○広沢
委員 この問題につきましては、言うまでもなく学者の皆さんも、そしてまた
全銀協の前
会長であられた横田さんも、それから相互
銀行の
協会長をされている方も、また信用金庫の連合会の
会長をされておる方もそういった方々はみんな、確かにこれは
インフレによる目減りというものは何とかしなければならぬということをおっしゃる。また大蔵
当局も、その点については、先ほど
お話がありましたように、福田蔵相もそう言っておりますし、また
金融当局の
日銀総裁もそういうことを言っているわけです。みんなおっしゃるのですが、さて具体的な問題ということになりますと、どうしても話がいま言うように抽象的な
方向になってしまう、いつのことかわからぬような
状況ですね。これは私は問題じゃないかと思うのです。
先ほど私が
数字で申し上げましたように、四十七年、四十八年、それよりもっとさかのぼって言うならば、三十六年から高度
経済成長
政策をとっているわけですが、それからずっと恒常的に
物価というのは上がりっぱなしです。平均しますと六%ぐらいですか。ですから、その当時の
預金金利から比べましても、決して目減りしていないとはいえない。普通で考えていっても、その
経済政策をとっている間でも相当目減りをしているわけですね。ところが、昨今の狂乱
物価の中でこういうような二〇%、年に直すと一〇%、
政府の
見通しをもう大きくこえて、一〇%は
消費物価は必ずこえるだろうというような
状況でありますから、この目減りはもっとひどくなるということが、ひとつ大きく問題として取り上げられているわけですね。したがって、それに対する対策を立てなければいかぬということはもう当面の問題なんです。
ですから、基本的な
金利の自由化ということよりも、まず弾力化をはかっていかなければならぬのではないか。臨時的にでも、そういうような
預金に対する目減りに対しては救済措置というものを講じなければならないのではないか。
わが国の
預金の内容というものは、よく発表されておりますけれ
ども、これは将来に対する目安を立てての
預金ですね。余っているから
預金しておこうというのではなくて、やはり将来の老齢だとか病気だとか災害だとか、あるいは結婚
資金というのもあるでしょうが、とにかく将来のために一生懸命
預金しておこうという態勢での貯蓄が諸外国に比べても非常に高くなっている理由は、そこにあるわけですね。したがって、それがいまのような
経済政策をとって次第に目減りをしていく、さらには、今日のような
物価狂乱の中でもう極端な目減りをしてしまうというような
状況になった場合は、これは
政策当局にも責任がありますし、あるいはまた
銀行当局もやはりそれだけの対応策というものを考えるべきじゃないだろうか、こう思うわけです。
そして、おっしゃるように、確かに
佐々木会長もそのことは前向きにお考えの中にあるようですし、先ほど申し上げたように、関係者一同、みんな何とかしなければならぬ、こういうふうにおっしゃっていらっしゃるのですが、いま言うように、最終的にはどういう方策がいいかということの結論をお出しにならないで、オーソドックスないわゆる
物価を
抑制する、こういう
方向になっていくわけですが、私はこれも間違いではないと思います。しかし、
物価を
抑制するといっても、これはいま下がるのじゃないのですね。
物価の安定といったって、高いまま張りついてしまう。ですから、三十六年以降ずっと高度
経済成長
政策をとってきた段階においては、だんだんに上がってきただけなのです。下がるのだったならば、おっしゃるように、
金利は一応据え置いておいても、それだけの期間が過ぎればまた
もとへ戻ってくるでしょうが、上がりっぱなしですから、いわゆる
預金者にとっては目減りしっぱなしということになりますね。ですから、それに対する対策というものは、やはり
物価対策も基本でありますけれ
ども、当面の対策としてこれに対する何らかの具体的な措置を講じなければならない。
ですから、一応一〇%以上、二ケタに乗せなければならないだろう。諸外国の——これは
経済構造も
金融構造も違うから一がいに諸外国の措置をそのままこっちに持ってこいとは言いませんけれ
ども、諸外国もやはりそれに対応して二ケタの相当高
金利の考え方を導入してやっていますね。ですから、そういう
意味から考えると、私は
政策当局も、また皆さんのほうも、基本的に口では
福祉経済へというようなことをおっしゃるけれ
ども、なかなか思い切ってそのことをおやりにならないんじゃないかという疑問がどうしても抜けないわけです。
これに対しては、先ほ
ども提案がありました。
預金全部というとこれはいろいろ種類がありますので、特に私はその中で低所得層の方々の
預金ですね、ごく一部になると思うのですが、それに対して特に何とか措置しなければならぬという緊急対策でもお立てになるような積極姿勢がほしいと思うのであります。たとえば少額貯蓄の非課税の問題で限度をきめてやっているものがあるから、先ほどの
武藤委員の
お話にもありました一世帯百万ではどうなんだ。百万円がいいのか、二百万円がいいのか、それは具体的に俎上にのぼったときの議論になるでしょうけれ
ども、やはりそういう具体的な対策というものを立てるべきではないか。
ですから、自由にしようというよりも、まず弾力的にやるべきではないか。特に
金利の問題では、
預金金利、一年ものは最近は先ほ
どもお話がありましたように七・二五%でございますね。ちょうど一年前の四十八年三月が五・二五%ですから、御指摘のとおり二%上がっています。しかし、
貸し出し金利のほうは、一年以上、ですから一年ものも入るわけですが、これは結局最高限度といってもそれがきちっときめられておりません。それ以下のものについてはちゃんと調整法によってきまっておりますけれ
ども、そういう関係からしましても現実にはもう一一%、一二%という高さですね。だから、都銀の関係はいろいろな関係があって非常に高いわけです。地方
銀行もあるいは中小
金融機関もそれにならって上がっていく傾向にありますから、結局は
中小企業とかそういうものは圧迫されるという現実が出てきているわけですね。
ですから、
預金金利と
貸し出し金利の差を見ても、五、六%の差がもうすでに出ているのですから、何らかの努力によって、いま言うようなごく一部の、汗水流して未来の不安のためにつめに火をともすような思いで貯金をしている方々に対して、その目減り対策は何とか考える。資産があって、土地でも売ればとか、そういう換金ができるような資産のある方はまた別としまして、緊急対策としては、それだけの思いやりある
政策をやることがまず
福祉経済の
金融政策の第一歩だと思うのでありますけれ
ども、その点もう一度お伺いしておきたいと思います。
時間が参っておりますので、続いてもう一つだけ重ねてお伺いしておきたいのですが、いま特に
中小企業金融問題で、確かに
金融引き締めで
逼迫してきてそれぞれ対策には頭を痛めているわけでございますけれ
ども、その中で特に、
金融引き締めのおりだけに拘束性
預金の問題が問題になっております。したがって、先月の二十四日に大蔵省としてもそういう実態にかんがみて通達を出して、いわゆる不当な拘束性
預金については直ちに中止せよというような強い
方針を打ち出しておるわけでありますけれ
ども、拘束性
預金の問題というものは、いつでも言うべくしてなかなか現実の効果をあらわしていないわけでありますが、その問題に対してはどういうふうに対応されておるのか、その点をお伺いして、なお疑問があれば最後に一点だけ質問を申し上げまして、終わりにしたいと思います。