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1974-04-03 第72回国会 衆議院 逓信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月三日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 廣瀬 正雄君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 梶山 静六君 理事 羽田  孜君    理事 阿部喜男君 理事 古川 喜一君    理事 土橋 一吉君       久保田円次君    志賀  節君       西村 英一君    長谷川四郎君       水野  清君    村岡 兼造君       金丸 徳重君    久保  等君       堀  昌雄君    平田 藤吉君       大野  潔君    田中 昭二君       池田 禎治君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         郵政政務次官 三ツ林弥太郎君         郵政大臣官房長 神山 文男君         郵政省簡易保険         局長      野田誠二郎君  委員外出席者         大蔵省理財局資         金第一課長   山口 光秀君         郵政大臣官房首         席監察官    田所 文雄君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 三月二十八日  辞任         補欠選任   田中 昭二君     正木 良明君 同日  辞任         補欠選任   正木 良明君     田中 昭二君 四月三日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     水野  清君   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ————————————— 四月二日  簡易郵便局法等改正に関する請願外三件(木  村俊夫紹介)(第三二四九号)  同外一件(伊東正義紹介)(第三三四六号)  同(梶山静六紹介)(第三四五四号)  同(渡海元三郎紹介)(第三四五五号)  有線放送電話制度改善に関する請願外九件  (正示啓次郎紹介)(第三三〇六号)  同(白浜仁吉紹介)(第三四五三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第二一号)  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  二二号)      ————◇—————
  2. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより会議を開きます。  簡易生命保険法の一部を改正する法律案及び簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  3. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先般提案をされました簡易生命保険法の一部を改正する法律案並びに簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案を一括をして、若干の疑問の点について質問をしたいと思います。  まず大臣にお伺いしますが、簡易生命保険国営保険として長い歴史がございますけれども、確かに簡易生命保険が今日まで国営保険として国民経済、特に国民生活の中に果たした役割りは私は非常に大きなものがあったというふうに考えます。しかし、今日のような自由主義経済が極度に発展をして、特に保険業務についても民営保険があまねく普及をしてきた、そういう時期にあたって、なおかつこの簡易生命保険国営としなければならない理由が存在するのかどうか、もしその理由がありとするならばひとつ大臣のお考えを、こういう点でなお国営の必要がある、こういうメリットがあるというような点について大臣のお考えを承りたいと思うのです。
  4. 原田憲

    原田国務大臣 お答え申し上げます。  いま阿部委員も仰せになりましたように、簡易保険国営で行なわれております。これは国民になるべく安い保険料で、簡易に利用できる生命保険全国あまねく普及させることによりまして、国民経済生活の安定をはかり、その福祉を増進することを目的とするものであります。かかる社会的使命にかんがみまして、国が全国に存在する郵便局組織と国の信用を背景にいたしまして、また大規模経営による利点を活用いたしまして、非営利のもとに提供しているものでございます。  簡易保険特色といたしましては、全国津々浦々の郵便局において広く利用できること、無審査月掛け集金等加入及び継続が簡便であること、積み立て金運用については、確実、有利、公共利益の増進を原則とし、特に社会資本の充実に寄与していることなどのほか、加入者の健康の保持及び福祉向上のための施設が全国各地に設けられている等の特色を有しておる、このような特色であると思います。  以上述べました簡易保険特色を十分に生かした事業運営を行なうとともに、当面の課題となっております民間保険との利回り格差につきましては、資金運用制度改善に今後とも努力してまいりますほか、事務合理化機械化による経費の節減とあわせて、なるべく安い保険料を実現してまいりたい、これが、いまのように民間保険もございますけれども、特に国営簡易保険制度というものを国が運営しておる理由でございます。
  5. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣のおっしゃったことは、大体この簡易生命保険法目的の第一条のところに書かれておるわけでございますけれども、確かに簡易に利用できるという点については、私もそれなりに肯定ができます。しかし、確実な経営となると、いま民営保険といえどもその経営が不確実で保険会社がつぶれたなどという話はほとんどない、これは日本経済の仕組みがそうさせておるわけですが、これはございません。したがって第二点目の確実な経営という点では、これは民営でも国営でもそう大きな違いはないのではないか。第三点の、なるべく安い保険料で提供するという点に至っては、いま大臣も触れられましたが、運用利回り等から考えても、今日政府管掌のこの国営簡易生命保険が、はたして安い保険料で提供できておるのだろうかというふうな点についても私はいろいろ疑問を持つわけです。  しかしきょうはこの問題で特に論争する気持ちはありませんが、そういう点については、これからの政府管掌のとの簡易保険については十分配慮していただいて、いま簡易保険特色は、私は率直に申し上げて、大臣触れられた財政投融資に金を回すということが非常な大きいウエートを占めておる。しかしそれは国策として財政投融資に金を回すことがいい悪いは別にして、加入者国民の側から見るならば、そのことはそれほど問題ではないわけです。それは保険法の第一条にもそういうことは何も書いてないのです。したがって、いま財投に金を回せるから簡易保険がいいのだという理屈加入者の側から見れば成り立たない。それならば加入者本位にした、そして民営保険とは違う国営保険特色が生かされてこなければ、近い時期に簡易生命保険国営という理由を失うだろう、私はこの点を非常に懸念するのですが、どうでしょうか。
  6. 原田憲

    原田国務大臣 いまお話しのように、民間保険というものが非常に大きく運営されておって、いわゆる保険料等国営だからといって決して特色が目立たない、あるいはその他の点についても何か特色というものがないと今後のことについて懸念がされるというお考えは傾聴すべきものであると思います。したがいまして、いま話の中にありました、特に特色というと、保険をかけておる人たちは直接わからないけれども、その金が財政投融資というものを通じて社会に非常に貢献しておる利点というものを考えていかなければならないのではないか、こういう御意見もまさに傾聴すべきものであると思います。  なお、私どものほうといたしましては、これらの点も含みながら、なお民間と比べて保険料問題等保険加入者に対する利益の多くなるようなことを考えながら今後努力をしてまいりたいと存じます。
  7. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはあと議論したいと思いますが、この簡易生命保険お金財投に回るから実は結果的に運用利回りが非常に低くなる、加入者にとってはこういうきわめてデリメットがあるわけです。したがって、私が申し上げたいのは、財投に回るからいいのだという理屈加入者の側からは成り立ちませんよということなんです。この点は後ほどまた運用のところで少し議論したいと思います。  今回の改正の第一点は、いわゆる保険金最高制限額を三百万から五百万に引き上げたい、これが第一点のようでございますが、その理由をもう少し詳細に、時間はあまりかけなくて、要点をかいつまんでお知らせ願いたいと思います。
  8. 野田誠二郎

    野田政府委員 簡易保険保険金最高制限額につきましては、御承知のように、法律で被保険者一人につき三百万円と現在定まっておるわけであります。今回お願いをいたそうとするのは、これを五百万円まで引き上げたい、こういう理由でございます。三百万に引き上げましたのが四十七年の五月以降であります。したがいまして、それ以降最近におきます社会経済事情推移等考えました場合に、生命保険としての保障機能としては三百万円ではまだ不十分ではないか、したがいまして、簡易保険事業使命を十分に発揮し得ない状況にある、このようにわれわれは判断いたしたのでございます。そのほか、加入者といいますか、一般国民の方々からもこの保険金最高制限額引き上げるよう相当強い要望が寄せられておるわけでございます。  さらに、この保険金最高制限額を定めております考え方としまして、われわれは二つ考えておるのでございます。第一点は、被保険者が死亡しました場合の最終医療費、それから葬祭費及び遺族の当分の間の生計費、これをまかなうためにはどの程度金額がよろしいかという観点が第一点。第二点といたしましては、被保険者満期を迎えた場合、満期になりました以後ずっと生存しております場合の老後の生活安定に必要とする金額というのは現在の時点でどのくらいだろうかという点が一つ判断基礎になるわけでございます。これらの点を彼此勘案いたしまして、いまの段階では一応五百万が妥当であろう、このように判断しておるわけでございます。
  9. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、後ほど申し上げますが、別の資料からも大体五百万という引き上げは妥当であろうと考えます。ただ、今日の経済情勢あるいは保険加入者の声によって三百万を五百万に引き上げなければならないという判断が行なわれておるにもかかわらず、定期保険を除いて他の簡易生命保険すべてが来年の四月からしか実施されないという理由は一体どこからくるのですか。
  10. 野田誠二郎

    野田政府委員 御承知のように、定期保険と申します保険種類は、生命保険本来の権能であります死亡保障だけを目的としておるものであります。したがいまして、当然保険料が比較的低廉であります。加入者にとっては保険料の負担が軽く、保険料と比較しまして比較的高額の保険加入し得るという保険種類だ、このように考えます。なお、現在簡易保険が一月一日から定期保険を発売いたしておりますが、この一月末現在におきます定期保険の一件平均保険金額が現在二百万円ということになっております。さらに、現在最高額が三百万円でございますが、この最高制限額までの加入契約件数が総件数の四一%、こういう件数を示しております。したがいまして、養老保険に比べまして、この定期保険につきましては保険金一の最高制限額引き上げ緊急性といいますか、これが相当強い、このように判断をいたしたわけであります。そこで定期保険につきましては、ひとまず養老保険より先に制限額引き上げることにいたしました。この時期につきましては、民間保険実情等考慮をいたしまして、本年の十月からお願いをいたしたい、このようにいたしたわけでございます。  なお、定期保険以外の簡易保険の全保険種類につきましては、民間保険実情等考慮いたしまして、新年度から五百万円に引き上げていただきたい、このようにお願いをいたすわけであります。
  11. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣もお聞きのように、定期保険というのはごく最近できた制度です。確かにこれは掛け捨て保険で、生命保険としての一番本流をなすものかもわかりません。しかし歴史的に見るならば、これは一番新しくできた制度なんです。簡易生命保険本流は、やはり満期性あるいは終身性の、いままでずっと続いてきた養老保険なり終身保険が大体本来の主流をなしてきたものなんです。今日の経済情勢を勘案をして、三百万では少ないから五百万に引き上げようという議論になって、提案に至った。しかるにこれを実施するのは来年の四月ですよ。これは一体どういうわけですか。私は定期保険を早く実施することに何も反対しているのではないのです。すべての保険種類について、事務的にできる最も近い時期に実施すべきである。そうでなければ趣旨が通らないでしょう。今日の経済情勢で五百万必要になったと言いながら、来年の四月からやりましょう、そんなばかなことがありますか。なぜことしの四月からやらないのですか。四月から事務的に困難ならば七月からとか、あるいは定期保険をやる十月からとか、一斉にこれは引き上げていい。何かいまの保険局長お話は、民間保険考慮したとか言いますが、だから私は冒頭に、大臣簡易生命保険の特徴を問うたわけですけれども、もはや三百万という低額では間に合わなくなったから五百万にしたい。来年の四月に経済情勢がどう変わるかわからないのですよ。いまの経済情勢に見合って五百万が必要だという結論を出しておりながら、来年の四月からやりましょうなんの、そんなばかな話がありますか。あなた、どうお考えですか。
  12. 野田誠二郎

    野田政府委員 定期保険につきましてことしの十月一日から引き上げお願いしたいと申し上げましたのは、先ほど申し上げた理由に基づくわけでございますが、確かにわれわれ簡易保険だけの立場から申し上げました場合に、いろいろ事務的な準備の都合もございますので、お話がございましたように即刻ここで上げろと申されましても、あるいはなかなかそうはいかない場合もあろうかと思いますが、来年の四月一日ということにいたしました事由は、先ほどもちょっと申し上げました民間保険実情等を勘案し、ということが実は理由でございます。  と申し上げますのは、現在、御高承のとおり、簡易生命保険というのは政府独占事業でございませんで、民間生命保険会社におきましてもこれを営業いたしております。民間生命保険会社の無審査保険におきます最高限度額というものは、現行ほとんどの会社が三百万ということになっておりまして、大体簡易保険と並んでおります。さらに農協におきましても生命共済を営業をいたしておるのでございますが、この無審査共済におきます最高限度額も大体横並び、こういう実情でございまして、現在のこの生命保険事業の中におきます基本的な姿勢といいますか、むだな競争を避けて、お互いに特色を発揮して、共存共栄をはかっていこうという考え方からいたしますと、簡易保険だけが先に飛び抜けて、ここで——簡易保険は確かに大きな組織であります、国を背景にしております。その他整備した外野組織等も持っております。そういう意味では、私は無審査保険限度としては相当高額の限度額に耐え得ると思いますけれども、いま申し上げましたような生命保険業界におきます実情から、来年の四月一日というようなところが妥当であろうか、このように考えたわけでございます。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣ぼくは特に大臣質問をしておるのは、事務当局としては私は限界だろうと思います、いわゆる国全体の施策があるわけですから。したがって、大蔵省等と話し合いをすれば、民間民営保険を圧迫するようなことになってはいけないからというふうな理屈があるだろうと思います。しかし、だから私は大臣にお伺いしたのですけれども、それでは民営保険お金国策である財政投融資に入っていきますか。行かないでしょう。これはあくまでも民間保険民間保険として利益を追求しながらやられておるのです。だから国営保険の違いはそこにあるということをぼくは言ったでしょう。いい悪いは別にして、少なくとも簡易生命保険積み立て金財政投融資という国の施策に沿って動かされておるのです。民間保険が同じように財投に金が回っていくならば、これは歩調をそろえなければならぬというあれはわかるでしょう。ただ、無審査最高制限民間が三百万だから簡易保険も三百万にしなければならぬという理屈が成り立つならば、反面において、民営保険積み立て金運用国策に沿って財政投融資に入りますか——いい悪いは別ですよ、入りますかということを聞きたいのです。この大きい違いがある。もう一つ、後ほどまた議論をいたしますが、割り増し金つき保険を出して総需要の抑制、貯蓄の奨励をやろうということが次の施策になっておる。そういう施策とにらみ合わせても、この実施の時期を来年の四月に延ばすという理屈はどこにもないはずです。ただ、その辺になればもはや政治的な判断で、大臣がどう考えるかによってきまるはずなんです。だからこの点を私は大臣に聞きたいのです。どうですか。
  14. 原田憲

    原田国務大臣 お気持ちは私も共通でありますけれども、このことをきめます際に、保険事業というものの全般について考慮をした、こういうことで御理解を賜わりたいと思います。
  15. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ただそれで理解をしてくれと言われても、加入者立場からはなかなか理解しにくい、あるいは国の施策全体としてもどうも理に合わない。極端な言い方をすれば、民営保険を助くるために国営簡易生命保険がこの実施の時期等においてまで犠牲にならなければならない、それではどこにも特色はないではないかという理屈になってくるのです。  大臣、ことしのいまの物価と来年の四月の物価はあなたは変わらないと思いますか。国の経済見通しでも、来年四月は相当物価が上がるという見通しになっておるのですよ。算定したのはいまの物価ですよ。いまの物価算定して五百万円が必要であるという結論を出しながら、これを一年先にやろうなどというばかなことが今日の経済情勢の中でありますか。それならむしろこういうばかなことをいわずに、定期保険だけを十月から上げます——あと提案しなければいいのですよ。ところが提案はして、来年の四月からやりましょう、そんなばかなことが通りますか。やるなら全部一緒にやるべきです。やらぬなら民間にもうみんなおんぶさせて、簡易保険はやめてしまったらいいじゃないですか。特色がある特色があると言いながら、少しも特色が生かされていない。これは一体どういう意味ですか。もう少し簡易生命保険というものの本質をあなたがつかんでおるならば、国の施策全体の中でこれをどう生かしていくかということについて腹をきめて大蔵省あたりと折衝をしてやるのが筋じゃないですか。それとも、そんなに民営保険と競合をしたいのならば、いっそ運営を全部、郵政省あなたのところで大体やっておるのだから、財投なんていわずに、ほんとうに加入者本位保険に切りかえてしまったらどうですか。こうなればそれはどっちか二者択一ですよ。片方では民営保険考慮しながらと言い、片方では集めた金は財投に持っていかれて安い利息で回されて、運用金利回りは低い、これは後ほど出てきますがね。それでなおかつ気がねをしなければならないという国営事業がありますか。もっと理解をしてくれと言われても理解しにくいですね。もう少し明確に、私が納得できるように、かくかくの理由で来年の四月だということを説明してください。
  16. 野田誠二郎

    野田政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように現行最高制限額を三百万円に引き上げました時期は昭和四十七年の五月でございます。したがいまして、三百万円の実績といいますものにつきましては現在のところ一年半少々の実績でございます。したがって、われわれの立場としては、多々ますます弁ずと言うと語弊があるのでありますが、確かに最高制限額は相当高いところをわれわれは希望をいたすわけでありますが、先ほど御説明申し上げましたのは、民間生命保険との関係だけに重点を置いて申し上げたのでありますが、われわれの事業の中におきましても、現在最高制限額の三百万円まで入っております件数が総新規契約件数の中でどの程度を占めておるか、あるいは新規契約平均保険金額がどの程度であるか、及び支払っていただいております平均保険料新規契約保険料がどの程度であるかというようなことを勘案いたしました場合に、確かにいろいろ問題点はあろうかと思いますが、一応いますぐというよりも、諸般の情勢考慮して来年の四月からお願いをしたほうがよろしいのではないかという点が第一点。  第二点は、これは確かに民間保険との関係考慮からでございますが、いままでの簡易保険歴史は実は最高制限額引き上げ歴史と言っていいくらい、これは大正五年に創設されて以来のいろいろな歴史がございますことは御承知のとおりでございますが、一挙に二百万円限度額引き上げるというのは実は今回が初めてでございます。お説のような経済変動あるいは非常に経済が激しく成長しておる時代であればこそと思うのでありますが、いままで一番大幅に上げましたのが二百万から三百万という百万きざみの引き上げでありまして、二百万も一ぺんに上げられるということについての民間保険の影響というのは民間の各社では非常に憂慮をいたしておりまして、今回四百万円程度でひとつやってくれないかというような要望もわれわれは非常に各方面から受けたようなわけでありますが、まあ四百万円の数字につきましては、保険としてのいろんな考え方からわれわれとしてはぜひ五百万円に踏み切りたいという基本的な考えがありまして、そういう点で時期的な点で少し調整をとった、まあ内幕を申し上げますとそういう実情でございます。
  17. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 内幕はわかりましたが、これはたしか保険局がつくった資料と思いますが、引き上げ理由あるいは根拠、先ほど保険局長おっしゃったとおりに、たとえば死亡した場合の最終医療費葬祭費遺族生活費、あるいは満期になった場合の老後生活安定費、こういうようなものが基礎になって算定をされたことは間違いがないわけだ。その結果五百万は最高必要であろうということで五百万という数字が出てきたのです。いま諸物価が異常に高騰しつつあるし、近く公共料金——電気料などはきょう申請が出たようですが、これから十月にかけて消費者米価からさらに郵便小包料金ども若干変わっていく、公共料金の相当大幅な値上げが行なわれるということは、ことしの三月時点における日本経済の実態と来年の四月とは大きい変わりが出てくるというように私は思うのです。  いま一年先のことをきめるというのはどだい無理な話だ。それならばもうこの法案を撤回をして、定期保険だけはやりましょう、あとは来年の三月に再提案しますと言ったらどうですか。そうしてそれが八百万になるのか一千万になるのか、その時点で見合う額にきめればそれが最も当を得たものであって、この物価変動の著しいときに、いまの算定基礎によって来年の四月から五百万にしましょうなんということは、これは理屈の上でも成り立ちませんので、来年の三月あらためてこれは議論しようじゃありませんか、どうですか。
  18. 野田誠二郎

    野田政府委員 まあ私どもといたしまして、確かに先生のお説もあろうかと思いますが、ことしの十月から定期保険につきまして五百万円にお認めいただきますならば、ほかの全保険種類につきましても、現在の時点で、来年の四月から上げてやるぞ、こういう御承認をぜひいただきたい、このようにお願いを申し上げます。
  19. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 お願いされて済む筋のものじゃないのですけれども、私もほんとに人がいいものですから……。了承はできませんよ。理論的には私はどう考えてもこれはおかしいと思います。ことしの三月の物価算定して五百万必要であるものを、これからどう変動するかわからない物価見通しも立たなくて、来年の四月からやりましょうなんということはおよそばかげておると思いますが、まあせっかく提案をされておるのですから、提案の趣旨については了解をしましょう。  そこで、その次にお伺いしたいのですが、無審査保険ですね、無審査保険限度というものについては、大体どの程度までが無審査保険限度になりましょうか。数字的にどういう結論が出ますか。
  20. 野田誠二郎

    野田政府委員 無審査保険としての最高限度額程度の御質問でございますが、無審査保険として引き受けられる限度額につきましては、これは当然逆選択の排除といいますか、危険防止ということが非常に主眼でありますが、一応保有契約件数平均保険金額、さらには面接監査等の励行によりまして良質契約をいかに確保するかというようなことによってきまろうかと思います。簡易保険限度額につきましては、御承知のとおり現在約四千八百万件近い膨大な保有件数を持っておりますし、そのほか安定した外野組織を持っております、こういうことを考えました場合に、相当高額に定めても危険性はなかろうかと思いますが、大体目の子の計算によりましても、一千万円以上という数字は出ることになっております。
  21. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 無審査の場合は特に注意をしていただいて、正直者がばかをみるようなことがないようなことをやらないと、往々にして、すでに発病しておるような人たちが無審査を奇貨として加入をするというようなケースもあるようですから、これは十分配意しながら、しかし総体的にどのぐらいいけるものだろうかということをお伺いしてみたわけですが、大体私も一千万ぐらいまでだいじょうぶじゃないかという気がしておったのです。  次にお伺いしますが、大臣、去る三月の二十八日に参議院の大蔵委員会田中総理が簡易生命保険保険料を引き下ぐるという、こういう言明をなさったという新聞の見出しです。内容は引き下ぐるまでなってないのです、検討をするとかなっておるようですが、まず引き下げるということに新聞の見出しはなっております。その理由は、郵政省が古い生命表を適用して運営してきたからだ、民営保険では、新しい生命表を適用したから早く保険料額が下がったのに、簡易生命保険では古い生命表を適用して保険料を高いまま徴収してきておったから、この辺でひとつ新しい生命表を適用、使用して保険料を下げるのだ、こういう説明になっておるようでございます。そうすると、簡易生命保険の場合には、古い生命表を使用することによって不当に高い保険料を取ってきたという逆説になるわけですね。これはそういうことになっておりますか。
  22. 原田憲

    原田国務大臣 この問題につきましては、田中総理が予算委員会でございましたか、いま大蔵委員会とおっしゃいましたが、竹田さんにお答えになったのが記事に出ておりまして、さっそく私も調査をいたしたのでありますが、田中さんは郵政大臣もいたしておりますから、このことらについては内容をよく御存じであると思います。そこで、その答えておられることは、お問いが、いま民間保険料とそれから簡易険保の保険料との差異があるが、それの審査をするのに差異があるのではないかというようなことがあったのではないかと思うのです。これは阿部さんはもうすでによく御承知のとおり、民間のほうでは、民間の生命表というのでございますか、これを使っておりますが、わがほうでは、国勢調査にのっとりまして、五年ごとにこれをやっておる。いま日本人の寿命が延びてきておりますから、これが延びてきておるというと、簡単に簡略して言うと保険料も下がってくる、こういうことにつながってまいるわけでございますが、ことしは作業がおくれておりまして、まだ厚生省のほうからこれが出ておらない。わがほうではそれにのっとって保険料の引き下げを行なうという検討はいたしておるようでございますが、非常に具体的な問題でございますから、政府委員からなお答弁をいたさせたいと思います。
  23. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 政府委員の答弁を承る前にお伺いしておきたいのですが、これは二つ方法がありますね。現行でも剰余金としてこれを分配するという方法をとっておるわけですね。この方法が一ついままでとられた方法ですが、いやしくも総理大臣が国会で約束をされた以上、これは新しい生命表によって保険料を引き下げざるを得ないだろうと思うのですが、もしその方法をとるとするならば、剰余金は減ってくるわけでしょう。剰余金の分配は当然減ってくると思いますが、どのくらいそれが減って、逆に新しい保険料現行保険料の何割程度を引き下げることができるのか、その実施の時期はいつごろになるように考えられるか、これはぴしゃっとした数字は出ないでしょうから、大体の見通しでけっこうです。
  24. 野田誠二郎

    野田政府委員 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、四十五年の国勢調査に基づきます第十三回の生命表が厚生省から発表あり次第、それを契機にいたしまして、そのほか予定利率の引き上げなり、事業費率の改定というようなものを行ないまして、大体ことしの秋、九月一日あるいは十月一日というような期限を切りまして保険料引き下げに踏み切りたい、このように思います。  大体引き下げの程度といたしましては、七、八%から二〇%の間になる、保険種類その他によって違うわけでございますが、平均一〇%以上になる予定でございます。  現在、配当は要らないからできるだけ低い保険料という要望保険に対する需要としては相当強いようでございます。そういうことを考えまして、できるだけ保険料を切り下げる、したがって、まさに御指摘のように剰余金が減りまして配当が減ります。この減る程度につきまして、正確ではございませんけれども、大体三〇%から三五%程度は現在の配当よりも減るのではないか、このように予測をいたしております。
  25. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体数字はわかりました。  そうすると、私は、現行保険料額の階級別の百分比、それから保険金額階級別の百分比、これをちょっと調べさしてもらったんですけれども保険金額別の百分比でいきますと、最高三百万に加入をしている方が大体一三・五%ぐらいの割合になると思います。これは資料によって少し数字が違うんですね。一四・九%という数字の出ておるのもあるのですが、一番新しいこの事業概況の月報によって見ますと、二月の分で大体一三・五%が最高三百万に加入をした方々の件数です。簡易保険の総件数の中の件数が一三・五%。そうすると、かりにこう考えられますね。三百万に一三・五%の人が入っておるということは、百五十万に二七%の人が入っておるのと保険金額では同じになることになりますね。そういう理屈でしょう。したがって、これは保険金額として占むる割合は非常に大きくなるわけです。この一三・五%という三百万の最高は相当大きい割合になるといわざるを得ません。件数では二二・五%だけれども保険金額として占むる割合は非常に大きいものになってきておる。いま積み立て金が四兆五千億ですか、その中で占むる割合は大きくなってくると思うのですが、そうすると、したがって、私は保険金を五百万に引き上げるということは、その意味ではきわめて妥当性がある。  ところが一方、保険料額別の百分比を見ますと、月額三万円の掛け金をする人は〇・〇%、一人もいないのです。大体数字によると、月額一万円までの保険料を払い込んでおる方が九一・五%になるのです。そのことは、保険金額について三百万以上を期待しながら、納める保険料については月額一万円がまず限度だということを意味しておると思うのですが、これはどうでしょう。
  26. 野田誠二郎

    野田政府委員 先生御指摘の計数につきまして、われわれが統計をとっております一番新しい、ことしに入りましてからの二月の分の統計だと思うのでございますが、御承知のように、簡易保険の実際の契約のあり方と申しますのは必ずしも全部が新規に簡易保険加入するというケースは比較的少なくなってきておりまして、追加加入といいますか、募集する側から申し上げますと追加募集、こういう形になりまして、これは簡易保険を利用していただいておる階層というものが全国民とはいいながら、やはり普及率というようなものを現実にとらえてみますというと、約三割程度という数字が出てきております。したがいまして、御指摘のこの金額別の統計及び保険料金額階級別の統計というものも全然新規の契約だけが拾い上げられておるものではなく、その積み重ね募集、累積しました契約というものがやはり新規契約件数で出てきますので、そういう要素も一応考慮しなければならないかと思うのでありますが、確かに先生御指摘の部分も相当程度はやはり妥当するものだ、このように考えております。
  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは保険局長、あなたちょっと勉強不足で、私は二月の統計と、それから昭和四十八年度の二月までの統計と、さらにいま郵政省が保有するすべての保険件数の中での割合と、三つのものを対照してものを言っているのです。二月にできた新しい契約だけをもって言っているのじゃないですよ。ほとんど数字は変わりません。ただ一つ違うのは、おたくのほうにあるなら見てください、一月に出した統計で二〇ページの十一表に三百万の契約が保有件数の中の一四・九%という数字になっている。これは私はちょっと納得のいかない数字です。大体ほかの統計によると二二・五%前後なんですよ。これだけが一四・九%という数字で納得がいきませんが、これはそう大きい差ではないから取り上げませんでした。結局、今日まで郵政省全体が保有しておる中で、三百万の契約が何ぼあるか、掛け金のほうで一万以上が何ぼあるかということをそれぞれについて検討してみて、大体申し上げた数字です。一万円以下の保険料を納めておる者が全契約者の九一%余り、それから三百万以上の契約をしておる者は、この数字が正しければ一三・五%から一五%の間だ、こういう理屈になると思うのですが、どうでしょうか。
  28. 野田誠二郎

    野田政府委員 あるいは私が先生の御質問を聞き違えたかと思いますが、一点申し上げたいのはこの二月の事業概況の、一月に発行しましたあれでございますが、御指摘の一三・五でございますか、このパーセントと一四・九%につきましては、最初の計数につきましては昭和四十八年四月以降の累計ということで出ておりますが、一四・九につきましては四十九年一月四日以降に締結せられた契約ということでございまして、ちょっと統計のとり方の時点といいますか、期間が少し違っておる、こういうことになろうかと思います。
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いずれにしても私はそのことを特に申し上げてはいないのですよ。三百万契約というのは大体一三・五から多くても一五%の範囲だ。どっちの数字をどうとってみましても、一月のを見ても二月のを見ましても、大体そんなものじゃないですか。三百万以上に加入しておる者は一三%から一五%の間ぐらいだ。したがって、これはしかし保険金額に直せば大きい額になるということは、とりもなおさず保険金額を引き上げる必要がある。五百万に引き上げる必要がある。その点は私はそのとおりだから賛成だというのです。ただ、五百万に引き上げた場合に、一方保険料額のほうで調べてみますと幾らの掛け金になるか、それは保険種類で違いますからわかりませんよ。しかし、大体一カ月に掛け得る能力というものは、この数字から見ると一万円以上の月額の保険料を納めておる人の数は大体八・三%前後ではないかという数字になるわけです。そうすると、言いかえれば九一・数%という人は一万円以下の保険料を毎月納めておる、そういう契約をしておるということになるのです。したがって、負担の限界は保険料としては一万円ぐらいまでが限界になってくる、保険金額としては三百万を五百万に伸ばすことを期待しておる。だから掛け金を、保険料のほうをどう安くして保険金額のほうをふやしてやるかという問題が起こってこなければならぬはずだ。そういう趣旨の質問です。どうですか。
  30. 野田誠二郎

    野田政府委員 確かに先生のおっしゃるとおりだと思います。私がちょっと舌足らずでございましたけれども、現在簡易保険ではいわゆる名寄せを行なっておりませんので、先生がとられました計数というのは要するに積み重ね、一人で五件も六件も入っておられる方もあろうかと思いますが、そういうものもやはり計数としては新規契約で出てきます。そういう関係で一件平均の保険金額なりあるいは保険料が低くなっておる、こういうことを申し上げたかったわけでありまして、私どもとしましては、今回の法案の改正でも最低制限額を十万から二十万円に引き上げたいということをお願いいたしておるわけでございますが、そういう非常に小さな契約の金額及び保険料額も入っておるということをちょっと申し上げたかったのでありますが、まさに今度最高制限額引き上げがお認めいただけました場合には、さらに保険金額も平均的に上がると思いますし、さらに平均保険料も相当上がると思います。  ただ、現実の簡易保険契約でなくて、われわれが昨年の十月に調査をいたしました全国的な調査があるわけでございますが、これは市場調査を行ないました。その際に、保険料として支払える限度額は一世帯平均で申し上げますと、約一万三千六百円という数字が出てきております。これも御指摘のように、確かに貯蓄性の非常に強い養老保険というようなものの保険料としましては五百万円の保険を購入するには不足でございます。しかし、定期保険なりあるいは特別終身保険なりあるいは特別養老保険、こういうものを購入していただく分にはこの二万三千六百円の保険料で一応五百万円の保険が購入できるのではないか、このように考えております。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 局長、これは簡易保険加入をする際、確かにおっしゃるように一世帯としては二万三千円の負担能力があったとしても、Aの子供を保険に入れてBの子供を保険に入れないというわけにはいかぬわけでね。したがって、Aの子供も保険に入れ、Bの子供も保険に入れたときの一件当たりの掛け金の料額は、さっき申し上げたように大体一万円以下が九〇%をこしておる、こういう数字になるわけです。ですから五百万という保険をつくって、Aの子だけ入れれば一万三千円負担ができるかもわからないが、Bの子供を入れれば二つは入れないという理屈になるから、そうすれば三百万を二つに分けざるを得ぬというような結果にもなってくる。だけれども、私がお願いしいたのは、保険金額は多いことを期待しながらも保険料の月額払い込みはそう大きくは期待ができませんよというわけなのです。そこのところを十分考えてこれからの施策を立てないと、保険金額が五百万になったからだれもかれも入ってくれるかというと、保険料額を納める能力がないから、負担能力がないからそうばいきませんよ、その辺をどう調整していくか、これからの課題になるのではないでしょうかということを申し上げたかった。それでようございますか。  それでは続いて、次に大臣、今回の二点目の改正の要点はいまの倍額払い、不慮の事故等によって死亡された場合に保険金の倍額払いの制度ができておりますが、この倍額払いの制度に、さらにその払い込んだ期間に応じて剰余金の分配を行なうという趣旨のものでございます。この問題は四十六年五月十二日のこの委員会で法改正が出されまして、そのときの内容は、大臣、こうだったんですよ。剰余金の中から、いままで保険契約をしておった方々で不慮の事故にあうた方々には倍額差し上げます。ところが、だんだん剰余金が大きくなりまして、倍額よりも剰余金をもらったほうがたくさんもらえる人が出てきたわけです。不慮の事故にあった、保険金の倍額払いを受けるよりも、剰余金のほうが倍額の上になる、こういうようなのが出てきたので、そこで剰余金の分配が倍額以上になる場合には、剰余金をもって倍額払いとしたことにみなす、剰余金が倍額以内の場合には倍額で差し上げます、こういう改正であったんです、四十六年の改正が。  そこで、私はこういう主張をしたんですよ。本来剰余金というものは、この簡易保険加入をして掛け金を払い込んだ期間、いわゆる貢献度によって剰余金が生じておるのですから、したがって倍額払いをする場合でも、加入して二年目に死亡した方も倍額、二十年満期保険で十九年かけた方が死んだときも倍額、これでは無理があるから、二年目の方の倍額はけっこうですが、十九年かけた方については、倍額のほかに剰余金の分配を若干でも行なうべきであるということを私は強く主張したんです。当時の保険局長は中田さんでした。できないと答弁した。できないと答弁してから三年でしょう。今度はやるというんですよ。一体保険局の姿勢はどうなっておるのか。国会をどう考えておるのか。私はきわめて不愉快ですよ。三年前に私が同じことをくどく主張したのに、できませんと答えておきながら、いまになってやりましょうというんです。これは一体どういうわけですか。
  32. 野田誠二郎

    野田政府委員 私、記録で調べましたところ、先生おっしゃいますとおり、第六十五国会だったかと思いますが、そういう議事録が残っておりますが、当時の責任者が答弁いたしました趣旨は、当時の簡易保険経営状況あるいは剰余金の発生状況等からいたしますと、やはりその時点ではちょっと無理であった、このように判断をいたしまして御答弁申し上げた、このように思います。それ以降三年経過をいたしまして、簡易保険経営も非常に順調に進んでおりまして、当時と比べますと、各種類の契約等につきましてそれぞれ剰余金の配当がたしか六カ月分以上、全部の契約につきましてたぶん六カ月分以上程度くらいにまで剰余金がふえておると思いますが、そういう点を考慮いたしまして、また先生が御指摘のような次第もありまして、ひとつ契約者サービス向上のために一応踏み切る、また踏み切るだけの条件が整った、このように御理解願えれば幸いだと思います。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だから私はそのときに、剰余金の分配を、他の満期やそれから一般の死亡のいわゆる倍額払いをしない場合の剰余金分配と同じ率でやれとは言わなかったんですよ。わずかでもいいから長く貢献した人には幾らかでも色をつけて差し上げるべきではないかということを主張したのです。今日の提案では全額上げるんでしょう。これは一般の満期の場合と同じだけ上げるわけですからなおけっこうなんですが、ものの考え方として、私が主張した、二年で事故にあってなくなった方も倍額、十九年間もかけておってなくなった方も同じ倍額では無理であるから、その十九年の方には色をつけるべきだということをぼくは強く主張したのですよ。それができませんとやっておって、いまになれば剰余金そのまま全部上げられますというんです。それならあの時点だって、その半分なり三分の一上げられたはずなんですよ。それを前向きで検討しようとしなくて、大体国会でわれわれが一生懸命議論するのをうわのそらで聞いておって、三年もたたぬうちにまたやり直さなければならぬ、こういう結果が出るあなた方の態度についてぼくは指摘をしておる。この制度は賛成ですよ。これは賛成ですが、もう少し国会の議論というものを真剣に聞いてもらいたい。いいですか。私はそのことを要望しておきます。  そのときにもう一つ問題があったのです。そのときのもう一つ問題点は、特別終身保険というものをつくったんです。本来終身保険というものは死んだときに保険金を払うのが終身保険です。ところが、さっきお話がありましたように国民の平均余命も延びてきた、そこで、終身保険ではありますが、加入して十年たったならば二割だったですか、それから二十年たったならば六割ですか、何かはっきり数字は覚えませんが、要するに、生きておるうちに終身保険で払ううちの一部をお払いしましょうというのが特別終身保険という制度です。いいですか。ところでそういう制度ができるのはけっこうだが、ところがこれは五十歳から加入だったと思いますけれども、そういう制度ができたときに、すでに五十をこえておる方々がいままで終身保険に入っておる、その方々が、寿命が延びたのだから私も生きておるうちにもらいたいという希望が出てくるから、終身保険を特別終身保険に乗りかえさせる手段はないか、生きておるうちに幾らかでも差し上げる手段はないかということを、やっぱり中田さんですが、私が強く要請したのです。それは非常に技術的に困難だとおっしゃいました。しかし今日電算機を使用して、困難もハチの頭もあるかとこう私は言ったのですが、これは非常に無理ですので、そこで中田さんが考え出したのは、終身保険加入者の方々にせめて生きておるうちに剰余金の分配ができるようなことをやりたいと思います、こう答弁したのです。これもそれから三年です。そういう制度ができましたかどうですか。
  34. 野田誠二郎

    野田政府委員 現在まだそういう制度はできておりませんけれども、先ほど倍額支払いの際に剰余金を支払うという点に関しまして御答弁申し上げましたように、経営状況も非常によろしく、かつ剰余金の公平な配分ということができるようになってきておりますので、普通の終身保険の既契約につきましても、御指摘のような被保険者が生存中に剰余金を支払いまして、これは具体的には喜寿とか米寿とかいろいろあろうかと思います、あるいは八十歳のときとか、そういう際をなお検討いたしまして、ことし中に実施に踏み切りたい、このように検討中でございます。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いま大臣保険局長からお約束があったから間違いないと思いますが、あなたもよく聞いておいてくださいよ。終身保険に入っておる方々で一定の年齢に達した際に、本来ならば終わったときに差し上げる剰余金の分配を、生存中に差し上げる制度をつくるとお約束したわけですよ。大臣、いいですか。
  36. 原田憲

    原田国務大臣 よろしゅうございます。
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 はい、わかりました。  じゃ、次の質問に移りますが、三点目の改正点は、簡易生命保険に割増金付簡易生命保険をつくりたいということになっておるようです。これはどういう構想なんですか。大体その内容を簡略にひとつ説明してください。
  38. 野田誠二郎

    野田政府委員 簡易保険で発売いたそうとしております割増金付簡易保険の内容につきまして、簡単に申し上げます。  具体的な事項につきましては簡易生命保険約款で定めるということになっておりますが、その骨子を申し上げますと、その取り扱いの対象となります保険種類は、全期間払い込みの十年満期養老保険種類であります。これは、現行簡易保険保険種類のうちで一番貯蓄性の強い保険種類であります。さらに保険金額五十万円を一口といたしまして一口ごとに一枚のくじ引き票をつけることにしております。一万口を一組にして抽せんを行ない、各組ごとに一等五百万円一本、二等百万円二本、三等十万円十本、四等一万円二百本、五等五千円二千本の割り増し金をつけるということに予定をいたしております。なお、抽せんの時期は、一応取り扱い期間を二カ月というふうに定めておりますが、この取り扱い期間終了後一年を経過した日から一カ月以内にしたい、このように考えております。なお、割り増し金を支払いますこの割り増し金の原資に見合う金額は、将来支払うべき剰余金というようなものから差し引く、このようにいたしたいと考えております。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、この前貯金の改正のときに、いわゆる割り増し金つきの貯金をつくるということでここで議論をしまして、大臣は慎重に検討したいということでしたが、どうやら踏み切られたようでございます。このことをさかのぼって議論する気はありませんが、この割り増し金つきの貯金に例をとって申し上げますと、一年ものの場合、あのときも申し上げました、一年ものの場合、郵政省の預金金利は六%でしょう。それから民間金融機関の場合は六・二五%、農協の場合は六・三%です。その六%なり六・二五%、六・三%の利息の中から、その一部をさいて、いわゆる割り増し金と名づけて——これは割り増しがついていないのですよ、自分の利息を分けてもらうだけですから。割り増し金つきと名づけて売り出した。ところでこれは市中でどうなりますか。郵便局の一年ものの貯金は六分利子がつくんだ。その中で二分をくじに回して四分が普通の利子になるんだ。農協の場合は六分三厘利子がつくんだ。そのうちの三分を預金利息に回して、三分三厘がくじ引きに回ってくる。これは農協のほうが利子が高いじゃないか。民間の銀行は六分二厘五毛だ。民間のほうが高いじゃないか。たった一つ一年ものの定期預金の割り増し金つきを売り出しただけで、郵便貯金というものは非常に不利な利率だ、民間や農協の貯金の利率は非常に高いのだというイメージを国民に与えつつある。これが、郵便貯金が郵便貯金であるゆえんを守らずに、民間と競合してつまらない割り増し金つきの貯金などばかげたことをするなと私は口をすっぱくして言ったのに、あなた方が無理をした結果、いま出てきておる実態です。たった一口一年ものの定期預金に割り増しをつけたばかりに、郵便局の貯金の利子は安いんだというイメージを全国民に与えてしまった。実際は二年、二年半になれば、複利ですからこの場合は郵便貯金のほうがはるかに利率はいいのですよ。それにもかかわらず、一年ものの定期を割り増し金などばかなことをいって出したばかりに、六分と六分二厘五毛と六分三厘という貯金の利息を比較をされて、くじの当たる数は少ないし、何だ郵便貯金はというダメージを与えてしまった。私があれだけ言ったのにやってしまったのですが、これは後ほどこの問題が出てくると思います。しかも、過去の数字でも明らかなようにこれは長続きするものではないのです。  保険が同じです。いまたった一つ、十年払い込み十年満期養老保険について、同じようにこれをやろうとしておるのです。ところで、これは保険局長からいま説明があったように、保険金額五十万円が一口なんです。民間がやっておるのは何ぼだと思いますか。掛け金一千円が一口ですよ。簡保の場合は五十万が一口、十年払い込みの場合には払い込み金額四千円ぐらいになるのですよ。そして当たっても当たらぬでも最後に剰余金からの分配で二千円引く、解約をしたら還付金から二千円引くというならば、簡易保険は二千円で一口のくじを買うことになるのですよ。二千円で一口のくじを買って一等が五百万しか当たらない。二等百万は二本しかないのです。民間の場合は、千円で一口のくじを買って一等が一千万です。二等百万が三本、三等十万が四十本、こういち割合なんです。そうするとこのくじを買う人の処理は、千円で一千万が楽しめるか、二千円で五百万を楽しむかという理屈になるのですよ。何だ郵便局は二千円で五百万か、民間なら千円で一千万じゃないか、こうなるのですよ。その口数が幾つ集まって、当せんの率が何ぼあるとかいうようなことはそれほど頭にはないのです。本来くじというものはそういうものなんですよ。したがって極端な言い方をすれば、千円で一千万の夢を見るか、二千円で五百万の夢を見るかしかないのですよ。おそらく事務当局は、くじの当たる数が何本ございますとかなんとか言いわけをするでしょうけれども、実際買うほうにしてみれば、これは馬券でも車券でもそうですが、くじというものは本来そういうものです。したがって、一千円で一千万の夢を見られる民間保険、農協の保険におそらく結果的には集中されるでしょう。二千円も出して五百万の夢しか見られない簡易険保の割り増し金なんかに夢があろうはずがありませんよ。だから私はこれもしなさんなと言うのです。またあなた方は法律改正して強引にこれをやろうとしていますが、貯金と同じように簡易保険というものの特色を殺して、国民にダメージを与える以外の何ものでもない。この点について、大臣のお考えを承りたいのです。
  40. 原田憲

    原田国務大臣 これはまあ議論の分かれるところでございまして、私も実際言うと、本流はこういうやり方ではない、貯金のほうも保険でもですね、私はそういう考えをしています。しかし、いま大蔵大臣みずからが物価の狂乱ということばを使っておるような状態のときにあって、総需要抑制策というものをまず第一番に考えよう、こういう発想のもとからいろいろな施策を行なってきておりますが、その中の郵便貯金の制度の中で、あるいは銀行の中でお金を集める、総露要抑制というためにひとまず金を集めよう、値打ちのないお金が出ておるということが物価引き上げ、こういうことになりますから、それをやろう、こういう特別な考え方で、私のほうでもやめておりました貯金の割り増しということで——いまお話しのように、それは利子の中で扱うのであって別に金を持ってきてくれるわけじゃない、お互いの者が出すんじゃないか、こういうことはそのとおりでございますが、これをやろうということに踏み切ったわけでございます。  一方民間のほうは、これはもうすでにやっております。案外人気がよいということが新聞にも出ておりまして、奥さん連中が非常に窓口へ集まっておる。それがかりに成功したというのなら、まあ阿部さんの言で言うと、それと比べてせっかく貯金のほうがよいという点もあったのにぐあいが悪いということを証明することになるじゃないか、こういう話になるのでありますが、これはわがほうはいま検討して、実施に踏み切る用意をしておるところでございます。くじ引きの期間等をいつにするかというようなことを考えて、それはそれなりの施策を講じてまいりたいと思います。  これは保険のほうでも同様でございまして、いまくじ等の話が出ましたけれども、競馬に行きましても、連勝式もあれば単式、複式というようなものもあって、配当は少なくても安全性をもってこっちのほうへいこうとか、それぞれ千差万別な気持ちを人々は持つものでございます。  したがいまして、これはいかぬじゃないかという御議論に対しましては、私はその反論をするためにこんなことを言っておるわけではございませんが、これは議論の分かれるところでございます。やるほうから申しますと、正直に言いまして郵便局全国にあるわけで、いまお話しのように農協もある、銀行もある、そこらではこういうことをやっておるという際には、私どものほうでもひとつやりたいということを郵便局のほうから言ってくることもあると思います。したがいまして、貯金のことは私も正直に言いますとあんまり乗り気じゃなかったから進んでということでなくて、ここで大臣保険局長とどっちがというようなことまで言われていましたけれども、私はそのときにはやれやれということは申しておりませんが、いよいよ実施をされてくるということになりますと、これは総需要抑制策、こういうことにつきましてわがほうも踏み切ろうという決意をいたした次第でございます。  保険の業務につきましても、同様趣旨によりましてこれを行ないたい。この場合に、貯金のほうはすでに法律がございましたからこれは実施をいたすことになるわけでございますけれども保険の場合にはこれをやります際には法律改正しなければならないという問題でございますので、いま御提案をいたしておるような次第でございます。まあ阿部さんのほうではやるなということでございまして、いろいろ有益な御意見を賜わっておるのでございますが、しかしこれも総需要抑制策ということのためにとっておるのであって、いつでもこういうことをやろうということではないという趣旨も御理解くださいまして、御審議を賜わりたいと存じます。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いずれ数字が出てくると思いますが、貯金も、一年の定期の貯金を割り増し金つきで売り出したために定額の募集はかなり後退してくると私は見ておるんですよ。少なくとも政府がおやりになる以上は、正規の方法によって総需要の抑制に踏み切るべきだと思うのです。したがって、保険金三百万を五百万に引き上げるということになりつつありますが、その五百万に引き上げることによって、皆さんの不時の出費なり老後の生酒の安定をはかるという保険本来の正しい方向で総需要の抑制をはかる、そのためにはあの実施期日が来年の四月なんてばかげたことはない。そういう正しい方向でこそ総需要の抑制ははかられるべきであって、射幸心をあおるような方法で一時的にやろうというのは——これは特に政府が管掌している保険事業だから、政府がやっておる貯金事業だから私は言うのです。なぜ正道を歩かないか、こういう邪道を歩くか、国民の射幸心をあおって。しかも総需要抑制はほかにも方法があるじゃないか。さっき申し上げたように、来年の四月などといわずに、なぜことしから保険金の五百万をやらないか。そして正しい募集を行なって、正しい宣伝のもとに国民の総需要抑制を行なうというのが本来の趣旨じゃないか。その努力をせずに、保険金額の引き上げは来年の四月にしましょう。総需要抑制ならなぜことしはこれをやらないのですか。そういうりっぱな方法があるじゃありませんか。そのほうは来年の四月にやっておって、この割り増し増し金つきというのですか、いわゆるくじ引きだけはことしやろう、すぐやろう、趣旨が一貫しないです。総需要抑制が本命ならば、保険の五百万の最高制限額引き上げもことしやりましょうよ、前へ戻りますが。そうして総需要抑制をやるならば、まだ幾らか筋が通る。本来の仕事である保険金額の引き上げのほうは来年に回しておって、そうしてくじ引きだけことしやって総需要抑制でございますと言ったって、これは通りませんよ。現に保険局長が答えたように、保険金を二百万以上に引き上げてもらいたいという方も相当な数あるとさっきおっしゃった。そういう方は、いまできれば五百万の保険に入ってくださる、そうするとこれは総需要の抑制につながるのです。そのほうは来年に延ばしたのでしょう。そして保険事業の本来の趣旨でないこういうくじ引きを、新しい法律をつくって、これは総需要の抑制でございます。総需要の抑制ならば、両方一緒にやりましょうよ。おかしいでしょう。どうでしょうか。
  42. 野田誠二郎

    野田政府委員 先ほど、実施しようとしておりますこの簡易保険実施の概要につきまして御説明申し上げたのでありますが、この簡易保険を発売することによって簡易保険の非常なイメージダウンにつながるのではないかという御指摘がございましたけれども、四月一日から民間保険会社でもこの種の保険を売り出そうといたしておりますが、これは三年満期の純然たる貯蓄保険でございまして、簡易保険実施をしようとしております全期間払い込みの十年満期養老保険、これはいままでの生命保険でございまして、当然に死亡保障までもついておりますが、民間のは純然たる貯蓄保険でありまして、死亡の際の保障というものがついていないわけでございますので、おっしゃいましたような形での比較というのは私はできないのではないかと思います。  また、実際の取り扱いといたしましても、民間保険での取り扱いにつきましては、たしか月額保険料千円ということにいたしておりますが、実際の取り扱いは三口以上を取り扱う、こういうことにしておるようでありますし、さらに農協の生命共済のこのくじつきの共済につきましては、五年の養老保険についてこれをつけようというふうに聞いております、まだ具体的な細目はわかっておりませんが。そういう意味で、こちらが有利、こちらが不利という先生の御比較並びに郵便局保険についてのイメージダウンということにはつながらないのではないか、私どもはこのように考えております。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いまの点は蒸し返して議論する気はありませんが、本来射幸心を持ってくじ引きをやろうという人間は、千円で一千万当たるくじ引きと二千円で五百万しか当たらないくじ引きを出したら、常識的に千円で一千万当たるほうのくじを買いますよと、私はこう言ったのです。これは損得の問題じゃないのです。それは分配の率からいけばどうなるかわかりませんよ。政府がやるのですから、おそらく民間よりも悪いようなことにはならぬでしょうと思いますがね。しかし、買うほうの立場からちょっと見るならば、千円で一千万当たるくじ引きと二千円で五百万しか当たらぬくじ引きを並べたら、千円で一千万当たるくじのほうに飛びつきますよということを私は申し上げたのです。  それから、大臣もう一点、総需要の抑制の関係です。これで総需要を抑制したいというのならば、いま保険金三百万を五百万にしてもらいたいという希望は全国にたくさんあるのです。それを早くやりましょう、それだって総需要抑制の大きい一つの手段ですから、これを来年の四月まで延ばす必要はなくなってくる、両方一緒にやりましょうよ。こっちをあなたたちがもう死にもの狂いでやるというなら——私はこれは反対ですよ、反対ですが、これをやる以上は保険金の五百万のほうをせめて事務手続のできる十月一日くらいから実施する、こういうふうにいきましょうよ。
  44. 野田誠二郎

    野田政府委員 簡易保険最高制限額引き上げの期日の問題につきまして、総需要抑制との関係からの御指摘でございますが、われわれそっちの面でもなおくじつきの保険を発売する、こういう双方の点で努力をいたしていきたい。ただ私どもだけの立場からいきますと、確かにいまの時点で、先ほども申し上げましてまた繰り返すことになりますが、最高制限額を来年の四月といわずいまでも引き上げていただきたかったのでありますが、先般御説明しましたような実情から来年の四月一日ということになったわけでありますが、これはまたその面からは民間保険のほうでもまた総需要抑制のほうに非常に努力をするだろう、このように私は考えております。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私はこれは賛成できませんからとくと申し上げておきますが、もうこれ以上議論はいたしません。ただ、いま述べてきましたような趣旨で賛成ができないということだけを明らかにしておきます。  これをやる以上は相当な定員の配置が必要だと思うのですが、どういうふうな定員を配置することになりますか、どのくらい増員をして行なわせることになりますか、その計画を知らせてください。
  46. 野田誠二郎

    野田政府委員 この割り増し金つき簡易保険実施によりまして、四十九年度におきましては、くじ引き票を契約者に交付するまでの事務が若干増加をいたすことになるわけでありますが、この取り扱い手続は非常に簡単なものでありまして、また取り扱いの予定件数、われわれが考えております予定件数等から見ましても、特段に要員措置というものを必要と現在は考えておりません。しかし今後の実態等を見まして、必要があれば相当の措置を講じたい、このように考えておるわけであります。  なお五十年度以降になりますと、当せん者に対する割り増し金の支払いというような事務が増加をすることになるのでありますが、これは四十九年度の発売状況等の推移を見まして考慮いたしたい、このように考えております。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 負担が過重にならないように、もしおやりになるのならばその点も十分の措置を講じていただくように、これは要望しておきます。  次に、次の法案の運用法の改正の問題について質問いたしますが、この要点は、運用対象とする社債の範囲を政令で定める、これが一点。二点目は、金融債、社債の保有制限のワクをそれぞれ現行一〇%、五%から、二〇%、一〇%に拡大をしたい、この二点のように理解をいたしておりますが、まず、従来社債については法定されておったわけですけれども、その法定事項を政令事項に移すという理由はどこにあるか、これを伺いたいと思います。
  48. 野田誠二郎

    野田政府委員 今回、簡易保険積立金運用法の改正お願いしております趣旨は、運用範囲を拡大することと同時に、有利な運用対象につきましての総ワク制限を拡大する、この二つの手段によりまして簡易保険資金の運用利回りを向上するということがねらいであります。したがいまして、ただいま御指摘の点も、運用につきまして有利なものについて機動的に出ていくというふうな形での弾力性、効率性を持たせたい、こういう趣旨でございます。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 従来はこれを法定しておくというほど重要な事項というふうに考えておったと思うのですが、それが政令に移管をすれば、政令では政令で定めるということになっていますから、無制限にワクが広がっていくおそれがあると思うのですけれども、一体どういうものをいま新たに考えられるのですか、社債として購入をしたいというものについて。
  50. 野田誠二郎

    野田政府委員 御指摘のように現在の社債といたしましては、いわゆる電力債だけが法定されて認められておるわけでありますが、今回の改正によりまして一応考えておりますのが、ガス事業の社債、それから私鉄事業の社債、この二種類考えております。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、機動的にこれを運用するという意味で、社債の範囲を広げて利回りを上げていきたい、その趣旨は私は了解ができます。ただ、これを政令に移管してしまいますと、何でもかんでもやれることになるわけです、政令できめさえすれば。どこの社債でも買えるということになってくるおそれがあるのです。したがって、これは列挙主義をとりますか、政令ではどうしますか。
  52. 野田誠二郎

    野田政府委員 まだ最終的にきめておりませんけれども、ただいま申し上げましたたとえばガス事業の社債それから私鉄事業の社債というふうに、現在法律で電力債というきめ方がされておりますが、こういう形での規定のしかたにいたしたい、このように考えております。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは無制限に広げないように、特にこれは大臣にもお願いしておきますが、無制限に広がっていくということについて非常に懸念されますので、運用利回りを高くしていきたいという趣旨は賛成ですから、ただ無制限に広げないように……。  それからもう一つお伺いしたいのは、従来三条十三号のいまの電力債の場合でもこういうことばがついています。「一般の需用に応じ電気を供給する」云々、こうあります。いわゆる非常に公益的なものという趣旨があるわけですね。今度の場合は全然それがなくなってしまうわけです。したがって、社債ならばそれが公益性のあるものであろうと公益性のないものであろうとそれはかまわないという、これは理屈ですが、ことになってくると思うのですが、何かこういう点について、簡易生命保険の性格上公共性のある社債だというふうな趣旨を織り込むべきではないかという気がしたのですが、どうですか。
  54. 野田誠二郎

    野田政府委員 この政令を定めます際に、当然積み立て金運用法の第一条の規定がかぶってくるといいますか、公共利益のために簡易保険積み立て金運用するという制約を当然かぶることになりますので、いまおっしゃいましたように、ただ有利でありさえすれば何でも飛びつく、こういう趣旨にはならないかと思いますし、またこれを省令でなく政令にしましたゆえんも、やはり国の財政政策あるいは金融政策等とのつながりから、政府全体としての判断と、これを要するという点から、郵政大臣が省令で定めるということでなくして、政令で定めるということにいたしておりますので、その御懸念のないように政令をつくっていきたい、このように考えております。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこでお伺いしますが、従来もいわゆる金融債と社債というものは保有ができることになっておって、現に保有をしておるわけですね。そうすると金融債の場合に、私の統計は四十九年一月三十一日現在ですけれども、金融債の保有高は二千八百八十五億二千百万円ですか、となっております。これは年金を合わせてですね。ところが電力債のほうは百三十億九千四百万、こうなります。このときの積み立て金の合計額は三兆七千二百六十四億一千四百万円ということになります。三兆七千二百六十四億の積み立て金があって、現行法でもその一〇%は金融債を買うことができる、持つことができる、その五%は電力債を持つことができる。三兆七千億の五%の電力債を持つとするならば、何ぼ持つことになるのですか。
  56. 野田誠二郎

    野田政府委員 大体千七、八百億のものを持てると思います。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、いいですか。現行の法規でも千七、八百億の電力債、いわゆる社債を持つことができるわけですね。実際に百三十一億しか持っていないのです。今度新しく法改正ができれば二〇%、一〇%ですから、三兆七千億の三〇%までは金融債と電力債を持つことができる勘定になりますね。現行一五%——一〇%、五%でさえそのワクの何分の一しか社債は持たれていない。これを一〇%に伸ばしてみても、持てぬものならば幾らワクを広げてみてもしようがないじゃないですか。せっかく五%というワクがあり、電力債という非常に有利な利回り運用ができるのに、これをわずかに百三十一億しか持っていなかったという理由は何なのか、そこをお伺いしたい。
  58. 野田誠二郎

    野田政府委員 御承知のとおりの公共投資に対する非常に需要が多い、したがって、財投に対する需要が非常に多かったということから、一昨年までは簡易保険の資金をほとんどあげて財投協力という形に持っていっておったわけでありますが、昨年から財投協力部分以外に、簡易保険資金の特性として高利回りにこれを運用するという形でのワクが一応四百億できまして、四十九年度におきましてもできたわけであります。そういう形で運用できるというものの歴史が非常に浅いということが第一点であります。もう一つ、まさに運用法の第三条で、電力債の運用法律では全き形で規定をされておるのでありますが、これの実情が、実は昨年までは長期債への運用ということがなかなかむずかしい。これは法律改正いたしまして、電力債が購入できるような法律改正ができました際の大蔵とのいろいろな約束その他で、長期運用に全面的に発動できなかった、こういう経緯も実はあるわけでございまして、その二点から現在の保有量が非常に少ないということになっておりますが、今後これは相当のスピードで飛躍的に増加をしていく、このように考えております。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵に来ていただいておりますが、私は特にいままでの議論を大蔵に聞いていただきたかったわけですけれども、一方では、簡易生命保険財投中心に運用されるために、積み立て金利回りが非常に低い、一方では、民間保険との競合を懸念をして、たとえば五百万円という最高制限引き上げについても来年の四月実施などというばかげた方法をとらざるを得ない、こういうような形になってきているわけですけれども、この点については簡易生命保険というものの性格を十分理解をして、大蔵当局も、もう少し簡保の利回りが上がるようにあるいは簡保に対する国民の期待に沿えるように、その特性を生かしてもらわなければならないというふうに考えるのですが、いま財投の中で簡易生命保険及び郵便年金積立金が占めておる割合は何%くらいになりますか。
  60. 山口光秀

    ○山口説明員 四十九年度の財政投融資計画は七兆九千二百三十四億円でございまして、簡保の原資を予定いたしておりますものは一兆でございます。したがいまして、一二・五%程度になろうかと思っております。
  61. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体四十九年度財投の簡保資金が一兆円を予定をして一二%をこえる、こういう大きい割合を占めておるわけです。  ところで、いまお話がありましたように、この運用利回りを上げなければ、加入者に対して民間保険と比肩をして非常に見劣りするということになりますので、これはちょっと保険局長に聞きますが、現行民間保険の大体平均の積み立て金利回り簡易生命保険積み立て金利回りはどういう割合になっていますか。
  62. 野田誠二郎

    野田政府委員 まだ四十八年度が出ておりませんけれども、四十七年度を申し上げますと、簡易保険が六・四〇、民間生命保険が七・五九ということで、これは最近におきましては比較的利回りの格差が接近した時期でございまして、差といたしましては一・一九%の差がございます。それ以前はそれより少し大きかったということで、最近五、六年間は大体一・五程度利回りの格差が続いております。
  63. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省御承知のように、社債なんかならば九%以上ぐらいの利回りになりますね。しかし、財投で最も大きいウエートを占めておる地方公共団体等の場合には、これは長期のものでも新しい利回りで七・五%ぐらいですか、したがって、簡易保険運用利回りというのは非常に低く抑えられてくるわけです。それはとりもなおさず加入者にとって不利なものになってきて、せっかく国営の簡便な保険制度がありながら、こういう運用をしていくとだんだん簡易生命保険がつぶれてくるのじゃないかという心配があります。  そこで、いま問題になりましたように、新しく金融債あるいは社債についてワクを一〇%、二〇%に広げていただこう。そうなれば来年の計画といいますか、四十九年度計画は出ておるのですよ。たしかこれは五百億ふえることになっていますね。これじゃ私はふやした意味がないと思うのですが、これはすでに四十九年度予算はきまったものでしょうから、これをとやかく言うわけにはいきませんが、この国会でこの法律改正が行なわれるならば、少なくとも来年度以降においては、最高までとは言いませんが、一〇%、二〇%のワク全体が、社債なり金融債なり有利な、現行でいうならば九%以上に回るような利回りのものに運用できるように考えていただかなければ、この法律改正をする意味がないと私は思うのです。その点、大蔵はどう考えますか。
  64. 山口光秀

    ○山口説明員 簡保の積み立て金は公的資金でございますから、運用法の一条にありますように公共性という点も重視しなければいかぬし、有利運用という点も簡保の特性から考えまして十分考えていかなければいかぬということでございまして、今回の法律改正もそういう趣旨から提案申し上げているわけでございますが、従来から財投に充てます分につきましても、一般の財投運用金利は七・五%でございますけれども、それよりも高い運用になるべく回すようにする。いま簡保の場合は四割何分、五割近くにそういう有利運用部分がなっていようかと思います。資金運用部は一〇%を割っているというような状況でございまして、できるだけ有利運用になるように、公共性という限界がございますけれども、その中でできるだけ配慮したいという考えでおりまして、今回御提案申し上げて、社債等への運用の範囲を拡大するのも全くそういう趣旨でございますから、法改正の趣旨に従いまして今後運用してまいりたい、こういうふうに考えております。
  65. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いま大蔵の答弁は、法改正の趣旨に従って社債、金融債等についても、公共性というものは十分あるけれども配慮をしていく、したがって、新しい来年度ですね、ことしはもうだめです、五十年度以降についてはこの法改正の趣旨が十分生かされるように考える、こう理解してよろしゅうございますか。
  66. 山口光秀

    ○山口説明員 気持ちとしましては全くそのとおりでございます。ただ、もちろん来年のことは財投がどういうかっこうで組まれますか、原資がどうなりますか、その辺のことがよくわかりませんので、ただいま申し上げることは困離でございますけれども気持ちとしてはそういうことでございます。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 最後にもう一つ昭和四十年の八月に簡易保険の審議会の近代化の報告の中で、いわゆる余裕金の運用について答申があっておるはずでございます。その中で、特に簡易保険の余裕金というものは一般の余裕金とはその性格を異にしておるから、この運用について特に注意しなければならぬということが述べられております。事あれば審議会の意見を尊重するという政府の姿勢になっておるようでございますが、四十年八月からといいますと、もう九年目になるわけでございますが、これは一体どういうふうな取り扱いにその後なっておりますか。
  68. 野田誠二郎

    野田政府委員 四十年の郵政審議会の答申にも、御指摘のように余裕金の直接運用ということがございます。郵政当局としましても余裕金の直接運用ということを悲願といたしまして、もうここ十年以上になろうかと思いますが、毎年大蔵省に対しては要求をいたしております。しかし、現在の財政事情あるいはいろいろな沿革的な事情というようなものから実現をいたしておりませんけれども、今後とも努力を続けてまいりたい、このように考えております。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはもう政府全体の問題ですから、郵政省だけで独自に法案を出すというわけにもいきませんでしょうけれども現行ではだめなのですね。現行では余裕金は資金運用部に入ることになっているわけですから、現行のまま幾ら大蔵と話していたって、それは大蔵省ができると言う道理がないですよ。これは法律改正をやる以外にないのです。したがって、昭和四十年にこの余裕金の運用については郵政省でやられるような方針を立てなさいということが答申をされておるわけですから、すなおにその線に沿って法の改正を提起すべきだ、そこでいいか悪いかの議論が起こってくると私は思うのです。それをやらずに八年間も九年間もほっておいて大蔵省大蔵省と言っておったって、何も大蔵省だけが政府じゃないのですよ。郵政省だって政府の一環をなしておると思うのです、たいへん失礼な言い方ですがね。しかし、大蔵省だけが政府ならそれは大蔵省がうんと言わなければできぬかもわからぬが、ちゃんと郵政審議会が余裕金の運用について答申をしておるのです。その答申を忠実に踏まえて法改正をやるというのが郵政当局の姿勢でなければならない。それが政府全体として大蔵省との折衝ができないなら、こういうふうにできないということをこの委員会なりあるいは予算委員会で明確にしていくという筋合いのものだと私は思う。しかも、わずかのものならけっこうですけれども、これは大きいのですよ。六千二百六十六億——これは一月ですね、一月には六千二百億という金が余裕金になっておる。それで、これはこの年度が終わると積み立て金に入っていくわけですね。それで財投に変わっていくわけでしょう。早く言えば初めからこれはもう積み立て金になることはさまっているのだ、余裕金だからといって郵政省が自由にできない性質のものなのです。いま四分五厘で、一分五厘の特利ですかね、余裕金については六分で回しておる。しからば、法改正がどうしてもできないならば、これも七分五厘で回してもらえばいいじゃないですか。普通のと同じ性格なのです。資金運用部としては使える金なのですから、したがって、いまの四分五厘の利息に一分五厘の特利で六分で預託をしておる余裕金については、自後七分五厘に回してもらう、この話は出てくるでしょう。大蔵省、どうですか、それはできませんか。
  70. 山口光秀

    ○山口説明員 一分五厘の特利がについているということでございまして、簡保の有利運用に配慮している制度ではなかろうかと思いますけれども、ただいま七分五厘という金利になっておりますが、前は六分五厘であった、一時六分二厘になった、また六分五厘になり六・七五になり七分五厘になりというような金利の変動がございます。そのたびに変えるということではなしに、七分五厘という金利はかなり高い金利水準であろうかと思いますが、六分二厘になっても六分払う、六分五厘でも六分払う、こういう制度になっているわけでございます。
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 山口さん、私、調べてみたのですが、大体財投のほうに入っておるものは、現行でいくならば七分五厘より安いのはもうきわめて少ないですね。ほとんど七分五厘以上に回っておるようです。したがって、私は未来永劫この余裕金を七分五厘で運用してくださいと言うのじゃないですよ。そのときそのときの財投の金利に見合ったくらいなものは、同じような効果を持って使える金ですから、もう来年になればおたくに間違いなく入っていく金なのですから、計画ができるわけでしょう。ですから、これはそのときそのときの金利に見合った特利をつけて運用できないものだろうか。七分五厘というのが無理ならば、七分二厘でもそれはいいが、とにかく四分五厘に一分五厘の特利をつけてあるからもうそれでいいのだ、六分でいいのだ——六分というのは今日の状態からすれば見合わない金利になりますね。そこのところが何とかならぬかどうか。どうですか。
  72. 山口光秀

    ○山口説明員 財投の金利が七分五厘と申しますのは、この間の二月から貸し付ける分が七分五厘でございまして、その前の金利は六分五厘もあれば六分二厘もあればということでいろいろあるわけでございまして、運用利回りが総じて七分五厘になっているというわけでもございません。また、国債に運用いたします場合にも、古い国債は金利が安いわけでございますから、そういう面もございまして、財投と同じように直ちに七分五厘にするというわけにもちょっとまいらないのではないかという感じがいたします。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはあなた、山口さん、国債だっていま六分七厘五毛ですか、外国為替証券、大蔵省の証券の場合六分八厘二毛、もうちょっといきますか、長期国債は七分七厘五毛でしょう。ですから、私は一挙に引き上げてその水準を保てというんじゃないのです。そのときそのときの金利があるはずですから、それで大体運用はできないか。極端なことを言いますと、これは一年でしょう。一年以内になるとこれは三分五厘ですね。一年をこすとこれが四分五厘に上がっていく。だから、一年一日目まで郵政省は待っておって、そこで切りかえることになってくるのですよ。そういうこそくなことを政府の間でやらなくても、もっと余裕金の利回りについて両者で検討してみる、この約束をしてください。
  74. 山口光秀

    ○山口説明員 短い預託金につきましては、いまおっしゃいましたように法律で定まっているわけでございます。その一環といたしましてこの簡保の余裕金もあるわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、簡保につきましては特利をつけるということにいたしておるわけでございますので、いわば短期の預託金全体の金利をどう考えていくかという全体の問題になろうかと思います。いまここで何とも申し上げようもないわけでございますけれども、そういう問題につきましては検討してまいりたいと思います。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 要は、大臣、るる申し上げましたように、政府が管掌する簡易生命保険という、これは国民の広い階層に非常に必要なものであり、政府がやらなければならぬ仕事だというふうに大臣はお考えなんですから、したがって、その運用利回りが少しでも有利になって、加入者が一般の民営保険加入をしておるよりも損をするというふうなことがないような配慮を行なっていかなければならない。そういう意味から私はいま余裕金の問題についても触れたんですが、特に余裕金の問題は大蔵にその姿勢がないのならば、これは郵政審議会の答申事項でもあります。都合のいいときは審議会の答申を得まして、すぐこうやるんです。都合の悪いときは答申を八年間も踏みつけてほうっちゃう、そういう姿勢にも問題がある。この点について、いま大蔵当局のほうにも十分私の意図するところは述べましたから、これから大臣なり保険局長なりとの間でこの余裕金の運用、あるいはさっきの社債なり金融債の問題について、なるべく有利に、加入者国営保険に入っておるがゆえに損をしたというような結果にならないような配慮を特にお願いをして質問を終わります。
  76. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、土橋一吉君。
  77. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、上程をされております簡易生命保険法の一部を改正する法律案簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律の一部を改正する法律案について、少しく質疑をしていきたいと思います。  その前に、大蔵省の方にお尋ねをするわけですが、きわめて初歩的な質問でありますので、親切に答えていただきたいと思うのであります。  いま総需要抑制ということがいわれておりまして、できるだけ民間の各個人あるいは会社などの持っておる資金を使わないで、それで物価の安定のために協力してもらいたい、こういうことがいわれて、今回の総需要抑制の一環としてかようなものが出てきておるわけです。ところが、大蔵大臣も言われておりますように、物価狂乱状態で異常に物価が上がっておるわけです。また、これから電気料金の大幅の値上げであるとか、あるいはガス料金の値上げであるとか、あるいはそれに関連をする石油化学製品の値上がりが必至であるというふうにどの新聞にもいわれておるわけです。そうすると財政投融資の資金は、国民が総需要抑制で、それぞれ割り増し金つきの貯金であるとかあるいは割り増し金つき簡易生命保険などに入って資金が吸収されておるわけです。ところが財政投融資のほうは、先ほどお話がございましたように昨年度が六兆九千億円、今年度予算で計上しておるものは大体七兆九千億円、こういうふうに高まってきております。そうすると、政府関係の機関並びに政府関係関係をする公団あるいは公社、そういうようなものは昨年に比較して相当割り増しの金をどんどん使っている。そうなってくると、国民には総需要抑制といってがまんをしなさい、貯金をしなさい。それで政府関係機関はどんどん金を使って、昨年よりは今年が、目の子で計算してもばく大な金が使われるわけです。そうしてくると、総需要抑制ということは、ただ国民にがまんをして貯金をしておきなさい、そのかわり政府はどんどん使うぞ、こういうふうになるようにわれわれしろうとは考えがちなんですが、それで間違いないかどうか。あるいは政府も繰り延べをするとかそういう面も幾らかあるけれども、財役の面から見ると、遠慮なしに金を使っている。こういう点について大蔵省は、国民には総がまん、抑制と押えながら、国のそういう関係ではどんどん金を使う。これでは田中政府の政策は矛盾をしておるじゃないかというふうに考えるのでありますが、それは、そうでないならないという点について少し親切に教えていただきたい。
  78. 山口光秀

    ○山口説明員 たいへん大きな問題でございます。四十九年度の財政投融資計画は、ただいま御質問でもおっしゃいましたように七兆九千二百三十四億円ということで、前年度の当初計画に比べて一兆円程度ふえております。これは伸び率にいたしまして一四・四%でございます。一四・四%と申しますのは、ここ数年なかった低い伸び率でございます。四十三年が一三%、四十四年が一四%、だんだんふえてまいりまして、四十七年は三一・六%、四十八年は二八・三%という大きな伸び率であったわけでございます。これを一四・四%に圧縮しているということでございますが、特にその一四・四%と申しますが、その中に国鉄運賃の値上げを半年ずらすというために必要な国鉄の資金が約千億ございます。その分を引きますと、実力としては一三%という伸び率になっております。ただ財政投融資運用面で見ますと、国民生活に直結したいろいろな部門に対する需要は強いわけでございまして、たとえば住宅でございますとか生活環境でございますとか、あるいは中小企業でございますとか、そういう面に対する需要は強いので、一四・四%という全体を圧縮した中にあって、そういう部門につきましてはかなり資金を確保するということをいたしておりますので、いわゆる公共事業系統、国鉄でございますとか道路でございますとか、そういう系統につきましては工事費を大体前年と横ばい程度に押えるというようなことをいたしておりますので、これは全体として総需要抑制という線に非常によく沿った計画ではないかというように思っております。
  79. 土橋一吉

    ○土橋委員 もう少しそこのところを伺うと、沿っておるという趣旨は私もわかるが、沿っておるんじゃなくてむしろ、たとえば道路公団などに対する投資は、それ自体が企業の一定の収益といいますか収穫をあげておるわけですね。ですから道路公団についてかりに融資額が非常に少ないといっても、それ自体の経営全体はやはりぐっと上がっておる。自動車が非常に多いためにそういうことが来ておるということがいわれます。あるいは国有鉄道の場合も、かりに従来よりは押えておりましても、最近の異常な状態でどんどん利用価値が上がる。そして一定の収入を得、収支バランスその他をいろいろ考慮してそこへ財投の金を使えば、結果としては結局国民は全体として総がまんの形をとる、企業体はどんどんそういう資金で上へ上がってくる、つまりインフレを促進をするということを野放しにしておるということを私は聞いておるのでございまして、そうじゃないならばない——線に沿うておるということばはどうも私に言わせると、まことに申しにくいことなのですけれども、何か沿うておるようであって沿うてもいないし、率直に言わしていただくと何か非常にあいまいなことばではないかというふうに私は聞き取れるわけです。ですからそうではなくて——政府はそういう方向で、やはり一定のインフレの状態を続けておる、一方国民の側にはがまんという形をとらしておるという結果になるように思うのですが、もう一回そこのところを、沿うておるとおっしゃってもどの程度沿うておるかということはちょっとわれわれはわかりませんので、ひとつ親切にお答えを願いたいと思うわけです。
  80. 山口光秀

    ○山口説明員 沿うておるというふうに申し上げましたが、むしろ総需要抑制を主眼として編成をしたと言ったほうがいいかもしれません。そういうような感じでございます。だから国鉄でございますとかあるいは道路公団でございますとか、先ほど申し上げましたように工事費用を前年度当初と横ばいにするということは、まあ建設単価も上がっておるおりでございますから、実際の工事量といたしましては前年度よりかなり減るということを予定しているわけでございまして、相当思い切った抑制ではないかというふうに考えております。
  81. 土橋一吉

    ○土橋委員 それではもう少し教えていただきたいと思うのでありますが、簡易保険局で出しているついせんだってできたこういう本に、簡易保険財投の問題についていろいろ論文が書いてあるわけですね。そしてこの論文の中で、横浜市立大学の原司郎先生というのが「金融面からみた財投計画の諸問題」というので一論文を提出されておるわけです。これは過日、どういう質問をするかということでお見えになったときも、私のほうでちゃんとそのページ数も指摘し、その内容も説明申し上げて、完全な答えを願いたいということを私のほうで要求しておった問題でありますが、あなたもごらんになってあるいは研究されておると思いますが、ここにこういう個所があるわけですね。三ページの中段のところ「つまり」というところから読んでまいりますと「つまり意外に財投運用には、民間企業の保護ないし奨励を、何らかの経済政策の目標を達成するために金融措置で行なうものが多いということになる。」こういうふうに書いているわけですね。そうするとここのことばを全体のいままでの説明から見ますと、この財投運用というのは、結局企業の保護ないし奨励を何かの経済政策の目的のため、これはいわゆる高度経済成長政策ですね、それを達成するために金融措置で行なうものが多いということになる。こういう結論を下しているように思うが、私の解釈で間違いないのかどうか。
  82. 山口光秀

    ○山口説明員 ただいまその論文を拝見したばかりでなんでございますけれども、資金の運用公共部門と民間部門に分けて議論されておるんだろうと思います。で、民間部門と申しますのは、中小企業でございますとかあるいは農業でございますとか、それからもちろん基幹産業でございますとか、それから貿易、経済協力といったような面があろうかと思いますが、四十九年度の財投の策定にあたりましては、基幹産業でございますとか貿易、経済協力でございますとかという点は抑制ぎみにいたしまして、中小企業といったような面に力を入れてまいっておるというような関係でございます。民間に金が流れるという点はそうでございますけれども、要するに政府関係の金融機関がございます、その政府関係の金融機関というのは、中小企業を援助するとかあるいはその他いろいろ国家目的、政策に従った融資をしているわけでございまして、平たく申せば選別的に融資をしているわけでございまして、そこに供給するということは、財投の機能としては主要な機能であろうかと思います。
  83. 土橋一吉

    ○土橋委員 どうも私はしろうとで、あなたの御説明をこなし得ないまことに残念な状態ですが、その次のところに「また、公共部門の比重が徐々に高くなってきていることも注目すべきである。民間金融機関からは、このほかにも国債、公社・公団債、地方債等の引受けを通じて、公共部門に資金供与がなされているわけで、その比重も財政主導型の経済成長への移行に伴なって大きくなっていることもいうまでもない。」こういうふうにちゃんと結論を下しておるわけですね。つまり、金融機関として財投機構がどういう機能を持っているかということを説明した最後の締めくくりがそういうことばであるわけですね。  そうすると、あなたが先ほど仰せになりましたような諸問題とはうらはらに、これでは、そうじゃない、やはり金融機関としての財投の使い方は明らかに国債、公社・公団債、地方債、そういうものを通じて公共部門に資金供与がなされているわけで、その比重も財政主導型の経済成長への移行に伴って大きくなっているんだといっている。これは、私どもしろうとですけれども、ここの文言を先ほど読み上げたものと結合すれば、明らかにこれは財投の金融面から見ても高度経済成長政策になっているんだ、そういう説明になるわけですが、いかがでしょうか。違うでしょうか。
  84. 山口光秀

    ○山口説明員 公共部門への財投の資金の運用は、民間部門に対するものと比べまして大体同じぐらい、半々ぐらいという割合であろうかと思いますけれども公共部門に対する資金の供給と申しますと、一番大きいのはやはり地方債でございます。これは地方団体が学校をつくりますとか、その他下水を引きますとか、いろいろな国民生活に密着した仕事をやっているわけでございますが、それをまかなう地方債に対しまして財投の金を回すというのが一番大きいかと思います。そのほか、先ほど来御議論がありましたたとえば道路でございますとか鉄道でございますとか、そういうところにも回しているわけでございますが、四十九年度の財投計画におきましては、そういう大きなプロジェクトのものは押える、しかし地方団体の分はよく見ようという感じでございまして、特に生活に直結しているような部門につきましてはよく見ているということになっているわけでございます。全体としましてやはり社会資本ストックが少ない、それが国民の要求が強まっておるという中でございますから、やはり公共部門の、特にいま申しましたような部門に対しまして財投を大きく充てていくという方向は、これからも考えていっていいんじゃないかというふうに思います。
  85. 土橋一吉

    ○土橋委員 私がよく理解できないので、あなたさんにたいへん御迷惑をかけて申しわけないと思うのですが、私のいま承った説明の内容でございますと、これを肯定するがごとく否定するがごとく、結局否定というような答弁になったように私は思うのですよ。これは少なくとも簡易保険局が御自分で選んで原稿をいただいたものですから、どっちかというと簡易保険局には好意的な立場で書かれた先生だと私は存じておりますけれども、しかしこの内容は、いま申し上げたように明確であります。私が申し上げたように、これは明らかに自由民主党の高度経済成長政策の育成強化に非常に役立っておるという点が端的になっておる。あなたの御説明ですと、そうじゃないようなそうでもあるような、ちょっとわからない説明です、あとで速記録をよく私読ましていただきますけれども。  それでは、その次の問題として、これは四ページになります。四ページの下段のしまいから四行目と次ページの上段になりますが、ここを読んでみますと「簡保の場合、従来より運用条件を広げて、高利回り運用の基盤を作ると共に、経費率の削減で民間保険との資金配分の競争に耐えてゆくことが求められる。こうしてみると、金利をめぐって、資金の運用面より調達面に問題があることとなる。」つまり、資金の運用面よりは調達面に問題があることになってくる、こういう説明を下しておるわけだ。「なお付言すれば、」ここのところが一番肝心なところです。「なお付言すれば、インフレから個人の金融資産を守るために、金融機関が負担して金利や分配金、保険金の支払を高めるというのは筋違いで、」筋が違っておるんだ、「この分はインフレ抑制に成功しえない政府が、自らの責任でプレミアム等の形で支払われるべき性質のものと考える。」つまりこういうふうにちゃんと言っているわけですね。この言っていることは間違ったことを言っているのか、それとも正しいことを言っているのか、簡単に答えていただきたい。どうもあなたの御説明は私はよくわかりませんので、簡単に、この説明は間違っているかあるいは正しいことを言っているのか、それだけ答えていただきたい。
  86. 山口光秀

    ○山口説明員 私からお答えするのが適当かどうかちょっと問題ではございますけれども、大蔵大臣も予算委員会等でいろいろ答弁されておりますように、インフレによる金融資産のいわば減価という問題に対しまして、国の税金を使ってこれを補てんするというようなことは適当でないんじゃないかという趣旨の答弁をなされておりますので、そういうことで御了承いただきたいと思います。
  87. 土橋一吉

    ○土橋委員 本委員会においてはうそ偽りは言わない、要するに誠実に政府の方々は答弁をしていただく、こういうたてまえに逓信委員会はなっておるわけです。ですから、あなたさんのことばを聞くと、政府はさようなものについては補償しないということを大蔵大臣は国会において言っておるんだ、こういうふうにいまお答えになったように私は思う。それは間違いないのですね。  そうしますと、簡易保険局が原稿を頼んで、一生懸命に書いてもらったこの先生の説明によると、もう一回読ましていただけば、結局これは御承知のように「財投計画の原資と金融機構」という題目の中に書いておる内容ですね。つまり、財投計画の原資というものはどういうバランスのもとにこれが使われているんだということと、その影響はどういうふうに影響するかということの論議の中でこういう説明が行なわれておるのであります。そうすると、あなたは、この説明は大蔵大臣の説明から見ると正しくないという結論ですか。はっきり答えてください。これは正しいのか正しくないのかということを私は聞いているのですから。決してあなたを責めるわけじゃございませんよ。この論文に書いてある趣旨は間違っておるというふうに見ておるのか、大蔵大臣の答弁から見てあなたはどうお考えになっているのか。
  88. 山口光秀

    ○山口説明員 これをお書きになったのは民間の学者の方だろうかと思いますが、まあ政府考えと違う御意見であろうかと思います。
  89. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、政府の意見と違うような学者の意見を堂々と簡易保険局は載せておるということになれば、これは、これを編集した簡易保険局長の重大な責任といわなければならないし、この立論がもし正しくて大蔵大臣の言っておるのが間違っておるということになれば、大蔵大臣は訂正しなければならない、こういう問題であります。簡易保険局長はどう思いますか。この論文をすべての人は見ておるのですよ。大蔵大臣は間違っていない、そうすると簡易保険局は自分で頼んだ学者さんがこういう論文を書いて、そして大蔵大臣が間違ったことを批判するような、そういう結果におちいるというのは、これはどういうわけですか、簡易保険局長
  90. 野田誠二郎

    野田政府委員 いま議題になっております、この「簡保の資金」に載っております論文の作者といいますか著者であります原先生は、実は資金運用審議会の専門員をやっておられる方でありまして、私どもそういう関係から日ごろ簡易保険の資金運用につきまして、いろいろ御教授を得ております。しかし、ここでこの論文をわれわれが掲載しましたゆえんのものは、金融論といいますか学者としての原先生の論文をいただいたのでありまして、中には非常に多くの個人的な見解にわたる部分があるのは当然だと思いまして、これは先ほど大蔵省のほうから説明がありましたように、あるいは郵政省の意見とも完全に一致しておるものばかりであるということは必ずしも申せないかと、このように思います。
  91. 土橋一吉

    ○土橋委員 これはそうなってくると、各先生方、経済学の先生をこの委員会へお呼びをいたして、この問題の決着をつけなければならない問題になってくるわけです。いまお話がございましたように、私たちはここに書いてあることが正しいと思っておる。大蔵大臣の国会の説明あるいは大蔵当局の説明は間違ったことを説明しておる。これはここに書いてある全体の説明から見てもうなずけるし、あなたさんの説明から伺うと大蔵大臣の言っていることが間違いであって、ここに書いてあるのは基本的な原則を述べておるといわざるを得ないのであります。  こういう重大な差異がありますので、私はこの財政投融資の問題について非常に疑問を持っておりたわけです。ですから、この問題を取り上げていろいろお尋ねをして教えを請うたわけですけれども、どうもその教えが本物ではなくて、いま御説明ございましたようにキツネの嫁入りのような説明でありましたので、さらに私はお尋ねをしてみたいと思うわけです。  それは四十八年の原資の部では、ここにも書いておりますように八千百二十億円の原資を見込んだわけです。ところが四十九年度は一兆八百五十億の原資を見込んでおるわけですね。そうすると、これは昨年に比較してどれくらいなパーセントで増しになっておるんでしょうか。
  92. 野田誠二郎

    野田政府委員 三三・六%の増加になっております。
  93. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、簡単に言いますと三三・六%増しなのに、地方公共団体が使う三千二百五十億というのは大体何%くらいの割合になりますか。地方公共団体に貸しておる金というのは何%になりますか。——もう一回言いましょう。一般の伸び率が三三・六%も伸びておるのに、地方公共団体あるいはこの簡易保険契約の契約者に貸し付ける金額などは、非常に低利であるように私は思うが、何%ぐらいになっていますか。
  94. 野田誠二郎

    野田政府委員 ただいまお話しの地方公共団体に対する運用計画の比率につきまして、いまこまかく出しておりますので、しばらく御猶予願いたいと思いますが、簡易保険の契約者に対する貸し付けにつきましては四十八年度が三百億でございます。四十九年度の計画によると三百五十億、こういうことになっております。一七、八%の増になろうかと思います。
  95. 土橋一吉

    ○土橋委員 私、あなたのさっき答弁されたのを書いてあるわけですよ。三千二百五十億、それは増加率では二一・七%だとさっきあなたがお答えになったわけだ。それで契約者のは大体一四%とお答えになったわけですね。ところが、この法律をひとつ見ていただきましょう。この法律は何と書いているのか。積立金運用に関する法律の、第一条はいいです、第二条の「積立金の管理及び運用」ということで「積立金は、郵政大臣が管理し、及び運用する。」ということにちゃんと明記しているわけですね。これはよろしゅございますか。郵政大臣は、この積み立て金の、約一兆円をこえるばく大な金額について管理、運営をしなければならないというふうに書いております。そしてその管理、運営については、次の第四条に従って資金運用審議会の答申を経てそれを決定するというふうになっているわけですね。そうすると、要するに郵政大臣のいわば全責任でこの金の振り分けが決定する、振り分けの決定したものを結局そういうちゃんとワクの入った限度財投として大蔵省はこれを使っていく、大蔵省がえてかってにこれを動かすわけにはいかないわけだ。郵政審議会の答申を得て郵政大垣が決定したワクの中においてこれは進められておる、こういうことになっておると思うのですが、それについて間違いないのですか。
  96. 野田誠二郎

    野田政府委員 おっしゃいましたとおりでございます。
  97. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、郵政大臣にお尋ねするのですが、あなたはこれだけのばく大な簡易保険の金を管理、運営するにあたりまして、たとえば簡易保険契約者に還元をするとかあるいは地方公共団体に対して三千二百五十億という金を貸せる、その金は伸び率の三三・六%に比しては二一・七%だ、たいへん低いものだというようなことについて十分お考えの上、これを上げてくれというようなことを言わないで、そのままするすると資金審議会が決定したままであなたは大蔵省へお渡しになったでしょうか。私の言いたいことは、それぞれの簡易保険局を中心に金が集まってきた、そしてその地方にもいろいろな施設をつくってあげるし、その金がまた地元のそういう借りたいという人々にも貸せるし、また地方公共団体がいま、たとえば橋ができないとか学校が建てられないとか老人ホームができないとかというような、全国至るところ公共用地の取得については非常に困難な感じ、超過負担で今日非常に苦しんでおるわけですよ。ところが、伸び率は三三・六%も伸びておるのに、地元、要するに地方公共団体に対してはいまお話しをするように二一・七%増しのそういうことでは、郵政大臣としては非常に私はまずいんじゃないか、簡易保険そのものの精神からいっても非常にまずい結果ではないかというふうに思うが、郵政大臣はどう考えておられますか。
  98. 野田誠二郎

    野田政府委員 簡易保険の資金につきましては、大体毎年の運用計画におきましてその総額の三分の一程度を地方公共団体に計画として回す、こういう計画を立てております。しかし、これは必ずしも毎年固定的なものでございませんで、その伸び率等も年度年度によって異なるわけでございます。特に私どもとしては本年度の課題として、簡保資金の利回り向上ということを強く希望いたしておりました。地方公共団体に対します融資は御指摘のように非常に公共性が強いということから、必然的に金利も低くなるわけでありますが、そういう両面の要素から、四十九年度におきましては以上のような決定を見たわけであります。
  99. 土橋一吉

    ○土橋委員 先ほどからいろいろ討論をされ、あとで、簡易生命保険法の一部を改正する法律案を中心として平田議員からいろいろお話がありますので、私は主として積み立て金運用に関する部分をいろいろお聞きをしていきたいというふうに考えておりますので、ここでひとつ考えられることは、金利の問題が非常に大きな問題を占めておるわけです。この金利の問題についても私もよくわかります。しかしながら、簡易保険が持っておる、先ほど大臣も読み上げられましたように、きわめて簡易であるということ、しかも本人のいわゆる健康等についても医者の立ち会いその他によって証明を要しない、しかもその他の手続が非常に簡単である、そして全国至るところにそういう郵便官署があって非常にやりやすい、そして施設も全国にあっていろいろ利用していただいておる、こういうのが特色だというようなことをお話しになったわけですね。ところが、ここにこういうふうに第一条の規定はこの目的を書いているわけですね。その「目的」は、「この法律は、簡易生命保険及び郵便年金特別会計の積立金を確実で有利な方法により、且つ公共利益になるように運用することによって、簡易生命保険事業及び郵便年金事業経営を健全ならしめることを目的とする。」つまり経営を健全ならしめることを目的としておるわけですね。そうしてくると、金利の高いところというのはもちろんそれは望ましいことでもあるけれども、基本は、要するに健全な簡易生命保険事業経営していく、そして国民の負託にこたえる、こういうことになってくれば、金融債等に投資をするという問題についてはかなり制限があるといわなければなりません。また制限をすべきものもありましょう。そうなってくると、ここに書いてあるように、「確実で有利な」ということは、金利がいいということだけじゃないわけです。「確実で有利な方法」ということは、要するに、金利の高いものもけっこうであろうけれども、きわめてスムーズな方法で、しかも「且つ公共利益になるように」使ってくれ、こういう目的であるわけですね。いま私が解釈したようなことで間違いないのかどうか、簡易保険局長、どう思いますか。
  100. 野田誠二郎

    野田政府委員 積み立て金運用法の第一条の読み方は、ただいまのお話のとおりでけっこうかと思います。
  101. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、今回の簡易生命保険運用に関する法律の規定によると、ここにもはっきり書いてありますように、こういう改正をしようとしておるのであります。「第二 改正の内容」「一 積立金を政令で定める社債に運用できるようにすること。(第三条第一項関係)」であります。「二 金融債及び政令で定める社債に運用する積立金の額の限度を、積立金総額の、それぞれ、百分の二十、百分の十とすること。(第三条第二項関係)」こういうふうに第二の「改正の内容」を基本的にきめておるわけです。そうすると、つまり「政令で定める社債に運用できるようにする」これは一体どういう内容なんでしょうか。
  102. 野田誠二郎

    野田政府委員 現在の運用法におきましては、社債につきましては電力債ということで個別の制限列挙の方式をとっておりますが、これを今回改正お願いいたしておりますのは、こういう形でなく、簡易保険法一条の趣旨に沿う形で、社債につきましては、これはいろいろな種類のものがございますし、機動的に効率的に運用ができるように政令できめまして、たとえば現在電力債とあるのをこれを政令に移すわけでございますが、その他新しいものにつきまして政令をもってきめていくようにいたしたい、こういうことでございます。
  103. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、政令で大体予定しておる内容の社債というのはどういうものを予定されておるのですか。
  104. 野田誠二郎

    野田政府委員 これは簡易保険の資金の性格からいたしまして、当然に公益性の高いものということになるわけであります。現在考えておりますのはガス事業会社の社債、私鉄事業会社の社債、この二つを考えております。
  105. 土橋一吉

    ○土橋委員 事業面においては非常に公益性の高い面があると同時に、これらの業者が行なっておるところの事業の中には必ずしも公益性が多いというのじゃなくて、もうけを中心とする、たとえば土地の売買であるとかデパートの経営であるとか、あるいはホテルなどを経営しておる業者がこの中に入っておるわけですね。そして最近の趨勢から見まして、私鉄運賃などはいま異常にどんどん上がってくる、あるいはタクシーなどの経営もそうであります。バスの経営もそうであります。そういう業者にどんどん社債を買ってやるということになってくれば、これはむしろ田中政府のいわゆる高度経済成長政策に直接間接に協力をする——たとえばガス事業法によってガスのいろいろな仕事をやっているのも、御承知のようにプロパンガスその他の問題もございましょうし、都市ガスの問題もございましょうが、いずれにしても営利事業ですね。やっておる事業形態ば決して公益事業ではないわけであります。これは私鉄だって公共団体でやっていない。ただ日本でやっておるのは、御承知のように国有鉄道だけは公社組織をもってやっている。それ以外のすべての事業は全部営利法人で金もうけを中心に運営しておる。こういう社債がかりに利回りがいいとか金利がいいとかといいましても、結論は、先ほど大蔵省の方がお答えになっていただいて恐縮ですけれども、結局、高度経済成長政策のいわばお手伝い、あるいはそのために社債を買うという形式をとって、直接間接に私鉄業者あるいはそういうガス事業者を喜ばせるといいましょうか、事業を有利にするという結論でございますが、いかがでしょうか。
  106. 野田誠二郎

    野田政府委員 私ども考えております対象は、ガスの供給の事業、それから鉄道運送の事業、こういう形で規定をいたしたいといま考えておるわけでありまして、これは政府経済政策がどのような高度成長あるいは安定成長、このような政策をとっておりましょうとも、私どもが現在提案をいたしておりますこの積み立て金運用法の改正の趣旨は、運用範囲を拡大いたしまして、また保有ワクを広げまして、簡易保険の資金が結局国民大衆の零細な保険料の積み立てられた金でありますので、これをできるだけ有利に運用したい、こういう趣旨に発するものでありまして、いま先生のおっしゃったような趣旨といささか違う、このように私ども考えております。
  107. 土橋一吉

    ○土橋委員 簡易生命保険事業は、先ほどから申し上げておりますように、要するに国が低額の簡易な方法で国民保険をやっておるわけでありますね。そうしますと、あなたのほうのいろいろな簡易保険に関するそういう意見を見ましても、最近金利が物価についていけないために、こういう簡易保険制度のワクへ入ってくると非常に目減りをする。つまり先ほど冒頭申し上げましたように、この六月前後から異常に物価はまた上がってくる、したがって、いまかりに五百万とか三百万というそういう保険金を支払っていただくというふうに予定しておるものが、いまの電力料金等の値上げ等から考えますと、すべての物価が少なくとも六〇%以上上がることは必至じゃないかというように考えられるわけです。なおはね返ってくるものなどを加えると異常な値上がりになってくるわけですね。そういうことになって簡易保険そのものの事業経営が非常に危ぶまれておるということもあなたのほうのいろんな主張には書いてあるわけです。そして人件費等がかさんでくる、あるいは継続費やいろんな事業費がかさんできて簡易生命保険そのものの事業形態が危ういということもあなたのほうで説明されておるわけですね。こういう点から考えまして、金利の高いところへ飛びついていくというようなことでは、国家が生命保険契約者として保険金を払う立場から非常に問題があるのじゃないかというふうに私は思うのですよ。  それは、あなたのほうからきのう私のところへ送っていただいたこの「郵政」という雑誌を私、ゆうべいろいろ見ておったのです。そうしたら、ここにまた私が考えておると同じようなことを「簡易保険局」というところでちゃんと論文を載せておる。貯金のところも、それから郵務のところもございますね。こういう一連のものを読んでくると、明らかにそういう私が指摘しておったと同じようなことをここでもちゃんと書いてあるわけですね。こういうことについて一体あなたはどう考えておられるのか。——読みましょうか。いま私がしゃべったと同じことをここに書いているのですよ。これは四月一日にあなたのほうで出した文章ですよ。たとえば「最近の異常な物価騰貴も加わって、我が国生保事業は戦後最大の正念場を迎えています。このような時期にあって、簡易保険事業は、事業の基本をなす新契約募集が、昭和四十六年度以降伸び率が低下しており、特に、昭和四十九奨励年度の保険料実績は、過去十数年来最低の増加率にとどまっています。今後とも、現在のような低迷状態が続くとすれば、物価騰貴に伴う事業費の増加も加わって、三〜四年後には、附加保険料収入で事業費をまかない得なくなり、事業経営が苦境に立たされることが憂慮されます。」とちゃんと、あなたのほうで公に出したこういうだれもが読むのにもそういうふうに書いてあるわけです。そうすると、こういう基本的な問題を解決しないでおいて、ただ金利の高いところへ飛びついていくとか利回りのいいそういう社債にいくということだけでは、この基本的な、要するに物価狂乱状態の中において簡易保険事業を守っていくということはきわめて困難だとあなたのほうが資料を出しているのですよ。私がかってに言っておるのじゃない、あなたのほうがちゃんとこういう結論を出しているのです。どう答えますか。この狂乱状態に対してどういうふうに対処しておりますか。あなたのほうの資料にこういうことをちゃんと書いておるのですから……。
  108. 野田誠二郎

    野田政府委員 御指摘の雑誌「郵政」の記事はまさにそのとおりでございまして、これはわれわれ簡易保険に従事しております職員が、現在の簡易保険新規契約の獲得の状況からいたしますと、ここ三、四年あるいは四、五年後に相当な危機を迎えるだろう、このように予測をいたしております。したがいまして、そういう危機を迎えるだろうという予想に対しまして、総力をあげてそのようにならないようにわれわれ今後努力をしていこうということで具体策をいろいろ持っておりますが、今回お願いをいたしております積み立て金運用法の一部改正法案もやはりそういう事態に立ち至らないための一つの基本的な施策一つである、このように考えております。ただ御指摘の、金利が高く有利でありさえすれば何でも飛びつくかといいますと、そういうわけではございません。これは先ほど来申し上げておりますが、積み立て金運用法の第一条にございます当然公共利益に合致するような対象、しかも有利なものの中からさがしていく、こういうことにしておるわけでございます。
  109. 土橋一吉

    ○土橋委員 原田郵政大臣にお尋ねをいたしますが、ここでもそういうふうに非常に憂慮して、特にわが国の生命保険は「アメリカン・ライフ社の日本人向け営業開始、あるいは、最近における米国大手生保の進出認可申請等、商品種類やセールス面で特色を持つ外国生保の上陸によって、業界内部における競争が一段と激化しています。」これは事実だと思うのです。一面そういうことをやっていながら、しかも国内において御承知のように農協の保険あるいは一般の日本生命などをはじめとする保険業界との戦い——戦いというのか、お互いにせり合いながら、こういう事態が物価狂乱状態によってつくり出されておる。これに対する基本的な措置をきめないでおいて、ただ三百万を五百万にする、あるいは富くじ的なそういう簡易保険を発行して多くの方々の金を集めてくる、そうしてその集まった金はまたインフレを促進するようなところへどんどん使っておる。それでは全くこの簡易保険事業を通じて田中自民党政府は、国民の窮状の上にさらに上積みをして、おまけにアメリカのそういう保険も入れておいて、一体どうしてくれるのかということをこの従業員は端的にここで訴えておるわけですね。そうすれば、これをいま上げるというような問題の前に、簡易保険制度を将来どうするか、つまりこの悪性インフレに強い保険制度をつくっていくためにはどういう措置を講ずべきかという基本問題になってくるように私は思うわけです。今度の「資金運用制度改善」というところで、ここにもこういうふうに書いてあります。これは「民間保険においては、外国生保の進出に伴う無配当保険の発売、高額割引制度の導入と消費者運動の高まりに対処し、かつ最近の異常な物価騰貴による保険の実質価値の低下を補う等のため、保険料を引き下げるとともに、既契約に対しても大幅な増配を行うことを検討しています。」この「増配」というところは先ほど論議されておる問題であると私は思うのですが、結局郵政大臣としては、こういう事態の中でこの簡易生命保険制度を守り通すためには、どういう基本的な態度をとるべきかという問題をどうしても私はあなたにお聞きして、明確なことをひとつ答えていただきませんと、こういう一部分の、つまり三百万が五百万になったとか、あるいは金融債を買うとかというそういう分野にとどまらずして、こういう大きな問題をどう処理するかという問題を聞いてみたい。
  110. 原田憲

    原田国務大臣 根本は、いわゆる狂乱物価といわれておる物価問題、これが基本なわけです。特に貯金とかあるいは長期におけるところの保険事業というものは、これが一番影響されるところで、いま御議論があるような問題はすべてここに集約されておる、私はそう思っております。それを抑制するためにどうするかということについていろいろ方策があるわけでございますが、いまは具体的な問題として、簡易保険事業の中でこれを抑制しながら、この加入者に対するところの利益をもって国民生活経済生活の安定と福祉を伸ばしていく、こういうことを考えていかなければならぬ。これが保険使命でありますが、ここに掛け金をかけて何にもなかったら果実は生まれてこないわけでございます。その果実を住むために、いまあなたがおっしゃっておるように、果実が多いためには高い金利のところへ預けたらそれは果実がふえてくるということになりますけれども、それではあなたのおっしゃっておるところの公共目的ということになりますと、地方債であるとか、地方の仕事であるとか、あるいは福祉関係の仕事というと、これはその享受をされる人たちはできるだけコストの安いもので運営をされていきたい、こういうことになりますから、ここに非常に微妙な問題があるわけでございますが、やはり掛け金をかけておる人たちは、約束して何年かかけたら何百万円もらえるということになっておるけれども物価が高騰してくるとそれだけの値打ちがないのであるから、それを補うものをどうしてくれるんだ、こういう話が出てくるわけです。それに対しては、保険料を安くするとか、あるいは剰余金があったらそれを多く持っていくとか、こういうことによって皆さん方の期待にこたえなければならぬ。こういうことの集約された議論が今日御提案申し上げておりますように、できるだけ広く、有利に、法律に書いてあるのですからやりなさいということで、いま——ちょっと話があちこち飛びますけれども、たとえばガス事業に。今度はガスの社債を買えるようにする、あるいは私鉄の社債を買えるようにする。いままでは電力まででありましたけれども、それを買えるということにする。これは土橋さんの話をお聞きしていますと、確かに電鉄会社は土地の仕事もしております。百貨店も経営しております。しかし、本来それでどんどんもうかっておるなら、電鉄事業というものは通にそちらを援助できた。本来の電鉄事業というものがなかなかもうからない。もうからないというと何ですけれども、うまく進まないものだから、そっちのほうが仕事の主力というような場面が展開されるようなことになってくる。だから、これは私営であれ公共事業であれ、この交通事業を見ておりますと、地方公益団体がやっておる、たとえば都営の地下鉄事業を見ましても市営の地下鉄事業を見ましても、決してうまくいってない、赤字になっておる。これに融資をすることによって、コスト計算しておるのですから、これは認可料金なんですから、認可料金をそのほかのものより高くするわけがないのです。ほかと比べたら全部こまかく計算していくのですから、抑制するものは一番抑制していると思う。それによって享受されるのですから、そこに金を貸すということについて、こちらもうまくいけば向こうもうまくいく、両方ともうまくいくことによって、その地下鉄なら地下鉄に乗るお客さんもそれによってあまり料金も上がらずに済む、こういうことができたら一番いいじゃないか、こういうことの集約が今度の私どもが御提案をしておりますところの目的であるわけでございます。それも無制限に何でもやらしてくれというのではない。政令に移管はいたしますけれども、頭から公共のものでないといかぬぞという法律がございますから、これも心得てまいります、また、政令といえども、これは審議会がございますから、それにかけまして答申をいただいてやってまいります、こういうことでございますので、御理解を賜わりたいと存じます。
  111. 土橋一吉

    ○土橋委員 大体あなたの御説明は私は理解はできます。非常によく理解はできます。しかし、それは悪循還の蒸し返しであって、結局自由民主党がいま考えておる、いわゆるあの人たちの幹部の高度経済成長政策あるいは日本列島改造を大幅に削減をするか、あるいはその方向を切りかえて国民の生活を守るかという観点に切りかえなければ、この問題は解決できないのであります。つまり基本は、高度経済成長政策といわれる池田さん以来十数年間にわたるこの体制を、国民の生活を守るという方向に大きく切りかえませんと、この問題はどうしても解決しないのであります。ですから、あなたはそういうふうに仰せにならぬけれども、私たちはこの高度経済成長政策——あるいはこの土地規制の問題にしましてもそうです。最近の土地規制問題、すでにもうあなたもよく御承知のようにあれだけもめております。もめておっても、結局生活用地取得という問題については結論を出していないわけですよ。あれは大企業が要するに安い値段で買った土地を強制収用するという基本原則を自由民主党は認めてない。ですから、幾らたってもごたごたして基本問題を解決しないから、いわゆる国土総合開発的なそういう法案にもあらわれてくるということなんですよ。ですから、私は端的に言って、いわゆる歴代自民党の高度経済成長政策や日本列島改造というものについて大きく斧鉞を加えなければ、この基本問題は解決できない。あくまでもこの悪循還を繰り返していくわけです。しかも対米従属的な、要するに、保険問題についても、先ほど私読み上げましたようにアメリカン・ライフ社の日本向けに入ってくる問題なんかは、これは明らかに日米安全保障条約第二条の規定に基づいてこういう事態が起こっておるわけですよ。ですから、私たちはここではっきりと、優秀な原田憲郵政大臣がおられる現内閣において、これを大きくとめる、大幅に削減する措置をするという体制をとらなければ、この問題は解決しないのです。もし続けてあなたが郵政大臣をしておると、また次の国会でもこんなことを繰り返して、そしてまた五百万円が足らないので八百万円ということになってくるわけです。ですから、この田中政府の高度経済成長政策のこういう体制をやめさせなければ、この金融債の問題だって解決しないのですよ。  一つ言いましょう。これまでは全部合わせましても一五%なんですよ。今度はこれが、つまり使う金が三〇%にのし上がってくるわけです。今年度は大体五百億を予定しておるということになっておるけれども、そうすると端的にあなたもおわかりのように、私も目の子で計算しますと、要するにいま一兆円の三〇%まではそういうところに使うという形をとる。この次はもっとそれが増してくるですね。そして増してきたものについてまた大体三〇%使う体制をとってくるというようなことになってくると、逆に物価は上がってくるし国民は苦しんでくる、こういうことを反復するわけです。ですから私は、すみやかにこの基本問題を解決するためには、田中政府のいわゆる高度経済成長政策や、日本列島改造に関する大幅の削減やその曲がりかどをきちっと正しくしなければ解決をしないというふうに考えておるのであります。  特に簡易保険において射幸心をあおるというようなことは、先ほどあなたも積極的じゃなかったという御説明があって、私は幾らかの安堵をあなたの顔色を見てしたわけですけれども、こういうことをやるということは、先ほど阿部委員がるる指摘をしておりましたように、結局一つの生命をかけたいわゆる定額保険にそういう射幸性まで持たせなければならないほど、率直に言って政府簡易保険事業があさましい姿になっておるわけですね。まことに情けない状態になってしまっておるわけですね。ですから私はこの保険法の第一条の目的や第二条の基本方針からいうならば、当然郵政大臣としては地方還元——地方還元は利が少ないかもわからない、しかし地元のためとか、あるいは保険契約者に対する貸し付け制度をどんどんしていくという体制をとるべきであって、第一、この前も指摘しましたように、会計面では簡易保険事業郵便事業は受託業務だなんという項目の中に入れておるのです。どこから受託したんだと聞いたってわけがわからない。つまり簡易保険事業は国家の事業で、しかも郵政大臣の所管をする事業である。その事業が会計面では受託事業というようになっておる。電電公社の電話とか電報の下請をしておるのと同じように、下請でございますというようなことを言っておるのですね。こういう郵政省の姿勢ではこの問題を解決することはできないわけです。郵政大臣どうお考えですか。
  112. 原田憲

    原田国務大臣 最後になるといつも土橋さんとそこで衝突をしてしまうのですが、これは見解の相違と言ってしまったら味も何もないからそんな言い方はいたしませんが、やはり保険事業というものを考えていくと、これは自分が掛け金をして、それを預ったものが果実を生んで、そしてそれによって自分がまた享受をするということでございますから、保険事業というもののあり方ということから考えてまいりますと、現在私どもが申し上げておることは自分もまあ理解ができる、こういうことでございましたが、理解をしていただけますならば、その中での御議論を賜わりたいと思うことは、あなたのおっしゃるように、いま田中内閣も高度経済成長政策についての延長をどんどんやっていこうということは考えておらないのでありまして、総需要の抑制ということを言って、ここらあたりで政策の転換をしていかなければならないということをいま議論しておることは、土橋さんはもう百も承知でおっしゃっておると私は思うのであります。したがいまして、私どもはこの中で、まあ保険事業の話をいたしますと、今後総需要を抑制するということをやって、狂騰しておる物価を押えることによっていまのすべての議論がわかった、こういうことになってくると思うのです。私はそういう姿勢でこれからも進んでまいりたいと思います。  あなたの議論の中には、各方面にわたりますからいまの射幸心の問題も出てきましたが、私は先ほども率直に答弁いたしたのでありますが、このくじつき割り増しの保険あるいは貯金というものも、それに主眼を置いてどんどんやろうという姿勢ではないので、いまの保険の中で少しは楽しみを持ってやっていただきたいということのほうに気持ちがあるのでございまして、くじが高いからどうぞ買ってください、こういう方向へは行っておらないというふうに御理解を賜わりたいと思うのであります。     〔委員長退席、加藤(常)委員長代理着席〕 土橋さんも長い政治の経験をお持ちで、いろいろな方向で苦労をされてきたことでありますからなにですが、わが自由民主党の政府もお互いに苦労をしながら、国民のしあわせを追求しながらやってきておるということについて目的は一緒なんでありますから、ただその方法が少々違う。その方法が違うことによって、もうこれはやめてしまわなければだめなんだ、こうおっしゃると見解の相違だと、こういうことになってしまいますから、私の申しておることもよくひとつ御理解を賜わりたいと思うのであります。
  113. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は原田郵政大臣をやり込めるとかいじめるとか、そういうことじゃないのです。再三申し上げておりますように、まず第二条の規定に従ってあなたの権限をもっと拡大をして、それでかりに審議会が答申をしましても、やはりあなたの持ち前のりっぱな、地元の問題を早急に一夜にして解決するとか、そういういい面を伸ばしていただくためにこれだけ私はサゼスチョンをしておるつもりなんですよ。決してあなたをいじめてというんじゃなくて、郵政大臣として、第二条の規定があるんだから、地元還元をするとかあるいは地方財政投資をどんどんやるとか、あるいはいま来るアメリカン・ライフとかいうようなそういう保険会社に対しても、これは日本の現状に合わないというふうにしてまず政府及び農協の保険なんかをどんどん守って、国民の生活を守っていくということを私はあれだけ言っておるのですから、その点はあなたと意見は決して違っておるわけじゃないのですよ。ただ、大きく曲がりかどへ来ておるものはここで是正すべきであるということを申し上げておるのです。  あとこまかいいろいろな問題はありますよ。財投の問題、使い方なんかですね。あるいは地方債の購入についてもちゃんとここでいろいろ説明されておるのですよ。成田さんという方がいろいろよく説明しておるのですよ。その根本は、いま申し上げた第二条の規定を生かすか生かさぬかというところにあるんだということをあんなに私は言っておるわけですよ。
  114. 原田憲

    原田国務大臣 私は郵政大臣といたしまして田中内閣の中でできるだけ努力をいたしまして、先ほどの審議中にも、自分の郵政大臣として与えられておる権限を十分に発揮しなければならないということで、大蔵当局に対しても御質問がありました。これに対して、大蔵当局といたしましても十分今後検討していくという答弁もあったことはお聞きのとおりであります。私は郵政行政の中で全力をふるいまして、国民の皆さん方に、この法律の第一条にいっております国民経済生活の安定をはかって、福祉を増進するという方向に邁進をしたいと思います。どうぞよろしく御指導、御鞭撻をお願いいたします。
  115. 土橋一吉

    ○土橋委員 最後に大蔵省の方に私はちょっとお聞きするのですけれども、租税というのはどっちかというと徴収についてはあまり手数がかからないといわれておるものなんです。したがって、租税は一般会計においていろいろ使っておりますが、簡易保険なんというものは、異常な困難を伴う中で足を運んで集めてきて、そしていろいろな計算の上に一定の金もやはり保有しながら事業をやっていく。ここにも書いておるように非常にコストのかかった資金であるわけですよ。従業員の汗みどろの奮闘の結果出てくるところの、いわゆる預託をされた、国民から信託を受けたところの財産であるわけです。したがって、この財産の利用については、私は当初から言っておるように、あなたのほうでどういう計画をしておるのか、大蔵大臣何を考えておるのか知りませんけれども、要するに、地方公共団体に対して三〇%だというようなワクをきめておることがまことにけしからぬと私は思うのですよ。つまり、それだけの非常にコストのかかった金を、あなたのほうで銀行業者のような気持ちでいろいろ配分をしておりますけれども、この資金の吸収には郵便貯金よりも金がかかっておるわけです。ですから、ここに書いてある郵政事業特別会計二百六十億、これは親類筋だからいいですよ。その次の政府関係機関というようなものや、あるいは公団関係、その次の四番目に地方公共団体に今年度は三千二百五十億。その伸び率も先ほどから何回も私聞いておりますように非常に低い。全体が三三・六%も伸びておるのにかかわらず、これは非常に低い。こういうような金の使い方は私は正しくないと思うのですが、もう少し簡易保険や年金の方々の集めた苦労を十分考えて、それで簡易保険法第二条の規定をほんとうに存分に生かしていくというようなことを一体大蔵省は責任をもって答えることができるかどうか、最後にお聞きいたします。
  116. 野田誠二郎

    野田政府委員 これは先生も御承知のように、積み立て金運用法第二条によりまして、簡易保険積み立て金は郵政大臣が管理、運用しておるわけでございますので、四十九年度の運用計画につきましても郵政大臣の責任において国会に提出をし、可決をいただく、こういうことになっておりまして、大蔵省はけしからぬ、こういう性質のものではなく、これは郵政省の責任において処理をしておる問題でございます。
  117. 土橋一吉

    ○土橋委員 大蔵省はけしからぬということばは一回も私は言っていないわけです。そう聞き取れたならば私は訂正をいたしますが、結局大蔵省はそういう細分割の場合に、地方公共団体優先の立場をとるべきではないか。つまり三〇%で押えておいて、あとは郵政事業政府関係事業、公団関係に金を使うという、そういうワクを、だれがきめたか知りませんけれども、そういうことにならないようにやるべきじゃないかということを私は言っているわけなんです。大蔵省、どうですか。
  118. 山口光秀

    ○山口説明員 簡保の運用計画は郵政大臣がおきめになって国会にはかるものでございますけれども、全体の財政投融資計画の一環をなすものでございます。従来も郵政省とよく相談しながらやっているわけでございますが、今後もそういうことでやっていきたいと思います。
  119. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、大蔵省は郵政大臣とよく相談をするということを言っているのですから、やはりいま超過負担で各市町村も非常に困っておるし、異常な状態であります。これは私の三多摩地方だけじゃございません。東京だってそうでございますし、おそらく大臣の地元の大阪においてもそうだと思うのですよ。そうすれば国民が実際困っておる学校を建てるとか保育所を建設をするとか、そういう諸問題をまず郵政省としては取り上げる体制を今後強く私はお願いをしたい。そうして、ここに書いてあるような金融債が五百億なんて、こういうところ、これも決して全部悪いとは申しませんけれども、これがだんだん高じてくるわけですね。ですから、今日、先ほどもお話ございましたように、いま今日は低いかもわからないけれども、これはしょっぱなの一つのアドバルーンを上げたわけですね。これはだんだん三〇%までもこういう方面に使われてくると、この地方公共団体に投資をする関係はますます薄くなってくるというような気がするわけです。ですから、こういう点を今後ひとつ大いにふんばっていただいて、地方公共団体のために——これは出ておりますね。あなたもごらんになったですか。なかなかいいところをやっているじゃないですか。家庭のこういうところも出ておりますよ。それからこれなんかどうですか。こういうことの事業に関与しておるなんてきれいな写真を出しておりますように、こういう中身のあるところのほうへひとつ金を使うということと、射幸心等はあまりそそらないで、健全な方法は幾らもあるわけですから、こういう点をひとつ強く要望しまして——今度のこの簡易保険の資金運用に関する法律については、私は賛成しがたいわけです。いまこういうことでは、これを根本的に変えて進めることが必要だというふうに考えておりますので、最後の詰めをこれで終わりますから、大臣もひとつよく考えていただいて、そういう点において成功をおさめることができますよう私は念願をして質問を終わります。
  120. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員長代理 午後一時四十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十四分休憩      ————◇—————     午後一時五十九分開議
  121. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。久保等君。
  122. 久保等

    ○久保(等)委員 最初に、郵政省でお出しになっております「昭和四十七年度郵政統計年報保険年金編」、この中にいわれておりますことでちょっとお尋ねしたいと思うのです。  一〇ページのところになるのですが、戦前の簡易保険の契約高、これは当時国民所得の約四〇%近くになっておった。しかし、一方民営生命保険は当時やはり国民所得を上回る状態であった。ところが、最近における簡易保険、先ほどもいろいろ御質問なりあるいは御答弁があったと思いますが、当時四〇%を占めておったのが昭和四十七年度でも二一・四%といったようなことで、比率から申しますと約半分程度になっておるようです。しかし、もちろん終戦直後異常な状態ですから、がた落ちに落ちて、それから徐々に少しずつ伸びてまいって、昭和四十七年度が、いま申し上げたように二一・四%というようなことになっておるようですが、戦前と比べると、いま申し上げたように約半分程度の比率に落ちておる、こまかいことは別として、これは理由は一体何だろうかというように非常に不審に思うわけですし、もちろん民保と比べるとその開きも、戦前における状態と比べると、戦後ますますこの開きが大きくなっておる。戦前ではおそらく民保の約三分の一程度ではなかったかと思われるのですが、現在では民保のほうが、昭和四十七年度の場合一六〇・一%ということになっておりますから、約八対一ぐらいの比率になっておると思うのですが、ここらのところ、どういうところに主たる原因があるというふうにお考えになっておるのか、御説明願いたいと思います。
  123. 野田誠二郎

    野田政府委員 御承知のとおり、戦前は簡易保険が独占でございました。したがって、おのずから民間保険の分野と、それから簡易保険の分野というのが一定の比率で推移をしていった、このように思うのでありますが、戦後、簡易生命保険の独占規定が廃止になりましてから以降、先生御指摘のように逐次簡易保険国民総所得に対する比率というようなものが下がってきておる、最近また徐々に回復に向かいつつある、このようになっております。  原因につきまして、おおよそ考えてみますに、二つあろうかと思いますが、第一点は、保険種類、要するに保険商品の種類の差によるものだろう、このように考えております。と申しますのは、これは保険契約高でございますので、当然定期保険とか、そういう安い保険料で非常に高額の保障を提供するというような形の保険につきましては、契約高が大きくなります。ところで、民間生命保険におきましては、普通の養老保険から定期つきの養老保険に移行した年代というのが相当早うございまして、昭和三十三、四年ごろから二倍型あるいは三倍型の定期つき養老保険を発売を始めました。四十四、五年ごろからは五倍型、十倍型あるいはそれよりもさらに大きな大型保障商品へ移行する、したがって当然に保険金のみが大きくなってきておるわけであります。これに対しまして、簡易保険につきましては、御承知最高制限額の制約等もありまして、三十九年に初めて二倍保障型の定期つき養老保険を売り出しました。四十七年に三倍型の定期つき養老保険を売り出した。しかも現在でも、十年あるいは十五年の普通養老保険というような、保険料は相当高いわけでありますが、保険金がそれほど大きくない保険種類が主力になっておる、この保険商品の差に基づくものが原因の第一だろう、このように考えます。  第二点といたしまして考えられる点は、保険の外務員数の差がまず考えられるのではないか、このように考えております。三十五年度から四十七年度までの間をとりますと、簡易保険の外務員は、この十三年間におきまして七・三%の増であるわけであります。これに対しまして民間保険の実働外務員数というのは約二倍になっておるわけでありまして、それだけ募集力が簡易保険よりも強くなったことに第二の原因があろうか、このように判断をいたしております。
  124. 久保等

    ○久保(等)委員 いまの御説明であらかた理解できるのですが、民間のほうが非常に、いま言ったような優位性にある点から伸びたということが主たる原因だと思うのですが、ただ、戦前あたりの比率、いま私が申し上げたように一対三、おおよその全く大づかみの比率でありますが、一対三ぐらい、まあ現在は一対八ぐらいというような形になっておるわけなんですが、いま言った要員の問題、これは確かに端的に成績の上にあらわれてくると思うのですが、そういう点から考えると、今後の簡保のあり方として、やはり今後の積極的な簡保発展を考えてまいるとすれば、いま言った要員の問題なんかについても、わずかに七・三%程度ふえたという程度のあり方では、この簡保の発展というようなことを期待することは無理だろうと思うのですが、要員面では、その七・三%というその要員のふやし方、これはどういうところからふえるのですか。何かある程度の目標を持ちながら増員を考えておるのか、結果的にたまたま七・三%ふえたということなんですか。もう少し積極的にやっていこうとすれば、私は当然要員問題、これは新種なんかの開発という問題ももちろんありますが、いま端的に御説明のあった要員問題、これは当然主力になるわけですから、この要因の増になった根拠というものはどういったところから出ている数字なんでしょうか。
  125. 野田誠二郎

    野田政府委員 御承知のように、簡易保険事業国営の形態で運営されております関係上、どういたしましても民間保険のように自由濶達な増員というようなことができないわけでございます。あまつさえ、他の一般行政官庁と少しは現業ということのゆえにその率は違いますけれども、やはり行政機構の改革なりあるいは定員の縮減ということをずっと重ねてきております。  なお、簡易保険事業の要員需給関係の内容から申し上げますと、募集に要します要員の増というのはここ十数年ほとんど認められておりません。集金要員の増、これだけがどうやら、先ほど申し上げましたようなわずかな数字でございますが、件数増に伴う集金要員の増あるいは内部事務の増加に伴う要員増というのが認められておる程度でございまして、その中からまた一般行政庁と同じような、率は少し違いますが、やはり要員の縮減と増員とが繰り返しずっときておる、こういうふうな実情でございまして、なかなか要員の増加ということが困難な現状でございます。
  126. 久保等

    ○久保(等)委員 今度もこの改正法案が出されておるわけですから、当然事業の伸びということは予想されるわけですし、こういったことについて、いま言った要員の問題等考えておられると思うのですが、増員等、今後の問題としてお考えになっておるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  127. 野田誠二郎

    野田政府委員 今度といいますか、今回簡易生命保険法改正お願いをしております割増金付簡易生命保険の発売等につきましては、四十九年度におきましてはさほど事務量の増高を来たさず、ただ、くじ引き票の交付程度で済むだろうと思います。したがいましてここで特段の要員措置ということは現在考えていないわけでございますが、五十年度になりますと、今度は当せん金の交付とかそういう作業が加わりますので、あるいは要員増というような数字が具体的に出てくるかと思います。そういう際には、当然要員措置ということに考えたいと思いますが、四十九年度等につきましては、さしむき超過勤務なりあるいは賃金、もし必要があるとしますればそういう面で処理をしていきたい。いずれにしましても労働過重にならないように配意をしていきたい、このように考えます。
  128. 久保等

    ○久保(等)委員 もちろん国家公務員ということで定員等がきちっときめられておるわけですし、定員法等の制約もありますから非常にむずかしい面があろうと思うのですが、しかし仕事の実態というものはあくまでも、何といいますか、民間企業でやっておりますと同じような事業、ただし目的がよほど違っておると思うのでありますが、事業そのものは、したがって民間との競争に直面をせざるを得ない事業でありますだけに、必要な要員はやはり要求すべきであるし、また政府としても当然要員は考えていくべき問題だと思うのです。したがって、定員法によるワクといったようなことで何か一律に、行政整理なりあるいは人員の削減問題等ではいつも画一的にやられる、あるいは経費の節約ということになりますると一律にやられる、ここが私は非常にいわゆるお役所式のやり方だと思うのです。この要員問題について、さしあたってこの四十九年度には考えておられないようでありますが、今後の五十年度以降あたりには当然今回の法改正に伴っても要員増が考えられるわけですししますから、そういったことに対してひとつ大臣のほうで一言御答弁を願いたいと思うのですが、大臣、どんなふうにお考えになりますか。
  129. 原田憲

    原田国務大臣 事業経営につきまして、先ほどから御質問に答えて局長が申しておりますが、民間との差が大きくなってきておる理由の中で、民間事業者のほうはいわゆる勧誘員をたくさん持ってやっておる、それに対してわがほうは国家公務員という立場でやっておる、そこらのことも一つ理由であろう、こういうことを答えておるのでありますが、確かにそういう面があろうと思います。ただ、これから事業を伸ばしていく面におきましても、民間保険者のほうでもいわゆる勧誘員を定着さすことがむずかしいという状態になってきておるようでございます。それに比べますと、わがほうは国家公務員として身分を保障されて十分働き得るという立場に置かれておりますから、そこらの質のよさというものを十分発揮するとともに、もちろん人がようやらないことをわれわれ国家公務員だからやれるというものではございませんから、なおそこらのところには十分配意をいたしまして事業運営が進んでまいるようにいたしていきたいと存じます。
  130. 久保等

    ○久保(等)委員 このことについては今後とも大臣のところで十分にお考えを願って、必要な要員についてはやはり確保してまいるということについての御努力を願いたいと思うのです。  次にお尋ねいたしたいのは、これまた郵政省のお出しになっております「郵政経営統計」のことしの一月ですか、ナンバー九四という青表紙の冊子がございますが、この中の四四ページのところに簡易生命保険の資金運用状況というものがあります。ここに運用種目が載っておるのですが、この種目にのっとって運用利回りをひとつ御説明願いたいと思うのです。有価証券、貸付金というように大きく分け、さらに有価証券の中に国債、地方債その他分かれておるようですが、利回りが一律にどうこういえないいろいろなものが、株式なんかも入っていると思うのです。平均しておおよそどの程度になるのか、大づかみでけっこうですが、利回りがどうなっておるか御説明を願いたいと思うのです。大体ほかのプリントも同じような種目の分け方をしているのじゃないかと思うのですが……。
  131. 野田誠二郎

    野田政府委員 先生お手持ちの資料とはちょっと違うかと思いますが、大体運用対象別によります利回りにつきまして申し上げたいと思います。  四十九年度の運用計画に計上いたしました長期運用の融通利率を申し上げます。契約者貸し付けでございますが、普通貸し付けが六%、振りかえ貸し付けは四・八%でございます。財投に計上いたしております貸し付けにつきましては、地方公共団体、住宅金融公庫などの大部分が財投基準金利の七・五%になっております。国鉄、住宅公団、電源開発に対します貸し付けが八・二%。以上が貸し付けであります。  次は財政投資融に計上いたしております債券について申し上げますと、原則として市中消化の条件と同一であります。道路関係——首都高速、阪神高速を含めまして道路三公団、これの大部分が八・三三七%でございます。帝都交通営団債は九・一九一%、それから商工中金の利付き債の八・五%、この二つが例外になっております。  なお財政投融資ワク外運用利回り、これも市中消化の条件と同じでございまして、利付金融債八・五%、社債が九・一九一%から九・三九三%の範囲内の利率になっております。
  132. 久保等

    ○久保(等)委員 郵政の貸し付けなんかの場合にはどの程度になりますか。それから、国債、地方債というふうに分けるとどういうことになりますか。それから、資金運用部の預託金はどういうことになっておりますか。
  133. 野田誠二郎

    野田政府委員 郵政事業特別会計に対します貸し付けば一般の標準ものと同じでございまして、七・五%ということになっております。  なお資金運用部預託金につきましては、簡易保険事業会計の決算が済むまでの年度の金というのは資金運用部に余裕金として組み入れられております。決算が済みました後は積み立て金になるわけでありますが、これは即座に全部積み立て金として取りくずすということでなくて、一部がやはりしっぽとして資金運用部の中に残るわけであります。これは余裕金ではなく預託金という形で、非常に少ない額でございますが、残っております。したがいましてこれは非常に低い金利ということになるわけであります。(久保(等)委員「どのくらいになるのか」と呼ぶ)その期間によって違うわけでありますが、資金運用部に預託しております融通利率が年間四・五%でありまして、特利として年一・五%の利率、これは一年以上三年未満の償還期限がついておるものであります。なお、それより以下短くなりますと、三月以上一年未満、これは三・五%でございます。さらに短くなって一月以上三カ月未満、これは年に二%の金利しかつかない。こういうことになっております。
  134. 久保等

    ○久保(等)委員 国債、地方債は。
  135. 野田誠二郎

    野田政府委員 地方公共団体に対する貸し付けは、長期、短期とも年七・五%でございます。国債につきましてはやはり七・五%、こういうことになっております。
  136. 久保等

    ○久保(等)委員 おおよそ御説明伺って理解できるのですが、いずれにしてももちろん運用利回りには高低があるわけですし、特にこの資金運用部預託金の最属で四・五%という御説明なんですが、金額にするとけっこうやはり相当な金額になると思うのですが、四十八年度が百五十五億くらいですか、四十七年度はわずかですが、わずかというか少し下がっておりますが、いずれにしても百億前後の預託金、これの利回りもやはりもう少し——これは特に大蔵省との関係の問題ですが、預託金は大体短期のものだということで非常に利回りが少ないようですが、こういったことについてはできるだけむしろ預託金を減らしてまいる、こういった必要があるのじゃないかと思います。少なくとも高利回り運用考えておられることは当然だと思うのでありますが、なおいま申し上げた、あるいはお聞きした限りにおいても、高利回り運用について一そうの御努力を願いたいと思うのですが、今回の法律改正に伴って、利回りのいい金融債だとか社債の保有限度額をそれぞれ引き上げて広げよう、拡大しようということで法案を提案されておるのですが、従来、金融債の場合百分の十であったものを二十に、それから社債について百分の五であったものを十にしようという提案なんですが、四十六年あるいは四十七年、四十八年、ここ両三年、金融債なり社債なりにどの程度振り向けられておったのか、その実際の実績はどの程度のものになっておるのか、御説明願いたいと思います。
  137. 野田誠二郎

    野田政府委員 ただいまの御質問でございますが、金融債、電力債の保有額及びその占率は月ごとに締めますので、平均的に何年度は幾ら、幾らということはちょっと申し上げにくいわけでございますが、昭和四十六年度の、昭和四十六年の四月から昭和四十七年の三月までの間の推移を見ますと、積み立て金中に占めます金融債の割合を先に申し上げますが、四十六年年度初めの四月に六・六〇%、金額にいたしまして千六百七十五億円を持ってございます。これがずっと少しずつ動いていきまして、昭和四十七年の三月、年度末には一千六百四億円ということで、六・三一%になっております。次に、四十七年度について申し上げますと、四十八年の三月、つまり四十七年度の末におきましては二千三十一億、積み立て金中に占める比率は六・六六%になっております。四十八年度に入りまして、四十八年十二月現在におきます金融債の保有額、これは二千八百六十六億、パーセンテージで七・六九%でございます。  なお電力債につきましては、四十六年度、四十七年度におきましては新規の運用はございませんで、四十八年度に入りましてほとんどパーセンテージとして、比率として上がってくるほどの数字はございませんで、一けた台であります。たとえば四十六年度中は大体八億とか六億とか、そういう数字でございますが、四十八年三月に入りましてはじめて二十五億という二けたの数字を持っております。それは逐次ふえまして、四十八年十二月末に百三十一億の電力債保有をいたしております。これも積み立て金中に占めます比率は〇・四%ということになっております。
  138. 久保等

    ○久保(等)委員 いまの御説明でもわかりますように、結局保有限度のワクから見ますると、金融債にしても六・数%といった程度ですし、また社債の保有限度ワクから見ましてもわずかに一%に満たない低率なんですが、そういう点から申しますると、現在の現行制度のもとにおける金融債の百分の十、あるいは社債の百分の五、こういったワクにはまだ相当な隔たりがあると思うのですが、なおかつ今回倍程度の保有限度のワクを広げようというこの運用法の一部改正法案が提案されておるのですが、これはどういうところにこういうワクを今日の時点で拡大しておこうというのか、その理由をひとつお尋ねしたいと思うのです。
  139. 野田誠二郎

    野田政府委員 先ほど申し上げました数字のほとんどの部分は、実は長期運用に回すまでの簡易保険の資金の余裕と申しますか、そういう手持ちの資金を短期融通で回すことにいたしまして、金融債なり電力債を保有した金額でございます。長期に回し得るのは、実は四十八年度四百億、それから四十九年度、これは来年度でございますが、一応財投ワク外として五百億が認められたわけでございます。今後正式に長期として計上されますのは、実は四十八年度からであります。したがいまして、実は先ほど申し上げました四十八年度から電力債等が急激にふえておりますのはそういう意味合いでございます。今後長短期合計いたしました場合には、四十八年度の四百億と四十九年度五百億、これが積み重なっていくわけであります。その上に短期融通による金融債なり電力債の保有ということがその上に積算されますので、現行の保有のワクというものだけではやはり足りなくなる、こういうことになるわけでございます。
  140. 久保等

    ○久保(等)委員 この資料を持っておられぬようですから少しお答えにくいかもしれませんが、これは四十七年、四十八年の積み立て金運用に関する構成比が載っておるのですが、いまお話が四十八年度云々というような御説明があったのですが、これは暦年と見えて四十八年となっている。四十八年における資金運用の状況が載っておりますが、これを見ますと、電源開発債が構成比の面から見ると〇・一%、それから社債、株式〇・三%、合計して〇・四%、それから金融債が六・六%ということになっておるわけでして、こういった事情から、今度は四十九年ということになるのですが、もちろんこれは現在も進行過程ですからわかりませんけれども、四十八年一年間における実績はいま私が申し上げたような実態になっておるのですが、そういう観点から見ると、私は先ほどお伺いしたことがやはり同じような事情にあるのじゃないかと推測されるのですけれども、いま局長の御答弁だと、何か四十八年度から事情が変わって、相当この実績というものが構成比の面で上がってくるんだというふうな御説明だと思うのですが、この四十八年の資料から見てもそういったことが説明できますか。
  141. 野田誠二郎

    野田政府委員 実は、先生お手持ちの資料、こちら持っておりませんので、どうもあるいは答弁がちぐはぐになろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように四十七年度までは、法律上は電力債を持てるようになっておりましたけれども、これは大蔵との約束その他で長期債には進出できないで、短期運用だけに限る、こういうふうなことになっておりました。これが四十八年度以降初めて長期債にも進出ができるということになりましたほかに、初めて財投のワク外として正規に四百億というふうなワクが認められて、これを金融債、電力債に回せる、こういうことになったわけでございますし、さらに四十九年度におきまして五百億ということで、合計九百億のワク外の運用、これは四十九年度までの累積でございますが、これらの九百億の原資がそれぞれの金融債なりあるいは電力債、社債等に向くわけでございますので、これは飛躍的に今後増加していく。先ほど御説明申し上げた点、おおむね間違いなかろう、このように考えております。
  142. 久保等

    ○久保(等)委員 先ほどの御答弁とダブるかもしらぬですが、また別の角度からお尋ねしたいと思うのです。本年でもいいし本年度でもいいですが、その運用比率をどういう予定でお考えになっておるのか。いまお尋ねしている社債それから金融債に分けて、一体構成比をどの程度本年度の場合には考えておるのか、あるいはことしでもいいですが、お答え願いたいと思うのです。
  143. 野田誠二郎

    野田政府委員 四十八年度の四百億につきましては、そのうちの二百五十億を金融債に振り向けまして、百五十億で電力債を購入をいたしました。四十九年の五百億の運用につきましてはまだ計画を策定中でございまして、決定を見るに至っておりません。
  144. 久保等

    ○久保(等)委員 ちょっとそれをおおよその比率で言ってくれませんか。金額だけじゃなくて、総体に対する……。
  145. 野田誠二郎

    野田政府委員 実は、資金の運用状況は大体月末ごとにまとめておりますけれども、これは実は長期と短期の両方入りまじって数字で計上されておるのです。したがいまして、長期で純粋にどのくらいになるかということが実は出ていないわけでございますが、一番新しい昭和四十九年二月末現在におきます金融債の保有高について申し上げますと、これは二千九百五十二億ということになっておりまして、保険及び郵便年金の総資金に占めます割合が六・七%でございます。それから電力債が百三十億九千四百二十八万、大体百三十一億でございまして、これが〇・三%になっております。このほか四十九年度に入りますと、先ほど申し上げました五百億というものが積み重なり、さらに短期融通がやはりワク内で操作できるわけでございますので、さらにふえていくだろう、そのように考えられます。
  146. 久保等

    ○久保(等)委員 やはりその年度初頭あたりにその年度における運用の計画というものをお立てになるだろうと思うのですが、そうすると、たとえば四十九年度、本年度に入ったばかりですけれども、本年度の資金運用のそういう構成比にもなるわけですが、いつごろ策定をせられるのですか。まあ月々といういま御答弁なのですが、これは統計としてはそういう形で集約されるのでしょうけれども運用計画というものはどういうことになるのですか。
  147. 野田誠二郎

    野田政府委員 御承知のとおり翌年度の積み立て金運用計画につきましては、資金運用部資金等々一緒に予算の最終閣議の際に、財投計画に関する部分につきましては、政府の原案がそこできまりまして、昨年から資金運用部資金、それから簡保積み立て金運用に関する法律でございますか、これによりまして予算委員会提出をいたしまして、国会の審議を受けて可決される、こういう形になるわけでございます。それがきまりました際に、初めてわれわれこの四十九年度の積み立て金運用計画について、国会の承認を受けたものとしてその執行に移るわけでありますけれども、たとえば郵政事業特別会計二百六十億、四十九年度にワクがございますが、これは郵政事業特別会計から、いつぐらいにいついつほしい、こういう要求が出てまいります。そういう形で全部この借り受けの機関と相談をしながらきめる。これらの資金需要ですか、手持ちの保有資金の実情等にらみ合わせながら、あるいは工事その他の進行状況をにらみながら資金の融通をしていく、こういう形でございまして、年度出初におきまして全部これがスケジュール的にきまる、こういうことにはなっていないようでございます。たとえば、政府関係機関につきましても、国鉄、電電公社というようなものから、公庫は住宅金融公庫、国民金融公庫、中小企業金融公庫、いろいろございますが、こういうのとお互いに話し合いで、当然こちらの資金事情もございますので、そしてきめていく、こういうことになっております。  それから、これは郵政省でかってにきめます——かってにきめるというと語弊がございますが、五百億の要するに財投協力のワク外の金融債なり電力債をどういう形で購入するか等につきましては、これは金融債あるいは社債等の発行者側の条件、それから市中の状況、金利の実情というのは日々動いておるわけでございまして、そういうものをにらみ合わせながらやっておりまして、これまた年度当初にぴちっと計画を立てる、こういうことにはなっていないわけでございます。
  148. 久保等

    ○久保(等)委員 それは説明をされることもわかるのですが、私のお伺いしているのは、もう少し端的に、だから資金運用の大綱は、それならばいつごろに大体全体としてきまるのか、一つ一つ、いろいろそれぞれのワクについて関係省庁ともちろん折衝せられるのでしょうが、一体いつごろになったらそれなら資金運用計画というものが、四十九年度なら四十九年度についてはきめるのか。いずれにしても郵政大臣のところで、これは貸すほうだし、それから特に財投にしても出すほうなんですから、自然にどこからともなくきまっていくというものじゃなくて、やはり一つのワクをきめ、それぞれ折衝していくのでしょうから、こまかい結論金額がぴたっと合うか合わぬかは別ですけれども、大ワクのところはやはり郵政省一つの計画を持って、本年度はどういう方面に幾ら、どういう方面に幾らと、それからさらに突き詰めて言えば、大ワクはいまお話があったように国会にもかかってくる部面もあるのですけれども、しかし国会にすべてかかってくるわけじゃないのですから、そういったことの、事務当局としてでもある程度の素案というものが当然あるのじゃないかと思うのですが、そこらのことをお尋ねしているのです。
  149. 野田誠二郎

    野田政府委員 ちょっと私のほうの説明に行き違いがあったかと思いますが、積み立て金運用計画につきましては、先ほどもちょっと御説明したかと思いますが、運用対象別、それから金額別に国会の審議を経なければいかぬことになっております。したがいまして、いずれにいたしましても十二月末、予算の政府原案をつくります際には全部大綱が——大綱といいますか、全部でき上がる形になりまして、これを予算委員会提出する、こういうかっこうになっておりまして、先ほどちょっと申し上げましたけれども、それぞれ、たとえば日本国有鉄道に簡保資金から四十九年度は六百億、電電公社には二百億、こういうものを貸し付ける、これは政府原案は十二月末にはきまっておる、これが国会の御審議で予算と同時に成立をする、こういうことになります。ただ、実際これを四十九年度の第一四半期あるいは第三四半期に出すかどうかということにつきましては、相手方の資金需要の状況もありますし、簡易保険の保有金額の手持ちの状況もございます。したがいまして、第一四半期が幾ら幾ら、第四四半期が幾ら幾ら、こういうことにはならないわけでありますが、大体やはり現実の執行としては年度の後半のほうに集中をしてくるという傾向は当然あるわけでございます。
  150. 久保等

    ○久保(等)委員 それじゃ時間をとりますから、いま御説明があった、国会に出されたそのなにを、恐縮ですが私にまた後ほどお出しを願いたいと思うのですが、委員長、ひとつ……。
  151. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 資料要求につきましては理事会にはかりまして……。
  152. 久保等

    ○久保(等)委員 と同時に、ここに資料をお持ちでないからなになんですけれども、これを毎月毎月この方法でもって集計をせられてデータとして集めておられると思うし、直ちにこれがまたこういう印刷物になって一月おくれぐらいに何かおつくりになっているようですしするものですから、このつくられたいわば運用状況の方式で、ひとつ本年度の運用予定をぜひ数字的に整理をして、これまた資料でお出しを願いたいと思うのですが、委員長、よろしくお願いします。
  153. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 同様にいたします。
  154. 久保等

    ○久保(等)委員 それでは、この問題はその程度にして、次に、新聞に報道せられた、最近の保険募集に関連する事故にもなるわけですが、三月三十一日の新聞の伝えるところによりますると、簡易保険でかえ玉詐欺事件が起きたといったことが報道せられております。窓口契約をせられて、その結果詐欺にかかったわけなんですが、十件で六千万円という相当な金額ですが、この詐取を現実にしたのかどうか、これは新聞の報道程度ではよくわかりませんが、この事件について、きわめて概略でけっこうですから、ひとつ簡単に御説明を願いたいと思うのです。
  155. 田所文雄

    ○田所説明員 山形市存住の横川真一、四十六歳、農業でございますが、これが昭和四十七年十一月三十日から四十八年二月二十日までの間に、東北、関東、東京、東海、近畿、北陸管内の九つの郵便局におきまして、自分の妻を被保険者、自分を保険金受け取り人として傷害特約つき第二種特別養老保険計十口、保険金は死亡保険としては三千万円、満期保険としては一千万円でございますが、そういう契約を締結したわけであります。その一カ月後の昭和四十八年三月二十日、妻がシイタケ栽培用ビニールハウス内で、暖房用練炭コンロによる一酸化炭素中毒により死亡したとして、昭和四十八年四月六日から昭和四十八年十一月八日までの間に計十口、六千万円の保険金の支払いを受けたものであります。  本件に関しまして、昭和四十八年四月十六日、仙台地方簡易保険局から東北郵政監察局に対しまして、事故死による三件の高額保険金の支払いに疑いがある旨の通報がありまして、東北郵政監察局ほか関係地方監察局におきまして内偵を続けました後、昭和四十九年三月二十八日、東北郵政監察局が横川を取り調べましたところ、横川は被保険者かえ玉による保険詐欺を認め、保険金として支払いを受けた六千万円について債務証書を書き、三月二十九日、二千二百六十万円を返納したわけであります。  三月二十九日、山形県警及び山形署が取り調べをさらに行ないまして、同日午後九時四十五分、横川を保険詐欺で逮捕した次第であります。  以上が概要でございます。
  156. 久保等

    ○久保(等)委員 この保険詐欺事件ですが、たまたま部内といいますか、郵政当局でもって発覚をされて、いま言った、すでに二千二百六十万円の返金もなされておるといったようなことで、比較的被害を最小限度に食いとめ得たような形になったようですが、この窓口での契約からこういったような問題が出たのじゃないかと思うのですけれども、現在、窓口で契約をすることも約款の上できめられておりまするが、現在、一体どの程度こういった窓口契約の件数があるものなのか、年間どの程度にのぼりますかお尋ねしたいことと、それからやはりこういったような類似の犯罪が最近にもあったのかどうか、これは監察官のほうにひとつお尋ねしたいと思うのですが……。
  157. 野田誠二郎

    野田政府委員 まず私のほうから郵便局の窓口申し込みの関係を申し上げます。  郵便局の窓口におきまして受理をした新規契約の申し込み状況につきましては、実は特別に統計をとっておりませんので正確な数字を掌握いたしておりません。しかしながら、募集手当支給額から推計いたしまして、昭和四十七年度におきまして郵便局の窓口で受理をした新規契約件数は約四万件、全体の一%程度ということになっております。
  158. 田所文雄

    ○田所説明員 この種のかえ玉による保険詐欺事件というものは、いままで捜査した例がございません。
  159. 久保等

    ○久保(等)委員 幸いにしてあまり前例がないというのですけれども、普通窓口に、これは顔見知りであれば問題ないですけれども、顔見知りでない一般の方が来られて契約をせられるということになりますると、えてしてこういう事故が起こり得ないわけではないだろうと思うのですが、幸いにして従来あまり前例がなかったことは私けっこうだと思うのですけれども、ただ、それかといって今回の場合も決して特別ルーズな扱い方をしたわけではないのでしょうし、いろいろ面接をせられて、健康状態その他についても質問もしてみたりいろいろやったのでしょうが、結果的にこういった事故が起きた。そうすると、窓口契約なり窓口申し込みの問題については、現行制度に何らかのやはり検討を加えるという必要があるんじゃないかという感じがするのですが、保険局長のほうから、その窓口契約なり窓口申し込みの問題について現行制度上再考を要する面があると判断されるのかどうなのか、お尋ねしたいと思うのです。
  160. 野田誠二郎

    野田政府委員 この取り扱いにつきまして現行制度上なかなかむずかしい問題がございまして、本件のように被保険者と同じ女性である、しかも同程度の年齢の者が被保険者であるということを申し立てをしました場合に、それが本人であるかかえ玉であるかという確認は、事実上の取り扱いとしてはなかなかむずかしいだろうと思います。しかしながら、今回のような特別異例の事件があったわけでございます。要件として郵便局の窓口に被保険者を同行して積極的に契約の申し込みをするような、特にかえ玉を連れてくるようなことの今後の再発を防止する意味におきまして私どもいろいろ対策を考えたわけですが、大体次のような措置をとっていきたい、このように準備を進めております。  まず、郵便局の窓口に積極的に契約の申し込みがあった場合に、被保険者が正当本人であることを十分確認をするように何らかの証明書、証明をする資料提出を求めたい、このように第一点としては考えております。第二点としましては、特に保険金額が高額な契約の申し込みがあったものについて、特に窓口で三百万というような最高額というようなものを申し込んできましたような場合、その保険契約申し込み書を被保険者の住所を受け持つ郵便局に送付して、被保険者の同意の有無を再確認するという手続をとりたい、この二点をひとつ励行させていきたい、このように考えております。
  161. 久保等

    ○久保(等)委員 いまの御説明程度でもこういった事故を防止するのには私、相当効果的だと思うのですが、はたして住所を持っておるのかどうか、住所不定のものでも窓口でもって契約ができるということであれば、どこか適当な住所を書いて、事実はそこにいないけれども、やれるということも考えられますが、いま言ったようなことで、やはり本人がはっきりした住所を持ち、そこで生活しておるのだといったようなことが、いま言ったような方法をやれば可能だと思うのですが、こういった事故の再発の防止について十分にひとつお考えを願いたいと思います。  それから、非常に保険の募集については従業員の皆さんも苦労をしておやりになっておると思います。特に最近のようにとかく家が留守がちであるような家庭を訪問せられて契約をとってくるということは非常に苦労のあることだと思うのですが、そういう中で非常に努力をしておられること、また順調に保険契約も伸びておりますることを拝見して、私も非常にその労を多とするんですが、たまたま昭和四十七年度の会計検査院から出た決算検査報告書、最近四十七年度のができ上がって手元に配付されて、見たんですが、この中に郵政省所管の不正事件が七件ばかり載っております。その中の五件まで実はこの簡易保険の外務員による不正事件として掲載をせられております。私も若干意外に思ったんですが、七件中五件、簡易保険の外務員の者によって不正事件が起きておるんですが、最近このことが、四十七年度においてこういう事実があったのだと思うのですが、それ以前、四十六年度あたりにも一体こういった保険関係の不正事件があったのかどうか寡聞にして知りませんので、御説明をあわせて願いたいと思いますし、大体同じような類似の中身の不正事件のように思われるんですが、こういったことについては、当然金銭の授受等のあります仕事に携わっております職員の人たちですから、平素から非常にそういった点では十分に戒め合い、いろいろと配慮せられておるんだろうと思うのですが、四十七年度たまたまこういうことであったのかどうなのか、ここ二、三年の傾向等もあわせてひとつ御説明を願いたいと思うのです。
  162. 田所文雄

    ○田所説明員 四十六年度における保険の犯罪種目、件数金額をちょっと申し上げます。保険料の横領詐取は四十五件、金額が二千二百万でございます。それから還付金等の横領詐取二十四件、三百八十五万円でございます。逆選択による保険詐欺、これは九十一件、二千四百万、貸し付け金、弁済金横領詐取十一件、二百万円でございます。その他に十二件、二百七十万円ございます。総計、件数が百八十三、金額五千五百万余円でございます。四十六年分でございます。
  163. 久保等

    ○久保(等)委員 同時に、件数はこの件数でわかりますが、人数にして何人になるのか。それからこれは部内、部外、両方含まれておるんですか、どういうことになりますか。
  164. 田所文雄

    ○田所説明員 部内、部外両方含まれております。
  165. 久保等

    ○久保(等)委員 人数の頭数。
  166. 田所文雄

    ○田所説明員 人員は合計二百一名でございまして、そのうち部外者が百二十名でございます。
  167. 久保等

    ○久保(等)委員 ただいまのは四十六年度ですが、四十七年度の場合にも、私はたまたま会計検査院の検査報告だけを見たんですが、そうすると、会計検査院の検査報告には載っておらない不正行為による事件がわかりますか、四十七年度。
  168. 田所文雄

    ○田所説明員 先ほど申し上げました四十六年度分の件数金額等は全部でございます。検査院の報告したものにとどまらず、保険の全部の件数金額でございます。(久保(等)委員「ですから、四十七年度……」と呼ぶ)四十七年度の件数金額を申し上げます。保険料横領詐取五十三件、二千五百万余円でございます。還付金等の横領詐取十三件、三百十四万円、逆選択による保険詐欺六十件、九百三十九万円、貸し付け金、弁済金横領詐取十一件、八百八十六万円、その他十二件、六十九万円、総計、件数が百四十九、金額が四千七百万余円でございます。
  169. 久保等

    ○久保(等)委員 これはあまりお聞きするつもりじゃなかったのですけれども、しかしお尋ねしてお答えをいただいた限りにおいても相当な不正件数があることがわかったのですが、これは四十六年、四十七年度、両年度だけについてお尋ねしたので御説明であったのですが、こういう傾向はずっと前から、大体百数十件、二百件近いこういった件数が年々歳々事故としてあるものですか。
  170. 田所文雄

    ○田所説明員 件数を四十五年、四十四年、四十三年について申し上げます。四十五年百二十四件、四十四年度八十七件、四十三年度七十二件となっております。
  171. 久保等

    ○久保(等)委員 いまの御説明から見ても、最近激減という傾向にはない。むしろどちらかというとふえておるというように見受けられます。特に四十六年度は件数にして多いわけなんですが、四十七年度は人数のほうの御答弁はなかったですからどの程度か知りません。いずれにしても四十六年度に比べれば若干少ないといった程度で、やはり相当不正事件が起きておるようですが、これらに対してどういう指導をしておられるのか。こんなことは犯罪行為ですからたいへんな不正問題なんですが、これほどあるとは私も実はあまり知らなかったのですが、件数が百件をこえる、人数にいたしましても、四十六年度は部内者でも八十一名いるわけなんですが、部外者、部内者ともに不正件数として非常に多いような感じがいたします。こういったことについては厳に絶滅を期する御努力を願わなければならぬと思うのですが、こういったことについてどういう対策というか処置をとってまいっておるのか、件数がむしろ最近ふえるような傾向にあるといってもいいような状況にあるようですが、これをどんなふうに考えておられますか。局長のほうからもお答えいただき、大臣のほうからもひとつお答えいただきたいと思います。
  172. 野田誠二郎

    野田政府委員 先ほど首席監察官のほうからお答え申し上げたのでございますけれども簡易保険に関する事故犯罪は、実は四十六年までは年々増加傾向にございました。それが四十七年度から減少の傾向に転じておりまして、本年度も現在までのところ前年より多少減少しておる、こういうところであります。ここ一両年徐々に改善されたもの、かように判断いたしております。  ところで、先ほども御報告ありましたとおり、これらの犯罪の大半が保険料の横領、それから逆選択によります保険詐欺であります。したがって、この種の犯罪の防止に主力を注いでおるところであります。逆選択による保険金詐取に対しましては、新規申し込み受理の際、契約者と被保険者の姓が異なる契約で被保険者以外の者を保険金受け取り人とするものについて、被保険者の面接及び告知の状況を確認する方法とか、死亡診断書の発病または死亡の年月日その他保険金支払い上の重要事項を改ざんした疑いのあるものは監察局に通報するとか、そういう技術的な方法をとってチェックをするようにいたしております。  次に保険料の横領に対しましては、一番最近の保険料払い込み月及び払い込み額について契約者に照会し、郵便局に保管をしておる書類と照合する。これは往復はがきによって調査する方法と、それから監察官が臨局したような際に契約者宅を訪問して調査する方法、この二つの方法によって行なっております。さらに契約者から領収帳の提出を求め、郵便局において自局に保管と照合する。また集金員の担当区を固定しますとやはりいろいろ問題がございますので、集金員の担当集金区域を年に一、二回変えるというような措置を講じております。また継続して保険料の前納払い込みをしていた契約が隔月払い込みになったとき、団体払い込みが延滞になったとき等につきましては、特にその原因について調査しまして、これが何らか犯罪と関係があるかどうかというようなことを確かめる、以上のような措置を講じております。
  173. 原田憲

    原田国務大臣 いまたまたま保険をめぐるところの事件から、毎年度におけるところの事故件数、犯罪件数等の質疑をもって明らかになってきたところでございますが、これは私は特に就任いたしまして以来、この種の問題を含めまして綱紀の粛正、先ほどもちょっとお答えいたしたのでございますが、国家公務員というものの質はよいということをもって信用を得てやっておる者が、あやまちをおかすということは全く申しわけのないことで、私就任以来二、三指示を受けて問題を把握しておるものもございましたので、それぞれ責任者に命じまして、再びそのようなことが起こらないように処置するとともに、全員に対して綱紀粛正をするようにということで通達をいたしておる次第でございます。  いま局長から申しましたが、事故がふえつつあったものが減少傾向にあるという報告でありますが、減少したりといえども一件たりともかようなことがあってはならないのでございまして、今日の横川詐欺事件にいたしましても、これはわがほうの監察から足のついたことであるとはいえども、やはり最初に窓口においてごまかされておったということは、こちらが手落ちというふうにまた考えなければならぬ面があると思うのでございまして、今後かようなことが一件もないように努力を続けてまいりたいと思います。
  174. 久保等

    ○久保(等)委員 それではあまり時間がありませんので、次に移って、簡易保険福祉施設の問題について若干お尋ねしたいと思うのです。  現在こういった面は、あげて簡易保険年金福祉事業団がやっておられるようであります。そのうちで私のお尋ねしたいのは、簡易保険診療所、これが全国で二十九カ所設置せられておる、これは資料によって拝見をしてわかっておるのです。しかし二十九カ所と申しますと、日本全国から見ますと、ある地方によっては全然診療所がないということが、この配置状況を見ても痛感されます。このパンフレットを見ておるのですが、たとえば東海方面にしても三重県にないとか、あるいは近畿方面でも兵庫にないとか、出雲、あの日本海の方面では鳥取の東方面は全然ない。あるいは四国へ来れば高知県、北海道のほうへ参れば、もちろんあれだけ広いところに三カ所、うち札幌に二カ所あって、そのあとに釧路がある程度。それから東北の場合ですと、福島、山形、青森、こういう方面には診療所が一つもない。それから関東でも茨城、山梨、埼玉にない。さらに信越方面に参りますと新潟にもない。北陸でも富山、福井がない。こういったような状況ですが、この簡易保険の診療所、かつて戦前にはたいへんな数があったようです。もちろんあの当時と今日の情勢は非常に変わっておると思うのですが、しかし診療所を設けて、できるだけこの加入者の方々の健康増進に寄与しようということで、ある程度古い伝統もある診療施設だと思うのです。その点からまいりますと全然手の届かないところ、こういったところが非常に多いんじゃないかと思うのですが、このことについてどういうふうにお考えになっておりますか。
  175. 野田誠二郎

    野田政府委員 御指摘のように、戦前の簡易保険の健康相談所というのは全国に約三百五十もございまして、結核予防なりあるいは花柳病の予防というような点で非常に大きな機能を果たしたこと御指摘のとおりでございますが、戦後独占が廃止されたこと等との関連でございますけれども、特に最近は社会保険制度が普及をいたしてきております。したがいまして、戦前と同じような形での簡易保険診療所におきます軽費診療——軽費というのは非常に軽い費用、少ない費用という意味ですが、軽質診療の効果が従前に比べて非常に薄れてきておる。それでは何が薄れていないかといいますと、社会保険適用外のたとえば健康診断というようなもの、あるいは巡回をいたしまして無医村あたりを疾病予防その他で回る、こういうことで非常な成果をあげておるのでございますが、御指摘のようにわずか全国二十九カ所の診療所ではなかなかそれほどのこともできないのでございます。今後におきましては、これも社会保険の診療対象外になっております成人病対策としての健康診断というような業務を中心にして加入者の健康保持につとめてまいりたい、このように考えております。  現在二十九カ所の診療所のうち二十八カ所、一カ所を除きましてこれらの成人病対策としての簡易人間ドックの施設というようなのが完成をいたしております。こういう方向で機能を発揮していきたい、このように考えております。
  176. 久保等

    ○久保(等)委員 それと、診療所もそうですが、同時に特に診療車、レントゲンの設備もあるだろうと思うのですが、この診療車の設置台数が二十七台あるようにこの書類を見てわかったのですが、診療車、特にレントゲン車のようなもの、こういったものは診療所以上にむしろ必要性があるんじゃないかと私は思います。この診療所の設置せられておるところはいずれも都市ですから、診療所の所在地には当然一般の医療機関もあるだろうと思いますが、そういう医療機関がどこにもないといったような僻地、こういったところにこそ診療施設が必要だと思うのです。それがためには、一番手っとり早い話は、この診療車、診療カーというものが非常に有効ではないかと思うのです。診療カーが各診療所に一台ずつぐらいある状況じゃないかと思うのですが、しかし診療所が二十九カ所、診療車が二十七台ですから、診療車のない診療所もあるんじゃないかと思うのです。この診療車こそむしろ台数をふやし、しかも先ほどちょっと申し上げた診療所のないようなところに巡回をして診療を行なう、これは非常に喜ばれておるんだろうと思いますし、また非常にこの必要性も高いだろうと思いますが、手元にいただいた資料によりますと、診療人員は、昭和三十七年度からの傾向を見てみますと、診療所内における診察、治療、こういったことの利用者は年々非常にふえ、したがって、約十年前と今日と比較いたしますと倍程度の利用者があるようです。ところが巡回診療ですから、当然診療カーによる診療だろうと思うのですが、これはむしろ年々少し減りぎみのような感じさえするわけなんです。私はいまお尋ねしたり意見も交えてお聞きしておりますが、むしろ逆行しておるような実績になっておると思うのですが、そこらのことについてどんなふうにお考えになりますか。
  177. 野田誠二郎

    野田政府委員 先ほど御指摘の診療自動車でございますが、これは二十九の診療所のうち、たしか高松にございます簡易保険の診療所、これは診療自動車のかわりに診療艇、船を用いまして、大体瀬戸内海一帯の島々を診療して歩くと、こういうシステムでございまして、それを除きました診療所は全部診療車は持っておるはずでございます。しかも最近、疾病構造の変化といいますか、レントゲン車等も横になったまま特に胃の部分を撮影できるマーゲン車に切りかえつつありまして、これは大体もうほとんどの診療所全部それに切りかわっておる、このように考えております。  もう一つ、巡回診療人員がそれほど顕著には減っておりませんけれども、少しずつ増減がございます。これにつきましては大体が特定郵便局長が中心になるわけでございますが、その地域の郵政関係の機関のほうが地元の公共団体等と連絡をとりまして、大体半年ごとあるいは四半期ごとぐらいに希望をとりまして、逐次事業団の本部なりあるいは診療所に連絡をとりまして、一応スケジュールをつくりまして巡回診療に出かけると、こういうことでございますので、ただ簡易保険福祉事業団のほうから一方的に飛び出すということでなくて、地元の要請に応じて、またお医者さんがずっと長くいなかったりしたようなととろは要請があっても行けませんけれども、そういう双方の合意といいますか、そういうことで人間に少し増減があるようでございますが、特段に減っておるあるいはふえておる、こういうふうにも見受けられませんし、その需要も大体横ばい、こういう状況というふうにわれわれは判断をいたしております。
  178. 久保等

    ○久保(等)委員 この巡回をやる診療車ですが、これがはたしてその担当地域をまんべんなく回れておるのかどうかも、これはいろいろお聞きしないとほんとうならわからないのですが、所在する県内くらいは当然回っているのだろうと思うのですが、たとえば四国の場合だったら高知、最も地域的には広い地域ですが、ここには診療所がない。ということになってくると、どこの車が行っておるのか知りませんが、そういう問題であるとか、先ほど申し上げたような診療所のない地域ですね、こういったところにこそ、むしろこういう巡回診療が必要じゃないかと思うのですし、しかも特に、都市ならまだいざという場合には民間の医療施設を利用することもできると思うのですが、僻地なんかの場合にはそういったこともできない。そういったところにある程度定期的に回ってまいる必要があるだろうと思うのです。そういった点から申しますと、いずれにしてもこの診療自動車そのものの台数はきわめて少ないと思うんですね。全国でわずかに二十七台くらいしかないということでは非常に少ないと思うのです。したがって、町中であれば、これはかりに診療所あるいは巡回車がなくてもまあまあ何とか事足りると思うのですが、そういったない地域にこそ、こういった簡易保険の医療施設というものができるだけ利用できるようなことを考えていくべきだと思うのです。それには、いま申し上げた単をもう少しふやす、そして巡回回数をふやすというところまでいかないと思うのですが、とにかく行けなかったところにもぜひ診療車が巡回して回っていけるという体制をつくるべきだと思うのですが、これはこまかく聞かないとわかりませんけれども、いずれにしても、たとえば四十六年あたりの九万四千三百十五人の受診者があるというのは、これは全国的に見た場合には全くほんの一部の方だけだと思うのですが、都市というよりもむしろいなか、山間僻地、こういった方面に対する診療車の活用なり利用をできるだけやっていくようなことを考えるべきだと思うのですが、この診療車の増設配置について、ぜひひとつ特別に今後お考えいただきたいと思うのですが、どんなふうにお考えになりますか。
  179. 野田誠二郎

    野田政府委員 先ほど一つ申し落としましたけれども、最近、診療の高度化といいますか、やはり無医村あるいは僻遠の地等におきましても、ただ一日ぐらいの巡回診療で、ただ診察だけを受けるということについての希望がやはり幾ぶんは減ってきておるようでございます。したがって、そういう点も含めましてわれわれは検討しなければならぬと思うのでございますが、最近、非常に顕著な例としましては、沖繩が日本に復帰をいたしまして、御承知のとおり非常に医療関係の施設その他が不備でございますが、実は、復帰の記念といたしまして、一昨年と去年、それぞれ診療自動車を沖繩本島に二度運びまして、合計四台運びまして、大体二週間ぐらいにわたって全島くまなく診療をして、非常に感謝をされた、こういう例もございます。したがって、これは非常に顕著な例でございますが、やはりそういう地域、地域の特性あるいは地域の方々の要望というようなものを十分勘案いたしまして、先生御指摘の趣旨に沿ってなお十分検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  180. 久保等

    ○久保(等)委員 私は、ただいまの問題については、地域、地域の実情そのものも、おそらくあまり掌握できてないだろうと思うのです。また、その簡易保険の診療車によって診察をしてもらおう、そういった施設があるのだということ自体もあまり理解されておらないと私は思うのです。この程度の数では。だから、またかりに希望者があっても、こちらが応じ切れるような体制にはないと思いますし、それから、車だけではもちろんものの用に立たないので、やはり医者の問題がありますし、なかなか簡単にはいかないと思うのですけれども、しかし、いずれにしても二十七台程度の診療車では、これは本来の目的を達するのにはあまりにも少な過ぎる、あまりにも貧弱じゃないかと思います。そういう点で、今後十分に力を入れて、この方面の増車配置についてお考えを願いたいと思います。それから、これも時間がありませんから、非常に大きな問題なんですが、簡単に要望を申し上げておきたいと思うのです。これは私の考えついたことなんですけれども社会福祉施設の方面に、一体簡易保険福祉事業として手が出せないものだろうかどうだろうか。私はこういう方面もぜひひとつ開拓をしてやってもらいたい、こう思うのです。それは、御承知のように社会保障制度の充実がやかましくいわれておりますけども、今日、たとえば心身障害者等の施設というものは国の手によってはほとんどなされておらない、民間の篤志家にむしろゆだねておるというのが実態だと思うのです。それで、簡易保険福祉事業団がやっております事業も、いわばこういった加入者ホームあるいは保養所、センター、こういったもの、多々ますます弁ずで多いのはけっこうなんですが、しかし、これらはむしろどちらかといえば、日の当たっておる方々にさらに日に当たってもらおうという性格を持ったものだと思うのですが、こういった施設を利用しようにも、非常に心身障害者で、むしろ人前に出ることさえできないような非常にお気の毒な方々が多いわけです。そういったことが最近いろいろな形で具体的に出て、たとえば宮城まり子さんですか、ねむの木学園といったもの、そういったものが非常に世間の注目を浴びておりますが、ああいったようなものをわれわれ聞くと、国がもう少し何とか手を積極的に差し伸べられないものだろうかという感じがいたします。一女性の篤志家があれだけ涙ぐましい奮闘をしておられる、こういったことを考えると、もちろん加入者ホームもけっこうですし、大いにやってもらいたいと思います、私はそういう点で決してこれにブレーキをかけようと思ってませんから、積極的にやってもらいたいと思いますが、しかし、社会福祉施設の方面に一体取り組めないものだろうかという感じがしているのです。  これはまた非常に言うことはやさしくて、実施するとなるとたいへんな事業であることは私も若干承知をいたしております。北海道方面で民間の施設等を見て痛感しているのですが、同じ心身障害者といっても、これまた千差万別ですから非常にむずかしいのですが、しかし、たとえば一例をあげると、心のほうの障害者、これがかりに二十になる、三十歳になる、年をとってまいる。肉体的にはこれはもう一人前ないしはそれ以上に非常に元気なんですが、精薄者ですから一般的な仕事はできない。しかし力仕事なんかやらせれば、これは一般の人よりもはるかに有能な力を持っておる。小さいときは親がいろいろめんどうを見てどうにか世の中を渡っていきますが、いよいよ大きくなった場合、親はなくなる、しかしこの人間は社会に一本立ちをすることはできない。こういったものなんか考えてみますと、案外、そういった人たちに大ぜい集まってもらって、そういった人たちだけを収容する社会施設をつくりますと、相当な生産性をあげる。たとえば豚を飼う、鶏を飼う、こういったような単純作業はきわめて喜んで、しかも普通の人と違って、むしろ何年やっておっても飽きもしないで、非常に一生懸命で喜々として働いている、こういったようなことを、私、北海道の施設で経験したことがあるのですけれども、とにかく心身障害者といっても千差万別ですから、全部をひっくるめてやりなさいというような暴論を吐こうとは思っておらないのですけれども、そういう方面に何か研究をしてもらってやってもらえるならば、簡易保険というものがそういう社会福祉事業、特に一般が手が出せない方面に手を出してやっていくことは非常にいろいろな意味において私は有益なことだと思いますし、非常に喜ばれるのではないかと思っておるのです。もちろん加入者なり加入者の家族を対象にするということで考えていければ、こういう仕事こそ私は、厚生省もやっているが郵政省もやっている、どこでもやれるところがあったら大いにやってもらいたいと思っているのです。あまりなわ張り争いで、いやそれは厚生省の所管だといったようなことではなくて、幸い福祉事業団でいろいろ福祉施策のことをやっておられるのですから、もう一歩を進めて、こういったことについて研究を願い、できればひとつやれるところから、やれる範囲内においてやってもらいたいと思うのです。あまり出ない意見かもしれませんが、そんなふうに考えますが、いかに考えますか。これは局長大臣等からお答え願って、私の持ち時間が終わったようでありますから、きょうの質問はこれで終わります。
  181. 野田誠二郎

    野田政府委員 御指摘のとおり、例としてあげられました心身障害者の関係の施設等につきまして、実は簡易保険も進出をいたしたいという一般的な希望としては持っておるのでございますが、本質論といたしまして、その設置運営に要する経費が加入者の払い込んでいただく保険料から出ておるということ、それから、一応福祉施設の性格というものが剰余金の現物配当的な性格を持っておるというようなこと、それから現在の、たとえば加入者福祉施設、会館とかセンターとかホームとかいうもの自体の需要すらまだほとんど満たし切れてないという実情からいたしますとなかなか実は困難であろうか、このように考えますし、現実に経営をいたしておりますいわゆる老人ホームの建設につきましても、すでにもう四十三年ぐらいで打ち切っております。と申しますのは、やはりいろいろ技術的に、いろいろな知識、技能も必要でございますし、さらに一番のネックになりますのは、非常に経費がかかる、こういうことでございます。  したがいまして、今後われわれの方向といたしましては、簡易保険福祉施設の性格からいたしますと、大体現在経営しております加入者ホーム、いわゆる老人ホームが、収支率というのが大体百円の収入に対して五百円の支出ぐらいの割合になっておるわけでございますが、なお余力のある方からは大体原価ぐらいの料金を徴して、そういうたとえば老人ホームなら老人ホームをつくる、あるいは御提案のありました心身障害者につきましても、いまの国の現状からいたしますと、それは絶対量が不足しておると思うわけでございますので、そういう、ある程度そこに入っておられる方から経費の負担をいただけるような方の施設等も十分世の中のためになると思うわけでございますので、そういう点、なお検討をさしていただくことにいたしたい、このように考えております。
  182. 原田憲

    原田国務大臣 福祉関係の問題についてお尋ねがありましたが、私は考え方について賛成でございます。こういう方面へこそ簡保の金なんかは重点的に使っていくという方向にならなければならないということが、けさほどからも論議されておるところでございます。私はそうしなければならぬというふうに基本的には考えております。  宮城まり子さんの話が出ましたが、私は宮城まり子さんを実は少々知っておりまして、昔、まだ売り出さぬうちから好きでありまして、盛んにあっちこっち歌を聞きに行っておる。有名になってからは——私は有名になった人はあまり必要ありませんから、有名でない、この人は見込みがあると思う人を応援するのが自分なりに好きですから、くつみがきの歌を歌ったり、くず屋の歌を歌ったりしておるころの宮城まり子さんをささやかながら後援をしておりました。その後、あの人が有名になってからは遠くで見ておるだけでございましたが、先般、政務次官も行っておりますが、総理官邸でねむの木学園の写真を見せるということでありましたので、飛んでいって見せてもらいました。新聞で見ると、われわれは見ただけで何もせぬでほっておるじゃないかということを書いてある面もございましたが、私はささやかながら、ここで宣伝したり口で申し上げるようなたいそうなことはいたしておりませんけれども、一生懸命、歌うたいでない宮城まり子さんの事業に、微力ながら御協力を申し上げておるつもりでございます。  こういう方面にこそ今日使わなければならないが、実際にそれをやるときには、郵政省の行政として、集めた金を専門的なものがうまく使ってやっていくということで効果があがる。したがいまして、決してなわ張り争いや責任のがれで言っているのではございませんが、厚生省関係に専門家がおるならば、郵政省が集めてきた金を十分に使って、そういう方面に効果をあげていく、こういうことが必要であろう。先般からここで、NHKもいままではよかったけれども、NKHの福祉事業すらも経営を圧迫するような時代が来ておるから、これらは国、ということになると厚生省関係が多いと思いますが、そういう形で引き受けてやったらどうかという議論もされたところは、もう久保さんよく御存じのとおりでございまして、私はいま提案をされておりますところの福祉関係へのこれからの行政という面に大いに意を払いまして、行政として取り組んでまいりたい、このように考える次第でございます。
  183. 久保等

    ○久保(等)委員 終わります。
  184. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、田中昭二君。
  185. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、きょう提案になっております二つの法案に関連いたしまして、まずお尋ねしたいと思います。  わが国の高度経済成長という政策が、昨年あたりからたいへん経済の混乱を招いておるわけでございますが、こういう中で、ことしになりましてから、保険行政並びに民間保険会社等につきましても、このインフレが続いていきます経済情勢の中で、何とかいままでと違ったものを出していかなければならない、いわゆる保険行政の転換といいますか、保険業界の体質変化といいますか、そういうものが行なわれておるようでございます。また、大蔵省もそういうことを考えていろいろ指導もなさっておるようでございますが、こういう環境を踏まえまして、同じ生命保険事業を扱います国の簡易保険につきましては、これを見のがすことができない、十分こういう推移を見きわめて対処していかなければならない、このように思うわけでございますが、そういう意味で、当局のほうは最近の変化の状況をどういうふうに把握しておられるのか、また意見等をお持ちであれば概略説明いただきたいと思います。
  186. 野田誠二郎

    野田政府委員 お答え申し上げます。  現在非常に経済が急速度に、また非常に大きな角度をもって動いておること、これは先生の御指摘のとおりでございます。民間保険を直接監督しております大蔵省におきまして、保険制度改善等につきまして保険審議会というものを発足させまして、その中で各種の問題につきまして審議をしていただき、また答申をいただいておる、あるいは国民生活審議会等におきまして、消費者保護の立場から、現在の消費者行政のあり方等につきまして問題が出ている、そのうちの保険に関する部分につきましても、各種の御意見が出ておるのを承知をいたしております。また、現実に、大蔵省銀行局保険部において、民間保険業界の指導のあり方として、たぶん昨年の九月だったと思いますが、保険約款の改善その他につきまして保険業界に諮問をしておりまして、たぶんことしの二月だったと思いますが、二月に入りましてから、保険業界の意向として保険協会から大蔵省あてに回答を出しておる、こういう実情もわれわれ承知をいたしております。  簡易保険といたしましても、現在非常に大きく動きつつある経済情勢の中で、これは内外ともにそうでございますが、たとえば消費者運動の強化なり、あるいは企業の中におきましてもいろいろ各種の——労働運動も新しく保険を対象とした動きが出てきつつあります。このような、まさに一つの転換期に遭遇をしておるように考えております。したがいまして、このように激しく変貌する環境に前向きに適応していくために、われわれもひとつ腰を据えてかからなければなるまい、こういうことで、昨年、半年ばかり時間をさきまして、四十八年度から五十二年度までの五カ年間についての諸情勢の変化を予測いたしまして、一応簡易保険の、これは中期計画でございまして、すでに計数等も相当変わっておりますが、今後の簡易保険事業運営のあり方というようなものをつくりまして、これを指針にしまして、各種の作業を進めておる実情でございます。荒筋を申し上げますと、六点ございますが、外野活動の効率化、第二点としましては新種保険の開発と制度改善、三番目は運用制度改善、四番目としまして加入者福祉施設の拡充強化、五番目は総合機械化の推進、六番目といたしまして加入者サービスの充実、これらの六項目を掲げまして、現在局をあげて取り組んでおる、こういう状況でございます。
  187. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういう基本的な長期計画を立てられてやっておられることは私も聞いておりますが、ただその後、昨年の石油ショック、それから物不足、いろいろな問題で、貯蓄性を帯びた簡易保険が、そういう計画だけではちょっと簡易保険としての、先ほどから出ておりましたが、いわゆるイメージダウンになるとか、そういう問題も起こってくるかと思いますが、民間保険保険業界が、大蔵省の指導によります中でまずあげてあるのは、保険料率を具体的に二〇%から二五%引き下げる、こういうことも御存じですね。その次には、いわゆる契約者配当制限の緩和、三番目には外国資本の保険会社がわが国で営業を行なうことに対する対策、四番目には消費者サービスの充実と国際競争力の強化、こういう保険行政の抜本的改善について先ほど言われたように諮問が出たわけでございますけれども、こういう一連の動きに対して、これにまた即応するものが簡保の場合でもなければ、私がさっき申し上げましたように後手後手になっていくというようなことでは、せっかくの国の行なう信用事業である簡保の問題がまた批判を浴びるというようなことになってはならないと思いますから、そういう意味でいきますと、やはり簡易保険としましても、一つの例をあげれば無審査のいわゆる養老保険、こういうものが民間保険と競争力というものも出てくるし、また消費者サービスについては、いままでも論議されたようにたいへん簡保のほうが劣っておる、こういう問題がありますから、昨年はそういうふうな計画を立てたことはいいのですけれども、現時点に立って、それじゃその中の、いま私が申し上げたいわゆる政府が、大蔵省がそういう保険行政の指導をしておるその中で、すぐ簡保が対応できるというようなもの、何か具体的なものを一つあげられて、どういう考え方並びに実行策をお持ちであるか、一つの例をあげて御説明いただきたいと思います。
  188. 野田誠二郎

    野田政府委員 たとえば種々あげられましたうちで二、三御返事申し上げたいと思いますが、第一点の保険料率の引き下げにつきまして、現在各種の制約から、正味保険料簡易保険におきましては民間保険に比べていささか見劣りがする、こういうことでございます。そこでわれわれといたしまして、昭和四十五年の国勢調査に基づきます第十三回の生命表が厚生省から近々発表されるはずになっておりますが、これを契機といたしまして、なお予定利率の引き上げ等含めまして、ことしの九月あるいは十月に保険料を少なくとも一〇%以上、各保険種類によって違いますが、こういうふうに引き下げていきたい、このように計画をいたしております。  そのほか、これは法律事項ではございませんけれども、一昨日、四月一日から剰余金の増配をいたしましたほかに、本年中に、これは約款の改正で行なえるものでございますが、還付金の支払い率を引き上げる、あるいは保険金の削減支払い率を緩和する、幼児の場合の保険金の支払い制限を緩和する、こういう措置を急速に講じていきたい、このように計画を進めております。
  189. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまいろいろおっしゃいましたが、もう少し根拠のある具体的なお話をしなければ、ただそういう、何といいますか専門的なおことばでおっしゃっておるから私たちわかりにくい面もありますが、いまおっしゃった中で、さしあたって保険料を引き下げるという問題でございますけれども、いま報道されております、先ほど午前中の委員会でも阿部委員から質問がありましたときにお答えになりました、いわゆる生命表を改正するという問題ですけれども、これについて先ほどお答えになりました中で、保険料率を一〇%以上引き下げる。現時点においても、保険料率は民保と比べても簡保が安いとはいえない。そしてこの物価の激しい上昇の中で、ただそういう程度のものがどういう基礎を持っておるものかということについてはまだ説明がないわけですが、保険料を引き下げる問題でいえば、まあ率はそのくらいとしましても、それじゃそれをいつから実行するか。私は保険局がかってにすぽっとできるわけじゃないと思いますね。たしか審議会か何かあるはずですから、それにかけなければならない。そうしますと、実際保険料を下げるのがことしの秋なのか、秋というのは審議会にかけるのが秋なのか、そういう問題がございますね。それから剰余金は今度は逆に減少させる、こういうことでございますけれども、これは先ほど私が最初に言いました大蔵省の指導によって、このインフレの目減り、また生命表が古いために予定死亡率がずっと低下している——死亡率が低下しているというのかどうか知りませんが、そういうことによって保険会社は契約者に対する配当の還元を相当行なうということになっておるわけですね。そうしますと、私は簡保にも当然そういう内容のものがあるはずだと思うのです。そういう点をお聞きしなければ、私は安心できないわけですけれども、まず、いまあなたことしの秋と言われたのですが、この秋に保険料を下げるのですか。それとも秋ごろまでに審議会に諮問か何かして答申を得るのですか。それともただ諮問だけするのですか。それと、いまの剰余金を下げるというのは大体思いつきで言われたのかどうなのか、はっきりした計算基礎があるのかどうか、あるかないかだけお答え願いたい。
  190. 野田誠二郎

    野田政府委員 保険料の引き下げにつきましては、実情を申し上げますと、厚生省の第十三回生命表の発表待ちでございまして、現在ではこれを九月一日から引き下げるか十月一日から引き下げるか、この点が未定であります。なお手続的に郵政審議会の審議を経なければなりませんが、この手続はまだ済んでおりません。しかしきまっておりますのは、九月一日か十月一日かいずれかの時点にするということ、それからできるだけなお詰めて、現在計画しておりますのが、全保険種類につきまして、平均いたしますと現行保険料に比べまして大体一三%ぐらいの引き下げ率になる計画でございますが、これがなお詰まるかどうかという点について検討をしております。  なお、先生御指摘の民間保険におきます二〇%あるいは三〇%の料率引き下げというお話がございましたけれども、これは民間保険簡易保険保険の主力商品その他が違いまして、民間保険はたとえば五倍型、十倍型あるいは十五倍型というような定期保険を付しました養老保険、これが主力になっております。しかも非常に長期にわたる二十年、三十年という契約が主力でございます。簡易保険の場合の主力商品というのは大体十五年満期、しかも定期保険がついておりましてもこれが大体二倍型ないしは三倍型という、保険種類によって非常に保険料率の引き下げの割合というのが違ってくるという点をひとつ御了承お願いいたしたいと思います。
  191. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣にお尋ねします。  先ほどこの生命表のことで、大臣は何か総理が予算委員会か何かでそういうことを言ったというようなことをおっしゃいましたけれども、私が聞いているのでは、そうじゃないのです。何か先月の二十八日の参議院の大蔵委員会ではっきり——生命表はこれは四十四年からそのまま使っているわけですからね。四十四年から現在までといえばこれは相当契約者の寿命も平均的にも延びておりましょうし、また健康管理も行き届いてそういう死亡率も少なくなっておりますし、そういうことから考えれば、そのときのいわゆる二十八日の総理の答弁はもうはっきり、これは変えるのだ、郵政省にさっそく研究させるのだ、そして新しい生命表を適用して保険料を五年ぶりに引き下げるというふうな御回答があったように報道されておりますが……。
  192. 原田憲

    原田国務大臣 そのとおりでございまして、私は先ほど答弁したときには予算委員会であるとは言わなかったので、予算委員会かどこかでと、こういうことを言ったので、いまあなたがおっしゃった大蔵委員会が正確であろうと思います。その答弁は、あのときも申しましたが、総理は郵政大臣をされたからよくこのことについては御存じであろうというふうに申したのでありますが、総理の答弁のためには郵政省からもそれらに対するところの考え方というのが十分述べてございまして、これを総理大臣が御答弁になって、いま五年前云々というお話が出ましたが、私の承知いたしておりますのでは、四十五年に国勢調査が行なわれて、それによる生命表というものが出ておる、ことしはそれを変えるから、それを総理は変えさすという発言をなさったかといま受け取ったわけでございますが、変わりますから、それを受け取りまして私どものほうは料率の引き下げを行なう、秋にはそのことを行なう、こういうことでございまして、その問には差異がない、このように心得ております。
  193. 田中昭二

    田中(昭)委員 一応そのいきさつはわかりました。そこで先ほどの時期ですけれども、九月か十月というのはどういうことですか。もう一ぺんお答え願います。
  194. 野田誠二郎

    野田政府委員 実は九月一日が簡易保険の奨励年度の年度がわりになるわけでございます。したがって、その新奨励年度のスタートにひとつ景気づけといいますか、そういう形での保険料の大幅引き下げというのはいろいろな意味からいって非常に有意義であろうという考え方一つございます。もう一つは、十月一日から簡易生命保険法、現在審議していただいておりますこれが可決いただきました場合には、定期保険についての最高制限額が五百万になります。これを記念してその際にやるか、いまの考え方では、手続的に完了し次第できるだけ早いほうがいいのではないかというのが私どもの意見でありますが、まだ局内でも十分議を尽くしていない、こういう実情でございます。
  195. 田中昭二

    田中(昭)委員 ちょっとおそいんじゃないですか、大臣。それは政府のやることですから早くないことは承知しておりますけれども民間では団体保険はもう四月一日から保険料率を二五%下げるのです。そのほかの保険保険料もずっと下げていくのです。そうしますと、昨年からことし、こういうふうなたいへんな物価狂乱、物価上昇に対して、国民は貯金の目減りとかそういうものを何とかしてもらいたい、そしてまた簡易保険にかかっている人は零細な保険料を納めておる人たちだと思うのです。その反面、いまそのように民保のほうでは保険料がどんどん引き下げられていくという状況を見ますと、どうも簡保がそんなのんびりするようなことでは、総需要抑制は総需要抑制でしょうけれども、私はこういうときこそ簡保が率先して、そのインフレによる補償的なものでも政府が先んじてもやるべきじゃなかろうか、こういうような気持ちがしてならないわけでございますが、この点ひとついろいろな事務的なことでむずかしい問題があることは承知しますけれども、私の言っておりますその根本は、いわゆる零細な保険料を積み立てた人に対して何かそういう補償をしてやるという方向については大臣も御賛成できますでしょうか、どうでしょうか。
  196. 原田憲

    原田国務大臣 料率の引き下げにつきましてはおっしゃるとおりで、田中さんの言っておられることはよく理解ができるわけでございます。これを実現するために生命表というのがもっと早く出てくれておりますと、これを根拠にいたしまして事務的な手続を早める、こういうことができるわけでございますが、いままだ生命表ができておりませんので、事務的にはこれが出てきて、そして実現できるのは、局長がいま言ったということに尽きておると思いますが、なお一そう努力をいたしまして、できるだけ可及的すみやかに御期待に沿えるように努力をいたしてみたいと存じます。
  197. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこでもう少しこの生命表のことで掘り下げておきたいのですが、生命表はいわゆる当然変えていかなければならないということはもうはっきりいたしておるわけですが、いままで申し上げましたように、民間保険会社ではもうこれははっきり予定死亡率よりもずっと下回った実情ですね。そういうもので、そのことによりますいわゆる契約者に対する配当金の割り増しといいますか、ここで報道されておるところによりますと、そういうものを何か死差益分というそうですね、この死差益分で生命保険会社のほうで加入者にいわゆる配当しようという金が大体百五十億ある、それからそのほかにまた臨時の配当として、これは結局物価上昇によりますところの目減り分、これに相当する分を何とか契約者に返したいということで、これが大体民保の業界の全体で約二百億、そのほか特別配当の手直しとして、いまの生命表が変わってくるために、長期契約の場合にはそれだけまた配当金を多く出さなければならない、そういうための分配金が百五十億、大体これで五百億あるそうです。そのほか経済の成長によって自然増収分が同じ金額の五百億ある、こういう報道がされております。結局合計千億円相当分を、四十七年度分よりも四十八年度は民保のほうにおいては契約者に返す、こういう状況ですね。そうしますと、それぞれについて、私は簡保にもそういう内容があるのではないか、先ほどからこう申し上げましたら、絶対あるというようなお考え方でございますから、こういうものは具体的に簡保の場合にどういうふうにございますか。この計算、大体の目安でけっこうでございますから、いわゆる死差益分といいますか、そういうものに該当する簡保のいわゆる剰余金というのはどのくらいございますか。
  198. 野田誠二郎

    野田政府委員 簡易保険におきます経営上生じました剰余は、これは全部契約者または保険金受け取り人に支払うことになっております。昭和四十一年度以降昭和四十九年度まで、一年を除きまして、八年間引き続いてこの剰余金の分配を、これは上積み分配として行なっております。御承知のとおり、簡易保険は確定配当でございまして、契約を締結をいたしました際に、十年養老保険、三十歳加入については剰余金幾らというふうにすでに約款において約束をしております。その約款で約束をいたしました以上に死差なりあるいは利差、附加益というようなものから剰余が出ました場合には、これを上積み配当としてここ八年間引き続いてやっております。昭和四十八年度におきます剰余金を先般の郵政審議会におきまして御審議を願いまして、ことしの四月一日から剰余金として増配をいたします額が、これは先ほど申し上げました既定の約款に基づきます確定配当の、さらに各年度のほかに上積みになる額でありますが、四十九年度新しく上積みします分が大体七百三十億でございます。このうち御指摘の死差というのが大体六割くらいになっております。四百五十億ちょっとという数字が死差益でございます。そのほか利差益、附加益、これは大体二〇%程度のものを配当いたしました。ただ運用の形態が民間保険と違いますので、民間保険がことし行ないましたいわゆる通常の利益配当、利差配当、死差配当のほかに、これは四十七年度から実行しておりますけれども、特別配当、いわゆる八十六条準備金の取りくずしといいますか、こういう制度が私どものほうにはないわけであります。そのほか、今回はインフレ対策といたしまして、これは大蔵省の指導によりまして臨時の配当、詳細についてはまだはっきりいたしておりませんけれども、株の売買益というもの、あるいは不動産に対する評価益というようなもの、いわゆるキャピタルゲイン、これを引き当てにして臨時配当を行なう。この配当につきましては、遺憾ながらわれわれの運用法におきましては、不動産の取得あるいは株式の売買というようなもの、株式の保有というようなものは認められておりませんので、できるだけ経営内容を改善する、あるいは新規契約を多量にとるということによって、いま申し上げました死差、利差、それから附加益、これを増大をして剰余金を増配をしていく以外に現在の制度的なものとしてはないわけでございます。
  199. 田中昭二

    田中(昭)委員 ちょっとはっきりしない点もありましたけれども、いわゆる死差益分に相当するものでも大体六百億ですか、そういうものがあるということですね。そうしますと、いまのお話では臨時配当にするようなものはない。それは保険積み立て金運用が不動産などがないから、そういうことですけれども、そうなってきますと、現段階においても民保のほうは保険料を納めて三年目からもう配当がある。その配当も同じ保険種類で見ましても、相当簡保のほうが割合がよくありませんね。十五年養老で百万円で見ましても、これは昨年調べたものですけれども、三十歳のときに加入したとしまして、いわゆる簡保のほうは配当金に相当する剰余金ですか、これが二十六万八千円、しかし民保のほうは三十四万三千円。そうしますと、インフレによって自分が貯金したものが目減りするという段階で、片方は臨時配当も死差益分もそれから特別な配当もそういうふうにもらえるという保険の商品と、簡保のほうはいわゆる通常の場合でも配当金は少ないという、それも満期にならなければ、支払いが確定しなければもらえないという、そういういわゆる契約者に対するサービスとといいますか、サービスいうことばは当てはまらないかもしれませんけれども、そういういわゆる簡保と民保との相違がある中で、そうしてそういう貯蓄性のものが目減りをするときにおいては、死差益分だけ、これもまたすぐ返してもらうわけじゃありませんね。そういうところで、午前中もあったように簡保が非常にイメージダウンして、これはもうそうですよ。ことし四月から保険料を下げてそして民間保険の無審査保険がどんどん進出してきたら、簡保のほうはどうなりますか。太刀打ちできないでしょう。また外国資本の保険会社も営業するというようなことを考えますと、そうすると、簡保といういわゆる国の事業の信用といいますかメリット、そういうものに対するイメージダウンもはなはだしい、こういうふうにいわなければならないんじゃないかと思います。いわゆる民間保険会社がかりに臨時配当をやる、こういうようにきめますと、当然私はこれと同様なものを簡保でも考えなければならないというようなことをいま申し上げたわけでございますけれども、それができないとするならば、かりにいまいろいろ報道されておりますように、契約の途中で他の商品に変えることができるとか、また途中で保険金の増額をしてよろしいとか、こういう新しい商品の開発も考えていかなければならないのではないか、このように思いますが、どうでしょうか。
  200. 野田誠二郎

    野田政府委員 御指摘の点はこういうことだろうと私想像いたします。国民生活審議会の答申の中にもございますが、「既契約が合理的に新種保険に転換される方式などが開発されることが望ましい」ということで消費者保護といいますか、契約者保護の答申をいたしておるのでございます。この望まれる方式の例としまして、保険金額を中途で増額する中途増額が可能な方式、これが一つ。さらに二点目としましては、いま先生が例としてあげられました既契約が新契約に合理的に転換される方式、この二つが例示されておるのでございます。  私ども考えますに、保険金額の中途増額については、逆選択の危険が伴いますのでにわかに賛同しがたい点があるわけでございますが、既契約を新種保険の契約に変更する方法については、いろいろ検討はいたしておりますけれども、実は取り扱いが簡便で有効な方式というのがなかなか見つかりませんので、まだ結論を出すに至っておりません。しかしながら、現在簡易保険制度といたしましては、普通終身保険を普通養老保険に変更すること、保険期間を短くすること、保険料払い込み期間を短縮すること、保険金額を減額すること、さらに以後保険料の払い込みを要しない保険料払い済み保険契約に変更するというような一応保険契約の転換の制度というものは設けて、現在の制度上も存在をいたしております。
  201. 田中昭二

    田中(昭)委員 それでは少し数字的なことで、私は現在の簡保の資産について確認しておきますが、四十七句末で簡保資産が約三兆七千億ですね。間違いございませんね。——剰余金が約七百億円、合計三兆七千七百億円。これも大体毎年相当な増加ですね。そしてその中で責任準備金、いわゆる保険が支払われる場合の積み立て金といいますか、こういうものが四十七年で約三兆四百億円、これもずっとふえてきております。大臣こういう金があるんです。これは四十六年が二兆四千八百億ですからね。四十七年だけでふえた分が、準備金だけで五千六百億円ですよ。これが零細ないわゆる庶民から簡易保険料として集められたものの準備金だけの増が約六千億に近い。  そこで、こういうことを考えながら、私はここでもう一つ、いまの審議会で出ております新しい方法の中でのことでお尋ねしておきますが、民保のほうで無審査契約の保険金の削減支払い制度というのがございますね。つまり契約者が契約後二年以内に死亡した場合には、その契約保険金は幾らか削減されて支払われてきました。これは簡保のほうにもこういうものがある、こう思います。簡保は一年半ですね。相当削減されるそうです。これを今度廃止しようというのです。これもいわゆる物価の大幅上昇の中で契約者を保護するという必要がある、そういうことも含めてこういう制度はなくしていく、そして契約条件を抜本的に改善するということでございますが、簡保の場合には一年半の削減支払い制度についても当然私は洗い直す必要があるかと思いますが、これはどうですか。
  202. 野田誠二郎

    野田政府委員 生命保険協会が監督官庁であります大蔵省に、諮問のとおり早急に撤廃すべきであるという回答をいたしておりまして、現在の時点におきましてはまだ実施には移っていないわけであります。簡易保険におきまして、これは全部無診査保険でありますが、御指摘のとおり全種類にわたりまして削減条項が設けられております。現在の簡易保険の募集の実態からいたしますと、現在の時点におきまして簡易保険保険契約の保険金削減支払いの制度を全面的に撤廃をするということは、なお私どもとしてはいささか踏み切れないところでございます。しかしながら現在検討いたしておりますのは、これを大幅に緩和をいたしていきたい、このように考えております。  例を申し上げます。十年払い終身、普通養老保険につきましては、現行は一年以内の死亡に対しましては三〇%を払っておりますが、これを今後五〇%を支払うように改正をいたしたい。一年六カ月以内の死亡については、四〇%を削減をいたしまして六〇%支払っておりますが、これを八〇%にするか九〇%にするか、現在検討いたしております。この削減率を大幅に緩和をいたしたいということで現在検討を進めておりまして、これまた先ほど申し上げましたように、ことしの秋には実施に移したい、このように計画を進めています。
  203. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、よそがやらなければやらぬというような体質はよくないと思うのですよ。何とかして国が弱い立場の人を保護するということを前提に考えていくならば——よそがやってもいまの話じゃやらないというのですね。少し緩和するというような話です。これは大蔵省の指導によってこういうあれは廃止する、民保のほうもきめているのですよ、これは。審議会の答申はもちろんなされておりますけれども、私、簡保の削減の対象になります件数なり金額を調べてみましても、やはりこれはずっと減っております。ということは、それだけやはり国民の健康管理が行き届いて、契約して一年半とか二年以内に死んでしまう死亡事故が起こるということが少なくなるのは当然ですね。それはいろいろいままでの簡保の事業費をとっておくとかそういうことはありましょうけれども、私は、保険金を納めた額くらいは返してやるのが当然だ、そういうような気持ちがしてならないわけです。大臣いかがでしょう、基本的に。
  204. 原田憲

    原田国務大臣 いま御指摘がありましたが、大蔵省が担当しておる民保のほうがやらなければ国のほうの簡保はやらない、こういう姿勢ではいかぬじゃないかということですが、全くそれはそのとおりだと思います。ただ、冒頭に局長が言いましたように、おのずから目ざしておるところが違うということで、民間保険会社が行なえることでこちらの簡保では行なえないことがあることも御了解を賜わっておるところだと思います。いま目減りをどうするかという問題と関連して、国民の要求するところもいま非常に多様化しておる。それにこたえるために、保険事業といえどもいろいろ手だてをして対処していくということは、あなたがおっしゃる御意見に私も全面的に賛成であります。したがって、いま局長が言っておりますように、たとえば一年以内で死んだ者に、民間ではこれはもう減額しないといっておる、こういうお話ですが、これは私は局長の答弁を聞いておりますと、そういう姿勢であるけれどもまだそこまで踏み切ってないということでありますが、わがほうではそれに対して具体的に秋までに、こうこうこれこれこういう方法をもって減額ということの実施をしていきたい、こういうことを言っておるのでございますから、そこのところはひとつおくみ取りを願いたいと思います。  またそのほかにも世の中には、もう配当は要らぬから保険金をふやしてくれとか、そういうふうなことをやってくれとか、いろいろな要求が生まれておるわけでございますが、できる限りそういうことにこたえて——まあ、いつも民間と比べて、どうも政府ベースのほうではおそいじゃないかという御指摘は十分また胸にこたえるところがございます。それらも勘案して対処してまいりたいと存じます。
  205. 田中昭二

    田中(昭)委員 簡単に申し上げます。もう一つ、契約者が一方的に契約を破棄できる制度、クーリングオフ制度、こういうものがございますね。これはどうですか。考えられませんか。
  206. 野田誠二郎

    野田政府委員 実はただいまの御質問にお答えする前に、先ほど募集の実態から削減ができないと簡単に申し上げましたけれども、一言つけ加えさしていただきたいのであります。  募集の実態と申しますのは、民間保険におきましては職業の選択を行なっております。危険な職業につきましては契約を締結しない、あるいは特別な保険料を取るというようなシステム、並びに簡易保険の契約を年齢階層別に区分いたしますと、十歳未満の契約並びに五十歳をこえた、言うならば老齢者の契約、両方合わせますと総契約の半分以上になります。そういう点、民間におきましては大体二十歳から五十歳までの保険契約が主力になっております。そういう点からも逆選択の危険性が相当あるということが、現在の段階では削減が撤廃できない一つ理由である、こういうことをひとつつけ加えさしていただきたい、このように思います。  それからただいまの御指摘の冷却期間といいますか、契約の締結後一定期間熟慮再考の機会を与え、この契約についての申し込みの撤回または解除の権利を与える制度、これは割賦販売法の四十七年の改正によりまして新しく設けられた制度であります。簡易保険の場合におきましてこの制度を取り入れることにつきまして、検討はしましたけれども、契約の撤回を乱用する場合が多発するなど、いろいろ問題が生じてくるおそれがあろうということが考えられます。慎重に検討してまいりたい、このように考えております。ただ契約申し込みの撤回の問題は、大部分がその衝に当たります外務員の無理募集、説明不足等に基因すると思われますので、今後とも外務員の指導教育等に十分意を注ぐということにいたしたいと思うのでございますが、現在のところ、いわゆるクーリングオフという制度につきまして、これをやるかやらないかにつきまして結論を得ておりません。  なお、実行上は便宜、保険証書を地方簡易保険局から申し込み受付局に発送する前に申し出がありましたものに限り、保険契約の申し込みの撤回に応じているのが実情でございます。四十七年度、東京の簡易保険局で取り扱いました保険契約申し込みの撤回の件数が四千百六件ございまして、総取り扱い件数の約〇・三五というものが実質的にはただいま申されましたこのクーリングオフ制度を適用しておる実例に近いか、このように理解をいたしております。
  207. 田中昭二

    田中(昭)委員 まず失効の問題で、失効というのは私も詳しくわかりませんが、何か保険料を三カ月以上滞納しますと効力がなくなるという、いわゆる保険金をもらえなくなる、そういうことだそうでございますが、それが新規契約に対して毎年ずっとふえてきておるのですね。これが件数新規契約の大体五%、金額では現在七%になろうとしております。百件のうち七件弱ですか、金額にしてそのくらいになりますね。新規契約の約七%ぐらいが失効の契約金額件数にしても四十三年から見ましてもずっとふえてきております。金額では四十六年度では二千二十八億、四十七年度で二千四百九十一億、これはまだ金額はふえるかもしれませんね。こういうふえ方ですが、それとまた同じ解約の状況もずっとふえております。新規契約に対して加入後一年以内に解約したものがこれまたずっとふえております。     〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕 こういう失効と解約だけを見てみますと、保険料を取った分だけ政府はまるまるもうけではないかというふうなぐあいに私は考えてみたのですけれども、いろいろ説明を聞きますとそうじゃなくて、還付金とかいろんなものがあるそうでございますが、そういうのを見ましても、この失効、解約に対しては、政府は四十六年度で十億円、四十七年度で六億円まるまるもうかったという数字が出ておるようでございます。そこで、こういう内容を見てみましても、まず失効、解約がこういうように多くなってくるのはどういう根拠なのか、どういう理解を当局はしているのか。それといまのクーリングオフですか、こういうものとの関係についてもう一回お尋ねしたいと思うのですが、お答え願います。
  208. 野田誠二郎

    野田政府委員 加入後一年以内の失効、解約等につきましては、御指摘のように四十六年度までは年々上昇をしてきております。しかし、われわれ非常に喜ばしく思っておりますのは、四十七年度に至りましてこれがようやく率としては、これは件数率並びに金額率双方につきまして若干下降の現象を示してきたということを喜んでおるわけでありますが、昭和四十八年度におきましてもこの減少しました傾向がまだ続いておるように私、記憶をいたしております。  なお、この失効、解約の原因等につきましては、現在手元に資料を持参しておりませんので、あるいは的確に御回答できないかと思いますが、やはり契約者の経済的事由によるものが第一位であった、このように記憶をいたしております。以下あるいは契約者の誤解に基づいて自分の契約した契約が違っておったというような理由に基づくもの等々数種類のものがあったと思いますが、一番大きな解約事由はやはり経済理由に基づくもの、こういうものが第一位になっておるように記憶いたしております。
  209. 田中昭二

    田中(昭)委員 それはいまあなたははっきりした数字をもって言われたと思いますが、失効は件数金額も減っていると言うけれども、あまり減ってないのじゃないですか。四十七年度末というのははっきりしたものが出ないでしょう、解約のほうはずっとふえてますよ。それが一つ。     〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕  それから大臣、そういう経済的な理由で失効したり解約するものがあって、それによって政府はもうかっているということについてはどう考えるべきでしょうか。
  210. 原田憲

    原田国務大臣 いまの解約率の問題でございますが、先ほど私、国家公務員としての質の問題というようなことをお答えしたのですが、民間の生保と違うところの一つはその解約率の問題だろうと思うのです。そこに一つの大きな違いがあるというのは、われわれの常識的なことで言いますと、民間の人は生保の外交員、外務員になって、まず親戚なんかに今度は入ってくれというようなことで自分の成績をあげていこうとする。それが一ぺん顔を立てたからまあこれでいいじゃないかというような面が——これがすべてとは言いませんよ、たとえばそういう面がある。こちらのほうは国家公務員、保険の勧誘員として一戸ずつ回って一生懐命やってくる。そこに私は一つの大きな違いがあると思います。したがって解約というのは簡保のほうが非常に少ない。少ないにいたしましても、いまおっしゃっているようにそこに幾らかの金が出てきておる。これをどうこうするということにつきましては確かに検討をいたしていると思うのでありますが、これは約款でございますから、約束に基づいて一生懸命にかけてもらうということがまず第一番のこの保険制度の維持になっておりますから、それを抜けて出るということにつきましてはその約款とたがうということでございますが、いまおっしゃっておりますそういうことでできた金をどうするかということにつきましては、政府委員からひとつ答弁をさせたいと存じます。
  211. 野田誠二郎

    野田政府委員 先ほどちょっと舌足らずでございましたけれども、四十七年度に好転をいたしておると申し上げましたのは、件数率並びに金額率で申し上げました。絶対数は大体横ばいあるいは若干ふえております。(田中(昭)委員「それは失効でしょう。解約じゃないでしょう」と呼ぶ)そうでございます。それでこの失効なりあるいは解約によって得ました——あげましたといいますか、得ました利益の処理につきましては、今後解約率を上昇させるといいますか、還付金の割合を引き上げまして、失効あるいは解約の当事者によけいお金がいくようにしたい、このようにいたしたいと思っております。
  212. 田中昭二

    田中(昭)委員 それはひとつはっきりこの場でお答えいただいたのですから、その辺数字的ないろいろなあれもありましょうし、筋の通ったようにしなければいけないと思いますよ。どうも簡保の内容、約款とかいろいろありますけれども、その規定どおりでいった場合でもたいへん筋が通らないようなことをちょいちょい聞きますから、そうやってもらいたいと思います。  そこで大臣、先ほど郵政省の中でもいろいろな不正事件があるが、その中で簡易保険にまつわる不正がたいへん多いというようなことが述べられましたが、それに対して大臣の決意はお伺いいたしました。私は、この問題は去年も大臣の当初の所管事項の説明の中で言ったわけですけれども、その決意を述べられるおことばだけはたいへんごりっぱでございますけれども、不正の件数にしろ減っておるというような先ほどの報告もありましたけれども、私は一がいにただ件数が減ったということだけで了解できないのがたいへんある。質が悪くなってきている。こういう事例をいまから申し上げますから、ひとつこれは両方いろいろな被害が出た、その被害者の立場考えながら、法的にどうあるとか、こうあるとかという問題もありましょうけれども、私は大臣とひとつこの問題はひざつき合わして考えるような意味でひとつ考えてみたいと思います。  これは簡易保険契約によりますところの詐欺事件です。外務員の方が相手のところに行きまして、そして保険の勧誘をしたわけです。そこで話が成立しまして、そうして簡保の最高額三百万の契約を三口契約が成立した。そこで外務員の方は保険料を受け取って、聞くところによりますとこういう「預り金受入簿」、これを記載するわけですが、これは預け金受入簿と同時にその控えのほう、契約者に渡すほうは「第一回保険料預り証(保険料領収証)」、こうなっておりますね。これがそこで渡された。ところがここで一つ問題は、その保険料が、渡したときにお金を受け取らずして事がその場で終わった。結局保険料をその時点ではいただかなくて、これを保険の領収証、いわゆるここでは預り証となっておりますけれども、これはちゃんと所定の手続をとれば領収証になるわけですが、こういうものが、いわゆる保険料を外務員が受け取らずして発行された、こういう現実のその時点での場面があるわけですね。そういう場合、いろいろ聞くところによりますと、外務員が一時立てかえたりするようなこともあるそうでございますけれども、この場合にはいわゆる三百万の三口、九百万、それを一回全納です。十五年分。ですからそういう場合に、保険料が国に納入されなかったというような場合に、当局はチェックといいますか、まずどういう処置をするのでしょうか。
  213. 野田誠二郎

    野田政府委員 郵便局の担当者が現金を受領しないままに預り証を交付するということは、ほとんどわれわれ考え得ない、予想されない事態でございます。非常に遺憾なことでございまして、当然にこの担当者というのは処分の対象にしなければいくまい、このように考えております。
  214. 田中昭二

    田中(昭)委員 あり得ないことが起こっておるから、だんだん犯罪というのが巧妙になって、それも結局は保険に何とかして入ってもらいたい、そういうことが根底にあるわけですが、いまのお答えでは全然それはどうも私は理解できないといいますか、現実に起こった問題は、いま申しましたようにこの預り証が——もらって翌日でも保険料を納めようと思ったのかもしれませんね、それが結局、外務員のほうは何とかして早く保険料をもらわなければならぬ、しかし契約者のほうはもう保険の領収証をもらったんだから——これが相当な期間ずっと続いた。そうしますと、私は外務員としても、またその外務員の上司関係者、最終的には国ですが、国が何とかしてその領収証を回収しなければいけない。回収できない時点までは、私はこれは外務員の方も責任者も国も被害者だろうと思うのです。保険料を納入してないのに領収証だけ取ったんですから。それじゃその外務員並びに責任者、国は被害者ですから、被害者としてはこうこうすべきであるというようなことは考えておかなければならないのじゃないでしょうか。たとえば、私たちが一般に何か物を落としたでも何でもいいでしょう、それに類するような行為をした場合には、その被害者としての処置があるはずですね。それはどういうものがありますか。
  215. 野田誠二郎

    野田政府委員 先ほど先生もちょっとお触れになりましたけれども、当該第一回保険料預り証の返還を請求する以上の措置はまずとれなかろう、このように思います。
  216. 田中昭二

    田中(昭)委員 その処置というのはどういう処置ですか。国は被害者としてその領収証を回収するためにどういう処置を具体的にとりますか。ほっておきますか。ほっておったらたいへんな事故になりますよ。——いま私、委員長大臣にこの現物の写し——私、現物を持っております。写しを見てもらいました。これはだれが見ても預り証であり、第一回保険料の預収証ですね。大体こういうものがあり得ることもおかしいのですけれども、事実あったのですからしかたがないわけですが……。私は、こういうものがあった場合には、国も被害者、外務員も都合によっては処罰されるのですから、罪を犯したことになるわけですから、何とかして、被害者としての意思表示なり処置なりをとらなければ——何カ月とそのままになっているわけですよ。これが、書いてありますように、領収証切られた日付は七月十二日でしょう。これが第三者の手に渡ったのは、二カ月半、九月も末ですよ。それが悪用されて、また犯罪が起こったわけです。どうしますか、そういう場合。被害者として、すべき事項があるのじゃないですか。
  217. 野田誠二郎

    野田政府委員 先ほども申し上げましたように、当該契約に関連をして、第一回保険料預り証を発行しました当人が、引き続いてその契約者、正式には成立いたしておりませんけれども、引き続いて返還の請求を続けておりますが、実力を行使して奪い取るということもできませんし、法的に当該契約が成立しておりませんし、また事実これは虚偽の文書でございますので、これの無効を何らかの形で公示をするとかそういう法的な手段も残されていないと思います。したがってこの預り証を手に入れられた方が返されるのを待つ以外に、ちょっと私どもとしましても具体的な手段というのをちょっと思いつかないわけでございます。
  218. 田中昭二

    田中(昭)委員 確かにそういうことでしょうけれども、それでは、これを持った者が、何か第三者の手にこれがずっと回ってきて、その人が善意でこれを郵便局提出しなければ解決できないというような、しかし起こした問題は、国の信用をバックに持った外務員の方がこれを発行したことが第一間違いでしょう。その辺の責任は全然お述べにならないで、発行されてしまったから持っている人が返すということだけ、またその返さないことによって何か起こっても、それは何も契約が成立したんじゃないからというけれども、契約が成立したことがないとかあるとかということは、これは善意の第三者であったらわかりませんよ。完全な領収証じゃないですか。専門家の人でも、これは正式な領収証だと思うと思いますよ。普通。もちろんこれは超過契約になっていますからね。法律のこの規定によりますと、一口ずつ一枚ずつ切らなければならないということになっておるそうでございますから、そういう面では違法になっておるでしょうけれども、私は結果として、ここでだれが悪いということよりも、いわゆる簡易保険というものが、現場においていろいろな問題を起こす可能性があることについては、今後そういうことが起こらないようにもちろんしなければなりませんけれども、どうも先ほどからの不正事件にしましても、ただその不正事件を摘発すればいいというようなことでは済まされない問題があるんじゃないかということを私はは言いたいわけです。結果としては、この預り証が正しくない状態で発行されて渡されたという、それからそれを受け取った相手方は、その預り証を悪用して、そして第三者に迷惑をかけた。第三者は、今度は、これを見た場合に、だれが見てもこれは第一回保険料領収証ですから、これを信用したために、国の簡易保険の領収証であるからということで信用したことによって損害を受けた、こういう点が残って集約されるんだろうと思いますね。こういうことが行なわれるということは、先ほど私、この受入簿と預り証の現品を持ってきてここで見ていただいたのは、こういうことに預り証が利用されておるということは、これが正式に、正当に管理、保管されてないということも——そうでないと、この用紙だけ切り出して持っておくわけないのですから。私が局のほうで見せてもらったその後の受入簿につきましても、それから推察しましても、正常な預り証でないもの、いわゆる正常な領収証でないものを持った保険契約者が中には相当いらっしゃる。いらっしゃるからこういうものが出てくる。この分に相当するものは三枚書かないかぬものを、一枚で切っておるからこういうものが二枚あるわけですね。それがあるから、こういうことを記載して不正に流用される。大臣、おわかりいただけるでしょうか。これは、よく調べてみますと、複写で書いたものじゃないらしんですね。やっぱり、余分にこういうものを持っておって自分で書いた領収証ですから、やっぱり正式な領収証じゃなかったということですけれども、何と、この同じ領収証が三枚、九百万の保険金の領収証が三枚渡っているんです。もう一枚は三千万という領収証です。合計四枚です。あり得るかというんだ、こういうことが。私は、これは起こったことでございますから、ここで法律的にどうということよりも、最初に申し上げましたように、まず残った問題としては、私は、全国簡易保険加入者が、もしもこういう正常でない領収証を持っておって、本人は領収証だからと、正常なものだとこう思っておっても、これは法的に効力を発生するかどうかということを問われた場合には、不正なものであるというようなことがありますと、いま言いましたような、これを悪用される、また契約者によっては効力がなくなるというようなことが起こるかもしれませんね。そうしますと、ここでひとつ全国簡易保険加入者の領収証を一ぺん調べてみてはどうでしょうか。全然もうこれ以外にないとはいえませんよ。そういう問題が一つ残りますね。  それからもう一つは、先ほど言いました、私が三番目に申し上げました第三者は、こういう国の保険料の領収証だから間違いないだろうということでその悪いやつにだまされて、金銭貸借がそこに行なわれているわけです。そういう人は、その第三者は、国の保険領収証であるという、簡易保険という国の信用あるものであるからということでそういう損害を受けたということになりますね。そういう人に対して何らかの処置をとらなければいけないじゃないか。先ほどの不正簡易保険の横領詐欺、全部事件を見ましても、この契約者の手元にあります大事な保険料の領収証が正当のものでないものがたくさんあるとするならば、これは国の責任において一ぺん点検すべきではなかろうかと思いますが、その二点について、ひとつ局長大臣のお考えを聞いてみたいと思います。
  219. 野田誠二郎

    野田政府委員 ただいまの事件は、第一回の保険料預り証にからむ問題でございますが、これはその名が示すとおりに、契約申し込み受理の段階で、かりに保険料として預かる証書でございます。したがいまして、第二回目の保険料の払い込み以降につきましては、これは正規の領収証によって保険料を徴収する、こういうことになるのが成規の手続でございまして、取り扱い者が確かに違則の取り扱いをする場合が全然ないとは私ども申せなく、ときどき実は散見をいたしますが、これにつきましてこのような、とにかく三百万の保険契約におきまして全期前納の保険料について第一回の保険料仮領収証を相手方に手交するという例は、実はいままでの、かつて簡易保険歴史でもなかったろうと思いますが、したがいまして、先生がおっしゃいました第一回保険料預り証を点検するということは、私いまの時点ではそう緊急な課題ではないのではないか、このように考えます。と申しますのは、先ほど申し上げましたとおり、二回目の保険料の払い込み以降は正規の領収証、領収帳で事実関係が証明されるわけでございます。ただ、九州管内におきましては、その事件が起きましてから二度管内に厳重な注意通達等を出しております。私どもとしましては、昨年の暮れに、全国的に保険の第一回保険料預り証の取り扱いがある程度ルーズになっておる点について厳重な警告を発しております。
  220. 原田憲

    原田国務大臣 この問題につきましては、田中さんからきょう御質問がありましたが、私は冒頭に、これは法的問題よりもこういう具体的な問題についてどう思うかということでございまして、いま局長が申しましたが、この事件が発生してから私の耳に入りまして、いまお話しのように二度とこういうことは起こさないようにということをまず強く指示をいたしまして、この当該事件の起こりました九州を中心に再びこのようなことが起こらないような措置をとるようにということで、いま局長が答弁をいたしておるところでございます。もう一つは、何といいましても、この発生が保険から出ておるということは事実でございます。それで、私はこのことについて、これを先ほどお話しのように、領収証であるという認定のもとにこの者に対してとられた——その人も被害者ではございますが、これは非常にお気の毒であるということは申し上げられると思いますし、道義的にはじくじたるものがありますが、やっぱり保険のことから出ておりますから、まことに申しわけないような気がいたしますが、このことにつきまして、さて法的問題となりますと、先ほどから局長が言っておりますように、法的にいま郵政省保険局としてどうするかということは具体的にとり得ないのではないか、こういうように思うわけでございます。いずれにいたしましても、再びこういうことのないように十分注意をいたしまして、これからに処していきたいと思います。まことに田中さんに、先ほど伺いますと、めぐりめぐってあなたに御迷惑をかけておるような点がございますが、この点につきましては私から遺憾の意を表明さしていただきます。
  221. 田中昭二

    田中(昭)委員 保険局長さん、最後のあなたの答弁ですけれども、そういう事実関係が、かりに事実関係判断する場合に、それは契約していなかったから、それから第一回の領収証はかりに間違っておっても、第二回の領収証が発行された段階で正常になるからというようなことは、ただ当局の当事者の逃げ口上にしかすぎないと私には思われてならないのですよ。この簡易保険が国の事業としてなされておることを考えれば、そういうことだけではたいへん私はまだ理解に苦しむところが多うございます。第一回であろうと第二回であろうとも、保険の領収証が正当でないものが保険契約者に手渡されておるけれども、その契約者は知らないためにそのままになっておる。そういうことは、私は行政としてそういう結果のものを残しておくことについては、これまたたいへん不満であります。それから、いま大臣のお答えでございますが、局長さんに申し上げたようなことと同じく、ここで遺憾の意を表明していただいても、これに関連して起こってきた損害、迷惑、人間のいろいろなことがこれをもとにして起こっておる。でありますから、司直の手も入って、新聞にも大きく報道されて社会的な問題になったのです、現地では。それと、こういう不正について毎年ここで大臣から決意のほどを聞きますけれども、私は去年もこのことについては指摘をしました。先ほどの久保委員に対する大臣の決意から考えますと、こういうものは絶対なくしていかなくちゃならない、こういう決意であったのですけれども、現実はいま言ったように、一つの不正なりそういうものが巧妙になって、質が悪くなって、そして善意のいわゆる常識的な国民、常識的な第三者が迷惑になっておっても何の手も打つことができない。それで簡保でかけ捨てになったり、失効になったり、解約になったりしている。話は違いますけれども郵便貯金だけでも取りに来ないものが毎年十億円ぐらい収入になっておるそうでございますけれども、先ほどの失効、解約でも、一民間会社なら別ですけれども、そういう国の事業として、取るものはどんどん取ってしまって、人に損害を与えておいても、それは何も見てやらぬぞというような形は、何か今後考えなければいけないじゃかという気持ちがしてならないことを強く私は申し上げて、この問題を終わっておきたいと思います。  最後に、時間ございませんが、割増金付簡易生命保険でございますが、これはけさからも議論されておりましたように、人間の命の問題に対する保険料というものに、ギャンブル的な射幸心をあおるような割り増し金を剰余金の中からつけてあげる、くじに当たった人は、他人の剰余金からそれだけの賞金をもらうわけでありましょうけれども、当たらなかった人は、当然もらうべき剰余金がそれだけ減っておるわけでございますね。国の総需要抑制ということでそういう割り増し金つき預金ができたからといって、簡易生命保険にまでそういうことをしようとすることは絶対いけないんじゃないか、私はこういうふうに単刀直入に、反対せざるを得ない理由だけを申し上げておくわけでございます。  時間も参りましたからこれで終わりますが、いろいろ御回答いただきましたことについては、誠意をもってひとつ今後取り組んでもらうことを要望いたしまして、質問を終わります。
  222. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次回は明四日木曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二分散会