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1974-05-24 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十四日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 村田敬次郎君 理事 佐藤 敬治君    理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君       愛野興一郎君    片岡 清一君       住  栄作君    保岡 興治君       井岡 大治君    岩垂寿喜男君       小川 省吾君    和田 貞夫君       多田 光雄君    林  百郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     町村 金五君  出席政府委員         警察庁長官   高橋 幹夫君         警察庁長官官房         長       国島 文彦君         警察庁刑事局長 田村 宣明君         警察庁刑事局保         安部長     綾田 文義君         警察庁交通局長 渡部 正郎君         警察庁警備局長 山本 鎮彦君         自治省行政局選         挙部長     土屋 佳照君  委員外出席者         警察庁警備局警         備課長     山田 英雄君         通商産業省産業         政策局企業行動         課長      児玉 幸治君         労働省労政局労         働法規課長   寺園 成章君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 五月二十四日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     和田 貞夫君 同日  辞任         補欠選任   和田 貞夫君     細谷 治嘉君     ————————————— 五月二十三日  地方公務員等に対する共済年金、恩給の改定実  施期日繰上げに関する請願島田安夫紹介)  (第七〇二三号)  同(山本幸雄紹介)(第七〇二四号)  同(三谷秀治紹介)(第七〇五〇号)  同(武藤嘉文紹介)(第七〇五一号)  同(山田芳治紹介)(第七〇五二号)  同(馬場昇紹介)(第七一三八号)  地方公務員共済制度の改善に関する請願外四件  (山口鶴男紹介)(第七一〇二号)  同(山口鶴男紹介)(第七一三七号)  地方自治法の一部を改正する法律案成立促進  に関する請願田中榮一紹介)(第七一八五  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  警察に関する件      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  警察に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。岩垂寿喜男君。
  3. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私は、去る春闘における日教組に対する地方公務員法違反容疑での捜査について質問をいたしたいと思います。  最初お尋ねをしたいと思うのは、今日現在までに捜査個所は何カ所、任意出頭を求めた人数、これはできれば聞き込みをした人数を含めて延べどのくらいになるか。それに関連をして、動員された警察官の延べ人員について、これは必ずしも正確を期すわけにはいかないかもしれませんが、できるだけ詳細な人数をお教えをいただきたいと思います。
  4. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 お答えいたします。  捜索、差し押えを実施した個所数は、組合事務所等八百五十七カ所に及んでおります。それから押収件数は約八千件でございます。それから任意出頭というお話でございますが、参考人としていろいろと事情を聞きたいということでお願いをした人の数は一万一千九百人ということでございます。
  5. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 警察官の数……。
  6. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 最初の四月十一日の捜索に従事した警察官は約七千名でございます。現在いろいろと捜査をしております警察官の数は約千名というふうに承知いたしております。
  7. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これだけの捜査個所あるいは参考人を含めた人数、それから警察官の数はともかくとして、要するにこの種の事件としては空前の規模であることは言うまでもないと思うのであります。その規模といい、さらにストライキをやっている最中に強制捜査に踏み切ったという事実、このことはまさに異例であるといわなければなりません。  私どもはこのような事実をとらえながら、この異例事態というものを、たとえば田中総理の君が代、日の丸、教師政治活動禁止あるいは教育勅語の賛美などに見られるような、そしてさらについせんだって行なわれた教頭法制化法案強行採決に見られるような、日本教育のあり方に対して、とりわけ教育教師国家統制というものをねらうための手段として位置づけられている、つまり非常に政治的な動機というものをこの捜査の中に見ざるを得ないのであります。この点について、この際率直に公安委員長見解を承っておきたいと思います。
  8. 町村金五

    町村国務大臣 先般の日教組ストライキに対する捜査警察当局が行ないましたのは、いま御指摘になりましたような、政治的な意図あるいは教育に対する特別の考えを持ってこの捜査を行なわせたというようなことは全くないというふうに、はっきりと申し上げることができると思うのでございます。
  9. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 続いて、公安委員長というか、自治大臣にお伺いをしたいと思うのですが、四月十三日の午前十一時十五分前後でありますが、春闘共闘委員会大木事務局長二階堂官房長官との間に、今回の国民春闘といわれる要求の課題について政府組合との間に直接交渉が行なわれて、その中で幾つかの項目について合意を得た点もありますし、懸案として残された課題もあるわけでありますが、特にその中で、総評の側からあるいは春闘共闘委員会の側から、日教組に対する刑事弾圧について政府として弾圧をやめること、あるいは不拡大の措置をとることについて要請をして、二階堂官房長官はそれに対して前向きに対処することを答え、さらにその意味町村国家公安委員長に伝えるということを約束しておられます。二階堂官房長官からこの事実について伺っているかどうか。そして同時に、二階堂官房長官はこの中で、大臣同士で申し入れの趣旨をよく話し合う、こういうふうに約束をいたしておりますが、この点についてやりとりがあったのかどうか、伺っておきたいと思います。
  10. 町村金五

    町村国務大臣 春闘共闘委員会官房長官の間にどういうお話やりとりがあったかということは、私は承知はいたしておりません。  そこで、いまお尋ねになりましたことは、特に二階堂官房長官から、日教組に対しまする捜査について私に対してこれをいわば取りやめるようにというような御相談があったのではないか、こういうことでございますが、実はそういうようなことは全くございませんでした。
  11. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 二階堂官房長官から国家公安委員長には何の伝言もなかったというふうに理解してよろしゅうございますか。
  12. 町村金五

    町村国務大臣 よろしゅうございます。
  13. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは、春闘共闘委員会二階堂官房長官とのやりとり議事録の中にもそのことが指摘をされておりますので、これはやがて、二階堂官房長官がその約束を果たしていないということとして別の角度から指摘をしていかなければならぬ問題だと思います。  続いて質問をいたしますが、この件について警察庁見解を承っておきたいと思うのであります。高橋警察庁長官に御答弁を求めたいと思います。
  14. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 いまの御質問内容は、今回の日教組についての捜査方針についての話だと思いますが、いままでしばしば申し上げているように、今回の日教組事件につきましては、非常に大規模であるということに基づきまして、当然法律適用をしてやるべきであるという意味におきまして、私ども既定方針どおり法律適用したということでございます。
  15. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 高橋さんに引き続いてお尋ねをいたしますが、ある新聞に、この捜査関連をして警察庁長官が、教育問題に石を投げる、問題を提起するというような御発言をなさっておられるように出ておりますが、この点について発言の真偽、あるいは内容について承っておきたいと思います。
  16. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 おそらく五月十一日付の朝日新聞の紙上だと思っております。この問題につきましては必ずしも正確でないというふうに思います。特に教育問題に一石を投じたというようなことは私は申しておりません。しかも、教育問題というのは、私が始終申し上げているように、警察立場というものは政警分離である、政治警察は分離しているということをしばしば私は申し上げておるわけであります。したがいまして、教育問題につきましては、私どもは全然そういうものについては一石を投じているわけではございません。  しかし、日教組の問題につきましては、犯罪捜査をするのは私どもの当然の責務であります。したがいまして、その結果、論説であるとかあるいは新聞、あるいはその他の皆さん方からいろいろの意見があったわけであります。その結果に基づいて、私はむしろ結果的に言えば一石を投じたということを言うわけでありまして、一石を投じたということは、その問題について、おそらく日教組の今度の捜査の問題については警察に対するいろいろな批判があるであろう、また賛成もあるであろうということについて、結論的に言えば一石を投じたということでありまして、事前の問題について私は一石を投じたわけではございません。事後についていま申し上げたような署名記事のとおりに申し上げたので、はたして署名記事どおりであるかどうかという点については、いま申し上げたように、教育について一石を投じたことはございませんので、私の立場からはっきりと申し上げておきたいと思うのであります。
  17. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 言うまでもありませんけれども刑事訴訟法というのは任意捜査をたてまえとしていることは御承知のとおりであります。最初から質問を申し上げましたとおりに、これだけの広範な捜査個所、それからたくさんの参考人、そういう捜査を今日までしてきたわけでありまして、おそらくは警察が目ざしたねらいというものは一つの結論を見出すことができるようになっていると思うのでありますが、この段階で、強制捜査ではなくて任意捜査、つまり刑訴法のたてまえに基づいて任意捜査をやっていくという態度を貫いていくおつもりはございませんかどうか、承りたい。
  18. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 犯罪捜査の基本的なものはもちろん任意捜査をやるのが当然であります。しかしながらその状況において、刑事訴訟法に立脚をして、証拠の問題であるとかその他の問題につきましては当然強制捜査をやるべきであるというふうに思っております。したがいまして、証拠について明確に明らかにするために、私どもは今回の問題について強制捜査を一部やったわけでございます。
  19. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 新聞報道によりますと、きょうまでの捜査は一段落をした、そして被疑者の身柄を拘束する、つまり逮捕をする段階を迎えているということが伝えられております。そしてそれは一両日中にも逮捕状を請求するという段階だというふうに新聞報道しておりますが、新聞報道はともかくとして、そういう状態にあるのかどうか、この際承っておきたいと思います。
  20. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 この件の捜査については、捜索をいたしました十二の都道府県においてそれぞれ現在捜査中でありまして、まだ、現段階においていつだれを逮捕するとか検挙するとか、そういうような判断をする段階になっていないというふうに聞いております。
  21. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 そうすると、今明日中とかなんとかということはあり得ないというふうに判断してようございますか。
  22. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 繰り返して恐縮でございますが、現在、都道府県ではそれぞれの捜査証拠固めをいたしている段階であって、現時点において、いついかなるときにどれだけの人数について検挙するかということはまだきめておらない状況でございます。
  23. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それでは関連して伺いたいと思うのですが、もうすでに新聞報道されているように、愼枝委員長は、一日でありますが、ジュネーブへ出発をし、ILOに対してこの問題を提訴するということを総評機関としても決定をいたしております。これももう御存じのとおりに、総評市川議長ILO及び国際諸機関に対して、日教組ストライキに対する処罰の問題について訴えました。追って本人が直接ILOに出向いて、国際的にその問題をアピールすることを約束し合ってきた経過であります。  周知のとおりに、公務員ストライキを全面的かつ一律に禁止しているわが国の法制というのは、ILO条約八十七号の批准に関連して、明らかにこの条約に、そして条約に関する諸原則に反するものであるということはっとに指摘され、批判されてきたところであります。たとえばそれは、一九六五年のドライヤーレポートによって、一つは、ストライキ禁止が緩和されるように示唆されていること、二つは、処分が過酷であることを指摘して、懲戒処分を行なうかいなかを決定するときには人間的要素を考慮に入れることが必要であることを指摘しております。  そればかりではありません。日本政府がその後もこの示唆を無視した経過に立って、懲戒処分やあるいは経済的制裁を強化してきたために、日本の官公労の組合は再びILOに提訴をし、昨年の結社の自由委員会で、百三十八次報告あるいは百三十九次報告によって再びこの問題について批判が繰り返されてきていること、不名誉な批判を受けてきていることは御承知のとおりであります。  そればかりではないと思うのであります。たとえば一九六二年のILO条約勧告適用専門委員会一般意見、あるいは一九六八年の同委員会報告は、日本公務員法ストライキ関与行為に刑罰を科していることは、ILO条約百五号、これは御存じのとおりに強制労働の廃止に関する条約でありますけれども、これに抵触をするということを指摘をしているのであります。特にそれはギリシアやパキスタンの法律との関連において、国公法九十八条、百十条一項十七号、地公法三十七条、六十一条が具体的に列挙をされていることは御存じのとおりであります。  さらに、ILOユネスコ合同専門家会議においても、教師スト権というものは保障すべきであることを国際的にも明らかにしているわけであります。この国際的な状況というのは、実は多くの国々の中にも変化をもたらしております。  たとえば一九五八年にはノルウェーで公務に関する争議法改正が行なわれている。六五年はスウェーデンで国家公務員法改正が行なわれている。六七年はカナダで公務員労使関係法改正が行なわれている。アメリカでさえ——アメリカでさえと私が言うのは、アメリカはいままでは一番その意味ではきびしいストライキ禁止措置をとってきたわけでありますが、州の段階で、たとえば七〇年にハワイであるいはペンシルベニアで、あるいは七二年にアラスカでというふうに、国際的にこのストライキ全面禁止措置というものに対して修正を加える措置が行なわれている。  こういう状況のもとで、当該日教組委員長である愼枝委員長ILOに対して訴える、そのことを保障すべきだと私は思うのであります。その点について警察としてどのような対応をしようとしているか、承っておきたいと思います。
  24. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 愼枝委員長が来たる六月一日にILO関係で出国をされるということは、きのうの新聞報道承知をいたしております。そういう動きについて、われわれは特にこれを阻止するとか、これについて特別の意見はわれわれとしては持っておりません。われわれとしては、ただ捜査の現段階からいいますと、まだ、愼枝委員長という名前をあげるのはどうかと思いますが、具体的な特定の人を逮捕するとか検挙するとか、そういうような段階まで捜査が進んでおらないという状況でございます。
  25. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 捜査進行状態ということもあるわけでありますが、御承知のとおりに社会的なそれなりの地位を持っておる人であります。それから今日まで警察が押収した物件というものを考えてみても、いま強制捜査をする必要はないと私ども判断をします。それはそれとして、しかしそういう国際的な舞台で、ILO場所日本労使関係が歴史的に問題になってきている、その歴史的に問題になっている課題当事者——当事者ということより、いまここではまだ当事者ということは述べる必要はないと思うのですけれども、国際的な場所でそういう行動をすることを警察として保障すべきだということについて、もう一ぺん見解をただしておきたいと思います。
  26. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 そういうような労働関係の国際的な機関日本労働者代表の方が行かれるということ、これについて私どもは別に特別な意見を持っておりませんし、その行動を特に制約するというような気持ちは持っておりません。ただ捜査ということで、われわれは法律に従った手続によっていま進めておるわけでございますので、いま直ちに、その結果がまだ府県のほうから報告が来ておりませんので、現段階においては強制捜査に踏み切るかどうかという判断を下す段階ではないということしか、私ども立場としては申し上げられないということを御了解願いたいと思います。
  27. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 きょう逮捕するか、あした逮捕するかという問題が、捜査を進める上で基本的な障害になっているとは思われないのであります。したがって、たとえば六月の初めに日本を出発するという、こういう国際的な舞台でやると言っているわけですから、これは、もしあなた方が逮捕に踏み切るという場合であったとしても、その程度の余裕は考えられてもしかるべきではないか。つまり、そういう活動の分野というものは保障しても——保障ということばがもし強ければ、そのくらいの時間的余裕というものは考えても捜査それ自体に重大な支障をもたらすということはないと思うので、その点についてただしておるわけであります。その点についてもう一ぺんお答えをいただきたいと思います。
  28. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 岩垂先生の御見解労働者代表としての立場見解ですね、これは私十分承っておきたいと思います。
  29. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 本件容疑とされている地公法第三十七条一項、六十一条違反というこの根拠は、昨年のいわゆる四・二五判決、全農林の警職法事件でありますが、にその根拠を求めているやに聞いていますけれども、それは事実かどうか、その点を承っておきたいと思います。
  30. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 御承知のとおり、昨年の四・二五最高裁判決によって、地公法国公法争議行為に対するあおり、これは憲法に違反しないというような趣旨判決が出ておるわけでありますので、われわれは地公法というものが合憲的なものであるという立場において捜査をしたわけでございます。
  31. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 山本さん、ごまかしちゃいかぬと思うのだ。この判決国公法九十八条並びに百十条に関する判例ですよ。しかも、判例冒頭に、この判決理由の中の冒頭に「さしあたり、本件において問題となっている非現業国家公務員非現業国家公務員を以下単に公務員という。)について詳述すれば、」ということを前置きしているんであります。つまり国家公務員法の問題なんであります。そうだとすると、地公法についての判例変更ではないと私どもはとらえざるを得ない。これがあたりまえの解釈だと思うのであります。もっとはっきり言えば、四・二五判決というのは、地公法に関する限りは生きている。その範囲でやるべきだろう、その範囲捜査を発動すべきではないだろうかと私は思うのですが、その点についての見解をただしておきたいと思います。
  32. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 おっしゃるとおり、四・二五判決国家公務員法違反ということで決定されておるわけでございますが、この地方公務員法あおり行為規定内容国家公務員法によるあおり行為違反規定と全く同じでございまして、法律の運用、解釈に当たるものとしては、全く同一の条文については、やはり国家公務員法違反最高裁判決は当然地公法条文適用にもそのとおり解釈されるべきものであるというたてまえに立って捜査をしたわけでございます。
  33. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 やはり問題だと思うのです、法律が違うのですから。法律が違って、事犯もケースが違うわけであります。もちろん、そのもたらす影響にも変化がいろいろあるわけであります。それを一律に国家公務員法でやるというのは、どうもちょっと私は解釈としては正しくないというふうに主張をしたいと思うのであります。  関連をして承っておきますが、今後、この四月十一日の事態関連をして国家公務員法違反あるいは他の、たとえば自治労の関係だとかというところへ捜査を拡大するお気持ちはあるのかどうか、承っておきたいと思います。
  34. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 やはりほかの地公法適用される組合争議行為、あるいは国家公務員組合の行なった今時春闘に対するいろいろな争議行為、これらに対するいわば違法行為についての各県警察における捜査というものは、私は当然行なわれているものだというふうに考えておりますが、現段階においては、それが具体的に証拠が固まって特に強制捜査に移るという段階にあるというような報告は県から来ていないという状況でございます。
  35. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 行なわれていて、強制捜査ではない。そうすると、事実上組合活動その他が監視されているという状況として理解してようございますか。
  36. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 警察立場といたしましては、地方公務員法違反あるいは国家公務員法違反、それぞれの争議行為については重大な関心を持って常に対処していくということでございます。
  37. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 時間がありませんからずっとはしょるわけですけれども昭和四十四年四月二日の都教組事件に関する大法廷判決、これについて見解を実は承りたいと思うのであります。  これはもう私が言うまでもないことなんですが、地公法三十七条一項、六十一条四号、というのはつまり地方公務員ストライキ権ストライキというものを一律にしかも全面的に禁止するということ、あるいはそのあおり行為などの一律全面処罰というものが違憲の疑いを免れない、こういう判示をしているのであります。そうして、これらの条項が合憲性を保持するためには禁止及び処罰範囲に限定を加えることが必要不可欠であるという見解を示しています。かの有名なあおりに関する二重の縛りの問題がここに指摘をされているわけでありますが、これについて警察庁見解を承っておきたいと思います。
  38. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 その四・二判決内容である二重しぼりですね、これについてはわれわれとしては十分承知いたしておりまして、その判決が出たあとは、そういう形でなければわれわれとしては問擬できないという立場をずっととってきたわけでございます。その最高裁判例に従った法律解釈による捜査をしておったわけでございます。
  39. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 そうすると、いままでの、つまり四・二判決とでも言いましょうか、それの判示というものは今日も生きているというふうに理解していいですか。
  40. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 この判決が昨年の四・二五判決によって変更になったというふうにわれわれは解釈をしておるわけでございます。
  41. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 やはり判例変更と見る。ではその判例変更の中でどういうふうに変わっているのかという点について、簡単にひとつ指摘をしていただきたいと思います。
  42. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 われわれ警察捜査立場からのポイントにしぼって申し上げたいと思うのですが、それは、いま最初に御指摘になりました四・二判決による二重しぼりですね、このしぼりが解き放されたという点にわれわれとしてはしぼっておるわけでございます。そのように解釈をいたしております。
  43. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは実はその判例変更が、さっき申し上げたとおりに、国公法のいわば解釈地公法にそのまま適用をしているわけでありまして、私はこの際、地公法についての問題点を指摘せざるを得ないのであります。  地公法については、実は十数年の歳月をかけて、裁判を通していわば憲法適否の審査が行なわれてきたというふうに申し上げていいと思うのであります。番最初の長崎の事件というものはたしか昭和三十二年だと思いました。日教組についてそういう経過があるわけでありますが、そうして地裁、高裁、最高裁の審理を通して圧倒的多数の判例というものが、公務員ストの一律全面禁止あるいはそのあおり行為の一律全面処罰は憲法の二十八条、十八条、三十一条に抵触するということが実は指摘されているわけであります。日教組についていえば、下級審、これは高裁を含めてですが、十四のうち実に十の判決がその理由で、憲法に抵触するという立場で無罪になっていることは御存じのとおりであります。  つまり、判決を積み重ねてくる中で、最後に最高裁の大法廷が、さっき私が申し上げましたとおりに、地公法三十七条、六十一条四号の違憲性というものを指摘したわけですね。そして二重のいわば限定解釈とでもいいましょうか、地方公務員のスト関与行為を原則として処罰の対象外にする、そういう実は判決を下しているのであります。これは法解釈の安定性という角度から見て、十数年の歳月を積み重ねて、しかもそれが定着してきている。しかもその判決に基づいて、当時、昭和四十四年のたしか五月八日だと思いましたけれども、下級審に係属中の七件の地公法違反事件の控訴を全部取り消しているのであります。そして最高検が訴訟を取り下げているのであります。そしてその後、刑事罰からの解放だけではなくて、行政罰からの解放という課題が実は問題になってきているわけであります。  それを最高裁がああいう形でまさに一方的に変えていくことについて、私どもはきわめて遺憾であるというふうに指摘をせざるを得ない。しかもある意味ではクーデターだ。条文改正なしに、解釈条文改正以上のことをやってのけたというふうにいわざるを得ないのであります。しかし、最高裁の問題について皆さん方公務員として批判をすることはできないにしても、その後地方の判決も、この四・二五の判決が出たあとも地方の判決では四・二判決に基づいた判示が出ているわけであります。それほど全体の中に定着してきたこの解釈、つまり捜査する場合、法解釈の安定性というものについて考慮すべきではないか、そういうふうに私は指摘をせざるを得ない。その点を全く考慮しないで機械的にやるから、私どもとしてはそこに、タイミングといい、政治的動機といい、弾圧であるというふうに指摘をせざるを得ない。この点についてはひとつぜひ国家公安委員長の御回答を得たいと思います。
  44. 町村金五

    町村国務大臣 このたびの日教組に対する捜査の問題について、さきの最高裁判決というものと前の判決との間に非常に大きな違いがあった。しかも、前の判決はかなり定着をしておった、それを昨年の四月の最高裁の判定というものがこれをくつがえすというような結果になったわけでございまして、いま岩垂議員によれば、前の定着した判決に従った態度を警察はとるべきであるにかかわらず、先般の判決に基づいた捜査に踏み切ったということは非常な間違いではないかという御指摘のようでございますが……(岩垂委員「間違いと言っているのじゃないのです、配慮すべきではないか」と呼ぶ)そういうことについての配慮が足りなかったのじゃないかという御指摘のように伺ったのでありますが、私ども警察としては、先般のあの争議というものがきわめて重大な争議であり、学校教育等に与える諸般の影響というようなものを考えるときに、これは放置しておくべきではないという判断が、警察捜査に踏み切ったゆえんであり、しかもこのことについては最高裁判決もこれを支持をすると申しましょうか、当然のこととして認めておるというような判断、これが先般の、警察日教組に対する捜査を行なうということに踏み切った理由ではなかろうか、私はかように考えておるところでございます。
  45. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 強制捜査の問題にもう一ぺん戻って伺いたいと思うのですが、先ほど申し上げましたとおりに、刑訴法というのは任意をたてまえとしているのだというわけであります。さっき申し上げたとおりに、事実上、捜査の対象たる事実関係というのはもう明らかになっているのじゃないだろうかと私は想像します。そして事件発生以来すでに相当の期間を経過しています。もはや、組合員個人の身柄の自由を拘束をして、あるいはしなければ罪状を隠滅するとか逃亡するとかというようなことはあり得ない、こんなふうに思います。  しかも重要なことは、従来の、同じ事案についてのいままでの裁判所の判例というのは、拘置請求をほとんど却下しておる、あるいはそれを不服とするところの検察官の準抗告もほとんど棄却している。これは歴史的経過であります。このことは当初から逮捕の理由並びに必要性が存しなかったことを意味するといっても過言ではないと思うのであります。  もう一ぺん念のために伺いますが、身柄を拘束して調べるという調べ方以外に方法がないのかどうか、この点についてはしっかり確かめておきたいと思います。
  46. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 われわれとしては、現在の捜査中である段階において、身柄を拘束するとかしないとかいう判断を下す時期ではないのであって、もちろんおっしゃったとおりに、身柄を絶対に拘束しなければならぬ、そういう立場に立っておるわけではございませんが、現在この捜査について私の言える点は、そういう判断をする段階でないということでございます。
  47. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それならば、新聞報道されているようないろいろな情報、おそらくそれは内部から出なければ新聞記者が自分でかってに作文するわけにもいかぬわけでありますが、そういう事実というのは、つまりあの新聞の記事というものは憶測でしかないというふうに理解してようございますか。
  48. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 さようでございます。一種の観測記事であると考えております。
  49. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 観測記事ということにしてはいろいろな角度で書かれている記事があるわけでありますが、警察庁としてあらかじめ世論操作をしているような感じさえ受け取らざるを得ない報道がかなり行なわれています。それはマスコミの立場から見ても、警察が何か言わなければ記事になることはないと思うのであります。その辺は何か、逮捕を前提とはしていないというふうにおっしゃっておられるけれども逮捕をしない形で、つまり身柄拘束をしないで調べていくということについて努力をするということを、あなたのほうから私どものほうと話し合うことはできませんか。
  50. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 先ほどから申し上げますように、捜査というのは任意捜査が原則であることは十分承知いたしておりますが、まだ捜査継続中の事案でありますので、具体的に現在の時点でどうこうするというような判断の材料を私どもは持っていないということしか申し上げられません。
  51. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 捜査の過程を含めて、たとえば私ども警察庁に対する抗議行動などの中で、全国で十二の都道府県が選ばれたということ、そしてそれがいわば現場に与えた実害というようなことばを含めてそういうふうに指摘をせざるを得なかったという答えがあるわけでありますが、この実害というのは、教育的な意味での実害であるのか、あるいは侵された法益、地公法の、とりわけ最高裁判決という、言ってしまえばクーデターに基づく判決に基づいて、侵された法益という角度から見た実害というふうにとらえるのか、その点についてぜひ承っておきたいと思います。
  52. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 それは私ども警察立場としては、地公法違反という、法律の侵害ということに対しての捜査であるというのが原則でございます。もちろんその争議行為の効果、影響、そういう点もわれわれの捜査判断一つの材料にはいたしておるというふうに考えております。
  53. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 判断の材料であるとすれば、たとえば、それは一日だからだめだったのだというふうにおっしゃった本部長もおられるわけですが、一日ならだめで半日ならいいのだというような議論が成り立つのかどうか、この辺について一ぺん聞いておき、たいと思います。
  54. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 一日ならだめで一時間ならいい、そういう判断は成り立たないと私は思います。そういう実際の争議行為の現場におけるいろいろな具体的な実態というものは、やはりこの捜査をする上において把握しなければいかぬというふうに考えておるわけであります。
  55. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 十二の都道府県が選ばれた理由というのをどのように特徴づけて評価しておられるか、承っておきたいと思います。
  56. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 結局、争議行為が行なわれたのは三十五の都道府県だと思いましたが、この府県でそれぞれ捜査に着手したわけでございますが、結局十二の都道府県において強制捜査に踏み切るだけの証拠を収集した、集めたということでございます。
  57. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 具体的な事実に若干入って質問をしたいと思うのであります。  私ども調査によれば、事前、事後における情報の収集あるいは捜査の過程で、日教組の運動に対する警察のいわば組織の介入あるいは思想調査あるいは人権じゅうりんというような事実が随所にあらわれております。これは教育の現場を荒廃きせるということになりかねない重大な問題があるわけであります。  その中で全県的に特徴づけられることは、令状の呈示がなかったところは少ないのですけれども、出し方においても、折ったままで出したり、判こだけ見せればいいんだとか言ってみたり、あるいは何分で返してくれとか、そういうやり方を実はしています。刑訴法では呈示をするということになっているわけであります。その呈示ということは、そこに立ち会っている人たちに対してその事実をつまびらかにさせるという意味があろうと思うのでありますが、これらについて十分行なわれてない経過が間々あるのであります。ここでは一つ一つ例をあげません。それほど多いのであります。そういう捜査のやり方について見解を承っておきたいと思います。
  58. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 今度の捜査については、こういう日教組という対象でございますので、教育的な配慮あるいは人権の尊重、こういう点については十分府県警察としては慎重な配慮のもとに、そういうようなことの行なわれないような慎重な捜索をするというのが基本原則でございます。  ただいま具体的にお話のありました令状の呈示の問題でございますが、これは刑事訴訟法その他のあれにきまっておるわけでございまして、処分を受ける者に対してこれを示さなければならない。しかしそれ以上、その内容の筆写あるいは撮影の機会までも与える必要はないというような一般的な解釈が行なわれておるわけでございますが、要するに令状を見せて、その内容を本人が認識し得る程度の示し方をしなければならない、こういう方針に基づいてそれぞれ捜査官に対して府県警察で十分教養し、指導しておると思うわけでございますので、具体的にどういうような状況であったか、つまびらかではございませんが、そういうようなことの呈示の内容に十分沿った形の捜索をしているものとわれわれは考えております。
  59. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その、写してはならぬとか写真をとってはいかぬというのが一般的解釈というのはどこの解釈ですか、それが一つ。  それから、そういうことはないものと確信をいたしますというのはどこでもやる答弁なんですよ。あなた方はそう思っていらっしゃらないかもしらぬ。現実にあるわけです、それは。もしそういうことがあったとすれば——これは一々指摘をしてもいいのですけれども、そういう事実があるわけであります。そして地方の本部長は、そういうやり方は十分でなかったというような言い方をしているところもあるわけであります。その点は、捜査のやり方について反省すべきは反省すべきであろう。これについて見解を承っておきたいと思います。
  60. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 ただいまのその内容、筆写、撮影の機会までも与えなければならないものと解することはできないというのは、これは昭和三十四年五月の東京地裁の決定で出ておるわけでございます。  令状の呈示の問題について、現場におけるいろいろな行き違いなり若干あったというような御質問でございますが、私、こまかく一々は存じませんが、その場のいろいろな状況によって、呈示された人が十分内容を認識し得るまで至らなかったというような場合があるかもしれません。そういうことはこれからの反省資料として、十分考慮していきたいというふうに考えております。
  61. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま高橋さんから、教育的配慮というのがある、あるいは人権的な意味を考えるということをおっしゃいました。教師の授業中に校長室なりどこなり連れ出して調べたという事実もたくさんあります。子供の前からそういう形で連れていくということが、はたして教育的効果を配慮したやり方かということについて伺っておかなければならぬし、それから学校の往復にしつこくつきまとうというやり方も、これはやり方としてきわめて常軌を逸しているというふうにいわなければならぬ。それから、これは数件でありますが、捜査が事実上真夜中の二時近くまで行なわれているというケースがあるのであります。これらはまさに常軌を逸しているといわざるを得ません。こういうやり方というものを警察は反省をする必要があるのではないだろうか。立場上、事柄に論争はあります。しかし、やり方としてこういうやり方が適切であるかどうか、この点についてはぜひ見解を承っておきたいと思います。
  62. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 授業中の先生を呼び出したということ、あるいは先生にずっとつきまとって行なった、出頭を求めたというようなお話については、われわれもちょっと聞いたものですからいろいろと調べてみたんですが、授業中に呼び出したというのは、どこを聞いてもそういうような報告は来ておらないわけでございまして、たまたま土曜日の二時半ごろ、もう土曜日の午後ですから授業は終わったんだという判断のもとに来ていただきたいというようなことを言った例は報告がございますけれども、それはもうすでに授業も済んでおった状況であるということになっております。  その他、時間がたいへんおそくなった例が多いんじゃないかということ、確かにこれについてはわれわれいろいろと調査をしておりまして、そういう例が七件報告になっておりますが、一件一件検討いたしますと、捜索中に執拗な激しい抗議等があったためにその間中断せざるを得なかったとか、あるいは押収物の確認の際非常に時間をとらざるを得ないようなことになったとか、非常に遠隔地のために到着がおくれたとか、あるいは立ち会い人の到着がおそくなったとか、いろいろとそれはそれぞれの理由がございまして、ただ単に真夜中をねらって捜索をしたというような事実はないというふうに私ども承知いたしております。しかし、最初に長官からもお話のありました、教育的な配慮あるいは人権尊重の立場からの十分な配慮、こういうものについては、御指摘を待つまでもなく、十分われわれとしては慎重に考えて捜索を実施したつもりでございますが、及ばない点があるとするならば、そういう点についてはもちろん反省をいたしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  63. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 たとえば押収物件の問題でも、これはもうすでにいろいろなところから言われているわけでありますけれども関係資料だけでなくて、いろいろなものをみな持っていっちゃうんですね。しかも部数がたくさんあるやつを、一部持っていけば十分だと思われるものをみんな持っていっちまう。会計の帳簿から何からみな持っていく、あるいは私物まで持っていく、こういう状況があります。北海道の捜査に当たった係官が落としていった書類によると、みんな持ってこい、あとで仮還付すればいいんだというような意味のことが指摘されている。こういうやり方というのも私はやはり問題にされなければならぬと思うのであります。文字どおり組合活動それ自体がすべて根こそぎ捜査の対象になるというやり方は、本件あおりというものを問題点にして指摘をし、強調をしている事柄から考えてみても、常識的でないと私は思うのであります。この点について一ぺん、これは長官に承っておきたいと思います。
  64. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 一般的な犯罪捜査のやり方、今回の捜査のやり方についてはいろいろ御意見があったことは間違いないと思います。しかし、私どもは、もともと今回の問題については教育の問題であり、しかも人権の問題については尊重しなければならないということは、るる第一線の捜査員にも徹底すべく、またいろいろな指示をしているわけであります。しかしながら完全無欠であるというわけにはまいらないと思いますが、いま申されたようないろいろな資料の問題について根こそぎやったということにつきましては、やはり関連する資料について捜査をやったというふうに思っておりますし、また私もそういうふうに信じておるわけでございます。したがいまして、いま申し上げたような個々的なものにつきましては確かにいろいろな御指摘があったかと思いますが、私どもとしては全体として、また一般的なやり方として、いま申し上げたようなことについては十分配慮をしている、また配慮をすべきであるというふうに考えておったわけでございます。
  65. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 率直に申し上げて、大体うまくいったつもりだというような形じゃ済まないいろいろなことができているのです、これは。警察捜査のやり方というのは、今回は常軌を逸していると思われるいろいろなことがあります。本件一つ一つ私はここで指摘をしていきたいのですが、許された時間が短いわけで、それをやっておるわけにいかぬけれども、しかしもっと謙虚であってほしいと思うのであります。  私は、政府が、田中総理がたとえば教育を憂えるということを指摘しておられます。教育を憂えるというようなやさしい心があるならば、教師たちをこんなに乱暴に扱うことはないと思うのであります。教育の荒廃はこのような現実の中から生まれています。たとえば、取り調べにあたって、日教組についてどう思うか、そういう形の質問が随所で行なわれております。これはまさに思想調査であります。捜査がそこまで立ち入っていいものかどうか、この点についても、これは公安委員長見解を承っておきたいと思います。
  66. 町村金五

    町村国務大臣 このたびの事件の具体的な捜査についてどういうようなことが現実に起きたのかということについては、私は全く承知をいたしていないのでございますが、ただ、これだけの大規模捜査でございますので、警察庁としてはあくまでも、事は教育に関する事柄でもあり、また人権を特に尊重をしなければならぬ、私はこういう基本的態度でこのたびの捜査には当たったものと、かように考えておるわけでございますが、これだけの多数の件数でございますので、中にはあるいは遺憾なことがあったのではないか。だといたしますれば、これは今後十分反省をしなければならぬといういまの警備局長の答弁もあった次第でございまして、特に警察がきわめて乱暴な捜査をやったというふうには私は考えられないわけでございます。
  67. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それじゃ少し具体的に指摘をしてみたいと思うのです。  これは北海道でありますけれども、学校、つまり教師警察との間に、交通安全の問題であるとかあるいはまた青少年の補導の問題などについて密接な連絡をとらざるを得ないという関係が実はあるわけであります。そしてそのことを私どもも理解をいたします。しかし、その事実を利用して、たとえば北海道では補導の問題で学校と警察の間に全道的に組織している青少年補導連絡協議会があります。このリストを利用してたいへん大がかりな聞き込みをしている。このことはもう指摘をされているところでありますから御存じだと思いますけれども、このようなやり方というのは、私は、ほんとうの青少年の補導とか交通安全とかという本来の目的から見ても、相互の信頼関係をそこなうということだけではなくて、いろんな問題点を起こしていると思うのであります。担当の教諭に対して情報の提供を迫っている、そういうやり方というのは適切でないというふうにお認めになるかどうか、お答えをいただきたい。
  68. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 そういうお話がございましたので調べたところ、御指摘の件は函館西署の件ではないかと思われるのでありますが、これは三月の二十日、まあ事前でございますが、たまたま署内で出会った面識のある補導担当の先生に、ストの関係のことについて伺ったことがあるという報告が来ております。その際は、その先生はそういうことは話せないということで断わっておられるわけでございますが、特に補導の具体的な状況において、その機会をというわけではなくて、前から補導関係で知っておった先生が来られたということでお目にかかったので、一般の必要な情報の収集に当たるというたてまえから一応伺ってみたというだけであって、特に不当であるというふうに私どもは考えておらないのであります。
  69. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 警備局長、そういう調査のしかたじゃだめなんですよ。いまの事件は三月の二十日です。午後三時過ぎに函館西署防犯係員から電話があって、喫茶店で会いたいというので出かけていった。てっきり補導問題だろうと思ったら、スト関係の情報を集めているので組合の資料をできるだけほしい、こう言っているのであります。あるいは札幌の地域でも同じことがありました。これも少年防犯担当の捜査員が訪れて、四・一一スト前の北教組の札幌支部の会議の回数とその日、時間、それから執行部の顔ぶれ、そしてストに参加する人数、参加した人数などの情報を迫っている、こういう事実があるわけです。  それを、いやそれは警察の中で顔見知りの人に会って聞いたけれども、実は聞かなかった、したがって事態はありません、これでは済まないと思う。私はこれらについて、あらかじめ警察庁のほうで調査をするという時間的配慮もあったと思うのであります。そういうやり方ではない、そういうやり方ではいかぬ、そして今後はそういうことのないようにする、そういうことがあったとすれば残念である、そのくらいの態度を、反省を警察は示すべきじゃないか。その点についてはぜひ、具体的に指摘をしましたが、お答えを願っておきたいと思う。
  70. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 ただいまの御指摘の件について、いまお答えした事実関係ではあるわけでございますが、その他、まだ私どもとして調査が及ばない点があるかもしれませんが、いたずらに補導関係であるという名目において、そういう趣旨を曲げてそういうような情報をとるというのは、これはやはり本来の捜査の行き方ではないと考えております。だからそういうことでなくて、一般的な方法で、顔見知りの先生からいろいろと一般情報を伺うという、これは場合によっては考えられる問題であり、差しつかえないものである、強制にわたらない問題ですから。しかし、そういう特殊な理由に籍口して、いわばだましたような形でもし聞いたとするならば、これはたいへん残念なことであり、そういうようなことのないように指導していきたいというふうに考えております。
  71. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 捜査のやり方についてまだ指摘をしなければならぬ問題があります。これはたくさんある中で特徴的に多少全国的な配慮をも含めて申し上げるわけでありますが、たとえば東京の場合、調書をとられたあと、五千円お礼にいただいたという話がある。菓子やくだものなど手みやげを持っていって、御協力をいただきたいという、協力を求めた例がある。どこどこのだれだれと言ってもいいのですが、そういう形で捜査をやっているので、これは警察が銭を出しているのですか、ポケットマネーですか。それからまたそういうやり方はいいのか悪いのか。この辺について承っておきたいと思う。
  72. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 調書をとられてお金を渡されたということについて、これは事実関係が来ております。これは池上の関係でございますが、くだくだした事実は別として、これは東京都の条例による費用弁償ということでなっていて、それに基づいて費用弁償をしたという事実が明らかになっております。
  73. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 何の費用弁償ですか。
  74. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 これは「警察参考人等に関する費用弁償に関する条例(昭和三十五年都条例第三号)」というものに基づいて支弁したということでございます。
  75. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 それは全部参考人にやるのですか。
  76. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 これは特定の場所まで来ていただいて、そしてそれについて費用がかかったというような状況においてお払いするという形になっております。
  77. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 では、そのくだものや手みやげの話はどうなりますか。これも費用弁償ですか。
  78. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 くだものやお菓子等については具体的な報告は来ておらないのでありまして、捜査のたてまえとしては、そういうものを持って伺っていろいろと内容を聞かしてもらうというのは、これはそういうことはしないようにという指導になっておりますが、この場合は、おそらく警察官とその参考人の方がこれまで個人的に何らかの関係があったので、そういうあいさつを兼ねてそういうみやげを個人的に持っていったものだ、こういうふうに判断しておりまして、費用は公費から出ておるわけではございません。
  79. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま言われましたけれども参考人として事情を聴取するあるいは捜査をするという状態のときに、ある意味では公の、公といっても半ばの公だけれども、補導連絡協議会などの手づるで片っ端からリストをあげてやる、あるいはくだものや菓子を持っていくとか、それから費用弁償の話だってまさに不均衡そのものですよ。もらっていない人のほうが圧倒的に多いのですよ。私はもらうことはいいことではないと思うが、それはそれとして、そういう利益誘導的なやり方で捜査をやっている、これは反省すべきじゃないだろうか、私はこんなふうに思います。この点について見解を承りたいと思います。
  80. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 おっしゃるとおり、利益誘導の意味でそういうことをしたら、それは適正な捜査であるといえない、それはおっしゃるとおりであると思います。ですから、利益誘導にわたるような、あるいはそういう疑いを受けるようなことは厳に慎むという態度で捜査に臨んでおるわけでございますし、あらためて、そういう点についても誤解を招かないように指導をしていきたいと考えております。
  81. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 人権の問題も実はあるわけであります。これは岩手のケースであります。ある書記長のお宅を捜査したのですが、ふすまで仕切った隣の部屋に老夫婦が寝ていた。それを承知捜査を行なって、老婦人は二日後に心不全で死亡されました。あるいは埼玉の例でありますが、妊娠八カ月の御婦人を外に立たせたまま、数時間かぎをかけて、部屋の中でいわゆる家宅捜査を行なった。こういうような事実、まだあるわけでありますが、そういうやり方というのは、はたして人権というものを尊重したやり口であったかどうか。幾つもあります、そのほかにも。特徴的にいえばそういう事実があるわけでありますが、これも、そういう事実について、あったのかなかったのか、そしてそれについてどう思っていらっしゃるのか、この機会に承っておきたい。
  82. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 岩手の件でございますが、これは岩教組の稗貫支部の大迫分会長のお宅を捜索した件であるというふうに思うのですが、この分会長宅については、十一日の午後七時ごろから八時ごろまでの間、分会長を立ち会い人として捜索をしておりますが、その際、分会長から母が寝ているという申し出があったので、その部屋には入りませんで、捜索から除外をいたしております。なお、分会長のおかあさんは七十七歳で、昭和四十四年からずっと病気でやすんでおられたということでございまして、四月十五日に急性心不全でなくなったというふうに聞いておりますが、高橋さんのお話によりますと、警察がその部屋に入らなかったということであったので、母親は捜索のことは何も知らずになくなったというふうに報告が来ております。  それから、妊婦を立ち会わせたということでございますが、これはおそらく埼玉県の三郷市の教組の書記長の宅を捜索した事案のことと思われますが——失礼しました、これは違う件でございまして、浦和市内の埼玉教組の書記の家の家宅捜査でございますが、これは四月の十二日夜、捜査員が同宅におもむいたところ留守であったので、家族の帰宅を待っておったところ、午後十時十分ごろ書記の人が妻と子供とともに帰宅したので、書記に対して許可状を呈示したあと家に入ったけれども、書記がもう一度よく見たいというので、玄関の上がりばたで再びお示しをした。この際、玄関が狭いので外に出ていただくというふうに奥さんに話してもらって外に出てもらって、若干の時間そういう形で妻子が外におられたということはございますが、捜索中のことではございません。  それからさらに妊婦の件は、先ほどお話ししたとおりの三郷市の教組の書記長の宅の捜索だと思いますが、これは在宅中の本人及び本人の奥さんがいずれも立ち会い人になることを拒否された。それで説得して御本人に立ち会っていただいたところ、奥さんも立ち会うということで、御両人の立ち会いのもとに着手したわけでございますが、一見して奥さんが妊娠中であるというようなことがうかがわれましたので、捜査員は十分気を使って、座敷を捜索するときにはすわってもらうとか、部屋を捜索するときにはいすに腰をおろしてもらうという配慮をしたというふうに聞いておりまして、外に長時間立たせたというようなことについての報告は私のほうに来ておりません。
  83. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 当事者発言でものを言っているわけですからね。この点は、調査をしたらそういうことが上がってきたからこういうことでございますという形では済まないと思うのですね。やはり事実はいま御指摘をいただいたこととはかなり違うのであります。そういう点では、人権問題に対する配慮というものが十分でない、かなり乱暴なところもある、そういう点はすなおにお認めいただくことが大事じゃないだろうかと私は思うのであります。その点について見解を承りたいと思います。
  84. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 もちろん私のほうで調べて、これは不適切であり、もう少し配慮が足りないというような事案があれば、それについて是正するのにやぶさかではないのでございます。いろいろとそういう事案について私ども、申し出があった件、その他報道された件について、慎重に個々に調査を遂げて実態を把握することにつとめておるわけでございまして、ただいまの御指摘の件についてはいろいろ調べておりますが、そういうことがぴったりはまった事案がないものでございますので、具体的にどこのだれというように御指摘いただければ、きちっとした形で調べて、その中で不適切な件があれば、この件は直ちに是正することにやぶさかではございません。
  85. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 岩手の件、埼玉の件、指摘をしてもいいです。しかし、それは結局あなたのほうがそういう態度をとっていれば、私どものほうの調べはこうでした、あなたのほうはそうでしたということだけになってしまうと思うのです。しかし当事者が、たとえば岩手の件でもその点を指摘をしているわけでありますから、ばあちゃんがなくなったというようなことは、そんなことは知らなかったはずだというような話ではこれは済まないことだろうと私は思うのです。そういう点で、今度の捜査全体について私は大きな反省を求めざるを得ないと思います。  それから長崎のことについては、これはもうお調べをいただいていると思いますからぜひお答えをいただきたいと思うのですが、私どもの社会党、これは共産党も一緒でありましたが、県評などのいわば抗議団が長崎の県警に出向きまして本部長と会いました。そのときに、記者団がいては抗議者がかっこういいところを見せたがるからということで、取材を拒否した。これについて長崎のクラブから抗議が出されております。記者団が県警本部長に取材拒否の問題で抗議をしているさなかに、本部長は、社会党や共産党の作戦に乗らなかっただけで、やつらは大きく書かせようとしているんだ、玄関先で追い返すべきだったと発言をしております。これは、その本人はそう言った覚えはないというふうに言っているわけでありますが、実は報道された記事についても取り消しの措置をとっておりません。こういうやり方というものは、こういう態度というものは、少なくとも公党のいわば申し入れというか抗議に対する警察官の態度としては適切を欠いている、私はこのように思わざるを得ません。その点について警察庁はどのように御指導をなさるおつもりか、御見解を承りたいと思います。
  86. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 この関係につきましては、事実関係を調べたところ、まあ社会党、共産党の議員の方、労組代表の方、約三十人が、報道関係者十数人と一緒に、四月十二日県警の警察本部秘書課を訪れて本部長に会見の申し入れをしておるわけです。警察としては、狭い部屋なのでそうたくさんの人にどっと入られては冷静な話し合いもできないのじゃないかということで、会見を代表者数名に限って、また報道関係の方は一応写真をとったらあとその場から出ていただきたいというような旨の申し入れをしたところ、これは承服できないということで、狭い庁舎の中で大声でシュプレヒコールをあげて、会見を拒否して帰られてしまったということが事実でございます。  これについて本部長がその後報道関係者に語った談話として、ただいま御指摘になったような内容があるわけでございますが、本部長としては別にそういう陳情団なり申し入れ団を全面拒否するというつもりじゃなくて、やはり冷静にじっくりと話し合うためには、人数をある程度限定しなければうまくいかないんじゃないかということを新聞記者に話したわけなんで、その際不穏当な発言があったというような記事になっておるわけでございます。まあ本部長としてはことばも十分気をつけて、そういう不適切なことばは使わなかったというふうにこちらには報告が来ておりますが、しかし、いずれにしろ、そういう国会議員その他の方が来られたわけでございますので、十分話し合いをすればうまいぐあいにその話し合いの機会も設けられたのじゃないか、こういう意味においては、日ごろからのそういう接遇の問題においてやや配慮に欠ける点があったのではないか、こういう点について、再びそういうトラブルのないように、問題の起こらないように十分本部長として戒めてもらいたいということは、私どものほうとして指導いたしておるわけでございます。
  87. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま警備局長からお話があったのですが、私の言っているのは、国会議員が来たから大事にしろということじゃないのです。これが困るんですよ。やはり市民、国民、その辺は差別なく考えなければいかぬと思うのであります。何か、議員が行ったから大事にしなければいけないんだというような発想ではなくて、やはり申し入れに行ったら、それは忙しいときには会えないことも私はわかります、しかし、もし会えるならばもう少しきちんとした会い方があるんじゃないか。たとえば、いまおっしゃいました記者団にそんなことをしゃべった覚えはない、それは事実と違うのです。これはまさに弁解であります。はっきり言っているのです。記者団がいては抗議団がかっこういいところを見せたがるからああしたんだというふうに言っている。あるいは、社会党、共産党のやつらは大きく書かせようとしていると言っている。これは第一線の警察官として非常に問題のある発言だろうというふうに私は思います。公安委員長、その点について御見解を承りたいと思います。
  88. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 私が直接いろいろ指揮あるいは監督をしている本部長でありますので、私からかわって申し上げたいと思います。  今回の本部長の言動については、確かにいろいろな問題について穏当でないということは率直に私は申し上げます。しかしあの本人は非常にまじめな男で、率直な男でありますので、そういう点についてまあ単刀直入にものを言うことが非常に多いわけでありますので、あるいはそういう点についてはことばが十分でなかったというふうにも思います。しかし、言動というものについてよく注意しなければならない、せっかく本質的な問題について誤解をされてはよくない、またそういうふうに解釈をされてはいけないから、そういう点については十分話をし、また自分の立場というものを明らかにすることが必要であろうというふうに思っております。したがいまして、いま申し上げましたように国会議員——もちろんわれわれは尊重すべきだと思いますが、国会議員であろうとも、あるいは庶民であろうとも、警察立場からいえば率直にまた正しく言うのが当然だと思っております。しかしそういう結果については、言動にいろいろと問題のあったことについては、私も率直に本人に対しても自今注意をするようにということでやっておりますので、それ以後はたいへん慎重にやっておると思いますし、そういうことについては御心配のようなことはなかった、こういうふうに思っております。
  89. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私はあげ足はとりたくないのですけれども、まじめだから言ったというんじゃこれは済まないのです。それじゃほかの人はふまじめなんですか。そういう議論になっちゃうのです。そうじゃなくて、やはり不穏当だったわけですから、その不穏当なことばを取り消させること、それからやはり最高の責任ある立場から厳重に注意、警告をなさること、こういう処置をとっていただくことを私は期待いたしますので、その点をもう一度くどいようですが確かめておきたいと思います。
  90. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 先ほど申し上げたように、本人に対して私からも電話をしまして、そういうことについては十分注意をすべきであるということは率直に指示をしておきましたので、その点は御了解願いたいと思います。
  91. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 時間が参ってしまったわけですが、以上、いろいろなことをいろいろな角度で問題を指摘してみました。今度のこの事件は、おそらく公訴の維持が非常に困難な事態さえ予想されるほど微妙な問題を含んでいると私は思います。ある意味で、それは地公法解釈と憲法との関係において、裁判所の判例だけではなくて、学説を含め、もっと大事なことは、この問題にまつわるたとえばマスコミの論調などを含めた世論のあり方、あまりにもひどいじゃないか、日教組をねらい撃ちしておるんじゃないか、そのうしろには教育の問題にかかわっていく政治姿勢があるんじゃないだろうか、そういう世論が非常にほうはいとして起こっています。私はこれらの点について、警察として、政府として耳をすなおに傾けるべきではなかろうか、このように考えます。  公務員だからスト権がないのはあたりまえだというような考え方、それは間違いであります。憲法二十八条に保障されるところの労働基本権というのは、憲法二十五条が示す生存権に依拠していることはもはや何人も否定することのできない事実であります。あるいは公務員スト権ということから考えてみても、労働基本権、特にスト権というのは人間としての根源的な権利、ラジカルな権利に基づくものであるから、たとえばそれが全体の奉仕者であるからという理由で公務員スト権だけが否定されるべきではないということは、全逓の中郵判決の中にも明らかに述べられているところであります。あるいはこの問題について公共の福祉という問題との調和の問題がよく指摘をされます。確かに公共の福祉という問題点を考えなければならぬことは事実でありますけれども、しかし、それは基本的人権とのバランス、調和、この問題を無視して公共の福祉ということを理由にしてストライキを制限をするということは非常に不当な措置である、このように私は思います。おそらくは常識的な法の解釈はそのことを求めていると思うのであります。  たとえば教師の一日ストライキというものが国民生活に対してどんな重大な影響を与えたか、そのものさしというものはいろいろな角度で検討されるべきではないだろうか、私はこのように思います。教育の場合に、多少のおくれというものはカリキュラムの中で調整することができることは皆さんも御存じのとおりであります。実害の問題、国民生活に対する影響の問題、それらを私は考えたときにも、それは基本的な人権である労働基本権というものを制限をして存在するものではあり得ない、このように思います。  したがって、私は、今日までこれだけ広範な形で行なってしまった捜査というものが不当であるという立場を明らかにすると同時に、少なくともこのようなやり方について警察当局が反省をすること、同時に、これは国家公安委員長に承っておきたいと思うのですが、これらの行き過ぎあるいは誤り、あるいは捜査にかかわるさまざまな問題点などについて十分な反省を、十分な国民の世論に対する謙虚な態度を求めたいと思うのでありますが、その点について最後に見解を承って質問を終わりたいと思います。
  92. 町村金五

    町村国務大臣 このたびの日教組に対する捜査の問題について、基本的に憲法違反である、こういう御意見でございますけれども警察当局としては、あくまでも現在の地公法規定で教職員がストライキをやるということは禁止されておることである、したがってこれをあおる行為は刑事罰の対象になり、これを放置しておくことはできないというのが警察の基本的な態度でこの捜査に踏み切ったもの、こう私ども判断をいたしておるわけでございます。  ただ、この捜査の過程においていろいろな問題がいま岩垂議員によりまして御指摘がございまして、これに対してそれぞれ警察当局としてはお答えを申し上げておるわけでございますが、これだけの広い範囲にわたって、多数の警察官がそれぞれ捜査に当たったわけでございますので、中にはあるいは遺憾なことがあったのではないか、かように考えるのでございますが、そういった点については、警察庁としては今後における警察権の執行に際しまして十分人権を尊重するという基本的な態度をもって臨まなければならぬことは言うまでもありませんし、行き過ぎについては、あるいは誤りがあれば、これを是正するということには謙虚な態度をもって臨むのは当然だ、かように考えておるところでございます。
  93. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 以上で終わります。
  94. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 和田貞夫君。
  95. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私はこの時間をちょっとおかりいたしまして、去る四月二十四日に大阪の木津中学校で日本共産党の時局批判演説会が開かれまして、これに伴って部落解放同盟と主催者である共産党との間に紛糾が起こっておるわけでありますが、その後共産党の配布される文書の中で事実に反する内容が記事になっておるということで、部落解放同盟のほうからその事実関係を適当な機会に明らかにしてほしい、こういう要請がありましたので、時間もありませんので簡単に事実関係だけを質問いたしまして御答弁をお願いしたいと思います。  五月八日に開かれました法務委員会議事録を見てまいりますと、説明員である山田警備課長が正森委員質問に対しましてこういうようにお答えしております。「演説会は七時から始まったようでございますが、七時二十五分ごろに男女四名の部落解放同盟員が正門から入る、それに対して主催者側の警備に当たっておられた方が阻止するということから、問題が出てきたようでございます。」ということで、あとずっと答弁をしていなさる。  部落解放同盟の諸君が私のほうに言ってきておりますのは、二一四日の午後七時ごろに演説会場に男子二名と女子三名の同盟員が演説会を聞きに行ったところが、正門前で約十名の主催者側のほうから、おまえらは入れないということで拒まれた。五名のうちの一名の女子同盟員は主催者のほうに顔が知られておらなかったので中へ入った。入口で拒まれた四名が、なぜわれわれが会場に入れないか、こういうように質問しているうちに、中に入った一人が解放同盟に対する攻撃のビラを持って入口のところへ出てきた。そのビラの内容についてこの五名が質問しておった。そのときに主催者のほうから、出てきた女子同盟員に対して手のひらで殴打した。さらにもう一人の女子同盟員も首筋をつかまえられて前面の道路わきへ引きずり出された。  そこで、そういう暴力をふるわれた五名がすぐに事務所に引き返して支部員に連絡して、八時ごろに暴力に対する抗議を行なうために木津中学校の前に出かけていった。そうすると、この抗議をしに行ったときには、待機しておった機動隊約八十名が主催者と同盟員の間に割って入って、そして現場にかけつけた同盟の浪速支部の書記長である長谷川君に対して、警察の責任者と思われる刑事のほうから書記長に、引き取ってくれ、こういうように言われたので、長谷川君はその刑事に対して、二人の女子同盟員がおまえたちの前でそういう暴力をふるわれたのだから、その暴力をふるった者を出したら引き揚げる、こういうように押し問答を約三十分間ほどやっておった。結局このケリがつかないで、府警のほうからの要請もあったので、またあらためて府警に抗議をしていこうということで現場から全員が引き揚げたということであります。議事録ではさらに、あなたのほうの答弁で、「引き揚げる際にも、十分に引き揚げ先まで厳重な視察をいたしました」、こういうように答弁をしておるわけであります。  この間の、いま私が申し上げましたようなことが事実であるかどうかということをひとつまずお答え願いたい。
  96. 山田英雄

    山田説明員 ただいまお話ございました関係で、女子の方が殴打されたという点につきましては、警察においては事実を確認しておりません。また、いままでのところ被害申告もないわけでごいます。その点を除きますれば、木津中学校前における当日の演説会が始まる時点からの時刻の事実の推移はお話しのとおりだと思います。
  97. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そうすると、殴打されたというこの女子二人の同盟員からあなたのほうに被害届けが出ておらないということで、事実確認ができておらないということですね。
  98. 山田英雄

    山田説明員 そのとおりでございます。
  99. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それから引き続いてお尋ねしたいのですが、先ほど申し上げましたように、議事録でも「八時五十五分ごろには引き揚げた」「引き揚げる際にも、十分に引き揚げ先まで厳重な視察をいたしました」、引き揚げの先を見届けたということですね。
  100. 山田英雄

    山田説明員 当日は双方の間にたいへんな緊迫した対峙状態がございましたので、違法事態の発生を予防する見地から、ただいま御指摘のように部落解放同盟の方々が移動する先を確認しておったわけでございます。
  101. 和田貞夫

    和田(貞)委員 その後、午後十一時半ごろに、先ほど名ざしをいたしました部落解放同盟の書記長である長谷川君の自宅に浪速警察署のほうから電話があって、どんなにおそくなっても浪速署に連絡してくれ、こういう要請があった。そこで長谷川君と外三名が浪速警察に行ったところが、署長室で次長外三名の警察官から、実は演説会が終えてから後、バスに乗って引き揚げる演説会の参加者が何者かに襲われて集団暴行を受けて、中に重傷者が出ていると共産党のほうから告訴されている、告訴相手は同盟員であるとの話がされたので、書記長から、そのような問題は当支部には関係ないということで帰ったということなのですが、その間の事情をひとつ話してください。
  102. 山田英雄

    山田説明員 先ほど御質問にもございましたように、当日午後十時二十分ごろ、演説会場から聴衆を送り届けるマイクロバス二台のうちの一台が、浪速区恵美須町における路上で数台の乗用車に分乗した者に取り囲まれて、マイクロバスの中におりました五人の聴衆が暴行を受けたという事案がございました。その事案につきましては、警察も、演説会場の警備に従事した部隊が帰隊する際に、被害を受けた直後にその現場に通り合わせて、事実を確認しておるわけでございますが、日本共産党の方から同じ時刻ごろ、そういう事案が起きたという告訴を浪速署が受けておるわけでございます。それに従いまして、ただいまお話しのように、長谷川書記長に御連絡を申し上げて、事情をお伺いしたいということで、浪速署に来ていただいてお話を伺ったという事実はございます。
  103. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それは同盟員であるかどうかということはもう確認できておるわけですか。
  104. 山田英雄

    山田説明員 その段階におきましては同盟員の方らしいというだけの段階でございますので、そういう事実に基づいて事情をお伺いしておったわけでございます。
  105. 和田貞夫

    和田(貞)委員 被告発者のほうが同盟員であるらしい、こういうことであったので組織の責任者を呼んだということですね。
  106. 山田英雄

    山田説明員 そのとおりでございます。
  107. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そこで先ほど私が申し上げました前段でありますが、主催者のほうがこの四、五名の者を会場に入場することを拒んだ、そういう理由は、正森委員のこの発言によりますと、前日の二十三日のできごとを述べておられます。その中をちょっと見ますと、宣伝車に乗っておった運転手が勘助町の派出所に入った。救助を求めた。「そうすると、事もあろうにその派出所まで二十名近い者がなだれ込みまして、警察官の面前でカッターシャツのボタンを引きちぎるあるいはけり上げる、胸ぐらをつかむというようなことをやって、あろうことか派出所の内部のガラス窓を割るというようなことをやった」、そういうようなことがあったのでこれを拒んだ、こういうように発言されておるわけですが、それは事実として承っておられますか。
  108. 山田英雄

    山田説明員 四月二十三日の午後の、浪速警察署勘助町派出所の近辺における日本共産党宣伝カーに対する事件が起きたことは事実でございます。ただ、私どもで把握いたしております事実は、勤務中の当日午後三時三十分過ぎごろ、派出所で勤務中の警察官が、その付近の交差点の手前で停止している日本共産党の宣伝カー、それに数名の部落解放同盟員と思われる方が集まりまして話し合いをしておるという事実を見たわけでございます。で、交通妨害になるという判断で宣伝カーの移動方を指示して、本署に報告して、巡査が一人でございましたので、応援警察官の派遣を求めていたわけでございます。その際に宣伝カーに乗っておった方が一人かけ込んできまして、そのあとに部落解放同盟員と思われる方々が二、三人追随してきた。そこで、紛議を予防するためにその警察官が間に入って、やがて解放同盟員と思われる方々が二十人ぐらい増強してまいりましたので、本署から来た警察官ともども双方を引き離しまして、事情聴取して、宣伝カーに乗っておられた方一人が保護を求められましたので、本署まで来ていただいて事情を伺ったわけでございます。その間におきまして、だれがガラスを割ったか——ガラスは割れておるわけでありますが、だれがガラスを割ったかということは確認されておりませんし、それから警察官が確認しておる範囲内においては、双方の側に暴行事案があったということは確認しておりません。
  109. 和田貞夫

    和田(貞)委員 同盟のほうから言うてきている事情は、いま答弁のあった内容につけ加えて、二十三日目の午後三時ごろに大国町一丁目付近で、日本共産党の宣伝カーが翌日の時局演説会の触れ込みの宣伝を行なう中で、その内容が解同抗議らしい宣伝がなされた。あるいはあわせて配布されたビラが解放同盟を中傷するようなビラであった。それを聞きつけて同盟員の諸君が、男二名、女一名の三名が宣伝カーのあとを追いかけて、そして宣伝内容について質問した。そうすると運転手の方が前の派出所に飛び込んだ。それで同盟員の者も引き続いて派出所に入って、警察官のうしろにおったその運転手ないしは同乗者に対していろいろと質問をしておった。だからそこで暴力を働くはずがない。暴力をその中では働いておらないということを言っておるわけなんですが、そのことはどうですか。
  110. 山田英雄

    山田説明員 先ほど申し上げましたとおり、警察官が現認しております範囲内では、暴力は行なわれておりませんでした。
  111. 和田貞夫

    和田(貞)委員 その派出所の中では、いまお答えのあったように、そのとおりなんですね。  それからもう一つ。私はこの議事録を見まして、警察というところはけしからぬように思うわけですが、正森委員のこの発言によりますと、何はともあれ解放同盟と日本共産党との争いであるので、交番所に来てもらうのははなはだ迷惑や、そんなことは共産党のほうで何とかすべきや、こういう発言をした。あるいは保護を受けた共産党員の方に対して、浪速署の捜査二係長が、おまえは共産党員かシンパかということを必要以上に聞いておる。そういうような事実が事実であるとすれば、私はけしからぬ警察の態度である、こういうように思いますが、そのことはどうですか。
  112. 山田英雄

    山田説明員 法務委員会におきまして正森議員の御質問に私も明確にお答えいたしておりますが、ただいま御指摘の事実、そういった言動が警察官にあったというようなことは、調査いたしました結果全くございません。
  113. 和田貞夫

    和田(貞)委員 なかったということを確認しておいていいですね。  私は時間がありませんので、このことについて、事件事件として処理をしなくちゃならないと思いますが、一応、解放同盟という運動体が、運動の中で自分たちが中傷を受けた——中傷しておるところは中傷しておらないというように思っておるかわからないけれども、中傷を受けた側は中傷されたというように受けとめる。そういうことが積み重なった中で起こった事件であると私は思うわけであります。捜査にあたってはひとつ厳正中立の立場に立ってこの事件の処理に当たってほしい、私はこういうように思います。  ついでの機会ですので、委員長、もう五分ほどひとつお願いしたいのですが、実は去年の国会で成立いたしました動物保護法ですね。この動物保護法が四月一日から施行されておるわけなんですが、すでに施行されてから二カ月を経過いたしておりますが、これが議員立法であったがために、いまだに実施主体である各県にその法律を実施するための窓口がきまっておらない、こういうような状況であります。  そこで、この法律解釈は、その中でいわゆるネコや犬の捕獲については禁止されておらないわけなんです。ところで、御案内のとおり日本の伝統楽器であります三味線はネコの皮なんです。このネコの皮がやはりどうしても資源として必要である。これは、ネコちゃんネコちゃんといってかわいがる、いわゆる動物の愛護家、ネコの愛護家が飼っておられるようなシャムネコであるとかペルシャネコであるとか、そういう愛玩用のネコは資源にはならないわけです。暴れまくって、市民に非常に迷惑をかけるのらネコが資源になるわけです。いままでもこの資源を確保するために、邦楽器皮革組合あるいは邦楽器商工業連合会というのがありますが、これらに依頼を保健所自体もいたしましたり、あるいは病院やホテルのほうから依頼を受けまして、全国的にネコの捕獲に行っているわけなんです。  これが法律ができたために、動物愛護というたてまえで、もう約二カ月の間、そのことさえもできない。実際に住民の方から、のらネコを何とかしてほしいという依頼があっても、それさえもできないということでありましたので、大阪のほうで府警本部と話し合いをいたしまして、俗にいうネコどろぼうと区別を歴然とするために、この邦楽器組合のほうでのらネコの捕獲人にみずから身分証明書をつくりまして、そしてどろぼうと判断を受けないようにみずからも自覚する、こういうことで資源確保のために、しかも市民のほうから要請のあったのらネコ退治のために捕獲をするということの話し合いがついたわけであります。けれども、これは大阪府下だけの問題じゃなくて、各県のほうからもやはり強い要請があってそれにこたえておるわけでございますので、この間も文書で警察庁のほうにお願いをしておるところでありますが、この法が施行された時期でございますし、また片方ではどうしてもその資源が必要であるということであるし、あるいは被害を受ける住民の方々やあるいは施設のほうから要請があることでありますので、全国的に警察のほうで、その法に違反をしない中でひとつ指導にあたってもらう、そしてしかも楽器の資源としてののらネコ退治をできるようにしてほしいという文書要請を邦楽器の組合のほうから出されておるわけですが、そのような措置をとっていただいたかということをこの機会にお尋ねしておきたいと思います。
  114. 綾田文義

    ○綾田政府委員 ただいまの件につきましては大阪府警のほうから話がございましたので、文書をもって正式に警察庁のほうに連絡してほしいということを指示いたしまして、私、まだ文書は拝見いたしておりませんけれども、その内容とか、その証明の様式とか、そういうものを拝見した上で、大阪だけでなくて、ほかの県もあるようでありますので、各府県警へも連絡をしたいというふうに考えております。
  115. 和田貞夫

    和田(貞)委員 どうもありがとうございました。
  116. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 林百郎君。
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、最近マスコミ等でも非常に重大な関心を持ち出してまいりました、参議院選の事前運動として大きな企業が会社ぐるみで選挙運動をしておるということについて、それぞれの省庁に、並びにこれは公職選挙法違反の疑いが非常に濃厚であると思いますので、警察当局見解もただしたいと思うわけであります。  マスコミで申しますと、まず五月十三日の朝日新聞に「目にあまる企業の選挙運動」という社説が載っております。「営利法人である大企業がその社会的、経済的な力をあからさまに行使して選挙運動の分野にまで踏み込むことは、健全な民主政治の発展をゆがめ、禍根を累積するものといわざるを得ない。」というような文章が中に入っております。  それから六月二日のサンデー毎日は特集として、「参院選自民党と財界 選挙資金百五十億円要請説を追ったら なんと四百億円」こういう記事で、ずっと財界と自民党との癒着、そしてこの参議院選に備えての自民党から財界への献金の要請が四百億円だということが、自民党のある派閥の議員から語られているというようなことも出てきておる。  これは選挙の公正をはなはだ汚すものだ、そしてさらには法律違反の重大な疑いがある、こういうことを考えまして、ひとつ質問をいたしたいと思うわけであります。  実は昨日の当委員会で同僚の三谷議員が、行政機構を使っての、自民党から立候補が予定されている候補者の票集めの問題について尋ねました。そしてこれについては当局も、遺憾である、至急実情も調査する、そして事実であれば厳重に適切な措置をとるというような答弁もしております。自民党の参議院選における選挙活動がいろいろの点で目に余る問題が出てきておりますが、その中の一つ、昨日は三谷議員からの、行政機構を利用しての自民党からの立候補予定者に対する票集め問題、きょうは私は大企業の目に余る企業ぐるみの事前運動について質問してみたいと思うわけであります。  言うまでもなく、大企業が作為的な物価値上げによって不当な利益をあげていること、そして今日国民を苦しめている元凶がほんの一握りの大企業の人為的な物価値上げにあるのだということが、予算委員会の集中審議によっても明らかになったわけでありますが、今日またあらためて電気料金の値上げをはじめとして、企業はその経営の困難を口実にしていろいろな料金、物価をつり上げようとしております。ところがその一方において、企業が赤字になる、あるいは企業の経営が困難だと言いながら多額の政治献金を自民党にしておる。しかも、物価を値上げすることによって国民を苦しめておるこの企業が、自分のそういう企業の悪徳性を守ろうとして選挙運動をしておるということは許しがたいことだというように思うわけです。  警察庁もあるいは通産省も、マスコミでこれだけ取り上げてきておりますから、こういう問題をもう知悉していると思いますが、まずこれについてどういうように考えられるのか。これは国務大臣としての町村大臣、それから通産省としてはどう考えるのか。利益が少なくなってきた、あるいは赤字になる、だから値を上げざるを得ないんだということを理由にして、公共料金をはじめとしてどんどん値上げをしてきておる。一方では、百五十億円の献金だと思ったのが実は四百億円の献金だ。これが交際費とかという名目で落とされて課税の対象からのがれてしまって、そして欠損として合法的に落とされていく。いま大企業の社会性とかということが盛んに問われておるときに、こういうことが一体行なわれていいとお考えになるのかどうか。国務大臣としての町村大臣、それから直接の通産行政の責任者である通産省にまずその見解をただしたい、こう思います。
  118. 町村金五

    町村国務大臣 石油の値上げに端を発しまして、各種の物価が当然この影響を受けて上がる、国民生活にとってはまことに容易ならぬ影響を与えることでございまして、たいへん憂慮すべき事柄だということは私どもも深く考えておるところでございます。ただ、御承知のように、石油を主たる原材料にしておる企業というものは非常に数が多いわけでございます。したがって、石油の購入価格が少なくとも四倍あるいは五倍になるということになりますれば、これに相当するものの値上げを認めなければそういった一切の企業というものは全く成り立たなくなってしまうわけでございますから、そういった石油の値上がりに相当する諸物価の値上がりというものは、遺憾なことでございますけれどもどうもやむを得ないことではないか。最近政府が電気料金の値上げを認めたというようなことも、そういったことによるものであると私は考えるのであります。このことが国民生活に与える影響というものが深刻であることは申し上げるまでもございません。したがって、石油の値上げということによって日本の物価が相対的に上がらざるを得ない、そういった一種の新しい価格というものがすみやかに設定をされることが国民生活を安定に持っていく非常に重要なことだ、私はかように考えておるところでございます。  そこで、企業がこのたびの参議院選挙に際して激しい事前運動をやっておる、あるいは多額の政治献金をしておるということははなはだ許しがたいことではないか、こういう御指摘でございます。日本の企業も、あるいは労働組合にいたしましても各種の団体にいたしましても、個人と同様にみずからの政治的な見解、識見というものを守るために、民主政治を守るためにということでそれぞれ選挙活動をやるということは当然許されておる事柄だと思うのでございます。したがって、企業だからやってはいけないということは許されることではない、私はこう考えるのでございます。しかし、御指摘になりましたように、それが違法にわたるというようなことであれば当然許されないことは言うまでもないと存じます。  なおまた、大企業が多額の政治献金を自民党にやっておるという御指摘でございますが、この点は、少なくとも現在の政治資金規正法によって合法的に自民党に献金をされるというのは当然許されておることだと私は思いますけれども、違法な献金を自民党が受け取っておるというふうには——そういった献金等のことに直接私は関与しておりませんので事情はわかりませんけれども、そういった点において自民党が間違いをやっておるというふうには私は考えていないのでございます。
  119. 児玉幸治

    ○児玉説明員 通産省の児玉でございます。  ただいまの林先生のお尋ねの点につきましては、企業も社会の一員として外部のいろいろな関係を持っておるわけでございまして、事業活動の健全な発展のために、あるいは地域社会、消費者その他いろいろな関係活動を展開してまいるのは当然のことと思っております。  なお、政治献金の問題につきましては、これは企業のあげました収益を、企業がどういうふうに考えて、どういう分野にどう使っていくかという判断の問題だというふうに一般的には考えておりまして、先ほど自治大臣の御答弁のように、違法の問題とかなんとかいうことになれば別でございますけれども、一般的に申せば、私どもといたしましては特に行政的に立ち入ってどうこうというふうには考えておりません。
  120. 林百郎

    ○林(百)委員 驚くべき答弁だと思うのです。政治活動というのは主権者である国民がやるのですよ。法人の政治活動なんてあり得ないのです。法人が献金をするということは、何かのバックペイの利益と結びつかなければあり得ないことじゃないですか。憲法で規定されている政治信条の自由というのは個人に与えられているのですよ。しかも、いま国民がこんなに苦しんでいるのは、企業が便乗値上げだとか、値を上げているからでしょう。値を上げなければ赤字になるとか損するとか、一方ではそう言いながら、一方では四百億もの献金をするということは、通産省はそれは政治活動の自由だから許すといって見ているのですか。そんな通産省を国民がどうして信頼しますか。  私が言ったんじゃ、あなた方は、それは共産党の大企業に対する特別な意見だと言われるでしょうから、ちょっとこれはサンデー毎日に書いてあることですが、自民党の内部でこう言っているのですよ。「資金にくわしいといわれる福田派のある幹部議員。百五十億円プラス百億円説を聞いて、答えるには「それは少ないよ。二倍近いよ。党は財界に対して、こんどの参院選にあたり一人四億円を要請したんだ。」」自民党のほうから要請しているんですよ。それにこたえて出しているんですよ。「うち半分はすでに支払われて、あとはこれから出すんだよ。」「自民党は百人近い候補者を予定しているから、ざっと四百億円だ。うち二百億円は、もう出たということになる。このツケは必ずやどこかに回る。回り回って国民のフトコロに。たとえば六月一日からの電力値上げ、それに続く私鉄、アルミ、鉄、繊維、そして凍結品目の解除……。「みな選挙資金見合いだ」というのが、政界通の見方だ」。  これは国民だれもがそう思うことはあたりまえですよ。大企業がいま続々と値上げの申請をしている。その陰で自民党へ四百億円の献金がなされているということがこういうマスコミにも書かれている。それはバックペイがなくて何でそんなことしますか。それが政治活動の自由といって許されるのですか。そのツケは結局国民へ来るのですよ。インフレと物価高で苦しんでいる国民へそのツケが回ってくるんじゃないですか。少なくとも、そういうことは自粛すべきだ、それによって合法的な脱税をするようなことは慎むべきだということをどうして通産省は言えないのですか。  大臣、どうでしょう。大臣も、違法なことがあればこれは許されないとおっしゃっていますけれども、しかし大企業の社会的な責任からいって、ことに治安の任に任ずる国家公安委員長として、明らかに事前運動に使われる四百億もの、これは選挙費用をはるかにこえているものですね、こういうことが公然ともう書かれている。マスコミも見かねて至るところで書いでいるというときに、まだ、いやそれは法人にも政治活動の自由があるからその範囲では自由ですとか、あるいは通産省は、それは法人の、企業の政治活動の自由の範疇に入りますということで、そのまま見過ごしていて国民が承知するとお考えになりますか。もう一度両者の答弁をお聞きしたいと思います。
  121. 町村金五

    町村国務大臣 今度の参議院の選挙がだんだん近づいてくるに従いまして、御承知のようにかなり激しい事前の運動が行なわれておるということは、私どももまことに目に余るものさえ感ずる一面がございます。しかも、このためには相当ばく大なお金が当然かかるわけでございまして、そこに、いま言われておりますような、御指摘になりますようなことが現実に起きておるのではないかという一般の想像が出てくるのも、今日のかなり目に余る激しい事前運動というものを見ておりますと、私どもは全く同様に考えておるのであります。  少なくとも、こういうような金のかかる選挙というものを、今後においてぜひそういった事態を防遇するためには一体どうすべきかというようなことも、実は私どもは私どもなりに検討もいたしておるところでございます。これはやはり現在の選挙制度そのものの基本にかかる重大な多くの問題を解決いたしませんと、なかなかにわかに根本的な是正というものはむずかしいというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、いまのようなばく大な金がかかる選挙の事前運動というものは、ぜひ私はこれを防遏するということを将来にわたって真剣に検討もし、その成案と申しましょうか、実行のできる案を、政府としても、また議会の皆さま方とも御相談しながら、そういうものをぜひすみやかに打ち立てていかなければならぬのではないか、かように私は考えておるところでございます。
  122. 児玉幸治

    ○児玉説明員 先ほど申し上げましたのは一般的なお話を申し上げたわけでございまして、先生おっしゃいますように、もしも、たとえば政治献金を行なうことによって、それがそのままコストの上昇ということで製品コストの引き上げにつながるとか、そういうことになるようなことはもちろん私どもは許されるというふうには考えておりません。ただ、一般的に、企業があげましたその所得の範囲内で、たとえばその地方のコミュニティーの発展のためにどういうふうなお金の出し方をするとか、あるいはその政治活動のためにどう  いうお金の出し方をするとか、そういう部分というのは企業の判断の自由があるであろう、こういうことを申し上げたわけでございます。
  123. 林百郎

    ○林(百)委員 そんなごまかしじゃだめですよ。コミュニティーや自治体へ、たとえば福祉施設のためにこれだけの献金をするというんじゃないですよ。これは明らかに選挙の費用として——しかも選挙費用というのはさまっているんですよ。町村さんは、金のかかる選挙だ、金のかかる選挙だと言われるが、金のかかる選挙なら法定費用をこえてもいいのですか。そんなことを国家公安委員長が言ってはいかぬですよ。やはり選挙費用というものはちゃんときまっているのですからその範囲で行なわなければいけないのですよ。一人四億円もの金を財界からもらって、法定選挙費用をこえての選挙をやっていいなんということはあり得ないことでしょう。それは政党の党員が情熱を込めて手前弁当でやることですよ、法定の選挙費用の範囲内で。あなたが、金がかかる、金がかかると言うのは、自民党がいろいろな点で金をかけているからですよ。だから、そういう点を……(発言する者あり)不規則発言をしなさんな。委員長、不規則発言をさせないでください。
  124. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 静粛に願います。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 それは自民党と共産党と見解が違うのだから気に入らないかもしれない。しかしわれわれはこんな汚れた、財界から四百億もという、そんな金をびた一文ももらっておりませんよ。そういうものをもらっていい、それはいまの選挙制度が金がかかるからだ。それなら法定選挙費用をこしてやってもやむを得ないんだ、いまの選挙制度自体がそうなっているんだということを町村さんが自分で認めることになるんじゃないですか。
  126. 町村金五

    町村国務大臣 私は選挙費用を、法定費用をこしたような選挙を認めるというようなつもりで申し上げたわけではございません。御承知のように、現在、選挙の運動かあるいは選挙の事前運動かというものの区別が非常につきかねておる。選挙になりました場合における選挙費用は、おそらく法定費用で大体皆さん間に合っておられるのではないか。ただ、選挙の前、一年も二年も前からやっておることをもって、これはおそらく選挙運動というふうにはなかなか言いにくいというようなところに、実はいまの選挙法の一つの盲点があるのではないかというように私は考えておるのでございまして、そういったものを含めて選挙に非常に金がかかり過ぎるということを、ごく大ざっぱなことばで私は申し上げたわけでございます。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 政治活動の自由は保障されていますから、われわれはそれを制限するつもりはありませんけれども、しかし、自民党という政党がほんの一握りの大企業から、しかもその大企業が陸続として公共料金からそのほかの製品の値上げをしておるというときに、ばく大な金をもらうということは、それは選挙を毒するものであるし、そしてそのツケは回り回って、いま私が読み上げたマスコミにもありますように、国民のふところに回ってくるわけなんですから、それはあなた、国務大臣として、はなはだ遺憾なことであるということの一言ぐらい言えないというならば、町村さん、あなたもまたそうかといわざるを得ないわけですね。  だから、どういうことを企業がやっているかということの内容に入っていきましょう。まず三菱の例をとってみます。最近の新聞や週刊誌にもこれは出ておりますが、三菱グループの例を見ますと、三菱グループでは重要な二十七社の社長会が昨年初め、元総理府の役人だった坂健という、これは自民党の参議院候補ですが、これは御承知ですね。坂健氏を、グループ会社をあげて支援するということをきめて、そして三菱系の企業の社長、会長の集まりである金曜会の会長の大久保謙、三菱電機会長がその後援会長におさまっているわけですね。同グループでは坂氏のために五十五万票の票を目ざすという方針をきめて、百万人の後援会づくりを考えて、管理機構をフルに動員して取り組んでいる。こうした管理体制を利用した後援会活動がどんどん行なわれている。また、新聞によりますと、この後援会の名簿にある顧問には、金曜会の二十七社の社長、会長四十名が名を連ねる。さらに理事には総務担当常務二十七人、幹事に総務部長ら三十八名が名を連ねておる。まさに会社をあげての選挙運動といわざるを得ないわけですね。  本来、企業というものは生産をあげて国民の生活を豊かにするところに全力を注がなければならないのに、こういう三菱グループ全体がすべての企業を結集して、そして特定候補を推すということをきめて、それを自分の系列会社、さらにはそれを下請、さらには働いている労働者にまで後援会の割り当てや票の割り当てをしていくということ、こういうことは好ましいことだと町村さんお考えになりますか。
  128. 町村金五

    町村国務大臣 いま御指摘になりましたような事案がどういうふうに行なわれておるかということは私は承知をいたしておりませんので、いまのお尋ねのことだけで直ちにお答えをいささかしにくいのでございますけれども、私はやはり、企業としてもこういう人をぜひ当選させたいという努力をされるということも、これはあり得ることであって、これをもって直ちに違法であるというふうにきめつけることはむずかしいことではないか、私はこう考えます。
  129. 林百郎

    ○林(百)委員 その企業が下請やあるいは労働者に後援会や票の割り当てをしてくる、その成績をどんどん聴取していく、こういう形をやってもよろしいとお考えになるのですか。労働者はそんな、自分の政治信条までも会社へ提供しなければいけないのですか。下請は下請の自分の政治信条まで、親会社に言われればそれを提供しなければいけないのですか。ちゃんとそういう割り当てをして、票読みをして、もしそれに応じない場合はそれに対する報復があることはもう想像できることじゃありませんか。そんなことは好ましいとお思いになりますか。
  130. 町村金五

    町村国務大臣 私は、いま企業が、林議員御指摘のような活動をかりにいたしておる、こう考えましても、あるいは下請であるとかあるいは多数の労働組合の方々が、みずからの政治信条に反してそういったものに盲従するというふうにはちょっと考えられないのでございまして、もちろん中には志を同じくするという者は協力するという一面ももとより起こり得るでありましょうけれども、下請であるとかあるいはまた労働組合の方々は、そういうような会社の幹部がそういう方針をとったからといって、それにみなが盲従してしまうというようなことはとうていあり得ないことではないか、こう私は考えるのでございます。
  131. 林百郎

    ○林(百)委員 そういうきれいごとで事実をゆがめちゃいかぬですよ。会社へつとめている者は、社長命あるいは会長命あるいは部長命、課長命で、あなたはいつ幾日までに何票集めてこい、こう言われた場合に、それに無関心でいられますか。しかも毎日毎日それを追及されるわけでしょう、あなたは割り当てを達しましたかどうかということを。会社の組織というのはそういうものじゃないでしょう。労働者や下請やらは、そんなことを会社から追及される立場にないわけでしょう。  たとえば東急の例を申しますと、東急では「はたの章後援会入会のおすすめ」というのがあって、これはちょっと正確に申しますと、事務部の庶務課長、建築部の工務課長から「はたの章後援会入会のおすすめ」という、こういう通達が出されて、「都市問題に対しユニークな構想を持ち、革命的な思考の転換の出来るはたの章氏の後援会を推し進める為に、下記要領により入会者を勧誘することといたしたいので、御賛同下さるよう御協力方お願い致します。1、目標 社員一人に対して入会者五人以上 業者一社に対して入会者十人以上 2、注意事項 1入会は神奈川県在住者に限ります。2郵便番号を確実に記入して下さい。3〆切は五月十五日迄、随時工務課提出して下さい。4協力業者については作業所から通知することがありますのでよろしく御協力下さい。5支社の担当は建築部工務課福山主事又は事務部庶務課勝山主事です。」こういう、社員は一人に対し入会者五人以上、業者は一社に対して入会者十人以上、これを事務部の庶務課長、建築部の工務課長から通達を出す。  出された者の側に立てば、これをもしやらなかったら会社の自分の上司にどう思われるか、心理的な圧迫を加えられるのは当然じゃないですか。あなたの言うように、自由な選択が職場の中で保障されると思うのですか。あなたは大臣だから、そういう苦労をしたことがないからおわかりにならないかもしれませんが、毎日毎日労働者として働いている者が、庶務課長や工務課長からこういう通達が来たときに、それを平気で、いや思想、信条の自由だからこんなもの来たって知らぬと言えますか。もし言ったらばそれはまた特別なマークをされるのですよ。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)そんなことはないなんてうしろから言っておりますが、こういう通達を出すことは、労働の基本権あるいは労働者の思想、信条の自由を侵すことはなはだしいと思うのですよ。  町村さん、どうお考えになりますか。本来、会社が利益関係を通じてそういうことをしてはならないと選挙法にあるでしょう。あなた、やってもいい、やってもいいなんて、選挙法をよく研究もしないでおいてそういうことを言っておりますが、そういう利益関係で誘導してはならない、それは選挙の公正を害することになるからそういうことはしてはならないということが書いてあるのですよ。それを町村さん、いいと思いますか。  また労働省では、労働者がこういうものに応じなければならないというようにお考えですか。またこういうことを出すことが労務行政からいって好ましいとお考えになりますか。労働者は毎日毎日の労働を提供して、その対価として賃金をもらっている。その賃金も、自分の提供している労働以下の賃金しかもらっておらない。それがさらに思想、信条の自由まで束縛されるような通達を上からおろしてくるというようなことを、労働省としては好ましい事態としてお考えになりますか、どうですか。町村さんと労働省と両方にお聞きしたいと思います。
  132. 町村金五

    町村国務大臣 いま御指摘になりましたように、経営者の中に、こういう人を選挙に際してはぜひ支援をしてもらいたいということを希望し、期待をするということは、経営者としてはもとより自由なことだと考えます。ただ、いま御指摘になりましたことは、経営者がそういうふうな希望をし、あるいは期待をするということによって、社員が非常な圧迫と申しましょうか、精神的な圧迫を受けて、これによってみずからの政治的な信条を曲げてまでやらなければならぬというように必ず追い込まれるというのがいま林議員の御指摘でございますけれども、まあ、あるいはたくさんの中にはそういう人がいるかもしれません。しかし私はいまの、民主主義の原理に目ざめておりまする今日の日本人、確かに会社にはつとめて月給はいただいておるけれども政治の信条まで会社から強制されなければならぬというような考えの人は非常に減ってきておるのではないかというふうに考えておるのでございます。
  133. 寺園成章

    ○寺園説明員 いま御指摘の具体的な事案についてどうこうということを申し上げる立場でございませんが、一般論として申し上げますと、従業員といえども政治的信条の自由というのは憲法上保障されておるわけでございますから、そのような、会社からどうこうと言われることが直接労使関係に悪い影響を与える、いい影響を与えるというようなこととは無関係な事柄であろうというふうに思っております。
  134. 林百郎

    ○林(百)委員 どういうことなんですか。そうすると、こういうことをやってもいいと言うんですか。会社と労働組合との関係は労働協約でちゃんときまっている範囲でしょう。それを越えて、会社の職制の名義で、あなたは一人何票、自民党の候補のこれに票を集めなさいというような通達を出すことが労働行政としてはかまわぬと言うんですか。そんな労働省ですか。それならそれでいいですよ。
  135. 寺園成章

    ○寺園説明員 労働組合は、先生御承知のように、労働者の労働条件の向上、経済的地位の向上ということを主たる目的にしております。その意味で、使用者と労働者との関係について、組合員の経済的な地位を向上するための団体交渉をやり、それから労働協約を締結するということであろうかと思います。  ところで、組合が一切の政治的な行為ができないかと申しますと、労働組合法にもございますように、従たる目的として政治活動をするということは妨げられてはおりません。しかしその場合に、労働組合がやります政治的な活動というのはいわば一般の市民と同じ立場に立ってやられるべきものであるというふうに思いますので、組合政治的な問題というものが労使関係についてどうこうということとは、直接関係のない事柄であろうというふうに私は思っております。
  136. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたの言うことは問題をずらしているように思うのです。まつ正面から私の言うことに答えてないと思うのです。  あなたも御承知のとおり、公職選挙法の二百二十一条を見ますと、これは利益誘導の問題ですが、会社、そのほかありますが、会社の例だけ申しますと、会社は直接利害関係を利用して「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人」に選挙運動をしてはならない、そういう誘導をしてはならないと書いてあるのです。会社とそこで働いておる者との間には直接利害関係があるわけですよ。そういうものを利用して選挙の誘導をするということは、その人の持っている政治信条の自由を侵す危険があるから、選挙の公正を害する危険があるから、そういうことをしてはならないということは選挙法にちゃんと書いてあるのですよ。そういうことを会社が労働者にしいるということがいいかどうかということを聞いているのです。  自治省、どうですか。二百二十一条の精神からいって、会社が直接利害関係のある労働者に対して、職制を利用して、おまえは一人で五人集めろというような通達を職制から出させる、こういうことは二百二十一条の精神からいって違反だ、あるいはかりに違反かどうかはさらに精査するとしても、二百二十一条の精神からいって決して好ましいことではないというようにお考えになりませんか。  それから町村さんにお尋ねしますが、一体、会社がどうしてそういう政治活動ができるのですか。会社の政治活動というのはどういうことなんですか。個人じゃないですよ。自民党の候補者を推すのは自民党党員じゃありませんか。共産党の候補者を推すのは共産党が中心になって動くべきじゃありませんか。それを会社が何で会社として下に通達をするのですか。法人の選挙運動なんというものは一体どこにあるのですか。公職選挙法の何条にあるのですか、法人は選挙運動をしていいということは。憲法で保障されている政治信条の自由というものは、主権者である個人個人がそれぞれ持っていることでしょう。これはだれも侵してはならないと書いてあるわけです。ところが、会社というものが全体としてこういう選挙運動をするということになれば、憲法で保障されている個人の政治信条が侵される危険が非常に多いじゃないですか。働いている者の身になってください。課長や部長やあるいは社長の名義でこういう割り当てがくる、それをいつ幾日までに遂行するということで。ある人は遂行した、ある人はやらないとなれば、やらない者は会社に何か不満を持っているのか、これは会社に従順でないのかという差別を受けるのじゃないかという不安を感ずるのは当然じゃありませんか。それはあなた、人情でしょう。(「それは不当労働行為だ」と呼ぶ者あり)だから、不当労働行為だと自民党ですら言っている。そういう不当労働行為の起こる可能性のあるようなことを、そういう危険のあるようなことを慎むべきだということを当然やるべきだと思うのです。これを町村さんとそれから自治省のほうからお聞きしたいと思うのです。
  137. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま御指摘の二百二十一条違反であるかどうかということにつきましては、これは個々の事案に即して考えなければならないことだと思います。企業内と申しましても、企業自体が運動するわけじゃございません。企業内の有志が特定人を後援するような活動をする、そういった意味での政治活動あるいは後援会組織のための運動、そういったことは一つの許されることだと思うのでございます。  ただ、二百二十一条の問題として、法律にもございますように、当選を得あるいは得せしめないために、たとえば企業内で人事とか給与とか非常に影響力を持った方が、直接職務に関連して利害をもって投票を誘導するといったような明白なことがございますれば、これは二百二十一条違反だということになろうかと思います。ただ、いま申しましたように、後援会加入をすすめるとかいった程度のものでは、私どもはどうであろうかという感じがするわけでございます。
  138. 町村金五

    町村国務大臣 先ほどの私のお答え、やや不十分でございましたが、私も実は会社というものが直ちに選挙人になるということはもとより考えてはいないのでありまして、結局会社の中の経営者と申しましょうか、その経営者個人が、自分としてはどうしてもこの人を次の選挙等の機会には当選をさせたい、こういう念願を持って、そして関係の社員あるいは下請け等に話をするということが、いま御指摘になりました公職選挙法の二百二十一条に触れるかどうかという問題はただいま選挙部長からお答えをいたしたとおりでございまして、たいへん微妙な問題であろうと私は思うのでございますが、いずれにいたしましても、かりに会社の経営者からそういう希望をする、期待をするということが現実に行なわれたといたしましても、いまの日本人はそんなに、会社には月給はいただいておるけれども、自分の政治信条までも全部会社に売ってしまうというような人は、これだけ日本人の政治意識というものが高まってきております今日、さようなことは非常に少ないのではないか、私はこう見ておるところでございます。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 町村さんは官僚としてエリートコースを歩んできた方ですから、いま会社で働いておる労働者が職場の中において、職制のいろいろの精神的、物質的な重圧のもとにどんなに苦しんでいるかということは、あなたにはわからないのですよ。だからそういうことを平気でおっしゃっている。しかし、現実に会社の会長、顧問あるいは部長、課長、そういう者から、あなたはいつ幾日までに何票集めなさいといって指示がおりるということは、これは明らかにその労働者の思想、信条の自由を束縛することは間違いないですよ。何だったらあなた、一度行って労働組合と話してごらんなさい、あなた方何にも感じませんかと。いま民主主義に訓練されたあなた方だから、会社からこんな通達が出たって平気だと思いますがいかがですって、あなた一度労働組合と懇談してみればわかりますよ。そういう全く現実から離れた答弁を国家公安委員長としての町村さんが答弁されることは、私ははなはだ遺憾だと思うのです。やはり、憲法で保障されている個人の思想、信条の自由を、会社というような機構、労働者に対しては密接な利害関係を持つ機構がそれに対して侵害をしてくるということは慎むべきであるということをあなたとしては言うべきだと思うのです。  先ほどの土屋さんの話ですが、ここに読売新聞がありますから、これを見て、これがはたして会社の有志がやっていることかどうか。これは三菱グループです。「後援会組織図」というのがありまして、まず上に、最高のスタッフに会長、電機会長があって、その下に顧問会、顧問会というのは二十七社の会長と社長が四十人あって、その下に理事、幹事会が二十七社、これは取締役、総務部長クラス六十六人、その下に専従者会議二十七社、部課長クラス、その下に支店、特約店、営業所、事業所の支部長クラス、これが五万人ですね。一支部長が二十人を確保する。この下に下請、協力会社があるわけです。土屋さん、ちょっとこの図を見てください。これで、会社の個人のやっているということが言えますか、この組織で。
  140. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 この図を見ますと、いろいろと関連の企業が関連しておることはわかるわけでございますけれども、一応そこの社長さんなり、あるいは部長さんなり、支店長とかどうとかといったような個人の皆さんが、一つ政治活動としての後援会をおつくりになっておるという形のものであろうと思うのでございます。だからその活動の具体のやり方がどうであるかということで、選挙違反等の問題が出てくるというように思います。
  141. 林百郎

    ○林(百)委員 取締役個人というようなものがあるのですか。あなたは本気にそう考えるのですか。三菱系のグループが全部、会長、電機会長、二十七社の会長、社長、取締役、総務部長、そしてその下にさらには専従者としては部課長クラス、その下に支店、特約店、営業所、事業所がある。みんなここに会長とか取締役だとか部長だとか、そういうものが書いてあるでしょう。もしあなたの言うようだったら個人の名前を書いたらいいでしょう。何で会長だとか取締役だとか社長だとかいう名前をここに書くのですか。それは明らかに法人たる会社を代表する資格でこういうものができているということじゃないですか。土屋さん、あなたはそんなことがわからないのですか。それでこれを見なさいな。「金も票も企業持ち」「丸がかえ候補“支店巡業”」各支店を本社の指示でこの候補が回って歩いている。これでもまだあなた、個人だと言っているんですか。そんな感覚で、憲法で保障されている民主的な選挙が行なわれると思うのですが、一体。もう一ぺんこの表をよく見て考え直してください。——よく見てください、みんな役職名が書いてあるのです、そこに。
  142. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いまこの新聞をもう一回よく見たわけでございますが、一つの後援会の組織というものを、記事を編集した方が図式として書かれたものであって、これはあくまでも会長の職におありになる個人がそこの会長である、そういうことでつながっておるんだろうと思います。
  143. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、坂健さんの宮城県後援会の日程を参考までに示しますと、宮城県では、事務局組織、局長佐久間博信、三菱系の東京産業、事務長が南友三、電機部門の責任者、それから総務部長小餅和長これが三菱商事、それから副総務部長が志賀口氏、これが三菱地所、組織部長が丹野氏、これが三菱重工、副が黒木茂氏、これが三菱石油、それから同じく副が永松氏、三菱樹脂、広報部長野口義朗、これは鉱セと書いてあります。副が石崎裕司、三菱金属、同じく副が佐々木鋭次、これは三菱機販。こういうふうに総務部長、副、組織部長と、みんな何々会社の出身とずっと書いてあるわけですね。それから「菱友会例会にて承認願い度。」要するに菱友会というものをつくって、これを承認されたい。それからこういう計画になっております。「四月中旬一、菱和会各社にPR、担当者設定 二、地区據点決定 四月二十日 全国さか健事務所打合(佐久間局長、南出席予定) 四月下旬−五月上旬地区別会議 宮城県合同支部長大会 五月十七日  さか健を励ます全国大会」。これはみんな各会社の代表が出てこういう組織をつくっているわけですね、宮城県で。これをお見せします。これでもまだこれは個人だというのですか。三菱グループの各会社の代表が全部入って、そして菱和会というのでこの日程を全部決定してもらいたい。これは下請も入れてです。そういうことが書いてある。これは参考までにお見せします。これをちょっと見てください。
  144. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいまお話がございましたように、いわば三菱グループに関連するところの方がそれぞれ入っておられるということはわかるわけでございますが、特定の個人の後援会を組織するにつきまして、いろいろと関連のある仕事を通じて知っておる方々が集まって、同志を募って後援会をつくっていくという形は、これはあり得ることだろうと思うわけであります。
  145. 林百郎

    ○林(百)委員 そういうことが二百二十一条の、会社が直接利害関係を利用して選挙を誘導する、これに当てはまらないのですか。あるいは少なくともこの精神を侵す危険があるとお考えにならないのですか、そういうやり方は。いいんですか、それで。たとえば宮城県なら宮城県の三菱系統の全部の会社を組織する、それに下請も入れる、そしてそれに従業員も入れる、そして宮城県において坂氏の後援会をつくる、そして通達を出すということは、会社が利益によって誘導して選挙の目的を達成する。二百二十一条でそういうことは禁止されているわけでしょう。それに触れるとお考えになりませんか。あるいは少なくともこの精神をそこなうものである。やはり選挙というものは個人の思想、信条の自由が自由に表現されなければならないのだから、そういう会社というような組織をもってそういう利害関係を持つものを組織して、もしそれに加盟しない場合はあとになって利害の影響を受けるというような、そういう組織を持った選挙運動をやるということは好ましくないというようにお考えにならないのですか。  それともう一つ、ついでですから資料をあなたにお見せします。これはちょっと印刷がはっきりしませんが、総務課長から各課長あてに、さか健氏後援会の件で今般後援会組織を県下において次のように取りきめた、票は一万五千票、仙台市で七千、郡部で八千を目標として強力な推進をすることになりましたという文書が出ている。これは個人の名前はありません。これもあわせて考えて、これでもまだ個人の動きだと言えますか。個人の名前はないのですよ。それとあわせて見てください。それでもまだ会社の中の個人だと言えますか。
  146. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほどお話がございましたように、二百二十一条の二号でもって利害誘導を禁止いたしておりますのは、いろいろとそういった直接利害関係を利用して投票が行なわれるということは、これはまことに好ましくないという趣旨規定されておるわけでありますから、そういった行為が行なわれておるということは、これは私どもとしても好ましくないと申し上げざるを得ないわけでございます。  ただ、いまもお話がございました後援会という形で動いておられるという場合におきましては、はたしてその中で具体にいまのよう利害誘導というかっこうで、そのために投票をこれにしろとかどうとか、はっきりした事実があるかないか、これはちょっと私どもわからないわけでございますが、それがあれば問題だと思います。
  147. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ町村さん、そのほかの例を申し上げます。会社ぐるみだということですね。決して会社の中のある有志がやっているということじゃないということです。  これは、その前に土屋さんにお聞きしますが、会社ぐるみでやっているとすれば二百二十一条の精神からいって決して好ましくない。私は、違反する、しないということをここでいまあなたに言えということは言いません、事は重大ですから。違反なら全部選挙違反になる可能性がありますから。しかし、二百二十一条の精神からいって全く好ましくない。もし会社全体がそういう職制を通じてやるとすれば好ましくないということは認められるわけですね。それはそうでしょう。
  148. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 そういった職制を通じて利害を誘導するという事実があれば、これは好ましくないと思います。
  149. 林百郎

    ○林(百)委員 そうですね。  それでは町村さん、東京急行の例を申します。東京急行電鉄株式会社の例は、同社の総務部長が各部店課長あてに二月十二日付の文書で、「参議院選挙に伴う立候補者の後援会結成について」という通達を出している。東急グループは全国区迫水久常、神奈川地方区は秦野章後援会を結成すること、後援会目標は十三万票、迫水久常票は八万票を東急グループで獲得することを業務命令をもって指示している。こう書いてあるのですよ。また同社系のある会社、これは名前は特に秘しておきますが、庶務課長名をもって、社員一人に対して後援会入会者五名、業者一社に対し十名以上を入会させるよう命じている。これは先ほど読んだのです。こういう例です。  それから川鉄グループでは全国区玉置猛夫候補をかかえて、川鉄商事は従業員一人当たり百人の後援会員獲得を義務づけている。こういう例があるわけです。  要するに業務命令をもって指示する、こういうことになるとすれば、これは二百二十一条に照らして好ましくない、こういうようにお考えになりますか。
  150. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 まさに二百二十一条の場合は当選を得させるということで、投票を得るか得ないか、そういう選挙運動に関連しているということでございます。したがいまして、私もいまおっしゃったところでは全体はわからぬのでございますが、後援会組織というだけのことでございますとそれはまた別の問題だと思いますが、選挙運動にわたってそれを業務命令というかっこうでやるということは、これはかなり問題があるだろうという気がいたします。
  151. 林百郎

    ○林(百)委員 いま同僚議員からも、二百二十一条に照らして好ましくないということじゃなくて、違法と言っても差しつかえないじゃないかという声があります。  警察庁長官にお聞きしますが、もしいまのような、会社がそういう業務命令をもって、職制を通じて従業員あるいは下請会社に票の割り当てを命ずるようなことがあるとすれば、二百二十一条の疑いありとして、警察としても一定の捜査なりあるいは探索をされる意思がありますかどうですか。——いや、警察庁長官に私は聞いているのです。長官はよく共産党のことはいろいろ言われているようですから、自民党のこともあなたはどう考えているかここで聞いておきたいと思うのです。警察は中立だ中立だと言っていますが、あなたの言うことは何を言っているか、われわれみんな知っています。だから、あなたは自民党についてはどう考えるのですか。
  152. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 本来なら刑事局長がやるべきだと思いますが、一応私に御指名ですから……。  こういう具体的な問題があればそれはもちろん必要でありますけれども、その一般的な問題につきましての具体的な問題を考えなければ私ども判断はできない、こういうふうに考えるわけでございます。
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 一般的な具体的な問題、何のことだかわかりません。それじゃ、われわれが具体的な例をあなたのところへ指示しまして、二百二十一条の違反の嫌疑が十分あるという事実をあなたにお示ししたら、あなたは捜査をされますね、具体的な事実をわれわれが示したら。まず長官に聞きます。その次に刑事局長答えてください。(発言する者あり)だれに答弁求めたって質問者の自由じゃないですか。  具体的な例を持っていった場合には捜査をなさるかどうか。あなたは一般的な例では不十分だ、具体的な例がある場合には警察としては考えますと言っているから、それならば、われわれが具体的な例をあなたのところへ持っていったならばあなたは捜査をされますかと聞いているのです。
  154. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 もちろん具体的な疑いがあればやるのは当然の警察立場であります。
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 刑事局長、それでいいですか。  それじゃ、ここに自民党の幹事長の橋本さんのこういう手紙があるのです。あなた方いままであれこれ非常に弁解をしていましたが、橋本さんはちゃんと「貴社」と書いているのです。貴社の有志なんて書いてないですよ。手紙を読みましょうか、町村さん。これは、衆議院議員自民党幹事長橋本登美三郎として、「貴社並びに貴方様には益々御健勝のことと、心からお慶び申し上げます。愈々参議院選挙が近づきました。わが国の議会政治の上でもっとも重大な選挙と思います。それは自由民主党が勝つか負けるかということも大事でありますが、共産党が提唱している「民主連合政権」を作る足がかりとなったら、即ち共産社会主義政府が生れる前夜を迎えるがごとき結果を招いたら、自由社会の危機であると深く感ずるからであります。勿論、野党各党ともそれぞれ独自の立党の精神なり、政策があるはずでありますが、最近は利己的な党利党略に突つ走つて、かえって共産党の術中に陥って、自由社会を危機に追いこんでおります。社会が豊かであり、各人の創意工夫が充分に生かされ得る社会は、人類の文化史をみても自由な社会にあってこそ育ちますが、権力社会では死滅します。しかし、自由社会を守り発展させるためには、ひとりひとりの英知と努力が必要です。勇気と行動とが伴わなければ、亡びてしまいます。現に成立している共産社会主義国家においては、御承知のとおり企業は例外なく国営であり、国家管理となっております。小売商にいたるまで政府の統制下におかれています。それは憂欝な自由なき社会です。来るべき参議院選挙は、そのような国家の命運を選択する重大な意味をもつておりますので、自由民主党は全員必死になって全力奮闘をいたしております。自由民主党を助けるというよりも、貴方が人類の理想として作りあげてきた「自由社会」のための勇気ある戦士となっていただきたいのであります。自由民主党候補は別表の人びとであり、選考にあたっては慎重を期しました。どうぞ、貴社並びに貴方様のお力の及ぶところ末端にまで御協力下さるよう御指示をお願い致します。出来ますれば選挙係をお作り願って、積極的に御活動をお願い致したいのであります。必要がありますれば、それらの方法等について御相談にあずかりますので、次の電話を呼び出し下さらば、選挙対策本部の国会議員が参上いたします。」  これはどこの共産主義社会のことを言っているか知りませんが、およそ日本共産党の言っていることとは全くほど遠いことを言っている。日本共産党は昨年の党大会で、民主連合政府をつくる、それは大企業に対しては民主的な統制をする、現行法の中で民主的な政府をつくるのだ、自民党にかわって。そういうことを言っているので、何も企業を個人から国有にするなんということは一言も言っておりません。それは国民の皆さんが納得した場合ではそういう方向もあり得るし、納得できなければそれはあり得ないことで、われわれは自民党にかわる民主連合政府をつくるということをはっきり書いてある。しかし、そういう内容についてはここで言いません。  しかし、いままであなた方が答弁したように、それは会社でない、会社の個人だ、個人だと言うけれども、自民党の幹事長が、「貴社」あなたの会社と頼んでいるじゃありませんか。あなたの会社と頼まれた、橋本さんに頼まれたからわが社はこの候補を推す、こうなったら会社がやることになりませんか。町村さん、どうですか。あなたは警察の中立性ということを言っているわけですね。あなたは国家公安委員長なんですよ。自民党の所属の大臣ではあっても、国家公安委員長である。中立性を保たなければならない警察の最高責任者ですよ。共産党の言うことだからといって、せせら笑って、ふまじめな態度をしちゃいけませんよ。あなたがいませせら笑っていると、私はあなたの表情を言っているわけじゃありませんけれども、まじめに真剣に考えていただかなければいけないと思うのですよね。憲法でも規定されているように、政治信条の自由というのは何人も侵すことのできないことなんですから、それが会社の力で、会社という機構を通じて、金や何かで政治信条を侵すというようなことがあっては決していかないわけですよ。ところが、先ほどからの答弁によって、それは会社の中の個人でしょう、個人でしょうと言っている。ところがあなたの党の幹事長は、どうかあなたの会社で推薦してくれ、こう言っているのですよ。しかも、私が示した材料によれば、会社の機構全体が選挙に乗り出しているわけでしょう。新聞でもマスコミでも、もうこれは「金も票も企業持ち」と書いてあるのです。企業持ち、まるがかえ候補、これが支店を巡業している、こう書いてある。これは明らかに二百二十一条に違反している。少なくとも違反の疑いが十分ある。さっき高橋長官も、具体的な事例があるならば警察捜査をしますと言っている。橋本幹事長のこの手紙に対して、町村さん、どうお考えになります。
  156. 町村金五

    町村国務大臣 いまのは橋本幹事長がどこに出された手紙か、それはよくわかりませんけれども、「貴社並びに貴方」云々というような冒頭の書き方のように先ほど伺ったのでございますが、これはいかに会社といいましても、現実にはやっぱり個人であることは言うまでもないのでございまして、したがって、先ほど来たびたびお答えを申し上げておりまするが、やはり御指摘の二百二十一条にほんとうにこれが違反をしておるものかどうかということになりますれば、これは警察当局として十分検討をいたすこと、こう私は考えるのでございますが、先ほど来も申し上げておりまするように、この重大な選挙にあたってみなが全力を尽くすということになるだろうと私は思うのでございまして、したがって、いま申し上げたような会社あるいはその会社の重要な立場におる者が、こういう方をぜひ選挙に際しては後援してほしいということを期待をするというのは、これは当然のことではないか。ただ、そのことが、先ほどの二百二十一条の規定でございますか、これに違反するかどうかといったような問題は十分注意をしてやらなければならぬことは言うまでもないと考えますし、またそれで利害誘導が現実に必ず起こるんだといういまの林議員の御指摘には、私は必ずしも結果的にはそうならない場合が非常に多いのではないかというような感じがいたしておるのでございます。  いずれにいたしましても、いま御指摘の問題については、今後選挙法といいましょうか、法令に違反をするような選挙活動が行なわれてはならぬということは言うまでもございませんので、そういった点は関係省の間で十分検討することにいたしたいと思います。
  157. 林百郎

    ○林(百)委員 これはきょうだけで私の質問は終わるわけじゃありませんが、参考までに五月十三日の朝日新聞の社説を読んでみますと、「とくに目にあまるのは、企業の自民党候補応援である。自民党が概括的に集計したところによると、今度の参議院選挙で同党候補を積極的に応援する企業は、東証一、二部上場程度の大企業、中企業だけで約千三百社にのぼるという。この数は前回、前々回選挙にくらべると、三—四倍の増加である。しかも特徴的なことは、わが国屈指の巨大企業グループがそれぞれ自民党の特定候補をかかえて、資金面から選挙運動にいたるまで、積極的な姿勢で動いていることである。」ちゃんと朝日新聞もこういっているのですよ。(「保革の決戦だ」と呼ぶ者あり)何言っているんだ。保革の決戦なら法律違反してもいいのか。  それからもう一つ、その証拠として……(「何あわてているんだ」と呼ぶ者あり)あわててなんかいませんよ。(発言する者あり)
  158. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 静粛に願います。
  159. 林百郎

    ○林(百)委員 それからもう一つ、これは東急の例です。マル秘として、各部店の課長殿、総務部長として、こういう通達がいっているわけですね。「参議院選挙に伴う立候補者の後援会結成について」、本年の六月末ごろに参議院選挙が行なわれる予定となっており、下記の方々が立候補されるため、東急グループとして後援会を結成し、後援することになりましたので、社員各位の幅広い御協力、御支援をお願いいたします。東急支部参議院議員立候補者後援会会長東京急行電鉄株式会社専務取締役山田秀介——これは迫水さんですね——東急支部副会長東京急行電鉄株式会社取締役蛯名忠武。それからはたの章後援会、神奈川県地方区、東京急行電鉄株式会社常務取締役柳田盈文、こういうように書いてあるわけですね。この裏には東急支部の後援会の目標数もずっと書いてあるわけですね。これを土屋さんにお見せします。あなたは後援会ならいいと言うけれども、後援会は票とつながるのですよ。そんな詭弁を弄さないように。——これは明らかに会社でしょう。
  160. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま見させていただきましたが、これを見ても、社員各位にみな後援会に入って幅広い協力をお願いしたい、こういった書き方でございまして、先ほども申し上げましたが、後援会を組織するにつきましてそういった、職場におられるたとえば社長であるとか総務部長であるとか、そういった方々が、その仕事を通じて関連のあるところの方々の同志を募っていく、そういう形での後援会組織であろうと思うのでございます。ただそういった場合に、だんだんそれが進行して、選挙運動という形で、当選を得るというような形で直接利害関係を利用して誘導するかどうか、これは個々具体の事例に照らして判断せざるを得ないであろうと考えます。
  161. 林百郎

    ○林(百)委員 この問題は非常に重要でして、後援会はつくるけれども、それがだんだんエスカレートして選挙運動をするようになれば問題だなんて、そんな詭弁は通じませんよ。後援会というのは選挙をやるためにつくるものだし、後援会がすなわち票読みにもなるわけなんですよ。それがあなたの言う一これは裏を見るまでもなく、みんな係はそれぞれの会社の専務取締役、それから常務取締役とあって、この人個人ということじゃないでしょう。これは会社として指示しているということでしょう。  だから、最後にお聞きしますが、きょうの私の質問はこれで終わりますが、これよりなお具体的な事例というのは何を言っているか知りませんが、具体的な事例を持っていった場合には、国家公安委員長としても二百二十一条の違反の嫌疑ありということを認定されれば、いかに自民党の後援であるにしても捜査に踏み切る。また高橋長官も、具体的な事例で明らかに二百二十一条に該当する、会社が利益誘導によって選挙運動をしているとなれば捜査に踏み切るということは、はっきりここで確約できますか。そして選挙の公正を期す、個人の持っている政治信条の自由を保障するということはここで言えますか。お二人の答弁を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  162. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 先ほど申し上げましたように、捜査があって、その内容があれば、私どもは厳正公平にやる方針でございます。したがいまして、いま申し上げたような点につきましては、私どもとして既定方針どおりの問題として、選挙の取り締まりというものはやる方針でございます。
  163. 町村金五

    町村国務大臣 私は、警察当局が法令を厳正に執行するというたてまえをとって行なう行動に対して、特に制肘を加えるというような考えはございません。
  164. 林百郎

    ○林(百)委員 ちょっと終わりがよく聞えない。
  165. 町村金五

    町村国務大臣 警察が選挙法の精神に従って法令を厳正に執行していこうということを、私どもはあえて制肘を加えるなんという考えは全くないということを申し上げたわけであります。
  166. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたが先に立って、選挙の公正を期す、少なくとも二百二十一条に違反する疑いがあるからこういう点は十分注意しろとやらなければいかぬことですから、念のために申し上げておきます。  それから通産省と労働省に申しますが、あなた方、会社づとめをしたことがあるかどうか知りませんけれども、こういうことを会社ぐるみでやる、票の割り当てまでしてくる、そして一方ではばく大な献金をする。いま大企業に対して国民の批判は非常にきびしいおりだということに対して、通産行政としても公正に行なう。また労働省としても、いやしくもそこに働いておる労働者の基本的人権をそこなうようなことはしないように十分の監視をするということを約束できますか。念のために通産省と労働省に聞いておきます。
  167. 児玉幸治

    ○児玉説明員 通産行政を担当するものといたしまして、いやしくも法令に違反するようなことが大企業によって行なわれることがないようにするという点については、十分厳正に仕事をしてまいりたいと思います。
  168. 寺園成章

    ○寺園説明員 選挙に際しまして法令に違反するような行為があってならないことは当然のことでございます。労使関係の面におきましても同様でございまして、これらのことを通じて労使関係が悪化するというようなことはないように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  169. 林百郎

    ○林(百)委員 私の質問を終わります。
  170. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 小濱新次君。
  171. 小濱新次

    ○小濱委員 たいへんおそくなりましたが、約束の時間まで質問を続けさせていただきたいと思います。  まず、警察庁高橋長官その他、刑事局長、保安部長に御質問をしていきたいと思います。   〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕  最初高橋長官の訓示でありますが、去る五月十日、全国警備部課長会議の席上、長官の訓示でありますから、訓示といえば、方向づけというものを示して、これからの活動が始まっていく大事な基本をなすものでありますが、その長官訓示の中に、「これから七〇年代後半にかけての年代は治安の立場からしても重大な年代であると銘記すべきであります。」そして、いろいろございますけれども、「左翼勢力は、参院選の結果いかんによっては、複雑な政治情勢を背景に、物価問題、公害問題、生活上の諸問題などを利用して広範な諸階層をさまざまな大衆闘争、「市民運動」へと組織し、労組の秋季年末闘争や「スト権奪還闘争」とからめて「倒閣運動」へと発展させる方向で動くことも考えられます。そして、情勢がそのように推移した場合には、極左暴力集団がそれに乗じて「爆弾闘争」を再開し、「テロ」、「ゲリラ」を敢行するおそれがあり、また右翼による直接行動のおそれも増大することになるので、そうした動きを厳重に警戒して万全の措置をとられたいのであります。」こういう訓示の一面がございます。   〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕 そうした動きを厳重に警戒しながら万全の措置をとられたいという、この訓示について、そういう心配がなぜ起こっているのか、その背景と対策を、これは長官と警備局長からお伺いをしたいと思います。
  172. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 現下の治安情勢につきましては、ただいま小濱委員からいろいろ具体的な問題について、私が申し上げましたような長官訓示の内容についてるるお示しになったわけでありますが、私のほうでそれに対する、一般情勢に根拠してどういう対策を講ずるかというものについて問題を申し上げたいと思います。  その第一は、日々生起する複雑多様な警備事象に的確に対処していかなければならない。同時に、長期治安の諸対策も推進し得る体制を十分とらなければならないということであります。  第二は、いまの激動と変化へ、の動きが強まっても、国民は大きな摩擦であるとか犠牲を伴う急激な転換を望んでいるとは思っておりません。秩序ある社会進歩を願って、その役割りを警察に期待しておることを確信して、国民の理解と協力を得ながら、私がいつも申し上げているような社会の安全弁として警察運営をしていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。  第三は、違法行為は放置しないという基本的な方針を堅持いたしまして、悪質な違法行為に対しては、早期、迅速、徹底した現場措置を講じて、事件の拡大を防止するということ、もし必要があれば追求捜査を徹底しまして、法無視の風潮の根絶を期していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、現下の治安情勢につきましては、いま申し上げたような三つの方針に基づきまして諸対策を講じていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。  なお、各論的な問題につきましては警備局長から御説明申し上げたいと思うのであります。
  173. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 特にわれわれの心配しておる問題は、極左暴力集団が爆弾闘争を再開して、ゲリラをやるおそれがあるということでございまして、これは先般のアラブ・ゲリラの問題等もあり、われわれとしては事前に十分適切な情報をつかんで、具体的な予防措置を講ずるとともに、これまでこういう動きについての被疑者ということで手配されているような指名手配者の逮捕をさらに推し進めるとともに、もし事案が発生した場合は徹底的な取り締まりを行なう。そういう具体的な個々の問題について、慎重にそれぞれの警察で具体的に詰めて対策を立てるという所存でございます。
  174. 小濱新次

    ○小濱委員 最近の新聞紙上をにぎわしております記事の中に、左翼あるいは極左、右翼、こういうことばに当てはまる事件が非常に多いわけです。この記事を読んだ人は、たいへん憂えられる社会情勢ということで不安を抱いておるわけでありますが、そういう点で警察の御苦労はわかりますが、何としてでもこういう問題の対策を一そう努力をして、根絶をしてもらわなければならないわけであります。  こういう記事がございます。「突走る“狂気の論理”」という、これは中核と革マルの関係性を記事にしたものでありますが、「「中核派のうじ虫どもをせん滅した」と、死者をしり目に口汚く勝ちどきをあげる革マル派。「必ず復しゅうする」と誓った翌日、革マル派を報復襲撃した中核派——過激派の代表セクトである中核派と革マル派の内ゲバは、憎悪をむき出しにしてこのところ連日のように繰り返されている。両派はことしに入ってからすでに四人の死者、百人を超えるケガ人を出しているのに、死傷者が増えれば増えるほどその“殺し合い”はエスカレートし、時には市民、一般学生まで巻きぞえにしている。「反革命分子をたたきつぶしてこそ革命への道がひらける」というのが、かれらの“狂気の論理”である。」  また、御存じのように銀行強盗事件が非常にふえているわけです。  それから千葉市栄町の連続猟銃発射事件など、暴力団の抗争と武装化が目立ってきているわけです。資金源はどういうふうになっているのか、その対策はどうなっているのであろうか。私どもも心配するほどに、このごろこの種の事件が多いわけであります。いろいろな事例があるかと思いますが、暴力団の秘密の武器、拳銃、日本刀あるいはまた鎖がま、わきざし、短刀、手やり、こういう届け出のない不法所持の武器が多いということにもなっておりますが、取り締まりの網の目をくぐって武器を購入している、その資金源はどこにあるのであろうか。取り締まりもよくやっていただいておるのでしょうけれども、なおこういう問題がはびこっておるということ。また関連して、左翼、極左あるいは右翼という問題について、私どもが憂える問題が多いだけに、この席から、おも立ったものでけっこうでありますので、そういう内容を御説明願い、それに対する対策等についても、非常に幅広い御質問で申しわけありませんが、私どもはこれからの対策への資料としていきたいと思いますので、御報告をお願いしたいと思います。
  175. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 私のほうから極左暴力集団の内ゲバについてお答えいたしたいと思います。  御指摘のとおり、連日のように内ゲバが行なわれておるわけでございまして、本年に入ってから現在まで発生が百十四件、検挙が百七十五名、負傷者が二百三十九名、うち死亡者五名ということで、同期間を去年と比較いたしますと約倍ぐらいふえておるという状況でございます。派閥としては中核対革マルあるいは反帝学評、こういうそれぞれの分派が相手の派を力によって制圧しようという形で内ゲバが発生をいたしておるわけでございます。  警察といたしましては、このような不法暴力行為は絶対に許せないということで、あらゆる力を尽くしまして事前に動向を的確に把握して、もしそういうような動向があれば、大規模な警備、警戒措置をとって事前に防止するということにつとめておるわけでございます。また、相変わらず大学を拠点にしての動きも目立ってきておりますので、大学に対しては、それぞれ適切な管理措置を講じて、事前に警察と十分連絡をしてもらいたいという申し入れもいたしております。  それから、われわれはどこまでも現行法令に基づいてこういう暴力事犯を取り締まるわけでございますが、そういう法令も、おととしは火炎びん取り締まりの法律等をつくっていただいたわけですが、その他いろいろな法律を積極的に使って、事件が起きないように、また起きた場合の検挙につとめております。それから、単に警察だけでなくて、やはり一般の積極的な提報、協力体制というものも大いにお願いをしておりまして、こういう殺し合い、たたき合いというような陰惨な現在の学生運動、極左暴力集団の動きというものを何とか封殺したいと考えております。
  176. 田村宣明

    ○田村政府委員 暴力団の関係でございますが、現在警察で把握をしております暴力団の勢力は約二千七百団体で、十一万四千五百人の構成員でございます。これは十年前に比べますと、千八百五十団体、六万二千五百人の構成員の減少ということになっておるのでございます。ここしばらくその動きはあまり活発でございませんでしたのですが、先般千葉の栄町において事件が起こりまして、その後やや活発な動きも見られるというような情勢でございます。  それで、このような暴力団の資金源が一体どういうことになっておるのかということでございますが、四十八年中に全国の警察によりまして視察等によって明らかになっておりますところでは、企業等のいわば表向きのものでございますが、露店、風俗営業、飲食店、建設業、スナックなど、そういうふうなところの経営をするあるいはその経営に関与をするという形で、それが資金源となっておるのでございます。これに対しまして非合法の資金源と考えられますものは賭博、のみ行為、麻薬、覚せい剤の売買、債権の取り立て、用心棒の収入、こういうようなものがおもなものになっておるわけでございます。昨年検挙をいたしました一万一千人余りについて、その供述等をもとにしてこの範囲のものの資金源を一応推定してみますと、非合法資金源で百三十億近いものがあるのではないかというように推定をされるわけでございます。  それから武器の関係でございますが、昨年中の武器の押収状況を見ますと、四十八年中に七千五百件余りの武器を押収いたしておりますが、そのうち拳銃が九百三十六件ということでございますけれども、この拳銃のうちで七百五十六件というものは、玩具の拳銃をたまが撃てるように改造したものでございます。  資金源の問題、武器の問題、現状はそういうことでございますが、警察といたしましてはかねてから暴力団の取り締まりというのは最重点事項の一つとして推進をいたしておるところでございまして、昨年も当初に長官通達を全国に発しまして、これを強力に推進いたしておるわけでございます。それで、国民の御協力のもとに進めてまいって、先ほども申し上げましたように十年間で約三分の二に構成員も減ってきておるわけでございますが、合法的な資金源も持っており、また合法的な活動というものをしておるというような面もございまして、なかなか根絶ということはむずかしい問題がございますけれども警察といたしましては、まずこの主要幹部を含む構成員の大量の検挙、それから資金源の取り締まり、武器の摘発あるいは現象暴力の取り締まりというようなことを基本にいたしまして推進をいたしてまいっておるのでございますが、やはりそのときどきの社会の動きというようなものも考えながら適切な取り締まりというものを考えていくということで、現在におきましては、この間の千葉の栄町の事件を契機にいたしまして、全国的に、これは刑事系統だけではなくて、警察のいろんな機能を総合いたしまして、いわゆる繁華街における暴力団犯罪というものを一つの重点にして、地域を指定いたしまして、現在その取り締まりを強力に推進をしておる。それからまた、現在の社会経済情勢を反映いたしまして、倒産などをめぐります犯罪、それから、いわゆるこれも現在の世相と関連があります金融等に関係をした知能暴力犯罪、こういうものに重点を置きまして、粘り強い総合的な強力な取り締まりというものを推進しておるというのが現状でございます。  それから銀行強盗でございますが、いまちょっと手元に資料がございませんので、あるいは若干数字の違いはあろうかと思いますが、本年に入りましてから銀行強盗事件が数件発生いたしておりまして、最近も大きなものが大阪その他において二件ばかり発生いたしておりますが、茨城県下で発生いたしましたものと、数日前に東京の渋谷で発生いたしましたものは、捜査の結果、検挙をいたしておるような次第でございまして、銀行強盗というようなものは非常に市民に不安を与えることのはなはだしいものでございますので、現在も未検挙の事件につきましてはこれを検挙すべく、あらゆる点から捜査を尽くしておるというのが現状でございます。
  177. 小濱新次

    ○小濱委員 大量の武器を押収した、そういうことですが、なお彼ら諸団体はこの抗争に備えて手当たり次第に人殺し道具というものを集めているという、こういうことのいろんな声があるわけです。この資金源はどこにあるのだろうかなということでいろいろお伺いしているわけですが、その中で麻薬関係の、これは関係者どなたからでもけっこうでありますが、この問題で、この暴力団との関係で最近の麻薬関係の事例があれば、これも大きな資金源であろう、こう見ておるわけですが、御報告をいただきたいと思います。
  178. 綾田文義

    ○綾田政府委員 暴力団の資金源にはいろいろありますが、先生のおっしゃる麻薬、覚せい剤あるいはギャンブルののみ行為というようなものですが、麻薬につきましては、主として沖繩がいま一番大きなものであります。これは基地周辺の関係者の違反でございまして、現在一番有力になっておるのは覚せい剤でございます。覚せい剤を主として韓国から輸入いたしまして、これは末端価格で百倍近くにもなる非常に高いもので末端に売りつけておる。しかも、暴力団が覚せい剤の検挙の中では大体六割余り関係しておりますが、暴力団員が密輸入に携わる、あるいはそれを手下を使って販売するというようなことで、かなり最近は巧妙化して潜在化しておりますけれども、これも昨年警察庁で長官通達を発しまして、全国の都道府県に強く取り締まるように推進して、現在活発に取り締まっておるところでございます。
  179. 小濱新次

    ○小濱委員 麻薬のおそろしさというものは、私どももいろいろな立場から伺っているわけですが、人類を滅ぼしていくという。私は見たことありませんが、人のからだを焼却した場合にその焼骨が残らない、その骨が残らない原因の中に、麻薬を用いておったからというふうにもいわれておるわけですね。麻薬というのはたいへんな、絶対に許してはならない犯罪ということで厳重に取り締まってもらわなくちゃなりません。この資金源ということについてはほんとうは詳しく承って、その一つ一つについて私たちも大いに参考にしていかなくちゃならないかと思っているわけですが、こまかい点はひとつ当局の御努力にまつことにいたしまして、お伺いいたしません。  さらにお伺いしていきたいことは、サーキット族について、都内では、いろいろとその報道がなされておりまして、約二百二十グループ、そのグループ員は八千から一万五千くらいのサーキット族がいる、こういわれておるようですが、この人たちが毎土曜日の夜には一団を組んでオートバイや乗用車で走り回っている。そしてお互いになわ張り争いをやっている。そして路傍の人を死に至らしめた、そういう事例もあるわけですが、警察のこれに対する取り締まりの裏をかいて、地域ごとにその取り締まりの網の目の薄いところをいろいろと行動しているという情報も私どもに入っているわけですね。サーキット族の抗争や非行は最近非常に多くなっている。特にこの前年比というものが驚くような増加ぶりを示している。こういうことから、警察の取り締まりが手ぬるいのではないか、こういうふうにもいわれているわけですね。これからどのように警察としては取り締まっていかれるのか。いよいよ暑い時期をこれから迎えるわけですね。そういう時期だけに特に暴力行為の続発というものが心配されるわけですが、善良な住民に騒音あるいは被害を与えるようなことがあってはなりませんが、何とかこういう問題も一掃できないかどうか、警察当局のこの取り締まり、今後の対策についてお答えをいただきたい、こう思います。
  180. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる暴走族の問題でございますが、この問題につきましては、御指摘のとおりちょうどそのシーズンに入ってまいりまして、先般長官からも問題の指摘がございまして、警察の組織をあげてこの問題に取り組むようにという御指示がございました。  最近、暴走族の姿が従来とちょっと変わってきております。数量的にもふえていると思われますが、一つは、二輪車だけではなくてスポーツカーに乗る者が非常にふえてきておる。それから、先先御指摘のとおりグループをつくって、相互に暴走事犯を起こすというようなことが最近非常に目立っておりまして、そのほかにも、単にスピードを楽しむというだけではなくて、サーキット族であるけれども、非常に非行化して、ほかの悪いことをやるというような、そういう集団も散見されるようになってまいりましたし、また中には暴力団等とも関連を持って行動しているというようなものもあるという情報もございます。  そういうことで警察庁といたしましても、交通だけの問題ではないということから、警備、刑事、防犯の関係者が全部集まりまして、実はごく最近新しい情勢に即応する対策を検討してまいりまして、一両日中に、従来なら局長段階の指示で処理していた問題でございますけれども、事が事でございますので、一つレベルアップをして、次長通達を出して組織的な取り組みをしたい。ことに最近は四輪車になってまいりました関係もございまして、県から県に渡り歩くという形が非常にふえてきておりますので、それぞれの県だけではなくて、関係の県が相互に協力しながらこの問題に取り組むというようなことも含めまして、また対策といたしましては、従来ともいろいろやってきているわけでございますけれども、その経験を生かすのはもちろんでございますが、非常に悪質なものは解散させるというような方向に持っていくということで、強い態度で臨もうということでやっているところでございます。
  181. 小濱新次

    ○小濱委員 交通局長に、私のいろいろ伺ったこと、それからこの目で見たことについて、これからの対策をお尋ねしていきたいと思うのですが、都心部になればなるほど駐車違反が多いわけです。それから、私は酒はやりませんが、ほんとうにおちょこ一杯も飲めばたくさんなんですが、その顔でと言われるかもしれませんがほんとうなんです。そういう立場で、あまり知らないのですけれども、この東京都内の夜の盛り場、ここへ行くとタクシーが何百台といながらも乗れない。二千円よこせとか三千円よこせとか、そして悪態をついて、非常に通行人のひんしゅくを買っているという事例も多いわけです。  それから、これはどうかと思ったのですが、あえてこれも参考までにお話をいたしますが、私どもが会館で車を呼びますと、いままでは玄関で待っていればすっと車が来たのですが、最近は忙しい時間に、その時間のタイミングが合わなくなってしまったのです。それで運転手に伺いますと、いや、そこの車庫から会館に来るまでの信号のところで三回ないし四回ぐらい待たされております。そういうことでたいへんおくれましたという話も聞いているわけですが、そういう点で警察に対する不信の声が私どもにもいろいろ伝わってくるわけです。  その問題について、一々ああこうという御答弁は要りませんが、こういうことで事故も非常に多いし、そういういろいろな死傷問題等も起こっておりますので、そういう点を含めて、これは無警察状態なんというような、そういう声が出てくるようになったらたいへんなことでありますし、それからそういうことで警察をなめているんだ、なめられているんだというそういう住民の声もいろいろ出てきたりして、私どももこの問題についてはお耳に入れ、これからの対策をお願いをしていかなければならない立場にあるわけでして、そういう問題についても警察当局はどのように今後対処されていこうとするのか、交通局長から御答弁をお願いいたします。
  182. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 まずタクシーの問題についてお答えしたいと思いますが、乗車拒否などの問題であろうとお伺いしたわけでございますが、乗車拒否ですとかあるいは不当に料金をタクシーが取るというような問題につきましては、四十五年の五月に、先生御承知のとおりタクシー業務適正化臨時措置法という法律ができまして、それで、これは行政指導のほうは運輸省の所管でございますけれども、この法律によりまして、東京と大阪でございますが、タクシー近代化センターというのができております。これはいまのところ財団法人でございまして、企業者の方々の自主的な運営ということで運輸省の指導を受けながらやっている団体でございますが、そこが個々のタクシー運転手についての強力な指導をするというたてまえになっているわけであります。もちろん法律的な処置といたしましてはこれだけではございませんで、乗車拒否につきましてもあるいは不当な料金等を受け取るということにつきましても、犯罪を構成するわけでございますので、警察としても取り締まりをしているわけでございますが、事が事でございますので、技術的には非常に取り締まりにくい面もあるわけではございます。しかし最近、御指摘のようにこの種の不満を市民の方々から聞くことが非常にひんぱんになってまいりましたので、このタクシーの乗車拒否あるいは不当な料金の請求については、警察としても運輸省等とも連絡をとりながら積極的な取り組みをしなければならないというふうに考えている次第であります。  それから第二の、都心部が非常に交通が込んで、ハイヤーを呼んでもなかなか来ないというような御指摘だったと思いますけれども、東京に限りませず、都心部の交通というのはたいへん深刻な状態になっていることは先生御承知のとおりでございます。私どもといたしましても、これまでできるだけのことはやってきたつもりでございますけれども、それでも十分でないということを最近痛感いたしまして、昨年度から、上司の指示もございまして、都市総合規制ということをやっていこうということで昨年来取り組んでいるわけでございます。  具体的な内容はいろいろございますが、時間の関係で詳しい御説明を省略させていただきたいと思いますけれども、従来のやり方と考え方の一つの違いといたしましては、やはり都市に起こっております交通のいろいろな問題、その根本にありますものは、その都市の持っております交通の容量に対して交通の量がふえ過ぎた。あふれてこぼれているというような形になっているためにいろいろな交通障害を起こしているというようなことが多いということから、都市の交通の総量を削減しなければならないのではないか。まず量的に削減しておいて、残った交通についてはその流れを分散するなりあるいは地域的な、時間的な、路線的な、あるいは車種別の、そういう一つの交通配分というような手段を使いまして、交通の流れというものを最も円滑に流れるように全体として管理していく、こういうことをやっていかなければいけないのではないか。従来のように、問題の起こったところにそのつどこう薬を張るようなやり方をしてきただけではどうもイタチごっこになってしまって、全体が解決しない。そういう問題意識を非常に強く持ちまして、抽象的でおわかりにくいかと思いますけれども、総量削減と交通量全体の流れの管理というような方向にわれわれの仕事を変えてみようということで、昨年来いろいろやってきております。試行錯誤がございまして、うまくいった例もうまくいかなかった例もあるわけでございますけれども、やはりいいと思われることは思い切ってやってみて、その中から経験をくみ取ってだんだんいいものにしていきたいというようなことで、現在都市総合規制という形で取り組んでいるということを御説明申し上げまして、お答えといたします。
  183. 小濱新次

    ○小濱委員 都市総合交通規制、いまお話がございましたが、たしか五十五年度までの交通安全施設などの整備五カ年計画がありましたね。まだ残っているはずですね。これとの関係はどういうふうになるわけですか。
  184. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 本年度の予算にいま御指摘の五カ年計画の第四年度を盛り込んでいるわけでございます。来年度が第五年度で最終年度になるわけでございますけれども、すでに相当事業を先食いしてしまった形になりまして、五年度に残されているものは非常に事業量が少なくなっております。こういうことが一つございますのと、それからいまお話にございましたように、最近の交通情勢からいきましてやはり新しい考えで取り組むことが必要ではないかということを考えまして、いま申し上げた都市総合規制などを中心にいたしました新しい交通対策との関連で新五カ年計画を来年度から発足させたいということで、これは建設省などとも連絡をとりながら現在検討中でございます。
  185. 小濱新次

    ○小濱委員 交通事故撲滅ですね、この対策は規制だけでできるものじゃございません。いまのは都市総合交通規制でしょう。そういうお話がありましたね。そういうことになると交通安全施設の整備ということが当然組み込まれていかなければならないわけですが、今度の新五カ年計画というお話でございますが、その中の組み入れ方はどういう内容になっていくのか。これを承っておきたいと思います。
  186. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 都市総合規制は新五カ年計画の中に組み込んでいくつもりでございます。それから、都市の対策につきましては、もちろん問題は規制だけではございませんが、いまお話の出ております安全施設の新五カ年計画、その内容の中で警察関係のものは規制に関するものがほとんどでございます。規制という呼び方が適当かどうかは別でございますが、そういうことでございまして、安全施設という中で警察関係は規制のものが大部分でございますので、そういう観点の新五カ年計画をこれからつくっていくわけでございますが、その中に、都市総合規制の分は安全施設に関する限りは全部含めていきたいという考えでございます。
  187. 小濱新次

    ○小濱委員 その新五カ年計画で、交通事故、死者、負傷者、そういう対策、どこまで減らすことができるのか。何かそういう目途、目標というようなものはお立てになっておりますか。
  188. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 昨年、御承知のとおり、死者について申し上げますと八・四%減少いたしまして、これは史上二番目の減少率であったわけでございます。昨年は三年連続の減少でございましたが、三年連続になりました最初の年はたしか二・九%の減少でございまして、その次が二・七%の減少、昨年が八・四%の減少でございます。ことしに入りましてからきのう現在で大体二五%前後の減少を示しているわけでございます。それをごらんになっていただいてもわかりますように、ここのところ年によりまして減少率が非常に違ってきております。いいほうに向いておりますのでたいへんけっこうなことだと思いますけれども、今後の推移につきまして予測するということは、交通の場合非常にむずかしいものがございます。現在いろいろ検討しているわけでございますけれども、いずれ新五カ年計画を立てますときには、やはりその規制が主になることは先ほど申し上げたとおりでございますが、新五カ年計画のねらいとして、五カ年間に、死者につきましてもどの程度減らしていくかということを前提にした計画をつくっていかなければならないというふうには考えておりますが、現在のところ、この新五カ年計画をやっていく中でどのぐらい減るかという見通しなりあるいは目標というものはまだ立てていない状況でございます。
  189. 小濱新次

    ○小濱委員 まあ、昨年度八・四%減ということで、ことしはそれ以上の減りが見込まれているということでけっこうでありますが、「交通事故死」で「危ない都市」ということの一覧表が出ておるわけですが、人口十万人以上、四十八年中の死者の多い都市の順位ということで、一位が小山、人口十一万六千人で三十四・三人、これは十万人当たりの死者の数であります。熊谷が十二万八千人の人口の中で二十五・七人、都城が十一万四千人で二十四一六人、市原が十八万一千人で二十三・七人、福山が二十八万人で二十三・五人、尾道が十万四千人で二十三人、鈴鹿が十三万四千人で二十二・四人、防府が十万一千人で二十一・七人、いわきが三十二万七千人で二十一・四人、大津が十八万三千人で二十一・二人。まあ福山が五位、尾道が六位。この前視察で広島に参りましたときに、やはり広島の地域では全国一ということで、この交通事故対策に非常に真剣に取り組んでおられた例があります。  この、人口十万人以上の都市が百六十八市といわれておりますが、どうもこういう都市では、多少の差はあっても大きな開きはないようですね。私のほうは神奈川でありますが、特に私のほうは横浜、川崎、横須賀方面を離れた郡部のほうでありますので、非常に事故が多いのです。県警四十一管区の中で、もう五位までは私のほうの選挙区ということになっているのです。多少の伸び縮みはありますけれどもいつも同じような形になっているということなんですね。今回もこの事故防止対策は立てたようでありまするけれども、この対策を真剣にやっていただきたいということなんです。  この交通事故の死者の数あるいはまた負傷者の数、たいへんな数字になるわけですね。年間百万人の負傷者といわれ、百年たてば一億国民は全部一度は交通事故にあうのだ、こういう数字になるということなんで、警察のになう使命というものは非常に大きいかと思うわけですね。これはひとつ交通局長、たいへんな責務でありますが、そういう点で、これからの将来計画というものをわれわれも伺いながら努力をしていかなくちゃいけませんが、今度の計画ではたしてほんとうに実効があがるかどうかですね。いろいろ報道されているように、二〇%減という形がまず当初出てこなくちゃなりませんし、それ以上に三〇%、五〇%、それ以上に絶滅のところまで持っていきたいというこの願いはお互い変わらないと思います。そういう立場から、今回の計画でその実効はどうかということで、確信ある御答弁をひとついただきたいと思います。
  190. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 御指摘のございましたように、昨年全般的には八・四%の死者減少を見たのでございますけれども、今後さらに大幅に、少なくも死者は減らしていかなければならないということでいろいろな検討をしてまいりました過程で、どうも都市部では必ずしも減っていないのじゃないかということに気がつきましていろいろ検討してみますと、いまお話にございましたように、人口十万以上の都市——十万以下は問題がないという意味ではございませんが、一つの例として人口十万以上の百六十八市について調べてみましたところが、前年比死者のふえている市が昨年は五十九市ございます。約三分の一の市でふえているわけでございます。県単位でいいますとふえたところはわずかに二つしがなかったわけでございますが、市では三分の一ふえている。これは問題ではないかということでなお調べてまいりますと、単にふえている市があるだけではなくて、いま数字をお読み上げいただきました人口十万人当たりの死者の数が市によって非常に格差がある。十万人当たりの死者の一番多いのは小山市でございますが、それと一番少ない三鷹市を比べますと五十数倍の開きがある。しかも人口規模はそう変わらない。これはおかしいではないかということが一つ。それからもう一つ場所的に見てまいりますと、先生御承知のように、人口集中地区というのがございますが、その人口集中地区での死者の趨勢というものを見てみますと、至るところで人口集中地区はどこをとっても死者がふえております。  そういうことで、都市における交通事故死者の問題というのは、全国的な観点とは違った観点から取り上げていかなければならないということで、それで昨年来いろいろなことをやってまいりました。ことに、死者率と私ども申しておりますが、まずさしあたって人口十万人当たりの死者の多い市の中でサンプル的なものを四十二市ほど選び出しまして、私どもの局の中でございますけれども、各関係の専門家を集めまして調査団を派遣いたしまして、全部片っ端から事故の背景、原因というものを現地で実情に即して検討してまいりまして、全部それを持ち寄って現在検討中でございます。そういう中から何とか対策を立てていきまして、死者をもちろん減らしたいし、それから死者率の格差も解消したい、増勢にもピリオドを打ちたい。そういうことで、人口集中地区で死者がふえているということは、大体日本全体が都市化の方向に向かっている、そういう状況もございますので、将来に向かってたいへん問題であろうということで、ことにそういう人口集中地区のような、非常に、何といいますか、都市の目玉地区ですね、そういうところに対する対策というものを特に強く取り上げていこうということでいろいろやっておりまして、新聞等にも報道されましたように、先般の全国の交通部長会議におきましてもいろいろ指示をしたわけでございます。いま御質問にございましたように、いつかはゼロに持っていけるかというようなお話もございましたけれども、私ども、いつの日か交通事故死のゼロになることを悲願といたしまして、とにかく全力投球で何とか減らしていきたいということでやっているところでございます。  ちなみに百六十八の都市について申し上げますと、昨年は前年比でふえたところが五十九市でございますが、それはいま申し上げたとおりでございますが、ことしに入りましてから一月から四月までの比較をいたしますと、死者がふえているところは四十市しかございません。昨年年間と比べますと十九市が減ったわけでございます。しかしまだ四十の都市で死者がふえているということは、やはり非常に重大な問題だというふうに私は思っているわけでございます。  時間がございませんので、こういう手でこういうことをやるということを詳細に御説明できないのは残念でございますけれども、資料をとにかく出して、できるだけのことをして、都市部はもちろんでございますが、全国的に死者の減少に取り組みたいと思っておりますので、御指導いただきたいと思います。
  191. 小濱新次

    ○小濱委員 交通局長の見解をただしたいのですが、私どもが走って歩いておりまして、標示、標識がまことに不親切だなという感じのところが間々見受けられるわけなのであります。そういう地域に限ってまた事故が起きているという事例もあるわけですね。これは予算の問題になりますが、いよいよ八月、概算要求の時期を迎えますが、この警察官の増員ということも交通事故防止には大きな要因となっているということはわれわれ認めているわけであります。そういう点で、歩道橋であるとか、ガードレールであるとか、標示、標識であるとか、やりたいことがあるのですね。これはやっても、できてもなおかつこの交通事故が減らないということになれば、また対策は講じていかなければならないかと、こう思うわけであります。ところが不親切な面がまだ多いわけですね。これが大きな要因と目されているわけであります。この施設については交通局長はどういうふうな御見解を持っておられるか。
  192. 渡部正郎

    ○渡部政府委員 御指摘のとおりでございまして、私が見ましても非常に親切でないと思うことが少なくございません。この標識につきましては、実は私どももいま非常にいろいろな点から問題にしているところでございます。  一つの問題は、御承知のとおり、標識、標示につきましては国の補助金が出ませんで、県の単独の予算で施設がなされております。そのために、県によりまして財政の差がございますので、非常に標識がよく立っている県とあまりよく立っていない県とがあります。これは単に財政の問題だけではなくて、知事さんの御方針ということももちろんないわけではないと思いますけれども、主としてやはり財政的な問題で、県を比べてみますといいところと悪いところとある。これはまあ非常に困るということで、何とかこの県の標識、標示についての財政的な格差を解消することを考えていかなければならないのじゃないかということで、その方法について現在検討中でございます。  いまお話がございましたように、交通安全のためにはいろいろな多角的な施策が必要なわけでございまして、ことに最近の私どものやり方等から見まして、標識、標示というもののウエートが非常に高くなってきております。その点については、現在は県単独予算でやっているわけでございますので、県を督励いたしまして、標識、標示についてことに努力をするように指導しているところでございますが、この数が足りないとかいうだけではなくて、いまのやり方、立て方自体に私はやはり反省すべき点が相当あるのじゃないかと率直に思っております。歩行者につきましてもあるいは車の運転者につきましても、やはり適切な情報を適宜流してやって、それで歩行者なり運転者の行動が情報の提供によって自主的に、安全に、スムーズに流れていくという、そういうのが理想でございます。そういう観点からいいますと、単に取り締まるだけの観点からの標識標示ではだめでございまして、誘導といいますか、そういう形のものがもっとたくさんないといけないのじゃないかというふうに考えております。現在予算でやっております標識の立て方自体についても、そういう点で技術的に検討すべき点が非常に多いということを最近問題にしているわけでございます。現状は、当初に申し上げましたように、私としても決して満足しているわけではございませんので、この点について今後もいろいろ努力をしていきたいと思います。ことに不親切だという御指摘でございますが、その点はいま私どもも非常に考えている大事な点でございまして、法律的に問題がないとか、そういうことではなくて、ドライバー、歩行者に対して親切かどうかということ、それは非常に大事な一つのポイントだと思います。その点も十分含めまして検討してまいりたいと思います。
  193. 小濱新次

    ○小濱委員 高橋警察庁長官にこれからのことで御努力を願わなくちゃならないわけでありますが、まあ、県単独の予算ということでいろいろむずかしい点もあるのだ。国道の場合はそれなりに措置ができますが、県の場合あるいは市町村道の場合等があって、いわゆる不親切というような標識があらわれているわけですね。そういう点で年間実質二万人以上の人がなくなっているわけですし、百万人からのけが人ということになると、この対策にはもう相当思い切った財政を投入していかなければならない、そういう交通安全施設の完備ということが起こってくるわけです。八月の概算要求の時期を迎えるにあたって、長官もそれなりの御努力をなさっておると思いますが、今回は特にそういう点にまた一そうの力添えを要望しておきたい、こう思うわけですが、ひとつ長官のお考えを聞かしていただきたい、こう思います。
  194. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 先ほど来交通局長からもるる話があったことでございますが、私どもといたしましては予算の問題からやはりこれに対応しなければならない、こう思います。もちろん増員の問題等についてもありますが、やはり予算の問題をいかにして処理をするか。その一つはやはり国費あるいは補助金の問題と、それから単独事業の県費の問題。県費の問題につきましては、これは各府県において自主的に考えておるわけではございますけれども、全体の安全施設の整備事業の内容の中には単独事業の問題もあるわけでございますので、いま申しあげたように、国費、補助金あるいは県費の単独事業の問題につきましては総合的に考えて、概算要求の際には国費、補助金あるいは県費というもの、全体を総合的に考えながらさらに増額をしていくということで努力をしていきたいというふうに考えておりますので、なおいろいろな点につきましては御援助を申し上げたい、こういうふうに思うわけでございます。
  195. 小濱新次

    ○小濱委員 次に、せんだっての当委員会で質疑が行なわれたわけですが、今年の四月十一日に警察庁に公害課が新設されました。公害取り締まり行政に対する基本的な考え方あるいはまたその公害関係の体制の現状ですね。それから今後の方向というようなものについて、内容が、いろいろと情報を集めますと非常に重要な仕事になってきたように思えるわけでして、どうかひとつこれは保安部長からお答えいただきたい。
  196. 綾田文義

    ○綾田政府委員 公害問題は、昨年の夏ごろまでは警察としてはやや受け身で、告発があったら捜査をするというような体制であったわけですけれども、きびしい公害情勢にかんがみまして、昨年の八月に長官通達によって全国に指示をいたしまして、もちろん行政機関とは密接に連絡をとって、公害問題の解決は行政機関の力にまつべきものでありますけれども警察といたしましても重大な事犯、すなわち国民の健康を著しく害するような、あるいは生活を著しく害するような重大な事犯、あるいは行政機関の指導、警告を無視するというような悪質な事犯、そういうようなものにつきましては、警察独自の判断捜査を行なう、検挙をするというきびしい方針を立てまして、現在その方針に従って進んでおるところでございます。一昨年は全国で検挙の数は、公害事犯は約八百件でありましたけれども、昨年はその約二・五倍の検挙をいたしておるような状況でございます。  同様に、体制につきましても、本年の四月に警察庁の保安部に公害課が新設されましたけれども都道府県におきましても、警視庁をはじめ北海道、千葉その他十四都道府県に公害課あるいは生活課という名称の公害担当の課が発足いたしております。それからその他の発足していない県におきましても公害調査官その他が新設されまして、体制の整備、強化が逐次はかられているところであります。なお本年度の予算におきましては、公害に必要な資機材、及び鑑定要員その他警察官の増員も認められたという実情でございますので、今後さらにその方針に従いまして、公害関係捜査の技術の向上、あるいは一般の警察官の教養の向上という点に重点を置いて、公害防止に寄与したいという点で進んでまいりたいというふうに考えております。
  197. 小濱新次

    ○小濱委員 公害防止体制は、その強化がはかられることが目的ということで今度は発足をしたわけで、それが特徴になっているわけですね。そこでさっそく、いろいろと公害事犯の取り締まりというものが実績をあげているというふうに伺っているわけです。その代表的な例をあげてひとつ報告をしていただきたいと思いますが、保安部長から願います。
  198. 綾田文義

    ○綾田政府委員 この事例はたくさんあるわけでございますが、たとえば本年の四月に警視庁におきまして水質汚濁防止法の違反を検挙いたしております。これはミヨシ油脂株式会社その他でございまして、結局工場から排水されるPH、水素イオン濃度が非常に許容限度を著しく超過した、非常に強度のアルカリ性あるいは強度の酸性の水を排出していたということで検挙いたしております。それからたとえば大阪府警におきましては同じく四月に、これは電気の会社から同じくPHが許容限度を非常にこす排水をしたので検挙をいたしました。また、これは水質汚濁防止法でございませんけれども、先般三重で起こりました日本アエロジル四日市工場における有毒ガス排出事件につきましても、これは付近住民が工場から排出された塩素ガスによって目やのどを痛めたということで、現在捜査中でございます。その他水質につきましては、六価クロムあるいはカドミウムその他いろいろの有害な物質を排出するということで検挙いたしております。一方産業廃棄物、これは悪臭を伴いあるいは非常に生活環境を阻害するわけでございますが、そういう産業廃棄物につきましても、もぐり業者が廃油等のドラムかんを捨てた、これは兵庫県でございますが、あるいは行政法令を無視して多数の養豚業者が糞尿を不法に投棄した、あるいは宅地造成地にドラムかんを捨てたというような事犯、そういうものが多数検挙されております。大体現在水質汚濁関係、産業廃棄物関係、これが主として重点にやっておることであります。  大体以上のようなことであります。
  199. 小濱新次

    ○小濱委員 岡山県警の放射線障害事件というのが大きく報道されておりました。シンナー遊びをしていた十八歳の少年を補導した、その結果、そういう被害をこうむっていることがこの種の事件の発端になっていった、こういうことがございましたね。この点もう少し説明していただきたいと思います。
  200. 綾田文義

    ○綾田政府委員 これは先生のおっしゃるようなことでございまして、少年をシンナー遊びあるいは恐喝事件で取り調べておった際に、差し出した手が非常にただれておったということで、いろいろ聞いてみますと、アイソトープの工場で、それを裸の手でつかんで非破壊検査をやっておったということが端緒になったわけでございます。現在、その少年外四名、少年五名でございますが、この五名を使った会社の中間に入った者が一人おりまして、これを逮捕いたしまして現在取り調べ中でございますが、同様に、その事犯の会社関係の犯罪その他につきましても現在鋭意捜査中でございます。ああいう放射性物質を、しかも少年に使わしたというようなことは、この法律あるいは労働安全衛生法にも違反するし、幾多の法令に違反するので、非常に悪質な事犯として現在岡山県警では極力捜査をしておるところでございます。
  201. 小濱新次

    ○小濱委員 捜査をしたら放射線障害が明らかになったという一つの事例であります。  これは最後に長官からお答えいただきたいと思いますが、公害は現在最も重大な政治的、社会的課題であるわけであります。一億総公害といわれ、全世界が公害をこうむっているといわれておりますが、国民や地域住民にとって、命をむしばむ凶悪犯ともいわれているのが公害であるわけであります。そこで、今後この取り締りをますます強化しなければならないわけでありますが、そのために、これに用うる体制の強化というもの、それから人員の増強並びに公害に対する技術的なものを強化していかなくちゃならないわけでありますが、内容が非常に重要な使命をになっておりますし、まだ発足したばかりで、なかなか将来の見通しは困難かと思いますけれども、ひとつこの問題に真剣に取り組んでいただきたいということを、いろいろな事例からも特にわれわれが考えておるわけですが、ひとつ今後の対処方についての長官の御所見を承りたい、こう思います。
  202. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 公害問題の解決の問題は、先ほど来保安部長からいろいろ話がありましたけれども、第一は、やはり環境庁をはじめとする各行政機関の施策というものをもっと強化しなければならないということ、もう一つは、やはり企業というものの自覚というものが私は非常に必要だと思うのであります。特に企業の社会化というものがいろいろいわれているわけでありますが、元来、考えてみれば、行政機関とかあるいは企業というものがこの問題についてもっと真剣に対処するという——私どもは別に逃げるわけではございません。しかし、問題は非常に複雑な問題であり、なおかつ同時に非常に科学的な問題であります。そういう面につきましては、いま申し上げたように、環境庁をはじめとするいわゆる行政機関あるいはいまの企業の自覚というようなものに立脚をしながら、しかしその中で悪質なものについてはやはり遠慮なく私のほうの捜査適用しなければならない、こういうふうに思っておるわけであります。そういう面で、残念ながら保安部全体の体制というものが十分ではありません。そこで私のほうの警察全体としましても、いま申し上げたような刑事局あるいはその他の部門についても側面的にいろいろ連絡をしているわけでありますが、しかし保安部自体においても、いま申し上げたように保安部自体の増員の問題であるとかあるいはもっと専門家の養成というものをしなければならない、あるいは機材というようなものについてさらに整備をしていかなければならないという意味におきまして、やはり保安部であるというようなことでは意味がないので、むしろ保安局あるいは各県のそういう面の公害関係の部門というものをもっと充実をしていくということが必要であろうというふうに考えておりますので、そういう面の人員の問題であるとかあるいは要員の養成の問題であるとか、あるいはいまの機材の問題等についてはさらに増強をしていかなければならないというふうに考えております。私どもといたしましても、警察庁におきましてそういう点の充実を第一にしたいという意味において、私の長官通達というものを出しましていままでやっておるわけでございます。今後ともその内容は充実されるであろうというふうに思っておりますし、また充実されなければならないというふうに考えておりますので、私の決意を申し上げて御答弁にしたい、こういうふうに思うのであります。
  203. 小濱新次

    ○小濱委員 いま御答弁をいただきましたように、各企業の責任ということと自覚という問題、これはもう当然そうあらねばならないと思いますし、また科学的な問題でもあるわけでありますが、まあ裏方さんというか、警察を裏方さんと私は言うわけではありませんが、縁の下の力持ち、陰の力というのが非常に大事になる、こう思うわけですね。そういう点で、せっかく今度公害課が出発をしたわけでありまして、ここまで騒がれ対処してきながらもなお公害問題があとを断たないという、そういう立場から警察のこの公害課に寄せる期待というものは大きいわけですね。そういう立場から、ひとつ一そう今後内容の充実についての御努力を私らは心から期待するわけです。そういうことで長官の御答弁を求めたわけであります。どうかひとつ、せっかく誕生した公害課、これがどう生かされていくのか、今後の活動というものが期待されているわけでありますので、私どもも見守っていきたい、こう考えておりますので、今後の御活躍を特に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  204. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次回は、来たる二十八日火曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十八分散会