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1974-02-08 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月八日(金曜日)     午後零時三十四分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 中村 弘海君    理事 中山 利生君 理事 村田敬次郎君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君    理事 三谷 秀治君       愛野興一郎君    片岡 清一君       亀山 孝一君    島田 安夫君       渡辺 紘三君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    山田 芳治君       多田 光雄君    小濱 新次君       折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     町村 金五君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       国島 文彦君         警察庁警備局長 山本 鎮彦君         自治政務次官  古屋  亨君         自治大臣官房長 山本  悟君         自治省行政局長 林  忠雄君         消防庁長官  佐々木喜久治君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 委員の異動 昭和四十八年十二月十七日  辞任         補欠選任   小濱 新次君     松尾 信人君 同日  辞任         補欠選任   松尾 信人君     小濱 新次君 同月二十日  辞任         補欠選任   住  栄作君     久野 忠治君   武藤 嘉文君     河野 洋平君   保岡 興治君     有田 喜一君 同日  辞任         補欠選任   有田 喜一君     保岡 興治君   久野 忠治君     住  栄作君   河野 洋平君     武藤 嘉文昭和四十九年一月二十六日  辞任         補欠選任   林  百郎君     谷口善太郎君 同日  辞任         補欠選任   谷口善太郎君     林  百郎君 同月二十八日  辞任         補欠選任   林  百郎君     谷口善太郎君 二月八日  理事林百郎君一月二十六日委員辞任につき、そ  の補欠として三谷秀治君が理事に当選した。     ――――――――――――― 昭和四十九年二月五日  奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特  別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号) 昭和四十八年十二月二十日  交通相談士業務資格認定制度法制化に関す  る請願保利茂君外一名紹介)(第二〇三号)  同(前田正男紹介)(第二〇四号)  同(山崎拓紹介)(第二〇五号)  同(山下元利君外一名紹介)(第二〇六号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第二七七号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第二七八号)  同(臼井莊一君紹介)(第三三七号)  奄美群島経済発展のため大島つむぎの振興に関  する請願宇田國榮紹介)(第二〇七号)  地方交付税率引上げに関する請願宇田國榮  君紹介)(第二〇八号)  地方公務員共済組合における産休補助教員の加  入条件緩和等に関する請願田川誠一紹介)  (第二七九号)  同(伊東正義紹介)(第三三六号)  筑波研究学園都市建設に伴う地方公共団体に対  する財政措置に関する請願赤城宗徳紹介)  (第三八五号) 昭和四十九年一月九日  交通相談士業務資格認定制度法制化に関す  る請願塚原俊郎紹介)(第四三七号)  事業税における事業主報酬制度適用に関する請  願外一件(天野公義紹介)(第四三八号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第五一三号) 同月十七日  公営電気事業助成に関する請願中澤茂一君  紹介)(第七四七号)  同(原茂紹介)(第七六五号)  地方公共団体超過負担解消に関する請願(中  澤茂一紹介)(第七六三号)  同(原茂紹介)(第七六四号)  交通相談士業務資格認定制度法制化に関す  る請願倉成正紹介)(第八二四号)  事業税における事業主報酬制度適用に関する請  願(倉成正紹介)(第八二五号) 同月二十三日  公営電気事業助成に関する請願吉川久衛君  紹介)(第九〇二号)  同(羽田孜紹介)(第九〇三号)  同(井出一太郎紹介)(第一〇四七号)  同(下平正一紹介)(第一〇四八号)  地方公共団体超過負担解消に関する請願(吉  川久衛紹介)(第九〇四号)  同(羽田孜紹介)(第九〇五号)  同(井出一太郎紹介)(第一〇四五号)  同(下平正一紹介)(第一〇四六号) 同月三十日  公営電気事業助成に関する請願中村茂君紹  介)(第一一二三号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一二九三号)  地方公共団体超過負担解消に関する請願(中  村茂紹介)(第一一二四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一二九二号)  自治体病院振興に関する請願唐沢俊二郎君  紹介)(第一二八八号)  同(倉石忠雄紹介)(第一二八九号)  同(中澤茂一紹介)(第一二九〇号)  同(原茂紹介)(第一二九一号) 二月二日  自治体病院振興に関する請願吉川久衛君紹  介)(第一三九八号)  同(小坂善太郎紹介)(第一三九九号)  同(羽田孜紹介)(第一五五一号)  地方公共団体建物入口障害者専用駐車場設  置等に関する請願寺前巖紹介)(第一五四  八号)  宅地に対する固定資産税課税方式改定に関す  る請願外一件(田中榮一紹介)(第一五四九  号)  交通相談士業務資格認定制度法制化に関す  る請願坪川信三紹介)(第一五五〇号)  事業税における事業主報酬制度適用に関する請  願(坪川信三紹介)(第一五五二号) 同月四日  地方公務員退職年金スライド制早期実現に関  する請願田村良平紹介)(第一六四八号)  事業税における事業主報酬制度適用に関する請  願(田村良平紹介)(第一六四九号)  固定資産税軽減に関する請願佐々木良作君  紹介)(第一七二六号)  固定資産税等軽減に関する請願池田禎治君  紹介)(第一七二七号)  同(内海清紹介)(第一七二八号)  同(小沢貞孝紹介)(第一七二九号)  同(竹本孫一紹介)(第一七三〇号)  同(玉置一徳紹介)(第一七三一号)  宅地に対する固定資産税課税方式改定に関す  る請願外一件(田中榮一紹介)(第一七三二  号)  風俗営業等取締法による規制からの自動車旅行  ホテル業除外等に関する請願田村良平君紹  介)(第一八一二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 昭和四十八年十二月十九日  小住宅固定資産税非課税等に関する陳情書  (第  四号)  市財政超過負担解消に関する陳情書外一件  (第五号)  社会福祉等新規地方財政需要に対する財政措置  の強化に関する陳情書  (第六号)  奄美群島振興開発に関する陳情書外十四件  (第七  号)  東京都の固定資産税課徴公平執行に関する陳情  書  (第二一号)  委託殺人等凶悪犯人徹底検挙に関する陳情書  (第二二号)  町の自治会利用上の行政責任に関する陳情書  (第二三号)  公共施設整備費国庫負担率引上げ等に関する陳  情書  (第五八号)  地方財政超過負担解消に関する陳情書外五件  (第五九号)  東京都特別区の区長公選に関する陳情書外十二  件  (第六〇号)  個人住宅固定資産税軽減等に関する陳情書外  二件(第  六一号)  消防体制強化促進に関する陳情書  (第六二号)  交通相談士業務資格認定制度法制化に関する  陳情書  (第六三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特  別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号)  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任の件についておはかりいたします。  去る一月二十六日、理事林百郎君の委員辞任に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行なうのでありますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伊能繁次郎

    伊能委員長 御異議なしと認めます。それでは、委員長は、三谷秀治君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 伊能繁次郎

    伊能委員長 地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  町村国務大臣から、所管行政の当面する諸問題について説明を聴取いたします。町村国務大臣
  5. 町村金五

    町村国務大臣 委員各位には、平素から、地方自治発展のため、また、警察行政格別の御尽力をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。  この機会に、所管行政の当面する諸問題につきまして、所信の一端を申し上げ、各位の深い御理解格別の御協力を賜わりたいと存じます。  まず、地方自治行政について申し上げます。  民主主義地方分権主義を志向する新しい地方自治制度確立されて以来、やがて三十年を迎えんとする今日、地方自治行政も、次第にその基盤充実してまいりました。  地方自治行政の歩みを顧みますとき、戦災復興、六・三制実施などに没頭した戦後の混迷期昭和三十年前後の窮乏に瀕した財政再建時代など幾多の深刻な試練に直面してまいったのでありますが、関係各位の英知と御努力により、また、わが国経済の著しい成長にもささえられて、それらの試練を克服し、今日の地方自治行政の進展を見るに至ったのであります。  しかしながら、「成長から福祉へ」ということばにあらわされるように、経済の急速な成長発展の反面、今日のわが国では、公害自然環境の汚染・破壊、各種社会資本の立ちおくれ、過密過疎など、早急に解決を迫られているもろもろの課題が生じ、さらに昨今は、石油危機も重なって、異常な物価の高騰と生活物資需給関係の不均衡が、国民生活に深刻な不安をもたらすに至っているのであります。  いまや、わが国では、物価の安定と生活物資確保をはかることにより、すみやかに国民生活の安定を実現することが内政当面の最大の課題であります。このため、総需要抑制基調とする財政経済運営と、国民生活安定緊急措置法等生活関連諸法の適正な運用を通じて、全国民がひとしくその早急な実現を希求している物価の安定と物資需給均衡をはかるとともに、その中にあっても、国民福祉向上については特にその充実をはかることが強く要請されるところであります。  このような社会経済情勢の急激な変貌は、地方自治行政をもその圏外に置くものでなく、いまや地方自治行政にとっても重要な転換期を迎えたといい得るのであります。  もとより、地方公共団体は、内政中心的なにない手として、地域住民生活に直結する行政主体であり、多様化する行政需要を的確に把握し、これに迅速かつ適切に対処することにより、住民の信託に十分こたえてまいらなければなりません。したがって、このようなきびしい情勢のもとにおいて、総需要抑制方針に沿いながらも、住民生活の安定と福祉充実を指向し、豊かな住みよい「まちづくり」を推進していく必要があります。  これらの面については、政府としても積極的な行財政措置を講じてまいる所存でありますが、地方公共団体においても、この際、これまでの行財政運営を見直し、従来より以上に長期的な展望に立った計画的運営財政支出重点効率化に徹するとともに、社会経済の変動に伴う新たな行政需要に迅速かつ的確に対処し得る、柔軟にして機動的な行政執行態勢確立が強く望まれるところであります。  今後とも、国、地方がともどもに力を尽くし、この転換期試練を乗り越え、明日の豊かな地方自治確立するため、決意を新たにし、一そう邁進しなければならないと存ずる次第であります。  以下、今後講じようとする施策の概要について申し上げます。  まず、土地対策につきましては、土地が有限であり、かつ、長きにわたって地域住民生活基盤となる資源であることにかんがみ、その適正にして合理的な利用をはかるため、地方公共団体における土地利用計画の策定を積極的に推進し、これに基づく計画的な土地利用規制強化を行なうことが必要であると考えます。あわせて、土地開発基金増額公共用地先行取得債等地方債充実公営企業金融公庫融資ワク拡大等土地取得に必要な資金拡充と、地方公共団体等への土地の譲渡にかかる所得税負担軽減をはかることにより、公有地確保推進してまいる所存であります。  過疎対策につきましては、地域住民が豊かで潤いのある生活を享受できるよう、今後とも、過疎地域生活環境産業基盤等整備に関する総合的、かつ計画的な施策を実施し、住民福祉向上地域格差の是正をはかってまいる所存であります。  社会経済情勢変貌に伴う住民生活圏拡大に即応し、住民の諸要請にこたえ得る適切な行政体制整備するとともに、都市周辺農山漁村の連帯する快適な生活圏形成促進に資するため、引き続き広域市町村圏振興整備をはかるとともに、第十三次地方制度調査会答申趣旨に沿って、一部事務組合制度充実を期してまいりたいと存じます。  また、大都市制度をはじめとする地方制度全般にわたる改善につきましても、さらに調査研究を続けてまいる所存でありますが、当面、第十五次地方制度調査会答申に基づいて、東京都の特別区の区長公選制度中心とする改正を行なうことといたしております。  これらの一部事務組合制度充実及び特別区制度改正、その他当面必要な諸改正を行なうため、地方自治法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたす予定であります。  なお、長年の懸案となっております地方事務官制度につきましては、現在関係省庁との間で鋭意協議を進めている段階でありますが、この協議早期にととのうよう努力をしてまいりたいと考えております。  さらに、市町村のコミュニティーの形成など、住民に密着した生活行政充実にも引き続き格段の配慮をいたしてまいりたいと存じます。  奄美群島振興につきましては、復帰以来、復興振興事業を進めてまいったところでありますが、本土との間に依然として存在している格差を是正し、豊かな地域社会実現をはかるために、法の有効期限を延長して、新たに長期的な振興開発計画を樹立し、これに基づく事業に対して特別の助成措置を講ずるとともに、振興開発基金による融資業務拡大をはかってまいりたいと存じます。また、小笠原諸島復興につきましても、同様の趣旨により、法の有効期限及び復興計画計画期間の延長をはかってまいりたいと存じます。  地方公務員行政につきましては、かねてより公務員秩序確立と公務の公正かつ効率的な遂行につとめてまいったところでありますが、今後ともこの方針に基づき、公務員制度合理化とその適正な運用につとめてまいる所存であります。  昭和四十九年度の地方財政につきましては、最近の経済情勢推移地方財政現状にかんがみ、地方財源確保配慮を加えつつ、国と同一の基調により、総需要抑制に資するため、公共投資をはじめとする歳出を極力圧縮するとともに、財源重点的配分経費支出効率化により、地域住民生活の安定と福祉充実をはかるための施策推進することとし、あわせて、経済情勢推移に応じて地方財政の機動的、弾力的な運用をはかり得るよう措置を講じ、地方財政運営に支障なきを期する所存であります。  そのため、明年度地方財政におきましては、(1) 住民負担軽減合理化地方税源充実強化を進めるとともに、今後の財政事情変化に対応して財政弾力的運用をはかり得るよう所要の措置を講ずること(2) 地方財政状況等を考慮し、地方交付税について、昭和四十九年度の特例として、交付税特別会計における借入金残高に相当する額を減額調整すること(3) 総需要抑制の見地から地方債発行額を極力圧縮するとともに、地方債資金における政府資金構成比率を高める等地方債質的改善をはかること(4) 総需要抑制要請を踏まえつつ、住民生活の安定と住民福祉充実のための施策重点的に推進することとし、地方交付税地方債国庫補助負担金等重点的配分をはかること(5) 病院事業経営現状にかんがみ、不良債務解消のための新たな助成措置を講ずる等地方公営企業経営基盤強化し、その健全化をはかること(6) 財政健全化及び財政秩序確立をはかるため、超過負担解消措置等を講ずること といたしております。  地方税につきましては、生活環境施設整備をはじめとする社会資本充実等地方公共団体における財政需要増高の趨勢に対処するため、地方税源、特に都市税源充実をはかる必要がありますとともに、他方、住民税固定資産税中心とする地方税負担軽減の要望もまた依然として強いものがあります。  明年度におきましては、このような事情にかんがみ、住民負担軽減合理化をはかるため、住民税課税最低限引き上げ事業税事業主控除額引き上げ中小法人に対する事業税軽減税率適用所得の範囲の拡大小規模住宅用地等に対する固定資産税課税標準特例の創設、ガス税税率引き下げ等を行なうとともに、地方税源、特に市町村税源充実をはかるため、市町村民税法人税割り税率引き上げ等を行なってまいりたいと存じております。さらに、地方道路目的財源、特に市町村道路目的財源拡充等をはかるため、自動車取得税税率引き上げるとともに、別途地方道路譲与税及び自動車重量譲与税増額措置を講ずることといたしております。なお、基地交付金及び調整交付金の大幅な増額も行なったところであります。  最近における火災その他の災害は、複雑多様化の様相をますます深めておりますが、特に火災中心として人的被害が増大しておりますことは憂慮にたえません。このような事態に対処するためには、何よりも人命尊重を第一義として、市町村における消防体制整備促進しつつ、地域住民火災予防及び防災に関する意識の高揚につとめ、文字どおり安全なまちづくり推進をはからなければならないと考えます。  まず、全国的な消防及び救急体制につきましては、今後さらに常備化及び広域化推進し、あわせて消防団の一そうの充実、育成をはかるとともに、消防施設につきまして、補助基準額増額人口急増地域に対する補助率引き上げ等助成措置改善によって、その充実強化につとめたいと存じます。  また、大震火災石油コンビナート火災林野火災及び風水害等災害に対処するため、防災無線通信網整備防災資機材備蓄等広域防災行政推進してまいりたいと存じます。  特に、地震対策については、基本的には防災立場からの都市の再開発が必要であると思われますが、とりあえず、地震発生時における初期消火体制避難体制整備住民に対する予防思想啓発等中心とする震災対策を積極的に進めてまいりたいと存じます。  さらに、昨年の熊本市大洋デパート火災にかんがみ、既存の建築物についてもスプリンクラー等消防用設備の設置を義務づけるため、消防法の一部改正案を今国会に提案いたしたいと存じておりますが、この問題は、建物構造自体防災化をはかる建築基準法改正とも深く関連しておりますので、建設大臣と十分協議し、不特定多数の者を収容する建築物については、両々相まって人命安全を確保してまいる所存であります。  なお、これらの施策とあわせて、人づくりの面において、消防職員及び消防団員の資質の向上をはかり、処遇の改善に一そうの努力を傾注してまいる所存であります。  次に、警察行政について申し上げます。  治安確立は、わが国民主政治国民生活の存立と発展基盤をなすものであります。私は、激動と変化時代といわれる七〇年代の社会情勢に的確に対応する警察運営をはかり、引き続きこの基盤確保につとめてまいる所存であります。国民理解協力警察運営に不可欠の要件であり、このためにも、警察が一そう国民に親しまれ、信頼されるよう、警察行政の各分野にわたり、国民立場に立って、きめこまかな対策を講じてまいる所存であります。  最近の犯罪情勢について見ますと、刑法犯発生は逐年減少傾向にありますが、死体を隠蔽する殺人事件石油化学工場爆発事故デパート雑居ビル火災、列車の転覆事故など国民に大きな不安感を与える事件事故発生が目立っており、さらに最近の諸情勢にかんがみ、生活関連物資等をめぐって各種犯罪が多発することが予測されるのであります。  このため、国民生活に不安を与える度合いの強い犯罪に対する捜査活動強化し、公正な社会秩序経済秩序確保につとめてまいる所存であります。  また、暴力団取り締まりについては、最近の社会経済情勢を反映して、暴力団による各種知能暴力事犯の増加が予想されますので、これら暴力団資金獲得活動の実態を十分に掌握し、これに対し先制的取り締まりを実施していくとともに、広域暴力団に対しては、その壊滅のための取り締まりを一段と強化してまいりたいと考えております。  さらに、公害その他国民日常生活を侵害する各種事犯取り締まり強化するとともに、犯罪の温床となる社会環境の浄化、少年非行防止等の諸対策を積極的に推進し、事案未然防止につとめてまいる所存であります。  また、いわゆる石油危機によってもたらされた事態については、主務官庁による行政措置推移を見守りながら、国民生活の安定を確保するという観点から、関係法令の適切な運用につとめ、悪質または重要な事犯重点を指向して取り締まる方針であります。一次に、交通問題でありますが、御承知のように、昨年の交通事故は、関係機関をはじめ国民各層の方々の懸命な努力により、発生件数死傷者数とも大幅に減少し、三年間連続して減少傾向を維持することができました。  しかしながら、死者がいまなお一万四千人をこえており、特に幼児や老人に多くの死傷者を見ておりますことは憂慮にたえないところであります。加えて、都市部における交通混雑交通公害も深刻な問題となっており、情勢はなおきびしいものがあります。  このような情勢に対処するため、警察といたしましては、関係機関と緊密な連絡のもとに、人命尊重を基本として、交通事故の抑止に焦点をしぼり、交通安全施設等整備事業五カ年計画推進歩行者自転車利用者保護のための交通規制強化、街頭における交通指導取り締まり活動活発化運転者教育充実をはかるとともに、国民各層に対する交通安全教育徹底等安全対策を進めるほか、都市交通問題については、自動車交通総量の削減、交通の流れの改善道路利用合理的配分などを目ざした都市総合交通規制推進などの諸施策を講じ、現在要望されている石油消費節減にも資することといたしております。  当面の治安情勢は、きびしい社会情勢を反映して楽観を許さないものがあり、各種大衆紛争やさまざまな違法事案発生するおそれがありますが、こうした情勢に刺激され、極左、極右の両勢力が過激な行動に出ることも予想されているのであります。  警察といたしましては、国民理解協力のもとに、引き続き各般の警戒、警備体制充実強化して、法と秩序を破壊する暴力的行為取り締まりにつとめ、国民生活安全確保に万全を期する所存であります。  以上、警察当面の二、三の問題について申し上げたのでありますが、最近の流動する社会情勢に的確に対処するためには、警察体制充実整備をはかることが急務であります。  このための対策の一環として、昭和四十九年度において、交通警察官、外勤警察官、保安警察官等計四千五百人の増員を行なうこととしたのであります。  また、警察官の資質の向上をはかるため、警察教養を充実強化するとともに、処遇の改善についても格段の努力をしてまいる所存であります。  以上、所管行政の当面の諸問題について所信の一端を申し上げましたが、委員各位格別の御協力によりまして、その実をあげることができますよう、一そうの御鞭撻と御指導をお願い申し上げる次第であります。(拍手)      ————◇—————
  6. 伊能繁次郎

    伊能委員長 次に、内閣提出にかかる奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特措置法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。町村自治大臣。
  7. 町村金五

    町村国務大臣 ただいま議題となりました奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特措置法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  奄美群島につきましては、昭和二十八年の本土復帰以来、復興計画及び振興計画に基づき各般の事業を実施し、これにより群島の基盤整備と主要産業の振興をはかってまいったところであります。  しかしながら、奄美群島をめぐる諸条件は依然としてきびしく、住民生活水準はなお本土との間に相当の格差があります。今後、国土の均衡ある発展と地域の特性に応じた開発推進するためにも、奄美群島の特性と発展可能性を生かし、積極的な社会開発と産業振興を進める必要があります。このような見地から、新たに総合的な振興開発計画を策定し、これに基づく事業推進する等の特別措置を引き続き講ずる必要があると存ずるのであります。  また、小笠原諸島につきましては、昭和四十三年の本土復帰以来、復興計画に基づき事業を実施してまいったところでありますが、同諸島がきわめて隔絶した外海離島であり、台風、季節風も多く、輸送力、労働力も不足し、工事用水にも事欠いた等の同諸島の特殊事情のため、計画の実施がおくれており、また、これに伴い旧島民の帰島も計画を大幅に下回っております。さらに、計画策定後の社会経済情勢変化に対応するためにも、復興計画計画期間を延長し、これに基づく事業を引き続き推進してまいる必要があると存ずるのであります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  まず、奄美群島振興特別措置法の一部改正につきましては、第一に、題名を奄美群島振興開発特別措置法に改め、目的について規定の整備を行なうとともに、法律の有効期限昭和五十四年三月三十一日まで延長することといたしております。  第二には、新たに昭和四十九年度を初年度として五カ年にわたる振興開発計画を策定することとし、その内容について所要の規定の整備をはかっております。  第三に、振興開発計画に基づく事業に要する経費について、国の負担または補助の特例の規定を整備し、国の負担または補助の割合について必要な改正を行なっております。  第四に、奄美群島振興審議会及び奄美群島振興信用基金の名称を、それぞれ奄美群島振興開発審議会及び奄美群島振興開発基金に改め、かつ、同基金の業務内容について、融資対象事業拡大をはかる等の整備を行なっております。  次に、小笠原諸島復興特措置法の一部改正につきましては、復興計画計画期間を十カ年とするとともに、この法律の有効期限昭和五十四年三月三十一日まで延長することといたしております。  以上が、奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島復興特措置法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  8. 伊能繁次郎

    伊能委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。      ————◇—————
  9. 伊能繁次郎

    伊能委員長 引き続きまして、地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  この際、昭和四十九年度自治省関係予算の概要について説明を聴取いたします。山本官房長。
  10. 山本悟

    山本(悟)政府委員 昭和四十九年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、一般会計予算でありますが、歳入は三千四百万円、歳出は三兆五千七十六億七千百万円を計上しております。  歳出予算額は、前年度の予算額三兆三千百十六億七千三百万円と比較し、一千九百五十九億九千八百万円の増額となっております。  また、この歳出予算額の組織別の額を申し上げますと、自治本省三兆五千六億五千六百万円、消防庁七十億一千五百万円となっております。  以下、この歳出予算額のうち、おもな事項につきまして内容の御説明を申し上げます。  最初に、自治本省につきまして御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費でありますが、このうち、前年度の例により算定した額として三兆三千八百二十二億八千七百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和四十九年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額に、昭和四十七年度の地方交付税に相当する金額のうち未繰り入れ額一千六百七十二億七百万円を加えた額から、昭和四十九年度の特例として一千六百七十九億六千万円を差し引いた金額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるために必要な経費であります。  次に、臨時沖繩特別交付金の繰り入れに必要な経費でありますが、三百二十一億円であります。  この経費は、沖繩県及び同市町村に交付する必要があると見込まれる地方交付税交付金の財源の一部の交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに必要な経費であります。  次に、広域市町村圏振興整備促進に必要な経費でありますが、その額は十一億二百万円であります。  この経費は、広域市町村圏振興整備促進するため、広域市町村圏振興整備計画に基づく広域市町村圏振興整備事業及び今後の広域市町村行政のあり方を研究するため、広域市町村圏振興整備構想の研究に要する経費について、補助するために必要な経費であります。  次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、五億九千八百万円を計上いたしております。  この経費は、選挙が明るく正しく行なわれるよう、選挙人の政治常識の向上をはかるための選挙に関する常時啓発に要する経費について、地方公共団体に対し補助する等のために必要な経費であります。  次に、参議院議員通常選挙に必要な経費でありますが、百十七億九千二百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和四十九年度に執行を予定される参議院議員の通常選挙の執行に必要な経費、通常選挙の開票速報に必要な経費及び通常選挙が明るく正しく行なわれるよう選挙人に対する啓発を推進するために必要な経費であります。  次に、交通安全対策特別交付金に必要な経費として四百七億七千八百万円を計上いたしております。  この経費は、交通安全対策の一環として、反則金収入に相当する金額を道路交通安全施設に要する費用に充てるため、都道府県及び市町村に対し交付するために必要な経費であります。  次に、小災害地方債の元利補給に必要な経費でありますが、七億六千四百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和三十九年以降昭和四十八年までに発生した公共土木施設及び農地等の小災害にかかる地方債に対する昭和四十九年度分の元利償還金の一部に相当する金額を地方公共団体に交付するために必要な経費であります。  次に、新産業都市等建設事業債調整分の利子補給に必要な経費につきましては、四十七億二千八百万円を計上いたしております。  これは、新産業都市、工業整備特別地域等の建設、整備促進をはかるため、建設事業債の特別調整分について利子補給金を交付するために必要な経費であります。  次に、児童生徒急増市村町公立文教施設整備事業助成に必要な経費でありますが、五億八千六百万円を計上いたしております。  これは、昭和四十五年五月一日現在の児童生徒急増市村町において昭和四十年度から昭和四十五年度までに公立の小学校及び中学校の校地の取得のために起こした地方債並びに昭和四十六年度においてこれらの学校の校地の取得のため地方開発公社等に対して負った債務の未償還残高相当額について起こした地方債の利子の一部に相当する額について、当該市村町に対し助成金を交付するために必要な経費であります。  次に、地方公営企業再建債の利子補給に必要な経費でありますが、五十五億一千三百万円を計上いたしております。  これは、地方公営企業の再建を促進するため、再建企業を経営する地方公共団体が起こす再建債について利子補給金を交付するために必要な経費であります。  次に、再建公営路面交通事業のバス購入費の補助に必要な経費でありますが、十四億円を計上いたしております。  これは、再建を行なう公営路面交通事業経営する地方公共団体に対する当該事業のバス購入費の補助に必要な経費であります。  次に、公営企業金融公庫の補給金に必要な経費でありますが、十億九千八百万円を計上いたしております。  これは、公営企業金融公庫の水道事業、下水道事業、工業用水道事業交通事業、市場事業、電気事業及びガス事業にかかる貸し付け利率の引き下げのための補給金を同公庫に交付するために必要な経費であります。  なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費五億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。  次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、五十三億一千三百万円を計上いたしております。  これは、昭和四十六年度末における公営地下高速鉄道事業債にかかる支払い利子に相当するものとして発行を認める企業債の利子相当額について、地方公共団体助成金を交付するために必要な経費であります。  次に、公営病院事業助成に必要な経費として四億六千七百万円を計上いたしております。  この経費は、昭和四十八年度末における公営病院事業の不良債務の範囲内で発行を認める公立病院特例債の利子について、地方公共団体に対し、助成金を交付するために必要な経費であります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費につきましては七十一億円を計上いたしております。  これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金を交付するために必要な経費であります。  次に、施設等所在市町村調整交付金でありますが、二十七億円を計上いたしております。  この経費は、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するために必要な経費であります。  以上が自治本省についてであります。  次に、消防庁につきましては、消防施設整備費補助に必要な経費五十一億三千四百万円、大震火災対策に必要な経費十億二千百万円、計六十一億五千五百万円を計上いたしております。  これは、地方公共団体が行なう消防ポンプ自動車、防火水槽等の消防施設、救急業務施設、防災資機材施設、消防防災無線通信施設及び消防吏員待機宿舎の整備に対する補助並びに耐震性防火水槽、避難誘導用テレビ電送システム、地域防災センター等、大都市における大震対策用施設の整備に対する補助、飛行艇による空中消火の実験及び防災知識の啓発宣伝に必要な経費であります。  第二に、特別会計予算につきまして御説明を申し上げます。  自治省関係の特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計がありまして、この特別会計の歳入歳出予定額は三兆七千九百九十二億七千万円となっております。  歳入は、地方交付税交付金、臨時沖繩特別交付金及び借り入れ金等利子の財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額、地方道路税の収入見込み額、石油ガス税の収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税の収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税の収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、地方交付税交付金、地方譲与税譲与金及び借り入れ金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。  以上、昭和四十九年度の自治省関係の一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げました。  何とぞよろしくお願い申し上げます。
  11. 伊能繁次郎

    伊能委員長 次に、昭和四十九年度の警察庁関係予算の概要について説明を聴取いたします。国島官房長。
  12. 国島文彦

    ○国島政府委員 昭和四十九年度の警察庁関係予算案につきまして概要を御説明申し上げます。  昭和四十九年度の警察庁予算の総額は七百四十八億三千九百七十五万七千円でありまして、前年度の補正後予算額六百七十七億四千六百十七万一千円に比較しまして七十億九千三百五十八万六千円の増額となっております。  次にその内容のおもなものにつきまして御説明いたします。  第一は、警察庁一般行政に必要な経費二百五十一億七千五百二十二万円であります。  この経費は、警察庁、警察大学校及び地方機関の職員並びに都道府県警察の警視正以上の警察官の職員俸給等の人件費、運転者管理センターその他のために設置の電子計算組織の運用に必要な電子計算機の借料と、それに付随する消耗品購入費等のほか、警察庁、警察大学校及び地方機関の一般事務費と、都道府県警察官四千五百人増員に必要な教養経費等でございます。  第二は、警察機動力の整備に必要な経費八十三億三千六十三万五千円であります。  この経費は、ヘリコプター、警察用車両の購入、警察用舟艇の建造、警察装備品の整備及び警察通信施設の整備並びにその維持管理等の経費でございます。  第三は、警察教養に必要な経費十億八千百四十一万二千円であります。  この経費は、警察学校入校生の旅費と警察学校における教養のため講師謝金、教材の整備等でございます。  第四は、刑事警察に必要な経費四億八千八十三万円であります。  この経費は、暴力団犯罪及び一般の刑法犯の捜査、取り締まり並びに犯罪鑑識に必要な写真機、法医理化学器材等の整備費、消耗品費、死体の検案解剖の経費のほか、犯罪統計の事務等に必要な経費であります。  第五は、保安警察に必要な経費二千五十七万三千円であります。  この経費は、青少年の非行化防止、風俗取り締まり、麻薬、密貿易、拳銃等に関する犯罪の捜査、取り締まり等に必要な資料の印刷費、翻訳料等と、公害事犯取り締まりに必要な鑑定謝金などでございます。  第六は、交通警察に必要な経費六千八百八十九万七千円であります。  この経費は、交通安全に関する広報、交通事故白書、執務資料等の印刷費及び交通取り締まりの指導のための旅費、物件費などでございます。  第七は、警備警察に必要な経費三億四千六百四十八万三千円であります。  この経費は、警備警察運営に関する会議、指導連絡等の旅費及び備品類の整備と消耗品等の物件費などでございます。  第八は、警察活動に必要な経費八十八億一千六百三十九万円であります。  この経費の内容は、警察活動に必要な旅費及び捜査費でございます。  第九は、警察電話専用回線の維持に必要な経費十六億五千五百八十六万四千円であります。  この経費は、警察電話専用回線を維持するために日本電信電話公社に支払う、いわゆる警察電話専用料金でございます。  第十は、参議院議員通常選挙の取り締まりに必要な経費一億二千万九千円であります。  この経費は、昭和四十九年七月任期満了に伴う参議院議員通常選挙の取り締まりのための旅費及び物件費などでございます。  第十一は、科学警察研究所に必要な経費四億三千二百二十四万九千円であります。  この経費は、警察庁の付属機関として設置されています科学警察研究所職員の俸給等人件費と、鑑定、検査、研究に必要な機械、器具類の購入費、維持費その他一般事務経費でございます。  第十二は、皇宮警察本部に必要な経費二十二億二千四十四万九千円であります。  この経費は、皇宮警察本部職員の俸給等人件費のほか、行幸啓の警衛に必要な旅費その他一般事務経費でございます。  第十三は、警察施設の整備に必要な経費三十億五千七百十万一千円であります。  この経費は、直接国庫の支弁対象となっております施設の整備に必要な経費でありまして、具体的には、警察学校及び射撃場その他施設の整備費でございます。  第十四は、都道府県警察費補助に必要な経費二百三十億三千三百六十四万五千円であります。  この経費は、一般の犯罪捜査、交通指導取り締まり、外勤警察活動、防犯活動等都道府県警察の一般行政に必要な経費と、駐在所、派出所、警察署、待機宿舎及び交通安全施設などの整備に必要な経費に対する補助金でございまして、そのおもなものは次のとおりであります。  まず、都道府県警察一般行政費補助金は百二億三千五十六万四千円でありますが、これは、ヘリコプター、車両、舟艇の燃料費、修繕料等維持費十八億三千九百七十二万一千円、交通取り締まり器材、事故処理器材の整備交通関係経費二億七千六百八十三万三千円、警察署、派出所、駐在所の電話専用料金十四億二千四百万六千円、活動経費二十七億二千四百五十五万六千円、超過勤務手当三十億三千三百四十八万七千円などであります。  次に、都道府県警察施設整備補助金は百二十八億三百八万一千円でありますが、その内訳は、警察本部、警察署、派出所、駐在所の施設整備補助金二十六億七千百七万一千円、警察官待機宿舎の整備補助金十二億一千二百一万円、交通安全施設の整備補助金八十九億二千万円でございます。  以上、昭和四十九年度の警察庁予算に計上いたしました内容につきまして、その概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。     —————————————
  13. 伊能繁次郎

    伊能委員長 この際、去る一月三十一日に発生したシンガポール、シェル製油所爆破事件及び二月六日の在クウェート日本大使館占拠事件の概要について、警察庁から報告を求めます。山本警備局長。
  14. 山本鎮彦

    山本(鎮)政府委員 それでは、シンガポールのシェル製油所爆破事件の概要、警察措置、捜査状況等について御報告いたしたいと思います。  事案は、一月三十一日の午前十一時四十五分ごろ、赤軍派と名のる日本人を含む四人が、シンガポール南西約十キロメートルのブクム島にあるシェル石油製油所の石油貯蔵タンクを三基爆破して、同石油の現地職員五人を人質に、製油所のフェリー、ラジュ号、これを奪って逃走をはかり、シンガポール警察船に阻止されるや、現地日本大使館を通じて、シンガポール以外の安全な場所に脱出するための飛行機を準備すること、魚本大使が女性秘書一人を伴って人質となること、波止場から空港までの車を準備すること、こういう要求をするという事案発生をいたしまして、同日の午後三時五十五分、外務省を通じて本事件の連絡が警察庁にございました。  そこで、警察庁としては、直ちにシンガポール・シェル製油所爆破事件対策室、これを設置いたしまして、全国都道府県警察に対し、空港、関係外国公館等、さらにシェル石油の国内施設をはじめとする石油基地、事務所、これの警戒警備の強化を指示いたしまして、二月一日には、事案処理の円滑化をはかるため、佐々外事課長、大高警視庁警備部参事官を現地に派遣する一方、本件に関しまする事件処理を警視庁に担当せしめ、現在同庁では、関係府県と連絡を保ちながら、強盗罪、逮捕監禁罪、これの国外犯の容疑あるものとして鋭意捜査を進めております。  その後のシンガポールにおける状況として、海上にありました本犯人たちは、シンガポール警察警察船の監視下に置かれ、その後、シンガポール政府、日本大使館の説得にもかかわらず、人質をたてに銃器をかまえてこの要求の実現を固執いたしまして、二月二日にはシンガポール政府の内務次官が、ラジュ号でシンガポール領海を離れることを認めるという提案はいかがかということに対しても、これを拒否しておりましたが、事件発生から六日目の二月六日午後、シンガポール政府の、シンガポールにある各国の大公使館のいずれかを選んで一時亡命し、出国する、こういう新たな提案に対して、北朝鮮公館と接触したいという回答をしてまいりました。  このため、シンガポール政府では直ちに北朝鮮の総領事館にこの旨を連絡をしたところ、総領事が帰国しているということなどでなかなか進展を見ないでいたところ、同日の午前十一時四十三分ごろ、在クウェートの日本大使館がパレスチナゲリラと名のる複数の犯人に占拠され、石川大使以下館員等を人質に、外務省に対し、航空機を用意し、シンガポールの犯人四人をクウェートに送ること、一時間以内に公の命令を発しなければ人質を殺す、こういうことを電話で直接連絡してくるという事案が新たに発生したわけでございます。この要求をのんだ日本政府が、翌七日午前三時五分、日航機をシンガポールに差し向け、同八時二十五分シンガポール空港に到着して、この日航機が、人質を釈放した犯人四人を乗せ、八日午前一時二十六分シンガポールを出てクウェートに向かったというのが事実関係でございます。  これの捜査の状況でございますが、日本人犯人二人ということで、これが日本赤軍を名のっているということから、海外渡航中とか所在不明になっている極左暴力集団の関係者を重点にその割り出しに努力をしているところでございますが、現在まで犯人の氏名などの身元はわかっておりません。なお、現地からの日本人犯人の内容として、二人の人相、特徴、これが通報されてきております。写真も送付されてきておりますので、これらをもとに写真面割り、聞き込み捜査を行なっておる段階でございます。  それから、関係場所の捜索、差し押え状況といたしまして、警視庁では、二月六日、東京都内の国際電信電話株式会社、及び大阪府警に捜査方を委嘱して、機関紙「新左翼」を発行してPFLPやアラブゲリラの記事をたびたび掲載しております大阪の新左翼社を捜索し、新左翼社からPFLP機関紙等二十九点を押収いたしております。これは、二月六日、新左翼社関係者が、同社において本事件に関する日本赤軍とPFLPの共同宣言が国際電話で入ったといって、その内容を発表したために、本事件発生直後における犯人からの、今次行動に関する目的は間もなくPFLP及び日本赤軍から発表される、これの言動とあわせて本事件との関係が認められたもので、捜索を実施したわけでございます。  それからさらに二月二日、やはり上記新左翼社の関連場所として東京の新左翼社の支局、それから国際電電の東京の電話局を捜索いたすとともに、二月一日都内で、一月三十一日製油所爆破闘争万歳と題する本事件支持のビラをまいた東京の世界革命戦線情報センター、その関連場所二カ所を捜索し、あわせてビラ、メモ等五点を押収いたしております。  その他極左関係者の動向といたしましては、二月一日に都内で、世界革命戦線情報センターの名前での本闘争を支持するビラがまかれました。それから大阪における新左翼社における記者会見についての共同声明も伝えられておりますが、これも同様、やはり連帯の内容をうたっております。さらに二月一日、二日、四日の三回にわたって、京都大学に同学会及び5・3〇Fという名前による立て看板が掲出されております。その内容はやはり同様、今製油所の爆砕闘争を支持するという内容の檄文でございますが、こまかくなりますので省略をいたします。  それから次にクウェートの日本大使館占拠事件の件でございますが、これは二月六日午前十一時四十三分ごろ、拳銃、手りゅう弾等で武装したパレスチナ解放人民戦線、いわゆるPFLP、それから被占領地の息子たちの組織、SOLO、それから日本赤軍、これを自称する四人がクウェート国に所在する日本大使館に侵入して、館内で執務中の館員及び在室中の在留邦人、現地職員ら十六人を人質にして占拠するという事件発生したわけでございます。  これらの犯人は、外務省を通じて日本に対して、シンガポールにいる四人の仲間と人質を乗せた航空機を直ちにクウェートに送ること、この命令を一時間以内になさなければ人質の大使館員を処刑することを通告するとともに、人質全員を一室に監禁した上、日本政府及びクウェート政府との交渉を始めました。  外務省を通じて私どもも本事件を認知して、直ちに警視庁に対しては、クウェート大使館をはじめアラブ関係八カ国の大使館等の警戒警備の強化を、また全国都道府県警察には空港、外国公館、石油基地等の関係対象の警戒警備の強化を重ねて指示いたしますとともに、政府決定に基づく日航機派遣に伴う関係者留守宅等に対しても警戒警備の強化措置をとらせました。また七日には警察庁次長通達を発しまして、連鎖反応を起こしやすいこの種事件と、きびしい国内情勢に誘発される突発事案発生を未然に防止するため、各府県警察警察活動を徹底強化するように、こういう指示をいたしております。  一方、これらの犯人の要求を受け入れられました日本政府は、日航特別機を派遣するということで犯人らに通知をするとともに、クウェート政府及びシンガポール政府に対しても協力方を要請したわけでございますが、最初クウェート政府は日航機のクウェート乗り入れに難色を示したわけでございますが、結局乗り入れを認めるということになりまして、日航機は、先ほどお話しいたしましたような時間、シンガポールを経由して、シンガポールの犯人たちを乗せてクウェートに向かいまして、特別機はけさ午前五時五十九分、日本時間では午前十一時五十五分クウェートに到着をしたわけでございます。  警察庁といたしましては、さきに発生しましたシンガポール事件とあわせて本件についても捜査を進めるつもりでございますが、いまのところ犯人を特定するに至っておりませんし、日本人がおるかどうかもはっきりいたしておりませんので、これからの状況の推移を見守ることにいたしております。  この件についての国内での反響は、二月七日、やはり京大の時計台の前に5・30Fの立て看板で本事件への共闘をうたった看板が出ているほか特別の反応は認められません。  以上でございます。
  15. 伊能繁次郎

    伊能委員長 次回は、来たる十四日木曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十八分散会