運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-12-10 第72回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十日(月曜日)     午後零時四十三分開議  出席委員    委員長 廣瀬 正雄君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 羽田  孜君 理事 古川 喜一君    理事 土橋 一吉君      小此木彦三郎君    小沢 一郎君       加藤 紘一君    木村武千代君       久保田円次君    坪川 信三君       長谷川四郎君    村岡 兼造君       金丸 徳重君    久保  等君       米田 東吾君    平田 藤吉君       坂井 弘一君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         郵政政務次官 三ツ林弥太郎君         郵政大臣官房長 神山 文男君         郵政省郵務局長 石井多加三君         郵政省貯金局長 船津  茂君         郵政省簡易保険         局長      野田誠二郎君  委員外出席者         大蔵省銀行局銀         行課長     清水  汪君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 十二月八日  辞任         補欠選任   志賀  節君     松浦周太郎君   金丸 徳重君     北山 愛郎君 同日  辞任         補欠選任   松浦周太郎君     志賀  節君   北山 愛郎君     金丸 徳重君 同月十日  辞任         補欠選任   志賀  節君    小此木彦三郎君   園田  直君     小沢 一郎君   中馬 辰猪君     木村武千代君   西村 英一君     加藤 紘一君   大柴 滋夫君     北山 愛郎君   下平 正一君     堀  昌雄君   平田 藤吉君     松本 善明君   田中 昭二君     坂井 弘一君   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任  小此木彦三郎君     志賀  節君   小沢 一郎君     園田  直君   加藤 紘一君     西村 英一君   木村武千代君     中馬 辰猪君   松本 善明君     平田 藤吉君   坂井 弘一君     田中 昭二君   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第二号)      ————◇—————
  2. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより会議を開きます。  郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂井弘一君。
  3. 坂井弘一

    坂井委員 今回緊急に上程されました郵便貯金法の一部改正案につきまして、若干質問をいたしたいと思います。  まず最初に、ぜひ大臣にお伺いしておきたいと思いますことは、今回この法律案がまさに急遽提出されたわけでございますが、その理由というものは、端的に申しましていかがなことでございましょうか。
  4. 原田憲

    原田国務大臣 お答え申し上げます。  先般も申し上げたところでございますが、庶民貯金である郵便貯金を、現在の百五十万円の限度額からこれを拡大をしたいという考えを郵政省が持っておりまして、このことは来年度予算がらみで折衝を大蔵省との間にもやっておる最中でございましたが、御案内のように、石油問題等現在の経済情勢をながめるときに、今回内閣改造がございまして、私はからずも先月の二十五日に就任したのでございますが、経済閣僚懇談会の際に、この問題につきまして関連をいたしまして、国民皆さん方に年末六兆に及ぶところのボーナスも出る、まあいわゆる総需要を押えるということが物価問題等についての緊急政策であるということも勘案して、この両者を同一に考えるときに早く実施をしたいということから、大蔵当局では民間銀行行政をつかさどっておるわけでございますが、民間貯金に対する非課税という問題は税制によりましてこれを行なうことができるわけでございます。遡及もできるわけでございますが、わがほうが担当いたしております郵便貯金は、これは限度額をもって全額非課税ということで出発いたしておりますので、減税を行なうということでその他の金融機関非課税限度拡大されましたときには、郵便貯金のほうが不利益といいますか、こうむることにもなります。現在の状況からこれを拡大しようということを考えておりましたので、この際、百五十万円の限度額を三百万円に引き上げる、こういうことを現在の経済情勢等も勘案いたしまして提案をさしていただいた、こういうことでございます。
  5. 坂井弘一

    坂井委員 現下の経済情勢にかんがみ具体的にお答えをいただいたわけでございます。なおまた総額制限額を三百万円に引き上げるその理由につきましても、いま大臣からお答えがございました。  ところで、この三百万円ときめられました根拠というのは、一体いかなるところに置かれたんでしょう。
  6. 船津茂

    船津政府委員 お答えいたします。  三百万円にひとまず総額制限額引き上げていただきたいとお願いしております根拠でございますけれども、ちょうど総額制限額昭和四十年におきましては百万円でございましたが、そのときの一人当たり国民所得は、計数をこまかに申し上げますと、二十六万四千円でございましたが、現在四十八年におきましては八十五万八千円、大体三・二五倍になっております。また一世帯当たり貯蓄保有高と申しますものも、四十年には六十六万円程度でございましたのが、現四十八年におきましては二百十万円ということで、これまた三・一八倍。こういうふうなことも一つ根拠ではございますけれども、大臣お答えになりましたように、年末、年初め民間過剰流動性と申しますか、この吸収のために、すでに民間金融機関預貯金は十二月から三月まで預け入れられたものに所要の所得税法等改正が行なわれて、さかのぼって利子非課税限度を三百万にするということが実行されるということになっておりますし、また民間金融機関非課税限度額と、大体いままで郵貯総額制限額は一緒でまいりましたものでございますので、三百万ということをひとまずお願い申し上げる次第でございます。
  7. 坂井弘一

    坂井委員 そういたしますと、私は、この総額制限額の三百万円というきめ方が実態に即して妥当であるかどうかという議論がまた一方にあろうかと思うわけですけれども、そういう点からいたしまして、いま一世帯当たり大体二百十万円ということでございますが、この郵便貯金を見てみますと、一人当たり平均預金高はいかがな額になりますか。
  8. 船津茂

    船津政府委員 郵貯の一人当たり貯金高は、正確な数字はあれでございますが、五十五万円から六十万円、全部合わせてその程度だと思います。
  9. 坂井弘一

    坂井委員 もう少しその点についてお尋ねしたいと思うのですが、それはあとにしまして、今回郵便貯金法改正には総額制限額引き上げのほかに、いわゆる貸し付け限度額、これも同時に引き上げよう、現行十万を弧十万、今国会に出されるということでございますが、手続的に、同一国会同一件名で同一法律改正案を提出するということ、これが一事不再議の原則からいって問題がないのかどうか、その辺のところは御検討はずいぶんされていらっしゃると思うのですが、いかがなものでしょう。
  10. 船津茂

    船津政府委員 お答えいたします。  同一国会同一件名で同一法律改正案を二回にわたって提案、御審議を願うことができますかどうかということでございますが、特別な理由がございまして、同一法案の中の同一条の同じ個所は、これは一事不再理ということになろうと思われますが、違う条文をまた御審議願うということは以前にも例がございますし、今回特に、先ほど大臣説明のように、この総額制限額の御審議だけを急いでやっていただくという趣旨でございまして、あとまた預金者貸し付け条文、それからもう一つ私のほう考えておりますのですが、勤労者財産形成貯蓄にも郵便貯金が参加するということもあわせまして御審議を願う機会があろうかと思いますが、同一法律案同一国会で二度にわたって御審議願うということにつきましては、法制局方面の御意見も伺い済みでございます。
  11. 坂井弘一

    坂井委員 手続的には、法律上の根拠につきましては問題ない、こう解します。  先ほどの件でございますが、郵便貯金口座を見てみますと、これは四十七年度末現在でございますが、一億八千七百八十一口座、そういたしますと、一人当たり平均預金高が大体七十万見当になっているのではないか。これは私の手元の資料でございます。うち、定額貯金の分が構成の比率で見まして七五・五%というのですから、非常に多くを占めておると思うのですが、これが一口座当たりの現在額が八万六千七十二円というわけでございまして、大体三口座をもって二十四万円見当ではなかろうか、こう推定されます。それらを合わせまして、一人当たり平均預金高各種貯金を合わせまして全体で七十万見当ではなかろうか、こう思われるのです。  そこで先ほどの三百万円という限度額実態に即して妥当であるかどうかという点につきまして、なおやはり具体的に少しこの内容を明らかにしなければならぬ点があるのではなかろうか。とりわけこの制度制限額引き上げによってどの程度貯金増加が見込まれるかということも一つ問題点ではなかろうかと思うのですが、大体どれくらいの増を見込んでいらっしゃるのでしょうか。額でです。
  12. 船津茂

    船津政府委員 坂井委員の御質問でございますが、限度額の三百万が多きに失するといいますか、まだ御納得になっていないようでございますけれども、これはもちろん限度額でございまして、平均を申しますと六十万とか七十万の平均になろうと思いますけれども、利用者の方々にはやはり郵貯のファン、郵貯しかやらないという人もございますし、またわれわれでも民間一般の人でも、退職金なんかもらいます場合に大体平均七、八百万と思いますが、やはり郵貯にも預けたいというようなときもございますし、いろいろの限度額でございまして、全部が全部三百万利用するわけではございませんが、そういう意味におきまして、これを上げましたものの急激に郵便貯金がふえるかと申しますと、私のほうの試算でございますけれども、来年の郵貯の総純増高の目標といいますか、いままでの限度額の百五十万円におきましては二兆九千八百億円とひとまず見込んでおりまして、しかし三百万円に上げました際にはこれが七百億ほど、額が思いのほか小さいとお思いでしょうけれども、七百億円ほどふえまして三兆五百億円というふうに考えております。推測でございます。
  13. 坂井弘一

    坂井委員 私、この制限額引き上げることについては賛成でございます。けっこうだと思うのですが、ただ一部に偏在するような形は好ましくない。つまり庶民のいささかのお金がこの制度によって税制上やはり公平にその恩恵を受けるという、そういうところにあろうかと思うのです。そういう点につきましては、運用上やはり相当綿密な配慮の中で公平な運用を期するということが非常に大事ではなかろうか。まあ平均がかりに七十万、そこで三百万というのは実態的に相当な開きがあるからどうもそぐわないのではないかというような、いまも御答弁の中にいささかそうした点について触れられておりましたが、つまり私が申し上げたいのは、一部の人たち利用にとどまって、そしてせっかくこの制度によって貯金を促進し、それが庶民郵貯貯蓄増強を促し、それによって一般庶民が公平な恩恵を受ける、こういうところの運用上の配慮というのが非常に大事ではないかと思うわけでありまして、一点だけお聞きしておきたいと思いますことは、限度額のチェックでございます。これはいままでもなさってこられたと思うのですけれども、預金者の特に名寄せをやっていらっしゃると思うのですけれども、これはいかがでしょうか。いままでの名寄せ調査なり監査と申しますか、そういうことについてもおやりになったと思いますけれども、どういう状況であったか。なおかつ、この制限額を超過していることを発見した場合、どういう措置をおとりになったか。あるいは実際発見した額というものはどれくらいあったのでしょうか。その点について……。
  14. 船津茂

    船津政府委員 お答えいたします。  郵便貯金総額現行百五十万をこえてはならないとなっておりますことを厳重にチェックするということでわれわれかねて腐心しておるわけでございますが、まず名寄せ事務は、その預金者の住所のある地区を管轄しておりますところの地方貯金局におきまして原簿が全部上がってまいりますので、そこでやりまして、たとえばほかの管轄する地方貯金局所在地貯金した場合には、それを本拠の住居地のあるところに回してみたりしまして完全に大体実施しておるところでございます。また架空の名義で預入した場合にどうなるかというような場合には、私のほうはまずそういうふうなものにあいさつ状というものを出しまして、それが架空ならば戻ってくるわけでございまして、こういうものも不審だということで検査いたします。そのほかいろいろ地方貯金局から利子支払い調書だとか元利金通知書だとか、ないしは相当高額な定額貯金には書面調査とかいろいろの手を打ちましてこれを合算し、いわゆる名寄せをいたしまして、もしそれが超過するというようなことでございますと、通知いたしまして払い戻してもらうというような措置をとっております。  しかしそれにもかかわりませず、制限額百工十万を超過した、そしてそういうふうに通知して解約といいますか、払い戻ししていただいた額でございますが、四十五、四十六、四十七年と大体似たような数値でございますけれども、四十七年度におきまして減額措置をいたしましたのは、件数にいたしまして一万七千件、金額で百八十五億円、こういうふうになっておりまして、努力しております。
  15. 坂井弘一

    坂井委員 時間がございません。最後に一点だけ大臣に御所見を伺っておきたいと思いますことは、この改正は私は非常にけっこうだと思う。三百万円に引き上げる、そこでいまいささか運用面につきましてあやまちのないように、私申し上げておいたのでございますが、やはりささやかな庶民財産といいますか、それを守り、かつそうした貯蓄を促し、それによってそれなりのやはり貯金のできた人たちが公平に、潤いのある恩恵を受けるというところにこの法律改正一つ趣旨というものが私は生かされていかなければならないのではないかと思う。そうした意味合いから考えましたときに、従来ともすればある一部の、つまり金のある人たちがこの制度を悪用する、そういうおそれなきにしもあらず。また実態的にもかなりあったようでございます。したがって、せっかく倍額に引き上げましたこの制度がそうした人たちのために利せられる、場合によっては納税の一つの隠れみの的な、ずばり言えば脱税のそうしたものに供されたならば、これはまたせっかくの改正案何をかいわんやということになるのでありまして、どうかそういう運用の面におきまして慎重な配慮、公正なそういう運用に特にひとつ意を用いていただきたいということを、私特に要請したいわけでございます。大臣からその点につきまして所見を伺いまして、質問を終わりたいと思います。
  16. 原田憲

    原田国務大臣 ただいまは重要な点の御指摘をいた、だきましてありがとうございます。もとよりこの郵便貯金という零細な庶民金融制度、そのために全額非課税である、こういうことになっております点を利用して、御指摘のようにこれを、極端に言えば脱税利用するというようなことがあってはなりません。いままでの過去の例につきましても御質問がございましたが、この問題は重要な問題でございますので特に重視をいたしまして、万全を期してこの制度拡大をいたしていきたいと存ずる次第でございます。
  17. 坂井弘一

    坂井委員 終わります。
  18. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、小沢貞孝君。
  19. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 聞くところによると、きょう政令でもって新しい定期郵便貯金を創設される、こう聞いておるわけです。その性格、それから目的、こういうものについて御説明いただきたいと思います。
  20. 原田憲

    原田国務大臣 お尋ねの点は、われわれの行政の中で行なっております定期貯金金利引き上げの問題である、このように存じます。これもただいま御審議を願っておりますところの郵便貯金限度額拡大とともに、同じ目的を持ちまして政府におきましてとりました一つ措置でございますが、内容につきましては事務当局から御説明を申し上げます。
  21. 船津茂

    船津政府委員 お答えします。  実はきょうから預け入れられましたものに適用するわけでございますけれども、制度の骨子は、定期郵便貯金といたしまして期間半年の定期利率は六分二厘五毛でございますが、もともと郵便貯金には半年の定期貯金という制度はございませんで、一年の定期郵便貯金年利率六%というのがございましたが、今度年末から年の初め、十二月十日から来年一月十二日までの間に預入されますならば、半年定期郵便貯金として特に六分二厘五毛という利率をつけましてこれを売り出そう、そして、もちろん大臣の御答弁のように、いま消費抑制貯蓄増強というものにこれを資そうということで、民間金融機関でも全く同一のものを内容とする商品が同じ期間売り出されることになっております。
  22. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それによって新しい預貯金がどういうぐあいにふえるだろうと想定されるか。これはたいへんむずかしい話なんだけれども、私はこういうことを心配するわけです。通常郵便貯金は三・八四%の金利、それから普通の銀行預金は二・五%の金利、そしてきょうの法律にあるように三百万円に限度額引き上げる。家族四人か五人でこれを目一ぱい利用すれば、三、五、一千五百万、こういうものを銀行預金普通郵便局預金から持ってきて半年間預けておこう、こういうものが出てきたのでは、総需要抑制で新しい預貯金を吸収しよう、そういう目的に合わないじゃないか、ただ横へ横すべりするだけじゃないか、こういう感じがするわけです。その辺はいかに検討されたか、そういう心配はないか、こういうことなんです。
  23. 船津茂

    船津政府委員 ごもっともな御心配かと思いますけれども、お答えいたしますが、私のほうの郵便定期貯金、半年もの一きょうから売り出す分で吸収できます、できそうだという推測——まあこれは根拠がいろいろございまして、いろいろの試算をいたしました結果、六百三十億円程度はこの貯金で吸収できるのではないか。申し上げるまでもございませんが、郵便貯金の大宗を占めますものは定額郵便貯金でございまして、これは長く置けば置くほど有利になるという性質のものでございます。これによりまして、そのほぼ十倍程度、この年末から年明けにかけて吸収したい、こういうふうに考えております。  で、御質問のいわゆる横すべり、シフトするだけじゃないかという点でございますが、この定期貯金は特殊な時限的な、一カ月こっきりでこれが終わりますと、半年の定期郵便貯金というものはなくなるはずのものでございまして、これは長期の定額貯金になじめないような利用者層、ないしは通常貯金と申しましていま先生御指摘の三・八四%のこれでも少し長く置けそうだというような人に、こういう種類の貯金もございますよというすすめ方で募集していきたいと思っておりますので、やはり増強には幾らかでも役に立つということを考えております。
  24. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは想定することだから横すべりがどのくらいあるのかないのかということは何ともわからないと思うのだが、大体倍の金利ということになれば、これは限度額が上がった、だいぶ金を持っている人だけが横すべり金利をただもうけているだけ、こういう結果になりはしないか、こう思うわけです。だからこれは押し問答みたいな、想定だからよくは見通しはつかぬと思うのですが、これは来月の十二日までという一カ月——この法律がいつ施行されるか、一カ月たけのことだからその結果を見てまた御質問をいたしたいと思います。  次に、私は、最近のこのインフレ傾向とともに預貯金増加というものが減ってくるのではないか、こういうように心配するわけであります。これは物価動向をいまちょっと聞いてきたのだけれども、消費者物価指数が一月が対前年同月比六・二、二月が六・七、三月が八・四、四月が九・四、五月が一〇・九、六月一一・一、七月一一・九、八月一二・〇、九月は一四・六、十月は一四・二、それから十一月はこれは東京だけらしいのですが一四・八、約一五%。その期間中の卸売り物価の対前年同月比は一月から七・六、九・二、一一・〇、一一・四、一二・三、一三・六、一五・七、一七・四、一八・七、十月にきて二〇・三、十一月中旬で二一・二、そしてきょうの新聞によれば、十一月は対曲月比卸売り物価は三%をこす急上界、こういうようにまた加速がついてきたようであります。だから私たち一般に理論的に考えれば、二〇%、一五%近く消費者物価が対前年比で上がっていくときに、六%や五%の金利のものを長く預けておくはずはないのだ、理論的にわれわれはそう考えるわけであります。これが預貯金がみんなおろされて換物運動にもし大衆が変わったとするならば、もはやこれはとめどもない悪性インフレになっていくのではなかろうか。  こういう前提に立って、ことしの一月以降、郵政省で扱っている預貯金は対前年同月比、どういう増加傾向をたどってきたか、その傾向。そしてもしできるならばそれを批判する、それに論評を加えてもらいたい。
  25. 船津茂

    船津政府委員 お答えいたします。  小沢委員のおあげになりました消費者物価指数、後半は私のほうの手元指数と同じ、前半はちょっと違いますけれども、私のほうで責任をもってお答えできますのは郵便貯金総体の対前年同月比の伸びのぐあいでございますが、ちょっとわずらわしいと思いますが、各月ごとに申し上げてみたいと思います。  一月は一七%の増でございます。二月三七%、三月四〇%、四月三一%、五月八四%、六月四三%、七月二三%、八月一七%、九月二〇%、十月一八%、十一月二〇%、かようにいずれの月におきましても、ちょっとでこぼこはございますけれども、郵便貯金は総体的に対前年に比べましてしごく順調に伸びを続けておる次第でございまして、インフレのために郵便貯金が減っておるということはございません。統計上大体同じような数個で農協信用金庫がふえておりまして、他の都市銀行地方銀行市中銀行あたり法人性預金伸びが鈍化したせいか、郵貯ないしは信用金庫農協ほどは伸びておりませず、鈍化しておるということでございます。  これは原因を的確に申し上げることはなんでございますが、四月以降三問利上げをやっておりますし、また物価上昇も著しいのではございますけれども、一人出たりの国民所得というか個人所得もまた著しく増加しておる次第でございまして、これがやはり郵貯伸びをささえている原因ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  26. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大蔵省にお願いしておきましたが、同じ期間中に民間預貯金はどういうような増加傾向であるか、パーセントだけでいいです。
  27. 清水汪

    清水説明員 民間預貯金動向につきましては、対前年同月の残高の増加率の推移で申し上げますと、全国銀行実質預金は、全体といたしましては、たとえばことしの一−三月あたりはその伸び率が二五、六%という伸び率でございました。それがことしの五月、六月、七月、八月と逐次その伸び卒が下がってまいりまして、いま統計で一群新しく出ております十月の場合には一五・五%というような低い伸び卒になっております。  ただこの中で、ただいまも郵政省のほうからお答えがございましたように、特に低いのは都市銀行でございまして、一方で地方銀行あるいは相互銀行信用金庫におきましてはそれほど伸びは落ちておりません。ことに地方銀行はいまの十月で申しますと二一・八%という伸び率、それから相互銀行は二五%、信用金庫は二五・七%、いずれも残高の前年同月比の伸び率でございます。
  28. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は専門家でないからよくわからないが、いま聞いただけでも、大臣郵貯のほうは一月一七、二月三七、三月四〇とこう伸びてきておるわけです。五月のごときは八四%も伸びている。六月は四三で、今度は、だんだん下がってきてしまって、十月、十一月は一八、二〇というように、まあこういう、ヒータをなしているように感じます。  それから、いま民間貯金動向を聞いただけですが、十月になると一五・五%ということでたいへん少ないようであります。私はこれは物価が七がっていくことと無関係ではないだろうと思う。もっともこれは流動性というか通貨の量の問題とも関連があるんだけれども、通貨の量はどんどんふえているらしい最近の動向の中で、こういうようにいまここで聞いただけでも民間、郵便局ともに貯金が下がっている、こういう傾向ではないか。これは私はいま偶然に聞いただけなんですが、最近の物価高と無関係ではない。こういうことになれば、きょうの新聞にあるように十一月は対前月比三%をこすような、もはや換物運動というか、この新聞にもちょっとあるんだけれども、一般の会社の、企業の資材担当責任者は原材料や部品の買いあさりに狂奔しておるという、こういう事態にまで実はなってきておるわけであります。こういう事態に立って貯金政策なり何なりをもっと根本的に考えなくちゃいけないんじゃないか、こういうように考えるわけですが、どうでしょう、大臣
  29. 原田憲

    原田国務大臣 いまのわが国が当面しておる事態はたいへんな事態でございまして、これに対応するために現在国会におきましては、特に生活を曲るための法律案、根本の一つの大きな原因であります石油の問題、この二つの法律案を急遽提出をいたして御審議を願うことにいたしておりますとともに、予算の補正を行なうことをいま御審議願っておるのでございまして、御指摘のようにこの問題、今日わが国が当面しておる問題につきましては、ひとり金融政策だけでは対応できない、金融財政政策だけでもなかなかむずかしいという点があるということは、私は御指摘のとおりだろうと思います。ゆえにこの点につきまして万般の施策を伸べていく必要があるのでございますが、と申しまして今日の傾向の中で何もしないで放置しておっていいか、これは許されないことでございまして、当面しておる問題につきまして、何としてもやはり物価高の一番の大きな原因、これをとめるため、この政治課題に取り組むためには総需要を押えなければならぬ。そうすると、そのもとであるところの通貨の収納というものをはかっていく一つの手、だてといたしまして、新しい今度とります定期損金の金利引き上げが、小沢さんのおっしゃるように、きょう始めまして来月の十二日までの暫定と申していいか措置でございますから、そのときどういう結果になっておるかわからないといわれる点も私はむべなるかなという感じもいたしますけれども、緊急対策としてとっていくという手段はあくまでやり遂げなければならぬ、こういう観点からながめまして、やはりもういまは物を買っておいたほうが銀行へ金を預けるより、あるいは郵便貯金へ預けるよりいいんだというような傾向がそれこそほんとうに現出いたしましたときのことを考えますときに、これはまず預けておいていただいて、それから物を買うときはこれからでもいつでも買えるのでございますから、まず一応お金を預けていただたいてそれから考えていただこう、こういうことで現在のこの制度というものをお願いを申し上げておるのでございまして、根本的な貯金の問題に対しましては、これはお金を預かるだけでは銀行、郵便の業務ではございませんで、新しく十万円貸し付けるという、預かったお金を貸すことによってまたこの制度が生きてくるというようなことと相まちまして制度というものが生きてくるのでございますから、私ども郵便貯金制度というものを預かる当局者といたしましては、御指摘の点を十分留意をいたしまして今後処していきたいと考える次第でございます。
  30. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 まあこれは予算委員会で田中総理にでも質問しなければいけないような問題になるので、それ以上は私は質問をしようとは思いませんが、大体十二月の消費者物価の対前年比は、この傾向でいくならば一五%、一六%ぐらいになるのじゃなかろうか。そうすると政府がすすめて一生懸命で貯金をさしたところで、今度は六・二五の新しい金利制度を設けても、これは金を政府に預けておけば預けておくほど損をしてしまう、こういうことになるわけであります。これは明確であります。だから、この間これは具体的に出てきた問題なので私もびっくりしたんだが、貯金をしておきます、その価値がなくなったものを政府で補償してくれるような措置を何とか緊急に国会でやってくれないか、ある労働組合の決議であります。そういう声さえ出てきているわけであります。たった半年の六・二五で、一%ばかり上げたもので吸収で生るというのは、もう少しテンポのゆるやかなような時期ならこれでも価値があるだろうけれども、こんなもう爆発的なインフレの前夜にいるというような中において、こんなのは価値がちっともないじゃないか、こう思います。それが一つと、いま言ったように、ひとつ政府で何らかの補償をしなければいけない、こういう声が労働組合の決議等で出てきたん、だが、こういう問題に対して、どうでしょう、大臣
  31. 原田憲

    原田国務大臣 たいへん重要な問題でございまして、御指摘のように、短期間の間にわずかな金利を上げて、それによって万全な策が講ぜられるか、こういう問題につきましては、先ほどもお答えいたしましたが、なかなか問題はむずかしいと存じますが、全体的な問題になってまいりますと、これは公定歩合の引き上げあるいは金利引き上げということになってまいりまして、今度は貸し出し金利という問題にもまた問題が伸びていくわけでございまして、金融の問題を通じましてのいわゆる政治ということになりますと、たいへんむずかしい問題であろうと思います。したがいまして、いま私どもが扱っております郵便貯金の問題に関しましては、確かに御指摘のようにインフレ傾向の強いときにお金を預けても、それは損をするということがいわれるのでございますけれども、かといって、ほんとうにそれではみなが乱費をしていくことによって、それで得するというところの確証があるか、かえってそれはインフレ傾向を助長してパニックにおちいるという傾向を早めるだけではないか、そのためにはやはり一度お金を預けてもらうことによってさような弊害が起こらないようにつとめる、こういう観点から今次の御提案を申し上げておるのでございまして、何とぞ御理解を賜わりたいと存じます。
  32. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 答弁漏れで、損失をするものについて補償をするようなことを考えなければいけなかろう、こう言っているのですが、どうでしょう、大臣消費者物価が対前年比一五%以上一六%も上がる、金利は六・二五、最高のもの、ここへ一カ月間やってみよう。これが最高であります。政府へお預けしておけばしておくほど損をしてしまう、これを国会で何とか解決しろ。個人の思いつきでなくて、ある労働組合の決議でそういう要求をしよう、こういうような動きさえ出てきておるわけです。どうでしょう、大臣
  33. 原田憲

    原田国務大臣 いま申し上げましたように、郵便貯金をしておいたがゆえに損になったか得になったかという問題はたいへん迂遠な問題でございまして、迂遠ということばは当たりませんが、たいへん関係の深い問題でございまして、預けておいたがゆえにパニック状態におちいらなかった、これを預けずに使っておったらどういうことになったかということを考えるときに、預けておいていただくほうがよいのではないか、こういうことを申し上げたのでございます。
  34. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この問題はいかほど押し問答をやっても同じですから、次に進ましていただきます。  これはいまのインフレ傾向と同じように、せっかく政府へ預けておいても価値がなくなっていくということと関連があるわけですが、ことしの四月二十五日に私は前郵政大臣に同じような質問をしたわけであります。その要点だけを申し上げると、新しい大臣からひとつ決意をお伺いしたいわけですが、この保険の契約が、昭和二十一年度以前の月掛け契約、これは約二百五十三万五千件あるわけであります。昭和二十一年度以前で、現に郵政省の何かカードだかコンピューターだかどこかにちゃんとそれを一件一件保存してあるものが二百五十三万五千件あるわけであります。その保険金額が七億八千五百万円であります。これを除してみると、平均一件当たり三百円前後であります。死んだときか満期になって返ってくる金額が一件三百円かそこら、こういうわけであります。こういうものがまだ二百五十万件もある、こういうわけであります。次の昭和二十二年度の契約が約七万件、六万七千件ぐらいで、その保険金額が一億六千九百万円、一件当たり二千六百円であります。保険料が幾らにつくか、これはまたあと事務当局から同じように説明してもらいたいが、そういうものを、昭和二十四年ごろまでの価値のない小額のものを、こういうインフレの時期だからもはや価値がなくなって申しわけございません、政府がそれにプラス一万円とかプラス二万円つけて契約を解除してくれないか、こういう制度を、こういうことをやりなさい。当時の大臣、十分検討してみますと、こういうことを言っておったわけであります。  大臣、一体これを大至急整理することを考えないでしょうか。価値がない何万件、何百万件という、一件当たり三百円で、これは月掛けにすると一件十二円とか幾らと言いました。十二円ずつ集めるなんというばかな話がいまどきあろうはずはない。そうしたらその答弁の中で、いや一年間まとめて集めてまいりますと。今度一年間に直せば百四十円だ。百四十円集めたって——、いま郵政省の職員は、いろいろの負担をみんな合わせれば月給大体十五万円。休暇をとったり祝祭日を休んだり、大体二十日間勤務と見れば一日七千五百円。一時間当たり千円ばかりです。一分間当たり十八円だ。一分間の賃金約二十円の人が、一件当たり十二円、こういうものを集めるようなばかなことをやっていたんじゃだめなんだ。だから早く、インフレになっちゃって申しわけない、これに契約の三百円のやつじゃあまりにもかわいそうだから一万円か二万円くっつけて、どうぞ解約してくれないか、こういうことをやってはどうか。これは年金の場合に、この四、五年前にやったことがあるわけですから、この保険についてもそういうことができないはずはないじゃないですか。どうでしょう、大臣
  35. 原田憲

    原田国務大臣 この制度につきましては、正直に言いまして私まだ前大臣から引き継ぎを受けておりませんので、事実問題でございますから、どのようにいたしておりますか事務当局からまず答弁をさせます。
  36. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 先生御指摘のとおり、確かに戦前の契約あるいは終戦直後の契約で現在保険的な価値を非常に失っておる契約を、御指摘の件数程度われわれも保有をいたしております。二十七年以降、これらの小額契約の集金等の措置につきましては、やはり先生の御指摘のような措置を実施をいたしております。  これの整理というとちょっとことばが変ではございますが、一応どうするかということにつきましては、累次に及ぶ御質問にこたえまして検討を進めておる、こういうことを申し上げておるのでございます。まず、われわれ整理の対象とする契約をどういう範囲のものにするかということ、それから現行法のもとで措置し得るかどうか、特段の法律改正を必要としないかどうか、あるいは特別に立法を必要とするかどうか、またその措置内容をどうするかというようなことについて検討を進めておるわけであります。  いずれにいたしましても、契約者にとりましてあまり価値のないものであり、かつ保険者にとりましてはいささかでも手数がかかる、こういう問題でございますので、あるいは御指摘の年金契約について措置をいたしましたように特別の付加金なり何なり、あるいは見舞い金程度のものをつけて措置をいたしますかどうか。なお、二十七年前後の契約につきましては、民間保険におきましてもわれわれと大体同じような措置をとったように記憶をいたしておりますが、現在はたしてこれを整理、ということばがどうかと思いますが、一応整理をいたしますと、その理論的根拠はどこに求めるかというようなことにつきまして、なお多少の時日をおかしいただきたい、このように考えております。
  37. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私の質問したのはたしか四月二十五日、きょうは十二月十日だから、まる半年検討してもまだ結論はつかぬわけですか。こんな簡単なことをまる半年。二口、三日みんなで相談したらすぐわかるようなことじゃないですか。だから、やる気でもって検討をしておるのか。ああでもない、こうでもないといって六カ月間考えていたって、これはいい考えが浮かびっこないと思う。やる気で検討しているのかどうか。やる気で立法措置をするんだったら、この国会でやらなければ間に合わないじゃないか、こう言っていろわけです。何かネックがあるのですか。立法措置にするか、特別立法にするか、現行法でいいか、こんなものは一日か二日検討すればすぐわかる。こんな契約を何百万件も持って、一件一件それを整理をしなければならない。その人件費から何から考えたらたいへんなことだ、こう思う。だから、やろうと思えばいまのこの国会でやらなければならない。こんなものは二日三日検討すればすぐできることじゃないでしょうか。何がネックか。
  38. 野田誠二郎

    ○野田政府委員 私ども、この小額契約の整理につきましては整理をする方向で検討を進めておるわけでございます。先ほどもちょっと申し上げましたように、どういう方法でやるのが契約者にとって一群有利であるか、また保険者である国にとって支障なく行なえるか、そういう点を中心にいたしまして慎重に検討をいたしておるわけでございます。
  39. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これ以上もう時間もありませんが、大臣、どうでしょう。一件三百円の保険金ですよ。死んだときに三百円か、満期で三百円もらえる。その次の年のが一件二千円、昭和二十二年のが一件二千円前後のものです。だから、これはやろうと思えばできないことはないと思うし、やるとするならばこの国会で立法措置なり何なりする、こういう方向で大臣どうでしょう。
  40. 原田憲

    原田国務大臣 いま私初めて伺いまして、これはお金のことですから小額といえどもたいへん大事なことで、まあ青砥藤綱がお金を落としてたいまつをたいてそれをさがした、どちらが経済的かというようなことを子供のときに教えられたことをいま思い出しておったんでございますが、いま前向きでこれを整理するということについて事務当局が検討しておる、こう申しておりますので、私も検討の結果を急がしたい、このように考えます。
  41. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 終わります。
  42. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次に、土橋一吉君。
  43. 土橋一吉

    ○土橋委員 ただいま郵政大臣お答えになりました、その一厘か一銭かの金をさがしたということはたいへん大事な問題でございますので、これからの私の質問についてもその点を明確にしておいていただきたいと思うのであります。  と申しますのは——大蔵省ちょっと残っておいていただきたい。せっかくお見えになっておるから、大蔵省の方にちょっとお尋ねしておきたいのです。今度の郵便貯金法の一部改正によりまして百五十万円の限度を三百万円に引き上げるということは、現在の総需要が非常に高まってきておるので総需要抑制をするという、そういう現在の政府の基本的な方針に基づいてこの法案に参画をしあるいは援助したかどうか、これが第一点です。総需要抑制という現政府の政策の一環としてこれを打ち出したかどうか。これが第一点です。  第二審目の問題としては、聞くところによりますと、すでに市中銀行ではマル優預金は三百万円までは税はつきませんよというようなことで話し合いを進めていって、そうしてビラ等を配って、市中銀行あるいは信用組合などには事前にさような手を打っていながら、なぜ郵便貯金だけ今日ただいま法案が国会に上程されて審議をして本日通すというような、まあ後手のようなやり方をしなければならなくなったのか。むしろ私は、大蔵省としては他の金融関係の金融のにらみ等は重要な問題であるけれども、財政投融資のその中心的な部分をなしておる郵便貯金について、そういうことを民間の市中銀行や信用組合に流さしてしまっておいてから、いま法案を審議してここにかようなものを出すということは、端的に言わしていただくと郵便貯金制度をないがしろにしておるのじゃないか。郵便貯金制度の基本的な問題についてあまり考えないで、市中銀行のことだけ考えて大蔵省はやっておるのじゃないか、そういう気がしてならないのです。私は逓信委員の一人として、大蔵省がそういう態度でものを考えるならば厳重な戒告をしなければならぬ、注意をしなければならぬというふうに考えておるのですが、はたしてそうであったかどうか。特に、この法案を通過させると、いわゆる所得税法の一部改正やあるいは租税特別措置法の一部改正の問題が今後起こってくるのであります。いち早く郵便だけはこういう法案を通しておいて、二の次、三の次にそういうものをやらかして、あげくの果てには前もってそういう通知を民間の市中銀行や信用組合が出すということになってくれば、全く郵便貯金制度に対する、法律の面からも軽視もはなはだしいではないかという気がしてならないのですが、明確な答弁を願いたい。時間が三十分ちょっとしかありませんから、ごく簡単に明快にお願いしたい。
  44. 清水汪

    清水説明員 ただいまの御質問の第一点でございますが、今回の貯蓄の優遇措置という問題の考え方といたしましては、ただいま先生御指摘のとおり、広い意味で現在の経済情勢に対処する上で、総需要抑制という政策が一番基本であろうかと思います。同時に、その問題につきましては、需要を具体的に抑制するということと同時に、やはり貯蓄の重要性ということがあるわけでございまして、そのための一つの手段として今回の措置がとられたものと私どもは考えております。そのように御理解いただきたいと思います。  そういたしまして、第二点の御質問でございますが、これは直接的には税制上の問題でございますので、銀行局のほうからお答えいたしますことはややその筋がはずれるかと思いますけれども、しかしながら現実を申し上げますと、この国会におきまして、やがて四十九年度の税制改正提案され、御審議をいただくことになろうかと思いますが、その一環といたしまして、一般のマル優制度の限度の引き上げということも提案される予定になっているというふうに私どもは承知しておるわけでございまして、民間におきましては、そのような法案が成立する場合には、さかのぼって十二月に、預け入れたものからマル優限度引き上げの恩典が適用されるということ、しかしながら、そのためには法律が通るということと同時に、通った後において必要な手続を踏むということを前提として、いわば貯蓄奨励運動の一つ趣旨といたしましてそういうことを行なっておるということは、事実としてございます。しかしながら、このことが直ちに郵便貯金のほうの動きと必ずしも日にちがぴたり一致しておらない面はあろうかと思いますけれども、やはりこの十二月のボーナス吸収というようなところに特に力点を置くという意味もございまして、いまのような実情になっているということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  45. 土橋一吉

    ○土橋委員 あなたのおっしゃった意味は、私はよくわかります。第一は、いわゆるこの総需要抑制という現政府の基本的な方針の一つであると自分も思う。それから、郵便貯金をないがしろにしたとかそういうことじゃなくて、所得税法の一部改正法律が通過するならば、それが本国会において承認されるならば、つまり、実際は三百万円までは課税しませんよというような内容であるけれども、業者がセールスをする場合には、もうこの法律案が通ることを既定の事実としてどんどん、つまり三百万円までは税がかかりませんということで、郵便貯金をしり目にかけて、要するに市中銀行相互銀行に金が殺到してくる、こういうことが一応うなずけるわけです。  そうするならば、なぜさようなことを宣伝するような余分なことをやらしておいて、そうして郵便局はこの法案が成立をするまで、じっとがまんの子じゃないけれどもしんぼうして、そしてこの法律をつくった、それ、これから三百万円まで課税されないというような、そういう立場におとしいれるようなことをやっておることは、これは大蔵省としては片手落ちじゃないかな。どういう説明をしようとも、郵便貯金はこの法律ができて初めてセールスを始めるわけです。ところが民間の信用組合や一般の市中銀行では、もうそういうセールスをしてどんどん金を吸収さしておいて、郵便局のほうは指をくわえて見ておるという状況から、この法案がもし通過すれば、通過した時点においてそれが発効して三百万円まで無税、片手落ちじゃないかね。あなたのほうはこの郵便貯金によってばく大な、要するに財政投融資で御承知のように六兆九千億も四十八年度は金を使っておる。その本家本元の郵便貯金のほうをそっちにしておいて、市中銀行のほうだけそういう宣伝をさすとは一体何事であるか。もう一回明確な責任ある答弁を願いたい。  もし、あなたのほうで郵便貯金制度をそういう態度でながめたり、そういう方法で市中銀行に有利な立場を与えるようなことをしておいて、郵便局の郵便局長や郵政大臣がやきもきしておって、そうしてこの法案を急いで通すというようなことになるとすれば、これは郵便貯金制度に対する非常な軽視と、また怠慢な態度だというふうに私は考えるが、もう一回明確な答弁を願いたい。そうではないならばないように、いわゆる所得税法の一部改正はいつ上程をして、いつ通る見込みでこの問題が処理できるという点をはっきり述べてもらいたい。
  46. 清水汪

    清水説明員 民間におきましてはただいま申し上げましたような状態になっているわけでございますが、しかしながらやはり国会の立法審議権の問題がございます。そういう点に関しましては、いま先生の御指摘の中に、民間銀行におきましてはあたかも法律がすでに通っているかのごときというおことばもございましたけれども、私どもといたしましては各金融機関に対しまして、これは四十九年度の税制改正の一環としてマル優限度の引き上げが行なわれた場合には、その時点においてあらためて手続をとった場合に、さかのぼって恩典が適用になるということをよく承知して預け入れていただきたいということを明記してやっている。しかしながら、御指摘のように郵便貯金のスタートの時点と、若干ではございますが日にちのズレがあるということもございます。したがいまして、現在市中銀行におきましては、たとえばマスメディアのようなものを使うような、そういう広告のしかたは自粛するというような姿勢でこの問題には対処するように指導しているわけでございます。  税制の問題でございますので、正式には主税局が答えるべき問題でございます。私は銀行局の立場から、銀行に対する指導の態度につきまして御答弁申し上げたわけでございます。
  47. 土橋一吉

    ○土橋委員 そこで郵政大臣、私はいま申し上げるような態度でこの問題をまず見ておるということでございます。  次の問題は、総需要抑制、先ほどあなたも総需要抑制の手段としてこれを用いるのだということをはっきりこの委員会において仰せになりました。そうすると、小沢委員からも指摘がございましたように、特に最近爆発的に消費者物価が値上がりをいたしておりまして、たとえば、消費者物価は一五%ともいうし一四%ともいっておる。卸売り物価は二〇%をこえる、先ほどの例で二三%まで出ておるわけですね。そうしますと、金利方面から見て、いまお話もるるあったように、かりに六・二五%、たった一%上のせをしましても、いまのような状態では全くこの郵便貯金としては十分な効果はあげ得ないというふうに思うのですが、それならば、基本的に田中政府がとっておる高度経済成長政策あるいは日本列島改造論につながるような生産第一主義、この政策について転換をしなければなりませんし、また最近の買い占め、特に私が申し上げなくてもあなたは御承知と思いますが、たとえば製鉄はその売り上げが二・五倍に上がっているとか繊維業者も二・六倍に上がっているとか、その他の業界においても二倍以上、上がっておる、こういう資金のだぶつきがあって、買い占めあるいは売り惜しみあるいは投機にその金が使われておるという現状を放置しておいて、それを全然押えることを知らずして、ただ国民の総需要だけを抑制するという政策は根本的に間違いではないかと思う。郵政大臣はどう考えておられるのか。それをやっての話であって、それをやらないでおいて、それをこれからやろうというような中途半ぱなところにおいて、ただ総需要を押えるんだということだけでは、問題の本質をそらしておるのじゃないかというふうに私は考えるが、どうか。
  48. 原田憲

    原田国務大臣 いまの問題は、ただいま予算委員会で各党代表と政府側とが質疑を戦わしておる問題点の一番要点であると思いますが、私は正直に言いまして、いままでやってきたやり方と変えなければならないということであろうと思います。それを、いわゆる列島改造論がいいとか悪いとかというようなそういう議論は別にして、これは総理が自分で書いたものであるということで、それと、具体的ないま提案しておる国土総合開発法というものと区別して、何もかも一緒にして議論してくれるなということを言われておるのでありますが、限りのあるいまの資源ですね、将来のことはわかりません、人間の英知というものが、現在の石油にかわるエネルギーというものを開発するかもしれぬ。遠い将来のことはさておいて、いま起こっておるときに何をしたらよいか。大量に生産して、大量に消費して、大量に廃棄してきた、こういうことについては、安定した生産をして、安定した消費をして、合理的な処理をしていく、こういうことにしていかなければならないと私は思います。そういうことをやるために、一環の施策として今日御提案申し上げておる点もそこにある、こういうぐあいに私は考えております。
  49. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、いまの御答弁では、いわゆる日本列島改造論といわれておる生産第一主義、この方針については何とか考えなければならないという御発言のようでございまして、私も全くそうだと思いますが、依然としてそれを進めている中でのこの預貯金制度という問題であります。  これは御承知のように、特に郵便貯金の場合には、のっぴきならない生活上の不安あるいは生活上の異常な事態が起こって、一般勤労市民がそれをのがれるために、いわゆる貯金制度というものを活用して幾らかでも困難を切り抜けようという体制にあるわけです。ところが、いま政府提案をしておるこの法律というのは、その限度額を三百万円までに上げますよということだけであって、ボーナス貯金を入れるという問題については問題が別個になっておるわけです。つまり、郵便貯金の限度を百五十万円から三百万円に上げますよということであって、金利の問題とかボーナス貯金の問題は、別の問題として一応取り上げる形をとっておるわけですね。そうしますと、郵便貯金制度の全体の内容から見るというと、御承知のように市中銀行あるいは信用組合、あるいは農協等も入ると思いますが、いずれにしても郵便貯金は、先ほどから答弁されておりますように大体五十万から六十万、たかだか見ても一人大体七十万であろう。こういうきわめて金額としては低い金額を基準としておるわけですよ。ところが市中銀行やあるいは一般相互銀行などにおいては、ただ三百万円預けてあっても、百五十万までが課税対象から排除されるというだけであって、これが自動的に三百万円になれば全部これは三百万円までは無税という形をとって、非常に有利な立場に立っておる。ところが郵便貯金の場合は、百五十万円の限度まで……     〔私語する者あり〕
  50. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 静粛に願います。
  51. 土橋一吉

    ○土橋委員 静粛に願います。質問中ですよ。まじめに聞いていただきたいですよ。  さて、そういう郵便貯金のでは六十万とかせいぜい七十万というところで、百五十万円の限度の人は私はそうたくさんは全体のウェートを占めていないと思うのですよ。そうすると、三百万円まで上げるということになって、このことによって課税対象から免れるという人はごく少ない属といわなければならない。片方は五百万も六百万も預けておいても、百五十万までの限度額が一三百万円になるから、自動的にそれは利益を受ける。こちらのほうではまだつけ足しをしなければならないという、こういう現状になっておるわけですね。  そこで郵便貯金制度で、これは三百万までに上げたからといってどういう利益が一般大衆にあるかという問題は、この法案だけからいうと検討しなければならない。ただ問題は、そこにボーナス貯金というので、つまり従来の五・二五%のやつを一%上げて、それで十二月十日から来月何日までの間に預けたものは結局五厘の利、一年間通じて一%上がるのですから、半年間では〇・五%しか金利が土がらないわけですよ。そうでしょう。そうなってくると、この金利を上げたということはきわめて零細であって、しかも現在のように消費者物価が一五%も上がっておる、あすまた上がってくる、こういう状況の中でこういうものを奨励してみても、一体郵便貯金をしている一般大衆にどれだけの利益になるかという問題は、非常に疑問になってくるわけです。そうすると、逆説的に言うならば、これは市中銀行や信用組合や、そういうものの限度を上げるということによって、郵便貯金のほうも全体のバランスがとれぬから、まあ上げておかなければかっこうがつかないという形にしか結果においてはなっていないように思うがどうか、これが一つ質問です。  第二番目の問題は、この制度の恩典を考えるならば、ボーナス貯金ということを考えるならば、銀行その他の関係もあるでしょうけれども、郵便貯金にとっては特別に利子を高めて、そしてボーナス貯金のようなものを相当活発にしてやるということが、いまの働く勤労者階級、あるいは一口三十五万円程度しか定期貯金をしていない郵便局にとっては非常に重要な問題だ、必要な問題だというふうに私は考えるが、郵政大臣はそういう点について将来考えてみる考えがあるのかどうか。とりわけ郵便貯金については金利を他の金融機関より上げて、相当な金をここで吸収するというような政策を考えておるかどうか。ただおつき合いで、ほかがやっておるから郵便貯金も三百万だというようなことになりかねない状態にある。  その根拠をもう一つ説明しますと、結局のところ、たとえば預貯金を見ると大体三万か四万、定額貯金だってせいぜい十万円以下の金ということになっておりますから、結局三百万円に引き上げたといっても、実は郵便貯金関係の方にはほとんど関係がない。ただボーナス貯金というのをくっつけて出してきたから、ちょっと見ると何か非常に明るい感じがして、たくさん貯金に吸収できるような姿を見せておるけれども、消費者物価が一五%も二〇%も上がってくれば、どうしても換物運動に走らざるを得ないのであります。これはとめてもそんなことはとめられるものではない。またとめるほど手当てをもらわないわけです。もしこういう法案に共産党が賛成したということになれば、そういう物価の上がることを百も承知の上で、しかも貯金をしなさいといって、〇・五%しか金利が上がらないものをわれわれが血道をあげて奨励したりなんかできないという結果になる。もうあくる日からどんどん上がってくる。こういうでたらめなことをやってこの貯金に応募しなさいということは、私どもはどうしても言いにくい。言えないのです。それほど窮迫した勤労者階級をかかえている貯金制度であるから、だから私は、金利をぐっと上げてやって、そしてたとえば三カ月なら三カ月でもいいから、ほんとうに預けてよかった、三カ月たって出してみたらそんなに物価が上がっていなかったというような措置が講ぜられておってこれを奨励するならけっこうだけれども、それをやらないでおいて、ただ奨励するというだけでは、われわれ共産党としては絶対に納得できない、こういうことでございますので、明確な答弁を願いたいと思います。
  52. 船津茂

    船津政府委員 三点ほど土橋委員の御質問がございましたように思いますが、お答えいたします。  御審議願っております三百万が高過ぎはしないかという御指摘かと、簡単に申し上げまして思いますが、一般の勤労者、零細な貯蓄をする人に均てんしないのじゃないかという趣旨かと思いますけれども、数字的に申し上げて失礼でございますが、一世帯当たり貯蓄保有額が大体現在二百十万円、わが国の一世帯構成人員は大体三・五人、その中の就労者といいますか、勤労世帯の就労者はやはり一人が中心でございます、共かせぎもございましょうが。そういう人が収入を得た場合に貯金する。家族名義でやりますと、法を厳密に解釈いたしますと、家族名義の場合には贈与税の対象になるということでございまして、大体一世帯当たりの二百十万という金額は一人当たり二百十万とほぼ置き直して考えてもよかろうかと思いますが、総額制限額という場合に、この二百十万円、年少者はもちろん少のうございます、四十歳から五十歳、六十歳代と大体数値をとりますと、二百四十万、二百五十万、二百六十万という数字が出ておるように思いますが、またこれを他の面から考えてみますと、百五十万から三百万くらいの貯蓄を保有している世帯、大体調査がございますが、職業別でサラリーマンでは二四・七%、農林漁業では二四・六%、こういうふうに百五十万から三百万の貯金を持っておいででございます、預貯金総トータルでございますが。また年間所得別で見ますと、百二十万から百六十万の階層が二九・一%、百六十万から二百万円の階層で三二・三%。年齢が多くなれば多くなるほど、また所得が多ければ多いほど、まあ大きいほどでもございませんが、三百万近くの、預貯金をトータルとしてお持ちでございますので、そういう実態に合わせるためにも三百万が妥当ではなかろうかということでございます。  それからもう一つの第二の点でございますが、ボーナスとかなんとか吸収するためには特に利子を高めてということでございますが、私のほうの郵便貯金に関する限り、実情を申し上げますと、この十二月から一月にかけましてボーナスを含めた利用者の方の貯蓄増強といいますか預金の募集でございますけれども、大宗といたしましては定額郵便貯金、これは民間預貯金——ここで大きな声で申し上げられませんけれども、十年間、長く置きました場合には、現在の預貯金の体系としましては一番有利な利率貯金でございまして、この定額郵便貯金で十二月から一月にかけまして、予測でございますが、一兆円をこす募集をしたいというふうに考えております。これは利子を高めろということで現在のこの制度定額貯金が高い。何かPRしているみたいでございますが、一番高い。  また最後の、郵貯利子を特別にどういうふうに考えておるかという御質問のようでございましたが、こういうふうに大きなことを申し上げましたが、もちろん土台は零細な、おもに勤労者、国民の六〇%が利用しておりまして、六〇%の中の七〇%、勤労者の人に利用していただいておるというような零細な大衆の貯金、簡易で確実ということでございますが、郵便貯金のこういうふうなものを守るためには、独自の考え方で、定額貯金利子の付与の方法もそうでございますけれども、今後とも預金者の利益の保護、貯蓄増強、両面をあわせ考えまして対処していきたい、こういうふうに考えております。
  53. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、三百万円に上げることが現在の経済情勢その他から見て非常に高いということは一口も言っていない。あるいは至当であろうというふうに考えておるのであります。特に郵便貯金が百五十万円と市中銀行の百五十万円と、それに国債の百万円と財形貯蓄の百万円、合計しまして、先ほどもお話がございましたように五百万円、これを一千二百万円に引き上げたということについてもこれは高いというふうにわれわれは考えていないのです。現在の情勢ではやむを得ない状態ではないかというふうに考えておるのであります。この点はどうか誤解のないように……。  しかしながら、だからといってそこまで満ぱいに預けておる人は——郵便貯金も三百万預けておる、銀行の、頭金も三百万預けておる、国債も三百万は持てる、財形の貯蓄も三百万ある、合計一千二百万ある方々は、この利子から見るとかなりの利子を、年間おそらく六十万円前後の余分な収入をいただける人だと思う。そういう人にとってはこれは最も喜ばれる法律案であるわけです。何回もさっきから言っておるように、それから以下のそういう恩典に浴しない、国債も買えない、あるいは財形貯蓄もできない、ましてや市中銀行相互銀行にも金を預けることもできない、たまたま郵便局でそのわずかな金利で自分の将来を、いざというときにはこれがたよりになるというような人にとって、はたして、この法案が三百万円に引き上げたからといってどれだけの利益、恩典を与えておるのかという点が私の非常に疑問とするところであります。つまりその上のほうの層の、たとえば貯金局長さんであるとかあるいは郵務局長さんなんかはおそらくこのところで一番適用される階層じゃないかと思うのですよ。それから以下が問題なんですよ。それから以下が国民の八割も九割もおるわけですよ。その諸君に対してたった一%上のせして、しかも十二月十日から来年一月の十二日までのうちにボーナスを預ければ、たったのわずか〇・五%しか上がらない。こういうことを奨励して、一体まともに国民生活の安定ということを考えておるのかどうか、ここが大きな疑問であるわけです。ここが最も大きな疑問。これがもし郵政大臣やあなたが、いや消費者物価がもう貯金をおろしてみたときにはこれはゼロになっておって上がらないのだ、そんな二〇%だ、一五%消費者物価を絶対上げないと責任を持っているというならば私は大いに奨励するけれども、先の見通しが一、この間の本会議においても、田中総理は来年の森ころには落ちつくだろうと言われた。ところが四十八年当初においても、御承知のように、秋口に落ちつくと言った。秋に聞いてみたら、大体暮れに落ちつくと言った。暮れに聞いてみたら、来年の春だというようなことを言っておって、物価はどんどん上がっておるわけだ。それは小沢委員が先ほど示したとおりであります。そういうことをやっておる政府を一体国民は信頼して、それで〇・五%しか上がらない貯金に一生懸命で預けることができるかということを考えるならば、この法案はきわめて一般勤労者大衆にとって無慈悲な内容を一面持っておるじゃないか。ましてや貯金、局のセールスをする場合にも、端的に言うならば、結局えらい損が来ることは百も承知の上で貯金を奨励しておるというような、反国民的な行動と認めざるを得ないという結果になるのであります。  でありますから、もう時間が参りましたのでこれ以上私は追及いたしませんが、自賠法の規定やあるいは千二百万円の問題は決して高いとは思わないけれども、現在の情勢下において〇・五%しか半年において上がらない、そういう貯金制度を幾ら奨励をしてみても——一般新聞にも書いております。きわめて疑問だといっておる。私もまったくさように思う。ですから、本法案については、いわゆる自民党の総需要抑制の一環であるということをいいながら、しかも基本的な問題については解決をしないでおいてそういうことをやっておることについて共産党は反対です。賛成できない。わかり切った、そんな国民をおとしいれるような法案にどうして共産党が賛成できましょうか。ですから、物価全体から見ればまことに至当なところではあるけれども、そういう面から賛成できない。したがって、わが党はこの問題については棄権の態度をとるということをはっきり申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思うのであります。
  54. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  55. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  郵便貯金法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  56. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  58. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時九分散会