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1974-03-28 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十八日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 中村 弘海君    理事 中山 利生君 理事 村田敬次郎君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君    理事 三谷 秀治君       愛野興一郎君    片岡 清一君       亀山 孝一君    武藤 嘉文君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    多田 光雄君       林  百郎君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         内閣総理大臣官         房管理室長   伊藤 廣一君         警察庁刑事局保         安部長     綾田 文義君         建設大臣官房会         計課長     森田 松仁君         自治政務次官  古屋  亨君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君         自治省財政局長 松浦  功君  委員外出席者         経済企画庁物価         局物価調査課長 加藤 和夫君         大蔵省銀行局銀         行課長     清水  汪君         文部省初等中等         教育局財務課長 松浦泰次郎君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       西崎 清久君         厚生省医務局指         導助成課長   木戸  脩君         厚生省援護局庶         務課長     河野 共之君         農林省畜産局畜         産経営課長   白根  亨君         農林省畜産局流         飼料課長    宮崎 武幸君         労働省職業安定         局失業対策部企         画課長     望月 三郎君         建設大臣官房地         方厚生課長   重見 博一君         建設省計画局技         術調査官    浅間  隆君         自治大臣官房審         議官      山本 成美君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 三月二十八日  辞任         補欠選任   前田治一郎君     大野 市郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第四一号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。小川省吾君。
  3. 小川省吾

    小川(省)委員 交付税の本論に入ります前に、関連をする問題について、各省からおいでをいただいておりますので、そちらのほうから質疑を始めさせていただきたいと存じます。  まず最初に、農林省おいでをいただいておりますので、いわゆる畜産危機の問題について若干お尋ねをいたしたいと思うのであります。  昨年来の物価高騰による飼料値上がりは、生きるか死ぬかというせとぎわまで畜産農家を追い込んでいるのが実態であります。昭和三十六年以来の農業基本法農政のもとで、畜産三倍、果樹二倍という形で農林省方針を定めて、農政を進めてきたわけであります。地方自治体の農政関係職員は真剣に努力をその方針に従ってやってきたわけでありますけれども、ここにきて、まさに農政振興の仕事に対してお手上げという実情にあるわけでございます。そういう実情にありますので、私はこの問題に関連をして若干お尋ねをいたしたいと思うのであります。  農基法農政は、現在に至って、私は明らかに失敗をしたのではないかというふうに考えております。そうでなければ、畜産三倍、果樹二倍というふうな形の中で進めてきた農基法農政が、ここにきて飼料問題等畜産危機自殺者をも出すというふうな状態にまでなることはなかったと思うのでありますが、農林省としては、農業基本法農政というものについて、この段階でどのように反省をし、受けとめておられるのか、まず農林省にお伺いをいたしたいと思います。
  4. 白根亨

    白根説明員 お答え申し上げます。  その前に、本日幹部の方がよんどころない事情が重なっておりまして、私、かわって参りましたのでお許しいただきたいと思います。  御質問は、農基法に基づきます農政についてどのような認識をしておるかということであったかと思うのでございますけれども、実は、畜産物生産というものを長期的に振り返ってみました場合に、御案内のように、国民経済成長というものを大きなバックにいたしまして、逐年これに対する需要が高まるというような中で経過いたしてまいっておるわけでございます。ちなみに、これの三十五年当時の農業全体の中に占めます産出額で見ました場合、畜産産出額比重というのは約一四・五ぐらいというふうに見ておりますが、これが昨四十七年度段階におきましては四分の一をこえまして、約二六・四というふうな推計をいたしておるような次第でございまして、当時成長部門というふうに考えておったわけでございますが、逐次農業の中でかなり比重を高めてくるというような形でここ十数年の推移を見ておるわけでございます。  そのような中で、特に先生指摘のように、昨今の畜産事情というものはかなりきびしいものがあるというふうに認識いたしております。たとえて申しますと、大家畜の面におきましては、飼養頭数停滞につきまして、たとえば乳でございますとか牛肉でございますとかいうような面の生産停滞状況がこのところ見られるわけでございますし、また一部、鶏卵等、かなり需要消費水準も高まっておるというようなこともございまして、消費停滞といいますか、限界接近と申しますか、そのような面もございますとか、あるいはふん尿の適正な処理というようなことをめぐりまして、いわゆる畜産公害というような、新しい分野の諸問題も出てきております。また、御質問にございましたように、以上のような非常に困難なむずかしい問題に加えまして、一昨年末以来、飼料穀物国際需給逼迫というようなことを背景にいたしまして、配合飼料価格の値上げがこれまで三回続くというようなことがございまして、私ども関係いたしております畜産の当面というものがきわめて情勢のきびしい、たいへんむずかしい局面に立ち至っておるというふうに見ておるわけでございます。  しかし、そのように非常にむずかしいものではございましても、一方では今後の国民に対します食糧安定供給という点とか、あるいはそれを生産する農民の生活の問題というようなことを考えてまいります際に、畜産重要性はいささかもこれは落ちるものではなくて、ここでやはり、非常に逆条件が多うございまして困難な問題があることは事実といたしましても、これを何とか乗り切っていかなければならないというふうな考え方を持っておるわけであります。
  5. 小川省吾

    小川(省)委員 いまの御説明の中にもありましたように、飼料国際需給におけるえさ代値上がりが大きな原因になっているわけでありますが、三十六年から農基法農政を推進するにあたって、飼料需給という問題が当然私は畜産行政の根幹の中に一つ据えられていたと思うのでありますけれども、実際に飼料の中の良質という飼料ですか、そういう面で、いわば濃厚飼料国内自給というものはほとんど不可能に近いのかどうか。すべてを濃厚飼料は国外に仰いでいるわけでありますけれども国内における飼料自給対策として、粗飼料以外の濃厚飼料についての国内自給というものが、いわゆる米の転作等段階においてこれを取り入れることができなかったのかどうか、飼料需給との関連について、その辺の御説明なりお答えをいただきたいと思います。
  6. 宮崎武幸

    宮崎説明員 お答えいたします。  濃厚飼料自給のお話でございます。従来、御指摘のごとく濃厚飼料につきましては国内産は非常に少量でございます。かつてはふすま、麦等、ある程度ございましたけれども、最近非常に少なくなっているのが事実でございます。したがいまして、農林省としましては、今後粗飼料濃厚飼料とも自給率を少しでも高めていく、こういう方針に立ちまして、御案内のように、まず本年度から麦の緊急増産を進めることにいたしておりまして、その中でえさ用の麦についても大いにそれを実施していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。なお、去年までは古米等もございましたが、本年度からはございませんし、こういう点も兼ねまして、さらに麦あるいは飼料作物濃厚飼料、粗飼料を含めまして、自給率を高めるための施策をとりつつあるところでございます。
  7. 小川省吾

    小川(省)委員 四十九年度における麦類奨励金を出しての奨励等についてはわかるのですけれども、確かに古々米を出したときには自給度合いが上がっているわけですが、常に古々米があるわけではないし、今後そういう状態がないわけですし、四十九年度で麦作の奨励をやるということでありますが、まさにどろなわですね。どろぼうを見てなわをなっているのと同じでありますが、飼料自給度合いといいますか、国際需要関係というものもある程度農林省畜産局の中でわかるわけでありますから、そういうのを見てもっと事前に手を打つというふうな方法が、畜産を進めていく以上は飼料対策として当然必要であったろうと私は思うのですけれども、そういう点についてはいまあわててやっているというふうな状態で、そういう先行きの見通しというのは立っていなかったわけですか。
  8. 宮崎武幸

    宮崎説明員 飼料原料国際需給見通し等につきまして、現在非常に逼迫ぎみであるというふうにいわれておるわけでございますが、一番の問題になっておりますのは実は価格でございまして、数量の需給自体につきましては、一番の主生産国でございますアメリカにおきましても、昨年の秋のでき柄も史上最高の豊作でございますし、あるいはことしの作付の予想も、さらに前年を上回る作付がなされるであろうという情報が入っております。そういうことで、数年前の全世界的に過剰農産物がたくさんございましたそのころと現在とは非常にさま変わりではございますけれども、直ちに国際的な穀物需給が不足して、日本にえさを輸入するのが困るというふうな事態は、まず当面は起こり得ないというふうに見ております。現に、本年度におきましても、配合飼料の各メーカーにおきましては、ことしの秋までの原料手当て買い付け等はすでに完了しておる状態でございますので、価格面では問題はいろいろございますけれども需給面ではまず当面支障は来たさないというふうに見ておるわけでございます。
  9. 小川省吾

    小川(省)委員 供給量の問題ではなくて、価格の問題だというふうなことなんですが、まさに農林省考え方が、米の問題についても、われわれの人間の主食の問題についてもそうだし、家畜飼料の問題についてもそうなんですね。価格が安ければよそから買えばいいじゃないかということで、自給率をどんどん低下をしてきたのが食糧全体についての農林省の誤った施策だったろうというふうに私は思うのです。そういうふうな意味合いからも、国内における自給体制の確立という観点から今後は進めてもらわぬと、やはり同じような誤ちを再々繰り返すことになりますので、ぜひそういう点については今後配慮の上、行政を進めてもらいたいと思っております。  それから、いま畜産振興審議会開催をされているわけですが、おそらく本日も開催をせられていると思うのですが、これらの状態、いわば畜産危機というふうな現状を打開をするために、それぞれの部会開催をされてきているわけですが、現在までにどの部会とどの部会開催して、畜産振興審議会のこれら一連の対策について、あと何を残すだけになっているのかという点と、どうも農林省は、飼料値上がり農産物価格反映をさせるということが解決基本のような考え方であるようであります。当然、農畜産物価格飼料高というのを反映をさせることは、私はよくわかるのでありますけれども、それだけでほんとう解決ができるのかどうかという基本的な問題があるだろうと思うのです。いままでに決定をした豚肉価格にしても、あるいは昨日来の原料加工乳価格にしても、実は畜産農民ほんとうに望んでいる価格よりはあまりにも低いのではないかというふうに考えておりますけれども畜産振興審議会における審議経過状況と、いわゆる飼料値上がり分農畜産物価格反映をさせていくという農林省基本的な考え方と、それ以外に具体的な根本的な解決方法はあるのかないのか、あるとすればどんなふうな方法を考えているのか、その点について明らかにしていただきたいと思います。
  10. 白根亨

    白根説明員 まず、畜産振興審議会開催状況でございますけれども、今月の十一日に畜産振興審議会総会開催いたしたわけでございます。その際、昭和四十九年度におきます政府操作飼料需給計画と、それから第二点といたしまして、豚肉安定価格あるいは加工原料乳保証価格などにつきまして御諮問申し上げたわけでございます。その後、十八日に飼料部会、十九日に養鶏部会、それから二十五日に食肉部会、それから昨日から本日にかけまして酪農部会開催され、いろいろと御審議を願っておるというような状況でございます。その中で、各部会でいろいろと御意見が出ておりますし、またいま申し上げましたうちの酪農部会につきましては、おそらくきょうのうちに御答申をいただけるのではないかというふうに見ておるわけでございますが、これまでの審議経過等から、各委員先生方から御意見として出ておりますこと、あるいは建議でございますとか決議でございますとかいうことの概要を御説明申し上げたいと思います。  先生質問になっております最近の飼料情勢というようなものを踏まえて、どのように考えるかという点を中心に御説明申し上げますと、この飼料価格高騰というようなことが、畜産経営の安定というような面とか、あるいは今後中長期に見ました場合に安定して畜産物を供給できるかというような面から見ましたときに、きわめて問題が大きく、これをどういうふうにやっていくか、非常に重要な問題だ、こういうふうなお考えが各委員の方々を通じまして、非常に共通して強く御認識されておるというふうに見ておるわけでございます。  つきましては、それで豚肉の場合でございますけれども豚肉安定価格につきましては、御答申あるいは決議の中から主要な部分を申し上げますと、たとえば飼料等生産資材価格高騰という実情を十分勘案いたしまして、生産者生産意欲を高めるよう引き上げることというようなことを御意見としていただいておるとか、あるいは養鶏部会での御議論でございますが、需要が低傾向を示しております、特に畜産物の中でも鶏卵についてでございますけれども、これについては計画的な生産を進めるよう、つきましては、先生指摘の後段の、これからの対策の話にも関連するわけでございますけれども液卵公社機能拡充整備とかいうようなことを、特にこの際早急に検討すべきであるというような御意見でございますとか、それから飼料につきましては、先ほど御質問ございましたように、まさに自給飼料増産と申しますか、国内飼料増産自給度の向上、こういうことが非常に強く御要望されておりますし、また飼料穀物につきましては安定的な輸入体制を検討するように、これにつとめるようにというようなこと、それから中長期の話といたしまして、飼料のそういう問題をめぐりましての恒久対策というようなものを早急に検討するようにというような御意見を非常に強くいただいておるわけでございます。また、当面の飼料値上がりという点につきましては、緊急対策を検討するようにというような御意見をいただいておるわけでございます。  酪農部会は、先ほども申し上げましたように、昨日から本日にかけて引き続き開催されております。いまも御審議をいただいておることと思いますが、本日中に御答申をいただけるのではないかというふうに見ておるわけでございます。  私どもとしまして、そこで今後どうしていくかというような今後の対策と申しますか、それについての考え方でございますけれども、まずは、こういう審議会での各先生方の御意見あるいは御答申、御建議決議というようなもの、それからその背景になりました、いろいろと示唆いただいております御意見、十分この御趣旨を踏まえまして具体的な施策を進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。価格の面、あるいは御質問のようにそれだけで事が解決し得るものというふうには思われないわけでございまして、それぞれの畜産物あるいは畜種に応じまして、具体的にどういうふうにするか。たとえば先ほどの鶏卵の場合でございますと、計画的な生産を進めるにはどうするかというようなことを強力に進めるとか、あるいはまた御意見をちょうだいいたしております一例といたしましては、液卵公社機能をどういうふうに持っていくかというようなこと等、具体的に積み上げていかなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  11. 小川省吾

    小川(省)委員 今後にわたっての考え方もお聞きいたしたわけでありますが、ぜひ、畜産農民生産意欲をかき立てられるような方向でこの事態に対処していかなければ、今後においても同じようなことが起こり得るわけでありますから、ぜひひとつそういうふうな万全な対策を講じてほしいと思っております。三月の十一日に総会を開いたということでありますが、実際には一月の下旬ごろから懇談会という形式で畜産振興審議会開催してきたのだろうというふうに思いますが、なぜ、このようなえさ代高騰ということを前にしながら、三月の十一日まで正規な審議会に切りかえなかったのかという点については一つ疑問がありますので、その点についての御解明をお願いをいたしたい。  それから、価格が非常に高騰してまいりまして、おそらく政府補てん金を出していると思うのでありますが、地方においても経済団体だとか農業団体が、かなりの補てん金を投入して畜産農民に対する補償をやっているわけでございます。今後さらに飼料値上がりが予想されるわけでありますから、政府として当然ある程度の価格補てんというものをやっていかなければならぬと思うけれども、この点についてはどうなのか、明らかにしていただきたいと思います。
  12. 宮崎武幸

    宮崎説明員 飼料値上がりにつきまして、政府としてもある程度の価格差補てんと申しますか、そういうことを考えるべきではないかという御趣旨かと思いますが、今回と申しますか、二月のえさ値上がりを見ておりますと、その原因といたしましては、国際穀物価格が非常に上がっておるという理由もさることながら、それ以外に、海上運賃が非常に上がったとかあるいは為替相場が非常に変動いたしまして円安になったとか、さらには国内におきます飼料包装資材だとかあるいはトラック運賃であるとか、こういった一般の国内的な物価高の影響とか、そういったような原因がいろいろ考えられるわけでございます。そういうことを見ますと、今回の値上がり原因は、えさ固有のものもさることながら、かなり一般的なあるいは国際的な要因が非常に大きく作用しているのではないかというふうに考えられるわけでございます。かつ、いまも御指摘ございましたように、これから先はどういうふうになるかということを考えますと、残念ながら急激に価格が低落していくということはあまり望めそうもない。むしろ昨年とはかなり違った高値の水準でこのままずっと続いていくというふうな傾向になるのではないかというふうに見られております。  そういうふうに考えますと、いろいろな原因等から考えますと、他の物資、いろいろ値上がりしておる物資が多いわけでございますが、そういったものとの均衡等も考えますと、飼料につきまして値上がり部分を直接的に財政負担補てんしてしまうということは、非常に問題があるのではないかというふうに考えられるわけでございます。今後の見通し等からいきますと、やはりここは、原則的には畜産物価格にこれを吸収させていくという方向基本的に大切なんではないかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、財政負担でこの価格差を見るということにつきましては、非常に困難ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  13. 小川省吾

    小川(省)委員 畜産物価格反映をさせて吸収をしていくというのがやはり基本考え方のようでありますけれども、私はそれだけでは畜産農民危機解決にはならぬというふうに思っています。当然政府はある程度の補てん金を繰り出していくべきではないか。農林省はやはり大蔵省に対して強くそういう点を要求をしていくべきだと思うのです。大きく見れば、畜産物飼料というのもこれは食糧であります。飼料畜種を通してわれわれの口に入る食糧なんでありますから、そういう意味では、米の食管会計におけるように二重価格制をとれとは私は言いませんけれども、当然国が補てんをしていってもよい性質のものだろうというふうに思っていますので、ぜひひとつそういう点もあらためて検討をして、大蔵等に対して強く要求をして、畜産農民の現在の危機と、さらに引き続いていくであろう、いま言われるような高値安定というふうな状態になっていく飼料問題について対処をしていかれるように、ぜひ要請をいたしておきたいと思うのであります。  それから、先ほど卵の話が出ましたけれども、卵の話に関連をして、いわゆる生産調整といいますか、計画生産ということばで表現をされたわけでありますが、鶏卵の問題がございました。養鶏農家も実は非常に苦しい状態になっています。御承知のように、養鶏というのはほとんどが配合飼料でまかなうわけでありますから、それだけに畜種としては一番飼料値上がりがこたえている業種でございます。実際に私も農林省から資料をいただいたわけでありますが、契約飼養といいますか、いわゆるインテグレーションですね。インテグレーション実態について、商社直接経営養鶏あるいは飼料会社直営養鶏というものが、いわゆる十万羽養鶏とか二十万羽養鶏といわれるようなものが養鶏農民の実際の状態を圧迫している。そういう状態の中で、計画生産生産調整ということがやられて、つい最近では商社経営なりいわゆるインテグレーターが計画生産をやっているようでありますが、養鶏農民を圧迫している大きな原因というのはこのインテグレーションにあるんだろうというふうに実は思っているわけであります。あるいは一万羽、二万羽なりという形で農家に委託をしているものはそうでもないわけでありますが、直営でやっているいわゆる多頭羽飼育があるわけでありますから、こういうインテグレーション実態について資料をいただいたんですけれども、私はこの資料のような実態ではないというふうに思っているんですけれどもインテグレーション実態について明らかにしていただきたいと思います。
  14. 白根亨

    白根説明員 実はインテグレーションにつきましては、現在までの段階でその概念というようなことになりますと、いろいろと諸説がございまして、私どもといたしましては、先生の御質問の中にもございましたいわゆる契約飼養と申しますか、たとえばひなでございますとかえさでございますとか、こういうものをある特定の者が供給いたしまして、また、ただそれだけでなくて、そこで生産されます果実を受け取りまして、それを次の消費段階まで持っていくというような、そういう中でのいわゆる契約に基づきまして農民が現実の家畜を飼養している、こういうものと、それからもう一つは、農外資本と申しますか、ここいらは何を農外資本とするかむずかしい問題もございますけれども、そういうものが直接にみずから生産を担当する、生産の場に乗り出すというような、ことばが適切かどうか問題があるかと思いますけれども、一種の直営農場、こういうような二つの形に大体大別されるのではなかろうかというふうに見ておるわけでございます。  それで、御質問の御趣旨は後段のものに大きいのではないかと思われるわけでございますけれども、順序といたしまして、まず前段の契約飼養について申しますと、現在のところ、まあこのようなことを十分よく承知しておかなければという気持ちを持っておるのですが、なかなかむずかしい問題もございまして十分なところまでいきかねている点は反省いたしておるわけですけれども、四十八年に全国的に、たとえば採卵鶏でありますとこれは事例数が少ない、五十七程度ぐらいである。それからブロイラーについては二百六十一事例ぐらい。これはインテグレーターの単位で見ているわけでございすまけれども、その程度見られまして、全体の羽数の中でのシェアで見ますと、ブロイラーの場合は高うございまして約五四%程度、それから採卵鶏の場合は低うございまして、七%弱程度ではなかろうかというふうに私どもとしては見ておるわけでございます。このほかに見られますのが一部、採卵鶏よりももうちょっと全体のシェアが低うございますけれども、豚の面で四%程度のシェアを持っておるというふうに見ておるわけでございます。  それから、第二のタイプとして御説明申し上げました直営の形になりますと、私どもとしては、これは急いでその実態をもっと現実のものをつかまなければいけないということで現在調査をいたしております。やや古い資料で恐縮なんでございますが、採卵鶏の場合で六十五農場、それからブロイラーの場合で四十二程度というのが、時点が古うございますけれども、こういうところまでは把握しておるわけでありますけれども、これでなお不十分というふうに私ども一考えておりますので、現在都道府県にもお願いいたしまして、こういう実態をつかむという調査を進めておる、こういう状況でございます。  そこで、そういうものについての生産調整というようなことにからみましての御質問もあったかと思うわけでございますけれども、そこらについての考え方をちょっと申し上げておきたいと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、前者の概念の契約飼養になりますと、農家がやはりやっておるということでございますし、御指摘のように、後段の直営というようなものが非常に無計画に事を取り進めるというようなことになりますと、需要が順調にどんどん拡大をしておるというような場合にはまだしもという感じでございますけれども、特に今日のような、一方ではコストプッシュの要因になり、一方では、その需要というものが従来のように順調に伸びるというようなことは鶏卵の場合に特に問題がございますので、ここいらで無計画なことが行なわれるといたしますと、これが先生指摘いただきましように、いわゆる一般の農家養鶏経営の存立ということに大きな問題がある。ここに一つの秩序と申しますか節度と申しますか、こういうことがどうしても必要になるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  今後、このようなことを進めていきます際に、私どもとしましては十分実態を早急につかむということがまず第一だと思いますが、各県にもそういうことをいまお願いしておるわけでございますけれども、と同時に、今後いろいろといまの計画的な生産を進めるためにはどうしたらいいかということで、生産者団体等を中心に御一緒に御相談したいということでございます。これは早急に何らか具体的に施すということが必要だと思って、鋭意現在検討を進めておるところでございます。そういうものでだんだん現地の段階、県段階でございますとか地域段階でございますとか、進めていきます中で、そういうものをやはりこの問題については取り込んでいくというふうなことで、かなり積極的に私どもも指導していく、またそういう点を団体の関係の方もやってもらうというようなことで当面の対応をいたしていく。  なお、さらに基本的に申しますならば、生産者の組織と申しますか、そういうものの、抽象的に申しますと主体的な活動を強化していくというようなことが基本的にはまた必要ではないか。これをひとつ、非常に重大な局面に来ております時点に、十分もう一度再そしゃくと申しますか、いたしまして、今後に遺憾のないように進めていかなければならぬし、いきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  15. 小川省吾

    小川(省)委員 今後の問題を含めて考え方をお示しになってくださったわけでありますが、私もいただいた資料で、主として採卵鶏の話をしているわけでありますが、六・八%という数字になっているわけですね。ブロイラーがある一面においては高いパーセンテージを占めることは理解できるわけでありますが、採卵鶏の問題が、これは農民に対する非常に大きな影響を持っているわけでありますから、いわゆる直営のもの、こういう飼料会社やあるいは商社、いわゆる農外資本等が直営をする養鶏等についてはこれを禁止するといいますか、これを締め出していくような方法はとれないのかどうか、また検討したことがあるのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  16. 白根亨

    白根説明員 農外資本の直営のものに対する御質問でございますけれども、かなり以前からこの問題がいろいろと問題にされておるということは事実でございますし、私どもとしても、これにつきましてどういうふうに評価するかというようなことの内部の検討がこれはあったわけでございます。端的に申しまして、先生の禁止というようなことになりますと、これはなかなか現在の社会体制の中できわめてむずかしい問題であるというふうに実は現在のところ考えておるわけでございます。したがいまして、先ほどお答え申し上げましたように、現在の畜産事情から見ました当面の対応は対応といたしまして、長期的に見ました場合にどういうふうにするかということは、やはり規模の大きいものが相当程度は、生産性が高いというようなことも否定できないと思うわけでございます。そうしますと、やはりそういうものに対応できるように、いわゆる農民というものがどういうふうにやっていくかとか、あるいはそういう人たちがどういうふうに組織化していくかとかいうようなことに、より重点を置かなければならないのではないだろうか、こういうふうな考え方で現在おるわけでございます。
  17. 小川省吾

    小川(省)委員 つかぬことをお伺いしますが、いわゆる青い目の鶏といわれるように、現在の鶏の品種というのはほとんど外来種で占められているわけですね。バブコックだとかハイラインだとかデカルブだとかシェーバーとかいうふうな青い目の鶏で占められているわけですが、在来の日本種ではやはり外来種と比べると生産性が落ちるし、劣っているわけなんでしょうか、その点はどうですか。
  18. 白根亨

    白根説明員 外国産の鶏と国内産の鶏との優劣の比較の点につきましては、外国産といいましてもいろいろございますし、国内産にもいろいろあって、一がいになかなか言いにくいのですが、御質問にもございましたように、特に採卵鶏等につきましてはかなり外国産のものの比重が高まってきたということは現実否定できないと思います。そういう面から、鶏の改良というようなこと、国内でそういうものを供給していくというようなことについて、これは国の機関であります種畜牧場等でも鋭意努力しておりますし、ごく最近ではブロイラーの面につきまして新しい系統と申しますか、こういうものの開発に手がつきかかってきたというような段階にあるわけでございます。あるいはまた一方では、日本には日本なりの嗜好に合った鶏というのが、特に肉の場合などはあるわけでございますから、そういう面も手がけまして、これから極力国内でも供給できるようにという体制をつくる。そして最終的には当面やはり鶏の能率と申しますか、生産力と申しますか、そういうもののやはりいいものをどうしても選ぶということは、これはもう当然のことでございますので、そういうあれに対応できるような措置というようなことはこれからも力を入れていかなければならぬ。  また、ちょっとつけ加えますと、外国産そのものにつきましても、いろいろと系統と申しますか、これの優劣というのは現実の農家が判断をいたしまして採用するということでございまして、非常にまたそれ自体も相当競争いたしまして、研究でございますとか開発でございますとか、そういうことはやっておるようでございます。それに負けないようにまたこちらがやるということがより重要なことだというふうな考え方を持っております。
  19. 小川省吾

    小川(省)委員 ありがとうございました。いずれにいたしましても、畜産農民が、養鶏農家をはじめとして、養豚農家もすべてそうでありますが、異常な危機の中でまさに畜産経営の存否が問われているような重大な時期でございますので、ぜひひとつ万全の対策を講じて、畜産農民の意欲を低下させることのないような対策を講じてほしいことを強く要請をいたしておきます。  そこで、自治省にお伺いをいたすわけでございますが、このような状態のもとで、交付税の中で、農政に従事する職員を五人ばかり減らしているようでありますけれども、これはどういうことなのか、お伺いをいたしたいと思います。
  20. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 補助職員の減少に伴いましてそれを削ったわけでございまして、一般財源によりまする農政関係職員を減らしたということではございません。
  21. 小川省吾

    小川(省)委員 よくわからなかったんだけれども農林省のほうから農政職員は減らしてもよろしいというようなことがあってやったのか、それとも自治省が、最近の農政の中では農政職員はまあ多過ぎるということで標準団体五人を減らしてきたわけなんですか、どうなんですか、その点は。
  22. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 御承知のように補助職員制度というものがあるわけでございまして、大蔵省農林省との間で査定を受けて削られた、それを交付税の中に残しておくわけにはまいりませんので、それを削ったということでございます。
  23. 小川省吾

    小川(省)委員 おそらく農業改良普及員や何かのことだろうと思うのですが、私はこういうふうに農業が非常に危機状態にあるときに、そういうふうな態度を自治省がかりにとったのだとするならばおかしいと思うのですね。いまこそまさに農業に対してほんとうにてこ入れをしていかなければならぬ時期でありますので、ひとつ来年以降は、ことしはこういう形でかかっているわけでありますけれども、全体の行政の中でひとつそういうふうな点については配慮をぜひお願いをいたしたい。こういう点は、まあことしの中にそういう形で出ているわけでありますから、それらの点について不満でありますけれども、強い要請をいたしておきたいと思います。  退院後まだ日の浅い人事院の総裁においでいただいておりますので、人事院の総裁に若干お伺いをいたしたいと思うのであります。  今回、教員についてのいわゆる人材確保法案が通って、人事院が十八日ですか、教職員の給与について勧告をいたしたわけですね。これに関連をして二、三お尋ねをいたしたいと思うのであります。  教員の給与の改善はたいへんけっこうなことでありますし、教育界に有能な人材を確保することは、これはどうしても必要なことだというふうに思っているのであります。しかし、気になることが幾つかあるわけであります。教員と行政職の給与の比較をされていろいろ給与カーブが描いてあるわけでありますが、今度の勧告の中で実施をされる教育職の給料表によれば、あらゆる時点において行政職よりも有利なカーブを描くような形になっているわけですね。その場合の比較の対象にしたのが、どうもいわゆる上級職職員の給料、いわばエリートの、係長から課長補佐になり課長になっていくという、そういう行政職の方の給料と比較をされて、より上位に持っていったというふうに考えられるのですが、上級職職員が行政職の代表的職員ではないと思うけれども、教員給料との比較にとった行政職の給料というのは、いわゆるエリート、上級職試験を通った職員との比較なのかどうか、この辺についてお尋ねをいたしたいと存じます。
  24. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 前回成立をいたしました給与法の前提となります人材確保の法案におきまして、第二条か三条かにおきまして一般の職員よりも多少優遇するというような形の条項がございまして、一つの今度の教員給与の改善のめどに、ある意味のばく然たる意味ではありますけれども、一つのめどになっているということはひとつおわかりいただけると思います。  その他の点で、たとえば私どものほうでととのえましたいろいろな説明資料などにおいて、行政職の乙の合格者と比べてどうというようなこと、確かに御指摘のとおりでございますが、やはり絶体的の数字で御説明申し上げるよりも、比較すべき何かをとらえまして、これと比べてみてこんなによくなるというふうな改善なり何なりの成果というものを明らかにする。これは私は表現の手段としてとっただけのことであって、問題はやはりおっしゃるとおり絶対的な問題だと思います。  たとえば初任給を非常によくしておる、行政職がどうだから、行政職よりも多少上回るものでなければならぬということよりも、もっと根本的に、初任の学校の先生の職務と責任はどうかといった場合に、これは上司の指揮命令によってやっている職員とは違うので、もう一人前で、自分の責任で教壇に立っていらっしゃるじゃないかというようなことをとらえますと、相当これは待遇のほうから見てもその点に着目しなければならぬということが私は正しい考え方である。  それから、しかしまた、初任給はわりあいに現在でも、従来もよかったのでありますけれども、スタートはよくてもだんだんだんだん、十何年もたちますと、大体同じ学歴の者で行政職に入った者が係長となり、課長補佐となるという段階があるものですから、だんだん上へ上がっていくということになりますと、同じ学歴でありながら、スタートはよくてもその辺のところで行政職に追い越されるではないか、現実の着眼点としてはそういうことがあるものですから、そういうことをとらえながら、これを上回るようにいたしました。私は、これはきわめて卑近な説明の方便だと申し上げたほうが正直ではないかと思いますが、趣旨は申し上げたとおりでございます。
  25. 小川省吾

    小川(省)委員 総裁個人の考え方を私は伺いたいのですが、確かにいま言われるように、卑近な例としてそういう形であげたということはあるのですが、上級職の職員というのは、いわば部長になり局長になり次官になっていく、いわゆる特権官僚ですよ。こういう人たちですから、その人たちはある意味では教員の給料よりは高くたってやむを得ないという一面だって、これは理論とすれば立てられるわけですよ。ですから、そういうものよりもさらに有利だというふうなことが教職員の給与改善ではないのではないか。そういうものを比較の対象として、いわゆる特権、エリートコースに乗るような人たちよりも有利だというふうな線の引き方というのはあまり妥当ではないのではないかというふうに私個人は考えるけれども佐藤総裁個人の考え方をお聞きしたいと思います。
  26. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 やはり、この比較は先ほど申しましたように、どうもこれは方便であると申し上げるのが一番率直じゃないかと思います。非常に優遇した、優遇したとただ申しましても、どういうふうに優遇したかというと、やはりほかに比べてこう優遇しましたと言わぬことには納得していただけませんですから、適当な比較の材料を持ってきてそれを比べたというふうに、方便としてお考えいただいてけっこうだろうと思います。  ただ、先ほど私は行政職の甲と申し上げたかもしれませんけれども、これは大学卒の乙の意味でございます。
  27. 小川省吾

    小川(省)委員 そこで、教員の給与改善はたいへんけっこうで、当然なことだと思うのですが、いわゆる公務員平等の原則という中で、従来でもこれは総裁も地行委員会の席でおっしゃいましたけれども、そのあと二十六日に看護婦のが出たわけですね、そうなってまいりますと、いわゆる公務員の中で、教育職給料表と医療職(三)表は官民較差の対象にならなくなってくるわけですね。そうすると、公務員の中で従来でも一般行政職が一番しわ寄せを食っていた給料表でありますから、そういう意味で、一般行政職に当然この教育職の給料の給与改善というのははね返ってくるものであり、くべきものだというふうに私は思っているけれども、人事院としてはどのようにこれが影響をするというふうに考えておられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  28. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 この点は非常に基本的な問題を含んでおりまして、従来、御承知のとおりに、教員もそれから看護婦も、民間との比較においては逆の較差で、こっちのほうが高かったわけですが、それにもかかわらずどうしても上げる必要があろうということで無理をして上げてまいっておりましたところへ、今度教員の場合について相当大幅な改善が加えられる。看護婦も教員に準ずる専門的な仕事でありますし、人手不足に悩んでおるというような意味で、これもわれわれとしては破格な扱いを今度お願いするわけですけれども、そういうことが実現いたしました暁において、さて今年の夏のまた勧告に備えまして官民給与の比較をした場合にどうなるか。  従来は、御承知のように、去年の場合でいえば総合較差が一五・三九%ありました。そこでこれだけはぜひ引き上げていただきたいというので上げるのですけれども、その一五・三九%の引き上げは中の配分でやりくりするものですから、いまお話しのように、結果において行政職の分を多少ちょうだいして教員なり看護婦なりのほうに回しておったということは現実としてあるわけです。ただいまのような教員なり看護婦なりについて破格な改善が今度成立いたしました暁においては、そういうことはことしの夏の勧告の場合にはもう成り立たないだろう。総合較差の中の配分というような形はもう成り立たない。もちろん民間給与を基礎にすることはこれは堅持しますけれども、そういう総合較差にとらわれた行き方というものは脱却しなければならぬということから申しますと、いまお示しのような点でだいぶん違ったことになりはせぬか。ただ、その総合較差から脱却するテクニックの問題は、これはいろいろな考え方がございます。まあ素朴にいえば、ただ教員とか看護婦だけの分を今度除いてやっちまうかということもありますし、そのほかの方法もいろいろ考えられますので、これは目下検討中でございますけれども、何か変わった結果を生ずるということはこれは免れないと思います。
  29. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひそういう形で——いわゆる一般公務員の中の大多数を占めるところの一般行政職に対して、従来からのしわ寄せなり今回の教員給与の引き上げに伴っての影響が強く出てくるわけですし、また現在いわゆる春闘中でもありますから、そういう意味で人事院総裁は積極的に、公務員共闘といいますか、職員団体の代表者に会って、その辺の意見をぜひ交換をしながら対処をしていっていただきたいということを強く要請をいたしておきます。  そこで特に伺いたいのですが、教員の給与改善を実施したとしますと、同じ教育職場の中にいわゆる学校事務職員等がおるわけであります。これは実は院の附帯決議の中でも学校事務職員に対するところの附帯決議を付してあるわけでありますが、今度の勧告の中で事務職員に関しては付言がされていないわけですね。学校事務職員というのは、学校長のもとにあって、教育行政に従事をする職員を補佐しながら、しかも教頭と並んで学校の経営を実はやっておるわけであります。そういう意味で、かつては車の両輪説というのがありましたけれども、まさに教育の中枢的役割りを果たしているのが学校事務職員だろうと思うのであります。これらについて、確かに国立学校の中には事務職員は該当が少ないんだからとあるいは言われるのかもしれませんけれども、いわば人事院勧告なり国家公務員の給与というのは大多数の地方の義務制の公立小中学校に影響するわけでありますから、準じられるわけでありますから、そういう点で、該当職員は少ないかもしらぬけれども、院の附帯決議が付されてあったところの事務職員の給与改善について、なぜ今回触れなかったのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  30. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 おっしゃいますとおり、参議院の文教委員会の附帯決議で事務職員のことにお触れになったわけでございます。その際も御説明は一応したのでありますけれども、私どもの従来の立場といたしましても、これは学校ばかりではなしに、税務職、公安職、いろいろな特別の優遇を受けておる職種の人と行政職の人とが同じ職場につとめておるというような場面は相当ございますからして、われわれはそういう点は常に気を配りながら参っておるわけで、たとえば学校の事務職員についても、たまたま先回りして御指摘いただきましたように、実はわれわれの所管は国立学校だけなものですから目を注ぐのは国立学校だけでありますけれども、そういう目をもって従来もずっと関心を持ってきておりますが、幸いにしてと申しますか、国立学校に関する面においては、まあ大学の付属ですから大学事務職員のプールが大きいというせいもございますけれども、相当人事の交流をじょうずにやっておりまして、ほかのほうの職場へ今度かわっていって昇進をする、あるいは級別定数の格づけなども現実的な措置によってまかなってきておるものですから、われわれが非常に心配しておるようなことは実はないのであります。  しかしながら、これはいまの参議院の文教委員会の御指摘にもあったとおりでありますが、またもう一面から申しますと、公立学校の場合においては、いろいろまたこの点について、先ほどお話がありましたように、われわれ現場の先生方としょっちゅう接触して伺っておる話の節々には事務職員の待遇のことはたびたび出てくるというようなこともありまして、われわれ自身、国立学校の面においてのそういう将来のあり方ということに触れるとともに、実は非常に遠慮がちでありますけれども、ひいては同じような関係にある公立学校の事務職員の方々にも話は当てはまるというような、きわめてなまはんかな、なまぬるい表現ではありますが、それをとりまして、勧告と同時にお配りいたしました説明というものの中に、しっぽのほうに、わかりにくいというたいへん御批判はありましたけれども、そういう気持ちを込めて書きました。  そこで、その気持ちをさらに繰り返して申しますと、先ほど触れましたように、国立学校の場合はそういう人事の運用の方針によってやってきている、今後も国立学校の場合においてはそういう方向に抜かりなくやるべきだということを一つここに打ち出すとともに、ひいては同じ場面にあられる公立学校の場合、露骨には言いませんけれども、たとえば教育委員会の事務局の職員との交流とか、いろいろなやり方はあるだろうというようなこともサゼストをするような意味でぼやっと書いた、正直に申しますとその気持ちでおるわけでございます。
  31. 小川省吾

    小川(省)委員 まあ、考えなかったわけではない、わかりにくいだろうけれども説明資料の中には書いておいたので、意のあるところをくんでもらいたいんだというようなことで、いわゆる人事配置といいますか、任用なり配置基準の中で国立の場合には解決できるのでそういう形にしたんだということですね。  そこで、人事院の意のあるところをどうくむかという観点について、文部省においでいただいておりますが、文部省はこの人事院の意のあるところをどうくみますか。
  32. 松浦泰次郎

    松浦説明員 文部省としましても、事務職員の待遇改善は教員の待遇改善と並びまして、私ども努力してまいらなければならぬと思っておるところでございます。現在、三十二年の通達におきまして、国の四等級程度まではぜひ引き上げを行なっていきたいというようなことでやってまいっておるのでございますが、現在の状況におきましては、その該当いたします県は四十七県中十九県というような状況でございまして、なおそこまで至ってない県がかなり残っておるわけでございます。そういう問題につきまして当面私ども努力してまいりたい。それ以外の事務職員の待遇改善につきましてはまた今後別途検討いたしまして、できるだけの努力をしてまいりたいと思っております。一昨年文部省に置きました教員等待遇改善研究調査会というものがございますが、その「教員等」といいますのは事務職員も含めまして、待遇改善をはかっていこうという趣旨の会でございまして、私どもそういうところにおきましても十分調査研究を進めまして、今後努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  33. 小川省吾

    小川(省)委員 総裁、私は、人事院の中で、勧告の中に含めてしまうと行政職に影響をするだろうという気がねといいますか、配慮というのがあることはいなめない事実だろうと思うのです。しかし、学校事務職員というのは、確かにおっしゃるように国立学校等と違って、一人で仕事をやっていくというふうな非常にきびしい条件の中でやっていくわけですし、学校の中では主要な位置を占めているのですから、いま文部省も努力をしていくということで言われているわけでありますが、当然こういうふうなときには人事院も大胆にお触れにならぬといかぬと思うのですよ。すでに昭和四十六年のいわゆる教職調整額の四%の実施の中で不公平が生まれ、今度また一〇%使うもので不公平が生まれるわけですね。最も公平というものを教えていかなければならない教育現場の中で、その事態の中で先生方の中に新しい不公平を生んでいくわけですね。これは子供たちによくはね返るはずはありません。そういう意味では、教育の現場というのは確かに教員の給与改善が必要であると同時に、それらに携わるところのいわゆる教育職員等などと常に「等」などで片づけないで、目を開いていくところがなければ、これは文部省は当然なんですが、やはり人事院もその辺まで目を開いていただいてやっていただかなければならぬと思いますので、一言そういう点を申し添えておきたいと思います。  そこで、一つに、かりに学校の事務職員が行政職にかわる場合もある、これは事実ですね。あるときにはかわる場合もあります。そうだとするならば、三号程度の調整額を付してその職場を離れれば、行政職とのかかわり合いというのは出てこないではないかという意見がございます。これについて総裁はどのようにお考えですか。
  34. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 われわれの基本的な立場は先ほど申し上げたとおりでございます。したがって、この際調整額をというお話まではまだまだとてもつながってこないというふうに、われわれは何でも率直に申しますけれども、考えておるわけでございまして、よくよくのことがあって、よくよくの理由があればこれは別でございますけれども、現段階においては、われわれとしてはそこまでの理由なり根拠なりは発見しがたいというのが率直なお答えでございます。
  35. 小川省吾

    小川(省)委員 同じ質問で、文部省、いかがですか。
  36. 松浦泰次郎

    松浦説明員 先ほど総裁の御指摘ございましたように、人事院の今回の勧告における説明の中にも、事務職員の任用、配置等の処遇の改善について配意することが望ましいという御指摘をいただいておるところでございまして、私ども、先ほどの等級の問題以外に、学校のそういう現場における事務職員の数とかあるいは職務というようなものに関連しまして、根本的な改善につきまして今後十分調査研究を進めて努力してまいりたいと考えております。
  37. 小川省吾

    小川(省)委員 総裁、この間、二十六日に看護婦のを出されまして、これで月が改まって特別給についての勧告なり意見書なりを出される予定ですね。そこで、総裁にせっかくおいでいただいておりますので、特別給の勧告について、おそらくそろそろまとまりかけた段階だろうと思うのです。現在、民間の春闘の中で、巷間いわれているところでは、三〇%、四〇%の要求はしておりますが、二五%プラス一時金のインフレ手当を出すというふうな企業がかなりふえてくるのではないかというふうに実はいわれております。これはやはり特別給にも関連をしてくるわけでありますが、そういう意味で、特別給のまとめをしていきながら、公務員に対するいわゆる特別給について人事院としてはこれから考え方をまとめられて意見書なりを出すのでしょうが、現在の時点でどのようにお考えなのか、承りたいと思います。
  38. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 基本的な立場はかねがね他の委員会等でお答えしてまいったのでありますけれども、昨年中に上がりました民間の特別給の上がりは、毎年の例として、春の大規模な民間の給与調査の一環としてこれをとらえてまいりまして、そして公務員の特別給と民間の特別給とを比べて何月分足りない、公務員のほうが低いという場合には、夏の勧告でこれを改善をするというのが従来の方式であります。ただ、本年の場合においては、すでに昨年末の年越しにあたって〇・三の特別の措置をとったということもございますし、それと、その当時の環境ですか、周辺の経済的な背景というものはいまも変わりませんから、一体夏まで待ってということで済むかどうかということがことしについては特に考えられるということから、非常に異例なことではありますけれども、意を決しまして、サンプル調査ではありますけれども、とりあえず民間の七百かそこらの事業所を選んで、大急ぎで特別給だけの調査を進めておるわけであります。いずれこれは結論が出ますから、勧告に次ぐ勧告でたいへん申しわけないことだと思いますけれども、これがまとまりますと、やはりそれについての何らかの処置をまた勧告の形で申し上げなければなるまいと思っております。いままだ調査をこれからまとめようという段階でございます。
  39. 小川省吾

    小川(省)委員 勧告に次ぐ勧告で、人事院の存在を、本年、佐藤総裁はたいへん強く打ち出しているのでけっこうだと思うのですが、ぜひ意を強くされて、このようなインフレ高進期でもありますから、特別給については私どもが目をむくような思い切ったやつをひとつ出してもらいたいと思うし、これは作業的にたいへんなんでありますが、ことしの夏の勧告等もある程度早めて、インフレ高進期における給与改善についての一そうの、特段の配慮をお願いをいたしたいと思います。たいへん激務で、からだもこわされているようでありますから、ぜひお大事にしていただきたいと思います。  そこで、最後に一点だけ伺っておきたいのですが、当然幼稚園の教諭等にも教員の給与改善は及ぶわけでありますが、自治省に伺いますが、保育所の保母は大体幼稚園の資格を持っている保母のはずであります。これらについて自治省としてはどのように考えるのか。看護婦の給与改善がございまして、保健所におけるところの保健婦というのは看護婦の資格をとった後に保健婦の資格をとることが定められているわけであります。ですから、保健婦はすべて看護婦の資格を持っておるわけでありますが、これらのまさに同じような業種に対する給与改善について自治省はどのように考えていくのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  40. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 国家公務員たる看護婦さん方の給与改定について勧告があったわけでございますが、地方公共団体の場合においては、看護婦と保健婦、この両職種については給与改定を国に準じてやっていくべきであろうという考え方で現在検討をいたしております。
  41. 小川省吾

    小川(省)委員 そうすると、保健婦も人事院勧告でやっているわけですね。いいですね、それで。——幼稚園なんかは当然ですね。  人事院総裁、どうもありがとうございました。おからだを大事にしてください。  次に、戦争処理の関係についてお伺いをいたしたいと思うのであります。  まず最初に、総理府の伊藤管理室長にお尋ねをいたします。不発弾の処理についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。戦後二十九年を経過をして、いまだに戦後は終わっていないわけであります。去る二日に沖繩で不発弾の爆発によって多数のけが人が出ております。こういうような事例は沖繩に限らず、沖繩は特に多いわけでありますけれども、各地に実はあるわけであります。私の選挙区の話で恐縮でありますが、私の地元の群馬県太田市の竜舞というところにも、実は六発ほどの約二百五十キロの爆弾と思われるものが不発弾として眠っておりまして、住民は実は戦々恐々としているわけであります。一日も早くこの不発弾を処理をしていただきたいというふうに思いながら御質問を申し上げてまいりたいと思うのです。  まず、伊藤室長にお伺いをいたしたいわけでありますが、戦争をやった責任はどこにあるのですか。戦争の責任は、何といいますか、一億総ざんげ論からいえば国民だというふうな話がありますが、当時の政府と軍部が起こしたことには間違いないわけであります。現在のことばでいえば、地域の住民か国かということになりますと、私は、地域の住民ではないと思う。国か自治体かといえば、少なくとも自治体ではないと思うのでありますが、そういう戦後処理の責任についてはどのようにお考えですか、まずお尋ねをいたします。
  42. 伊藤廣一

    ○伊藤政府委員 戦争そのものが国の責任であるかどうかという点でございますが、その点については、実は私、いま先生に直接戦争そのものについての本質的な面でお答え申し上げる立場にないのでございますが、先生先ほど御指摘の、戦争に伴って生じておりますいわゆる不発弾等の処理の問題はどうかということにつきましては、戦後、国及び地方公共団体が一体となりまして、それぞれ協力いたしまして、そういうふうな戦争に伴って起きた不発弾の処理問題を進めてまいっておるわけでございます。そういう意味で、不発弾の戦後処理については、もちろん国が中心になるわけでございますけれども地方公共団体とも協力してやってきておるというのが現状だと思います。
  43. 小川省吾

    小川(省)委員 国が中心だということですね。地方自治体は、少なくとも危険が伴うから、地域の住民の不安感を除去する形での責任しかあり得ないと思うのですね。戦争を起こしたのは地方自治体じゃないし、戦後処理もいまおっしゃるように国が中心でやるべきなのが筋だというふうに思います。不発弾の処理というのは、実際には自衛隊がやるわけですね。そうですね。
  44. 伊藤廣一

    ○伊藤政府委員 実は、自衛隊、警察庁、自治省、通産省の四省の事務次官の共同通達というのが昭和三十三年にございまして、国が地方公共団体と協力して不発弾の処理をやっていくということで、従来ずっと進めてきたわけでございます。そういう中で、特に防衛庁、自衛隊におきましては、陸上において発見されたいろいろな不発弾等の処理についてこれを行なうということがきめられまして、実際にそのとおりやってきておるわけでございますが、それはやはり、爆弾がほぼそこにあるということがはっきりいたしますと、その段階で、先ほど申し上げました地方公共団体、防衛庁、警察等が協力して実際の発掘をいたすということで、発掘作業といいますか、直接、爆弾の処理は自衛隊のほうでやるということでやっておるわけでございます。
  45. 小川省吾

    小川(省)委員 不発弾処理に要する経費区分といいますか、経費の問題なんですが、不発弾処理に要する費用の負担区分というか、負担は現状どのような形でなされているわけですか。
  46. 伊藤廣一

    ○伊藤政府委員 不発弾等を処理いたします経費につきましては、従前は、爆弾を発見いたしまして処理をいたしますということにつきましても、わりあいと経費も少なくて済むということでまいったわけですが、最近だんだん都市の開発が進んで、従来畑であったところにも住宅がだんだん建ってくるということもございまして、そのための処理に要する経費が非常にふえてまいった。特に、先ほど申し上げましたように各省と地方公共団体共同でやってまいったわけでございますが、その中で地方公共団体の負担する経費というものはだんだん大きくなってきた。それではいかぬということで、そういう地方公共団体の過重な財政負担を軽減すべきだということでございまして、そういう考え方から、四十八年度に初めて不発弾等処理交付金というものを支給するということが定められまして、昭和四十八年十月二十三日の内閣総理大臣決定ということで、交付金の交付要綱というのが定められておるわけでございます。  私どもの措置といたしましては、その交付事務をやっておりますが、それの考え方は、「不発弾等の処理に関する事業を行う地方公共団体に対し、所要経費の一部をこの要綱の定めるところにより、国の予算の範囲内で交付金として交付する。」というたてまえになっておりまして、爆弾が入っておるという地域について、一件当たりの工事を進めるに必要な経費の中から五百万円を控除いたしまして、それ以上の分について二分の一を交付金として交付する、その残りの二分の一については特別交付税で交付する、こういうふうな定めになって現在進んでおるわけでございます。
  47. 小川省吾

    小川(省)委員 あとでその交付金の交付要綱というのを私に一部資料として出してください。  それから、いま御説明の中で、五百万を控除して残りの二分の一を交付するということですけれども、これはあなたも御存じだろうと思うのですが、地方自治体はいま財政的にたいへんなわけですよ。そういう事情の中で、交付要綱を定めて戦後処理をやるのに、自治体に多額のあれを持たせるというのはどうもいただけない。五百万の足切りというのは、四百九十九万かかればこれはまるっきり自治体が持たなければならぬわけですよね。私は、国が少なくとも戦争責任を感ずるならば、この交付金の要綱は誤りであると思う。昨年の十月始められたばかりだそうでありますが、あなた自身五百万の足切りという問題についてどう考えていますか。
  48. 伊藤廣一

    ○伊藤政府委員 これは、一応この交付要綱によりまして交付金を支給するということが今年度から始まったわけでございますが、不発弾等の処理についての仕事につきましては従来からずっとやってきておる、そういうふうなことで、過去三年の所要経費の平均的なものをとってみますと、ほぼ四百四十万円程度かかっておるというのが過去の例でございましたので、これから新しく交付金を交付していくということになりますと、やはり過去において実際にそれだけの負担をして処理をしてきた事例とのバランスと申しますか、負担の公平ということを考えまして、特に過重な負担を地方公共団体に与えることを防ぐ、こういう意味で五百万というふうにきめたということでございます。
  49. 小川省吾

    小川(省)委員 たいへん不届きだと思うのですよ。私は、地方自治体の現実を知っておる自治省がこれに対しては大きな不満を持っているだろうと思うのですね。これは少なくとも全額交付であるべきだし、足切りが五百万などというのはもつてのほかだと思っているわけであります。そういう意味で自治省の見解をお伺いをしたいし、あるいは交付要綱が全額交付金に変わっていくまでの間、当然これは残額の二分の一というふうなことではなくして、特交等で見るべきだというふうに私は思うのでありますけれども、自治省の見解をお伺いしたいと思います。
  50. 森岡敞

    ○森岡政府委員 自治省といたしましては、率直に申しまして、現在の交付金につきまして改善を要請いたしたいという気持ちを強く持っておりますし、またそういうことで政府部内で話し合いを進めてまいりたいと思います。ただ、この交付金ができるまでの間は、どちらかといいますと地方団体に対する適切なる財源措置というものがございませんでした。やむを得ず、私どもは特別交付税で一定の算定をいたしましたけれども、それにはおのずから限度がございますので、四十八年度からこの措置ができたわけでございます。最初でございますので、私どもはこういう措置で発足したわけでございますけれども、やはり戦後処理ということの一環でございますから、当然第一義的にもっと国の責任を明らかにしていただきたいという気持ちを強く持っておりますから、そういう方向で検討を進めてまいりたいと思います。
  51. 小川省吾

    小川(省)委員 わかりました。ぜひひとつそういう形で、いま言われるように当然全額国が交付すべきものでございますから、自治体を守るという立場の中で、自治体に対する配慮と同時に、交付要綱の改正も含めて自治省は当たってほしいということを強く要請をしておきます。  伊藤さんに伺いますけれども、この処理は、地元の自治体が文書であなたのところに出さぬとだめなんですか。私がいま言ったように、私の地元にそういうことがあるのですが、そういうことをやってもらいたいということをやはり地元の自治体から正式に文書で出さぬとそれに対する対処といいますか、具体的には動き出してくれないわけですか、どうなんですか。
  52. 伊藤廣一

    ○伊藤政府委員 先ほど申し上げました交付金交付要綱によりまして、地方公共団体から、交付金の交付申請書その他関連の書類でございますけれども、これは提出をしていただくということになっております。
  53. 小川省吾

    小川(省)委員 交付金ではなくて、いわゆる発掘作業のほうです。交付金はそのあとになるわけでしょうが、大体地元の人も話し合いまして、やるというふうな意向になってきたようですけれども、一応文書で出さないと自衛隊なりが出てきたりなんかすることはできないわけなんで、その辺の手続はどうなるのですか。
  54. 伊藤廣一

    ○伊藤政府委員 やはり交付金の交付を受けるということでございまして、この要綱によりまして申請をしていただかなければできないわけでございますが、それと切り離して、実際の問題としての不発弾の処理をどうするかということは、県、市、あるいは私ども窓口になっておりますので、交付金と切り離しましてのお話ということでございましても、私どもとしては御相談には応ずるつもりでございます。
  55. 小川省吾

    小川(省)委員 要する経費については、当然交付要綱に基づく交付申請が来ると思いますが、おそらく近々のうちに具体的に話があると思いますから、ぜひひとつ対処していただきたいと思います。この問題については終わります。  次に、厚生省の援護局からおいでになっておりますので、お伺いをしたいと思うのです。  小野田さんが帰られたわけです。たいへん御苦労さまでございました。小野田さんの関係にかかった費用は大体どのくらいかかったわけですか。
  56. 河野共之

    ○河野説明員 小野田さんにがかった費用ということでございますが、小野田さんの捜索に要しました過去の経費から申し上げますと、大体、フィリピンにおもむきまして、多くの戦友あるいは厚生省の職員等が捜索をいたしたわけでございますが、これらの経費が約九千六百万ほどでございます。今回の捜索に要しました経費につきましては、現在、国の職員が帰ったばかりでございまして、まだ全部の精算をいたしておりませんけれども、ごく小人数で参りましたので、それほど多額の経費はかかっておらないのではないかと考えております。  それから、小野田さんが日本に帰りますまでに要しました直接的な経費でございますが、これはマニラから日本に帰ります場合に、日本航空の臨時便を出したわけでございます。これはチャーター機ではございませんで、新聞記者の方等も大ぜい帰ったわけでございますので、いわゆる臨時便を増発をいたしまして、新聞記者の方はそれぞれ経費を払ってお帰りになる。それから小野田さんあるいはほかの厚生省職員もそれぞれ必要な塔乗賃を払って帰国をする、こういうようなことをいたしておるわけでございます。  それから、現在東京第一病院に入院いたしておりますけれども、これらにつきましては、小野田さんの現在の健康状態等から見まして、これらは当然公務に基づく療養が必要である、こういうことで、戦傷病者特別援護法によりまして入院の経費を全額国費で見る、こういうことでやっております。現在入院中でございますので、総額が幾らかかるかはまだはっきりいたしておりませんけれども、これは戦傷病者というようなことで、国費で見る、こういう形になっております。
  57. 小川省吾

    小川(省)委員 小野田さんの場合は特異な例でございますし、厚生省はよくやっているという点については一応敬意を表するわけでありますが、私は、小野田さんの場合は特別に別なんだというふうには思わないわけであります。実際に小野田さんの戦後は終わったんだけれども、実は国民の中にはまだ戦後が終わっていない国民がたくさんいるわけであります。第二次大戦はいわゆる総力戦といわれるように、国土の大半も戦場に化したわけであります。私は当時中国戦線にいたのですが、帰ってきていろいろな話を聞きますと、私のいた戦線などよりも内地のほうがどうもひどかったようであります。そういう点から考えると、国民の戦後はまだ終わっていないのだというふうに私は思っているわけであります。内地にあって爆撃によって負傷をしたり、そういう方々がたくさんありますし、これらの方については現在の援護法は適用されていないわけでありますけれども、私どもはそういう戦時災害者に対する援護法というものをあらためて制定をして、これらに対する救済措置を講じなければ国民の戦後は終わらないというふうに思っているわけであります。かつて社会党が実はその援護法を出したわけでありますけれども、厚生省はこれらの方々の援護についてどのような救済措置を講じようとしているのか、またどういう対策をとろうと思っているのか。身体障害者とかいろいろなそういうふうな既存のものにまかせっぱなしでいいんだというふうにお考えなのかどうか、お尋ねをいたします。
  58. 河野共之

    ○河野説明員 先生御承知のとおり、戦傷病者戦没者遺族等援護法によりまして、旧軍人、軍属、準軍属等の援護を行なっておるわけでございますが、この援護法のたてまえといたしましては、国家補償の制度ということで、国との間におきまして一定の使用関係のある軍人、軍属などが公務遂行中に死亡しあるいは傷病にかかるというような場合に、これらのものを国が使用者としての立場から補償する、こういうたてまえをとっておるわけでございます。したがいまして、このたてまえを堅持しながら、援護法の中で処遇できるものにつきましてはできるだけ適用範囲を広げたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、援護法で救えない方々につきましては、一般の社会保障の体系の中でいろいろと考えていただく、こういうことで従来まいっておるわけでございます。御質問の点につきましては、私どもといたしましても今後さらに検討を加えてまいりたい、かように考えます。
  59. 小川省吾

    小川(省)委員 私は御承知のように、群馬県庁の援護法担当の係長をやってきたわけです。そういう意味で、実は援護法という法律はあるけれども、援護法で救済できない戦争関係犠牲者というのがたくさんあるわけです。援護法を極力広げていくというふうにいま言われますけれども、極力広げていっても、実際に一般的な国民の戦時災害をどうも救済できないのではないかというふうに考えています。社会保障全体の体系というふうに言われても、その中にも該当しない。けれども、明らかに戦時災害で戦後の生活の中で苦しんでおられる方々がたくさんある。こういうものを、現在の援護法をさらに拡張をして解釈をすれば可能な道も開き得ると思うけれども、そういう点も含めてぜひひとつ検討をしていただきたいと思っております。ぜひひとつ検討してください。  そこで、あと一つ、重ねて実は戦後処理の問題でお伺いをしたいのでありますが、未帰還者が現在どのくらいいるのか、そして、しかもその中で消息がわかっている者が、特にこれは中国なり朝鮮なりが多いのだろうと思うけれども、どのくらいいるのか、その数字をひとつ教えてください。
  60. 河野共之

    ○河野説明員 昭和四十八年の十二月一日現在の未帰還者数でございますが、これは三千五百四名でございます。その内訳といたしましては、ソ連地域、これは昔の樺太、千島を含む地域でございますが、三百四十七名、それから中国地域が二千八百八十七名、北朝鮮地域が百十四名、南方諸地域が百五十六名となっておるわけでございます。  これらの中で、中国地域につきましては、国交の回復とともにかなり文通等も盛んになり、帰国者等もふえてまいっておりまして、新たに消息が把握される者がかなりふえておるわけでございますが、北朝鮮地域等につきましては、私どもかなり努力して把握しておるわけでございますけれども、なかなか困難な面があるわけでございます。  ただいま申し上げました中で、南方諸地域百五十六名という未帰還者でございますが、これらにつきましては、実は私どもとしては、すでにおなくなりになっておるのではないかといういろいろな資料があるわけでございますけれども、これは御家族のほうで戸籍の抹消というようなことを同意されない、こういうようなことで、百五十六名がなお数字の上では未帰還者ということで登録をされておるわけでございます。
  61. 小川省吾

    小川(省)委員 河野課長、江戸川区桑川町の六百十六番地に常盤寮というのがありますけれども、御存じですか。
  62. 河野共之

    ○河野説明員 常盤寮は私よく存じております。
  63. 小川省吾

    小川(省)委員 いまの数字の中でも御案内のように、確かに中国地域における未帰還者が非常に多いわけですね。最近大使館も開設をせられましたし、帰国を希望する方がかなり出てきているわけですね。そういう点で、引き揚げてまいりますけれども、戦争中に子供を連れて中国人と再婚したというふうな方々が多いわけでありますから、その子供さん方はほとんど日本語がしゃべれないというものがたくさんいるわけであります。私もついこの間、実はこの常盤寮に行ったのですが、私が行って中国語で話しかけますと、しょんぼりした子供たちが生き生きとしてくるわけですよ。全然日本語がしゃべれないのですからね。そういう点等を見ても、小野田さんに対して非常に多額の金を使ってやるのはけっこうなんですよ。しかし、こういう引き揚げ者に対するところの、日本の社会生活になれるための教育なりその他を国が当然やる必要があると私は思うのだけれども、そういうものについてはどのようにやっておられるのか、やろうとしているのか、お伺いをいたします。
  64. 河野共之

    ○河野説明員 引き揚げ者の定着地における援護でございますけれども、これは定着地の都道府県あるいは市町村におきまして、住宅や就職のあっせん、あるいは引き揚げ者の子女の各種学校への就学などにつきまして、関係機関と連絡をとって実施しておるわけでございます。先生からいまお話がございましたような、海外から引き揚げあるいは帰国した子女の就学等につきましては、これは文部省の所管において処置をしておるわけでございますけれども、特に中国から帰国する子女の教育等につきましては、いろいろと問題がございますので、私どもといたしましても今後文部省と協議して善処してまいりたいと考える次第でございます。   〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕
  65. 小川省吾

    小川(省)委員 それは、日本の生活になれるための、いわゆる日常会話ができる程度の日本語を教えるのも文部省の所管なんですか。それとも東京都なり自治体に厚生省はまかせ切っているわけなんですか、どうなんですか。
  66. 河野共之

    ○河野説明員 一般的な教育の問題といたしましては、文部省あるいは都道府県、これは教育委員会その他ございますが、そちらの所管であろうというふうに存じております。私も常盤寮などに参りまして、一体その子女の日本語教育はどうだろうかということを聞いたわけでございますけれども、そのときに常盤寮の管理者の人が申しますのは、小さい子供はむしろ一般の小中学校の中に入れてしまって、初めから日本語でやったほうが覚えが早い、ある程度高年齢になりますといろいろむずかしい問題がある、こういうふうに聞いておるわけでございます。これは援護関係の先輩であられる先生のおっしゃられますように、確かに引き揚げの問題等につきまして一番重要な問題は言語の問題である、こういうふうに聞いておるわけでございますので、この点文部省にもよく話をし、あるいは都道府県等にも一連絡いたしまして、十分配慮してまいりたいと考えるわけでございます。
  67. 小川省吾

    小川(省)委員 子供たちの場合はいいのですが、日本の生活になれるためのそういうのがないので、私もこの間行ったとき、つい甘いものですから、国がやらぬものですから、じゃ私が日本語教育を二、三カ月間やってやろうということで引き受けてきちゃったのですが、実際に向こうの大学を出ているのだけれども日本語が全然しゃべれぬわけですよね。中国語でしゃべってやると非常に喜んで生き生きとしてくるのです。当然、日本語がある程度できればいい就職もできるのだけれども、都あたりが就職あっせんをすると、その辺の女工ぐらいにしか世話をしてくれないというふうな状態になっているわけですよ。  そういう点は、やはり国がある程度、日本の生活ができるぐらいの日常会話を教えるような方途を、一人や二人そういう職員を置いたっていいだろうと思うのですね。何か東京都が新年度からこれを考えているようですが、東京都は盛んに教員免許状を持たなければならぬということを言っておるわけですよ。教員免許状を持っているような者は教員になりますし、そのようなことに携わってくれるような特殊なボランティア的な精神を持った者はいないわけでありますから、そういうことを別にして、日本の生活になれさしていくための、少なくとも言語の障害、隘路というものをなくしていくための手だてを厚生省は責任をもって講ずべきであるというふうに思いますので、ぜひひとつその点は手を講じていただきたいと思うのであります。  それでは戦後処理の関係については終わります。  実は建設省から来ていただいておりますので、地方自治体の財政といわゆるインフレ条項の発動という問題に関連をしてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  昨年来の物価、資材の高騰は、全国の自治体の財政を大きくゆり動かして、非常にいろいろな計画に支障を来たしていることも事実でありますし、いろいろな工事の入札等も不調に終わったというふうなケースが非常に多く、混乱をしてきたわけであります。一方建設業者、わけても中小の建設業者は、受注をするにしても資材高や資材の入手難等に追われて四苦八苦をしながら経営に当たってきまして、四十八年中に、このような状態の中で建設業の倒産は二千五百十二件と、前年に比べても三四・三%の増加だというふうにいわれているわけであります。  建設省は、こういうような状態の中で、特に年末来の石油危機による加えてのダブルパンチ的な資材の高騰に対応をして、昨年の九月の十九日、十二月六日、本年の一月十四日と、お役所としては比較的よく対応したというふうに私も思っているのです。これらに対応するところの救済措置として、いわゆるインフレ条項、公共工事標準請負契約約款の第二十一条六項の発動をきめて対処をしてきたわけであります。私はこれに対しては敬意を表するわけでありますが、一面では、この発動がおそかった、おそいがゆえに倒産しなくてもよいような業者が倒産をしていったというふうな声も一部にはあるわけでありまして、お役人としてはよく対応をしたというふうに私は実は考えているわけでありますが、まだまだしかし問題があるというふうに思うのであります。   〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕  最後のやつではそうでもないのですが、初めのものは大建設業者の救済ではないかというふうに思われたわけであります。最後の一月十四日以降についてはそうでもなくなって、かなり建設業者に対してプラスを与えたというふうに実は思っているわけであります。  そこで、インフレ条項に関連をして若干質疑を行なっていきたいと思うのであります。特に、全国の自治体がインフレ条項を採用したくとも、あるいはまた業者の苦衷がわかりながらも、財政的にインフレ条項が発動できないなどという自治体もあるわけでありますから、私はそういう観点に立って、さらにはまた中小の建設業者を守るという観点に立ってお尋ねをいたしていくわけでありますので、よろしくお願いをいたしたいと思うのであります。  まず最初に、インフレ条項の適用をきめてきた経過についてお伺いをいたしたいと思います。
  68. 重見博一

    ○重見説明員 経過について御答弁いたします。  当初、四十八年の九月の時点におきまして、特に、価格高騰が著しかった鋼材のみを対象といたしまして緊急に措置をしたわけでございます。次に十二月におきまして、その後のその他の資材の高騰に対処いたしまして、主要資材を対象とする条項の適用を行なったわけでございます。さらに本年の一月になりまして、主要資材の適用条件の緩和をはかるとともに、労務費もその変更の対象に行なうということでございます。  以上が経過でございます。
  69. 小川省吾

    小川(省)委員 そこで、まず、この建設省の通達を発注機関のどのくらいが現在の時点で採用をしてインフレ条項を適用しているのか、建設省の把握をしている実態についてお聞かせいただきたいと思います。
  70. 重見博一

    ○重見説明員 建設省所管事業につきまして申しますと、国の事業につきましてはほとんど全面的に採用をしているわけでございます。なお、都道府県段階においても相当部分、現在確定作業中でございますので最終的な数字は出ておりませんが、大半が適用されているものと思われます。なお、市町村につきましては、その適用率は若干都道府県等に比べまして下がっているように聞いております。
  71. 小川省吾

    小川(省)委員 国が全面的で、都道府県が大半で、市町村は、大都市は採用したけれども全面的ではないということですが、市町村、とりわけ小さな市町村だって同じようにやっぱり工事をやっているわけですよ。工事を発注しているわけだけれども地方の小さな市町村の工事というのは、これを受けている者も、工事量もそう大きくはありませんから、主としてはその地域におけるところの中小の建設業者であります。そういう点で特に問題になるのですけれども、市町村の中では落ちこぼれがある。おそらく建設省では府県の土木の課長を集めて、管下市町村にも徹底をしろという会議はやられてきたのだろうと思うのですが、現在では建設省方式であるとかあるいは愛知方式であるとか岐阜方式であるとか、いろいろ方式があるようでありますけれども、建設省方式というふうな形で統一をして、全体のいわゆる工事発注機関、全国のいわゆる地方公共団体を含めたそういうところに徹底をして、インフレ条項を適用するような指導について——やられてきておるとは思うのですが、まだまだちょっと足りないのじゃないかと思いますが、建設省の考えを聞きたいと思います。
  72. 重見博一

    ○重見説明員 市町村段階までの周知徹底方法といたしましては、九月の通達のあとで、十分でないのではないかというような御批判もいただきまして、十二月の通達の段階におきまして、各都道府県二、三名の担当者を全国から一堂に集めまして、市町村段階まで周知徹底するように繰り返しお願いをするとともに、通達の中におきましても周知徹底するようにお願いをしているわけでございます。それで、それ以後、土木部長会議とかいろいろの課長会議等、機会をとらえまして周知徹底方についてお願いをして今日に至っているような状態でございます。
  73. 小川省吾

    小川(省)委員 地方の市町村や中小業者を保護する立場からしても、ぜひひとつ建設省はそういう点を徹底をしてもらいたいし、むしろ自治省や大蔵省に対しても、それらに対する財源がなくて、やりたくてもやれないという市町村も多いわけでありますから、そういう点は建設省サイドから強く突き上げ、要求をするべきだと私は思うので、今後とも一段の努力をしてもらいたいと思っています。  それから適用基準の内容について若干お伺いをしたいのですが、問題は、大企業、大建設業者保護だということで問題になっておったいわゆる五%の構成比あるいは二〇%の値上がり率というのは、一月十四日以降は構成比二%以上、値上がり率一〇%になったわけですね。そうですね。しかし、実際にはその間でも倒産の業者というのは続出をしてきたわけなんですね。適用条件として、価格の変動前の残工事代金額と変動後の残工事代金の差額が、変動前工事代金額の三%をこえるときに適用するのだという基準があるわけですが、これはどうしてこういう基準でなければならないのですか。
  74. 重見博一

    ○重見説明員 工事費の高騰に伴いまして請負代金が著しく不当になった場合にこの条項を適用することになっているわけでございます。その負担割合につきましては、実はこの二十一条の一項から五項までにこういうような状態でない場合の条件が書かれているわけでございます。その中に、一年たちまして請負代金が不当になった場合は、三%をこえる部分につきまして発注者は負担するということになっているわけでございます。それで、その三%というものがその契約書の中に入りましたいきさつは、中央建設業審議会におきまして、この審議会のメンバーは発注者側と受注者側と学識経験者からなっているわけでございますが、長期間検討された結果、三%程度は受注者側が負担するのが妥当であるという結論に達しまして、そのような勧告がなされまして、それに基づきまして三%という数字が出ております。それでこの六項の場合もその考えに従ったわけでございます。
  75. 小川省吾

    小川(省)委員 二十一条六項というのは、おそらく今回発動したのが初めての約款だろうと思うのですね。ですから私は、それまでの間にいろんな経緯があったことは当然であろうと思うのです。しかし、四十九年度中もおそらく物価は上がっていくし、田中内閣がやっている限りは物価は上がるということに間違いないわけでありますから、今後の対処のしかたについてはぜひ十分に、即刻適用できるような方法を講じていただきたいと思うのです。通達のどこかに、四十九年度については別途に措置をするとかというのがあるわけですが、四十九年度中に対処する方針としての考え方はどんなものですか。
  76. 重見博一

    ○重見説明員 今後の価格変動条項の適用につきましては、今後の価格の変動の推移をよく見きわめながら各実情について検討してまいることになると思うわけでございますが、現段階におきましてはまず物価の安定をするということが最優先になるというふうに考えております。
  77. 小川省吾

    小川(省)委員 自治省、先ほど建設省の答弁のように、地方の中小の市町村ではこのインフレ条項を適用していないために、やはり発注する工事が入札不調に終わったり、あるいは弱小業者が、まあ役所の仕事だからしょうがないやということで、みすみす赤字といいますか、非常に苦しい採算ベースの中で公共工事を引き受けているわけですよ。そういう点を考えた場合に、当然自治省はある程度の財政措置といいますか、これらに対する措置をしなければならぬ。ないそでは振れないのが市町村の実態であろうと思うけれども、ただいまの建設省の全国的な適用条件等を聞いて、自治省としてはどのようにお考えですか。
  78. 森岡敞

    ○森岡政府委員 物価の上昇に対応いたしましてインフレ条項を適用する。それによって契約金額がふえるという場合に、事業を大きく分けまして、道路でありますとかその他のいわゆる公共事業と、それから小中学校の建物のような建築物、二つに分かれると思います。前者につきましては、御承知のように国の単価アップの際にも、これは事業費の縮小という形で事業量の増加という形はとっていないわけでございます。しかし後者につきましては、これは事業量を圧縮できないわけですから、補助単価を引き上げ、それに見合って補助金総額をふやす、こういう措置がとられてきておるわけであります。これに対応いたしまして、自治省といたしましては、その地方負担の増加に見合う分については地方債の単価アップ、それから地方交付税についても昨年の補正の際に普通交付税の増額をいたしておるわけであります。  単独事業でございますが、これにつきましては、各市町村によりまして非常に内容がバラエティーに富んでおりますので、私どもは、財政措置といたしましては、特別交付税で一定の包括的な計算をいたしまして、大体百五十億円ばかりの算入をいたしまして、それとあわせて地方債の基準単価についても是正を行なって、御指摘のようなインフレ条項の適用による所要財源を確保していくという措置をとっておるつもりでございます。
  79. 小川省吾

    小川(省)委員 建設省に伺うのですが、四十九年度は総需要抑制で、建設業界に対してかなり受注工事が減少をしていくだろうと思うのです。そういう意味では建設業界はたいへんだろうと思うのですが、建設省としては、工事がないんだからしようがないということはあるでしょうけれども、建設業界に対する指導として、総需要抑制との関連でどのようにお考えになっておられるわけですか。
  80. 森田松仁

    ○森田政府委員 先生御承知のように、四十八年から、総需要抑制という観点から公共事業につきましては抑制措置がとられております。四十九年度につきましても、前年とほぼ同額という公共事業が組まれてございます。  そこで、この中で現在叫ばれております中小企業対策をどうするかということでございますが、一つには、事業量としましては四十九年度は前年とほぼ同額の予算を組んでございますけれども、四十八年度から四十九年度への繰り延べ措置によってとられました事業量がございます。それを加えますとある程度の事業量を確保できる。さらに、四十九年度につきまして、公共事業関係費の中で特に抑制の対象となったものは、高速道路あるいは長大橋、そういうふうな大規模事業でございまして、国民生活に密接な関連のございます住宅あるいは下水道、道路の中でも地方道等につきましては、抑制ムードにもかかわりませず伸びを著しく示しております。したがいまして、これらの事業につきましては、どちらかと申しますと市町村段階に小規模工事が多いので、中小建設業者に対しましても受注の機会がある程度あるのではないかということを考えております。  さらに、先生指摘のように、やはり事業量が減っておりますので、中小業者につきましては受注の機会をふやすという意味におきまして、あるいは工事の発注単位を分割する、小規模な設計単位になるべくしていく、ジョイントベンチャー方式を推進するということなどをはかりまして、地域地域の特殊性、あるいは各事業、道路なら道路、河川なら河川という事業の実態に即しまして、きめのこまかい配慮をしてまいりたい、こう考えております。
  81. 小川省吾

    小川(省)委員 一月十八日に営繕計画課長の通達が出ておりますね。この中で特注品についてのことが出ておるわけなんですが、特注品について、たとえばボイラーであっても三トンをこえるものは除外をするとか、あるいはまたこういうものは除外するとかしないとかあるわけですけれども、三トンをこえるボイラーと三トン以下のボイラーとはど違うのかわからぬ。やはり生産品があって、それが適当にフィットするだけのものでも、たとえば衛生陶器の類に入っておって、ボイラーとかパッケージ等は除外になるとか、いろいろあるんですが、特注品についての考え方はどういうことになるのですか。
  82. 重見博一

    ○重見説明員 特注品を通達では除くとなっておったわけでございます。ただその中で運用通達といたしまして、小規模のものにつきましては今回の措置の対象にするということにしたわけでございます。その考え方といたしまして、積算の段階におきまして、小規模のものはたとえば物価版とか積算資料とか、そういう資料に基づきまして市場価格が推定できるという種類のものでございます。大規模のものにつきましては、まず最初にその大規模の品物をつくる業者に見積書を出させまして、それを集めた上で検討して予定価格をつくるというようなことになっているわけでございまして、その物価版とか積算資料等で推定できる価格というのがないわけでございます。したがいまして、そういう積算資料の問題と積算予定価格のつくり方の問題におきまして、二点からその大規模のものをはずしているわけでございます。
  83. 小川省吾

    小川(省)委員 特注品について、いわゆる小規模のものを採用して大規模なものをはずしたというふうに言われますけれども、これは業者の側から考えてみるならば、中小業者が工事をやっていく場合に、小規模でないものなどが単価が非常に張るわけですね。そういうふうな値上がりがひどいために、これらによるところの工事の赤字がふえていくというケースがあるわけでありますから、特注品についてはさらに、専門家であるあなたのほうで十分によく検討をしていっていただきたいと思っておるわけであります。特にこれらの通達の実施について、一部には、大建設業者の擁護ではないか、その人たちは国会の中にも議員を送っているというふうなことがいわれているわけでありますけれども、中小の建設業者を泣かせることのないように、また事実、地方の市町村等でもやれるように、建設省サイドとしても自治省なり大蔵に対しても強く働きかけていただきたいことを要請して、終わります。  委員長、たいへん恐縮なんですが、ちょうど十二時半になってまいりましたので、自後の質問については本会議後にやらせていただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  84. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ————◇—————    午後三時十五分開議
  85. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川省吾君。
  86. 小川省吾

    小川(省)委員 労働省おいでですね。山谷の労働対策について若干お伺いをいたしたいと思うのであります。  山谷に、これは東京都の機関であろうと思うのですが、山谷労働センターという出先機関がありますが、この主要な仕事はどんなふうな仕事でしょうか。
  87. 望月三郎

    ○望月説明員 お答えいたします。  先生お尋ねの山谷労働センターでございますが、御承知のように上野の近くに山谷がございまして、私ども山谷地区の就労者、日雇い労働者のために職業紹介をやっておるわけでございますが、玉姫の労働出張所とともに、田原町の労働出張所、それから山谷労働センター、この三カ所で山谷地区の日雇い労働者の職業紹介業務をやっております。特に労働センターにおきましては、日雇い労働者のための職業相談、それから職業指導、それから職業紹介という形で、毎日の日雇い労働者の就職のあっせんという業務をやっております。これは四十年十月に設立された法人でございます。
  88. 小川省吾

    小川(省)委員 わかりました。  そのセンターが最近、いわゆるぐれん隊というのですか何というのですか、そういう方々が、警察の取り締まり等もあるのでしょうが、形を変えて、何々建設の会社員だとか何々組の社員だというふうな形で、従来の手配師的なような形で山谷労働センターに出ばって実際には人集めをしているというふうな話を聞くわけですけれども、具体的に労働省はこの山谷のいわゆる下層労働者の指導についてはどのような指導をしているわけですか。
  89. 望月三郎

    ○望月説明員 山谷地域におきます手配師等の問題でございますが、やはりこういった青空市場というのが大都市にあるわけでございますから、こういったものにつきましては手配師等が横行するという危険が非常に従来からもあったわけでございます。したがいまして、山谷地域につきましては、私どもは山谷労働センターにおいて、利用事業所から、たとえば法人に関する登記謄本だとか、それから会社経歴書、それから下請の場合は元請の念書、現場へ連れていく引率者の選任届けというようなものを求人側に求めまして、そういうものを確認した上で紹介業務を行なうというような形をとっておるわけでございます。それからさらには、建設業等が主たる業種でございますので、建設業を主体といたしまして元請、下請等の事業所を集めまして、雇用の正常化につきまして集団指導を行なったり、あるいは求人開拓にあたりましてそういった趣旨を徹底しておるわけでございます。しかし、確かに直接募集というようなのが間々見受けられる場合がございますので、私どもといたしましては、安定所またはセンターへの求人の申し込みにつきまして先ほど申し上げましたような趣旨をできるだけ徹底さしておるわけでございますが、間々見受ける悪質募集者につきましては、警察当局に依頼をいたしまして取り締まりについて協力をお願いするというのが現状でございます。
  90. 小川省吾

    小川(省)委員 最近、建設会社等の事業は減ったのだろうと思いますけれども、非常に求人数が減少してきている傾向にある。日雇い労働者の失業保険は、たしか二カ月間で二十八日間以上の就労で受給資格が得られるのだろうと思いますけれども、かなり最近求人数が減少しているというふうに聞いておるわけです。この傾向についてはいかがですか。
  91. 望月三郎

    ○望月説明員 先生指摘のように、山谷地区におきましては一月という月、これは例年求人数が減る月でございますが、ことしも相当落ち込みまして、先生も新聞等で御承知のとおり、いろいろごたごたが起きたわけでございます。しかし二月、三月について見ますとある程度回復しております。しかし依然としてまだ必ずしも良好ではございません。そういう認識のもとに、私ども鋭意求人確保に努力してまいっておるところでございます。
  92. 小川省吾

    小川(省)委員 そこで労働省にお伺いをしたいわけですけれども、労働省はこれらの労働者をどんなふうにとらえているのかという問題なんですが、どうもいわゆるアウトロー的な集団ととらえているのではないかというふうに考えられてならないわけであります。私は、山谷や釜ケ崎等もそうでありますけれども、この種の労働者は、資本主義の中で吹きだまってくるところのいわゆる下層労働者階級でありますから、アウトローの集団としてとらえるとやはり労働対策として誤りではないかというふうに思うわけであります。いまの御答弁を聞いて、求人開拓にも努力をしているということでありますから、なかなかそれが現場にまでまだ届いていないのではないかというふうに考えられるわけですが、これらの人たちをアウトロー的な感覚をもってとらえているということはないわけでしょうね。
  93. 望月三郎

    ○望月説明員 そういう考えは毛頭持ってございません。それで私どもは、こういう地区に居住して就労している労働者の方々は、いろいろな社会的な条件あるいは家族的な条件というようなことで集まっている就労者でございますので、やはりこれの基本的な考え方としては、これに対しまして労働面だけでなく、もちろん労働が基本でございますが、民生面その他福祉の面というような総合的な観点で取り組まなければならぬと思いますが、少なくとも労働の面につきましては、やはり生活できるような形の就職あっせんということを考えていかなければならぬと思いますし、それから私どもとしては、そういった地点に景気の変動等によってしわ寄せが行なわれるというようなことがもしあるとすれば、山谷であれば都内の各地区の求人等をそこへ寄せ集めるというような形で、できるだけあぶれが出ないような形の措置を強力に推進していきたい、こういう考えでございます。
  94. 小川省吾

    小川(省)委員 警察庁に伺いたいわけでありますが、最近における山谷労働者の、あすこは所轄は浅草署だろうと思うのですが、検挙状況の推移といいますか、これはどんなふうになっておりますか。
  95. 綾田文義

    ○綾田政府委員 最近の山谷の治安状況は一応比較的平穏に推移いたしておりまして、刑法犯の発生もやや減少ぎみであるということでございます。ことしの一月からを見ますと、大体一月に八十件前後の刑法犯が発生しておりますが、御承知のように、ここではいわゆるけんか、酔っぱらいのけんかによる暴行傷害事件とか、あるいはかっぱらいのような窃盗事犯が比較的多く発生いたしておりますけれども、最近では特にこれといった問題はございません。
  96. 小川省吾

    小川(省)委員 比較的減少ぎみだということなんでありますが、実は山谷に現地闘争委員会といういわゆる組織がございます。たいへん熱心に、いわゆる山谷労働者の福祉面で、職にはぐれた者のたき出しであるとか、いろいろなことをやっているわけですけれども、これらの人たちを警察は、いわゆるアウトローの暴動を起こすような指導者ではないかというふうに見ている節があるわけなんです。こういう中で真剣に努力をしている人たちを、えらい異端分子のアジテーターというふうな形でとらえているのではないか。いわゆる治安対策、これは当然暴力行為等は根絶をしなければいけませんけれども、そういう形で見ておられるのではないかというふうに考えられる向きもあるわけなんです。ぜひひとつそういうことのないようにお願いをしたいというふうに思っているわけでありますが、それらについてはいかがでしょうか。
  97. 綾田文義

    ○綾田政府委員 先生おっしゃるように、現闘委は現地で昨年ごろまではかなり活発にやっておりましたが、私どもといたしましては、どこまでも法令違反の違法行為があればこれを検挙するという姿勢でございまして、特にそういうことは考えておりません。ただ、ことしに入りましてからでも六回ばかり、やはり威力業務妨害罪とかあるいは窃盗事犯とか、そういう事犯が発生いたしておりまして、この現闘委を逮捕したという実例もございます。
  98. 小川省吾

    小川(省)委員 威力業務妨害などというやつがいろいろひっかけられるおそれが多分にあるわけでありますが、あらためて私もあすこでしばらく生活をしてみてまた御質問を申し上げますから、ぜひひとつ、アウトロー集団というとらえ方をしないで、いわゆる底辺におけるところの労働者という意味を含めて警察も労働省もそういう対策を立てて、現地の中にもそういうことの理解が通るような形で山谷における労働対策をお願いしたいということで、きょうの段階では終わっておきたいと思います。  そこで本論に入りまして、交付税法に関連をして若干お伺いをいたしたいと思っているわけであります。  まず最初に、千六百八十億のいわゆる繰り上げ償還に関連をしてお伺いをいたしたいと思うのであります。  インフレの高進の時期こそ借金の好機だというふうな話があるわけでありますが、何ゆえに金の価値が下落をしていく段階の中で一括繰り上げ償還をしたかという問題がやはり何といってもあるわけであります。地方財政の実態をよく知っている自治省として、どうしても私はこの繰り上げ償還というのは理解できない。国の予算の伸びを二〇%以下に押えるという形の中でやられたのではないかというふうに思っているわけでありますけれども、ぜひこの点を、本会議でもお尋ねをしたわけでありますが、まず明らかにしていただきたいと思うのであります。
  99. 古屋亨

    ○古屋政府委員 千六百八十億の減額、その理由ということの御質問のようでございますが、御承知のように、最近の経済情勢におきましては、物価の早急な鎮静をはかりまして、経済の正常化をはかるということが緊急の課題でございます。そのために、総需要抑制ということは、国、地方を通じまして強力に実行されなければならないところでございますが、昭和四十九年度地方財政におきましては、こういうような総需要抑制ということに伴いまして、公共事業費の増加は非常に少ないので、微増にとどまっておるのでございます。地方単独事業においても、総需要抑制の見地から大幅な増額は避けられなければならない状況にあります。他面、歳入面におきましては、地方税源の拡充強化などによりまして、税収入はかなり増収が期待できる状況でありまして、こういうような状況を勘案いたしまして、四十九年度地方交付税におきまして、交付税特別会計の借り入れ金の未償還残金の現在高に相当いたします千六百八十億の減額調整を行なうこととしたものでございます。
  100. 小川省吾

    小川(省)委員 過去も二、三回、いわゆる国と地方との貸し借りというのをやって、当時も、大蔵大臣であった福田さんと自治大臣との間に覚え書きが締結をされたわけですね。総需要抑制というふうな中で、まさに異例の措置でやったのだということなのでありますが、当然今回も文書をもってやられたと私は思うのです。従来三百億なり四百億くらいの段階でもやったわけでありますから。覚え書きは、文書をちゃんと大蔵との間にかわしたのですかどうですか。
  101. 古屋亨

    ○古屋政府委員 今回の減額措置につきましては、先ほど申し上げましたような緊急事態のもとにおける緊急措置として御理解いただきたいのでございます。四十三年度、四十四年度の予算編成時において、大蔵大臣、自治大臣で取りかわしたような大臣同士の覚え書きは交換しておりません。ただ、事務的にどういうような折衝をしておるかという点につきましては、お尋ねによりまして事務当局からお答えいたします。
  102. 小川省吾

    小川(省)委員 私は、従来のような三百億なり五、六百億という形でも覚え書きをかわしてやってきたことなんですから、緊急な、異例な事態であっても当然文書か何かをかわすべきであったと思うのですね。今後また交付税を国から借りる場合だってあり得るわけですよ。そういう観点からするならば、覚え書きをかわさなかったということが理解できないのです。そういう意味で、説明をさせるそうですからひとつ説明を承りたいと思います。
  103. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 今回の問題につきましては、政務次官から御答弁がございましたように、大臣間の覚え書きというようなものはございません。われわれ事務当局同士の問題といたしまして、今回の千六百八十億円の減額調整は、借りているものとの相殺であるという趣旨と、それから今回減額措置をとる千六百八十億の金はできる限り地方財政に資するように使いましょう、そういう趣旨の文書のやりとりはいたしましたけれども、これはいずれも今回一年限りの問題でございまして、その辺のところは予算編成の過程を通じて当省の要望が相当部分いれられたという形でございますので、われわれとしては大臣同士の文書というものは必要ないという判断をいたしてそういう措置をとったわけでございます。
  104. 小川省吾

    小川(省)委員 今回だけだということでありますが、非常に緊急だったということでありますから、古屋さんがそう言われるわけでありますからそうなんでしょうが、ひとつ今後は、当然これは自治省の金じゃないのですよ、地方交付税というのは地方の固有財源だということを自治省はいっているわけですから、そういう点でもう少し慎重に扱って、ただ口頭くらいで、借りているんだから返せばいいんだという扱いをしないように、この際強く要請をいたしておきます。  次に、総需要抑制と起債の関係についてお尋ねをいたしたいのですが、国民生活に直結をするものについては抑制はしないんだというふうな説明をされているわけでありますが、この辺の経緯、事情について、松浦財政局長からひとつお伺いをいたしたいと思います。
  105. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 地方財政計画を策定するにあたりまして、歳入面においていわゆる自主財源の割合を高めるということが望ましいことは、これは先生にも前々から御指摘をいただいているところでございます。そういう意味では、地方債をふやすということについてはわれわれとしてもあまり賛成をしかねるところでございます。特に本年度は総需要抑制という観点から、公共事業については前年度と同額程度、地方公共団体の事業につきましては地方の特殊性を配慮しながら相当程度配慮をいたしましたけれども、総体的には一〇%程度の伸び、こういう形に相なっております。  これに対する財源といたしまして、歳入歳出のバランスを合わせるという意味からも、あるいは借金であるという意味からも、地方債をできるだけ収縮をして収支のバランスをとりたいというつもりで総額をきめた。きめた総額の中で、公共事業等において国があまり伸ばしておらないものと伸ばしておるものとが御承知のようにあるわけでございます。したがって、伸ばしておらないものについては地方債もふやさない、それから伸ばしておるものについては地方債も伸ばす、こういう方向で問題の処理を考えていったわけでございます。  したがって、結論的に申し上げますならば、社会福祉施設あるいは生活関連施設、こういうものについては例年程度の伸びを確保する。道路、港湾、こういったたぐいのものについては前年度とほぼ据え置き。簡単に申し上げればそういう趣旨地方債計画を組んでおるわけであります。
  106. 小川省吾

    小川(省)委員 いまの中に学校等が含まれるわけですね。地方で、特に人口急増地帯等ではいま用地取得が御承知のようにたいへんですね。そういう点で、土地開発公社等が肩がわりをして取得をするなんというケースがたいへん多いわけでありますが、学校用地の取得等についても当然起債として見ていくという方針には変わりはないわけですね。
  107. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 学校用地の確保、なかんずく人口急増地域の用地確保という問題については、当省としても特に配慮をいたすという方針で大幅な伸びを見込むと同時に、その資金もできるだけ政府資金という形に、四十九年度地方債計画を組んでおります。
  108. 小川省吾

    小川(省)委員 地方自治体は財政局に対して、初めの抑制がかなりきびしかったものですからかなりおそれをなしているような傾向にあるようでありますが、いま言われたような社会福祉でありますとか生活関連のものについては、ぜひひとつそういう形で起債等についても見てやってほしいということを要請をいたしておきたいと存じます。  それから、過密過疎と厳密にいえるのかどうかわかりませんけれども、それと補正との関係についてお尋ねをいたしたいのであります。  現在の補正についてはいろいろな種類で行なわれていますけれども、この補正というのは、大体、一つの何々市なら何々市というふうな行政区画単位で補正係数を使っているわけですね。そうでしょう。ところが、今回は単位費用の改定をしての引き上げということが基本であります。当然単位費用を引き上げることは必要なんでありますけれども、補正によってこれがなしくずしになるといいますか、たいしてふえてこないというふうなケースが間々あるわけであります。たとえば、行政区画単位で補正をやるという場合で、一つの市、いま川崎市の例をあげるとするならば、御承知のように川崎市は非常に細長い市でありますが、一方ではいわゆる人口が過疎になっていくといいますか、減ってくる。一方では過密といいますか、人口急増地帯がある。こういうような場合には一律になかなか当てはまらないというケースが、これは川崎市に限らずあるのではないかというふうに実は思っているわけであります。  こういうことで、学校なり保育所の建設等が片方では必要であるし、片方では余っているといいますか、使用者が少ないというようなケースが出てきているわけであります。こういうような場合に、行政区画である区といいますか、そういうふうな単位を、一つの行政区画の中のさらにこまかい行政区画をとって補正をしていかなければ実態に沿わないというふうなケースが、現在、特に人口急増地帯に多いわけでありますけれども、あると思うのです。こういうものについて、自治省としてはそれに即応するような、実態に沿うような方法を考えていかれる意思がおありかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  109. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 一つの市町村の中で、一部の地域にはどちらかというと都会的な人口急増の要素がある、一部には過疎の要素がある、そうすると、両方を人口移動の要素で重ねてしまうとどちらの要素も出てこなくなるために、補正係数がうまく働かないではないかという御指摘だと思うのでございます。  御承知のように、まず、過疎であるのか人口急増であるのか、そういった人口移動の激しい現状を基礎数値として正確にとらえられるかどうか、特に定期的にとらえることができるかどうか、こういう点については、現在の状況ではきわめて数値を求めることが困難でございます。さらにもう一つは、そういう現実があったといたしましても、どこで線を引いて過疎地域と見、急増地域と見るかという、きわめてむずかしい問題もございます。また、かりにでございますが、そういった数値がつかめるといたしましても、算定方法がきわめて複雑になるだろう。そうなると、交付税を簡素化しろという声が一方にはある中で、ますます複雑化していくという難問も一つこの中に含まれております。そういう意味では、私ども一してはこの問題、よく御趣旨は理解できるのでありますが、普通交付税上の問題として取り上げることについてはきわめて困難であるという感じを持っております。  ただ、川崎でございますとか大阪でございますとかいうものについては、先生御承知のように行政区というものがあるわけで、これは公に定められたものでございます。それらにつきましては、交付税計算上は無理でございましても、たとえば大阪の二区にそういうことがたしかあったと思いますが、大阪市全体では人口急増ではございません。しかし二区については人口急増と認めて、学校の建設費の補助率を上げておるという実情もございます。そういうふうに区画がはっきり割れて、はっきりした数値がつかめるようなものについては、交付税計算はむずかしいとしても、ほかの制度にはできるだけ取り入れていくという配慮を私どもとしては各省にお願いをしてまいっております。  さらにもう一言お答えを申し上げますならば、一つの市町村の中にきわめて定型的に急増地域と過疎地域がダブっておるというような問題がございますれば、現実の財政運営といたしまして、過疎対策に非常に一部経費がよけいかかり、一部の地域については人口急増対策の経費がかかるという現実の問題が出てまいると思います。それらの点で、当該団体の財政の運営が非常に交付税計算と実態と離れて苦しいというような事態がございますれば、当然当省にいろいろとお話があるはずだと思いますので、よく事情をお伺いをして、理論的に特別交付税で取り上げられるものであれば取り上げるという努力は、われわれとしてはしてみたいと考えております。
  110. 小川省吾

    小川(省)委員 よくわかりました。そういうケースはそうたくさんあるわけでありませんから、いま大阪なり川崎の話を引いてお答えになりましたが、私も一律にそういう主張をしているわけじゃないわけでございますから、そういう人口急増地帯の中で持っているそのような自治体の悩みというものに対応できるように、若干複雑な計算等になったりしてたいへんだろうと思いますけれども、ぜひそれらの自治体の要請を聞いて対処していただくようにお願いをいたしておきたいと思います。  次に、法律と条例の関係についてお聞きをいたしたいと思うのであります。  私は、御承知のように群馬県の県庁の職員をいたしておりました。県庁の職員の間、半分以上は実は職員団体の仕事をしておったわけでありますけれども、実はたいへん法律と条例の関係では苦い経験を持っているわけであります。理事者、知事との話し合いが、たとえば給与の問題等について話し合いができて、この議会に給与条例をかけてくれということになっても、実は法律が通らないのだから、自治省のほうからおこられるから何としても出せないというふうなことで、給与条例を出さなかったというふうなことがあったわけであります。私は、そういうふうに法律が通過をしなければ地方自治体の条例というものはそう簡単に出せるものではないと思うのであります。法律の裏打ちをされる条例というものはそういうものだろうというふうに思っていますけれども、自治省として指導方針といいますか、自治省の指導方針はそういうことでございますか。
  111. 植弘親民

    植弘政府委員 まさしく先生の御指摘のとおりでございまして、たとえば給与条例について申し上げますと、国家公務員につきまして人事院勧告がございますと、それを受けまして政府法律案を提出いたします。そういたしますと、地方団体におきましても一人事委員会の勧告等をまちまして、地方団体が条例をもって措置するということになっているわけでありますが、やはり地公法の二十四条にもございますように、地方公務員の給与その他勤務条件は国家公務員との均衡点も非常に大事でございますので、国家公務員において法律が成立するという見通しがつかない限り、条例で独自の措置をするということは適当でないということで、いま先生の御指摘のようなかっこうで指導してまいっておりますし、その考え方はいまも変わってはございません。
  112. 小川省吾

    小川(省)委員 その場合に、条例がかりにできた場合に、その条例は無効なんですか。それとも適当でない条例ということなんですか。どういう形になるわけですか。
  113. 植弘親民

    植弘政府委員 一般的に条例と法律との効力の関係ということになってまいりますと、別のもっと抽象的な議論になるかと思いますが、いま設例のございました給与条例について申し上げますと、当該地方団体で、かりに県で人事委員会の勧告があり、給与条例が議会で成規の手続で議決されたとするならば、これは直ちに無効というわけにはまいらぬと思います。しかしながら、地公法全体の精神等からいきまして、情勢適応なり均衡原則といったような点からいって適当でないということはいえると思います。
  114. 小川省吾

    小川(省)委員 実は今回の中にも出ているわけでありますが、いわゆる補助職員であった学校栄養士が国庫負担職員に振りかえになっているわけですね。全国の都道府県の中ではすでに、定数条例の中に学校栄養士何名というふうに含める条例が成立をした県すらあるわけであります。しかし文教委員会ではいわゆる定数法がまだ審議にも入っていないわけですね。四月一日から改正をする、施行をするというふうな条例が各県にできているわけであります。給与条例については自治省はチェックをして押えるが、自分のところの関係のないといいますか、文部省の関係だものだからかまわずにほうっておくのかどうか知りませんけれども、この三月定例会の中でこういうふうな条例が、四月一日より施行するという条例が現に成立をしているような実態を知っておるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  115. 植弘親民

    植弘政府委員 まさしく、文部省の関係で知らないなどということは申し上げられないのでございまして、たとえば、先ほどの午前中の御質疑にもございましたが、例の一〇%法案、人確法ですか、あれなり、看護婦さんの問題等、人事院の勧告がありますと、それを受けて国が法律を準備する、そういう情報を的確に地方団体に通知しながら、当然国会に法案がかけられるという状況を見ながら条例措置を考えなさい、そしてもし国会のほうで法律が通らない場合にはその条例を施行すべきでないといったような、いろいろな情報を流しながら十分連絡をしてまいりました。したがいまして、今回の、いま御指摘の定数条例等の問題につきましても同じような事態でございますので、関係当局に対しましてはしかるべき、そういったいわば適当でない事態が、変則的事態が発生しないようにということの行政指導をお願いしてきたところでございます。しかし、いま御指摘のようにそういった問題が起こってまいりますと、やはりこれは通常の状態とは言いがたい変則な事態、その部分については、法律が動かないのにそこだけ動くということはできないので、から振りといったような変則事態が起こってくるだろうと思います。
  116. 小川省吾

    小川(省)委員 たいへんまずいと思うのですね。栃木県ではたしか二十六日に議会を通過しておりますし、私のところの群馬県では二十九日に本会議で上がるはずになっているわけですね。これは各県に、かなりそういう県があるわけであります。それを認めるのならば、当然給与条例も、話し合いをして、法律がきまる前にどんどんやっていってもよろしいということに私どもは理解をするわけですけれども、もしもこれに対して自治省が何らの手も打たないのなら、給与条例についても同じように考えていってよろしいかどうか、お伺いしたいと思います。
  117. 植弘親民

    植弘政府委員 先生の御指摘のとおりで、まさしく適当でないと思っております。ただ、有効、無効論という立場になってまいりますと、定数条例そのものは職員のワクを定めるための条例でございますから、その運用は任命権者にまかされることになります。ところが、任命権者が運用するについて、その母法となります、根拠となります法律のほうが成立しないということになりますと、任命権者のほうも運用しないということになるだろうと思います。しかしながら、おっしゃるようにこういうようなことが起こるのはまさしく私どもとしては適当ではございませんので、関係省庁にも十分善処方をお願いしたいと思います。
  118. 小川省吾

    小川(省)委員 植弘部長さんになると思うのですが、臨時職員の問題なんですけれども、地公法の上では十七条と二十二条以外に臨時職員を置く根拠はございませんね。一年以上にわたる臨時職員というのはないというふうに私どもも思っているんですが、そのとおりでいいですか。
  119. 植弘親民

    植弘政府委員 御指摘のとおり、数年来、臨時職員をそういう不正規な形で置くべきでないということで、これの適正な管理についてはしばしば通達をしてきているところであります。形式的には、二カ月雇用の更新だとか六カ月雇用の更新だとかいうかっこうでやっていると思いますけれども、実際上はおっしゃるような事態のものもあるやに聞いております。こういう点については、しかるべく適正な管理をするようにということで、これからも十分注意いたしたいと思います。
  120. 小川省吾

    小川(省)委員 私の手元にあるのですが、これは群馬県の町村長会長をやっている町の職員なんですけれども、五年、六年なんという職員がざらにいるんですよ。私はこんなことはあり得ないというふうに思っているし、臨職三原則とかいろんなことを、やかましいことをいって自治省は従来も指導してきたけれども、こういう事態が町村長会長のところでも、残っているということになると、あるいは全国ではかなりあるのじゃないかと思いますが、ぜひひとつその点はそういうことのないように、地公法の番人である自治省は適切な指導をするよう要請をいたしておきたいと思います。  それから、交付税関連をして、各行政項目別の単位費用の算定基礎の資料をいただきました。この中で見てみますと、要するに標準団体のあれが出ているわけなんでありますが、たとえば社会福祉施設数なんということで十六カ所というふうになっていますね。どういう観点で標準団体は十六カ所が適切なのかというふうな根拠ですね。算定の根拠というのはこれはあるのだろうと思うのですが、これは公開をしないのですか。またあるいは、これを十六カ所が適切だというふうな根拠はどこにあるのですか。
  121. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 全国的な配置状況を基礎に置きまして、標準的な団体における数を推定している、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  122. 小川省吾

    小川(省)委員 それは各省からの要望というのか、各省からの要求との関連も当然あるのだと思いますけれども、これは各省庁とも、福祉施設数に限らず、そういうものは理解をし納得をした上に立てられるものなんですか、どうなんですか。
  123. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 御承知のように、交付税の基準財政需要額がどういう形で見られるかということは、これがモデルであるといわれているだけに、各省の行政にもいろいろ影響がございます。各省として御要望のおありの向きは、非常に多方面にわたっていろいろとお話をお持ち込みをいただいておるようでございます。これは全部そのまま伸べればよろしゅうございますが、交付税の額と税収入とで需要の総額がきまるわけでございますので、その中を査定をすると申しますか、分けると申しますか、区分をすると申しますか、われわれとしてはワクの中にはまる程度まで、各省の御希望の中から、いろいろ重点的なものから優先的に修正をしながら単位費用を上げていく、こういうことを毎年繰り返しているわけでございます。
  124. 小川省吾

    小川(省)委員 四十九年度は事業費補正についてはどんなふうに——整理をずっとしていくわけなんですか。どんなふうになるわけですか。
  125. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 事業費補正につきましては、一応去年大幅に率を下げております。今年度は去年の率をそのまま使っていくという形をとっております。
  126. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 小川君に申し上げますが、もう三時間四十分余りになりますので、林さんも待っておられますから、よろしくおまとめいただきます。
  127. 小川省吾

    小川(省)委員 あとわずかですから……。  補正係数算出の根拠がよくわからないのですけれども、かなり起伏が毎年、年によってあるようなんですけれども、その点はどんなふうになっているわけですか。
  128. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 この点につきましては、御承知のように単位費用を先にきめます。数値等についても推定は立てておりますけれども、推定が狂う場合もございます。そういったものを勘案しながら、それからまた現実の行政の動きというものもある程度見ながらきめておりますので、若干の起伏が出てくることは避け得ないかと考えております。
  129. 小川省吾

    小川(省)委員 交付税は自治体の固有財源だという考え方を自治省はとっているといいますか、いまでもそういうことには認めるわけですね。——交付税がもしも自治体の固有財源であるとするならば、当然、交付税の配分にあたって自治体側の意見というのがどのように反映をされるかという問題なんですけれども、自治体の財源、自主財源、固有財源である交付税の配分については、自治体の意見というのはどうも全然反映をされていないのじゃないだろうかというふうに考えますけれども地方団体の代表などを含めて、意見を聞いて、配分等についても意見を聞くなどということをやっておられるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  130. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 各地方公共団体からの御意見は毎年ちょうだいをしております。しかし、御承知のように、自治体の固有財源でございますけれども、みんなどこも、どの団体もたくさんほしいわけでございます。したがって、こういう補正を使えば東北地方は得をするけれどもこっちは損をする、そういうような問題が非常に多いことがございますので、各省とお話をするような形でやってまいりますと、特定のところに非常に得になったり損になったりという問題がございます。現実の問題として、客観的な立場に、第三者の立場に立って、各県、各地方公共団体の御意見というものでとれるべきものはとるという態度をとっておりますが、各地方公共団体の御意見の中には、自分のところによけい来るようにしたいというためのいろいろ配慮も働いている面もこれは御納得をいただけると思います。そういう点については、十分第三者的な立場でものをながめながら、決して特定のところへ片寄るということのないように、そういう意味で各地方公共団体の意見は十分吸い取った形でやっていく、こういうふうに御理解をいただけたらと思います。
  131. 小川省吾

    小川(省)委員 地方団体の意見はよく十分に反映をしていただきたいと思っています。  それから、資料をお願いをしたいのですけれども、社会福祉関係の人件費の統一単価と特勤手当が、おそらくこれはかなり種類があるわけでありますけれども資料として出していただきたいのですが、委員長取り計らっていただきたいのですが、ぜひお願いをいたします。  それから算定省令のあり方なんですけれども、本来なら省令があって、そしてそれに基づいて自治体が計算をして要求をして交付するということになるのだろうと思いますね、筋論としては。しかし実際には、交付税の配分決定がされて、同時に算定省令が出てくるという形になっているわけなんですけれども、同時に省令が出てくるというのはおかしいのじゃないかというふうに思いますけれども、算定省令を早く出すということはできないわけでしょうか。
  132. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 この点につきましては、一度省令を出してしまうとあとが動かなくなる、動かなくなってしまうと数値が合わなくなるという問題がございます。それらの実情をひとつ御勘案の上、御理解を賜われたらしあわせだと思います。
  133. 小川省吾

    小川(省)委員 だいぶ時間をせかされているようですから、最後に一点だけ伺っておきます。  これはホームヘルパーの問題なんですけれども、ホームヘルパーの身分の確立と処遇の改善なんです。これによりますと、ホームヘルパーの賃金は五万五千円というふうな形になっているわけですね。これは期末手当の四・八カ月というものを含めてもかなり低い額になると思います。そういう点で、ホームヘルパーというのは一般行政職給料表でいうならば何等級何号ぐらいの職だというふうに公務員部は考えているわけですか。
  134. 植弘親民

    植弘政府委員 ホームヘルパーについては、すでに先生からもたびたび御質問がございましたが、その性格論も基本的問題がございます。現実も、常勤のものもあれば非常勤のものもあり、定数化されているものもあればそうではないものもあるといった状態でございまして、単純にこれを何等級に当てはめるというわけにはまいりませんが、しいていうならば行政職の(二)表の四等級の十号ぐらいが五万五千円ぐらいになります。しかしこれはただ単に数字の問題でありまして、本質的にこれがどうだということじゃないと思います。
  135. 小川省吾

    小川(省)委員 どうも低きに失すると思うのです、低過ぎると思うのですね。そういう点ではこれは身分の確立が基本になります。常勤であり非常勤であり、あるいは市町村の職員でありあるいは福祉協会の職員だとか、いろいろになっているわけですけれども、身分の確立と処遇の改善をしてもらいたい。中卒の初任給程度ですよ、四・八カ月の特別給与を入れても。これではあまりにも低いので、これは時間がありませんから特にまた別に触れるとして、処遇の改善を要請しておきたいと思います。  最後に、あと一つだけちょっとお聞きしたいのですが、大臣が参議院予算委員会ですか、特別交付税について、これを引き下げるというふうな話があったようであります。最近は交付税が確かに大型になってきておりますが、特別交付税のほうがかなり多くなってきているわけであります。そういう意味で給与統制の具に供されている向きもあるわけでありますけれども、そういう点では六%を四%程度にむしろ減らすべきではないか、そしてルール化したものは普通交付税に回すべきではないかというふうに考えているわけですが、大臣が参議院で返答した内容というものはどんなふうなものですか。
  136. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 私、同席いたしておりましたので、政務次官にかわってお答え申し上げますが、大臣がお答え申し上げましたのは、現在の特別交付税の中にもある程度ルール化されているものもございます。そういうものについて普通交付税の中に算入できるかどうか、十分検討をいたしてみたい。そういうものが可能であれば特別交付税の率を下げるということも一できるだろう。そういう、普通交付税の中に算入できるかどうかという問題も含めてひとつ検討さしていただきたい、こういう答弁を大臣はなさっておられました。
  137. 小川省吾

    小川(省)委員 まっとうな筋論だと思うのです。そういう意味では、最近大型化をした特別交付税に問題があって、六%という額に問題があるから、財政局は給与統制みたいなことを特別交付税を通じてやられているのだと思いますから、そういうものもやめると同時に、いま言われたようなルール化をしたものは普通交付税に移すようにしていかれることを強く望んでおきたいと思います。  終わります。
  138. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 小川君に申し上げます。さいぜんの資料の問題を御相談ください。具体的によくわからなかったのもあるようですから、資料提出について御相談願います。  林百郎君。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 全面的な質問は後にまたわが党の各議員からなされますので、私は問題点だけ拾い上げて御質問したいと思うのですが、まず最初に地方財政計画全体の正確度といいますか、一体これで政府地方自治体に責任が持てるものであるかどうかという点について質問をしてみたいと思うのです。  まず最初に自治省にお尋ねしますが、本年度地方財政計画、また交付税の計数は、いつの時点の卸売り物価、消費者物価あるいは経済成長率、こういうものを基礎にしておつくりになったのですか。
  140. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 本年一月十九日に閣議決定されました昭和四十九年度の経済見通しと経済運営の基本的態度、これに用いられております数値を基礎に使ってやっております。
  141. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたの言われる昭和四十九年度の経済見通しによりますと、卸売り物価指数は上昇率幾らと見、消費者物価指数は幾らと見ていたのですか。
  142. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 四十八年度から四十九年度の伸び率として、卸売り物価一四・六、消費者物価九・六という数字にこの閣議決定の中の数字はなっております。
  143. 林百郎

    ○林(百)委員 経済企画庁にお尋をしますが、本年の二月あるいはごく最近の卸売り物価指数、消費者物価はどうなっておりますか。一月、二月、それから三月の上半期がわかったら知らせていただきたい。
  144. 加藤和夫

    ○加藤説明員 消費者物価につきましては、四十九年一月、全国で二三・一%でございます。それから卸売り物価は同じく一月で三四%でございます。それから消費者物価はいまのところ二月の東京速報しか出ておりませんが、これが二四%でございます。卸売り物価は二月が三七%という数値になっております。三月はまだ発表されておりません。
  145. 林百郎

    ○林(百)委員 自治省にお尋ねします。  この情勢ですね。いま一月、二月のが出ましたが、これは自治省が地方財政計画をつくるときの卸売り物価指数の見通し消費者物価指数の見通しの、大体、卸売り物価は二倍以上、消費者物価は三倍以上の対前年度比の上昇率を示しているわけですが、一体これが、あなた方が地方財政計画をつくった基礎であるこの経済見通しに落ちつくというお考えなんですか。あるいはこれは根本的に見直さなければならないのじゃないですか。
  146. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 国の予算の編成もただいま申し上げたような基礎数値によってつくられ、それぞれ国の定められた予算のあとを追う形で、公共事業補助金等につきましては地方財政計画で裏負担を見るという形をとっております。したがって、地方財政計画の問題といたしましては、先生がおっしゃられるような卸売り物価あるいは消費者物価、こういったものについては、前提に置きました数値が相当狂ってきておるということは、これは率直に認めざるを得ないと思います。  ただ問題は、こういうことは私どもが答弁すべき問題ではないかと思いますけれども、大蔵大臣が予算委員会等で御答弁なさっておられるとおり、物価の状況がこれからどうなっていくか、鎮静させるべく努力をしておるところなのでという御答弁をなさっておられますが、われわれといたしましても、現実の問題として来年度に入ってどのように物価が動いていくかということを見定めませんと、この計画が現実に合うか合わないかということをあまりこの場で早く即断をしてしまうのはいかがかと思います。それからまた、われわれの立場もひとつ御了承をいただけたらしあわせだと思います。
  147. 林百郎

    ○林(百)委員 これはあなたのおっしゃるように、大蔵大臣なり国務大臣に責任ある答弁を聞かなければ、事務当局に聞いたのではかみ合ってこないわけなんですけれども、しかし、いずれにしても、このいまわれわれが審議しておる地方財政計画の経済見通しがもう非常な大きな狂いを示しておる。その狂いを示しておる数字を基礎にして補助単価をきめられ、あるいは基準財政需要額あるいはそれに対するいろいろの関係の計数をつくったとしても、これはくずれるか、あるいは適当なときに見直しをせざるを得ないことはもう火を見るよりも明らかなように思うわけなんですが、これは大蔵大臣に聞かなければならないので、次官にお聞きしてもこれはちょっとむずかしいと思うのですけれども、企画庁では、一体こういう情勢の中で、昭和四十九年度見通し、卸売り物価指数一四・六、消費者物価上昇率、対前年度九・六%、こういうところで落ちつくという何か要因はあるのですか。
  148. 加藤和夫

    ○加藤説明員 先生指摘の数字でございますが、これは各月の対前年同期比でございますが、たとえば四十八暦年でございますと、消費者物価指数は前年比一一・七%になっております。それから四十八年度、つまり三月末まででございますが、三月末までは、経済見通しでございますと、消費者物価は実績の見込みといたしまして大体一四%を見込んでおります。この計数が、もちろん実際には変わってくることは予想されますけれども年度平均としてはそう大きく動くといいますか、そういうふうにはならないのではないか。それから卸売り物価については二月から鎮静ぎみの傾向が見えておりますので、これを消費者物価の安定する基盤の一つと見ることができますので、来年にかけて物価上昇の足取りはぐっと弱まってくるのではないか。そういうことで、来年度消費者物価の上がり方を九・六%というふうに見込み、卸売り物価については一四・六%程度と見込んでいるわけでございます。
  149. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたも御承知のとおり、特に物価がギャロッピングに上昇してきたのは昨年の十一月から十二月にかけてのわけでしょう。それで国会でも一問題になりまして、ことに石油関係では非常に人為的な、作為的なカルテルがあるとか、それから売り惜しみ、買い占めがあったとかいうことでぐっと上がってきているわけでしょう。しかしそれが、そのカルテルの破棄が命ぜられても、一たん上がった物価はそのままで維持されておるわけです。それは下がっておらないわけなんですよ。だから、あなたは四十八年度平均とかなんとか言いましたけれども、ことに問題は、そういう物価が急上昇してきた十一月、十二月、一月、二月が、卸売り物価が三四、消費者物価が二四というような、あなたの言う消費者物価九・六%、卸売り物価一四・六%と非常にかけ離れた数字が出てきているでしょう。これが、消費者物価が三分の一に下がる、卸売り物価が二分の一に下がるなんという要因はどこにあるのですか。石油の値段は上がるでしょう、見通しから見たって。電力料金は上がるでしょう。公共料金は、国鉄料金は上がるでしょう。私鉄料金も上がるでしょう。上がる要因はあっても、あなたの言う、二月は卸売り物価が、政府が経済見通しをしたときの二分の一になる、消費者物価が三分の一に下がるという要因は一体どこから出てくるのですか。そんなことは常識で考えたって考えられないのじゃないですか。根拠があるなら示してください。
  150. 加藤和夫

    ○加藤説明員 ただいま申し上げております数字は、たとえば四十九年の二月、東京速報でいうと二四%上がっておりますが、これは前年の二月に比べてということでございます。したがいまして、政府見通しといたしまして四十九年度がどうなるかということは、四十八年度全体の指数と四十九年度の指数の比を見通しておるわけでございますから、四十九年度の上昇率は四十八年度が確定して後にどれだけ上がるかという、そういう平均との差でございます。したがいまして、上昇率そのものは高まっておりますが、来年度がこういうふうに急激に上がるということを予定しておるわけではございません。
  151. 林百郎

    ○林(百)委員 もう、一月、二月を見ても、対前年度比、月別にしてみても非常に上昇の方向が早まっている。これは昨年の十一月、十二月からでしょう。それが四十八年度の平均になり、四十九年度平均になっても、この対前年度比の上昇率が急カーブに下がる、そういう要因は一体どこにあるというのですか。
  152. 加藤和夫

    ○加藤説明員 本年度の分につきましては、実績見込みとして二〇%強見込んでおりますが、それをこしておるわけでございます。ただ、卸売り物価は二月に、需要関係あるいは消費の鎮静化、そういう状況もございまして、原油価格の引き上げ等を懸念される状況は非常に多うございますが、来年度になりますれば今年度水準よりも伸びていく率は低くなるだろう。ですから、角度が下がるというよりも、立ち方がゆるやかになるということを期待しておるわけでございます。
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 昨年の十一月、十二月、一月、二月がぐっと上がっていますから、四十八年度を平均すれば、対四十七年度比は非常に高い比率になると思いますよ。それを今度四十九年度と比較しますから、上がる率はそう急カーブにならないといっても、その四十九年度に比較される四十八年度というものは、この十一、十二、一、二で、対前年度比、卸売り物価三四、消費者物価二十何%というような上昇率になっているわけでしょう。  そうすると、この地方財政計画を立てたのは、これはもう、予算策定の計画は昨年の十月ごろから始めているわけですから、実際は十月ごろの、非常にギャロッピングに物価が上がっているころの前の指数やいろいろのものを基礎にして予算は一応つくっていると私は思うのですよ。そうすれば、昨年の十一月、十二月、ことしの一月、二月のこの急上昇の物価の値上がり状態からして、国の財政はもちろんのこと、地方財政計画も一応見直しあるいは洗い直しを必要とする時期が来ないだろうか。たとえば対前年度比、あなたの言うように四十九年度が四十八年度に比較しての上昇率がえらい大きなカーブで上がっていかないにしても、その四十八年度平均というのは非常に高くなった十一、十二、一、二、三を入れての平均になれば、それは全体は高くなりますよ。しかしこの地方財政計画というのはもう現実的には十月ごろから作業を始めているわけなんですから、そうすれば、物価が急速に上がっている前のいろいろの指数から地方財政計画あるいは補助単価あるいは基準財政需要額あるいはそれへの計数等も計算しておるわけなんですから、それはある時期には一応見直す必要はないのか。そういうことをお感じにならないかどうかということですよ。  もしわからなかったら自治省答えてください。このままで通る自信があるのですか。これで何%上がっているからことしは非常に率がいいのだといっても、それが実質的にそういう効果をあらわすような経済見通しになっているのかどうかということです。
  154. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 お説のとおり、今後の物価がどのように推移していくかということについてはきわめてむずかしい問題だと思います。卸売り物価一四・六、消費者物価九・六、この上昇率の範囲におさまるかおさまらないか、私どもも何とも見通しがつけがたい状況でございます。  ただ言い得ることは、経済の実勢というものにある程度地方財政計画がマッチしていないと現実の地方財政の運営が苦しい、こういう問題が当然出てくると思います。現在の段階で見直しをしなければならなくなるのか、あるいは見直しをしないでいいのか、その辺のところについては何ともお答え申し上げかねますが、かりに著しく見通しが食い違って、現実とかけ離れた状況になるという事態になりますれば、当然見直しをしなければならないということになろうかと思います。  たとえば、一番いい例は給与の問題だろうと思いますが、今度の地方財政計画では五%を給与費、それから約三%程度を一般行政費の中に組み込んでおりまして、八%程度のベースアップでございますればいまの財政計画で消化ができるというふうにわれわれは思っております。かりにこれが、世上いわれておりますように二〇%をこすというような形になりますれば、先般も小山先生から御質問がございましたように、膨大な金が地方財政計画上不足になってまいります。これも一つの見直しであろうかと私は思っております。この前もお答え申し上げましたように、当然、地方団体が人事院の勧告の内容に準じて給与改定が行なえるように、国に対して財政措置を要求するということをお答え申し上げた次第でございますが、それぞれの問題について地方公共団体が実際の運営にお困りにならないように、われわれとしては国と折衝していくということは当然のことであるというふうに考えております。
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ技術的なことをお尋ねしますが、一体、自治省ではこの地方財政計画や基準財政需要額の計数の作業は例年いつごろから始めるのですか。もう国の予算というのは十二月にできちゃうわけですからね。先ほどの松浦財政局長のお話だと一月の政府の経済見通しだと言いましたが、実際の作業はもうその前にやっているわけでしょう。大体国の予算と同時期ぐらいに、若干ずれますけれども、発表するのですが、実際の作業は昨年の十月ごろから始めて、十二月ごろは相当コンクリートしてきているのじゃないですか。
  156. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 国がこの一月十九日に閣議決定された見通しの数値をお使いになっておりますので自治省も使ったということになったわけでございます。それじゃ、国の予算が年末には決定をしているじゃないかということだと思います。私どももよくわかりませんが、この一月十九日に発表した作業の内容というものは国がやっているわけでございますから、その点をある程度承知をしておって、その数値を使って組んだろうというふうに私ども受け取っております。実際の作業は、先生指摘のように、十月からやりますと申しましても、国庫補助金がきまりませんと地方財政計画は全然組めません。それから基準財政需要額等についても、補助率等が変更すれば組みかえなければなりません。したがって、地方財政計画の具体的な中身に入っていくというのは、ある程度の概算は国と折衝する前におおよその見通しをつけますけれども、最終的に締めに入るのは国の予算がきまってから、すなわち今年度は二十九日にきまりましたが、お正月だけは休ませていただきまして、四日から作業に入った、こういうことでございます。交付税の単位費用につきましてもそういう形でやります。  なお、総体の計数を合わせるために普通交付税の配分の補正係数等については、この交付税法を議会で御議決をいただいた上、作業に入るというのがこれまでの慣例でございます。
  157. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは大蔵省お尋ねしますが、これは銀行課長が見えているのですが、大蔵省としては、いまの経済企画庁のこの見通しのもとで、本年度卸売り物価対前年比一四・六、消費者物価対前年比九・六ということでずっと予算を組んでいって、いまの情勢からいって、それから四十九年度の後半期の公共料金の引き上げあるいは寡占価格の引き上げ等の情勢からいって、補正なり見直しなりを四十九年度予算についてやる時期がくるのではないか、そういう見通しは持たないのでしょうか。持つ必要がないというお考えですか、あるいはこの情勢からいえばそういう時期がいずれはくるのではないかという見通しをお持ちですか、どっちですか。
  158. 清水汪

    ○清水説明員 たいへん恐縮でございますが、私、銀行課長でございまして、ただいまの御質問にお答えするにははなはだ所管が違うわけでございますのでお許しをいただきたいと思いますが、ただ大蔵省におります者の一員として感じておりますことは、やはり現在の総需要抑制ということで、一刻も早く物価を鈍化させる、あるいは安定させるというところにすべての政策の第一目標を置いている、そういう観点から、私ども関係しております金融政策も、ここにきましてかなり強度の引き締めをしているわけでございます。したがいまして、われわれといたしましてはこの効果を一刻も早く見きわめたいというのが現在の心境でございます。したがいまして、さらに四十九年度一ぱいを見通しましてどうなるかという御質問に対しましては、たいへん恐縮でございますが、おそらくいまの段階ではお答えを出すことは非常にむずかしいのじゃなかろうか、かように考えます。
  159. 林百郎

    ○林(百)委員 銀行課長ですから無理ないと思います。  それではここにいる政府の最高の政治責任者である古屋さんにお尋ねするよりしようがないのですが、政府方針は、本年度の物価については、田中総理は速戦即決でやると最初言っていたわけですね。速戦即決で直ちに物価の鎮静政策をとる。三月か四月ごろまでには何とかしますと言ってきた。それが夏ごろには何とかと、だんだん後退しているわけですね。だから、物価の鎮静というのは、主観的な希望としては持っているかもしれませんが、やはりこの物価の異常な騰勢、これはなかなか直ちに効果があらわれないということのほうが現実的ではなかろうか。現に庶民から言わせれば、物価は上がり通しで、ちっとも下がったなんという感じは持っていないわけですから、そういう情勢のもとで、補助単価が上がれば上がるほどいいにきまっていますけれども、二割上がったとかあるいは三割上がったとか、こういうようなことで、いかにもそれが地方財政計画の目玉みたいに言っていますが、しかしこのままでいって、卸売り物価が対前年比少なくとも三〇%前後、消費者物価が対前年比二〇%前後のこの物価騰勢の状態が平均的にずっといくとすれば、名目的には補助単価やあるいは基準財政需要額のアップ率を上げたにしても、実質的にはそれだけの効果がないのではないかというように私たちは心配をしておりますし、その心配が非常に現実的のように思うのですけれども、これはどうでしょうか。もちろんそういう事態が起きればこれは手直ししなければならないのは当然ですけれども、あなた、田中内閣の中に参加している一員として、そういう考えをお持ちになりませんか。
  160. 古屋亨

    ○古屋政府委員 いまの林先生お尋ねでございますが、政務次官というのはその省の大臣を代理するということになっておるもので、国全体の問題については、私が自治省の政務次官という立場では、申し上げるのはちょっと適当でないかと思いますが、私の感じなどを含めて率直に申し上げますれば、御承知のように、とにかくいまは物価の騰貴を抑制していくということを最重点にしているわけでありまして、ただ先ほどのお話のように昨年の十一月、十二月をピークといたしまして上がっておりますが、毎月報告しておるアップ率、これは二月まではアップ率が、昨年の十一月をピークとして若干下がっているように私は聞いておりますし、また学者もそういうことを言っているようでございます。ただ、これがこのまま続けられるかということになりますと、石油の問題あるいは電力料金またベースアップとかいろいろございまして、私もそういう点では、いまの騰勢を下げていけるかどうかということにつきましては非常に心配しておりますが、ただ現実の問題として、経済評論家なんかのいろいろな話を聞いてみますと、たとえば、適当な例でないかもしれませんが、都内のマンションとかあるいはゴルフ会員権というのは三割下がっておるとか、あるいは都内のマンションがずいぶんあいておって、ものによりましてはその値段よりも安くできる、これは例が適当でないかもしれませんが、そういうことも言われているわけでございます。だから、要するに総需要抑制というのは結局物価を下げていこうということがねらいでございますので、私ども地方財政におきましても、もしお話しのような非常に値上がりをして単価が適当でないという場合には、国に対して、それぞれの主管省に対しましてもそういうような事情を十分説明いたしまして、単価アップ、そういう問題については前向きの姿勢でもちろん対処して交渉してまいりますし、また地方財政計画におきましても、先ほど局長から給与の問題その他の例を一応あげましたが、一般的にそういうような事態に対しまして、来ないことをこいねがっておると申しますか、祈念しておりますけれども、やはり現実がそういうようになりました場合には、単価の是正なり、そういうような計画についても手直しをすることは、私は必要になってくるのではなかろうかというふうに考えております。
  161. 林百郎

    ○林(百)委員 交付税法の審議をしているときに、政府側に、これは非常に変動的なものであってあまり確信を持てませんという答弁を求めたって、それは求めるほうが無理かもしれません。ただ、常識的にいって、実際仕事をするのは地方自治体ですからね。それは予算は国が組むし、自治省も地方財政計画やあるいは基準財政需要額を一応計算しますけれども、建設事業にしてもあるいは厚生事業にしてもあるいは教育事業にしても、やるのは地方自治体なんです。実際、物価の異常な騰貴と直面するのは地方自治体なんです。いま言ったような、計数が幾らか鈍化したとかなんか言ったって、実際のところ異常な物価騰貴の状態にあるわけなんですから、いま次官もおっしゃるように、地方自治体がいろいろの点でもう無理が出てきている。いまの補助単価では、あるいは基準財政需要額では、あるいはこの計数補正ではどうも現実に合わないというような声が起きた場合は、自治省としても弾力的な姿勢をもって、国政全般の中へその意見反映するような態度をいまから持つ必要があるのじゃないか、こういうように思うわけなんですが、その点はどうでしょうか。
  162. 古屋亨

    ○古屋政府委員 私どももいまのように、地方自治体が住民の生活と福祉の直接の当面者でございますので、それが事業の執行に差しつかえるようになったり、あるいはまた福祉行政ができなくなるということはたいへんでございますので、いまお話しになりましたような点は十分意を体して、あくまでも地方自治推進という、住民の生活を維持するという立場に立って処理をしてまいりたいと思っておりまして、必要によりましては大蔵省当局にも、あるいは関係省庁にも十分折衝いたしますし、また自治省自体の問題といたしましても善処をしてまいりたいと思っております。
  163. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう意味で、私はこの制度は決して賛成する制度じゃありませんけれども交付税の中へ何か一定のワクをはめたような性格を持った資金の制度を持っておる、いわゆる本年度の中にある財政調整資金ですね、これは、自治省としても将来の見通しがどうも不安定だ、やはりこういう若干の調整資金を持たしておく必要があるじゃないかということでつくったように思うわけなんです。しかし、本来地方自治体が自主的に使うことのできる交付税交付金に対して、こういうワクを上のほうからはめるということについては私はにわかに賛成いたしがたいわけなんですが、しかし制度としてどういう意味を持ったものか。いまの地方財政計画の見通し関連して、財政調整資金の性格というものをこの際聞いておきたいと思うのです。
  164. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、経済の動向というものを必ずしも的確につかみがたい状況でございまして、地方財政全体の中での計数のやりくりはある程度できましても、個々の団体については非常にいろいろ経済変動の影響を受けるウエートが強かろうという判断で、国の予備費に相当するようなものというふうな考え方で財政計画に組み込んでみたらどうだろうかというのが当初の発想でございまして、この点につきましては、私の記憶違いかもしれませんが、民社党の折小野先生からも先般の補正予算のときに御指摘をいただいたところでございます。  そういう考えから実は策定をいたしたわけでございますが、その際に一つすでに私どもの頭にございましたことは、先般高等学校と幼稚園の給与改定の勧告が人確法に関してなされましたが、当時そういうものがなされるであろうということはわかっておりましたけれども、何%になるかということは皆目見当がつきませんでした。そうなりますと、すでに要因としてわかっておるのに計数的に組み込めない、こういうことになりますことは非常に困りますので、これらのものもそういった中から支出をしていただこうというつもりで、頭の中にその問題を含めて考えておったわけでございます。しかし金額的には、千三百億、交付団体で約一千億でございまして、高等学校、幼稚園というような計算をいたしましても、平年度化分としてはおよそ二百億をちょっと上回る程度でございますので、まだ十分いろいろの余裕をこの資金の中には持ち得る。  それじゃ一体そういうものをどうするのかということでございますが、私どもとしては、先般の小山先生の御質問にも一お答えを申し上げましたが、この金をベース改定の差額に充てるというようなつもりで考えているのではない。国のたとえば補助単価が——こういうことをいまの段階で申し上げてはいけないのかもしれませんが、かりにというふうにひとつお聞き取りをいただきたいのでありますが、かりに学校の建築単価が現実に合わなくなって、上げなければならなくなる。そうすると国は予備費をお使いになる。ところが地方団体の裏負担については、補正予算がない限りは財源が出てこないわけです。そういう場合には、これもこういうところに充てたらどうかという指導をしていきたい、こういうふうな考え方で、そういう頭を置きながら財政調整資金というものを組んだつもりでございます。
  165. 林百郎

    ○林(百)委員 どうもその性格がはっきりしませんのでこれは小山先生質問されたのですけれども、やはり与党ですから詰めが少し甘かったのではないかというふうに思われます。これは交付税交付金ですね。三二%のワクの中にあるわけでしょう。本来ならば自治体の自主的な用途にまかせられるべきものを、財政調整資金として千三百億のものは予備費的なものとしてとっておけというのですか。手をつけてはいけないというのですかね。それとも手をつけていいのですか。どうなんですか。
  166. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 交付税にはひもをつけるということは私どもとしては考えておりません。ただ算定の基礎の上ではこういうふうに入っておりますよ。この金については、私どもとしては積み立て金に積んでいただくなり、あるいは財源留保というかっこうで、予算に上げないなりしておいていただいて、こちらからあとで、出てくる需要についての使い方というか、こういうものに使ったらどうですかということの御指導は申し上げたい、こう思っておりますけれども、それに反した、やらなかったから交付税法違反だとか、そういうことを申し上げる趣旨は毛頭ございません。ただ、たとえばいまお話し申し上げました高等学校、幼稚園の問題なんかは当然出てくることが予想されておったので、それじゃ荒っぽく大まかな数字で給与費の中に入れておけばこういう問題は起きないわけです。しかしそれではあまり地方財政当局として、われわれとしては説明ができないということで、そういうものを含めてこういう経費を盛った、こういうことでございます。
  167. 林百郎

    ○林(百)委員 ちょっとわからないのですけれども一ね。そうすると、千三百億については、自治省は行政指導としては、これを積んでおきなさい、そして地方公務員のベースアップの八%分は組んであるけれども、それをオーバーするような場合、緊急の場合はこれをとりあえず使いなさいというような行政指導をするわけなんですか。これは地方交付税法の三条、地方財政法の二条から見ても、交付税交付金についてそういう自治体の自主性をそこなうようなことをワクをはめるということは、この精神からいってもできないことじゃないでしょうか。  それは自治省が、大事をとって、こうしておきなさいということはわかります。それは、地方自治体の財政的な余裕があるときにえらいむだ使いしないで、これだけくらいは大事にとっておいたらどうですかということはわかります。しかしこういう、物価の見通しが、将来非常にインフレで上がるという見通しのもとで、私は、おそらくいま地方自治体は余裕がないので、三二%の交付税なんというものはもう筒一ぱい使いたいと思うのですよ。それを、何だか使っていいような悪いような、手をつければあとでしかられるかもしれないような、何かわからないような、おまえのところは、ちゃんと財政調整資金でそこのところを自治省では見ておいたのに使ったから、おまえのほうが悪いんだから、それは何とかあとで財源を捻出しろとかなんとかいうことになるとたいへんなことになります。国では補正予算を組みますし、自治省でも、当初の見通しよりも緊急な、たとえば人事院勧告が二けたというような場合は、これはまた補正的な措置もしなければならないわけなんですが、そういう措置もあるのに、何か千三百億を手をつけていいような悪いようなものとして、おそらく行政指導として通達か何か出されるでしょうけれども、何か性格のあいまいなもので、自治体としては実際のところ困りはしませんかね。どうでしょう。
  168. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 交付税上の精神としては先生のおっしゃるとおりで、私ども異論はございません。  私どもが申し上げておりますのは、千三百億というものを財政計画に組んで、これを交付税の財政需要に入れますよ。需要に入れました金をどうお使いになるか、これは地方公共団体にお渡ししたものでございますからけっこうでございます。しかし、あらかじめ使ってしまっておくと、あとから出てきた要因に対しては、ああいう財政計画上の予備費的なものがあるんだから財政措置はいたしませんよという問題が出てきた場合に、お使いになってしまってはお困りになるだろう。だから、これだけの金額が需要に入っておりますから、積み立てるなりあるいは財源留保をしておいていただきたい、こういう御指導を申し上げたいと私どもとしては考えております。
  169. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、基準財政需要額の中のどういう要因が千三百億に結集されているわけなんですか。
  170. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 今度の交付税法改正の中に御審議いただくようにいたしておりますが、一つの項目を、土地開発基金と財政調整資金については別々に立てる。それによって単位費用で計算をしていくということであります。
  171. 林百郎

    ○林(百)委員 まあ、釈迦に説法ですが、交付税交付金というのは、基準財政需要額があって、それが基準財政収入額でまかなえない分を交付税交付金で満たすわけなんですから、もう基準財政需要額はずっと出ているわけなんです。それはもう使い道はちゃんとあって、それが基準財政収入額で足りないから交付税交付金を出すわけなんです。だから、そのほかにこれは余分に手をつけないでおいたほうがよろしいですよというものは一体何なんですか。基準財政需要額の中のどういうものを認めて、そしてこれはいますぐ使うものじゃありませんよ、将来の財政需要額として発生する場合がありますからそこに積んでおきなさいというのですから、どういうものなんですか。
  172. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 交付税需要計算の中で一つの項目を立てて、財政調整資金——ある県について一つ例を申し上げると、十億円という需要が計算される。これがなければ交付税は十億円少なくなるわけでございます。そこで十億円積んであるのだから、十億円積み立て金にするなりあるいは財源留保というかっこうで保留をして、そして将来の財政措置が行なわれないような増加要因にこれを充てるように心がけてもらいたい、こういう趣旨でございます。
  173. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、将来予測される、財政調整資金をもって引き当てなければならない需要というものをもう一度聞かせていただきたいのですが、どういうものと見ているわけなんですか。
  174. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 現在の段階においてこれをあまり申し上げてしまいますと、いろいろこれから折衝するのに差しさわりがございますが、少なくとも私どもは、小山先生の御質問にお答えを申しましたが、給与改定の不足分にこの金を充てようなんというつもりはございません。たとえば高等学校、幼稚園の先生のベースアップの平年度化分、あるいは国が予備費で若干手直しをする単価の是正等がかりにありました場合にその裏負担など、金額的にも、全体が交付税で千三百億でございますから、そんな大きなことはこの中では考えられないわけでございます。ただ、いまの段階でどういうものが起きてくるかは、私どもにも予測できません。だから、最初から予備費的な感覚でと申し上げている点をひとつおくみ取りをいただきたいと思うわけでございます。
  175. 林百郎

    ○林(百)委員 わかったようなわからないようなものですが、基準財政需要額のほうから聞いていくとあなたのほうでそういう答弁をするかもしれません。しかし、三税の三二%は当然地方自治体に交付税交付金として付与されるものである。それは地方自治体の財政的な自治権に基づいてどう使ってもいいものである。これはもう交付税法によっても地方財政法によってもきまっているわけなんですが、それに対して、将来何か不確定要因があった場合にこれをとっておきなさいというようなことを自治省が行政指導するのは、地方自治体の財政自治権からいって、本来三税の三二%は自治体に与えるべきも一のなんですから、おかしいんじゃないですか。下のほうから言っていけばあなたの言うように、不確定的な要因が出てくるから、何か調整的なものとしてそのときのためにとっておかれたほうがいいでしょうと言われるから、では上のほうから言いますよ。どうでしょう。
  176. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 基本的にはその説に私どもは反論するものを持ち合わせません。しかしながら現実の問題として、財政計画を組みました中で、人件費についてはかくかく、物件費にはかくかくということの積み上げをして、国の予算編成方針に合わせた形で積み上げをやっているわけです。土地開発基金の千四百億というものも、これも積み上げをして、千三百億という財政調整資金が残っておるわけなんです。この財政調整資金をこういう形で組みました以上、たとえばいまの高等学校、幼稚園、これらのベースアップの平年度化に要する経費を国のほうにさらに交付税としてもらいたいといっても、これはあくまで財源措置の問題として、私は受け入れられることはないんじゃないか。もしそういうことになりますと御自由に三二%分はお使いいただいてけっこうでございますけれども、措置してもらえると地方公共団体が思っていたものが措置されなかった場合にお困りになるだろう、そういう私どもの老婆心から——老婆心というとちょっといけませんかと思いますが、そういうふうにお受け取りをいただいたらどうかと思うのでございます。
  177. 林百郎

    ○林(百)委員 どうもおかしいのでして、そういう給与の平年度化あるいはそのほかで必要なものに使うかどうかということは、それは地方自治体が三二%の中で配慮すればいいのであって、それを自治省が、これだけのものは将来の非常に不確定な要因のためにとっておきなさいということまで言う権限は私はないと思いますよ。将来こういうことも起き得るかもしれないということを言われることはけっこうですよ。しかし、その他のもののために、本来自治体の自主的な財政権限であるべき三二%の交付税交付金を、何かおそるおそる、手をつけることもできない、いいのか悪いのかもわからないというような形で自治省が行政指導することは、それは自治体の自治権に対する自治省の干渉になりやしませんか。それは、こういうことがことしは起きるかもしれませんよということを念のために言うのはいいですよ。しかし、そのために三二%の金を、これは積んでおきなさいとか予備金的な性格にとっておきなさいということまで言うのは、それは言い過ぎだと思いますよ、私は。
  178. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 もう少しそれでは角度を変えて御説明申し上げますと、私どもとしては、ただいま例にあげました高等学校、幼稚園のベース改定等については、当然今度の財政計画の中に入れるべきものを、計数がわからなかったから入れておらない。そういうものは当然三二%の中で地方公共団体にお払いをいただきますよ、お払いいただきたい、新たな措置はいたしません。そういうような問題がこまかな問題について今後出てくるでしょう。だから、これ以上私どもは言いませんけれども、あえて言わせていただくならば、そういうものが出てきたときに、新たに財源措置をしてもらえるというふうに思われては困るので、こういう予備費的なものを積みました、こういうふうに申し上げれば、私は地方団体の干渉にはならないんじゃないかと思うわけでございます。表向きわかりやすく申し上げたので、非常に誤解をいただくような形になっておりますが、決して私どもはそういうつもりじゃございません。しかし、積み立てしなかったからといって、私どもはどうこう言って地方団体をしかるとか、そういうつもりはございません。ただ、新たに財源をくれといっても、もうないよといわざるを得ない事態になり得ることがあり得るということを申し上げておるわけであります。
  179. 林百郎

    ○林(百)委員 それは特別交付金をやったことだってあります。もし地方財政の財源が乏しいときには、三二%で必ずやらなければならないということはない。場合によっては四〇%に交付税率を上げることだってあり得ますから、そんな要らざる御心配をしなくたって、それはわれわれまた国会でやりますから。しかも自治省が、不確定でコンクリートすることのできない要因、自治省が額を出すことのできないもので、それを当てずっぽうに——当てずっぽうと言っちゃ言い過ぎかもしれませんけれども、大体このくらいになるだろうというようなことでやっておいて、そしてこれに手をつけちゃいけないなんということはおかしい。自治省ですらきめることができないものを——はっきりできないわけでしょう。だから約このくらいのものは手をつけないで、万一のときにとっておきなさいという程度のも一のなんですから、それを地方自治体にその責任を転嫁してしまって、自治省ですらわからない要因のために、当然使うことのできる三二%の金に手をつけるわけにいかないというような行政指導をなさることは、私は間違いだと思いますよ。もしそういう三二%の範囲内でまかなえないような要因が出てきたら、これはまた大蔵省と交渉して特別な交付金のことも考えられます。これは前例があったわけです。あるいは交付税率をどうかする、これは根本的な問題になりますが、そういうことも考えられるわけです。私はこの点は十分考えていただきたいと思います。  それでいま、実はこの点はまたいずれ経過を見ながらやりたいと思いますが、経済企画庁と大蔵省説明員が退席してよろしいかということになっていますが、それじゃ、経済企画庁はちょっと残っていてくれませんか、まだ物価の見通しやいろいろありますから。  大蔵省にお聞きしたいのは、選別融資の問題があるわけなんです。これは大阪なんかで非常に問題になっている。三谷議員もおそらくお聞きになるかと思いますけれども地方自治体が、たとえば教育施設のための敷地なんか買う場合に銀行から融資をしてもらいたい。まあ縁故債というような形になりますか、そういうような場合に、なるべく融資をするな、そういう通達を大蔵省で出しているようなんですけれども、しかし、人口急増地帯で子供の教育のための施設が必要なのに、それを、総需要抑制の名のもとに、銀行がなるべく地方自治体に融資をするなというような、そんなことをどうして大蔵省でいうのですか。そんなことをいうくらいなら、大企業に対する利子補給だとかあるいは商社に対する金融で、そのために売り惜しみ、買い占めの資金がだぶついたりインフレの要因になっている、そっちを締めたらいいんじゃないですか。自治体が銀行から借りる金というのはほんとうに血の出るような金ですよ。どこへ行ってもどうにも借りることができないから銀行へ行って借りて、しかもそれは決して、商社が使うように国民を困らせて物価を上がらせるような金じゃないですよ。子供に、夏の暑い盛りにプレハブの中で、風通しも悪いようなところで勉強させるとか、あるいは寒いのに暖房もとれないプレハブで勉強させるとか、そのプレハブの学校すらできない、その土地を買いたいというときに、大蔵省はその選別融資の中に、そういう教育施設の融資をするななんという通達をどうして銀行へ出すのですか。この点は直してください。
  180. 清水汪

    ○清水説明員 ただいま公社への融資の問題だと存じますが、おことばを返すようで恐縮でございますが、融資をするなというようなことを申しておるわけではございません。すでに御承知かと思いますが、一般的な選別融資の通達は出されております。さらにその前提といたしまして、昨年の初めからでございますが、期を追って各民間金融機関の貸し出しの総ワクというものについての規制がだんだんときびしくなっております。しかしながら、結論的に申しまして、いま先生のおっしゃいましたような、そういう義務教育施設のために必要な土地というようなものにつきましては、これは非常に緊急性が高いということはもう疑問の余地がないことだと私どもも思っておりまして、各金融機関に対しましては、一律に規制をするということではなくて、基本的な趣旨は、全体としての引き締めのワクの中で適合していただきたいということは前提でございますけれども、そのケースの実情に応じまして弾力的に協力するようにという方向で指導いたしております。  現に、多少数字的になりますけれども一、たとえばことしの一−三月について申し上げますと、たとえば都市銀行、あるいは地方銀行も同じでございますが、その許されております全体の貸し出し額というものは昨年の一−三月に比べますと約四割減ぐらいのワクになっているわけでございます。しかしながらその中におきまして、たとえば地方公社に対して融資をする見込みになっております——そのあと実績が集計されておりませんが、見込みになっております数字を見ますと、かなりその分については手厚く配分されるような実績が出つつあるように私どもは受けとめております。それにいたしましても必ずしも十分でないという点は私どもも感じておるわけでございますが、何とかそこは、できるだけ繰り延べできるものは延べていただきたいという協力も関係省にもお願いしておりますけれども、そういう折衝の上に立って緊急のものは何とか協力できるようにということで指導いたしてきておるわけでございます。今後も関係省の意見をよく聞きまして、民間金融機関を指導してまいりたい、このように考えております。
  181. 林百郎

    ○林(百)委員 これは清水さんによくわかっていただきたいと思いますが、たとえば開発銀行だとか輸出入銀行だとかあるいは商社に対する大銀行の融資だとかいうような、そういう利潤をあげるための資金の借り入れと、地方自治体の銀行への借り入れの申し入れとは本質的に違うわけなんです。地方自治体がもうけの事業をやっているわけじゃありません。地方自治体が銀行へ縁故債やいろいろの申し入れをするというようなことは、これはやはり地域住民の切実な要望に基づいて、その地域の人たちの健康の管理だとか、あるいは幼児のための保育行脚だとか、あるいは子供のための教育施設の完備、までいかないにしても、親のせつない気持ちにこたえるための最小限度の融資を申し込むわけなんですから、決してそんな、地方自治体がぜいたくしたりも一けるために銀行に資金を借り入れするというようなわけじゃありません。  そういう点で、あなたの答弁の中にも、ケース・バイ・ケースで、やむを得ないことに対してまで押えるつもりはありませんということがありましたので、この点は十分ケース・バイ・ケースで調べられまして、それで全般的にいって民間の商社なんかの借り入れ資金とは違うわけなんで、あなたも子供さんがあるかどうかわかりませんけれども、子供の教育施設をできるだけ完備したい、次の世代をしょって立つ子供のために何とか学校の施設もしてやりたいというような気持ちで地方自治体が銀行に行くわけなんですから、そういうのはなるべく前向きにそういう要望を満たしてやるような配慮をされたい、こういうことを要望しておきます。あなたの前向きな答弁をもう一度お聞きしまして、その点で前向きに取り組まれる、それから決して硬直した政策を持っているわけでもありません、方針を持っているわけではありません、そういう切実な自治体の要望に対しては選別融資のワクの中でもこたえていく、できるだけこたえていくつもりですという回答が得られるのならば、私はまたそういうことを自治体にも伝えますので、もう一度お聞きしておきます。それでお帰りくださってけっこうです。
  182. 清水汪

    ○清水説明員 これは他の委員会のときにもお答え申し上げたことでございますけれども、私どもがいまとっております金融引き締めといいますのは、主眼は短期の引き締めという観点にあるわけでございます。それから民間金融機関でございますので、各自治体がお考えになっております施策そのものについて、すべてにわたって詳しく承知しあるいは評価できるという立場にもない、そういう事情があろうかと思います。したがいまして、やはりその内容的な点につきましては関係各省の御指導というものをひとつ期待してやってまいりたいわけでございますが、資金そのものの緊急性ということに焦点を置きまして、各金融機関が全体のワクの中でできるだけ、いま先生のおっしゃいましたような趣旨を踏まえて最大限に協力するようにということで指導いたしておるわけでございますし、今後もそういうふうに指導していきたい。必ずしも通達をしゃくし定木に適用してやっていこうということでない点は、ぜひひとつ御了承いただきたいと思います。
  183. 林百郎

    ○林(百)委員 それではどうぞお帰りください。  これは各委員が聞かれておるわけなんですが、この年度間調整の千六百七十九億六千万ですか、調整減額ですね、これは一体どういうことなんですかね。まあ、総需要の抑制に協力するということだという答弁がそちらから返ってくるように思われるわけなんですけれども、しかし、本来地方自治体の自主的な財源であるものを、大蔵大臣と自治大臣の両大臣の折衝だけでそういうことができるものか。また、だれが折衝したか知りませんが、自治大臣だってそんな権限はないはずですわね。これは、交付税交付金はちゃんと交付税法で率がきまっているわけです。それは自治体にやらなければいけないわけなんです。それを、ことしはこれだけ借り上げますよ、いつ何年にはこれだけお返ししますというような、そういうことを従来は大蔵省と自治大臣がやっていたわけですが、いま聞くと大臣ではなくて、今度は事務当局だというが、一体事務当局はそんな権限を自治体のどこから付与されておるのですか、そういう交渉権限を。そんな権限があるのですか、自治省の皆さんに。
  184. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 これは事務当局がきめたのではなくて、自治大臣が自治省を代表して大蔵大臣と取りきめる。文書は、大臣同士のはないと申し上げました。その点はひとつ御理解を賜わりたいと思います。
  185. 林百郎

    ○林(百)委員 自治大臣はどういう権限に、法律のどの権限に基づいて——交付税法できまっておる、三税の三二%を交付税交付金として地方自治体に付与する、これは地方自治体の本来的な財源ですね、それを、大蔵大臣と交渉して、ことしはこれだけそれじゃあなたのほうにやりましょうというようなことをきめる権限はどこにあるのですか。
  186. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 御承知のように、これは千六百八十億返したということがきまっておるわけではないわけでございます。政府原案をきめたのでございまして、法律改正という形で国会に御提案を申し上げて御審議をいただいておるわけでございます。最終的に国会で御了承がいただけるということになりますと、初めて千六百八十億が返るということでございます。
  187. 林百郎

    ○林(百)委員 それは理屈の上からはそうなりますが、実際はもう取られたと同じことですね、これはあなた、与党の自民党の大臣がやられるのだからね。しかし、こういうことを国会だって認めることができるのですか。法律できまっていること、地方自治体のこれは本来的な財源であるものを、これだけのものをことしは大蔵省のほうへ貸しつけるというか、あるいは将来返すものを早く一括して返すということになるのか、いろいろ理屈のつけ方はあるでしょうけれども、しかし、本来的な三二%の交付税交付金の中から、こういうかってなことを毎年毎年自治大臣がやって、あとで国会で承認を求めると言ったって、それは理屈の上ではそうなっても、行政的な措置としてはこれだけ取られてしまうわけなんですからね。そういうことを一体できるのですか。どこかと相談なさったのですか、一体自治大臣は。本来なら、地方財政審議会なりいろいろな審議会もあるわけですね、あるいはそれぞれの地方自治体の組織があるわけでしょう。何のそういうものの意見も聞かなくて、ことしはこれだけ、千六百七十九億六千万ですか、大蔵省のほうへやりますよというようなことをきめること、できるのですか。そしてそれを国会へ持ってくるなんて権限ありますか。
  188. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 地方財政審議会の御意見も承りましたし、六団体にも御意見を求めて了解は得たつもりでございます。これはあくまで事実上の問題でございまして、法律的に申しますれば、本来の財源として地方交付税があるということはよくわかりますが、これはあくまで法律できめられているものでございますので、特例法という形で議会の御議決をいただければ、これは別に自治権の侵害になるというふうに私どもとしては理解をいたしておりません。  実際問題といたしましては、先ほど小川先生の御質問に政務次官からお答えを申し上げましたように、総体的に需要の抑制という国の基本方針に沿うということと、本年度地方税の伸びに相当なものも見込まれる、またもう一つは、千六百八十億かりに減額調整をいたしましても、前年度の伸びよりは伸び率の高い五千七十億程度の増額が交付税でも期待し得る、そういう状況下にございましたので、借りておりますものを実質的に返済をするという形をとるということにいたしたわけでございます。  しかも、先ほど小川先生の御質問にもございましたように、それじゃ事務当局同士で何か文書があるだろうというお話がございましたが、事実ございます。それはあくまで、いままで借りておったものをこれできちんと帳消しにしますよということと、使いました千六百八十億、減額調整されました千六百八十億は、地方公共団体の財政運営に資するように国の予算の編成に際して使ってもらうのだ、そういうことについて文書で一応事務当局同士でやりとりをいたしました。それを根っこにいたしまして、たとえば補助単価の問題だったらこの程度にしてくれ、あるいは下水の補助率を上げてほしい、人口急増の補助率を上げてほしい、基地交付金についてもうちの要求どおり認めてほしい、こういう各種の折衝を重ねておりますし、またその成果はわれわれとしては相当のものがかちとり得た——かちとりということばはよくありませんが、相当成果があったというふうに考えております。したがって、後年度においてこれで返す必要はないわけでございますので、ほんとう地方財政が苦しい段階においては、もうお借りはないわけでございますから、堂々とまた、別にくれ、あるいは貸してくれということも言い得るだろう、ざっくばらんに申し上げますれば、そういう意味合いを含めて、決して、やりとりとしては地方公共団体から反対をいただくものではないという判断のもとに大臣がおきめになられた、こういうことでございます。
  189. 林百郎

    ○林(百)委員 それではその六団体が承知したという資料を当委員会へ出してください。委員長、それを出してください。これは重大な問題だ。毎年こんなことをやっているのですよ。かってにこんなことできるはずないですよ。六団体だって本来権限はないはずです。ましてや自治大臣がそんなことを大蔵省と折衝する権限ないはずですよ。それから総需要抑制といったって、総需要抑制なんというのは中央政府のインフレーション政策でこうなったんで、それを地方自治体がインフレーション政策のまるで一役買ったようなことで、そのしわ寄せを地方自治団体に寄せることだって問題なんです。だから、事務当局で取りかわした文書と、六団体が承知したというならその会議録でもいいから、委員長、出してください。私はこんなことは絶対しちゃいかぬと思うのですよ。第一、インフレが進んでいけば、借金は、先へいけばいくほど軽い金で返せばいいのですよ。いま何も急いでこんなもの返す必要はないですよ。あなただってそうでしょう。あなた、借金していたらなるべく先でお返ししなさいな。これは札、軽くなるんだから楽ですよ。それをあなた、いま何で先に返さなければいけないのですか。先でいいものをいま返さなければいけないのですか。しかも、地方財政が、収入がいつもより余分にあるなんていったって、たとえば都道府県の法人税が対前年度比三一・四%増とか、あるいは市町村民税の法人税割が六〇%増とか、こんなものはあなた責任持てますか、市町村の法人税の六〇%増なんというのは。ことしの後半期はどうなるかわかりませんよ、中小企業は。そういう数字を根拠にして、ことしは地方財政に余裕があるから総需要抑制に協力して、あまり金を持っているのは総需要抑制に協力いたしませんから、千六百何億円を大蔵省にお渡ししましょうなんということを、そんなことはやっちゃいけないことですよ。当委員会ではもう野党の諸君は口をすっぱくして言っていることを、いつでもあなたは平気でこんなことをやっているのですよ。大臣だってそんな権限はないし、ましてや六団体が、やったかどうか知りませんが、そんな権限ないし、ましてや自治省の事務当局がそんなことで一書かわすなんという権限ないですよ。そんなこと法律できまっているんですから。国会の承認を得ればいいと言うけれども、法律に違反したことを国会の承認なんか得るわけにはいかないんですよ。
  190. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 六団体の承認を求めたということでおしかりがあるようでございますが……(林(百)委員「おしかりじゃなくて、資料をよこしなさい」と呼ぶ)そういう資料は一切ございません。私どものほうで六団体の事務局に、最終的に決定する前に、こういうふうにしたいがどうだということについてお話を申し上げ、それに対する強い反対の反論がなかったというだけのことでございますので、その点はひとつ、承認を得たという発言は取り消さしていただきたいと思います。  それから、自治大臣に権限がないというふうにおっしゃられるのでございますが、予算案を政府がつくります中での内閣の一員としての自治大臣という立場もあるわけでございまして、三二%というのは、憲法に書いてあるなら別でございますけれども、これは憲法ではなくて、地方自治の本旨に基づいて法律が定めておるのでございますから、法律の改正案をお出しをすれば、三二%が三四%に変わる場合もあり、三二%が三〇%に変わる場合もある。これは当然のことであろうと思うのでございます。
  191. 林百郎

    ○林(百)委員 それは重要なことですよ。それでは具体的に、三二%を千六百七十九億幾らだけパーセントを減ずる、そういう法律の改正案を出すならそれはわかりますよ。三二%ということは法律でちゃんときまっているわけなんですよ。それは法律できまっているから守ったらいいじゃないですか。そのワクの中の金をかってにこっちからこっちへ移す権限なんか、そんなことはあなた、自治大臣にありませんよ。  それから、六団体へ何か交渉したと言うけれども、少なくとも交付税交付金として当然もらえる千六百七十九億を、それじゃおまかせしますという話があったとすれば、それはちゃんと記録にとっておくべきですよ。何の国会へ説明する資料もないなんて、そんな話はわれわれ受け取れません。ことに、自治省が話したということになれば、いまこちらの同僚議員から話がありましたが、自治省がこうしますよといえば、それに対して自治体としては抗弁をするだけの勇気を持つこともなかなかむずかしいことなんですよ。これはそこも考えなければいけませんよ。  だから問題は、自治大臣と自治省に責任があるのですよ。三二%というのはさまっているのだから、国会にかければいいと言うけれども、三二%のパーセントを変えるということの法律の改正案ならわかりますよ。法律改正じゃないじゃないですか。これは行政的な処分じゃないですか。三二%のワクの中の金をどう使うかということの承認じゃないですか。
  192. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 今度の改正案の中に、地方交付税法の改正案の…(林(百)委員「その行政的な措置を法律化しただけであって、三二%という根本は変わっていないのですよ」と呼ぶ)それは変わっておりませんけれども、四十九年度交付税は国税三税の三二%から千六百八十億を減じた額とするという法律改正案を国会に御提案申し上げておるわけでございますから、これは四十九年度に関する限りは率を変えたと同じことでございます。そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  193. 林百郎

    ○林(百)委員 なお重要ですよ。むしろ、地方自治体としては三二%の率を上げてもらいたいというのが希望になっているのですよ。自民党の議員の諸君でも。全国都道府県知事会議やあるいは市町村長会議に行けば、四〇%に上げろといってみんな演説しているのですよ。そういうときに、三二%を実質的に変えるような法律を出すということは、そんなことはあなた越権ですよ。三二%のものはきまっているのだから、それをただ行政的な措置で千六百七十九億を減らしたら、実質的に三二%を変えたということじゃありませんか。行政的な措置のほうが先行しているじゃないですか。
  194. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 行政的な措置が先行しているといって、行政的な措置で交付税の額を左右することはできないと私は思っています。あくまで、行政的に自治大臣と大蔵大臣でお話し合いをなされたということは、交付税の総額の特例法を出すということについての合意でございますから、何もそれがきまったからといってそのまま動いてくるわけではないのでございます。
  195. 林百郎

    ○林(百)委員 三二%というのは、交付税交付金の中では憲法と同じことなんですよ。これは基本的な法律ですよ。その実質的な基本法を変えるようなことを、毎年、特例、特例ということでやることは許されないことですよ。そんなことは乱用です。基本法をちゃんと守るということが自治省の基本的な態度でなければいかぬですよ。それを、先にいって返していい金をことしまとめてお返ししますなんということをやっておいて、これは国会の承認さえ得ればできることなんですなんて、そんな特例を毎年毎年やっていて、それで実質的に基本的な三二%を変えるようなことをやることは許されないことですよ。三二%というのは、地方自治体にとっては財政的には憲法と同じことなんですよ。しかもこれを上げようという要求のあるときに、どうして地方自治体がそれを実質的に減らすようなことを承知するはずがありますか。それは自治大臣と大蔵大臣の取引、皆さんと大蔵の官僚との取引ですよ。自治体の自主的な判断なんか、その中に何ら民主的に取り入れられておりませんよ。だって、自民党の議員の諸君ですらもう三二%を上げろと言っているのですよ。あなた大会に行ってごらんなさい。みんなそう言っていますよ。それをあなた方がかってに、三二%を実質的に下げるような特例をとっとことっとこ毎年毎年つくるなんということは越権ですよ。そう思いませんか。もうこんなことはやめてください。
  196. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 こういう特例を設けることが好ましいことか好ましくないことかということになれば、それはいろいろ見解もあろうかと思うのでございますが、何もこれで三二%を五十年度以降下げるという形になるわけではございませんし、いままでお借りしていたものを返してしまってきれいになりたい。それでも財政計画を策定する上においては、一般財源の伸びによってある程度地方団体の実情に沿うように、総需要抑制の中でも財政計画を組める、こういう見通しのもとに取りきめをいたしたわけでございます。したがって、この辺のところは法律論であるのか実態論であるのか、その辺が私、どうも御質問の真意がよく受け取れないのでございますが、あくまで法律論といたしますれば、特例法をお出しする限りは、交付税法は四十九年度について国会で御審議をいただく限りは特例法として成立し得る、そう申し上げざるを得ないと思います。
  197. 林百郎

    ○林(百)委員 特例法の名のもとに、基本的な、地方自治体の財政としては憲法にもひとしい交付税法の三二%をくずすようなことをしちゃいかぬということなんですよ。そこをよく考えてもらいたい。それで、お借りしたものは早く返してきれいになりたいと言うけれども、お借りしたものを返す計画は法律でちゃんときまっているじゃないですか。しかもいまのようなインフレの時代に、自治体にとっては先へいけばいくほど軽い札で返せば済むことなんですから、そうでしょう。個人の借金だってそうでしょう。いままではたとえば百円の借金は多かったものが、いまは百円の借金なんか問題じゃないでしょう。いままでは一万円の借金が大きな負担だったけれども、いま一万円といえば軽いでしょう。それと同じことですよ。インフレーションが進行するということは、これは札の相対的な値段が軽くなるのですから、先へ返していいというものはなるべく先へやるのが自治体の立場に立つ立場じゃありませんか。それを、いま先にお返しをしまして軽くなるなんて、あなた、自分の借金みたいなことを言ったってだめですよ。あなた、自分の借金ならこんなことを絶対しませんよ。だから、自治体の財政のことをほんとうにあなた考えておられないから、そんな、早くお返しして軽くなったほうがいいですなんてのんきなことを言えるのですよ。そうでしょう。
  198. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 私の借金ならば、あるときならすぐ返します。借金をしているという気持ちは非常にいやでございます。それのみならず、交付税というものは国と地方の財源配分の問題でございますから、これからいろいろやっていく上に、きちんと筋を立てるべきところは筋を立てる、そのかわり大いに特例交付金をもらわなければならないときには特例交付金も出してもらう、借りなければならないときには貸してもらう、そういう努力をすることは当然で、われわれとしては、地方団体の地方財政の運営がきわめて困難な状況になることを望んでいるなんという者は自治省には一人もおりません。  ただ、ここで申し上げておかなければならないのは、今度の財政計画をつくります上に、たとえば税収入がこの程度あるとかあるいは交付税がどのくらい出てくるとかいうようなことは、大蔵省も自治省もお互いにわかっておるわけです。その場合に、財政計画というのは収支のつじつまが合わなければならぬ。その作業の過程において、大蔵省のほうから見て金の余裕があるという突かれ方をした場合に、当省が、なるほど余裕が少しあるようですなという気持ちになるような状況であるかどうかということだと思うのです。御承知のように、去年は、土地開発基金も財政調整資金も当初に計画がしたがったけれども、できなかったわけでございます。ことしは、財政調整資金も組み、なおかっ土地開発基金も組めているわけでございます。その辺の事情は、われわれは先生方考え方が違うわけではございませんので、言わず語らずのうちに御納得をいただかなければ、われわれは今後大蔵省と折衝するときに非常に戦意を喪失いたします。ひとつその辺のところはまげて御了承をいただきたいと思います。
  199. 林百郎

    ○林(百)委員 松浦さん、あなた財政局長だったらもう少し地方自治体の財政の実情をよく知らなければいかぬですよ。私の借金なら、あるときには返します、それと同じ条件だ。四十九年度地方財政は余裕があるのだから大蔵省に突かれちゃ困りますからいま返しました、そんな余裕はどこから出てくるのですか。それは火の車ですよ。ことに、地方債計画だってむしろ実質的にはもう非常に減っているわけでしょう。ことに公共事業に充当する起債などは六〇%も減らしているわけなんですからね。そしてまた市町村税の法人税割が六〇%の増税になるといったって保証はないわけなんですよ。そして昨年来からの物価のいろいろの値上がりで事業は繰り延べ繰り延べになっているわけなんですよ。あなた、そのことを考えたら、先で返したほうが地方自治体の負担としては軽くなるような借金を、いまあるからお返ししますなんという、そんなのんきな地方自治体の財政の実情でない。もしあなたが一人で大蔵省に交渉しにくかったらわれわれの応援を求めたらどうですか。ここへ大蔵大臣を呼んできて、われわれ徹底的に認識を改めさせますよ。そんなこと、あなた方がびくびく及び腰でやるから大蔵省につけ入られるのですよ。財政局長、地方自治体の財政のことについて、あなた本省にばかりいるからつい認識がおかしくなるのじゃないかと思いますので、そうでなければしあわせですが、そうなってはたいへんだから、やっぱり地方実情をよく認識されて——地方財政は非常にたいへんなときなんですよ。人口急増地帯なんかもうたいへんだ。過疎は過疎で問題がありますけれども、たいへんなんですから、ひとつぜひその辺は大蔵省と交渉するときには腰を据える、あなた方だけで力が及ばなかったら地方行政委員会の猛者の諸君の力もかりる、そのくらいの腹で交渉しなければだめですよ。こんなことを言っていると時間がなくなりますから次の質問に移りますが、他の委員の皆さんもこの点は質問をされておりますので、あとこまかい点、二点ほどお聞きしておきます。  自治体病院の対策ですね、これは一体どういうようにお考えになっておるのでしょうか。不良債務もふえておりますし、それから赤字の病院もふえています。不良債務については、不良債務に対する起債への振りかえを認め、その利子補給等も若干認めているわけですが、この程度でいま公立病院の持っている赤字に対する根本的な改善策にはならぬと思います。去年は不十分ながらも、われわれは反対しましたけれども地方の公営交通事業に対する財政的な救済の立法をしましたわけです。われわれはあれは全く不十分だということで、たしか賛成はしなかったと思いますが、ことしは実は自治体病院については何らかの立法措置が講ぜられると思ったのですけれども、そういう措置が講ぜられなくてこの程度で済まされているわけですが、これについてはどういうようにお考えになっているのでしょうか。
  200. 松浦泰次郎

    松浦政府委員 非常に公立病院の経営状況が悪うございまして、累積欠損金あるいは不良債務も相当多額にのぼっております。ただいま御指摘をいただきましたので、今回の措置について詳しくは、御指摘があれば御説明をいたしますけれども、現実にございまする不良債務の起債によるたな上げ、それと利子補給、それからもう一つは、当省で大蔵省と交渉いたしましたけれども、結果的には厚生省のほうにつけかえになっております不採算性の非常に高い地域にございます公立病院に対する助成金、この三本の措置を講ずることにいたしたわけでございます。  私どもとしては、これで公立病院が完全に立ち直れるかどうか、その点については非常に疑問がございます。と申しますのは、公立病院の配置の問題あるいはベッド規制の問題、あるいはもっと基本になりますならば診療報酬の問題がございますので、これらの問題と結びつけなければ抜本的な改革はできないと考えております。しかし、いずれにしても、診療報酬の問題にいたしましてもベッド規制の問題にいたしましても、その他の問題、当省でどうこういう問題でございませんし、日本全体の医療体制の問題だと思いますので、これらの関連を見ながら、できるだけ公立病院が悪化しないように、たとえば一般会計からの繰り入れをある程度交付税措置等とからめて認めるとか、そういう措置を講じながら悪化は避けていきたいと思いますが、基本的な問題の解決ということは日本全体の医療体制の問題であって、軽々にここでどうこうすべきだということはなかなか申し上げかねるのではないかと思います。当省といたしましてはなお、病院問題研究会というものを去年設置をして、この中間的な措置についても御答申をいただいております。これからの機関に基本的な問題についてもまた御諮問を申し上げていろいろと御検討をいただく、その中から実行できるものを逐次取り上げていくという態度で臨んでいくべきではなかろうかと思っております。  なおまた、先生から御指摘をいただきました、法律をなぜ出さなかったかという問題でございますが、交通の場合でございますと、料金値上げというのは地方公共団体が申請できて、ある程度地方公共団体の意思によってできるわけでございますけれども、病院の場合には診療報酬というもので全部きまってしまって、地方団体にどうこうするという権限が全くございません。それを前提にいたしまして再建計画をつくろうといたしましても、五年、十年先の見通しというものはまるきりあなたまかせで見当がつきませんので、これは法律はつくらずに、実際問題の行政指導で赤字をできるだけ消していくという指導をしてまいりたい、こういうつもりで法律は提案をいたさなかったわけでございます。御了承をいただきたいと思います。
  201. 林百郎

    ○林(百)委員 二、三、ごく簡潔に聞いていきたいと思います。  不採算地区病院とあなたは先ほど言われましたが、どうもこの規定がはっきりしないわけなんで、あるいは弾力性を持たせるためにかえってはっきりした規定をしないほうがいいとお考えになっているのかどうかわかりませんが、対象病院は約百三十病院と聞いておりますが、この不採算地区病院というのはもう少し具体的にいうと、どういう条件を持っているのが不採算地区病院ということになるのでしょうか。
  202. 木戸脩

    ○木戸説明員 お答え申し上げます。  今回予算措置の対象となりました不採算地区病院の定義でございますが、まず第一の条件といたしまして、離島、過疎、辺地、振興山村等のこれは各特別措置法がございますが、こういう特定地域に存在するということでございます。それから、病院の規模でございますが、これは一日の平均入院患者が百人未満、外来の患者が百五十人未満という小規模なものであるということでございます。それから第三の条件は、同一市町村内に他の一般病院がない赤字病院、こういうことでございます。  なお、参考のために申し上げますが、本年度から実は日赤、済生会等の公的病院に対しても、特殊診療部門について補助をいたしております。この中にもこの不採算地区医療に対する補助というのがございまして、その要件と大体同様でございますが、その要件にプラスをいたしまして、離島、過疎、辺地、振興山村等の特別の条件が加わっているわけでございます。
  203. 林百郎

    ○林(百)委員 昭和四十八年度末における自治体病院の不良債務額は、推定でどのくらいの額になると見ておりますか。
  204. 山本成美

    山本説明員 約七百億程度になるんじゃないかと思いますが、はっきりした見通しはまだついておりません。
  205. 林百郎

    ○林(百)委員 看護婦と医師の問題が、ことに過疎地帯の自治体病院には大きな問題になっているわけですが、高等看護学院、この看護婦の養成学校を自治体の負担でやっているようなところがあるわけです。たとえば私の出身地の長野県の岡谷市などは、市の費用で看護婦の養成をやっているわけですが、こういうものは基本的に国でやるという方針は厚生省では考えていないでしょうか。医師はこれは別としても、少なくとも看護婦養成について国が見るとか、あるいは補助を国が見てやると血、こういうようなことは考えておらないでしょうか。
  206. 木戸脩

    ○木戸説明員 看護婦の養成につきましては、まず看護婦養成施設の建物、機械等の整備につきましては、従来から、自治体の設立しているものにつきましても、日赤、済生会等公的団体と同様に補助をしているわけであります。なお、運営費でございますが、運営費につきましては、現在は日赤、済生会等の公的病院と、それから民間の医師会等の公益法人のやっております看護婦の養成所については運営費も出しているわけでございます。  それで、看護婦養成について国も運営費を出さないかという御指摘でございますが、確かに、自治体の養成しております看護婦もいずれはやはり全国的に他の病院へ行くということもございます。いわば国家的見地というものも入っているわけでございまして、われわれとしても、国として全然責任がないというふうに考えているわけではございません。実は四十九年度の予算におきましても、この件につきまして自治体についても同じようにという予算要求をいたしたわけでございますが、種々の事情によりまして実現をいたさなかったわけでございます。来年度以降は真剣に検討してまいりたいと思っております。
  207. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃどうぞ厚生省の方お帰りください。  最後に、あと一点だけごく簡潔に聞いておきます。  これは超過負担の問題にも関係しでくるわけなんですが、小中学校の平米当たりの見積もりを国ではどのくらい見ているんでしょうか。これは文部省になりますか建設省になりますか、文部省ちょっと言ってみてください。
  208. 西崎清久

    ○西崎説明員 ただいま先生指摘の学校施設補助単価の積算でありますが、四十九年度につきましては六万一千七百円の積算をいたしております。
  209. 林百郎

    ○林(百)委員 四十八年度は五万一千八百円、それから四十九年度が六万一千七百円というのですが、この実勢は、四十八年度が六万二千八百九十二円、四十九年度が十一万円と、こういうようになって、単価差が四十八年度では一万一千円、それから四十九年度は四万八千円ということになって、これがまた超過負担の大きな原因になると思うわけなんです。たとえば、人口急増都市協議会の調査ですと、大阪府の守口市では九万一千円という数字を出しているようです。どうもこれがやはり実勢に合わないようなんですがね。これは単価もそうですし、それからもちろん対象になる面積、単価差あるいは対象面積差とがまだ実情に合わないように思うのですが、その点、文部省はどう考えているか。  それから建設省に、この建設資材であるセメントだとか建材等の騰勢がここのところどういう数値になっているか、それを、建設省をお呼びして最後までお待たせして恐縮でしたが、その数字がわかったら説明していただきたい。
  210. 西崎清久

    ○西崎説明員 四十八年度の補助単価につきましては、先生指摘のように非常に経済情勢が変動いたしまして、私どもも苦慮したところでございますが、予算単価に対しまして都合三回の改定を行なっております。第一回は八月に一一%上げまして、第二回は、前回の委員会でも申し上げましたが、補正予算を五十数億組んでいただきまして、約一〇・八%の改定をしていただいたわけでございます。さらに、石油危機その他の事情もございましたので、各省間での検討を経まして、三月の半ばの閣議決定によりまして、予備費を三十億組みまして、このたび九%の特例加算を一月以降の新規契約については適用したい。一月以前の工事につきまして、既契約分については残工事等の調整が必要でございますが、いずれにいたしましても四月までさかのぼって単価の補助をしてまいりたいというふうな作業をしておるわけでございます。そういう意味におきましては、私どもも、実勢価格との関係はいろいろむずかしい問題がございますが、一応政府としてできる限りの、補助単価の実勢に見合う努力はいたしておるわけでございますが、今後の問題もあろうかと思いますので、この点については十分留意してまいりたいというふうに思っております。
  211. 浅間隆

    ○浅間説明員 セメントにつきましての最近の価格の動向を御説明申し上げます。  昨年一月、これは東京価格でございますが、普通ばらものでございます、これが五千九百五十円でありましたものが、五月になりまして六千四百円に上がっております。それから九月には六千五百円と、百円アップしておりまして、十一月には六千八百円でございますが、石油パニックの問題から十二月には千四百円上がりまして八千二百円に高騰しております。最近の数字を申し上げますと、この二月では八千三百円ということで、百円昨年の十二月より上がっております。これがセメントの価格の動向でございます。
  212. 林百郎

    ○林(百)委員 セメントのほかの建材はどうですか。それで、できたらパーセントにして、幾らとか言わなくて、対前年度比どのくらいというように出してください。
  213. 浅間隆

    ○浅間説明員 対前年度比を申し上げますと、セメントにつきましては、四十八年の一月は一・七%増でございます。それから四十八年の八月、これは対前年同月比でございますが、八・五%増、それから十一月では一五・三%増、十二月になりましてこれは非常に上がりまして三九%増でございます。現在は約四〇%の前年同月比の上昇となっております。  それから鋼材につきましては、昨年七月から高騰いたしまして、当時、小棒でございますが、これは大体十三ミリから十九ミリの棒鋼でございますが、これが五万円から六万円でありましたものが、七月になりましてずっと上昇いたしまして八万円ぐらいになりまして、十一月から十二月にかけまして十万円、スポット買いにつきましては十一万円というような高値を呼んだわけでございます。その後建設事業の総体的な減退によりまして、現在は七万五千円から八万円というのが大体の価格でございます。  それから木材につきましては……(林(百)委員「できたら比率を言ってもらいたい」と呼ぶ)  鉄鋼につきましては、これは小型棒鋼でございますが、対前年同月比で、四十八年一月では五〇%増でございます。それから七月になりまして五二%、九月になりますと二一七%と約二・二倍になります。それから十二月から十二月の末でございますが、これが二二四という数字でございますので、二・二四倍。最近は少し下がりまして一八〇でございますので、一・八倍ぐらいというような傾向でございます。  それから木材につきましては、これはいろいろ種類がございますが、代表的なものといたしましては杉の小角でございますが、これが四十八年一月では前年同月比で二二五でございますので、二・二五倍でございます。それからやや落ちてまいりまして、七月では一六五でございますので六五%増、それから十一月では一三六、その後下がりまして、現在では対前年同月比八〇%という数字でございます。
  214. 林百郎

    ○林(百)委員 鋼材やセメントを見ますと、四〇%、五〇%対前年度比アップということになっておりますので、義務教育施設の補助単価が大体四二・五、公営住宅が四五・七というような補助単価のアップ率になっていますけれども、しかしこれは実質的には、建材の値上がりから見ますとむしろ昨年よりダウンしているとまで言えるかと思います。ここから非常な超過負担が生ずると思いますので、先ほど同僚議員からの話もありましたが、文部省のほうから、四十九年度の国庫補助の平米当たりの単価を六万一千七百円にきめたこの資料をひとつ出してくれますか。どういう計算で出てくるのか、資料を幾らアップにしているのか。それを委員長ひとつ言いつけてくださいませんか。  それから、これは同時に対象差がありますので、たとえば、国の基準からいうと小学校が二千八百十平米ですか、実際は三千八百二十六平米を建てないと教育ができないというようなことで、千十六平米の対象差も出ておるようです。それから、私のほうのいろいろ調査によりますと、結局面積の点で四六・五%の対象差のあるようなところがあります。これは単独事業ではありましたけれども、こういう例もありますので、超過負担の問題についてはことし一そうこれは激しくなるのではないか。補助率は上がりましたし、いろいろの基準財政需要額の計算の比率も上げたと思いますけれども、しかし、この金額全体では上がっておらないし、それからいま言ったような資材が上がっておりますので、資材の騰勢にありますので、超過負担の問題はやはりことし、これは地方財政としてはゆるがせにできない問題だと思いますので、この点についてひとつ十分な配慮をされたいというように思いますが、この点、次官、どういうようにお考えになりますか、お答えを願いたいと思います。
  215. 古屋亨

    ○古屋政府委員 ただいまの単価の非常な騰貴というものに対処いたしまして、国庫補助事業等につきましては補助率を、たとえば学校教育施設につきましては四五%前年に比して引き上げておりますけれども、いまのお話しのように、これからそれが四五%では足らないというような問題になりますれば、これは主管省に対しまして実態に合うような補助単価を要請いたしますと同時に、文教施設あるいは福祉施設というような、民生に非常に重要な関連を持っておるものにつきましては、やはり自治省といたしまして、国の補助事業については国に適正なる措置を強く要請いたしますと同時に、自治省の起債あるいは交付税等の配分につきましては、やはり実情に応じた単価というものを十分検討いたしまして、福祉あるいは学校教育に遺憾のないように措置をいたしたいと思います。
  216. 林百郎

    ○林(百)委員 これで終わります。文部省も厚生省も建設省の皆さんも、おそくまで残っていただいて恐縮でございました。  いま私の不十分な質疑ではございましたが、おわかりだと思いますが、自治体としては本年度、いろいろの資材高騰のおりから、教育施設あるいは福利厚生施設あるいは公営住宅施設等が、国の補助事業としてあるいは単独事業として、補助金を目当てにしていろいろやりたいと思っておりましてもいろいろのネックがあります。ひとつ地方自治体というのは地域住民に直接責任を持ち、地域住民の日常の生活や地域住民の皆さんの子弟あるいは弱者に対する社会施設に直接責任を持っている仕事をやるわけでありますので、ぜひ、文部省も厚生省も建設省も、十分ひとつ実情に見合うような補助単価も見ていただいたり、実情に合うような行政措置をしていただきたいということをお願いしておきます。  それから自治省については、ことし一般公共事業債を六四%も減じておりますので、これははなはだ自治体にとっては容易ならぬ事態をかもし出すと思いますけれども、起債についても、繰り延べ事業もありますし、十分実情に合うような措置をしていっていただきたい。  これだけ希望いたしまして、答弁がございましたら、一応大蔵、厚生、建設の皆さんの答弁をお聞きしまして、私の質問をこれで終わりたいと思います。(「もう帰った」と呼ぶ者あり)それでは次官、もう一度前向きに。
  217. 古屋亨

    ○古屋政府委員 御要請でございますので、ただいまの御質問につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、それぞれの単価につきまして、関係各省には適切なる措置をとられるように、自治省といたしまして強く要望をいたします。
  218. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃこれで終わります。
  219. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次回は、明二十九日金曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時五十二分散会