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中路委員 昨日、
日本学術
会議の会長が、六本木の同
会議で記者会見を行ないまして、原潜放射能測定捏造事件について、
日本学術
会議としては初めてですが、会長の談話が発表されています。
この談話の中で、一部引用しますと、今度の
日本分析化学研究所の原潜放射能測定値の捏造事件ですが、「この種の事件をひき起こした当事者は、きびしく糾弾すべきである。しかしながら、本事件の重大性は、そのようなことにのみあるのではなくて、
科学技術行政のあり方にこそあるといいたい。
科学技術行政なり、公害行政なりの根源におけるゆがみこそが、その根本原因であるということである。そうであれば、本事件に
関係した研究機関やその
責任者、あるいはその監督官庁の担当者等を処分したり、また測定業務を他の研究機関にふりかえるようなことで、事件が解決するものではなかろう。むしろ、そのような安易な対策が講ぜられることこそ今回の事件の
意味する重大性や、その根源が認識されるにいたっていないことを物語っているとともに、本事件のごときものを必然的に生み出す
科学技術行政のゆがみがあらわれていると見るべきであろう。」というふうに述べています。
また、この談話の中で、「この点について
日本学術
会議の
意見を隔意なくきいてもらいたい。直言すれば、科学者の
意見を土台として、真の科学行政を実施してもらいたい。先に
日本学術
会議は「放射線影響研究の推進について」の勧告をおこない、環境放射能研究所、放射線障害基礎研究所の設置を求めたが、不幸にしていまだ
政府の実施するところとなっていない。」という、この問題についての相当強い不満、怒りを、きのう談話で述べられているわけです。
この
日本学術
会議の会長の談話は、昨日、記者会見の前に開かれた
日本学術
会議の運営
審議会でも、この談話が了承されて、出されているわけですから、いわば今度の分析研の摸造事件に対する
日本学術
会議の最初の見解でもあるわけです。この談話の中でも、いま私がお尋ねしました、六年前から勧告されている環境放射能研究所の設立の必要性、この問題が「不幸にしていまだ
政府の実施するところとなっていない。」というふうに述べられているわけです。
いままでも、
日本学術
会議が勧告した中で、たとえば
昭和三十四年の勧告にありました核融合の基礎研究である名古屋大学のプラズマ研究所の設立、これが、この中からりっぱな研究者を育て、国際的にも高い評価を受けてきたのは、皆さんもよく御存じだと思います。
こういう点で、
日本学術
会議が、文字どおり
日本の科学者を代表する機関として
政府に
責任ある勧告をしてきた、しかし非常におくれております放射能基礎研究についての重要なこの勧告が、いま
答弁されたような扱いになっているということについて、きのうの談話でも、あらためて
日本学術
会議を代表する会長から、このような談話が出されております。
また、このあとで、私は、総理はじめ
関係大臣、各政党の首脳並びに
関係国
会議員などと会談し、直接このことを訴えたい、また、要請があれば、いつでも
国会に参考人として出席して見解を述べたいということも述べておられます。
きょう、できれば出席したいという
お話だったのですけれ
ども、所属の麻布獣医科大学の行事でこちらへお見えになっておりませんけれ
ども、きのうの談話でも取り上げられておりますこの研究所の設立について、いまのままで、事実上この点については認めない、具体化できない、しないという
状態にまだあるわけですが、
政府の代表として、ひとつ大臣のこの問題についての御見解をまずお聞きしたいと思います。