会です。それから同じ年の六月二十五日の参議院の内閣委員会、それぞれ附帯決議がついておりまして、現在の周辺整備法といわれる法律では、なお周辺市町村等の御要望に沿いがたい点があるから、その運用その他について考えろ、改正も考えろというような、これは附帯決議でございますが、その趣旨と、現在、基地がありますために、周辺の市町村長さんたち、あるいは住民の方々から、いろいろと御要望がある以上は、その障害、阻害というものを何とかしてくれという御要望にこたえなければならない行政上の責任もございます。  いま、お話しになりました前提は、これは民間航空発着場は別といたしまして、基本的に日本の国防軍というものを持つか持たないか、いわゆる日本自衛隊というものとの議論にも、基本的には分かれるところでありますが、私どもは、やはり独立国家であります以上は、俗に専守防衛と言っておりますけれども、なすところなく、自分たちの独立と平知も、自分では守らないのだというようなことについては、くみしない立場をとっております。したがって、そのためには、どうしてもその存在のための基地というものが、付帯的に同時に存在するわけであります。  でありますから、地域住民の方々の、こんな法律を百つくってくれるよりも、そのもとになっておる基地がなくなれば、法律なんか要らないのだ、むしろもっと利用できるのだというお気持ちは、すなおに私どももそう思います。受け取ることができますが、かといって、やはり、日本全体を踏まえて、国家全体を踏まえて、どこかに基地というものがなければならない。さらにまた、米軍基地安保条約というものに対する賛否にもつながりましょう。そういう議論が分かれていることは、知っておりますが、現在ありますものについて、整理統合等努力することは、いままでの答弁でも明らかにしております。しかしながら、基地というものが、全くわが国土においてゼロにたるという構想は、私ども持っておりません。  そこで、それならば、その基地の、今日までは運用ということによって、すなわち基地の使われ方、その態様によって、与える影響というもの々考えておりましたけれども基地のあること自体が、やはり地域の市町村なり、住民の方々の日常の生活あるいは地域の開発あるいはまた行政の展開上の巨大なる阻害要因——いろいろなものがあるだろう。したがって、存在そのものを、やはり設置ということばであらわしていったほうがよかろう。単に運用だけでは、広い演習場等の場合に、面積を考えないと——影響というものが、そう直接住民に被害を及ぼさない場合もあるようであります。そういうことを考えて設置を入れたわけであります。  ですから、設置の場合と取得の場合とは、違うわけであります。しかしながら、かりに将来、取得された基地がありますならば、これは、やはり基地でございますから、その基地が置かれておるという事情から、設置という内容に入ってまいりますけれども、この法律を利用して取得をしていこうという、いわゆる取得のための法律ではない。これは、そうではないといっても、皆さんのほうでは、いやそうだとおっしゃれば水かけ論になりますが、そのような小手先のことで、今日日本の国内で、この環境の中で、そうやすやすと、新たなる基地の取得ができようとは、とても思っておりません。  でありますから、本来は運用でありましたものを、基地が存在すること自体ということに、もう一歩前進して踏み込んで、それをとらえたというふうにお受け取りいただければ幸いでありますが、それは、だめだろうと思うのです。
  104. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 民生安定施設の助成について、八条でうたわれておるわけですが、それに屋上屋を重ねられるような特定防衛施設周辺整備調整交付金制度をつけ加える、重ねる、これには私、あなた方のほうの思惑というか、何かがおありじゃないかと思うのです。なぜ民生安定施設の助成のほかに、屋上屋を重ねるような調整交付金制度をこの機会に入れたのか、新法に入れたのか、その点の説明をしてもらいたい。
  105. 山中貞則

    山中国務大臣 基地の態様もいろいろございますので、これを一律に扱うのは、なかなかお気の毒と申しますか、その関係の周辺市町村だけが、特別にほかの基地よりも阻害、障害その他を受けておられるという場合において、それらの方々の行政、財政上の阻害要因に対して、何らかお手伝いできないものだろうかという気持ちは持っておるわけでありますが、そのための構想はいろいろございました。しかしながら、やはり自治省所管の交付金あるいはまた調整交付金等の財政資金の援助的なものは、この際、防衛施設庁としては慎むべきであろう。そのためには、民生安定施設においては、当然ながら因果関係と対象施設が限定をされます。  そこで、それらの特定防衛施設として内閣総理大臣が指定をいたします特殊な、そうたくさんはございませんが、態様の基地については、それらのほかの問題でやってほしいこと、あるいはやりたいこと等について、国が何らかの手伝いをしろという御要請もあります。それについてこたえるために、ただつかみ金的なものであっては、これは結果的に自治省の財政資金と同じことになるおそれがありますので、政令でメニューを定めまして、これらのカテゴリーの中の施設その他をおやりになる場合においては、それに対して交付金を支給いたしましょう、しかし、それは事柄の性質上十分の十でございます、かといって、それを恣意に何にでも使っていいというものではございませんという考え方を明らかにして、ことし、初年度五億円の金を計上したということでございます。
  106. 徳安實藏

    徳安委員長 関連質問を許します。上原康助君。
  107. 上原康助

    ○上原委員 いまの和田委員の御質問に、直接関連しないで恐縮ですが、時間の制限がありますので、一、二問だけお許しを願いたいと思います。  実は、連休前の給与法改定のときにお尋ねしたかったのですが、あのときも、いろいろ時間的な制約がありまして、お尋ねができませんでしたが、駐留関係の例の期末手当〇・三カ月の増額分については、昨年の改定段階から日米間の話し合いが合意に達せず、今日まで持ち越しになりまして、結果的には〇・五カ月分が三月末までに支給されて、改定されたいわゆる〇・三カ月分というのは、まだ駐留関係については、実際支給されていない状況なんです。  いろいろ非公式にお尋ねをしてきたのですが、なかなか米側との話し合いが詰まらないで、なお合意に達していないということを聞かされております、政府としても、極力努力をしておられるようですが、事、基地関係から派生するいろんな問題で、働いている労働者のことについては、いろんな面でわれわれの立場からすると不満な点がございます。  いずれ、こまかい点もお尋ねをしたいのですが、現在までの交渉経過は一体どうなっているのか。公務員関係は、すでにもう五月二日に支給されておりますし、地方自治体にしましても、大体、十日をめどに、おそくとも支給するという作業が進められております。その間、日米間の話し合いが合意に達しないといたしますと、おそらく今月一ぱいで駐留関係者の手元に届くのは、むずかしいのではないかという悲観的な見方さえあるわけですね。これでは同時同率の原則に基づいて給与については改定をしていくという原則がくずれる。そういう意味で、現段階の交渉経過と、そのめどは一本どうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  108. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 いま御指摘になりました期末手当の〇・三カ月分の特別手当の支給の交渉経緯と、それからめどのお話を申し上げたいと思います。  これは、いまおっしゃいましたように、公務員の関係は、もう支給が行なわれております。したがいまして、私どもは、従来、駐留軍従業員の給与につきましては、国家公務員の給与のサイクルに合わせると申しますか、そういった方式を考えておりましたので、去る四月八日以来、アメリカ側と折衝いたしてきております。この連休中もやっておりますが、そのめどといたしましては、きょうの午後からもまた府中と会議をいたしますけれども、できる限り早くアメリカ側と話をつけまして、一日も早く支給できるようにということで、鋭意折衝中でございます。
  109. 上原康助

    ○上原委員 そういたしますと、法律は四月の二十七日に国会を通過して制定された、効力を発した日に在籍をしておった公務員には、全部適用されたわけですね。駐留軍の場合はどうなるわけですか。その点が一つと、いま一つは、おくれればおくれるほど——毎月相当数の方々が解雇をされております。四月二十六日の解雇もありましたし、二十八日あるいは三十日の解雇もあるわけですね。まだ鋭意努力をなさっておるというのですが、アメリカ側と合意をした日にちに在籍をしておった者になるのか、四月二十七日に法律が通過したのを基点に在籍した者になるのか、これらも非常に問題になる点ですね。  そういう意味でも、一日も早く結論を出していただかないと、該当者がどんどん減っていく、それだけ不利益になるということで、関係者の強い要求もあるわけですから、そこいらの点についてはどうなっているのか。原則としては、やはり四月二十七日というのを基点にすべきだという私たちの考え方なんですが、その点についてのアメリカ側の感触なり、政府考え方は、どういう姿勢で臨んでおられるのか。
  110. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 いまおっしゃいましたように、四月二十七日現在在職者というものが、公務員の適用対象者であります。したがいまして、私どものほうは、駐留軍従業員の場合も同じ日、四月二十七日在籍者ということで考えております。
  111. 上原康助

    ○上原委員 関連ですから、これ以上お尋ねしませんが、きょうも交渉を持たれるようでありますので、おそくとも今週一ぱいに結論を出していただいて、かりに昨年の〇・三カ月は、あの時点でもらっておると、得した方々も実際問題としてかなりおるわけですね。ある面では、物理的に公務員のようにいかないという点は、私も理解をいたしますが、どうもアメリカ側との話し合いというのが、えてして人件費の問題については、かなり難渋をしている経過がございます。  ひとつ施設長官も、また防衛庁長官も、そういった事情を御理解をいただいて、解雇がどんどん出ている段階においては、そういった事情なども十分踏まえてやっていただかないと困りますので、どちらかの長官の決意を聞いて、関連を終えたいと思います。
  112. 田代一正

    田代政府委員 お答えいたします。  ただいま仰せのとおり、この問題につきましては、組合の皆さん方からも、私じかに承っておりますし、また私自身で、連休の途中出てまいりまして、御案内と思いますが、府中の参謀長と会ったりいたしております。そういうことで、なるべく早く決着をつけるということで、現在、部下を督励いたしておりますが、私自身も、そういうつもりでこの問題に当たりたい、こう考えております。
  113. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 特定防衛施設の指定にあたっては、これは米軍自衛隊にとって重要な飛行場、港湾、射爆撃演習場、砲撃演習場等ということになっているわけなんですが、むしろ、そのことが、山中長官のほうから、決して基地の拡大を促進していくことにはならないのだという内容の答弁も、先ほどあったわけですが、最近の自治体の財政事情というものをながめてまいりますと、むしろ特定防衛施設の指定を受けよう、こういうことで、この法律ができたことによって、関係町村防衛庁に対して、陳情にこれつとめるというような結果が生まれてきやしないか、こういうことを私はおそれるわけなんです。そのようなねらいが、おありじゃないのですか。
  114. 山中貞則

    山中国務大臣 特定防衛施設というのは、限定された個所にするつもりで、目下その基準というものを作成しております。したがって、あるいは自分たちのところも、せっかくできたのなら、特定防衛施設にせいという御要望が現実にあるかもしれません。しかし、これは純粋に客観的に、やはり面積あるいは人口あるいは動態、開発計画、いろいろなものがございますから、そういうものをよく勘案いたしながら、特定防衛施設というものが恣意に指定されるものではなく、また、その数もそうよけいとは考えられませんので、市町村長さん方の御要望に、あるいは沿いかねる個所のほうがむしろ多いのではないか、その点はかえって危惧いたしておりますが、きちんとした基準でもって、それに当てはまるものにしたいと考えます。
  115. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 この新法は、旧軍事特別国庫補助金制度あるいは旧軍関係町村財源の特別補助金制度の復活だ、こういうように言う者もあるわけですね。あなた方のほうは、そうじゃない、こういうように言われると思いますが、まさにそのような意見も当たるわけでございます。そうなってまいりますと、福祉優先の行政が、軍事優先の行政になるということになって、憲法違反の疑いのある新法だ、こういう考え方を持つ者もあるわけです。これについて、私は、とやかく言いませんが、そういう意見もあるということは、事、実でありますから、少なくとも、この法律の運用に当たって、やはり基地周辺の住民の皆さんというのは、これは基地を固定化して、そして、その周辺の住民が何らかの助成措置を受けたり、あるいは自治体に対して特別交付金を受けて、周辺の基地がそのままに存置されながら、周辺が整備されていくということがいいのだというように考えておるのは、私は本意ではないと思う。やはりあるより、ないほうがいいわけですからね。  やはりそういう原則の上に立って、住民の気持ちというものを十分に生かして、この法律を乱用して基地を拡大していく、施設を拡大していく、そういうことのないように、また、いま申し上げましたように、今日の自治体というものは、非常に財政が貧弱でありますから、これに便乗して特定防衛施設を拡大していこうというような動きに対しましては、これは厳正な判断に立って対処していく、こういうことが新法の運営にあたって私はぜひとも必要であろう、こういうように思うわけなんですが、これについての御見解をお願いしたいと思います。
  116. 山中貞則

    山中国務大臣 この特定防衛施設については、政令がだいぶございますので、これは、ただいま詰めておりますので、いずれ皆さんのお手元に、こういう政令の予定である、これは閣議決定ですから、予定であるというものをお示ししたいと思うのですが、はっきり申し上げられると思うのは、この特定防衛施設の交付金制度ができたからといって、今後、あなた方の懸念せられる、新しく取得する基地というものがかりにあった場合、それが特定防衛施設に指定されることがあるだろうかという問題については、私どもの考えております基準では、今後、新たに取得する土地で、特定防衛施設に指定されるものはあり得ないだろう、そういうふうに考えております。
  117. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 ついでに、いい機会ですので聞いておきたいと思いますが、二種区域にある建物、これが移転する場合に、移転費用を補償するということだけでなくて、新しく土地を買い求めて、代替地を用意して、そこに移ってもらうというような考え方に立ってもらえるわけですね。
  118. 田代一正

    田代政府委員 二種区域の移転等の場合でございますが、これも、先ほど加藤委員にお話いたしましたように、民間空港の場合と違いまして、特別の整備機構というものは考えておりません。したがいまして、私ども考え方といたしましては、集団的にかわる、たとえば十戸以上かわるという場合に、公共団体にやっていただく、そして公共団体がおやりになったときには、周辺の道路とか下水とか、そういったものについては国が助成いたしましょう、こういう形をとって、集団的な移転ができるような仕組みを考えておるわけでございます。
  119. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、代替地を与えるということじゃないわけですね。
  120. 田代一正

    田代政府委員 それは当然、移転補償費ということが片一方ございますから、それをもって取得するという形になると思います。ただ、取得する場合も、ただいま申しましたように、いろいろな公共施設その他を、全部国がめんどうを見るといたしますと、団地で取得する場合の単価もそれだけ安くなるだろうということで、二重の効果があるということを、現在考えておるわけでございます。
  121. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 この公共事業で土地を取得する場合の移転補償費というのは、現実の姿としては、その補償費で代替地を求めることができないというのが実情です、あまりにも単価が安いために、計算の基礎が低いために。その場合に、この新法で、基地周辺の住民の皆さんが、もうとうていここでは住むことができないということがかりに出てきて、移転を希望する人については、その補償費が、しかと代替地を求めるだけの費用が補償される補償費になるわけですか。
  122. 田代一正

    田代政府委員 もちろん国が行なう補償でございますから、そこは当然、客観的妥当性を持った補償費でなければならぬと思いますが、だからといって、きわめて低いということにも必ずしもならないのじゃないか、こう考えております。したがいまして、そういった補償費を原資といたしまして、新たな住宅団地に土地を取得するなり、あるいは住宅を建てられるなりということが可能じゃなかろうか、こういうように考えております。
  123. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これは、どうせあなたのほうも、計算基礎というものが、やはり建設省のそういう移転補償の計算基準が基礎になっていくと思いますが、あれでは、どの道路を新設する場合も、あるいは住宅を改良する場合も、補償にならぬわけですよ。極端なところでは、もらった補償費の倍額を出さなければ土地を求めることができないというのが現状であり、実情です。少なくとも新法ができた以上は、そのような建設省の基準にこだわらないで、土地を求めることができるような補償額を出してあげるというようなことは、やはりひとつ検討してもらいたいものだと思います。  あわせて、この新法が施行されるにあたりまして、先ほども申し上げましたように、これが、いわゆる特別交付金制度で、自治体をつかみ金でつっていくというような運用になったり、あるいは基地を拡大していくために、この法律を運用していくということにならないように、私は強く要望したいわけなんですが、もう一度、その点について長官のほうからどうぞお答え願いたい。
  124. 山中貞則

    山中国務大臣 繰り返し申し上げますが、この法律は、そういう悪用をしようという法律ではございませんで、附帯決議を受けて、その後、行政を展開してまいりまして、やはり現在の法律ではやっていけない、因果関係の究明の問題とかいろいろありますし、さらにまた、特別の基地について、現在の防衛施設周辺整備法では適用できない分野がある、そこらの御要望の実態を、行政上よく踏まえて十分に検討して、それらにこたえる方法があるかということで考えたわけでありますから、この法律ができたら、さあ一偏千里に、今度は新しい基地の取得だとかいう、それほど手厚い内容のものでは実はないのでございまして、その点を御理解願いたいと思います。
  125. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 この新法の適用を受けるところじゃないわけですが、大阪に信太山演習場というのがある。この信太山演習場の現在演習場として使用しておる状況、どういうふうに把握しておられるか、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
  126. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 信太山演習場の最近の利用状況について、先生から御質問いただきまして、詳しく調査をいたしました。信太山の演習場は、隣接して駐とん地がございます。三七普通科連隊がございます。あそこの演習場では、実射訓練は行なっておりませんけれども、休日を除きましてほとんど毎日、この三七普通科連隊の部隊が、そこで中隊以下の訓練を実施しておりますし、そのほか中部航空方面隊あるいは奈良に航空自衛隊幹部候補生学校がございますが、この学生などもときどき行きまして、この演習場を利用して演習いたしております。  先ほど毎日と申し上げましたが、この訓練の月別のを全部調べてみますと、大体、月に二十五日あるいは二十七、八日使用して訓練を実施しておるようでござます。
  127. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 私は、たまたまこの近所におるわけなんですが、いまの答弁は当たっておりません。ほとんど遊ばしたままです。たまにヘリコプターが、この航空自衛隊のほうからか、あるいは中部航空方面隊からかわかりませんが、離着陸をしておる。こういうことであって、あの広々とした演習場で、普通科連隊の皆さんが演習しておる姿は、これは毎日行っておるわけじゃありませんが、たまに通りますが、そういう演習をしておる姿というのは私、見たことがない。いまの説明は、どこをもとにして得られた資料ですか。
  128. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 資料は、中部方面隊からの報告を基礎にしたものでございます。したがいまして、中部方面総監部は、三七普通科連隊からの訓練計画をとっておるものでございます。
  129. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それは、方面隊へ聞き合わせたら、これは通産省が自分のところに資料を持ち合わせておらないので、業界に問い合わせしたら、業界に都合のいい資料を持ってくるのと同じことで、そういうところへ聞いたら、これは、まともな資料を持ってこぬですよ。私は現実に見ておる。何回となくそばを通る。それは一年のうちに何日かわからぬけれども、行ったらたまたまその日はやっておらなかったのだ、一月の二十七日以外だったのだ、これでは通りませんよ。周辺には、やはり集落があるんですからね。そういう現地の住民の皆さんから見た使用状況等も、私は正確に把握してほしいと思う。私はあえて言いますが、いまの資料は、正確でないと思うのです。どうですか。
  130. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 いま先生が実際に見てこられて、やってないというお話でございますが、私自身は、実は具体的に実際に使用しておるところを見たことがございません。したがいまして、いま先生の御指摘もございますので、さらに詳細に調べまして、使用の状況をあらためて御報告させていただきます。
  131. 山中貞則

    山中国務大臣 ちょっといまの答弁、私が訂正いたします。  通産省が業界から資料をとるというような、そういうものと比較をして——たまたま審議官は、先生を尊重してそういう答弁をしたと思うのですが、自衛隊でどのように演習場を使っておるか等の基礎的な資料について、上層部からその報告を求められて、偽りの資料を作成するなどということは、自衛隊の組織、服務規律、諸手続等によってあり得ないことであります。もし、いま審議官が言ったような、あいまいもことしたような報告を上げているとすれば処分いたします。
  132. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これは長官、固執はいたしませんけれども、当たっておらないのです。政務次官もよく知っておられるはずです。政務次官に実情を一回聞いてもらったらいい。だからこそ、その行政区内にある和泉市、堺市では、遊ばしておるのであれば、これを地域施設に使わしてくれないか、あるいは旧地主から、終戦と同時にあの土地を返してくれないかという要望があり、いまもなお続いておるということなんです。これはひとつ、もう一度正確に御調査いただきたいと思います。  信太山演習地は、先ほど説明のありました三七普通科連隊の信太山駐とん地の部隊が、この演習地を含む中に——これは旧砲兵第四連隊の施設を、そのまま使っておるわけですが、ここには約八百人の自衛隊員がおります。この信太山演習場というのは、旧陸軍の第四師団全体を対象とした演習地だったのです。なるほど中部方面隊の航空隊がヘリコプターで離着陸をやったり、あるいは奈良の航空幹部学校の生徒がヘリコプターで離着陸をやったりすることはたまたまあります。しかし、いまのこの方面隊全体が信太山演習場を演習場に使っておるということじゃないわけです。したがいまして、旧陸軍第四師団の全体を対象とした演習場として、実に二百三十七万平方メートルの敷地を擁するわけなんです。かなりの大きな敷地なんです。これが実際にいま使われておるというのは、いま申し上げておりますように、ヘリコプターがおりたり上がったりすることに使っておることと、それから信太山に駐とんしておる八百名の部隊が使用しておるにすぎないわけなんです。  だから私は、先ほど申し上げましたように、資料は当を得ておらない、こういうように言うておるわけなんです。だから、その広範囲にわたる演習場が必要とあればともかくとして、現実に八百名の部隊が演習するだけで、それだけの、二百三十七万平方メートルの演習場というものが必要であるかどうかということを、私は、その姿を見て常に疑問に思っておるわけなんです。ここらを具体的に調査をいただきたいと思うわけなんですが、私は、そのことから、この演習場をこの機会に、地元の和泉市、地元の堺市に施設として活用できるように、その用地をいただけないものかというように思うわけなんです。  資料が、いま長官のほうからは、確固たる資料だと言われておるし、私は、そうじゃないと言うておるわけなんですが、具体的にいまも申し上げたわけなんですが、もしかりに、いま得られておる資料がそうでなくて、私が言っておるようなのが事実に近いというような結果になったならば、信太山演習場を地域住民に開放する、地域の行政の要望にこたえるというように踏み切ってもらえるかどうか、この機会にお聞かせ願いたい。
  133. 山中貞則

    山中国務大臣 地域の方々の御要望というものは、絶えず承っておりますし、それに対して沿えるところは沿うように努力をいたしておりますが、直ちに信太山演習場を、全部開放しろということについては、お答えはいたしかねます。  なお、先ほど私が申しました、これくらいの演習の実績その他についても、報告が間違っておるようであったら、自衛隊というものは、そういう事態がないように願いつつ存在しておるわけですけれども、もし自衛隊法の定める急迫不正等の侵害ありたる場合の行動というものは全くできません。すなわち下部からは一切のものが正確に上に上がってきて、初めて全体の指揮その他の運用がはかられるわけでありまして、自衛隊は、ほかの役所と違うというと悪いのですけれども、部外者から資料をとるようなものと違いますので、自衛隊が、私どもが求めました資料というものについて間違った、つくられた資料を上げるようであれば、これは私としては、単なる一枚の紙切れの真偽の問題ではなくして、非常に重要な問題を含んでおると思いますので、その点についての調査叶いたしますが、いまの資料を、審議官が申しましたように、あいまいなものであるとは、私は受け取っておりません。
  134. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それじゃ、さらにつけ加えさしていただきますと、旧陸軍の第四師団の場合の灘隊の配置というのは、比較的信太山演習場に近いところに配置されておった。いま駐とん地に使っておるところが、砲兵第四連隊であった。それから堺に輜重第四大隊があった。騎兵第四連隊が云った。あるいは少し大阪市内に入りますと、歩兵第三十七連隊があった。歩兵第八連隊があった。ということで、この信太山演習場に近いところに部隊が配置されておったわけです。だから、この演習場を使っておったのです。使えておった。いま、この演習場に近いところは、いま申し上げておりますように、八百名の信太山駐とん部隊しかおらないわけなんです。あとは、はるかに北のほうに鎮座ましましておるわけです。今日の交通事情で、そういうところへ一々車両を運んで演習する条件がないんですよ。  そういう具体的な条件というものを、いま私がお話ししておりますようなことからいっても、長官、あまりかた意地なことを言わぬと——利用する条件というのはないんですよ。わざわざ信太山の演習場に行くのであれば、北のほうに演習場があるのですから、そこでやはり演習なさっておりますよ。私は、短期間でありましたけれども、やはりやっちょこ、やっちょこと演習に行っておった当時、これは毎日のように演習場を使っておった。そのことと比較したら、これは戦時中だといえば、そうでありますけれども、あまりにも閑散とした演習場になっておる。地元の和泉市は、その演習場の中を縫って、新しくできました火葬場に毎日のように葬式車が通うておるというくらいに悠長な演習場なんです。だからこそ、言っておるわけでありますから、ひとつ御調査いただきまして、——これは全部が全部といわなくても、必要なところだけは使っていただいて、ほとんどが使っておらないわけなんですから、やはりこれは地域住民の要望にこたえる、地域の行政機関の要望にこたえる、こういうように謙虚な気持ちであってほしいというように私は思うわけなんです。どうですか。
  135. 山中貞則

    山中国務大臣 私どもは、そういう意味地域に対しては、謙虚な姿勢でありますし、御要望等については、一々承っております。そしてそれが、自衛隊の運用上、配置上地元の御要望にこたえられる筋合いのものである場合には、いままでも、そういうことに応じてきたこともございますし、そこらの後段の地域住民の声を聞いて配慮せよということについては、あなたの御発言を承って検討したいと思います。後段のほうですね、前のほうは、もう全部返せという話でございますから……。
  136. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 前段のほうは、ここでやりとりしていてもなんですが、ひとつもう一回調査してください。調査して、私の言い分が、それに近い、当たっておったら、これは、やはり謙虚な気持ちで後段の部分を生かしてもらいたい、このことを、ひとつつけ加えておきたいと思うわけなんです。  さらに、その中で、先ほど申し上げましたように、和泉市の行政区域にあるこの演習場の敷地面積が二百三十万平方メートルで、堺市側の行政区域にある演習場の敷地面積が七万平方メートル、この堺市側の七万平方メートルの敷地が、いま射撃場に使われておるわけです。この射撃場に使われておる七万平方メートル全部が、昭和四十年七月に、公園敷地として都市計画決定がなされておるわけです。したがいまして、それに基づいて地元としては、公園に指定したい、事業決定をして公園にしていきたい、こういう要望もこれあるわけなんです。二百三十七万平方メートルの中の七万平方メートルです。そのような要望でさえも、こたえていただくことができませんでしょうか。
  137. 長坂強

    長坂政府委員 先ほど来、御質問いただいておりますが、一つには、和泉市との間の関係といいますか、旧地主との関係の問題がございまして、演習場の中に、合わせますと約二十三万ばかりの民有地がございます。これは、さっき火葬場の話も出ましたけれども、市側にとって利用しいいような場所に交換をしようという相談を、いま市側ともいたしております。市のほうは、具体的な計画がまだ固まってないようでございますけれども、そういう計画も進めてまいりたい。  それから、射場のほうは、現に私ども射場として使っておりますので、これを演習場のどの辺に持ってくるかという射場の移設とか、そういう問題もからみますので、これは、しばらく検討さしていただきたいと思います。ちょっと概略でございますが……。
  138. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 この点については、あまり長く言いませんが、特定防衛施設に指定されぬように、関係市も、特定市に指定してくれということを言うておりませんで、ほとんどの地域——くどいようでありますが、遊んでおる地域について、ひとつ地域住民の要望にこたえていただきたい、こう思いますので、先ほど申し上げましたような観点に立って、早急に資料を正確に把握していただきまして、山中長官の言われた後段の方針に向かって、施設庁のほうで努力してほしい。このことをつけ加えて、強く要望しておきたいと思います。  その次に、お尋ねいたしたいのは、ここ数回にわたりまして、わが党の楢崎議員やあるいは公明党の近江議員が、予算委員会その他でお尋ねしておるわけですが、能勢ナイキの問題であります。最近では、近江議員が三月の八日の予算委員会の第一分科会で質問しておるわけですが、その翌日に各紙に一斉に「能勢ナイキ断念か」、こういう記事が載っていたわけです。  議事録を拝見いたしますと、山中長官答えておられるこの答弁が、どちらにとったらいいかわからぬわけです。とにかく、まん中にごちゃごちゃとあって、先とあとがあるというようなことで、念のために、ちょっと読み上げますと、久保政府委員が答弁したあと近江議員が、能勢町周辺にこのナイキ基地を置くのだという感触がいままであったけれども、それは一応白紙になった、こういうことですね、こういうように質問しておる。これに山中長官が答えられて、「なかなかそこらは微妙なところでして、うちのほうではそういうつもりで一応交渉もしておったのですが、その後正式に地元関係町なり議会が反対もされましたし、またわが党も」、自民党の議員もですが、「含めて国会の方々にも御意見があるということで、まだ断念したというところまで事務当局では言い切ってもらっては困るということを言っておるようですけれども、そういうような立場で、いまのところ能勢もなお含みを残しながら、候補地の選定中であるということであります。」、これは山中長官の答弁なんです。  それをどう受け取ったのか、各紙は「能勢ナイキ断念か」、こういう記事が翌日の朝刊に一斉に載りました。よくよく読んでみますと、そうであったのかどうかということも、わからないような表現のしかたであるわけですね。  そこで、そのことに、やはり住民の皆さんが関心を持っておられますので、これを断念という新聞の情報を確認したい、こういう気持ちから、その直後、十二日に防衛庁を訪れた地域住民の代表者の方々に、長坂防衛庁参事官が、山中長官の答弁は誤って伝えられている、困難はあるが、能勢に設置したいことに変わりはない、今後とも地元の動向を見ていきたい、こういう回答を住民代表になさっておる。それからまた、大阪の防衛施設局の施設部長も、能勢のナイキ基地設置反対大阪連絡会議の代表者に、断念しないということを強調しておるわけです。これはどちらがほんまなんですか。新聞の記事が間違っておったのですか。あるいは山中長官、その当時の気持ちはどうであったのか、いまはどういう気持ちなのか。あらためてひとつお答え願いたい。
  139. 山中貞則

    山中国務大臣 いまお読みになりました答弁のとおりです。だから、能勢をやめたということは、私も言っておりません。能勢に配置することを断念したとは、私も言っていないはずです、速記録で。ただ先ほど言いましたような、地元町村議会は、自民党の選出議員も含めて反対の意向を表明しておられるから、非常にむずかしいことは承知しておるということでありますから、この間の答弁と変わりはないということです。
  140. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 事務当局では、断念したということを言い切ってもらっては困る、だから、おれはそういうように答えられないので、能勢も含めていまなお候補地の選定中である、こういうように答弁としては私は解釈するわけですが、そうじゃないのですか。
  141. 山中貞則

    山中国務大臣 決断は私がいたします。しかしその間、事務当局がいろいろと努力していることを、するなというところまで、私はまだ判断をいたしておりませんから、事務当局が、なお取得のための努力をしておることについて、やめろとは言っておりません。しかし私としては、決断を下す際には、先ほど申しましたような周辺の事情が変わるとかいうことが、具体的にやはり出てこなければならないと考えております。
  142. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 能勢も含めてなお検討中ということですね。ただ防衛庁のほうは、どなたが国会の場でお答えになっても、大阪周辺に二カ所のナイキ基地を設置する、こういう考え方は、どの議事録を見ましても、一貫して通っておるわけです。それは間違いないのですか。
  143. 山中貞則

    山中国務大臣 それは既定方針でございまして、そのとおりでございます。
  144. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それじゃ、昭和五十年に能勢を含めた大阪北部のほう、昭和五十一年に大阪南部のほうということも変わりないのですか。
  145. 山中貞則

    山中国務大臣 そういう既定方針に従って努力中であるということであります。
  146. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 北部の能勢を含めてということばの表現のように、能勢という地名は出てきておるわけなんですが、能勢を含めてという周辺の地名が、いまだに出たことがないわけです。いろいろと選定中であり、物色中であるということであれば、たとえば能勢町以外に、北部の場合に、どことどことどことを当たっておるのだということを、この機会にお聞かせ願いたい。
  147. 長坂強

    長坂政府委員 いまの御質問の御趣旨は、従来の方針の、北部に一つ、南部に一つという方針は変わりはないか、変わりはないというふうにお答えがあったわけでございますが、その北部につきましてどうなんだ、これは現在のところ、能勢を候補地として考えております。
  148. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 能勢を含めてその周辺ということではなくて、能勢を考えておるということですね。能勢以外のことは、考えておらないということですね。
  149. 長坂強

    長坂政府委員 そのとおりでございます。
  150. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それじゃ、山中長官どうですか。いまの長坂事官の答弁は、はっきりしているわけなんです。決断しておらないということを先ほど言われましたが、能勢だということであるのですか、長官の意思も。
  151. 山中貞則

    山中国務大臣 既定方針どおり、事務当局はそういうことで努力をいたしておりますから、それをやめろということを、私はまだ言っておらないということであります。しかし私は政治家でありますから、大体それについての見通しはっけなければなりませんし、その判断は絶えず持っていなければなりません。したがって、現在のところは、何も変わっておりませんが、いろんな客観情勢が変化をしない限りは、なかなか困難であろうという気持ちを持っております。したがって、もしそうなるとすれば、やはり北部について、ほかに代替地と申しますか、能勢がきまったわけではありませんから、別な場所を物色する、地元と御相談のいく場所というようなものをさがすことになるだろうと思うのです。
  152. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 長坂事官にお尋ねをしますが、いまのところは、能勢以外に物色をしておるところはどこもないわけですね。
  153. 長坂強

    長坂政府委員 ございません。
  154. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それじゃ、南部のほうはどうですか。一応住民としては、当たるところが、これは高森山じゃないかという憶測があるわけなんですが、南部については、どこも当たっておるところはないのですか。
  155. 長坂強

    長坂政府委員 北部のほうにつきましては、庁内の議も経まして、能勢というところが候補地にあがっております。ところが、南部のほうは、これと段階と申しますか、色彩と申しますか、そういうものが非常に違っておりまして、私どものほうで、どこを候補地にするというようなところまでまだ検討が進んでいないと申しますか、どこというようなことは、まだ審議の段階まで参っておりません。  以上でございます。
  156. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 昭和五十一年を目標にしている大阪南部について、高森山付近も当たったことはないのですか。
  157. 長坂強

    長坂政府委員 高森山というのは、どこであるか、ちょっと私、まだ記憶にございません。
  158. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 紀伊山脈の和歌山寄りです。
  159. 長坂強

    長坂政府委員 和歌山県と申しますか、いわゆる大阪南部について、まだ私どもの段階で、これを候補地にしようじゃないかというような審議をやっておりません。まだ、その段階ではございません。もっと下のほうの段階などで、あるいはそういう話があるかもしれませんですけれども、私どものところで、いわゆる防衛庁の事務当局として、どこを選定しようかというようなところまで作業はいっておりません。
  160. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 その作業は、いつごろになれば進められるのですか。
  161. 長坂強

    長坂政府委員 やはりここ一両年であろうかと思います。
  162. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、五十一年という時期は、ずれるということもあるわけですね。
  163. 長坂強

    長坂政府委員 既定方針に沿っての作業をするのが、事務当局のつとめであろうと思います。現段階では、そのような努力をいたしたいというふうに考えております。
  164. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 一両年中に物色をやるということでは、五十一年の時期が間に合わぬじゃないですか。それはずれるということでしょう。
  165. 長坂強

    長坂政府委員 既定方針がそういうことでございますので、それに間に合うように検討いたさなければならない立場にあろうかと思います。
  166. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 検討して具体的に折衝するという時期は、それよりもさらにずれるわけでしょう。そうすると、五十一年ということは間に合わぬじゃないですか。
  167. 長坂強

    長坂政府委員 必ずしもそういうふうにはならぬのじゃないかと思います、五十一年と申しましても、幅のあることでございますので。
  168. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それでは、もう一度念を押しますが、大阪南部については、いまのところでは、まだ計画も立っておらないし、物色もしておらないということは言えますね。
  169. 長坂強

    長坂政府委員 先ほど来申し上げておりますように、その候補地としてしぼる審議をまだやるという段階ではない、現段階ではそのように思います。
  170. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 三次防で計画いたしました大阪周辺の二カ所のナイキの配備計画、これは変更するという考え方もないですか。
  171. 長坂強

    長坂政府委員 事務当局と申しますか、私どもの段階では、既定方針に基づいて、その作業をしておるわけでございますので、私どもの立場からは、特に変更するというような考えで仕事を進めているわけではございません。
  172. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 アメリカの本土のナイキ配備は、廃止の方針に基づいて減少していく、廃止をしていく、こういう方針でありますが、自衛隊の場合はなぜ、非常に古ぼけたナイキを、それほどまで固執して既定方針どおり考えておられるのか、その点ひとつ説明してもらいたい。
  173. 山中貞則

    山中国務大臣 固執の問題は、別でありますが、ナイキに対するアメリカの配置をやめるという問題は、フロリダの周辺を除いては、大体そういう方向にきまりつつあるようであります。ただこれは、NATO諸国も、ナイキ改でありますが、逐次更新をしつつありますし、わが国はナイキJというものでライセンス生産をいたしております。その性能その他については、やはりアメリカの国土の上空に、敵の飛行機が脅威となり、あるいはまた内陸地帯に入り込んでくることを、あまり想定してないアメリカの戦術戦略から考えれば、あるいはそういうことは出るかもしれませんが、NATOとか日本のような場合には、やはり領空というものは、一定の性能を持ったものでカバーする防空性能は要求される。アメリカは大体、核ミサイル、大陸間弾道弾、SRBM等を併用した多角的な、そういう戦略兵器というものを主に展開しておるようでありますから、われわれから見れば、そういう内陸部における防衛、防空というものについては、若干考え方が違うようであります。  しかしながら、私たちとして、いま持っておりますナイキの性能が、中東紛争で使われましたソ連製のSAM6と、ほぼ似たような性能でありますが、問題は、機動性を本則とするSAM6と、移動はできるが、固定という形のナイキというものとの——日本側として、わが国の地形その他から考えて、どういうものが日本に合うのかということを考えれば、やはりもう少しいろいろと、われわれ自体の研究開発の分野が残されているような気がいたしますが、いまのところ、急にナイキを全部やめるというには——アメリカもナイキ、たしかSAM−Dでありますか、研究中と聞いておりますけれども、それが日本の地形その他に合うかどうか、これらの問題等もありますから、私のほうから、日本に合ったような、そういう移動を原則として、固定が原則でないというようなもの等も、研究開発をやれば可能ではないかというようなこと等も、いま命じておるわけでございまして、今後、日本防衛のあり方について、そういう局地防衛というような問題でどのようにするかは、大いに研究の必要があると考えます。  今日まではアメリカの持っておるものを、ライセンス生産してそれで足れりとしておりましたが、アメリカがそれをやめるとなれば、これはNATO軍も含めて、日本自体で何か考える余地も十分出てくるし、またそうしなければならぬということで、いまのところ、特別にかわって何かができておるわけではありませんが、そういう余地があり得ると考えて努力をしております。
  174. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、あえて固定基地増大の考え方というものに固執する必要がないのじゃないですか。
  175. 山中貞則

    山中国務大臣 いまのところ、そこまで実はいっていないわけなんです。わが国においてライセンス生産が可能でありますし、国内で撃つところもありませんから、アメリカに行って試射をしたりなどしておりますけれども、しかしながら、ナイキJというものが、わが国における局地防空の最もすぐれた兵器であることに、現時点においては変わりませんので、そのような配置、しかも、これは三次防以来の懸案でありますから、それについては、既定方針を進めるのが、今日の時点の客観的に正しい国防のあり方であろう、そう考えます。
  176. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 言われましたように、アメリカのほうが、ナイキを廃止していくという方向であれば、部品その他ほとんどが、アメリカからの輸入ということになるわけなんで、それでもなお固定化したナイキ基地を、固執されることによって、それらの製造面の、軍需産業面との兼ね合いというものを、これからどういうような見通しで立てておられるのですか。
  177. 山中貞則

    山中国務大臣 申し上げますが、固執という表現はしておりませんので、現時点においては、既定方針どおりの展開をしていくつもりである。ただアメリカが、そういうアメリカとしての本土防衛の姿勢を変えつつあって、兵器についても、それが出てきておるというような問題等については、日本の場合には、今日までアメリカのナイキそのもの、あるいはまたライセンスのJというもの等について、たよってきておりましたから、その間、これはNATOも同じでありますから、これからどう各国が対処するか、わが国はどうあるべきかというような問題、ことに山岳起伏の多い日本において、そういう新しい性能のものを自分たちで研究開発できないかどうかというような問題等は、今後、検討の余地のあるところとして、そういう作業をしたらどうだということを言っておるわけであります。
  178. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 その検討課題の中に、少なくとも頭に置かれておる中に、ナイキは固執するということばを、いま避けられたわけなのですが、時代おくれの兵器だ、こういうことは防衛庁の最高責任者として把握をしておられた上での、これからの検討課題になっていくんでしょうね。
  179. 山中貞則

    山中国務大臣 時代おくれの兵器ではないのです。ナイキJは、それだけのちゃんとした性能諸元を満たす威力も能力も持っておりますし、それは当然のこととして、何も変わったことはないわけでありますけれどもアメリカ自身が、アメリカの本土防空という問題に対して、攻撃的にも防御的にも、いろいろ戦略構想を変えつつある、その中で、アメリカが先ほどフロリダには残しておると申しましたが、フロリダでどちらのほうを指向しているか、おおむね想像のつくところでありますが、本土の上空の脅威ということが、もしアメリカにあるとすれば、そういう方向しかないだろうというふうに、アメリカは戦術上見ておるのだろうと思うのです。  したがって、アメリカのいままでの戦術戦略の上の要請でもあったナイキというものを、わが国あるいはNATOが、これは国情は少し違いますし、地形も違いますが、どうするかの問題は、各国も問題でしょうし、NATOとしても、問題でしょうし、わが国においても、もっとアメリカ側の真意なり生産その他の企業との関係なり、あるいは先ほど仰せられましたように、部品その他の問題もありますから、そういう問題について、いま少しく真相を確かめなければよくわからないということでありますが、私のわかっておる範囲では、アメリカのそのような防空戦略戦術というものが、若干の変化を来たしつつあるということで、その面においてナイキの影響が日本になしとしない、こういうことを言っておるわけであります。
  180. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 現実の姿として、ナイキの既存の基地について、一部の、たとえば能勢については、能勢の一部の住民の代表を、防衛庁のほうが見学その他の名にかこつけて、見学等を過去にさしておるわけなんですが、現実の姿として、実射をやっておるところはどこもないわけです。その姿を十分に見せるならば、これは、もうたいへんなことだ、こういうようになるわけです。  いま長坂さんのほうから、明確に御答弁いただきました能勢町、これも山奥だとはいいながら、そこにはかなりの人家があるし、それから、その地域では、最近は放牧場もありますし、それから青少年のレクリエーションセンターもつくっておりますし、また最近では、勤労者のセンターも計画にあるわけです。また私は、高森山ということを、名ざしをしたわけですが、かりに高森山付近を、大阪の南部の基地にするということになりましたならば、山を隔てれば和歌山市があり、山を隔てれば岬町という町がある。山を隔てて町が密集しているわけなんです。いずれにいたしましても、ナイキの固定基地としては、適切な地の利を得たところじゃない、こういうように私は思うわけです。  くどいようでありますが、あえてなお、大阪周辺に二カ所の基地設置という方針を変えようという考え方はどうしてもないのかどうか、住民の心配のあまりに、重ねてお尋ねするわけです。
  181. 山中貞則

    山中国務大臣 ナイキJをもって国民を攻撃するわけじゃありませんで、守るわけでありますから、したがって、私どもとしては、既定方針を変える意思はありません。
  182. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 国民を守るというのじゃなく、やはり戦争ということになれば、その基地に攻撃があるわけですから、その付近に住民がおれば、そこに降りかかってくる火の粉は、だれが受けるのですか。国民を守るのだというものの言い方でありますけれども、これは、あくまでも軍事施設を守ることであるし、軍需産業を守ることである。これは過去の戦時中を見ましても、非戦闘員の国民が、無抵抗の中で数多く命をなくしているわけですから、国民を守るという表現はいいといたしましても、具体的には、やはり武器というものは、軍事施設を守るものであり、軍需産業を守るものである、これ以外にないと私は思うのです。そのあおりで住民が犠牲になるということを、私は心配しているわけです。  したがいまして、人口が少なくとも、人が住んでおるというようなそういう地域に、あえて物色をして、基地をつくるというような考え方はなくしてもらわないと——どこまでも地域住民としては、そのことを考え、そのことを心配するあまり、この反対運動というものを、いまなお続けておるわけでありますから、せっかくの山中長官のことばを返すようでありますが、これは国民を守るというようなことであっても、現実には国民に火の粉が落ちてくるということになるわけですから、あえて私は言うておるわけなんです。変更する意思はないですか。
  183. 山中貞則

    山中国務大臣 国を守るという問題あるいは大都市を守るという問題は——やはり米ソ両大国の戦略において、相互に大都市一億ずつを、第一撃報復で殺すというようなこと等も、依然としてくずれておりませんし、そのことに対するちゅうちょというものが、一方にあることによって、核攻撃が行なわれるということを想定して、シュレンジンジャーは、その目標の分散ということをやっているようであります。しかし、いずれにしても、攻められる場合は、これは大都市も、基地も、すべてが攻められるわけでありますから、それを守るべく基地はあるわけでありまして、これは飛行場であっても、駐とん地であっても同じでありますし、われわれは、そういう事態の起こらないために、外国を攻撃するつもりもない、国際紛争解決のために、武力を使うつもりもない、交戦権もわれわれは持っておりませんといっておるわけでありますから、それでもなお、日本を侵略するというようなことがないように努力はしておりますが、あれば、われわれとしては、日本に手を出せば、高価につくというぐらいの姿勢はとるべきだという私どもの立場でありまして、その点は遺憾ながら、先生の党と立場は異にするということであります。
  184. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 長くなりますので、長くなることを避けたいと思いますが、少なくともナイキの配備計画としては、第一高射群が首都圏の防衛の任に当たる、第二高射群が北九州防衛の任に当たる、第三高射群が北海道の地域防衛の任に当たる、これは国民の生活を守ることでないし、国民の人命を守るということじゃなくて、やはりそれぞれに配置されておる基地防衛であると同時に、第四高射群の配備からいうならば、名古屋を中心とした中京の工業地帯、阪神の工業地帯、いずれも軍需産業を防衛するという見地の上に立った配備計画であろうと思うのです。  私は、少なくとも、そのことによって、一たん事があったならば、その付近の住民が非常に被害をこうむる、無抵抗な、無防備な国民に火の粉がかかってくる、こういうことにならないためにも、基地の設定については、地域の住民が住んでおるところを、わざわざ選定するというようなことのないようにしてもらいたいと思いますし、能勢につきましては、議会におきましても、町長自身におきましても、あるいは住民全体としても、能勢にナイキ基地が設置されることについては、どうしても反対である。山中長官も御理解のとおり、その地域の選出の自民党の代議士さんも、これに反対をしておるわけですから、これは長坂さん、非常に固執した答弁がありましたけれども、能勢に配備するということ、それから大阪の南部に配備するということ、これは、…もう一度検討し直していただきたい。私たちは、大阪の周辺に要りませんので、お返ししますから、どうぞひとつ、そういうことのないように再検討していただきたい、こういうことを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  185. 徳安實藏

    徳安委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時四十五分休憩      ————◇—————    午後三時六分開議
  186. 徳安實藏

    徳安委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬長亀次郎君。   〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕
  187. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 きょうは、特に沖繩の福地ダムなど、北部のダム、いわゆる湖上におけるアメリカの訓練、演習、こういったことについて質問をしたいと思いますが、その前に厚生省に、それと関連する問題がありますので、次のことをお聞きしたいと思います。  これは、昭和四十一年十一月第一週から始まるという問題で、日本駐留合衆国軍との伝染病情報の交換について、厚生省の公衆衛生局長が、各都道府県知事を通じて、その保健所長に通知をしなければならぬ、保健所長とアメリカの病院と情報を常に交換するということになっておりますが、この通知につきまして、公衆衛生局長は、沖繩県知事を通じて事実通知したかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  188. 三浦英夫

    ○三浦政府委員 先生御承知のとおり、昭和四十一年に、日米合同委員会の取りきめによりまして、日本駐留米軍との間に、伝染病患者が発生をしたときには米軍から通報を受ける、こういうたてまえになっておることは、ただいま御質問のとおりでございます。この取りきめにつきましては、沖繩県につきましても、当然適用になるわけでございまして、したがいまして、従来の内地と同様な取りきめでやるわけでございますが、あるいはまだ、この点の周知徹底を欠いている面があるかもわかりませんので、今後さらに、米軍とのこういう協定があるのだということで、周知徹底をはかってまいりたいと思っておる次第でございます。
  189. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この合意による情報交換ですね、これが通知されておるか。もう復帰後、あと一週間しましたら、二年になるわけなんです。当然のことながら、これは公衆衛生局長から、県知事を通じて通知をしなければならぬ。ところがやられておらぬ。やられておるのかどうか、これを聞いておるわけなんです。
  190. 三浦英夫

    ○三浦政府委員 通知はされておりますけれども、ただ周知徹底を欠いている点は確かにございましたので、なお、沖繩県、さらに向こうの米軍に対しまして、周知徹底をはかってまいりたいと思っておる次第でございます。
  191. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いつ通知したのですか。
  192. 三浦英夫

    ○三浦政府委員 実は、まことに申しわけございませんが、さっきのを取り消させていただきまして、通知はなされておりませんので、ごく近々のうちに通知をする予定にしております。
  193. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは、三月に行なわれた参議院の星野質問、あの中であなた方は、環境衛生局長のほうで答弁がある、私は管轄でないので、答弁はできないということになった。私、この前帰りましたら、通知、向こうに来ていないのです。もう二カ年になるんですよ。二カ年になるにかかわらず、伝染病、そういったものに関係する情報の交換、これが通知すらなされておらぬ。一体どういうことから、それが生まれているのか。
  194. 三浦英夫

    ○三浦政府委員 実は、四十一年の日米合同会議の決定事項につきましては、当然、沖繩県にも適用があるものという認識のもとになされておりましたので、あらためて通知をすることの必要がないと思った点でございまして、この点は、確かに御質問の過般の点は、聞いておりまして、非常に遺憾と思いますので、あらためてもう一度、近々通知を出す予定にしておるような次第でございます。
  195. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私の言うのは、復帰したら当然、日本国憲法なども適用されて、沖繩県は別の県と同じような状態になるわけです。なっていますよ。ところが実際上は、こういったような、本土並みではないんですね。もう二カ年。しかもこれは、伝染病などに関係する情報を交換して、そうして未然に防ぐということで、日米間で合意がなされて、その保健所長とさらに米軍の病院と常に情報を交換するということになっているのです。これが、なぜ二カ年間通知すらなされなかったのかと聞いているんですよ。
  196. 三浦英夫

    ○三浦政府委員 これは御承知のとおり、米軍の中に伝染病が発生した場合に、こちらに通報していただく仕組みになっているわけでございます。そんなことで、日米合同会議の取りきめでございますので、実は当然、沖繩県の米軍の病院のほうも知っておられるものという認識でおりまして、こういう関係から、あらためて通知の要がないと思った次第でございまして、その点は、先生御指摘がありましたし、あらためて確認の意味の通知を、近く出す予定にしておるような次第でございます。
  197. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 沖繩には、その通知はあらためてやる必要はなかったということで通知しなかった。ところが、今度は通知する必要があると思って通知するわけですか。
  198. 三浦英夫

    ○三浦政府委員 取りきめでございますので、当然適用になるわけでございますが、あらためて確認の意味で、沖繩県のほうに、こういうことがありますということを、もう一度御連絡しておこうと思う次第でございます。
  199. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 二カ年になりますよ。なぜ二カ年になるにかかわらず、本土並みではなくて、特別扱いをして、特に伝染病関係、こういった点について、一片の通知、やるべき通知をなぜ出さなかったか、理由を聞いているんですよ。少しばかにしているわけですか、沖繩県民はどうでもいいやと。百万人いますよ、向こうに日本国民が。どういう意味ですか。
  200. 三浦英夫

    ○三浦政府委員 先ほど申し上げましたとおり、日米の取りきめでございまして、かつ米軍の中に発生した伝染病患者につきまして、こちらに通報を受ける仕組みになっております。そういう関係で、日米間の取りきめでございますので、当然、米軍沖繩県の病院の方も周知されている、こういう認識のもとに、あらためて通知の要がないと思ったような次第でございまして、そういう関係で、今度あらためて、もう一度確認の意味で、沖繩県にもお知らせしておこうという意味の通知を出すような次第でございます。
  201. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 あなたは、実にでたらめなことを言うね。あやまるならあやまったらどうですか。実際は、普通返還された、復帰した、同時に沖繩県は他県並みになった。当然のことながら、これは都道府県知事、さらに特別政令都市、その長あてにやることになって、あなた方はやっているんだ。それを、なぜ沖繩だけやっていなかったのか。沖繩で知っていると思ったので——どうして知っていると思うのですか。なぜやらなかったか。二カ年間なぜ放置したか。これは、あなた方の責任だから、責任をとって、これについては、おわびするならおわびする、それであらためて通知する。しかも三月に追及されて、あのときわからぬと言っている。調査したら沖繩に来ておらぬ。あなた方も通知していない。一体、この問題はどう責任を感じ、その責任を感じて反省して、通知するならどういう通知をするのか、はっきり責任がある答弁をしなくちゃいけないのではないですか。
  202. 三浦英夫

    ○三浦政府委員 確かに、先生御指摘のとおり、復帰の時点におきまして、こういうことがあるということを、当然通知しておくべきだったと思います。その点につきましては、私ども当時確かに手落ちがあったことは、遺憾に思っている次第でございます。そんな関係で、あらためて近く沖繩県のほうに通知をする予定にしている次第でございます。
  203. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 厚生省の伝染病関係に対する姿勢は、これではっきり、全然誠意がないということが明らかになりましたが、それでは沖繩に隔離病院がありますか。
  204. 三浦英夫

    ○三浦政府委員 現在のところございません。そういう関係で四十八年度に、隔離病舎をつくるべく沖繩県に補助をしたような次第でございます。
  205. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 現在、キャンプ桑江にアメリカの陸軍病院がありますが、御承知ですね。ここには隔離病院がありますか。
  206. 三浦英夫

    ○三浦政府委員 実は、申しわけございませんが、詳細な点、把握しておりません。
  207. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 あなた方が通知しさえすれば、あの陸軍病院と当該管区の保健所長の間で常に情報を交換するんですね。ところが、それがなされていないから、あの病院に隔離病院があるのかないのか、わけがわからない。あの病院は、アメリカでは極東随一の病院としているんですよ。ちゃんと隔離病院あり、そして東南アジアで伝染病にかかってきたアメリカ兵はそこに隔離されている、そういったうわさはもうだれ知らぬ人もいない。これは、この前、インド婦人が天然痘にかかっているということで大騒ぎになりました。そのとき、国立も県立も法定伝染病の隔離病棟がないので、県はもう一体どうしたらいいかということで、やっとあの陸軍病院で隔離病棟がある、そこへお願いしようかというときに、これが真性ではないとわかってほっとした、この状態なんです。  これは、これから始めるダムの演習の問題とも関連しますが、もし真性なコレラあるいは天然痘でも起こった場合に、一体どうされるつもりであるのか。
  208. 三浦英夫

    ○三浦政府委員 ただいま申し上げましたような関係で、隔離病舎を四十八年度は十二床の助成をいたしております。さらに四十九年度は、十五床を新たに特段の高額補助で助成をして、沖繩県につくっていただく予定にしておりますので、二十七床ができ上がれば、何とか間に合うのではないかと思っておるような次第でございます。
  209. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは、どこに建てるのですか。
  210. 三浦英夫

    ○三浦政府委員 四十八年度は、平良市に建てる予定にしております。四十九年度は、名護市に建設する予定にしております。
  211. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 平良市というのは、ずっと離島ですよ。おわかり手か。伝染病というのは——大体那覇から中部付近が、アメリカ駐留しているところ。こういったところに、なぜ一体つくらぬのか。しかも調べましたら、あれは、ほんとうに法定伝染病の隔離ではなくて、いろいろのたとえば結核療養所、そういったものも混同しちゃって建てようとしておる。しかも、いまだにその計画が実践されようとしていないこの状態。この状態であるので、沖繩におけるそういった伝染病関係や、医療関係がどのように他府県と比べておくれており、そしておくれているだけではなくて、それをどのように本土並みに前進させようかといった姿勢がもう全然厚生省にない。ないからこそ、この日米合同委員会協議された情報交換すら通知がなされていない。それからきているのです。実にべっ視政策、差別政策がそこにあらわれておる。これは一貫して、そういった点が今度の北部のダム、このダムのいわゆる湖上における訓練、これと関連します。  さらに、進めますが、これも厚生省に対することですが、現在の水道法に基づきまして、特に水道法二十条、二十一条に基づく省令、いわゆる水道法施行令に基づいて水質検査あるいは健康診断、さらに衛生上必要な措置をどのように水源地でとられているか、これを説明してください。
  212. 国川建二

    ○国川説明員 御説明いたします。  水道法の中で、いわゆる水道施設——水道施設と申しましても、種々のものがございまして、水源から浄水場、配水池その他各種の施設がございます。これらの施設の衛生的な安全を守るために、水道法の第二十条では水質検査の実施を義務づけております。また二十一条は、健康診断という項目でございますが、これらの水道施設に従事し、直接その水を扱う職員等の人たちの健康診断、あるいは二十二条におきましては、水道施設の管理、運営に関する衛生上の措置をきめておるわけでございまして、水道事業者あるいは水道用水供給事業者等が管理しておる施設につきましては、この規定に基づいた管理が行なわれているわけでございます。
  213. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 人間の飲む水でありますから、当然のことながら、実に厳格に厳密に、衛生上、飲んでも不安がないように、いま水道法や施行令あるいは河川法によって行なわれている、これが現状であります。特に東京あたりでは、その他必要な衛生上の事項でありますが、それで狭山の湖水そのほか二つ、金網を張ってだれも入れないようにするというところまできておる。さらに釣りも許さぬという状態。こういったような、実に厳重に規制していることは、いまの説明でもわかりました。  その前に、米軍との情報交換の問題に関連してお聞きしたいのですが、千歳、三沢、所沢、朝霞、立川、青梅、横浜港北など十三の病院がありまして、この中で、当然報告をすべきもので報告されてないところがあるのです。三沢、これは四十七年二月以降報告なし。それから立川、四十六年報告なし。これは合意事項によりますと、たとえ伝染病患者があろうがなかろうが報告はする、なければなしと報告する。ところが、この厚生省から出ておるものによると、二カ所は報告しておらない。これについては、アメリカが当然果たすべき責任を果たしていないというふうに判断されますが、そういった判断で正しいかどうか。
  214. 三浦英夫

    ○三浦政府委員 確かに三沢あるいは立川につきまして、四十六年あるいは四十七年二月以降報告はされておりませんが、該当がなかったからだと思う次第でございます。
  215. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 該当があろうがなかろうが、ない場合にはありませんと報告するのです。ある場合にはありますと報告する。これは報告ないんですよ。あなた方が出した資料です。これは当然やるべきなのをアメリカがやってない。だから、アメリカを信頼する——これは信頼できぬ証拠がちゃんとはっきりあらわれておる。私は、そういうふうに理解をするのですが、あなたは、どういうふうに理解しますか。
  216. 三浦英夫

    ○三浦政府委員 該当がなかったから、報告がなかったのだと思いますけれども、確かに先生御指摘のとおり、たとえば相模原等につきましては、発生なしというような報告がきておりますので、自今あらためて、当該保健所と米軍との関係で、該当がなかったような場合でも、ちゃんと報告するようにというような行政措置をとってまいりたいと思っております。
  217. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これでアメリカは、もう絶対信頼するといったようなものでない論拠が、こういった事実の中からもすでに出ておるわけなんです。  先に進めますが、この水の問題、飲料水の問題についての刑法も非常にきびしい法の打ち方をしております。飲料水に関する罪、これは非常にきびしい。私は別に、この刑法があるので、アメリカもこれに該当するのだとかいうことを言うつもりはありませんが、この中で最高裁判例があります。この最高裁判例、これは昭和三十六年九月八日、第二小法廷判決で、事実関係は、食用紅五十グラムを一升の水に溶かして井戸に投げ込んだ。これについて第一審は有罪と決定した。抗告の結果、最高裁はやはり第一審の判決が正当だということを認めています。これは「人の飲料に供する井戸水の中に食用紅を溶かした水を注ぎ込み、一見して異物の混入したことを認識し得る程度に薄赤色に混濁させ、飲料浄水として一般に使用することを心理的に不能ならしめた本件被告人の所為が、刑法一四二条の罪」、これは浄水汚微罪です。「罪を構成するとした原判決の判断は正当である」、これが最高裁の判決、判例なんです。  飲んで衛生上、からだに非常に悪い影響を与えるということはもちろんのこと、もう見るだけでも不安を感じる、心理的にどうもこの水はと思うような水をつくった場合には、刑法百四十二条、これに該当するということで、ちゃんと罪に落とされている。これほど飲料水というものの安全確保については、いま厚生省もおっしゃったように、微に入り細にわたって水質検査あるいは健康診断、あるいはかきねをつくったり、その他いろいろやっておる。そして刑法によっても、こういった水が、これは、どうかなあと思うような状態であってすら、心理的に不安を与えた場合には有罪という判決、これは最高裁判決なんです。この点を法務省お認めになられますかどうか、一言でいいですから……。
  218. 鈴木義男

    鈴木説明員 最高裁の判決は、従来、検察、裁判の実務で行なわれてきたところを確認したものでございまして、法務省といたしましても、こういう解釈がいいのではないかというふうに考えております。
  219. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それで今度は、外務省にお伺いしますが、この前、参議院で星野質問の中で、いまアメリカとの一月三十日の、あれは第十五回日米合同委員会ですか、その取りきめで、ダムができたら、この湛水面を訓練用に使用させる、それに七つの種類をあげていますね。浮き橋の建設、使用、水質浄化訓練、応急渡河訓練、小舟艇操作訓練、波乗り訓練、水陸両用車の利用法に関する訓練、ヘリコプターによる空海救助訓練、この七つの種類が、たしか大河原局長から説明があったんじゃないかと思いますが、それだけであるのか、そのほかにも訓練種別があるのか、ちょっと教えてください。
  220. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 ことしの二月二十一日の日米合同委員会におきまして、ダム水面を提供という合意ができ上がりました。その際に、訓練の内容といたしまして、ただいまおあげになりました項目、もう一回繰り返させていただきますと、浮き橋の建設と使用、水質浄化訓練、水域渡河訓練、小型舟艇操作訓練、いそ波訓練、水陸両用車使用による訓練、ヘリコプターによる消火訓練、ヘリコプターによる空海救助訓練、これが訓練の内容として合意されているわけでございます。
  221. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この七つの種類をあげましたが、どのような訓練をやるか、ちょっと説明してください。これは、たいへんな、どうもわれわれわけがわからぬような、たとえば、これには波乗り訓練というのだけれども、どんな訓練をやっていくのか、ちょっとこの七つを、一つ一つ説明してください。
  222. 奈良義説

    ○奈良説明員 御説明いたします。  浮き橋の建設訓練と申しますのは、たとえばゴムボート等をつらねまして、その上に板を乗せてというような形で、そういう作業をする訓練ということでございます。それから水質浄化訓練は、御承知のように水辺でダムの水をくんで、それを薬品で浄化して、その場で飲めるようにするといったような訓練でございます。それから小舟艇操作訓練は、水の上を向こう岸に渡るといったような訓練でございます。それから、そういう訓練中に事故が起きた場合を想定し、ヘリコプターによって空から救助をするといったような訓練でございます。それから波乗り訓練等は、板などを使って落ちそうになった場合の訓練をするというように書かれております。
  223. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 沖繩県民が多目的ダムができるのだと非常に期待しておるその水源地で、このような七つの危険きわまりない訓練が行なわれる。これにつきまして、同じく大河原局長が、汚染の心配はないという政府の理由について四つあげていますね。ダム使用条件として、使用にあたっては、貯水池の汚染について、防止に万全の措置を米側が講ずることが義務づけられている。二つは、米側の責任で十分な検疫体制をとっており、日米でその情報交換を行なう。米側もこの水を使うので、汚染防止には最大の関心がある。さらに訓練のつど、細目の協議をすることに話が済んでいる。その細目の協議のときは、内容をチェックするといったような御答弁ですが、間違いないですか。そのくらいでだいじょうぶですか。
  224. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 二月二十一日の合同委員会合意で、先ほど申し上げましたような内容の訓練を、米側が水面で行なうということにつきまして、日本側は使用条件を付しているわけでございます。その条件は、水中爆破は一切行なわない、恒久建造物はつくらない、仮設建造物は使用後、直ちに撤去する、貯水池の汚染防止に万全の措置を講ずる、この条件を付しているわけでございまして、合同委員会の合意は、この条件が守られて、貯水池の水が飲料として使われる上に支障を来たすようなことがないということを、確保することを目的としているわけでございます。
  225. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そのときに、環境衛生局長は、このダムについて、できるだけそういった外からの汚染がないものが望ましいとかいうことも言っておるわけなんです。これは当然の話ですが、できるだけは余分だと思うのです。当然のことながら、いま説明のあったように、水道法や施行令に基づいて、厳密に安全確保のために、いろいろな措置をとられておる。  だから、こういったようなこの七つの訓練をやるために、なぜ一体このような合意をされたかということを究明する前に、いま局長がおっしゃったチェックで、はたして水道法に基くような安全な、この水を飲んでも、だいじょうぶといったような、心理的影響すら与える——アメリカの海兵隊というのは、もうすでに御承知だと思いますが、私は、この前現地に行きましたが、夜はもちろん訓練する、昼は訓練する、雨降りは雨降りでまた訓練する、そして夜明けは夜明けで訓練する、常時訓練することになる。しかも訓練というのは敵、これを目標にして訓練します、演習も。それでなければ学校の体操、教練みたいと同じである。兵隊の、軍隊の訓練というのは、この指揮官がどう相手に打撃を与えるか、どうせん滅するか、これが中心になって訓練が行なわれる。  この場合、いまあげたような七つの項目で訓練される場合に、水道法に基づくような厳密な、いわゆる原水の安全確保というのがほんとうにできるのかどうか、これは常識でもわかるんじゃないかと思いますが、あなた方のあげた爆破訓練をやらないとか恒久建造物はつくらないとか、設置されたもの、たとえば橋なんでしょうが、訓練終了後、直ちに撤去するとか、その演習のたびにチェックするとかいうことで、一体それを飲む国民は、ほんとうに安心して、ああいい水だといって飲むことができるかどうか、その状態に置くことができるかどうか、これをひとつ答えてください。
  226. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 米軍が、合意書にございます七つのタイプの演習を実施するにあたりましては、あくまでも日米間で合意されております使用条件の範囲内のものでなければいけないわけであります。米軍といたしましては、公の活動であります場合には、地位協定で特段の定めがあります場合を除いては、わが国の国内法令がそのままに適用になるわけではありませんけれども米側としては、これを尊重する義務を負っております。  したがいまして、米側がこのような訓練を行なうにあたりましても、この使用条件の目標としておりますところを十分尊重し、これの条件に沿った使用を行なうべきことは、当然であるわけでございまして、政府といたしましても、このような訓練が公共の安全に支障がないようにということは、十分今後とも注意してまいるつもりでおるわけでございます。
  227. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま申し上げましたのは、なぜダムの上で訓練させなければならぬのか。しかも七種類の訓練を、なぜ合意しなければならぬのか。これは外務大臣にしろ局長にしろ、日本人でありますから、汚染されていない水を飲みたいことは当然でありますが、これは、ほんとうに汚染されないという保証が一体どこにあるか。  一例を申し上げますよ。これは水道法施行規則に基づいて、水質検査もやりますね、さらに身体検査もやる、いわゆる健康診断もやる、伝染病があるかないか、尿は正常であるのかどうか、そこに何が入っていないかどうか全部調べる。施行規則の細目にちゃんと書いてある、そういったようなこと。それから海兵隊の着ている服、あれは迷彩を施している、保護色ですね。これはペンキを塗ったりしている。鉄かぶとも一切塗る。それが海兵隊。一番悪質な海兵隊。それを、この前見ましたが、あのベトナムみたいな家をつくって、それで一斉射撃をやる。夜もやる。昼もやる。雨降りでも何でもやる。小舟艇、こういったような舟艇を持ってきて橋をかける、あるいは波乗り訓練。湛水というのは、もう囲いをして、だれも入らないようにするということを、とっくに狭山でもやっている。これが普通でしょう。なぜ、それに荒波を立てて波乗り訓練までやらせなくちゃいかぬのか。  これは、どうなんですか、ここら辺は。私は、それはさせないようにする必要がある、こう思うのですが、一体ほんとうにアメリカ局長——アメリカが演習、訓練をやりますね、そのたびにチェックする場合に、さて身体検査をやる。これは多目的ダムだから、建設省がやるかどうかは別として、建設省がやらなければ、いわゆる公衆衛生局あたりだろうと思うのですが、いずれにしても、だれがそういったチェックを、兵隊一人一人に対してやるのか、これはどうなんですか。
  228. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 演習のつど一々チェックという点につきまして、これは議事録をもう一回、私、調べさしていだきたいと存じますが、いずれにしましても、多目的ダムに貯水されております水が、上水道を通って飲用に実際に供される前には、当然、浄水という過程があるわけでございまして、その浄水場におきましては、十分な水質の安全確保という措置がとられるものというふうに承知しております。詳細は、関係の当局のほうから御説明願ったほうが、あるいはよろしいかと存じますけれども、私どもは、そういうふうに考えております。
  229. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの水道法施行規則、河川法あるいは水質汚濁防止法、そういったものが一応適用になると思いますが、その場合に、県知事は、水が汚濁された場合にこれを防止する、法律によって、これを立ち入り検査するという義務まで与えられておるわけです。これを、アメリカが訓練する場合に、だれがその法の趣旨に基づいてやるのか。日本の水道法やその他関係する法律で、アメリカが演習をする場合に、水質の検査をしたり、あるいは健康診断をやったり、さらに、その他さくが張ってある場合に、さしてあるそのさくを取ってやるとか、いろいろあるでしょうが、それは一体だれがやるのか。アメリカの軍隊の内規でやるのか、それともこっちの法律でやるのか、どうなるのですか。
  230. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 二条四項(b)の形で米側に提供いたします水面上で、米側が演習を行ないます際に、これは米軍の公の活動でございますから、地位協定で特段の定めがある場合を除いては、国内法令は当然には適用がないわけでございますから、その場で直ちに立ち入り検査という問題は生じないというふうに考えます。ただし、先ほど御答弁申し上げましたように、米軍として国内法令を尊重し、公共の安全に支障ないようにするということは、当然でございますから、その意味におきまして、このような訓練が、公共の安全に支障を生ずるというふうなことになりますれば、日本側としても、当然これに対応する措置を、米側に申し入れるというふうなことが考えられると思います。
  231. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題は、軍事評論家も一致しておりまますが、軍隊の演習とか訓練というもの、これがほんとうに、水道法やその施行令に基づいての、いま言ったような水質の安全確保ということができるものではないということは、軍事評論家の、もうほんとうに一致する意見である。それを日本政府は、この七つの種類の訓練をさせることに合意したわけであります。  この究明はさておき、あとでやることにして、では、いまのダム、これは福地ダムは前ですが、三つのあとのダム、このダムについては、告示が去年出されております、四十八年十一月ですか。この場合に、建設省は、いまのような訓練を行なうのだということを予定していたのか。これは二月の日米合同委員会でやっているわけだから、当然のことがなら、このいわゆる多目的ダム法に基づいて基本構想がちゃんとできるそのときに、そういったような七つの訓練を、アメリカに許すということが予想された上であったのか、予想していなかったのかどうか、これが一つ。  もう一つは、この二月に行なわれた、いまの局長の返事の内容ですね、この合意事項について、あらかじめ外務省あたりから何か連絡があって、そうするので了解してくれというふうなことがあったかどうか、これをひとつ御答弁、お願いします。
  232. 松村賢吉

    ○松村政府委員 この二月に出しました北部の三ダムの基本計画、この基本計画の内容といたしましては、ダムのいわゆる高さとか目的、こういうものの基本的なる計画を実はきめたものでございます。これをきめるに際しまして、米軍の貯水池に対する演習というものを予想したかどうかというお話でございますが、この計画そのものは、米軍が、この協定がきめられる以前に、いろいろと計画したものでございますので、はっきりと予想したわけではもちろんございません。しかし、やはり演習地内に——すでに演習をやっておるところでございますが、こういう地内につくるダムでございますので、こういうことはあるであろうという想定と申しますか、こういうことは、ある程度は考えてもいたわけでございます。  それから第二番目の、この協定を結ぶに際しまして、建設省があらかじめ相談を受けたかという点でございますが、これにつきましては、私ども直接に相談を受けたわけではございませんが、沖繩の総合事務局、こういうところにおきまして、これは、ある意味におきましては、建設省のいわゆる地方建設局と同じような業務をやっておりますが、こういうところで、実質的に現地におきましていろいろと相談を受け、その結果につきましては報告を受けております。
  233. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、このアメリカの軍事演習いわゆる訓練、これに対しては、外務省だけではなくて、管理者である建設省も責任を持つということになりますね、当然理解していたわけなんだから。
  234. 松村賢吉

    ○松村政府委員 河川管理上の問題としては、当然責任ございます。
  235. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 お聞きしますが、いまの管理する場合でも、あのダムは、いわゆる飲料水が七割以上なんですね。そうなりますと、多目的ダムとはいえ、飲料水のダムと同じような厳重な衛生上の監視をしなければいかぬ、これは当然のこと。ところが、いま申し上げましたようなアメリカが、ああいったような七つの訓練をやる場合に、まず一つお聞きしたいのは、衛生上の問題は、これは、だれが考えてみても、実際上、水道法に基づいて向こうの行動を規制して、ほんとうにここで演習さしても、まず安心して飲めるのだという状態に置くということは、これは天地ひっくり返って、地転倒しても理解させることができないのです。  一つは、あの水陸両用車、あれなんかが来ます。そうしますと、いわゆるダムの構造上の問題として、事実上その基本的な構成、構造、この問題を考え直す必要もありはせぬか、起こりはせぬか。非常に危険である。沖繩の場合には、水が非常に急に降ったり、あるいは土砂がどんどん流れ込んできて、この湛水の底のほうに泥がたまる速度も非常に早いんじゃないか。もし演習を許す場合に、そういった構造面における損害その他の危険性、これが当然予想されるが、これについて建設省あたりでは、まあだいじょうぶだろうというふうなお考えであるのか。演習のやり方を見なければわからないが、演習によっては、衛生上の問題もさることながら、このダムの構造上の問題として問題が起こり得るという予想がされるかどうか、この点を説明してください。
  236. 松村賢吉

    ○松村政府委員 お答え申し上げます。  この協定につきまして、細目の協定は当然、年度当初には演習計画、こういうものについて、具体的の資料を求めるようになっておりますし、また演習一カ月前に、その実施の細目、こういうものも出していただいて検討するということになっておるわけであります。そういう内容の中におきまして、ダムの本体あるいは貯水池、こういうものに構造的な影響を及ぼすような、かりにハッパ等が起これば、これはあるいは構造に影響があるかもしれませんので、こういうようなものについては、原則的にもちろん禁止しておりますし、具体的な問題として、こういうものは絶対に行なわないように要請するし、また、それを守っていただくという考えでおるわけでございます。
  237. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 以上のことで、このダム上における米軍の訓練がどんなに危険であるかということは、もう実に明らかになったと思います。判例をあげてもわかりますように、たとえばあの判例は、食紅五十グラムを一升の水に溶かして流したので薄赤色になっていた。これだけでも有罪になる。ところが、現実にあのダムができれば、福地ダムからさらに新川ダム、この四つのダムの底が全部一つになって、トンネルが通って水路が一つになります。これは、一カ所がよごれると、みんなよごれるということになります。  そこで大臣に、これを一体どういうふうに考えておられるのか。事は人命に関する問題であります。この点について、この前大臣は、非常に考えなくちゃいかぬといったような答弁をしておられますが、いま申し上げましたように、事実上、水道法の関係からいいましても、さらに河川法その他関連法からいいましても、これは飲料水の、いわゆる命の源泉なんです。   〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕 そういったところで、こういう危険な演習をやる。この演習をやる場合に、いまアメリカを信頼して、とにかくよごさぬようにすることになっているということだけでは、沖繩県民どころか、これは日本国民が承知しないと思うのです。これをどういうふうに措置されるつもりであるか、その点お伺いしたいと思います。
  238. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いまの御質疑を伺っておりますと、瀬長さんの懸念される点もよく理解できます。飲料水のことでございますし、人の生命にかかわることでございますので、水質を安全に保つということが、絶対の要件であることは、あなたの御指摘のとおりでございます。そしてまた、多目的ダムとはいえ、そこを各種の演習に使うことが、適切な措置であると私は考えません。  ただ、しかしながら、あの演習地を開放してもらって、民生に役立てるということが、すべてのことの出発でございますが、米軍にあの土地を開放をさせる場合におきまして、米軍側の軍事的な必要を、ある程度満足させる必要が考えられたということについても、全然理解できないわけじゃないと私は思うのであります。沖繩は、基地が過度に多いところでございますので、寸土といえども、これを開放いたしまして民生に役立てる、沖繩県の開発に役立てるように考えてまいるというのが、われわれの考え方でございまして、それを進める場合におきまして、多目的ダムを演習場につくるという発想が出てまいったわけでございます。したがいまして、このことを、やみくもに悪いといって一蹴し去ることは、私は適切でないと思うのでございまして、問題は、こういう措置がとられております以上、できるだけこれを生かしていくという建設的な方向で処置してまいることが、実際的でもあると考えます。  したがって、先ほどアメリカ局長もお答え申し上げましたように、米軍と今後取り結んでまいりまする安全保障上の、水質保全上の措置につきまして、十分精細な吟味を加えまして、あなたが懸念になっておるような点について、遺漏のないようにやってまいることが必要であると考えます。そういうラインで今後、精力的に問題に取り組んで、御期待にこたえなければならぬと考えております。
  239. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後に、私、要求を出すつもりですが、大臣、これが図面なんですよ。  これが新川ダムですね。これが安波ダム。これが普久川ダム。それから福地ダム、こっちにありますが、これが福地ダムですね。これが全部演習場なんです。この青の部分、これが集水場。そうして、これがいまの湛水部分。この湛水部分で演習します、あなた方の言うことであれば。それで、この湛水部分以外のところの演習場、これが全部水が流れてくる線なんです。そうすると、そこでの演習自体が、湛水部分だけではなくて、北部地域全域の演習自体が、この水源地を荒らしていくということを、この地図でもはっきりしているわけなんです。  もう一つ、いま問題は、これは最後になりますが、アメリカ外務大臣がおっしゃったようなのじゃないんですね。いままであの地図にあるような部分、ここで演習をやっていた。今度は日本政府が金を出してダムをつくってあげて、そして、そのダムの上で、新しく条件ができてダムの演習というのが加わってくる。アメリカにとっては、現在以上に有利になり、そしてこのダムの、いわゆる湖上における演習は、東南アジアにもない。これは世界にもないといわれております。そういった条件が、この四つのダムをつくることによって、アメリカに現在より好条件で訓練演習ができるという結果になる。さらに沖繩県民にとっては、安心して飲めないような水、これが与えられるという結果になる。これは当然のことながら、私、この前現地に行きましたが、あの演習地は、どこでやっても全部この湛水部分に集まるようになっております。したがって、この面から私は最後に要請したいと思います。  一つは、この合意された内容、全部公開してほしいのです。もし星野質問がなかった場合に、いつまでもこれを伏せておくつもりであったのか、あるいはいつか時期が来たら発表するつもりであったのか、これに答えてもらって——私は、これは全面公開してほしいという要求です。もう一つは、北部における演習をやめさせるように、アメリカと直ちに再交渉を開始してもらいたい。そして北部の全面返還、これをそのときに要求してもらいたい。もう一つは、科学者を含めて住民が、自由に基地に入って調査できるように対米折衝をしてほしいという、三つの要望を最後にしておきます。  これに対して、最初に申し上げたように、星野質問があったからこれがわかった、もしなければ、あの合意事項、七つの訓練をさせるという合意、これは、いつまでも伏せておくつもりであったのか、時期を見て、こういう訓練をすることを合意しましたと発表するつもりであったのか、これを明確にしてください。
  240. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 一月三十日に、第十五回日本安保協議委員会が開かれまして、沖繩における基地整理統合に関する日米間の原則的な話し合いの内容を発表いたしておりますけれども、その中で北部訓練場並びに安波訓練場につきましては、二4(b)という手続を経ました上で、残余の分は返還されるという趣旨のことを発表してございます。二4(b)として使用いたしますものは何かと申しますと、結局、先ほど来御議論がございます水面使用ということでございまして、当時このことが明らかにされているところでございます。  また、二月二十一日の日米合同委員会の合意は、ダムの建設が終わりました後に、米側に訓練のために水面を使用させるということにつきましての合意と、そのためにダムの建設の期間中、日本側がこの地域を共同使用のかっこうで使える道を確保するということが、内容であったわけでございます。  したがいまして、この訓練の内容なり、あるいは使用の条件そのものを、特に秘匿する考えは毛頭ないわけでありますけれども、二月二十一日の合意の性格が、ただいま御説明申し上げましたようなものでありましたために、二条四項(a)による共同使用ということだけを明らかにしておいて、将来、二4(b)の形での共同使用を米側に認めますのは、ダムの構築が現実に終了したあと、こういうことになるわけでございます。
  241. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうしますと、この合憲事項については、これこれの訓練をさせるということまで含めて告示するつもりですか。いわゆる合意事項のこの全文、告示しないですか、しますか。
  242. 奈良義説

    ○奈良説明員 共同使用がきまりますと、そのつどその趣旨を告示いたします。  ただ、いま先生がおっしゃられましたように、その使用のしかたのこまかい部分にまで触れるというようなことは、必ずしも考えておりませんが、共同使用であるということは、はっきりと告示する予定でございます。それが従来の慣例でもございます。
  243. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 特に飲料水のいわゆる水源地、これが、よごされるかよごされないか、その安全をどう確保するかという問題であるだけに、いまの内容の告示をしなければ、一体全体、日米政府が合意する、この合意事項が知らされないままに、日本国民の生命と安全が保障されないということになりますと——告示しなければ、これ自体が行政力を持たない。この点は、沖特委でも、いろいろ縦貫道の問題などとあわせて質問いたしましたが、この告示なしに、現実に訓練させ演習させるというふうなことになると、法に合致しないということになれば、結局その演習を規制する場合に、実力でもって演習を阻止するという場合には、アメリカの演習したのが不法であるわけなんだから、ここは合法性を持ってくるということと関連するので、最後に、私は聞いておるわけですが、これに対しては、そういった細目については、告示しないということなんですね。
  244. 奈良義説

    ○奈良説明員 従来から、たとえば新規の提供でありますとか二条四項(a)の共同使用でありますとか、あるいは二条四項(b)の共同使用であります場合に、これこれの施設を、たとえば演習場でありますとか、飛行場でありますとかいったような用途でもって新規提供いたします、あるいは共同使用いたしますというような趣旨の告示をしてまいりました。こういうことによって、この地域がどういう目的米側の使用に供されておるがということがわかるわけでございます。
  245. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、こういった訓練をさせるのだということは、告示して知らすということに理解していいのですか。
  246. 奈良義説

    ○奈良説明員 使用の目的というようなことで、演習のためというようなことを記入することになろうかと思います。
  247. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これを聞きますのは、どうもあなた方の場合に、合意事項を公開しないという一つの基本姿勢がある。  私、最初に申し上げましたように、これは大臣のほうで答えてもらいたいと思いますが、具体的に全部とはいいませんから、いまの演習させるというものを含めて、あのときに合意した合意事項、これは全文を公開してほしい、一つはこれです、これは最後に、まとめになりますから。もう一つは、この合意事項を廃止するために、すなわち訓練はやめさせる、演習もやめてもらう。そして初めて、この水源地が安全に飲めるような水源地になる。だから、再交渉、そのために、いわゆる合意事項を取り消す、そして演習をやめさせる、全面返還をするという交渉を、直ちにアメリカと開始してもらいたい、これが第二番目。第三番目は、あの演習地域に対する住民及び科学者を含めての調査、この調査ができるように対米折衝をしてほしい、この三つを私、要求しまして、質問を終わりたいと思いますが、大臣のそれに対する御答弁をお願いしたいと思います。
  248. 大河原良雄

    大河原(良)政府委員 二月二十一日の合同委員会の合意書を公開しろ、こういう御要求でございますけれども、内容的には、先ほど御説明申し上げましたように、ダムの提供条件というかっこうで訓練の内容、それから使用条件、こういうものを合意しておるわけでございまして、この点は、先ほど来あるいは先般来、国会で御答弁また御鮮明申し上げているとおりで尽きるわけでございます。合意書の内容そのものを、国会に御提出するということにつきましては、従来の米側との約束がありますので、これは控えさしていただきたいと思います。  また立ち入り調査の問題につきましては、米側が現に管理、使用しております施設、区域の問題でございますので、具体的にいかなる内容の視察を、どういう形で御希望になるのか、それによって米側との調整をはかる必要があろうかと考えます。  また、全面的な返還を要求して、至急交渉しるということでございますけれども、この点につきましては、先ほど外務大臣から御答弁ございましたように、沖繩施設、区域の全般的な整理統合計画の一環としまして、昨年来、米側との折衝の結果、ようやくことしの一月に、北部訓練場並びに安波訓練場の問題についての原則的な合意ができたという状況でございますので、直ちにこれの全面的返還という交渉をやる用意はないわけでございます。
  249. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これで私、終わりますが、特に大臣の答弁ですね、これは県民全体の要求になって映るわけなんです。全面返還しろ、演習をやめさせろ、これは近く沖繩県議会の臨時会が開かれて——この水の問題については、非常に県民は憤激をむしろしております。われわれの飲料水をよごす、かりによごさないにしても、演習するとは一体何ごとだ、これは、いわゆる常識をはずれているんですね。これほど民族に対する屈辱を与えたことはない、こういうふうに理解しておるわけなんです。合意であるならば、日本国民の利益をまず全面に出して、そうして合意するということが、当然とられるべきことであるにかかわらず、従来アメリカが演習していたから、その演習地を幾らか返還してもらってダムにするのだから、これは当然アメリカの要求を聞き入れるのが筋じゃないかということなんですが、逆なんですね。従来の演習していた部分、その中にダムをつくってあげて、ダム上の訓練をするというに至っては、それこそ民族の屈辱的な外交姿勢である、こう糾弾しておるわけなんです。  だから、結論として、私、ぜひ全面返還を要求し、ダムの上での訓練はやめさせるように対米再交渉をしてほしい、これは決して無理な質問じゃない。たとえ安保条約堅持だというふうな人でも、安保条約というのが、これほどになっているのかということを感じないようにさせるのが、当然だと思いますが、安保条約を堅持するという層まで含めて、いま飲料水になるようなあの湖上で演習させるということは一体何ごとか、だから外務大臣にいまそのための再折衝をしてほしいというのが、これは国民のほんとうの心情だと思うんですよ。これに対してどうお考えになっておるか、大臣、一言御答弁を願いたいと思うのです。
  250. 大平正芳

    ○大平国務大臣 まず第一に、先ほど申しましたように、沖繩県にはたいへん広大な基地をお願いしているわけでございまして、これが沖繩県の開発ないしは民生の向上に大きな制約になっていることは、よく承知いたしておりますし、これを、いかにかして軽減してまいる、また、まいらなければならぬということは、政府の大きな願いでございますし、方針でもあるわけでございます。その点、まず御理解をいただきたいと思うのであります。  第二の点でございますが、この多目的ダムをつくることが、こういう条件のもとでつくることが県民の利益になるのか、それともつくらないことが県民の利益になるかという二者択一を迫られますと、私ども、やはりこの多目的ダムを、若干の制約を伴いましても、つくってまいることが沖繩県のためになる、民生に寄与する、そういう考え方を持っておるわけでございます。  第三に、しかしながら、問題は、先生御指摘のように、飲料水にかかわる衛生上の問題でございます。この点につきましては、念には念を入れまして、水質が釐毫も汚染することがないように、十全な措置を講じてまいることによって、県民の不安を除いてまいるというようにいたしたいと思うのでございまして、先生がおっしゃるように、もう一度この問題を折衝し直すということにつきましては、遺憾ながら私は賛成いたしかねます。
  251. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう一言、要望しますが、二者択一と言われましたね。二者択一に追い込まれているとは国民は思っておりません。要するに、基地を置いておるということ自体が問題である。だが、安保条約はある。だからせめて、安保条約があってみたところで、なぜそういった水源地になるところで演習させるのか。それを二者択一という追い込まれたようなことではなくて、むしろ積極的に対米折衝をして、県民の命である水の確保をやってほしいのだ、安心して飲める水を確保してほしいのだという積極姿勢を要求しているからこそ、私、言っておるのであって、二者択一に追い込まれているということは、国民ではなくて日本政府であるということの考え方から、いま要請したわけでありますが、その点については、あらためて再検討してもらって、ほんとうに積極的に、アメリカ日本国民の立場に立って交渉してもらいたいことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  252. 徳安實藏

    徳安委員長 鈴切康雄君。
  253. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、きょうは法案の内容のほかに、一つは公電の漏洩問題、もう一つは海洋法問題、そしてもう一つは韓国における邦人の逮捕事件の問題について、時間の許す限りお聞きしたい、そのように思うわけであります。  初めに、法案に入る前に、本日、日中航空協定が衆議院の段階において議決をされた。これは長年、日中間の懸案の問題であっただけに、外務大臣としての労を多とするものであります。しかし私にしてみれば、たいへんにおそきに失したのではないか、そういうふうに思えるわけであります。いずれにしても、衆議院の段階において、これが通ったということは、両国民の間において喜ぶべき問題ではないか、こういうふうに思うわけであります。これは日中共同声明の言うならば、一つの絵踏みとして具体化された問題であると同時に、日中平和条約に向かっての一つの大きなステップになろうかと思うわけであります。  そこで、外務大臣にお聞きしたいわけでありますけれども、日中平和条約について、今後のスケジュールと、また言うならば、それに対する取り組み方についての御所見をまずお伺いいたしましょう。
  254. 大平正芳

    ○大平国務大臣 一昨年の日中共同声明第八項で、日中両国は平和友好条約の締結について交渉することに合意を見ておりますことは、御案内のとおりでございます。これについて、それではどういう段取りで交渉を始めるかということにつきましてまでの詰めた話は、まだいたしていないわけでございまして、その後、御案内のように、実務協定の詰めから始まっておるわけでございますが、実務協定が全部そろわなければ、平和友好条約の話し合いを始めないということも、別にきめておるわけではございません。したがって、私は、ことしの一月の上旬に訪中した際にも、わがほうの担当官と先方の担当官の間で、平和友好条約というのは、どういう基本的な構想で考えていくかというような、若干の考え方のやりとりをいたさせたわけでございまして、まだ先方に固まった構想があるわけじゃございませんし、当方もまた同様でございます。私どもとしては、これから漸次構想を固めていかなければいけませんし、ある段階では当然、中国との間で話し合いを始めなければいけないと考えております。  それから、いまの段階でどういう考え方でおろかということでございますが、これは平和条約ではございませんで、日中間に平和をもたらす仕事は、共同声明で済んでいるわけでございまして、この平和友好条約のねらいとするところは、今後、これから将来に向かって末長い友好親善関係を、どういう筋道で深めてまいるかということな条約の姿で、しっかりとした姿で合意しておきたいということでございます。つまり、これからの友好親善関係を律する基本的な原則というようなものを、考えていくべきでないかと考えておるわけでございます。別にスケジュールはきまっておりませんし、構想が固まっておるわけではございませんが、これから、だんだん考え方を深めていきたいといま思っておるところでございます。
  255. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それ以上お聞きしても、まだ考えがきまっておられないということでありますので、それは、そのくらいにしておきまして、日中航空協定、これは、たいへんに評価される問題でありましょう。しかし昨今の外務省の地盤沈下といいますか、たいへんに問題が堆積をされておるというか、たとえて言うならば、日ソ共同声明の誤訳問題、それから天皇訪米問題についての安川発言、それから首相が東南アジアに行かれたときに、訪問される国の情報収集についての不手ぎわ、あるいは今度の日中航空協定の漏洩問題、これは、またあとでお聞きするわけでありますが、等の問題を含めまして、非常に問題があるわけであります。  そこで、大臣が法眼事務次官を更迭するときに、人心を一新すると言われましたけれども、大臣は、どのようにお考えになっておられるか、その点について、大臣の御所見をお伺いいたします。
  256. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私は、外務省をお預かりいたしまして、非常に多極化してまいりました世界の中で、わが国の立場を踏まえて、わが国の国益、をどのように守ってまいるかということに日夜腐心をいたしております。外務省のスタッフも、また真剣に問題に取り組んでおりまするし、昼夜を分かたず努力を傾けていただいておるわけでございまして、私自身外務省の事務体制に不満はございませんで、むしろ私は感謝をいたしておるところでございます。  しかしながら、外務省のすぐれた諸君も、人の子でございまして、あやまちがなきことを欲しながらも、あやまちがなかったと言い切れないことは、非常に残念でございまして、御指摘になるような落ち度は、確かにあったわけでございまして、これは、すなおにそれに対する御批判は甘受しなければならぬと思うのであります。したがって、公務にある者といたしまして、みんなで気分を新たにいたしまして、新鮮な活力をもって、周到な注意力をもって仕事に当たらなければいかぬということでございます。  法眼君は、私の女房役をやっていただきまして、ほんとうによくやっていただいた方でございまするし、非常に清廉な、私が尊敬してやまない方でございます。しかし法眼君も、いつまでも外務次官をやられるわけじゃございませんで、やがては後進に道を譲らなければならぬ段階が近づいておったわけでございまして、一ぺんこのあたりで気分を一新いたしまして、ここで新たな活力をもって臨むために、法眼君の御勇退を認めたわけでございまして、他意はないわけでございます。  それからまた、省内におきましては、外務省というところは、あなたも御承知のように、仕事がさい然と分かれないのです。事務官が考えることも、課長が考えることも、局長が考えることも、大臣が考えることも同じことを考えるわけでございまして、そして、それがお互いに非常に連関を持っているわけなんでございます。それで一つの実効あるポリシーを打ち出していかなければいかぬ、それを実践してまいらなければならぬので、全体の機能をうまく動員する仕組みを考えなければいかぬ。機能強化の意味で、一つの問題については、チームをつくりまして、それで横断的に各局の方々に参加してもらって、そこで一つのまとまったポリシーを打ち出していくというような方向に、いま指導いたしておるわけでございます。  しかし、本委員会でも、御指摘になり、御心配いただいておりますように、何さま戦前に比べて、人が減っているわけでございまするし、他の省のことは、いろいろ申し上げませんけれども、他の省はだんだん人がふえたのだけれども、うちのほうは、不足がちの人手でしんほういたしておるところへ、外交の分量というのは、もう比べものにならぬほど多くなってきているわけでございます。したがって、いま外務省は、非常に困難な局面をかかえておる、たいへんなことであるということも、ひとつ私は御同情をいただきたいと思うのでございますが、いま与えられた要員、与えられた予算、与えられた体制の中で、十分その機能を有効に発揮できるように、せっかくいま、くふうをいたしておるところでございますので、何ぶんの御指導と御鞭撻を願いたいと思います。
  257. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 外務省の職員の方々が、一生懸命やっておられるということは、いま大臣のほうからお話があって、私もわかるわけでありますけれども、しかし外務省ということであれば、それは国際信用に、やはり大きく影響する問題でありますがゆえに、失敗とかそういう問題は、許されないという感じが私はいたします。となりますと、やはり一生懸命やりながらも、結果的に、そういう問題が起こるというのは、私は、それだけ外務省の機構上の問題に大きな欠陥があるのではないか、そのように思うわけであります。  機構上の問題ということは、一つは、職員の資質の問題で、キャリアがあるからといって、外交官として優秀であるとは限らないわけであります。ところが、御存じのように、外交官試験を通るという方々は、わずかな方々ばかりでありまして、そういう意味において、全く人手が足りない、人材が足りないというのが、一つの問題点ではないか。それに対して、どういうふうに今後されていくかということがあろうかと思いますが、それと同時に、今度はやはり、日本がこれから国際間において、多種多様な問題を、各国にいろいろの折衝をするということになれば、外交官の定員というか、外務省の定員が非常に少ないというところに、私はオーバーワークになってくる点があろうかと思うのですけれども、その点を、どのようにお考えになっているか。  たとえば昭和四十八年の十月現在において、本省においては千四百八十七名、在外が千三百八十四名、合計二千八百七十一名、こういう状態。これはフランス、イギリス、ドイツ、カナダ等を考えても、かなり定員が少ないわけであります。そういう点は、どのようにお考えになっておるか、それに対して、外務大臣としてどのように今後されていこうというふうにお考えになっているか、お聞きします。
  258. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 私のほうから、事実関係を説明さしていただきます。  先生御質問の第一点、特にいわゆるキャリアというような、外務省では上級試験と申しますけれども、上級試験を合格した者だけを大使にするとか、あるいは総領事にするというような外務省の人事のやり方にも問題があるのではないか、いろいろほかに能力のある、キャリアでない人を登用する等の方法によって、もっと外務省の機能を拡充、改善すべきではないかという点でございますけれども、この点につきましては、先生御指摘の点について、従来から外務省としても、その点に気がつきまして、いろいろと改善を順次やっているところでございます。現在、大使の職には、いわゆる試験出でない者を二名採用しておりますし、近くさらに一名の採用を予定しております。さらに総領事につきましては、従来から必ずしも試験出でない人を同様に採用しております。さらに本省の課長につきましても、試験出でない人を採用して、現に職についておりますし、今後こういう人事の問題につきましては、従来のやり方にとらわれずに、もっと機動的に人材を活用する、適材適所ということで配置をするということを、大臣にも進言申し上げ、大臣の御許可をいただいておりますので、一段とこの方針を推進していきたいと思っております。  それから第二の問題点の、定員の問題でございますが、この点につきましても、全く先生の御指摘の問題がございますので、鋭意、査定当局、行管あるいは大蔵省にも説明し、さらに外務省以外の方々の御理解を得まして、なるべく計画的に定員の増強をはかっていきたいということで、いま作業をやっておるところでございます。ただし、宗員をふやすということは、ただ人の数だけをふやすということではなくて、やはり質のいい外務省員を増加していくということでなければならないわけでございますので、試験制度の問題その他につきましても、現にくふうをこらしておるところでございます。この点につきましても、近く具体案をもちまして、行管なり大蔵省とも話し合いな始めたいと思っております。
  259. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 法案によりますと、在勤の基本手当の支給額及び住居手当の限度額を政令で定めることとされておりますが、その理由については、どういうふうにお考えになっておりますか。  それからまた、在勤手当等の額について、上下の幅を二五%持たせたというふうになっておりますが、その持たせた理由は、どういうことでしょうか。
  260. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 従来、在勤手当の定額を、法律で定めておりましたのを、今般、御審議いただいている法案によりまして、二五%の範囲内で政令により調整できるように提案しておるわけでございますが、この第一の理由は、先生も御承知のとおり、昨年二月以降、各国の通貨がフロートして以来、マルク等の主要国際通貨の日本の円に対する為替相場の変動が非常に大きくなりまして、ドイツマルクの場合は二二%でございましたが、逆に対日の率が下がるものもあり、結局、総じてみますと、上下二五%の範囲内で為替が動くという経験をわれわれしたわけでございますけれども、こういう為替情勢の様子というものは、今後も一続くと判断せざるを得なかったわけでございます。そういう事情を考慮に入れて、機動的に在勤手当の実額を、その土地の生活に合うように確保したいというのが、政令に二五%の範囲内の調整をゆだねた理由でございます。  しかし、こうしましたにつきましては、国内の給与制度を参考にしたわけでございまして、一般職の職員の給与に関する法律によりますと、特地勤務手当につきましても、調整幅二五%ということで、法律が政令にゆだねている例があるわけでございまして、在外手当の場合も、まさにこの種の特殊手当に当たるわけでございますので、この国内の先例を参考にしたわけでございます。  第二の御質問でございます上下の幅でございますが、この上下の幅につきましても、一つは、国内の給与制度における上下の幅を参考といたしましたし、第二には、やはり各地の制度におきます上下の幅を参考にした次第でございますが、現在、在勤手当で見られます上下の格差を、国内の給与の上下格差に比しますと、それよりは低い程度でございますし、また各国の例に比べましても、むしろ日本の上下格差は、低いというふうに考えております。
  261. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 上下二五%というように政令でおきめになるわけでありますけれども、実際に下のほうの二五%が主導するようなことがあるかどうかという問題でございますが、本年の二月までの一年間で、すでに物価が、前年度比大きいところでは三〇%以上も高くなっておりますし、少ないところで八%上昇されておるわけであります。これに対して、どのように対処されていくのかという問題と、それから政令で在勤手当の支給額を定めることにより、その金額の客観的な合理性というものが持たれるかどうかという問題があります。政令の段階でできるので、結局、国会で歯どめをしていたときに比べて、高値安定になるのではないかという感じがするわけであります。その点については、どのようにお考えになっておりますか。
  262. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 上下二五%の範囲内で政令で調整するわけでございますけれども、その場合は、為替ばかりでなく、その土地における物価も勘案するわけでございまして、現にOECDの統計で見ましても、物価につきましては、一九七二年、七三年の間は、比較的その変動が少なくて、多い場合でも一〇%くらいの物価の上昇でございましたわけでございますけれども、最近の一年、特に石油危機以降の物価の上昇率は、多いところでは三〇%をこえておりまして、二〇%の国も多いわけでございます。  そういうことでございますので、物価も考慮いたしました場合は、最近の世界経済の趨勢といたしまして、二五%の範囲内で二五%下げる、下限に調整するというようなことは、現実の問題としては、あまりないというふうに考えておるわけでございますけれども、われわれといたしましては、為替相場及び物価の統計を集めまして、それに基づきまして、公正なる額を政令で定めるということにいたしておりますので、非常に高過ぎてきめるというようなことはないと考えております。
  263. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 公電漏洩の問題について、ちょっとお伺いいたしますけれども、日中航空協定交渉中の公電が漏れて、大きな問題となったわけでありますが、この公電は、どういう取り扱いをされておったのでしょうか。
  264. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 日中関係の公電につきまして、御質問がありましたわけでございますけれども、公電そのものは、外務省の中の関係局長に配付いたしましたもののほかは、内閣に二通、運輸省に一通渡しておったわけでございます。
  265. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その政府の取り扱いについて、マル秘には、秘密とかそれから機密、極秘等いろいろの扱いがあるというふうに聞いておりますが、今回、自民党の議員によって漏らされたものは、どういう扱いの公電であったか。
  266. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 私、答弁いたしましたのは、一般的に今度の日中関係の電報の配付を申したわけでございますが、いま先生の御質問になりました件につきましては、依然調査中でございますので、どういう関係にあるか、いま私として答弁できない次第でございます。
  267. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私がお聞きしているのは、調査中をお聞きしているわけではなくして、その公電自体がマル秘扱いであるわけでしょうけれども、そのマル秘扱いの中には、秘密とそれから機密と極秘とあるわけなんですね、そのうちのどれに当たるかということを聞いているわけです。
  268. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 一般論といたしまして、電報の種類には、極秘のものと秘のものと秘でないもの、普通のもの、その三種類がございます。
  269. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまの公電が、そのうちのどれに当たるのかを聞いているのです。
  270. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 その点につきましては、関連をまだ調査中でございますので、私としては、まだ答弁できない次第でございます。
  271. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 公電の取り扱いをするのに、秘であるのか、あるいは機密であるのか、極秘であるのかわからないような、そういう取り扱いがなされるならば、それは、もう公に公表したらいいのじゃないですか。
  272. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 公電が漏れたかどうか、漏れたとしたら、どの公電が漏れたかどうかを、いま調査中でございます。
  273. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 自民党の議員によって、漏らされた公電の内容というものは、どういう取り扱いであったかということを聞いているんですよ。あなたたちが外務省でよく取り扱う中に、マル秘という判こを押す、そのマル秘の判この中に、秘密とかあるいは機密とか極秘とか、そういう種別をするわけでしょう。公電を全然そういう種別をせずに、置いておいたのかどうか。それであるならば、これは何も問題ではないわけであって、そういう点については、どうなんですかと聞いているわけですよ。
  274. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 先ほど申し上げましたように、公電自体につきましては、極秘、秘、そうでないものという種類はございますし、日中航空協定関係の公電にも、その種類のものが必ずあったと思いますけれども、先生が御質問になりました問題につきましては、外務省との公電にどういう関係があるかということを、現在、調査中でございますので、まだわからないということです。
  275. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、外務省と運輸省とそれから内閣官房で扱ったその公電の、いわゆるマル秘というのは、どういう取り扱いであったのですか。内閣官房のほうは、どういうふうな取り扱いであったのですか。
  276. 大村襄治

    ○大村政府委員 その中身の扱い……(鈴切委員「公電の扱いですよ」と呼ぶ)詳しくは、まだ聞いておりません。
  277. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 詳しい文案を聞いていないとは、どういうことなんですか。内閣に二通とそれから運輸省に一通と外務省にということでありますから、言うならば、公電の扱いがマル秘でもなければ何でもなかったら、全部資料を出してくださいよ。出してください、官房長。マル秘扱いでもなければ、極秘扱いでもなければ、機密扱いでもない公電であるならば、ここへ資料として出してください。
  278. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 電報の処理でございますけれども外務省の各幹部には、電信九通についてさっそく厳重にチェックいたしました。その結果、原局において仕事に必要な分以外は、各主管の局長において厳重に廃棄した。これは外務省には、各局に廃棄の機械がございますので、局長みずからが自分の責任で廃棄した、それを確認しております。  官邸に配付した二通につきましても、官邸から御報告をいただいておりまして、二通ございますが、二通とも保管中で、コピー作成の事実はないという御報告をいただいております。
  279. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 どうも官房長の言うことは、さっぱりわからない。公電について、局長だけにしか回さなかった。それから内閣のほうには二通、運輸省には一通、そういうふうにして回したというその公電は、マル秘の中のどういう種類の公電であったかということをお聞きしているんでしょう。あなた、その内容は何だということ、おわかりじゃないですか。それは官房長官、おたくに回ってきたその公電について、だれとだれとがごらんになって、そして、その公電自体について、マル秘の中のどういう取り扱いであったかということについて、あなた自体は、どういうふうにごらんになりましたか。
  280. 大村襄治

    ○大村政府委員 極秘か秘か、もう一つ機密ですか、どれかと言われますが、ちょっと私、まだその点は詳しく承知しておらないのでありますが、いずれにしても、秘密文書でございますから、扱いは、きわめて慎重にやっておるということは事実でございます。二通来ましたのが、官房長官の分と総理大臣の分がございまして、それぞれの秘書官が外務省から受け取り、官房長官、総理大臣に報告した後、厳重に保管し、用済み後焼却する、そういう厳重な保管方法をとっておるというように承知しております。したがいまして、私のほうから漏れることは、万々ないというふうに確信いたしておる次第でございます。
  281. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、いま漏れる漏れないの問題を聞いているわけじゃないんですよ。あなた、機密文書だ、こうおっしゃっているわけでしょう。機密文書だというならば、そのマル秘の中の秘密に当たるのか機密に当たるのか極秘に当たるのか、どちらなのかと聞いているわけですよ。それについて、あなたたち答弁できない。機密文書だとあなた、おっしゃるんじゃないか。そうすれば、当然そういう判こが押していなければ機密文書にならないでしょう。だから、それを聞いているんですよ。  それじゃ、運輸省のほう、どういう取り扱いであったか、公電の内容のあれば、どういう判こが押してあったか、運輸省にちょっと聞いておきたい。
  282. 寺井久美

    ○寺井政府委員 私は、電報にどういう判こが押してあったか、一々記憶ございませんが、私ども外務省からいただきましたコピー一部は、国際課で受け取りまして、これを航空局の審議官、次長、局長それから大臣官房官房長、事務次官政務次官、大臣まで持ち回り回覧いたしまして、その後は、国際課で厳重に保管をいたしております。
  283. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ずいぶんそれはおかしな話ですね。内閣官房においても、それから運輸省においても、それから外務省においても、マル秘扱いのその公電自体が、機密文書であるということがわかっていながら、それがどういう取り扱いであったかということがわからない。これは、おかしいじゃないですか。わかるまで、これは審議前へ進むことができませんね。秘密文書だというんですもの、それは当然、何々の文書であるということは、わからなくちゃおかしいじゃないですか、そんなのは。
  284. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 日中航空協定関係の電報といいましても、たくさんございまして、その中には、もちろん極秘のものも秘のものも——大部分は極秘ないしは秘で、普通のものは少なかったと思いますけれども、たくさんございます。その関係のもの全部が、極秘のものも秘のものもあるいは外務省では平と申しますけれども、秘でないものも、内閣のほう及び運輸省のほうにコピーを渡しているわけでございます。
  285. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 だから、自民党の議員が、総務会で公表されたその内容の電報というのは、何に当たるかと聞いているわけですよ。具体的に聞いているわけですよ。
  286. 大平正芳

    ○大平国務大臣 御理解いただくために、ちょっと概念を整理させていただくのですけれども、公電が漏れたということが世上一般に言われておりますが、それは、いきなりまだ断定できないわけでございます。つまり、藤尾君が総務会または記者会見で、日中航空交渉に関連した発言をされたことは事実でございますが、それは一体、公電、いわゆるあなたが言う極秘なら極秘という判こを押した公電をごらんになったのか、そうでなくて、あらましの内容をお聞き取りになられたのか、つまり、そういう点が実は不明なのでございます。でございますから、公電が漏洩したということは、ちょっとまだ、そこまで問題がいっていないわけでございまして、いま各省から御説明がございましたのは、外務省から、日中交渉の経過につきまして、外務省、内閣官房、運輸省に、それぞれ所定の部数がいっておる、それは、このように保管しておる、そこからわれわれが受けておる報告では、公電を複写して渡したとかいう事実はないという報告を受けておるのでございます。  したがって、公電が、漏洩ということばが、ちょっと不完全なので、そう断定することはまだ早いのでございまして、つまり、いま、そういう関係がどうなっておるのかということを、全体として調査させていただいておるわけでございますので、それが解明されないと、これは人の名誉にかかわることでございますし、重要な問題でございますので、慎重に取り扱っておるわけでございますので、そういう事情をひとつおくみ取りいただきたいという点が一点でございます。  それから、しかしながら藤尾君が発言された内容というものは、私の承知する限りにおきましては、極秘の公電の中の一部に相当するものが含まれておるように私は思います。しかし、それがどういう経路で藤尾君の記憶の中に入ったのか、それがどうも、私どもまだよくわからぬわけでございますので、そういうわけで調べさせていただきまして、事実をちゃんと踏まえた上でないと、断定的なことを申し上げられないというのが、今日の段階でございます。
  287. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま外務大臣が、名前をあげられて藤尾議員というふうにおっしゃったわけですが、私も、それでは藤尾議員と申し上げましょう。言うならば、発表された中に、極秘の部分が含まれておったということは、外務大臣確かにお認めになったのですから、結局その公電というのは、かなり極秘に近い公電であったということは、事実だと私は思うのです。そういうことで、外務当局は、そういうふうな極秘の公電の部分が含まれている問題が、言うならば漏れたということに対して、あるいは運輸省当局においてもそうですし、それから首相官邸当局においてもそうでありますけれども、もうかなり日にちがたっているわけです。私ども、日中航空協定が、少なくとも衆議院の段階で通ったというその時点において、この問題が一応どういうことになっているのかということを、やはり調査した結果を聞かしていただかないと、これは、うやむやになってしまう気配が見えるわけであります。  かつて、沖繩の返還協定のときの西山、蓮見事務官等の問題については、かなりきびしい態度で外務省当局も臨まれたはずであります。となると、この問題は、別問題であるというふうなわけにはいかないのじゃないかと思うのですけれども調査した結果は、どういう状態でしょうか。
  288. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いま調査中であるわけでございまして、全貌が掌握できたわけではないわけでございます。さよう御無知願いたいと思うのであります。ただ、外交機密というものは、守らなければならぬものでございまして、それが、ああいう形で漏れたということは、たいへん残念に思っております。  政党内閣でございますので、政府が与党と一体となって内政、外交をやっているわけでございますので、与党に対しまして、一般に公表しないことにつきましてもある程度、概要を御報告して御理解をいただくというような慣行は、ある程度定着いたしておることは御案内のとおりでございますし、そういう慣行自体は、政党内閣を維持していく場合において、一般に理解もされ、容認もされる慣行じゃないかと私は考えております。  ただ、これが交渉の途次あらわになったということは、たいへん私は残念に思っておる次第でございます。しかし、その過程がまだ解明されていないわけでございまするので、国家公務員法上の問題として、どのようにこれを措置してまいるかということにつきましてのデータがそろっていないわけでございますので、せっかくまだ調査中であると御承知願いたいと思うのであります。  ただ問題は、政府と与党との間のことであるから、このままうやむやにしてしまうというようなことは、考えていないわけでありまして、政治をやる場合には、公明にやらなければいかぬわけでございますので、措置はちゃんといたしていきたいと考えております。
  289. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、やはり機密の重要な部分が漏らされたということは、ほんとうにそういうことはあってはならぬじゃないか、こう思うわけです。ところが、それが現実の問題として俎上にのぼって、日中航空協定の過程においては、かなりの大きな問題になったことも事実であります。となると、現在、外務省のほうは調査中である。それから運輸省のほうは、どのような調査をされておるか。また内閣官房のほうは、どういうふうな結論になったのか。その点について、各三省とも明らかにしていただきたいと思います。全然火のないところには煙は立たないということであって、調査をすれば、必ずや何らかの事実というものは出てくるのではないか。そうした場合に、外務大臣として、当然それは国民にこういう状態であったということを明らかにすることをお約束していただけるかどうか。  それが、どういう状態であったか、私は、それは知りません一しかし国民のほうでは、かつて、あのような状態の沖繩返還協定においては、ああいうふうな機密漏洩という問題については、かなりきびしい処置がとられたということを認識しております。ところが、今度は、与党と政府との間であるから、うやむやになってしまうのではないか、そういうことがかなり懸念をされておるわけでありますが、私は、少なくともそういう過程の問題、事実関係については、必ずや後日であろうとも公表されるかどうか、その点についてお伺いいたします。
  290. 大平正芳

    ○大平国務大臣 政府といたしましては、この問題の結末というものは、公明にしなければならぬし、皆さん御納得のいく措置をしなければならぬと考えております。
  291. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、海洋法問題についてお伺いいたします。  領海の幅を規定した国際法上の実定法はありますかどうか、その点についてお伺いします。
  292. 松永信雄

    ○松永政府委員 国際法上、領海の幅員を定めました実定法は存在いたしません。現在、政府としては、国際法上の領海の幅員は、三海里であると考えておりますけれども、これは、いわゆる国際慣習法でございます。
  293. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現在、政府が主張している三海里は、国際法上いかなるものであるか。現在、三海里説は少数意見であって、実定法上また慣習法上も、国際法として確定したものではないと思うけれども、その点はどうなのであるか。現在の三海里主義は、一般の国際慣習にすぎないのではないかというように私は思うのです。それが国際慣習法とはなっていないように思うわけであります。したがって、三海里以上の領海の幅を主張しても、国際法違反とはならないと思うのですが、その点については、どうでしょうか、御見解をお伺いします。
  294. 松永信雄

    ○松永政府委員 ただいま申し上げましたように、政府といたしましては、国際法上の領海の幅員は、三海里であるという立場をとっているわけでございます。ただ近年、三海里以外の領海の幅員を主張する国が逐次ふえてきているという事実はございます。  したがいまして、現在、政府といたしましては、領海の幅員が、国際的な合意によって変更される場合におきましては、その合意によって領海の幅員を改定する所存でございます。しかしながら、その国際合意ができますまでの段階におきましては、なお国際法上の領海の幅員は三海里であり、これを一方的な措置によって変更することは、国際法上は認められないというふうに考えているわけでございます。
  295. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 領海条約で領海の幅が確定をしない限り、日本は領海三海里を固執する義務はないんじゃないか。日本政府は、やはり独自の判断で領海十二海里を宣言できるし、また世界各国は、これを尊重するという国際慣習が確立していると私は思うけれども、その点、どのようにお考えになっておりましょうか。
  296. 松永信雄

    ○松永政府委員 たとえば六海里でありますとか、十二海里であるとかいう領海を主張し、かつ、そういう制度を実施している国がかなりの数にのぼってきているという現実がございまして、これを、ほかの、六海里なり十二海里の領海を認めていない国が尊重しているというのが国際慣習であるかという御質問かと思いますけれども政府としては、そういう幅の広い領海を採用していない国が、そういう幅の広い領海を尊重しているという事実はないと考えておりますし、また、わが国政府といたしましても、たとえば十二海里の例を申し上げますと、十二海里の中において、それが領海であるからということで、その沿岸国が措置をとったことに対しては、従来からずっと抗議をしてきているわけでございます。したがいまして、政府といたしましては、領海三海里が現在の国際法でありますし、やはりそれを尊重すべきであると考えているわけでございます。
  297. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いわゆる三海里を日本がとっているのは、実定法上もまた慣習法上も、国際法として確定したものではない。国際慣習という観点から、そういうふうにとっているわけでしょうから、そういうことであるならば、いま日本が三海里であると言っても、それは少数意見にすぎないわけですから、十二海里なら十二海里というふうに日本が当然宣言もできるし、通告をすることもできるのではないか、こういうふうに法律の上から私は申し上げているわけでございますが、その点はどうですか。
  298. 松永信雄

    ○松永政府委員 それは現に、たとえば十二海里の領海の制度を主張している国がたくさんあるわけでございますから、そういう主張をすること自体が、不可能であるということはいえないと思うのです。ただ、御承知のごとく、三海里は伝統的な国際法としてもう確立されたものでございますし、現在の時点におきまして、なお英、米、仏、その他二十数カ国が三海里の制度をとっていることも、また事実であるわけでございます。
  299. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 日本政府は、ベネズエラのカラカスで、来たる六月に予定されている海洋法会議に出られるわけでしょうけれども、それを待つことなく、領海十二海里を宣言するということを考えておられるかどうか。向こうへ行っても、主義、主張が違って、過去に二回もまとまらなかったという例があるわけであります。もう三海里というのは、ある程度少数意見に近くなってきているわけですから、そういう意味からいうならば、それを待つことなくして、十二海里説を宣言されるおつもりはあるかないか、その点についてお伺いをします。
  300. 松永信雄

    ○松永政府委員 先ほど申し上げましたごとく、国際的な合意によって、領海の幅員が変更される場合は、それに従うというのが、現在の政府方針でございまして、一方的に領海の幅員を変更するということは、現在は考えておりません。
  301. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 だから私は、実定法並びに国際慣習法という法律に基づいて、そういう措置がとられているならば、話は別だと思うのです。国際慣習ということであるがゆえに、こちらのほうから意思表示をする、通告をするということによって、言うならば十二海里がとれるのではないか、そう思うわけです。  御存じのように、六月の海洋法会議で、おそらく議題になるとは思いますけれども、領海の幅を定める条約の成立というのは、まず不可能じゃないか、非常にむずかしいんじゃないか、私は、大体そのように考えております。だから、そういう意味からいうならば、日本政府は、海洋法会議の決定を待つということでなく、わが国の利益を考えて領海十二海里に踏み切るべきではないか。これは、もうそろそろ日本の国自体が、早急に十二海里に腹をきめる時期ではないか、こういうふうに思うのですが、その点は、どういうふうにお考えになっていましょうか。
  302. 松永信雄

    ○松永政府委員 来たるベネズエラの海洋法会議におきまして、領海の問題が取り上げられるということは、すでに予定されている議題にのぼっておりますから当然でございますし、また、領海の幅員だけの問題に限っていいますならば、おそらく十二海里とすることについて、圧倒的多数の国の意見がまとまるだろうというふうに考えております。しかしながら、ほかの海洋法の問題が非常にたくさんございますし、また、それらについては、非常に多くの意見が対立しておりますから、来たる海洋法会議において、まとまった結論に達し、国際的な条約が作成されるということは、先生御指摘のごとく、おそらく実際問題としてはむずかしいだろうというふうに考えております。  その場合に、日本が独自の措置、一方的な措置によって、領海の幅員を変更すべきではないかという御指摘でございますけれども、これは一つの政策課題としては、私は検討に値する問題だとは思います。しかしながら、現在の政府の立場といたしましては、国際的な合意を待って領海の幅員は変更されるべきであろう、こう考えているわけでございます。
  303. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、あなたは、海洋法会議では、おそらくその推移というものを考えても、なかなかまとまらないであろうということでありますが、まとまらないということになれば、過去に二回もまとまらなかったわけであります。今度も三回目であります。となると、意見は十二海里が出ておっても、まとまらなければ、日本としては十二海里説というものを今後とらないのかどうか。まとまらなくても、ある程度そういう意見が大多数を占め、そして何らかの動きが、わが国に利益をもたらすものであるという判断をされた場合には、そういう処置をとられるのかどうか、お伺いします。
  304. 松永信雄

    ○松永政府委員 それは、その先の時点になって検討されるべき問題であろうと思いますけれども、一般論として申し上げますならば、先ほど申しましたごとく、国際法上確立されている領海の幅員は、三海里であるという立場を政府はとっているわけでございます。よその非常に多くの国が、これに反する制度を主張し、あるいは実行しているという事実は、承知いたしておりますけれども、国際法に違反して、一方的な措置をとるということは、政府としてはやはり誤りであるというふうに考えているわけでございます。したがいまして、国際的な合意というものが作成されるということをまず待ってから、領海の幅員というものの制度は、変更されるものであるというふうに現在の時点では考えておるわけでございます。
  305. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国際法としてそれが徹底すれば、それほど理想的なことはないわけです。だけれども、先ほども私が言ったように、実定法でもなければ、国際慣習法でもない、そういう問題が、いわゆる領海の幅をきめているわけでありますから、当然、日本の国が、そういうふうな判断に立った場合には、十分そういうことができ得る。それは、あなたのおっしゃるのは、理想的な姿であるにしても、実際にはそういうことが、今度も危ぶまれるという状態の中にあって、私は、もうそろそろそういう決断をされるべき状態ではないかというふうに思うのですけれども外務大臣、その点はどのようにお考えになっているか。  それから、水産庁にお聞きいたしますけれども、最近、ソ連の漁業船団が、伊豆沖や銚子沖で大規模な漁業をやっており、わが国の零細沿岸漁業の脅威となっております。これらのソ連漁船は、沿岸からどのくらいの距離に接近をしておったのか、その事実関係については、どのようにお調べになっているか。わが国は、領海三海里説をとっているために、これに抗議できないというのが実情ではないかと思うのですけれども、その点はどのようになっておりましょうか。
  306. 大平正芳

    ○大平国務大臣 三海里説、十二海里説というものが、一つの独立した案件として処理されるものであれば、問題の処理は、比較的簡単でございますけれども、十二海里説それ自体にも、海峡の自由航行の問題、水中、海底の資源の問題等が含まれてまいりまするし、それに経済水域の問題が、関連した問題として出てまいるということも、予想されるわけでございますので、わが国の国益を踏まえた場合に、どういう措置が一番有利かという点を常に考えておかなければいかぬと思っておるわけでございまして、現在は、条約局長お答え申し上げましたように、今度のカラカス会議におきましても、多数が十二海里に固まってまいって、それについて、われわれとしてとうてい容認できないような関連した問題が、あまり持ち上げられないというようなことでございますならば、私は、それに踏み切るいい機会であろうと思いますけれども、これは、そのときの状況を具体的に判断しないといけないと思いまするし、またあなたが御指摘のように、そこでまとまらない場合いつまで待つのか、待たないで日本が何か一番有利な方途は考えられないかという問題につきましても、私も全く同感でございまして、その間、日本としてどう決断することが、一番有利かという判断が固まれば、それは、そういう措置を講じて差しつかえないと思いますけれども、そのピクチャーが、まだどうもはっきりいたさない状況で、いま、いろんな可能性を検討いたしておるというのが現状でございます。
  307. 米澤邦男

    ○米澤説明員 ソ連船の日本沿岸における活動状況についての御質問でございましたけれども、ソ連側は、全体として見ますと、わが国の沿岸では、十二海里以内に入るということは、きわめてまれなケースでございまして、平均的に申し上げますと、大体十五マイルないし二十マイルというようなところが、ソ連の主漁場になっております。したがいまして、わが国の漁船の漁具が被害を受けたというような状況でも、十二海里以内で起きました件数というものは、全体の一割にも満たない、およそ一割程度ということになります。  それから、先生の御指摘になりました伊豆の銭洲漁場に限って申し上げますと、銭洲漁場の場合では、大体距岸六、七マイルということでございますので、この水域に限って申し上げますならば、十二海里ということで、ある程度わが国の漁場が守られるということになるかと思います。しかし全体として申し上げますと、やはり主漁場というものは、距岸十五マイルないし二十マイルというところで、十二海里以内での操業は、ごく限られたケースであるということが言えるかと思います。
  308. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 韓国における邦人の逮捕事件について少しお聞きします。  太刀川君や早川君の両人が、KCIAに逮捕されておりますけれども政府は、どのようにその事実を掌握されておるか、それについてお伺いします。
  309. 高島益郎

    ○高島政府委員 太刀川、早川両氏が、四月八日に韓国治安局の任意取り調べというかっこうで、緊急措置第四号違反の容疑で任意取り調べを受けておりまして、当時、韓国政府側の大使館員に対する説明によりますと、この任意取り調べは、そう長くかからない、ごく短時日で終わるから、なるべく公にしないで、そっとしておいてもらいたい、そうすれば早期釈放が可能であるというような説明でございまして、わがほうも、そのようなことになることをこいねがってきたわけでございますが、二十二日に至りまして、その後、新容疑が出てきたということで逮捕されまして、現在ソウルの拘置所におりまして、緊急措置第四号違反の容疑で、その後も捜査を続行されております。  非常に残念な事態でございますが、わがほうといたしましては、できるだけ早期に、本事件が解決して、寛大な措置がとられるように、韓国政府にもいろいろ働きかけておりますし、また他面、面会の要求それからまた、いろいろ実際に容疑事実がどのようなものであるかという点を、具体的に承知したいということで、累次韓国側に対しまして、そういう要請をいたしておりますが、現在のところ、まだ面会は一回、十二日に行なわれましたけれども、その後、面会は行なわれておりません。ただ、差し入れその他は、家族が拘置所において行なっておりますが、そのような状況でございまして、いま弁護人の選任という問題を、家族とも相談いたしまして、具体的に話を進めております。
  310. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 東郷外務次官は、当初は事態を大げさにしないほうが、早期解決につながると考えたが、結果が期待どおり動かなかったことは、判断を誤ったことであり残念だ、そのように言われております。しかし私は、李承晩政権から今日までの政権に至るわが国に対する態度は、ある場合はたいへんに権謀術策を弄して、信義に反する事例がかなりあろうかと思います。最近には金大中事件等、わが国に対する数々の不信行為があったことは、御承知のとおりであります。  日本政府の対韓政策は、根本的に再検討をしなくてはならないのではないか、私はそのように思うわけであります。駐韓日本大使館、総領事館等の館員が抑留、逮捕されている両君に直接面会して、事情を聞いておられるかどうか。日韓間には領事条約はないけれども、領事館を相互に設置しております。領事の一般的事務として、自国民が相手国の官憲に逮捕、勾留された場合、当局官憲に、被疑者に面会を求め、事情を聴取し、人身を保護することができることになっておるわけであります。私は、当然そういう措置をとられたと思うわけでありますが、その点についてはどうですか。
  311. 高島益郎

    ○高島政府委員 先ほど申しましたとおり、十二日に、実際に御両人に面会を館員がいたしまして、いろいろお話を伺ったわけでございますが、その後、逮捕をされましてからは、韓国の国内法上のたてまえからいいまして、面会というのは非常にむずかしいという説明でございますが、私のほうといたしましては、できるだけ、さらに面会を求めて、そうして被疑事実その他についても、直接本人から伺いたいということで、韓国側に折衝をいたしております。  先生いま御指摘のとおり、日韓間には領事館を相互に設置しておしますけれども、いわゆる領事条約というようなものはございません。しかし国際的な慣習によりまして、領事館の権限その他につきましては、大体、国際的に承認された原則がございます。そのようなことで、こういうような事件が起きた場合には、ある程度、もちろんその国の法制の範囲内でございますけれども、面会し、いろいろ人道上の要請に従って、公正な取り扱いを受けるように相手国政府に要請するということは、当然やるべきことであるというふうに考えております。
  312. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 金大中事件が未解決であるさなかの今回の事件は、わが国の国民感情を非常に悪化さしているのではないかと私は思います。なかんずく今回の事件が、民主主義の原則を全く無視した強硬政治家の朴政権の非常措置としてとられたことが、国民感情を刺激しておるわけであります。すなわち、朴体制批判ということが、死刑に処せられるということにまでつながるという問題であります。こういう中にあって、両君が処刑されようとしておるのでありますから、日本政府としては、内政不干渉ということで傍観する以外に方法はないのかどうか、私は傍観すべきではないというように思うのでありますが、外務大臣は、どのようにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  313. 大平正芳

    ○大平国務大臣 韓国の法令は、韓国の主権の問題でございまして、私がとやかく言うべき性質のものじゃございません。われわれがこいねがっておりますことは、この処理が迅速に行なわれまして、取り扱いが人道的に行なわれて、早期の解決ができることを期待し、そういうラインで先方に要請をいたしておるわけでございます。鋭意いまやっておる最中でございますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
  314. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の事件も、やはり金大中事件と同じように、うやむやにされるおそれがあるのではないか、私は、そういうふうに感ずるわけであります。御存じのように緊急措置第四号というのは、最高の刑罰は死刑という状態にまで持っていかれる刑であるわけでありますが、そういう意味において、やはり日本政府は、ただただ内政不干渉だというふうなものの考え方ではなくして、やはり人命を尊重する意味において、最大限の努力は払っていかなくちゃならないのじゃないか。そういう意味において、外務大臣として、何らかその両名の生命の安全を保障する手段を講ずるように、強硬に韓国側に申し入れをすべきではないかと思いますが、その点は、どうでございますか。
  315. 大平正芳

    ○大平国務大臣 再々にわたっていたしておるわけでございまして、問題の早期の解決に、いま全力をあげておるところでございます。
  316. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 もう時間が経過をしておるという紙が回ってまいりましたので、以上をもって終了させていただきたいと思います。
  317. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  318. 徳安實藏

    徳安委員長 ただいま委員長の手元に野呂恭一君より、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。
  319. 徳安實藏

    徳安委員長 まず、提出者より趣旨の説明を求めます。野呂恭一君。
  320. 野呂恭一

    野呂委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げますと、原案のうち、在勤手当に関する改正規定は、昭和四十九年四月一日から施行することとしているのでありますが、すでにその日が経過いたしましたので、これを公布の日から施行し、本年四月一日から適用することに改めようとするものであります。  よろしく御賛成をお願い申し上げます。
  321. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。      ————◇—————
  322. 徳安實藏

    徳安委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、野呂恭一君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  323. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  324. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  325. 徳安實藏

    徳安委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  326. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  327. 徳安實藏

    徳安委員長 次に、防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中路雅弘君。
  328. 中路雅弘

    ○中路委員 最初に、この防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案に即して、何点か御質問したいのですが、その前に、今度の法案は、現行法の改正ということではなくて、新法として出されてきたわけで、簡潔にお聞きしたいのですが、これが新法として、新しい基地周辺の整備法として出されてきた背景といいますか考え、そういった点について、簡潔に長官からひとつお話を願いたいと思います。
  329. 山中貞則

    山中国務大臣 昭和四十一年五月の衆議院内閣委、六月の参議院内閣委で、それぞれ現行周辺整備法を御可決願った際に、附帯決議がございまして、それについて、いろいろ運用についての指示等がございました。そこで、それに基づいて、今日まで現行法で行政上の処理をしてまいったわけでありますが、基地の態様あるいはその周辺の市町村あるいはまた周辺地域住民の人たちの感覚や、生活様式その他も変わってまいってきております。人口動態等も変わりつつあります。  したがって、これらの問題を解決するために、たとえば法律目的でも、今日までの法律では、運用ということになっていましたのを設置、すなわち存在すること、そのことも問題として、原因の一つに取り上げようというような考え方をもちまして、ずっと整理していったわけですが、現行法のところで、若干それの裏負担と申しますか、地元負担等についての起債を認めたり、あるいは特交等の措置があれば、現在の程度でもいい範囲のものと、どうしてもそれにはまらないという問題、たとえば調整交付金、特定基地の交付金等についての問題等は、どうしても改正というには——やはり基本的な問題として、この際、新法として新しい時代の要請を踏まえていくべきではなかろうか、こういう気持ちで、改正でもいいという意見もないではなかったのでありますが、この際、やはり装いを新たにして、新法としようということにしたわけであります。特別の他意はございません。
  330. 中路雅弘

    ○中路委員 特に基地をめぐる周辺の問題、具体的に問題の起きているところを見ますと、新しいアメリカ基地の再編成、拠点集中といいますか、そういうニクソン・ドクトリンに基づいた再編成、合理化、こういう基地、またそれと関連した自衛隊とのいわば共同使用、共同作戦体制、こういったものが展開されている周辺で、いわゆる基地問題というのが、地方自治体や住民との間に非常に新しい問題、矛盾を引き起こしてきているわけですが、この新法として出された背景の中に、いまの七〇年代になって以後の、基地をめぐる新しい情勢の展開といいますか・こういう新しい基地と自治体住民との間の矛盾の拡大、こういったものに、現行の周辺整備法では十分対応できない、こういう状態が生まれてきている、ここに大きな問題があるというふうに私は考えるわけです。  この点では、昨年の五月の防衛施設庁広報に、平井施設部長の指示というのがありますが、相当長く、周辺整備をめぐる情勢、この中にも、その背景が詳しく書かれています。いまの基地問題の平井部長の指示の中に、こういう文章があるのです。「日米安保条約に対する国民の理解というもの、これは相当深まり定着してきていると思います。自衛隊に対する認識あるいは自衛隊に対する支持というものも相当高まってきている。」ということを述べて、地元基地を擁している「これらの地域住民達は、この広大な飛行場だとか、演習場の地域の中に、これが宅地であるならば、あるいは工場が誘致できるならば、あるいは素晴しい国民保養の観光地として開発されるならば、そういった夢を抱くのも当然であります。」というような文章があるわけですが、この中では、いまの基地問題をめぐる住民の気持ち、ほんとうの要望、指向する方向、こういったものを、防衛庁の皆さんは、正しくとらえられていないんじゃないかということを、私は痛感するわけです。  特に集中化されている基地の周辺というのは都市化され、過密化されている。この中でも、認められているわけですが、都市計画にも重大な障害となってきている。しかも大都市やその周辺都市では、いま人口急増による学校用地一つ取り上げても、たいへんな状態にあります。この住民の生活環境整備の要求、こういった運動が、非常にいま基地——いわば基地都市の中にめり込んでいるような状態ですね。自治体との矛盾を深化しているわけですから、安保条約があるから基地はやむを得ないんだということが非常に困難になってきている。こういう言い方だけでは困難になってきている。  また現行周辺整備法でも、さっき長官がお話しのように、自治体の財政負担、こういう解消要求は解決していませんし、交付金その他の過少に対する不満も非常に強い。したがって、「夢を抱くのも当然」というのは、夢ではなくて、基地周辺の住民や自治体にとっては、基地返還という問題あるいは平和利用の問題、都市計画障害を除いてほしいということこれは、いま現実的な要求になってきている。これに、どのようにこたえていくかということが、基地問題を解決していく根本的な問題だし、アメリカの新しいベトナム情勢以後の中における基地の一そうの合理化、機能の強化、拠点基地の集中強化、こういうものに協力していくという形では、いまの基地問題というのは、根本的に解決しないと私は思うわけです。  しかも、ここで安保条約自衛隊に対する認識が高まっているとおっしゃいますけれども、この周辺整備法案で関連のある自治体あるいは住民の皆さんと、幾らか最近回って懇談もしましたけれども米軍基地がベトナム侵略戦争——特に八年間ですか、現行周辺整備法ができて以後の情勢の中で、六四年以来のベトナム戦争に、在日米軍基地が非常な拠点基地となり、犯罪的な役割りを果たしてきた、こういうことは、周辺の人たちは、一般の国民以上に身をもってみな知っているわけですし、自衛隊がそれとの補完部隊といいますか、一体になってきているという事実も、共同使用の基地では、一そうよくつかんできておりますから、認識が深まっているのではなくて、むしろ、そういう疑惑やあるいは反対の声のほうが高まってきている。私自身行ってみて、保守党の影響の、皆さんの政府のほうの影響の地方自治体自身の皆さんからも、そういう意見や批判がむしろ出ているというのが、現状ではないかというふうに思うわけです。  その点では、この周辺整備法を新法として出されておりますけれども、公害でいえば、公害の発生源にメスを入れ、あるいはそれを規制する、除去するということを抜きにした、公害の当面の対応策という範囲での法案ですから、これによって基地問題のいまの深刻さや多様さ、こういった問題は、決して私は解決できないのじゃないかということを痛感するわけです。この問題を、きょうここで論議するつもりはありませんけれども、この法案によって、いまの基地問題が、自治体や住民から出されておるほんとうに指向する方向、要求、こういうものにある程度対応できるのだというお考えだとすれば、これは現実と合わないのじやないか。むしろ一そう基本的な、この基地に対するもっと本質的な要求というのが、これからも強まっていくでしょうし、この法案によって、そういう問題が解決できないだろうということを、私は痛感をしたわけです。  平井さんは、夢だとかいうことで、ここにお話しになっているから、私は、この法案に即した質問をする前に、一言お話ししておきたいのですけれども、夢ではなくて、地方自治体も含めて、いまのこの基地が、都市化の中で大きな障害になっておる、これを何とかしてほしいというのは、最も現実的な自治体、しかも、それは革新自治体といわれているところだけではなくて、一般の自治体、住民を含めての強い要望なんだと思うのですが、一言、この点について平井さんのお考えも聞いておきたいと思います。どういうふうに認識されておりますか。長官にお聞きしてもいいですけれども、まず最初に、平井さんが、この文章を書いたのだから、夢だと言っておるのだから……。
  331. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 御指摘の文章と申しますのは、たしか昨年の五月、全国の防衛施設局の施設部長、事業部長を集めましての会議の席上、私が当面の防衛施設問題に関する説明をいたしましたものを、担当の記者が口述筆記したものが掲載されたものであります。  たまたま、先ほども指摘のように、かなり長い部分の中の一部を抜き出されまして、そこで夢ということばをとらえられているわけでありますが、全体を流れる姿をごらんいただきましたら、防衛施設問題に関するわれわれの取り組み方なり、防衛施設周辺の住民の皆さん方が、いろんな立場からどういうふうに考えられておるかということは、御理解できるのじゃなかろうかと思います。したがって、夢じゃなくて現実だどうだということにお答えするよりも、そういう基地周辺の多様な姿というものを、われわれなりに絶えず正確に把握しながら、いわゆる基地問題に取り組んでいるというふうに御理解いただきたいと思います。
  332. 中路雅弘

    ○中路委員 他の個所でも、こう言っておるんですよ。アメリカのほうは、いまの基地施設をより効率的に統合し、整理しながらやっていく。「永続平和」というニクソンのことばも引用されておりますね。これに協力していくのだということも言っておられる。それから自衛隊のほうは、「更に今後自衛隊施設につきましては、装備の変化に伴ない新たな施設の取得というものが当然起ってくるわけであります。また、現に幾つかの新たな計画を各局において抱えております。これらの問題につきましては、何としてもこれを実現していくという心構えと責任を持つということが必要であろうかと思います。」と述べておられるわけですね。明らかにここでは、アメリカ基地の再編、拠点集中、こういうものに協力していくだけではなくて、自衛隊のほうも新しく施設の取得ということが当然起きてくる、どうしてもこれを実現していくという心がまえでやっていかなければいけないという訓示をされておるわけです。こういう考えで進めていくと、いまの基地問題は、解決できるどころか、一そう矛盾が激化し、深化していくだろうということですね。  アメリカ基地については、あとで具体的に質問しますけれども、やはり縮小、返還の方向を強く要望していきながら、ここで新しく自衛隊基地をさらに拡大していくわけですね、これから取得する、これは何としても実現しなければいけない、ここでは一そういまの住民、自治体との矛盾を激化するわけです。こういう考えを基礎にしてこの新法を出されている。設置や運用ということを入れて考えて、それに協力してもらうところには、幾らか金を出しましょうということでは、基地問題、いまの住民や自治体の要求は解決しないし、この問題が一そう激化せざるを得ないだろうと思うわけです。それでお話ししているわけですけれども、具体的に法案に即してお尋ねしていきたいのですが、いまの点について、長官はどのようにお考えですか。基地問題の根本的な解決ですね、立場も違うでしょうけれども、やはり住民や自治体のいまの要望にこたえるという、政府の立場からいってのお考えを一言お聞きしたい。
  333. 山中貞則

    山中国務大臣 あなたのは、前のほうに中路論文がありましたので、私は、長広舌をふるう気はないのですが、私どもの夢は、国連憲章の理想どおりの、いわゆる全地球上の国家、民族が国連のもとに、国際紛争解決の手段としての武略も全部、国連の武力のみがあって、世界の平和な時代が願わしいという夢を持っているのです。したがって、そういうことを考えながらも、しかし、かといって現実は、なかなかそうまいらないから、われわれとしては、アメリカとの間に安保条約を締結する。その安保条約においても、国連憲章のことばを引用しておるのは、そこらにあるわけでありますけれども、かといって日本の場合は、新憲法下の許容される範囲内であっても、戦術核等については、核に対する特別な日本人の立場からいって、それも含めて使用しない限界等を示しつつ、かといってその範囲内の日本の力では、もし日本が侵略された場合というのは、最悪の場合はとても守り切れる世界情勢ではない。そこで、アメリカの核の戦略というものをかさとした駐留というものを認めて——もちろん日本に持ち込ましているわけではありませんで、基地の存在というものを許容して、二国間の安保条約というものを踏まえて、それによって、安保条約が基調となって、日本防衛力というものがそこに存在し得る。でなければ、日本独自でもって防衛しようというのは、今日の時代には、とても不可能であるという考え方に立っております。  そこで、そこらのところが、根本的に意見が違うわけでありますから、これ以上お話を申し上げませんが、そういう立場でおりますために、これは、もう意見の違う立場は別にして、現実に基地が存在をする、その場合において、今日の都市人口の集中化あるいは一方において過密過疎の現象等から考えまして、ところによってそのような、ああいう基地がなかったらという状態になっておる場所があることもよくわかります。そこらのところは、施設部長は理解を示し、理解を示した態序で努力をしなければならぬという姿勢を述べて七るものだと思います。なかなかいいことを言っているなと思って、さっき聞いておったのですけれども……。  だから、そういう意味で、私たちとしては、先ほど中路委員が言われました、現行法律では対応し切れなくなったから、こういう法律を出そうとしたのじゃないか、実はこれはそのとおりでございまして、隠そうとしておりません。今日の多様な各種の要求というものに対して、基地がなければ、公害発生源と同じように、基地の関連する阻害も障害もないのじゃないか、そのとおりであります。しかし私たちは、基地を全部なくするということは、いま考えられません。そういう立場にある以上は、基地があることによって、周辺の仲民、市町村の皆さん、県の皆さんのおっしゃっているいろいろな御要望にこたえるためには、やはり新しい一歩踏み込んだ新法というものを持つ必要があろう、そういうことで考えているわけでありまして、かけ引きのない正直なところを申し上げます。
  334. 中路雅弘

    ○中路委員 現実に対応できなくなってきたということも、おっしゃったのですが、じゃ、これがほんとうのそういう対応策としても、有効なのかどうかという問題について、やはり法案に即して幾つか聞いていきたいと思うのですが、現行法な踏襲した部分が相当あります。   〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕 新しく入ってきた問題を中心に、時間も限られていますから御質問したいのですが、一つは、これは総理自身の権限のところですから−総理は、いないのですけれども、お聞きしたいのですが、新法の第九条で、特定防衛施設の設定と特定防衛施設周辺整備調整交付金の制度というのが新設されますが、この特定基地の指定の条件を、最初に簡潔にお聞きしたいのです。
  335. 田代一正

    田代政府委員 お答えいたします。  新法第九条によって、どういう基準でもって特定防衛施設を指定するかという御質問かと思いますが、具体的な判定要因といたしましては、市町村の人口とか、その動態、それから特定防衛施設の面積とか、その面積が市町村において占める割合とか、あるいは航空機の離発着、演習場の実弾射撃訓練、そういった施設の運用による障害の度合いというものを、総合的に勘案いたしました客観的な基準に基づきまして、この施設を指定する、さらに、指定にあたりましては、関係行政機関の長と協議する、こういうことを考えているわけでございます。
  336. 中路雅弘

    ○中路委員 ここに四つあげられていますね、この中から指定が出てくると思うのですが、ターボジェット発動機を有する航空機の飛行場、それから射撃、射爆場、港湾、その他政令で定める施設とありますが、四番目のその他には、どんなのが入りますか。
  337. 田代一正

    田代政府委員 ただいま考えておりますのは、一つは規模の大きな弾薬庫とか、それからまた、そういった特定の施設ではございませんけれども施設を全部合わせますと、その自治体において非常に大きなウエートを占めておる、たとえば飛行場とか演習場とかいうものでないにしても、全部合わせますと、相当大きな面積を占めておる、こういうものも、やはり政令でもって考えていきたい、こう考えております。
  338. 中路雅弘

    ○中路委員 大体四つあがっていますが、この対象になる、たとえば第一番目のターボジェット発動機を有する航空機の離発着の飛行場、これだけでも十八か十九ぐらいあるでしょう。この四つの項目で対象になる施設というのは、ほぼどれぐらいありますか。
  339. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ターボジェットエンジン等の発動機を有する航空機の離発着を行なっております飛行場は、二十一ございます。それからジェット発動機を有する航空機が対地射爆撃訓練をやっております訓練場が四カ所、合わせまして二十五カ所でございます。また第二項の、いわゆる砲撃演習をやっております演習場の数は、これは相当規模の大小がございますので、いまのところ集計した数はございません。
  340. 中路雅弘

    ○中路委員 さっき指定のおよその条件というのをお聞きしましたが、この条件と関連して対象になるような施設は、概略どのくらいありますか。四つ−一つずつでなくてもいいですが、全体として対象になるのは、どれくらいありますか。先ほど施設長官がお出しになった条件と大体にらみ合った対象施設は、どれくらいありますか。
  341. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 先ほど私どものほうの長官から御答弁申し上げましたような、いわゆる具体的な基準、ものさしに当てて現地の実情等も十分考慮しながら、今後指定していくわけでございますので、その数がどういうふうになるかは、これからの作業の問題になってこようかと思いますが、一応この第九条で広大な面積を有して、その周辺地域における生活環境なり周辺地域の開発に及ぼしている影響というものが相当なものであると考えられる、それらの施設としましては、飛行場、対地射爆撃場といたしましては、ただいまの二十五ほどでございます。それから演習場で、大中演習場といたしましては、約二十ぐらいあろうかと思います。その他、政令事項になりますが、大規模な弾薬庫だとか、港湾だとかそういったものを含めますと、とらえ方によって数が多少違ってまいりますが、五十ないし七、八十ぐらいという数字になろうかと思います。
  342. 中路雅弘

    ○中路委員 とり方によりますが、一応対象になると思われるのが五十から七、八十というお話ですね。この九条によりますと、その中から内閣総理大臣が指定することができるということになっているわけですね。そして本年度のこの新しい新法による交付金の予算のワクは五億円でしょう。たとえば横田基地一つとってみても、直接関連の市町村が四つか五つはありますね。だから、対象が五十としましても、今年度でいえば、予算は五億円なわけですから、相当しぼられるということは想像がつくわけですけれども、当然そのとき選ぶのに対して、政治的な判断というのが働くわけですね。たとえば五十なり七、八十ある中で、相当しぼられたのが内閣総理大臣の指定ということになってくるわけですね。これは予算から見ても、当然のことだと思うんですけれども、この場合の基準というのはありますか。
  343. 田代一正

    田代政府委員 基準と申しますのは、先ほど私が答弁いたしましたような要素を、総合勘案してきめるということに相なります。ですから、先生おっしゃいましたように、ことしは、たった五億円でございますので、先ほどおっしゃいましたように、対象の施設といたしましては、五十とか八十ぐらいありましても、そう多くの施設を、最初の年に指定するということばできないのではないか、こういう感じを持っておりますが、なお目下、法案の成立を期して内部でも検討中でございます。しかし、いずれにいたしましても、そう多くの施設を指定するということはできないのではないか、こういう感じを持っております。
  344. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一度聞いておきますが、この五億円の金の配分方式というのは、どういうことなんですか。何か対象の公共施設で、こういうことをやりたいという場合にそのつど出るのか、それとも五億円を、総理大臣が指定した対象について初めからばっと分けていくのか。配分方法というのは、どういうやり方でやられるわけですか。
  345. 田代一正

    田代政府委員 実際問題といたしまして、たとえばある基地がある、それに関連いたしまして五つなら五つの町村があるといたしますど、先ほど申しましたような基準を使って、町村別に幾ら渡るかという金額が一応出ます。そういった金額が出ますと、市町村当局に対しまして、もちろん指定という問題がその先に入るわけでございますが、指定があったあとで、あなたの町村は、いかほどに相なりますよということになる。そういたしますと、市町村でメニューを見ていただきまして、その中から、私のほうは、これとこれをやりますから、その金をくださいという話になってくるということで、実際の作業が行なわれるわけでございます。  したがいまして、一般の補助金の場合には、こういつた学校部門をやりたいということで、事業が先に立って、そして金額がそのあとで出てくるということになりますが、今回の交付金の場合には、先に金額のめどが出て、それに対応した事業内容がきまってくる、こういうかっこうであります。
  346. 中路雅弘

    ○中路委員 まだ、どこを指定するかという明確な基準もない、相当しぼられるということですね。金額も、いまのような配分方法ですから、五十なり八十なり対象を持っている市町村で、指定されるところと指定されないところの自治体、自分たちは同じ対象に入っていても、指定されるところと指定されないところの問題が、当然起きてくるわけですね。非特定基地所在の自治体と指定される自治体との問題が出てくる。しかも明確な基準がないわけですが、指定する場合に、いまのような条件の中で、いろいろ政治的な判断が働かないのかどうか。  たとえば、もっと端的にいえば、この自治体は基地に非常に協力的だということ、あるいはそうでないというところとで、この金の使い方が、指定が非常に恣意的に扱われる危険性は十分あるのではないか、実際いって。協力的でないのを対象からはずす、ある意味で自治体をコントロールする。いままで補助金の場合でも、拡大解釈をした例が、たくさんあるわけですけれども、この場合に、特に金の配分方法からいっても危険が強いし、もっと端的にいえば、拠点基地としての所在地に対する、いわば協力料といいますか、そういう金にもなりかねないという心配もあるわけですが、この内閣総理大臣が、関係行政機関の長と協議してきめるという問題について、政治的な判断の中に、私がいま言ったような危険、危惧、そういうものは、当然皆さん持つわけですし、この点について長官、どういう基準でこれを指定されるのか、もう少し具体的なお考えを聞きたいと思います。
  347. 山中貞則

    山中国務大臣 それは、政令でぎっちり閣議決定を経て定めますから、そこに自民党あるいは基地に好意的だから、そこは多くするとかということのないように、機械的に算出できるようにしたいと思うのです。  たとえば嘉手納空港地区は、沖繩では最も大きな場所ですけれども、嘉手納村は保守党系かもしれませんが、北谷村、読谷村、コザ市、全部革新ですね。しかし、だからといって、それを特定の町村にふやして、ほかのところは減らす、そういうことはやっていいことではありませんし、また、そういうことを考えることも間違いだと思うのです。基地によって有形、無形、一種の迷惑を受けておられる方々に対して、メニューを示して、その選択の自由はありますが、金額はきちんと、客観的な指標によってはじき出される。各種ファクターは政令で定める。そういう恣意の入る余地のないようにしたいと思います。
  348. 中路雅弘

    ○中路委員 いずれにしても、全国で五億円ですから、何か非常に幻想を持っている自治体もあるみたいだけれども、現実に見た場合、学校一つ建てたって、たいへんな金ですから、この面でも何か特定基地を指定して協力をするという、自治体のあれを補っていくといううたい文句を見ますと、むしろ、これが政治的に運用される危険性のほうが強いのではないかという気もするのです。ですから、明確な基準が、これには必要じゃないかと思います。  次に、新しい施策で、飛行場周辺の整備の問題で、四条、五条、六条、七条という関係があります。午前中質問された問題とダブる点は省略していきますが、この一種、二種、三種の区域の指定について、音響の強度、発生の回数及び時刻等を考慮して長官が定める算定方法でやっていくことになっておりますけれども、この一種、二種、三種の基準は、どのようにしてきめられるのか、これも簡潔に。
  349. 田代一正

    田代政府委員 午前中、御答弁いたしたかと思いますが、技術的にWECPNLをもとにしてきめたい、こう考えております。したがいまして、一種の場合には八十五以上、二種の場合には九十以上、三種の場合には九十五以上、こういうことで考えたいと思います。
  350. 中路雅弘

    ○中路委員 一つだけ、関連して聞いておきたいのですが、たとえば大和の基地のデータで四十九年のでありますけれども、私は、測定点の騒音のデータを持っております。大和の場合は、横須賀にミッドウェーが入港してからの間の毎日の時間帯でも、騒音の最低から最高の測定が全部出ていますけれども、これを見ますと、大きな変化があるわけです。このように、たとえば厚木の基地をとってみますと、ミッドウェー入港時とそうでないときとは、極端な開きが騒音にあるわけですね。ミッドウェーの入港時でないときの一週間だけとれば、入港時の一週間とは全く違うのです。時間がないから、具体的な資料で説明しませんけれども……。測定で基準をきめられる場合に、いま一例で言いましたけれども、こういう点はどのようにされるのか、一言お聞きしておきたいと思います。
  351. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 今回の法案で一種、二種、三種区域を指定します場合に、騒音の量をはかる単位といたしまして、国際的な航空機騒音評価単位であるWECPNLというのをとろうとしております。  そこで、問題になりますのは、まさに御指摘の点だと思いますが、従来、たとえば厚木周辺で測定しておりますのは、ホンとかデシベルとかいう、いわゆる瞬間的に起こりますところの音の強さ、大きさというものをはかっている単位でございます。WECPNLの場合には、航空機の一日の総騒音量というものを評価する単位でございます。一日の航空機の離発着の回数あるいは飛行回数、したがって騒音の回数、また、その騒音の発せられております時間帯、そういったものをあわせ考えた上での一日の総騒音量をはかる予定にしております。したがって、一日の総騒音量をはかるためには、年間通じてその飛行場でどういう飛行の形態になるかということを十分とらえた上で、その一日の総騒音量を出していかなければならぬわけでございまして、今後この法案の成立を待ちまして、全国の対象になります飛行場周辺におきまして、WECPNLの騒音単位に基づくところの調査をあらためて行ないます。  実は現実には、昭和四十八年度におきましては、三カ所の飛行場におきまして、試験的に行なった実績がございますが、すべて新しい観点に立って、いま御指摘のような問題点も十分中に考慮しながら、WECPNLの分布の状態を調査して、それでもって一種、二種、三種の区域を指定していく、そういうふうに考えております。
  352. 中路雅弘

    ○中路委員 この一種の区域で住宅の防音工事の助成という、これは現行法の改正としても、前回、国会に出された中にもありましたけれども、この新法案に織り込まれているわけです。今度、予算はまだ一億という予算ですが、大体一種に指定されるだろうという、ほんとうの見積もりですけれども、その中で、いま工事ができるかどうか別にして、対象になるのは、どのくらい戸数があるだろうというお考えですか。
  353. 田代一正

    田代政府委員 正確には、WECPNLの測定がないと計算はできないと思います。しかし過去にあるデータその他を使いまして、たとえば一級防音地区でございますとか、あるいはまた五条による移転補償のための地区とかいう点を勘案いたしますと、非常に荒っぽい目の子算でございますけれども、数万——十万にはならぬかと思いますが、数万戸には対象戸数がなるのじゃなかろうかと思われます。
  354. 中路雅弘

    ○中路委員 数万から十万、目の子ですが、そうおっしゃった。それで、今度の予算だけですけれども、今年度一億円ですね。そうすると、百万円として百戸分。しかし百万円じゃできないですね。去年の秋の三里塚の場合の例を聞きましたら、一室の防音工事で百八十万円かかっているということです。また自治体から出ている要求を見ますと、一、二例をあげますけれども、羽村町から出ているのが、住宅防音十五億四千万円。ほかのを省略しますけれども、住宅防音だけとってみますと、昭島から出ている要求が、一戸一室の防音工事ですが、四十八年四月一日で対象世帯主万七千三百六世帯として、一世帯六畳鉄筋防音化で二百十二億九千八百六十八万円というのが出ております。それから福生で、やはり一世帯一室の防音工事の家屋建設六畳で百五億六千三百四万円。こういった要求と、いまお話しのように数下から十万、そして今度の新法で、これも一つの目玉みたいに、住宅の一室の防音工事をやるのだ、それに一億予算つけたといっても、百万円としてもわずかの百戸分。いまの自治体から出ている要求だとか、あるいは全国的に対象になる戸数を目ても、これは全くもう問題にならない状態ですが、今後これを、どういうふうに進めていくおりもりなんですか。
  355. 田代一正

    田代政府委員 確かに、おっしゃるとおり初任度でございますので、非常に四十九年度は少ない金額でございますが、先ほど私が申しましたような戸数というものが予想されます。そういたしますと、相当膨大な金がかかるということは、当然計算に入れなければなりません。一方、厚生省の発表いたしました環境基準という問題もございますので、そういつまで、のんべんだらりとやっているわけにもまいりません。私ども、やはり財政事情を見ながら極力スピードを上げて、個人防音に昭和五十年以降は取り組みたい、こういう考え方を、現在持っているわけでございます。
  356. 中路雅弘

    ○中路委員 これも、目玉だといわれているのだけれども、実際には、ほんとうにやる気があるのかどうかという疑問を持つような施策ですよね。法案ではこう出ていても、対象からいっても、いまの出発からいっても、地方自治体の要望からいっても、ちょっと不十分しかこたえられない、そういうものとも言えないような現状じゃないかと思うんですね。それで、この関連のは、あとでまた御質問しますけれども……。  もう一つ、この周辺整備と関連して、土地の習い入れの問題がありますね。この買い入れた土地は、管理は防衛庁で、行政財産になるのですか、普通財産になるのですか。
  357. 田代一正

    田代政府委員 防衛施設庁で買い入れました、いわゆる周辺財産と申しますのは行政財産でございます。
  358. 中路雅弘

    ○中路委員 買い入れた土地は、行政財産になるわけですね。そして「使用させることができる。」というふうに条文にありますね、地方自治体の緑地その他に。この「使用させることができる。」というのは、地方自治体に対する貸し付けではないのですか。「使用させることができる。」というのは、どういう意味ですか。——そうじゃないな。ちょっとすみませんでした。私、いまちょっと飛ばしましたけれども、第六条で、国は買い入れた土地について、「緑地帯その他の緩衝地帯として整備されるよう必要な措置を採る」、それからいまの「使用させる」というのは第七条です。第七条で「国は、第五条第二項の規定により買い入れた土地を、地方公共団体が広場その他政令で定める施設の用に供するときは、当該地方公共団体に対し、当該土地を無償で使用させることができる。」とありますね。これは貸し付けるという意味ですか。どういうことなのかまず、それを最初に……。
  359. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 従来から現行周辺整備法におきましても、五条によりまして、移転等の措置を行なった後のあと地を、防衛施設庁の行政財産として管理しておりますが、その管理しております過程におきまして、それが行政財産としての目的をそこなわない、あるいは目的に沿う範囲において、国以外に、地方公共団体あるいは一般の法人等に貸し付ける場合がございます。   〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕 これは国有財産法の十八条、関連しまして十九条、二十二条等の貸し付けの基準がございますが、この規定に従って有償ないしは無償で貸し付ける場合があるわけでございます。特にこの七条におきまして、「当該土地を無償で使用させることができる。」、使用いたします主体は地方公共団体でございます。国有財産法にも、現在、地方公共団体に対して無償貸し付けの規定はございますが、この移転あと地の、いわゆる防衛施設周辺の緩衝地帯的な緑地帯その他の利用というものを考えました場合に、特にここに掲げておりますように、自治体が「広場その他政令で定める施設の用に供するときは、」無償で貸し付けるというふうに、国有財産法の規定に合わせてここに特にうたったというのが趣旨でございます。
  360. 中路雅弘

    ○中路委員 いままでも行政措置で、相当広大な土地を施設庁で買収されているわけですね。かつては厚木なんかで見ますと、昭和三十六、七年ごろですか、その買収された土地が、だんだん基地の拡張に使われていくというケースがあるわけですけれども、この新しい法案で買収、買い入れるというこの土地が、あるいは緩衝地帯にされる、こういうところが基地として拡張されるという、そういうことはありませんか。それは、あくまで緩衝地帯あるいは緑地帯として、安全地帯として確保するんだということですか。
  361. 田代一正

    田代政府委員 こういう目的で購入しました土地につきましては、やはり緩衝地帯ということの目的のために購入し、いるわけでございますので、私ども今後とも、それが直ちに基地の拡張につながるというようなことがないようにいたしたい、こう考えております。
  362. 中路雅弘

    ○中路委員 これと関連して一つだけ、具体的に聞いておきたいのですが、例の横田基地の周辺で、一時周辺道路の要求が問題になったところ、市道の八百十八号線ですか、八百七十一号線と接しているところですが、向こうもいま、施設庁で相当買収をされていますね。これは今度の法案関係では、どの地域に入るのかよくわかりませんが、一種、二種、三種の。まず、それから聞いておきたいのですが、滑走路の横ですけれども、大体地域はわかるでしょう。これは、大体どの地域になりますか。
  363. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 現在の横田飛行場におきますところの、主としてこれは、米軍機でございますが、米軍機の飛行の状態等から、先ほど御答弁いたしましたWECPNLのいわゆるコンターというものを描く作業、これからそれの最終的な詰めをやるわけでございますので、正確に御指摘の部分が何種区域に入るかというところは、いまの段階では何とも申し上げられないのですが、滑走路、着陸帯との距離の関係から申しますと、大体第三種区域に入る部分になるのではなかろうか、そういうふうに考えられます。
  364. 中路雅弘

    ○中路委員 私も現地を見ていますし、ほぼ三種に入るのじゃないかと思います。  そうしますと、緩衝地帯ということになりますね、今度は緑地の。先ほどお話しのように、ここをあくまで緩衝地帯としていくということで、横田基地の拡張に使わせないということの確約はできますか。
  365. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 現在そういう考えは持っておりません。
  366. 中路雅弘

    ○中路委員 拡張に使わせるという考えはないということですね。——これは、たびたび地元あるいは市長等も施設庁と、周辺道路と関連してこの地域については、いままで交渉されている問題です。そうだとすれば、地方自治体との間でも、ここは緩衝地帯なんだ、それで買収したんだということで、基地拡張の意図はないんだ、それに使わせるつもりはないんだということを、関係の自治体、立川市との間で、何かの形で確約をするという方向はとれますか。
  367. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 地元関係市のほうから、特にそういうことを確約してもらいたいということでお話があがっている経緯はございませんので、いま、ここであえてそういうことを確約するということが、どういう意味につながるのか、よくわからないわけでございます。いずれにいたしましても、ここは、あくまでそういう周辺の緩衝地帯として今後も管理していきたい、そういう考えでございます。
  368. 中路雅弘

    ○中路委員 時間の制約もありますから、この問題だけであれしません。現地ともまたお話しになると思いますが、御存じのように、これは周辺道路と関連して、このところにある立川市の市道ですね、この市道を皆さんが、廃道にしてくれという要求を執拗に出されているから、市のほうも、これは拡張に使われるのじゃないかという心配な非常にしているわけなんですね。もし拡張に使われる、そういう買収だとすれば、市道を廃道にするということは、あくまでも困るのだということで、市長もあるいは立川市議会のほうも、そのことを強く言っているわけですから、これは緩衝地帯なんだ、拡張には使わせないのだということを、皆さんがはっきりされるということになれば、このあとの話も、また新しく進展する可能性があると私は思うので、御質問したわけです。それで、いま拡張に使う、そういうあれはないのだという一般的な御答弁をいただいたわけですから……。  それから、法案に即してもう一つだけ聞きたいのですが、十条です。補助金の拡大の問題でありますが、これは午前中の質問の答弁にありましたように、防衛施設庁自治省との間で、新法の三条の工事あるいは八条の措置をとる地方自治体に、自治省の特別交付税で自治体負担額の二分の一を補てんするという答弁が先ほどありました。この点についてお聞きしたいのですが、今度の予算で四百三十七億ですか、平均して八割ぐらいの補助ということでいきますと、五百億ぐらいの仕事ですね。  それで、自治体が百億ぐらい、その二分の一でほぼ五十億ぐらい。今度の予算ですと、その二分の一といいますと、それぐらに当たるのじゃないかと思うのです。この特別交付税で見るという問題ですが、特別交付金というのは、御存じのように、災害とか臨時の財政負担の際に使われるわけですね。そこで、この金を見るという問題について、よく検討してみる必要があるのじゃないか。これは自治省所管の金ですね、しかし、これをどこに使うかということは、結局、施設庁がどこにどういう補助をするということをきめて、その補助の中で何かができる、それの二分の一ということですから、本来、自治省所管の金であっても、自治省の独自の判断できめられない。防衛庁なり施設庁の判断で、この五十億なら五十億の金が動かされるという結果になるということがありますね。  その点で、私は、こういう補助金の拡大のしかた、裏金を、負担分を出すというのは、財政の問題もありますし、一つは、いわば自治省の権限の及ばない金が、この所管の中から出てくるという点で、権限の面からも、あるいは金額の面でも、今度は、全体としての、本来使われる特別交付金の金額を圧迫していくわけですから、問題があるというふうに考えるのですが、この点について、お考えはどうでしょうか。
  369. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、自治省との完全な合意ができなければ、こういうことは、国会なんかで答弁できないわけです。自治省としては、現在——本来ならば、理論的に言えば、防衛庁が交付してもいい、いわゆる基地交付金、そうして米ドル資産所在町村調整交付金、こういうものも、自治省としては、一般財源の固定資産税見合い相当額を念頭に置きながらやっておられるが、そこらのところは、私どもがやってもおかしくはないと思うのです。しかし、それは財政補てん——一般財政資金として出されますから、防衛庁がそういう使途のものを出すことは、勘ぐられるもとになるので、そこらまで立ち入るのはいけない。しかし反面、いままで、現在の周辺整備法によって行なわれました事業の地元負担、裏負担は、必ず起債を認めてやる、いわゆる適債対象とは見ていなかった。それを今回は、自治省協議いたしまして、適債事業として見よう。さらに先ほど申しましたから、ちょっと繰り返しになりますが、補助率のあるものは地元負担の二分の一、補助の定額のものは定額補助額の二分の一を、特別交付税によって当該町村に交付しようという、これは自治省大蔵省が最終的に合意した、官庁間の国の行政としての話し合いの結果、まとまったものでありまして、この法律によって措置はいたしませんで、自治省の省令をもってその旨を明記していただくということで、文章等についても打ち合わせ、合意をしておるものでありますが、特別に地方財政について影響があれば、これは自治省のほうがうんと言われなかっただろうと思うので、そういうトラブルなしに話のきまった問題であります。
  370. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、毎年の特別交付税についても、調べてみましたけれども、決してこれは余裕があるわけではないんですね。しかも、この基地周辺整備の現行法が制定されて以来の予算を見ますと、特に六九年度から非常に急テンポでふえてきていますし、わずか八年、九年の間で、予算規模でいえば四倍近くに膨張しているわけです。いま、たとえば五十億ぐらいの金だといっても、こういう傾向から見れば、将来もこういう金がふえるという可能性のほうがむしろ強い。そういう場合に、逆に特別交付税のあれを圧迫するということも考えられるわけですね。これは災害のときなんかにも支出されるし、臨時の選挙の費用で、金がかかったときの市町村なんかにも出される金ですから……。  そういう点で、私は、特別この問題で時間をとって質問するつもりはありませんけれども、こういう金の出し方については、よく検討をしていかないと、いわゆる権限の面でも財政的な面でも、将来、問題を起こしはしないか。矛盾が一そう出てくる問題も起こりかねないというふうに思いますので、その点については、自治省のそういう権限を侵したり、あるいは財政的な圧迫になるようなことが起きないように、十分の配慮、検討が必要であるという意見を述べておきたいと思います。  もう一つだけ聞いておきたいのですが、これは少し詳しく聞こうと思ったのですが、この問題では一言だけにしておきます。いままでの周辺整備法の中でも、補助金や助成金の使途について、非常に拡大解釈をしたり、あるいは政治的な恣意をもってやられたというような例を、幾つも私、感じるわけです。昨年も長沼へ行きましたけれども、ミサイル基地の設置との関連でしょうけれども、北海道では、あの長沼の小さい町に一番金をつぎ込んでいますね。どこに使われているのかと思って行きましたら、これは新聞でも報道されましたけれども、公民館だとかあるいはコミュニティーセンターだとかいうことで、実際行ってみると、パチンコ台からゲームセンター、いわゆる娯楽センターみたいな使い方になっている。これが問題になって、私が行ったときは、だいぶゲームセンターをはずしちゃってありましたが、それでもまだ二つばかりパチンコのあれが残っていました。それから百冊ぐらい古本を置いてあって、説明を聞いたら、これは図書館だというんですね。相当でたらめな使い方がやられていた。  今度は、設置ということで、さらに補助対象事業も拡大されるわけですから、この点で、政令でまかされている部分が多いわけですから、施設庁の権限も強いわけなんで、これが、そういう形で自治体なんかの政治的なコントロールに使われるというふうになるのを非常におそれるわけです。各自治体がいま申請している金は、先ほど住宅の防音工事の問題で一例あげましたけれども、全国的に基地周辺の自治体は、相当の金額を要請しているという中ですから、当然、予算を大幅にオーバーしている。その場合に、どういう基準でこの助成金なり補助金を出していくのかという、順位の問題や基準の問題、この点について、明確な、やはり政治的なそういう恣意が入らない基準を設けていかないと、さらに、そういう問題が拡大されて起きてくるのではないかということを私、心配するわけです。この点について、どういうふうにしてこの事業の優先順位というものをやっていくのか、お考えをお聞きしたいと思います。
  371. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 現行周辺整備法におきましても、毎年度、全国にありますところの防衛施設の周辺に起きます問題、あるいは自衛隊等の行為等に伴って起こります障害の問題に関しまして、それぞれの地域の市町村等からいろいろ対策事案の御要請がございます。これを各防衛施設局で受けまして、その事案の実態、現行法令で申しますと、三条、いわゆる自衛隊等の障害の実態がどういうものであるか、あるいは四条におきますところの、防衛施設周辺の住民の生活あるいは事業経営等が、どのように阻害されているかといった点を、具体的に調査いたしまして、それぞれの局ごとに、その障害の実態、事案の採択すべきかどうかの判断というものを、それぞれそういう採択の基準、当該年度ごとのそういった採択をしていきますところの方針というものを、そのつど指示しておりますので、それに基づきまして、各局がそれぞれの事案というものをまず判断いたします。  それを各局が、全部われわれ本庁のほうに持ち寄ってまいりまして、その中から全国を通じての実態というものをつぶさに判断しながら、事案の採択を行なっていく。これは、あくまでも当該年度に成立しました周辺対策関係予算の範囲という一つのワクも当然ございますが、その中におきまして、そういった障害の実態等を十分に検討した上で、恣意にわたらないように、また、そういう対策を講ずることによって、地域住民の方たちの障害を防止し、緩和できるものであって、当然それによって補助金の適正な運営というものが行なわれる、そういった点を十分考えた上で採択を行なっている次第でございます。
  372. 中路雅弘

    ○中路委員 たとえば福生の町の四十八年の基地周辺整備事業の要求を見ますと、全部で、中身は省略しますが、四百六十八億三千七百十九万八千円となっていますね。福生の町だけで、本年度の四百三十七億にほぼ匹敵する要望が出ているという現状ですからね。こういう問題についての判断について、やはり明確な基準を持ち、政治的な恣意が、そこに働くというようなことがないように——施設庁の金については、相当権限が大きいわけですから、繰り返しますけれども、この点についてのそういうあれが入らないように、この点では特に強く要望しておきたいと思うのです。  あと、具体的な問題で幾つか聞いていきたいのですが、一つ一つ簡潔に答えていただきたいのです。  一番最初お話ししましたように、基地周辺の住民や自治体にとって最も基本的な問題は、このいわゆる基地公害の発生源である、また都市計画を進める上での障害である基地そのものをなくしてほしい、返還してほしい、そしてこのあと地を、平和利用を柱にした都市計画に供さしてほしい、これが非常に強い要望になって出ているわけです。  まず最初に、お聞きしておきたいのですが、日本政府が地位協定に基づいて米軍施設区域を提供するのは、安保条約第六条の「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、」という、いわゆる軍事目的だと私たちは思うのですが、そのように理解して間違いありませんね。
  373. 山中貞則

    山中国務大臣 日米安保条約は、私ども軍事ということばは使いたくありませんが、客観的にいうと、いわゆる諸外国の常識でいえば、軍事条約でありますから、御指摘のとおりだと思います。
  374. 中路雅弘

    ○中路委員 施設の、そういう目的、一般的に軍事目的で提供されるあれが、ゴルフ場であったり、オートレース場であったり、サーキット場であったり、あるいは米軍専用の水泳場として提供されるということになれば、これは一般的にいって、いまの軍事目的の上からいっても、反することになると私は思うのですが、これも一般的にどうですか。そういうものに使われているということになれば、こういう提供については、検討してみなければいけないというお考えじゃないですか。
  375. 山中貞則

    山中国務大臣 一々、こまかな場所にどういうものがあるか、私もよく知りませんから、あとでお話があると思いますが、ただ、ゴルフなどは、米兵の訓練項目の中に入っておりますですね。そういうことで、日本とちょっと違うものですから、そこで、たとえば木更津のように、アメリカが返した、日本側の管理になった、ところがわが自衛隊のほうも、どうもそういう安易な気持ちでゴルフ場として使用しておりましたので、国会であちこちの例を引いて御意見もありましたから、わが自衛隊に移りましたものは、全部バンカーもグリーンも埋めまして、普通の草原にして、相撲を取ろうと野球をしようとラクビーをやろうとかってである、そういう広場に直しました。ただ、アメリカの場合は、私ども日本人の考えとは少し違うような、兵隊の教育の一つの体育種目に入っているようにも思われますので、そこらのところは、ちょっと外務省当局の見解等を聞きませんと、私だけではわかりかねる面がございます。
  376. 中路雅弘

    ○中路委員 二、三これに関連して具体的にお聞きしたいのですが、一つは青森県の三沢米軍基地ですね。この中にある面積は、推算となっていますが、これを三沢市議会から出ている請願書で見ますと、米軍基地内に約五十二万九千五百平方メートルの広大な米軍ゴルフ場がある。それから五十八万五千五百平方メートルのオートレース場がある。これは、まさか訓練項目ではないでしょう、オートレースは。そして米軍人や家族が、訓練ではなくて余暇にゴルフをやっているわけです。オートバイを乗り回すために、広大な土地が提供されている。  御存じのように、三沢市も土地や余暇施設がなくて、住民は非常に困っているわけです。この陳情書を見ますと、端的に書いてあります。「一見明らかに軍事目的以外に使用している区域については、ただちに提供を打切り、地域住民のために有効に活用させてほしい。」というふうに請願の第一項目にありますが、これは先ほど私の質問しました第六条の軍事目的にも、直接関係ありませんし、また軍人の訓練項目といっても、家族が使用しているゴルフ場ですから、それにも当たらない。軍人や家族のいわば遊び場ですから……。それに広大な地域を提供しているということになるわけですから、私は、こういう請願にもありますが、ゴルフ場や特にオートレース場、こういうものは返還を要求しなければならないと思いますが、この三沢から出ている請願その他の扱いについては、いままでどのように取り扱われてきたのかお聞きしたいと思います。
  377. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 米軍に提供しております三沢飛行場の中に、御指摘のゴルフ場、一般にいわれますオートレース場というものが存在していることは承知しておりますが、先ほど来、軍事目的に反するといいますか、軍事目的ではない利用という御指摘がございましたが、たとえば地位協定の十五条におきましては、米軍に提供しております施設、区域の中にPXだとか食堂だとか厚生施設、そういったものを設けて、いわゆる歳出外諸機関がこれを運営するとか、そういうことも認められております。また三沢の飛行場と申しましても、飛行場の区域は、軍人、軍属、家族等も居住しております居住の場でもあるわけでございます。したがってその中に各種の厚生施設というものが存在するということは、地位協定の範囲の中では、従来とも許されているというふうに私ども承知しているわけでございます。  ただ問題は、オートレース場ということで使われております部分が、御指摘のように五十万平米をこえる広大な地域であり、またゴルフ場も五十五万平米という広大な地域であるということは、確かに一つの問題点であろうと思います。この点につきましては、地元からも、こういった地域を、地元に返還してもらって、市民の森というような形で使っていきたいという御要望を、かねてから伺っております。ただ、このオートレース場に使われております部分も、ゴルフ場の部分も、いわば飛行場また、それに付帯して存在します弾薬庫の保安区域的意味をも兼ねて持っているわけでございます。したがって、これらの部分を、現在そういう用途であるということで、直ちにこれだけのものを、すぐ返還しろということは、あるいはむずかしいのではなかろうかと思います。いずれにしましても、多少なりとも地元の御要望に沿えるようにということで、米軍側ともいろいろ折衝を重ねているところでございます。
  378. 中路雅弘

    ○中路委員 三沢から出ているのは、ゴルフ場やオートレース場だけではないのです。たとえば約四十九万平米の水泳場、これが米人専用の水泳場になっている。家族の専用に提供されている。この水泳場は、小川原湖というのですか、青森では県南随一の水泳場だといわれていますが、一等の水泳場です。これも市議会の要望に出ていますが、広大な基地に接した水泳場を早く返還してほしいという要望とともに、返還が実現するまで、この水泳場に通じる基地内の道路を、シーズン中だけでも自由な通行をさせてほしいという要望も市議会の中で出ているわけです。  御存じだと思いますが、三沢基地正門より小川原湖に至る幹線道路については、日本国民の自由な通行を認めてほしいという要望が出ています。これも全く当然の要求ではないかというふうに私は思うのです。さっきのオートレース場、ゴルフ場も交渉しているというお話ですが、あいまいですが、このような広大な地域ですから、しかも都市化の中でわずかな土地も、いま工業用地としても困っているところですから、ゴルフ場、オートレース場、それから水泳場、こういった点について、これだけの要望も出ているわけですから、返還についてのやはり強力な交渉をやる必要があるというように思うのです。  あわせてもう一つ、青森の三沢のことをひっくるめて一緒にお聞きしますが、もう一つは、やはり要望に出ているのですが、米軍基地の正門わきのあき地一万四千平方メートル、この地域は、基地を囲むフェンスの外にあって何ら使用されていない、草がおい茂っている。三沢市からは、これを返還して、市民のための駐車場などに活用させてくれという陳情書がやはり出ているのですが、この場合は、基地を囲むフェンスの外にあって何も使っていない、草をはやしているというだけの地域ですね。これは陳情書の第二番目にあります。「三沢米軍基地正門脇の空地を日本政府に返還させ、管理権を三沢市に移管し、三沢市民に解放すること。」、フェンスの外にあって、現在何ら使っていない、草がぼうぼうおい茂っているだけだと出ています。これなんかも、すぐに返還をさせて市民に開放する、私は、当然のことだと思うのですが、あわせてこの点について、簡潔にお答えを願いたい。
  379. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 先ほどの水泳場でございますが、これは、ちょうどゴルフ場から姉沼の通信基地の間を抜けまして、北のほうに参りました小川原湖に面したところにございますが、面積は、ちょっと先生、単位をお間違えになったと思いますが、五万六千平米の水域でございます。これは水泳場のために、制限水域としておるのではございませんで、飛行場の機能に付帯します救難艇の発着所等のために使っております場所を、夏場米軍人、軍属、家族等が、そこを水泳場として使っているという状況になっておるわけでございます。なお三沢市瓦の方々が使っておられます水泳場は、その北側にあるわけでございます。したがって、夏場その市民の方々が、水泳場に行かれる場合には、どうしても三沢飛行場の中の道路を通っていかなければならぬということで、夏のシーズン中は、定期バスなどにつきましては、そこの通行を認めているということで、便宜をおはかりしているわけでございますが、ただ一般のマイカーその他徒歩でいくとか、そういった方たちの通行につきまして、さらにもう少しくふうを要する必要があるのじゃなかろうかということで、これは米側とも折衝したいと考えております。  また、正門わきのあき地の問題につきましても、これは地元関係者との問題もございますので、駐車場その他に十分利用できるようなくふうができるかどうか、この点もあわせて米側と折衝したい、そういうふうに考えております。
  380. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの点については、使用していないわけですから、草をはやしているだけの、しかもフェンスの外側のあき地ですから、市民の要望にこたえられるように、一日も早く返還できるように、折衝しているというお話ですから、そういう方向でひとつ解決してほしいと思います。  同じ問題で、簡潔にまたお尋ねしたいのですが、厚木基地関係でも、やはり同じような問題があるのです。三沢と同様、ゴルフ場、サーキット場があるわけですが、この地域は、綾瀬、大和市は三沢以上に人口急増地域です。大和市は四十七年度一年間に人口が約一万人ふえています。公共用地を含めて土地問題が深刻になっているのですが、このゴルフ場やサーキット場が広大な地域を占めているわけです。  私は、神奈川県で地元なものですから、現実に見てきたのですけれども、サーキット場がどんなふうに使用されているか。たとえば、このサーキット場は、滑走路の北側のはずれにありますが、日曜日になりますと、約三十台ぐらい、数十台の消音器をつけないオートバイ、これは厚木の飛行機の爆音よりうるさいのです。激しい騒音と砂ぼこりをまき散らして、米軍人あるいは家族がオートバイを乗り回している。せっかくの日曜日も、地域の住民にとっては休養もできない。あるいはそのわきに県道が通っているのですが、砂ぼこりで県道は前方が見えなくなる場合があります。私も現地へ行ってきましたけれども、交通安全上でも非常に危険な状態にあるわけです。ゴルフ場を含めて、こういうサーキット場として提供するとかいうことはぜひやめるべきだ、返還させるべきだと思います。  特に、このサーキット場は二4(b)の地域です。私は、地位協定の二4(b)で、こういう共同使用の様態というのは、どういうふうに解釈するのかということを、ひとつ最初にお尋ねしたいのです。
  381. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 確かに御指摘のとおり、いわゆるサーキット場と申すほどのものじゃございませんが、厚木の滑走路の北西側にありますあき地を使って、モーターサーキットをやっております部分は、昭和四十六年七月一日に、地位協定二条四項(b)に切りかえまして海上自衛隊が管理し、滑走路を含めてその地域につきましては、地位協定二条四項(b)に基づきます、米軍が出入のつど使用することができるという使用の形態になっておるわけでございます。したがって、御指摘のように二条四項(b)の、そういう出入のつど使う地域が、サーキット場として使われるということがどうかという問題点は、確かにあるわけでございますけれども、しかしこれは、あの厚木飛行場全体のエリアの中で、米軍及び海上自衛隊がお互いに行き来しているという状態の中での運用の一つの形態になろうかと思いますが、ただ、サーキットそのものが、二条四項(b)の上でどうかという問題よりも、実態に照らしまして、そばを通っております道路その他民家との距離等から考えました騒音の問題というような問題点から、この問題の解決をとらえていきたいと思っております。
  382. 中路雅弘

    ○中路委員 地位協定からいっても、こういう提供は私は違反だと思うのです。騒音や公害をまき散らして、わずかな米軍人や家族のために、二4(b)で遊び場を提供するわけですからね。こういうことは、許されるはずがないわけで、返還交渉をやるとともに、いま言われたように、この土地の返還という問題もありますけれども、少なくともサーキットに使用するということは、直ちにやめさせるべきだというふうに私は考えます。  きょうは、幾つかこういう例を、まだ通信所の問題やら、たくさんあげて御質問したいと思ったのですが、ほかあと一、二問質問したいこともあるので——こういう問題に関連して、いまの米軍への提供施設が実際どのような使用をされているのかということについて、もう一度見直しをして、使用されてないところ、あるいはいま言ったように、サーキットのように非常に不当な使用がやられているというようなところは、直ちにやめさせるとか使用されないところは、返還の要求を強力に進めるということで、全体としていまの基地の提供の様態について、もう一度見直していただく必要がある。そして返還できなくとも、すぐにサーキットの使用をやめさせるということはできるわけですから、ひとつその点の強力な交渉を、アメリカともやってほしいというふうに考えるのです。  例は、この問題でとどめますけれども長官からもう一度、基地のそういう不当な使用、いまの協定やそういうものから見ても一、問題がある点については、検討するということは、はっきりやっていただきたいと思います。
  383. 山中貞則

    山中国務大臣 外務大臣とも相談してみますが、ことに二4(b)になりますと、その使用形態というものについては、地位協定で形態が明示されておりますから、そういうような意味で一どうも私、現地を見ておりませんから、その点、若干説得力がないかもしれませんが、そういう問題が好ましいとは思われませんが、いまおっしゃったように、不法とも思われませんので、そこらのところを、常識上おさめられる範囲で二4(b)の施設らしいものにするということで、一応話し合ってみたいと思います。
  384. 中路雅弘

    ○中路委員 これは現地を見てもらえば、はっきりしているんですよ。私が現実に行って見ているんですからね。二4(b)でサーキット場に使わしている。この返還ということは、すぐにできないにしても、これを、やめさせるということぐらいは、やらなくちゃまずいと思うんですね。これは住民のほうからの強い要望です。日曜日に消音器をはずしてやっているから、爆音よりもひどい。砂ぼこりも立つし、それが県道にまで出ていく。あの県道十六号は、非常に車の通行の多いところですからね。  あと二、三、特に返還とあと地利用の問題で、これも一つずつ簡潔にお聞きしていきたいと思います。  立川飛行場ですが、二年後に返還されることになっていますね、最近の新聞の報道等で見ますと、立川基地にレーダー誘導着陸装置、GCAまで持ち込まれて、どうも居すわりを考えているんじゃないかということもいわれていますが、四月の末には、立川市にこのあと地の平和利用の委員会が、市長の諮問機関として発足しまして、各階層の四十三人の人たちで、いま計画の策定に入っているわけです。  この二年後に返還を約束されている立川飛行場について、自衛隊が引き続いて使用するということは、よもやないと思いますけれども、立川移駐の際にも、論議になった問題ですけれども、最近こういうGCAの持ち込み等もあるので、地元ではいよいよ居すわりを考えているんじゃないかということも強く出ていますが、一言、どうするつもりなのか……。
  385. 長坂強

    長坂政府委員 立川飛行場の、米軍からの返還後における自衛隊の使用ということについて、どういうふうに考えているかと、こういう御質問だと思いますが、これは、この委員会でも昨年、防衛庁側からお答えいたしております。その際、御答弁申し上げたところと全く同じでございまして、立川飛行場が米軍から返還された後におきますところの自衛隊の使用については、地元をはじめ関係機関とあらためて協議調整を行なうのだということを申し上げてございますが、そのとおりでございます。一応そういうことでございます。
  386. 中路雅弘

    ○中路委員 居すわりたいという気持ちがあるのは、よくわかりますけれども、これは、もう地元では全面返還を前提にして、具体的な計画策定までいま入ってきているわけです。四月二十六日から発足して、地元協議をされるということですし、それ以上、きょうは御答弁出ないと思いますけれども、とにかくこの立川飛行場については、全面返還をされるということで、ひとつぜひ地元と相談してほしいと思います。  もう一言、水戸射爆場の問題ですね。これについては、返還されて、いま自衛隊の暫定使用になってますが、これは居すわったり、恒久化することは全くないと思いますけれども、一言、射爆場のこれからについてもお伺いしたい。
  387. 長坂強

    長坂政府委員 これも昨年の四月十四日から使用を開始しておりますが、その間、その前提といたしましては、この三年間の期間を限っての使用だというふうに、県知事さんのほうともお約束をしてございます。そこで最終は、五十一年の四月十四日ということに相なるわけでございます。そうしてそれ以上、その後にさらに、この場所を自衛隊の爆破訓練場として使用するつもりはございません。
  388. 中路雅弘

    ○中路委員 これは、はっきりと使用するつもりはないという御答弁ですね。  あと一、二点、質問したいのですが、これは神奈川県内の問題です。キャンプ渕野辺の問題ですが、返還が少しおくれていますけれども、新聞の報道ですと、十一月ごろには返還されるという報道もありますが、この見通しはどうですか。
  389. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 キャンプ渕野辺の返還問題につきましては、御承知のとおり昨年の一月二十三日開催されました日米安保協議委員会、第十四回でございますが、これで日米協議されました線に沿いまして、所要の移設工事をキャンプ座間、相模原住宅地区等に行なうことによりまして、キャンプ渕野辺を返還させる、しかも、その返還時期としては、本年三月を目途とするということになっていたわけでございますが、その後、日米間で移設の規模、内容等につきまして、お互いに折衝を続けましたが、この折衝に予想外に時間がかかったことと、それから建設資材等の高騰、そういった問題が生じましたために、予定の建設工事の着工がおくれたわけでございます。昨年度、第四・四半期末におきまして着工いたしまして、ただいま移設と申しますか、代替施設工事を進捗させているところでございます。一応いまのところ、本年の十一月には、所要の移設工事を完了することによりまして、キャンプ渕野辺を米側から返還させる、そういうふうに考えております。
  390. 中路雅弘

    ○中路委員 これは、返還後は大蔵省の普通財産になるのですか。どういうことになりますか。
  391. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 キャンプ渕野辺は、大蔵省所管の普通財産でございますので、返還になりましたら、防衛施設庁が、これを米側から受け取って、大蔵省のほうへ引き渡す、そういう手順になります。
  392. 中路雅弘

    ○中路委員 大蔵省の方お見えになっていますか。——このことと関連してお聞きしておきたいのですが、国有財産法の二十二条一項各号に規定された目的ならば、これに基づいて無償で地方自治体に、たとえば公園だとかそういったものについて、貸与の希望があれば貸すというのがあるわけですね。ところが、大蔵省が、ここにありますが、四十七年の五月十日に通達を出しておられます。このキャンプ渕野辺の場合、いま県のほうがスポーツ公園という希望を持っているわけですが、しかし大蔵省は、この通達を見ますと、貸与する面積に匹敵する面積の公園、緑地を別に確保しなければならないという、簡潔に言いますと、通達の内容になっているわけですし、確保した面積だけ無償で貸与するけれども、その他の部分は地方自治体に買い取らせる、大体この趣旨からいくと、そういう状態になっているわけです。  キャンプ渕野辺のように広大な土地、これに匹敵するものを、いま神奈川県のどこかで公園や緑地として確保しろということは、私が考えても、とうてい考えられないですね。たとえば三浦半島か箱根かどこかでさがさなくちゃ公園、緑地なんて、これだけでかいものはないですよ。こういうことは、とうてい考えられない状態ですが、この通達自身の、やはり代替地を確保しなければ貸与できないという、確保した面積だけしか貸せないという、こういう点も、国有財産法から見まして、私は、やはり反するのじゃないかというふうに思うわけです。  今度のキャンプ渕野辺の返還とも関連して、この基地あと地を、こういう公園、スポーツ公園その他緑地として使用したいという自治体の希望について、この通達であくまでやらなければ、そういうことはやれないのかという問題ですが、この通達の趣旨についてもう少し……。それから今度のキャンプ渕野辺について、どういうお考えなのか、そういう要望が出た場合。それをお聞きしたい。
  393. 川崎昭典

    ○川崎説明員 御指摘のように、国有財産法に公園の場合には、無償貸し付けできるという規定がございますが、これは要望があれば、直ちに無償で貸し付けるという趣旨ではございませんで、やはり何らかの基準、特に面積が問題になろうかと思いますが、そういったことを具体的に定める必要があるわけでございます。  ここ数年来、とりわけ公園、緑地に対する御要望が多うございますので、四十七年度に大蔵省としまして、国有財産中央審議会に検討をお願いいたしまして、国有財産の有効利用についてという答申をいただいたわけでございます。その答申の趣旨を、そのままいま御指摘の通達に盛り込んだ次第でございまして、国有地を無償で貸し付けを受けて公園にする、それと同程度の面積を自力で公園とするようにしてほしいということを条件づけるものでございます。  ただし、御承知のように、地方公共団体によって非常に広大な土地を要望いたしまして、それと同面積をまた御自分で用意するということは、なかなかできがたい事情もございますので、同面積の土地を御自分で調達しない場合には、二分の一を無償貸し付けする、二分の一は時価で処分する、そういう原則を打ち出したわけでございます。  ただ、実際問題として、これで処理をします場合に、大蔵省が国有地を無償で貸し付ける、これから将来にわたって直ちに新しい土地を同面積確保しろということでは、なかなか実行困難という点もございますので、すでに計画に載っておる公園を実現するということでもよろしいというふうに考えておりますから、神奈川県の場合は、地元の一町村だけでこれだけの広大な公園ということは、実現できぬかと思いますが、県が乗り出してくれば、実現が可能ではないかと考えておるわけでございます。  ただ、具体的に御指摘のキャンプ渕野辺につきましては、公園にしたいという御要望のほかに二、三御要望も出ておりまして、これらの大きな返還財産というものを、昨年四月一括いたしまして、これまた国有財産中央審議会に審議をお願いしてございます。本件のキャンプ渕野辺につきましては、まだ返還になっておりませんので、審議の予定としましては、返還財産処理委員会というところで御審議を願うわけでございますけれども、まだ具体的審議に入っておりませんので、今日あと地利用計画につきましては、具体的にまだ何年にできるという状況ではないということでございます。
  394. 中路雅弘

    ○中路委員 このキャンプ渕野辺は、六十六万平米あるわけですけれども、これに匹敵する面積——県がやればというお話ですが、私、調べてみても、県がいま取得している一番大きいので、四十七年にできた川崎市内の東高根という森林公園ですが、これが七万九千平方メートルですか、ほかは、もうほとんどないですね。神奈川県の場合なんか、特にほかの県からの人口をいま抑制しているところですから、そういうところでは、丹沢の山か箱根でもさがさなければ、なかなか緑地公園なんというのはないわけですね。逆に、工場に木を植えてもらって、緑化運動をやっているところなんです。  だから、この点で通達を、行政指導より以上の非常に強力なものとして打ち出されると、非常な困難に直面するわけです。まだこれから検討されるということになっていると思うのですけれども、相模原を中心にして、これだけ基地のあれで被害を与えてきたわけですから、県や市の要望について——公園だけじゃなくて、学校用地としての要望も出ています。それに十分こたえていただくという、前向きな検討を、ひとつぜひやっていただきたいということを、特に要望しておきたいと思うのです。  関連しているので、もう一つお聞きしますけれども、大和市にあったイーストキャンプ、御存じだと思いますが、これが返還された際に、公園緑地、それから一部を学校建設用地として無償貸与してほしいという要望がやはり出ていました。その際も、関東財務局が、同面積の公園緑地の確保を条件としていたわけですけれども、その後、市のほうに一部学校用地について買い取らせておるわけですね。去年、国有財産法が改正されて、新興住宅地をかかえる都市には、学校用地も無償で貸し付けることができるようになったと私は思うのですが、それを、学校用地については、買い取らせるというやり方をとっているわけです。  しかも、この金は、関東財務局に聞きますと、特別会計に入れて、リロケーションの費用をつくり出すということも言っておるということを、大和市の担当者から聞いたわけですが、非常に不当なやり方じゃないかと思うのです。こういう人口急増地域の学校用地の取得については、当然、無償で貸し付けるという法改正もあるわけですから、これは当然なことだと思うのですが、この点について、どのようにお考えになりますか。
  395. 川崎昭典

    ○川崎説明員 イーストキャンプのあと地の利用につきましては、昨年十二月に、国有財産関東地方審議会の審議を経ておりますが、その時点で、すでに無償貸し付けの制度はあったわけでございます。市当局と関東財務局との従来からの話し合いによりまして、いわば無償貸し付けというのは、借りるだけの話でございますが、所有権を市のものにしたいということで、そういうふうに御審議を願って決定いたしております。現在の事情と当時の事情と変化しておりませんので、審議会の審議の結果を尊重して、事務を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  396. 中路雅弘

    ○中路委員 この問題では、予算の分科会で地元の増本議員も質問したと思うのですが、その際の大蔵省の答弁も、国有財産審議会の答申は変更できる、きょう原文を持ってきておりませんが、そういう趣旨の発言もされているわけです。何ら法的な根拠を持たない、行政的なやり方で買い取らせたわけですから。ですから、もとへ戻して、学校建設用地分を含めて、全体として無償貸与させるという方向でもう一度検討してほしいというふうに考えるわけですが、この点について、もう一度、これに拘束力はないわけですから、やはり検討していただきたいと思うのです。
  397. 川崎昭典

    ○川崎説明員 本件を処理します場合には、法的には減額売り払いか無償貸し付けということになるわけでございますが、審議会では減額売り払いということで決定いたしておるわけでございます。さきに大蔵省政府委員が御答弁申し上げました際も、審議会の決定に従って処理をしたい、もしこれと違うことをやるならば、あらためて審議会の決定が要るであろうという趣旨で御答弁をしたかと思います。  その後、市と関東財務局で話し合いをしておりまして、市議会のほうで無償貸し付けに変更してほしいという御希望も出ておるやに伺っておりますけれども、関東財務局と市との話し合いでは、やはり既定方針どおりに所有権を移してもらいたい、減額売り払いでいきたいというふうになっておると伺っております。
  398. 中路雅弘

    ○中路委員 これは、私も話しましたら、市議会も無償貸し付けの方向で超党派で一致して、市長も、いまそういう方向を支持しているということなので、先ほど言いましたように、その点については、もう一度検討をしてもらいたいということを、要望としてお話しておるわけです。  こんなおそくまでやるつもりじゃなかったので、あと行政財産、国有財産の扱いについて、いろいろお尋ねしたいと思ったのですが、時間が来ていますので、具体的な問題でもう一つだけお聞きしておきたいと思うのです。  やはり大和市の問題で、厚木基地の東側ですか、大和市のごみ焼却場があるところの近く、北側に八千平米の国有のあき地があります。これは施設庁の話を聞きますと、行政財産ということになっていますが、どういう目的で確保していられるわけですか。
  399. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 これは、現在の周辺整備法でも第五条にございます、先ほども問題になりました、いわゆる飛行場周辺の移転措置を伴う地域で、そこにございました家屋を移転することによって得たところの、いわゆる周辺財産ということでございます。
  400. 中路雅弘

    ○中路委員 そうしますと、緩衝地帯ということで、これから確保していくということになりますか。
  401. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 現在、御審議いただいておる新法案が成立いたしますと、新法案六条のいわゆる第三種区域という形で緩衝地帯として管理していくことになりますか、あるいはこの区域が二種区域に入ることになりますか、そこらのところは、正確な騒音のコンターを引いてみないとわかりませんが、いずれにしましても、そういった形で周辺の行政財産として保持していくことになるたてまえの財産でございます。
  402. 中路雅弘

    ○中路委員 そうしますと、いずれにしても、これは市のほうが希望すれば——いま希望としては、このごみ焼却場に来るごみ車の駐車場ということで希望が出ていますけれども、無償で使用をさせるということについては、市のほうと十分検討していくということはできるわけですね。
  403. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 新しい法案のたてまえでいきますと、そういう形で取り扱っていくこともできるわけでございますが、しかし特定のこの土地だけの問題でどう扱っていくかというよりも、やはり厚木周辺全体の周辺財産あるいは厚木飛行場周辺の三種区域なり、二種区域というものがどういうふうになっていくか、それを今後どういうふうな姿に持っていくか、今後の見通しとの関連において、そういった問題も考えていく必要があるのじゃなかろうかというふうに思っております。
  404. 中路雅弘

    ○中路委員 これは、地元からのまた自治体の強い要望でもあるわけです。そういうことで、法的には新法が通ればできる地域であるわけですから、ぜひその点でこたえていただくように、市とも折衝していただきたいと思うのです。  最後に、いま幾つかの例でお話ししましたけれども基地の返還のあと地ですね、国有地の場合ですが、地元自治体が、特に払い下げを受ける際に、財政負担が非常に膨大な額にのぼるため、実際には自治体は、せっかく返還されても、十分使用できないという状態になっておる場合が多いわけです。いままで基地があることによって、自治体が非常な被害をこうむってきたわけですから、要求が公共用施設であるとすれば、国有財産法の二十二条のワクを広げて、無償貸与の方途をいろいろ考えてやるべきじゃないか。もし無償ということが困難ならば、自治体の財政を圧迫しない限度で、できる限り安く使用させる、あるいは払い下げていく、そういう検討を十分やっていく必要があるというふうに考えるのですが、一般的な方向の質問になりますけれども、ひとつこういう点について、これから基地の返還あと地利用という問題がいろいろ起きてくる際に、どこの地方自治体もぶつかる問題ですが、こういう問題について、少し具体的なお考え、これからの対処方、私は要望を述べましたけれども、これを最後にお聞きしたいと思います。
  405. 川崎昭典

    ○川崎説明員 返還あと地の処理につきましては、地元公共団体とよく話し合って処理をするということを基本といたしております。ただ御指摘の、無償措置の拡大その他の措置は、昨年の法律改正で措置をいたしておりますので、今後は実際の運用にあたりまして、地元の財政負担に応じたように延納の措置をとるとか、処分の時期を何年かにわたって行なうとか、いろいろな方法があろうと思いますが、十分考えながら、円滑な処理をはかっていきたい、そういうふうに考えております。
  406. 中路雅弘

    ○中路委員 これで終わりますが、いま私が質問した問題ですね、特に地方自治体の財政負担というものは、非常に大きいわけなんで、この点を軽減しながら、十分あと地が、特に公共用地に使えるようないろいろな配慮、検討が必要じゃないかと思うのですが、この問題と、やはり全体として、この周辺整備法、新しく新法が出ましても、住民や自治体の要求というのは、この基地公害の発生源は除去してほしい、これを直接規制してほしいというような、こういうことが基本的な底に流れている要望なわけですから、こういうものに十分こたえていただく。また現実には、基地を見ましても、先ほど一、二の例でお話ししましたように、ゴルフ場やオートレース場に使われている、あるいはあき地のまま放置されているところもあるわけですから、こういう点については、返還についてより一そう強力に、ひとつ全体として基地の使用の形態も見直していただいて、進めていただきたいということを、特に要望したいわけなんですが、最後に、長官から、ひとつこの点についてのお考えもお聞きして、終わりたいと思います。
  407. 山中貞則

    山中国務大臣 御意見として承っておきます。
  408. 中路雅弘

    ○中路委員 終わります。
  409. 徳安實藏

    徳安委員長 次回は、来たる九日木曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これをもって散会いたします。    午後七時三十四分散会