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1974-04-02 第72回国会 衆議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二日(火曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君   理事 加藤 陽三君 理事 小宮山重四郎君    理事 中山 正暉君 理事 服部 安司君    理事 上原 康助君 理事 中路 雅弘君       越智 伊平君    大石 千八君       近藤 鉄雄君    竹中 修一君       旗野 進一君    藤尾 正行君       三塚  博君    吉永 治市君       吉田 法晴君    和田 貞夫君       木下 元二君    鬼木 勝利君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 山中 貞則君  出席政府委員         防衛政務次官  木野 晴夫君         防衛庁参事官  大西誠一郎君         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛庁長官官房         長       丸山  昂君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      高瀬 忠雄君         防衛庁経理局長 小田村四郎君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 田代 一正君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         法務大臣官房訟         務部長     貞家 克己君         外務大臣官房長 鹿取 泰衛君         外務省アジア局         長       高島 益郎君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         外務省欧亜局長 大和田 渉君         外務省条約局長 松永 信雄君  委員外出席者         法務省入国管理         局次長     竹村 照雄君         水産庁漁政部沿         岸漁業課長   平井 義徳君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 四月二日  辞任         補欠選任   和田 貞夫君     山田 芳治君 同日  辞任         補欠選任   山田 芳治君     和田 貞夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三〇号)  在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員の給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第三八号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鬼木勝利君。   〔委員長退席中山(正)委員長代理着席
  3. 鬼木勝利

    鬼木委員 久々に、私の崇敬する山中長官と相まみえることができまして、まことに欣快に存じております。  時間の範囲内において、少々お尋ねいたしますが、まず、この法律案は、航空手当等最高支給割合を改める、任用期間を定めて任用されている自衛官に対する退職手当を増額する、こういうことのようでありますが、特例退職手当支給額日額で定めてあるその理由を、お尋ねいたしたいのでありますが、法第二十八条の法文に、はっきり出ておるのですが、どういうわけで日額でこれをきめてあるのか、その理由を、これは長官でなくても、どなたでもいいですが、はっきりした理由をひとつ答弁してもらいたいと思う。
  4. 山中貞則

    山中国務大臣 初めに、たいへん御丁重なおことばをいただきました。鬼木先生が再び衆議院議員となられて、なじみのない当委員会で各種の御激励、御指導を賜わりますことを感謝しております。  なお、現在の問題は、事務当局答弁させます。
  5. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 なぜ任期制隊員退職手当日額できめたかということでございますが、やはり一つは、経緯がございまして、初めて任期制ができましたときから、実は日額できめておるわけでございますけれども、これは特に任期途中で、公務を原因にして死亡をして退職する、そういうような場合に 何日分という計算が非常に簡単に、明確に出るわけでありまして、それで非常に計算しやすいという計算便宜からできているものと考えております。
  6. 鬼木勝利

    鬼木委員 これは、はなはだ御無礼なことを言うようですが、計算が便利である、あなた方がおやりになる便宜のために、人権を軽んずるような——自衛隊隊員が、日給制度ならば別ですよ。自衛隊員日給制度じゃないでしょう。国家公務員月給制でしょう。それを、自衛隊隊員、しかも一士、二士、三士の士だけに日給計算する、これは国家公務員である自衛隊員を侮辱するもはなはだしいと私は思うのです。計算がやりいいから、そういうことをするというような、これは局長の御説明でも納得できませんね。  では、あなたの退職手当でも、日給計算してようございますか。あなたの月給日給に直して、月額日額に直して……。計算がしよいからやるなんという、そういう筋の通らぬことは、局長説明として納得できませんよ。ほかに、もっと的確な根拠があれば別です。あなたの御見解を承りたいと思います。
  7. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 いまのお話ですと、日額計算をすると、いかにも士の隊員の人格といいますか、そういうものを無視したという印象を与えるような御見解のようでございますけれども、これは、そういう精神的なものは全然ございませんで、先ほど申しましたように全く計算しやすい、わかりやすいということで日額にしておるわけでございます。  たとえば、百日分は一カ月に直せば四日ということですね、ですから、任期制隊員が二カ月つとめて、不幸にして公務退職された場合には、これが四日の倍の八日ということで簡明に出てくるわけでございまして、いささかも隊員人権を無視するとか軽視するというようなことはございません。もちろん、他の一般国家公務員退職手当法では、百分の幾らというような率で計算されておると承知しておりますし、それから他に、日額計算をした事例もないわけではございませんで、たとえば国家公務員共済組合法退職一時金のごときも、やはり日額できまっております。日額できめたからといって、当該隊員または職員人権を無視あるいは軽視するというような考えではないのでございます。
  8. 鬼木勝利

    鬼木委員 あなたの御説明は、何回同じことを繰り返されても、私の考え方とは、全然相離れておる。自衛隊が今日、非常に国民に親しまれておる自衛隊だ、募集にもあなた方が、あの手この手を使って募集しておられる。自衛隊をやめて、あなたたち退職手当はどのぐらいもらえるのだ、そうですね、私は今度やめたならば、二百日分はもらえるでしょう、百五十日分はもらえるでしょう、ああ、それじゃ自衛隊日雇いか、国家公務員月給制度かと思ったら日雇いか。これは募集には非常な支障になる。  しかも今日、退職手当を、日雇いのように日給でやるなんということは、これはあり得べからざることじゃないですか。たとえ百日であろうが、百五十日であろうが、二百日であろうが、それを全部月に直されるべきじゃないですか。一日であろうが、二日であろうが、三十分の幾つ、三カ三十分の一あるいは四カ三十分の一。分数でやれば計算ができない、整数でやれば計算ができる、そんなことはあり得ません。分数でやろうが整数でやろうが、いささかも計算に狂いがあるわけはない。やりよいからなんて——ようございますか、これは、むろん法第百二十号で昭和三十四年に改正になっている。これは長官も御存じだと思う。それまでは自衛隊は、将官佐官尉官下士官も士も全部日給だったんですよ。それを昭和三十四年に全部月給に直した。将官から兵卒まで、士まで全部月給に直った。これはあたりまえでしょう、国家公務員だもの。  ところが、今度、退職手当をやるのは、一士、二士、三士だけは全部日給でやる、あとは全部月給退職手当をやっている。どういうわけでこれだけ残したのだ。その理由がどうしても私には納得できない。わざわざ昭和三十四年に、将官から兵卒に至るまで全員月給に直ったんですよ。それまで日給だったのが、三十四年に月給に直った。だから、士まで月給になっている。それが今度は、退職手当のときだけ兵卒日給だ、あなた方は月給だ。これは、どうしても、だれが考えたって理屈がわかりませんよ。  いや、私は、あなたに文句を言ったり、あなたをやかましくしかっているわけではありませんよ、あなたがしたのじゃないんだから。また、これは長官がなさったわけでもないだろう。これは、こういうふうにきまっている、だけれども、人事局長なら、こういうものは直すように努力しなければいかぬ。また山中長官は、特にあなたは頭脳明晰、あなたの名声はさくさくたるものがある。日ごろから、私はあなたを大いに崇敬申し上げておる。だから、山中長官の手によって、何だ、こんなばかなことをだれがしたんだというぐらいのお元気がほしいですね。どうですか、もっと万人ことごとく、なるほどそうかという、納得のできる御説明を願いたい。
  9. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 いまお話しのように、従前警察予備隊が発足いたしましてから当分の間は、将から一隊員に至るまで日給制でございました。これは、そのとおりでございますが、それとこの任期制隊員退職手当日給で払うというのは、直接につながらないわけでございます。従前自衛隊員日給制というものをやめまして、月給制にいたしましたが、それといまの退職手当日給とは、直接かかわりがないわけでございます。  先ほど申し上げましたように、先生納得いただけませんのは、非常に残念でございますけれども、要は非常に簡明でわかりやすい、それで計算がしやすい、この百日分であるとか、あるいはそれをあれに直すと四日というような、わかりやすい、計算しやすいということがねらいでございます。もちろん、先ほど例をあげましたけれども、月給制をとっておりましても、退職一時金を日給で払っているという例もあるわけでございまして、また元に戻りますけれども、いささかも隊員を軽視するとか何かそういうことではありませんで、あくまでも計算しやすい、わかりやすい、そういうことがたてまえでございます。
  10. 鬼木勝利

    鬼木委員 あなたは、いま日給計算してやっておるのがほかにもある、こう言いましたでしょう。ありませんよ。それは共済組合のことを、あなたは言っていらっしゃる。共済組合には、日給で払っている制度もあります。しかし、それは全部だ。皆さん差別なく全部そうやっている。  ところが、自衛隊は一士、二士、三士の卒だけに日給でやっておる、あとは全部月給だ。そういう例はほかにはありません。そういうことは、私も調べて言っているんだから。徒手空拳でここに望洋として立っているんじゃないんだ。そういうことは答弁になりません。何かあったら、おっしゃってください。
  11. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 退職手当日額計算をするということは、私どものほうから見ましても、計算はしやすい、わかりやすいということもありますし、計算をする隊員のほうから見ましても、それはわかりやすくて、今度、増額して倍になるというようなことが非常にわかりやすい点もあるのではないかと思うのです。  それで、何回も繰り返し申し上げますが、基本的に先生の御懸念は、隊員を軽視しておるというような考えだろうと思いますが、これは特別退職手当ということでございます。先ほど先生は、共済組合の例をあげましたら、それは上から下までみんな同じ日給だろう。しかし公務災害補償におきましても、上から下までみんな日給でございますから、そういう点では上も下も区別はないのですが、この場合の任期制退職手当は、特別退職手当という名前がついているわけで、それだけの退職ときめておるわけでございまして、他の上のほうの、任期制隊員ではなくて、停年制隊員退職手当は、一般国家公務員等退職手当法が適用になる。これは特別なわけですから、区別されておりましても、だからといって、特にここだけを差別して区別したというふうにおとりにならなくてもいいのではないかというふうに考えております。
  12. 鬼木勝利

    鬼木委員 これは長官も、よくひとつお聞きくださいよ。そういうのを牽強付会というんだ。もっとわかりやすくいえば、へ理屈ですよ。ほかにもこういう例がありますと私がやったところが、いや、それは全部そうでございます、あなた、共済組合とかあるいは災害補償、これは日給ですけれども、一人漏れなく全部そうやっている。上も下もありはしない。ところが、自衛隊のだけは——そして、あなた、何回もそういうことをおっしゃる。計算がしやすい、そういうことを、ふざけちゃ困りますよ。計算がしやすいから、人権を無視するような、日雇い計算しておる、これは何回お聞きしたって、理由にならないですよ。  そういう御説明では、私は、日が暮れたって、まだこれは続けますよ。そんなこと言ったって、納得いかないもの、計算がしやすいから、こうやったなんというようなことじゃ。では、計算がしやすければ人権を無視しようが、差別しようがかまわぬ、冗談じゃありませんよ。それは、あなた方はそんなことをおっしゃるけれども、分数でやったほうが計算がしやすいかもしれぬ、だから、もう少し何とか、あなた、すなおにこの実態をお認めになったらどうですか。これは、なるほど、そういうふうなあれは十分あります、そこまでわれわれの考えも至らなかった、これは長官とよくまた御相談して、できるだけひとつ、何らかの方法考えましょうとか何とかあるはずだ。あなたの答弁まで私がしてあげているんだ。こんな念のいったこと、ありはせぬよ、ほんとうに。そういう言い方はありませんよ、そんなことは。
  13. 山中貞則

    山中国務大臣 ちょっと答弁のしかたがまずいと思うのですが、まず第一に、任期を限って公務員になるというものが実はほかに例がありません。陸上において原則二年、海、空において三年、その間、国家公務員、しかも志願兵制である、試験はありますけれども。そういう者に対して、退職時の際の特別退職手当というものを、いかなる計算方式を当てはめるべきか、これは十分検討の余地があるものでありますし、また普遍的な例がありませんので、これを、どのように遇することがよろしいのかということ、これは、その隊員の観点から考えなければならぬ問題であります。  もっとも、この百日分を設定いたしまして、まあ最初二任期の例をあげますと、もう十数年ほったらかしてあるわけです。それで今回、私が、それを二百日ということにしてお願いをしようとしておるわけでありますが、待遇を厚くするということと、しからば、それを他の公務員と同じように、初めから任期で、二年後にはやめることは自由であるということをもって、特別職国家公務員なる者と他の者と一緒に扱っていいかどうかの問題と、それから待遇は、しかし一緒でなければならぬ、それを俸給月額の何分の一、幾らという計算をした場合と、日数でやった場合とでは損をするのかといえば、この日割り計算でやっても損をしてはいない、そこで結論からだけ局長が、まあ、計算しやすいと、いかにも自分たちのそろばんをはじく時間が短いから、便宜的な方法をとっておるのだと答弁しましたので、これは隊員不在の論争といわれてもやむを得ないのですが、そういうことではなくて、やはり基本的には、任期制という特別の国家公務員、それに対して、退職していく場合にどのような遇し方をすべきであるか、どこまでできるか、それはいかなる計算方式が妥当かという議論だと思うのです。  いま、おっしゃることは、ほかの公務員だって全部日割り計算みたいなものはないのだから、それも、やはりほかの公務員並みにしろという非常にありがたいおことばなんでありますから、この問題は、現在、防衛庁で給与問題の調査会を、学識経験者の方々にお願いしまして、その他にも各般の問題がありますので、これらをいかにすべきか等について諮問いたしておりますが、これらの先生方の御意見にも、やはりゆだねて意見を聞くべき筋合いのことを含んでおると思いますので、謙虚に先生の御意見を承って、さしあたりは現在の制度である百日分を二百日分、百五十日分という、一任期、二任期というものを今国会においてはお許しを願いたいと思うわけであります。
  14. 鬼木勝利

    鬼木委員 さすがに長官、やはりあなたの御答弁ならば明快です、ほんとうに。  それを、これは特例退職手当だから、日給でやっているのだ、だから、これを特例というのだなんて、あなたの説明は、これは全然ゼロですよ。これは、もう人事教育局長というような資格はゼロだ。これは、もう不合格、落第じゃ。交代せにゃ。特例退職手当という、その特例ということは、それは意味が違うんですよ。いま長官が御説明になっておったような、特例退職手当——日給で特別やるから特別退職手当、とんでもない。そんな答弁なんというのは、もう時間がむだです。  では、長官の御説明納得いたしましたので、次の問題に移ります。大体、法案について、順序を追ってお尋ねをいたしますが、次は航空手当の額の算出根拠及びジェットレシプロに一五%の差をつけてありますが、ジェット初号の六五%、レシプロ初号の五〇%、一五%の差がつけてございますが、それは、どういうわけでそういう差がつけてあるのか、それをちょっと御説明を願いたいと思う。
  15. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 今回の改正は、一般職航空手当改正されることに見合う改正でございまして、いま御質問の、ジェットレシプロの差の一五%ということでございますが、これも従前からのそういう差でもって支給をしてきたわけでございますが、その理由といたしましては、ジェットのほうが、航空機構造上の問題、これから生ずる滑空する時間が短いというような、構造上からする危険性の問題とか、あるいは飛行訓練におきまする戦闘訓練を実施するとか、あるいは射撃訓練を実施するとか、そういうような飛行の態様による危険性の問題、あるいは飛行中におけるジェットが特別にレシプロよりも疲労が大きい、それは心身に与える影響が大きいというような各要素を総合いたしまして、そして従前からレシプロの乗員の支給割合ジェット割合は一五%の差をつけておったという事情にございます。
  16. 鬼木勝利

    鬼木委員 それはまあ、おそらくそういうことではなかろうかという、私がいろいろ研究した場合に、そういうふうに考えたのでございますが、なお落下さん部隊降下作業手当がここへ出ております。これに非常に差がついておるが、落下さん部隊のおり方によって、落下さん降下作業手当階級により差をつける。こういうふうにおりた場合には幾らだ、こういうふうにおりると何ぼだという、そのおり方に差をつけてある。これは、もういよいよわからぬようになってしまうんだがな。また、あなたの説明を聞くというと、おもしろい説明がいろいろ出てくるだろうから、私は、それを楽しみに、いまから御高見を拝聴したいと思うが、そのおり方の説明をひとつ……。
  17. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 落下さん降下作業手当は、現在、五つ階級といいますか、五つに分類されておりまして、各階級で違うというわけじゃございません。将補と佐クラス一つ、それから尉官クラス一つ、それから准尉、曹、士でそれぞれ一つで、五つになっております。階級でみんな違うということじゃございませんで、まあ、みんなおりるんだから、みんな同じでいいではないかということでございます。  しかし落下さん隊員がおります場合におきましても、みんな同じにばらばらおりる、こういうことじゃなくて、その中には指揮官もおれば指揮される者もおる。それから、それぞれ指揮官の中にも、その担当がおります。そういう者が、それぞれ職務を分担しておりまして、そのときにおける風の強さとか、風向きとか、それからおりる地点の選定とか、どんなふうに何名この辺におりて、何名そのあとでおりるとか、そういうおりる時期の選定、おりる場所の選定、それから、いまおりたがいいか、おりないがいいかという、そういういろいろな判断をする必要があります。ただ、おりるからみんな同じということじゃありませんで、おりる前、おりた後、おりる前の準備、おりた後に展開をするぐあいまで、みんな含めて落下さん降下作業手当ということで含まれておるものですから、その間におきまして、こうした五つの段階に分けて手当支給しておるわけでございます。
  18. 鬼木勝利

    鬼木委員 いま、あなたのおっしゃるように、尉官はどうだ、佐官はどうだというようなふうに、身分によって落ち方が違うようなことになるわけですよね、あなたの説明では。これは一体、どういうことですか。長官以下皆さんの御研究なさった結果だろうと思うが、まことに自衛隊というところは妙不可思議なところ、不可解なところだと思うね。何か尉官になるというと、特別高級な軽わざみたいなことをして落ちるのですか。そうすると、今度は下士官になるというと、案外すなおに落ちてくる。いろいろ落ち方があるんじゃないかと思うな、これは。そういうふうにわれわれしろうとは解釈しますね、こういうやり方をするならば。落下さんで落ちるということに対しては、差別なく全部同じじゃないですか、私はそう思うがね。(山中国務大臣落下さんから落ちたら殉職です」と呼ぶ)いや死なぬように落ちる。そのためにかさ開いているんだから。死んだんじゃ落下さんは用をなさぬ。死なぬように落ちるんだからね。  だから、落ち方を、こういう——何ならわれわれ内閣委員会で、隊を視察して、その落ち方を、これは幾ら落ち方だ、次にごらんに入れますのは、ずっと下がりまして、幾ら落ち方でございます、無事いきましたら拍手かっさいを願いますと、ひとつ説明してもらって、われわれ視察しようじゃありませんか。これは冗談じゃないですよ。全くこれはおかしな話ですよ。これは一体どうなるんですかね。落下さん部隊がこうしておりていく、それを、階級によってその差別をするというような、これは、いろいろいま御説明もあったけれども、どうしても私はその御説明に対して納得がいかない。  職員給与法施行令、この別表第三に載っております。これは読まぬでも、あなたのほうがお詳しいと思う。それから十六条にも載っておる。航空機乗務員の件は載っておる。この航空手当が、百分の六十五を百分の七十五に改める、それはそれでいいと私は思う、けっこうだと思うのです。だけれども、この落下さん部隊のおり方に対するところのお金に差がつけてある、これは、どうしても私は納得がいかないんですが、これは、どういうものですか。もう少し局長考えて、何か発表の方法はないかな、答弁方法は。いまのじゃ、ちょっとまだ、もう少しうまいぐあいに言う方法はないかな。
  19. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 おり方がうまいとかへたとか、そういうことで差を設けてございません。先ほど申しましたように、これは、おりることも含めますが、おりる前、おりる後におけるいろいろな責任の問題を加味しまして、指揮関係を加味しまして、五つに分類しまして、そうして差をつけておるわけでございまして、おり方、飛行機から離れておりるまでの間の云々ということじゃないわけでございます。  おりる前のいろいろな風速の判断とか、いまおりたほうがいいかとか、それからおりた後において展開をするとか、それからどの辺にまとまるかというような、そういうことまでも含めた、いわば一つ部隊としての指揮運用といいますか、それから安全確保というようないろいろな配慮を上級の者はする、そういうことまで含めておりますから、差をつけているというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。
  20. 鬼木勝利

    鬼木委員 それは事前、事後、予備行動あるいは事後の作業というような総合的な一切がっさいを含んだことであろうと思います、それはあなたのおっしゃるように。だろうと思うが、落下さん部隊の作業手当降下作業手当だから、それに差をつけるというと、そういう誤解が出てくるんですよ、私の言うような。おり方に、人間によって差をつけていく。じゃ、どんなおり方をするのだ、こういうことになるのは、これは私、当然だと思うんですよ。これは、もう少し何か方法考えるべきじゃないですか。  先ほどから私が言っておるように、あくまで人権尊重という立場から考えた場合に、どうも自衛隊の諸君は、人権の尊重というような点は、案外おろそかにしておるんですよ。そこまで考えが及んでいない、用意周到なもとにやっていらっしゃらない。先ほどの問題でもそうなんですね。およそこの世の中に、自衛隊のみ、しかも士のみ、兵卒のみ日給で払ってある。あとは全部月給、またこのおり方も階級によって差をつける、こういうふうに考えるのは、あたりまえじゃないですか。  だから、そういう誤解を受けないように、あなたのおっしゃるように、事前、事後の分まで含んでおる、そういう指導の分まで含んでおるというならば、それは別に別途指導手当とか、航空手当とか、何かつくべきであって、おり方に対しては、全部一律でなければならぬはずだ。そういうところまで、もう少しこれは再思三考すべきだと思うんですね。人間尊重、人権尊重という立場から立った場合には、そうしなければならぬと思う。そういう点まで、あなた方そこまで考えませんでしたと、こういつでも言うのです。自衛隊の諸君を呼んで私が言うと、いや、そこまではと言う。そこまで考えなければ話にならぬ、これは大事なことです。長官いかがですか。
  21. 山中貞則

    山中国務大臣 これは落下さん降下の危険手当ではないのです。作業手当なんです。これは階級が大まかに分類してありますのは、それぞれのカテゴリーに入る指揮官たるべき者の、戦闘演習その他において降下作業をいたしますときの態様が確かに違うのです。  それは、一般隊員は、ただ、よしと言われたら、そのまま飛び出して、自分が習熟した全力を傾けて安全な着地地点を見つけ、あるいは着地を試みれば、それでよろしいのですが、しかし、その上の直接の指揮官になれば、自分の掌握する隊員がどのような地点で、どのような範囲にわたっての降下をしつつあるか、そういうものを、おりながらも掌握する、自分の落下さんの、何綱と申しますか、あれでもって、自分がどのあたりにおりて、それを掌握すべきであるかというようなことを判断する、ですから、ただ自分の着陸だけに専念しておりるわけじゃないのです。  それから、階級がもう一つ上になりますと、さらに広い掌握範囲になります。それは着陸しつつあるそれぞれの単位の指揮官が、おりつつあるところを全部掌握して、自分がどのあたりにおりて着地すべきであるかということを判断するのですが、これは、かさの操作によって、風向きやそういう飛びおりた瞬間のもの等によって、非常に高度の技能を要します。まっすぐ、安全に着陸するだけのものと、それから安全よりも、自分がおりなければならない場所を考えてかさを操作して、前のかさを引っぱれば斜めにこう進むとか、風速はどれくらいであれば、ひもをどの程度に引っぱればいいとかいうのは、相当高度の、おりながらの判断を伴う作業でありますから、そういう意味において、やはりある意味の差というものがなければならぬと思うのです。  そこで、そういう場合において、ほかのところがやっているから同じだというわけにもいきませんで、航空手当やあるいは——一般職の場合でも、潜水手当とか、そういうものなども、やはりあるわけでありまして、ただ単純に、安全におりさえすればいいという単位のものから始まって、広くは編隊の降下ぶりを全部把握しながら、相当困難であっても、自分はあそこにおりなければいかぬという判断を要求されるものとは、私は違うと思うのです。その意味において、単なる降下危険手当ではないというふうに御理解を願いたいと思うのです。
  22. 鬼木勝利

    鬼木委員 だったら、これが、降下作業手当でなくして、降下作業訓練指導手当とか降下訓練手当とかいうような意味なら、話はだんだんわかってくるのです。しかし単なる降下作業だったら、尉官であろうが、将官であろうが、指揮官であろうが、降下するんだから同じことじゃないか、こういうことになるわけですね。  いまの長官の御説明で、内容はよくわかりました。まことにそのとおりだと思います。だったら、これは、表現のしかたがもう少し、私は何とかあると思うのです。もっと説明のしかたもあると思うのです。この皆さん方からいただいたパンフレットやこういうものには、何にもそういう説明はしてない。全部すこぶる簡単に、降下作業だということしか書いてないのです。それでは誤解を招く。  だから、先ほど私が言ったように、まことにどうも冗談みたいなことを言うて、はなはだ相すみませんけれども——冗談じゃない、実際、そういうことに考えられるのです。だから、内容が、いま長官のおっしゃったようなことであるならば、これは降下作業手当じゃなくして、降下作業の指導手当あるいは訓練手当というようにならなければいけない。そうせぬというと、単にこれは危険手当であろうかい、あるいはみんなどんどんおりていくんだ、それで将官がおりるときにはちっと高いぞ、その次はちっと手当は安いぞ、士は、これは落ちてどうなろうとかまわぬ、もう安うしておけとか、こういうふうに考えられる、最もよろしくない。  だから、階級をつけるならば、指導手当として別に幾ら、訓練教育手当として幾ら、おりるのは全部一緒だ、こうならなきゃ話にならぬ。おりるのは、降下手当は、将官であろうが、何であろうが、かんであろうが全部一緒だ、その上にプラスアルファは、訓練の手当、指導の手当というのを、別にこうしてつけるんだ、これなら理屈はわかる。どうですか、局長
  23. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 落下さん降下作業手当の、作業内容をしさいに分析しますれば、いまのように、ただおりるということと、それから、それにプラス指導というようなものが確かに入っております。ですから、こまかく手当を幾つも分類していうならば、まさに、そういうようなことにあれするのが非常に合理的だと思います。  ただ、この場合は、一本になっておりまして、説明も非常に簡単で、別表をお読みになっただけでは、なかなかわかりにくいだろうと思います。ですから、私ども説明が足らなかったと思いますけれども、内容を御説明申し上げれば、そういうことでございます。本来、手当一つ一つこまかに分類して、それぞれやればいいんでございましょうが、いまの手当体系も、大まかに、先ほどのように、いろいろな要素を含んだものもありますから、私ども日ごろからそういった分析、研究はしていかなくちゃいけないというふうに考えております。
  24. 鬼木勝利

    鬼木委員 長官の御説明、あなたのあれで、大体わかりました。わかりましたが、もう少し、これから説明を丁寧に書いて——なるべく事務は簡単で省けて、手の要らぬことをするのがいいというのが、どうも防衛庁の主義、方針のようだが、それは、はなはだよろしくない、そういう考え方は。計算するのでも、なるべく簡単にできるのでやるというような、そういう考え方はよろしくない。安易につこう、安易につこうというようなことではいけない。国民大衆、全国民がみんな納得のいけるように、念には念を入れて用意周到、慎重に処理していくという考えが大事でございますよ。よろしゅうございますか、局長。特にあなたは、人事教育局長なんだから、そういうことが大事なことです。いいですか、これは私、あなたに対して要望しておきます。
  25. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 お説ごもっともでございまして、さように心がけて仕事をしたいと思います。
  26. 鬼木勝利

    鬼木委員 じゃ、その次にお尋ねをいたします。  自衛隊員の営内居住の一日の食費ですな、これは、いま大体幾らになっておりますか。
  27. 山口衛一

    ○山口政府委員 現在、一日一人当たりの食費は、昨年の十月一日の給与改定に伴います食費の増額によりまして、現在三百九十三円、以前は三百五十七円、約一〇%の増加をいたしております。
  28. 鬼木勝利

    鬼木委員 そうしますると、大体、准尉以上は営外居住が原則だということになっておる、それは間違いないですな。曹以下が営内居住、これが原則だ。  そこで、ここに載っております営外手当、この問題ですが、いまあなたのお話で、一日に食費が三百九十三円、これまた、あとでいろいろお尋ねしたいが、営外居住者、これの手当月額九千五百十円とある。これは、おたくのあれに出ておる。九千五百十円が営外手当だ。これは、主として食費だと思いますが、ところが、これは承るところによりますと、光熱費とかあるいは水道料とかいうような諸雑費が含まれておる、そして九千五百十円。そうすると、これはずっと安くなりますね。七千円内外ということになるが、これは、どういう計算で、こういうふうになっておるのですか、九千五百十円というのは。この計算の基礎を、ちょっとこまかいことを言うて、はなはだ恐縮でございますけれども……。
  29. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 いま装備局長からお触れになりました一日の糧食費の日額単価が三百九十三円でございます。これを十六・八カ月と考えまして、それの一月当たりが八千五百三十五円。それから営舎費が一人当たり四十八円十銭、そして、それの三分の二を考えまして、それの十二カ月分の三百六十五日を、十二で割りまして一カ月分、これが九百七十五円。そこで八千五百三十五円とこの九百七十五円の合計が九千五百十円ということでございます。
  30. 鬼木勝利

    鬼木委員 そうすると、九千五百十円が営外居住の人の手当だ、これは曹の階級となると思いますが。それで九千五百十円と三百九十三円——大体、九千五百十円というのが、ちょっとおかしいと思うんですがね。一日の食費は三百九十三円、それの三十日、一月分ということになれば一万一千七百九十円、こういう計算が出てくるはずですがね。ところが九千五百十円、それが営外手当。そうすると、営外手当は九千五百十円もらっているけれども、これから光熱費だとか電気料とか水道料金とかを、ずっと払いますと、ほんのわずかですね。七千円足らずにしかならない。そうすると、食費は、日に二百何十円くらいにしかならないということになる、計算の基礎は。いまのあなたのお話とは、だいぶ話が違ってくるんですがね。そこのところを、もうちょっとよく計算してください。
  31. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 三百九十三円の日額でございますが、これの三百六十五倍をして一年分の糧食費を出すのじゃありませんで、実は、この額が期末、勤勉手当にはね返るものですから、先ほど申しましたように、十六・八カ月で割っておるわけです。ですから、実際には十六・八カ月でもって——営内における人が十二カ月の糧食費としてもらう分を、十六・八カ月で営外者はもらうというような計算になります。
  32. 鬼木勝利

    鬼木委員 十六・八カ月というのは、どういうことですか。はっきりしてください。
  33. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 この十六・八カ月というのは、普通の十二カ月と期末、勤勉手当の分が四・八カ月分ありまして、その中に営外手当の中における糧食費の分がみんな入ってくるものですから、実際には十二カ月で割りませんで、十六・八カ月で割りまして、そして糧食費を出しております。
  34. 鬼木勝利

    鬼木委員 期末手当が四・八カ月分出るから、そこで十二カ月と合算して十六・八カ月、それによって割り出したものがこうなる、こういう意味ですな。なるほど、そうですか。  ところが、実際は、これを上げれば、ほかのほうがへずられるから——何ぼベースアップしても、全部含んだものでこれをやるんだから、結局、これをよけい取ればどこかがまた減らされる、そういうあなたの御説なんで、それはよくわかります。よくわかりますけれども、それは、いずれにしても、収入という点においては、ベースアップで上がった分に対しては、それだけ食費でもらわなければ、何かほかでもらう、住宅手当でもらうとか何かでもらうわけだから、結局、収入という点においては同じことなんですからね。  だから、この食費のほうを減らさないで、こういうのは、私は増すべきだと思うんですよ。ほかのほうは削っても、こちらはやはり増すべきだと思う。そういう考え方は、局長、どうですか、しませんか。これは食費のほうによけい金を回せば、ほかのほうの手取りが少なくなる、こういう考えでしょう。だけど、同じことですからね、みんな。だから、少なくともこの食費ということに対しては——これはカロリー計算は載っております。計算の上でこうやったということは、説明にも載っておったが、しかし、やはり健康管理、体位向上、保健という意味から考えた場合には、食事は十分足るように私はやるべきだと思うのですが、そういう御見解はないですか、皆さん考えは。それを局長ひとつ……。
  35. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 給与算定の場合におきまして、ベースアップがありますと、全部上がりますが営舎内に居住する者につきましては、糧食費、営舎費を引きまして、そうして、それを計算いたしまして、実は俸給表に出てくる形式上の給与の額がきまる。したがいまして、糧食費のほうが上がれば、俸給表に出てくる形式的な給与の額は、少なくなるということでございます。その引かれた分に見合うものを、営外手当として、営外に出た者には、支給するわけでございますから、営外者につきましては、全くベースアップした分をまるまるもらうわけでございますが、営内にある者につきましては、たとえば艦船乗組員、それから防大の学生等につきましては、先ほど計算した糧食費よりも、若干よけいの糧食費と申しますか、食べる分を出しておりまして、その辺は、いまのカロリーを増すというようなことを念頭に入れまして、考慮をいたしております。
  36. 鬼木勝利

    鬼木委員 いま、あなたのおっしゃったように、ベースアップがあっても、食費にそれをよけいとれば、ほかのほうが削られる、それは、わかっているんですよ。それは、わかっておるが、私の言っておるのは、少なくとも健康管理の上から営外居住手当は、つまり食費の分として十分にこれを差し上ぐべきだ。九千五百十円では、いま言ったように、一日に三百円くらいにしかならないじゃないか。そういうことで、どうしてめしが食えるか。したがって、営内居住者も同じことですよ。一日に三百九十三円、多量に、たくさんの人が食べるから、いいかもしれぬけれども、そういうことでだいじょうぶかなと私は思う。今日、こんなに物価が上がって、物価狂奔の時代ですよ。営外、営内ともにですよ。  だから、ここにも載っておる。「営内居住者食べ盛り十二万五千人」と書いてある。「献立に悪戦苦闘」だと書いてある。長官、これは、ひとつよくお考えくださいよ。今日、三百円そこそこでだいじょうぶですか。ここにはカロリーの点も載っておる。十分に考えておるとは書いてあるけれども、しかし遺憾ながら、食べもののために、離隊のおそれもあると書いてあるんですよ。ようございますか長官、これは、たいへんなことですよ。  営内で食べるものがまずくて、十分に食べられないから離隊する、これは、とんでもないことだと私は思うんですよ。「自衛隊員、総数は現在約二十三万二千余人で、うち駐とん地の兵舎などで朝、昼、晩の三食を賄われている営内居住隊員は約十二万五千人。この隊員は、ほとんどが曹士クラスで年齢も若く、いわば食べ盛り。」こうあるんです。そういう連中のために、わずかに一日三百九十三円というようなことで、三千三百カロリーは確保しておるけれども、その献立に困っておる。「昨年来の狂乱物価で、野菜をはじめ肉・魚類」云々と、ずっとどうもこうもされぬと、詳しく読むと書いてある。  私は、結論すれば、もう自衛隊の営内の台所は、まさに悪戦苦闘だ、もう危機に見舞われている、みな隊員は離隊しようとしておる、これはたいへんな問題ですよ。こういう点を、予算上にふやすのだ、営外居住者の九千五百十円なんというのをこれだけに上げる、営内の三百九十三円はこれだけにするというようなことは何もないじゃないですか。だから、私はよくないと思う。  きのうもテレビでも言っておったでしょう。自衛隊の本年度の発注は、装備、兵器、これが全部二割方から三割方上がっている、だから、本年はずっと縮小しなければならぬ。予算がない、それだけ上がっている。そういう兵器や装備の方面に対しては、金が上がっておるからどうしなければならぬ、こうしなければならぬというようなことは、あなた方は検討する。しかし大事な人間を預かっておるのだ。しかも朝昼晩の食費というものに対して三百九十三円でございます、それでやっております、ことしは何ぼ上がっても三百九十三円です、それを上げたら、ほかのほうを削られるから困ります、それで営外居住は九千五百十円でやっておいて、そして三百六十五日に四・八カ月のあれを加えて、それを割ったのがこうなって、だからこうなる。計算がしやすいから、やったかもしらぬけれども、冗談じゃありませんよ。こういうことこそ一番大事じゃないかと思うんですよ。  古語にいわく、「衣食足って礼節を知る、恒産なければ恒心なし」、まず衣食住ですよ。大事な大事な隊員が、腹を減らして離隊をするというような状態はとんでもない。そういうことに対して、局長なんかは、私がこういう質問をしたなら直ちに、実はこういうわけで困っております、ひとつ皆さま方の御協力によりまして、食費はこういうふうに上げたいと思います、こうしたいと思います、このくらいなことは——あなたか金を出すんじゃないのだ。あなたに一厘でも出せと言っているんじゃないのだ。幸いに、きょうは長官もお見えでございます、私のところの長官は、非常に御理解の深い名長官でございますので、直ちに御相談いたしまして、かようかくかくしかじかでございますというぐらいのあれはないものか。じっとただお客さんみたいに聞いておるだけだ。とんでもない。
  37. 山中貞則

    山中国務大臣 実は、これには基本的な問題がまず含まれているわけです。ということは、おそらく国民のほとんど大多数の方々が、自衛官は、少なくとも隊内居住の者は、食費はただで国から食わしてもらっているのだと思っていらっしゃると思います。しかしながら、現実には、確かに食費の計算はしてございますが、それは自衛官の受けるべき、すなわち残業手当その他も含まれない、昼夜勤務を原則とする特別な職階としての給与表を仮定しまして、そこから食費を差し引いて、逆に言うならば、自衛官の給与は、食費がめり込んでおるわけであります。  したがって、形は違いますが、自衛官は、自分の月給できょうはライスカレーを昼は食べたいと思っても食べられない、あるいはきょうは何かさしみを食べたいと思っても食べられない、要するに、メニューできめられて並べられたものしか選択できない食事を、悪く言えば強要ですが、余儀なくされているけれども、それは自分たちの本来あるべき給与から差っ引かれている食費なんです。ここに問題があるのです。  私は、これを、今年度予算要求に際して、国民は少なくとも、いい悪いは別にして、自衛官は隊内居住して食費はただであるというふうに思っているはずだ、ところが、実際は全額俸給にめり込んでおる、その残ったものが俸給だという、その実態はおそらく国民は御存じない、そこで、やはり給与は給与、そして自衛隊に、これは賛否はあるでしょうが、当然のその任務、営内居住、食事の選択制の不可能という立場から考えて、官給すべきだということであるならば、食糧費というものは外に出すべきである、いまおっしゃったように、正々堂々と、そのことは表に問うべきであると考えまして、計算させましたところ、ざっと二百二十億、それだけ、食糧費だけで要るというような計算が出たわけであります。私としては、それを要求したかったのでありますが、これは自衛官給与の基本にかかわる問題でありますために、先ほど申し上げました、自衛官の給与体系を根本的に検討願っております給与制度調査会の皆さま方の御判断も仰ごう、国民の良識ある方の御判断を仰いでからにしようということにして一年見送りました。  この点は、私としては、見送ったことがよかったかどうかについて、自分でいささか疑念も持っておりますが、このような事実はぜひ知っていただきたい。できれば、やはり食費というものは、そのような選択制も失われた、官給されたものでありますから、国費で支弁して、給与は給与としてきちんとしてもらいたいと思うのが、私の希望でありまして、昭和五十年度予算では、そういうふうにしたいと考えます。  さらに、現状における食事給付の実態でありますが、これは、私、各隊を、ある場合においては予告し、ある場合には抜き打ちに訪問して、その日の隊食を、そのまま隊員一緒に食べながら、いろんな懇談の機会を持つことにいたしておりますが、概して、食事に対して文句を言った隊員はおりませんでした。しかしながら、松戸の補給処において——ここが一番食料補給その他についての直接の担当でありますので、初めてその問題が出まして、やはり最近の食費の高騰については、非常に苦慮いたしております、含水炭素をふやし、まあ総カロリーの中の配分を変えるわけですね、そして高くなっておるたん白質等を、何とか少なくしようとやりくりしております、かといって隊員には、相当な重労働をしいられるわけでありますから、少なくとも、やはり一定カロリー以下のものでは、もう体力がもてませんので、そこらのやりくりに非常に苦労しておりますというなまの声を、初めて松戸補給処で聞きました。  これは私、当然あり得ることだと考えておりましたので、やはりこれが、なまの声だなと考えております。かといって、自衛隊自衛官支給されるべき食費というものが、一般国民の食生活の常識をはるかに破る手厚いものであっても、またどうかと思います。やはりそこには、ものには限度というものがありましょうが、基本的には、いまの営外手当の問題は、そこに端を発しておるわけでありますので、自衛官の給与と食糧費のめり込みの問題、この問題を一番の大きな問題としてとらえて、その金額が妥当なりやいなやという議論を、別途また検討してみたいと考えます。
  38. 鬼木勝利

    鬼木委員 そこで、いま長官のおっしゃったように、本年度はできなかったけれども、来年度あるいはまた将来においては、必ず自衛隊員の食費は国費にしたい、国でまかないたいというお気持ち、これは、まことに私はありがたい。ぜひ、そうしていただきたいんですが、現在は、少なくとも、いま私が言っておりますように、毎年ベースアップもあっておるんだから——いまおっしゃるように、それを食費のほうにめり込んでとれば、ほかのほうを削られる、これは、さっきから私が何回も申し上げている。食費のほうによけいとれば、結局ほかのほうのどこかがひっ込んでくる。これは、もうやむを得ぬですよ。ほかの一般公務員だってそうなんですから。何かをとれば、その分はどこかがめり込んでいく、こういうことになる。ですから、ほかのほうを節約してでも、ほかのほうは多少倹約してでも、食費は隊員のふところから、月給から取り上げるから、かわいそうだから安くしているんだ、それも一理ある。一理あるけれども、いま長官もおっしゃったように、だからといって、一般の食生活と自衛隊とはそんなにかけ離れるわけはない。何か特別、自衛隊のほうが安ければ別ですけれどもね。  巷間では、市場では大根一本が百円だ、自衛隊は一本が一円か五円で来る、まあ、そんなことないでしょう。そんなことないんだから、やはり食生活は、普通一般社会と大体そうかけ離れておるわけはないんですね。しかも自衛隊は、昼夜を分かたず、重労働と言うとなんだけれども——まあ重労働ですよ。大きにこれはたいへんだと思うんです。しかも若い食べ盛りだ、特に営内居住者は。ですから、ほかのほうは節約しても食事だけは、食べるものだけは、私は考えるべきだと思うんですがね。  そういう点において、ここにも載っておるんですが、ほんとうですが、離隊がふえているというんですよ。そういう実態を、あなた方、よく御存じかと思うんだけれども、これは簡単な問題じゃありませんよ。陸上自衛隊は、二万も三万も欠員じゃないですか。二万も三万も欠員ですよ。その上、食べものがないからといって離隊しているなんて、こんなことは人に話されませんよ。ここでこっそり言わぬと。だが、何ぼこっそり言っても、国民は全部聞いていますがね。こういうことはあり得べからざることなんですよ。  いま長官説明のとおりですよ。だから、自衛隊だからといって、特別安く食費をやるということはでき得ないですよ。それは大衆生活、大群衆、大軍団だからね。それは、わずかの者が食べるよりも、よけいな人が食べれば、格安にはできますけれども、特別に自衛隊だけは別世界である、特別安くできるなんということはあり得ない。だから、非常に苦心していると書いてある。  長官、ようございますか。物を買うにも、調達場所を、周辺の住民の生活を脅かさないよう慎重に配慮している。というのは、調達面で大量に購入すれば安くなる、しかも集中的な調達や生産地と直結した方法がとられる場合が多い、でも、この集中調達は、度を越すと、自衛隊の買い占めだと批判を受ける、こういうところまで、これは自衛隊もなかなかいいところを考えておるよ。ここまでやはり周到に考えている。それは生産地と直結して、たんぼならたんぼを一反歩なら一反歩、二反歩なら二反歩のできておる野菜を、全部ばっと買い込んでしまう、そうすると非常に安いでしょう。しかしそうなると、自衛隊が買い占めだという非難を受ける。だから、そこまで考えておりますので、なかなか簡単に、自衛隊だからというて、特別安くは入れられません、こういう訴えなんです。ですから、ほんとう一般社会の食生活とそう大差はない。  それに一日三百九十円ではね。試みに、あなた方、一日に三百九十円で月給計算する、防衛庁皆さんは、それを月給に引き直す——御承知ですか。だったら、私は、人事院の佐藤総裁に言って、防衛庁関係の職員諸君は、全部一日三百九十円で月給を引き直してくれ、どうですか、皆さん、そういうわけにはいかぬでしょう。  でございますから、それは自衛隊隊員のふところから出るんだから、なるべく金がよけい出ないようにという、そういう長官の親心、ほんとうにありがたい、だけれども、やはりものには限度がある。そのために離隊をするような隊員が出てくるというようなことになれば、これは事態は逼迫しているのです。そういうことをお考えの上、踏まえた上で、ぜひひとつ、長官の御配慮を願いたいと思います。
  39. 山中貞則

    山中国務大臣 これは実は、参議院の本会議で、おたくの黒柳委員から、募集のパンフレットは、一見あたかも、月給月給で、食事は別で、ただだぞというふうにしか読めぬ、誇大広告ではないかというお話がありまして、ここらに私ども悩みがあって、食費は、結局は自弁しているような俸給体系になっているという問題、これについて、いまの局長答弁等では、その悩みをあまり表に出さないで、形式上の答弁をしたようでありますが、やはり先ほど例にあげられました正面装備その他の武器類の調達等が象徴しておりますように、現実に客観情勢が許さないところに来ております。  そこで、これは政府全体が物価鎮静に取り組むわけでありますが、かといって、自衛隊のみ食費を制限されているから、どんなに食費が高騰しても、その中でがまんしろというには、もう限度がきているような気も私いたします。隊員は、直接不満は私には言った例はありませんが、あの松戸補給処の苦労というものを考えますと、私どものほうで、ただいまの御意見も踏まえながら、物価動向等を勘案して、若干の食費の単価是正等について、早急な検討を加えてみたいと考えます。もちろん、予算の許された範囲内のことでありますが、検討いたしたいと存じます。
  40. 鬼木勝利

    鬼木委員 時間がありませんので、では、それはそういうことで、長官にお願いをいたしまして、その次に移ります。  その次は、皆さんのほうからここへ出ておりますが、爆発物取扱手当というのが予算に出ておりますね。火薬検査等日額八十円、高圧ガス日額百円、不発弾の処理等が、時間当たりが三十二円、こうあるようでございますが、一時間当たりが三十二円、この算出の根拠は、一体どういうところから、このように出たのでございましょうか。その点、局長、ひとつ御説明願いたい。あなたがおわかりにならなければ、どなたかわかっている方……。
  41. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 現行の爆発物取扱手当の三十二円というのは、昭和四十六年度に、一般職の火薬類を取り扱う業務に支給する爆発物取扱手当の額が三三%増額されました際に、これとの均衡を考慮いたしまして、当時における二十四円に、ただいまの増加率を乗じて得ましたものが、三十二円ということでございます。
  42. 鬼木勝利

    鬼木委員 私は、これは、もっと引き上ぐべきではないかと思うが、一時間で三十二円だなんて、どこからこういうことが出たのか。不発弾の処理ということは最も危険ですよ。こういう危険な作業に当たっているのに、わずかに一時間当たり三十二円だ。どこから三十二円なんという計算方法が出てきたのか、その根拠はすこぶる薄弱だ。いまのあなたの説明で、何かごちゃごちゃ言ったが、何もわからない。もう少しはっきり……。
  43. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 一時間当たり三十二円というのは、ただいま説明したところでございますが、この手当を受ける作業の内容でございますが、これは不発弾、機雷、その他の火薬類の捜索——捜索といいましても、いわゆる危険度の低い捜索、それから運搬をするというような、そういった軽度の作業でございまして、これは不発弾の発掘をする、現に不発弾の近くまで発掘をする、それで位置が確認されたあとの手掘りをするというような発掘の作業とか、あるいは信管を除去するというような、そういった危険な作業になりますと、三十二円ということではありませんで、一日当たり一千一百円、それも今度は一千四百円に改定していただくということになっております。  この三十二円が、非常に低いというお感じだと思いますけれども、これは、ただいま申しましたように、非常に危険度の少ない軽度の捜索、運搬というようなことなものですから、三十二円でございます。  それで、類似のものといたしましては、先ほど申しましたように、一般職の火薬類を取り扱う業務に支給する爆発物取扱手当の額、これと大体見合いながら、それらとの関係を勘案しながら、まあ、そのようにしてきておるわけでございまして、この時間当たり三十二円というのが、四十九年度におきましては、一時間当たり五十円ということになりますが、いま申しましたように非常に軽度の捜索、運搬というようなものでございます。ですから、爆発物取り扱い全部が、一時間当たり三十二円であるということではないわけでございます。
  44. 鬼木勝利

    鬼木委員 いや、それは不発弾ですからね。それの処理でしょう。その危険であるか危険でないかということは、あなた、最初からわかるわけはないでしょう。いつ、ばあんとくるかわからぬ。ここの不発弾はだいじょうぶだ、危険じゃない、あそこはあぶないよというようなことが、最初からわかっておるわけないでしょう。また、どこにあるかもわからぬでしょう、さがさなければ。だから、危険じゃないなんというようなことはない。それは爆発したときは爆発したときで、爆発してないものでも、全部危険ですよ。どういう理由ですか、軽度の不発弾だなんという意味は。
  45. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 一般的に申しまして、危険ではないというわけではございませんので、先ほど申しましたように、不発弾があるところがわかりまして、そして手掘りをして、不発弾の位置が確認された後に、その近くで掘るとかあるいは信管を除去するというのは、これは、ほんとうにもうすぐ爆発するかもしれない、ちょっと触れれば爆発するかもしれないということで、それは非常に危険が差し迫っておるというか、強度の危険があろうと思いますが、そういった差し迫ったあれじゃありませんで、もう信管が取れたとか、除去された後において、そのもとの不発弾だったものを運搬をするというような作業が、軽度といえば軽度ということで、これが時間当たり三十二円だ、こういうことでございまして、こういう手当が出ているたてまえからいきまして、もう危険じゃないというのは、これは言い過ぎでございますが、そういうような段階的な区分があるという趣旨で申したわけでございます。
  46. 鬼木勝利

    鬼木委員 だから、私は、あなたのことばじりをとるわけじゃないけれども、危険でないとか軽微だというようなことが、絶対あるべきはずはないですよ、そんなことは。それはあなた、不発弾だから、いつどんなことになるかわからない。だから、ごく軽微な、心配のない、あぶなくない作業だとかなんとか、あぶないところはどうだとか言うけれども、そんなことをいえば全部あぶない。それを一時間に三十二円だなんというのは、どう考えても私は納得がいかない。  ことに、これは山中長官、特にお詳しいんだが、沖繩なんかでは、もう爆弾の中にわれわれやすんでおるようなものだと、こう言っているんですね、沖繩の人は全部。全部そう言っておりますよ。朝から晩まで四六時中、年がら年じゅう爆弾の中にやすんでいるのと同じだと、こういうことを言っていますね。  どこにあるかわからない。かりに、あそこにあるぞということがわかってもいつ爆発するかわからない。まことに危険千万ですよね。それが三十二円ですからね。沖繩なんかそうですよ、ほんとうに。爆弾の中に寝ているんです、こうみな言っている。県民はみなそう言っている。  だから、これは私、すみやかに総理府が——あなたは、まあ沖繩に一番、山中の沖繩か沖繩の山中かということで、あなたが一番お詳しいんだが、爆弾ででき上がっている島ですね。爆弾の島沖繩と、こういうぐあいだ。そういうところなんでしょう。それを、総理府がその処理費にわずかに予算を一億ですか、四十八年度。冗淡じゃありませんよ、ほんとうにね。まあ、総理府はあとでいい。いま山中長官に……。  この爆弾の手当が一時間に三十二円というのは、これは長官、どうですかね、子供だましですよ。三十二円といえば、あめ玉一つくるかな、あるいはこぬかもしれない。長官、これ、あなたがおきめになったんですか。
  47. 山中貞則

    山中国務大臣 実は、昨年、某新聞に、自衛隊で爆発物処理一筋に、たしか二十何年、いま最高の地位にある者が、人物解説みたいなふうに登場したことがあります。その本人の横顔の紹介、作業の紹介、そして本人の述懐、私、そういうものを読みまして、その中に、自分が隊員を引き連れて不発弾の発掘処理作業をしていたところ、見に来ていた若い者が、たいへん住民のためにやっている真摯な姿を見て、一体、こういう作業をやると自衛隊幾らくれるんですかということを聞いたそうです。そう書いてありました。一時間三十二円だと答えたら、何だ、そんなものか、もう入るのやめた、こう言ったと書いてあったわけです。  そこで、私も、あなたのおっしゃるように、これは、とほうもないことだと思いまして、直ちに検討を命じました。そうして指示しまして、普通のもう危険でないと思われた段階以降のものは、大体、今度の改定で少し上がりますけれども、その程度でよかろう、しかし危険である、いわゆる不発弾で掘り始めるときから、危険であることを承知の上で信管抜き取り作業までやっていく、その過程においては、これは時間手当というものも考えなければならぬということで、昨年四月にさかのぼって千百円のランクというものを設けたわけであります。これは、いまおっしゃるような、危険だぞと思われるような範囲内の作業は、全部一時間当たり千百円に昨年から変えたということでありまして、私も気がついて直しておるわけであります。  したがって、残っておる、わずか三十二円という問題は、これは、その後の絶対に安心だというものの運搬作業、その他の者たちに給付されるものでございますから、その点の御心配は、私も昨年気がついて直しておるということで御理解を賜わりたいと思います。
  48. 鬼木勝利

    鬼木委員 ところが、やはりこういうところが、どうも不発弾処理、爆発物取扱手当と、こう書いてあるものだからね。いま長官の御説明で、もう絶対間違いがない、心配がない、安全だ、心配な分は千何ぼやっているのだ。もう全然これは心配のないものを、ほんのただ運搬するだけのことだ、安全なものを運ぶだけのことだというふうなことになれば、これは話がまた別になってくるんだけれどもね。これには爆発物取扱手当、不発弾処理と、そういうふうな説明のものだから、私にはどうしても納得がいかぬのですよ。  しかも、陸上自衛隊の不発弾処理業務、これを海上自衛隊の機雷掃海業務と同様に、これは本則に規定をすべきじゃないか、このように私は思うんですがね。自衛隊法の九十九条に、「海上自衛隊は、長官の命を受け、海上における機雷その他の爆発件の危険物の除去及びこれらの処理を行うものとする。」、このように海上自衛隊ははっきり出ておる。ところが、陸のほうは附則第十四項です。附則になっておる。その点、海上自衛隊が第九十九条、本則に規定してあるように——海上と陸上、海と陸と違っただけのことです。同じ不発弾処理の業務でございますので、自衛隊法の九十九条に海が載っておるように、陸上自衛隊の分も本則に規定すべきではないか。これは附則十四項に載っておる、その点を御説明願いたいと思います。
  49. 久保卓也

    ○久保政府委員 従来の経緯を、先に私から申し上げたいと思いますが、海上自衛隊の九十九条は、お読みになりましたようなことでございますが、掃海業務は、終戦直後、海軍省がやりまして、その後、復員庁第二復員局、そして運輸省が昭和二十二年にやり、たしか昭和二十三年に海上保安庁が引き継いだわけであります。そして海上自衛隊の前身である海上警備隊が、昭和二十七年にその業務を引き継ぎましたときには、掃海をやるべき海面のうち、一六%足らずしかまだ掃海が行なわれておらなかった、そういう状況で海上警備隊が業務を引き継いだわけでありますが、その後、保安庁あるいは自衛隊ができました後におきましても、その掃海業務というのは、日常の業務としてやらざるを得ない、そういうような状況であります。したがいまして、これは本則に入ったわけであります。  ところが、陸上におきまする不発弾等の処分につきましては、一番初めは内務省、次いで通産省が引き継ぎまして、この内務省あるいは通産省の指導のもとに府県がやっておりました。そこで不発弾は、偶発的に発見されたものを処分しておったというのが、当時の状況でありまして、陸上自衛隊ができました後に、陸上自衛隊のほうで、技術的な知識を持っておるということで、そういう偶発的に発見されたものが間々あるでありましょうから、そういうものは陸上自衛隊のほうで処理をいたしましょうということで、海上自衛隊のように、日常業務としてあるものではなくて、たまたま本土のどこかで発見されるもの、それについては、陸上自衛隊が処分をしたほうがよろしいのではないかということで、これも陸上自衛隊が発足した後に、途中から入ってきたということであります。  そこで、今日では、昭和三十三年の関係各省の申し合わせによりまして、この附則にありまするような扱いを、自衛隊の手でやっておるということであります。しかし現実の問題としましては、法律の問題であるよりも、各関係官庁が能力の範囲内において、できるだけのことをするということで、いま問題になっているのは、むしろ経費の負担の問題ではなかろうかというふうに思っております。
  50. 鬼木勝利

    鬼木委員 いや、それは海上自衛隊のほうは、日常の業務であろう、だけれども、陸上のほうでも、不発弾とかあるいは爆弾は、どこにあるかわからぬ、沖繩のごときは、陸上であっても、日常業務として当然やるべきなんです。そういう点においては、海上と変わりはないと私は思う。
  51. 久保卓也

    ○久保政府委員 本土におきましては、偶発的に発見されるというようなものでありますが、沖繩におきましては、お話のように、あちらこちらに埋没されておるように思えるわけであります。現実問題といたしましては、沖繩では昭和三十八年に一度、不発弾が爆発した事故の後、先般あったわけでありますが、しかし全般的に見ますと、非常に多いということで、現状におきましては、現在、沖繩開発庁が中心になって、関係各省の調整をやっておりますけれども、法律の問題よりも、関係各省ができるだけのことを沖繩においてはやろうではないかということで——法律のことを言うと、なかなかむずかしくなってまいりますので、沖繩開発庁に権限があるとかどうとかいうことになりますので、そういうことを離れて、全能力を発揮して、沖繩については、関係各省協力してやろうという体制をとっておりますので、逐次これが具体化されてまいるだろうと思っております。
  52. 鬼木勝利

    鬼木委員 だから、逐次具体化されるのじゃなくして、さっそく具体化して、これは海上自衛隊の九十九条と同じように、附則じゃなくして、やはり本則のほうに当然入れるべきだ、こういう私の主張です。防衛局長、もう一度。
  53. 久保卓也

    ○久保政府委員 私どもは、いま法律の点では支障を感じておりませんが、陸上におきます不発弾の処理については、従来から内閣審議室でいろいろ問題点を摘記しております。そういうような過程の中で、法律の問題がもし必要であるならば、そういう場で検討させていただきたいと思います。
  54. 鬼木勝利

    鬼木委員 法律の上から痛痒を感じない、そんなことはいけませんよ。法律の上から痛痒を感じておりますよ。海であろうが陸であろうが、危険であるということに対しては同じことなんです。ことに、いまあなたも肯定されたように、沖繩のごときは不発弾に対しては、県民は非常な関心を持っておる。恐怖の中で、毎日毎日が不安の日々であります。爆弾の中に寝ておるのだ、こう言っておるのです。ですから、これは法の上からも——海のほうでは危険だから毎日やっておるが、沖繩ではそんなに県民が言っておるのに、それは見つかったときは見つかったときだ、そういうことは絶対いかぬ。
  55. 山中貞則

    山中国務大臣 経緯については、ただいま防衛局長答弁申し上げました経緯でございますが、これは法律の問題よりも、自衛隊の任務が、陸上における不発弾の処理を任務の一つといたしておりません。しかしながら、その処理能力において、自衛隊が発掘以降の作業をやらなければ、だれもやれないという問題が半面ございます。そして沖繩復帰後の現状を踏まえたときに、私は、いまのままで、当分の間ということでやっていいと思いますが、そのやり方の問題だろうと思うのですね。  いままで本土のほうは、御承知のように、経費の負担は本来、地方自治体、そしてその不発弾が発見された市町村とされておりました。自衛隊は、もちろん国でありますから、したがって、自衛隊が作業し得る範囲は、不発弾が発掘をされたその場所から処理作業までの間は、自衛隊が行ないますという分担でありましたために、本土でも一個の巨大不発弾を発掘するのに何千万、何億かかるという場所も指摘されたりして、種々問題をかもしておったわけです。  しかし、沖繩においては、それ以前の問題として、先般は不幸な事故まで起こしたわけでありますが、現在の市町村の責任ということを離れて、全部の作業を自衛隊でいたしましょう、したがって、場合によっては、ここを探査してくれと言われれば、探査能力はそう優秀ではありませんが、能力一ぱいの探査もいたしましょうし、また発見されたら、発掘からその後の、本土における処理と同じように、全額国の費用でやりますということで、これは沖繩開発庁が中心でありますが、各省庁そういう方向で、沖繩については方針を定めておりますので、昨年も沖繩については、そのような処理方針をいたしております。  したがって、当面の問題としては、そのことは自衛隊が全責任をもって発掘作業、その他を行なっていく、一切の処理を行なうという作業を行なえば、町村に負担をかけないで財源上やれるということの解決が沖繩について見られましたので、大体やっていけるのじゃないか。本土のほうは、もうそうたいして問題はない。しかしながら、御承知の久留米でありましたか、その他の問題も、やはり同じような市町村負担の問題がありまして、これは他省のことでありますが、たしか沖繩の例に準じて国が費用を見たという経過も一部あるようであります。
  56. 鬼木勝利

    鬼木委員 いま長官のおっしゃったとおり、自衛隊が不発弾とか爆弾を処理する、それが自衛隊の任務じゃない、むろんそうでしょう。それは、まあそうでしょうが、しかしながら、国民を守り国土を守るということは、自衛隊の任務ですからね。だから、広義の意味においては、やはりこれは、自衛隊がやっていただかなきゃいただきようはない。そこで、それに対して、海は危険だけれども、陸のほうは常時危険じゃないというような考え方、防衛局長考え方は甘い。それは、国民を何と思っている。一人だって危険であれば、これは、おろそかにすべきじゃない。  ただ、問題は、ここで長官もいま仰せになったが、「自衛隊は、当分の間、長官の命を受け、陸上において発見された不発弾その他の火薬類の除去及び処理を行うことができる。」、これは附則ですが、「当分の間」というのは、すこぶるあいまいだと思うんですがね。これは、どういうふうに解釈するんですか、長官、「当分の間」。よく法令には「当分の間」というようなことを乱用している。これは長官に文句を言うのじゃありませんけれども、法令には「当分の間」ということばを非常に乱用しておる。どこでも書いてある。  御承知のとおり、私は、あなたと一緒で、御同様、教員を長くしておったんですが、文部省の規定なんかにも「当分の間」、そしてもうそれが五年も六年も七年もたっているんですよね。あるいは十年も二十年も、もう終戦後今日までだから、二十何年もたっている、それで「当分の間」。だから、私は言うんです、「当分の間」、われわれの通常ことばで、当分ちょっとこれ貸しておいてくれといって、それで三十年も借りておる、それが当分かと、何という解釈をするんだと、君たちは日本人かと私、言ったことがあるんですがね。「当分の間」というのは、どういう意味ですか。どういうふうに解釈するのですか。
  57. 久保卓也

    ○久保政府委員 俗語で申せば、おかしいわけでありますが、法律用語としては、どういうことかと申せば、期限を切らないで無制限にいつまでも使えるであろうという場合には、「当分の間」ということばは使われませんけれども、一定の業務が、その目的の内に実行されるであろう、そういう目的とか用途とかそういうワクの中で業務が行なわれるというときに、これは期間ということよりも、そういう任務なり性格なり用途なりに着目して、「当分の間」というわけであります。したがいまして、御承知のように、明治年間にできました法律でも「当分の間」というものがありまするし、ものによっては「当分の間」が非常に短期間でしかないものがある。したがいまして、これは性格の問題でありまして、期間の問題ではないというふうに私どもは聞かされております。
  58. 山中貞則

    山中国務大臣 そういう法律の解釈論争は、実質論争とはたいして関係がないと思いますが、やはり自衛隊法九十九条で海上自衛隊の任務として定めてありますものと、自衛隊しか処理能力がないから自衛隊が処理をしなさい、「当分の間」長官の命ずるところによってやることができるんだということは、陸上においては、不発弾が通常の国民の生活に——沖繩が返ってきてから、変わったわけですけれども、通常の国民生活に何ら不安のない状態になる日は予測できるわけであります。ですから、本土においても、不発弾がときどきはまだ出ますけれども、おおむねもうわかっている、処理もおおむね終わっているという段階だと思うのです。しかしながら、沖繩が返ってきましたので、これは、いま「当分の間」が再び生きてきたわけですけれども、沖繩においては、ことに戦場となった、一説に鉄の暴風といわれて、坪当たり何十発とか計算がされておりますが そういうような不発弾の推定率から見て、残っておる弾薬数から見て、県民は常時危険な状態の上にあるというならば、私は、沖繩について、先ほど申し上げましたような処理をすれば、附則だから不測の事態というようなことにはならぬと思うわけであります。
  59. 鬼木勝利

    鬼木委員 大体、私もそういうことはわかっているけれども、ちょっとお尋ねしたのですが、はなはだ相すみませんが、これは、やはり防衛局長の言われたように、「当分の間」ということを、法律用語ということは私は認める、認めるけれども、その法律用語というみのに隠れて、隠れみのにして、往々にして内容をことさらに引き延ばしたり、あるいは目的からそれたり、そうして「当分の間」ということで逃げようとするような解釈のしかたをするから、私どもは文句を言うのであって、これは防衛局長のおっしゃるとおり、まさに法律用語で、明治時代からもそういう法律用語を使っておりますけれども、これは全然非常識ですね。国語の使い道のわからぬやり方だと私は思う。そういうばかな話はない、「当分の間」という、法律にのみ適用するということは。いま長官のおっしゃったように、陸上のほうは、大体予測ができるということで、もうだいじょうぶだというような時点に至ったら、その時点が当分というふうに解釈をしていらっしゃるようですが、私もそうだと思います。  ただ問題は、陸と海と差別をつけて、陸のほうはだいじょうぶだ、海のほうはなんだからというような観念は、私は捨てていただきたいと思う。たとい海であろうが、陸であろうが、一人であろうが二人であろうが、そういう不幸なことになると、先般、沖繩で四人か五人の方がなくなったように、いま長官が国家で遺族補償をしたいとおっしゃっておったようですが、これは私、人命はとうといものだから、それに軽重をつけてはならぬ、そういう意味で、これも本則にしてもらいたい。これは要望でございますので、私の愚見でありますから、長官のお考えでけっこうだと思います。
  60. 山中貞則

    山中国務大臣 決して愚見ではない、御高見なんですけれども、ただ、海上自衛隊は、掃海訓練というものは絶えず行なっているわけであります。たとえば他の野党の皆さんから、ときどき疑問を投げかけられる日米共同の掃海訓練等も海上では行なっております。正常な任務遂行で不断にやっておるわけであります。でありますから、当時の背景もありますが、海上自衛隊というものには、海上の機雷及び不発弾等の処理というものを任務として与えるということであったろうと思いますし、なお、現実もそうであっていいと思います。  一方、陸上のほうは、本来の任務がそういう不発弾除去演習というようなものをやっておりませんし、あるいはそういう不発弾の探知演習というようなものもやっておりません。しかし富士その他の射爆場等においては、これを通常の業務の一環として行なっておりますし、広く対国土、国民に対して、それを自衛隊の任務であると規定づけるには、これは、やはり自衛が——将来、一発もなくなるかと言われると困るのですが、不発弾処理は、陸上においては必要がないという事態を早くつくらなければなりませんが、沖繩をも含めて、そうなったときに、なおかつ、本来の陸上自衛隊の任務として持つべきであるか、陸上とは書いてありませんが、自衛隊の任務として陸上の不発弾処理をいつまでも持つべきであるかどうか、これは戦後がいつ終わるかの問題にもなりますが、ということもありますので、これは附則は附則として置いていただいて、しかし姿勢とその実態は、むしろいまは海上よりも陸上のほうがたいへんな業務量もございますし、その仕事もいたしておりますから、それが国民に対して御迷惑をかけることのないように努力をいたすということで、御了解を願いたいと存じます。
  61. 鬼木勝利

    鬼木委員 いまの長官の御説明で、私、十分納得いたしました。  ところで、委員長にちょっとお願いがあるのですが、私のお約束は十二時までとなっておりまして、すでに十分経過いたしまして、まことに恐縮千万でございます。あとの方々に御迷惑をかけても相すみませんので、まことにかってなことを申し上げて恐縮でございますが、あとどなたかの御質問がずっと終わりまして、一番最後の場合でようございますので、私に残っておる分をまた継続してやらしていただくということをお願いして、本日は、これでと思いますが、いかがでございますか。
  62. 中山正暉

    中山(正)委員長代理 理事間で協議をいたしまして、結論を出したいと思います。
  63. 鬼木勝利

    鬼木委員 きょうは、まだたくさんお聞きする資料を持ってきておりますけれども、まことに残念ながら、私だけでかってなことをいたしましては、申しわけこざいませんので、いずれ——委員長、十分御検討いただきまして、御質問の方が全部終わりになって、一番最後でようございますから、私にちょっと一言言わしていただけばけっこうでございます。
  64. 中山正暉

    中山(正)委員長代理 協議をいたしました結果、また御報告申し上げますが、ひとつ何とぞ御協力のほどをお願い申し上げておきます。
  65. 鬼木勝利

    鬼木委員 では、きょうは私、これで御無礼いたします。たいへんお世話になりました。ありがとうございました。
  66. 中山正暉

    中山(正)委員長代理 午後十二時四十五分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時十三分休憩      ————◇—————    午後零時五十二分開議
  67. 徳安實藏

    徳安委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田法晴君。
  68. 吉田法晴

    ○吉田委員 自衛隊のことについて少々お尋ねをし、あとで基地のことについてお尋ねをいたします。  自衛官の幹部、それから曹、士別に定員と欠員の状況は、どういうことになっておりますか、お聞きいたします。
  69. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 本年の一月三十一日現在で、定員と現員とを申し上げます。まず定員の合計が二十六万六千四十六人に対しまして、現在員二十三万一千四百三十四人、欠員が三万四千六百十二人、充足率八七・〇%。幹部は定員三万七千百十一人、現員三万四千七百十六人、欠員二千三百九十五人、充足率九三・六%。それから准尉二千八百五十五人が定員で、現員が二千八百二人、欠員五十三人、充足率九八・一%。曹定員十万八千七百二十六人、現員十万七千二百二人、欠員千五百二十四人、充足率九八・六%。士定員十一万七千三百五十四へ現員八万六千七百十四人、欠員三万六百四十人、充足率七三・九%。これが陸海空の合計でございます。
  70. 吉田法晴

    ○吉田委員 これは自衛隊全部のあれですが、陸海空に分けますと、どういうことになりますか、念のため承ります。
  71. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 陸から申し上げます。陸の定員十八万人、現在員十五万三千三百一人、欠員二万六千六百九十九人、充足率八五・二%。海の定員四万一千三百八十八人、現員三万七千六百四十一人、欠員三千七百四十七人、九一・〇%。空定員四万四千五百七十五人、現員四万四百十四人、欠員四千百六十一人、九〇・七%。それから統幕定員八十三人、現員七十八名、欠員五名、九四・〇%となっております。
  72. 吉田法晴

    ○吉田委員 無断で離隊をして帰ってこない人、幽霊隊員が相当あるという話でありますが、その幽霊隊員というのは、どのくらいあるのか、それから取り扱いはどうしておるのか。
  73. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 いま幽霊隊員とおっしゃいましたのは、所在のわからない隊員だと思いますが、現在、所在不明の隊員は、四十七年度末でございますと、陸が一名、海が十名、それから空は二名、所在不明のまま在籍しておる者がございます。
  74. 吉田法晴

    ○吉田委員 いま、ちょっと手元にありませんけれども、新聞を見たところでは、陸海空に分けてありませんでしたけれども、陸一というような数字ではなかったようです。全体合わせますと、千をこしたのじゃなかったかと思われますが、陸一ですか。
  75. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 陸一と申しましたのは、四十七年度末で現に不明になっている者をあげたわけでございまして、それといま先生がおっしゃいましたのは、発生数でいきますと、それより多い数で、たとえば最近のを申し上げますと、四十三年で三百九十一名、それから四十四年で六百三十五名、四十五年で五百十三名、四十六年で四百七十五名、四十七年で四百二十五名というものが、無断離隊をしまして、二十日以上経過をいたした者でございまして、これらの者は、それぞれの理由を精査いたしまして処分をし、整理しました結果、四十七年度末ではさような数になる、かようなわけでございます。
  76. 吉田法晴

    ○吉田委員 日付がちょっとはっきりいたしませんが、これは、ことしの初めごろの新聞記事だと思います。「防衛庁人事教育局の調べによると、蒸発隊員は全国で毎年千人を超している。」、「ある日突然基地内の宿舎から消えてしまう自衛隊員は、四十三年千二百三十三人、四十四年千七百十七人、四十五年千五百七十三人、四十六年千四百二十八人、四十七年千三百八十六人と毎年千人をオーバーしている。」ということが書いてございますが、いま、おあげになりました数字は、その半分にもならぬ。四十三年のごときは三百九十一名です。これは、どういう違いなんでしょう。御説明願いたい。
  77. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 いま先生がおあげになりましたのは、一日でも数時間でも不在になった者を含めての全部の数でございますが、先ほど私が申しました数字は、二十日以上を過ぎまして、そして処分をした、整理をしました者の数を申し上げたわけでございまして、確かに、ほんとうに短い時間ないし日数——十九日以下でございますか、それを入れますと、いま先生が言われましたような数字になります。
  78. 吉田法晴

    ○吉田委員 わかりました。  そうしますと、この新聞記事の終わりのほうに、警察で捜査をする、あるいは処罰をすると書いてありますが、これらの点についての根拠、それからどういう処罰をしておられるのか、承りたい。
  79. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 隊員が離隊をしました場合には、その部隊隊員をさがします。それから、これを自衛隊の警務隊に依頼をしまして捜索します。さらに、長期にわたる者につきましては、警察に依頼をする、さようなことをいたしております。  それで、二十日以上を過ぎました者につきましては、一応の基準を二十日ということでつくっておりまして、理由の明白な者、明らかに離隊をする意思を持って離隊をしたということが明白な者につきましては、懲戒免職処分にする、それ以下の者につきましては、それぞれの理由を調べまして、懲戒免職以下の処分をしていく、かようなことでございます。
  80. 吉田法晴

    ○吉田委員 伺ったのは、警察で捜査をしたり、あるいは処罰がされるということですが、その処罰の態様と捜査等についての法的根拠をお尋ねしたいというわけであります。  というのは、自衛隊員になりますのは、志願をして自衛隊員になる、いわば自発的に——法律的な関係をいうと、雇用契約ということになるかもしれぬと思うのですが、働いて賃金をもらうという点は同じだと思います。いずれにいたしましても、雇用契約か何か知りませんけれども、契約であることは間違いない。それを、無断離隊をいたしましたとして捜査をするという点は、これは警察で捜査をするのは、犯罪を予定して捜査をするのではないかとも思われますが、自衛隊自身でさがされる、あるいはさっきの警備ですか警務ですか知りませんけれども、おやりになれば別問題として、強制力を伴うとするならば、あるいは処罰が法律的な、刑法上の処罰になったりいたしましたら、これは法的な根拠が必要だと考えられますから、その法的な根拠を承りたいというわけです。
  81. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 自衛隊員の身分のある者ですから、自衛隊でさがせばよろしいわけでございますが、この捜査もいわゆる犯罪捜索というような意味での捜査じゃありませんで、自衛隊員がどこにおるかということを事実上さがし出せればよろしいわけでございます。ですから、いわゆる刑法上の犯罪等を前提にして捜索をするというのとは違います。  それから、処分でございますが、処分は、いわゆる懲戒処分でございまして、自衛隊法に懲戒をする場合の根拠規定がございますが、それに基づきまして、それぞれの事態に応じまして、それにふさわしい懲戒処分をする、かようにいたしておるわけでございます。
  82. 吉田法晴

    ○吉田委員 大体わかりましたが、しかし警察の捜査というのは、子供の場合には、隣近所さがしてもわからぬときは警察に協力を求めますが、それは命に危険が感ぜられるから、そこで捜査をするわけであります。自衛隊の場合には命に心配もないことはないと思いますけれども、この記事の模様を見ますと、いかにも何か悪いことをした者として、処罰を前提にして捜査がなされているような印象を持ちますから、そこがどういう前提で、どういう根拠に基づいてなされるだろうかということをお尋ねしたのですが、いまの警察捜査の点については、ちょっと説明が十分でございませんので、納得いたしかねますから、お尋ねします。
  83. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 犯罪を前提にしてじゃありませんで、むしろ保護願いというのでしょうか、保護願いとして警察にお願いをするという考えであります。
  84. 山中貞則

    山中国務大臣 この問題は、先生が新聞でごらんになった時点といまと実は違っております。それて、私も問題にされているのは——なお、あとで出てくるのかもしれません。先取りしていたら、お許しを願いたいのですが、無断離隊後すでに何年も経過しているのに、その者が停年制の曹であるために、例はたしか二等空曹が引かれていたと思うのですが、昭和五十二年過ぎまで在隊者として扱っておる、そういうことも反面書いてございました。  私、そこでおかしなことがあるものだと思って調べたのですが、これには、また別途過程があったようでありまして、二十日過ぎたら、任期制隊員の者はどんどん懲戒免職するというあり方について、実は相当前に国会で議論が行なわれました。あるケースを取り上げてそういう処分をしていたところが、実はその者が死体となって後ほど発見されたというようなこと等がありまして、それはあまりにも酷ではないかというような御意向が国会で表明されて、その後、離隊後二十日を過ぎて、本人の意思が確かめられないで所在も確かめられない者は、任期制隊員は残りの任期一ぱい、任期が来るまで、それから停年制の者は停年に達するまで少なくとも在籍させておくという措置に変えたのでございます。  それが逆に行き過ぎておると私は判断しました。そこで、ことしに入りましてから、その扱いを改めまして、本人の意思が確認できない、本人の所在も確認できない者は、御家族に対して、二十日間を過ぎたならば、われわれは依然として自衛隊員として大切なお子さんなり御家族を預かっているのですから捜索は続けますが、六カ月目には懲戒免職の措置をとるつもりでございますのでということを申し上げておいて、その間は捜索せい、でありませんと、二十日で、本人の意思を確かめなくとも——たとえば一つの例をあげますと、本人の意思ではなかったのに、飯場で強制労働させられて、抜け出せなかった例があるのだそうであります。そういう例を取り上げて言いますから、それも自衛隊員たるものが——ここで脱さくということばを大出委員から指摘されまして、それも改めて無届け離隊、無許可離隊ということばに変えましたけれども、飯場に行ったこと自体が、もう自衛隊につとめる意思がないことをあらわしているんじゃないかということで、二十日で打ち切ろうと思ったのですが、やはり御家族の方にすれば、自衛隊は冷たい、うちのむすこやきょうだいが、二十日ぐらいいないからといって、本人がどこにいるかわかりもしないのに、意思も確かめないで一方的に懲戒免職というのは、ひどいじゃないかという声もあります。ということを聞きまして、それでは予告をして、六カ月後には懲戒免職をする、これは停年制隊員の者も含めて六カ月で切るという措置をとることにいたしました。その結果、冒頭に局長から答弁いたしましたような、ごくわずかな数がいま残っておるわけであります。  そこで、警察の問題でありますが、これは一例をあげますと、昨年、北海道の島松演習場の中で、武器——弾薬は入っておりませんが、薬きょう、銃剣等を携行したままの隊員が行くえ不明になりました。こういう場合には、やはり武器のたぐいでございますし、ゴボウ剣もやはり危害を与えようと思えばできるわけでありますから、そういうときには、すぐに警察のほう、あるいは市町村や部落のほうにも、御協力願うように御依頼を申し上げることがありますが、行くえのわからない一般隊員を、全部警察のほうの捜査にゆだねるということではありませんで、むしろ例外ケースでございます。
  85. 吉田法晴

    ○吉田委員 深く尋ねようとは思っていないのですが、いかに、契約であるのに、無断で離隊したからといって、まあ保護と言われますけれども、そういう取り扱いをするところに疑問を感じ、あるいは処罰の根拠は何であろうかと考える。問題は、自衛隊員を人間扱いされるかどうかに関連する問題で、深く追及しようとは思っておりませんが、疑問を感じたということです。  それから、その次に、お尋ねしたいのは、先ほど欠員の状況を承りましたが、士のランクに欠員が非常に多い理由は何と考えておられますか。
  86. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 毎年の募集計画をつくって、募集をいたしておりますけれども、御承知のように自衛隊募集の環境といいますか、これは非常にきびしゅうございます。一つには、絶対的なあれでございますけれども、十八歳から二十四歳というのが、任期制隊員の採用の年齢の条件でございますが、その層が昭和四十六年をピークにいたしまして、毎年どんどん減っていっております。そういうようなこと。それから進学率が非常に向上いたしておりまして、中学から高校に進学する人が九〇%近くございます。それから大学への進学率も非常に多くなっている。その他、経済的な条件などもございます。というのは、各企業は、若い者を大いにとろうとしておるわけでございますが、その企業の若い人をとる充足率といいますか、とる目的達成率も、一〇%余であるということで、そういった中で自衛隊員募集するのは、非常にきびしいわけでございます。そういったいろんな事情がございまして、努力はいたしておりますけれども、なかなか充足しがたいというのが偽らざる事情でございます。
  87. 吉田法晴

    ○吉田委員 次の質問に対する答えも、一緒に願ったのですが、この三万に近い欠員充足の見通しと施策を承りたい。
  88. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 ただいま申しましたような事情で、欠員をゼロにするということは、非常に困難なことでございます。しかしながら、それだけ欠員があっていいということではございませんので、その欠員を少なくする努力は、大いにしなければいけません。そのためには、いわゆる募集のやり方、地方連絡部が中心になってやっておりますが、そして都道府県、市町村に一部事務の委任をいたしておりますけれども、そういった地方連絡部、都道府県、市町村の連帯を強化いたしまして、広報宣伝をしっかりやって、そして国民に自衛隊というものをよく知ってもらって、応募者をふやすという関連の努力、いわゆる募集の面からの努力と同時に、隊員になりましてから、隊員が安心して生きがいを感じて自衛隊の中で勤務をして、任期を終えて出ていくときには、りっぱに再就職ができるといった体制、そういった入るときと、それから中における教育訓練をしっかりやって、りっぱな隊員を送り出す、そういうように隊員が生きがいを感じて生活できるような各種の施策、いろいろ毎年、四次防におきましても、重点的な事項として考えておりますけれども、そういった施策を進めながら、同時に、自衛隊に対する国民の理解を深めていくというような一方での努力もしながら、総合的な見地から、できるだけ隊員の欠員を少なくしていこうという努力をしている次第でございます。
  89. 吉田法晴

    ○吉田委員 いま募集方法にも触れましたが、これは、ときどき新聞にも報ぜられ、あるいは国会の中でも取り上げておるようですけれども、相当無理な例があるのではないか。たとえば年齢の足りない、十八歳にならない者を隊員として連れてきて、隊内に案内をして手続をとったら、十八歳になってなかったということで帰している例もあり、あるいは知恵おくれの人を採用したという例もあるということでありますが、具体的には相当無理な募集方法も講ぜられておるのではないかという印象を受けるわけであります。  具体的な募集方法として、そういう点についてのやり方に欠点があるのではないかと考えられますが、もう少し具体的に、募集方法について御報告願いたい。
  90. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 具体的な例示がございましたので、その辺の関連で申し上げたいと思いますが、よく指摘されますのは、街頭における募集、これは街頭における募集と一口にいいましても、街頭で広報宣伝車を用いて広報する、あるいは横断幕を掲げて募集する広報手段、あるいはポスターを張る、ビラを配るということをやっておりますが、そういう際に、自衛隊の地方連絡部の部員が、たまたまその辺に居合わせた人に対して勧誘することがございまして、そういうときに、ときどき新聞に出るような、本人が十八歳でないのに、十八歳であるとかいうこと、これは前の例でございますけれども願書にそう書いたので、こっちは十八歳と思い込んで採用したら、あとで十七歳であることがわかったという事例がございますし、それから精神病云々という話でございますが、これももとは施設におったわけでありますけれども、その後、社会に復帰して、そうしてりっぱに会社などにつとめておる、そういう者を勧誘するわけであります。それが、あとになって、何か問題を起こしましたときに、これは、もと施設に世話になっておったんだということなんでございますが、すでに採用するときにおきましては、施設を出まして、もう十分社会復帰をした、そういう状態の者を採用したわけでありまして、あとになって問題を起こしたときに、あれは施設におった者である、そこで施設からすぐに採用したというような印象を与えたこともありますが、一部、そういうような事例がありますけれども、全体としては、一応の、一応といいますか試験をやり、身体検査をやり、それから適性検査をやって採用しているわけでございまして、一部のそういう例外を除きましては、ほとんど登録して支障がない、私どもは、募集を担当する者の一員として、そういうように信じております。
  91. 吉田法晴

    ○吉田委員 街頭募集でいろいろ問題が起こった、あるいはあったということで、街頭募集については、反省をしておるというお話かと思いましたら、そうでもないようです。街頭募集について反省はないのか。  それから、試験や選考の方法について、実際にレベルが下がっているようですが、その選考及び具体的な選考方法、それから採用の基準について伺いたい。そして、その基準も下がっている、あるいは守られてないのではないかという疑いがございますが、これらの点は、実際にどうなっているのかお聞きしたい。
  92. 山中貞則

    山中国務大臣 試験問題等については、局長から答弁させますが、ただいまの隊員募集状況、充足状況あるいはその背景、見通し、そういうことがございましたので、概観して申しますと、一番望ましいのは、志願制でも自主志願だと思うのです。これが一番望ましいことなんですが、先日、テレビの特派員報告というので、アメリカの徴兵制から志願兵制に切りかえられたあとの四苦八苦しておる状態を見まして、どうもこれは洋の東西を問わぬなあという感じがしたのでありますけれども、自衛隊の業務、使命、任務というようなものに対して、一般の諸君が、自主的に自分は自衛隊の任務のために生涯をささげようという気持ちになり得るような国民的な合意というものがまだ足らない、あるいは背景がそのまま存在しないということが反映をして、自主志願者は減る一方で、一〇%台に落ちました。  さらにまた、学校推薦もきわめて顕著に落ち込んでおります。これは、いろいろと立場の違う考え方のあらわれが、こういうことになるわけでありまして、私立学校等においては、依然として変わっていないわけでありますが、公立等においては、その傾向が強うございます。反面、緑故募集等が五〇%で、俗に問題があるといわれる市街地募集というものが一七%くらいということで、私たちは、なるべくならば、緑故募集あたりは、よく対人関係で話をして、理解の上入ってくれるわけでありますから、自主志願に次ぐランクのものであっていいと思うのです。  しかし、街頭において、たまたま募集して入れる者というのは、よほど慎重に扱いませんと——幾つも例が指摘されまして、そのつど募集のあり方について批判がなされております。これらの問題は、一例をあげますと、いままでは、多く募集し、多く試験に合格させて隊員を送り込んだ者が、感謝状などをもらっていたわけでありますけれども、これからは、そういうことでなくて、やはり隊員の質の問題というもの等も考えながら、数を多くしたから表彰状をやるなんという考え方は、改めようということを去年から申して、その姿勢を変えようとしておるわけであります。  しかし、将来の展望を見ますと、先ほど局長が申しましたような傾向、自衛隊に対する若い青年諸君の考え方、あるいはまた大学進学率、高校進学率、出生率あるいは求人倍率、こういうようなもの等を考えますと、決して前途は楽観を許さない。むしろ充足率の向上は、きわめて困難である。逆に、募集いたします数よりも、一昨年からやめる者の数のほうが上回り始めました。ということは、充足率の向上じゃなくて、実在隊員が減りつつあるということなんです。このことは、きわめて大きな問題であります。したがって、自衛隊に入って二年つとめ上げた、三年つとめ上げたという者で、適性であり、なお伸びていく者が、自分から希望して残ってくれる道というものを、まず——悪口を言えば足どめ策と申しますか、そういうことも努力しなければいかぬじゃないかということで、制度創設以来、据え置きになっておりました退官手当特別退職手当等について、今回百日、五十日の上乗せをおはかりをしているのも、実はそういう私たちの現状を踏まえての施策の一つである。  しかし、さらにそれを考えてみましても、たとえば陸上十八万を完全に充足して、十三個師団の編成九千名、七千名と、それぞれの編成師団が一ぱいになるということが考えられるかどうか、こういうこと等も長期展望では考えてみたいということで、いま検討しておるわけでありますけれども、常時九千名師団で、臨戦即応の体制の一〇〇%充足の師団と主として新しい入隊者、昔でいう新兵訓練その他を中心とするその他の師団とか、そういう分け方ができないものだろうかというような配慮もいたしてみたいと思っておりますが、これは部隊の編成、指揮官その他の問題あるいは機構の問題その他でそう簡単にはいかぬようであります。  しかし、これは将来にわたって検討をしておくべきことであろう。諸外国いろいろと悩みを一にするところもあるようでありますし、外国の例等もいろいろと勉強して、わが国にふさわしいいい制度ができればと思って、いま種々苦肉の策を考えつつあるところでございます。
  93. 吉田法晴

    ○吉田委員 防衛庁長官、時間がございますので、簡単に答弁願いたいと思います。  次に、お尋ねしたいのは、予備自衛官の現状を承りたい。この定員と実員……。
  94. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 現在、予備自衛官は、陸と海にその制度がございまして、合計で定員は三万九千六百人でございます。これに対しまして現員は三万四千七百五十六名、欠員が四千八百四十四人、充足率八七・八%、この数字は四十九年一月三十一日の数字でございます。
  95. 吉田法晴

    ○吉田委員 予備自衛官の性格とその運営構想、それから今後の増強の計画を承りたい。
  96. 久保卓也

    ○久保政府委員 自衛隊の編成と定員は、法律できめられておりますけれども、有事の際に、直接侵略に対して防衛に当たる場合には、この法律できめられました編成定員につけ加えまして、効率的な能力を発揮するために、若干の部隊及び定員を必要とする、しかしながら、そういったものは、平生から持っておる必要はないということで、その分に当たるものは、予備自衛官として計上するのが適当であろうというのが、予備自衛官の発足のときの考え方であります。  したがいまして、現在考えておりますのは、当年度で予備自衛官三万九千名ございますけれども、そのうちには、有事の場合に後方支援部隊に充足される者が約九千名ばかりになります。それから、いわゆる戦闘損耗と申しますか、けがをしたり、あるいは戦列から離れる者、そういうものの部隊の補充をする者、こういったものが一万四千名あります。そしてまた、第一線部隊というものは、限られたもので東に西に転用いたしまするので、もし転用した場合に、そのあと詰めというもの、つまり地方におきまする静ひつを維持し、あるいは小規模のコマンド作戦といいますが、小規模の侵略等がありました場合に、海岸等を防備するといったような、それからまた、国民の被害を復旧する、そういうようなあと詰めの部隊として残りを、三万九千名のうち約一万六千名というものを考えております。  それから、将来の計画でありまするが、これは四次防の中で防衛庁では検討いたしましたけれども、大蔵省と協議ができておりません。したがいまして、そういう意味では、権威のある数字とは申せませんけれども、防衛庁内部で考えておりまするのは、現在、陸上自衛隊の三万九千名というのを、一応四万五千名、それから海上自衛隊が、現在六百名おりまするが、これを二千四百名、それから航空自衛隊は、現在おりませんけれども、できれば千五百名という計画を当初持っておりましたが、今日の時点で、四次防末までにどうなるかということは、まだ十分の成案を持っておりません。
  97. 吉田法晴

    ○吉田委員 本会議でですか、中曽根防衛庁長官のときの警備連隊構想というものについて尋ねて、これは中曽根防衛庁長官のときの警備連隊構想をそのまま持っているわけではないが、現在ある自衛隊が出動した場合に、そのあとの警備力の空白に対して警備部隊あるいは軽警備部隊に充当するために予備自衛隊を使うということがいわれております。  それから、最近の新聞記事によりますと、十三個師団を、どの師団も人員の欠員がございますから、九千人師団、七千人師団のうち、戦時編成とあるいは常備編成とに分けて、——自衛隊の平時編成というのですか、常備編成というのか知らぬけれども、切りかえて、あとの穴埋めを、予備自衛官の動員と緊急隊員募集によって、有事即応体制がとれるようにする、これは、ある新聞記事によりますと、その予備隊の使い方を、治安任務につけるということが書いてございます。予備隊を、そういうように、いまも多少まとまってではございませんけれども、使い道について、自衛隊の補充に使うという話がございましたが、この警備隊構想それから有事即応体制、有事即応師団と訓練師団とに分け、そして、その師団の出たあとに、予備隊の部隊を使うという話になると、警備連隊構想というものは、あるのかないのかわからぬけれども、実際には、そこで考えられたようなことが考えられておるのではないかと考えられますが、いかがなことでしょうか、ひとつお伺いします。
  98. 山中貞則

    山中国務大臣 警備連隊構想と申しますか、そういうものが、かつて中曽根長官時代にいわれたということでありますが、そういう連隊制度をいま持っておるわけではありません。しかしながら、有事の際はもちろんのこと、自衛隊の任務には、やはり治安維持ということも、通常の警察力をもって鎮圧しがたい状態のある場合には、これは法律の定めによって手続もきちんとしておりまするし、任務の一つでございますから、そういうことは全体としていえるわけでありますが、予備自衛官を、そのために考えているということはありません。  したがって、先ほど久保局長答弁いたしましたような、手薄になりましたところを穴埋めして、そして、できれば将来は、そういうところが、いまおっしゃったような名前になりますかどうか、若干の軽装備をしたもの等で、ある駐とん地等は、外にも内にも備えられるというような形も必要とするのではないか。  それから第二点の問題は、私ども、先ほど先ばしって御答弁申し上げましたが、目下検討中というものでございまして、そういうことでも考えざるを得ないんじゃないかという気持ちを私は持っておりますが、しかしさて、有事即応師団とそうでない師団とに分けた場合に、指揮の問題もありましょうし、あるいはまた連隊長の格の問題もまたおかしなことが起こってまいりましょうし、いろいろございまして、それを師団とはたして言っていいのかどうか、こういうもの等もございまして、まだ私も確とした検討を終わっておるわけではございません。一、二、三と分けられましたけれども、ひっくるめまして、以上のような対処のしかたを考えております。
  99. 吉田法晴

    ○吉田委員 この予備自衛官制度には、若年隊員募集難に伴う肩がわり的な意味があるのかどうか量ります。
  100. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 その肩がわりというのは、予備自衛官本来の意味で使う場合の肩がわりということですと、これは……。  予備自衛官制度は、御承知のように防衛出動命令が出た場合に自衛官となるわけでございますが、その際には、当然普通の自衛官と同じ処遇を受けて、同じ資格でもって自衛官になるわけでございます。そういう意味では、いわゆる予備的な力でございますけれども、現在、若い隊員がとれないから、それで予備自衛官で云々ということは、直ちに直接つなげて私どもは考えている問題ではないわけでございます。
  101. 吉田法晴

    ○吉田委員 予備自衛官を招集する場合には、自衛隊法に基づいて招集されるわけだと思いますが、有事の場合に招集する云々と、その有事というのが戦闘を考えられるのかどうか。日本の憲法下における有事というのは、どういうふうに考えられるか。問題のところですが、予備自衛官自衛官をやめて、そして一年に一度かいわゆる訓練に招集される。その自衛官を、有事の際に招集する。もし問題があれば、違反があれば、自衛隊法百十九条によって処罰をする、自衛官と同様に取り扱う、こういうことですが、本来契約であった自衛官、そして退職をして訓練招集に応じて訓練をする、そこまではいいのでありますが、有事の際に招集をし、問題があって処罰をする。百十九条それ自身も、もう一ぺん読み直してはおりませんけれども、もし、これが争われた場合には、どういうことになるだろうか。いわば憲法上の問題と、それから処罰、罰則の法的根拠というものが問題としては残るのではないかという感じがいたしますが、どういうように解釈をしておられまするか、承りたい。
  102. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 予備自衛官が防衛招集を命ぜられて自衛官になった場合におきましては、これは自衛官になるわけでありますから、自衛隊員と同じ取り扱いとするわけでありますが、いま申し上げましたように、本人の意思でもって自衛官となるわけでございますから、それは自衛官と同じような取り扱いをする、それでよろしいのじゃないかと思います。
  103. 吉田法晴

    ○吉田委員 問題は、少し説明が足りなかったと思いますが、二つあると思います。退職者に対して、予備自衛官になるように強要をされるようなことがないかどうか、そのときの問題が一つ。それからもう一つは、予備自衛官になった者が有事招集、有事というのがどういうことか知りませんけれども、一朝事あるときはと、こういうことになりましょうが、戦闘になるのか、あるいは警備招集をするのかわかりませんけれども、そのときに自衛隊員と同じように、自衛隊法百十九条で、応じなければ罰則がある、こういう話になりますと、その罰則の法的な根拠、もしそれを、そのまま本人が従えばいいことですが、争った場合にどうなりますか、こういうことを聞いているわけです。
  104. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 前半の予備自衛官の採用は、普通の隊員の応募と同じように自主志願であります。これは一定の基準に従いまして、そして採用をいたしますので、それによりまして、特に強要するというようなことはございません。それから、予備自衛官自衛官になりました場合には、先ほど申し上げましたように、いろいろ自衛官としての、いわゆる自衛隊法の一般的な法律が適用になるわけでございます。したがいまして、自衛隊法違反のことがございますれば、処分をされるということになるわけでございます。
  105. 吉田法晴

    ○吉田委員 あとの場合には、答弁必ずしも明確ではございませんでしたが、予備自衛官になるについては、本人の意思いかんによるから強制することはない、これでわかりました。ところが、一朝有事の際に招集をして、応じなければ自衛隊法百十九条、こういう話ですが、自衛隊員の身分をなくして予備自衛官、その予備自衛官になった場合には、自衛隊員と同じように百十九条が発動される、こういう説明ですが、多くの自衛隊員に聞いてみると、自衛隊には入るけれども、それは二年の間に車の運転が習えるとか、あるいは満期になって就職するときに信用が厚いとか、こういうことを実際に考えてだが、戦争に行くことはまっぴらだ、こういうことをみんな言っておる。  戦争に行くということ、あるいは戦闘に参加をするということ自身が、それは憲法上の問題もありましょう。自衛隊から有事の際に招集があった場合に、私は、戦争には行かぬ、あるいは戦争には参加はしないと言った場合には、自衛隊法百十九条の罰則の適用があり得るのかどうか、私は問題になると思うのです。そういうことをお尋ねしておるわけです。
  106. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 予備自衛官になります場合に、先ほど申しました予備自衛官は自分の意思でなるわけでございますが、予備自衛官になるということは、それでまた予備自衛官としての義務があるわけでございます。それは訓練招集に応ずるという義務が一つあります。それから防衛出動時に招集されたならば、それに応じて、自衛官になって自衛隊の命令に従ってそれぞれ仕事をする、そういうことが予備自衛官になったときに、一つの条件といいますか、そういうことでもって予備自衛官になっているわけであります。それの裏づけといいますか、そういう義務の対価というか、予備自衛官には、そういう精神的拘束を受けるわけですから、その拘束料として予備自衛官手当というものが出ておるわけでありまして、予備自衛官になったときに、すでにそういう招集に応ずる、自衛官になる、そうであるべき義務を負うわけでございまして、われわれとしては、当然、予備自衛官になった者は、防衛招集に応ずべき義務がある、それで応じなければ、先ほどの罰則の適用を受けてもやむを得ない、そういうふうに理解をするわけであります。
  107. 吉田法晴

    ○吉田委員 これは長官にお尋ねをしなければなりませんが、先ほど説明がございましたように、十八歳から二十歳かの、自衛隊自衛隊員たり得る資格の年齢者については、学校に行く率がたいへんふえてまいりました。それから高等学校が、ほとんど義務化同様になってまいりましたから、中学を出て、学校には行けないから、自衛隊に入って自動車の運転等を覚えたいという層がたいへん減ってきた。そこで先ほどの、街頭募集やら、ときどき無理が起こるわけですが、その具体的な方法について、納得させ得るだけの十分の説明がございませんでした。市町村に募集を委託をさせておる結果、市町村で自衛隊の適格者名簿をつくっている。適格者名簿をつくるならば、あるいはそれをコンピューターラインに乗せるならば、全国的に適格者名簿が把握をされ、そうして徴兵制に移行するならば、たちどころに十三個師団の何倍かの自衛隊ができ上がる。それで、いまの自衛隊のやり方は、予備自衛官を含んで、あるいは退職者の今度の身分を含んで、士官なり准士官を養成しておけば、あとは兵は適当な方法で見つけてくる、その一つの手段として適格者名簿をそろえるとか、あるいは徴兵制への危険があるということがよく言われます。  具体的な事例を、ここに調べてまいろうと思いましたけれども、それをそろえるまでに至りませんでしたけれども、よく言われておることで、私ども一番心配するところですが、これらの点について、いままで尋ねてまいりました隊員の充足法、それと、これからどうされるかということについて、先ほどの答弁が十分でございませんでしたので、やはり多少の疑問とそれから危険性を感じるわけですが、防衛庁長官、どういうぐあいに考えられますか。
  108. 山中貞則

    山中国務大臣 わが国の憲法では、徴兵制ということはとれないということになっております。したがって、憲法改正なき限り徴兵制はしけないということになるわけでありまして、われわれは、そういうことを考えておりませんが、しかし、そういう適格者名簿なんというものを町村でつくってもらっていると、一朝有事の際に、何をやるかわからぬという御指摘が実は前からあるわけでして、昨年、参議院であなたの党の鶴園委員からそのことを指摘されまして、第一、適格者名簿というのはおかしいじゃないか、もう資格のある者を全部調べ上げておいて、そういうことがそもそも名前からおかしいよという御指摘でございましたので、そういうことは考えておりませんから、では、年齢人口だけ掌握しておればよろしいわけですから、適齢者名簿というふうに変えたらどうでしょう、鶴園委員の御提案でもありましたから、そこで私も、すぐにその措置をとりまして、現在は適齢者ということにいたしまして、適格者という名前は使わないことにいたしておりまして、その辺の誤解がありますれば、憲法を踏まえておること、できないこと、したがって、そういうようなことも考えていないこと、誤解があれば、適格者名簿を適齢者名簿というものに改めもしたこと、以上の点で御理解を賜わりたいと思います。
  109. 吉田法晴

    ○吉田委員 まだ関連をしてお尋ねしたいことがございますけれども、時間がございませんから、あと二つ、基地の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  一つは、福岡の旧米軍の春日原住宅地区。これは西日本新聞という、福岡で出しております新聞ですが、しかし地方紙にしては大きい新聞です。そこで、その前に、米軍から返還をされて、おそらく大蔵省所管財産になっており、一般財産として編入されておると思いますが、そこを自衛隊が、まあ半分か三分の一か知りませんけれども使いたい。特に移動警戒隊の基地あるいは火薬庫、その他関連施設といいますか、司令部敷地を広げて火薬庫、自動車訓練場、宿舎などを新設する計画、こういわれておる。  この春日原地区は、福岡のどまん中ではございませんけれども、たいへんに近い市街地区域、その周辺は人家が密集しております。返還をされたら、そこのあと地に県庁も移りたい、あるいは九大も、板付基地の騒音に悩まされておるから移りたい。それから地元では、戦争中に接収をするときに、ほとんど強制的に接収をされておることから、地元優先の考えが非常に強くて、春日市それから大野城市が、それぞれ計画を持って、それぞれの地域の全部について平和利用計画を立てておる。春日市は運動公園に、大野城市は公共用地あるいはスポーツ公園として払い下げ運動を展開中だと報じております。私も知っています。戦前、接収をされたときには、ほとんど強制的に軍で接収をしたと考えられますから、おそらく地元の、その前の土地所有権者あるいはそれを集約して市が、これは争ってでも、それぞれの市で使いたいという計画を、陳情だけでなしに進めると思います。  それで、一般的にいいますと、防衛庁のほうは、市のほうとも相談をして、納得ずくで幾らか利用さしてもらいたい。こういうお話だと思いますが、それにしては、ちょっと春日市あるいは大野城市も強い、そして県庁にしても、どうあっても地元の希望を実現したい、こう言っておるところでございますから、なかなかだと思うのですが、これは予算委員会ですか、楢崎君からもお尋ねをしたということでありますが、あらためて私はお尋ねもしたいと思いますし、防衛庁のほうに、これは強制力はないと思いますだけに、地元がほんとうに本腰を入れて運動を続けてまいりましただけに、ひとつ御所見を承りたいと思います。
  110. 山中貞則

    山中国務大臣 いまの段階では、県庁あるいは九州大学等は、もう御希望を撤回されたやに聞きます。しかしお話のように春日市、大野城市、これは、それぞれの理想面積というものをもってお話が、財務局のほうに出ておるようでございます。  私ども自衛隊といたしましては、現在ありますレーダーあるいはレーダー関係の部隊、レーダーシステム及び航空司令部関係、航空方面隊司令部関係等の既存の基地というものを他に移すことは、なかなか困難でございますので、できれば私たちのほうにも、まあ半分というような話が、楢崎委員からありましたけれども、面積割りすれば三分の一程度になりはしないだろうか、こう申し上げましたが、それも、まだ私どものほうできめるわけではございませんで、大蔵省のほうが持っておる財産でございますので、私たちは、いわば競願者でございます。したがって、最終的には大蔵省がきめますが、やはり国の防衛上必要とする地域である。したがって、地元の大野城市、春日市の御陳情にも沿っていただくように、そして、できれば御理解をいただいて、私たちの現在使っております、大蔵省から一時使用を受けております地域、これは整理しないといけませんが、コンパクトな形に整理した基地だけは、引き続き防衛庁に使わしてもらえないだろうかというような御相談を、大蔵省に手続をしていることは事実でございます。しかし、最終的には大蔵省の決定に従います。
  111. 吉田法晴

    ○吉田委員 この接収をしたときの事情が事情でございますし、前の所有者は、おそらく法的に争ってもという気持ちがあろうかと思いますが、常識的に考えてみましても、これは福岡あるいは福岡周辺の住宅地域の中の、基地が存在し得るにはたいへん問題のところです。ですから、地元優先は防衛庁といえども考えてくれるべきだということを申し上げて、この質問は終わりたいと思います。  それから、時間が切迫しておりますが、一つお尋ねします。それは北富士の問題です。北富士の問題については、別な機会にもお尋ねがあったと思うし、またあると思いますが、私は、経緯を読んでいて、実は初期の段階で北富士に出入りをしたことがあるものですから、その後の経緯の中で納得しがたい点がございますから、幾つかお尋ねをいたしたいと思います。  これは林野雑産物の実損補償として支払いがなされておる、したがって、そういう意味では、閣議で入り会い権はないといわれた、あるいは訴訟でも争われたところでございますけれども、この林野について、いろいろな下草あるいはたきぎその他雑産物をとっておったということは認め、そして、それに対して補償をされておるのですから、どの程度かということは別問題にして、林野雑産物をとることが認められたという意味においては、入り会い権というものは——これこそ入り会い権の一種でありますが、入り会い権が認められたと私は考える。そのことを、どういうぐあいにお考えになられるかが第一点。  それからもう一つ、その林野雑産物の補償がなされるとすると、その補償をされる相手方は、それぞれ何組合がどう言いましょうとも、その雑産物をとっておった住民、そして、それは二戸当たり二十万という計算がなされまして、それから二十六年以降ですか、金額については相談をするということですし、この林野の雑産物をとっておったという関係は、やはり部落単位といいますか、あるいは何戸かが、実際にその地域に入ってとっておったということで、国との関係で補償をすべき関係にあるのは、これは忍草の組合だと考えられるが、どう思われるか。  それから、演習場対策協議会を通じて支払われている。そこで、この契約の中に——国、県で覚書が手交されておる。その契約書の中には、演対協を代理人として委任をした者に限るという条文があるようですが、この権利義務の関係が、国と忍草組合等の間にあるならば、県と国の間に、演対協を代理人としなければ、その補償金は払うとか払わぬとかいう関係にはないのではないか、こういうことが考えられますが、それをどう考えられるか。  そして、この覚書の規定を根拠にして——忍草組合の中では全体が団結をし、そして自衛隊と米軍の共同使用に反対をしたわけでありますが、忍草組合の中の百名程度の人たちに対して、演対協を通じて補償を支払っておる。これは演対協からする、忍草組合に対するいわば分断作戦といいますか、それをされたと思われるのですが、権利関係からするならば、国から補償するとするならば、権利者に対して補償するのが当然なんです。覚書でもってこれを保障されておる。法律上保障されておる権利というものが制限をされたり、左右されたりすることは、あり得ないと考えられますが、どう思われるか。この三点についてお尋ねいたします。
  112. 山中貞則

    山中国務大臣 これは入り会い権というものではない、その意味の権利義務ではない、しかしながら、入り会い慣行というものは認め、かつ尊重する、したがって、演習場なければ得べかりし収益と思われる林野雑産物の収益の目減り分について、補償をいたしましょうという契約関係に入るものであろうと考えます。  そこで、相手方を忍草組合にしたっていいではないか、あるいはそれのうらはらの問題ですが、演対協を通じなければ支払わぬというのは、おかしいではないかということでございますが、私どもとしては、内閣を代表して官房長官が知事との間に調印されました、その責任ある覚書というものを廃棄するわけにはまいらない。これは官房長官も、参議院予算委員会などで明言いたしております。したがって、その覚書に従ってお支払いをいたします。その手続がきまっているわけであります。  したがって、その手続を踏まれれば、別段忍草組合に入っておられようと入っておられまいと、当方は払いますと申し上げておりましたため、ただいまおっしゃったような方々が、そのルートで覚書どおり申請をされたものについては、お支払いを年度内にいたしました。しかし、これは、ことしの予算では予定いたしておりませんので、残った方々が、やはり雑産物の補償を受け取りたいとおっしゃるならば、対応する予算措置をしなければなりませんので、これは昭和五十年度予算というものに、あらためてまた計上しませんと、繰り越しがもうききませんでしたので、その措置をとらざるを得なかったということであります。
  113. 吉田法晴

    ○吉田委員 時間もございませんし、法律論争を、ここで長く続けてもいかがかと考えられますから……。  入り会いの権利とは認めなかったけれども、慣行としては認めた、あるいはそれに対する実際の損害に対して補償する、こういういまのお話であります。慣習を法律的に認めて、それに対して補償をするのは、これは判例によろうと、あるいは法律によろうと、これは多少、大陸法系と英米法系とは違いますけれども、実際関係について法律的な保護をするという点では、変わりはございません。したがって、権利ではないけれども、慣行としては認める、それから、それに対して補償をする根拠ということになりますと、それは、やはり民法でいう法律関係、そして、その法律関係に対して、妥当であるかどうかは、これは協議をしたり、あるいは折衝されたりしますけれども、古払いは、法律的な関係について実際に支払いがされる、だから、それは補償であります。ですから、これは裁判の対象にもなります。  実は、あの入り会い権を争った訴訟の裁判の結果について、批判はいたしませんけれども、関係については、私は、法律を勉強した関係から言いまして、自信を持って、片方は権利とは認めなかったけれども、慣行として認めた、しかし、それに対しては、補償をするというならば、それは、やはり権利義務の関係であり、あるいは賠償、補償の関係だということは、これは争う余地がないと思います。  したがって、先ほど、二点、三点に申し上げました点については、争い得るところだと思いますけれども、時間がございませんから、他日に譲ることにして、きょうの質問はこれで終わります。
  114. 徳安實藏

    徳安委員長 御苦労さまでした。  木下元二君。
  115. 木下元二

    ○木下委員 本法案は、自衛隊隊員引きとめ、隊員維持を策するものでありまして、わが党は、こうしたことに反対であります。この点につきましては、わが党の中路議員からも質問が行なわれましたので、私は、前国会の防衛二法の審議の際、提起をしました稚内電子情報基地の問題について、再度質問をいたします。  と申しますのは、エレクトロニクスインテリジェンス、俗にELINT基地と申しておりますが、このELINT基地は、極東最大の基地であります。これを自衛隊が引き継いだわけであります。自衛隊の持つ最新、最大の情報基地ができ上がったのであります。そして、これはシベリア、サハリン、北朝鮮などの基地を根拠とする航空機、艦船などの動きは、その発する電波に乗りまして、すべてその個性、特徴を、乗り組み員の声紋に至るまで、ちょうど指紋のようにキャッチをされる。相手方の軍事状況を、すっ裸にして、詳細、緻密に探り取るという、驚くべき機能を持つことは、前回の質問でおおむね認められ、明らかにされたところであります。この重要な稚内基地が、その後、一年経過をしましたが、どのように運営をされているか、また米軍との関係はどうなっているかといった点を伺いたいと思うのであります。  まず、第一に、この稚内基地に、自衛隊は、現にどれだけいて、何をしておるのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  116. 久保卓也

    ○久保政府委員 この施設は、昨年の六月に、施設として航空自衛隊に管理がえをされ、それから物品については、たしか十月ごろ、航空自衛隊に管理がえをされていると思います。  そこで自衛隊といたしましては、四十八年度の十二月ごろから、要員十名をもちまして、器材の点検、調整、整備、そういうことをやっております。もう少し早く運用を開始したいところでありまするけれども、現実には人員が足りませんのと、器材の調整に手間取っておるということで、いまのところ、まだ調整段階、整備段階でありますが、本年度、四十九年度に、さらに十二名を増員いたしまして、合計二十二名でもってこの秋ぐらい、大体、十月ごろをめどといたしておりまするけれども、そのころから、おおよそ、八時間継続で運用してみたい、八時間運用程度で運用したいというふうに考えております。
  117. 木下元二

    ○木下委員 器材の管理、点検あるいは性能の確認といった段階のようでありますが、正規に部隊を編成して、本格的に始動をするのは、いつごろになるのでしょうか。
  118. 久保卓也

    ○久保政府委員 現在、この施設の管理そのものは、三沢から出ておりまする第十八警戒群、これは稚内におりまするレーダーサイトの部隊でおりまするが、これが管理しておりますけれども、機能の面、運用の面では、警戒資料隊の稚内班というものが担当いたしております。しかし、いま申し上げたように人数が足りませんので、この十月ごろをめどとして二十二名になりますると、実際の運用ができる。八時間運用でありますが、人員を、もし倍ぐらいに増せば、十六時間運用ぐらいはできるでしょう。われわれの希望としましては、これは、できれば五十一年度ぐらいまでにはそういうふうに持っていきたいというふうに考えております。
  119. 木下元二

    ○木下委員 前の国会での答弁は、米軍はここへ多いときは七百人からいた、少なくとも、自衛隊が引き継いでやる場合だって、二、三百人は必要ではないのかというように私、お尋ねしましたときに、久保局長は、百名以内ぐらいで何とかやることを考えておる、こういう答弁をいただいたと思うのですが、いまのお話だと、非常に人数が少なくなっているようであります。まあ八時間勤務でなくて、そのうちに二十四時間勤務ということになるということかもわかりませんが、結局のところ、本格的な始動ということで大体、部隊の編成人員はどの程度のことをお考えなんでしょうか。
  120. 久保卓也

    ○久保政府委員 米軍がおりました当時は、約六百人ぐらいでありまして、この場合には通信保全、それから飛行場に関連しまするタカン、そういったもの。それから病院、それから広大な施設を持っておりましたので管理要員、これは部隊の管理は、自衛隊よりもはるかに大ぜいの人数を要しておりますが、そういうこともありましたし、それから器材そのものも、その後、米側で撤去したものもありまするし、わがほうで使い切れないということもあります。  そこで、米側のようなふうにはとてまいりませんが、最小限度の単位で動かしたいということで、その場合には、この前申し上げましたように、大体百人、もしくは、それ以内の程度の規模を考えているということでありますが、いま四次防間で百人に持っていくかということになりますと、必ずしも現実的ではないかもしれません。したがいまして、着実に、われわれの能力とそれから各自衛隊のさき得る人員の範囲内で考えてまいりたい。そういたしますると、まあ、せいぜい四、五十人ぐらいが、現実的な考え方かなということを考えております。希望としましては、百人ぐらいということは、いまだに考えております。
  121. 木下元二

    ○木下委員 それにしましても、時期が非常に違うように思うのです。この前のときは、本年度の中ごろには運用を始めたい、この本年度というのは、四十八年度のことなんですね、昨年の五月、六月に、防衛二法をやりましたから。そういうふうに私は聞いておったのですが、いまのお話だと、非常にずれ込んでおりますね。前に言われたことは、これは、どういう根拠で言われたのですか。
  122. 久保卓也

    ○久保政府委員 当時の見込みとしましては、昨年の夏もしくは秋ごろから運用をしたいというふうに考えておりました。しかし施設の返還そのものが、いま申し上げましたように、昨年の六月でありましたし、物品のほうが十月でありますから、その前に運用をすることは、不可能であるということであります。  それから、要員の若干の教育という問題もありまして、そうして器材になじむというのに、けっこう時間がかかっておるということで、当初の見込みよりは、約一年おくれていることは確かであります。
  123. 木下元二

    ○木下委員 私は、早くやれなんということは、少しも言っていないので、前回の答弁によっても、これは日本の防衛にとって重要な機能を持っており、日本のほうでも希望して引き継ぐのだというふうに言われたんですね。にもかかわらず、この基地機能がまだ動き出していない、返還をされましてから二年近くになろうというのに、動いていないというのは、一体どういうことなのか、こんなことなら、もう稚内市のほうに全部払い下げをすればどうかというふうに思いますので、聞いておるのであります。  それで、この技術者の訓練がなかなかむずかしいというふうなお話でありますが、これは一体どこでやっておるのでしょうか。
  124. 久保卓也

    ○久保政府委員 当初、米側のほうで、私どもはOJTと言っておりますが、米側が運用しておる間に人を派遣して、そこで訓練をする、まあ実務訓練とでもいいますか、そういったOJTの余裕があるという情報を聞きましたので、これは必ずしもまだ、一番最初の決心をしたときには、この施設を引き継ぐということではありませんでしたが、EL−NT器材の運用についての知識を得たいということで、私どものほうで十数名、四十七年の二月から六月にかけて派遣をして訓練を受けさしております。それから私どものほうで、引き受けることを決心した後には、東根室で、やはり小規模ではありますが、EL−NTをやっておりますので、そこから稚内のほうに人を派遣したり、あるいは若干東根室のほうに人を派遣したり、そういうことで訓練を重ねております。
  125. 木下元二

    ○木下委員 四十七年二月から六月まで派遣したというのは、アメリカのほうに派遣したのですか。
  126. 久保卓也

    ○久保政府委員 OJTといいますのは、稚内で当時は、四十七年の六月末までは米側で運用しておりましたので、そこへ派遣をしたという意味であります。
  127. 木下元二

    ○木下委員 いずれにしましても、相当数の人員が必要であるということですが、これは現に一体、どこで訓練しておるのでしょうか。
  128. 久保卓也

    ○久保政府委員 訓練をしたやり方というものは、先ほど申し上げましたが、当初は、米側の稚内の施設の中でOJTを十数名受けさした、それから東根室の通信所に来た者もあるし、東根室から要員の訓練に来させた場合もあるということで、その後は何ら行なっておりませんが、現実にはいま十名が稚内に配置されておりまして、そこで、器材を点検、調整、整備しながら、現実に実務的な教育を自分で受けている、教育をやっているというようなことになりましょうか……。
  129. 木下元二

    ○木下委員 質問を変えますが、この稚内の二4(b)施設、区域に、米軍が、返還後どういう部隊が、いつ、何回来たのでしょうか。これは具体的に特定して明らかにしていただきたい。
  130. 久保卓也

    ○久保政府委員 米側が参っておりますのは、四十七年の十月から四十八年十月に至ります間五回でありまして、人員は二十三名ということで、身分は、たしか第五空軍であったろうと思います。
  131. 木下元二

    ○木下委員 いま五回と言われましたけれども、五回とも二十三名ずつ来たという意味ですか。
  132. 久保卓也

    ○久保政府委員 第一回は四十七年の十月で、日数が十八日、九名。第二回は四十八年の二月から三月にかけて四日、二名。三回目、四十八年の五月に三日で四名。四回目、四十八年の六月から七月にかけて二十五日の五名。その次が四十八年十月の四日で三名ということであります。
  133. 木下元二

    ○木下委員 第五空軍ということですが、その、それぞれやってきた米空軍の代表者の名前と階級を明らかにしていただきたい。
  134. 久保卓也

    ○久保政府委員 シビリアンと制服とが混入しておるようでありますが、私の手元には、いま名前は持っておりませんが、もし出す必要があれば、これは第五空軍と調整してみないといけないと思います。
  135. 木下元二

    ○木下委員 これは別に秘密にするべき事項ではないでしょう。米軍がこそこそやってきて、極秘のうちに何かやったということではないのでしょう。
  136. 久保卓也

    ○久保政府委員 自衛隊のことでありませんで、先様のことでありまするから、先様の御都合も聞いてみようということであります。
  137. 木下元二

    ○木下委員 明らかにして何ら差しつかえはないと思いますけれども、この米軍は一体、どういう目的でやってきたのでしょうか。
  138. 久保卓也

    ○久保政府委員 これは米側が、この施設について、まだ利用の必要性を認めているということで、共同使用になっているわけでありまして、わがほうに返還された後にも、米側が当所に立ち入って、これは、あとで器材を入れているようでありますが、そういった器材を利用して、必要な観測あるいは整備、そういうものをやっているようであります。
  139. 木下元二

    ○木下委員 観測、整備をやっておる、観測というのは、何を観測するのですか。
  140. 久保卓也

    ○久保政府委員 観測ということばは、適当でないかもしれませんが、電子現象の調査ということであります。
  141. 木下元二

    ○木下委員 そうすると、これは自衛隊がここにいていろいろやっておるが、それと全く別個にやってきて、別個に行動しておるという意味ですか。あるいはそうでなくて、一緒にその観測なり、あるいは整備なりをやっておるということですか。
  142. 久保卓也

    ○久保政府委員 現実には、あるいは自衛隊が調査をしている、もっとも現状は、運用はまだできておりませんで、点検、整備、調整といったような段階でありますが、そこに立ち入っている例が、あるいはないでもないかもしれませんが、たてまえとしては、米側は米側の器材をいじっており、わがほうはわがほうということで、別個になっております。
  143. 木下元二

    ○木下委員 米側は米側の器材をいじっているというが、個々の器材は、米軍の器材を自衛隊が引き継いで、もらっているわけでしょう。米軍の器材というものは別にあるのですか。
  144. 久保卓也

    ○久保政府委員 ただいまお話をしたつもりでありますが、当初、物品は全部わがほうに返還を受けました。施設などでも、向こう側が撤去したものもありますが、残っているもので、自衛隊の要らないものもありますが、いずれにせよ、自衛隊の要るものは、わがほうが引き継いでおります。その後、米側で、みずからの判断で必要なものを取り入れている、こちらへ持ってきているというふうに聞いております。
  145. 木下元二

    ○木下委員 その持ってきたものは、一体どういうものを持ってきておるのでしょうか。
  146. 久保卓也

    ○久保政府委員 それは、私どものほうで承知いたしておりません。
  147. 木下元二

    ○木下委員 米側は、何か持ってきて、それを動かしておる、こういうふうに聞いていいわけですか。
  148. 久保卓也

    ○久保政府委員 そのとおりであります。
  149. 木下元二

    ○木下委員 一応そう聞いておきます。  そうしますと、この二4(b)による共同使用の対象というのは、これは前回も言われましたけれども、土地、建物、工作物であって、問題の電子機器などの装備は一切入っていない、こういうことのようでありますが、これは共同使用の対象外だから、これには全然手を触れていない、こういうことでしょうか。あるいは、これは前回も久保局長は言われたのですが、いろいろな機器がある、たとえばスコープその他をのぞいたりするかもわからないというふうなことも言われておるが、これは、どういうことでしょうか。その持ってきた資材だけを米軍がいじっておるというのか、そうでなくて、自衛隊に引き継いだものも、やはりいろいろとタッチしておるということなのか。
  150. 久保卓也

    ○久保政府委員 私が聞いておりますのは、現在、米側が立ち入って仕事をする場合には、米側が持ち込んだ器材をいじっておるということでありまして、ただ、たまたま自衛隊が扱っているスコープをのぞいたからといって、それが共同使用になるということではないということだけを言おうと思ったのでありまして、余分なことかもしれませんが、たてまえとしましては、あくまでも米側の器材を米側が運用しておるということであります。
  151. 木下元二

    ○木下委員 これは、どういう器材を持ち込んだのか、聞いたところによると、ライトバンで持ってきたらしいということを聞きましたけれども、少々のものを持ってきても、その持ってきた器具でもって、このELINT業務なんか行なえっこないんですよ。ELINT業務は、ここに備えられた機器類は、膨大なもので、これを操作することによって、初めて行ない得るので、あるいは一部持ってきて、それも一緒にしてやるということは、可能かもわかりませんけれども、そうではなくて、何か少し持ってきたものだけでもって、これを操作してELINT業務をやるなどということは、これはもう考えようがないのです。そういうふうに、局長、はっきり伺っておいていいですか。
  152. 久保卓也

    ○久保政府委員 米側の業務は、全く私は承知いたしておりませんが、たしか共同使用になっておる対象の中に工作物がありまして、アンテナは共同使用の対象に入っているのではないか。そこでアンテナと器材と結びつけておるかどうか、そこをちょっと私、いま承知いたしておりません。おりませんが、アンテナを使用しないで器材を運用しておるのか、あるいはいま言いましたようなことでやっておるのか、そこのところは、つまびらかでございません。
  153. 木下元二

    ○木下委員 アンテナは、これは共同使用ですか。そうでなくて、やっぱりアンテナも、これは物品として扱われているのじゃないのですか。
  154. 久保卓也

    ○久保政府委員 私、間違えました。アンテナの支柱が共同使用の対象だそうでありまして、アンテナそのものは、共同使用ではないそうであります。したがいまして、アンテナを使っての運用ということではないのであろうと思います。
  155. 木下元二

    ○木下委員 前の答弁では、アンテナを使わざるを得ないのではないかというふうな趣旨に聞こえたんですが、やっぱりここで通信業務なり情報業務を行なおうとすれば、当然アンテナを使うということになるんじゃないですか。アンテナを使わずに、そういった情報業務を行ない得ますか。
  156. 久保卓也

    ○久保政府委員 これは、あるいは必要であれば、米側にも確かめてみる必要があるかもしれませんけれども、ELINTをやっておるのか、あるいは単なる通信、情報を担当しておるのか、その器材を私ども承知いたしておりませんので、米側の業務を存じておりません。
  157. 木下元二

    ○木下委員 ひとつ、こうはっきりしていただきたいと思うんですが、あなたは、ほんとうにそういうことをはっきりここで答弁できますか。米軍は、四十七年十月を初めとして現在まで五回、延べ五十日以上この基地におったことになるんですね。この間、電子機器を動かしたり、点検したりしておらぬのでしょうか。あるいは自衛隊員の操作について、注意を与えたり教えたりしておりませんか。そういうことが全然なかったということが断言できるのですか。もし、なかったとすれば、それは一体、じゃ何のために来ておったのか。何か器具を持ってきて、こそこそしておったかのように言われるけれども、そんなことは、ちょっと常識でも考えにくいんですよ。はっきりしてください。
  158. 久保卓也

    ○久保政府委員 少なくとも、私が聞いておりますのは、米側が立ち入った際には、米側が持ち込んだ器材を運用しておるということで、立ち入りの目的が、自衛隊のほうで引き継いでいる器材についての点検とか運用とかについて、何らかタッチをしているということではないというふうに聞いておりまするし、その報告は正しいと私は思っております。
  159. 木下元二

    ○木下委員 質問を変えますが、この電子機器は、無償供与ということでありましたが、これはMSA協定に基づく無償供与物件だと思うのですが、そうではないでしょうか。
  160. 山口衛一

    ○山口政府委員 日米相互防衛援助協定に基づきまして、受けた無償供与でございます。
  161. 木下元二

    ○木下委員 前回のときに、私は、どうして無償供与が行なわれたのか、執拗に聞いたのでありますが、MSA協定に基づくという点は、ついに一言も言われなかったのです。一般に、この機器を、米側が返還する場合、米側が必要ないと認めた物件は、いわゆる返還物件としてそのまま残置をするのだ、そういうものとして稚内の電子機器も残置をしたのだという、これ一点ばりだったのです。この前は、一番肝心な点をあえてそらした答弁をされておった。私は、これはたいへん遺憾なことだと思います。いま私のほうが、こっちから聞いて、初めてそのとおりだと言われた。  そこで、さらにまた、別の質問をいたしますが、この電子機器類ですね、十四基の巨大なアンテナ群、電波の分配器、受信表示コンソール群、分析器、記録のためのビデオ及びコンピューター装置、こうしたものがありますが、この価格の総額と主要部分の価格を明らかにしていただきたいと思います。  もうこまかい点は、けっこうですから、主要部分を、アンテナグループとか受信グループ、分析グループというふうにそれぞれ分けて、大まかに概括的に言ってもらったらけっこうです。
  162. 山口衛一

    ○山口政府委員 ただいま御指摘いただきました点、おもに分けますと、分析グループといたしまして約二ユニットのものがございまして、これが現在の評定価格で約六百六十万円でございます。それ以外には、受信グループ、これは、やはり十五のユニットでございます受信機群で構成されておりますが、これの総額が約六千八百万円でございます。第三にアンテナのグループがございますが、これは数百品目のアンテナからできておりまして、十四グループで構成されますが、これが約一億八百万円でございます。これ以外に、なおその他の付属設備としまして、補用部品でありますとかあるいは支援装備品でありますとか、このようなもの、それで全体で、合計しますと約五万五千点ぐらいの構成品からでき上がっております。
  163. 木下元二

    ○木下委員 これの価格の計算は、どういうふうにされたのでしょうか、これも簡単でけっこうです。私のほうで考えておった価格と相当な開きがありますので聞いているのです。
  164. 山口衛一

    ○山口政府委員 これは、米側が非常に長く使用いたしまして、当初、米側がこれを調達した概算の金額を通知されまして、これは三百六十円でやりますか、三百八十円でやりますか、計算単位の問題はありますけれども、おおむね約十九億円程度と判定をいたしておりますが、これが設置されまして以降、約十年程度を経過しておりますので、私のほうの物品管理規則によりまして、この通信機関係の耐用年数は約十年程度を考えておりますので、大体、現在の評定簿価としましては、その約十分の一程度と考えております。したがいまして、全体としまして約一億八千万円ぐらいになるのではないかというふうな簿価評定を現在しております。  これは、五万点のこまかいアンテナ類でございますので、その損傷ぐあい等は、それぞれの部隊の分任物品担当官が、それぞれ個々の点数につきましてチェックをいたしまして、それぞれの損傷のぐあい、あるいは現在の経過期間等の算定をいたしまして、かなりの時間をかけましたが、積み上げてまいりまして、おおむねいま申し上げましたような評定簿価だというふうに考えております。
  165. 木下元二

    ○木下委員 米軍の中古品で、十年程度経過しておるということですが、これは、私のほうで調べましても、過去五年ぐらい前に新設または増設をされたものが相当あるんですよ。どれとどれというふうに私は、ここでは言いませんけれども……。当時、米軍が最新の技術と資金をつぎ込んでつくったものなんです。これは、この前指摘しまして、ざっと見積もっても、一億ドルを下回らないのじゃないかというふうに申しましたけれども、どうも価格の開きが大きいようです。この点、これ以上追及をここでしてもいたし方がありませんので、申しませんけれども、開きがある。  まあ、それはともかく、私、前回申しましたが、これだけのELINT機器を、無償で供与を受けるからには、そこに引きかえ条件があるはずだ、こういう質問をいたしました。しかし、この点は、終始否定をされたのです。ところが、これがMSA協定に基づく供与物件だということになると、同協定に定められた条件をかぶることになりますね。たとえば、このMSA協定の第一条には、二項ないし四項を見ましても、「その援助を他の目的のため転用してはならない。」とか「当初の用途のために必要でなくなつたものの返還を申し出るものとする。」とか装備などの所有権、占有権を他の政府などに移転しないなどの条件のもとに、この物件が供与をされておることになるんですね。これらの点はお認めになるのでしょうか。つまり、MSA協定によって定められた条件のもとに、このELINT機器が供与されたという点はお認めになるんでしょうか、確認をいたしたい。
  166. 山口衛一

    ○山口政府委員 MSA協定に基づきますと、これが当方で不用になっていく場合、あるいは米軍関係でこれを再度使用することが必要であるというような申し出がある場合、このような場合には、当然、原則的にそのような措置がとられると思います。  ただ、これは、このELINTの譲り受けの経緯から申しまして、私ども聞くところによりますと、米軍自体が、かなり老朽化あるいは使って使命を果たしたというような判定をしまして、結局、持ち帰るための運送費あるいはその他の諸費用、そういう面からいいまして、日本側で希望があれば、日本側でこれを使ってもよろしいというような、両者のそれぞれの合意があったそうでございますので、普通の形の、いわゆるあとで返さなければならない、そのような形のものとは必ずしも考えられないというふうに思います。  したがいまして、むろん協定に基づきますいろいろなあれは、ありますけれども、無償であるという根拠につきましては、これは、やはりこのようなMSA協定というものがバックにあるというふうに考えております。
  167. 木下元二

    ○木下委員 このMSA協定による条件は、いま一条の点を申しましたけれども、まだほかにもあるわけですね。七条というのがあります。「日本国政府は、アメリカ合衆国政府の職員で、この協定に基いて供与される装備、資材及び役務に関するアメリカ合衆国政府の責務を日本国の領域において遂行し、且つ、この協定に基いてアメリカ合衆国政府が供与する援助の進ちよく状況を観察する便宜を与えられるものを接受することに同意する。」、それから八条もあります。前段のほうは省きまして、最後のところに、結局、日本国政府は、「アメリカ合衆国政府が提供するすべての援助の効果的な利用を確保するための適当な措置を執るものとする。」、こういうふうに規定されておるわけですね。この七条、八条、私がいま指摘しました条項ですね、これは結局のところ、米側から供与された装備、資材、役務など援助のすべてについて、米側の指導監督下に置かれるということになるのではないでしょうか。そうでしょう、この規定からいうと。
  168. 山口衛一

    ○山口政府委員 ただいま御指摘のMSA協定第七条にうたわれております援助の進捗状況の観察という規定でございますが、これは、もともとMSA協定が有償援助あるいは無償援助の日米間の一つ根拠規定になっているという意味からいいますと、全般にかかるということは原則的にはいえるかと思いますが、これは先ほども申し上げましたとおり、ELINTの経緯からいいまして、従来もらっております普通のMAP品あるいはFMSの対象品目というものとは、必ずしも同じような性格のものではございません。現在、ここにあります進捗状況の観察というのは、当初、日本がMAP供与品を非常に多く使っておりまして、また、その使用状況あるいは兵たん支援等にも十分なれていないというような時期におきまして、このMAP品の使用の方法でありますとか、あるいはこの維持管理の方法でありますとか、こういうものにつきまして、当初は指導を必要とした、こういうことから、この観察という条項は、かなりの法意を持っておったというふうに考えておりますが、昭和三十八年の七月一日以降、原則的に大きい金額のMAPが打ち切られまして、その後FMSになって以来、いわゆる当初的な意味での観察ということからだいぶ実態的には変わってきておりまして、現在の段階では、御承知のとおり、日本には在日援助事務所があるわけでございますが、この援助事務所の担当する仕事としまして、いわゆるライセンス生産の日本側におきます日米間の取りきめの窓口の仕事をやりますとか、あるいはMAP品の返還の窓口業務をやりますとか、あるいはFMS業務の円滑化をはかるためのいろいろな、米国内でのFMS対象品目の価格情報を通知するとか、こういうような形の広い意味での進捗状況事務というようなものを内容とするように、現在運営自体が実態的には変わってきておるというふうに私どもは考えております。
  169. 木下元二

    ○木下委員 実態が、何かMAPのときと最近と変わってきたかのようなことを言われますけれども、私、いま問題にしておるのは、この七条、八条の規定の上の問題なんですよ。これでいきますと、「アメリカ合衆国政府が供与する援助の進ちよく状況を観察する」、「装備、資材及び役務に関するアメリカ合衆国政府の責務」、これは物的、人的援助を効果的に実施する、そういう責務だと思いますが、米側は、それを日本国領域で遂行する、そして、これに対応して日本側は、米側が提供する援助の効果的な利用を確保するため適当な措置をとる、こういう仕組みになっておるんですね。だから、たとえば与えられた援助が、目的どおり効果的に進められているかどうか、これを観察をして、もし進められていないとすれば、米側は日本側に適当な措置をとるべきことを当然要求する、求め得るわけですね。これは米側の責務としても、援助の効果的な実施のために必要だということになる。  こういうふうな仕組みになっておりますと、当然、これは指導監督というふうにはっきり書いておりませんけれども、監督的、指導的な働きかけを米側が日本に対してやる、そういう仕組みになっているんですよ、七条、八条は。最近の場合は、MAPと違ってということを言われますけれども、そんなことは、規定の上からは何一つ出てこない、そうでしょう。いまの点はお認めになりますか、最近の実態がどうのこうのということでなくて、この規定の上で私が指摘した仕組みどおりになっておるということを。
  170. 山口衛一

    ○山口政府委員 ただいまの法文解釈は、御説のとおりでございます。しかしながら、このMPA品あるいはFMS供与品目につきましては、それぞれの運用実態がみな異なっております。原則的な考え方あるいはやり方は、ここで有償、無償援助の根拠法規として出してありますけれども、自主的な観察のしかた、あるいはわがほうの確保のしかた、これは、それぞれの物資によって全部違っておると思います。特にELINTのように、当初から米軍としてはすでに不要であるということでそもそもの経緯が成り立ったものにつきましては、少なくとも御指摘のような、そのような責務とかあるいは義務とかいうものにつきまして、ELINTに関しましては、私どもは、それほどこの問題に直接関係する事柄ではないというふうに考えております。
  171. 木下元二

    ○木下委員 ELINTの場合は、これに関係しないなんて、あなた、何をもってそういうことを言われるのですか。関係するじゃないですか。ELINTの場合に、関係しない、何か米軍が不必要になったから日本側に渡したのだ、だから、この七条あるいは八条は問題にならないとでも言うんですか。そんな法解釈がどこにありますか。  結局、この稚内の二4(b)の施設、区域に米軍がやってくるのは、このMSA協定に基づいてやってくるのでしょう。観察にやってくるのでしょう。その観察の内容は、いろいろあるかもわかりません。私はこうだとは申しません。けれども、少なくともこの七条に基づいて米軍は観察にやってくる。そうでないとすれば、一体、何のためにやってくるのですか。
  172. 久保卓也

    ○久保政府委員 いまお話しの点は、MSA協定の一般的な性格論をおやりになっているわけでありますが、いま稚内のことについて申しますると、先ほど装備局長が、MSAの従来から今日までの経緯の中で触れられましたように、たとえばMSAを担当しておりますMDAOと申しますが、この米側の組織も、今日は非常に小さくなっております。そこで、そういった業務が行なえない、以前のように専門の人をかかえておりませんから、そういうことは現実にやれない、ということは、結局、われわれが米側からMSAでもらう資材が少なくなったこともありまするし、また、もう相当年数もたっておりますので、われわれが資材を扱いやすくなっておるということを背景にすることだろうと思います。  そこで、いまの稚内のことについて申し上げれば、現実に米側が稚内に立ち入っているのは、七条に基づくものではなくて、共同使用なるがゆえに立ち入れる、これが共同使用でなければ、あるいは七条ということで、先ほどお読みになりました七条の文言でもって立ち入るのかもしれませんが、共同使用になっているから、彼らとしては権限、権利として入れるということであります。しかし、それでは七条が残っているから、その分野で入ることが可能ではないかというお話ならば、これは協定がある以上は、入ることが可能かもしれません。しかし、われわれが米側と接触している範囲では、そういうような必要性を彼らが認めているようには私どもには考えられません。
  173. 木下元二

    ○木下委員 二4(b)の共同使用区域として、そういうことで入っておる、このMSA協定七条によって、観察のために来ておるのではないのだ、こう言われるんですね。しかし、そうであるけれども、米軍は観察のために、この七条によって来ることもできるという解釈ですが、それは、あなた方のほうは、この七条によって来ていないということがほんとうに言えるんでしょうか、言えますか。
  174. 久保卓也

    ○久保政府委員 彼らが入ってきまする場合に、この施設全般の管理は、航空自衛隊がやっておりますので、立ち入りについて航空幕僚長に承認を求めるという場合に、その目的が一応はっきりわかるわけで、七条に基づくものであれば、そういうことが明示されるかもしれませんが、そういう必要もありませんし、かつ、現実に立ち入ったのが、先ほど申し上げたような、米側の器材に関する運用についての立ち入りであるということを認めて、幕僚長が証言しておりますので、少なくとも、いままでのところ、七条によって立ち入ったものではない、将来もおそらく、私の観測によれば、そういうことはないのではなかろうかというふうに思っておるわけであります。
  175. 木下元二

    ○木下委員 久保局長、いいかげんなことを言いなさぬなよ。あなたは、さっきは、この前もそうですけれども、どう言われましたか。米軍が何のために来たのかわからぬ、目的はわからぬ、こう言われておるんですよ。確かに共同使用区域ですから、七条があろうがなかろうが、当然入ってこれる。この共同使用区域として二4(b)に基づいて、これは、わかりますよ。しかし、ただそれだけなのか、あるいはそれ以上の目的があるのか、この七条による観察なのか、それを、あなたは、ここではっきりそうではないということがどうして断言できるんですか。目的は、これまではわからぬと言われておった。何のために来たのかわからぬと言われておった。そして何かこそこそと持ってくるけれども、何をしておるのかもわからぬ、こう言われておったでしょう。それが、いまになって、七条の問題を提起されると、いや、七条ではございません、どうしてそんなにはっきり言えるんですか。
  176. 久保卓也

    ○久保政府委員 先般の委員会の御質問のときには、私は、米軍の立ち入りの状態について承知いたしておりませんでした。そこで、今回、関係の向きにただしてみたところ、私が申し上げたようなことであって、七条の目的のためであれば、米側はそういうふうに明示するだろうと思います。しかし現実には、七条の文言にあるような行動ではなくて、米側の器材を運用するという方向で、当初の目的もそうであったし、現実の行動もそうであったというふうに聞いておりますので、七条ではないというふうに申し上げたわけであります。
  177. 木下元二

    ○木下委員 どうもあなたの一方的解釈は、私は納得できません。確かめもせず、目的も、これまでわからぬと言われておりながら、いまになって、私が問題提起をして、そういうことを言われても、私は理解できません。結局、MSA協定に基づいて、米軍がやってきて——これは、もう当然MSA協定に基づく援助なんですから。さっきもはっきり言われた。MSA協定に基づいて、このELINT基地を無償提供したのでしょう。とすれば、当然このMSA協定の七条に基づいて観察をやる、あたりまえのことじゃないですか。これをやらぬ、現にやっていないし、将来もやらぬ、なぜ、そういうことが言えるのか。そんな通用しないことを言われるのはやめなさいよ。  このELINT業務そのものが、もう私が前から指摘をしておりますように、シベリア、サハリン、北朝鮮などの軍事動向の情報を、奥深く、精密に収集するという、憲法を貫く平和主義の立場からも、許されないものであることは申すまでもありません。しかも、この問題のある業務を、MSA協定に基づき、米側の指導、監督のもとに進めるという点、つまり、これを、はっきり言えば、対米従属性の強い日米共同作戦体制の一環として展開をするところに問題があるわけであります。  しかも、問題は、これだけではありません。まだほかにもあります。少し指摘をいたしますが、たとえば同軸ケ−ブルに取りつけられているセンサー、リピーター、これらは米側よりの、MSA協定による無償貸与物件ではないのでしょうか。これは前回、東中質問に対しましては、無償供与というふうに答えられましたけれども、これは無償貸与の物件ではないのでしょうか、伺います。
  178. 山中貞則

    山中国務大臣 言いっぱなしとおこられると、私どもは、そういうふうに受け取っているように思われて困りますが、稚内のELINT基地は二4(b)の使用でありますから、日米がその基地を共同使用することについて、法的な根拠を持って、地位協定に基づいて行なっている行為でありますから、別段、私たちは、その行為自体をおかしいと思っておりません。また米軍の従属下に置かれていると言われますけれども、われわれは米軍と指揮系統も異にし、かつ、しかし、米側の安保体制の抑止力を基点とする信頼と依存というものによって、わが国の最小限の自衛力というものをまかなっていこうとするわけでありますから、これが他国を攻撃するような目的のものでありますならば、これは、多分にその及ぶ距離その他について議論しなければならぬでしょう。しかし攻撃を全くしないということになりますと——現在、ソ連の観測船が日本の紀伊半島及び潮岬周辺の四国沖で、沿岸近くまで来て連日、観測作業を行なっております。しかし、われわれは領海外であるということで、それらのことについては、何も対処手段を講じておりませんが、いずれの国も、自分たちの必要性をもって相手の国を攻撃するものでないということであります場合には、別段、それに対して文句を言っておりませんし、ソ連側のほうも、これに対して——ソ連と申し上げると、先ほどの船は、ソ連の船でありますが、関係の国からは、何もこれについてけしからぬ行為だという話を私は聞いておりません。
  179. 木下元二

    ○木下委員 ちょっとその答弁は、最後に聞きたかったんですよ。私、具体的に質問しておるのに、途中によけいなことが入ったような感じがするのです。そのことについては、あとで私も申し上げます、時間の関係がありますので。具体的に、私がさっき質問した点はどうでしょうか。
  180. 山口衛一

    ○山口政府委員 先生御指摘のとおり、昨年の六月二十六日の衆議院内閣委員会におきまして、東中議員から、リピーターについてはOCCから買ったのかという質問がございました。これに対しまして、私は、たしか私の記憶では、無償供与であったのではないかとお答えをいたしましたが、無償貸与は、無償供与の実は広義の内容と考えまして、少なくとも有償ではないという意味でお答えをいたしました。
  181. 木下元二

    ○木下委員 貸与ですね。
  182. 山口衛一

    ○山口政府委員 はい。
  183. 木下元二

    ○木下委員 昨年、壱岐警備所の沖合いでセットされました海底ケーブルLQ03が切断をされたということが起こりました。布設されておりましたケ−ブルが切断された個所は、領海外、公海ではなかったかというふうに思われますが、いかがでしょうか。
  184. 久保卓也

    ○久保政府委員 布設をいたしましたのは、領海の中であります。四十七年の後半、秋から冬にかけまして二個破損いたしましたが、その分は領海内であります。
  185. 木下元二

    ○木下委員 海上保安庁は、具体的にどこからどこまでが領海で、どの線が公海かということを確認はしていないように思うんですが、これは、あなたのほうの見解ですか。
  186. 久保卓也

    ○久保政府委員 海上自衛隊も、海に関しては専門家でありますので、海岸から三マイルがどこであるかということは、了承した上で領海内と考えて設置をいたしております。
  187. 木下元二

    ○木下委員 その点は、あなた方のほうで言われましても、きわめて疑わしい点があると思いますが、それは、さておきまして、米側の貸与物件であるセンサーであるとかリピーターが切断をしたり、あるいは破損をするというときはどうなるのでしょうか。どう処理をされるのでしょうか。弁償などは、どういうことになりますか。これは米側に対しての問題です。
  188. 山口衛一

    ○山口政府委員 リピーター等につきまして、まだ、そのような損傷事故を聞いておりませんが、私どもは、もし起こった場合を考えましても、無償という関係から、特に債権債務関係が起こるというふうにはまだ考えておりませんが、検討してみます。
  189. 木下元二

    ○木下委員 具体的な事件が起こった場合には、協議をしてきめるということになると思いますが、こうした問題に対して、基本的にはどう考えておるのかと伺っておるんですが、そういうお考えはないわけですか。弁償を、たとえば貸与をされた物件を破損したという場合にどうするのか。
  190. 山口衛一

    ○山口政府委員 正確に検討しました結果でございませんが、私が現在まで聞いておりますところでは、故意、過失によりまして事故が起こり、貸与物件がなくなり、もしくは非常に重大な損傷を受けたという場合に、弁償というような問題が起こるかと考えておりますが、ただいまの答弁におきまして、過失と申し上げましたのは、これは重過失——故意が中心でございまして、過失におきましては、重過失というようなところまでが入るのではないかというふうに考えております。この点、正確にまた検討しまして、御報告申し上げます。
  191. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、通常の過失の場合には、もう弁償はしないという考えですね。
  192. 山口衛一

    ○山口政府委員 そのように考えます。
  193. 木下元二

    ○木下委員 それは、どうしてですか、一言で言うと。
  194. 山中貞則

    山中国務大臣 これは法律論争じゃなくて、われわれは、日米安保条約のもとで相互に協力し合うということでありますから、わが国に必要な資材で米側が無償で供与、貸与等の措置を講じたもの、これは最大限の友好と信頼関係のあらわれであります。したがって、それを受け取って私たちが、わが国の防衛に有効に活用するという場合において、故意に、米側の貸してくれたものであるからぶっこわせというような行為をとった場合には、これは米軍と相談をしなければならぬでしょうけれども、そういうことは考えられないことであります。したがって、それ以外のもので、やむを得ない事故が起こって、その機能や器材等が役に立たなくなった場合に、アメリカがそれの賠償請求をするということは考えられないことでありまして、それならば、そういう条件つきでしか貸してくれないだろうと思います。そういうことでありませんから、これは双方の信頼関係の上に立つ問題であるというふうに思います。
  195. 木下元二

    ○木下委員 そういう政治論は聞いていないんですが……(山中国務大臣「ぼくは政治家ですから」と呼ぶ)それは別に取りきめはないわけですね。
  196. 山口衛一

    ○山口政府委員 取りきめまでは明確にしておりません。
  197. 木下元二

    ○木下委員 これは私、MSA協定による物資の場合を聞いておるんですが、やはり米側が、さっきも私、申し上げましたように、観察を行なっているわけでしょう。監督を行なっているわけでしょう。だから、自衛隊のほうで、この貸与物件あるいは供与物件を破損などいたしましても、これは、もう自衛隊のほうだけの一方的な注意義務違反ということにはならない。だから、いま言われたような立論ができるわけなんです。これは、まあ政治論はもとよりのこと、法律的にもそういうことが言えるわけなんですよ。だから、逆に、自衛隊が全く米側と独立して貸与物件などを使用しておるとすれば、この破損は自衛隊側の過失ということとなって、MSA協定による援助の場合であっても、これは過失による賠償ということにもなり得るわけです。そうではないから、こういう問題が起こらない、こういうことでしょう。その点は、よく検討しておられないようですけれども、結局、そういうことだと思うんですよ、私は。
  198. 山中貞則

    山中国務大臣 政治的な答弁は聞きたくないとおっしゃるんですけれども、安保条約というのは、高度の政治判断によって結んでいるものであって、これは賛否両論があることは知っていますよ。しかし、そのもとにおいて、米側が、最も好意的な措置として、日本側に現実に所有していない器材、資材、その他を提供し、貸与してくれるということは、まさに信頼と相互協力を具現されたものであって、それが取りきめその他の付帯条項等によって、これを、もしこわしたら賠償を要求するぞとかなんとかということを言うくらいならば、初めからそういう心配のあるようなものは、ただで貸したり、くれたりしないということになりますので、これは、私たちとは考え方が違うということです。
  199. 木下元二

    ○木下委員 もうあまり時間がありませんので……。  このMSA協定に基づく援助というのは、いま具体的に問題になっているわけですが、非常に広範な範囲に及んでおりますね。さっきも言われましたグラント、これは、たとえばF4EJ、F104Jのライセンス生産技術資料、ナイキ、ホークのライセンス生産技術資料、それから稚内のELINT基地の電子情報システム、同軸海底ケーブルのセンサー、中継器、こうしたものが、このグラントとして無償供与の対象になっておる。それからFMSですか、有償供与も膨大なものにのぼっておりますね。  これは、初めから私、言うのは省略をいたしますが、たとえば四十年以降を言いましても、四十年度で六十四億八千三百万円、四十一年度五十四億六千七百万円、四十二年度六十二億三千三百万円、四十三年度百九十四億四千九百万円、四十四年度五十三億八千五百万円、四十五年度五十一億二千七百万円、四十六年度百十六億三千九百万円、四十七年度百五億円、四十八年度約百六十億円、こんな金額にのぼっております。そして航空機部品、ミサイル部品、弾薬、レーダーサイト部品、通信電子部品、ナイキ、ホーク、警戒管制システム等々、いろいろなものが、この対象になっておるわけですね。  しかもさらに、このMSAによって装備、器材、役務、その他の援助を行なうということになっておりますが、その役務、その他の援助、この中には、いろいろなものが含まれておるようであります。これは米国への自衛隊幹部の留学も、これによって行なわれておるのではないでしょうか。
  200. 山口衛一

    ○山口政府委員 ただいま御指摘のとおり、この役務には、たとえば軍事射撃用の支援でありますとか、技術援助でありますとか、ただいまの留学が入りますが、この留学の場合には、現地に行きます者の授業料が対象になっております。
  201. 徳安實藏

    徳安委員長 木下君、理事会の申し合わせで、大体、時間がきまっておりますので、また防衛庁の問題は、他日幾らでも理事会の相談で開会いたしますから、法案に限ってできるだけひとつ簡単に締めてくれませんか。
  202. 木下元二

    ○木下委員 もう簡単に終わりますから……。  いまの留学の問題については、いろいろ問題があるようでありますが、時間の関係がありますので省きますが、私は、また機会をあらためて問題にいたしたいと思います。  結局、自衛隊のこの近代装備は、すべて米側の監督指導のもとに行なわれておるというだけでなく、自衛隊幹部に対する教育も米側によって行なわれておる。訓練も同様であります。これはもう、先ほど長官がいろいろ言われましたけれども、対米従属性はあまりに明白なんですよ。自衛隊は独立の自衛力だ、こう強調をされますけれども、私がきょういろいろ指摘をしましたような点からいいまして、その装備、訓練、教育など、アメリカ側に対して全くまる裸である。そして、この対米従属的な面がいろいろと出てきておるわけです。これは平和憲法の立場からいいましても、私は、こうしたことは否定されなければならない、こう思うのであります。  最後に、長官答弁をいただいて、終わりたいと思います。
  203. 山中貞則

    山中国務大臣 残念ながら、全く見解を異にいたします。私たちは、アメリカから便宜を供与されているからといって、たとえばナイキ、ホークの発射試験、こういうものは、国内で今日はなかなか許してもらえません。そういうことでやむなく、私たちも、はるばるアメリカまで行って撃つつもりはないのですけれども、しかたなしに行って撃たしてもらっておるわけです。その他、米軍との関係で、自分が数々立証したと言われますけれども、私たちは、そういう便宜を供与し合う、最悪の場合には、日本の国内における攻撃は、どちらの基地であっても、いずれか一方の国に対する攻撃とみなして共同体制をと翼で言っているわけでありますから、安保条約反対の立場からの理論の御展開と、私たちの安保条約のワク組みを踏まえての自主防衛の立場とは、しょせんその意味ではかみ合わない。しかし、われわれは、アメリカ軍の指揮命令系統のもとにだれも動いていない、独自の運用をやっておるということだけを申し上げます。
  204. 木下元二

    ○木下委員 もう私は質問を終わりますが、結局、自主防衛とか独立した軍隊と言われますけれども、さっき、MSA協定で七条の問題などを問題にいたしましたが、これを見ても明らかじゃないですか。しかも、さっき私がずっと申しましたように、無償、有償のMSAによる援助がばく大な額にのぼっておるわけです。そして、それらは、みんな七条、八条のひもがついているわけですね。アメリカ側のひもがついている、そういう援助なんですよ。これでもって一体、何が独立の軍隊なのか、私は、このことだけ強調して、質問を終えたいと思います。
  205. 山中貞則

    山中国務大臣 それは、七条、八条についても、たいへん親切にしてくれているということでございますが、私たちが、じゃ感謝感激して、米軍の御命令どおり行動いたしますからということは、全く伴っていないということを申し上げておきます。
  206. 木下元二

    ○木下委員 終わります。
  207. 徳安實藏

    徳安委員長 受田新吉君。
  208. 受田新吉

    ○受田委員 防衛庁職員の給与を改善する法案につきまして、私、改正趣旨に大いに共鳴します。特に隊員退職手当の増額措置、私も多年、これは一つの懸案として防衛庁にも要望した問題でございます。  ただ、防衛庁職員は、特に自衛官の場合は、国土、国民を守るために生命をささげる職種です。これは非常に重大な職務を持っている。生命をささげる職務というのは、最も崇高な使命感を持った職種ですが、その方々に対する手当が、大体、現状において少し冷遇だ。これは退職手当だけじゃないです。特に防衛出動をしたような場合に、昼夜を分かたず戦闘に参加して、国家の存立のために、国民の生命、財産、身体の保護のために、防衛の任に当たっている、その皆さんに、ただ単に超過勤務手当とかあるいは夜勤手当とかその他の落下さんあるいは航海手当とかいうような、この法律にうたってあるそういう手当だけでなくして、出動手当のような総合的な手当というものが別にあってもいいのではないか。つまり、昼夜を分かたず生命をささげて国土、国民の防衛に当たっているその勤務に対する手当は、現行の制度よりも、別の制度を創設してもいいのではないかと思うのですが、どうでしょう。
  209. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 出動の場合の特別措置につきましては、先生からいまも御指摘がございまして、どうするか、こういうことでございますが、給与法の三十条に「出動を命ぜられた職員に対する出動手当支給災害補償その他給与に関し必要な特別の措置については、別に法律で定める。」ということになっております。  それで、ただいまの給与の体系では、自衛隊員の日常の勤務として常時勤務体制、営内居住というような、そういった特殊な事情を踏まえまして、それぞれの施策をいたしておりますが、ただいまの防衛出動時の給与そのものの体系につきましては、根拠は給与法でありますけれども、その細部につきましては、まだつくられておりません。それで、今後この点につきましては、研究をするというような姿勢でただいま臨んでおります。
  210. 受田新吉

    ○受田委員 この法律が誕生して二十年にもなることでございますし、いつどういう事態が起こるかもしれないというときに、この手当制度そのものが、まだ検討もしていなければ、実も結んでいないというような、これは非常に不用意なんです。いま、きちっとやっておかなければならぬ。あすにでも、どういう事態が起こってくるかもわからないという想定のもとに、制度だけはきちっとつくっておかなければいけないのです。長官、いかがでしょう。
  211. 山中貞則

    山中国務大臣 これは単に給与法のみならず、自衛隊法第百三条において、「防衛出動時における物資の収用等」という、国民生活ときわめて重大な関連のあるものがありまして、それは政令で定めるということが、一応書いてありますけれども、この政令もないということでありまして、いまおっしゃった、ことに一朝有事の際、まさに現在の青年諸君で、進んでその任に当たろうとする者がほとんどいないと言っていい世相の中で、そういうことが本来の使命である自衛隊に職を奉じ、かつ使命感に殉じようとしている者にとって、自分たちがまさかの場合にどういうような法律根拠によって、遺族まで含めて処遇を受けるのかという問題は、きわめて重大な関心のあるところだろうと私は思います。  一方、そのことも検討しなければならない課題であると思いますが、現在の自衛隊の服務あるいは命令順守の規定等それぐらいでもって、真に戦闘遂行のために必要な、敵前逃亡、通敵、反乱、上官抗命、こういうような戦闘遂行上完全に支障となるべきものを排除するような法律も、法律らしきものも別途ありません。しかし憲法では、特別法は定めることができない、こういうことになっておりますから、旧軍の軍法みたいなものは、もちろんつくれないという制約はあるわけでありますけれども、ここらは、まだ幾多の問題が——幸いにして日本は島国であり、そして安保条約のワク組みの中で、議論はありましても、何ら心配のない日常が続いておることが、今日までそういうもののなければならないことを承知ででき上がっていない理由になっているだろうと思うのです。   〔委員長退席中山(正)委員長代理着席〕  しかし、それであってよろしいかという問題には、直ちにそれでかまわぬとはいえない問題を含んでおりますので、これは検討事項ということで、つくるとするならば、どのような制度にしなければならないかということは、十分時間をかけて議論をしておくべき必要があるものと考えます。
  212. 受田新吉

    ○受田委員 私は、そうした非常事態の戦闘体制の装備関係その他を含む体制の問題を、ここでいま取り上げようとしていないのです。防衛庁職員給与法という法律に直結する問題として、私は限定していま質問したわけなんです。こういう問題を、いま法律にじかに関連して当局の御意向を確かめておきたいので、別にそうした非常事態体制の中に、給与体制を一緒にひっくるめて考えるなどといういき方はまずい。給与関係は給与としてこの法律で、あるいは別の法律でうたってもいいけれども、出動体制の際における処遇というものは、当然それを抜き出してやるべき性質のもので、それらと一緒にこの出動手当を検討しようという考えは、私はいかぬと思うのです。考え方としていかがでしょうか。
  213. 山中貞則

    山中国務大臣 もちろん、私が申し上げたのは、問題点が幾つもあるということで申し上げたわけでございますが、いまおっしゃった、じゃ、何から考えていくかといえば、まさにそのことあたりが、自衛官が、まさかの場合には、どうなるのだろうという問題に対しての回答を出していないという問題でありますから、やはり一番先にそういう問題の検討が始められなければならぬという点は、おっしゃるとおりであります。
  214. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、昼夜を分かたざる勤務に服するわけですから、それに対応する手当制度というものは、そうむずかしく考えなくてでき上がると私は思います。人事教育局長の手元で検討をされるように、長官から話をしておいてもらえば、この問題は早急に片づく問題だと思うのです。そうむずかしくしなくても、きわめて簡単な手当が、金額の上で出てくるわけなんです。  その責任というものに対する待遇をどの線にしたらいいかは、警察官の、浅間山荘事件のときなどにおける、非常に危険を顧みずやった場合、そういう場合になくなった場合の手当、そういうものの危険に対する処遇というものは、当然、警察官の場合と比較しても、より高度の危険性を持った出動になってくる場合には、どの線に線を引いたらいいかということは、自然に出てくると思うのです。航空機事故の場合の遺族に対する処遇なども、現在のところ、改善をされたといえども、遺族が、若くしてゆける御主人のあとを、子供とともに生き抜くのには、あまりにもまだ低額なんですよ。そういうようなところは、やはり生命をかけて国土、国民を守ろうという職種に対する処遇としては、基本的な考え方であなたのほうで立案をしていただく必要があると思うのです。あえて希望を申し上げておきます。
  215. 山中貞則

    山中国務大臣 自衛官は、給与体系そのものが、超過勤務手当も夜勤手当も出ないことになっておりまして、昼夜勤務が原則であるということ、御指摘どおりであります。それは、いざという場合に備えての正常な状態における勤務である、しかし想定される場合として、自衛官が若き身命を賭するという場合において、給与体系そのものは別でありましょうが、実際、自分たちがそのときに、なおかつ現在の給与体系では、食糧も——国民は、大体国が食糧はただで食わしておると思っておるでしょうが、食事は、実際上給与表の中でめり込む措置がとられておる、こういうことなんかも考えますと、食費の問題から始まっていろいろあると思いますが、さしあたりは、殉職した者についての特別賞じゅつ金等の措置について、御指摘のような警察、公安職等々と横並びの連絡をとりながら、現在の最高三百万を、今回は一千万の予算措置にいたしておるわけでございます。  しかし、これとても、自賠責においては、さらにもっと高い金額になると申しますと、どうしても割り切れない。自賠責の場合には、引き逃げして、引き逃げした犯人がついにわからなかった場合でも、国が立てかえる金額の限度というものが、公務殉職の最高の場合よりも高いという矛盾が起こっておりますので、これらの問題は、現実の問題として、私どもも処理は刻々いたしておるところであります。
  216. 受田新吉

    ○受田委員 大臣特に防衛庁職員の中の自衛官は、対外的に品位を保ち、職務の重要さからくる非常な圧力があるのです。自衛官なるがゆえに、やった行為というものに対して、他の社会であったならば、そう問題にならぬことが一々問題になる。自衛官がこういうことをしたということだけで非常に制約を受ける。そういう社会で生命を堵して国土、国民を守ろうとする熱意を持って勤務する皆さんに、せめて待遇の上だけでも補いをつけてあげる必要があると私は思うのです。いかがでしょう。
  217. 山中貞則

    山中国務大臣 御趣旨は、むしろ同感と申し上げるより、そういう御指摘を感謝いたします。そういうつもりで努力をいたしますが、自衛隊をめぐる環境というものが、なかなかそう簡単でございませんので、逐次努力を積み重ねながら、そういう自衛官諸君のふだんの、目に見えない苦労にもこたえ得るようなことも踏まえながら、検討してまいりたいと存じます。
  218. 受田新吉

    ○受田委員 昨秋、私たちが北九州の部隊視察をした際に、隊員の、宿舎における古い、戦前の寝台を用いた、あまりにも哀れな実情を私、長官に訴えた、いま一般の会社員、民間会社の従業員に例をとってみても、こんな哀れなところに住んで勤務するような者はいませんよと。涙が出るような悲惨なところで、夜の睡眠をとっておるのです。これは、ほんとうにかわいそうというか、申しわけない感じがした。成年に達したりっぱな国民が、自衛官であるがゆえに、古ぼけたわらぶとんの上で毛布を敷いて、何階かの階段の上に寝んねしておるという状態、この改善を私、要望した。予算の上において長官も努力されたようでございまするが、結論は、われわれの満足するものにはなっていない。これも隊員待遇の問題です。御所見を伺いたい。
  219. 山中貞則

    山中国務大臣 これは年次計画をもって、二段ベッドをなくする努力をいたしておりますが、二段ベッドをなくするということは、スペースを広げるということになっておりますので、そうすると、やはり隊舎をつくらなければならぬわけです。つくり足しをいたしますと、来年度予算に関する限り、総需要抑制の見地からの公共事業費が抑制されましたために、年次計画は進めてまいりますが、来年度は、特別にこの二段ベッド解消のために、例年よりもよけい予算がついたと自慢できないということは、たいへん申しわけないと思っておりますが、まあ、これは当面の国策でありますからこれに従う。しかし私は、いまの自衛官の隊内居住の環境が、決してこれでよろしいとは、各隊を回ってみて思っておりませんし、先生のおっしゃいました春日原の問題も、あと地利用その他、先ほど来質問がございまして、いろいろ議論がございますので、なかなか隊舎を改築もしくは新築するところに持っていけない、ただ一時使用をさせてもらっておるだけだということで、まさにその点は、御指摘の場所に勤務する隊員諸君には、長官として申しわけないという気持ちで一ぱいであります。
  220. 受田新吉

    ○受田委員 私、この機会に、そうした厳正な服務の中で、まだ十分でない処遇を受けながら精励烙勤している皆さんに、一つの別の角度からの問題を提起してみたいのです。それは命令関係です。こうした権力機関、権力団体という自衛隊の構成の上から見て、指揮命令系統の厳正というものは、基本の問題なんです。それについて、いまから幾つか例示いたしまして、長官の御見解をただしたいと思います。  旧陸海軍の刑法、われわれが戦前親しんできたこの刑法というものは非常に厳正である。もう敵前逃亡は死刑、抗命の罪においても同様これに近い罰則が適用されておる。「上官の命を承ること實は直に朕が命を承る義なりと心得よ」、こういうきびしいものである。上官と下官との関係はどうかという問題。小野田元少尉は、忠実に直属上官の命令に服して、三十年近くジャングルの中で苦労をされた、そしてジャングルから救い出される時点において、命令によって解放された、こういうきびしい戦前の状態が、いま戦後三十年近くなって再現されておるわけです。  これにも関連してお尋ねをしたいと思うのですが、現在の自衛隊の構成から見て、最高指揮官は内閣総理大臣である。防衛庁長官は、内閣総理大臣の指揮監督を受けて、傘下の自衛隊に対する指揮監督権を有していらっしゃる。自衛隊法の七条、八条等を見れば、基本的な規定が書いてあるわけでございます。  そこで、「上官の命を承ること實は直に朕が命を承る義なりと心得よ」という戦前のこの精神というものは、いまの自衛隊にあるわけではない。もう百八十度転換したのです。しかし防衛庁長官の命は、非常に厳正であって、しかも法令に従い、同時に、職務上の内容が十分部下に浸透した形で出される、いわば典型的な権力団体の責任者でいらっしゃる。そうした場合に、たとえば防衛庁長官判断されて命令を下す、その命令に部下が従わなかったという場合に——法令に従い、同時に、職務上の命令に忠実に従わなければならぬという職務遂行にあたっての責任を感じながら部下が、その命令を受けるのが筋でありますが、しかし部下のほうで、長官の命令は法令に従ったものでもない、危険があるし、あるいは職務上の命令とも思えないというような判断をした場合に、この命令に従わなくてもよいのかどうかです。
  221. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 現在の自衛隊法では、ただいま先生が御指摘になりましたように、「隊員は、法令に従い、誠実にその職務を遂行するもの」という規定と、その次の規定、五十七条に「上官の命令に服従する義務」の規定がございます。「隊員は、その職務の遂行に当っては、上官の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」、こういう規定がございます。  それで、これを若干くだきまして、たとえば陸上自衛隊服務規則というのがございます。それによれば、「発令者は、いかなる場合においても法令及び上官の命令に反する命令を発し、又は自己の権限外にある事項を命令してはならない。発令者は、その命令の実行によって生起した結果に対して責任を負う。」、その他こまかく発令者と命令を受ける者との関係について規定しております。今度は受けるほうでありますが、「上官の職務上の命令は、忠実に守り、直ちに実行しなければならない。」、次に「命令の内容に不明の点がある場合には、直ちにこれを聞きただし、その実行に誤りがないようにしなければならない。」それから意見具申の項がございまして、これは、いま御指摘の旧軍の絶対服従といいますか、それと異なる点は、「自衛官は、隊務の向上改善に役だつと信ずる事項については、誠意をもつて積極的に上官に意見を具申しなければならない。」、そういうような一般的な意見具申の規定がございます。  それで、ただいまの先生の、こういった規定の中で、では自衛隊はどうかということでございますが、上官の職務上の命令には絶対に従わなければなりません。それで職務上の命令であるやいなやということの判断が、非常に客観的にできるような場合は——これは職務上の命令でなければ、もはや問題にならないと思いますけれども、非常にむずかしいデリケートな場合がありまして、上官の命令を下の人が受けた場合に、それが一々違法であるか違法でないかということを判断しておったのでは、自衛隊全体の組織的体制ということからいきまして、なかなか困難でございますので、上官の命令が、いまのように客観的に明白に違法であるというような場合は別として、その他は適法な命令と一応推定されるというふうに考えて実際上は運用されないと、自衛隊そのものの団結、命令服従の関係が成り立っていかぬのじゃないか、かように思うわけです。
  222. 山中貞則

    山中国務大臣 ただいまの受田先生の御質問は、長官の命令についてお話しでありますが、防衛庁長官は、隊務の統括者であります。最高の指揮監督権者総理、そして隊務の統括者長官ということでありますから、防衛出動、治安出動その他総理の意向によって動かなければならない場合以外は、長官が出す命令が最高かつ絶対のものでありまして、それに対して客観的に、一般常識によって、だれが見ても不穏当とか不適当とか不公正とか、だれが見たっておかしいじゃないかと思うようなことかない限りは——また、そういうものを持っておる者が長官になることは、そもそも許されないと思うのですけれども、そういうものでない限りは、絶対に服従すべきものの対象に入るわけであって、したがって、結論から申しますと、防衛庁長官が一たん下した命令というものには、隊員はすべて従わなければならぬということは、厳格に守られると思います。
  223. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、防衛庁長官の命令は、たとえそれが違法命令であっても、それに服従しなければならぬ、部下には判断のすきなしということになると思うわけです。したがって、いまの山中先生のような心から、国家国民を思うような長官が出ている、終始自衛隊員を愛し、国家国民を愛しておる人が出ている場合は、あなたのお考えが成り立ちます。ところが、あなたのような方でない人が防衛庁長官になってクーデターを計画する、そういう場合に、防衛庁長官の命令だということになって、たとえば陸海空の幕僚長が——幕僚長を通じて指揮監督が及ぶのでございますから、その三幕の長が判断をして、この長官は、ちょっとおかしいな、命令の内容がちょっとおかしいな、違法命令と判断されるがと思いながらも、長官の命令となれば、すぐ傘下の部隊にその命令を下達するということになってくると、長官の性格によると、クーデターを計画するような長官があらわれて、そしてそれが強力な命令権を発動したという場合に、私はおそるべき結果が起こると思うのでございますが、そういう者が防衛庁長官に任命されていないということであれば、それはもう間違いありません。あなたのような場合は、はっきり私も保証します。  そこで、陸上自衛隊服務規則は、三章十五条から以下十七条、こう及んでいるが、これは防衛庁長官は含まないのでございますか、どうでございますか。
  224. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 これは一般的に命令を出す上官ということでございます。ですから、最高指揮官まで含まれるのではないかと思いますが、いまのお話のように、法律解釈上はそうでありましても、この辺の規定は、実際に指揮をとる連隊長とか中隊長とか小隊長あたり、その辺を念頭に置いて書いている規定だろうと思います。
  225. 山中貞則

    山中国務大臣 先ほどから指摘されております隊法第五十六条の「(職務遂行の義務)」は「隊員は、法令に従い、誠実にその職務を遂行するものとし、職務上の危険若しくは責任を回避し、又は上官の許可を受けないで職務を離れてはならない。」、こうなっておりまして、その次に「(上官の命令に服従する義務)」がありまして、五十七条「隊員は、その職務の遂行に当たっては、上官の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」、こういうことがあります。自衛隊隊員とは、防衛庁長官、政務次官、事務次官以下内局も含みます、自衛官ではありませんが。  したがって、隊法は私をも束縛いたします。したがって、法令を順守しなければなりません。クーデター計画とは、すなわち現在のわが憲法が保障する言論による議会政治のもとの三権分立の政体運営、国家運営のあり方というものを、武力行使ということが通常伴いますでしょうが、そういう行使によって一挙にその過程を葬りさって、そして権力を握ろう、こういう行為を意味するものと思います。したがって、そのようなことは、憲法違反をあえてやろうという政治家がおれば別でありますし、そのような者が、えりにえって防衛庁長官になるということを仮定して考えれば、議論にもなると思うのですが、これは、あまり受田さん、有益な議論にはならない。防衛庁長官は、法令を順守するという義務がある。その法令は、クーデターなどをやってはならない現憲法のもとの諸法令である。基本法がちゃんとしてあるのです。  しかしドイツの法律なんかには、そこらのところがやや明確になっております。西ドイツの軍人法第十一条というのがございますが、これには「人間の尊厳を傷つける命令または職務上の目的以外の命令については、これに従わなくても、不服従は、成立しない。この種の命令であるという錯誤による不服従に対しては責任を免れない。犯罪または違反を犯すことになる命令には服従してはならない。部下が命令に服従した場合において、それによって犯罪または違反が生ずることを認識し、または既知の事情から認識することができたと明らかに認められるときにのみ、部下は責任を負う」、こういう規定もありますし、西ドイツの軍刑法第五条でも、「命令にもとづいて犯罪を行なった場合には、行為者が重罪もしくは軽罪であることを認識していたとき、または行為者の知っている事情にもとづきこのことが明らかであると認められる場合にかぎり、その責任を問われる」、こういうようなことがいろいろございまして、西ドイツの軍人法では、それを定めておるわけです。  しかし、わが国では、憲法上の姿勢が明確でありますし、そして先ほど申しました五十六条は、まず長官たる隊員も含めて法令に従うことが前提でございますから、そういう立論が成り立ち得ないということになると思います。
  226. 受田新吉

    ○受田委員 法律のたてまえとして申し上げたいのですが、それなら違法命令に対する判断をするすきを与えるような規定、たとえば「命令の内容に不明の点がある場合」というような規定は、なぜ掲げてあるのか。これは長官を含んで、上官としての立場からお尋ねをしたい。つまり違法な命令かどうかを、部下に判断させるような規定が、ここにあるのです。それならこの規定は、むしろ抹殺したほうがいいじゃないですか。
  227. 山中貞則

    山中国務大臣 私、少し法律を読み過ぎまして、実は間違った答弁をいたしました。これは許してください。自衛隊法第二条の五項ですが、「以外のものをいう」をうっかりしておりまして、「この法律において「隊員」とは、防衛庁職員で、長官防衛政務次官、防衛施設庁の総務部に置かれる調停官、防衛施設庁の労務部に勤務する職員並びに防衛施設中央審議会及び防衛施設地方審議会の委員以外のものをいうものとする。」というのを、読み違いをいたしておりました。その点は、おわびいたします。かといって、法令に従わない行動は、閣僚として許されるはずはないということであります。
  228. 受田新吉

    ○受田委員 山中先生のような閣僚なら、私は安心します。ところが、まれに、それは皆無とは言えないわけなんです。つまり長官に不心得者がおる。たとえば突然精神異常者になったという場合、ある瞬間より精神異常者になった、そういう長官、これは否定できません。そういうことがあり得ないとは言えないわけです。非常なショックを受けた瞬間から、急に精神異常者になった、精神異常者であっても、長官であることは間違いない。そういう場合に、精神異常者の長官が発した命令を、部下が必ず聞かなければならぬということはあり得ないのではないか。部下のほうから見れば、その長官の命令は、精神異常者の命令だ、こう判断して、これを拒否することができるということが、自衛隊法また陸上自衛隊服務規則——海と空はどうなっておるのですか。あれは一緒に、同じになぜしなかったのですか。同じにして服務規則をつくる必要があったのじゃないですか。ちょっと先にその答弁をしていただきたい。   〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  229. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 服務規則は陸だけにございまして、実は海上と航空にはございません。
  230. 受田新吉

    ○受田委員 どうしてないのですか。
  231. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 ただいまないと申しましたが、確認させます。
  232. 山中貞則

    山中国務大臣 ないことはないと思うのです、そんなばかなことは。もし、そうだったら直ちにつくりますけれども。  第一問の、ある瞬間に防衛庁長官が突然精神異常状態になって——精神異常というのは、錯乱状態でしょうから、筋道立った命令などが出せない状態だと思うのですけれども、むしろ精神が異常でなくて、いまの法律のもとでは、異常な状態の企てをしようとする場合がおそろしいのじゃないでしょうか。異常だったら、その前後の言動も、朝出勤してきたときから、どうもおかしいというような状態の中で、おい、クーデターだというようなことを言えば、うちの長官、頭がおかしくなっちゃったんじゃないだろうかと、まず秘書官から護衛官から運転手からみんな思いますね。そういう状態の中で、何の命令か出されようと、これは直ちに、最高の指揮監督権者たる総理のほうに、長官の模様がけさからおかしゅうございますということは、すぐいくと思うのです。  私は、そういう精神異常が突如として起こって、そして、そういうクーデター計画のみが正常な思考能力のもとに——相当緻密なことを考えぬと命令を出せないはずですから、だから、精神異常者というよりも、正常な者がそういうことをやることを、むしろかねて考えて防ぐようにしておかなければならないということでありますから、そこに総理の最高指揮監督者、そしてシビリアンコントロールというものが国会で最終的に判断をされる、最終結論が下されるという過程のスクリーンされていく中においては、そういう突如としてその事柄のみについて異常なることを起こす、考えるという者はあまりないんじゃないか、そういう者がおったら、たいへんなんですけれども、そういうことは考えなくていいんじゃなかろうかと思っています。
  233. 受田新吉

    ○受田委員 精神異常というのは、その日の朝から急におかしいというかっこうじゃなくして、その瞬間から、もうこれは天才は精神異常と相通ずるものがある、優秀な長官であっても、またそういう異常なことを非常に落ちついてする長官がおるはずです。それは不可能ではない。そういうことは絶無とはいえないのです。そういう場合に、防衛庁長官の命は絶対のものであるといま長官が言われたわけだが、部下に違法命令かどうかの判断のすきを与えないような、絶対のものでないと私は思う。同時に、あなたの場合にも、あなたの周辺には、内局のそうそうたる人材を網羅している、各幕の長もおる、統幕議長もおる、そういう者に命令を出されるときには、どうかという一応の意見を聞くのじゃないんですか。あなたの個人の見解で命令を出されるということでなくして、そういう者の意見を聞きながら、長官判断によって命が下されると私は判断するのですが、誤りでございますか。
  234. 山中貞則

    山中国務大臣 統幕議長並びに各幕僚長は、専門の最高の助言者であるということであります。したがって、その専門の最高の助言者というものは、絶えず私に助言をいたします。相談をいたします。意見具申をいたします。それを実行するにあたって、それぞれの隊限り、幕僚限りで済むことは、私が指示を与えてやらせますが、しかし、やはり内局、防衛庁全体として考えなければならないものは、具体的には防衛局とまず相談が始まりまして、それから参事官会議等を経て、事務次官等を経由し、場合によっては幹部が、関係者が打ちそろって私のところに判断を求めにくるということが正常であります。そういう形態をとっております。  しかしながら、やはり政治家たる、そして文民たる閣僚としての政治全般を踏まえた考え方というものは、唐突な命令は出しませんが、絶えずやはり、たとえば自分たちの二十年間の過去を振り返って、これでいいかという脚下照覧をやれというようなことなどは、かねがねあらかじめ言うてありまして、そうして、こういう問題にはこういうことをやれというようなことを、最終的に決裁していくという形をとっております。
  235. 中山正暉

    中山(正)委員 受田先生のお許しを得ましたので、一、二言関連質問させていただきたいと実は思うわけでございますが、いま長官おっしゃったように、長官が異常である場合は、むしろ確かに問題でないと思います。その逆に、世の中が異常になったときは一体どうするのか。今度も九十何時間というたいへんなゼネスト、かつてないことをやるんだという宣言をなされて、何日間かゼネストに突入しようとしている。世の中は物価騒乱だなどといわれて、人心もあまり安定しているとはいわれない。そういうときに、だれか芝居を仕組むやつがいて、騒乱状態が予想されたとしたときに、いま私、長官のお話を聞いておって一番心配になったのは、いまの憲法の中には旧憲法十四条にあった戒厳令規定というのはありません。一体、そういう騒乱状態になったときはどういうことになるのか、いまのことに関連してちょっとお答えをいただきたい。
  236. 山中貞則

    山中国務大臣 ゼネストに関係して治安出動の事態等が予想されるとは思いません。しかしながら、これは法律に明確に定めてありますように、通常の警察力をもってしては制御し得なくなった大規模の内乱もしくは外部の明らかな扇動もしくはゲリラ等の潜入による、警察で手に負えなくなった状態の場合において、自衛隊は防衛出動に当然出動する義務を法律によって負わされております。したがって、わが国の国民生活が、他の国の人々の意思によって破壊されるということは、内政の面においてもそれは阻止できる。しかし、あくまでもこれはゼネストの問題とは別であります。
  237. 中山正暉

    中山(正)委員 わかりました。憲法の中に戒厳令規定がないということが、私は非常に不安でならないわけでございまして、結局、文民統制、最後は国会の決定によって出動ということがきまるというふうに考えておりますが、国会がもしそのとき、正常な機能を発揮できないような状態になっておったら一体どうなるのか、その問題だけお伺いをして、これで関連質問を終わります。
  238. 山中貞則

    山中国務大臣 いまのは治安出動の場合ですか。
  239. 中山正暉

    中山(正)委員 はい。
  240. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、もう御指摘申し上げるまでもなく、自衛隊法第七十八条「命令による治安出動」によって総理大臣の判断、命令が出るわけでありますが、そういう出動を命じた場合というものは、「出動を命じた日から二十日以内に国会に付議して、その承認を求めなければならない。ただし、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会において、すみやかに、その承認を求めなければならない。」となっておりますから、もちろんその第二項では、不承認の議決があったときは、すみやかに自衛隊の撤収を命ずる、こういうことになっていますから、したがって、開会中でなかった場合に準ずる措置として、そのような場合には、総理大臣がその命令を出せるということに解釈できると思います。
  241. 中山正暉

    中山(正)委員 もう一問だけ。その場合、いまの日本の法律では、総理大臣が誘拐された場合ですね、総理大臣が生きておれば、本人がやめるか死なない限りは、次の総理大臣をつくれないはずですが、もし四、五人の不逞のやからがいて、総理大臣を誘拐してどこかで生きておる、そういう場合には、全く逆の命令が出ることも予想されるわけです。どこかからだれかを通じて命令がきたら、生きておる限り、一体それがどうなるのか、その辺のことも予測をしておかないと——いつも総理大臣が、その辺で自動車で入っていらっしゃるから、あの中へばあんと両側にトラックでもぶち込んで、さっと総理大臣を誘拐してどこかへ連れていく。そういう状態になると、日本の状態というのは、片一方で国会の機能を失わせておいて、片一方で総理大臣を誘拐して、ことによれば、山中長官一緒に誘拐してしまったら、それこそ命令権者がいなくなるわけですね。  このごろは、民青が自衛隊にもぐり込みを始めさしているといううわさがあったり、チリのクーデターで最大の勉強をしたのが共産党だろうといううわさもあって、いろいろなうわさがあるわけでございますが、そういう場合は一体どうなるのか。総理大臣が誘拐されて、総理大臣が全部閣僚の首を切ることができるわけです。誘拐された総理大臣が、長官、首だということもできるわけです。なに、山中長官が命令を出した、冗談じゃない、あれはおれがもう首切った、全学連か何かに、悪いやつに取り囲まれて言わせれば、そうしたら長官、命令できないですね。そんなときも予測しておかないといけないんじゃないかということを考えるわけでございます。
  242. 山中貞則

    山中国務大臣 それは総理大臣に事故あるときとみなしたほうがいいと思うのです。総理大臣が正常な総理としての職務を執行し得ない状態に置かれておる、しかし客観的には閣僚が、がん首をそろえて、また今度ふやすとかなんとかいっていますけれども、相当おりますから、相当おる閣僚が——しかも、いま副総理もおります。したがって、内閣法の第九条「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。」、こういうことになっておりますから、これが明確に職務を行なえなくなったときは、いまでいうならば、副総理が直ちにやるでありましょうし、そうでなければ、おそらく臨時閣議を開いて、直ちに副総理なり総理の職務執行者というものを選ぶでありましょうから、そういう状態は、わが国内においては心配は要らないだろうと思います。
  243. 中山正暉

    中山(正)委員 それでは最後に、お願いをしておきたいと思います。  最近、過激派事件というのは、妙義山事件以来ぱったりととだえてしまいましたが、コンビナートはコンピューターで制御しているから、自動警報装置があって自動的に爆発事故が防がれるはずなのに、コンビナートが次々に爆発をしておったり、それから火の気のないデパートから火が出たり、いろいろ、私なりの感覚で見たら、妙なことが相次ぎますし、商店を歩いている人たちに、物がなくなるうわさを伝える人たちがいたり、あまり安心ができる状態でないと思いますので、防衛庁——特に私は、もし日本で右のクーデターが起きたら北朝鮮が介入すると思います。日本では七十三万の外国人のうちで六十万人の韓国人がおられますから、同胞救出のためという正々堂々とした理由ができるだろうと思います。左のクーデターが起こったら——こんなことを言うと何ですが、どっちのクーデターか、はっきりいまから予測することは、私はできないと思うが、いまの日本の自衛隊が一番——日本には疎外集団というのが、同和と沖繩と広島の原爆症とあるといいますが、私は、日本での最大の疎外集団というのは自衛隊だと思う。  この人たちは、個人的に会って話なんかを聞いてみても、とにかく大砲を撃つことさえ自分たちは勉強していればいいのだ、政府がどっちであろうといいんだという、もうプロ意識に徹してきた。ますますその意識が高まってきていると思いますから、もし左のクーデターが起こったら、私はアメリカが黙っていないと思いますので、世界の二つの思想の最前線であって、シーパワーとランドパワーが正面衝突する場所が日本だと思っていますから、日本でいいかげんなことが起こったら、私はたいへんなことになるという気がいたしております。特にインド洋、緊迫しております。  この間も大出先生の質問で、ジェゴ・ガルシア島に二千九百万ドルの巨費を投じてアメリカが防衛を考える。インド洋のまわりだけで二十二の国があります。その中でタンザニアには、中共が大陸間の弾道弾の追尾基地をつくっておる。もうインド洋に四つソ連が基地をつくって、八つの寄港地をあらためてつくりました。私は、世界で共産主義革命から一番あとに残るのは、オーストラリアだろうと思っておりますが、そのオーストラリアに行く間の島の西沙、中沙、南沙群島に潜水艦基地、かつて日本の持っておった潜水艦基地——これは私、フィリピンにも中共がどんどん武器弾薬を、治安の悪い海岸線を利用して揚げている、フィリピンの解放戦線フク団に、いろいろ武器弾薬を運んでいるといううわさも聞きます。今度はインドネシアに一万三千もある島、その島にいろいろな武器弾薬を補給するため——この間の総理が行かれたときの反日暴動も、ある意味では私はいろいろな意味が背後にあると思いますが、そういうむずかしい状態の日本でございますので、防衛庁長官に、これは心からのお願いでございます。受田先生に感謝をしながら、関連質問を終わりたいと思います。
  244. 山中貞則

    山中国務大臣 そういう議論もあったほうがいい、一ぺんはしておいたほうがいい議論だと思いますよ。だけれども、わが国の置かれた状態を見ますと、わが国の通常の警察力で、いま例示されましたような問題は、処理が可能であるし、あるいは予測対処も可能であると思いますし、その意味では、日本は恵まれた国であるともいえます。かといって、島国であるとのんびりかまえておることだけで許される国でもないというふうに、私どもはみずからを戒めております。
  245. 受田新吉

    ○受田委員 長官、だから、命令というものは非常に厳正であるべきであり、また命令を下す人は法令に従い、そして職務の内容が明確に部下に伝達される方法をとるのが通常であるはずです。それが、私が懸念することは、長官の場合にいま例をとったのだが、自衛隊のある下級機関において、ちょうど二・二六事件のときのような事態が起こった場合には、その隊長の命令の下達は、すぐは違法命令とは思えないような形で私は進行すると思うのです。あとから結果的に見ると、これは違法命令だというけれども、その命令を受けた者が、十分判断をする余裕なく命令を受けて行動するという場合が私はあり得ると思うが、これはいかがですか。
  246. 山中貞則

    山中国務大臣 いまおっしゃったようなポストといいますと、大体、連隊長クラスから下ぐらいのところになると思います。これが、そろそろ防衛大卒業生あるいは旧軍と全く経歴が関係しない一般の大学の自衛隊幹部志願候補生、こういう者たちによって占められる。やがては統幕議長以下三幕僚長も含めて全員が、防大及びそれ以外の一般からの募集者の上級幹部によって占められる日がもう何年後ということは、停年の関係で予測できます。  そこで、では防衛大学校の教育の実態はどうかといいますと、防衛大学校の教育というものは、本人が卒業して任官拒否も許されておるような状態で、なるべく拒否者が出ないように一生懸命やっているのですけれども、本人を拘束はできませんから、本人の意思によって、初めて卒業後、自衛官たるべき宣誓も行なうというようなことになっておりまして、比較的一般社会人として通用し得る常識の持ち主を育てておるわけであります。したがって、先ほど中山君の触れられました特殊な閉鎖集団ということを、私はなるべく開かれた集団にしたい、よき市井人であり、よき隣人である集団の自衛隊、こういうことにしたいと念願しておることは、たびたび申し上げておりますが、そういうことを通じて、教育が大事であるということも最近いわれておりますが、やはり防衛大の教育というものは、そういうことが好ましくないことである、一般教養というものをちゃんと身につけさせて、幹部たるべき道を歩かせておりますので、将来ともに自衛隊のあり方が、いやしくもわれわれの現在、最高の選択と思われておる政治形態を変更させるような方向に進むべき筋合いのないように、これは、いまそれぞれのポストにある者たちが、次に自分たちあとに来たるべき者に対して、どのように申し継ぎをし——心の問題はなかなか受けるほうの問題が、世代が違っておりますから、むずかしゅうございますが、よき伝習を残していくようにということを心がけるべき時期にきておるだろうと考えますが、いまおっしゃったような局所の単位の問題で政権をゆさぶるというような規模の動きには、それはとても発展できない仕組みになっております。中隊あるいは連隊単位で動いてみても、これは師団が第一、一連隊ぐらいの動きでは左右されませんし、そういうことはあり得ないことであろうと考えます。
  247. 受田新吉

    ○受田委員 志願兵制度という形態がいまとられておるのですから、徴兵制度のように思うようにいかないのです。それはそうあっていい。つまり志願兵制度のよさを生かしながら、よい隊員を育成される必要があるわけなんですが、たとえば陸に例をとりましても、十八万という定員がある。にもかかわらず、十五万五千しか充足されていない。それだから、いろいろな隊員が事故を起こしたりして、長官が頭を痛めるような事件が続出しておる。そういうときに、むしろ少数精鋭にして、もう量よりも質、質的向上をはかって、量を大いに縮小して、内容の充実した自衛隊を構成するという形を、むしろ長官、おとりになるほうがいい。とにかく定員を充足しろという努力のために、いろいろな無理をして隊員募集をするところにいいかげんな者が入ってくるのです。むしろ私、多年提案しているとおり、たとえば陸を十三万ぐらいにして、そして、そこに少数精鋭の師団編成もやって、九千師団を七千師団、五千師団ぐらいにしてでも、優秀な隊員を、ほんとうに国土を安心してまかせられる隊員を選抜して採るというほうが、私はいいということをいま感じるのです。  同時に、隊員待遇をよくしておかなければいかぬ。これは、やはりそういう重い使命を持っているだけに、待遇を向上する、今度の法の改正もそこに趣旨がある。そういう意味で、少数で、いい待遇で質的に向上した部隊をつくっていくという基本的な考えを、この際長官、お持ちになってはどうなのかな。自衛隊というのは、数でこなさなければならぬということを、あなたの内局の方々が言っておられるのです。しかし、むしろこの際、少数精鋭の質的向上に重点を置く部隊の再編成というものを、基本的にお考えになるほうが私はいいのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  248. 山中貞則

    山中国務大臣 御意見のとおり私も考えまして、いま検討中でございます。ただ十三万名というのを、私は少し欲ばりまして、十六万名ぐらいが、ほぼ常時充足ラインぐらいになれたらなあという願望は持っておりますが、しかし、十八万定員は架空かといいますと、これは兵器等の装備は、一朝事ある場合に十八万体制を、やはりそろえておかなければなりませんので、この問題は、別途編成の問題として、なおやはり必要だと思います。  しかし、現状において、それが九千人師団といい七千人師団といっても、幹部のほう、上層部のほうは、比較的充足率が高うございますが、それが曹の三曹から士のところに参りますと、だんだん下のほうが数が、充足率が低くて、ことに第一線部隊ほどその比率が、充足率が低いというようなことで、ふだんの日常の本来の隊務にも重圧がかかっているというようなことがありますので、これはひとつ、臨戦即応体制の師団、フルマン・フルパワーの師団とそれから若干数の編成を落とした師団と二つに分けて、まあ昔でいう初年兵教育でありますか、そういうような基礎訓練等を主にする部隊と両方つくったらどうかというようなことも、一応検討さしておりますが、しかし同じ師団という名前であって、どうしてそういうふうな違いが出るのかという問題も、また師団長の給与上、待遇上の格の問題やら、こまかいことですけれども、いろいろな検討をしなければなりませんので、御示唆は、私としても非常に貴重なものとして受け取っており、また検討もいたしております。  なるべく実態に応じ、そしてまた、いたずらに量のみを求め、質があとで問題にされるような募集のしかたを、多く集めた者に感謝状を出すというようなことを、表彰状を出すというようなことを改めさせまして、これからは、やはり質のいい者を継続して集めてくれる者が表彰状に値する、また募集に当たる者の心がまえも、自分が一年前にどこどこで会って、そして誘ったところ入隊した、あの青年は、一体いまどこにいるだろうと一年後に思い出して、電話をかけてみて、元気でやっているか、ぼくが誘ったことが間違いだったと思わなかったか、士長になったか、よかったな、元気でがんばってくれというような、そういう募集員の心がまえであってほしい、そういうことを、すでにたびたび申しておるわけでありまして、なかなか困難なことでありますけれども、しかし、やはりそういうただ引っぱり込んで、ほうり込んであとは知らぬ、あとは次をまたさがすのだという募集のしかたというものは、これは根本的に改めたいと考えておりますので、今後も御理解、御叱正のほどを賜わりたいと思います。
  249. 受田新吉

    ○受田委員 時間も来たから私やめますが、定員を二割減らして待遇を一割高める、そうすれば経費の節約にもなり、また隊員も好待遇によって勤務に精励する、やはり志願兵制度ですから、待遇ということは大事なことなんです。こんなにちょっとまずいことをしても、世上の批判を受けるような職務に従事している人に、せめて待遇の点で報いてあげるというのが、これが国民の思いやりです。国家の思いやりでなければいけない。そういうところを十分考慮をされるというところを要望しておきます。  さっきの陸軍だけに服務規則があって、なぜ海と空にないのかということを御答弁願いたい。
  250. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 たいへん失礼しました。  調べましたところ、陸上自衛隊は、陸上自衛隊服務規則という訓令がございますが、航空自衛隊には、航空自衛隊服務規則という航空自衛隊の達、一段低い様式で達で規定されておりまして、その内容は陸と同じ内容でございます。それから海上につきましては、実は通達をもって処理しておるということでございます。ですから、陸が訓令、空が達、海が通達というようなことで、非常にばらばらでございますが、そういうことで規定の形式が違いますけれども、それぞれ同じような内容の規定があるということでございます。
  251. 山中貞則

    山中国務大臣 この問題は、一番大切なことがばらばらではいけませんので、内容は同じであるとしても、最高の権威のある方式の方向に統一をいたします。
  252. 受田新吉

    ○受田委員 長官の御答弁のとおり、われわれ、これを相当綿密に研究する、職務柄やらなければならぬ立場にあっても、そういうものの比較検討をするのにたいへん苦労する、いまのような規則もあれば、達もあり通達もあるというようなことで。陸海空三幕が、統一された形のうちに国家、国民のために大事な任務を果たしてもらうという形で、長官、直ちに措置をしていただきたい。  質問を終わります。
  253. 山中貞則

    山中国務大臣 承知しました。
  254. 徳安實藏

    徳安委員長 上原康助君。
  255. 上原康助

    ○上原委員 最初に一、二点、この法案に関係する点でお尋ねをしたいと思います。  先ほど来、御議論がありましたように、今回の自衛隊職員特例退職手当改正の内容ですが、すでにお話がありましたので、若干重複する面もあろうかと思うのですが、自衛隊隊員の充足率というのが非常に問題視されております。さらに退職をしていく職員あるいは隊員の数が年々増加をしている、そういういろいろな防衛庁なりの事情もあって、この法案改正というのも提出されたと思うのですが、一体、こういう措置をとることによって、現在の自衛隊のいわゆる人員確保の問題なり、あるいは自衛官の言動といいますか、そういう面で——しばしば問題が出ておりますけれども、それは質の問題いろいろな面で欠陥なりがあると思うのですが、要するに申し上げたいことは、今回の措置をとることによって、そういう隊員確保の問題等が、十分とはいわなくても、ある程度解決できるというお考えでなされたのかということが一つ。あるいは隊員の離職をしていく人々の純然たる生活といいますか、そういう面を考えての改定案なのか、そういったところも、いま少し明らかにしていただきたいと思うので、御説明を求めたいと思います。
  256. 山中貞則

    山中国務大臣 今回の問題は、その両面でございます。すなわち質のいい者が、引き続き自衛隊に残って、自衛官としての職務を遂行したいと考えましても、一任期二年、三年を終わる前に、あとまたさらに二任期をつとめても、退職金はたったの百日分かという気持ちも、いまの若者たちの間には——他の産業従事者等の、かつての同級生その他の待遇を知っておりましょうから、やはり魅力ある職場というには金銭的にも少ないのではないか。したがって、そういう意味で、引き続き隊にとどまってなお努力する意思がある者で、金銭面で退職金が、特別退職手当というものが二倍になるということは、やはりある意味の魅力を持つであろう。  事実、私、各地の一任期制隊員に聞いてみましたし、また最近、二任期になった者についても、いろいろ聞いていますが、金のために引き続きおりますとか、あるいは二任期制に進みましたとかいうことは、さすがに言いませんけれども、その進む率というものが、ちょっと意識調査等もしてみましたが、それによっても三〇%ぐらいは、自分たちはじゃ残ろうかという気持ちになっておるという統計も出ておりますが、これは、まだ現実に効果が出るのは、ここしばらく模様を見ないとなかなかわからないと思います。  それから、引き続き残っていく場合について——これは、もう任期制を終わってやめる場合の退職手当でありますれば、自衛隊とは縁が切れるということでありますが、ずっと残っていく場合、やはり問題になるのは、停年制のいわゆる四十三歳、四十五歳停年の問題が一番大きな問題であろうと思います。でありますので、四十九年度予算で曹の定員を増加させることによりまして、これが実質上四十三歳、四十五歳の停年が、自分の意に反して退官させられることのないよう予算措置はいたしました。したがって、希望さえすれば、五十歳停年までいけるわけであります。さらに准尉という制度がございますが、これも五年間だけ准尉ということになっておりまして、それでは一曹を終えたら准尉にたまってしまう、しかし、それでは准尉は曹の吹きだまりであるということで、無気力な集団になってはいけませんので、やはり准尉が准尉としての仕事に励むために、准尉の成績が三年を経過して、きわめて優秀である、全般の指揮官としては、試験も受けないし、あるいは合格もしなかったかもしれないけれども、特定の分野においては、すぐれた能力を持っていると判断される者について、来年度は差しあたり八十六名、陸海空の約一%程度ということで予算措置をいたしまして、准尉になっても、自分たちで一生懸命精進すれば、三尉への道も開けるということも措置いたした次第であります。
  257. 上原康助

    ○上原委員 公務員という立場で見ると、やはり自衛隊員であろうが、公務員は生活はしているわけですから、退職手当あるいは待遇の改善ということも、特に最近の社会状況等を加味した場合は、それなりに考えていかなければいかぬということは、理解しないわけでもないわけです。せんだっても議論があったのですが、まともに自衛隊員の足どめ策だと言われてみると、やはりすんなりとそういうことなのかと受ける立場にもないという点も明らかにしておきたいと思うのです。  そこで、この改定案を見ますと、第二期目のほうから従来の百日を二百日とする、あるいは三任期のほうは百日だったのを百五十日ですか、一体この基準はどこに求めたかということ。先ほど少し議論があったのですが、何を根拠にこういう改定をしたのかという点については、何かまだ説明がないような気がいたします。日数にしたのは、計算しやすいとか、あるいはわかりよいというような御説明もあったのですが、改定の根拠というものは、どういうものを基準にしたかという点についても、お聞かせをいただきたいと思います。
  258. 山中貞則

    山中国務大臣 私どもが一番切実に希望するのは、まず新規採用者の増加でありますけれども、これがなかなか期待できない。そうすると、その次に期待するのは、その職場、階級等からいって、二任期制隊員を最も必要といたします。せめて四年、六年おってもらいたいという希望に沿うためには、やはり二任期制度に進んだ者に対して最も手厚い、百日を二百日とする。その次に必要な者が、主として曹等の階級になっているであろう、三任期制の道に進んだ者、これに対して五十日分をふやす。したがって、四任期分は、そのまま据え置きということで、まず一番不足しておる士の充足のために行なったものであるというふうにおとりいただいてけっこうであります。
  259. 上原康助

    ○上原委員 ですから、そういう面を重要視し、その分野をもっと充足したい、あるいはやめていくのをやめさせないようにしたいということは、先ほどの御答弁でわかるわけですが、百日を二百日にした、そうしなければいけないという何か数字的な根拠というのは全然ないわけですか、その一点をお尋ねしているわけです。なぜ百日を二百日にし、百日を百五十日にするかというような必要性は、先ほどの御答弁でわかるわけですが、たとえば例をあげますと、必ずしも倍でなくてもいいという議論もあるでしょうし、八十日分でよかったのじゃないのか、あるいはもっとふやして二百五十日分でなければいけないという根拠等も出るかもしれません。その根拠はどこに求めたかということをお尋ねしていますので、これは事務当局からでもいいですから、御説明をいただきたいと思います。
  260. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 全体で二任期、三任期で百五十日になるわけでございますが、先ほど大臣からもお話がありましたように、とにかく二任期は引きとめ策として——優秀な隊員が二任期におるわけであります。一任期から二任期というのは比較的優秀な隊員が残る、次には三任期というのが、いままでの隊員の性格からいいまして——下士官、曹のソースも二任期あたりが一番優秀な者であります。したがいまして、二任期にある程度の強さを置きまして、二任期、三任期の順序で、二任期を二百日とし三任期を百五十日とした、そういうアクセントのつけ方をしまして、そして二任期で大いに継続任用してもらう……(山中国務大臣「質問は二百日にした根拠ということ」と呼ぶ)二任期を百日から二百日にしたのは、先ほど申しましたような、特に二任期を重視ということが理由でございますけれども、一般退職手当の例等を勘案いたしまして、そして百五十日を実は二つに分けまして、百日を二任期、五十日を三任期ということにしたわけでございます。
  261. 上原康助

    ○上原委員 どうもいまの御答弁はちょっとわからないんですがね。要するに、このくらい改定すればいいということで提案をしたという意味にしか受け取れないわけですね。たとえば退職手当なら、ほかの公務員と比較してどうだとか、あるいはどういう面を参考にしたとか、そういう数字的な根拠というものはなくて、まあ、やめていくのが多いから、大体、百日を倍にすれば、あるいは三期は五十日分ふやせばというような、そういうことでは、ちょっと説明としては、納得しかねる面もありますので、その点をお尋ねしたわけです。  そこで、大体わかりましたので、この点は納得いかないまま次の質問に移るのですが、いわゆる自衛官任期更新をする場合、一任期、二年ないし三年という更新をする場合、再任をする場合の基準といいますか、審査がたしかあろうかと思うんですね。もちろん、それは長官の命によってというのが隊法三十六条の四項、五項にございますが、それも、ちょっとあとでお聞かせいただきたいのですが、そういう法律的な拘束は別にして、再任する場合の基準といいますか、審査というのは、どういうふうにやっておられるのかということも、ぜひ明らかにしていただきたいと思うのです。
  262. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 第一任期を終わりまして、第二任期の採用も、最初の志願と同じでございまして、一任期から二任期に進みたいという志願をするわけであります。志願をしてこられまして、その志願者につきまして、第一任期の在隊中の成績、勤務意欲、その他の状況を勘案いたしまして、そういうことで第二任期に採用するという判断をしまして、第二任期または第三任期に採用する、かようなことになっております。
  263. 上原康助

    ○上原委員 一般論としてそうだと思いますが、じゃ逆に、たとえばAという人なりBという方が再任をしたい、第一任期から第二任期にさらに志願をしたい、応募をしたいという場合に、不適格だということで却下されたような例はあるのかどうか、志願をすれば全部受け付けているのか、もし却下された例があれば、そういった内容についての、たとえば四十七年度はどうだったとか説明をいただきたいと思います。
  264. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 先ほどの基準に従いまして採用いたしますが、任期の更新で不採用になるのは、ほとんどございませんで、大体が、特に成績が悪いというのは、別でありますけれども、実績を勘案いたしまして採用するというたてまえをとっております。
  265. 上原康助

    ○上原委員 ですから、再任の応募をしておまえは不適格だからということで拒否された、却下したという例はないですかということを聞いているわけです。もしあれば、そういう場合はどういうことに該当するのか、お聞かせいただきたいと思います。
  266. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 一つ一つデータをとっておりませんので、具体的な事例につきましては、ただいまここでつまびらかにするわけにまいりません。
  267. 山中貞則

    山中国務大臣 すみませんけれども、さっきの三百日、百日、五十日の計算ですね、これは、さっき説明がどうもあいまいでしたから、もう一ぺん事務当局から積算の基礎を説明させますから……。ちょっとやってみてくれ、わからなければわかっている者答弁しろよ。
  268. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 先ほどの補足説明をいたします。  任期制自衛官の任用形態の特殊性にかんがみまして、特例退職手当の是正をはかろうということをしたわけでありますが、昭和三十四年における退職手当法五条一項の増加率との均衡を考慮しまして、二年隊員特例退職手当の額につきまして、これを適用いたしますと、百二十日を基礎とした場合におきましては百五十日となり、それから百日を基礎といたしました場合には百二十五日となります。この百二十日、百日というのは、実は従前、二十八年に退職手当法改正が行なわれたとき、任期制隊員についても、二割増しの改正がありました。そのときのことを基礎にいたしまして、百五十日ということでございますが、いまの百五十日の増と百二十五日の増を平均いたしますと、百三十七・五日ということになります。で、二年任期制隊員特例退職手当の額を、第一任期から第三任期までの各任期ともそれぞれ三十七日分、先ほどの三十七日分増加した場合の三任期を通じた……。
  269. 上原康助

    ○上原委員 こまかい点はよろしいです、大体わかりましたので。申し上げたいことは、私は、もちろん御承知のように、自衛隊そのものに反対をいたしておりますので、あれですが、ただ給与の改定とか、退職手当を改定するという場合は、もう少しその数字的な根拠というものなり、あるいは隊員自体がどういう要求なり、要望なりで、こういうことでどうしてもやらざるを得ないのだということなども明らかにしていただかないと、足どめ策だということだけでは、説得性はむしろなくなると思いますし、先ほどから言っている、あらぬ疑惑というものをむしろ持たれるし、議論のかみ合いというものも、出てくるものも出てこない点があると思いますので、そういう点で、数字的な根拠というものは一体どうなのかということをお尋ねしたのですが、人事局長の御答弁、けさから聞いているのですが、あまりぱっとしませんので、そういった面も、いま少し明確な根拠というものを明らかにするように御要望申し上げておきたいと思うのです。  それから、これらの点と関連いたしますが、自衛隊法の四十六条の懲戒処分になった隊員に対しては、当然この特例法は適用にならないと思うのですが、一体、懲戒免職になった数は、四十七年度などではどのくらいあったのか、その点もぜひ明らかにしていただきたいと思います。
  270. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 懲戒免職処分によりまして、退職手当を受けられなかった自衛官の数は、昭和四十六年度では六百四十五名、昭和四十七年度では六百三十六名、それから昭和四十八年度では九月三十日現在で三百十二名でございます。
  271. 上原康助

    ○上原委員 かなりの数にのぼっておるわけですね。その内容等について、詳しいことは触れませんが、最初にも申し上げましたように、自衛隊の給与の問題、あるいはこの種の問題等については、ただ隊員の足を引きとめたいとか、あるいは辞退をしていく人が多いから何とかそれを食いとめていくという、そういった給与面だけの改善措置では、現在の自衛隊問題を理解できない面が出てくると私は思うんですね。根本的には、国民的な合意が得られていないところに、やはり最も問題があるし、閉鎖集団にしたくないということを、山中長官になられてから絶えず強調しておるのですが、私は、自衛隊の言動そのものも、やはり問題視をしたいわけです。  これも最近の卑近な例ですが、あえて申し上げますけれども、自衛隊の場合、米軍基地のクラブとかあるいはレストラン、そういうものを一体利用することができるのかどうかということ、復帰前も沖繩で問題になったのですが、最近もそういう事例がなきにしもあらずなんですね。そういうことなどは、むしろ国民の、あるいは沖繩ですと県民の反感を買う大きな要素にもなっているわけです。最近、海上自衛隊が沖繩に移駐をして、その一周年記念ということで行事を行なったようですが、その点について、本庁は知っておられるのかどうか、説明を求めたいと思うのです。
  272. 山中貞則

    山中国務大臣 承知いたして、私が決裁いたしました。
  273. 上原康助

    ○上原委員 これは、どういう行事だったか、説明していただきたいと思います。
  274. 久保卓也

    ○久保政府委員 ホワイトビーチに海上自衛隊部隊が移動いたしまして一年ということで、たしか海上自衛隊の艦艇が一隻か二隻現地に行きまして、そして付近の名士の方々、関係者の方々をお呼びして、パーティーを開いたというふうに聞いております。
  275. 上原康助

    ○上原委員 航空自衛隊の場合は、何かあったのですか。
  276. 久保卓也

    ○久保政府委員 やはり同じく那覇の基地で関係者を招待いたしまして、記念行事を開いた後に、たしか簡単な設営をやり、かつ一年目ということでありましたので、本土からブルーインパルスを持ってまいりまして、昼ごろ短時間、一般の方々にお見せをしたというふうに聞いております。
  277. 上原康助

    ○上原委員 それは、自衛隊が独自の権限といいますか、できる範囲でそういったことをやる、そこまではとやかく言えないかもしれません。私が問題視したいのは、航空自衛隊の場合に、事もあろうに米軍のクラブを利用しているんですね。那覇空軍基地にあるNCO、下士官クラブを利用しておる。自衛隊の施設内でやる、それもいろいろ外部から招待してはなばなしくやる、それより自衛隊の存在を誇示するようなあり方というのは、私は慎むべきだと思うのです。そのこともさることながら、米軍のNCOクラブで実際問題としてやっておるわけですよ。これなど、県民感情を多く害するばかりでなく、だだっ広い基地の中で何をしようが、外部にはわからないという、むしろ閉鎖集団、特権集団をみずからつくり上げていくようなものなんですね。このことについては御存じないのですか。
  278. 久保卓也

    ○久保政府委員 その辺の問題になりますと、航空幕僚長、さらには南西航空混成団に委任されておりますので、私ども本庁内局のほうにはあがってまいりません。したがいまして、私自身は知っておりません。
  279. 上原康助

    ○上原委員 では、米軍施設、クラブを使ったということに対しては、どうお考えなのか。しかも歌手もわざわざ行っておるんです。旧日本軍のまるで慰問会みたいなものだ。最近、北海道の千歳でもいろいろ問題になって、新聞種になっておるでしょう。一人の歌手をわざわざ呼んで、そういう催しを持つということは、どう考えても行き過ぎじゃないかと思うんですね。陸上自衛隊なり海上自衛隊、あるいは航空自衛隊のそれぞれの施設内で、それなりの行事をやるということは、あれかもしれませんが、NCOクラブ、下士官クラブをわざわざ使って、本土からある歌手も呼んでやっているということ、利用しておるのも、全部あなた米軍のウイスキーやそういったものじゃないですか、クラブでやるというなら。これはある意味では脱税行為ですよ。  なぜ現段階で、こういうことまでやらなければいけないかというところに、むしろ沖繩に派遣された幹部の司令の皆さん——せんだって中路さんも質問なされておったのですが、言動も非常にりっぱで、県民から親しまれておる、何が親しまれておるか。こういうことをやって親しまれるはずがないですよ。金網の中に囲われておるから、こっそりやったと思ったかもしらぬが、それは県民は全部わかる。もし、その点について、本庁御承知でなければ調べていただいて、その実態を明らかにしていただきたいと思うのです。  こういうことは許されませんよ。私は、大臣もその点については賛成はしないと思いますね。米軍のクラブを使って、家族を呼んだり、あるいは自衛隊に賛成をしておる人々だけを招待して、もう一周年になったのだということを、基地の中でやるということは、反自衛隊感情というものをあおるいい材料になるんじゃないですか。これは新聞だねにならなかったからといって、そのままでいいという問題じゃないですよ。  その点について、今後どうするのか。行き過ぎがあると思うならあると思う、あるいは実情を知らなければその調査をやって、適当な措置をやることが、私は、先ほどから言う自衛隊に対してのいろいろな注文なり意見なりというものがいれられることにもなると思うのですが、大臣の御見解を賜わっておきたいと思うのです。
  280. 山中貞則

    山中国務大臣 私の手元に上がってまいりました計画で、そういう催しものの中身まではわかりませんでしたが、ブルーインパルスをやはり海上でもやりたいという幕の願いでありましたけれども、これは空の場合に一ぺんやっておるのであって、しかもそれは、運輸省と了解の上、短時間であったといっても、民間航空に三便ほど御迷惑を若干かけておる、したがって、もう一回また、違うからといって海上自衛隊でやる必要はないということで、それは取りやめさせました。  しかし、そのあとのたぶん宴会でありましょうが、祝宴をどういう場所でやったのか等についてまでの、そこまでのこまかいことは、私どものところでは、聞けばわかるのでしょうが、そういうところまで審査しておりませんし、常識で考えられる範囲でやったと思いますが、おそらくその海上自衛隊の場所においては、そういう場所がなかったのだろう、だから、同じ敷地内でそういう建物を借りたのだろうと思いますが、しかし県民感情から見て、そういう御意向があるということはわかりますから、私も調査いたします。  なお、芸能人の方でも、「自衛隊友の会」というものをつくっていただいておりまして、謝礼等は問題ではないということで、いろいろと御協力を願っておる方々もございます。そういう芸能人の方もございますので、自衛隊を慰問してくださる方々の御好意というものも、それはそれですなおに私としては受けたらよろしいのではないかという気持ちもいたしております。
  281. 上原康助

    ○上原委員 それは、芸能人の皆さんにも、いろいろ立場の違いなりあるわけですから、やるのは御自由かもしれません。私が問題にしているのは、米人のクラブを利用しているということですよ。しかもそこは、ほとんど労働者はみんな解雇をして、現在は実際もう米軍と自衛隊の共同使用になっているんです。それでいいのかどうか。家族もどんどん出入りをしているんですよ。そこで脱税のたばこを買う、あるいは一ぱい飲む、かつてのアメリカ軍がやったと同じようなことを、自衛隊はいまだんだんやりつつあるんです、沖繩の方々で。全くさかなでをするようなことは、やはりやめさせるのが、私は本庁のあるべき姿だと思うんですね。  自衛隊の基地で、どういうこととは言いませんが、それなりの催しをやるということについてまで、それはとやかく言える筋合いじゃないかもしれませんが、現に米軍が使用しているクラブを利用して、そういう行事を持つということは、行き過ぎというよりも、防衛庁なり自衛隊自体が慎むべき行為ではないのか。その点、もう一度はっきり、防衛庁長官なり局長としてどうお考えなのか、お答えいただいておきたいと思うのです。
  282. 山中貞則

    山中国務大臣 私も大体、掌握しておるつもりでありますが、その場所をどうしてそこに選ばなければならなかったのか、それらの問題については、事実関係を、ちょっとほかに場所がなかったというようなこともあるかもしれませんし、よく調査いたしてみましょう。
  283. 上原康助

    ○上原委員 山中さんは、沖繩を十分よく知っていらっしゃるので、あれでしょうが、ほかに適当な場所がなかったというようなことだけで、アメリカの現に使用しているクラブというものを自衛隊が堂々と使用する、そういうことは、私はあるべき行為じゃないと思いますね。その点は、われわれとしてはどうしても容認できない。  さらに、申し上げておきたいのは、あの那覇の空軍基地をごらんになればわかると思うのですが、かつてアメリカが、ほんとうに自由自在といいますか、かって気ままにこしらえた基地の中で、いま自衛隊がほとんど肩がわりをしつつある。レクリエーション施設にしても、そういう広々とした中で自衛隊が野球をしたり、自衛隊の家族だけが出入りをしてやるというような雰囲気というものを、一方に追い込められている県民が見た場合に、かつてのアメリカがやったと同じような、やはり軍隊は軍隊だという感じしか受けませんよ。  だんだん復帰して日がたつにつれて、当初は相当いろいろな面で、慎重さといいますか、を期しておったものが、やはりその本性を最近あらわしつつあるような気がしますので、そこいらについても、ぜひ、それがいいのか、あるいはそういうことは、もっと配慮すべき行動なのかは、おのずと判断がつくと思いますので、再検討を強く求めておきたいと思うのです。
  284. 山中貞則

    山中国務大臣 沖繩県民感情からして無理からぬことと思います。沖繩復帰記念特別国民体育大会のときでありましても、自衛隊の選手が入っていった場合に、それに対して最終的には機動隊が出なければならなかったというようなこと等もありまして——自衛隊も若い集団でありますから、やはりスポーツ等はやりたいでしょう、しかしそれを、基地の外の施設をお借りするというようなことは、とても沖繩のいまの環境では許されない、その場合において、野球その他ぐらいは、広場がありますれば、そこらでやらせていただくことは、これは、やはり少し理解をしていただきたいと私としては思うわけです。  ただ、一方のアメリカの、日米安保条約、地位協定その他の諸取りきめによって認められております関税、物品税その他の公租公課の免税の特権を、日本人である自衛隊員が、その条約取りきめに基づいて受けておる米軍と同じような実際の特権を受ける行動をとっておるとすれば、これは明らかに法令違反にもなりますから、その点はきちんと処理をいたします。
  285. 上原康助

    ○上原委員 それは相当そういうケースは出ております。もしあれでしたら、具体的なあれも出していいですが、きょう、そこまで時間がありませんので……。特に米軍のクラブに出入りをして、そういった施設を利用するというのは、私は厳に慎むべきだと思うのです。復帰前も大きな問題になりましたよ。その点は、いまの大臣のそういう指示をなさるということで了解いたしますが、いま少し、そういった行事をやるにしても、米人と——これには、ちゃんと米人の高官も呼んであるじゃないですか。そういうことは大いに慎むべきだと思いますので、御配慮いただきたいと思うのです。きょうは、問題がかなりありますので、この件は、この程度にしておきます。  次に、外務省もお見えになっておりますから、ぜひ詰めておきたい問題がありますが、あとしばらく長官もおつき合いをお願いしたいと思うのです。  それは、前々から問題になった件ですが、VFW・クラブとリージョン・クラブのいわゆる用地の件が、本委員会でも二、三度問題になって、これまで直接、外務省なり施設庁にもお会いをして、一体どう措置をするのかということをお尋ねもしてきたし、また関係地主の皆さんからも、何回となく要望が出されてきたと思うのですが、今日までこのVFW・クラブあるいはリージョン・クラブの用地が解決できない原因といいますか、なぜそうなっているのか、経過をまず説明していただきたいと思うのです。
  286. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 VFWは、現在の牧港補給地区に隣接した地域にございます。それで昭和四十七年五月十五日の復帰の時点におきまして、VFW及びアメリカン・リージョンクラブの用地部分は、復帰後、引き続き在日米軍に提供する施設、区域からは除外されております。ただ、復帰の時点直後におきまして、所有者に対して、それが除外され、復帰後、VFWなりアメリカン・リージョンが全然別個の立場で、それぞれの団体として使いたいということについての意思等が、十分通じてなかったという復帰直後の混乱状態はございました。  ただ、その後、この問題の処理を至急に進めるために、政府関係当局も、いろいろアメリカ側と鋭意折衝を続けましたが、アメリカン・リージョン・クラブと所有者二十六名との間に、昨年末基本的に話し合いがつきまして、引き続きアメリカン・リージョン・クラブに、それぞれの所有土地を賃貸するということで了解がつき、目下その契約の細部についての当事者同士の話し合いの段階になっていると承知しております。  なお、VFWにつきましては、一時所有者とVFW・クラブとの間に、いろいろと賃貸借契約の話し合いが進められたわけでありますが、残念ながら、その話し合いが決裂し、目下この問題の処理については、外務省から米大使館を通じて、VFWのクラブのほうに処理の促進方について申し入れを行なっている状況でございます。
  287. 上原康助

    ○上原委員 アメリカン・リージョン・クラブについては、話し合いがついたのですか、ほんとうに。
  288. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 先ほど答弁申し上げましたとおり、昨年の暮れに、基本的に了解がついております。
  289. 上原康助

    ○上原委員 じゃ、こういう問題が起きた原因というのは、一体どこが負うべきかということですが、これまで議論されてきていますので、あまりたくさん申し上げないでも、経緯はわかると思うから省いておるのですが、じゃ、この両施設あるいはブラック・オイル・ターミナル・エリアを含めて三カ所の施設は、五月十五日の復帰後に開放されたものなのか、復帰前に開放されたものなのか、これもぜひ、明確にしていただきたいと思うのです。だれが、その責任の所在を負うのか、復元補償の問題を含めて。
  290. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 一昨年の五月に、沖繩復帰の時点、つまり五月十五日の午前零時に、日米合同委員会が開催されまして、その日以後、日本側から地位協定に基づいて米側に提供される施設、区域についての合意を見ております。その合意の際に、ただいま問題にされておられますアメリカン・リージョン並びにVFWの使用しております土地については、日本側が米軍に提供する施設、区域には入れないということが明らにされたわけでございますが、実はこの点につきまして、復帰の直前まで、この問題が明らかにされておらなかったという経緯があったわけでございます。したがいまして、復帰の前、早い時点において、この問題の所在が明らかになり、法律関係が明確になったとかりにいたしますれば、当然、復帰前に沖繩において、有効とされておりました布令二十号に基づく措置を米側がとるべきであったというのが日本側の考え方であります。  しかしながら、いずれにいたしましても、その点の合意が日米間にできましたのは、五月十五日の午前零時というかっこうになっておりますために、米側といたしましては、復帰の後におきましては、民間団体でありますアメリカン・リージョン並びにVFWが使用いたしております土地関係並びに建物の関係につきましては、米政府が直接に関与すべき筋合いのものではない、全く民事上の問題である、こういう法律的立場をずっととって今日に至ってきているわけであります。しかしながら、日本側といたしましては、復帰後の法律関係はそのとおりであるにせよ、復帰前の法律関係が、いま申し上げましたような経緯で今日に及んでいる以上、米側として全く責任がないということは、言い得ないはずであるということで、たびたび昨年以来、米側の注意を喚起してまいりまして今日に至ってきている、こういう状況であります。
  291. 上原康助

    ○上原委員 そういたしますと、五月十四日の午後十二時まででしたら、アメリカ側の責任ですよ。いまさっきの御答弁では、五月十五日の午前零時を期して日米合同委員会が開かれた、はたして午前零時に、合同委員会をやったかどうか、ちょっと疑問なんですが、私が前にお尋ねしたときは、翌日だと聞いたのですが、それは別として、これは明らかに返還協定の提供施設、区域(a)、(b)、(c)のリストのミスの問題でしょう。アメリカ側にも責任がないことはないという注意を喚起をなさったということですが、具体的に言いまして、じゃ、VFW・クラブの場合は、早目に、地主の皆さんは、VFWの建造物を撤去してもらいたいという要求をしてきているわけでしょう。  そこで、やるには復元補償という問題もありますが、それをやる責任は日本政府にあるのか。こまごましたむずかしいことはいいですよ。日本政府がやるべきなのか、アメリカ側がやるべきなのか。かつての布令二十号に基づいた措置をとるべきだったのか、あるいは返還協定の四条に該当する日本政府の責任でリージョン・クラブやVFWのものはやるべきなのか、そこを明確にしていただきたいと思うんですよ。  今日まで皆さんいろいろ検討して、アメリカ側に注意を喚起しているということをおっしゃっているのだが、だれの責任でどのようにやるべきなのかということが、一切今日まで明らかにされていないでしょう。これじゃ困ると思うんですよ。この点だけは、長官のほうにも、施設のあれと関係がありますので、どうしていただくのか、この際、明確にしていただきたいと思うのです。つまり、外務省と防衛施設庁にですね、そうせぬと、一つ一つ、いつまでもこういう形で検討中、検討中というだけでは事が進まない。だれの責任でどう処理するということを、はっきり答えを出していただきたいと思うのです。
  292. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 沖繩の施政権が日本に返還されましたあとに提供されるべき施設、区域の点につきましては、沖繩返還交渉の過程におきまして、ただいま御指摘がございました了解覚書があるわけでございます。これは一九七一年の六月十七日に、日米間で合意を見た覚書でございますけれども、なるほど御指摘のとおりに、この了解覚書には、いまのアメリカン・リージョン並びにVFWにつきましては、何の言及もございません。当時、おそらく交渉当事者双方ともに、この問題についての問題意識が十分なかったのであろうというふうに、いまから見ますと考えられるわけでありますが、日本側が当時、一貫して主張しておりましたことは、返還後の沖繩において提供されるべき施設、区域は、地位協定に基づいて米軍の使用に供されるべき施設、区域である、こういうことでございます。その立場から、返還の直前まで日米間で折衝が行なわれている過程におきまして、VFW並びにアメリカン・リージョンという問題があらわれてきた、こういうかっこうであろうかと思います。  したがいまして、米側といたしましては、先ほど来申し上げておりますような法律的立場をとっておりますけれども、日本側といたしましては、本来、米側が沖繩の施政権を行使しております間に、この問題が具体的な処理を見るという事態があったとするならば、当然、布令二十号の規定に基づいた措置がとられてしかるべき性質のものであった、こういうことでございます。   〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕  そこの点につきまして、昨年来、米側と種々話し合いをし、この問題についての米側の注意を喚起してまいりましたところ、最近に至りまして、米側といたしましては、沖繩返還協定第四条二項の請求権の問題として、布令二十号の土地裁判所の後任機関であります米国土地損害賠償審査委員会に対して、提起するということについて異議を差しはさまないということを申してくるような状況になった、こういうことでございます。
  293. 上原康助

    ○上原委員 大河原さん、そういう答弁では納得できませんよ。VFW・クラブもリージョン・クラブの用地も、明らかに復帰前は、布令二十号によって接収されて、純然たる軍用地として使用されてきたわけですね。だから、復帰の時点に、あの瑞慶覧の広範囲にわたるところを、そのまま瑞慶覧地域として提供するところに問題があるというんだ。具体的に基地の洗いをしなかったのです。そこから問題が発生してきているわけです。返還前は明らかに軍用地に入っておったのだ。リストにおいても、皆さんそれは落とさなかった。そうであるとすれば、アメリカ側が責任をもってやるべきなのか、日本側がやるべきなのかは、おのずと明らかになってくるのじゃないですか。いまの答弁は、私は絶対納得できません。  そうしますと、あなたのほうに、じゃお尋ねしますが、この件については、私もかねて沖特でしたか、ここの委員会でしたか、お尋ねしたのですが、四十八年の五月十七日に、確かに土地請求権審問委員会というのが設置をされたということになっておりますね。委員長は、復帰前の土地裁判所の委員長であったアービン・アイゼンシュタインさん。この人一人でしょう。そこで、いまの御答弁からすると、あなたは、このVFWの問題は、土地請求権審問委員会に提起をすべき事項に該当するとお考えですか。逆にお尋ねしましょう。アメリカ側がそう言っているということはわかりました。じゃ、政府は、このVFWの問題については、いま意見の不一致があるわけですから、その結論を出すには、この審問委員会に提起をすべきものだとお考えなんですか。一体そんなばかな話があるんですか。
  294. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 四十七年の五月十五日を境として法律関係が変わったわけでございますが、米側が主張しております法律的立場と日本が考えます法律的立場とは、必ずしも一致しないために、この問題がこじれたまま今日に及んできているというのが実情であるわけでございます。当初、米側といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、復帰後、この二つの団体は全く政府を離れた団体である、したがって、政府として直接この問題に介入する法的な立場にない、こういうのが米側の主張であったわけでございます。  それに対しまして、日本側といたしましては、復帰前の布令二十号の法律関係が、復帰の時点を経まして今日に及んできている、そういう特殊な法律関係があるという点について注意を喚起し続けて、その結果、米側も、先ほど来申してきたような法律関係は主張しつつも、復帰前からの請求権について、請求を認めております返還協定四条二項の問題としてこれを提起することに、特別の異議は差しはさまないということを言うに至ったということで、その点に関する米側の態度は、当初の法律的な主張と若干の変化を見てきている、こういうことを申しているわけであります。
  295. 上原康助

    ○上原委員 ですから、日本政府は、じゃ、それについてどうお考えなんですかということなんです。
  296. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 返還以前からの請求権の問題について、四条一項は請求権の放棄をうたっており、また四条二項は、その四条一項で放棄しているもの以外に、現実に特に認められるべき請求権というものがあるという趣旨の規定でございますから、米側が、四条二項の問題としてこれを提起されることに異議を差しはさまないということは、先ほど来申し上げております土地損害賠償審査委員会において、これがとにかく検討の対象と一応なるということであろうと考えているわけでございます。その検討の結果について、もちろん私ども予断をする立場には、いまのところないわけであります。
  297. 上原康助

    ○上原委員 これは、もうきわめて遺憾な答弁で、私は納得しません。法律的に専門家の御意見も聞かなければいかないと思うのですが、これは、そういう性質のものじゃないんでしょう。私がせんだって、これは四十八年六月二十二日の内閣委員会ですが、ここで、この審問委員会の性格について尋ねたことについて、大河原さんは、こう答えていますよ。「一言に申し上げますと、復帰前におきまして土地裁判所が所管しておった事項がこれにかわる、こういうことになります。」、相変わらず、わけのわからないような御答弁ですが、復帰前から土地裁判所に提起をされておった紛争事項については、この審問委員会でやるのだ——これは、請求権のあの四百万ドルのやつとも、またからんでくるわけでしょう。  VFW・クラブの件は、リージョンを含めて、返還協定の締結をするにあたって、提供施設、区域であるかないかの判断がないがままに、明らかに軍用地である、提供施設、区域であると地主の皆さんは思っておったんですよ。だから、皆さんが那覇防衛施設局から通知をしたのも、VFW・クラブについては四十七年の九月一日でしょう。実は五月十五日の合同委員会において、アメリカン・リージョン・クラブとVFW・クラブとブラック・オイル・ターミナル・エリアは、提供施設、区域から除外されておりますので御通知いたします、そういう通知を、皆さんが九月にやっている。リージョン・クラブの場合は、四十八年の三月でしたか……。  そういうように、明らかに皆さんの手続上のミスなどでいろいろ紛争になったので、いまさらこれを審問委員会に出すべきなんというのは、ちょっと責任の回避じゃないですか。これじゃ納得できませんよ。だから、問題は、返還前にやるべきことであったならば、布令二十号に基づいてアメリカがやらなければいけないのです。返還後であれば、日本政府が四条関係において処理をしなければいかない問題でしょう。この件をどうするか、この際、政府として明らかにしていただきたいと思うのです。そういうことじゃ、私は納得できません。
  298. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 私は、法律関係を先ほど来御説明申し上げているわけでありますけれども、四十七年五月十五日以前に、この二つの団体が使用しておりました土地の上にあります建物が、かりに日本側地主に返還されるということになりますならば、当然、その段階におきましては、布令二十号の規定が働いたはずであります。布令二十号の規定によって、六十日前の予告期間というものがあり、三十日前に地主側からの請求というものが手続的に考えられたはずでありますけれども、残念ながら先ほど申し上げましたように、復帰の直前まで、その点が必ずしも法律的に明確にされておらなかった。そこで米側といたしましては、復帰後におきましては、法律的な責任をとり得ないという立場をとっておりましたけれども、日本側といたしましては、それは、やはり復帰前からつながっている法律関係である以上、それを米政府が全く責任もないということはおかしいということで、注意の喚起につとめてきたわけでありまして、そういう意味におきまして、米側は返還協定四条二項という一応の救済規定があるので、この規定の問題として取り上げたらどうであろうか、こういうことを言うに至ってきておるというわけであります。
  299. 上原康助

    ○上原委員 そういたしますと、返還協定の四条二項に基づいて審問委員会に提出した場合はどうなるのですか。このVFWの地主の皆さんは、一日も早く建造物を撤去してもらいたい、土地は返してもらいたいと言っているわけでしょう。それを、それまでほったらかしておくのですか。そこに提出するような性質の問題じゃないじゃないですか、これは。そこいらは明確にしていただきたいと思うのです。では、アメリカ側がそう言うならと、日本側も、外務省としても、それを了解したのですか。
  300. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 ですから、アメリカ側の主張は、これは全く民事問題であって、アメリカ政府は、いかなる形でも関与し得る立場にないということであるわけでございます。したがいまして、日本側がアメリカの立場をそのまま受け取るとしますならば、これは民事問題であって、政府関与し得ずということになるわけでありますけれども、日本政府といたしましては、そういうわけにはまいらないということで、米側に対して昨年来、注意の喚起を続けてきました結果、いま申し上げましたような、法律的な一応の救済措題に出るということがまず考えられるということであるわけでございまして、その結果、どういう措置がとられることになりますか、いまの段階において、私どもはっきりしたことは見当つきません。  しかしながら、早期の解決を望むという関係者すべての希望と私どもの考えは全く同じでございますが、そのための一つのステップとしてこれを踏むことを、やはり妨げるべきではないというふうに考えるわけでございます。
  301. 上原康助

    ○上原委員 これは大臣に政治的判断を仰ぎたいのですが、私は、そういう性格のものでないと見ているんですね。なぜならば、これは復帰してからもう二カ年近くになりますよ。提供施設、区域であったとみんな思っておったんですよ。しかも那覇防衛施設局から、そういう文書も地主の皆さんに発送したんですよ、先ほど言いましたように、四十七年の九月と四十八年の三月に。そうであるなら、地主はその土地を所有権者として使う権利があるはずなんですよ。それを、行政上のミスによって今日までもたもたして、しかも、この審問委員会なんというのは——委員会というよりも委員一人しかいないわけでしょう。そこで公正な査定ができるとも、われわれ見ておりません。復帰前から土地裁判所で処理された案件というのは、ほとんど地主の要求には沿っていない。また現にVFW・クラブの地主の皆さんも、そこに提出する意思もないと言っているわけですね。であるとするならば、やはり返還時点における問題処理に今日の紛争が出てきているわけですから、それをどうするかは、政府として確固たる考え方というものを出していただかないと、いつまでも、こういう問題を二年も、三年もほっておくわけにいかないと思うんですよ、どうなさるのか。  この点を、ぜひ施設庁と防衛庁のはっきりした見解を承りたいと私は思うのです。いつまでに結論を出すのか。復元補償問題が出るわけですからね。復元補償の責任はどこにあるのか。それは何も審問委員会でやるという筋の問題ではないでしょう。だから、外務省のやることについては、実際いろいろ疑問が持たれるのです。責任の所在を、当初から明らかにしなさいというのをやらないでおいて、今日、問題がこんがらかって複雑になってくると、逃げ道をそこに求めるというのは、無責任もはなはだしい。これじゃ納得できません。いつまでにどうするかということを、はっきり政府の見解を一もしアメリカ側に落ち度があったら、落ち度があった、日本政府がやるべきだったんだが、こういう状態になったということが明らかにならない限りいけないと思うのです。この点明確にしていただきたいと思います。
  302. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 ですから、本来、最も望ましかった形としましては、復帰前に布令二十号に基づく措置がとられ、その規定に基づく復元補償なり請求の取り扱いというものができたということが最も望ましかったと思います。  しかしながら、先ほど御答弁申し上げましたように、復帰の直前まで、そこらの点が必ずしも明確にならなかったまま、布令二十号に基づく措置がとられないままに、五月十五日の午前零時に、当該部分を除いた施設、区域の提供が行なわれた。したがいまして、その時点以降、この問題は民事関係になってきておる、こういうことであるわけでございますけれども、いつまでもほっといてはいけない問題であることは、全く御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、何とか早期の解決をはかりたいということで、昨年来、防衛施設庁と緊密な連絡をとりながら、この問題に取り組み、米側に対しては、法律関係に対する注意の喚起につとめてきたという次第でございます。
  303. 上原康助

    ○上原委員 じゃ、簡単に言いますと、アメリカ側が復帰時点でそういう手続をとるべきだった、そういうふうに受け取っていいわけですか。私が聞いているのは、法律上の問題じゃないのです。これは法律上の問題というと、こういう通告を出したわけだから、手落ちがあったのは日米両政府でしょう。提供施設、区域というふうに認めたんだから、返還時点で。地主の皆さんが自主的に——請求権の問題じゃないんですよ。土地の賃貸契約の問題です。だから、私はくどく問題にしているんです。本来、この審問委員会に提出すべきような請求権の問題じゃないんですよ、これは事の性質上。皆さんも、地主の皆さんも、提供施設、区域であったと判断した、だから、やらなかった責任が日米両政府にあるというのは当然でしょう。それをここに提出をして、解決をしなさいというのは、少し酷じゃないですか。それじゃ納得できませんよ。いつまでもそういう回答で、これはどこまで延ばすのか。  もし返還協定当時の事務上のミスであったら、ミスであったと認めて、アメリカ側がとるべきだったら、とるべきだったとなぜ明らかにできないのですか。そんな法律のコンニャク論みたいなことじゃないのだ。請求権の問題でもないのです。賃貸借なんです。
  304. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 五月十五日の合同委員会の合意では、二つの建物が建っております土地は、提供の施設、区域には入らないということがきまっておったわけでございまして、その時点以後は、先ほど来申し上げておりますように、施設、区域としての扱いからははずれた問題になるわけであります。  そこで、民事関係になるわけでございますが、その点について、必ずしも事実関係が明確でなかったという点があるようでございますが、いずれにしましても、復帰のときのわりあいに近いときまで、この問題の所在というのが、十分関係者の間にはっきりしなかったということが、そもそもの問題であったろうと思うわけでございます。  したがいまして、さっきも申し上げましたように、たとえば四十六年の六月の時点におきまして、この問題の所在がはっきりしておりますならば、当然別の形の取り扱いが行なわれただろうと思うわけでありますけれども、残念ながら、そういうことではなかったというわけでございます。
  305. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと押し問答みたいになって恐縮なんですが、では、そういうようなことで、はたしてほんとうに五月の十五日にそこが除外されたという記録があるんですか。——では、それも出してください。あなたがいま言ったように、五月の十五日にその両地域は除外されているということになるなら、なぜ即時に通告しなかったのですか。そこが問題なんですよ。そういう時間の経過というものがあるわけでしょう。それじゃ納得できませんよ、それは地主の皆さんにしたって。自分たちの外交上のミスとか事務上のミスは認めないでおいて、いまごろになって、あの時点でああだった、こうだった……。提供施設、区域には入っておったわけでしょう、少なくとも概念上は。  では、施設庁にお尋ねしたいのですが、那覇防衛施設局が出した書類の拘束というのはないのですか。なぜ九月の時点、しかも一カ年近くになって、そういう書類を地主の皆さんに出したのか。文書を発送した以上は、発送したほうが責任も持つべきでしょう。今日まであなた、地主の皆さんにいろいろ迷惑をかけておって、いまごろ、これは、こういう審問委員会に持ち出しなさいとか、復帰前から処理されていない請求権の一つとしてやったらどうですかとか、民事事件というようなことでとか、あまり沖繩をばかにするなよ、もうほんとうに。そんな筋合いのものじゃないはずなんだ、これは。それでいいのですか、ほんとうに。
  306. 平井啓一

    平井(啓)政府委員 先ほどから御答弁申し上げておりますように、復帰の直前におきまして、この二つの施設が除外されることがきまった、そういう特殊の事情があったために、御指摘のような復帰後、いろいろな経緯があったわけでありまして、そういった点を踏まえながら——復帰後、提供される施設、区域でない施設ではあるわけです。そういう経緯を踏まえながら、防衛施設庁としても、那覇防衛施設局としても、それぞれ東京なり現地におきまして、この問題の一日も早い解決のために、連絡調整その他努力をしているわけでありますが、アメリカン・リージョンにつきましては、幸いにもう解決しましたが、VFWにつきましては、なお、そういった点について、アメリカ側とも、さらにその問題を詰めていく必要があろうと考えております。
  307. 上原康助

    ○上原委員 そこまでおっしゃるなら、これを読んでおきますが、那覇防衛施設局から四十七年の九月一日に出されている「極東放送及びVFW使用土地を提供施設から除外することについて、FAC六〇五六「牧港補給地区」内の標記二法人が使用中の土地は、去る五月十五日付の日米合同委員会の合意にもとずき政府が米軍に提供する「施設及び区域」から別添のとおり除外することになったので関係地主各位のご了承を得られるよう、よろしくお取り計らい願いたい。又、継続して土地使用を希望しているこれら二法人に好意あるご配慮が得られれば当局としても幸いであります。」、こういうような文書——復帰したのは五月十五日ですよ。五月の十五日の時点で、もし除外されているということであるならば、なぜ即座にやらなかったかということが問題なんだ。一つは九月まで延ばしておった。リージョン・クラブについては、翌年の三月十五日まで延ばしておった、その間の責任は、一体だれが負うべきかということを、私はこれまで問題にしてきたんですよ。外務大臣、そういうような処置でいいのですか、これは。  関係地主の皆さんには、今日まで何回となく、何と七十七回もこの件で折衝してきているんですよ。地主の皆さんには、飛行機賃を出したり、いろいろやりくり算段で、自分たちの土地の使用も自由にできないで、軍用地であったのかどうかもわからないで、今日の時点にくると、こういうようなアメリカ側がそう言っているというぬらりくらりとした答弁でいいんですか。それは納得できません。政府としてどうするかを、この際はっきり答えを出していただきたい。
  308. 山中貞則

    山中国務大臣 外務省が条約取りきめの当事者でありますが、事、この提供施設の内容については、私どものほうに責任の相当な部分があると思います。しかも復帰後、その年の九月あるいは翌年の三月というふうに提供施設ではなかったことを、あらためて那覇防衛施設局から知らしたその行為自体が、私はそこに非常に大きな問題点を含んでいると思います。したがって、私は部内の検討として防衛庁が、あるいは日本国の政府の名において、これらの在郷軍人会の経営する経営者を提訴しろ、地主の委託を受けて代理者として国が提訴すべきだということも検討させたわけであります。あるいはまた、地主の皆さんには、穏やかならぬ話ですが、あなたたちには権利があるのですから、少なくとも復元補償というものを要求し、かつまた経営を続行することについても、それを、意に沿わなければ続行させない権利があなたたちにあるので、したがって、立ち入りを封鎖される行為等も、私は間違っているとは思わないとまで言ったこともあります。  したがって、その当時、私は責任者ではなかったわけですけれども、そういうことが結果において起こったことについては、まず一次的に私は防衛庁の責任を感じております。したがって、アメリカン・リージョン・クラブについては、地主の方と経営者とが、賃借料の支払い等も含めて円滑に継続営業について話し合いされて、新たなる民法上の契約が成立して支払いをなされており、合意されておるということでありました。その方向でいけば、これは、もう民法上の契約でありますから、そのことはけっこうだと思うのですが、VFWの問題は、これは実は相当入り組んでおりまして、あらためて私が説明するまでもなく、経営者そのものが全く誠意がないというような問題とかいろいろと問題を起こしております。また地主の間にもいろいろありますので、これはアメリカ側に、やはり外交ルートでもって、アメリカ側の責任ともいえませんが、しかし問題は、これはアメリカの法人でありますから、その組織に対して、アメリカ側からきちんとこれをきびしく督促してほしいということをお願いして、いま表現は違いますが、大河原局長も、そういうことでもってこれは日米双方に処理すべき、早く片づけるべき責任があるということにおいて話を詰めておるということを申し上げていると思います。  しかしいかにも、その期限が長過ぎるし、地主の皆さんが、実損は実際のところないようでありますけれども、自分たちに払い下げろという希望が現実に待たされており、そのめどが立たないということに対しては、私は責任を深く感じます。
  309. 上原康助

    ○上原委員 この種の問題は、長引くほど、いろいろ複雑な面が出てくるわけですね。先ほども外務省の御答弁によりますと、全く日米両政府には責任がなく、地主の方々が請求権の一環として提訴することが好ましいというような、そんなむちゃくちゃなことはできないと私は言うんですよ。こんなのは、むずかしい法律論争じゃない。実態でいい。見ればおわかりでしょう。その点を明確にしていただきたい。  確認したいことは、地主の皆さんには損失を与えずに、この面は復元補償の問題を含めて日米両政府で責任を持って、当分の間とか言わずに近いうちにやりますね。そういう御意思が外務省、防衛施設庁、防衛庁あるわけですね。
  310. 山中貞則

    山中国務大臣 これは一刻も早く解決すべき問題としてとらえておりますので、ただアメリカ政府相手ではなくて、アメリカの民放法人を、アメリカ政府を通じて拘束をしようという問題でありますから、少し時間があるいはかかるかもしれませんけれども、私としては、なるべく早く、しかも日米両方の責任であり、また私どもの直接の責任でもある、そういうふうに考えておりますから、誠心誠意、努力を続けます。
  311. 上原康助

    ○上原委員 外務省はどうなんですか。もうその協定の読み方はいいですよ。
  312. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 私どもも、山中長官からただいま御答弁ございましたように、何とかこの問題を早く片づけたいという気持ちは前々から持っております。しかしながら、解決にあたっては、どうしてもやはり法律関係ということを無視するわけにはまいりませんために、今日までこの問題がこじれたままになっていることを、まことに残念に思っております。  したがいまして、今後とも防衛庁とよく協議をしながら取り組んでまいりたいと思いますけれども、やはり米側と当たります際には、どうしても法律関係を抜きにしては話ができないという現実の問題があることだけは、申させていただきたいと思います。
  313. 上原康助

    ○上原委員 失礼なことを申し上げますが、法律関係があるというのは、こっちだってわかっている。だが、その法律関係をつくったのは、どこかと聞いているんですよ。法律関係をつくり上げた原因は、だれかというんです。復帰のときに、基地は一々全部調べましたなんて国会では答弁しておいて、何にも調べてないのじゃないですか。合同委員会で五月の十五日にきまっておったなら、きまったようにやれば、こうならなかったでしょう。その責任を回避しては困る。法律論争を、むしろこんがらがせているのは、外務省じゃないですか。そんな、いつまでもそういったへ理屈だけでやるからミス外交が出るのだ、私はそのことを申し上げているんですよ。法律論争を抜きにしてできるようなことなら、それはだれだってできるんです。  ですから、この点は、いまの答弁のようにぜひ早急に処理していただきたいし、審問委員会に提訴すべき筋合いの問題でないと私は思います。また地主の皆さんも、そういう意思はないということを聞いておりますので、そこいらを含めて——あんまり穏便に事を運ぼうとするからこうなるんだよ。いろいろやって、あげくの果てこうなっているのだ、その点も強く申し上げておきたいと思います。  これで、防衛庁は一応きょうのところは終えておきたいと思います。
  314. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員長代理 高瀬局長
  315. 高瀬忠雄

    高瀬(忠)政府委員 先ほどの任期制隊員の二任期を二百日、それから三任期を百五十日とするというのが、ちょっと説明が途中なものですから、その先を続けさせていただきたいと思います。  百五十日と百二十五日の平均値をとりまして百三十七・五日となるというところまで説明をいたしたわけでございますが、特例退職手当の額を、第一任期から第三任期までの各任期とも、それぞれいまの計算で三十七日分増加した場合の改善総所要指数を求めるわけでございますが、そのためには、この増加日数に任期満了人員指数、それから退職手当の基礎となる俸給日額の指数を乗じますと、三任期を通じました改善総所要指数が五五八七〇〇となります。  今回の特例退職手当の増額は、任期制隊員の処遇を改善し、所要の隊員の維持、確保をすることをそのねらいとしておりまして、第二任期または第三任期への継続任用を奨励するものでありますから、その増額方法は、さいぜん申し述べましたように、改善総所要指数を、第二任期及び第三任期について重点的に配分する必要があります。  そこで、その配分にあたりましては、過去における第一任期から第二任期への継続任用率が平均五〇%、それから第二任期から第三任期への継続任用率が平均二五%と低率でありますので、これらの継続任用率の引き上げ、それぞれ一〇〇%または五〇%ということを期待するとともに、第二任期中の平均中途退職率が約八%、第三任期中の平均中途退職率が約三%となっていることから、その中途退職率の改善効果をもあわせ考慮いたしまして、第二任期に最重点を指向することといたします。それで、第二任期と第三任期の増加日数の割合を、継続任用率の引き上げ期待値の二対一としたものであります。  以上のような見地に立ちまして、前述いたしました改善総所要指数を第二任期、第三任期に配分するわけでございますが、増加日数に任期満了人員指数を乗じ、さらに退職手当の基礎となる俸給日額の指数を乗じたもの、すなわち改善総所要指数を第二任期及び第三任期に配分する、こういうふうに配分いたしますれば、退職手当の第二任期における増加日数は、第二任期にあっては百日、第三任期にあっては五十日、こうなります。非常にこまかい計算でありますが、そういう計算のもとに二任期を百日とし、三任期を五十日とする、かような次第でございます。
  316. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員長代理 他に御質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。      ————◇—————
  317. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員長代理 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  318. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと時間が足りなくなりましたので、二、三点、時間の範囲内でお尋ねしたいのですが、いまも沖繩返還問題をめぐって、いろいろ基地の扱いについて、われわれから見ると重大なミスがあったと見ているわけですが、そうはおっしゃっておりません。  そこで、在外公館の名称なりあるいは在外公館に勤務する外務省職員の給与改定というものも、法案が出ているわけですが、確かに最近の国際情勢あるいは経済情勢からして、そういう必要性があることも理解できないわけではございません。しかし私は、法案の中身をお尋ねする前に、最近の一連の外務省の外交姿勢のあり方、日ソ首脳会談におけるミスあるいは天皇訪米問題をめぐる在米大使の発言問題、最近においては、また、ギリシアにおいても、大使の行動がとやかく問題視をされております。そういった一連の外交姿勢というものを、この際、根本的に考え直していかなければいけない段階にいま来ているのじゃないかと思うのです。  もちろん外務大臣は、いま日中航空協定の問題なり、そのほかいろいろな面で御苦労をいただいているということも理解をします。それは、われわれから見ると、従来の政府の外交姿勢というものが、いわゆる国民大多数の利益といいますか、国民の立場に立った外交ではなくして、時の政権を維持するとか、時の政府を守るとか、一部の特権階級のための外交姿勢であるのじゃないかという気持ちを持たざるを得ない面もあるわけです。したがって、在外公館職員の給与をいろいろ改定することもいいかもしれませんが、今日、多様化している国際情勢に対応していくためのわが国外交というものを、どうしていくかということももう少し明らかにした上で、この種の問題というものを考えなければいかない基本的な点も含んでいると思いますので、そういった点について、ひとつ外務大臣なり、関係局長のほうから、お考えを聞かしていただきたいと思うのです。
  319. 大平正芳

    ○大平国務大臣 外務省の姿勢、勤務体制についての言及がございましたが、外務省といたしまして、各員緊張いたしまして仕事の処理に当たっているわけでございますけれども、その間、不注意のために若干のミスをおかしたということは、たいへん申しわけなく存じております。絶えざる緊張の中でミステークのないように、私はじめ全員戒めてまいるように心がけておる次第でございます。  第二に、国際情勢がたいへんむずかしい局面を迎えておりまして、外交案件の質も非常にむずかしくなったばかりでなく、分量もたいへん多くなってまいりまして、限られた陣容でこなしてまいるには、手に負えないほどの問題をになっておりますことは、上原さんも御理解いただけると思うのでありますが、こういう流動的な変革期でございますので、執務体制の上で絶えざる緊張が必要であることは、もちろんでございますけれども、常に新鮮な感覚を持ちまして、その事態に柔軟に対応してまいる姿勢が、また要求されておると思うのでありまして、そういうことにつきましても、私ども、われわれの力の及ぶ限り努力をしてまいるつもりでおります。  在外公館職員に対する待遇の問題でございますが、今日の世界各地における勤務環境におきまして、お願いしておる程度の改善について国会の御承認をお願いする必要を感じまして、御審議を願っておる次第でございますので、何ぶんの御理解と御支援をお願いいたしたいと思います。
  320. 上原康助

    ○上原委員 私は、確かに外交というのは、非常に高度の識見、手腕も要るでしょうし、いろいろむずかしい面もあると思うんですね。それは、いま大臣御答弁のように、御苦労なさっておられるし、また御努力もなさっていらっしゃるということは理解をするわけですが、どうも一貫して受けるあの印象は、共通して欠けているのは、庶民感覚に非常に欠けているんじゃないかと思うんですね、外務省の高官の皆さんは。それなりにエリートコースだけ歩んでいらっしゃるから、おれのやっているのが一番正しいのだというような態度では、私は今日の外交問題というのは、アメリカ外交にしても、社会主義諸国の外交にしても、あるいは東南アジア、東欧にしても、中近東を含めて、そうはいかないと思うんですね。やはり相手の立場も考えるということと、それなりの庶民感覚と、そういう謙虚さというものが外交官にない限り、いろんな問題が出てくると思うのです。その点はぜひひとつ、きびしく改めていただきたいと、これも御要望を申し上げておきたいと思うのです。  そこで、具体的な点で一点お聞かせいただきたいことは、きょうからですか、アジア卓球選手権大会が横浜で開かれているわけですが、どうも新聞報道で見る限り、カンボジア王国民族連合政府の場合に、いわゆる中国の北京大使館において、日本大使館の職員のミスによって入国ができなかったのだ、いや、そうでなかったのだと外務省は、またそれを否定なさっているわけですね。一体、これもミスなのか、あるいはカンボジア王国の選手団の皆さんがいろいろ事情があったのか、国民の皆さんは、新聞報道なりいろんな面でごらんになっても、その真相についてわからないと思うのです。その点、深くは入りませんが、外務省はどういう態度をとったのか、ぜひ国民の前にも明らかにしていただきたいし、真相を明確にしておいていただきたいと思うのです。
  321. 高島益郎

    ○高島政府委員 ただいま先生御指摘のような、一部新聞で、外務省のミスのために、カンボジアの選手団が入国しないというようなうわさがございまして、私ども非常に迷惑したわけでございますので、さっそく日曜日に、わがほうから北京大使館を通じまして、柳谷公使という人がわざわざ先方の代表団の団長のところに出かけていきまして、わがほうの立場を明らかにして、手続上の問題で入国できないというようなことがもしあるとすれば、そのような点はいかようにも取り計らうから、ぜひ入国してもらいたいということを申し、かたがたどういう理由で、一体、日本に入国できないのかということを確かめた次第がございます。  その結果、明らかになりましたのは、カンボジア側は、カンボジア王国民族連合政府というのが、カンボジアにおける唯一の合法政府であって、この立場をくずすわけにはいかない、したがいまして、自分たちの所有する旅券に直接査証をもらうのでなければ入国できないという立場を、きわめて強く明らかにいたしまして、もしそういう事情であるならば、わがほうの立場と全く違いますので、入国の手続をとることはできないということで別れてきたわけでございます。  したがいまして、この点は、先生の御心配のような外務省のミスということとは全く関係のない、カンボジア側の法律的立場あるいは原則的立場に基づく結果でございます。
  322. 上原康助

    ○上原委員 それは外務省にはミスはなかったということですか。入国申請手続中、いわゆる国籍記載欄のない渡航証明書の申請書に、日本大使館員が国籍を書くよう指示されたので、カンボジア王国民族連合政府と記入したところ、受けつけられなかったというような報道がなされているわけです。  そういたしますと、入国申請にあたっては、国籍欄には国籍名称は記入しないという条件での入国ということだったのか、そこいらも報道を見る限りにおいては、さだかでない面もありますし、このことについて、また実行委員会などからも、政府に対する抗議声明ですかも出ておる節もあるわけです。ですから国民が見ては、またまた外務省はミスをしでかしたという印象を私は持っていると思う。それが事実でかければ幸いだとは思うんですが、そこいらは、もう少し明確にしていただかないと困ると思うのです。
  323. 高島益郎

    ○高島政府委員 いまの点は、もうきわめて明白に組織委員会にも連絡してございますし、わがほうにミスがないということは、組織委員会としても十分承知しております。  詳しく申しますと、書類といたしましては、渡航証明書とそれから誓約書と二つございまして、渡航証明書というのは、元来、国籍の欄はないわけでございます。かたがた誓約書は、ただ誓約書に書いていただくために便宜上国籍欄を設けてございまして、ほかの代表団はみなそこに一応国籍を書きまして、誓約書を提出して正当に入国してきたわけでございますが、カンボジアの代表団の方々は、ここに国籍欄があるのは、どういうわけかという質問がございまして、わがほうから、これに対しまして、もし差しつかえがあるということであれば、国籍欄に何も記入しなくても差しつかえないということまで申し上げまして、先方はその紙を持って帰って、本部と協議した上で返答するということで帰ったわけでございまして、先方が記入したという事実は全然ございません。  したがいまして、わがほうのミスということは全くないわけでございまして、先方の、先ほど申しました原則的立場から、どうしてもそういうことを認めてくれない限りは日本に入れないということでございまして、この点は組織委員会のほうにも明確に伝えてございます。
  324. 上原康助

    ○上原委員 この点は、きょうは事実関係だけをお答えいただいておきたいのですが、だんだんいろんなあれで明らかになってくると思います。そういたしますと、ほかの未承認国の選手団の皆さんと同じような取り扱いを、カンボジア王国に対しても北京大使館ではとられたのだが、そういう向こうさんの受けとめ方の事情なりがあって、結果的には入国できなかったという理解のしかたでいいわけですか。
  325. 高島益郎

    ○高島政府委員 先生の御指摘のとおりでございます。
  326. 上原康助

    ○上原委員 その点は、この程度にとめておきたいと思います。  それと、これも在外公館のあれと関係ありますが、北ベトナムとの国交が正常化しているわけですが、相互の大使館設置の件がなかなか進展を見ていないようです。その点も、なぜそうもたついているのか、いきさつ等について明らかにしていただきたいと思います。
  327. 高島益郎

    ○高島政府委員 私ども、ベトナム民主共和国との国交樹立以来、できるだけ早い機会に、わがほうも大使館を先方に設置し、また先方もわがほうに設置できるようなことに取り運びたいということでいろいろ話を進めております。現在、ハノイに大使館ができた場合の要員といたしまして二人ほどラオスの大使館に派遣いたしておりまして、ラオス大使館が現在、在ハノイ大使館の兼館をやっておるわけでございます。  現在、ベトナム民主共和国との間には、経済協力の問題及びそういう大使館相互設置の問題等につきまして、いろいろと会合、話し合いを重ねておりまして、この話し合いがまとまりますれば、大使館の相互設置ということも実現するかと思いますけれども、この大使館の相互設置は、ほかの話との関連において直接つながりがあるものではございませんで、この話はこの話として続けております。  私ども察するところによりますと、いろいろ先方のほうの物理的な事情と申しますか、施設その他の関係もございまして、容易に大使館のスペースと申しますか、そういうものが提供できないというような事情があるようにも聞いております。いずれにいたしましても、現在、友好裏にベトナム民主共和国との間には、国交樹立後の重要ないろいろな問題について話し合いをしております。そういう状況でございます。
  328. 上原康助

    ○上原委員 確かに、あれだけ戦争の被害を受けたあとですから、ベトナム民主共和国の国内事情もいろいろあろうかと思うのです。しかし、われわれが新聞報道なり、いろんな面で感ずることは、国交は樹立したものの、やはり南ベトナムに対するわが国の経済援助なり、あるいはそれが経済援助とはいいながら、半ば軍事面をてこ入れするような形になっている、また臨時革命政府の問題等もあって、大使館設置の問題がもたついているのではないかという印象を受けるわけですね。  そういう面は、国交を樹立した以上は、南北両国に対して公平な立場でやはり日本の外交というものを進めていかなければいけないと思うのです。一方だけを肩入れするというような、アメリカの肩がわりをするような経済援助なり、軍事援助であってはいかぬと思うのです、実質的にそれにつながるような。そういう面についてのことが、むしろベトナム民主共和国への姿勢といいますか、この問題に対する思惑を持たしているのじゃないかという感じも受けるのですが、その点は政府としてはどうお考えなのか。あるいはまた、いま申し上げたように、もうフランスを上回ってわが国は南ベトナムに対する経済援助をやろうとしているわけでしょう。そこらについては、改める考えはないのかどうか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
  329. 高島益郎

    ○高島政府委員 経済協力という点に限って申し上げますと、南ベトナムに対しまして無償経済協力といたしまして五十億円、これは四十八年度の補正予算で御承認いただいた額のうち五十億円ということで、つい最近署名を見るに至りました。北越、ベトナム民主共和国に対しましてもこれと大体見合う額、つまり五十億円程度を目途にいたしまして、日本としては経済協力のために何らかの援助をする用意があるということで進めておりまして、決して南ベトナムとの比較におきまして、差別待遇をしているというようなことはございません。また五十億円の南越に対する無償協力につきましても、はっきりこれが軍事目的その他に使われることのないように、十分な歯どめの措置をとっておりまして、そういう約束の文書もかわしております。したがいまして、そういうことは万々ないものと、私は確信をいたしております。
  330. 上原康助

    ○上原委員 そこらについても、いろいろ疑問がありますが、またいずれかの機会に、この点ももう少し具体的な面でお尋ねをしたいと思うのです。しかし国交が樹立をされて、相互に大使館が設置をされないということは、それだけ、親善、交流を深めていく意味合いにおいては障害と申しますか、ハンディになると思います。すみやかに、そういった社会主義諸国とも国交樹立後の正常化が期せるように、大使館設置の面については、特段の御配慮をいただきたいと思います。  そこで、時間がありませんので、次はちょっと台湾関係の件についてお尋ねをしたいのですが、これは、おもに日中国交回復後の点ですが、国交回復後、かつての中華民国の政府機関というもの、いわゆる台湾省の政府機関というものは、わが国においてはなくなったわけですね。それが沖繩の場合は、どういうふうになっておったのか、ちょっと説明をいただきたいと思います。  具体的に言いますと、在日大使館の閉鎖にちなんで、一九七二年の十二月二十八日に大使館が閉鎖されたのですが、それと同時に、大阪、横浜、福岡にあった、いわゆる総領事館も閉鎖を見ているわけですね。沖繩の場合は、御承知のようにアメリカの占領支配下にあって、むしろ台湾との距離的な面、いろんな面でつながりは深かったわけです。そういう面で、日中国交正常化後、沖繩における台湾のそういった政府関係機関といいますか、そういうものは、どういうような取り扱いになったのか、わかる範囲でお聞かせをいただきたいと思います。
  331. 高島益郎

    ○高島政府委員 沖繩に日中国交正常化前にございました準政府機関といたしまして、台湾中央信託局というような、いわゆる公営貿易機関がございまして、これは純然たる政府機関とは必ずしも申せませんけれども、一種の政府機関に似たような性格を持った組織であったと思いますが、これが日中国交正常化以後は、信昌貿易公司琉球事務所と改称いたしまして、完全に民間の事務所となっておるように伺っております。  その他、政府機関ではございませんけれども、台湾の関係の機関といたしまして、台湾商業連合会、遠東貿易センター、華僑総会、こういったものが引き続いて存在しておるように伺っております。
  332. 上原康助

    ○上原委員 たしか東京にも、中華民国中央信託局というのがありましたね、あったと思うのですが、これは、いつ閉鎖されたのですか。
  333. 高島益郎

    ○高島政府委員 ここに資料がございませんけれども、当然、日中正常化と同時に、そういう政府機関である性格を変えまして、民間の組織になったと理解しております。
  334. 上原康助

    ○上原委員 国交正常化と同時に、私の調べたあれでは、七三年の二月の十日に、東京事務所は閉鎖されております。信託局の閉鎖後は、いまさっき御答弁がありましたように、信昌公司がその業務を代行するという純然たる民間機関になっております。  そこで、問題は、沖繩にある中央信託局がいつ閉鎖されたかということなんです。その点は御存じないですか。
  335. 高島益郎

    ○高島政府委員 いま私、わかりませんので、調べさせていただきます。
  336. 上原康助

    ○上原委員 そういたしますと、そこいらの調査というのは、政府としては全然やってこられなかった。本土にある台湾の政府関係機関というのは、国交正常化後、直ちにとはいいませんが、大体、七三年の二月前後には、全部閉鎖をしているわけですね。そして財団法人の交流協会なり、いまさっきあげました遠東貿易サービスセンターというものが設置されて、純然たる民間機関で交流をやっているというのが現在の状況でしょう。  なぜ、このことを申し上げるかといいますと、現在の台湾に行く場合のいわゆる査証、ビザなんですが、これを本土はどこで取り扱っているのですか。
  337. 高島益郎

    ○高島政府委員 日本人が台湾に行く場合には、旅券に直接査証ということはできないわけで、別途の渡航文書を持って台湾に行くわけでございます。これは、わがほうの交流協会と亜東関係協会との間の約束に従いまして、そういう渡航文書を取りつけるために、一種の仲介機関としての役割りを果たす、実際に渡航文書を発給いたしますのは、政府機関でなければできませんので、その仲介役をいたしております。沖繩におきましては、この亜東関係協会の委託を受けて、先ほど申しました台湾系の華僑総会がそういう手続のめんどうを見ているというふうに伺っております。
  338. 上原康助

    ○上原委員 沖繩の華僑総会は、亜東協会の委託を受けているのですか。私が調べた範囲では、受けていないということです。ビザの申請取り扱い所は亜東関係協会、これは東京、大阪、福岡に三カ所あるわけですが、ビザを申請する手数料は、本土は幾らですか。
  339. 高島益郎

    ○高島政府委員 存じません。
  340. 上原康助

    ○上原委員 それは、政府が全然知らないでいい筋合いのものですか。手数料は幾らぐらい取っているのですか。
  341. 高島益郎

    ○高島政府委員 私は、存じません。もちろん、そういう御質問であれば、さっそく調べまして御返事いたしますけれども、私、いま現在は、承知いたしておりません。
  342. 上原康助

    ○上原委員 これは「中華週報」というのですが、これにはビザの手数料については、七百七十円とはっきり書いてあるのです。このくらいの情報をお持ちでないと困るのではないですか。私がこの間から、いろいろ資料を要求したことを見ても、お感じにならないのですか。   〔加藤(陽)委員長代理退席、委員長着席〕  問題は、本土ではこの亜東協会が窓口になって、いまビザ申請をやっているのです。しかし沖繩の場合は、先ほど委託を受けたと言っていますが、委託を受けているかどうか疑問なんです。確かに琉球華僑総会というのがビザの取り扱いをやっているのですが、この交流協会の定款を読みますと、そこを窓口にして日本全体のビザの取り扱いはやるんだという定款になっているわけですが、なぜ沖繩だけ別扱いにしたのかというのが疑問なんです。全然別機関だと思う。  さらに手数料は、本土の場合七百七十円、沖繩は何と千八百円取っている。同じ台湾に行くのに、本土から手続すれば七百七十円と、ちゃんとこれに書いてある。沖繩の場合千八百円、倍です。近いほうがむしろ高い。それは距離の問題じゃないでしょうが、なぜそうなったかということ。  いま一つ、もっと重要なことは、この琉球華僑総会に、台湾の整備総司令部から派遣されている台湾省の役人がいるということ。まるで韓国のKCIAみたいなものです。そういったことについては、全然御存じないのですか。ここである人が、まるで沖繩が本土復帰前のようなパスポートのチェックをやっているのです。  なぜ、こういうことを公然と許すのかということを問題にしたい。外務省のアメリカ局のやることも、全く踏んだりけったりで、こういう問題はまだあるのです。まるでアメリカが施政権を握っておったときのようなことをいまやっている。そこいらについて御存じなのか。倍もピンはねするようなことはけしからぬじゃないですか。しかも一々台湾に行くのに、そういった人のチェックを受けて、この人は少し大陸寄りだから、北京寄りだから、クエスチョンマークをつけるとか、こんなことが復帰後も許されていいとは思わない。そういうことについて御存じなのか。また調べる意思があるのか。いまの手数料の問題なども、これは純然たる民間機関が、幾ら取ってもいい筋合いのものじゃないでしょう。お答えいただきたいと思います。
  343. 高島益郎

    ○高島政府委員 実情をよく調べてみます。
  344. 上原康助

    ○上原委員 実情を調べるのはけっこうですが、調べてどうなさるのですか。手数料の場合は、明らかに七百七十円で済むのが千八百円も取られている。あるいは私がいま指摘したように、琉球華僑総会といって、これが民間団体のふりをして、台湾の警備総司令部から派遣されている役人がおるという場合は、純然たる民間人じゃないじゃないですか。  法務省、お見えになっていらっしゃいますか。——そういった方々のわが国への入国の手続の問題とか、これは、いろいろむずかしい面もあろうかと思いますが、そこいらについては、入国の場合どういう許可を与えているのか。まかり間違えば、これは、たいへんな問題になりますよ。
  345. 竹村照雄

    ○竹村説明員 台湾からの入国問題になりますと、私どもとしては、現在の段階では、未承認地域からの入国ということになりますけれども、従来の歴史的な経過がありまして、なるべく許すといいますか、そういう方向でやっておりますが、ただ入国の許否を決する場合は、入国目的に沿って、それがわが国益に反するか反しないかという観点でやっております。  だから、向こうの役人であろうと民間人であろうと、それぞれが入国の目的に従って活動する、しかも、その目的は、わが国益に反しないというような判断ができる限りは、許可せざるを得ない。しかしながら、入って来た者が、入国目的に沿わない活動をしておれば、これは、それ相当の措置をとらざるを得ないということになるかと思います。
  346. 上原康助

    ○上原委員 その点はお調べになりますか。琉球華僑総会にいる——きょうは名前をあげませんが、警備総司令部から派遣をされてきている。しかも本来なら、これは、亜東関係協会をつくって、先ほど言いましたように、東京、大阪、福岡、そこでしか取り扱いできないということを交流協会のあれできめてあるんですね、台湾との今後の交流については。ところが、沖繩だけは、復帰後ずっと別なんですよ。  先ほど答弁のあった中央信託局の廃止は、本土が七十三年の二月の十日に中央信託局が廃止されて、閉鎖をされておる。沖繩の場合は、三月の十日過ぎまで、そのまま中央信託局として業務をやっておる。これも、ほんとうは問題なんですね。台湾省が——台湾の中華民国政府の政府機関というのが沖繩にあったんだよ、ついこの間まで。こんなことなども、国交回復されても、そういった面の関係というのは全然やっていないのだ、アジア局は。そういう面との一連の関係があるんですよ、これは。  だから、ビザを取る場合も、いろいろ問題が出るし、手数料もピンはねです。七百七十円で済むものを千八百円取る。これについて、政府はお調べになって善処いたしますが。外務大臣、いまの件についてどうなさいますか。
  347. 大平正芳

    ○大平国務大臣 事実を調査の上、適宜処置いたします。
  348. 上原康助

    ○上原委員 これはアジア局長ですか、早急に調べていただいて、答えを出してください。ただ善処しますと言うだけで、みんないつまでも時間かせぎされては困りますので。特に手数料の問題とか、いま申し上げた信託局がいつ閉鎖されて、どういう業務をやっているのか。台湾省の役人というのは、もう政府機関ではできないにしても、民間のそういう団体にもぐり込んで、いろいろな業務ができるのですか。法務省、そういうことはチェックできるわけでしょう。
  349. 竹村照雄

    ○竹村説明員 私ども、未承認地域とか未承認国を対象にする場合、そこの者が、公務員であるとか、民間人であるとかいうことは、むしろ問題でなくて、入国目的が何か、在留活動が何かということが問題でございます。そういった観点で管理をしております。
  350. 上原康助

    ○上原委員 そういう場合は、やはり公正さを期さなければいけませんよ。入国問題は、これまでもいろいろ人権問題になってきておりましたし、一方は帽子を二つも三つもかぶって、難なく入ってきて、社会主義諸国から来るのは、いろいろチェックをするというようなことでは困ると思うんですね。そういうことは、いまやっていないかもしれませんが、いま申し上げた点は、早急に調査をしていただいて、善処をするということですから、その辺を明らかにしていただきたいと思います。  そこで、時間になりましたので、これは委員長に要望したいのですが、あと二、三点、問題が残っておるのです、この在外公館の件と。ぜひ、もう少し時間を後日いただきたいと思います。できれば、きょうは、この程度で終わりたいと思いますので……。
  351. 徳安實藏

    徳安委員長 じゃ、そうしましょう。理事会でまた相談しましょう。  中路雅弘君。
  352. 中路雅弘

    ○中路委員 時間がだいぶおそくなっていますから、短くやりたいと思います。  最初、法案に即して一、二問お聞きしておきたいと思いますが、先ほども上原委員から質問がありまして、今度のこの法案で、ベトナム民主共和国、ドイツ民主共和国等の大使館設置が問題になっていますが、ベトナム民主共和国の場合も、昨年の九月二十一日ですか、国交回復を樹立したわけですから、これらの国の承認に伴う大使館の相互設置というのは当然のことですが、先ほども大使館の開設がおくれているのは、先方の物理的な事情もあるようだという御答弁もあったわけですが、先ほど上原委員も質問しましたように、これは四月一日の読売新聞にも出ておりますが、ストックホルムで開かれておりましたベトナムに関するパリ協定実施のための国際会議、これに出席している特派員の記者が報道しているところによりますと、ストックホルムの国際会議に参加したベトナム民主共和国等の代表の話を総合すると、大使館の相互開設のめどがまだついていないのは、主としてベトナム援助のあり方に対する日本側の基本的な姿勢にも関係しているようだというような報道もされています。  先ほど御答弁がありましたが、もう少し詳しくお聞きしたいのですが、ベトナム民主共和国に対する国交正常化後の無償援助の問題ですね、これについては、いまどういう進展の状態なのか、まずお聞きしたいと思います。
  353. 高島益郎

    ○高島政府委員 ベトナム民主共和国との間のお話し合いの中で、一番私ども大事に考えておりますのは、日本がベトナム民主共和国に対しまして行なうことを考えております経済協力についてのお話でございます。この話の内容につきましては、遺憾ながらこの席でお話をいたすわけにはまいりませんけれども、私どもといたしましては、四十八年度補正予算でいただきました百八億円のうちの五十億円、これをめどにいたしまして、この程度の額の無償経済協力を行なうという用意があることを先方に示しまして、それに基づきまして、先方のいろいろな考え方を聞き出そうということで、いまいろいろな話を進めておるというのが現状でございます。
  354. 中路雅弘

    ○中路委員 まだ具体的な進展というのは、これからだと思うのです。まだ見せていないと思うのですが、一方、南ベトナムに対して、先ほど無償供与のお話がありましたが、長期借款等を含めますと、供与を含めて、大体どのぐらいの援助がきまっているのか、おわかりになりますか。
  355. 高島益郎

    ○高島政府委員 南ベトナムに対します援助の内訳といたしまして五十億円、これは無償援助でございまして、有償援助は三千万ドルでございます。ちょっと円の相当額は、私、失念いたしましたけれども、三千万ドルの有償援助、これを合わせまして南越との間に文書の交換をいたしました。これが、ごく最近の経緯でございます。
  356. 中路雅弘

    ○中路委員 南ベトナムに対する援助が、先ほど軍事援助等に転用されないような話もしてあるというお話ですが、この点についても、もう少し詳しくお聞きしておきたいと思います。
  357. 高島益郎

    ○高島政府委員 これは、この援助が軍事目的、または軍事に関連する目的、または贈与の目的に合致しないその他の目的に使用されない旨の文書による確認を、南越政府から取りつけてあるということが、先ほど申しました文書による約束でございまして、これによって、この援助が軍事目的に転用されないということの歯どめとしたわけでございます。
  358. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一つ、この問題に関連してお聞きしておきたいのですが、最近ジュネーブで開かれました、普通、人道法会議といっておりますが、武力紛争に適用される国際人道法の再確認と発展に関する外交会議、この会議で南ベトナム共和国臨時革命政府の参加の問題について表決がありまして、賛成三十七、反対三十八という、日本政府の一票が、この臨時革命政府の参加を結果として妨害する状態になっているわけですが、この会議で、日本政府が南ベトナム共和国臨時革命政府の参加に対して反対をした理由はどういうことですか。
  359. 高島益郎

    ○高島政府委員 南ベトナム臨時革命政府から、ほかの独立国と全く同じ立場で、同じ地位でこの会議に参加するという要請でございまして、わがほうは、南ベトナム臨時革命政府がオブザーバーとして会議に参加するということならば、差しつかえないという態度でございましたけれども、通常の独立国と同じ立場で完全な投票権、発言権を持って参加するということにつきましては、わがほうの国際法上の立場、つまり南ベトナムにおきまして、唯一の合法政府は、日本に関する限りはベトナム共和国であるという立場にかんがみまして、そういう形での参加には賛成できないということで、そういう票を投じた次第でございます。
  360. 中路雅弘

    ○中路委員 きょう、この問題で私は長い質疑をするつもりはありませんが、この臨時革命政府の承認の問題とはまた別に、このジュネーブの会議は、南ベトナム臨時革命政府も参加をしている四つの条約に関する会議であるわけですから、会議の性質からいっても、南ベトナム臨時革命政府が、当然、正式に参加する資格と権利を持っているわけです。また条約との関連からいっても、いわば、この条約の内容からいえば、中心的な参加国としての一つになるべき立場にもあるというふうに私は思うのですが、政府の承認の問題について、私たちは、このことが拒否されているということについて、強く抗議しているわけです。  このジュネーブの会議は、また国家レベルでの外交会議だといういまのお話ですけれども、南ベトナムの臨時革命政府自身が参加している条約に関する会議ですね、ですから、当然、これは参加をする資格と権利を持っているこういうものに対して、正式の参加を賛成されない、こういうことがベトナムに対するやはり妨害あるいは敵視の行動として、ベトナム民主共和国あるいは臨時革命政府のほうに強く映っていると私は思うのです。この会議の性質からいって、しかも日本政府の一票によってこの参加が認められない、この点については、私は先ほどの御説明では納得できない問題があるのですが、もう少し詳しく説明をしていただきたいと思います。
  361. 松永信雄

    ○松永政府委員 ジュネーブの人道法会議に、臨時革命政府が国という資格で参加したいという意向の表明がありました。この人道法会議は、ただいま御指摘がありましたように、ジュネーブの四条約を改正するための外交会議でございますので、これは条約の構成国間の会議であります。  私ども、先ほどアジア局長が御説明いたしましたように、臨時革命政府を承認する立場をとっておりませんので、臨時革命政府が参加国としての資格においてこの会議に参加するということには賛成できない。ただし、いま御指摘のございましたように、ジュネーブ条約というのは、いわゆる紛争地域におきます諸事態に対しまして、非常に密接な関係があるわけでございます。したがって、臨時革命政府がオブザーバーの資格で参加をされる、そして十分に会議をフォローされる、あるいは意見を表明する機会を持たれるということについては、何ら異存がないという立場をとったわけでございます。
  362. 中路雅弘

    ○中路委員 いまのお話のように、この会議はジュネーブで調印された捕虜の待遇に関する条約、あるいは戦時における文民の保護に関する条約など、こういう付属議定書を、条約に関して作成することを目的にしているわけですし、南ベトナム臨時革命政府自身が、この四つの条約に参加している国です。また、いまの状況からいえば、ベトナムの戦争の中で、アメリカとサイゴン政権によって無差別な爆撃あるいはそのもとにおける犠牲を受けたその人民を最も代表する政府でもあるわけですから、この会議の目的からいっても、当然、中心的な参加国としての資格と権利を持つ政府であろうかと私は思いますけれども、その政府の正式参加が認められない。  この問題については、やはりアメリカとともに参加について反対されたわけですから、いままでのこの外交姿勢について、きょうは、これ以上論議はしませんけれども、強く抗議するとともに、アジア卓球の問題でも、いま呼称の問題でまたむずかしい問題が起きていますけれども、ベトナムの協定の中で、はっきりと南ベトナムの二つの政府の存在を認められているわけですから、これとの外交関係の問題を、この際強く主張しておきたいと思うわけです。  それで、私は、この問題と少し離れますけれども、先日、大出議員も質問されていた問題で、私たちも数年前に、この問題について党としてソ連大使館にも申し入れをした問題でもありますから、きょうは、先日は外務大臣お見えになっていなかったのでお聞きしたいのですが、ソ連の漁船団の近海操業に関する問題です。  この問題につきましては、また数日前、一都三県、東京湾近海の漁業協同組合その他十一団体からも、強い要請書が来ている問題であるわけですが、水産庁の方、お見えになっていますか。——最初に、いまサバ漁業では、一番最盛期に入っているわけですが、最近の東京湾近海におけるソ連漁船団のトロール漁法による大量のサバ漁獲、この問題についての状況を簡潔に、それから被害の状況、そういった点、おわかりになりましたら、教えていただきたいと思います。
  363. 平井義徳

    平井説明員 最近、ソ連のトロール船が日本の近海で操業いたしておりまして、種々問題を起こしております。  先生の御指摘になったとおりでございますが、概略申し上げますと、これは昔、昭和四十四年に一度、試験操業ということで銭州の漁場に一回来たことがあるのですが、これは、ごく短期間で帰りまして、四十六年から本格的といいますか、相当の数で来るようになりまして、ことしにおきましては、一月に千葉沖に母船二隻、それから二千トン級の漁船が三十五隻という形でかなりの数が参りまして、その後、県を通して確認した数字によりますと、三月の上句には伊豆沖に六隻、中旬には八隻、下旬には十一隻というように確認いたしております。  それから、損害につきましては、昭和四十六年には約六百万でございましたが、四十七年には漁具等の被害が二千八百万になりまして、四十八年は千三百万、四十九年は急にふえまして、四千八百万という数字になっております。
  364. 中路雅弘

    ○中路委員 三陸沖から、最近は太平洋沿岸にも出始めているわけですが、たとえ公海の問題であっても、他国の沿岸漁業者の操業あるいは生活、こういうものに大きな影響を与える問題ですから、当然、社会主義国の漁船団として配慮すべき問題ですし、私は、とるべき態度ではないと思うわけです。  この点について、六九年だったですか、私ども党としてソ連大使館に申し入れを行なってまいりました。また政府にも、何回かこの問題について抗議と要求を行なっています。今日まで数年たっているわけですけれども、いままで、この問題について政府が具体的にどのような処置をとってこられたのか。現在、非常に深刻な事態になっていますけれども、これまでの間、どういう処置をとってこられたのか、お聞きしたいと思います。
  365. 平井義徳

    平井説明員 四十四年の件につきましては、先ほど申し上げましたとおり、外務省を通じまして自粛を求めましたところ、短期間で、二、三日だったと思いますが、ソ連漁船団は帰りました。その後、四十六年から七年にかけて相当の数が参りました。たまたま四十七年に、ソ連のイシコフ漁業相が日本へ参りましたときに、日本の赤城農林大臣と会談をされまして、この問題は、何とかしなければいかぬということで、日ソの漁業専門家会議というものを開こうじゃないかということで、四十七年の十一月に、ソ連漁船の操業の問題につきまして、専門家による会議を開催いたしたわけでございます。  その会議でいろいろ論議されましたが、結果的には、問題を残したまま、第一回は十分な話し合いには至りませんで、さらに後日、また会議を開きたいという話になった次第でございます。その後、ことしになりまして、急激な被害の増加がございまして、われわれ水産庁といたしましては、被害の金額あるいはその場所、船名等がわかるものは記載いたしまして、その損害については賠償してほしいということで外務省、外交ルートを通じましてお願いをするべく申し入れを行なっているところでございます。
  366. 中路雅弘

    ○中路委員 いま水産庁のほうでは、外務省を通じてソ連のほうに申し入れをするということの要請のお話が出ていますが、この問題について、外務省のほうは、どのように具体的に処置されるのか、お考えをまずお聞きしたいと思います。
  367. 大和田渉

    ○大和田政府委員 ただいま水産庁側から御説明ございましたとおり、水産庁と外務省と密接に連絡をとりながら、具体的な被害状況、そのときの状況、つまりソ連船がどういうふうであったか、できるだけの情報を集めまして、その集めた情報に基づいてソ連側に申し入れをいたしております。  最近、ことしになりましての例といたしましては、二月十四日、三月十二日、三月十四日、三回に分けて先方に申し入れをしております。なお、きわめて最近、水産庁側から具体的な被害状況とあわせまして損害額の提示もございましたので、これもつい近々に申し入れる予定にしております。  以上でございます。
  368. 中路雅弘

    ○中路委員 この際、ちょっとお聞きしておきたいのですが、これは外務省の方のほうがいいと思うのですが、ことし六月に予定されている第三次の国連の海洋法問題の会議があります。ここで、わが国の漁業に非常にかかわり合いの深い重要な問題が検討されるわけですが、現在、ソ連やカナダをはじめ四十五カ国が、領海十二海里というのを設定しているわけですし、その他三海里の外側に九海里の漁業水域を設けるというような、これを含めますと、これが世界の大勢になっているわけです。  いままで日本政府は、領海三海里ということを主張されてきたわけですが、この海洋法の会議に臨むについての政府のお考え見解、この点について一言お聞きしたいと思います。
  369. 松永信雄

    ○松永政府委員 ただいま御指摘がございましたごとく、現在、日本政府といたしましては、現行の国際法のもとにおいては、領海は三海里であるという立場をとっております。しかしながら、非常に多くの国が、すでに十二海里ということを主張し、また、その制度を実施しているというのが現在の状況でございます。  そこで、そういう状況に照らしまして、政府といたしましては、来たる海洋法会議において、それが実定法として確定することになりますかどうかわかりませんけれども、近い将来におきまして、実定法として、国際的な条約によって領海が十二海里であるということが策定されました場合においては、十二海里の領海という制度を採用する所存でおります。
  370. 中路雅弘

    ○中路委員 これは七二年だったですか、すでに衆議院の本会議の田中総理の答弁にも、その方向は出ているわけですけれども、経済水域を含めて領海が広がる、これが世界の大勢だと思うのですが、こういうことになってきますと、国民の動物たん白をどうして確保するかという問題に関する沿岸漁業の役割りというのが、私は非常に大きいと思うわけです。  そういう点から、沿岸漁業に対してどういう対策をとっていくかという問題とも、今度の問題は深くかかわり合いのある問題ですが、現在、特に銭州漁場を中心にして、サバ漁業について日本は非常にきびしい自主的な規制措置をとられていると思うのですが、どういう措置がとられているかということも、この際、水産庁にお聞きしておきたい。
  371. 平井義徳

    平井説明員 ただいま御指摘がございました銭州の漁場と申しますのは、伊豆の沖になりまして、これはサバの産卵漁場として若干の浅瀬になっておる地域であります。この地域は、魚類の産卵場としては、非常に恵まれた地域でございますので、農林省といたしましては、その地域に、網漁法といいまして、非常に大量に一括してとれるような、そういう近代的な漁具は使用していけないということで禁止いたしております。したがいまして、こういうような産卵場というのは、農林省といたしましては、大事にしていかなければいかぬというふうに考えております。
  372. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほど、この問題でソ連政府にも要請をする、申し入れをするという外務省のお話ですが、いまお話しのような日本国内における規制措置、こういう問題について、どういう規制が行なわれているかということを、ソ連側にもよく知らせる必要がある。そして、その問題についての協力を求める努力をしなければならないと思うのです。公海上の問題ですが、安全操業やあるいは資源の保護という立場からも非常に重要な問題です。今度起きた被害の問題というだけではなくて、いまお話ししましたような問題について、外務省としてソ連政府と具体的な話をされる、そういう準備があるのか、お気持ちがあるのか、外務大臣に、この点について一言お聞きしたいと思います。
  373. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いま御指摘の問題は、公海上の操業でございまして、ソ連に退去を求めるすべはないわけでございます。また漁業条約から申しますと、サバは規制魚種にはなっていないということでございますので、いま御指摘のように、実情を詳しく訴えて、先方の理解を求めて、先方の自制を求める以外に当面、道はないと思うのであります。仰せのようなラインで、できるだけ詳しいデータと、それからわが国がどのようなくふうをみずからとりながら資源の確保につとめておるかという点について、精力的に理解を求めていく必要があると考えておりまして、そういうラインで措置したいと思います。  損害の問題につきましては、従来ケースもございまして、ソ連側に伝達いたしたわけでございますけれども、このほうも、いままでのところ、日本側の責任であるというようなところで、まだ見るべき反応を見ていないことは、非常に残念に思っておりますけれども、これも被害者側からデータが出てまいりますならば、それを整理の上、ソ連側に伝達して、考慮を求めることを考えております。
  374. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、さしあたっての問題として、いま要請しましたように、日本の国内にとられているいろいろな規制措置、これに対する協力を当然求める必要がありますけれども、先ほど十二海里の問題で御質問しましたように、ソ連も十二海里をとっているわけですし、世界の大勢になっているわけですから、少なくとも日本近海での漁業問題、この問題について、領海ないし漁業水域十二海里なら十二海里ということの設定の上で、操業の協定か何かを結ぶ必要が出てきているのではないかと思うわけです。  あるいは公海の問題ですけれども、これからの資源の活用という点でも、共同で科学的な調査もやらなければいけませんし、少なくとも共同の規制が必要になってきている、こういう点についても、きょうは意見だけ述べておきますけれども、急いで検討をされる必要があるというふうに考えるわけです。  それからもう一つ、この問題でお聞きしておきたいのですが、損害の賠償の問題をお話しになりましたけれども、いま被害を受けている皆さんの訴えを見ましても、すでに被害漁船が、漁獲が皆無で避航しているという事実ですね。幾つかあげられている訴えもありますけれども、漁業者にとっては非常に大きな問題な、漁具などを切られたりなんかしているわけです。  少なくとも、こういう問題について、日本政府としても責任があるわけですから、この損害補償の問題について、政府として具体的に要請されている問題について、やはり何らかの対策が必要ではないかというふうにも私は考えるわけですが、この点についてのお考えが具体的にありましたら、一言お聞かせ願いたいと思います。
  375. 平井義徳

    平井説明員 ただいま御指摘になりましたように、損害の問題については、なかなかむずかしい問題で、われわれといたしましては、よく実情を調査いたしまして、外務省とよく相談をいたしまして、ソ連のほうに賠償を請求するようにやっていきたいというふうに考えております。
  376. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの問題についても、ソ連のほうに賠償の要求をぶつけるというだけじゃなくて、政府として、この漁業者の被害の問題について、十分検討をしていただきたいということも、あわせて要請しておきたいと思います。  時間がおそくなっていますから、あと二、三問お聞きして終わりたいと思うのです。  アメリカ局長おられますから、これは、あちらこちらで同じような答弁をされている問題ですけれども、もう一言聞いておきたいのです。先日の三月二十五日に、第十回の安保運用協議会が開かれて、新聞記事によりますと、アメリカ側は、原子力潜水艦の入港の問題で、事実上いま中断をしておるわけですが、早期に放射能監視体制を整備してほしいと要望してきた、これに対して日本側は、現在の事情を説明しましたが、そのめどは示さなかったというような新聞記事が出ているわけです。アメリカ局長は、この会議に、久保防衛局長とともに出席のメンバーだと新聞に出ていますが、この安保運用協議会の原子力潜水艦船の入港問題についてのアメリカ政府との話のいきさつはどういう事情だったのか、お聞かせ願いたい。
  377. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 三月二十五日に第十回の安保運用協議会が開かれ、その席上で、安保条約の運用に関するもろもろの問題を話し合ったわけでございますが、その一つといたしまして、原潜の寄港の問題を話し合いました。その際、日本側は、かねて日本側で起きております状況、それに対してとられている措置、こういうふうなものを米側に通報をしてきたわけでありますけれども、二十五日の運用協議会の席上におきましても、最近の状況を米側に伝えたわけであります。米側といたしましては、かねて日本側からの通報によりまして、日本側の事情は十分心得ておるということであったわけでありますけれども、その運用協議会の席上におきましても、日本側の説明によって、新しい状況についてよく心得たということであったわけであります。  そこで、米側といたしましては、日本側の事情を心得、また米側の軍事計画との関連において、当然、深い関心を持っておるけれども、そういう点を踏まえて早く見当をつけたい、こういう考えの表明があったわけであります。
  378. 中路雅弘

    ○中路委員 この問題については、地元の横須賀市、神奈川県のほうでも、最近は監視体制の問題が国会の論議を通じて大きい問題になりましたし、私も横須賀については、二度ばかり直接基地内の施設も見てまいりました。別の機会に、この問題は御質問したいと思いますけれども、少なくとも地元の自治体を含めて新しい十分な監視体制が確立するまで寄港の中止を要請してきているわけですし、外務省としても、この問題について、もう少しはっきりとした要請をすべきじゃないか。  予算の総括質問その他におきましても、外務大臣は、入れるのは当然の権利なんだというたてまえで、そちらのほうからお話をされているわけですが、やはり国民の持っている不安、それから安全、そういったものを第一番に考えた場合に、当然、今日のような状態の中で、少なくともこの監視体制の問題が再確立するまで寄港の受け入れの中止を要請するのは、日本の外務大臣として当然なことではないか。もう少しこの問題ではっきりとものが言えないのかということを思うわけですけれども、いまもその点では、まだちょっと歯切れの悪いような、アメリカに事情を説明して、アメリカも了承しているらしいというような範囲の言い方ですが、もう一言、外務大臣に御見解をお聞きしておきたい。
  379. 大平正芳

    ○大平国務大臣 アメリカの原潜が入っているのは、日本ばかりでございませんで、多くの国に入っております。しかし問題を起こしたところはございません。  それから、アメリカの原潜が入るにつきましては、アメリカ側が安全につきまして、いろいろな措置を講じておるわけでございまして、したがいまして、私は、第一義的に申しますと、この状態で原潜が入りましても、別段問題はないのではないかと考えております。日本は、しかしほかの国と違いまして、たいへん念が入ったわが国自体の監視体制の整備をいたしましてやっておるということ、そのこと自体、日本政府として念には念を入れて安全を確保しようというわけでございますから、その政策はけっこうだと思うわけでございますが、そのデータの分析の一部に不備があったということで、いま問題が起こっておるという、そういう事態を踏まえて原潜の入港について中止をしてもらいたいと言うまでの私は勇気はないのです、正直言って。ただ事情は、たびたび申し上げておりますように、アメリカ側には、十分インフォームしておかなければいかぬし、逐一、丁寧にインフォームいたしておりますし、いままで私が報告を受けておる限りにおきましては、アメリカ側もよく理解しておるようでございまして、この状態で私に不満は別にありません。
  380. 中路雅弘

    ○中路委員 この問題は、またあらためて別の機会に、科学技術庁その他にも私、御質問したいと思いますので、これで終わりますけれども、一言お話ししておきますと、私も初めて横須賀の米軍基地内にこの前入りまして、監視ポストというのも見ましたけれども、私たちの不破書記局長が要求しておりました中で、第二号ポストというのが、資料を全く出さなかったところがあるんですね、四つのポストのうち。それは、なぜ資料を出さなかったかというと、動いていなかったという説明であったのですが、私が現に行って確認しますと、動いていた。どうして資料を出さなかったかといえば、これは故障がちで正確なデータが出せなかったからという、当日、一緒に行った科学技術庁の皆さん説明だった。そして、いままでの資料を全部出してみましたら、故障で動いていなかった時期に七隻も原潜が入っているという期間もあります。  分析研の問題だけではなくて、全体の監視体制について、根本的にいま検討しなければいけない時期にあるわけですけれども、こういう時点で、なおアメリカについてはっきりものを言う——いま外務大臣は勇気がないとおっしゃいましたけれども、こういう点については、私たちは強く抗議をしたいと思いますが、あらためてこの問題について、別の機会に御質問したいと思います。  もう一つだけ念を押しておきますが、たとえばいま原潜が東京沖合いに入ってきていて、病人などを、あるいは物資の補給ですか、病人などをヘリコプターで運んだというようなことは、御存じないですか、ありませんか、一言だけお聞きしておきます。
  381. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 その事実を承知いたしておりません。
  382. 中路雅弘

    ○中路委員 原潜問題は、また別の機会にお聞きしたいと思います。あとせっかくお見えになっていますので、時間がないので、きょうは、この問題で事情だけ聞いて終わりたいと思うのですが、一、二問、防衛駐在官の問題です。  これは外務省に身分はなっていますけれども、防衛駐在官は、防衛庁のほうで、だれをどこへ送るかということはきめられているのではないかと思いますので、お聞きしておきたいのですが、現在、防衛駐在官というのが何名おられて、どこの国に駐在をされているかというのを、まず簡単にお聞きしたいと思います。
  383. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 現在の防衛駐在官の派遣先でございますけれども、アメリカ大使館に現在五名でございます。来年度の予算において、アメリカ大使館一名の要求をしております。インド大使館一名、ベトナム大使館一名、インドネシア大使館一名、カンボジア大使館一名、タイ大使館一名、それからビルマ大使館一名、韓国大使館二名、香港総領事館一名、フランス大使館一名、ベルギー大使館一名、ソ連大使館三名、トルコ大使館一名、ドイツ大使館一名、英国大使館一名、計二十三名になっております。
  384. 中路雅弘

    ○中路委員 この防衛駐在官の防衛庁における、一佐とかいろいろありますね、いわゆる階級ですか、それと、どこのだれということでなくていいのですが、全体二十三名のうち、たとえば一佐が何名とか、そういう点でけっこうですが、簡単に教えていただきたい。
  385. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 陸将補、これは一名でございます。それ以外は全部一佐でございます。
  386. 中路雅弘

    ○中路委員 この防衛駐在官は、いま身分は外務省になっていると思うのですが、防衛駐在官として、これも簡単にきょうお聞きしておきたいのですが、どんな任務を持っているのか、現地において防衛駐在官の主としてやっている仕事ですね、これは、どういったものがあるのか。あるいは外交官という地位が確保されていますが、たとえば韓国なんかに駐在している防衛駐在官ですね、これを含めて、各国の軍事関係の機関との間のいろいろ接触、情報交換、交流、そういったものが含まれているのではないかと思うのですが、どういう任務を持って活動しているのか、簡単にお話し願いたい。
  387. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 防衛駐在官も、外務省の外交官の地位を得まして在外しているわけでございますので、外務大臣の指揮のもとに任国の情勢の把握をおもな任務としております。主として政治情勢の把握でございますけれども、政治に影響を与えるような軍事情勢の把握もしているわけでございます。  そのほか、いま御指摘のありました任国の防衛関係との接触とか、あるいはその任国におきますほかの防衛駐在官とのつき合いというものも、任国によって許される限りしているわけでございます。
  388. 中路雅弘

    ○中路委員 きょうは、時間もおそくなっていますから、この問題はあらためて別の機会に御質問したいと思いますが、終わりに、もし、いまわかれば教えていただきたいし、それでなければ、あとで資料か何かで出していただきたいのですが、いまの二十三名の防衛駐在官の出身の部隊、たとえば調査隊とかいろいろあると思うのですが、部隊はわかりますか。
  389. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 陸海空の別はわかります。
  390. 中路雅弘

    ○中路委員 部隊はまだ……。
  391. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 部隊はわかっておりません。
  392. 中路雅弘

    ○中路委員 これは人数もそう多くないですから、調べていただければわかると思うのですが、あとで資料で出していただけますか。
  393. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 提出いたします。
  394. 中路雅弘

    ○中路委員 それでは、きょうは、これで終わります。
  395. 徳安實藏

    徳安委員長 旗野進一君。
  396. 旗野進一

    ○旗野委員 時間も経過いたしておりますが、せっかくの機会でありますので、大陸における遺骨収集並びに墓参の実現の問題について、二、三の点をお尋ねいたしたいと思うのであります。  厚生省の調査資料によりますと、すでに海外の戦没者遺家族の遺骨収集の状態は、北朝鮮と旧満州国の二つにしぼられております。そこで、共産圏の地域でありますが、いままで日中の国交回復が至らなかったのを、幸い、大平外務大臣が国交回復の取りきめをなされて、約一年余を経過いたしておるわけであります。外交の重要案件がたくさんあるわけでございますし、しかも相手方のあることでありますが、特にこの遺骨の収集あるいは墓参というような問題になりますと、人道上の問題ではあるかもしれませんけれども、やはり国益の重点的な問題でもあろうかと思うのです。  したがって、せめて墓参程度のものは、実現をさしていただくということになれば、大体、いつの時点に行なわれることになるであろうか、もちろん、これは相手方があることでありますから、容易ならない問題であろうかと思いますが、その点について、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  397. 大和田渉

    ○大和田政府委員 ソ連関係の墓参及び遺骨収集の問題について御説明申し上げます。  ソ連関係の墓参につきましては、昭和三十六年以来、ソ連本土、樺太及び北方領土につきまして実施いたしております。ただ問題は、昭和四十六年以降、外国人立ち入り禁止地域であるという理由で、北方領土への墓参を認めない態度を示しております。昨年の秋、総理が訪ソされましたとき、総理から直接この問題を、ブレジネフ書記長に提起されまして、結果といたしましては、ソ連側としても、注意をもって検討する用意があるという回答をもらっております。  四十九年度につきましては、いま厚生省でおまとめになっている計画を、われわれ待っておりますが、それが参り次第、ソ連側に対して墓参の実現することを申し入れる予定にしております。  それから、遺骨収集の問題でございますが、現在までのところ、ソ連関係では、そういう御希望がまだ来ておりません。もし、そういう御希望がおありの場合には、厚生省がまとめまして、外務省に連絡してまいると思います。その時点で十分検討したい、こう考えております。
  398. 旗野進一

    ○旗野委員 外務省としては、いろいろ実務協定もたくさんあることでありましょうから、この問題等について、何かお話し合いがいままでなされたことがあったかどうか、その点をひとつ……。
  399. 高島益郎

    ○高島政府委員 中国関係の遺骨あるいはお墓のことにつきまして、御説明いたしておりませんので、簡単に御説明させていただきたいと思います。  厚生省の調査によりますと、中国の東北地区におきまして、軍民合わせて約二十五万人の戦没者がいたということでございます。その遺骨は、大部分未処理のままとなっておりまして、また雲南省におきましても、約四千人の戦没者の遺骨が未処理のままになっておるというふうに伺っております。  それから現在、中国に日本人墓地があるという話は聞いておりません。厚生省援護局におきましては、終戦後引き揚げました邦人の報告に基づきまして、中国の東北地方のみにつきまして、日本人墓地六十九カ所の資料を作成しておりますけれども、これらの墓地は、終戦当時と異なりまして、現在はたして墓地として保存されているかどうかわからない状況でございます。そういう状況でございまして、何ぶん現在、中国の国内を自由に旅行できないというような事情もございまして、過去の日本人墓地所在地の状況を、直接確認するということはなかなか困難ではございますけれども、政府といたしましては、今後とも可能な範囲で、そういう状況の把握につとめたいというふうに考えております。
  400. 旗野進一

    ○旗野委員 そこで、お願いをしたいことは、講和条約締結前において、ひとつこの墓参というようなことを認めていただくように、実務折衝の過程の中でできますことならば、実現方をはかっていただきたい、こういうことを御要望申し上げましで、私の質問を終わります。
  401. 中山正暉

    中山(正)委員 一つだけ関連して。  ことのついでといっては恐縮ですが、きのうも、ある人に会いましたら、ソビエトで抑留をされておるときに、最初の冬、一万五千名行った中で七千五百名死んだ、初めのうちは一人ずつ埋めて、そして名前を書かしてくれないので、四角いくいに番号だけ書いて埋めておったが、もうどんどん栄養失調で死んでいくので、最後にはふんどしまではがして、そういうものが貴重だったから、ふんどしまではがして裸で泥みたいなところに、折り重ねて埋めてきたという話を聞いたのでございますが、抑留されておられた方々で、犠牲になられた方々の実数かわかっておりましたら——たしか抑留された方々は、軍人軍属五十一万と聞いております。その中で犠牲になられた方々、これは向こうが発表しているのかしていないのか、はっきり知らないのですが、その数と、それからこの間、総理がいらしたときに、まだ行くえ不明がたしか三千三百名というふうに私、記憶しております。私、ビノグラードフさんとその話をしたことがあるのですが、三千数百名行くえ不明と聞いておりますので、引き揚げ者でどのくらい帰ってこられて、外務省でおわかりにならないかもわかりませんが、犠牲になった方の推定がどのくらいで、あと行くえ不明の方がどのくらいおられるのか、それから、その犠牲になった方々の墓地がどのくらい判明しているか、そのようなことについて、もし御存じでしたら、ちょっと教えてください。
  402. 大和田渉

    ○大和田政府委員 ソ連関係で、ソ連本土に抑留されました総数は、約五十七万五千名でございます。そのうち現在まで帰還しました者は、約四十七万四千名、さらに死亡したと認められる者、約五万二千七百名でございます。その他病弱のため、その他の理由で、ソ連に入ったあとで、満州、北鮮等に送り込まれ、あるいは戦犯として中国側に引き渡されたという方々の推定数字は、約四万四千名でございます。  なお、御参考までに申し上げますと、敗戦時に樺太、千島にいた邦人の総数は、約四十六万三千名でございまして、現在まで帰還したのは約三十八万三千名でございます。死亡したと認められます者は、アリューシャン群島を含めまして約二万四千四百名、それから終戦後、ソ連本土へ送られたと見られる者が約六万名でございます。  いま御指摘のように、終戦時にかなりの混乱がございまして、そのために、抑留者数あるいは死亡者数というのが、必ずしも正確に把握できないという面がございますのは残念でございますが、死亡者の総数、推定数字が七万七千百名になっております。なお、昨年総理が訪ソされましたときに、いわゆる未帰還邦人で帰国を希望している者ということで、先方と折衝されましたが、現在、抑留されております推定数字が七百二十九名、家族を含めますと約三千五百名でございます。その中ではっきり帰国を希望しているということが判明いたしましたのは百五名、家族を含めますと四百八名でございます。  以上でございます。
  403. 中山正暉

    中山(正)委員 ありがとうございました。  外務大臣に、一つお願いをしておきたいと思いますが、以上のような方々がおられますので、外交折衝の中で、そういう御遺族の方々がお墓参りができましたり、お帰りになりたいとおっしゃる方々がお帰りになれるように御配慮をお願いして、質問を終わります。
  404. 徳安實藏

    徳安委員長 次回は明後四日木曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時二十三分散会