○大野(市)
委員 これは、既存の不適格のものに遡及してやる場合で、いまのお話は事務庁舎のお取り扱い例をお話しなさったので、
先ほどの松坂屋の場合はデパートですから、露出ででもおやりになったのじゃないかと推測しておりますが、いまのホテル、旅館というものは、客室そのものが商品、デパートは反物なりおもちゃなりというふうなものが商品ですけれ
ども、同じ遡及される建物でも、部屋そのものが商品でありますために、非常に困難でもあり高価な費用がかかる。いまのリゾートホテルの実例は、これは見積もりの段階で出たものが
報告をされておりますが、それによれば、これは
予算分科会でも一ぺん申し上げましたので、結論だけ当
委員会でもお聞き取りいただきたいのですが、百六十四室ある建物で一万五千平方メートル、そういうのが四億二千万かかる、平米約三万円弱、こういう計算が見積もりから出た。この中には、おっしゃるとおりにスプリンクラーだけの設備でいきますと、その半額の二億七千万ぐらいですから、似た数字に近づいてきたように思いますけれ
ども、御
承知のように、建設費は、天井その他の工事諸経費その他がありますし、それだけで四億二千万になって、しかも、当然でありますけれ
ども、これらの施設をする間は休業しなければならないものがそのほかにもまたありまして、これは幾らに見るかは別ですけれ
ども、工事自体で四億二千万かかるというのが出て、これは平米三万、坪九万九千、約十万ですな。
そういうような結果が出ておりますだけに、実は私が
質問にあたっても、よほど万能だとお考えになるのと、やはりほかにかわる
方法があるなら何か、要するに人命の安全と財産の保全が可能であればいいのだから、考慮の余地がなかろうかというお話の出発点にはなれるだろうと思うのです。まあ、この意見を幾ら言ってもやってみないとわからないのですから……。とにかくそういう実例が出ておる。
デパートでさえも、いまのような、空調と一緒にやったから諸掛かりが一万一千円で済んだと言うけれ
ども、これが一緒でないとしても一万一千円かかるわけでしょう。空調を一緒にやったから一万一千円というので、やらなかったら八千円で済むとは言えないだろうと思うのです。そういうようなことで、これをいろいろ問答をしていくと時間がかかりますから、その点はとにかく膨大なお金がかかって、今度は煙感知器や何かとちょっと性格が違って真剣勝負です。
このいまの企業体の実例を言いますと、実は五億円の借り入れ金をして
経営している
実態なんですね。五億円の借り入れ金をしておるものが、とにかく六千何百万の金利を払って、なお二千万ほど利潤が出たというので、業界ではびっくりしたような優秀な企業なんです。この優秀な企業の二千万そこそこの残った利益で、四億借りるのにどうやる。開発銀行が半分貸してくれるのだというお話ですが、これは受け入れ側では、開発銀行はほんとうに貸すだろうか。二億借りられるとしたら、八分でいって、二、八、千六百万円、そうするとあと四百万しか残らぬ。そうすると残りの二億をだれが出すのだろう。自己
資金で出すのだと言うけれ
ども、五億借りておるところへ、あと四百万しか利益が残らぬというところへ二億をだれが貸すだろう。みすみす
赤字になるところへ貸すものがあるだろうか。貸したとしよう。二億を借りてやったら、金利はまず一割以上でしょう。二千万の借り入れ金
利子を払うとしたら、それでその企業体としては
——ただ何でもスプリンクラーというものを、同僚諸君の御同意を得てこの
法律が通ってしまった瞬間から、官吏諸君は、国
会議員がやれと言ったのだから私
どもはやらせるのですというので、その優秀な企業が突如ある日
赤字に転落をさせられることになる。そこまで必要なんだろうか。そこは必死になって何かほかの
方法はないかと求めているが、それに対してこまかい配慮をしてあげるべきです。
先ほどの例のように、行
政府でやってほしいけれ
ども、しやせぬから、立法府が
法律をきめるに先立って、きめこまかく、やはりこの場所で是非を判断をしていただきたいというのが、これからさらに申し上げるこまかい詰めになるわけなんであります。私は繰り返して申しますが、スプリンクラーの性能を否定するものでは毛頭ありません。それの経済性の問題、施設の困難性の問題から、バラエティーがほしいという意味で論議を続けたいと思います。
そこで、今度は具体的な問題になるのでありますが、さすがに消防庁とされてもやはりその点を非常に深刻に考慮をされたと見えまして、実はこういう腹案でそれらのものが救えないかというので、いろいろ事前に代替案をお示しをいただいたので、受け入れると予想される
団体は接触をしてそれの是非を
検討を続けておったのでありますが、きょうは、それを受け入れて、私ももっともだと思うものが多いものですから、それらの点に対してのだめ押しをして、できることであればそういうことで、ひとつ立法にあたっても、このスプリンクラーを適用するという基本がきまるだけで、それにかわるこういう
方法があるならば認めようというような事柄は、政令、施行規則、通達その他によって、既存不適格の限られた建物に対する一時的な
措置でありますから、たとえて言うなら通達でやっても、全部のものに及ぼすようなものではありませんから、私は行政の手続で、理解さえあるならば可能だろう、このように思いまして、願わくば、通達でもけっこうだから、そういう
方法で緩和策が望めないかということをこれから詰めてみたいと思います。
委員長、これから、たいへん恐縮でありますが、少し政令その他の行政の中身に入ったこまかい話になりますのをお許しをいただきたいと思います。
まず第一は、こんなことでどうだろうというて行政当局が内々お示しになったのでありますが、
一つは、現在施行規則十三条できめてある防火区画をゆるめる
方法などはどうだろうという提案であります。施行規則十三条は、いわゆる、ちょっとこまかくなって恐縮でありますが、こういうものを持っておれば、スプリンクラーはその
部分だけはっけないでいいですよということをきめてくれたわけで、その中を援用されたようでありますが、その中には、
一つの区画を二百平米以下と書いてある
部分があるが、それを四百平米というふうに防火区画を広げてあげたら、よほど六千平米という
一つの
基準から救うことができるのではなかろうかという着想をいただいたわけです。これはたいへん合理的であって、ホテルなどは相当幅の広い廊下を持っておりますので、その
方法でやっていただくと、廊下と廊下の入り口、出口を完全な防火
方法をやることによって合理的な、用途に似つかわしいあれができるからありがたいなというような意向を持っておるようであります。
ところが、三月五日の
予算分科会における
消防庁長官の御言明をいただいておりますが、大広間は四百平米で済まない、もうちょっと大きい大広間があるので、それが四百平米でやられると、大広間の途中で防火区画をせんならぬということになって、大広間の使用用途を殺すことになるが、これは何とかならぬかということに対して、それは、大広間が
一つの防火区画として完全性が考えられるならば、それはそれにこだわらないで、その
部分を広げることは可能でありますという
答弁をいただいておりますから、この点は一応確認するまでもなくすでに言明のことであるから、私
どもは、この防火区画の
考え方自体に御理解がいただいたものとして、これはまあ歓迎をしておるようであります。
ただ、その中へ、ワンパッケージの中に、このいわゆる規則十三条の中には、壁や天井なんかには不燃材、準不燃材または難燃材料を使えという規定があるが、これは、
病院、デパートなどはそういう事柄が可能かもしらぬけれ
ども、客室自身が商品であるというホテル、旅館には、それは一体可能なことなのだろうかというような疑問が出てまいりまして、それだけの不燃材料というものが
現実にあるのだろうかという疑問が出てまいりました。これに対して、きょうは通産省の建材
課長さんに来ていただいているので、ひとつ
委員長、建材
課長から、日本式の旅館の木目のいい天井だなどという、そういうものに匹敵するような内装材がたくさんあるものかどうか、御教示をいただきたい。御発言を願います。