○中路
委員 特に
基地をめぐる周辺の問題、具体的に問題の起きているところを見ますと、新しい
アメリカの
基地の再編成、拠点集中といいますか、そういうニクソン・ドクトリンに基づいた再編成、合理化、こういう
基地、またそれと関連した
自衛隊とのいわば共同使用、共同作戦
体制、こういったものが展開されている周辺で、いわゆる
基地問題というのが、地方自治体や住民との間に非常に新しい問題、矛盾を引き起こしてきているわけですが、この新法として出された背景の中に、いまの七〇年代になって以後の、
基地をめぐる新しい情勢の展開といいますか・こういう新しい
基地と自治体住民との間の矛盾の拡大、こういったものに、現行の周辺
整備法では十分対応できない、こういう状態が生まれてきている、ここに大きな問題があるというふうに私は考えるわけです。
この点では、昨年の五月の
防衛施設庁広報に、平井
施設部長の指示というのがありますが、相当長く、周辺
整備をめぐる情勢、この中にも、その背景が詳しく書かれています。いまの
基地問題の平井
部長の指示の中に、こういう文章があるのです。「
日米安保条約に対する
国民の理解というもの、これは相当深まり定着してきていると思います。
自衛隊に対する認識あるいは
自衛隊に対する支持というものも相当高まってきている。」ということを述べて、
地元に
基地を擁している「これらの
地域住民達は、この広大な飛行場だとか、演習場の
地域の中に、これが宅地であるならば、あるいは工場が誘致できるならば、あるいは素晴しい
国民保養の観光地として開発されるならば、そういった夢を抱くのも当然であります。」というような文章があるわけですが、この中では、いまの
基地問題をめぐる住民の気持ち、ほんとうの
要望、指向する方向、こういったものを、
防衛庁の皆さんは、正しくとらえられていないんじゃないかということを、私は痛感するわけです。
特に集中化されている
基地の周辺というのは
都市化され、過密化されている。この中でも、認められているわけですが、
都市計画にも重大な
障害となってきている。しかも大
都市やその
周辺都市では、いま人口急増による学校用地
一つ取り上げても、たいへんな状態にあります。この住民の
生活環境整備の要求、こういった運動が、非常にいま
基地と
——いわば
基地が
都市の中にめり込んでいるような状態ですね。自治体との矛盾を深化しているわけですから、
安保条約があるから
基地はやむを得ないんだということが非常に困難になってきている。こういう言い方だけでは困難になってきている。
また現行周辺
整備法でも、さっき
長官がお話しのように、自治体の財政
負担、こういう解消要求は解決していませんし、交付金その他の過少に対する不満も非常に強い。したがって、「夢を抱くのも当然」というのは、夢ではなくて、
基地周辺の住民や自治体にとっては、
基地返還という問題あるいは平和利用の問題、
都市計画の
障害を除いてほしいということこれは、いま現実的な要求になってきている。これに、どのようにこたえていくかということが、
基地問題を解決していく根本的な問題だし、
アメリカの新しいベトナム情勢以後の中における
基地の一そうの合理化、機能の強化、拠点
基地の集中強化、こういうものに協力していくという形では、いまの
基地問題というのは、根本的に解決しないと私は思うわけです。
しかも、ここで
安保条約や
自衛隊に対する認識が高まっているとおっしゃいますけれ
ども、この周辺
整備の
法案で関連のある自治体あるいは住民の皆さんと、幾らか最近回って懇談もしましたけれ
ども、
米軍基地がベトナム侵略戦争
——特に八年間ですか、現行周辺
整備法ができて以後の情勢の中で、六四年以来のベトナム戦争に、在日
米軍基地が非常な拠点
基地となり、犯罪的な役割りを果たしてきた、こういうことは、周辺の人たちは、一般の
国民以上に身をもってみな知っているわけですし、
自衛隊がそれとの補完部隊といいますか、一体になってきているという事実も、共同使用の
基地では、一そうよくつかんできておりますから、認識が深まっているのではなくて、むしろ、そういう疑惑やあるいは反対の声のほうが高まってきている。私
自身行ってみて、保守党の影響の、皆さんの
政府のほうの影響の地方自治体
自身の皆さんからも、そういう意見や批判がむしろ出ているというのが、現状ではないかというふうに思うわけです。
その点では、この周辺
整備法を新法として出されておりますけれ
ども、公害でいえば、公害の発生源にメスを入れ、あるいはそれを規制する、除去するということを抜きにした、公害の当面の対応策という範囲での
法案ですから、これによって
基地問題のいまの深刻さや多様さ、こういった問題は、決して私は解決できないのじゃないかということを痛感するわけです。この問題を、きょうここで論議するつもりはありませんけれ
ども、この
法案によって、いまの
基地問題が、自治体や住民から出されておるほんとうに指向する方向、要求、こういうものにある程度対応できるのだというお考えだとすれば、これは現実と合わないのじやないか。むしろ一そう基本的な、この
基地に対するもっと本質的な要求というのが、これからも強まっていくでしょうし、この
法案によって、そういう問題が解決できないだろうということを、私は痛感をしたわけです。
平井さんは、夢だとかいうことで、ここにお話しになっているから、私は、この
法案に即した
質問をする前に、一言お話ししておきたいのですけれ
ども、夢ではなくて、地方自治体も含めて、いまのこの
基地が、
都市化の中で大きな
障害になっておる、これを何とかしてほしいというのは、最も現実的な自治体、しかも、それは革新自治体といわれているところだけではなくて、一般の自治体、住民を含めての強い
要望なんだと思うのですが、一言、この点について平井さんのお考えも聞いておきたいと思います。どういうふうに認識されておりますか。
長官にお聞きしてもいいですけれ
ども、まず最初に、平井さんが、この文章を書いたのだから、夢だと言っておるのだから……。