○村田
委員 私は、
昭和四十八
年度分の
地方交付税の
特例に関する
法律案の審議に関連をいたしまして、現在四十九
年度の
予算編成というものが国においても
地方団体においても差し迫った最大の緊急課題となっておるわけでありますが、現在の経済情勢、それからまた社会情勢に対応いたしまして、現在の
地方行
財政というものが非常に大きな過渡期にきておるという前提に立って、第一に現在の経済社会情勢と
地方行
財政との関連、第二に四十九
年度の
地方予算の編成に関連をして
予算編成方針を国が示す必要があるのではないかということ、第三点は
地方財政計画の規模、第四点は
地方交付税率、第五点は経済社会基本
計画と
地方財政との関連、第六点は
公共事業の執行に関する、特に本四架橋を例といたしまして
公共事業執行についての自治
大臣の御方針、以上六点について順次御質問をしてまいりたいと存じます。
昨日の夕刊、また本日の朝刊の報ずるところによりますれば、現在の経済社会情勢の見通しというのは非常に危機的な様相になっておるということがいわれております。まず第一に、昨日、福田大蔵
大臣、それから中曽根通産
大臣、内田
経済企画庁長官、二階堂官房長官が院内で会合をいたしまして、来
年度の政府の経済見通しについて協議をした結果、実質経済成長率を二・五%前後と見込むことで
意見が一致したということでございます。また来
年度の経済動向のかぎを握る
石油の輸入量については、今
年度をわずかながら下回る二億六千ないし七千万キロリットルと見ることにしたということをいっておるわけでありますが、実質二・五%の経済成長率というのは
昭和二十九
年度の二・三%に次ぐ二十年ぶりに低いものであります。そして、政府がきびしい見方をするのは、
石油危機によってわが国の経済全体が足を引っぱられることが避けられないためであるという
説明が掲げられております。
それからまた本日の朝刊の報ずるところによれば、日本銀行が十四日発表した十一月の卸売り
物価指数でありますが、これは四十五
年度を一〇〇といたしまして一二五・六であり、十月に比べ実に三・二%の暴騰となる。これは
昭和二十六年四月の前月比四・六%高に次ぐ戦後の最高記録であります。また前年同月に比べた上昇率も二二・三%となり、十月の二〇・三%上昇の
数字をさらに上回ったと報告をされております。そしてこの
物価騰勢は来年の一月から三月にかけても抑制は困難であり、したがってこれは
生活破壊的水準に迫っておる。
生活破壊的とはいえぬまでも、
生活混乱的水準に至ったということが報じられておるのであります。しかも、主要国の
物価指数というのを見てみますると、欧米の諸国、日本、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリア、この六カ国をとってみますると、日本の卸売り
物価指数が最高であります。そしてそれに次いでイタリア、米国、フランスというような順序になるわけでありますけれ
ども、昨年までは世界のいわゆる自由主義諸国の中で比較的
物価の値上がり率が少なかったといわれておった日本が、この一年間で非常に
生活危機的な様相にまで至っておるという状況でございます。
その中で来
年度の国庫
予算の編成でありますけれ
ども、この際ひとつ非常の覚悟をもって内閣はこれに対応をしなければならない。したがって一般会計の
予算規模は、
公共事業の
伸びを、十二日の
新聞では昨
年度に比べて一〇%の
伸びと報じておったのでありますが、さらにその後報じられるところによれば、
公共事業の
伸びを〇%、ゼロにしなければならないのではないか。したがって一般会計の
予算規模は、当初見積もられておりました二三%というようなことではなく、新蔵相の手元で十七兆四千億円、この台をめぐる
一つの攻防であろう。さらに二一%あるいは二〇%まですることが必要ではないか。そうしなければいまの国民
生活は守れないのではないかという非常な危機的な様子が伝えられております。
私
どももこの際、来
年度の国庫
財政、
地方行
財政を通じて、いま非常に迫っておるいわゆるインフレ退治というものをまずまっ先にやっていかなければ、日本列島改造の理想も非常にこれはほど遠いものになってしまいますし、この際非常の覚悟をもって対処しなければならないと思っております。したがいまして、自由民主党においては去る十一月二十四日、「
物価抑制と国民
生活安定緊急対策要綱」というものを決定をいたしました。これは時間がありませんので
関係部分だけを申し上げますが、その要綱の中で、四十八
年度予算の
公共事業について、現在着工、未着工のものを含めて大型プロジェクト、新幹線、高速自動車道、本四架橋等、あるいは官庁営繕等は極力繰り延べ、その他の
財政支出、
財政投融資も大幅に
節約するという方針を打ち出し、さらに四十九
年度予算編成にあたっては、
予算規模、
財政投融資規模を極力抑制し、公債依存度を引き下げる。特に
公共事業その他建設的
事業についてはその
伸びを押えるとともに、その裏づけとなる物資、動力を勘案して決定をする。ただし、
物価の影響を最も受けやすい老人、身障者、母子家庭、
生活困窮者、恩給・年金
生活者等に対する社会保障については格段の配慮を払う。さらに
地方財政についても、いま述べました
公共事業の執行、それから四十九
年度予算の抑制の事項につき同一歩調を要請するということをきめておるのであります。
したがいまして、この際、
町村自治大臣におかれては、四十九
年度の
予算編成というものを現在
地方団体においても急遽いたしております時期におきまして、現在の社会経済情勢に対応して
地方行
財政のあり方というものをいかように
考えておられるか、まずその総論からお伺いをいたしたいと存じます。