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大出委員 かくて、いまここに子供さんの——あなた方、六十円以下の、子供さんのおやつになるような菓子は据え置いてくれなんということを、森永、明治、不二家、グリコなどを相手におっしゃった。ところが、そんな六十円以下のお菓子なんか森永、不二家、明治、グリコの製品価格表の中に載ってない。みんなとっくの昔に上がっちゃった。上がっちゃったあとになってから、六十円以下のところは据え置きにしてくれなんて、ていさいのいいことを言ってはだめですよ。それが新聞に出されて、さもあなた方やっているように——冗談じゃない。私は、ここに全部持っている。これは
昭和四十八年の十一月、小麦を上げたとたんに、これを見てごらんなさい、べらぼうな値上げだ。一月まで据え置くどころの騒ぎじゃない。ビスケット、クラッカー、どれもこれも、みんな「下記の商品は十二月より順次価格変更になりますのでお知らせ致します。
昭和四十八年十一月」、百円のチョイスは新価格百五十円、ムーンライトビスケットの百五十円を二百円、クリームウェファー、チョコウェファー、この二つとも百円のものが百二十円、クリームクラッカーの百円のが百二十円、これは普通のビスケットから始まりまして全部、これは十一月の新価格表で森永製菓株式会社。
不二家は、ここにありますけれども、不二家も「
昭和四十八年十二月、下記の商品は
昭和四十九年一月より順次価格変更になりますのでお知らせ致します。」、これまた上がっている、一つ残らず。ふしぎなことに、この価格表が、「下記の商品は一月より順次価格変更になりますのでお知らせ致します。
昭和四十八年十二月」、こっちが森永製菓株式会社で、こっちは株式会社不二家、中身を見ればほとんど変わりはせぬ。森永もこの色のものを使っている。同じ仕組みで、同じ印刷で、何が違うか。片一方は、見ればわかるように株式会社不二家、こっちは森永製菓株式会社。何もかもみんな同じだ。何が違うか、商品名が違う。商品名が違うが、単価の同じものは、大体同じように上がっている。これは、ふしぎに思いませんか。
公正取引委員会もおいでになるのですが……。これは全部、四十八年十二月一日からの新価格、仲よく不二家も森永も全部一緒です。
今度は、四十九年の一月、「下記の商品は二月より順次価格変更になりますのでお知らせ致します。森永製菓株式会社」、十一月、十二月、一月、毎月上がっている。六十円なんてのはありはしないのです。七十円が一応最低だ。そうなってから、あなたのほうで六十円以下のものは据え置けと言ったって、全く意味ないじゃないですか。見てごらんなさい、月別に続々と片っ端から値上げしている。しかも同じ用紙です。私は、かつて森永、明治、不二家、グリコ等の問題につきまして、三十七年でございますが、不当景品類及び不当表示防止法がございまして、三分から一割二分のリベートの問題もある、こまかく聞いたことがありまして、そのときに申し上げた。そうしたら相手が大きいから、なかなかそういうわけにいかぬとあなた方はお答えになった。しかし、こういうやり方については、
公正取引委員会だってお調べいただかなければいけません。そうでなければ、どこにしわが寄るかといえば、すべて末端の小売商店なんです。たいへんなことですよ、末端の小売商店は。
私は、ある社の社長さんのところに電話をかけて、どこで御相談なさったのですかと聞いたことがある。ある社にしておきますが、たいへん困ったような返事をしておられました。どこかで何かがなければ、こんなにそろって上がりはしません。そうしておいて何をやるかというと、今度は各社が——ここにありますのは、神奈川県菓子卸商業組合連合会、ここから個々の菓子屋に文書を出しまして、「支払条件改訂等についてのお願い、御得意様各位」、たいへんなことになっているんですよ。口上が書いてありまして、最近は粉が上がった、砂糖も上がった、容器類も不足になった、メーカーも生産減少とあわせて価格の値上げということになってきている。メーカーの方々に問屋さんが呼ばれる。「然し乍ら私共卸問屋は、メーカーと協力して商品の集荷に一生懸命努力いたして居りますが、此の様な品不足の時はメーカーも強く厳しい条件付での出荷となって居ります。」、メーカー主導型なんです。メーカーがきびしい条件を問屋さんにつけてきている。「寒さ厳しき折柄、ご貴店様に於れましては益々御清栄の事と存じ上げます。さて、最近の諸物価の高騰は今迄にない大きな社会問題となって居ります。我々菓子業界に於きましても、砂糖の値上り、諸容器類の不足等に依りメーカーも生産減少と併て価格の値上となって居ります。
然し乍ら私共卸問屋は、メーカーと協力して商品の集荷に一生懸命努力いたして居りますが、此の様な品不足な時はメーカーも強く厳しい条件付での出荷となって居ります。支払は即金、返品は「皆無と言う案件でありますので、御得意様各位に於れましても下記事項ご了承頂き、尚一層のご支援を賜ります様お願い申し上げます。」、ていさいのいいことばを使っててますが「記」として「(1)御支払は即金又は請求時に、現金又は当日小切手で全額お支払い下さい。」、そうでなければおろしません。
見てごらんなさい、第一項。これはひどいものですよ。そんな、そこらの子供さん相手の菓子屋さんが、そんなたいへんな金ありはしませんよ。「御支払は即金又は請求時に、現金又は当日小切手で」、当日小切手というのは現金と一緒です。「全額お支払い下さい。」第二番目、「価格は当日値段でお願い申し上げます。」、当日値段という値段はないのです。当日値段というのは、仕入れのそのときの値段、それまでわからないのだ。「価格は当日値段でお願い申し上げます。(値引は出来ません)」、値段は当日値段。三番目、「返品はメーカー及び問屋の責任に依るもの以外は受取出来ません。」、四番目、「御注文品に付きましても、品切れが多く成ります事もありますので御了承下さい。」、五番目、「ガソリンの不足等に依りまして、即日配達出来ぬ場合もありますので何卒御了承下さいます様お願い申し上げます。」、これでは、しわはまるきり全部中小、零細のお菓子屋さんにいく。
そこで、何をやっているかというと、当日値段というのは、これなんです、ここにある。値段を入れないのです。値段は入っていない。これは森永製菓、ハーバートクリーム、これの原料は小麦です。あなたにあげたものです。ハーバートクリームビスケット、ビスケットの上にちょっとクリームがついている。二十二個入り百円とここには書いてある。次の商品は、これは、この百円を書きませんと、書いていない。二十二個、その下は空欄、何もない。それで売れという。どういうふうに売れというかというと、これを見てごらんなさい。これを張れというんです。百円の上にこの二百円を張れという。当日値段だという。全部そのとき変わりますということです。こういう芸当を平気でやる。これが天下の森永です。ひどいものですよ。これなんかもインチキがたくさんありますけれども、みんなこういうものを張らせる。
ところがさて、小売屋さんは困るんですよ。なぜ困るかというと、百円と書いてあるものをまだ持っている。わずか一カ月ちょっとで二百円と倍になったんですから、うっかり二百円を張って、これを店へ出したら、お客さんがあけてみた。そしたら百円。百円で売れるものを、あそこの店は二百円で売ったといって、客が来なくなってしまう。そうでしょう、奥さんたちというのは敏感ですから。おやじが酔っぱらって帰ってきたって、女房のほうは、曲がった茶わんだって安ければ買ってくるんだから。そうでしょう。だから、これは売れない。売れないと、今度は監視員が回ってくる。おたくは、これは何で百円で売っているのだ、なぜ二百円と張って売らないか、今度はおろしませんよ、こうくる。それこそ四苦八苦もいいところですよ、ほんとうに。おたくもこれを二百円と張って売れば、もうかるじゃないですか。張りなさい。いや、うちはそれはできません、信用がある。それじゃ、あとはうちの商品はおろしません、そういうことになったのじゃ、小麦の値上げは、一体どこにしわが寄る。中間に何もしわは寄らない。
不二家のを、ついでに申し上げます。これを見てごらんなさい。これは
皆さんのところのお子さんが好んで食べるもの、ライスアンドチョコ、米粒みたいなチョコレート、こういうものです。これは不二家製菓株式会社。この中身はチョコレートじゃないんですよ。ところで、これなんか見てごらんなさい。これも小麦関連食品。ここに二百円と張ってある。新しい価格表二百円と張ってある。張ったのをあけてみると、百七十グラム百五十円というのが下から出てくる。これを張れと言うので、しようがなく張らされた。張るほうには百八十グラム二百円になっている。そうでしょう。これはパックしてあって、取ったらしけてしまうんですよ。中身は変わりないんですよ。変わりないのに、この袋に直接印刷してある。袋は印刷してつくってある、百七十グラム。手品でもない限りは、十グラムかってにふえはしません。そうでしょう。これは百八十グラム。さすがに、百五十円のものを、いきなり二百円に値上げするんですから、気がひけるのでしょう。百七十グラムと袋には印刷してあるものを、ペーパーのほうには十グラムふやしている。こういうことは片っ端しですよ。出せば切りがない。
時間もありませんからやめますけれども、これで困るのはどこかというと、みんな末端の小売り屋です。しかも、これだけ上がるんだから、こういうまねをされるんだから。そうすると何が起こるかというと、二十四年間お菓子屋をやっていた、三カ月たたないのに、百円のものが二百円になったというのは、いまだかってないというのです。そうでしょう。それで百円で売るやつを、二百円では売れないから、どうしても張らずに自分でこっそり売る。さて次に仕入れに行くと倍になっている。そうすると、売り上げの二割くらいを
生活費に使うというんですが、その売り上げの二割を使う、その二割を食わないで、全部突っ込んで仕入れに行っても、いまあった品物だけは買えないというんです。買えない、それじゃ何で食っていくかというと——つまり末端の菓子屋さんか、そういう意味でたいへんに困っている。奥さんにしたって、先月子供が、これはほしい、好きなんだというので、百円で買えたものを、買いに行ったら、今度は二百円だという。見たら、なるほど二百円とペーパーが張ってある。あわててペーパーをはがしてみたら百円だった。これでは奥さん、納得できないですよ。そうでしょう。これは小麦の値上げがみんな引きがねになっている。もう一つは砂糖です。ただ、これのほとんど大きいのは小麦です。そういう形にしたのじゃ、これは末端の小売り屋さんが困るばかりです。
そうすると、この政策的な根っこを直さないことには、それは幾ら中小零細の小売店に——この設置法にありますよ。小売り店がお困りだろうから指導員を置きます、相談員を置きます——何を相談するか、相談することはない。だから、私は冒頭に言うように、農林省の
皆さんと相談をされて、森永なら森永、明治なら明治、不二家なら不二家、グリコならグリコというのが、一体どうなっているかを、商品を調べて、こんなに毎月、毎月上げられるものじゃないんですよ、普通の常識では。これは毎月でしょう。そうでしょう。だから、そこらのところは
皆さんかお調べになって——十一月のやつを見れば十二月から新価格、十二月のを見れば一月の新価格、一月のを見れば二月の新価格。それで今度は、六十円売りというのがなくなっちゃってから、農林省のほうは、六十円以下の商品は、子供さんのおやつ相当額の商品なんだから上げないでくれ、上げないでくれといったって、上げちゃって、六十円以下のものがなくなっちゃってから、上げないでくれと言ったって、どうにもならぬじゃないですか。そうでしょう。そのことを、わざわざ新聞に載せている。書くほうも書くほうだと思うんですね、新聞のほらも。六十円以下のものは、ほとんどありはしない。よく見て五十円が一つくらいあるくらいのところのものを——これは食糧庁か悪いのです。
皆さんたちが新聞記者に発表して、わが省は森永、明治、不二家、グリコ等を呼んで、六十円以下のものは据え置くように言ったら、気持ちよく了承してもらった——気持ちよく了承しますよ、ないんですもの。そうでしょう。そういうことをやっていて、何を一体相談するのか。そうでしょう。困るのは、末端のそういうところなんですよ。
だから、私は、一体、相談をするとおっしゃるけれども、親身に行政官庁が中小零細な店舗等を相手に相談をなさる姿勢なのかどうか。冒頭にいやな言い方をしましたが、石油の例をあげて申し上げた。そうでしょう。どうですか、これを
皆さんお調べになったことありますか。