○土橋
委員 もし
業務上の過失とかあるいは
業務上なまけたとか、そういうのは、それは
業務でおやりくださってけっこうなんですよ、その人がキリスト教信者であろうと何であろうとですよ。しかし仕事はちゃんとやっておる者に対して、本人が持っておる思想、信条あるいは政党支持をするとかあるいは政党員であるがゆえにそういう処置をするということは許されないということを私は言っておるんですよ。ですから、お調べくださって、直ちにさような問題について、いろいろそれはまああなたのほうでも
研究もあるでしょうから、調べていただいて、善処するものはすみやかに善処していただく。この方々が共産党員であるかあるいは共産党支持者であるか、そんなことは私は詳しくは知りません。私も聞いておりません。はっきりそういうことは私は聞いておりませんから。ただ、そういうような人に対して思想、信条によって差別をするということは許されないということを私は根幹的に申し上げておりますから、この点をはっきりしていただきたい。
その次に、先ほどから問題になっておる頸肩腕症候群の問題ですが、頸肩腕症候群については、ある大きな企業体、そこに所属する病院の
先生方がこれまたプロジェクトを組んで、いろいろ
研究をされた一つの答申のようなものが出ております。私もそれを拝見しております。頸肩腕症候群については定義を下しておられますね、その
先生方のグループにおいて。
〔
委員長退席、
羽田委員長代理着席〕
どういう定義を下しておるかといいますと、こういう定義を下していらっしゃるんですね。「頸、肩の諸筋が不明の原因又は機序により収縮をきたし、自覚的に頸、肩に「こり」、「しびれ」、「いたみ」などの不快感をおぼえ、他覚的に該部諸筋の緊張、硬結、圧痛を認め、更に神経、血管系への障害を介して頭部、頸部、背部、上肢に異常感、脱力、血行不全なども生じうる状態を本症候群の基礎的臨床形態とする。」ということがいわれておるわけです。この問題については、御承知のように労働基準法についてもいろいろたくさんの法文を並べて、この問題については非常に
研究されておるわけです。特に労働基準法第八条では、郵便、電信
電話の
事業については職業病として認定しなければならないということがちゃんと書いてある。これは労働基準法の規定に書いてあるわけであります。この中に
電話業務がちゃんと入っておるわけですね。ところが、労働基準法施行規則の三十五条の第十三項には、電信手、タイピスト、筆耕等の指先のけいれんとか、あるいは書けい、書を書くときにふるえるとか、こういうものだけをあげているんですね。オペレーター、特に
電話の交換手については抜かっておるわけです。したがって、この労働基準法においてもこの問題についてはいろいろ検討されると思いますが、とにかく労働基準法の第八条では、ちゃんと
電話業務に携わる者についての要するに職業認定をきちっとするような体制をとっておるわけですね。
そこで、先ほど
菅野社長も言われましたように、三十数名の者に対しては事前に予防措置を講じておるということをあなたはお話しになった。ところが現実は違うじゃありませんか。現実は逆じゃございませんか。先ほど
阿部委員も指摘いたしましたように、私は二つの例をあげてみたいと思うのですよ。
一つは、朝日新聞の例です。「ハロー、もうダメ」ということで書いてあるわけですね。これはごらんになったと思うのですよ。朝日新聞に出ておるわけです。そのうちに、新潟県出身の短大を出ました現在二十三歳の小林ちづ子さんというのが例に載っておるわけです。この方がいろいろ苦労されまして、東大の物療科の先生にみていただいたり、あるいはまたあなたの地元の診療所のお医者さんにみてもらったり、いろいろしておる経過を私はつぶさに見ました。
〔
羽田委員長代理退席、
委員長着席〕
ところが、この経過の中において、あなたが仰せになったように、そうか、それならよく休んでやりなさいというような措置にはなっていないのですよ。この荒木という労務厚生課長も「この病気が交換
業務が原因とは思わないので、
業務上災害とは認定できない。」こういうことを言っておることと符節を合わせたような措置を講じておるわけですよ。
一つの具体的な例が、私はここに書類を持ってきておりますから、これはあとであなたのほうへ提出もするでしょうが、こういうことになっておるわけですね。「
国際電信電話株式会社における健康管理上の措置について」「
昭和四十八年九月、すでに体重は四十八キロまでやせてしまい、上京のための負担で、出社したあとは、背中の痛みは一層ひどく、イライラと不眠で、寮に帰っても一日中布団の上で寝ていなければなりませんでした。こうした状態で会社の医務室の診察を受けましたが、専門外であるから逓信病院の診察を受けるようにと指示され、整形外科から神経内科にまわされました。ここでも頸腕症候群で九月一杯はつづけて休業することが必要という診断がつけられました。そして郷里で鍼をしていたことなどを話したところ、試みて良いといわれましたが、局の医務室で相談したところでは、効果は疑わしいとして、皮肉に笑うばかりで問題にしてもらえませんでした。」こういうことが一つはあるわけです。
その次で、これが非常に問題の中心の一つですが、これは勝又というお医者さんの場合のようですが、「会社の医務室にこの診断書を出したところ、頸腕症候群では
業務軽減は認められない、人並みの仕事ができるまでは休職をつづけるようにと申しわたされたのでした。そして慈善
事業をやっているのではないのだから
業務を軽くしなければならないような状態の人を特別に扱うわけにはゆかないといわれたのです。」痛くて、そうして会社の診療室に行ったところが、うちは慈善
事業しておるのではない、やるならちゃんとやりなさい、文句があったら自分で年休をとるとか、休んでなおしなさい、こういうことをこの勝又という医者が言っておるわけですね。四十八年十月の問題も大体同じような問題が起こっておるわけです。これは東大でみておるわけです。東大の大坪内科を
紹介してもらって、いろいろみておる
状況も書いてあります。
ここで私は、この頸肩腕症候群の、先ほどのある大企業で医師団を組織をしてつくったものを全部私は読みました。この内容については、私は専門家じゃございませんからあまり差し出がましいことは言いにくいわけですが、ここに書いてある内容は、われわれとしては非常に遺憾千万な内容が多いと思うわけです。こういうものの見方で頸肩腕症候群の発生原因を見ておるとすれば、これは学界において問題にしなければならない。疑念を抱いている者に多いとか、あるいは、ことに仕事に飽きるような心理状態が多いとか、あるいは反体制的な人間に多いとかということを盛んに書いておるわけです。もしそういうことが医学上病源発生の原因であるというようなことをここできめておるということになれば、これは逓信
委員会においても各大学の
先生方をお呼びして、あるプロジェクト医師団のこの決定が正しいかどうかをやはり審査をする必要があろうと私は考えておるわけです。したがって、ここへ書いてある内容は、そういうことから見て――この小林さんというのは買いものの帰りに転んでしまったことがあります。道路一ぱいにくだものが転がってしまいまして、右腕が不自由な上に左腕も強くぶっつけてしまって、しばらくはその品物をとることができなかった、こういう状態で、非常に苦しい状態を訴えておるわけです。そしてまた、「寮の責任者の方からは、頸腕症候群といえば会社からはよく思われないのだから、リューマチとでもいっておけばよかったのに、と心配されました。」というようなことが言われておる。以下、大体のことは、もう私が申し上げなくても、どういう
状況であるかは賢明な会社の幹部諸君はよく御承知だと思うのです。
これは小林ちづ子さんだけじゃないのですよ。もう一人は、同じく私のほうへ資料のあがっておる人は長谷部愛子さんという方です。これは
昭和四十七年四月に入社をいたしまして、七運一課の所属でございますね。料金課出援中ということで、詳しい資料が私のほうへ来ております。この方も大体勝又という所長のもとで同じようなことを言われておるのですね。要するに「フル勤務で出て来なさい。通院等に必要な時間は年休をとりなさい。」そこで、それはちょっと無理ですと言ったらば、「フル勤務が無理だと思うのなら病休を延長しなさい」こういうことを言われておる。したがって、非常に無慈悲な状態で、要するに勤務軽減の発令はできないといって、この勝又という所長さんがにべもなく断わったといういきさつでございます。ここに詳しくその当時の内容が書いてある。
この人たちはどういうことを訴えておるかというと、一体年休という問題は、診療所の所長がかってにそんなことをしていいのかどうかという、年休に関する基本的な問題に
関係しているのであります。年休に関しては労働基準法第三十九条第二項の規定で明確に書いておるわけですね。使用者は、二年以上継続して勤務した者にはどうとか、また、一年間継続勤務した者はどうだということが出ておる。これは労働者が自主的にとるべき権利であります。したがって、この年休を与えるという問題は、いまから三年ほど前
大阪高裁においても判決が出ておりますように、そういう年休を与えるだけの人事の管理をきちっとしていなければならないということがいわれておるわけです。でありますから、かってに労働者が、要するに私が申し上げるまでもなく、自由意思によって年休をとることによって労働力再生産なりあるいは職場の気分を転換してやるという基本的な問題である。それを診療所のお医者さんがそういうことを言うということは、これは明らかに会社側の幹部がそれとなくそういうように仕向けておるのではないかという気がしてならないのであります。だから、あなたが仰せになったことと逆なことがこの長谷部愛子さんという方にもあらわれておるし、また小林ちづ子さんの場合にも同じようなことがこの診療所の
関係においてあらわれておるわけですよ。ですから、あなたの信念は私はよくわかります。しかし、現実はこういうことをしておるわけですね。しかも東京大学の物療科の吉田という先生もございます。溝口という先生もおります。その方々は、頸肩腕症候群だから、ちゃんと休暇をとって休みなさいとか、あるいは時間を短縮しなさいとかいうことをいろいろ言っておる。ところが、あなたの会社の医務室に行くと、そうじゃなくて、いまのような状態であるわけです。これはあなたの考えと全然違うじゃございませんか。どうですか。