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1974-04-24 第72回国会 衆議院 大蔵委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十四日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 安倍晋太郎君    理事 浜田 幸一君 理事 松本 十郎君    理事 村山 達雄君 理事 森  美秀君    理事 山本 幸雄君 理事 山田 耻目君    理事 増本 一彦君       伊藤宗一郎君    宇野 宗佑君       金子 一平君    鴨田 宗一君       栗原 祐幸君    小泉純一郎君       塩谷 一夫君    中村 弘海君       坊  秀男君    村岡 兼造君       毛利 松平君    山下 元利君       佐藤 観樹君    高沢 寅男君       広瀬 秀吉君    松浦 利尚君       武藤 山治君    山中 吾郎君       荒木  宏君    小林 政子君       広沢 直樹君    内海  清君       竹本 孫一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)         大蔵大臣臨時代         理       内田 常雄君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         大蔵政務次官  柳田桃太郎君         大蔵省主計局次         長       辻  敬一君         運輸政務次官  増岡 博之君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 住田 正二君  委員外出席者         議     員 武藤 山治君         日本専売公社総         務理事     斎藤 欣一君         日本専売公社管         理調整本部職員         部長      後藤  正君         日本国有鉄道共         済事務局長   清水  晋君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十四日  辞任         補欠選任   大西 正男君     中村 弘海君   荒木  宏君     米原  昶君 同日  辞任         補欠選任   中村 弘海君     大西 正男君   米原  昶君     荒木  宏君     ――――――――――――― 四月十一日  電源開発促進税法案内閣提出第六七号)  電源開発促進対策特別会計法案内閣提出第六  八号) 同月十三日  国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律  案(武藤山治君外六名提出衆法第二五号)  公共企業体職員等共済組合法等の一部を改正す  る法律案武藤山治君外六名提出衆法第二六  号) 同月五日  有線放送電話に対する税制特別措置に関する  請願住栄作紹介)(第三四八七号)  同外二件(木野晴夫紹介)(第三五五四号)  同外二件(塩崎潤紹介)(第三五五五号)  同外三件(關谷勝利紹介)(第三五五六号)  同外十五件(足立篤郎紹介)(第三六五一  号)  同外五件(井出一太郎紹介)(第三六五二  号)  同外八件(上村千一郎紹介)(第三六五三  号)  同外六件(小沢貞孝紹介)(第三六五四号)  同外九件(大石千八紹介)(第三六五五号)  同外三十三件(大久保武雄紹介)(第三六  五六号)  同外二件(小川平二紹介)(第三六五七号)  同外七件(海部俊樹紹介)(第三六五八号)  同外六件(梶山静六紹介)(第三六五九号)  同外二件(唐沢俊二郎紹介)(第三六六〇  号)  同外十二件(吉川久衛紹介)(第三六六一  号)  同外五件(栗原祐幸紹介)(第三六六二号)  同(小平久雄紹介)(第三六六三号)  同外一件(小平忠紹介)(第三六六四号)  同外六件(小坂善太郎紹介)(第三六六五  号)  同外二件(佐々木良作紹介)(第三六六六  号)  同外二十六件(田中六助紹介)(第三六六  七号)  同外六件(高見三郎紹介)(第三六六八号)  同外七件(中尾宏紹介)(第三六六九号)  同外十三件(丹羽喬四郎紹介)(第三六七  〇号)  同外十三件(丹羽兵助紹介)(第三六七一  号)  同外五件(羽田孜紹介)(第三六七二号)  同外七件(橋本登美三郎紹介)(第三六七  三号)  同外十一件(藤尾正行紹介)(第三六七四  号)  同(坊秀男紹介)(第三六七五号)  同外十五件(渡辺美智雄紹介)(第三六七  六号) 同月八日  有線放送電話に対する税制特別措置に関する  請願外九件(伊能繁次郎紹介)(第三八七  九号)  同外五件(稻葉修君紹介)(第三八八〇号)  同(臼井莊一君紹介)(第三八八一号)  同外四件(大竹太郎紹介)(第三八八二号)  同外五件(大野市郎紹介)(第三八八三号)  同(仮谷忠男紹介)(第三八八四号)  同(久野忠治紹介)(第三八八五号)  同外三件(染谷誠紹介)(第三八八六号)  同外十件(高鳥修紹介)(第三八八七号)  同外七件(徳安實藏紹介)(第三八八八号)  同外八件(中尾栄一紹介)(第三八八九号)  同外一件(中尾宏紹介)(第三八九〇号)  同外十二件(中垣國男紹介)(第三八九一  号)  同外十件(浜田幸一紹介)(第三八九二号)  同外十八件(藤本孝雄紹介)(第三八九三  号)  同(三池信紹介)(第三八九四号)  同外二件(水野清紹介)(第三八九五号)  同(森美秀紹介)(第三八九六号)  同外四件(山下徳夫紹介)(第三八九七号)  同外六件(渡辺紘三君紹介)(第三八九八号) 同月十日  有線放送電話に対する税制特別措置に関する  請願外十三件(安倍晋太郎紹介)(第四〇  八三号)  同外一件(阿部喜元紹介)(第四〇八四号)  同外七件(荒舩清十郎紹介)(第四〇八五  号)  同(有田喜一紹介)(第四〇八六号)  同外六件(井原岸高紹介)(第四〇八七号)  同外二件(伊東正義紹介)(第四〇八八号)  同外一件(今井勇紹介)(第四〇八九号)  同外十一件(宇野宗佑紹介)(第四〇九〇  号)  同外六件(上田茂行紹介)(第四〇九一号)  同外四件(植木庚子郎君紹介)(第四〇九二  号)  同(江藤隆美紹介)(第四〇九三号)  同外二件(小此木彦三郎紹介)(第四〇九  四号)  同外二十三件(小澤太郎紹介)(第四〇九  五号)  同外二件(小沢辰男紹介)(第四〇九六号)  同外十五件(小渕恵三紹介)(第四〇九七  号)  同外四件(越智伊平紹介)(第四〇九八号)  同外二件(大野明紹介)(第四〇九九号)  同外三十件(加藤六月紹介)(第四一〇〇  号)  同外三件(金子一平紹介)(第四一〇一号)  同外三件(鴨田宗一紹介)(第四一〇二号)  同外五件(木村俊夫紹介)(第四一〇三号)  同外九件(久保田円次紹介)(第四一〇四  号)  同(熊谷義雄紹介)(第四一〇五号)  同外十一件(小島徹三紹介)(第四一〇六  号)  同外七件(河野洋平紹介)(第四一〇七号)  同外三件(河本敏夫紹介)(第四一〇八号)  同(近藤鉄雄紹介)(第四一〇九号)  同(佐々木秀世紹介)(第四一一〇号)  同外五件(櫻内義雄紹介)(第四一一一号)  同(坂口力紹介)(第四一一二号)  同外二件(篠田弘作紹介)(第四一一三号)  同外一件(菅波茂紹介)(第四一一四号)  同外六件(田川誠一紹介)(第四一一五号)  同(田澤吉郎紹介)(第四一一六号)  同(田中覚紹介)(第四一一七号)  同外三件(田村元紹介)(第四一一八号)  同外一件(高橋千寿紹介)(第四一一九号)  同(竹内黎一君紹介)(第四一二〇号)  同外七件(竹下登紹介)(第四一二一号)  同外二件(地崎宇三郎紹介)(第四一二二  号)  同外五件(坪川信三紹介)(第四一二三号)  同外一件(戸井田三郎紹介)(第四一二四  号)  同外四件(渡海元三郎紹介)(第四一二五  号)  同外一件(中村拓道紹介)(第四一二六号)  同外三件(野田卯一紹介)(第四一二七号)  同外十八件(野原正勝紹介)(第四一二八  号)  同外一件(野呂恭一紹介)(第四一二九号)  同外六件(長谷川四郎紹介)(第四一三〇  号)  同(服部安司紹介)(第四一三一号)  同外七件(原健三郎紹介)(第四一三二号)  同外七件(廣瀬正雄紹介)(第四一三三号)  同外四件(福田一紹介)(第四一三四号)  同(福永健司紹介)(第四一三五号)  同外三件(古屋亨紹介)(第四一三六号)  同外四件(細田吉藏紹介)(第四一三七号)  同外一件(本名武紹介)(第四一三八号)  同外三件(松浦周太郎紹介)(第四一三九  号)  同外二件(松野幸泰紹介)(第四一四〇号)  同外三件(武藤嘉文紹介)(第四一四一号)  同(村山達雄紹介)(第四一四二号)  同外三件(毛利松平紹介)(第四一四三号)  同外一件(粟山ひで紹介)(第四一四四号)  同外二十件(森下元晴君紹介)(第四一四五  号)  同(安田貴六君紹介)(第四一四六号)  同外八件(山口敏夫紹介)(第四一四七号)  同外十一件(山下元利紹介)(第四一四八  号)  同外十件(山本幸雄紹介)(第四一四九号)  同外四件(渡辺栄一紹介)(第四一五〇号)  同(小澤太郎紹介)(第四二二二号)  同(瀬戸山三男紹介)(第四二二三号)  同外四件(林百郎君紹介)(第四二四三号) 同月十六日  有線放送電話に対する税制特別措置に関する  請願外四件(大橋武夫紹介)(第四二九五  号)  同(小平忠紹介)(第四二九六号)  同外二件(佐々木義武紹介)(第四二九七  号)  同(竹下登紹介)(第四二九八号)  同(小林進紹介)(第四三七一号)  同外二件(笹山茂太郎紹介)(第四三七二  号)  同(島田琢郎紹介)(第四三七三号)  同外四件(堂森芳夫紹介)(第四三七四号)  同(美濃政市紹介)(第四三七五号)  同外一件(安井吉典紹介)(第四三七六号) 同月十七日  有線放送電話に対する税制特別措置に関する  請願小沢貞孝紹介)(第四五五九号)  同(山田芳治紹介)(第四五六〇号) 同月十九日  中小業者に対する減税措置に関する請願(多田  光雄君紹介)(第四七五四号)  同(小林政子紹介)(第四八〇四号)  同(津金佑近君紹介)(第四八〇五号)  同(寺前巖紹介)(第四八〇六号)  同(松本善明紹介)(第四八〇七号)  有線放送電話に対する税制特別措置に関する  請願外一件(下平正一紹介)(第四九三五  号)  同(堂森芳夫紹介)(第四九三六号)  同外一件(原茂紹介)(第四九三七号) 同月二十日  有線放送電話に対する税制特別措置に関する  請願外一件(伊藤宗一郎紹介)(第五〇八  二号)  入場税撤廃に関する請願上村千一郎紹介)  (第五二八六号)  同(浦野幸男紹介)(第五二八七号)  同(大西正男紹介)(第五二八八号)  同(笠原喬紹介)(第五二八九号)  同(金子岩三紹介)(第五二九〇号)  同(仮谷忠男紹介)(第五二九一号)  同(春日一幸紹介)(第五二九二号)  同(河村勝紹介)(第五二九三号)  同(木部佳昭君外一名紹介)(第五二九四号)  同(田中覚君外一名紹介)(第五二九五号)  同(小泉純一郎紹介)(第五二九六号)  同(小宮武喜紹介)(第五二九七号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第五二九八号)  同(塩川正十郎紹介)(第五二九九号)  同(塩谷一夫紹介)(第五三〇〇号)  同(高見三郎紹介)(第五三〇一号)  同(中村弘海紹介)(第五三〇二号)  同(永山忠則紹介)(第五三〇三号)  同(中曽根康弘君外一名紹介)(第五三〇四  号)  同(原田憲紹介)(第五三〇五号)  同(廣瀬正雄紹介)(第五三〇六号)  同(宮澤喜一紹介)(第五三〇七号)  同(村上勇紹介)(第五三〇八号)  同(山崎平八郎紹介)(第五三〇九号)  同(池田禎治紹介)(第五三八九号)  同(大久保武雄君外三名紹介)(第五三九〇  号)  同(河野洋平紹介)(第五三九一号)  同(木野晴夫紹介)(第五三九二号)  同(倉成正君外一名紹介)(第五三九三号)  同(田中伊三次君紹介)(第五三九四号)  同(田中美智子紹介)(第五三九五号)  同(田代文久紹介)(第五三九六号)  同(竹本孫一紹介)(第五三九七号)  同(中路雅弘紹介)(第五三九八号)  同(中島武敏紹介)(第五三九九号)  同(中村寅太紹介)(第五四〇〇号)  同(永末英一紹介)(第五四〇一号)  同(坂田道太君外二名紹介)(第五四〇二号)  同(關谷勝利紹介)(第五四〇三号)  同(田村良平紹介)(第五四〇四号)  同(松尾信人紹介)(第五四〇五号)  同外一件(三原朝雄紹介)(第五四〇六号)  同(宮田早苗紹介)(第五四〇七号)  同(村上弘紹介)(第五四〇八号)  同(村田敬次郎紹介)(第五四〇九号)  同(安田貴六君外一名紹介)(第五四一〇号)  同(山崎拓紹介)(第五四一一号)  同外三件(山崎拓君外一名紹介)(第五五一  〇号)  同(内海清紹介)(第五五三〇号)  同(坂口力紹介)(第五五三一号) 同月二十二日  入場税撤廃に関する請願栗田翠紹介)  (第五五九九号)  同(土橋一吉君外三名紹介)(第五六〇〇号)  同(灘尾弘吉紹介)(第五六〇一号)  同(前田正男紹介)(第五六〇二号)  同(山原健二郎紹介)(第五六〇三号)  同(井上泉紹介)(第五九二七号)  同(石橋政嗣君紹介)(第五九二八号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第五九二九号)  同(大原亨紹介)(第五九三〇号)  同(勝澤芳雄紹介)(第五九三一号)  同(勝間田清一紹介)(第五九三二号)  同(角屋堅次郎紹介)(第五九三三号)  同(斉藤正男紹介)(第五九三四号)  同(阪上安太郎紹介)(第五九三五号)  同(佐藤観樹紹介)(第五九三六号)  同(坂本恭一君外一名紹介)(第五九三七号)  同(下平正一紹介)(第五九三八号)  同(嶋崎譲紹介)(第五九三九号)  同(多賀谷真稔紹介)(第五九四〇号)  同(塚田庄平紹介)(第五九四一号)  同(成田知巳紹介)(第五九四二号)  同(楢崎弥之助紹介)(第五九四三号)  同(美濃政市紹介)(第五九四四号)  同外一件(村山富市紹介)(第五九四五号)  同(八木一男紹介)(第五九四六号)  同(安井吉典紹介)(第五九四七号)  同(山田耻目君紹介)(第五九四八号)  同(山中吾郎紹介)(第五九四九号)  同(吉田法晴紹介)(第五九五〇号)  同(横山利秋紹介)(第五九五一号)  同(田川誠一紹介)(第六一三三号)  同(長谷川正三紹介)(第六一三四号)  同(平林剛紹介)(第六一三五号)  有線放送電話に対する税制特別措置に関する  請願小平忠紹介)(第六一三二号) 同月二十三日  中小業者に対する税制改正等に関する請願(坂  口力紹介)(第六三二一号)  同(岡本富夫紹介)(第六八二四号)  都市近郊農業後継者に対する相続税特例措置  に関する請願近江巳記夫紹介)(第六三  二二号)  有線放送電話に対する税制特別措置に関する  請願三枝三郎紹介)(第六三二三号)  同外二件(松浦周太郎紹介)(第六三二四  号)  同(安田貴六君紹介)(第六三二五号)  同(角屋堅次郎紹介)(第六五〇〇号)  入場税撤廃に関する請願石母田達紹介)  (第六三二六号)  同(近江巳記夫紹介)(第六三二七号)  同(小林政子紹介)(第六五〇一号)  同(柴田健治君外二名紹介)(第六五〇二号)  同(田中昭二紹介)(第六五〇三号)  同(野坂浩賢君外一名紹介)(第六五〇四号)  同(伏木和雄紹介)(第六五〇五号)  共済組合制度改善に関する請願佐野進君紹  介)(第六四九九号)  昭和四十九年度所得税の再検討に関する請願  (広瀬秀吉紹介)(第六八二三号)  映画・演劇・演芸の入場税撤廃に関する請願  (吉田法晴紹介)(第六八二五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十三日  共済年金制度改善に関する陳情書外二件  (第四七二号)  農業後継者に対する相続税特別措置に関する  陳情書外三件  (第四七三号)  北九州市旧山田弾薬庫跡地平和利用に関する  陳情書(第四  七四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度以後における国家公務員共済組  合等からの年金の額の改定に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第六九号)  昭和四十二年度以後における公共企業体職員等  共済組合法に規定する共済組合が支給する年金  の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等  共済組合法の一部を改正する法律案内閣提出  第八〇号)  国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律  案(武藤山治君外六名提出衆法第二五号)  公共企業体職員等共済組合法等の一部を改正す  る法律案武藤山治君外六名提出衆法第二六  号)  電源開発促進税法案内閣提出第六七号)  電源開発促進対策特別会計法案内閣提出第六  八号)      ――――◇―――――
  2. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これより会議を開きます。  内閣提出昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案、及び武藤山治君外六名提出国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案公共企業体職員等共済組合法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
  3. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これより各案について提案理由の説明を求めます。柳田大蔵政務次官
  4. 柳田桃太郎

    柳田政府委員 ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  この法律案は、国家公務員共済組合法等の規定により支給されている退職年金等につきまして、このたび別途本国会提出されております恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置にならって年金額引き上げるとともに、長期給付算定基礎となる俸給算定方法改善退職年金等のうち低額なものの年金額引き上げ遺族年金扶養加算制度創設短期給付任意継続制度創設等所要改善措置を講じようとするものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一に、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法及び旧国家公務員共済組合法に基づく年金並びに現行国家公務員共済組合法に基づく退職年金等のうち昭和四十八年三月三十一日以前に給付事由が生じたものにつきまして、恩給における措置にならい、年金額算定基礎となっている俸給を二三・八%を限度として増額することにより、昭和四十九年十月分以後、年金額引き上げることといたしております。  第二に、長期給付算定基礎となる俸給につきましては、従来退職時前三年間の掛け金標準となった俸給平均によることとしておりましたが、他制度との均衡等を考慮して、退職時前一年間の掛け金標準となった俸給平均によることといたしております。  第三に、退職年金等年金額算定につきまして、厚生年金保険年金受給者との均衡等を考慮し、現行算定方式により算定した額が、通産退職年金の額の算定方式に準ずる算定方式により算定した額に満たないときは、その額によることとして、低額年金額引き上げをはかることといたしております。  なお、恩給における措置にならい、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法及び旧国家公務員共済組合法に基づく退職年金等につきまして、六十五歳以上の老齢者退職年金が三十二万千六百円に満たないときは、その額をもって当該年金額とする等低額年金額引き上げをはかることといたしております。  第四に、遺族年金につきましては、遺族生活実態、他の社会保険との均衡等を考慮して、子供のある妻または遺児に支給する年金について、新たに遺族たる子供の数に応じて扶養加算を行なうことにより遺族年金改善をはかることといたしております。第五に、短期給付につきまして、組合員退職した場合におけるその退職の前後における医療給付等の激変を避けるため、退職後も引き続いて短期給付が受けられるよう新たに任意継続組合員制度を設けることといたしております。  第六に、恩給における措置にならい、恩給公務員期間等を有する七十歳以上の老齢者等に支給する年金の額につきまして、その年金基礎となっている恩給公務員期間等期間退職年金を受ける最短年金年限をこえるときは、そのこえる年数一年につきその年金の額の算定基礎となる俸給年額の三百分の一に相当する額を割り増しして支給する等の措置を講ずることといたしております。  第七に、掛け金及び給付算定基礎となる俸給最高限度額につきまして、現行の二十二万円を、公務員給与改定状況を勘案して、二十四万五千円に引き上げることといたしております。  このほか、公庫等職員期間組合員期間に通算する場合の条件を緩和するとともに、恩給における措置にならい、外国政府職員等期間組合員期間に通算する場合の通算条件を緩和すること、公務による廃疾年金及び公務傷病にかかる死亡の遺族年金について最低保障額引き上げること等所要措置を講ずることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  5. 安倍晋太郎

  6. 増岡博之

    増岡政府委員 ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案提案理由につきまして、御説明申し上げます。  この法律案は、公共企業体共済組合が支給しております退職年金等につきまして、このたび別途本国会提案されております恩給法等の一部を改正する法律案による恩給の額の改定措置に準じて年金額引き上げることとするほか、国家公務員共済組合制度等改正と同様に遺族年金扶養加算制度及び短期給付任意継続制度創設等措置を講ずるため、所要改正を行なおうとするものであります。  次に、この法律案概要につきまして御説明申し上げます。  恩給法改正に伴う措置といたしましては、第一に、公共企業体共済組合が支給しております退職年金等のうち、昭和四十八年三月三十一日以前に給付事由が生じたものにつきまして、年金額算定基礎となった俸給を二三・八%を限度として増額し、昭和四十九年十月分(通算退職年金につきましては、十一月分)から年金額引き上げをはかることといたしております。  第二に、老齢者及び妻子等を優遇するため、最短年金年限をこえる旧国家公務員共済組合法による組合員期間等を有する七十歳以上の者が受ける退職年金等またはこの者にかかる遺族年金のうち七十歳以上の者、妻、子もしくは孫が受けるものにつきましては、その年金額を、右に申し述べたところにより引き上げるとともに、さらに最短年金年限をこえる期間に応じて割り増しをし、昭和四十九年十月分から支給することといたしております。  第三に、旧国家公務員共済組合法に基づく退職年金等最低保障額引き上げるとともに、公共企業体職員等共済組合法に基づく退職年金等につきましても、新たに同様の最低保障制度を設けることといたしております。  このほか、外国政府職員または外国特殊法人職員としての在職期間組合員期間に通算する条件を緩和すること等の措置を講ずることといたしております。  また、国家公務員共済組合制度等改正と同様の措置といたしましては、第一に、遺族年金を受ける者に扶養遺族がいる場合には、扶養遺族の数に応じて加算し、遺族年金の額を引き上げることといたしております。  第二に、組合員退職をした場合におけるその退職の前後による医療給付等の激変を避けるため、退職後も一年間に限り引き続いて短期給付を受け、また福祉事業を利用することができることといたしております。  このほか、公共企業体の要請に応じて公団等に転出した復帰希望職員の公団等職員としての在職期間組合員期間に通算する条件を緩和すること等の措置を講ずることといたしております。  以上が、この法律案提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  7. 安倍晋太郎

  8. 武藤山治

    武藤(山)議員 ただいま議題となりました国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案及び公共企業体職員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、提案理由とその内容の概要を御説明いたします。  最近の異常な物価上昇は、狂乱物価、投機物価といわれ、卸売物価、消費者物価ともに二〇%をこえる状態となっており、勤労国民の生活はますます圧迫されております。勤労者の賃金は実質的に切り下げられ、賃金の引き上げも物価のあと追いにすらならないのが現状であります。このようなインフレ物価高のもとで、とりわけ被害の大きい、いわゆるインフレ弱者といわれるのが各種年金生活者であり、福祉関係者であるのはいうまでもありません。今日の事態を招いた根本原因である高度成長政策は、わが国の社会保障整備を放置し、経済発展の名による社会的弱者切り捨ての政策にほかならなかったのであります。成長より福祉へ、産業より生活への転換が国民の緊急に要求しているものであり、いまこそ、経済政策、社会福祉政策をはじめとした政策の根本的転換が必要なのであります。  インフレは国民生活を破壊し、所得格差の拡大、富の偏在など弱い者にそのしわ寄せをもたらし、社会的不平等をさらに拡大するものであります。したがって、今年の国民春闘がインフレ政策に反対し、インフレ弱者救済を要求しているのは当然の国民的課題なのであります。また、その国の文化水準、福祉水準は、老齢者、母子世帯、社会福祉施設生活者の生活水準を見れば明らかになるといわれております。  このような観点から、現在の国家公務員及び公共企業体職員の共済組合の現状を見ますと、その実態はきわめて憂慮すべき状態に置かれているのであります。国家公務員、公共企業体職員及びその遺家族が、退職後、人間らしい生活を保障し得る年金を受け、病気になっても経済的不安のないようにすることは、共済組合の趣旨に照らしても当然の任務であります。  さらに、最近の医療費の急激な増高は、各種共済組合短期給付財源の収支を悪化させ、組合員に過重な負担をしいる掛け金引き上げを余儀なくし、また長期給付におきましても、数年来の消費者物価の上昇とここ一年間の物価の暴騰のもとで、年金受給者の生活は極度に逼迫しているのが実情であります。  このような事態に直面し、共済組合制度を充実強化するため、給付内容を大幅に改善し、財源については賦課方式を採用し、かつ、国の負担割合を引き上げ、あわせて共済組合制度組合員の福祉の増進のために運用されるよう規定を整備するほか、退職者についての短期給付の特例等の措置を講ずることは、緊急かつ重要な課題となっているのであります。  以上の立場から、共済組合短期給付及び長期給付改善充実等をはかるため、両法案を提出いたした次第であります。  次に、法案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。  まず第一は、共済組合給付に要する費用につき、国の負担割合を引き上げ組合員の負担の軽減をはかったことであります。すなわち、短期給付に要する費用につきましては、現在、国と組合員の負担が百分の五十ずつとなっておりますのを、国の負担割合百分の七十、組合員の負担割合百分の三十とし、長期給付に要する費用につきましては、現在国の負担割合百分の五十七・五、組合員の負担割合百分の四十二・五となっておりますのを、国の負担割合百分の八十、組合員の負担割合百分の二十といたしたのであります。  第二に、将来の積み立て方式による長期給付の財政方式を改め、これを賦課方式に切りかえたことであります。後に申しますように、本法案は長期給付給付内容を大幅に充実させ、また年金のスライド制を実施することといたしておりますが、このような給付内容の充実のためには、従来からの積み立て方式では限界があるため、新たに賦課方式を採用したものでありまして、三年を一期とする期間を単位としまして、掛け金、国の負担金は、その期間内における給付に要する費用と均衡を保つよう定めることといたしたのであります。  第三に、共済給付の内容を大幅に改善することといたしました。まず短期給付につきましては、家族療養費の給付率を現行百分の五十を百分の八十といたしました。次に長期給付におきましては、退職年金は、現在その支給率が組合員期間二十年の場合、俸給年額の百分の四十となっておりますのを百分の六十に引き上げ、最高支給率も百分の七十を百分の八十一とし、さらに最低保障額三十二万千六百円を七十二万円に引き上げることといたしました。これに準じまして、退職一時金の額の引き上げ廃疾年金の支給率及び最低保障額引き上げをいたし、また遺族年金の額につきましては、その最低保障額引き上げとともに、現在退職年金額の半額とされておりますのを八割相当額といたしました。さらに、長期給付算定基礎は、従来退職前三カ年の俸給平均額とされておりましたが、消費者物価の上昇の中で年々ベースアップが行なわれている現状等を考慮して、これを退職時の俸給といたしたのであります。  第四は、遺族に対する給付を受けるための要件の緩和と年金遺族一時金の創設であります。まず遺族に対する給付を受けるべき遺族の範囲でありますが、年金を受ける遺族についてはその範囲を拡大しまして、組合員の配偶者は、組合員の死亡の当時組合員によって生計を維持していなくてもよく、その他の遺族については、一部でも組合員によって生計を維持しておればよいこととし、年金以外の給付を受ける遺族の範囲はこれを一そう拡大しまして、組合員によって生計を維持していない者等を含めることといたしました。そして、遺族年金の支給要件を満たしていてもそれを受けるべき遺族がないときには、組合員の収入によって生計を維持していなかった者に対して遺族年金の七・五年分の年金遺族一時金を支給することといたしました。次に、遺族年金の受給要件につきましては、現在、組合員期間が一年以上二十年末満である者に支給される遺族年金は、六カ月以上の組合員期間があれば支給されることといたしました。  第五は、退職者についての短期給付の特例の新設についてであります。現行法では、退職の際に療養の給付等を受けている場合には療養の給付等の支給開始後五年間は継続して療養の給付等を受けることができることになっておりますが、退職後の新たな疾病や事故に対しましては、共済組合員の資格がないため、給付水準の低い国民健康保険によらざるを得ないのであります。しかしながら、永年勤続して退職した者は、退職後二、三年の間に疾病する場合が多いという事情等を考慮いたしますと、退職後も一定期間医療給付等が行なえるよう改善をはかることが必要であると考えられますので、組合員期間が二十年以上である者が退職した場合または組合員期間が十年以上である者が五十五才以上で退職した場合には、退職後十年間はなお短期給付を受けることができることといたしたのであります。  第六は、国家公務員共済組合審議会委員国家公務員共済組合の運営審議会委員についてでありますが、共済組合運営の実態及びその特殊性から、現在は非組合員であっても、たとえば労働組合の役員として専従業務に携わっている者等、かつて組合員であった者については、労働組合の推薦により、委員に任命できるようにしたのであります。  第七は、長期給付の支給のための積み立て金の運用についても組合員の意思を反映させるようにはかったことであります。すなわち、現在この積み立て金は法律上の一定の制約のもとに組合員の意思が直接には反映しない形で組合または連合会が運用いたしておりますが、これがなるべく組合員の福祉のために活用されるよう、その管理、運用については、組合の運営審議会または連合会の評議員会の決定事項としたのであります。  第八は、年金受給者の福祉増進のため、共済組合は、福祉事業として新たに老人福祉施設その他必要な施設の設置、運営の事業を行なうことができることといたしました。これは、現在の共済組合の福祉事業が組合員の福祉増進のためのものに限られておりますのを広げまして、かつて組合員であった者で現在は年金を受けております者のための必要な福祉施設の設置、運営の事業を行なうことができるようにしたものであります。  第九は、労働組合専従者の共済組合員としての継続についてであります。昭和四十三年十二月十三日において、国家公務員共済組合法に規定する職員であった者で、在職中に国家公務員法の規定により職員団体または労働組合の役員としてその業務にもっぱら従事した者がその後職員を退職した場合において、その退職の日の翌日において、職員団体または労働組合の役員であるときは、その者は、その後における職員団体または労働組合の役員である間、職員である組合員と同様に取り扱うものといたしております。  第十は、退職一時金からの通算退職年金の原資の控除を受けないことを選択することができる期限の延長についてであります。すなわち、この選択期限は、男子については昭和四十四年十月三十一日に満了しておりますが、その期限を、とりあえず、昭和五十三年五月三十一日まで延長することといたしたのであります。  なお、年金額の自動スライド制の採用につきましては、野党四党共同で、社会労働委員会提出されております賃金及び物価の変動に対応する公的年金給付等の額の改定等に関する特別措置法案に一括されておりますので、同法案の成立によって自動的にスライド制が採用されることになります。  以上は、国家公務員共済組合法について御説明申し上げましたが、公共企業体職員等共済組合法については、右の国家公務員共済組合法とほぼ同様の改正をいたすこととするほか、新たに公共企業体職員等共済組合審議会を設け、制度改善に資することといたしました。  以上、この法律案提案理由及び内容の概略を申し述べました。  何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。(拍手)
  9. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。     —————————————
  10. 安倍晋太郎

    安倍委員長 次に、内閣提出昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。山田耻目君
  11. 山田耻目

    山田(耻)委員 国家公務員、公共企業体関係の年金について法案が提出をされましたので、質問をいたしたいと思いますが、この問題につきましては、二週余にわたりまして、いろいろと各党間で相談もいたしまして、後ほど議員修正をすることになりますので、多くの質問をいたすことは御遠慮いたしたいと思います。  公務員共済なり公企体共済にはいろいろと問題もございまして、また、将来におけるいろいろな配慮もございまして、それらについて総合的に附帯決議の中で生かすように、附帯決議も後刻上程をいたしますので、今回の場合、特に五党共同提案なり共同修正という立場をとりましたから、実はあまり多くここで質問するということも、そういう意味からおもんばかられております。したがいまして、ごく三、四点、附帯決議の中で来年度に向けていろいろ改正をしなければならぬような諸点について、しぼってお伺いをいたしたいと思います。  まず最初に、年金問題の改正にかかわる事案でございますが、実は私たちの国家公務年金なり、公共企業体年金の関係と非常に深い関連のございます、ある意味では年金関係の中核法とも言えるわけでございますが、厚生年金法がございます。たまたまことしの春の賃上げの状態の中で、異常な狂乱物価高騰、インフレの中で年金で生活をなさる、いわゆる財政支出によって生存していく人々ないしは老齢福祉年金を受けておられる人々、こうした人々がこの狂乱するインフレの中で非常にお困りである。何とかこの人たちを救済しなければならぬということで、国民的な運動が高まってまいりました。こうしたものを社会労働委員会で受けまして最後の詰めをいたしましたときに、異常な物価上昇を調整するという立場で、厚生年金の一部実施時期を繰り上げる、国民年金の実施時期を繰り上げる、老齢福祉年金の実施時期を繰り上げる、それぞれ一カ月ないしは三カ月、四カ月となっておるわけです。この措置が社会労働委員会ででき上がりまして、当然いまから審議をいたします国家公務員あるいは公企体年金取得者の中にも、既裁定者の中にも、旧令旧法などによって措置されておる人々は非常に苦しい。それをそのまま放置しておくということはいけない、こういう気持ちがま痛切にございます。しかし、これらの措置をいたすにあたりましては、国家公務員、公共企業体年金、それぞれ母法ともいわれる基礎法律は思給法でございます。そのために、この恩給法改正ということが行なわれた後、国公、公企の年金の関係諸法の改定を行なう、こういうことになるのが順序のように思えますので、恩給年金法の改正がかかっておる内閣委員会の動向を見守って措置をしなくてはならないと思うわけでございますが、その点をひとつ質問の形式で確認をしておきたいのは、この恩給法改正を議員修正でいたしまして、いまの厚生年金法なり国民年金法なり老人福祉法の精神にならって恩給法が議員修正された暁には、このいまから審議をします国家公務年金法、公共企業体年金法の二法に対しては、当然自動的に修正をなさるあるいはそれを受けられる用意があるかどうか、この点をひとつお伺いいたしておきたいと思うのです。
  12. 辻敬一

    ○辻政府委員 共済年金改定につきましては、従来からその改定の時期あるいは改定の幅、ともに恩給にならってきているところでございます。ただいま御提案申し上げている改正法案につきましても、恩給にならいまして、最高二三・八%の大幅な引き上げを四十九年十月からお願いをいたしているわけでございます。  そこで、ただいまお話のこざいました恩給法の問題でございますけれども、仮定の問題につきましてお答えを申し上げることはなかなかむずかしいわけでございますが、厚生年金は先般の国会におきまして御修正をいただきまして、スライドの時期が三カ月繰り上げになったわけでございます。しかし、これはいわゆる物価スライドでございますし、その場合の幅は、政府見通しによりますと一四%程度ということに相なっておるわけでございます。これに対しまして、恩給公務員給与基礎にしているわけでございまして、その改定の幅も、いわゆる格差是正分を合わせますと二三・八%ということになっておりますし、そのほかに低額年金の是正でございますとか、あるいはまた老齢者の優遇措置でございますとか、いろいろございますので、そういうものを合わせますと、総合した改善率は三割近い二七%程度になっているわけでございます。したがいまして、厚生年金とその点はいささか違う問題があるわけでございます。片や給与でございますし、片や物価である、片や改善率が倍程度違うということでございますので、直ちにこの際、恩給の施行時期の問題が厚生年金と関連いたしまして問題になるかどうか、その辺のところにつきましては、いろいろと御議論のあるところだろうと考えております。  ただ、共済年金の立場から申しますと、従来から恩給にならって措置をしてきたわけでございますので、改定の時期は恩給に合わせて措置をすることが適当である、かように考えております。
  13. 山田耻目

    山田(耻)委員 いろいろ計算されたアップ率の違い、あるいはよって立つ法律の違いが御説明で述べられておりますが、要するに、恩給法がむずかしい要素はあっても改正をされたら、それを受けて国公、公企の年金にも適用する、こういうことになるわけでございますね、辻さん。
  14. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま申し上げましたように、厚生年金の場合と恩給の場合とはいささか違うのではなかろうか。基準となりますものが物価、給与等の違いもございますし、改定の幅も、厚生年金の場合に比べまして、恩給の場合が二倍程度であるという違いがございますので、私どもといたしましては、厚生年金が繰り上がったから直ちに恩給を繰り上げなければならないというふうには必ずしも考えていないわけでございますが、いずれにいたしましても、共済年金は従来から恩給にならいまして措置をしてきているわけでございますので、共済年金の立場から申しますと、改定の時期は恩給に合わせることが適当であるというふうに考えております。
  15. 山田耻目

    山田(耻)委員 なかなか歯切れが悪いようですが、要するに恩給に合わせて改定をいたしますと、こういうことになるのを、裏から読めば、恩給法改正されたら改正をいたしますという、日本語はそういうことになるわけですね。だから、いまの辻さんのお話は、私はそのように受けとめるのが常識だ、こう理解をいたしておりますので、この点については恩給法がどういう方法で変わっていくのか、あるいは物価の上昇度合いで年金引き上げていく厚生年金と、賃金の引き上げによって変化を起こしていく恩給関係あるいは公務年金関係と、それぞれの立場は違うことは私も承知をしております。  ただ問題は、去年厚生年金は二・三倍定額部分の改正によりまして上がっていった。恩給関係は今回二三・八%、四十五年を境として以前、以後と区別はございますけれども、ベースアップを組み込んで上げていった。しかし、それは、それぞれの法律とも、この改正原案が作成されていったときには、この異常なインフレをどの程度想定をしておったのかわかりませんが、インフレ進行が現状ほどではなかった。しかし、それらをいま私はとやかく言っておるわけではないので、政治的に判断をされて、申し上げたような法律改正がなされていった。  恩給のほうも、私は大蔵委員会だからよくわかりませんけれども、内閣委員会恩給審議がなされる、その恩給審議がなされる過程で、今日、厚年とか国年に合わせて実施時期を繰り上げなければという議論があることは間違いないのです。だから、このある議論がどう具体的に結実をするのか、その結実をした結果を公務年金なり公企体年金は受けていくのですよ。その点については、あなたは恩給法改正によってそれに従っていくのが従来の慣例です、こう述べられておるわけです。それを私は裏から見て、恩給法改正がありましたら、この点については国家公務年金公共企業体年金もそのとおり受けていく、そうあなたがお答え願ったものと私は判断をするわけです。だから、私の申していることが、あるいはあなたのお答えになっていることとたいへんな違いということで後ほど議論をかもすことのないように、私はその点はしかと念を押して、この質問はこれで終わります。よろしゅうございますね。  続いて、この法律の内容に入るわけですが、今回の公務年金改正の一つの特徴点となっておりますのは、昭和三十一年以来ずっとございました公務年金算定基礎になる基礎俸給、この基礎俸給退職前三年間の平均の賃金によって定められておりまして、これが今回、退職前一年間の賃金平均をもって基礎俸給とする、こういうふうになったわけであります。ところが、この公務共済組合法と公企体共済組合法との違いがそこにございます。公企体共済組合法のほうは昭和三十一年以来最終俸給、やめる月の俸給をもって基礎俸給といたしております。この三年間と最終俸給退職当該月の俸給をもって退職算定の給額基礎とするというこの違いが、いろいろ今日まで差別があるという認識に立ってこられたわけであります。それを今回、公務員をこの三年を一年にする、こういうことになったわけです。この基礎俸給のとり方を三年を一年にした実質的な内容と、最終俸給と定めておる三公社の年金の内容では、実質的にどれだけの違いがあるであろうか。この違いがあるということでいろいろ多くの問題を惹起しておりますので、実質的にどれだけの違いがあるか、この点をひとつ増岡さんでもいいし、住田さんでもいいからお話を伺いたいと思います。
  16. 住田正二

    ○住田(正)政府委員 国家公務員の場合と公企体の場合で、いま御指摘がございましたように、基礎俸給が違ってくるわけでございますが、この基礎俸給の差が数字であらわしてどれぐらいになるのかということの計算は、非常にむずかしい問題ではないかと思います。  しかしながら、ある一定の前提を置きまして計算をいたしますと、国家公務員の場合には年に四回昇給するわけでございます。毎年昇給は一回ございますので、一年平均ということになりますと、四回の昇給を平均したものと最終俸給との差が一つあるわけでございます。  そのほかに、国家公務員、公企体を問わず、昇格に伴う昇給であるとか、あるいは特別昇給というものがあるわけです。特に、公企体あるいは国家公務員で違うわけでございますけれども、最終年度、やめる前には昇格とか特別昇給が行なわれるケースが比較的多い。これは各組合によっても違うことであると思いますけれども、比較的多いのではないかということで、かりに昇格、特別昇給が半分行なわれる、あるいはみんな一回ぐらいは最終年度、やめる前に行なわれるといういろいろ前提があると思いますけれども、かりに定期昇給以外に昇格及び特別昇給が〇・三号俸ぐらい行なわれると見ますと、最終俸給と一年平均との差は九八・四%ぐらいではないかと思います。それから、平均いたしまして〇・五号俸ぐらいの昇給が行なわれる、まあ半分ぐらい昇格、昇給で上がるということになりますと九八・二ぐらい。それから、みんな全部が大体一回ぐらい、一号俸ぐらい昇格、昇給がやめる前に行なわれるというふうに見ますと九五・七ということで、前提によっていろいろの数字が出てくるのではないかと思います。
  17. 山田耻目

    山田(耻)委員 どうも抽象的でよくわからないのですが、実際には定期昇給が国家公務員は幾らで、三公社の場合は幾らで、この比較の結果どうだ、あるいは昇格、昇給の場合はどう違うんだ、退職時にやる特別昇給の場合はどう違うんだ、中身はこうこうだ、こういうことが具体的に例示をされますと、私はそこで理解することができるわけです。しかし、いまのような制度間に存在するであろうという判断から述べられますと、これは間違いをおかす危険性もありますから、しかも、国の行政の立場から議論をし合っておるわけですから、こうであろうという立場での議論は私は迷惑をいたすわけです。  だから、国家公務員の定期昇給の実態、一人当たりの昇給資金は四千円、三公社の昇給資金は一人当たり幾ら、昇給回数はどういう方法で昇給をしていく、こういうことが具体的に示されて、これが定期昇給。昇格にあたってはどういうふうな昇格の制度があって、何年ぐらいでその昇格の権利を受けて、具体的にどう昇格をしていく、それによるベースアップ分は幾らある。退職時には、これは人事院規則にもございますように、国家公務員は十年未満の退職者に対しては一号俸特別昇給させる、二十年については二号俸昇給させる、これは法律どおり。三公社のほうはどういうふうに特別昇給をさせておるのか、このことが具体的に把握されないことはないはずだと私は思うし、この把握もできないのに、そこに差異感があるという認識に立つということも私は誤りだと思う。そういう、だろうという判断で行政をやるということは許せないと思います。私も政治家の一人として、これはいけないと思う。  だから、いまの基礎俸給を三年から一年に今回国家公務員は修正をしていった、たいへんけっこうです。制度をよくしてあげるということは、特にこの年金問題というのは社会保障の原理原則に基づいておるのですから、これは私はけっこうなことだと思う。三年間を一年間にしていった。その一年間にしていったために、最終俸給をとっておる三公社とは具体的な数字を示しながらこうなりました、こういうことが私は客観的に示されてしかるべきだと思う。  この三年間とやめる月の最終俸給との違いがあるからということで、昭和三十一年以降、国家公務員の退職金は百分の百に対して、三公社の退職金は百分の九十七しか支給していなかった。こういう三%の目減りを起こさしていたのは、この三年間の基礎俸給と最終俸給の違いから生まれていたわけです。そこには私は、少なくとも昭和三十一年時点には客観的な数字と根拠があったものと思うのです。しかし、今回その三年間を一年にしたのだ、一年にしていけば当然、いまの三%減を定めておる国家公務員等退職手当法五条の二というものが変えられていくべきなんです。この五条の二では、三公社には三%退職金を減らすぞ。この理由が、申し上げたように、国家公務員は三年間の基礎俸給をとっておる、三公社は最終の月でやる、この違いが三%の退職金を減らしていった理由なんです。  それが今回一年にしたわけなんですから、一年にしたこの一年の基礎俸給と最終月の俸給との差にどれだけの違いがあるのか、これを明確にしていきませんと、退職手当法五条の二をそのまま据え置いたのはどういう理由なのか、ちょっと私、解明がつかないわけです。この点をもう一ぺん、お話が出ましたので、私もそこにひっかけて御質問したわけですから、その退職手当の五条の二との関連に矛盾は感じないのか、その点をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  18. 住田正二

    ○住田(正)政府委員 先ほど申し上げましたのは、今回、国家公務員の場合の基礎俸給が三年平均から一年平均に変わったわけでございますけれども、かりにそれを最終俸給に直すといった場合の差はどうだという点についてお答えしたわけなんであります。  国家公務員と公企体との俸給の比較というのは非常にむずかしい問題でございまして、先ほどお話がございましたように、昇給の額も違っておりますし、特別昇給のやり方その他も違っておりますので、国家公務員と公企体との比較というのは非常にむずかしいのではないかと思います。  また、運用の面におきましても、三月三十一日にやめる、あるいは月末に退職するというやり方をやっているところもあれば、四月一日あるいは月の初めにやめるというやり方をやっているところもあるわけでございまして、それぞれ公企体あるいは国家公務員の特殊事情によりまして差異が出ているわけでございます。したがって、退職金の問題につきましても、三月三十一日にやめる方と四月一日にやめる方と比較いたしますと、実際には三%どころではない。最近では十数%、ことしは二〇%以上の昇給が行なわれているわけでございますから、そういう運用いかんによっては三%の差も消えてしまうわけでございます。  したがって、この制度の調整の問題というのは、いろいろな問題があるわけでございますが、特にこういう運用の問題も含めていろいろ検討していかないと、是正ということはむずかしいのではないかというように考えております。今回、国家公務員が三年が一年になったわけでありますので、この機会にもう一度公企体の退職金のあり方について検討いたしたいと思っておりますが、いま申し上げましたように、運用の問題もあわせて考える必要があるのではないかというように考えております。
  19. 山田耻目

    山田(耻)委員 もちろん、運用が私も大事だと思うのです。だから、平易に観念的に受けとめますと、一年平均の賃金を基礎俸給にするというのと、やめるときの最終月をもって最終俸給と定めてそれにかけ合わせていくというのでは、観念的には、一年平均のほうが低くて最終俸給のほうが高い、みんなそういう観念を受けます。ところが、制度上の運用ということばが出ましたので私も思うのですが、四月一日に退職の辞令を出すところもあるということをおっしゃっています。三月三十一日で退職の辞令を出すということもおっしゃっている。  ところが、ことしの場合をひとつ考えてみましょう。大蔵大臣がおととい関西で財界を集めて講演なさっている中身の中で、ことしの民間の賃金は平均二七・八%上がった。いまここで議論になっております三公社、それに国家公務員でございますが五現業、この三公社五現業の賃金は二九・二%、二九%ぐらい上がります。四月一日に退職辞令をもらう人はこのベースアップがかぶるわけです。このベースアップが自分の賃金として算定されて、年金も受けるし、退職金も受けるわけです。三月三十一日の発令のところは、全部だめなんです。この賃金もかかってこなければ、年金もかからなければ、退職金にもかからない。たいへんな差が出てくる。私の調査では、国家公務員はやめる年の一年平均をもって基礎号俸にするけれども、退職発令は四月一日。三公社の中には三月三十一日発令という公社があるのです。ここには手を触れぬでおいて、おまえのほうは最終号俸、国家公務員は一年間の平均だから、おまえの最終号俸のほうの組は退職金を三%少のうやる。ここに矛盾がないのかと私は言っているのです。確かに、制度上は一年平均よりか最終俸給のほうが制度がいい。しかし、実質的な中身は、一年平均四月一日発令というほうがうんと得。にもかかわらず、制度がおまえのほうがよかったから、おまえのほうは退職金は百分の九十七しかやらぬぞ、こういうやり方がいまの行政ペースの年金に対する考え方です。私はこれは間違ってはおりませんかと言っているのです。  しかし、いま住田さんのお話の中で、そういう制度運用上の問題もあるのでこれは検討しなくちゃならぬと思う、しかも退職手当法の第五条の二もその検討の中に含まれておるという立場からのおっしゃり方ですから、私は了解します。だから、ことしの附帯決議の中にそのことをつけておりますが、五十年度、来年度のこの国公、公企の年金改正のときにはこの点は忘れずに始末をしておきませんと、こういう世の中ですから、ものの価値観というものの度合いが比較の中にずいぶんと大きく育っておりますだけに、十分認識をしておいて処することは処していかないと非常に心配だと思いますから、この点はひとつそのように御理解を、私もいたしますので、政府関係もしておいていただきたいと思います。  それからいま一点は、三公社と国公との関係ですけれども、三公社のほうはある意味では企業年金的な性格を持っております。自前でやっておるわけですね。だから、そこにはいろいろ特殊性もございます。ところが、この年金ファンドをやっておるそれぞれの公社を見ますと、非常に古い年金の歴史を持っている公社と新しい年金の歴史を持っている公社との間には、財源率に大きな変動を見ることができるわけです。そこで、たまたまいま国鉄から清水共済局長お見えでございますので、耳国鉄の財源率についてちょっと述べていただけたらありがたいのですが、あと住田さんのほうから他の二公社、電電、専売のほうの財源率について、ちょっと簡潔に両者ともお答えいただきたいと思います。
  20. 清水晋

    ○清水説明員 お答えいたします。  国鉄の現在の長期経理の財源率は、千分の百十七を財源率といたしております。
  21. 住田正二

    ○住田(正)政府委員 専売公社の場合には、長期の掛け金率が四六・五%、短期が三二・五%、それから福祉が一・五%というようになっております。それから電電のほうは、長期の掛け金率が四六、短期が三〇・五、福祉が一・五ということで、国鉄よりも若干低くなっております。
  22. 山田耻目

    山田(耻)委員 清水さん、いま国鉄は千分の百十七とおっしゃいましたが、短期は幾らですか。
  23. 清水晋

    ○清水説明員 千分の六十六でございます。
  24. 山田耻目

    山田(耻)委員 かなり開きがございますが、まあそれはそれぞれのおい立ち、特殊な事情があるのでしかたがないと思います。問題は、国庫負担が法律上は一五%三公社には負担されるようになっておるわけですね。これは去年の共済でもかなり詰めていきましたので、きょう多く詰めようと思いませんが、私の去年の質問での理解では、直接国庫負担というのは行なっていない。だから、法律との関係で、国庫負担率の関係はそれぞれの公社の負担というふうになっておるわけです。しかし、公社負担ということになりますと、これもまた公社の今日の営業内容、経営内容から見ますと、たいへん楽なところ、苦しいところと分かれていきます。特に国鉄の関係は、再建整備法という法律が別に国会では審議をされて、ここに膨大な資金が導入をされていく。これは経営そのものが新幹線等で異常に拡大をされていくという分野もあることと思いますけれども、本来独立採算制をとっておりますから、収益である運賃がそういう新規事業投資に資金投入をする財源となり得ない、こういうこと等から国鉄に対する再建措置の具体的な施策を生みだすようにしておるのだと思いますが、そういう経営の違い、いい経営、あまりよくない経営、悪い経営、こういうこと等によって企業が負担をしていくことについても、かなりの苦悩が伴ってくるのじゃないかという気が私はいたしております。これが経営の上から見た企業に負担をさせるという一つの問題点。  それから、それぞれの共済組合の歴史あるいはその共済組合を構成しておる年齢、こういうものをあわせて加味していきますと、ここにも差異が出てきます。あるいは男女構成の中にも差異が出てきます。特に戦争という一時期を画して、外地から引き揚げてきた人々が吸収をされていったという国鉄関係、こういうところの外地勤務者の年金関係を措置していかなければならぬという問題、軍人関係は軍人関係で、これは公社にかかわりはございませんが、やはりこれらも加味していかなくちゃならない。こういうことで、本来掛け金をかけてもらっていなかった人たちに対する支出、こういうものが債務負担行為ということでかなり巨額なものになっていることも、去年の本委員会で議論を深めてまいりました。   〔委員長退席、松本(十)委員長代理着席〕 そういうことの金利相当分といわれておりますけれども、追加費用というかっこうで国から金利分を見よう、大体千分の五ぐらいずつ毎年ふやしていきながらめんどうを見ていこう。しかし、その負担分もまた全部企業が見てくれ、国が直接これに負担をしていくということはできないから企業が見てくれ、こういうことなどで、共済財政というのはかなり苦しくなっているように見受けられます。そうしたものから、いま財源率のお話のございました千分の百十七なり千分の九十なりあるいは八十なりというこの違いが生まれてきているのではないだろうか、私はこういうような気がいたしております。すべてじゃございません。一つの側面としてそういうものも影響してきておる。  そこで、法律というのは、国であろうとそれぞれの公企体にかかわるものであろうと、もちろんきめられたものは同じ効力を持つわけですから、それは別の効力の発生というわけにはまいらないと思いますけれども、こうしたそれぞれの現状を把握して、そこに国庫負担分として一五%があるわけですから、これらを企業にまるがかえをさせずに、何らかの手だてを講じていこうとする配慮があってしかるべきじゃないか。楽な部分と苦しい部分とを同じような立場で受けとめずに、やはりそこには一つの方向を定めて措置をしていくという善処の方法というのがあってしかるべきじゃないだろうか、私はこういう気がいたしてなりません。特にその点について、三公社の年金関係を見ておられる運輸省、責任者としてここらあたりの実態をどう把握しておられるのか、どういうことを将来考えようとなさっておるのか、そこらについて一つの判断をお答えいただきたいと思います。   〔松本(十)委員長代理退席、委員長着席〕
  25. 住田正二

    ○住田(正)政府委員 三公社の年金財政の現状でございますが、昭和四十六年度以降の実績を見ますと、専売公社、電電公社につきましては大体収支が見合っておりまして、当期の利益金は若干ではございますけれども、ふえております。それに対しまして、国鉄につきましては、四十六年、四十七年、四十八年当時は利益金は四百億程度であったものが、四十九年度では二百八十七億円ということで、この傾向はさらに続きまして、毎年利益金が減っていくという予想をいたしております。  どうして国鉄がこのように悪いのかという点につきましては、先ほど先生からのお話にもございましたように、国鉄は組合員のうち男子の占める比率が多いとか、あるいは外地からの引揚者が多いとか、あるいは最近合理化ということで人間を整理いたしております。そういうことで、組合員年金受給者との比率が非常に高いといいますか、現役の組合員が二人で一人の組合員を養うというようなこと、そういうようなことで国鉄の年金の財政が非常に悪くなってきております。  今後これをどうするかということになりますが、四十年代の年金額改定によりまして、財源率は漸次高まっているわけでございますが、この場合の問題として考えられますのは、一つは国鉄の組合員だけが他の国家公務員あるいは公社の組合員より非常に高い掛け金率を負担しなければいかぬ、飛び抜けて高い掛け金率を負担しなければいかぬということになりますと、これはやはりバランスの問題で大きな問題が起きるのじゃないだろうかということ。  それからもう一つは、国鉄の財政負担が毎年ふえております。昭和四十年当時は給料の中で占める比率が三・九五%であったわけでございますけれども、四十七年度では五・六二%、四十九年度はさらにこれが上回って高くなってきております。したがって、国鉄の経営費における圧迫の度合いを深めているわけでございまして、これが将来再建計画にどういう影響を与えるか、まだ十分詰めておりませんが、この経営費に占めるあるいは給与費に占める国鉄の負担費が上がってきた場合に、やはりこの面で何らかの手当てをしないと、国鉄の財政再建がくずれてしまうという心配もあるわけでございます。  したがって、今後の問題といたしましては、国鉄の組合員掛け金率が非常に高くなった場合にどうするかということと、国鉄の給与費に占める年金負担額が非常に多くなった場合にどうするかという二つの問題を検討していくわけでございますけれども、いずれにいたしましても、その一部については国庫からの負担をお願いせざるを得ないのじゃないかというふうに考えております。ただ、国庫負担をお願いする場合にも、全額国庫負担にするのか、あるいは一部利用者負担でお願いすべきであるのか、そこら辺も非常にむずかしい問題でございますので、そういう問題を詰めながら、先ほど申し上げました組合員掛け金率が非常に高くならないようにするにはどうしたらいいか、あるいは国鉄の年金負担が国鉄の財政再建に影響を与えないようにするためにはどうしたらいいか、そういう点について検討を進めていきたい、かように考えております。
  26. 山田耻目

    山田(耻)委員 結局、いろいろ事情はございますけれども、一つの措置としてずっとやってこられております追加費用のやつを千分の五上げておるわけですけれども、これらをもっとパーセントをふやしていかなければいけない。だから、追加費用が去年が千分の九十六ですか、ことし五%上げますから千分の百一になりますかね。ですから、こういう追加費用の負担分を、いまあなたのおっしゃったことばは、全額国に見させるのか、あるいはいまの共済組合法にございます企業負担という部分をどれだけ残して残りをどうするのか、こういうような方向の検討に入るということだと思うのです。これは住田さん非常に熱心でございますから、私は検討に入るという役人の常用語じゃなくて、やはりもっと真剣に前向きに、少なくとも五十年度ぐらいには具体的な方向で折衝に入れるように配慮していただけるものと期待をしておりますが、その点だけでけっこうですからお答えをいただいて、次に行きたいと思います。
  27. 住田正二

    ○住田(正)政府委員 現在、御承知のように、再建計画では相当の国家助成をやっているわけでございまして、その中で年金の負担をどうするかということを考えていかざるを得ないわけですが、いま申し上げましたような方向で検討してまいりたいと思います。
  28. 山田耻目

    山田(耻)委員 ひとつよろしくお願いいたします。  最後でございますが、人事院の給与局長がお見えでございますので、ひとつお尋ねしておきたいと思いますのは、公務員共済年金には最高限度額というのをつくっておるわけです。これは給与による最高限度額であります。たしか行(一)が基準となってできておると思うのですが、ことしこれを二十二万円を二十四万五千円に引き上げるという法律改正が出ています。そこで、頭打ちになる国家公務員が何名ぐらいいるか、二十二万円から二十四万五千円に上がっていきますと、アップ率は一一・三%ですが、どれくらい公務員の中で頭打ちになる人がいるか、これが一点。  それから二点目は、これは一つの仮定になりますけれども、ことしは人事院勧告を七月ごろにおやりになるように伺っております。実施は四月ですけれども、そう見当はずれのことに私はならぬと思いますが、民間賃金の動向なり三公社五現業の賃金動向なりを受けて人事院勧告は出されていくのですが、これを二五%アップにした場合には、現行の給与体系で一体どれくらいの人が頭打ちになるか。私の試算では、現行ベースで大体十八万八千円ぐらいの人が今度二五%ベースアップになりますと、二十四万五千円をちょっとこえますということで頭打ちになります。民間給与がさっき言ったように二七・八%、三公社五現業が二九・二%ということになると、かりに二七なり二八%とベースアップを行なわなくちゃならぬということになると、現行の十七万円以上の人がみんな頭打ちになる、こういうことになると私は判断いたします。  そこで、冒頭に申しましたように、行(一)二十二万円以上の現行法律でいくと頭打ちになる人が幾ら、二五%アップ十八万八千円以上の人が頭を打つ数は幾ら、あるいは二八%程度のベースアップで十七万以上の給与を得ておる人たちが頭を打つ数は幾ら、それをちょっとお述べいただきたいと思います。
  29. 辻敬一

    ○辻政府委員 第一の御質問につきまして私からお答え申し上げますが、二十四万五千円でいわゆる頭打ちになる者の数は、四十八年度末の数字で申しますと、三千五百三十八人でございます。全体の組合員の数が百十六万二千人でございますので、比率にいたしますと〇・三%でございます。
  30. 茨木広

    ○茨木政府委員 私のほうの関係でございますと、一般職員の四十八万人ほどが対象になりますので、その関係を申し上げますと、ただいま先生がお話しなさいました金額でバウンドを引いて申し上げますと、四十八年の四月のときの人員構成で現在の改正されております給与表に基づいて算定いたしましたら、二十二万円以上の金額のところで四千百八十五人、十八万円以上のところで一万二千七百九十九人、十七万円以上のところで一万七千二百八十四人、こんな人数に相なるだろうと思っております。
  31. 山田耻目

    山田(耻)委員 辻さんいかがですか、こういうふうなベース改定が高額に行なわれると判断をなさらなかった段階での法律改正だったと思うのですが、二十二万から二十四万五千はアップ率は一一・三%でございますね。いまのように二七、八%の賃金アップということになりますと、大体十七万ぐらいの人が頭を打つようになりまして、しかもその数は、一万七千二百八十四人となるようでございます。私は、年金というのは、昭和二十五年制定されましたあのときの議論をよく承知しておるのですが、社会保障の原理原則に基づいたものが共済年金である、こうなっているわけです。だから、インフレなどによって賃金は絶えず変動していく、この変動していく賃金をもって最高限度額にして頭を打たしていきますと、いまのようなたいへんな変化を呼び起こしてくることになります。  だから、私は、社会保障制度なんですから、老後の生活をしっかり守っていくために、老後保障という金額を念頭に置いて、最高の年金による保障額をきめたほうが正しくはないかと思う。一年間の年金の総所得、その最高限度を定めて、社会保障ですから、最低分はよく生活に耐え得るように、憲法に定めておる文化的で健康な最低限度の生活を得さしめるという限度で最低保障は上げていく、賃金ではなくて与えるべき年金総額を頭に置いて、最高限度額最低保障額を操作していく、年金制度はこういうところに置くことが正しいのじゃないだろうか、賃金だけで最高限度額を定めていきますと、インフレによっては、二十二万を二十四万五千に上げて、二・三%上げて、老後保障に支障はないという判断に立ったのが、十七万円から頭打ちになっていくというふうな状態である。こういうことになるのは、こういうインフレの傾向がこれを促進させていく。だから、そのことに直接影響を受けない程度の最高限度額年金総額で定めるべきであろう。  いま国会議員の年金は五十二万円で三分の一ですから、年間大体二百四万円になります、年金資格のついた者は。そうなってまいりますと、二百万から二百五十万程度の最高額をもって頭を打たせておいて、賃金で最高限度額をとらせるような措置をせずに措置していくという方法は考えられないだろうか。これは、非常に議論が展開をされていったといたしましても、この委員会でとかくの結論は引き出せるものじゃございません。私は承知しております。それだけに、こうした問題も含めて——今日、最高限度額というものがいろいろな矛盾を引き出してきておる。ですから、公社間の共済年金の中身なり国家公務員の中身なりから考えてみたら、そういう賃金による最高限度額を改めて、年間年金総額に基づく限度額というふうに置きかえていくことのほうが、立法の精神からいっても私は正しいような気がする。そこで、これはまだ何回か論議する時期は将来あるわけですから、ひとつ十分検討していただきたいという気持ちを申し上げて、私の質問を終わります。
  32. 安倍晋太郎

  33. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 時間がまことに僅少しかございませんので、旧法共済組合、古い法律の適用年金者、この問題について端的に若干質問をいたします。  今度の公務員関係の改正案八十八条の三、それから公企体共済組合法の五十九条で、公企体のほうをちょっと読んでみますと、第五十九条「前条第二項の場合において、遺族年金を受ける者が次の各号の一に該当する場合には、同項の規定により算定した金額に、当該各号に掲げる額を加えた額を当該遺族年金の年額とする。  一 当該遺族年金を受ける者が妻であり、かつ、遺族である子がいる場合 その子一人につき四千八百円(そのうち二人までは、一人につき九千六百円)  二 当該遺族年金を受ける者が子であり、かつ、二人以上いる場合 その子のうち一人を除いた子一人につき四千八百円(そのうち二人までは、一人につき九千六百円)」  こういうことで、それぞれ新法の適用者について、これは社会保障制度審議会なりあるいは国家公務員共済組合審議会等からも要望され、あるいは建議のあった問題が具体化した。これはこれなりに当然やるべきことをやったという点で一つの評価ができるわけでありますが、これがその旧法年金者に及んでいないということについて、これはどういう理由に基づくものであるか、まずそのことを伺いたいわけであります。  現実に旧法適用者でも遺族年金を受ける者が妻であり、配偶者であり、そして扶養の義務を持つ子がいる、未成年の子がまだおる、こういう事例はなお今日厳として存在をしておるわけなんですね。これがどのくらいということになると、数は、もう子供さんたちが成人に達している、そういう場合が非常に多い。けれども、少数といえどもやはり未成年の子をかかえて、旧令、旧法の遺族年金をもらっている人がおる。こういう人たちにこの扶養加算が行なわれない。そういう人たちは相当高齢に達しておるはずでありますから、そういう事態というのは一そうお気の毒であるということで、事情は、今回新法適用者にこの問題を持ってきた趣旨より、より一そう深刻な状態にある、こういわなければならぬと思うのですね。旧法適用者にもこれを当然やるべきだ、これこそが公平な取り扱いであろう、このように思うわけですが、この問題はどういうようにされるつもりですか。そういう配慮はなされる気持ちはありませんか。
  34. 辻敬一

    ○辻政府委員 旧令、旧法の年金は雇用人の年金制度でございまして、官吏における恩給制度に対応する年金制度として設けられたものであるわけでございます。したがいまして、従来から恩給にならいまして改正を行なってきたところでございます。  そこで、ただいま御指摘の扶養加算の問題でございますが、恩給につきましてはこの扶養加算という制度がございません。また旧令、旧法にも従来からなかったわけでございますので、恩給との均衡上、そこは見送らざるを得なかったわけでございます。しかしながら、今回、旧令、旧法の年金につきましては、恩給にならいまして大幅な改善をいたしておるわけでございます。公務員の給与改善率といわゆる格差是正分と合わせまして二三・八%という改善を行なっておりますし、そのほかに、七十歳以上の老齢者に対する優遇あるいはまた低額年金額の是正ということで、定額保障額の大幅引き上げということもいたしておりますので、全体として見ますと、非常に大きな改善になっておるわけでございます。
  35. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 私の質問に対して直接答えないでほかのことを答えたと私は理解するわけですが、国家公務員共済組合審議会の会長今井一男さんから大蔵大臣に対して要望があった中にも——先ほども辻次長は、共済組合法恩給法からの申し子みたいな関連がある、したがって、恩給関連恩給関連ということで恩給の面で行なわれるものにならうのだということだけを非常に強調されている。しかしこの要望書を見ましても、共済年金恩給の残滓的要素をできる限り薄めるということが明確に言われているし、われわれもこの委員会で、共済組合恩給と完全に独立しなくてもいい、恩給のいいところはどんどんとることもけっこうだけれども、共済組合がそれ以外のことをやってはならないということばないのだろうと言っているわけです。むしろそうあってはならないことだと思うのです。そういう意味では、共済組合法共済組合法として、やはりこれは社会保障の一環であるということで、新法、これは公共企業体の場合には昭和三十一年の七月、それ以前の人たちは旧法、旧令の適用者である。そういうわずか一カ月前やめた、あるいは二カ月前やめたという人たちが、それだけの差で、こういうところにまで同じ扱いが受けられない。これはもう雇用人であったからとか、当時は雇用人が共済組合に入っておった。任官した人は選択で入っても入らなくてもよかったという選択の状況にあったわけだけれども、もうそれしがなかった時代に、そして現在残された妻が生きておって、なお未成年の子を扶養している、こういう人たちに、それだけの差で、任官をしていなかったから、恩給公務員でなかったからというだけでこのこれだけの差別を——しかも社会保障制度の立場からいってもそうだし、また国家公務員共済組合審議会におけるこの要望書の中においても、扶養加給というようなものをやりなさいということを言われている。ところが、新法適用者にはそれを実現したけれども、旧法適用者にそれを実現しないということは、恩給公務員でなかったから、したがって準じなかったのだ、それ以外に恩給とならったものは相当よくしましたと言うけれども、それはそれだけのことであって、ちっとも回答にはならぬわけですね。その点をやる気があるのかないのか。これは当然やるべきだと思うのですが、いかがでございますか。政務次官、ひとつ政治的な立場で、大臣の代理としてお答えください。
  36. 柳田桃太郎

    柳田政府委員 常識的にはさような見解も決して私は是認できないことはないと思いますけれども、制度の沿革というものと現在の各制度間の振り合いという問題がございますので、その件だけを取り上げまして、ここでいまお答えをするということは非常に困難でございます。各恩給、共済制度間におけるそういうような長所、短所を持っており、差異がございますから、これはいずれ検討を加えて、そういうものを十分に整理しなければ公平を期することはできないという総括的なことには賛意を表するものでございます。しかし、いまの家族に対する遺族年金だけの問題を取り上げていまどう措置するかということを回答することは、この席上ではきわめて困難でございますから、さようにお答えいたします。
  37. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 当時、国民年金の中から年齢制限にあって落ちこぼれた空白の時期があった、いま六十八歳くらいから七十歳までの間の人たち、こういう人たちに対しても、そういう空白の部分、落ち込んで日の当たらない人たちがおったということを発見したら、すぐ手を打ちました。これがやはり社会保障における社会保障制度の議論なんですね。  それで、旧法なるがゆえに、そしてまた雇用人であったがゆえにということでこれだけが取り残された存在になってしまう、しかも気の毒な事情というのは新法適用者以上に気の毒な事情にある。妻も高齢になっておって、おそらく働くこともできないというような事態になっておると思うのです。その人たちが扶養の義務を持つまだ小さいお子さんをかかえておるという事例はあるのです。これはあと目の奥さんを迎えたというような人たちなんかの場合に常識的にあるし、現に幾らでも例を示せというならありますけれども、しかし、それほど数は多くはないのですよ。ほんの少々のところです。そういう者に対して、これは辻次長にお伺いしますが、ことしすぐやれと言わぬけれども、来年あたり、これはやはり事情気の毒であり、社会保障制度の一環としての共済組合も、これは何らかの形で同じような扱いにするように早急に——これは早く手を打たないと、子供たちがどんどん成長してあれになってしまうから、泣く泣くみじめな老後を送るというような未亡人をつくってはならぬわけですから、そういう意味では少なくとも来年あたり実現する、これを五十九条、八十八条の三に見合う改善をする、こういうことを検討することをお約束できますか。
  38. 辻敬一

    ○辻政府委員 雇用人であるから不利になっておるということはないのでございます。官吏につきましても扶養加算、家族加給という制度はないわけでございます。  そこで、先ほど来申し上げておりますように、旧令、旧法の年金は雇用人の年金制度ということでございまして、官吏に対する年金制度でございます恩給制度と対応しておる。したがって、その間の均衡というのはとる必要があるわけでございます。したがいまして、官吏に対する恩給制度にございません扶養加算制度を設けるというのは、制度の面から見ますと、なかなかむずかしい面があろうかと思っております。  しかしながら、旧令、旧法の年金改善につきましては、従来から附帯決議もいただいておりますし、再三御議論のあったことも十分承知いたしておりますので、旧令、旧法の年金額改善充実につきましては、今回も、先ほど申し上げましたように相当大幅にやっておりまして、全体としての改善率は四割を上回っておりますので、今後とも恩給との均衡も考慮いたしながらさらに充実につとめてまいりたい、かように考えております。
  39. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その点、これは早急に実現するように、ぜひひとつ十分お考えをいただきたい、検討をしていただきたい。その点ひとつ次官から答えてください。
  40. 柳田桃太郎

    柳田政府委員 いま大蔵省の事務当局からお答えをいたしましたとおりに、真剣にこの問題についても検討いたします。
  41. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 時間があまりありませんから……。  ことしの二月二十八日に社会保障制度審議会から大蔵大臣、運輸大臣、郵政大臣、その三大臣に対する答申が行なわれておりますが、この答申はもうこの種の審議会では最大級なことばで問題点を指摘して遺憾の意を、まさにふんまんやる方ないというような、眼光紙背に徹するならばそういうものがありありと文面にあらわれるようなことばで、幾多の点が指摘をされている。たとえば、通算退職年金算定の方式、この問題は公務員共済あるいは公企体にも修正として受け入れるということになりましたからいいわけですけれども、それ以外のところで、「共済制度遺族年金受給資格が短縮されたのに、他の共済年金と同様な最低保障額の設定を今回も見送った点は了解しがたい。これらは皆年金時代における公的年金のあり方として極めて問題である。」そういう非常に行政当局けしからぬという言い方が、「了解しがたい」ということばで言われております。  それから「本制度に対する国庫負担が未だ実現を見ないのは遺憾である。」これも長い問題ですね。先ほど山田君も取り上げた問題であります。  それから「国家公務員共済組合と地方公務共済組合との間にば、年金に関する完全な移行措置が講ぜられているにもかかわらず、これら共済組合公共企業体職員等共済組合との間に同様な取扱いを欠いていることは理解に苦しむ。」こういう問題があります。  それから「国家公務員の退職年金算定基礎となる俸給が、従来の最終三年平均から一年平均に改められたにもかかわらず、公共企業体職員の退職手当がいぜんとして三パーセント削減されている事情は首肯しがたい。」  こういうようなきびしい答申がなされているわけですね。この問題についてこれだけの指摘をされた答申があったということに対して、大蔵省、運輸省はどのようにお考えになっておるのか、このことをただしたいと思います。
  42. 住田正二

    ○住田(正)政府委員 確かに社会保障制度審議会から今回の私どもの改正案についてきびしい答申を受けておるわけでございますが、私どもといたしましても、今回の法案を提出するにあたりましては、こういう問題を含めていろいろ検討いたしたわけでございます。特に昨年の法律の附帯決議で、国家公務員の年金制度と公企体の年金制度との間でいろいろ違っている点がございます。その点の調整をはかれということでございましたので、そういう調整をはかるという意味において、ここに掲げておりますような問題を検討いたしたわけでございますけれども、不幸にして関係者間の調整ができなかったために今回のような法律案の形になったわけでございまして、これでいいと考えておるわけでは決してございませんで、今後とも両制度間の調整をはかりながらこういう問題の解決に努力をいたしたい、かように考えております。
  43. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま運輸省からお答え申し上げたとおりでございまして、国家公務員共済制度と公企体共済制度との間に差がございますことは、私どもとしても必ずしも適当なことと考えておりませんので、できる限り調整をはかりまして、一部につきましては、今回の改正案に盛り込ましていただいたわけでございます。国家公務員共済の場合の算定基礎俸給を三年平均から一年平均にする、また公企体の共済におきまして、今回初めて定額保障制度を導入するというような措置もとったわけでございますが、なお相当な差異があるわけでございますので、今後最終俸給と一年平均俸給との問題でありますとか、あるいは最高制限の問題でありますとか、最低保障の問題でありますとか、退職手当の問題でありますとか、残っております制度間の差異につきまして極力調整をはかってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  44. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういう意味で、両共済制度の調整をはかるという場合に、いいところに合わせる。組合員にとって、社会保障制度の本旨からいって、やはり既得の権利というようなものを侵すような形じゃないものにしなければならぬ、こういうように考えます。そういう立場で、ひとつ十分調整をはかるということにしていただきたい。これは言うならば水平的な公平の観念に基づくということなんですが、今回は公企体共済には旧法年金受給者に対する最低保障が見送られることになりました。これは来年はぜひとも実現していただかなければならぬ。この最低保障額というのは、今度は縦の公平というか、垂直的な公平の立場で、旧法適用者にも最低保障額の適用をぜひ実現していただかなければならぬ。そういう面での横の問題と縦の問題、これをにらみ合わせながら、その最低保障額が旧法年金受給者にも適用されるような方向でぜひひとつ十分配慮をし、実現をはかるように検討していただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  45. 辻敬一

    ○辻政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、いろいろな差異がございますので、そういう差異につきましては、ただいま御指摘の御趣旨も体しまして、今後とも十分検討してまいりたいと考えております。
  46. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 以上で、私の時間が少し過ぎておりますので、これで今回はやめておきますが、ただいま要望したことは誠意をもって実行していただくように強く要望して、私の質問を終わらしていただきます。
  47. 安倍晋太郎

    安倍委員長 荒木宏君。
  48. 荒木宏

    荒木委員 七十一国会におきまして改正案が審議されましたときに、附帯決議がありましたが、その中で、共済組合の運営が一そう自主的、民主的になされるように、運営審議会等において組合員の意向がさらに反映されるようつとめること、こういう趣旨の決議がありました。当時の大蔵大臣は、政府を代表して、その趣旨に沿って検討したい、こういう旨の答弁をしておられるわけです。大臣は、その後かわられたわけですけれども、政府のその精神に変わりはないかどうか、初めにひとつお伺いしたいと思います。
  49. 柳田桃太郎

    柳田政府委員 その精神には変わりはございません。
  50. 荒木宏

    荒木委員 そこでお尋ねいたしますが、国家公務員、それから公企体の共済の運営審議会というのがありますけれども、この審議会の代表者は、これはどういうふうな形で選任をされ、どういう立場の方がなっておられますか。
  51. 辻敬一

    ○辻政府委員 共済組合制度の運営にあたりましては、申すまでもないことでございますが、できる限り全組合員の意思が反映されて、自主的、民主的に行なわれることが望ましいところでございます。そこで、現行制度におきましても、共済組合の業務の適正な運営に資するために、各組合にそれぞれ運営審議会が設けられておりまして、定款の変更でありますとか、事業計画、予算、決算などの重要事項については、その議を経なければならないということに相なっているわけでございます。  そして運営審議会の委員につきましては、特に法律によりまして、各省各庁の長が委員を命ずる場合には、一部の者の利益に偏することのないよう相当な注意を払わなければいけないという規定がございまして、各省各庁におきましては、この趣旨に従って、原則として労使双方から構成される委員の任命が行なわれておるのでございます。また、その運営にあたりましても、組合員の意思を尊重して、十分民主的に行なわれ、自主性が確立されている、かように考えておるところでございます。
  52. 荒木宏

    荒木委員 私がお尋ねしましたのは、そうじゃないのですよ。運営審議会の代表はどういう形で選任され、どういう立場の方がなっておられるか、これを聞いたわけです。
  53. 辻敬一

    ○辻政府委員 運営審議会の委員……
  54. 荒木宏

    荒木委員 委員じゃないです、会長ですよ、あるいは代表です。
  55. 辻敬一

    ○辻政府委員 共済組合の管理ということにつきましては、各省各庁の長が行なうということになっております。
  56. 荒木宏

    荒木委員 管理者がどなたかということを聞いたのじゃないのですよ。運営審議会という一つの議決機関がある。この議決機関の代表は、会長と呼ばれ、委員長と呼ばれ、さまざまな名称があるようですが、代表の選任の方法と、現在の代表者の立場はどういう状態ですか、これを伺っておるわけです。
  57. 辻敬一

    ○辻政府委員 共済組合法の八条に管理の規定がございまして、「各省各庁の長は、それぞれその各省各庁の所属の職員をもつて組織する組合を代表し、その業務を執行する。」という規定がございます。それで、第九条に運営審議会の規定がございまして、その運営審議会の委員の選任等につきましては、先ほどお答え申し上げたとおりになっております。
  58. 荒木宏

    荒木委員 お尋ねしておる趣旨をよくくんでいただいていないようですけれども、一つの議決機関がありますね、意思決定をする機関。いまあなたがおっしゃった運営審議委員さんがおられる。運営審議委員さんは、ばらばらではなくて、運営審議会という一つの機関を構成しておられるのです。機関を構成しておる以上、その機関自体の代表があるはずです。ですから、それの代表者の選任方法と、現在のその方の立場を伺っておるわけです。——すぐお答えがないようですから、これは質問の終わるまでにひとつ御回答を願いたいと思います。  関連した類似の代表者選任の方法について伺いたいのですが、国家公務員共済組合事務連絡協議会というのがあります。これの幹事長と副幹事長の選任方法、それから地方公務共済組合事務研究会というのがあります。これの代表者の選任方法と、さらに共済組合連盟の代表者の選任方法、これについて伺いたい。
  59. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいまお尋ねの機関は、いずれも法律上の機関ではないと思いますが、多少時間をいただいて、選任方法等を至急調べて、お答え申し上げます。
  60. 荒木宏

    荒木委員 質問の終わるまでに御回答を願いたいと思うのですが、その分の質問はそれじゃ保留しまして、次のに移らしていただきますけれども、国家公務員共済組合連合会の議決機関である評議員会、この評議員会にいわゆる主管者側代表といいますか、それ以外に組合員を代表する立場の人は入っておりますか。
  61. 辻敬一

    ○辻政府委員 国家公務員共済組合連合会につきましては、役員がございまして、そのほかに評議員会という制度が設けられておるわけでございます。そこで重要な事項、定款の変更、事業計画、予算、決算等につきましては、評議員会の議を経て決するということになっておるわけでございますが、連合会がそもそもそれぞれ独立いたしました法人でございます共済組合の連合体であるという性格がございますので、評議員会につきましては、それぞれの加入組合の代表者であるとともに同時に組合の業務を日常総括的に処理する立場にある者、それをもって当てるのが妥当であるという考え方に立ちまして、現在は各省庁の共済組合担当の課長をもって当てるということに相なっております。
  62. 荒木宏

    荒木委員 いわゆる主管者側の立場にあられる方ですけれども、これはいろいろな皆さんのほうからいただいた資料によりましても、主管者側とそれから組合員の立場を代表する側、こういうふうな解説がなされておるようでありますし、また法律的にもそういった実態を前提にして、御案内のように、一部の者の利益を代表することがないよう相当の注意を払う、選任の選考対象についてもそういった規定がわざわざあるわけです。いまお話を伺いますと、大体主管課長さんが構成員になっておられる。ちなみに、関連してお尋ねしますけれども、地方公務員の共済組合連合会の議決機関であります総会はどういうふうになっておりますか。
  63. 辻敬一

    ○辻政府委員 地方公務員共済の場合には組合会のあるところがあったかと思いますけれども、国家公務員共済の場合とは沿革その他の事情も違いますので、必ずしも同一に議論いたすことはできないのではないかというふうに考えております。
  64. 荒木宏

    荒木委員 これは理事長議員さんと互選議員さんの代表とがそれぞれ同じような形ですね、均衡を保つように入っておられる。これはそうでしょう、両立の立場で。理事長という立場の主管者側と、それから選挙なりそういう形で選ばれてきた互選議員というような形、これが両方入っておられる。ですから、制度のたてまえとしてそういうふうにいわゆる主管者側と組合員側、こういう両方が構成メンバーになることによって一部に偏しないような配慮がなされている、これはお認めになると思いますが、さらにこの国家公務員共済組合連合会のメンバーである単位共済の議決機関、この運営審議会においてはどうなっておりますか。
  65. 辻敬一

    ○辻政府委員 単位共済の運営審議会の委員につきましては、先ほど申し上げたととりでございまして、運営審議会の委員の任命については一部の者の利益に偏することのないようにという法律の規定がございます。それに基づきまして、各省各庁の長がそれぞれの事情に応じてやっておるわけでございますが、法律の趣旨に従い、原則として労使双方から構成される委員の任命が行なわれているというふうに承知をいたしております。
  66. 荒木宏

    荒木委員 つまり、地方公務員の共済の連合会にあっても、いわゆる主管者側の立場の方とそれから選挙で選出されてきた方が同じように入っておる。国家公務員共済連合会の単位共済の場合も、いまお話しのように、運用は労使大体同じようにやっておる。ではその国家公務員の連合会についても、先ほどの附帯決議に対する御答弁の趣旨から申しますと、その構成については、労使が双方折半になるような方向で検討なさるべきではないか、こう思いますが、政務次官いかがでしょうか。初めに政府の方針というものを伺いました。政府のこの問題についての精神を伺いましたので、これは事務当局の御答弁は要りません。政治的な方向の問題でありますから、政務次官にお尋ねしたいと思います。
  67. 柳田桃太郎

    柳田政府委員 いままでのいきさつがあるようでございますから、まず政府委員から答弁をさせまして、その後に私から答弁をいたします。
  68. 辻敬一

    ○辻政府委員 事実関係だけ御説明させていただきますと、連合会の運営の面に一そう組合員の意思を反映させるということが、重要な問題であることはもちろんでございます。そのために三十九年度以降、実行上いわゆる連合運審というのを開催してまいりましたが、四十五年十月以降は連合会の定款を改正いたしまして、理事長の諮問機関として運営協議会というものを設けております。これは全体の数が二十名でございますが、事務主管者側が十名、組合員を代表する者が十名、それぞれ十名中名の構成になっておりまして、この運営協議会に重要事項を諮問いたしまして、さらに組合員の意向が十分反映した運営ができるような仕組みになっておるわけでございます。  ただ、たてまえ論から申しますと、先ほどお答え申しましたように、連合会と申しますのはそれぞれ独立した法人であります共済組合の連合体でございます。したがって、そういう連合会の性格から見まして、評議員会の評議員につきましては、それぞれの加入組合の代表者であると同時に、その組合の業務を日常総括的に処理する立場にある者をもって当てるのが自然である、また適当であるという考え方に立ちまして、評議員には主管課長を当てている、こういうことになっているのでございます。
  69. 荒木宏

    荒木委員 どうもお尋ねしたことについての御答弁がはっきりしませんので、政務次官にお尋ねしたいと思いますが、私が聞きましたのは、議決機関についての構成を聞いているのです。諮問機関はいろいろありますよ。その問題をいま聞いているのじゃないのです。法律上の議決機関について、方向は民主的自主的にとなっている。皆さんも尊重なさるとおっしゃっている。検討すると約束されているのですよ。そして、同じように考えられる地方公務員の連合会の場合には、そういう構成でいっているわけです。単位共済の場合にもいっている。そしてそれ以外の事務連絡協議会だとか、あるいは事務研究会だとか、あるいは連盟だとか、みんなそういう方向で互選でいっているわけですね。だから、経過はいろいろありましょう、いきさつもありますが、方向としてそういう方向をお約束どおり検討なさる御用意があるべしと思いますが、いかがでしょうか。
  70. 柳田桃太郎

    柳田政府委員 各単位組合の評議員会の評議員として、その労使双方から出た意見を代表する者が連合体をつくっておるのでございまして、十分に各組合の意向が連合会に反映するものと考えて処理をいたしておりますが、それに対しまして御質問の趣旨が、何か各組合員の意見が十分に反映していないというような御趣旨でございますならば、それにつきましては十分に検討を加えて善処しなければならないと思いますので、具体的に御指示を願いたいと思います。
  71. 荒木宏

    荒木委員 きょうは時間が非常に限られておりますので、この問題はこれでおきますけれども、私が申しておりますのは、皆さんのおっしゃるように、代表としてきめればそれは両方の利益が表現されているのだ、こういうことだったら、いまのほかのいろんな協議会のそういった運用の実態なんて要らぬのですよ。ですから、いま言われたことは、昨年の附帯決議に対する答弁を誠実に履行されていないというふうに認めざるを得ませんから、この点は厳重に反省をしていただきたい、こう申し上げておきます。  今度の改正の中で、附則に運営審議会の委員になる資格として「組合員であつた者(運営審議会の委員であつた者に限る。)」というふうに限定をされておりますが、審議会委員の過去の経歴がなくても、組合員であった方について委員資格を認めるならば、その点は限定要件ではなくて例示要件だと考えてもいいと思うのですけれども、これはいかがですか。
  72. 辻敬一

    ○辻政府委員 今回、運営審議会等の委員であった者の中から運営審議会等の委員を選任することができるということにいたしましたのは、いわゆる非在籍専従等の問題がございまして、いままで審議会の委員として多年経験を積まれた方が急におやめになるというようなことでは、審議会の運営ひいては共済組合全体の運営が円滑にいかないという点を考慮したわけでございまして、そういう経験のある方につきまして二年間を限って、国家公務員でなくても、共済組合員でなくても、審議会の委員等になり得る道を開いたわけでございます。法律の趣旨が、そういうことで改正案をお願いしているわけでございます。
  73. 荒木宏

    荒木委員 政務次官に伺いますが、自主的民主的に運営されるような方向で検討すると約束されているわけですね。ですから、立法の経過はいろいろありましょう。しかし、少なくとも組合員であった者について審議会委員を認めるなら、過去に委員に在籍したということは絶対要件ではないわけでしょう。つまり、組合員の利益を代表する、そういう立場の人を審議会に入れましょう、こういうのですから、だれだって最初に審議会委員になるときには前歴がないわけですから、だから事の出てきたいきさつ、経過としては、いまおっしゃるような事情はあるかもしれません。しかし、問題は、今後の方向としては組合員であった者について広く認められるような方向で検討なさるべきではないかと思いますが、政治的な方針はいかがですか。
  74. 柳田桃太郎

    柳田政府委員 御趣旨は私もよくわかりますが、今回はいままで審議会の委員として十分豊富な経験を持たれておる方だけに限ってその延長を認めたのでございまして、そのほかの中にも専門家がおられる、その人をとったらどうかという御趣旨のように拝聴いたしておりますが、その点については十分将来検討に値するものがあると思いますけれども、今回の改正では取り上げておりませんので、そのままを御説明し、今後におきまして十分検討したいと思います。
  75. 荒木宏

    荒木委員 今後の検討を約束されますね。それはよろしゅうございますね。
  76. 柳田桃太郎

    柳田政府委員 いままで審議委員であった方よりもさらにより専門家がおられるというような場合に、その方をどうしてとらないかというような問題が将来起こることがあり得るならばということを前提として申し上げておるのでありまして、少なくともいままで審議委員であられて審議に参画した以上の方がおるようには考えておりませんので現在の制度が生まれておりますが、十分検討いたします。
  77. 荒木宏

    荒木委員 積極的に検討されるということを期待し、確認をして、次に移らしていただきます。  今度は国家公務員についての公務災害、これの廃疾に関する給付でありますけれども、御案内のように、公務員災害補償法、それから共済法、この両建てによる支給がありますけれども、たとえば一級の場合は、これはどういう給付になりますか。簡潔にひとつお答えいただきたいと思います。
  78. 辻敬一

    ○辻政府委員 国家公務員共済年金制度恩給を引き継いでおりますので、公務災害についても一部取り入れておるわけでございます。一級障害の場合には支給率は百分の八十ということになっております。
  79. 荒木宏

    荒木委員 補償法によれば、年金は二百八十日ですね。私は両方のを伺ったのですけれども、八〇%ということをおっしゃったのですが、併給の場合には五〇%になりますから百八十三日、合わせて四百六十三日ということになります。よろしいですね。  これは現行の公企体の場合には、一級の場合にはどういうふうになりましょうか。
  80. 後藤正

    ○後藤説明員 専売公社の場合でございますが、一級の場合は平均賃金の千三百四十日ということに相なっております。
  81. 荒木宏

    荒木委員 これは六年間たって、それから労働協約によって年金支給になるわけですね。ですから、一級の場合といいますと、これはもう実際問題として働けませんね。そうすると、いまおっしゃった千三百四十日、かりにこれを六年で割りますと、一年は二百二十三日になります。そうすると、国家公務員の場合には四百六十三日、公企体の場合には二百二十三日、四八%にしかなりません。その後六年たって、これは一級の場合には十二カ月分になりますから三百六十五日ですけれども、それでも七九%にしかならない。この開きは、これは政務次官いかがでしょうか。この開きを昨年の附帯決議の趣旨にも沿って調整をはかりながら詰めていく、そういう政治的な方向で検討なさるべきだと思いますが、いかがですか。
  82. 住田正二

    ○住田(正)政府委員 国家公務員の場合には法律できまっているわけでございますけれども、三公社の場合には労働協約できまっておりますので、私どもといたしましては、労働協約の内容をどうこうするという立場にはないわけでございます。
  83. 荒木宏

    荒木委員 これはどうも組合員の利益を守る立場の御答弁とはとても思えませんね。法律では全然ないわけでしょう。そうして協約にゆだねている。そうすると、当局は協約の一方当事者じゃないのですか。だとしたら、そういう現行の協約状態で、国家公務員に比べればいまのように低い、四八%、七九%、これは何とか前向きに改善しようという気持ちはないのですか。関係ないとおっしゃるのですかね。あるいは現状でしかるべしとおっしゃるのですか。これは政務次官いかがですか。
  84. 増岡博之

    増岡政府委員 ただいま部長から説明しましたような、個々の独立した企業でございますので、いろいろな差異が出てきておると思います。しかし、社会通念上不公平であるというような状態がございましたならば、やはりこれはいろいろ指導しまして公平を期すべきだと思います。
  85. 荒木宏

    荒木委員 そこでもう一言。現にそういう状態があるわけです。ですから、改善の方向でひとつ検討していただくことを約束していただきたいと思います。
  86. 増岡博之

    増岡政府委員 そのような方向で努力してまいりたいと思います。
  87. 荒木宏

    荒木委員 ちなみに申し上げておきますが、二級の場合には国家公務員が四百三十五日、ところが公企体の場合は、これが六年間は百九十八日ですから四五%、六年過ぎますと三百四日になりますが、これでも六九%。あと三級、四級とありますけれども、この計算でならしてみますと、全部国家公務員より低いのです。六年間は半分近い。六年過ぎて少し上がったとしてもこれは八割にならない。いま政務次官がおっしゃったように、この点を早急に改善されるようにひとつ検討をお願いしたいということを申し上げておきまして、こういった災害給付改善は、給付内容の改善とともに、原因の除去ということが、これまた一つ重要だと思います。  そこで、私は、専売公社についてお尋ねしたいと思うのですけれども、有症率の調査をなされたようでありますが、昭和四十七年度と四十八年度、有症率はふえておりますか減っておりますか。
  88. 後藤正

    ○後藤説明員 業務上災害の件数でございますか。
  89. 荒木宏

    荒木委員 有症率です。
  90. 後藤正

    ○後藤説明員 有症率全体はちょっとここでは……。
  91. 荒木宏

    荒木委員 それでは、専売公社のほうから伺った数字を申し上げますから、感触として方向が合っているかどうかをお答えいただきたいのですが、四十七年度は函館、盛岡、金沢の三工場でなされた調査で二三・七%、四十八年度は二八・八%、これは皆さんのほうから伺った数字ですが、間違いありませんね。
  92. 後藤正

    ○後藤説明員 間違いございません。
  93. 荒木宏

    荒木委員 ところで、これはいずれも二交代制がなされた工場の数字ですが、たとえば四十七年度について見ますと、二交代をやっていない一般の工場をならしての全国平均と比べて、二交代制のところは有症率が高いか低いか、いかがですか。
  94. 後藤正

    ○後藤説明員 ちょっと全国的な正確な数字を持ってきておりませんが、全国的な傾向と比較いたしましてあまり有意の差はございませんように私は記憶しております。
  95. 荒木宏

    荒木委員 皆さんのほうから伺った数字によりますと、四十七年度有症率の全公社平均は一七・九%であります。ところが、二交代制をやっている工場は二三・七%であります。つまり約三割から四割方、有症率が高いのです。このことはお認めになりますね。
  96. 後藤正

    ○後藤説明員 先生の御指摘のとおりであります。
  97. 荒木宏

    荒木委員 三、四割方違うのを有意であると見るか、ないと見るか、これは判断の問題ですから、それはさておきましょう。常識的に考えまして、こんなに開いておるということになると、これは一体どういうことが原因だろうか。私はそういう方向で、その違いの実態を明らかにする必要がある、こういうふうに思いますが、このまま放置しておいていいというふうに思われますか。あるいはこれは三割も四割も違う、一体なぜだろうか。公社の立場として、原因を究明なさる必要があると思われますか、いかがですか。
  98. 後藤正

    ○後藤説明員 当然、原因については真剣に取り組むべきものと考えております。組合ともこういう健康管理問題につきましては、公社の手持ち資料を全部公開いたしまして、いろいろな話し合いはやっておりますし、ことに二交代工場につきましては、従来、一般工場は定期健康診断は年一回でございますが、年二回ということでやっておりますし、循環器系統については全職員、それから健康相談日等につきましても、一般工場は随時でございますが、二交代工場は必ず一週に一回設けて、そういう相談に応ずるというような体制をとっております。先生の御指摘のとおり進めてまいりたいと思います。
  99. 荒木宏

    荒木委員 私が指摘しましたのは、原因究明ということを言ったのですよ。いまどういう方法を対策としてとっておられるかということを聞いたんではないのです。ですから、いまあなたの御答弁が、私が指摘したとおりということなら、原因を究明していきますと、こう伺ってよろしいですね。
  100. 後藤正

    ○後藤説明員 けっこうでございます。
  101. 荒木宏

    荒木委員 ところで、いま組合のお話が出ましたけれども、労働組合の調整によりますと、いわゆる有症状態とそれから有症の前段階状態、たとえば、おなかのぐあいが悪いとか、それから耳鳴りがするとか、いらいらするとか、一般の医学的な検査の結果としてあらおれない発病前段階の自覚症状というのがありますね。これがずいぶんと高くなっています。  これは皆さんのほうも、数字はいろいろ組合資料で御存じと思いますけれども、四十八年の十二月一日、胃のぐあいが悪いというなにが、前年四四%に比べて五二・二%に上がっている。ほかにもいろいろな症状がありますよね。全部ずっと上がってきている。そうして、その原因については、二交代勤務の工場の回答内容の訴えのほうが高い。皆さんの調査でも、二交代制勤務をやられているところは有症率が高い。組合の調査でも、二交代制勤務がやられているところは自覚症状が高い。これはどうでしょうか、この問題について、方法は労働組合とよく話し合って、これが変則勤務によって起こっているのかどうか、ひとつ誠実にかつ正確に、早急に、この点の解明を実行なさるべきだと思いますが、約束していただけますか。
  102. 後藤正

    ○後藤説明員 確かに先生御指摘のように、二交代になりまして、いままでと生活のパターンが変わっております。それが、一年間のいままでの受診件数とかあるいは体重増減等については、一年間の追跡ではまだはっきりした答えは出ておりませんが、そういう発病前のいろいろな不快を訴えておるとかいうようなことも問題になっておりますので、その点の勤務とのからみ等につきましても、調査をしてみたいと存じます。
  103. 荒木宏

    荒木委員 その調査結果は、早急にこの委員会に御報告をいただけますね。
  104. 後藤正

    ○後藤説明員 まとまりましたら、御報告申し上げます。
  105. 荒木宏

    荒木委員 発病前症状とも関係をいたしますけれども、変則勤務がこういった症状の発現なり症状の訴えなりに随伴している。ところが、工場の統廃合がこの変則勤務をまた惹起しているということで、最後に一言この問題について伺っておきたいと思うのですが、昨年の国会でも、いろいろ委員会でも審議がありましたけれども、益金率が下がったというお話なんですけれども、納付金の伸び率はいかがですか。
  106. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 伸び率というのをどういうふうに見ますか、御承知のとおり、たばこの売り上げの中から地方に参ります……(荒木委員「いや、納付金の金額の伸び率を言ってください、傾向を」と呼ぶ)これは本年度予算と昨年度予算と比べまして、ほとんど同じでございます。
  107. 荒木宏

    荒木委員 専売公社のほうで発行された資料によりますと、昭和四十三年度、これは価格改定がありましたから、これはおきまして、その前の四年間は平均伸び率が二・一%です。その後の四年間は平均伸び率が七・八%です。約三倍半になっている。過去十年余りとってみますとね。これは皆さんの資料から計算した数字ですけれども、そのことはお認めになりますね。
  108. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 いま数字を持っておりませんが……(荒木委員「いや、傾向ですよ、二・一と七・八というのはうんと違いますからね」と呼ぶ)実績がそうなっておるとすれば、それは認めるとか認めぬとかいうことじゃございませんで、そのとおりでございます。
  109. 荒木宏

    荒木委員 売り上げ高純利益率はいかがですか。
  110. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 いま正確な資料がございませんが、たばこの定価に対します益金率と申しますものは……(荒木委員「いや、売り上げ高とそれから純利益です、皆さんの資料によって計上しておられる」と呼ぶ)ここに実は資料を持っておりませんが、最近だんだん高くなっております。
  111. 荒木宏

    荒木委員 皆さんのほうがお出しになった便覧の数字によりますと、四十六年度は三四・四%です。これは納付金プラス内部留保があります。四十七年度は三六・〇%、上がっているんです。これは全産業あるいは製造業の売り上げ高、純利益率と対比していかがですか。
  112. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 純利益というものをどういうふうに見ますかという見方の問題が一つあります。(荒木委員「それはいいです、皆さんの資料で表示しておられるその内容、それを聞いているんですから」と呼ぶ)これは高さといたしまして、たいへん高い数字が出ておりますが、このうちの中身は納付金がほとんどということでございます。ほかの産業とストレートに比較するということは、たいへんむずかしいと思います。
  113. 荒木宏

    荒木委員 それはそうかもしれませんね。つまり、そのことば納付金をうんと取っているということでしょう。そして、その率が上がっているわけですね。酒税の伸びと比べていかがですか。
  114. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 実は手元に資料がございませんので、はっきりしたことは申し上げられません。
  115. 荒木宏

    荒木委員 皆さんの資料によりますと、四十四年を一〇〇として、四十七年は酒税は一四〇%です。この納付金とそれからたばこ消費税、これを加えたものは一四六%です。つまり酒税の伸びよりも、皆さん方の納付金それから消費税の伸びのほうが高い、これはお認めになりますか。
  116. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 そういう数字になっておるとすれば、そのとおりだと思います。
  117. 荒木宏

    荒木委員 国民所得の伸びと対比して、納付金と国民所得の割合、それから租税全体の国民所得割合とこの対比ですね、これの傾向は幾らですか。
  118. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 納付金が幾らになりますかということは、一つはたばこの売り上げとの関連があるわけです。そういった国民所得あるいは国全体の個人消費というものと、たばこの売り上げの関係はどうであるかというふうなことをいろいろ調査はしておりますけれども、必ずしもはっきりとした関連というものが——この傾向としては、そういうものが上がってまいりますと、たばこの売り上げがふえる。したがって、納付金もふえるということの関連はございますけれども、どうも計数的にはっきりとしたものをつかんではおりません。
  119. 荒木宏

    荒木委員 皆さん方の資料によりますと、国民所得に対する専売納付金割合は、四十六年度は〇・四であります。四十七年度も〇・四です。ところが、租税全体の国民所得割合は、四十六年度は一二・一です。四十七年度は一一・九に下がっているのです。つまり、租税全体の収入の国民所得全体に対する比率が下がっているにかかわらず、専売納付金の比率は同じなんですよ。ですから、いままで私が申し上げたように、一つは納付金の伸び率が、ここ十年をとってみれば、あとの四年間、五年間はうんと上がってきている。売り上げ高純利益率は、一般産業、全産業平均に比べると約十倍に近い。酒税の伸びに対しても、専売納付金とたばこ消費税の伸びは高い。国民所得全体に対する対比も、租税全体に比べれば平行線を維持している、ほかは下がっているのにね。こういうふうな数字の中から見ますと、その上、先ほど言ったように、公社自身の有症率も高いし、組合の自覚症状調査によっても高いこの変則勤務を伴う統廃合、これはひいては共済の給付内容や財源にも関係してきますよ。そういったことは、先ほど御答弁があったように、この際、いま言った諸項目、諸要素を含めて、やはり誠実に検討なさるべきではないかと思いますが、いかがですか。
  120. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 職員の健康の問題これはもちろん経営者としてもそうでございますし、それから労働組合のほうもたいへん関心のあるところでございます。いろいろなことを実践いたしましていままでも対策をとってまいりましたし、今後とも労働組合とも協議しながら、できるだけ問題に対処してまいりたいというふうに考えております。
  121. 荒木宏

    荒木委員 最後に一問伺いますが、あなたは何を聞いておられたのですか。私が指摘したのは、皆さんはどうも調子がよくないといろいろ益金率その他をおっしゃるから、それで私は、皆さんの出された資料で経営内容を分析したわけですよ。そうすると、いまあなたにいろいろお尋ねして、そして数字を申し上げて、結論はお認めになったように決して悪くない。はっきり証明しているでしょう。だとすれば、いまのような方向については、この際直ちにあるいはやめろとかどうだとかは言いませんが、少なくとも誠実に検討なさるべきではないか。事は職員の皆さんの健康にかかわっているし、数字も出ている。しかも、いま出ている関西の三工場、たとえば京都、高槻、茨木、これは自治体のほうにも聞きました。現実に立ちのき要求は出ていない。皆さんは需要が伸びるとおっしゃるけれども、百億本から百二十億本に年間伸びるとおっしゃるが、しかし、かりに四千回転のを入れますと、いまの二千回転のに比べて一時間に約十二万回回転がふえる。これは年間で一日八時間として三億五千万回。去年の委員会の答弁だったら、年間百台できるというのですよ。だとしたら、三百億でしょう。方々寄せ集めなくたって、いまのところで機械をいろいろくふうすることによって需要増をまかなうことができる。ですから、この機会にこういった統廃合問題そして変則勤務の問題——先ほど変則勤務の問題は、この際実態を解明する、国会に報告する、こうおっしゃった。この統廃合の問題についても、いまのような資料から誠実にひとつ再検討なさるべきであると思いますが、そのことをお約束いただけますか。簡潔に結論を言ってください。
  122. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 今後のたばこの需給の関係、それから公社といたしましても能率的に運営してまいります。そういう立場からいたしまして、いまの御指摘のございましたような二交代の問題というものは、どうしてもやらざるを得ない。しかし、片や職員の安全なり健康の問題というものは、誠実に解決していきたい、こういうふうに思います。
  123. 荒木宏

    荒木委員 統廃合を聞いたのですよ。
  124. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 統廃合は、既定の方針に従ってやらざるを得ないと思います。
  125. 荒木宏

    荒木委員 お尋ねしたことと指摘した事実についてもう何の考慮もなしに、全然見当はずれの答弁で、これじゃ率直に申し上げて、ここの審議に十分誠実に応対なさっておるとは思いませんけれども、これは、問題は今後にまだありますから引き続きお尋ねすることにして、最初にお聞きした中で御答弁のなかった分は、これはもう時間が来ましたからあとで私のほうに御連絡ください。  以上で質問を終わります。
  126. 安倍晋太郎

    安倍委員長 広沢直樹君。
  127. 広沢直樹

    ○広沢委員 時間の制約がありますので、私はきょうは年金支給率の改善問題と、それから必要財源の負担割合の改善の問題について、若干その方向をお伺いしておきたいと思います。  すでにこの改正問題については、いままでずいぶん論議が重ねられてきています。特に、国家公務員あるいは公企体職員及びその遺家族のいわゆる生活を保障する年金というものの充実については、これは年々改正がされておりますし、充実が叫ばれておりますね。  ところで、まず最初にお伺いしておきたいことは、老齢年金、いわゆる退職年金ですが、最低基準率は、正常な生活手段を保障し、年金受給者とその家族が通常の生活を維持できるものでなければならない、こういうわけであります。したがって、先ほどの四党提案の中にもありますけれども、その年金の支給率を、二十年では本俸の年間平均の百分の四十ということになっておりますこれを、六十に引き上げるという要求がなされております。その率がどれくらいということはここではっきりいえないかもしれませんけれども、要するに、百分の四十という線で今日までやってきたのですが、諸般の情勢からこれを引き上げるべきであるという要求がなされている。その方向についてどういうふうにお考えになっているか、基本的に伺っておきたいと思います。
  128. 辻敬一

    ○辻政府委員 共済組合退職年金につきましては、ただいま御審議をいただいております改正案によりまして、基礎俸給のとり方を三年平均から一年平均に改めますとか、あるいはまた低額年金を是正するために、通算退職年金算定方式に準ずる算定方式を導入するというようなことを考えておりまして、相当大幅な改善を行なうことを予定しておるわけでございます。今後とも共済年金給付水準につきましては、他の公的年金給付水準との権衡あるいは財源への影響等も勘案しながら検討してまいりたいと考えております。  しかし、ただいま御指摘のございました基本的な支給率自体を変えるということにつきましては、これは共済年金制度の根本に触れる問題でございますので、さらに慎重な検討が必要であると考えております。他の公的年金制度との均衡もございますし、また、これを引き上げるといたしますれば多額の財源を要して、組合員の負担の増高を招くということもございますので、今後基本的な支給率をどうするかという問題につきましては、さらに慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  129. 広沢直樹

    ○広沢委員 それは組合員の負担の問題にも、あるいはほかにもいろいろ響いてくる問題はあろうと思いますけれども、それ以前にまだ改善すべき点が相当あるのじゃないかと思うのですよ。御承知のように、社会保障の最低基準に関する条約の百二号ですが、これを批准しておりません。政府の方向としては早く批准したいということで近々批准される方向になると思うのですけれども、それによりましても、やはり年金受給年齢の妻を有する男子の場合でも、老齢年金の場合は百分の四十ということになっておりますですね。確かにいま次長がお答えになりましたように、今度改善されて最終一年平均給与額の百分の四十、これが年金額になるのですが、これは年金算定基礎給にも私は問題があるんじゃないかと思うのです。それは本俸のみになっておりますけれども、条約の中で述べられている問題は、やはり従前所得といいますか、所得すべてが含まれた感覚になっているわけですね。ところが、現在の場合においては、本俸だけという感じでやってきておりますから、その点においても年金支給額は非常に大きく違ってくるのではないか。特に、いままでもボーナス、一時金、これを含めるかどうかという問題についても論議をされてきておりましたが、最近このように物価が上がってくるということで、繰り上げ支給もしなければならないと人事院でも勧告しておるような状況ですから、これはすでに生活給として考えるべきですね。本俸だけで計算すればいいという問題じゃなくて、やはり年金生活者、いわゆる退職後のこういう方々の給付改善をしようということになるのであれば、現実に即してそういう面にも手を触れていかなければならないと思うのですが、その点はどういうふうに今後の方向としてお考えになっていらっしゃるのか、伺っておきたい。
  130. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいまILO条約の基準のお示しがあったわけでございますが、御承知のように、ILO条約の場合の四十というふうにいっております基準は三十年でございます。三十年拠出の場合の例でございます。国家公務員共済組合の年金の場合には、三十年拠出をいたしますと支給率が五五%ということになるわけでございます。なおまた、ILO条約におきます標準受給者の支給開始年齢は六十五歳でございますが、共済組合の場合には五十五歳ということになっておりますので、そういう点から見まして、ILO百二号条約と比べましても、決して遜色のない水準ではなかろうかというふうに思っております。
  131. 広沢直樹

    ○広沢委員 いまの基礎給の計算の考え方についてはどうですか。
  132. 辻敬一

    ○辻政府委員 基礎給与の問題でございますが、ILO条約によります従前所得と申しますのは、条約の解釈上は、国内法令の定めるところにより計算するということになっておりますので、それぞれ国内法令におきましてきめるということになるわけでございます。したがって、わが国の共済年金の場合に当てはめますと、これが三年平均俸給、今度改正さしていただくとすれば、一年平均俸給ということになりますので、ILO条約・の解釈といたしましてはそういうことになるわけでございます。
  133. 広沢直樹

    ○広沢委員 ですから、国内法できめられたということになっておりますけれども、現実の先ほど申し上げたような問題で、やはり生活給として考えるべきではないのかということであります。諸外国それぞれ給与体系が違いますから、その国々によってきめていくということは、そういう規定で考えられているのであって、本俸だけでいいという考え方じゃないと思うのですね。その点はひとつ今後前向きにやはり検討していくべき必要があるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  134. 辻敬一

    ○辻政府委員 今回改善をさせていただくといたしますと、国家公務員共済年金の場合に、四十九年度の退職者の平均年金額で見ますと、約八万五百円程度になると見込んでおります。  そこで、ただいま基礎給与の御指摘があったわけでございますが、厚生年金の場合、去年大改正をさしていただきましたときの基本的な考え方は、全体の厚生年金の被保険者がおりますが、その全体の平均標準報酬に対してどのぐらいかということを一応のめどにいたしたわけでございまして、それに対しまして六〇%の水準を確保するということで、あれだけの大改正をやらしていただいたわけでございますが、そういう考え方に立ちまして、組合員平均の給与と比較してみるとどうなるかということを出してみますと、標準報酬基準で見ますと、六五%程度になります。かりに特別手当、いわゆる賞与を含めて総給与の基準でこの年金額を割ってみますと、四九%程度になりますので、相当な水準の年金ではなかろうかと思っております。
  135. 広沢直樹

    ○広沢委員 それでは、次に、費用負担の問題についてお伺いしておきますが、国家公務員の旧共済組合法が制定されたのが昭和二十三年ですか、それから三十九年に至るまで、費用の負担割合は、四十五が公務員、五十五が国、こういう割合で進んできたわけですね。このことはいわゆる国庫負担が一〇%ということであったわけですが、当時厚生年金における国庫負担が一五%であったということから、非常に議論がなされておったわけであります。公務員の側からは、厚生年金の水準まで国庫負担を引き上げてほしいという要望も、これは論議がされております。三十九年度に至ってようやくこれが実現したわけですけれども、その翌年において、厚生年金のほうはまた国庫負担を二〇%に引き上げておりますね。  そこで、大蔵省はこの国庫負担の水準のあり方について、どういう御見解を持っておられるのか、まず伺っておきたいのであります。
  136. 辻敬一

    ○辻政府委員 共済年金の国庫負担の率の推移につきましては、ただいま御指摘のあったとおりでございます。国庫負担の考え方ということにつきましては、いろいろと御議論、御意見のあるところでございますけれども、私どもといたしましては、一応給付水準との関連において考えているわけでございます。  共済年金と厚生年金との給付水準を比較いたしてみますと、先ほどお答え申し上げましたように、共済年金年金額は、今回の改善後で八万五百円程度になると考えておりますが、厚生年金の場合には、今回物価スライドをいたしました後でも、六万円をやや切る程度の年金額でございますので、年金額自体にも差がございます。それから支給開始年齢につきましては、共済年金は五十五歳でございますし、厚生年金は六十歳でございますので、それだけ長い期間共済年金のほうが年金の支給を受けることができるわけでございます。そういう給付の額と給付期間とを合わせました給付水準ということを比較いたしてみますと、共済年金給付水準を一〇〇といたしまして、厚生年金給付水準は大体六割程度ではなかろうかというふうに考えております。  そこで、こういう給付水準の差を考慮いたしますと、同じ国庫負担率ではかえって均衡を失するのではないか、そういう考え方に立ちまして、ただいま厚生年金の国庫負担率は二〇%でございますが、共済年金の場合には一五%というふうに差を設けておるわけでございます。
  137. 広沢直樹

    ○広沢委員 そういうことになりますと、三十九年に厚生年金の負担割合と同じようになったという理由ですね。給付水準のお話はいつもなさるわけですが、これは給付水準の上においては絶えず差があるはずなんですね。ですから、三十九年において厚生年金の負担割合と国家公務員共済の負担割合との関係が一緒になってきたという理由はどういうところにあるのか。  それから、給付水準のことをいつも問題にされるわけですけれども、国家公務員が年金において厚生年金以上に優遇されているというのは、恩給の関係もありますし、あるいはまた、公務員共済法の第一条の特殊な条件ということを加味したこともあるわけですね。ですから、多少年金の水準が高いということだけで国庫負担率が低くてもよいという理由にはならないと思うのですよ。厚生年金もいま五万円年金ということで、実質的にはそこまでいっておりませんけれども、そういうことになってきております。今回の改正におきましても、一応算定方式というものを、いままでの算定方式から通算年金算定方式に変えております。両方どっちでも選択できるようになっております。ということは、やはり低額の人ほど相当厚生年金と比べてマイナス面が多い、低くなっていくということを加味して、こういうことを入れてきたわけですし、あるいは遺族年金の問題にしましても、大半が最低額のところに引っかかっているわけでしょう。それじゃ、遺族年金の場合、どういう条件になっているかということを見比べてみても、厚生年金を基準になさるとすれば、確かに国家公務員の遺族年金のほうは条件が非常にきびしくなっておりますね。そういったところもやはり改正していかなければならないんじゃないか。単なる給付水準だけをもっていわゆる国庫負担は低くてもいいんだという考え方には一つ疑問があるわけですが、そういう点いかがでしょう。
  138. 辻敬一

    ○辻政府委員 共済年金の国庫負担率が一〇%が一五%になりましたのは、三十九年の十月でございますが、厚生年金の場合には四十年の五月から一五%が二〇%になったわけでございます。当時の考え方としてはいろいろあったと存じますけれども、一つの問題は、掛け金率なり保険料率であったと思います。当時の厚生年金の保険料率は被用者負担が一・七五%でございますが、共済の場合にはその当時から引き続きまして千分の四十四という料率になっているわけでございます。  したがいまして、当時でございますと、給付も高いが掛け金も高いというような考え方もあったわけでございますけれども、現在でございますと、厚生年金の場合には男子の保険料率は千分の三十八ということになっております。国家公務員共済の場合にはずっと引き続きまして千分の四十四でございます。しかもその基礎になりますのが、厚生年金の場合には標準報酬でございますし、共済年金の場合には俸給でございまして、差がございますので、換算をいたしますと、現在ではむしろ共済年金のほうがやや低目になってくるという計算も成り立つわけでございます。現在の考え方といたしましては、先ほど御説明申し上げましたように、給付水準あるいはまたそういう掛け金の負担からしまして、国庫負担の率を同じにするのはかえって均衡を失するというふうに考えておるわけでございます。
  139. 広沢直樹

    ○広沢委員 民間における年金制度は、厚生年金、企業年金あるいは調整年金ですか、三本立てになっていますね。公務員の年金水準が高いとか低いとか、あるいは使用者負担、国庫負担が高いとか低いとかいう問題はあるのですけれども、こういった制度全体を一応見てみて判断をしていかなければならない問題もありますし、あるいは財政方式も一つの大きな問題であろうかと思うのですね。そういう実態を当局としては調査されたことがあるかどうか、いかがでしょう。それによって負担割合というものも判断していかなければならないのじゃないでしょうか。
  140. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいまちょっと御質問の要点を聞き漏らしたかと思いますが、財政方式でございますか。
  141. 広沢直樹

    ○広沢委員 たとえば、企業年金でも負担割合をその企業によってきめていきますね。厚生年金も、御承知のように、負担割合はきまっていますね。そういうふうにいろいろ制度があるわけですから、そういう制度全体の負担の状況というものを見比べて、できるだけ給付は大きくし、負担は少なくしていこうという考え方になってくるわけですから、そういう意味からいきますと、それを見比べた上で、あるいは財政方式を見比べた上で、国庫負担の割合というものもきめていかなければならないでしょうというのです。ですから、総合的な制度というものを勘案していけば、いま言うように、負担割合というものもいまのような状況で適当なものだということではないんじゃありませんかと申し上げているわけです。  それからもう一つ、時間もありませんので申し上げておきたいのですが、将来、制度というものをだんだん一本化していこう——社会保障制度ですから、基本的にその成り立ちから違ってしまっているんだというのは、私は語弊があると思うのですね。これはいままでの経緯から考えていくと、どうしても違った形、幾種類かの形が出てきているわけですけれども、少なくともこれを一本化していこうということになるわけですが、国庫負担のあり方についても基本的には一本化された方向で考えていくべきじゃないか。制度上の違いというものは、その制度を直すことによって是正されていくんじゃないだろうかと思うのですね。制度が違うから国庫負担の割合も違ってくるというような考え方では、国の負担の基本的なあり方として私は問題があるのじゃないかと思うのです。  そういう意味でいま申し上げておるわけでありますが、厚生年金の負担に対する国庫負担の割合、これが三十九年では一緒になった。ところが、給付水準が違う。この給付水準が違うということから、いまの国庫負担の十五対二十というのがいいのか悪いのか、これは非常に議論を呼ぶところなんですけれども、私は基本的にはいま申し上げたような観点に立って是正していかなければならないんじゃないかと思うのですね。ですから、いまのところ、国庫負担の割合がこの程度でよろしいという判断をされているかどうか、ここに一つ問題があろうかと思うのですよ。その点についてひとつ御見解を承っておきたいと思います。
  142. 辻敬一

    ○辻政府委員 確かに国庫負担率の問題につきましてはいろいろと問題もございますし、御議論もあることは十分承知をいたしております。たとえば、率でなくて一人当たりの国庫負担額で比較をいたしてみますと、国家公務員共済組合には、年間にいたしまして一人頭十二万八千四百円の国庫負担額になっておりますが、厚生年金の場合には、いろいろな計算方法もございますが、二十七年というところでとってみますと十二万三千四百円ということになりまして、額で見ますと共済年金のほうが、率は低くても一人頭の額としては多いということも出てまいります。そういういろいろな要素を総合的に勘案して判断をしなければならないというふうに考えているわけでございます。  なお、わが国の年金制度が、民間の厚生年金公務員の共済年金、あるいはまた国民年金など、いろいろに分かれておることば御指摘のとおりでございまして、これをどうするか、統合までいくべきか、あるいは調整をすべきか、非常にむずかしい問題であるわけでございますが、制度の目的、沿革も違っておりますし、また給付水準の差もございますので、早急に統合するということはなかなかむずかしいのではなかろうかというふうに考えております。
  143. 広沢直樹

    ○広沢委員 次に、今度の改善措置によって既裁定者も適用されることになるわけですね。その費用は一体どれぐらいになるのか、またこの費用は、当然、当初予定していない追加費用ということになると思うのですが、どのような負担になっていくのか、その点についてちょっとお伺いしておきたい。
  144. 辻敬一

    ○辻政府委員 今回の年金額改定及び制度改善によって増加いたします費用の負担につきましては、これは従来からの原則でございますが、新法の年金制度施行前の期間にかかる分は国が負担することになります。それから新法の年金制度施行後の期間にかかる分につきましては、現在の費用負担割合、国が一五%、事業主としての国が四二・五%、組合員が四二・五%、この三者の負担割合によって負担をするということになっておるわけでございます。  それから、改善に伴う増加所要額といたしましては、全部合わせまして、四十九年度では百六十二億五千五百万円、平年度にいたしますと四百五億三千四百万円ということになります。
  145. 広沢直樹

    ○広沢委員 この改善措置は現職の公務員である組合員掛け金率に影響してくるだろうと思うのですが、こういうことになりますと、これだけの追加費用ということになるわけでありますから、掛け金率にはどういう影響が出てくるわけですか。
  146. 辻敬一

    ○辻政府委員 長期給付の財源率につきましては、再計算を行ないまして、その上で決定をするわけでございます。いま再計算の準備に取りかかっているわけでございます。本年の十月を期して再計算をするということになっております。したがいまして、再計算をやってみませんと、全体としてどのぐらい影響がございますか、正確には出ないわけでございますが、今後とも財政方式の問題とも関連して検討し、再計算の事務を進めてまいりたいというふうに考えております。
  147. 広沢直樹

    ○広沢委員 それは再計算してみなければわからないということですが、既裁定者に対してもさかのぼって負担をしなければならないわけですから、さっきおっしゃっておられたように相当な財源が要るわけでありまして、掛け金率に影響しないということはないと思うのですが、すでに四十九年度予算でも処置されていると思いますので、どの程度の影響があるか伺っているわけです。その点いかがでしょう。
  148. 辻敬一

    ○辻政府委員 今回お願い申し上げております年金改定に伴いまして、財源率にどのくらい影響するかということを試算してみますと、千分の六・六影響があるわけでございます。  しかし、組合員掛け金率がどのくらい上がるかということになりますと、これは基礎から再計算をいたしてみないと確定をしないわけでございます。その再計算の作業につきましては、ただいま進めておるわけでございまして、これにつきましては、財政方式をどうするかという問題も含めて、さらに検討してまいりたいと思います。
  149. 広沢直樹

    ○広沢委員 一般的にいえば、脱退率だとか、平均余命だとか、あるいは利回りの利率だとか、こういった基礎的なものに変更がなければ、平準料率というものは上がるわけでしょう。ですから、昨年厚生省が生命表というものを発表しておりますけれども、それによっても、五年前の共済の再計算期のときよりは相当伸びておりますから、これだけ見ても千分の一や二は上がるのではないかと思われるわけですね。ですから、当然いままでの千分の四十四という掛け金率がある程度上がってくるのではないかということは予測されるのですけれども、これは公務員の負担の問題になりますと、その点の方向は当然予算措置で考えられていなければ、予算は組めないはずなんです。十月になって計算してみなければわからぬというのではなく、予算措置をなさるときには大体どれくらいのめどを立てておったのか。その点もう少し明確にお聞きしたいと思います。
  150. 辻敬一

    ○辻政府委員 ただいま千分の六・六と申しましたのは、今回の改善が既裁定の年金にはね返る分についてお答え申し上げたわけでございますが、今回基礎俸給を三年平均から一年平均に改めさせていただく、あるいは低額年金の是正といたしまして通算退職年金に準ずる方式を導入させていただくという前向きの制度改善をやらしていただいているわけでございますが、それに伴って、また財源率に影響があるわけでございます。その財源率の影響につきましては、給付改善を行なうわけでございますので、それに見合いまして、ある程度掛け金の負担をしていただくのはやむを得ないのではなかろうかと考えております。それがどのくらいになりますかということは、正確に申しますと、再計算の結果を待たなければわからないわけでございますが、現在のところでは、大体千分の二・五から三・五程度の影響があるのではないかと思っております。  なお、予算措置につきましては、国が事業主あるいはまた国庫として負担いたします負担金率、これにつきまして四十九年の十月一日から千分の三引き上げるということで、すでに四十九年度の予算で財源措置を講じております。
  151. 広沢直樹

    ○広沢委員 これで終わりにしますけれども、一応それだけ負担が多くなってくるわけですね。したがって、先ほど申し上げました年金支給率の改善の問題にしても、財政負担の割合にしても、現状いままで続けてきたままではよくないと思うので、これに対しては、先ほど四党の要求しました方向にこれから考えていかなければならないと思うのですが、そのことを要望して終わりにいたしておきます。
  152. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  153. 安倍晋太郎

    安倍委員長 昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表して村山達雄君外四名より修正案が提出されております。
  154. 安倍晋太郎

    安倍委員長 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。山田耻目君
  155. 山田耻目

    山田(耻)委員 ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  この修正案は、国家公務員の共済組合制度等の改正と同様に、厚生年金保険年金受給者との均衡等を考慮し、公共企業体職員等共済組合法に基づく退職年金等年金額算定につきまして、いわゆる通算退職年金方式による算定方法を導入することとしようとするものであります。  すなわち、退職年金等年金額算定にあたりましては、現行算定方式により算定した額が、通算退職年金の額の算定方式に準ずる算定方式により算定した額に満たないときは、その額によることといたしまして、低額年金改善をはかることとするものであります。  なお、この措置は、昭和四十八年四月一日からこの法律の施行日の前日までの間に給付事由が生じた給付につきましても、昭和四十九年十月分以後適用することとし、また、昭和四十八年三月三十一日以前に給付事由が生じた給付につきましては、政令でこの措置に準ずる措置を講ずることといたしております。  以上が、本修正案の提案の趣旨及びその内容であります。  何とぞ、御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  156. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  157. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  158. 安倍晋太郎

    安倍委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、本案に対する修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  159. 安倍晋太郎

    安倍委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  160. 安倍晋太郎

    安倍委員長 起立総員。よって、本案は修正議決いたしました。     —————————————
  161. 安倍晋太郎

    安倍委員長 ただいま議決いたしました両案に対し、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表して村山達雄君外四名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より趣旨の説明を求めます。山田耻目君
  162. 山田耻目

    山田(耻)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、提案の趣旨を簡単に御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただきます。  国家公務員及び公共企業体職員の既裁定の共済年金につきましては、本年度も恩給の額の改定措置に準じて、年金額引き上げをはかることとしているほか、さらに今回、遺族年金扶養加算制度短期給付任意継続制度創設、あるいは退職年金等年金額算定にあたって、通算退職年金方式に準ずる算定方式を導入する等共済組合制度独自の改正措置を講ずることといたしております。  もとより、これらの改正措置は、本格的な制度改正に向かって一歩を踏み出したものとして、一応評価できるのでありますが、なお取り残された問題も少なくないのであります。  申し上げるまでもなく、三十六年の国民皆年金の実現以来、年金制度に寄せる国民各層の期待は、今日ほどその高まりを見せているときはないのであります。  特殊な職域の年金制度である公務員グループの共済組合制度につきましても、他の公的年金制度との均衡等を考慮しながら、いかなる体系を指向すべきか等根本的な改革についての検討が要請される時期に差しかかってきているのではないかと考える次第であります。  本附帯決議案は、このような見地から、共済組合給付に要する費用の負担と給付内容の改善、国家公務員と公共企業体職員の共済組合の両制度間の差異の是正等共済組合制度改善のため、引き続き検討を必要とする諸点を取りまとめたものであります。  本附帯決議案に盛られております各事項につきましては、いずれも従来から本委員会において論議が重ねられてきた問題点であり、また、制度の充実をはかるため、その実現が望まれているところでありますので、本決議案の趣旨に沿い、適切な措置を講ずるよう、政府においてなお一そう努力されんことを要望するものであります。  以上が、本附帯決議案の提案の趣旨であります。  何とぞ、御賛同くださいますようお願い申し上げます。     —————————————    「昭和四十二年度以降における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案」及び「昭和四十二年度以降における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案)  政府は、共済組合制度の充実を図るため、左記事項を実現するよう、なお一層の努力すべきである。  一 共済組合給付に要する費用の負担及びその給付内容の改善については、他の公的年金制度との均衡等を考慮しつつ、適切な措置を講ずるよう検討すること。  二 国家公務員共済組合等及び公共企業体職員等共済組合からの年金について、国民の生活水準、国家公務員及び公共企業体職員の給与、物価の上昇等を考慮し、既裁定年金の実質的価値保全のための具体的な対策を早急に進めること。  三 長期給付の財政方式については、賦課方式の問題も含めて検討すること。  四 旧令、旧法による年金額改善については、引きつづき一層努力すること。  五 国家公務員共済組合及び公共企業体職員等共済組合制度間の差異について、早急に是正するよう検討するとともに、国家公務員等退職手当法第五条の二に規定する公共企業体職員の退職手当についてすみやかに改善措置を講ずるよう検討すること。  六 家族療養費の給付については、他の医療保険制度との均衡を考慮しつつ、その改善に努めること。  七 長期に勤続した組合員退職した場合において、医療給付の激変をさけるための措置についてさらに検討すること。  八 労働組合の非在籍専従役員が、共済組合員としての資格を継続することについて検討すること。  九 共済組合の運営が一層自主的、民主的に行われるため、運営審議会において組合員の意向がさらに反映されるよう努めること。  十 公共企業体職員等共済組合に関する制度について、学識経験者等により調査審議する機関の設置について検討すること。     —————————————
  163. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  おはかりいたします。  本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 安倍晋太郎

    安倍委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。内田大蔵大臣臨時代理。
  165. 内田常雄

    ○内田国務大臣 御承知のとおり、福田大蔵大臣がアジア開発銀行の年次総会に出席のため海外出張中でありますので、その間臨時代理を仰せつけられました私から発言をお許しいただきたいと存じます。  ただいま両法案につきまして御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿いまして十分検討いたしたいと存じます。
  166. 安倍晋太郎

  167. 増岡博之

    増岡政府委員 ただいま附帯決議のありました事項につきましては、政府といたしまして、御趣旨を体し、十分検討したいと思います。     —————————————
  168. 安倍晋太郎

    安倍委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 安倍晋太郎

    安倍委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  170. 安倍晋太郎

    安倍委員長 次に、電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案の両案を一括して議題といたします。
  171. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これより両案について、政府より提案理由の説明を求めます。内田大蔵大臣臨時代理。
  172. 内田常雄

    ○内田国務大臣 ただいま議題となりました電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案につきまして、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  電気の安定的供給の確保が国民生活と経済活動にとってきわめて重要でありますことは申すまでもないところであります。  政府は、最近における電力需給の逼迫の状況に早急に対処するため、発電所等の周辺地域における公共用施設の整備をはかること等を通じて発電施設の設置等を積極的に進めたいと考えております。  今回、この施策の費用に充てるため、新たに一般電気事業者の販売電気に対して電源開発促進税を課税するとともに、これを財源として行なう電源開発促進対策を一般会計と区分して経理するため、特別会計を設置することとし、ここに、これらの法律案提出することといたした次第であります。  まず、電源開発促進税法案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、課税範囲等につきましては、一般電気事業者を納税義務者とし、その供給した電気及びみずから使用した電気を課税物件として、これらの販売電気に対して電源開発促進税を課することといたしております。  第二に、税率につきましては、販売電気千キロワットアワーにつき八十五円とすることにしております。  第三に、その納付につきましては、毎月、その月における販売電気の電力量、電源開発促進税額等を、その翌月末日までに申告し、申告期限内にその税額を納付することといたしております。  また、納税地は、一般電気事業者の本店所在地とするほか、開廃業の届け出等所要の規定を設けることとしております。  この法律の施行期日は、昭和四十九年十月一日とし、供給した電気については、十一月一日以後に料金の支払いを受ける権利が確定されるものから、みずから使用した電気については、同日以後に計量されるものから、それぞれ適用することとしております。  次に、電源開発促進対策特別会計法案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、電源開発促進税の収入を財源として行なう電源開発促進対策の経理につきましては、これを明確にするため、特別会計を設置して一般会計と区分することといたしております。  第二に、この特別会計において経理する対象を明確にするため、電源開発促進対策として、発電用施設周辺地域整備法に基づく地方公共団体に対する交付金の交付及び発電所等の周辺地域における安全対策その他の発電所等の設置の円滑化に資するための財政上の措置を定めるとともに、この特別会計は、内閣総理大臣、大蔵大臣及び通商産業大臣が管理することとしております。  第三に、この特別会計の歳入は、電源開発促進税の収入その他の収入とし、歳出は、地方公共団体に対する交付金及び安全対策等のための財政上の措置に要する費用、事務取り扱い費等とすることとしております。  また、その他この特別会計の予算及び決算の作成及び提出並びに一時借入金の借り入れ等この会計の経理に関し必要な事項を定めるとともに、国税収納金整理資金に関する法律その他につきまして所要の規定の整備を行なうことといたしております。  以上が、電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案提案理由並びに概要であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  173. 安倍晋太郎

    安倍委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、来たる二十六日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十七分散会      ————◇—————