○大出
委員 もうこれは
質問ではございませんが、一言だけ、いま
お話が出ましたからつけ加えさせていただきますが、確かに公制審八年の労作で結果が、最終答申が出まして、満場一致の形をとるべく相互に努力されたわけでありますが、それをどう見るかということなんでありますが、公労協側は即スト権の奪還というのにわが手がかかったというとり方を確かにする。だが、同じ
意味で
政府のほうは、全くそれと正
反対の立場をすぐまたおとりになる。これは、どっちもどっちだということですね、その
意味では。
小坂さんは、組合の側だけおっしゃるが、
政府は官房長官の談話が出ておるわけですね。書いてある中身は、「
政府としては、これらの点に留意し、可及的すみやかに争議権の問題を解決するため」と書いてあるだけであります、主文の焦点は。だから、争議権の問題を解決するため、こういうことなんですね。争議権問題を解決するとすれば、争議権をよこせというのとやらないというのとの争いでございますから、そうすると、よこせというほうは、いきなりわが手がかかったり、こう言う。やらないといってきたほうは、争議権をやることを全く
意味していないという談話になる。
そこに実は問題がございます。だから、そこを詰めていただかなければならぬのは、これからでありますから、そういう
意味で長官がこれを言ったか言わないかは問いません。問いませんが、新聞に載っているここが、実は問題の焦点であるという認識をいたしますので、先ほど来、長官の考え方を承っていたわけでありまして、どっちもどっちだというかっこうに第三者が見ればなるわけでありますから、しかし書いてあるのは、「争議権という問題を可及的すみやかに解決する」、こういうわけでありますから、その詰めを、お互いにひとつまとまるような方向で進めていくのには、じゃどうするか、たいへんむずかしいところにきているわけでありまして、これ以上御答弁をいただく気はございませんけれ
ども、ぜひひとつ
——ILOの最終答申をめぐっても、また正
反対な立場が出ているわけでありまして、かくて新聞の社説は、ILOの最終答申は、国際的な労働基準というものを踏まえて、きわめて常識的な結果であったと書いている。その常識が通用しないのでは困るわけでありまして、したがいまして、ぜひひとつ、そういう方向で今後の御努力をお願いいたしまして、長官の
あとの日程がございますので、長官に関しまする
質問は、これで終わらせていただく次第でございます。
たくさんの方が
質問をいたしておりますから、多く申し上げる気はありませんが、労働省の方にお出かけをいただきましたので、二、三点聞かせていただきたいわけであります。
ただ、これは、おいでになった方のお立場からして、妥当な
質問にならぬのかもしれませんけれ
ども、
政府の考え方がおありだろうと思いますから、状況いかんでは場所を変えてまた承りますが、とりあえず承って、御答弁いただきにくければ、それはそれでけっこうでございます。
一つは、ILOの結社の自由
委員会の百三十九次報告、私がいま使っておりますのは、労働
大臣官房国際労働課の訳したものによります。皆さんのお訳しになったのを使うのが一番正しい、つまり皆さんにお答えをいただく面でいいんではないかと思いますから。この中に、九十九というところに、「一九七三年四月二十八日、
政府及び組合
代表は、公共部門及び
民間部門の双方の数組合が参加したゼネストを終結させることのできた合意に到達した。」、この七項目、つまり時の官房長官と総評との間における、山下元利副長官も入りまして成り立ちました念書と申すものでございます。一の「労働基本権問題については、第三次公制審において今日の実情に即して速やかなる結論が出されることを期待するとともに、答申が出された場合は、これを尊重する、」、これは、いま私が
総務長官とやりとりした場面であります。それから二番目に、「
政府は、労使
関係の正常化に努力する、」、これは
政府の責任をここで明らかにしているわけであります。三番目に、「ILOの勧告、結社の自由
委員会の報告等に対しては理解し、慎重に対処する、」、これまた私がいまILOの最終報告に触れて長官とやりとりしたところであります。それから四番目に、「処分については、公正慎重に行う、」、五番目に、「過去の処分に伴う昇給延伸の回復の問題については、引続き
協議する、」、これは
意味がございまして、大木総評事務局長と官房長官、山下副長官との間のやりとりは、ほかならぬ全逓の問題がございまして、私が先ほど申しました
昭和三十三年の処分、これが
最初であります。田中
総理が郵政
大臣のときであります。石田博英氏が労働
大臣のときであります。
私はじめ七人ばかりが首になったわけでありますが、このときに首にならぬたくさんの処分者も出ております。以来、今日まで実際の損害の回復というものが、事、全逓信労働組合と郵政省の間に関する限りはゼロでございます。一人も回復されていない。また、いかなる軽減も行なわれていない。だが、他の公労協その他の組合は、国鉄などは一番進んでおりますが、大なり小なりほとんど実損は回復されてしまって、ないのであります。全電通なんかにおきましても、同様のことが言えます。
ということになりますと、労使間にいかなる難問が控えているにせよ、三十三年でございますから十六年目でありますけれ
ども、十六年間、他にはほとん
どもう回復して、なくなってしまっている実損が、今日まで残り続けているということは
——ILOはストライキを行なったからといって、それが違法だからといって、身分上の差別であるとかあるいは俸給上の損害であるとかいうものが長期にわたってついて回ることはよろしくないと何べんも言っているわけですね。理屈を郵政当局がいかに言おうと、労働省がいかにおっしゃろうと、
政府が言おうと、現に十六年間そのままというばかなことは、ILOの国際常識に基づく勧告から見て正しくはない。理屈は抜きであります。ゼロであるという現実が、ここにあるからであります。
そういう
意味で、この念書の五項の「過去の処分に伴う昇給延伸の回復の問題については、引続き
協議する、」、この背景は、全逓問題があるので、これを入れたのであります。以下二つばかりの問題がございますが、七項目の念書、これは一体あったのかなかったのか。当時、実は郵政当局は、最後まで念書はないと言い張った。私は、実はその念書はふところに入っていたわけでありますが、出して見せても、ないと言い張ったわけであります。これはILOの百三十九次報告に
政府側から報告をしているわけですよ。ないと言った
政府が、何で一体ILOという公の国際機関に、こういう合意をいたしましたと麗々しく報告をしたのですか。私
どもにはないことになっていた。なぜ一体、国際機関に、ないと言った相手万があるのに、こういうことがございましたといって麗々しく報告をして、つまり、だから
政府は努力しているのですから、
政府の立場を御理解をという言い方をなぜするか。
まことにもってけしからぬ話でありますが、一体労働省は、おたくは、これを訳したのでありますから、この念書について、どういう理解をされているのかという点が
一つと、いま私が申し上げました実損の回復にかかわるこの問題をどうお考えになっているか。実は、今回の春闘にあたって二、三の方々から、公労協の問題の解決を、これから詰めるにあたり、全逓問題のその実損回復、この問題で話をしたいということを言ってこられております、非公式な話でありますが。それだけに、おわかりになっているのだとは思うのでありますが、ひとつ道正さんにかわって、おたくからお答えをいただきたいのであります。