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1974-04-24 第72回国会 衆議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十四日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 廣瀬 正雄君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 梶山 静六君 理事 金子 岩三君    理事 羽田  孜君 理事 阿部喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       志賀  節君    高橋 千寿君       坪川 信三君    中村 寅太君       長谷川四郎君    村岡 兼造君       米田 東吾君    平田 藤吉君       田中 昭二君    池田 禎治君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         郵政政務次官 三ツ林弥太郎君         郵政大臣官房長 神山 文男君         郵政大臣官房電         気通信監理官  浅見 喜作君         郵政大臣官房電         気通信監理官  佐野 芳男君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         日本電信電話公         社総務理事   北原 安定君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締役         社長)     菅野 義丸君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締役         副社長)    板野  學君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     増田 元一君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     木村 光臣君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     有竹 秀一君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     米田 輝雄君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      大島信太郎君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      古橋 好夫君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      小池 五雄君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      鶴岡  寛君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   村岡 兼造君     天野 公義君 同日  辞任         補欠選任   天野 公義君     村岡 兼造君 同月二十四日  辞任         補欠選任   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ――――――――――――― 四月五日  簡易郵便局法等改正に関する請願外一件(木  部佳昭紹介)(第三五三七号)  有線放送電話制度改善に関する請願外二件  (木野晴夫紹介)(第三六二九号)  同外二件(塩崎潤紹介)(第三六三〇号)  同外三件(關谷勝利紹介)(第三六三一号)  同外十五件(足立篤郎紹介)(第三八五四  号)  同外七件(小沢貞孝紹介)(第三八五五号)  同外五件(栗原祐幸紹介)(第三八五六号)  同外二件(小平忠紹介)(第三八五七号)  同外二件(佐々木良作紹介)(第三八五八  号)  同外六件(高見三郎紹介)(第三八五九号)  同外三十三件(田中六助紹介)(三八六〇  号)  同(丹羽兵助紹介)(第三八六一号) 同月八日  簡易郵便局法等改正に関する請願外十二件  (田澤吉郎紹介)(第三九七一号)  同(浜田幸一紹介)(第三九七二号)  有線放送電話制度改善に関する請願外十二件  (安倍晋太郎紹介)(第三九七三号)  同外一件(阿部喜元紹介)(第三九七四号)  同外一件(天野光晴紹介)(第三九七五号)  同外七件(荒舩清十郎紹介)(第三九七六  号)  同(有田喜一紹介)(第三九七七号)  同外七件(井出一太郎紹介)(第三九七八  号)  同外七件(井原岸高紹介)(第三九七九号)  同外五件(伊能繁次郎紹介)(第三九八〇  号)  同外五件(稻葉修君紹介)(第三九八一号)  同外一件(今井勇紹介)(第三九八二号)  同外十一件(宇野宗佑紹介)(第三九八三  号)  同外六件(上田茂行紹介)(第三九八四号)  同外八件(上村千一郎紹介)(第三九八五  号)  同外四件(植木庚子郎君紹介)(第三九八六  号)  同(臼井莊一君紹介)(第三九八七号)  同外十二件(浦野幸男紹介)(第三九八八  号)  同外七件(江崎真澄紹介)(第三九八九号)  同(江藤隆美紹介)(第三九九〇号)  同外二件(小川平二紹介)(第三九九一号)  同外一件(小此木彦三郎紹介)(第三九九二  号)  同外二十五件(小澤太郎紹介)(第三九九三  号)  同外二件(小沢辰男紹介)(第三九九四号)  同外十五件(小渕恵三紹介)(第三九九五  号)  同外四件(越智伊平紹介)(第三九九六号)  同外九件(大石千八紹介)(第三九九七号)  同外三十三件(大久保武雄紹介)(第三九九  八号)  同外四件(大竹太郎紹介)(第三九九九号)  同外一件(大野明紹介)(第四〇〇〇号)  同外五件(大野市郎紹介)(第四〇〇一号)  同外三十三件(加藤六月紹介)(第四〇〇二  号)  同外七件(梶山静六紹介)(第四〇〇三号)  同外三件(金子一平紹介)(第四〇〇四号)  同外二件(亀岡高夫君紹介)(第四〇〇五号)  同外三件(鴨田宗一紹介)(第四〇〇六号)  同(仮谷忠男紹介)(第四〇〇七号)  同外七件(木村俊夫紹介)(第四〇〇八号)  同外十二件(吉川久衛紹介)(第四〇〇九  号)  同(久野忠治紹介)(第四〇一〇号)  同外九件(久保田円次紹介)(第四〇一一  号)  同(熊谷義雄紹介)(第四〇一二号)  同外六件(小坂善太郎紹介)(第四〇一三  号)  同外十一件(小島徹三紹介)(第四〇一四  号)  同(小平久雄紹介)(第四〇一五号)  同外八件(河野洋平紹介)(第四〇一六号)  同外三件(河本敏夫紹介)(第四〇一七号)  同(近藤鉄雄紹介)(第四〇一八号)  同外一件(佐々木秀世紹介)(第四〇一九  号)  同外五件(櫻内義雄紹介)(第四〇二〇号)  同外二件(篠田弘作紹介)(第四〇二一号)  同(瀬戸山三男紹介)(第四〇二二号)  同外六件(染谷誠紹介)(第四〇二三号)  同外六件(田川誠一紹介)(第四〇二四号)  同(田澤吉郎紹介)(第四〇二五号)  同外一件(田中覚紹介)(第四〇二六号)  同外五件(田村元紹介)(第四〇二七号)  同外十件(高鳥修紹介)(第四〇二八号)  同外一件(高橋千寿紹介)(第四〇二九号)  同(竹内黎一君紹介)(第四〇三〇号)  同外七件(竹下登紹介)(第四〇三一号)  同外二件(地崎宇三郎紹介)(第四〇三二  号)  同外五件(坪川信三紹介)(第四〇三三号)  同外二件(戸井田三郎紹介)(第四〇三四  号)  同外四件(渡海元三郎紹介)(第四〇三五  号)  同外六件(徳安實藏紹介)(第四〇三六号)  同外十件(中尾栄一紹介)(第四〇三七号)  同外九件(中尾宏紹介)(第四〇三八号)  同(中川一郎紹介)(第四〇三九号)  同外一件(中村拓道紹介)(第四〇四〇号)  同外十七件(丹羽喬四郎紹介)(第四〇四一  号)  同外十一件(丹羽兵助紹介)(第四〇四二  号)  同外二件(野田卯一紹介)(第四〇四三号)  同外十八件(野原正勝紹介)(第四〇四四  号)  同外五件(羽田孜紹介)(第四〇四五号)  同外七件(橋本登美三郎紹介)(第四〇四六  号)  同外六件(長谷川四郎紹介)(第四〇四七  号)  同外十件(浜田幸一紹介)(第四〇四八号)  同(服部安司紹介)(第四〇四九号)  同外七件(原健三郎紹介)(第四〇五〇号)  同外九件(廣瀬正雄紹介)(第四〇五一号)  同外四件(福田一紹介)(第四〇五二号)  同外二件(福永健司紹介)(第四〇五三号)  同外十一件(藤尾正行紹介)(第四〇五四  号)  同外十八件(藤本孝雄紹介)(第四〇五五  号)  同(坊秀男紹介)(第四〇五六号)  同外四件(細田吉藏紹介)(第四〇五七号)  同外一件(本名武紹介)(第四〇五八号)  同外三件(松浦周太郎紹介)(第四〇五九  号)  同外二件(松野幸泰紹介)(第四〇六〇号)  同(三池信紹介)(第四〇六一号)  同外二件(水野清紹介)(第四〇六二号)  同外三件(武藤嘉文紹介)(第四〇六三号)  同(村山達雄紹介)(第四〇六四号)  同外三件(毛利松平紹介)(第四〇六五号)  同(森美秀紹介)(第四〇六六号)  同(粟山ひで紹介)(第四〇六七号)  同外二十件(森下元晴君紹介)(第四〇六八  号)  同(安田貴六君紹介)(第四〇六九号)  同外八件(山口敏夫紹介)(第四〇七〇号)  同外五件(山下徳夫紹介)(第四〇七一号)  同外十一件(山下元利紹介)(第四〇七二  号)  同外十件(山本幸雄紹介)(第四〇七三号)  同外四件(渡辺栄一紹介)(第四〇七四号)  同外六件(渡辺紘三君紹介)(第四〇七五号)  同外十五件(渡辺美智雄紹介)(第四〇七六  号) 同月十日  有線放送電話制度改善に関する請願小澤太  郎君紹介)(第四二四一号)  同外四件(林百郎君紹介)(第四二八二号) 同月十六日  有線放送電話制度改善に関する請願外四件  (大橋武夫紹介)(第四三五四号)  同外二件(佐々木義武紹介)(第四三五五  号)  同(竹下登紹介)(第四三五六号)  同(小川平二紹介)(第四四八三号)  同(角屋堅次郎紹介)(第四四八四号)  同(小林進紹介)(第四四八五号)  同外四件(笹山茂太郎紹介)(第四四八六  号)  同外四件(堂森芳夫紹介)(第四四八七号)  同(島田琢郎紹介)(第四四八八号)  同(下平正一紹介)(第四四八九号)  同外四件(中村茂紹介)(第四四九〇号)  同外三件(原茂紹介)(第四四九一号)  同外七件(平林剛紹介)(第四四九二号)  同(美濃政市紹介)(第四四九三号)  同(安井吉典紹介)(第四四九四号)  簡易郵便局法等改正に関する請願佐々木義  武君紹介)(第四三五七号) 同月十七日  有線放送電話制度改善に関する請願外一件  (小沢貞孝紹介)(第四六一八号)  同(山田芳治紹介)(第四六一九号)  簡易郵便局法等改正に関する請願外一件(有  田喜一紹介)(第四六二〇号)  同(赤澤正道紹介)(第四七三三号)  同(片岡清一紹介)(第四七三四号) 同月十九日  郵便物滞貨解消に関する請願小沢辰男君紹  介)(第四九七四号)  有線放送電話制度改善に関する請願外一件  (下平正一紹介)(五〇六〇号)  同(堂森芳夫紹介)(第五〇六一号)  同(中澤茂一紹介)(第五〇六二号)  同外三件(米田東吾紹介)(第五〇六三号) 同月二十日  有線放送電話制度改善に関する請願外一件  (伊藤宗一郎紹介)(第五一五一号)  同(井出一太郎紹介)(第五二五九号)  同(古屋亨紹介)(第五五八〇号) 同月二十二日  簡易郵便局法等改正に関する請願外一件(保  岡興治紹介)(第五七一五号)  同外三件(加藤常太郎紹介)(第五八九八  号)  同(三原朝雄紹介)(第五八九九号)  同外一件(加藤六月紹介)(第六〇四三号)  同(田中昭二紹介)(第六二七六号)  有線放送電話制度改善に関する請願小平忠  君紹介)(第六二七七号) 同月二十三日  簡易郵便局法等改正に関する請願大野潔君  紹介)(第六四二四号)  同(岡本富夫紹介)(第六九七九号)  同外一件(田澤吉郎紹介)(第六九八〇号)  有線放送電話制度改善に関する請願(三枝三  郎君紹介)(第六四二五号)  同外二件(松浦周太郎紹介)(第六四二六  号)  同(安田貴六君紹介)(第六四二七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十三日  祝日等郵便集配業務廃止に関する陳情書外二  件(第五三五  号)  通話料金地域格差是正に関する陳情書  (第五三六  号)  簡易郵便局法等改正に関する陳情書  (第五三七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件(国際電信電話株式会社の  事業)      ――――◇―――――
  2. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件、特に国際電信電話株式会社事業について調査を進めます。  この際、おはかりいたします。  すなわち、本件調査のため、本日、参考人として同株式会社から出席を願い、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま御一任いただきました参考人は、お手元に配付してあります名簿のとおりでございます。     ―――――――――――――
  5. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 まず、同社の事業概況について説明を聴取することといたします。菅野参考人
  6. 菅野義丸

    菅野参考人 国際電電菅野でございます。  当社事業概況について御報告を申し上げます前に、一言お礼を申し述べさせていただきます。  当委員会におかれましては、本日、まことに貴重な時間をおさきくださいまして、会社事業概要につき御説明申し上げる機会をお与えくださいましたことを、深く感謝いたします。  また、当委員会委員長及び委員の諸先生方には、国際電信電話事業につきまして平素格別の御配意と御支援を賜わり、まことにありがたく、この機会を拝借いたしまして、厚く御礼を申し上げます。  さて、当社は、昭和二十八年創業以来ここに満二十一年を経過いたしました。この間、社業も順調に伸展し、わが国の国際通信サービス国民皆さまに十分御利用いただけるように相なりました。  御承知のとおり、世界国際電気通信は、衛星通信海底同軸ケーブル、あるいはまた散乱波通信等通信技術の急速な進歩発展に伴い、現在では、世界的な広帯域通信幹線網の形成を見るに至っております。  当社が現在使用しております対外回線数は、ほぼ二千回線に近く、これらを通じ電報電話、テレックスはもちろんのこと、テレビジョン伝送データ通信等、多種多様なサービスを提供できるように相なりました。  当社は、今後とも世界各国との国際通信網拡充整備につとめますとともに、日進月歩の技術革新と、情報化社会の進展に対応するため、なお一そうたゆまざる研究と真摯な企業努力を重ね、国民皆さまに、さらに御満足いただけるようなサービスを提供いたしたいと念じております。  つきましては、ここにまず最近一カ年間の事業概況について御報告申し上げます。  昭和四十八年度における設備拡張改良計画のうち、おもなものといたしましては次のようなものがございます。  第一は、衛星通信関係であります。インド洋上のインテルサットⅣ号系衛星本格的運用開始に備えるため、山口衛星通信所設備を改修いたしました。この改修設備が近く稼動いたしますが、これにより対欧州、中近東及び東南アジア方面衛星通信サービスは格段と向上を見る予定でございます。  第二は、海底ケーブル建設であります。  当社は、アメリカ及びオーストラリアの関係通信事業者と共同で、新太平洋ケーブル建設計画を進めてまいりましたが、建設保守協定につきましては、当事者間で合意に達し、近く調印の運びとなる見込みでございます。  さらに、日中間海底ケーブルにつきましては、両国政府間の取りきめに基づき、当社中国側関係者が協議し計画具体化をはかってまいりましたが、建設保守協定も大筋で合意に達し、近く締結できる見込みであります。また、懸案となっておりました日本側陸揚げ地としましては、熊本県苓北町を選定いたしました。  第三は、局舎建設関係であります。かねて新宿新都心建設中の国際通信センターは、工事も順調にはかどりまして、本年六月末に竣工予定であります。  また、同じく建設中でありました那覇国際電報電話局新局舎は、本年三月完工し、無事竣工式を行ないましたが、引き続き通信設備設置工事を進めまして、本年夏ごろにはこの新局舎からの運用が可能となる予定でございます。これにより、沖繩国際通信は一そうサービス改善ができるものと期待しております。  さらに、通信非常障害対策として、東京関門局の被災時における通信途絶を防ぐとともに、増大する電話需要に対処するため、計画中でありました新大阪国際電話局につきましては、昨年九月末大阪市の御協力を得まして、大阪市東区に用地を購入いたしました。  以上のほか、中央局設備等昭和四十八年度当社事業計画に掲上いたしました諸設備拡充計画は、おおむね順調に実施を見ております。  続いて、昭和四十八年の営業概況について申し上げます。  まず取り扱い業務量でございますが、昨年は、ドル切り下げ、円の変動相場制への移行に続く石油危機という大きな経済変動を経験いたしましたが、各業務ともおおむね順調な伸びを示しております。主要業種別に、年度末現在までの概数を申し上げますと、国際電報が六百三万通、国際加入電信千百十二万度、国際電話六百四十万度でありまして、特に国際加入電信国際電話は、前年度比それぞれ三九%、五四%と著しい増加を見ております。  次に、経理の概況について申し上げますと、昭和四十八年度上期の収支状況は、営業収益二百九十八億円、営業費用二百二十二億円となり、これらに営業外収益営業外費用及び特別損益を加減したこの期の利益は、四十七億六千万円となっております。四十八年度下期につきましては、まだ確定的なことは申し上げられる段階にないのでございますが、おおむね順調な決算ができるものと見込んでおります。資産状況につきましては、四十八年九月末現在におきまして、資産総額は八百三十五億円で、そのうち流動資産は二百七十一億円、固定資産は五百六十四億円となっております。一方負債総額は二百八十七億円で、そのうち流動負債は百六十二億円、固定負債は二十三億円、引き当て金は百二億円となり、したがいまして差し引き純資産額は五百四十八億円となっております。  以上で昭和四十八年度事業概況報告を終わりまして、続いて昭和四十九年度事業計画概要について御説明申し上げます。  四十九年度国際通信需要は、石油危機関係等もございまして、従来のような急速な伸びは期待できぬものと考えておりますが、国際交流活発化等を反映いたしまして、総体的には、増加の傾向を示すものと思量いたしております。このような需要増加に対応するため、本年度も前年度に引き続き、各種国際通信設備拡充整備につとめます一方、政府の総需要抑制策方針に従いまして、できる限り不要不急設備投資は押える所存でございます。  すなわち、当社の四十九年度設備計画といたしましては、国際通信センターを本年年中央に完成させるほか、国際電話及び国際加入電信交換設備データ通信設備等の諸設備拡張につとめるとともに、通信回線の新増設、海底ケーブル施設拡充営業関係通信設備整備非常障害対策、新技術研究開発等を推進することとし、これらに要する費用といたしまして、約二百二十五億六千万円を予定しております。このうち、対外通信回線につきましては、さらに大幅な拡張をはかることとし、加入電信回線百五十一回線、電話回線二百四十回線をはじめとして、電報回線専用回線等総計四百七十回線を新増設する計画であります。  これが実現いたしますと、当社対外回線数ほ全体で約二千四百四十回線となり、国際通信サービスは一そうの改善向上を見ることとなります。  海底ケーブル施設拡充につきましては、新太平洋ケーブルは、その計画の第一段階として、本年中に米本土-ハワイ間が完成し、明年十一月までに、グアム経由沖繩まで敷設される予定であります。また、本ケーブル沖繩陸揚げ局建設とともに、日中間海底ケ-ブル日本側陸揚げ局建設にも着手し、さらに、これら諸ケーブル海洋調査を実施する予定であります。  次に、営業所設備等拡充でございますが、お客さま方の御利用の便をはかるため、国際通信センター、新東京国際空港及び東京シティ・エア・ターミナルに営業所をそれぞれ新設する変定であります。  通信非常障害対策関係では、昭和五十年度運用開始を目途に、新大阪国際電話局建設工事に着工するとともに、収容する通信設備手配等を進めることとしております。  新技術研究開発につきましては、新衛星通信方式画像通信方式広帯域海底ケーブル中継方式等に重点を置きまして行なってまいる方針でございます。  さらに、新技術に対応します各種訓練設備整備しまして、職員の能力開発、資質の向上をはかりたいと存じております。  最後に、昭和四十九年度収支につきましては、主要業務需要量国際電報五百八十一万通、国際加入電信千三百三十万度、国際電話八百六十一万度を見込みまして、この予測のもとに、収入については約七百四十七億円、支出につきましては一そうの経費の節減につとめることとし、約六百五十九億円を予定いたしました。  以上、簡単でございますが事業概況の御報告といたします。  何とぞ、今後とも一そうの御指導と御鞭撻を賜わりますよう、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
  7. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  8. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  9. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 KDDの皆さんにはたいへん御多忙の中を御出席をいただきまして、ただいままた社長さんから事業概況の御報告をいただいて、たいへんありがとうございました。  何ぶんこのKDD事業の内容は専門的にわたりますので、われわれはなかなか理解ができにくい問題が多うございますけれども、勉強をさしていただくというつもりで質問をさせてもらいたいと思います。時間が非常に少ないようでございますから、なるべく多く勉強さしてもらいたいと思いますので、できる限りひとつ簡潔に御答弁いただければ非常に幸いだと思います。  大臣お見えになっていないようでありますから、まずKDD海底ケーブル建設計画についてお伺いいたしますが、ただいま事業概況で御報告のございましたいわゆる新太平洋ケーブル、一般に第二太平洋ケーブルというふうに呼ばれておるようでございますが、大体締結の状況はどういうふうに、いまこの段階でなっておるわけでございましょうか。
  10. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  昨年の十一月にこの新太平洋ケーブルに関します会合がハワイで開催いたされまして、それで大体関係事業者の同意を得まして、仮調印をいたした次第でございますが、KDDにおきましては、郵政省の認可を得まして、昨年の十二月の末に協定締結のための手続を終了いたしております。またオーストラリアの逓信委員会につきましては、今年の三月末に認可を得ましたと、そういう通知を受けておりますが、アメリカにおきましては、いまだ米国連邦通信委員会、いわゆるFCCの最終的の認可がいまだおりておりませんような状況でございますけれども、これもきわめて近いうちに認可される、こういう状況になっております。しかしながら、実際に建設に必要なるケーブルその他の製造それから海洋調査等は実際に進められておりますので、ケーブルの完成時期でございます昭和五十年十一月にはこれが完成する、こういうように見込んでおる次第でございます。
  11. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それからもう一点勉強さしてもらいたいのですが、私はこの協定案というものを見せていただいておるわけでございますけれども、これによりますと、このケーブルのシステムは、カリフォルニア-ハワイの第三ケーブル、それからハワイ-グアムの第二ケーブルシステム、それからグアム-沖繩ケーブルシステム、こういう三つに分かれておるようでございますけれども、一般にこれを総称して第二太平洋ケーブルというふうに呼んでいいものかどうか、ことばの解釈でございますが、どういうことになりますか。
  12. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生のおっしゃいましたように、米本土-ハワイを通りまして、グアム-沖繩までを第二太平洋ケーブルと、こういうふうに呼んでおる次第でございます。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、協定の付表のBによりますと、出資の分担といいますか、そういうものが定められておるようでございますが、これで一体KDDの負担する第二太平洋ケーブルの負担総額はどのくらいになるのか、それは全体の何%ぐらいに当たりましょうか。
  14. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  大体総額は五百四十億見当になっております。そのうちKDDの分担額は百四十三億、総建設費の二四・七%に当たる次第でございます。
  15. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、ちょっとややこしいんですが、この協定の案のほうでいきますと六ページになります。六ページの(d)の項、ここに、第3部C、すなわち沖繩ケーブル局でございます、第3部のCは、KDDでその設備全部をおやりになる、こう定められておるようでございますが、さらに一〇ページの8の(b)項によりますと、このKDDがつくった沖繩ケーブル局はKDDの所有になる、こういうふうになっておるようでございます。ところで、この協定の四ページの第3部Bでは、沖繩における関連ケーブル局の設備、これはATTがやるようになっておるのでございますが、そうしますと一体KDDのおつくりになる沖繩ケーブル局というものと、協定第3部Bにいうところの沖繩における関連ケーブル設備というものはどういうふうに区別される性格のものか、お示し願いたいのですが……。
  16. 木村光臣

    木村参考人 沖繩におけるケーブル関係のものはATTの責任になっておりますけれども、これは沖繩局内に設備します設備のうち、二つに分かれておりまして、海底ケーブルのシステムに直接所属しておるものと、それから国内に接続するものとがございまして、その国内に接続するほうはKDD建設をいたしますけれども、海底ケーブルのシステムのほうへ直接つながる設備はATTの建設になっております。  以上でございます。
  17. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この協定案の最後のページの2のところに「当事者は、第9部Bの関係部分の分割は望ましいものでなく、かつ、協定の原則および趣旨に反するものと考え、ここに相互の意向を宣明する。」というのがあるんですけれども、これが、いまのATTとKDDがお持ちになる沖繩ケーブル局と沖繩における関連ケーブル設備というこの問題と関連があるのかないのか、どういうことでございますか。
  18. 木村光臣

    木村参考人 関連がございます。第3部BというのがATTがやるものでございます。
  19. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうも納得がいかないのですが、そこで、好ましくないというのは、これを分割して、第3部BのほうをATTがやって、沖繩ケーブル局をKDDでおやりになるという、その分割が好ましくないということなんですか、どういうことなんでしょうか、これは。――設問がわかりにくいかもわかりませんが、この協定案の付表の一番最後のページの2ですよ。もう一ぺん読みますが、「当事者は、第3部Bの関係部分の分割は望ましいものでなく、かつ、協定の原則および趣旨に反するものと考え、ここに相互の意向を宣明する。」と、こういうふうにうたわれておるわけなんですよ。これが、さっき申し上げたKDDの所有する沖繩ケーブル局とそれから第3部Bの、ATTの所有にかかる、所有じゃありませんが、ATTが工事をおやりになるこの部分との分割という意味か、全然それは関係のないものか、そういう意味でございます。――それをお調べいただいておる間に次の質問をさせていただきたいと思います。  それでは次に、第二太平洋ケーブル、こう呼ばしてもらいますが、第二太平洋ケーブルと、新装なった白亜の殿堂と新聞記事にありますKDD沖繩局でございます。沖繩電信電話局、国際局でございますが、これはどういう関係になるわけでございますか。
  20. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  グアムから沖繩までケーブルが完成いたしまするというと、そこまではケーブルで参りまして、それから沖繩から東京の大手町の局舎まで来る回線につきましては、電信電話公社から借りましてこれに充当するこういうぐあいに考えております。
  21. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 実はいま私がお伺いしたのは、もっとわかりやすく言えば、今度完成をされましたKDD沖繩局と、それから沖繩ケ-ブル局とはどういう関係になるのか。同じ中に一緒に入って仕事をするのか、全然別個なものなのか。きわめて初歩的な質問ですけれども……。
  22. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  沖繩に陸揚げされまする地点と沖繩の営業局と申しますか、その局の間に回線を一つ敷きまして、そうしてその間の連絡をする、こういうことになっておりまして、また沖繩の局と電信電話公社との間にはもちろん連絡の回線がある次第でございます。
  23. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうしますと、結局沖繩ケーブル局というものと沖繩国際電信電話局というものは全然別個なものだ、こう考えていいわけですね。
  24. 板野學

    ○板野参考人 ただいま先生のおっしゃいましたとおりでございます。
  25. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると、この協定に従えば沖繩ケーブル局というのは、これは先ほどお話のあった百四十三億ですか、という分担のほかにKDDが負担をしてお建てになるわけでございますか。
  26. 板野學

    ○板野参考人 これはKDDの土地、建物その他KDDが所有すべきものにつきましては、KDDが経費を持ちまして建てます。
  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうしますと、第二太平洋ケーブルKDDが資本として負担をする百四十三億というほかにこれは加わってくるわけでございますから、第二太平洋ケーブル全体でKDDが負担をしなければならないものは、沖繩ケーブル局も含めて総額どのくらいになりましょうか。
  28. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  大体、大ざっぱな数字でございまするけれども、十億見当だということに考えております。
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その点はわかりました。  その次にお伺いしますが、付表のAでございますが、付表のAによりますと、ケーブルの共有割合というものが示されておるようでございます。この付表のAのケーブルの共有割合を見ますと、カリフォルニア-ハワイ間の共有割合はKDDはゼロになっておりますね。ところが、付表のBによりますと、付表のBはこれは資本的出資、いわゆる資本の負担額だと思いますけれども、ここではKDDが一六・三九〇五%の負担をすることになっておるようでございます。したがって、共有権のないところに出資負担をしなければならないといういきさつはどういうわけでございましょう。
  30. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  第一太平洋ケーブル建設いたしました際におきましては、米本土-ハワイ間は向こうの国内の問題でございまするからKDDの出資を認めないということをアメリカ、いわゆるAT&丁側で非常に主張をいたしました。しかしながら、これは米本土までの通信用に使われるわけでございますので、私どもといたしましては一応ハワイ-グアム間にそれに必要な回線分だけ投資をいたしまして、そうして事実上このハワイ-米本土間は賃貸といいますか、そういう形で米本土まで回線を直通で持っておった次第でございますが、その後アメリカの態度も変わりまして、現在におきましては、米本土-ハワイ間におきましても、約一四%のいわゆる破棄し得ない使用権というものを持っております。そういう関係でございまするので、今回第二太平洋ケーブルにおきましても、米本土-ハワイ間にただいま先生おっしゃいました一六・三九%の破棄し得ない使用権を持った、こういう次第でございます。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いわゆる破棄し得ない使用権を許与されるということは、出資をしなければそれが可能でないということになるわけでございますか。
  32. 板野學

    ○板野参考人 ただいまおっしゃいましたとおりでございます。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もう一点伺いますが、付表のAでいわゆるハワイ-グアム、ナンバ2のケーブルシステム、これについてKDDは一八・八一六六%の共有権をお待ちになりますね。同じく付表のAのこれはグアム-沖繩ケーブル、これでKDDは五〇%の共有権を持ち、同時に五〇%の資本出資をなさる。この限りにおいてはハワイ-グアム間は出資と共有権が同じ割合です。それからグアム-沖繩間においても出資と共有権は同じ割合です。ところが、このカリフォルニア-ハワイ間は出資だけあって共有権がないということになれば、それがKDDのために利益なのか不利益なのか私わかりません。わかりませんが、何か形としておかしいような気がするわけですけれども、どういうことになりますか。
  34. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  先ほどお答えいたしましたように、第一太平洋ケーブルの当初におきましては、ハワイと米本土間におきましては、これは向こうはその出資を認めない、こういう態度でございましたけれども、その後向こうは態度を変えまして、ここにおきましても出資いたしまして、そうして破棄し得ない使用権を持ったわけでございます。したがいまして、第二太平洋ケーブルにおきましても、破棄し得ない使用権をハワイと米本土間、それからグアムとハワイ間、それからグアムと沖繩間におきましては、これは沖繩は日本の領土でございますので、その間五〇%の所有権をKDDで持つ、こういうことにいたしたわけでございます。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 結局、破棄し得ない使用権を持つために出資をされたというお話なんですけれども、さっき申し上げたハワイ-グアム間とそれからグアム-沖繩間は、出資の率、出資の割合と共有する割合は同じになっておるのです。そうすれば、同じように、このカルフォルニア-ハワイ間についても一六%の出資をされるわけですから、当然共有権ができるのではないか、そう思うのですが、そこのところ私はわからないのです。出資をしながら、なぜ共有権ができないのかということです。
  36. 板野學

    ○板野参考人 私の説明がどうも不十分でございましたけれども、米本土-ハワイ間におきましては、いわゆるライト・オブ・ユーザーといいますか、破棄し得ない使用権を持つ。ただその間、グアムと沖繩の間と同じように所有権を持ったらどうか、こういう御質問かと思いまするけれども、実は私ども、所有権は、日本領土に直接陸揚げするものについては所有権を得たほうがよかろう、ただし、これはいわゆるそういう外国の領土、直接日本の領土に関係しないところは、先生おっしゃいました大体破棄し得ない共有権といいますか、いわゆる使用権を持つ、こういうような考え方でいっておる次第でございます。
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私の解釈がおかしいのかもわかりませんけれども、私、共有権というのは、このケーブルに対する共有権というふうに解釈したのですが、そうしますと、いまの副社長さんのお話では、本土に直接陸揚げされるものとおっしゃいますけれども、ハワイ-グアム間でも一八・八一六六%の出資をされて、それで同じ共有権をお持ちになっておるわけなんですよね。だから、必ずしも本土に陸揚げされる部分についてのみKDDが共有権をお持ちになっているのではなくて、ハワイ-グアム間でもお持ちになっている。ただ、同じように出資をしながら、カリフォルニア-ハワイ間については共有権をお持ちになっていない、ゼロだ、そこら辺がわからないわけです。
  38. 板野學

    ○板野参考人 先ほどから御説明いたしましたように、ハワイと米本土間におきましても、私ども先生のおっしゃいます共有権、いわゆる破棄し得ない使用権を今度は持っておるわけです。  それから第一太平洋ケーブルのときには、最初は出資もせずに共有権を持ってはいなかったわけですね。それを後になりまして、第一太平洋ケーブルにつきましても出資をいたしまして、共有権をただいま持っております。したがいまして、第二太平洋ケーブルにつきましても、これは先生のおっしゃいます共有権、いわゆる破棄し得ない使用権を私どもはただいまも持つということで目下協定を結ぶつもりでございます。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、使用権ということと共有権ということを別々に考えたのですが、それではもう少しわかりやすく、付表Aで、カリフォルニア-ハワイ間のナンバー3のケーブルシステムは、KDDの持ち分というのがゼロになっていますね、これはどういうわけですか。
  40. 板野學

    ○板野参考人 これは先ほど申し上げましたように、最初はゼロになっておりましたのを、第二太平洋、あのハワイ-米本土間のケーブルができましたときに、いままでハワイとグアム間にかりに投資をしておりましたその投資分をもって、米本土とハワイ間のいわゆる第二ケーブルに破棄し得ない使用権を持ったわけでございます。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この付表Aというのは今度の協定なんでしょう。今回の協定の中で、カリフォルニア-ハワイ間はKDDは共有権がゼロ、そして逆に、出資負担は一六・三九〇五%とこうなっておるわけですよ。したがって、いま副社長さんのおっしゃるように、前なかったが今回持ったんだというならば、それはそれでわかりますけれども、この付表に関する限りは、第二太平洋ケーブルの設定にあたって、おのおのの持つ共有権とおのおのの持つ出資の割合が示されたものだ、こう私は思うわけです。そうすると、出資はしておりながら共有権がないじゃないか、そういう気がするんですよ。
  42. 板野學

    ○板野参考人 お答えいたします。  どうも私の説明もまた不十分でございまして、おわびいたします。その付表に載っておりますのがいわゆるゼロになっておるというのは、所有権がないという意味でゼロになっておるわけでございまして、破棄し得ない使用権というものはあります。こういうことでございます。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ですからおかしいんですよ。私は、やはり、いわゆる共有権といいますか所有権といいますか、それと使用権は違う。使用権は、破棄しないものについてはお互いの間に結ばれておるけれども、出資をすれば当然共有権ができる、いわゆる所有権ができる、そういう意味で、出資をしながら所有権がないではないか、そこがおかしいんじゃないですかとお伺いしておるわけなんです。どうなんですか、これは。
  44. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  ハワイまでは私ども第二太平洋ケーブルにつきましては所有権を持ったわけでございますが、米本土-ハワイ間は向こうの国内の、いわゆる州と州との間の回線でございますので、私どもといたしましては、最初アメリカ、ATTからも所有権を持ったらどうかというような話もございました。しかし、私ども、将来のいわゆる沖繩-本土間にケーブルがもし敷設された場合とかを考えますと、やはりこの間に、どうしてもこちらが所有権を持てば向こうも所有権をほしがるということでございますので、私どもやはりこれは破棄し得ない使用権のほうがよろしい、いわゆる沖繩と本土間におきましては所有権を与えないほうがよろしい、こういう判断からそういう措置をいたしたわけでございます。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 よくわかりました。そういう意味で、こちらの分も持たせないかわりに向こうの分も持たない、しかし、出資をして破棄し得ない使用権を持ちますぞ、こういう意味になっておるわけですね。はい、よくわかりました。  じゃ、次の点に移りますが、その次に、日中間の海底ケーブル建設保守協定が先ほどのお話でも進められておるようでございます。これは仮調印なさったようでございますが、仮調印のおもな内容を知らしていただきたいと思います。
  46. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  第一点がケーブル区間のことでございますが、これは日本が熊本県の苓北町、中国側が上海市の南濃県ということになっております。  第二点がケーブルの容量でございます。これは四百八十チャンネルの音声級回線でやります。  それから第一二点はケーブルの性能でございますが、電話、電信、ファクシミリ、データ通信等の、いわゆるそういう業務の電送を行ないます。  それから第四点はこの用途でございますが、日中間通信に使用するとともに、その他の諸国との間の通信にも使います、第三国間の通信にもこれを使いますということでございます。  それから第五点は、建設の責任でございまするが、相互の陸揚げ局の土地、建物、電力設備はそれぞれが責任をもってこれを建設いたします。それ以外の端局設備、中継器、等化器あるいは海底ケーブルというものは、これは共同の責任において建設をいたします。  それから六番目は建設費の問題でございますが、先ほどもありました単独建設の部分、いわゆる陸揚げ局に関連する単独の建設費用は、それぞれの当事者が負担をする。それから共同の部分、ケーブル、等化器等の共同の部分につきましては両方が折半をして負担をいたします、こういう点でございます。  それから七点は、このケーブルの完成予定でございますが、これは昭和五十一年内にこれを完成すべく最善の努力をいたします、こういう点でございます。  それから八番目は資産の所有でございまするが、先ほどの共同で建設する部分の資産は、両当事者が不可分、均等でこれを所有いたします。  それから九番目は回線の使用でございますが、日中間の通信業務のために使用する回線については、両当事者が随時協議をして何回線使用するということをきめましょう、こういう点でございます。  それから十番目は保守の責任でございまするが、先ほどの陸揚げ局等、それぞれの責任において建設する部分についてはそれぞれの国で責任をもって保守する、共同の部分につきましては、このケーブルを大体半分に分けまして、おのおのの区間についてひとつ保守の責任を負うことにいたしましょう。  それから十一番目が保守費の点でございますが、それぞれ単独で建設する部分――共同の部分はそれぞれ共同で折半して保守費を持ちますけれども、単独の部分についてはそれぞれの当事者でこれを負担する。  それから十二番目はこの協定の有効期間でございまするが、これは使用を開始してから二十五年間の有効期間がございます。  大体、内容といたしましては、そういうことを協定の案文の中に規定してある次第でございます。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 概要ですけれども、やはり日本と中国との海底ケーブル建設保守協定というのは、私どもが見ても一目瞭然、非常にわかりやすい内容のような気がいたします。  ところで、この日中間の海底ケーブルのほうは、航空協定みたいないろいろ問題が出てくる心配はないのでございますか。  それからもう一つ、五十一年完成のようですが、いつごろからペイするようになるという計画でございますか。
  48. 菅野義丸

    菅野参考人 お答え申し上げます。  日中間の海底ケーブルにつきましては、日本政府と中華人民共和国の政府との間に大体大綱の取りきめがございまして、その取りきめによって私どもは今度は建設保守協定に調印することになりまして、意見は完全に一致いたしましたので、第三回の委員会におきまして代表者が仮調印いたしました。近く本調印になる予定でございます。これはもう初めから、政府間の取りきめをいたしましたときから、そのために台湾との間の通信というものは一切問題になりませんでございまして、現在でも相当大量の通信が台湾と日本との間には取りかわされておるような次第でございます。これは通信の本質からそういうことになったのではないかと考えております。  それから、いつごろからペイするか、これは今後、日中間の経済交流あるいは人の交流等によってずいぶん左右されると思いますが、国交が回復されましてから現在まで二年間にも相当の増加を見せております。したがいまして、もし自由に国民が往復するというようなことになりますと相当な数になると思います。しかし四百八十回線という回線はかなり多い回線でございまして、これは全部使うというまでには相当の日時があると思います。しかしながら、先ほどの協定にもありましたように、以遠権と申しますか、このケーブルを通してほかの国との通信もできるようになっておりますので、日本を経由してアメリカ、あるいは中国を経由してほかの国々との通信が始まれば、間もなくこれはフルに使われるというようなことになると思います。かように考えますと、まだきまった条件がございませんので、いつごろということはいま申し上げられませんが、いずれにしましても、相当の数量が増しても、四百八十回線という大量の回線がございますので、当分だいじょうぶだと思います。なお、そのほかに衛星回線もございますので、日中間の通信については当分の需要は十分まかなえると考えておる次第でございます。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 はい、わかりました。  次にお尋ねしたいのですが、さきの国会でもちょっとお尋ねをしたのですけれども、KDDとイギリスのケーブル・アンド・ワイヤレス社ですか、この間でもって沖繩-香港間の海底ケーブルの設定についてかなりお話が進んでおるように新聞等でも報道されておりますが、この計画の概略でけっこうですが、お知らせ願いたいと思います。
  50. 菅野義丸

    菅野参考人 仰せのとおり、昨年ケーブル・アンド・ワイヤレスという会社から香港-沖繩間にケーブルをつくりたいという申し出がございました。私どものほうでも、かねてから東南アジアのケーブルというものは一日も早くつくりたいと考えておりましたので話に乗りまして、一度首脳者会議をやりまして、相互の意見を交換し、なお専門家の会議も開いたのでございますが、しかし、これだけをつくるということは、日本で考えております東南アジアケーブルという面からいいますと、どうも不十分である、せっかくつくるならば、かねてから問題になっております東南アジアケーブルというものの一つのケーブルとしてつくるようにするのが最も合理的ではないかというような話がございまして、いまその点につきまして郵政省の御指導を得まして先方と話を進めておりまして、先方もまだ態度をはっきりいたしておりません。したがいまして、この問題は一にその点にかかっておるような次第でございます。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 実は私もそこが聞きたかったのですが、郵政省のほうでもかねて東南アジアケーブルの設定についてかなり熱心に進められておったようでございます。したがって、沖繩-香港間のいわゆるKDDケーブル・アンド・ワイヤレス社との海底ケーブルの敷設ができた場合、これを経由して東南アジアに行くのか、またはダイレクトに東南アジアを回すのかというのは前から問題になっておった点ですが、かなり研究も進んでおると思いますので、郵政省としての大体のお考えはどういうことでございますか。
  52. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 お話のように、東南アジア海底ケーブル網につきまして、十年来の課題として私ども取り組んでおったわけでございますが、近年衛星通信が発達しましたものですから、関係国の熱意がちょっと冷えまして、ところが私どもどうしてもバックアップその他の関係海底ケーブルがほしいということで、実は二月十二、十三日両日、フィリピン代表とタイの代表、一番近い関係国でございますが、東京に来てもらいまして、非公式に会議をいたしました。その際にフィリピンが、対米通信約八〇%という国益上、沖繩は問題にならぬ、フィリピンとグアムの第二ラインを敷きたいんだ、しかもアメリカの業者がそれに乗ってきておるというような話がございました。で、これでは日本の国益上またマイナスでございますので、KDDの責任者に急遽アメリカに飛んでもらいまして、アメリカの業者がほんとうにそういうことの熱意があるのかということを確かめましたところ、全く逆でございまして、第二太平洋ケーブルを認可しておりますFCCとしましても、沖繩以西というものを非常に重視しておることがわかりました。その旨フィリピンに書簡を送りまして、第二グアム-フィリピンをあきらめるようにいま工作中でございますが、そうしまして沖繩-フィリピンが結ばれますと、沖繩-香港を結びますよりも、沖繩-フィリピン-香港というルートが最も適当ではないかというふうに考えまして、おっしゃるC&Wとの折衝もそういう方向で今後努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうしますと、浅見監理官、沖繩-香港間の海底ケーブルの問題は、これは新聞で報道されておるようにあまり近い時期ではなく、その調整の関係がつくまではそのまま留保せざるを得ない、そういう形になりますか。
  54. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 おっしゃるとおりでございまして、当時C&Wが直通の香港-沖繩ラインを非常に熱望しまして、向こうからKDDにアプローチがあったものでございますが、私どもは先ほど申しましたプロセスをぜひとりたいということで、その決着がつきますまではペンディングになろうと思います。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 はい、わかりました。  では、次の質問に移らしてもらおうと思います。日本と韓国の間の交信ですけれども、いまはいわゆる対流圏交信ですか、OH回線ですが、これは何か増設計画があるようにさっき承ったのですけれども、どういう内容なのか。それと、日本と韓国間の通信量から見て、いつまでも対流圏交信だけでいいのか、いわゆる海底ケーブル等の必要がないのかどうか、これはKDDはどんなふうにお考えでございますか。
  56. 菅野義丸

    菅野参考人 ただいま韓国との間におきましては、仰せのとおりOHシステムでもって通信をやっておりますが、これがもう非常に一ぱいになりまして、これを倍増する工事を進めております。これは近くでき上がると思いますが、現在、日本と外国との電話の量といたしましては、最近までアメリカが一番多かったのでございますが、いまではもう韓国が最大の数になっております。そういうように韓国と日本との間の回線というのは非常に大量を要求されるような状態になっております。それで、このOHシステムが倍増されましても、これはほとんど三、四千でもってまた一ぱいになるというような見込みでございます。そこで、非公式ではございますが、KDDのほうから韓国の当局者に対して、一番近い距離であるから、何とかこのOHのほかに海底ケーブルを敷かないかという話を進めておりますが、向こうも非常に興味を持ちまして、これ以上OHシステムな増加することはできないので、この上はもう海底ケーブルにするよりしかたがないという点では意見が一致しております。今後もその方向で韓国との間の交渉を進めたい、かように考えておる次第でございます。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 OH回線はよくわかりましたが、次にそのお隣の朝鮮民主主義人民共和国との直通回線の問題で、たしか昨年の十月に社会党の前の委員長の佐々木更三先生がおいでになりまして、金日成首相とお話し合いがあって、直通回線をつくろうではないかということで、また佐々木先生がKDDのほうにもおいでになってお話をされたように聞いておるのですが、その後この話はどんなようになりましたか。
  58. 菅野義丸

    菅野参考人 私どもも朝鮮民主主義人民共和国のほうとはぜひ一日も早く直通回線を持って通信をやりたいと考えまして、ずいぶん前からこちらからいろいろな機会に申し込みをしておるのでございますが、仰せのように先般佐々木先生がおいでになりまして、同国の党との間の話は済んだようでございます。そこで私どもは、先生のお話もございましたので、さっそく現在日本におります代表の方にもお目にかかりまして、ぜひ一日も早く直通回線ができるようにひとつ御協力を願いたいという旨を申し上げてあります。それからさらに通信当局に対しましても電報等でもって催促をいたしておるのでございますが、現在のところは何らの御返事もないのでございます。現在は北京経由でもって電話電報が通じておりますが、電話は一日約十回ぐらいでございますけれども、電報は二百通ぐらいございまして、何とか直通回線をほしいと思いまして当方としては何回も申し上げてあるのでありますけれども、御返事がないということでございます。  実は中華人民共和国との間の通信を増強する場合におきましても同じようなことがございまして、相当長い間こちらから一生懸命で申し上げても御返事がなかったのでありますが、急遽向こうからの同意の返事も来たような実例もございますので、私どもは一日も早くその回答が来るのを待っておるような次第でございます。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 同じように北ベトナムとの間の回線の設定、これはどういうふうになっておりましょうか。
  60. 菅野義丸

    菅野参考人 ハノイとの間の直通回線、これも私ども何回も申し上げておりますが、御返事がございません。実は現在のような中継線ではとても両国間の通信がまかなえませんので、当方から人を差し出して、そしてその点について話し合いをしたい、また必要なる機器がありましたらば当方から提供してもいいという話もしております。しかし、そういう通知に対してもいまのところは返事がございませんので、これも北朝鮮と同様にその返事を待っておるような状態でございます。ごく最近も、こちらからの人員の派遣について催促をいたしたようなわけでございます。
  61. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先年東南アジアのほうに参りましたときに、やはり回線の負担分について、日本のような経済力がないので東南アジアの国々でも負担割り当て等について足踏みをしておったように見受けられたのですけれども、これは東南アジア諸国に限らず、朝鮮民主主義人民共和国にしろ北ベトナムにしろ、やはりそういう点でも問題があるのではないかという気もしますので、事は通信の問題でございますから、鋭意ひとつ御努力を願いたいと思います。  それから、先ほど第二太平洋ケーブルKDDの関門局の間は電電公社の回線を利用したい、こういうお話でございましたが、日中ケーブル関係についても、熊本から関門局の間はやはり電電公社の回線を使用するというお考えかどうか。さらにいま予定をされておりますようなその他の、たとえば東南アジアケーブルなり沖繩-香港ケーブルというようなものについても、さしむきは電電公社の回線を使用されるのか、または別に何かケーブルを敷設されるお考えがあるかどうか、その辺どうでしょうか。
  62. 菅野義丸

    菅野参考人 日中ケーブル及び第二太平洋ケーブルケーブルの陸揚げ地をきめる場合にわれわれが重要に考えておりますのは、電電公社の幹線との接続がうまくいくかどうかということでございます。言いかえますれば、ケーブルはできましても、それと関門局との間は日本電信電話公社の線を借りまして、そして連絡をするわけでございます。それで日中ケーブルの陸揚げ地の苓北町、天草でございますが、これは比較的容易に幹線に接続されることになりまして、その接続線についても公社のほうにお願いをいたしておる次第でございます。  また沖繩につきましても、沖繩の陸揚げ局と那覇の局との間の連絡線及び那覇の局から関門局に至るマイクロ回線等につきましても公社のほうにお願いいたしておりまして、当分の間はそういう方法でいきたいと考えております。
  63. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 公社の方お見えいただいておると思うのですが、いまそういうふうで、KDDのほうでは沖繩と本州の関門局間あるいは熊本と関門局間、これらについて全部電電公社のほうの回線を利用したいということのようですが、これは受け入れる容量は十分に設計されておりますか。たしかこの前、公社の五カ年計画か何かで大体できるというふうに総裁おっしゃったような記憶があるのですが、いかがでしょうか。
  64. 北原安定

    ○北原説明員 お答え申し上げます。  公社といたしましては、従来からKDDと緊密な連携をとりまして、国際通信回線のうちの国内部分につきまして、そのバックアップ回線も含めまして、国際規格に合致した良質な設備を準備して提供してまいった次第でございます。今後もさらに一段と緊密な連携をとりまして万全を期してまいりたい所存でございますし、また十分に御期待にこたえ得るものと考えております。
  65. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこでこういう新聞記事が出ておるんですが、いわゆるKDDの国内回線に属する部分で、たとえばいま茨城衛星通信所と大手町の通信センターとの間にバックアップ回線がありますし、また二宮と関門局の間にもバックアップ回線があるようでございますが、さらにKDDでは茨城通信所と大手町間に大口のバックアップ回線をつくりたいというふうなお話があって、郵政省のほうでもいわゆるKDDの国内回線に関する部分について非常に苦慮されておるというふうに聞いておるのです。われわれ考えましても、いまお話しのようにたとえば沖繩-関門局あるいは熊本-関門局というようなものが、さしむきは電電公社のほうの回線を利用するとしても、自前のいわゆる自営の回線をKDDが持ったほうが有利であるというふうになれば、これはKDDとして自前自営の回線を持ちたいだろうと私は思います。そうすると、それまで施設を提供してきた電電公社としては、契約を破棄されたらたいへんなことになるわけですが、まあ理屈から言えば、関門局までは一これは役務の提供の原則からいえば、国際通信KDDでおやりになり国内通信を公社がおやりになるわけですから、関門局までは法的には文句はないんじゃないかという気はしますが、しかし実際問題として、電電公社の回線を利用しておりながら、むしろ自前のほうが有利になれば、これは会社の性格上当然自前に移っていく、そのときは電電公社もたいへんなことになるという気がするのですが、郵政省はその辺どんなふうにお考えになっておるわけですか。
  66. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 一般的に申しますと、あるユーザーが自前の専用回線を建設し、持つということは可能になっておるわけでございますが、公衆通信業者であります両社の関係といいます場合に、ちょっとその辺に特殊性が出てまいると思います。片やKDDは会社のことでございますので、より安くということを当然考えるでありましょう。これはもう御指摘のとおりでございまして、もしも公社回線の賃貸料よりも自前の回線設定のほうが著しく安くつくという場合に当然問題になってこようと思いますが、現在具体化しておりませんので私どもも詰めた検討はいたしておりません。具体化しようとします場合に最終的な大臣の決断をお願いしたい、かように考えております。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 監理官は具体化してないとおっしゃるけれども、さっき申し上げたいわゆる茨城と関門局のバックアップ回線の問題等が出ておるようですから、これが無条件にずっといくとなればそれが一つの先例になってしまうわけですから、したがって熊本-関門局間の回線にしろ、沖繩-関門局間の回線にしろ、これはあとは無条件に一つの先例として出てしまう。この辺で何らかの話し合いというようなものが、郵政省を含めてKDDそれから公社との間に行なわれていないと困るのじゃないかという気がするのですが……。
  68. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 お説のとおりだと思うのでございます。ただいまのところ明確に御指摘になりましたように茨城-大手町間でございますとか、きわめて短距離のわずかな回線を有するにすぎませんので、両社間の問題にもなっていないという状況からして、私どもの立場から云々する状況にないというつもりで先ほどお答え申し上げたわけでございますが、御指摘のような苓北町-東京でありますとか沖繩-東京という問題になってまいりますと、事が非常に大きな問題になってまいります。そこで、先ほどの賃貸ベースの料金の問題でございますとか自営回線の建設費等の問題につきまして、御指摘のように十分両社間にネゴシエーションが行なわれるように指導してまいりたい、かように考えます。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはここで結論の出る問題でもないと思いますが、私どもからすれば、同じ委員会の中の問題でもございますし、また郵政省先べんをとって、そしてKDDそれから電電公社と大体あらかじめそういう話し合いをしていただいておくことのほうが望ましいのではないかという気がしますので、意見だけ申し上げておきます。  加藤先生がやかましいものだから次に移りますが、次に、新聞によりますと、KDD職員の中に頸肩腕症候群と見られる人が多発しておるというふうに承っておるのですけれども、今日までの発生の状況、措置、簡単にひとつお話し願えませんか。
  70. 菅野義丸

    菅野参考人 現在、頸肩腕症候群と診断された者あるいは類似のような徴候の者が社内に三十六名おります。そのうち休業している人はわずかでございますが、その他は違う仕事をやったりあるいは短時間で交代したりしております。  私どものほうでは、この病気につきましてはでき得る限り治療よりか予防に専念しようと思いまして、こういうような徴候が少しでも見られるときには早急に手を打って、仕事を変えるとか、あるいは短時間でもって交代するとか、あるいは定期的な治療を受けるとか、そういったようなことを考えまして、現在組合との間でそういう特別措置をすることについての相談をしております。そうして、何とかしてこういう患者のふえることを防ごうということに重点を置いてやっているような次第でございます。また、不幸にしてかかった方につきましては十分な治療をやり、専門家の指示に従って勤務をさせておるような次第でございます。
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私はかねて、菅野社長さんの、社員こそ宝であるという思想に非常に敬服してまいっておるのですけれども、これは三月二日の朝日新聞ですか、読んでみますと、たとえば患者の数にいたしましても、組合側では三十四人と言い、会社側では二十二人と言っておるとか、開きがございますし、特に東京国際電話局荒木労務厚生課長なる者の話によりますと、まことに人権を無視した話で、「なぜ昨年から患者が出るようになったのかわからない。しかし、具合の悪い人は診療所に行くようにといい、交換以外の仕事に変えるなど、健康管理はやっている。労組からもいわれているので予防、治療対策も考えている。しかし、この病気が交換業務が原因とは思わないので、業務上災害とは認定できない。」とここで言い切っておるわけですね。まことに不都合な話で、大体業務災害であるかどうかの認定などというのは、本来これは労働基準法上の問題で、そこで認定をされる問題ですが、一労務課長が社長の考えとは別にかってなことを認定をして、そういうことは思われないとか、認定はできないとか言い切っておるようでございますけれども、この新聞記事でも明らかなように、特に最近の国際間のいろいろな問題が頻発をして、もうたいへんなスピードでキーを打ち込んでおる、こういう状況も報道されておるようですし、同じような業務の状態にあるたとえば電電公社なりあるいは郵政省でも、プロジェクトチーム等をつくってこの原因についていま究明をしておる、そういう段階であるのに、もっと進んだ労務管理、健康管理が行なわれておるKDDで、この厚生課長の話たるや、まことにこれは言語道断だと思うのですが、これは社長の意思とは違うのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  72. 菅野義丸

    菅野参考人 確かにこの新聞記事のとおりのことを申し上げたとすれば、少し行き過ぎだと思います。しかしながら、この頸肩腕症候群というのは、ほんとうは専門家でもなかなかこの原因、対策等に確固たる信念を持って指導してくださる方が少ないのでございまして、たとえば薬のごときもなかなか適当な薬がないようでございます。そこで私どものほうでは、早いうちに何とか予防しようというところに重点を置いておるわけでございますが、現在におきまして三十六名と申しましたのは、そういう診断された者ばかりでなくて、それに似たような訴えをする者を入れた数でございます。これ以上多くならぬように私どもは努力いたしたいと思います。とにかく私どものほうの電話の交換にしましても何にしましても、非常に機械的には進歩したものでございまして、そんなに首とか肩とか腕を酷使するようなものではないつもりでございますけれども、これは非常に個人的の差がございましたり、あるいは健康状況等によりましてそういう徴候が起こるようでございます。そこで私どもは、もっと広い目でもって見て、予防に重点を置いてこれからまいりたい、かように考えておる次第でございます。新聞記事につきましてはまことに申しわけなく、おわび申し上げます。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 電電公社や郵政省の関係もあるわけですけれども、すでに病気にかかっておられる方々については一日も早く業務上の疾患として認定をして、労働災害等の適用を受けられるような措置を講じていただくように、私は特に進んでおるKDDが率先こういうことはやっていただかねばならぬと思うのです。銀行でも私は一つ例があるんですが、私の郷里の銀行ですが、やはり頸肩腕症候群でこれは業務上の災害であるという認定をした経緯があるんですが、早くなおしてあげる。事は人命に関するわけでございますから、人間の健康に関しておるわけですから、特に私はいままでの菅野社長さんのものの考え方からして、あなたの部下の課長がこういう言語道断な新聞発表をするというのはきわめて遺憾でございますから、時間がありませんので、十分な措置をとっていただくようにこの問題についてお願いしてお勇たいと思います。特に組合との間にも話し合いが進んでおるようですから、この点十分留意をして、組合といい結論を出していただくようにお願いをしておきます。  次に、KDD昭和四十九年度資金計画についてでございますけれども、この事業計画書には明確ではありませんけれども、資金計画の中で「その他」という項がありますが、百億ばかり「その他」の収入があるようになっておるようでございますけれども、この中に長期借り入れ金があるのではないかと思われますが、ございますか。
  74. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 お答え申し上げます。  この資金計画の収入の「その他」の百四億八千七百万円の中には、ただいまおっしゃいました調達資金が八十六億円だけ含まれてございます。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 KDDは決算状況も非常にいいようでございますし、いままでもあまり長期の借り入れ金が高額になってなかったように私は記憶をしておるわけですけれども、今回八十六億といえばかなり大きい額ですが、この長期の借り入れをするということになれば、その使用の目的、借り入れの予定先といいますか、金利、大体どういうふうな計画になっておりますか。
  76. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 使用の目的につきましては、第二太平洋ケーブルその他日中ケーブル、あるいはまた国際通信センター等、いわゆる二百二十五億を数えます四十九年度設備資金の一部に充当するわけでございます。  次に、借り入れ先であるとかそういう点につきましてでございますが、これはまだわれわれといたしましては、資金の借り入れにつきましては郵政省の御認可も要りますし、また借り入れ先、一応私どもは銀行からの融資を考えておりますが、それの折衝等がございます。それで、ただいまの段階におきましてはまだいわば進行中でございますので、はっきりとどこからどうということは申し上げられませんが、お尋ねの金利等につきましては、当社が優良会社という点から最も優遇した金利でこれを借りることができそうな見込みでございます。そういう状況でございます。
  77. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 同じくこの財政に影響するのですけれども、今度の国会に出されました会社臨時特別税法というのがありますが、このKDDの上期の決算を見せてもらったのですけれども、これから見ますと、この会社臨時特別税法の適用を受けて、いわゆる悪質な買いだめ売り惜しみをやった会社と同じように特別税を取られるのではないかという気がしますが、これは計算上どういうことになりますか。
  78. 菅野義丸

    菅野参考人 今度の特別法を拝見しまして、その趣旨が、もうけ過ぎたものから税金をよけいに取るというような趣旨でございますが、私どもの会社は先ほど先生のおっしゃいましたとおり、この下期の決算におきましても、まだ決算の最中でございますのではっきりした数字は申し上げられませんが、大体三億円以上の追加徴収がございます。しかしながら、この法律は別に便乗値上げあるいは売り惜しみ買いだめというようなことに対する懲罰ではないようでございまして、まあ別の意味からいうと経営状況が非常にいいというような証明にもなりますので、私ども喜んで徴収に応ずるということでございます。
  79. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 会社の内容がいいというのはけっこうなことで、喜んで税金を出してもらえるそうでございますから、政府としてはたいへんありがたいところだと思います。  そこで、もう一点お伺いしたいのですが、未収金の問題がかねてから非常に問題になっておったのですが、昨年の十二月にもお伺いしまして一応資料をいただきました。したがって、その後、趨勢としてどういう状況にあるのかをお知らせ願えればけっこうでございますが……。
  80. 菅野義丸

    菅野参考人 料金の未収の額につきましては当委員会の諸先生も非常に御関心をいただいておりまして、私はじめ経営陣もこの点については十分重点を置いて施策をしてまいったわけでございます。おかげをもちましてだんだんと効果があらわれてまいりまして、四十六年度以前に請求いたしました――非常に古いものでございますが、の未収金は、昨年四月末時点に七億五千余万円でございましたが、この三月末で三億一千余万円というように少なくなっております。それから昭和四十七年度に請求いたしましたものの未収金は、昨年四月末で十一億八千余万円ございましたが、三月末では三億九千余万円というように減っております。  このためには私どもいろいろな手を使いまして、とにかく現在のこのたまっておる未収金を早く解決しようというのでもって人員も増しましたし、また機構も変えましたし、あるいは取り扱いの個所が銀行が少ないというので銀行の数を非常にふやしましたり、あるいは従来電電公社のほうの電話局にお願いしておりました、委託しておりました地域なんかも、相当の数量になりましたところは当社のほうで直接督促をするというような方法を講じたりいたしまして、急速ではありませんけれども徐々に効果をあらわしてきているような状況でございます。私どもはこの暫定措置をなお当分続けまして、一日も早くこの金額を極力少なくするようにということを目標にして努力をしておる次第でございます。将来は当社需要者が非常に地方に分散するような傾向でございますので、たとえば札幌とか仙台とか広島とかあるいは福岡というように、当社の地方局所が全然ないところにもこういう徴収のためのセンターを置いて、必要な職員を配置して督促に努力したいと、かように考えておるような次第でございます。
  81. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先般の数字に比べますとだいぶ未収の収納は効果をあげておるようでございまして、たいへんけっこうだと思います。  大臣がお見えになったようですので――、実は私はインテルサットの問題等についても監理官が御出席なさったようですからいろいろお伺いしたかったのですが、時間がなくなりましたからこれは次の機会に譲りまして、大臣にお伺いしますが、昭和四十九年度KDD事業計画を認可をさるるにあたりまして、特に大臣としてはどういう点に留意をされて認可を与えられたのか、そういう点、大臣の何といいますか認可にあたっての所感をお伺いしたいと思います。
  82. 原田憲

    ○原田国務大臣 KDDが行なっております仕事、すなわち国際通信事業といたしましては、これまで海底ケーブル衛星通信等の施設の拡充整備をはかり、サービスの確保につとめてきたところでございますが、阿部委員もよく御承知のように、最近におきましては貿易の伸長、国際交流の活発化に伴いまして、国際専用通信交換サービスなどたいへん高度な新規サービスや、加入電信、国際電話の自動化に対する要請が高まりつつあります。これらの動向に対処するために、国際通信網拡充、高度化をはかるほか、新規サービスの実施及び国際関門局の自動化のための設備拡充整備等を行なうことにより、KDDの受け持ちます国際通信の改善をはかる必要があると考えておる次第でございます。特に、昭和四十九年度には、新しく大阪国際電話局の建設や、第二太平洋ケーブル及び日中海底ケーブルへの投資などを行なう必要がありますので、これらの重要施策の推進に遺憾のないように十分監督指導していくという考えを持ちまして、本年の計画に対しまして許可を与えた、こういうことでございます。
  83. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もう一つ大臣にお伺いしたいのですが、今国会で出されました国際協力事業団法というのがあります。この国際協力事業団法に基づいて、郵政省もこの国際協力事業団に参加をするというようなお考えのようでございますが、その中で、きょうお見えになっておりますから一緒にお伺いしたいのですが、電電公社それから国際電電が参加をして役割りを果たすのかどうか、この点どうお考えになっておりますか。
  84. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 御指摘のNTT、KDDのこの事業団との関係でございますが、在来のOTCAがこれに吸収合併されましたので、引き続き専門家派遣等技術協力につきまして両者の協力を得たい、そういう点で事業団とのかかわりがあろう、かように考えております。
  85. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは監理官、具体的にKDDはこういうふうにとか、公社はこういうふうにというようなことまではまだなっていないわけでございますか。
  86. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 事業団法成立後も、いままでのような仕組みでやっていくということでございますので、停滞はないというふうに考えております。
  87. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣にもう一点お伺いしますが、前大臣のときから、このKDDの通話料、通信料等の未収の問題で、電気通信法上いろいろ問題の点もあるということで、法律の改定も含めて公社、KDDの間で、郵政省も入って、未収の回収についての具体的な策を立ててもらいたいという要望も申し上げておいたのですが、その後この取り運びはどういうようになっておりましょう。
  88. 原田憲

    ○原田国務大臣 先ほど私が参りましてからの質疑の中にもございましたが、いわゆる電電公社とKDDとの間の仕事の区分についてどう考えるか、こういうこともございましたが、これは基本的には、法律で国内の公衆電気通信と国際的な受け持ち区分がはっきりいたしておりますが、いまおっしゃるような問題点が生じてきております。これに対しまして、先ほど菅野さんから御答弁になりましたけれども、あらゆる方途を講じて、極力未収金等の出ないように努力をいたしておる、その効果もあるようでございますが、なおたいへんむずかしい技術的な問題等もございますので、これらも含んで今後とも検討を重ね、また阿部委員の御意見のように、両者の中に郵政省が入っていってよく相談をして対策を講ずるように、こういう御指摘でございましたが、全くそのとおりであると思いますので、鋭意努力を重ねてまいりたいと存じます。
  89. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 実は私は、まだこのほかに国際デーテルサービス需要の動向とか、あるいはオートメックスサービスの内容とか、料金とか、それから販売在庫システムに対するKDD計画、それに対する公社の考え等についても、きょうは質問をさせてもらう予定でおりましたけれども、もうすでに時間がかなりオーバーをして、向こうから加藤先生がえらいやかましく言っておるようでございますから、次の機会に譲りまして、本日の質問はこれで終わります。
  90. 菅野義丸

    菅野参考人 先ほど阿部先生の御質問にございました太平洋ケーブルの協定の付属書の関係でございますが、これは法律のいろいろな解釈事項もございますので、お許しを得て後ほど文書なり口頭でお答えいたしたいと思います。
  91. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、終わります。
  92. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、土橋一吉君。
  93. 土橋一吉

    ○土橋委員 本日は菅野社長を含めた十名の幹部の皆さんの御出席、ほんとうにありがとうございます。また、国際電電株式会社が五千四百名の従業員、職員並びに幹部の皆さんの奮闘によって、今日の成果をあげておられることに対して、私は基本的に敬意を払うものでございます。  さて、質問時間が十分ありませんので、たくさんの事態を質問を申し上げますから、簡潔に答えていただきたいと思うのです。そして、説明はできるだけ省いて、イエスかノーかというような方法で答えていただければ非常に幸いだと考えております。ぜひさようにお願いしたいと思います。  一つの問題は、最近新聞で非常に騒がれておりますが、ある新聞は、のっぽビルの電波障害というようなので、こういう記事を書いておるのをごらんだと思うのです。また、ある新聞は、とらえてみたらこの電波を食う怪物は新宿副都心における高層ビルだというので、高層ビルを全く怪物扱いにしております。すでにこの問題は、昨年の秋口からずっと騒がれておる問題でございまして、私は、電波については非常に研究されておる国際電電の方々が、こういう高層ビルを建てるということになれば電波障害がどういうふうにして起こるだろうか、それに対してどういう措置をしなければならないのか、また、最近中野区における、労働省が持っている青少年文化センターで、テレビでも言っておりましたように、風が非常に起こってくるわけです。そのために、近隣の商店は品物を並べておくことができない、いわゆる風の問題もあるわけです。もう一つは日照権の問題であります。昨年の秋口、私はプラザホテルの屋上へ初めてのぼってみました。ちょうど夕方三時過ぎでしたが、南から西に向かう日が、私は非常に驚いたわけですが、その影が戸山ケ原の団地の上を通りまして、そしてさらに目白台の上を通って池袋のほうにまで及んでおるわけですよ。日照権の問題も非常に大きな問題だというふうに考えておったわけですが、きょうは電波障害の問題について、電波関係の郵政省の監理官もそうですが、一体こういうことをやれば、御承知のように新宿の東京ケーブルビジョンの問題もありまして、非常に多くの皆さんに御迷惑をかけるであろうということを知ってかような建物を建設したのか、そういうことは全然わからないで建設をしたのか、起こってきた障害についてはどういう措置を考えようとしてああいう高いビルをつくったのか、そこのところを、知っておって建てたとすればまことに不都合千万。また知らないで建てたとするならば、電波関係のそういうことをよく知っておる国際電電の幹部の皆さんが建てたということになれば、これは問題でなかろうか。また電波監理関係の責任者はそういうことを忠告をしなかったかどうか、こういう点について簡単に答えてください。知らなかったら知らないと、あるいは知っておったけれども建てたというならばそれでけっこうですから……。
  94. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  私は電気通信技術者でございまして、しかも現在建築を担当をいたしておりますけれども、はなはだ不敏でございましたけれども、その当時これほどまでに電波障害が大きくなるということは予期しておりませんでした。
  95. 土橋一吉

    ○土橋委員 諸外国の例から見ても、ニューヨークなどで高層建築があれば有線テレビジョン方式をとらなければいかぬというような問題、最近は、御承知のようにこの問題についてすでにNHKでも調査しておりますが、知らないで建てたということになれば、郵政省の電波監理関係の諸君はなぜ忠告しなかったのか。たとえば要するに風が舞ってくる、そして日照権を多く侵してくる、そして最近の電波障害は単に新宿周辺だけではないわけです。この問題についてはすでにお聞きのことと思いますが、新聞も見ていらっしゃると思いますけれども、遠くは横浜のたとえば緑区であるとか保土ケ谷区であるとか、あるいはこちらのほうは東のほうへ行けば、たとえば習志野はもちろんのこと、途中の船橋あるいは市川、江東方面の団地、北のほうへ行けば、御承知のように高島平団地をはじめとして、ずっと埼玉県の向こうのほうまで電波障害を生じておるわけです。どうでしょうか、そういうことを知らないで建てたのですか。
  96. 古橋好夫

    ○古橋参考人 私先ほど申し上げましたけれども、これほど大きくなるというふうには思っておりませんでしたけれども、先生御指摘のとおり、諸外国におきまして有線テレビ等長年研究されておりまして、その辺の情報もわれわれ十分持っておったわけでございます。それで、一方わが国におきまして高層建築がどんどん建てられるようになっておりましたものですから、そういう問題につきまして、新宿ということだけでなくて、またいろいろ方面もございますので、われわれのほうの当面の問題といたしましては新宿におります、あそこの地区に建物を持つもの、持つ予定のものが集まりまして、いろいろ先生御指摘のようにケーブルビジョン等を使ってやるとかいうことをいまやっております。先ほどお見せになったのはたぶんビル反射の問題だったと思いますが、ビル反射につきましてはたいへん広域にわたっておりまして、しかも何回も申し上げますけれども、非常にたくさんの建物から電波が出ておるようでございまして、その点につきましては、私どもいろいろと新宿協議会というもの、先ほど申し上げました土地を持っておるもの、それから建物を持っておるもの集まりました会議で盛んに検討いたしております。
  97. 土橋一吉

    ○土橋委員 検討はけっこうなんです。もう検討の段階を越えているわけですよ。現にそういう障害、御承知のようにテレビの映像の右側に薄い影が映る、同じものが左側に三十センチの幅で映ってくるというようなことがいわれておるわけです。そしてそれが保土ケ谷あるいはこの地域から申し上げれば、たくさんありますよ、緑区、瀬谷、旭区、そしてこれがまた蒲田方面の地域の多くの世帯に迷惑をかけておる。だから地元は有線テレビジョンで、四千万か何かの金をかけてやっておることはけっこうですよ。しかしそれ以外の東京周辺の、たとえばずっと埼玉県寄りとかあるいは千葉寄りのそういう難視聴を生じた諸君に対しては、あなた方は責任をもって地域の協議会で善処される考えですかどうですか、そこの点をはっきりしてください。
  98. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  何回も繰り返して申し上げますけれども、建物がどんどん建ってまいりますので、非常に影響する建物の数がふえてまいります。それからまた現在の時点ではかなりはっきりしたところもございますけれども、将来になりますと、あるいは近い将来でございますけれども、一体どこの建物がどう影響するかということは断定できないものと思いますので、これはまた別途大きな分野での問題かと思っております。
  99. 土橋一吉

    ○土橋委員 私の質問を誤解をしないで聞いてください。将来のことを言っておるのではないのですよ。いま現実に起こっておる電波障害について、どういう責任をとって電波障害をなくすように努力しておるのか、それをやる考えなのかどうかということを聞いておるのです。菅野社長、どうでしょう。
  100. 菅野義丸

    菅野参考人 ただいま古橋取締役がお答え申しげましたのは、どうもその原因がはっきりしないということだと思います。それで先生のおっしゃるようにいろいろなところに影響が出ておることは私どもも承知しております。いわゆるゴーストというものです。そこで新宿地区の協議会では、もう少し建物ができてからその対策を考えるべきではないかということを申し合っているようでございます。しかし現実にはそういう障害が出ておる。私どものほうの方針としましては、この地点のこの家庭の障害はまさに国際電電の建物のためだということがはっきり出ましたならば、それを除去するように私どものほうでお金を出すことはちっともちゅうちょするものではございません。いまのところでは、どうもその辺がまだほんとうに突き詰めて科学的に証明できないようでございます。全体としてはそういう現象があるけれども、一体どこのものかということがはっきりしないので、もう少し様子を見ようじゃないかというのが新宿地区の協議会の結論ではないかと思います。
  101. 土橋一吉

    ○土橋委員 従来いわゆる職業病といわれるものについてもあるいは公害問題についても、原因者がとかくいろいろな説明をしまして、その立証の責任を被害者に負わせたり、地域住民に負担をさせる体制が今日までとられたわけであります。しかし今日はもはやさような時代ではないので、あなたのほうのビルによって障害を受けるという地域は、東京の北の方面の諸君がそういうことを言っておるということはNHKなどの調査によって明確になっているわけです。ですから、私はやはりそういう点を明確にして、難視聴解消のために努力をされておるNHKとともに、そういう多くの方に御迷惑をかけておるのですからぜひ率先をして、少なくともほかの三井さんとか住友さんとかプラザホテルと違うわけです。あなた方は要するに国際的な電気通信業務に責任を持っておられる、半ば公的な性質も持っておる会社でありますからさような点がはっきりすれば、当然率先をしてやってくださるよう私はお願いをしたいわけです。ただその点をお聞きしておるのであって、その原因をすべて住民に負わせて、立証の責任とかそういうことをやらすというようなことで、いわゆる従来の職業病とかあるいはイタイイタイ病とかというようなことと同じ轍を踏まないようにやっていただきたいという点を私は申し上げておきます。社長さん、どうですか、そういうことについて責任をもってやってくださいますか。
  102. 菅野義丸

    菅野参考人 私の答弁が不十分でございまして申しわけございませんでした。私は住民の方々に立証してほしいという意味ではなかったのでございます。これはもちろん相当権威のあるNHKとかあるいは調査機関の第三者的な科学的な調査がほしい、こう申し上げたのでございます。
  103. 土橋一吉

    ○土橋委員 私はここですぐ決着をつけようとは思いませんが、こういうことがもう新聞やあるいはNHKの調査によって明確でありますので、今後ともこういう方面については、地元の有線テレビジョンについて協力をしてくださったと同様に――、それぞれの角度、方向によってそこのビルがそういうことの原因であるといわれる状態は、少なくとも科学的な断定であると思うわけです。推測してさようなことは申しておるとは思いません。あなたのほうでも研究者をたくさん持っておられることでもありますので、そういう点をはっきりして、そういう方々については電波障害の除去のために奮闘していただきたいということを言っておるわけなんです。それはよろしゅうございますか。
  104. 菅野義丸

    菅野参考人 お説のとおりでございます。
  105. 土橋一吉

    ○土橋委員 それでは私はそういう点について御尽力いただけるものというふうにはっきりさしていきたいと思います。  まず、この前、菅野社長さんは、私がこの委員会におきまして、従業員の中で差別をしているようなことはないでしょうかと言ったら、さようなことはないということをはっきり仰せになりまして、私もそうかというふうに理解をしておったのでありますが、最近そうでないという事実がはっきりしました。そういう差別の人事を行なうということは私は非常に遺憾に思うわけです。これは私が引用するまでもなく、憲法の規定その他によりましても、第三章の十一条から人権の尊重をはじめとして、すべてそういう点は書いてあるわけです。特に第十四条においては、すべて国民は門地とか信条とかあるいは財産の有無にかかわらず、法のもとにおいて同じように取り扱いを受けるというようなことも書いております。こういうことは御承知だと思います。また労働基準法の規定から見ましても、はっきりそういう点を書いておるわけです。これは御承知と思いますが、いかがでしょうか。
  106. 菅野義丸

    菅野参考人 ただいまの土橋先生のお話、私どもはいつも人事の信条として、もうそういう差別は絶対にしないということを誓っております。憲法並びに関係の法規にこれが明記されておることもよく承知しております。
  107. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は労働基準法第三条をちょっと読み上げます。「均等待遇 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」こういうふうに労働基準法でも書いております。ところが、いまあなたの仰せになりましたようなこととおよそ反対のようなことが行なわれておるのです。その具体的な例を私はお話を申し上げてみたいと思うわけです。  あなたのほうの会社に清水茂徳という五十三歳になる元国際電電の労働組合の委員長をした人がいたと思うのですが、そういう方は御存じでしょうか。
  108. 小池五雄

    ○小池参考人 お答えします。  存じております。
  109. 土橋一吉

    ○土橋委員 その方は現在五十三歳で、勤続が相当長いわけでございますね。約三十年近い勤続のように承っておるのですが、この人は副係長から労働組合の委員長に就任をして労働運動をおやりになった、それで現在は電報局のマニュアル運用課の要するにベテランだといわれておるのですが、主任にもなっていないというのはこれはどういう関係でしょう、どういう不都合があるのでしょう。
  110. 小池五雄

    ○小池参考人 お答えします。  過去においてKDD労組の委員長をやっておったことがございます。その当時副係長とおっしゃいましたけれども、副主任というのは、これは会社の正式な職制ではございません。局限りのそういう措置があったかもしれませんが、主任ではございません。おっしゃるとおりただいまも主任になっておりません。しかし会社といたしましては特別に差別待遇しておるわけじゃございません。主任の任用の条件というようなものがございまして、まあ簡単に申しますと、職場の管理監督者たり得る能力、適性、責任感、人格、健康状態とか、部下を統率していけるだけのリーダーシップ、上司の信頼感、あるいは職場の信望、会社の経営方針を理解してふだんから会社施策に進んで協力する姿勢とか、こういった積極的な条件を必要としております。会社は、各人がふだんそういったいろいろなものをどのように備えておるか、さらに当該職場の職制機構、職員構成等を総合的に判断いたしまして、慎重に任用を決定しております。
  111. 土橋一吉

    ○土橋委員 わかりました。いまのお話の内容は私もよくわかるわけです。しかしながら、この方は健康であるし、しかも職務については非常に忠実にやっておられるし、かつ、たとえば二十年とか三十年の勤続については表彰もされておるし、また何ら処罰を受けておらない。この方一人であるというならば、私はさもあらんというふうに、いまあなたのお話を聞いて思うのですけれども、しかしこのほかに海老原栄一君、長谷川信次君、こういう人などを含めた十数名の諸君が依然としてそういう状態で、他の職員と差別をせられておるということははっきりあるわけです。いま菅野義丸社長はそういうことはしていないとおっしゃるけれども、いまのお話の内容では、きわめて消極的な内容である。本人の持っておるすべてのものを十分検討して、それでやる。ところが、比較を申し上げては恐縮ですけれども、私は副係長と申しました。本人もそういうことをお話しになっている。ほかの方で、名前は私は略しますが、ある方は大阪の支社の次長になっている。同じように労働組合の委員長をした人です。私は名前は省略します。また同じように委員長をした人で、東京電報局の労務厚生部長をしておる。同じような労働組合の責任者をした人がみなそういう地位におる。この人たちだけは平の社員である。こういうことであります。でありますから、これは明らかに何かの目的を持って差別をしておる。これが清水さんだけではないわけです。いま申し上げた海老原さんあるいは長谷川さんを含めたその他十数名のグループに対してはそういうことが行なわれておる。そうしてくると、いま菅野社長はそういうことはしておらぬということを言われる。この前もおっしゃったのです。この労働基準法第三条の規定、あなたも御承知だと思いますけれども、この規定にまっこうから違反をするじゃございませんか。どういう処置でそういうことになっておるのでしょうか。いまお話を聞いたのは、任用する一般基準をお話しになっている。そういうことをおやりになるからして、あなた方がどんな業務の命令をお出しになっても下のほうの人はよく知っておるのですよ。あの人はまじめにやっておる、何でああいうことになっておるのだろう。あなた方はそれはそれで済むかもわからないわけです。しかし五千四百名の従業員の人はみなそんなことは知っておるわけですよ。それはあなた方がいかに正しくない人事の運用をしておられるかという一つの面を端的に示しておるものだと私は思うのであります。いかがでしょうか、社長
  112. 菅野義丸

    菅野参考人 まことに申しわけありませんけれども、私はそのいまお名前をあげられた方々をよく存じておりませんけれども、私どもの方針としまして、その人がどういう思想を持とうと、どういう信条を持ちましょうとも、それによって人事をするということは、私どもは絶対にしないつもりでおります。結果においてそういうことになって、表彰を受けた者でありながらまだ主任になっておらないということはあり得ることとは存じております。というのは、KDDという会社は、仕事はそうたいして種別のある仕事ではございませんけれども、そのつとめるところによりましては非常にポストが少ないのでございます。そうしますと、どうしても同じ年齢あるいは同じ就業期間になりましても、一方は早く昇進する、一方はなかなか昇進しないということは起こってくるのでございます。この点は、規模が何しろ五千四百人ぐらいの小さいものでございますから、どうしてもポストが足りないのでございます。そこでわれわれとしましては、できるだけそういう人を救おう、少なくとも地位ということはあるいは不十分かもしれないけれども、収入の点でもってそういうことがないようにというので、昨年までは、二十二年つとめてまだ主任になれない者は主任と同一の取り扱いをする、こういうことになっておりましたけれども、ことしからは、二十年つとめても不幸にしてまだ主任になれなかった者はこれはもう全部主任と同じ待遇をしよう――二十年といいますと三十八歳でございます。三十八歳になってまだ役がつかない者につきましては役付と同じ待遇をしようということにいたしまして、とにかく肝心のポストが足りないのでございますから、なかなかそういう点でもって報いることはできませんが、せめて収入の点で同一にしていこうという考えでやっておるような次第でございます。
  113. 土橋一吉

    ○土橋委員 本委員会においては参考人の方々はうそ偽りを言ってはならない、誠実に答弁をしなければならぬということを理事会において決定しておるわけです。したがって私は菅野社長にもう一回聞きますけれども、こういうことをやっておって、いまのような答弁でこの逓信委員会が納得できるとあなたは考えていらっしゃるのですか。そういう、委員会や国会議員を侮辱するような答弁をしておいて、それでこの委員会が通過できるとあなたはお考えですか。私は法文をあげて、憲法第十四条や十一条、十二条、十三条をあげ、しかも労働基準法の第三条をあげて、現にこういう事態があるのではないかと、しかもその人たちは、はっきり申し上げれば共産党員か共産党を支持する方であります。したがって明らかに法規違反ではありませんか、あなた方のやっている行動は。それでいまのような答弁をして、しゃあしゃあとしてあなたは――共産党・革新共同は御承知のようにいま衆議院においては第三党でございますよ。それを支持をする者に対してこういう差別をやったり、あるいは座敷牢に入れるようなことをやったり、それは十年も十五年も前はそういうことが通ったかもわかりませんよ。いまはさような時代ではないのであります。何の理由でそういうことをするのですか。あなたは就任後まだ日が浅いのですけれども、靱勉氏がこの社長をしておるときも私はよく知っておりますけれども、これはあなただけの責任ではない。やはり板野學副社長以下幹部の諸君がこういうことをやってきておるわけですから、私はこれも重大な責任をやはり追及しなければならぬと思っておるのですよ。うそ偽りを言ってはいけませんよ、本委員会において。しかも、これは国際電電株式会社だけじゃございませんよ。大きな企業体では間々そういうことをずっとやってきているわけです。誠実にやはり答えていただいて、善処するものは善処していただかなければいかぬわけですよ。そういうことをやらないから、むしろあなた方は、その職場職場において、何だあんなうまいことを言っているけれどもこういうことをやっているじゃないかという不評を買って、結局従業員のまじめに働く意欲を阻害するようなことをやっていらっしゃるわけですね。いかがですか、責任をもってあなたはそういうことについて善処をしてくださいますかどうか。
  114. 菅野義丸

    菅野参考人 おことばを返すようでございますが、私は決してうそを申し上げているのではございません。私は自分の信念を申し上げておるのでございまして、私は、そのあげられた三人の人たちが共産党員であるということも初めて聞きました。そういうことは私は存じておりません。したがいましてそれによって差別をするなんという考えは毛頭ないということを申し上げたのでございまして、決してうそを申し上げたのではございません。
  115. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたの信念と現実は違うではありませんか。あなたはそういう信念で国際電電株式会社全体を指導してくださることはまことにけっこうなんですよ。現実はこういう問題が起こっておるわけです。信念のことを私はお尋ねしておるんじゃないんですよ。現実に起こったこういう非常にけしからぬ事態をどのように社長としてあなたは処理をしてくださるかということを聞いておるのです。信念は、私はよくわかっております、この前も差別なんかする考えはないとおっしゃっておるんですから。
  116. 菅野義丸

    菅野参考人 私は、その現実の問題につきましては、これはいまここでもって確たるお答えをすることはできませんが、これはよく調べまして、そして、はたして土橋先生のおっしゃるとおりのことが行なわれておるのかどうかということを確認して、もしそうであったならば、もちろんこれは善処しなければならぬと思います。
  117. 土橋一吉

    ○土橋委員 もし業務上の過失とかあるいは業務上なまけたとか、そういうのは、それは業務でおやりくださってけっこうなんですよ、その人がキリスト教信者であろうと何であろうとですよ。しかし仕事はちゃんとやっておる者に対して、本人が持っておる思想、信条あるいは政党支持をするとかあるいは政党員であるがゆえにそういう処置をするということは許されないということを私は言っておるんですよ。ですから、お調べくださって、直ちにさような問題について、いろいろそれはまああなたのほうでも研究もあるでしょうから、調べていただいて、善処するものはすみやかに善処していただく。この方々が共産党員であるかあるいは共産党支持者であるか、そんなことは私は詳しくは知りません。私も聞いておりません。はっきりそういうことは私は聞いておりませんから。ただ、そういうような人に対して思想、信条によって差別をするということは許されないということを私は根幹的に申し上げておりますから、この点をはっきりしていただきたい。  その次に、先ほどから問題になっておる頸肩腕症候群の問題ですが、頸肩腕症候群については、ある大きな企業体、そこに所属する病院の先生方がこれまたプロジェクトを組んで、いろいろ研究をされた一つの答申のようなものが出ております。私もそれを拝見しております。頸肩腕症候群については定義を下しておられますね、その先生方のグループにおいて。     〔委員長退席、羽田委員長代理着席〕 どういう定義を下しておるかといいますと、こういう定義を下していらっしゃるんですね。「頸、肩の諸筋が不明の原因又は機序により収縮をきたし、自覚的に頸、肩に「こり」、「しびれ」、「いたみ」などの不快感をおぼえ、他覚的に該部諸筋の緊張、硬結、圧痛を認め、更に神経、血管系への障害を介して頭部、頸部、背部、上肢に異常感、脱力、血行不全なども生じうる状態を本症候群の基礎的臨床形態とする。」ということがいわれておるわけです。この問題については、御承知のように労働基準法についてもいろいろたくさんの法文を並べて、この問題については非常に研究されておるわけです。特に労働基準法第八条では、郵便、電信電話事業については職業病として認定しなければならないということがちゃんと書いてある。これは労働基準法の規定に書いてあるわけであります。この中に電話業務がちゃんと入っておるわけですね。ところが、労働基準法施行規則の三十五条の第十三項には、電信手、タイピスト、筆耕等の指先のけいれんとか、あるいは書けい、書を書くときにふるえるとか、こういうものだけをあげているんですね。オペレーター、特に電話の交換手については抜かっておるわけです。したがって、この労働基準法においてもこの問題についてはいろいろ検討されると思いますが、とにかく労働基準法の第八条では、ちゃんと電話業務に携わる者についての要するに職業認定をきちっとするような体制をとっておるわけですね。  そこで、先ほど菅野社長も言われましたように、三十数名の者に対しては事前に予防措置を講じておるということをあなたはお話しになった。ところが現実は違うじゃありませんか。現実は逆じゃございませんか。先ほど阿部委員も指摘いたしましたように、私は二つの例をあげてみたいと思うのですよ。  一つは、朝日新聞の例です。「ハロー、もうダメ」ということで書いてあるわけですね。これはごらんになったと思うのですよ。朝日新聞に出ておるわけです。そのうちに、新潟県出身の短大を出ました現在二十三歳の小林ちづ子さんというのが例に載っておるわけです。この方がいろいろ苦労されまして、東大の物療科の先生にみていただいたり、あるいはまたあなたの地元の診療所のお医者さんにみてもらったり、いろいろしておる経過を私はつぶさに見ました。     〔羽田委員長代理退席、委員長着席〕 ところが、この経過の中において、あなたが仰せになったように、そうか、それならよく休んでやりなさいというような措置にはなっていないのですよ。この荒木という労務厚生課長も「この病気が交換業務が原因とは思わないので、業務上災害とは認定できない。」こういうことを言っておることと符節を合わせたような措置を講じておるわけですよ。  一つの具体的な例が、私はここに書類を持ってきておりますから、これはあとであなたのほうへ提出もするでしょうが、こういうことになっておるわけですね。「国際電信電話株式会社における健康管理上の措置について」「昭和四十八年九月、すでに体重は四十八キロまでやせてしまい、上京のための負担で、出社したあとは、背中の痛みは一層ひどく、イライラと不眠で、寮に帰っても一日中布団の上で寝ていなければなりませんでした。こうした状態で会社の医務室の診察を受けましたが、専門外であるから逓信病院の診察を受けるようにと指示され、整形外科から神経内科にまわされました。ここでも頸腕症候群で九月一杯はつづけて休業することが必要という診断がつけられました。そして郷里で鍼をしていたことなどを話したところ、試みて良いといわれましたが、局の医務室で相談したところでは、効果は疑わしいとして、皮肉に笑うばかりで問題にしてもらえませんでした。」こういうことが一つはあるわけです。  その次で、これが非常に問題の中心の一つですが、これは勝又というお医者さんの場合のようですが、「会社の医務室にこの診断書を出したところ、頸腕症候群では業務軽減は認められない、人並みの仕事ができるまでは休職をつづけるようにと申しわたされたのでした。そして慈善事業をやっているのではないのだから業務を軽くしなければならないような状態の人を特別に扱うわけにはゆかないといわれたのです。」痛くて、そうして会社の診療室に行ったところが、うちは慈善事業しておるのではない、やるならちゃんとやりなさい、文句があったら自分で年休をとるとか、休んでなおしなさい、こういうことをこの勝又という医者が言っておるわけですね。四十八年十月の問題も大体同じような問題が起こっておるわけです。これは東大でみておるわけです。東大の大坪内科を紹介してもらって、いろいろみておる状況も書いてあります。  ここで私は、この頸肩腕症候群の、先ほどのある大企業で医師団を組織をしてつくったものを全部私は読みました。この内容については、私は専門家じゃございませんからあまり差し出がましいことは言いにくいわけですが、ここに書いてある内容は、われわれとしては非常に遺憾千万な内容が多いと思うわけです。こういうものの見方で頸肩腕症候群の発生原因を見ておるとすれば、これは学界において問題にしなければならない。疑念を抱いている者に多いとか、あるいは、ことに仕事に飽きるような心理状態が多いとか、あるいは反体制的な人間に多いとかということを盛んに書いておるわけです。もしそういうことが医学上病源発生の原因であるというようなことをここできめておるということになれば、これは逓信委員会においても各大学の先生方をお呼びして、あるプロジェクト医師団のこの決定が正しいかどうかをやはり審査をする必要があろうと私は考えておるわけです。したがって、ここへ書いてある内容は、そういうことから見て――この小林さんというのは買いものの帰りに転んでしまったことがあります。道路一ぱいにくだものが転がってしまいまして、右腕が不自由な上に左腕も強くぶっつけてしまって、しばらくはその品物をとることができなかった、こういう状態で、非常に苦しい状態を訴えておるわけです。そしてまた、「寮の責任者の方からは、頸腕症候群といえば会社からはよく思われないのだから、リューマチとでもいっておけばよかったのに、と心配されました。」というようなことが言われておる。以下、大体のことは、もう私が申し上げなくても、どういう状況であるかは賢明な会社の幹部諸君はよく御承知だと思うのです。  これは小林ちづ子さんだけじゃないのですよ。もう一人は、同じく私のほうへ資料のあがっておる人は長谷部愛子さんという方です。これは昭和四十七年四月に入社をいたしまして、七運一課の所属でございますね。料金課出援中ということで、詳しい資料が私のほうへ来ております。この方も大体勝又という所長のもとで同じようなことを言われておるのですね。要するに「フル勤務で出て来なさい。通院等に必要な時間は年休をとりなさい。」そこで、それはちょっと無理ですと言ったらば、「フル勤務が無理だと思うのなら病休を延長しなさい」こういうことを言われておる。したがって、非常に無慈悲な状態で、要するに勤務軽減の発令はできないといって、この勝又という所長さんがにべもなく断わったといういきさつでございます。ここに詳しくその当時の内容が書いてある。  この人たちはどういうことを訴えておるかというと、一体年休という問題は、診療所の所長がかってにそんなことをしていいのかどうかという、年休に関する基本的な問題に関係しているのであります。年休に関しては労働基準法第三十九条第二項の規定で明確に書いておるわけですね。使用者は、二年以上継続して勤務した者にはどうとか、また、一年間継続勤務した者はどうだということが出ておる。これは労働者が自主的にとるべき権利であります。したがって、この年休を与えるという問題は、いまから三年ほど前大阪高裁においても判決が出ておりますように、そういう年休を与えるだけの人事の管理をきちっとしていなければならないということがいわれておるわけです。でありますから、かってに労働者が、要するに私が申し上げるまでもなく、自由意思によって年休をとることによって労働力再生産なりあるいは職場の気分を転換してやるという基本的な問題である。それを診療所のお医者さんがそういうことを言うということは、これは明らかに会社側の幹部がそれとなくそういうように仕向けておるのではないかという気がしてならないのであります。だから、あなたが仰せになったことと逆なことがこの長谷部愛子さんという方にもあらわれておるし、また小林ちづ子さんの場合にも同じようなことがこの診療所の関係においてあらわれておるわけですよ。ですから、あなたの信念は私はよくわかります。しかし、現実はこういうことをしておるわけですね。しかも東京大学の物療科の吉田という先生もございます。溝口という先生もおります。その方々は、頸肩腕症候群だから、ちゃんと休暇をとって休みなさいとか、あるいは時間を短縮しなさいとかいうことをいろいろ言っておる。ところが、あなたの会社の医務室に行くと、そうじゃなくて、いまのような状態であるわけです。これはあなたの考えと全然違うじゃございませんか。どうですか。
  118. 菅野義丸

    菅野参考人 頸肩腕症候群につきましての私どもの考え方及びこれからの方針につきましては、先ほど阿部先生の御質問にお答えしたとおりでございますが、具体的ないまの小林さん、長谷部さんのことにつきましてはよく調査をいたしたいと存じます。  ただこの病気は、先ほど先生から定義はあげられましたけれども、具体的に一人一人に対してその状況を当てはめるのは非常にむずかしいようで、これは専門家でもなかなか至難なことのように聞いております。したがいまして、勝又先生というのは、これは東大教授にもまさるりっぱな博士でございまして、いろいろな人の意見も聞いて、決して自分でもって独断でいろいろなことをするような方ではないと私は信じておるのでございます。東大の先生の御意見ももちろん参考にしておるでしょうけれども、またほかのいろいろな方の意見あるいは自分の診断というようなものを総合してきっと申し上げたのじゃないかと思います。また、休暇をとれとかそういうふうなことは、それは話の調子によって言ったかもしれませんけれども、これは命令する権利も何にもございませんで、いわんや私どもが勝又先生にそういうことを言えなんという指示は絶対にしておりません。  以上のとおりでございます。
  119. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたのほうはまた、労働組合と現在話し中である、検討中であるという答弁をされております。ここに労働組合との話し合いのいろいろなものが私の手に入っております。これを読むと、いま菅野社長が仰せになりましたような事態とはおよそ逆のことを言っているわけです。この四十九年三月七日の国際電電労組の「本部情報」ナンバー六十三でございますが、「多角的に鋭意検討中」という見出しの団交で、あなた方の会社側の諸君のいろいろ説明がございます。「組合 問題は会社の態度がはっきりしていないので、組合としてもものがいえない。前に提案した労使間で委員会を作ってやるということがダメならダメとはっきりいってもらいたい。組合は自由にやれといわれても結構だ。」ところがあなたは、労働組合とも話しておる、私のところはそういうことについてはもう至れり尽くせりで、よく準備してやっておるということを仰せになっておるが、労働組合はこういうことをはっきり書いておるわけです。そうすると、それは菅野社長はそういう実際の内容はあるいは御存じないかもしれないが、実際こういう状態で、頸肩腕症候群についてだってまともな解決の方法をとっていない。また人的な差別においても、先ほどのようなあなたの信念はよくわかりましたが、しかし現状はそうではない。こういう事態が起こっておることについてあなた矛盾を感じませんか。いかがでしょうか。
  120. 菅野義丸

    菅野参考人 私が先ほど労働組合と話し合いをしておると申し上げたのは事実そのとおりでございまして、それは一回や二回の話し合いでもって済むわけでございませんで、おそらく先生がいま御指摘になったのはその中途のことだと思います。春闘期間中の団体交渉のときの話じゃないかと思います。この問題についてはまだ交渉を続けておりますので、組合ともよく話し合いまして、何とか予防措置が十分とれるようにいたしたいと考えております。
  121. 土橋一吉

    ○土橋委員 私はあなたを責めるというのではなくて、こういう問題について善処していただきたいということが中心でありますから、どうか間違いのないように。この問題についてすみやかに労働組合側とも十分の話をしていただくよう、また現に起こっておる問題、いま小林ちづ子さんともう一人の長谷部愛子さんの例をあげましたが、この問題もお調べの上、あなたの所信のように直ちに善処されるよう私は御期待申し上げます。  さて、七四春闘で大きく労働者の皆さんが戦いましたが、もちろん国際電電労働組合のほうでも戦われたと思いますが、大幅賃上げでどの程度賃金を上げたのでしょうか。簡単に答えてください。
  122. 小池五雄

    ○小池参考人 お答えします。  基準内賃金で組合員平均三万三千三百四十八円賃上げいたしました。パーセントでいきますと三一・二九%でございます。
  123. 土橋一吉

    ○土橋委員 三一・数%の大幅な賃上げをされまして、私は一応けっこうだと思います。これは私鉄関係が大体二万八千円、公共企業体関係が二万七千余円であったと思うわけです。したがって三万三千円の賃上げは――これは基準内賃金を上げたわけですか。
  124. 小池五雄

    ○小池参考人 基準内でございます。
  125. 土橋一吉

    ○土橋委員 基準内、そうすると、それに関連をするすべての関係は一斉に上がらなければいかぬと思うのですが、これで原資は大体どれぐらい要るわけですか。――それじゃ、わからなければまたあとで答えていただけばけっこうですが、その原資は、たとえば補正の予算を組むとか、こういう事態において一体どこから捻出する考えでおるのか。
  126. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 私どもの会社におきましては、現段階におきまして立てております収入の見込み、また支出の見込み、これよりいたします場合には、三一・二九%のベースアップには一応たえられるものと考えております。
  127. 土橋一吉

    ○土橋委員 まあ、たえてもらわなければなりませんし、そしてあなたのほうは百億をこえるところの要するに減価償却等も見込んでおる相当な資産家ですから、当然その内容を実現するように努力していただきたいと思うのです。  次は、先ほどからも問題になっております東南アジアケーブル問題について、菅野社長が、この委員会においてはお述べにならなかったのですが、去る十九日に国際クラブでの記者会見でいろいろあなたは仰せになっておるのですが、この東南アジアケーブルというのは一体どういう内容のものか、簡単に説明していただきたい。
  128. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  東南アジアケーブルにつきましてはすでに十数年前から計画をしておるわけでございますが、ただいまのところ、先ほど浅見監理官からもちょっと答弁がありましたけれども、日本、沖繩を通りましてフィリピン、バンコクまで、これを第一段階に考えております。それからあとバンコクからシンガポール、それからジャカルタ、これを第二段階ということに考えておりまして、この計画具体化につきまして、私ども、郵政省を中心にいたしましてただいまいろいろ検討しておる段階でございます。
  129. 土橋一吉

    ○土橋委員 ここで菅野社長は、本来は本委員会において説明すべき事柄であるのですが、まあ記者クラブで述べられたということもけっこうでございましょうけれども、「香港-沖繩間のケーブル建設は、技術的な検討もすでに第一回は済んでいるが、東南アジアのケーブルがあるので、それとの関連を主として郵政省が心配し、どうせ敷くならば東南アジアの一部になるようにしたらどうかということで関係会議を開いたが本決まりにはなっていない。」と述べている。これは一体どういう内容のことですか、ちょっとお聞きしたい。
  130. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 私からお答え申し上げたほうが適当かと思いますので、お答えいたします。  実はC&Wと申しますイギリス系の会社が香港-沖繩間の回線新設を熱望いたしまして、KDDにアプローチがございました。ところが、かねて東南アジアケーブル計画がございましたので、私ども主管庁といたしましては、総合的に最も効率的なラインを選ぶべきであるということで国際間の協議を再開いたしたいということで、去る二月の十二、十三日に、非公式でございましたが、フィリピン、タイの主管庁を招きまして東南アジア海底ケーブルにつきましての打ち合わせを行なった次第でございます。その際、私どもの主張は、第二太平洋ケーブル沖繩に陸揚げされます関係から、沖繩を起点といたしましてフィリピン、香港あるいはタイに及ぶというラインが最も効率的であるという主張をいたしましたが、フィリピンは対米通信が八割方ございますので、沖繩経由というよりも、直接のグアムとの間に第二グアム-フィリピンを建設したい、しかもアメリカの業者はこれに賛同しておるという主張をいたしましたので、その後私どもはアメリカの業者にKDDを通じてアプローチをいたしました結果、アメリカの業者はそういう計画は当面ないということがはっきりいたしましたので、ただいまフィリピンにその旨申し向けまして再考を促しておる段階でございますが、この動向のいかんによりまして沖繩-香港直通回線はあるいはないことになる、こういうことでございます。
  131. 土橋一吉

    ○土橋委員 香港と沖繩の間のケーブル建設の問題は、私もよく理解ができるわけです。しかし東南アジアケーブルの問題でというふうになっておりますので、ちょっと私は詳しい事情はわかりませんので、なぜ一体そういうことがひっかかるのか。  この問題と、沖繩と台湾とのアメリカ軍の秘密軍事海底ケーブルの問題があるわけです。そうしていま一つは、韓国との間に皆さんのほうでやはり日韓間の海底ケーブルの問題を考えておるわけですね。そうなってくると、この問題と、いま国会で審議をされておる後進国開発事業団というものが、将来東南アジア方面において電気通信業務について皆さんは非常に御尽力になると思いますが、その関係は一体どういう関係になっておるのか。つまり田中政府が御承知のように東南アジアにおいてああいう事態でありまして、それで放送衛星を打ち上げるという問題を起こしておるわけです。通信衛星を打ち上げるという問題も起こしておるわけであります。それが、その緊急性がきわめて疑わしい状況で今年度予算に二百八十億の予算を組んでおるわけであります。もし後進国開発ということが一つの理由になって、この問題にさらにそういう形をとって、もちろん研修生のたとえば日本留学であるとかあるいは技術者を派遣するとかいろいろな問題がありますけれども、結局新植民地主義的な傾向におちいるような電気通信業務を東南アジアにおいてやることは好ましくないではないかというのが私の基本的な考えであるわけです。ですから、この東南アジアのいわゆるケーブルの問題にいたしましても、あるいはまた香港-沖繩間の問題にいたしましても、私はそういう点について非常に注意を払っておるわけです。ですから、田中政府がどうであれ、あるいは後進国開発の問題についての事業団は、これは財投の金を使うわけです。したがって、この金でもし国際電電がさような政策の先端に立つということになれば非常に問題があると同時に、これは日本の業界にもいろいろ影響があると私は思うのです。ですから、ここいらの点をよく研究して、これは後日私はよくお聞きしたい問題でありますけれども、特にこの日韓海底ケーブル敷設の問題は、先ほどからちょっとお話もあったようですけれども、現在の浜田の散乱波、OH通信関係拡充強化すれば足りるんじゃないかと思うのですけれども、あれで足らなくて、また韓国との間にこういうケーブルを設けるというようなことになってくると、朝鮮民主主義人民共和国との間の格差がますます激しくなってくるわけですね。先ほどの質問に対しても、こちらのほうは申し込んでいるんだけれども、向こうは何とも言ってこないからもうつけられないんだ、あなた方はこういう答弁を繰り返しておるわけです。はたしてそれはほんとうかどうか。この事業概況図を見ると、残念ながら北朝鮮とか北ベトナムとかいうところに、もちろん電話の直通はないけれども、電報すらも直通をやっていないわけですね、この問題を見ると。それで、幾らこちらのほうが申し込んだけれども向こうがやらぬということで、この問題がおざなりになってきておるわけです。こういう問題とからんで、私は二つの朝鮮を固定化するような、そういう国際通信業務をやってはならないということが基本なんですよ。やはり朝鮮半島は統一をしてもらわなければいかぬし、朝鮮民族は統一することが必要なんですよ。ですから散乱波、OHの電波利用の問題と海底ケーブル――片方はまだ電報も満足に届かない、電話の通話もできない状態に残しておるということじゃ困るというのが私の考えであるわけです。菅野社長、どう考えておられるか。
  132. 菅野義丸

    菅野参考人 私どもの考えは全く先生のおっしゃるとおりでございますので、世界至るところの国に対して十分な通信施設を拡充したいというのがわれわれの念願でございます。したがいまして、こちらからはほんとに矢の催促のようにやっているのですけれども、通信というものはどうしても先方の承諾が得られなければ、これは直通同線を開くことはできないのでございます。一方的に開くということは絶対にできないのでございます。そこでわれわれのほうとしては先方のお答えを待っておるような次第でもって、この点につきましては、先ほどお答え申し上げたとおりでございます。  韓国につきましては、実際にその需要がございますので、われわれはその需要に対して不自由させてはいけないというので将来のことを考えておるのでございますが、これはまだまだ先の問題でございます。
  133. 土橋一吉

    ○土橋委員 ぜひ意見が同じならばそういう線で、やはり朝鮮民主主義人民共和国あるいはベトナム民主共和国、さらにはカンボジア、南ベトナムの臨時革命政府の諸君ともどんどん、スポーツなどでは交流もやり始めておるわけですから、最も重要な国際電気通信業務をやっておられる国際電電株式会社では、率先してやはり努力をしていただきたいということを重ねて私はお願いを申し上げます。  そして、あなたのほうでも、ある大きな企業体の大きな医師団の、これは来ておると思うのですよ。この内容をあなたもお読みになって、懸念な点があったと思うのですよ。繰り返して言いますけれども、事業についてあるいは将来性について、疑念を抱いておる者にそういう病気になるのが多いとか、事業を継続したいとは思わないような者に多いとか、あるいは仕事に飽きるような心理状態の者に多いとか、あるいは融和の精神に欠けておるような者に多いとか、いろいろなことを書いておるわけです。そうすると、この判断はほんとうに適正な判断であるかどうか、その病気の原因について適正なものであるかどうか私は非常に疑わしいのですよ。これはある企業の責任者にこれをぶっつけておるのですけれどもね。こういう点について、こういう医師団の一グループがあるということと、もう一つは東京大学の物療科の先生をはじめとするそういう頸肩腕症候群について善処しようという体制と二通りあるように思いますので、これも菅野社長さんはひとつ研究していただいて、やはり当初おっしゃいましたような方針に従ってひとつ善処してもらうことを要望して、私の質問を終えたいと思うわけであります。どうもいろいろありがとうございました。
  134. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 午後二時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時九分休憩      ――――◇―――――     午後二時四分開議
  135. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中昭二君。
  136. 田中昭二

    田中(昭)委員 きょうは国際電電社長さんをはじめ幹部の皆さんに多数おいでいただきまして、多忙のおりに時間を拝借するわけでございますが、私たち国際電電のことをよく認識できないこともございますから、どうか十分教えていただきたいということをお願いいたします。  最初に、本年度になりまして国際電電概況説明を見せてもらったわけでございますが、これが実は私の手元に昨日参りまして、いろいろ勉強することにおいてたいへん勉強が足りない点もあったような経緯がございますので、やはりこういう事業概況報告並びに事業計画等につきましては何日か前にいただくのがほんとうではなかろうかと思います。今年度のこの事業報告書がきのう私どもの手元に入ったわけでございますが、これはどういうことでございましょうか。
  137. 菅野義丸

    菅野参考人 これはもうおしかりごもっともでございまして、できるだけ早く今後はお配りするようにいたしたいと思います。
  138. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、当四十九年度事業計画書を見てまいりましてまずお尋ねしたいことは、KDDは法律によって郵政大臣の認可を受けるようになっておる、このように聞いておりますが、この場合、昨年もちょっと問題になったかと思いますが、設備投資といいますか事業の投資が毎年相当多額に行なわれておりますし、こういうことにつきまして国際間のいろいろな問題、また事業経営の内容が好況であるということも考えてみますと、郵政当局の認可を受ける前にはいわゆる国際電電なりの事業計画の原案といいますか、そういうものが当然作成されて、そしてそれが郵政当局のほうで検討もされるのではなかろうかと私は思うわけでございます。そういう点、四十九年度事業計画は具体的にいつごろ原案ができまして、それに対して郵政当局はどのような認可のチェックをしたのでありましょうか。その辺についてひとつ大まかにお聞かせいただきたいと思います。
  139. 菅野義丸

    菅野参考人 仰せのとおり、事業計画の作成はできるだけ早くまとめるつもりで努力をしておったのでございますが、来年度計画は、経済界の情勢とか何かなかなかむずかしい問題がいろいろございまして、一方におきましては総需要抑制というような国策もございますので、私どものほうではそういう情勢を勘案いたしまして、四十九年の一月二十九日に社内の案をまとめまして、取締役会を二月の二十一日に開きましてそこで会社としての案を決定いたしたのでございます。その後三月六日に郵政省のほうに申請をいたしまして、御認可を受けたのが三月二十九日でございました。この間、郵政省のほうには私どものほうから伺いましていろいろと御説明申し上げたりして、御意見などを承ったのでございます。
  140. 田中昭二

    田中(昭)委員 郵政省側から、いまの原案の提出についてどのような御検討をなさったのか、御説明できれば伺いたい。
  141. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 二月下旬と記憶いたしておりますが、取締役会の議を経たものにつきまして十分な説明を聴取し、私どもの意見も述べまして最終的な認可申請の内容になった、こういう過程でございます。
  142. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう少し事業計画の全体の中から数字的にでも御説明いただきたいと思います。
  143. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 この事業計画書の内容の中で数字に関しますものはKDDの原案そのものでございまして、私ども審議いたしましても、総体を通じまして特段に手直しをする点も発見できなかったというのが実際の状況でございます。ほんの表現等で不適当な点を一点、正直に申し上げますとどうかという意見を表明した程度でございます。
  144. 田中昭二

    田中(昭)委員 それはどういうところでございますか。
  145. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 実は東南アジアケーブル、それとC&WとKDDとの折衝が、まだ現実がはっきりしておりません段階におきまして、やや具体的に海洋調査をするような表現になっておりましたので、これは政策的見地から見ましても不適当であるということで抽象的な表現にするようにということを申したところでございます。
  146. 田中昭二

    田中(昭)委員 社長さん、いま郵政当局のほうからそういうお答えがありましたが、この概況報告書の中ではどういうところでございましたか、その変えられたところというのは。もとの原案はどういうふうになっておりますか。
  147. 菅野義丸

    菅野参考人 一ページの下から四行目あたりに「新太平洋ケーブル建設に着工するほか、日中間海底ケーブル建設準備、沖繩以南の海洋調査を実施する」、こう書いてございますが、これは原案はたしか沖繩-香港間とか、そういったような具体的の名前をあげておったのでございまして、これはまだ確定しておらないのにこういうことを表現するのは不適当であるという郵政省の御意見で、まことにそのとおりでございまして、これは沖繩以南というふうに直したことを記憶しております。
  148. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま何ページとおっしゃいましたか。(菅野参考人「一ページです」と呼ぶ)そうしますと、いまの御説明によりますと、いわゆる第二太平洋ケーブル、これに関することでございますね。
  149. 菅野義丸

    菅野参考人 そうではございませんで、海洋調査をどこをやるかということでございまして、沖繩以南の海洋調査というふうに直したのでございます。沖繩どこどこ間という具体的の名前を出さないで、沖繩以南の海洋調査――第二太平洋ケーブル建設は着工でございます、それから日中間海底ケーブル建設準備でございます、それに並んで海洋調査をする、それはどこの海洋調査をするかというと沖繩以南の海洋調査をする、こういうことでございます。
  150. 田中昭二

    田中(昭)委員 わかりました。  この日中海底ケーブルにつきましては、何かお聞きしますと、三月ごろでございますか、最終的な大筋の合意ができて、あと郵政省のほうの認可といいますか協定といいますか、そういうものがその後行なわれるわけでございますね。それは大体四月の末から五月の初めだと聞いておりますが、その中にはそういう問題が具体的に出てくるわけでございましょうが。
  151. 菅野義丸

    菅野参考人 日中間ケーブル建設保守協定というものをずっと第一回、第二回、第三回と会議を重ねてまいりまして、先般第三回の会議を北京でやりましたが、そこで意見の一致を見まして、当社を代表している者が仮調印をいたしたのでございます。近くこれは本調印になると思いますが、もちろんこの協定は監督官庁である郵政省の認可を得なければ効力がございませんので、そういうことはその旨表現しております。
  152. 田中昭二

    田中(昭)委員 これはあとでお聞きすることにしまして、次の問題に移りますが、いまのいわゆる概況報告の中で、最初社長さんのほうから、今年度の財政経済の動きも見て、政府の施策であります総需要抑制ということも考えてやった、こういうことがございましたが、こういう総需要抑制ということは、具体的にKDDの場合にはその基本政策、総需要の抑制というものはどういうふうにあらわれてくるのでしょうか。
  153. 菅野義丸

    菅野参考人 私どものほうの設備投資は、多くは外国の関係業者との協定によってなされるものが多いのでございまして、たとえばインテルサットの協定とかあるいは海底ケーブルとか、こういうようなものは当社だけの都合でその投資を延ばすわけにはいかないのでございますけれども、当社だけの理由で延ばせるものはこれはもうできるだけ延ばす、そして新しい機械を買うのも差し控えて古いものでがまんするというようなことも総需要抑制の一つでございますが、主として国際通信に直接影響のないようなもの、たとえば今度新宿にできます国際通信センターの中の設備のごときも、これは国際通信に直接関係する設備については延長はできませんけれども、その他の事務であるとか、あるいは直接関係のないようなものにつきましては、できるだけこれを延ばすような方法を講じております。その他各所にあります局舎設備等につきましても、国際通信に直接影響ないものはここでなるべく延長する、こういう方針をとって今回の計画になったようなわけでございます。
  154. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、この事業計画の最後にございますが、資金計画を見てみますと、資金計画並びに収支計画でございますが、その数字の中から考えてみますと、四十八年度設備投資でございますか、そういうものと四十九年度設備投資というものを数字だけ比較してみますと、いま社長さんがおっしゃったようなことがあらわれておるかとも思われますけれども、その前にKDD設備投資というものは、私は、先ほどおっしゃったように相手の国のこともありますし、いろいろな推移がある、でこぼこがある、このようにしろうとながら思うわけでございますが、四十八年度設備投資の実績は大体どのくらいになっておりますでしょうか。概算でけっこうですから。
  155. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 お答え申し上げます。  ただいま決算の集計中で、正確な数字をお答えいたすことはできませんのでございますが、大体二百三十三億が当初の計画でございました。その大体八五%程度になっておるかと存じます。
  156. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、大体二百億を割る設備投資だということになりますね。そうしますと、これは単純に二百億の四十八年度の実績達成、これは年度末過ぎておりますから、それ以上のものは出てこないのじゃないかと思いますけれども、その辺は、いまの八五%というのは、四十九年度に入りまして、まだずっと四十八年度設備投資がなされるのでございましょうか、どうでしょうか。
  157. 菅野義丸

    菅野参考人 一度立てました計画につきましては、その後の情勢によりまして全く不用になったもの以外は、原則として繰り延べでございます。したがって、四十八年度に八〇%しか完成しなかったものも、そのあとの二〇%は今年度で行なう、こういうことになるわけでございます。
  158. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、四十九年度が二百二十五億でございますか、それに前年度の二〇%が上のせになる、こういうことでございましょうか。
  159. 菅野義丸

    菅野参考人 毎年の例といたしまして、大体八 〇%くらいの工事の完了が行なわれますので、二百二十億といいましても、それだけのものが全部四十九年度にできるとは限らないと思います。
  160. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと大体同じくらいの達成率ということになりますと、いまの設備投資の面におきましては、総需要抑制というようなそういう面での施策はあらわれてきていない、大体同額か、ちょっと減るくらいですか、そういう感じでございますか。
  161. 菅野義丸

    菅野参考人 総需要抑制のことを十分考えました結果、その数字になったのでございまして、もしそういうような要請がなければ、もっとふくらんでおったと思います。
  162. 田中昭二

    田中(昭)委員 大体そういうこまかい、総需要抑制というものがKDD設備投資の中でどういうふうに出てくるかということは私たちはよくわかりませんから、一応いまの御説明でそのとおりだろうと思います。  そこで、この資金計画を見てみますと、いままでにない、いわゆる外部からの借り入れ金という問題が先ほどもちょっと出ておりましたけれども、KDD収支伸びぐあい、また特に内容としましては電話業務関係ですか、この収入がふえておるというようなことを考えますと、この外部からの借り入れ金というものは、外部から借り入れすれば利子も払わなければなりませんし、そういう問題で相当検討なさったのではなかろうか、こう思います。それと同時に、収支のいわゆる金の流れといいますか、こういうものから見れば、外部からの借り入れがぜひ必要であったかどうかということの御検討は、どういうふうなものでございましょうか。
  163. 菅野義丸

    菅野参考人 これは十分検討いたしました結果、どうしても今年度は八十六億円程度外部資金を入れなければまかない切れないということが判明したわけでございます。これはKDDといたしましては近年に例のないことでございまして、いままでは外債のほかはほとんど借り入れ金というものはなかったのでございますが、いよいよ四十九年度におきましては資金の不足を来たしまして、年間八十六億円という多額の借り入れをしなければならないという見通しになってまいったのでございます。先生のおっしゃるように、この点については将来の収支状況その他を十分検討いたしまして、この際は外部資金を導入しても設備投資はしなければならぬということに決定した次第でございます。
  164. 田中昭二

    田中(昭)委員 その外部資金の導入でございますけれども、このことにつきましては、KDD事業内容といいますか、また設立の趣旨から考えてみても、私は、ただ会社のそういう判断だけでやるのが将来ほんとうに国民全体のためにもなることだろうかどうだろうかというようなことも、昨年も一応検討されたと思います。そこで、郵政当局としましては、こういう資金不足に対してはどうあるのが一番妥当だ、こうお思いでございましょうか。
  165. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 KDDの財務に関しましては、ただいまの事業計画に即しまして資金繰りを私どももずっと見てまいったのでありますが、予測するところ、やはりただいま社長から申し上げましたように、この年間八十六億程度の借り入れ資金を得なければ運転が円滑にいかないということで認可いたしておるわけでございまして、片や国際通信需要電話、テレックスを中心に、飛躍的な伸びを示しております。したがいまして、これに即応し得る設備投資、そのための国際間の取りきめに基づきます設備建設は、これはどうしても進めなければならないわけでございまして、年間の収支見込みからいたしましての増資ももちろんございますけれども、円滑な資金の運転をはかりますために、やむを得ざるところと判断した次第でざごいます。
  166. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうでしょうけれども、昨年でございましたか、KDD事業についていろいろお尋ねしましたときに、当局のほうからは、こういう資金不足等があったときには、計画の遂行上必要な手当てについては、政府としてもその手段を考えるべきである、こういう答弁をなさっておるわけです。ですから、ただ借り入れをすることはやむを得ないだろうということだけでは、私はあまりにも当局としてのKDDに対する援助の手といいますか、そういうものについては、考えていないのではなかろうか、こういうふうに思われるのですが、その点いかがですか。
  167. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 おっしゃるように、資金調達の手段はさまざまあると存じます。前に第一太平洋ケーブルの資金調達のためには、外債を発行した例もあるわけでございますが、最近国際金利がまことに高いことでございますし、国内の上半期におきます四十三億分の調達に関しましては、市中銀行から最優先利子と申しますか、格安の利子で借り得るところでございますが、今後いろいろ資金調達の手段に関しまして、私ども及ぶ限りの努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  168. 田中昭二

    田中(昭)委員 会社のほうはそういう政府の援助といいますか、そういうものを受けていかれる、このことはそのままでけっこうとお思いでしょうか。
  169. 菅野義丸

    菅野参考人 実は現在の金融情勢は非常に逼迫しておりまして、私どもはたして外部資金が借りられるかどうかということを一応心配したのでございますが、長年取引のある都市銀行その他は、この事業の公共性にかんがみまして、最優先的に融資をしよう、これはまだ八十六億全部ではございませんが、半分の四十三億については最優先的に融資をやろうということを決定してくれましたので、政府のほうにいろいろまた御援助をお願いすることは実はしなかったのでございますが、実際にもう銀行も貸さない、増資もこういう情勢ではできないというようなときには、また政府のお力をかりることもあり得ると思います。
  170. 田中昭二

    田中(昭)委員 私、このKDD事業というものが公共性を帯びておるということで、会社自体は事業経営が好況でありましても、政府で打つべき手があれば打ってもらうべきである、こういう立場に立ってお話ししておるわけでございますから、いまの説明でわかるわけでございますけれども、何か当局のほうでは、優先的な融資ということは金利も安いというようなことでございましょうけれども、そういうことを考えた、しかし会社のほうではそれまでしなくても会社自体で安い利子で借りるようにしました。こういうことでございましょうか。  そこで、そうなれば優先的な措置というのはどこの金融機関からどういう利率で――そういうことがなければ優先的というようなことは言えないと思うのですが、いかがでございましょう。
  171. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 お答え申し上げます。  ただいま社長から御答弁のありましたように、会社として従来長い取引関係にありました都市銀行等十五行から金を借りるように現在手はず中でございます。またお尋ねの金利につきましては、いわゆるプライムレートと称しまして最優遇金利というものがございますが、その金利九分四厘で借用ができるように、もちろんこれは監督官庁の御認可を経たあとでございますが、大体そういう方針で話し合いが進行中でございます。
  172. 田中昭二

    田中(昭)委員 こまかいことを申し上げるようでございますけれども、九分四厘といいますと四十三億が九分四厘、それに対してまた半分の四十三億ですか、年間ではそういうことになりますね。それもやはり大体その程度の利子ということになりますと、その利子を幾ら払うことになりましょうか。
  173. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 大体半期で四、五億の見当でございます。
  174. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、先ほどちょっとお聞きした、私が聞き違いならばあれでございますが、利子が六億円くらい計上されておるようですが、これは違いますか。
  175. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 お答え申し上げます。  この利子の中には私どもが第一太平洋ケーブルをつくるのに際しまして発行しました外債の利子等も入っておるわけでございます。
  176. 田中昭二

    田中(昭)委員 外債の利子が入っておればまだふえなければならないのではないでしょうか。八十六億の利子だけで八億か九億になるわけでしょう。そうすると、外債の利子がまたそれに加わるわけでございますから、十億になるか、その辺は……。
  177. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 年間八十六億、上半期において四十三億の借り入れ予定をいたしておりますが、これは上期において借用します四十三億は、大体決算期の五月末あるいは六月初めということでございますし、また下半期にこれは全部銀行から借りるかあるいは別といたしまして、要するに資金の需要期は九月期の決算、十一月末というようなことでございますので、その間に時期のズレがございます。したがいまして、年間としまして八十六億、これに九分四厘を掛けました金額よりもずっと下回る、そういう計算でございます。
  178. 田中昭二

    田中(昭)委員 年度末で未払いの分はのかすのだというふうなことだろうと思います。ただ一応その利子が八億くらいになって、それに外債利子が加わるということになると、六億じゃおかしいのではないか、こう思ったものですから私は質問したわけでございます。いまのお話で大体未払い分は資金計画に入らないというような考え方だということで了解しておきます。  そこで私、KDD事業内容がたいへんいいということで、同じいわゆる電電公社等との営業内容の状況を比較してみましたが、これに対しまして一、二お尋ねしておきたいと思います。  まず、四十七年がまだ完全に数字が出ておりませんでしたから四十六年で見てみましたが、経営の中で一番問題になります設備投資効率、こういうのが電電よりも相当いい状況にある、こういうふうに私聞いております。それから並びに企業収益率、売り上げ高収益率、これも電電公社よりも相当良好な状態であると思いますが、これは一般的にいいましてどういうことになりましょうか。
  179. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 お答え申し上げます。  ただいま手元にございます資料で四十八年度の上半期、四十一期における当社の経営比率と、ただいまお話しの外部との経営比率の比較を申し上げますと、たとえば総資本利益率におきましては当社が一一・九で、全産業の平均は二・五三、あるいは売り上げ高営業利率におきましては当社が二五・七で、他の全産業平均は五・三であるとか、あるいは収支率におきましては当社が八四・八で、一般の全産業平均は九六であるとか、大体かような数字でございまして、当社の経営比率は良好である、そのようにお答え申し上げられるかと存じます。
  180. 田中昭二

    田中(昭)委員 この問題、私前もって申し上げておりませんでしたから、数字的な問題ではまた後ほど資料で出していただいて検討してみたいと思います。  次に経営の問題それから事業計画の問題で、収支計画並びに資金計画、このことにつきまして私いまいろいろ申し上げましたが、これを踏まえまして、ひとつ大臣に最後にちょっとこのことでお尋ねしておきますが、KDDはここ二、三年を見ましても収入の伸びも相当いいようでございます。先ほど私は、収入の伸びのいいときに、資金計画の中で他の金融機関からの借り入れをするということは大事な問題であり、よく検討しなければならない、それに対して政府もできるだけのことはしてあげるべきである、こういう考えを申したわけでございますが、大体収入の面におきましても概略四十七年から見てみますと、四十七年が五百億近い収入であると思います。四十八年が大体六百億をこしまして六百五十億、四十九年が、いろいろな業況の伸びを見てみますと、ここの収支計画に出ておるのをおそらく私は突破するのではなかろうか、こういうふうに思います。そうしますと、大体計画どおりとしても七百五十億前後。大体この三年間五百億、六百五十億、七百五十億というような収支計画の中で、いわゆる他の金融機関から借りなければならないということについてどういうふうに考えればいいのか、大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
  181. 原田憲

    ○原田国務大臣 お答えします。  田中さんのお尋ねの点は、事業が大きくなっていく、それについて借り入れ金を要していくならば国家的にもう少し安い金利の金を出してでも進めていくのが望ましいのではないかというようなお尋ねではないか、このように受け取るのですが、いまの国際電電事業は、お話のようにたいへん成績がよくて、みずからの力でどんどん伸びていく力を持っておりますから、民間の銀行の中でも最も有利な、一番優先的な利子のお金を借りられるという、内容のよい会社であるということがいえると思います。国家的な財政投融資資金、その他の財政需要につきましては、福祉関係とかいろいろな関係需要が強うございますから、国際電電に対しましてはみずからの力でやってもらう、こういうのがいまの形であろうかと思います。したがいまして、国際電電の力が及ばないというようなことになってきますと、そのために目的であるところが達成できないというようなことになってくる憂いがありますときには、これは当然考えなければならないところでございますが、いまのところ、先ほど社長がお答えされたように、みずからの力でやっていくということにつきまして私どもも同意を与えておるのが現状でございます。  なお、しかしこの会社の事業といたしましては、いままではいわゆる先進国間の仕事でございますから需要が強く、会社の業績も上がってまいりますが、開発途上にあるところの国々とも、日本はどこの国とも交流をすることによって発展をしていく国であるということでございますから、この方面に事業を伸ばしていくためには、これはまた別個に考えなければならぬ点も出てこようかと考える次第でございます。いわゆる経済協力という面で今後どうしたらよいかというような面も起きてこようかと思います。ただしかしこれで事足れりという考えではなしに、私どもこの会社の発展のためには十分御指摘のように留意をしてまいりたいと存ずる次第でございます。
  182. 田中昭二

    田中(昭)委員 次に移ります。  先ほど午前中にも社長から御答弁がございましたが、今度与党自民党さんでつくられました会社臨時特別税、これは社長さんは喜んで納めますというお話でございました。私はそういう感覚にちょっと疑問を持つわけでございます。そこで、このことにつきましては、会社の内部でも御議論があっただろうと思いますけれども、今度のこの会社臨時特別税はKDDの場合に課税されますね。
  183. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 課税になります。
  184. 田中昭二

    田中(昭)委員 その課税になります場合の一つの形といいますか、そういうものをひとつ説明願いたいと思います。
  185. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 課税の仕組みについて御説明申し上げます。  一応年間五億円以下の所得に対しては課税問題は生じない。あるいは年間払い込み資本金の二〇%以下の所得については課税対象にならない。私が申し上げておりますのは若干不正確で、課税標準は法人税額になっておりますので、法人税額をただいま申しましたような金額で案分をいたしまして、それをこえる部分について一〇%の課税が行なわれる。私詳しくKDDの計数について承知いたしておりませんけれども、所得が前期では大体八、九十億と承知しておりますので、それならば当然課税対象になる、それと、もし同額のものがこの三月期に出るとすれば当然課税対象になるものかと考えております。
  186. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、これは大臣にひとつ国務大臣としてのお考えを聞いておきたいのですが、この特別税は、私たちは成立に対して反対しました。といいますのは、御存じと思いますが、そういういきさつの中でこの特別税がKDDに課税されるということは、この法律の趣旨等を考えて、りっぱな――りっぱなというとなにでございますが、大臣としてはどのようにお考えになりますか。
  187. 原田憲

    ○原田国務大臣 政府といたしましては法律を尊重するというたてまえに立っておりますので、この法律がすでに成立をいたしております関係から――先ほど社長が喜んでと言われました、それは社会に奉仕をできるという意味で喜んでと言われたのでございます、税金はやはり安いほうがうれしいのではないかと思います。この税金をかけるのに、いわゆる便乗をして暴利をむさぼった者に対しては税金を課すべきじゃないかという意見が初めに出まして、このことに対して税務当局の大蔵省は、どれが暴利であり、どこまでが不当であり、どこまではよいというような判別ということにつきまして、田中さんもそのほうの専門家でありますが、税というものは公平ということでございますから、たいへんむずかしい問題であるからということで研究をいたしておったのでございますが、結論はこのような議員立法の形ででき上がった。こういう筋合いで、まあそのために一生懸命やっておる会社もひっかかってくるところもできた、こういう結論ではないかと思います。したがいまして、この税金も時限立法ということになっておりますから、このような税金を特別に取り立てるという形はこの二年間で終わるということになっておりますが、先ほども申し上げましたように、一生懸命働いて会社で利益が出た、その利益をもって社会に貢献することに使われるという意味で税を納める、こういう意味で、やむを得ないというより、社長さんが喜んでとおっしゃっておるのでございますから、私どものほうもこの金を十分に使わしていただく、国務大臣として答えろということでございますから、国家として十分に有効に使わしていただく、こういうのが私の答えではないかと存じます。
  188. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこがたいへん議論がいろいろごっちゃになって、そして実際その税金が徴収されるということについては、公平であるべきものがたいへん不公平になっているということは、現実に出てくるのじゃなかろうか。同じ電信電話業務であるKDD並びに電信電話公社、公社のほうには全然こういうものはかかりませんね。KDDのほう、同じような、ただ国際的な通信をやっているという、そして会社法によってやっておるから税金がかかるということが一つ問題がございますが、そこで、この会社臨時特別税は、結局便乗値上げとかいろんな便乗利得とか、悪徳商法でもうけた者から、そのもうけた部分については全部を税金として徴収しなさいというのが国民感情の中には根強くあるわけですね。またそういうものにこたえていくのが私は政府の行政の中にもなければいけない。こう考えますと、そのあおりを食うKDDに対してそのままでいいかというと、どうも納得がいかないわけですが、社長さん、先ほど法律ができた以上はそれに従って納められる、これは私は当然だと思いますけれども、ただ国民感情としては、こういう特別税というものが、その事業が当然負担すべものであるかどうかということは現実に理由としてあるわけでございますから、こういう意味ではどういうふうに社長さんお考えになるのか、ひとつ所見をお聞かせ願いたいと思います。
  189. 菅野義丸

    菅野参考人 お答え申し上げます。  私ども、この方面のこと詳しくないのでございますが、新聞紙等で拝見いたしておりますと、最初のころは先生のおっしゃるいわゆる悪徳商法、つまり便乗値上げをしたり、売り惜しみ買いだめをしたというような、道徳的に非難されるような商売のやり方でもってもうけた者に対する税である、こういうふうに存じておりましたので、実は、これはたいへんだ、そういう法律にKDDがひっかかるということはおかしいというので、郵政省にもお願いして、これはひとつKDDだけは例外にしてもらいたいということを陳情したのでございます。また郵政省もそれによって大蔵省方面にも何度も話をしていただいたようでございます。しかしながらだんだんと、いま大臣からのお話にありましたように様子が変わってまいりまして、そうじゃないんだ、これは法人税の特別の税金で、その趣旨とかやり方というようなことは全然問題にしないで、ただ現実に利益が出たというときにそれを税金として吸い上げるんだ、こういう趣旨の法律になったのでございますので、これならば悪徳商法という汚名は着せられず、むしろ経営が非常にいいという証拠にもなるし、法律ができた以上は、それに従って税金を納めるにやぶさかでない、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  190. 田中昭二

    田中(昭)委員 社長さんがおっしゃるのはそのとおりですが、私ごとさらそれを否定するものではございませんけれども、やはり国民がこの主権在民とまでいわれる時代に、みんなが求めているもの以外のものになった場合に、その税金を負担するということにおいて、そういう現実の場合に、私はKDDが、国民のそういう要望といいますか、ねらいといいますか、そういうものから離れていくKDDであることを私は心配するわけであります。  そこでもう一回、どういう意味で、KDDについてはこの姿がどういうかっこうになろうとも、特別のものを負担しなければならないということは困りますということをお申し出になられて、そして郵政当局はそれを聞いてどういうふうに大蔵省のほうに申し入れたのか、ひとつ当局のほうから聞かせてください。
  191. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 先ほど社長が申し上げましたように、私ども大蔵省と折衝したのでありますが、結論を申し上げますと、つまるところ、この法案が議員立法であるということで、行政当局たる大蔵省にはどうにもなりませんというのが最終的な御返事でございました。したがいまして私どもはKDDとはかりまして、立法の衝に当たられる、端的に申しますれば国会議員の先生方に陳情申し上げたという形でございます。
  192. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、この税法で、いわゆる国民の目的とするところの法律にならなかったというような点がございますね。議員立法でしてみても、与党以外、全部野党は反対しておりますし、そういう姿の法律ができて、そしてこれが施行になりますと、いまのような問題、KDDだけではなくて、ほかにも私はそのような会社がたくさんあると思います。そういう会社に、その会社がKDDのようにもうかっておればいいんでしょうけれども、三億円ぐらいは、それは納められるということでございましょうけれども、私は、そうでばかりいかない会社もある、こう思うわけでありますが、そういうことを考えますと、法律自体も、当初の国民が求めておるものと変わった姿での法律ができた。それを実際適用する場合に、税金を取られるほうはたいへん不満が出てくる。また、実際取る大蔵省のその担当も、私は、いま言われたように議員立法だからしかたありません、当局ではどうしようもありませんというような姿で、これが、税金の実務を行なう方たちも、それから納める会社もそういう不満を持ちながら行なわれることは、ただ税金を納めるということ以外にいろいろな影響力を持つと思いますが、どうでしょう。どうにかならぬものですか。
  193. 原田憲

    ○原田国務大臣 税理論をここで田中さんと私とが展開するのはちょっと筋違いかとも思いますけれども、この税金をつくるときの趣旨が、先ほど社長も私も申し上げましたところから少し姿を変えて、法人税増徴という考え方は、このいまの余分な利得と別にあったわけであります。そのことについて上のせをしようという考えで大体一応してきた中に、いまあなたがおっしゃっておるように、それではまじめに、一生懸命にやっておってかかるところもあるのではないかというところから、いわゆる所得に法人税をすぐかけるということから、別の方法でこちらを選ぶか、こちらを選ぶかというところまで考えたあげくが今度の税法になった。それでもなおかつ、いまあなたがおっしゃるように、その方法によると一方では助かる会社ができたが、KDDのような会社は助からない、やはり税金を納めなければならぬ、こういうことになる。そのことに対して不公平ではないかというお話でございますが、まあ考え方でございまして、やはり一生懸命働いて、そしてその中から税金を納めることによって、今度は国がやれとか公共団体がやれとかいうのは、国とは何ぞや、その働いた果実から納めるところの税というものによってわれわれはまた余慶をお互いにこうむっていくわけでございますから、この際、先ほど申し上げましたように、KDDはたいへん業績のいい会社でありますから、今度の法人税の上のせということについて三億何がしかの税金を納めなければならないという立場にお立ちになったわけでございますけれども、逆に考えると、それだけ十分な働きのできる会社であるというようにお考えくださって、それから納められておる税金というものは、国の財政をあずかるものは有効に使っていく、こういうことで解決をしていきたい、このように存ずる次第でございます。
  194. 田中昭二

    田中(昭)委員 ここで大臣と税理論を話し合うということは、大臣も大蔵委員会理事として、私もいろいろ御指導を受けておりましたから、悪いことではないと思いますけれども、どうもいまの御答弁を、あとで速記録を整理してみますが、たいへん博学をもって御答弁になったということでございますが、私が申し上げたいことは、こういう問題で、いわゆる端的に申し上げれば、税金を徴収するほうも取られるほうも、たいへん当初の目的と違ったもののために不公平感、不満感を持つということは、私は行政として一番下の下であるということを言いたかったわけでございます。ですから大蔵当局も、議員立法であろうと何であろうと、それが悪い面があれば、法律には政令できめることもいろいろございますし、十分そういう実行面については、幾らかでも不平不満、そういうもののために皆さんが困らないように、また、できるものならばそういう特別な特例を設けるという方向でいかなければ禍根を残すのじゃなかろうか、こう私は思いますから申し上げたわけでございます。  時間がございませんから次に移ります。  昨年私が御質問申し上げた中で、現在の衛星通信それから海底ケーブルというものがどんどん拡充されていく中で、短波の無線送受信所というのがこの事業概況図の中にも日本全国場所を示してございますが、この短波の無線関係の送受信所が現在たいへん遊んでおる、また、中には不用な土地もあるのではなかろうかということを御指摘しましたときに、会社のほうからは、この短波無線送受信所につきましては整理統合の計画を立てております、そして、有効利用をやっていきます。こういう御答弁があったわけでございますが、これはいかが進捗しておるでしょうか。
  195. 増田元一

    ○増田参考人 お答え申し上げます。  短波送受信所の整理統合につきましては、昭和四十五年度から開始いたしまして昭和四十七年度、二年間かかって完了いたしました。整理統合いたします前には、送受信所は八カ所ございました。送信所が五カ所、受信所三カ所でございます。整理統合いたしましたあとは六カ所になっております。送信所三カ所、受信所三カ所でございます。整理の対象になりました送信所は、大阪府下の河内送信所、それから関東では名崎送信所の二カ所でございます。河内送信所は、現在上野送信所がございますが、そことの連絡専用のマイクロ中継設備を置いております。それから非常災害対策用といたしまして電報の端末設備を現在河内送信所に置いております。それから関東の名崎につきましては、やはり非常対策用として短波送受信所設備を設置しております。自余の六カ所の小山送信所、八俣送信所、小室受信所、北浦受信所、小野受信所、上野送信所は従来どおりの運用をいたしております。それから、名崎送信所は非常に広うございますが、その一部を除きまして、日本電信電話公社の無線通信所として使用したいというお考えが公社のほうにございますので、ただいま会社と公社の間でその土地の使用条件等について協議をいたしております。  それから、将来さらに短波業務が縮小した場合に土地に余裕が生ずるということも考えられますけれども、この点については、将来さらに当社の通信需要がふえてまいりますし、それからまた新しい通信技術が開発されます。そういう関係で、それらの設備を設置するために土地が必要になる、それからまた、従業職員がふえてまいりますので、職員の厚生施設もふやしていかなくてはならぬ、そういう場合にやはり土地が必要になりますので、そういう点を考えまして、将来短波がさらに縮小されましても土地は会社のそういう目的に使っていきたい、そういうふうにただいま現在におきましては考えております。
  196. 田中昭二

    田中(昭)委員 内容はそういうことでございましょうが、私、端的に申し上げて、送受信所関係の、かりに土地の広さでいえば、必要な部分がどのくらいで、必要でないものがどういうふうに整理統合されましたか、こういうことをお聞きしたかったわけでございますが、その点もう一回お答えいただいて――まず、去年問題にしたのですけれども、KDDの持っております土地というのは、送受信所とそれ以外の営業所といいますか、そういうものとを分けますと、全体の面積はどのくらいあるのですか。
  197. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  ただいまお話しございました送受信所でございますけれども、ちょっと総計してございませんけれども申し上げますと、北浦受信所というところに六十五万……。
  198. 田中昭二

    田中(昭)委員 全体でいいです。
  199. 古橋好夫

    ○古橋参考人 全体で六百九十八万九千平米ぐらいございます。
  200. 田中昭二

    田中(昭)委員 坪数でどのくらいになるのですか。
  201. 古橋好夫

    ○古橋参考人 その三・三分の一でございますから、二百数十万坪だと思います。
  202. 田中昭二

    田中(昭)委員 それ以外の営業所関係では……。
  203. 古橋好夫

    ○古橋参考人 それで、そのうち送受信所が六百二十三万平米ございますので、差し引きいたしますと、七十万平米ぐらいがその他になると思います。
  204. 田中昭二

    田中(昭)委員 これはどうも、私が昨年御質問申し上げた意味を違えないようにしてひとつ答えていただきたいと思うのです。何もここでKDDの財産的なものの精査をしようと思っておるわけじゃございませんから、この前私が申し上げたのは、先ほどから言いますように送受信所なんかで当然不用のものがあるという事実があるわけですから、そういうものについてはどのように整理統合されておるだろうか、こういうマクロ的な問題をお聞きすればよかったわけでございますから、これはあとでまた資料ででも説明いただくとしまして、最後にこのKDDの所有しております土地の中で、いま国会でつくられようとしております国土利用法ですか、土地の有効利用ということにつきましては大事な問題でありますし、また真剣に取り組まなければならない問題であります。そういうことを考えまして、今後そういう面の、いわゆる新聞報道等によりますと、三年以上使っていないような土地についてはいろいろな処置が講じられるというようなことも報道されておりますから、そういうことを考えますとたいへん重要な問題でございますし、ひとつ社長さんのそのことにつきましてのお考えを最後にお聞きして終わりたいと思います。よろしくお願いします。
  205. 菅野義丸

    菅野参考人 KDDが持っております土地はただいま申し上げましたように相当な広さでございますが、実際はそれをほとんどがアンテナの敷地として使っておるのでございます。ところがアンテナは全然音を出すわけでもありませんし、光を出すわけでもありませんので、まわりから見るといかにも使っておらないように見えますが、中には、その下に事務所もなく、遠方のリモートコントロールによってコントロールしておるところもございます。したがいまして、よく世間ではあそこの土地があいておるとか、使っておらないから譲ってくれという話もございますけれども、実際は非常に大きな役目を果たしておるわけでございます。しかも最近電力がだんだん増強されまして、遠方の土地へ短波を送る必要も出てまいりますので、たとえばその近くを新幹線が通るとかあるいは非常に大きな自動車の交通があるとかというような、そういうことだけでもその電波に影響するようなわけでございまして、私どものほうではもう少し広い、余裕のあるところというくらいに考えておるところでございます。しかしそれは、またこういう情勢でございますからこれ以上持つことはいけないというので、鉄道のほうに妨害を除くようなことを頼んだりいろいろいたしております。しかしいま田中先生がおっしゃったことはよくわかりますので、今後も不必要になった分につきましては、もちろんこれはもっと高度の利用をしていただくように考えますし、今後ともこの敷地の活用につきましてはわれわれといたしましては慎重によく考えて、先生のおっしゃることに沿うようにいたしたいと考えております。  ただ、だんだん発展途上国との間の通信が増してまいりますと、そういうところはたいてい最初は短波でございます。短波というものはそう簡単に増すことができませんので、実はアンテナなんかはむしろ最近よけいに要るような状況になってまいっておるのでございます。そういう点も十分考えまして、いま先生のおっしゃったことにつきましては、その御意見を尊重して処理していきたいと考えております。
  206. 田中昭二

    田中(昭)委員 じゃ、以上で終わります。
  207. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、小沢貞孝君。
  208. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 委員会の席にいませんでしたので、重複するようなことをなるべく避けて、わずかな時間、質問いたしたいと思います。  すでに御質問があったと思いますが、日中間の海底ケーブル建設保守協定の仮署名ができたようであります。それで大臣の認可はいつごろになるでしょうか、これは。大臣のほうに申請をしてあるか、これはKDDだか、郵政省ですか……。
  209. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 仮署名をしたという報告は受けておりますが、まだその中身につきましての認可申請が出ておりませんので、出次第、早急に検討いたしたいと考えております。
  210. 菅野義丸

    菅野参考人 日中間の海底ケーブル建設保守協定は、去る四月の初めに仮調印が済みました。近く本調印をすることになっておりますが、これはもちろん監督官庁である郵政省の御認可がなければ効力を発生いたしません。したがいまして、本調印をする段になりましたらば、正式に認可を申請して御認可を得たいと考えております。
  211. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私も仮調印の概要をいただいたわけですが、これはKDDのほうへお尋ねしますが、この中で、問題になってなかなか難航したというような点があったら何項目と何項目か。これは質問の届けに出してなかったので突然の質問であれですが、どの項目とどの項目が難航して、どういう点であったか、お尋ねをしたいのです。
  212. 木村光臣

    木村参考人 お答え申し上げます。  建設保守協定につきましては、去年の六月以来三回にわたりまして双方で行ったり来たりしながら打ち合わせを十分にいたしましたので、ことしの三月の下旬に北京に参りまして第三回の会議をいたしましたときには、ほとんど全部大事な点については同意をいたしておりまして、特にここで申し上げるほどの問題になった点はございませんでした。
  213. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 どうも質問に答えていないが、これは子供のお使いみたいに、こんにちはと言ったら、はいと言って、三回行ったら、それで終わっちゃったわけですか。それでも、ここはどうにかこの次に検討しましょう、それは三回目になってようやくここはわかりました、いや、そんなところはないはずはないと思うのだが、比較的でいいわけです。比較的どの項目が二回、三回にわたって話し合いをしなければならなかったか、そのポイントはどういうところにあるかと……。
  214. 木村光臣

    木村参考人 申し上げます。  ここにあげました項目では特に問題になるところはございませんでしたが、発注の手続で相当にもめました。資材をいかにして調達するかという問題でございます。簡単に申し上げますと、先方のほうは日中貿易協定によりまして、あの協定に従ってやりたい、私どものほうは、その考え方は貿易という考え方であるけれども、この日中ケーブルにつきましては共同所有のものであって、単なる貿易ではないというようなところでかなり見解の相違がございました。
  215. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは私いまそういう御答弁を聞いて感ずるわけですが、これは日本のほうの代表はKDDという、いわば民間会社であります。向こうは政府そのものだと思います。そして、こういう政治的な問題が出てくるわけであります。そういう問題については、郵政省には途中で相談はないわけですか。
  216. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 この国際電気通信の当事者と申します場合に、国によりまして民間会社であります場合と政府みずからが直営しております国、たとえば西ヨーロッパ諸国のようなものがございまして、私どもの認識は業者間協定ということでございます。  法的に申しますと、公衆電気通信法の第百八条に、「会社は、外国政府又は外国人若しくは外国法人」、この辺は民間になってまいろうと思います、「との間に国際電気通信業務に関する協定又は契約であって、郵政省令で定める重要な事項を内容とするものを締結し、」云々とございまして、この場合、郵政大臣の認可を受けるようにという規定でございますから、当事者としまして、あくまで技術的、事務的に取り組むべき内容を考えております。ただいま問題になりました点も、この日中海底ケーブルに要します物品の調達ということでございますから、事務的な内容というふうに理解をいたしております。
  217. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 まだ、総括してあとでこのことに触れたいと思います。  これで料金はどういうようにきまるでしょう。これはKDDだか郵政省、どちらでもいいんですが、このあと料金や何かはどういうようにこれはきめるのですか。
  218. 増田元一

    ○増田参考人 お答え申し上げます。  日中間の通信料金は郵政大臣の御認可を得まして決定されますが、ただいま私どもは、現在衛星でやっております電報につきましては一語七十二円、それからテレックスにつきましては三分三千二百四十円、それから電話につきましては三分二千百六十円のサービスの料金を認可申請いたしたい。同じ料金でございます。現在と少しも変わりません。それを申請いたしたいと考えております。
  219. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この日中海底ケーブルの今度の建設費とか償却とか経費とか耐用年数とか、いわゆる原価計算をして、そしていままでやっておるとは違うこれだけの費用がかかるからこういうように料金をきめたいという取りきめだとか、そういう相談は対中国との間にはないわけですか。
  220. 増田元一

    ○増田参考人 国際間の通信料金につきましては、いわゆるゴールドフランという、金の〇・二九〇三グラムという単位で表示するようになっておりまして、これはもう五十数年、全世界このゴールドフランで料金を定めております。金本位制が崩壊いたしましたあとも、このゴールドフランで現在もきめておりますので、たとえて申しますと、アメリカと太平洋ケーブルを敷設いたしました場合も、また太平洋の衛星が打ち上がりましてそれを利用いたしました場合も、その前に短波で提供しておりました料金と同じ料金で提供しております。それで原価を計算して、そしてそれに積み上げてどうこうという交渉はいたしておりません。これは太平洋ケーブルの場合もインテルサットの場合も同じでございます。これはまた日本だけではございませんで、世界の国々がこのゴールドフランという料金でやっていっております。したがいまして、今回の日中海底ケーブルができましたあとも、このゴールドフラン料金できめていきたいというふうに考えております。
  221. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それれじゃちょっとお尋ねしますが、何ですって、発言がはっきり聞こえない、ゴールドフランですか。――そのゴールドフラン方式なるものは世界各国が批准する、承認するという条約になっているのか、あるいはもう長年そうやっているから、もう言わず語らずのうちに慣行としてそうなっているのか、中国みたいな共産圏もそれに参加して合意を得ているのか、要するにこれは条約みたいに世界各国が参加してできているのかどうか、いきなり慣行だからそうなってきているのかどうなのか、それが一つ。  立ったついでにもう一つ答えていただきたいが、五十年も六十年も前だかにできたそういうもので、インテルサットだ、それ金がかかる新しい海底ケーブルだとやって、建設費、償却、原価等を計算しても、そんな昔のそういう制度のもとにみな適合するものですか。
  222. 増田元一

    ○増田参考人 国際間の料金をゴールドフランで定めるというのは、国際電気通信条約できまっております。  それからもう一つの御質問、ちょっと話をしておりまして失念したので、申しわけございませんが……。(小沢(貞)委員「五十年前にやったようなもので、いまも……」と呼ぶ)そのゴールドフランで定めまして、そのゴールドフランそのものの、たとえば十八ゴールドフランであったものが現在三十八ゴールドフランというふうに、そのフランの額は変わっております。非常にややこしい……。
  223. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 質問するのがわからないのだから、よく答えてください。  それでは、中国もこのゴールドフランという国際電気通信条約に、これはいつどこでできたものか知らないが、批准して参加しているから、こういうもとでやって差しつかえないと、もう合意ができているわけですな。
  224. 増田元一

    ○増田参考人 中国は国際電気通信条約に、一昨年だと思いますが加盟いたしましたので、それでゴールドフランで交渉することができる、こういうふうに考えております。
  225. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは次にお尋ねをしたいが、この日中間の海底ケーブルができて、日本を中継とするかどうか知りませんが、第二太平洋ケーブルも、できてもできなんでもいいが、アメリカから日本、日本で中継するか、日本から中国、こういうことでロサンゼルスから北京へ直通で電話をする、こういうことになる。いまでもやっているでしょうが、新しく建設されても、日米、米中、日中、この三つの関係においては、この建設ができたあと、相談も何もしないでも、いまのゴールドフラン条約か何かに基づいて、もう自動的に料金もきまれば利用も何もきまる、こういうことになっているわけですか。
  226. 増田元一

    ○増田参考人 アメリカと中国との通信回線につきましては、上海と沖繩は日本と中国が半分ずつ所有いたしております。それから、沖繩からアメリカまでは、アメリカと日本が、簡単に申しますと半分ずつ投資をして持っております。したがいまして、これをアメリカと中国が使います場合には、当社が持っております財産を利用することになるわけでございますので、アメリカサイドは、アメリカから沖繩まではアメリカが半分持っておりますが、そこから先は持っておりませんので、中国とアメリカの線を構成しなければいけません。そうすると、沖繩と上海の間は日本と中国でございますので、当社の持っておる設備をアメリカは利用しなければいけませんので、KDDが投資しております部分に対する投資をしていただくことになります。平たく言いますと、KDDが持っております回線をアメリカに売ることになります。それから、逆に今度は沖繩からアメリカまでの片半分はKDDが持っておりますので、その設備を中国がKDDから買うということにいたしまして、アメリカと中国本土との間の回線を中国とアメリカで半分ずつ持ち合う、そして通信をすることになると思います。
  227. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 意味はわかりました。意味はわかりましたが、もうちょっと発展させて、あとでまたそこへ戻りたい。  インテルサットの場合にも全くそれと同じですか。たとえば私が聞くところによれば、台湾政府はインテルサットの条約を批准し、参加メンバーだか構成メンバーになっている。ところが中国はインテルサットの参加メンバーになっていない、こういうわけであります。国際通信というものは、インテルサットを通じてやる、海底ケーブルを通じてやる、こういうように交互にやるのだが、海の底のはいまの説明によってよくわかった。今度はインテルサットの場合には、中国は参加していない、台湾は参加しているというように、台湾がここに一枚加わってくると、一体そういう関係は国際何とか法上だか何かむずかしい問題が出てこないかどうか。
  228. 増田元一

    ○増田参考人 宇宙を使います衛星通信につきましては、世界のすべての国民にその利用を開放するという国連総会の決議がございまして、それに基づきまして昨年できました恒久協定によりまして、メンバーであってもメンバーでなくても衛星は利用することができる、こういうことになっております。中国はただいまメンバーではございません。しかし国際電気通信連合に入っておりますので、加入するといえば加入することはできます。しかし、加入の意思を表示しておりません。したがってメンバーではございません。しかし利用することはできるのでございます。  それで協定の上では、メンバーとその使用者との違いといいますのは、メンバーは衛星に投資をする義務がございます。ところがメンバーでない方は、地球局さえつくりますれば投資の義務を負わないで、使用料さえ払えば使えるというのが現在の制度であります。そういう関係でありますので、中国はいまアメリカと衛星でも通信をやっておりますが、これは日本を通る必要はございませんで、太平洋上の衛星に対しまして直接中国の地球局から電波を出しまして、それが直接アメリカ側へつながるということでございます。そういう直接の通信をやっております。
  229. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私いまお聞きして初めて聞くことなんだが、二つの疑問を持つわけです。  国連憲章だか国連総会でもって、インテルサットのメンバーでない者にも利用は広く開放してやる、こういうことだが、日中航空協定は台湾問題でこんなにもめているのだが、台湾はメンバーなもので、日中航空協定であんなことをされたら、台湾のほうで、インテルサットの利用は、中国については投資していないし、メンバーでないから利用しちゃいかぬぞ、こういう発言をすることが出てきますか。それが一つの問題です。  もう一つの問題は、投資に対するペイは、一体もうかっているのかもうかっていないのか。百億インテルサットに投資したが、インテルサットを通じてKDDには幾ら還元が来ていて、やはり投資効率は正しいものだと見れるかどうか。そういうことになると、中国は、投資をしたってちっともペイがないから、そんなことだったらただ乗りがいいというようなぐあいに原価計算をしてやっているのか。その投資の効率なりペイはどうなっているのですか。
  230. 増田元一

    ○増田参考人 インテルサットのメンバーになるためには資格がございまして、先ほど申し上げました国際電気通信連合のメンバーであるということが加入の条件になっております。ただいま現在、中国は電気通信連合のメンバーでございまして、台湾はメンバーではございません。ところがもう一つ条約に規定がございまして、加入いたしましたあと、その国が国際電気通信連合のメンバーである地位を失ったといたしましても、その直接の結果としてインテルサットから脱退することを強制されない、こういう規定があるわけでございます。その関係で台湾は依然としてメンバーとして現在残っておる、こういう関係でございます。  それからもう一つの問題は、インテルサットは投資してはたしてどうか、こういう御質問でございますけれども、たしか昭和三十九年でしたが、暫定協定制度が発足いたしまして数年間は赤字でございましたけれども、ただいま現在は投資に対しまして約一四%の資本報酬を払うことができるような財政状態でございます。  以上でございます。
  231. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 郵政大臣社長にお尋ねをしたい。  いま私は初めて聞くようなことをいろいろここで明らかにしてもらったわけですが、これはいたく国際的な問題です。いたく国際的な、しかも外交上の問題を、昨年の当委員会でも持ち出したのだが、これを民間の一会社が扱っていて、私たち国会にはその報告もなければ何も知らないでいる。一民間会社がこれだけの国際的な問題を――これは法律に書いてある、それはさっき郵政省の言うとおり。それをやってよろしいと書いてある。それが政治的に妥当であるかどうか、こういうことを私は去年も問題を提起いたしました。飛行機が東京から北京へ飛んでいくよりは、考えようによれば、まだ重大な問題だ、私はこう思います。条約といってこの間も国会へ出てきたものを見れば、渡り鳥条約というのがある。何だか知らぬがページ一ぱいに何とかかんとかと書いてある。鳥が渡ったりすることでさえ条約としてわれわれは国会で承認をする、こうなるわけです。郵便か何かのこともやはり同じように条約でやるのではないかと思いますが、事国際通信の問題については、これは法律がうまく逃げているのか何か、民間会社が、いたく国際的な非常に外交上重大な問題をやっている。こういうことについて私は非常に矛盾を感ずるわけです。去年もこの問題を提起いたしました。まあもとをただせば、田中総理が周さんと会って日中宣言みたいなことをやった。その結果について、それは条約じゃないからといって国会で批准も何もしてありません。今度日中海底ケーブルのやつは、前の郵政大臣が出かけていって何とかいう宣言だか話をしてきた。それも、国会へ来てこういうようになりましたといって条約としての批准も何もない。今度は国際電電の会社の人が出ていって何かを結んできた。そういう中で、いまお尋ねするように、インテルサットの問題から、国際電気通信条約だか何かの問題から、たいへんむずかしい問題が、一民間会社だけにみんなゆだねられているわけです。これが、そういうことについて審議をしなければならない国会議員の立場から見れば、報告もなければ何もない。くどいようだが、鳥が飛んでくる、渡り鳥なんという条約まで長々と書いて国会の批准を得ているわけです。どうでしょうか、その辺、大臣
  232. 菅野義丸

    菅野参考人 インテルサットの協定というのは二つに分かれておりまして、国と国との協定は完全な条約でございますので、国会にも付議され、批准を得たと思います。それから、私どもが実際の業者として外国の業者同士とインテルサットの利用、運用について協定したものがございますが、これはまた非常にこまかい技術的なものでございまして、これはあるいは条約の取り扱いになっておらないかもしれませんけれども、国家間の協定は完全な条約として国会に付議されております。
  233. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 いま社長のお答えにもありましたように、インテルサット恒久協定でございますとか、あるいは国際電気通信条約、昨年のスペインで行なわれました大会議の結論であります条約改正案も、いずれ国会での御審議を願うことに相なりますが、こういう国際電気通信業を行ないます業者の相手がたとえ政府でありましょうとも、業者対業者という資格での一対一の取りきめに関しましては、あくまでコマーシャルベースで行なわれてしかるべきものというふうに考えております。立法論といたしましてはいろいろ御議論があろうかと思いますけれども、私どもはさように考えておる次第でございます。
  234. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 去年の四月だか五月だかの国会以来、私はこの問題に疑問を持っているわけです、大臣、率直に言って。日中航空協定だって、これは業者と業者と、飛んでいってやってくるじゃないか。飛行機で飛んでいけばいい。それを国際条約だといってああいうようにやっている。日中間の海底ケーブル、これから通信が行なわれる、こういうようなことだって全くそれ以上に重要なことです。これを一民間会社がやって、もとになるものは何にもない。これではたしていいだろうか。大臣、どうでしょうかね。
  235. 原田憲

    ○原田国務大臣 私はいま小沢さんの話を聞いて、そういう疑問もあろうかと思いますけれども、一方において、たとえばいま北朝鮮の人民共和国との間に短波をもってやろう、向こうがオーケーといえばこちらもオーケーという、こういうことで、国交がなくても世界を結ぶ波というもの、電波というものを利用して意思の疎通をはかったり、民間の人たちの便宜をはかる。すなわち大きくいえば、人類がそれによって恩恵をこうむるというやり方がずっと続いておるのであろうと思います。日本の国ではそういうことを政府の中で郵政大臣が責任をもって法律によって行なう、こうきめてあるので、その範囲内で行なってきているということであろうと思います。したがいまして、航空協定と同じように電波も空を飛んでいるものじゃないかということもございますけれども、それとこれとは違う一つの沿革というものがあり、いまの、もちろんインテルサットのすべての国際条約として加入しておるということでありますが、これなども加入しておるといなとを問わず、それを利用することはみなができる、こういうような性格のものであることを考えますと、現在私の責任においてこれを行ない、そして業者がやりますことについては私が認可をする、国が責任を持つという形でやっていくということでよろしかろうじゃないかというように思います。  なお、正直に言いまして、もっと勉強もさしていただきたいと思います。
  236. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣、しかたなしに答弁しているように見えちゃってしかたがないのだが、たとえばKDDが直接北朝鮮とか直接北ベトナムであろうと、国交のないところへ行ってどんどんやってきてもいいわけですね。その理屈でいえばいいわけですね、これはどこへ持っていってやってきても。外務省は人を入れるの入れないの、飛行機を飛ばすことにいまも大騒ぎをしていて、国会まで延長して騒ぎをするというのに、これはKDDという会社の社長が自分の意思をきめれば、北朝鮮へ行こうと北ベトナムへ行こうと、どこへ行って通信――これから海底ケーブルだか陸上何だか知らないが、やってきても差しつかえないということですか。
  237. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 先ほど航空協定あるいは渡り鳥条約というような例示がなされたのでありますけれども、郵便をも含めまして広く通信といいます場合に、必ずしも国会の承認と申しますか、国であるかいなかということにかかわらない平和的な本質と申しますか、そういう点から申しましてかかわらないというのが国際法上の通説に相なっておるようでございまして、たまたまそういうものが国自体の権利義務でありますとか、国の財政にかかわるというような国と直接の重要なかかわりを持ちます場合には、国会の批准、承認ということが必要とされる事態も生ずるかもしれませんが、先ほども申し上げましたように、あくまでコマーシャルベースの平和的な取りきめでございますので、国際法上の通説は以上申し上げたようなところでございます。
  238. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は、三菱さんが中国に出ていって何かちょっと売ってくるとか、丸紅が北ベトナムに出ていって何か売ってくるとか、それは全く民間のコマーシャルベースで、危険をおかそうと国交があろうとなかろうと、これはかってなことだと思う。ただ、法律できめられたKDDという会社が、国交も途絶しておるところとかってに海底ケーブルであろうと何であろうとやってもよろしい、これはそう確かに法律にも書いてあるわけであります。書いてあるが、この国際化のこういう時点になってそれが妥当であるかどうか、こういう反省をしなければならないのじゃないか、こう言っておるわけです。これは法律にあるからいい、それは郵政省のほうの役所としては、そういうふうに公衆電気通信法の何条だかに、会社は何をしてよろしいと書いてあるからそれはかってにやってよろしい、こういうことになるであろうが、これは丸紅さんがコマーシャルベースでどっかに物を売って歩くのとまた私は違うと思う。
  239. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 かってにではございませんで、郵政大臣の認可が要るわけでございますが、先ほど来申し上げました事柄の性質上、国際間におきましてそういうあり方が一般的に行なわれておるということでございます。先ほど申し上げましたように、もちろん立法論としてはいろいろの御議論もあろうと存じます。
  240. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 認可というのは、こういうことをやってきました、大臣、認可してくれ、こういうことです。さっきの日中海底ケーブルのことも、難問はこういうところにあった。私はその難問というのをあとで聞いてみれば、なるほどいたく政治的な問題が最後まで残ったなあ、こう思います。そういうものは、こういうように結んできました、大臣、よろしくお願いします――国と国との間で見れば、KDDのやっておることは外交的なことをやっておるわけです。そうして料金をきめることも何もかもみな外交的なことなんだが、それほど国家間の大きな問題が、あとになって、大臣、こうきまったからよろしく、そうしてわれわれ国会には条約ができたからよろしくという。この承認も何もあるわけじゃないわけです。飛行機が飛んでくるくらいなことで自由民主党の中がひっくり返るほど、何とか次官がやめるほどの騒ぎをして、まだ国会にも出てこないのだが、飛行機がひょっと飛んでくるくらいなことよりはまだ大きなことだと私は思う。それが事後において大臣の認可を受ければよい、つまり会社の社長は総理大臣兼外務大臣兼郵政大臣くらいな権限を持って、事ケーブルだか事国際通信についてはやっているような仕組みになっておる。これが私はいまの法律の体系上はたして妥当かどうか、こういう疑問を郵政大臣、私は投げかけているわけです。  それで、さっそくにはこれは答弁できそうな問題ではないし、前国会以来私はこの問題をやっておるわけで、これはぜひひとつ――この前の理事会でも十分この問題は長期的に検討する必要があろうということで懸案になったままになっておるわけです。去年のことを繰り返しませんが、KDD昭和二十八年にスタートしたときには、大臣、聞いてください、世界じゅうで七十一回線。本年の回線は世界じゅうで二千四百四十九回線。これは何百倍になったかわからない。そうして国際間の問題は、いたく外交的にもひっからまり合いを持っている問題だ、こう思いますが、国際電電社長が総理大臣兼外務大臣兼郵政大臣をやっておるようなこと一みんなできる。NHKの予算は国会に報告して承認を求める。決算さえそうだ。電電公社も国会の承認、議決を求めなければ執行できない。国際電電のほうは、われわれには報告する義務もなければ説明する義務もなければ、きょうやっと辞を低うして参考人として来てもらって、私のほうでお尋ねをしているだけだ。これではたしてバランスのとれた法体系になっているかどうか。これは委員長、ひとつあとで御検討をいただくようにまたお願いをしたいと思います。  これは根本的な問題だと思いますし、去年聞いたところによればヨーロッパ型ありアメリカ型あり、このKDDの組織についてはいろいろあるそうであります。私はなるべく民間の人が民間の創意で能率をあげていくようなことを希望するわけです。ただしかし、国会の批准を求めるといって渡り鳥条約というようなばかにしたようなものを持ってくる。片一方ではこれだけのものをわれわれのところに承認を求めもしなければ何にもない。これは一議員として非常にバランスの不均衡、そういうものを感ずるわけです。どうでしょう委員長
  241. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 ただいま小沢君の御指摘の問題につきましては、今後理事会で十分検討いたしまして考究したいと思っておりますので、御了承願います。
  242. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 郵政省でもひとつ御検討いただくことをお願いしておきます。  ちょっと事務的な質問をいたしますが、この資料によれば、四十期の営業収益は二百五十六億です。四十一期の営業収益が二百九十八億です。それで社長説明によれば、昭和四十九年度営業収益は七百四十七億になろう、こういうように言われていますが、四十二期はどんな見通しですか。ここに予定があるくらいだからわかっているでしょう。
  243. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 お答え申し上げます。  これはまだ最終的な集計も済んでおりませんので、あくまでも概数であり、かつ見込みであるということをお断わりしましてお答えを申し上げます。  収入が三百三十億でございまして、支出が二百八十億、したがいまして利益は五十億、一応そのような見込みでございます。
  244. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は経理のことはわからないから、これも事務的でいいのですが、別途積立金の四十億、これはどういう性格のものですか。毎年四十億だ三十億だとあるのは。
  245. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 お答えいたします。  貸借対照表に、別途積立金が四十八年の九月三十日現在におきまして三百四十五億ございます。これは毎期の利益から積み立てをいたしました累積額でございます。そしてその目的といたしましては、いかなる目的にも自由に使用できるという、そういう性格のものでございます。したがいましてこの積み立て金は、貸借対照表の右側の負債の項にあります資本金とかあるいは借入金とかあるいは社債とか、そういうものと一緒になりまして、左側の項の資産の項に、どれがどれということはございませんが、たとえば預金であるとかあるいは有価証券であるとかあるいは有形無形の固定資産であるとかそういう形においてそれぞれ入っておる、そのような性格のものでございます。
  246. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 こまかいことはもう時間がないからあれなんですが、毎期の、たとえば四十期は二百五十六億の営業収益で、これはここに書いてあるあれですが、期末の未処分利益が四十七億、四十一期は二百九十八億で同じく期末の未処分利益が約五十六億。いまお聞きすると四十二期は三百三十億。したがって、四十三期は四百十七億、この伸び率は、半期、半年でこれだけずつ伸びていくわけですからたいへんな勢いであります。そうして、おたくからいただいたこのグラフ等を見ても、使用の度数の伸びは対前年比五割だ六割だという伸びであります。これだけ伸びて、これだけ利益が出て、積み立て金が四百億もになってということは、使用量がめっぽうふえてきたから収入がめっぽう上がって、そうして利益がウナギ登りにどんどん上がっていくという状態であることは、去年も質問して社長がお答えのとおりであります。  しからばこれらを還元をするということになれば、配当金はこういう公的な会社だから一割に据え置くというように社長言われたから、これは積極的に料金を引き下げるべきではないか。ちらっと拝見しただけでこれだけ利益がある。これはもう利益の持って行き場がないわけですから、積極的に料金を引き下げるべきではないか、こう思います。そういう方向で御検討いただいておるかどうか、それが一つであります。  もう一つは、それがさっきから言う国際間の条約だか何かでわが国だけではどうにもすることはできないのかどうか。そういう対外的な関係はどういうようになるだろうか。この二つ。
  247. 菅野義丸

    菅野参考人 仰せのとおりKDDという会社は創立以来ずっと需要が増しておりまして、非常な勢いで規模が拡大されつつございます。ことに最近、わが国の国際活動が非常に旺盛になってまいりましたのに正比例いたしまして、国際通信需要も格段な伸びを示しておるわけでございます。  料金の点につきましては、国際電電の創立以来二十一カ年の間に一回も上げたことはございません。むしろ数回下げております。ごく最近もテレビの伝送料のようなものを格段に下げまして、現状を維持するだけでも現在のこのインフレの中では相対的の非常な値下げでございますけれども、下げられるべきものは積極的に下げております。しかも人件費はどんどんと上がりますし、そういう点におきまして、唯一の救いは需要が増しつつあるということでございます。しかしながらはたして今後この調子でもって需要増加するかどうか、この点はいささか懸念があるところでございます。われわれといたしましては一般大衆が使うものも値下げをしたいのでございますが、これを少しでも値下げしますと収入に非常に影響がございまして、これはおそらくたいへんな経営状況の変化になってくると思いますので、専用線の料金であるとかあるいはまたテレビの伝送料であるとか、そういったようなものを最近は値下げをしておるわけでございます。これは一般にはあまり報道をされておりませんけれども、マスコミ等は非常に喜んでおるような次第でございます。  そこで協定との関係でございますが、大体料金というものは、先ほど御説明申し上げましたように金フランでもってきまっておりまして、大体相手の国と同一の歩調をとることが原則でございます。しかしこれは絶対できないかといいますと、自分の自腹を切るつもりならば値下げをすることはできます。しかし現在の情勢におきましては、相手国と相談しても、おそらく値下げということは相手国がほとんど承知しないだろうと思います。それでも日本がやるとすれば、自腹を切ってやればやれないことはございませんけれども、いまのところそこまでいくことは、しかも経営状況に大きな変化を与えるというような料金の値下げにはまだ踏み切れないでおるわけでございます。ことに先ほど来いろいろ話がございましたように、この国際通信設備投資というのは段階的にやってまいっておりまして、現在がその一番ひどいときでございます。ここから今後三年間ぐらいは設備投資に相当の金が要る。これが大体一わたり済みますと、また今度は償却も進みますしだんだんとよくなりますが、その山を通さないと、全面的に利用されるテレックスとかあるいは電話なんかの料金を値下げするということは、いまのところちょっと踏み切れないような状態でございます。
  248. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間が参りましたので、最後に一つだけ。これは突拍子もないような質問にお聞きだと思いますが、そこまで、値下げまではいかなくも、たとえば私たちがアメリカならアメリカにいる友人を呼ぼうという場合に、相手が出てこないでさがしている間どんどん料金が、三分間幾らで取られちゃうわけであります。それを相手が呼び出せるまで、国際電電のほうで見つけて話ができるようになってから料金を取る、こういう呼び出し制度がいまあるんだとか聞きました。そういうことをやってもらうのは私は料金を下げるのと同じような一つのサービスだと思います。日中ケーブルについても、むずかしいことばで、中国語で相手を呼び出して、時間がかかってとうとう呼び出せないで、三分も五分もかかってしまって何万円もかかってしまったというよりは、国際電電の交換手か何かが中国語で相手を呼び出して、話ができるようになってから通話料を取る、こういうようにするだけで、これはずいぶんのサービスではないか、こうも考えます。それが一つ。  いま一つは、さらに一歩、これはせっかく海底ケーブルができたのを機会に、私は日本語で話します、同時通訳で国際電電でもって向こうへ中国語で話してもらう、向こうのやつは同時通訳でこちらへ日本語で話してもらう、こういうサービスを開始するとするならば、これは膨大な金でしょうか。ことし列国議会同盟をここでやる。同時通訳を今度はスペイン語まで入れて、フランス語、ドイツ語、英語、何か四つ五つ同時通訳をやろうと、この国会でいま相談をしているわけですが、中国との海底ケーブルがスタートするのは五十一年ですか、そのときを契機に同時通訳サービス国際電電は、どうでしょう、研究し企画してやってもらうようなわけにはいかぬだろうか。そのときも通訳している間の時間がうんとひまがかかってしまうと金が倍にも三倍にもなって、ゆっくり通訳されたのでは金をうんと取られてしまうので、その辺をひとつ、同時通訳はやりますが、話ができる時間帯の中で料金を取るようなことまで加味してやれないだろうか、どうでしょう。
  249. 菅野義丸

    菅野参考人 ただいまの初めの御質問のサービスは現在KDDがやっております。パーソンコールと申しまして、これは何番の番号のだれだれと言いますと、その方がどこに行っておりましょうともその人をさがし当てるまでは一銭の料金も取りません。その方が見つかって、いよいよ電話がかかったときから料金を取るということになっております。その反対なのはステーションコールといいまして、これはその番号のところが出ましたらばそこから料金を取る、こういうふうになっております。この料金のほうが少し安くなっております。  それから通訳といいますか通訳電話のことでございますが、これは現在世界にも全然前例がございません。大体オペレーターというものは他人の電話には絶対に介入しないことになっております。つまり通信の秘密でございまして、一対一の通話を聞くというようなことは絶対にしないことになっておりまして、その中にKDDのオペレーターが、通訳が入ってやるということははたしてどうかということも問題がございますし、それからほかの国でもこういう例は全然ございません。研究問題にはなるかもしれませんけれども、これはこれこそまた相手が承知しなかったら絶対できないことでございます。  以上でございます。
  250. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 質問を終わります。
  251. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これにて、国際電信電話株式会社に対する質疑は終わりました。  参考人各位には長時間にわたりまして御出席いただき、まことにありがとうございました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五分散会