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大出委員 申し上げるわけにいかないということになると、
日本政府との間の
合意が、そのとおり行なわれていないという疑いを持たざるを得ぬですね。そこを念を押しておきます。
さて
合意でございますけれ
ども、私は、この
合意を厳密に解すべきであるという気持ちでおります。これは何枚もございますから、差し上げてもいいんですけれ
ども、念のためにこれを読んでおきます。一九七二年の十一月二日、これは大平
外務大臣が
閣議で、次の諸点を
日米合意事項として
報告をした、こういう中身であります。つまり
閣議に大平
外務大臣が
報告をした、一九七二年十一月二日、あの戦車の騒ぎのあとであります。
合意の中身を
報告したのですから、これは明らかに
閣議が了解をしている事項でございましょう。私は、これで片がついたという理解を実はしたのであります。ところが、この中身を見ますと、これは厳密に言うと、いまやっていることは、全部しり抜けで、みんなでたらめで、全くもってけしからぬという気が実はするのであります。これは黙っておけない筋合いであります。
そこで申し上げますが、「一、九月十二日の
閣議了解は、
相模補給廠の戦車の
修理機能のみを
縮小ないし機能停止の検討対象としていたが、そのほか自走砲、兵員輸送車などの
戦闘車両全部についても、
修理機能の
縮小をはかる。」、これが
日米合意事項の第一項であります。M48等の戦車のみでない、自走砲
——自走砲も実際には戦車でありますが……。それから兵員輸送車M113等を含めまして
修理機能の
縮小をはかるのだ、これが第一であります。二番目に、「同
補給廠の
修理は継続するが、新規の
搬入は原則として停止する。」「原則として」とあります。停止が本筋でありまして、たまに例外があり得るかもしらぬ、これが正当な理解でございましょう。三番目、「
修理ずみの
車両搬出を終えた段階で、
戦闘車両の
修理機能は大幅に
縮小する。」、あの中にたくさんありましたが、これを運んじゃったら大幅に
縮小する。これが三番目。四番目、「現在計画されている
戦闘車両の
搬出後は、原則として
ベトナムへ
搬出されることはない。」、これも、ごくまれに例外があるとしても、
ベトナムに行くことはない。これが四番目であります。五番目、「これらの
措置と関連して、関東
地域の経済的、社会的発展にかんがみ、この
地域に多くの米軍
施設、
区域が存在するのは問題なので、その整理統合を検討する。」、こうなっておるわけです。
この五つの項目を、
閣議に
日米の
合意事項であるとして七二年の十一月二日に、大平
外務大臣が
報告をし、了承をされた、こうなっておるわけであります。私は、一つ間違うと、どうも自衛隊が入って来かねないという気がする、これはあとから承りますが。その以前に、この五つの項目が守られていない。これ全くもってけしからぬというふうに思っておりますが、証拠をここに提示をいたします。
委員長、この資料をちょっと差し上げたいのでありますが、御許可をいただきたい、米国の
修理計画でございますから、したがって、お持ちいただいて
説明しませんとわかりませんので。
——このいま差し上げました、英語で書いてありますこれについて指摘をいたします。
「FY−七四」
——「七四会計年度」というわけであります。「コンバット・ビークル・プログラム」、つまり「
戦闘車両修理計画」であります。これ実は、私は原文をいただきまして、原文を持ってまいりますと、いろいろめんどうなことになりますから、これは私がリコピーしたのであります。したがって、全くそのものずばりの写しであります。
仕向け先は、
大河原さん、おわかりにならぬとおっしゃるが、これはカスタマー、お得意さんでございますが、通常カスタマー、これは
仕向け先、仕向け地といっている。
さて、この仕向け地を見ていただけばわかりますが、上から七、八番目のところに「RVN」、「リパブリック・
ベトナム」であります。「
ベトナム国軍」と、旧来こういう書き方をしておるのでありますが、
ベトナム国軍
——南
ベトナム共和国、そこの軍隊。これは前のときに、私、こまかく申し上げましたから、それ以上申し上げません。これは見ていただけばわかりますように「RVN
——ベトナム国軍」、ここに二台。このM106
——M106というのは、あとから差し上げましたこの資料の下の
説明を見ていただけば、こちら流に訳してございますが、M106と申しますのは、
戦闘車両でございまして、
戦闘車両といっても、実は戦車のようなものであります。百七ミリの自走砲を載っけている。百七ミリというのは大きなものです。日本の戦車にいたしましても、61式は百五ミリ砲でございます。61式というのは、現在の型は三十五トン、改型で三十七トンぐらいになりますが、あれに載っけている砲が百五ミリ砲であります。日本の自衛隊の中型戦車61式よりも、大きな砲を載せている
戦闘車両でございまして、明らかにM106というのは戦車であります。中型戦車より大きいのでありますから。
ここから始まりましてずっと「RVN」、これは幾つもあります。M106が上に二つありますが、さらにその下のほうになりますと、M113A1、M113A1というふうにこう並んでおりまして、ここに三台ございます。それからM548が十二台もある。このM548というのは、装甲貨物輸送車であります。さらにその下のほうに参りますとM125A1、これもここに
説明してありますが、M125A1は八十一ミリの砲を載っけている自走砲車、明らかに戦車であります。ずっとお読みいただきますと、
仕向け先が
ベトナムになっているものがたくさんあります。
もう一つだけ触れておきますが、M132A1、そのあとにXM806と書いてあるのがあります。このXM806というのは、何かというと牽引車で、M132A1というのは、火炎放射器が載っかっている装甲車。
戦闘車両といったって、これはたいへんなものであります。全部ずらりとある。そして、これらの
車両は、一番てっぺんは第八軍、韓国であります。次は第八軍の予備軍、その次に「OPPROJ」と書いてあるのがありますが、これは沖繩の牧港であります。「CONUS」、これは米本土であります。これをずっと見ていただくと、合計四百八十一両になる。これが「FY−七四」、つまり七四会計年度の
修理計画であります。
そして、特に問題は、M48にかかわるものが、その下にいろいろある。二番目の、「FY−七四
CVAP」と書いてありますが、これは「コンバット・ビークル・アーチクル・パーツ」、こういうことでございまして、つまり言うならば、ここにちょっと日本字で入れてありますが、「戦闘車動力部門」、訳せばこういうことになります。それで、この動力部門の中に、実は驚くべきことがある。M48戦車のエンジン「RVN」五十、これはM48の姿が形になって出てきませんけれ
ども、エンジンはちゃんとこの
修理計画の中で、
ベトナムに送られるようにできている。しかも、これはエンジンだけじゃない。その下に「T/M M48A3」とある。このT/Mというのは何かというと、おたくのほうに英語の略号の辞書がございますが、それで引いてみますと、タンク、その次はマシンが入りましてガン、つまり「タンク・マシン・ガン」、これがT/Mであります。だから、戦車用機関銃であります。先ほどの日本の戦車でも、三十五トンの61式は百五ミリの砲を載っけておりますが、言うならば戦車マシンガンというわけです。それが二十、これも「RVN」
ベトナム行きであります。
それから、その下のほうをずっと見ていただきますとわかりますが、「Diff M113A1」、このDiff、差動ブレーキという用語を使ったのがあります。そして、その下を見ますとコンピューターM48A3、「RVN」に二十一、
ベトナム行きであります。その下にレインジファインダー、戦車なんかののぞき窓であります。これも二十一あります。コンピューターM48とレインジファインダーM48、これが同数。
つまりM48は
修理をしない、運ばないということが
合意されているが、この
合意されているM48を、ぶっこわして、エンジンはエンジン、載っかる砲は砲、ファインダーはファインダー、コンピューターを使っておりますが、コンピューターはコンピューターというふうに別々に
修理して「RVN」、全部仕向け地は
ベトナムじゃないですか。そこに差し上げました一九七二年十一月二日の
日米合意事項の
閣議報告、これじゃ、まるっきりペテンにかかったもいいところじゃないですか。「原則として」と書いてあるといったって、原則が、五十台も六十台もこんなに行かなければならぬことはない。M113を入れれば四百八十一台ある。四百八十一台が例外なんてばかなことはないでしょう。ここに書いてあるのは、M113もあわせて機能を
縮小すると書いてある。戦争が終わったら
ベトナムにやらないといっている。原則というのは、ごくわずかに、あればあるということになるわけであります。
もう一点、立ったついでですから申し上げておきますが、そこにカンボジアがあるというのはどういうわけですか。さっき申し上げました「FY−七四」
——「コンバット・ビークル・プログラム」、この中にカンボジアがございます。XM806E1、カンボジアに片や一台、片や六台。つまり、カンボジアまで
車両運送などをするとなると、カンボジアに武器を持っていくということは、一体どうなっているのかという、そこまでさかのぼって
考えてみなければいかぬ問題になるというふうに私は思います。カンボジアに武器を輸送することは、停戦
協定のときに禁ぜられているはずであります。
したがって、そこらのことをあわせまして、
閣議決定は一体何をやったのだ、仕向け地は明確に
ベトナムになっている、ここらの点を、一体どういうふうに御解釈でございますか。