○山田(耻)
委員 大臣の
お話、私の伺ったことに対して満足できるものじゃありません。ただ、財源をどうするのか。貸し出し金利を引き上げる方法も
一つあるでしょう。あるいは
政府が金利助成をするという立場もあるでしょう。あるいは
銀行みずからが少し犠牲を受けるということもあっていいじゃないですか。
〔松本(十)
委員長代理退席、
委員長着席〕
いまの貸し出し金利の中には、一〇%をこえて一一%近い貸し出し金利をとっている
銀行だってありますよ。
さっきも話がございましたが、
金融機関というのは好不況にかかわらずもうけている。いま私が言いました零細
国民は、
ほんとうに自分の生涯の
生活設計を立てながら、あるいは子孫の教育のことを考えながら、病気になったことを考えながら
貯蓄していく。
日本の
貯蓄性向が国際的に見て非常に高い、一位の水準を保ってきたというのは、
銀行の調査はそれでしょう。
理由を大きく三つに分けて、そこにしぼっております。その
貯蓄が、金利はおろか、
元金まで
目減りを始めている。これを救済していくということは、早く
インフレを鎮静させたらいいんだ、それまではしんぼうしてくれ、こういうふうな言い方では、
国民大衆に対して国の政治が親切であるとは言えないのです。むしろ、国の政治の顔は、
金融機関のほうに向いているのです。それじゃいけない。だから、
預金金利も引き上げる。それは貸し付け金利が若干引き上がっても、貸し付けの金利、
預金の金利双方が上がっていく、公定歩合も引き上げる、こういう状態が起これば、便乗
値上げの時期を待って在庫投資をしていくことがくずれて、在庫投資をしておるよりか早く払い出したほうが
企業に対するメリットが大きいと
企業に判断をさせるのが、私はこうした場合の
金融政策のてことしての大きな役割りであろうと思う。そういう立場で、広げてながめて金利
政策というものはとられなければ、ただ財源がない——
政府でもいいと占う人もおるし、それは膨大な金額だ、貸し付け金利を引き上げる、それもたいへんだ、こういうことだけでこの事実に口をおおっておくということは、私はいけないと思う。だから、貸し付け金利もあるいは公定歩合のほうも引き上げながら、
銀行も、多少もうけ過ぎておる
銀行ですから重荷を負ってもらって、零細
国民の
目減りを補償してあげる、そうして
貯蓄性向を強めてあげる、これが私は
金融政策のあり方でなくちゃならぬと思う。
しかし、もう時間も過ぎてしまいましたので、私はここで
大臣となお詰め合って御意見を伺うということはできませんけれ
ども、ただ私は、きょうも午前中話がございましたが、自民党と財界、ここで相談がまとまりまして、
国民協会の献金を四・一倍に引き上げる。その相談が始まってきたのが去年の四月、下期九月から割り当てた金で取り立てる、七百五十一社のうちことしはひとつ新規二百三十九社を入れよう、こういう相談がまとまったと新聞は報じております。自民党は橋本幹事長、そうして植村経団連会長、財界首脳部、こういうふうに報道されております。しかも二百三十九社の
人たちは新規加入ですけれ
ども、ずっと見てみたって、石油、大商社、鉄鋼、繊維、パルプ、石油化学工業、この
インフレで大もうけをした
人たちはみんなこの列に組み込まされている。しかも土地・不動産会社は、三菱地所は四十四倍のふくらみ、総体的に不動産・土地会社は四三倍のふくらみでしょう。私この新聞を見まして直感しましたのは、何のことはないな、業界、財界は便乗
値上げやそして投機であおれるだけ
インフレをあおってもうけて、そのもうけた金を自民党と財界と分け取りをしておる。しかも、その中には
銀行八業種、一月四千五百万、年間五億四千万という金額を
銀行は納めます。
大臣、たいへん
銀行はもうかるのですね。しかし、それに付記がしてあります。これは
国民協会に出した表向きの金額で、これ以外に臨時寄付、臨時会費、こういうものを取り立てるから相当な金額になるであろう。せんだって武藤さんが述べておりました、あなたの後援会に対するものもございましたね。私はきょうそこに触れようとは思いませんけれ
ども、全体合わせるとたいへんな金額になる。
国民はそれを見てますます政治不信を強めているのですよ。
日本消費者連合会あたりは、持っていった金額だけ品物の値段を下げてくれ、
物価を下げてくれ。私は、この意見というものは、理屈も何もない、いまの
国民大衆が直感的に
感じていることが、そのように述べられているのだと思う。
きょうここで、自民党に対する政治献金の中身を私はどうしようというのじゃありません。こうした
割増金付貯蓄をすることが総
需要抑制の一石であるし、
インフレ鎮静化の側面を持つんだ、こういう主張だけであって、具体的に
国民が
インフレ鎮静化への足音を身近に聞けるような施策、そういうものに対しては、
政府は何も知らぬという顔をしておる。そうして裏側では、共同してもうけの分け取りをしておる。片一方の手はまつ黒によごれておって、片一方の白い手のほうを見せながら、
インフレ鎮静化のために命をかけて政治転換、流れを変えるためにやっておるんだ、百万べんそういうことを言ってみたって、
国民はもう信じませんよ。私は、
インフレが
日本の
国民に与えた
ほんとうの大きな悲劇とともに、この政治不信をもたらしたということこそに、政治家の端くれの一人としてもたえられない
気持ちでいるのです。
私は、今回の
割増金の問題については、原則的に反対をします。もっと中身を詰めていって、そうして
国民の
目減り分をどうして補償してやるかという具体策を持ちながら
貯蓄性向を強めていく、みんながほのぼのとして喜び勇んで参加できる、そういう
貯蓄政策をとってもらうことを、私は
福田さん、
ほんとうにあなたにお願いします。そういう立場をどうか前向きで真剣に育てていただきますようにお願いをしまして、私は終わります。ありがとうございました。