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佐々木政府委員 まず第一点の
熊本市における
はしご車の
状況でございます。ただいま御
指摘のとおり、今回の
火災で動きました
はしご車はスノーケル車を含めて二台でございます。そして、屋上からの救出は一台が当たったわけでございますが、これは御
指摘のとおり、少なくとも二方面からの救出が可能なように
はしご車が備えられておるということが望ましいことでありまして、それがまた
消防力の
基準の場合の計算になっておるわけでございます。いろいろな事情がありまして、救出は完了したわけでありますけれ
ども、確かにこの点からいいまして、
はしご車の設置は非常に不十分である。これがもしもあの
建物に
足場等がなければ、おそらく屋上にはもっと多くの人間がおったでございましょう。そういう
意味において、救出活動の面からいいましても、この際は非常にうまくいったわけでありますけれ
ども、ほかの場合にはさらにおそろしい事態が起きたであろうということは予想されるわけでございます。
それから、そうした
関係で、
はしご車が当初
消火活動に従事することができなかったという点は、下からのポンプだけでは上のほうの階には水が届かなかったわけでありますから、そういう
意味におきまして、
はしご車が
消火活動に利用できなかったという点においてもやはり問題があったということは御
指摘のとおりであります。そういうことで、今回の
火災の際には、やはりもっと
消防力の
近代化ということに
重点を置いた
装備の増強が行なわれなければならないというふうに
感じておるわけであります。
それで、
熊本市の現在の
消防力は、御
指摘のとおり大体六〇%
水準といったような、まず全国の現在の
水準程度のものになっているわけであります。また人員の
充足も、
熊本市の場合、
基準の五百九十六人に対して現有が三百七十二人、これも約六〇%の
水準でございます。そういうことで、
熊本市の
消防力というものは、いわば端的に現在の日本の各市町村における
消防力の
水準をそのままあらわしているような
感じがいたすわけでございます。そういう
意味で、これからさらにこうした機械面、それから人員の面、両面にわたって、
基準に対する
充足率の引き上げということに
努力をしていかなければならないわけでありますが、これは実は先年、各市町村における
消防力の
整備計画というものを五カ年計画としてとっております。その結果によりますと、
昭和五十一年度末を目標にして大体各市町村の
充足率というものを八〇%
水準まで持っていくというような計画の集計がなされておるわけでありまして、当面この
整備計画を極力実現できますように、
財政的な措置を考えていく必要があるというふうに思っておるわけであります。
それから、
地方交付税におきます
基準財政需要額の算定の際におきます需要計算の
基準というものは、確かにこの
消防法に根拠を置いてつくっております
消防力の
基準という数字とだいぶ差がございます。これは、
基準財政需要額計算のその単位費用のもとになっております
水準は、現在の市町村のいわば実績を基礎にいたしましたところの数値をもとにして、やや現有のものよりも先行的に
財政需要を計算するという趣旨で計算をいたしておりますので、どちらかといいますと、いわば現在の実績の、
消防力の
基準に対して六〇%程度の
充足されているこの現状を基礎にして、それよりもやや上回るところを目標にした需要計算をしておる、こういうことでこの
消防力の
基準と
基準財政需要額の計算の差があるわけでございます。これは、やはり
基準財政需要額計算というものを
地方財政の実態に即した計算をしていくということのために、各種の経費について実態を
中心にした
財政需要計算を行なっている、その結果から出てきているわけであります。そういう単位費用計算が、そうした
消防力の
基準というものといまの実態がかけ離れているわけでありますからそういう計算にならざるを得ない面もあるわけでありますが、この単位費用の計算にあたりましては、少なくとも現在の
現実の
財政需要というものをやや先導的に引き上げていくという
方向で将来とも計算をしていただかなければならないというふうに考えておるわけでありまして、来年度の単位費用計算におきましても、人員の
充足の面あるいはまた
設備の面等につきましても、実態の
単価等に合わせた、それからまた人員の
充足も、いわば計画的な
充足が可能なような
方向での単位費用計算もやっていただくというようなことで、いま私
どもと
財政担当当局と相談をしながら来年度計画の策定作業を行なっているというのが現状でございます。