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大蔵政府委員 確かに、密輸事犯につきましては、逐年これは増加の傾向にございます。
昭和四十八年、すなわち昨年の一月から十一月までの間に、
関税法違反として、密輸事犯として検挙いたしました件数は、七千七百八十一件でございます。そのうち密
輸入の件数は六千三百八十五件でございまして、昨年に比べましても、若干ではございますが逐年増加の傾向をたどっております。
特に、最近におきます悪質事犯、これは最近だけではございませんけれ
ども、悪質事犯といたしまして麻薬類について見ますと、ヘロインであるとかモルヒネ、こういったようなものの密
輸入、これは
昭和四十五年が非常に多くあったわけでございまして、これを
一つのピークといたしまして、若干はそのヘロイン、モルヒネ系の密
輸入は減少をいたしておりますけれ
ども、反面、覚せい剤であるとか、LSDあるいは大麻とか、こういったようなものは増加をいたしておるわけでございます。
さらに、銃砲
関係につきましては、これは例のハイジャック事件を契機といたしまして、
外国におきます取り締まりも非常にきびしくなってきている。こういうような実態を反映をいたしまして、私
どもが摘発をした実績は漸次減少をするような傾向にございますが、何ぶんにもその手段や方法がだんだん先方も知恵をつけてまいりまして、非常に巧妙化してきていて、その検挙が非常にむずかしくなってきているという実態は、これは否定できないかと思います。
と申しますのは、
日本の空港におきまして一日に入ってくるのは、現在、羽田の空港の例で申しますると、約七千人からの人々が
日本の中に入ってくるわけでございまして、これはあまり厳重に検査をいたしますると、やはり税関の通関が非常にうるさいと、一般の善良な方々からはかえって非常な非難を招く
一つの道になる。一方、これをあまりゆるやかにいたしますると、密輸事犯等に対してこれを利する
立場があるということで、そこらあたりのかね合いと申しますものが、一番むずかしい問題として私
ども頭を悩ましているところでございますけれ
ども、やはりあの窓口に立ちますところの係官の長い間の経験によりまして、その場におきましてこれを検挙し得るような事例も相当数多くあると同時に、
外国からの、要するに
外国における公館その他からの情報によりまして、密輸事犯をつかまえるという事例もございまするし、それから、非常に卑近な例でございますけれ
ども、いわゆる女性が陰部に麻薬を隠して入ってくるというような事例を最近つかまえた例もあるわけでございまして、彼らのいわゆる持ち運びの方法というものは時々巧妙化しつつあるので、私
どもといたしましては、これに対応する策をいかにしたらいいかということに関しましては、日夜頭を痛めておるわけでございますが、できる限りこの取り締まりに万全を期したい、かようなつもりで各税関に対しましてその指導をいたしておるわけでございます。