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1973-12-17 第72回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十七日(月曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 小山 省二君 理事 中村 弘海君    理事 中山 利生君 理事 村田敬次郎君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君    理事 林  百郎君       愛野興一郎君    片岡 清一君       亀山 孝一君    小泉純一郎君       近藤 鉄雄君    島田 安夫君       住  栄作君    永山 忠則君       前田治一郎君    武藤 嘉文君       保岡 興治君    渡辺 紘三君       井岡 大治君    小川 省吾君       山田 芳治君    三谷 秀治君       小川新一郎君    小濱 新次君       小沢 貞孝君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 町村 金五君  出席政府委員         自治政務次官  古屋  亨君         自治省財政局長 松浦  功君  委員外出席者         経済企画庁長官         官房参事官   岩田 幸基君         大蔵省主計局主         計官      名本 公洲君         大蔵省主税局税         制第三課長   西野 襄一君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       西崎 清久君         厚生省医務局指         導助成課長   木戸  脩君         建設大臣官房技         術参事官    宮崎  明君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 十二月十七日  辞任         補欠選任   木村武千代君     小泉純一郎君   島田 安夫君     近藤 鉄雄君   折小野良一君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   小泉純一郎君     木村武千代君   近藤 鉄雄君     島田 安夫君   小沢 貞孝君     折小野良一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度分地方交付税特例に関する  法律案内閣提出第一号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる昭和四十八年度分地方交付税特例に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。小川新一郎君。
  3. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、本法案に関して大臣並びに関係局長に若干の質問をいたすわけですが、最初に、田中総理国会冒頭所信表明演説わが国転換期を強調しておりますが、しかしこの国会のどこに転換期にふさわしい意気込みが示されているかということを、与野党をも含めて国会審議批判が各新聞に出ております。それに対して私たちも意見がございますが、批判批判として謙虚に受けていく姿勢として私は大事だと思います。その中の、非常事態認識と、それへの取り組み姿勢が不徹底のように思われるとの、この国民批判に対して、大臣はどのようにそれに対して受けとめていくのか。また、この新しい転換ということは、地方行政立場からいっても、三割自治体、一割自治といわれるような財政行政の面から大きく転換をしなければならない年を来年は迎えるのではないか。そういう立場に立って、総理とは別の立場から、高度経済成長政策とか、安定政策とか、人間性中心にした政策とか、こういう大きな問題とは別に、地方行政転換とは一体何をさすのか。地方行財政転換とはどういうものを具体的に大臣としてはお考えになっていらっしゃるのか。この転換に対する国民批判に対して、地方行政立場からひとつお答えをいただきたいと思います。
  4. 町村金五

    町村国務大臣 たいへんむずかしいお尋ねでございます。私どもも、今日のわが国の内外の情勢、きわめて重大な情勢であるというふうに判断をいたしておるわけでございます。したがって、今後における地方行財政もそういった面からの影響を当然受けざるを得ないということは申すまでもない、かように考えておる次第でございます。ことに、石油危機に端を発しましたわが国経済への深刻な影響というものは、今後わが国自体成長の上にも重大な影響をもたらしてくることは必至でございまして、かりに高度経済成長政策をとりたいと考えたって、とうていそれは私は許される情勢のものではない。いわゆる安定成長ということさえも、場合によってはこれを期待することに当面はかなりの困難があるのではないか。そういった情勢の中にありまして、今後の地方行政というものは非常なきびしい困難な情勢に立たされるものと、私はかように考えざるを得ません。  したがって、明年のたとえば地方財政におきまする収入というものを考えてみまする場合に、本年の経済情勢から見まして、少なくとも明年後半までは、まだ相当税収入というようなものは今日の情勢から期待ができるようでございますけれども、後半以降になりますると、経済のそういった後退と申しましょうか、これからくる税収入減等国税地方税を通じてともに相当に起こってまいるのではないかというようなことも懸念をされるわけでございまして、したがって、国自体は、御承知のように明年の予算編成に際しましては、いわゆる総需要抑制の見地から公共事業等については相当の縮減をどうしてもやらざるを得ない。いわゆる高物価抑制いたしまするためには、そういった諸般対策というものを当然やらざるを得ない。それが地方財政に、あるいは地方行政に重大な影響をもたらすことは必至でございます。  ただ、私が申し上げるまでもなく、今日、地方団体といたしましては、住民生活直結をいたしましていろいろ緊急にやらなければならない問題が数多く山積しておるわけでございますので、そういった問題と、だんだん窮迫してまいっておりまする地方財政収入との関係において、これをどうこれから処理をしてまいるかということが今後の重大な課題に相なってくる、かように存じまするが、私どもといたしましては、この高物価抑制するという至上命令の前にはできる限りのこれは努力をいたすべきだ、こう考えておりまするので、そういった立場から、今後地方財政の面におきましてもこれを節約のできるものはできるだけこれを後年に延ばす。しかし、どうしてもやらなければならないというものは、その間にあってぜひこれを実現に移せるような予算措置等についても十分配慮してまいるというようなことを当面考えている次第でございます。
  5. 小川新一郎

    小川(新)委員 それはもう、転換といっても政府のあてがいぶちの転換であって、私が聞いているのは、現在までの地方行財政仕組みを、地方中心にいくところの転換に、ここで、はかれるのかどうか、こういう国の大きな転換期に差しかかった時点に際して、自治大臣のとり得る決意というものを聞きたいのであって、国から割り当てられた総需要抑制地方自治体がいかに消化するかということは転換でも何でもないです。これはあたりまえのことをあたりまえに受けることであります。大臣はもう長い間北海道の知事をやられて、現地の立場をよく知っていらっしゃる方として私は聞いているのです。いままでの大臣と違ったニュアンスが出なければ、この転換期というものをただことばの上だけで受けとめることになりますので、さっき言った地方交付税配分率とか交付金配分率とか、また行政仕組みをどう変えていくんだとか、こういう問題を私は聞きたかったのです。いままでのことでは何にも転換じゃない。あたりまえのことをあたりまえに、どう消化するかということをきゅうきゅうと研究するにすぎないと思うのです。ここでその点の何らかの新しいニュアンスというものは出せないのですか。
  6. 町村金五

    町村国務大臣 いまあらためて申し上げるまでもございませんけれども、大体、明年の地方財政情勢が一体どういうふうになるかということにつきましての私ども自身検討もまだはなはだ不十分でございます。したがって、いま確たることを申し上げることができないわけでございますが、いま小川委員も御指摘になりますように、私どもといたしましては、申し上げるまでもなく、自治省立場として、当然、地方行財政が、この困難な客観情勢の中にあって、できるだけその本来の使命が達成できるようなぐあいに、十分配慮しながら協力をしてまいるというのが私ども立場でございます。そういった点を念頭に置きながら、今後十分その点には配意しながら努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  7. 小川新一郎

    小川(新)委員 いつもそこの辺でお茶が濁っちゃうのです。時間がありませんから、それ以上追及したいんだけれどもいつもできない。大臣は任務につかれてまだ日が浅いので、私が言わんとする、いままで懸案になっておるところの、地方行財政の本来の仕組み、本源的な問題に対するお答えがいただけない。当面の問題の転換だけは、これは閣僚として当然なさねばならぬ問題であり、私たちはこれはあたりまえだという認識を持っているのです。その点、聞けないことが残念でございますが、次に移らしていただきます。  十二月千日の予算委員会において、これは共産党の林さんが聞いていることなんですが、経済見通しそのものが大きく異常に狂った現状で、地方財政についてはどういう手直し、対策が必要だと思っているかという林さんの質問に対して、田中総理は、地方税収入もことしは好調で、物価高騰が直ちに地方財政に響くことはない、補正を組まなくても今年度十分予算を執行できると言っているけれども、これができない現実が出てきている。  私は、自分の県のことを言うのは申しわけないんだが、言っておきます。埼玉県で、県の公害防止資金の本年度分を中止いたしました。財源難補正を見送ったのです。県のただ一つ単独事業公害防止資金の十二月補正を見送りました。そのために、本年度公害防止資金貸し付け申請を先月で打ち切った。申請は殺到しておりますけれども、これに対して県はとうとう打ち切りました。先月一ぱいで百十七件、十一億二千万円の申請が出された。このうち六億一千九百万円がすでに貸し付けを決定しておりますが、十二月県会で二度目の補正検討中、これを流しました。流産した。十二月から来年三月までの資金ワクとしてさらに三億円をのせようとしたが、財源難から十二月県会に上程するのを見送りました。この結果、十二月以降の公害防止資金はすっかりからっぽになってしまった。御存じのとおり、埼玉県というのは人口急増地帯で、県内には大気水質汚濁公害規制指導の対象となっておりまする事業所が、大気だけで千五百事業所水質で二千事業所もある。このうち、昨年だけで、大気関係改善勧告命令を受けたのは百件、水質関係で四百三十六件もあるわけです。この補正財源難で見送られた。ところが、これに対して総理大臣は、地方税収入もことしは好調で、物価高騰が直ちに地方財政に響くことはないので、補正を組まなくてもことしは十分予算を執行できると言う。しかし、執行ができないから、こういう生活に一番大事な公害問題の補正予算の上程を見送るようになってしまった。しかもいま、物価だ、いや何だということをいわれておりまするけれども公害問題は忘れていいという問題じゃない。こういう問題に対して自治大臣はどうお考えになられるのか。私は総理大臣地方財政に対する取り組み方が非常に甘いのじゃないかという考え方をしている。いかがでしょうか。
  8. 町村金五

    町村国務大臣 ただいま、埼玉県における公害対策事業財源難のために今年は見送らざるを得なくなったという御指摘でございます。それは実は私もただいま初めて伺ったところでございまして、つまびらかにはお答えをいたすことができませんが、一般的に考えてみまして、さきに総理大臣お答えを申し上げておりまするように、本年は地方税等収入相当増収状況に相なっておるというようなことも考えられまするので、重要な政策についてこれを打ち切らざるを得ない情勢に相なっておるところがあるということは、ちょっと私どもには合点のいたしかねるところでございます。なおひとつ財政局長から、知っておりまするならばお答えをさせることにいたします。
  9. 松浦功

    松浦政府委員 埼玉県の個々の財政事情についてただいまお話を承りましたので、私のほうでも調査してみなければならないかと思いますが、どういう理由で計上を見合わせたか、その辺はたして財源難といえるのかどうか、その辺、私どもには非常に疑問でございます。と申しますのは、埼玉県はことしの普通交付税の算入の際におきまする法人段に比べましてきわめて多額の伸びを見せておるはずでございます。そういったものをどういうふうにお使いになった上で足りなかったかということを詰めてみませんと……。公害防止資金貸し付けというものを最重点というふうに考えて盛られたならば、おそらく漏れた予算編成のしかたをしていなかったのではなかろうかというような気もいたすわけでございます。具体的に内容を存じませんが、一般的にいって埼玉県が財源不足であるということは、ちょっと私どもには理解しかねる状況でございます。
  10. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは県会で述べているわけですね。でありますから、それが一つの言いわけなのか何か、それは私も知りませんけれども、実際においては公害という大事な問題に対して——これは単独事業です、県単事業です。県の独自事業が押えられていくということはゆゆしい問題でありますので、至急これは調査なさってひとつ御答弁をいただきたいと思います。  次に、私は交付税のことでお尋ねいたします。地方交付税のあり方について原則的なことをちょっとお尋ねしたいのですが、言うまでもなく、地方交付税は、国と地方事務分担と経費の負担分に見合った国と地方との間の財源配分一つですね。これは地方公共団体固有財源であるという見方が常識でございますが、地方税とともに二つの大きな財源の柱になっております。  そこでまず第一に、地方交付税所得税減税との関係についてお尋ねしたいと思います。地方交付税総額国税の三二%と法定されておりますけれども法人税収入が不安定であり、所得税については毎年のように減税が行なわれる。来年は二兆円減税ということがうわさされている。初年度にどれくらい出るかわかりませんが、相当大幅な減税が見込まれますと、それを差し引いた、国の政策としたものを差し引いた分に三二%をかけるということに対して私は疑問がある。これだけの伸び率がある、それに対しての三二%分をかけたものは当然これは地方公共団体地方交付税として配分すべきものであって、その三二%を引いた分の政策減税というものが上のせにならないのでは、これは本来の地方交付税としての性格があいまいになるのではないか。そしてそれは国策の犠牲になるのではないかという考えを持っておるわけです。これが多くなりますと、たとえば昭和四十年度に三二%になってから、四十年度が六百五十四億、四十一年から四十八年までの合計が一兆七千八百三億、これに対する三二%ですから約六千億円近いものが浮き出てくるわけです。減税によって相殺された三二%分の額をいま私は申し上げた。これに対しては、私の考えが間違っているのか、それともそれが正当なのか、その辺のところをまずひとつお尋ねをして、御見解を承りたいと思います。
  11. 松浦功

    松浦政府委員 たてまえ論といたしましては、現実に国が徴収いたします三税の三二%を交付税として配分を受けるということであろうかと思います。したがって、政策減税いたしました部分の三二%は当然地方公共団体としての取り分であるという考え方で、これまでもらいそこなったのだという考え方については直ちに私どもとしては賛同しかねる。地方交付税制度というものは、地方行政が一定の水準に保たれるように、各地方公共団体に対する財源を均衡を得た形で配分をして、事務事業が執行できるようにするというのがたてまえでございます。大筋論から申し上げますと、地方行財政の運営に必要な交付税を絶対に確保するというのが自治省方針でございます。ただ、あまりに大幅な減税が行なわれました結果、地方全体の財源が不足するという場合には、これは当然税率を上げろという議論になるか、あるいは特例的に何千億の交付税を積んでくれというか、そういうやり方にはいろいろ問題があるかと思います。十分地方財源をまかなえる時点において、政策減税の分をはね返して、それを交付税でよこせという議論は、やはり国と地方とのいまの関係からいいますと、私どもとしては無理なような感じがいたします。
  12. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは、これは大臣お尋ねしたいのでございますが、来年の二兆円減税というものは大蔵省との話が詰めてあるのですか。そしてこの二兆円減税で大体どれくらい交付税不足分が見込まれるのか。この辺のところがはっきりいたしませんと、来年の地方交付税、要するに柱に立てておりますところの地方財政目安が狂うわけでございますので、その辺のところの政策的な考え方を含めた御答弁をいただきたいのでございます。
  13. 町村金五

    町村国務大臣 国におきまして所得税減税を明年どの程度やるかということが、最終的にきまったというふうにはまだ承知をいたしておりませんけれども、大体、世上いわれております程度に近い所得税減税が行なわれるというふうに考えております。しかし、これは私が申し上げるまでもなく、明年はまだ相当所得税増収が見込まれる。したがいまして、かりにその減税措置が行なわれるといたしましても、地方交付税にはね返ってまいります分は、私ども相当程度増収がまだ期待できるような状況だというふうに承知をいたしております。なお、さらに、御承知のように法人税の増徴というものも、一面地方団体に対しましては交付税相当の有利なと申しましょうか、増収期待をできるというようなことに相なっておりますので、私は、現段階におきましては、明年度地方交付税というものは相当程度伸びるというように判断いたしておるところでございます。
  14. 小川新一郎

    小川(新)委員 とすると、先ほど大臣が申された石油危機等のいろいろな問題で、地方財政やいろいろな景気後退、また法人税歩どまり、こういう問題を考えられるという見通しはちょっと私はニュアンスが違うように感ずるのですが、これは何月ごろにそういう危機がくるという目安にしていらっしゃるのですか。
  15. 町村金五

    町村国務大臣 私の申し上げ方もやや不正確でございますし、またこれは将来の見通しの問題にも関係をいたしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、まだ明年度当初におきましては相当程度増収国税におきましては期待できる。ただ明年の後半等に至りますと、そういった情勢がかなりあらわれてくるのではなかろうかというふうに申し上げたつもりなんでございます。
  16. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、私がいま質問しているような心配というものを地方に与える、そのためにはたとえば交付税率のアップということが当然議論になってくるのですが、これは局長、来年はまだ考えなくてもいいのですか。
  17. 松浦功

    松浦政府委員 国の予算基本方針が私どもにも明確になっておりませんので、直ちにいろいろ数字を使って御説明申し上げられないのはまことに残念でございますが、概括的に申し上げまして、国の税収の伸び見通し、これらを総合いたしますと、地方公共団体においても相当地方税自然増収があると私どもとしては見ております。おまけに国税三税の伸び方が、大臣からお話がございましたように、来年の下期の見通しについてはわりあいに暗いようでございますが、前半はまだある程度あるようでございますし、そういう点を考え合わせますと、交付税自体総額としてはかなり伸びてくる。それらを合計いたしますと、圧縮基調の国の財政に合わせて、やはり地方財政もいままでのような伸びを見た、非常に景気刺激的な財政計画というものは組めないと思います。国の方向に大体合わせた形の財政計画を組むといたしますれば、かなり財源余裕が出てくるのではなかろうかという見通しを私は現在いたしております。したがって、この段階において交付税率引き上げということについてはまだ大蔵省にも申し入れをしておりませんし、またそういう事態にはならないものと確信をいたしております。
  18. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは、県とか市の固有単独事業とか公共事業を削減するから財源のほうに余裕が出てくる、総需要抑制一つ立場で黒字にさせてしまうのだという考え方、ちょっと行き過ぎたそういうものの見方によって地方財政危機には瀕しないのだという考え方については批判的なんです。これはまだまだ私はあとから言いますけれども、それが全部満たされた上で総需要抑制立場に協力するのではなくして、国策という大きな立場、やむにやまれず総需要抑制という立場に協力して財源の問題に触れてくるのでございますから、その辺の配慮というものは十分していただかなければならないと思いますね。
  19. 松浦功

    松浦政府委員 ただいま御説明申し上げましたのは、かたがた国の総需要抑制方向に沿う財政計画をつくるということになると思うので、と申し上げたわけでございまして、かりに、地方公共団体のほうは少し背伸びをした、住民直結事業だけは落とさないという前提で組みましても、私どもとしては交付税率引き上げという問題を問題にしないでも地方財政計画は組める、こう思っております。
  20. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、来年度起債なんかの問題で、県単独事業起債の幅を削るようなことはないのですね。
  21. 松浦功

    松浦政府委員 これもあくまで前提を置いての問題でございますが、地方債財源措置をするよりは、税なり交付税財源措置をすべきことが好ましいことは当然でございます。したがって、税収入あるいは交付税というものが必要額確保できますれば、地方債というものは私どもは思い切って減らしたい。要するに実財源措置をして、現ナマで仕事をしていただきたい、こういう方針が正しい方針だと思います。でき得ることでございますればその方向に持っていきたいと思っております。
  22. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、いまのような新しい客観情勢が出てきたわけですね、総需要抑制型の国の政策地方公共団体も協力する、そういうことになって、その財源はいま言ったように一般財源である交付税とか住民税等で充てて、起債というものは減らしたい方向だというと、今年度に比べて、そういった県単事業地方公共団体単独事業に充てる起債ワクは今年度よりもどれくらい減らすというお考えなんですか。
  23. 松浦功

    松浦政府委員 あまり具体的なことは、現在の状況で、諸般の要素が固まっておらない段階で申し上げることはいかがかと思いますが、御承知のように地方債計画の中には二種あるわけでございます。一つはいわゆる一般会計に属する部分、もう一つ一般会計に属しない準公営事業公営事業、こういったものがございます。一般会計財政計画とのからみを持っておる問題でございますから、これはなるべく実財源で、財政計画の歳出に見合う収入を見合わせて、起債はできるだけ少なくしたい、これを一般論として申し上げたわけでございますが、そのほかの準公営事業とか公営事業という中には、下水でございますとか上水でございますとか病院でございますとか、非常に住民直結度の強いものがございます。こういった点については、これは地方財政計画と直接関係ないわけでございますから、あくまで景気刺激の度合いとのからみということを考えながら、できるだけいままでのように十分地元の希望に沿い得るような形でそれはふやしてまいりたい。私が起債をできるだけ抑制をする方向考えるべきだと申し上げておりますのは、一般会計分普通会計分というふうに御理解をいただけたらいいと思います。
  24. 小川新一郎

    小川(新)委員 地方公共団体にそういうあなたの指導方針といいますか、考え方といいますか、そういうものが通達され、また認識されるのはいつなんですか。
  25. 松浦功

    松浦政府委員 これは、やはり国の予算編成が終わりまして、公共事業費の伸びとか、そういった諸般の事情を踏まえて地方債計画もつくります。そういうものの方向がおよそできました段階で、土曜日でございましたか、大臣も、こういう方向考えなければいかぬということをいままでよりは早く、もう一回内簡ででも指導したいということをおっしゃっておられました。今年の終わりないしは来年当初、そういったところで、国の予算編成の事情も地方に伝えながら、そういう意味の趣旨の連絡をはかりたい、こう思っております。
  26. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで私は二つの問題を大臣お尋ねしますが、一つは、交付税率の三二%を将来アップする考えはあるのかないのか、これが一つ。もう一点は、住民税の課税最低限を引き上げ考えはないのかどうか。この二点、お尋ねします。
  27. 町村金五

    町村国務大臣 交付税率引き上げの問題でございますが、これは、いま財政局長からお答えを申し上げましたような状況から判断をいたしまして、今日といたしましては私は特に交付税率を上げるということは考える必要がないのではないか、こう存じております。さらに将来につきましては、これはまあ今後の地方財政情勢がどういうふうに推移してまいるかということに関係があるわけでございます。これは申し上げるまでもなく、現在の交付税率をもってしてはとうてい地方財政をまかない切れないというような場合には、私はこの引き上げを要求するということも当然あり得ることだと思っておりまするが、現段階においては私はその必要がないのではないか、こう存じております。  さらに、住民税の引き下げにつきましては、これは本年度におきましてもある程度のことば実施いたしたい、こういう考えでございます。
  28. 小川新一郎

    小川(新)委員 全国市長会、全国町村長会、また過疎大会、こういうところの席上にあいさつに私どもは呼ばれているのでございますが、必ずその席上に、全国市長会や町村長会、また過疎大会において、自民党の先生方もわれわれも、交付税引き上げは何が何でも来年度はやりますということを大みえ切ってみんなしゃべっているわけですよ。田中総理大臣も全国町村会議に来て、具体的な例は言わなかったけれども、非常に喜ばせるようなことを言って、万歳三唱までやらせたのですね。  私は、政治に三つの大事な問題があると思うのは、一つはうそをつかない政治ですよ。大体、いまトイレットペーパーがなくなった、なくならないとか、また信用金庫に取りつけのデマが飛んだ、何となく世の中が騒然としているのは、何にも信用していないからです。大体、田中総理町村会議のあの席上へ来て大みえ切って、財源はだいじょうぶだというようなニュアンスの、ことに万歳まで途中でさせちゃったということは一体何を物語るかというと、政治家がそういうニュアンスのことを発言しているからです。だけれども大臣は、こういう石油、また物価、インフレ、あらゆる問題の悪要素の重なったときに、私が最初に言ったのは、一大転換をしなければならない。総理大臣も一大転換をすると言う。この一大転換というのは、総需要抑制物価統制への転換なのか。またもう一つは、産業優先の日本列島改造計画、大資本、大企業を優先とするような姿勢から国民優先への経済姿勢を変えるのか。そういう立場に立って最も大事なのは、地方行財政を握る地方公共団体姿勢だ。その地方公共団体が十二分に地域住民にサービスをさせ得るための地方行財政転換を先ほどから申し述べているのでございますが、それに対するお答えというものは明確になされておりません。  いま言われたように、まず地方交付税率は当分上げないということは、来年、再来年、一、二年は現状のままと理解していいのか。それとも将来はやっぱり大臣何といっても税率を上げなければならぬというお考えを持っていらっしゃるのか。長年そういう持論を持たれて最前線で戦ってこられたと私理解しておるのでございますが、少なくとも明年度以降ということでお茶を濁されては困るので、この席上、ひとつ明快にもうひとつ納得のいくお答えをしていただきたい。
  29. 町村金五

    町村国務大臣 いろいろな会合等の席上で自民党の国会議員の方々から、来年は少なくとも交付税率引き上げをぜひやらなければならないというような御発言をなさっておる方が確かに私もおありであったかと考えます。ただ、これは先ほど来財政局長からかなり詳細にお答えを申し上げておりまするように、明年度はかなり地方財政が苦しくなって、交付税率引き上げなければとうていまかない切れないのではないかというようにおそらく御判断になられての御発言であった、こう私ども承知をいたしておるわけでございます。しかし、いま財政局長からお答えを申し上げておりまするように、明年度地方財政計画の上から申しますると、必ずしもいま交付税率引き上げなければならないというような逼迫した情勢には相なっていないという判断の上に立って先ほど来財政局長が申し上げておるような次第でございます。この点は、いま私があらためて申し上げるまでもなく、高物価抑制、総体としての総需要の抑制によりまして日本の通貨価値の安定を求めなければならないという至上命令が出されておる際でございまするので、従来のような、ややゆとりがあるということで地方財政も一面放漫的なところもないわけではございませんでしたが、そういうものはやはりこの際引き締めて、この高物価抑制するということに地方団体も御協力を願わなければならぬのではないか、私はかように考えている次第でございます。
  30. 松浦功

    松浦政府委員 先ほど大臣が御答弁申し上げましたのは、四十九年度予算折衝に際して交付税率引き上げということを大蔵省に対して持ち出すつもりはないということでございまして、五十年、五十一年というのは現在ではかいもく見当がつきません。少なくともこれから石油の状況がどうなっていくかということの影響を多大に受けると思います。したがって、五十年、五十一年、あるいは四十九年度の半ばで交付税が足りなくなるという事態が起こるかもしれません。それらについてはいまの段階ではとかく申し上げられませんが、ともかく、先ほども申し上げましたように、地方公共団体が必要な財源に不足をしないように、そういうたてまえで、一般財源の確保ということについては自治省として責任をもってまいりたい、こういう姿勢でおるわけでございます。
  31. 小川新一郎

    小川(新)委員 私はあなたのおっしゃっていることがわからないわけでもないけれども、何となくぴんとこないのは、そんな甘い見通し地方財政を見ていらしては困るのですよ。一つショックな話をしますよ。これはあとから話そうと思ったのですが、埼玉県で、予算を大幅に上回っちゃって二つの校舎がいまできないのです。超過負担がもうものすごい。超過負担なんという問題ではない、二倍になっちゃったんですから。私はいろいろな材料をここに持ってきておるのですが、きょうはあまり時間もないから言えないのですけれども、とにかくどのくらい物価が上がっておるかということを大臣もひとつお知りおき願いたい。そういう中で地方公共団体が必要最小限の公共事業を推進しなければならないのに、できないという事態が出ておる。そういう事態はすべて財源難からなんですよ。だからこそ自民党の各先生方も、これはもう石油ショックが出る前から言っているのです。それじゃ、石油ショックが出たから世の中、地方財政がまるで逆にゆるやかになったような印象を与えちゃいますよ。総需要抑制ということで地方財政は節約するのだからいいのだという考え方じゃ困るのです。だから、大臣もおそらく北海道の知事をなさっていらっしゃったときには、国に対して交付税率を上げろと言っていったと思うのです。それが大臣になっちゃったら今度は全然違う角度になっちゃって、違うニュアンスになって、切り捨てるような考え方じゃ困る。どの人たちもそのことはよく認識なさって言っているのです。交付税率を三八%、少なくとも四〇%に近い線に上げてくれというのはもう必然の声なんです。それをあなたは、こんな状況、世の中が逆に悪くなっているのに、何かいまの財政局長の話でいくとそういうような印象を受ける。まあそれは、必要なお仕事をするときには困らせないようにという配慮はいまあったけれども大臣、どうなんです、その辺。私はいまこそ上げるべきだと思うのですがね、この一大転換期にふさわしく。いかがですか。
  32. 町村金五

    町村国務大臣 いま埼玉県の学校建築を例にお引きになって、たいへんな値上がりで、単価アップをやったという程度ではとうてい建築ができないというような例が現実に起きておるという御指摘でございました。私どもも、個々のそういった問題につきましては十分承知はいたしておりませんけれども、そういったこともあり得るだろうということの考えのために、御承知のように実は本年はかなり大幅な単価改定等を行なったのでございますけれども、なおそれであるいはまかない切れないというようなところも現実には出ておるのだと、ただいまの御指摘で伺ったわけでございます。こういった問題につきましては、私どもとしては一応の対策を講じたわけでございますが、なお地域によりましては、私どもの聞くところによりますれば、地方財源等、地方税収入などが相当ふえておるというようなところでは、本年はそれで何とかまかないをつけていただいたというところが多いように承知をいたしておるわけでございます。  そこで、先ほど来交付税率引き上げはぜひこの際やるべきだというお話でございますが、御承知のような今日の地方財政の現状、これが、いつまでこういった情勢が続くかにつきましては、先ほども財政局長が申し上げましたとおり、少なくとも五十年度の後半については必ずしも見通しがつかないという判断を下しておるようでございます。私どももそうではなかろうかというふうに見ておるわけでございまして、したがって、私ども交付税率引き上げを今後ずっとやらないのだというふうなことを申し上げておるつもりはございませんが、当面、来年度予算編成に際しましては大体の見通しが立ち得るので、特に交付税率引き上げということは申し出る考えはないということを申し上げたわけでございます。
  33. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、はっきりしたことは、四十九年度では地方交付税率は上げない。五十年度の後半ですか、前半ですね、それまでは見通しが立たないから五十年度も上げない、こう理解していいのですか。五十年度は上げるのですか。どっちなんです。
  34. 町村金五

    町村国務大臣 五十年度予算編成に際しまして上げるか上げないかということは、いまの段階で何とも申し上げかねる状態で、これはそのときの情勢によりまして、私どもはあるいは引き上げを求めるか、あるいは求めないで済むような情勢であれば求めないでいくか、それは今日の段階で五十年度のことを申し上げるにはいささかまだ時期が早過ぎまして、申し上げることがいたしかねる、さように考えます。
  35. 小川新一郎

    小川(新)委員 何か大臣、誤解していらっしゃるのですけれども、私は、現在の経済見通しが悪くなったから上げろとか上げないとかということは第二の問題で、第一の問題は、地方交付税率の三二%は長年の懸案だから、五十年度見通しがどうとかこうとかというよりも、総理大臣まで上げるようなニュアンスのことで万歳までさせているのだから、そのことについていま私は聞いておるのです。これ以上世の中が悪くなるにきまっておるじゃないですか。よくなるなんということはあり得ないじゃないか。そういう中で、地方財政の一部のいま惰性からの転換期だから、高度経済成長政策のずれ込みだから、その中の余裕が一時出たからということだけ見て、そして悪い面の総需要の面だけ押えたから、このところでゆとりが出たのだなんというものの考え方で四十九年度交付税率を上げないという考え方は危険だ。一大転換期に立っておるのですから、これを契機に、すべての転換といかなくても、一つくらい自治省として天下をわっと言わせるような転換を出したっていいじゃないですか。ただこの転換は元来全部国の転換です。地方行財政立場転換じゃないのですから、それをさっきから言っておるのです。これが一つ。  二番目は、先ほど申し上げました住民税の課税最低限は、現在年収幾らになっておりますか。それを今度幾らに上げる考えなんですか。
  36. 松浦功

    松浦政府委員 交付税の問題でございますが、長年三二%で据え置かれたままになっていることは御指摘のとおりでございます。ただ、この交付税の問題はあくまで国の財政地方財政とのからみ合いの問題でございますので、たとえば、いま小川先生御指摘いただきましたように四〇%ということになりますと二五%の値上げ、国の予算はもう全然組めなくなるのではなかろうか。私どもといたしましては国の財政のこともある程度わかっておるものでございますから、あまり地方だけがという姿勢はやはりとりにくいわけでございます。特に、そういう事情もある程度頭の中に入れて考えますと、ことしは国よりは地方のほうにだいぶ余裕があるというのがわれわれの判断でございます。したがって、本年度交付税率引き上げについては大蔵省に申し出るということはいたさないという趣旨のことを申し上げたわけでございまして、国のほうにゆとりがあって地方が困るという場合には、交付税率引き上げというのは当然申し出る、こういう前提でこれからもものごとに当たってまいりたいと思います。  住民税の最低課税限度は八十七万円程度が現在でございます。国の所得税の今度の減税のやり方、これをにらち合わせながら、大体八割程度まで二年がかりぐらいで引き上げるという方針でいきたい。もちろんこれも今後の収入の問題とからんでまいります。地方財政が極端に圧迫をされるということになれば、あるいは若干足踏みをするということはあり得るかと思いますが、明年度一年で課税限度の引き上げというのはえらいようでございますので、本年度段階的に一部上げておき、そしていま申し上げた線に来年度持っていく、そういう方向で現在検討いたしております。いずれにいたしましても、政府の税制調査会の結論もまだいただいておりませんので、あくまで、そういう方向考えているということに御理解いただけたらしあわせかと思います。
  37. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣交付税率をアップするということは、地方一般財源であるところの住民税の引き下げ、要するに課税最低限を逆に上げますから、ダウンするわけですね。それにからみ合わせて私は言っているわけですが、八割ということは八〇%ですね。二年間に八〇%上げると、大体額は、現実に数字でいくと、私あまり頭がよくないのでいま数字を言えませんが、どうですか、教えてください。
  38. 松浦功

    松浦政府委員 私も税務局長でないものですから、税収入はどれだけあるということについては非常に関心を持っておるのですが、こういうこまかな数字は弱いので申しわけございませんが、仄聞しておりますところを申し上げますと、国の所得税課税の最低限が百五十万ということに今度の税制改正がなりますれば、それを頭に置いて八割ということは大体百二十万ぐらいまで引き上げよう、こういうことであろうかと思います。それを一年でやりますと非常に地方財政影響が出てまいりますので、今年度と来年度とで百二十万ぐらいまで段階的に引き上げる、こういうことを検討しておるようでございます。
  39. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、ことしはとりあえず年収百万ぐらいまでと理解していいのですか。
  40. 松浦功

    松浦政府委員 あまり正確には、私も責任者でございませんので責任をもって申し上げかねますが、大体その見当で検討を進めておるようでございます。
  41. 小川新一郎

    小川(新)委員 所得税のほうが年収百五十万円までは税金がかからない。それから住民税のほうは、これは不確定ではあるけれども、二年間にその八〇%ぐらいの引き上げを行なうことになると、今年度は年収百万円ぐらいまでの方は住民税を納めなくてもよろしい、大臣、こう理解してよろしいでしょうか。
  42. 町村金五

    町村国務大臣 よろしいと思います。
  43. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣明年度の、昭和四十九年度の重点施策の中にも住民税の問題を述べておりますから、私はその政策を、必ず約束を実行するということで地方へ行って報告会のときに話させていただきますけれども、これは大事な問題で、それがうそをついたとなると、私の信用が落ちることはけっこうでございますが、国の政治全体の問題でございます。特に税金の恨みというものはこわいです。税金が幾らまでならかかるか、かからないかということは、特に限度ぎりぎりの人の一般会計、家庭の一般会計予算に大幅に響いてまいりますので、いいかげんなことでは困るので、ひとつよろしくお願いいたします。  第二点目は、補正予算における地方交付税の処理についてでございますが、今回の交付税補正について、増加分四千二百四十億円の配分については、給与改定に八百九十億、生活保護基準の引き上げ、文教、社会福祉施設の単価改定等に二百三十二億、調整減の戻しに八十四億、特交に百三十八億、土地開発基金に九百億、借入金減額に一千九百九十六億円となっておりまして、この借入金の返還の問題についてはこの委員会において議論が出ておりました。確かに、当初組まれた計画のとおり分割払いにせいというのを今年度に支払うということについての批判はございます。私もそのとおりだと思います。ただ、この単価改定分を見るとまだまだ不十分であり、自治体の超過負担がますます増加してしまうので、超過負担の完全解消をはかるために借入金の減額分一千九百九十六億円を思い切って単価改定分に振り向けるべきであるというのが私どもの最初からの考え方でございましたが、これは見送られてしまったのでございます。  そこでちょっと申し上げたいのは、四十八年度一般会計等の補正予算についてお尋ねしますけれども生活保護基準等の引き上げに関する大蔵省の資料によりますと、生活保護基準は、今回の補正予算では一級地の標準四人世帯で月額二千二百二十一円引き上げられた。換算すると、これは一人一日たった十八円です。また社会福祉施設の入所者の生活費について養護老人ホームを見ますと、甲地一人月額六百円、すなわち一人一日わずか二十円引き上げられただけであります。さらに失業対策事業費の平均単価は月額六十四円引き上げられただけであります。こういう問題を御認識の上で大臣お尋ねするのでございますが、特に地方交付税の処理においての失業対策事業費や生活保護基準の引き上げ等の単価改定分は、いま申し上げましたように二百三十二億であります。これは非常に少ないと思っておるのです。労働費については、道府県、市町村ともに失業者数一人について単位費用は十九万七千円から二十万円に引き上げただけでありますから、一人一日五百四十円から五百七十五円と、たった三十五円しか引き上げられていることにならない。また都道府県の生活保護費は、町村部人口一人につき単位費用は千三百六十三円から千四百三円に上げられただけで、一人一日当たり三円七十銭から三円八十銭へと、わずかに十銭しか引き上げられたことになってないのです。市町村生活保護費というのは、市の人口一人について千二百十七円から千二百四十八円に引き上げられただけで、一日一人当たり三円三十銭から三円四十銭、これまたわずかに十銭。町村部も一日当たりわずかに十銭、市のほうもわずかに十銭。わずかにこれだけ引き上げられただけで、先ほど申しました二百三十何億のお金ではどうしようもないという考え方に立って、借入金の繰り上げ償還をしないで、交付税の手続上は、単価改定も大幅に増額して、四十八年度に使える交付税総額を逆にふやすべきである。たった十銭しか値上がりになってないようでは、これはどうしようもない。そういう実態を踏まえて私は地方財政財源強化という問題に取り組んでいるわけなんです。ひとつ実態をよく調べていただきたいですね。この点について大臣の御所見を承りたいのです。
  44. 町村金五

    町村国務大臣 ただいま生活保護基準あるいは失業対策事業引き上げがきわめて少額にとどまるではないかという御指摘なのでありますが、これは私が申し上げるまでもなく、国のこういった問題に対する改定に合わせて交付税上これを算定するというたてまえで実は計算されたものの積み重ねがいまのような数字になってあらわれたもの、かように承知をいたしておるのでございます。したがって、いま御指摘お話によりますれば、そういったたてまえをいわばくずさない限りできないということになるわけでございますので、むしろ国のそういった基準をもっと大幅に改定をしてもらうということが、少なくとも明年度予算編成においては当然考えられてしかるべきことではないか、私はかように存じておるわけでございます。
  45. 小川新一郎

    小川(新)委員 国が十分にやらないから、地方交付税補正の分を少なくともこういうところにやらなければならぬという考え方です。財政仕組み上こういうふうな配分になっていくということは、政治に血が通っていないという以外にない。でありますから、先ほど申し述べたように、総需要の抑制とか日本列島の改造計画のしわ寄せを国民が受けているんではないかという観念を持っているがために、政治に信頼性がなくなり、生きがいを与える政治でなくなり、ビジョンのない政治といわれるようなちまたの声になってあらわれてくるわけです。その点については、いま大臣も申されたように、私は反論するわけではございませんけれども、国のほうの立場を通して、地方財政というものはたいへんであるということをひとつ再御認識いただいて、交付税引き上げというものはどうしてもやってもらわなければならないということを、くどいようですが言いたいのです。  それから超過負担の問題にしても、私、時間がちょうどきたからやめますけれども、ちょっと読み上げてみますよ。摂津の問題もございますから、あえてここで超過負担云々と数字を一ぱい並べ立ててもどうしようもありませんが、たった二つの例だけ申し上げます。物不足、建築資材の高騰がどれほど影響したかということで、私は埼玉県の例を申し上げるのですが、入間郡毛呂山町の毛呂山小学校の防音校舎の建設第三期工事、毛呂山中学の防音校舎の第二期工事の入札がそろって不成立になっている。そのために、この寒空の中で校舎に入れないでプレハブ校舎に入っている。これはなぜかというと、建築費が二倍になったというのですね。その例は、私のほうでもいろいろと調べたのでございますけれども、たとえば小型丸鋼材が昨年の十一月にトン当たり三万五千五百円であったものが、ことしの十一月には七万六千円になってた。これは二一四・一%の値上がりであります。それから杉の正角、これがどれくらいになったかと申しますと、昨年の二月に一平米当たり二万九千円だったものが、ことしの二月には六万七千円、二三一・〇%の値上がりであります。これは木材。セメントの場合は、昨年の十二月トン当たり六千八百七十五円であったものが、現在十二月一万五百円、一五二・七%の値上がりであります。生コンクリートが同じく十一月五千五百円であったものが、この十一月七千八百円、一四一・八%の値上がりであります。  こういう建築資材の値上がりが、人件費の高騰と相まって、各公共団体の事業も、総需要抑制などという前に、国が総需要抑制だなんていわなくたって、もう抑制せざるを得ないじゃないですか。小学校や中学校の工事を物価の値上がりのために抑制させられて、物価が逆に押えちゃっている。ぜひともやらねばならない、抑制してはならないものが抑制されて、二つの例ですが、小学校と中学校が入れない。そういう単価の改正をしなければならない状態にあって、なおかつ、明年度地方財政はいろいろな面で考えてもアップをせざるを得ない。あなたはアップをする必要がない、何となく潤沢であるようなことをおっしゃっておりますが、現実のちまたとここで議論していることがあまりにもかけ隔たれているために、何となく国会論議がむなしいものであるというようなことが新聞で批判されるんじゃないかと思うのです。大臣は一番よく、私以上にこういうことは知っていらっしゃって、額のしわが一本一本ふえていかれるのではないかと私心配しているのであって、その点について、超過負担の問題も含めて、どうかひとつ解決の方向を示していただきたい。またどうするんだ、どうなるんだ、この問題、いかがでございましょうか。
  46. 松浦功

    松浦政府委員 先ほどいろいろ御指摘をいただきましたが、生活保護費とか失業対策費とかいうようなものは、制度上ああいう措置をとらざるを得ないということについては御了解をいただけると思います。かりにもし、そういったものに交付税で何か上のせをするということになりますれば、制度全体がぶっこわれてしまう、国の責任というものは一切どこかにいってしまうわけであります。したがって、大臣から御指摘がございましたように、そういったものの単価等については、私どもから国のほうに強く働きかけて、現実に沿った姿に直していただく、これ以外に解決の道はない、そう考えておるわけでございます。  特に最近の一番大きな問題は、超過負担の問題だろうと思います。明年度予算編成にあたりましては、現在の実情を十分調査をした上、現実に即したものにするように、これからまだ折衝の時間があるわけでございます。最大限、大臣に御活躍願いたい、こう考えております。
  47. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、それでは単価の改定の点についてはどう考えていらっしゃいますか。
  48. 町村金五

    町村国務大臣 本年は値上がりが特別きびしかったわけでございますので、しばしば単価の改定等も行なったようでございますけれども、なお現実にいま小川議員御指摘のようなことが各地に起こっているように私も聞いておるわけでございます。したがって、明年度予算に際しましては、特に関係各省に対しましてもそのことを自治省として強く要望をいたしておりまするし、各省もまたこのことは真剣に考えておるようでございますが、いずれにいたしましても、そういった問題については相当大幅の改定が行なわれるように、ひとつ努力をいたしてみたいと存じております。
  49. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間が参りましたのでこれでやめさせていただきますが、きょう私の質問の中で特に印象に残りましたことをちょっと確認いたしておきますと、住民税の課税最低限の引き上げの問題と、来年度地方交付税率は上げないんだという二つが大きな印象に残ったのでございます。  それともう一つ、時間があれば言いたかったのでございますが、明年度の重点施策の第一番目に「都市対策の推進」、それから「土地対策の推進」とございますが、その中の「都市対策の推進」は、すべて田中さんの理念の日本列島改造計画に従った、また国総法のもとになったことの基盤で重点施策がつくられております。こういう問題もひとつ御検討いただかなければならない。転換をしていかなければならない時代でございますので、来年の重点施策の洗い直し、これは一体いつごろ洗い直されたものが大臣考え方で出されるのか。これは江崎前自治大臣のもとで作成されたと聞いておりますので、新自治大臣のもとで明年度の重点施策というものは改定版がなされるのかなされないのか、このまま重点施策にされるのかどうかという点を最後にお答えいただきまして、質問を終わらせていただきます。
  50. 町村金五

    町村国務大臣 さきに前大臣が発表をいたしました自治省の重点施策でありますが、最近諸般情勢が変化をいたしておることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、この重点施策をそのまま実施に移すことがよろしいのかどうかということについては、多少の考えを私どももいま持っておりますけれども、総体といたしましては特に私は現状で非常に大きく改定を加えなければならないということは考えてはおりません。しかし情勢の変化に応じまして、今後こういった点についてはひとつ十分検討を加えてまいりたい、かように存じております。
  51. 小川新一郎

    小川(新)委員 どうもありがとうございました。
  52. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 三谷秀治君。
  53. 三谷秀治

    ○三谷委員 地方交付税特例法案についてお尋ねします。  この法案によりますと、地方交付税の増額分四千二百四十億円のうち、四七%に当たる千九百九十六億円を地方自治体に交付をしない、そして資金運用部資金への繰り上げ償還をやっていく、本年度借入金のとりやめに伴う振りかえ財源に充てる、こういう内容になっております。そこで、地方交付税地方団体固有財源であるという性格から見まして、国が恣意的に配分を削減したり、任意に借り貸しの処置をとるべきものではないというのが私ども考え方でありますが、この点はどうですか。
  54. 松浦功

    松浦政府委員 地方交付税をどのように措置するかは、法律的には自治省大蔵省というもので計画を進めていくということになっております。私どもといたしましては、いろいろ事情がございましょうが、たてまえ論としては、ただいまおっしゃられたように、そのまま三二%というものをすなおな形で配分するというのが一般原則であろうかと思います。ただ、財源的に余裕がある、しかも借金があるという事態で、特に先行きのことを考えました場合に、あれだけ大きな借金をしょっておりますことは、今後地方財源確保のために非常な難関になりますので、財源的に余裕があると考えまして今回は返還をしたわけでございます。
  55. 三谷秀治

    ○三谷委員 この特例法でありますけれども、元来、特例法というのは非常的な事態に対処する性質のものでありまして、緊急避難的な要素を持っておるものでありますけれども、いまそういう特例法を出すような条件にあるのかどうか。しかも、その特例法というのが、交付税法のたてまえというものを根本的に侵害をする、そういう内容になっております。そういう特例法をいま出す必要がどこにあるのか、これが一つです。  それから、予算年度制のたてまえからしまして、各年度財源を、年度を無視した処分や留保を行なうことによってくずしてしまう、予算年度制が破壊されてしまう、こういうことは、交付税のたてまえからしまして適当でない、こういう考え方でありますが、どうでしょうか。  それから、いまおっしゃいました、次年度以降の財源を配慮して交付税の一部を留保する、あるいは繰り上げ償還をする、借り貸しをする、こういうことをやっておりますと、一体第六条の三の第二項によります交付税率引き上げということはいつ行なわれるのか、行なわれる機会がなくなってしまう。いつでも余れば取り込んでしまう、足りなければ貸してやるのだ、こういう不当な処置によりまして、この交付税法にあります六条の三の第二項の規定、これは全く無視されてしまう。そういう処置というものが許されていいものでしょうか。
  56. 松浦功

    松浦政府委員 先ほど申し上げましたように、借金がございまして、明年度以降いろいろ問題が起こるだろうということを前提に置いて、いま借金を返しておくほうがよいという判断をしてお返しをすることにしたわけでございます。基本的には、先ほど申し上げましたように、三二%の地方交付税で毎年の地方財政をこいで渡れるというのが一番理想だと思いますが、現実の問題としては、これまで毎年貸し借りをやっておるわけでございます。六条の三の二という規定は、御承知のように、ある程度恒久的にということであろうと思います。したがって、私どもとして、大きな制度改正があり、地方財政財源不足がある程度続くという見通しが立ちますれば、その段階で当然交付税率引き上げを要求するということになろうかと思います。こういう事態を繰り返したからといって、交付税率引き上げができなくなるとは私ども考えておらないわけでございます。
  57. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたの答弁というものは、法定事項について、全くこれを無視した便宜的な解釈をなさっておる。この交付税というものが厳格な年度制の上に運用されるということは、第六条において規定されておる。これは、毎年度におきまして交付すべき交付税総額は、当該年度における所得税法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれの三二%、毎年度における収入額の三二%なんで、年度ははっきりしているわけです。過誤納に伴う処置規定はありますけれども、それがたてまえになっている。そうしてもう一つは、毎年度におきまして交付する金額が足りなくなってきた場合には、交付税率引き上げを行なう、変更を行なう、こうなっておるわけです。あなた方のように、先がどうだとかことしがどうだとかいって、ほしいままにこれを調整しておったのでは、税率引き上げる条件なんていうものはなくなってしまうじゃないか。つまり、引き上げることができないような処置を恣意的におとりになっている。これは交付税のたてまえからいいまして正しくない。いま局長も、理想的にいえばそうだとかあるいはたてまえとしてはそうだとか、こう言っておりますけれども、なぜそのたてまえを厳守するという態度をおとりになりませんのか。
  58. 松浦功

    松浦政府委員 六条の三の二項に規定してございますが、この中には「引き続き」ということばが入っておりますのと、それから「著しく異なることとなった場合において」これだけの条件がついておるわけでございます。したがって、私どもといたしましては、この程度のことが「著しく」とかあるいは「引き続き」とかいう条件には該当しておらないので、率の変更の申し出をしておらない、こういうふうに御理解を賜わりたいと思います。
  59. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたは質問を誤解されちゃ困ります。私はいまここで交付税率引き上げを言っているのじゃない。交付税率引き上げをする規定がある。規定というものは、地方財政が、交付税が足りなくなってきて、毎年度におきまして困難な事態が起きてきた場合に上げれるようになっているわけでしょう。つまり、そういう救済規定的なものがあるわけです。だから、先のことを考え考えてとおっしゃいますけれども、先にいってそういう事態になってくれば税率引き上げをするわけなんでしょう。ところがいまあなた方は、先のことを考えるといって、年度制を破壊してしまって、恣意的に調整を行なって、こういう事態が生ずることがないようなことをおやりになるんじゃないですか。そのことは交付税全体の体系を全く無視してしまっておる、そのことを言っているのです。私、ことし交付税率を上げなさい、こんなことを言っておりはしません。また、補正に伴う特例法でありますから、そんなことは来年度交付税において論議する問題であって、いま私はそんなことを言っていない。
  60. 松浦功

    松浦政府委員 ただいま申し上げましたように、交付税率の問題ではないということでございますが、ことし千九百九十六億使ってしまえば、来年それだけ交付税が減る。足りなければ交付税率を上げればいいじゃないかということでありますが、交付税率というものは、先ほどから申し上げましたように、「引き続き」という条件と「著しく」という条件がついておるわけです。千九百九十六億来年交付税が減ったからといって、交付税率引き上げるという形にまで、あの条文に該当することになるとは私ども考えておらないわけであります。しかも、本年度千九百九十六億かりに返しまして、やや来年の財源が不足することになりますれば、すぐまた、千九百九十六億とは言わないまでも、本年度のように一千億貸してほしいというような事態が起こるわけであります。そういうことを念頭に置きました場合において、本年度財政事情からいたしまして、これは余裕があると見て返還をいたした、こういうふうに御理解を賜わりたいと思います。
  61. 三谷秀治

    ○三谷委員 余裕があるかないかはあとでまた論議をしますけれども、「引き続き」あるいは「著しく」という規定がある。そんな規定がないときはだれも言っておりはせぬ。しかし、その「引き続き」という現象が出ることをいまから歯どめをかけている、あるいは「著しく」という条件が出るのをいまから歯どめをかけている。歯どめをかけるために、ばくちのテラ銭のようにして交付税の貸し借りをやっている。そのことはたてまえからいって正しくないことなんだ。各年度における国税三税の三二%をその年度において配分をするんだ、これが交付税のたてまえになっている。それをやっていってもらいたい。さっき説明していたけれども、ことしは余裕があると言うが、余裕はない。それはあとで質問する。  もう一つは、来年度以降の問題を考えてと言っている。来年度以降における状況の変化というものが生じてきますならば、そしてそれが「引き続き」「著しく」行なわれるならば交付税率の改正をすべきだ、こういうたてまえになっている。この法律が実際に適用できるような扱いをしていく必要がある。そのことを考慮しながら年度間に恣意的に補正をする、調整をする、そういう態度が正しくないと、こう言っている。  それで自治省は、もともといいますとそういう態度をとってきたんでしょう。大蔵省自治省の間におきまして、地方財政の問題につきましての論争というものは四十三年以降続いておりますけれども大蔵省交付税率の引き下げを主張しているわけだ。二九・五%にしろと言っている。自治省はそんなことは認められない。そして自治省の態度としては、交付税が国の財政硬直化の原因であるような錯覚を招くのは、交付税が形式上一般会計歳出予算に計上されておるからであって、交付税を直接特別会計に入れる措置をとればそういう錯覚は解決する、これが自治省の主張なんでしょう。そして、直接繰り入れをやれば、いまのようなえてかってな年度間調整はできないのは明白なことなんだ。その自治省の主張に反することをあなたいま盛んにおっしゃっていますけれども自治省の見解は変わったのですか。自治省は、景気調整に名をかりて、地方財政年度間調整を交付税制度を通じて実行することは適当でない、これが一貫した主張じゃないですか。そのことを私はいまあなたに対して言っているんだ。ところがあなたのおっしゃっているのは、この自治省の基本的な態度と違ってきているが、これはどういうわけだ。
  62. 松浦功

    松浦政府委員 基本的な態度については、自治省は何ら考えを改めておりません。現実的な処理の問題として、この問題はやむを得なかろうということで処理をいたしたわけでございます。
  63. 三谷秀治

    ○三谷委員 現実的な処理とおっしゃいますけれども、償還をいま迫られている条件じゃないでしょう。きょうの時点におきまして、あらかじめきめられました償還計画というものをにわかに改変しなければならないという、そういう現実的な要求がどこにあるのですか。
  64. 松浦功

    松浦政府委員 御承知のように、借りたものはやはり返さなければならないわけでございます。これは、交付税の三二%ということからいたしましても、借りたものは各年度において三二%からへずられるということになるわけでございます。そういう事態がなくて三二%で回れるように、余裕のあるときに借りたものをお返しをしておきたい、こういうことでございます。
  65. 三谷秀治

    ○三谷委員 償還金につきましては年度計画がちゃんとできている。その年度計画が実現できないという、そういう現実的な条件なんというものはいまありはしない。将来の問題だ。その将来の問題を推定することによりまして、予算年度制を無視した恣意的な調整をする、これが適当でないと言っている。
  66. 松浦功

    松浦政府委員 原則的にはそういう御主張、よくわかるような気がいたします。現実の問題としてお返しいたしたい。
  67. 三谷秀治

    ○三谷委員 それはどういう意味だな。よく意見がわかると言う。しかし現実の問題としてはお返しをしたいとは……。
  68. 松浦功

    松浦政府委員 三二%で算定されました交付税で年々地方財政がこいでいけるということは、私は理想の姿だと思います。それは、三谷先生の御意見に対して私どもは反論を申し上げるとろでない。そういう意味が、原則的によくわかりますということでございます。
  69. 三谷秀治

    ○三谷委員 それがわかれば、償還は年度計画に基づいてやっていく、そういう処置をとるべきだ。償還計画をにわかに変更して、配付すべき地方自治体に対する交付税を削減する、留保する、そういう処置はとるべきでない。これは私の考えなんです。  そこで、あなたは大蔵省を代弁してものをおっしゃっていますから、だいぶ答弁があやふやになってくる。大蔵省はお見えになっていますか。——大蔵省の御見解を一ぺん聞いておきたい。
  70. 名本公洲

    ○名本説明員 お答え申し上げます。  ただいま来、財政局長からいろいろお答えがございましたが、私どものほうの考え方といたしましても同様でございまして、今回の補正予算におきましては、補正予算をつくりました段階におきまして、日本経済状況から総需要を抑制してまいるということが非常に重要な問題であるというような考え方補正予算が組まれたわけでございます。これにつきましては地方のほうにおきましても御協力いただくという考え方に立ちまして、可能な限り緊急な財政需要に対して手当をするという配慮をいたしますとともに、余りましたお金につきましては、これを借り入れ金の返済に充てていただく。かつ、このことは同時に、地方財政そのものに対します後年度の負担というものを軽減することであります。これは地方財政に対して必ずプラスになる問題であるということも考えられたわけでございます。したがいまして、現在御審議をいただいておりますさような交付税法の改正案というものがきわめて合理的であり、かつ、地方財政にとって有益なものであるというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
  71. 三谷秀治

    ○三谷委員 交付税というものは地方団体の共有財源なんでしょう。地方団体固有財源なんでしょう。自治省が主張しますように、国の一般歳出歳入予算に入れないままで、直接これを地方に渡すということをやってもいい性質のものなんです。その地方固有財源や共有の財源に対して、大蔵省がいろいろな指示、干渉をしている。そうして調整をやってきておる。それは正しい処置じゃない。大蔵省は、交付税が国の財源の硬直化の大きな原因である、こんな主張をしてきた。しかし、これは初めからきまった地方財源なんでしょう。その地方財源に対して、あなたのほうがあまりとやかく、えてかってな干渉をしてはだめだよ。この交付税法において規定しておりますような、地方自治の本旨の実現だとかあるいは地方団体の独立性の強化だとか、これは地方交付税法の目的に書いてある。その地方団体の独立性の強化だとか地方自治の本旨の実現なんというものは、あなた方のえてかってな処置によっていつでも曲げられてしまっているじゃないか。地方財源地方にまかせる、こういう性質のものです。それをなぜあなた方のほうが、先になればそのほうが地方自治体にとって有利だとかなんとかいうかってなことを言って年度制を無視されますのか。これは法定事項なんでしょう。ここでいろいろな判断をして随意に大蔵省がきめ得るという性質のものじゃない。ちゃんと法律で規定してあるわけだ。そうして、その国税三税の三二%というものは地方税収と同じ性格を持っておるわけだ。地方税収に対してあなた方が調整権限がないと同じように、この三二%の交付税についてもあなた方はかってな調整をする性質のものじゃない。そうお考えになりませんか。
  72. 名本公洲

    ○名本説明員 この交付税につきます基本的な考え方というものにつきましては、自治省大蔵省の間においていろいろな議論があるということは先生御承知のとおりでございまして、事実でございますが、私どもといたしましては、法律に書いてありますように、地方団体地方自治の本旨というものについて、これをとやかく言うようなつもりはないわけでございます。ただ、地方と国というものは、現在のところ地方財政というものは国の財政に匹敵する、あるいはそれ以上の規模を持った大きな経済主体になっております。したがいまして、国といたしまして経済を運営してまいります場合に、地方の御協力なしにはやっていけない、あるいはその効果が非常に減殺されるという問題がございますので、国の財政政策財政方向というものにつきまして地方にも御協力いただきたいということで、自治省の御当局とも十分御相談申し上げながらやってきておるというのが実情でございます。
  73. 三谷秀治

    ○三谷委員 地方の御協力なしには国の政治もうまくやれないということはよくわかりますけれども、あなた方のやっている措置は協力と違うわな。頭ごなしに、自治体が熾烈な要求をしておるのに対して、納得しようがしまいが、こうだ、こういうやり方をしているがな。自治省と協議したといっていますけれども自治省との意見が対立していることは私どもはよく知っている。対立していますけれども、あなた方のほうがとにかく税金を取って握っているわけだから、これが直接特別会計に算入されるということなら問題はまた違ってくるわけであります。そうじゃないでしょう。あなた方のほうが握ったものを自治省に渡す、特別会計に渡す処置をめぐって意見が違ってきているわけだ。そうしますと、あなた方がおっしゃいますような、地方自治体の協力とか了解とか、そんなものじゃないがな。一方的にこうだと言ってきているんだ。そういう処置をする性質のものと違うと言うんだ、交付税というものは。そうと違いますか。
  74. 名本公洲

    ○名本説明員 ただいまもお答え申し上げましたように、国全体の財政政策経済政策というものに地方団体におかれましても御協力をいただく、いただかなければならないという基本的な考え方のもとに、御所管の自治省御当局とも御相談申し上げながらやってきておるというのが実情でございます。
  75. 三谷秀治

    ○三谷委員 国全体の方針はわかりますけれども、それは否定しませんが、そのことと、交付税率は各年度における国税三税の三二%を充てるんだという法の規定とは別なんですよ。それはそれとして支給をしながら、全体として国の方針にどのように協力してもらうか、地方自治を尊重しながら地方自治体の自主的な検討によってこれをきめてもらうということと別問題だよ。君らのほうは頭ごなしにきめてしまりて、そうして交付税制度の中にまで、法定されております事項の中にまでそういう恣意的な方針を持ち込んできて、地方財政年度間調整をやっていく。これは正しくないといっているんだ。協力というものは、地方自治体が自主的に独自に判断をしてきめていくものであって、交付税というものは国税三税の三二%を渡すんだ、これははっきり法定されているわけだ。それと別問題でしょう、地方が国の方針に協力するとかしないとかいう問題は。混同してはだめですよ。交付税制度の運用と国の方針の指導的な浸透という問題は別個にしてもらうんだ。そういうたてまいなんだ。それをあなた方はたまたま交付税制度を利用して、国の方針を一方的に自治体に押しつける。これは地方自治に対する重大な侵害じゃないのか。
  76. 名本公洲

    ○名本説明員 私どものほう、大蔵省といたしましては、地方自治というものは非常に重要なものでございまして、これを侵害するような考え方は毛頭ございません。しかし、先ほど来申し上げておりますように、国と地方というものが一体となって経済政策というものは運営をしていかざるを得ないものである、かような考え方に基づいて行なっておるわけでございまして、先生のおっしゃいますように、地方自治の本旨そのものをゆがめていこうというよなつもりはないわけでございますので、その点につきましてはひとつ御了解をいただきたいと思います。
  77. 三谷秀治

    ○三谷委員 考えがあるなしじゃない。実際の処置がそうなっていると言っているんだ。それが問題だ、こう言っているわけだ。
  78. 名本公洲

    ○名本説明員 今回交付税法の改正をお願いしておるわけでございますけれども、その当該年度に入りました三二%の国税三税を交付税として地方に配付するという点につきましては、たとえば四十八年度年度当初予算におきまして九百五十億の借り入れを行なった、これは四十九年度において返済するというようなことを事実問題として行なっております。また四十六年度、四十七年度において借り入れました金額につきましても、年度割りをつくってございますけれども、後年度においてこれを国に返済するというようなことになっておりまして、いままでの事例から申し上げましても、すべてのものをその年度内で全部やってしまう、後年度のことには一切触れないというような考え方では必ずしもないわけで、また経済というものは、申し上げるまでもないことでございますけれども、一年度年度区切ってものを考えるよりも、当然長い目でもってものを考えていかなければならないというものでございますので、そういう点も考慮に入れながら予算は編成されていくべきものと思います。そういう意味からいきまして、今回の千九百九十六億の借り入れを繰り上げ償還いたすことになりましたことは、後年度の負担を軽減するというという意味におきまして地方公共団体のためにもなるんだというふうに私どもは確信して、そのように自治省御当局とも御相談をしながらきめさせていただくというようなことになっておるわけでございます。
  79. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまの地方自治体の財政状況というものは繰り上げ償還するような状況じゃない。いま地方自治体が要求しているのは、もっと起債を認めろといっているんだ。銭が足りない、だからもっと起債ワクを広げろといっているんだ。もっと借金がしたい、こういっているんだ。そして交付税につきましても、年度における償還計画はちゃんとできているわけだ。そういう状況の中におきまして、てまえかってに、五十年までですか、五十何年までですか、全部償還させてしまう、繰り上げしてしまう。そんなことは地方自治体の要求と違うがな。地方自治体はもっともっと借金したいといっている。借金をいましなければ仕事ができない、こういっているんだ。その地方自治体の要求というものと、あなた方がおとりになったこの繰り上げ償還の処置とは、一体どこでどのように脈絡しているんだ。
  80. 名本公洲

    ○名本説明員 地方債の点につきましては、私、所管でございませんので何ともお答え申し上げかねますけれども、そういう財政需要が地方のほうにおありになるというお話でございますが、地方債のほうは所管いたしておりませんので何とも状況がよくわかりかねますけれども、私ども考え方といたしましては、国全体の総需要抑制という財政方向というものに、地方団体におきましても御協力いただきたいんだということでございます。
  81. 三谷秀治

    ○三谷委員 総需要の抑制ということを盛んにおっしゃいますけれども地方団体における総需要の抑制とは、どういうことを大蔵省考えているんですか。地方財政の実態を見ますと、地方の公共投資のうち、産業基盤強化の投資のほうが五三・数%でしょう。生活関連投資のほうが四六・数%でしょう。しかも、超過負担というものはどこから出てくるんだ。超過負担は産業基盤強化から出てこないんだ。生活関連投資から全体出てきている。この実態を見ました場合に、あなた方がおっしゃっている総需要の抑制というものは一体どういうことなんだ。そのあなた方の——あなた方といっても大蔵省でしょうけれども、主張が私どもによくわからない。これは、交付税地方自治体に渡したからといって需要が増大するという性質のものじゃない。需要を増大させなくちゃならぬ部分があるわけだ。これをほっておけば人間の命にかかわるような部分があるわけです。そこでどんどん金を使わしていって、産業基盤強化のほうを押えていく、その処置が必要なんだ。その処置は同時に、補助基準単価やあるいは交付税財政需要額の算定をする事業補正単価によって問題が出てくるわけだけれども、いずれにしましても、総需要の抑制なんてばくとしたアピールによりまして、交付税というものをえてかってに処理する、こんなことは正しくない。改定してもらいたい。千九百九十六億円は当然地方団体に交付すべきである。そして契約に基づいて償還をさせるべきである。当然のことだ。  これだけに時間をとっておると時間がなくなってしまうから次にいきますけれども、今日の地方団体財政危機が深刻であることは先ほどもおっしゃっておった。自治省の資料によりましても、四十八年度における公共事業等の契約は九月末で四七・八%なんですね。半分以上が未契約になってしまっている。これから契約を進めていかなくちゃならない。たとえば大阪市などの例を見ますと、四十八年度の市営住宅は、建設計画四千七百戸に対して年度内完成見込み二十七戸といっている。住宅困窮世帯は二十一万一千世帯ある。そこでことし二十七戸、家が建つというのです。こんな状態になってきている。土地や建築資材の暴騰、建設資材の不足が深刻な影響を及ぼしてきている。こういう地方行政の末期的な実態につきまして一体どうお考えになっているのか。今度の交付税、二百三十二億ですか、事業補正等に伴う配分額二百三十二億、このようなもので足るとお考えですか。
  82. 松浦功

    松浦政府委員 二百三十二億は、御承知のように国の単価補正に伴いまする裏負担分について交付税措置をしたものでございます。交付税のたてまえ上、超過負担を交付税措置するというわけにはまいりません。あくまでいままでの仕組みに合わせて措置をしたというふうに御理解をいただきたい。
  83. 三谷秀治

    ○三谷委員 超過負担を交付税で処置せいと言っておりはせぬで、超過負担は国庫負担金で処置すべきものだ。同時に、交付税事業補正の基準単価が安いために交付税の不足額が出ている。ちょうど国庫補助金で超過負担が出るように、その裏側としては交付税の基準単価が安いために不足が出てくるわけです。それぐらいは直していくという処置が必要なことは当然の話です。それを私は言っているんですよ。
  84. 松浦功

    松浦政府委員 交付税の単価は国の単価に合わせてとっております。したがって、交付税の制度上、差額が出るという考え方は私どもにはありません。
  85. 三谷秀治

    ○三谷委員 交付税の単価を国の単価でやっている。要するに、そこはどちらが先かあとか知りませんけれども交付税単価、国庫補助単価、これはひとしいものだ。そこで国庫補助金から超過負担が出る、交付税からは不足額が出る、それの合わさったものが膨大な額になる。全部が全部超過負担という表現は正しくないかもしれぬけれども、事実上は超過負担になっているわけです。そこで、国の単価というものは自治省の単価であり、大蔵省の単価だと思うけれども、それを是正するという処置が当然必要なわけです。是正しなければ実情に合わないわけだ。その是正をしないのかと言っているわけです。
  86. 松浦功

    松浦政府委員 国のほうがそれぞれ措置をいたしたものに合わせて地方交付税のほうも措置をいたします。
  87. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたは国と違うのかね。みんなが国なんでしょう。国の機関なんでしょう。それで補助金というのは各省から出てくる。交付税自治省できめ得るわけなんです。そうしますと、各省も補助金単価を改定してもらう必要がある。自治省のほうも交付税の単価を改定する必要がある。どちらが先かあとか知らぬけれども、お互いに責任のなすり合いをしないで、自治省自治省として改定の方針を出していく。国は国として変えてもらう。それをやってもらわぬと困るじゃないですか。結局、自治省と各省の内部矛盾というものが全部自治体のしわ寄せになってくる。そんなことは自治体の責任じゃない、国がやるべき責任なんだ。それをやってもらわぬと困る。
  88. 松浦功

    松浦政府委員 現実に非常に単価に差があれば国のほうに直していただくというのは当然だと思います。ただ、自治省も確かに国の機関でございますけれども、私どもは、住宅の単価が幾らが望ましいか、あるいは義務教育小学校の単価が幾らであるべきかということについては、地方団体の意見を十分伺いながら関係各省にお願いをいたす、あるいは大蔵省にこういうふうにしてもらわなければ超過負担が出て困るということをお願いすることはいたしますけれども、私どもに決定権限はございません。その点は御理解をいただきませんと、自治省立場としては非常に苦しい立場に追い込まれるわけでございます。
  89. 三谷秀治

    ○三谷委員 負担金、補助金はこれは各省で直してもらう。いまあなた、国とおっしゃいましたけれども自治省は国でないかのようにいえば、各省別々に問題を明らかにする以外に方法がない。建設省に直してもらう、厚生省に直してもらう、それから文部省に直してもらう、同時に自治省も直さなければいかぬ。交付税につきましては自治省がこれを是正する権限を持っているわけです。その自治省がまず是正するという態度を出すことが必要なんです。建設省や文部省が直らなければ自治省は直すことができない、そういう根拠はありはせぬから、実態に即したものにしていくということがいまの命題ですから、自治省自治省として実態に即した単価をきめていく、同時にそれにならって各省も改定をしてもらう、こういう処置が必要になってきている。どこが先にやるのか、先にやるのを見ているような話ではひとつも問題は進みやしません。
  90. 松浦功

    松浦政府委員 いろいろそうおっしゃられても、どうも答弁のしように困るのでございますが、三谷先生もよく御承知だと思いまするが、大蔵省が単価の決定を最後に予算を通じてするわけでございます。どうかひとつそちらのほうにお働きかけをいただきたいと思います。
  91. 三谷秀治

    ○三谷委員 要するに、この単価改定なんというものは足りない。足りないことは初めからわかっている。承知の上で足りない単価改定をやっているわけだ。そうして、おっしゃっているのは、交付税だけで単価改定をやりますと各省の補助金の改定がなされない、交付税にしわ寄せになってしまう。それは自治省のおっしゃること。そうすれば一体どこで自治体のいまの状況というものが救われるのか、どこで解決されるのか、実に深刻な問題です。  大蔵省は一体どういう考えだ。たとえば、単価改定をやりましたけれども、この事業費単価の改定にあたりまして、建築資材の価格変動をどのように加算しているのか、これをひとつ具体的に聞きたい。
  92. 名本公洲

    ○名本説明員 私、直接各係の予算を担当いたしておりませんで、全体的に地方財政の面からながめておるものでございますから詳しく存じておるわけではございませんけれども補正段階におきまして、当初予算の際に組み上げました補助単価というものを、補正予算編成段階におきます諸物価の値上がりを計算いたしまして、それを上のせしていったというように承知いたしてございます。
  93. 三谷秀治

    ○三谷委員 そういう一般的な答弁じゃだめですよ。やはり単価改定をして、これが補助額だという基準額がきめられるわけだから、それについてはもっと明確な答えをしてもらわぬと困る。いまの財政局長答弁を聞きましても、大蔵省のほうに言ってほしいと、言外にえんえんたる恨みを込めた発言をしたじゃありませんか。それに対して大蔵省はもっと責任のある答弁をしてもらう必要がある。たとえば公立文教施設の平米当たり単価などが若干改定された。交付税事業費単価が五万二千三百円になったのですね。ところが、本年施行しました各自治体の実際の事業の単価を調べましたか。
  94. 名本公洲

    ○名本説明員 建築単価につきましては、私どもの建設係のほうにおきまして各種のデータを取りそろえまして、その上で計算した結果、今回の補正予算におきまして、たしか一〇・八%でございますかを、年度途中で改定しましたものの上に上のせしたというように聞いております。これは各種データを取りそろえ検討いたしまして、建設当局あるいは文部当局と各係におきまして相談の上決定したものであるということでございますので、標準的な意味におきます補助単価というものは、一応実態に合わせてきておるというふうに考えておるわけでございます。
  95. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは、自治体の実施単価というものと今度改定されました基準単価とは根本的にこれは食い違っている。どこで調べてきたのか知りませんけれども、特に人口急増地域や過密地域におきましては問題になりません。しかも改定されました単価というものが実態に合わないということ、足りないことを承知でやっているということは、いまの財政局長答弁の言外にも示されている。そういう処置というものをあなた方がそこで合理化しようとしてもだめですよ。もっと実態に即してやってもらわぬと困りますよ。  例を引けば何ぼでもありますけれども、そんな時間はない。たとえば京都の紫野小学校などは平米当たり六万五千四百二十三円、それはしかし十月以前の計算だ。改定単価が五万二千三百円だから、平米当たり一万三千百二十三円の不足になるんだ。これが交付税のほうからも出てくる。補助金からも出てくるわけだ。一体地方自治体にどないせいと言うんだ。それからもう一つ言うておきますならば、昨年施行しました事業、堺市のこれは高倉台小学校といいますけれども、平米当たり五万四千四百六十二円でやった。これは去年ですよ。それをことし五万二千三百円に改定をする。去年の実施額より少ないじゃないか。  こういう実情を見ましたときに、この単価改定というものが全くいまの資材の暴騰、物価、市場などの状況を無視したものだということ、これはだれでも言えることだ。さっきの方もおっしゃっておった。そういう大蔵省の態度というものは、地方自治地方財政というものに対して重大な破壊行為だ。直してもらわぬと困る。この交付税の不足を一体どうしろというんだ。そうしてこの単価改定を行ないます場合、建築資材の計算をどのようにしたのか、これをちょっと聞いておきたい。——建築のほうはわからなければ、建設省来ているはずだから聞いたらいい。
  96. 宮崎明

    ○宮崎説明員 御承知のように、超過負担解消ということで、四十八、四十九年度二カ年で超過負担を解消しましょうということで、建設標準単価のアップをやってきているわけでございます。それで六月に資材の値上がり等ありまして……
  97. 三谷秀治

    ○三谷委員 資材の値上がりをどのように見ているか、何%見ているか。
  98. 宮崎明

    ○宮崎説明員 これは各地区の地区ごとの調査資料に基づきまして、大都市地域あるいはその他の地域ということで平均単価を出しまして、これを大蔵省とも折衝してきておるわけでございます。
  99. 三谷秀治

    ○三谷委員 それをどう見ていらっしゃいますかと言っているのです。新聞で見ますと、建設省の計算では、本年四月に比べまして十二月一日で、生コン二五%、砕石二〇%、こういうような計算をなさっているようだ。これはたいへん薄めた計算になっている。しかも十二月一日以後、生コンは建設省が二五%値上げを認めたでしょう。インフレ条項というやつだ。認めている。それから建設五団体の資料によりますと、建設省の資料とはだいぶん違っている。私が大阪や東京の自治体からもらいました建設単価の上昇統計から見ましても、実情に合っていない。大体二〇〇%から一六〇−七〇%主要建設資材は上がってきている。その状態から見ますと、この改定額で足りないことはあまりにも明白なんだ。たとえば今度生コンが二五%上がる、関西地区は三〇%上がりますが、それに対して、いまここできめました九月段階における調査というものではもう間尺に合わない。その不足額を一体どうするのか、お尋ねしたい。
  100. 宮崎明

    ○宮崎説明員 私、直接の担当じゃございませんので、その単価アップの積み上げの詳しい内容はちょっと存じていませんけれども石油危機の前の状態では、セメントとか砕石あるいは鋼材、こういうものにつきましては実勢の価格を反映して標準単価を設定しているはずでございます。その後の異常な状況につきましては、当然十月に改定した単価では無理があるように思いますけれども、これについてはまた十分検討していかなければならぬと思っています。  それから、生コン単価を国が決定したということじゃございませんで、これはあくまでも生コン業界あるいは建設業協会、これはお互いに売るほうと買うほうで利害が反するわけでございます。両者の自主的な調整の結果、東京地区では八千百円というような単価が設定されてきたということでございます。
  101. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまカルテル問題をここで議論しようと思ってない。時間がない。しかし、いまおっしゃいますように、十二月以降における——たとえばいまの単価改定というものは石油危機発生以前の資料に基づくものでしょう。発生以後における単価の変動に対してはどうされるのか。大蔵省どないするんや。——いや、あなた答えてもらってけっこうですよ。
  102. 宮崎明

    ○宮崎説明員 直接担当じゃございませんので、いまストレートにお答えできませんのを御了承願いたいと思います。  ただ、私担当しておりますいわゆる公共土木工事等につきましては十二月六日付で、主要資材について異常な値上がりをしたものにつきましてはある程度の差額を見てやるということで、すでに通達も出して措置しているわけでございます。これはあくまでも既定予算の中での処置ということで、したがって一部予算流用あるいは工事量減で対処していくということにしております。
  103. 三谷秀治

    ○三谷委員 ある程度見てやるとおっしゃいますけれども国庫補助金についてはそうだけれども単独事業はどないしますのや。単独事業についても見ますのか。
  104. 宮崎明

    ○宮崎説明員 これは別でございます。補助事業でございます。
  105. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうでしょう。そうしますと、単独事業については交付税においてはどうするのですか。
  106. 松浦功

    松浦政府委員 今回の二百三十二億の中に、単独事業でいわゆる国の抑制に該当するような庁舎でございますとか出先の事務所でございますとかいうような経費を除きまして、住民生活に大きな影響があるものについては、国の単独是正に準ずる単価是正を交付税の中でやるということでございます。
  107. 三谷秀治

    ○三谷委員 その単価是正というものは九月段階物価状況を基礎にしているから、石油危機以後の物価騰貴分についてはどうされるのかと、こう言っているわけですよ。
  108. 松浦功

    松浦政府委員 先ほど来繰り返して御説明申し上げておりますように、交付税では国のやり方に準ずるという形を制度としてとっておりますので、国のほうの措置がとられますれば、それに準じた措置をとらなければならないと存じます。
  109. 三谷秀治

    ○三谷委員 国のほうはどう措置をとるのですか、大蔵省の方。
  110. 名本公洲

    ○名本説明員 私はその直接の担当ではございませんのでよくわかりかねますけれども、今回、年度途中で改定いたしました単価に対しまして一〇・八%上のせをいたしたということになっております。その一〇・八%というのは一応の見通しをもって立てたものだというふうに私は理解してございます。個々の建築に、おきましては足りないものもあるかと思いますけれども、補助単価と申しますのはあくまでも一つの標準的なものを考えましてつくっておりますものでございますので、今回の補正予算で積み上げました単価で一応行き得るものであるというふうに理解いたしてございます。
  111. 三谷秀治

    ○三谷委員 できないことはさっき具体的な数字をあげて言ったじゃないですか。堺の例だとか京都の例だとか——例示しろといえば何ぼでもするで。一時間でもできるだけあるわ、ここに。そんなことしている時間がないから一、二の例を引いただけのことだ。この例を見ますと、足りない。今度の改定分じゃ足りません。しかも、その改定します資料というものが九月段階のものでしょうが。それ以後の物価の上昇についてはどうするかと言うんだ。そのままほうっておくのか、どうされるかと聞いているわけです。
  112. 名本公洲

    ○名本説明員 補正予算を組みます段階におきまして、各担当の予算の係におきまして一応の見通しをもって各省と御相談申し上げてつくった単価であるというふうに理解しておりますので、個々の実際の建築物そのものにつきましては、先生おっしゃいますとおり不足するものもあるかとも思いますが、一般的には一応やってまいれるという単価になっておるというふうに私どもとしては理解をいたしてございます。
  113. 三谷秀治

    ○三谷委員 実際にやっていけないということを指摘しているんじゃないか。私がするだけじゃありませんがな。質問される方が同じように、やはりそういう立場に立つ御質問をなさっている。つまりこれは普遍的な状況なんだ。足る足ると言っているのは大蔵省だけや。足りれば超過負担が出るわけはないんだ。従来から足るたてまえでやってきたんだ。実際には足りない。今度の場合でもこの改定額では足りない。足りないのはわかったこっちゃがな。九月段階のたとえば物価状況を土台として単価改定をやったんでしょうが。それ以後石油危機が持ち上がってくる、あるいは物不足による値上げも重なってくる。そうしますと、当然これは足りないのがあたりまえだ。百パーセント足りないのにきまっている。それに対してどうするか。大蔵省は何の方針もないのかね。
  114. 名本公洲

    ○名本説明員 まことに恐縮でございますけれども、私、建築そのものの単価あるいは公立文教施設の単価そのものをきめる、各省と御折衝申し上げる立場にある主計官ではございませんので、具体的にどのように詰めていったかという点につきましては承知いたしてございませんが、補正予算で計上いたしました単価——公営住宅につきましては計上いたしてございませんですけれども——につきましては、おのおの各係が各省と御協議申し上げてつくった単価であるので、私どものほうといたしましては、それで標準的なものとしては一応足りておるというふうに考えておるわけでございます。
  115. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは足りません。たくさん資料があります。  そこで、この委員会に説明を担当して出てくる限りは、質問に答えられる人に来てもらいたい。みんな、わからぬ、わからぬじゃ困りますがな。何のためにしゃべっているのかわからぬがな。答弁できる方、出てきてください。  この建設資材というものの価格算定がきわめてあいまいなものであって、実際の実施額には遠く及ばないということは非常に明白だ。したがって、十月以降における物価上昇率に見合った新しい改定をする必要がある。そうして同時に交付税も改定をする、このことを私は主張しておきます。  時間がありませんから、あと簡単にいきますが、土地開発基金九百億の算定基礎は何ですか。四十四年に八百三億ですか、四十五年が九百三十七億、四十六年が六百八十八億に続きまして、これは四度目の繰り入れでありますね。用地の騰貴などの条件と比べまして、この額の算定基礎を聞きたい。
  116. 松浦功

    松浦政府委員 これまでどちらかと申しますと、府県、五大市に重点的に単位費用の算入をはかってまいりました。今回は市町村も全部という含みで、大体念頭に置きましたのは、都道府県の標準団体において五億、それから市町村の標準団体、十万の市でございますが、一億、これを頭に置きまして総体を計算いたしまして大体九百億ということ、目算をつけまして九百億配る、こういうことにいたしました。
  117. 三谷秀治

    ○三谷委員 その五億、一億というのは、標準団体における算定の基礎になるわけですね。しかしそれは各地域の土地の価格だとかあるいは土地の需要量だとか、こんなものによってそれぞれ差が出てくるわけです。それをどう見込んだのか、これを聞きたい。
  118. 松浦功

    松浦政府委員 標準団体で五億、一億という形はいれておりますが、それに御承知の規模別の段階補正と、それから何と申しますか、種地——御承知と思いますが、態容でございます、それの補正係数を使っております。したがって、ある程度都市化された大都市の周辺の種地の高いところには割り増しとなっていく、こういう形をとっております。普通交付税のルールに大体乗っかって配っているというふうに御理解いただいていいかと思います
  119. 三谷秀治

    ○三谷委員 それにつきまして詳しくお尋ねしたいのですけれども、時間の関係がありますから省略しますが、この基準財政需要額に用地費の不算入という状態ですね、この矛盾というものが土地開発基金という形になってきていると思うのです。これは部分的なびほう策ですね。そこで、人口急増地域だとか過密地域におきましては用地費の膨張がはなはだしいのです。これが一番大きな財政圧迫の原因になってきている。そうしますと、住宅や社会福祉、文教施設などの最大の隘路が用地にある。この用地費を基準財政需要額に算入すべきだと考えますけれども、これについてはどうでしょうか。
  120. 松浦功

    松浦政府委員 小中学校の、人口急増、そういった部分については土地も交付税の中に入れておりますが、その他の道路の用地でございますとか、そういったものについては基準財政需要額に入れておりません。もちろん御承知のように、土地についての経費を入れるということは、まことに地域地域によって千差万別でございまして、交付税上算入するという技術的な因難さと、それから土地については地方債を認めるという制度がはっきり確立をしておりますことと、それからもう一つは、土地が財産でございます。かりに移転をいたしますと、売却すると、こういうこともございますもので、基本的になかなか入れにくいという事情がございます。ただ、ただいま御指摘申し上げました人口急増市町村等、特に土地について大きな問題のあるところについては、現実の運営にお困りにならないように、いろいろな手段を用いて配慮をしていく必要があろうかと考えております。
  121. 三谷秀治

    ○三谷委員 そういう抽象的なことでなしに、具体的にどうするか、これを聞きたいのです。  それで、本年度は用地価格の高低によります行政経費の差を基準財政需要額の算定に反映させる補正指標をつくりましたね。しかしこの程度では問題外なんですよね。いまおっしゃいましたように、市町村によりまして土地需要に高低がある、差がある、そこで一律に交付税の対象にするのは不公平のそしりが生ずる、こういう意見のようですけれども、一定の行政水準を維持しますために必要な処置を各自治体がとります場合に、若干の必要な経費のでこぼこが出るのは当然であって、それは不公平という性質のものじゃない。それぞれが行政的な需要を満たすために必要な財政処置でありますから、それは不公平だからといって基準財政需要額に算定しないということは当たらない。是正すべきだと思います。  それから来年度予算要求を見ますと、人口急増特別処置としまして小中学校の用地費補助を要求されておりますけれども、こういう処置をおとりになるとすれば、これは当然用地費算入という問題も起きてくるわけでありますが、この点はどうですか。
  122. 松浦功

    松浦政府委員 事業補正という形で補助金のついたものについては、現在でも交付税に算入しております。したがって、私どもとしては、いまの足切り五〇%、あるいは、全然問題になりませんけれども、二万というような単価を上げてほしいという要求をしております。それらの問題がある程度大蔵省で通りますれば、通ったものに合わせて当然交付税のほうも増額算入するという措置をとっております。
  123. 三谷秀治

    ○三谷委員 大蔵省はどうですか。
  124. 名本公洲

    ○名本説明員 人口急増問題につきましては、各方面からもいろいろ御要望もございますので、現在、来年度予算編成作業中でございますが、その中でどのように考慮していくか、まだ編成作業中でございますので、何ともちょっと申し上げかねるわけでございます。
  125. 三谷秀治

    ○三谷委員 そんな、ものを答えられない答弁者がお越しになっては困りますな。やっぱりある程度答えなくちゃ困りますな。帰って相談しますなんということを言っておったのでは何の審議にもなりはしません。もう少し大蔵省地方行政委員会なんというものを軽視せずに、責任のある人に来てもらう。建設省もそうですよ。あなたも何かわからぬ事項があるように言っておったけれども、少なくともこれぐらいのことについては答えるという態度を準備するのは当然な話だ。だからこれはいま、とてもじゃない、これは質問にも答弁にもなりはしませんからおいておきますけれども、今後そういうふうに委員長にお願いしておきます。これじゃ審議になりませんがな。  そこで、もう終わりますが、お願いしておきますが、地方交付税の算定の簡素化をしてください。地方交付税の計算のしかたがわかりません。いまの改定率を見ましても、そのまま計算できるものじゃない。さまざまな補正指数が入ってくる。一体実態はどうなるのか、かいもく見当がつきません。われわれが見てもわかるようにしてほしい。一般の国民が見てもわかるようにしてほしい。地方自治体の職員が見てもわかるようにしてほしい。いまのは全くわからない。この簡素化を研究してもらいたい。  それから、こういう地方財源につきまして、ほんとうに地方自治体の意見を反映させますためには、地方自治体の代表者を含めました交付税配分についての審議会をつくってほしい。そうしませんと、どうしても国の一方的な処置によっていやおうなしに押しつけてしまう、こういう結果になってくる。これは全部の自治体から参加できませんけれども、何らかの形で地方自治体の意見が反映をするような処置を考えてもらいたい。このことを求めておきますが、大臣お答え願いたい。  大臣にもう一つお尋ねしたいのは、いまの物資不足の中で、地方自治体に対して物資の供給をしてもらいたい、こういう要求が強い。物が手に入らなくて困っているのです。それは自治省として、政府として、物をいまは支給するという方針を、解決するまでやってもらいたい、こういう要求がある。これについてもお答えいただきたい。  それからもう一つ、一昨日、林議員の質問に対して、工事繰り延べによる資材暴騰分の一部を国が負担するということをおっしゃいましたが、これは大蔵省も同じ方針かどうか、聞いておきたい。それから入札不調による契約遅延によります資材の騰貴の差額ですね、これをどうするのか、これも一緒に聞いておきたい。
  126. 名本公洲

    ○名本説明員 お答えいたします。  一つ、前に、先ほどのことでちょっとお断わりをしておきますが、人口急増地の問題でございますけれども、これは現在、私が全体しかわからない地方財政のほうの主計官であるということだけではございませんで、来年度の問題といたしまして現在予算編成作業中でございますので、主計局として現在お答えできる段階にないということを申し上げたわけでございまして、その点はひとつ御了承願いたいと思います。  それから先ほどの、四十八年度におきまして予算執行の繰り延べをお願いいたしました補助事業に対します補助単価、これにつきましては、補正予算予算を確かに計上してございませんですけれども、私どものほうとしては、その執行繰り延べが解除になりました段階におきまして、旧単価のままではこれはもちろん工事の執行ができませんものでございますから、その時点におきまして補助単価につきまして検討させていただくというたてまえをとっております。
  127. 町村金五

    町村国務大臣 交付税について特に審議会を設けたらという御意見を伺ったのでございますが、御承知のとおり地方財政審議会というものがございまして、こういった問題については十分御審議を願うたてまえになっておりますし、また自治省としては常に地方公共団体の御意見を承っておりまするので、特に交付税のための審議会を設けるということは適当でないと考えておる次第でございます。  さらに、最近物資が非常に不足をして難渋をしておるということが各方面からいわれておるということを、私ども承知をいたしておるわけでございます。この点は、物資を所管しておりまする通産省その他に対しまして、できるだけ必要な資材については確保の通を十分ひとつ講ぜられるように、強く要請をしてまいろうと考えておる次第でございます。
  128. 松浦功

    松浦政府委員 交付税の算定方法につきましては、実は私も十数年前交付税にタッチをしておったのでございますが、新しく財政局に参りまして、私が見ましてもどうもあまりよくわからないほど詳しくなっております。これは、二つの要請というものが交付税についてはあるわけでございます。先生御指摘のように、だれにもわかるように簡単にしたらいいじゃないかという要請と、それぞれの団体における特殊性を反映するためには非常に詳細な技術を用いないと、なかなかその団体に対応する需要が計算できないという事情と、二つございまして、実情に合わせようとするとますます複雑になる、こういう現象があることは否定できないところでございます。御指摘のとおりに、われわれとしては、できるだけ実態に沿いつつ簡素化する方法はないだろうか、この辺になりますと非常に結論がむずかしゅうございます。しかし、いずれにしても私どもとしてはその方向努力すべき義務があると思います。努力を続けてまいることはお約束をいたします。
  129. 三谷秀治

    ○三谷委員 時間ですから終わります。
  130. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 以上で、本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  131. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより討論を行ないます。  討論の申し出がありますので、これを許します。山田芳治君。
  132. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案をされております昭和四十八年度分地方交付税特例に関する法律案に対し、次の諸点により反対の意思を表明いたします。  第一、今回提案されております交付税法案は、本年度国税三税の増収に伴う地方交付税の増加総額四千二百四十億の配分を定めようとするものでありますが、このような多額の交付税補正のときにこそ、まさに地方自治体が非願ともいうべきインフレによる超過負担解消のため充当されるべきであり、とりわけ地方自治体が住民の暮らしを守るため苦労して計上している生活環境施設整備事業、社会福祉の充実、生活保護世帯、身障者等のための地方の積み上げ措置に対し少しでも充当すべきであり、次年度においても昭和四十七年度精算額千六百億をこえる増収が見込まれておるにもかかわらず、今年度において借入金の償還に五割弱の千九百九十六億も充てることは、私どもどうしても納得できない措置であり、地方自治体の財政危機に対する政府のきわめて冷たい措置というべきであり、まことに遺憾というほかはありません。  第二番目、特別交付税額の計算において、交付税総額から九百億、すなわち土地基金充当額を差し引いたものの六%とすることは納得できない。特別交付税を減額するならば、六%そのものを法律において減額すべきであると思うのであります。  第三番目、地方公務員の給与改定について、今回もまた節約分の積算八%を中に入れて計算されていることは、地方交付税法の違反であるというべきであります。  第四番目、沖繩に対する交付税配分は、本土復帰事業、基地対策、海洋博等、本土とは異なる財政事情があるにもかかわらず、きわめて不十分な措置である。  以上、今回の地方交付税の増額は相当の多額にのぼるにもかかわらず、単にインフレに対する対応策にとどまるのみならず、その対応策すらきわめて不十分であり、多くの基準財政需要額の積み残しになっていることばまことに遺憾であり、とうてい賛成することはできません。  以上、きわめて簡単でありますが、昭和四十八年度分地方交付税特例に関する法律案に対する反対討論といたします。(拍手)
  133. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 林百郎君。
  134. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、昭和四十八年度分地方交付税特例に関する法律案、議題になっております本法案に反対の討論を行ないます。  その第一点は、地方交付税総額についてでありますが、本法案によりますと、補正予算によって当然地方自治体に全額交付されなければならない地方交付税増額分の四千二百四十億円を二千二百四十四億円に減額しておることであります。すなわち、資金運用部資金への繰り上げ償還、また当初借り入れ金の取りやめによって減額をしておるということであります。  わが党の三谷委員も強調しておりましたように、インフレ等によって地方自治体の財政負担が急増している今日、来年度以降の財源難あるいは総需要の抑制などを理由とする地方財源の減額は、今日許されるべきものではありません。しかも、地方交付税法の第六条第一項には、言うまでもなく、「所得税法人税及び酒税の収入額のそれぞれ百分の三十二をもつと交付税とする。」ということが定められておるところであります。この交付税額について明確に法律で規定されている分、すなわち地方自治体の当然の権利とされておるものを、国の都合によって削減をするということは許されないところであります。これは地方の自主財源である交付税に対して、国の都合によってその総額に調整を加えるということであって、これは厳に禁じられなければならないところであります。地方自主財源の国による規制、抑制を許すような本法案は地方自治の本旨を侵すものであって、これは憲法で規定されている地方自治自治権を財政的に侵すといっても過言でないと思います。そのような意味において、われわれはこれに賛成することができません。  これが第一点であります。  第二点は、単位費用の改正についてであります。  本法案は、生活保護基準の引き上げ、文教、社会福祉施設の補助単価引き上げに見合って単位費用の改正をはかることとしております。しかし今日、地方自治体の公共事業契約単価は、年度当初に比べまして四〇%、あるいはものによっては一〇〇%という異常な高騰を示しております。したがって、契約の不調が続出しておる実情であります。入札にかけても応札する者がないというような状態で、事業の執行が非常な困難を来たしておる状態でございます。この現状に対して今回の改正はきわめて不十分なものであり、地方自治体が直面しておる危機を決して解決するものではありません。  今日の異常な物価騰貴は、言うまでもなく地方自治体の全公共事業、すべての維持運営費に重大な影響を与えております。したがって、すべての必要な費目についてもう一度、実情に見合った補助単価の引き上げ交付税単位費用の引き上げとしてはかられるべきものであります。また、公共用地の取得については、すでに他の党からの主張もありますように、これは交付税に算入するというたてまえを当然とるべきものと考えております。  これが本法案に反対する第二の点であります。  第三点といたしましては、給与改定財源措置についてであります。  今日のインフレ下にあって、政府は、国家公務員、地方公務員労働者の給与改善のために、真に責任のある検討をすべきであります。その上に立って、地方公務員給与の改定財源について十分な額の交付税配分をはからなければなりません。本法案による給与財源措置は、今日の地方公務員の生活の実態からしてきわめて不十分といわざるを得ません。  しかも、山田委員からの主張もありましたように、今回の措置は、公務員給与改定費のために、維持管理費を中心とする二百五十億円にのぼる節約分というものを見込んでいるのであります。これは、今日の事態のもとで、たださえ財政的に困難を来たしておる地方自治体に対して、経費の大幅な増額が追られている、このような状態のもとで、むしろこれを一そう圧追することになるものでありまして、とうてい賛成するわけにはいきません。  以上が反対の第三点であります。  最後に、長年にわたる政府・自民党の外交の失政による石油輸入の削減、エネルギー政策の失敗、また大企業本位の高度経済成長政策の強行、さらに列島改造構想の推進等によって引き起こされた今日の異常なインフレ等に対して、政府の責任はまことに重大であると考えざるを得ません。その責任を地方自治体、地域住民に転嫁することは絶対許されないはずであります。地方自治体の多くの行政は本来国民生活直結するものであり、地域住民の福祉と密接な関係を持つものであります。そのような地方自治体の事業の圧縮、繰り延べは、国民生活、ことに福祉行政等、地域住民の切実な要求をじゅうりんするものであり、重大な影響を及ぼすものといわざるを得ません。  わが党は、今日の事態にあたって、必要な補助単価の大幅な引き上げとともに、地方交付税の基準財政需要額算定を実情に見合った適正なものとすること、また地方自治体に対する緊急の財政援助を行なうこと、また石油、建材など、政府の責任によって地方自治体が確保することのできないような資材に対しては、地方行政上緊急に必要な物資でありますので、これは国によりて確保、提供を行なうようにされたいこと、また、附帯決議(案)にもありますように、市町村道整備のための道路目的財源につきましては、これは大衆課税の強化の方向に向かうのではなくして、この配分を強化することによって地方財政財源を確保する方途を求めているわけでございます。  さらに、地方財政に対して、四党共同提案によります昭和四十八年度補正予算組みかえ動議の中にある条項でありますが、そのことをあわせて申し上げておきたいと思います。  すなわち、大筋としては、勤労者に対して年度内でも直ちに減税を実施して、一方、大企業に対しては臨時の法人利得税を課する、こういうたてまえのもとで、第一には、交付税における昭和四十九年度以降償還金の繰り上げ償還をやめて、地方交付税法の定めるところに従って、総額地方自治体に交付すること。第二は、実勢に見合った単位費用を財政需要額として改定を行なうこと。第三には、地方一般財源が負担をしいられておる超過負担の解消を目ざして、とりあえずこの補正予算でも直ちに一千七十三億円を地方一般財源として地方自治体に返還すること。  以上は、四党の補正予算組みかえ動議の中に組み込まれておる地方財政に対する要求でありますが、念のためにこれを申し上げた次第でございます。  以上、緊急にとるべき地方財政対策の実行を強く要求いたしまして、本法案に対するわが党の反対の討論といたします。(拍手)
  135. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 小濱新次君。
  136. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております昭和四十八年度分地方交付税特例に関する法律案に対して、反対の立場から討論をいたすものでございます。  本年に入って、国民生活を破壊に導く異常な物価の高騰、悪性インフレはとどまるところを知らず、国民に重大な生活上の不安を与えているのでございます。しかも、追い打ちをかけるがごとく、石油の輸入削減によってエネルギーの需給関係は重大な危機に直面し、混迷は一そう深刻化し、明年以降、わが国経済に重大な警鐘を打ち鳴らしております。  このときにあたって、政府は、その政策策定方針を根本的に改め、転換期にふさわしい決意と自覚とを国民に与え、かつ政治の信頼を取り戻すことが焦眉の急であります。  しかるに、田中総理は、何を転換すべきかということを国民に明確にしておりません。この非常事態に対する認識と、それに対する取り組みがあまりにも国民の実感とかけ離れておりますが、これは重大なことであります。  地方行財政においても、いまこそ三割自治行政姿勢を改め、地方自治の本旨にのっとり、地域住民の福祉と生活の安定への一大転換をはかるべきであります。本法案を通しても、その道は遠く、国民の不満は解消されたとは申されません。  よって、これが反対理由の第一であります。  次に、貧困な地方財政危機は、人件費建設資材費土地などの高騰というインフレの中において、地方自治体がこうむる激動の波はより一そう深まっているのが実情であります。しかるに、今回の国からの借り入れに対する繰り上げ償還措置の希望のともしびをむざんにも打ち砕いたのであります。  このような中央集権的財政のあり方に強く反対するものであります。すみやかに、野党四党の要求している、繰り上げ措置の廃止を強く要請するものであります。  これが反対理由の第二であります。  次に、現在の政府姿勢は、社会的に弱い立場にある人々の側に立って行政を進めることに欠けているということであります。  生活保護世帯、老人、年金生活者、難病をかかえた人々などに、少なくとも生きる喜びと政治への信頼を取り戻すことが大切であります。しかし、今回の借り入れ金の繰り上げ償還をはじめ、交付税措置では、物価高騰の中ではたしてどれだけこれらの人々に助けとなったのでしょうか。あすではおそ過ぎる、きょうにでもおそ過ぎるとの自覚に立って万全の措置を講ずるよう強く望むとともに、この点に対する配慮が十分でありません。  これが反対理由の第三であります。  次に、現今の物資不足、インフレにおいて 自治体ではささやかながらでもくふうをこらし、情熱と努力を傾けて、公共料金の据え置きや、社会福祉事業、及び社会的、経済的に弱い立場にある人たちに援助をしているのでありますが、これに対して政府は必ずしも十分な取り組みをしているとはいえません。政府の重大な反省を求めるものであります。これが反対理由の第四であります。  また、超過負担についても、本委員会において指摘されたように、問題はますます深刻化されております。特に、摂津訴訟に見るように、思い余った自治体では行政訴訟にまで持ち込んで戦っております。いまこそこれらの事実を真剣かつ謙虚に反省し、来年度の重点施策では、自治体の希望に沿い得る財政計画を策定することによって、前進の実を結ばれんことを強く望むものであります。  最後に、政治姿勢で最も問われることは、一つにはうそのない政治、二つには国民に生きがいを与える政治、そして確固たる政治理念のもとに、国民生活を第一義に置いた政治を推進することであります。このことを強く望んで、反対討論といたします。(拍手)
  137. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 折小野良一君。
  138. 折小野良一

    ○折小野委員 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和四十八年度分地方交付税特例に関する法律案に対しまして、反対の討論をいたします。  まず、地方交付税地方公共団体にとって固有財源であります。国の自然増収に伴って当然確保さるべき財源が、もっぱら国の都合によって措置される今回の特例法の趣旨は、われわれの納得しかねるところでございます。そういう意味におきまして、私どもはこの法案に対しまして基本的に反対でございます。  また、今日、不足あるいは物価の急騰、このような異常な事態の中におきまして、各地方団体はきわめてその行財政の運営に苦慮いたしておるのでございますが、これらに対する財源措置等、少なくも国庫補助あるいは負担事業等に対して超過負担を生じないための国の当然の措置等、決して適当でなく、また十分でもございません。  以上のようなおもな理由を申し上げて、私どものこの法案に対する反対の討論といたす次第であります。(拍手)
  139. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  140. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  141. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 ただいま議決いたしました法律案に対して、中村弘海君、佐藤敬治君、林百郎君、小濱新次君及び小沢貞孝君から、五派共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議の提出者から趣旨の説明を求めます。中村弘海君。
  142. 中村弘海

    ○中村(弘)委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五派を代表いたしまして、昭和四十八年度分地方交付税特例に関する法律案に対し、附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。      昭和四十八年度分地方交付税特例に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府明年度地方行政が石油の供給削減等に基因する経済情勢の変動、物価の急騰により財政運営上かつてない危機が予想されることにかんがみ、とくに次の諸点について遺憾のないよう善処すべきである。  一 明年度地方行財政は、住民生活の安定をはかりつつ、社会福祉の充実、生活環境施設の整備等を推進する必要があるため、地方税源の充実、地方交付税率の引き上げ等をふくめ所要額の確保、地方債における政府資金の拡充等総合的な地方財政対策を講ずるとともに、地方団体が必要とする資材の確保に努め、住民生活に支障を生ずることがないよう措置すること。  二 国庫補助負担事業については、超過負担の完全な解消をはかるとともに、最近における物価の急騰に伴い、新たな超過負担を生ずることのないような万全の措置を講ずること。  三 都市税源の充実をはかるため、法人所得課税の強化、事務所・事業所税の新設等の措置を講ずるとともに、人口急増地域および過疎地域の市町村に対する財政対策を強化すること。  四 地方道路財源とくに市町村道整備のための道路目的税源を拡充すること。  五 公営交通、病院、水道等の地方公営企業の経営の現状にかんがみ、これらに対する助成措置を拡充すること。とくに公立病院については、国の責任において抜本的な不良債務の解消措置を講ずるほか、不採算地域の公立病院および救急病院に対する国庫の助成措置を拡充強化すること。  六 沖繩県については、復帰後における持殊業務および海洋博覧会関連事業にかかる財政需要について十分に配慮するとともに、奄美群島については、新たな振興特別措置法を制定して財政援助等を充実強化すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆さま方の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  143. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 以上で、趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  本動議の賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  144. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 起立総員。よって、中村弘海君外四名提出の動議のごとく、附帯決議を付することに決しました。  この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。町村自治大臣
  145. 町村金五

    町村国務大臣 ただいま満場一致で御決議のありました附帯決議につきましては、御趣旨を尊重いたしまして善処してまいりたいと思います。     —————————————
  146. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 おはかりいたします。  ただいま決議いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 御異議ないと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  148. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十六分散会