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1974-04-04 第72回国会 衆議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月四日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 廣瀬 正雄君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 梶山 静六君 理事 金子 岩三君    理事 羽田  孜君 理事 阿部未喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       久保田円次君    左藤  恵君       志賀  節君    中馬 辰猪君       坪川 信三君    中村 寅太君       西村 英一君    長谷川四郎君       水野  清君    宮崎 茂一君       村岡 兼造君    金子 徳重君       久保  等君    堀  昌雄君       平田 藤吉君    大野  潔君       田中 昭二君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         郵政政務次官 三ツ林弥太郎君         郵政大臣官房長 神山 文男君         郵政省簡易保険         局長      野田誠二郎君  委員外出席者         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月四日  辞任         補欠選任   園田  直君     左藤  恵君   高橋 千寿君     宮崎 茂一君   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   左藤  恵君     園田  直君   宮崎 茂一君     高橋 千寿君   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ――――――――――――― 四月三日  祝日等郵便集配業務廃止に関する陳情書外二  件(第四三  四号)  簡易郵便局法等改正に関する陳情書外百件  (第  四三五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第二一号)  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  二二号)      ――――◇―――――    午前十時一分開議
  2. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより会議を開きます。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案及び簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小沢貞孝君。
  3. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案簡易生命保険法の一部を改正する法律案について、簡単なことから若干の質問をいたしたいと思います。  まず、制限額引き上げに関連して、従来の契約は一件平均どのくらい、契約額は大体どのくらいの額であったか。
  4. 野田誠二郎

    野田政府委員 現時点におきます新規契約の一件平均保険金額は百万円をちょっとこしておりまして、月によって少し変動がございますが、大体百三万円程度と思います。さらに全保有契約について申し上げますと、三十六万円ぐらいかと思います。
  5. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 続いて、従来の最高三百万円の契約というのは、新しい契約では大体どのくらいのパーセントがあるのですか。
  6. 野田誠二郎

    野田政府委員 これは件数でございますが、現在一三%程度を上下をいたしております。
  7. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 最高限度を五百万円に引き上げて無診査保険としてやっていって、いままでの最高三百万円のが一三%だというから、今度五百万円にしたら何%になるかわからないが、これは経営上問題は出てこないかという心配があるわけです。どうでしょう。
  8. 野田誠二郎

    野田政府委員 御承知のとおり簡易保険は無診査保険でございますので、限度額引き上げにつきましてまず第一にやはり心配するといいますか考慮を払わなければならないのは、逆選択増加弱体者加入によりまして経営内容が非常に悪化をするという点を懸念しなければなるまい、このように思うのでございますが、簡易保険におきましては、現在保有契約件数が四千八百万件程度と非常に膨大な契約保有量がございますし、さらに外野組織としましても約二万七千の安定したというか優秀な外野組織を持っておりますので、そういう点からの五百万円引き上げに伴います経営に与える悪影響というものは、全然われわれは心配をいたしていないわけでございます。
  9. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 心配はないということなので、専門家におまかせしていきたいと思いますが、いま民間じゃ無診査最高どのくらいでやっているでしょうか、それが一つと、だんだんだんだん三百万円、五百万円と上がってきたんだが、インフレが進行すればまた一千万円に上がるかもしれないのだが、本時点において、無診査最高限度はどのくらいまで妥当だと考えておられるか、それが第二点。  それから、五百万円に引き上げた場合、不慮事故等で死亡したときに支払われる保険金の総額は一体幾らになるだろうか、今度の場合に。年度によっても違うでしょうが、その三つの点について……。
  10. 野田誠二郎

    野田政府委員 現在民間生命保険も無診査保険を営業いたしておりまして、ほとんどの会社最高限度額を三百万円に置いております。農協生命共済におきましては、これは一定年齢を区切りまして四百万円、そのほかは三百万円と、こういう制度にいたしております。  それから無診査におきます最高制限額限度がどのくらいが妥当か、こういう御質問でございますが、理論的には、簡易保険の場合、先ほど申し上げましたような非常に膨大な契約件数、現在の外野組織によります募集状況等から考えまして、あるいは一千万円以上というような計数的な数字がお答えできるかと思いますが、いろいろな観点からどこが妥当かということになりますと、やはりいまの時点では五百万円程度、こういうふうになろうかと思います。  それから第三点の、災害等にあった場合、簡易保険最高どのくらいになるかというお話でございますが、現在普通の契約に付加されます傷害特約というのがほとんどの新規契約についております。これが大体九九%程度新規契約傷害特約、それから七五、六%の新規契約に、あるいはということになりますが疾病傷害特約がついておりますが、傷害特約がつきました場合におきまして、五百万円の契約の場合、不慮災害等による倍額支払いが五百万円付加されます。さらに傷害特約によります死亡の場合さらに五百万円ということで、五百万円契約最高保険金が支払われる場合には一千五百万円になるわけであります。
  11. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 一千五百万まで最高支払われる、こういうことで、民間等においては三百万が無診査限度農協等において年齢制限によって四百万と、こういうことなんだが、国営のこの保険の場合に、さっきも質問したのだが、五百万まで無診査でやっても経営上は一体だいじょうぶなのだろうかと、もう一回、民間との比較やその他から比べてみてお尋ねをしたいと思うわけです。
  12. 野田誠二郎

    野田政府委員 もし私が御質問趣旨を取り違えておると恐縮でございますが、五百万円に上げました場合に、やはり先ほど申し上げましたように、非常に安易に募集をいたしまして、無診査保険の盲点である契約者選択を非常に乱雑にすると申しますか、そういう事態を招くのではないかという御質問かと思うのでございますが、当然に、今回五百万円に引き上げをいただきました際には、十分に取り扱い者に対しましては、面接監査の励行なりあるいは契約者、被保険者に対する告知義務要求というような、そういう契約締結の手続につきましてはひとつ万全を期するようさらに注意を喚起することによりまして、先ほど申し上げましたように、経営に与える懸念はまずなかろう、このように考えております。
  13. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは今度は、最低制限額十万を二十万に引き上げ理由は一体どこにあるだろうか。いままで十万円の最低保険契約で一番掛け金の少ないのは月額幾らかけておるか、この二つについて。
  14. 野田誠二郎

    野田政府委員 最低制限額を二十万円に引き上げ理由でございますが、現在一般の保険種類につきましては最低制限額が十万円、定期保険につきましては五十万円というふうに制限せられております。しかしながら、これが事業経営上から見ました場合に、あまりに小額契約では、最近の人件費高騰等事業費増高を考えますと、このような小額契約につきましては赤字になるわけでございます。またこの加入者の側と申しますか、契約をせられる方々のほうから見ましても、いずれにしましても生命保険としての保険金額が十万円程度では葬祭費にも充足できない、したがって、生命保険としての機能を発揮しにくいのではなかろうか、こういう判断があるわけでございます。したがいまして、最低制限額を一応引き上げまして、経営者としてはこれら赤字になります契約増加を防ぐということ、このことが他の契約につきましての負担分を軽減して、ひいては保険料の引き下げに寄与するゆえんであろうかと思います。しかしながら、簡易保険が、言うなれば国営保険として、国民保険として考えました場合に、必ずしも経営上の観点だけからいくまいと思います。現実に現在の時点におきましても十万円契約というのは非常にわずかでございますが、二%前後ございます。そのほか二十万円、三十万円の非常に小額契約につきまして、これまたそれぞれ一〇%前後ずつの契約が存在する。かかる小額生命保険についてもある程度需要が存在するという事実をやはり見のがすわけにはいくまい、このように思うわけであります。したがいまして、われわれの立場といたしましては、この両方の要素を考えまして、少しでも赤字増加を防止する、そのことによって他の方々負担を軽減する、こういう観点国民需要動向を考えまして、一応最低制限額を二十万円ということに引き上げる、このようにいたそうとするわけであります。  なお、第二点の御質問の、現行十万円で一番安い保険料というのはどれかというお話でございますが、三十歳加入終身払い込み終身保険、これは月額百三十円の保険料でございまして、これが現在では一番安い保険料になっております。
  15. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いま局長の説明で、十万円以下のような小額のものについては、これは経営赤字になるでしょう、それからまた十万円ばかりでは生命保険としての価値もないでしょう、こういうように私たちも理解するわけですが、ここでちょっと質問に申し上げてなかったのですが、さっき保有契約数は三十六万と聞いたんだが、一つは、四千八百万件の中で十万以下のものはどのくらいあるでしょうかね。いま一つは、民間においては十万円以下のような小額のものが一体いまでも存在しているだろうか。この二つについて……。
  16. 野田誠二郎

    野田政府委員 第一点の御質問の現在の保有契約件数四千八百万件のうち十万円以下の契約がどのくらいあるかという御質問でございますが、これは遺憾ながらその統計の数字を現在持っておりません。非常にラフな、推計にもならないわけでございますが、大体一〇%程度、約五百万件程度が十万円以下の契約ではなかろうか、このように考えております。  なお第二点の、民間生命保険会社におきます普通養老保険保険金最低制限額はそれぞれ会社によって違いますが、十万円から百万円までの幅がございます。われわれこれは正確な情報ではございませんが、仄聞するところによりますと、五十万円未満の契約はできるだけとらないようにという、これは実際の指導でそういう運営を行なっておる、このようにわれわれ聞いておるわけでございます。
  17. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ちょっと突然の質問資料がなかったようですが、現在の四千八百万件中十万円以下の契約のもの何件、五万円以下のもの何件、それから一万円以下の保険金のもの何件、この三色でいいから、四千八百万件中何件あって、何%に相当するか、これは後ほどでいいから資料を出していただきたい、こう思います。
  18. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 いまの御要求資料につきましては、理事会にはかりまして決定いたします。
  19. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは続いて御質問をいたしますが、募集経費——いま十万円もって終身の何か一番掛け金の安いので三十歳で月百三十円だ、こうお聞きしました。今度はそれが二十万円になれば、大体その倍と見て二百六十円前後だろうと思うのですが、この一件当たりの募集経費、こういうものを検討したことがあるだろうか。どのくらいかかるであろうか。月百三十円、これが今度は二十万円になるから、月二百五十円前後になるだろうが、一体募集経費というのはどういうような額になるだろうか、それについてお尋ねしたいと思います。
  20. 野田誠二郎

    野田政府委員 現在、保険種類によっていろいろ違うわけでございますが、普通毎月契約者からちょうだいいたします保険料の中で二〇%程度のものが、二〇%弱でございますが、附加保険料として事務費に充てられる部分でございます。御質問新規契約に要する費用につきましては、大体生命保険料の二月分、これは募集手当がほとんど一月分の保険料、これは普通局特定局によって違いますが、こういうことになっておりますので、新規契約費といたしましては生命保険料の大体二月分をこれに充当いたしておる、こういうことでございます。
  21. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 附加保険料みたいなものが集金や何かの経費になるわけでしょう。そうすると一番低い二十万円で、一番長い保険で、一番掛け金の少ないのが、さっき十万円が百三十円だというから、今度は二十万円なら二百五十円前後になるだろう、こう思う。二百五十円の二割ということは五十円であります。五十円しか附加保険料、要する集金の手数料がない、簡単にいえばこういうように計数的には理解できるわけであります。そういうことになると、こういう小額の、毎月二百五十円や三百円の掛け金を取っているのは、集金費というかそういうものばっかりかさんで、これはさっきの局長の御答弁のように当然赤字ではないか、こう思います。そういう理解のしかたでいいわけですね。  そういうことになると、いま私は法律もよく知らないし、よくわからないのだけれども、こういうある一定の、五百円以下とかそういう小額掛け金については、三カ月または半年に一ぺんずつ集金をするとか一年に一ぺんずつ集金をするとか、そういうことをやっておりますか。やるとすれば法律改正をしなければいけないのか、何か政令の改正をしなければいけないのか。そのほうが効率がいいし集金経費も少なくて済むし、こう思うわけです。NHKの聴取料なんか、四百円だか四百六十五円も半年納めれば少し割り引くとかいうような方法で集金経費を節約しているわけです。そういう道は開かれているかどうだろうか、その辺です。
  22. 野田誠二郎

    野田政府委員 ただいま御指摘のように二十万あるいは三十万円の契約につきましては、これを単独の契約として毎月集金に伺います場合には、相当程度赤字が当然に出てまいるわけでございます。したがいまして、たてまえ論といたしましては、お客さんのほうから毎月集金に来てくれということになりますと毎月集金に伺うことになるわけでありますが、そういう小額契約については半年前納あるいは一年前納でなければ取り扱わないということにつきましては、やはり法律根拠を必要とする、このように思います。  ただ、現実取り扱いといたしましては、そういう小額契約はほとんどが一世帯に何件か持っておられるようなところでありますので、これを併合払い込みにするか、あるいは団体取り扱いをしているし、また現実保険契約を管理し取り扱っております郵便局といたしましては、やはり経営的な観点からそれぞれ併合あるいは団体あるいは前納——前納のケースはあまりないかと思いますが、こういう措置をとっておる、このようにわれわれ考えております。
  23. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは大臣に要望になると思いますが、今度二十万円に引き上げても月の掛け金は二百五、六十円です。それからさっきお尋ねをしたところによれば、十万円以下のものが大体一割、五百万件近くあろう、こういうことであります。十万円といっても掛け金は百三十円から二百円ぐらいだと思います。私はこの委員会でたびたび申し上げますが、郵政省の職員は一分間十九円の賃金であります。したがって、これは法律改正を必要とするかどうかは、いま局長はどうも法律改正を必要とするらしいのですが、五十万円以下の、掛け金が五百円か千円以下のものについては三カ月あるいは半年前納というようなぐあいにくくって納める場合に、若干の割り引きなり何なりをする、こういうようなことをしたほうが集金経費ははるかに少なくて済むのではないか、ある程度割り引きを出してやっても集金経費ははるかに少なくなって、簡易保険全体の経営に非常にプラスになるのではないかと思いますが、どうでしょう、大臣。その辺、法律改正が必要なのかどうかさだかではありませんが、必要ならそういうようにしたほうがいいと思います。どうでしょう。
  24. 原田憲

    原田国務大臣 小額保険の問題は、同様な種類のものとして郵便年金の問題についても小沢委員から常に御意見を賜わっておるところでございます。これを合理的に能率をあげて小額のものも事業運営をしていく方途の一つとして、いま御意見が出ておるわけでございますが、これは法律改正を要するという見解を政府委員が申しております。したがいまして、法律改正をしてまで、そこまでやるかという問題につきましては、年金等との関係もございまして、まだもう少し勉強さしてもらわなければならないと思いますが、いずれにいたしましても御意見のあるところは十分勘案いたしまして、なお働いておる人たちの職場ということもございますから、これとも勘案しながら勉強さしていただくというか、検討さしていただきたいと存じます。
  25. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ちょっとそれに関連してお尋ねをするわけですが、民間においては、私たちもよくわからないが、途中までかけて、いまの時点においてはとても価値がない、終戦後一万円かそこらのものをかけておったけれども、これを解約して新しいものに継続をする、民間においてはそういうことで更改というか契約を新しくするみたいなことをして、いままでのを解約して、そういうことをやって一万円や二万円くらいな小額保険金のものはだんだん整理をしているように、私は自分でかけていて記憶があるわけです。だから郵政省はそういうことを積極的にやっているかどうかということです。たびたび私はこれを質問をするけれども、まだ二百八十二円の保険金のものが二、三百万件あるみたいなことで、そういうものを積極的に、これはもう解約いたしましょう、続いてこういうものを契約していって、そして現時点に合うように十万円とか二十万円以上にしましょうと、こういうようにやっていったら、過去のまるで保険価値のないようなもの、一万円や五千円や、極端なものは二百八十二円というのが二百万件もある、そういうものがなくて済んだのではないか、こう思いますが、そういうことに対する指導方針といいますか、実際にはどういうようにやっているんでしょう。
  26. 野田誠二郎

    野田政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします前に、たとえば二十万、三十万の小額保険契約についての保険料集金について御質問ございましたけれども、私が法律的な根拠が必要であるというふうな趣旨答弁を申し上げましたのは、たとえば三十万円以下の契約については必ず三カ月、半年、一年の前納をしなければ取り扱わないと、こういうことになりますと法的な根拠が必要である、こういう趣旨の御答弁を申し上げました。現在すでに保険料前納制度がございます。三カ月、半年、一年、それ以上、二年、三年、それから全期前納とございますが、こういう前納制度を御活用いただくと、それ相応の割り引きがあるわけでございます。これはただ当然のことながら契約者申し出られて、要するに契約としてそういうことになるわけであります。制度として十万円の契約は一年前納、二十万円の契約は半年前納でなければ取り扱わないという制度としては、やはり法的な根拠が必要であろう、こういう御答弁を申し上げたわけでございます。  それから、ただいまの御質問小額契約処理と申しますか、新規契約の転換というようなものにつきましての御質問でございますが、民間保険におきましては、昭和三十九年に小額契約整理措置を講じまして、いま正確に記憶をいたしておりませんが、大体積み立て準備金に三割程度見舞い金といいますか、付加金を付しまして、これを申し出によって解約をする、こういう措置をとったと記憶をいたしております。しかしながら、現在存在しております小額の、ある意味で保険的の価値のなくなりました契約を新しい新規のものに切りかえる、こういうものは民間におきましても制度的には存在いたしていないようであります。簡易保険としましては、たびたび先生からの御指摘もございますし、われわれとしても相当期間検討を重ねておった問題でございます。したがいまして、二十一年以前のいわゆる小額契約整理する、あるいは二十四年の四月三十日までの契約——実は二十四年の五月一日以降の契約につきまして、これを機械化処理をいたしております。EDPSによります機械処理をしております。したがって、それ以前の手作業で完了をいたしております契約につきまして、これをひとつできるだけ早い時期に、整理ということばが妥当かどうかわかりませんが、できるだけ契約者に損のいかないというよりも、むしろ何らかの特典というようなものが与えられるような形で、処理をしていきたい、このように計画中でございます。
  27. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 年来の主張の二十一年以前の契約及び二十四年四月以前の契約のきわめて小額のもの、こういうものを整理しようということで、去年以来主張してきたことがだんだん実ってきてたいへんうれしいわけであります。  いま初めて聞いたんだが、昭和三十九年のときに、民間では三〇%ぐらいよけいつけてやって整理をした、こういうことであります。したがって、終戦前後の一円十五銭の掛け金でもって二百八十二円の保険金をもらうものについては、これは倍や三倍、五倍も十倍もつけてやらなければ、これは全く損害だけを与えてしまった、こういう結果になると思います。幸いにして、あといろいろ質問をしたいと思いますが、余剰金もだんだんふえておるようですから、たんまりつけてもらって、思い切ってつけてもらって、一万円、二万円つけてもらって、昔のやつを整理していただくように、この機会に要望しておきたいと思います。  それでは次に進みたいと思います。  今度の割増金付簡易保険、これは大臣お尋ねをしたいわけですが、実施の理由は、総需要抑制、こういうことで射幸心をあおって大いにたくさん保険に入ってもらおう、こういう目標のようであります。この法律が通って五月一日から来年三月三十一日までの間にやろう、こういう予定のようでありますが、私は昨今の情勢を見ると、これは経済指標がだいぶ基調が変わってきているわけであります。この二月の鉱工業生産は、対前月比〇五%減とか、鉱工業生産出荷額は四・七%減だとか、在庫率は八・五%の上昇だとか、日銀券発行残高は、三月の発行残高が対前年度同月比で二〇%ということになって、従来は三〇%以上伸びていたのが二〇%台になって、もう四月になれば一九%台になるだろう。それから、主要企業手元流動性なんかも、もう一・五四というのですから、これは昭和四十五年の三月時分の一・五三、全くその時分と同じような手元流動性であります。これは百貨店の消費だとか、これはわれわれも本会議等でも問題になったと思いますが、自動車の新規登録、新しく購入する者が半減してきてしまっている、設備投資はたいへんもう意欲がなくなっている。この昨今の経済指標は、いままで政府が尽力をした総需要抑制効果があらわれて、この一、二カ月で、これ以上ほうっておくと、逆にもう倒産がふえてきてどうしようもないという関頭に差しかかっているのではないか。物価はどうせ上がるだろうと思います、これは上がることは間違いないけれども、この総需要を抑制をしなければならないような、今後も動向かどうかということについて私は非常に疑問を持つわけであります。これをもっと去年の暮れあたりから実施しておったならばそれなりの価値があったが、ことしの五月一日から来年の三月三十一日まで、どういう発行のしかたか、聞くところによれば五回、六回にわたってやろうとこういうわけですが、これは経済の運営、財政金融政策を総需要抑制型から逆にかじを変えていかなければならないという時期が私は案外早い時期に来る、こういうようなぐあいにも考えるわけです。これはいろいろの認識の相違があると思いますが、そういうような事態になるならば、いまこの宝くじづきの発行計画を拝見すると、第一回は五月から六月ごろ、第二回は七、八月、第三回は九、十、第四回は十一、十二ごろ、第五回は来年の一、三月、こういうぐあいに五、六回に分けて発行しよう、こういう予定のようであります。そうなると、基調が変わってきて、総需要抑制の目標から転換をしなければいけない、こういうことになると、五、六月一回やっただけであとはやらない、こういうような事態にもなりますか。こういう法律はつくっても、最初の五、六月一回やっただけで、あとはこれは基調が変わってきた、風向きが逆だぞ、こういうことになると、最初の一回だけ発行しておいて、あとはこれは取りやめ、こういうことになるでしょうか。
  28. 原田憲

    原田国務大臣 いまのお尋ねでございますが、総需要抑制の政策というものがだんだん効果をあらわしてきておる、その逆な傾向が早くあらわれるのではないかということを前提としてのお尋ねであろうと思います。  総需要抑制策が効果をあらわしてきつつあるという見解に対しましては、私どももそう思っておりますが、逆な傾向がすぐあらわれるかどうかということについては、そういうあなたと同じようなことを言う学者もあればまた経済家もあり、また政治家としての小沢さんの見解というものも御意見としては貴重な御意見であるとは思いますけれども、そう一度にそういう傾向があらわれてくるというよりも、なお見通しは慎重にしなければならないというのが現状ではないか、こういうふうに考えるわけです。  確かに自動車の生産台数というようなものは減ってきておる、こういうことも事実でございますけれども、まあ常識的な、一般的な現象を見ますと、石油というものが、かりに量は確保できても、これは価格においては高くなることだけは間違いない。こういうことは量の確保ということにも関連してまいりまして、なかなかこれは日本の将来というものはあなたのおっしゃるような傾向も十分注意をしなければならないぞということがあります反面、やはり賃金アップ、それに伴う消費今日消費状況が半分以上を占めてきつつあるというような状況等も勘案し、その後の、自動車もこの間までは非常に生産台数は確かに減っていますけれども、一時は全くそこに走っておる自動車もないような状態、いままでより以上なような状況を呈しておるというような——これは国民性にもあると言うことができるのでしょうか、こういうようなことを考えますときに、将来の問題についてあなたの言われておるようなことも十分考えておかなければならないけれども、やはりまだいまのところは総需要抑制ということを堅持をしていくべきときではないか、このように考えます。  それに伴いまして、これの総合的な施策の中の一つとして、貯蓄のほうも今度は政府が立法いたしまして、民間で割り増しつきなことをやる、こういうことをやる。私どものほうでも、これは法律が要らない、すでに法律が前からありますので、その中で適用いたしまして、割り増しつきの、くじつきの預金をやる、こういうようなことをやるわけでありますから、そういう意味でそれに協力して今度保険のほうもこれと同様なことを行なおう、こういうわけでございますが、これは状況によりまして伸縮性があるものである、こういう解釈をいたしております。というのは、まあ正直に言いまして、私はあまりこういう趣旨のものに大手を振って賛成をしておるものではないので、やはり本筋は貯金でも保険でもこういうふうなものではないが、非常に狂乱怒濤の物価対策というものに対応するためにはあらゆる手段を講じなければならぬ、こういうことでこれを行ないましたところの政策の一つでございますが、これは保険の本質を誤ってまでやっておるとは解釈いたしておりません。人間に射幸心がありますから、この射幸心を否定してしまって人間というものはないので、それを適当に楽しみということに転じて、そして効果をあげていくというのも政治でありますから、一番最初の前提の、これは案外早く、デフレ傾向とまでは発言されておりませんけれども、いまの状況が早く変動が来るのではないか、そういうことに勘案して、この制度はやっても中途でやめることがあるのかというお問いに対しましては、伸縮性を持ってやっていきたい、このように思っております。
  29. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 最後のそこを聞きたかったわけです。私は何も五、六月とは言わないが、十月ごろになれば、そんなに過剰流動性があるからとかなんとかいって吸収しなければいけない事態ではなくて、逆にそうやったらたいへんなことになっちゃう事態になったらば、これは予定された来年の五月まで何口だか何万口だか予定されているから全部やっちゃわなければいけないということがなくて、十月なら十月、九月なら九月でもう中止するか、そういうところに対して大臣答弁がありましたから、進みたいと思います。  大体、大臣もいまこの法律にはどうも積極的ではなさそうで、われわれは反対なわけです。大臣さえあんなような口っぷりなものを、ましてやわれわれそう簡単には賛成できそうもなさそうで、そういうこととま別に、ひとついま言ったようこ伸縮自在に、九月なら九月、十月なら十月で、基調が変わったときには、法律は通って予定はしているけれども、あとは発行しない、こういうようなぐあいにひとつしていただきたいと思います。  それから、これは次に進みたいと思いますが、剰余金の伸びが最近非常に急増しておるわけであります。これにはそれなりの理由があろうと思いますが、ちょっと郵政省で出された表によって見ると、たとえば四十五年と四十六年の対比について、保険料の収入は一二七%増であります。郵政省で出したこの年報のとおりであります。ところが郵余金の伸びは一四七%とこういうわけであります。保険料の伸びが二割七分、ところが剰余金の伸びは四割七分と五割近いわけであります。同様に四十七年対四十六年を比較すると、保険料の伸びは二割三分、ところが剰余金の伸びは三八・九%、約四割近い、こういうようなぐあいになっています。四十八年対四十七年は、この年報には出ていないが、お手元でわかるでしょうか。保険料の伸びはどのくらい、剰余金の伸びはどのくらいということは、わかりますか。
  30. 野田誠二郎

    野田政府委員 ただいまの御質問、四十七年度対四十八年度の御質問と思いますが、四十八年度の分につきましては決算がまだ済んでおりません。これは推計、ほんとうの決算見込みになりますけれども、剰余金の対前年伸び率は、一九・七%前後に落ちつこうかと思います。保険料収入につきましても大体これと同じよう、二〇%前後の伸びであろう、これは見込みでございます。
  31. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 四十五年以来の指標が、決算前だからだいぶここで風向きがいまの経済事情と同じことでちょっと変わっているようですが、ここで出されている年報の統計を見ると、利益剰余金は、昭和四十六年のときに六百六十九億、それから四十七年が八百五十八億。四十八年、四十九年見通しがわかりますか。わからなければ時間がないからけっこうです。わかったらあとでひとつお答えを……。  それから剰余金のほうは、昭和四十五年には七百四十九億が、四十六年は一千百五億、四十七年は千五百三十四億、こういうことで、四十八年、四十九年度もこういう割合で二千億、二千何億というぐあいに伸びてきているのかどうか。それもわかったらあとでどうぞひとつ。  そこでお尋ねをしますが、契約準備金という積み立てがあって、そのほかにこんな一千五百億、二千億という剰余金を置いておかなければ、経営というものはうまくいかないだろうか。私はたいへん保険財政等においてはしろうとでありますが、契約積み立て金といって、いつでも契約の金は返せるだけのものは安全率をとってきちっと積み立ててある。積み立ててあるほかに、昭和四十五年以降七百四十九億、千百五億、千五百幾億、四十八年、四十九年は二千億、三千億になるかもしれませんが、こういう膨大な剰余金というものを置かないと事業の経営が円滑にいかないだろうか、こういう疑問を私は持つわけであります。この剰余金の中にはさらに保険福祉事業団のほうへ毎年五十億だ六十億だという金を補助に出した、出した後にまだこれだけ残っているわけであります。これだけの剰余金があるのだが、こういうものがなければ保険財政というものはうまくいかないものだろうか、こういう疑問を持つわけです。しろうとにお答えいただくように、ここのところは親切にお答えをいただきたいと思うわけであります。
  32. 野田誠二郎

    野田政府委員 四十八年四十九年につきましての剰余金の見込み等につきましては、ただいま計数をまとめておりますので、後ほど御報告するようにいたします。  御質問契約準備金のほかに現在のように非常に巨大な剰余金というものを必要とするかどうかという御質問だと理解をいたしまして御答弁申し上げたいと思います。御承知のとおり簡易保険におきましては、従来から確定配当の制度をとっております。民間のように毎年の利潤を現金で配る、あるいは保険料から差っ引く、こういう方法をとっておりませんで、契約当初からそれぞれの商品種類別に確定配当として配当月数をきめておるわけでございます。したがって、その確定配当をいたしますために積み立てます金以外に、残りました金は、剰余として当然残るわけでありますが、数年間の剰余金を蓄積しまして、これを配当の増額という形で契約者あるいは保険金受け取り人に配当をいたしておるわけであります。最近、毎年この確定配当のほうに上のせの増配を続行いたしておりまして、昭和四十一年以降現在までにすでに八回の上のせ増配をいたしております。  このように剰余金がどうして出るかといいますと、やはり保険契約が非常に長期間にわたる契約でございます。長いものは、それこそ終身払いの終身保険というようなことになりますと数十年ということになるわけでありますが、その間の金利変動等の予測がなかなかつきにくい。したがいまして、そこで相当程度の安全率を見ておかなければいけない。言うなれば、金利が非常に低下した場合等の危険に備えまして、やはり若干の剰余金の留保ということはこれは当然に必要になろうか、このように考えます。また、サービス条項の改善、あるいは給付内容を改善いたしましたりするような場合に備えまして、約款の、これは手続的な約款の改正になるわけでございますけれども、そういう際にはある程度の剰余金の蓄積がございませんと、こういうサービスアップというような措置がとれない、このように考えます。  まず手近な例といたしまして、今回近々に、昭和四十五年の国勢調査に基づきます第十三回の生命表が厚生省から発表される予定になっておりますが、これを契機としてことしの秋にでも保険料を引き下げる、こういう予定をいたしておるわけでございます。その際、この保険料の引き下げは、当然に引き下げました時点以降の新規契約については新しい保険料が適用されるわけでございますが、すでに成立しております既契約につきましても、この保険料の引き下げに見合う分の調整が必要であります。この調整は、当然剰余金の配当として調整配当ということになるわけでございますが、現在手持ちしておりますこの剰余金の中から調整配当分として相当部分がこれに引き当てられる、こういうことになるわけでございまして、私ども現在手持ちしております剰余金が、そういう観点からいきますとそれほど巨大であるというふうにも理解をいたしておりません。  剰余金を現在かかえております理由は、いま申し上げましたような諸点でございます。
  33. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これもすぐ答弁できるかどうかわかりませんが、剰余金の構成の割合です。たとえば、昭和四十七年度は、この年報によれば八百五十億の剰余金であります。それは利差益、利子の差によって大体何割ぐらい一——実際は六・四%の利回りだが、予定金利というものは四・〇%でやっていて、二・四%の利差益があるわけであります。だから、それによって八百五十八億のうちのどのくらいが構成されているか。それから、いま局長から答弁ありましたが、死差益、今度は四十五年の十三回の生命表によってやっていけばこの死差益というものはだいぶ減ってくると思うけれども、四十七年度のいま八百五十八億の割合は死差益によってどのくらいもうかっていたのか。それからいま一つは、さっきも附加保険料が二割くらいつけてあるという、その経費の差益でどのくらいもうかっていたのか。この構成の割合をあとでいいから、ひとつ知らしていただきたいと思います。  そこで私は、これは大臣お尋ねをするのだが、民間保険においては二、三年たつと、年に五千円保険金をかけなければいけないのを、すぐに四千円だ、その次の年は三千五百円だといって単年度で決算をして、そのときにすぐ利益配当をして掛け金を少なくしてくるわけであります。そういう方式をとっているのが民間においては大部分ではないかと私は思います。保険料の逓減方式であります。毎年もうかったのを、掛け金を減らして利益還元をしているわけであります。この国営郵政省保険については、最終確定方式、いまも局長の御答弁にあったように、一番終わりになって、二十年後か三十年後になって、この人はどのくらいかけたからこの人に配当を増額してやらなければいけないから剰余金は要るのだ、こういうような御説明であります。この二つの方式のうち、私は、この狂乱のごときインフレの中で強いというか、国民が、契約者が納得するのは、やはり単年度で決算をして、ことしはこれだけもうかった、来年は四千円の掛け金を三千円にします、その次は二千五百円にします、こういうようにやっていってもらったほうが、インフレ時代には契約者としては有利である。国の保険のように二十年でも三十年でも置いておいて、うんと最後には利益が残りました、倍くれてやりますといったところで、昔の一万円の倍額の二万円もらったって、いまじゃ三文の価値もないわけであります。したがって、この確定した後の決算の方式というものは、このインフレ時代に国民にたいへん犠牲をしいている、こういう制度上の重大な問題が存在するのではないかというように私は考えるわけであります。  そこでこれは、このインフレ時代においては蛮勇をふるってやはり、これだけずつ毎年利益があがっているのだから、それを単年度決算によって掛け金をその次の年からすぐ減らしていく、こういうようにインフレに対して抵抗力のあるような方式に転換をすることはできないだろうか、きょうの私の質問をしたい一番大きな点はここにあるわけであります。局長あるいは大臣、いかがでしょうか。
  34. 原田憲

    原田国務大臣 これは保険料の問題であろうと思いますが、この保険料を、政府簡易生命保険のきめ方は、いわゆる生命表というものを国勢調査によって出しておる、それを基準にして、それらをもとにして保険料の問題とも取り組んでおる、こういうことになっておりますから、これを一挙に、いま小沢さんが言われるように民間のほうがやっておる——これも現在の生命表の一つの経験によって民間会社が出しておる、そのやっておるものと同じように取り扱うということには、検討を要するというか、いますぐには踏み切れないと思いますが、料率の問題につきましては、昨日あるいは先般から申し上げておりますように、これは総理も言明をいたしておりますように、ことしこの生命表が発表されますならば、それをもとにいたしまして料率の引き下げを行なう、こういうことを考えておるわけでございます。  なお、補足するために政府委員からも答弁をいたさせます。
  35. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ちょっと、その補足の説明の前に……。私が言うのは、料率が引き下がるのは生命表ができればあたりまえのことなんです。これは計算の基礎がそうなるのですから、あたりまえのことです。私の言うポイントは、民間の大部分の保険というのは単年度ごとに決算をして、その次の年の掛け金か何かをすぐ逓減して還元をしておる、ところが郵政省のやっておるのは、二十年後、三十年後に確定した後に配当を倍にしますとか何とかしますとやっているから、このインフレ時代においては、二十年後になってそんなものを還元してもらったって価値がありません、単年度勝負をしなければだめだ、こういうことから、こういうインフレ時代においてはやはり単年度決算方式、単年度で勝負をして、あくる年の掛け金をすぐ減らしていく、こういうぐあいに——これは政策的なことだと思います。従来物価が安定していたときには、もう後生大事にこれを郵政省が守っていた意味はわかると思います。この狂乱物価のこれだけインフレ時代にそんなことをやっていたのでは、もう保険というものは国民に犠牲をしいるだけということになるから、極論をすれば募集なんかやめたほうがいいと思う。だから、やはり単年度でインフレに抵抗力があるような掛け金の方式、こういうように持っていくことのほうが国民に対するサービスになる、こういうように私は考えるわけであります。それば、大臣のさっきの説明の、生命表が変わって料率が下がるというのはあたりまえのことですから、どうでしょう
  36. 野田誠二郎

    野田政府委員 私ども、現在の簡易保険の剰余金の配当方式をしまして、確定配当方式が実は必ずしも不適当とは思っておりません。と申しますのは、これは非常に事務的な答弁になろうと思うのでございますけれども、簡易保険が四千八百万件をこえる非常に大量の契約を保有しておりますので、これらの契約につきまして、毎年剰余金を分配することにします場合は、これは当然事務としまして、毎年一定の時期にこの四千五百万件の保険料集金関係書類の訂正を行なわなければならないことになります。さらに剰余金の支払い通知書を発行する。まずこの二点だけを取り上げてみましても非常にばく大な手数を要することになるわけでありまして、このことによって当然に事業費の増加を来たし、結果としては剰余金の発生の減少を見る結果になる、このように考えます。さらに簡易保険契約の大部分が、保険金額が比較的小額であります関係から、剰余金を毎年分配することといたしました場合でも、その分配額は非常に小額なものとなる、したがって剰余金分配の効果というのが相当程度減殺されるだろう、このように考えております。  もう一つ民間生命保険簡易保険の何といいますか現在のあり方といいますか、これ申し上げますと、簡易保険は商品の主力が大体十五年満期養老保険に集中をいたしております。非常に短期の貯蓄性の強い十年養老保険あるいは十五年養老保険、こういうことになっておりますが、民間保険におきます主力商品は、これはほとんどの会社がそうでございますが、三十年以上の長期の生命保険になっております。したがいまして、インフレに対する剰余金の配分の方式はどちらが適応性があるかということになりますと、民間保険でやっております剰余金を毎年の保険料と相殺して支払っていく、これは非常に長期の契約につきましては、まさに先生のおっしゃるように非常に効果的な場合があるかと思いますが、簡易保険の場合におきましては、いま申し上げましたように比較的短期の契約があること、しかもいま申し上げましたような保険料集金関係の書類を毎年変える、毎年支払い通知書を発行しなければいかぬ、こういう事務増等を勘案しました場合、さらにもう一つ民間保険におきまして、たとえば三十年あるいはそれ以上にわたります長期の契約が、はたして満期になりますまでどのぐらい残存しておるかという点を考えますと、現在の簡易保険の維持率と民間生命保険におきます継続率といいますか維持率を考えました場合、これは格段の相違がございます。したがいまして、まさに理論的にはいま先生がおっしゃいましたような毎年の剰余をそれぞれ保険料から引いていくという方式も確かにインフレに対する適応性というのは、簡易保険の配当方式に比べますとあるかと思いますが、現実の問題としましては私どもいろいろ検討はさせていただきたいと思いますし、また検討した事例もございますけれども、やはり現在の時点ではまだ確定配当方式をとっていかざるを得ないのではないか、このように判断をいたしております。
  37. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私、いままでの総合した質問の中でおわかりいただけると思うが、たとえば小額だから、還元をしていくのにたいへん額が小さくてめんどうくさい、事務量がふえてめんどうくさい、こういう問題もあるので、小額の場合にはひとつ一年とか半年とかまとめて納めるようにして、そして利益還元を簡単にできるようにしろということも一つであります。それで、また局長から御答弁をいただいたことは、国民の財産を預かるという点で当然なほど当然だと私は理解するわけです。これは三十年間四十年間ちゃんと蓄積しておいてやらなければいけない、そのときの剰余金を残しておいてちゃんと還元しなければいけない、その意味もわかります。わかりますが、いまの御答弁の中にはからずも出ていたように、民間においては、もうインフレ時代で二十年満期なんというのは価値がないから、十万円を今度はどうぞ五十万円に契約更新してくれということで、いま御答弁のあるように、維持率もたいへん私は少なくなっていると思います、というか、残存率といいますか、それも少なくなっていると思いますが、ただ、局長が後生大事に三十年も四十年もまとめて持っていたものが、いま幾らの価値ありや。これはたびたび私は質問しているからもうおわかりだと思いますが、二十二年以前のを、月の掛け金一円十五銭、二百八十二円の保険金というようなものを後生大事に持っていて、これで国民の財産は完全に守られたと、こういえるかどうかというこれは政策的な問題だ。もはや事務当局の問題じゃないと思う。だからこういう時代においては、思い切ってインフレに強いように、掛け金も単年度で決算をして利益還元をしていくような方向にこの際どうしても切りかえていく必要があろう。大臣、これはなかなか大問題ですから、即答しかねると思いますが、これは事務当局の答弁だけじゃ私は納得しない。政策的な問題だと思います。政治の問題だと思います。大臣、ひとつぜひこれは真剣に取り組んでいただくようにお願いをしたいと思います。どうでしょう。
  38. 原田憲

    原田国務大臣 真剣に検討をいたすことはやぶさかではございませんが、私は先ほど申し上げましたように、すぐにこれに踏み切るということについては御答弁いたしかねると申し上げたのですが、いま局長も申しておりますように、民間保険国営保険の特色というものとの中に、民間のほうはいわゆる解約も多い、だから残存しておるものの率等々を考えると、今日のこれからの保険というものは、民間があらゆる場合に進出してきて、現在のわがほうでやっておる保険を何とか考えなければ、わがほうの保険制度全般の問題に影響してくるのではないかという非常な貴重な御意見も賜わっておるわけでございますから、保険制度を特色あるものとして伸ばしていくための検討としては、あらゆる点について勉強しなければならないと思いますが、いまの御議論の、インフレのときに対するための手段としてこれをとれということに関しましては、先ほどから出ておりますように、わがほうはいわゆる高額な保険金ではございませんが、国民の中に、広く国民の福祉を守るという点で、何といいますか、制度の中でそれが一つの信用になっておるということもあると思いますので、あらゆる点について、この保険制度国民のためにするというための御意見は御意見として拝聴いたしまして、検討をいたしたいと存じます。
  39. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間が参りましたので、まだ大事な点が残って質問し足りなかったわけですが、その問題はひとつぜひぜひ研究をしていただきたい、そういうお願いだけして、あと郵便年金の問題について、これは質問していると時間が長くなりますから、これも取り組んでいただくように、ひとつこれは大臣、真剣に考えていただきたい、こう思います。  というのは、昭和四十三年のときにこういう整理をしたわけであります。昭和二十一年だか二年以前の小額の年金は価値がなくなっちゃっておるので、法律を特別につくって、そうして希望者よ、申し出ろよ。そうすると、二千円だか、三千円だか、六千円ばかりだと思ったが、一時金をつけて、昭和二十二年以前の年金については整理をした。聞くところによると、八〇%ばかり申し出があって、一時金をもらって解約をした、こういうようになって、あと二〇%ぐらいは、住所があるだか、ねえだか、どうも連絡をしても音さたがないということなので、これはどういうようになっちゃっているか、その辺はわかりません。それが昭和四十三年のときであります。二十二年以前のものをそういうように整理をいたしました。そうして四十三年以降は郵便年金というものは積極的な募集をやっておらないわけであります。私いま統計を拝見すると、四十四年のときには定期の郵便年金がたった二件、四十五年のときには定期と終身合わせて十件、四十六年のときには終身と定期と合わせて十件、四十七年のときには十三件。掛け金がそれぞれ九百七十万円とか三百三十万円とか六百三十万円、こういうような小額のもので、年金額はごくわずかと、こういう制度があるものだから応募してきた人を拒むわけにはいかないということで、年々全国で十件ばかりずつ年金に新しく入ろうと、こういうものが出ているわけであります。つまりこれはゼロにひとしいわけであります。四十三年度以降はゼロ、こう見ても差しつかえないと思います。法律があるからしようがねえ、申し込んできたものは、ほれ受け付けておけということで、こういう年金に毎年十件か五件ばかりずつ新しく加入している、こういうわけであります。したがって、こういうことを考えるならば、昭和二十三年から四十三年の間の年金というものが現存しているわけであります。二十三年から四十三年のこの間のものが生きた年金としてあるわけであります。私はこれをまた言うわけであります。このインフレのときに放置しておくならば、この年金もまた価値がなくなってしまうのではないか。これも本人が希望をするならば、なるべく早く一時金を付してやって本人に解約をさせる、つまり四十三年にやった特別措置と同じようなことを、二十三年以降四十三年までのものについてもやってはどうか、こういうことであります。幸いにして、年金の責任の積み立て額というものは百五十四億あって、積み立て金はあるから、これからずっと払う予定のものはみんな払えます、そうしておいて、剰余金は四十七億、五十億近くあるわけでありますから、これも付加してお返しする、こういうことをいっときも早くやったほうが、当時郵政省が一生懸命に進めて、年金をやれ、年金をやれといって進めた事態と情勢は激変しているわけですから、この激変した情勢に、国民に対応してサービスしてやるためには、いまのうちに希望者は解約の手続をしろ、そうすると四十七億あるやつを、つまりこれは百五十四億に対して四十七億だから、三分の一あるわけですから、十万円の人にはこれでいくと約三万円ばかりやれるような計算になるわけです、剰余金だけをくれてやるということになると思います。私は、年金の法律というものは社会福祉にも貢献するみたいに法律にうたわれているけれども、その当時というものは、老齢福祉年金といったって、ほとんどあれは五百円か三百円か、そういう時期でありました。いまは七千五百円だ幾らになってきた。一般の社会保障制度が進んでくるとともに、この年金を創設した意味というものはないわけであります。いまやそういうものはないわけであります。こういう社会保障のかわりのものを郵政省でやる必要はない、厚生省へもっていけ、厚生省はインフレ条項をつくって、インフレ時代だからだんだん増してやりましょうということで、その効果はちゃんとほかの省であげているのだから、この年金というものを、昭和四十三年に特別措置をやったと同じことで、いまある二十万件ばかりのものを早く整理したほうがいいじゃないか、こういうように私は考えるわけです。これは検討事項で、きょうは御答弁いただかない。十分これも検討していただかなければいけないと思います。  以上、お願いだけ申し上げて質問を終わります。
  40. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、平田藤吉君。
  41. 平田藤吉

    ○平田委員 私は、簡易生命保険法の一部を改正する法律案について、幾つかの問題点をただしたいと思います。  保険金最高額を三百万から五百万円に引き上げることも、最低額を十万円から二十万円に引き上げることも、そのねらいにはいろいろ大きな問題を含んでおります。これはあとでただしたいと思います。  まず第一にお聞きしたいのは、私が昨年の十二月二十日の委員会質問をした問題がどう処理されたかということと、それに関連する問題であります。四十八年度大臣表彰の中に、大森郵便局の武藤勉という人がおりました。この人は、東小松川の梅沢マサアキさんに五本で千五百万円、梅沢カズエさんに六本で千八百万円、合計この一軒のうちだけで三千三百万円になります。それから西小松川の小久保アキラさんに五本で千五百万円、エミコさんに四本で千二百万円、カズコさんに四本で千二百万円、ヒロコさんに四本で千二百万円、ヨシオさんに四本で千二百万円、この小久保さんの家だけで二十一本、六千三百万円の契約をしているのです。いまあげだ二軒の家だけで、実に九千六百万円にのぼっております。加入者をペテンにかけて、違法な超過契約で成績をあげた武藤という人が大臣から表彰されているわけです。野田簡易保険局長は私の質問に対し、十分調べて善処したいと答えておりましたが、どう善処されたのかお聞かせいただきたい。
  42. 野田誠二郎

    野田政府委員 ただいま御指摘の大森郵便局在勤の武藤勉につきまして、御指摘のような超過契約がございました。いろいろ調べました結果、現在、契約者の同意を得ましてといいますか、いずれにいたしましても、契約者のほうから超過契約理由といたしまして無効の申し出がないようにわれわれ聞いております。そういうふうな観点から、事実関係につきましてなお調査未済の部分がございまして、現在までのところ、この武藤勉につきまして、これをどういうふうに措置するかという点につきましては、まだ結論を得ていないわけでございます。
  43. 平田藤吉

    ○平田委員 局長、あなたはいつでもそんなことを言っているのだよ。いままで私の指摘したことで、この種の問題できちっとしたことがありますか。一ぺんだってないじゃないですか。この超過契約をしたのを契約者が解除すると言わない、だからそのままにしておくのでございます、処分についてはまだはっきりしておりません、こういう返事ですが、どう処置するのか、あなたの考えを聞いているのです。     〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕 それでは、善処しますと言ったけれども、十二月二十日に私が質問しているのですよ。きょうは幾日だと思っているんです。年度が明けましたよ。こんな重大な問題をあなたは意識的にほっておくのじゃないですか。私のここでの質問を無視してかかっているのですか、答えてください。何でそんなにかかっているのか聞いているのですよ。
  44. 野田誠二郎

    野田政府委員 事実関係が個々別々にわたりますので答弁がおくれて申しわけでございませんか、御指摘の件につきまして、契約者の小久保さんの関係でございますが、昨年暮れに東京郵便局保険部の係官と江戸川局の保険課長が小久保さんのおたくを訪問し、当該契約に対する苦情及び継続の意思等について尋ねたところ、特段当該契約に対する苦情等もなく、また継続の意思もある、現在契約は有効に存続をしておる、措置模様としてひとまずこういうことでございます。  第二番目の点、梅沢さんの関係でございますが、これまた同じように昨年末でありますが、東京郵便局保険部の係官と江戸川局の保険課長が梅沢さんのおたくを訪問をいたしまして、当該契約に対する苦情及び継続の意思等について尋ねましたところ、特段当該契約に対する苦情等もなく、また継続の意思もあるということから、現在契約は有効に存続をしておる、こういうことでございまして、簡易保険契約関係につきましては以上申し上げたとおりで、その後異常なく継続をしておる、このように考えております。  なお、先生の御指摘の、たとえば超過契約を非常に多額にとった者あるいは不正な話法等、とにかく募集に関しまして特段にいろいろの問題があった者について、この国会における先生の御質問なり御指摘を無視しておるのではないかということにつきましては、それぞれその事実関係を十分に調査いたしまして、たとえば四十八年度において表彰をしない、あるいは優績者からはずす、あるいは国際優績者からはずす、状況によりましてはそれぞれ募集指導官をはずす、あるいは転動をさせる、降格をさせる、はなはだしいものは部外排除をする、こういう措置を講じております。
  45. 平田藤吉

    ○平田委員 いずれもその調査は十二月ですよ。いち早くやったんだよ。それからあとは一向やってないんだよ。契約者契約を存続する意思を持っているからそれでよろしいということであなたは済ましている。だめですよ、そういうことは。法律にはっきりと違反しているのでしょう。この人はこの二軒でもって歩合が幾らになったと思うのです。これもあとで聞かせてもらいましょう。お目にかかりたいと思うのですよ。これは調べてあとで報告してください。  それから昨年の七月十一日、いまもちょっとあなたが触れましたけれども、この委員会指摘した悪質な外務員、新井、川上、服部の三名が最高優績者表彰と国際優績者表彰という二つの表彰を受けています。     〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕 この三名は中野の古賀さんにやはりしこたま超過契約をさせていた連中です。新井という人だけで、古賀さんとの契約によって受け取った歩合は当時で四十八万円にのぼるといわれております この表彰を受けた人たちの問題をどう善処されたのか。いま一般的な話がありましたけれども、具体的にこの三人についてはどうしたのか、はっきりさせてください。
  46. 野田誠二郎

    野田政府委員 ただいま御指摘の新井、服部、川上、この三人につきましては募集の実績は非常に多いわけでありますけれども、いま先生御指摘のような観点から、郵政大臣表彰、簡易保険局長表彰からははずしておりますが、そのほかにつきましては特段の措置を講じておりません。
  47. 平田藤吉

    ○平田委員 はずしたというのはどういうことなんですか。表彰状を取り上げて、そして何かやったのですか。
  48. 野田誠二郎

    野田政府委員 成績の実態といいますか、その量だけからいいますと、郵政大臣表彰あるいは当然に簡易保険局長表彰に入るわけでございますが、そういういろいろな事故の点から四十八年度の表彰はしなかった、こういうことでございます。
  49. 平田藤吉

    ○平田委員 四十七年度に表彰したのではないのですか。
  50. 野田誠二郎

    野田政府委員 四十七年度の表彰につきましては、現在資料がございませんので正確に申し上げられませんけれども、四十七年度と四十八年度につきましては、それぞれ表彰の基準を変えまして、特に四十八年度以降におきましては表彰の基準を非常に厳格にいたしましたので、四十八年度は表彰されておりませんが、四十七年度につきましてはたぶん表彰されておるのではないか、このように推測をいたします。
  51. 平田藤吉

    ○平田委員 これは表彰されているから、私がこう言ったら、善処する、あなたはこう答えているのですよ。善処すると言ったら、どうやって善処したのかということをはっきり言いなさいと言っておるのですよ。あなたはさっきはずしたりいろいろなことをやってますみたいなことを言っておるけれども、答えられないじゃないですか。これは私が質問している間に調べてはっきりさせてください。  昨年の実態では、保険の外務員が十年勤続で基本給が九万円、こういう安い給料で生活すら困難であるという状態に置いておいて、一方で歩合制度をとって、そして保険加入者の最初の払い込み金の七割を歩合として支給させる仕組みで、目標を掲げてしりをたたいてきた、勧誘実績さえあがれば、どれほど悪質な行為をしても表彰する、そしていわゆる出世の道を開くというふうなやり方が行なわれてきているのですよ。こういう制度に根本問題がひそんでいるというように私は考えるわけです。人一倍の収入を、同時に大臣表彰や国際表彰を、そして出世の花道を開く、これが法律を無視し、法律を破り、加入者をペテンにかけ、詐欺師同様の手口で超過契約を次々に結んでいくことになるわけです。しかも、そのことを私が具体的に事実をあげて国会で指摘しているにもかかわらず、事もあろうに、国会で名前と所属局名、さらに加入者名、口数まであげている者を三名も表彰しているわけです。これは一体どういうことなのか。こういうやり方をあなた方はとっている、どういうことなのか、もう一度聞かせてもらいたいと私は思います。  同時に、こういう事柄が次から次から行なわれていることについて、局長は一体どういう責任をとるつもりか、大臣はこういうことにどう対処するつもりか、明確に答えていただきたいと思います。
  52. 野田誠二郎

    野田政府委員 先ほど御指摘のありました新井、服部、川上につきましては、御指摘の次第もあります、四十八年度から表彰の基準を厳格にいたしました。こういう関係から、それぞれ表彰をいたさなかったという措置をとっております。  なお御承知のことと思いますが、これはあるいは蛇足かと思いますが、保険募集でございますから、積極的に局外に出まして、見込み客と一対一でまあ勝負をする、こういうことでありまして、二万七千の簡易保険の外務員の中には御指摘のようにあるいはあるべき保険募集の道をある程度はずれるというような者が間々あることは、御指摘のとおりであります。私、総体的に、特にこれは民間保険との比較において申し上げるわけでありますが、現在の簡易保険募集の手当、いわゆる基本給と能率給との比較は、民間保険と比べますと比較にならないほど民間保険のほうがよろしいようでございまして、必ずしも現在の募集手当なりというような形の能率給でしりをたたいて督励をしておるというふうには私感じておりません。  なおそれぞれの不適当なあるいは違法な行為につきましては、それぞれの準拠の規定によりまして処分をいたし、処置をいたしておりますし、またそれぞれの段階の監督責任に応じましてそれぞれ当然責任を負うべきであります。御指摘簡易保険局長の責任としても、こういうことが非常に蔓延しておるのであれば、私も当然その点についての責任は負うべきもの、このように感じております。
  53. 原田憲

    原田国務大臣 昨日も同様問題でこの場でお尋ねがあったところでございますが、人間が自分に与えられた職務を遂行するということは、表彰制度だとかそういうものがあろうがなかろうが、当然のことであろう、こういうことが理屈ではそのとおりであろうと思いますが、現にわれわれ国会でも二十五年勤続者には院議をもって表彰する、こういういわゆる励みというか、一生懸命やるということに対してお互い表彰するということが人間性に基づいてよかろうということでとられてきておる制度であろうと思います。したがいまして、成績がよかった者に対して表彰するということは当然のことであろうと思いますが、間違った者までも表彰しておるというようなことがあったのでは、表彰を受ける人たちがかえってその表彰制度の中で恥ずかしい思いをしなければならぬということになりますから、表彰するということについてはよく慎重にしなければならぬというふうに考える次第であります。  なお、現在御指摘のあるような問題に関しましては、国会で二度三度というような御指摘を受けて御理解が賜わらないというようなことであってはならないと思います。一度指摘を受けたならばそれに対するところの問題については、国会の場で再び質問のないように処理をすることが大事であろうと思いまして、そのように事務的にも督励をいたしまして御理解を賜わるようにいたしたいと思います。私は昨日も申し上げましたが、事故が起きるということに対しまして、そのようなことが一切ないようにという気持ちを持って今後も処してまいりたいと存じます。
  54. 平田藤吉

    ○平田委員 局長は返事の方角が違っているのですよ。表彰制度をやめろと私は言っているのじゃない。大臣表彰を東京関係だけで五名したうち、三名がそういう超過契約を結んでいる、不正を働いている、こういう者を何で表彰するのだ、そう言っているやさきに、またまた表彰するというやり方はまずいじゃないかということを言っているのですよ。そういうことを責任をもってやっているのですから、そういう意味で責任はどうなのだと聞いているのですよ。あなたはそっぽのことを答えて、二万七千人からいるんだから一般の保険会社と比べればまだ少ないとか、賃金の率はいいとか、いろいろなことを言っているけれども、私は、表彰する際には少なくともこういうことを言われないで済むような表彰をしなさいということを言っているのです。表彰される基準の一つ契約高がありますよ。契約高が多いということの中には、人並みはずれた何かがあるのですよ。それは努力だけではないものも必ず含まれるものと見て注意を払わなければならぬじゃないかということを言っているわけです。  山形県で、横川という男が幾つもの郵便局で、簡易保険に病弱だった奥さんの名義の契約を結んで、奥さんの死亡——これは殺したのではないかと言われているわけですけれども、死亡することによって、他の保険も含めて六千万円をふところに入れようとしていたという事件が新聞で報道されております。私はこれを見て何とも言えない腹立たしさを感じているわけですけれども、局長大臣、どうお考えか、ひとつ感想をお聞かせいただきたいと思います。
  55. 野田誠二郎

    野田政府委員 この御指摘の事件につきまして、われわれまだ全貌を的確に把握しておるとは言いがたいと思いますけれども、私どももかつて経験したことのない事件でありまして、全国的にわたってと言ってもいいほど広範囲にわたって、被保険者のかえ玉を用意してまで郵便局の窓口で最高額の契約の申し込みをし、そのことによって最高三百万の契約を十件程度締結をし、かつその結果として保険金を相当多額に受領したと、こうしたケースは実は初めての経験でありまして、あまり類似の事件もわれわれ聞いておりません。  いずれにいたしましても、はなはだ遺憾なことでございまして、われわれの処理のしかたにいろいろ欠陥があろうか、このように考えます。現在鋭意検討いたしまして、近々これに対する措置をとりたい。たとえば窓口において高額の契約の申し込みがありました場合に、被保険者がその窓口に来ておる場合には、それがほんとうの本人であるかどうかを確かめて、十分に質問をするというようなこと、及びそれが当該被保険者がその窓口に出ました局の区域外、たとえば本件の場合には山形県に住所がありながら、大阪なりあるいは福井県で契約の申し込みをしておるわけであります。そういう場合には、住所を受け持っております郵便局に移送をしまして、本人、被保険者契約締結の意思があるかどうかというような面、あるいは超過契約に及んでいないかというような点について調査をし、なお慎重を期するというような趣旨指導を全国的に行ないたい、このように考えております。
  56. 原田憲

    原田国務大臣 この種の問題は、いま局長が言いましたように、かつてない事件でありまして、詐欺と殺人という問題に連なっておるわけでございます。この問題が、わがほうの監察という制度の中でこの事件が発見されたということは、私はわがほうの持っておる制度というものが、最終裁判まだ終わっておりませんけれども、一つの問題をとらえ得た、このように判断をいたしております。  もう一つは、こういうことをやる詐欺師というのは、普通常識で考えられない、何でだまされたのかわからないというのにだましおるのが詐欺師でありまして、これをつかまえるということはなかなか容易なことではありません。普通保険というのは外務員が回って勧誘をして入ってもらうやつを、窓口へ来て契約をするということはほとんど少ない例であって、その少ない例を向こうがうまくついてやってきたところは、向こうのほうが、いわゆる詐欺師というのはそういうことで、責任のがれで言うわけではありませんけれども、非常に巧妙な手段、しかも自分の女房を利用してやるということは言語道断な男でありまして、かようなことを防ぐためにはよほどしっかりしておらないと、このような事件に対処することはむずかしいと思いますが、いま局長が言いましたように、十分全国的にこのような事例が起こっておるという事実を認識させて、再びこのようなことが起こらないように善処していくために努力いたしたいと存じます。
  57. 平田藤吉

    ○平田委員 殺人かどうかは当局の捜査にゆだねることにしまして、この横川という男が行なったといわれる計画的な詐欺師としての手口を問題にしたいと思うのです。いまも局長大臣も言われましたけれども、なかなか捕捉しがたいものだ。だまされたと思ったら詐欺にはかからない。そういう意味ではたいへんなことだと思うのです。新聞によりますと、こういうふうに報じられているんです。「東北郵政監察局の調べによると、横川が契約した郵便局は東京の中央郵便局をはじめ、静岡、大阪、兵庫、福井の各一局。それに山形が三、茨城二局の計十局で、四十七年十一月三十日から四十八年二月二十日までの間、いずれも親類や知人の、妻と同年配ぐらいの女性に頼んで替え玉になってもらい、各局の窓口で同種の保険加入していた。」こういうふうに報じているわけです。  私はこれを見まして、きょうも、またがっても私がこの委員会指摘した問題、一人の加入者保険契約が三百万円をこえているので、保土ケ谷と江戸川の二つの局に二つに分けて加入申し込み書をつくって、加入者には知らせずに処理していたという問題を思い浮かべました。逆ですよ、これは。いまの山形の例というものは、加入するやつが詐欺を働いた。この問題は、今度は郵便局員がその被保険者加入者をごまかしている。それから局をごまかすためにこういう手だてをとるわけです。本質的には同じですよ、局を分散してやるというあたりは。なるほど山形よりも先輩もいるんだなというふうに思ったですよ。また、かえ玉を使って面接させていたという点では、たとえば私が例をあげた区千代さんのところで、いろいろありますけれども、一例をあげれば、アメリカへ行っている子供さんを加入させている。面接などできもしないし、してもいないのに面接したことにして契約を結んでいた外務員のことを思い出したわけです。これはどうなんです。かえ玉を使った、片一方はかえ玉も何もいないのですよ。そこで契約を結ぶのですね。そうして面接した顔をしているのです。どうなのです、これは。また横川は出かせぎに来ているのでとか言って、かえ玉にもんぺをはがせたりしたとかいうことですけれども、なにこれだってあなた、私がやはり指摘してきたように、相続税がかからないとか税金がかからないとか、一年たてば下げられるとか貯金と同じだとか、あげれば切りがありません。うそ八百を並べ立てて超過契約を結んだ外務員のことを思い出します。これらはほんの一例ですけれども、山形県の横川は徹底して郵便局をだましてきた。これに対し簡易保険の悪徳外務員は、加入者をうそとペテンでだますとともに、郵政当局の目をごまかしてきたのですね。そして月に数十万円もの歩合をふところに入れているのですよ。私もこの前言いましたけれども、給料日に歩合をもらうと、あの細長い、札を入れた封筒がテーブルの上にぽんと立つというのですよ。四十万円、五十万円、六十万円、歩合だけでそれくらいふところに入るのです、こうやってごまかせば。またそうすることによって大臣表彰を受けるのですね。いろいろな表彰を受けるのです。局長からは下にも置かないほどちやほやされるのですよ。その詐欺師的手口は共通している、私はそう考えるのだが、局長一体どう考えますか。
  58. 野田誠二郎

    野田政府委員 ただいまいろいろあげられました事例の超過契約の場合、あるいは被保険者に対する無面接の場合、あるいは保険契約の申し込みといいますか、処理がそれぞれ別々の郵便局においてなされておるという事例等につきましては、まさに外面的には今回起きましたこの山形県の事件に類似をしておるように見えるわけでありますけれども、私、本質的にはいわゆる保険金詐取事件、容疑事件といいますか、この事件とは違うものだ、こういうふうに考えております。
  59. 平田藤吉

    ○平田委員 まず、一軒の家で一人三百万円しか入れないものを四本も入れる、五本も入れる、六本も入れる。しかもその外務員は新米じゃないのですよ、ベテランなのです。表彰されるほどのベテランなのですよ。そうすることによって月に五十万、六十万という歩合をふところに入れているのですよ。この歩合をとってほめられ、表彰されて出世する道を開くためにやっておるのですよ。これはどこが違うのです。聞かしてください。これは私ぜひ局長に違いがあるというところを聞きたいものだと思うのですね。
  60. 野田誠二郎

    野田政府委員 ただいまの御指摘は、超過契約を非常にとり、多額の募集手当を入手し、かつ募集の実績が非常にいいことのゆえをもって表彰され、かつ昇進の道が開かれておる、こういう御指摘でございますけれども、われわれ、超過契約が明らかに非常に多量に個人についてほとんど常態的にあるとか、あるいは非常に悪質な話法等々をもって超過契約を非常にたくさんとっておる、こういうことがわかりました場合には、いま御指摘のような表彰をし、あるいは多額の手当を支給し、あるいは昇進させる、こういうことはいたしていないわけであります。  いずれにいたしましても、これは契約者があるわけでございますので、やはりそういう申し込みがあったという事実は事実でありまして、詐欺によってそういう超過契約をもし締結をいたしたといたしますなら、これは当然無効ということになるわけであります。先ほどちょっと申し上げましたけれども、御指摘のあった超過契約につきましては、大体すぐ調査をいたしまして、契約者に継続の意思があるかどうかというようなことを確認をいたしております。そういう点、われわれ常々、申告なり苦情の申し出ということを注意を払って見るように現場の管理者を指導いたしておりますので、先生がおっしゃいますような、一方的に、ただ募集員のほうがしゃにむに持ってきたというふうにも理解をいたしておりませんが、いずれにしましても、超過契約の防止ということについては厳重に指導をいたし、いろいろな措置を講じておるわけでありますが、基本的には、やはり募集に従事します外務員の良識といいますか、外務員の意識にたよる、これが一番正確な防止方法だろうと思います。したがって、今後とも超過契約の違法性なり何なりというようなことにつきまして、あるいは不適正な話法の使用、こういうことのないような指導というものを十分続けていきたい、このように考えております。
  61. 平田藤吉

    ○平田委員 あなた、まだそういうものの言い方をしているんだ。だからなくならないんですよ。つまりベテランの外務員で、一人三百万円が限度であるということを知っていて、相手が入りたいと言ったら入れていいんですか、あなた。お客さんのほうはそんなことを知らないですよ。いや、こうだから入れる、こうすれば入れるというから入る。区千代さんの例なんかは全くそのとおりですよ。だから、あなたはそういうふうな言いわけばかりしていたのでは、なくならないと私は言うんですよ。この外務員はばく大な金をふところに入れることを目標にしていることは間違いないんですよ。しかもそういう者が外務員の中では羽ぶりをきかしているんですよ。話によれば局長までがそういう人たちにたかるのだそうだ。そういう事態までが起こっているんですよ。あなたが、そういう違反であることを承知の上でやったことについてどう考えるかということについてははっきりしていないのだったら、あなた、なくなりっこないですよ。いや、それはわかったら返させております——そんな、わかって返したら詐欺じゃないんですか、法律違反じゃないんですか。摘発されたら返した、法律違反じゃないんですか。そんなことはいろはのいの字で、子供だって、どろぼうには変わりない、詐欺には変わりないということはちゃんと見分けますよ。いやしくも簡易保険局長たる者が、そういうことが見分けられないで、便々と言いわけをしているところに問題があるんですよ。そんなことをまたあなたに言わせておれば時間ばかりかかるから、先に進みますよ。  私が先ほど指摘しましたように、簡易保険の外務員の基本給を安く押えておくという問題と、歩合制度で高い契約目標を掲げて、そしてしりをたたいてきた。これはあなた、そんなことはしていないと言うけれども、現実にはそうなっているんですよ。末端へ行って外務員に聞いてごらんなさい。みんなそう言っていますよ。だから悪徳外務員がとにかく羽ぶりをきかして、いい生活をしている。別宅を持って、二号のいる人もいるそうですよ。そういう問題をやはり帳消ししなければならぬと思うのです。私はここで賃金問題を基本に論じようとは思わない。しかし、この賃金の安さ、生活できない賃金の安さがやはり問題をはらんでいるんだ、高額な歩合制度が、何でも契約しさえすればふところに入るという状態が問題をはらんでいるんだということを繰り返し指摘しておきたいと思うのです。したがって、こういう制度について見直してみるつもりはあるのかどうなのか、改善すべきだと思うんだけれども、どう考えるのか、お聞かせいただきたい。
  62. 野田誠二郎

    野田政府委員 保険募集の実態からいたしまして、保険の外務員の給与制度、その中でいまおっしゃっておられます基本給と能率給、このバランスがどうあるべきかということにつきまして、われわれ常々検討いたしております。御承知のように、簡易保険事業におきましては、この基本給の問題それから能率給、要するに募集手当の問題等は労働組合との協約事項になっておりまして、われわれの判断だけでこれを左右するというわけにはいきません。あらゆる角度からこれを検討いたしまして、関係の労働組合と十分詰めて成案を得ることになるわけでありますけれども、御指摘の点につきましては十分検討をいたしております。
  63. 平田藤吉

    ○平田委員 次にお聞きしたいのですけれども、中野郵便局では——かりにAとしておきましょう、A外務員が病気の兄を保険に入れて、その兄が死亡したので、四十七年の秋には二千万円受け取ったというふうに局の内部では公然といわれております。当時は最高限度額が二百万円です。超過契約もはなはだしい、私はそう思うのです。この超過契約、これはたいへんな問題だと思うんですよ。そこで、こういう事実をあなた、知っているのかどうか、局長、ひとつ聞かしてください。
  64. 野田誠二郎

    野田政府委員 ただいまおっしゃいました事実は承知いたしておりませんので、さっそく調査をいたしたいとおもいます。
  65. 平田藤吉

    ○平田委員 それでは、それは調査していただくとして、次に第二の問題です。  超過契約を防ぐ手だての問題ですね。超過契約問題は、今度限度額が引き上げられるということもからんでますます重大になってくるわけですけれども、これをチェックするシステムは全くないのかどうなのか。さっきあなたのお話ですと、よその県へ行って入ったり何かしたのをすぐ照会して調べるなんというふうに、たいへん調子のいいことをおっしゃっていたけれども、これはチェックするシステムがないからこういうことになる。一契約について一枚の原簿のカードをつくって、データを中央のコンピューターに送って処理しているはずなんだけれども、どうなっているのか、お聞かせいただきたい。
  66. 野田誠二郎

    野田政府委員 御質問は、現在の保険契約事務の内務事務のコンピューター利用と、超過契約防止のチェックの関係の御質問と思います。  現在、簡易保険の内務事務の処理、これは地方簡易保険局の事務処理でございますが、これらはほとんどEDPSシステムによりまして処理をいたしております。契約の原簿ともいってよろしい元帳、これは磁気テープでございますが、これは東京と京都の二つの地方簡易保険局において管理をいたしております。そのほかに、全国には、東京、京都を含めまして七つの地方簡易保険局があるわけでございますが、契約原簿たる元帳を保管をいたしておりますのは東京と京都の地方局だけであります。保険契約を締結するにあたりまして、コンピューターを利用してすでに締結している同一被保険者の有無とその保険金額などの内容を事前にチェックするということにいたしますと、まず先ほど申し上げました現在東京と京都で管理をいたしております元帳と照合して調査をすることが必要になるわけであります。ところが、現在この磁気テープの元帳は事務処理の関係上保険証書番号順に整理をしておるわけでございます。これを超過契約のチェックのために被保険者ごとの名寄せをする——超過契約を御指摘のようなチェックをするということになりますと、保険証書番号順ではなく被保険者ごとの名寄せが必要となるわけでありますが、これは何ぶんにも大量の保険契約を保有しておりますので、この事務量は当然膨大になるわけであります。したがって現在の事務システムからいきますと、まず保険証書番号順によります整理、これが第一でありますが、さらにもう一つ、被保険者ごとの名寄せの元帳をつくるとしますと電子計算機の大幅な増設がまず第一に必要になります。第二点といたしましては、処理日数が相当増加をする。要するに保険契約の締結証書の発行その他の日数が長くなる、加入者サービスの低下を余儀なくされる。そのほかに先ほども申し上げました事務量が非常に膨大になることに伴う要員あるいは経費の増大、こういうことがあるわけでございます。  機械化関係につきましては以上のとおりでございますが、先ほどの保険金最高制限額超過契約の申し込み拒絶、無効処理状況と申しますか、これを申し上げたいと思いますが……
  67. 平田藤吉

    ○平田委員 それはいいです。
  68. 野田誠二郎

    野田政府委員 それじゃ、以上で終わります。
  69. 平田藤吉

    ○平田委員 いま聞いてみますと、コンピューターを使っているけれども、事実上コンピューターが有効には使われていないのですね。それをやると事務手続がたいへんだというんだったら、コンピューターを使ったって何にもならないじゃないですか。それはあなた、データーに被保険者の氏名と住所、生年月日、これを入れて、そして保険金額が三百万円をこえたらはじき出されてくるようにしておけばいいのですから。最近みんなコンピューターを使っていれば、それぐらいの使い方をしていますよ。やはりここのところは改善をして、せっかく持って使っているのですから、能力を十分に発揮させていくようにすべきだと思う。そうでなければこれはなくなりませんよ。あなた方はなくそうと思っていないから一生懸命やらないんじゃないかとすら勘ぐりたくなるのですよ。  第三の問題は、簡易生命保険にくじ引きによる割り増し金をつけるという問題です。何のためにわざわざ割り増し金をくじでつけようとするのか、ここのところをひとつ、重復しますけれども、もう一ぺん大臣、お聞かせいただきます。
  70. 原田憲

    原田国務大臣 この問題は今度の法案に関しまして各委員からそれぞれお尋ねになり、お答えをいたしておりますので、平田委員みずから重復するがということは、重要であるからもう一度答えろ、こういうことであろうと思います。何度もお答えをいたしておりますが、いまの物価問題というものが最大の政治課題である、これを抑制をするということのために総需要抑制政策というものがとられておることは御案内のとおりでありますが、その中で郵便貯金あるいは簡易保険、これらを通じて貯蓄増強という方策を併合してこの所期の目的を達成しようというのが目的でございます。私はもう何度も申し上げておりますが、貯蓄だとか貯金だとか保険だとかいう本流は——割り増しをつけてくじ引き的なことで金を集めるということは私自身はそれが本流であるとは考えておりませんけれども、こういう際にあらゆる手段を講じて総需要抑制、貯蓄増強ということをとる必要があるという認識に立って政府が行ないました中で、私どものほうの郵便貯金、これが案外好評なんですね。平田さんも賛成ではなかろうけれども、事実というものは、新聞がこの間から報道しているところを見ると、奥さんたちもだいぶかけつけてやっておる、こういうことも見られます。それがいい悪いは別にいたしまして、私はこのような見地に立ちましても今度の簡易保険の中にもこの制度法律改正して取り入れて、所期の目的を達成したい、こういうのが理由でございます。
  71. 平田藤吉

    ○平田委員 いままでいろいろ行なわれてきた。税金がかからないのか、一年すればおろせる、貯金と同じだとか、相続税がかからないとか云々というペテンがきかなくなってきた。これだけじゃとても間に合わぬ、今度はくじ引きでせいぜい超過契約をさせようということだとしか私には理解できない。あなた方の説明を聞いていると、今日の世相の中で間違いが起こったときに路頭に迷うようなことのないようにいささかの手だてでもしておきたいなどという国民の願いにどうこたえようか、加入者全体の利益をどう守るかなどという考えは毛頭ないとしか受け取れないわけです。政府の頭の中には、いまも大臣がおっしゃいましたように、いかにして庶民のふところから金を集めるかという考えで一ぱいだといわざるを得ません。そこからくじ引きつきなどという発想が生まれてくるんだと思うのです。いま大臣がその点について言われましたから、この点については答えを求めませんけれども、どう考えてみてもそうとしか受け取れないですね。総需要抑制のために集めるのだ、こういうことなんです。集めるにはどうしたらよいか、それにはくじ引きでもして、ひとつ入ろうかという気持ちをそそって、そうして集めてこようじゃないか、こういう発想でしかない。加入者の利益がどんなになるのか、どうやったら利益が守れるのか、より広範な人たちが、そうだね、ほんとうに入っておこうかという気持ちで入れるような保険制度にどうやったら前進できるかという立場はないということだと思うのです。  そこでお聞きしておきたいんですけれども、賭博は、もともと生活を守る策として国民の中で、一部の中で行なわれるものではないわけです。賭博が一部の人々の中で行なわれることは、堅実な生活と思想に深刻なゆがみを与えていることは明白だと思うのです。競輪や競馬についてもしかり。宝くじでも大当たりした人の生活が破綻した多くの例を聞いておりますけれども、こういうことを考えてみますと、賭博というものについて政府は一体どういうふうに考えておるんだろうか、大臣、ひとつ見解をお聞かせいただきたい。
  72. 原田憲

    原田国務大臣 先ほど、この制度は少しも国民のことを考えずにやっておる、もうペテンも何もかもきかなくなったからこういうことをやったと、これは平田さんの御意見として承っておきますが、政府としてはさような意思は毛頭ございません。いま国会の審議の中でも、たとえば社会党の議員の方が、貯金をしておくほうがいいかどうかと聞かれて、実は自分はこういう時代にはたして貯金をしておけと言うことがいいだろうかと思いつつも、それではその金を使い果たしてほかのものを買ったら、それがもっと悪い状態になるじゃないかということを考えるときに、まあ一応貯金をしておきなさいと言ったが、じくじたるものがあったというような発言もなされ、それを聞いて私どもは非常に胸を打たれるところがあるのでございまして、この点について、どうして国民の負託にこたえるかということを考えて、私は、このことはいまお尋ねの賭博、射幸心をそそるためにやったものではない、そのことを特に強調いたしておきたいのでございます。  最後の賭博というものについてどうか、こういうお尋ねについてお答えを申し上げますが、これは人間だから賭博をするので、人間以外のもので賭博をするものはありません。したがって、人間が持っておる射幸心でありまして、これを強調して身をおぼれさせるようなことをすると、それは人間でなくなってしまうのでありますから、さようなことを奨励することはよろしくないことは当然なことであろうと思います。しかし、人間が持っておる特性をうまく使って、それを人間生活の中で昇華せしめていくならば——これは普通のサルは決して賭博をいたしませんし、鳥も賭博をいたしません。そこで、この問題はいつも議論になるわけでございますが、何といいますか、公共団体がこういうことをやるのがいいか悪いかということで、昭和三十六年でしたか、この問題については盛んに議論がされたあげく、いまの競輪、競馬、競艇等についての良識ある答申というか、それが出ておるわけでございます。こういうもので身をくずすようなものは、かりにこれがなくてもほかでまた身をつぶすに違いない、女子供を泣かすようなやつは。こういうことを言われた方もございます。したがいまして、私がいま申し上げましたように、これを奨励するという立場は決してとるべきではないと思いますが、これをうまく使うということは、決してそれが悪いことであるということは断定できないのではないか、こういうふうに私は思っております。
  73. 平田藤吉

    ○平田委員 一口に言って、賭博は一獲千金の夢を買うわけです。保険は万が一の損失を考えるということにあるわけですね。ですから基本的な違いのあるものなんですよ。この基本的な違いのあるものをくっつけて出してきているというあたりにやはり問題はあるのだというふうに私は思うのです。特に生命保険は将来の生活に、代々の自民党政府の政治がもたらした国民の生活不安の中で、それに備えなければならないという国民のぎりぎりの、それこそ命をかけた自衛の策ではないかというように思うのです。それなのに政府は、今度は金をかけて勝負をするあの賭博にひとしいやり方を、いやしくも政府が直接行なう簡易保険にまで持ち込んでくるとは何たることだろうというふうに私は考える。こんなものを持ち込んでくれば、今度は悪徳勧誘員は、くじの当たる率はたいへん高うござんす、あんたはくじ運が強いからぜひお入りなさい、これは手相まで見るかもしれませんよ。当たるとこれくらい金がくるなんという、そのほかいろいろなまた話法とやらをつくり出してやってくるに違いないのですよ。簡易保険の目的とはこの点では全く相反する方向へと進んでいくことは明らかじゃないか。そういう方向に進もうとするものをどうチェックし対処しようと思っているのか、そこのところを局長ひとつ聞かしてください。
  74. 原田憲

    原田国務大臣 はっきり申し上げておきますが、私は賭博を是認しておるものではございません。人間が射幸心を持っておるということを申し上げて、この問題に対しましては各委員へのお答えで申し上げておりますように、私自身はこれは本流であるとは思っておりません。しかし、こういう事態のときでございますから、この保険制度の中に、何といいますか御指摘のように射幸心がないとは言えませんから、まあ慰みといいますか、それを取り入れて、われわれはこの法律改正をもって実行さしていただきたいと思っておるのでございまして、これから今後の動向について、先ほどの質問にもございましたが、何回きめて何回は必ずやると、こういうことを申し上げておるのではございません。どうぞ御理解賜わりたいと思います。
  75. 平田藤吉

    ○平田委員 くじ引き目当ての勧誘が進めば、はずれた場合、これはくじ引き目当てに入るのですから、はずれたら保険金のかけ捨てがこれまた増大するのではないか。加入者にとってもそれは大きな損害になるに違いない。ちょうど競馬場に行ったら、負けた馬券が一ぱい散らばっているようなもので、くじ目当てに簡易保険に入ったけれども、くじが当たらなかったからやめたという、そういう事態が起こってきかねない。こういうことを考えてみても、私はこのくじ引き制度は撤回して出直すべきだというふうに思いますけれども、どう考えられますか。これはひとつ局長答えてください。
  76. 野田誠二郎

    野田政府委員 御承知のとおり、この簡易保険のくじは十年満期の養老保険につけるわけでございまして、これを売りまくるために特段の大宣伝をするとかあるいはビラ等を配りまくるとか、こういうことはいたしません。御指摘のような悪質話法をもって猛烈に勧誘をすすめる、こういうことをいたさないつもりでおりますし、厳重に現場を指導していきたい、このように考えております。  なお具体的な方法としましては、ほかのといいますか保険募集につきましては目標額をそれぞれ郵政局に本省から申し渡しまして、郵政局から現場に行くわけでございますが、この種のくじのついております保険につきましては、われわれ、郵政局及び郵便局に目標を課すという方法をとらないことにいたしております。これはもう自由にやる、こういうことであります。無理をしないでやっていこう、こういう基本的な姿勢を堅持をいたしております。  最後に撤回をしろというお話でございますが、私どもは、これは一つの国策としてやっていくわけでございますので、撤回をする意思はございません。
  77. 平田藤吉

    ○平田委員 だいじょうぶなんだ、だいじょうぶなんだと言うけれども、さっき話したような例がずっとつながっているんですね。一番トップの、あなた方が一番すぐれた外務員だといわれる中にすら、それが横行しているわけなんですよ。だから、このくじ引きが入ってきたらいい結果は生まないんだ、だからこれはやめたらどうなんです、もう一度検討し直したらどうなんですと、こう言っているのです。大臣ひとつ……。
  78. 原田憲

    原田国務大臣 いま局長が答えましたのと重複いたしますが、私はやはり全然熱意なしに仕事というものはやれないと思うのです。御指摘のように仕事をやる者で欠点が出た者、間違った者に対しては、信賞必罰の罰のほうをはっきりしなければならないが、先ほど言いましたように一生懸命やってきた者に対しては、二十五年の国会議員に表彰が与えられるように、これは信賞のほうでやらなければならぬ。与えられた仕事を、まあ私も保険に入っておりましたが、こんにちは、奥さん、保険どうです、もうあきませんか、これではなかなか保険に入りません。やはり競争で、みな相手の民間保険会社の人でも一生懸命に勧誘に来ると同じように、こちらの者も、うそでだましたらこれはいけません、法に違反してはいけません。しかしその中で、国民のためにやっておる保険というものについて、熱意をもって勧誘をするということのためには研修も必要であろうし、一生懸命やってもらわなければならぬと思います。今度この保険制度の中で、いま局長が言いましたように、これは自由にやれということでありますが、その中ででも一生懸命やってもらいたい、こういうことで、私は先ほど本流でないと思っていると言いましたけれども、大臣がそう言っているのだからこれはほっておいたらいい、そんなものではない、やはり与えられた仕事につきましては熱心にやってもらいたいと思っております。意見も違うようでございますが、私どもはそれが国民のためになると信じておりますので、これを撤回する意思はございません。
  79. 平田藤吉

    ○平田委員 大臣は撤回する意思はないとおっしゃった。しかも総需要抑制のために撤回する意思がないというのです。政府は、総需要抑制政策といって簡保の限度額の引き上げや、くじ引きによる割り増し金制度などを持ち出してきておるけれども、それは本末転倒しているのじゃないか。いま進行しているインフレは、自民党の代々の政府による大企業のための高度成長政策がもたらしたものなんです。とりわけ、昨年秋以来の物価の高騰は、大企業によってつくられた物不足、その上に立っての価格の操作によってつくり出されたものだといって差しつかえない。だれがそれをやったかといえば、やはり大企業がやったのじゃないか、このことは、国民がこぞって指摘しているところだと思うのです。それなのに、簡易保険改正をしてまで、総需要抑制という名で国民負担を増大させようとしているわけですが、総需要を抑制しようとほんとうに思うのだったら、勤労者のふところから金を巻き上げることを考えるのをやめて、大企業による不当利得に対して正当に税金をかける、不当なもうけで買い占めた大企業の資産に対し正当な重税金をかけるなどして、大企業のふところから吐き出させるべきだというふうに思います。そのことをわが党が提案しましたけれども、政府と自民党はそれを拒否しております。その上、列島改造論に基づく大企業のための超高度成長政策を推し進める総合的な財源対策の一つとして、この簡保改正案が出されたわけです。私は、共産党・革新共同を代表して、この案に反対するということを表明いたしまして、質問を終わります。
  80. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  81. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより、まず簡易生命保険法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。土橋一吉君
  82. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、ただいま上程をされております簡易生命保険法の一部を改正する法律案について、共産党・革新共同を代表して、本案に反対の意見を表明するものであります。  その根本的な原因は、すでに皆さんがよく御承知のように、今日の異常な物価高の原因は、商社の買い占め、また売り惜しみに始まり、石油危機に便乗した大企業の価格のつり上げにその最大の原因を有しておるのであります。すでに、大企業の横暴なこの行為に対しまして、国民のすべての皆さんがこれをよく承知しておるのであります。  また第二の問題としては、自民党政府の対米従属、大資本奉仕のいわゆる高度経済成長政策に問題があるのであります。ふんだんに大企業に金融をつけ、あるいは租税の特別措置によって税金をまけてやるなどの助成措置を講じてまいったのであります。今日の物価政策の基本はこの大資本奉仕の政策に基づくものであって、国民の立場に立った、また国民の生活を防衛することがきわめて緊急の課題でございます。  これに反しまして、国民全体ががまんをせよという総需要抑制の政策を、この簡易生命保険法の一部改正についても、自由民主党、田中政府は強要してまいったのであります。ところが、皆さんも御承知のように、このような総需要抑制は全く本末転倒といわなければなりませんし、また、その吸い上げたばく大な資金は、御承知のように今年度予算におきましても一兆八百五十億円という多大なものにのぼるのであります。したがって、この簡易保険法の一部改正は、このような、国民に総需要抑制を押しつけながら大資本にはばく大な資金をばらまくものでございまして、このことは、御承知のように国民全体が反対をするものであると同時に、今日このような資金がすでに簡易保険においては四兆円をこえるといわれております。  しかも問題は、自由民主党政府が、国民生活の不安に対しまして何ら手を打つことなく、しかも生命をかけての自衛策というべき簡易生命保険などをどんどん売り込むことによって、さらに国民射幸心をそそり、賭博の方向に導こうとするものにほかならないのであります。このようなあさましい姿は、国民が注目するだけではございません。自民党の歴代の政府もなし得なかったことを、田中自民党政府がこれを強行しようとしておるのであります。国民の生活を守るためにも、また残された遺族の方々の生活を守るためにも、将来の老後の生活を守るためにも、国民はこのような簡易保険に入ることについては重大な支障があるといわなければなりません。全くわれわれは、このような法案に反対せざるを得ないのであります。特に一獲千金の夢を多くのまじめな簡易保険に入る方々にどんどん振りまいて、ばくち、しかも当たりはずれがあるというようないかがわしいものを国民に押しつけようとするものであります。このようなばくちを結びつけることについて、人倫上も許すことはできないのであります。  以上の結論をもちまして、共産党・革新共同は断固として反対をするものでございます。
  83. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、田中昭二君。
  84. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は公明党を代表いたしまして、簡易生命保険法の一部を改正する法律案に反対の意思表明をいたすものであります。  簡易保険に割り増し金をつけるということは、厳格に見て割り増し金をつけることにはならないこの制度に反対せざるを得ないのであります。  いま、この狂乱物価、インフレの対策として、国民のささやかな資金の吸収は的はずれであります。さらに、国民射幸心をあおり、投機的行為で行なうことは、政府が財政金融政策における失政の責任をたな上げにして、インフレ、物価高の責任を国民に押しつけるものであります。  第一に、生命保険に割り増し金をつけて行なうということは、生命保険の根本精神からも反するものであり、邪道といわざるを得ないのであります。簡易生命保険本来の精神からいえば、広く国民一般に生命に関して保障をし、もって国民の経済生活の安定をはかり、福祉を増進させることにあり、その純粋な制度の中に、国民射幸心をあおり、ギャンブル性を持ち込むことは、断じて避けなければならないことであります。  第二に、昨年からの異常なインフレ、物価高により、保険金額、剰余金の目減りは激しいものとなっております。一方では総需要の抑制といいながら、その目減りについては、その国民の損害はさらに拡大することは明らかであります。そして何万分の一かの射幸心を充足する者のために、多数の契約者が犠牲となる道を開いて、社会的不公正を一そう助長することになるわけでございます。したがって、国民の安定した経済、福祉生活を高めるため、保険政策の根本的な洗い直しをすることこそ緊要であると思うのであります。特にこの簡易保険については、当委員会でも明らかになりますように、その募集等についてはたいへんな問題を起こしておることもございますし、このような事故をなくすることが最大の急務といわざるを得ないのであります。  以上申し述べました理由によりまして、本法案に対してわが党は反対するものであります。
  85. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  86. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案について討論に入ります。  討論の申し出がありますのでこれを許します。土橋一吉君。
  87. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、ただいま上程をされております簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案について、共産党・革新共同を代表いたしまして、反対の意見を表明するものであります。  すでによく知られておりますように、国民の零細な資金を積み立てておる簡易保険資金は、国民の生活を守る部門に使われることこそ必要なのであります。国民はこれをひとしく望んでおるのでありますが、この貴重な簡易保険資金を、いわゆる新幹線建設であるとかあるいは高速道路建設であるとか、あるいは電源開発などに使うことはもちろんでありますが、今回の法律改正に従いまして、いわゆる私鉄事業者あるいはまたガス事業者にこの資金の運用を行なわせようとするものであります。したがって、私はこのような大資本に奉仕をするような体制でこの資金の運用されることにまことに反対せざるを得ないのであります。同時に、この資金は、すでに法律の第二条に規定しておりますように、郵政大臣が管理運営権を持っておりますから、当然地方公共団体は今日異常な困難を生じております——それは超過負担が御承知のように学校の建設あるいは公共施設の建設においても非常に困難を感じておるのであります。ところが、この問題については、すでに法律その他の約束に従いまして三〇%以上は伸ばさないというようなまことに理不尽な体制をとっておるのであります。  第二番目には、今回の改正国民要求とは逆に金融債のワクを広げ、かつ不動産業者、あるいは特に私鉄業者が今日まで私鉄運賃の値上げなどによりばく大な利潤をあげておるのであります。一方、私鉄業者は、皆さんもよく御承知のように、デパート経営であるとかあるいは不動産売買の業務、さらにはホテル営業なども行なっておるのであります。かような諸君のいわゆる金融債にこの資金の使われることは、まことに遺憾といわなければなりません。特に私鉄業者がその路線において行なっておるあらゆる行動あるいは事業を見ますならば、国民の目をおおうばかりのものであります。  かようなものに資金の投資をするということはまことに遺憾千万でございまして、とりわけ今回のこの法案は、従来一五%であったものを三〇%に全般として引き上げようとするのであります。したがって、簡易保険の総額の百分の三十までこういう金融債に回されるということになるならば、まことにわが国のいわゆる高度経済成長政策を助け、田中自民党政府のいわゆる日本列島改造であるとか国土総合開発を一そう助長するものといわなければなりません。国民の貴重な資金がかような方面に使われることは、共産党・革新共同としては絶対許すことができませんので、全面的に反対の意見を表明して私の意見を終わります。
  88. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  89. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  90. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、梶山静六君外三名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。梶山静六君。
  91. 梶山静六

    ○梶山委員 簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案を御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。    簡易生命保険及び郵便貯金の積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   本改正法の施行にあたり、政府は次の各項の実施に努むべきである。  一、簡易生命保険及び郵便年金積立金運用にあたつては、公共の利益になるよう留意するとともに、なお一層の利回りの向上に努め、もつて加入者への還元をはかること。  一、加入者の利益を増進するためにすみやかに保険料の引下げ等を行うとともに、福祉施設の拡充に努めること。   右決議する。 以上であります。  この附帯決議は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかるものでありまして、案文は、さきに法律案審査の過程において各委員より質疑を通じて述べられたところを勘案して起草いたしたもので、ただいま朗読いたしました内容でございますので、あらためて御説明するまでもないと存じますので、趣旨の説明は省略させていただきます。  何とぞ全会一致の御賛成をくださるようお願い申し上げます。
  92. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本動議に対して別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  梶山静六君外三名提出の動議のとおり本案に附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  93. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 起立総員。よって本動議のごとく附帯決議を付するに決しました。  ただいまの附帯決議につきまして、原田郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許すます。郵政大臣原田憲君。
  94. 原田憲

    原田国務大臣 簡易生命保険法の一部を改正する法律案及び簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいただきましたが、両法律案に関しましては慎重なる御審議の上、ただいま御可決いただきましたことを厚くお礼を申し上げます。  ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても、今後簡易生命保険事業を進めていく上におきまして、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。まことにありがとうございました。     —————————————
  95. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 なお、ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  97. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十八分散会