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高木(文)
政府委員 最初に弁明をいたしておきますが、この
新聞に報道されましたときに私の談話が同時に載っております。その点、弁明をさせていただきますが、これは真夜中に電話で照会がありまして、現物を見ない
状態でどう思うかと言われますから、それは現物を見なければ評価のしようがないと答えたのでありますけれ
ども、要するに、
法人税は資本階級別に逆進
税率になっていると思うかということでございますので、いや、逆進
税率にはなっていない、
租税特別
措置等の問題があって、必ずしも
基本税率と
軽減税率との
関係がそのとおりにはなっていないけれ
ども、逆進になっているということにはなっていないと思うということを、電話で答えたものを非常にうまく書かれたものでございますので、その点は御了解を得ておきたいと思います。
それから、逆進か累進かという問題は、これは私
どもの
見解は、昨年当
委員会に四十六年分について御
提出をいたしました。四十七年分について近く御
提出を予定いたしておりますが、阿部委員から御
指摘をいただきまして出しましたあのいわゆる資本金階級別の
実効税負担の表が、私
どものいま
考えております実際の負担額でございます。これによりましても、いつも御
指摘を受けておりますように、必ずしも資本金の大きい
企業が
実効税負担率が高いという結果にはなっておりません。それはなぜかと申しますと、配当軽課
税率の
関係があることがあり、それからいろいろの特別
措置の
関係があるからでございます。しかし、東京都が出されたということで報道されておる
数字ほどの、私
どもは
新聞で見ておりますが、こういうひどい、ひどいといいますか、著しい逆累進という形になっていないということでございます。
これはどこに誤りがあるかということにつきましては.先般当
委員会におきましてしばしば御引用いただきました私が東洋
経済に私の名前で出しましたものにも詳しく述べておりますように、
法人税額の
数字が違っておるということでございます。この
法人税額の
数字は納付税額の
数字でございますから、源泉
徴収税額なりあるいは外国税額なりというものの控除後の
数字があがっておるわけでございます。本来、税法上納めるべき額というものがあって、これを普通算出税額ということばで呼んでおりますが、算出税額からすでに利子、配当等について源泉
徴収を受けました額、あるいは外国へ納めました額、そういうものを差し引きました残りを
法人税額と呼んでおるわけでございますが、それは実質の負担を
意味しないわけでございまして、いまの源泉
徴収制度のもとにおきましては利子、配当、外国税というものにつきましては別途納めまして、そしてそれを算出税額から引きまして、そして納付するわけでございます。ここにあがっている
数字は、算出税額でなくて納付税額でございますから、
法人の税負担を見るわけにはいかないわけでございます。そういう点がございます。
そのほか
事業税——
法人税のほうは、ここにあります
国税庁発行の「
法人企業の
実態」という実際の税金の額から出ておりますが、
事業税のほうはこれは理論値
計算でございます。それから、
法人税や
法人住民税のように益金処理といいますか、そういうものも、
事業税のように損金処理になるものも一緒に合計してある
数字でございますので、負担率としては
意味をなさない
数字なのでございます。これはしかし、どういう
意味でものを理解するかということにもよるわけでございまして、ある
意味ではこういう
数字は、
数字そのものは違っていない、こういう
根拠も示してございますから間違っていないということでございますけれ
ども、この
数字の持ちます
意味というものは、あまり
意味がないのではないか。益金処分のものと損金処分のものを足してみてもあまり
意味がありませんし、それから、これは
法人税額に住民
税率や何かを掛けてありますけれ
ども、住民
税率というのは、これは
法人税額の納付税額にかかるのではなしに、算出税額に掛けなければいけないというところの
計算違いが
一つでございます。
ちょっとそういう
意味で、もともといろいろの理論上の点もあり、そういう点に相違があります。
あとは特別償却の減価償却費とか、あるいはその他のB欄というところにあがっております
数字についてどう理解すべきやということは、これは
見解の相違の問題でございます。退職給与引き当て金とか貸し倒れ引き当て金とかいうものを一体どう評価すべきやというのは、これは
見解の相違によるものでございますから、いろいろ
議論があってしかるべきでございますけれ
ども、そういう点がいろいろあるわけでございまして、私は、この
数字をもってそのまま
法人の税負担が逆進的になっているという
批判は当たらないというふうに解釈をいたします。必要がございますれば、いろいろその解説等、解説というと悪うございますが、何か資料等で御説明を申し上げてもよろしいと思います。