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1974-03-22 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十二日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 中村 弘海君    理事 中山 利生君 理事 村田敬次郎君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君    理事 三谷 秀治君       上田 茂行君    小沢 一郎君       片岡 清一君    亀山 孝一君       木村武千代君    住  栄作君       前田治一郎君    武藤 嘉文君       保岡 興治君    渡部 恒三君       井岡 大治君    岩垂寿喜男君       小川 省吾君    細谷 治嘉君       多田 光雄君    林  百郎君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 町村 金五君  出席政府委員         自治政務次官  古屋  亨君         自治大臣官房審         議官      山下  稔君         自治省税務局長 首藤  堯君  委員外出席者         大蔵省銀行局保         険部保険第一課         長       浅谷 輝雄君         厚生省保険局国         民健康保険課長 下村  健君         建設省都市局技         術参事官    今野  博君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 三月二十二日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     上田 茂行君   島田 安夫君     小沢 一郎君   渡辺 紘三君     渡部 恒三君 同日  辞任         補欠選任   上田 茂行君     愛野興一郎君   小沢 一郎君     島田 安夫君   渡部 恒三君     渡辺 紘三君     ————————————— 三月二十日  地方公共団体超過負担解消に関する請願(林  百郎君紹介)(第三〇一七号)  自治体病院の振興に関する請願(林百郎君紹  介)(第三〇一八号)  地方公務員共済制度の改善に関する請願(浦井  洋君紹介)(第三〇六二号)  公営電気事業の助成に関する請願(林百郎君紹  介)(第三〇六三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四〇号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山本弥之助君。
  3. 山本弥之助

    山本(弥)委員 政務次官見えになっておりますので、政務次官にお尋ねしたいと思います。  地方公共団体といたしましては、従来から地方自治体自主財源確保ということについて要望を続けてまいっておるわけでありますが、また、昨年の地方制度調査会等におきましてもこの点は強調しておるわけです。また、この問題は、いままで私も毎年この地方自治体自主財源確保という見地から、国と地方との間の配分につきまして是正をすべきである、地方強化すべきであるということを質問いたしておるわけでありますが、自治大臣大蔵大臣も、財源配分については行政事務配分を前提にし、また他の財源国庫支出金あるいは地方交付税とのからみにおきまして解決をしたいということを言っておられるわけであります。  しかし、実際問題といたしましては、多年、行政事務配分につきましては、政府関係機関におきまして決定をしたことも線香花火式になって、完全に実現をしていないという実情でありますし、地方交付税につきましても、依然として変則的な方法によりまして、地方自治体一定ワク内に置くことによって交付税をふやしたり、あるいは政府の都合で減らしたりという措置を繰り返しておるわけであります。本年度におきましても財政計画ワク内におきまして、総需要抑制という見地から、地方税伸びが相当にあるということで、従来と同じような、大体国が六六・七%、地方が三三・三%というふうな状況に相なっておるわけであります。交付税やあるいは道路財源等地方への政府からの交付金等含めまして、大体五〇%、折半をしておるということになっております。三十年代におきましては国が七、地方が三ということであり、四十年代になりましてから地方三が逐次ふえてきておるという実態であるわけです。しかし、大ワクにおきましては、一定ワク内の中に国税地方税配分は限定をされておるということがいえるのではないかと思うのであります。  昨年から福祉元年等といわれておりますけれども、実際は昨年は混乱の財政であったわけでありまして、本年こそ福祉重点に、地方自治体本来のたてまえに返るということを標榜しておられるわけです。また公共事業抑制することによりまして、形の上では福祉重点を置いたというかっこうにはなっておるわけであります。それにいたしましても、この国税地方税配分につきましては、依然として同じワク内の中で操作をしておるということがいえるのではないかと思うのでありますけれども、将来、自治省としては、この地方の熱烈な要望である地方自主財源充実ということにつきまして、本年を含めましてどういうふうなお考えで進められるのか、方針をお聞かせ願いたいと思います。
  4. 古屋亨

    古屋政府委員 お話しのように、地方自主財源充実強化しなければならないという面につきましては、ただいま山本先生の御意見と同じように私ども考えておるのでございまして、特に基本的には、地方財政需要の増加に対処するために何としても地方自主財源充実強化をしなければならない。この基本については私どもも全く同感でございます。  ただ、地方税源充実をいかにしてやるかという問題は、ただいま御指摘になりましたように、国、地方を通ずる行財政制度の全体に関連する問題でもあり、また事務配分の問題や国庫補助金制度の問題を、ことしは一部のものにつきまして国庫補助金の率というものも若干強化したものもございまするけれども、同時にまた国民租税負担水準あり方というような、非常にいろいろな問題がございますので、基本線としては自主財源充実強化という点を私ども乏しきながらも努力しておるのでありますが、やはりそういうような点で総合的に検討しなければならない。  今度の改正案におきましても、御承知のように住民税法人税割引き上げとか自動車取得税税率引き上げということは実現したのでございますが、しかし、まだまだ地方自主財源強化というものはいろいろな面から検討して、この強化をはかっていかなければならないと私ども考えておるのでございまして、そういう意味におきまして、いろいろ補助金の問題、国、地方を通ずる行財政問題等もありますけれども自治省といたしましては自主財源充実強化ということをあくまで目標にいたしまして、やはり地方福祉関係住民に密着するいろいろな財政需要が特に最近ふえておりますことは御承知のとおりでございます。そういう意味におきまして、自治省といたしましては地方財源充実強化につきましては一そう努力をいたしまして、皆さまの御叱正におこたえしなければならない決意を持っておる次第でありまして、今後ともそういう点につきましては、私ども十分関係方面と連絡をいたしながら積極的に措置をしてまいる決意でございます。
  5. 山本弥之助

    山本(弥)委員 政務次官の御答弁のようにいろいろなことを考えておりますと、この自主財源充実ということは私はなかなか実現をしないのではないか。やはり起債を考え、交付税を考え、国庫支出金を考えながら、同じようなワク内に閉じ込められるということで推移を続けていくのではないかというふうに考えるのであります。  まず、自主財源強化する努力を払うということがもうすでに事務配分とかいうことを超越しまして、地方の複雑多様な行政需要に対処することからいいますと、今日の自主財源地方公共団体の本来のあり方にふさわしくない。たとえば岩手県の町村の例をとりますと、自主財源というのは、交付税を除きますとわずかに十数%にとどまっておる、十二の市の平均が二十数%にとどまっておるという、いわば一割自治、二割自治の域を脱していないというような実態であるわけでありまして、普遍的な財源を求めながらまず強化をしていく、そしてその過程において交付税なりあるいは国庫支出金とのかね合いを考えていくということでなければならない、私はこう考えるのであります。  そのためには、三十年代に国と地方が七、三の割合だったのが、いまは地方が三三までになっております。本来の地方自治体あり方からいいますと、交付税もありますけれども交付税を含めて半々というような考え方より以前に、地方税としての自主財源半々にすべきではないかと思うのであります。当面、国六、地方四というような目標で、今日の一割自治、二割自治強化するという目標税源を考えるべきではないか。それによって交付税の問題とかあるいは国庫支出金の問題、国庫支出金の問題は超過負担を含めましていろいろ問題が出てきておるわけでありまして、地方からもそれぞれ要望が出てきておるわけであります。零細補助金の整理というような問題もありましょうし、あるいはメニュー式補助金という問題もありましょうし、いろいろ問題があるわけですから、まず自主財源を、少なくとも国と地方比率を、六、四ぐらいにするというような体制で強化をはかっていかなければならぬと私は思う。そういう目標のもとに御努力を願えるのかどうか、再び重ねてお聞きいたします。
  6. 古屋亨

    古屋政府委員 いまの、自主財源強化につきまして一つ目標を定めて、これに対して自治省としても努力しろという御意見、私自身といたしましても、自主財源強化するためにある程度の目標を定める、同時にそれが地方交付税あるいはまた国庫支出金とも関連があるものでございますが、何といっても自主財源強化していくということを基本目標にするという御意見につきましては、特にその割合というものを六対四に目標を定めたらどうかという御意見につきましては、私も御意見自体としては何ら異議ないものでございますが、ぜひそういうようにやりますためにはいろいろの総合的立場から、また税制調査会その他ともいろいろ検討すべき問題もありますので、ひとつただいまの先生目標を定めたらどうかという御意見につきましては十分前向きに検討いたしますと同時に、私ども一つ目標を定め、それとの関連において交付税国庫補助金のほうも考えていって、とにかく最近の社会経済情勢推移に伴います非常に多い需要に対処していける、地方自治体が何にもできぬじゃないかということを抜本的に改めるようぜひ自治省としても努力をいたしますし、ただいまの六、四というような目標につきましても、十分先生の御意向をこれからの施策の上に生かしまして、私どもも十分その点を関係方面とも連絡いたしますと同時に、根本自主財源強化というものに向かいまして努力をしてまいりたい決意でございます。
  7. 山本弥之助

    山本(弥)委員 今年度、いわゆる二兆円減税ということが断行されたわけでございますが、これは法人課税適正化を含めまして、いわば国民負担軽減ということとあわせて二兆円減税ということが行なわれたわけであります。ただ、このことは、大蔵省に来ていただいておりませんので、いずれ何らかの機会大蔵大臣もお見えになる機会をつくっていただきたいと思いますので、御質問したいと思っておりますが、四十九年度予算編成といいますか、それ以前にいち早く二兆円減税ということが打ち出されたわけでありまして、その後情勢の急変に伴ってこの問題が再検討されるような機運があったようでありますけれども、当初田中内閣としてのいろいろな思惑もおありだったと思うのでありますが、そのとおり実行されたわけであります。  しかし、いまとなって考えてみますと、いまのインフレあるいは物価の異常な上昇下におきましては、税制を通じてやれますことは、総需要抑制であり、しかも国民生活負担軽減、いままでの税制面の社会的不公正をできるだけ是正するということに重点を置かなければならないのじゃないかと思うのであります。その点からいいますと、法人課税適正化をはかるということについては確かに行なわれたわけでありますが、二兆円減税の中身ということになりますと、人的控除等引き上げ四千六十億に対して、残りの一兆円以上というものが、高額者減税を含めての給与所得控除拡充であり、あるいは税率緩和ということであるわけでありまして、この意味からいうと、これは私はかりじゃなくて、中山さんを中心とする社会経済国民会議等も、二兆円減税というのは今日の経済情勢では延ばしたらどうかというような公式な意見の発表もあったぐらいでありまして、確かに私は問題があると思うのであります。  したがって、この際やらなければならぬことは、国税地方税を通じまして、物価の異常な上昇による国民生活負担軽減税制面で行なうということと、できるだけ税制の不公正を直すという意味法人課税適正化をはかっていくということでなければならぬと思うのであります。その意味におきましては、本委員会でも各委員から指摘いたしましたように、国税減税に比較いたしまして、個人住民税減税は、むしろ負担の不公正が拡大しておる。所得税は、この際所得配分という関係減税を行なうべきであるが、地方め住民税は、応能負担と同時に負担分任原則ということを加味しなければならぬので、できるだけ多くの人に負担を願うという性格を持っておるので違いがあるということは、私ども従来認めておるところでありますけれども、今日こういう情勢におきましては、もはや、住民側に立ちますと、負担軽減ということにおきましては、所得税だろうが住民税だろうが変わらないわけでありまして、いたずらに税の原則といいますか、これも一つ税体系の議論であって、必ずしもそれが今日妥当であるかどうか。これに対して、住民税課税最低限所得税と同一であるべきであると主張する学者もたくさんあるわけでありまして、いわゆる負担分任原則というものをいつまでも貫く必要があるかどうかということの問題点は確かにあるわけなんでして、それにいたしましても、今日の異常な事態におきましては、やはり従来の考え方を踏襲したような、しかもその課税最低限の開きが百五十万と百一万とでは相当開いておるわけでありまして、これはもう少し近づけるべきである。そういういまの当面する経済情勢に即応した、住民側立場に立って判断すべきではないか。  すでに、先ほども申し上げました社会経済国民会議主張のように、確かに給与所得控除等につきましても、資産所得との関連におきましては、他の事業税等のからみからいっても、所得向上すれば頭打ちをすることは税体系上筋が通らないということで、所得控除頭打ちを撤廃したと思うのであります。しかし、ことしの経済情勢というものは、そういう税の理論の筋を通すような改正であってはならぬのじゃないか。むしろ生活に圧迫を受ける層の減税ということに重点を置くということであれば、やはり課税最低限引き上げと同時に、ある程度、一兆円近い高額者を含めましての減税につきましては、減税を取りやめて、むしろこの機会にこそ、私は、個人住民税課税最低限引き上げ関連をして、地方財源移譲すべきではないか。三十七年のとき以来、ほとんど所得税から地方移譲をしてはいないと思うのであります。この機会に、そういった現下経済情勢を踏まえて腰だめ的に移譲すべきではないか。私は、こういう混乱しておる経済情勢に、税体系根本的改正ということを行なって地方と国との配分是正をはかれということは申し上げません。それはある落ちついた時期に十分検討すべき問題でありますが、現下経済情勢に即して考えますと、当然個人住民税課税最低限引き上げ、それに伴う減収は、いわゆる高額所得と思われる層の減税を取りやめて地方に移管をするんだ、そうして地方減収補てんを行なうんだという考え方が必要ではないか、かように考えるわけであります。  地方税伸びておるということは、これは国税におきましては二兆円近い自然増収の中から七〇%に当たる一兆四千五百億の減税ですから、所得税の国における配分が少なくなることは当然です。地方では課税最低限引き上げということをことしは相当大幅に実行したわけでありますが、それは国ほどたいして大幅にやっておらないために、いかにも地方税収伸びがいままでの例に比べてもいいんだ、何とか、総需要抑制関連があって、地方では税収に困らぬのだ、この程度あればいいんだというような考え方に立っているようにも思われるわけでありますが、私はむしろ、住民側に立っての課税最低限引き上げ、そしてこの機会に当面の税制改革としては、国の根本的な税制改正よりも、むしろある程度まで地方減収補てんということに振り向けるべきではないか。その意味において、今回、ことしは国と地方との税配分所得税について行なう、いわゆる所得課税について行なうということには非常にいい機会であったのではないか、私はこう思うのであります。この点、いかがでございますか。
  8. 古屋亨

    古屋政府委員 私から最初答えさせていただきまして、また技術的な点もございますので局長から補わせたいと考えております。  ただいま、住民税性格あるいは本年度における国税問題点等につきまして御意見を拝聴することができたのでございますが、お話しのように、納める住民からいいますれば、一般には、どれが所得税でありどれが住民税であるということではなくて、合わせて一本として税金のことは考えておるわけでございますので、私も基本的には、住民税課税最低限につきましては、千七百億という減税をことしは思い切って——思い切ってと申しますか、内定を見ておるのでございますが、ただ住民税所得税関係は、先生承知のように、税制調査会の「長期税制あり方についての答申」に、個人住民税課税最低限については、「地方自治立場から地域社会の費用をできるだけ多くの住民負担することが望ましいという見地から、所得税課税最低限と一致しなければならないものではない」が、一方において「国民生活水準向上に伴って、個人住民税納税義務者数推移及び地方財政状況等を総合的に考慮しつつ、その引上げを検討することが必要である。」という答申が出ております。四十九年度におきまして所得税大幅減税が行なわれることになっておりますが、住民税課税最低限につきましては、所得税給与所得控除拡充の結果といたしまして五十年度以降の住民税課税最低限が自動的に引き上げられることになる、あるいは、あわせて所得税課税最低限の動向を勘案しながら住民税人的控除を逐次引き上げることによりまして、その引き上げをはかっていくことが適当だというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、住民税課税最低限につきましても、国民生活水準向上に伴いまして、地方財政状況を総合的に考慮しつつその引き上げを検討していくことが必要であることはお話しのとおりでありまして、私どもといたしましては、今後も引き続き住民税負担軽減をはかっていくように努力してまいりたいと考えておる次第でございます。  なお、若干数字その他のお話がございますが、税務局長から一応答弁することでお許し願いたいと思います。
  9. 首藤堯

    首藤政府委員 課税最低限の問題につきましてはただいま政務次官からお答え申し上げましたとおりでございますし、また先生もよく御存じのいろいろな問題があるわけでございます。  で、所得税大幅減税をやりますこの機会所得税住民税の間の税源移譲を試みたらどうか、こういう御説は、非常にそのこと自体としてはごもっともに感じるわけでございます。ただ、実際問題といたしまして、御案内のように、本年度二兆円減税という国税の場合の大幅な減税を行ないますその背景といたしまして、財政の事情もございまして、その減収の埋め合わせを法人増収でまかなって、やっと所得税減税をやったといったような国の場合の実態でございましたし、地方の場合も、そういった国及び地方を通じましての財政状況、こういう点から、国の所得税減税に伴います住民税減税をわれわれもまた法人税収の増で埋める、こういう操作をやりましてやっとこの程度にこぎつけたというところが実態でございまして、所得税住民税への移譲という問題、なかなか大切な問題でございますが、今回は実現するに至らなかった次第でございます。
  10. 山本弥之助

    山本(弥)委員 法人税のことにつきましてはあとで御質問いたしますけれども、私は、所得税あるいは個人住民税減税ということと法人課税強化適正化という問題とは、これは減収補てんするために法人課税強化するというふうには理解をしていないわけなんです。いままで、経済成長関連して、当然担税力のある法人課税をいわゆる経済優先ということで不当に低くしておった、それを適正にする。もう経済も企業も一本立ちになっておるということで適正化する時期が来ておる。そのことで当然私は適正化しなければならぬ時期になっていると思うのです。  それから、二兆円減税ということが、いかにもいまの総需要抑制とか短期決戦とか、物価上昇を押えるということと、税の体系、たとえば給与所得控除にいたしましても税率緩和にしても、いかにも税体系を整えるということに税調が重点を置いて、いまの現在の異常な物価高におけるいわゆる税制面から見た不公正といいますか、それを是正するのだという考え方が、本年度予算関連いたしましては、あとでいい基本的な税体系の問題が非常に先行して、現実に必要な問題が現在の経済情勢に合っていないという感じがするわけです。  したがって、この機会にとりあえずどうするかというと、課税最低限が食い違うにしても、地方負担を軽くし、そしてその穴埋めは、当然やらなくてもいいところから地方移譲するというような操作こそ好ましいのではないかということを申し上げておるのであります。ことに、やはり所得課税というのは地方税でも今後——多年都市財源関係法人課税強化、これは非常に弾力性があるために要望を続け、また私どもそういう主張をしてきておるのですが、実際は所得課税地方税中心でなければならぬことは当然なんですね。これを見ますと、実際、六六と三三の税全体の割合よりも、所得課税につきましては非常に国に重点を置き過ぎておるんですね。四十八年度では国が七八%で地方が二二%だったと思うのです。ことしは国が大幅な減税をいたしたために地方が二五%、国税が七五%というふうなことに、多少比率地方によくなったわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、税体系からいくと、何といってもやはり法人課税市町村税として強化しなければならぬことと同時に、今後の地方税あり方はやはり所得課税中心なわけでありますので、これは全体の税の配分の中でも、この所得課税というのは地方に重きを置かなければならぬのじゃないか、私はこう考えるのです。  その考え方はどうか、正しいかどうか、ひとつこれは税務局長からお聞きしたいと思うのです。
  11. 首藤堯

    首藤政府委員 御説のように、所得課税、特に住民全般に均てんをいたします意味での住民税としての所得課税、これが地方税の大宗であるべきだという点につきましては全く同感に存じます。そういう意味で、国の現在の所得税住民税配分あり方をより住民税のほうに片寄せていくというあり方については、本来そうあるべきものであろうと考えている次第でございます。ただ、御案内のように、所得税とそれから交付税関連あるいは国庫支出金関連、こういったいろいろな問題がございますのは御承知のとおりでございますが、原則的な考え方は御説のとおりであろうと考えております。
  12. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ことしの八千四百二十億という給与所得控除拡充ということは、来年度住民税に当然影響があると思うのです。しかも住民税のほうは、国税みたいに高額所得者のほうには、税率の累進度が低いわけなんですね。府県民税におきましては二%、四%といったような比例税率に近いところなんです。税率は国、地方を通じて一定税率をつくって、それを配分するということで、何も国と同じ累進でなければならぬということでなく、それは全体の累進を考えなければいかぬと思うので、適当な国民負担の累進を国と地方配分するというためには、地方が比例になるかあるいは軽い累進になるかということはその全体をきめるときにきまる問題だと思うのでありますが、それにしても、いわゆるいまいわれておる高額所得所得控除というものはそのまま地方にはね返ってきて、軽度の累進だものですから上になるほど非常に影響力が大きいのじゃないか。この辺が来年になってどうなるか。当然影響があると思うのですが、いわゆる負担の公平ということは、いかに負担分任といいましても、その辺が住民税関連しては私はむしろ非常に不公正さを拡大するのじゃないかという感じがするのですがね。大体これは来年どのくらい影響がありましょうか、数字的におわかりだと思いますけれども
  13. 首藤堯

    首藤政府委員 給与所得控除でございますが、明年度地方税源に影響いたします額は大かた二千億近くに達するだろうと考えております。
  14. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この問題ばかりにとどまっておりますと時間がかかりますので、次に、同じような見地に立ちまして、今回適正化されました法人税の問題でありますが、実際は、地方税は従来も地方でやろうと思えばできる制限税率までに引き上げたということなんですね。そして私どもいままで、いろいろ市町村税伸びが鈍化し、府県税のほうが伸びて、ある程度まで市町村税と府県税との是正ということも主張したこともあるわけですが、その後、市町村税強化ということに重点を置いて、いわゆる地方公共団体相互間の税収、府県税と市町村税との相互を動かすということについては、市町村税強化するということに重点を置きながら、問題をあまり詰めることをしてまいらなかったのでありますけれども、この法人税都市財源中心としての市町村税強化、ことに法人課税強化という問題については、地方でやろうと思えばできる一七・三%という制限税率までに押えられて、しかも内容は府県から市町村に持っていったということなんですね。それで国と地方との配分は、依然として国がやはり税一般の配分と同じように六六・七%だったと思いますが、それが、従来市町村の六・六%が今回は市町村が八%になって府県が減ったというふうに、府県と市町村操作だけで、国との配分は何ら変わってないんですね。  これなんかも、ことしこそ、法人課税強化するというのであれば、府県は動かさない、据え置くにしても、むしろ市町村強化するという方向をなぜ強力に主張しなかったか。国と地方との配分を同じにして、同じ府県と市町村との中を動かすというやり方でなくて、先ほど基本的な考え方として申し上げたように、なぜ国との配分を変えないか、こう考えるんですが、これはどういう経緯だったんですか。税調できめたことでしょうけれども、税調できめるということにこのごろ私ども疑問を持っているんですが、一体地方税国税との関連をどう、どこがやるかということなんです。それは自治省でなければならぬと思うのですが、その自治省がいかにも基本的な問題について腰が弱い。これじゃどうにもならぬのですね。問題の解決にはならぬ。自主財源強化ということにはほど遠い。この辺の経緯はどうなんですか。
  15. 首藤堯

    首藤政府委員 法人課税の増強に伴います国、府県、市町村税源配分の問題でございますが、御指摘のように、私どもといたしましては現在の地方税比率が低いこと、なかんずく市町村における税収比率が下がってきておること、これは法人関係の税負担比率が少ないことに基因をしておるという点を認識をいたしまして、ぜひ地方団体へのシェアを大きくしてもらうようにいろいろな意味努力をいたしたわけでございます。結論的には、ただいま御指摘をいただきましたように、上がりました後の法人の課税のシェアといたしまして、国がほとんど動かず、市町村だけが上がりまして、府県分の比率が若干減った、こういうかっこうに相なったわけでございますが、税源として実額的にこれを見ていただきますと、府県の場合も比率は下がりましたが、国の法人税の増強に伴います、それに該当する法人税割の増額分がございますので、その分が、ごくわずかでございますが現状よりは若干よけい残るという程度にとどめて、残りの平年度二千億に及びます法人税の増額を全部市町村に回す、こういう操作をした結果このようになったわけでございます。  なお、もう一つ御指摘の、その際国と地方との配分割合を大幅に地方に寄せるべきではなかったか。全く御説のとおりでございますけれども、審議の経過等の過程におきましても、法人課税は、実際の地方税としての法人税割のみではなく、御案内のように、法人税にはその三二%の交付税というものが付随をいたしますものですから、この交付税を勘案をいたしました場合、この法人税割の増強と交付税の増、これが国に帰属しますものよりもよけいになる、こういう程度でという結論に相なったわけでございまして、結論的には、両方入れて半分を越えるものを地方が取得をした、この程度でやむを得なかったということでございます。そういう配分に相なった次第でございます。
  16. 山本弥之助

    山本(弥)委員 法人の実効税率が約五〇%近くなっておる、四九・四七ですか、このことは、実効税率を高める、諸外国並みで、日本より高いのはアメリカが五二%ですか、あとは大体五〇%前後ということになりますと、今度は実効税率地方重点を置いた配分をするということは、私は税制改正の場においては容易ではないという印象を受けるんですが、その意味でもことしはがんばってもらわなければならなかったのじゃないかと思うのですね。地方制度調査会というようなものがあって、いろいろこういう点も主張しておられるようですが、また地方団体の長も何人かが税調にも入っているようですが、何か地方税配分税制についての主張する強力な機関が必要であると同時に、強力といいましても、対等に国税との話し合いを煮詰めていくという機関が必要であると思うのであります。これをどうするかというふうなことは、政務次官、何か今後お考えになりますか。
  17. 古屋亨

    古屋政府委員 いまのお話、地方税自主財源強化という点の御主張でございまして、私も全く同感でございますが、ただ税制調査会というものの人的構成につきましては、いろいろ御指摘の点もございますし、今後ぜひ地方団体なり地方財政について特に見識と申しますか経験と申しますか、そういう方々をもっと送り込んで、それによって私どもの、また御指摘のような点の主張をできるだけ強くやっていただくというようなふうに、大蔵省ともひとつ積極的に協議をいたしまして、いまの点につきまして国の立場はもとよりでございますが、地方立場から十分発言できるといいますか、いまの方は発言されていないという意味ではございませんけれども、御趣旨の点もございますから、そういう点につきましては十分話し合いをいたしまして、御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思っております。
  18. 山本弥之助

    山本(弥)委員 法人課税あるいは個人所得課税関連いたしまして、今日地方にとりまして重要な税としては、私は道路整備の目的税であるところの自動車関係税制だろうと思うのであります。これもいろいろ地方団体も主張し、また地方制度調査会等におきましてもこの点は指摘をしておるところで、昨年の答申にもあらわれておるわけであります。  今回は、二兆円減税関連いたしまして、自動車関係税制がいわゆる二カ年間の暫定措置として増強に相なったわけであります。この増強になった自動車課税につきましても、私はやはり同じワク組みにあるということがいえるのではないかと思うのですね。従来いわれた公害対策としての重油消費税だとかあるいは軽油引取税というような問題は、いまのいわゆる石油の事情から見送りになったと思うのでありますが、それにいたしましても、一応暫定期間としての、資源の節約だとか消費の抑制だとか、それに関連して道路財源充実ということに関連した暫定的な増税といいますか、これを見ますと、揮発油税、自動車重量税を含めまして国税では千七百八十億、地方税自動車取得税五百四十億、それから自動車重量税二百六十三億、これは地方分与分ですが、それに地方道路税が百八十億、計九百八十三億、こうなっておるわけですね。これを見ましても、やはり三三、六六というよりもむしろ国に重点を置いた増収がはかられておる。いわゆる道路目的税としての改良、舗装にいたしましても、国がほとんど九〇%近くいっておる。それから府県が約五〇%、それに対して市町村は一五、六%台にとどまっておるというのが現状なわけであります。  しかも、目的財源にいたしましては、市町村が二四%、これは今度の税源強化で三九%くらいに伸びるのでしょうか、そういう御説明があったように記憶しておるのです。それにいたしましても、いまの総需要抑制ということから、ことしから来年にかけての二カ年間の道路の整備ということは、立ちおくれておる市町村道について、生活関連するいろんな福祉施設を整備するにいたしましても、地方の発展をはかる上におきましても、生活環境の整備からいいますとどうしても市町村重点を置かなければならない。そうなりますと、暫定的な自動車課税につきましては、むしろやはりこれだけでも地方重点を置いた配慮が好ましかったのではないか。  たとえば地方道路税にいたしましても、揮発油税と同じように二割上げているわけですね。この揮発油税のほうの二割は、総体の額が大きいわけですから少し減らすとか、そして地方道路税のほうの二割上げを少し上げるとか、同じ受けるほうの負担は変わりないわけですが、これも率を変えるとか、あるいは自動車重量税の地方のこれは大部分は市町村にいくのでしたね、四分の一は。それなんかも二カ年間の暫定期間は地方に二分の一をやるとか三分の一をやるとかすることが、何かいまの総需要抑制からいくと、また環境整備からいくと、市町村道の整備を重点的にやるんだというような国策にもかない、あるいは現実の生活環境の整備ということからいっても、当然この自動車課税は、いま強く地方に協力を要請するという、またそれに協力しようとする地方自治体に対して財源を与えるということについては、従来あまりにも型にはまった、地方を信用しない、協力だけを求めるというやり方であったが、ことしはこの自動車目的税におきましてもそういう英断を二カ年間の暫定措置としてやり、福祉公共事業との調整という関連でどう考えていくかはその後の情勢の変化で二カ年後でいいんじゃないか。当面は市町村道の整備に重点を置くということからもこの目的税を強化すべきではなかったか、かように考えます。これもあまり主張なさらなかったと思うが、どうでしょうか。
  19. 首藤堯

    首藤政府委員 道路税源強化の問題でございますが、ただいま御指摘がございましたように、国に比べて地方道の整備が劣っておりますことは事実でございますし、なかんずく私ども一番重要だと考えております市町村道、いわゆる生活の身のまわり道路の整備がおくれておりますことも事実でございます。それにもかかわらず、市町村における道路目的財源の充当率が非常に少ないということもございまして、私どもとしては地方道路財源、なかんずく市町村の道路財源充実ということにはかねてから強い主張をしてまいったわけでございます。  ことしの結果といたしましては、ただいま御指摘ございましたように、地方道路譲与税、それから重量譲与税、この国の増税に伴います増加とともに、地方独自の措置として自動車取得税の増加をいたしたわけでございます。ただいま御指摘をいただきましたように、約千億足らずの額が増加をいたしたわけでございます。  なおこのほかに、私どもといたしましては、燃料課税という面の均衡上、軽油引取税の増強についても考えまして、いろいろ主張をいたしたのでございますが、これは、御案内のように軽油がトラック、バスの燃料でございます関係上、現在の物価情勢のもとにあって個々の引き上げがいかがかというようなことで実現を見なかったわけでございます。したがってその分、目的税の充実という点については私どもも意に満たないところがあるわけでございますが、一応このような結果に相なった次第でございます。  ただ、一言だけ、地方道路財源充実について努力が足りなかったのではないかという御批判でございますが、それはそれとして受けとめるといたしまして、いわゆる財源の増加率と申しますか、それを国と単純に対比をいたしてみました場合、国のほうは一割五分見当の伸びでございますが、私ども地方道のほうは二割三分ぐらいの伸びに相なっておりますので、私どもとしてはできる限りの努力はいたしたというつもりでおるわけでございます。
  20. 山本弥之助

    山本(弥)委員 これは二年間ですから、私は二年間に経済情勢に即応して地方で当然やるべきことについては、そういう目的財源も暫定的にやるという措置が好ましかったんじゃないか、こう思うのであります。しかし、このことは、二年を経過しました情勢におきましても国の大きな柱が住民福祉重点を置くやり方ということになりますと、自動車課税ということが再検討される際には、根本的に目的税としての自動車課税は当然強く主張を願いたい。これは目的税ですから、税全体の交付税との関連からも切れている問題ですから、この目的税としての配分ということは重視していただきたい、こう思うのであります。  私はこの三税に限っていろいろ、いまの配分と、それに関連して、当面、税制面からいまの経済情勢に対応するということについて非常に配慮が欠けておるということを指摘したのでありますけれども、今後の経済情勢というものは、ことし一ぱい、いろいろな波乱に富んだ経済情勢推移すると思うのであります。これは年度途中におきましても、あるいは次年度予算編成におきましても、そういったことをやはり十分念頭に置いて、自治省としては地方公共団体のために努力を願いたいということを強く要請申し上げておきたいと思います。  次に、今回、もうすでに私が申し上げましたように、住民のサイドに立って個人住民税の最低限度を極力国税に近づけるべきであるという主張をいたしましたのは、特にことしが税制面におきましても国民生活の圧迫を緩和する必要があるのじゃないかということで申し上げたのですが、それ以上に、本来なれば従来の社会的不公正な税制面をことしは是正するということに重点を置くべきではなかったかと思うのです。それにしては、所得税におきましても、それのはね返りの住民税にいたしましても、従来の政策を踏襲しておるために、本来累進構造であるものが累進構造でなくなって、所得が多くなればなるほど下がっていくということは、これはやはり租税特別措置法等に関連しておる非課税措置の問題だと思うのであります。  これはすでに他の委員がもう何人となく指摘をしたところであり、税務局長もこのことに全力を尽くすというふうに言明しておられますので、私は強く指摘いたしませんが、これは多少とも地方公共団体の側に立って審議をしておられる地方制度調査会の答申も強く要望しております。しているわりあいには、昭和四十八年度の非課税等の減収額は三千二百四十二億だったと思いますが、ことしいただいた資料では三千四百九十四億と、二百五十二億ふえているわけですね。むしろこういうものこそことしは早く整理すべきではなかったか。これは単に税制上の問題ばかりでなくて、不公正を是正するという意味におきましても是正すべきではなかったか、かように考えるのです。これはいろいろ支障のある問題が伴うと思いますが、自治省としては万難を排して努力をするわけですね。もう一ぺん税務局長から決意をお聞かせください。
  21. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘をいただきましたように、租税特別措置につきましては、地方税においてはできるだけこれを縮減し、合理化をしていくという点が一番望ましいことと、私どもも心からそう思っております。そのやり方として、国税の特別措置が自動的に地方に及ばないように、遮断できるものはできるだけ遮断していくという点と、地方独自の措置におきましても、特例を廃止すべきものを整理していくという方針であくまで進みたいど考えております。ことしは、御案内のように、発電所にかかる固定資産税の特例廃止といったような若干の措置をやったわけでございますが、今後ともこういった問題、それから電気ガスの非課税品目の整理といったような問題に十分努力を尽くしていきたい、このように考えております。
  22. 山本弥之助

    山本(弥)委員 それに関連いたしまして、昨年私は公有地拡大推進法の改正の際に、大蔵省からも税脇駅の方に来てもらって強く要求したのですが、公用地に土地を買収する際に、土地収用を適用する場合と、こう順次段階がついているわけですね。譲渡の場合の控除額、最高二千万円だったと思います。これは公共団体に売却する場合は、売却する側は、それが何に使われようが、あるいは積極的に協力しないまでも公用地あるいは公共用地ということによって協力する、あるいはあくまで抗争して土地収用の適用を受けるということは、住民側においては変わりないのではないか。これは同じような控除額にすべきであるということを主張したのでありますが、たまたま地方制度調査会におきましてもその点を答申されておると思うのであります。今回の租税特別措置ではこの点が実現していないように私は思うのでありますが、これは十分に調べてくる機会がなかったのですが、どうなっておりましょうか。
  23. 首藤堯

    首藤政府委員 ちょっと正確にいま覚えておりませんが、主張をいたしましたものが一部分実現をいたしておるはずでございます。全般的な今後の措置につきましては、なお自治省といたしましても強力に要請を続ける、こういう体制であるように承っております。
  24. 山本弥之助

    山本(弥)委員 これは部分的で、全面的には取り入れられていないような感じを私は受けるわけです。そういう特別措置法もそう長くかからないうちに採決になると思うのでありますが、これは私は住民サイドからいっても、このことは税体系からは多少理屈があるにしてもぜひ実現してもらいたい。ことに公有地の確保ということについて、いろいろまたこれは議論する機会がありますので申し上げますが、問題になっておるときに、これはぜひ拡大しなければ住民側としては納得がいかない。使われる用途によって控除額が異なってくる、あるいは積極的に協力し、また積極的に反対することによって控除額が違ってくるなんというようなことは、これは今後の地方行政運営上からいっても私は支障があると思いますので、ことし実現しなかった部分はぜひ来年実現できるように、自治省としても地方制度調査会等の意を受けて努力を願いたいと思います。  それから、いろいろ問題のありました農地の宅地並み課税の問題でありますが、これはいずれ論議をするときがあろうかと思うのでありますが、今回の税制改正におきまして、取得税につきまして、長期保有土地の譲渡所得の分離軽課の問題につきましては、いわゆるあめ法案といわれた法案ですね、たいへん長い法律だったと思いますが、特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法という法律で、取得税につきましては率をよくしておるということになって、今回地方税におきまして同じような措置をとろうという改正が行なわれるわけであります。  もともと、私どもは、先ほども申し上げましたように、公用地の場合にはある程度まで控除額の増額、あるいはこういう軽課分離課税ということもいいのではないかと思いますけれども、今日、この四十四年度の土地税制というものは成功しなかったわけですね。むしろ混乱を招いておるということで、廃止すべきであるというふうに考えておるのですが、これは大蔵省所管の取得税が中心でありますのでいま申し上げてもどうかと思うのでありますが、自治省としてはこれはどうお考えになりますか。所得税に伴ってこの住民税の場合にもこういった軽課分離課税をすることになり、あめ法案におきましてはそれをさらに軽減するという措置を今回改正でとることになっておりますが、それは一日も早くやめるべきであると思います。そしてむしろ公有地の確保重点を置くような税制改正すべきではないか、かように考えますが、いかがでしょう。
  25. 首藤堯

    首藤政府委員 土地政策といたしましての所得税における長期所有の土地の譲渡課税のあり方につきまして、いろいろ御批判があることは承っておるわけでございます。大蔵省のほうとしましては、あれが一応、長期保有の土地を放出をさせるという目的のためにとられた税制であったことの経過にかんがみまして、現在いろいろ検討中のようでございますが、五十年までの軽課措置、これが終わりました段階においては抜本的な見直し等を考えておられるように承っておる次第でございます。  地方税のほうといたしまして、今回特定市街化区域農地等を宅地の用に供するために設けました特例につきましては、これは市街化区域内の農地を宅地の用に供することを促進するためにとられた特別の措置だ、こういうように考えておるわけでございます。地方税全般といたしましても、この軽課措置の期間が終わります段階において、住民税あり方そのほかの税制あり方につきましてもやはり根本的に検討し直すべき時期であろう、このように考えておる次第でございます。
  26. 山本弥之助

    山本(弥)委員 所得税関連しておりますし、このいわゆるあめ法案の当時の規定のしかたに関連して均衡上やったにすぎない問題であろうと思うのであります。これは五十年が参りましても、片一方のほうは三年の時限立法ですので少し残ると思うのですが、こういうあり方はやはり早く、国税地方税も歩調を一にして是正するということに自治省努力願いたいと考えております。  そこで、ちょっとむずかしいかと思いますが、建設省にもおいでを願ったわけでありますが、それはいわゆる宅地化促進臨時措置法につきまして、いろいろ宅地化を促進するという法律なんですが、これは去年の審議がおくれまして九月の末に施行になったと思いまして、まだ一年も経過していないという段階でありますが、最近は生産緑地の法案が建設省からやはり出されようとしておりますし、このあめ法案と関連して市町村側の立場がどういう措置をとっておるかということについては、私どもの山田委員から自治省のほうに詳しい資料の提出をお願いしていると思うのであります。反応のしかたが違うわけなんですね、関係町村におきましては。  ところが、これはもし推進するとすれば、当然なことだと思うのでありますが、この宅地化促進臨時措置法におきましては、土地区画整理事業の施行を推進するということがあるわけでありますが、そのほかにいろいろ、住宅金融公庫の資金の貸し付けだとか、先ほど申し上げました農地の譲渡の取得税の軽減の問題だとか、あるいは譲り受けた者の住宅の建設促進だとか、そのほかに地方税関連する不動産取得税及び固定資産税の軽減、中高層の建物を建てたところはそういう軽減をするというように、地方税の非課税あるいは減免に関連するような法律になっておるわけです。私はこれがどうなっておるかということを聞きたいんだけれども、なかなか半年ぐらいで実績があがっておるかどうかわからぬと思うのであります。少なくとも土地区画整理事関係者の要求があれば、積極的に土地区画整理事業を施行するということになっておるわけですね。これはどの程度まで推進しておるか、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
  27. 今野博

    ○今野説明員 お答えいたします。  いわゆる要請土地区画整理事業の制度につきましては、あめ法の施行に伴いまして関係の公共団体を招致いたしまして十分に説明会をいたしました。で、いま公共団体が地元のほうにそれをおろしまして、盛んにPRにつとめておるという状態でございます。  現在のところ、その結果若干の萌芽があらわれておりまして、二、三の地区で、面積にいたしまして二十ヘクタール足らずでございますが、この要請区画整理事業をやってほしいというところがあるようでございます。まだ正式に公共団体に対しまして区画整理の要請がございませんが、ほぼ大多数の人間が同意をいたしまして、そういう要請をしようという動きになっておるところが二、三ございます。今後どの程度出てまいりますか、はっきりお答えはできないのでございますが、ややそういうふうな萌芽があらわれてきておるという状態でございますし、さらにこの法律の精神にのっとりましてできるだけ詳しく地元に説明をいたしておりますので、もう少し待ってみたいと思っております。  ちなみに、今年度はこの事業の費用に充てるために、建設省といたしましては事業費六千万円程度を準備いたしております。  以上でございます。
  28. 山本弥之助

    山本(弥)委員 一年を経過しておりませんので、実効があがっておるかどうかということをお聞きすることは酷だとは思いますけれども、政策的な増税、減税、いわば税を減税して誘導する、税を増税してある政策の目的を達成するというあり方は、よっぽど政策が普遍的であり、妥当であり、またそれとの関連におきまして国民が納得するという場合以外は成功しない。  今回も、すでに細谷委員から質問があったと思いますけれども地方のほうの関係ではないけれども、電源開発税というようなものも、これは地方公共団体の電気税に関係がないからといって、こういった目的税を国税として創設されるということにつきましては、私は地方公共団体の側からしますと反対なわけであります。もしそういうことを税でとるならば、公害のない、地元できらわれないような発電所を建設するということが好ましいのであって、多少の負担をして、それで地元を納得させるようないわゆる目的税なんということは、地方公共団体の自主的な発展を促進するものではない。むしろ地方公共団体を何と考えておるかどうかと私は疑問を持つような目的税だと思うのであります。  これは国税でございますので、すでに細谷委員が議論をしたと思いますので深く言いませんが、宅地並み課税に関連してのいわゆるあめ法案というものも、ほんとうに地域住民なりあるいは公共団体が積極的に町づくりに関連して努力しなければ実を結ばないのでありまして、おそらくこのあめ法案は私はうまくいかぬのではないかという感じがしたわけでありますけれども、しかし、土地区画整理事業の推進等は、いわゆる虫食い状態になることを避けることからいいましても、当然積極的にやらなければならぬ最も重要な点であろうかと思うわけでありまして、その点は今後の実績を待ちましてまた論議をいたしたいと思うわけであります。  しかし、期待したように住民があめに食いついていないということは——もう、九月の末でありますけれども、これだけのいわゆる市街化になったA農地の区域ですから、ことしからB農地に宅地並み課税が行なわれるわけであります。A農地においてほとんど相当の、東京あるいは大阪、名古屋中心とする大都市圏の市町村、百八十幾つあったと思いますが、それだけの圏域で重要な区画整理事業を二、三、モデル的にしか実施していないということにつきましては、どうも私ども遺憾な感じがするわけであります。一応あめ法案という見地からではなくて、十分PRを願って、りっぱな区画整理をやってもらうように、ただ単に法律をつくったから万事うまくいくということのないような、ほんとうの地方公共団体のための施策になるように要望をいたしておきます。  それから、もう一つこれに関連してお聞きしておきたいのは国民健康保険税の問題でありますが、今回、国民健康保険税につきましては、個々の課税限度額を八万円から十二万円に引き上げるということになっておるのですが、この限度額で課税されておる世帯が全世帯のうちにどのぐらいを占めておるか。これは過去の実績に基づかざるを得ないと思いますが、そして、もし十二万円に引き上げた場合はどのぐらいの増加の見込みになるか、その見込み額をまずお聞かせ願いたい。
  29. 首藤堯

    首藤政府委員 四十八年度状況で一応推計をいたしてみますと、課税限度額で課税をされます納税義務者は、現行四十万人ほどおりまして、比率で四・八%ぐらいだと思っております。これが今回十二万円になりますと二十万人、比率にして二・三%ぐらいのものになろうかと思っております。
  30. 山本弥之助

    山本(弥)委員 増加見込み額はどのぐらいになりますか。
  31. 首藤堯

    首藤政府委員 百七十億程度かと思っております。
  32. 山本弥之助

    山本(弥)委員 所得税におきましても住民税におきましても、課税最低限引き上げによりまして住民生活の圧迫の緩和をはかるという措置がとられるわけでありますが、それにいたしましても、課税最低限以下におられる方々の生活の圧迫ということについては、課税最低限引き上げということに均てんをしないわけですね。その公平をどうするかということになると、やはり社会福祉充実とか、あるいは社会保障の強化ということになろうかと思うのであります。その中で、国民健康保険は地域保険でありまして、大体において地域に永住する方々の保険だと思うわけであります。  そこで、国民健康保険は、いままでの考え方によりますと、やはり他の健康保険とか政府管掌の健康保険と同じように、社会保険である。社会保険である以上は、自己負担を伴うということは当然であるわけであります。しかし、健康保険と違って、地域保険であると同時に、比較的所得水準の低い階層を含めての保険であるわけでありまして、いわば、健康保険なんかと違って、このことが村の重要な福祉であり、生活環境の整備であり、保健衛生の充実であり、さらに根本的には生活破壊をされる場合の医療保障という考え方、だから、保険の中で国民健康保険が最も力を入れて社会保障的な運営をしなければならぬ、かように私は考えるわけであります。  現在の保険税、これは保険料の性格を持っておるわけですが、保険税で、他の税とは違うと思うのですが、それにいたしましても、標準課税総額が一部負担金を除いたその年の見込み額といいますか、医療の見込み額の六五%をかける。これはまあ標準ですからそれでなくてもいいと思うのですが、これは考えようによっては非常に高い比率ですね。三〇%は自己負担ですから、七〇%のうち六五%を総合国庫負担でやるということは私は非常に高い保険だと思うのです。これは現在六五%でかけているところは少ないと思うのであります。四十七年度の実績では一七%ぐらいだと思うのでありますが、どうでございましょうか。
  33. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘のように五〇%未満という団体がかなりございます。
  34. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういったふうに、法律では六五%になっておりますが、五〇%未満がほとんど七〇%ぐらい占めているのじゃないかと思うのです。  これは最近、名古屋市で一般予算関連いたしまして、国保会計につきまして、たしか新聞に出ておりますところによりますと、四四%の、まあ普通の考え方でいけば増税ですね、それがほとんど、野党ばかりではなくて、一人の無所属を除いて各党から全面的に否定になった、否決になったという記事が出ております。私の県でも大船渡市では、そうふえたのじゃないと思うのですが、二〇%足らずの増収を見込むための改正案だったと思います。これが一応否決になっております。盛岡市におきましては三八%くらいのいわゆる増税になるのが、いろいろ公聴会を開かざるを得ない。そして主婦を中心に相当の反対運動が起こっておる。このことは、この国民健康保険というのが、先ほど申し上げましたように、地域に密接した、単なる医療保険としての健保だとか政府管掌保険と違って非常に地域と密接した関係でありますと、一般税との比較にはならないにしても、相当社会保障的にこれを見ていかなければならぬと私は考えるのであります。  厚生省の保険課長もお見えになっておると思うのでありますが、このことで厚生省としてはいろいろ配慮を願って、本年度は三百五十億の臨時調整交付金という制度を設けられたようであります。健康保険の中では、国民健康保険が老人をかかえておる関係、それから税負担というか、保険料の負担からいいますと均等割というのが相当強化されておりますので、他の保険のように所得に見合うよりも負担がならされておるという関係上、比較的所得の低いところに重圧がかかっておるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。また、最近の情勢からいいますと、医療費が四十七年でしたか上がり、ことしは四十九年二月から上がるわけですね。それから老人の無料化の問題等で非常に対応できないような状況になっておるのではないかと思うのでありますが、その辺の情勢、ちょっと保険課長からお聞かせ願いたいと思います。
  35. 下村健

    ○下村説明員 御指摘のように、国民健康保険では低所得者が多いということで、確かに他の保険に比べますと低所得者の割合というのは非常に高うございます。  それからまた老人の問題につきましても、わが国の就業の流れというふうなものからいたしまして国民健康保険に老人がたくさんはまってくる、ことばはちょっと悪うございますが、そういうことは確かにあるわけでございます。大体被用者保険の平均の老人割合が三%程度でございますが、国民健康保険では六%をこえております。これも非常に地域差がございまして、高い県でございますと、都道府県の平均で一割をこえる老人の被保険者をかかえておるような地域もございます。  それから老人の医療の無料化というふうなことによりまして、老人の医療費の割合伸びが非常に高くなったために、医療費全体の伸びに非常に大きな影響を与えている。これは国のほうで老人医療の無料化を全国的に実施いたしましたのは昭和四十八年の一月からでございます。したがいまして、四十七年の暮れごろから四十八年中を通じまして、国民健康保険の医療費の伸びというのは他の保険に比べると非常に高い割合伸びてきたわけでございます。そういうことで、四十六年度あたりまでは比較的安定した形で進んできたわけでございますけれども、四十七年、八年、それからこれから先迎えます四十九年度の国保財政の運営というのは、きわめて困難な面があるというふうなことを思っております。  そういうことで、老人の問題でもそういう地域差が起き、それから国保自体といたしましても非常に格差が大きいということが私どもとしても悩みの種でございまして、規模の面から申しますと、一保険者で百万をこえるような保険者がある反面で、百数十人というふうな非常に零細規模の保険者もおられるわけです。保険料の実額にいたしましても、一人当たり千円程度の負担から一万円をこえるような負担というふうに非常に格差が開いているわけでございます。これらの状況を考えまして、一律の負担ということではなくて、特に弱小保険者、財政力の弱い保険者に対する財政援助というものを強化する必要がある、特に老人問題なんかを中心にして考えまして、財政調整を強化しようというふうなことで、四十九年度におきましては臨時財政調整交付金というふうな形でやったわけでございますが、そういうことで今後とも財政力の格差という点に特に注意をしながら、財政の安定という面について私どもとしては大いに努力をしてまいらなければならぬというふうに考えている次第でございます。
  36. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いま国保課長からお話を聞きましただけでも、国民健康保険はやはり一番先に社会保障的な観点で運営しなければならぬのじゃないか、しかも国民健康保険税として負担することは、これは一般の税がどんどん軽減をされておるさなかに医療費それ自体も上がる、三割負担の医療費も上がっていく。それで、これは私は何回も過去において申し上げたのですが、岩手県は貧困なるがゆえに、地方公共団体は全力をあげて国民保険に取り組んでおる。だから直診なんかも整備し、十割のいわゆる、いまで言いますと無料化ということを実施したのが後退してきているわけですね。その後退してきているわりに、今度は保険料は毎年問題を起こしながら増額せざるを得ない、それは医療費が上昇しておるからです。そうして先進県なるがゆえに皆保険になると同時に、全国的に水増しされて、国の助成も受けられなくなるので後退せざるを得ない。いわば貧困なところほど熱を入れてやっておるというのが実情なんですね。ところが、一般会計からこれを繰り入れましてもなかなか交付税等の対象にしていただけない。老人医療の無料化に伴って三割だけは市の負担は、一般会計から繰り入れるこれはたしか交付税の対象になっていると思うのです。そうなりますと、だんだん今後医療費もさらにふえるときがあるでしょうし、スライド制等というようなことを医師会あたりは主張しておるわけです。これは私は、いまの異常な物価高において、何らかの関係でこの国民健康保険は、いわゆる不公正を税でやっておるものの補完として考えていかなければいかぬ、いわば社会保障を強化するという方向にいかなければならぬと思うのであります。その条文の規定は、これだけは法定主義じゃなくて標準税率のようですから問題はないと思うのであります。何とかこれをそういった意味で考えていかなければならぬと思っておりますが、税務局長、どうお考えになっておりますか。  また、今後三百五十億というような調整交付金だけでごまかしていけないのではないか。一定の方針を、社会保険の要素を加味するにしても社会保障に近い、保険税、保険料で取り得る限度というものをきめて、それ以上は国なり、いわゆる公費の負担にするという方向に確立しておかなければならぬ、こう思うのであります。税務局長からお聞かせ願うと同時に、保険課長からもその辺のことの事情をお聞かせ願いたいと思います。
  37. 首藤堯

    首藤政府委員 国民健康保険が地域的なものである上に、その加入者が低所得の人が多い、それから最近医療費の増額が見られる、こういった点にかんがみまして非常にむずかしい時点に遭遇をしておるという点はもうお説のとおりであると思う次第でございます。この点につきましては、従前から国民健康保険のあり方につきまして、御案内のように、抜本的な見直しが必要であるのではないか、もっと社会保障的な色彩をも加味すべきではないか、こういう議論もあったわけでございまして、私どももそういった点について、ほかの保険とは若干性格が違うというような点は常日ごろ思っておる次第でございます。  この運営のあり方につきましては、たとえば厚生省におきましても、標準保険料とでも申しますか、標準保険料的なものの制度を採用して、標準保険料では財源に不足を生ずる場合、こういった場合には国で補てん措置を講ずるといったような制度について、根本的に考え直すべきであろうということで検討が進んでおるというようにも承っておるのでありまして、そのような根本的な制度改正が必要であるだろうと思っておる次第でございます。  なお、現在の状況であります場合におきましては、一応保険料と国庫負担金で原則的にまかなわれる、こういう立場がとられておりますので、私どもといたしましては、一般会計から単純に繰り入れをするという点については、これは一般財政のほうを圧迫いたしますものですから、いかがか、こういう立場をとっておる次第でございます。
  38. 下村健

    ○下村説明員 国民健康保険の財政につきましては、厚生省といたしましても従来から国庫負担努力等を通じましていろいろやってきておるわけでございます。先ほど何割自治というふうなおことばもあったわけでございますが、そういう表現をかりますと、現在国民健康保険に対して行なわれております国庫負担というのは、大ざっぱに申しまして三分の二国庫負担をやっているわけでございますから、性格的にいえば三分の一保険のようなものであるというふうに御理解いただいてもよろしいのではないかと思うのでございます。  ただ、先ほども申し上げましたように、負担格差が非常に大きい、こういうことがありますと、市町村のほうで保険料の問題を議論いたしましても、隣と同じようなことをやっていって保険料だけが高いというふうなところが出てまいりますと非常に問題がある。またあるいは住民のサイドに立ちましても、たとえば東京都の二十三区に住んでおる人が、家を建てて埼玉なり神奈川なりに引っ越しをすると保険料負担がとたんに変わってくる。受けるものは違わなくてもそういうふうに違ってくるということがあるわけであります。ということで、昨年、私どもとしては、保険関係では健康保険法の改正等がありまして、給付面では一応各種の保険を通じまして七割以下の給付というものがなくなるような形で、給付面における均衡というものがある程度進んでまいりましたので、今後においては負担面における均衡、公正な負担というふうなことを第一に念頭に置いて進めてまいりたいというふうなことで、ただいまお話に出ました標準保険料というふうな面の問題もあるわけでございますが、そういうことでいろいろ検討を進めているわけでございます。
  39. 山本弥之助

    山本(弥)委員 四十七年度の国保の決算を見ますと、赤字団体もふえてまいりまして、大体全体の二六%が赤字団体になっているということを自治省のほうでも発表されておるわけです。これは、都市の国保は赤字が定着し、最近は町村が赤字がどんどんふえてくるという実態にある。本年度三百五十億という、まあ高額医療の問題を含めての臨時調整措置を講じましても、四十八年度の決算はもっと赤字が累増しているのじゃないかと私は思うのです。この赤字が累増しているのをほっておけばそのまま累増していき、一般会計から繰り入れるとなりますと、これは当然自己財源で見ていかなければならぬということになるわけであります。四十九年度は国保というのはますます赤字団体がふえてまいるのではないか。先ほど話を申し上げました名古屋の問題は名古屋の特殊事情にとどまらない。全国的な現象として、これ以上保険料は上げられない、保険税も上げられないということになりますと、赤字をそのままにするか、一般会計から補てんをするか、どっちかだろうと思うのであります。これは先ほど申しましたように、低所得者層の課税最低限引き上げることに伴って恩典にあずからない層に対する社会保障の強化という意味からいいましても、何としても、国保財政あるいは国の負担がどうあるべきかということは、臨時調整ということでなくて根本的に検討を進めてもらいたいということを、自治省、厚生省に強く要請を申し上げておきます。  時間がありませんので十分意を尽くしませんでしたが、私は本年度税制改正あり方から見まして、あるいはそのほか、当面現下物価の異常な上昇下における税制改正関連した問題がきわめて不十分であるということを御指摘申し上げたわけであります。すでにいままで、貧弱な団体におきましては、これは税務局長も御承知だと思うのでありますが、私は毎年このことを申し上げておるのですが、法人税割におきましては市町村の四二%という団体が超過負担をやっているわけですね。そして大体四十八年度の決算見込みでもそれが二百五十億程度の財源になっているわけです。かつては固定資産税だとかあるいは市町村民税におきましても超過負担があったが、これは自治省努力で、交付税とのかね合いによって、市町村民税の所得割の超過負担については解消に努力されたということによりまして、いまは非常に少なくなって、超過負担はほとんど問題にないわけであります。  このことは、国の税制を守っておったら地方自治体、どうにもならぬということを、端的に財政の貧弱な団体が示しておる。四二%ですからね、半数近い団体が自衛手段をとっているのですね。しかも、いま御指摘を申し上げましたような、当面いろいろやらなければならぬ措置も十分やっていない。そして税の本来の性質、税体系にこだわったようなことで、問題が解決されていない、あとに持ち越されているというときには、それを、いまの経済情勢に合った臨時的な措置をどうするかということは、地方団体が与えられた税制の条文の範囲内において適切な措置を講ずる以外にないのではないかと私は思うのです。それが超過負担、超過課税であり不均一課税でありというような問題になってくると思うのです。これにつきましてあまりに地方の自主性というものを拘束するような指導ということは好ましくない、こう私は思うのです。この問題もいろいろ指摘してありますので、なぜ超過課税をしなければならぬのか、不均一課税をしなければならぬのかということについて、単にその公共団体、自治体の首長なり最高幹部の考え方だけではなくて、広く学者の意見等も徴しながらまとめた労作等もあるわけです。それは、現実に行政需要に対応することと、いまの与えられた税制、これも先ほどちょっと申しましたように国との配分関係、あるいは地方税制につきましては地方公共団体主張が十分反映しないままに法定されていく。なるほど憲法で、地方税は法律の範囲内において条例できめることになっておりますが、条例できめ得る自主性というものはほとんどないというのが現状なんですね。それを条文の範囲内においてこういう異常な事態に対処していくということは、むしろ自治省としては奨励すべきではないか、こう思うのです。  私ども遺憾に考えておりますのは、事務所事業所税もことしは実現するかと思ったら実現しなかった。それはわずかばかりの法人課税地方にも与えられたじゃないかというようなことで見送られた。しかも国税にするというような議論がある省から出て、議論が煮詰まらなかったということで見送られたわけですけれども、これに類することも、固定資産税の運用なり、あるいは独自の法定外普通税としてやってもいいじゃないか。自治省の考えておられた事務所事業所税というものを暫定的に時限立法でやってもいいのではないかというようにすら考えるわけであります。現に参考人の荻田さんなんかも、やるべきではないかという議論を言われたのではないかと記憶している。  その意味からいいますと、どうしても本年はある程度まで地方自治体の自主性を認めていただきたい。そして、あまりに指導という名のもとに、税体系とか税理論によってがんじがらめにしないように願いたいと思うのです。この点につきまして自治大臣から御答弁をお願いしたいと思います。
  40. 町村金五

    町村国務大臣 参議院の総括質問等がございまして、そのために、たいへん御熱心に地方税の御審議をいただいておりましたときに、私、ほとんど伺うことができませんで、たいへん申しわけなかった、かように存じておるわけでございます。  先ほどおくれて参りましてから、山本委員からいろいろ地方税制について、もっと自治省としては地方団体が必要な財政需要に応ずることができるように、弾力的な指導をすべきだというような趣旨の御意見を伺ったわけでございます。私もあまり税のことは詳しくございませんので、お答えとしてははなはだ不十分なものになるかと思うのでございますが、一面、御承知のように、税制というものは一つの大きな基準というものがなければならぬでございましょうし、同時に、国税地方税というものがたいへん深くからみ合って関連をいたしておるわけであり、われわれ自治省立場からいたしまするとできるだけ地方税の幅を広げてもらいたい、そして地方財政需要に応ずるようなものにしなければならないということで、今日まで自治省としては、税制調査会等に対しましていつもそういった意味意見を述べ、主張をいたしておるところでございまして、御承知のように、漸次そういった方向に進みつつあると私は思いますけれども、しかしいまだ、皆さんからお考えになりましても、また自治省のわれわれから考えてみましても、決して満足のできるような状態になっていないということは申し上げるまでもございません。  先ほど御指摘のございました事務所事業所税のようなものは、特に都市の税源がきわめて必要になってきておるというようなことから考えてみますると、私どもはこれはやはり早急に創設されてしかるべき税目である、かように考えておるわけでございますけれども、御承知のような事情のもとに本年はこの創設は見送られざるを得ないということに相なったような次第でございます。  いずれにいたしましても、今後自治省といたしましては、これから次第に地方財政需要というものは多様化し、またふえてきておるのでありまして、地方税立場からこれにどう対処してまいるかということにつきましてはさらに深く検討も重ね、また関係省との間におきましても、十分そういう点はひとつお話し合いを積極的に進めるということによりまして、こういった問題にひとつできるだけ対処してまいるべきだというのが自治省としての立場であろう、かように考えておる次第でございます。
  41. 山本弥之助

    山本(弥)委員 税務局長さん、ちょっと事務的に御答弁願います。
  42. 首藤堯

    首藤政府委員 超過課税が、住民税法人税割をはじめといたしまして、現在かなりありますことにつきましては御指摘のとおりでございまして、それぞれの地方団体が、増高いたしております地方財政需要に対処をするために特別の負担を求めるということについて、住民のコンセンサスを得ながらこのような制度をとっておる、こう考えておる次第でございます。また、このような制度は、地方税法上も標準税率税制におきましては認められておるところでございまして、私どもといたしましては、地方の自主性尊重という面から、これをやみくもに制限するといったようなことはもちろん考えていないわけでございます。ただ、当然のことでございますが、超過課税、特別の負担を求めるわけでございますから、特別の財政需要があるという点と特別の負担を求めるという点の関連性につきまして、住民に十分な納得、コンセンサスがある、こういうことが自治体としても自治体のあり方の根源であろう、このように考えておる次第でございます。  それから事務所事業所税につきまして、これを法定外でというようなケースがあればどうするかといったような御趣旨の御質問でございましたが、これも申し上げましたように、私どもといたしますれば、でき得ればこれはもう全国税制として、地方税法による法定税として設定をいたしたい、このように考え、今年中もまたそれに向かって邁進をいたしたい、こう考えておりますので、そういった事態を前提に置いてお考えをいただくようにお願いを申し上げたい、こう考えておる次第でございます。
  43. 山本弥之助

    山本(弥)委員 最後にちょっと申し上げておきますけれども、五〇%近い団体における財源が非常に苦しいために超過課税をしておるという実態、しかもそれはなぜ不均一課税をしないかという場合に、主として財源の少ない地方の団体でありますので、当然不均一課税をするような必要性のない団体が該当しておると思うのです。ところがいまの経済情勢下において、超過課税と同時に不均一課税ということが実情に沿うという事態に当面しておるところも、これはむしろいろいろ複雑な行政事務に対応するところと別の意味で必要になってきておるのではないかと私は思うのです。その前に、財政需要がどうであるかということについての深い吟味をするということ自体が、地方の自主性というものに対して理解を持っていない。本来なれば条例で、法律の規定をある程度まで、先ほどの国民健康保険税と同じような標準税率みたいなものにして、そしてその範囲内においてその都市の実情に即応した課税をやるということが課税の自主性からいくと当然なことだと私は思うのであります。ワクにはめ込まないという将来の方向に行ってもらいたいと思うのです。ただ、いまの異常な情勢におけるその都市の実情に即応したあり方、これは歳出も歳入も同じでなければならぬ、同じ考えでいかなければならぬと思いますので、その点は、画一的に財政需要がどうのこうのというようなことにこだわることによりまして、本来の地域住民とのコンセンサスのもとに運営できる税制自治省であまり牽制をしないように特に要望を申し上げまして、答弁は要りませんから、運営を誤まらないようにお願いを申し上げておきます。
  44. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 三谷秀治君。
  45. 三谷秀治

    ○三谷委員 初めにお尋ねしたいのは、政府のほうでは減税の宣伝を盛んになさっております。   〔委員長退席、中村(弘)委員長代理着席〕  そこで、この地方税法の一部改正案を見ましても、減税の根拠がどこにあるのか、インフレ対策は税の面でどう生かされておるのか、この点についてまずお尋ねしたい。
  46. 首藤堯

    首藤政府委員 四十九年度税制改正で、個人の住民税の場合でございますが、旧法に比べまして千七百七十三億円という額の減税になっておるわけでございます。この点につきましては、国税所得税あり方等ももちろんでございますが、消費者物価等の上昇につきましても配慮をして課税最低限引き上げを行なう、こういう措置をとったものでございます。
  47. 三谷秀治

    ○三谷委員 千七百億円の減税とおっしゃっておりますけれども自然増収が六千数百億にのぼっておるわけなんでしょう。その六千数百億というのが増税になるわけなんですね。ですから、千七百億の減税とおっしゃいますけれども、六千数百億の増税がある。そうしますと、これは減税とはいえないんじゃないですか。減税というのは、実質的な一定所得に対する税の割合をいうのであって、今日出されました改正案によりますとむしろ税負担は重課されておるということになっておりますが、その点をどのように解釈して減税とおっしゃっておるのか、お尋ねしたい。
  48. 首藤堯

    首藤政府委員 御案内のように、税の税収見積もりを立てます場合には、これは数的なものでございますので、あくまで基礎は名目的なものに対応した額になるわけでございまして、自然増収がございます場合には、実質的な所得の増、それから名目的な所得の増、こういうものをつっくるみにいたしまして、御指摘のように六千億余りの自然増が出るわけでございます。私ども減税と申しております場合は、昨年度とっておりました税制、課税標準でございますとか税率でございますとか、これをかけました場合に対応いたしまして今度の新しい制度でどれだけ税収の見込みが減るか、こういう算定をいたしまして、この額を減税額と称しておるわけでございます。
  49. 三谷秀治

    ○三谷委員 住民税人的控除がそれぞれ一〇%から一二%程度上がっております。しかしそれで減税とはいえません。これで減税といえますのは、課税所得に変動がない場合初めて減税といえるのです。名目所得が四十八年度におきまして大幅にふえました。名目賃金の前年対比の伸びは幾らになっておりますか。
  50. 首藤堯

    首藤政府委員 ちょっとただいま手元に数字を持っておりませんので、すぐ調べましてお答え申し上げます。
  51. 三谷秀治

    ○三谷委員 前回の質疑の中では二一・七%前年比伸びがあるというように私は聞いておりました。そうしますと、名目的にはその程度所得がふえておる。名目上の所得ですね。ですけれども国民減税ということばに対して期待を持っておりますのは、その名目所得に対する税の比率というのではなしに、実際の生活の実質、これに対して税がどうなっていくのかというところにあるわけなんです。ですから、減税とおっしゃいます限りは、実質所得、これに対してどう変化していくのかというところが一番のポイントだと私どもは考えておりますが、実質所得に対しては本年度はどういうふうな税の変動が生まれてくるのか、お尋ねしたい。
  52. 首藤堯

    首藤政府委員 税の負担感といたしましては、実質所得に対しまして税がどのように増減をするかという点が、実際の住民なり国民負担感になるであろうということは私もそのように考えます。しかし、税額の計算をいたします場合には、これは御案内のように、どうしても名目上の計算をせざるを得ませんので、その名目上の自然増六千何がしに対して千何百億の減税、こういう計算になるわけでございます。この際は、四十八年度におきます消費者物価の増等に伴います名目増に対する税額の増加分でございますか、これをこえます金額になりますように私どもとしては配慮したつもりでございます。
  53. 三谷秀治

    ○三谷委員 現に四十九年度個人住民税所得割を見ますと、府県の場合で一三四%、市町村の場合で一三九%の増収見込みになっております。これは当然課税所得の増加に伴うものだと思います。今回の減税措置によります個人住民税減税見込み額は千七百七十三億であります。名目所得の変動に伴う自然増収額が六千二百二十六億円になっております。そうしますと実質的には四千四百五十四億円の増税になる。ですから、これはあなた方がおっしゃいますような実質的な減税ではないということ、これは確認していただけますか。
  54. 首藤堯

    首藤政府委員 所得が増加をいたしますことに伴いまして、税額の実額そのものが増加をするという点につきましては、先ほどから御指摘のように、税額計算が名目上の所得にならざるを得ませんので、当然そうなるわけでございまして、実質上四千億余り税額そのものはふえるわけでございます。しかし、税額そのものはふえますが、これが増税であるといえるかどうかにつきましては、そうはいえないのではなかろうか、こう考えておる次第であります。
  55. 三谷秀治

    ○三谷委員 たとえば昨年度百五十万円の所得者は、名目賃金の増加によりまして百八十万円になるわけです。これに対する標準世帯の税額を見ますと、昨年度二万三千三百六十五円、本年度二万九千六百八十一円になっている。六千三百十六円の増税になる。これが、実質所得が名目所得と率をひとしくして上昇しておる場合でありますと、これは確かに減税でしょう。しかしそうでない。そこに問題がある。これは、生活水準が名目が違いましても一緒でありますならば、これだけの税がふえるという計算になっていく、このことははっきりと認めてもらわぬといかぬことになる。
  56. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘のように、たとえば四十七年に百五十万円の収入のあった方が、二割収入が増加をいたしまして百八十万円の収入になった、こういう場合の四十九年度住民税の額が四十八年度住民税の額より六千円余りふえるというのは御指摘のとおりでございます。名目の増と実質の増を加えまして、さらに今回の課税最低限引き上げによる減、これを差し引きましてそのような金額になるわけでございますが、先ほど申し上げましたことは、名目所得の増があります場合に、私ども減税を考慮いたしますときに物価調整減税とでも申しますか、単純に物価が値上がりをしたことによります名目的な所得の増に対応する税額の増、これはぜひ消し込むようにしたい、それ以上の金額を減税額として設定いたしたい、こういう考え方で税額をはじいておることは御承知のとおりでございます。
  57. 三谷秀治

    ○三谷委員 それが実際には消し込まれておらぬ。そこに問題があるんじゃないですか。二百万円の所得の場合でもそうでしょう。ことし二百四十万円になる。そうしますと、昨年五万百四十七円でありました標準世帯に対する住民税が本年は六万三千七百八十九円になる。一万三千六百四十二円の増税になっておる。実質所得の低下の中で大幅な増税が行なわれておるわけです。これが減税といえるかどうか。ここのところの概念をひとつはっきりさしてもらいたいと思う。いつも減税減税とおっしゃいますけれども国民は少しも減税という恩典には浴していない。行政用語として減税とおっしゃっているだけだ。そこのところは国民の感覚に合った処置や合った方策を示してほしいと思う。名目所得上昇分が減税処置の中に計算されていない、つまり実質所得というものが何ら税の処置の中で生かされていない。ですから、インフレ下の租税対策としましてはこういうものであってはならぬと私は思う。その点についてお尋ねしたい。
  58. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、今度の税制改正によります名目上の減収額が千七百億余りになるわけでございますが、いわゆる物価の増加に伴いまして、当然名目的所得がふえましても何ら実質上の生活の足しにならぬ、こういう点はもちろんあるわけでございます。そういった面の物価上昇率に伴います調整減税の所要額、これは税調等で考えております一定の方式がいろいろございまして、なかなかむずかしい議論もございますが、そういった方式によって計算をいたしますと、千二百億弱でございますかの金額は、物価の増加によって、四十七年から四十八年に対して伸び所得が実質所得に何も役に立っておらぬ、こういう計算に相なろうかと思うわけでございます。したがいまして、千七百億余りの減税額を設定いたしました場合には、そういった千二百億というような、調整減税を当然行なってしかるべきといった額を想定し、それを下らない額ということでいろいろ改正操作をいたした、このように申し上げておる次第でございます。
  59. 三谷秀治

    ○三谷委員 名目所得の増加が実質所得関連性を持たないということですね。そうしますと、いまいろいろ説明なさっていますけれども、この実質所得に対して、いまの地方税法改正案は税の増減がどういう関係になっておるか、これをお尋ねしたい。
  60. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、あくまでマクロの計算でございますけれども、四十七年度から四十八年度物価上昇がございまして、その上昇相当分の名目所得の増加がありました場合には、これは実質的には生活上何の役にも立ちませんものですから、その増加をしました分の所得の増に対して税率の逓増率がございますが、こういったものでふえてまいります額、これは実質所得の増加を伴っておりませんので、実額として税を徴収するのはいかがか、こういう考え方で、これは調整減税所要額と考えておるわけでございます。それを考えたわけでございますが、そういった数字を上回る額ということで減税額を設定をいたしておりますので、所得の増加に対応いたします分のうち、その全く名目的なものに対する分は考慮をして、もうはずしておる、こういうことになろうと思います。
  61. 三谷秀治

    ○三谷委員 どうも、聞いておりましても私ちょっと理解しにくいのですが、いまおっしゃいました点はどういうことなんでしょうか。人的控除引き上げによりまして、標準家族の課税最低限が百一万六千円に上がりました。昨年より十五万ふえたわけです。この十五万と、実質所得と名目所得の差額とはどういう関係になるのか、これをお尋ねしたい。  それから、所得税課税最低限が百五十万七千円に上がりました。それと地方税課税最低限との格差が四十九万一千円になりまして、四十八年度の格差と比べますと、四十八年の格差は二十五万六千円です。ますますその差を拡大しております。このことはいまの実質所得との関係でどういう計算になっていくのか。このように格差が広がりますことは好ましいことかどうか、お尋ねしたい。
  62. 首藤堯

    首藤政府委員 課税最低限国税との格差の問題でございますが、毎々御議論をいただいておりますように、私ども住民税の計算が、課税標準を前年所得にとらざるを得ないいまの仕組みになっておりますものでございますから、国税所得税の場合に計算をされました所得も、その前年の所得を持ってきまして住民税の課税標準にするわけでございます。そこで、毎々申し上げますように、住民税課税最低限の比較といたしましては、前年の所得税課税最低限と比較をする、こういうことが税額計算上はやむを得ない措置であろうかと思っておるわけでございますが、その点から見ました場合には、四十八年の課税最低限よりもことしの地方税法課税最低限百一万のほうがむしろ格差は縮まっておる、こう考えておる次第でございます。  なお、この格差のあり方につきましては、これも毎々申し上げておりますように、住民税本来の趣旨によります、なるたけ広い範囲の人に負担をしていただきたいという願望と、それから所得の増加、生活水準の増加等に伴いまして、生活最低限を割り込んでまで課税をするといったことがないようにという考え方、こういった面のバランスから考えておるわけでございまして、私どもとしては所得税課税最低限と同額に持っていくという点までは考えていない点は申し上げておるとおりでございます。
  63. 三谷秀治

    ○三谷委員 まだほかに二つ、三つ聞きましたでしょう。人的控除など十五万円の引き上げというものは何を計算基礎にされたものですか。
  64. 首藤堯

    首藤政府委員 課税最低限の計算でございますが、ことし所得税大幅減税がございましたことによりまして給与所得控除の額、これがきまってくるわけでございますが、この点が当然明年度以降の住民税に自然的に移行して影響をするわけでございます。それから、かたがた、各種人的控除につきましても国のほうの引き上げが行なわれたわけでございますが、これと地方人的控除あり方、これについて、国の動向等も考えながらどの程度に持っていくかということも考えなければならないわけでございます。それからもう一点、地方財政の現状、それから住民税の現況等から、いわゆる現行税法によります収入見込み額に対してどの程度まで減収額が耐え得るかといったような考え方財政上の観点も考えるわけでございまして、そういったようなものを考慮いたしながら金額を定めた、こういうことでございます。
  65. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは、扶養控除につきましても国税との差があるわけですね。その差の中で百一万六千円という課税最低限が出てきているわけです。そういう扶養控除などにつきまして国税と差をつけて、このような格差を広げていく必要がどこにあるのか、その根拠はどこにあるのか、お尋ねしておきます。
  66. 首藤堯

    首藤政府委員 扶養控除につきましては、基礎控除、配偶者控除等と、国のほうは本年同一の金額にいたしたわけでございまして、税調の答申にもございますように、私どももでき得べくんばこれを早い機会に同額に持っていくという点については努力をしたいと考えておるわけでございます。金額に差をつけましたのは、やはり減収見込み額全体の規模をどの程度まで持ちこたえられるかといったような勘案もあわせ考えました結果でございます。
  67. 三谷秀治

    ○三谷委員 名目所得の増加に伴います自然増というものが六千数百億あるわけなんです。ですから、そういうことを基礎にして考えてみましても、この扶養控除あるいは配偶者控除などの引き上げというものは国税と同率にやっていくことが十分に可能性がある。それがなぜできないのか、理解できないわけです。それから、そのことによりまして百一万六千円という課税最低限が生まれてきておる。そうしてこれは、昨年度地方税所得税課税最低限の格差よりもさらに広がってきている。昨年は二十五万六千円格差がありました。ことしは四十九万一千円に広がってきているわけです。このようにして格差を広げる基礎になりますのが、そういう人的控除の額の僅少なところに原因があるわけです。   〔中村(弘)委員長代理退席、委員長着席〕 この格差を詰めるためには、もっと人的控除引き上げをやれば詰まってくるわけです。この格差が広がることが好ましくないことであるならば、なぜそういう処置がとれないのか、お尋ねしたい。
  68. 首藤堯

    首藤政府委員 なるたけ三控除の控除額を同一線に早い機会に持っていきたいという考え方を持っておりますのは先ほど申し上げたとおりでございますが、それに達し得ませんでしたのは、一つには、この制度によります千七百七十三億という金額が、自然増収六千二百億ございますが、その約三割近くの金額になるわけでございまして、地方財政全般の財源的動向からどの程度まで持ちこたえられるかといったような勘案もいたしたからでございます。  それから、国の最低限との格差が広がっておるという御指摘でございますが、これは先ほども申し上げましたように、好むと好まざるとにかかわらず、税額計算が前年所得でもって計算をされる。前年所得の当該金額に税率をかけていくという計算に相なるわけでございますから、所得税で四十八年に控除をされました課税最低限、こういうものとことしの四十九年の住民税課税最低限を御比較をいただきますと、国の課税最低限の約九割見当にまで一応相なったわけでございまして、私どもとしては、格差が広がった、このようには考えていないわけでございます。
  69. 三谷秀治

    ○三谷委員 格差の額が広がっておれば格差が広がったことになるのと違うんですかね。それから税の対象年度に差があるとおっしゃっておりますけれども、差がありましても、これを詰める処置は十分に考え得るわけなんです。ですから、確かにいまの制度によりますと税の対象年度に差がある、違っておるということは、一つのあなた方の主張としてはあり得るでしょうけれども、しかし、課税最低限というものが最低生活費という見方で見ますならば、同じ年度におきまして所得税地方税に差があるのは論理的にもこれはおかしいわけだ。それをどう埋めていくかという問題につきましては、これは調整のしかたが残されておる。全然ないものじゃない、やるかやらぬかという問題なんです。これをおやりになるのが、むしろこれは税の論理の上からいいましても正しいのではないかと考えておりますが、どうでしょう。
  70. 首藤堯

    首藤政府委員 格差の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、四十八年の所得税と四十九年の住民税課税最低限、これをごらんをいただきますと、この格差は百十二万と百一万でございますから十一万見当に相なります。四十八年の場合のこの金額は、四十七年の所得税課税最低限と四十八年の住民税課税最低限の場合では十七万ほど格差があったわけでございまして、税額計算上前年の所得をとりますことになっておりますものですから、そこの同時点で比較をすれば、私どもはむしろ格差はことしはいま申し上げたように詰め得たのではないかと考えておるわけでございます。  ただ、御指摘のように、前年所得に課税をいわしましても、払う現実の現時点においてはことしの所得から払うから、租税負担感としては云々という御議論は、これは確かにあろうかと思います。この点につきましては、本年度特に所得が何らかの関係でない、こういう場合には、前年度所得に基づきまして調定をいたしました住民税の額も、個別に減免等の措置が行なわれるしかけになっておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、前年所得に課税をするというたてまえになっております以上、このような課税最低限の設定をいたす、こういうことになった次第でございます。
  71. 三谷秀治

    ○三谷委員 そこはこの法の改正もあり得るわけですし、それからその他の調整処置というものは考え得るものだと思います。ですから、同一年度におきまして支払うべき税の課税最低限に差がある、あるいは配偶者控除その他についても差があるということは、税そのものの論理からいいまして全くこれは場当たり的な感じを免れません。これを改正する必要があると思いますけれども、その点はどうでしょうか。  それから、所得税課税最低限が百五十万七千円、そして地方税が百一万六千円、ですからこの差というものは約五十万に近い差がある。こんな差はかつてなかった、うんと開いてきた。こういうふうな開き方をすることが、いま申しました税の性格からしましても妥当かどうか、これをお尋ねしたんです。  そのために、個人所得割の納税義務者が、前年度と比較しまして五十二万三千人増加している、三千三百四十二万九千人に達するという。この三千三百四十二万九千人という数字は、四十五年度において均等割のみを払っておった納税者数と同数になっておる。つまり、大衆課税というものがきわめて強化されてきたということがこの計数の中からもはっきり示されておる。この大衆課税という点についてはどのようにお考えなんでしょうか。
  72. 首藤堯

    首藤政府委員 課税最低限所得税住民税とで違います点につきまして、いろいろな御議論がありますことは私も承知をいたしておりますし、先生主張のような、両方一致をさすのが税理論上正しいのではないか、こういう御主張もあり得るわけでございます。ただ、これも御案内のように、住民税そのものの性格を考えてみました場合に、もちろん最低生活費に食い込むということはだめでございますけれども、できるだけ広い分野の人が地方の経費を分担をする、いわば地方税は御案内のように府県や市町村における住民の会費のようなものだ、こういう地方税本来の考え方からは、なるたけできる限り広い範囲の人が住民税負担すべきである、こういう点から、住民税課税最低限所得税課税最低限と同じでなければならぬということはないんだという考え方もあるわけでございまして、政府税調等の答申ではこのような考え方が示されておるわけでございます。私どもといたしましても、住民税の本質とそれから課税最低限あり方といったことを、そういった面に調和を求めながら課税最低限をきめる、こういうことを念願をいたしておるわけでございます。  それから、納税義務者でございますが、所得割の納税義務者が今回三千三百万人余りになりまして、四十八年度の数より約五十万ふえるというのは御指摘のとおりでございます。これも、現行法のままでまいりました場合には約三千六百八十万程度、これは名目所得伸びを含めてでございますが、出てまいるのを、三千三百四十万という程度に、約三百四十万人今回の課税最低限引き上げによって減少をさせた、こういう経過をたどっておるわけでございます。
  73. 三谷秀治

    ○三谷委員 所得税課税最低限を本年度におきまして百五十万七千と見ている。これが生活費課税を避ける最低限であるとするならば、本年度におきましてそれ以下の課税最低限を設けるということは、生活費課税というものを明確に認めていくという結果にならざるを得ない。論理上、そうなってくるわけです。ですから、幾らかの減税によりまして所得割の納税義務者が減ったとおっしゃいますけれども、しかしそれは名目所得というものを一さっき言いましたように計算の基礎にしているわけでありますから、実際の生活費、生活状況、これを抜きにした税の議論というものは意味がないということなんです。その面からいきますと、この所得税課税最低限等との権衡等から見ましても、生活費課税が行なわれて、そのためにこれだけの増加になってきたんだという結論にならざるを得ないわけです。こういう税の増加というものがこの地方税法においてはなされている。ですからこれは明らかに減税ではない。重課なんです。そして、大衆課税を一そう強化してきておるという結論にならざるを得ないわけなんです。この点につきまして御所見を承りたいと思いますが、これは大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
  74. 町村金五

    町村国務大臣 たいへん重要な御指摘であると思うのでありますが、最近物価が著しく高騰をいたしておりますので、名目の所得が相当にふえても、それがもし物価の高騰にのみ基づくものであって実質的に国民所得に増高がないということになるのか、それとも、名目所得の増加の中には、消費者物価の増高と同時に実質的な所得の増加というものが含まれておるというふうに見るかの問題でございますが、先ほど税務局長からもお答えを申し上げましたように、今回の千七百七十三億円でございますか、この減税の中には、いわゆる物価調整減税というようなものが大体千二百億円くらいはある。したがって、その残余の金額は実質的な減税になるのだというふうに判断をいたしておるようでございます。  これに対しまして、三谷議員としては、むしろそうではなく、実質的の大衆課税になってきているような傾向だ、こういう御指摘でございまして、これはなかなか実は私は判断の非常にしにくい問題であり、ことに最近もなお物価が高騰を続けておる。政府によりますると、若干騰勢は鈍りかけてきており、間もなくある程度鎮静をするのではないかという見方をいたしておりまするので、そういったものともこれは関連をしてまいることでございますが、もしさらに今後物価が高騰を続けるというようなことに相なりますれば、確かにこの千七百数十億円の減税というものはどうも名目減税に終わって、実質減税にならないということも将来起こり得るかと思うのであります。が、私どもといたしましては、すみやかな物価の鎮静が実現をされることによりまして——今回の住民税減税というものはある程度消費者物価上昇によって消されてしまうという一面は、確かに私は御指摘のとおりあるかと思いますけれども、私どもは、実質的にある程度の減税にならなければならないし、今後の物価情勢推移いかんによりますけれども、鎮静をいたしまするならばある程度の減税の実があがるのではないか、かように考えておるところでございます。
  75. 三谷秀治

    ○三谷委員 先ほどからお尋ねしていますことで、実質所得の変化をどのように捕捉されておりますかということを聞きましたけれども、お答えがないわけなんです。  それで、労働省の勤労統計調査によりますと、一月度におきましては前年同期と比較しまして実質四%減だ、そういう調査が出ている。官庁調査におきまして実質所得が低下している、そういうことになってきている。ところが自然増は六千二百億円だ。実質所得が低下して生活が苦しくなってきているのに自然増収は六千億もふえておるのだ、こういう計算に立っている。その計算自体が、いまの実質所得、つまり生活状況というものを計算しない税の処置になってきている。そこでこれは重課であるし、しかも大衆課税になっておる。そういう中で所得割の負担者、納税義務者がどんどんふえてきているという状況を見ますと、これは明らかに重税になっておる。減税なんということがいえる性質のものじゃないということを申し上げておるわけです。  このことは、たとえば電気ガス税についても同じことでありまして、一般用の電気税の免税点を若干引き上げる、ガス税の免税点を引き上げる、二〇%から二九%引き上げる、それだけ減税になるというお立場のようです。ガス税の税率は百分の一引き下げる。ところが、本年度の電気やガス料金の値上げの見込みはどのようにお持ちなんですか。
  76. 首藤堯

    首藤政府委員 本年度の電気料金あるいはガス料金の値上げ等の問題につきましては、現在の時点におきましては私どもとしては把握をすることができませんものですから、この前にもお答えを申し上げたわけでございますが、あくまで現状における状況で免税点以下の地帯の数がどの程度になるか、こういったような算定をしながら設定をしたものでございます。電気料金等の増加がもしありますならば、いつの時点に、どの程度の規模で、どういう状況で、どういうことかがきまりますならば、そういった時点に合わせてまた免税点のあり方等については前向きに検討を進めなければならぬ、こういうことは申し上げておるとおりでございます。
  77. 三谷秀治

    ○三谷委員 前向きの検討とはどういうことなんです。いまこの法案を審議しております過程におきましても、電気料金の引き上げ六七%から六八%、これは不可避である、そういう態度を政府自身がおとりになっているのです。ガス料金の値上げも石油価格の関係上昇は避けがたい、そういう状況になってきています。同じ時期にこういう問題が起きてきているのです。そうしますと、いま二〇%から二九%というこの免税点の引き上げなんというものを私たちまじめに審議をして、これで国民減税なんだというふうなことがいえるものじゃない。七〇%から八〇%料金を上げまして、二〇%から三〇%の減税というのでは、実際は二〇%、三〇%の減税になりはしません。要するにそれが課税から除外されるわけでありますから、そのことがすぐに免税になりはしませんけれども、かりにそれを全部免税額と見ましても、全然これは現実の進行とはかけ離れた改正案になってきている。  これは単に電気ガス税の問題を言っているのじゃないのです。先ほどから住民税の問題について言っておりますのも同じことなんです。実質所得が四%減っているというのに、名目所得に対する課税で六千二百億もの自然増収があるのだ。そのうち千七百億減税するんだというような態度をもってしましては、これはいまの国民生活実態に即した税の問題というものの議論になりません。そこのところをもう少し、国民生活実態に即した減税処置、実際の減税について態度を明らかにしてほしいと思うのであります。
  78. 町村金五

    町村国務大臣 税の問題につきましては税務局長からお答えをいたしますが、先般石油価格の値上げをいたしましたときに、政府部内におきましても、電気あるいはガスの料金というものは近い将来に引き上げざるを得ない情勢にあるわけなので、この際、このこともあわせて決定をしておくべきではないかという意見のあったことは御承知のとおりであろうと思います。しかし、政府といたしましては一この際電気料金のある程度の値上げというものをあわせて行なうということは、あまりにも物価高騰の勢いにさらに拍車をかけるというようなことにも相なりまするので、この際は電気料金の値上げについては、各企業体はそれを強く要望しておるという事実はございますけれども、当面やはりこのことは、ひとつこの石油値上げによりまする影響による物価が鎮静するまでの間は電気料金は上げるべきでない、こういうことで、先般石油の値上がりに際する電気の値上げというものは、これを将来に見送るということにいたしたようなわけなのであります。したがって、やがてはこれは上げなければならない時期が来るであろうということは私どもも考えておりますけれども、今日の段階において、いつどの時点でどれぐらいというようなことは、いまだ全く未定の状態にあるわけでございますので、必ず相当程度のものがあるから、したがっていまの時点でこういう地方税制を審議するということは必ずしも適当でないという御意見に対しましては、いま申し上げたような状況にあるということをひとつお答えを申し上げておきたい、かように存ずるわけでございます。
  79. 首藤堯

    首藤政府委員 住民税の問題でございますが、先ほど、ことしの一月でございますかの実質賃金が実際落ちておるのに名目所得の増があって、自然増が立つというのはおかしいではないかという御指摘でございます。これは毎々申し上げておりますように、課税標準の額が前年の所得税の基礎になりました所得額、こういうことに制度上なっておりますので、それをそのまま持ってくる仕組みになっておりますので、六千億という、名目所得に伴います地方住民税の自然増が立つわけでございます。それからまた、ことし百五十万と設定をされました国の所得税、この中で給与所得控除引き上げになっておりますが、これはそっくりそのまま明年度地方税住民税に持ち込まれるわけでございまして、この点は、国ではことし減になりますが、地方税では明年度地方税収の減というかっこうで出てくることは御承知のとおりでございます。
  80. 三谷秀治

    ○三谷委員 お尋ねしたことに正確に答えてほしいのです。  このようにしまして、電気やガス料金が上がる。そこで、このままでいきますならば、わずかの電気税やガス税の免税点の引き上げ税率の引き下げでは、逆に増税になる。これについてはどうされますか。  それからいまの問題ですけれども、課税対象額が前年度所得であるからこうなるとおっしゃいますが、しかしそれは、課税はそうされましても、実質の所得との関係におきまして減税額をふやすという処置によりまして、矛盾の解消はできるという処置があるわけです。ですから、課税対象が前年度所得であるから六千二百億の自然増収になる、しかしそれになりましたところで、それを減税処置におきまして操作することが容易にできるわけでありますし、その面におきまして減税処置というものが実態に合っていないと言っている。だから増税になっている、こう言っているわけです。そこのところ、問題をすりかえずに、焦点を合わしていただきたい。
  81. 首藤堯

    首藤政府委員 電気の料金の問題につきましては、大臣もお答え申し上げましたように、現在ただいまの時点ではどの程度上がるのか、いつ上がるのか、どういうかっこうで上がるのか、特に免税点以下になりますような、いわゆる生活に最低限度必要だと思われる電気の消費量、これに対する料金がどう変わるかといったような問題が未定でございます。なるほど、ひどく上がりますならば、御指摘のように二〇%程度の課税最低限引き上げでは足りないという事態が生じてこようかと思いますが、これはそういった客観的な事態が明確になりました段階においてあらためて検討する。いずれにいたしましても、いつかの時点を設定をいたしまして税法の整備をせざるを得ないわけでございますから、そういう状況に相なっておるわけでございます。  それから住民税につきまして、過年度所得をとるから六千億余りの自然増が出ることは出るが、実質的にその税額を支払うのはことしの所得から支払うわけであるから、そういった面でことしの減税額そのものをもう少し調整すればいいではないかという御指摘でございます。そのとおりでございますが、この千七百七十三億という金額は、先ほども申しましたように自然増収の名目的な額がどうあるか、それから地方財政状況がどの程度までの状況であって、どの程度までの減税額、こういったことが持ちこたえられるかとか、いろいろ各種の要素が相からみますものですから、そういったものを総合判断した結果、千七百七十三億という程度が適当である、このように判断をいたした次第でございます。
  82. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうすると、いまの電気ガス税につきましては、電気料金やガス料金が値上げされました時点におきまして法律の改正等を行なう意思だ、こういうふうなお答えでありましたが、確認してよろしいか。  それから、いまの自然増収につきましては、地方財政状況を勘案してとおっしゃっておりますが、地方財政状況というものは多面的に検討し得るものであって、たとえば交付税問題もありますし、交付税率の問題もあります。いろいろな面から考慮すべきものであって、そこから問題を出発してはだめだということです。問題の出発は生活費課税になっていないかどうかというところから、それを根源にして出発しなければ、地方財政状況などというものによりまして税の多寡が左右されるというようなことは本末転倒の考え方でありまして、そこのところは私は改善してもらう必要があると思います。繰り返して申し上げていきますと切りがありませんから、いずれにしましても本年度におきましては納税義務者も大きくふえておる、それから所得にかかります税額もふえてきておる、そういうたいへんな重税がこの法案の一つの内容であるということを私は指摘しておきますが、いまの電気税につきましてもう一度お答えいただきたい。
  83. 首藤堯

    首藤政府委員 電気の料金等がきまりました場合には、その時点で検討をいたすつもりでございます。
  84. 三谷秀治

    ○三谷委員 事業税についてお尋ねします。  これは先般予算委員会でお尋ねしまして、時間の関係で非常に中途はんぱになりましたが、事業税は所得税と異なって、事業という収益活動を行なっております事実に着目して、そこに担税力を見出して課税をする、いわゆる物税ということになっております。この税理念からしますと、事業は、道路や港湾や上下水道など、もろもろの自治体の施策を利用して収益活動を行なっているものであって、これに必要な経費を分担せしめるものであるというのが事業税課税を行なう目的とされております。これはお認めになりますか。
  85. 首藤堯

    首藤政府委員 事業税の本質が、事業がその活動を行なうにあたって地方団体から各種の行政サービスを受けておる、こういう関係に着目をして課税される物税である、こういう考え方であることはそのとおりでございます。
  86. 三谷秀治

    ○三谷委員 そのために事業税は損金算入に落とすことを認めるという処置をとっております。これも物税理論を基礎にした措置であることは明白であると思いますが、その点はどうでしょう。
  87. 首藤堯

    首藤政府委員 そのとおりでございます。
  88. 三谷秀治

    ○三谷委員 しかるに、実際には大部分が所得課税が行なわれておりまして、税の方式を見ますと所得税付加税方式になっている。ですから、法人税における租税特別措置を適用しましたあと所得を課税対象としております。こういうことをしますならば損金算入をする根拠はなくなってしまう。その点はどうでしょう。
  89. 首藤堯

    首藤政府委員 事業税が、もともと御指摘のような物税であるという観点に立って設定をされておる税であることは御指摘のとおりであります。ただ、現状におきましては、物税でありますための企業活動というものをはかりますための尺度として、収入金課税等の形式をとっておりますものは御案内のようにごく一部でございまして、非常に多くの分野が法人税における所得を課税標準にしておりますことは御指摘のとおりでございます。この点は、スタートの際に、事業税は外形標準を持ち込む、こういうことで考え方が進んだのでございますが、御案内のように、税の運営の実際上なかなか困難な点がたくさんございました。やむを得ず現在の、所得を課税標準にする、こういう方法がとられておるものと考えております。
  90. 三谷秀治

    ○三谷委員 そもそもこの事業税をつくりました目的と反する課税方式がとられておる。しかもこれは一向に改善されようとしない。なぜこれを改善されないのか、お尋ねしたいと思います。したがってたいへんな不合理が出ております。百億、二百億という大企業が全く地方自治体に対する事業税の負担を行なっていない、こういうことが長年継続して行なわれておるわけであります。しかも、これらの企業が、その規模の大きさからいいまして、あるいはその事業活動の多面性からいいまして、地方自治体の行政上の恩恵を最大限に享受しておる。しかるに税の負担は行なっていない、こういうことは、そもそも事業税という租税を制定しました目的から見ましても不法なことなんです。ですから、所得課税をやりますから所得税の二重払いという形になってしまっている、これもおかしいことです。なぜこれを改善をするという処置をおとりにならないのか、お尋ねしたい。
  91. 首藤堯

    首藤政府委員 事業税の大部分がその所得を課税標準にしておりますために、地方団体から非常にたくさんのサービスを受けております事業が、赤字である年度には税金を負担しない、こういう不合理が起こっておるということはもう御指摘のとおり事実でございます。私どもといたしましても、事業税が物税であるという観点からは、本来ならば何らかの外形標準を持ち込むということを実現をすべきだ、こういう考え方は持っておるのでございまして、いままでも税制調査会等に対しましても、何度もずいぶん議題にいたしまして御検討いただいたわけでございます。ところが、実際、税の運営上の問題といたしまして、非常に簡単に申し上げますと、所得のないときと申しますか、赤字のときに実際問題として税額の負担というものがしにくい、むずかしいといった点、特にこの点は、中小の企業等におきましてはなおさら、その所得が結果的に赤字になったという年度に物税を払うという税負担感の問題が非常にきびしい、こういう問題もございますし、もう一つは、外形標準をとらえました場合に、事業種別ごとに外形標準のとらえ方につきまして、何が適当かという点についてもこまかな議論がたくさん出まして、むずかしい問題がございました。税の激変が起こる、こういったような問題もあったわけでございまして、本来的に外形標準導入が望ましいにもかかわらず、現在までやむを得ず所得を課税標準にする部分が大部分である、こういう事態が存続しておるものと考えておる次第でございます。
  92. 三谷秀治

    ○三谷委員 現状の説明を聞いているのではありません。これは不合理ではありませんか、改善する必要がありはしませんかと聞いている。私が調べたところによりますと、十億以上の大法人の二二%が事業税を払っておりません。一億以上の法人で三〇%が非課税になっている。しかもこれらが大都市の財政需要の主要な受益者になっている。しかも集積の不利益の主たる発生源になっているわけだ。これが国税を免税されるだけでなしに事業税も免除される、住民税法人税割の均等割しか支払っていない、これではあまりにも不公平ではないでしょうか。  これは記録にとどめておいてもらいますために申し上げておきますけれども、どの程度の会社が事業税を払っていないのか。たとえば、資本金二百二十五億円の三菱金属、百六十二億円の三井金属、二百十九億円の三井東圧化学、二百八十億円の日立造船、三百八十八億円の石川島播磨重工、二百二億円の三井造船、八十億円の関西石油、七十八億一千万円のチッソ、七十四億円の三菱鉱業セメント、六十七億五千万円の石原産業、二百九十五億円の帝人、百十一億円の三菱瓦斯化学、六十億円の昭和油化、四十億円の日本アンモニア、四十三億円の昭和アルミ、三十億円の大阪石油化学、二十億円の新旭化成工業、十五億一千万円の関西石油化学、三十六億円の関西汽船、二十一億円の堺化学工業、四百二十二億円の昭和電工、百二十四億円の東北開発、三百八十億円のいすゞ自動車、百十億円の三菱アルミ、三十三億円の三井製糖、六十八億四千万円のシェル石油、十億円の塩水港精糖、五十億円の東邦亜鉛、七十億円の大阪セルロイド、六十億円の日軽圧延、六十億円の神鋼電機、五十億円のジーゼル機器、六十七億円の日本エステル、九十五億円の東亜国内航空、二十七億円のラサ工業。  これはかなり大きな規模のものを並べたわけでありますけれども、膨大な数量に達しておる。物税理論に照らしましても、あまりにも不合理ではないでしょうか。事業税が地方公共団体の施策に対する応益関係に立脚した課税である限り、これは絶対に許容されるものではありません。これはすみやかに改善をされなければ国民は断じて納得できないものであります。これについての大臣の所見をお聞きしたいと思うのです。
  93. 町村金五

    町村国務大臣 先般も三谷議員からこのことについてお尋ねをいただいたわけでありますが、この事業税というものの性格がいわゆる物税である、そういった趣旨から申しますると、確かに何らかの外形基準を用いて課税をするというのが当然のことだということは、私どもも理論的にさよう承知をいたしておるのでございますが、いま税務局長からもお答えを申し上げておりまするように、事実、外形基準を用いる課税というものがたいへんむずかしく、しかも、先ほどもお話が出ましたように、実質は赤字になるというような場合になりますると、課税の実をあげるということが非常に至難であろうというようなことがあって、おそらくいまのような所得課税方式ということになっておるのではないか、私はさように存じておるのでございます。  そこで、この問題につきましては、もしこれを外形基準に改めるということになりまするならば、単に事業税だけでなく、法人税その他全体を通じまして改善を加えていくということもあわせてやらないと、これだけで進めるということは非常にむずかしいところがあるのではないか、いま伺いまして私はそう判断をいたしておるところでございます。  そこで、この問題につきましては、私の聞くところによりますと、税制調査会等におきましても、いま三谷議員が御指摘になりますような意見というものも有力に唱えられておるようでございますし、そういった非常にむずかしい問題を数多くはらんでおりますので、今後ひとつこれらの点につきましては、税制調査会等に一そうの真剣な御審議をわずらわすということにいたしてまいるべきものであろう、かように考えておるところであります。
  94. 三谷秀治

    ○三谷委員 大臣のお答えの中にはたいへんな混乱があります。たとえば赤字の場合、課税しがたいとおっしゃっておりますけれども、事業税というものは赤字、黒字に関係なしに、事業活動そのものに課税をするのだというのが、事業税がつくられました、この租税上の解釈になっておるわけなんです。ですから、赤字も黒字もない。要するに事業活動をやって、地方自治体の行政上の施策によりまして援助を受けておる、それに対して一定の応分の負担をするというのが事業税のたてまえです。  それから法人税所得税と同時にやるとおっしゃいましたけれども法人税などはこれは所得課税が明確になっておるわけです。所得に対して課税をする。これが法人税所得税のたてまえです。事業税というのはそうではない。事業活動に課税をする。これがこの税が創設されました根拠になっておるわけです。これは法人税なんかとは別に処置すべきものであります。処置すべき根拠を明確に持っておるものなんです。ですから、いまのお答えはたいへん、何か一般論でものごとをすりかえられたような感じがしまして、これでは私は納得ができません。  もう一つは、税制調査会で検討するとおっしゃっておりましたが、税制調査会におきましてどのような検討がなされておるか知りませんけれども、一向に具体化していない。これは収入金課税をとりますならばむずかしいことではないのです。収入金というものは現行の所得課税の中におきまして明確になってくるものなんです。それに対してどのような課税方式をとっていくかということによりまして、これは国の租税特別措置の遮断もできる。そうして適正な課税が可能なものでありまして、すでに電気やガス等におきましてはこれがやられておるわけなんです。これがなぜできないのか、私はきわめて不審に考えておるわけなんです。  ですから、外形標準ということを盛んにおっしゃっておりますけれども、外形標準という問題はいまの地方税法の七十二条の十九にはっきり規定されておる。これは課税標準の特例としまして規定されております。これは府県が独自に資本金額や売り上げ金額や家屋等の床面積、地積または価格、従業員数等を課税標準とする道が開かれておるわけなんです。しかしこれが採用されませんのは、関係府県問における分割の問題もあります。それから独自的な調査機能の整備の問題もありまして、執行上の困難性があるからこれはできないわけなんでしょう。ですから、これを実施しますためには手続的な面の規定の整備がどうしても必要になってきておる。もしも外形基準というものを事業税の課税対象に加えるというお考えでありますならば、この地方税法の七十二条の十九によります課税標準の特例が実際に地方団体においてできるような手続上の処置をきめてもらいたい。これがきまらなければ手がつけられない。  そうでなければ収入金課税を行なって、そして赤字であろうと黒字であろうと、それは地方自治体の行政上の恩恵を受ける分については応分の負担をするという処置をすみやかにとってもらいたい。そうして、このような四百億の、たとえば石川島播磨重工なんというものは日本の最大の造船会社です。三万五千人の労働者を使っておるというじゃないですか。それが事業税がただ、住民税法人税割の均等割だけ、これは千円と四千円、わずか五千円にしかすぎない。国税もただ。こんなことを、いま税金で苦しんでおります国民が黙って見のがせる問題ではない。この改善処置をすみやかにとってもらいたいと思う。昨年は保険会社の税につきまして一定の指摘をしましたところが、ことしこれは若干改善をしまして、保険会社の税収が約三倍になるという手直しがなされました。今度はこれをやってもらわぬといけない段階に来ておる。これについて明確なお答えをお聞きしたい。
  95. 首藤堯

    首藤政府委員 事業税が物税でありますという本質からは、論理的には先生のおっしゃるとおりの事柄であろうと私も考えておる次第でございます。ただ、これが実際問題としてなかなか実現が困難でございますのは、先ほども申し上げましたように、赤字、黒字が、企業でございますから年度によって変動するわけでございます。その場合に実質上の税負担あり方が可能であるかどうか、こういった問題もございますし、それから収入金を採用いたしました場合におきましても、企業別のいわゆる所得率とでも申しますか、そういったものの千差万別の問題もございますし、それから外形標準の一つの例といたしまして、付加価値要素等を持ち込んだらどうかといったようなことも税制調査会で議論をされたのでございますが、それぞれに技術的になかなかむずかしい問題がございますとともに、特に経営基盤が脆弱な個人企業に及ぼす影響も勘案しなければなりませんので、非常に問題が大きいということで、税制調査会でも山ほど議論がされたのでございますけれども、結論が出ないまま持ち越されておるものでございます。なおこういった点については今後も税制調査会等の御検討をわずらわしたいと考えておる次第でございますけれども、この扱いについてはなかなか困難な問題がたくさんあって、いますぐ収入金課税に踏み切るということは非常に困難な問題であろうと考えている次第でございます。
  96. 三谷秀治

    ○三谷委員 困難であるかないかということよりも、やる気があるかないかということなんだ。やる気があればできる。さっき赤字がどうとかこうとか言っておりましたけれども、収入金課税にすれば赤字も黒字もありはせぬ、収入金が対象になるわけだから。だから道は幾らでもある。しかしやろうとしないというだけだ。しかも、いまも、収入金方式に変えますと経営基盤の脆弱な中小企業に及ぼす影響が大きい、こんなことをおっしゃった。これはこの間田中総理が言ったと同じことなんです。しかし、収入金課税におきましても、所得課税と同様の中小企業の軽課措置というものは可能である。幾らでもできる。現に、現行の収入金課税制度におきましても、保険会社に見られますように特別な減免措置をとっておるわけだ。だから中小零細企業に対してはそういうような軽課措置をとっていく。これは容易にできるわけだ。だから、収入金課税というものが基盤の脆弱な中小企業にとっては過酷であるというような議論は全く当たらない。根拠がない。そういう議論はもうやめてもらいたい。  そこで問題は、いろいろおっしゃっておりますけれども、何が困難なのか。収入金課税はすでにとられている。実施されているわけなんです。それがどうして採用できないのか。どのような議論がなされて、どのような困難性というものが議論の焦点になっているのか、お尋ねしたい。
  97. 首藤堯

    首藤政府委員 経営基盤が脆弱な個人企業に及ぼす影響云々の問題は、この前も申し上げましたように、税調で検討をしていただきました数々の議論の中から、昭和四十六年八月の長期税制答申でも税調がそのような指摘をしておられるわけでございまして、内容は、特に中小企業等の場合、赤字の年度にそういった収入金課税といったようなものを支払うといったようなことは実質上非常に困難な問題かある、こういったようなことの御指摘を含む問題かと考えておるわけでございます。  それから収入金課税をとりました場合にどうかという問題でございますが、先ほども申し上げましたように、それぞれの企業によりまして収入金に対する収益率のあり方とかいったような問題もそれぞれ違うわけでございまして、画一的なものとして基準を設定するということが非常にむずかしい、こういう問題があるわけでございます。現に、地方税法に外形標準を持ち込み得る規定があるわけでございますけれども、これが実行に移し得ないというのは、先ほど御指摘のように、分割法人の問題そのほかございますけれども、その実態上の問題が非常に困難だという点がございまして、なかなか具体的なやり方をきめ得ないで経過しておる、こういう次第でございます。
  98. 三谷秀治

    ○三谷委員 税調、税調とおっしゃいますが、税調というのは何ですか。これは諮問機関なんでしょうが。行政の責任は政府が持つのでしょう。あなた方は何か調子の悪い問題が出てくるとそういうふうな諮問機関の名前を出して、それをイチジクの葉にするという態度がいつでも見られるわけだ。要するに、これは政府としてやるべきかやるべきでないかという明確な判断を持つかどうかということなんだ。それをいまだに持とうとしていない。確かに収入金課税というものが所得率との関係におきまして若干の矛盾があることは明白なことなんです。矛盾のないものなんか存在しないのです。その矛盾をどこまで整理していくかということがあなた方の仕事なんだ。むずかしい、むずかしいということだけでいきますなら、所得課税自体が大体むずかしいんだ。所得隠しなんというものは平然と行なわれている。それに対して一定の税を課して、実態としてはきわめて不合理でございますけれども、それが通用しているわけだ。収入金課税というものは決してむずかしいものでも何でもない。たとえばガス会社と電気会社と、当然収入金と所得の率というものは差があるにきまっている。あなた方、やっているじゃないか。だから、それは各産業によりまして人件費の占める割合だとか原料の占める割合だとか、いろいろの差がある。これはわかっている。わかっているけれども、その面を考慮しながら調整措置をとって収入金課税というものを実施すれば、こういう何百億という大会社が税金を払わない。十億以上の大会社が二二%も税金を払っていない、そんな不合理なことは認められる筋のものじゃない。これほどの大きな矛盾はない。それを解決するために努力してもらいたい。こんなことを私は個人的に言っているんじゃない。これは国民の感情だ。国民の要求でもある。お答えいただきたい。
  99. 首藤堯

    首藤政府委員 事業税の課税標準のとり方につきまして、本来的にそのような問題があるということでわれわれも問題を認識いたしておりますので、それゆえに税調にもこの問題を持ち出しまして審議をしていただいておるわけでございます。税制調査会は、もう多言を要しませんが、政府の諮問機関でございますが、学識経験者そのほか各界の代表的な方々がお集まりをいただいて、国がとります場合の税制あり方について国民的なコンセンサスと申しますか、そういったものを得るために設けられておる場でございまして、いままで国税地方税も、そのあり方として基本的な問題はこういった調査会にかけ、そこの御議論をいただき、御結論をいただいて、その上に国民の全般的なコンセンサスを得得る基礎を得るもの、こういう考え方でいつも行なってきておるわけでございます。御指摘がございましたように、事業税につきましてもそのような問題がございますので個々に当たっておるわけでございますが、申し上げたように、いろいろ技術的にむずかしい問題や議論が山ほどございまして結論が出ない、それゆえになかなか実施ができない、こういう事態であるわけでございます。
  100. 三谷秀治

    ○三谷委員 実施ができないのは、大企業の減税を認めていこうという立場に立っているからできぬわけだ。こういう不合理というものは一日もゆるがせにできないのだという観点に立ちますならば解決ができる問題だ。しかも、これを解決しませんと、たとえば自治体が超過税率を採用しましても、どんなに超過税率を上げましてもこの企業は税金を払わぬわけだ。不公正さがますます広がる一方になってくる、こういう問題になっております。  しかも重要なことは、この非課税企業の多くは、この前申し上げましたけれども、典型的な公害工場だということ。ですから地方自治体に多額の公害対策費を余分に負担さしておる企業が多いということです。大阪で見ましても、四十八年度の公害対策予算というのは三百四十四億円なんです。膨大なものです。ところが、大阪の窒素酸化物の排出量の六五%は十四の企業、工場から出ている。そのうち六社までが事業税も払っていない。住民税所得割も払っていない。負担をしていない。硫黄酸化物の総排出量の五五%は大阪では大企業十社で占めている。その十社のうち、二位がゼネラル石油、四位が中山製鋼、七位が三井東圧、九位が三井泉北石油、この四社が全く税の負担をしていない。結局住民の税負担というものによって膨大な公害対策費を計上さして、その公害の発生源は事業税も払わなければ住民税所得割も払わない。払うのは、府県に対して一千円と市に対して四千円だけだ。こんなことを不合理と言わずして何を不合理と言いますか。税調が審議しておるのであれば、税調に対してすみやかに審議の申し入れをしてもらいたい。  私は言うておきますけれども、税調にしましても、地方制度調査会にしてもそうですけれども、これがまるで独自の権能を持つ機関のように言われますが、私は地方制度調査会の委員をしておりましてわかりましたのは、案文をつくるのも自治省である、方針を示すのも自治省である。だから調査会の小委員会に質問したって一つも答えられない。答えるのは自治省が全部答えている。つまり、各省のあの諮問機関というものは、各省の方針に基づいていろいろな方針をきめている。だから、たとえば地方制度調査会とあの大蔵省税制調査会、これはいつでも真反対の答申を出してきている。昭和四十一年以後、地方交付税をめぐる大蔵省自治省の争いの中で、自治省が出した方針をすぐ地方制度調査会が出す、大蔵省が発表した方針を税制調査会がすぐに発表する。これは全く一種の道具のようになってしまっておる。それをあなた方はいまこの問題の口実として盛んにあげていらっしゃるけれども、これは自治省がやるという方針に立てば、税制調査会ですから大蔵省がそうならなければいかぬのだが、そうなればできる問題だ。それはしかしやらなければならぬところに来ている。大臣、どうですか。大臣のお答えはいつでも不得要領で困るのです。いいことはいい、悪いことは悪い、少し信念を持ったお答えをいただきたいと思うのです。
  101. 町村金五

    町村国務大臣 三谷議員の御指摘、私も、これが物税であるという観点に立って考えまするときには、確かにごもっともな御指摘だ、こう思うのでございます。ただ、先ほど申し上げたことを繰り返すようなことになるのでありますけれども、企業が税を払うという場合には、企業自体が赤字に落ちておるというようなときには、実質的には税を払うということはきわめて至難なことになるというように私は考えられるわけでございます。おそらく、現在の事業税というものが、本来ならば収入金額課税方式をとるべきものが所得金額課税方式になっておるというのも、やはりそういう実態によるものであろう、こう私どもは見ておる次第でございます。  先ほど来、税制調査会というものがこういった問題に対して取り組み方が非常に弱い、これはやはり役所の態度いかんだという御指摘でございます。私は、税制調査会のことはあまり詳しくは存じませんけれども、いま御指摘になりましたような観点というのはきわめてごもっともな一面があるというふうに私も感ずるわけでございまして、今後税制調査会に対しましては自治省のそういった考え方というものを十分反映させまして、なおひとつ積極的に、真剣にこれらの問題の審議をわずらわすということにいたしていきたい、こう存じております。
  102. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまおっしゃいました中で、赤字の問題は理由になりません。これは事業税が事業という収益活動を行なっておる事実に着目したものであって、赤、黒というのは、内部のいろいろな経営上の問題、これとは別個のものだというたてまえになっておるわけでありますから、そのことはあまりおっしゃらぬほうがいいでしょう。事業をやればこれだけかかる、そのために事業税は損金算入ができるのだ、損金として扱っていく、こういうたてまえになっておる。いまの状態で所得課税をしながら損金扱いにするのは一体どういうことなんです。その根拠はどこにあるわけですか。
  103. 首藤堯

    首藤政府委員 事業税の本来のたてまえが物税である、こういう考え方から、形式はやむを得ず所得課税方式をとっておりましても、本来の性質に照らして損金算入をする、こういう考え方を貫いておるわけでございます。
  104. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうすると、損金算入という面におきましては物税方式を実際においてとっておる。しかし課税の方式は所得課税をやっておる。あまりにもこれはでたらめ過ぎはしませんか。所得課税するのであれば損金算入をする必要はない。論理が合いません。損金算入をするのであれば赤とか黒とかにかかわらず課税する。そこで損金算入というものが論理性を持ってくるわけだ。ここにも改善すべき問題がちゃんと伏在しておる。この点から見ましても、すみやかにこの事業税に対する課税方式につきましては検討をしていただきたい。大臣が先ほど答弁なさいましたから、それ以上またもとに返ってお尋ねすることは控えておきますけれども、指摘だけにとどめておきます。  事業税におきまして、三百五十万円以下の所得税率百分の六、三百五十万円から七百万円までが税率百分の九、これは軽減税率とされておりますね。そういう見解をおとりになっておる。そうしますと、軽減税率には所得格差を認めながら、七百万円以上の基準税率というものは均一化しておる。これはどういう根拠によるものでしょうか。
  105. 山下稔

    ○山下政府委員 いま御指摘がありましたように、まさに、小所得に対して軽減税率を設けておりますのは普通の税率軽減するという趣旨でございまして、全体の思想としては累進とは必ずしも考えていないわけでございます。したがって、まず比例税率原則であり、中小所得に対して軽減をするという考え方でございます。
  106. 三谷秀治

    ○三谷委員 軽減税率というものに区分を設けるならば、基準税率についても区分を設け得る、当然のことなんです。一方におきましてはそれを認めながら一方においては認めない、そのこと自体が大きな矛盾になっております。  私は、この収入金課税に至ります経過的な措置としまして所得区分を引き上げる。七百万なんというものは、今日におきましては事業の規模からしますときわめて小規模なものです。ですから一億とか十億とか、そういう規模に応じて高額所得に対する税率引き上げを緊急に行なうべきだと思いますが、この点はどうでしょう。
  107. 山下稔

    ○山下政府委員 累進税率を用いますものは、個人の所得税のように、その人の関係する総所得を全部総合して、人について課税する、そういう仕組みの税になじむものでございまして、法人に対する課税には累進税率はなじまないのではないかというふうに考えられます。
  108. 三谷秀治

    ○三谷委員 なじまないことありません。ここにも応能原則というものを生かしますならば、大いになじみ得るものなんだ。なじまないという観念であなた方は取り扱っていらっしゃる。そうじゃありません。東京、大阪など地方自治体が零細業者への事業税の減免処置を行なっている、そして高額所得者に対する税率引き上げを実施しようとしておりますのは、地方財政の窮乏とともに、税の不公平を是正しようとする公益上の処置にほかならない、そういう要素を持っている。ですから、現行法におきましては、地方自治体の超過課税は必然でありますが、この際、税率構造について政府の見解をお尋ねしておきたいと思う。  政府の見解というのは、標準税率に示す一二%の税率基本税率であって、九%、六%の税率は中小法人軽減のための軽減税率とされております。そうしますと、税率構造におきまして所得区分と税率一つのセットをなしておるものという考え方かどうか、見解をお尋ねしたい。
  109. 山下稔

    ○山下政府委員 まさに、基本税率の一二%に対しまして、中小所得については幾ら軽減すべきかということを地方税法自体できめたものでございまして、これはセットといえばセットでございます。
  110. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 この際、本会議終了後再開いたすこととして、暫時休憩いたします。    午後一時五十二分休憩      ————◇—————    午後四時二十分開議
  111. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。三谷秀治君。
  112. 三谷秀治

    ○三谷委員 先ほどのお答えにありましたが、基本税率と軽課税率が連動してセットになって動かなくちゃならぬという、そのことは一体何を根拠にしておっしゃっているのでしょう。
  113. 山下稔

    ○山下政府委員 基本税率が一二%で、中小所得者に対する軽減を幾らにするかということを地方税法が定めたものというふうに理解をいたしておりますので、したがいまして、国会で御審議いただいて成立をいたしました法律で、軽減税率はこの程度であるべきであるという御判断が加わったものというふうに理解をいたしているわけでございます。
  114. 三谷秀治

    ○三谷委員 軽課税率につきましては制限はないわけですね。基本税率につきましては制限税率が設けてある。ですから、この基本的な税率をどうするかという問題と軽課税率を幾らにするかという問題は別個の問題であって、これがセットして連動しなくちゃならぬという考え方につきましては理論的な根拠がきわめて不明確であります。またこれは了解できないことなんですが、どういうことなんですか。
  115. 山下稔

    ○山下政府委員 基本税率一二、それからあと所得の段階に応じまして九%、六%というふうな税率のきめ方を法律自体でいたしました以上は、その基本税率と軽課税率との関係はその比例関係でなければならない。超過課税をかりにやります場合においても、その比例関係をくずさないようにしつつ超過課税をすべきものだというふうに考えております。
  116. 三谷秀治

    ○三谷委員 それが累進税率でありますならば連動し得るということは考えられますけれども、一方は累進税率じゃないのです。基本税率は一二%になっている。あとは軽課税率であって、軽くするための税率なんですね。ですから、基本税率と軽課税率が連動するということが納得のいかぬ話であって、軽課税率につきましては適当な税率をきめていく、基準税率につきましては制限額があって、制限額までの引き上げができるという考え方、これがむしろ理論的であって、これが全くいつでも連動しているという考え方自体がたいへん、この基本税率と軽課税率という関係に立つ考え方としては了解ができない。
  117. 山下稔

    ○山下政府委員 御指摘のように、私どももこれは累進税率とは考えておりません。まさに軽課税率だと考えますが、基本税率に対して中小所得者についてどの程度軽減すべきかということは地方税法自体できまっているわけでありますので、その軽減割合というものは絶えず基本税率との関係で考えなければならないのではないかというふうに考えているわけでございます。
  118. 三谷秀治

    ○三谷委員 軽課税率というのは、地方自治体がその地域の実情やあるいは財政等の状況に応じてきめるべきものであって、ここで問題になるのは基本税率である。軽課税率について一定の連動装置になっているというふうな解釈というのは少し無理がありはしませんか。ですから、地方におきましては、事業税につきましては減免規定などを設けまして、いまの税率の範囲におきましてこれを安くしていっているんですね。今度は税率引き上げるという、その場合、軽課をどうするかという問題になっていきますと、これはその地方の実情に応じてきめるべきものであって、これが全く同じ率で連動するという考え方は累進税率考え方なんだ。ですから、累進税率でないということを主張しておる限りにおきましては、これが連動するということ自体が理論上おかしいわけなんです。そこら辺、どうなんですか。
  119. 山下稔

    ○山下政府委員 軽減税率につきましても、地方団体の判断で税率をきめ得るというふうな書き方を地方税法がしていれば御指摘のとおりであろうと思いますが、現在の地方税法におきましては、軽減税率はこうあるべきだということを地方税法自体できめておりますので、基本税率との関係も絶えずこの地方税法で定めた関係になければならないであろうというふうに理解をいたしているわけでございます。
  120. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、いま地方自治体のとっております軽減措置ですね、低額所得者に対する減免措置というものといまの理解とはどういうふうになってくるわけですか。
  121. 山下稔

    ○山下政府委員 現在、御指摘のことは、あるいは個人事業税の軽減のことを御指摘になっているのかもしれないと思いますが、個人事業税で主として大府県等で軽減をいたしておりますのは、法律に定められました税率を適用したあとで、個々に担税力がないという判断のもとに軽減をしているわけでございまして、税率そのものを変更しているわけではないというふうに考えます。
  122. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまおっしゃっています問題と率の問題とは実質的には関連を持ってくるわけです。ですから、連動しているものであってこれを動かせないという観点に立ちますと、軽減措置そのものが問題になってくる。ですから、基本税率というものがきめられておって、あとは軽課税率ですから、軽課税率につきましてまで基本税率と連動すべきものだという考え方自体はたいへんこれは無理がありはしませんか。軽課というものは安くしていくわけですから、安くしていくのを幾らにするかという問題なんですよね。それがここでは、いまの現行法によりますと九%、六%の軽減税率になっていますけれども基本税率を動かしました場合にこれがついて連動するというふうな規定はどこにもありはしませんよ。
  123. 山下稔

    ○山下政府委員 基本税率を動かす、たとえば超過課税をするという場合におきまして、御指摘のように軽減税率をどうこうしろという明文の規定がないことは御指摘のとおりであります。ただ、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、地方税法で、中小所得者に対してどの程度軽減すべきであるかということを税法自体できめてしまってあります以上は、その関係をくずすことはできないのではないかというふうに考えております。
  124. 三谷秀治

    ○三谷委員 そこのところの解釈は私どもは少し納得できない点がありますが、これを繰り返しますと時間をとります。ただ、従来の六%、九%、一二%というものが、これは累進税率だという判断に立ちます限りにおきましては連動する、これはあたりまえのことなんです。しかし、最近自治省のお出しになりました文書を見ますと、基準税率は一二%になっている。あとは九%、六%は軽減税率になっているわけなんです。そうしますと、累進制ではないという主張を盛んに繰り返されておる。累進制でなければこれは連動する必要はないわけであって、何も累進するわけではない。軽減というのは特別な軽減措置をとっていくという性質のものですから。ですから、基本税率と軽減税率を連動させるということ自体に理論上無理があるわけです。そこで、あなた方はこれは累進税率じゃないということを主張されますために、そこに矛盾が出てきておる。これは、一つの累進税率と見ていきますならば連動するのは当然の話なんです。そうじゃないとおっしゃる。そうじゃないとおっしゃれば、これは連動するものじゃない。基本税率と軽減税率なんだから。だから、これはなお今後の問題として研究されることを私は求めておきます。  次に、保険会社の収入金課税についてお尋ねします。  保険会社の収入金課税が付加保険料を課税対象としておりまして、それも今日までは初年度分のみに限定されておりました。ですから、いままでの課税でいきますと、五年以上の契約の場合は初年度分の保険料の四二%、これが付加保険料と見られておりました。一年契約ですと八%、それ以外は五%が付加保険料になっておった。それに対して百分の一・五の課税がなされておりました。次年度以後の収入保険料は全く税の対象になっていなかった。それから運用資産収入も全く税の対象になっていなかった。このことは昨年指摘しましたが、今度若干の改定をされました。昨年のお答えは、保険料の運用収入を含めた事業活動の規模をあらわすものが初年度保険料の四二%の付加保険料部分だ、こうおっしゃっておった。今回これを改定しまして、毎年度の保険料収入の二四%を付加保険料と改める、こういう処置になりましたが、この計数上の根拠をお尋ねしたいと思うのです。
  125. 山下稔

    ○山下政府委員 昨年も御指摘がありましたようなことで、私どももその後種々検討いたしました。そこで、一つには、保険事業の活動をあらわす基準として、必ずしも初年度保険料だけでなくて、毎事業年度の保険料というものをとることが保険事業の活動量をあらわす指標としてはより適当であろうということで、毎年度の付加保険料を課税標準とするというふうに改めることにいたしました。そこで、そのためには過去数年間にわたって、毎事業年度の付加保険料が毎事業年度の収入保険料のどのくらいの割合になるかという実態を調査いたしました。そこのほぼ平均をとりまして、保険収入に対する毎年度の付加保険料の割合を定めたわけでございます。
  126. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、従来、保険会社に対する課税の基準になっておりました付加保険料の算定方式、たとえばチルメル式積み立て法だとかあるいは純保険料式積み立て法だとか、いろんなことをおっしゃっておりましたが、これは全く根拠のない、実情に合わないものであったということが明らかになったわけですか。
  127. 山下稔

    ○山下政府委員 御指摘のように、従来、保険事業の活動は初年度において最も端的にあらわれるという趣旨で、初年度の付加保険料を基準とすることにいたしておりました。そういう考え方に立つ場合においては、チルメル方式なり純保険料の計算なりというものが算定の基礎になったわけでありますが、検討の結果、最近の保険事業の活動量をあらわす指標としましては必ずしも初年度保険料である必要はなく、毎事業年度の保険料収入というものを課税標準にすべきであるというふうに考えましたので、従来の初年度保険料を算出する際の基礎でございましたチルメル方式等を用いないということにしたわけでございます。
  128. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、これによりまして税収はどれくらいになりますか。およそどの程度の増加になりますか。  そうして、そうなってきますと従来きわめて軽減な課税がなされておったということになってくるわけでありますけれども、この点はどういうことになるんでしょうか。
  129. 山下稔

    ○山下政府委員 軽課措置は講じますが、最終的には現在の生命保険に対する課税の約三倍くらいの課税になるであろうと思います。  従来までの課税の問題でございますが、これは年度によっていろいろでございまして、しかし最近におきましては、所得課税をした場合を仮定いたしましたものと比較いたしましてやや低くなっていたことは事実でございます。そういうことも考慮いたしまして、今回是正をしたわけでございます。
  130. 三谷秀治

    ○三谷委員 この付加保険料の出し方の問題でありますけれども、これが実にあいまいなものであったということがいまのお答えでもわかるわけです。チルメルと純保険料方式では、全然これは計数が違っている。その中間とかいって四二%にしたはずなんです。これも見込みにすぎない。なぜもっと正確に捕捉できる課税方式をおとりになりませんのか。保険会社の収入の内容には二通りあります。一つは収入保険料と支払い保険金の差額であります。これは膨大な差額が出ておる。一つは運用資産収入であります。ところが今日までにおきましては、保険料金から生じる利益だけが課税対象となっておって、運用資産から生じる利益は非課税となっておる。これはなぜでしょう。
  131. 山下稔

    ○山下政府委員 御承知のように、生命保険事業に対します課税標準は、収入保険料を課税標準といたしております。そのうち、付加保険料として、初年度の付加保険料にするか毎事業年度の付加保険料にするか、それは問題があるところでございましたので、今回、初年度保険料収入を毎事業年度の保険料収入に改めたわけでございます。しかし、その基礎になっておりますものは収入保険料でございます。  そこで、保険事業に対する課税標準としては収入保険料を使うということに制度をつくりました以上、その入ってまいりました収入保険料をどう運用するかという点についてさらに課税の要素に加えるということは適当でないであろう。入ってまいりました収入保険料を保険会社が運用いたしますのは、これを適正に運用して、もしそれが利益を生んだ場合には社員配当準備金として、将来の保険金の支払いに充てるという仕組みになっております生命保険会社の、相互保険会社の特殊な仕組みを考慮いたしまして、運用によって得ました利益はそのように使われるわけでございますので、まず保険事業に対する課税としては、最初に入ってまいります収入保険料を課税標準にしたい。付加保険料としてその何%を実際の課税標準にするか、これはまた別の問題でございますが、基礎になります考え方としては、収入保険料を基礎にするという考え方をとりました以上は、あとの運用による所得というものを加えることは適当でないという判断でございます。
  132. 三谷秀治

    ○三谷委員 収入金課税におきましても、副業的な収入に対しては分離して所得課税をするということが行なわれております。それから一般中小企業の税にしましても、たとえば鉄鋼業なら鉄鋼業をして、そこで入ってくる所得に対して課税をする。その所得を銀行に入れまして、そこで利子が生まれますと利子に対して課税をする、こういう処置が全部とられている。しかるに、保険事業だけは膨大な運用資産収入が無税にされる。このこと自体が、この税の取り扱いがきわめて不合理である、不公正である、そのことを示している。これは直してもらう必要、がある。  しかも、収入保険料と支払い保険金を比べてみますと実に格段の差がありますね。四十七年度で見ますと、収入保険料は二兆四千二百八十六億なんです。ところが支払い保険金は四千六百五十九億円。支払い金はごくわずかにすぎない。これは毎年度においてそういう状況になっている。四十三年、四十四年、四十五年、四十六年、四十七年、ずっと見ますと、大体収入保険料に対して支払い保険金が六分の一ぐらいなんですね。収入保険料が六倍以上入ってくる。ですから支払い保険金なんてものは数のうちに入らない、そういう状態になっている。それに対する付加保険料の算定のしかた自体に問題がある。三倍になったとしましてもなおこれはたいへん安い税率になっている。その上に、いま申しましたように収入保険料を他のほうに運用して運用資産収入が生まれました場合には、それは税の対象にしない。これではあまりにも他の納税者と比較しまして不公平に過ぎやしませんか。たとえば、私どもが月給をもらっている。これは主たる収入でありますけれども、しかしそれを運用しまして何かの所得を生み出しますと、これは新しくかかってくるわけなんでしょう。課税の対象になるわけなんだ。保険会社だけがなぜそれにならないのか、合点がいきません。
  133. 山下稔

    ○山下政府委員 所得を課税標準にして課税します場合には御指摘のようなことになると思うのですが、保険事業が外形課税をしておる。何を基準にして課税するかということをきめます場合に、収入保険料を課税標準にするということをきめたわけであります。そこで、幾らの割合にするかは別問題としまして、収入保険料を課税標準にいたします以上は、あとでそれがどのような所得を生むかということは、一応理論的には切り離して考えるべきではないであろうかという基本的な考え方に立っております。  そこで、他の所得課税のものについて、一回入った所得が運用されてさらに所得を生むという場合には課税しているではないかという御指摘でございますが、それはまさに御指摘のとおりでございますが、なぜそうなるかといえば、それは所得課税であるからそのようになっているというわけでございます。もちろん、御指摘がありましたように、外形課税をとっております電気、ガスの事業について所得課税をしている面がございます。これは本来の電気、ガス事業と離れまして、たとえばガス会社の場合であればコークスの製造をやるとか、あるいは電気会社の場合で一部蒸気の販売をするとか、そういう本来の電気供給業、ガス供給業と離れた別途の所得課税的な事業をやっている。そこをねらって電気、ガスについては所得課税を別途やっているというわけでございます。
  134. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたのそのお答えは納得できません。確かに電気、ガス等におきまして付随事業の課税を分離してやっている、これはおっしゃるとおりなんです。ところで保険会社ですけれども、保険会社というのは金融機関だという認識なんでしょう。大蔵省の通達を見ますと、生保事業というものの実態は金融機関なんだ、こういう立場に立つ通達がたくさん出ている。ですから、銀行が国民の零細資金を吸収してそれを運用して収益をあげる、利息を支払ってなお膨大な利益が残る、こういう制度になっている。生命保険会社も国民の資金を吸収して、それを運用して収益をあげておる。これが重要な事業なんです。ですから、保険料から出てきます利益というものは確かにある。これは出るようになっている。たとえば死差益があるし、費差益があるし、それからもう一つ差益があるわけだ。生み出せるようになっている。そこで大きな利益が生まれてくる。そうしてこれが銀行業並みの事業をやりまして、そこで別個の収入が入ってくる。それを、それは別問題なんだ、付加保険料を課税対象にしたものだから、そのほうの所得に対しては課税をしないのだ、こうおっしゃっている。そうしますと、そのほうの所得を概算してそれを含めた課税になっておりますのか、この付加保険料課税というのは。なっていないんでしょう。そうしますとその部分の、銀行事業によりましてあがりました収益は全部無税になってしまう。それは不合理であることは明白なんです。そこのところの事業の収益も含めて課税をするということが公正な、しかも中立な課税であって、そこだけまるで抜かしてしまった課税のしかたというものは、これは何といいましても不公正のそしりを免れません。
  135. 山下稔

    ○山下政府委員 銀行業の場合はこれは所得課税でございますので、あらゆる所得を全部総合して、最終の段階で所得を計算して課税するという仕組みになっておりますが、生命保険の場合におきましては事業税の課税の方法として、まず入ってくる収入金の段階でとらえて課税をするという仕組みをつくっております。そのために、あとの運用による利益は理論的に入り込む余地がないということでございますし、また実際問題といたしまして、入ってきた保険料をうまく運用してそれを保険料の引き下げに充てるということが保険会社の適正な運用にもつながっております。   〔委員長退席、村田委員長代理着席〕 しかも、そういたしましても、御指摘のように死差益その他で剰余金が出る場合におきましては、生命保険の相互会社であるという特殊性から、社員配当準備金に積み立てて次期以降において社員に配当をする、契約者に配当をするという仕組みになっております。そういう点も考慮いたしまして、まず入る段階、収入金の段階で課税するという仕組みをとったわけでございますので、あとの運用益について課税するのは理論的になじまないのではないかと考えております。
  136. 三谷秀治

    ○三谷委員 付加保険料に対して課税をするので、運用資産収入は課税の対象にならないということをおっしゃっているわけなんです。そうしますと、付加保険料に対する課税というものが、その運用資産収入をも含めた課税の内容になっているのかどうか、ここのところが問題なんです。それはどういうふうな扱いになっているわけですか。
  137. 山下稔

    ○山下政府委員 保険会社がまず保険料を収入いたしまして、それを一部、事務費に使い、残りを運用するあるいは積み立てをするという仕組みになっておりますので、収入金の段階をとらえて課税する仕組みにはいたしておりますが、保険事業の活動量をあらわすものとしては付加保険料の部分であるという考え方に立って、付加保険料の割合を出して課税をするという仕組みにいたしているわけでございます。そこで、事務費であります付加保険料を除く部分は将来の支払いのための準備金でありますし、積み立て金でありますので、それについては課税するのは適当でないということでいまの仕組みができているわけでございます。
  138. 三谷秀治

    ○三谷委員 保険料の実態を見ますと、収入保険料と支払い保険金の差額は膨大なものなんです。事業費を加えましても、支払い保険金は収入保険料の半額にも達しません。これは保険会社の統計の中ではっきりと出てきておる。半分どころか、大体三割から四割程度しかならない。六割以上の保険料というものが収入になってくるわけだ。そのうちから付加保険料を計算なさっておりますが、この付加保険料の計算の基礎を一ぺん御説明願いたい。
  139. 山下稔

    ○山下政府委員 過去数年にわたりまして付加保険料の実績がどのくらいになっているかを調べまして、その額と収入保険料との割合を定めたものでございます。
  140. 三谷秀治

    ○三谷委員 それが百分の二十四になるわけですか。
  141. 山下稔

    ○山下政府委員 個人保険料については御指摘のとおり二四%でございます。
  142. 三谷秀治

    ○三谷委員 その付加保険料の出し方自体に私は大いに疑問がある。   〔村田委員長代理退席、委員長着席〕 たとえば、この保険各社の決算を見ますと、四十三年以降五年間にわたりまして、事業費と支払い保険金で四割程度になっている。六割というものが利益的な収入になっている。そうしますと、その中から百分の二十四を付加保険料だという計算をして、それにだけ課税をするというその数字的な根拠がわかりません。それが百分の一・五という、その税率というのはどこから出たものか、これもよくわかりません。とにかく、おっしゃっていることを聞きますと、資産の運用収益につきましては税金はかけないんだ、こうおっしゃっている。そして付加保険料こそが妥当だ、こうおっしゃっている。それなら付加保険料というものは正確な、実態に即したものにしてもらわぬと話になりませんけれども、それが実態に即したものかどうか、どういう根拠でそういう算定ができましたのか、お尋ねしたい。
  143. 山下稔

    ○山下政府委員 保険会社が保険事業を営みます場合において、いろいろ支所、出張所等を設けて保険契約を求めるために活動いたします。そういう事務費的な部分が付加保険料でございまして、この部分が生命保険会社の事業活動をとらえるに一番適当な外形的な基準であるという判断で、収入保険料に対する付加保険料の割合、すなわち付加保険料を外形課税にするというふうに考えたわけでございます。この付加保険料の中身は、実際に生命保険会社が事業活動を行なっている場合の事務費的なもの、これは実態を調べた結果算出したものでございます。
  144. 三谷秀治

    ○三谷委員 いま申しましたように、収入保険料、これに対する支払い保険金、それから事業費、合わせましても四割程度にしかすぎないわけなんです。そうしますと、あなたがおっしゃいます付加保険料というものが事業費に該当するものであるとしますと、これはもっともっと少額のものにすぎない。そうしますと、六割程度のこれは純保険料ということになるわけですか。純保険料六割ではききませんね。八割近くの純保険料になってくる。これは一体どうなってくるのですか。つまり、保険金として支払う以外の保険料収入、それから事業費として支出する以外の収入保険料、これが六割を占めている。これが税の対象にならないというのはどういうわけなんですか。
  145. 山下稔

    ○山下政府委員 たびたび申し上げますように、収入保険料を課税標準にするということをまずきめまして、収入保険料の中で将来の保険金配当のための積み立てに充てるような部分、これは生命保険事業の本来的な資産運用の面でございますので、課税をいたしますものは、収入保険料の中から実際の事業費活動に充てられる部分、すなわち付加保険料部分、これを課税標準にするのが適当であろうということで、付加保険料を課税標準にしたものでございます。
  146. 三谷秀治

    ○三谷委員 将来の配当等に充てられるとおっしゃっておりますけれども、その配当に充てます、その配当自体に問題があることはこの前指摘しました。これはあとでお尋ねしますけれども、配当に充てるものでありましても、これは税の問題とは別の問題なんだ。よしんばそれが相互会社がありましても、税の関係になってきますと別個に考えていかなくちゃいけません。これは配当されるものだから税を免除するのだというふうな立論をしますと、これはもっともっといろいろな面に影響が出てくるわけです。ですから、これはこの前も申し上げましたけれども、配当に充てるものだから税の対象にする必要がないのだという論拠になってきますと、これは他のほうにもそれに類似する問題がたくさん出てくる。たとえば、例をあげますればありますけれども、そういうものがあるわけなんです。  そこで問題になりますのは、この保険金と保険料との関係、ここですでに膨大な差益が出ているということなんです。この差益に加えて運用資産収入が入ってきている。この実態に対して、いまあなたがおっしゃいました付加保険料だけの課税では足りない、きわめてこれは軽微なものになってしまう、そういうことになってくる。ですから、保険料は保険料として課税する。それから資産運用収入に対しては資産運用収入としてこれは別個に分離課税でもやるということになっていきますと、これはたとえば他の収入金課税の場合とやや権衡がとれてきますけれども、これでいきますと、ごくわずかなところだけしか税金の対象にしない。そして膨大な差益は全部野放しになっている。その差益を用いました運用資産収入は、これも全部無税になってしまう。これは少し公正を欠くうらみがありはしませんか。あなたのおっしゃいますのは、付加保険料を課税対象としてきめたんだからあとはどうやこうやとおっしゃっている。それなら付加保険料じゃなしに、もう少し実情に合った課税方式を考えればよろしいでしょう。
  147. 山下稔

    ○山下政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、かりに所得課税でございますと、収入した金額から支出しました金額を差し引いた所得に対して課税するという仕組みでございますので、一回入ってきた収入が何回転かして幾らかのさらに多くの資産を生む場合には当然収入として算入し、そのために必要であった支出を差し引きまして所得を計算いたします。したがいまして所得課税ならまさに不動産貸し付け等についても課税されることになろうかと思います。そういう課税のしかたもあろうかと思います。  しかし、生命保険は所得課税の方法をとらないで、外形課税をしようということに割り切ったと申しますか、そういうふうにきめたわけでございますので、何を外形課税の基準にするかということを全く白紙で、角度を変えて考えてみた場合におきまして、収入保険料が課税標準としてふさわしい。しかもその中で実際に保険事業の活動に充てられる部分を課税標準にすべきであるということで、収入保険金の一定割合、これを外形課税の基準にしたということでございますので、そこで所得課税との違いが出てくるのはやむを得ないのではないかと思います。
  148. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、一体この税額はどうなるかという問題ですね。これを論議しますとなりますと具体的な数字で見なくちゃいけませんけれども、約三倍になるという考えですか、その三倍になった場合に、所得課税との権衡はどうなってきますか。
  149. 山下稔

    ○山下政府委員 最近、四十四年度から四十八年度までの五カ年間に当てはめまして、従来のやり方と今回の改正のやり方、それぞれ試算をいたしましてその平均で考えてみますと、所得課税をした場合と今回の改正後の付加保険料を基準にする外形課税をした場合とでは、ほぼ同額ということになろうかと思います。
  150. 三谷秀治

    ○三谷委員 それはどういう計算によるものですか。たとえば四十八年度の保険二十社の税金というものは五百三十七億円になっている。保険料収入というのが二兆四千二百八十六億円になっている。これがいまの税金の現状でありますけれども、これがどのように変化するわけですか。
  151. 山下稔

    ○山下政府委員 四十四年度から四十八年度までの平均をとりまして、現行の収入金課税であります場合の税額は約二十億でございます。これを……(三谷委員「二十億というのは一社ですか。そんなことはないでしょう」と呼ぶ)二十一社の平均でございます。それに対しまして、改正案によります収入金課税は五十九億でございます。かりにこれを所得課税をした場合——これは法人税所得を使って計算をいたしましたが、かりに所得課税をしたらどのぐらい入るであろうかという計算をいたしますと、五年間の平均が五十五億でございます。そこで、現行法の収入金課税二十億に対して改正案の五十九億が約三倍になる。それから、この五十九億と、所得課税と仮定をした場合の五十五億と比較いたしますとやや上回る、ほぼ同額であるというふうに申し上げたわけでございます。
  152. 三谷秀治

    ○三谷委員 その所得課税というものがどのような所得の計算をされておるか知りません。たとえば保険料の差益を何ぼと見ているのか、あるいは資産運用収入を何ぼと見ているのか、それが問題でありますけれども、それをどのように捕捉されておりますか。  それから、この私の資料を見ますと、いま二十一社とおっしゃいましたが、この統計には琉球生命保険は入っておりませんので二十社でありますけれども、二十社で見まして保険料が約二兆五千億あるのです。それで保険金の支払いが四千六百五十億ほど。その差額というものが出てくるわけですね。これに対して税が五百三十七億になって、これは二十社でありますから、平均しますといまおっしゃいました程度の各社当たりの税になってくる。ですから、これが五十数億になりましても、所得課税の計算でいきますとなおたいへん優遇措置になっておるということになりますが、どうでございましょうか。
  153. 山下稔

    ○山下政府委員 所得課税をいたします基礎の所得は、法人税の計算によります所得を使っております。したがって、この所得がどういう経過を経て出てきたかということは、もっぱら法人税の計算のしかたによって算出したものでございます。
  154. 三谷秀治

    ○三谷委員 これはたいへん計数が小さくなりますからいまここでこの議論を続けていくことはできませんが、とにかくこの保険会社の保険料と保険金の格差というものは毎年毎年開いてきている。毎年毎年膨張してきている。膨大なものになってきている。ですから、そこに一つ担税力があるということは当然であります。それからまた、保険会社がその保険料を運用しまして銀行的な行為を行なう、あるいはデベロッパー事業もやる。いろいろなことによりまして収益があがってきておる。その収益に対してもこれは分離した処置がとられるのが当然だというのが私の考え方であります。  そして、保険会社は兼業禁止になっておりますけれども、保険会社の専業の内容は一体何ですか。保険会社が保険料を運用しまして収益をあげることがこの事業の内容でありますならば、収益活動はすべて専業になるわけですけれども、兼業禁止の趣旨はどうなっておりますか、不明になってくるわけですけれども、お知らせいただきたい。
  155. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 生命保険会社の事業と申しますのは、先ほど来先生がおっしゃいましたように、保険料を受け取って、それで保険金を支払う。それから剰余が出れば契約者に支払う。そして受け取った保険料収入、それから保険金を支払い、事業費をまかない、その残り、これは保険料を分解いたしますと純保険料ということになるわけでございますが、これを将来の保険金支払いのために積み立てていくわけでございます。したがいまして、この保険金支払いのために積み立てていったものは、これは契約者のためにこれを運用していくというかっこうになるわけでございます。そしてその場合に資産の運用ということになるわけでございますが、その限りにおいてその保険会社というものは金融機関と同じような性格を持つということになるわけでございます。
  156. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、いまおっしゃいました点ですけれども、いま保険会社の保険契約準備金がすでに約七兆五千億に達しておる。それから運用資産が八兆円をこえておる。総資産が八兆一千七百億ほどになっておりますが、社内留保というものが次々なされておる。このことはそれでいいわけでありますけれども、この保険会社の収益活動をどの程度まで禁止された兼業と見るのか。たとえば不動産会社を組織しましたり、デベロッパー分野への進出もなされておりますけれども、これは兼業禁止には触れないのかどうか、これをお尋ねしたい。
  157. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 生命保険会社がある意味では関連会社を設けまして、それがある意味では一般国民に対しまして宅地の販売または建て売り住宅をやるということになるわけでございます。そのような場合にはこれは兼業ということではないわけでございます。また、生命保険会社がその土地を買いまして、そしてそれを開発し、それを契約者または一般の国民に対しまして分譲していくということも、これは、保険会社が資産運用として、その対象といたしまして不動産というものが法律により認められておる、その中でこれをやっていくということでございますので、保険会社がみずからやりましても特に兼業禁止に違反するというふうには考えておらないのが現状でございます。
  158. 三谷秀治

    ○三谷委員 要するに、兼業禁止というのは全くの形式的な規定にすぎないものであって、たとえば、保険会社が膨大な運用資産を持っておりますから、これを投資して一〇〇%出資の不動産会社をつくる、これは兼業ではないということなんですね。  それでいまの問題でありますけれども、そういう事業から出ます収益というものはどうなってくるわけなんでしょうか。その会社があげます収益というものは、これはまた膨大なものにのぼっておるわけですけれども、結局保険会社はその利息によって収入を得る、あるいは出資による配当によって利益を得る、こういう関係になってくるわけですか。
  159. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 おっしゃるとおり、その子会社といいますか、関連会社がそういう不動産の売買、そういうものをやる場合に金を貸すわけでございます。それにより利息収入というものが保険会社の収入になってくるということでございます。
  160. 三谷秀治

    ○三谷委員 その収入が膨大なものになっている。四十八年度の生命保険会社の当期利益金というのは四千二十八億になっておりますが、膨大な内部留保をした上のことなんですね。八十六条という特別配当資金準備金は充実したという。それから責任準備金の純保険料式積み立てもほぼ達成したという。だから積み立て金はできてしまっておる。これからの問題は、内部留保も節度が必要だから、増配または低料についてどう検討するかというのが問題なんだということがこの専門家の指摘の中にあるわけなんです。だから、保険会社がもう十分に配当準備金なんかできてしまったといっておるのだ。それほどのやはり利益があがっておる。それに対する課税としましては、いまおっしゃいましたものではきわめて軽微に過ぎるということを私は指摘しておるわけであります。  まあしかし、これ繰り返しましても一緒になりますから、時間の関係もありまして重ねての質問はしませんが、もう一つ聞いておきたいのは、保険会社の内容に非常に問題が多い。相互会社だから社員全体が利益を受けるものだ、みんなが配当を受けるものだ、だから少々税が安くてもいいのだ、こんなことをおっしゃっておった。ところが、保険会社の内容を見ますと実態はそうなっていない。たとえば、保険会社は株式会社と違いまして株主総会がない。社員総代会でやっておる。その社員総代会というのは、一体だれが社員総代になるのか。これは役員が任命している。ですから植村甲午郎氏をはじめとしまして、中央地方の財界の代表者が全部社員総代になっている。だからお手盛りの総代会になる。勢い総代会も型通りになってしまう。役員の構成も一向に変わらない。こういう状況になってきている。こういう実態に対して、もっと民主的な運営をする必要がある。実際に末端の社員が意見を述べる、意見が反映できる、そういうことにしなければ、相互会社だから特別な措置をとるという論拠がなくなってしまう。そのための指導はどのようになされておりますか、お尋ねしたい。
  161. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 いまおっしゃるように、相互会社におきます最高の意思決定機関である社員総代会の社員総代の選考、またその社員総代会の運営ということにつきましてはいろいろと問題がございまして、これは私どもの保険審議会におきましても四十年以降議論はしているわけでありますが、昨年の十月から保険審議会を再開いたしまして、相互会社のあり方、その社員総代会の社員総代の選び方、それから契約者の意向をどの程度に反映するかということにつきましてこの保険審議会に意見を求めて、相互会社のあり方について改善をしていきたいというのが私ども基本的な考え方でございます。
  162. 三谷秀治

    ○三谷委員 保険会社が公益的な性格のものであるというならば、運用資金を土地投機資金や買い占め商社の資金調達に回すことを規制すべきだと思う。六大商社への貸し付け金が一千四十八億九千六百万円にのぼっている。これが買い占め資金になったわけなんだ。それから六大商社の持ち株だけで四百六億に達している。ですから、国民の零細な資金が悪徳商法に利用されて、国民自身を苦しめる処置になってきている。これを放置しておったのではいけないと思う。ですから、悪徳商社に対する資金の制約を総理は言っている。保険会社の出資や貸し付けについてはどういう処置をとるのか、どういう指導をされておるのか、これを聞いておきたい。
  163. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 保険会社の資産運用につきましては、最近におきます一般の金融機関と同じように、選別融資、または、土地またはそういうことの投機にならないようにということで私ども指導しておりますし、またそういうようなことにさしていきたいというように考えております。
  164. 三谷秀治

    ○三谷委員 いや、一般論でなしに、いま六大商社への貸し付け金が一千四十八億もある、こういうものは引き揚げるべきだ。もしも総理が言いますように、悪徳商社に対する融資の規制などをするといいますならば、当然こういう処置をとるべきだ。それから保険会社の出資金も膨大なものにのぼっている。これらについても適正な指導をして、こういう買い占め等の行為をする業界に対して、国民の零細な資金というものを無差別に貸し出しをしないという処置をとる必要がありはしないか、これをお尋ねしておるわけです。
  165. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 その問題につきましては、保険会社の金融機関的な側面の問題でございますし、これは一般の金融機関と全く同じように私どもは考えておる次第でございます。一般の金融機関の六大商社またはそのようなことに対します融資の規制ということと同じように考えているわけでございます。
  166. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうますと、そういう指導をやっているわけですか。
  167. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 二月の二十八日におきまして、「当面の事態に緊急に対処するための融資のあり方について」という銀行局長通達を出しているわけでございますが、これは一般の銀行のほかに生命保険会社についても同じように適用されているわけでございます。その中におきまして、たとえば企業の在庫動向の把握につとめまして、在庫の積み増しが行なわれておると認めた場合には新規融資の停止というようなことも書いてありますし、それから土地の関連融資につきましても、これを適切に運用するということについて通達を出しているわけでございます。これにつきましては保険会社、全く同じように指導しているわけでございます。
  168. 三谷秀治

    ○三谷委員 指導して実績があがっておりますか。たとえば貸し出しをしました資金などが若干減少したとかいうふうな実績というのが出ているわけですか。
  169. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 これにつきましては三月末で報告をとっていきたいというふうに、いまのところ準備を進めているところでございます。
  170. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは短期融資じゃありませんから、三月末といいましたっておそらく変動がないのでしょう。そういう融資に対してどういう処置をとるかということにつきましては、一般的な通達じゃだめなんですよ。保険会社に対する個別指導を強めるということがなければ、これは進むものじゃありません。そうして一方におきまして、地方自治体などに回します融資というものが非常に率が少ない。もう少しこの運用資金を地方自治体に対する一時融資や地方債の償還に回すなど、国民の零細な資金を国民福祉に優先利用するような指導を強めてもらいたいと思う。その問題と税の扱いの問題というものは重要な関連を持ってくると私は思っております。時間がありませんので、このことは申し上げるだけにとどめておきます。  あと一点申し上げておきたいのは、租税特別措置というものが依然として整理されておりません。若干減らしたと思うとまたふやす。合理化機械の特別措置を若干減らしたと思うと、原油備蓄タンクの特別措置強化する、あるいはまた合成繊維などの部分に対する特別措置を固定するとかやられておりますが、これにつきまして一つ一つはいまお尋ねできませんが、本年度地方税の特別措置分だけで二千百億といっております。景気調整などを行政目的としない地方自治体の税におきまして、このような大資本のための軽減処置が多面的に実施されていいものだろうかどうだろうか、疑問をぬぐうことはできませんが、この点につきまして大臣の所見をお尋ねしておきたいのです。
  171. 町村金五

    町村国務大臣 租税特別措置の問題につきましては、たびたびお答え申しておるところでございますが、われわれといたしましては、いままで行なわれておりまする租税特別措置は、それはそれなりに一応理由があるということでそういう仕組みができ上がっておるわけでございますけれども、今日の社会情勢の変動というようなことに顧みまして、今日の場合、そういうものの存続が適当でないというものにつきましては、極力これを整理するということで進んでまいりたい、こう考えておる次第であります。
  172. 三谷秀治

    ○三谷委員 一般的にこの租税特別措置負担の公平を阻害して、租税の中立性をそこなうものであるといわれておりますし、次官も先般そういう発言をされました。しかし、発言はされますけれども、現実的に整理されなければ意味がない。ことばでおっしゃることと実際の政策に大きな食い違いがあったのでは納得できるものじゃありません。今後、租税特別措置につきまして、特に地方税というものがそういう国の政策方向に従属をしまして税の減免をするというようなことはおかしいことなんですよ。これがなくなりますと、よほど地方税収というものに変化が生じてくるわけでありますから、優遇的な課税の乱用というものはすみやかに打ち切っていただきたいと思うのです。そこで、一般論をおっしゃらずに、実際におやりになるおつもりがあるかどうか。たとえばどの分から手をつけられるか。少し具体的な答えを聞かしていただきたいと思うのです。
  173. 首藤堯

    首藤政府委員 租税特別措置のできるだけの縮減、廃止を地方税においては努力をすべきであると考えておりますことは毎々申し上げておるとおりでございまして、先ほども御指摘がございましたように、ことしの税制改正では、発電所にかかわる課税標準の特例措置、それから重要産業用の合理化機械にかかわるもの、こういったものを廃止をいたしたのは先ほど御指摘をいただきましたとおりでございます。今後とも、たとえば電気税におきます非課税措置の品目の整理縮小、こういった点を重点にいたしまして、なおその他各種の特例措置におきましても、すでにその効果を了したと目されますもの等をこまかに拾い上げまして、それの廃止、縮小について努力をいたしたい、このように考えておるわけでございます。
  174. 三谷秀治

    ○三谷委員 時間が来ましたから、これで終わっておきます。
  175. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 小濱新次君。
  176. 小濱新次

    ○小濱委員長 理事会の申し合わせ事項がけさございました。大体六時ごろをめどにということで、私が一番最後だったものですからだいぶ要請をされておったわけですが、こういう時間になってしまいましたので、つとめて私も努力いたしまして、守るようにいたしますが、どうかひとつ理事会の申し合わせ事項をお互いに守るように御努力をお願いしたい。このことを要望しておきたいと思います。よろしくお願いします。
  177. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 承知しました。
  178. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣に主としてお尋ねをしていきたいと思います。  最初に、道府県民税についてお尋ねをいたしますが、大臣は非常に御経験の深い立場にあられたわけでございますが、そういう立場から私は御所見を承っておきたい、こういうふうに思うわけでございます。  すなわち、道府県民税は三十七年に二段階の税率区分の創設があったわけでございます。資料によりますと、所得割額納税義務者数は、三十七年度は百五十万円以下の人が千三百六十四万人、百五十万円をこえる人十五万人で、この所得者の割合は一・一%、こういうふうに出ております。そうであったものが、十一年後四十七年度には百五十万円以下の人が二千九百七十万人、百五十万円をこえる人百四十五万人で、これは四・七%と、約四倍以上に増加しているわけでございます。また、百五十万円以上の人は三十七年の十五万人から四十七年は百四十五万人と、約十倍であるのに対して、百五十万円以下は約二・二倍、こういう資料になっております。さらに、百五十万円をこえる人でもその間の格差は広がる一方である、こういうふうに考えておるわけでございますが、これらの点から、道府県民税の税率はこれでよいのであろうか。今後調整を急ぐべきではないのか。私はこのデータを拝見いたしましていろいろと調査もしてみましたが、何かこの辺でひとつ手を打たなければならないのじゃないか、そういう気がいたしましたので、これは私は自治大臣から御所見を承りたいと思うわけでございますが、自治省からでもけっこうでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  179. 首藤堯

    首藤政府委員 道府県民税の二段階の税率についての御指摘でございます。御指摘いただきましたように、三十七年度税制改正にあたりまして、百五十万を境にいたしまして二%と四%というフラットな二段階にいたしたわけでございますが、このときにはいろいろ検討がされまして、いきさつもございまして、市町村民税と府県民税を分けます場合に、なるたけ府県民税のほうはフラットのほうがいいだろう、こういう考え方が採用されましてこのような措置がとられましたのは御承知のとおりでございます。その後、時代をけみしておりまして、ただいま御指摘がございましたように、収入が百五十万円をこえます者の数も非常にふえてまいりましたし、そういう意味ではこの百五十万のあり方をどう考えるか、それから税率の構造をどう考えるかといったようなことを振り返って検討してみるべき時期も近まっておる、こう御指摘のように考えておる次第でございます。ただ、ただいまの状況におきましては、できる限り課税最低限引き上げ、これを重点に置きまして住民税減税を行なってまいりたいという考え方によりまして処置をいたしておるところでございます。  税率は、実は市町村民税については四十八年度に若干のいじりをやったわけでございますけれども、今後、課税最低限あり方等につきある程度の目鼻がつくという事態になってまた再び税率を、どうあるべきか検討してみるべきであろうと思っております。その場合に、府県民税の税率あり方をどう変えるかということも当然論議になりますが、この税率及び税率区分を変更いたします場合には、当然市町村民税と合わせました税額負担の変動と申しますか、こういったことも慎重に検討しなければならないのではないか、こう考えておる次第でございます。
  180. 町村金五

    町村国務大臣 いま税務局長からもお答えを申し上げたのでありますが、御指摘にもございましたように、この道府県民税が今日の百五十万円を境として二段階になったということからかなり時期も経過いたしておりますし、その間に国民所得もかなり向上をしておるというような状況でございますので、これについては相当の検討を加える必要があろうかと思いますけれども、御承知のように、市町村民税はある程度区分がもう少しこまかくなっておる、このほうは二段階にするというようなことは、それなりに、所得税と一緒になりまして一般の国民負担というものの公正を期するという立場で、今日こういうものが総合的にでき上がっておるわけでございましょうから、道府県民税に関しましては御指摘のような感じが私どももいたすのでございますが、今後これらはひとつ総体として検討をいたすべき課題であろう、かように存ずるところであります。
  181. 小濱新次

    ○小濱委員 二十九年に創設をされて、その当時いろいろ論議になったと思いますが、私のほうでは、税体制を統一するんだという見地から三十七年に二段階方式ができたのではないかというふうにこれは理解をしております。以来、十数年たって、この間、経済伸びというものあるいはまた物価の急上昇など、住民生活というものは大きな変化が起きているわけですね。そういう点から、この現行の二段階方式には多くの矛盾があるというふうにも聞いておるわけです。それはすなわち、三十七年度の百五十万円の人の税額と、四十七年度の百五十万円の人の税額は、額の上では同じかもしれませんが、その負担というものは大きな違いがあると私どもは見ているわけですね。したがって、所得に対して税率区分というものを、調整といいますか、刻みといいますか、こまかくするということが一つの方式であろう、あるいはまた累進度も高めるべきではないのか、そういうときが来ているように私は特に感じたわけでございまして、その点の御見解を承りたい、こう思います。
  182. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘のように、住民税におきます税率の累進度は現在の程度でいいのか、もっと累進度を高めていくのか、こういう点については種々議論があろうと存じております。ただ、全般的には、国の所得税におきましては最高税率七五%というように非常に急な累進率をもちまして、いわゆる所得の再配分、こういったことを重点に行なっておるわけでございますが、地方税の場合はそれに比べますと、所得配分機能と申しますものはあまり国税ほどは大きくございませんものですから、わりに段階が少なくてフラットなかっこうの税率で構成をされておる、こういうことであろうと考えておる次第でございます。  それからさらに、住民税といたしましての市町村民税と道府県民税と、両方の税率を合計して、足し合わせましたかっこうでの累進段階税率、こういうものが一応想定をされまして、それで得ました住民税を市町村と府県にどういうかっこうで分けるか。その分ける際には、いろいろな事務的な操作やそれから性格問題等もございまして、府県の場合はわりに単純なフラットな段階でいいのではないか、こういうような議論がされてただいまの税率ができ上がっておるものと私ども感じておる次第でございます。  御指摘のように、所得も非常に変わっておりますし、この税率あり方等についてはいろいろ御議論もあるわけでございますから、今後ともこのあり方については検討を続けていかなければならぬと考えておるわけでございますが、機会のあるたびに税率については再検討を加えてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  183. 小濱新次

    ○小濱委員 四十九年度の見込みはどんなであろうかなというふうにも考えるわけですが、そういう立場からは、検討というお答えですけれども、やはり調整あるいは刻みというものがこまかく、その八割の頭打ちというのはよくわかりますが、それはそれなりに、何か方策を示していくべきではないかなというふうに、またこの累進度についてもそうでありますが、やはり何らかの答えの中に、そういった方向に進んでいるという姿がほしいのではないかとも私どもは考えているわけですが、検討ということはわかりましたけれども、もう少し具体的に御意見を聞かしていただきたいと思います。
  184. 首藤堯

    首藤政府委員 税率の問題につきましても検討すべきであると考えておるわけでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、ただいまの住民税あり方といたしましては、何よりも課税最低限をある程度引き上げ減税をしていく、こういうことが一番緊急な段階か、このように考えまして、本年度措置によって御案内のように千七百七十三億という額を減額することにいたしたわけでございます。なお明年度は、ことしの国の所得税給与所得控除引き上げ等に伴いまして、かなり多額の課税最低限引き上げというものが当然招来をするかっこうになってくると思いますので、それに伴います減収額もかなりの金額になろうかと思うわけでございます。  一方、税率を調整いたしますと、どういうかっこうに調整するかによっていろいろ問題が出てくるかと思いますが、税率の調整によって増税、減税、それぞれのケースが出てくるわけでございまして、この扱い方次第ではかなりの金額の増減ということも考えられるわけでございます。いま申し上げましたように課税最低限のある程度の引き上げ、これに伴います減収額、これがある程度行なわれた段階、そういう段階が税率を扱うのには一番適当な時期ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  185. 小濱新次

    ○小濱委員 過去の経緯は私どもも少し調べてみました。それから現在の課税の仕組みも、これも一応調べてみました。しかし不公平、矛盾、そういう点がどうもあるように私は感じられてならないわけですね。そういう点から、これは長い御経験をお持ちになっておられる自治大臣の御所見を承り、これからの方向づけというものを示してもらいたいなという気持ちで御質問したわけでございますが、最後にひとつ自治大臣から御所見を聞かしていただきたいと思います。
  186. 町村金五

    町村国務大臣 先ほども申し上げたのでありますが、いまの道府県民税が二段階にきまったのが昭和三十七年で、自来、御指摘にもございましたように、国民所得の状態というものも著しく変化をいたしておるわけでございまして、したがって、はたしていまのこういった仕組みでよろしいのかどうか、確かに私は問題がある、かように考えておるのでございます。  ただ、先ほども税務局長からお答えを申し上げましたように、当面やはり税としては課税最低限が問題である。ことに物価の非常な値上がりの状況でございますので、やはりそういったこともからみ合わせまして考えるときには、課税最低限引き上げをするということが当面最大の課題でございまして、このことには相当の成果をあげておるのでございますけれども課税最低限の上げ方がなお不十分だという御指摘が一方にあるわけでございます。そういったような事情も勘案をいたしながら、今後住民税の問題にはさらに真剣に取り組んでまいらなければならぬと思うのでございまして、いまも申し上げましたが、やはりこの所得税なり都道府県民税、さらに市町村民税というものがからみ合ってこういった制度になっておりますので、道府県民税だけを取り上げて、そしてこの税率を引き離して上げていく、あるいは刻みをふやしていくということが適当かどうかといったような問題はもとよりございますので、そういったことはやはりあわせ総合的に判断をしてまいるべきものだ、こう存ずるのでございまして、ただ口先だけで検討するということでなく、税務当局といたしましてはこの問題はかなり真剣に考えておるようでございますので、また適当な時期に適当な成案が得られるもの、私、かように存じておるところでございます。
  187. 小濱新次

    ○小濱委員 経験豊富な立場からぜひ御検討をお願いをしたいと思います。  さらに、市町村民税の所得割の税率についてお尋ねをしていきたい、こう思います。  この税率については、四十八年度は一部改正をされました。そのことは承知をいたしておりますが、今回は改正されていないわけであります。住民税の各種控除を引き上げて、課税最低限を現行の八十六万円から百一万円に引き上げることにしているわけでございますが、所得税については各種控除の引き上げと同時に、累進構造を緩和するため税率の適用所得階級区分の改正を行なっているわけですが、住民税についても税率の見直しを引き続いて行なうべきではないのか。住民税の問題、私どもはこういうふうに考えるわけでございます。税制調査会答申も拝見いたしましたが、所得割の税率については検討する必要があることをいわれているようでございます。自治省としてはどのように検討するお考えなのか、お答えをいただきたい、こう思います。
  188. 首藤堯

    首藤政府委員 住民税のうち、市町村民税の税率につきましても御指摘のようにいろいろ検討すべき問題があると私どもも存じております。今回の税制調査会におきましても、なお検討すべきだという答申もいただいておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、さしあたり、何と申しましても課税最低限引き上げに伴います減税を行なっていくということが一番急務だ、こういう感じを持っておるわけでございまして、このためにことしは千七百億余りの財源を要したわけでございます。税制調査会の場合においても、国の所得税課税最低限引き上げ、これに伴います地方住民税のそれに対応する措置、こういうものが一段落ついたと申しますか、そういう段階でぜひ税率も見直すべきだ、こういう御指摘をいただいておるわけでございまして、そのように考えておる次第でございます。
  189. 小濱新次

    ○小濱委員 いただきました資料の中から、これも三十七年に創設されて以来、四十八年度に一部改正が行なわれるまで何ら変化がなく来たわけでございますが、この資料によりますと、市町村民税の最高税率、この五千万円をこえる金額は一四%となっているわけでございます。この五千万円以上という、この額に該当する人は、三十七年のその当時何人なのか、あるいは所得額はおわかりなのかどうか。あるいはまた最近の四十七年あるいは四十八年、また四十九年の推定などもおわかりならばお示しをいただきたい、こう思います。
  190. 首藤堯

    首藤政府委員 納税義務者数のうち五千万円をこえます収入のあります者の数でございますが、たとえば昭和四十一年ごろでございますと百五十四人でございます。それから四十八年では八百二十二人、こう考えております。この八百二十二人に対応いたします税額が、四十八年では約八十一億見当か、このように考えております。
  191. 小濱新次

    ○小濱委員 私の調べた資料とはだいぶ開きがあるようでございますが、その所得額についていま一度お答えをいただきたいと思います。
  192. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま申し上げました八十一億、これは所得割の税額でございますが、四十八年では税額としてそのような見込みに相なっております。——失礼申し上げました。八十一億と申しましたのは五千万をこえる金額の分でございますから、根っこからの算定はちょっといまわかりかねますが、あるいはそれで違っておるのかもしれません。
  193. 小濱新次

    ○小濱委員 私のほうも全部差し引いてこの課税標準額を、数字を出してみてあるわけです。大きな違いがあるのですが、間違いがなければ私のほうの資料が間違いということになるか知りませんが、もう一度ひとつ御検討いただきたいと思います。府県税課長さんどうですか、お調べ願いたいと思います。  それはまたあとでお示しをいただきたいと思いますが、私のほうでは、累進といいましてもこれは無限に上に行くんじゃないわけですね。先ほど話がありましたように頭打ちというものがあるわけですから。しかしまた、人間の働く意欲というものを失ってもならないというふうにも考えております。そういう税制ではこれは好ましくないことは当然でございますが、この十一年間、過去を振り返ってみて、経済成長政策のいままっただ中にあるわけですから、したがって、高収入を上げている人は年々増加の一途をたどっているわけでございます。このような実態から考えてみても、十数年間五千万円以上という区分ははたして妥当なのかどうか。そういう点非常に私どもも資料を拝見いたしましてまた疑問を持たざるを得なかったわけでございます。したがって、低所得者層の税率緩和をするということ、これは当然のことでございますが、高額所得者に対しては刻みをふやすとかあるいはまた累進度を高めていくとか考えるべきであると、どうしても私どもはそういうふうに考えざるを得ないわけでございますが、この点についても自治省の見解、さらにはまた大臣からも御所見を承りたい、こういうふうに思います。
  194. 首藤堯

    首藤政府委員 地方税の累進税率でございますが、一番上のところが市町村民税と県民税と合わせて一八%というのは御指摘のとおりでございまして、これをもう少し累進税率を高めていくかどうかという点につきましては、御指摘のように非常に議論のあるところでございます。現在の住民税あり方が、一方所得税で非常に急な傾斜の、所得配分を考えました税率の刻みになっておりますものですから、それに対応いたしましたものとして、このような税率が最高で設定をされます。所得税の最高税率が七五でございますから、これを足しますと九三になって、結局八〇で押えてしまうというような体制になっておるのも御存じのとおりでございます。いろいろ議論があるところでございまして、今後とも、この税率の改定を行なう場合においては所得税とのかみ合わせも考えながら、もう少し累進度を高めていくの寮適当かどうか、こういう点について真剣に検討してみたい、こう考えておる次第でございます。
  195. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほどの四十八年、八百二十二名、五千万円以上という人たちの全部の所得額はしからは幾らですか。それはおわかりになっていますね。
  196. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘のございました所得の金額でございますが、総所得金額で五千万円超という金額は七百六十一億ぐらいになる、こう考えております。
  197. 小濱新次

    ○小濱委員 そこで、基礎控除をそこから引いて、いわゆる所得控除を引いて、その残り、そういう計算をしていきますと、ちょっと先ほどのお答えの数字が合わないように私は聞いたわけですが、そこのところ、もう一度ぐるっと説明してくれませんか。
  198. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま申し上げました総所得金額、これから各種控除を引きまして課税標準額といたしますと六百六十六億ほどに相なります。これに分離課税分の課税標準が別にございますので、これを加えますと七百五十六億という課税標準額に相なります。これに税率を乗じまして、また税額控除そのほかの計算をやりまして、先ほど申し上げました八十一億と申しますのは、所得割の税額として徴収した額、こういうことに相なるわけでございます。
  199. 小濱新次

    ○小濱委員 所得割の税額ですね。そうしますと、本年度は大体何人くらいに推定されますか、八百二十二名に対するものは。ちょっとむずかしいですか。その辺が問題になるわけですよ。もう十数年たって、五千万円以上というものは昨年度では八百二十二名になっている、七百六十一億にその総額はなっているという。五千万円の人も一四%取られるわけです。その何倍かの所得の人も一四%ということで、その辺に多少矛盾が出てくるのではないかという、五千万円、それ以上の人との、その開きが出てくることに矛盾を感ずる人がいるわけです。そこのところの調整というか刻みというか、これからどういうお考えを持っていかれるのか。当然取らなくちゃならない人からは取らなくちゃなりませんし、あるいはまた貧しい方々のためには、これは三十万円、二%というのももっと考えてあげなくちゃならない。こういうふうにも思って、上下の点がどうしてもわれわれが問題にせざるを得ないように感じましたので、考え方、御所見を承りたい、こういうことですから、ひとつあわせて御答弁いただきたいと思います。
  200. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘いただきましたように、住民税税率あり方がこの程度の累進で足りないのではないかという御説も、もちろんうなずけるわけでございます。ただ、所得税の最高税率が御案内のように七五%、こういうことになっておりますのとのかみ合わせの問題もございまして、合わせますと九三%、これは八〇で頭打ちになるわけでございますが、最初に御指摘がありましたように、税の逋脱とか資産所得の分散とか、こういったような問題もございますので、両方を対比をいたしまして、そのかみ合わせの結果最も妥当な累進のあり方、こういうことを検討すべきではなかろうか、こう考えておるわけでございます。
  201. 小濱新次

    ○小濱委員 非常に低い所得の方々は、たとえ二%であってもそこに苦しみ、悩みがあるわけですね。あるいはまた、五千万円と五千万以上の人たちとの開きがあって、そこにもまた不平が出て、不公平ということの是正というものが当然叫ばれてきているわけですので、そういう点から、今後この道府県税と市町村税の調整、あるいはまたこまかく何か対策を講じていく必要がある、こういうふうに感じましたので、御所見を承ったわけでございます。  これはごらんになっていないか知りませんが、三月の二十日の毎日の朝刊です。「読者の広場」という投書欄にこういうふうに出ておりました。これは「税の公平」ということである税理士が投書された内容ですが、「先日、所得税確定申告の納税相談をしていた際、税額を算出し「この金額を三月十五日までに納めて頂きたい」と示したところ、ある零細事業者が「税金というのは働いた者の罰金だというから、仕方がない、払いましょう」と言われた。私はハッとした。」こういう内容なんですね。「現在の税制では、貸家や貸地を持ち、これで不労所得を得ている者も、週休二日制でのんびり勤めている人も、連日連夜の残業々々で寝る問も休まず、神経をすり減らして稼いでいる人も、税金の負担は同じである。英知の結集と勤勉で働いている人たちに、例えば、残業手当に課税しないなど、技術的には非常に困難と思うが、税制上の優遇策が採られないものかと思う。そうすれば「税金は働いた者の罰金」というような思想は芽生えないであろう。勤勉控除制の採用を望むものである。」こういう「税の公平」が投書欄に出ておりました。いろいろと悩みを、苦しみをかかえて納税しておられる人がいるわけですから、ぜひひとつ、県税とかあるいはまた市町村民税についても御高配を賜わりたい、こう思うわけです。  この「残業手当に課税しないなど、技術的には非常に困難と思うが、税制上の優遇策が採られないものか」どうかという、これはここの問題じゃないかもしれませんけれども、こういう問題に対して感想を求めたいと思いますが、お答えいただきましょうか。
  202. 首藤堯

    首藤政府委員 残業手当等の問題につきましては所得税の問題でございますけれども、四十九年度所得税の議論がされましたときに、そのような議論も政府税調においてもずいぶん出たわけでございます。なかなかむずかしい問題としては、仕分けの問題、それから計算の問題、関連の問題、こういうことがいろいろありますようでございますけれども、できる限り所得税あり方として、すっきりした体制がとれるものならそのほうが適当であろうと考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、所得税法の関連でございますので、論評そのものは差し控えさせていただきたいと思います。
  203. 小濱新次

    ○小濱委員 次に、料飲税について少しお尋ねをしていきたいと思います。  昨年五月の税務局長通達によると、料飲税と軽油引取税の特別徴収義務者に対して税額の一%を下らない額を交付することになっているわけです。当委員会でもしばしば論議になってきた問題ですが、どうも私どもも、そのことについてはうかつにしておったというふうにならざるを得ないわけですが、この経緯についてひとつ理由を承りたい、こういうように思います。
  204. 首藤堯

    首藤政府委員 料飲それから軽油等、いわゆる一般的に特別徴収義務者を設けまして税を徴収してもらっておる税金、いろいろあるわけでございますが、一般的に、特別徴収義務者に対して徴収事務をお願いいたしました場合には、これは、税制度上特に特別徴収義務者になっていただくわけでございますから、原則的には、徴収取り扱い費というものを交付しないままお願いをする、こういう体制が、国税においても地方税においてもとられているのは御承知のとおりでございます。  ところが、この料飲とそれから軽油につきましては、たとえば料飲の場合は、公給領収証等をいろいろ書きますための手間が非常にかかる、こういったようなことで、通常特別徴収事務で要しますような経費をこえまして、かなりの経費がかかっておるというのが実態のようでございまして、各府県におきましても、そのため、この徴収に関連をいたしまして幾らかの交付金の交付、こういうことが行なわれておったわけでございます。これが県別に、非常に率的にもいろいろな差がございまして、できる限りこれは統一的な率と申しますか、そろえたほうがいいのではないか、こういう主張もございますし、県のほうの要望もございまして、四十八年の五月でございましたか、税務局長通達で徴収税額の一%を下らない率、それを基準として取り扱う、交付金を交付するように、こういう通達が出された経過を持つものでございます。
  205. 小濱新次

    ○小濱委員 今回の措置について、どのような法的根拠に基づいていたのか、それもあわせて御説明をいただきたい。
  206. 首藤堯

    首藤政府委員 法的根拠というものはございません。先ほども申し上げましたように、徴収事務の実態から、各県ごとにそれぞれ実態的に、いろいろな率ないしは額で交付金が交付をされておった、こういう実態を踏まえまして、これをある程度統一した率とでも申しますか、均衡のとれた率ないしは額にするのが適当ではないか、こういう行政指導が行なわれた、こういうことでございます。
  207. 小濱新次

    ○小濱委員 しからば、この一%を下らない額としているわけですが、これは妥当なものかどうか、その算定の根拠はどこにあったのであろうかな、こういうふうにも思います。お答えをいただきたいと思います。
  208. 首藤堯

    首藤政府委員 この点につきましては、いままでの実績等を基礎にいたしまして、若干の実態調査等を行なったわけでございますが、そういった実態に応じましてほぼ一%というところ、これを基準にするのが適当なところではなかろうかと判断をいたしたわけでございます。
  209. 小濱新次

    ○小濱委員 この一%というのは、手数料なのかあるいはまた事務経費の一部を補助する、そういうためなのか、あるいは徴収をお願いしているという、そういう迷惑料なのであろうかな、どうでしょうか。
  210. 首藤堯

    首藤政府委員 特別徴収事務をお願いするということ本来の行為に対しましては、交付金を交付しない、国税地方税もそういうたてまえをとっておりますので、この場合は、そのことに伴って特別によけいいろいろな事務費が通常よりかかりますものですから、その事務費の一部補助、通常必要とされる事務経費をこえる経費の一部を補助する、こういう趣旨をもちまして設けられたものでございます。
  211. 小濱新次

    ○小濱委員 宝くじの手数料は幾らですか。ギャンブルの手数料は幾らでしょうか。これをひとつ御説明願います。
  212. 首藤堯

    首藤政府委員 正確に覚えておりませんので、間違っておりましたら訂正さしていただきたいと思いますが、ギャンブルの場合は七五%が配当になりまして、残りの二五%が、施行者の事務費そのほかの開催経費に相なるわけでございます。  それから宝くじの場合は、勧銀が大体発売をいたしておりますが、発売手数料は一〇%見当のものでなかったかと思いますが、ちょっと調べまして……。
  213. 小濱新次

    ○小濱委員 局長の御認識が少し足りないのじゃないかと思う。たしか三八%ぐらいまでいっているはずですよ。公営賭博といわれるギャンブルが二五%、今回のこの事務費の一部を取り扱い義務者に交付をする額が一%を下らない額としているわけですが、調べてみたところが、一%を出ているところはどこもない。ありますか。ないでしょう。コンマの五とかコンマの四だとか六だとか、一%を出ているところ、以上というのはない。一%というのはちょっとあった。したがって、一%を下らない額としているが、これは妥当なものかどうか、その算定の根拠はどこにあったのか、ここのところを説明をしていただきたいと思います。
  214. 首藤堯

    首藤政府委員 ギャンブル及び宝くじのことはあまり正確ではございませんが、先ほど申し上げました二五%をギャンブルの開催者が取りますものは、ギャンブル開催の収益をもちろん含んでおるわけでございまして、売り上げ額によってずいぶん違うと思いますが、開催経費そのものは一〇%から一五%ぐらいのものであろうと考えております。残りは、当該地方団体のいわゆる収益にたるわけでございます。宝くじの場合も、ちょっといま調べますが、似たようなところかと思います。  それから、一%をこえております団体でございますが、昭和四十八年度の場合でも、いろいろ旅はございますけれども、一%をこえております目体が二十二県ほどございまして、一%ちょうどを出しておりますところとほぼ同じぐらい、こういう見当かと存じております。  なお、一%がどういう積算の基礎に基づいたかという点につきましては、先ほど申し上げましたように、若干の実態調査を行ないまして、ほぼこういったところが適当かというように判断をいたしたわけでございます。
  215. 小濱新次

    ○小濱委員 私のもらったこの資料は、自治省から出ている資料なんだけれどもな。それは局長の資料が一番正しいのかと思いますが……。一%というのは、私としてはどうしても、迷惑料にしてもあまり少ないじゃないのかなという感じでしたが、それはそれとしていいんです。  旅館で、あるいはホテルで、いま人手不足でたいへん悩んでいるわけですね。朝の事務所で多忙をきわめているという状況を、私どもはよく知っているわけです。出発まぎわにいろいろと領収証を書いてくれます。たいへん騒がせてその領収証をいただき、金を払って立っていくわけです。中小規模の旅館などでは、いままでいただけなかったものが一%でもいただけたわけですから、これは励みになったか知りませんが、これらの旅館関係者からいろいろな陳情が来ているわけです。その陳情の内容は、事務の簡素化ということがいわれております。私もその領収証を見てみたのですが、実にこまかく記入するようになっておりまして、これを仕上げるにはたいへんだなという感じを持ったわけですが、担当者の方からは、どうしてもこの事務の簡素化ということをしていただきたいという強い要望が出ております。この点についてはどうでしょうかね、何か今後の対策というものをお持ちかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  216. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘のように、公給領収証の内容がかなり複雑になっておりまして、御迷惑をおかけしておるのは事実でございます。  現在の料飲が、基礎控除でございますとか、あるいは免税点の問題でございますとか、昼食そのほかの取り扱いの問題でございますとか、いろいろな措置がありますために、ある程度複雑な記載をする点がやむを得ず出ておる点もあるわけでございますが、記入が非常にめんどうであるということも事実でございますので、ただいま、何とかしてできる限りこれを簡素化をしたいということで、検討をいたしておる最中でございます。
  217. 小濱新次

    ○小濱委員 ぜひひとつ検討を進めていただきたいと思います。  もう一点、その件についてお伺いしておきたいことは、従来から指摘されているように、観光地をかかえた市町村は、お客が来ることによって、ごみ、屎尿処理、こういうものをはじめとした住民サービスのための財政支出が増大して、財政逼迫というものが顕著にあらわれているわけです。これまでも当該市町村は、料飲税の市町村移譲要望してきております。いままでの経緯を踏まえて、自治大臣はどのようにお考えになっておるのであろうかな、こういうふうに私は感じました。  時間もありませんので、少し数字的に調べてみたことを申し上げてみますると、熱海では市民人口が、四十九年二月に五万一千四百八十一人、宿泊人口が、四十七年三月から四十八年の二月までで四百十七万九千五百二十五人。したがって、料飲税の対象となる者が一日平均一万一千四百人で、約二〇%になります。四十九年一月は三十九万五千百四十三人で、一日平均一万三千二百人、こういう数字になっている。箱根の町の人口は二万一千人ですが、宿泊客は一年間で四百六十八万人、一日平均一万二千人ということで、五九%になっているわけです。  こういう人たちがごみを置いていくわけです。あるいはまた屎尿問題も起こってまいりますし、道路も非常に痛めていくわけですね。ですから、こういう自治体に対する料飲税の移譲ということも、これは何らかの形で考えてあげなければならない。普通税で、県税で取り上げられてしまうので、それは何らかの事業をやるときには補助の形で幾ばくかは返ってはまいりまするけれども、悪いことばですけれども、まるっきり持ち逃げされているというような表現も出てくるわけなんです。まるっきりそのような姿になっているということで、私どもは、そういう内容に照らしてみて、この財源確保、保証するための措置というものは当然だなというふうに考えているわけでございまして、この点について、これも長いこと論議の的になってきたわけですが、今回、特にこういう問題を取り上げておかなければならないそういう時勢であろう、こう思いますので、ひとつ御見解を聞かしていただきたい、こう思います。
  218. 町村金五

    町村国務大臣 御指摘の熱海のような非常に大きな観光地で、ばく大の観光客が入り込むような場所におきましては、いま御指摘のありましたような、屎尿の問題あるいはごみの問題というようなことで、当該市が非常に大きな負担をそのためにいたさなければならぬということは、御指摘のとおりであろうと思うのでございます。  そこで、いまの料理飲食消費税の一部を、そういった地元に移譲をするというような道を開いたらどうか、確かに私、ごもっともな御意見のように思うのであります。  御承知のように、現在のこういった料理飲食税というものは、府県にとりましてもたいへんに重要な財源になっておるわけでありまして、むしろこの問題は、市町村と府県とにおける税源配分の問題をも総合的に考えていきませんと、ただそれだけの面で、直ちにこれを当該市町村移譲をするということは、にわかにいたしにくい事情があるように考えられますが、御指摘の点は、確かにそういった感じが私どももいたすわけであります。今後、総合的な見地から、ひとつ慎重にこれは検討をさせていただくべきものと、かように考えている次第でございます。
  219. 小濱新次

    ○小濱委員 これは、当委員会で参考人の御意見を聴取したときにも、この問題は出ておりました。指定都市からもぜひ還元をしてもらいたいという、そういう意見も出ておりました。ですから、この点については、ぜひ今後早急にひとつ御検討をお願いしたい、こう思います。  だいぶ時間も過ぎてしまいましたので、最後に、もう一点だけお尋ねをして終わりたいと思います。  この宅地並み課税の問題が、昨年内政上の大問題となりましたことは、これは御存じのとおりであります。ところが、宅地並み課税のほうの趣旨が、地方公共団体によっては必ずしも順守されていないことは、これはおわかりのとおりであります。一昨日の新聞を見ましても、宅地並み課税の助成でもめているところの、そういう記事が載っておりました。こまかくは申し上げませんが、武蔵野市では、農地の宅地並み課税の五〇%を奨励金として助成することにきまった。ところが、市の農政推進協議会は助成を七〇%にすべきだ、こういうふうに主張して譲らない。宅地並み課税についての多摩地区各市の助成措置を見ますと、青梅市が一〇〇%全額助成、田無市が七五%、東久留米、三鷹市が五〇%助成をしております。私はほんの一列をあげたにすぎませんが、農地の宅地並み課税の助成を全国的に資料で見ますと、該当する市及び区数で、交付の確定と内定をしているものを集計いたしますと二百五十六とあります。  自治省は、当面このような地方公共団体の宅地並み課税の助成について、これをやむを得ないものと考えているのかどうか、こまかいデータは示しませんが、この点いかがでしょうか。これも一ぺん御見解を聞かしていただきたいと思います。
  220. 首藤堯

    首藤政府委員 農地の宅地並み課税を実施するにあたりまして、税負担の増加分の一部または全部を補助金というかっこうで交付をしておる地方団体がかなりありますことは、御指摘のとおりでございます。いまの該当市区数が、今回の措置による宅地並み課税の進行いたしておりますのが全部で百八十二市町村あるわけでございますが、この中で、交付の確定をしておるところ、内定をしておるところ、合わせまして七十四ぐらいの割合であるというように考えております。  この措置につきましては、ただいまの現状におきましては、緑地を保全するといったような観点から、当該市町村が歳出の面で、その状況を判断して交付をしておるものと考えますので、そのこと自身は、現在の時点においてはやむを得ないものであろうと考えておる次第でございます。  しかし、幸いに、御承知のように、今度この制度に対応いたしますものとして生産緑地制度等の創設が試みられておりますので、こういった市街化区域内において生産緑地等の指定を受けますものについては、宅地並み課税をやらずに、農地並みの課税に据え置くというような措置をとることにいたしておるわけでございます。今後は、この生産緑地の制度が適正に運用されまして、これの指定に基づいて農地並みの課税が行なわれるということが、一番望ましい本旨であると私ども考えておる次第でございます。ただ、経過的に、生産緑地の指定が一挙にはでき上がりかねますけれども、その指定をされております経過的な期間において、なおこういったような援助措置等も行なわれることがあり得るのではなかろうか、私どもこう考えておる次第でございます。
  221. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、いま数字の点で少し食い違いができましたが、該当市、東京の区の数、あるいは交付確定している市、交付の内定している市を全部プラスしたものですから、さっきのような数字になったわけでございます。そこに違いがあったかもしれません。  ただ、こういう内容になってまいりますと、税法どおりまじめに宅地並み課税をやった団体だけが憎まれ者になるわけです。今後、この問題についてやはり論議されるようになっていくかと思いますが、こういうことの対処方を、いまから考えて手を打っていかなくちゃならないであろう、こういうように思います。これはいかがでございましょうか。大臣からひとつ御所見を承りたいと思います。
  222. 町村金五

    町村国務大臣 市街化区域内の農地に宅地並み課税をすることによって市街地の宅地を確保したいという当初の考えでもあって、この制度が発足したことは御承知のとおりでございますが、そういったことが、実際問題としては非常にむずかしい問題が起こるということで、いま御指摘になりましたような関係の市町村においては、補助金を与えるというような措置を講じて、それなりにそれぞれ苦労をして対処されたわけであります。  いま小濱議員も御指摘になりましたように、まじめにこの制度を実施したものはたいへん窮境に立ったという御指摘で、まことに私もそういうことであったと思います。しかし、その後におけるものの考え方が若干変わってまいりまして、やはりこういった密集した市街地にもできるだけ緑地を保存すべきだ、何でもかんでも全部それを宅地にしてしまう、家を建てさせるということは、必ずしも適当でないというような反省も起こりまして、御承知のような、生産緑地制度というものがここに発足をするということになったのでありまして、そうなりますれば、いまの課税問題というものは、当然解消されるということに相なるかと思うのであります。きわめて短期間の間にいろいろ制度が、一転、二転、三転をしたということは、私ども、いまから考えますと、どうもたいへん残念なことであったというような感じがいたしますが、しかし、事実に即してこういった解決案がそこに生まれてきたものであろう、こう思うのでございまして、私どもは、この生産緑地制度というものは今後十分活用されて、いまの密集した都市の中に少しでも緑地が保存されるということを、この制度によってぜひ拡充と申しましょうか、維持されるようにしてまいりたいものだ、かように考えておるわけでございます。
  223. 小濱新次

    ○小濱委員 だいぶ時間も経過いたしまして、御迷惑になってはと思いますのでこれで終わりますが、どうかひとつ、いろいろと申し上げましたその内容についての検討、その推進への御努力を賜わりますように心からお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  224. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  225. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 本案に対して、山本弥之助君外六名提出の修正案が提出されております。
  226. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 この際、修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。井岡大治君。
  227. 井岡大治

    ○井岡委員 最初に、皆さんにお配りしてあります印刷に誤植がありますので、読み上げまして訂正をいたしたいと思います。  ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案について、日本社会党を代表し、その提案の理由と内容の大要を御説明申し上げます。  昭和四十九年度の国、地方税制改正によって法人所得課税税率引き上げられ、実効税率は四五・〇四%から四九・四七%と一応諸外国並みになりつつありますが、地方税源充実強化というわが党の長年の要求からすると、決して評価し得るものとは言えません。市町村民税法人税割の引き上げこそ行なわれていますが、国、地方法人所得課税割合は、依然として六六対三四の比率にとどまっているのであります。  こうした旧態依然の法人所得課税に対し、住民の税負担は、高進するインフレのもとで、実質的税負担は増大し、個人住民税国民の怨嗟の的となりつつあります。  昭和四十九年度地方財政計画において、地方税収入の増大が一見地方財政の余裕を示しているかに見えますが、重い住民負担国税に従属した地方税として、その税構造の矛盾はますます深まっているといわねばなりません。  日本社会党は、自民党政府の大企業優先、インフレ政策のもとで、増大する国民の税負担緩和し、法人所得課税強化中心とする地方税源、とりわけ基礎的自治体である市町村税源の強化をはかり、もって憲法に保障する地方自治の本旨を達成するため、当面、緊急に必要と認められる事項について所要の修正を行なうこととしたのであります。  以下、順を追って修正案の概要を御説明申し上げます。  第一は、道府県民税及び市町村民税についてであります。  その一は、個人住民税についてでありまして、政府案の課税最低限引き上げ方式に加え、中、低所得者の税負担を大幅に軽減するため、標準世帯において道府県民税一万五千円、市町村民税二万円、合わせて三万五千円の税額控除を行なうことといたしております。この結果、従来の課税最低限引き上げ方式に引き直しますると、道府県民税において百九十五万円、市町村民税において百八十九万円の実質的課税最低限となります。  また障害者、寡婦等の非課税限度額を六十万円に引き上げるとともに、白色事業専従者控除限度額も五十五万円に引き上げております。  次に、現行道府県民税所得割の税率を、低所得者との負担の均衡をはかるため、税率を五段階に区分する超過累進税率制に改めることといたしております。  その二は、法人住民税についてであります。  大企業の都市への集中は、いまや集積の効果よりも、マイナスの効果を増大させ、地方自治体財政需要を急増させております。こうした大企業にある程度の税負担を求めることは、きわめて当然であり、法人税割を道府県民税にあっては、五・六%に据え置き、市町村民税にあっては、一五・五%といたしております。  第二は、事業税についてであります。  二重課税の性格を持つ事業税は、将来撤廃すべきであり、当面、所得税を納付するに至らない者に対する個人事業税の解消をはかるため、事業主控除額を二百万円に引き上げることといたしております。  また中小事業者の税負担軽減をはかるため、白色申告者の専従者控除限度額を五十五万円に引き上げることといたしております。  第三は、料理飲食等消費税についてでありますが、この悪性インフレのもとでの物価の高騰に対処するため、基礎控除を二千円に、免税点を二千九百円に引き上げております。  第四は、固定資産税についでてありますが、地価の高騰による昨年の異常ともいうべき個人住宅の固定資産税を引き下げるため、二百平方メートルまで昭和四十七年度の税額に据え置くことといたしております。  第五は、電気ガス税でありますが、電気の免税点を二千円に、ガスの免税点を三千円に引き上げることといたしております。  以上の修正により、昭和四十九年度においては、個人住民税においては、差し引き三千百九十億円、事業税においては百十億円、料理飲食等消費税、固定資産税、電気ガス税において二百二十億円の減税となりますが、法人税割の引き上げによって一千百億円の増収が見込まれますので、道府県においては、一千三百八十億円、市町村において一千四十億円、合計二千四百二十億円の減収政府案に加算されることとなります。  以上が修正案の提案理由及び内容の大要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  228. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。  修正案について別に発言の申し出もありません。     —————————————
  229. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより原案及び修正案を一括して討論を行ないます。  討論の申し出がありますので、これを許します。住栄作君。
  230. 住栄作

    ○住委員 私は、自由民主党を代表して、政府提案の地方税法の一部を改正する法律案に賛成、同法案に対する日本社会党の修正案に反対の討論を行なおうとするものであります。  わが党は、従来から国民負担軽減をはかるための減税の実施につきましては、毎年格段の努力をいたしてきたところでありますが、昭和四十九年度におきましても、税負担軽減合理化をはかるため、昭和四十九年度税制改正大綱を定め国民の前に明らかにいたしております。このうち、地方税につきましては、個人負担軽減をはかるための個人の住民税課税最低限引き上げ、個人事業者の負担軽減をはかるための個人の事業税の事業主控除額の引き上げ、小規模住宅用地等にかかる固定資産税の軽減をはかるための課税標準の特例の創設、大衆負担軽減をはかるためのガス税の税率の引き下げ等をはかることといたしております。また、一方、地方税源充実をはかるため市町村民税法人税割及び自動車取得税税率引き上げを行なうことといたしておるところであります。  今回の政府提案にかかる地方税法改正案におきましては、わが党が提唱いたしましたこれらの事項が、その重点とされているのであります。  すなわち、政府原案における主要な改正事項は、まず個人の住民税減税であります。政府原案におきましては、住民税の基礎控除額等の引き上げにより、住民負担軽減を行なうこととしております。この結果、個人の住民税課税最低限は、夫婦子二人の給与所得者で、現在の八十六万円が百一万円に引き上げられることになります。  次は、事業税についてであります。個人事業者の負担軽減をはかるため、事業主控除額を現在の八十万円から百五十万円に大幅に引き上げるとともに、中小法人に対する負担軽減をはかるため、軽減税率の適用所得の範囲を拡大することとしております。  また、固定資産税につきましては、二百平方メートル以下の小規模住宅用地にかかる課税標準をその価格の四分の一の額とし、その額が昭和四十八年度の額をこえるときは、昭和四十九年度及び五十年度は、昭和四十八年度の額に据え置くこととするとともに、個人の所有する非住宅用地にかかる昭和四十九年度及び昭和五十年度の固定資産税額は、原則として前年度の一・五倍の額を限度とすることといたしております。  次に、地方税源充実に対する措置でありますが、まず第一に、市町村税源の充実に資するため、市町村民税の法人税割の税率を一二・一%に引き上げることにより、平年度約二千億円にのぼる市町村税源充実いたしております。また、自動車取得税については、軽自動車以外の自家用自動車にかかる税率を五%に引き上げ地方の道路財源充実をはかっております。  以上のほか、大衆負担軽減をはかるための料理飲食等消費税の基礎控除の額の引き上げ、ガス税の税率の引き下げ、自動車取得税の免税点の引き上げ、不動産取得税等の非課税範囲の拡大、発電所にかかる固定資産税の課税標準の特例措置の廃止等、その内容は、地方財政の現状を勘案しつつ、各税を通じて税負担軽減合理化をはかろうとするものであると考えます。  以上申し述べたとおり、今回の政府原案における税制改正の内容は、いずれも適切妥当なものと考え、政府原案に賛成、日本社会党の修正案に反対の意を表するものであります。(拍手)
  231. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 小川省吾君。
  232. 小川省吾

    小川(省)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、地方税法の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行ないます。  福田大蔵大臣をして狂乱と言わしめたインフレ、物価の高進、高騰は、まさに破局的状態であり、勤労者、農民、中小商工業者等多くの働く国民生活は、破滅寸前の状態に追い込まれております。さらに生活保護世帯、母子世帯、心身障害者、寡婦、年金生活者等、いわゆる社会的弱者にそのしわ寄せが集中しています。全国三千三百の地方自治体は、このインフレと不十分な自主財源のもとで超過負担にあえぎつつ、福祉重点の施策を遂行しようにも、財政の見通しすら立たない実情にあります。  私は、このような現況のもとで、昭和四十九年度地方税法改正案は、法人税税率改正、小規模住宅用地の固定資産税の減税等、幾つかの評価すべき前進は認めつつも、政府の施策の充実を渇望している全国の自治体や勤労国民の切なる期待にこたえるには、ほど遠いものと断ぜざるを得ません。  以下、政府原案に反対をし、社会党修正案に対し全会一致の賛同を求める立場から、論旨を展開してまいりたいと存じます。  まず第一に、課税最低限に関してであります。  私どもの長年の願いでもある、所得税住民税課税最低限の統一の要求にもかかわらず、その差はますます拡大するばかりであります。これでは、納税者の大多数を占める勤労大衆、年収二百四十万円以下の場合、住民税負担のほうが所得税負担よりも増大いたします。税負担の重さに対する怨嗟の声は、勢い地方自治体に向けられてくることは明らかであります。田中内閣に対する不信感を、税制面で意識的に自治体に振り向け、分散をさせたものといわざるを得ません。当然、課税最低限を大幅に引き上げるべきであったとともに、私どもの修正案のように、税額控除の実施、社会的弱者に対する控除を引き上げ物価高騰下の国民の期待にこたえるべきであります。また、都道府県民税所得税率については、制定後久しく、時代の流れに合わせて、多段階制に切りかえるべきであります。以上が、反対理由の第一でございます。  その反対の第二点は、大都市財源の創設、拡充についてであります。  大都市の集中、集積による財政需要に対応する自主財源充実強化が叫ばれて久しいわけであります。事務所事業所税の創設をめぐってかなりの論議がかわされ、意見が煮詰まり、自治省試案もできていたはずであります。税制調査会答申が、「引き続いて検討を要する。」ということで、地方税法原案作成事務部局である自治省が逡巡する必要はありません。自治省は、当然改正案に自主的に織り込むべきであったはずであります。自治省の働きかけが弱かったからこそ、税制調査会答申に盛り込むことができなかったのでありますから、この際こそ自主性、主体性を発揮すべきなのであります。法人住民税所得税率改正したからといっても、これは法人に対する課税を世界の先進国レベルに合わせたものであり、その課税で、従来低きに過ぎた地方への配分を若干手直ししただけのものであり、全自治体に均てんした改正であり、過密の大都市の財政需要に対応したものではないのであります。自治省は、勇断をもって事務所事業所税の創設に踏み切り、大都市の切なる要望に沿うべきだったのであります。また、もし法人所得税率配分操作をしたにしても、少なくとも私どもの修正案程度ぐらいにはすべきだと考えるわけであります。以上が、反対理由の第二点であります。  反対理由の第三点といたしましては、個人事業税についてであります。  私どもは、物税であり、二重課税の疑いすらあるこの税については、早急に廃止すべきであると考えてまいりました。このたびの政府原案では、基礎控除を百五十万円に引き上げてはおりますが、この税の対象課税客体が、そのほとんどが零細業者である実態にもかんがみ、この税の廃止、または、少なくとも基礎控除は、修正案どおり二百万円までに引き上げるべきであります。  反対理由の第四点は、租税特別措置についてであります。  私どもは、租税特別措置は、抜本的に洗い直すべきことをかねてより主張してまいりました。自治省の資料によれば、昭和四十九年度においては、国税の租税特別措置に伴う地方税減収見込み額は千四百四億円、地方税法上の非課税による減収見込み額は二千九十億円、合わせて計三千四百九十四億円という巨額の減収が見込まれています。租税特別措置の適用については、かねてより多くの議論があり、その適用対象のほとんどは大企業であります。わけても電気税の非課税のごとく、あらゆる業種にわたり、製造業の動力源である電気料すら課税されないという、個人消費電力とも相矛盾する理解し得ない問題点等を含んでいます。  私どもは、租税特別措置、非課税条項については、根本的に徹底して洗い直すべきだったと思うし、今後、早急に実施すべきことを要求するものであります。  第五点といたしまして、電気ガス税についてであります。  今回、電気税、ガス税に区分をし、免税点の多少の引き上げをはかったわけであります。しかしながら、私どもの日常の最低生活必要経費に対しては課税せずということが税の原則のはずであります。今回の改正案程度ではまだ生活費に食い込んでおります。この税は一日も早く生活費非課税の原則に照らして、個人の家庭生活に消費する電気、ガスについては非課税にするよう改むべきであります。少なくとも四十九年度においても、修正案程度に引き上げるべきだと考えます。  最後に、税法のあり方の問題であります。  私は、私ども住民が地域での財政需要に、その享受をする便益に応じ、その負担能力に応じて税を負担するという地方税法というものは、地域住民の理解と納得の上で、自主的自発的に協力を得るものでなければならないと考えています。このことは、税に関する法律はすべからく簡単で、わかりやすいということを基本にすべきだと考えます。しかるに、現行地方税法は、法律の中でもすこぶる複雑にして難解な、なじみにくい法律になっています。国民をごまかして収奪をするにはこのほうがいいともいわれますが、それは帝国主義的な古い考え方であります。民主税制は、すべからく納得をもとにした自主納税を基本にするべきであります。このように複雑難解な地方税法も、全国地方自治体に勤務をする多数のまじめな税務職員の、汗と涙の真剣な努力により維持され、運営され、その実効をあげているわけであります。私は、この際、税法の簡素化と、税務行政に従事をする職員の処遇の改善、税務手当の引き上げ等について強く要求するものであります。  以上、数点にわたって政府原案に反対する立場からの討論を申し述べてきたわけですが、働らく国民の要請にこたえる地方行政の確立をひとしく願う全委員の一致をした御意思を、わが党の修正案にお寄せいただくよう強く申し添えて、政府原案に対する反対討論を終わります。(拍手)
  233. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 三谷秀治君。
  234. 三谷秀治

    ○三谷委員 私は、日本共産党・革新共同を代表しまして、地方税法の一部を改正する法律案に反対の意見を述べます。  第一に、この法律案は、物価上昇生活破綻に直面する国民に対して、税の重課と大衆課税の強化をはかり、ますます収奪を強めようとするものであります。  住民税人的控除等引き上げによって、課税最低限を百一万六千円に(一七・四%)引き上げたといいますが、しかし、これによりまして、一七・四%の減税と言えないことは言うまでもありません。これが減税と言えるのは、所得に変動のない場合に限られております。四十八年度におきましては、名目上の所得は大幅に増加しており、対前年比名目賃金は二一・七九%に達しております。これが課税標準とされますならば、税も当然二二%の増徴になるのは当然であります。その中で、一七・四%の人的控除引き上げを実施するというものでありますから、実際には増税を意味することは言うまでもありません。  現に、個人住民税所得割において見ますと、前年比一三四%ないし一三九%の増収見込みとなっており、また前年百五十万円の所得者は、本年は百八十万円の名目所得となり、標準世帯の住民税額は、二万三千百八十円から二万九千六百円にふえまして、六千四百二十円の重課となります。  今回の減税措置による個人住民税減収見込み額は千七百七十三億円でありますが、名目所得の増加に伴います自然増収見込み額は六千二百二十六億円に達しております。実質的には、四千四百五十四億の増税になることは明白であります。  これに加えまして、所得税課税最低限百五十万七千円をはるかに下回る百一万六千円という課税最低限を設定しておりますため、生活費課税が強化され、個人住民所得割の納税義務者数は、前年比で五十二方三千人も増加し、三千三百四十二万九千人に達するものと見られております。これは四十五年度において均等割のみ課税されました納税義務者数と同数であり、税の重課と大衆課税強化を明確に示しております。  電気税について見ましても、免税点を二〇%から二九%引き上げ、ガス税の税率百分の一引き下げの措置を示しておりますが、電気料金の値上げが六〇%も見込まれ、石油価格に関連するガス料金の引き上げが不可避とされておりますときに、この程度の改善措置では、さらに大幅な税負担国民に重課するものであることは明白であります。  第二に、この法律案は大資本に対する税の特別措置や優遇課税を持続し、税の負担の公正をそこなう内容となっております。  事業税は、事業という収益活動を行なっております事実に着目して、そこに担税力を見出して課税する、いわゆる物税とされております。この税理念においては、事業活動は、道路、港湾、上下水道など、もろもろの自治体の施策を利用して収益活動を行なっているものであり、これに必要な経費を分担せしめるものとして事業税課税を行なうものとされております。利益の有無にかかわらず、事業活動に対する義務的負担として規定されており、そのためにこそ、所得計算におきましては、事業税は損金算入を行なうこととされているほどであります。  しかるに、実際には、大部分が所得税付加税方式の課税を行ない、法人税における租税特別措置を適用した後の純利益を課税対象としております。そのため、大都市における集積の利益の最大の享受者であり、集積の不利益の典型的発生源であります大企業が、軒並み事業税を免税されております。四十七年決算で見ますと、資本金一億以上の大法人で三〇%、十億以上の大法人で二二%が非課税とされております。法人税が非課税であるばかりでなしに、物税である事業税まで非課税とされるということは、事業税そのものの課税目的からしましても、明らかに不法といわざるを得ません。  そればかりでなく、この法律案は、事業税の課税にあたりまして、所得額七百万以上、標準税率がすべて均一とされております。事業の規模と、それに伴う所得格差などは全く無視して、所得額が七百万円でも一億円でも十億円でも、同一の税率課税を行なおうとするものです。事業の規模、形態等を重視する物税的要素は、全く抹殺されておるのであります。これは、税の公正、負担の公平に反するものであることは明らかであります。  なお付言しますならば、住民税におきましても、全く同じ手法が用いられております。府県における法人住民税の均等割は、資本金一千万円以上の法人におきましては、それが十億でも百億でも千円均一であり、市町村民税におきましても四千円均一であります。この法人均等割と個人のそれと比較した場合、あまりにも権衡を失するものであることは、あまりにも明白であります。  このような大企業に対する優遇措置に加えまして、地方税における租税特別措置が引き続き実施されております。倉庫業、私鉄車両、電子計算機、産業用電気などに対する軽減課税に加えまして、新しく石油備蓄タンク、合成ゴム、合成グリセリン、合成繊維の撚糸製造に対する特別措置強化しており、地方税における税の特別措置額は二千百億円に及んでおります。景気調整などを行政目的としない地方自治体の税におきまして、このような大資本に対する優遇課税、軽課措置が実施されておりますことは、負担の公平を阻害し、租税の中立性をそこなうことは明白であります。  第三に重要なのは、この法案は、政府自治体支配の強化地方財政の圧迫を内容としておる点であります。  その一つは、所得税課税最低限を百五十万七千円に引き上げながら、地方税課税最低限を百一万六千円に押えて、その格差を前年度の二十五万五千円から四十九万一千円と拡大したことであります。課税最低限を最低生活費としますならば、所得税地方税に大幅な格差が存在することは、論理的に許されることではありません。地方税におきまして、生活費課税を一そう強化しようとしておることは明白であります。これは、言うまでもなく、地方税の重課によりまして、基準財政収入額の減額を押え、地方交付税にかかる負担を回避するものであることは明白であります。  その二は、市町村財源充実と称して、道府県民税法人税割の標準税率を引き下げ、市町村民税法人税割の標準税率引き上げて、府県と市町村間における税源配分の対立を激化させようとしておることであります。  府県と市町村税源配分の対立は、長年にわたって継続しており、特に、指定都市と府県との財源をめぐる争いはきわめて熾烈であります。この法案は、国と地方財源配分につきましては何らの改善を行なうことなく、地方自治体間のコップの中の争いを激発するものでありまして、政府地方自治体に対する支配を、一そう強化しようとする以外の何ものでもありません。  事務所事業所税など都市税制の確立、所得税の市町村移譲などの抜本的措置によりまして、不交付団体を縮小し、政府財政措置をてことする地方自治体に対する干渉を排除することが、今日の緊急の課題であることは言うまでもありませんが、この法案はおよそ逆な方向を目ざしており、地方行財政の自主的、民主的強化に全く反するものといわざるを得ません。  以上のごとく、本改正案は、国民に引き続き重い税負担をしい、大企業、大資本に対して手厚い優遇措置を、これまた従来に引き続いて認めていこうとするものであります。  この改正案によりまして、国民のための減税は達成できず、また地方財政を幾分なりとも健全な方向に向かって打開できるものでもありません。それはすでに明白になったように、大企業に対するさまざまな特権的優遇措置をやめて、税負担の公平をはかることによって初めて達成できるものであり、また、大企業や大土地所有者に対する課税の累進的重課によりまして達成できるものであります。  わが党は、政府国民地方自治体の切実な要求にこたえるために、本改正案を撤回し、真の減税地方税源充実を内容とする改正案を提出することを要求するものであります。  その改正案には、次の内容を盛り込むことを私たちは希望します。  一、個人住民税について均等割を廃止するとともに、課税最低限をさらに引き上げ、四十九年度所得税課税最低限と一致させ、高額所得者には高度累進税率をかけること。  一、法人住民税については、府県法人税割の税率引き下げをやめて、府県、市町村とも税率引き上げること。  一、個人事業税は廃止することを検討し、それまでの間、専従者の経費を全額認めること。法人事業税におきましては、物税としての性格に従って収入金に課税するように改めること。それまでの間、年所得一億円以上の法人に対する税率を百分の十六に引き上げること。  一、二百平米までの宅地を基礎控除とし、面積に応じた累進税率を取り入れること。  一、勤労者にかかる電気ガス税を廃止すること。  一、大企業にかかる電気ガスの非課税措置並びに固定資産税特例措置を廃止すること。  なお、社会党提案の修正案についてでありますが、この提案は、個人住民税におきまして、勤労世帯について大幅な減税をはかる内容を中心としており、政府改正案と比べまして、一定の改善策として認められるものでありますから、賛成の意を表するものであります。  以上をもちまして、本案に対する反対意見と、日本社会党の修正案に対する賛成意見を終わります。(拍手)
  235. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 小川新一郎君。
  236. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております地方税法の一部を改正する法律案に反対し、山本弥之助君外六名提出の修正案に賛成する討論を行ないます。  以下、その反対のおもな理由を申し述べます。  まず第一に、国、地方を通ずる税財源配分についてであります。  現在のわが国租税総額中、国税収入と地方税収入の比率は、国が七、地方が三となっておりながら、租税の実質的配分は、国が三、地方が七と全く逆転しております。また、大都市が交付団体に転落している実態など、これらは、現行の税体系が国中心のものとなっていることを示すとともに、国は、補助金を通じて地方行財政に介入する、いわゆる中央集権的な要素を強め、三割自治とも一割自治ともいわれる実態をさらけ出しております。これは、地方自治の本旨からも、住民福祉向上という面からも、全く相反するものであり、地方自主財源強化が強く指摘されてきたところでもあります。  今回、法人税税率引き上げが行なわれたとはいうものの、地方税における法人関係税の引き上げが十分でないため、依然国中心のものであり、わが党が要求してきた抜本的改革の姿勢を一歩も出ず、三割自治実態を改善しようとする気配がうかがわれません。  また、緊急を要する都市財源充実に対して、法人税の増強とともに、強い要望のあった事務所事業所税の創設に対しても、今回見送られました。これは、都市関係者はもちろんのこと、地方関係者にとって、住民福祉向上が大きく立ちおくれることとなり、まことに遺憾にたえません。  今後、地方税財源強化をはかることを強く主張するものでありますが、この強力な推進とともに、長年の懸案である国と地方との基本問題である事務及び財源適正化についても、真剣に本腰を入れて検討することを強く要求するものであります。  第二に、租税特別措置の改廃についてであります。  従来から、産業優先の性格の強い租税特別措置については、国税に基因するものと、地方税法での減免措置と、地方は二重の税財源減収をしいられてまいりました。この件については、江崎前自治大臣は、その洗い直しを全面的に約束し、私どもも全幅の信頼を置き、今国会に大きな期待を寄せたのであります。ところが、固定資産税では多少の洗い直しを行なったものの、肝心の電気税においては、全く洗い直しを行なわず、依然として大企業優先の姿勢は変わっておりません。これは全く理解に苦しむものであります。産業優先から福祉優先へと発想の転換が叫ばれておりますが、税の面でも同様であり、税を負担する能力のある大企業には重課し、個人並びに中小企業に対しては、むしろ税の軽減をはかるべきであります。  したがって、この不合理かつ時代に合わない産業優先の租税特別措置に対しては、早急に洗い直しすることを要求するとともに、国税の減免措置地方税減収をもたらすものに対しても、地方税減収を遮断する措置をとることを強く要求するものであります。  第三に、日米安保条約に伴う地位協定によって、日本に在住する米軍人、軍属の地方税の特例措置についてであります。  この特例措置によって、地方税は大幅な減収を余儀なくされております。当該の自治体は、米国の軍人、軍属だからといって、住民サービスなどの財政支出を怠るわけにはまいりません。また、ひるがえって考えたとき、これらの軍人、軍属は、所得税に相当するものを本国で納めているかもしれないが、地方税に相当するものはどこにも納めておりません。  これらの実態から、当然米軍の軍人、軍属の減免措置は改廃すべきであり、もしそれができなければ、国の責任で補てんするのが当然でありますが、その措置が何ら講じられていないのであります。  第四は、住民の税負担軽減についてであります。  今回、住民税課税最低限が標準世帯で百一万円となりましたが、インフレ、諸物価の高騰に伴って生活費が増大している現在、この額は生活費に大きく食い込んでいることは明らかであり、さらに大幅な減税がなければ、住民負担はますます増大する一方であります。また、これまでの政府減税政策は、低所得者よりも高額所得者を優遇したものとなっております。インフレ、物価高から住民生活を守るためには、課税最低限引き上げとともに、低所得者層の税率緩和が必要であります。  さらに、高額所得者に対して、最高税率は五千万円以上となっており、これは十数年来据え置かれたままとなっております。経済の伸展状況から見て、このような据え置き措置は、まことに不合理といわざるを得ません。これらは早急に改善されるべきであります。  なお、料理飲食税の非課税範囲についても、諸物価の狂騰等、現下経済情勢から見ると、大幅に引き上げるべきであります。さらに、生活にかかわる電気税、ガス税は撤廃すべきであります。  なお、個人事業税は、事業主控除限度額が百五十万円に引き上げられました。しかし、これは従来から二重課税的性格が問題とされ、すでに廃止されるべきものでありましたが、依然、廃止の気配がうかがわれません。すみやかに廃止することを要求するものであります。  また、最近の地価の高騰に伴って、固定資産税は大幅に増額されておりますが、生活の根拠となる小規模個人住宅、零細企業にとってはまことに過酷な税となっております。政府は評価額課税を目途にしている中で、個人住宅用の宅地については減免措置強化するとともに、四十八年度の税額をこえるものについては、四十八年度の税額に据え置くと言っているが、これ自体もはや重税となっております。一定規模の個人住宅及び零細企業の土地の固定資産税は、大幅減免措置を講ずるとともに、四十七年度の税額に据え置くべきであります。  第五に、国民健康保険税についてであります。  国民健康保険税は、住民税課税最低限以下の人たちでも多額の保険税を納めている実態であります。これは福祉の推進が今後の国民的最大の課題となっている現在、その趣旨に反するものであり、福祉の貧困を物語る象徴的なものであります。  政府は、福祉政策に真剣に取り組むのであれば、国民健康保険税の税負担軽減をはかるため、特に赤字団体並びに老人医療費の増高等の実情にかんがみ、国民健康保険特別会計に対する抜本的な財政再建策を講じて、住民の税負担軽減と税の不均衡を是正すべきであります。  なお最後に、固定資産税に関連して基地交付金等について申し述べます。  これらの基地関係の交付金は、本来、国有財産に対する固定資産税相当分として交付されるべきものであります。ところが、この基地交付金等は、その算定の基礎となる評価額が固定資産税の評価額に比べ著しく低く算定されており、しかも、評価方法は国ベースの評価であることや、対象となる範囲も限定されるなど、公正な評価となっておらず、全くつかみ金という状態であります。  基地所在市町村は、基地をかかえているために、そのための財政需要をしいられている上に、交付金が値切られるなど二重の財政圧迫をしいられております。したがって、正当な固定資産の評価に基づいて算定した基地交付金等を交付することを要求するものであります。  以上の趣旨から、政府原案に反対し、修正案に賛成する討論といたします。(拍手)
  237. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 折小野良一君。
  238. 折小野良一

    ○折小野委員 私は、民社党を代表し、ただいま議題となっております内閣提出地方税法の一部を改正する法律案に対して反対、日本社会党提出の同法案修正案に対して賛成する立場において討論をいたします。  以下、主として政府原案に対する反対の理由の一端を申し上げます。  反対の理由の第一は、国と地方を通ずる財源配分の問題についてであります。  すでに多年論ぜられてきた問題でありますが、一向に改善の気配がありません。いわゆる三割自治が言われて久しくなりますが、昨今の実情は、むしろそれが定着し、地方自治の停滞と、過密と過疎のもたらす害悪は、ますます広がってきているのであります。今回の政府提出の改正案においても、このような基本的な課題に対する対応の姿勢が全く見られないことは、まことに遺憾であります。  第二は、現行地方税制の持つ多くの矛盾に対して、何らの改善策も示されていないということであります。  たとえば、住民税における課税最低限の問題、住民税均等割が、社会の実情に、はなはだしく沿わなくなってきている問題、法人課税あり方についての問題、生活費課税の廃止の問題等であります。これらの問題については、早急な検討と改善が要望されるにかかわらず、当面を糊塗して今日に至っていることについては、行政の怠慢といわざるを得ません。  第三は、特に都市的財源確保の問題であります。  大都市並びに急激に都市化にさらされている地域における行政需要に対処するための財源確保については、多年要望が重ねられてまいりました。今回、国、地方を通ずる法人課税強化がはかられたことは一応評価いたしますが、決して十分ではありません。しかも、そのために都市財源として最も期待された事務所事業所税の創設が見送られたことは、政府の都市問題に対する認識の低さと、都市問題解決への熱意のなさを物語るものであります。  第四は、土地税制についでであります。  土地問題の解決は、基本的には総合的な土地政策の確立が先決でありますが、これに対して効果的な税制の裏づけが必要なことは申すまでもありません。地方税法の中でとられている土地税制は、今回とられようといたしております小規模住宅用地の減税措置のように、個々には一応評価できるものもありますが、全体的に体系的でなく、また、十分に効果的であるとは申せません。  第五は、税制上の特別措置の撤廃についてであります。  国税における税制の特別措置地方税に波及し、さらに地方税自体において、特に電気税について多くの非課税措置がとられ、税の公平と地方財源確保を大きく阻害いたしております。特に、国の産業政策上の特別措置によって地方税減収になることは適当ではありません。今回の改正によって、発電施設に対する固定資産税の特別措置の廃止等一部の改善はありましたが、さらに多くの非課税措置が新たに追加せられたことは、時代の要請にも逆行するものでございます。  以上、私は、政府改正案に対するおもな反対理由を申し上げましたが、これらの諸点については早急に検討を加え、改善の措置を講ぜられることを強く要請をいたしまして、討論といたします。(拍手)
  239. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  まず、山本弥之助君外六名提出の修正案の採決をいたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  240. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、本案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  241. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  242. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 ただいま議決いたしました法律案に対して、片岡清一君、山本弥之助君、三谷秀治君、小濱新次君、折小野良一君から、五派共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議の提出者から趣旨の説明を求めます。片岡清一君。
  243. 片岡清一

    ○片岡委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党を代表いたしまして、地方税法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。    地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、最近における社会経済情勢の著しい変化ならびに地方財政の現状にかんがみ、地方税源充実強化するよう、国・地方を通ずる税源あり方について根本的に再検討するとともに、当面、次の諸点について善処すべきである。  一、住民税については、引き続き、課税最低限の引上げ等の措置を講じ、住民負担軽減をはかること。  二、中小企業者に対する税負担軽減を引き続き検討すること。  三、法人事業税の所得課税について再検討を加え、税負担の合理化をはかるよう努めること。  四、地方税源とくに都市税源充実強化するため、事務所・事業所税の創設、法人所得課税地方配分割合強化に努めること。  五、地方道路財源とくに市町村の道路財源充実をはかるため、市町村の道路財源配分割合を大幅に引き上げる等の措置を講ずるよう努めること。  六、産業用電気に対する非課税措置地方税にかかる租税特別措置を抜本的に整理するとともに、国税の租税特別措置地方税に及ぼす影響をしや断するよう努めること。  七、土地にかかる固定資産税の課税について、昭和五十一年度までに根本的な再検討を加えるとともに、大規模償却資産にかかる固定資産税の市町村の課税限度額の引上げについて、引き続き検討すること。  八、国民健康保険事業にかかる国庫補助割合を大幅に引き上げることにより、国民健康保険税(料)の負担軽減するよう努めること。   右決議する 以上であります。  何とぞ皆さまの御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  244. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  245. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 起立総員。よって、片岡清一君外四名提出の動議のごとく、附帯決議を付することに決しました。  この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。町村自治大臣
  246. 町村金五

    町村国務大臣 ただいま議決をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重し、その実現努力いたしたいと存じます。     —————————————
  247. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  249. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次回は、来たる二十六日火曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時二十一分散会