○竹本
委員 大臣は重要なお
立場であるから慎重に答えておられると思うのですけれ
ども、アイデアということでございましたけれ
ども、
自分が初めからしまいまで主張するということでなくても、いろいろな根回しの方法もあるでしょうから、やはりそういう秩序を早く模索するところの
段階へ本格的に入るように御努力を願いたいと、要望であります。
と申しますのは、いまの世界政治あるいは世界の
経済というものは、私のこれは独断であるかもしれませんし、独断であれば幸いでございますが、大体アメリカ主導型の軍事、
経済、全部そういうふうになっておる。あるいはなり過ぎておる、こういうふうに私は思い、心配をしておるわけです。
時間もありませんし、ほかの問題に触れても恐縮なんですけれ
ども、私は大体こういうふうに思っておるのですが、お聞きをいただきたいと思うのです。
日本には、
日本の政治の基本的目標が何であるか、あるのかもしらぬが、実は私もあまりよくわからない。これはむしろ残念に思っておるのですけれ
ども、たとえば、ニクソンの場合には、きわめて簡単な政治目標を持っておると思うのです。これは私の独断であるかないかはまた御批判を待ちたいと思うのですけれ
ども、いまのニクソンが
考えておることは、アメリカの二百年祭を
自分でやりたい、しかもそのやるときには、あと二
年間ありますが、七六年の二百年祭は
自分が大統領としてやりたい、裏からいうならば、ウオーターゲート事件が幾ら起こってもなかなかやめない、こういうことですが、それは別として、そのやるときには、アメリカを文字どおり世界第一の国にしておきたいということを
考えておると思うのです。
その世界第一の国とは何かというと、ささえの柱が二つある。
一つは核兵器である。
一つはドルを世界最優秀の通貨単位にしよう、通貨価値としておこう、こういうことだと思うのです。この国会におきましては、核防条約の問題も日程にのぼってきたわけでございますから議論になると思うのですけれ
ども、米ソが千五百発あるいは千五十四発の核兵器を独占しながら、核兵器を種に使いながら世界に号令をかけるというか、世界の共同管理、共同分割というか、したがって、私は、まだ核防条約については若干の疑問を持っております。核兵器を持たない国を核兵器を持っておる国が絶対攻撃をしないという約束は、現にソ連はまだしていないでしょう。そういうような
情勢もありまして、軍事のほうについてもドミネートされるというような形では、われわれはなかなか納得できないと思います。
経済について、私は、これから一口申し上げてみたいと思うのですが、アメリカ大統領が七六年の二百年祭は
自分でやりたい、やるときにはアメリカを最強の国にしておきたい、その
一つの柱はドルである。ドルをもう一ぺん復権して、ドルをもう一度もとに返して、世界一強い通貨にしておきたいということが、ニクソン戦略の根本であると私は思うのですが、それに対する対応のしかたが
日本にどれだけ準備されておるかということを、私は心配するわけです。
たとえば、アメリカのほうは、
経済的にもドルを強くするということにおいても、
経済の問題だけではなくて、御
承知のように、海外投資もある、海外
経済援助もある、さらにミリタリーの援助もある。大ざっぱな私の計算ですけれ
ども、大体九十億ドルぐらいの国際収支、貿易収支の面における黒字を出さぬことには、アメリカのドルが世界最強になり、そしてアメリカが核兵器でやったと同じように世界を支配する、
自分の主導権のもとに引っぱっていくということについて、なかなか困難がある。
そういう
意味で、今日の戦略目標は、約九十億ドル前後の黒字を出すということにあると思うし、現にアメリカの最近における
数字は、大臣のほうがよく御存じでございますけれ
ども、輸出貿易などというものは、この間までの六十九億ドルの赤字が、去年はもう七億ドル黒字になったということになりますと、貿易が四四%ふえたということだけでなくて、貿易収支においては七十数億ドルの改善をやっておる。もう一回これと同じようなことをやれば、約九十億ドル近くの黒字が出て、私の言う
経済援助も、軍事援助も、あるいは海外投資も、アメリカが世界第一の国としての威厳を保つのに十分なだけの
財源ができる。そういうことで、いまアメリカは貿易政策も
考えておる、ぼくはこう思うのです。
したがって、そのことは、
日本に関する限りでいえば、
一つは、ある場合において
輸入を制限するという形で出てくる、ある場合においては輸出をどんどん向けて、アメリカの
品物を買え、あるいはアメリカの自動車をもっと買え、そのために
関税、物品税の四〇%なんというのはけしからぬというような、ここでも審議をしましたけれ
ども、あれは単に税率がどうだとかいうような問題だけではなくて、アメリカはここまで
経済の収支の体制を切りかえていきたいのだという大きな戦略目標がある。それを
一つ一つ末端で受け取っておったのでは、対応が不十分だ。
そういう
意味でぼくは申し上げるのですけれ
ども、とにかく九十億ドル前後の黒字をかせぐためには、まず
輸入を押えるものは押える、同時に輸出については、全力投球で一
年間に四四%伸ばす。現に伸びておる。これをまたもう一回四〇%、五〇%伸ばしてくると思うのですね。そうすれば、大体、ニクソンが
考えているようなところまでに、あと二
年間で持っていける。したがって、ドルの物的基礎がそれだけ拡大強化される、こう思うのです。
そういう点から
考えると、
日本がほしいというものであっても、アメリカがかってによこさないものもあるだろう。また逆に、
日本があまり入ってほしくないと思うもので、アメリカが貰えと言って押し込んでくるものもあるだろう。そういう点について、ただ従来のような、
日本のほうでいえば、いままでの、数年前までの自由貿易理論みたいな形で対応する、あるいは単に、ことしはアメリカの輸出がふえているようだといったような形でこれを受けとめるということでは、不徹底だ。もうちょっと高度の政治的
判断が要るのではないか。したがって、アメリカの輸出に対する意欲あるいは
輸入を制限しようというような
考え方は、単なる事務レベルや、単なる
経済収支の問題だけではなくて、もっと大きな政治の基本戦略の上に立っているのだ、こう受け取らなければならぬと思いますが、大臣のお
考えはいかがですか。