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竹本委員 貸し出し金利を上げるということについて、いまいろいろ御発言がありましたが、低
金利政策のおかげで
高度成長ができておるという問題を反省するならば、
貸し出し金利についてもやはり反省をして、検討を加えなければならぬではないかということが
一つ。
それからもう
一つは、いまの債務者利益というものはものすごいものがある。一兆円金を借りても、
物価が一割暴騰してしまえば、場合によれば
一千億円助かったようなものだ。そういう
意味での債務者利益というものが過大であり過ぎるというところに問題がある。そういう点については、一体、
銀行局長はどういうお考えなのかさっぱりわからぬが、とにかく債務者利益というものが不当に大きいのに対して、たとえばブラジルのごときは、一方で預金の
金利を上げるとともに、債務者に対しても貸し出しの
金利も上げるということをやっておる。ブラジルのように簡単にいくかいかないかは一応別にいたしまして、
考え方の
基本からいえば、低
金利政策を改める
意味からいっても、
貸し出し金利に再検討を加えるべきである。特に、大
企業は金を借りて、それがために非常な利益を得ておる。借りて土地を買えば、土地が倍になれば半分売れば借金は返せるのだから、そのことがいまいろいろ問題になって、そういう
考え方の
一つとして超過利得税問題も出てきているわけですから、債務者利益をどう
修正しようかということについては、もう少し
銀行局としても考えなければならぬのではないか。
あれこれ考えて、結論として三つほど伺うが、
一つは、一〇%くらいの
預金金利をいま一ぺんに全部上げろというとちょっと問題がいろいろむずかしくなるから、簡単に聞くのだけれ
ども、
定期制預金なら
定期性預金、一年ものなら一年ものについては、少なくとも一〇%くらいの
金利のものをつくっていく、あるいは公債を発行するような場合においても、特定公債を発行して一〇%の利子をつける。そのかわり、これで中央突破をして過剰流動性も吸収するし、同時に、いままで預金をして目減りで損をしているまじめな勤労大衆等について、何らか
一つ報いるところがあるという
努力をする。そういういろいろの理由をつけて、一〇%の
預金金利というものを、あなたの
考え方からいえば例外的でもいい、そういうものを一体認めていく意思があるのかないのか、その点だけはっきり言ってもらいたい。
それから第二番目、いまあなたは異常事態であると言われた。そこで異常事態ということについてひとつお
伺いするのだけれ
ども、
日本の
物価が卸三〇%あるいは三四%、消費者
物価が二〇・四%、これは異常事態であるとわれわれとしても言いたい。しかし、異常事態という以上は、それは異常なんだから、通常の状態があるわけだ。通常の状態に返るという見通しがなければ異常じゃない。異常が普通になってしまうかもしれぬ。そういう
意味で、
日本の
物価の上昇を異常事態として理解するほど短期間に、ちょっとがまんしておれ、しかたないや、突風が吹いてきたようなもので、頭をかがめておればいいのだというような
考え方で、異常事態はきわめて短い、それが異常事態ですね。異常事態が半年も一年も二年も続くようになったら、異常事態じゃない。そういう段階に突入したということで、新たな決意と構想を持たなければいかぬ。異常事態というのは期間的にきわめて制約されるとぼくは思うが、あなたの異常事態というのは期間はどのくらいか。
三番目、異常事態がかりに半年でも一年でもよろしい、半年でも一年でもありとすれば、その異常事態に――一日か二日なら別ですよ。しかし、相当長くこの異常事態が続くということになれば、それに対応する
金融政策、
金融行政がなければならぬと思うが、異常事態はあなたは期間をどのくらいに見て、そしてその期間においては、異常事態だからがまんする人はがまんしておけということでいくのか、それに対応する行政
措置を考えようとしておるのか、この三つを
伺いたい。