○林(百)
委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、
昭和四十八
年度分の
地方交付税の
特例に関する
法律案、議題になっております本法案に反対の討論を行ないます。
その第一点は、
地方交付税の
総額についてでありますが、本法案によりますと、
補正予算によって当然
地方自治体に全額交付されなければならない
地方交付税増額分の四千二百四十億円を二千二百四十四億円に減額しておることであります。すなわち、資金運用部資金への繰り上げ償還、また当初借り入れ金の取りやめによって減額をしておるということであります。
わが党の三谷
委員も強調しておりましたように、インフレ等によって
地方自治体の
財政負担が急増している今日、来
年度以降の
財源難あるいは総需要の
抑制などを理由とする
地方財源の減額は、今日許されるべきものではありません。しかも、
地方交付税法の第六条第一項には、言うまでもなく、「
所得税、
法人税及び酒税の
収入額のそれぞれ百分の三十二をもつと
交付税とする。」ということが定められておるところであります。この
交付税額について明確に法律で規定されている分、すなわち
地方自治体の当然の権利とされておるものを、国の都合によって削減をするということは許されないところであります。これは
地方の自主
財源である
交付税に対して、国の都合によってその
総額に調整を加えるということであって、これは厳に禁じられなければならないところであります。
地方自主
財源の国による規制、
抑制を許すような本法案は
地方自治の本旨を侵すものであって、これは憲法で規定されている
地方自治の
自治権を
財政的に侵すといっても過言でないと思います。そのような意味において、われわれはこれに賛成することができません。
これが第一点であります。
第二点は、単位費用の改正についてであります。
本法案は、
生活保護基準の
引き上げ、文教、社会福祉施設の補助単価
引き上げに見合って単位費用の改正をはかることとしております。しかし今日、
地方自治体の
公共事業契約単価は、
年度当初に比べまして四〇%、あるいはものによっては一〇〇%という異常な高騰を示しております。したがって、契約の不調が続出しておる実情であります。入札にかけても応札する者がないというような状態で、
事業の執行が非常な困難を来たしておる状態でございます。この現状に対して今回の改正はきわめて不十分なものであり、
地方自治体が直面しておる
危機を決して解決するものではありません。
今日の異常な
物価騰貴は、言うまでもなく
地方自治体の全
公共事業、すべての維持運営費に重大な
影響を与えております。したがって、すべての必要な費目についてもう一度、実情に見合った補助単価の
引き上げを
交付税単位費用の
引き上げとしてはかられるべきものであります。また、公共用地の取得については、すでに他の党からの主張もありますように、これは
交付税に算入するというたてまえを当然とるべきものと
考えております。
これが本法案に反対する第二の点であります。
第三点といたしましては、給与改定
財源措置についてであります。
今日のインフレ下にあって、
政府は、国家公務員、
地方公務員労働者の給与改善のために、真に責任のある
検討をすべきであります。その上に立って、
地方公務員給与の改定
財源について十分な額の
交付税の
配分をはからなければなりません。本法案による給与
財源措置は、今日の
地方公務員の
生活の実態からしてきわめて不十分といわざるを得ません。
しかも、山田
委員からの主張もありましたように、今回の
措置は、公務員給与改定費のために、維持管理費を
中心とする二百五十億円にのぼる節約分というものを見込んでいるのであります。これは、今日の
事態のもとで、たださえ
財政的に困難を来たしておる
地方自治体に対して、経費の大幅な増額が追られている、このような状態のもとで、むしろこれを一そう圧追することになるものでありまして、とうてい賛成するわけにはいきません。
以上が反対の第三点であります。
最後に、長年にわたる
政府・自民党の外交の失政による石油輸入の削減、エネルギー
政策の失敗、また大企業本位の
高度経済成長政策の強行、さらに列島改造構想の推進等によって引き起こされた今日の異常なインフレ等に対して、
政府の責任はまことに重大であると
考えざるを得ません。その責任を
地方自治体、地域
住民に転嫁することは絶対許されないはずであります。
地方自治体の多くの
行政は本来
国民生活に
直結するものであり、地域
住民の福祉と密接な
関係を持つものであります。そのような
地方自治体の
事業の圧縮、繰り延べは、
国民生活、ことに福祉
行政等、地域
住民の切実な要求をじゅうりんするものであり、重大な
影響を及ぼすものといわざるを得ません。
わが党は、今日の
事態にあたって、必要な補助単価の大幅な
引き上げとともに、
地方交付税の基準
財政需要額算定を実情に見合った適正なものとすること、また
地方自治体に対する緊急の
財政援助を行なうこと、また石油、建材など、
政府の責任によって
地方自治体が確保することのできないような資材に対しては、
地方行政上緊急に必要な物資でありますので、これは国によりて確保、提供を行なうようにされたいこと、また、附帯決議(案)にもありますように、市
町村道整備のための道路目的
財源につきましては、これは大衆課税の強化の
方向に向かうのではなくして、この
配分を強化することによって
地方財政の
財源を確保する方途を求めているわけでございます。
さらに、
地方財政に対して、四党共同提案によります
昭和四十八
年度補正予算組みかえ動議の中にある条項でありますが、そのことをあわせて申し上げておきたいと思います。
すなわち、大筋としては、勤労者に対して
年度内でも直ちに
減税を実施して、一方、大企業に対しては臨時の法人利得税を課する、こういうたてまえのもとで、第一には、
交付税における
昭和四十九
年度以降償還金の繰り上げ償還をやめて、
地方交付税法の定めるところに従って、
総額を
地方自治体に交付すること。第二は、実勢に見合った単位費用を
財政需要額として改定を行なうこと。第三には、
地方一般財源が負担をしいられておる超過負担の解消を目ざして、とりあえずこの
補正予算でも直ちに一千七十三億円を
地方一般財源として
地方自治体に返還すること。
以上は、四党の
補正予算組みかえ動議の中に組み込まれておる
地方財政に対する要求でありますが、念のためにこれを申し上げた次第でございます。
以上、緊急にとるべき
地方財政対策の実行を強く要求いたしまして、本法案に対するわが党の反対の討論といたします。(拍手)