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1974-03-19 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月十九日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 村田敬次郎君 理事 佐藤 敬治君    理事 山本弥之助君       愛野興一郎君    片岡 清一君       亀山 孝一君    木村武千代君       住  栄作君    前田治一郎君       武藤 嘉文君    井岡 大治君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       多田 光雄君    林  百郎君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席政府委員         自治政務次官  古屋  亨君         自治大臣官房審         議官      山下  稔君         自治省税務局長 首藤  堯君  委員外出席者         経済企画庁物価         局物価調整課長 赤羽 隆夫君         大蔵省主税局総         務課長     渡辺 喜一君         大蔵省主税局税         制第三課長   西野 襄一君         通商産業省産業         政策局企業行動         課長      児玉 幸治君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     中井 富男君         運輸省自動車局         業務部長    真島  健君         自治大臣官房審         議官      山本 成美君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 三月十八日  地方議会議員共済給付金制度改善に関する請  願(吉田法晴君紹介)(第二七六八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十八日  地方財政確立に関する陳情書外四件  (第二二五号)  地方公務員共済年金及び恩給等改善に関する  陳情書(第二二六  号)  地方公務員共済制度適用者年金最低保障額  引上げに関する陳情書  (第二二七号)  宅地等固定資産税等非課税措置に関する陳情  書(第二二八  号)  宅地等固定資産評価替えに伴う税負担軽減  並びに市町村不足財源補てんに関する陳情書  (第二二九号)  地方公共団体超過負担解消に関する陳情書外  十二件(  第二三〇号)  地方公営交通事業健全経営に関する陳情書  (第二三一号)  地方公共団体公共事業遅延防止に関する陳情  書(第二三二  号)  東京都特別区の区長公選に関する陳情書外九件  (第  二三三号)  電気に対する消費税撤廃に関する陳情書外九件  (第二三四号)  人口急増都市に対する財政措置に関する陳情書  (第二三五号)  地方事務官制度廃止に関する陳情書外一件  (第二三六  号)  自動車運転免許制度改正に関する陳情書  (第二三七  号)  広域市町村圏振興整備事業費補助対象事業の拡  大等に関する陳情書  (第二三八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四〇号)      ――――◇―――――
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。岩垂寿喜男君。
  3. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最初にお尋ねをしたいと思うのですが、私が言うまでもないことなんですけれども、インフレーション、とりわけ大企業製品のいわゆる石油危機に名をかりた物価のつり上げというものが、日本経済及び国民生活に重大な影響を及ぼしていることはもう言うまでもないことであります。そこでは富めるものがますますばく大な利益を蓄積をし、一方で貧しい人たちが命と暮らしを切り詰める以外にその手段ないとう現実に追い詰められていることも、これはもう周知の事実であります。  このような貧富の差といいましょうか、社会的な不平等の拡大にあたって、税の公平の原則といいましょうか、いわゆる税の上での民主主義の貫徹をするためには、税制あり方について基本的な問い直しがいま求められているような気がしてならぬのであります。とりわけ、昨年来のパニックといわれる状況は、その事実をもっと切実なものにしているように思うのでありますけれども、この点について政府はどんな認識を持っておられるか。そして同時に、今後の税制改革へのいわば展望といいましょうか、腹づもりとでもいいましょうか、そういうものをぜひこの機会にお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  4. 西野襄一

    西野説明員 いま岩垂委員から御指摘がありましたように、物価動向が現在のような状況であります場合には、その物価の騰貴に伴いまして、国民各階層間所得分配につきまして税負担不公平化が進行するおそれが強いではないかということでございますが、その御指摘のとおりでございまして、今回の税制改正にあたりましては、このような税負担の不公正を是正する、矯正するという目的を達成するために、事情の許す限りにおきまして所得税負担軽減適正化をはかるべきであるという見地に立ちまして、大幅な所得税減税の実施に踏み切った次第であります。それによりまして、バランスのとれた国民負担軽減適正化をはかるという配慮をいたしたところでございます。  なお、来年度におきまして、所得税減税とあわせまして、法人税率引き上げ印紙税自動車関係諸税負担の増加をはかるということ、また少額貯蓄非課税限度額引き上げ等個人貯蓄奨励のための措置を講ずるというようなことによりまして、景気に対する影響につきましても配慮いたしておるところでございます。
  5. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いまの大蔵省答弁があるわけでありますが、インフレーション影響ということだけではなくて、日本経済構造転換といわれる課題、とりわけ資源消費型産業構造転換という問題が石油危機以来かなり普遍的になっておりますし、それがもはや緊急な課題になっていることも論をまつまでもないところであります。また、石油の価格が引き上げられまして、こうした外的な条件によっても日本経済の質的な構造転換といわれる問題が余儀なくされていると思いますが、政府は、このような非常にドラスティックな状況に対応するために、税制面でどのような手段を考えていらっしゃるか。いまの景気変動ということだけではない、もっと産業構造転換を目ざした税制あり方というものについて御用意があるならば承っておきたいと思うのであります。
  6. 西野襄一

    西野説明員 ただいま先生から御指摘のございました問題につきまして、政府といたしましても、単に四十九年度ばかりでなくて、四十八年度、またその前から、政策方向をどういう方向に求めるかという点につきまして、やはり福祉社会実現という方向を指向いたしておりまして、その場合に、わが国産業経済政策全般にわたりまして方向転換をはかる必要があるのじゃないかということで検討いたしているところでございます。  四十八年度におきましては、福祉社会実現対外収支の均衡という大きな課題目標といたしまして、産業助成策につきまして基本的な見直しを行なっておりまして、輸出振興税制などにつきまして、四十六年、四十七年にほとんど整理されたところでありますが、それをさらに進める。また、重要産業用合理化機械特別償却などの産業助成措置の改廃、合理化を行なうというような措置を進めてきております。  福祉対策という点で税制上特別な措置を活用すべきではないかという御意見もあるわけでございますが、税制上の措置の効果という点につきましては、課税最低限以下の低所得層に及ばないという基本的な制約も留意しなければならない。したがいまして、低所得層において特にその必要性が強く求められております福祉対策展開という点につきましては、歳出面施策中心になるのではないか。税制上の措置は、これらの歳出面施策と組み合わされた上で実施さるべきであり、有効に補完していくべきではないかというふうに考えておりまして、四十九年度の税制改正におきましては、資源節約等見地も含めまして、自動車関係諸税の増税、また特別措置につきましては縮減、廃止をする中にあるのでございますけれども、廃棄物再生利用設備につきまて特別償却を認めるというような措置によりまして、税制面においても資源節約のための配慮も行なっている次第でございます。
  7. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この際指摘をしておかなければならないのは、日本の大企業欧米のそれと比較して税負担が非常に低いということだろうと思うのであります。これは今回の法人税の四〇%への引き上げによっても、実際の税負担実効税率より低いと考えるわけですけれども、その辺の数字をぜひお示しいただきたいと思うのであります。
  8. 西野襄一

    西野説明員 企業税負担について国際比較を行なうという点につきましては、課税標準その他なかなかはっきりしたものをつかみにくい面もございます。そういう点で困難はございますが、所得に対する課税という点に限定しまして見てまいりますと、まず、わが国におきましては、いまお話がございましたが、四十九年度の税制改正におきまして、法人税基本税率を現行の三六・七五%から四〇%に、配当課税率を二六%から三〇%に引き上げることにいたします。また法人住民税税率を一四・七%から一七・三%に引き上げるということをいたしておりまして、この結果、法人税法人住民税法人事業税を合わせました法人のいわゆる実効税負担水準と申しますのは四九・五%程度となるわけでございます。  それに対しまして諸外国の実効税負担水準でございますが、アメリカは五二・六八%、イギリスは四〇%、この四〇%は来年度の改正で五〇%に引き上げられるということが予定されております。西ドイツは四九・〇五%、フランス五〇%という状況でございます。  わが国法人企業負担水準はこのような数字に比較しまして、国際的に見てもおおむね妥当な水準になるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  9. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは、計算基礎についていろいろな見方や考え方が成り立つと思いますから後ほど質問をしたいと思うのですが、日本の大企業高度経済成長政策、とりわけ一九五八年以降のこの高度経済成長政策というものをささえたものを歴史的に分析をしてみますと、一つはやはり、何だ、かんだいっても日本の低賃金だろうと思うのであります。とりわけ労働分配率欧米諸国と比べても半分以下というふうな低賃金実態があることを無視することはできません。それに加えて、いわゆる消費的な公共投資というものを押えて、そして生産本位の、企業本位投資への財政の集中というものがあったことも事実だと思うのであります。その中から、いうところの技術革新設備投資というものが非常に画期的な規模で展開をされてきたということも、これはもう周知の事実であります。  これらの中で、これと関連をしてなんでありますが、大企業のための税の優遇策というものが有力に存在をしていたということもいなめない事実だろうと思うのですけれども、その大企業に対する税の優遇策というようなものを、歴史的に振り返ってみてどのように大蔵省は考えていらっしゃるか、この辺について歴史的な経過を踏まえて御答弁をいただきたいと思います。
  10. 西野襄一

    西野説明員 ただいまの産業助成政策と申しますか、日本経済国際競争力を強めるという意味特別措置が講じられていたわけでございます。この特別措置につきましては、一定の政策目的を達成するために、税制において誘引的なもの、抑止的な機能、そういったふうなものを活用していこうという趣旨のものでございますが、とかくこの措置というものが慢性化するとか不特定化するとかいう傾向がございまして、この見直しを常に行なうべきだという指摘もすでに行なわれているところでございます。この点につきまして、政府といたしましても極力そういったふうなことのないように努力していっているところでございます。  最近におきましても、大企業向け特別措置の整理ということについては努力をいたしておりまして、四十七年度におきましては輸出振興税制のほとんどすべてを整理いたしております。割り増し償却制度を全廃するとか技術等海外所得特別控除を半減するとかいうような措置を講じております。それから四十八年度におきましては、重要産業用合理化機械特別償却制度等廃止するという措置も講じておりまして、大企業に対する租税特別措置減収見込み額でございますが、四十九年度では約四百億円ということでございまして、特別措置による減収見込み額五千二百億円の一〇%程度に圧縮されていっている状況でございます。
  11. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 ここであらためて、私は今日の段階における租税特別措置目的を大まかに伺っておきたいと思うのであります。  いま御答弁がありましたけれども、いろいろな形で大企業優先の、特に輸出中心とする助成措置を削除してきたという経過は理解ができないわけではないのでありますけれども、しかし、やはり依然として租税特別措置目的というものは今日の状況にマッチしていないというふうに思われますので、それに関連をして、あらためて租税特別措置目的をこの時点でどのようにとらえていらっしゃるか、承りたいと思います。
  12. 西野襄一

    西野説明員 租税特別措置目標につきましては、そのときにおきます環境、また経済実態等を考慮いたしまして検討されているところでございますが、これを大きなグループ別と申しますか、分類させていただきますと、貯蓄奨励ということあるいは環境改善とか地域開発発促進、また資源開発促進技術振興設備近代化であるとか内部留保の充実、企業体質の強化その他に、大まかに分類できるかと思います。
  13. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま大ワクで、ここに書いてある事項別の分類でお答えをいただいたわけでありますが、私は、この租税特別措置法のいわばたてまえというものを私なりに判断をしてみますと、特定の中小企業あるいは中小所得者に特恵を与えるものというのは、この項目の中で、たとえば中小企業者機械特別償却あるいは青色申告控除、みなし法人課税、それから中小企業の貸倒引当金特例、それから社会保険診療報酬所得計算特例などを除けば、主として大企業本位特別措置であるというふうに考えますけれども、この点について見解を承っておきたいと思うのであります。
  14. 西野襄一

    西野説明員 租税特別措置による減収見込み額の総額が五千二百億でございまして、大企業につきましては四十九年度で約四百億という内容でございます。
  15. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 その四百億というやつの積算の基礎を少し教えていただきたいと思うのであります。
  16. 西野襄一

    西野説明員 まことに申しわけございませんが、いま手元に内訳がございませんので……。
  17. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 後ほどそれはぜひ私は示していただきたいと思うのです。何が大企業中心であり、何が中小企業だということの分け方が非常にあいまいなんであります。だから、それをやはりはっきりさせておきませんとまずいと思いますので、後ほど、委員長、それは資料で要求をいたしたいと思います。  いま御指摘をいただきましたけれども、租税特別措置目的というのは、さっきから私が御質問申し上げましたように、日本経済構造転換の必要に沿って根本的に見直さなければならぬということは、もうすでに政府も認め合っているところであります。そこで、いままでの、つまり四十八年の努力というもの、それから新しい年度に向けての努力というものをさらに引き続いて、どんな見通しでこの租税特別措置のたてまえをやめていくか、廃止していくかというプログラムをお持ちでございましたら、ぜひ示していただきたいと思います。
  18. 西野襄一

    西野説明員 租税特別措置と申しますのは、先ほども触れたところでございますけれども、それぞれの個々の政策目的というものと税制の基本的な原則とどう調和させていくかという基本的な観点から考えるべき問題であると思いますが、それぞれの政策目的が達成されるということでございました場合には、すみやかにこれをやめていくという方向で検討しているところでございます。
  19. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 政府試算で、租税特別措置法によるところの五千二百億円のうちの四百億円が大企業だというのですが、このうちの法人に対する特別措置減収額はどのくらいになりましょうか。
  20. 西野襄一

    西野説明員 法人税減収見込み額は約六百億でございます。
  21. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは自治省に伺いたいのですけれども、初めてきょう資料を発表されたわけですが、四十九年度の地方財政に対して租税特別措置はどんな金額減収を来たしているかという数字について、いま御説明をいただきたいと思うのです。いま資料を受けましたけれども、これは初めての資料でありますので、承りたい。
  22. 首藤堯

    首藤政府委員 四十九年度の租税特別措置による減収見込み、やっと算定ができましたのでお手元にお届けをいたしたわけでございます。  国の租税特別措置に伴います地方税減収分が千四百四億、それから地方税法の独自の規定によりますものが二千九十億、合計をいたしまして三千四百九十四億、約三千五百億、このような結果に現在推定をいたしております。
  23. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いまお示しをいただいた数字というのは、これは国の減収見込みも含めてでありますが、厳格に租税特別措置法によるところのものだけだろうと思うのであります。しかもそれは、そう言っちゃ何ですけれども、大蔵省のデータを引き写したものだといわざるを得ない。これに対して私は実質的な租税特別措置をあげないわけにはいかぬのであります。たとえば、支払い配当軽課措置であるとか、受け取り配当益金算入であるとか、交際費であるとか、寄付金であるとか、貸倒引当金であるとか、あるいは退職引当金であるとかいう、法人関係だけでもこれらの実質的な租税特別措置をあげざるを得ません。  そこで、四十九年度の減収試算というのはすぐは出ないと思いますので、これは後ほどぜひこの資料をいただきたいと思うのですが、四十八年度の国税、地方税地方交付税減収見込み金額をぜひお教えをいただきたいと私は思うのであります。
  24. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま手元交付税関係資料はちょっと持っておりませんので、後ほど計算をいたしてお届けをいたしますが、四十八年度の減収見込み額は、国の租税特別措置によりますものが千二百七十四億、それから地方税法規定によりますものが千九百六十八億、合計三千二百四十二億、このように考えておった次第でございます。
  25. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 次に、寄付金交際費のうちに損金として認められている金額を、四十七年の決算はもう終わっていますから決算額、それから四十八年の推計、これはもういつもジャーナリズムで問題にされているわけですが、その数字をお示しをいただきたいと思うのです。特に四十八年の推計がございましたらお教えをいただきたいと思います。
  26. 西野襄一

    西野説明員 四十七年の実績でございますが、寄付金支出額が七百十一億七千六百万円でございまして、うち損金算入額が百四十億五千九百万円でございます。
  27. 岩垂寿喜男

  28. 西野襄一

    西野説明員 交際費支出額は一兆二千五百五十八億四千百万円でございます。損金算入額が三千百八十五億八千二百万円でございます。
  29. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この寄付金交際費損金として認められている金額は、政府資料によりましても、資本金ランク別に見ますならば、一億円以上の企業寄付金が、一九七〇年の資料でありますが、八五・六%、これが寄付金であります。この寄付金の中にはむろん政治献金その他が含まれているわけでありますが、この資本金別寄付金並び交際費金額がいま資料にはございませんか。これをぜひ、四十七年の資料をお示しをいただきたいと思います。
  30. 西野襄一

    西野説明員 四十六年度の数字で申し上げさしていただきたいのでございますけれども、資本金一億円以下の交際費の額が七千三百十二億円、資本金一億円以上百億円未満が二千三百三億円、資本金百億円以上が千五億円でございます。
  31. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 パーセントをちょっと教えてください。
  32. 西野襄一

    西野説明員 ちょっと構成比は出しておりません。
  33. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 わかりました。それじゃ交際費のほうも教えてください。いまのは寄付金ですね。
  34. 西野襄一

    西野説明員 いまのは交際費でございます。
  35. 岩垂寿喜男

  36. 西野襄一

    西野説明員 ちょっと寄付金計算いたしておりませんが……。
  37. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この機会にあらためてお尋ねをしたいのですが、いま私が申し上げたような数字一つ一つとらえてみても、この租税特別措置法というのは、どちらかといえば大企業に非常に有利な、そういう税制体系というものになっているということを否定することはできないと私は思うのであります。この租税特別措置法にはいろんな見解があります。たとえば、それを全廃をするということになれば、中小企業が得ているメリットがどうなるかというふうな議論があるわけであります。しかし、先ほどから議論をいただいておりますように、あるいは御答弁をいただいているように、この租税特別措置というものは日本経済発展という、そういう歴史的な過程の中で、とりわけ大企業に対して傾斜的な利益をもたらしてきたものであることは事実なのであります。そういう意味では、租税特別措置法というものを原則的に廃止していく。そしてその上で救済すべき措置というのは別の形で考慮すべきである。そういう情勢が今日の情勢ではないかというふうに思いますけれども、この辺について大蔵省指導的見解をぜひ詳細に承っておきたいと思う。
  38. 西野襄一

    西野説明員 まず、交際費損金算入でございますが、これは企業冗費を抑制するという目的で設けられているものでございまして、したがいまして、この特別措置によりまして交際費の否認されている割合でございますが、資本金一億円以下につきましては一五・五%でございます。資本金一億円以上百億円未満につきましては五六%、資本金百億円以上五五・九%という内容でございます。この損金算入措置につきましては、一年につき四百万円と資本金等金額の千分の二・五というのを控除したものに不算入割合をもとにして計算されるわけでございますが、この不算入規定につきまして、四十八年度では損金算入割合を七〇%から七五%に引き上げております。さらに四十九年度の改正にあたりまして、千分の二・五を千分の一に圧縮するということで冗費支出抑制をはかりたいということでやっております。これは一つの例でございますけれども、特別措置あり方につきましては、その目的をより充実するために措置を講じているものもありますし、また優遇措置内容につきましては、その目的を達成したかどうかという状況を見きわめながら、すみやかにそれを廃止していく方向で考えております。
  39. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 もう一ぺん議論を戻して、交際費のことを議論をしてみたいと思うのですが、いまお話しの経過を言ってみますと、どうも中小企業も、交際費の中には私的消費が粉飾されているのではないかという意味に受け取れるような、大企業だけではなくて中小企業もそうなんだというふうにお考えになっているような感じがするわけですが、そういうことはございませんか。
  40. 西野襄一

    西野説明員 ただいま不算入措置によりまして否認されている割合を申し上げたところでございまして、中小企業を特に云々というようなことはございません。
  41. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま御答弁をいただいたわけですけれども、現実には中小企業交際費をたくさん使わせられているという事実もあると思うのです。たとえば大企業から接待や贈答や、リベートみたいな形で半ば強制されている部分も実は少なくないと思うのであります。そういう点を大蔵省はどのように考えていらっしゃるか、承りたいと思います。  それからもう一つは、寄付金についても、たとえばの話ですが、その四分の三程度損金として認めない、あるいは交際費についても、資本金一億円以上の企業に対してはその三分の二とか、あるいは同じく一億円未満企業に対しては半分を損金としては認めないというふうに直していけば、法人税について実は相当の金額の収入を見込めると私は思うのであります。そういうふうに、この交際費あるいは寄付金の扱いについて、いまのあり方をそういう形で是正をしていくお考えはないかどうか、承っておきたいと思います。
  42. 西野襄一

    西野説明員 いまの交際費の否認割合と申しましたのは、たとえば百万円支出しました場合に一五・五%が否認されまして、残りの八四・五%は経費として認められるというものでございます。ですから、そういう意味では中小企業のほうが経費として認められている割合が高いという内容でございます。
  43. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いまの租税特別措置というものが地方に与える影響というものは、いま資料をいただきましたように、非常に大きいものがあります。特にこれは大都市などの税源の上で非常に大きなマイナスをもたらしていると思うのでありますが、たとえば東京都あるいは大阪などの財政に与えている影響というようなものを自治省は試算したことがございますか。
  44. 首藤堯

    首藤政府委員 四十八年度の非課税措置によります減収額につきまして一応試算をしてみたところでございますが、これは的確にはわかりかねますのでいろいろな推計が入っておりますけれども、概算申し上げますと、東京都におきましては、都分で大体百七十億見当、百七十一億ぐらいになろうかと思います。それから特別区分で三百四十三億程度。それから大阪の場合でございますと、大阪府分で九十一億程度。それから大阪市分で百七億程度。そのくらいの影響に、これは国の特別措置及び地方税法合わせてでございますが、そのくらいの額になっているのではないかと思っております。
  45. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま御指摘をいただいたように、租税特別措置というのは地方に非常に大きな影響を及ぼしていると思うのであります。しかし考えてみれば、いま大蔵省からも御答弁をいただいたように、これはあくまでも国の政策目的であろうと私は思うのであります。かねてから自治省は、この租税特別措置法によるところの国税の影響を遮断するということを御主張なすっておられました。また地方制度調査会などでもこのことはかねてから指摘をされてきたところでありますが、自治省は本気でこの実態を調査して、その努力をしているというふうにどうも思われない、少しのんびりしていらっしゃるのじゃないかという感じがしてならないのであります。  そこであらためて伺いたいことは、自治省は今後この国税の影響の遮断について具体的にどのような措置をとろうとしていらっしゃるか。特に地方制度調査会のいわば自治省の姿勢ともいわれるものであろうと思いますが、承っておきたいと思います。  それから、これは自治省実態を調査しやすいように、自治体がこういう問題の実態を調査することができるように、自治省はやはり指導することが私は必要ではないかと思うのであります。つまり、自治体がそういうきちんとしたデータを持ち得れば、地域住民とともにそれらの現実を世論に訴えていくことも可能なんでありますので、そういう点で、この二つの点について自治省がどのようにこれから努力をなさっていくか、その見解を承りたいと思います。
  46. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、この租税特別措置地方税における場合と国税における場合と非常に考え方が違うと思いますので、地方税においてはできる限り国税の影響を遮断をしていくという考え方をとり、またそのような措置について努力をしておるつもりでございます。たとえて申し上げますと、ことしの場合は重要産業用の機械でございますとかあるいは電気関係、そういったものについての遮断ないし廃止といったようなことも行なったわけでございます。今後ともこの努力は続けてまいりたいと思いますが、この租税特別措置が、先ほどからお話しがございましたように、輸出振興あるいは産業基盤の育成、そういったような面にわたっておりますものについてはできる限りこれを回避をし、またその効果のある程度整ったものから廃止をしていく、こういう考え方で洗いかえをつとめてみたいと思っておる次第でございます。  それから各地方団体におきます影響でございますが、これは御説のように、私どもといたしましても、各団体ごとにどの程度影響になっておるか、またそれがなくなればどういう状況になるのかといったような検討も十分していただき、また御連絡もいただきながら、ともに協力をしてこの縮小について努力してまいる所存でございます。
  47. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 たとえば国には、有価証券報告書による公開であるとか、あるいは法人税法や所得税法、これは所得税法では二百三十三条の申告書の公示、あるいは法人税法でも申告書の公示が百五十二条ですか、あるわけであります。しかし地方段階でもこういういわゆる公開とでも言いましょうか、そういう問題をもうすべき段階ではないだろうか。特に法人税所得税の申告者を地方自治体が調べることが事実上できなくなっている制度というか、そういう慣例があるわけでありますが、もっと自治体に、調査というものを自由にする、そういう保証を与えるべきではないだろうか。これは税法上の問題でありますが、この点についてぜひ見解を、これは大蔵省でけっこうでありますが承っておきたいと思います。
  48. 西野襄一

    西野説明員 ただいま先生のおっしゃいました申告書の公示の制度並びに調査の連携という問題でございますけれども、国と地方との間でどのように税務執行というものを円滑に推進していくかというのが基本かと思います。所得税法人税につきまして国のほうで調査が進められる場合には、地方税のほうにおきましてはそれによっていく。また地方独自で調査対象にされているものにつきましては地方のほうで担当する。なお両方の対象になる分野につきましても、地方のほうで調査なりあるいはお調べをいただくことがより効率がいいという分野につきましては、両方協議いたしまして地方のほうで担当していただいて、その結果に基づいて国のほうで課税措置をするというような連携をとってやっているところでございます。
  49. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 そうすれば、自治体が国税の申告書を調べるなどについて制限をすることはないというふうに承っておいてようございますか。
  50. 西野襄一

    西野説明員 地方におきましても質問検査をするという権限はあるわけでございまして、ただいま申し上げましたようなことで、効率的な行政という点で、国の調査に基づいたほうが効率がいいという分野につきましては税務署のほうへおいでいただいてその結果を見ていただいているということでございます。
  51. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私がそれを言うのは、秘密を守る義務というものがいわば硬直的に使われておりまして、現実に大企業やあるいは資産所得者を擁護するということになっているきらいがあるわけであります。これは通達もそうなっているように私どもは理解をしているわけですが、そういうことがないように御努力をいただく約束をいただくというふうに理解してようございますか。
  52. 西野襄一

    西野説明員 ただいまの点につきましては、地方税法の七十二条の五十九によりまして、法人税所得税、道府県民税に関する書類の供覧等というような規定もございまして、その辺の連携につきましては、法律上も手当てがされております。制限するようなことはやっていないということでございます。
  53. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは大蔵省に承りたいのですが、先日の新聞に、東京都の大企業に対する、大企業といいましょうか、「昭和四十六年度全国分・資本金別法人税負担率調べ」というのが毎日新聞に大きく出されているわけであります。これについてどうお考えになっていらっしゃるか、一点伺っておいてから質問に入りたいと思います。
  54. 西野襄一

    西野説明員 東京都の調べによる資本金階級別法人税負担率につきましては、その計算過程において幾多の問題があるというふうに考えております。
  55. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 計算方法について幾つかの問題があるとすれば、その計算方法のどういう計算方法について問題があるか、その点について立ち入ったお答えをいただきたいと思います。
  56. 西野襄一

    西野説明員 法人税額でございますけれども、この法人税額には、外国税額とか利子配当の源泉徴収所得税額等を差し引いたあとの納付税額で計算されている点が第一点でございます。それから受け取り配当や貸倒引当金、退職給与引当金が加算されておりますけれども、これは租税特別措置ではないという点が第二点でございます。それから第三点といたしましては特別償却でございますが、これは耐用年数が経過しますと普通償却額から取り戻しが行なわれるという点が考慮されていないということでございます。
  57. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 たとえば、この資料基礎になるものは、国税庁発行の「法人企業実態」昭和四十六年を基礎にしているわけでありますが、いまおっしゃったように、たとえば貸し倒れ準備金とかその他のものが租税特別措置ではないのにそうなっているというわけでありますが、これは、従来税制調査会の資料を拝見しても、その中に、まあ純粋な意味租税特別措置ではないのですけれども、大法人の総所得特別措置利用によるところの課税所得との比較などの表の中にははっきり全部入っているのですよ。大蔵省がつくった資料の中に入っているのですよ。だから、それを自分の資料の中に入れても、東京都が入れたものはいけません、こういう論理というものはどうも詭弁だと私は思うのですが、その点について承りたい。
  58. 西野襄一

    西野説明員 ただいま申し上げましたのは、企業計算におきまして負債性引当金とされている内容のものでございますので、負担の比較を行なうという際には除外して計算すべきではないかということでございます。
  59. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは、大蔵省税制調査会に出した資料の中にも、中小とそれから大企業との間の負担のいわばバランスを見る場合にも入っているのです。ですから、ここだけ抜かして、それが入っているのはおかしいというのも、これは変な理論だと思うのですが、それはともかくとして、とにかく高木主税局長が毎日新聞のそれに対していわば答弁をしております。  それで、ここであらためて申し上げますけれども、法人三税の税負担率というのは資本金百万円未満の零細企業が三八・〇六%と最も低く、以下資本金がふえるにつれて税負担率が高くなっている。しかし、そのピークは資本金一千万円以上五千万円までの五〇・八〇%で、あとは資本金がふえるにつれて税負担率は逆に低くなっている。資本金百億円以上の大企業ともなると税負担率は四四・二三%へと下がり、資本金百万円以上五百万円までの小企業の四五・一九%より軽くなっている。このデータがあるわけであります。つまり、大企業法人三税の上でたいへんな優遇をされているという傾向がここに示されているわけです。この数字は言うまでもなく大蔵省のデータ、とりわけ「法人企業実態」という、大蔵省でなくて国税庁が発行した資料に基づいて計算を行なったわけでありますが、この数字自体には間違いはないというふうにお考えになりますか。
  60. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 東京都の数字というのは実は私どもまだ入手していないわけでございます。単に新聞紙上で見ておるというだけでございますので、この数字がほんとうに正確な数字であるかどうかということはこの場でははっきりしたお答えはいたしかねるわけでございます。  ただ、主税局長の答弁というものが新聞に載っておりますが、これは実は夜おそく、深夜、こういう数字が出たといって電話がかかってきたわけでございますが、主税局長は具体的なデータもないんで、ただ聞いた感じではその数字はかなり実態と違うなということでこういう答弁が出たのだろうと思います。全体、新聞に出た限りで見ますと、税額は納付税額をとっておるわけでありまして、実際の算出税額ではない。その納付税額を基礎にさらに法人の住民税を計算しておるというふうなことでごいざまして、これはかなり実態とかけ離れておるのではないかという感じがするわけでございます。  なお、主税局として、企業の資本階級別の負担はどうなっておるかという数字を実は昨年大蔵委員会のほうに提出してございます。その数字なり、あるいは主税局長が昨年「東洋経済」に、いろいろこういう問題、混乱があるので、共通のベースで、共通の土俵でこういうものは議論をしなければいかぬではないかということで一文を掲載しておりますが、それもあまり参考にしておられないような感じの数字でございます。したがって、どうも私どもとしては、いまこれをどうこうという批判は差し控えますが、かなり実態とはかけ離れた数字ではないかという感じを持っておるわけでございます。
  61. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私はきょう質問をするといって通告をしておいたのですが、まだデータが入ってないというのもたいへんどうも困ったことだと思うのです。前もって質問の内容をお知らせをしたわけですから、できれば東京都から資料を取り寄せて、そしてそれはそれとして、こんな機会なんですから、大蔵省としてはこの数字をこう思うという見解をやはり示してほしいと思うのであります。特に主税局長は、これは新聞の談話ですから全文が載っているわけではないので、あるいはニュアンスが強調されているのかもしれませんが、それにしても、たとえば都が出している数字というのはその一面を誇張し過ぎたオーバーなもので、われわれはそんなことでは驚かないというような言い方をしているのですね。これは新聞の記事の扱いの中でおそらくそうインチキなことをいっているとは思わないのであります。そういう形ではなしに、共通の土俵というならば共通の土俵をどうつくっていくかという努力をここでしないといかぬと思うのでありますが、それについてぜひもう一ぺん見解をお聞かせ願いたいと思います。
  62. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 実は、電話がかかってきましたときに私も主税局長のそばにおったのでございますが、この新聞に書いてあるようなことは聞いていないわけでございます。議論にはいつでも応じますというふうな感じの答弁をしたと私は記憶しております。  それから、共通の土俵を持ちたいということは、われわれもそういうことを強く望んでおるわけでございまして、去年「東洋経済」に高木局長が出した文章でもそういうことを述べておるわけでございます。ちょっとそこのところを読んでみますと、「法人実効税負担を求めるための推計が種々行なわれていることは、まことに結構であるが、その前提についての意思統一がないと、種々、論議の紛糾をきたすことになる。いずれにせよ、法人実効税負担について近似値の算定を試みることは、私どもの当然の義務と考えて、」やったのであるというふうなことを言っておりまして、私どもとしてもできるだけそういう実態に近づきたいということはもちろん望んでおるわけでございます。
  63. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 高木さんの談話、そばにいらっしゃったようですからおわかりだろうと思うのですが、ある程度負担率は浮き彫りにされているということをお認めになっています。数字自体に間違いはなかろうけれども、数字の上のことで、実態を正確にとらえたものではないとおっしゃっておられるわけであります。つまり、数字自身は間違いはないというふうにお考えになっている。その上に立って、われわれとしてもいまの状態が最善とは思ってないのだ、ちゃんと大企業のほうからより多くの税金を徴収するように、取りたいと思って検討しているというふうにおっしゃっているわけですね。つまりそのことは、いまの東京都の資料、これの一般的な傾向というものは主税局長自身もお認めになっていらっしゃる、こういうふうに理解をしたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  64. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 主税局から去年大蔵委員会のほうへ提出しました資料によりましても、これは四十六年度の試算でございますが、資本金一億円以下の、特別措置等をもとに戻した形での負担の試算でございますが、資本金一億円以下で見ますと三三・六%、それから資本金一億円超百億円未満で三四・八%、資本金百億円以上が三一%ということになっておりまして、資本金百億円以上の超大企業負担がやや低くなっておるということでございます。  ただ、実はこれは四十六年度の数字でございまして、四十七年以後の数字というのはまだないわけでございます。実は四十七年度から例の、特に大きな企業にメリットの多い輸出関係の奨励税制をカットした、それから四十八年度には合理化機械特別償却というふうな非常に大きなアイテムについての整理をやっておりますので、それらの数字が出てくれば徐々にこういう姿は是正されてくるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  65. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いまお答えいただいたように、大きな筋では、百億円以上の資本金の大企業がかなり有利な法人税負担、有利というか、相対的に法人税負担が軽い、そのことをお認めいただいたわけでありますが、高木さんが、われわれとしても多くの税金を徴収しているつもりだし、大企業からもっと取りたいとも思って検討はしているということなんでありますが、その具体的ないわば目標みたいなものがおありでしたらぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  66. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 先ほど申し上げましたように、大企業に特にメリットの厚かった大きなアイテムの整理を四十七年度、八年度と続けてまいったわけでございます。これでかなりタックスベースといいますか、大企業所得金額をふやすほうへの改正というのはかなり進んでおるのではないか。本年度はこれに加えまして税率引き上げをやるわけでございます。法人税額というのは所得金額税率をかけるわけでございますから、過去二年間所得金額のほうの改正をやってまいりまして、来年度はさらに税率の上のせをやるというふうな改正を考えているわけでございます。
  67. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この機会にお願いをしたいのですが、いまのように特別措置減収額を割り出す大蔵省自治省数字基礎を明らかにしてほしいと思うのです。これは私どももあるいは地方自治体も、言ってしまうと、国で発表したものを自動的に案分してやるということだけでありますので、先ほど自治省からもお答えをいただきましたが、その資料をぜひお教えをいただきたい、こんなふうに思いますが、いかがですか。
  68. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 四十九年度の特別措置減収額につきましては、衆参両院の予算委員会のほうに資料としてすでに提出済みでございます。
  69. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 わかりました。  いま実は私の手元に、これは確か昭和三十五年の税調の資料でありますが、当面の税制改正に関する答申というのがあります。これはあとでお見せしてもいいのですが、その中で「大法人の総所得特別措置利用による課税所得との比較(具体例)」というのがございまして、たとえば業種別に鉱業とか紡績、化繊、製紙、肥料、製鉄とかいうふうに、実は業種別にランクがありまして、総所得と、いわばそれに対する課税所得金額というものが載っています。それによりますと、たとえば大企業というか大法人の場合に、化繊のような場合には五六・二%、製紙の場合は七三・八%、肥料の場合は四八・九%、それから電力の場合は六〇・五%というふうにたいへん低い課税所得金額を押えてあるわけであります。一方、同じ資料で中小法人の総所得特別措置の利用による課税所得との比較の具体例というのがありまして、これはたとえば窯業とか石炭販売とかアンテナ製造とかあるいは硝子びん卸とかという、いろいろな業種別のランクがあります。これによりますと、いま私が大法人のことを申し上げましたが、中小法人の場合には、アンテナ製造の場合には課税所得金額というのは総所得に対して一〇〇%なんですね。それから硝子びん卸などというのは八六・四%というふうにかなり高いわけであります。同じように以下右へならえで、カメラの卸とかいすの販売とか火薬の卸とかいろいろあるわけですが、この資料をその後は大蔵省出していらっしゃらないように思うのですが、こういうまとめ方をぜひして私どもにお示しをいただきたいのであります。これは資料要求であります。  というのは、こういう傾向というのは、大法人に対して、相対的に中小法人課税所得がいかに重くなっているかということが一目りょう然でわかるわけであります。しかしこれはほんの一例にすぎないと思います。今日では、たとえば為替差損の特別措置であるとかあるいはたくさんの準備金、それらがほとんど大企業中心になっているというわけでありまして、業種別のアンバランスが目立つだけではなしに、大企業と中小のアンバランスというものがかなり顕著になっているように見られます。したがって、せっかくこういうりっぱな、これは税調に出された三十五年の資料でありますが、できたら最も新しい具体例、しかも比較をこういう計算に基づいてやっていただけるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  70. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 三十五年のそのおっしゃいました数字は、特別にサンプル調査を金と時間をかけて実施したものでございまして、毎年継続してやるというふうな調査ではないわけでございます。三十五年以降その種の調査は実は全然やっていなしわけでございますので、いま三十五年のような数字を出せと言われましても、なかなかそういう数字が出せないという現状でございます。
  71. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 出せないと言わぬで、金と時間をかけて、やっぱり国民の前に示してほしいと思うのですよ。つまり、大企業中小企業の違いというものがこんなにはっきり出ている、一目りょう然に出ている表というのは、大蔵省にしては珍しいものをつくったと思って私は感心しているのですが、三十五年以来きょうまでつくっていないというのはどうも残念なことでありますので、もう一ぺんつくっていただきたい。委員長資料要求を求めたいと思います。
  72. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 三十五年当時と現在とでは、特別措置内容等もかなり質的に違ってきておるわけでございます。予算委員会のほうに提出しました資料によりましても、現在の特別措置減収額のうち法人税についての減収額というのは六百億円にすぎないわけでございまして、中小企業と大企業との関係につきましても、中小企業向けの特別措置というものが飛躍的にふえておるわけでございます。したがって、三十五年当時のような問題意識を持った調査というものは現状では必要ないのではないかという判断で、それ以来そういう調査をやっていないわけでございます。
  73. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私が先ほどから指摘しているように、租税特別措置法に基づくそれだけではなくて、たとえば準備金とか引当金の問題を含めて見解の食い違いがあるわけですね、調査の基礎に。だから、私の申し上げるのは租税特別措置法の問題だけではなくて、それらのいま実質的に租税特別措置法と同様に扱われている、あるいは見られている、あるいは見ることができる、そういうデータを含めてまとめてほしいということでありますので、これはどうか、大蔵省はもっと納税者に対してきちんとした資料を公開すべきだと思うのです。だから、問題意識はあなたが持ったのじゃだめなんで、国会としてあるいは国民としてそのことを求めているわけですから、たいへん繁雑かもしれませんけれども重ねて資料要求を求めたいと思います。
  74. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 特別措置を離れましての大きな問題というのは実は税率の差でございます。御承知のように、現在の法人税は留保所得配当に向けられる所得との間に税率差を設けておりまして、配当分については軽減税率を適用するということになっておるわけでございます。大企業のほうが配当割合が非常に高いものでございますから、それがかなり大企業の実効負担率を結果として下げておるということになっておるのではないかと思います。  配当課税問題につきましては、これは法人税の仕組みの本質論でございまして、非常に理論的にむずかしい問題を含んでおりますので、四十九年度の法人税改正においてはその問題は一応たな上げということになって、とりあえず税負担税率引き上げるということに集中したわけでございますが、さればといってその問題を放置するわけにはいきませんので、法人税の仕組みの特に配当に対する課税配当をする側と受け取る側との課税をどういうふうにするかという問題につきましては、新年度早々から税制調査会に特別部会を設けまして精力的な検討を行なうということになっておるわけでございます。したがって、その問題がどういうふうに解決されるかということをまず見る必要があるのではないかというふうに考える次第でございます。
  75. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 資料を出すのはいやだというのですか、それとも出さないというのですか、それをはっきりしてくださいよ。言いわけを聞いているのじゃないのです、私は。出してくれと求めているのです。あした出せと言っているのじゃないのです、これは。その辺をはっきりしてください。  しかも、率直に申し上げますと、この企業業種ごとにいろいろアンバランスはあります。それはわかります。しかし今日のような、一番最初に私が質問したように、昨年の暮れ以来のいわばインフレーションあるいはつくられた物不足、買い占め、売り惜しみその他含めて、いろいろな形での操作があるわけでありますから、そういう大法人に対して、それに匹敵していく中小企業が非常に困難な状態に置かせられているということはわかり切ったわけであります。その意味で私はそういう統計を国民の前に示すべきであると思うのですが、委員長、ぜひその点は委員長の権限で大蔵省に求めていただきたい。
  76. 伊能繁次郎

    伊能委員長 本件につきましては、大蔵省等の事情も確かめた上、理事会で御協議を願いたいと思います。
  77. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いまの件は、ぜひひとつお願いをしたいと思うのです。これは大蔵省自身が税調に、当面の税制改正に関する答申の中で指摘をした文書なんです。つまりそのことは、税制改正をする上でこういう税の不均衡とでもいいましょうか、アンバランスとでもいいましょうか、そういうものを明らかにする意味で発表なさったのだし、調査したのだろうと思うのです。ですから、ぜひ金と時間をかけて資料をまとめていただきたいと思います。  もう時間がございませんから、あとしぼります。  自治省に伺いたいと思うのですが、地方制度調査会は三年越しに事務所事業所税の創設をうたってきましたけれども、自治省も具体案を示してその創設を公約してきたことはもう言うまでもないわけであります。それによってどの程度大都市財源を確保できるか。総額と、これもできれば東京、大阪というように具体的に金額をお示しいただきたいと思います。
  78. 首藤堯

    首藤政府委員 事業所事務所税についてでございますが、御案内のような自治省でつくりました試案に基づきました場合の収入見込み額は総体で、初年度が四百二十億程度、平年度が八百四十億程度、こう考えておったわけでございます。大都市部におきましては、もちろん大都市にこの税金が集中いたしますが、東京都の特別区内においては、初年度が百七十八億程度、それから平年度が三百五十六億、大阪市部にありましては、初年度が八十六億、平年度が百七十二億、こういった程度の税収を実は見込んでおったわけでございます。
  79. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは三年越しなんですから、自治省はぜひこの実現についてもうちょっと力を入れてがんばらなければいかぬと思うわけですが、その点について自治省大蔵省見解を承っておきたい。
  80. 古屋亨

    ○古屋政府委員 先般も他の委員の方に御答弁いたしましたが、自治省といたしましてもぜひ積極的にこの税を創設するように一そう努力をいたしまして、関係方面と連絡をしながら推進していきたいと思っております。
  81. 西野襄一

    西野説明員 事務所事業所税につきまして、税制調査会の審議の段階におきましても、自治省から提案された具体的な案を中心にして種々議論されたわけでございます。その審議の段階におきましては、都市問題に対処するいろいろな施策といたしまして、そのほかにも特別市整備税、特別地域開発税といった新税構想も提案されたわけでございます。それらもあわせて検討をされたわけでございます。大都市地域に立地する企業に限って特別な税の負担を求めるという構想でございまして、それぞれその背景となる課税の根拠でありますとか、既存税制との関係がどうなっておるかというような点で、税制上検討を要する基本的な問題が含まれておりまして、それについて十分な結論が得られないというところで、今後の検討にゆだねられたということでございます。  しかし、この事務所事業所税の構想の背景と申しますのは、やはり大都市財源の充実の問題ではないだろうかというようなところから、四十九年度の改正におきましては法人所得課税の強化をはかって、法人税率引き上げに伴う増収があるわけでございますし、それにさらに上積みしまして法人税割の税率というものを、市町村民税の分につきましては九・一から十二・一に大幅に引き上げるというような充実をはかっているわけでございまして、したがいまして、この事務所事業所税、事務所、事業所に対して特別な税負担を求めるという新しい税の構想につきましては、四十九年度の改正によります、いま申し上げましたような課税の効果というものが、今後どういうふうに大都市の財政需要に寄与していくかというような点を十分に見きわめました上で、その必要性を再度検討していく必要があるのじゃないかというふうに考えております。
  82. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま大蔵省からも御答弁をいただいたわけですが、私どもは、大都市財源の事務所事業所税の創設という問題が非常に大切な問題だと思うのであります。と同時に、先ほどから私が指摘しましたように、特別措置というものが廃止されれば、あるいはそれの地方に対するはね返りというものが軽減をされることができるならば、地方の財源確保というものは非常にやりやすくなるというふうに思うわけであります。そうした意味では、この特別措置というものの廃止あるいはもっとドラスティックな縮小について努力すべきだと思いますけれども、これは自治省見解をぜひ承っておきたいと思います。
  83. 古屋亨

    ○古屋政府委員 特別措置の問題につきましては、先ほど税務局長から答弁したように、私どもは従来からできるだけその影響を遮断する措置を講じ、また今後ともそういう方向に沿ってこの問題を進めてまいりたいと思っております。
  84. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 もう本会議の時間ですから、最後に一つだけ、これは特別措置法とは関係ありませんが、御承知のとおりに、東京都が四十九年度予算案に初めて、インフレから弱者を守るためにということで、社会福祉施設在寮者等に対する緊急援護費というものを二十億円計上いたしました。これは、インフレのしわ寄せを受ける老人ホームなどの養護施設入所者十四万四千九百人、生活保護世帯十二万一千五百人、都の衛生局管理の施設入所者二千九百人、都の養育院入院者三千三百七十人の、計二十七万二千六百七十人の施設入所者の生活費、生活保護費の双方ともに二〇%補助——これは国が四十九年度からきめているわけでありますが、しかし消費者物価がこんなに上昇しておるわけでありまして、実質的なアップ率というのはダウンをしておるわけであります。それに対して、都がこのインフレのいわば減価の部分を支給する。支給方法というのは、施設入所者の場合は施設に対して現金を支給する、あるいは生活保護世帯に対してはみそやしょうゆ、バターなどをデパートを通じて送るほか、現金で支給することも検討しているというふうに伝えられていることは御存じだと思うのであります。  率直に申し上げて、今日のインフレというのはそういう社会的な弱者に一番強いしわ寄せがあるわけでありまして、これに対する対策というものがいま緊急の課題であることはもう私が指摘をするまでもないところであります。そういうことに対して、政府が、たとえば現金支給の場合に収入と認定されるということになりますと、実際問題として援助の意味がなくなるわけでありまして、そういう意味で、東京都は国に対して、これを収入認定としないようにという意味のことを申し入れているわけでありますが、これについて大蔵省はどのように対応なさろうとしていらっしゃるか。これはぜひとも、これらのいわば地方自治体のこういう社会的な弱者に対する思いやりとでも言いましょうか、あたたかい措置に対する大蔵省のあたたかい対応をこの機会に要請をしたいと思うのですが、これはぜひ大蔵省の御見解を承っておきたいと思います。
  85. 渡辺喜一

    ○渡辺説明員 おそらく税の問題はないのかと思います。先生のおっしゃったのは主計局サイドの問題であろうかと思いますが、私どもちょっと所管外でございますので、帰って主計局に先生の御意向をお伝えしたいということで御了承を願いたいと思います。
  86. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これはぜひ大蔵省として、せっかくそういう地方自治体が、もうほんとうにいわば生活を切り詰める以外にインフレーションに耐えていく手だてのない人たちに対してあたたかい配慮をするわけでありますから、前向きに検討をいただきたいということで、よろしゅうございますか。——そのように理解をしたいと思います。  それでは以上で終わりたいと思います。
  87. 伊能繁次郎

    伊能委員長 この際、午後一時に再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      ————◇—————    午後一時十七分開議
  88. 伊能繁次郎

    伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井岡大治君。
  89. 井岡大治

    ○井岡委員 私は、地方税法、交付税法等の関係で、地方交通、特にバス事業について若干の質問を試みたいと思います。  政府はさきの国会で、地方公営企業については財政再建整備法を制定して企業の健全化をはかろうとされましたが、私は、今日の実情から考えて、あの法律によって財政再建ができるとは思わない。なぜなら、法律では従業員の給料はベースアップを見込まれていないし、その後の物価の騰貴等を考慮しますと、何ともはやもう憂慮にたえないものがたくさんあります。  そこで政府に、まず財政局長にお伺いするわけですが、局長おいでになっておりませんから審議官にお伺いしますが、今日の物価騰貴のバス事業に与えておる影警、こういうものはどのぐらいに見込まれておいでになりますか、この点をお伺いしたいと思います。
  90. 山本成美

    山本説明員 物価騰貴がどういうふうにバス公営企業について影警を与えておるかという問題、なかなかむずかしい判断でございます。たとえばバスでございますと、何をおいても軽油が大事な動力源になっておりますので、軽油がどれぐらい上がるかといったような問題もございますし、また給与のベースアップが毎年人事院の勧告に基づきまして行なわれておる一般職員について行なわれれば、またその影響が公営企業職員についても出てくるというのが通常の形になってきておりますので、そういうふうな問題を全部ひっくるめまして、ただいまの公営企業の非常にむずかしい問題が起こってきておる、かように思っておるわけでございます。これは何%かと言われますと、ちょっと判断がむずかしいと思います。  以上でございます。
  91. 井岡大治

    ○井岡委員 では、経企庁の赤羽課長、来ておりますね。  この間の石油価格の値上げで、全国のバス事業、これは公営、民営を問わず入れますと三百六十八社ありますが、これで概算をして何ぼぐらい年間、燃料による価格の引き上げになるか、こういうこと、御存じですか。
  92. 赤羽隆夫

    ○赤羽説明員 ただいまの御質問に対しまして一応目の子で計算してみますと、およそ二百億円ぐらいの増加ではなかろうかと思います。と申しますのは、私の目の子計算の根拠を申し上げますとこういうことでございます。昭和四十七年度におきましてバス事事の収入総額が約四千億円でございまして、支出総額はそれを一割ぐらい上回っておったかと承知しております。したがいまして、四千四百億円ぐらいに対しまして燃料費である軽油のコスト割合が約五・六%でございます。したがいまして二百四、五十億円ということでございまして、その当時の一リットル当たりの軽油の値段は約二十五円ぐらいと推定されております。このたび石油価格の引き上げに伴いまして軽油が値上がりいたしましたけれども、これは最末端の小売り価格で五十五円ということでございます。地方バスということになりますと大量の購入者でございますので、この値上がりは五十五円までは上がらずに、やはり四十数円ということではなかろうかと思われます。そういたしますと、値上がり率は二十五円から六〇%ないし七〇%ぐらいではなかろうかと推定されます。そういたしますと、二百五十億円の七割、八割と見ましても二百億円程度ということになろうかと思われます。
  93. 井岡大治

    ○井岡委員 経企庁、非常に過小に考えておいでになりますが、そうじゃないですよ。バス事業といったら百名以下の会社が四二%占めているんですよ。そうでしょう。
  94. 真島健

    ○真島説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  95. 井岡大治

    ○井岡委員 これは委員長にお聞きしたほうがよく御存じなんでありますが、委員長にお聞きするわけにいきませんから……。  そうだとすると、いわゆる大量購入というのはないのです。もうほとんどが一番末端価格で買い入れるよりしかたがないのです。そこで、私の概算では九百億からの増加になるのです。したがって、物価の問題でそのような計算をされておりますとたいへんなことになると思うのです。そこで私は、一般会計からこれだけですら入れることができないとすると、当然計画変更をしなければならぬ、こういうように考えるわけです。ベースアップは組んでおらない、あるいは軽油の価格は一番値上がりをしなかった価格でおやりになっている。そうだとすると、私は、この再建案による再建というものは大きな目算違いになるのではないか、このことをまずもって指摘をしておかないといかないと思うのですが、この点いかがですか。
  96. 山本成美

    山本説明員 石油の値上がりに伴いますバス交通事業の運営費の増高でございますけれども、収益収支の支出経費の中で、四十七年度の実績でまいりますと大体五%程度が燃料費と申しますか、動力費でございます。   〔委員長退席、中村(弘)委員長代理着席〕  これが、いま経企庁からもお話しのございましたようにかりに二十円程度上がったといたしますと、十九万キロリットルを大体コンスタントに使っております公営企業としては三十八億程度の値上がりになるわけでございます。こういうことで経費の大体七%ないし八%の率を占める、こういうふうになるのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、先ほどの御指摘にもありましたように、給与問題それからいま御指摘の動力費の問題、これらをひっくるめまして私は再建計画の変更の要因にはなるものと考えております。
  97. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで、今度は業務部長にお伺いしますけれども、いまの公営企業でなくて、地方民営バスの黒字を出しているグループと赤字を出しているグループがありますが、民営の場合二百八十七社、そのうち百七十六社が赤字を出している。間違いありませんか。
  98. 真島健

    ○真島説明員 いま手元に原価計算資料でつくりました民営について百八十二社の資料しかございませんので、それで申し上げますと、百二十六社が赤字、黒字が五十六社ということで、比率的に大体先生のおっしゃるような数字が全数についていえるかと思います。
  99. 井岡大治

    ○井岡委員 しかもこれは、電鉄事業の場合はかなり地域開発をやっておりますから、いわゆる不動産部門でかなり補てんはできるわけですが、バス事業の場合はほとんどこの不動産事業というものはやっておらない。そうするとこの収入だけでやっていかなければならぬ、こういうように考えるのですが、この点はいかがです。
  100. 真島健

    ○真島説明員 先生の御指摘のとおりでございまして、私どももそういう意味で、昭和四十年以降には非常にバス事業の経営が苦しくなっておるという実情も把握しております。したがいまして、私どもといたしましては、過疎地域における国民の足を確保するということの重要性にかんがみまして、   〔中村(弘)委員長代理退席、委員長着席〕 過疎事業者のうちで赤字路線を経営しなければならない事業者に対しまして補助金を考えまして、四十年以降努力してまいりました。四十九年度予算におきましては約二十二億程度の補助金を計上いたしまして、何とか、国民の足を確保するという方向努力をいたしておるところでございます。
  101. 井岡大治

    ○井岡委員 これは四十七年度の決算——四十八年度は今月一ぱいありますから決算がつかないようですから、私は四十七年度の決算を申し上げますと、私の調べたところによると、民営バスだけで百二十六億の赤字を出している、こういう計算になるわけなんです。そうだとすると、本年度二十二億の補助金を出すといったって、これは軽油代にもならぬことになりますね。しかもそれが今度非常に大きな値上がりになっている。そうだとすると、このままでいくならば、いかに物価抑制といっても、これは公共料金を引き上げざるを得ないような結果になる。この点、経企庁どうお考えになっておりますか。
  102. 赤羽隆夫

    ○赤羽説明員 公共料金の抑制の点に関しまして、私どもはこういうふうに考えております。これは私どもの大臣でございます内田長官がよくお使いになる表現でございますけれども、たとえば国鉄であるとか食管であるとかあるいは大手私鉄のような、非常にふところの深いあるいは足の長い、そういったような企業体であれば、この物価狂乱という時期にあたりまして自分の足を食ってしばらくはがまんしてもらおうということで運賃の値上げを据え置くということが考えられる。しかし、地方の中小バスであるとか、それから非常に経営状態の悪い公営バスも含めまして、そういったような中小企業体につきましては当然ふところが浅いし、食うべき足も短い。またバス事業の特性といたしまして、コストの約六割が人件費であるといったような状態を考えますと、やはりこれについて一律に凍結といったようなことは不可能であるということを申されております。私どもも大臣のおっしゃるような考え方で公共料金問題の処理に当たっておりまして、それぞれの値上げの申請につきましては厳にこれを査定するという態度はますますきびしくやっておりますけれども、やはり必要最小限のものは上げなければいけないという基本的な方針でございます。
  103. 井岡大治

    ○井岡委員 その一般論はいいのですよ。私は一般論を聞いているのじゃないのです。バス事業というと資本金五千万円以下の会社が約百以上あるわけなんですよ。これがいま言われるように足の長いもの、こういうように私は思われないのです。  そこで問題は、そのバス事業の性格というものを、これは運輸省にお聞きしたほうがいいと思いますが、単に国民の足、こういうようには私は考えておらない。足だ、これだけには考えておらない。むしろ私は、交通というのは産業基盤に大きなウエートを占めておる、こういうように考えるのです。そうだとすると、いわゆる生活路線、こういうように言っておいでになりますけれども、その路線というのがどういう解釈をされて生活路線という名前を使っておいでになるのか、運輸省にこの点をお伺いしておきたいと思うのです。
  104. 真島健

    ○真島説明員 私どもが生活路線ということで補助金の対象としております路線でございますが、これらの路線は、私どもでは、地方の人口過疎化に向かっておる地域でございまして、マイカーその他の普及によりましてバスの需要はだんだん減っている、しかし依然としてその地域の住民の足という観点から見ますと、企業採算が悪いからというだけの理由でこの運行を廃止するということができない路線、これを生活路線ということにしてございますが、具体的には、地方公共団体等におきまして整備地域というものを指定していただきまして、その中で具体的な路線をきめていく、こういうやり方でやっておるわけであります。
  105. 井岡大治

    ○井岡委員 逆にいうと、いわゆる国の行政を遂行する上において必要な路線、こういうように理解するほうが正しいのじゃないですか。単に県民の足とか地域住民の足という考え方でやっておりますと、私はこれはたいへんなことになると思うのです。  この点は、実は三年ほど前だったと思いますが、高知県バスというのが十三億ほど赤字を出して、どうしてもやっていけない、こういうことで、もう事業を閉鎖したい、こういうことがございました。そこで私は向こうに行っていろいろ調べてみますと、初めてわかったのですが、あそこの高知県バスというのは高知県のほとんどを走っているわけなんですね。いわゆる足なんです。言いかえて申し上げると産業の基盤になっているわけですね。そうだとすると、これは行政として考えていくほうがいいのじゃないのか、こういうことで、当時私は知事に会って、何とか知事として手だてをするものはないだろうか、こういうことを考えてもらったらどうかと思う、私は再建策としてこういう案を持っている、知事がとりあえず会社更生法を適用さすことを勧告すると同時に、公債などの発行を自治省のほうに申し入れて、そしてその公債でもってとりあえずやらす、そうしてその公債発行の利子というのは県が持ってやったらどうだ、こういうことを知事に勧告をしたことがあります。そうして帰って、当時の運輸大臣は橋本幹事長ですが、運輸大臣に、そういう方法をやらないと県の産業というのはさびれてしまうではないか、何を運ぶにしたって運ばれないわけですから、だから何とかこれを国家的な見地から解決するというようにしなければいかぬのじゃないか、こういうことで話をいたしました。運輸大臣は、まことにそのとおりだ、自治省と話をして何とか適切な方法を講じたい、こういう御答弁だったわけですけれども、聞いてみるとまだ何もやってない、 こういうことです。またやめると言っていますね。そうじゃございませんか。
  106. 真島健

    ○真島説明員 申しわけございませんがその高知県交通のこまかい点、私いま存じませんが、会社更生法の適用がありまして再建計画が立った、ただ、まだ必ずしも十分に行なわれていないというところまで存じておりますので、これまた帰りまして調査いたします。
  107. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで山本議官に、これは運輸行政という立場でなくて国の一つの交通政策としてやられる場合、自治省として協力できるものがあるのかないのか、この点お伺いしておきたいと思います。
  108. 山本成美

    山本説明員 生活路線と申しますか行政路線と申しますか、あるいは産業基盤路線と申しますか、考え方、発想はいろいろございましょうと思います。私のほうの自治省といたしましては、公営交通の問題の範囲で一体どういうふうに取り上げていくかということ、特に公営交通を、財政見地から経営をもり立てていく手はずはどういうふうにしたらできるのかということが実は中心になっておるわけでございます。いま御指摘になりましたような課題というものは、御指摘の中にもおっしゃっておられますように、むしろスケールの広い、民営なり公営を通じての大きな問題として取り上げるべき課題ではないか、かような感じでおるわけでございます。むろん私のほうとしてできるだけのことは当然やらなければいけないと思いますが、とらまえ方として、私がいま申し上げたようなことではないか、かように思っている次第でございます。
  109. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで運輸省にまたお伺いしますが、公営企業の問題は、これは自治省としていろいろなめんどうを見られるのは当然だと思いますけれども、さしあたって地方行政という立場からも民営のバスをとらえてやらなければいかぬのじゃないか。そうしないと、これがとまってしまいますとどうにもならぬと思うのです。たとえば公営の出雲のバス、実は民間に身売りすることで委員長などと相談をして解決をしました。ところが、買った会社はその経営をようやらないで、ほとんど線を廃止をしてしまいました。ですから運輸省としては、単なる企業という考え方でなくて、運輸行政という立場からこれをとらえていく。そうだとすると、単なる生活路線という考え方でなくて、国の産業基盤の一部としてとらえていく、こういう考え方になる。そしてそれを踏み出してもらわないと、自治省もなかなかやれないのじゃないですか。そういうふうに思うのですが、いかがですか。
  110. 真島健

    ○真島説明員 先生のただいまの御指摘、そのとおりであると思います。私どもも、単にバス行政というものを生活路線というような観点から重視して、何かその企業が成り立つようにするというような観点からだけではなくて、一応考え方といたしましては、高度成長に基づく過密過疎の問題が出てまいりました段階から、地方における過疎地域におけるバスの問題、それからもう一つは過密になってまいりました大都市交通の中におけるバスの問題これはやはりおのずから対応のしかたが違うであろうということで、過疎地域については先ほど申し上げましたようなことで、具体的な赤字路線の補助という形で対応をしてまいったわけでございますが、大都市におきましては、過疎地域と事情が違いますのは、輸送需要が激減しておるということではなくて、バスが走りにくくなる、いろいろな過密状況その他から運行効率が落ちてくるというような問題のほうがまず取り上げるべき問題ではなかろうか。そういうことで、バスの走ります環境をできるだけ改善していくということに手をつける必要があるだろうという考え方をとったわけでございまして、四十六年に運輸政策審議会で「大都市交通におけるバス・タクシーのあり方」という御答申をいただきました。その線に沿いまして、大都市バス輸送の改善対策という形で、都市ごとにいろいろなくふうを進めております。一方、新しくできます団地と至近距離の鉄道駅との連絡というような、これはバス会社にとって非常に採算の悪い路線になりますので、そういうところに、これはまだ芽を出したばかりでございますけれども、団地バス路線運行補助というようなことを最近に始めておりまして、そういう意味で、多少ニュアンスが違いますけれども、先生のおっしゃるような意味で、単に企業云々、住民の足云々ということだけではなく、産業基盤としてのバス事業というものについて、私どもはそういうような考え方で施策を進めてまいっておるところでございます。
  111. 井岡大治

    ○井岡委員 運輸省、私はここで一つの提案をしたいと思うのです。ということは、住宅建設については、いまのお話しのようにかってに建ててくれるわけですよ。そしてあとで、バスを走らせろとかあるいはガスをつけろとか水道をつけろ、こうやってくる。ですから、運輸行政の中で地方自治体の持つ都市計画と密着したものをつくっていかなければいけない。その際、建設省もやはりひとつかんでもらわなければいけないと思うのです。そこでだれがそれの音頭をとるかということになれば、これは地方自治体を担当しておる地方行政が持つのか、運輸行政を担当しておる運輸省が持つのか、それは私はどちらでもいいと思うのです。皆さんのほうで適当にお考えになったらいいと思うのですが、私は、単にこれを運輸省だけにまかす、こういうことではなくて、できれば自治体を持っている自治省がやってもらいたい。そうでないと、道路をつけろ、下水をつけろ、電車を走らせろ、こうなってくるわけですから、そういう点で何か考え方をまとめる一つのものをつくる、こういうように提案をしたいと思うのですが、この点いかがですか。これは次官、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  112. 古屋亨

    ○古屋政府委員 ただいまの御意見、地域におりまして、やはり私の地域もバスの運行が採算の上で相当休止せざるを得ない、地方自治体としては、これは陸運局のほうでなかなかめんどうを見てもらえぬが、非常に困ったというような情勢は、特にこういうような人口の変動の激しい時代におきましてはそういう声はしょっちゅう聞いておるところでございます。自治省としては今日までは、先ほどから審議官がお話しいたしましたように、地方自治体の財政面から見て公営交通という仕事をやってきたところでございますが、これもいろいろの問題、特に物価騰貴の問題、それからバスの値段が非常に高くなってしまっておるとか、いろいろなことで、実行につきましてはなかなかむずかしい問題も出ておるところでございますが、地域の住民が困るということは何といっても地方自治体としては重大なる関心を持っておるところでございますので、ひとつそういう点につきまして運輸省とも十分協議をいたしまして、ただいま井岡先生の御提案の趣旨につきましては前向きにひとつ検討さしていただきたいと思います。
  113. 井岡大治

    ○井岡委員 私はなぜこれを言うかというと、いま車両補助をやっていますね。車両の購入について半額を補助する、こういっておる。ところが、自治省の一車両の単価は三百八十万円なんです。運輸省の単価は三百二十万円です。同じ政府の部内で十分話し合いがされていないということをこれは端的にあらわしていると思うのですよ。なぜこんなに違うのですか。この点、ちょっとお伺いしたい。私は、これで買えませんけれども、こんなに思い思いの、予算の基礎というものが違うということは重大なことだと思うのです。なぜ違うのですか。
  114. 真島健

    ○真島説明員 私ども、財政当局に対して予算を要求をいたすわけでございますが、自治省のほうの公営バスの算定の単価が三百八十万である、私どものほうが三百二十万であるという差でございますが、私どものいま補助金を出しております過疎地域のバス、これはやはり非常に輸送需要が少のうございます。したがいまして、そこで使うバスも大体都市で使う大型バスよりは若干小さいバスになるという、大きさの問題等が違う要素になっておるのではないかと思います。
  115. 井岡大治

    ○井岡委員 じゃ、これは、いわゆる公営バスについては補助を運輸省はしないわけですね。
  116. 真島健

    ○真島説明員 公営バスにつきましても今回の予算におきましては、いわゆる丙種地域というものを設けました際に、私どもの基準に合うと申しますか、不採算の線であるというところについては補助をいたすことにしてございます。
  117. 井岡大治

    ○井岡委員 だから言うのですよ。こういうことが私はやはり行政がばらばらだ、こう言いたいのですよ。だからいわゆる行政として考えていかなきゃいかぬ。これは運輸省といえども行政なんですからね。生活というような考え方が私は間違いだと思うのです。ですから、ここで両者が一体になって話し合いをしないと、あなたのほうは三百二十万円で大蔵省に要求する、片っ方の基礎は三百八十万円という計算になると言う。こまかいことではありますけれども、私はこれはたいへんなことだと思うのですよ。こういうふうにばらばらにやっておったのでは大蔵省は金を出しませんよ。あたりまえの話ですよ、それは。  そこで、今日ではもう六百万円をこえているわけですね。これらについて今後どういう処置をとろうとなさっておいでになるのか、この点をお伺いしておきたいと思うのです。
  118. 山本成美

    山本説明員 バス購入費の補助金の要求をいたしましたころは、三百八十万から四百万をオーバーするぐらいのところで実勢単価も落ちつくのじゃないかというふうな期待を持ってずっときたわけでありますけれども、こんなに上がるとは実は思いませんでした。こういう実態でございますので、とりあえず三百八十万ということでやっておりますけれども、不足分につきましては、自治省としては起債でカバーしていくという考え方で進めたいと考えております。
  119. 井岡大治

    ○井岡委員 だから運輸省はどうされるのですか。
  120. 真島健

    ○真島説明員 私どもも確かに九月時点で、現在のような非常に大幅な車体の値上がりということは予想してございませんでしたので、先ほど申し上げましたような単価で予算を組んで、すでに政府原案としては確定をしておるわけでございます。ただ実際問題として、これでは非常に困るではないかということでございまして、きめられた予算の範囲内で何とかこれを前向きに動けるようなくふうをこれから財政当局に対してお願いをし、私どもも懸命に努力をいたしたい、このように思っております。
  121. 井岡大治

    ○井岡委員 二分の一補助をすると言ったって、懸命に努力すると言ったって、努力はできないですよ。値段が六百万円もする。市内で買うているのは六百八十万円ぐらいしているでしょう。それがあなたのところは三百二十万円の計算なんですよ。幾らそれがマイクロバスだと言ったって、そんなものはできませんよ、三百万円から違っているわけですから。そうだとすると、どこに問題がくるかというと、私は、車両の整備に落ちてくる、こういうように考えるのです。そう思いませんか。これは整備部長じゃないですから答えにくいと思いますけれども。
  122. 真島健

    ○真島説明員 確かに御指摘のとおり整備問題、さらには、いまいろいろバス業界等でも研究をいたしております標準型バスの研究といったような問題が今後十分検討の対象になろうか、このように思っております。
  123. 井岡大治

    ○井岡委員 検討しておっても実際はすぐできないのですよ。少なくとも半年から一年かかるのですよ、研究の成果というのは。そうすると間に合わないのです。そこに問題があるわけです。少なくとも自治省のほうは起債を認めて公営企業のほうは何とかしてやろう、こう言っておいでになるけれども自治省は民営のほうまで金を出してやろうというわけにはいきませんからね。そうだとすると、私はここらの問題で、先ほどから申し上げておるように、両方とも行政をおやりになっておるのですから、行政という立場からこれをどうして救ってやるか、こういうように考えられることのほうがより効率的じゃないのか、こういうように思うのです。だから、いままでの生活路線というのをこの際改めてもらいたい。そしてもっとはんとうに行政という立場から、単に走らすのだ、やめられたらそこの住民が困るのだ、こういうだけでなしに、それをやめられることは産業がこう落ちてくる、こういうことから考える、こういうようにひとつお考えいただきたいと思うのですが、いかがです。
  124. 真島健

    ○真島説明員 先生御指摘のとおりでございまして、今後私どもも、民営、公営という別なく、一体どういうふうに進めていったらいいかということにつきまして、自治省、建設省の皆さま方と御協力申し上げまして、ものごとを進めてまいりたいと思っております。
  125. 井岡大治

    ○井岡委員 山本さん、お尋ねしますが、岩手県の三つのバスがたいへん、おのおのでいかぬということで、何とかしなければいかぬ、こういうようにいま話し合っておいでになることは御存じですか。
  126. 山本成美

    山本説明員 そういううわきというとたいへん恐縮でございますけれども、そういう動きがあることは聞いております。こまかい点は承知しておりません。
  127. 井岡大治

    ○井岡委員 これ三つがどこ一つとまってもたいへんなんですよ。次官、これだけ聞いてください。これは運輸省は知っているはずなんです。知っているはずなんですが、運輸省はまだ手を出していない。そうでしょう。先に運輸省に聞いておきます。
  128. 真島健

    ○真島説明員 私どもも陸運局のほうから報告は受けておりますけれども、具体的に措置をどうするかというところまで詰めておりません。
  129. 井岡大治

    ○井岡委員 次官、これは山の中ですからたいへんなんですよ。ぼくもこの間ちょっと陳情を受けまして、これは行政の立場から何とかもっと手をかしてもらえないだろうか、こういうように話をしてもらえないだろうか、こういう相談を受けたわけです。そこで、幸い山本理事から、おまえは交通をしゃべれということですから、それじゃひとつ交通をしゃべろうかということでこれを取り上げたわけです。次官、これは県知事が中に入らないと、陸運局だけではどうにも解決しません。というのは、仙台の陸運局へ行ったって監督しているだけですからね。知事として、これは住民の足あるいは産業の基盤、こういうように考えていかなければいかぬ。だから知事がこの問題について何らかの形でタッチをする、これ以外に私は解決はないだろうと思います。したがって、そういうことについて十分考慮を払ってもらいたい、こういうことをお願いします。いかがです。
  130. 古屋亨

    ○古屋政府委員 私も岩手県にはつとめたことがございまして、非常に広いあれでございます。昔の古い話なもので現在の状況は知りませんが、やはり地域の、特にああいう山の多い、僻地が多いところで面積の広いところでございますので、バス関係がそういうような非常に行き詰まっており、またそれをどうするかというような問題につきましては、お話しのように確かに知事さんが指導をされないとうまくいかないということは、私も先生のお話は十分了解できます。ですから、具体的問題につきまして私ども、御相談あれば受けまして、できることは運輸省と話して、いまはこの程度だ、将来こういうふうにしようとかいうことで、やはり等閑にしておくわけにはいかない問題と思います。県とも、知事さんともよく話しまして、実情を見きわめた上で、いまのお話しのような線に沿ってどういうふうに持っていくべきかということについて、ひとつ知事さんと一緒になりまして、運輸省とも相談いたしまして積極的な解決方策を見つけるようにいたしたいと思いますので、また先生のほうも、具体的にそういうことはよく先生、また山本先生も御存じでございますので、ひとつ御教示、御指導を賜わるようお願いいたします。
  131. 井岡大治

    ○井岡委員 おそらく赤字でどうにもならぬと思うのですよ。おそらくこのままほかしておったら三つともこれをやめる、こう言い出すと思うのです。そこで高知県と同じように、高知県に勧告をしたように、何らかの起債を認めてやる。そしてそれは自治省のほうではあるいは運輸省と相談をして、民間ですから県に損をさすわけにいきませんからね、何らかの処置をとってやらぬといかぬのじゃないか、こういうように思うのです。この点ここではっきりしておいてもらいたい、こう思うのです。この前、橋本さんに言うたら、話をすると言うて一向に話をしてくれませんから、自治省のほうからこの点、いかがですか、はっきりしておいてください。
  132. 古屋亨

    ○古屋政府委員 まあ財政見地もそうでございますが、しかし地域住民の足ということがきわめて大切な問題でございます。したがいまして、県とも連絡し、またただいまのお話しのように関係諸先生並びに趣元の意見を十分聴取いたしまして、どういうふうにやったら一番いいだろうか、そういう点につきまして運輸省とも十分相談いたしまして、とにかく足がとまらぬように私どもも積極的に指導というとあれでございますが、いまのお話しのように措置をするように推進をしてまいるようにいたしたいと思います。
  133. 井岡大治

    ○井岡委員 ぜひこの点はお願いしておきたいと思うのです。山本さんのほうがよく御存じですから、山本さんに関連で質問していただけませんか、こう言ったら、まあいいだろう、こういうことですから私はかわって言っておきますけれども、とにかくああいうところですから、もしこれがとまるというようなことになるとたいへんだ、こう思うのです。そこで三社が合併をしてやろう、こう考えておりますけれども、なかなかそれはお互い社長同士だとうまくいかないものです。そこで知事が中に入って処置をしてあげる、こういうようにする以外に方法はないだろう、こう思います。ぜひお願いしておきたいと思うのです。  そこで、私は十六日の総理の話を聞いてびっくりしたのですが、参議院の予算委員会で、国鉄を分割する。あの人のことですから何をやり出すかわからぬのですが、私は、国鉄というものを御存じなんだろうか、こう思うのです。分割を受けたら自治体はどうします。まずこれから聞いておきたいと思います。
  134. 古屋亨

    ○古屋政府委員 どうも、井岡先生の御質問でございますが、新聞紙でそういう総理の話があったということを拝見しておりますが、きわめてこれは大きい、ちょっと私どもではお答えするような問題ではないと思いますから、ひとつ大臣にも、井岡先生からそういう御意見があったということをお伝えいたします。ここで私が申し上げることは適当ではないかと思いますので、よく、そういう先生の御意見を大臣なり、また交通の次官関係にも御連絡するということで、どういうふうに措置するということはちょっと、私ここで申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
  135. 井岡大治

    ○井岡委員 国鉄というものを全く知らな過ぎると思うのです。国鉄は、線で七つしか黒字の出ているところはないですよ。採算のとれているところは新幹線と山手線、環状線と東北線と大阪の環状線と山陽線と、これだけしかないのですよ。それを分割するなんて言って、どうなるんです。しかも、そういうことになりますといわゆる料金格差がみな違ってくるでしょう、民間に払い下げたら採算とらなきゃいかぬですから。こういうことは、できないことを平気で国会の中で言うというのは、私は総理も不見識はなはだしいと思うのですけれども、いわゆる自治省として、そういうことではとうてい住民の行政をすることはできないということだけはっきりここで認識しておいてもらいたいと思う。したがって閣議などでこんなものが出たときには——しかもこれはスト権の問題だけじゃないですか。スト権の問題を解決するためにこうやるのだ、おおよそ不見識もはなはだしい、こう私は思う。総理おらぬからここでおこってみてもしようがない。  ですから、この点だけは明らかにしておいて、いわゆる民営のバス等については——私は電車の問題については言いません。電車の問題については、開発をして、不動産部門でかなりもうけておりますからこれでやっていけるのです。ところがバスはそういう開発事業をやっていないわけです。ですから、この点だけはひとつ自治省としては行政の立場で運輸省と十分協議をしてやっていただきたい、こういうように考えるわけです。  これだけを申し上げて、私、時間が来ましたからこれで終わります。
  136. 伊能繁次郎

    伊能委員長 多田光雄君。
  137. 多田光雄

    ○多田委員 政府は十六日に、石油製品の値上げ幅と、それからこれに伴う総合物価対策を正式にきめたわけでありますが、それによると、御承知のとおり一キロリットル当たり全油種平均で八千九百四十六円、平均で六二%という非常に大幅な値上がりなったわけです。今回の値上げは電力料金の大幅引き上げ、それから関連物価の値上がりを招いて、悪性インフレと狂乱物価に一そう拍車をかけることは必至だろう、こう思うのです。というのは、この値上げは、通産大臣その他のことばにもあったように、メジャー、それから国内の企業、こういう圧力に屈しておる、むしろこれらの物価引き上げの張本人である責任を免罪して、これらの要求に屈して大幅に値上げしておる。ですから、いわゆる赤字、この負担を国民に転嫁していくことははっきりしておるのじゃないか、こう思うのです。  四十九年度の地方税法改正にあたっても、インフレ、物価高騰を押えるとともに、何はさておき、国民生活を防衛するという立場で検討することがいよいよ避けがたいものになっておるのじゃないか、こう思うわけです。はたしてこの改正案が国民の生活安定と地方自治体の期待にこたえるものになっているかどうか。私どもは、ほんとうにこたえていくためには大企業のわがままを押えていく、そういう抜本的な政策をとらぬ限りは、若干の手直しをやっても事態の解決にはならないだろう、こういうふうに考えております。この観点から、きょうは私は電気ガス税一本にしぼっていろいろ伺ってみたいと思っております。  最初に通産省に伺いたいのですが……。
  138. 伊能繁次郎

    伊能委員長 多田君に申し上げます。  資源エネルギー庁の中井業務課長が見えました。通産省の企業行動課長が追って見えるだろうと思いますが、さっそく催促します。
  139. 多田光雄

    ○多田委員 二時に入るように連絡したということですが、たいへんおくれておるわけです。それから、これは前回のたぶん本会議で問題になったことがあるので、委員長から一言通産省に注意していただきたいと思います。
  140. 伊能繁次郎

    伊能委員長 多田君、たいへん恐縮でございました。児玉君が見えたそうですから……。
  141. 多田光雄

    ○多田委員 最初に通産省に伺いたいんです。それは、電力用と電灯用の電気の消費量、それから料金の割合、これをひとつ説明してください。
  142. 中井富男

    ○中井説明員 お答え申し上げます。  電灯と産業用電力の消費量でございますが、量といたしまして電灯が二割、産業用が約八割というのが実績でございます。それから料金の割合でございますが、これにつきましては、電灯が電力に対して約二・三倍くらいの高さになっておるわけでございます。
  143. 多田光雄

    ○多田委員 量が二対八で、料金が一般家庭用のほうが二・三倍ということです。しかし、私がせんだって四日市市の三菱油化へ参りますと、ここでは三円八十銭なんです。そうしますともっと高いんですね。つまり、産業用といっても大企業もあれば小企業もあるということで、大企業の場合は三円八十銭、ですから四倍くらいになる、こういう違いなんです。  そこで、次に自治省に伺いますが、料金は大口用と小口用ではいま言ったような割合になるわけですが、電気税の産業用と一般用の税収、その割合、これを説明してくれませんか。
  144. 首藤堯

    首藤政府委員 四十九年度の電気税の収入見込みでは、産業用が三百八十七億、家庭用が六百四十八億、こう見込んでおりますので、産業用が三割七分、家庭用が六割二分、こういうかっこうになっております。
  145. 多田光雄

    ○多田委員 いまお聞きのとおり、電気の使用量が一般家庭のほうがはるかに小さくて、しかも収入が産業に比べて非常に大きい。これが日本の電気料金の体系なんですね。要するに、こうも言えるんです、日本の電気産業は、使用量は少ないけれども高い電気料を押しつけられている一般民需用、これからのもうけで電力産業の設備投資をしてきた、こう言っても過言でないような体系になっているわけですね。  そこで、これは通産省に伺いたいんですが、電力業界は石油値上がりによる赤字経営を理由にして電気料金の早期の大幅値上げに動いております。七〇%を要求しているというのも、これは新聞報道で出ておりますし、それから電力業者首脳部は、もう沈没だ、こういうように危機を強調して値上げの伏線を張っておる。この料金値上げ問題については、電気事業審議会で二十日答申ということで検討をされているというふうに聞いておりますが、電気業界の大幅な値上げ、これについて通産省として妥当と考えているのかどうなのか、これを伺いたいと思います。
  146. 中井富男

    ○中井説明員 お答え申し上げます。  現在の電気事業、特に四十八年上期におきます電気事業の経費でございますが、原重油のウエートが約二割強でございます。それが昨年の秋以来の石油の高騰によりまして下期には三割となり、さらに今後燃料費の大幅な増加を見込みますと、電力会社の経理状況は急速に悪化することが懸念されております。しかしながら、私どもまだ電気事業者から申請を受け取っておりませんし、物価の抑制が緊急課題になっております現状にかんがみまして、現段階では、電力会社に対しまして、より一そうの経営合理化等によりましてコストの上昇を吸収し、さらに料金体系を極力抑制するよう引き続き指導してまいるつもりでございます。
  147. 多田光雄

    ○多田委員 これを調べてきましたでしょうか。これは通産省にお願いするんですが、四十八年九月期の電力九社の総支出、これは私の調べでは一兆一千二十三億円ですが、このうち燃料費の割合はどのくらいになりますか。
  148. 中井富男

    ○中井説明員 お答え申し上げます。  燃料費の割合が大体二三%くらいでございます。
  149. 多田光雄

    ○多田委員 二三%くらいで、燃料費の金額にしますとこれは二千六百三十七億円ということになるわけですね。  そこでさらに伺いますが、中部電力の加藤社長が、中部電力の場合、家庭用は三〇%、それから産業用は一〇〇%の値上げになる、そして値上げしても来年さらに再値上げする考えを表明しています。これはもう新聞に出て御承知のとおりだろうと思う。ところがいま述べました燃料費の割合から、かりに原油が三倍になったとしても、これは新聞報道でも四七・八%の値上げで済むことになるわけです。たとえば東京電力の場合、同社の燃料の八〇%を占めるミナス原油はことし一月一日から一バーレル当たり十ドル八十セント、大幅な値上げをしたことになっていますが、それでも一昨年四月の三ドル七十三セントと比べてもまだ三倍にはなっていないのです。ところが、石油価格はいま急上昇しているが、昭和四十四年までは油は下がる一方だったわけです。それでも二十年間、一度も電気料金を値下げしたこともないわけです。  そこで聞きたいのですが、電力業界の内部留保、これは引当金それから納税充当金その他を含めて一体どのくらいになりますか。
  150. 中井富男

    ○中井説明員 ちょっといま調べておりますので、後ほどお答え申し上げたいと思います。
  151. 多田光雄

    ○多田委員 昨年の九月期の決算でも、東京電力の内部留保は二千百九十八億円です。関西と四国電力を除いた七社の合計で六千六百三十三億円、これだけの内部留保を持っているのです。それから関西、四国電力も、昨年三月期では、関西が千七百億円、それから四国電力は二百七十億円、これだけの内部留保を持っているわけですね。そしてこれに全然手をつけないで、昨年九月、関西と四国は電力料金の値上げをやったわけです。ですから、こうした膨大な内部留保を少なくとも三分の一取りくずせばこれはやっていけるはずだし、そのためにこそ内部留保をやっているんだ、こういうように私ども考えるわけです。  そこでちょっと伺いたいのですが、赤字の原因はいま油だ、こう言ったけれども、一体ほんとうに赤字の原因は油なんでしょうか。
  152. 中井富男

    ○中井説明員 私どもまだ電力会社からの申請を受けておりませんので、赤字の原因がどういうところにあるかということにつきまして詳細はまだ承知いたしておりませんが、最近の油の値上がりによりまして経理が苦しくなっておるという状況であろうかと思っております。
  153. 多田光雄

    ○多田委員 油の値上げが経理を圧迫するということを、私、否定しているわけじゃないのです。しかし、以前から電力会社はいろいろ危機を訴えてきていた。この根本は、先ほど言ったように大企業向けに対しては原価を割るような安い価格で売っているのです。四日市の三菱油化では、中電から買っているのが三円八十銭なんです。これはこの間私はあそこの幹部に会って直接聞いたことなんです。ところが民需用には十一円、十二円でございましょう。こういう料金体系が、赤字というならば、経営難というならば、その根本の問題なんです。ここにメスを入れないでいて、いま石油が上がったからと言われる。上がったのも、先ほど言ったようにコストその他の中に占める比率その他からいえば、必ずしもいま五〇%、六〇%上げるというだけのものではないのです。だから、本来であるならばこういうところにほんとうのメスを入れていかなければならない。  それからいま一つ伺いますが、電力会社のコスト、このコストについて詳細に発表できますか。
  154. 中井富男

    ○中井説明員 申請がございました場合には、申請の内容につきましては詳細、いろいろな方法で一般に周知していただくようにつとめております。
  155. 多田光雄

    ○多田委員 それでは申請があった場合には、そのコスト、その積算の基礎、これをひとつぜひ当委員会に出していただきたい、こう思うわけです。  そこで、それは自治省に伺いますが、今回の税法の改正案によりますと、電気税、これはガス税と分離したわけですが、免税点の引き上げによる免税対象世帯数の関係をひとつ説明してくれませんか。
  156. 首藤堯

    首藤政府委員 今回の免税点の引き上げにおきまして、現在想定をいたしております昭和四十九年の免税点以下の世帯数は九百三十四万戸程度、比率にして二七%程度であると考えております。これは四十八年度のそれが七百三十万戸余り、二二%でありましたのに比べて若干増加する、このように推計いたしております。
  157. 多田光雄

    ○多田委員 数字はそうなっていますね。それで三月十五日の私どもの林議員の質問、これは、石油の大幅値上げになった場合に、この免税点に該当する世帯数は減るということになるが、どういう処置をとるかというふうな質問に対して、ちょっとこれは正確じゃありませんけれども、政府の考えている免税点の世帯数の増加はこの予定ほどにはいかないかもしれないという意味のことを、たしかあなただったかな、お答えしていたように思うわけです。そこで、今度の免税点を引き上げた主たる目的、ねらいは何でしょうか。
  158. 首藤堯

    首藤政府委員 毎年電気税につきまして免税点をいろいろ検討いたしておりますが、その目的はもちろん、御承知のように、生活水準の向上に伴います電気の消費量の伸びでありますとかいろいろな状況を勘案をいたしまして、電気料金のいわば最低生活に必要な使用、こういうものについては課税をしないようにという趣旨で免税点を設けておるのであります。
  159. 多田光雄

    ○多田委員 そうなれば、かりに不幸にして電気料金が上がっていったという場合には、年度中であっても免税点その他、この限度額というようなものを検討されていく意思をお持ちかどうか、これを伺いたいと思います。
  160. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘のように、電気料が上がるという予測があるわけでありますけれども、いつごろどの程度、そしていろいろ会社がございますが、その状況がどうかといったようなことについて、いま一切私どもにはわかりかねるわけでございます。そこで、もし万一そのような値上げがありました場合には、免税点の趣旨が先ほど申し上げたとおりでございますので、今後そういった点も考慮しながら検討を重ねる、積極的に検討を進めていく、こういうようにやってまいりたいと思っております。
  161. 多田光雄

    ○多田委員 積極的に検討するということは、先ほどあなたのおっしゃったような趣旨の方向で、いろいろ見直しも含めてという意味ですか。
  162. 首藤堯

    首藤政府委員 そのとおりでございます。
  163. 多田光雄

    ○多田委員 自治省にお伺いします。  昨年十二月二十一日に税調の答申が出されましたけれども、その審議にあたって、自治省は電気ガス税についてどういう諮問をされ、そしてどういう意見を述べられたか、それを伺いたいと思います。
  164. 首藤堯

    首藤政府委員 当時諮問をしましたものをちょっと持っておりませんので正確を欠くかもしれませんが、家庭用電気における電気税の負担あり方、これをどう考えるかということ、それから産業用のものにつきまして、このあり方についてどう考えるかといったようなことを主題に諮問をいたしたように記憶をいたしております。
  165. 多田光雄

    ○多田委員 これも自治省です。  税調の答申が出される前後、いろいろ新聞に記事が出ておりましたが、その中で、電気ガス税の非課税品目のうち、コストの中に電気の占める割合が三〇%未満のものについては非課税品目からはずすと自治省が主張した、こういう記事も有力新聞に出ておりましたが、そういう主張をされたことがございますか。
  166. 首藤堯

    首藤政府委員 非課税品目のできるだけの整理ということは、私ども前々から申し上げておりますように念願でございますので、これを強く主張いたしました。その場合に、たとえばどの程度かといったような議論がありました際に、三〇%以上というようなことになれば、まさしく非常に大幅に原料として使っておる品目に該当するだろう、こういうような議論をしたことがございます。
  167. 多田光雄

    ○多田委員 それは諮問の際の意向として伝えたのではなくて、いろいろなケースをあげて諮問されたということですか。
  168. 首藤堯

    首藤政府委員 諮問そのものは、産業用の電気についての課税あり方といった、抽象的と申しますか、包括的な諮問でございますが、その間にいろいろ審議、議論がございました際に、私どもの考え方としてはできるだけシビアな立場をとりたい、こういう説明をいたしたわけでございます。
  169. 多田光雄

    ○多田委員 そのことはつまり、電気ガス税についてもう少し見通していきたい、つまり対象品目を減らすとか、あるいはまた市町村の税収を高めていくとか、あるいはまた対象品目の中で不合理なものは改めていく、これは現実に何点かやってきておりますが、そういうことも含めて、そういう前向きの方向で諮問されたわけですか。
  170. 首藤堯

    首藤政府委員 私どもの従来からの考え方は全く御指摘のとおりでございます。
  171. 多田光雄

    ○多田委員 それでは、これも自治省にお伺いします。  電気ガス税の非課税品目の数、これと、最近五年間の非課税による地方自治体の減収分、これは幾らになるか、これをひとつ説明していただきたいと思います。
  172. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいまの非課税品目は百二十九品目でございます。  最近五カ年間を申し上げますと、昭和四十四年度が三百十八億、四十五年度は四百七十億、四十六年度は五百三十九億、四十七年度は五百五十六億、四十八年度は五百二十四億、このように考えております。
  173. 多田光雄

    ○多田委員 ともかく企業に対する電気税の非課税部分が年間五百億に達する、これだけがいわばまけられているということになるわけですね。  そこで、これも自治省にお伺いしたいのですが、今回の改正で電気税とガス税に分離されますね。それで電気税について非課税となる対象品目、これが圧倒的だろうと思いますが、これは幾らか。それからまた昭和四十八年度見込み五百二十四億の中で、ガスの非課税分の金額は幾らになりますか。
  174. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま申し上げました数字は電気につきましての産業用非課税でございます。ガスの場合は、用途免税というものがございますが、これが約十一億ほどでございます。
  175. 多田光雄

    ○多田委員 これを見ても、電気ガス税とはいってもその圧倒的な部分が電気税である、かくあるものだということがはっきりしたわけです。  そこで、さらに自治省に伺いますが、現在百二十九品目に達する電気ガス税の非課税対象品、これはいつからどういう理由で、またどういう方法できめられたのか、それをひとつ述べていただきたい。
  176. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいまの百二十九品目でございますが、年度別にいろいろ洗いがえをいたしておりますが、このような品目を選びましたのは昭和二十三年度からだったかと記憶いたしております。その趣旨は、重要産業資材等を製造いたしますのに電力料のコストが非常にたくさんかかっておる、こういう面については、いわば原料として電気を使う場合に、これに厳に課税をするということは適当ではないのではないか、こういった考え方から原料課税廃止するという考え方が当初のスタートでございます。  具体的には重要産業資材でございまして、その中で、ただいま製品コストの中に占めます電気料のウエートが五%をこえるもの、こういうかっこうで具体的な品目をセレクションをいたしておるわけでございます。これでセレクションをいたしましたものがただいま申し上げた百二十九品目、このように現在相なっておるわけでございます。
  177. 多田光雄

    ○多田委員 これも自治省です。  三月十四日、ここで参考人を呼んだときに、荻田参考人も述べておりましたけれども、この電気ガス税の非課税について、昭和二十三年のときにきめた、重要産業育成の立場から設定したのだが、最近はだいぶ変わってきた、実情に合わなくなってきたという意味のことを参考人が述べていたように記憶していますが、今日、これら百二十九品目をなお電気税の非課税対象としておくことが適正と考えられるか、それともこれは改めていかなければならないと考えておられるか、この点ひとつ伺いたいと思います。
  178. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま申し上げましたように、この電気税の非課税品目のセレクションは、重要産業資材のうちで特にコスト中に占める電気の料金の比率が高いもの、つまり原料課税廃止する、こういう趣旨でスタートをいたしておるわけでございますから、ただいま現在では百二十九品目にも品目が多くなり、かつまたコストの五%以上というものを全部指定をしておるという点については、私どもも、前々申し上げておりますようにいささか批判的であるわけでございます。もう少しほんとうの原料課税といった程度に電気料の占めますウエートが高いもの、こういうものに対して重点的に行なっていくべきではないか、こういう考え方も持っておるわけでございまして、そのような線から昨年もいろいろ主張いたしましたし、また通産省等とも御相談をいたしておる次第でございます。
  179. 多田光雄

    ○多田委員 批判的だということは、これはあなたもそうだし、それから私もそうです。そしてまたおそらくそういう諮問をされたのだろうと思うのだけれども、その諮問が税調で通らなかった。税調のあのメンバーを見ればなかなかこれはむずかしいんだなあというふうに思いますが、いずれにしてもこれは現状では必ずしも適切でないというふうに私どもも考えております。  そこで、これは通産省に聞きますが、重要基礎資材、これの概念は一体どういうものですか。
  180. 児玉幸治

    ○児玉説明員 お答え申し上げます。  基幹産業というふうに私ども申しておりますが、それは重要な基礎資材を生産する産業ということでございまして、いわゆる原材料部門の商品の製造を担当する産業というふうに考えております。
  181. 多田光雄

    ○多田委員 これはあとで聞きますけれども、ともかくこの基礎資材の概念がぐんぐん広がってきているのです。これは政府資料を見ますと、二十三年度にきめたころには十八品目くらいしがなかったのですね。それからそのうち、二十二品目ははずされたけれども、ふえて、今日百二十九品目になっているわけです。しかも、この非課税対象になっている品目を生産している企業というのはほとんどがもう大企業です。大企業というか、いわば巨大企業なんです。  時間の関係で私のほうから一方的に言って恐縮ですけれども、昭和三十七年に石油業法がつくられた。そして石油はこの年から非課税対象になったのです。そしてまたこの年は旧全総の決定されたときです。こうして、いえば課税対象が基礎資材という名のもとで非常にその概念が広められて、むしろ政策的にきめられてくる。そして、このもとで六〇年代にかけての高度経済成長の土台をつくってきたのです。最近の品物、これはほとんど大半は油関係のものです。これは時間がないから一々申し上げませんけれども、こういう状況なんですね。  そこで、もう少し立ち入って伺いたいと思います。これも通産省、自治省に聞きたいのですが、まず通産省に。  先ほど五%条項ということを言われたわけですけれども、昭和三十七年、通産省の企業局長と自治省の税務局長、この間に覚え書きがつくられておりますね。これは電気ガス税に関する覚え書きです。この覚え書きによると、コストの中で電力使用がおおむね五%以上の品目を非課税にするとしている。これはいまおっしゃったとおりです。それで自治省資料によりますと、五%から一〇%未満の非課税品目は八十二種類あるわけです。これらの品目の中で電力がコスト中に占める割合、これをひとつ正確に言ってください。どの品目は何割、コストの中で電気が占めているか、それを述べていただきたいと思います。これは通産省、それから自治省、両方に伺います。
  182. 児玉幸治

    ○児玉説明員 五%から一〇%の間、八十二品目という点、自治省のほうから資料が出ているのかと思いますが、私ども通産省の立場は、こういうような基準で自治省のほうにいろいろお願いをいたしまして、しその後、実際に製品のコスト中の電力のコストがどういうふうになっているかという点につきまして、業界に依頼いたしまして任意で調査をときどきいたしているわけでございまして、全品目、どの品目について何%になっているかという点につきましては、私どもも十分に把握をいたしておりませんし、また任意の調査の結果につきましては御容赦いただきたいと思います。
  183. 多田光雄

    ○多田委員 非課税か非課税でないかを検討する主要なものさしになるコストの中での電気料金の占める比率、肝心の通産省はこれを企業まかせにしているし、知っていないと言う、しかもその発表はかんべんしてくださいと言う。かんべんするかしないかは別にして、つかんでいるのかどうなのか、それをもう一度言ってください。
  184. 児玉幸治

    ○児玉説明員 網羅的ではございませんが、サンプル的には把握をいたしております。
  185. 多田光雄

    ○多田委員 そのサンプルを言ってください。
  186. 児玉幸治

    ○児玉説明員 それは任意の調査でございますので御容赦いただきたいというふうに申し上げたわけでございます。
  187. 多田光雄

    ○多田委員 自治省はそれをどうごらんになっていますか。いま通産省は、課税かあるいは非課税にするかどうか、しかもそれは五百二十四億という膨大な非課税額です。それは五%以上電力がコストに占める場合というんだが、その五%について、五%から一〇%の品目がどれだけ占めるかと言ったところが、知らないと言う。しかもその任意の何点かの問題についてはかんべんしてくれ、こう言う。これは自治省課税あるいは非課税の根拠をどういうふうに押えておられるのですか。
  188. 首藤堯

    首藤政府委員 私どもといたしましては、毎年通産省とも十分協議をするわけでございますが、各種の実態調査、それからそのほか各種の指定統計等、電気事業統計等の資料がございますが、そういったものに基づきまして五%に達しておるかどうか、以上であるかどうかというチェックを行なっておる次第でございます。
  189. 多田光雄

    ○多田委員 通産省に聞くけれども、ポリエチレンは何%ぐらい占めていますか。それからポリプロピレン、これはどれくらいを占めていますか、あなたの資料で。
  190. 児玉幸治

    ○児玉説明員 お答え申し上げます。  ポリエチレンにつきましては九・二%、ポリプロピレンにつきましては七・〇%というふうになっております。
  191. 多田光雄

    ○多田委員 それはいつのデータに基づいてそれを算定していますか。
  192. 児玉幸治

    ○児玉説明員 昭和四十五年度の実績でございます。
  193. 多田光雄

    ○多田委員 いま自治省は、毎年打ち合わせしてやっていると言っている。昭和四十五年といえば四年前です。四年前のデータに基づいていまでも五%以上だろうというふうに判断してかけておられるのですよ。  私は一つ例をあげますけれども、これは昭和四十七年三月十七日の衆議院の地方行政委員会で、私どもの林議員が当時の渡海国務大臣に電気ガス税について質問しているのです。それに対してそのとき大臣はこう答えているのです。「したがいまして、この基準だけは厳正に守り抜く。毎年毎年洗いがえをやるという姿で守り抜いていきたい。」こう言っているんです。当然のことです。一般の家庭には大企業の三倍から四倍の電気料金を払わせている。そうして大企業に対してはいま言ったように非課税という特権を与えている。ところが、その非課税の基準が五%といいながら、その基礎の算定が四年前のものでやっている。今日の企業は激しい競争の中で、コストの中で一銭でも二銭でもその経費を安くしていこう、そうしてそれこそ死にもの狂いになって機械を更新し、合理化していっているんです。五年間待てますか。毎年やっているんですか。これは通産省、それから自治省に聞きます。つまり、毎年見直しをやっているのかどうなのかということです。
  194. 首藤堯

    首藤政府委員 私どもといたしましては、御指摘のように電力コスト率の数値は毎年毎年洗い直していきたい、こういうことでございます。しかし、調査といたしましては非常に技術的な要素を含んでおりますので、正直なところ、私どもとして完全に技術的にこの事務量にたえるというわけにまいりかねる分野もございますので、その後の生産関係とか製造方法とかについて特に変動があったものについては、これは通産にもよく詰めるわけでございますが、そうでないものについては、通産省とも協議の上、従来の比率をそのまま踏襲をする、こういうものもあるわけでございます。
  195. 多田光雄

    ○多田委員 通産省はそれを毎年見直しをしていますか。
  196. 児玉幸治

    ○児玉説明員 先ほど申し上げましたようなサンプル的なものでございますが、毎年見直しはいたしております。
  197. 多田光雄

    ○多田委員 そのサンプルの典型のポリエチレン、ポリプロピレン、これが昭和四十五年のデータでやっているというんじゃありませんか。それでどうして毎年見直しをしたことになるのでしょう。普通の勤労者の家では、千円上がってもびた一文欠かせない税金がかけられているのです。(発言する者あり)委員長、注意してください。
  198. 伊能繁次郎

    伊能委員長 静粛に願います。
  199. 多田光雄

    ○多田委員 ところが、大企業に対しては課税ではなくして非課税にする。このことをたいへんあいまいにしている。だからこそ政府と業界とは癒着しているんじゃないかという、こういう問題さえ提起されるのです。  それからもう一つ伺います。昭和二十三年にこの非課税品目がきめられて、あれから見ると原材料、労務費、これはもうたいへんな上がり方です。他方電力は昭和三十年以来変わっていないんです。当然コスト中の比重は大きく下がっているはずですけれども、こういう点も調べていますか。これは通産省とそれから自治省から伺いたい。
  200. 児玉幸治

    ○児玉説明員 先ほども申し上げましたサンプル調査の場合には、そういうような変動要因をも十分注意しながら調査をいたしております。
  201. 多田光雄

    ○多田委員 自治省、どうですか。
  202. 山下稔

    ○山下政府委員 先ほどお答えいたしましたように、通産省と資料を相互に突き合わせながら検討いたしておりますので、御指摘のような面もコストとしては考慮のうちに入っていることになると思います。
  203. 多田光雄

    ○多田委員 突き合わせていることを私は否定しないけれども、先ほどからも繰り返し言っていますが、突き合わしている資料が四年前のものでやっている。それが適正かどうかということはもうだれでもわかることなんです。  私はせんだって四日市に行って、この問題、詳細に調べたんです。たとえば四日市の三菱油化、ここで私は幹部にも会いました。今日電気料がどれだけの比重を占めているか。もちろん言いませんでした。しかし、市の当局でももう五%を割っているのではないかという疑問を持っているのです。当然なことです。電気料は二十年間据え置きで、資材、労務費が非常に高騰しているのですから、この二十年間、倍や三倍じゃきかないのです。この事実を見ても、皆さんの洗い直しというものが一体どういうものなのか、これが私ははっきりしてくると思う。確かに、いまの石油化学だけではなくて、近代工業は非常に複雑です。相当の技術と、それ以上にもっと勇気の要ることです。企業のやり方を押えて、ほんとうに点検するということは勇気の要ることです。私は、いまの質問のやりとりを見ていても、そういう勇気をお持ち合わせじゃない。そうしてほんとうにそれを厳正に調べるという、そういう立場でもないということがはっきりしたのです。自治省、どうでしょう、これでもなお電気税について、先ほどあなたは批判的だという前向きのようなお話をされたけれども、真剣になってこれを見直すという、そういうお考えになるかどうか、これをもう一度念のために伺いたい。
  204. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほどから申し上げておりますように、電気税の非課税措置の本来の趣旨に照らしまして、私どもとしては、このコストが五%以下のものというものになりますと、これは非課税品目からはずしていくという立場は厳然としてとっておるつもりでございますし、またいろいろ不備な点はございましょうが、今後ともそういった洗いがえはあくまで貫いていくという態度は持ち続けていくつもりでございます。
  205. 林百郎

    ○林(百)委員 ちょっと関連。  通産省にお尋ねしますが、いま多田議員も尋ねたのですが、そのサンプル調査というのは昭和四十五年以後はやっていないのですか。それはいま言ったように、労賃だとか資材費だとかいろいろの要因がずっと変わってきておりますから、その中に占める電気料あるいは電気の必要な費用の比率というのは変わっているはずですがね。四十五年以後全然調査していないというのはおかしいんじゃないですか。そこをもう一度はっきりさしてください。
  206. 児玉幸治

    ○児玉説明員 これの全品目にわたります網羅的な調査というものは実はたいへんな作業なのでございまして、そういうものは四十五年にたいへん大規模に調査は実施されました。その後、では何にもしないでいるのかということでございますと、やはり品物によりましては常時見直しをしていかなければならないものもございますので、そういう変動の予想されるようなものにつきましては、できるだけ私どもで問題意識のあるものを拾い上げましてサンプル的な調査はいたしております。
  207. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、先ほど多田議員の質問されましたポリエチレンとポリプロピレンですか、これはやっていないのでしょうか。
  208. 児玉幸治

    ○児玉説明員 これはいろいろ御意見もございましょうが、四十五年から八年ぐらいまでの間は、確かにその賃金の問題もございますが、先ほど御紹介がございましたように、八%とか七%とかというコストの水準で電気料金が推移いたしておりますし、技術的にも特に大きな変化があったわけでもないということでございまして、格別には調査の対象にいたしておりません。
  209. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、自治省としては、毎年洗い直すと言われたけれども、通産省のほうから四十五年以後はたいした変わりがないということがあれば、それはそのままにして非課税品目の中に入れている、こういうことになるわけですか。
  210. 首藤堯

    首藤政府委員 私どもといたしましても、一々、変わっていないか、変わっていないかという念を押して、資料等を見せてもらって調査をするわけでございますが、非常に科学的な、事務量の要る問題でございますので、特にあまり大きな変動がないという御説明であれば、正直なところ、そうかなということよりほかに扱いようがなかったということであります。
  211. 林百郎

    ○林(百)委員 それではこれで終わりますが、通産省、先ほども言いましたように、地方財源としては、重要な財源が約五百億もこれで減税になっているわけですね。したがって、自治体としては重大な関心を持っているものであって、通産省はどういう観点でそんな四十五年で、あとはたいした変わりがないというようなことでサンプル調査をしないか知りませんけれども、これは地方財政にとっては大きなファクターになりますので、やはり毎年毎年調べられまして、そうして自治省に正確な資料を出して、もう五%以下になった場合は非課税品目からはずすものははずすとか、そういう出入りがあっていいと思います。もう少し正確に調べられて、そうして、いま窮迫している地方自治体の財政的な資源にこたえるような努力をしてもらいたい。いま質疑を聞いていてつくづくそう思うのですけれども……。  私の関連質問はこれで終わります。
  212. 児玉幸治

    ○児玉説明員 御趣旨を体しまして、自治省とも十分連絡をとりながら、今後できるだけ調査の範囲を広げていくようにいたしたいと思います。
  213. 多田光雄

    ○多田委員 もう一つちょっと通産省に伺いたいのですが、ナフサを熱分解して、そうして分離精製してできてくるものは一体何々ですか。
  214. 児玉幸治

    ○児玉説明員 たいへん技術的な御質問でございますので、私もしろうとでございますので自信はございませんが、化学関係の本によりますと、ナフサを分解いたしますと、エチレンとかプロピレン、ブタン、ブチレン、イソプレン等ができるということになっております。
  215. 多田光雄

    ○多田委員 いま、できたナフサからそれらの製品が出るわけですけれども、電力の使用量、これは一貫過程から出るわけですが、これを振り分けていると思うのですけれども、どういうような振り分け方をしていますか。たとえば全留分——全留分というのは、エチレン、プロピレン、それからブタン、ブチレン、そのほかトップガスその他が出るわけですけれども、全留分に振り分けているのか、それともエチレン、プロピレン、ブタジエンの三留分に振り分けているのか、その比率を言ってください。——わからなければわからないでいいですよ。
  216. 児玉幸治

    ○児玉説明員 ただいまちょっと正確にお答えできませんので、後ほど取り調べまして御返事申し上げたいと思います。
  217. 多田光雄

    ○多田委員 おそらくこれはたいへんなことだろうと思うのです。それは私もよくわかります。つまり、どれだけの電気を食ったかということは、これはたいへんなことなんです。ところが、そこまでどんどん電気の非課税分を広げていくから、もうどこにどれだけの電気を使うかわからなくなってきている。しかもそれらが非課税対象品目になっちゃっているのです。こういう意味でも、自治省、真剣にこれを洗い直していかないと、国民のほんとうに批判を受けねばならない、こう思わけです。  そこで次に移りたいと思うのですが、これは自治省に伺いますが、産業用の電力料金に課税する場合に、どのように調べてそのように課税するのか。これはいまいろいろお話があったのですが、これをひとつ伺いたいと思うのです。つまり、自主申告だとかいろいろありますね。これはどういう方法で課税しているのか、言ってください。
  218. 山下稔

    ○山下政府委員 電気税は御承知のように、一般的には電力会社から産業関係会社が購入する場合には、電力会社が特別徴収をして市町村に納入をするという仕組みになっております。それから自家発電に対する課税の分は申告によって、普通徴収によって課税をいたしております。
  219. 多田光雄

    ○多田委員 実は課税の徴収方法なんだが、これは私ども、四日市、それから千葉県の市原、千葉市その他を調べてみたのです。それを見ますと、千葉市の場合は企業が自主申告をするわけですね。こういう電気ガス税申告書、これに書いて市町村に申告するわけです。これは全く自主的にやるわけです。ところがそれを地方自治体がどうチェックするのか。これができないのですよ。それが正しい申告なのか、正しくない申告なのか、それがチェックできないのです。  たとえば千葉市についていいますと、税務の係長がひまになった八月に川鉄に行く。年に一度行くだけだというのです。この係長は事務系統なんです。ほとんど事務系統ですよ、どこへ行っても。電気の配線については全くのしろうとなんです。それからまたメーターについては直接見たことはない、非課税部分用のメーターがあるかどうか明らかでない、もうこまかい部分は企業まかせである、こう言っている。それから、これは市原の場合です。市原の場合は、御承知のとおり、あそこにもコンビナートその他がありますが、ここでも税務の担当官は技術者じゃありません。そして、丸善、出光、昭電その他のこの市原にある企業はすべて、非課税電力用とその他の電力用とは同じメーターで測定しているというのです。そして一定の比率で案分しているというのですね。出光はコンピューターでやっているから行っても全然わからない、こういう状況なんです。しかも、市原では非課税分が十億六千七百万あるのですよ。こういうふうな徴収方法がやられているのですが、これを一体自治省、御存じでしょうか。
  220. 山下稔

    ○山下政府委員 申告書のチェックにつきましては、たとえば、いま御指摘がありましたように課税分と非課税分と区別しなければならないような場合におきましては、メーターが分けてあれば問題がございませんが、ない場合には、製品あるいは機械設備の使用電気量、稼働状況等で推計をいたして区分をいたしておりますので、御指摘のように、専門的な知識のない市町村の職員がチェックする場合に、市町村独自の判断として十分な知識がない場合もあろうかと思います。この点については、申告をします企業の申告をまず信頼するしかないわけでありますが、できるだけ市町村職員にそういう事務に対する研究をしてもらいまして、チェックの正確を期してまいりたいと思っております。
  221. 多田光雄

    ○多田委員 企業を信頼するということですが、先ほど来の五%条項もそうなんです。つまり企業を信頼して、そして皆さんが十分な立ち入りやその他の調査もできない。すべてあちらまかせ、あなたまかせ、こういう状況になっているわけです。ですから問題は、むずかしい技術とか何かというだけじゃないと私は思うのです。これは、国会でも大企業の原価を明確にしろとか販売価格を明確にしろという追及をされましたけれども、ほんとうに政府がそこまで立ち入って見るというかまえがなければ、地方自治体には人の制限もありますし、できなくなってくる。だから、私どもが前から、国会に大企業のそういう中身をチェックできるような機関をつくれといっているのは、単に国会だけでもって調べるというだけじゃなくて、地方自治体自体が適正な課税や非課税措置をとれる、そういう条件をつくるためなんですよ。自治省として、それを企業まかせではなくして、もっと厳密に課税や非課税を調査する、そういうことについてどういう案をお持ちでしょうか。
  222. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘のように、徴税の実態としてはなかなかむずかしい問題がいろいろあるわけでございますが、私どもといたしましては、市町村の徴税職員のできるだけの研さんをお願いをして、そういった仕分けについて適正を期するように、また出かけていきました際も当を得た検査ができるように、しかも、そういったものを一市町村だけでというわけになかなかまいりませんものですから、たとえば自治大学等の研修そのほかの機会も通じまして研修をしていただく、こういったじみな努力を重ねるよりほかにしかたがない、またそのようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  223. 多田光雄

    ○多田委員 ちょっともう少し聞きたいのですが、自家発電用あるいはまた電力会社の集じん機、これは非課税対象になるのですか、それともどうですか。直接生産にかかわりはないものなんですが……。
  224. 山下稔

    ○山下政府委員 御指摘のように、自家発電者が発電のために直接使用する電気は非課税になっております。この点につきましては、実際の扱いといたしまして、直接的であるかどうかという判断を加えながら判定をするわけでございますが、集じん機等につきましては、実態をよく見てみなければわかりませんが、かつて発電を石炭でやっていたときの行政取り扱いといたしまして、そうしたものを非課税という扱いにした例もございます。これは申し上げるまでもなく、自家発電のための電気を非課税にするのは、二重課税になるという点もございまして、そういうことを考慮しながら判断を下してきているわけでございまして、実態をよく見て個々に判断をしなければならない問題であろうかと思いますが、先ほど申しましたように、石炭発電による集じん機を非課税扱いにしている取り扱いがございます。
  225. 多田光雄

    ○多田委員 どうも歯切れが悪いのだけれども、その前にちょっと通産省にお聞きしたい。総電力の中で工業用の自家発電、これはどれだけ占めますか。
  226. 中井富男

    ○中井説明員 お答え申し上げます。  約一五%程度であろうかと思っております。
  227. 多田光雄

    ○多田委員 私の手元資料を見ますと、自家発電ですが、かなり高い比重を占めているのですね。たとえば新日本製鉄の場合は、これは一九七一年度の例ですが、約三分の一、それから三菱化成は半分——一々あげていたら切りがありませんが、大企業の場合はいま自家発電をかなり大きくしてきているのです。場合によっては半分、三分の一。そこで、自家発電の集じん機、これはさっき御説明がありましたけれども、東京電力では全部これが非課税になっているのを御承知ですか。
  228. 山下稔

    ○山下政府委員 実はまだ実態について承知いたしておりません。調べました上でお答えさしていただきたいと思います。
  229. 多田光雄

    ○多田委員 電力の場合は公害問題も含めてやった、こう言っているのです。しかもこれは非課税になっているのだ。ところが、私の調べによれば、新日鉄の君津製鉄所、ここの自家発電も非課税になっているのです。それから川崎の場合は電力は非課税にしているけれども、その他の企業については課税しているのです。こういう食い違いがあるのです。つまり、自家発電というのは一つはこれは死角になっておるのですよ。しかも、先ほど言ったように、工業への総電力の中でいま一五%と言ったけれども、大企業の場合は三〇%、四〇%。これも私の行った四日市の三菱油化の場合は自家発電が半分なんです。約八万キロワットといっていました。つまり、電力会社から買う電力については非課税として、これを免除してもらう。自家発電についてはそういう集じん機その他についてもあいまいになっている。電力会社もそうです。  これをひとつぜひ調べて、委員長資料としてこれを出していただきたいと思うのです。つまり、自家発電の現状、それから特に集じん機を中心にして非課税課税、これをひとつ調べて出していただきたいと思います。  時間がだんだんなくなってきましたので、先へいきたいと思います。  次に、これは自治省にお伺いしますが、先ほどもらった資料で、国の租税特別措置による地方自治体へのはね返り、これも出ておりますが、地方税特別措置による減収額の中で、電気ガス税の非課税分による減収、これはどのぐらいの割合になるでしょうか。
  230. 首藤堯

    首藤政府委員 地方税特例措置の中で占めます比率は、ちょっと端数が正確でございませんが、約二割五分、こんな見当だと思います。
  231. 多田光雄

    ○多田委員 私の計算によれば四十八年度で二六・六%、これだけのものが非課税になっているわけです。  そこで私、これは自治省に伺いたいのですが、四日市市の、非課税対象になっている製品をつくっている企業と、その企業の非課税額、課税額、これを述べていただけますか。
  232. 首藤堯

    首藤政府委員 四日市の場合、四十八年度の見込み額でございますが、税の総額が九十二億余りございますが、その中で電気ガス税が五億七千万円程度、非課税の電気ガス税がおそらく六億四千万程度になるのではないかと考えております。
  233. 多田光雄

    ○多田委員 私、四十八年の資料をちょっと持っていないのですが、四十七年を見ますと、課税分が一億七千八百万、それから非課税分が五億七千八百八十万、昭和四十七年です。若干の食い違いがあるかもしれませんけれども……。  そこで、どういう企業が非課税対象になっているか。それからその各企業の非課税額、これをひとつ述べてください。
  234. 首藤堯

    首藤政府委員 四日市にあります非課税電力を使っておりますおもな会社でございますが、三菱油化、三菱化成工業でございますか、それから協和油化、日本合成ゴム、こういったたぐいの会社だと思います。会社ごとの金額はごかんべんをいただきたいと思います。
  235. 多田光雄

    ○多田委員 いまあなたが言われたほかに、私つけ加えましょう。味の素、石原産業、協和油化、クラレ油化、高純度シリコンその他等々、二十に近いのです。  そこで、いま企業ごとの金額はかんべんしてほしいということだったのですが、それはどういうわけですか。
  236. 首藤堯

    首藤政府委員 私ども、税に携わる者といたしましては、納税義務者の立場も考慮いたしまして、個々の会社ないしは個々の個人、こういうものの納税額についてはなるたけ公表しない、こういう立場をとっておるからでございます。
  237. 多田光雄

    ○多田委員 この間のここの委員会で、私どもの林議員の質問に対して、たとえば日本ターミナル企業の非課税分は幾らだと聞いたら、一千数百万と答えましたね。それから電子計算機、ここの非課税分、それからその企業名もあなた方は資料として出すと言った。四日市の分についてはどうしてお出しにならぬのでしょうか。それは、ある企業によっては出すけれども、ある企業によっては出さないということですか。それとも、ある議員には出すけれども、ある議員には出さないということですか。すでにやっているじゃありませんか。それを伺いたい。
  238. 首藤堯

    首藤政府委員 どちらでもございませんで、先ほど申し上げましたように、納税義務者の立場も考慮いたしまして、できるだけ個別な発表は差し控えたい、こういうことでございます。先ほど電子計算機のお話もございましたが、あのときも、全体の金額、それからおもな会社名、そういうものについて調べましてお答えを申し上げますと、このように申し上げたつもりでございます。
  239. 多田光雄

    ○多田委員 昨年来の狂乱物価、それからインフレ、そういう中で企業の代表が国会に呼ばれて、参考人ではあるけれども、いろいろ追及されてきている。そして、物価値上げの張本人がだれであるかということも国民の中に広く知れ渡ってきている。そして、原価をはっきりさせろとか、どれだけもうけているんだとか、そのもうけを吐き出せという声も大きな世論になってきている。そういう中で、過去、昭和二十三年来、二十数年にわたっていろいろな恩典を受けた大企業が実はこの狂乱物価を引き起こした張本人であるということもはっきりしてきた。ところがこれをささえたものは、いま言った電気ガス税を非課税にするとかあるいは固定資産税についてまけてやるとか、そういうさまざまな恩典によって蓄積をしてきたわけです。いまそれに対してメスを入れるということは国民の声なんです。家庭の個々の実情をここで発表してくれと言っているんじゃないのです。まさに大企業は公的なものになっているんですよ、あなた方が国から援助しているんだから。国から援助ということは、企業は国民に責任があるのです。私はそういう意味でも、政府が思い切って、せめて電気ガス税の非課税分、各社幾らかということぐらい発表する権利も義務もあると思う。そういう意味で、ここでもし発表できないのであれば、あとで資料としてでも出していただけるかどうか、それを伺いたい。
  240. 首藤堯

    首藤政府委員 私ども、税に携わります者の徴税上のいろいろの道義的な問題もございますので、個別の会社につきましての金額を出さしていただくことは御容赦をいただきたいと考えております。
  241. 多田光雄

    ○多田委員 それでは私のほうから言いましょう。四十七年度の私どもの調査によれば、先ほど言ったように四日市市で会社としては十六社、工場としては十八、全部超一流の会社です。ここの課税分が一億七千八百六十一万五千円、非課税分が、もう一度言いますが、五億七千八百八十六万三千円です。たとえば三菱油化の場合に、あそこの四日市に三工場ございますが、この課税分は六百一万八千円です。しかし非課税分は何と二億九千二百九十万に達するんですよ。まさに課税分の五十倍です。それから味の素、七百七十八万の課税分に対して百六十九万。これは一々言っていたら時間がありまんが、このことはこの間の四日市の市議会でもこれが追及されて、市の当局者も否定はしていないのです。私どもは四日市に行って工場の幹部にも会いました。先ほど言った五%の問題も含めて聞いたけれどもイエスともノーとも言わない。感触としては私どもの追及のほうが正しいと感じた。  こういうことは市民にどんどんわかっているのに、あなた方は課税された者の立場を守るということで発表なさらない。しかも、その課税された者というのは何なのか。まさに膨大な利益をあげてきて、そして今日、国民の血税でもっていろいろささえられてきて、当然国民にお返ししなければならない企業なんです。そういう政治姿勢だから、政府が財界と癒着しているのじゃないか、通産省はそうなっているのじゃないか、そういうふうに言われるのですよ。私は、せめてこのくらいのことはいま発表しないと、国民の政府や行政に対する不信感は一そう強まっていくだろう、こう思うのですね。  そこでもう一度ちょっとお伺いしますが、あなた方の論法でいけば、四日市市のこれらの企業の固定資産税の特別減免額、これについてどれくらいかおわかりになるでしょうか。わかったら教えてください。
  242. 山下稔

    ○山下政府委員 四十八年度の償却資産について申し上げますと、償却資産に対します課税総額が二十三億でございまして、それにかかる軽減額が三億七千八百万、一四%に当たっております。
  243. 多田光雄

    ○多田委員 先ほど言った四十七年の同市の電気ガス税の非課税分が五億七千万、それから償却資産の特例減免が、これも四十七年で一億五千万、それから、これは四十六年ですが、固定資産税の特例減免ですね、これが一億一千六百万、あの市で八億四千万です。もう少し立ち入って言いますと、三菱油化の場合、電気ガスの非課税分が四十七年は二億九千万、それから四十六年の固定資産税の特例減額が五千六十三万、締めて三億四千万、このほかに国の減免措置地方税による減免を加えればさらに巨大になることははっきりしているのです。   〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕  そこで自治省に伺いますけれども、三菱油化の場合、やみカルテルで公取の摘発を受けたのですが、この企業の四十七年、四十八年の決算状況について述べてください。
  244. 首藤堯

    首藤政府委員 ちょっとその点は自治省ではわかりかねます。
  245. 多田光雄

    ○多田委員 それではそれはよろしいです。ついでに私のほうから申し上げましょう。この石油化学業界のトップといわれる三菱油化の場合は、前の十二月決算期によるとその予想をはるかに越えて、経常利益は六十二億八千四百万です。そして前の六月期に比べてみますと、半年の間に二・一四倍、これだけの荒利益をあげているのです。そうしてこれに対してさらに、もうけ隠しといわれる有税償却九億三千万、それから退職引当金の有税引き当て六億五千万、これを加えると実際の経常利益は実に七十八億六千四百万、前期の比で二・七倍、こういう荒かせぎをしてきているのです。これだけの利益をあげてきている会社が、先ほど言った、四十七年度で三億近い電気ガス税の非課税という恩典を受けているのです。  私はもう一度自治省にお伺いしたいのはここであります。こういう内容がわかればわかるほど、電気ガス税の非課税分を撤廃していくということはいよいよ合理的で、しかも地方自治体の要望にこたえるものだ。なぜなら、地方自治体が知事会や市町村長会でこれを要望してきているのです。どうでしょうか。
  246. 首藤堯

    首藤政府委員 電気ガス税の非課税品目をなるたけ縮小していくという点につきましては、全く私も同意見でございまして、そのような方向で今後とも十分努力を重ねてまいりたいという点は前もお答えを申し上げたとおりでございます。
  247. 多田光雄

    ○多田委員 これは通産省に聞きますが、ともかくここ、昭和二十三年以来二十六年にわたってこういう非課税対象がされてきたわけだけれども、たとえば石油業界についていまでも電気税の非課税が必要だと思いますか。
  248. 児玉幸治

    ○児玉説明員 先ほどからの御議論で、電気ガス税を存置するという前提に立ちますとそういうことになるわけでございますが、実は通産省は昭和三十年代から一貫いたしまして、電気ガス税につきましては、国民生活基礎、産業活動の基礎をなすエネルギーに対する課税であるということで、できれば撤廃、すぐにできない場合には段階的にこれを廃止していただきたいという要望を毎年自治省にお願いしているわけでございまして、そういう意味合いでは、むしろいまの免税の品目をもとに戻すというのではなくて、国民生活関連のものも含めまして、あるいは現在課税されている産業も含めまして、自治体に急激なショックがないような方向でこういう税がだんだん解消していくことを強く希望している次第であります。
  249. 多田光雄

    ○多田委員 政府はいま、この石油危機を契機にして、総需要の抑制、そうして公共投資の抑制ということで、それが実際に地方自治体にいきますと学校、幼稚園、この建設さえ手控えるという状況が数多く出ていることは、当委員会における質問その他でもこれは明確になってきている。それから、この石油危機を前にして、そうして今度のまた大幅な値上げを契機にして、政府の中であらためてまた、省資源型の産業を振興しなくちゃならない、こういうこともいっている。一体これができるのだろうか。総需要の抑制がほんとうにできるのだろうか。それからまた省資源型の産業を立地さしていきたい、あるいは振興さしていきたいというけれども、これができるのだろうか、私は疑問なんです。   〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕  最近、油がなくなったというと、またぞろこの石油業界は強腰になってきている。鉄鋼の計画を見たっていささかも減らす方向じゃないですよ。  私はそういう意味で、真剣になって省資源型の産業を育成しようと思うのならば、これを単に口先で言うだけではなくて、税制の面でも思い切った措置を講じないと押えることはできないだろうと思うのです。そういう意味で、私はその第一歩として、本来であれば本年からも、これらの大企業に対する五百二十四億に及ぶこの非課税分を撤廃して押えていく、そういうことはだれが考えても常識として思いつくことではなかったのか、なぜそれができなかったのか、私は疑問なんです。五百二十四億といえば、知事会でいっている超過負担二千億のまさに四分の一なんです。四年間で解消して地方自治体に恩典を与えることができるのですよ。どうでしょうか、少なくともそういう、今日の政府がいっている方向から見ても私はそれが妥当な方向だと思うのですが、これは通産省、自治省の意見を伺いたいと思う。
  250. 児玉幸治

    ○児玉説明員 省エネルギーを進めるという点につきましては、全く先生の御意見に同感でございます。ただ、その省エネルギーの問題の進め方にはいろいろあるわけでございます。いずれにいたしましても、エネルギーというのは先ほども申し上げましたように、国民生活、産業活動の基本をなす財でございまして、こういうものにつきましては、ただいまのような高エネルギー時代におきましても、極力これが安い価格で大ぜいの人に供給されるようにするのがいいことは間違いないと思うわけでございます。そういう意味におきまして、省エネルギーのための施策はいろいろな形で講ずべきであるとは思いますけれども、省エネルギーのために、そのエネルギーの消費に対してあえて課税をするという形のものにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、通産省はそういうような税は不適当であるということで長年自治省のほうにお願いしておりますので、別な措置のほうがいいのではないかというように考えております。
  251. 首藤堯

    首藤政府委員 電気税の非課税措置をできるだけ縮小していくという点は私どもの日ごろの念願であり、また今後も努力をするところであるという点は申し上げたとおりであります。本年度も、実は最初に御指摘がありましたように、この点につきましての努力をいたしたのでございますが、主として、税制ができ上がりますころ非常に物価が高騰いたしまして、電気税の非課税措置の撤廃がそういった物価引き上げの動向に拍車をかけるのではないかといったような批判もございまして、ついに実現をいたしませんでしたことははなはだ残念に思っておる次第でございます。しかし、私どもとしては、こういった非課税はできるだけ縮小していくべきだという考え方は依然として持っておりますので、この点については今後とも努力をするつもりでございます。  なお、電気ガス税そのものにつきましての問題は、絶えず通産とも議論をするわけでございますが、私どもといたしましては、この電気ガス税は市町村税として非常に普遍的で、しかも適当な税目である。所得課税を補完するといった意味でもぜひいまの地方財政にはなくてはならぬ税金である、このように考えていることを付言申し上げたいと思う次第でございます。
  252. 多田光雄

    ○多田委員 最後に、いずれにしても、先ほど省資源、それから総需要の抑制と言いましたけれども、油を中心にしてもう異常な高度経済成長をやってきた。その矛盾がいま火を吹いてきているわけですよ。石炭を取りつぶし、そして日本の産業の動脈をあちらまかせにしてしまっている、そこからのほんとうの反省もなくして、またメジャーやその他の圧力でもって上げていく。二国間の取引にすらもメジャーはくちばしをいれてきているのです。そういうものを根本的に改めないで電気料金を上げる、あるいはまた石油を上げていく。この行く道はまた同じなんです。だから私どもは、抜本的に変える意味でも思い切った措置を講じなければならないという立場から言っているのです。これは冒頭述べたとおりです。  それから課税のしかたを見ても、五%条項といったってあいまいである。それからその徴収の方法も不十分である。一般庶民の税金の徴収とは違ったやり方なんです。だからそういう不当な非課税はもう撤廃したほうがよろしいということを私は強く主張したいわけです。そういう意味で、先ほど自治省も若干前向きの意見もございましたが、私は思い切ってそれを前進させて、そうして撤廃の方向に持っていくように再度またお願いしまして、私の質問を終わります。
  253. 伊能繁次郎

    伊能委員長 次回は、来たる二十二日金曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十五分散会