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1974-03-08 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月八日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 村田敬次郎君 理事 佐藤 敬治君    理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君       片岡 清一君    亀山 孝一君       住  栄作君    武藤 嘉文君       保岡 興治君    井岡 大治君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    山田 芳治君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 町村 金五君  出席政府委員         林野庁林政部長 平松甲子雄君         自治政務次官  古屋  亨君         自治大臣官房審         議官      山下  稔君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部第         一審査長    妹尾  明君         外務省アメリカ         局外務参事官  角谷  清君         大蔵省主計局主         計官      名本 公洲君         大蔵省主税局税         制第三課長   西野 襄一君         厚生省保険局国         民健康保険課長 下村  健君         建設省計画局宅         地部宅地政策課         長       沢本 守幸君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四〇号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。小川省吾
  3. 小川省吾

    小川(省)委員 昨日に引き続いて質問を続けさしていただきます。  昨日、大蔵省に対しまして、農業所得、その中の養蚕所得について、いろいろ実態を申し上げて改善方お願いいたしたわけでありますが、特に自治省としてもぜひひとつこのような実態を改めるようにお願いをいたしたいと思うのでございます。  ちょっとこの実態について地方紙記事を読み上げますので、お聞き取りをいただきたいと思うのであります。「養蚕所得課税方法が不当である」ということで、各地の養蚕農家から批判があがっているが、二十四日に「不当課税に対する追及大会」というのが開催をされて「課税基準をあらためるよう要望する決議」が決定をされたわけであります。「養蚕所得はこれまで桑畑面積課税されていたが、今年度からは卵量報告課税されるようになった。」「実際の桑畑面積農家から正しく申告されていないとしてこんど課税方法改正されたもの。新課税法によると、桑畑十アールで飼育される掃立卵量標準値を二・八箱(一箱十グラム)とみなし、申告桑畑面積以上の卵量報告があれば、その分を買桑によるものとして“仮定桑園”を設けて課税する。」ということで、同町のある方は「約八十アールの桑畑養蚕をしているが昨年の所得確定申告が九十五万円だったのが、今年は二百三十四万円と三倍近くになり、」同町のある方は「二十五アールで五十万円が九十二万円になった。」というふうな記事が出ておるわけであります。  この記事が真意を伝えているかどうかということは別として、このような状態になっているわけでありますから、農業所得は現在では国税というよりも主として地方税でございますから、このような養蚕農家に対する課税基準が、やはり仮定桑園によるところのみなし課税というふうな不当な面もありますので、私は自治省としてもぜひこういう点についての是正方お願いいたしておきたいと思うのであります。  次に、法人事業税生命保険事業課税標準である収入金についての合理化をはかるということになっておるわけでありますが、正直言って生命保険のことに関してはあまりよくわかりませんので、どのように改正をして、どう変わってくるのか、説明を受けたいと思います。
  4. 首藤堯

    首藤政府委員 従来、生命保険事業課税標準収入金額とされておるわけでございますけれども、実際的には、各事業年度において収入をしましたその初年度収入保険料と申しますか、その年に契約をしましたものの収入保険料、それに一定割合を乗じて算定しておったわけでございます。それが最近におきます事業活動実態変化等を考慮いたしまして、初年度収入だけでなくて、各事業年度の全収入保険料にこの生命保険種類に応じます一定割合をかけまして、各事業年席の全収入保険料課税標準として算定をする、こういう方式に改めたわけでございます。生命保険会社事業活動実態等勘案をいたしましたので、こういった措置をとりました結果、結論としては税額現行の三倍ぐらいに増加することに相なります。平年度大体六十七億円ぐらいの見当になるかと思いますが、そういう増加をいたすわけでございます。ただし、この税収が非常に激変をいたしますので、二年度間の経過措置を附則において講じて、約三倍程度の増徴に踏み切る、このようにいたしたわけでございます。
  5. 小川省吾

    小川(省)委員 そうすると、結局いま御説明のように、生命保険会社、かなりもうけている事業だと思いますけれども税額がふえてきたということでけっこうなことだというふうに思うわけです。  生命保険関連をしてお尋ねをいたしたいのですが、実は生命保険料控除限度引き上げの問題についてであります。国税のほうでも改正されていませんから地方税でも改正をされないんだろうというふうに思いますけれども、どんな生命保険に限らず、生命保険近代社会生活の中で占めているウエートというのは、これはかなり大きなものだろうというふうに思っております。現行控除限度が定められた以降、物価は大きく値上がりをしておりますし、あるいは所得といいますか、賃金もたいへん上昇をしているわけでありますが、そういう点では保険料控除は四十一年以来据え置きになっているわけですね。現行ではおそらく二万五千円までが全額で、二万五千円をこえるところの五万円までが二分の一、こういう形の控除になっているはずだと思うのであります。これでは実勢に即していないではないかというふうに考えますし、そういう声もかなりあるわけであります。少なくとも五万円程度までは全額として、五万円をこえる十万円くらいまでは二分の一というふうに改めていくほうが、これは実態に即しているのではないかというふうに考えますけれども、今度の中で改正せられていないようであります。その点についての自治省考え方はいかがですか、お伺いしたいと存じます。
  6. 首藤堯

    首藤政府委員 生命保険料控除でございますが、ただいま四十八年度住民税では二万七千五百円が最高、こういう控除に相なっている次第でございます。この生命保険料控除は、住民税所得税の間で必ずしも完全に一致しなければならぬとは考えておりませんですけれども、御承知のように、生命保険性格等勘案をいたしまして、所得税状況等をも勘案をしながら、住民税においても検討をいたしたいと思っておるわけでございます。  具体的には、昭和四十九年度所得税ではこの引き上げが行なわれまして、最高五万円、こういうことになったわけでございます。住民税は、御案内のように前年度所得に対します課税形式をとりますので、明年度住民税にこの国税の五万円をどう持ち込むか、これから検討させていただきたいと思います。
  7. 小川省吾

    小川(省)委員 わかりました。確かに住民税は前年度課税でございますから、国税がそうなったそうでありますからぜひひとつ来年度の中ではそういうふうに取り入れをして、実態に即するようにお願いをいたしておきたいと思うわけであります。  税源の再配分の問題についてお伺いをするわけでありますが、昨日山田委員からもちょっと触れられましたが、不動産取得税でありますけれども不動産取得税というのはやはり県税に置くほうがむしろ不自然ではないか、市町村税に移譲したほうが税としてはより実態にマッチをしているのではないかというふうに思いますけれども自治省としてはこれを市町村税に移すところの意向はないのかあるのか。検討をしたことがあるのかないのか。と同時に、これを移すことによって県税市町村税との間に、現状において大きなバランスを欠く状態が起こり得るほどの状態なのかどうか。市町村税に移したほうがより適切だと思うし、府県税源がそれによって大きく少なくなって影響が強過ぎるというふうなことは考えられないのではないかというふうに思いますけれども不動産取得税市町村税に移す気はないのかあるのか、お伺いをしたいと思います。
  8. 首藤堯

    首藤政府委員 不動産取得税市町村税に移してはどうかという御意見でございます。このような希望等市町村方面から出ておりますことは私もよく承知をいたしております。ただ、現在は御指摘をいただきましたように、乏しい地方税源の充実を心がけてはおりますが、この府県市町村配分、これをどう持っていくかということは、やはり事務量あり方等とも関連をして重大な問題でございまして、移譲等を行ないました場合に、全般的な調整をどこでどうはかるかということがむずかしい問題になりますことはもうお気づきのとおりでございます。不動産取得税は総額が千九百億という税額になっておりますので、これを市町村に回します場合、やはりこの府県における税源の問題、これも非常に大きな問題になると思いますので、行政事務配分の問題、それから地方税体系あり方の問題の一つとして、総合的に検討をさせていただくというよりほかにしかたがないのではないかといま考えている次第でございます。
  9. 小川省吾

    小川(省)委員 千九百億なので影響があるということでありますが、税の再配分の問題は、これはもう古くから論議をされてきておることでございますので、ひとつ抜本的な再配分の問題を含めて、ぜひその中に入れて御検討をいただきたいと思うのでございます。  次に、固定資産税についてお尋ねをしてまいりたいと存じます。  今度の中で、小規模住宅用地二百平米以下の軽減をはかったことは、私どもとしてもかねがねこのような主張をしてきたわけでありますから歓迎をするところになるわけですが、政令の大綱はきまっているのかどうか、まず最初に伺っておきたいと存じます。
  10. 首藤堯

    首藤政府委員 政令の内容につきましてはただいま検討中でございます。ある程度腹案はでき上がりかかりつつございます。
  11. 小川省吾

    小川(省)委員 検討中で、腹案がある程度あるということでありますから、おそらくその腹案関係をするだろうと思うのですが、お尋ねをしておきたいと思うのです。  実は二百平米のとらえ方の問題なんですけれども住宅一戸当たりの敷地面積というもののようでありますが、そういうことですか。
  12. 首藤堯

    首藤政府委員 そのとおりでございます。
  13. 小川省吾

    小川(省)委員 一戸という概念の問題なんですけれども一つ世帯独立をして家庭生活を営むことのできるものという意味でとらえてよろしいわけでしょうか。
  14. 首藤堯

    首藤政府委員 そのとおりでございます。
  15. 小川省吾

    小川(省)委員 すると、長屋住宅であるとかあるいはマンション形式住宅の場合、独立をして世帯を持って生計を営む各戸ごとに二百平米という形で適用されるという理解でよろしいわけでしょうか。
  16. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘マンションそれから長屋建て住宅といったように、家屋構造上、多数の人の居住の用に供するように一区画区画独立的に区分をされておる、こういう状態が御指摘のように多いわけでございます。この場合には、その独立的に区画された部分ごとに一戸一戸と、住宅の数と認定をいたします。その一戸一戸について二百平米以上、こういう考え方で進みたいと思っております。
  17. 小川省吾

    小川(省)委員 私が理解をしていたような状態でありますが、現在の社会情勢の中では、土地が非常に高騰いたしておりますから、なかなか土地が入手しがたいのが実情です。それで一区画の中に、たとえば父母、まあ老夫婦とは言いませんけれども父母夫婦や子供がそれぞれ独立をして生計を営んでいるケースが多いわけであります。おもやに付設をされたところに年寄り夫婦といいますかが住んで、あるいはその逆というふうなケースで、それぞれ独立して勤労世帯を営んでいるケースが少なからずあるわけであります。このような場合には、それぞれを合算をして四百平米という理解でよろしいわけでしょうか。
  18. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘のように、同一の区画の内にそういった世帯が入っておるというケースでございますが、これは家屋構造上、たとえば入り口が別である、便所台所が別である、そういうようなかっこうで二世帯が完全に住める、こういう構造になっておりますれば、そこの住民がたとえば同じ住民登録の中に属しているとかいないとか、そういうこととは別問題に、それぞれを一戸ずつ、こういうふうに計算をいたしたいと思っております。
  19. 小川省吾

    小川(省)委員 そうすると、入り口台所、いわゆる住むに適切な状態構造ができておる、しかしながら、まあ一家でありますから、かまどが一つだ、食事だけは一緒にしているというふうなケースも間々あるわけであります。そういう場合の取り扱いについてはどうなりますか。
  20. 首藤堯

    首藤政府委員 家屋構造上の問題を主として考えてまいりたいと思いますので、先ほど申し上げましたように、入り口台所、それから便所、こういったたぐいのものでございますが、これはまあ別だということであれば、原則的に台所を別々にして生活をしておる、こういうように判定をせざるを得ないのだろうと思います。たまたま同じ食堂で御飯をお食べになる方なんかは、生活の態様だと思います。
  21. 小川省吾

    小川(省)委員 そうですか。結局家屋構造上そうなっておれば差しつかえないので、食事一緒にするかどうかというのは別の問題だ、そういうとらえ方でよろしいわけですね。  実は、私がこのようにこまかいことをお聞きいたしますのは、徴税現場ではこれが出てきていろいろと戸惑いを持っているのが事実であります。どういうぐあいに課税をしていったらいいのだろうかというふうに考えている職員が多いわけであります。固定資産税計算方法というのはたいへん複雑でありますし、自治体納税者との間で摩擦が起きても困りますし、そういう点で、政令でどんなふうに定められていくのかというのを実は心配をしておるものですからお聞きをいたしておるわけでございます。  そこで、住宅なりあるいは非住宅の判別は、現状どんなふうにしているわけですか。
  22. 山下稔

    山下政府委員 住宅生活の本拠として、居住の用に供しているという事実をとらえまして住宅用地認定し、それ以外のものはすべて非住宅用地というふうに認定をいたしております。
  23. 小川省吾

    小川(省)委員 そうすると、現状住宅不足の中ではあるわけですが、市街地に近接をするところあたりでは、かつて農業をやっていたころには物置きに使っておった、若い夫婦独立したので年寄り夫婦は物置きをちょっと改造して、玄関などもないような状態の中で住んでおるというふうなケースがございます。こういうのは非住宅ですか。そこに現実生計を営んで住んでおれば、私はやはり住宅だろうと思うけれども、そういう点については、住んでいる実情を見てそのように判定をするわけですか。
  24. 山下稔

    山下政府委員 税務職員判断をいたすわけでございますので、できるだけ外形で客観的な事実を基準にしてとらえるということでなければ事実上判定ができないと思います。したがって、原則的には構造判断をいたしまして、別むねになっているとかあるいは生活が別にできるような構造になっているとか、そういう基準判断をしてまいりたいと思います。したがいまして、日常生活があるいは多少その構造と違った使用のしかたをされているという面がありましても、そこは事実認定をいたすことによりまして、個々に具体的に認定をして判断をしていきたいというふうに考えております。
  25. 小川省吾

    小川(省)委員 そこで山下さんにお聞きをしたいのですがね。自治省固定資産税家屋評価基準というのを出していますね。用途別評点が付されているようですが、そういうことでしょうか。
  26. 山下稔

    山下政府委員 一応構造別評点を付するように区別をいたしております。しかし、その構造と申しますのは、たとえば住宅用建物構造であるとかその他の区分をいたしておりますので、構造住宅であるかどうかという一応の判断ができるような仕組みにはなっております。
  27. 小川省吾

    小川(省)委員 税務吏員実態に即して客観的に判断をすることが正しいということに結果的になると思うのです。  そこで、ずっと二十数種類、三十種類ぐらい並べられていますね、あれを見ますと。その中で、住宅用使用され、かつ評価されるべきものを選定をして指定をして、これは住宅だなというふうな形に定めていってもらいたいという意見現場徴税に従事している職員の中にかなりあるわけでございますけれども、そういうふうなことをやっていただくようなつもりがございますかどうか、ちょっとお伺いいたします。
  28. 山下稔

    山下政府委員 家屋評価にあたりまして、構造上そういう区分はございますが、そういうふうにして評価をいたしたものが、その評価にあたって判断した構造どおりに実際に使われているかどうか、これは必ずしも実態はそうでない場合があると思います。たとえば住宅用として評価いたすものにつきましても、実際の使用はそれが店舗に使われているというような場合もございますので、それは評価基準上の区分にとらわれず、現実実態に即して判断せざるを得ないというふうに考えます。
  29. 小川省吾

    小川(省)委員 ですから、もちろん客観的に判断はするわけですけれども、そういう作業を自治省がしていただけばなぜいいか、なぜそういう声があるかと申し上げますと、その建物付随をする土地は今度の新しい小規模用地軽減の対象になるんだというふうになってまいりますし、家屋評価の段階でそれに付随をする小規模の土地軽減まで一目りょう然になるという、いわゆる市町村徴税担当者業務遂行の上でたいへんスムーズにいけるというふうなことでそういう声があがっておるわけでございます。実際に徴税に当たっている職員からそういう声が出るのですから、私はやはりそれなりの理由の正しさがあるだろうというふうに思いますので、ぜひ御検討をいただきたいと思うわけでございます。
  30. 井岡大治

    井岡委員 関連……。いまの御答弁の中で、家屋用途によって税金をかける、しかし実態と違っている場合は適宜な措置をとりたい、こういうお話だったですね。間違いありませんか。
  31. 山下稔

    山下政府委員 客観的に判断いたしまして居住の用に供しているという認定ができれば、住宅用地という判定にいたしたいと思います。
  32. 井岡大治

    井岡委員 実はいま倉庫として非常にたくさん建てておいでになるわけなんです。そうしてその倉庫倉庫業法によらざる倉庫なんです。そこに物資が隠されているわけなんです。私たち物特委でさがして回りますと、そういうのがたくさんあるわけです。これはいわゆる倉庫として建てて、そして不動産賃貸で貸しているわけなんです。だからこれは倉庫業法による倉庫ではなくて、不動産賃貸による家屋、こういうことになっているわけです。したがって私は、これは明らかに倉庫業法による倉庫としての認定をすべきだ、こう考えるわけであります。そうでないと、そこに隠されている品物が、これは倉庫業法適用を受けておりませんから五条適用以外で、立ち入り検査ができないのです。そのために、品物が幾らかかえられておってもどうにもならぬ、こういうのが実態なんです。だから、実態に即した税徴収をおやりになるというのであれば、これは明らかに倉庫ですから倉庫業法による税法適用すべきだ、こう思うのですが、この点、いかがですか。
  33. 山下稔

    山下政府委員 ただいま固定資産税区分をいたしておりますものは、建物につきましては住宅とそれ以外のもの、これはなぜ区分が必要かと申しますと、住宅については新築住宅の場合の軽減というものがありますために区分が必要でございます。それから土地につきましては住宅用地とそれ以外を区分することにいたしております。これは、住宅用地については軽減措置を講ずるということになっておりますために区分が必要でございます。したがいまして、住宅とそれ以外という区分は必要でございますが、住宅用地以外のものにつきまして、あるいは住宅以外の建物につきまして、その使用実態によりまして区分するということは、固定資産税課税上必要でございませんために区分をいたしておらないわけでございます。
  34. 井岡大治

    井岡委員 その区分の中に住宅以外で区分をしておるのは、倉庫の場合は一種、二種、三種に分かれておるはずです。したがって、一種の固定資産税と二種の固定資産税三種固定資産税はおのおの別なんです。ところが倉庫として建てて、これが営業用に使われておりながら営業用とされてない、そこに問題がある。したがって、私たちは新たに倉庫法というものをつくったらどうか、こういうことで物特委の中では自民党との間に話はしておりますけれども、これは脱法までいかなくとも明らかに盲点をついた措置だと思うのです。しかもそこに物流の関係に大きな問題があるとするならば、自治体としても何らかの行政指導というものがあってしかるべきだ、こう思うのです。これについてはいかがです。
  35. 山下稔

    山下政府委員 先ほども申し上げましたように、固定資産税課税上、住宅とそれ以外を区分する以外に区分をして課税をするという仕組みでございませんために、固定資産税課税の面では、倉庫であるとかその他の事務所であるとかという区分も必要ございませんし、倉庫の中の区分もする必要がございませんので、いまそういう面の区分はいたしておりません。ただ、倉庫業の中で、倉庫業法三条の規定による許可を受けて倉庫業を営む者、いわゆる発券倉庫についてだけ軽減措置がございますが、それを除きましては、倉庫であるかいなか、そういう区分は、固定資産税課税上必要がございませんために区分いたしておりません
  36. 井岡大治

    井岡委員 関連ですから多くは質問しませんけれども、明らかになりましたようにそこに盲点がある。したがって、その盲点をいかに解決するかということがやはり問題だろうと思うのです。したがって、これは地方行政としてこれを取り扱うのがいいのかどうかは別として、何らかの処置を考えなければいかぬ、これだけを申し上げて、関連ですから終わります。
  37. 小川省吾

    小川(省)委員 電気ガス税についてでございますが、それぞれ電気税ガス税に分離されて税率を引き下げられる、あるいは免税点引き上げられることはけっこうだと思うのであります。しかし、この税は生活の基本にかかわる税金でございますし、また一方では悪名高い電源開発促進税ども取られようとしておるわけです。私どもは、都市ガスの普及はまだしも、少なくとも電気については免税点をさらに大幅に引き上げて、生活に必要な、一般勤労国民が消費をする平均的な電気料というものには、少なくとも税金はかけてはならないというふうに思っておるわけであります。そういうふうな形にぜひしてもらいたいと思っておるわけでありますけれども、まだまだ免税点のとり方が低過ぎるのではないかというふうに思っています。自治省としては将来免税にしていくという考え方を承ったように思うわけでありますが、ほんとうにそういうふうにしていかれるのかどうか。そしてまた具体的に将来に向けての軽減についての考え方といいますか、方針についてお伺いをいたしたいと存じます。
  38. 首藤堯

    首藤政府委員 電気税における免税点のお話でございますが、ことしは千二百円ということに二百円アップをいたしたわけでございます。この考え方は、御指摘のように一般家庭が一日に使用いたします最低限度の電気につきましては免税点以下になるよう、こういう配慮をいたしておるつもりでございますが、この千二百円で免税点を設定いたしました場合、免税点の対象になります世帯数は大体二七%見当、三割弱でございますか、そのくらいの見当であろうと思っております。今後とも一般家庭におきます電気消費の状況、それから電気料の状況、こういうことを勘案しながら、最低限度のものは免税点以下に持っていけるように免税点の調整を行なってまいりたい、こう考えております。
  39. 小川省吾

    小川(省)委員 続いて、今回改正案としては提出をされていない幾つかの点についてお尋ねをしてまいりたいと思っています。  法第三十五条の個人の道府県民税の所得割税率についてですけれども、昨日も話が出ました。いろいろ答弁を聞いておったわけでありますが、所得税市町村民税の中間にある都道府県が二段階制を相変わらずとっているというのはどうしても納得できないわけであります。昨日のような答弁にいたしましても、そのような形で二段階なんだということであっても、百五十万円ということで、百五十万円以下、百五十万円以上ということで分けてあるわけでありますが、百五十万という額をそのままにしておくのも、実際に現在の所得のそれ以降の増加というふうな状況から見ても理解に.苦しんでいるわけでありますけれども、これはこのままでよろしいんだということなんでしょうか、どうでしょうか、その辺ちょっとお伺いいたします。
  40. 首藤堯

    首藤政府委員 道府県民税と市町村民税の所得割の税率でございますが、昨日も申し上げましたように、両者を合わせまして一定の累進構造、こういう考え方の基礎に立ちまして、所得税との調整もはかりながら税率を設定しているわけでございまして、あとそれを府県市町村に分ける際にどのようなテクニックでもって分けるか、こういう考え方でまいりまして、その場合、道府県民税の場合にはわりに簡単なフラットな構造でいいのではないかという過去の経緯を踏まえて現在の体系がとられているわけでございます。したがいまして、税率の段階区分が、百五十万円を分岐点にいたしまして二%と四%の二段階になっておるわけでございますが、所得の増加に伴いまして各種控除引き上げを行ないまして、課税最低限の引き上げも行なわれておりますので、現在の状況では、この百五十万円を境にしてフラットな二段階であるという点は、さしたる差しつかえはないのではないかと実は考えておる次第でございます。  なお、この段階を変えまして税率を改めます場合には、税収入や個人の負担にも、御案内のようにたいへん大きな変動が生ずることになると思いますので、こういった点につきましては、税率をいじるということになりますれば、その際に全般的な総合的な考え方からその再調整を行なわなければならないものではないか、このように考えておる次第でございます。
  41. 小川省吾

    小川(省)委員 設定されたころの百五十万と現在の百五十万というのは大きく変動をしておると思うのであります。いま言われるような形、いろいろな関係が出てまいりますけれども、そういう点に立ってぜひひとつ検討するように強く要請をしておきたいと思います。  次いで、地方税法の第十五条の三に関連をしてお尋ねしたいと思います。  徴収猶予についてなんですが、現行では、申告納付税額の二分の一を申告時に納付すれば、残りを三カ月を限度にして猶予を認めているわけですね。そういうことでしょう。
  42. 山下稔

    山下政府委員 御指摘のとおりでございます。
  43. 小川省吾

    小川(省)委員 最近の経済情勢、あるいは税理士なり民商等の指導もあるわけでありますが、この規定がかなり活用されておりまして、五千円程度の額であってもこの十五条の三を利用する納税者がたいへんふえているわけであります。実際に徴税現場では非常に事務が煩瑣になって、激増をしているわけであります。趣旨は全く賛成なのでありますが、事務処理段階における煩瑣の問題もございますし、申告の一定額を定める必要があるのではないかというふうに実は思っているわけであります、三万であるとかあるいは五万であるとか。三千円や五千円の額を三カ月の徴収猶予をするのはたいへんけっこうな制度ではありますけれども、そうやたらに税務吏員をふやすことはできないわけでありますから、そのような煩瑣を除くという意味においても一定額を認めていくべきではないか。実情に即したようにこの辺は改めるべきではないかというふうに思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  44. 山下稔

    山下政府委員 徴税側の立場からそういう要請がありますことは私どもも聞いておりますし、徴税事務の簡素化という点からはそういう要望も確かに検討しなければならない点であろうと思います。ただ、納税者の側から考えますと、幾ら小額とは申しましても、むしろ小額なものにつきましては中小企業者の納税である場合が多いわけでございますので、そうした納税者の立場から考えまして、この制度を多少金額が少ないがゆえに適用しないということはいかがかという点もございますし、この制度は国税においても同じ扱いになっておりますので、国税とはずを合わせるという点もございます。そこら辺をあわせて検討しなければならないのではないかというふうに考えます。
  45. 小川省吾

    小川(省)委員 だから私も趣旨はたいへんけっこうだと思っておるのです。これは歓迎すべきことだと思っているのだけれども、実際に処理上税務担当の職員は非常に煩瑣な形に追われているわけです。そうなりますと、これは自治省も税調のほうから何かなければ何もできないということになっているのではないかと思うのですが、そういう現実現場徴税に当たっている職員が日常の中で非常に悩んでいる事態ですから、ぜひひとつ検討方を要望をいたしておきたいと思います。  次に、法第三十八条の個人の道府県民税の均等割についてお伺いをいたしたいわけであります。  趣旨については、市町村民税の均等割とも同じわけでありますけれども昭和二十六年から百円に据え置かれてそのままになっているわけですね。最近では徴収経費にとんとんというふうな状態だと思うのです。私も均等割が持っている意味については、十分その意義を認めているわけであります。確かに過疎の町村等では均等割をなくしていけばたいへんだろうと思いますが、現状、百円という額が実態に即しているかどうかということも実は考えられるわけであります。課税最低限を引き上げることは当然なんですが、一定の線を引いて、均等割の免除をもつくって、同時に税率も少し引き上げても決して増税とはいわれない。百円の税額というのは現状の中では少し低きに失するのではないかというふうに考えますが、自治省考え方、あるいは検討している実情についてお尋ねをいたしたいと存じます。
  46. 首藤堯

    首藤政府委員 道府県民税の均等割の百円という金額が、現在の事態におきましては金額的に時代に即さないではないかという御批判はごもっともなことだと思う次第でございます。この均等割のあり方につきましては、御承知のように、道府県民税においても均等割が所在をすべきである、その場合には百円という金額は非常に小額であるので何らかの検討を加えて、むしろもう少し引き上げて、均等割を所在をさすならその意義を持たすべきだ、こういう説と、百円程度の金額であるので、むしろ道府県民税の均等割はもう廃止をして、前のように市町村民税のほうに渡したらどうかという説と、いろいろ説があるわけでございます。全般的な均等割のあり方とも関連をいたしまして、その付近、どういうように取り扱うのが一番よろしいのか、これは税制調査会等にもおはかりを申し上げて今後真剣に検討してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  47. 小川省吾

    小川(省)委員 お答えでありますけれども、やはり百円くらいにとどめておくならばむしろ廃止をしていくべきではないかというふうに私は考えているわけであります。  次に、固定資産税小規模用地軽減とも関連をするわけでありますけれども、最近の土地の値上がりは非常にはなはだしいわけでありますから小規模宅地についての軽減が出てきたわけなんですが、一方では資材が非常に高騰して、勤労大衆のマイホーム建設の夢は遠くへ押しやられてしまったわけであります。しかし、勤労者が一生の夢で持ち家を持つということで住宅をつくっていくわけでありますけれども、当然地方税でも土地と並んで家屋に対しても軽減措置がとられてしかるべきだと思うのであります。特にその中で不動産取得税が現在、現状で二百三十万に昨年改められてそのままになっているわけでありますが、その当時とそれ以降の資材の高騰は実は目をおおうほどの状態であります。そういう点では不動産取得税の限度を少なくとも四百万なり四百五十万程度に本年は引き上げるべきであったというふうに考えているわけであります。昨年改正をした精神からするならば、当然本年も改めるべきであったというふうに思うのですが、手がつけられていないわけでありますね。この点について自治省の見解を伺いたいと思います。
  48. 首藤堯

    首藤政府委員 最近の建築資材の値上がりに関連をいたしまして、不動産取得税での新築住宅控除額を引き上げるべきではないかという御質問でございます。不動産取得税は、御案内のように、現在、建物を建てております、そのかかりました費用の実額、これを課税標準にしておるわけでは実はございませんで、固定資産の評価基準によって決定をされておるわけでございます。したがいまして、現在昭和四十九年におきましても、やはり新築住宅課税標準は現在の評価基準、つまりこれは昭和四十八年度基準基準年度においてつくりました固定資産の評価基準、これによってはじくわけでございます。したがいまして、非常に端的に申しますと、四十九年から五十年にかけての建築資材の値上がり分は不動産取得税課税標準には影響をしてこない、こういう税の仕組みになっておりますものですから、昭和四十八年度評価基準改正に伴いまして、改定をいたしました二百三十万をそのままに据え置いた、こういうことでございます。
  49. 小川省吾

    小川(省)委員 そうしますと、来年度はこれは改めていくおつもりですか、どうですか。
  50. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま申し上げましたように、不動産取得税評価基準による単価ではじいておりますので、この次、評価基準の単価を変えるという事態にこれの引き上げもまた行なう、こういう段取りになろうと思います。
  51. 小川省吾

    小川(省)委員 いま言われるような評価がえについてはよくわかるわけでありますけれども、ぜひ評価がえの時期に実情に即したような形で不動産取得税控除引き上げていただくように、強く要請をいたしておきたいと思います。  さらに、軽油引取税についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。七百条の三の三項に関連をしてお伺いをいたしたいと思うのであります。これは保有者課税になっているわけですね、そうですね。
  52. 山下稔

    山下政府委員 七百条の三の三項は御指摘のとおり保有者課税でございます。
  53. 小川省吾

    小川(省)委員 そのために、実は地方でこの軽油引取税を担当している職員が非常な苦労をしながらこの徴収に当たっているわけであります。そういう点で実はお伺いをいたしたいわけでありますけれども、地方の職員の中には、ダンプは軽油以外で走らないように自治省は通産省なりに話をして、そういう構造にメーカーを指導すべきではないかという意見すら実はあるほどにこの軽油引取税の七百条の三の三項の適用については非常にややこしい問題を生んでいるわけであります。たとえば交通反則金みたいなものであれば、これは見つかった者がということで見つかったものが運が悪いのだということもありますが、これは実はもぐっているケースが非常に多いわけであります。しかもその中でいろいろ検査をしながら、この七百条の三の三項による軽油引取税を徴収をしているわけでありますので、何らかの改正方途をぜひ見出していただきたいというふうに私は思っています。  運輸省やあるいはまた通産省の自動車課のほうにもお伺いいたしたわけでありますけれども現状のディーゼルエンジンなりあるいは一般の自動車もそうでありますけれども、非常に性能が向上をいたしてきておるわけであります。たしか七百条では、軽油並びに炭化水素油によるものは軽油引取税が課されているわけであります。一つ事業場を持っているようなケースはそういうのがないのですけれども、実際に一匹オオカミのダンプ等ではいろいろな油を混合して実は走っているわけであります。聞くところによれば、灯油でも走るしあるいはウイスキーでも走るというふうにいわれているわけであります。高いウイスキーをまぜて走るばかはいませんけれども、実は軽油引取税を納付すべき額のものは少量にして、あとはいろんな混合をしながら、エンジンの損耗度は激しいでありましょうけれども、あるいは排気ガスの中に公害を出すような排気が含まれているかもしらぬけれども、実際にはそういう状態で一匹オオカミのダンプ等は走っている。こういうことで、それを検査をしてつかまえて保有者課税を課しているというのが実情だそうであります。抜き打ち検査をいろいろやっているわけでありますが、徴税吏員の数が少ないわけでありますから、実はこの網をくぐっている一匹オオカミのダンプ等がかなり少なからずあるというふうに聞いております。一つの地方の県税事務所あたりでも二百万程度の七百条の三の三項による税金が上がっているわけでありますから、かなりの実は苦労をして課税に当たっていると思うのであります。そういう意味で、軽油引取税のもぐりで運行する車がたいへんあるということ、これに対して適切な指導をいたすべきであると思うのでありますが、どのように指導をしていただけるのかどうか、お尋ねをいたしたいと思うのであります。
  54. 山下稔

    山下政府委員 軽油引取税は、申し上げるまでもなく、道路を走る自動車に対して、道路の使用に対する負担として課税をいたしているものでございます。したがいまして、軽油以外の燃料で道路を走るものにつきましても、それが道路を使用するものであります限り、軽油との均衡をはかるということも考えなければならないと思います。  そこで現行法におきましては、七百条の三の二項におきまして、軽油以外の炭化水素油を混和いたしましたり、あるいは軽油以外の炭化水素油と同じく軽油以外の炭化水素油を混和して軽油をつくったというふうな場合には、特約業者、元売り業者以外の販売業者について課税をするという仕組み一つ設けております。それからもう一つ、いま御指摘がありました三項によりまして、軽油以外の炭化水素油を使用して道路を走るというような場合、あるいは炭化水素油以外でも炭化水素とその他のものとの混合物であったり、あるいは単一の炭化水素で一定の要件に当たるもの、こういうものは炭化水素油ではございませんが、炭化水素油と同じように課税をするという仕組みをとっております。これはあくまでも自動車が道路を走ります燃料について軽油との均衡をはかるという趣旨でございます。したがいまして、御指摘の保有者課税でございます三項の場合についてこの制度をやめるということは、確かに徴税の面では手数がかかっているわけではございますが、いま申し上げました均衡という趣旨から、この制度をやめるということはできないのではないであろうかというふうに考えます。
  55. 小川省吾

    小川(省)委員 特に地方のこれは県税でございますから、都道府県職員が七百条の三の三項の適用についてはたいへん苦労をして徴税に当たっている実情でございますので、ぜひ自治省としてもその辺についての配慮、検討を要請をいたしておきたいと思います。  最後に、地方税徴税に当たる職員の問題についてお伺いをいたしたいと思うのであります。  実は職員の中には国の税務職給料表を使ってほしいという声がございます。現状の給料表に分かれましたのは昭和三十二年でございまして、当時私も給料表は一本化であるべきだという主張をとってきた一人でありますが、実は地方には税務職給料表というのがありませんので検討をしたことはありませんけれども、国の税務職給料表というのは行政職(一)表よりもかなり有利な給料表になっておるのかどうか、お伺いをいたしたいと存じます。あわせて、国家公務員の税務職員の給与というのは、地方公務員の徴税に当たっておるいわゆる一般行政職の職員に対して具体的にどのような状態になっておるのか、お尋ねをいたしたいと存じます。
  56. 首藤堯

    首藤政府委員 地方のただいまの実情でございますが、税務職給料表を使っておるという自治体はほとんどない、こう考えております。そのかわり地方団体においては税務職員の苦労に対応いたしますために税務手当を支給しておる、それでその苦労に報いておる、こういうように承知をいたしております。
  57. 小川省吾

    小川(省)委員 伺っているのは、国の税務職給料表というのが一般職の行政職(一)表と比べてどのような状態になっておるのが、税務職給料表のほうがいいのかどうか、その運用の実態、国家公務員の税務に従事する職員実態がどうなのかということを伺ったわけであります。
  58. 首藤堯

    首藤政府委員 税務職給料表のほうが一般行政職の給料表よりも有利である、このように考えております。なお、その運用の実態につきましてはちょっと私よく存じておりません。
  59. 小川省吾

    小川(省)委員 地方税に携わっている全国の職員徴税に当たっている意欲をふるい起こさせるかどうかというのは、実は首藤税務局長の考え方、姿勢いかんにかかわっている問題だろうと思うのであります。ですから、そのことぐらいはぜひ承知をしておいていただきたいと私は思うのです。地方公務員の税務に従事しておる職員の中にそういう声があるのは、やはり仕事の上での張り合いを持ちたいということがあるのだというふうに思っております。私自身は地方の給料表を複雑にすることには反対であります。いまちょっと説明の中にもありましたように、現状では税務手当というのが支給をされているわけであります。実はこれも行政職(一)表の各等級別と職務の度合いによって、かつては比率で定めておったものが現在では定額制に移っているわけですね。そういう点で、特に地方の市町村の中では、定額というのが年々改定をせられていないものですから一〇%に相当していない実情というのがかなりあるわけであります。これは、交付税の中では税務手当というのは一〇%措置されているわけでしたね。
  60. 首藤堯

    首藤政府委員 税務手当の財源措置につきましては交付税で措置をされております。ただ、何%でございましたか、私、いまちょっと覚えておりません。
  61. 小川省吾

    小川(省)委員 税務に従事しておる責任者がそれを知らないとは困ると思うのですが、たしか一〇%措置をせられているはずであります。しかし実際には、定額制になってから改定が年々行なわれていないものですから、一〇%をかなり下回っているという状態があります。確かに地方の公務員は国と違いまして人事交流がございますし、税務に従事している職員は生涯税務に従事しておるわけではありませんから、私は税務職給料表を使うことについても反対なんです。また税務手当についても一〇%が是か非か、いろいろな論議がございます。しかし、交付税の中で一〇%という措置があるならば、少なくとも県、市町村を含めて——やはり徴税という仕事は給付をする仕事と違いますから、終戦直後とは違いますけれども、常にたいへんな苦労がつきまとうのは当然であります。その仕事に対してある意味で意欲を燃やさしていくには、税務手当というものが定められている以上、どこの自治体にあっても完全に措置をせられるようにはかっていくのが私は自治省の指導だろうというふうに思っています。そういうことで、地方の税務に携わる職員に対して、税務局として、そのような税務手当が、県や市町村に限らず、交付税で措置をせられているように適切に支給せられるような指導をやっていただけるかどうか、決意のほどを伺っておきたいと思います。
  62. 首藤堯

    首藤政府委員 税務職員の士気を鼓舞いたしますために、御指摘のとおり勤労意欲を振興させるような措置をとることはまことに適切なことだと思うわけでございます。税務手当のあり方につきましては、各地方団体ごとのそれぞれの事情があろうかと思いますが、適切な手当を支給して、税務事務に精励をする意欲をかき立てるよう十分指導してまいりたいと思います。
  63. 小川省吾

    小川(省)委員 いま首藤局長が述べられたような形で地方の税務に従事する職員が士気を高めて、しかも自治体税源を捕捉する。現状でも非常に苦労をしながら課税客体の捕捉につとめておる職員がほとんど大部分でありますから、そういう税務従事の職員の苦労のほどを察して、自治省税務局としては適切な指導をするようにぜひお願いをいたしたい、こういうことを最後に強調し、お願いを申し上げまして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  64. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 この際、おはかりいたします。  ただいま議題となっております本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出頭日時等については、委員長に御一任願いたいと存じますが一御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際、午後零時三十分まで休憩いたします。    午前十一時三十八分休憩      ————◇—————    午後零時三十八分開議
  67. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、私が委員長の指名により委員長の職務を行ないます。  地方税法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。小川新一郎君。
  68. 小川新一郎

    小川(新)委員 午前中の審議に引き続いて質問させていただくわけてございますが、地方財政計画に対する質問は後ほどまた詳しく審議するといたしまして、四十九年度三法案について関連も一ざいますので、まくらことばということではございませんが、基本的な考え方をちょっとお尋ねしておいた上で地方財政のほうに入っていきたいと思います。  そこで項目を申し上げますと、第一点は地方財政計画に対する基本的な考え方について、二番目は米軍及び自衛隊と自治体の財政問題について、その二番の中に小さく基地交付金、基地調整交付金の算定はいかにしてされているのか、また対象の拡大について、そして最近起きた所在市町村の問題の扱いについて、特に長崎、三沢、沖繩、立川、この問題については外務省にも御答弁をいただきたいと思います。これは安保条約にも関連がございますので、その点の御配慮をお願いしながらお答えをいただきたいと思います。三番目が国と地方の財政の財源の配分について、四が東京都が扱いました法人税のアップの件について、五番目が事務所事業所税について、六番目が重油消費税、七番目が租税特別措置の洗い直しの件について、八番目が国保について、あとは社会福祉税について、土地評価に対する一物三課の考え方、これは大蔵省と法務省、建設省、自治省の問題になっておりますが、この点について評価のいろんな考え方を一元化するかという点でございます。最後に住民減税でございますが、時間が大体二時間ぐらいでございますので、最後のほうはさあっとお聞きいたしますが、ひとつ要領のいい御答弁をお願いしたいと思います。  第一点の地方財政計画の基本的な考え方お尋ねする前に、私は大臣に一言お願いしたいのでございますが、忠告といっては、御年配、実力大臣にまことに御無礼でございますけれども、どうかひとつ私の考え方を含めて、御答弁の姿勢についてお尋ねしたい。これを最初にただしておいてから質問に入りたいと思います。  二月十五日にわが党の小濱さんが交付税の問題を質問いたしております。「交付税の問題についてお尋ねをしていきたいと思います。千六百八十億円を国に貸した自治体は、インフレ対策あるいはまた生活関連施設のための財源には大いに苦しんでいるわけです。これはお話のとおりでありますが、国の総需要抑制政策は当然のことでありますけれども、このようなときに交付税を削減することはまことにけしからぬと、こういわざるを得ない、こう思うわけです。そこで、昭和五十二年以降に返す、こういわれているわけですが、本年の公務員給与費などで膨大な財源が必要に迫られてくるわけです。自治大臣はことしの補正で全額返してもらうように全力を尽くすべきである。この問題については大臣の所信を承っておきたい。」という小濱さんの質問であります。これに対して町村自治大臣のお答えが出ておりますが、「いま小濱議員の御指摘になりますように、あくまで私どもは地方公共団体の財政の運営の状態というものを展望いたしながら、昭和四十九年度の地方財政の運営に支障が起こらない、支障が起こらないばかりでない、さらに当面必要といたしますような予算措置は大体まかない得る、こういう判断をいたしましたので、実はこの減額を行なうことに同意をいたしたわけでございますが、いま小濱議員が御指摘になりますように、四十九年度の推移の中において、もしこの千六百八十億も返還を求めなければならぬというような事態に万一相なりましたならば、これは当然補正予算で返還措置を講じてまいることは当然でございますし、さらに必要がございますればもっと増額をしてもらうというようなことも、私は当然その場合においてはやらなければならぬのではないか。」と答えていらっしゃるわけでございます。  これに対して、私が二月の二十八日の本会議におきまして、この問題について同じく質問しているわけでございます。「第三に、交付税について」これは私の質問でありますが、「第三に、交付税についてでありますが、今回、政府の物価対策など総需要抑制政策によって、交付税会計から国へ約一千六百八十億円を貸し付ける措置がとられております。これは、国が一方的に地方の財政需要を著しく過小に質定し、その需要を押えた結果であります。むしろ、地方は、生活関連事業、福祉事業のために財政需要は増大の一途をたどり、」ここからずっと出まして、「したがって、地方の財政需要に機動的に対処するため、来年度の補正予算で全額返済すべきであると思いますが、これに対するお考えを伺いたいのであります。」というのが私の本会議の質問。これに対して総理大臣がこう言っています。「地方交付税の減額が四十九年度の地方財政に支障となるとは考えられないのであります。」これは総理大臣の答弁。次に大蔵大臣でございますが、大蔵大臣はこう答えている。「交付税の減額措置、これにつきまして、きついおとがめであり、また、補正で全額を返せというようなお話でございますが、これは、先ほど申し上げましたような事情で、臨時緊急の措置としてとっておるものでございますので、何とぞ御理解を賜わりたい、かように存じます。」そして最後に自治大臣がお答えになっておりますのは、「次に、交付税の貸し借りはやめて補正予算で全額これを返すべきだということにつきましては、ただいま総理がお答えを申し上げたとおりでございます。」たったこれだけしかお答えしてくださらない。ここで一番大きな問題になっております一千六百八十億円の交付税について、大臣は小濱さんに対しては非常に機動的なお答えをしていらっしゃる。本会議においては少なくとも自治大臣の所見というものを私は求めたわけであります。それを、総理大臣がだめだと言ったんだからだめなんだ。  まだこれからどういう事態に立ち至るか。少なくとも石油の危機が二転、三転いたしました。昨年十月のOAPEC、OPECの決議、メジャーの決議というものから、わが国の石油問題についての見直しが非常に過大に、シビアに見られた。そして便乗値上げが行なわれて、国民にたいへんな物価騰貴、狂乱物価問題を巻き起こした。そこで今日その原因について、物価国会において各企業に対して社長を召喚した。公正取引委員会の問題に発展した問題については、参考人もしくは証人として召喚すべしという声になった。ところが、いまメジャーはさらに、石油問題につきましては二五%の値上げが受け入れられないならば、わが国に対して少なくとも二五%以上の石油供給の削減を申し込んできた。この石油の値上がり分に対して、各石油業者はいましきりに石油関連単価について値上げを要請しております。内閣においてはこの問題を受けて、少なくとも八月以降、米、国鉄問題、公共運賃、公共料金等の値上げと相まって、その時点に石油の値上げという問題をやるから、それまでは待ってくれというのが、いまの現実なんです。  そこから経済が第二ラウンドに入るわけであります。地方公共団体の公共事業は一斉にこれからまた物価騰貴ではね返ってくる、こういう問題です。先ほどの地方交付税の千六百八十億のたな上げの問題について、大臣はいみじくもここでおっしゃっていることは、小濱議員が御指摘になりますように、少なくとも千六百八十億を返還を求めなければならぬというような事態に万一相なりましたならば、これは当然補正予算で組まなければならない、こういう見通し立ってあなた出の委員会で自治大臣の所見を堂々と述べていらっしゃるにもかかわらず、本会議で、総理が必要がないんだ。答弁はただいまの総理の御答弁のとおりであります、これではあまりに自治大臣の確信というものがないじゃないか。私はこういう問題について、当委員会の主務大臣として、昭和四十九年度の地方財政、地方交付税、地方財政計画を議論するにあたっては、少なくとも確信のある大臣の御答弁をいただかない限り、ここでいかに議論のやりとりをやっても、それはほんとうに根なし草の議論になるおそれが出てまいりましたので、この一例をあげて私は大臣の御決意をあらためてお伺いするとともに、この次からの御答弁に対しては、たとえ総理大臣がそうであっても、自治大臣としてはこう考えているんだということを本会議で御答弁いただかなければ納得できない。この点について御所見を承りたいと思うのであります。
  69. 町村金五

    ○町村国務大臣 先般の本会議における小川議員からの御質問に対する私のお答えに関連をしての御指摘であり、お尋ねでございますが、いまお話を伺いながら思ったわけでございますが、私の本会議における答弁があまりに簡単過ぎて、私の考えておるところを十分尽くさなかったという感じを、いま伺って深く感じたところでございます。この点については、先ほどこの委員会において私が申し上げましたようなことをそのまま申し上げればよかったのかもしれませんけれども、私、本会議はできるだけ簡単に答弁をせいということもございましたので、総理の触れたところはあまり触れないというような答弁のしかたになったためにああいったことになったのであります。その点は先般お答えを申し上げたことと何ら異なるところがございませんから、その点はひとつ御了承をいただきたい、こう存じます。
  70. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、総理大臣は、昭和四十九年度の地方交付税の問題については、ただいまの件について返さないと言っておるわけですね。しかし、諸般の情勢が機動的に変化し、大臣の判断で当然これは補正予算で計上せねばならぬという事態に立ち至ったならば、総理大臣、大蔵大臣がどう言おうともこれはやらなければならぬと思います。  そこで、大蔵省来ておりますね。——ただいまの自治大臣の御答弁を承っておりまして、変化が生じたときに、自治省の要求に対し大蔵省はどのように弾力的な御答弁を用意していらっしゃいますか。
  71. 名本公洲

    ○名本説明員 ただいまの先生の御質問に対します大臣の御答弁でございますが、私どもといたしましては、たとえば四十八年度におきましても、国家公務員の給与のベースアップに際しまして、地方公務員におきましてもベースアップが行なわれるというような事態に立ち至りましたときには、その地方におきます給与の財源というものを確保いたしまして、地方公務員のベースアップが支障なく行なわれるようにということを基本的な考え方といたしまして従来から対処してきておるところでございます。四十九年度におきましてもそういう事態が生じましたときには、そのおのおのの地方の財政需要が満たされますように、そしてたとえばベースアップのようなものが地方においても支障なく行なわれますように財源措置をしてまいるというふうに考えておるところでございます。
  72. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣の決意は小濱先生の答弁に全く同じであると理解してよろしいのですか。
  73. 町村金五

    ○町村国務大臣 よろしゅうございます。
  74. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、私はそのことばを信じて、これからの推移が悪化しないように願いながら、なおかつ自治大臣といたしましては地方自治団体の財政危機を救うための御配慮を願うことをお約束願っておきます。  さて、地方財政計画の基本的考え方でございますが、自治省のつくっております地方財政計画がどの程度三千七百余といわれる地方公共団体の財政運営の指針たり得るか、財政計画に示された方針に対してすべての地方自治体は納得し得るであろうか、こういう問題について私は疑問を持っております。少なくとも、地方財政計画というものは市町村段階または都道府県段階と二つに分けるべきではないか。   〔小山(省)委員長代理退席、委員長着席〕 しかも、昭和四十七年度の決算においては約二兆円から三兆円の間の差額が出て、財政見通しというものは計画とほんとうに違っておった。私は、だからこのような問題は二つの問題があると思うのです。いかに地方財政計画といっても、これは国がつくる、中央政府のつくるものでございます。では一体なぜこういうものが必要かという段階になりますと、議論は分かれるところであります。  一つは、このことによって地方自治体がその目安をつけ得ることができる。確かにこの利点はございます。しかし、これをさらに深く突き詰めますと、憲法第九十二条にあるところの地方自治の本旨、地方自治体の最も大事な自治の本旨に介入してくるおそれが出てくる。そこで、昭和四十九年度の歳出歳入の予算の見通し額についてのこれは大ざっぱな見通しではないか。これは計画と呼ぶべきものではなくて、見通しと呼ぶべきものではないか。だから、こういう見通しを立てたのだから、おまえさんたちはこれに従ってやりなさいということであろうと思うのでございまして、地方財政計画——計画というものはそれに従ってやるべきものであるが、いま言ったように計画というものはまことに地方自治体実態をとらまえた計画でない。それにはいま申し上げましたような二つの区分さえない、これが第一点であります。  第二点は、地方財政計画というものは地方自治体、本来の自治体がつくるものであるという考えを持っております。そういうものを吸い上げた中で地方財政見通しというものを立てることについては、中央政府がおやりになることについて反対するものではございません。でありますから、私は、地方交付税というものが昭和二十九年度現行制度になった以上は、地方財政計画というものを国の中央政府が立てて、ことさらにこういうものでございますよというような計画と名のつくものを出す必要がないのではないか、こういう突拍子もない考えを持っておりますけれども、これについて専門的な立場から御指導いただきたいと思うのであります。
  75. 松浦功

    ○松浦政府委員 御指摘をいただきましたように、地方財政計画というのは三千有余の地方公共団体、これ全体を抽象的に集めたという感じのものになるかと思いますが、標準的な規模において、収入、それから支出、これのバランスがとれるかどうか、どういう形でとれておるかということを計数的にあらわしたものでございまして、むしろその規模自体ということよりは、積算の内容を通じて地方財政全体の運営の目安と申しますか指標と申しますか——先生、目安ということばをお使いいただきましたが、われわれは指標というようなことばを使っておりますが、そういうものを示すものであろうと考えておるわけでございます。確かに、御指摘をいただきましたように、県、市町村区分をするということができれば非常にけっこうでございますが、なかなか技術的にいろいろ問題がございましてこういう形になっておるものでございます。  また、財政計画自体は自治体がおつくりになるべきだというお説もございます。私も基本的にはそうだと思うのでございますが、現在の国と地方との財政の関係は、たとえば地方債でございますとかあるいは交付税でございますとかあるいは譲与税でございますとか、そういったものにつきましては国が配分をいたしておりますので、どういう形で配分されるであろうということをやはり地方公共団体にお示しをしなければいけない。それから税収入につきましても、地方別にそれぞれ景気、経済の影響が違うかと思いますけれども、全体ではどの程度の税収入の増が期待できるか、あるいはどういう税金についてどういう減税をやるからその部分だけは税が取れなくなるぞ、こういったことを全部、国のほうできめていくたてまえのものをこの中に盛り込んで、そして地方公共団体にこれを御承知をいただいた上で財政計画をお組みをいただく、こういうつもりで地方財政計画というものをつくっておるわけでございます。
  76. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで私がただいま提起したような問題が出てくるわけでございます。たとえば大都市財源の問題について自治省はこう考える。たとえば、大都市の財源措置について交付税を中心にしてやるのか、起債能力のある大都市が起債を大幅に認めてもらってやるのか、また過疎問題に悩んでおります市町村については起債の返還能力がたいへんだ、これは交付税で見なければならぬ。またその反対の議論も出てくるわけでございます。こういった、財政計画そのものがアプローチされることによって起こる混乱、またそれによって地方団体では、こんな程度のものなのか、たいしたことじゃないじゃないかという、軽々に見るわけではございませんけれども、ただ見通しだけであるならば、いま言ったように、少なくとも都道府県段階と市町村段階には分けて問題を提起してあげていくことが大事ではないかと思います。ただ技術的な問題を云々されますと、私どもは専門家でございませんから、どの点が技術的に困難なのか、どの点が隘路になっているからこの問題はできないのかということに議論が出てまいりますが、私はきょうは基本的な問題ということに銘打っておりますので、まずその一点だけお尋ねしたいと思うのであります。
  77. 松浦功

    ○松浦政府委員 県と市町村区分、これはできればそのほうが、先生御指摘いただいたように地方公共団体にとって非常に有用であろうということは私どもも十分理解できるところでございます。結局、税収入なりあるいは地方債なり交付税なりの県と市町村配分、その点がなかなか技術的に現在の段階では区分することはむずかしい。もう少し公共事業配分の状況なりいろいろなものを見ながらきめないと非常に危険だと思われる面もあるわけでございます。そういうことで県と市町村と分けておりませんが、最終的には、起債なりあるいは譲与税なりというものの計数計算をいたしました上で、交付税の算定の時期にはある程度需要というものを県と市町村に分けなければならぬということになるわけでございます。そういった面を通じて地方公共団体も財政計画は一本になっておりますけれども年度の途中ではある程度県と市町村区分けをした形で理解をしていただけると私どもは考えておるわけでございます。
  78. 小川新一郎

    小川(新)委員 この問題をいつまでも議論しているわけにはまいりませんから、自治省考え方が大体わかりましたので後日に譲るといたしまして、どうかひとつ私の発言した意図を十分おくみ取りいただきまして、少なくとも地方財政計画に権威を持たせる、また血肉になるように、自治体の指針になり得るように、どうかそういった御配慮していただきたいと思うのであります。  第二点は、米軍及び自衛隊と自治体の財政問題でございますが、基地調整交付金の算定のしかたはどのようになっているのでありますか、大蔵省お尋ねいたします。どういう仕組みになって基地交付金というものは額がきまるのでございますか。
  79. 名本公洲

    ○名本説明員 基地交付金の予算額につきましては、毎年、私どもといたしましては、その基地が所在いたしますところの市町村の、基地があることによって生じますところの財政需要というものを勘案いたしまして、自治省御当局と御相談しながらきめていっておるところでございますが、御承知のように四十九年度におきましては、全体的に抑制されました中で三四%というような、最近におきます基地の問題の重要性にかんがみまして大幅の伸びを計上さしていただいたというようなことでございます。
  80. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治省大蔵省の査定について、やり方について満足していますか。また、自治省は基本的にはどのような要求を出しているのですか。要するに、調整交付金の算定のしかたについて財政需要を十分勘案したと言っておりますが、少なくともここには重大な問題があると思います。自治省としてはかくあらねばならない、こういう定義があると思う。それを大蔵省は財源の立場の定義をもってこれを判定しているわけです。ここには当然行政的の判断と財政的な判断があるわけです。私はこの二つが相かみ合ったときにりっぱな政治というものは行なわれるのではないかという気持ちがしてなりません。いかがでございますか。
  81. 首藤堯

    首藤政府委員 自治省といたしましては、基地交付金が基地所在市町村の財政需要をまかないますために必要なものだという考え方で要求をいたしておりますが、積算の基礎といたしましては、基地所在市町村の対象資産、これがたとえて申しますと、固定資産税が徴収をできるというケースであったならばといったような金額を積算の一応の基礎にいたしまして、所在資産の一・四%といった額をめどに予算要求をいままでいたしてまいったわけでございます。いろいろ財政上の事情そのほかがございまして、従前はその金額につきましては必ずしも満足すべき金額にならなかったのでございますが、ことしは、先ほど大蔵のほうからお話がございましたように、昨年の五十三億から七十一億、三四%余りの伸びを示しましたので、一応これをもって所要の需要に対処し得るか、このように考えておる次第でございます。
  82. 小川新一郎

    小川(新)委員 外務省にお尋ねいたします。私はこの問題を提起するにあたりまして、安保条約の問題をちょっとお聞きしたい。  まず、いわゆる在日アメリカ軍基地施設の使用権につきましては、安保条約第六条において日本国内におけるアメリカ軍が施設、区域を使用し得るとの条項による当然の権利といえます。それに基づくいわゆる行政協定十三条第一項においてアメリカ軍が保有し使用する財産に関する免税義務を負っておりますが、これによって、いわゆる安保条約第六条に基づく施設、区域、合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う地方税法の臨時特例に関する法律、以下これを私は臨時特例法と申し上げますが、これが制定されました。同法、すなわち臨時特例法第三条によって米軍関係土地家屋、物件、所得等の地方税免税が示されているのでありますが、こうしたことは、被占領地域たる平和条約発効前の日本人の感覚からすれば、アメリカ占領軍のことであるから免税措置をふしぎに思わないわけでありますが、平和条約が発効後においても、いわゆる基地交付金及び基地周辺整備法等の救済措置によって、基地をかかえている市町村固定資産税住民税等の免税に基づく収入減による損失を不十分ながらカバーし得るものとして甘えてきたわけであります。これが十分であるかないかということはこれから問題になりますが、一体この問題は、行政協定でいう第十三条第一項が不文律になって、地方公共団体の固定資産税住民税が取れないということになっているのかどうか。また逆に、日米友好通商航海条約によればアメリカ本位の一方的あり方を許すところがないし、同条約の第九条第一項の見解はどうなのか。これによると日米相互の国民等の土地等の活用、利用権が示されておりますが、これについての御見解とあわせながら、地方自治体が本来米軍人及び軍属から固定資産税及び住民税を取ってももう差しつかえないではないかという見解に私は立っておりますが、これらができ得ないために交付金、調整金によってカバーされているということ、これも十分ではない。いま申し上げましたように非常に算定基準が低いわけです。いま自治省から御答弁があったことは、十八億ですかプラスになった、三四%だかふえたからこれだけカバーできたのだという説に私ちょっと納得できないことはあとで私がこれから問題を提起いたしますが、まずこの日米友好通商航海条約のいま申し上げました条文のほうが先行するのではないかという考えを私は持っております。この点についての御見解を外務省にお願いします。
  83. 角谷清

    ○角谷説明員 ただいまアメリカ軍の課税関係について御質問がございましたが、御指摘のとおり、課税関係は安保条約に基づきますところの地位協定第十三条、ここに概括的に規定してあるわけでございます。もちろん安保条約並びにこの地位協定、これは国会の御承認を得ました条約でございまして、日米両国をバインドいたしますところの基本的な条約でございます。したがいまして、安保条約の見方というものはこれはいろいろな方によっていろいろ違い得るかと思いますけれども、少なくとも政府といたしましては、その法律的な効果というものはこれは国際約束という形でとらえておるわけでございまして、その規定の範囲内におきましてこれは当然規定が効力を持って執行さるべきものでございます。個々のケースにつきましてはこれは条文の解釈等いろいろあり得ると思いますけれども、基本的に申し上げますれば、先ほど申し上げましたとおり、安保条約、地位協定十三条というものが、これは有効に日米両国を拘束しておる。したがいまして、それに基づきまして地方税法につきます臨時特例というものがあるわけでございまして、基本的にはその法律関係というものは有効であり正当なものである、このように考えておるわけでございます。  他方、ちょっと申し上げますと、こういう関係、つまり、自国の意思のもとで、相手国との協約、条約によりまして他国、相手国の軍隊を自国に駐留させておる、こういうケースはもちろんNATO等典型的なものでございまして、こういう場合もそれぞれ条約に基づきまして大体同じような組み立てになっておりまして、その範囲において、たとえば地方税法について臨時特例を認める、こういうたてまえになっておるわけでございます。
  84. 小川新一郎

    小川(新)委員 日米友好通商航海条約によりますと、結局その第十一条第一項及び二項によりますと、日米相互国民が相手国内において事業活動等に際し、均衡を失する税金、課徴金を課せられないことが明示されておりますね。この十一条第一項及び第二項のような考え方からすれば、行政協定であるところの安保条約の場合でも、アメリカ軍の日本国内での租税等についての一方的免税は筋が通らない。ましてや日本国民や他の在日外国人が当然支払うべき固定資産税住民税等を特にアメリカ軍についてのみ免除することは平等原則に反するとの理論がありますが、これは大臣どう考えられますか。当該大臣といたしまして重大な問題でございます。日米友好通商航海条約第十一条第一項、第二項に関するところの見解、相互平等互恵の理念に反する、こういう理念がある。でありますから、私は特例法によってのみ地方財政をカバーし得るというような考え方は、当該自治大臣としては反論しなければならぬ立場にあると思う。いかがですか。
  85. 町村金五

    ○町村国務大臣 ちょっと理解いたしかねましたから、まず先に税務局長からお答えいたさせます。
  86. 首藤堯

    首藤政府委員 地方税の特例法関係につきましての本来のあり方の御説でございますが、地位協定そのほかのいわば条約に基づいてきめられておりますものでございますので、私どもとしてはやむを得ないもの、このように考えておる次第でございます。
  87. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣のお答えがいただけないのですけれども、外務省にお尋ねしたいのですが、通商航海条約十一条を踏まえつつ、彼らが治外法権を有していない限り、日本国内に住所を持つ場合には納税義務を免れないんじゃないですか。とするならば、国に支払うべき所得税等についてはあるいはアメリカの国に支払うかもしれませんが、たとえば軍人としての所得は米本国へ送っているわけですが、ところが日本の国に住んでいるという住民税については、これは日本の国家に払うべきである。これが地方税の特典だと私たちは思っている。現在アメリカの国内に居住していない、たとえば三沢とか立川とか沖繩の地方行政体のサービスを受けている、行政サービスを受けているものとして、当然これは米軍人及び軍属は当該市町村住民税を払わねばならない、相互平等互恵の立場に立って、治外法権を有していないのだから、私はそういう考えを持っております。  なぜこういう問題が出てきたかというと、私があとから申す、最近の地方自治体の財政問題に関連いたしまして、たとえば立川市においては米軍人の軽自動車の自動車税、この問題について、法律の範囲を越えた条例をもって今度日本人並みの税金を取ることを定めた。こういう問題に発展し、発想してくる。私はこの問題は、われわれ日本国民の間に、もう戦後約三十年たって、安保条約の見直しが叫ばれ、いま安保条約を早期解消しなければならない段階に立ち至ったことが、早期にその想定の下に流れて、そこでいま具体的に市町村で問題が出てきたのでございますから、この問題がはっきりいたしませんと——立川市で起きている問題については、自治大臣、どう指導されるのか、これは混迷の度を深めるだけであると思うのです。いかがでございますか。
  88. 角谷清

    ○角谷説明員 先ほどちょっと通商航海条約との関係の御指摘がございましたけれども、元来この通商航海条約は、一般の米国人、日米の間を規定するものでございまして、ただいま御指摘のアメリカ軍、日本における駐留軍、この関係は安保条約並びに地位協定が規定しておるところでございます。  それから、安保条約が廃棄云々というお話もございましたが、それは、もちろんそれはそれといたしまして、ただいま現在あります形態は、これはもちろん安保条約並びに地位協定、こういうものは日米の両国の間の厳粛な国際約束でございますから、少なくとも現状におきましては、たとえば地位協定の十三条、こういうものがそのまま生きておるということでございます。ただ、先ほど申し上げましたとおり、個々のケースにつきましては、これはいろいろ考えられ得るケースというものはあろうかと思います。これはまた条約解釈なり何なりで問題はあろうかと思いますけれども、基本的なことを申し上げますればいま申し上げたようなことになると私は思う次第でございます。
  89. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは、地方財政法第二条第二項の考え方をちょっとお聞きしますが、国が財政上地方公共団体に対し負担を転嫁する施策をなすのを禁じておりますね。しかるに臨時特例法は地方税免税をいっております。しかもかつ、十分でない基地交付金等を支給して、補償をないがしろにしているのでありますから、この地方財政法第二条第二項の本旨に反する矛盾を有している、こう私は理解しておりますので、安保条約が優先するならば、少なくとも地方財政法第二条第二項に抵触しない水準まで、臨時特例法によるところの基地交付金や調整金を引き上げていかなければならないのじゃないかと思うのです。それはできますか。今回上げたのは確かに上がりましたが、対象範囲を広げれば確かにパーセントは下がります。総額において四十八年度より四十九年度はプラス十八億でしたか、なったことについては私は認めますが、それをもってして、この諸物価高騰のおり、高度経済成長政策の破綻の中から超過負担に悩むところの地方財政が潤される、特に基地を有する公共団体の格差が埋まるという考え方は私は納得できない。この問題をもう一回担当局長か大臣にお尋ねしたいのです。
  90. 松浦功

    ○松浦政府委員 基地交付金の額につきましては、ただいま税務局長のほうからも御答弁がございましたが、いままでいろいろと大蔵省と折衝しておりました過程では、所在市町村の物件価格の一・四ということを目標に交渉してまいりました。去年まではそこまではなかなかいけなかったわけでございます。本年度は、それでも不足だという御指摘をいただくのではないかと思いますけれども、ともかく、それにもし固定資産税がかけ得たならばという程度の金額までは確保することができましたので、税務局長も大体所要の需要をまかない得るものと思うというお答えをしたことと思っております。もちろんそれだけでは不十分であろうかと思いますので、われわれといたしましては、基地所在市町村にどういう需要があるかということをはっきりいろいろ御報告を願いまして、それに対して必要なものについては特別交付税で措置をするということをこの対象にあわせてとっておりますので、基地所在市町村の財政運営はおおむねそれによって処理できているものというふうにわれわれは考えております。
  91. 小川新一郎

    小川(新)委員 先ほど申しました臨時特例法で出ておりますところの基地交付金、調整金ですね、これを加えて、地方財政法違反にはならないのですか。十分にあなたは当該市町村が財政を潤されているんだと判断されているのですが、そういう判断に立っているならばこれは話は別ですよ。いかがですか。
  92. 松浦功

    ○松浦政府委員 地方財政法の二条の負担の転嫁というのは、ただいま先生がおっしゃられましたような例には該当しないのではなかろうか。これは日本という国の外交活動から起こった問題で、別に法律できちんと措置がきめられておるわけでございます。むしろ、この財政法の二条でいっているのは国と地方との関係をいっておるので、国の施設をつくるのにかかわらず半分地方に金を持たせるとか、そういうような強制的なやり方をいっておるんだと私ども理解をいたしております。その点を御理解いただけますならば、先生おっしゃられましたようにゆとりを持ってということは私どもは申し上げません。まだまだいろいろ足りない面があるのかもしれませんけれども、基地所在の市町村のほうからの御要望にある程度沿って措置ができている。これではどうにもならないというほど強い御批判なり御反発を受けないで済む程度までは私どもの水準はいっておる、こういう理解をいたしております。
  93. 小川新一郎

    小川(新)委員 あなたは沖繩の実態、これをよく御存じだと思いますが、沖繩のいまかかえている問題などというものはそんな、そこらのなまやさしい問題ではないです。私は沖繩北方特別委員会で詰めて専門的に議論いたしますが、少なくとも私が言っていることは——それはあなたのほうの御見解でございますが、国が地方公共団体に課してはならない問題でございますので、そういう広義な立場からいけば安保条約もそれに入るのではないか、こういう考えをもって私は発言をしております。これは私の信念でございまして、御主張とちょっと違うのでございますが、この辺の見解をいま議論しておったのでは時間が幾らあっても足りません。そこで具体的な例に入ります。それではあなた方の議論と私の議論がかみ合いませんので、一体それではどうしたらいいかという問題に入ります。  そこで、これは大臣にお尋ねいたします。米軍と自衛隊に対する基地交付金及び調整金の対象範囲は今後広げていただけますか。これは大きな政治問題です。もしも、あなたの言っているような説で、安保条約が優先するんだ、だから特例法によってやっていくんだ、まかなっていくんだということになれば、基地交付金及び基地調整交付金についての対象範囲の拡大、これはひとつ考えていただかなければならぬと思います。特に沖繩の問題は、わが国に復帰してまだ日浅く、行政上にも未熟でございますから、特にこの問題の対象範囲を拡大して、基地交付金ないし調整金の対象範囲を広げていただかなければたいへんだという考えを持っておりますので、百歩譲りまして私の議論をここにしぼってまいりますが、これは大臣、御見解をお願いします。
  94. 町村金五

    ○町村国務大臣 御承知のように、基地所在の地方公共団体は基地の存在のためにかなりの多くの出費をしなければならぬという情勢にあるわけでありまして、このために自治省といたしましては、この基地交付金並びに調整交付金の増額を今日まで強く大蔵省とも話し合いをして、ことしは御承知のような程度の増額に相なったわけであります。  いまお尋ねのございました基地交付金なりあるいは調整交付金の対象範囲をさらに広げるかどうかということにつきましては、私どもは、この制度の存在理由から考えてみまして必要であるにかかわらずそれが対象とされていないということでございますれば、これは当然広げる努力をするということはあたりまえのことだ、こう存じております。
  95. 小川新一郎

    小川(新)委員 大蔵省はいかがですか。
  96. 名本公洲

    ○名本説明員 基地交付金及び調整交付金の問題につきましては、大蔵省といたしましても従来からその増額に毎年努力をしてきておるところでございまして、特に沖繩が返還になりましたときにおきましては、沖繩分につきまして十数億というような多額を計上いたしましてやってきておるわけでございます。今後とも、基地がございます市町村の財政需要というものを勘案しながら対処していくつもりでございます。  なお、その資産の範囲という点につきましては、これはいわゆる国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律との関係、特に基地交付金につきましてはその法律との関連もございまして、それをどの程度どういうふうに広げていくかという問題につきましては、これは慎重に検討させていただきたいというふうに考えております。
  97. 小川新一郎

    小川(新)委員 慎重に、慎重にというのは大蔵省の慣例的答弁です。そこで私が大蔵省にさらにお尋ねしたいのは、では基地交付金は固定資産税だけですね。米軍及び自衛隊の交付金の対象になっている固定資産税、これは日本人並みの土地評価でやっているのですか、それとも特別な措置によったところの評価によっているのか。いままでは百分の〇・七ですか、自治省は百分の一・四を要求したのでしょう。今回確かに額がふえました。ならしますと百分の一・四近くなることは認めますが、対象の範囲を広げることによってまたそれが薄められるということが一つ。次には、固定資産税に対する評価自体が、基地交付金の評価の額は一体幾らに見積もられているのかということがいままで議論されてないから、私は今回その問題について御説明をいただきたいということなんです。自治省はこの点はどういう見解を持っていますか。
  98. 山下稔

    山下政府委員 基地交付金の対象になります資産の価格は、国有財産台帳に登載されました価格を使うということになっております。したがいまして、国有財産台帳の価格は五年ごとに価格改定が行なわれます。固定資産税のほうは御承知のように三年ごとの評価がえでございますので、時期のズレが若干あるという点は事実であろうと思います。それからあと、評価の水準等の問題につきましては、大蔵省のほうで台帳価格の改定をおやりになるわけでございますので、私どもとしてはそれに乗らざるを得ないということでございます。
  99. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、固定資産税評価額にはどうしてもならないのですか。
  100. 山下稔

    山下政府委員 大蔵省のほうで均衡をとって評価をされるように期待をいたしております。先ほど申しましたように時期のズレということはやむを得ない点はあるかと思いますが、私どもといたしましては、基地交付金につきましては、固定資産税の対象になります固定資産の価格と基地交付金の対象になります国有財産台帳の価格とが均衡がとれることが望ましいというふうに思っております。
  101. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、価格のバランスがとれていないということがいまはっきりしたわけですから、ここが地方公共団体の不満のところじゃないのですか、大蔵省路線価でいくと。たとえば地方自治体の算定する固定資産税路線価でやるべきである。たしか二年間のズレがある。しかしそれを踏まえた上でもなお安く、低く見積もられているのではないかといういま不満の声のように私は聞こえたのですが、そうでなければ幸いです。固定資産税評価でございますから、当然自治省路線価でいかなければならぬ。これは大臣、大蔵大臣に、実力大臣ですが、この問題の改正を、いま答弁なさった方と同じ御意見であるならば、関係市町村の財政援助のためにも大蔵省に折衝する御意図ありやいなや。
  102. 町村金五

    ○町村国務大臣 基地交付金の算定の基準になる地価の評価の問題につきましては、いま主計官並びに審議官からお答えを申し上げましたとおり、大蔵省がこれについての評価を五年ごとに行なうというふうになっているといま承知をいたしたわけであります。はたして国有地としからざる土地との間の均衡なり権衡なりというようなことが一体どの程度に考えられておりまするものか、私はその点の事情はつまびらかにいたしておりませんので確たることは申し上げかねるのでございますけれども、やはり地価というものについては政府は政府なりに一つ基準をもって算定をいたしておる。したがいまして、民有地との比較といったようなものがどの程度講ぜられておりますものか、私には全く事情を承知いたしておりませんのでお答えをいたすことができませんが、いずれにいたしましても、この基地交付金を算定をする場合の一つ基準といたしましては、もしこれが民有地なりとせば一体どの程度固定資産税が徴収できるかということを一つの目安にしてこの基地交付金を考えるということに相なっておると私は承知をいたしておりますので、そういった問題につきましては、今後私どものほうとしても大蔵当局ともよく相談をし合って、この辺をどういうふうに見てまいるかということについては一般のそういった地方自治体の方々の御要望等も、あるいは緊切な要請というものがあるわけでございますから、その辺ひとつ念頭に置いてよくこれからの問題には対処してまいるということにいたしたいと思います。
  103. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、自衛隊の交付金と米軍の交付金とはその対象範囲が違うということがまず一つあげられております。いまの固定資産税評価についても、自衛隊のほうも大蔵省路線価でやっていらっしゃるのかどうか。やっていらっしゃると思います。では自衛隊のほうだけでも、自衛隊はまた違った立場になりますから、米軍と日本、アメリカと日本との立場でございませんから、当然国内の問題として対処する立場に立って、基地所有の関係市町村の財政に必要な需要の額まで引き上げるために、私は地方財政法違反の疑いがあるとさえ思っているくらいでございますが、少なくとも米軍の対象範囲まで自衛隊の対象範囲を広げるということが一つ。  二点目は、その対象の基準になる路線価をいま言ったような、あなたの言っている三年で評価がえするほうへひとつ切りかえられないのかどうか。この二点、どうですか。
  104. 首藤堯

    首藤政府委員 まず最初に対象資産の問題でございますが、米軍の資産の場合には、いわゆる国の貸し付け資産に相当するものが入りますので現在の対象がきめられておるわけでございますが、自衛隊の場合は、通常の場合でございますと、国がみずから公用に供しておるという意味では公用財産と異なるところがない、しかしその広大な面積を有しております自衛隊の施設が所在市町村にいろいろ影響を及ぼしておる、こういう考え方で、飛行場、演習場の土地とか、そのほか弾薬庫、燃料庫とか、こういったようなものがつまみ上げられておる、こういう経過はあるわけでございます。私どもといたしましては、しかし当該市町村に対します財政の影響が非常に大きくございますから、この対象資産をなるたけ広げていくということについては、先ほど大臣が御答弁申し上げましたとおり今後鋭意大蔵省とも折衝してまいりたいと思います。  それから価格の問題でございますが、たまたま今度五十一年度に国有財産のほうも評価がえの事態が参りますので、そういった時点において自治体における国定資産税の評価額とのバランスが都合よくとれますように、これもまた鋭意折衝してまいりたいと考えております。
  105. 小川新一郎

    小川(新)委員 たいへん前向きな姿勢を聞かされてきましたが、大臣、ただいまお答えが出ましたようなことについて、米軍対象範囲と同等もしくはそれ以上に自衛隊の交付金の対象範囲をまず広げる。次に、その固定資産税評価のしかたについて自衛隊の場合と米軍の場合は違うけれども、自衛隊の場合は固定資産税路線価のほうに近づける。大蔵省のほうではない。この二点が、いま私が言っている要点なんですね。これがあるだけでも、これはひとつ自治省に積算をしていただきたいのですが、少なくとも自衛隊が米軍並みになったときの市町村に及ぼす自主財源はどれぐらいふえるのか、それに伴う交付金に換算すればどうなるのか。これはあとでひとつ試算を出してもらいたいのですが、この二つの政治的な問題は大蔵省との詰めがなければできません。大臣の御決意をもう一ぺんお尋ねします。
  106. 町村金五

    ○町村国務大臣 私も十分事情を承知をいたしておりませんままにお答えをいたすようなところが若干ございますので、その辺はなお今後十分ひとつ検討をさせていただかなければならぬ、こう思うのでございますが、いずれにいたしましても、ただいま御指摘になりました事態につきましては、自治省といたしましても十分にひとつ調査をいたし、必要によりまして大蔵省とも十分話し合いを進めるということにいたしたいと思います。
  107. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは重ねてお尋ねいたしますが、立川市に起きている問題、米軍人及び軍属の軽自動車並びに自動車の自動車税を、立川市が条例を改正して大幅に取得したいという考え方については、これは大きな政治問題になるおそれがあります。自治省としてはどのように把握し、どのように指導し、なおかっこのような問題が多発した場合には、関係市町村に起きてきた場合に対する処置、これが一点。  第二点は、同じような問題で外務省にお尋ねしたいのですが、長崎港における問題で、核保有国のすべての軍艦の長崎港への入港を自治体が拒否しております。この問題は、御存じのとおり長崎は広島と同じく原子爆弾を受けたところでございますが、フランスの核実験反対に対して、あまりにもそっけないフランスの答弁に対して反発をし、核保有国のフランスの軍艦のみと限定をいたしましたのですが、それではあまりに不公平だというので、核保有国のすべての軍艦が長崎の港に入ることを拒否する、こういう国際的問題にまで発展してまいりました。このことがいいか悪いかは私はいまここでは論じませんが、このように基地を取り巻く一連の動きがいま大きく発展してまいりました。沖繩においてはこの問題がもう前から議論されております。また、三沢においてはトレーラーハウスが課税の対象になるのかならないのか、こういう問題さえも法的見解が種々いろいろと議論されております。こういった一九七四年、新しい、日本の国を取り巻く時代の変革とともに、これらの国際的、自治体に及ぼすところの影響は、ただ単なる地方の自主財源獲得のためとだけは言い切れない問題が出てまいりました。この問題に対して自治大臣の御見解の前に、外務、大蔵関係の御答弁をいただきながら、最後に自治大臣の御答弁で締めくくっていただきたいと思います。
  108. 首藤堯

    首藤政府委員 まず、立川市の軽自動車税の課税問題でございますが、これは御承知のように、合衆国軍隊の構成員等につきまして、地位協定の第十三条に基づきまして動産の保有等については租税を免除されております。ただ、その私有車両による道路使用について納付すべき租税、これは免除されない。こういうことで、この道路使用について納付すべき租税を日米合同委員会の場において現在の特例税率、こういうかっこうできめられてきておるいきさつがあるわけでございます。したがいまして、現在直ちにこの特例税率を廃止をいたしまして地方税法できまっております標準税率に改めるということは、この地位協定関係に違反をする、こういうかっこうになりますので、そのようなことのないようにということで、これは市町村でございますから都でございますけれども、その地方課等を通じまして、しばらく待つようにという指導をいたしておるわけでございます。  なお、待つようにと申し上げましたのは、この特例税率は御承知のように非常に長期にわたって据え置かれておりますので、いま、改定の問題について日米合同委員会の場で、外務省をも通じまして相談をする、こういう体制に持ち込んでおりますので、鋭意これのほうの作業を進めてしかるべき適正な税率をきめる、こういうことに運びたいと思っておる次第でございます。したがってそれまで待つように、こういうふうに考えておるわけでございます。
  109. 角谷清

    ○角谷説明員 長崎の、フランスの核軍艦入港拒否の件につきまして御質問でございますけれども、私ちょっと主管も違いますし、本件につきまして何らか申し上げる立場にないと存じます。  それから、立川の自動車の件につきましては、ただいま御説明があったとおりであります。  それから、基地につきまして御質問がございましたが、これは先ほども申し上げましたとおり、日本国政府といたしまして安保条約というものを堅持しておる状況でございますから、安保条約を結んだ以上は、この条約並びに関連の地位協定、これはやはり主権国家として厳正に厳守していくべきであるという立場でございまして、この法律関係につきましては先ほど来申し上げておるとおりでございます。ただ、もちろん基地というものの存在が当該関係の町村等にいろいろ御迷惑をおかけしておることはわれわれもよく存じておりますし、したがいまして、基地の整理統合、むだな基地はやめてもらうということが一つの大きな方針としてわれわれやっておるところでございますし、また基地に関します交付金等につきましても、もしわれわれが側面的にできることがあれば、何かお力添えをしたい……
  110. 小川新一郎

    小川(新)委員 いまのところ、ちょっとはっきり言ってください。何だかわからないです、ごちゃごちゃと。
  111. 角谷清

    ○角谷説明員 基地交付金等につきましては、外務省は別に特別主管のものではございませんけれども、何かわれわれがお力添えと申しますか、何かやることがございますれば、外務省としてもそれはやれるべきことはやりたい、こういうふうに……(小川(新)委員「何をやってくれる」と呼ぶ)基地につきましては大体そういうようなことでございます。
  112. 小川新一郎

    小川(新)委員 いまごじょごじょごじょと外務省が、何だか基地交付金については御援助したいような、御迷惑をかけているんだ、だから自治体のほうに何らかのお手伝いができるんじゃないかというような、いまありがたいようなありがたくないようなおことばが出たので、その辺のところちょっとごまかしちゃったような言い方をしたようですけれども、頭のいい御答弁者だと思います。  そこで大臣、そういうふうにいま問題が出ておりますが、立川市の場合は、そういたしますと条例を制定することは、あなたのほうで、自治省が介入してとめる、これは地方自治権の本旨に反するものではないか。条例をつくりたい。少なくとも地方税法の第六条第二項の不均一課税で、日本人との差別がついていたということに対して、米軍の車に対しては安いお金で取られていたんだから日本人並みにしようという立川市に、あなたは介入してストップをかける、これは明らかに憲法第九十二条違反ではないかと思う、ちょっと大げさな言い方かもしれませんけれども。それは行政指導ですか、それとも命令ですか、どうですか。
  113. 首藤堯

    首藤政府委員 もちろん行政指導でございます。条例を制定することはもちろん地方団体の固有の権限でございますけれども、御承知のように、条例の内容そのものが法律に触れる、違反をする、こういうことになりますと、それは法律違反の条例、こういうことに相なるわけでございますから、そのような事態が起こらないように行政指導をする、こういうことでございます。
  114. 小川新一郎

    小川(新)委員 外務省にお尋ねをいたします。  この問題は安保条約に抵触しない。米軍人及び軍属の軍用車じゃないのです、私が言っているのは。米軍人及び軍属のプライベートな車について立川市が日本人並みの課税をしたいといっているのです。プライベートの車ですよ。こんなことは安保条約に該当するのですか。そうでないのに、何で自治省地方行政体に行政指導しなければならないのか。外務省、これはどういう見解を持っているか。
  115. 角谷清

    ○角谷説明員 地位協定の規定を申し上げますと、先ほどお述べになりました十三条第三項でございまして、これは合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにこれらの家族に関連して書いておるわけでございます。この末段におきまして、「私有車両による道路の使用について納付すべき租税の免除を与える義務を定めるものではない。」したがいまして、その私有の車両による道路の使用ということにつきまして、先ほど御答弁のありましたとおり合意があるわけでございます。
  116. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、米軍人及び軍属にも、モーターバイクや車に対してはいま自動車税は取られていますよ。ただこれが安いのです。税額は、アメリカの人たちに対して、原付バイク、軽自動車が年額三百円、二輪小型車が同六百円、これに対して日本人の車は、原付が五百円から千円、軽自動車、小型車が千五百円から四千五百円。六百円のものに対して日本人は四千五百円も取られている。これが去る二十九年の自治省通達に基づく不均一課税で、一般との均衡上適正でないという立川市が要望書を自治大臣あてに出している。これに対して立川市が日本人並みの税額引き上げることについては、外務省、どうなんですか。これはもう一ぺん重ねてお尋ねいたしますが、これならば安保条約の規定には触れないのでしょう。
  117. 角谷清

    ○角谷説明員 失礼いたしましたが、その引き上げることについててございますか。——これは十三条三項の末段におきまして、道路の使用について納付するという規定がございますが、このものずばりの日本の税というものはございませんで、自動車税というものの中にその道路の使用についてみなす部分を、この二十九年の合同委員会の合意で、先ほど先生がお述べになりました料金を取るということになっておるわけであります。ただ、この料金が現在の時代ではいかにも低いではないかというお話でございまして、これはそのとおりでございまして、先ほどもお話がございますとおり、われわれとしてもこれを引き上げるということにいたすべく、目下やっておるわけでございます。したがいまして、それがきまりますればそれでお取りいただければよろしいわけでございます。
  118. 小川新一郎

    小川(新)委員 外務省は引き上げるということになっているのに、じゃどうして自治省が介入、ストップをかけるのです。おかしいじゃないですか。
  119. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほどから御説明がございますように、現在では地位協定の十三条で一般的に動産は非課税課税しないとなっておって、ただし、持っております車については道路損傷負担分に相当するだけは取ってよろしい、こうなりまして、それに基づいて日米間の合意があって、ただいま御指摘の三百円とか二百円とか、トラックは一万九千五百円で、これは日本のトラックより高うございますが、まあいろいろな例があるわけでございます。その金額が古くなっておりますので、いま日米合同委員会の場にもう一ぺん出して新たな合意を求めつつあるわけでございます。したがって、いま現在合意がありますものを現在の時点で変えることは違法でございますが、合意ができ上がったあとから変えれば協定に基づく税率になる、こういうことでございます。
  120. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、そういうわけでございますから、介入してストップをかけるということなんです。いまお聞きになったとおりですね。日米合同委員会で値段の単価が引き上がった時点においてはけっこうだけれども、そこまでないからまだ違法なんだ、だから条例を制定することにしてはいかぬのだといって自治省が介入、行政指導したというのです。このことは長崎の港に当てはめるとどうなりますか。
  121. 町村金五

    ○町村国務大臣 いまの、長崎の港にこれを振りかえるという御質問ですがね、ちょっと御質問の趣旨が私にはよくわかりません。
  122. 小川新一郎

    小川(新)委員 長崎港においては、すべての核保有国の軍艦が長崎の港に入ることを長崎市が拒否を決議した。入れないです、絶対に。だから、これは先ほど言ったように、日米安保条約の問題はどうかと外務省にお尋ねしたら、私の範囲じゃないからお答えできないという。いまのようなことからいけば、当然長崎市に対しても行政指導をすべきであるのかないのかというような問題が出てくるから、長崎の問題、これは財政問題と直接はかかわり合いがありませんが、この問題を解決いたしませんと私は次の質問ができない。そこでお尋ねしたい。
  123. 町村金五

    ○町村国務大臣 ちょっとただいまの問題について私が正確なお答えをいたしかねるように思うのでございますが、いずれにいたしましても、現在の日米安全保障条約に基づいてアメリカの軍艦が日本に入り得る権能があるのではないか、こう私は一応理解をいたしております。したがって、そうだといたしまするならば、拒否をするということはこれは許されないことではないかと思いますが、他の核保有国の軍艦については、おそらく拒否をいたしましても特別——これは一種の国際儀礼に反するといったようなことはもとよりあると思いますけれども、私の狭い知識の範囲におきましては、そういうことは国際礼譲に反するというだけで、日本が他の国々に負っておりまする条約違反ということにはならないのではないかと私は思うのでありますが、これは実はなお、あなたの御質問がその答えがないとお進みにならぬと言うから一応私のいま感じておることだけをお答え申し上げ、あるいは間違っておりますれば後刻訂正をさせていただくかもしれません。
  124. 小川新一郎

    小川(新)委員 すべての核保有国の中にはアメリカも入っているわけですね。だから私がさっきから言っているように、日米安保条約にも抵触してくるのではないか。だから、地方自治体のこの問題については大きな国際問題をはらんでいるから、自治省としてはただ黙って見ているのか、それともどうするのか、立川市の場合はどうなのかという問題で重ねてお尋ねしているのです。  そうすると、もう一ぺんお尋ねしますが、まだ結論は出ないのですね。
  125. 角谷清

    ○角谷説明員 先生のお話はフランスということでございましたので私も特に申し上げなかったのですが、アメリカということでございますと、これは当然安保条約がかぶるわけでございまして、その場合に、軍艦の推進力が核という場合と、核兵器という場合は……。
  126. 小川新一郎

    小川(新)委員 違うのです。核保有国のすべての軍艦です。原子力潜水艦のように核で動いている船じゃない。核を持っている国のすべての軍艦に対して入港拒否しているのです。あなた、よく私の質問聞いてくださいよ。
  127. 角谷清

    ○角谷説明員 その場合は、日米安保条約のもとでは別にこれは入港してはいかぬということにはなっておりません。ただ原子力潜水艦、この場合は事前に、二十四時間前の通報があるということにはなっておりますけれども、それ以外は特にございません。
  128. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、日米安保条約にも抵触しないし、長崎市がとっていることには自治省行政指導の介入はいたしませんね。
  129. 町村金五

    ○町村国務大臣 自治省といたしましては、私は、いまの長崎市がとりました行動というものがかりに日米安保条約に違背をするという場合がございますれば、これはやはり外務省のほうからそういう指導をすべきものだ、こう考えております。先ほど立川の問題につきましては、たまたま地方財政に関連をする事項でございますので、私どものほうで指導をするというふうに申し上げたわけでございます。
  130. 角谷清

    ○角谷説明員 ちょっとまた補足させていただきますけれども、地位協定の関係におきましては第五条というのがございまして、これに基づきまして、たとえば長崎の場合でも、先ほど先生がおっしゃいましたような場合でも入り得るということになるわけでございます。
  131. 小川新一郎

    小川(新)委員 それじゃ入るのじゃないですか。さっきは入らないと言ったのです。
  132. 角谷清

    ○角谷説明員 入るか入らないかはわかりませんが、要するに、入るということになれば条約上は入り得るということです。
  133. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、入り得るということで仮定して、長崎市のとったことは日米安保条約には抵触しないのですか、しているのですか、それだけ聞きたい。
  134. 角谷清

    ○角谷説明員 長崎市のとられた行為は、フランスの軍艦に関してでございますから……。
  135. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうじゃないってば。すべての核保有国の軍艦に対して今後一切入れないと言っているのだよ。
  136. 角谷清

    ○角谷説明員 それはアメリカとの開係ではやはりぐあいが悪いだろうと思います。
  137. 小川新一郎

    小川(新)委員 だからさっきからそれを聞いているのだよ。私が聞いていることは、核保有国のすべての軍艦、アメリカも含んで。アメリカの巡洋艦が長崎の港に入るということは日米安保条約に抵触するから……。それではこの軍艦の問題は、入ってきたときには地方財政には影響ないのですか。当該市町村に一銭も何も関係ない、ただ入れてやっているの。これはどうなんですか。何税が入るのですか。
  138. 首藤堯

    首藤政府委員 軍艦の入港があった、なかったということで、直接に地方税影響がある税目はないと思います。
  139. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと大臣、重ねてお尋ねしておきますが、地方財政に影響のない国際的問題に地方自治体が巻き込まれておっても、また巻き込まれる可能性が出てきても、自治省としては自治体に対する行政指導は外務省にまかせる、自治省は介入しない、これだけはっきり御答弁いただきたい。
  140. 町村金五

    ○町村国務大臣 私は原則的にはそうだと考えております。
  141. 小川新一郎

    小川(新)委員 それではこの問題ははっきりしましたから、次に移らしていただきます。  次に、たくさんありますが、ちょっと時間の関係で租税特別措置のほうを先にやらせていただきます。  昭和四十八年度の非課税措置等による減収額を試算いたしますと、国税の租税特別措置による地方税の減収見込み額は、都道府県民税、事業税、市町村民税を合わせて一千二百七十四億であります。地方税法の非課税措置等により減収見込み額は、道府県民税、事業税、市町村民税、固定資産税電気ガス税を合わせて一千九百六十八億にもなりますが、それを合計いたしますと三千二百四十二億にも達します。四十九年度のこれらの減収見込み額はどのくらいになるのか、資料をひとつ提出していただきたいと思います。
  142. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま御指摘をいただきました数字は四十八年度の減収見込み額でございます。四十九年度の額は、現在国税関係の租特法関係の減収見込みがまだでき上がっておりませんものですから、私のほうではじく段階に立ち至っておりません。でき上がりましたならば差し上げたいと思います。
  143. 小川新一郎

    小川(新)委員 この大事なあれにその資料がないと、四十九年度実態がわかりませんと審議が差しつかえると思うのですが、これはなぜおくれておるのですか。
  144. 山下稔

    山下政府委員 御指摘のように、租税特別措置の中に国税の租税特別措置法が地方税影響を及ぼすという部分がございます。この部分につきましては、地方税影響する部分としてどの程度国税軽減するのか、その数字がなければ私のほうの計算の及ぼす資料がございませんので、その基礎になります国税の減収計算が終わり次第直ちに作業に入って御提出申し上げたいと思いますが、まだ大蔵省のほうで国税関係減税の計算が終わっていないようでございますので、しばらくお待ちをいただきたいと思います。
  145. 小川新一郎

    小川(新)委員 大蔵省はどうですか。いつできますか。
  146. 西野襄一

    ○西野説明員 私、直接の担当でございませんので、その辺の事情につきましてはつまびらかではございません。
  147. 小川新一郎

    小川(新)委員 いろいろとおくれていることは事実でございますよ。こういう大事な審議をしている過程において委員会に配付されないということは、何といわれても自治省のほうが困るのです、いま御説明があったとおり。大至急ひとつつくって提出してください。お願いしますね。  そこで、大臣、この租税特別措置というのは御存じのとおり財源措置でございますが、ちょっと申し上げますと、「産業用非課税品目」というものがある。特に「電気ガス税の非課税範囲一覧」という昭和四十五年現在の資料を持ってきたのでございますが、昭和二十三年から昭和四十五年度まで、たくさんの企業の産業用の非課税品目が並べられております。特に電気ガス税の欄に限ってもたくさんございますが、昭和二十三年にセメントが対象になって、昭和二十五年にセメントがはずされました。これがまた対象になっております。なぜこのように、はずされたものが対象になり、なったものがまた復活するのか。特にセメント業界などというのは今回石油問題で非常に大きくもうけた。またこの中には鋼材、アルミニウム、苛性ソーダ、いろいろなものが、もうとにかく石油関連事業がたくさんあります。  こういう問題について、最近の世の中の動きの中から公正取引委員会がチェックをし、立ち入り検査をし、しかも値下げを勧告し、特に石油関連事業において国会に大企業、大商社の社長が呼ばれました。参考人招致の第二日目には石油関係の大会社の社長が呼ばれている。国民感情からいたしますと非常にさかなでされております。片一方においては非課税になって税金のおまけがついている。しかもそのように守られている産業自体が時流に乗ってもうければいいという動きになって、公正取引委員会の勧告を五度も六度も受けている企業がこの中にある。しかも値下げの勧告さえ行なわれている。こういった問題を踏まえた中で、租税特別措置の洗い直しを行なわねばならないことは当然であります。  そこで、公正取引委員会来ておりますか。——お尋ねいたしますが、公正取引委員会から、非課税対象、要するに租税特別措置を受けておりながら、租税特別措置で守られておりながら勧告を受け、立ち入り調査をされ、きびしい指導を受けている企業は何ですか。どういうものがあるのですか。
  148. 妹尾明

    ○妹尾説明員 租税特別措置法の適用を受けている業種あるいは企業はどういうものがあるかについては、実は私ども知悉いたしておりませんで、ただいますぐお答えできる用意はないのでございますが、先ほどおあげになりましたセメント、アルミについて申し上げますと、セメントにつきましては、四十八年度にセメントメーカーにつきまして二件、独禁法違反事件で勧告をいたしております。うち一件は現在なお審判係属中でございます。それからアルミにつきましては、地金、それから圧延、サッシ、合計四件につきまして勧告をいたしました。つい最近いたしたものでございます。そういう事例がございます。
  149. 小川新一郎

    小川(新)委員 石油関連企業においてはたくさん非課税対象になっていますが、この御調査については資料を出していただけますか。
  150. 妹尾明

    ○妹尾説明員 後ほど調査いたしまして、お届けいたしたいと思います。
  151. 小川新一郎

    小川(新)委員 セメントにおいて二件、アルミにおいて四件、たったこれだけしかいま調査ができてないというのです。当然取るべき税金を、企業、産業保護育成のために非課税対象にしてあげながら、なおかつ公正取引委員会から片面では指導を受ける、行政勧告を受ける、そして世の指弾を受ける、国会に物価問題で参考人として呼ばれる、こういう問題を考えたときに、少なくとも特例措置を講ずる段階はもう過ぎているのじゃないか。もう守る段階から、いかにしたら肥満を防げるかという段階に入ってきた産業もある。  そういうことを考えたときに、前江崎自治大臣はこう言っております。「非課税十品目に自治省方針、法人優遇大幅に縮小、節電にも側面支援」ということが新聞に報ぜられております。しかるに今回の法案を見ますと、非課税が減るどころでなくてふえておるではありませんか。これは一体どういう姿勢なんですか。大臣がかわるとこうも自治省の方針というものは一夜にして変わるべきものなのか。ただしこのときに江崎さんはこう言っている。「私が自治大臣を続けてやるならば」と断わっている。前任大臣が続けなければその公約というものはそこで消滅するものなのか。少なくとも政策というものは国民の側に立つ政策でなければならないし、当然そこに党としてのモラルや党としての確信、党としての方針があるべきである。江崎さんから町村大臣にかわったから、十品目が減るどころかふえちゃったのでは困るのであって、ただいま申し上げた問題はどうお考えになるのか、どう処理をなされるのか。そして公正取引委員会に指弾を受けたような企業に対しては洗い直しをするのかどうなのか、この点については。
  152. 首藤堯

    首藤政府委員 電ガスの非課税品目の選別につきましては、御案内のように産業用の重要基礎資材でございまして、しかもその製品の中に五%以上電気が原料代と申しますか、そういうかっこうで入っておるという品目が選ばれて非課税になっておったわけでございます。この点につきまして、昨年あたりからもっとこの整理をやっていこうという方針をとりまして、自治省がそれを推進いたしておりましたのは事実でございます。ことしはその非課税品目の動向につきましては、別にふえてもおりませんで、同じ品目が残ったわけでございますが、その事情は、一つは年末に至りましての物価の上昇の問題がございましたものですから、基礎資材における原料のウエートが高い品目の電ガスの非課税の排除をいたしますと、その分だけまた物価に及ぼす影響が出るのではないかというような批判が起こりました。そのために一応ことしはそのまま取りやめたわけでございます。ただし、ふやしておるわけではございません。ただ、この問題につきましては、われわれとしては非課税品目の整理ということは今後とも極力続けてまいりたいと思いますので、なお引き続き検討をさしていただきたい、このように考えている次第でございます。
  153. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣の御決意はいかがですか。
  154. 町村金五

    ○町村国務大臣 私にかわりまして自治省のこういった特別措置に関する整理、合理化がたいへん後退をしたようなお話でございますけれども、いま税務局長がお答えを申し上げたような次第でございます。いずれにいたしましても、この特別措置法というものができておる趣旨というものが、今日の時代に合わなくなってきておるというものが確かに私は存在をしているようにも思います。そういうものにつきましては、これを今後とも極力整理をするという方針で進めていくべきもの、かように私は考えておるところでございます。
  155. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、具体的には十品目というのは何と何を通産省と打ち合わせをやったんですか。
  156. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほど申し上げました製品中に占めます原料費としてのパーセンテージ、これが三〇%以上ぐらいのものになれば、これは非常にコストに及ぼす影響が高いだろうからということで、一応三〇%で線を引きました場合に十品目、こういうことになったわけでございます。折衝はそれで折衝をしたわけでございますが、先ほど申し上げたような事情でことしは実らなかった、こういうことでございます。
  157. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは来年は実るんですか。
  158. 首藤堯

    首藤政府委員 極力折衝してみたいと思っております。
  159. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣の御所見を承ります。
  160. 町村金五

    ○町村国務大臣 私も、自治省の方針としてはそういうことで進むべきものだ、こう考えておりますが、ただ、先ほど来お話が出ておりまするように、御承知のようにいま物価が著しく高騰をする、そのさなかにおきまして電気料金がさらに石油問題等で高騰するおそれが多分にあるのではないか。そうだといたしますれば、そのことが直ちに重要な産業の生産物の価格の上に大きくはね返って、これがまた一般物価を高騰させる一つの誘因にもなるというような場合がございますれば、これはまた別個に考えていかなければならないのではないか。しかし原則としては先ほど来申し上げたような方向で進むべきもの、かように承知しております。
  161. 小川新一郎

    小川(新)委員 後ほど公正取引委員会から資料が出てまいりますが、何回も立ち入り調査をされたり勧告を受けたり、特に物価の元凶といわれるようなものに対してはきびしくしていかなければなりませんが、そういう実態が明らかになった業種に対して今後も保護を続けていくお考えがあるのかないのか、この点はいかがですか。
  162. 首藤堯

    首藤政府委員 最近の商社そのほかの事業で、いろいろな便乗値上げ等の事態が起こっておりますこと等につきましての御批判は仰せのとおりだと思います。しかし、私ども電気税の非課税品目を選択をいたしておりますのは、そういう個別の商社なり会社なりのそういう営業態度ということとは無関係に、その重要物資の中に占めております電気代のウエートの大きさということで考えておりますので、これは重要資材の生産コストをできるだけ引き下げていく、こういう目的をもって選定をしたものでございますので、その点は申し上げておきたいと思います。
  163. 小川新一郎

    小川(新)委員 あなたそう言っておりますけれども、冗談じゃないですよ。これはいただいた一覧表の中にもありますけれども、とにかく電気ガス税を、そのものじゃないのですよ、関係しているいろいろな製品をつくっているものについて、こういうたくさんの非課税になっている。たとえば昭和三十六年度にはアルコール、ケトン、フェノール、ベンゾール、トルオール、キシロール、亜炭、こうずっとこういうものをつくっているものに対して、電気を使うものに対して非課税になっている。また昭和四十一年には何々と、ここにも言ったらきりがないほどたくさんあります。そういう電気ガス税の非課税を受けながら、なおかつこういった品物について指導されているわけでしょう。そのつくっている個々の会社を私は言うのじゃありませんが、そういう面について、制裁的な意味といってはおかしいのですが、社会を片方では混乱させ、反社会的行為をし、公正取引委員会の指導を受けているものについては、自治省としては当然何らかの手を打つべきである。もしも直接いますぐできないならば、こういう問題に対して行政指導なり勧告なりができていいはずではないか、百歩譲って私はそこまでいま考えている。それに対してのお考えはどうかと聞いている。
  164. 首藤堯

    首藤政府委員 電気ガス税の非課税品目の選択は、先ほどから申し上げましたように、製品中に占めるコストというところに着目をしまして、その製品のコストをできるだけ安くするという政策目的が主でございますので、そういう観点から電ガスのほうの選択が行なわれておるという点は御了解をいただきたいと思います。  そういった業種において非常に悪徳なことが起こっておる、これはそのこと自体として非常にけしからぬことだと私どもも思うわけでございますが、その後の事態等もよく検討いたしまして、通産当局等ともよく相談をし、今後、税本来の非課税を定めております趣旨に適応しなくなってきておるという品目をセレクションをして、はずしていく、こういう態度で進みたいと思っております。
  165. 小川新一郎

    小川(新)委員 よろしくひとつお願いしますよ。  次に、大都市問題における「事務所事業所税の創設について」が見送られた。自治省昭和四十九年度重点施策の中に、都市政策の中で、人口急増、またそのいろいろな関連を踏まえて、事務所事業所の税金を取るということについて定められておりますが、なぜこれが急激にことしは実施されなかったか。大体この重点施策というものが発表になって何カ月後にこれは取りやめになったのか、お尋ねします。
  166. 首藤堯

    首藤政府委員 重点施策を発表しました日をつまびらかにいたしませんが、たぶん大体八月ごろであったろうと思います。それが、税調の最終審議が終わりましたのが十二月の末でございますので、約五カ月でございますか、そういう期間だろうと思います。
  167. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、間違いなく昭和四十九年度自治省行財政重点施策の中に「都市対策の推進」の項の中で、「(2)大都市の再開発」の項では「事務所事業所税の創設等所要の財政措置を講ずる。」と書いてありますが、これからはもっと月をおくらして重点施策を発表するようにしなければ、年がら年じゅう改正改正、また改正、重点施策が変更するたびに私たちは年月を比べなければなりませんので、来年からもっとおくらして発表しなければならないじゃないですか。そういう皮肉も言いたくなります。どういう原因でこれが重点施策にあったのからはずされたのですか。重点施策というのは自治省の公約じゃないのですか。世の人たちに、自治省ではこれだけのことをやりますよと雑誌の「地方財政」で発表しているじゃないですか。それをあなたのほうでは一片の紙のほごのようにしている。これを取りやめるか取りやめないかという問題は、関係自治体の財政問題に影響し、都市問題に影響し、日本列島改造問題の左右に影響してくる。こういう問題を考えたときに、私はあまりにも見識がないように思われますが、大臣いかがでございますか。
  168. 町村金五

    ○町村国務大臣 当時の経緯については私十分承知をいたしておりませんけれども、先ほど来だんだん税務局長からもお答えを申し上げておりますように、昨年の秋以後におきますわが国の経済情勢の非常に大きな激動に伴いまして、おそらく、法人税を相当に引き上げをし、さらに事務所、事業所にまで相当の重課をするということに相なりますことは、現在の経済界の情勢を考えてやや無理があるというふうに判断をして、この事務所事業所税というものを今回は断念をするということに相なったのであろう、かように私は承知をいたしておるのであります。  もとより、最近における都市、ことに大都市におきます財政需要というものは非常にふえておるわけでございますから、今回市町村民税における法人税割のごときものを相当に大幅に値上げをした。聞くところによりますると大体二千億円の増収ということで、その中でいわゆる指定都市が大体千億円ほど、この法人税割の増収に基づきます増収がこの九大都市に参るというふうに私も報告を受けておりますので、そういった点、必ずしも十分ではないとは思いますけれども、当面そういう措置が講ぜられたというふうに私は考えておるのであります。
  169. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、それは話のすりかえであります。法人税率の増額については自治省はちゃんと重点施策の中に入れている。入れてなくないじゃないですか。それはそれでちゃんと見込んでいる。その上に事務所事業所税というものも重点施策の中に入れたのです。あなた方の見通しは全く狂ったという一つの証拠は、大企業、大商社の国会召喚問題を見てもわかるとおり、いかに各企業がもうけたか、いかに石油に便乗してもうけたか、連日の新聞報道や国会審議で明らかではありませんか。そういう観点に立って、法人税を上げたから事務所事業所税はいいんだという考え方、また石油の危機の見通しの甘さ、そういう問題に対しての社会的不安定、こういう問題に問題の重点施策をすりかえることが問題だと私は言っているのです。  それでは重ねてお尋ねいたしますが、昭和五十年度の重点施策の中にはっきりこれを入れ、今回からは絶対こういう重点施策を変更しないというお約束が一体できますか。
  170. 町村金五

    ○町村国務大臣 私どもは今日の場合、できるだけの努力をするというふうにお答えを申し上げたいと存じます。
  171. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、重点施策というものは、命を張っても、からだを張っても主務大臣としては実践しなければならない、確信を持たなければならない大事な問題だと思うのです。町村大臣は御経験も豊かで、重厚な人柄の中から政策を発表なさるのでありますが、前回の重点施策については前大臣の決定だと思う。といたしますと、町村自治大臣の方針なり考え方なり、人格なり人柄というものは当然やはり出なければならないし、当然江崎さんとは変わったパーソナリティーをお持ちであれば色も変わってこなければならない、そういう立場に立って、冒頭あなたの私どもに対する答弁の姿勢について私が一言触れたわけであります。少なくとも大臣であるあなたが、確たる信念のもとに立って立てられる重点施策については実行する、これは国会に対しても国民に対しても当然なすべき考え方であることを重ねてお尋ねしたい。
  172. 町村金五

    ○町村国務大臣 従来、自治省といたしましては、聞くところによりますると毎年、翌年度に対する重点施策というようなものを検討し、これを発表しておるというふうに私ども承知をいたしておるのであります。いま申し上げましたように、いやしくも重点事項だと発表しながら、多少情勢の変化があったにせよそれを取りやめるということはまことに私は遺憾なことだ、かように考えますので、私はそういった経緯を十分踏まえながら今後の問題に対処してまいりたいと考えております
  173. 小川新一郎

    小川(新)委員 その御決意で臨まれることを要求いたします。そういたしますと、町村自治大臣がお立てになった重点施策については変更がない、こう私どもは認識いたしたいと思うのであります。  次に、東京都の法人事業税の二%引き上げ問題について、これは、国と国との問題ではありませんが、自治体自治体との問題であり、また自治省自治体との関係を裏づける一つの問題であります。特に革新知事、革新市町村、保守といわれる方々、こういった問題では、多少のイデオロギーの違いが大きく行財政の面にあらわれてまいりますことを一つの例としておりますが、東京都の法人事業税二%引き上げ問題について自治省はどのように理解し、どのように対処なされますか。
  174. 首藤堯

    首藤政府委員 今回の東京都の法人事業税の制限税率超過課税の問題でございますが、前々から申し上げておりますように、これは標準税率超過課税でございますから、特別の財政需要がある場合には地方税法上許されておる措置でございます。  ただ、その特別の財政需要というものがあるのかどうか、それからそれに対処をする他の財源措置あり方があるのかどうか、こういった全般的な問題について、特に税をよけい徴収をするわけでありますから、それなりの財政需要の緊急性とでも申しますか必要性と申しますか、そういうことが明らかにされ、そのことによって当然都民全体のコンセンサスがあって実施をされるべきものだ、このように考えておる次第でございます。そのような問題点については、おそらく都議会においてもこの税の条例の審議が行なわれるときに議論があると思うわけでございますが、その間の特別の財政需要のあり方、これがまず第一の要素であろうと思います。  それから第二の問題は、一応超過課税をやりましたあと、不均一課税という手法をもちまして、低所得ランクと申しますか、それの減免を行なうわけでございますが、この不均一課税あり方が、公益上特別の事由がある場合には行なえるという税法の書き方になっております。このあり方が適切であるかどうか。不均一課税という精神から考えまして、逆に裏返して申しまして、特定の何かごく少数の一部のものに対して特別の税負担を負わせる、こういうかっこうになることは望ましくない、このように考えておる次第でございます。  具体的な内容等については、現在審議中であるようでございまして、つまびらかでございませんが、そのような税法上の精神にのっとって不適当な扱いにならないように、十分留意をするようにということを申し伝えてあるわけでございます。
  175. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは自治体の財政自主権の確立と税法上の問題点と二つあると思います。いまのお話を承りまして、納得する点と納得しない点とがありますけれども、これが各市町村団体に波及してくるということになりますと自治省としてもほっておけないんじゃないか。これは私どもがいつも言っております地方自治の本旨という大きな憲法上の問題の中から考えて、中央政府の介入権、指導権という問題に抵触してまいりますので、これが各市町村に波及した場合に、自治省としてはいまのような姿勢でこれを看過してくださいますか。あくまでも自治体の自主性にまかせる。いま言ったようないろいろな諸条件というものは勘案しながら、もちろんこれは議会が条例を定めるときに判定する問題である。この辺のところは、自治大臣非常に大きな高度な問題でございます。特に自治体と国との関係をあらわしていく問題でございますので、御見解を大臣からお尋ねしたいのでございます。
  176. 町村金五

    ○町村国務大臣 ただいま東京都の問題、さらにはこういった地方団体がそれぞれ標準税率をこした超過課税を行なうというようなことがだんだんふえてくるのではないかというようなことに関連をしてのお尋ねであったわけでございます。先ほども税務局長からお答えを申し上げておりまするとおり、自治体にはそれぞれ課税に関する自主権というものがあるわけでございますから、当該公共団体が当該の議会の議決を経て標準税率をこえる超過課税をいたすということは、先ほどもお答えを申し上げておりまするように、特に税法上に違反をするとかあるいは公益的に見て適当でないというような場合を除きましては、私はこれは許されてしかるべきものだ、こう考えておるのであります。それに対する可否については、おのずからまた当該自治団体の市町村民がその適否については判断をする事柄でございます。
  177. 小川新一郎

    小川(新)委員 法人事業税についての増減についてはただいまの見解、私は至当だと思いますので、どうかひとつそういう大所高所に立った考えの中から処していただきたいと思います。  次に、健康保険の問題で厚生省にまずお尋ねいたしますが、地方自治団体が国民健康保険の料金を取る場合に、国民健康保険料、国民健康保険税、こういう二つの全く異なった呼び方で呼ばれておりますが、料金と税金とでは受けるほうも違いますが、法的にいって、一体国民健康保険の料金というものは税というべきなのか料金というべきなのか、この辺ひとつ定義を明らかにしていただきたいと思います。
  178. 下村健

    ○下村説明員 国民健康保険の保険料は、まあ保険税という形をとっておりますけれども、本質においては保険料というふうなものであるというふうに考えております。
  179. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治省ではこの問題についてはどういう見解を持っていらっしゃいますか。いまの厚生省の御見解を聞いて、どういうふうに処置されますか。
  180. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいま厚生省から御答弁ございましたように、本来の性格としては料的なものであるかもしらぬと思っております。ただ、この創設の経過におきまして、税というかっこうで徴収するというほうが運営上やりやすい、こういうかっこうで税になっておる、こういうように考えております。
  181. 小川新一郎

    小川(新)委員 料金と税金では全く違うじゃありませんか。税金というものは必ず納めなければならないというものです。これは一体化できないのですか。
  182. 下村健

    ○下村説明員 本質においては保険料のようなものでありまして、税でありましても保険料でありましても、実際の取り扱いにおきましてはほとんど差はないわけでございます。わずかに、強制徴収をやる場合の事務でございますとか、そういう点で若干差が出てくる。国民皆保険の今日におきましては、料という形態をとろうと税という形態をとろうと、本質的にはあまり差はございません。ただし、ただいま税務局長のほうからもお話しございましたように、国民健康保険の創設当時におきましては、国民健康保険というものについての住民の認識でありますとか関心の度合いというものからいたしまして、保険税のほうがよろしいという考え方がこの事業を実施をいたします市町村関係者の間におきましても非常に強かったというふうな事情もありまして、保険税というかっこうをとって発足したわけでございます。したがって、その後におきましても、この問題については保険料とすべきであるというふうな意見が、数年前に実は標準保険料の問題を検討いたしました委員会のようなものをつくりました際にも出ているわけでございますが、市町村関係者の間からはむしろ現行のまま保険税のほうがいいというふうな意見が有力でございまして、そのまま今日に至っているというかっこうでございます。私どもとしては特段その辺について強い指導はいたしておりませんが、全般的な状況からいたしますと、わずかずつではありますが保険料の形をとるところがふえてきているというふうに思っております。
  183. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、いまのやりとりを聞いておりまして、市町村側に立つのか、税金を納め、料金を納める国民側に立つのか。ただ単に金を取りやすいために、税金といって徴収するほうが便利だからというようなやり方であってはならない。国民の、要するに住民側のサイドに立ってものごとを判断していくならば一体どっちがいいと思いますか。取る側でない、取られる側です、納める側に立ってということで私はこれは考えていただかなければならぬ問題だと思うので御質問しているわけです。
  184. 町村金五

    ○町村国務大臣 たいへんうかつで、私も法律の上で両方を使われているんだということをいま知ったわけでございまして、まあ国民の受ける感じからいいますと、あるいは保険料というほうが、どうも自分らの国民健康保険というものを考える場合にたいへんなじみやすい感じがするのではないか。私もだんだんいま伺っておりまして、次第に税から料というふうに変わるところも多いというのもそういった事情を裏書きしておるのではないかというように考えておりますが、いま厚生省でも、だんだん税から料に変わろうという傾向にあるというふうに言われておりますので、こういったもののできた経緯から考えてみまして、次第に料というふうに落ちついていくのではなかろうか、こう私は私なりに聞きながら判断をいたしたところでございます。
  185. 小川新一郎

    小川(新)委員 私はいまの答弁聞いておりまして、やはり町村自治大臣でなければできない。前自治大臣ではできなかったことを一つでも二つでも勇断と実行と決断の中でやっていただきたい。ささいなことのようだけれども、名前一つ取り上げても、自然の推移にまかせるのでなくして、いいものは取り上げて、これを町村イズムとしてやるべきである、私はこう思いますので、ひとつ適切な手段、方法を講じていただきたいと思います。  次に、住民税課税最低限以下の所得層で、これは保険税だか料だかわかりませんが、二つ言います。保険税・料を納めている地方自治体やその対象人員はいまどのくらいあるのか、これは把握しておりますか。
  186. 山下稔

    山下政府委員 国民健康保険税の課税のしかたは三つございますが、いずれも所得割額を使っておりますので、その所得割額の算定方法いかんによっては、住民税課税最低限以下のものについても国民健康保険税が課税されるというケースが起きてまいります。そういう課税のしかたはどういう場合かと申し上げますと、それはいわゆる旧市町村民税のただし書き方式を使っている団体であろうと思われますので、その団体を選んでみますと、国民健康保険税が課税されている団体二千九百六十四のうち、いま申しましたただし書き方式を採用している団体が二千八百三十九でございますので、約九〇%に当たります。なお、市町村民税が課税されない、それで国民健康保険税が課税されている、そういう世帯数の割合は約四〇%ぐらいになろうかと存じます。
  187. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、いまから読み上げる数字を聞いていただきたいのは、いまの国民保険料ないし税がいかに下に重く上に薄いかという実例であります。  申し上げます。「総所得金額等の段階別国民健康保険税額及び市町村税額」という題号です。これは昭和四十七年度です。年収標準家族が十五万円以下、これはちょっとあり得ないのですが、十五万円以下の者で一世帯当たり国民健康保険税額が三千九百五十三円納めておる。一世帯当たり市町村税額が三百十四円であります。十五万円をこえ二十万円以下の者は、国民健康保険税額が一世帯当たり七千四十一円納めています。市町村税額は四百七十円しか納めていない。実に十五倍近い。いいですか。年収二十万円をこえ三十万円以下の者は、一世帯当たり国民健康保険税額を一万七十六円納めている。これに対して市町村税額はたったの七百十三円しか納めていない。ところが年収百五十万円をこえる者については、一世帯当たりの国民健康保険税額が六万四千百二十八円に対して、市町村税額が七万七千四百九十三円と逆転いたします。ところが、標準の七十万円から百万円以下の人たちを見ると、国民健康保険のお金を払うほうが二万九千六百四十五円に対して市町村民税のほうは七千五百九十二円でございますから、いかに国民健康保険税額市町村税額に比較して考えると高く払っているか。ところが百五十万円をこえるものについては逆転してきてしまう。少なくとも十五万円以下の収入しかない者が一世帯当たり三千九百五十円も国民健康保険税額で納めている。それに対する市町村税額は三百十四円だ。実に十倍も納めておる。これが高額所得になると逆転する。  私はこういうことであってはならないと思います。この一つのデータはもうお持ちだと思いますが、これに対する私の考え方が、福祉行政から遠のいた国の施策、行政であると判断することは軽率なのかどうか。ただこの一つの事例だけでものごとを判断することは危険でございますが、少なくとも国民健康保険料・税については、国庫の大幅助成をしなければ、このように受益者に負担になっていくということは抜本的改革を待つまでもなく、すみやかにできることとして御判断いただきたい。いかがでございましょうか。
  188. 町村金五

    ○町村国務大臣 いま市町村民税と国民健康保険税との所得別の対比の表についてお示しに相なったわけでありますが、私、伺いながら感じたことでありますが、国民健康保険に伴いまする料金あるいは税というのは、一般の市町村民税のような、大体所得に伴って払うという性格のものでなく、みずからの健康を将来にわたって保険するための担保の費用ということでございますから、おのずからそこに、所得の多いものだからといいましてばく大な診療の報酬を支払わなければならぬというわけのものではございませんところに、そういう差額が出ておるのだろうと思います。  ただ、お話もございましたが、総体として国民健康保険の加入者というのは比較的低所得者の方が多いということが、現在国民健康保険会計にたいへん赤字を生んでおるということになるわけでありますから、一面におきまして、現在の診療報酬でございますか、医療報酬というもの、制度の改善と相まちまして、一方におきましては、それを行なってもなおかつ十分に赤字が解消できないという状況ではないかと思いますので、これに対しましてはさらに国庫の助成をふやすということについて私どもは一そうの力を注いでまいるべきだ、かように考えておるわけであります。
  189. 小川新一郎

    小川(新)委員 非常に前向きな御答弁——私と同様とはいかないけれども、福祉国家、福祉元年ということの標榜に対する政策的な問題が行財政の面にどうあらわれてくるかという問題が、政治に携わる者の一番大きな問題でありますならば、この面について政策的配慮を行なわねばならない。このことについてただいま御答弁があったと思うのですが、何ぶんともによろしくお願いしたい。  次に、固定資産税、相続税、地価公示価格、法務省の登記路線、こういう問題が地価鑑定、地価の問題、固定資産税の問題等について重大な影響を持っておりますので、なぜこれが一元化されないのか、どうしていつまでも議論されながら土地評価についてこのように各省まちまちな政策をとられているのか、その背景や沿革についてはよく存じておりますので、もうこの辺で一元化するような努力、前向きな姿勢というものを自治省が先頭を切るべきではないか。この問題について建設省が音頭をとって、土地評価を一本化し、課税評価を時価に近づけるといっておりますが、こういう問題こそ地方自治体の財源問題として自治省が音頭をとるべきだと思いますが、大臣いかがでございましょうか。
  190. 首藤堯

    首藤政府委員 土地評価につきましてはただいま御指摘のように、地価公示の制度、それから相続税の評価固定資産税評価、いろいろございます。その価格がまちまちでありますことは御指摘のとおりでございます。この点につきましては、でき得べくんばみんな同じレベルに統一するということが本来ならば望ましい、こう考えておる次第でございますれども、これも先生御案内のように、それぞれの目的と評価の時期の差等がございまして、必ずしもこの一体化ができていないのが現状でございます。  今回、固定資産税土地評価がえにつきましては五十一年度評価がえをいたす、こういうことになっておりますので、その評価の際にいろいろその間のあり方について検討してみたいと思っておるわけでございますが、一方また土地の値上がりが現在非常に激しゅうございまして、その値上がりに伴います固定資産、特に土地に関する固定資産税の負担の問題等もあらわれておりますので、課税標準の額として評価をいたします固定資産税評価あり方がどうあるべきか、こういう点についてもなお慎重に検討を加えてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  191. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、ことし、来年度にはまだ目安がつかない。建設省から誘いがかかったときには自治省は協力する、これはどう考えられますか。
  192. 首藤堯

    首藤政府委員 ことし、来年につきましては、評価がえのときでございませんので、自治省としては評価がえをいたすことができないわけでございます。五十一年の評価の際に建設省とはいろいろ十分協議をいたしたい、こう考えております。
  193. 小川新一郎

    小川(新)委員 私が言っているのは、評価がえがあるからこの問題に取り組むのでなくして、いままで言われてき続けてきた問題についていまここで議論しておるのでございます。おれのところはまだいまさしあたって評価がえはしないんだから、必要ないんだから五十一年まで待つんだなんということは、いやしくも政治にある者としてはちょっと見識のない御答弁のように伺えますが、私の言っていることが突拍子もないことなんでしょうか、大臣どうでございましょうか。
  194. 町村金五

    ○町村国務大臣 いまお話がございましたように、土地評価について大蔵省なり建設省なりあるいは自治省なりでそれぞれ違っておるというのはまさに御指摘のとおりだと私も承知をいたしております。ただ、これは御承知のとおりみなそれぞれの沿革があって今日に至っておるわけでございますし、問題は、ことに最近の地価の上昇が目まぐるしく変わっておるというところに、実はこういった問題を解決いたすにしても非常に困難があるのではないであろうか。かりに時価に基づきまして固定資産税あるいは相続税を課するということになりますれば、一年に地価が倍にもなる、税金を倍にするというようなことは事実上不可能でございましょう。したがって、それを適当な課税額にするということになりますると、年々税率を下げていくというような問題も同時に考えていかなければならぬというようなむずかしい問題がございます。この問題は、理論的には私は当然一つになってしかるべきものだ、こうは考えますけれども現実に税とからみ合うということになってまいりまするために、言うべくしてそう簡単には行ない得ないというところに事柄のむずかしさがございます。けれども、むしろ私は筋論としては小川議員が御指摘になりますように、同じ政府できめておるものがそれぞれ違っておるというようなことはまことに私はおかしなことであると思いまするので、これは将来にわたってひとつ十分検討すべき事柄だ、かように存じます。
  195. 小川新一郎

    小川(新)委員 建設省は来ておりますか。——建設省がどうも口火を切ったように伺っておりますが、建設省の決意を聞きたいです。
  196. 沢本守幸

    ○沢本説明員 ただいま御質問の件でございますが、私どもといたしましては、先生御案内のとおり四十五年から地価公示を九百七十地点について公示しておりますが、その後着々と進みまして、ことしの四十九年度の発表におきましては約一万五千地点まで標準地点を拡大してまいりました。なお、それだけではなく、ことしからは地方に、特に三大都市圏におきまして全県、すなわち二十二県におきまして一万三千六百十地点について新たにさらに地価公示の地点数を拡大する、こういうことで着々と標準地点の拡大をはかりまして、私どもといたしましてもできるだけ早くこの線に沿って、一本化の方向あるいは適正化の方向に努力をしていきたい、こう思っております。
  197. 小川新一郎

    小川(新)委員 着々と一本化に向かっていま突っ走っておる建設省、これに対してたいへんむずかしいという御見解の自治省、これは大蔵省もいるし、法務省はいないですな。法務省いますか——あとはおりませんね。結局いま建設省だけなんでございますが、非常に、いま大臣の御答弁はむずかしいということなんです。気持ちはわかるというのです。よくこれは御理解していただいているのですが、技術的な問題になってまいります。しかし地価の高騰安定という問題に対しますと、もう云々言っていられないような状態になってきておりますので、これはひとつお帰りになったときに建設大臣に、閣僚会議で詰めてもらうように、その決意をあなたから一言。
  198. 沢本守幸

    ○沢本説明員 私、建設大臣からもときどき呼ばれまして、いろいろと土地対策について御諮問あり、それからいろいろと御指示をいままでも受けておるわけでございますが、建設大臣も公的評価の一本化という問題は前向きに取り組んでおられ、特に先ほど自治大臣からお答えがございましたように、もちろん私どもも問題の多いことは十分承知しておりますが、今後とも私どもも建設大臣の指示のもとにこの問題については大いに取り組んでいきたい、こう思っております。
  199. 小川新一郎

    小川(新)委員 ひとつ、そういうわけでございますので、よろしくお願いいたします。  次に、重油消費税の創設について大臣にお尋ねしたいのですが、これは一つの二律背反的な考えが出てまいります。一つは、公害対策の問題で発生原因者、または原因を出した者、こういった者に税金をかけてその公害対策費に回す目的税的なものということが考えられます。しかし、昨今の石油情勢、石油事情というものが、ただ単に税金をかければ事済むというような単純な問題でなくなってまいりました。九九・七%の石油を海外に依存しておるわが国において、石油戦略ということばさえ使われておる今日、OAPECやOPEC、またメジャー等から脅迫的な石油値上げというものを一方的に通告された場合には、ある程度税金をまけても国内の関連産業の賃金及びはね上がる物価対策に取り組む、そしてその値上がり分を税金から差っ引いて産業に回し、物価問題に取り組まねばならないという意向さえあらわれてきている中において、公害問題から見た目的税的性格の重油消費税をかけることがプラスになるのかマイナスになるのかという、私ども党にとってもいま非常に議論のわいているところであります。こういう自分の政党、私自身の考えがまとまらない際に、自由民主党に党籍を置く大臣にお尋ねすることはまことに無礼であると思いますけれども、事は大事な国家的、政策的問題でございますので、大臣の卓越せる所見の中から私ども参考にしたい、また国民に納得のでき得る石油対策としていきたい、こういう配慮から御質問させていただいているわけでございますが、どうかひとつ意のあるところをおくみ取りくださいまして、むずかしい問題ではあると思いますが、重油消費税についての見解はどうでございましょう。
  200. 町村金五

    ○町村国務大臣 私も就任をいたしましてから、本年度において公害対策のための目的税的な考え方で、重油消費税というものの創設を自治省としては検討をいたしたのでありますけれども、御承知のような経済情勢の激変といったような事情にかんがみまして、この創設を見送ったということは事実でございます。  しかも、いま小川議員も御指摘になりますように、石油の価格が、昨年、われわれには全く考えることのできないようなきわめて大幅な増加に相なってくる、引き上げが行なわれるということになってまいりましたので、いままでのような安い石油というものの上に成り立っておりまする日本の産業構造自体を、ここで相当に思い切った構造改善もやらなければならぬというような状態に押し込まれておるということも申し上げるまでもございません。そういったような意味合いで、いままで石油が安いので、しかも大量に消費をされますので、これにかなりのいろいろな角度からの税というものをだんだんだんだんと年々ふやしてきておることは御承知のとおりであります。したがって、さらにその上にこういったものをやることがはたしてこの際適当であるかどうかということになりますれば、従来のような考え方で、ただ石油に対しまする消費税をいろいろな角度から増徴をするというような簡単なことはもう許されないという時代に相なってきているのではないか、私はかように考えまするので、この御指摘になりました重油消費税の問題などもその一環といたしましてひとつ十分に検討をしなければなりませんが、私は、おそらく石油に対する税というようなものは、むしろ若干、許されるならば軽減をしなければいけないというような方向にだんだんなっていかざるを得ないのではないか。しからば一体その穴をどう埋めるかということになりますれば、これはなかなか容易なことではございませんけれども、しかしそういう方向にいかざるを得ないのではないか、かようにいま判断をいたしておるところであります。
  201. 小川新一郎

    小川(新)委員 私も全く大臣と同じような悩みで政策を考えておりますけれども、小の虫を殺して大の虫を生かすか、また、大きな石油問題の上に成り立ったわが国の施策というものが、これからどうあるべきかという問題についての重油消費税ということを考えたときに、簡単に賛成も反対もできないジレンマにおちいっていることは事実であります。そういう観点に立って私ども検討してまいりますが、諸般の情勢を踏まえた上で今後の対策というものを自治省でも御研究なされんことを、重ねてお願いする次第であります。  最後に、減税の問題でございますけれども住民税の個人の均等割のあり方についてお尋ねいたします。  個人の均等割につきましては、昭和二十六年以来その税率が据え置かれてまいっておりますが、この際均等割を廃止すべきであるという意見がある一方、その後の経済の動向等から見て税率の引き上げをはかるべきであるという意見もあります。また、課税最低限の引き上げによって所得割の納税義務者が著しく減少する市町村も生ずること等にかんがみ、均等割によってある程度の負担を求める方法を検討すべきであるという意見もあります。政府は、住民税の個人の均等割のあり方についてどう考えるかという点が一点。  次に、低所得者の税負担の軽減をはかるためには税率の緩和をはかるべきではない、逆にそういう問題も出てまいりますので、ひとつ重ねてお尋ねして、終わらせていただきます。
  202. 首藤堯

    首藤政府委員 住民税の均等割につきましてはただいま御指摘がございましたとおりの問題がございまして、市町村民税、特にまた県民税のほうにおきます金額、これが長いこと据え置かれておりますので、現在の時勢に即した金額としてはいかがか、こういう説があるわけでございます。しかしまた一方、御指摘ございましたように、住民税はその性格上からなるたけ広い範囲の住民に負担をしていただく、こういう性格をぜひ持ち続けたい税でございますので、そうは言っても簡単にこれを廃止をしてしまうということになると、納税義務者の数が減ってまいって、やはりその点で問題がありはしないか、そういう問題がございます。そこで、この均等割のあり方につきまして、県民税の均等割をどうするかという問題も含めまして、今後十分に税調そのほかの学識経験者等の御意見も承りまして、この将来の行き方を検討してまいりたい、こう考えておるやさきでございます。
  203. 小川新一郎

    小川(新)委員 長時間にわたって広範な質問をさせていただきましたが、満足した点もあるし、しなかった点もあります。また重ねて質問をいたさねば解明できない点も出てまいりました。未熟な質問ではございますけれども、長時間にわたって真剣にお聞き取りくださいましたことを感謝しますが、現在の日本の情勢を見たときに、地方行財政の及ぼす影響は即そのまま地域住民に対する生活の問題になってあらわれております。われわれ、国会議員の立場に立って地方自治の問題を論ずるときには、憲法の精神を生かしながら、地方自治の本旨に基づいて検討していくという重大な責任がありますが、そういう立場に立って今後とも自治省のたゆまざる、住民奉仕、住民サービスという地方自治体の悲痛な叫びを、いまの地方行財政でいやしくも幻滅の悲哀を味わわせるようなことのないような施策を今後お願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  204. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 佐藤敬治君。
  205. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 地方税法の全般的な、体系的なことにつきましては私のほうの各委員が質問いたしますので、私は具体的な問題についてしばらく質問申し上げたいと存じます。  その第一は、木材引取税の問題について御質問いたします。  木材引取税について、これは市町村の普通税でございまして、前からずっとなかなか代替の財源の見つからない財源として、ときどき廃止の声が出るけれどもなかなか廃止できないでおります。現在その中にかなり大きな矛盾が含まれておりますので、その点についてまず御質問いたしたいと思います。  いま行なわれておりますところの木材引取税は、税法によって従価税と従量税と、両方とってもいいようになっております。しかし、いまあちこち調べてみますと大体が、従量税でもって自治省と林野庁と話し合いをした、こういうので従量税でもって支払っておるようであります。言うまでもなくこれは営林署長が特別徴収義務者でありますから、売り払いしたその価格の中から営林署長が市町村に払っておる、こういうことになりますが、自治省と林野庁とが話し合いをいたしまして、秋田でありますと、天然杉が一立方百九十八円、造林杉が九十七円、その他の針葉樹が七十六円、広葉樹が五十四円、こういうので税金を払っておるようであります。先ほど言いましたように、自治省と林野庁とが話し合ってこれをきめた、こういわれておりますが、そのとおりですか、それをお伺いしたい。
  206. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘のとおりでございまして、木材引取税を課税する場合に、その課税標準として、昭和三十三年でございましたかに、地区別の木材の立方メートル当たりの平均価格表、これを相談をして示したような次第でございます。
  207. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 昭和三十三年からいままで約十五年、ことしで十六年ですか、たっております。昭和三十三年六月にきめたというあれですけれども、その間、非常に経済成長の激しいときに十五、六年が当たっておるわけです。昭和三十三年にきめたその価格がそのままいま通用しているということは疑問といいますか、矛盾を感じませんか。
  208. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘のとおり長い期間をけみしておりまして、その面ではこの単価がもう適当でなくなっているのではないかということは十分考えられるわけでございます。しかし、途中の経過におきまして、最初に御指摘がございましたように、この木材引取税そのものをどうするかといったような議論もいろいろ出てまいってきておりまして、いままで時代をけみしたわけでございます。内容につきましては、かなりの時間がたっておりますので、必要に応じまして林野庁とも十分協議の上、今後の取り扱いを相談をしてまいりたい、こう考えております。
  209. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 林野庁から林政部長さん来ておられますね。——いまの私の質問に対してちょっと御意見をお伺いします。
  210. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 木材引取税につきましては、地方税法の規定によりまして市町村税として木材の引き取りに対して課税されておるわけでございますが、一応自治省のほうと協議をいたしまして、課税標準といいますか、そういうようなものについての指示がなされておることは事実でございます。私どもといたしましては、国有林材につきましては営林署長が国有林材を処分しておるという立場から、市町村条例の規定するところに従いまして納税をする、これは大体みなし納税者というふうな形で納税しているのが非常に多いようでございますが、納税をするということは当然のことでございまして、そういうような形で対処をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、現在の木引税につきましては、先生も御指摘ございましたが、現在の課税実態から見ましても、対象が捕捉しがたいという面もあろうかと思いますけれども、国有林材と民有林材との間に、実際の取引額と税額との間にかなりの差があるようでございますし、そういうような点から木材の取引業者の間に微妙な影響を及ぼしているという面もございまして、いま先生おっしゃるような形の問題に対拠するしかたとして、標準課税額を変更するということだけで対処することがいいかどうかという問題もあろうかと思います。いま先生御指摘の、木材引取税につきまして廃止という問題がございましたのは、私ども理解といたしましては、木材が住宅その他の建設なり造成のための基礎資材であり、それが市況によっては消費者に転嫁される。外材がいま日本の木材の消費量の六割を占めておるわけでございますけれども、外材についてはこういうふうな税がないということでございまして、そういうものとの均衡という問題もございますので、そういういろいろな問題をあわせながら自治省のほうとも協議を重ねてまいりたいというふうに考えます。
  211. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 この取りきめは全国一律にこういうふうにきめておりますか。
  212. 山下稔

    山下政府委員 平均税額表は全国一律の通達ではございますが、それぞれ都道府県別に、それから木材の種類ごとに価格の差をつけております。
  213. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 ちょっと最初のところがわかりませんけれども、全国一律でありますか。材種の違いはあるでしょうけれども、たとえば杉は全国一律、ヒノキは一律、こういうふうになっていますか。私さっき言いました数字というものは全国一律に通用していますか。
  214. 山下稔

    山下政府委員 都道府県別に、それから木材の種類ごとに単価の差がございまして、一例で申し上げますと、杉でございますと立方メートル当たり北海道の場合八十三円、青森九十四円あるいは福島九十七円というふうに差がございます。
  215. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 林野庁と自治省と話し合いをして、同じ材種でなぜそう違うのですか。
  216. 山下稔

    山下政府委員 外形課税の平均税率表の額を定めるにあたりましては、従価課税、価格を基準にして課税をするものとの均衡をとった課税になるようにという趣旨からこの額を定めました。したがいまして、その価格との均衡も考慮した結果、地域別にこのような差ができたわけでございます。ただ、先ほども指摘がございましたように、昭和三十三年当時定めた価格でございますので、現在の実情に合っていない点があるいはあるかもしれませんが、それらについては今後林野庁と協議の上検討してまいりたいというふうに考えます。
  217. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 そうすると、山元価格と最終価格の途中の経費、運賃だとかそういうような経費が違うからそういう違いが出てきたのですか。
  218. 山下稔

    山下政府委員 山元価格で課税するというたてまえになっておりますので、この差は別に山元であるからか末端であるからという差によるものではございませんで、もっぱら山元価格の差によって生じたものでございます。
  219. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 よくわかりませんけれども、たとえば秋田の木がいいとか、北海道の木が少し悪いとか、福島の木が中間だとか、そういうので差が出てきているのですか。
  220. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 当時の事情をつまびらかにいたしませんけれども府県別に価格がきまっておる趨勢を見てみますと、材種にもよりますけれども、各県別にその材種についての価格の差がございますので、その材価に大体比例をしておるというふうに考えられます。そういうふうな形で基準価格をきめたのじゃないかと思います。
  221. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 現在もそのとおりですか。
  222. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 現在府県間の価格比が正確にこの基準価格表に載っておるとおりであるかどうか、現在の時点では多少その後の経済事情あるいは需要の変化その他によって変わっておるかもしれませんけれども、大勢においては変化はないのではないかと思います。
  223. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 税務局長にお願いしますけれども、そのとおりですか。現在あなたのほうがその税率だとかそういうことには詳しいかもしれませんが、どうです、現在も昭和三十三年にきめられたとおりの割合でやっていますか。
  224. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいまも御指摘のとおりこの価格でやっておりますが、ただ、これは平均価格的なものでございますので、その地域地域において材種の銘柄が非常に違う、こういう場合には差がつけられるようになっております。
  225. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 自治省の方にお伺いしますが、林野庁のほうは払うほうだからなるべく払わない。それで三十三年にとどめておくのは、これは心理的にいって理解できるところもあるのです。ところが逆に自治省のほうからいいますと、これだけ自治体が財源がないないといって騒いでいる時期に、十五年もの間、大きな価格が開いておるときにほっぽらかしておいて責任を感じませんか。
  226. 首藤堯

    首藤政府委員 当然新たな事態に即して新たな単価をつくるように努力をすべきである、こう考えております。ただ、いままでの木引税の経過におきましては、先生も御承知のとおり、木材の需要の問題、それから価格の問題、まあそのような事柄がありまして、この木材引取税そのものの存続すら議論をされるというような事態があったわけでございますが、私どもは貧弱な市町村を守る立場から、どうしてもこの木引税につきまして、簡単にかわり財源を見出すことが困難だという理由をもちましてこの木材引取税の存続をいままで確保してまいったわけでございます。そのような事情もいろいろありまして単価の改定が行なわれていない事態もございます。そういった事情もいろいろ今後とも検討いたしまして、林野庁ともよく相談をしてみたいと考えております。
  227. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 去年きめて来年あたり改定するというのならば、慎重に考慮したい、こう言えます。十五年たちますよ。足かけ十六年になります。その間ほっぽらかしてこれから慎重にやられたのじゃ、いつどうなるかわかりませんよ。私は無責任だと思うのです。しかも、いまお話があったようにかわり財源がない。廃止の話が盛んに出たけれども、かわり財源がなくて廃止できない。そういう重要な税でありながら、十五年も十六年も、この物価の変動の激しいときにほっぽらかして、そして市町村は三割自治だ、一割自治だといって財源がなくて苦しんでいるときに、これはあまりにも私は無責任きわまると思いますよ。そう思いませんか、大臣。
  228. 町村金五

    ○町村国務大臣 承ると、たいへん長い間価格の改定が行なわれていないということは、確かに私どもにも十分理解しかねるところでありますが、おそらく木材の価格というものがたいへんに実は山林所有者にとりましては安かったというようなことがございまして、この税金を上げるということにはかなりの実は反対があったというようなことなども、私はおそらくこういったことがこのままに据え置かれてきた理由の一つになっているのではないかと思いますが、なおひとつ十分検討をすることにいたしたいと思います。
  229. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 いま、途中で廃止の問題があったとか外材の問題があったとか、いろいろな問題があったことは私も承知しております。自民党の方々でもってこれを廃止の決定を一ぺんして、またひっくり返ったり、いろいろな事情も知っています。だけれどもそれはまた問題は別なんですよ。問題は全然別なんです。法律がちゃんとあるのですよ。日本は法治国でしょう。法律が厳として存在するのに払わないという、そんなばかな話がありますか。  法律はこうなっているのですよ。従価税でやるのが本体だ、こう書いてある。だけれどもめんどくさいときは従量税でやってもよろしい、しかし均衡を失してはいけない、こう書いてあるのです。従価税にするか従量税にするかということは、これは市町村が条例できめることなんです。だから、従量税できめているところはまだ改定ができないからという言いわけもあるいは成り立つかもしれません。だけれども従価税の条例をつくっているところは、これははっきりと山元価格に二%ないし三%かけて払わなければいけないです。法律でそうなっているのですよ。それを、いや廃止の議論があった、外材の議論があった、そういうことで払わないというばかな話がありますか。どうです。
  230. 首藤堯

    首藤政府委員 ただいまも御指摘ございましたように、いまきめられております従量課税の平均税額表でございますが、実際の価格との均衡を失しないようにきめられるべきものであるとは考えております。したがいまして、今後ともこのあり方につきまして十分林野庁とも協議していきたい、こう考えております。
  231. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 いま従量税について十分に協議したいと言っていますが、従価税の条例をやっているところに対しても従量税のこの標準価格ですか、百九十何円だとか九十八円だとか九十七円、この税金しか払っていないのですよ。いまあなたが言われたように、従量税と従価税とが均衡を失しておるから、従価税に従量税を近づけるように林野庁と協議しましょう、そう言いました。そうじゃないのですよ。従価税の条例をつくっているところに対しても、営林署は、林野庁は、従量税のこの百九十何円、これしか払ってないのです。幾ら払えと言っても払わないのです。おかしいじゃないですか。あなたの言われるのと違うのですよ、実情は。
  232. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 大体、従価税と従量税とのきめ方のいずれできめておるかという市町村の条例を分類いたしてみますと、従価税の原則という、条例の比率としては従価税によるものが多い。前ほど先生が御指摘のとおりでございまして、そういうようなかっこうでございます中で、現在まで国有林は一応営林署長が市町村当局と御相談をして納付をしておるわけでございます。御相談してと申しますのは、現在の立木の価格が、素材の価格が山元土場価格ということになっておりますので、その点で山元土場の価格を幾らに評価するかという問題から御協議を申し上げるということになっておるのだろうと思いますけれども、その間にやはり、最初に申し上げましたように、国有林材と民有林材との負担の現状というようなものがかなり考慮の中に入っておるんじゃないかというふうなことを考えておるわけでございますが、先生御指摘の問題もございますので、私どもといたしましても、市町村条例に従って適正に納付すべきものであると思っておりますので、検討してまいりたいと思います。
  233. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 市町村において従価税の条例をつくっておるところと従量税の条例をつくっているところとでは、圧倒的に従価税のほうが多いんです。七、三ぐらいですよ。だから、いまあなた言われたように、地元の市町村とよく話し合ってやっていると言うんだけれども、うそなんです。地元は、私はここに書類を持っていますが、何回も営林署や営林局へ何とか従価税でやってくれ、こう言って陳情しているんです。一切耳をかさない。ここにありますよ。これは「昭和四十九年度林業施策並びに予算に関する要望」というものです。これは全国市町村林野振興対策協議会というところから出てきていますが、ここにはっきり、何とかしてくれと書いてある。「国有林にかかる木材引取税の納税または特別徴収にあたり、市町村の条例を尊重しない場合があるので、適正な措置」を講じてくださいとちゃんと書いてあるのですよ。これはもっと前の昭和四十二年です。これも同じような趣旨で、非常に大きなアンバランスが起きているから何とかやってくれといっている。一切耳をかさないのです。あなたの言われるように、地元の市町村とよく話し合って納得ずくでやっておるのじゃないのですよ。一方的にあなた方はこれをきめて払わないのです。どう思いますか。ひとつ両方の御意見を……。
  234. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 私どもは営林署長がその当事者でございますが、私ども理解といたしましては、−いま申し上げたような形で対処いたしておると思うわけでございますけれども、ただいま先生御指摘のこともございますので、そういう点を踏まえて今後対処してまいりたいと思います。
  235. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘のように、条例に従って正しい納税が行なわれますよう、私どもとしても林野庁に十分お願いをしたい、こう考えます。
  236. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 そうすると、これは法律どおり、条例どおりこれからやりますということですね。そう理解してよろしいですか。
  237. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 私どもといたしましては、市町村当局からのお話がございますとそのとおり実施するという形になろうと思いますけれども、一番最初に申し上げましたように、その際には私どもは、林政上の問題といたしましての国有林材と民有林材との均衡をどうするかというふうな問題もございまして、そういうような問題、あるいは木材引取税の性格論その他の問題というようなものも十分対象に置いた上で、先生御指摘の点も十分頭に置いて検討してまいりたいと思います。
  238. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 そこのところがさっきからよくわからぬのですよ。民有林と国有林との区別がどうだなんて、そんなこと関係ないですよ。民有林が金を払わないから国有林も払わなくていいというばかな話はないですよ。隣の人がどろぼうしたからおれもどろぼうしていいということはないですよ。当然法律にあるんだから、法律に国が従わないで一体だれが従うのです。冗談じゃないですよ、あなた。厳として法律があることをあなた方は認めているでしょう。間違いだということを認めている。それでもなおかつ民有林と国有林のバランスだと言う。ではこれは法律を変えればいいのですよ。変えない間はちゃんとこれは厳と存在しているのですよ。存在している法律は国民は守らなければいかぬのですよ。特に国が一番先にしっかりと守っていかなければ、国民は一体だれが守るのですか。これは完全な脱税ですよ。ちゃんと法律でこれくらい納めなさいと書いてある。このくらい納めなければいかぬ、それを納めないのですよ。われわれが、国民がこんなことをやったら税務署はたいへんなけんまくで来て、いきなり犯人扱いにして家宅捜索しますよ。冗談じゃないですよ、これは。法律があるものはちゃんと守ってもらわなければ困る。税務局長、どうです、きちっと今度はこれを取らせるように、また林野庁のほうも出すように、確約していいですか。
  239. 首藤堯

    首藤政府委員 条例どおりの適正な課税がされますように、私どもとしては林野庁に対しても要請をしてまいりたいと思います。
  240. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 林野庁に頼むのじゃないのですよ。——じゃ、林野庁どうです。林野庁に聞きます。はっきり払いますか。
  241. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 市町村条例の定めるところに従って課税される分については、適正に払ってまいるというふうなことです。
  242. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 それではひとつこれからきっちり払ってください。それからその一つの経済的な政策の上に立って、廃止するなりあるいは外材とのバランスをとるなり、あるいは民有林とのバランスをしっかりしていくなり、それは大いにひとつ検討していくことはけっこうです。私はそれをとめているわけじゃないのです。ある法律は守ってください、こう言っているのです。これは日本全体に対しては偏在したあれかもしれませんけれども、これにかわる財源がないのです。非常に山林のあるところ、しかも過疎の地帯に行きますと、これが非常に大きな財源になっておるのです。私はあとで例を申し上げますが。  そうしますと、ちょっとお伺いしますけれども、これからたとえば一つの例をいまちょっと申し上げますが、いま確約したことによって一つの例をあげます。秋田県の上小阿仁という、部長さんもよく御存じの村があるのですね。その上小阿仁村では、昭和四十八年の三月までに国有林の払い下げ見込み額が約三十二億円です。これはもう三月ですからほとんど確定した金額です。これに対して予算を組んでいるのは、木材引取税の予算額が八百七十万円です。ところがこの上小阿仁村の条例どおり二%取れば約六千四百万、この差額はたいへんな差額ですよ。毎年毎年こういうふうに差額があるのですよ。あの小さな人口五千から六千しかない、これが非常に大きなウエートを占めている村で、あなた方、国が払わねばいけない金を約五千万ぐらい脱税しているのですよ。これ、払いますか。
  243. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 まあ、課税標準額につきましては山元価格でございますから、先生おっしゃった三十二億という数字がどういう段階での価格の集計かわかりませんので、私どもとしてはいまおっしゃった価格がそのままであるかどうかはわかりませんけれども、一応、先ほど申し上げましたように、市町村条例で市町村から課税されたという分については、課税額が適正である限りにおいて払ってまいるということにしてまいりたいと思います。
  244. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 この額は山元価格に換算すればおそらく全部じゃないでしょう。私はあっちこっちのやつをずっと計算してみますと、大体一五%くらい引くと同じくらいの価格が出てくるのですよ。  それで、これはあなた方、わからないでやっているのじゃないですよ。これは「秋田県と秋田営林局との連絡懇談会」という資料です。この中にちゃんと書いてある。「国有林材を従価課税とした場合の増収見込額調べ」と、ちゃんと書いてあるのですよ。天然杉百九十八円、これは一立方当たりの従量課税の税率百九十八円、さっき言ったのですね。この一立方当たりの価格を従価課税の税率に換算した場合、この百九十八円が五百円になるのです。杉の場合は同じように九十七円が三百円になる。松の場合七十五円が百六十円になる。広葉樹は五十四円が百円になる。これを去年伐採した量、売り払った量、これに全部引っかけますと、固定資産税の増収見込み額が大体一億五千六百五十二万四千円になるのです。これは私のほうで計算したのではなく、あなたのほうで計算したのですよ。ところが、これに対して一体去年あなたのほうでどのぐらい秋田県全体に対して税金を払ったか、これを計算してみますと——いままでの税金にもう一つ上積みする税金ですよ、一億五千万足りなく払っているということですね。それで、去年の秋田営林局管内の秋田県の実績を見てみますと、材積で六十三万七千三百五十六立方ですね。それからこれの材価が、大体このままで計算しますと百三十六億一千四百二十三万三千円。ところがこの価格でいかないのですよね、さっき言ったように。おたくのこれに合わせてみますと、大体一五%ぐらいこれから下がっているのです。どのぐらい経費がかかっているかと思ってずっと計算したら、一五%ぐらい下げるとちょうどこれと同じになるのです。だから私の調べた数字はほとんど同じなんですね。変わってないのです。それで見ますと、結局私の計算では十六億八千万ぐらいになりますけれども、おたくのほうの計算では十五億幾ら不足に払っているのですね。こういう結果になっておりますよ。だから、いま言ったように上小阿仁だけではなくて、秋田県全体に対しても一億何千万という大きな金額を四十七年だけで払わなければいかぬということになりますよ。払いますね。   〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕
  245. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、市町村市町村条例のきめるところに従いまして課税をされた場合は、その課税額が適正である限りにおいては私どもとしては支払っていく義務があろうかと思います。
  246. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 これをもう一つ全国的に広げてみますとこういう結果になりますよ。売り払いの金額が、大体計算してみますと九百七十一億ぐらいになりますね。それに二%かけますと十九億四千二百万円払わなければいかぬのです、ほんとうは。それに対して七億四千九百二十四万八千円、四十七年度に営林署が払っているのです。その差額十一億九千二百万、これが四十七年度において営林署が支払うべき金を払わなかった金額です。  それで税務局長さんにお伺いしますが、局長、いいですか、この払わなければいけないものを、ずっと十五年もこういうふうにして少しずつ払ってこなかった。ところが十五年も前のものはおそらく取れないと思うのです。これに時効というものはありますか。
  247. 首藤堯

    首藤政府委員 一般的に時効はございます。大体五年で時効に相なります。ただいま御指摘のございましたような状況でございましても、当該市町村が条例によりまして正式に税の賦課をいたしておるかどうか、そこでその権利状態が発生をしようと思いますので、直ちにその時効の規定の適用があるかどうかちょっといまわかりかねますが、一般的には五年で時効になるわけでございます。
  248. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 さっきも申し上げましたとおり、幾ら請求してもこれより払わないのです。いいですか、請求しないから取れないというのはおかしいんですよ。請求しなくても、売ったら価格がちゃんとわかっているのですから、営林署長は特別徴収義務者ですからね、自分で売ったのがわかっているのですから、その分、払わなければいかぬのですよ。これは申請して取る金じゃないのです。だから、もう五年の時効だとすれば、昭和四十八年、いまこれが出てくるとすれば、それこそ請求されれば五年にさかのぼって払わなければいかぬのですよ。なぜ私がこういうことを言うかというと、地元のこの所在市町村の連中は訴訟を起こすといってがんばっているんですよ。そうなれば必ずこうなるのですから。のがれるところのないはっきりした法律違反なんです。これをずっと計算してみますとこういう結果になるのです。私は五年じゃない、三年くらいだろうと思って三年から計算してきましたが、全国的に見ますと、昭和四十六年で十一億七千六百万、四十七年で十三億七百万、四十八年で二十億です。これを合わせますと四十四億くらいの金、たった三年ですよ。これがもう二年前にさかのぼればどのくらいの金額になるか、計算してみなければわかりません。大体これは当たらずともいえども遠からずの数字なんです、換算してみますと。これは払いますか。五年の時効にさかのぼって払いますか。
  249. 首藤堯

    首藤政府委員 先ほど時効で五年と申し上げましたのは、一般的に賦課されました税額につきましての時効でございましたが、更正決定等の期間制限、これは御説のように三年でございます。
  250. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 三年ですから私がいま申し上げたような金額に大体なると思います、多少の違いはあるけれども。払いますかと聞いているのです。どうです、林野庁。
  251. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 税法上の問題その他の問題がございましょうから、私どもといたしましていまこの席で払いますということを申し上げるわけにはまいりませんけれども、事実上、税法上の問題が解決されて賦課が参るという段階では、私どもとしては支払いをするということになろうかと思います。ただこの際、また先生からしかられるかもしれませんけれども、隣が悪いことをしているからおれのところも悪いことをするということでなしに、国有林材についてそういう課税が行なわれるということと、民有林材に課税が行なわれていないということとの間に、木材の取引その他でいろいろな問題が出てくるということがございますし、それから最初にも申し上げましたように、木材の取引について、まあ基礎資材に課税されております、その税だけでございますが、事実上いま課税基準額がそういう形で上がるということになりますと、現在木材の価格が問題になっておる時代に価格が上がるという問題もございますので、そういう点も今後の問題として自治省との間で検討を続けてまいりたいというように考えます。
  252. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 私はそういうことをやるなとは言ってないのですよ。さっきから言っていますように、経済政策上いろいろな問題があるだろうから、それをやるのはいいのです。それをやって、木引税を廃止するなり税率を下げるなり、そうなったらちゃんとそれはやればいいのです。それをやらないで、ただそういう声があるから税金を払いません、こんなばかな話ありますか、あなた。法律がある以上ちゃんと払って、そして政策上そうやらなければならぬと思ったらそういうふうにやって法律を改正すればいいじゃないですか。その問題とこの問題は別なんです。そこのところをはっきり区別してもらわぬと、いつまでたっても釈然としないのです。これはまだ払うとは言ってません。金額はこれとあるいは多少違ってくるかもしれません。だけれども、法律ではっきり払わなければいけないと書いてあるのですから、払わなければいかぬのですよ。それをあなたは認めているのです。金額が大きくたって少なくたって法律どおり払わなければいかぬでしょう。これは長官が来ようが、林政部長が来ようが、課長が来ようが同じですよ。はっきり払うと言明してください。
  253. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 先ほどのお答えの中でも申し上げましたように、私どもとしては、税法上の問題が解決した上で課税が来た場合にはお払いをしますということを申し上げておるわけでございます。
  254. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 ああいう小さい山元へ行きますと、営林署というのは非常に大きな力を持っておるのです。だから、村長さん、町長さんぐらいじゃなかなか営林署長に太刀打ちできない。幾ら村長や町長が営林署へ行っても、あるいは林野庁へ百度陳情しても、いままで十五年もの間これだけ大きな矛盾がありながら改正されなかったという根本的な問題はそこにあるのですよ。だから地元と相談してとかあれと相談してとかじゃなくて、法律ではっきりきまっているものははっきりやります、こうして言明してくれなければ私は安心できないのですよ。
  255. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、税法上の問題が解決つきまして課税が行なわれる場合には、私どもとしては適法な課税については払ってまいりたいというふうに考えております。
  256. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 それはどうかひとつそういうふうにぜひ取り計らっていただきたいと思います。  それからもう一つ伺いしますが、さっき全国一律に大体標準価格でやっている、こういうふうに言われましたね。だけれども、調べてみるとそうじゃないのです。全然違うのです。これは長野県の例なんです。私、二、三日前に長野県から取り寄せて見たのですが、これを見ますと、現在行なっているのですよ、これがヒノキが五百円、サワラが二百六十円、その他の針葉樹百五十円、広葉樹九十五円、こういうふうになっておるのです。だからさっきのたとえば秋田で行なわれているような天然杉が百九十八円、造林木が九十七円、その他が七十六円、広葉樹が五十四円と全然違うのですよ。税務局長、どうです。
  257. 山下稔

    山下政府委員 この標準税率は普通材質のものについての平均として定めてございますので、銘柄いかんによっては標準的なものとの均衡を考慮いたしまして決定いたす関係で、実際のものは多少違う場合があるかと思います。
  258. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 実際のものが多少違うんじゃないんですよ。長野県でやっているこれは、大体やっているのです、まだ足りませんがね。ところがこっちは昭和三十三年のやつなんです。これとこれが多少材種によって違いますというしろものじゃないんですよ。この間に十五年の差があるのです。いまごろこれとこれと材種によって違うなんて、とんでもない話ですよ。私の言いたいのは、たとえ安くてもある程度全国一律に公平ならいいですよ。あるところは高く取り、あるところは十五年前と同じに据え置いている、こんなばかな話がありますか。税というものは公平でこそみんなが負担する気持ちになる。こんな不公平なもので取っているのですよ。ただ安いだけじゃなくて、こんな不公平な税金を取っている。どう思いますか。局長でもいいですよ。
  259. 首藤堯

    首藤政府委員 いろいろ課税実態をお聞かせいただいたわけでございますが、結局、十五年間この平均税額表を改定していないといったところの矛盾といったものが出ておるようにも感じますので、先ほども申し上げましたように、この平均税額表の改正そのほか所要のあり方についての検討を進めさせていただきたいと思います。
  260. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 先ほどもちょっと言いましたけれども、林政部長に申し上げたいのですが、営林署というのは地元へ行くと非常にえらいのです。なかなか営林署に文句がつけられない。町村長といえども同じですよ。だからこういうような民間でいえば脱税がでてくるのです。  あなた方、山というものは切ってしまえばなくなるんだ。国有林は国民の財産ですよ。どんどんみんな切ってしまった。これは切るのもやむを得ないときがあると私は思いますよ。戦時中、戦争に協力する、戦後、復興資材としてどんどん切られていった。たとえば秋田でも木曽でもほとんど裸ですよ。そして今度はあなた方、林野の会計は赤字だからと山荒らしして、人減らしして、合理化をどんどんやっていく。昔は国有林というのはほんとうに地元と密着して、国有林からお互いに利益を享受しておったのを、みんな切ってしまって、いまや国有林からは地元に利益は何にも出てこなくなる。出てこないだけじゃないのですよ。切れば、去年、おととしみたいに山がみんなくずれて、大洪水になって、利益を与えるどころじゃなくて害が出てくる。大災害が起きてくるのです。金がないといって植えない。青森営林局では六百万本とか三百万本とか苗木をせっかく植えたけれども、みんな抜いてほっぽらかしてしまった。こういうばかなことをやっている。あるいは岐阜県あたりの小坂営林署では、せっかく何十万本と植えたのに、やめろやめろと言ってもヘリコプターでササを殺す薬をまいた。そうしたら、ササも死んだけれども苗木もみんな死んでしまった。こういう安上がりな山荒らしをやっているのです。  片方ではこうして払わなければいけない税金も払わない。税金も払わないで山を荒らして、人も減らす。過疎はどんどん進んでいく。上小阿仁という村は五年間に千五百人減って、六千七百人だったのが五千二百人になった。これでは困るのです。これたけの金があれば——いまは五千万ですが、三千万でもいい、五年間あれば一億五千万になりますよ。こういうような金というものを地元につぎ込んで、切られた山の代償としてまた木を植える、未利用地に木を植えて山をもう一ぺん育てていかなければいけないんですよ。あなた方みんな切ってしまって、税金も払わない。そんな不届きな話がありますか。それで合理化だ、合理化だと人を減らす、山を荒らす。これでは山を守るべき林野庁としてもってのほかですよ。そう思いませんか。感想を述べてください。
  261. 平松甲子雄

    ○平松政府委員 ただいま先生御指摘のように、森林は木材の生産のほかに国土の保全であるとか水資源の涵養であるとか、そういうふうな公益的な機能をあわせ有するわけでございまして、私どもはそういうものが、森林の持つそういう機能が総合的に発揮されることを願って施業をしてまいっておるどころでございますが、先生もただいま御指摘がございましたように、たとえば昭和三十年代に入りまして復興資材が非常に需要が多かった。その際、外材はまだほとんど入っていないというような状況でございまして、木材価格が上がった、生産力を増強しろ、こういう話で国有林材を相当切っていった。三十年代の後半はことに相当な増産をいたしたわけでございます。  一方、森林の状況から見ますと、ちょうどそのころ伐採の時期が来ておりますもののあとは、戦争にかかってきたというふうなこともございまして植栽が行なわれていないというようなことから、蓄積も少なくなってきておる。それから一方、自然の保護であるとか環境の保全であるとかいうふうなことがございまして、伐採について制限をするというような問題が出てきたわけでございます。  私どもといたしましては、戦後、二十年以後造林につとめまして、現在人工林のうち七五%ぐらいが二十年未満の人工林というような形になっておりまして、森林資源の蓄積という点から申しますと、いま伐採の時期には達しておりませんけれども、資源としては相当の蓄積が進んでおるというふうに理解しておるわけでございます。  そういうふうな状況でございまして、自然保護その他の関係から伐採について制限が要請されてくるというようなことでございまして、昨年から国有林につきまして新しい森林施業ということにいたしまして、伐採面積も制限すれば、一伐区当たりの面積も小さくするというようなことでやってまいっておりますし、それから人工林について申しますと、伐採適期の資源が少なくなってきておるということから伐採面積が減る。それに対応して造林面積が減っておるというような実情にあるわけでございまして、私どもは国有林野の運営という点につきましては、先ほど申し上げました森林の持ついろいろな機能を最高度に発揮できるようにということを旨として施業につとめておるところでございます。
  262. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 ぜひそうやってもらいたいのですけれども、ああいう過疎の山村に行きますと、もう木を植えようといったって民間ではとても植えることはできないのです。金よりも人手がないのですよ。ところが一方、あなた方の営林署では人が余っておるのです。あなた方は一生懸命合理化だ、合理化だとやめさせようとしておるでしょう。片方では民間では人が足りない、植えられない。あなた方のところは人が余って首を切らなければいかぬ。こういう矛盾した状態が現出しているのですよ。しかも山はどうかというと、みんなはげ山だ。これはあなた方の食い逃げですよ。私の町には大きな鉱山がありますね。あの鉱山というのは、ほんと、食い逃げなんですね。掘って、みんな掘ってなくなれば逃げていくのです。そのあとに残ったのは穴と鉱毒水だけです。山も同じですよ、あなた方がいまやっておる状態をそのまま続けていくならば。切るだけ切ってみんな逃げてしまった。あとに来るのは災害だけだ。人はいなくなる。  あなた方がいま切っている国有林というものは、われわれの祖先がほんとうに守って守ってきたのです。そうしてそれが戦争や戦後の復興のために使われてきた。もう一ぺんあれに木を植える義務があるのですよ。そうしたら、民間が過疎になって人がいなかったら、あなた方が全力を尽くして、人の首を切るより、一生懸命金をつぎ込んで、もう一ぺん緑の山に復活させる義務があるのですよ。それを、山をみんな荒らしてしまって、人の首を切って、一体残された山村はどうなるのです。だから、どうなってもいいというからせっかく山元に納めなければならない金も納めないのです。外材の問題だとかそういう問題ではないのですよ。根本的にこういう問題がある。だから、ああいう合理化だとかそういうことに頭を費やして苦しんで、労使闘争だといってストライキをやったりけんかしているよりも先に、人の首を切るよりも、はげた山に木を植えなさいよ。そうして民有林にもまだまだ未利用地がたくさんある。いまさっきあげました上小阿仁というところには何千町歩も未利用地があるのです。そういうところに木を植えて官行造林してやればいいじゃないですか。そうすればああいうとげとげしい争いも何も出てきませんよ。そうして山も緑になる、災害もなくなる、こういうことになるのです。根本にそういう問題があるから、税金も払わなくてもいいというかっこうになるのですよ。  税務局長さんにお願いしておきますが、いま話したような趣旨ですが、これは、あるところには木のないところもありますけれども、山村にとってはこれは重大な財源です。しかも廃止しようとしても廃止できないような、これは代替財源のない貴重な財源です。この法律がある間はきちっと法律どおり徴収して交付してやるように、ひとつあなたからも格段の御配慮をお願いしたい。
  263. 首藤堯

    首藤政府委員 御指摘がございましたように、木材引取税の運用の適正化、適正な運用につきまして、十分努力をしてまいりたいと思います。
  264. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 その問題はそれにしまして、電気ガス税の問題についてこの間からいろいろ質問がありました。それについてちょっとお伺いしたいと思います。  この電気ガス税を今度分離して、電気税を減税しましたね。この問題は、いま一面においてはいろいろな問題とくっついておるけれども、例の電源開発の促進法ともくっついておる、こういうふうにいわれておるのです。この課税方法は、これは言うまでもなく消費者から直接吸い上げるのじゃなく、電力会社がこれを納めるわけですね。間接税の方式を使っている、こういうことになるわけですが、こうなりますと、電力会社が料金に税分を上積みする、こういうことは当然の成り行きになってくる、こういう危険性があります。そこで、これを緩和するために電気税というものを少し下げようじゃないか、こういうふうにいわれております。  しかし、こういう考え方電気税というものを減税されると非常に私は困ると思うのです。その税金がどこへ行くかというと、結局電源開発の促進によって、その電源開発をやった市町村ですか、そういうところへ行くわけですね。電気税というのは普遍的な税金、しかし電源開発促進税というのは限られたところにかなり大きな額で行くのです。そうしますと非常におかしいと思うのです。一方においては国民全体から普遍的な電気税というものをまけて、そのまけた分を今度は一つの地域に全部つぎ込んでいく、こういうふうなかっこうになると思うのです。これは私はやはり非常におかしなかっこうになるのではないか、こういうふうに考えます。これをどんどん進めていきますと、小さな市町村にたくさん金が入っていって、市町村の間に非常に大きな格差が出てくる危険性がある、こういうふうに思います。そこで、この点をどういうふうに考えておられるか、ちょっとお伺いしたい。
  265. 首藤堯

    首藤政府委員 電源開発促進税の創設に関連をいたしまして、電気ガス税の一部を削減をしてそっちに財源的に回すといったようなことが考え方として、説として一時ありましたことは事実でございます。しかし、私どもはただいま先生御指摘のとおりの考え方で、このような国の施策を行ないますときに、全市町村に普遍的な税源をそういう目的のために特殊の地域に回すことは適当でない、こう考えまして、これは取りやめていただいたわけでございます。したがいまして、今後とも電源開発促進税そのものに関連をいたしまして電ガスの税率を切り下げるといったようなことは考えておりません。
  266. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 この電源開発促進税ですか、これはまことに田中総理らしい発想で、原子力発電でもまだ非常に安全性に欠けておる、あるいはまた火力発電でも非常にいろいろな公害の問題が解決されない、こういうのに、エネルギー不足だというのに便乗して札束で横つらをひっぱたいてどんどん危険なそういうものを建てさせる、こういうのは、何というか、非常に言いようのない——税金なんですね、これを自治省として、関係がないといえば関係がないのですけれども、この税金をあなた方、どういうような形で一体受け入れようとしているのか、この点をひとつちょっとお聞きしたいのです。
  267. 首藤堯

    首藤政府委員 電源開発促進税は、ただいま御指摘のように国税として徴収をされ、交付される先は市町村及び府県でございますが、このようなかっこうの税になりましたので、私ども地方税関係者としては、直接にそのことをどう考えるかという点については申し上げることができないわけでございます。  いずれにいたしましても、この電源開発促進税は、現在の電源不足の事態で電源の開発を促進いたしますために、地元の市町村がその電源所在のために必要なもろもろの財政需要、あるいは住民福祉、こういったものに必要な財源に充てるというかっこうでこの税収入が交付をされるということになっておりますので、そういった意味で地域の財源がふえるということに関する限りは、地方財政としてもけっこうなことだと思っております。ただ、いま御説がありましたように、このことと、それから原子力そのほかの安全性の問題等の問題は、これは当然両方とも両立をすべき問題である、こう考えておる次第でございます。
  268. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 両立すべき問題というのはどういうことか、ちょっとよくわかりませんが、これは私らから言わせますと非常に危険な状態にある。特に原子力なんというと、ほとんどまだ安全性というものについてはみんなが不安を持っている。こういうものを札束をやってそうしてつくらせる、こういうようなやり方というものは、私は行政としてはまことにこれはまずいやり方だ、こういうふうに考えます。おそらく、これを実行に移すということになればこれはみんな飛びつくと思うのですよ。三割自治だ、一割自治だ、二割自治だといっているときにたいへんな金が入ってくるわけですから。ここに一つの例がついておりますが、百万キロワットの原子力発電所を建設すると毎年三億ずつ、五年間交付されると十五億円入ってくる。これが小さな村や町へ入ってきたら、これはだれでも飛びつきますよ。その際にどういうことが起きるか、これはやはり考えなければいかぬ。私は、国の将来を考えるような政治家であるならば、こういうような税金は創設すべきじゃないと思いますね。これは、いまの発電から金を取ってもいいから、将来原子力エネルギーなりいろいろ開発されるべきエネルギー源というものは必要だと私は思いますので、むしろこういうものの開発費とか研究費とかに向けていくべきもので、まだ危険なのに札束で横つらをひっぱたいてどんどんつくらせる、これは国家の将来のために非常にマイナスになると私は思います。  こういうのは自治省としては特別関係ない、こういうことになるかもしれませんけれども、問題は、こういう市町村にどんどんこれを交付されてごらんなさい。たいへんに市町村にアンバランスが出てくると思いますよ。小さい町に発電所が一つできた、その町だけはどんどんいろんな施設ができていく、できないところは何もできないでいままでどおりほっぽらかしにしておく、こういう状態に必ずなると思うのですよ。私は、できるだけ自治省の立場としては、こういうような自治体のバランスに混乱を起こすようなこういう税金というものはやるべきじゃない、こういうふうに思います。  それから、もう一つお聞きします。いまの固定資産税を、小住宅のあれ、軽減をいたしましたね。あれについてもう一つ住宅用地、これも軽減しましたですね。その内容についてはいまここで申し上げなくてもおわかりのとおりですけれども、その際に私はこのことが非常にひっかかるのですけれども、個人の小住宅を減税するのは私は非常にいいことだし、やらなければいかぬ、こう思いますけれども、その他のこういう非住宅用地、こういうものを減税するということになると、これはよく考えますと、大企業が持っているとか、あるいは売り惜しみ、買いだめしたような土地、ああいうような土地に対しての減税になってくる、こういうふうな気がするんですね。これは住宅の用地のような面積の制限は全然ないでしょう。それから一いま言いましたように買い占められた、あるいは値上がり待ち、こういうような土地に対してもどんどん減税されていく。こうなりますと、いま土地対策として、どんどん土地を買い占めたのを放出させなければいけない、こういうのがいまの政策なんです。そのために、土地を放出させるためにいろいろな政策をやっている。しかし片方ではそうして買い占めておいた土地に対して減税をやるという結果になったら、いまの土地政策と逆行しませんか。
  269. 首藤堯

    首藤政府委員 今回の土地に対する固定資産税の減税は、ただいま御指摘のように、住宅用地について減税をやりましたほかに、非住宅用地につきましては個人の所有をします非住宅用地について軽課措置をとる、こういうかっこうで行なったわけでございます。  やり方は、御案内のように、前年度の一・五倍をこえるものについては一・五倍でとめるということを原則にいたしました。そのかわり底上げ措置をとりまして、昭和四十九年度評価額の三〇%まで、五十年度は六〇%までは最低限としてと、こういう扱いをしたわけでございます。  法人につきましては、昨年度改正のとおり五十一年で評価目一ぱいの措置になる、こういう段階で措置をとっておるわけでございます。  個人の非住宅用地につきましても若干の調整措置をとりましたのは、昨年かなり固定資産税の負担が増加をしておりますのが、さらに五十一年までに完全に評価額に達するという調整を行ないますとかなり税収入の激増がございます。特に個人の場合にありましては非常に小規模な店舗そのほかの営業用地、こういったようなものが多うございますので、これは普通の調整率よりも若干上目の調整率、こういうことで四十八年度の調整を落として減税をする、このような措置をとったわけでございます。  したがいまして、土地政策そのものから考えました場合に、法人保有の土地等について特にまけたというような措置はとっていないわけでございます。
  270. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 いまみたいな理由ならば面積の制限を設けるべきだと思うのですよ。これならば、個人であれば幾ら大きな面積を持っていてもこれは減税の対象になりますよ。これではやはり困ると思うのですね。いまみたいな趣旨だったならば面積の制限をつけるべきじゃないですか。
  271. 首藤堯

    首藤政府委員 個人の非住宅用地につきまして、これは、たとえば各種の営業用、いろいろなものに使われておる場合に、面積の制限が設けられるかどうかということにつきましても実は検討いたしたのでございますが、営業用に使っております業種のいかんによりまして、御案内のようにこれは使います基準的な面積が非常に異なってまいりまして、税法の扱い上非常に繁雑になりますし、また現在の課税状況では実施をすることが困難でございますので、そのような措置をとらなかったわけでございます。
  272. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 全然何も建てていない土地も対象になるでしょう。それからたとえば、ぜいたく品といってはおかしいですが、別荘地みたいなところ、そういうところもみんな対象になってくるわけなんですね。ところが、この固定資産税のあれを減税しよう、この趣旨というものは、ほんとうに小住宅のそういうところを何とかしてやろうじゃないか、こういうものなんです。ぜいたくな別荘地だとか、たくさん持っている金持ちの土地であるとか、そういうのに減税してやるというんだったら、これはそれこそ租税の特別措置の復活みたいなことになってしまいますね。それに対して制限を設けるべきじゃないかと思いますけれども、どうですか。
  273. 首藤堯

    首藤政府委員 非住宅用地につきましては、課税標準額そのものを住宅のように半分にするとかなんとかというかっこうでの減税を行なったわけではございませんで、四十九年、五十年の負担を調整するというかっこうの措置をとりましたのは御承知のとおりでございます。したがいまして、最終的には評価額に基づく課税ということに到達するわけでございますが、その到達のあり方があまり急激でございますと、個人の場合では小規模の営業者等で負担が激変をして困るという事態が起こるであろうという考え方から、このような措置をとったわけでございます。
  274. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 私はこれがかなり、ことばの上ではそういうことになるけれども、実際の面では、いまお話ししましたような別荘地であるとか金持ちの大きな土地であるとか、そういうものに対する減税につながってくると思うのですよ。だから、これは五十年ですか何かに検討する、こういうようなあれもありますけれども、この点については将来考慮すべきではないか、こういうふうに考えます。——何かあったら答弁してください。
  275. 首藤堯

    首藤政府委員 土地課税につきましては、五十一年の再評価の機会に、前々から申し上げておりますように非常に基本的な問題がたくさんございますので、抜本的な検討をいたしたい、こう考えておる次第でございます。これまでの間に、別荘地でございますとか空閑地でございますとか、こういうものに対する課税の方策もいろいろ議論になったのでございますが、御承知のように、たとえば空閑地を取り上げてみました場合に、その空閑地の判定といったような技術的な問題で、非常に困難な問題がある等の問題がございましたので、今回の措置としてはこのような措置をとったわけでございます。  それからなお一言申し上げますと、個人が買いだめをいたしましたような土地、近々買いだめましたようなもの、二千坪以上といったようなものにつきましては、例の土地保有税がかけられますので、そういった点における土地対策の措置も講じられておるということは御承知のとおりでございます。
  276. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 国民健康保険の問題について少しお伺いいたしたい。——下村さん、来ておりますね。  昭和四十八年はまだわからないでしょうから昭和四十七年でもいいですが、一般会計からの繰り入れの金額はどのぐらいになっていますか、ちょっと教えてください。——わかりますか。
  277. 下村健

    ○下村説明員 市町村の一般会計ということですか。——市町村の一般会計の繰り入れ金額は、昭和四十七年度で二百四十三億でございます。
  278. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 それから、同じ四十七年の赤字の額は幾らあるか。
  279. 下村健

    ○下村説明員 実質収支といたしまして、市町村の赤字団体数が二百四十三となっております。
  280. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 いや、金額です。
  281. 下村健

    ○下村説明員 赤字の総額でございますか。——決算収支におきまして赤字額が七十二億八千五百万でございます。これは実質収支でございます。
  282. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 この一般会計からの繰り入れ額と赤字額、これを足した三百六十五億というものが国保会計の実質的な赤字なんですよ。
  283. 下村健

    ○下村説明員 たとえば、最近の傾向といたしまして、保険者の中には、保険料を据え置きいたしまして一般会計の繰り入れによってまかなうというふうな、いわば政策的にそういう運営の方法をとられる場合もありますので、これをすべて実質的な赤字と見ることについては、私ども多少意見が異なっております。
  284. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 それはほんの限られたところしかないのです。いま現在、そんなに余裕のある市町村なんというのはそんなにないですよ。あるところもありますよ。私も例を知っていますけれどもね。しかし、そんなに普遍的に、それが一般的だというようなことは全然ないですよ。実質問題として、この繰り入れと赤字を足したのがほんとうの赤字なんですね。  私はなぜこういうことを言うかというと、きのうあなたが、どなたか質問したのに、最近の国保は健全だ、比較的健全に続いていると言われたから、私はわざわざあなたに言ってもらったのです。これは三百六十五億という実質的な赤字なんですよ。これは自治省の局長さんに聞いてごらんなさい、これは赤字だと言いますよ。あなた方は、片一方では一般会計から繰り入れるのは当然だと思っている。ところが、元来これは国の事業ですからね。自治省のほうは市町村の側についているから、一般会計から入れるのはとんでもないと言っている。私もやったことがあるのですが、いまは認めていますけれども、最初のころはおこられたんですよ、一般会計から国保へ入れると、何でこんなものを入れるかと言って。私もずいぶんどなられたものですよ。あるいは首藤課長さん時代におこられたのかもしれませんよ。
  285. 下村健

    ○下村説明員 おっしゃるように、一般会計の繰り入れの中に、かなりのそういう実質赤字に相当するものが含まれておるという点については私どもも異存ございませんが、赤字の原因として、ただいま申し上げましたような政策的な面の問題それから最近の傾向といたしましては、各種の公費負担医療を市町村のほうで単独実施する、あるいは都道府県のほうで実施をする、その結果実質的に給付率の改善をやったのと同じような効果が出てまいりまして、保険の医療費全体がふくれてまいります。そういうものの繰り入れにつきましては、ある程度地方団体で繰り入れをしていただくのもやむを得ないことだというふうに考えている次第でございます。  なお、ただいま厚生省が、国保財政について非常に健全である、こういう認識をしているのではないかという御指摘があったのでございますが、私どもさようなことはございませんで、昨日申し上げましたのは、四十六年度までは赤字団体が減ってまいりまして比較的安定しておったのが、四十七年に入って赤字団体がふえて、特に四十八年、四十九年と最近の動向から見ると非常に流動的な要素も多くて、私どもとしては国保財政の安定については非常に注意を払ってまいらなければならないというふうなことを考えておりますので、その点の認識につきましては、自治省のほうも私どもも全く認識は一致いたしております。
  286. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 いまの老人医療だとかいろいろな問題ができてきて、市町村が単独でオーバーしてやっている分がありますね。そういう分が赤字になったりしてくるのは、それはよくわかりますよ。しかし、老人医療だとかこういう問題が起きてくる以前から、厚生省の態度というものは一般会計から入れなければいけないという考え方を持っているんですよ。というのは、私はこういう経験があるのです。赤字でどうにもならなかった、十年ぐらい前ですね、何ともならなかった時代がある。それで市長会の国保の委員会を開きまして、ずいぶん厚生省に陳情に来たのですよ。そのとき、当時の国保課長はだれだったか忘れましたけれども、繰り入れの資料を出せと幾ら言っても、繰り入れの資料を出してよこさない。赤字は、繰り入れて締めたあとの、ほんとうの、ほんとうのといってはおかしいが、決算上に出た赤字しか出してくれないのですよ。繰り入れが幾らあるかといっても、全体のものをどうしても出してくれなかった、こういう記憶があるのです。私はだから言うのです。こういうような国保なんというものは、これは元来国の事務なんです、国の仕事なんです。それを市町村に押しつけて、そして市町村が一般会計からどんどん出していかなければいけないような状態というものは、これは自治省の側に立ってみればはなはだけしからぬ状態だと思うのです。どうですか、税務局長さん。
  287. 首藤堯

    首藤政府委員 私ども直接の所管の一般会計のことではございませんけれども、本来、保険会計はその会計自身でやはりまかなっていってしかるべきものだ、みだりに一般会計から実質上の赤字を繰り入れる、こういうかっこうで運用されることははなはだ望ましくない、このように考えております。
  288. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 そのとおりだと思うのですよ。どこの市町村に行きましても、一番先に問題にするのはこの国保の財政に対する圧迫なんですね。どこへ行ってもそうです。私もこの間からずっと回ってきました。どこへ行っても市町村の財政では一番大きな問題になっている。ところが、市町村で大きな問題になっているほど国では大きな問題にならぬのです、これは。質問する人もあまりいないのです。なぜそうなっているかということですね。幾ら県にこれを何とかしてくれといっても、県もそっぽ向いて絶対さわりたがらない。これは君子危うきに近寄らずなんです。県も国もみんな近寄らないのですね。というのは、これは市町村がやっておるからなんです。一番力の弱い市町村がやっておるものだから上級官庁は見向きもしないのです。こういうことがある。大体、こういうふうに思いませんか。五千や六千や一万や二万の市町村の団体が保険事業をやるということ、そのことがおかしいと思う。たくさんの人から少しずつ金を集めて、特定の人が病気になったときそれを助けてやるという相互扶助の保険事業なんですよ。加入者ができるだけ広くなければいかぬですよ。それが五千や六千の村で保険事業をやるといったって、やれるはずがないのですよ。これをせめて県単位ぐらいのものに広げる、こういう意思はありませんか。これはときどき新聞等にも出てきておりますが……。
  289. 下村健

    ○下村説明員 ただいまの国営論でございますけれども、医療保険の抜本改正とからめまして、与党のほうで数年前きめられました国民医療対策大綱というのがございます。また厚生省のほうでもそれに関連いたしまして、都道府県での財政調整的な機能を持たせるというような案は検討されたわけでございますが、今日まで実現を見ていない。ただ、一面において、国保の発生過程を考えますと、おっしゃるように地域の相互扶助事業というようなものをもとにして発展してきたというふうな事情があるわけでございまして、現在でも、保健婦でありますとかいろいろな直営診療所でありますとかというふうなものと結びつけまして、地域の保健問題と非常に結びついた形で国民健康保険が運営されているという実態もあるわけでございます。  おっしゃるように国で、あるいは都道府県でということで一般的にやるということがはたして適当かどうかにつきましては、これは今後の抜本問題とからめまして大いに検討しなければならない問題だと思いますが、ただいまの問題から直ちに国営あるいは都道府県営というものが適当であるというふうなことを結論するのは、まだ幾らか検討の余地があるのではないか。ただ、私どもといたしましても、そういう小規模の保険者が非常に財政困難が大きい、不安定性を増しておるという点はいろいろ考えております。財政調整等の際にはそういう保険者に対する配慮をいろいろ考えてまいらなければならないということで、そういう要素も取り入れていきたいと思っております。  なお、保険ということで千五百や二千で相互扶助はおかしいじゃないかという御意見がありましたのですが、四十九年度を例にとって申し上げますと、四十九年度の国民健康保険での総体の医療費が約一兆五千億になるわけでございます。その中で保険の給付として行なわれるのが約一兆一千億ばかりでございますが、それに対して国庫負担が、三百五十億の臨時財政調整交付金を加えましに七千二百億をこえております。したがって、今回の国民健康保険というのは単純な保険ということではございませんで、むしろ三分の二程度までは公費負担医療的な色彩が強いもので、三分の一程度が金目の面から申しますとむしろ保険的な性格、そういう感じになっておりますので、その辺の事情も御了承いただきたいというふうに思うわけでございます。
  290. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 これはやろうと思えば現行法でもやれるのですよ。たとえば県単位であれば一部事務組合をつくって一緒にやればやれるのです。私これを県にうんとすすめて、やろうとしたことがあるのですが、幾ら言っても県はやろうとしないのですよ。事務的にも同じだ、こう言って、どうしてもあまりいい材料を出してこない。だから、もし県単位でやって、知事会議なんかでうんと圧力をかければたちまちもっと好転すると思うのですよ。市町村というものは力が弱いものだから、どうしてもなかなかそういう問題が好転してこない、こう思います。  それからもう一つ伺いしたいのは、自治省が幾らこれを検討しても実質は厚生省なんですね。医療給付がぽんと上がってしまえば、幾らやっても自治省はどうにもならないのです。この間だれか質問しました、いやこれは厚生省のことですからわかりませんと答弁していた、そのとおりだと私は思うのですよ。実質わからない自治省がこれを担当しているというのはおかしいと思う。さっき私は調べてみましたら、厚生省には国民健康保険課というのがあるけれども自治省には国民健康保険課というものはないのですね。自治省は一体これはどこでやっているのですか。
  291. 下村健

    ○下村説明員 全般的な問題はすべて厚生省でやっておりまして、先ほどの小川先生の御質問でも出たわけでございますが、たまたま現在の保険収入の一部になっております保険料が保険税という形をとっておりますので、保険税に関連する問題につきましては自治省市町村税課のほうでいろいろなことをお願いしているわけでございます。その他一般財政に関連する問題につきましては財政局のほうともいろいろ相談をしながら進めているわけでございますが、国民健康保険につきましては主として厚生省で各種の責任を負い、また予算面の折衝をいたして運営をいたしておるという状況でございます。
  292. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 そこのところがおかしいのです。実質的には全部厚生省なのに、なぜ自治省の中にこれを置いているのですか。(「法律からはずしたらいい」と呼ぶ者あり)私は、いまも話がありましたように、これはむしろ全部厚生省にやるべきものだと思うのですよ。ここで審議したって実質は何もないのだもの、何にもならぬ。厚生省で引き取る意思はないのですか。
  293. 下村健

    ○下村説明員 私どもとしては、そういう状況でございますから、厚生省でできる範囲のことはできるだけ私どものほうで責任をもってやっていきたいというふうに思っておりますが、保険税の問題につきましては先ほど申し上げましたような沿革がございまして、市町村のほうがそれになじんでいる、また市町村のほうの行政機構、人員の配置というものもすべてそれに沿った形で行なわれておりますので、これを直ちに保険料に変更するという急激な変革もなかなか実現しがたい。市町村のほうで実際に現在でも保険税方式がいいという意見がかなり強い、そのような実態がございますのでなかなか変更できないというのが実情でございまして、私どもとしては、また自治省のほうでも、保険税という方式が今日の実態になじんでいるのじゃないかということについては、あまり異論はないのではないかというふうに関係者の間では思っております。
  294. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 そういうのではだめですよ。あなた、もう少しよく聞いてみなさいよ。どこの市町村も、私のところに陳情がたくさん来ますが、全部だめだから国営にしてくれと来るのですよ。なじんでいるどころじゃないのです。困った問題ですよ。このためにほんとうに頭を悩ましているのです。元来、国の事業ですから、だから私はもっともっと金をつぎ込むべきものだと思う。このままで、一般会計から二百九十三億もぶち込んでこうして続けていっても、市町村が困りますよ。自治大臣、どうです、これはひとつ厚生大臣と御折衝して、厚生省に引き取ってもらって、健保と同じように国でやってもらうような考え方はありませんか。
  295. 町村金五

    ○町村国務大臣 かなり制度の根本に触れる改革の御提案でございますが、この点については、私の聞くところによりますれば、関係者の間でもいろいろ検討が行なわれておるようでございます。さらにひとつその検討を深めてもらうようにしていきたい、かように考えます。
  296. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 時間がなくなりましたので総論だけでやめておきますけれども、国保の会計、これは大体頭から赤字になるようにできておるのですよ。これはもう幾らがんばっても赤字になるようにできておるのです。医療費がどんどん上がりますしね。そのほかに、これはいつでもいわれていることですが、病気になる人だけこれに入っておるんですね。金のない、病気になる人だけが入っておる。そうでしょう。頭をかしげたって、そのとおりなんです。大企業に就職している人を見なさい。全部健康診断して、からだの悪い人は大企業に入れてくれないのです。企業はからだの悪い人は全部拒否する。そういう人はどこに行きますか。必ず国保に来るんですよ。病人だけかかえておる。今度は大企業のつとめが終わって定年になった老人、これから病気になりましょうという人は、それだけぽんとほっぽり出されて、みんなここへ入ってくるでしょう。低所得者だけがみんなこれに集中しているのです。いいですか、そういう人だけが国保に入ってくるんだから、それならばそういう保険を救済するために、いまの金じゃなくて、国保に対してもっともっとたくさんつぎ込まなければいけないのです。これは国の責任なんですよ。これを一本にしてもう少し何とか考えれば、こんなに金のかかる所得の低い人だけが国保に集まるはずはないのです。それがもう何でもかんでも国保というものは、所得がなくて、からだの弱い、病気になりそうな人ばかり集まるように制度上できておるのです。だから幾らやってもだめなんですよ。だから、やはりここのところは制度を変えるか、そうでなければこれの救済措置として、少なくとも市町村から繰り入れしなくてもいいぐらいにもつともっとこれに金をつぎ込むべきだと思う。そして市町村はこの国保につぎ込んでいる金をもっと地域の福祉のために使うべきだと思う。そう考えませんか。
  297. 下村健

    ○下村説明員 ただいま申し上げましたように、現状でも三分の二国庫負担というようなことで、国としては医療保険の中ではかなり思い切った国庫負担になっておるわけでございます。しかしながら、おっしゃるように小規模の保険者でありますとか財政力の弱い保険者についてはなお問題があるということは私どもも十分認識しているつもりでございまして、そういうことで昭和四十九年度におきまして三百五十億の国庫負担をそのほかに計上している、こういうかっこうになっておるわけでございますが、老人の問題等おっしゃるような面も確かにございますので、その辺につきましては今後の状況を見きわめながら、厚生省としても十分な努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  298. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 これは四十七年度の、おたくのほうで出したのですが、国保の加入者は約六割が六十万以下の所得なんですね。これは厚生省で出したものです。いまの世の中で六十万というのはほとんど問題にならない数字なんです。そういう人が国保の加入者の中に六割いるんですよ。これで保険財政というものが成り立つはずはないですよ。そして間に合わないから今度は八万円を十二万円に上げる。幾ら上げたって成り立ちませんよ。納めれなくなってしまう。これを根本的にもう少し考えませんと、この次もう一ぺん一点単価が上がったらどうします。また十二万円を十五万円、二十万円ぐらいにしなければいかぬことになるのですよ。もう負担能力がなくなる。そのとき一体どうしますか。これは単に国保だけじゃない。健保の問題もそうですよ。こういう問題というものをもう一ぺん考え直さなければいかぬ時期だと私は思います。いかがですか。
  299. 下村健

    ○下村説明員 医療費だけが所得と離れて非常に高く上がっていくという状況になれば、おっしゃるような事態も起こり得るわけでございますけれども、医療費と所得というのはある程度関係をもって上がっていくわけでございますから、所得の上昇につれてある程度の負担率で保険料が上がっていく。両方がある程度のバランスをもって上がっていく場合には、一方的に保険料だけが過酷になっていくということは起こり得ないというふうに思っているわけでございます。ただいまの六割が六十万円以下というのは、一応ただし書き所得というふうな形で、控除をやったあとの所得でございますので、六十万が全体の総収入であるというようなことではございません。  それと同時に、国保の場合には低所得者に対してかなり広範な、これも保険としては非常に異例なかっこうでございますが、減税制度というのがございまして、約四分の一の対象につきまして、国庫負担によりまして保険料の減額を行っておるわけでございます。そういうふうなことでいろいろ対策は講じているわけでありますが、政府としても、おっしゃるようにいろいろな面でまだまだ問題があるという点についてはよく認識しておるつもりでございますので、財政措置については、今後国保財政が安定できるような形でいろいろな対策を考えてまいりたいというふうに思っています。
  300. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 今度の高額療養費制度から国保と日雇い健保が除かれたでしょう。その理由をちょっと……。
  301. 下村健

    ○下村説明員 高額療養費制度につきましては、政府管掌健康保険のように四十八年の十月から一斉実施という形はとりませんでしたが、やはり同じ時期から国が補助いたしまして、段階的実施ということで着手しているわけでございます。当初は三年程度で実施するということでございましたが、非常に要望が強い、また今日の時世であまり保険者間で給付に差があるというのはぐあいが悪いということで、それを繰り上げまして、四十九年度中にほぼ全保険者が実施できるということに足るだけの財政措置をいたしておるわけでございます。現在の状況からしますと、おそらく四十九年の七月ごろには、全被保険者の八割までがほぼ高額療養費の給付が受けられるようになるだろうというふうな見通しを持っております。
  302. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 いまいろいろ申し上げましたのですけれども、時間がありませんので、最後に要望しておきたいのですけれども、いまの医療制度は、あなたはさっき所得が上がっていけば医療費の負担に耐える、こういうふうなかっこうのことを言われましたね。だけれども私は必ずしもそうではないと思うのです。いまの医師会のやり方を見ていますと、所得関係なく医療費だけがどんどん上がっていく傾向がある。今度の予算を武見予算だと言う人もありますけれども、医療費が三兆円にもなってどんどん上がっていく。それががっぽり全部医師会に入ってくる。われわれは税金で負担してそれをしりぬぐいしておる、こういう酷評をする人さえあるようなんです。私はそういう意味で、療養費の一点単価であるとか、ああいう制度というものをもっと根本的に見直さなければ、幾ら保険税の料率を上げても解決できないと思うのですよ。ああいう乱診乱療のないように、ほんとうに公平な公正な診療ができるように、一点単価制であるとかいろいろなものをもっと根本的に検討する時期ではないか、こう思います。  それからもう一つは、いまのようにどんどん病人が発生したならばそれを見る、こういう治療中心の主義ではだめだと私は思います。どんどん高額の医療患者がふえてくるだけだと思うのです。だから治療中心主義というものを予防中心にもう一ぺん切りかえるべきだ。そして、たとえば、国保でいうならば、予防体制をあれするために保健婦をうんと増員するとか、あるいは被保険者の健康管理体制、こういうものを確立するためにもっと金をつぎ込むとか、こういうふうな、いままでにない、別の、病人を発生さしてから見るんじゃなくて、病人を出さないような方向に金をつぎ込む。これは非常に迂遠な、回り道なようだけれども、私は結果的にはこれが一番早い道だと思います。国保から一番先にこういうものに対して金をひとつ継ぎ足して、そして、いままでの何でもかんでも患者をたくさん発生させて重病人をよけい見てやる、あるいはまた開業医のように重病人は全部病院にまかせて軽症患者を数でこなす、どっちから見てももうどんどん医療費が高騰する、こういうことじゃなくて、できるだけ病人を出さないように、軽いうちに見るように、予防なり健康管理の体制なり、こういうものを築いていかなければ、そのうち保険行政というものは破綻する、こう私は思います。もうそういう時期に来ているんじゃないか。これはどんどん上げればいいといって上げたって、国民はあなたの言われるようにはいきませんよ。そのうち負担に耐えられなくなってくるのです。国保から一番先に破滅しますよ。だからぜひひとつそういうことを考えていただきたい。これは課長からも、それから局長からも大臣からもひとつ御答弁いただきたいと思います。
  303. 下村健

    ○下村説明員 医療費の問題につきましては、おっしゃいますような心配をする見方もあるわけですけれども、これまでのところ、国民総所得に対する医療費の割合、ほぼ四%程度でずっと推移してきておりまして、特に医療費の割合が急上昇しているというふうな事情はいままでのところ出ておりません。ただ医療費のあり方につきましては、私、直接お答えする立場ではないのですけれども、いろいろな審議会等でも先生おっしゃるような御意見もいろいろ出ておりますので、保険局を中心にいたしまして今後ともいろいろ検討を重ねていくことになろうかと思います。  それから二番目の、保健予防対策のようなものを強化すべきだ、これは方向としては一応そういう方向にわれわれのほうも努力しているわけでございまして、先生のおことば、もっとしっかりやれという励ましのおことばとして承らしていただいたわけでございます。国民健康保険の場合に、財政事情等もありましてなかなか思うところまでいかないという面もございますが、私どもとしても大いにそういう面は伸ばしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  304. 首藤堯

    首藤政府委員 国民健康保険が体質的にも非常に脆弱な体質を持っておる会計であり、運営そのほかにつきまして、御指摘のように問題点がいろいろありますことは私どももよくわかっておるわけでございます。御指摘の諸点などにつきましては、今後とも厚生省に十分お願いを申し上げ、また御相談もしながら制度の抜本的改善をはかっていくべきものだ、このように考えておる次第でございます。
  305. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 大臣は何かありませんか。
  306. 町村金五

    ○町村国務大臣 国民健康保険というものの仕組みと申しましょうか、構成が、おっしゃったように比較的所得の低い人が被保険者になっておるというような点があり、したがって国費もかなり他の保険よりは手厚くここに投入をされておるという状態であるにかかわらず、なおかつ赤字が非常に出るということは、確かに、この制度自体について診療報酬の制度とともになお検討をいたしませんと、安定した経営状態になかなかなりかねる面があるのではないか。そういった点を少し総合的に、今後厚生省が中心となって検討を重ねてまいるべきものだ、かように考えておるところであります。
  307. 佐藤敬治

    ○佐藤(敬)委員 終わります。
  308. 中山利生

    ○中山(利)委員長代理 ちょっと速記を待って。   〔速記中止〕
  309. 中山利生

    ○中山(利)委員長代理 速記を再開してください。  次回は、来たる十二日火曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十五分散会