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高木(文)
政府委員 まず、申告不要
制度につきまして一銘柄年間五万円という限度額を十万円に引き上げましたということについてでございますが、これは他の機会にもお答え申し上げましたが、貯蓄奨励の
趣旨から、いわゆるマル優と申しますか、非課額を百五十万円から三百万円に引き上げましたり、
所得税法の上で生命保険料控除なり損害保険料控除なりを引き上げましたのといわば横並びの関係で改正をいたしたものでございます。この
制度が別途いろいろ問題があることは十分承知をいたしておるわけでございますけれ
ども、しかし、個人がどういうふうな形式で貯蓄をするか、金
融資産を持つか。その場合に、
金融機関に預金をするという場合、それから保険に加入するという場合、株式を保有するという場合、いずれも金
融資産を持ってだんだん財産を形成していく形態でございますけれ
ども、そのいずれに片寄りますことにも問題があるわけでございますので、どうも他の
制度について拡充をはかりながら、これだけは何ら手を融れないというわけにもまいらぬかということから、今回、四十年度以来据え置きになっておりましたから、これを五万円から十万円に引き上げたということでございまして、別途この問題については、株式の配当についての課税問題、全般の問題の一環として、なるべく早い機会にまたいろいろ議論していただかなければならぬ問題であるというふうには
考えております。
試験研究費の税額控除の
制度につきましては、これは他の
租税特別措置とはやや趣を異にいたしておりまして、税額控除ではありますけれ
ども、むしろ補助金ともいうべきものであるというふうな
性格のものでございます。これまた他の機会に申し上げましたが、わが国では私
企業に対する試験研究費を歳出を通じて支出をするということがきわめて極限されております。歳出を通じてやることがよろしいか、税をもってやることがよろしいかということは論議のあるところでございますけれ
ども、この
制度は、試験研究費を増額しましたならばそれについてメリットがあるという仕組みになっておりますので、その
意味では、歳出を通じていたします補助金よりは、比較的奨励
措置としてのインセンティブ効果が大きいのではないかと思っております。
ただ、御
指摘のようにきわめておおらかに仕組まれております関係上、私
企業の全くの商品のようなもの、そういうもののための研究にも向けられるということになっておりますが、さてしかし、いろいろな研究のうちどういう研究はいいがこういう研究はいかぬというようなことを選別をいたしますことは、実際上、もし税のほうでやりますたてまえをとる以上は不可能に近いわけでございまして、そういう選別をやるべきであるというお立場でございますならば、やはり税ではなくて歳出のほうで仕組むという以外に方法はないのではないかと思っております。
それから、人件費の増加割合が最近は高くなっておりますから、現在の一二%をこえましたならば五〇%の税額控除というような
制度は甘いということは御
指摘のとおりでございまして、そのことを頭に置きまして二五%の
優遇措置と五〇%の
優遇措置の限界点を、従来の一二%から一五%までに引き上げたわけでございます。一五に引き上げましても、最近の人件費増加率からいえばなお甘いではないかという論議があろうかと思いますが、まあここ一、二年のベースアップ率は異常なものでございますので、
制度の仕組みといたしましては、
制度でございますから
制度として
考えます以上は、まあ一五%というのはある程度の水準ではないかというふうに
考えます。
三番目の公害防止
準備金の問題につきましては、これまた他の委員のお尋ねにお答えをいたしましたが、確かに問題のある
制度でございます。公害対策が緊急に進められなければならないことであり、同時に、公害問題が最近になって急に大きくなった問題でありますために、何らかの対策が必要だということでこういう
制度が設けられたわけでございますけれ
ども、この
制度と公害防止準備のための支出とが結びついていないという点において、かなり大きな弱点を持った
制度でございます。今回もその点を何とか改善をした上で延長をお願いするということにできないかと思いましたけれ
ども、どうもうまく結論を得るに至りませんでした。
そこで、主たる官庁であります通産省なり運輸省なりとの間におきまして、何とか緊急にこれが改善の方途を見つけるということをお互いに協力して努力するといういわば申し合わせのもとにおいて単純延長をお願いすることにした次第でございまして、私
どももこの
制度には相当改善すべき余地があるというふうに
考えております。