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1974-03-08 第72回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月八日(金曜日)     午前十一時三十三分開議  出席委員    委員長代理理事 中山 正暉君   理事 加藤 陽三君 理事 小宮山重四郎君    理事 野呂 恭一君 理事 服部 安司君    理事 上原 康助君 理事 大出  俊君    理事 中路 雅弘君       赤城 宗徳君    大石 千八君       笠岡  喬君    藤尾 正行君       吉永 治市君    鬼木 勝利君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         法務大臣官房長 香川 保一君         法務省矯正局長 長島  敦君         法務省入国管理         局長      影井 梅夫君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  正田 泰央君         法務大臣官房秘         書課長     豊島英次郎君         法務省民事局第         一課長     廣木 重喜君         法務省矯正局総         務課長     米田  昭君         外務省アジア局         外務参事官   中江 要介君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   横路 孝弘君     八木 一男君 同日  辞任         補欠選任   八木 一男君     横路 孝弘君 同月八日  辞任         補欠選任   木下 元二君     中川利三郎君   受田 新吉君     安里積千代君 同日  辞任         補欠選任   中川利三郎君     木下 元二君      ————◇————— 本日の会議に付した案件  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一七号)      ————◇—————
  2. 中山正暉

    中山(正)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため出席できませんので、指名により私が委員長の職務を行ないます。  法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野呂恭一君。
  3. 野呂恭一

    野呂委員 今国会におきます法務省設置法改正点は三つでございますが、そのうち二点についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、東京法務局民事行政部を、第一部と第二部に分割して、所掌事務処理体制整備しようという法律でございます。提案の理由によりますと、東京法務局民事行政部におきまして、登記事務をはじめとしてこれらの事務量増大をし、かつ複雑多様化状態でございまして、これに対処する事務処理体制整備の必要があるのだということでございます。もちろん、これらの事務は、国民社会経済活動をささえる基本的なものでございまして、とりわけ登記事務は、社会経済情勢に対応して、量的にも質的にも大きな変化を持ってきておるときでありますから、その責任ある処理体制の樹立が必要なことは言うまでもないと思います。  まず、そういう意味でお伺いいたしたいことは、東京法務局民事行政第一部と民事行政第二部を設置する理由を、この際明確にしていただきたい。
  4. 香川保一

    香川政府委員 所管の民事局長が、衆議院の法務委員会に商法の関係出席をいたしておりますので、御了承を得まして私から御答弁申し上げます。  東京法務局のみならず、法務局はちょっと裁判所検察庁機構と違っておりまして、裁判所検察庁ですと、東京東京高等裁判所があり、そして、その下に東京地方裁判所検察庁東京高等検察庁があり、東京地方検察庁があるわけでございますけれども、法務局は、ちょっとそれと変わっておりまして、つまり東京都の地方法務局仕事と、東京ブロック全体の、管内の管理監督事務をあわせてやっておるというふうな特殊性があるわけであります。  これを前提としてお考えいただきたいと思うのでありますが、東京法務局の現在の民事行政部では、御承知のとおり登記事務のみならず、戸籍供託国籍、それから司法書士土地家屋調査士、そういった業務をやっておるわけであります。その業務は、まさに実施部門と申しますか、一線の事務東京ブロック全体の管理監督事務をあわせて民事行政部でやっておる、こういう機構になっておるわけであります。ところが、東京法務局ブロックで申しますと、登記事件について考えますと、甲号事件におきまして、全国の約四割近い量になっておりますし、乙号事件で申しましても、四割近くなっておる、かように事務量が非常に膨大であるのみならず、東京都自身での、つまり直轄的な実施部門事務量もきわめて多数を占めておる、こういうふうな状況にあるわけであります。  御案内のとおり、今後、東京ブロック登記事務は、ますますふえてまいります。それと同じように戸籍供託その他の民事行政部門事務量も、増大の一途をたどっておるという関係にあるわけであります。したがって、特に東京ブロックにおける管理監督事務及び直轄東京都における実施部門としての登記事務充実をはかるということから申しますと、現在のような民事行政部でもって登記のみならず、戸籍供託その他の事務を一切やるということは、相当無理があり、管理監督事務処理が十分なされてないうらみがあるわけでございます。  さような趣旨から、特に東京法務局につきまして、今回、登記部門管理監督する民事行政第一部を設け、その余の戸籍供託等民事行政事務管理監督する第二部を設けさせていただきたい、かような趣旨でございます。
  5. 野呂恭一

    野呂委員 一番問題になりますのは、登記事務増加であり、しかも内容につきましても、ますます複雑多様化傾向にあるわけですが、その登記事務の具体的な件数が、一体どのような増加示しておるか、また、その内容について、一般的な動向がどういうふうになっているか、これは、ひとつ課長さんのほうから御説明願いたいと思います。
  6. 廣木重喜

    廣木説明員 廣木でございます。  ただいま登記事件増大傾向ということをお尋ねでございますので、私から、たいへん大まかな数字でございますが申し上げますと、ちょうど十年前の昭和三十九年と昭和四十八年とを比較いたしますと、登記甲号事件及び乙号事件合計いたしまして二・九九倍、ちょうど約三倍になろうかと思います。  その内訳でございますけれども、登記甲号事件と申しますのは、所有権の移転とか抵当権設定登記とか、そういうような登記簿に記入を要する事件を、登記甲号事件と申しておりますが、その十年間の比較をいたしますと、昭和三十九年が千百九十四万件でありまして、四十八年は推定で二千二百七十三万件、上昇率で申しますと一九〇ということになります。  それから、登記乙号事件と申しますのは、謄抄本の交付あるいは閲覧、すなわち登記簿に記入するということのない事件でございますが、それが三十九年には七千七百四十六万件でありましたのが、現在は推定で二億四千四百六十二万件、このほうは上昇率で三一六というふうになっております。  以上でございます。
  7. 野呂恭一

    野呂委員 そこで、東京法務局、これは全国比較して登記あるいは戸籍供託国籍事務件数が、どういう位置づけになっておるか。大体、十年ぐらいの動きについて、おわかりであったらお伺いしたいと思います。
  8. 廣木重喜

    廣木説明員 登記事件につきまして、東京法務局関係を申しますと、昭和三十七年と四十七年の比較しか、ここには持ってきておりませんので、お許しをいただきたいと思いますが、甲号事件東京法務局では三十七年に七十九万件、それから四十七年に百六十七万件、比率で申しますと二一二ということになります。  それから、乙号事件では、三十七年に六百四十八万件、四十七年に二千五百三十四万件、三九一。したがいまして、甲号については、東京全国平均ほぼ同様でございますが、乙号については、全国で三七九の比率に対しまして、東京が三九一と著しく増加しております。  次に、戸籍国籍事件比較でございますけれども、戸籍届け出事件数が三十七年では六十六万件、四十七年では八十万件、比率で一二一でございます。  それから、帰化と申しまして、外国人が日本人に帰化をする申請件数事件で、これは国籍課が担当して処理しておるわけでございますが、三十七年に東京法務局で四百五十件にしかすぎませんでしたが、四十七年は八百九十九の比率で四千四十四件と非常に伸びておるわけであります。  これを全国比率比較しますと、戸籍届け出事件数は、大体、全国並みでございますけれども、帰化事件につきましては、全国が十年間の比率が六一二に対しまして八九九——九〇〇という数字で、約五割増しということが言えようかと思います。  次に、供託事件につきましては、これは受け入れと、それから払い渡しと別々の件数になりますけれども、受け入れで申しますと、三十七年は十五万五千五百三十四件、四十七年が二十一万件、一三八という比率でございます。払い渡しは十一万件に対しまして十七万件、一五三の比率でございます。全国で申しますと、大体この受け入れ払い渡し比率は、若干、全国平均よりも東京が下回っているという程度でございますけれども、供託事件につきましては、その地域住宅事情による家賃、地代の供託という案件が、おもなパーセントを占めておりますので、そういう点の差が、ここに出てきておるのではないかと思っております。
  9. 野呂恭一

    野呂委員 そこで、もう一つ問題になりますのは、同じ建物の中に日本橋出張所というのがあるようであります。今度新設される民事行政第一部に、これを吸収しようというのですが、この日本橋出張所というのは、他の出張所と違っておって、商業法人あるいは企業担保権に関する登記事務だけを取り扱っている、いわば変則的な事務所でありますが、こういう事務所は、ほかに全国どこかありますか。
  10. 廣木重喜

    廣木説明員 日本橋出張所の沿革から若干触れて、いまのにお答えいたしたいと思いますが、日本橋出張所は、昭和十五年に、東京裁判所日本橋出張所ということで兜町にできたのでございますが、当時、この地元証券取引所その他の御要望で、商業法人登記を中心にした東京中央商業法人登記所と呼ばれる登記所をつくってほしいということで裁判所の中にできたのでございます。  そういういきさつから、東京法務局が、昭和二十二年に、裁判所から司法事務局として分かれて発足いたしまして、その際に、そのまま引き継いで日本橋出張所ということで来ておりましたが、昭和四十六年十月に、現在の行政合同第三号館というのが大手町にできまして、その際に、法務局とそれから日本橋出張所が第三号館の三階、四階に入ったのでございます。  それまでは、どうしておったかと申しますと、築地の元海軍経理学校建物を仮庁舎にして、そこに入っておったわけですけれども、そのときも法務局とそれから日本橋出張所は別の建物で執務しておったわけです。それが、四十六年に第三合同庁舎に入った際に、全く一緒になりまして、三階に日本橋出張所、それから東京法務局民事行政部登記課が同じフロアにつながって入っておるわけであります。したがって、申請人から申しますと、法人登記のほうで資格証明を、印鑑証明をもらって、すぐ隣の不動産登記申請書に使えると、非常に便利になってまいりました。そのように事務の流れ、あるいは仕事の外から見たところでは、全く東京法務局の中で法人登記不動産登記が動いておるという実態があるにもかかわりませず、組織、機構的には日本橋出張所、これが大手町にありながら、日本橋という名称をそのまままだ持ってきておるわけであります。  ところが、他の、先ほど官房長の言われました管区法務局というのは、どうなっておるかと申しますと、いずれも民事行政部の中に登記課戸籍課供託課というのがありまして、その登記課の中で不動産登記法人登記を一諸にやっておるわけでございます。ただ、大阪だけが、法人登記課というのが不動産登記課のほかにございますが、仕事の面では、先ほどの東京と同じように、全く一緒にやっておるという実情でございます。したがって、東京だけが非常に変則的な形で現在執務しているという状態でございます。
  11. 野呂恭一

    野呂委員 そこで、昭和三十七年と四十七年の事件件数を、東京全国比較したのでありますが、登記事件は、全国で三・五四倍、東京法務局では三・七一倍。若干、東京法務局のほうが上回っておるわけでございます。戸籍事件におきましては、全国は一・二二倍、東京法務局は一・二一倍ということでございまして、これは、むしろ全国倍率が若干高いということになります。国籍事件では、これは比較的に東京法務局件数が多いということになるわけでございます。供託事件については、全国では一・六〇倍、東京法務局では一・四四倍。これは、むしろ全国のほうが多いということになるわけであります。  そうなりますと、大阪法務局その他の民事行政部の中において、東京と同じように、将来二部に分割する必要が起こってくるのかどうか、この点についてお伺いをいたしておきたいと思います。
  12. 香川保一

    香川政府委員 三十七年と四十七年の事件比較は、いま野呂委員示しのとおりでございますが、絶対数におきまして、東京法務局直轄及び東京ブロック事件は、大阪法務局直轄あるいは大阪ブロック事件数よりははるかに多いわけでございます。したがいまして、ただいまのところ、大阪法務局関係事件数から見ますと、直ちに東京と同様に、民事行政一部、二部を設ける必要はさほどないというふうに考えておりますが、将来、大阪関係におきましても、事件増大が見込まれますので、民事行政部だけで管理監督事務が十分でないということになってまいりますれば、関係当局にお願いいたしまして、一部、二部に分轄するというふうなことも考えられると思います。
  13. 野呂恭一

    野呂委員 大阪法務局あたり、そういう具体的な声はいま出ていないのですか。
  14. 香川保一

    香川政府委員 これは、率直に申し上げまして、全国的に各法務局におきましては、できるだけ早く一部、二部にしてもらいたい、つまり登記部門を所掌するのとそれ以外の民事行政部門を所掌するのを分けないと、なかなか十分な行政効果があがらないというような要望はございますけれども、何ぶん機構新設でございますので、やはり実質的に見まして、逐次実施していくということが適当かと、かように考えております。
  15. 野呂恭一

    野呂委員 やはり一番問題は、登記事務が逐年増大をしつつあるということでございますが、それに対処する方策として、まず登記事務に携わる事務職員増員問題が毎国会いろいろ問題になるわけでございます。たとえば先ほどお示しになりました昭和三十七年と昭和四十七年とを比較いたしましても、すでに三倍増ということに相なっておるわけでございます。これに対応する方策として、それならば職員増員は、昭和三十七年に対して昭和四十七年はどういう倍率になっておるか。
  16. 廣木重喜

    廣木説明員 登記事務に従事しております職員の三十七年と現在までの比較ということでございますけれども、ちょっと数字が食い違いますが、三十九年と四十八年と比較した表で申しますと、三十九年には登記従事職員が九千九百九十七人、約一万人でございましたが、四十八年では一万一千百五十人、比率で申しますと一一二、すなわち一二%の増にしかなっておりません。
  17. 野呂恭一

    野呂委員 私の資料によると、昭和四十五年に対する四十七年の事件数上昇率は二・七三、これに対して人員のほうの上昇率は一・一〇になっておるのでありますが、まあ、いずれにしても、それに伴う職員増加という対策が十分立てられていないことになるわけでありまして、四十九年度におけるこの登記事務に携わる事務職員純増は、予算の上で一体どれだけにきまったのか。
  18. 廣木重喜

    廣木説明員 四十九年度の増員につきましては、法務局職員について三百三十七という増員をいただいたわけでございますが、定員削減によって百五十七という削減がかぶってまいりますので、純増は百八十というふうに予定されております。
  19. 野呂恭一

    野呂委員 事務量増加に対して人員増加ということが、連れ添ってないということに大きな欠陥があるわけだと思うのでありますが、このことは総定員法のワクで縛られているというところに問題があるわけでございます。ことに登記所整理統合を進めていく上におきましても、特別の配慮がはかられるべきであることは言うまでもありません。  きょうは行管の方がいらっしゃるわけでございますが、この登記所人員増加の問題に対してどういうお考えであるか、この際承りたいと思います。
  20. 正田泰央

    正田説明員 登記所増員の問題でございますが、いま先生お話がございましたように、法務省のほうでも、例年、登記所増員問題が最重点事項になっておりまして、私どものほうといたしましても、諸般の社会情勢から見まして、確かに法務省定員問題では、登記関係行政需要に対応する定員が一番重要だというふうに認識いたしております。一方、先生案内のように、政府といたしましては、行政需要にいろいろ消長はございますが、簡素能率化ということを第一目標にいたしておりまして、さらに行政需要消長に伴う不必要部門から必要部門への再配置、そういったような手段を講じまして、弾力的な、あるいは機動的な定員配置をしてきておるわけでございます。  したがいまして、必ずしも先生お話のように、十分というわけにはまいりませんが、各省庁の増員状況から見ましても、ことしは法務省増員については、査定官庁といたしまして、一段と配慮させていただいたつもりでございますが、今後ともいろいろ検討させていただきたい、こういうように思います。
  21. 野呂恭一

    野呂委員 配慮をされたというのですが、全くちょっぴりでございますし、しかも法務省の中で、登記所人員増加しようと思うと、ほかの検察庁にしても、その他の人員が当然しわ寄せを受けるということになるわけでございます。したがって、法務省全体のワクの中で操作するのでなくて、やはり法務省にとっても、こうした唯一のサービス機関でございますから、国民住民に対する親切な業務を進めていくためにも、一段とひとつ行管のほうで御配慮をいただきたいということをお願いいたしておきたいと思います。  それから、この登記所事務増大に伴いまして対処する第二点の問題は、やはり登記所施設整備の問題があげられるのじゃなかろうか、かように考えるのであります。小規模登記所の多数は、いまだに木造、老朽の庁舎でございまして、中には、登記制度が創設されました明治時代建物も若干残っておるのではなかろうかというふうに思います。大切な登記簿保管官庁としては、きわめて不適当であるということでございます。  そこで、特に、この小規模登記所施設整備状況は一体どうなっているかということを、この機会にお伺いしたいと思います。
  22. 廣木重喜

    廣木説明員 ただいま御指摘のように、法務局出張所、すなわち登記所施設というのは、明治年間につくられたものとか、あるいは大正年間、それから昭和と、非常に古い建物がございますし、しかも、そういう建物は、施設として一人庁とか二人庁とかいうようなことで、全国的にたいへんたくさん分散しておるわけでございます。したがって、その整備ということになりますと、もちろん非常に予算のかかることでございますので、できるだけ、それについては計画的に施設整備をしていくということで取り組んできておりますが、同時に、そういう一人庁とか二人庁とかいうような小規模の出張所をそのままに置いた形で施設整備をはかるということになりますと、これまた、たいへんな費用もかかることが当然予想されるのでございます。  そこで、今日の経済情勢あるいは交通事情に見合った登記所の適正な全国的な配置ということを考えながら、施設整備充実をはかっていくということを考えざるを得ませんので、そういう意味で、昭和四十六年度から五カ年間の計画で小規模登記所整理統合ということを進めておるのでございます。そして四十六年で四十一庁の登記所を整理しまして、四十七年度に六十一庁、四十八年度、現在、さらにそれを進めておりますが、今日の時点で約三十数庁、したがいまして、合計しますと、百三十数庁について整理統合ができておるわけであります。  それで、整理統合という際に、受け入れ庁施設を新築したり、あるいは増築、改築したりしてやってきておりますが、来年度、四十九年度は、相当数受け入れ庁につきまして、新設あるいは増改築をしなければならぬというようなことで、明四十九年度は、十五億九千四百万円の調査整備経費が見込まれております。  以上でございます。
  23. 野呂恭一

    野呂委員 さらに、その登記事務増大に対処する方策として、登記事務合理化の問題あるいは登記事務機械化の問題、これらをどんどん進めてもらっておるわけでございますが、問題は登記所配置適正化の問題であると思います。  で、これは昭和四十七年の登記所適正配置に関する民事行政審議会答申に基づきまして、政府といたしましては、登記所適正配置、つまり整理統合を進めてまいっておるわけでございますが、この機会に、まずお伺いしておきたいのは、登記所統廃合基本方針、これをどうお考えになっておるか。
  24. 香川保一

    香川政府委員 統廃合につきましては、御承知のとおり、昭和四十五年の十一月二十日の閣議決定、それによる四十五年十二月二十二日の行管庁長官閣議報告で、法務局及び地方法務局出張所については、昭和四十六年度以降五年間に極力整理統合するとともに、地方法務局についても、出張所整理統合に応じて措置するというふうなことに相なっておるわけであります。これを受けまして、民事行政審議会法務大臣から諮問いたしまして、登記所統合関係は、どのような考え方でやるべきかということを諮問いたしまして、それに対しまして、答申をいただき、いろいろ統合についての原則的な基準を示されておるわけであります。  登記所が、御承知のとおり、一人庁、二人庁というふうな小規模庁が分散しておる現状というのは、やはり行政機構のあり方として適当でないという考え方に立ちまして、さような観点から基準といたしまして、ちょっとこまかくなりますが、登記公簿事件数が五千件未満登記所については、受け入れ庁に、普通の交通機関を利用して約六十分で行けるというふうな登記所は、統合の対象にしていい。それから事件数が二千件未満小規模庁については、受け入れ庁まで約九十分以内にあるものは統合していい。それから交通至便地域で、受け入れ庁までの所要時間が約三十分以内にあるものは、事件数二万件以上は除かれますが、二万件以下の登記所につきましては統合していい。それから同一市町村内に二つ登記所があれば、それを統合していいというふうな大体の基準が示されておるわけでありまして、原則的には、この基準に基づいて計画的に統合実施する予定でございますが、答申にもいわれておりますように、何ぶん小規模庁登記所といえども、その利用する関係住民にとっては、そこに登記所のあることが便利であることは、間違いないわけでありまして、しかも、さような小規模登記所ほど、従来庁舎設備等についても、いろいろ地元協力を得ておる、そういういきさつがあるわけであります。  したがいまして、画一的に、先ほど申しましたような基準に該当するからといって統合を強行するというふうなことは、これは絶対避けるべきことだろう。したがいまして、統合趣旨地元によく御説明申し上げまして、御納得をいただいて、御協力が得られるところから実施していくというふうな基本方針をとっておるわけでございますが、ただ統合いたしましても、統合しっぱなしでは、地元にやはり不便をおかけするという関係もございますので、統合いたしましても、登記相談所の開設とか、あるいは市町村に謄抄本等の交付申請書を備えるとかいうふうな、できるだけ御不便を少なくするというふうな措置を一方でいろいろ講じながら統合を進めてまいる、かような考え方でおるわけでございます。
  25. 野呂恭一

    野呂委員 登記所適正配置基準が一応示されて、それに基づいて整理統合を進めてまいっておるわけですが、この答申にも、登記所適正配置を実施するについて留意すべき事項の中に、地域住民の生活指向あるいは社会、経済的諸条件など、地域の実情に十分配慮しなさいということもいっておりますし、また地域住民の意見をできるだけ尊重して決定する、登記所統廃合の一番の重点は、地域住民の意思を尊重するということだと私は考えるわけであります。  年度末が近づきますと、再び——私の聞く範囲内では、登記所統廃合反対である、また地方の法務局長が出回ってきて、本年度のワクでどうしてもこれはやらなければならぬので、何とか了解してくれないかというような、かなり強制的な統廃合の推し進め方を進めてきておる、まことに遺憾であるという声が多いのであります。登記所統廃合賛成だというのはだれもない、みな反対だということでございます。  したがいまして、どうしても地域住民の理解を十分取りつけるということに最大の努力を払っていただいておるわけでありますが、特に、法務省というのは、かたい役所で、法務局長はまじめな人でありますから、非常に御苦労でありますけれども、あまりにまじめ過ぎて、何か法務省の通達事項などを、尊重し過ぎてやり過ぎだというような批判があるのではなかろうかということを心配いたすのであります。  たとえば事件数考える場合におきましても、基準に示されておりますとおり、原則として過去三カ年程度の年間平均事件数というものを考えておるようでありますけれども、過去三カ年よりもこの一年という変化が大きいわけでありますから、あまりこういうふうな基準にこだわって、地域住民の意思が曲げられるということのないように、特に御注意を払っていただきたい、かように思いますが、さて、四十九年度の整理統合の目標それから現状、これについて御説明をお願いいたします。
  26. 廣木重喜

    廣木説明員 ただいま御指摘のように、登記所整理統合ということにつきましては、明治以来、登記所地域社会になじんでかわいがられてきた、しかも、いろいろの御援助をいただきながらやってまいっておりますので、非常に愛着というか、関心の深い問題であろうと思います。しかも、そういう登記所というのが、全国に千三百余りございますが、現在、町村の数が三千二百近くでございますから、約二カ町村に一つぐらいの割りで登記所があるわけであります。したがって、唯一の国家機関が市町村にあるというようなことから、残しておいてほしいという御要望も非常に強くございます。  しかしながら、先ほども申し上げましたような理由で一人庁、二人庁の不合理、また法務局の近代化をはばんでおるいろいろの理由がございまして、特に一人庁ということになりますと、職員が常直をいたしまして、一年じゅうその役所に縛られておるというような状況もございますし、事件数は二千件前後ということでありますので、機械化合理化をするにしても、そういう大型な機械を入れるのにもったいない面もございます。  いろいろな事情から、これを、できるだけ地元の御了承を得ながら進めていくということでやってきておりますが、先ほど申しましたように、現在までに大体百三十余りですが、なお今後、この民事行政審議会答申の一応の基準に当てはめて、いろいろと御指摘のありました地域社会との調和というような地理的条件、自然的な条件あるいは社会、経済的な諸条件というものを勘案いたしまして、それを検討の結果、約四百近くのものが整理統合の対象として考えられておるところでございます。  来年度、そのうち幾らをやるのかというお話でございますけれども、これは五十年度までに極力整理統合すべしという閣議の決定でございますので、それを一つの努力目標として、できるところからやっていくということで、地元との交渉に入っておる現状でございます。従来もそうでございましたが、十分にその地域の方々に説明をする。その説明のやり方も、理事者だけに説明するのではなしに、議会方面あるいは商工関係者、農協、それから、いろいろな区長会というものが地元にございますので、そういう方々にも、特に会を催していただいて説明に行く、いろいろな方法を使ってやっております。  法務局は、どうも、みんなかたい仕事なものですから、必ずしもそういう意味で十分とは言えませんけれども、現地では、いろいろな方法、いろいろな機会をとらまえまして、理解と協力を十分得ながら整理統合するということでございまして、いままでのところ、そういう意味で一方的に強行したという事例はもちろんございませんし、今後もそういうつもりではおりませんので、よろしくお願いしたいと思います。
  27. 野呂恭一

    野呂委員 統廃合については、ぜひひとつ、慎重に扱っていただきまして、住民の意思を十分に尊重して、決してゆがめられたような形で登記所統廃合されるということがないように、御留意を願いたいと思うのであります。  時間がございませんので、第二点に入ってまいりたいと思います。  法務省設置法の第二の改正点は、入国管理事務所出張所の名称及び位置を省令で定めようということでございますが、このことに先立って、出入国法案の取り扱いについて、官房長にちょっとお伺いしておきたいと思います。  これまで四回にわたりまして、出入国法案を国会に提出してきておるわけでありますが、出入国管理令を改正する法案を、今国会に提出する考えはないのかどうか、これを確認しておきたい。
  28. 香川保一

    香川政府委員 今国会に提出する考えはあるかないか、私どもといたしましては、何と申しましても、出入国行政の現状から見まして、改正法案を早急にひとつ成立させていただきたいという考え方には、全く変わりはないわけでありますけども、過去四回の国会提出の経過を考えてみますと、いろいろ複雑な問題がございまして、容易に改正が実現しないという実情にあるわけでございます。  したがいまして、できるだけ早く改正を実現するためには、やはり関係方面の意見も十分お聞かせ願い、いろいろの面から従来の法案を再検討して、ある程度の御理解がいただけた段階で国会に提出するのが適当ではないか、かような考え方でおるわけであります。さようなことから申しますれば、今国会に提出するということはまずできないことではなかろうか、かように考えております。
  29. 野呂恭一

    野呂委員 そうなりますと、再検討したい、いろいろな意見を聞いて、なるべく早い機会に提出をするが、その内容等について再検討の余地があるのだというお話でありますが、さて法案の内容について、従来の考え方に何かやはり検討することを必要としておるのかどうか。これは当事者として局長からお伺いしたいのですが、何かやはりいままで出した法案で、多少内容の改善を必要とするのではないかという反省あるいはまた、その検討の余地というものをお考えになっておるのかどうか、これをひとつお伺いしたい。
  30. 影井梅夫

    ○影井政府委員 ただいま、従来提出されました法案につきまして、いろいろな御意見があるということ、官房長から御説明申し上げたとおりでございます。  先生の御質問に対しまして、現在の法案にさらに手を加える余地があるかどうか、これは実は現状におきましては、私ども、方々から寄せられました御意見というもの、これを取り入れる余地があるかどうか、全く虚心たんかいな状況でこれを検討しているというのが現状でございます。
  31. 野呂恭一

    野呂委員 これは、大臣にお尋ねするのがほんとうでございますから、これ以上追及をしないでおきたいと思います。いずれにしても、四回提出されて、それが審議にも入らずに廃案になったという現状を顧みて、やはり情勢の大きな変化に対応して出入国法というものを再検討する一つの問題があるのではなかろうかというふうに私どもは思うのであります。内容の一々、私どもの考え方を申し上げることは避けたいと思いますが、いずれにしても、出入国法の早期成立ということが望ましいことにおいては賛成でございます。  さて、入国管理事務所出張所の名称及び位置を法務省令で定めようということでございますが、その理由お尋ねするよりも、むしろ今日まで出張所の名称、位置が法律で定められてきた、このことに対してどうお考えになっておられるか、これは局長から……。
  32. 影井梅夫

    ○影井政府委員 現在の出入国管理令ができました当時、昭和二十七年ごろの情勢を考えてみますと、日本を出入国する人の数が非常に少なかった。したがいまして、この事務所出張所等を法律で定めまして、特に出張所につきまして、これをひんぱんに改めるという必要性はなかったということが、当時の状況であったろうというふうに考えております。
  33. 野呂恭一

    野呂委員 ということは、出張所の名称、位置を、今度は法務省令で定めてもらいたいということは、非常に国際交流が活発化して、貿易もたいへんな伸びを示しておる、いうならば、行政需要の大きな変化にすみやかに対処するために法務省令で定めたいのだ、こういうことであろうかと思います。つまり、それが法務省令で定めようとする理由に相なるかと思いますが、それでいいですか。
  34. 影井梅夫

    ○影井政府委員 野呂先生御指摘のとおりでございまして、近年、国際的な交流が非常に緊密化してきている、これに伴いまして日本人、外国人の出入国というものが非常にふえてきている、こういった状況を踏まえまして、出入国される方々の便利、また私どもの事務的な便利というもの、これをなるべく現状にすみやかに即応させたいというのが、私どもが御提案を申し上げております趣旨でございます。
  35. 野呂恭一

    野呂委員 この入国管理事務所出張所と同じような組織で、名称及び位置を定めるについて政令事項になっているものの中に、港関係では税関の支署及び出張所がございます。これは大蔵省令。また検疫所、これは厚生省の関係ですが、これの支所、出張所も、そうであるということでございまして、情勢の変化がありますけれども、むしろこの種の機関の名称とか位置というものは、省令で定めるということが一般的であるのじゃなかろうか、こういうふうにむしろ私どもは解釈をいたしておるわけでございます。特に、最近の貿易その他経済情勢の大きな変化に伴いまして、臨機応変の処置をとるという点からも、当然これは省令で定めたらいいのではなかろうかというふうに考えるのでありますが、その他同じようなもので、ほかの省で省令事項になっているものは何と何であるか、この際ひとつ……。
  36. 影井梅夫

    ○影井政府委員 私ども承知しております機関といたしましては、運輸省所管で海運局の支局及び出張所、それから地方航空局の空港事務所、同出張所、それから管区海上保安本部の海上保安部及び海上保安署、そのほかに郵政省の所管といたしましては、地方電波監理局の出張所が、いずれも省令事項で定められるというふうに承知しております。
  37. 野呂恭一

    野呂委員 そこで、この出張所の名称、位置を法務省令で定める旨の、言うならば法務省設置法でありますが、この改正法案を、昭和三十三年の二十八国会以来、今回と同様に三回提出をしておるということでございますが、この経過についてお伺いしたい。
  38. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 組織の関係でございますので、私から説明をさせていただきます。  入国管理事務所出張所の名称及び位置を法務省令で定める旨の法務省設置法の改正案は、御指摘のように三回提出いたしております。第一回は第二十八国会昭和三十三年でありますが、このときに法務省設置法の一部改正の中身の中に、入国管理事務所出張所の名称及び位置を法務省令で定めることとする部分がございました。第二回目と第三回目は、第六十五国会昭和四十六年、第六十八国会昭和四十七年でありますが、この二回目と三回目は、行政組織法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案の中におきまして、同種の改正をはかったわけであります。  最初の第一回目の昭和三十三年の法務省設置法の改正は、法務省単独での改正提案であったわけでありますが、この際には、実は衆議院内閣委員会に法案がかかりまして、その際、各省とも多数の設置法があったわけでありますが、機構改革につきましては、できるだけ縮小すべしという意見がありまして、その結果、法務省設置法の一部改正案の中では、実はこの入国管理事務所出張所の改正部分を削り落とすことになったという経緯に相なっております。  なお、二回目と三回目の国家行政組織法の一部改正にからむ改正につきまして、法案未成立に至っております状況につきましては、先生案内のとおりでございます。
  39. 野呂恭一

    野呂委員 そこで、二回、三回が、国家行政組織法との関連において整理等に関する改正の中に含まれておったという点で、これが不成立に終わって、だめになってしまったということであります。そういうふうに過去二回が、国家行政組織法との関係の上でいろいろ考えられますがゆえに、一部には、今回の省令にしようという改正は、言うならば国家行政組織法改正の先取りではないか、あるいはまた、これは国家行政組織法の法務省版だ、こういうふうにいわれておるのでありますが、この点どうお考えになるか。
  40. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 御指摘の点でございますが、さような意見のありますことは、私どもも承知いたしております。  確かに、内容的に見ますと、たとえば先ほど申しました第二回目、第三回目、これは国家行政組織法の一部改正の中で同種の改正が行なわれようとしていたという事実から、そのような御批判も出てくるのではなかろうかというふうに思うのでありますけれども、実は法務省といたしましては、この入国管理事務所出張所の名称、位置を法務省令で定めることにつきましては、十数年来懸案にいたしておりまして、先ほど申しましたように、早くも昭和三十三年に、これと同じ意味の法案を提出いたしておるわけでございます。内容的に見ましても、入国管理事務所出張所そのものは、いわば入国管理事務所の二次出先といいますか、事務所事務の一部を分掌しておるといったような、権限的にもそう強大な権限を行使するといったような組織ではございませんし、また規模から申しましても、数人といったような、きわめて小規模な庁がほとんどでございます。そういたしまして、先ほど入管局長から説明のありましたように、最近は地方におきまして、この種の出張所設置がたいへん要望されており、出入国の管理につきまして、地方のこういう出張所において事務を分掌することの必要性というのは、たいへん増大いたしておるわけであります。  このような実情を踏まえまして、この改正案を提案したといういきさつがございまして、決して国家行政組織法の一部改正を先取りするといったような意図がないことはもちろんのこと、また、この改正の内容そのものから見ましても、そのような趣旨のものではないというふうに断言できると考えております。
  41. 野呂恭一

    野呂委員 そこで、この入国管理事務所出張所が、入国管理行政として外務省から法務省に移管されたのが昭和二十七年八月でした。この発足以来、出張所新設は一体幾つあったのか、それから廃止は幾つあったのか、現在何庁になっておるのか、この推移についてお伺いしておきたい。
  42. 影井梅夫

    ○影井政府委員 昭和二十七年八月に発足いたしました当時、出張所は三十七庁でございましたが、その後、経済、貿易等の発展に伴いまして六十五庁を新設、また六庁を廃止しております。特に増設は、昭和四十三年以降におきましては、毎年数カ庁ずつを設置するということで、現在は九十七出張所に達しております。
  43. 野呂恭一

    野呂委員 この入管の事務所出張所が、いろいろな経済情勢あるいは国際交流の増大に伴いまして、その変化にすみやかに対応しよう、こういう立場で、これから新設される事務所が多くなるのではなかろうか、こういうように考えますが、最近において、入国管理事務所出張所新設が予定されておるところは一体どことどこか、これを明らかにしてもらいたい。
  44. 影井梅夫

    ○影井政府委員 昭和四十九年度予算案におきまして、伊万里港出張所新設を予定しております。そのほかに地方公共団体からの出張所新設の陳情はかなりございまして、現在までに愛知県の豊橋港、福井県の内浦港、島根県の浜田港等からの陳情を受けております。
  45. 野呂恭一

    野呂委員 ところで、この出張所を省令によって定めるということになってまいりますと、臨機応変にどんどんやろうということになった結果、出張所が乱設される危険はないか、こういう問題はどうですか。
  46. 影井梅夫

    ○影井政府委員 これは法務省単独でできませんで、関係各省庁との協議を要するということのほかに、私どもといたしまして、一応の基準というものを持っております。その基準は、概略を御説明申し上げますと、年間に出入港いたします外航船の数、それからその近辺に出張所ないし入国管理事務所がないということ、それから将来の展望といたしまして、そこに出張所を設けまして、それがずっと役に立つという見通しがあること、大体この三点を基準といたしまして考えるようにしております。したがいまして、これを乱設するということは毛頭考えておりません。
  47. 野呂恭一

    野呂委員 乱設の心配はない、こういうことですが、それならば変化に、臨機応変に対処しようということになりまして、出張所を廃止または移設するといった予定があるのかないのか。
  48. 影井梅夫

    ○影井政府委員 昨年中に北海道におきまして、これは廃止でございますが、根室、それから鹿児島県和泊港、これを廃止しております。それから移転につきましては、現在のところ具体的に考えているものはございません。
  49. 野呂恭一

    野呂委員 新設は問題ないけれども、廃止になると、これは地元から大きな問題が起こってくると思うのです。むしろ出張所を廃止することによって、それによって出入りする船舶にも影響をもたらすことは言うまでもありません。したがって、地元として廃止をしてもらったら困る、こういうことに相なるかと思うのでございます。したがいまして、新設はいいけれども、廃止あるいは移設が省令でいとも簡単にできるということは困る、むしろ設置法で縛っておいたほうが、そういう危険がないというようなことにもなりはしないか。  したがいまして、特に地元のいろいろの変化に伴いまして、出張所を廃止するという問題については、慎重に検討しておかないと——むしろそのことが便利になって、新設は喜ぶけれども、廃止の方向でどんどんやっていくんだということになると、これはやはり設置法で、国会の場で論議をして、十分ワクをはめておかねばいけないということにはなりはしないかという心配をいたすわけでございますが、この点どうですか。
  50. 影井梅夫

    ○影井政府委員 地元の御便利をはかるという意味におきまして、なるべく廃止しないほうが望ましいということ、御指摘のとおりでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、私ども一応の出張所を設置いたします基準というものを持っておりますこと、それからさらに限られました予算、それから人員、これを極力有効に活用するという見地から、場合によりましては、廃止に踏み切らざるを得ないことも起こり得る。先ほど昨年中に二つの出張所を廃止した例を申し上げましたが、場合によりましては、そういうことも行なわざるを得ないというふうに考えております。
  51. 野呂恭一

    野呂委員 ところで、昭和四十九年度に伊万里港出張所を設置したいというお考えのようでございますが、これを設置した場合におきまして、経費はどのぐらいかかるのか、あるいは人員配置はどのように考えられておるか、このことをお伺いしておきます。
  52. 影井梅夫

    ○影井政府委員 新たに出張所を設置いたしました場合に要します経費といたしましては、土地建物の借料、新庁舎の備品整備費、光熱水料等が考えられる経費でございますが、伊万里につきましては、土地建物借料といたしまして四十九年度予算案に二十四万円、それから新庁舎の備品整備費十四万四千円を計上いたしております。  また人員でございますが、伊万里は私ども二人庁というふうに考えておりまして、入国審査官一名、入国警備官一名、合計二名の配置考えております。ただ、これは現在、人員増員ということが非常に困難な状況にございますので、この二人は純増というわけにまいりませんで、私どもの事務所出張所全般を見まして、その中からこれをさかなければならないという状況でございます。
  53. 野呂恭一

    野呂委員 さて、入国管理事務所出張所の設置については、地方自治法第百五十六条第六項の適用除外の機関にしよう、こういう考え方のようでありますが、この点について……。
  54. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 先生御指摘のように、地方自治法第百五十六条第六項では、国の地方行政機関を設けます際には、原則として国会の承認を必要とし、当該条文の第七項におきまして、その例外が規定されておるわけであります。そういたしまして、この入国管理事務所出張所につきましても、その例外たらしめるという形の改正を附則で考えておるわけであります。  ところで、この地方自治法第百五十六条第六項の趣旨でありますけれども、これは国の行政事務を適正に運営いたしますために、国の地方行政機関が必要な地方に設置されるわけでありますけれども、一方、それによりまして地方自治とのからみで問題があり得る。つまり地方自治の本旨を尊重するという上から、国会におきまして、公正かつ適切な調整をするというために、この百五十六条の六項の国会承認の手続が規定されておるものというふうに理解しておるわけであります。したがいまして、その趣旨にかんがみて、たとえばその地方組織の権限、規模等から見まして、地方自治に対する影響の少ないものや、あるいは事情の変更に即しまして、適時にその位置を変更する等の必要があるもの等につきましても、すべてについて国会の承認を要するとするまでの必要はないのではないかというのが、第七項で例外を設けておる意味であろうというふうに理解するわけであります。  そういう観点から、この入国管理事務所出張所を見ますと、先ほど申しましたように、この出張所は、入国管理事務所事務を単に分掌するために、地方に設けられておるいわば二次出先でありまして、地方自治との直接的な関係がございません。  また第二に、その権限、規模といったものも、たいへん小さなものでございまして、さらに言うならば、いわばサービス機関的要素の濃厚な組織であります。たとえば外国船が入ります場合に、その船員、乗客の上陸の手続を円滑に進めるための入国審査手続を行なっておるというようなことが主たる仕事でございますから、そういった評価ができるのではないかというふうに考えるわけであります。  そうしまして第三に、こういう港の指定港の変更、変動というようなものは、いまの国際交流の実情から見ますと、随時行なわれる可能性があることは、先ほど来るる入管局長の答弁しておるところであります。そういう意味で、この行政需要に迅速に対応するという必要性が、入管の事務所につきましては特に強いわけであります。  このような観点を総合して考えますと、まさしく入管の事務所は、地方自治法第百五十六条第七項に規定する例外の組織というふうにすべきものであろうかというふうに思うわけであります。
  55. 野呂恭一

    野呂委員 そういたしますと、地方自治法の百五十六条の第七項に「前項の規定は、司法行政及び懲戒機関」、その次に「入国管理事務所出張所」、こういうように加えよう、こういうわけですね。
  56. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 お説のとおりでございます。
  57. 野呂恭一

    野呂委員 そこで法務省の機関の中で、地方自治法第百五十六条第七項に該当する機関は、ほかに一体何と何とがあるのか。
  58. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 地方自治法第百五十六条第七項の中に、「司法行政及び懲戒機関」という条項がございます。この「司法行政及び懲戒機関」に該当するものといたしまして、当省の機関では検察庁法務局地方法務局、矯正管区、刑務所、少年院、少年鑑別所、婦人補導院、地方更生保護委員会、保護観察所等がございます。
  59. 野呂恭一

    野呂委員 そうすると、この地方自治法の百五十六条の六項は、「国の地方行政機関は、国会の承認を経なければ、これを設けてはならない。」、ただし七項で「司法行政及び懲戒機関」、これは適用しないのだ、こういうことになっておるわけです。そうなりますと、国会で承認を受けなければならぬのは、いわゆる設置法というワクの規定だけであるというふうに考えられるわけでございます。したがって、入国管理事務所出張所と同様に、刑務所にしても、あるいは少年院及び少年鑑別所にしても、これらは、やっぱり省令でやったらどうだろうか、そういう考え方はあるのかないのか、この点をお伺いしたい。
  60. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 御指摘のような考え方は、十分検討に値する考え方であるというふうに存じます。
  61. 野呂恭一

    野呂委員 特に刑務所の場合におきましても、分監はこれは省令で定めておる、親元の刑務所のほうは、これは設置法で規定している、こういう中身においても、若干矛盾を持っておるのではなかろうかというふうに考えられます。  特に刑務所の移転問題につきましては、最近やかましくなってまいっておるわけでございまして、市町村の合併なんかによって、これまた設置法によって改正をしなければならぬ、あるいは移転に伴うそうした件数がかなり多くなればなるだけ、単に府県ということでなくして、市町村まできめつけられてくるわけでございますが、こういう点は、当然刑務所も、むしろ入管事務所出張所と同様に、やはり省令によってそれをきめるという方向をお考えになってはどうだろうかというふうに私どもは考えるわけでございます。  矯正局長がお見えになっておりますので、法務省として、刑務所の移転問題についていろいろ問題があると思いますが、これに取り組む態度、今後どうしていこうとしておるのか。特にプロジェクトチームを編成されて、鋭意検討されておるようでございますが、いろいろな先生方からも、刑務所の移転を希望する向きが多いということを承っておりますが、この現状についてお伺いしたい。
  62. 長島敦

    ○長島政府委員 先生、御指摘のとおり、現在、非常に社会変動がございまして、それに伴って各地で刑務所の移転についての要請が出ております。法務省といたしましては、こういう全国的な情勢がございますので、ただ個々的にこれに対応していくという消極的な姿勢でなくて、一つの長期的な、こういう刑務所の適正配置と申しますか、同時に、刑務所における処遇を一歩前進させるという、そういう角度も加えた計画をつくろうということで、御指摘のプロジェクトチームというものが発足して、ただいまやっておるわけでございます。  ただ、地元から代替地等の提供がございまして、それが適地である、しかも緊急を要するというようなものにつきましては、基本計画に矛盾しない範囲内におきまして、早く取り上げるというものもございますが、そういう状況で現在、鋭意検討を進めておるという次第でございます。
  63. 野呂恭一

    野呂委員 お話しのように、各刑務所の所在地周辺の住民から移転要請が出ておるわけですが、これが全国でどのくらいありますか。
  64. 長島敦

    ○長島政府委員 ただいま全国で約三十数カ所から要請が出ておりまして、その一部については、すでに工事に入っておるものもございます。
  65. 野呂恭一

    野呂委員 これは官房長にお伺いしたいのですが、とにかく刑務所の移転等もこれから多くなってくるわけでございます。一々これを設置法できめつけるのでなくて、むしろ港の出張所と同様、当然これは省令によってやっていくべきではなかろうかと私どもは考えておるわけでございます。この点について、十分御検討いただきまして、できる限り近い機会に、ぜひひとつ——こういうものは省令で処理をしていく、そして臨機応変の処置をとり、地域住民要望にこたえていくということがたいへん大事なことではなかろうか、かように思うのでございます。この点は要望にいたしておきたいと思いますが、どうお考えですか。
  66. 香川保一

    香川政府委員 お説のとおり、臨機応変に社会変動に応じまして、措置しなければならない問題でございますので、私どもとしては、できれば、さような体制に法律的な制度を持ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  67. 野呂恭一

    野呂委員 終わります。
  68. 中山正暉

    中山(正)委員長代理 午後一時三十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      ————◇—————    午後一時三十七分開議
  69. 中山正暉

    中山(正)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のため出席できませんので、指名により私が委員長の職務を行ないます。  法務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  大出俊君。
  70. 大出俊

    ○大出委員 今回の設置法改正にあたりまして、まず二つ三つ問題がございます。  一つは、法案の末尾についております表でございます。「東京法務局機構新旧対照表」、こういうのでありますが、旧来の東京法務局が庶務課、職員課、会計課、訟務部の第一課、第二課、第三課、民事行政部、この中に民事行政調査官、総務課、登記課戸籍課国籍課供託第一課、供託第二課、これと同じ建物の中にあります日本橋出張所の第一課、第二課、人権擁護部の第一課、第二課、こうなっておるわけでありますが、これを、民事行政部を二つに分けまして、民事行政第一部、これが旧機構登記課を不動産の登記課と法人の登記課、特に法人の登記課は一課、二課に分けて機構の改正が行なわれる。さて戸籍課国籍課供託第一課、供託第二課は、民事行政第二部ということになる。実はこういう分かれ方になっておるわけでありまして、日本橋出張所の第一課、第二課が上に上がっていきます。そういうことでございますから、民事行政第一部、第二部に分かれるわけでありますけれども、この限りでの人員についての増減はないのであります。  そして旧来の人でございましょうが、民事行政部の部長さんが一部長になるとすれば、新しく民事行政第二部長さんができる、こういう配置であります。ここで部長が一人ふえる、こういうわけであります。この問題をめぐりまして、人がふえない、業務はますますふくそうする、部長が一人よけいふえるだけだ、こういう形では、単なる管理強化につながるだけであって、たいへん忙しい仕事に追われている職員のためにはならない、だから、断じて賛成ができないという趣旨の、職員の諸君からの強い要請がございます。これがほかならぬ、東京法務局の中で働いておられる方々のおっしゃることであります。新年度の配置の中でどうするかということは、予算その他の関連等々ございましょう。いずれにしても、単なるこの種の改正では——私も、この関係仕事は、何べんか行って見ておりまして、知っておりますが、たいへんに忙しくなっておる。  提案理由の説明を見ますと、これは単に登記だけが複雑多様化しているのじゃないわけでありまして、その他の業務も同様にたいへん忙しくなっているわけであります。それらのことを勘案いたしますと、この問題は、どうも職員の諸君が言ってきたことを、そうですかといってほってはおけないわけでございまして、これらにかかわる皆さんのお考えを、まず聞かしていただきたいのです。
  71. 香川保一

    香川政府委員 民事行政第一部、第二部を設けることによる増員の問題でございますが、この設置法の改正法案の関係資料として、機構の新旧対照表に記載しております人員は、増員を四十九年度分について何ら勘案してないと申しますか、現在の人員をもとに、そのままであるという形を記載したわけでございまして、ただいま御審議いただいております四十九年度予算案におきまして、法務局関係は百八十名の純増が認められることになっているわけでございます。それをお認め願いますれば、それによりまして、東京法務局事件の数等に比例して人員が配分されるわけでございます。  先生、御指摘のとおり、東京法務局日本橋出張所は、大規模な商業登記の専門出張所でありまして、事務負担が非常に増大しておるわけであります。かりに、かような機構改革がないといたしましても、増員配慮しなければならない状況にあるわけでございます。機構関係とは関係なしに、商業登記事務の処理の体制として増員が当然考えられるというように考えておる次第でございます。
  72. 大出俊

    ○大出委員 これは、一ぺんあなた方のほうで——関係職員の方の心配というのは、管理の責任ある立場からすれば除かなければなりません。そういう意味で、もちろんできる話、できない話がおありになりましょうが、しかし世の常のあり方として、どこの省でも、この種の問題は、回を重ねて何とか話をつけなければならぬ性格のものでありますから、そういう意味で、ぜみ話し合いを詰めてみていただけぬか、こう考えるわけでありまして、私ども事情を聞いてみて、第三者としてなるほどごもっともな心配だという気がいたします。その点は、ぜひひとつ、御配慮いただきたいと思います。  さしつかえない限りは、次の九年度予算をめぐります増員問題の——東京法務局傘下の配置というものもありましょう。これまた可能な限りしか話ができないのでございましょうけれども、そこらのこともひとつ踏まえて、別に大きな政治問題ではないのでありますから、たいへん事務的な筋道でございますから——でないと、管理強化であるだけであって、つまり組合用語でいう締めつけが強くなる、だがしかし、忙しさというものの解消にはたいした役には立たぬ、焼け石に水みたいなことじゃないか、ならば、これは賛成ができないということになりますので、ぜひその点は、慎重な御配慮を願いたいと思います。  それからもう一つ、この法律の立て方、出し方でございますけれども、一言で言ってしまえば、国家行政組織法の改正案が回を重ねて何べんか出されまして、今回はお出しになるのかならぬのかわかりませんが、つまり国家行政組織法で考えられていた各般の国会で議決するものを、政令その他に落としていくという——これは昭和二十四年ごろでございましたか、いまの経済企画庁長官の内田さんだとか、私のところの委員長の成田さんだとかいう方々が、こまかい質問をいたしております。国家行政組織法というのは、松岡駒吉さんが当時、衆議院で政府提案の大修正をしまして、こんなことをすれば官僚の阿房宮ができ上がるじゃないかということで、みんなぶった切って、つなぎ合わせてこしらえた法律でありますから、国家行政組織法はそういう意味では数々の問題がある。  その中の一部分、法務省にかかわるものを取り上げている形になる。だから、言い方によれば、国家行政組織法改正案の法務省版であろうなどという意見も出てくる。しかし、それなりに入管の出張所が、あるいは税関であるとか検査所であるとか検疫所、幾らかそういう問題とのかね合いなども一面ではある。新しい港ができた、そこに出張所をつくらぬわけにもいかぬという問題も出てまいります。時期もある。それがわからぬ筋合いではないけれども、いま私が申し上げた大きな筋が一つありますので、それとの関係から見ると、旧来ではない新しい出し方になっている。これが実は論点であります。  実はこの国会で、しからばこれを論議して詰めるとすれば、国家行政組織法改正案が前に出ているわけでありますから、今度は出ませんが、ここに触れてまでの長い議論をしなければならぬという、その根本は一体どう考えるのか、そういう議論が実は私どものほうにあります。それをやることになるとすると、そう簡単にこの国会でこれは通らぬ。まして、きょうは委員長中山さんでございまして、徳安さんじゃございません。どうも日の丸の旗か何かなびいてきそうな靖国神社法なんかございまして、後半はやかましい世の中になりそうでございます。そうなりますと、なかなかこれはやっかいな扱いになってしまうなどということも気になるわけでありまして、一ぺん、だから旧来のような方式で今回は議論ができないかというところを私は考えているわけであります。  もちろん議会運営に関しては、各政党でやることでございますけれども、政党がやるにしても、やはり与党の皆さんのものの考え方の背景、背景に、提案者である法務省の方々の気持ちが反映をしなければ、ものはまとまりません。そういう意味で、これは一ぺん出し方についての御検討を願えぬかという気がするのであります。まだ早いとおっしゃられれば、それでいいわけでありますが、そこらのところを、これは国会でやることですからというならば、そういう答弁でもかまいませんけれども、問題提起という意味で申し上げるのでございますが、大臣お答え願えればけっこうでございますし、もしまずければ、官房長でもけっこうでございますが、私の考え方について御検討くださるおつもりがあるのかないのか、まずもってそこらを念のために聞いておきたいと思います。お答えをいただきたいのであります。
  73. 香川保一

    香川政府委員 お尋ねの点は、入国管理事務所出張所の問題であろうと思いますが、この関係を省令に委任していただく改正案を提出いたしました趣旨は、問題になっております行政組織法の改正の趣旨を先取りするというふうなことでは毛頭ないわけでございまして、現在の国の各出先機関等が各省設置法上どういう取り扱いになっておるか、いろいろの出先機関があるわけでございますが、さようなもので、現在、各省の省令でその新設、廃止、移転等が認められておるものとの比較考量をいたしますと、私どもの入管出張所は規模も小そうございますし、権限等から見ましても、当然、省令に委任していただいても差しつかえないものではなかろうか、かようなこと。それに加えまして、御承知のとおり、各方面からの外航船の出入港が非常にひんぱんになってまいっております。それに伴いまして、厚生省関係の検疫それから大蔵省関係の税関の出張所が、それぞれ省令で新設が認められておって、それが先に設置される、わが入管出張所だけが設置法の改正を要するということで、どうしても時宜に適した、情勢に即応した新設ができないということから、地元からいろいろの御批判があるわけでございます。さような実態も踏まえまして、省令に委任していただけないかということを御提案申し上げておる次第であります。  ただ、一体それならば国の出先機関を設置法で規定するかあるいは省令に委任するか、その限界をどこに置くか、どういうふうな考え方で、これは法律、これは省令委任というふうに区分けをするかという基準が、率直に申し上げまして、現行の各省設置法の体系を見ました場合に、しかく明確になかなかわかりがたい面もあるわけでございます。  他方、地方自治法の百五十六条の規定を見ますと、これは地方自治の趣旨を尊重するということからの規定かと存じますが、この中で国会の承認を得なくてもいいとされているものとの対比を考えました場合に、入管の出張所というものは、やはりこの百五十六条の国会の承認を得なくてもいいという例外に属しても差つしかえないのじゃなかろうか。これは地方自治法の地方自治を尊重するという趣旨からのことでございますが、そのほかのいろいろの趣旨もございますので、その辺は、率直に申し上げまして、はたして省令委任ということでいくべきか、あるいはやはり法律ですべきかということについては、いろいろな考え方があろうかと思うのでございまして、かような点は、この委員会での審議で御議論を願って、おきめ願いたいと申し上げるほかはないと存じます。
  74. 大出俊

    ○大出委員 そのほか横浜の場合、いつか私、長い質問をいたしましたが、横浜刑務所などの問題もあります。周辺がどんどん発展をする中で、おかあさん、あそこで働いている人はどういう人ですかということを、子供が聞くということになってしまっている場所もあります。これらの問題の扱い、移転の扱い等につきましても、法務省側に旧来からいろいろなお考えがあるということを承知しております。だが、時期的に見て、いろいろな意見が、何べんか相談もいたしてみましたが、私どもの側にある。ほかの党の御意見も、そんたくをいたしましたが、これまた、そういう御意見が強い。かといって旧来の経験で、入管の出張所をそういつまでもほっておけない。こういう問題もある。そこらを考えていま問題提起をしてみたわけでございます。もちろんお出しになった以上は、扱いは委員会なり、あるいは関係機関がきめるわけでありますから、この点は私どもで相談をさせていただこうと思いまして、お考えを承っておいたわけであります。  次に、大臣に承りたいのでありますが、実は横浜が私の選挙区でございますが、前回の中国北京で開かれました第一回のアジア卓球選手権大会に引き続きまして、一年置きになっておりますが、本年は日本がその主催国にということで、ここにございますけれども、横浜はたまたま市長が飛鳥田でございますので、そこらのこともありまして、この名誉総裁を日本卓球協会の会長をやっておられます永野重雄さんにお願いしてあるようでございます。横浜が場所でございますので、市長がその下で会長をやれ、副会長に日本卓球協会の川上副会長さん、あるいは城戸、高城副会長さん等々に御参加をいただきまして、その道の方々の中では、ベストメンバーをそろえての準備が実は着々進んでいるわけであります。  そこで、一つ問題は、このアジア卓球選手権大会は、二十七カ国の方々及び地域の方々が加盟しておりまして、ATTUと申しますが、第一回大会が一昨年の夏、北京で開かれました節に、隔年行なおうということがきまったと同時に、いわゆる卓球の世界選手権大会がない年にやろうということで、この日本でやったあとは、五十一年に北朝鮮の平壌でやる、ここまではさまっておるのでありますが、アラブの諸国を入れまして三十一カ国、約四百人前後の方々が、実は参加の応諾をしてまいっておりまして、それだけに、これは何とかこの大会が開けるようにはぎりぎりこぎつけたいものだという主催者並びにこの卓球連盟の方々を含めまして、横浜でというものですから、市民諸君にしても、地方の新聞が書きますために、実は大きな期待を集めているわけであります。  ところが、ここで一つ非常にむずかしい点は、去年の大会でいろいろ相談をされて、入国を認めないというところが出てまいりますと、はたして開けるのかなという心配が実は起こる事情にございます。したがって、先般、私は外務大臣にもこの席で承ったのでございますが、本日は中村法務大臣に、何とかこれを前に進めるべくお骨折りいただけないかという気がいたしまして、まずもって、これをめぐります大臣のお考えを、概略お聞かせいただきたいのでありますが、いかがでございますか。
  75. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 事柄がスポーツでございますから、私どももそういう点を踏まえて、今後検討いたしたいと思っておりますが、まだ入国申請書等は具体的に出ておりません。出ました暁で、関係省ともよく相談をいたしまして結論を出したい、かように思っております。
  76. 大出俊

    ○大出委員 外務省の方に承りたいのですが、この間、私が外務大臣に質問をいたしましたときに、カンボジア王国民族連合政府、ここの代表団が日本に入ってくる、こういうことなんでございますが、これをめぐりまして、いわゆるロン・ノル政権の側から、何か日本に対してものを言ってきているのではないかという点で少し立ち入った聞き方をいたしましたら、きていない、こういうお答えでございましたが、言ってきていることはいるのではないかと思うのでありますけれども、それがたいして強いものでもないということのようでありますけれども、その後の調査をするとおっしゃいましたから、結果をひとつ簡単にお答えいただきたいのであります。
  77. 中江要介

    ○中江説明員 カンボジアの民族連合政府の代表ということでの卓球大会への入国問題につきましては、この問題が新聞その他で報道されましてから、現在のロン・ノル政権のほうから、正式にそれに対する強い抗議ということではございませんけれども、一応ロン・ノル政権としては、そういうチームの日本入国は認めないでほしいという希望の表明はございました。
  78. 大出俊

    ○大出委員 全くないというのではなくて、希望の表明がやわらかくあったというように受け取ってよろしゅうございますね。  そこで、外務大臣のお答えは、それが文化であれ、あるいは芸術であれ、学術であれ、またスポーツであれ、政治的背景がない、そういう場合には、国際情勢の大きな変化もこれあり、基本的にどうか、こういうお尋ねがあえてあるとすれば、私はできる限り、こういう方々については認める方向で努力をいたしたい、こういう答弁をなさいまして、いま中村大臣がお答えになっておりますと同じように、手続がとられましたときには、それに従ってだんだんの検討をさせていただきたい、こういう締めくくりのやりとりに実はなっておるわけでございます。  ところで、手続でございますけれども、いろいろ関係者に聞いてみましたが、十五日、これがぎりぎりの期限でございまして、十五日までに決着がつきませんと間に合わない結果が選手団の中に出てくる、こういうことであります。ラオスなどもありますが、中国のほうですでに待機している国、地域もあるようでありますけれども、そういう計算になるようであります。かといって、いろいろな準備が進んでおりますので——どうしてもだめだということになるならば、手続をとってみたところで成り立たぬものは成り立たぬわけであります。中国の側等からも、いろいろな話が入ってきておるようでありますけれども、昨年の北京大会でいろいろやりとりをしたときに、だめだ、入れないという国が出てきた場合には、われわれも参加はできない、今回またアラブの諸国なども、もしも認められないという国が出てくるとすれば、われわれも参加をしないのが筋ではないかということが特につけ加えられて送られてきているわけであります。したがって、そういう障害もありますので、何とか曲がりなりにも一つの見通しを得たい。そうでないと、手続をしてどんどん入ってきてしまった、さあしかし、大会はやめましたということになるのであっては、来る方々にも申しわけがない。そういう実はたいへん大きな当事者のあせりがございます。  そういう意味で、ひとつ大臣に重ねてお伺いをしたいのでありますが、昨年の国連総会における南北両朝鮮、韓国並びに朝鮮民主主義人民共和国の方々の同時オブザーバー招請等の手続もありまして、以来たいへんな変化が出てきております。そういう意味で、今回は平壌の市長さん等の問題も、これは役員ということでございましょうが、出てきておるようでありますが、私は、まずもって、そこらあたりは、旧来のいきさつもあり、法務省が前向きでお考えいただいていいのではないか、そう思います。  もう一つ、南ベトナム臨時革命政府でございますが、この場合も、かつて北ベトナムの方々と一緒に日本に来たい、こういういきさつがございました際に、時の田中法務大臣でございましたが、ベトナム復興アピールということであれば認めたいという発言をいたしました時に、外務省がこれに反対をするという場面があって、私、この席で質問をいたしたことがございます。結果的に北ベトナムが代理申請をするという形で二人の方がお入りになっておる実績もあります。したがって、まずここらのところは、ものごとをはっきりさせていただいてもいいのではないかという気でするのでありますが、区切って承りますが、いかがでございましょうか。
  79. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 ただいまお話しの点につきましては、まだ十分に部内の相談もできておりませんので、専門に取り扱っております入管局長がおりますから、答えさせます。
  80. 影井梅夫

    ○影井政府委員 今回の卓球大会につきましては、私どものほうに、大会の大綱と申しますか、それから、それに伴いまして、こういう国からの入国を考えておるからひとつよろしく頼むという御要望を承っております。  そこで、ただいま先生おっしゃいましたように、日本がまだ承認しておりません国ないし地域からの人の入国ということにつきましては、これは事柄の性質上、当然制約というものがあるわけでございます。  そこで、今回の卓球大会に際しまして、それらの国ないし地域からお入りになる方々は一体どういう方であるのか、それからお入りになりましてからどういうふうな行動計画をしておいでになるか、そういうことを承りながら、私どもで考えたいということを申し上げております。そして私のほうで要望しておりますそういう事項につきまして、まだ御連絡がございませんので、実はなるべく早くそういう点をお知らせ願いたいと私のほうからお願いしておるのですけれども、そういう点がまだいただけてないという状況でございますので、現状におきましては、何とも申し上げかねるということでございます。
  81. 大出俊

    ○大出委員 けさほど関係の方々が集まって、これは与野党を問わず、政治関係の方々も御参加いただける方々がおいでになりますから、いろいろな相談をしておりまして、心証と申しましょうか、法務省の皆さん方、ざっくばらんに言えば、全くもってかた過ぎまして、にっちもさっちもいかぬということならば、いかぬようなことを考えなければならぬだろうし、そこらはどうなんだろうかということでそうおっしゃられている、それはわかっておるんですけれども、片一方の皆さんのほうも、なかなか出し切れずにいる形だと思うんです、そこらのところは。だが、そう言っていたって時間がありません。したがって、これはできる限り早く、それらのことについて皆さんのほうにも申し上げて、御検討いただかなければならぬ筋でございますが、それにしても、ごく概略と申しますか、ごく大ざっぱにと申しますか、こんな感触だというふうなことくらいは——なぜかといいますと、国内で国内の方々がやるのじゃなくて、アジアの各地域の方々ということでありますだけに、たいへん気を使う面が多いわけであります。  そういう意味で、出したがだめだとなると、これは一つの政治問題になってしまう。のっぴきならぬことができ上がる。そこらがございまして、実はいまお話しのようなことになっているのだと思うのであります。そこで、いま私は、朝鮮民主主義人民共和国なり、あるいは南の臨時革命政府なりという話をいたしました。先ほどはカンボジアの王国民族連合政府関係の話もいたしました。そのほかにラオスの愛国戦線であるとか、あるいはパレスチナの解放機構であるとか、全部入れますと五つばかり、いわゆる未承認国と申しますか、あるいは地域と申しますか、そういう形のものがある。それだけに、実はいま私が申し上げたようなことが出てくるわけでありますが、手続はいかようにもいたしますが、大筋として外務大臣が言っておりますように、政治的な背景がない場合には、学術であれ、あるいは文化であれ、あるいはスポーツであれ、基本的にということを問われるならば、私はできる限り前向きに対処してまいりたいという気持ちでございますというのが、私に直接お答えになった大平さんの答弁なんですけれども、せめてそのくらいのところまでは言っていただいてしかるべきものではないか。  旧来、どうも外務省のほうがかたくて、南の政府の場合などは、田中さんが田英夫さんの質問に答えて認める発言をしたところが、外務省からいきなり反対談話が飛び出すということで、二転、三転しましたが、あのときに、こまかく時間的ズレを全部書いてみて、ここで私は質問したことがある。そういう手数なことにならぬように、せっかく外務省もあそこまで話したわけでありますから、その辺のところを、いまのお話でなくて、少し進んだそのくらいのところまでは、それが一般論であれ、概説であれ、ひとつお答えをいただけるかという気がするのでありますが、そこらが、実は出したいのは、やまやまでございますけれども、非常に困っているところでありますからということでしょうから、一つの心証という意味でお答えいただけるかと思うのでありますが……。
  82. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 大出先生もいろいろ慎重な御発言をしていただいておるようですが、私ども、実は政治的な立場から考えております基本を申し上げますと、韓国と北朝鮮のように国境がはっきりしておるところは、かりに未承認国でありましても、これはスポーツのことですから、できるだけおおらかな態度ですべてを処していったらよかろう。ただ問題は、南ベトナムの臨時政府とかカンボジアの王国人民連合政府とかいうようなところは、非常に苦慮しておるのです。片一方、日本と国交のある政府がありまして、その政府と同じような地域でいわば戦っておる相手でございますから、その日本と国交のある政府と全然反対の立場の人を、スポーツだからということで入国を認めていいのかどうか。これは認めないという態度が私はほんとうだと思うのです。もしスポーツだからということで、日本と国交のある政府が、そちらもけっこうですと言ってくれば別ですが、いやしくも反対であるという意思表明なんか特にありますれば、これは入国を認めるということはできないのではないか。  要するに、問題は、地域が確定していて、そこに一つの未承認国家があるということならば、考え方はどうにでもできると思うのです。基本としては、そういう点をいま考えておる。事務当局はどう考えておりますかわかりませんが、私の立場としては、そういうように考えております。
  83. 大出俊

    ○大出委員 この南ベトナムの臨時政府の場合も、これは、ときに北ベトナムが代理申請と申しますか、そういう申請のしかたで入ってきていたわけであります。したがって、今回の場合も、どこかの国が代理申請をしなければならぬことになる。これは当時、南ベトナムの場合には、たいへん政治的な意味がありまして、南ベトナムのチュー政権と臨時政権との間に争いが現にあった。和平会談というものがありましても、一緒に交渉に出席しないとか、敵対関係の相手方のままであった、その関係は。それがあのときの代理申請の形になっているわけであります。  したがって、私が心配するのは、アラブの諸国なり中国なり、最近は特に政治的な面で考えなければならない。外交というのは生きておりますから、そういう意味で非常にむずかしい面もある。だから、いまの基本的な考え、これは大臣のお考えでありますから、それはそれとしてわかりますけれども、しかし一つのアジア地域の各般に及ぶ団体競技でございますので、それを何とか成り立たせなければならないという別な角度からの問題点もある。だから、そこらのところを、しからば一体どういうふうに考えていくか。だから、代理申請ということを主催者側は言っているわけでありますけれども、そこらのところを検討をいただいて、何とかせっかくのこの大会を成り立たせていただきたい。  そういう関係にあるというのはわからぬわけではない。北朝鮮の場合であっても、その意味では韓国との間は、この間もいざこざがありましたように、いろいろな関係にあります。突き詰めていけば、私どもの見解からすれば、そういう意味では、あえてそれが政治という問題でない限りは、その辺は決断をすべきではないかという気がいたすのでありますけれども、そこまで申さぬ手前で、もう少し皆さんのほうで御検討いただく余地がないかという点を、さらに重ねて承りたいわけでございますが、いかがでございましょうか。
  84. 影井梅夫

    ○影井政府委員 ただいま大臣から基本的な考えを御説明願ったわけでございますが、これは問題として非常に困難かと思いますけれども、ほんとうに純粋のスポーツであって、それ以外のいかなる意味も含まないというような場合も、全然余地がないというふうに考えるべきかどうか、これは私、その余地がないということまで申し上げる必要はないだろうと思います。  また、もう一点といたしまして、スポーツという範疇あるいは文化交流という範疇という一つの範疇を設けまして、およそ抽象的にその範疇に入るものなら、どんな場合でもよろしいというところまでは、まだいけないのだろうと私は思います。結局、一つ一つ個別的に、その内容をよく突き詰めまして、先ほど申し上げましたように、いろいろな制約ということもあわせて考慮いたしまして結論を出すべきものではないか、このように考えております。
  85. 大出俊

    ○大出委員 私もざっくばらんな話、だいぶ気をつけて、私らしくない気を配りながら質問をしているのですが、なかなかむずかしいところでございまして、大臣にどこまで答えていただいたらいいのやらということも、実は頭の中にありながら承っておるのであります。たいへん気を使わせてしまいまして恐縮でございますが、大臣がここまではっきり基本線をおっしゃったわけでありますから、これは大事なことだと思うのです。大臣が御指摘のとおりに、国と国との間でつき合いのある相手方があるわけでありますから、その国との関係でいえばこういうことになる、こう言い切られることは、ごもっともなわけで、一つの筋をお通しになるというわけでありますから、よくわかるわけであります。  だが、それだけにしてしまうとすれば、先ほど局長がおっしゃっておりましたように、いかなるスケジュールで、いかなる行動で、いかなることをおやりになるのかということを早く出せと言っているのだが、お出しにならぬという、大臣がおっしゃっているその筋わかるのですが、実は出せと言われたから出しました、だが、大臣のおっしゃることで、こういうことならば出すことに意味がなくなる、したがって、皆さんのほうで出しなさいと言ってくれているというところが、実はたいへんむずかしいところでございます。だから、さっきから私申し上げているように、出すに出せないそのむずかしさが出すはうにもある。出してしまった以上は、これは何とかしてもらわぬということになってしまう。これまたスポーツという世界における国際的な関連がある。準備は進んでいる、こういうわけでありますから。  ですから、これは純粋なスポーツでいっていただきたいのでありまして、背景の政治にぶつかってしまうとたいへん困るわけであります。へたに出した、だが、この基本線で、こうなると、事政治問題に飛びはねかねない、そこになかなか出し切れないむずかしさがあるということでございます。したがって、いまお話しいただきました純粋にスポーツということであるならば、全くもって余地がないということを言い切るわけではないんだと、まあ裏を返せば、全く余地がないというわけでもないという受け取り方になる。かといって、文化交流であるから、あるいはスポーツだからという範疇をきめて、ならばいいんだというところまでは、まだとてもいける段階ではないというのが一つついているわけでありまして、非常に狭い道でございますけれども、そこに全くもって余地なしとしないという細い道がある。その道の中で、つまり、いろいろな条件を限定すれば、まあ余分なものを排除していけば、狭い道だって通れるはずでありますから、そういう意味の狭い道に入り得る条件の確定が必要なんだと、こういう受け取り方をしてよろしければ、私どももそのつもりで段々の相談をこれからしなければならぬ、こう思うのであります。なかなか承りにくい質問をして恐縮でございますけれども、可能であればお答えをいただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょう。
  86. 影井梅夫

    ○影井政府委員 ただいま先生からお述べになりましたところ、大体、私どもの考えを御理解いただいたものというふうに思っております。
  87. 大出俊

    ○大出委員 そこまでたいへん無理な質問をいたしまして恐縮でございましたが、そうお答えいただければ、それ以上の質問は差し控えさしていただきます。たいへんむずかしい扱いになる、わかり過ぎるぐらいわかっておるのでありますが、私もこんなどうも神経を使う質問をしたのは、初めてなんですけれども、まあ、そこのところはぜひひとつ御理解をいただきまして、政治力ある中村法務大臣でございますから、ひとつ曲がりなりにも、サザエの何とかやらぐらい曲がりましても、その狭い道筋を何とか通り抜けていきますように御配慮を賜わりますよう、これは要望でございますが、お願いを申し上げておきたいわけであります。  最後に、一点だけ官房長に承りたいのでありますが、先般、御質問いたしました横浜の笹下にあります横浜刑務所、なかなかこれが大きな刑務所でございまして、この間、替地の問題その他金が幾らかかるかというところまでいろいろ聞きましたが、一ぺんにということは、なかなかむずかしいのかもしれない、そういう気がいたします。かといって、現状を捨てておくわけにもいかないことも、また現実の問題であります。しからば、そこらをどうするか、これが課題でございましょう。  そこで、法務省の皆さんから、それとなく承る限りは、一ぺんにどこかへ持っていけば、あるいは場所を見つけろといえば、地域住民が反対をする、そこらもあってなるべく減らせるところは減らしていったり、いろいろなことを考えて、結果的に所期の目的に近いものにしたいというお気持ちがあるやに仄聞をするのでありますが、これまた差しつかえない限りでけっこうでございますが、そのためには法案の出し方もということにあるいはなるのかもしらぬし、その法務省当局のつらさもわからぬわけではないわけでありますが、かといって、われわれの側も初めて変わった形で出てくると、それなりに反論が出る、これ世の常であります。したがって、できれば真意を承っておいたほうが、今後のものの議論に役立つわけでありまして、その辺の法務省の御苦心のほども、この際お述べをいただいておければ幸いだと思うのでありますが、差しつかえなければお話しいただきたいのであります。
  88. 香川保一

    香川政府委員 本来、矯正局長から御答弁申し上げるのがあるいは筋かと思いますが、私からかわって申し上げますと、全国的にはいろいろ地元要望があるなしにかかわらず、刑務所の位置として、あるいは機能から考えまして、必ずしもその地におることが適当でないというふうなところは相当数あるわけでございます。  その中でも横浜の刑務所は、大規模の刑務所でございますが、まわりの開発の状況等を見ますと、御指摘のとおり、やはり早急にしかるべき場所に、ふさわしい場所に移転すべきものだということは基本的に考えておるわけでございます。ただ、これを具体的にいかようにするか、各あっちこっちに刑務所があるわけでございますけれども、その刑務所の収容者にまだ余裕のあるようなところに分散配置するというようなことも、矯正当局で検討されたようでございますけれども、なかなか大刑務所でございますのでそうはまいらない。やはり横浜刑務所の移転を考えざるを得ないという結論でございますが、先生承知のとおり、神奈川県で横浜刑務所の移転地を求めるとなりますと、これは、また移転先にいろいろ問題がございます。そこで、やはり全国的な規模で刑務所の配置考えるその一環としてこの問題を早急に解決したい、かような考えでございます。  さような点から申しまして、これは、おことばございましたので、甘えて申し上げるようでございますけれども、率直に申し上げますと、現在、刑務所につきましては、設置法で最小行政区画まできめられておるわけでございます。これは、そういうことを申し上げては、はなはだ失礼でございますけれども、刑務所の移転というふうなことを考える場合に、いろいろ非常にやりにくい面があることは御推察いただけると思うのであります。その辺のところもあわせお考えいただきたいということを、この際お願い申し上げておきます。
  89. 大出俊

    ○大出委員 実は昨年、いやいまから、起源を言えば四、五年前に、横浜刑務所、大きな刑務所でございますが、刑務道路がございまして、ここには側溝がないんですよ。これは逃亡だ云々だとからみまして、側溝がないから、へいに降った雨が、コンクリ打ってありますから、みんな流れて周辺の住宅に入ってしまう。まあ大騒ぎをやりました。そうかといって、ちょうどそのときは、あの中に新しい未決の方の収容施設を建てているんですね。建てているのに、どけろと言うわけにもいかずという気がありまして、周辺の御町内の方から、一晩私じっくりお話を聞いて、それじゃとりあえず側溝をつけて水が流れ込まぬようにする、そこまで責任を負いましょうと言って、横浜市へ行ったらおどかされて、あの刑務所の用地はおれのところじゃない、市民の税金をそんなところに使えるか、こう言われたので、しようがないから刑務所長さんに会ったら、私のところにも市民から苦情がきて困っている、だから先生、いまだから言いますが、砂利でもセメントでもとにかく材料をください、私どもで時間外でも何でもやって側溝をつくりますと言うわけです。そこまで言われたので、しようがないから、側溝をつくって、そこへ水が流れるというので、以来四、五年になりますか、がまんして皆さんがいたわけなんです。  だが、どうもこれも、もうかんにん袋の緒も切れる時期で、まわりは全部山ですりばちになっていますから、山にうちが建っているのですから、子供に、みんな作業しているのが見えるわけだから、あの変わった服を着ている人はどこのおじさんですか、こうくるわけですからね、おかあさんに。そこまで言われると、しかたなく実は昨年のこの国会、この席で、刑務所を移すとなると、一体どういう手順で幾らぐらい金がかかりますか、あとの土地はどうなりますか、いなかを買うのだから、町の中になってしまった刑務所のあと地だから評価額は高いわけですから、差額で刑務所は建ちませんかという実は立ち入った質問まで、こまかく刑務所についていたしたわけであります。ところが、さて場所はどうするんだというので、私は、あのとき、場所は皆さんでさがすのがまず筋じゃないか、それで、この辺どうだと見当つけたら、市民協力しろ、市も協力しろ、出ていけと言った本人も、協力しろとおっしゃってくれれば協力しますと言ったんですが、そのあとで、私はそれを予測したんじゃないんですけれども、区民集会なんかが開かれまして、区民集会で何とかどけてもらいたいという話になってきた、これは私と関係ないのですけれども。それで、だんだん世間一般の認識を得て、どうも大きな運動になりそうな感じになってきているわけであります。  さて、諸君が考えてもなかなかあと地はない。ないが、現実はほっておけない。となると、いま香川さんおっしゃるような、他府県であってもどこかに、全部一括でなくても移転を考えなければならぬこともあり得るわけであります。いまそういうお話でございましたが、そうなると、さて、いまの法律では何町まで書いてあると言われる、ここが逆にどうも私どものつらさでございますけれども、なかなか踏み切れない、こういうジレンマがあるのです。しかし、そこらのことは、この国会でどうなるかは、さっき冒頭申し上げましたように、私はむずかしい気がしますけれども、取り入れまして、大所高所に立ってどうすれば全体がうまくいくかということは、私どもひとつ考えますから、ぜひひとつ、皆さんのほうでもお考えをいただいて、これは、できる限りもう少し突っ込んだ話をするようにさしていただけぬかという気がするのであります。  冒頭に申し上げましたように、扱いは国会がきめます。しかし提案者でございますだけに、そこらの御検討をいただくという面では、皆さんのほうも鉄の棒でなしに、ひとつ余裕を持っていただいて、少し柔軟に御検討いただくようにお願いしたいのであります。  二点申し上げましたが、もう一ぺん簡単にお答えをいただきまして、終わりたいと思うのであります。
  90. 香川保一

    香川政府委員 事柄は、入管の出張所にいたしましても、刑務所にいたしましても、一般国民に非常に関係のある問題でございますので、さような国民の需要が、できるだけ円滑、迅速に達成されるという方法はどうするかという問題に帰着するわけでございますので、その観点からいろいろお知恵も拝借し、またお願いも申し上げたいと思います。
  91. 大出俊

    ○大出委員 どうも、たいへんむずかしい質問をいたしまして恐縮でございましたが、以上で終わらせていただきます。
  92. 中山正暉

    中山(正)委員長代理 中路雅弘君。
  93. 中路雅弘

    ○中路委員 きょうは、法務省設置法の一部改正案の内容に関連して御質問したいのですが、第一番目の問題について、大出議員も御質問されましたが、登記事務増大複雑多様化している東京法務局民事行政部に、局内にある日本橋出張所統合さして行政第一部、第二部の二つの部に分割するということですが、これは行政機構整備になるというお話なわけです。先ほども大出議員が質問されましたが、この整備で、あとに出ていますいまの定員ですが、行政一部百四名、二部七十名、この定員については、いまのところ変化はないということですか。もう一度お尋ねします。
  94. 香川保一

    香川政府委員 四十八年度の現在員を基礎にして記載されておるわけでございまして、四十九年度に増員を見ました上は、増員というふうなことも講ぜられることはあろう、こういうことでございます。
  95. 中路雅弘

    ○中路委員 行政機構整備ということでお出しになっているわけですが、実際現場で仕事をされている方の声をお聞きしましても、今度のこの新機構が——いままで日本橋の二課制の場合は、指定職になっていないわけですね。それが本局の一、二課になるわけですから、指定の管理職が実質的にふえるということで、現在のままですと、いまお話しのように職制はふえるわけですが、定数がふえない。管理機構の簡素化ということにも逆行して、むしろ複雑化させる面があるのではないかという意見も出ているわけですけれども、いまの場合、特に登記事務を円滑にする、あるいは利用者にサービスをしていくという面では、やはり必要な部署に職員をふやすということが第一に重要だと思うのです。  これは、いまお話しのように、四十九年度では検討もしていくというお話ですが、今度統合されます職場の皆さんの意見を聞きますと、もしこの新機構を認めた場合、六名ぐらいの職員が必要だという意見も職場で出ていますけれども、この点もいろいろ現場の実際の皆さんの意見も聞いていただいて、この新しい機構が、管理職だけふえて——これは組合の団結権とも関連してくるわけですから、実際にこの機構が、そういうほんとうの意味登記事務のもっと円滑化と利用者に対するサービスという面から見れば、いま現場で働いている皆さんの御意見でもっともな点もあるわけですから、十分その点で話し合っていただいていく必要があるのではないか。いまのままでは、むしろ職制機構のほうが強化されるという問題だけが残るということにもなりかねないわけですから、その点のお考えを、もう一点お聞きしておきたいと思います。
  96. 香川保一

    香川政府委員 今回のこの民事行政部の分割は、いわゆる指定職をふやそうとか労務管理の強化というそういうふうなことは、全く考えていないわけでありまして、これは組合とも、その辺のところはよく話し合って、理解されるようにつとめたいと思います。  増員の点の問題は、これは四十九年度、先ほど申しましたように、法務局全国百八十名の純増がございますので、それを本省のほうから、東京法務局分としての割り当て数がきまりまして、あと東京法務局の中で、それをどの部署に配置するか、増員するかということがきめられる、かような形になるわけでございますが、御趣旨よく東京法務局にも伝えまして、組合ともできるだけ話し合いをして、その意思の疎通をはかりたい、かように考えております。
  97. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの問題と関連して、登記所職員の皆さんの問題、統廃合問題について何点かお聞きしたいのですが、これは全法務の労働組合が出された資料ですけれども、最近十年間、昭和三十八年からの「登記事件数および職員数しらべ」という表があります。これを見ますと、甲号登記事件、土地建物の売買等だと思いますが、これが昭和三十八年を一〇〇としますと、二倍以上に四十八年はなっています。登記乙号の指数を見ますと、これが三・六倍。道路、鉄道、工場用地、住宅などの急増で登記事務が非常に増大しているわけです。仕事がふえている。人員のほうの統計を見ますと、登記従業員数、人員ですが、同じ年度で十年間一一五%、ほんのわずかしか、三十八年を一〇〇としますとふえていない。事務量増大に比べると、全く問題にならない現状なわけです。  いま全国的に、なかなか登記の権利証がもらえないとか十分親切に教えてもらえないとかミスが出るとか事務がおくれるとか、いろいろ登記の問題について、私たちも苦情を聞くわけですが、こういった問題について、どういうところに一番問題があるのか、お考えを最初にお伺いしたいと思います。
  98. 香川保一

    香川政府委員 登記所事務、これは何と申しましても、サービス機関でありまして、国民の需要に十分こたえる体制をとることが何よりも肝要でございます。  御説のとおり、現状におきましては、理想的なところまではいっていないというよりは、何とかしなければならないところまで来ておるように思います。一番の問題は、何と言っても、やはり人手が足りないという点であることは、否定できないと思います。関係当局の御理解を得て、わずかではございますが、増員措置がとられてきておるわけでありますけれども、率直に申し上げて、これで十分でないことは明らかであります。ただ登記所事務処理の実態から見まして、人をふやすことだけを考えていいものかどうか、これは政府全体の定員抑制の関係のみならず、事務合理化機械化というふうな面にもっと力を入れなければならないところもあろうかと思うのであります。そのような増員、あわせて事務の簡素化、合理化あるいは機械化、そういうものを、適当な割合でと申しますか、できるところから全体の中で考えていかざるを得ないわけでございます。さようなことで、従来、機械化につきましても、登記事務処理の合理化等も相当成績をあげてまいっているわけでございますが、何ぶんにも需要が非常に増大してまいっておりますので追いつけない、かようなことでございます。  登記所事務増大の最たるものは、何と申しましても、乙号事件、謄抄本の交付、閲覧の関係事務でございます。一体、このような事務を、増員措置、言いかえれば、法務事務官が処理する体制がいいのかどうかという基本的な問題もあろうかと思うのであります。現在、謄写機をフルに活用いたしまして、謄抄本の作製をいたしておるわけでございますが、かような純然たる機械的な事務に、法務事務官を従事させるというふうな体制がいいのかどうかという問題もございます。現在、わずかではございますけれども、部外に発注して、謄抄本の複写作業だけを、職員外の者にやらしておるということを、小規模でございますが、やっておるわけでございます。これも、いろいろの問題があるわけでございまして、そのようなこともあわせ考えますれば、増員もさることながら、根本的に事務処理の体制をどうするかということが、何と言っても早く処理しなければならない先決問題だというふうに考えておるわけでございます。
  99. 中路雅弘

    ○中路委員 これは社会的な問題にもなっているわけですね、登記の問題は。そこで働いている職員の皆さんは、非常な早出、残業です。ほかの官庁に比べても、非常な労働量になっている。したがって、職員の中で健康の障害というものもいろいろ多く出ておるそうですし、在職中の死亡というものも、統計で見ますと多いというのも、やはりこの実態が証明しているのじゃないか。全体の定員の問題もありますが、やはり行政需要が多い、増員の必要のある職場ですね。いろいろ職場で違いがあるわけですから、こういう必要な職場については、十分事務量に見合った増員をやらなければならないというふうに私は思うわけです。  いまも、ちょっとお話がありましたけれども、地方自治体や部外者の応援を受けなければ事務処理ができないという問題ですね。最初からそういう体制になっておるという点については、大きな問題があると思いますし、先ほどお話しのように、今度は実質で百八十名ですか、増があったというお話ですけれども、法務局が立てられておる増員の要請というか計画、ここ一、二年の行管に出されたもの、それは、どのくらいの要請なんですか。
  100. 香川保一

    香川政府委員 四十九年度予算要求におきまして、法務省から法務局増員分として要求をいたしましたのは、千七百八十六名でございますが、これは実はこの倍現在足りない、それを二カ年で処置したいという、いわば二分の一の数字でございます。千七百八十六名の増員要求をしたわけでございます。
  101. 中路雅弘

    ○中路委員 二カ年の中で今度要求されたのが千七百八十六名ですから、二カ年でとりますと、三千四、五百名の要求になりますね。それで、ことしは純増で見ますと、実質増員が百八十名といいますと、皆さんのほうの要求に比べて、ほぼ十分の一という状況ですね。いろいろ事務合理化、その他の御意見もありましたけれども、やはり根本の問題は——皆さん自身も必要だ、組合の皆さんからいえば、もっと多数の増員も出てくると思いますけれども、いろいろ合理化をしたいというお考え法務局が出しておられる増員要求、それに比べても、十分の一しか満たされないという問題は、やはりここに大きな——登記所事務の問題が、いろいろ社会的な問題になっておる。この点の解決が十分できない根本的な原因があると私は思うのですが、この問題について、これは、やはり一般の地域社会と深い結びつきがある仕事ですから、私は、この面の増員については、特別の対策が必要だと思うのですが、行管の方もお見えになっておりますから、お聞きしたいのですが、こういうふうに実際の行政需要のある職場、それについて、法務局の要請のまだ十分の一にも満たない。一昨年に比べれば昨年はふえた、昨年に比べれば今度はふえたと言っても、焼け石に水の状態です。こういう問題について、これからどういう対処をしていかれるお考えですか。一言行管のほうからお聞きしたい。
  102. 正田泰央

    正田説明員 登記増員につきましては、率直に申し上げまして、法務省重点事項でございますし、行管といたしましても、最重点でいたしております。特に各省庁の増員要求の中で、査定の数字といたしましては、大幅な増員の部類に入ると考えております。先生つとに御存じと思いますが、やはり基本的には、何と申しましても、行政事務仕事のやり方につきましては、簡素能率化ということを大条件にしておりますので、そういう意味で、必要最小限度の人数を査定するということでございます。  ただ、先ほど官房長が御説明になりましたような、登記事務の置かれておる客観条件というものは、私どもも全く認識が同じでございますが、今後の問題といたしましては、やはり特に乙号の問題、そういった問題について、より合理的な事務の処理ができないものかということを、共通の認識として念頭に置いておりますので、そういうことも、法務省ともいろいろ御相談していきたい、また御指摘のような問題につきましても、十分念頭には置いておりますので、そういう方向で処理してまいりたい、こう存じております。
  103. 中路雅弘

    ○中路委員 いま若干御質問した中で、お聞きになっていただいて、大臣も実情はおわかりになると思うのですけれども、特に法務省の中で登記関係、こういう問題が最も矛盾が大きいところだと思いますけれども、増員問題については、これぐらいでとどめますけれども、一言大臣のほうからも、この問題について御意見をお伺いしたいと思います。
  104. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 御指摘のとおり、法務省の中でも特に登記関係は、いろいろ機械化をやったり、能率化をやったり、合理化については最善の努力を続けておりますが、なかなか人間でなければできない部分もありますし、それから御承知のとおり、法務局の数は、全国で千何百かありますが、そのうちで人数の少ないところは、もうそれ以上合理化のしかたはありませんしいたしますものですから、法務局の事、登記所関係増員については、私も就任以来、一番力を入れたわけでございます。やっと純増百八十名という数字でございまして、これを、これからいかに合理的に配分をしていくか、予算が成立しましてから、その努力をしていくわけでございますが、御指摘のとおり、登記所が一番難儀をしておる、また増員が必要であるということは、痛感いたしておりますので、今後も努力をいたしたいと思います。
  105. 中路雅弘

    ○中路委員 いまの増員問題と関連をしますけれども、現在進めておられる登記所統廃合の問題ですが、四十五年でしたか、民事行政審議会の諮問で基準が出されまして、閣議決定で四十六年以降五カ年計画で進められているわけですが、この三年間の中で、現在、四十六年以降の統廃合がどのように進められたのか、それから現状幾らになっているのか、一言でいいですから、簡潔に教えていただきたいと思います。
  106. 廣木重喜

    廣木説明員 私からお答えいたします。  昭和四十六年度四十一庁、四十七年度六十一庁、本年度はまだ目下進行中でございますが、大体三十数庁はすでにできております。
  107. 中路雅弘

    ○中路委員 五十年までの五カ年計画ですが、五十年までのおおよその全体計画というのは、どういう計画なんですか。
  108. 廣木重喜

    廣木説明員 先ほどお話にも出ました民事行政審議会答申を受けまして、種々小規模登記所その他の検討を加えた結果、おおよそ四百庁近くが対象庁として考えられております。
  109. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほどの人員問題でも、登記所の現状というのは出ているわけですけれども、私は、いわゆる整理というのではなくて、整備をするといいますか、あるところは拡充しなければいけないところも出てくると思うのです。そういう中身として進めていただかなくてはならないと思うのですが、いままで三年間やってこられて、その部面から見れば、この三年間の、いままでの整理統合といわれるこの中身について、一度ここで検討をしていただく必要もあるのじゃないか。  きょうは、時間もありませんから、個々の地域の問題を個別に取り上げませんけれども、地域住民の皆さんや自治体の中でもいろいろ声も出ていますし、そういうものを無視してやっていくということになれば、文字どおり行政の切り捨てということであって、サービスに逆行することにもなるわけですが、いままでの三年間の中身でどうだったかという皆さんのほうのお考えがありましたら、一言聞かせていただきたいと思います。
  110. 廣木重喜

    廣木説明員 これまでの経験によりますと、いろいろと地域社会の実情が——登記所そのものの地域社会との結びつきといいますか、いろいろの御援助、御支援も仰いでおりますし、それからまた、経済、社会の変貌に従いまして、いろいろとまた登記需要も変わってきております。したがいまして、そういう現実の地元の実情を踏まえまして、かつ十分な説明会、あるいは地元の方々と接触する、あるいは交渉する機会を多く持ちまして、その理解と協力を得て円滑に実施してまいっております。したがいまして、従来、一方的に、地元の了解あるいは理解のないままにやったという事例はございません。
  111. 中路雅弘

    ○中路委員 いまお話がありましたけれども、個個に事情を聞きますと、そうでないケースも相当あるんですね。先ほど話しましたように、登記所は、皆さん自身がよく御存じのように、地域住民と非常に結びついている。町の法律相談の役もやっているところでもありますし、歴史的に見ても、登記所というのは、市町村からある時期には、いろいろ備品に至るまで援助を受け、昔から非常に地域社会とは結びついたものですし、この統廃合というのは、地域住民にとっても大きな社会問題でもありますから、ほんとうに福祉のためにあるという立場からすれば、この統廃合の問題については、十分地域住民の皆さんの意見あるいは自治体の意見、そういったのを聞いていただいて、それを無視されて切り捨てのような形でやられるということがないようにしていただきたいと思うのです。  たとえば、この問題をここで御質問して取り上げるつもりはありませんけれども、松島なんかの統廃合を聞きましても、塩釜に統合されたということなんですね。これは自治体の反対もあった。バスで近いからというお話ですけれども、松島の周辺の方は、塩釜と松島のバスであれですけれども、少し奥へ入った部落は、たいへんないま不便を感じているんですね。いろいろ意見も出ていますし、松島周辺の司法書士の皆さんの問題も、その場合に十分研究しなければいけないということで、個別に聞きましても、いろいろ問題もありそうなんですが、この点で統廃合の問題については、そういう地域住民の福祉のために、登記所の位置づけというものを明確にしていただいて、地元の意見も十分聞いて、慎重に進めていただくということを特にお願いしたいわけですが、この点についても、大臣からも一言御意見を承っておきたいと思います。
  112. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 これは地元とは非常になじんだ一つの機関でもございますので、できるだけ各地元の理解を求めて、慎重に進めるように私も事務当局に言っておるような次第でございまして、今後とも地元とは、十分に連絡をとりながら進めていくようにいたしたいと思います。
  113. 中路雅弘

    ○中路委員 きょうは、時間も短くということでお話ししておいたので、最初の登記所に関する問題は、以上にとどめますが、この法案の一つの非常に大事な問題だと私たちが思っていますのは、二番目の、先ほど大出委員も一言おっしゃいましたけれども、入国管理事務所出張所、 この新設、廃止、位置を省令で定める、従来のようにそのつど、設置法で国会審議にかけないようにするという問題ですが、この入国管理事務所出張所新設や廃止を、こういう形で設置法で国会審議にかけないで省令でやるというのは、先ほど地方自治法の改正案の中で昭和二十八年だったですか、税関支署の出張所や海難救助機関などの省令化というのがありましたけれども、設置法改正によってこういう新設等を省令化するというのは、初めてのケースではないかと思うのです。いままでほかの省では、そういうことはなかったのじゃないかと思うのですが、その点はどなたか御記憶にありませんか。
  114. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 これまで、たとえば海上保安庁の設置法の改正の関係で、出先機関が省令に落ち、それとの関連で地方自治法の百五十六条七項の改正の行なわれました例が昭和二十三年にございます。それから、その他郵政省設置法の関係、電波監理委員会設置法の関係等、十例近くあるようでございます。
  115. 中路雅弘

    ○中路委員 法務省設置法案としては、調査室へ聞きましたら、二十八国会に提案された法務省設置法案の中でこの問題があったわけですけれども、その部分は当時修正削除されているわけです。先ほど大出議員も触れられましたけれども、私は、この問題は、国家行政組織法の、さっき大出議員は法務省版と言いましたけれども、文字どおりそのとおりだと思います。いわば国家行政組織法を検討する前に、なしくずしにこれを実行されるということにもなるわけですから、その点では、国会の審議権、そういった問題の軽視とも関係しますし、重要な問題です。  一方、この出張所の入国管理業務が非常に増大しているという実情はよくわかるのです。出入国者が非常に増加している。そういう中で設置法が出されてきているわけですが、たとえば昭和四十二年から四十八年、一番増加が著しいころだと思いますが、この時期で調べてみますと、三十八カ所の出張所新設されています。しかし、そのつど設置法改正によって行なわれてきて、特別問題はなかったじゃないかと思うんですけれども、どうしてもこの設置法でなくて、今度、省令にしなければ困るのだという特別の、いままでのそういう経過の中で、こういう障害があるのだという問題があるのですか。
  116. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 実は、昨年の出張所の改正は、二年分の改正が行なわれたというような状況であったわけであります。近年の状況といたしまして、出入国者数が特に著しく増加いたしておりまして、これに適切、迅速に対応するという必要性がますます増大しておるという状況でございます。  港につきましては、御承知のように、検疫所及び税関の支署、出張所が省令事項に相なっておりまして、検疫所、税関が港に設置されておるにもかかわらず、入管の出張所が設置されない状況で推移するといったような事態が、先年もあったわけでございまして、このような近年の出入国者数の著しい増大、これに対応するところの出張所の設置というものを迅速に行ないまして、行政需要にアップ・ツー・デートに対応していくということ、これが今回このような形で法改正を意図いたしました大きな理由になっておるわけでございます。
  117. 中路雅弘

    ○中路委員 昨年までの設置法が少しおくれたとか難航したのは、ここの問題、主として法務委員会に出入国管理令のようなものを出されたものですから、実際いえば、それとの関連で問題が長引いたわけなんですよ、内情をいえば。そうでしょう。必要な出張所については、設置法で出されて、それでやっていくということで、私が聞いているのでは、支障が大きくあったのかということになれば、そうでないでしょう。たとえば年度途中にそういう必要があった場合は、実際は現地出張という形で事務をやっているわけでしょう、職員の皆さんは。設置法でそれが通らなければ、その仕事ができないというわけではないですから、その点で私は、この問題について、大出議員も触れておられましたけれども、やはりこういうことが出てくると、ほかの省庁にもずっと影響してきますから、重要な行政機構改革の問題とも関連してきます。政府が、機構について、強い言い方をすれば、自由かってに機構に手を出せるというようなねらいにもつながってくる。  だから、やはり国会の審議にかけて、けじめをつけて進めていくということが重要だと思うんですけれども、提案をされていますから、十分この委員会で審議ということになりますけれども、私たちは、その点で、いま必要な個所については、個所をあげて設置法でその出張所の問題を出してほしいと思うのですが、ちょっとお伺いしたいのですけれども、現在、具体的に出張所として新設をするというのが急がれているというか必要だというのは、どれぐらいあるんですか。
  118. 影井梅夫

    ○影井政府委員 昭和四十九年度予算案中に計上しておりますのが、伊万里港でございます。これは伊万里港の周辺に工業団地の計画がございまして、近年、外航船舶の出入の数が非常にふえているということで、現在は伊万里を予定しております。
  119. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、意見ですけれども、具体的にその点、たとえば伊万里港がいま必要だとなれば、従来のようにそれの設置法として提案をしていただければ、賛成をして——これは需要の面からいっても、すぐ設置をしなければいけないというふうに考えていますし、この点は、この委員会で十分検討をしていただくことになると思いますけれども、提案された皆さんのほうで、私の述べた意見についても若干御意見があれば、この機会に聞かしておいていただきたいと思います。  どうしてもこれは省令でないと、これから困るのだという根拠も、どうも薄弱のように思うんですけれども、どうしてもこれでいかないと困る、まあ提案されているんですから、そうですけれども、それが、いま私が言ったように、従来のように必要な個所を、出張所を明示して設置法で掲げるということでは、もうたいへんな障害が起きるのだ、省令でなければ困るのだ、もしそうだとすれば、その御意見も聞かしていただきたいし、いや、このほうがベターだという程度のお話なのか、その点もうちょっと、できたら御意見を伺わしておいていただきたい。検討する意味で、意見もちょっと、できたら聞かしておいていただきたい。
  120. 香川保一

    香川政府委員 法律的なあれは、まず別としまして、地元から非常に強い要望があり、その実態を見ますと、やはり急いで出張所新設して、サービスにつとめるべきだという実態がございましても、設置法の改正となりますと、国会は常に開かれているわけでもございませんし、なかなか即応しかねるという、そういう不便さと言っては語弊がございますが、問題がございます。これが私どもが省令に落としていただきたいということの一番の理由でございますけれども、しかし半年、一年待てないのかと言われますと、これは絶対半年待てないということを、そう強く申し上げる——まあ地元要望なり、実態を踏まえれば、できるだけ早いほうがいいということでありますけれども、そういう意味から、省令でありますれば即応できる、しかし設置法だと、半年なり一年なりおくれるということで、これは、まあ絶対待てないというほどのことではないと思うのであります。  しかし過去の例から申し上げますと、二年あるいは三年かかってやっと設置される。もちろん予算を伴います場合には、その年度の予算は、新設を認めた予算が成立するわけでございます。しかし設置法の改正ができないために新設できない、かようなことで、過去の実例から申しますと、地元にも非常に御不便かけたし、わが入管の行政運用から申しましても、遠いところから職員が一々出張しなければならぬという関係があるわけでございます。地元から見ますと、検疫関係のお役所はちゃんとできた、税関もできているというのに、一番最初に始まるべき出入国の役所ができないということでは、非常におかしいという感じを持たれるのはもっともなんです。それが結局、もよりの相当離れた入管の事務所から、一々船舶が入るつど職員が出張して入管事務を扱うとなりますと、どうしても一日、二日おくれざるを得ない。そうすると、そこに船舶がそれだけ余分に停泊しなければならないというふうなことで、結局、その港が不便だからよその港に行ってしまうというふうな地元お話もよく承ることでございます。  さような意味で、できるだけ即応するような体制に持っていきたいということでございますが、一方、性質論といたしまして、これは、いろいろ御議論のあるところだと思いますけれども、港出張所の実態から申しまして、一体、国会の御審議をわずらわすに値するようなものかどうか、一々法律改正ということで、非常に多忙な内閣委員会におきまして、港出張所新設まで御審議をわずらわす必要がある実態かどうかという点を考えますと、我田引水かもしれませんけれども、ほかの地方出先機関と対比しましても、港出張所程度の役所であれば、一々国会の御審議をわずらわすまでもないのではなかろうかというふうに私どもとしては一応評価するわけでございます。さような点、ひとつ御勘案願って、よろしくお願いいたしたいと思います。
  121. 中路雅弘

    ○中路委員 需要の増大とかそういう点は、一面私もわかるわけなんですけれども、しかし、この問題が、先ほどからも出ていますように、国家行政組織法のいわばなしくずしみたいな形で実際に実施されていくということにもつながると重要な問題ですから、それからまた、これが成立するということによって、こういう考え方、ケースが他の省の場合にも波及していくということにもなれば、やはりその点も関連してきますから、こういう形で出されたということについては、賛成できかねるわけですけれども、先ほどの大出議員の意見もありますし、委員会の中でも、十分その点はこの審議中に検討さしていただきたいと私たちも考えているわけです。  時間も来ましたので、一応私の質問を終わらせていただきます。   〔中山(正)委員長代理退席、野呂委員長代理着席〕
  122. 野呂恭一

    野呂委員長代理 暫時休憩いたします。    午後三時十六分休憩      ————◇—————    午後三時十九分開議
  123. 野呂恭一

    野呂委員長代理 これより再開いたします。  質疑を続行いたします。鬼木勝利君。
  124. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 法務省設置法の一部改正の法案でございますが、法務局民事行政部にかえて行政第一部と行政第二部を設置する、こういう第一の改正点でございますが、従来は民事行政部でやっておられたのを、今度行政第一部と行政第二部にされるという、急にこれを変えなければならない根本理由ですね、趣旨説明もここに出ておりますけれども、すこぶる簡単であります。なおまた、その機構人員配置、そういう点について、簡単でいいですから御説明を願いたいと思います。大臣おわかりにならなければ、官房長でもいいです。
  125. 香川保一

    香川政府委員 東京法務局民事行政部におきましては、東京都の直轄登記事務関係戸籍国籍供託司法書士、調査士、さような仕事をやっておるのみならず、東京法務局ブロックのこれらの民事行政事務につきましても、管理監督事務をやっておるわけでございます。  最近におきまして、東京法務局ブロック全体の登記事務が非常に増大してまいりまして、いろいろ問題点が生じておりますので、かような点について、遺憾のない管理行政を進めるためには、現在の民事行政部登記のみならず、戸籍その他もあわせてやっておるという機構では十分でないということで、登記事務をもっぱら管理する民事行政第一部を新設さしていただきまして、その余の民事行政事務を第二部で管轄する、かようなことにしておるわけでございます。  人員でございますが、実は民事行政第一部、第二部をつくります関係から、現在ございます、商業登記をもっぱらやっております日本橋出張所を廃止いたしまして、これを東京法務局で所掌する。端的に申しますれば、民事行政第一部に法人登記課として課を二つ設けまして、そこで日本橋出張所の所掌しておる事務をやる、かようなことを考えておるわけであります。したがって、一部、二部の分割に伴いまして、日本橋出張所職員を、そのまま民事行政第一部の職員とする、かような構想でおるわけでございます。
  126. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうすると、日本橋出張所を廃止しても、ここに新旧の対照表が出ておるようですが、これは人員の点においては、従来と変わりはないわけですか。
  127. 香川保一

    香川政府委員 この表は、四十八年現在の日本橋出張所、それから民事行政部定員を、そのまま持ってくる形でつくっておるわけでございます。したがって、定員が減るという関係はございませんのみならず、四十九年度におきまして、登記所関係増員が見込まれておりますので、予算が成立いたしました暁には、その増員の割り振りを考えるということに相なるわけでございます。
  128. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 この表の別表の三枚目に載っておるのを見ますと、全国東京法務局との比較で、その事務量東京法務局は、全国の約一割ぐらいに相当するように思われますが、従来はどの程度でこられたのか。また将来は全国のどの程度にパーセンテージがなるのか。そして、そういうお見通しの上に今回こういうふうにやられたのですか。その点をひとつ……。
  129. 香川保一

    香川政府委員 添付いたしております資料の事件関係は、これは先ほど申し上げました東京法務局直轄の、つまり東京都の関係事件数でございます。この全国との対比の関係は、ここ五、六年来あまり変わりはないと思います。ただ東京法務局管理監督的な事務をやっております東京ブロック間、つまり千葉とか浦和とか横浜、新潟といった関東一円の地方法務局における登記事件数が非常にふえてまいっておりまして、東京ブロック全体の登記事務量は、大ざっぱに申し上げますと、全国の約四割近くになっておるわけでございます。  さような意味で、先ほど申しました東京法務局に、登記をもっぱら管理監督する民事行政第一部をつくりたい、かようなことでございます。
  130. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 その御説明でわかりますが、この表を見ますと、二億四千三百万件、片方の東京法務局が二千七百万件と、こうなっておる。約一割であります。ところが東京周辺、関東地区全部入れれば四割になるのだと。じゃ、もう少し親切にそういう表を出すべきですね。どうもあなた方のやることは、すこぶるあいまいで、もう少し合理的に、計数的にぴしゃっと説明のできるように——これじゃ何のために東京法務局をふやすか、さっぱりわからぬですよ。大臣もよくお聞きくださいよ。この表には、一割の表しか出てないんですよ、東京法務局の。そして、いま言われるように、将来もいままでとあまり変わらぬでしょうなんて、だったら東京法務局、こんなに拡大する必要も何もありゃせぬです。  ところが実際は、東京周辺云々でございまして、それが四割からなる。しかし、そういう表は何も出てやしない。こんな子供だましみたいな、ごまかすような表なんか役に立ちませんよ。官房長、あなたもう少ししっかりしてくださいよ。官房長ならば、法務省の大番頭じゃないですか。しかしこれは、もう言ったってしようがないから、これで……。  その次、今度は入国管理事務所出張所の名称及び位置を法務省令で定めることとしようといたしております、こういうことなんです。しかも非常に小規模で、一カ所二名程度なんだな。出入国の船舶や人員、それもここへちゃんと載っておる。それも、これを見まして承知しました。現在九十七カ所、それもここに書いてある。今度新たに佐賀県の伊万里に一カ所、この法案が通ればふやす、それで九十八カ所になる。伊万里は、私のすぐそばですから、よく知っております。よく知っておりますが、これは、法律であるのを省令に直す。  これは過去の経緯といいますか、ずっと経過があるはずですがね。ところが、そういう経緯というものは、この問題は過去においてこういうふうな論議がありましたというようなことは、伏せて何にも書いてない。今日まで入国管理事務所出張所に対してはこういう論議があっております、こういうことがあっておりますというそもそもの沿革、経緯というようなものが何にも説明してない。いま法律であるのを、これを省令に直したいということだけで、何もこれに対するところの経緯、いままで踏んできた道、過去の来し方の経緯が何も書いてない。わざとこれは伏せてあなた方秘密にしているんですか、どういうわけですか。これを、大臣でもよろしいし、大臣がおわかりにならなければ、官房長そのために来ておるのだから、官房長でもけっこうです。
  131. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 私、組織を担当いたしております秘書課長でございますので、私から説明をさせていただきます。  先生御指摘の立法の経過でございますが、昭和三十三年、第二十八回の国会でございますが、このときに今回の案と全く同じ入国管理事務所出張所の名称及び位置を法務省令で定める案を国会に提案いたしております。その際の経過を申し上げますと、実はこのときには、多数法案が当内閣委員会に継続いたしまして、当時の法務省設置法の改正案の中で一部縮小を求められた部分があったわけでございます。その結果、入国管理事務所出張所の名称及び位置を法務省令で定めるものとするという部分を、実は政府当局において削りまして、結局このときは、その部分の改正が成立しなかったという経緯に相なっております。  その後、先生承知のように、昭和四十六年と四十七年に国家行政組織法の一部改正の法案が提案されまして、実は入国管理事務所出張所につきましても、これを法務省令で定めるという内容がそれに盛られておりましたために、この時期には、格別法務省設置法だけの改正という形では提案がなされていないわけであります。そういたしまして、この昭和四十六年と四十七年の国家行政組織法の一部改正は、御承知のとおり成立に至らず、審議未了で終わっておるわけでございます。  先生も御指摘のように、確かにこの省令に戻すという点は、いろいろ御批判のある点でございますけれども、法務省といたしましては、いま申し上げましたような立法の経過から見ましても、おわかりいただけると思うのでありますが、十数年来の懸案の改正であるというふうに御理解いただければ幸いだというふうに考えております。
  132. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 大体そういうことがあっておったということは、私も少々調べておりまして、念のため承ったわけですが、ところが、これは、もっとその以前に問題があったと思うんですがね。この入管事務は、入管行政は外務省で私はやっておったと記憶しておる。昭和二十七年の八月までであったと思う。これは外務省でやっておった。もっとさかのぼって戦前になりますと、これは警察行政、警察事務でやっておった。この法案は、そういう経緯、経歴があるわけなんです。  ところで、昭和二十七年の八月まで外務省でこれを取り扱っておった場合は、これは省令でやっておったはずなんですが、その点間違いありませんか。
  133. 香川保一

    香川政府委員 お説のとおりでございます。間違いありません。戦前は省令でございました。
  134. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 こういう法案を出したならば、そのくらいよく調べてきなさいよ。ところが、省令であったものを、つまり外務省で取り扱っておったものを、いま言いましたように二十七年八月に法務省の所管に直した。戦前は警察で、それから今度は外務省で、そして昭和二十七年八月一日から法務省の所管になった。その場合に、省令であったものを法令、法律事項に直しておる。——また何か相談しておるが、間違いがありますか。間違いがあるなら言ってごらんなさい。そのときに省令でやっておったものを、法律事項として直して、そして法務省仕事に移管してしまった。どうですか官房長、そうでしょう。
  135. 香川保一

    香川政府委員 そのとおりでございますが、その当時の理由は、率直に申し上げますと、入国管理事務というのは、昔からの沿革もあったのかもしれませんが、どちらかというとサービス機関でないような、取り締まり機関的なものに重点を置いたようなお考えがあったのじゃないかというふうに承知いたしております。
  136. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 なかなか苦しい答弁ですが、取り締まりが主体であった、だから法務省の所管にしたのだ。法務省というのは、取り締まるばかりが能じゃありませんよ。あなた何を言っているのですか。法務省というものは、人権を尊重し保護していくという、これが法務省の最も民主的な行き方ですよ。どうも、何のために省令であったものを法律に変えてしまったのか。そして、いままた省令に変えましょうという。何をやっているのか。法務省仕事がないから、仕事をわざわざつくるのですか。まことにその根拠薄弱である。もっとりっぱな根拠があるならば、はっきり説明してもらいたいのですが、あなた方の説明はまことに薄弱だ。
  137. 香川保一

    香川政府委員 私が先ほど、入管の事務が取り締まり的なものというふうなところに重点を置いていると申し上げましたのは、法務省がさような考えでおるわけではございませんで、お説のとおり法務省の各行政事務どれをとりましても、取り締まり的なものというのは当たらないわけでございます。先生承知と思いますが、実はこの入管出張所法務省になりましての入管令、現在の基本法でございますが、これがポツダム政令でございます。当時、占領下でございまして、さようないきさつもあり、出張所が、現在で申しますれば法律事項にされた、かような経緯だと承知いたしております。
  138. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 ますますあなたの説明はおかしいですね、それは。戦前と戦後においてポツダム事項の云々だなんて、何をあなたおっしゃっているのですか。ポツダム事項に関係があるというなら、外務省が最も適当なんですよ。それを無理やり法務省に取り上げて、そして法律事項に直しておいて、それで先ほど御説明があったように、これはその後国会にはたびたび提案されておる。ずいぶんおかしな話ですよ。自分たちが二十七年に無理やりに法務省に取り上げておいて、省令であったものを法律に直しておいて、そしてまた、五、六年して昭和三十三年か、二十八国会で省令に直さんとした。ところが、これは内閣委員会で修正されてぺけになった。その次、先ほどお話があったように、四十三年、五十八国会ですか、それから四十四年の六十一国会、ここにまた出しておる。これは法案としては出なかったけれども、原案がつくられた。しかし、これもいけない。なぜ、そのように執念深く——これはひとつ大臣にお尋ねしたい。  いまお聞き及びのとおり、省令であったものを、わざわざ法務省が取り上げて法律に直している。官房長は取り締まるためだ、そんなでたらめな話ありませんよ。子供に言うて聞かせるならそれでいいけれども、国民に説明してもらわなければ困るんですよ。単に鬼木が聞いているんじゃありませんよ。それを、あなたのように、取り締まるために法務省にやった、冗談じゃありませんよ。それで今度は昭和三十三年にまた国会に出して、いけない。そうすると今度は、四十三年と四十四年と。なぜそのようにくどく、執念というか——そして国会の承認を得ないで、省令でぱっぱっとやっていこうと。国会のチェックも何も必要はない、承認を得る必要はないと。  ここにも、それはむろん書いてあります。八条の付属機関の問題で地方自治法百五十六条の改正だ、ちゃんとここに書いてある。「司法行政及び懲戒機関、警察機関」、その中に入国管理事務所出張所というのを入れたい、こういうわけなんだ。百五十六条の改正をしたいという。これは、もう国家行政組織法ではっきりあることなんですよ。それを、どうしてそんなに直さなければならないか。ぜひそうしなければならぬという的確な根拠が——くどいことを言うようだけれども、何回も何回も否決をされたものを、何回やったって同じことだ。これはラッキョウの皮むきだ。こんなことをどうしてやられるのか。法務大臣、ひとつ。
  139. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 たぶん国家行政組織法ができた当時には、各省の出先機関がポツダム政令によりまして、メモランダムといいますか、それによってほとんど法律事項になってしまってずっときたと思うのですが、その後、各省でいろいろな不便がありますので、出先機関を省令に直す改正をされて、現在ではかなりそれができておると思うのです。たぶん事務当局は知っておられるが、十か十以上のものが、かつて法律事項であった出先機関が、省令に落とされておるというようになっておると思うのです。  そこで問題は、厚生省の検疫所、それと大蔵省の税関、それとこの入管というのが、車の両輪というか三輪車といいますか、三つ一緒に動かなければこれは仕事にならないわけです。ところが、検疫も税関も出張所は、省令事項になっておりまして、しかも最近の国内情勢を見ますと、各港々に船が着くその場所というのがいろいろ変わるわけです。したがって、税関も場所が変わり、あるいは検疫所も変わる、同時に、本来からいえば、入管のほうも一緒に変わらなければならない筈ですが、他の二つは省令事項になっていて、これだけは実は法律事項になっておる。法律事項になっておりますと、国会の承認を得なければ移動もできませんし、新設もできませんしするものですから、何とかほかの検疫所や税関並みに入管の出張所を省令にしていただきたいというのが、お願いの大体の筋でございます。  そこで、そういうようになりませんと若干の不便がありますことは、船が入りましても、入管がわきから出張してやるものですから、そうすると停泊期間が長引くとか上陸に困るとか、いろいろな不便がありますので、税関の出張所と検疫の出張所とこの法務省の入管の出張所とは、できるだけ同時に動けるような体制というものが必要である。しかも大きな役所ではありません。大きな役所なら、もちろんこれは、国会の承認を得なければならない筋合いのものでございますが、そういうような最近船が着き始めたとか、いままで着いておったけれども、今度はこっちに移動してそこは着かなくなったとか、そういうような変化の場所が小さいところでありまして、大体職員も二人か三人というきわめて微々たる出先機関でございますから、この程度の出張所、人間の二人や三人というような小さい出張所の場合には、ほかの省並みに省令にしていただいてよろしいのではないだろうかというようなことでお願いをいたしているような次第でございますので、どうぞひとつ、できるだけ御理解をいただきたいと思います。
  140. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 大臣のおっしゃることはよくわかります。よくわかりますが、だから私は申し上げているんですよ。税関の出張所だとかあるいは検疫出張所というのは省令、この入国管理事務所出張所も、省令であったものを、なぜそれじゃ法律事項に直したんだ、そこがおかしいじゃないか。いま大臣のおっしゃるようなことは昔からあったことなんです。税関の出張所、検疫出張所、この入国管理事務所出張所、車の三輪のごとくと、こう仰せになった。なるほどそうでしょう。だったら、その三輪のごとくというものを、なぜ一輪だけはずしたんだ。省令で定められておるものを、一は大蔵省、一は厚生省ですか、それを今度は、これを法務省にとるための手段として法律事項にしたのですか。だから、私は先ほど、仕事が少なくて困るから、ひまだからわざわざ仕事をとるためにやったのかと、極端なことを申し上げるようだが、言ったわけです。省令であるものを、わざわざ法律事項に直しておいて、また、いまになってこうだ。どうも一度きっぱり離縁した女を、二度も三度も四度もめめしく——ちょっと例が妙な例で、はなはだおそれ入りますが、これはどう考えたって、ほんとうに奇妙な、ふかしぎな法案ですよ。  大臣の御高説だが、便利よくできておる省令を、わざわざ不便な法律事項に直して、そしていまさら、また今度省令に直すということは、じゃ、あなた方は国民を欺いて、わざわざ不便なことをいままでやってきたのか、こういうことになりますね。ますます許されぬですよ、そういうことでは。声が大きくてすみませんが、そういうことです。
  141. 香川保一

    香川政府委員 おことばを返すようでございますが、鬼木委員のおっしゃる省令というのは、戦前はともかくといたしまして、先ほど申しましたように、戦後、外務省が所掌しておった当時におきましても、ポツダム政令というので出張所法律事項になっておったわけでございます。そのときに、出張所をなぜ法律事項にしたかということは、占領下のポツダム政令でございますので、必ずしもその事情をつぶさにいたしませんけれども、考え方としては、先ほど申しましたような取り締まり的な要素も勘案されたのではなかろうかと思うのであります。そして昭和二十七年八月に、入管事務が外務省から法務省になりました場合に、そのポツダム政令、その当時は法律と同じ効力を持っておったわけでございますから、それをそのまま法務省設置法のほうに移したというわけでございまして、戦後になりまして、法務省の所管になって、わざわざ省令であったものを法律事項にしたという経緯は、全くないわけでございます。  だから、鬼木委員のおっしゃるのは、もとは省令であったものをなぜ法律にしたのか、かような御趣旨だと思うのでありますが、その省令と申しますのが、先ほど申しましたように、ポツダム政令でございまして、二十七年の八月に法務省に入管事務が移管になりましたときには、法律と同じ効力を持っておった。したがって、そのまま法律である設置法のほうに移した、かような経緯でございまして、特に法務省が入管事務をとるためにわざわざ省令であったものを法律に上げたというふうな非難は、ちょっと当たらないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  142. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 一つも当たらないなんて、そんなことないよ。当たっていますよ。ポツダム政令であろうが、占領下であろうが、ことにもう二十七年だから、省令と法律事項ということは、これは、おのずからはっきり分かれておるわけですからね。省令なら簡単にできますよ。しかし法律事項であったら、これは全部国会の承認を得なければならぬ。  それでは、昭和三十三年の二十八国会でどのように審議されて、どのように修正されたか、どうしてこれが否決されたか、その点の御説明を願いたい。
  143. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 この三十三年の第二十八回国会に提出いたしました法務省設置法の一部を改正する法律案では、五つの事項が内容となっておったわけであります。  その一つは、法務大臣官房に司法法制調査部を置くという事項がございまして、これは法務省といたしましては、当時最重点にしておった機構改革でございます。第二番目に、法務大臣は必要があると認めるときは、法務研修所の支所を置くことができるものとするという、法務研修所の支所設置というのが第二の項目でございました。それから第三の項目といたしまして、法務大臣管理のもとに婦人補導院法第一条の規定による婦人補導院を置くものとする、こういう婦人補導院設置の中身、これが第三のポイントでございました。第四のポイントが、先生御質問の、入国管理事務所出張所の名称及び位置を法務省令で定めるというものであります。そして第五番目に、東京拘置所の位置を東京都豊島区に改めるという内容がもう一つございました。  こういう五つの項目につきまして、法務省設置法の一部を改正する法案を作成し、提案したわけでございますが、審議の過程におきまして、この多岐にわたる設置法の改正内容を簡略にせよという要請が出てまいりまして、法務省といたしましては、この五つの中で第四の項目でありました入国管理事務所出張所の名称及び位置を法務省令で定めるというくだりを、実はおりたという形になっております。そういたしまして、残る四つの項目につきまして、御審議を得、一部改正の法律案が成立したという経緯に相なっております。
  144. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 一、二、三、五、そんなことを私は聞いているのではない。出張所を省令にするということを、二十八国会でほかに審議の主点が置かれて、これは、もうどうでもいい、じゃ、これはもういいというような、そんな軽い気持ちで出したのですか。きょうのように、あなたたちが一生懸命になっているじゃなくて、ほかの四つの審議があったから、これはつけたりに出したんだ、そんないいかげんなことを法務省はいつもやるんですか。そんないいかげんなことをやるんだったら、法務省の法案は内閣委員会においては審議しませんよ。
  145. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 決していいかげんな気持ち、態度で当時対処したということではないのでございます。本日、御審議願っておりますと同様に、当時もまた、この入国管理事務所出張所を省令事項にする点につきまして、今回とほぼ同様の理由をるる説明し、法案の成立を期したわけでございますけれども、当時、非常に多種多様な内容が法案審議の対象になっておりまして、この部分はやむなくおりたという関係と伺っております。
  146. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 結局、あなたの説明は同じようなことじゃないか。ほかの四項目の法案審議が非常にたいへんであったので、これは、やむなくおろした。大臣、お聞き及びのとおりです。結局、同じことじゃないか。ほかのもののために、これは犠牲で倒れた、もうやむを得ず、しかたない、メイファーズ、こういうことだ。どんなことがあったって、これは死守しなければならぬという、そんな気持ちは少しもない。今度のこの法案も、うまくいけば何とかなるだろう、うまくいかなければしかたないわというような法案であったら、大事な時間をさいてそんなこと審議するというのはおかしい。どうですか秘書課長さん、あなたの説明は同じことじゃないか。
  147. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 貴重なお時間を拝借して、この審議をお願いしておるわけでございまして、私どもといたしまして、この改正案を粗略にするという気持ちは毛頭ございません。ただ当面しております入国管理事務所出張所の設置という点に関しましては、伊万里港の出張所新設が当面問題になっており、かつ予算化が問題になっておるという状況でございますので、この伊万里港の設置につきまして、実現をはかりたいという意欲は十分あるわけでございますけれども、もちろん、そうだからと申しまして、省令に直す案をなおざりにするということではございませんので、御理解いただければというふうに考えております。
  148. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 だから、私はそれを言っているんじゃないんだ。あなた、どうも問題点から少しおかしいんじゃないですか。三十三年の内閣委員会における審議の場合に、どのようにしてこれは否決されたか、その点をお尋ねしているんですよ。だから、ほかの四つの案がどうだこうだ、そんなこと聞いているんじゃないんですよ。
  149. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 先ほど御説明いたしました中で、一点修正を要する点がございますので、御了解を得たいと思います。  三十三年のときの審議におきましては、各省から設置法が出たわけでございますが、共通の問題といたしまして、簡素化が問題となり、法務省設置法のいまの第四の項目につきましては、議員修正でこれを削除されたということでございます。
  150. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 その議員修正というのは、各党全部一致してですか、野党だけですか。それで修正案通ったんでしょう。どのように修正してありますか。
  151. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 与野党共同であったというふうに私は承知いたしております。
  152. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 だから、どのように修正されたのですか。その修正部分を読んでください。
  153. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 修正の正文を所持いたしておりませんが、先ほど申しました入国管理事務所出張所の名称及び位置を法務省令で定めるというくだりが、法務省設置法の一部改正の中から、修正を受け削除されたという内容でございます。
  154. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 どうもそういうことじゃ、抽象的でわからない。それは、あとではっきり資料として出してください、どのように修正されたかを。それから四十三年と四十四年、五十八国会と六十一国会、これは提案はされていなかったと思うんですが、たしか原案はできておったと思う。あなた方つくっておったと思うんですよ。だから、その点もよく調べた上で資料として出してください。
  155. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 承知しました。
  156. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしなければ、と思いますとか、であったと思いますとか、抽象的なそういう、私はそう思うなんというようなことじゃ、これは、はっきりしません。これは、こういう経過をたどっておるところの法案ですから、簡単に——大臣としては了解してくれとおっしゃっておるし、大臣のお立場としてはわかるし、まあ私どもも、御協力申し上げることにはやぶさかではございませんが、はっきり納得しなければ、そんないいかげんな中途はんぱで、幾ら老練な、りっぱな大臣がお見えになっても、そう個人と個人の問題じゃないんだから、これは資料ができたあとでまた私……。  それから、これは大臣に特にお尋ねしたいのです。実は私の地元でございますが、特に名前は出しませんで、某、交通事故といいますか、これによっていま大分交通刑務所に服役中なんです。四カ月の刑に服しておるわけなんです。そこで、私は悪に味方するものではございません、その点は誤解のないように。だがしかし、破廉恥罪でもなく、交通違反のことでございますので、もし情状酌量ができるならば——家庭も細々とした生活をしておる。女房と子供が二人か三人おって、本人は細々と野菜の行商をしておる。こういうことでございますので、もし情状酌量することができ得るならば、何とかできぬものだろうか。大臣、ようございますか。もし何か情状酌量ができますならば、何とかできぬだろうか、このように御相談申し上げた。  ところが、親戚一同の陳情嘆願書をつくれ、それで私も、それじゃ隣組とかほかの人たちのも一緒に添えればどうだろう、それはなおさらけっこうでございます、そして身内の者が大分の刑務所の所長に、その嘆願書を持ってお願いに出てもらえば何とかならぬとも限らぬ、確約はできませんが……。それはそのとおりだろう、こういうことでございましたので、私は急遽、地元と連絡をとりまして、早急にこの手続をとれというので、親戚あるいは隣組、知人、友人等百七、八十名の陳情嘆願を即刻つくらせました。そして兄弟あるいは女房が、大分の刑務所にそれを持っていった。それでお願いした。また、その時刻には、こちらの本省のほうから、向こうの大分の刑務所にも連絡をとって、できることならば考慮してくれということを申しましょう、こういうことになった。  まあ何回も申し上げますけれども、決して私は悪に味方した覚えはない。また決して圧力を加えた覚えもない。あくまでいわゆる陳情嘆願であって、連判を持って鞠躬如としてお願いにやったわけなんですね。だから、刑を軽くしてくれとか、あるいは保釈してくれとか、そういうことをいま直ちに私は申し上げておるのじゃない。それほど、私は言われたとおりに、わかったと、間髪を入れずにそういう処置をとった。しかるに今日まで、法務省からは何の一片の通知もなければ電話でもない。何の報告もない。まことに無礼千万だ。議員を侮辱するもはなはだしい。われわれを何と心得ておるのか。人情家をもって鳴る中村法務大臣のお考えではないと私は思う。だから、結果のよしあしを私、言っているのじゃない。  さっそくああして手続をとっていただきまして、まあできるだけのことはいたしましたが、なかなか先生の御意思に沿うことができないであしからずお許しをください。もし、そうであれば、やあどうも御苦労千万であった、ありがとう。あるいはまた、いましばらくお待ちください、こういうふうになっておりますとか、何らかの返答があってしかるべきだと思う。何も返事がない。そういう指導を、大臣はなさっておるとは思いません。大臣、どのようにお考えになりますか。私は、それによって助けてくれなかったからどうだとか——あるいは助けてくれておるかもしれませんが、しかし私のところには何の報告もない。  先ほどちらっと話しましたところが、官房長内容を知っておったようです。議員を愚弄するのもはなはだしい、このようにやって、こうやってこうやりなさいと言っておきながら。これは私、断じて許されぬ。いかがでしょうか、大臣、ちょっと。あなたに文句を言っておるのじゃありません。
  157. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 まことにそれは失礼いたしております。私どもの耳に入りませんので、たいへん失礼いたしております。  まあ交通違反などは、私も常にそう言っておるのですが、一度こりればもう二度とはやらないということになるのが、大体大勢でございますから、まじめに服役しておるような人に対しては、できるだけ仮釈放するとか、そういうような処置を考えるべきであるということを言っておるわけでございます。  ただ問題は、仮釈放というのは、三分の一以上服役した後に、成績のいい者についてやることのできる制度でございますし、それから更生保護委員会等に、刑務所長がこの人ならばこうだということで手続をいたしましても、更生保護委員会にかけておる間に一、二カ月たちますので、そうすると残りがほんのわずかになる場合が非常に多うございまして、失礼しておる事件が多いと思うのでありますが、この事件は、だれが先生から承りましたか確かめまして、十分に御連絡を申し上げるようにさっそくいたします。  矯正局の者がいるそうですから、お答えさせます。
  158. 米田昭

    ○米田説明員 矯正局総務課長米田でございます。御説明申し上げます。  先生御指摘の件、これは刑務所もそれから交通事犯も含めたことですが、あるいは職業等から見て、おおむねこの者ではないかということについて確かにお話がございました。大分刑務所におきましては、四十九年、本年の二月二十二日、地方更生保護委員会に仮釈放の上申をいたしております。ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおり、通常申請後、たとえば更生保護委員の面接であるとか、その他審査に若干の手間をとります。いまだにその結論は出ていない状態でございます。もちろん連絡等、必ずしも十分でなかったという点は、おわびしなければなりませんが、何ぶんにも申請中で結論の出ていないところでございまして、ある程度の、たとえばこういうふうな日程になったというような段階で御連絡を申し上げるつもりであったわけでございます。  以上でございます。
  159. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いや、その結果がこのように軽減しましたとか、短縮しましたとか、仮釈放しましたとか、それはまことにけっこう。けっこうですが、それを、私は言っているのじゃないんです。何らかの形が浮かんでくるまで報告しなかった、浮かんでくれば報告するというふうないまの矯正局の課長お話であったのですが、私は、そういうことを言っているのじゃありませんよ。中間報告でもけっこうです。確かにこうして嘆願、陳情も持って刑務所にやってきました、何月何日に来ました、こちらからも連絡しました、刑務所長からは、こういうふうに話が来ております……。ですから、いま大臣のおっしゃるように、八カ月も一年もあれば、それは相当の短縮もあるいはできるかもしれぬ。四カ月ですから、すでに一カ月か二カ月経ているのですから、またいろいろ手続をしておれば、その間にもう終わるというようなことにもならぬとも限らぬ。  だから、私はそういうことをどうだこうだ言っているのじゃないんですよ。これだけのことをいたしましたが、いま実はこういう状態だ、しばらくお待ちくださいとか、あるいはもうほとんど刑期の終わるころにくればこうなりますよとか、中間報告でもよろしい。ところが、先生のおっしゃるとおりこうしてもらいました、嘆願書もすぐに来ました、受け付けておりますということも何にもない。子供だって、朝学校へ行くときには行ってまいります、帰ってきたら、ただいま帰りましたと言いますよ。こちらは辞を低くして、そしてどうぞよろしく頼む、おっしゃるとおりにいたしましょうとやっているのだ。それを、いまのようなそういう事務的な、必ずしも報告が完ぺきでなかったと思います——必ずしもじゃない。絶対ない、報告は。あなたは、ものの言い方を知らぬのじゃないか。あなた日本人か。日本語を知らぬのじゃないか。全然報告はない。全く報告もなかったということは申しわけなかったと思います、それならわかる。そういうことで、あなたたちが人をごまかそうなんといったってだめだ。もっと謙虚な態度になりなさいよ。官房長の言うように、法務省というのは、人を取り締まることばかり考えているのだろう。もう少し善良なる市民、善良なる国民を保護する気持ちで、あたたかい気持ちになりなさいよ。  どうですか、大臣。大臣はほんとうに人情家で、私は、日ごろから御尊敬申し上げておるのだが、こういうことを言われたのじゃ私は黙って引き下がるわけにいきませんよ。官房長どうです、あなたならどう言いますか。
  160. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 どうも確かに、御連絡申し上げなかったのは申しわけない次第で、よく担当者に私からも言っておきます。  たぶん陳情書ですか、嘆願書ですか、お骨折りをいただいて出していただいて、刑務所長としては、おそらくすぐに仮釈放手続をしておるのだと思いますが、まだこれは更生保護委員会にかからないと結論が出ませんので、手続中にいついつごろはこうなるなんてうっかり言うと、また間違ったらたいへんだというようなことで用心深過ぎたのだと思いますが、これから十分に注意させることにいたします。
  161. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 私は、何もことさらにどうだこうだと言うのではありませんけれども、大臣の御答弁でまことに恐縮しました。ほんとうにあたたかい、りっぱな、ありがたい御答弁をいただきまして恐縮しました。  じゃ、これで終わります。どうもありがとうございました。
  162. 野呂恭一

    野呂委員長代理 次回は、来たる十二日火曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十四分散会