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佐々木政府委員 まず第一点の、
デパートを含む、不特定多数の人の出入りする特殊な
防火対象物に対する
消防法規の規制強化の問題でございます。先般の大洋
デパートの
火災にも見られますように、
火災による危険度というものは、現在の
消防法規の規制が適用されておらない
建物について非常にあぶないという問題が出ておるわけでございまして、現在
消防法の改正を準備中でございます。
その考え方としましては、現在、現行法にあります
消防設備の義務設置というものを、既存の特別
防火対象物につきましてこれを強制をしていくということで改正をお願いをいたしたいというふうに考えております。それからもう
一つは、こうした
消防設備が完備されましても、それが常に作動するように完全な維持管理が行なわれなければ
意味がないわけでありますので、そうした保守についての義務規定もあわせて今回の
消防法の改正に織り込んでいきたい。定期的に、一定の
消防設備については定期検査等を行ないまして、常に完全な維持管理
体制をとる、こういうことにいたしたいということで、こういうのをおもな改正点にいたしまして、
消防法の改正案をこの国会に提案をいたしたいというふうに考えております。
それから第二点の、
石油コンビナートの
火災の問題でございます。
石油コンビナートにつきましては、最近におきましても小さい
火災が引き続き起こっておるわけでございますが、これの完全な防災
体制をとるということにつきましては非常に技術的にも問題があろうかと思いますし、コンビナートの装置の中身の問題ということになりますと、現在の
市町村の
消防というものがはたしてこれに十分対応し得るかどうかという点につきましては非常に問題でございます。ただ、通産省のほうが、昨年の
石油コンビナートの連続いたしました爆発事故によりまして、現在学識経験者を動員いたしました再点検を進めておるところでございます。私
どものほうもそれと対応いたしまして、
昭和四十九年度の
予算におきまして、
石油コンビナート地帯の防災診断を実施したいということを考えておるわけでございます。
この
石油コンビナート地帯の防災診断といいますのは、通産省がやっておりますコンビナートのいろいろな機械装置等それ自体の点検ということではなしに、むしろコンビナートが置かれているその
地域の防災という観点から防災診断を行ないたい。いわばコンビナートにおいて万が一
火災が
発生いたしました場合に、その
地域の一般住民の安全が脅かされないかどうか、こういう観点から、その
地域の防災という観点からの診断を行なってまいりたい。それによりまして、必要な遮断緑地あるいは空地というものの設定も考えていただかなければならないだろうということでございまして、そういう
意味で防災の診断を実施しながら、通産省のほうの技術点検とも相まちまして防災
体制を整えていきたいというふうに思っておるわけでございます。
それから三番目の救急の問題でございます。これは確かに御指摘のとおり、救急車が参りまして収容いたしましても、それを持っていく病院というものが非常にいま不安な
状態にございます。
一つの問題は、現在、救急車に収容いたします患者の
内容が非常に多様化してきたということが
一つの問題でございます。これまでの救急は、交通事故でありますとか災害によるけがとかというような、主として外科的な患者を救急していくということを考えておったわけでありますけれ
ども、最近の住民の要求というものは、お産から発熱から、あらゆる病気に対して救急車の出動を要請するというような事態になってまいりました。従来考えておりました外科的な患者というものが四〇%を割るというような
状況でございまして、したがいまして、救急車が出動の要請を受けてその患者のところへ参りまして、その患者を見てから、産婦人科に連れていくのか、外科に連れていくのか、内科に連れていくのかというのを判断をして、それから病院をさがさなければならない。こういうような患者の多様化のために、非常に救急患者を収容してからいろいろ問題が出てくる。
それにまた、御承知のとおり、医療
体制というものに非常に問題もある。こういうことで実は私
ども、救急
体制の問題につきましては厚生省とも相談をしながら、救急医療
体制について何らかの手を打ってもらいたいということも要請をしているわけであります。厚生省におきましては、そうした救急病院に対する救急医療
体制の整備のための
補助制度というものをことし相当額準備をしたわけでありますけれ
ども、はたしてそれによって医師が確保されるかどうか、あるいはベッドが確保されるかどうか、これはこれからの問題でございます。
消防としましては、こうした救急患者の収容、搬送という点につきましてはあらゆる努力を払っておりますけれ
ども、そうした医療
体制の面からのいろいろな問題というものが出てまいりまして、いま御指摘のような問題が非常に起きておるということは御指摘のとおりだと思いますので、できる限り、医療担当の省とも十分相談をしながら、救急
体制の整備拡充というものを考えていかなければならないというふうに思っております。