○佐藤(敬)
委員 従来の一部
事務組合にそういうどんどん大きくなるようなのがあったらたいへんなんですよ。
一つの組合は
一つの仕事しかやっちゃいかぬというはっきりしたあれがありますから、それがどんどん大きくなっていくということはあり得ないのです。だから、あなたの言われるようなことはいままではあるはずがないのです。これはあったらたいへんなんです。ところが今度はその壁をぶち破って大きくするという可能性をここにつくる、だから危険だ、こう言っておるのですよ。その点は食い違って、なかなかわからないようですが、新しい
一つの自治組織としてつくる
意思がない、こういうことはよくわかりましたので、それはその点で了解したいと思います。
この間から聞いておりますと、何か
複合事務組合というのは化けものみたいな感じがしまして、あるときは一部
事務組合になってみたり、あるいは全部になってみたり、
複合は全部なり、
複合は一部なりといって、どっちだかさっぱりわからない。怪物みたいな矛盾を感ずるような存在なんですね。私どもはやはりこの矛盾を
解決しなければなかなかすっきりいかないと思うのですよ。これは何べんも言っておりますし、くどくど言っておりますけれども、この点が一番の
問題点だから言うのですが、このままでどんどんいきますと、この間もちょっと触れましたが、一部
事務組合のほうが予算量から
事務量からずっと大きくなると私は思うのですよ。
たとえば、まずこれに入る可能性があるのは病院、上下水道、清掃、屎尿、交通。このほかに、たとえばいま
市町村でやっている国民健康保険みたいなもの、それから税を賦課する賦課
事務だとか、いろいろな問題がここに入っていく可能性がうんとあるのです。そうしますと、母体よりもこっちのほうがずっと大きくなる可能性がある。
現実の問題としてはどんどん大きくなっていってしまう。
一部
事務組合だって、たとえば普通の
市町村の議員が一部
事務組合に出ていくと、都
会議員か県
会議員になったようで一級上だ、こういう感じを必ず持つのです。だから争ってそれに出ていきたい。普通の
市町村会議員よりもおれのほうはちょっと上だというふうな感じを必ず持つのです。ですから、母体のほうでそれを討議しようと言ったって、一級上の
意識を持っているものだからなかなか言うことを聞かない。私は十何年もやってきてよくわかるのです。必ずそうなるのです。今度は何人もそういう人がいれば、いままでの一部
事務組合、一組合一
事業という組合と違って、もっと非常に大きなものになる。母体にはたとえば二十人か二十五人しか議員がいない。ところがこの新しい議会はもっともっと大きな議会になるのです。そうなれば、とてもそういう二十人や三十人の議会では太刀打ちできないような議会としての大きな力を獲得すると思うのです。そうなりますと、私は反対ですと言ったって、さっきも林さんですか、やっていましたが、ここで反対、そっちでは
賛成に回されてしまう。これは当然です。それが民主主義だといえば民主主義であるかもしれませんが、私はやはり疑問があると思う。
これは、末端の一番基礎的な自治体である
市町村というものを否定することになると思う。ところが、
市町村というものは憲法でちゃんと位置づけられた
ほんとうの
意味の民主政治の基礎
団体だ。だから、これを否定するということになれば新しい
複合事務組合というものは非民主的な存在になってしまう、こういうふうに
考えるのです。これは必ずそうなると私は断言してもいいと思うのですよ、あなたそうならないと言いますけれども、おとといでしたか、オニヒトデでだんだん食い散らすという話が出ましたけれども、オニヒトデでなくて、ヘビだと私は思うのです。
自分で母体を食ってしまう。もっと危険ですよ。民主主義も食い散らすから、これはマムシ
法案だと思うのですよ。非常に危険な
法案だと思うのです。ヘビ
法案のマムシ
法案ですよ、このままで通すならば。
いまも折小野
先生から
お話がありましたけれども、私どもは広域的な
意味というものを全然否定するわけじゃない。やはり広域的な
行政というものは必要だと私は思います。しかしそれが末端の
市町村を食い散らす、こういう危険な形で出てくるというのは許されないと思う。これは一種のごまかしですよ。これがこのままで通っていくならば、
市町村というものを一方では否定し、一方では県というものがそのうちになくなる、こういうふうな形になる。それがいいか悪いか一応たな上げして、これは明治以来の
市町村制ができてからの
地方自治体、
地方自治
制度の最大の変革です。
そうであるならば、私はもっともっと時間をかけて、国民的な合意を得て、その上でこれを実施すべきだ、こういうふうに思うのです。そのディスカッションを、あなた方からいけば第一次から今度は十五次まで、ずっとこういう流れが出てきて、十分ディスカッションしたと思われますけれども、だれも知らないのです。私は政治に、特に
地方自治には長いこと、二十年もやっていますから非常に関心があるけれども、私でさえよくわからない。国民がわかるはずがない。しかも国民というのは
市町村の中に住んでおる。
自分たちの周囲がどうなるかということをもっと理解させて、それからこういう
制度というものを出してくるべきだ。これはこのまま通れば確実に
市町村が否定され、確実にそのうち県というものがなくなりますよ。そういう
意図がなくとも必ずそうなりますよ。それをも私は否定するのじゃないのです。将来そうなるかもしれませんよ。だけれども、こういう大変革というものはもっともっとディスカッションして、
ほんとうに国民的な合意を得て、そしてやるべきものだ、こういうふうに私は思います。その点はどうですか。