○土橋
委員 私は、三百万円に上げることが現在の
経済情勢その他から見て非常に高いということは一口も言っていない。あるいは至当であろうというふうに考えておるのであります。特に
郵便貯金が百五十万円と市中
銀行の百五十万円と、それに国債の百万円と財形
貯蓄の百万円、合計しまして、先ほどもお話がございましたように五百万円、これを一千二百万円に
引き上げたということについてもこれは高いというふうにわれわれは考えていないのです。現在の情勢ではやむを得ない状態ではないかというふうに考えておるのであります。この点はどうか誤解のないように……。
しかしながら、だからといってそこまで満ぱいに預けておる人は
——郵便貯金も三百万預けておる、
銀行の、頭金も三百万預けておる、国債も三百万は持てる、財形の
貯蓄も三百万ある、合計一千二百万ある方々は、この
利子から見るとかなりの
利子を、年間おそらく六十万円前後の余分な収入をいただける人だと思う。そういう人にとってはこれは最も喜ばれる
法律案であるわけです。何回もさっきから言っておるように、それから以下のそういう恩典に浴しない、国債も買えない、あるいは財形
貯蓄もできない、ましてや市中
銀行や
相互銀行にも金を預けることもできない、たまたま郵便局でそのわずかな
金利で自分の将来を、いざというときにはこれがたよりになるというような人にとって、はたして、この法案が三百万円に
引き上げたからといってどれだけの利益、恩典を与えておるのかという点が私の非常に疑問とするところであります。つまりその上のほうの層の、たとえば
貯金局長さんであるとかあるいは郵務
局長さんなんかはおそらくこのところで一番適用される階層じゃないかと思うのですよ。それから以下が問題なんですよ。それから以下が
国民の八割も九割もおるわけですよ。その諸君に対してたった一%上のせして、しかも十二月十日から来年一月の十二日までのうちにボーナスを預ければ、たったのわずか〇・五%しか上がらない。こういうことを奨励して、一体まともに
国民生活の安定ということを考えておるのかどうか、ここが大きな疑問であるわけです。ここが最も大きな疑問。これがもし郵政
大臣やあなたが、いや
消費者物価がもう
貯金をおろしてみたときにはこれはゼロになっておって上がらないのだ、そんな二〇%だ、一五%
消費者物価を絶対上げないと責任を持っているというならば私は大いに奨励するけれども、先の見通しが一、この間の本
会議においても、
田中総理は来年の森ころには落ちつくだろうと言われた。ところが四十八年当初においても、御承知のように、秋口に落ちつくと言った。秋に聞いてみたら、大体暮れに落ちつくと言った。暮れに聞いてみたら、来年の春だというようなことを言っておって、
物価はどんどん上がっておるわけだ。それは
小沢委員が先ほど示したとおりであります。そういうことをやっておる
政府を一体
国民は信頼して、それで〇・五%しか上がらない
貯金に一生懸命で預けることができるかということを考えるならば、この法案はきわめて
一般勤労者大衆にとって無慈悲な
内容を一面持っておるじゃないか。ましてや
貯金、局のセールスをする場合にも、端的に言うならば、結局えらい損が来ることは百も承知の上で
貯金を奨励しておるというような、反
国民的な行動と認めざるを得ないという結果になるのであります。
でありますから、もう時間が参りましたのでこれ以上私は追及いたしませんが、自賠法の規定やあるいは千二百万円の問題は決して高いとは思わないけれども、現在の情勢下において〇・五%しか半年において上がらない、そういう
貯金制度を幾ら奨励をしてみても
——一般新聞にも書いております。きわめて疑問だといっておる。私もまったくさように思う。ですから、本法案については、いわゆる自民党の総
需要抑制の一環であるということをいいながら、しかも基本的な問題については解決をしないでおいてそういうことをやっておることについて共産党は反対です。賛成できない。わかり切った、そんな
国民をおとしいれるような法案にどうして共産党が賛成できましょうか。ですから、
物価全体から見ればまことに至当なところではあるけれども、そういう面から賛成できない。したがって、わが党はこの問題については棄権の態度をとるということをはっきり申し上げて、私の
質問を終わらせていただきたいと思うのであります。