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1974-03-15 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月十五日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 村田敬次郎君    理事 佐藤 敬治君 理事 三谷 秀治君       愛野興一郎君    片岡 清一君       亀山 孝一君    住  栄作君       保岡 興治君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    多田 光雄君       林  百郎君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席政府委員         自治政務次官  古屋  亨君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君         自治大臣官房審         議官      山下  稔君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省税務局長 首藤  堯君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第三課長   西野 襄一君         運輸省港湾局参         事官      満所 清吾君         運輸省港湾局倉         庫課長     増田 信雄君         労働大臣官房統         計情報部情報解         析課長     塩田  晋君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 三月十四日  宅地に対する固定資産税課税方式改定に関す  る請願外四件(田中榮一紹介)(第二四九二  号)  交通相談士の業務、資格認定制度法制化に関す  る請願佐々木義武紹介)(第二四九三号)  自治体病院の振興に関する請願下平正一君紹  介)(第二五二六号)  電気に対する消費税撤廃に関する請願(長谷川  四郎君紹介)(第二六四四号)  地方財政悪化に伴う財政措置に関する請願(吉  田法晴紹介)(第二六六七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四〇号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。折小野良一君。
  3. 折小野良一

    折小野委員 地方税法の一部改正関連をいたしまして、若干の質問をいたします。  まず最初に、いわゆる三割自治といわれるようになりましてから、もうすでに年久しくたっておるわけでございます。これはいろいろな問題があるわけなんですが、それを端的にいいますと、地方団体自主財源が三割しかない、こういうことでございます。そのことばのとおりに、自治省調査の資料を見てみましても、地方団体が確保できる自主財源というもの、すなわち税収入というものはずっと三割の率を堅持して今日に至っております。そのほかの七割は国にいくわけでございますが、申し上げるまでもなく、実際の仕事の七割は地方団体がやって、そして三割しか国はやっていない。ということになってまいりますと、両方で三割ずつやるとして、あと四割というものが、これは財源調整という意味において、交付税もございますが、いわゆる補助金制度というような形において、主として公共事業中心に中央の統制あるいは支配というのが行なわれておる、こういうような制度であるわけでございます。  地方自治体という立場におきまして、地域住民福祉向上する、その仕事責任をもって遂行し、そしてそれを進めていくという立場におきまして、やはりそれに応ずる十分な財源がほしい。これはすべての団体がひとしく望むところでございます。これに対しましては、ただいま申し上げましたような国の基本的な制度がはばんでおる、こういうふうに申して差しつかえないのじゃないかというふうに考えます。こういう点につきましては、昨今の地方団体財政需要その他からいたしまして、地方財源をもっと確保すべきである、そういうような制度というものをつくり直すべきだ、考え直すべきだ、こういう意見が非常に多いのでございます。  これを実現するためには、何といってもその当事者である自治大臣以下、そのつもりになってやっていただかなければなかなか成果があがりません。国の立場においてもいろいろな立場がございます。従来のような制度のもとにおいて、地方団体を支配しあるいは統制したい、こういう意向もございますでしょう。あるいは国の立場において、国の財源をできるだけ取り込んでいきたいというような立場もございましょう。何といってもやはり自治省中心になって、地方団体考え方あるいは地方行政の今後のあり方、こういう立場で主張していただかなければならない、こういうふうに考えるわけでございます。自治省としてこういう問題についてどのように対処していこうというふうにお考えになっておりますのか、ひとつ政務次官の御意見をお伺いしたいと思います。
  4. 古屋亨

    古屋政府委員 ただいま折小野先生から、地方財源充実のために、いわゆる三割自治というものを改めて自主財源の大幅な拡充をはかるべきではないかという御意見、全く私も同感でありまして、地方行財政を担当するものといたしましては、特に最近住民福祉向上に対する住民要望も非常に増加しております。社会資本充実福祉施設の整備、あるいは福祉行政充実等財政需要は山積しておるのであります。しかし、こういうような住民要望に応じますための地方団体財源というのは、いまお話しのように必ずしも十分ではありません。特に自主財源であります地方税源は不十分でありますので、自治省といたしましても、地方団体自主財源、特に都市財源充実のために努力をいたしておるのでございまして、昭和四十九年度におきましても、御承知のように、市町村民税法人税割及び自動車取得税税率引き上げ等充実強化のための措置を講ずることにしておりますが、なお、この法案を出す前の過程におきましても、地方財源の問題で話し合いが最後まで、もう一歩のところでまとまらなかった問題もありますことは御承知のとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましては関係各省とも十分連絡いたしますと同時に、国、地方、特に県、市町村財源配分につきましては、ただいま申し上げましたような線を中心にいたしまして、自主財源を強化してまいるように今後一そう積極的に努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、財源の問題に関連いたしましては、お話しのような国の補助金が非常に率が低いだとか、下水道のように若干上げたものがありますけれども、最近の物価騰貴状況等から見ますると、そういう関係最後には超過負担の問題が起こってくるというような問題も御承知のとおりでありますので、今後地方自治体自主財源の増加につきましては、ただいまのお話しの線も十分尊重いたしまして、私ども前向きに積極的に進めてまいる決意でございます。
  5. 折小野良一

    折小野委員 政務次官のただいまの御答弁、よくわかります。そしてまた自治省もいろいろな面で努力をしておいでになることは私ども認めます。  しかしながら、現在の自治省がこれまでの自治省考え方範囲で幾ら努力していただきましても、もうおのずから限度があるわけでございます。今度の税法改正におきまして地方財源を確保するために、たとえば住民税法人税割税率引き上げるとかいうことで努力をしていただきまして、そしてそれはそれなりの効果があがっておるわけでございます。しかし、それはあくまでも従来の自治省ワク内における努力でございます。私が申し上げる国全体の財源の再配分というところまではまいらないわけであります。といたしますと、いつまでたっても現在のような補助金制度、そしてまたそれに伴う超過負担、こういうようないろいろな問題というのはなくなってまいりません。そしてまた、この補助金制度に伴います国と地方とのお互いの不信感、こういうものもいつまでたってもなくなっていないわけでございます。  私、前に、地方と国との不信感、こういうものが行政の進展に非常に大きな阻害要因になっておるのじゃないか、こういうことをちょっと申し上げたことがあるわけでございますけれども、いずれにしてもそのような問題のいわば諸悪の根源というものは、現在のような財源配分あり方、そういう国の制度、そこにあるのだというふうに考えます。ですから、この点は自治省がひとつそのワクを越えていただいて、国の全体の制度の中における地方税、国の全体の財源の中における地方財源、税のすべての中において地方財源というものはどれだけ取り込んでいけるか、こういうような面からひとつ検討をしていただかなければならないというふうに考えます。  先ほどの次官の御答弁は了承いたしますが、さらにその上に、ただいま申し上げるような立場に立って一そうの御努力お願いしたいと思いますが、いかがお考えでございましょうか。
  6. 古屋亨

    古屋政府委員 いまのお話、やはり国全体としての財源の中で地方財源充実する。特に最近地方財政需要というものは増加してまいっております。住民福祉向上のためにも、国全体のワクの中でいかにして地方財源を強化するか、自主財源を強化するか。国、地方を通ずるいろいろな問題がございます。自治省としてのワクの中ではなくて、国全体の財源ワクの中でいかにして地方財源自主財源を強化するか、こういう点に向かいまして一そう真剣に努力いたしまして、地方自治体の御要望にこたえたいと思っております。
  7. 折小野良一

    折小野委員 その点につきましては、政務次官お願いするのも当然でございますが、また同時に、大臣は閣僚という立場にあられるわけでございますので、ひとつ大臣にもほんとうにその気持になっていただきまして、自治省あげてそういう立場でひとつ御努力お願いいたしたいと考えております。  これに関連をいたしまして、実は国全体の財源の再配分ということは、やはり国と地方を通ずる事務の再配分という問題にもつながってまいるわけでございます。かってこういう面についての関心がいろいろと高まっておりまして、国において、事務配分についてのいろいろな検討もなされたように承知をいたしております。ところがそれがいつの間にやら消えてしまって今日に至っておるというのが実情でございますけれども、こういう面については今後さらに自治省といたしまして具体的に検討を進めていくというお考えはございませんか。
  8. 古屋亨

    古屋政府委員 ただいまの問題はおそらく、一言で言いますと事務行政改革面の問題にも関連する問題であると思います。結局、いままでの実態を見ますると、御承知のように県あるいは国、国の中にも各省がありまして、その関係が、たとえば地方事務官制問題一つにいたしましても、自治省としては努力しておるところでございますが、まだまだ関係各省とのいろいろの意見でこまかい点でまとまりができない。私どもも何とか早くこれを取りまとめたいと思っておるのでありますが、一つそれだけで見ましてもなかなか進んでいない。やはりどうしてもこういう問題につきましては、自治省はもちろん積極的に当たるべき態度は当然でございますが、関係各省にどうしてこちらのことを理解させるか、この熱意ももう少し自治省も持っていかなければならぬと思うのであります。臨時行政調査会改革意見やあるいは地方制度調査会の答申などを尊重しながら、同時に、この変転してまいります社会情勢の推移に伴いまする行政需要の変化に即応した合理的な行政というものをどうしても確保しなければならぬのでございまして、結局これは私ども事務的ベースはもとより、政治的にも、大臣ともよく話し合いまして、国家的問題として一そう積極的に、地方自治充実ということをあくまで基本といたしまして施策を推進してまいるように一そう積極的に努力してまいる決意でございます。
  9. 折小野良一

    折小野委員 個々改革もたいへん必要でございますが、しかし、それにはやはり大きな立場からの一つの目標を置いた努力の積み上げというのが大切であろうかと考えております。そういうような意味におきまして、ひとつこの際、国と地方を通ずる制度の抜本的な改革を実現するために一うの御尽力をお願いをいたしたいと思います。  今度は、今回の地方税法改正個々の問題につきまして、具体的にいろいろとお尋ねをしてまいりたいと思っております。  その中で一つ、現在東京都が実施をしようということでいろいろ問題になっております事業税でございます。この事業税制度を見てまいりますといろいろの問題があるわけでございますが、事業税の場合には標準税率というのがきめられております。ところが、多少似たような性格を持っております住民税法人税割におきましては、標準税率のほかに制限税率というものがございます。こういうふうに税によってあり方が違うということは、そこには何らか意図するところがあるんじゃなかろうかというふうに考えます。特にこの事業税の場合と法人税割の場合とでそういうような規定あり方の違っておる理由、それはどういうところにあるのでしょうか。
  10. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘がございましたように、標準税率のあります税目の中で特に制限税率規定をいたしておりますものと、その規定がないものとがあるわけでございます。原則的に申しますと、標準税率をとっております制度の中で、標準税率超過課税を行ない得るというたてまえにありますものの中にも、市町村の税という形のものにつきましては制限税率制度が設けられている、このようにお考えいただいてよろしいのではないかと考えております。と申しますのは、市町村は非常に数も多く、千差万別でございますので、標準税率超過課税をやることはもちろんよろしゅうございますけれども、それがあまり極端な変動をするということでは、全国的な負担あり方からいかがということで制限税率が設けられているものだと考えております。したがいまして、法人税割につきましては市町村が主体でございますので、それとの関係制限税率が設けられておるわけでございます。  都道府県の場合の事業税につきましては、もちろん標準税率制度をとっておりますけれども都道府県の場合は数も少のうございますし、標準税率超過課税を行なうにしてもそれほど極端な事例はないものというような想定のもとに、設けられていない。そのかわり全般的な調整等を要する問題がございますので、この税については届け出制度がしかれておる、このように私どもは了解をいたしております。
  11. 折小野良一

    折小野委員 ただいまの御説明を裏返しにしますと、こういうふうに解釈をしてよろしいのですか。法人税割の場合には、制限税率までの範囲内においては特別な理由がなくとも——なくともというふうに言い切るわけにはいけないかもしれませんが、それほど特別な理由がなくとも制限税率まで取っていいんだ。しかしそれがない事業税については、地方税法の第六条ですか、不均一課税規定で、一定の要件があった場合に不均一課税ができるんだ、こういうふうに解釈をしてよろしいのですか。
  12. 首藤堯

    首藤政府委員 標準税率超過課税が行ない得ます場合は、特別の財政上の必要があるということは全体を通じた要件でございますので、この点は、それだけの増収を行なう必要がある、それはかくかくしかじかのためにその必要がある、こういうことは全般を通じて厳格に解すべき問題であろうと考えております。都道府県の場合に制限税率がないということは、そこで市町村と特別の財政需要上の問題について区別をしているという意味ではございませんで、都道府県の場合には数も少のうございますし、超過課税をやるにしてもそれほど非常にアンバランスなと申しますか、でこぼこの大きい措置をとることはまずないだろう。もしあるにいたしましても、届け出制度等がございますから、その場合によく相談をすれば平穏な事態に戻るのではないか、こういうような考え方ではなかろうかと考えております。
  13. 折小野良一

    折小野委員 ところで、東京都の場合は事業税を二%引き上げるということのように聞いております。同じような性格都道府県住民税割、法人税割があるわけでございますが、東京都の場合、法人税割制限税率一ぱいに取ることをしないで事業税を二%引き上げようとした理由はどういうところにあるというふうにお考えになっておりますでしょうか。あるいはどういうふうに御調査になっておるのでございましょうか。
  14. 首藤堯

    首藤政府委員 東京都のほうがどうして法人事業税について超過課税を行なうようにしたのかという点につきましては、いろいろ事務的には聞いてみましたが、必ずしも理由は私どもはっきりいたしておりません。一般的には、法人税割のほうは今度の税制改正制度的に上げてもらったので、そっちは手をつけずにこっちにいったという程度の話しか聞いておりませんので、ほんとう理由は実は判明をいたしておりません。
  15. 折小野良一

    折小野委員 これは申し上げるまでもないのですが、住民税法人税割の場合ですとその段階でおさまるわけなんですが、事業税をいじるということになってまいりますと、これは法人税影響をし、したがってその下にあります住民税法人税割に当然波及をするというふうに考えるわけなんです。東京都が二%ということですが、二%事業税が上げられる場合に、特に市町村法人税割にどの程度影響をするというふうにお考えになっておりますか。
  16. 首藤堯

    首藤政府委員 東京都の今回の標準税率超過課税が平年度で五百億といわれておりますので、その五百億という金額を前提にして考えてみますと、この五百億の超過課税がまず第一に国の法人税影響を及ぼします。これはこまかな計算をして、配当をどのくらい行なうかで違ってまいりますが、大体留保所得影響があると思いますので、留保所得の場合の計算をいたしますと、この五百億の増収に対します法人税減収が、税率が四〇%でございますので二百億影響するという計算に相なります。したがいまして、この二百億が、まず第一に地方団体に及ぼす影響としてはその三二%分六十四億、これが地方交付税で全国的に減少するという事態が生じてくるわけでございます。それから第二は法人税割でございますが、市町村分法人税割といたしましては、この二百億の法人税減少分の一二・一%が減少いたすことになりますので、二十四億円市町村分法人税割が減少する、こういうことに相なると思います。
  17. 折小野良一

    折小野委員 事業税引き上げが、その団体だけの責任において事がおさまるということならば別にそれほど大きな問題はなかろうかと思いますが、その団体特殊事情があって、その特殊事情を処理するためにその団体責任において財源を確保する、こういうことでございましょうが、しかしただいま申し上げましたように、事業税の場合はほかのほうにいろいろの影響が出てくるわけですね。大きい団体である国はまあまあいいとしましても、特に市町村に対する影響というのが大なり小なりあるわけなんです。ですからこの面については、これは東京都自身も当然そうだと思いますが、何らかやはり考えなければいけない、ほっておいていい問題じゃ必ずしもないと私は考えるわけなんです。その点については、東京都の審議の途中でございますから、そういう面をどうされておるのか、あるいはどうしようとされておるのか、これはわかりませんが、もしそういう点が考えられないで二%の超過課税ということになったといたしました場合に、そういう問題について自治省はどういうふうに対処されますか。
  18. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御説明申し上げましたような影響市町村にも出るわけでございまして、したがいまして、法人事業税超過課税を行なうことは、一方では地方団体自主性という意味で許されてはおるわけでございますけれども、よくよくの理由がなければなかなか困った問題である、このように考えておる次第でございます。
  19. 折小野良一

    折小野委員 困った問題だということは一つの批判でございまして、それは御自由だと思いますけれども、しかし、それによって現実関係市町村の税収というのが減るわけなんですよ。それを困った問題だでほっておいていいのかという問題です。市町村によって、あるいは大きいあるいは小さい、いろいろな影響がありますでしょう。影響があるから、少なくもその分だけある程度減収になる、これはもうはっきりしているわけなんです。それは関係市町村がそれでもいいんだというふうに納得すれば別でしょうが、やはりこれに対しては何らかの指導という面があっていいんじゃありませんか。もしそういう面に対する配慮がなかったということでありますならば、場合によっては東京都に対して、こういう面に対してはこうしなさいというような指導もあるいはあっていいかもしれませんし、あるいはその他の方法で何とかそういう面を考慮するということも必要になってくる場合もないとはいえないと思います。そういう具体的な配慮についてどういうふうにお考えになっているかということをお聞きしたいわけです。
  20. 首藤堯

    首藤政府委員 東京都におきますこの超過課税の問題はただいま議会で審議中でございますので、前々から申し上げておりますように、特別な財政需要というものをどう考えて対処をしようとしておるのか、それから不均一課税あり方について特に一部のねらい撃ちにならないようなかっこうがとれるのかどうか、それからただいま御指摘がございましたような市町村に対する影響も含めまして、都下全般と申しますか、市町村も含めた全般のコンセンサスがはたして成立をするのかどうか、その点について十分慎重に配慮して事柄を行なうべきである、こういう一般的なアドバイスをいたしております。ただ、これはまだ成立をいたしておりませんが、条例が通りましたあと、もし成立をいたしまして実施になるという段階になりますればまた正式な届け出もあろうかと思いますので、その際に考え方をなおこまかにただしまして、それに対応する措置等を要すればまたいろいろアドバイスもいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  21. 折小野良一

    折小野委員 具体的にひとついろいろと御配慮いただきたいと思います。特に東京都がそういう措置をすることにつきましては、まあいろいろな批評もありますでしょう。しかしまた一面理解できる面もあると思うのであります。しかし、そのことによって、より弱いといいますか、小さな市町村への影響、これを全然無視していいということにはなりませんので、その点はひとつ十分配慮していただくようにお願いをしておきます。  次に、住民税についてお伺いをいたします。  住民税均等割、これはもう前からしょっちゅう論ぜられておる問題でございます。今日、この均等割をもう何とかしなければいけないんじゃないか、こういうような時期にすでに来ておるというふうに考えるわけでございますが、今回の改正においてもこれに対する特別な施策は何ら見られませんでした。  現在の均等割の状態は、個人でいいますならば県民税で百円、それから市町村民税におきまして二百円から六百円、しかもこれは昭和二十九年に制定をされた、それが今日までそのまま続けられております。法人につきましては四十二年に多少の改正がございました。これとてもさほど大きな改正だったというふうには考えませんが、いずれにしてもこれらの金額というものが現実に、きわめて現在の時勢にふさわしくないものになってきておる、こういうことがいえるんじゃないかと思います。  もちろん、均等割につきましては、これを廃止すべしという意見もございます。そしてまた一面におきましては、かねて自治省中心にして主張しておいでになりますように、いわゆる負担分任の精神があらわれたのがこの均等割だというふうなことで現在の制度というものはあるわけなんですが、どちらの立場から見るにいたしましても、現在の制度がはなはだしく実情に即しないものになってきておる。こういう面については十分考えていただかなければなりませんし、そしてまたそれを契機としてひとつ抜本的に御考慮をいただかなければならない時期に今日きておるんじゃなかろうかと思うのであります。  現状に即していないということにつきましては、ことさら詳しく申し上げる必要もないかと思っておりますが、昭和二十九年の百円が今日どれだけの価値を持っておるのかということ、すなわち物価あるいは所得水準あるいは貨幣価値、そういうようないろいろな面からいたしましても、少なくも自治省がこれをもって負担分任の精神をあらわしたものだといわれるものではなくなってきておる、こういう現状でございます。こういう面に対する自治省のお考えをひとつお伺いをいたします。
  22. 古屋亨

    古屋政府委員 住民税均等割の問題でございますが、負担を地域社会の住民に広く負担させるという性格は持っておるのでございまして、均等割制度は、制度そのものは維持したいと考えておるのでございます。ただ、ただいまお話しになりましたように、いまの均等割ははたしていまの情勢に合ったものであるかという点につきましては、御承知のとおり税制調査会におきましても、税率を引き下げろ、あるいはお話しのようにこれを廃止しろ、あるいは新しい観点から均等割の見直しをしろというような意見も種々出まして、これが論議されておるのであります。  税制調査会の四十九年度の税制改正に関する答申におきましても、その答申には「これらの意見を勘案しながら、課税最低限の引上げの動向とも関連して新しい考え方をとり入れて検討を進める必要がある。」ということをいわれておるのでございまして、ただいまの御意見、また税制調査会の答申等も考えまして、ぜひできるだけ早い機会におきまして、この均等割の問題につきましてはいまのような線に沿って検討して、何とか是正をしていきたいというふうに考えております。
  23. 折小野良一

    折小野委員 ただいまお話しのように、すでにそういう面についての答申があったことも承知をいたしております。したがって、おそらくことしはこういう面について自治省としてもお考えになるのじゃなかろうかと実は思っておったのでございますが、それが全然出てまいりませんでした。できるだけ早くということでございますが、来年度の税制改正においては実現しておる、来年までに御検討になる、具体案をつくる、こういうお考えございますか。
  24. 首藤堯

    首藤政府委員 この問題、御指摘のとおりの事態でございまして、早急に検討しなければならぬところでございます。また検討もしておるわけでございますが、問題が課税最低限の引き上げ等とも関連をいたしますとともに、また、できるだけ広く分担をさせたい納税義務者に対しまして、金額的な引き上げを行ないましたときの増税感等の問題もございます。課税最低限の問題をどこまで来年持っていけるか、そういうこと等もからめて検討しなければならぬと思っておりますので、できるだけ早急にやりたいと思っておりますが、いついつまでにという見込みまでは現在のところ立っておりません。
  25. 折小野良一

    折小野委員 もうすでにこの問題は先ほど申し上げましたような実情になってきておるわけでありまして、引き延ばそうといたしましてもなかなか引き延ばすわけにはまいらぬような事態にもなってきておるというふうに考えております。したがって、皆さんの立場としていついつまでにということはなかなか御返事できなかろうと思いますが、これは当然早急にやっていただかなければなりません。今日まですでに論議をされておりますので、いまいろいろとお考えはあろうかと思いますが、改正を控えまして、どういう方向に持っていったらいいのだ、これは確定したものじゃなかろうかと思いますが、自治省の税務当局としてどういうふうにお考えになっておるのか、ございましたらひとつお示し願いたいと思います。
  26. 首藤堯

    首藤政府委員 いろいろな方法があろうと思いまして、あれこれいま検討もし、思い悩んでいるところでございますが、たとえば課税最低限がかなりの額引き上がってまいりましたような場合に、その引き上がりましたことによって納税義務者等が減少いたしますが、その上がりました階層の分についてどういう扱い方をするのか。いままでのように一律全部同じ値段ということでなくて、その分についてある程度違った扱い方をするかどうか。あるいは生活費等の向上の分と関連をしてそういった線をどの程度に引けば適当であるか。そういったことも含めながら、いまあれこれ模索をしておる最中でございます。
  27. 折小野良一

    折小野委員 この点につきましてはいろいろな意見もあるわけでございますので、十分いろいろな面の意見を配意し、また地方自治の本旨にふさわしいと申しますか、そういうような立場において十分御検討いただきたいと思います。  同じく住民税法人税割のほうでございますが、特に最近の傾向を見てまいりますと、沢人税割についての市町村超過課税が目立ってきておる。数が非常に多くなってきておる。四十八年度のいただいた資料によりますと、四二・六%の市町村においてすでに超過課税が行なわれておる、こういうような現実があるわけでございます。超過課税が行なわれておるのは、いろいろあるわけでございますが、そのほかは非常に少ない。特にこの住民税法人税割市町村分、この面についてだけ四二・六%というこの数字は非常にきわ立って高い数字になっておるわけでございます。こういう現実について自治省はどういうふうに判断をしておられますか。
  28. 首藤堯

    首藤政府委員 市町村民税法人税割につきまして超過課税が非常に多うございますことは、ただいま御指摘のとおりの事実でございます。この点につきましては、最近の市町村における財政需要の増高、こういったものを反映をいたしまして、市町村がぜひ何かの方法によって自主財源を得たい、こういう考え方から起こっておるものと考えます。こういった場合に、超過課税を行ないます税目が法人税割について行なわれていることが多いということと、それからもう一つ固定資産税等におきまして、これはだんだん減少しておりますが、若干例がある。こういった税目に集中をして超過課税が行なわれておるもの、このように理解をいたしております。
  29. 折小野良一

    折小野委員 しかも、その数字をもう少しよく見てみますと、全体で四二・六%ですが、特に人口が五万未満の小都市、これが非常に多いわけですね。こういう現状はどうだというふうにお考えになりますか。
  30. 首藤堯

    首藤政府委員 市町村、特に最近都市的な形態を備え始めました市町村、こういうところにおいていわゆる市町村財政需要が増高しておる、何とか財源を得たい、こういう考え方が起こっておるものだ、このように考えておる次第でございます。
  31. 折小野良一

    折小野委員 そういうふうにお考えいただきますならば、やはりそういう面に対する財源措置というものは国の立場でいろいろと考慮をいただかなければならないんじゃなかろうかと思います。もちろん今回の改正によりまして法人税割は三%標準税率引き上げられました。これによりまして一応ある程度財源ができたということで、その面は評価されるわけでございますが、今度のその措置によりまして、これまでの法人税割超過課税の傾向がなくなるというふうにお考えでしょうか。そしてまた、今回こういう措置をとられた、すなわち三%引き上げられた、これによって従来の超過課税をやめなさいというふうな指導をなさるおつもりなんでしょうか。
  32. 首藤堯

    首藤政府委員 今回の税制改正によりまして標準税率が御案内のように一二・一に相なりまして、いままでの制限税率の一〇・七をなお上回る税率になったわけでございます。したがいまして、税の面におきましてこのような都市財源充実ということが、十分でないにいたしましても増強いたしましたので、超過課税あり方は今後は若干ずつ減少してくるのではなかろうか、こう考えておる次第でございます。  それから、このように標準税率引き上げたのでいままでの超過課税をやめろというような指導考えておりません。ただ、超過課税でございますから必要な財政需要との関連を厳密に解すべきであることは当然でございますので、いつまでも漫然として慢性的なかっこうで超過課税を続けるというようなことはないようにという、一般的な指導をいたしておるだけでございまして、超過課税をやめろという指導はいたしておりません。
  33. 折小野良一

    折小野委員 次に、法人税割関係いたしますが、法人関係の税金というのは一般個人の税金と比べまして、いわゆる累進税率というものをとっておりませんですね。実はこの質問はさきの事業税のところで申し上げたほうがよかったかとも思いますが、法人税についても累進課税をすべきじゃないかという意見がございます。最近では固定資産税についてもやはり累進的な税率を持ってきたらどうだろうかという意見もございます。しかし従来、税の関係者の間におきましては、法人課税については累進税率をとるべきでないという意見があるように聞いておるのでございますが、専門家としてのそういう面の考え方をお教えいただきたいと思います。
  34. 首藤堯

    首藤政府委員 法人関係の課税につきまして累進税率をとったらどうかという議論は、ただいま御指摘のように、ことしの政府税調におきましてもかなり議論があったのでございます。しかし基本的に、累進税率制度というものは、御案内のように所得再配分機能、これに資する有効な手段だ、こう理解をされておるのでございまして、そういった点から税制調査会では、累進税率の採用というものは、その所得や財産が最終的に帰属をいたします自然人、これに課税をいたしますときの所得的なものに適用すべきが原則である、こういう考え方が述べられたのでございまして、そのような理由から、法人課税においては累進税率をとるのは当を得ないだろう、こういう議論が行なわれたのでございます。
  35. 折小野良一

    折小野委員 今度の改正によりまして、事業税の場合に、中小法人に対する優遇措置が行なわれておりますのをさらに拡大をされました。百五十万以下というのを三百五十万以下ということになったわけでございますが、本来、事業税につきましてはそういうふうに法人の規模別に、下のほうは段階がつけてございます。このことは、ある意味においては累進税率をとっておるのだというふうに言っていいのじゃないでしょうか。下のほうでできることを上のほうでできないというはずはないし、下のほうでそれが理論的に通るのであるならば、上のほうにだって理論的に通らないはずはないというふうに考えます。そういう面からしますと、もちろんこれはいろいろな考え方というものを十分考慮しての上でなければならないのですが、法人課税について累進税率を適用すべきでないという理論的な根拠はそうないのじゃないかというふうに考えるわけなんですが、いかがでございますか。
  36. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘がございました中小法人に対します軽課でございますが、これは中小零細法人に対して税の軽減をやる、こういう軽減税率という考え方でございます。したがいまして、全般的に所得の増加に応じて累進をして課税していくという思想ではないのでございます。中小法人に対する税の軽減という考え方で採用しておるものでございまして、ただいま申し上げましたように、税調では結局、累進税率を採用すべき場合は、やはり所得や財産が最終的に帰属する自然人、こういった場合の所得税的なものに適用されるものである、このようにいわれておるわけでございます。
  37. 折小野良一

    折小野委員 それはことばの表現だけの問題でして、だんだん下げていくということは、一つの基準がそこにあるからその下のものは下げていく。その基準を一番上のほうに持ってくれば、そして全部少しずつ下げていけば結局それは累進、その基準を一番下に持っていけばだんだん上がっていくということですから、同じことじゃないかと思うのです。だから、そういう意味におきましては必ずしも法人課税について累進税率がとられない、そういう理論的な根拠はないんじゃなかろうかと思うのです。中小法人に対する配慮がありますならば、大法人に対する配慮もあってもいいはずだと思います、プラスであろうとマイナスであろうとですね。そういうような意味におきましては、必ずしも法人課税に累進税率を持ってきていけないという根拠にはならないと思うのですが、いかがでございましょう。
  38. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま申し上げましたように、法人事業税においてとられております軽減税率、まあ金額的にもごく低いところに対する軽減税率、こういう考え方で設定をされたものでありまして、それ以上の、金額の増加に応じまして根本的に累進税率を採用するという思想には立っていないことは、先ほど申し上げたとおりでございます。   〔委員長退席、村田委員長代理着席〕  なお、法人課税そのものについて累進税率をかけるべきかどうかという点については、これは議論がいろいろあろうかと思いますが、先ほど申しましたのは、政府税調におけることしの考え方、それが自然人と申しますか、そういった場合の所得税的なものに適用するのが適当だ、こういう結論であったということを申し上げておる次第でございまして、御議論等はいろいろまたあろうかと思います。
  39. 折小野良一

    折小野委員 実は今度東京都が事業税を、標準税率を上回って課税しよう、こういうふうにしております理由、これは私ども美濃部さんから直接聞いたわけじゃございませんが、いろいろいわれておるところによりますと、今日の法人あり方、こういう面に対するいろいろな考慮というものがいつも問題にのぼってきておる。したがって、現在の税の制度の中におきまして法人課税の累進課税というものが、そういう面を配慮してできるということになるならば、そういう理由一つは消えていいんじゃなかろうか。それからもう一つは、これは自治省におきましてたいへん推進をしておいでになりました事務所事業所税、これの創設が見送られた、そのことによって、大都市における集中のメリット、非メリット、こういう面からの課税というものがやはりこの時期において何とか必要になってくるということで、こういう措置をとるように考えられたんじゃなかろうか、こういうふうに判断されるわけでございます。  いずれにいたしましても、今日、法人あり方、そしてその法人に対する課税のあり方、こういう面については検討しなければならない時期に来ておるんじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけなんです。もちろん法人の中の一番大きな税金は、これは国税の法人税でございますけれども、いろいろな面で地方税にも関係が非常に多いわけでございますので、そういう法人に対する課税のあり方、そしてまた現実法人に対する社会的な面、こういう面をどういうふうに考えていったらいいか、自治省としてのお考えがございましたらひとつお示しいただきたい。
  40. 首藤堯

    首藤政府委員 法人課税の基本的なあり方につきましては、今回の法人税率の引き上げ関連をいたしまして政府税調でも非常に熱心に議論があったところでございまして、この場合、現在の、改正前の日本の法人の実効租税負担率が御承知のように四五%余りで、世界各国に比べて低い。それからまた現在の経済情勢から見て、もう世界と十分均衡をとってもいい時代になったのではないか等々の論議が行なわれまして、世界の動向等との均衡も考慮しながら五〇%見当といったようなことになりまして、御承知のような制度改正が行なわれた、このように考えておる次第でございます。  それから、御指摘になりました大都市地域に集中をいたしております各種の法人関係、これの集中の利益あるいは都市再開発を必要とさせますその原因性とでも申しますか、そういったような点から、都市の再開発に要します財源をこれらの法人が応分に負担をすべきだという考え方は、私どもとしては全くそういう思想を持っておるわけでございまして、この点は、ことしはいろいろな理由事務所事業所税の創設をいたすことができなかったわけでございますが、この考え方は今後とも変わらず持ち続けておりますので、こういった税負担については近い将来に必ず実現をするように私どもとしては努力をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  41. 折小野良一

    折小野委員 法人課税の問題につきましてはいろいろな問題があろうかと思います。しかし、表面的に、ただ単に外国の法人負担の率程度までは引き上げることはやむを得ないのじゃないかという考え方だけでなしに、やはり実質的にいろいろ検討していただく、こういうことが必要なことじゃないかと思います。  それから事務所事業所税の創設につきましては、ただいま意見の開陳ございましたので省略いたしますが、これも、ただ単に法人負担をふやしたからそれで事務所事業所税はもうやらなくていいんじゃないか、そういうものじゃないと思うのです。本来、法人の普通の所得を対象にするものと事務所事業所税とは、その趣旨が全く違っておる。こういうふうに考えます。ですから、この面につきましてはぜひそういう立場において今後推進をしていただきたいと考えております。  それから、次は固定資産税関係と申しますか、土地税制の関係についてお伺いいたします。  昨年の税法改正におきまして特別土地保有税というものが新設をされました。もちろん土地対策というものは税制だけで解決のつく問題ではございませんが、しかし税制が一つの大きな役割りを果たすであろうということは当然考えられるわけでございます。そういう立場から、特別土地保有税もまた今日の土地問題の解決の一環という立場において、政策的な制度として登場してまいったわけであります。それがいよいよ実際に行なわれる、こういうような状態になってまいったわけでございますが、現在の時点におきまして、この税金を設けた政策的な目標、政策的な効果というものがどの程度あがってきたか、あるいはいまの現状から見てあがるであろうか、そういう点についての自治省の見通しをお伺いをいたしたいと思います。   〔村田委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘の、昨年創設されました特別土地保有税でございますが、実はことしの二月末に最初の申告期限を迎えておりますので、残念でございますが、現在のところまだどの程度申告が出ておるのか、その実態はつまびらかにいたしておりません。したがいまして、この点の現在における効果がどうかという点についてはまだ確たるものを持っていないのでございます。  ただ私ども考えますに、この法律の趣旨が、投機目的による土地取得の抑制をはかりますとともに、すでに取得をされた土地の管理費用を増大をさす、こういうことで供給促進をさせよう、こういう考え方でございます。また、ことし見込んでおります税額も、取得分について百十二億、それから保有分について三百五十二億、合計四百六十四億、五百億近い税金ということに相なりますので、今後この申告が進んでまいりますと所期の効果が大いに期待できるのではなかろうかと、たいへん期待をいたしておる次第でございます。現在ただいまではまだ金額が明確でございませんので、ただいまの効果という点についてはさだかでございませんが、大いに期待を持っておるというふうにお答えを申し上げたいと思います。
  43. 折小野良一

    折小野委員 この税の効果といいますのは、税金が上がるということが第一の効果ではなくて、むしろ土地が放出される、それを促進をする、こういうことが一番大きな効果であるというふうに考えております。そういうような立場から、昨年私ども、現在のこの税率はきわめて低いんじゃないか、これじゃとうてい土地政策上の効果はあがらないんじゃないか、こういう意見を申し上げました。いまでもそういうような考え方を持っておりまして、したがって、政府の低い税率のもとにおいて、はたして効果があがるのだろうかという懸念を持たざるを得ないわけであります。しかもこれは当初を過ぎますと、いまの状況ではだんだん安くなっていく、やがてはなくなっていく、こういうような性格の税でございますので、十分推移を見ていただいて、そして政策的な効果があがるように考えていただく必要があるのじゃないだろうか、こういうふうに考えます。  さらに、今回固定資産税におきまして、小規模住宅用地に対しまして価格をさらに半減する、四分の一に評価するということになりました。まあその措置は私ども一応けっこうだというふうに考えております。それで決して十分だとは考えませんが、一応それで評価をいたしたいと思います。  ところで、この同じ問題につきまして、昨年二分の一にするというときに、政令によってその範囲をきめるということになりまして、政令において家の敷地の十倍というのを二分の一にすることにきめられたわけなんです。そのときに私が申し上げましたのは、これは政令事項ではないんじゃないか、当然に法律で決定すべきじゃないかということが一つと、それから住宅の広さの十倍ということになりますと、大きな住宅を建てている人は得をする。金持ちに減税をして貧乏人に対する減税を少なくする、こういうような面からいって不合理じゃないか、こういうことを申し上げました。それは今回も全然考慮されていないわけでございますが、こういう点につきましては私は去年の主張をこの際撤回しようとは思いません。今回二百平米ということになりました。やはり二百平米という一つの線を引くということに効果があるわけでして、したがって去年の措置も、たとえば五百平米とか六百平米とかいうような線を引くことのほうがより効果的じゃないかというふうに考えるわけでございますが、いかがでございますか。
  44. 首藤堯

    首藤政府委員 昨年から御指摘をいただきました住宅用地の限度の問題でございますが、限度を引きます場合にいろいろな考え方があり、いろいろな付随した問題が起こってくるという点は御指摘のとおりであろうと思うわけでございます。昨年は税制の事務的な扱い方の便宜の問題、これが一つでございますが、そのほかの点では、たとえば農家等の場合を想像いたしました場合に、どの程度が敷地になるだろうかといったような考え方も想定をいたしましたし、逆にまた、非常に広い敷地に申しわけ的な小さな住宅を建てておるといったようなケースの場合には、むしろ本質的には未利用地といったようなかっこうで、もっと高く取っていいんじゃないか、こういう事態があること等も考えましていろいろ議論をされました末、一応住宅面積の十倍、こういう限度を設けたということに相なっておるわけでございます。今回はこれをそのままの措置実施をいたすわけでございますが、基準の引き方でございますので、私どもといたしましては一応これが適当な基準ではないかと考えておるわけでございますが、なお、税務事務の執行上、事態の推移等を見てまいりましていろいろ問題点があればまた検討いたしたい、こう考えておる次第でございます。
  45. 折小野良一

    折小野委員 私は、今回小規模住宅用地の問題が出てまいりまして、前の問題もあわせて整理をされるものだと思っておりました。また整理されることのほうがいいというふうに考えておりました。しかし現実には、前のはそのままで、新しく小規模住宅用地に対する制度というものをつけ加えた、こういう形になっております。こういう面はやはりもっとはっきり整理をして、同じ住宅地に対する対策なんですからわかりやすくやるべきだというふうに考えます。今後の問題になりますが、いずれにしてもこういう問題はひとつ総合的に整理をしていただくようにお願いをしたいと思います。  それから、これに関連をいたしまして、今回小規模住宅用地の制度ができまして、いわば庶民に対する対策というものが税の面からとられた、こういうふうに受け取っていいわけでございますが、現在はさらに、土地をも、そしてまた自分の家をも確保できない、こういうような住民が非常に多いわけであります。しかも、昨今の地価の高騰、こういう面からいたしまして、多くの国民大衆が自分の家を持ちたいという期待を持ちながら何ともならない。最近の実情からいいますと、買いやすいといわれております住宅用地が当たったにかかわらず、それを返さなければならない、こういうような情勢でもあります。こういう方々に対しまして、多少なりとも自分の家が建てられるように、せめてその用地が確保できるように、そういう施策を講ずることはやはり大切なことじゃないか、必要なことではなかろうかというふうに考えます。  そういう意味からいきまして、今度新たに小規模住宅用地の制度ができたわけでございますが、せめてその程度の土地を住宅用地として取得する場合においては不動産取得税を非課税にする、こういう制度ぐらいはあっていいんじゃなかろうかというふうに考えますが、いかがでございますか。
  46. 首藤堯

    首藤政府委員 小規模の住宅について、これを建てやすくするという政策をとっていくことの必要性につきましては御説のとおりだと考えております。不動産取得税でございますが、現在、不動産取得税につきましても、住宅用の土地につきましては、やはりそのような新築住宅の供給の促進をはかるという見地から、御案内のようにすでに非課税措置が一応あるわけでございます。これは御承知のとおり、百五十万円までのものか、あるいは延べ床面積の二倍までの面積、これも二百平米で切っておるわけでございまして、六十坪を限度といたしますが、それについての土地の取得につきましては、現在不動産取得税を非課税にしておるわけでございます。四十七年の例で見ますと、新築住宅用の土地取得について九四%ぐらいのものがこれに該当して、ごく小規模の住宅を建てる場合の土地取得では不動産取得税非課税ということになっておりますので、これでほぼ両方均衡のとれた措置ではなかろうかと実は考えておる次第でございます。
  47. 折小野良一

    折小野委員 こういう面につきましても、現在のそういう事態というものを配慮して十分な運用をしていただきたいと思いますが、この税金につきましても、たとえば免税点があるのはけっこうなんですが、土地について見ますと、三十年には一万円でしたね。それが四十八年、昨年の改正で十万円になりましたが、実際の土地の値上がりというのはその間にほぼ二十倍になっておるはずでございます。最近はこれがもっともっと値上がりをいたしております。こういう点も実情に即さない面が非常に大きいのじゃないかというふうに考えます。せっかく昨年改正されたわけでございますが、昨年の改正実情に即していないし、今後ともこういう面については実情に即するように考えていく必要があるんじゃなかろうか。いま十万円といいますと、大都市の中ではとうていそういうような価格ではございません。周辺の地域におきましてもせめて一坪という価格、ですからこういう面ももっともっと実情に即したように十分考慮していただくということが必要だと思いますが、いかがでございますか。
  48. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま免税点の御指摘がございましたが、免税点につきましては、家屋の場合も土地の場合も、御案内のように評価基準に基づきます金額、これで不動産取得税も課しておりますので、それに対応した免税点、こういうことになるわけでございます。したがいまして、現在行なわれております時価、それに対応したものではないわけでございます。しかし、免税点の具体的なあり方については、そういった評価基準の変更の時期時期に実態に合うように十分検討してまいりたい、こう考えております。
  49. 折小野良一

    折小野委員 さらに各税目について見てまいりますと、今回特に改正があったわけじゃありませんが、たとえばたばこ消費税ですね、これが税額の見込みからいたしますと非常に伸び悩みの状態にあるように見るわけでございます。しかし、たばこ消費税というのは、こういうような税目はわりあいに各地万団体平均してある財源あるいは普遍的な財源、こういうふうに言っていいものじゃなかろうかと思っております。したがって、こういうような税金は私はもっともっと大幅に地方に移譲していい、こういうふうに考えるのでございますが、いかがでございますか。
  50. 首藤堯

    首藤政府委員 たばこ消費税、これは国に納付される専売益金の一部を地方団体配分するというかっこうでございますし、また、たばこを吸われる万が非常に全国に均てんをしておるという、こういう点で非常に普遍的な税金であって、そういう意味で、市町村及び県の税源としても望ましい税源であるという点は全くもう御指摘のとおりだと思います。現在税率は道府県分が一〇・三、市町村分が一八・一、こういうことになっておりまして、御案内のように市町村によけい配分をされる税制になっておるわけでございます。  この全般を通じましてのたばこ益金の国と地方配分率でございますが、四十九年度の見込みでは総額六千八百八十四億ほどございます益金を見込みの中で、国が三千四百四十億、たばこ消費税のほうが三千四百四十四億ということで、ほぼ半分ずつ、ちょっと端数ぐらい地方のほうが多い、こういうかっこうに相なっておるものでございますので、現在の税制としては、実情としてはほぼ目一ぱいのところ、このように考えておる次第でございます。しかし、なお行政事務の再配分とかあるいは税源の配分とか、こういう基本的な問題とは十分関連する税目でございますので、今後そういった全般的な大局的な議論が行なわれますときには、絶えず、総合的な立場からわれわれとしてもこのたばこ消費税の多額の配分について主張してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  51. 折小野良一

    折小野委員 地方財源といたしましては伸長性があるということもございます。しかし同時に普遍的な財源ということも地方におきましては非常に期待をいたしております。そういう面からいたしまして、こういう税というのはわりあい普遍的な性格を持っておるものでございますから、地方財源、特に市町村税、こういう面については最も適した税じゃなかろうかと思っております。したがって、こういう面についてはもうほとんど全額地方に移譲すべきである、私はそのように考えます。  それとあわせまして、現在、これは地方税じゃありませんが、同じような性格のものとして酒税があると思うのです。現在は国税でございましてこれは蔵出し税でありますからもちろん普遍的ということは言えませんが、その性格からいたしますと、これを消費税として把握いたしますと、たばこ消費税と同じような普遍的な財源になるのじゃなかろうか、こういうふうに考えます。したがって、こういう面も今後地方財源へということで努力していただくことが必要じゃなかろうかと思いますが、自治省としてどういうふうにお考えになっていますでしょうか。
  52. 首藤堯

    首藤政府委員 酒税を地方に移譲してはどうかという議論は、御指摘のように前からあったのでございまして、技術的にも実はいろいろな検討をしてみたわけでございます。ただいま御指摘をいただきましたように、現在は蔵出し課税という形態をとっておりますけれども、これを小売りあるいは消費の段階で課税をすることにして地方に移したらどうかということも、実はいろいろ検討もしてみましたのですが、課税技術上の問題が非常に多うございまして、その点でなかなか困難性がある、こういったようなことでございます。  そこで、この酒税につきましては、その三二%を地方交付税の対象として地方団体に取り込む、御案内のようにそのような制度が現在とられておるわけでございますが、なおそのように従前からいろいろ問題があった税金でございますので、先ほども申し上げましたような全般的な行政事務配分との関連の税源配分、こういった場合にはやはりいろいろとなお検討を続けてみるべき税目であろう、このように考えます。
  53. 折小野良一

    折小野委員 地方団体の税源というものを把握していただく、こういう面からひとつ十分な御考慮をいただきたいと思います。  次は電気税でございますが、電気税とガス税に今度は分離されたわけでございますが、それぞれ免税点を引き上げた。そうした場合に、ガス税の場合におきましてはその対象が二七%ですか、電気税の場合は六二%、そういうふうに対象の差が大きく出てまいっております。同じく生活費課税でございますので、私どもは生活費に税は課すべきじゃない、こういう原則で考えておるわけでございますが、現実の税金といたしましては、一面、市町村におきましては電気税は非常に普遍的な財源である、取りやすい財源である、こういうことから期待をいたしておるわけでございます。しかし、ガス税と電気税と、この対象の差、これが非常に大きく開いてきた、この辺は問題じゃなかろうかというふうに考えるわけですが、この辺は自治省としてはどういうふうにお考えになっていますでしょうか。
  54. 首藤堯

    首藤政府委員 電気税とガス税の免税点の水準に差がございまして、したがいまして、免税点対象世帯の割合にも差があるということは御指摘のとおりでございます。この差ができておる理由でございますけれども、私どもといたしましては、ガスの場合は一つには電気ほど普遍をいたしておりません。主として都市的なところにあるという問題が一つございますことと、それからもう一つ、電気にはいわゆる代替物がございませんけれども、ガスの場合にはプロパンというような代替物がございます。そして、御承知のように、このプロパンガスの使用につきましては、課税技術上これにガス税を課すということが非常に困難でございまして、実質上できかねるわけでございます。そういった点から、ガスの場合にはそういったプロパンガスを代替物として使用しておるという場合との均衡を考える必要があるのではなかろうか、こういったようなことを考えておる次第でございます。電気につきましては、全国普遍的にどこの市町村にもある税金でございまして、この普遍性といった意味から非常に望ましい税金と思っておるわけでございます。そこで免税点の対象世帯これは一応二七%程度に相なっておりますが、現在の生活費の動向等を勘案をしながら最低限度の電気は免税点以下にする、こういう思想で臨んでおるのでございます。そういった結果両者に差ができておる、こういうことでございます。
  55. 折小野良一

    折小野委員 現在石油の再値上げという問題がございます。これがどういう方面に波及していくかということはいまのところ予測はできませんが、しかし、これがおそらく電気に大きく波及をするであろうということは通常考えられるところなんであります。すでに電力会社から料金値上げの申請等も出されようかというようなニュースが再々出てまいっておるわけでございます。当然近く値上げされるのではなかろうか。これは望ましいことじゃありませんが、そういう事態になってくるんじゃなかろうか、こういうふうに考えられるわけでございますが、そういう事態になってまいりますと、ますます免税点というのが問題になってくるのではないか。生活費にかかっておるというだけでなしに、しかもきわめて低所得者に、苦しい生活にまで電気税がかかってくるということになってくるのではなかろうかというふうに考えますが、その辺の対策は何かお考えになっておりますか。
  56. 首藤堯

    首藤政府委員 今後の電気料の見込みを入れての御質問でございます。電気料がどのようなかっこうで将来値上げのかっこうになってまいりますのか、各電力会社ございますので、全国的な動向としてどうなってくるのか私どもわかりかねるのでございますが、要するにそういった電気料の値上げ、それから、あるいは生活の向上に伴います最低限度の電気消費量の増加、それから全国的に占めております免税点以下の世帯数の割合とでも申しますか、そういったようなことを、それぞれ総合的に勘案をしながら免税点の引き上げということについては今後とも努力をしていかなければならない、このように考えておる次第であります。
  57. 折小野良一

    折小野委員 いずれにいたしましても、こういうような問題は地域住民の生活に直接関係をする問題でございますので、それに対する対策というものを十分にやっていただく必要があるのではなかろうかというふうに考えます。今回の地方税法改正におきましてわりあい大幅な改正が行なわれました。そしてまた、私どもの期待する面もいろいろあったわけでございますが、しかし、全体的に申しますと、一番最初に申し上げましたように、やはり地方自主財源という面からいたしまして、今後大きく考え方を変えて対処していただく必要がある、こういうふうに考えられますので、そういう面について、いろいろな面を配慮しながら十分な御努力お願いをいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  58. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 この際、一時三十分から再開する  こととし、暫時休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ————◇—————    午後一時三十二分開議
  59. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。林百郎君。
  60. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、私のあと、わが党の多田委員、三谷委員がきめのこまかい質問をいたしますので、地方税改正点でごく大づかみのところをお聞きしてみたいと思います。  まず、個人住民税の問題でございますが、基礎控除を、現行十六万を十八万に上げ、それから配偶者控除の現行十五万を十八万に上げ、扶養控除を、現行十二万を十四万に上げる。これは言うまでもありません。それから寡婦控除、障害者控除、老年者控除、勤労学生控除を、現行十二万を十三万円に、また特別障害者控除を、現行十四万を十六万円に引き上げるということになっております。  そこで今回は、この措置のうちの基礎控除等三控除の引き上げによって、給与所得者の場合、住民税の課税が、基準家族、夫婦子供二人の標準世帯の場合は最低限幾ら引き上げることになりますか。この標準家族で、しかも給与所得者の場合はどうなるか、一応数字を言ってみていただきたい。課税の最低限が幾らになり、引き上げ額が幾らになるかということでございますね。
  61. 首藤堯

    首藤政府委員 給与所得者におきます夫婦子二人、標準世帯の場合の課税最低限は、昨年が八十六万五千七百六十六円でございましたものが、ことし百一万六千円に相なりますので、引き上げ額は十五万二百三十四円、率にいたしまして一七・四%、こういう率でございます。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで、それと比較するために、念のために、二人世帯の場合の課税最低額と引き上げ額は幾らになるか、これもちょっと聞いておきたいと思います。
  63. 首藤堯

    首藤政府委員 二人世帯、夫婦だけの場合でございますと、現行が五十五万二千八百十円でございますものが、改正案で六十四万三千六百十円、差し引き九万八百円、比率にいたしまして一六・四%の引き上げでございます。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで、この改正法によって住民税の収入見込み額、これは、今度の改正法によって全体で住民税の収入見込み額は、都道府県市町村のそれで個人均等割、所得割の数字は幾らになりますか。
  65. 首藤堯

    首藤政府委員 道府県民税の個人所得割におきましては六千一億千四百万円に相なります。それから市町村民税の所得割の場合は一兆三百二十三億七千万と相なります。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 そこでお尋ねしますが、今回の改正によって、個人の均等割と所得割の減収額は、都道府県市町村別でそれぞれ、個人均等割、所得割で幾らずつになるのですか。
  67. 首藤堯

    首藤政府委員 所得割の税制改正による減収額でございますが、道府県の場合は六百三十七億七千五百万、市町村税の場合には千百三十四億一千九百万、合計いたしまして千七百七十三億円ほどに相なります。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 個人均等割のほうは……。
  69. 首藤堯

    首藤政府委員 個人の均等割はわずかなものでございまして、道府県税の場合に二千六百万、市町村税の場合には一億六百万、ごくわずかなものでございます。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、個人の在民税の自然増を見込んだ増収額は四十九年は幾らになりますか。そしてそれは四十八年と比較して幾らの金額がふえ、パーセントにして何%増になりますか。
  71. 首藤堯

    首藤政府委員 個人住民税におきます自然増収額でございますが、四十九年度の見込みでは、道府県民税におきまして二千百八十五億、市町村民税にありましては四千四十一億、合計六千二百二十六億ほどに相なっております。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 私の質問をよく聞いてください。四十八年度と比較して金額では幾らふえ、率にして幾らふえることになるのか、それもあわせて聞いているわけです。
  73. 首藤堯

    首藤政府委員 所得割の額でございますが、道府県税は、ただいま申し上げました自然増収を見込みました結果が二千百八十四億ほどに相なります。それから市町村税のほうでは四千三十六億ほどに相なります。ちょっと率はいまはじいておりませんので、いますぐはじかせます。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、都道府県市町村と両方合わせまして、自然増全体が六千二百二十六億ですが、これは簡単な計算で出てくると思いますが、先ほどの減税の金額を差し引きますと事実上幾らの自然増になるわけですか。六千二百二十六億は自然増の見込みなんですが、これから本改正案による減税分を差し引くことになると思いますが、そうしますと、事実上自然増として増収される分は幾らになるのですか。
  75. 首藤堯

    首藤政府委員 個人住民税におきます自然増見込みが、申し上げましたように六千二百二十六億、それから減税額が千七百七十三億でございますので、差し引き四千四百五十三億に相なります。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、控除の限度を引き上げたとはいうけれども、実際は四千四百五十三億は自然増という形で、結論としていうならば、個人割の地方税は、都道府県市町村合わせてこれだけの税額は昨年度よりふえるということになるわけですね。
  77. 首藤堯

    首藤政府委員 そのとおりでございます。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 さらに念のために課税対象の人員をお聞きしたいのでありますが、今度控除額の引き上げはありましたけれども、しかし名目賃金がそれぞれ上がっておりますから課税対象人員はふえると思います。したがって、それが昭和四十八年度と四十九年度と比較して均等割のほうはどうなるのか、並びに所得割りのほうは何人ふえることになりますか。
  79. 首藤堯

    首藤政府委員 均等割の納税者でございますが、四十八年の見込みが約三千五百九十九万人ほどでございます。それが、ことしの改正後の納税義務者で三千七百五十五万人ほどに相なります。差し引き百五十六万人ぐらいの増になると思います。それから所得割の納税者でございますが、四十八年が約三千二百九十一万人でございます。それが改正後で三千三百四十三万人ほど、これは五十二万人ほどの増加に相なります。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると結論としては、基礎控除を引き上げた、一応減税措置をとったとはいうけれども、実際の税額においては約四千四百五十三億の増収となり、対象人員はいまのように均等割、所得割、それぞれふえてくる、こういうことは結論として言えるわけですね。
  81. 首藤堯

    首藤政府委員 実際の税収入額、それから実際の納税義務者数、理由はいろいろございますが、それだけふえるわけでございます。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 その次に、今度は法人住民税と個人住民税との地方税全体の中に占める比率を念のために聞いておきたいのですが、法人住民税は四十八年度と四十九年度と比較して、地方税全体の中で占める比率はどうなるのか。それから個人住民税は四十八年度と四十九年度と比較してどういう比率になるのか。ちょっと比率を出してみてください。
  83. 首藤堯

    首藤政府委員 ちょっと計算をいたさせますので……。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ私のほうで言いましょうか、時間がかかってしようがないので。  私のほうの調査によりますと、法人住民税の比率が、四十八年は地方税全体の中で占める比率が一二・二%だったのが、四十九年には一一・七%に、むしろ減っているわけなんですね。個人住民税の割合は、四十八年度で二一・七%が二二・九%にふえているわけです。したがって、地方税全体の中に占める法人住民税と個人住民税の割合は、法人住民税のほうはダウンして個人住民税のほうはアップするという比率が出ておるので、ここからもやはり個人住民税への相対的な負担増という数字が出てきているように思うのですが、このパーセント、もし違っていたら直していただくし、私のほうの計算ではこうなりますが、どうでしょう。
  85. 山下稔

    ○山下政府委員 地方税中に占めます比率はただいま計算いたしておりますので、しばらくお待ちをいただきたいと思いますが、手元の資料によりますと、それぞれの税目の対前年伸び率がございます。それで見てまいりますと、個人の所得割の、府県民税の場合ですが、所得割の増が三四・七で、これに対して法人税割三一・四でございますので、府県の中で占める比率は所得割のほうが伸び率が高いということは言えると思います。それから市町村民税のほうで見ますと、個人の所得割の伸び率が三九・一に対しまして、法人税割改正がございましたので一六〇・四と大幅に伸びております。したがって、市町村税の中で考えますと法人税割のほうが伸び率がかなり高いということが言えると思います。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 次に、所得割の住民税が実際の勤労者の生活にどういう影響を及ぼすかという点から少し掘り下げてみたいと思うのであります。  これは労働省に聞けばわかると思いますが、この名目賃金の過去五年間の推移、これはどういうようになっておるのか。四十七年度と比較して四十八年度はどれだけ上昇しておるのか。それから本年度と比較して来年はどのような見通しになっておるのか。まず名目賃金のほうの説明をしていただきたいと思います。これは労働省の方がいいと思いますが……。
  87. 塩田晋

    ○塩田説明員 名目賃金の上昇率でございますがが、一人当たりにいたしまして、四十八年の年間平均、毎月の平均でございますが、前年に対しまして二一・七%の増加に相なっております。四十七年につきましては一五・九%、対前年上昇率になっております。四十六年が一四・七%、四十五年が一七・一%、四十四年が一五・六%、それぞれ対前年上昇率になっておる次第でございます。  それから、この名目賃金の一人当たりの増加率が今後どのように変化するかということでございますが、これにつきましては物価との関係もございますが、春闘を控えましてこれの推移いかんということでございますので、これを的確に推定しあるいは見通すことは現在の段階では非常に困難でございます。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、いま名目賃金の率が言われましたが、実質賃金のほうはどうなるのでしょうか。
  89. 塩田晋

    ○塩田説明員 同じく四十八年の、暦年でございますが、実質賃金の年平均の対前年上昇率は八・九%でございます。それから四十七年は前年に対しまして一〇・八%増でございます。四十六年は八・一%、四十五年が八・八%、四十四年が九・七%、それぞれ対前年の上昇率を示しております。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると四十六年を除いては、四十八年はやはり実質賃金の伸びは四十六年の次に低いというようになるわけですか。そう言っていいのですかな。
  91. 塩田晋

    ○塩田説明員 ただいま申し上げましたように、四十五年も八・八%でございますので……
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 まあ、約横ばいと見ていいわけですね。
  93. 塩田晋

    ○塩田説明員 四十五年、四十六年と大体同じ水準ということでございます。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、名目賃金の伸びにかかる実質賃金は、率は大体この五年間横ばい、あるいは四十八年は四十七年に比べればむしろダウンしている、こういう数字が出ているわけですね。——頭を下げているからそうだと思います。  それで、こういうわけで勤労者の実質賃金は伸び率がほとんど横ばいの状態です。それに対して地方税の個人所得割は、金額においても約四千億以上の増、それから対象人員も約二百万人くらい都道府県市町村もふえておるということは、これは今度の地方税の減税措置によって勤労者にはそれほど均てんが及んでいないということが、いろいろの数字から出てくると思うわけなんです。  なお、念のために聞いておきますが、先ほどの数字でもう一つ聞いておきたいのですが、法人所得割と個人所得割で、四十八年と四十九年の地方税の中に占める比率ですね。四十八年と四十九年ではどういうことになっているのでしょうか。法人所得割のほうはふえているのか減っているのか、個人所得割のほうはプラスになっているのかマイナスになっているのか、その辺、わかりませんか。地方税の中に占める個人住民税法人住民税、それが四十八年度は何%であったのが四十九年度には何%になっているか。個人住民税は四十八年は何%であったのが四十九年には何%になったか、こういう数字はわかりませんか。
  95. 山下稔

    ○山下政府委員 いま直ちに計算してお答えいたします。
  96. 林百郎

    ○林(百)委員 それではそれを調べてください。私のほうも一応の数字は持っているのですが、念のために聞いてみたいと思います。  こういうような実情で、勤労者にとっては均てんが及ばないのではないかということがいろいろの計数から出てくるわけですが、これの国の所得税との比率、これは毎年当委員会でも問題になるわけです。ただ、その格差があることは毎年問題になるのですけれども、格差が縮まるのではなくて、ことしは拡大しているように思われるわけです。これはもう簡単な数字で出てくると思いますが、たとえば四十八年の国の所得税とそれから地方税の個人所得割との課税最低限の比較、これはどのようになっているのか、これをちょっと出してみていただきたい、こう思うのです。昭和四十八年度には幾らの差があり、今度の改正案では幾らの差になるのか、この点を数字を出してもらえますか。
  97. 首藤堯

    首藤政府委員 課税最低限の比較の問題でございますが、これはよく議論があるわけでございますけれども住民税は御案内のように前年の所得を課税標準にして税額を計算いたしますので、その事務的な比較としては、四十九年の住民税と四十八年の所得税の課税最低限、こういう一年おくれの比較をすることにいたしておるわけでございます。そのやり方で比較をいたしますと、四十八年度の住民税におきましては、四十七年度の国税が百三万七千円でございましたものに対し八十六万五千円でございますので、比率は八三%余り。それから四十九年度の住民税は、四十八年度の所得税が百十二万一千円でありましたものに対し百一万六千円でございますから、九〇・六%、こういう比率に相なるわけでございます。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 金額ではどうなりますか。もう一度正確に申します。昭和四十九年度に改定が予定されている国のほうの所得税の課税最低限、これが標準世帯の場合は百五十万七千円になっているわけですが、これと今度の地方税の個人所得割の課税最低限との差、それから四十八年のこの差。これは両年度で、地方税のほうは前年度でこれはもうきまっているわけですから、それはそれとして、とにかくそほ差というものは、金額ではどうなるのですか、金額の差は。いまあなた、パーセントで出したのですね。
  99. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま申し上げました四十七年度の国の所得税の課税……
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 そうじゃないんです。私の質問をよく聞いといてください。四十八年度の国の所得税の課税最低限とそれから地方税の個人所得割の最低限との金額の差は幾らだったか。四十八年度ですよ。それは、課税の対象が一年前なのか当年度かということはさておいて、私としては金額の差だけをここで抽出しようと思っているんです。四十九年度は幾らか。金額の差が縮まったのか広まったのかということを聞いているんです。四十八年と四十九年です。四十七という数字は出さなくていいんです。
  101. 首藤堯

    首藤政府委員 四十八年同士の差の計算をという御説でございますので、その計算をいたしますと、百十二万一千円と八十六万五千円でございますから二十五万六千円でございます。それから四十九年同士の比較をかりにいたしますと、百五十万七千円と百一万六千円でございますから四十九万一千円でございます。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 そこを聞こうと思ったのです。だから、条件は毎年同じ条件になるのですから、その中で最低限の金額の差が、国のほうと地方税のほうとであまりに幅があり過ぎるではないかということが問題になっているわけですね。ところがことしは縮まるどころか、四十八年度という限度に限り、四十九年度という限度に限っていえば、金額の点については昨年度より幅がかえって増大しているわけでしょう。それは認められるわけでしょう。
  103. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、税額計算は御案内のように前年の所得に課税をするわけでございますから、私どもの比較といたしましては、税額計算をする場合の課税最低限、つまりいつ取った所得に対してどれだけ課税最低限を差し引くかという計算でございますから、その課税標準にすべき年度との対比を行なうべきだと考えておりますので、四十八と四十八、四十九と四十九を比較をしてその格差が広がったというのは、税額計算としては適当ではないのではなかろうかと思っております。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 税額計算ではなくて、課税最低限の金額差は、四十八年度だけとってみ、四十九年度だけとってみる。毎年それでこの委員会では論議しているわけなんです。それで、この格差を君もっと縮めるべきではないかという議論がここで展開されているわけなんですよ。だから、そういう技術論的に地方税のほうは対前年度だ、国税のほうは本年度分の所得だということは捨象して、そしてここで毎年論議されているわけなんだ、当委員会で。そういう観点から見れば、四十八年度における国の所得税の課税最低限と地方の個人所得税の課税最低限との差、これが四十九年度のそれとは、四十九年度のほうがむしろ多くなっているのじゃないか。幅が広がっているではないか。この点は認められるのでしょう。私の前提の条件からいえばですよ。
  105. 首藤堯

    首藤政府委員 おっしゃるような前提条件からいえば、そのとおりでございます。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう観点もありますので、それは課税されるほうの側からいえば現実にそういう課税が来るわけなんですから、そこのところはやはり考慮する必要があるのじゃないかというように思うわけです。なるべくこの差を、そういう課税対象の年度差はあるにしても、その差というものは毎年縮まってしかるべきものじゃないか。それが広がるということは、やはり当委員会で毎年論議されていることがしんしゃくされてないのではないかというように私たちとしては考えるわけなんです。その問題の論議はまたさらに重ねることにいたしまして、それじゃ次の問題に移ります。  そこでもう一つの問題は、先ほど労働省へも聞きまして、名目賃金の上昇にもかかわらず実質賃金は横ばいである。むしろ四十八年度は四十七年度に比べてダウンしているということが先ほど出たわけなんですけれども、そこで今日の——今日といっても、これはわかっている範囲のごく最近のものでいいのですけれども、今日の物価の高騰の中で名目賃金が幾ら上昇し、実質賃金はどういう状態になっているかということが、労働省かあるいは経済企画庁でもいいのですが、この数字はわかりますか。ごく最近の一番新しい資料でいいです。
  107. 塩田晋

    ○塩田説明員 名目賃金の増加率の最近の月の状況を申し上げます。  昨年の九月からについて申し上げますと、名目賃金の増加率は、対前年増加率で申し上げますと、対前年同月比でございますが、九月が一六・七%でございます。十月が二一・〇%、十一月が二一・五%、十二月が三〇・一%、これはボーナスの関係がございます。それから四十九年の一月に入りまして、これがいま一番最新の名目賃金の調査でございますが、昨年の一月に対しまして一八・二%の名目賃金の上昇になっております。  消費者物価の上昇率でもってこれを割っていきまして実質賃金の増加率を出しますと、最近は消費者物価の上昇がかなり著しいものでございますので、これが、九月以降について申し上げますと、実質賃金の増加率の対前年同月比は、昨年九月で一・八%、十月が五・九%、十一月が四・九%、十二月が九.二%、それぞれ対前年上昇いたしておりますが、ことしの一月につきましては、消費者物価の上昇率が二三・一%という非常に大きな上昇をいたしましたので、実質賃金におきまして対前年同月比で四%の減になっておる次第でございます。しかし年間平均いたしますと、先ほどの四十八年全体ではまだ八・九%の実質賃金の上昇率でございます。また、年度に近い数字といいますか、四十八年の四月から本年一月までの十カ月の平均で見ますと、なお七・二%の実質賃金の上昇になっておる次第でございます。
  108. 林百郎

    ○林(百)委員 ちょっとはっきりしなかったのですが、全体の趨勢はそれで、名目賃金のアップ率にもかかわらず実質賃金は非常に微々たるものだということがわかりましたが、一月は異常な物価の騰貴があったので、実質賃金はむしろ対前年度比はダウンしている、こういうように聞いていいのでしょうか。その点がはっきりしなかったので、もう一度お聞きしておきます。
  109. 塩田晋

    ○塩田説明員 実質賃金のことしの一月は、昨年の一月に対しまして四%の減でございます。
  110. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで自治省に申しますが、これは古屋さんでもいいのですが、大臣に聞きたいのですけれども。  この一月にそういう数字が出てきております。もちろん労働省としては、しかし少しさかのぼって平均すれば、全体としてはまだマイナスの数字は出ません。一月は異常な物価の騰貴の状態がああったので、実質賃金はむしろ対前年度比ダウンいたしましたということが出てきておるわけですね。これは、私は本年度、昭和四十九年度の国の予算全体を見ましても、このインフレ傾向が鎮静されるとは思わないわけです。もっとも、大蔵大臣は物価に対して短期決戦予算だというようなことを言われまして、田中総理も三月ごろまでには物価を鎮静する、それが夏ごろまでにはとか、だんだんこう先のほうに行っていますけれども、こういう状態の中で、今度の地方税の基礎控除額がこの程度の基礎控除額の引き上げでは、勤労者にとっては地方税が減税したという実感が出てこないのではないか。  そういう意味で、わがほうとしては課税最低限は、所得税にしてもあるいは住民税にしてもあるいは個人事業税にしても、二百万円くらいまでには引き上げるべきではなかろうか。それから住民税均等割という、こういう不公平な課税はこれをやめるべきではないか。それから個人事業に対する必要経費を控除するというような制度を認めて、要するに零細企業あるいは個人企業あるいは標準家族の勤労者に対する国の課税はもちろんのこと、地方税の基礎控除ももっと思い切って引き上げるべきではないか、少なくとも二百万円という数字をわがほうでは出しておりますけれども。これは、政府としてはこの程度で十分とはお考えになってないでしょうけれども、もっともっと積極的は方針をとるというお考えはないか。ことしはこれで改正案が出ていま審議されておりますけれども、将来の見通しとして、このまま物価が騰貴していくという状態になりますと、実質賃金は引き下げられているという中で課税対象人員が二百万人もふえていくわけですから、これでは地方税が減税になったという実感を勤労大衆としては持ち得ないのではないかと思いますので、その辺についてもっと積極的な態度をおとりになる、こうい気持ちはないでしょうか。あなたにお聞きするのはたいへん無理かもしれませんけれども、あなたも次官中では大ものに属しますから、ひとつあなたの意見をお聞きしておきたいと思います。
  111. 古屋亨

    古屋政府委員 いまのお話、お答えするにはやはり私にはちょっとむずかしい問題ですが、というより、自治省関係のお話はいたしますが、あと一般国税の問題、それから国税としての所得税の最低限の問題、こういう問題は国全般の問題でございますので……。私はむしろ地方税関係で、いまのお話しになりました所得税と地方税関係で、特に住民税というものの最低限の幅が先生のお話しのように、同じ年度を比べるあるいは前の年度という問題は別にいたしましても、できるだけそれは縮まっていくことが望ましいものであり、またそういうように努力しなければならぬと思っております。  そういう意味で、実は先生、何でも御承知でございますが、「長期税制のあり方についての答申」で課税最低限につきましては、四十六年七月に「個人住民税の課税最低限については、」「地方自治立場から地域社会の費用をできるだけ多くの住民負担することが望ましいという見地から、所得税の課税最低限と一致しなければならないものではない」が、一方「国民生活水準の向上に伴って、個人住民税の納税義務者数の推移及び地方財政状況等を総合的に考慮しつつ、その引上げを検討することが必要である。」ということをいっておりますのと、それから四十九年度におきまして所得税の大幅減税が行なわれることになっておりますが、住民税の課税最低限につきましては、所得税の給与所得控除の拡充の結果といたしまして、五十年以降住民税の最低課税限度といいますか、これが自動的に相当引き上げになる。そういう所得税の課税の最低限のいま申し上げました動向というものを勘案しながら、同時に住民税の人的控除を引き上げることによって、本年度は百一万という引き上げにした次第でございますが、私どもは、こういうような地方財源の問題と同時に、住民税性格からいたしまして、その差額を——同じ所得でありましても所得税と住民税とは性格も違っておりますが、払う人は同じでございますから、差額というものはできるだけ近づいていくということが非常に望ましいし、またそういう点におきまして、今後住民税の最低課税限度の引き上げにつきましては、いろいろの要素を勘案いたしましてその引き上げ幅をできるだけ多くしてまいる、一方地方自主財源の強化もはかっていくというように考えておるわけでございまして、私の立場から自治省関係考え方だけ申し上げておきますが、国全体の問題につきましては、いまの御意見を十分大臣にもお伝えいたしまして善処をしてまいりたいと思っております。
  112. 林百郎

    ○林(百)委員 次官から積極的な答弁がいただけましたので、ぜひそれを実現するようにひとつお骨折り願いたいと思いますが、この問題の質問を打ち切るに際して、先ほど私がお聞きしました数字、出ましたか。
  113. 山下稔

    ○山下政府委員 道府県民税市町村民税を合わせて申し上げますが、所得割は、四十八年度におきまして地方税総額中に所得割の占める割合は二一・四%でございました。
  114. 林百郎

    ○林(百)委員 個人ですね。
  115. 山下稔

    ○山下政府委員 はい。それが四十九年度で二二・七%になっております。
  116. 林百郎

    ○林(百)委員 プラス幾らになりますか。
  117. 山下稔

    ○山下政府委員 率で申し上げまして一・三%の増でございます。  それから法人税割のほうでございますが、四十八年度一〇・一%であったものが、四十九年度で一一・七%で一・六%の増ということになっております。
  118. 林百郎

    ○林(百)委員 これは後ほど正確に調べていただきたいと思いますが、私のほうで調査させましたところが、地方税に占める住民税の比率は、四十八年が一二・二、四十九年で一一・七という数字が出て、マイナス〇・五%という数字が出ております。これは私のほうの計算でありますので念のために申し上げておきますから、またひとつじっくり計算をして、どちらが正確か、後ほどでけっこうですから知らしていただきたい。  その次の問題に移ります。  電気税の問題についてお尋ねしたいと思いますが、これは言うまでもなく免税点が二百円引き上げられて、千二百円に免税点の引き上げがあったわけですけれども、昨日の夜の政府筋の発表によりますと、田中首相と福田蔵相は電気料金の値上げ時期について、参議院選の時期にこだわらず、物価上昇の推移を見て、あるいは原料となる重油の値上がりを見て、弾力的に扱わなければならないという意見が一致したということになっておるわけでございます。  そうしますと、電気料が上がってきますと、千二百円の免税点の引き上げというものとの関係はどうなってくるのか。生活水準の向上からくる電気の使用量の増加はもちろんのこと、電気料金が引き上げられるということになりますと、電気の消費に対する各家庭の支払う金額というのはふえてきますから、もし電気料の引き上げがかりに三割とか四割というようなことになれば、一体二百円の免税点の引き上げが事実上はどうなるのか。その辺のことを自治省では何か計数的にお考えになっておりますか。まだ考えておりませんか。
  119. 首藤堯

    首藤政府委員 電気税の免税点を千二百円にいたしましたことによりまして、現在免税点の対象となる世帯数、大体二七%という計算をいたしましておるわけでございます。  電気料の値上げの問題につきましては、私どもも、法案立案の時点におきましても、それから現在におきましても的確な情報がわかりませんので、それにつきまして試算そのほかは持ち合わせておりません。ただ、この免税点につきましては、免税世帯の比率でございますとか、あるいは使います電気量、生活水準の向上等に伴います増加もあると思いますが、そういう問題でございますとか、料金の問題でございますとか、こういったものを総合的に勘案をしなければならない問題であると私ども考えておりますので、いろんな状況の変化に応じて今後十分に検討をいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  120. 林百郎

    ○林(百)委員 これは自治省の所管でないので、所管でない事項をおたくのほうに聞いてもこれは所管外だということになると思いますが、千円が千二百円に免税点が引き上げられておりますが、これは二〇%アップになるわけですね。ところが、が、昨夜の政府筋の発表によりますと、石油が一キロリットル当たり九千円前後の引き上げになると、各社平均石油のアップ率が三〇%から四〇%、したがって電気料金のほうも三〇%から四〇%の引き上げをせざるを得なくなるだろう。原料が引き上げられるのに電気料だけ押えておくということは、企業の趨勢からいって押え切れないという発表がありまして、けさのテレビでも言っておりましたが、もし電気料金が今日の料金からかりに三〇%、四〇%アップだとすれば、免税点の二〇%の引き上げは、実際は免税点の引き上げによる税金の減免にならないのではないか。かりに電気料が三割から四割アップという方針が出たとするばそういうように思われますが、これは仮定の問題ですが、そうなれば一体どうなるのでしょうか。かりに電気料金が現行の電気料金より三割あるいは四割の引き上げがあるとすれば、千円が千二百円の免税点の引き上げになる、二割アップになったということで、実質的な電気税の引き下げという効果が現実的に電気の消費者のところへ恩典として来るのか、あるいは電気料がそれだけ上がってくれば、実際は電気税の引き下げという効果は電気料の引き上げによって抹殺されるのではないかということになるのか。その辺はどうお考えになりますか。
  121. 首藤堯

    首藤政府委員 電気料金がいつからどのくらい上がるか、それから電力会社、たくさんございますので、それが一斉になるのかどうかといった仮定の問題がございまして、実態に応じた対処のしかたを考えなければならぬと考えておりますが、一般論で、御質問がございましたとおりでございますれば電気料がひどく上がってまいりますれば、せっかく上げました免税点の実質的な効果はお説のとおりに消える、こういう相関関係を持つものではございます。
  122. 林百郎

    ○林(百)委員 それでけっこうです。  次官、これもあなたの所管ではありませんけれども、公共料金といっていいか、公共料金に準ずる電気料が三割、四割引き上げということになりますと、せっかくのこのたびの電気税の免税点の引き上げも実質的な効果は抹消されることにもなりますので、その点は十分慎重な配慮をすべきではないかと思いますので、機会があったらそういう意見もあなたが述べてもらいたいと思います。
  123. 古屋亨

    古屋政府委員 お話しのとおりでございます。私も、電気料がどれくらい上がるかという見通しはいま正確には存じておりませんが、そういう場合については、免税点というものをその場合に処してどうしていくか、あるいは来年度の税制においてこれを画期的にどうする、そういうことも考えていかなければならぬと思います。電気税につきましては、あくまで大衆的なものでございますので、その税の性格から考えまして、それぞれの時期に対処いたしまして、いまのお話しのような点を十分大臣にも話しまして、善処してまいりたいと思います。
  124. 林百郎

    ○林(百)委員 それではその点については、これもまた次官の前向きな答弁がありましたので、ぜひ積極的にその方針を貫いていただきたいと思います。  次に、最近の買い占め、売り惜しみ、そのことによる物価の異常な高騰に関係しまして、倉庫の果たしている役割りが相当悪用されておるという側面があるように思われます。  そのことに関して、地方税法の附則の第十五条の八項を見ますと、これは一定の規模の倉庫でありますが、倉庫に対する固定資産税及び都市計画税の減税措置が講ぜられておりますが、本来のこの立法の趣旨はどういうことであったのでしょうか。
  125. 首藤堯

    首藤政府委員 本来、倉庫業は、物資の生産、流通、消費の連結点として、物資の流通の合理化をはかって国民生活の安定に資するという面で非常に重要な役割りを持っておる、こういうことでございます。このような倉庫業の重要性にかんがみまして、倉庫の量を緊急に増強することが要請されておったわけでございます。  そこで地方税法においては、運輸大臣の許可を受けたものであることとか、あるいは倉庫の増強に適する近代的な倉庫にふさわしい規模や構造を持っておるものといったような、御承知のような一定の要件をしぼりまして、これにつきまして税負担の軽減をはかろう、こういう趣旨から附則をつくったものでございます。
  126. 林百郎

    ○林(百)委員 本来の立法の趣旨はそういう趣旨だと思いますが、最近の社会情勢からいって、はなはだ異常な事態が発生してきておりますので、これを再検討してみる必要があるのではないかと私たち思うわけです。  そこで運輸省にお尋ねしますが、倉庫業法に基づいて許認可を受けた倉庫数というのは一体全国で幾つあるのですか。
  127. 満所清吾

    ○満所説明員 お答えいたします。  全国で、普通倉庫と冷蔵倉庫というふうに分類するわけでございますが、普通倉庫は大体二千業者でございます。それから冷蔵倉庫は千百事業者でございます。
  128. 林百郎

    ○林(百)委員 固定資産税、都市計画税の減税の指定になるような倉庫がどのくらいあるかということを聞きたいのですが、その前に、倉庫業者でなくて倉庫の数はどのくらいあるのか。もし全部の数がわからないとするならば、この十五条八項によって固定資産税、都市計画税の減免の対象になる倉庫の数は幾らあるか。これは運輸省で把握しているでしょうか、自治省で把握しているでしょうか、どちらからか答弁を願いたい。
  129. 満所清吾

    ○満所説明員 倉庫の数は運輸省では把握していないのでありまして、面積でございます。普通倉庫で申しますと全国で約千五百万平米、それから冷蔵倉庫でございますが、これは全国で約八百立米でございます。倉庫数につきましては把握いたしてございません。
  130. 林百郎

    ○林(百)委員 自治省では把握していますか。これは固定資産税や都市計画税に関係しておりますので、つかんでおられますか。
  131. 首藤堯

    首藤政府委員 自治省では、軽減対象になっております倉庫の面積数ないしは体積でございますが、それを把握しております。普通倉庫におきまして約十七万平米、それから冷蔵倉庫におきまして約十三万六千立米、それから貯蔵倉庫で二十万立米、こういう数字に相なっております。
  132. 満所清吾

    ○満所説明員 ただいま申し上げましたのは倉庫業法上の倉庫でございます。つまり営業倉庫でございます。
  133. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、運輸省で言われたのと、それから自治省で言われたのは具体的に固定資産税、都市計画税が減免の対象となっておる倉庫の面積数ということになるわけですね。だからそこに差が出てくるのは当然ですね。  そこで、金額は一体どのくらいになるのでしょうか。これらの倉庫にかかわる固定資産税、都市計画税の減免措置によって減額された金額はどのくらいですか。
  134. 首藤堯

    首藤政府委員 軽減額は四十七年度分で四億五千三百万、かようになっております。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 これは運輸省のほうにお尋ねしますが、倉庫に対してあるいは冷蔵倉庫に対して固定資産税及び都市計画税の減免措置をとっておるのは、倉庫業法の第一条の目的に沿うために特別な措置をとっておるものと思います。しかし、最近はその倉庫の果たす役割というのが、だいぶ悪用されてきておりますので、倉庫業法の二十七条には、言うまでもなく、運輸省の倉庫課長さんがお見えになっているから御存じだと思いますが、「倉庫業者に対して、その営業に関し報告をさせ、」さらには「その職員に倉庫業者の営業所、倉庫その他の場所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。」ということになっておるわけでのですが、こういうことをされたことはありますか。
  136. 満所清吾

    ○満所説明員 最近物価が非常に上がりまして、生活関連物資につきまして在庫調査をするということになりまして、その生活関連物資を所管している農林省あるいは通産省が買占め防止法によりまして在庫調査をしているのでございますが、私どもの運輸省といたしましては物資の所管官庁でございませんので、それに協力する意味合におきまして、倉庫業者に基づきまして在庫調査をいたしました。その在庫調査は、数量を報告していただいたわけでございますが、この数字がはたして正確であるかどうかということを検討するにめに立ち入り検査を行ないまして、その数量を確認したわけでございます。これは一月十日に始まりまして、以後毎月末にその数字を出していただくということになっておるわけでございます。
  137. 林百郎

    ○林(百)委員 運輸省は二月二日に物資調査本部、いまあなたの申しましたものを設けて倉庫の立ち入り調査を行なうということを決定して、その後調査を行なっておるということもいまお聞きしましたけれども、そうするとこれは投機防止法買い占め売惜しみ防止法の五条の立ち入りですか、倉庫業法による立ち入り検査になっているわけですか。
  138. 満所清吾

    ○満所説明員 投機防止法は私どもには関係がないのでございまして、倉庫業法に基づく検査でございます。
  139. 林百郎

    ○林(百)委員 その結果をひとつここで概要を説明してみてくださいませんか。
  140. 満所清吾

    ○満所説明員 この調査は、私どもの物資調査本部が二月四日に発足したのでございますけれども、これに先立ちまして一月十日に事実上調査をしております。それから、毎月末の数字を把握するために一月末現在で数字を集めております。この数字が現在のところ一番新しいのでございまして、二月の数字が間もなく出てくると思いますが、さしあたり一月末の数字で御説明申し上げたいと思います。  私どもの調べました生活関連物資と申しますのは七品目ございまして、トイレットペーパー、印刷用紙、合成洗剤、それから砂糖、合板、小麦粉、塩化ビニールパイプ、この七品目でございます。これを、四十九年一月末現在の保管残高を調べたわけでございます。その数字と、それから一年前の、つまり四十八年一月末現在の残高と比較したわけでございます。その比較におきましては、トイレットペーパー、合成洗剤、それから砂糖等におきましては、前年に比べまして三分の一から四分の一の在庫に減っております。それから小麦粉につきましては在庫が七割に減っております。その他の品目につきましては大体昨年と同量の在庫でございます。ただ合板につきましては昨年より五割増し、つまり一五〇%の在庫になっておりますが、これは総需要拠制の結果で設備投資が控えられましたので、その資材に用いるべき……(林(百)委員「いや、理由はあなたから聞かなくていいです。その倉庫の在庫量だけ聞けばいい」と呼ぶ)合板は五割増しぐらいの在庫になっております。  以上でございます。
  141. 林百郎

    ○林(百)委員 他の側面ですね、他の側面からいえば、たとえば私たちの同僚の野間議員ですが、伊藤忠の流通室の指示ということで、倉庫に多量の物資を貯蔵している場合はこれを分散させろという指示が出ているということが予算委員会で明らかになりまして、それでそういう指示が実際行なわれたかどうかということは、会社側では、こういう指示を出したことは認めるけれども、実際にそのような動きはしたことはない、しかしこういう文書を出した責任者に対して適当な措置はするということで、それぞれの措置がなされているわけなのですが、運輸省の調査によって、倉庫がそういう買い占め、売り惜しみの物資の貯蔵に利用されているという側面が全然ないということが言われるのでしょうか。あるいはそういう可能性がある、だからわれわれはこういう点を十分監視をしていく必要があるというお考えでしょうか。その点はどうでしょうか。
  142. 満所清吾

    ○満所説明員 私どもも、調査した段階におきましてはよく事情がわからなかったのでございますが、いま申し上げましたような生活七品目につきまして見ましたところ、特に倉庫におきましてふえているとかいうふうな事情がございませんので、営業倉庫につきましては、そういう生活関連物資の大きい量の買い占めに使われたという面は非常に少ないのではないのかと思います。  御参考までに申し上げますと、全体の日本の倉庫の保有面積のうちで、営業倉庫の占める割合は四分の一ないし五分の一でありまして、つまり二割か二割五分ぐらいのシェアしかないということでございます。
  143. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。  そこで、運輸省が倉庫を調査に行く場合はどういう手続でおいでになるのですか。どういう手続を経ておいでになるのですか。
  144. 満所清吾

    ○満所説明員 倉庫の調査につきましては、いきなり行きましてもその倉庫の責任者に十分な説明を受けることができませんので、前日の夕方に、明日参りますというふうに連絡いたします。前日の夕方といいますと、すでに職員等も帰っておりまして、その倉庫に在庫している物の移動ができないという判断のもとで、前日に通告いたしましてその当日に行く、こういうふうなことにして、おります。   〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕
  145. 林百郎

    ○林(百)委員 前日に通知をして翌日行く。前日というのは何時ごろ通知するのですか。
  146. 満所清吾

    ○満所説明員 おおむね前日の夕方でございます。
  147. 林百郎

    ○林(百)委員 夕方というのは何時ごろなんですか。
  148. 満所清吾

    ○満所説明員 五時くらいでございます。
  149. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。そういう事実があったかどうかは別として、前日の五時ごろ注意を受ければ、夜中かかって分散するということができないとも限りませんね。これは、した、しないはわかりません。また運輸省もそういうことがないように、そうかといって、すぐ、突然来たといって説明ができないようでは調査の目的が果たせないから前日通知をするのだということだと思います。しかし、分散させようと思えばできないことはない、そういうことはお考えになりませんか。
  150. 増田信雄

    ○増田説明員 先生の御質問でございますが、一月十日の時点で調査したときにそういう御批判を受けました。そこで、そういう記事が出ました。横浜のケースにつきまして事後にもう一度帳簿の調査をいたしました。通告を受けた後、荷物を動かした事実があるかどうかということについて調査をいたしました。その時点におきましては、組合の方の立ち会いを求めて調査いたしましたが、その事実は認められませんでした。  それから、ただいま参事官が申し上げましたが、今回の調査、二月六日以降の調査においては、倉庫関係は当日通告をもって原則といたしております。これは本部長通達で明確に指示しております。やむを得ず支店等で本社から人を呼ばなければいけないというケースにおきましては、その荷物が動かせないという状態になってから通告をしなさい、こういうことでいたしております。
  151. 林百郎

    ○林(百)委員 一応運輸省の言うことをお聞きしておきましょう。  そこで、これは仮定の問題ですが、もしこういう倉庫が、いま物価の高騰にはなはだしい影響を与えておる買い占め、売り惜しみの物資の隠し場所に使われているというようなことが明らかになった場合に、これは倉庫業法の一条の目的にも反することでありますし、また倉庫業法の一条があるからこそ、地方税としての固定資産税あるいは都市計画税の減税措置も講じているわけでありますけれども、もしそういうことが明らかになった場合は、これは自治省としては、そういう倉庫にまでこういう特典を与える必要があるのかどうかという点について何かお考えになったことがありますか、どうですか。たとえば、この倉庫は明らかに買い占め、売り惜しみに利用されているのだ、そういう倉庫にさらにまたこういう固定資産税及び都市計画税の減程措置をとる、それはどろぼうに追い銭じゃないかという理論になりますので、そういう場合は何らかの措置を講ずる必要があるのではないか。あるいは地方税法附則第十五条八項にそういう条項を一つ入れる。本来の倉庫業法の一条の目的に違反するようなものに利用された場合はこの限りでないとかなんとか、そういうことで、今度は地方税の面から、倉庫がそういうものに悪用されないようなそういう規制をしていくということは、自治省としては考えられないでしょうか。
  152. 首藤堯

    首藤政府委員 税の軽減の趣旨が先ほど申し上げましたとおりの本来の趣旨でございますから、その趣旨を逸脱をすることに倉庫が使われるということははなはだ遺憾なことだと考えております。しかし、倉庫そのものの使われ方がそのような悪い目的に使われるということ自身は、そちらの使用目的が誤っておるという点において非常に大きな遺憾な事態があるわけでございますので、至急こういうことのないように、厳重に監視ないしは取り締まり等を運輸省そのほかにおいてやっていただきたい、こう思っておる次第でございます。税法としては、本来の国民の流通あるいは生活安定に資す、そういう目的のための軽減措置を継続をする、こういうことだろうと思います。仮定の話でございますが、いつまでたってもそっちのいいほうの目的より悪いほうの目的に使われるほうが多いというような事態に相なりますれば、もちろんこの軽減措置についてはよく検討するということをしなければならぬだろうと考えております。
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 運輸省にお尋ねしますが、先ほど言った運輸省の所管の中に入る倉庫が全国の倉庫のうちの四分の一程度だと聞きました。そうすると、あとの四分の三の倉庫というのは一体どこの規制下、どこの行政監督下に入るのでしょうか。野放しということになるのでしょうか。
  154. 満所清吾

    ○満所説明員 ただいま申し上げましたように、倉庫業法しの倉庫は面積にしまして四分の一ないし五分の一でございますが、そのほかの部分につきましては、たとえば農業倉庫、それから協同組合の倉庫それから自家用倉庫、その他の物品を貯蔵する場所等等でございまして、いわゆる倉庫業法上の倉庫として私どもが管轄しているのは、その中の営業倉庫が……(林(百)委員「わかっているんです。だから、他の倉庫はどうなんですか」と呼ぶ)他の倉庫は、たとえば農業倉庫であれば農業関係の法律に基づく倉庫でございまして、私どもの管轄の外にあるわけであります。    〔高鳥委員長代理退席委員長着席〕
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 個人用の倉庫はどうなるのでしょうか。
  156. 満所清吾

    ○満所説明員 自家用倉庫のことだと思いますけれども、自家用倉庫につきましては倉庫業法上の倉庫ではございませんので、私どもの管轄外でございます。
  157. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。  そこでまた倉庫に対する固定資産税と都市計画税の減免措置の点に戻りますけれども、これは大都市では相当の減免措置になると思うわけでありますが、たとえば一例を申しますと、四十八年度に東京都では一体これによる減税措置がどのくらいされているかおわかりですか。あるいは東京都以外のおもな、埼玉、神奈川その他でいいですが、自治省でつかんでいる数字がありましたら伺いたい。さっき総額は四億幾らというのが出ましたね、トータルは。その内容はわかりますか。
  158. 首藤堯

    首藤政府委員 若干の例を調べてまいりましたが、東京都の場合でございますと、家屋分で七千六百万円、償却資産で七百万円でございますから約八千三百万円でそれから埼玉県でございますと、家屋分で約一千万円、こういった例でございます。
  159. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ私のほうで調査した数字を申し上げます。いま申し上げましたような倉庫業法の一条の、円滑な流通をはかり国民の生活の安定をはかるという目的から逸脱したというような倉庫に対しては、これは私のほうとしては地方税の面からそういうものにまで固定資産税あるいは都市計画税を減免してやるという特典をしてやる必要はないじゃないかというように考えまして、念のために、一体主とした大きな都道府県でどのくらいの減税措置がとられているかということを調査しました。  これは参考までに申し上げておきますが、東京都では四十八年度で約八千万から一億円、これは大体、東京都の数字はいまの自治省のと一致していますね。具体的に申しますと、東京の品川区の東品川、丸紅冷蔵の倉庫で一カ所約百五十万円の減税、港区海岸三丁目にある三菱倉庫の一つが三百万円近く減税されている、こういうような数字が出ております。この丸紅にしましても、三菱にしましても、このたびの買い占め、売り惜しみでだいぶ対象となり、国民の批判の的となっている業界であることは明らかであります。そういう大企業の持っておる倉庫、しかもそれがいま国民の大きな批判を受けておる買い占め、売り惜しみの物資の隠し場所とされておる、そういう疑惑を国民に持たれております。しかも金額にしても相当の金額に達しますので、今後は自治省としても、先ほどの答弁にありましたように、運輸省とも連絡を取り合って、そして地方税の減税措置をとった目的を逸脱するようなものに対しては厳重な警告を運輸省にも発して、本来の目的に戻るようにさせる。あるいはそういうものに対しては課税上も、これは法律を、附則の改正をしなければできないと思いますが、免税措置についても考慮するというような、やはりそういうき然とした態度を自治省もとることが必要じゃないか。いま国民がこの問題で非常な生活の苦しみにおちいっているときですから、そういうことが自治省としても必要だと思いますが、これは次官どうお考えになりますか。
  160. 古屋亨

    古屋政府委員 お話しの点は私も全く同感で、倉庫業法による倉庫が本来の目的に使用されないというものに対しては、減税というようなことは法律の趣旨にも反するものでございますから、運輸省とは十分連絡いたしまして、必要な措置を必ずとってまいるということを申し上げます。
  161. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。  この固定資産税関連いたしまして、私たちのところへ借地人や借家人から切実な要望があるわけなんですが、それは固定資産課税台帳の縦覧です。  地方税法の第四百十五条を見ますと、「市町村長は、毎年三月一日から同月二十日までの間、固定資産課税台帳をその指定する場所において関係者の縦覧に供しなければならない。」と、こうあるわけです。ところが最近は、土地を借りている人あるいは家を借りている人、借地人あるいは借家人に、固定資産税が三倍にも上がったのであなたとのころの家賃は三倍にしていただかなければなりません、あなたのところの地代は昨年の三倍にしていただかなければなりませんということで、固定資産税の何倍引き上げということを理由にして、それが借地人、借家人にしわ寄せされている事例がたくさんございます。われわれのところへ陳情に参りまして、こういう場合にわれわれもこの地方税法の四百十五条の「関係者」として、実際、地主さんの言うようにあるいは家主さんの言うように固定資産税が三倍にも上がったのかどうかということを知りたいと思う、この関係者として縦覧することを許していただけないでしょうかという、こういう切実な要請があるわけなんですね。これについてひとつ自治省の見解をただしたいと思うのですけれども、どうでしょうか。
  162. 首藤堯

    首藤政府委員 もう御案内のように、固定資産の課税台帳を関係者の縦覧に供するというのは、納税者が台帳の登録事項について審査の申し出をする機会を設ける。こういうのが目的であるのも先生の御承知のとおりでございます。  そこで、この縦覧ができます関係者でございますけれども、従来からの解釈におきましては、四十四年の通達にも出しておるのでございますが、「関係者」というのは納税義務者、それからその家族、それから代理権を有する代理人、こういった直接関係を有する者に限られる、こういう取り扱いになっておりますので、その他の者が縦覧をするといったことが現在ではできない仕組みになっております。そういう事態でございますが、しかし、ただいま御指摘のように、借地借家人等は、固定資産税が上がったと言っているけれどもどの程度上がったのかわからぬのだから、縦覧そのものではなくて、その程度のものを何とか示す方法がないのか、こういう御説があることもよく存じております。  問題はこの間の調整でございまして、つまり、地方税法上秘密漏洩とかいったむずかしい問題がございまして、うっかり漏洩をいたしますと税務職員が刑事罰に問われるといったような問題もございますので、この附近の限界、そのほかの具体的な取り扱いにつきましては、法制当局、そのほかのところとも十分打ち合わせをしながら、所期の目的が達せられる方法がないものかどうか、いま検討をしてみたい、こう考えておる次第でございます。
  163. 林百郎

    ○林(百)委員 私のほうも地方公務員法の関係等のあることも知っております。しかし、「関係者」というのをそう自治省の言うような狭い範囲解釈する根拠は一体どこにあるのか。直接的な関係者——直接というまくらことばをつけられましたけれども、現に自治体でも、大阪府、京都府あるいは東京都では、そういう証明があれば縦覧、閲覧を認めているわけですね。借地人や借家人からいえば、地主や家主からそう言われればこれは一方的な宣告であって、いやそうおっしゃっても、私のほうで調べた範囲ではそんなに固定資産税は去年に比べて一挙に三倍も上がっておりませんという抗弁ができるようにしてやらないと、そのことを理由にして地代や家賃が一挙に三倍にもなって、三万、四万というような家賃や地代を払うということは勤労者にとってはたいへんなことになってしまうわけですね。これはやはり弾力性を持たせるようにしなければならないと思うのです。いま検討中というだけではちょっと済まない、緊急な打開策を考えるべきだと思いますが、もう一度その点どうでしょうか。何とかしてやる方法はありませんか。  私のほうは、地方税法の四百十五条の「関係者」というのは何も直接と書いてないわけですから、関係者の中にはもちろんその土地の借地人あるいはその上の借家人も入る、こういう解釈から縦覧期間には見ることができる、こういう解釈をとって救済しようと思っているわけですが、あなたのほうがそんなかたくなな解釈をするとすれば、借地人、借家人にとってははなはだ冷たい回答になるわけなんです。どうでしょうか、もう一度再考されて何とかこれを打開する方法を前向きに考慮するなり、適切な行政措置をとられるなりするお考えはないでしょうか。これは「関係者」というものの解釈なんですからね。
  164. 山下稔

    ○山下政府委員 この台帳の縦覧制度は、先ほど局長から申し上げましたように、固定資産税課税のための台帳でございますために、直接課税に関係がない人がこの縦覧をするという制度にすることは、台帳縦覧の制度の筋から申しまして問題があろうかと思います。そういう意味で一年間に三月一日から二十日まで、これは普通の場合でございますが、期限を切って、課税のために必要な人だけに縦覧をするという制度が設けられております以上、この縦覧の段階で課税に関係のない人に縦覧をするということは問題があろうかと思います。  ただ、この縦覧が済みましたあとで台帳を見せてほしいという希望がある、いわゆる閲覧の希望があるというものについては、実は直接地方税法規定はございませんが、地方税法全体の趣旨から判断して、そういう者に見せていいかどうか判断をしなければならないと思います。その場合には、別途地方税法二十二条に、地方税関係する者がその知り得た秘密を漏らしてはいけないというような規定に違反するおそれがあることも考えなければなりませんので、その点は慎重に取り扱ってきているわけでございまして、現在のところ、法律で訴訟物件等の価格が必要であるという場合、そのほか本人の同意を得た場合のほかは見せないように慎重を期しているわけでございます。  そこで、いま御指摘の問題につきましては、土地なり家屋なりの所有者と借家人なり何なりとの関係の問題でございますので、家主のほうからあるいは地主のほうからそういう話があった場合には、借地人なり借家人はその内容が真実であるかどうか確認したいというのは当然のことでございますので、その場合は地主なり家主なりに事情をよく話しまして、地主、家主の同意を得た上で役場に行っていただければ、役場でも本人の同意があるということを確認すれば見せるということになろうかと思いますし、あるいは地主なり家主なりが自分で閲覧をいたしまして、それを何らかの形で確認をしたものを借地人、借家人に見せるということで、家主と借家人との間、地主と借地人との間の話し合いで円滑に処理をするのが筋ではないか、そういう方向にできるだけ円満に話し合いをつけるようにしていただきたい、そういうふうに考えます。
  165. 林百郎

    ○林(百)委員 委員会ではそういうように、いかにもまるくおさまるようになっていますが、現実に借地人と地主、借家人と家主の関係はそんな、にこにこしながらお話のできるような関係じゃないのですよ。一方は三倍も家賃や地代が上げられるのですし、一方は何とかしてそれを取ろうというのですから、そんななまやさしく、けっこうでございます、ではお茶を飲みながら二人で仲よくやりましょうなんという関係にいかないのですよ、非常に利害関係が切実になってくるわけですから。  ちょっと審議官にお聞きしますが、どうして固定資産税を幾ら払うということを明らかにしちゃいけないのですか。明らかにされることによってどういう侵害があるのですか、その人のプライバシーなり財産権に対して。一方ではそれを理由にして地代や家賃が三倍にも引き上げられようとしているのですよ。そういう場合、地方自治体に私は幾らの税金を納めているということを明らかにすることが、納税者の何の権利をどう侵すのですか。しかも、この地方税法には「関係者」とあって、自治省解釈のように、直接の関係者なんということばはこの中に一つもないですよ。そんな解釈自治省がかってにして、そして借地人や借家人が苦しんでいるのをにこにこして見ているなんというのは——まあにこにこしているのかどうか知りませんけれども、それではほんとう地域住民のための自治省にならないのですよ。どうお考えになりますか。  あなたはいま、わずかな道として、地主や家主の同意があるという証明があれば見せることもいいじゃないですかということを示唆されましたけれども、しかし、激しい対立をしている地主や家主と借地人、借家人との間で、それじゃあなたにお見せしましょうなんという一礼なんか出しっこないのですよ、現実からいって。この救済の道を開いてやることを自治省考えるべきだと思うのです。必ず、固定資産税が上がったから地代、家賃を上げますと言ってくるのです。それも何割程度ならいいのですよ。二倍、三倍とくるのですから、これは納めるほうからいったら、いまのこの生活苦のときにショッキングですよ。それを、自治省の専権的な解釈、「関係者」ということについての解釈でやる。これは法律には直接とも何ともないのですから、ただ自治省解釈だけなんです。そういう行政指導自治省がしているんだ。現に東京や大阪や京都ではそんな自治省解釈は無視して、ちゃんと見せているのですから。どうして自治省がそんな解釈にこだわるのか私はわかりません。どうでしょうか。
  166. 山下稔

    ○山下政府委員 御指摘のような事情があることは私どもよく理解ができます。ただ一方、地方税法の運用の問題として考えなければならない面がございます。そこで一つには、縦覧をするという場合には、固定資産税の課税台帳が固定資産税を課税するための台帳であることからいって、おのずから、関係人というものは課税のための関係人というふうに限定されるのではないかということで現在の解釈が生まれてきております。  そこでもう一つ、縦覧を離れた閲覧の問題として考えました場合に、一つには、借地人、借家人の立場は御指摘のとおりだと思います。しかし一方、角度を変えまして、固定資産の所有者の立場考えてみますと、だれでも自分の財産を第三者に知られたくないという希望も否定ができないと思います。そういう本人の立場も同時に考えなければならない。  そこで、御指摘のような点とどこで調整するかということが非常にむずかしいことになるわけでございますが、ただいまのところ、二十二条の秘密保持の関係も考慮しつつ検討はいたしておりますが、いかにも刑事罰に関係することでございますから慎重に扱わなければならないと思いますので、ただいまのところは先ほど申しましたように、本人の承諾を得て閲覧するという方法で解決できないであろうか。現に建設省のほうも、借地人、借家人には税額を知らせるように、借地人、借家人が閲覧を求めた場合に同意を与えるようにということを指導しているようでございます。いまのところそうした方向で解決をせざるを得ないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  167. 林百郎

    ○林(百)委員 あなた、固定資産税を幾ら納めておるかという、納税者の財産の秘密保持の権利を守ってやると言いますが、固定資産税を実際納める人は借地人、借家人なんですよ。地主や家主が実際自分の財産から自分の腹を痛めて出すのじゃないですよ。固定資産税は必ず借地人や借家人に転嫁されるんですよ。だから、その人に幾らの固定資産税が本年度かけられるかということは、それを実際拠出する借地人や借家人こそが最も直接的な関係者なんですよ。そこのところをあなたは考えなければならない。  それで、家主か地主の承諾があれば見ることができるなんて言ったって、そんななまやさしい関係にないんですよ。一挙に三倍も地代や家賃を上げようという地主や家主と火花を散らして抵抗している借地人や借家人が、円満に話をつけて、それではこうしましょうといかないのですよ。だからこそ国会議員のわれわれのところに、先生何とかなりませんか、これではとてもわれわれの生活がやっていけませんという声が出てくるわけなんですよ。  だからその点、審議官もう少し実情をよくくんで、そしてそういうものに対する道が開かれるように、地方公務員法の三十四条だって、正当な理由があれば違法性は阻却されるのです。生活を擁護する、あるいは直接の関係者としての借地借家人ということになれば。だから、その点はもっと積極的に考えるべきだと思います。  それでは、事務当局を相手にしたのじゃちっともいい回答が出ませんから、次官の古屋さん、どうでしょうか。
  168. 古屋亨

    古屋政府委員 いまのお話、私も恐縮なんですが林さんと同じように弁護士でございまして、そういうことはよく相談を受けております。だから、関係者の範囲の問題、法制局との関係、いろいろございますが、できるだけ早い機会に積極的に当たりまして、はっきりした解釈というものを御期待に沿うように考えますから、ちょっときょうは……。いま事務当局の御答弁申し上げましたように、考え方としましては、法制局あるいは建設省でもぼつぼつそういうことをやりかけておるというふうに聞いております。この問題で皆さんがお困りになると言ってはあれでございますが、スムーズにまいりますように、私もいまのお話、しょっちゅう自分の立場でも聞いておりますので、考えましてお答えいたしますから、ちょっとお待ちを願いたいと思います。
  169. 林百郎

    ○林(百)委員 次官から前向きの御答弁がありましたので、私はそれを信頼しまして、ぜひ借地人や借家人のために道を開くような方法を講じていただきたいと思います。  時間も参りましたので、私、最後に租税特別措置地方税非課税措置による地方税の減少の問題についてお尋ねして、それで私の質問を終わりたいと思います。  国税に関しては租税特別措置があるわけですし、それから地方税については地方税の非課税措置がありますが、大きくいってこれは大企業の利益をはかっておるというように考えるわけです。大企業あるいは大資本の利益をはかっておる面がもう圧倒的に多いというように考えておるわけなんです。  そこで念のためにお聞きしますが、国税に関する租税特別措置によって地方税減収見込み額はどのくらいになるのか。それから地方税の非課税措置による減収見込み額はどのくらいになるか。昭和四十九年度の数字がわかりましたら説明していただきたいと思います。これは数字、出ていますか。
  170. 首藤堯

    首藤政府委員 租税特別措置が、国の租税特別措置によりますものと地方税法の独自の規定によりますものがあるのは御指摘のとおりでございまして、この四十八年度の金額は、国の措置に伴いますものが千二百七十四億、地方税法規定によりますものが千九百六十八億、こうなっております。  これの四十九年度分でございますが、ただいま精査をいたしておりますが、地方税法規定によりますものが二千百億程度になろうと思います。それから国の特別措置によりますものも目下算定中でございます。やっと国のほうが出ましたので、それに伴いまして現在作業中でございます。やがてでき上がりますので御連絡を申し上げたいと思いますが、見当で申し上げますと千四百億台ではなかろうかと、いま試算でそう思っております。
  171. 林百郎

    ○林(百)委員 地方税の非課税措置のほうは説明ありましたか。ちょっと私、聞き漏らしたのですが……。
  172. 首藤堯

    首藤政府委員 二千百億です。
  173. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。これは四十九年ですね。——念のために聞いておきたいのですが、過去五年間のこういう数字、わかりますか。あるいはいまそこでわかっている範囲で、四十八年、四十九年が出ましたね、それからさかのぼってわかりませんか。もしわからなかったら、委員長、資料としてあとで私のところにいただければけっこうです、突然の質問ですから。
  174. 山下稔

    ○山下政府委員 昭和四十四年度から申し上げます。最初に申し上げる数字が国の祖税特別措置によって影響を受ける分でございますし、あとで申し上げる数字が地方税法規定による分でございます。四十四年度、千八十九億と千百三十二億、計二千二百二十一億でございます。四十五年が千二百八十一億と千三百九十九億、計二千六百八十億でございます。四十六年度千三百八十三億、それに千六百二十七億、合計三千十億でございます。四十七年度が千四百五十八億と千七百六十一億、合計三千二百十九億でございます。
  175. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。それならば、四十九年度でけっこうですが、四十九年度のこの両措置による減免税が地方税収入に占めるパーセントはどのくらいになるのでしょうか。これをもしそこですぐ数字が出なかったら、あとで資料として私のところへ出してくれればいいですよ。
  176. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 数字を資料として御提出願います。
  177. 林百郎

    ○林(百)委員 答弁できますか。——あとでけっこうです。そうしてください、時間がありません。  それから、地方税の非課税の特別措置のうちで法人に対するものと個人に対するものとの区別がわかりますか。
  178. 山下稔

    ○山下政府委員 ちょっと仕分けをしなければなりませんので時間をちょうだいいたしたいと思いますが、できるだけ早く仕分けをいたしまして御報告申し上げたいと思います。
  179. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、これも時間の関係あとで資料として出してくださってけっこうです。  私のほうの見解を、これは具体的な資料と数字に基づいて言うべきですけれども、それがいますぐ間に合いませんので、申し上げますけれども、言うまでもなく、租税特別措置によっても地方税非課税措置によっても、大企業に対する手厚い保護から出る減税措置だと思います。いま地方財政が非常に窮迫しているときに、かつてない大きな利潤をあげている企業や大資本に対してこのような措置をとる必要はないと私たちは考えております。そういう観点で質問を展開したいと思ったわけですけれども、この材料となる数字がいますぐ私の手元へ返ってまいりませんので、これはいずれ適当なときに、資料がまいりました機会にまたさしていただきたいと思います。  そこで、このたびの地方税改正地方税の非課税あるいは特別措置改正は何点ぐらい行なわれているのですか。件数にしてどのくらい、あるいは点数ということばを使ってもけっこうです。
  180. 首藤堯

    首藤政府委員 おもなものについて申し上げますと、電気関係固定資産税の特例の廃止ないしは、軽減、それから産業用の重要機械におきます同じような廃止ないし軽減、それから、国に伴いますが、交際費課税の特例、これに伴いまして地方のほうも同様な特例の廃止と申しますか軽減と申しますか、そういう措置がおもなものでございます。
  181. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ具体的な例を一つとって申しますが、昭和四十九年度から電子計算機にかかわる課税標準の特例がなされますね。これは前からあったなら前からあったでけっこうです。とりあえず電子計算機にかかわる課税標準の特例で昭和四十九年度の減収見込みはどのくらいになるのでしょうか。それからまたこの対象になる法人というのはどういう法人でしょうか。ここでわかったら具体的に説明願いたい。
  182. 首藤堯

    首藤政府委員 電子計算機につきましての軽減税額は二億二千八百万ほどに相なります。それからこの措置昭和四十六年に創設されたものでございます。
  183. 林百郎

    ○林(百)委員 会社名を言ってください。
  184. 首藤堯

    首藤政府委員 会社名はちょっとつまびらかにいたしておりません。
  185. 林百郎

    ○林(百)委員 電子計算機関にする課税標準だけで四十九年度二億の減税措置をしているということだそうです。その会社名は言えないそうですが、これもまたあとで資料として出していただきたいと思います。どういう法人が対象になっているか一これは委員長、どうでしょうか、ちょっと聞いてみてください。当然でしょうね。
  186. 首藤堯

    首藤政府委員 府県別か何かの資料にさしていただいて、個別の会社名についてはお許しをいただきたいと思います。
  187. 林百郎

    ○林(百)委員 私のほうは個別の法人を知りたいのですよ。どうせ電子計算機を製造している会社なんというのは大企業であって、そう幾つもあるはずはないのですよ。しかもそこは大きな利益をあげているのですよ。そこへ何で二億もの非課税措置をするかということが、地方税の中における大きな性格を示す一つの指標になると思って聞いているわけです。どうしても会社名をはっきり言うことができないというなら、どうしても言えないのか、それをひとつ説明を願いたいのであります。
  188. 首藤堯

    首藤政府委員 この電子計算機の減税は、御承知のように、それを製造いたしております会社というだけではございませんで、レンタルで扱っておる、もの等がございますものですから、会社名を調べなければわかりかねますが、また調べたこともございませんものですから、個別の会社についてはお許しをいただきたいと思っております。
  189. 林百郎

    ○林(百)委員 では調べて、それを資料として提出していただけますか。どこの会社に幾ら非課税措置をしているかということは調べればわかるでしょう。
  190. 首藤堯

    首藤政府委員 調査をいたしまして、おもな会社名だけでございますならば御連絡を申し上げたいと思います。
  191. 林百郎

    ○林(百)委員 それではそれでけっこうです。そういう措置委員長、とっていただきたいと思います。  その次に、日本自動車ターミナル株式会社というのがあります。これに対して特例措置をしておりますね。これは幾らの非課税になっておるのでしょうか。あるいは減収といってもいいのですが、減収措置をとっておるのでしょうか。
  192. 首藤堯

    首藤政府委員 自動車ターミナルに対しましての減税は四十年に制度が創設されましたものでございますが、ただいまの金額は千二百万ほどに相なっております。
  193. 林百郎

    ○林(百)委員 ただいまというのは昭和四十九年度ですか。
  194. 首藤堯

    首藤政府委員 失礼いたしました。四十七年度の金額でございます。
  195. 林百郎

    ○林(百)委員 四十八、四十九はどうなっていますか。
  196. 首藤堯

    首藤政府委員 四十八年度の見込みでございますが、一千万と考えております。
  197. 林百郎

    ○林(百)委員 この日本自動車ターミナル株式会社の収支を見ますとばく大な利益をあげているはずなんですが、これはどうしてそういう非課税措置というか減税措置をとる必要があるのでしょうか。
  198. 山下稔

    ○山下政府委員 現在、御承知のような都市交通の混雑しているときでございますので、遠方から来ます大きなトラックが市内を走るということが交通混雑に拍車をかけますので、そうしたものをターミナルで整理をいたしまして交通の整理をしたいという趣旨から設けたものでございます。
  199. 林百郎

    ○林(百)委員 自動車がモータリゼーションでこんでいて、迷惑をこうむっているのはむしろ市民のほうが非常に大きな迷惑をこうむっているんで、その事情を緩和するという名目で、広大な土地を持ち、しかも大きな利潤をあげている自動車ターミナル株式会社に減税措置をとる必要はないと私は思うのです。これは十分に検討をされてしかるべきものじゃないかというように思います。これは、他の租税特別措置法あるいは地方税の非課税措置とともに、地方税の側面で非常に大企業に特権を与えている。こういうことは一度洗い直すべきだと私は思うのです。そして、むしろこういう法人には累進的な課税をかけて、乏しい地方財政財源にするのが地方税の本来の姿だと思いますので、この点は十分検討していただきたいと思うのです。  さらに、念のために聞きますが、昭和四十九年度に新たに、これはちょっとメモをしてくれませんか、電気ガス税が非課税となっているエチレン、プロピレン、ターポリマーゴム、及び合成グリセリン、また綿撚糸、ビスコース繊維、銅アンモニア繊維、酢酸繊維、ビニロンなどの合成繊維、それに対する減税措置による減収額は幾らでしょうか。これらの企業はかってない大きな利益をあげているわけなんです。ところがこれが、電気ガス税が非課税となっている。住民には先ほどのように、電気税の免税点が二百円上がっても電気料が上がれば実効は抹消されるといわれているわけです。それなのに、このばく大な利益をあげているこういう化学製品をつくっている諸会社に対して、なぜ電気ガス税を非課税とする理由があるのでしょうか、お聞かせ願いたいのです。
  200. 山下稔

    ○山下政府委員 エチレン、プロピレン、ターポリマーゴム、合成グリセリンにつきましては、従来から三年間の非課税措置が講ぜられていたものでございます。この三年間非課税措置を講じました結果、三年後に判断をいたしまして、やはり重要基礎資材であり、それからコスト中に占める電気料の割合が五%以上であるということを確認した場合には、一般的な非課税措置のほうに組みかえるというやり方をいままでやってきております。いま申し上げましたものにつきましては、三年たちましたので検討いたしました結果、非課税の基準に合致するということになりましたので、今回  一般の非課税措置に組み込めたわけでございまして、いわば新たにふやしたものではございません数字は、エチレン、プロピレン、ターポリマーゴムが千五百万、合成グリセリンが二千四百万でございます。  それから撚糸関係の軽減措置を講じましたのは、いままで輸出振興の見地から織物、綿糸あるいはスフあるいは毛、こういうものにつきまして、紡績糸の段階で軽減措置を講じてきておりました。ところがまた、輸出振興のねらいから製品としてできました織物につきましても軽減措置が講ぜられておりまして、ちょうどその中間にあります糸をよる段階、撚糸の段階のものが軽減措置の対象からはずれておりましたので、今回、前後のバランスも考えて、期限つきで軽減措置の対象にするということにしたものでございます。軽減額は初年度で一億五千万程度で一込んでおります。
  201. 林百郎

    ○林(百)委員 念のために聞きますが、エチレン、プロピレン、ターポリマーゴム、合成グリセリン、綿撚糸、ビスコース繊維、銅アンモニア繊維、酢酸繊維、ビニロンなどの合成繊維——合成繊維はことしはかつてない大きな利益をあげているわけですよ。これはもう皆さん御承知です。念のために聞きますが、これらを製造している会社名、ここであげられますか。これは非常に寡占度が高いので、すぐここで言えると思うのです。
  202. 山下稔

    ○山下政府委員 エチレン、プロピレン関係の主要工場は、たとえだ四日市にございます日本EPラバー、あるいは千葉にございます三井石油化学等でございます。それから……
  203. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは時間の関係がありまして、次の質問者に迷惑をかけてはいけませんから、それを資料として出してくれませんか。  要するに非常に大企業ですよ。何も一千万だとか二億だとか地方税を減免してやらなくても十分やっていける会社なんですね。しかも、ばく大な利益をあげている会社なんですよ。  私は、本年度の地方税改正についての性格を要約して言いますと、依然として大企業に対しては、国税は国の租税特別措置法はもちろんのこと地方税においても非常に手厚い保護をしておる。一方、大衆に対しては依然として、控除額を若干引き上げたにしても、この物価高、実質賃金のむしろ一月では引き下げという情勢のもとでは——参事官、よく聞いておいてください。こういう状態のもとでは、このたびの地方税改正によっては恩恵を受けたという実感を持たないということですよ。だから、ほんとう地域住民のための地方自治体を確立するためには、税制の面からもこういう点を本気になって自法省としては洗い直してみる、そして窮迫している地方自治体財政財政能力のある者から税金を徴収することによってこれをささえていく、こういう基本的な方針をとらなければならない。  ところが、このたびの改正はそういう立場をとっておらないどころか、新たにまた非課税措置を大企業を含めて拡大していく、ことに電気ガス税のごときはそうですね。だからそれは根本的に洗い直していく、そして大衆の利益になるような税制を確立していく、こういう見地から地方税について根本的に検討し直すということが必要だと思います。これは最後の私の質問でありますが、次官どうでしょうか、そういう御姿勢をおとりになる意思があるかどうか。
  204. 古屋亨

    古屋政府委員 ただいま租税特別措置の問題について林先生からいろいろ御意見を承りました。申すまでもなく、租税特別措置というものがそれぞれのその当時の経済社会の推移とか、いろいろそういう産業を特に育成しなければならぬ、これは国民生活上必要だというようなことでできたものでありますけれども、しかし元来、これは租税負担の公平ということから見れば、租税特別措置でございますから、例外といいますか、原則とは反対のものでございます。そういう意味におきまして、特別措置につきましてはできるだけ縮小、合理化をはかるということがどうしても私どもも必要であると思っておりますので、今後ひとつ関係当局とも十分連絡いたしまして、私も積極的にこの問題には取り組んでまいりたいと思っております。
  205. 林百郎

    ○林(百)委員 では質問を終わります。資料はひとつ提出するように委員長から注意してください。
  206. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 ただいま林君から希望のあった資料については……。  細谷治嘉君。
  207. 細谷治嘉

    ○細谷委員 質問に入る前に、いまこの委員会で四十九年度の地方税法審議をしておるわけでありますけれども、この地方税法以外に、地方税の収入に関係する法律案が他の委員会に別途の法律として出ているだろうと思うのですよ。その法律は何件くらいあるのか、そして地方税にどの程度影響を具体的に与えるのか、これをひとつ教えていただきたいのです。
  208. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘地方税法の一部改正の内容を持っております他の法律でございますが、全部で九件ほどでございます。おもなものは、宅地開発公団法とか、それから雇用保険法とか、それから生産緑地法でございますとか、ここういったものでございます。金額は、実質的にたとえば生産緑地法等が成立をいたしました場合にはどの程度が生産緑地に指定をされるか、こういったことで金額は動いてまいると思いますが、全体でいまの見当で約七億ぐらいの減収になるのではなかろうか。推定でございます。
  209. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、おととしのこの委員会かと思うのですけれども地方税法審議する場合に、地方税に直接かかわりを持ってくる他の法律は、これを審議する以上はほかのほうを見ないというわけにいかぬわけですから、関連法律案を資料として出していただきたい、そしてその法律案ごとに具体的に地方の税収にどの程度影響を持つのか、それも明らかにしていただかなければこの法律の審議はできない、だから出しなさい、こういうことを要望いたしまして、そういたします、と、こういうふうに答弁があっておるのですよ。ところが今度も出ておらない。私は、きょう質問しますきらぜひひとつこれを出してくれという要望をいたしました。けさほど資料をいただきました。私がいただいたのを、いま局長は九件と答えましたけれども、私が数えますと、これ十件あるのですよ。
  210. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま私、九件と申し上げまして、先生に差し上げました資料では十あげておるわけでございますが、実はその一番最後から二番目、都市再開発法の一部を改正する法律案、これがまだ提案になっておりませんものですから、私いま九つとお答え申し上げたわけであります。
  211. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これは、提案になっている、ならぬは別にして、大体自治省が全部合い議を受けているわけでしょう。合い議を受けて、出てくると予定されるものも含めて、推定じゃいけませんけれども、はっきりわかっているのですから、ぜひはっきりしていただかなければいかぬ。特に都市再開発法の一部を改正する法律案なんというものはかなりの影響を与えるだろう、こういうように想像されるわけだね。   〔委員長退席、村田委員長代理着席〕  ですから、こだわらぬで、これに書いてあるとおり十件だ、予定されるものは、こう申しなさいよ。  出ているものは九件ということですね。そうしますと、大体七億の地方税の減が見込まれるということでありますけれども、そういうことですか。わかっているのがそうですか。たとえば、通る通らぬは別として、宅地開発公団法でも三億でしょう。それからあと、残り四億しかないですよ。生産緑地法が通ったらそんなばかなことないでしょう。どうなんですか。やってみなければわからぬということですか。
  212. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま申し上げました数学の中には、生産緑地法で減収になる見込みの額は実は入っておりません。これは先ほどもちょっと申し上げましたように、生産緑地法がもし成立をいたしまして、どの程度今年中に指定になるか、このことで動いてくると思いますが、その見込みによりまして減収額がやはり生ずる、こういうものであろうと考えております。
  213. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私がけさほどいただきました資料では、特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案で八千八百万、農用地開発公団法で九百万、宅地開発公団法で三億円、国際協力事業団法で三億一千三百万、これだけなんですね。ですから、その他の法律についてどういうふうになるのか、影響がわかっておりませんかち、わかり次第、一応の見込みを立てた数字を資料として出していただきたい。地方税法が通ってしまったら、税務局長知らぬぞ、こういうことではいけませんよ。あなたも税法が通ったら、ここには来やしないでしょう。出しますね。
  214. 首藤堯

    首藤政府委員 判明し次第提出をいたします。
  215. 細谷治嘉

    ○細谷委員 その辺で質問に入りたいと思います。  税務局長と政務次官に聞きたいのだけれども、最近、地方財政問題に関連して、よく三割自治とか一割自治とか三分自治とか、いろいろなことばがあるのですが、おおむね三割自治といっておるわけですね。三割自治というのは一体どういうことなのですか、教えていただきたいと思います。
  216. 古屋亨

    古屋政府委員 自主財源が、つまり地方税が大体三割だ。これは先生一番御存じですけれども、自主的な地方税、独立に取り得るものが三割程度ときによりまして税が、三割がもう少し地域によっては上がっているものもございますけれども、大体そういう意味で三割。もちろん地方交付税あるいは国の補助金とかいろいろございますが、補助金の問題につきましては、先ほど申し上げましたようにそれぞれの省が補助を出しまして、その補助が単価の問題、いろいろございまして、超過負担という問題を生じていることは事実でございます。でございますから、私ども率直に申し上げますと、地方自主財源的に直接税によって処理し得るもの、こういう意味で私は三割というふうにいって差しつかえないのではないかと思っております。
  217. 細谷治嘉

    ○細谷委員 御承知のように、国民が納める税金おおむね七割というのが国税ですね、三割が地方税ですね、その意味で三割自治といっているのじゃないのだ。地方団体都道府県市町村の歳入歳出の中に占める自主財源地方税が三割であるだから三割自治といっているんだ、こういうことですね。はっきりしていただきたい。
  218. 古屋亨

    古屋政府委員 私はいまの、先生のお話しの後段の意味でそうだと思っているのです。地方においての自主的な地方税による財源、それが自主的財源でございますので、それが三割程度だと……。
  219. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いただきました四十九年度の「地方税に関する参考計数資料」これをずっと年次別に拾っていきますと、政務次官、これをずっと見ていただきたいのですが、戦後、三十年くらいから今日までに、自主財源というのは大体において決算面の中で三五%ぐらいを占めているのですよ。そうすると三割自治じゃなくて三割五分自治ですね。どうですか。
  220. 古屋亨

    古屋政府委員 三割五分自治、三割自治というようなお話がございましたが、私は地方の自主的財源がおおむね三割という意味でいま三割と申したのでございます。もちろん特別交付税だとか補助金とかいろいろございますけれども、それは国から参るといいますか、配分するものでございますので、地方の自主的なものとしては大体三割見当というふうに考えておる、そのことを申し上げたわけでございます。
  221. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私が初歩的な、確かに三割五分じゃないか、こういうことをあえて質問しておるのは今日、地方財政全体というのは原点に立って考えなければならぬ、こういう観点からあえて質問しているわけですよ。ところが、このいただいたあれを拾ってまいりますと、確かにおっしゃるようにいまや三割自治になっているんですよ。そうでしょう。ひとつごらんいただきたい。  この表の二一ページを見ていただきますと、都道府県の場合、昭和四十七年度三三%ですね。市町村は三〇%ですよ。突っ込み全体として三三%ですよ。ところがその前をひとつ見ていただきますと、たとえば三十二、三年を見ますと、市町村の場合には四割五分自治だったのですよ。そうでしょう。その場合に都道府県がまさしく三割自治であったのですね、税収は。こういう形で推移してきております。ところが、三十五年ぐらいから高度経済成長政策が進められてまいりましてどういうことが起こったかといいますと、市町村自主財源というのはどんどんと低下をしてきました。三十二、三年ぐらいには四五、六%あったものが、今日、いまありますように、四十七年度の決算では三〇%に下がっております。一五%下がったわけですよ。そうでしょう。一方、都道府県のほうはどうなったかといいますと、大体三〇%占めておりましたけれども、今日三三とこういう形になっております。ところが、三三ではありますけれども昭和四十四年度あたりを調べていただきますと、これは三七ぐらいに上がっております。それで市町村はどんどん下がってきた。都道府県は漸次上がっていった。そして四十四年度に構成比というのが市町村都道府県で逆転しているわけです。逆転しておってどうなったかといいますと、今度は田中内閣が生まれまして、四十五年ぐらいからずっと列島改造を始めた。超高度経済成長政策が進められたころから、今度は都道府県も、上がりかけておりました傾向が下がったのです。市町村はむろん下がりっぱなしです。こういうかっこうになっております。  ですから、政務次官、あなたが三五%ぐらいを三割自治と唱えておったならば、ここ数年はもはや三割自治ではない、三割自治ということばを使えない、こういうことになりますよ。そういうふうに地方自主財源というのは年々歳々その構成比において下がってきておる。地方財政計画は、四十九年度は申し上げるまでもなく全体としては四  一ぐらいですね。決算面では全体として三三なんですよ。こういう実態は、今日の地方財政がどういうふうになっているかということをよく証明しているものだと私は思うのですよ。言ってみますと、地方財政はその構造的に見てもいよいよ自主性を失ってきている。言ってみますと、国の財政の中に組み入れられていっておる、こういうことがいえると思うのでありますけれども、私のこの見解に対してどうお考えですか。
  222. 古屋亨

    古屋政府委員 お話しのように、最近におきましては市町村財源が、県と比較しまして非常に下がっておるということはお話しのとおりであります。こういうような点からいたしまして、市町村税の税源、特に都市税源の充実のためにいろいろの措置を講じておりますが需要には追いつかないということでございまして、私どもは四十九年度におきましては、従来の懸案でありました法人課税の強化充実をはかるとか、あるいはまた法人税率の引き上げに伴う増収分を市町村の税源とする措置をとり、あるいはまた市町村民税法人税の率を三%引き上げるというような措置を講じまして、市町村財源充実を少しでもはかっていこうと努力してまいっておるのでございますが、お話しのように、市町村税源の充実というのは結局、国、府県、市町村を通ずる税源配分あるいは行政事務の再配分とも関連する問題でございます。したがいまして、総合的立場から検討いたしまして、特に市町村における行政需要の増大にかんがみまして、その税源の充実には今後とも引き続き努力をしてまいりたい、こういう決意でおるわけであります。
  223. 細谷治嘉

    ○細谷委員 法人税割等も、後ほど議論をしますけれども、確かに努力されておることは私も否定いたしません。否定いたしませんけれども、大体国民から三割程度いただいておる地方税、これはシャウプ勧告に基づいて税制がつくられた昭和二十五年くらいから比べてみますと、そのときには、地方自治体というのは市町村がその主体的なものである、こういう観点から、その地方税というものの大体において六二%は市町村にあったのです。そして三八%くらいというのが府県税であった。それがだんだんと府県税が大きくなって市町村が小さくなって、そして、言ってみますと三十八年にその所を逆転して、そして府県のほうが半分以上を占めるようになって市町村が半分以下になって、いまや、決算面はやや違いますけれども、大体において計画的に都道府県市町村が五八対四二くらい、こういうようなかっこうになっております。それでは都道府県が優遇されたのかというと、そういうわけではありません。言ってみますと、地方税の総ワクというのは変わらないで、三〇%から三二%のワク内においてこういう現象が生まれてきた。ここに国と地方との重要な関係が今日生まれておる、こういうふうに申さなければならぬと思うのですよ。しかし、これは私の質問の出発点でありますから、これはその程度にしておきます。  もう一つ、これはせっかく貴重な資料をいただいたのでこれを利用させていただきたい。この表をいただきまして、私は六五ページを見ました。この六五ページで一応税額、これは税額といいましても合計でありまして、地方税地方交付税地方譲与税、いわゆる自主財源といわれる、あるいはそれに近いもののトータルを拝見いたしますと、一番日本で税源が集中されておるだろうと思われる東京都は、全国平均を一〇〇といたしまして一二〇ですね。一番大きいのはどこかといいますと、これは鳥取県ですよ。鳥取県が一四五です。一番小さいところはどこかと思ったら、たぶん沖繩だろうと思って見たら沖繩は九七ですよ。どこが一番小さいかというと、七四というのは千葉県ですよ。そうでしょう、確認されますか。   〔村田委員長代理退席、委員長着席〕  一体全体どういうふうになっておるのかといいますと、すっと調べてみますと、税の場合はでは東京都は幾らもらっているかというと、全国を一〇〇にして一八四という指数です。鳥取県は六一ですよ。千葉県はどうかというと八六ですよ。いまや公害県といわれる、急激に発展した千葉県は八六ですね。その次に交付税を見ますと、東京都はなしですね。それから鳥取県が三〇五です。千葉県はどうかというと平均の半分、五〇ですよ。こういうことで、金額でいってみますと、東京都は都民一人当たりどのぐらいの行政が行なわれておるかといいますと四万六千九百三十六円、一番低い千葉県はどうかといいますと二万八千九百八十七円、鳥取県は五万六千八百七十五円。交付税と譲与税を入れますから、東京都よりも一人当たりの県費の支出は多いのですよ。財政的にいいますと行政水準は高いのですよ。沖繩は三万七千九百十円で千葉県より高いのです。  私はこれを見ましたので、これは四十七年度の決算面がこうあらわれているのかと思いました。そこでさかのぼりまして同じような資料を、おたくからいただいたのをひっくり返してみて、ずっと一年ごとに同じような傾向が出るものですから、四十年までさかのぼって調べてみたのです。ところが全国を一〇〇といたしますと、東京都はずっと一二〇から一三〇の間です。鳥取県はどうかといいますと大体一三〇から一四〇ぐらいの間です。千葉県はどうかといいますとずっと大体において七五前後ですよ。  こういうのをずっとプロットしていきますと、今日の地方税あり方、その問題に関連する交付税配分の問題、あるいは譲与税等の配分の問題というのが一体妥当なのか。いわゆる膠着してしまって、にっちもさっちも動かないようなかっこうになっているのじゃないか。過疎過密が進んでいるのに対応できるような形になっておらぬ、こういうふうに私は思いました。交付税の問題については後ほどまた法律の中で詳しく議論したいと思うのでありますが、こういう全体としての財政構造、これは都道府県別ですが、市町村をあさってみましても同じ傾向ですよ。こういう姿でいいのか悪いのか、まずひとつ次官と税務局長と財政担当の審議官に率直な意見をお聞かせいただきたいと思うのです。
  224. 森岡敞

    ○森岡政府委員 地方税地方交付税地方譲与税を合わせましたいわゆる一般財源の各府県別の比較でございますが、北海道から並べますといま御指摘のような非常にアトランダムになっておりますけれども、御承知のように、いわゆる財政力指数と申しますか、決算の状況報告でごらんいただいておりますあの順序で並べますと、いわゆる人口の大きい都道府県につきましては、人口一人当たりの一般財源というのは平均よりも少なく出てまいります。逆にだんだん人口が少なく、したがってまたそれに伴って財政力も弱い団体は平均指数が高くなる。御指摘東京などにつきましては、これは不交付団体でございますからいわば特別に考えなければならない。地方交付税の調整作用というものは全く働かない。そういう意味合いで、これは細谷委員に申し上げるのは少し蛇足でございますが、人口の大きいところは当然一人当たりの経費も割り安だ。逆に人口の少ないところは一人当たりの経費は割り高になるという一般的な傾向があるわけでございます。私どもといたしましては、交付税財源補正ないしは財政調整の仕組みというものはおおむね妥当に機能しておる、かように考えております。
  225. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘のありましたことは、税とそれから交付税と合わせての一般財源の問題でございますので、交付税においてただいま財政担当審議官が申し上げましたような調整機能が大きく働くしかけになっておりまして、たとえば人口の小さい県におきましては一人当りの金額が割り高につくといったようなことで、段階補正そのほかの補正も行なって調整いたしておるわけでございます。したがいまして、一般的に申し上げて、人口の多い県の一人当たりと人口の小さい県の一人当たり、これは小さい県の一人当たりが高くなっておるということは、交付税の調整機能が働いておる結果である、このように考えております。
  226. 古屋亨

    古屋政府委員 先ほどから税源の問題、交付税地方譲与税につきまして、一人当たりの数字につきましていろいろ御指摘をいただいたのでありますが、地方交付税が御承知のように調整機能といいますか、いままでのところはこれがなければ非常な大きい問題でございますので、この調整的役割りというのを交付税によって措置をしておるわけでございまして、やはり人口の大きいところと小さいところと、一人当たりの単価につきましては御指摘のように非常に差があることは事実でございます。  私どもは、税源の問題についてのいろいろの今後の改定の問題あるいは交付税の問題の調整作用につきまして、社会進展とともにいろいろその調整の基本材料になるものをやはり考えまして、今後とも地方財源全体について三者一体としての有機的活用をはかってまいりたいというように考えているわけでございます。
  227. 細谷治嘉

    ○細谷委員 交付税が調整機能を十分持たなければならぬ、そのための交付税である、これはもう私どもが年来主張していることろであります。とろがその交付税補助金的な性格を次第に帯びてきておる、こういうことも指摘したところであります。  きょうは交付税の議論をするわけではありませんからそのことについて深く入りませんが、それならそれで、過疎と過密が進んでいっておる、そういう中においてナショナルミニマムを保障しなければならぬ、シビルミニマムというものを上積みしていかなければならぬ、こういうことになってまいりますと、私は今日やはり喫緊の問題は——一人当たりで議論したことについて御批判があった、私もそう思って言っているわけですけれども、そういう過疎地については財源がないわけでありますから、やはり調整機能を交付税で十分生かしてあげなければならぬ。しかし過密都市については財源があるわけですよ。そうなってまいりますと、たとえば東京とかあるいは横浜とか名古屋とか大阪等に対しては、そういう過密に対応できるような、住民福祉と健康を守り得るようなそういう財源を与えてやるということが、今日、自治省なりあるいはこれを主管しておる税務局長の重大な使命であろうと私は思うのですよ。その使命を自覚しますか。認識いたしますか。
  228. 古屋亨

    古屋政府委員 私も大体細谷先生と、特に大都市の財源充実の問題につきましては、考え方は全く同感でございます。事業所の税の創設の問題、いろいろございまして、いろいろの事情で本年度は見送ることになったのでございますが、私ども都市財源充実をはかるという見地から、できるだけ近い将来においてそういう点も具体化をして、都市財源充実をはかりたいという決意でおります。
  229. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで、いわゆる税の問題の本格的な、都市税財源中心として、議論を進めたいわけであります。大蔵省、いらっしゃいますね。  今度、法人の基本税率引き上げた。そして都道府県法人税割を引き下げた。市町村法人税割をほんのちょっぴり引き上げました。その結果、平年度になりました際の五十年度において、法人が国に納める税金と都道府県に入っていく税金と市町村に入っていく税金、いわゆる実効税率が四九・四七と五十年度になった場合に、その配分はいかがなりますか、まずお尋ねいたします。
  230. 西野襄一

    ○西野説明員 実効税率ベースで申しまして、国の割合が六六%、地方団体の割合が三四%になります。
  231. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地方団体の三四%のうち、県と市町村の割合を言ってください。
  232. 西野襄一

    ○西野説明員 道府県の割合が二七・一%、市町村の割合が六・九%、合わせまして三四%でございます。
  233. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それでは現行はどういう配分になりますか。
  234. 西野襄一

    ○西野説明員 国の割合が六六%でございまして、地方の割合がその差ということになりますが、道府県のほうが現行二七・五%、市町村六%でございます
  235. 細谷治嘉

    ○細谷委員 わかりました。  税務局長、これを確認しますか。
  236. 首藤堯

    首藤政府委員 そのとおりでございます。
  237. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私が試算した結果は若干数字は違うわけですけれども、議論をしていくにはあまり変っておりませんから、いま大蔵省からお話しいただいた線で議論を進めたいと思います。  今度の法人税は依然として国は六六ですね。六六です。改正後と現行とは変わっておりませんね。何が変わったですか。都道府県市町村の分が、六%が六・九%なった。その〇・九%というのは都道府県のものを持ってきただけじゃないですか。これで法人税の合理的な配分ですか。依然として変っておりませんよ。何のことはない、九・一から一二・一に市町村法人税割をしたというのは、都道府県の犠牲——ことばは適切じゃありませんが、犠牲においてやっただけじゃないですか。これで自治省責任、済みますか。何のことはないじゃないですか。国はもうぴしゃっと取るものは六六、前と変わらないで取ってあります。そして、ただ法人税割法人事業税の問題で、県のものを頭をひっかいてきて市町村にくっつけただけじゃないですか。これで都市税源の充実といえますか。どうですか、政務次官
  238. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいまの御説でございますが、国のほうの税としての法人課税の率は、いま御指摘のようにほとんど変わりはないわけでございます。しかし、御案内のように、国の法人税分の三二%は地方交付税として交付をされるわけでございます。そこで法人の実効税率の面から御説明を申し上げますと、御案内のように、いままでの現行の実効税率が四五・〇四でございまして、これが四・四三ふえて四九・四七になったわけでございますが、これをいまの税だけの配分で申し上げますと、国のほうにその四・四三のうちの二・一一が……(細谷委員「もういいよ、そんなことは。交付税は聞いていないのだ。税を聞いている」と呼ぶ)この四・四三を含めた割合を申し上げますと、国のほうが二・一一、地方が二・三二、こういうことになりまして、実質配分地方のほうが国より多いわけでございます。  そこで、税として考えてみました場合には、道府県民税法人税割は御指摘のように、ただ国の法人税が伸びましたことによる自然増のうちごくわずかのものだけが残って、府県としてはそのままの実額で措置を終える。そして法人税引き上げに伴いますもの、それから法人税割の率の引き上げに伴いますもの、この両方、平年度約二千億ほどになるわけでございますが、これを全部あげて市町村に回しましたために、税として見ました場合には先ほど御指摘のように市町村がふえておる。それは、いわば県から持っていったものによってふえておる、こういうような形式的なかっこうになるのだろうと思うわけでございますが、実質的配分は、いま申し上げましたように地方のほうがよけい配分を受けている、こういう結果になっておりますのは御承知のとおりでございます。
  239. 細谷治嘉

    ○細谷委員 あまり詭弁は弄しないがいいですよ。交付税というのは国税三税の三二%、これはさまっているわけだ。交付税は、下げようが上げようがそうなっているのですよ、そういうしかけになっているのですから。苦しまぎれに、税の配分についてはほとんど変更ないわけでありますから、いや交付税のほうをプラスしますと、国は二・一でありますけれどもこっちは二・三もらえますなんという、そんなことでは、これはまさしく詭弁ですよ。苦しまぎれの答弁ですよ。  それではお尋ねいたします。前政務次官の時代であり、前大臣のときでありまして、おれは知らぬ、こうは申されないと思うのです。あなたの良心を信用して御質問しますが、新聞によりますと、これは、私が申し上げているのは四十八年の九月十二日の読売新聞でございますけれども、「大蔵、自治両省は十一日、」というのは九月の十一日ですね。「四十九年度の税制改正で、法人住民税市町村税)を大幅に引き上げるため、十四日の税制調査会総会で意見を求めることを決めた。上げ幅は、国税の法人税がどの程度まで引き上げられるかによって左右されるが、今のところ法人税割りを現行(九・一%)の二倍(一八・二%)近くとする考え方が大勢を占めている。」こういう記事が載っております。そうして、新聞によりますと、法人税基本税率が幾らになるかはわかりませんけれども、おおむねこういうふうにきめた場合には現行三六・七五が四〇%になる、こういうことを踏まえてこういう方針を大蔵、自治両省で合意した。そうして政府税制調査会に持っていく、こういう合意をしたと書いてあります。新聞の記事がうそか、こういうことがあったのかなかったのか、お尋ねいたします。
  240. 古屋亨

    古屋政府委員 当時私はそのポストにおらなかったので、別におらなかったから責任のがれということを言う意味ではないのですが、その当時の経過を私は知りませんので、一応事務当局から御説明申し上げることにいたします。
  241. 細谷治嘉

    ○細谷委員 税務局長もそのときはおらなかったろう。
  242. 首藤堯

    首藤政府委員 いないのです。
  243. 細谷治嘉

    ○細谷委員 だれが責任持つんだよ。審議官、どうだ。
  244. 山下稔

    ○山下政府委員 事情の御説明だけ申し上げますが、四十九年度の税制改正にあたりまして法人課税の強化をはかるという方向が考えられましたので、しかし法人課税ということになりますと、国税、地方税総合して考えなければならないということになりますために、御指摘の時期であったかどうか、時期はつまびらかに覚えておりませんが、明年度の改正のために法人課税の強化の方向で、国と地方でそれぞれどのぐらいずつ課税したらいいだろうかという相談を始めたことは事実であったと記憶いたしております。
  245. 細谷治嘉

    ○細谷委員 始めたことは事実であったと言うが、始めたその内容を聞いているわけだ。内容をはっきり言いなさいよ。
  246. 山下稔

    ○山下政府委員 私の立場から大臣のお考えがどうであったか、当時つまびらかにいたさなかったこともあろうかと思いますが、いずれにしましても最初から明確に幾らというような、事務段階においてはそういう具体的な数字を固める段階ではなくて、いろいろの案を出してお互いに意見の交換をしたということであったと思います。
  247. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これはどうにもならないわけですよ。大臣政務次官も税務局長も、そして審議官も明確に申せないわけですから。  それでは大蔵省の西野さん、あなたはそのとき担当の税制第三課長でございましたか。
  248. 西野襄一

    ○西野説明員 はい、担当の税制課長をしておりました。
  249. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私が質問したこの新聞記事はうそだったかほんとうであったか話し合ったとするならば、具体的にここまで持っていこう、こういう話があったはずですよ、新聞に出ているわけですから。いつもこういう公式の場になりますと、それは新聞の記事に一々責任持てるものか、こういうことであります。火のないところに煙は立たぬと、こういいますから、あったはずです。これは私は読売新聞の記事のことを申し上げたのですけれども、ほかの新聞にも出ているわけですよ。そして世論もそういうことだったんですから。どうなんです、御記憶ございますか。
  250. 西野襄一

    ○西野説明員 税制調査会でいろいろ検討を進めるということで、自治省と主税局との間で、どういう方向で検討するかということは進められておりました。
  251. 細谷治嘉

    ○細谷委員 進められておったけれども内容は言わぬ。  それでは税務局長、あなたは当時福岡の副知事をしておった。きのうも参考人として来ましたがね。全国の指定都市十都市の「大都市財政の実態に即応する財源の拡充についての要望」、これを拝見いたしますと、せめて、六%という法人配分を一〇%にしてほしいと四ページに書いてあります。これは御存じでしたか。これは県の五・六はそのまま動かしませんで、減らしておりませんよ。そして国の基本税率は四〇にして、そして法人事業税は動かさないで、そうして法人県民税も動かさないで、かねてから問題になっておりました法人税については市町村に重点的に配分すべきである、こういう議論に基づいて一五・五%、そういうことによって法人四税の大体一割が市町村分にいくように、そしてそれを都市財源にしよう、こういうあれが出ております。これはお読みになりましたか。あなた福岡県だからそんなものは知ってはおらぬかもしれぬけれども政務次官がいいかもしれませんね。政務次官、御存じでしたか。
  252. 古屋亨

    古屋政府委員 そういうお話があったことは、私、知っております。
  253. 細谷治嘉

    ○細谷委員 のれんに腕押しみたいになってしまう、ものを言わないから。  それでは都市税源の一つとしてもう一つお聞きしておきます。これも例として、ほかの新聞も書いてありましたけれども、読売新聞の九月二十二日の記事でございます。ちょっと要点を読んでみます。九月二十二日の記事でありますから、その前日、九月二十一日、田中首相は首相官邸に宮澤事務次官——これもまたおらぬわけですよ、広島の知事になっちゃった、宮澤事務次官らを呼び四十九年度地方税制のあり方を聞いた際、事務所事業所税の新設を了承したと、こう書いてある。「首相はさらに1個人住民税の課税最低限の引き上げ2二百平方メートル以下の住宅用地の固定資産税を半額にする3個人事業税の減税4地方道路目的財源強化のための軽油引き取り税と自動車取得税税率引き上げる——などについても了承した。」と、こう書いてある。このうち、今度の地方税法でとうとう出なかったのが二つある。事務所事業所税と軽油引取税である。総理が了承しておって、九月二十二日段階でここまでいっておって、聞いてみますと、この実現しなかった事務所事業所税、これは法人、軽油引取税というのは、これはまたいま花形というとたいへん失礼でありますが、世間の注目を浴びておる石油メーカーですよ、この辺のものだけができてなくて、ほかのものは全部できているのですよ。税法の中へ出てきております。  宮澤さんもおらぬわ、大臣も違うわ、政務次官も違うわ、税務局長もおらぬわということになりますから、ちょっとどうにもならないわけですけれども、しかしこれはうそじゃないと思うのですよ。いかがですか、古屋さん。
  254. 古屋亨

    古屋政府委員 いまの御指摘の、総理がそういう話をされた内容については、私、知りませんけれども、そういう問題が自治省として論議されておったことは、私、十一月の終わりに政務次官を拝命して、聞いております。事業所税の問題につきましては、最後まで自治省としてはぜひその実現を希望をし、また強く各方面に要請をしておったのでございます。結局、昨年の最後の税調におきまして、この問題はもう少し研究する。しかし、取り上げなかったからといってそのままに放置しておかれるのではない、必ず近くまた今年度の税制調査会においてこの問題を取り上げてもらうということで、最後段階において認められなかったことは私ども力の足りなかったところでありまして、私もたいへん申しわけなく思っておりますす。
  255. 細谷治嘉

    ○細谷委員 森岡さんにお尋ねしますが、去年の七十一国会で都市交通の経営の健全化という議論をした際に、経営の健全化をはかるためには何といっても都市税源の充実ということが重要だ。きのうも参考人が言ったように、現実法人活動というものは都市で行なわれているわけだ。都市に人口がどんどん入ってくることによって、一人について、学校の施設、福祉施設、いろいろ入れますと、何万円もかかるというわけですね。かつて数年前に自治省が、過密都市における、人口急増地帯におけるその地域の地方団体に及ぼす財政上の影響という形で、入ってくる収入の二倍半の財政需要がある。人が多くなったために、入ってくる財政収入が一〇〇に対して財政支出は二倍半に及ぶ、こういうことが自治省調査でも明らかになっておるわけです。いまはもっとひどいと思うんです。そういうことでありまして、森岡さんは、何といっても都市の健全化というものは、この法律一本でできるわけじゃありません、やはり事務所事業所税等を実現することによってやはり過疎、過密解消の一助にもいたさなければならぬ、同時に、需要が山積しておる都市財源を確保してやらなければいかぬ、その有力な目標として事務所事業所税を何としてでも創設しなければならぬ、こういう決意のほどを言われた。それが昨年の五月ごろの話ですよ。森岡さんがあそこまで決意のほどを述べられたわけでありますから、これはその後、人はかわりましたけれども自治省の連綿として流れておる大きな血管であったはずです。主張であったはずです。それがどうですか、努力いたしましたけれども結果は何もありませんでした、こういう御回答です。  税制調査会の答申というのは一体どういうものかということを調べてみました。四十六年七月の「長期税制のあり方についての答申」この中で「地方税源とくに都市税源の充実」ということで、事務所事業所税についてこう書いてある。「大都市への人口、企業等の集中を抑制するとともに、現にこれらの集中に伴って増加している財政需要に対応する大都市の税源の充実を図るため、事務所、事業所等に対して特別な税負担を求める。」求めると言い切っているんですよ。これは四十六年の「長期税制のあり方についての答申」です。四十六年から四十七年、四十八年、四十九年、三年たっている。三年たって昨年十二月の税制調査会の答申はどういうことがあるか。「大都市地域の再開発に必要な財源を確保するため、これらの地域に所在する事務所、事業所に対する一定の課税標準による新税を創設することについて引続き検討すべきである。」三年たって後退しちゃっているんですよ、内容は。そうでしょう。「特別な税負担を求める。」と言い切っておって、三年後の答申は「引続き検討すべきである。」こういうことなんですね。一体自治省、何しているんですか。どこにこれを阻害する要因があるんですか、お答えいただきたい。
  256. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘のように、四十六年八月の長期答申におきまして事務所事業所税のことに触れられておりまして、ただいま御指摘の項目のような意見を考慮しながら具体的な方法を検討し、適切な措置を講ずべきである、こういう答申がなされておったのはそのとおりでございます。その後、御案内のように、二年間にわたりまして事務所事業所税につきましての腹案をいろいろ提案をして、税制調査会の御審議をいただいたわけでございます。結論的には、去年の最終段階におきまして、一つには全般的な法人の租税負担の見返しが行なわれた事態であったこと。それから年末に石油危機等の問題がございまして、先行きの経済事情についてもう少し慎重にいろんな面を配慮すべきではないかといった意見が出ましたこと。さらに第三点は、こういった事業所事務所税のあり方等につきまして各省からもいろいろ意見が出てまいりまして、その使途、取り万等につきまして必ずしも最終的な調整ができなかったこと、等のいろいろ問題がございまして、税調としてはなお引き続き検討、こういう結論にされたわけでございます。私どもとしてはあくまでこれを創設したかったわけでございますし、また現在におきましてもその希望を決して捨てているわけではないわけでございまして、今後とも引き続きこん身の努力をしたい、このように考えている次第でございます。
  257. 細谷治嘉

    ○細谷委員 四十六年の長期答申があった際に、事務所事業所税の自治省案が出た。運輸省案が出た。建設省案も出た。各省百家争鳴の状態であったのですよ。それが今日まで依然として百家争鳴の状態で、ものにすることができませんでしたなどという理屈は通りませんよ。あなたは楽な姿勢でしょう、そのとき税務局長ではなかったのだから。そんなことでは通りませんよ。やる気がないとしかいわざるを得ないじゃないですか。私はそのことについて理解ができません。  そこで、事務所事業所税について、政務次官、ここまで来て依然としてあいまいもことしております。あとでまたちょっと質問するが、税調は毎年毎年同じ答申をしておいて一向進まないものがありますから、それはまた申し上げますけれども、これは都市税源を充実するのだといいながら自治省努力が足らない。結果として、努力しているのだとおっしゃるかもしれませんけれども、足らない。こういうふうに客観的に申し上げる以外にないと思うのです。  そういうことから、昨日参考人で参りました荻田さん、これは日本でも指を数えるぐらいの地方自治あるいは地方財政の専門家です。その人がこう言いました。これはどうしても事務所事業所税というのは創設すべきである。ところがいろんな関係でできないのでありますけれども、むしろこの事務所事業所税こそ、都市の実情に応じて都市自体が条例をつくって、事務所事業所税を取って先導役をつとめるべきじゃないか。かつて、いまの自動車取得税というのが京都府で弧々の声を上げて、そして今日、市町村の道路財源の重要な役割りを演じているわけでありますけれども、そういう先導役を今日都市がやるべきである。こういう発言をなさいました。これは税務局長、お聞きになっていた。  そこでお尋ねしたいのですが、もしこの事務所事業所税について、国も努力しておりますけれども、間尺に合わぬ。そこでひとつ都市において、都市税源充実という意味において事務所事業所税を条例として取るということになりますと、これは法定外普通税になります。その法定外普通税については文句ないでしょうね。許可するでしょうう。はっきりお答えいただきたい。
  258. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいまの御指摘は、事業所事務所税を地方団体が法定外普通税として創設するとした場合に、自治省はどう考えるかという御指摘でございます。私どもは、ぜひこの事業所事務所税を法定税として創設をしたい、こういう熱意を持っておりまして、今後とも一生懸命努力をしたい、こう考えている最中でございます。したがいまして、でき得ればこのような税が法定税で制定をされることが望ましいわけでございますから、そのような推移を地方団体としてもう少し見ていただきたい。正直なところそう思っている次第でございます。
  259. 細谷治嘉

    ○細谷委員 あなたの先輩であり、地方行財政に一生をささげてきた荻田保さんがきのうそこまではっきり言ったのですよ。信用しないのじゃありませんけれども、満幅の信頼を置くわけにはまいりません、いまの自治省に対しては。それがはからずも、参考人としておいでいただいた荻田さんの財政自主権、そういう地方自治を守るという観点から出たことばであると私は思うのですよ。  ですから、あなたの決意やよし。決意はそうあってもらいたいと思う。やったらばじゃまをしませんね。条例でやるところがあると思うのです。そして、国のほうでそういう法制化をするならそれに乗っかります、しかしそれを待てないんだ、そこまで来ているわけですから、そうなった場合にじゃましないでしょう。不許可なんてことはせぬでしょう。十分に指導しますぐらいでしょう。どうですか。
  260. 首藤堯

    首藤政府委員 御承知のように、法定外普通税の設立の場合には二百六十一条の、市町村の場合には六百七十一条でございますが、許可が必要であるわけでございまして、これは事業所事務所税のつくり方、立て万で、課税標準をどうとるかとか、こういった技術的なこともいろいろあろうかと思いますが、三つほど制限事項がございまして、国税や他の地方税と課税標準を同じにしてはいかぬとか、それからものの流通に障害が云々だとか、こういったことがありますが、そういった要件はよく調べなければならぬと思っております。しかし、事柄自身は私どももつくりたいと思っているものでございますので、その状況としてはよくわかるわけでございますが、先ほど申し上げたように、私どもとしてはぜひ法定税でつくりたいと考えておりますので、そういう解決になれば一番望ましい、こう考えておる次第でございます。
  261. 細谷治嘉

    ○細谷委員 税務局長、私も、自治省案は事務所事業所税で、固まっておりませんけれども自治省がどういう構想を持っているか、運輸省の事務所事業所税がどういうことをねらっておるのか、建設省のやつがどういうことをねらっておるのか、わかっているのです。ですから、地方団体が取る場合には、やはり自治省考えているのが一番地方団体にとってかゆいところをさすってもらうような内容を織り込んでいるわけです。ですからあなたのほうで出した試案にそんなにはずれたようなものは出てこないと思う。そういう意味においては自治省のあなたの決意を実現するための有力なバックアップ、ただ先を越されたというかっこうでちょっとまずいでしょうけれども、しかし先導役をつとめていいでしょう。ですから、これは自治省地方公共団体一体となって都市税源充実努力するという意味において、ひとつ政務次官、これ以上申し上げませんけれども、やった場合には、そしてそれが自治省に持ち込まれた場合には——きのう私は聞きました。荻田さんが、何だったら私も相談にあずかりますよとある参考人に語ったそうです。それくらい来ているわけですから、ひとつそういう点については押えるのではなくて、前向きで善導していただきたい。いかがでしょう。
  262. 古屋亨

    古屋政府委員 まことに御激励と申しますか御叱正と申しますか、細谷先生の御意見をいただきまして、去年の暮れの力の足らなかったことを反省しております。職におります限り、この問題の来年度実現につきまして私は砕身の努力をいたしますと同時に、先ほどの地方団体のそういうような場合におきましては、先生のお話しのようによく指導してまいります。
  263. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この問題は、少なくともこの地方行政委員会の与野党の委員は前々から、とにかくこれは実現しなさいと、声を大にして支援しているのですから、その期待にこたえる意味において自治省努力しなければいけませんけれども、そういう前向きの姿勢で地方公共団体が都市税源の有力な一つとして取り上げていく場合にはひとつ前向きで善導をしていただきたい。政務次官のいまのおことばを私は確認しておきたいと思います。
  264. 古屋亨

    古屋政府委員 確認の意味で、いま申されました細谷先生のお話のとおり、前向きで善導をしてまいります。
  265. 細谷治嘉

    ○細谷委員 後ほど、林委員も言っておりました租税特別措置の問題について大蔵省とやりとりがあるのですが、自治省関係のことについてもう一つお尋ねしておきたいと思います。  これも新聞記事でございまして、日本経済新聞、四十八年十一月十六日、「電気ガス税 法人優遇、大幅に縮小」こういう記事が載っております。その内容を申し上げますと、基礎資材などの製品コストに占める電気料金の割合が五%以上の業務用電力を非課税としている現状、そしてこのための非課税の減少額が驚くなかれ四十八年度で五百二十四億円、ばく大な額に達しております。そこで、当時は江崎自治大臣でありましたが、製品コストに占める電気料金の割合が五%というのは現実に合わぬ。五%ということはどういうことかといいますと、製品コストに対して五%でありますから、そして電気ガス税というのをどのくらい使っているかというと大体六%でありますから、五、六、三十でありますから〇・三ですね。〇・三が決定的にコストに及ぼすなんて考えません。そこで自治省もこういう既得権化をやはり改めるべきである、こういうことから五%を三〇%以上にいたしたい。現在、五%から三〇%の間にあるものが百十九品目、三〇%以上にすると十品目。それはきのうも参考人が言っておりました。カーバイドとかそういうようなものはまさしく一トンつくるのに三千キロワット時くらいのばく大な電気が要るのですから、これは電気が一つの原料。電気炉を使う特殊製鋼、そういうものは確かに電気が原料と言っていいわけですけれども、五%なんて、これは動力ですよ。原料じゃないですよ。そうなってまいりますと、三〇%で線を引いて十品目ぐらいを非課税の対象にして、百十九品目については課税をする。そういたしますと、約五百二十四億円のうち八割に及ぶ四百億円の増収が見込まれる。その場合に、はずされるものは何かといいますと、鉄鋼とか特殊鋼とか石油とかセメントとかアンモニアとか、それからエチレン、アセチレン、合成ゴム、塩化ビニール、こういうものがはずされてくるわけですね。ところが、先ほども林委員が指摘しておりましたが、こういうことを実現しないで、今度の税法改正の中でエチレン、プロピレン、ターポリマーゴム及びグリセリン、これを今度は五%というラインで右へならえして、いままでは三年間という時限でありましたのを永久的に非課税品目にしていく、こういう態度はおかしいと思うのですよ。江崎前自治大臣といまの町村(チョウソン)自治大臣とは考えが違うのですか。(「読み違いだ」と呼ぶ者あり)
  266. 古屋亨

    古屋政府委員 先ほども申し上げましたように、それぞれの沿革でいって非課税措置という例外措置が講ぜられておるものもお話しのように相当ありまして、そのときの状況といまの経済状況の推移ということにかんがみまして、やはり租税負担の公平という見地から、私は特別措置というものはできるだけ縮減、合理化をはかるということが必要だと考えております。その意味におきまして、関係当局とも十分に連絡いたしまして、特に御提案の御趣旨、私、先生の非常に御造詣の深い御意見を承ったのでございますので、その点を私の胸に置きまして十分努力いたしますことを申し上げます。
  267. 細谷治嘉

    ○細谷委員 先ほど私は、自治体、特に町村等を愛する余り、町村自治大臣のことを町村(チョウソン)自治大臣と申し上げたが、決して侮辱ではありませんで、自治大臣としてやってくれということでありますから、ひとつ懲罰の対象には……。(笑声)  ところで、質問を続けるわけでありますけれども、これは長年の懸案であります。いま申し上げたように、当時の江崎自治大臣時代の三〇%以上ということになると、これは一応電気がまさしく原料ということであります。言ってみますれば、特殊鋼なんというのはクロームなりニッケルをまぜて電気炉でやれば特殊鋼ができるわけですから、電気が原料ですね。ほかに何も加えぬでいいのです。でありますからそういうものについては、これはその方法が使われておる限りにおいては非課税品目にすることは妥当であると考えられます、国際競争等も含めまして。けれども、五%といいますとコストに響くのはたった〇・三%でありますから、こんなものは克服できないものじゃありません。これを永久に、十数年前から五%でありますから、これを順守しますなんということでは、これはまさしくこの非課税品目というのは既得権になってしまう。しかも、そういう姿勢を打ち出しながら、残念ながらこういう形で新しいものが追加されてくる。これはまことに遺憾でありますから、これはひとつ積極的に取り組んでいただきたい、こう思います。
  268. 古屋亨

    古屋政府委員 先ほども申し上げましたが、その問題につきましては、ただいまの御意見、その御趣旨の点につきましては私もまた十分了解できますので、何としてもこういう非課税措置の例外的措置につきましては、ものによりましていまのような及ぼす影響等も十分勘案しながら、ひとつ前向きで関係省とも連絡して対処してまいります。
  269. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自治省財政局に、後ほどまた地方財政計画なり交付税段階で詳しく議論をいたしたいと思うのですけれども、今度は、電気に関連いたしまして、いわゆる電源開発促進税というものが平年度およそ三百億円配られます。これは目的税として——国に目的税というものはないわけでありますが、今度目的税が新設される模様でありますけれども、一言聞いておきたいのは、これは基準財政収入額として今後計入いたしますか、いたしませんか。いかがでしょうか。
  270. 森岡敞

    ○森岡政府委員 電源開発促進税は、主として電源立地の市町村に対しまして、県も一部ございますが、交付金として交付されるというふうに聞いております。したがいまして、地方交付税の基準財政収入額には算入しないものと考えております。
  271. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これはあらためて次の段階で議論いたしたいと思います。  大蔵省にお尋ねいたしますが、私は昨年まで予算委員会におったのですけれども、予算の審議が行なわれる際に、租税特別措置による減収が幾らになるかということは予算審議の重要な資料であるから早く出してほしい、こういうことを要求しておりました。いつもは大体において予算審議中にこの資料が出ておったのです。去年もそうですよ。去年とことしと、衆議院の予算委員会で、そして本会議で予算が可決されたのは一日しか違ってないのですよ。ところが、この租税特別措置なんというのは、衆参両議院予算委員会提出資料といって、予算が終わっちゃってから出てきているわけですね。これに基づいて地方税がどういうはね返りを受けるのか、地方税自体のあれはどうなんだ、こういった資料も数日前から自治省に要求しているのですけれども、まだ大蔵省ができていませんからできません、こういうことで、この資料はやっとけさもらったのです。これも国税だけです。  いま税務局長のほうから、地方税自体は二千百億円くらいである、それから国税からのはね返りは千四百億くらいである、こういう話でありました。これについてちょっとお尋ねしたいのでありますけれども、国税だけで五千二百億円でありまして、去年は四千六百四十五億円でありますから、かなり大きく伸びておりますね。租税特別措置、一割以上大きくなっております。私がふしぎに思うのは、五千二百億円と書いてありますけれども、交際費課税の特例というのが、二千七十億円というのが三角がついているわけですよ。これを除きますと実際の租税特別措置というのは、大蔵省の資料でも交際費課税を除いた減税額というのは七千三百億円くらいになるわけですよ。なぜこんなに交際費課税に三角をつけるのですか。数字が小さくなれば世間ていがいいからでしょう。もっとも法律のたてまえが、交際費というのは必要経費である、だから税はかけないものである。そのうち、一定の尺度に基づいてこれを交際費に対しても取るから、資本に対して何%、あれが幾ら、こういう形でだんだん強化されてきております。これに、法律のたてまえは三角をつけるのはあたりまえかもしれませんけれども、こういう三角は租税特別措置を小さく見せる数字のからくりで、法律上はこういうことになるでしょうけれども、おかしいと思うのですよ。交際費課税というのはこれはもう除いて、本来なら交際費というのは取るべきだという前提になりますと、これは三角じゃないでしょう。加わってくるのですよ。交際費というのは一文も税金の対象にしない、こういう前提の法律でこういう形になっているのですけれども、これは問題がありますから、ひとつ、この間にはさみ込んで総額が小さくなるようなやり方をやめて、交際費のやつは別にはずしたほうがいいのじゃないか、こう思うのです。  ところが、私があるところの資料で拝見いたしますと、ここに載っている以外に分離課税とかいろいろなものがあるわけですがね。大体において計算しますと、四十九年度が、分離課税とかなんとか、あるいは資産所得に対する優遇措置とかを含めまして、国税だけで一兆八千億円あるわけですよ。そのうち、大体において、いま言ったような分離課税等の問題が約一兆円ぐらいということでありますが、これに載ったのがおおよそ八千億円ぐらい。  これはまあそれでいいわけですけれども、大蔵省、お尋ねいたします。これも新聞ですよ。四十八年の九月十四日にあなたのほうから税制調査会に資料を出しておるはずです。そして、四十六年度の法人課税についてはこういうことになりますということで、資本金一億円以下の企業は法人税として三三・三%の実効税率であります。それから資本金一億から百億の企業は三五%でございます。ところが、この数字を見ますと大企業ほど法人税をよけい納めていることになりますけれども、租税特別措置計算に入れますと、資本金一億以下は三二・五%だ、一億から百億までは三三%だ、百億以上は三〇・一%だということで、大資本ほど法人税が安くなっているという資料をお出しになったと新聞は報じておりますが、こういう資料を出されましたか。
  272. 西野襄一

    ○西野説明員 いまお話しになりました点は、大蔵委員会に提出した資料を税制調査会に提出したものでございます。
  273. 細谷治嘉

    ○細谷委員 たいへん恐縮でございますけれども、租税特別措置法を審議しているのは大蔵委員会でありますから税調と同じような資料が出ているかもしれませんが、私のほうは地方税にはね返ってくるわけで、これは無縁のものではございません。そこで、このとき出されました資料をひとつこの委員会に御提出いただけますかどうか。委員長、ひとつ出していただくようにお取り計らいをいただきたいと存じますが……。
  274. 西野襄一

    ○西野説明員 その件につきまして、さっそく主税局長にお話しいたしまして提出するようにつとめたいと思います。
  275. 細谷治嘉

    ○細谷委員 提出するようにつとめます、つとめたいと思いますという返事なんですが、つとめたけれども出せませんでしたでは困るわけですね。これはもう重要なことでありまして、この資料をいただければこの問題だけでひとつあなたとみっちり一時間ぐらいやりたいわけですけれども、つとめるではまた困るのですよ。つとめたけれどもだめでしたでは困るわけです。委員長、この辺責任をもって出していただくようにお取り計らいをいただきたいと思いますが、いかがですか。
  276. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 他の委員会にも提出されておることですから、当委員会にも提出いただくように御折衝をお願いいたします。
  277. 細谷治嘉

    ○細谷委員 出してくれるのですね。——それではこの問題、少し議論したいのでありますけれども、時間も十分ありませんからひとつ次に進ませていただきたいと思います。  租税特別措置のほうで一点だけお尋ねいたしたいわけでありますけれども、けさいただきましたこの租税特別措置の二枚目に、社会保険診療報酬の所得計算の特例というのがございます。これは四十九年度は千五十億円、こういうふうに見込まれております。四十八年度は八百八十億円であったわけです。ですから、この社会保険診療報酬の所得の計算の特例、いわゆる七二%問題ということですね、かなり大きく伸びていっております。これが地方税にどういうふうにはね返ってくるかといいますと、まだ自治省、資料出しませんけれども、四十九年度は五百十億円であります。したがって四十八年度は国税と地方税を通じて千三百九十億円の社会保険診療報酬の特例による減税があるわけですね。認めますか、四十八年度。私の数字、確認されますか。
  278. 山下稔

    ○山下政府委員 御指摘のとおり、地方税では五百十億でございます。
  279. 細谷治嘉

    ○細谷委員 わかりました。結局、社会保険診療報酬の所得計算の特例ということで千三百九十億円の減税が行なわれておる。四十九年度はおそらく千六百億円ぐらいになるのではないか、こう私は思います。相当大きな減税でございます。   〔委員長退席、村田委員長代理着席〕  そこで、私はこの問題について一般論として議論するのじゃなくて、自治省責任者が書いたことについてひとつ自治省に見解をお尋ねいたしたいと思うのです。  これは「地方税」という、税務局発行で、その責任者は、この雑誌は首藤じゃありませんで、佐々木喜久治という人が税務局長時代のあれであります。そして書いておる人は担当者であります山崎英顯、いまあなたの後任で福岡の副知事になって行っている人です。その人がこの「地方税」の論評で、「事業税に関する当面の諸問題」という巻頭言を書いております。  そこでどういうことが書いてあるかといいますと、いろいろ私どもなるほどと同感の——ほとんど全部同感の部分でありますけれども最後のほうにこういうことが書いてございます。「現行制度の概要について述べると、所得税及び法人税においては、社会保険診療報酬にかかる所得計算について、その収入金額の七二パーセントに相当する額を必要経費又は損金に算入することが認められているが、事業税においては、社会保険診療報酬は制度上全く課税されないこととされている。このような特例制度は、所得税については、社会保険診療報酬の不足をカバーするために、昭和二十九年度において、」二十九年度ですよ、二十年前ですよ、「議員提案により現在のような特例制度が設けられたものであり、また事業税については、」いま私が議論している事業税については、「昭和二十七年参議院における議員提案によって健康保険及び国民健康保険についての診療報酬を医師にかかる特別所得税の課税標準から除外する趣旨の修正案が成立し、昭和二十九年度から現行事業税に引きつがれ現在に至っているものである。」  お医者さんの仕事というのは法律上は第三種事業税の対象になるわけですね。ところがこの社会保険診療報酬というのは一切がっさい、七二%の問題じゃないのですよ、事業税ノータッチですよ。こういうことでよろしいのでしょうか。それもできたのは二十年前、それが依然としてつながっている。新聞等によりますと、この問題は毎年毎年税調でも問題になっておりますが、大蔵省では七二%を毎年毎年一%ずつ減らして、大蔵省が考えている五〇か五三ぐらいのところまで十何年がかりで大体いこうとしたけれども、それがパアになりました。しかし、七二%の問題はともかくとして、事業税はノータッチということが許されましょうか。これは、七二%が問題がある、不公平の最たるものだということが指摘される以上に、税がノータッチ、全くこれは問題にならないです。当時の、二十五年くらいの話でありますけれども、診療報酬も今度上げられました。これがまた事業税がノータッチということはどうにも私は理解できないのだ。しかも事業税は、本質は、議論をしたいわけではありませんけれども、物税ですね。問題があります。どうお考えですか。七二%が触れられないなら、事業税ぐらいはもらったらいかがですか。いかがでしょう。
  280. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘のありました診療報酬の国のほうの問題とともに、事業税におきましても同様の問題点がありますことは私もそのとおりだと考えております。この点につきましては、「社会保険診療報酬課税の特例の是正については、かねて当調査会に特別部会を設けて検討を進めており、別途答申することとする。」というように、ことしの税制調査会の最終的な答申には相なっておるわけでございます。こういった問題点とあわせて、私どももできるだけこれを整備をするという方向で検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  281. 細谷治嘉

    ○細谷委員 政務次官、あなたのお答えを聞かしていただいて、これは私はどうにもこの問題だけは理解できませんから大臣が来るときまで保留したい問題ですけれども政務次官、こういう形——七二%というと二八%は税の対象になるのですがね。事業税が全くのノータッチという形は許されませんから、ひとつあなたの意見を聞かしておいていただきたいと思います。
  282. 古屋亨

    古屋政府委員 まことにお話しのとおりのように私も感じます。ひとつ、先ほど税務局長答弁いたしましたが、この問題については至急前向きに検討いたしまして、そういうようなアンバランスと申しますか、非常なアンバランスがないように、私も前向きにひとつ積極的な態度で検討をいたします。
  283. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この問題はたいへん重要なんですね。まさしく地方税というのが国税の踏み台になっている、こういう感じがいたしますから、委員長、この問題は私はさらに大臣の所信をお尋ねしたい。  もう一点、事業税についてお尋ねしたいのであります。  今度の地方税改正で、保険事業にかかわる課税標準の算定方法の合理化ということが行なわれました。私は、これは一応前向きであるという評価をいたしますけれども、三年がかりでやるわけですけれども、この数字、税率が妥当であるかどうか、こういうことについてなお私は疑問を持っております。  というのは、収入金額について課せられるのであります。と申しますのは、私は収入金額課税と所得課税との比較をしてみました。たとえば電気供給事業とかあるいはガス供給事業とか生命保険事業とか損害保険事業とか、そういうものがかりにいわゆる所得課税をされた場合には、この収入金額に対してどういうような法人事業税を払わなければならぬかということを比較してみました。比較してみますと、現行どうなっておるかといいますと——会社の名前は伏せます。あなたのほうも会社の名前は、二十二条かなんか持ち出して先ほど来なかなか、言わぬがら会社の名前は伏せますけれども、ある生命保険会社の四十八年三月期の決算、これを見ますと、収入金額課税の場合には三億四千八百万円しか税金を納めない。これは現行で納めているわけですね、現行法の法人事業税で。もしこれが所得課税であった場合にはどうなるかというと、二十二億九千六百万円の法人事業税を納めることになるはずであります。占ってみますと六・六分の一しか、収入金課税であるために納めておらない、こういうことであります。もう一つの生命保険会社を例にあげますと、このBの生命保険会社は、収入金課税でありまして二億一千九百万円の法人事業税を納めております。ところが所得課税でありますと十二億六千五百万円、だから約六分の一しか納めておりません。  今度、そういうことがおわかりになってこういう前向きの税法改正をしようとなさっておるわけでありますけれども、どうでしょうか、いま私が指摘したようなことで、この法律でぴしゃっと、収入金課税が所得課税よりも極端に有利であるということが完全に除去できるかできないか、これをひとつお答えいただきたいと思う。
  284. 首藤堯

    首藤政府委員 御案内のように、収入金課税をとっております業種は、電気でございますとかガスでございますとか、いまの損害、生命両保険でございますとか、こういうものがあるわけでございますが、これを、所得を課税標準にしてとりました場合との差額というものはいろいろあるわけでございます。それからまた年によりましても片一方が有利であったり不利であったりという変動もあるわけでございまして、これはその年々の実際の収益がどうなるか、それから傾向的にどうなるかといったようなことを若干長期的に見比べながら収入金課税という場合の税率を設定していくべきであろう、こう考えておる次第でございます。今回の収入金課税の改正によりまして、御案内のように、結論的には大体現行の課税額の約三倍ぐらいの収入になるわけでございます。これで、所得金額を課税標準にした場合とぴしゃりと一致するということにはもちろん相なりませんけれども、長期的な目で見た場合にはほぼ妥当な税率ではなかろうかと思っておる次第でございます。
  285. 細谷治嘉

    ○細谷委員 三倍ぐらいになるだろうという見込みであります。私が実例で指摘したところは大体六倍ないし六・六倍ぐらいでないとバランスしない、こういう数字になっております。したがって、収入金課税でありますと、この改正の方向ではこの税率をまだ倍近く上げなければバランスしないのではないか、こういう感じを持っております。  政務次官、それを心配しているわけですよ。せっかく前向きにやったけれども、それはぴしゃっとは一ぺんにいかぬにしても、まだしかし実例からいって二分の一ぐらいでは、これではこの法律、前向きでありますけれども、これでよろしゅうございますと、こう言えないわけです。したがって、この委員会でこの法律案が終わるまでに、会社の名前は出していただいてもよいし、出さぬでもいいですよ、ABでも何でもけっこうですけれども、ひとつ実例について、これでちょうどいいんです、いやまだ低いんですということが出てくる——私は低いと、こう見ているわけですから、ひとつその数字をこの委員会に出していただきたい。そうでなければこれはちょっと簡単に結論は出ません。それをひとつお願いしたいと思いますが、そういう意味においてこの点も留保しておきます。
  286. 首藤堯

    首藤政府委員 この今回の率は、過去数年の実績等を照らし合わせまして、勘案をして策定をいたしたものでございまして、まず妥当なところかと私ども思っておるわけでございますが、そのことの積算の基礎に関しますような資料を作成いたしまして提出をいたしたいと思います。
  287. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私はこれはそういうことでお願いしまして、次に自治省にお尋ねいたしたいのでありますけれども、今度中小法人事業税について、六%、九%、一二%という段階について、従来の百五十万、というものを三百五十万、四十九年度は三百万ということになるわけですけれどもそういうふうに中小関係法人事業税についての区分が改正されます。おたくからいただいた資料によりますと、これは三十九年法ですね、そうでしょう。
  288. 山下稔

    ○山下政府委員 いまの区分になりましたのは、御指摘のとおり三十九年度以来でございます。
  289. 細谷治嘉

    ○細谷委員 三十九年度で、その後ずっとそのままになりまして、十年後の四十九年で改正する、こういうことですね。
  290. 山下稔

    ○山下政府委員 はい。
  291. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大蔵省にお尋ねいたしますが、法人税について中小と大法人段階が設けられております。で、一億円という段階、資本金一億円以下、以上、こういう形の法律が設けられたのは何年でございましょうか。
  292. 西野襄一

    ○西野説明員 四十一年からでございます。
  293. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そのとおりですね。四十一年の一月一日以降、資本金一億円という一つ段階ができたわけです。そうして今日までこの一億円という段階は変わっておりませんね。
  294. 西野襄一

    ○西野説明員 変わっておりません。
  295. 細谷治嘉

    ○細谷委員 三十九年の段階を、百五十万から三百五七万に変えておるのに、資本金のあれはどうして変わらないのですか、一億円という段階は。どうして変わらないのですか。その後てたいへんな資本金の変化がありますよ。どうして変えないのですか、お尋ねいたします。  私は法人企業統計年報というのを、全部過去にさかのぼって持っておりませんけれども、四十五年と四十二年の法人企業統計年報から引っぱり出して見ました。そういたしますと、四十二年には一億円から十億円までの資本の企業が四千三百六十九、ところが四十五年、三年後には六千五百九十二と、五割ふえておりますよ。それから十億円以上の企業が九百二十九から千二百五十二と、これも大きく変わっております。いま申し上げました点からいって、四十一年から四十九年まででありますからあれはかなり資本額というのは激変しております。私の具体的な頭に残っておる会社だけでも、一億であったものがその後にもう十億、三十億と、こう変わっていっております。どうして一億円だけを変えないのか、実態にそぐわないじゃないか、こう私は思うのですが、いかがでしょうか。
  296. 西野襄一

    ○西野説明員 担当でございませんのでその間の事情を承知いたしておりませんので、まことに申しわけございませんですけれども、調べまして御報告させていただきたいと思います。
  297. 細谷治嘉

    ○細谷委員 あなたは第三課長ですから、重要な方針はちょっとお答えいただけないと思いますけれども、三十九年法に基づく法人事業税段階というのも百五十万から三百五十万まで上げるわけですね。四十九年度は過渡的に三百万で押えますけれども、二倍上がるわけですね。そうしますとやはり一億円というのは、四十一年でありますから、三十九年も四十一年もあまり変わらないですよ。この法律はおそらく年度にしますと四十年か四十一年にできたものでしょうから、変わらないですね。そうなるとこの一億円という段階はもう変える時期に来ておる。しかも法人企業の実態、資本別の数字もそれを如実に証明しておる、こう申し上げてよろしいかと思うのであります。  いかがでしょうか、自治省、先見の明でもって、三十九年でありますが、変えたわけですね。私は実態に即した方途だと思うのですが、大蔵省は変えておりませんが、法人税割関係ありますから無縁とはいえないわけですね。政務次官、いかがですか。
  298. 古屋亨

    古屋政府委員 私もそのときのその状況はよく存じませんけれども、こういうような十年前のものがどうしていままで据え置きになっているかよくわかりませんが、ひとつ大蔵省ともよく協議をいたしまして、その実態を知ってからでないとちょっと答弁できませんので、ひとつ私からは答弁することを御容赦いただきたいと思います。
  299. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この辺はやはり自治省政務次官にも問題があると思いますし、本来ならば大蔵大臣等にこの席に来ていただくことが妥当かと思いますけれども、そういうものの配慮も含めまして、ひとつこの点について保留させていただきたい、こう思います。  政務次官、こういう不合理が、時代おくれの一億円というものがあるものですからいま問題が起こっている、私はこう思うのです。  それは、ここでも議論がありましたように、東京都の法人課税の超過課税の問題で、最近、これは日本経済新聞の三月十二日の記事でありますけれども、「超過課税急速に広がる」ということで、東京都に右へならえをいたしまして、右へならえというよりも、大阪府も法人事業税引き上げをやはりやると、こういう記事が出ております。大阪の場合はその法人事業税に限らず、法人住民税についてもひとつその辺のことを考えようと、こういつております。兵庫県の坂井知事も法人事業税引き上げ決意して事務当局に具体的な検討を指示した、その増収分を勤労者の福祉施設充実などに使う予定で、四十九年度中に実施したい、こういつております。それから横浜市でありますけれども、資本金を現在の実態に合わせるために、まあ四十一年と比べますと資本金一億円というのはもはや中企業です、そういう意味において資本金十億円以上の企業に対する法人市民税を地方税法による最高税率まで引き上げる方針である。したがって、今度の改正が済みますと制限税率が一四・五になりますので、十億円以上の資本金の企業に対しては法人税割を制限まで持っていきたい。こういう構想のように新聞では書いてあります。  この超過課税の問題はいまに始まった問題ではありませんで、法人事業税についてはかつて三十一年に秋田県が、三十一年から三十八年まで一%、一二%を一三%にしたというあれがあります。青森県でも一二%を一二・五にしたといういきさつがあります。しかも、現在の法人税割というのは、指定市である福岡、あるいは指定市に次ぐ広島あたり、八百四十六市町村が、この資料にもありますようにおよそ四〇%が超過課税をしているわけですね。そこに今日の都市税源の欠乏というのが如実にあらわれておると思うのであります。  それでお聞きしたい点でありますけれども、この委員会におきまして、東京都のやったような不均一課税というものは地方税法六条、七条に照らして違法とはいえない、こういうふうにおっしゃいました。しかしいろいろとそういう点については自治省としては指導をしてまいりたい、こういう基本的な態度であろうと思うのであります。法人税割について、この記事にあるように、資本段階一億というのは、エジプト時代とは申しませんけれども、もうカビのはえたような段階でありますから、ひとつ現実に即応するように、一億という段階にもう一つその上のほうに十億、百億と、こういうような段階を設けて、軽度の累進税率を適用することが、今日いろいろ問題になっておることに対する、対応していくゆえんではないか、こう思います。しかも税率は法律できめた制限税率範囲内でやるわけであります。こういうやり方は、税務局長、不均一課税として許せませんか、許せますか。見解をお尋ねいたします。
  300. 首藤堯

    首藤政府委員 不均一課税は、御案内のように公益上の特別の必要がある、公益上必要がある、こういう場合に行なわれるわけでありまして、その公益上の事由という事態が、その団体において的確に判断ができる、厳密に解釈して判断ができるという事態であれば、それはかまわないわけでございます。
  301. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地方税法六条二項にのっとっておればよろしい、いわゆる資本段階十億というところを一つ区切っても不均一課税にはならないと、こういうおことばでありまして、かなり前向きの御答弁でありますので、同時にひとつ大蔵省も、こういうカビのはえたような区切りは改めるようにしていただきたい、こう思います。
  302. 首藤堯

    首藤政府委員 不均一課税の公益上の理由の点を答弁申し上げましたが、その不均一課税をやります場合の考え方といたしまして、法で定められております税率構造を変化をするというようなことは許されない、こういう解釈に相なっております。その点だけつけ加えて申し上げます。
  303. 細谷治嘉

    ○細谷委員 税率構造をどこ変えているのですか。段階を設けたから税率構造が変わるというのですか。どこへ税率構造が変わるのですか。
  304. 首藤堯

    首藤政府委員 現在の法律で、たとえば事業税の場合でございますと所得区分で軽減税率の適用を行なう段階をきめておるわけでございますが、そのように段階別に区分をつくりまして、それに応じて税率を設定しておるというようなケースのことを申し上げたわけでございます。
  305. 細谷治嘉

    ○細谷委員 どこへ税率構造が変わるのですか。おかしいでしょう。書き方によって税率構造を変えたように見えるかもしれませんけれども……。たとえば一二・一でしたのを制限税率の一四・五まで持っていきます。そうしてその次の条文に、ただし、十億円以下の資本に対しては標準税率で取ります。構造は変わらぬでしょう。東京都のやり方と変わらぬでしょう。何が税率構造を変えているのですか。変えてやしませんよ。もっとも、税率構造なんていったって、一億円の段階を設けたことを税率構造とおっしゃるのでしょうけれども制限税率範囲内でやっているのですよ。はみ出しゃせぬですよ。東京都のやり方と一つも変わらぬでしょう。
  306. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほどの御質問が法人税割そのほかのお話が出ておりましたので、一般論の御質問と思いまして一般論でお答えを申し上げたわけであります。  今回の東京都のやり方につきましては、具体的なやり方の結果がどうなるかによりましていろいろ議論があるわけでございまして、一応、現在の段階区分それぞれの税率を一様に標準税率超過課税をやりまして、特定のものだけを落とす、こういう二段階をとっておるわけでございます。その、あと落とすのがいわゆる不均一課税の手法によっておると、こう言っておるわけであります。そこでその実態がどうあるか。つまり、ごく少数のものだけに対する結果的な増税という経過になるのかどうか、そういった点についていろいろ議論があるということを申し上げただけでございます。
  307. 細谷治嘉

    ○細谷委員 法定の税構造を変えればそれは不均一課税、それは私も承知してものを言っているわけです。税構造を変えるのも不均一課税で、それも合法的であります、いいんですと、そんなことを私は言っているわけじゃないのですよ。法人税税率を、一億円以上の資本金に対しては——法律はそういう一億円になっているのだから、カビのはえたやつは。それを改めようとしないわけだからあなた方は守らねばいかぬわけですよ。その一億円以上の企業に対しては制限税率の、一二・一じゃなくて一四・五%の法人税割を取りますよ。しかし十億円以下の資本金に対しては標準税率法人税割にするという措置を法律の範囲内で書くわけですよ。それは制限税率をオーバーしたらいかぬですよ。そうでしょう。六条は「地方団体は、公益上その他の事由に因り必要がある場合においては、不均一の課税をすることができる。」第七条「地方団体は、その一部に対して特に利益がある事件に関しては、不均一の課税をし、又はその一部に課税をすることができる。」こういうことでありますから、新聞に書いてあることは非常に重要な問題だから私は言っているわけです。  この問題は非常に基本的なことで、あなたもいまのこういう情勢の中では、非常に重大な問題をはらんでおるから答えにくいだろうと思うので、もしきょうあなたの責任だけで答えられないというなら残しておいてもらってもいいですよ。しかし、あなたが不均一課税でございますということであると、私はちょっと下がれない。引っ込めないです。
  308. 首藤堯

    首藤政府委員 法人税割の場合の問題でございますが、法人税割の場合は法人税額に税率をかける、こういうかっこうになっておりまして、法人税の場合には、ただいま御指摘のように古くはございますが、一億円といったような段階があるわけでございまして、それに応じてかけられました法人税の税額の一定税率、こういうかっこうで法人税割がかけられるかっこうになろうと思います。そこで、そのほかに別にランクを設けますことがいいのかどうかという点については、いろいろその税率構造のことに関しまして議論もあるわけでございますが、なおそういった点についてはこれからも十分検討してみたいと思っております。
  309. 細谷治嘉

    ○細谷委員 法人税というのは国の基本税率四〇%をかけて法人税が納められるわけですね。それに対して標準税率でいくのか、制限税率でいくのか、それをかけたものが法人税割ですね。ですから、私のほうは、四〇%もあるわけですから制限税率でいきますよ、国の定めた法人税に対して制限税率でいきますよ、こういうふうに条例をきめます。これはちっとも違法じゃないですね。しかし、中小企業については公益上の理由もあって気の毒でありますから、資本金十億円以下のものに対してはひとつ減免してあげましょう。これを奨励金でやりますといったら一体どうなりますか。抜け道は幾らでもあるのですよ。制限税率範囲内なんですから抜け道は幾らでもあるんですよ。奨励金ならいいでしょう。問題ないでしょう。ただ、税金を一応納めてまた返すということになりますけれども、それだっていいですよ。  問題は、一億円なんというカビのはえた段階をいまだに固執しているところに問題があるのであって、それを直していただけば、実態に即するようなことになるわけですけれども、いますぐというわけにいきませんが、そういう事態が都市、特にきのう参考人が言っておったように指定市なんて吹き出しているわけですから、そういう具体的なことが起こるのは理の当然だ、こう思うのですよ。ですから、税構造を変えないなんと言うことは、なりもしないのをいかにもなったかのごとくに、不均一課税でございますなんと言うことはいけません。これは重要な問題を含んでおりますからひとつ御検討をいただきたい。そして後ほどひとつ御回答をいただけばけっこうでございます。  それでは、皆さんも気の毒ですから、委員長あと二、三、問題点だけ指摘して終わらしていただきたい。  先ほども議論されておりましたが、住民税の課税最低限、私はちょっと意味がわからないのですよ。自治省は従来、前年度の所得税に対して、言ってみますと四十八年度の所得税の課税最低限に対して今度のやつを比較しているわけだね。それで九〇%でございますと、こういうことになっている。大体八〇%の線を守ろう、こういうのが自治省のお考えではないかと従来想像しておりました。現にまたそういうことで責任者等も書いてございます。どうなんでしょうか、将来住民税の課税最低限というのは、八〇%から今度九〇%になったのですから、九〇%を守るようにいたしますか、いたしませんか。
  310. 首藤堯

    首藤政府委員 住民税の課税最低限は、先生も御承知のように住民税の特殊な性格もございますので、そういった面から、なるたけ広く住民がいわゆる会費としての住民税負担する、こういう性格を保ちながらなおかつ生活水準の向上等の要素を勘案をした適正な課税最低限を求める、こういういろいろな要素をかみ合わせて考えておりますので、納税義務者の数でございますとか、生活費の状況でございますとか、そういったものも加味をしておるわけでございます。したがいまして、大体いままでは御指摘のように、経過的には前年の国の所得税、これに比べまして八〇%前後のところを推移をしてきておるというのが実績にはまさしくなっておるわけでございますが、これを何%でなければならない、こういうように観念をいたしておるわけではございません。
  311. 細谷治嘉

    ○細谷委員 税務局長、負担分任の精神で、住民は最低生活を保障されなくてもよろしい、負担分任が生きてくるんだ、応益主義で生きていくんだ、こういう御主張ですか。最低生活に食い込んで税金取ってもいいというのですか。どうなんです。
  312. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほども申し上げましたように、最低の生活費に食い込んでいいということを申し上げているわけでは決してございません。そういう生活費の状況、それから一応ほかに負担分任という、住民税独特の性格もございますので、それもあわせ考えながらということを申し上げたわけでありまして、最低生活費に食い込んで課税することが適当でないことはこれは当然のことでございます。
  313. 細谷治嘉

    ○細谷委員 所得税は最低生活に関係なしに課税最低限が設けられておるのですか。どっちがほんとうなんですか。百一万円がほんとうなんですか、百五十万がほんとうなんですか、お答えいただきたい。
  314. 首藤堯

    首藤政府委員 私ども考えております場合には、所得税の課税最低限、これが必ずしもいわゆる生活最低限そのものイコールであるというようには考えていないのでございまして、そのほかいろいろ御案内の指数がございますが、そういったものを別に勘案をしながら私どもとしては妥当な線を考えていきたい、こう思っておる次第でございます。
  315. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、今日の住民税に関する限りは、大体都市においては八対二、所得関係の税というのは地方に入るのが二、国に大体八割入っていっているのです。そういう実態です。税全体としては六八対三二ぐらいということでいいですけれども現実に所得関係の税、特に過密で悩んでおる都市については、所得税等のいわゆる所得関係の税というのは八対二ですよ。地方はたった二割しかないわけですよ。そういった実態の中でありますから、私は、また私どもは、しゃにむに所得税の課税最低限百五十万に一体としなさいと言っているわけじゃない。また住民税が所得税と同様に、いわゆる所得の再配分機能ということに終始すべきものではない、ある程度応益性というものを取り込むことはやむを得ない、こういうことを考えながらも、きのうも荻田さんが言ったように、四十八年所得税の課税最低限と四十九年度の住民税の課税最低限を比較するからこんな問題が起こるわけですよ。意味がないと荻田さんも言っておった。ことし、一体四十九年がどうなるのか、百五十万円と百一万円で四十九万円の差がある。これは現実の問題です。しかも今日、インフレがどんどんどんどん高進していく段階において前年度の課税でもらったって、年収が減っちゃっているのですからどうにもならない。  そういうことでありますから、一ぺんにやれなんということは言っておりませんが、原則としては、この種のものは私は課税最低限が一体である、一致すべきである。税率構造については応能性、応益性というものを勘案いたしますから、それは住民税のほうがなめらかなスロープ、カーブになるということは、それはもう私も基本的に理解いたしますけれども、この辺の問題ですよ。いいか悪いかは別として、百五十万円に上がっちゃったのですよ。あなたの前任者の佐々木さんも言っておりますね。百五十万になりますと、今度は百一万円でありますけれども、所得税が上がったことによって、三控除を上げることは別として、所得税が上がったことによってはね返ってきて、住民税の課税最低限はおそらく今度のあれからいくとかなりの分はね返ってくると思うのですよ。ですから、三控除をいじらぬでも、来年百一万円というのは百十万円くらいになるでしょう。しかしどう見ても、あなたのほうの九〇%とか八〇%というものを守るということになると、百二十万円くらいにせにゃいかぬですよ。佐々木さんもそう言っておりますわ。ですから、この点についての基本的な自治省考えをお聞かせいただきたい。いかがでしょう。
  316. 首藤堯

    首藤政府委員 課税最低限のあり方がどうかということについては、毎々申し上げておりますように、最低生活費に食い込まないという原則がありますとともに、住民税のただいま先生御指摘になりましたような特殊な性格がございますので、所得税の課税最低限とこれを一緒にしてしまうということは必ずしも適当でないと考えておりますが、生活費そのほかの事態の推移に応じてこれを引き上げていくということはやらなければならぬ、こういう原則的な考え方でございます。  ただいま御指摘がございましたように、明年度におきましても、ことし国税がとりました例の百五十万円という課税最低限設定のための給与所得控除、こういったものは、いま御指摘のようにすぐ来年の住民税にはね返ってまいりますので、当然その分は住民税の課税最低限の引き上げになって将来あらわれるわけでございます。  なお、このほかにも、各種控除におきましても、現在三控除の間に差がありますものを、財政状況等も勘案をいたしますけれども、できるだけ早い機会に同じ額に詰めていきたい、こういった願望も持っておりますので、財政状況そのほかを勘案しながら、来年は適正な課税最低限の引き上げというものについてつとめてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  317. 細谷治嘉

    ○細谷委員 時間がありませんから、税務局長、この本を読まれたことがありますか。読まれましたか。感想はいかがですか。
  318. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいまお示しをいただきましたのはおそらく東京都の研究会によります大都市税制改善のための新しい個人住民税、これであろうと思いますが、そうでございますか。——これにおきましては、新しい個人住民税あり方として、国税の所得税からの大幅な税源移譲、これを前提にいたしましていろいろな提案がなされておるわけでございます。  ただ、この点で非常に問題がございますのは、所得税の大幅移譲をやります場合に、たとえば五〇対五〇といったような移譲をやります場合の事務配分あるいは負担区分の変更の問題との関連、それから現年課税にせよ、こういう御主張になっておるわけでございますが、住民税が現年課税になりました場合の技術的ないろいろな問題、こういうむずかしい問題がございまして、これはかつて住民税を所得税の付加税にしたらどうかとか、そういった議論が政府税調等でも行なわれたわけでございます。こういう場合にずいぶん論議が尽くされましたような問題点を含んでおる御提案である、こういうように感じております。
  319. 細谷治嘉

    ○細谷委員 税務局長、あなたは何年自治省につとめていますか。三十九年ごろ自治省におつとめになっておったでしょう。そうでしょう。あなたはそのころ財政課長をしておったのじゃないですか。そのとき、国税と地方税の比率というのはおおむね五体五にすべきである、こういうことを自治省は主張したのですよ。その後引っ込んでしまったのですよ。自治省は。その引っ込んだというところが、だんだんどうも大蔵にしてやられている。全く、地方財源と同じように自治省自体が自主性をだんだん喪失してきている、こういうふうに言ってもいいのじゃないかと思います。たいへん失礼なことばですが、私の率直な考えを申し上げておるので、立腹しないようにお願いしたいのです。主張したのですよ。それでどうかというと、いや事務の再配分をやるのだ、地方制度調査会事務の再配分をしてもらって、そして事務の再配分に相応するような、見合うような税財源配分をするのだ。百年河清を待つにひとしい。こんなことできやせぬでしょう。現に戦後二十二年にできた地方自治法施行規程、自治法附則八条、この国費職員の問題も片づかぬでしょう。依然として戦後は、当分の間という形でつながってきているでしょう。これは容易ならぬことです。  でありますから、マクロにつかんで、今日の福祉転換への道、それに重要な任務をになっておるのは何といっても地方公共団体である。そういうことからいきますと、やはり税財源充実というのは重要だ。でありますから、ずばり、まずマクロな観点で半々に分けましょう。特に所得課税なんというのはそういうことである。最近はまた法人税もやはり折半すべきであるという議論も、横浜国大の教授があなたのほうの雑誌の巻頭言に書いているでしょう。そこまで来ているのですよ。  そういうことからいって、あなた、批判するばかりではなくて——この中にもやはり、今日の住民税というのは課税三控除を上げていくだけによってなくなってしまう町村がある。でありますから上げられない。とうとうどこへ行くかというと、均等割でまけたらどうかなんというところ、せっちん詰めのようなかっこうになっておるのですよ。そこに今日の地方財政の実態があるわけです。最低生活費には課税しないという原則になりますと、諸控除を上げただけではやはり不公平の拡大が起こってきているわけですから、もうこれもぎりぎりまで来ております。でありますから、所得税と住民税——しかも資産所得等ではさっきも申し上げたように一兆円もの、分離課税等で減税が行なわれておるわけでありますから、そういう点も整理しつつ、総合課税をしていくべきである。そしてその所得関係の税というのは国と地方が折半すべきである、この原則は高く評価すべきであると私は思います。そういう点で現年度課税反対なんというのは理屈になりませんよ。いまのこういうインフレの時期では住民税も現年度でいくべきです。そういうことでひとつよく読んでいただいて、じっくりとこのいいところは取り入れていただきたい。これをひとつ要望しておきたい。  最後に、お願い申し上げたい点でありますけれども、今度、固定資産税のいわゆる発電所施設等にかかる特例措置、三百四十九条の三関係、重要産業用合理化機械設備の特例、同じく三百四十九条の三、これを是正するために、およそ七十億円程度の税収が発電所所在市町村に来ます。  そこでお尋ねいたしたいことでありますが、この電力というのは大体定率で償却していっております。五年たったらば取得価格がどの程度減るのか、十年たったらどの程度減るのか、これをひとつ明らかにしていただきたい、こう思います。  それからもう一つ、この固定資産税税率でありますけれども、三百五十条の二項に「市町村は、百分の一・七をこえる税率で当該年度分の固定資産税を課するときは、あらかじめ、文書で、その旨を自治大臣届け出なければならない。ただし、その所有する固定資産に対して課すべき固定資産税の課税標準の額が当該市町村固定資産税の課税標準の総額の三分の二をこえる納税義務者がいない場合その他政令で定める場合は、この限りでない。」この第二項というのは昭和四十年ごろに入ったあれです。もともとこの三百五十条というのはたった一項だけで、「固定資産税標準税率は、百分の一・四とする。但し、標準税率をこえる税率で課する場合においても、百分の二・一をこえることができない一標準税率は一・四でございます、制限税率は二・一でございます、これだけ書いてあったのですよ。ところが二項が入りました。言ってみますと、発電所等で一つ自治体にばく大な税金が舞い込むことは困る、こういうことであって、そうして二・一という税率があるのに、一・八をこえた場合は自治大臣の許可を得なさい、原則を制限税率でまたしぼってきているわけです。だから、あなたのほうからいただいたこの資料によりますと、一・八をこえて課税するところは発電所関係ではなくなってしまったでしょう。しかし二・一まで取っている団体だってありますよ、この表を見ますと。あるのですよ。まずこれから、隗より始めよ、この二項を削ったらいかがです。発電所建設促進税まで設けるのならば、発電所の税源を地方税の原則に基づいてやるということが先決問題でしょう。それをやらないでおいて発電所の建設促進税なんというのは、これは誤りだと思うのですよ。いかがですか。
  320. 首藤堯

    首藤政府委員 発電所の償却につきましては別途お答えを申し上げます。  それから、ただいま御指摘の、標準税率一・四に対して一・七をこえる課税があるときには云々という規定は、当該市町村なり地方自治体に特別に大きなものが所在をいたしまして、ほとんど大部分の固定資産税がそこから収入されておるといったような場合に、そこだけに大幅な超過課税をやるということがいかがなものか、こういうことで一・七をこえた場合にはという規定が入ったように承っておるわけでございます。  超過課税あり方につきまして、標準税率が設定をされております上に超過課税を行なうことは、これはもちろん財政上の特別な事情があればよろしいわけでございますけれども、その限度をどこまで持っていくかという考え方についてはいろいろあろうかと思うわけでございまして、固定資産税の場合は二・一ということで、五割増しというかなり大きな幅の制限税率の設定がなされておったわけでございます。これは経過的に、各地方団体における超過課税の状況、これの推移がございまして、若干ずつ大幅な超過課税というものがなくなってきまして、超過課税の幅が小さくなってきつつある、こういう状況も前提としてあるわけでございますが、そのような状況を踏まえて当時改正をされたもの、このように承っておるわけでございます。
  321. 細谷治嘉

    ○細谷委員 まあ、固定資産税標準税率は一・四とする、制限税率は二・一と書いておけばいいのですよ。それは東北のほうはみんな制限税率でやっておった。発電所だけは自治大臣の許可を得なければならないようになったものだから、二・一が悪いなら一・七に直されたらいいでしょう。わざわざ制限税率でやったのに、ある団体のところはこういう三分の二以上、一つのあれが持っていたらこれは自治大臣の許可が要る、おまえのところは税金が多過ぎるよと、こういうことなら二・一を改めたらいかがか。二項なんて必要ないでしょう。そう思います。ひとつ御検討をいただきたいと思います。まあしかし、この発電所のやつを合理化ということで、三分の一、三分の二というめちゃくちゃなやつを今度改めたことについてはやや前向きだということでは評価はいたします。ここまで一歩を進めたのですから、ひとつきちんとやるべきものをやって、ということを私は申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、償却速度等についてはあとでひとつ資料としていただきたいと思います。  もう一点だけ、これで最後でありますけれども、今度大規模償却資産の課税限度の引き上げということで法律をつくりまして、市町村重点に、特に発電所に、これも電源開発促進税というのを設ける前に、自分で自前のやつをやるべきということで、これはやらざるを得なかったのでしょう。だからこの辺もやや前向きでありますから評価いたしますが、私が申し上げたい点は、このいただいた皆さんの計数資料から見ましても、昭和三十年に大規模償却資産に対する特例というのができたわけです。私は当時市長をしておりまして、私のところにある工場というのは、大きな工場が五つばかりありますけれども、四つを県に持っていかれちゃった。県税に、三十年のこれで。これは恨み骨髄に徹しているわけだ。今度それを、一つの工場についてはこういう人口急増があればここまでします、それから一つのあれについては四〇%まで保証しますよ、それから基準財政需要額でまた救ってあげますよという形で漸次改善されたことについては、恨みがあるだけに私は前向きだということを評価いたします。  ところが、今度一体どうなるかという資料を自治省からいただきますと、驚くべきことに、大規模償却資産の課税限度について、六億八千八百万円が県のほうから市町村に移っていくだけですよ。六億八千八百万円が県のほうから市町村に移っていくだけであります。そうしてその六億八千八百万というのは一体何団体関係しているかというと、たった九団体です。三千三百の自治体があるうちたった九団体です。その九団体が、憎らしやという形で三十年に設けたやつを。そうして、じゃ県のほうに幾ら入っていくかといいますと、県のほうに入っていくのはたった十八億六千九百万円でしょう。たった十八億しか入らぬですよ。その十八億でこんな——言ってみますと、大規模の償却資産等については市町村は評価能力がないなんということで三十年に設けたようです。冗談じゃありませんよ。市町村は評価能力を持っておりますわ。しかしそういうことで設けたのでありますから。しかも十八億。かってできたときは金額が大きかった。いまの金の値打ちよりももっと高いときに、三十七、八年くらいに都道府県にどのくらいいっておったか。六十億くらいいっておったのです。いまやたった十八億です。本来、固定資産税というのは市町村税なんですよ。市町村税なんでありますから、ひとつ三十年、二十九年までのもとに返して、大規模償却資産については、府県も大体十八億なんてもらったってこれはもうないわけですから、ひとつ全部固定資産税というのは市町村の税だという原則でなさったらいかがか。こんな中途半ぱな六億八千八百万でやるようなものじゃないじゃないか、そう思います。  ところが、先ほど申し上げました九つの団体が六億八千八百万もらうわけでありますけれども、どうしていかぬのかということを聞きますと、ある県のある町に十億円ばかり税金がよけいいくからだめだというのですよ。三千三百のうち、一団体だけに十億円ばかり税金がいくからこれはだめだ、こういうことで拒否しております。そんなことをおっしゃるなら、三千のうち一つで、こんなような、原則をくずして固定資産税を県にやるというあれをとるのならば私は問いたい。たった二億五千万円しか税金の入らない町で二十五億円ものギャンブルの金を一般会計に繰り入れているでしょう。そういうものについては何らの手も打たないで——特別交付税で打っていると言うでしょうけれども、放置しておいて、三千をこす市町村の中でたった一つ十億円いくから、これはおそらくむちゃくちゃなことをするだろう、町長の歳費がものすごく上がるだろう、あるいは議員の歳費がものすごく上がるだろう、これは学校をものすごいデラックスなやつを建てるだろう、平米百万円ぐらいのお城のようなものを建てるだろう、こういうことで税の原則を踏みにじるのはよろしくない、こう思います。ですから原則に戻って、三十年のこれは当時はやむを得なかったかもしれませんけれども、今日、たった十七億か八億円のやつを県へやるなんてめんどくさいことをやらずに、これはひとつ、固定資産税市町村の税であります。その十億いった三千のうちの一つの町村については十分指導なさったらいいでしょう。その前にギャンブルを指導しなさい、こう思います。時間がありませんから、どう答弁するか、それを聞いておきたいと思います。
  322. 首藤堯

    首藤政府委員 大規模償却資産につきまして府県への配分制度が設けられたということは、ただいま御指摘のとおりに、一市町村に非常に大規模な償却資産ができましてそこの税収入が非常に膨大な額になる、こういうことについて他との均衡上の問題もあって応分なところでがまんをしていただく、こういう趣旨に出たものであることは御承知のとおりでございます。今回の発電所関係についての税の減免の廃止に伴いまして、やはり固定資産をもう少し地元に保有さすほうがいいだろう、こういう考え方でその制限率を高めましたことはただいま評価をいただきましたとおりでございまして、そういう面では当該市町村に、わりに、より多くと申しますか、現在よりは多くの財源をとどめるという措置考えたわけでございます。しかし、制度の存在をしております理由が、ごく特殊の例かもしれませんけれども、特定の団体に非常に多くの片寄った税収入があるという場合には、なるたけこれを均衡上公平にするといったことが望ましいということ自身もまた否定をできない事柄であろうと思いますので、ただいま御指摘のように非常にその例が少なくなってまいりまして、該当額は減ってきたわけではございますけれども、将来の問題等もあり、この措置を完全に廃止してしまうという点についてはなお慎重な検討が必要になるのではないか、こう考えておる次第でございます。  それからギャンブルの例示がございましたが、これも御指摘のとおりでございまして、一部の団体において非常にギャンブル収入が偏在しておる、こういう事態が現にあるわけでございます。こういう点については財政局のほうからお答えがあるかと思いますけれども、われわれとしてはなるたけその均てん化をはかっていくという方策をいろいろな面においてとる、これが望ましいというように考えておる次第でございます。
  323. 森岡敞

    ○森岡政府委員 公営競技の収入につきましては、御承知のように一部事務組合に新規市町村を加入させまして、関係市町村の協議によって均てん化をはかられておる向きもございます。しかし、率直に申して微々たるものでございます。その結果、一部の開催団体に多額の収入が帰属する、財政運営も好ましくない、率直にいってそういう事例は私ども見受けられると思います。そういう意味合いで、いま御指摘のありましたように、特別交付税の算定の際に控除項目を立てましたり、あるいは地方債の許可の際に、できるだけ公営競技収入をもって充てて地方債は制限するというふうな措置も講じておりますが、これもそれほど適確な措置とは言いかねると思います。  そこで、私どもはさしあたり、公営企業金融公庫への御承知の金利引き下げのための納付金、これが四十九年度まで〇・五%ということになっておりますが、五十年度以降これを引き上げる、それによって当面均てん化の措置を強化していきたい。しかしさらに将来にわたってはその他の面におきましても、各地方公共団体間の財源の帰属はできるだけ均てん化するように一そうつとめてまいりたい、かように考えております。
  324. 細谷治嘉

    ○細谷委員 政務次官……。
  325. 古屋亨

    古屋政府委員 私を指名していただいたのは、大規模償却の問題よりも公営競技の問題だと思うのですが、いま森岡審議官からお話し申しましたように、やはりギャンブル収入というのは広く均てんさせなければ、その開催市だけが非常な利益を得ておるいまの現状というのは何とも改めていかなければなりませんし、公営企業金融公庫に対する〇・五をふやしていくという問題も、来年度におきましては真剣に実現するようにいたしたいと思っております。
  326. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ギャンブルの問題についてはいずれ交付税等の地方財政全般を議論する際まで留保することにいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  327. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 次回は、来たる十九日火曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時十三分散会