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受田委員 大臣が四十分に行かれるということですので、
あと五分しかないようでございますから、大臣に対する
お尋ねを先に終わっておきますが、地方の陸運局の中には鉄道部というのがまだ残っております。中国などにはほとんど鉄道はない。ないけれ
ども、鉄道部というものが残っている。仕事がほとんどないところに役所だけは残っておる。こういうような機構上の問題も含めて、ひとつ私は——審議会の答申によって総合
交通体系をつくるというお話ですけれ
ども、きわめて明白なのは、ローカル
空港を各県に一つずつ置くという基本構想が一応くずれてきた以上は、そういった県には一体どういうふうな——一々
指摘しません。われわれの気持ちはおわかりだと思うのですが、そういうところには、幹線からそこに支線の鉄道をりっぱなものをつくってやるとか、あるいは自動車道をりっぱにつくって短時間に目的地へ行けるようにするとか、新幹線と
空港のあるところは非常に短い時間に行けるが、それのないところには、たいへん時間的なロスがあるという不幸な地域を
日本じゅうにつくってはいけない。それが運輸行政の基本なんです。そのためには少々の赤字を覚悟してでも、そういった恵まれない府県にはどの路線かを敷く、空か陸か、海はなかなか思うようにいかぬけれ
ども、なかなか速度の速い船もできておる。
こういうことで、ひとつ総合基本構想、これは経済企画庁も、それの一つの案を持っておるはずだし、さらに建設省の道路計画な
ども含めて、これは大臣の非常に純粋な気持ち——あなた奮励努力された、人間として非常に魅力のあるお方です。長い間のつき合いでよく知っておる。その誠意のあるあなたが、陸海空の
三つの経路にわたってバランスを十分とって、大所高所からぴしゃっとした判断を下す必要がある。われわれも夢を持っているのです。さっき竹中
先生と話し合ったんですが、われわれが内閣をとったらどうするか、おれが
運輸大臣になったら何をするかという、お互いに議員は夢を持っている。その夢をこうした機会にぶちあけて、国民のためにどういう答えを出すのが一番いいか、野党のよい意見があればそれを取り入れて、それを採用して実行に移すということでなければならぬと思うのです。そういう点について、ひとつ十分の配慮をしていただきたい。
そこで、あなたのおられる間にもう一つ。観
光部長が担当しておられる観光行政で頭にくることがある。あなたも海外へ何回か旅行なさっておられるし、私も二十四回にわたって海外旅行をしておるわけですが、
日本のホテルはばかに値段が高い。外国のホテルは中級以下のホテルが
たくさんあるから安い旅ができる。昨年あなたのほうから出された
運輸省の観光白書を拝見すると、昨年年末までにおいて、海外から
日本への旅行者がどれくらいあったか、外国へ行った旅行者がどれだけおったかという数字が出ておる。外国に行った者は四十八年中に二百二十九万人、前年に比して六四%も増加をしておるという飛躍的な海外旅行、その中には相当な恥をかいて帰っておる人も
たくさんあるわけで、これは
日本人としてあるまじき行為が批判をされておるわけです。そして今度、外国人が
日本へ来たのはどれだけあるかというと、前年に比して八%の増で七十八万五千人、それだけの、約八十万の人を引き受ける
日本のホテルはばかに値段が高い。国際観光ホテルというものが
たくさんできて、二十四年に、われわれが議員になりたてのときに、国際観光ホテル整備法というものができた。私はよく覚えておる。その整備法によって融資をやる。その融資をした結果、何をつくっておるか。この辺のホテルの大きなものを見てごらんなさい。結婚式場にばかに力を入れておる。ホテルに行ってみると、結婚式場とその控室で充満しておる。廊下を歩けば花嫁がうろうろしておる。海外に旅行して、ホテルで結婚式の花嫁の姿を見るようなことはありません。教会がちゃんとあって、そこでみな結婚しておる。
日本の国際観光ホテルは、国家から、開銀その他から融資をしてもらいながら、結果では結婚式場にばかに力を入れて、
一般の人の泊まるところではなくして、そんな付帯設備に力を入れて、それに開銀の融資をどんどんやっている。
だから、十年前、オリンピックで海外から来られたときも、横浜に外国の船が着いて、
日本のホテルの料金が高いものだから、ホテルのかわりに自分の国の船に乗っておる。それほど
日本のホテルに対して批判がある。それにもかかわらず、
政府は引き続き大ホテルをつくることに力を入れている。外国のまじめな
日本旅行者は、ホテルの料金が高くて泊まることができない。ホームビジット、民間の宿泊も思うようにいかぬ。そして
日本に対する非常な批判が出ておる。国際観光ホテルという名前がついておる国際的な信用を高める観光ホテルは、
日本の国際不信用ホテルをつくっておる。
運輸省はそういう指導をしておるのです。
かつて議員提案で、国際観光を含めて観光局をつくった。そうしたところが、一省一局削減で観光局を部に下げられた。部に下げられても、従来以上の能率をあげると、当時大臣も
局長も
答弁された。この
委員会でやった。ところが、いまのような恥の上塗りがどんどん集積されておる。これを大臣、あなたが、ひとつ国際的に見て、たいへん残念な、宿の専門でなくて、そういう付帯事業のほうに力を入れている
日本の国際大ホテル、大企業と癒着しているこのホテルを、庶民に開放されていないホテルをひとつ改善してもらいたい。ヨーロッパの旅行をしても、十ドルから十五ドルでりっぱなホテルにわれわれが泊まれる。
日本ではいま二十ドル、三十ドル、一万円とか一万五千円とか高いホテルがくしの歯のごとくできておる。庶民に開放されていない。
運輸大臣として、この観光行政は徹底的にひとつ改善しなければいかぬです。
そしてもう一つ、一時貿易外収支の中で観光収入がトップを占めた時代があった。いまやこういう状態で、海外に資金を流出するほうばかりに力を入れている。貿易外収支の中に占める観光収入が、りょうりょうたるものになってきたらたいへんです。つまり大企業と癒着するホテルでなく、庶民のためのホテルを
たくさんつくっていくという旅行業法、国際観光ホテル整備法、その他観光基本法というりっぱな基本法があるにもかかわらず、枝の小さな
法律もできなければ、小さな設備もしていない。根っこはできたけれ
ども、枝は一つもないじゃないですか。
日本の観光行政の大欠陥を、私たちは
指摘しなければいけない。これに目をつぶって、このままでいったならば、外国からひんしゅくを買って、国際観光ホテル、東洋の
日本じゃなくして、最も侮辱される
日本になる危険があると思うのです。これは各省とも力を入れていただかなければ——いま船員
局長も、かつて観
光部長として御苦労された住田さんがやっておられる。各省そういう
意味で、総合的な観光行政の上に
日本の信用をいかに回復するかということで、ひとつ大臣、外国と比較して堂々たるものにつくり直してもらいたい。