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1974-05-24 第72回国会 衆議院 商工委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十四日(金曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    稲村 利幸君       浦野 幸男君    江藤 隆美君       小川 平二君   小此木彦三郎君       越智 通雄君    大石 千八君       粕谷  茂君    片岡 清一君       木部 佳昭君    小山 省二君       近藤 鉄雄君    塩崎  潤君       塩谷 一夫君    島村 一郎君       中村 弘海君    丹羽喬四郎君       野中 英二君    橋口  隆君       八田 貞義君    前田治一郎君       松永  光君    井上  泉君       岡田 哲児君    加藤 清政君       上坂  昇君    佐野  進君       竹村 幸雄君    村山 喜一君       渡辺 三郎君    野間 友一君       近江巳記夫君    松尾 信人君       玉置 一徳君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      森山 欽司君  出席政府委員         科学技術庁原子         力局長     牟田口道夫君         科学技術庁原子         力局次長    伊原 義徳君         科学技術庁原子         力局次長    生田 豊朗君         大蔵大臣官房審         議官      大倉 眞隆君         水産庁長官   内村 良英君         通商産業大臣官         房長      増田  実君         通商産業大臣官         房審議官    矢野俊比古君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君  委員外出席者         環境庁企画調整         局公害保健課長 竹中 浩治君         環境庁大気保全         局大気規制課長 石田  齋君         環境庁水質保全         局水質規制課長 太田 耕二君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       井上  力君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     小野 雅文君         資源エネルギー         庁公益事業部火         力課長     伊藤 栄一君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 五月二十三日  辞任         補欠選任   小山 省二君     中村 拓道君   松永  光君     大橋 武夫君 同日  辞任         補欠選任   大橋 武夫君     松永  光君   中村 拓道君     小山 省二君 同月二十四日  辞任         補欠選任   天野 公義君    小此木彦三郎君   小川 平二君     中村 弘海君   越智 通雄君     片岡 清一君   近藤 鉄雄君     塩谷 一夫君   島村 一郎君     大石 千八君   田中 榮一君     江藤 隆美君   橋口  隆君     野中 英二君   竹村 幸雄君     井上  泉君   山崎 始男君     村山 喜一君   松尾 信人君     正木 良明君 同日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     田中 榮一君  小此木彦三郎君     天野 公義君   大石 千八君     島村 一郎君   片岡 清一君     越智 通雄君   塩谷 一夫君     近藤 鉄雄君   中村 弘海君     小川 平二君   野中 英二君     橋口  隆君   井上  泉君     竹村 幸雄君   村山 喜一君     山崎 始男君   正木 良明君     松尾 信人君     ————————————— 五月二十三日  長野県松本市及び飯田市に商工組合中央金庫の  支店設置に関する請願井出一太郎紹介)(  第七〇八三号)  同(中澤茂一紹介)(第七〇八四号)  同(小沢貞孝紹介)(第七一二五号)  同(林百郎君紹介)(第七一二六号)  同(下平正一紹介)(第七一五四号)  同(吉川久衛紹介)(第七一六六号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第七二八九号)  九州における地熱資源緊急開発に関する請願  (福永一臣紹介)(第七〇八五号)  同(山崎拓紹介)(第七〇八六号)  同外一件(床次徳二紹介)(第七一六七号)  中小企業経営安定に関する請願正森成二君  紹介)(第七一二七号)  鹿児島県枝手久島に石油精製企業進出反対に関  する請願米原昶紹介)(第七二八八号)  は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  発電用施設周辺地域整備法案内閣提出、第七  十一回国会閣法第一一七号)      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  第七十一回国会内閣提出発電用施設周辺地域整備法案を議題といたします。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山(喜)委員 政府が二十一日に五六・八二%の、これは電力九社平均でございますが、電力料金の一斉値上げを認可いたしまして、六月一日から実施をするという段取りを迎えたわけでございますが、これはまことに遺憾なことでございます。  そういう角度から、私は、今回提案をされております発電周辺整備の問題と電源開発促進税の関連から、次のような問題をただしてまいりたいと思っております。  第一点は、その九電力料金格差というものは縮まったというとらえ方をしている人と、いや拡大をしたんだというとらえ方をしている人とありますが、一体どういうふうになったのか、説明を願いたいのでございます。
  4. 山形栄治

    山形政府委員 これは全体的な姿といたしまして縮まってきておると思うわけでございます。  今回の電力料金の最大の理由がいわゆる石油系燃料価格の高騰でございまして、この辺につきましては、各社とも低サルファの油の入手その他も含めまして、ほぼ同じような形での、いわゆる値上げ要請の要因があったわけでございまして、それが非常に大きなウエートを占めております関係から、各社格差というものはその点で縮まったと考えるわけでございます。
  5. 村山喜一

    村山(喜)委員 電灯料金電力料金平均された平均単価で見た場合、あるいは電力料金個々で見た場合、あるいは電灯料金で見た場合はどういうふうになりますか。
  6. 山形栄治

    山形政府委員 いまちょっと資料をさがしておる段階でございますが、各社別に見まして、電灯電力のいわゆる灯力格差というのは、申請前は二・一一、いわゆる産業用を一といたしましたときの電灯料金が二・一一倍であったわけでございますが、今回はこれが一・五六倍ということに縮まったわけでございます。  ちなみに、先進諸外国の数字を申し上げますと、これも、いま手元にございませんので若干食い違うかもしれませんが、アメリカが一・五でございます。カナダが一・六、それから西独で一・七、イタリアが二・〇、フランスがたしか一・五でございましたか、イギリスだけが一・一というふうに非常に低い比率を占めております。しかしながら、今回の改定によりまして、ほぼ西欧並み灯力格差には相なったと考えておるわけでございます。
  7. 村山喜一

    村山(喜)委員 私がお尋ねしておるのは、電灯電力格差の問題ではございません。今度新たに各社ごと料金の確定をされたわけでございますが、その中で平均単価で見てみますと、たとえば九州電力の場合は十一円七十銭、北陸電力の場合は九円十一銭でございますから、この差を見てみると二円五十九銭の開きがあります。前は九州電力は依然として高くて北陸電力会社の場合が安かったわけでございますが、その格差は二円十九銭でございました。だから今度の料金格差というものは、九電力の場合をとってみると、平均単価で調べた場合には地域格差というものは拡大をしているのではないか、このことを私は言っているわけでございますが、それはそのようにお認めになりますか。
  8. 山形栄治

    山形政府委員 各社別の事情につきまして、先ほど概括的に申し上げましたように、今回油の関係が非常に大きな理由であったわけでございます。これにつきましては、各社別の油の入手価格というのが相当やはり現時点においても違っておるわけでございます。  それからもう一つ理由は、たとえば中部電力のように非常に原子力及び水力比率が低いところと、東電のように水力及び原子力比率の高いところとのいわゆる発電原価上の差異があるわけでございます。御質問の趣旨になかなか的確な御答弁に相ならないわけでございますが、九州と北陸だけを比べますと先生の御指摘のとおりのことだと思うわけでございますが、全般的な趨勢として考えますと、今回各社格差というのは縮小の方向に向いておる、こう言えるのではないかと思うわけでございます。
  9. 村山喜一

    村山(喜)委員 電灯電力格差は、燃料費が高くなったために二・一一のものが一・五六に縮まった、その意味においては格差が是正されたとは思っております。しかし、これで十分な格差の解消ができたかといえば、もっと電灯料金については見直しをしなければならない段階にあるのではないか、このことについては後ほど私のほうから質問を提起いたしますが、問題は、今度の平均単価で見る限りにおいては九電力会社料金格差というものは依然として格差が解消しているのではなくて、料金においても格差拡大をしているじゃないか、このことは現実に数字の面として出ておる、このことを指摘をしておきたいと思うのであります。  そこで、続いてお尋ねをいたしますが、九電力経営格差はどういうふうになってまいりますか。新聞によりますと、東電の場合には内部留保を全面的に取りくずしをした。ところが、中国電力のように二百三十億以上の退職引当金をかかえたままの会社があるではないかという指摘がされておりますが、この経営努力を無視した査定というものが行なわれたのではないかという指摘がありますが、この点については九電力のそれぞれの経営格差というものは今後どういうふうになっていくのですか。
  10. 山形栄治

    山形政府委員 今回の料金改定の場合に原価に算入されます内部留保等取り扱いにつきまして、これはいわゆる統一的な査定方針ということで臨んだわけでございます。若干触れますと、退職給与引当金及び減価償却を一応原価の中に算入いたしたわけでございます。各社別には、先生のいまお話のとおり、もともと内部留保の非常に厚い会社と、それから非常にこれが低い会社とがあるわけでございます。その結果、各社といたしましては、今回の料金改定及び下期決算におきましては相当の努力でこの取りくずしをしておるわけでございますが、当然のことながら、そのもともとの状況が相当違うわけでございまして、いまお話が出ましたように、東電等につきましては相当の内部留保の吐き出しをいたしております。なお、配当率につきましては、従来各社みな一割であったわけでございますけれども、東電が下期決算配当を六分に引き下げたわけでございますが、ほかの各社はこれが全部八分というふうに二分減配になったわけでございます。そういう配当率経営内容というのが必ずしもぴっちり合うということも申し上げにくいのでございますが、われわれのほうは統一的な査定でやりましたような経緯も含めまして、各社経理内容には相当の差がやはり出ておる、特に内部留保の点で相当出ておるのではないかと考えるわけでございます。
  11. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、お尋ねいたしたいのは、どういう査定各社ごとにやったのかということであります。このことについては、電気料金決定通産大臣専決事項になっているようでございますが、政府として閣僚協議会を開かれて、そこでその方針決定をなさっていらっしゃるわけですから、査定の基本的な方針を私はこの際承っておきたいと思うのであります。そうでなければ、この中に入っている電源開発税取り扱い内容関係がありますので、その内容について方針とその査定の結果を説明を願いたい。
  12. 山形栄治

    山形政府委員 九電力料金改定につきましては、四月の三日から八日までの間に九電が申請をいたしたわけでございます。われわれといたしましては、これにつきまして統一的な査定方針で臨んだわけでございますが、その前提といたしましては、当然のことながら現行法の原則でございます原価主義をもとにし、かつ電気事業審議会料金に関する答申が出ておりまして、これは一番ティピカルに申し上げますと、電灯料金についての三段階制の採用と、特にナショナルミニマム設定という福祉型の考え方一つでございますが、もう一つは全体的に逓増制をとることによって省エネルギー、省電力というものをはかるということの御答申が出たわけでございます。  なお、原価計算期間につきましては従来三年であったわけでございますが、やはりこういう流動的な情勢のもとで、御答申といたしましては一年を採用してもけっこうだという答申もなされたわけでございます。  これらの前提に基づきまして、われわれは統一的に査定をしたわけでございますが、人件費につきましては春闘の結果をそのまま採用するという考え方をとったわけでございます。ちなみに、申請では二五%対前年アップという申請でございましたけれども、春闘の結果が二七・八でございましたので、このままこれを認める。その意味では一種の増額査定的に相なっておるわけでございます。  それから石油価格につきましては為替レートを三百円という申請をしてきたわけでございますが、現状に即しまして渋くこれを査定するという前提で二百八十円ということにレート査定いたしたわけでございます。  なお、原油価格そのものにつきましては、ミナス原油につきましては実勢のバーレル当たり十一ドル七十セント、アラビアンライトにつきましては、これは若干渋い査定でございますけれども、バーレル当たり九ドル五十セントということであれしたわけでございます。  石炭の問題が一つございまして、石炭単価というのが今回いろいろな経緯を経ましてトン当たり三千円のアップがなされたわけでございまして、この辺につきましては、統一的に各社石炭火力計算上の問題としましては、三千円の単価アップを認めております。  それから福祉指向という関係の種々の措置をいたしたわけでございますが、ナショナルミニマムにつきましては、先ほど料金制度部会答申では、百キロワットアワーということであったわけでございますが、これを百二十キロワットアワーに引き上げるということでございます。  それから電灯の三段階格差は、まん中を一といたしました場合に、一番低い第一段階がそれの〇・八、それから第三段階の高いところは一・一というふうに、〇・八、一、それから一・一という三段階査定にいたしたわけでございます。  それから、生活保護法によりまして生活保護が行なわれております家庭は全国で五十二、三万世帯あるわけでございますが、この生活保護法適用世帯、それから母子寮老人ホーム重度心身障害者、この辺につきましては、少なくとも本年度一ぱいまで 少なくともといいますか、本年度一ぱい三月末まで現行料金を据え置くという特別の措置を講じたわけでございます。  こまかいようでございますが、アパート等のいわゆる集合住宅におきます問題につきましては、これを実質的な一世帯——中に入っております世帯をそのまま一世帯というかっこうで計算いたしまして、ナショナルミニマム適用をいたしたわけでございます。  その他いろいろとございますけれども、そういう統一的な査定に基づきまして九電力査定を行なった次第でございます。
  13. 村山喜一

    村山(喜)委員 家庭用電灯料金につきまして、ナショナルミニマムの百二十キロワットを想定をしまして、そして平均料金の二割引でやるような新しい料金制度をつくられたことについては、私は敬意を表しております。産業用電力についても逓増制を採用されたということについても、これは評価できるわけです。  しかしながら、そういうような新しい料金体系というものを設定をされたことはそのとおり評価ができますが、いま触れられていない内部留保問題等についてはどういう査定をされたのですか。
  14. 山形栄治

    山形政府委員 ちょっと申し落としまして恐縮でございました。内部保留につきましては、今回の料金原価に算入されます内部留保といたしまして、先ほどもちょっと触れましたように、退職給与引当金減価償却をこの対象にいたしたわけでございます。この退職給与引当金につきましては、税法上の規定に基づく適正な算定がなされておるかどうかということをしさいにヒヤリング及び検討いたしたわけで、それに基づいて査定をいたしたわけでございます。  それから減価償却につきましては、真実かつ有効な電気事業用の試算であるかという観点、その辺を詰めまして厳正な査定を行なったわけでございます。  なお、租税特別措置法で認められております非課税の諸準備金がございますが、たとえば原子力発電工事準備引当金等のものにつきましては総括原価から除外いたしておるわけでございます。
  15. 村山喜一

    村山(喜)委員 いま内部留保の問題について二、三の例を引いて説明がございました。退職給与引当金、この点については整理をしたという話でございますが、これは税法によります課税限度額の超過分については整理をした、こういうふうに承ってよろしいのですか。
  16. 山形栄治

    山形政府委員 先生の御指摘のいわゆる退職給与積立金有税分取り扱いでございますが、これにつきましては、本来それは当然に有税で積み立てたわけでございますが、しかしながらこういう情勢のときでございますので、できる限りこれをいわゆる吐き出すという考え方に立ちまして、先生御存じだと思いますが、電気事業におきますいわゆる適正報酬考え方があるわけでございますが、これは総資産の八%ということに相なっておるわけでございます。この八%の中で金利及び配当を行なうということに相なっておるわけでございまして、今回はこの有税分につきましてはその適正報酬計算いたしますときの総資産から有税分の金額を引きまして、すなわち分母を小さくして、それに八%をかけることによりまして、有税分につきましての実質的な取り扱いをそういう形で行なったわけでございます。
  17. 村山喜一

    村山(喜)委員 わかりました。そこで、その原子力発電工事償却準備引当金でございますが、これは固定資産のいわゆる減価償却方式税法上認められているものがございます。十五年ということになっているのですが、過去のそれぞれ原発をすでに運行をしておる会社の今日までの減価償却の割合を見てみると、まあ租税特別措置法で認められたということもありますが、それによって相当な運転が、二年程度で四〇%程度償却がすでに終わっている、こういうような方式をとられているようですが、これはどういうふうにされたわけですか。
  18. 山形栄治

    山形政府委員 いまお話が出ました原子力発電工事償却準備引当金につきましては、これは租税特別措置法で特別なる償却が認められておるわけでございます。これはさきに中村委員からも御指摘がございましたが、その比率法定上の償却を行なっておるわけですが、二年くらいで四割くらいになっておるのがあるのは確かでございます。これは先ほど申し上げましたように、一応非課税の諸準備金でございますので、原価には入れませんでわれわれは処理いたしております。これはむしろ全体の内部留保の取りくずしの対象にいま相なっておりまして、原子力発電工事償却準備引当金について申し上げますと、四十八年度上期末の残高が九電力で五百一億円でございます。これは各社合計で、四十八年度下期にはこのうちの四百五十億円が内部留保の取りくずしが行なわれることに相なって、決算がなされることに相なっております。したがいまして、四十八年度下期末の残高は五十一億でございまして、上期の残高のちょうど十分の一にこれが減っておる。いわゆる九割方が取りくずしの対象に相なったと御理解を願いたいと思うわけでございます。
  19. 村山喜一

    村山(喜)委員 その点についてはわかりましたが、利益準備金はどういうふうに変化しておりますか。
  20. 山形栄治

    山形政府委員 利益準備金はいわゆる法定準備金でございます。これは計算配当金の一割を利益準備金といたしまして計上するということを商法上むしろ義務づけられておるものでございます。総括原価計算におきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、いわゆる事業報酬資産の八%、この中に当然にこれが入っておるということでございまして、利益準備金そのものを別途に総括原価で算入するということはとらなかったわけでございます。
  21. 村山喜一

    村山(喜)委員 その中には任意積立金分はありませんか。
  22. 山形栄治

    山形政府委員 任意積立金は入っておりません。
  23. 村山喜一

    村山(喜)委員 この委員会でもいつも問題になっておりました政治献金の処理については、原価料金査定とは関係がないとはいえ雑費の中できびしく査定をしたんだという話でございますが、それはどういうふうなきびしさの査定をされたものですか。具体的に説明してください。
  24. 山形栄治

    山形政府委員 いわゆる政治献金といいますのは、経費の中におきましては寄付金の中に入っておるわけでございます。今回、この寄付金につきましては、御高承のとおり、法定比率があるわけでございますけれども、われわれといたしましては、この辺の全体をきびしく査定するということで法定率の約三分の一にこれを圧縮いたしたわけでございます。その中で政治献金がどのくらいであるか、これはちょっと手元でいま私わからないのでございますけれども、電力会社といたしましてやはり地元の社会との関係その他一定の寄付金的なものが必要であることは一つ企業として認めざるを得ないと思うわけでございますが、それを法定の三分の一に圧縮査定をいたしたというのが実情でございます。
  25. 村山喜一

    村山(喜)委員 では続いてお尋ねいたしますが、各社が今度の料金申請にあたりまして電源開発税として見込んでおりました数字についてはどのような査定をなさったわけですか。
  26. 山形栄治

    山形政府委員 今国会におきまして現在御審議をお願いいたしております電源開発促進税法案、これによりますと、販売電力量キロワットアワー当たり八十五円ということに相なっております。すなわち、キロワットアワー当たりでございますと八銭五厘ということに相なるわけでございますが、これが平年度ベースで三百億円の税収ということに相なるわけでございますが、本年度初年度でございまして、いまの法案の立て方といたしましては十月一日以降これが施行されるということでございますので、初年度分としてはそれを下回って、三百億でございませんで、十月一日以降の施行ということで組み込まれておるわけでございます。
  27. 村山喜一

    村山(喜)委員 料金申請をする場合には、十月一日以降ということで下期に見込んで電力会社がそれぞれ料金の中にぶち込んだ形で申請をされているわけですが、前にも指摘をされたと思いますが、たとえば関西電力の場合には、上期から取るように内容申請がなされておったということも聞いております。そういうようなものは当然削られたものだろうし、それからトータルとして九電力がその料金の中に入れ込んだと思われる数字は幾らになっておりますか、それを説明願います。
  28. 山形栄治

    山形政府委員 関西電力、これは一社だけでございますが、四月からということで申請をいたしましたのは事実でございます。われわれはそれを今回の査定においては認めておりません。われわれといたしましては、もし法案が通過することでございますれば十月一日からそういうことに相なるわけでございますけれども、一応料金体系というかっこうでこれをならしまして、十月からということでございませんで、六月一日からならしましてこれを算入計算しておるわけでございます。ただ、ここで若干申し上げておきますが、現在まだこれが国会を通過いたしておらないわけでございます。そういう事情にかんがみまして、国会の御意思を尊重するという観点から、今回認可しました各社の電気供給規程におきましては、電源開発促進税法が成立するまでの間は同税相当分を差し引いた金額を料金として徴収するということをはっきり明記させまして今回認可をいたしたわけでございます。
  29. 村山喜一

    村山(喜)委員 その処理の事務的な手続についてはそれでよろしいと思いますが、問題はあなた方が査定をされたわけです。査定をされた場合には、そういうような税金関係料金の中に算定をするという方式を認めておるわけですから、当然電源開発促進税が入れ込めてある。その入れ込んである数字が大蔵省で歳入予定にしております数字と合致しているかどうかということが問題になってくるわけです。私はその点から追及しているわけですが、提出をされた資料は、私たちが聞くところによりますと、どうも大蔵省の歳入見積もりよりも多く電力会社電源開発税を見込んで料金の中にぶち込んでいるという疑いがある。したがって、この内容を明確にしておかなければぐあいが悪いということから質問をしているわけですから、数字でお答えをいただきたい。
  30. 山形栄治

    山形政府委員 促進税につきましては、先ほど申し上げましたように、十月一日から法案上はこれが対象になるようになっております。したがいまして、年のちょうど半分でございますので、発生主義の観点から原価計算上一応百五十億円、端数があるかもしれませんけれども、いわゆる半年分というものを原価の中に算入いたしておるわけでございます。これは発生主義でございますので、どうしても微収その他二カ月ぐらいのズレが生ずる、そういうことも含めまして、われわれのほうの交付金の交付の場合には約四カ月分の百一億円を計上いたしておるわけでございます。
  31. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこでお尋ねいたしますが、交付金としては四カ月分の百一億円だ。そうすると税の総収入は、大蔵省、幾らになりますか。百五十億ですか。
  32. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 お答え申し上げます。  初年度分の税収の見積もりにつきましては、お手元にございます電源開発促進税法案をごらんいただきますと、申告、納付のところで、第七条でございますが、毎月分を翌月末までに納めるということにまずなっております。それから附則をごらんいただきますと、「十月一日から施行し、同年十一月一日以後に料金の支払を受ける権利が確定される販売電気」云々につきまして適用が開始されます。したがいまして、年度区分といたしましての初年度税収は、十一月以降に適用開始になる税収分で、しかも二月分が三月末に納付されますので、十一、十二、一、二と四カ月分、実質、半年分でありながら税収の年度区分としては四カ月分、したがいまして百一億円という税収を見積もり計上してございます。
  33. 村山喜一

    村山(喜)委員 わかりました。そこで、税収の見積もりとしては百一億円、電源開発促進税が通るものとして料金の中にぶち込んだのは百五十億円である。そうするならば、明らかにこの点については五十億円というものが不当に九電力会社に収納をされる、料金収入という形の中でこれが留保されるということになるのですが、一体そういうようなことができるものかどうか、この点について政府の見解を尋ねておきたいと思うのです。
  34. 山形栄治

    山形政府委員 電力料金につきましては、これは当然のことでございますけれども、国民生活及び日本の産業全般を通ずる問題でございますので、われわれはこれをできる限り長期に安定的に保持するというのが前提でございます。御存じのとおり、電気料金は非常に長くこれが維持されておるのが通例でございまして、今回の申請の中でも、北海道電力等が二十年間一回も値上げをしなかったというようなことに相なっておるのもそういうことでございます。  われわれといたしましては、先ほどもちょっと触れましたように、今回原価計算をいたします場合には一年を対象といたしたわけでございますが、これは一年たちましたら再値上げをするということではございませんで、むしろ原価計算を一年でやりましたけれども、この料金体系は長期に維持するというのがわれわれの基本的な考えでございます。そういう観点から、今回発生主義でやはり債務としましては、十月の一日以降の販売電力料に対しまして税金がかかるわけでございますので、長期的な観点も踏まえて、やはり発生の段階からこれをコストに算入しておくというのがむしろ料金体系の長期安定の一つの趣旨に沿うものであるという考え方からそういう査定方針をとったわけでございます。そういうことでございます。
  35. 村山喜一

    村山(喜)委員 電力会社に対しましては、きわめて好意的な解釈をしていらっしゃる。  そこで、私はこの問題は通産大臣に御所見をぜひ聞いておきたいと思います。というのはいまお聞きのとおりに、この一千キロワットについて八十五円という形でやりますから、東京電力なりあるいは関西電力というような大口の販売電力を持っておる会社は、いまのようなやり方でやってまいりますと、非常にたくさんの、いわゆる電気料金の分の中に入れ込んだ電源開発促進税をネコババをするという形になるわけです。料金査定税法の上から許された四カ月分の徴収というものよりも、二カ月分よけいにそれをさかのぼって適用をして、それで新しい料金決定をするというやり方をお認めになるということは、これは国民の利益がそれだけそこなわれることになりますから、きわめて許せない政治的な判断による料金査定であるといわざるを得ないと私は思うのです。というのは、五十億円だからそれは長期展望の上に立って考えたらそれだけいいじゃないかとおっしゃるでしょうが、それは税金として公権力の名において強制的に取られるわけです。取られる国民の側から考えていった場合には、この点については納得できませんよ。その点について一体どういうふうにお考えになるのか。私は、この五十億円の差分については、明らかに不当な利得として計上しているわけですから、それだけ電力会社料金値上げ分を、もし十月一日から実施という税法が通るとしても、これについてはそういうような料金の徴収は許さないという方針をおきめになるのが正しいのではなかろうかと思うのですが、いかがでございますか。
  36. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 通産大臣からお答えいただきます前に、私の説明が若干不足であったようでございます。申しわけございません。  技術的な点をもう一度お答えさしていただきたいのでございますが、私どもの理解いたしておりますところでは、今回の認可料金の中で、先ほど説明ございました電源開発促進税が実施になる前の問題は別といたしまして、かりに実施になったという状況で考えますると、料金の中には一キロワットアワー当たり四円二十五銭入っておる。それは税法では八円五十銭でございます。税法では八円五十銭というのを、毎月平年度は十二カ月分納めていただくという前提でございます。それを料金査定のほうは、いわば半年分を織り込む。それをならして半分ということで四円二十五銭織り込んである。したがいまして四円二十五銭取り始めましてから一年たちますとちょうど税の半年分に見合ってくる、そのような査定がされておるようでございます。したがいまして、税のほうは徴収の開始が十一月であり、納付が十二月から始まりますから、年度で見ますと、初年度には四カ月分しか入ってまいりませんけれども、いずれにしても税が始まってからあとの一年を考えますれば、一年を通じて八円五十銭分の税は電力会社が負担しなくてはならない。消費者のほうは、いつから四円二十五銭を反映した料金を払うかという問題は、電発税の実施の時期いかんでございますけれども、いずれにしても始まって以降ずっと四円二十五銭を払っていく。そういう関係で、実質的な初年度分を六カ月と考えた場合には計算が合っておる。税収は初年度は四カ月分である。そういう関係にございますので、ちょっと事前に技術的な説明だけ申し上げさしていただきます。
  37. 村山喜一

    村山(喜)委員 これはおかしいですよ。あなたは一キロワット当たり四円二十五銭とおっしゃるが、電源開発税は一キロワット当たりに直すと八銭五厘ですよ。だから私は電源開発税のことを尋ねているわけでして、税として電力会社政府に一括納付をしなければならないのは十一月分の料金からですから、四十九年度においては四カ月分の税金を納めればいいのです。ところが事実上は新しい料金の中では六カ月分百五十億円取るように計算しておるじゃありませんか。だからその差額の五十億円分については、それは五十年度以降についてはそういうことはあり得ませんよ。しかし、四十九年度分については明らかに差が出てくるわけです。その差額は明らかに不当な収益ではないかといっているわけです。この点は通産大臣から答弁願います。
  38. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いま政府委員から御答弁申し上げましたように、年間を総合いたしますと大体バランスがとれる。そういうような考え方に立って各旬と申しますか、各年度四半期別の率をアジャストした、そういうふうに御理解願いたいと思うのでございます。
  39. 村山喜一

    村山(喜)委員 これは納得できません。というのは、平年度化された段階においてはいま通産大臣がおっしゃったとおりになります。しかし、初年度においては明らかに五十億円の食い違いがあることは事実です。これについてはどういうふうにされるのですか。いまの答弁では納得できませんよ。
  40. 濱野清吾

    濱野委員長 こまかい数字を出したらどうですか。わかるように説明しなさい。
  41. 大倉眞隆

    ○大倉政府委員 先ほど私ちょっとあわてまして、単位を一けた間違えたようでございますので、この場所で訂正さしていただきたいのでございますが、一キロワットアワー当たり八銭五厘を税として電力会社は負担していただく。電力料金にはね返されておるのは一キロワットアワー当たり四銭二厘五毛という計算になっておる。料金といたしましては、十月以降の発生分について負担が生じてくる。税の納付は十二月から始まる。いわば二カ月分は期ズレであるというふうに私どもは考えております。
  42. 村山喜一

    村山(喜)委員 期ズレであろうが何であろうが、その料金の中にその分だけ電力会社は余分に税金に充てるのだという名のもとに取り立てていることは間違いない。ということは、それだけ不当利得が九電力会社に集積をされるということになることにおいては間違いないのです。その点は事実でございましょう。
  43. 山形栄治

    山形政府委員 電気料金につきましては、原価計算をいたします作業上の前提として四十九年度一年を見たわけでございますけれども、これは先ほども言いましたように、四十九年度で終わりということでございませんで、長期に安定させたいと思っておるわけでございます。いまのお話は、債権債務的な考え方から申し上げますと、電力会社は十月一日以降の電力料につきましては当然に税金を払わなければいかぬわけでございます。ただ、発生主義と現実の約付との時期のズレがございますので、わかりやすく申し上げますと、来年の五月、六月にまたちょうど三月、四月の分は納める、要するに二カ月間ずれて納めるものは納めるということに相なっておりますので、コスト計算は発生主義をとったわけでございます。
  44. 村山喜一

    村山(喜)委員 長期的に見たら回収ができるような説明でございますが、税収として予定をしているものは百一億円だ、ところが料金の中で電源開発税分として織り込んであるのは四十九年度については百五十億円だ。このことにおいてはだれも事実関係を否定はできないわけですから、その点だけは明確にそういうような形で九電力のほうに残る、なぜかなれば税収はそれだけしか見ていないわけですから。そういうような意味においては、料金コストの中に織り込んでいる五十億円というものについては納得がいかない、この点だけを指摘をしておきます。  そこで第二点ですが、供給責任を果たさなければならないのは九電力でございます。一般電気事業者でございますが、いまの形で行った場合には値上げだけが残って供給が実現できないのではないかというのが政府も考えている点でございましょうが、その電力会社経営の責任というんですか、その点も問題があると思うのであります。そこで、私は今度の電力九社が申請をいたしました内容を調べてみると、四十九年度じゅうに十九カ所の大型発電所の完成、稼働が予定されているように見受けるのでありますが、それは申請どおりに稼働するものとしてあなた方はチェックされたのでございますか。その点についてお尋ねをしておきます。
  45. 山形栄治

    山形政府委員 発電所の建設につきましては毎年いわゆる電調審という、これは企画庁の機構でございますが、そこで発電所の建設の御審議を願いまして認可をいたすわけでございます。その場合には当然公害問題、立地問題等も含めてあれするわけでございますが、御存じのとおり、発電所につきましてはいわゆる建設期間がございます。四十九年度十九カ所というのは私いまちょっと手元数字がないのでございますが、四十九年度完成分というのは当然のことながらその電調審の過去の決定分でございまして、それは当然私のほうとしてはコスト計算のときにその計算の中に入れておるわけでございます。
  46. 村山喜一

    村山(喜)委員 私がそれをなぜ確認をするかといえば、電力九社の申請の中にあります十九カ所の発電所というのは実際に値上げ申請一つの基礎にもなっているわけですから、それがほんとうに稼働するかどうか、その点を確認をしておかないと、これからまた電力がどのように伸びていくかということによりまして周辺の電源開発促進税の税収がどれだけになるのかという見積もりができないわけです。そういうような意味においては、いわゆる電力の需要の見通しという点から見ますときわめて重大な要素になりますから、あなた方が料金算定をされる場合には、当然ながらそれもチェックされて、なるほどこの申請については七月だというふうに来ているけれどもこれは九月ごろからでなければ稼働しないだろう、そうなった場合には、電力の需要関係は、供給体系はどういうふうになるだろう、こういうような見通しをつけた上で料金決定をされていると私は思うのですが、その点はいかがでございますか。
  47. 山形栄治

    山形政府委員 いまの御質問の点につきましては、これは個々の発電所ごとに詳細にその完成時期等についてはチェックいたしております。  なお補足的に申し上げますと、先ほど電調審ということを申し上げましたが、電調審で過去に決定されまして、その後現在五カ地点三百五十万キロワットのものが未着手になっております。これらのものは、過去に決定になりましても、現在着手の可能性がございませんので、これは査定の場合におきます対象設備からははずしておるわけでございます。
  48. 村山喜一

    村山(喜)委員 皆さん方は発電用施設周辺地域整備法案を制定しなければならないということで資料をお出しになっていらっしゃいます。その内容を見てみますと、第二に、「近年発電所の立地は、地元住民の反対により難航することが多く、電気の供給力は、計画を大幅に下回っています。」こういうような表現で出されておりますが、その「電源開発の目標と着工決定実績」というものを調べてまいりますと、電調審の目標というものが示されておるわけですが、それに対する実績が出ております。しかし、その電調審で決定をしたものが一体将来の電気の需要と供給の上から見て、はたして今日のエネルギー危機の上に立った正しい数字であるのかどうか。電調審の決定の時期等を調べてみますと、年度末になりましてからこれだけのものが足らないからということでたいへんな量を追加して、そしてその年度の目標を設定をしてみたり、いろいろなぶかっこうなかっこうで目標を設定をして、達成率はこんなに低いのだ、こういうような数字をお出しになっているような作為的なものが感じ取られてならないのであります。  この中で私は山形長官にお尋ねをしたいのは、日本電力調査委員会というものが今度の電力料金値上げ決定の場合には需要想定をしているわけですが、これに基づいて各社出しておりますから、これとの関係が電調審との間にはどういうふうになっているのか。またこの中で四十九年度は五・一%しか伸び率がないと見ておるようですが、五十年になりますと一〇%は伸びるであろう、こういうような想定をしているわけです。ですから、対前年比で見てみると一一六%という想定をしておりますが、これははたしてそういうふうな見込みを立てることが妥当である、こういうふうにお考えになって査定をされたものですか。
  49. 山形栄治

    山形政府委員 電力需給の長期計画につきましては、電調審でこれをきめるわけでございます。この電調審の作業の前提といたしましては、政府の経済社会基本計画等が当然のこととして前提に相なるわけでございます。いま先生お話の現時点の電調審はたしか昨年きめたわけでございますが、これはオイルショックの前にきめたものでございまして、当時の情勢を反映いたしまして非常に高い伸び率を示しておったわけでございます。その後われわれといたしましては、これをこのまま採用するのは経済の実態に合わないという前提一つの作業を行なったわけでございます。むしろ筋といたしましては電調審または経済社会基本計画の改定というのがございますればこれが一番筋の通ったものでございますが、そういう時間的な制約もございますので、いわゆる御指摘の日本電力調査委員会という機構を活用いたしまして、四十七年から五十三年までの長期の電力の需給をはじいたわけでございます。  この委員会の構成でございますが、これは九電力のみに限りませんで、国鉄、住友共同電力等のいわゆる電気施設者も入れ、また公営電気事業経営者も入れ、それから電気機械の製造業者も入れますと同時に中立の第三者を入れておりますが、なお通産省と経済企画庁の職員も一応参与というかっこうでこれに参加いたしておるわけでございます。  いま申し上げましたこの日本電力調査委員会の作業の内容といたしましては、四十九年度が五・一%の伸びでございますが、四十七年から五十三年まで全部通覧いたしますと八・九の伸びということにいたしておるわけでございます。ちなみに、その場合の経済成長力も大体七%台ということではじいておるわけでございます。
  50. 村山喜一

    村山(喜)委員 おかしいですね。私が持っている資料からいいますと、四十八年の五月に想定をした需要想定では昭和五十年には四千百三十一億キロワットの電力が想定をされております。ところが四十九年の三月、ことしの三月に見直しをしておるわけですが、これでは四千二百十二億キロワットですから、かえって四十八年五月よりもよけいになるであろうという見通しを立てているではありませんか。そういうような数字の上からいえば、いまの長官の説明はおかしいです。その数字に間違いはございませんか。
  51. 山形栄治

    山形政府委員 ちょっと手元に資料もございませんが、今回の想定によりますと四十九年度が五・一の伸びでございます。それから五十年が九・八、五十一年が九・四、五十二年が九・三、五十三年が九・〇ということでございまして、だんだんと伸び率が低下するという前提でございます。  なお、先ほども申し上げましたように、四十一年から四十七年の年平均の伸び率は大体これに対応するのが二・二であったわけでございまして、そういう観点からいいますと、相当下げた想定をいたしておるわけでございます。
  52. 村山喜一

    村山(喜)委員 その数字もちょっと納得ができません。明らかに下げてはおるといいながら、新しく四十九年の三月に想定をした数字では、四十八年の五月に想定をした数字よりも上回っている。私の手元にあります資料にはそういうふうに書いてある。  そこで私お尋ねしておきますが、こういう電源の施設というものが各地につくられた場合に、その設備容量というものがきまります。それを最大出力の時点にとらえていわゆる稼働出力の予定というものとの比率をどういうふうに見ているのか、この点については、どうも電調審の見積もりというものは過大な見積もりを立てているのではなかろうかと思われる資料が手元にありますが、あなた方は、いわゆる設備容量に対する供給力の対比をどのようにとらえておいでになりますか、説明願います。
  53. 山形栄治

    山形政府委員 稼働率について申し上げますと、一番主力でございます火力、原子力は大体七五%でございます。それから水力等につきましてはまちまちでございますが、いわゆる稼動率としては、当然のことながらそれよりも非常に下回るわけでございます。
  54. 村山喜一

    村山(喜)委員 私はそのほかに今度の電気税と電源開発税との関係についてもお尋ねをしておきたいと思ったのでございますが、時間がないようでございますから、最後の段階で中曽根通産大臣にちょっとお聞きしたいと思います。  日本電力調査委員会の需要想定、それから電調審の四十八年の十二月決定の発電設備増強の試案、それから七二年の閣僚協によります長期エネルギー計画、それに今回科学技術庁のほうの原子力委員をしております稲葉先生の私案、その前に通産省の総合エネルギー調査会の四十五年の七月の見直しをしたもの、こういうようなものをずっと見てまいりますと、長期的なエネルギーの需給計画、その中におけるところの電力の需要と供給の見通し、それがGNPにどういうような影響を与え、そしてどういうような形でこれから最低限保障をしなければならないかということについては、残念ながら政府としての一つのまとまったものがないように見受けるのであります。そこで、六月には一つの中間答申をやるのだというような話も聞いておりますが、政府としてのエネルギーの長期的な展望の上に立つ電力の供給体系の問題を一電力会社に責任を負わせるということではなくて、やはり国が責任を持って、営業会社である電力会社はこの点についてはここまでは責任を持て、それから電発株式会社についてはこういうような部門を持つべきだ、政府としてはこういうようなものについては責任を持つべきだ、だから国民は協力をしてもらいたいという一体的なものを、国民が納得をし得るようなものを提示してもらわなければ、電源開発促進税で税金を取るとか、あるいは周辺整備で法律を制定するとか、これだけではどうも国民から納得を得られないのではないか、そういうような気がするのでございますが、これに対する政府としての——いままで私が質疑を行ないました中においても明らかに食い違いがある。この点を踏まえて、どういうふうにするのか、考え方、所信をお聞かせを願っておきたいのでございます。
  55. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 御質問の筋にはごもっともと思われる点が多々ございますが、なかんずく電力供給の責任分野につきましては私も同感に思います。やはり政府電力会社あるいは国民あるいは公共団体、おのおのが協力しなければできません。今回総合エネルギー調査会でいろいろ日本のエネルギー関係の将来性の見通し等についてつくっていただいておりまして、その答申を待ちまして、政府としては、最も最近の時点における、また石油問題がこういうふうに変化した時点における見通しを国民の前にお示しするつもりでございますが、それに基づいていろいろ供給計画をつくる際にも、御指摘のとおり、おのおのの責任分担を明らかにして、合理的な責任分野をきめつつこれを推進してまいるつもりでございます。
  56. 濱野清吾

    濱野委員長 岡田哲児君。
  57. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 まず電調審のことについてお伺いをいたします。  いままでもいろいろ話がございましたが、言うならば、非常に立地が困難である、困難にさせている原因というのは地元住民の相当強い反対があって立地が困難だ、こういうふうに言われておるわけであります。いままでの説明によりますと、全国五カ所の地点でまだ立地ができないのでありますが、電調審が決定をしたにもかかわらず、それが実現をしない。私は、たいへん問題だというふうに思うのであります。問題は、電調審の権威の問題といいますか、やはりあり方が相当問題になるのではないか。言うならば、反対運動をしている地元住民の気持ちからいいますと、非常に電調審に対する不信感が強い、こういうことを実は考えているわけであります。電調審側は、いままで決定を見ながら立地がされない、その原因は地元の反対であるということですが、一体決定する以前にそういうものをどのように把握をされ、どういうような手順を踏んで決定をしたか、この辺を明確にしていただきたいと思うわけであります。
  58. 山形栄治

    山形政府委員 電調審は企画庁の所管でございますが、われわれの聞いておりますところによりますれば、電調審では、地元いわゆる県、市町村の意向を十分に参酌してこれをきめるということに相なっております。ただ、反省すべき点といたしましては、やはり現地の調査等につきまして、従来若干不備な点があったのではないかと思うわけでございまして、今後は現地調査等の完備等も事前にこれを行なうようなことが非常に大事なことであろうと考えるわけでございます。
  59. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いま長官のほうからも話がありましたように、言うならば、先日も渡辺委員質問に答えて、現地の声をよく聞く、この現地というのは都道府県である、こういうふうに言われているのでありますが、現在問題が起こっているのは、県と市町村、あるいは市町村が県にべったりの場合には、市町村と住民という対立が起こっているわけであります。言うならば、いままでの電調審が住民サイドの声を聞かずに、県サイドの話で進めてきたところに最も大きな原因がある、私はこういうふうに考えるのであります。  いま私の手元にあります中で、渥美の三号機の問題がございますが、この三号機の認可がされましたのは昭和四十五年の四月二十七日なんです。中電が三月に申請を出して、四月初めに町議会の全員協議会に増設計画を説明して、町側の同意を求めた。このとき一号、二号機はまだ工事中でございまして、正式運転は大体一年以後になる状況でございました。たまたま町長の出身地がこの一、二号機の建設地元でありましたので、自治会にはかってその意向を聞いたところ、夜を日についでの工事のために農村の生活がめちゃめちゃにされて、この工事途中で増設問題を出すということはもってのほかだという反対意向が強く出された。そのために町長はあわてて、予定されておりました全員協議会を一週間延ばして開いた結果、中電側に対して留保されたいということを申し入れることになったわけであります。この町長は、さらに電調審に対して増設計画を取り下げるように中電に申し入れ、しかも二日後に三号機の認可が発表されたわけであります。   〔委員長退席、稻村(佐)委員長代理着席〕 中電でも、さっそく取り下げるように通産省に話をいたしましたところ、通産当局は、電調審は国の産業計画に基づいて電源開発に取り組んでいるので、いまごろになってそんな地元の都合であれこれできるものではない、そんな弱腰でどうするかということで逆に通産省は中電側をどなりつけた。そのために引き下がって、中電側の説明では、まことに申しわけないという説明が現地にされているわけであります。  こういう経過を見てみますと、当然、県からはオーケーの話が出て審議会は決定したわけでありますが、現地においてはこういうような状態が続いて、現在の時点の状態とすればやはり回答保留のままの状態だ、実はこういうふうに思うのであります。一番問題は、先ほどからも触れておりますように、このように現地の実情を把握せずに、書面審査でやるのか何でやるのかわかりませんが、決して地元の意向を十分に聞いているということではないと思うのであります。全国五カ所に決定を見ながらまだ立地がされていない。これはこの法案審議の最中でありますが、問題は、もとの状態に戻すべきじゃないか、一回白紙に戻したらどうか、こういうふうに実は申し上げたいのであります。  大臣にお尋ねしたいのでありますが、いままで申し上げたように、長官も認めているように、やはりいままでの電調審のあり方というのは非常に形骸化し、あるいは民主的な手続も踏まずにやってきた、こういうことでございますので、いま申し上げたことについての御意見を聞くと同時に、いままでの五カ所の電調審の決定というものを白紙に戻してもらいたい、こういうことを申し上げて考え方を聞きたいと思います。
  60. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 電源開発が地元の協力なくしてできないということは御指摘のとおりであり、そういう点につきましては、われわれはさらに民主的に地元の御意見をよく尊重し合いながら進めるように、現地あるいは会社等についても指導してまいりたいと思います。しかしながら、すでにきめた五カ所の電調審の決定を白紙に戻すということはきわめて困難であると思いますが、将来につきましては、いま御指示の点をよく注意いたしまして、電調審自体が形式化しないように、形骸化しないように、単に書面審査でものが動いていくというようなことをやらないように、実態に即してやらせるように努力いたします。
  61. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 実はアメリカの立法を見たのでありますが、これは性格は違うと思いますが、そのあり方について非常に参考になるというふうに考えるわけであります。  この法律の名前は一九六九年国家環境政策法、これの百二条になるわけでありますが、この中で言っておりますことは、環境に与える影響、それから実施された場合に避けがたい環境上の不利な効果、提案された措置にかわるべき措置、人間環境の地域的な短期間の利用と長期間の生産性の維持、増強との関連、それから実施された場合、当該措置に伴う資源に関する一切の回復、変更しがたい悪影響、こういうものを連邦担当官が詳細な説明書を作成していくというのであります。やはり電調審は現在相当住民に不信を買っている。今後促進していく上からも、もう少し電調審のあり方を民主化し、もっと権威を高めていくという立場でぜひこの機会に体制を整えてもらわなければやはりうまく行かぬのではないか、こういうふうに思うのでありますが、こういうものについての大臣の考え方を聞いておきたいと思います。
  62. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 アメリカのそういういろいろな行き方というものは参考になると思います。ただ、日本とアメリカとでは、立地条件や住民の分布状態とか自然の景観とか、いろいろな相違があると思いますが、しかし住民の意向とか環境とかいうものを重要視するという点は、われわれも大いに考えなければならぬところであります。電調審につきましては、御指摘のように形骸化し、形式化しているきらいがなくはないと思います。その点につきましては、御指示に従いまして、実態に即して改善するようにいたします。
  63. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 それでは次に移りますが、四十七年六月に窒素酸化物の環境基準に関する資料というのが出されておりますが、この中に、二酸化炭素濃度は調査月間をはさむ三カ月にわたり各八時間から七十二時間の測定が行なわれた、持続性せきとたんの有症率が四%をこえた地域平均濃度で〇・〇四二PPMであったというふうにいわれておるわけであります。これによってもわかりますように、有症率四%という上に立って持続性のせきとたんの調査をした結果、平均濃度は年平均値の〇・〇四二PPM、これはさっきからもいわれております人体に有害である、こういうことがこの数字から見て明らかだというふうに思うわけであります。こういう発表から見まして、四十八年七月の環境庁の中間報告、これとも比較をして見ますと、完全に有害な状態に現在あるということがこれで立証されると思うのであります。これについて、環境庁側の御意見を聞いておきたいと思います。
  64. 石田齋

    ○石田説明員 お答え申し上げます。  窒素酸化物によります大気汚染の現状を申し上げますと、四十七年度のデータでございますけれども、全国百五局のうち松江市の国設測定局一局のみが環境基準に適合しておるといった状態でございます。その他の地域につきましては、二酸化窒素の環境基準二十四時間値の平均値でございますが、〇・〇二PPMと定められておりますが、地域によりましては〇・〇四PPMあるいは〇・〇六PPMといったような現状でございます。
  65. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いまのこれとあわせてでありますが、Noの影響が一体どういうふうになっているか。さらに窒素酸化物と亜硫酸ガス、さらに粉じんとの複合作用、これがどういうふうになっているかという点について解明をされたいのであります。  再びさきに申し上げた渥美の話に移るわけでありますが、本年の二月二十六日に、渥美医師会でこういう「通信」という形で発表されておるのでありますが、閉塞性呼吸器疾患の調査、これは県の医師会の依頼によって全体の患者を調べて、その中で閉塞性呼吸器疾患の状況について、四十六年度から四十九年度までの四回にわたって実は調査がされているのであります。   〔稻村(佐)委員長代理退席、委員長着席〕 これを見ますと、四十七年二月には二・一%、四十七年九月には三・六%、本年の四十九年二月には五・三%というように、患者の数が相当急速に伸びているのであります。いろいろ現地におきまして大学の先生なども加えながら審査をしたのでありますが、問題はやはりここの地域では火力しか工場はないのでありまして、すべてこの火力が原因をするというふうに判断をいたしておるわけでございます。しかも、この患者の調べからいきますと、郡民の中で百人に大体一人以上、二十五世帯で一人以上と、非常に人口の少ない地域でございますから、この日一日の調査の結果から推計をいたしますと、実はいま申し上げたような推計になってくるのであります。この病気の原因が一体何であるかということがいまだ明確にならないのでありますが、いま申し上げたNo、あるいは窒素酸化物と亜硫酸ガスの混合、さらに粉じん、こういうようなものとの関係があるのではないかという気持ちもいたしておるわけであります。  この機会に申し上げますと、昨年の一月、二月に中電の渥美火力で事故がございまして、灰が飛んでカンランに斑点をつくったというのであります。それがことしに入ってようやく農協との間に話はついたようでございますが、やはりこの灰の中身は硫酸を含んでいるというふうに調べた結果はいわれているわけであります。これはカンランの上に落ちたら斑点が出るのでありますが、カンラン以外の土地の上にもあるいは住民の上にもこれが降っていることは当然でありますし、このときは中電側は集じん機の故障でその集まった灰が舞って事故が起こったのだ、こういうふうに言っておりますが、問題はそういう事故の起こっていないことし再びこのカンランに斑点が出ているという点から見ますと、煙突から出て大気中に放出されているのではないか。こういうふうに、カンランといい閉塞性疾患といい、地元とすれば相当な不安があるわけであります。こういうものについて一体環境庁はどういうふうにタッチをしているか、いままで調査をされた内容についてお伺いをしたいのであります。先ほど申し上げた複合の点についてもあわせて見解をお伺いしたいと思うわけであります。
  66. 竹中浩治

    ○竹中説明員 ただいま先生お示しの渥美郡医師会の調査は、先生お話しのとおり四十七年二月が外来患者の中で呼吸器疾患の患者が二・一、それから四十九年二月が五・三ということで公表されておりますことを承知いたしております。ただ、この調査は非常に貴重なものでございますけれども、やや分母と申しますか、その数が若干少ないという点が一つございますし、もう一つ、いまのパーセントは分母を外来患者数にとってございますが、あるいは人口を分母にしたほうがいいのではないかというような点もございまして、私どもとして直ちにどう評価するかなかなかむずかしい点がございます。ただ、この調査結果につきましては、郡の医師会におかれまして後刻また疫学的な考察を追加発表したいというお気持ちのようでございますし、私どもまた県に対しまして、県で行なっておりますたとえば一般住民検診とかあるいは成人病検診、それから過去のいろいろの疾病、死亡等の統計につきまして十分県で検討してもらいまして、その地域の住民の健康状態の把握につとめるよう指導してまいりたいと思っておるわけでございます。  それから後段のほうのNo2あるいは粉じん、Soxの複合汚染の問題でございますが、先ほど先生お話がございましたように、私どもやっております調査でNo2と呼吸器疾患との相関の問題はある程度はっきりしつつあるわけでございます。ただSoxは非常に多くの経験がございますので、Soxについては非常に詳細にわかっておる。それと比較してNo2はまだもう少し詰めていく問題があろうかと思っております。  それから粉じんにつきましても、Soxに粉じんが加わりますと呼吸器疾患の発生率が高いということはすでにわかっておりますが、Sox、No2ないしはNoxあるいは粉じん、その全体の複合汚染につきましては、特にその量的な問題等につきまして、私どもただいま鋭意研究を進めていただいておるところでございまして、できるだけ早くこういった問題を明快にしてもらいたい、そのように考えておる次第でございます。
  67. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 大臣、いま話がありましたように、現在どんどん発電所をつくっていこう、そういう気持ちのあるときに、いま申し上げたNoの影響、複合汚染の問題というのはまだまだ研究最中ではっきりしないというのであります。いま渥美の例をとったのでありますが、この閉塞性の呼吸器疾患についてもさらに今後進めていかなければならぬ。そういう身体上に及ぼす影響あるいは生活環境に及ぼす影響というものについての不安がやはり反対運動の中に根強くあるわけであります。どんどん金を地方に出して発電所をつくればいいというものでなしに、こういう点を早急に解決しない以上、本質的な解決にはならぬのじゃないか、私はこういうことを言いたいわけであります。  いま申し上げたように、私としては、この間から大臣が何回も言っておりますように、当然これを促進すると同時に、安全性と環境汚染の問題については積極的にやるのだ、こういうふうに言われているわけでありますが、申し上げたこの点について、現在まだまだはっきりしない。現に病人がどんどんふえている、その原因もはっきりしない、こういう状態にあるわけですが、これについてどう思いますか。
  68. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 環境庁の示された基準を一方において厳格に守らせると同時に、また一方においてはそういう患者が発生するかしないかというモニタリングを厳重にやって、常に確かめ確かめ進んでいくということが正しい態度であるだろうと思います。しかし、一応きめられた環境基準を厳格に守るようにいまも励行しておるところでございまして、現在のシステムややり方についてもし欠陥がありとすれば、それはさらにわれわれとしては謙虚に耳を傾けて、直すべきところは直していかなければならぬと思っております。現在電力会社等はかなり経営の苦しいという情勢でございますが、環境の維持については非常に熱心に実はやっておると私は見ております。いろいろ経営的には、ミナスの高い原油を使うとかナフサを使うということは苦しいところでありますけれども、しかし住民との協定あるいは地方団体との協定を順守して確保するために、いまの電力会社の社長や諸君の意識を見ますと、それに非常に重点を置いてやっておるのが現状である、私らはそういうふうに認識しておりますが、この上ともそれを励行させて、環境問題について非難がないようにいたしたいと思います。
  69. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いまも重大な発言をしたとぼくは思うのであります。この間から試行錯誤という話がありますが、現に病人が出たり、数がどんどんふえたり、カンランに斑点が出たりということが起こっているのですね。言うならば、住民がほんとうにモルモットにされているということでありまして、そういう試行錯誤は当然なんだといわぬばかりのことでは、これはなかなかいかぬわけであります。どうかこれを契機に厳格に守らせると同時に、試行錯誤というようなことは私は訂正してもらわねばいかぬ。これは非常に誤解を生む話でありまして、モルモットにしてしまうというごとになると私は思うのでありますが、大臣どうですか。
  70. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 試行錯誤ということばがもし適切でなければ取り消しいたしますが、私が申し上げた真意というのは、科学技術一般の場合には、特に未知の新しい科学技術に取り組む場合には、安全圏を見計らって、そうしてともかくある許容量の範囲内に前進してみる、そこまでやってみて、今度はさらに拡大された安全圏というものを設定して、許容量をつくって、その範囲内でまた前進してみる、そういうふうに、シャクトリムシが進むようにしながら、安全圏、安全圏の範囲内で自分の領域を拡大していく、あるいはその逆の場合撤退していく、そういう場合があり得ると思うのです。そういう科学技術一般の取り組み方についてこれは申し上げたのであります。  住民の環境問題につきましては、これはもちろんゆるがせにできないところでありまして、環境庁が設けられました基準はもとより厳格に守って、そうしてその基準を達成して責めを果たしていかなければならぬ、そう思っております。
  71. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 大気汚染防止法の施行令によるものでありますが、五十年七月一日から重油燃焼によるもの二百三十PPM以下、LNG燃焼によるもの百七十PPM以下、こういうふうになっているわけでありますが、東電で試験をしたのを私新聞で見たのであります。この試験は、ボイラー改造によって二段燃焼法と排ガスの再燃焼の方法の併用ということで試験をした結果、改造前が二百五十から三百五十PPMであったものが、百五十から二百PPMになった、これは四〇%その試験の結果減った、こういうことが行なわれているわけであります。問題は、私の言いたいのは、こういうふうに技術開発がされて、そういうふうな設備をすればやはりできるのだ、こういう実証だと思うのであります。こういう実証がある以上、やはり基準以下にするためにすべての発電所の窒素酸化物の排出基準、こういうやり方でやればできるという実証があるわけでありますから、ぜひこういう方法を、五十年以降を待たずに直ちにやる姿勢をとったらどうか、こういうふうに思うのでありますが、いかがですか。
  72. 伊藤栄一

    ○伊藤説明員 電気事業におきますNox対策につきましては、先生指摘のように、燃焼方法の改善によりまして対策を現在実施中でございます。燃焼方法の改善と申しますのは、二段燃焼、それから排ガス混合法による改善でございまして、大気汚染防止法に定められました五十年の六月末までに全発電用のボイラーを改善する、そういうことで現在工事を進めておるところでございます。  さらに、将来につきましては排煙脱硝技術の研究開発、こういったことを積極的に進めるように現在業界を指導しているところでございます。
  73. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いや、そういうことを聞いているんでなしに、これは大臣にお伺いをしたいんですが、問題はやろうと思えばいまのようにもう実証済みなんですね。ですから、五年も八年も待たずに、どんどんいい方法だというものが開発されたならば、それを全国に推進をしていくという立場をとるべきではないか。地方の自治体に交付金や税金を落としていくというのもそれは確かに一つのメリットでありましょうが、それよりも先に公害を起こさせない、そういう不安をなくすというためにはいま申し上げたような方法があるんですから、五年、八年待たずにどんどんやったらどうか、こういうことを言っているのでありまして、大臣からお答えを願いたいと思います。
  74. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 環境を浄化して住民のために一生懸命努力するということは政府が当然やるべきことでございまして、もしそういう確実に改良された方法が発明され、それが経営的にも合理的に行なわれる、そういうものであるならばもちろんこれは採用して改善に資すべきであると思います。
  75. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 次は環境庁にお伺いしますが、現在の排出基準に対して地方自治体が上のせをするという問題があるわけであります。これに対してどうも自治体との間に意見の対立がある、言うならば、現在の公害防止技術から見て困難だというような立場でどうも自治体と対立しているような向きがあるわけでありますが、これは現在どういうふうにお考えですか。
  76. 石田齋

    ○石田説明員 お答え申し上げます。  二酸化窒素の上のせ基準につきましては、大気汚染防止法の第四条によりまして都道府県の条例で上のせの排出基準が設定できることになっております。
  77. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 いまちょっとよくわからなかったのですが、上のせを認めるという立場で私はいま申し上げたのですが、そういうふうに受け取っていいのですか。
  78. 石田齋

    ○石田説明員 大気汚染防止法上第四条で、上のせは二酸化窒素については排出基準を条例で設定できるということになっておるわけであります。
  79. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 できるということですが、現在の実態はどんなふうになっていますか。
  80. 石田齋

    ○石田説明員 われわれ昨年夏に窒素酸化物の排出基準をきめたわけでございますが、その際に各専門家の方々にお集まり願いまして、現段階の技術で最もきびしい基準ということで設定いたしましたので、現在私のほうで聞いております限りにおきましては、地方公共団体で、条例等によりまして、それよりきびしい排出基準をきめた例は聞いておりません。
  81. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 そうすると、実態を見るとそういうところはない、こういうことですか。
  82. 石田齋

    ○石田説明員 いまのところ、聞いておりません。
  83. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 私、先ほどから言っているように、五年、八年というようなもので考えているのでなしに、早急にやれ、こういう立場でいま言っているわけであります。ですから、現在いろいろな問題はあるでしょうが、やはり上のせできるところはどんどんやっていく、こういうことで現在の考え方を聞いているのでありまして、もう一度お答え願いたいと思います。
  84. 石田齋

    ○石田説明員 条例によります上のせ排出基準につきましては、そういった防止技術が開発されますれば、各都道府県におきまして条例によってきびしい上のせ基準をすることがあろうかと思います。
  85. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 非常にあいまいな答弁だと思うのであります。確かに技術上で五年、八年というふうにきめたと思うのでありますが、いまたとえば東電の例を申し上げたように、どんどんやろうとすればできるわけであります。ですから、何も五年、八年を待たずに、できるところからどんどん推進していく、もっときびしく進めていくということをたびたび聞いているのですが、そういう立場で答弁を願いたいのです。何も八年後のときにそうなりますということを聞いているのじゃないのです。もう一回お答えください。
  86. 石田齋

    ○石田説明員 二酸化窒素にかかわります環境基準、これを設定する際に、人の健康を保護する上で十分な安全を見込んで設定しておるわけでございます。したがいまして、原則として、大気汚染の状態が環境基準を越えている地域につきましては五年以内においてできるだけ早急に環境基準を達成する、そういうふうにつとめるべきであるということはもちろんでございます。しかし、地域の大気汚染の実態、それから発生源に適応し得る防御技術の状況によって検討を加えまして、総合的に対策を講じましても五年以内に達成が困難な地域につきましては、中間目標を設定することもやむを得ない、こういうような考え方でおるわけでございます。
  87. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 非常に不満足でありますが、とにかくいままでの質問を通じて、電調審の体制をさらに根本的に民主的に形骸化をなくして変えていく。この根本的に変えるという意味で大臣からも前向きな話がありました。いまあとで申し上げましたように、基準につきましてもさらに前向きで積極的に取り組んでいただく、こういうことで一応確認をいたしたいと思っておるわけであります。  次に、大臣にお伺いをしておきたいと思います。この需給の関係で大体五十三年でマイナス二・八%というふうになる、マイナスになってたいへんなんだ、だからこの法案がどうしても必要なんだ。根拠をここに求められていると思うのであります。大体この見通しを立てたのは、いままでの審議の中で明らかになりましたのは、日本電力調査委員会、これが出しているわけであります。この調査委員会にはどうも通産省の担当官も参画して一緒になってつくっている、こういうことでありますから、当然政府側もこの数字をきちっと承知をしていると思うわけであります。しかし、見てみますと、この状態は各電力会社から申請してきたもののトータルというようなことであるように考えるわけでありますが、このおもなファクター、基本線というようなものは一体どういうように考えられているのか。さらに、省資源だとか省エネルギーという点、そういうものが全然盛り込まれていないように見られるわけでありますが、この辺について、これがマイナスになるから発電所をどんどんつくらなければならぬという根拠になっている点でございますから、この点についてだけお伺いをして終わりたいと思います。
  88. 山形栄治

    山形政府委員 先ほども申し上げましたように、現在、政府側の長期の計画がございません。現在、企画庁におきます長期計画の改定作業、通産省の中におきます総合エネルギー調査会の作業等が進行いたしておるわけでございますが、電力サイドとしましては、いまの機構を使いまして、先ほども申し上げましたように四十七年までの平均伸び率約一一・二を八・九というふうに下げまして、成長率におきましても七%台を想定して一応長期の需給をはじいたわけでございます。もちろん、今後政府側の作業が進みましてこれが確定、作成ができましたときには、それとの調整をはかることは当然でございます。
  89. 岡田哲児

    ○岡田(哲)委員 終わります。
  90. 濱野清吾

    濱野委員長 神崎敏雄君。
  91. 神崎敏雄

    ○神崎委員 わが党は、これまでに環境破壊、原子力発電の安全性の面からこの法案の持つ危険な性格について明らかにいたしました。また、電源立地促進のねらいが大企業、とりわけ電力多消費型産業の高度成長をささえるものであること、これも明らかにいたしました。これらの審議を通じまして、この法案がきわめて問題の多いものであることが明らかになりました。そこで、私は法案の中身そのものの問題点について今日は質疑をいたしたい、こういうふうに思います。  そこで最初に、第三条の地点の指定について伺いますが、第一項第一号の計画が確実であるものというのはどういう基準に合致したものをさすのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  92. 山形栄治

    山形政府委員 発電用施設の設置につきましては、先ほど来話が出ておりますように、いわゆる電調審の審議決定を経るわけでございます。この決定に際しましては、都道府県知事の意見を聞くということに相なっておりまして、私のほうといたしましては、電調審の審議決定がなされておればそれは一応確実である、こういうふうに考えておるわけでございます。
  93. 神崎敏雄

    ○神崎委員 電調審で承認となりましても、住民の反対運動が引き続き行なわれていることは当然あり得ることでありますが、その場合は住民の反対運動との関係ではどう見ていくのか。住民の反対運動があってもその地点指定というものをするのかどうか、この点伺いたいと思います。
  94. 山形栄治

    山形政府委員 地元の意見の聴取ということは、現在の地方自治法の観点からいいますと、最終的には都道府県知事の御意見にわれわれとしては従わざるを得ないわけでございます。一応この法律のたてまえといたしまして、その決定前提にした電調審の決定でやるわけでございますが、地元のいろいろな御意見というのは当然にまたあるわけでございます。したがいまして、電調審の決定がありましても、ほんとうの着工までの間には実質的に地元とほんとうの意味で調整がはかられるのが電源立地の本筋だと思いますので、一応法律のたてまえでは電調審で行ないますが、九お、最終的な地元との調整は、会社側、国側、県側としてもこれを行なうのが当然だと思うわけでございます。
  95. 神崎敏雄

    ○神崎委員 必ずそういうふうに地域住民の意見を基本にしてやっていただきたい、こういうことを申し添えておきます。  そこで、先日の参考人への質疑の中で、参考人の方々から、整備計画が主務大臣の承認制になっていることについて、地域の整備は地方自治体の自主性に基づき行なわれるべきものである、こういう批判的な意見が出されたのですが、地域整備計画を主務大臣の承認制とすることは地方自治も無視、軽視することになると思いますが、この上はどういう考えでおられますか。
  96. 山形栄治

    山形政府委員 整備計画の内容は、道路、港湾、漁港その他いわゆる公共施設でございます。これは、その地域におきます公共事業の整備とあわせまして、国または地方で行ないます一般の公共事業との調整もはかる必要があると思うわけでございます。また、この整備計画上の公共事業につきましては、特に法律上も財政的に配慮するという規定にもなっておりまして、いずれにしましても、公共事業全体の調整というのを国の責任においてはかるべき必要があろうかと思うわけでございます。したがいまして、都道府県、市町村の御意見は十分に参酌しながら、これを中央におきまして、それぞれ建設省なり農林省なりが全国的な調整をはかり、むしろそれをほかの公共事業との補完的な効果も含めて促進する、こういうたてまえで、全国統一的にこれを運営するということにいたしたわけでございます。
  97. 神崎敏雄

    ○神崎委員 委員長も非常にせかれておる情勢でございますし、時間もだいぶ制約されているので、一々反論的な意見は申しません。ずんずん聞きますから、答弁のほうも反論をさせないような答弁をひとつしていただきたい。  次、四番目に聞きますのは、整備計画の作成に関するこの法律の非民主性は、主務大臣の承認制だけではなくて、周辺地域整備に最も関心の深い市、町、村、いわゆる市町村には都道府県知事に意見を言う以外に全くここでは権限がない。これでは、先ほどからの答弁にあるように、地域住民の意思を反映する道は全く閉ざされていると言っても過言ではないと思うのですが、これは保証されておりますか。
  98. 山形栄治

    山形政府委員 先生のおっしゃいますように、実質的には関係市町村が意見を出しました場合に、これを都道府県知事が十分に聞くというのが当然でございます。都道府県知事といたしましては、先ほども述べましたように、県内のいろいろなほかの公共事業とのバランスを考える必要もありましょうし、むしろそれとの調整をはかるという必要もありましょうから、それで意見を聞くということになっておりますが、趣旨はあくまで地元の意見を十分に参酌するという趣旨でございますので、そういうふうに運用いたすつもりでございますので、御了承願いたいと思います。
  99. 神崎敏雄

    ○神崎委員 趣旨を尊重するということを繰り返しておっしゃっているのですから、あとでこの点については一言だけだめを押した質問をしたいと思いますが、続いて第四条三項について伺います。  ここでは、整備計画が発電用施設関連施設をあわせて整備するように限定されておりますけれども、これでは地域住民がほんとうに必要とする計画になる保証が——先ほど言うように発電用施設関連施設、こういうものがこういうワクで限定されている。それでは、地域住民のほんとうに必要とする計画なるものが保証されない、こう思うのですが、これは保証されるのですか。
  100. 小野雅文

    ○小野説明員 いまのあわせてというのは、なるべく弾力的に解釈したいというふうに考えております。  実態的にはどういうことかと申しますと、たとえば発電所の建設と同じ時期にやるといったような問題ですとか、たとえば発電所ができ上がってから十年もあとに整備計画というのではおかしいということで、時間的に一致しているというようなこととか、あるいは地理的に一体となっているというふうなことで、かなり弾力的に解釈したいと思います。
  101. 神崎敏雄

    ○神崎委員 残念ながら時間が少ないのですが、たとえば発電所ができる、それを基準に道路ができる、あるいは港湾の整備をする、いろいろなものが、発電所ができるということを基準にしてできる。地域住民はここに道をつくってほしいと言うてもそれが優先されないで、発電施設というものができて、そこの便利のためにあらゆるものの施設が前進したり建設されるということになれば、それは地域住民の意見に沿ったものではない、こういうふうに考えるのですが、そういうことにはならないのですか。
  102. 小野雅文

    ○小野説明員 いまの問題では、地元の福祉向上にも役立つことというようなことが法律の上にも書いてございまして、むしろ地元でどういう道路をほしがっているかということを見た上で、それを整備計画に乗せていきたい。  それで、先生のおっしゃいました発電所の建設のために必要な道路というのはむしろ工事用道路でございまして、そういうようなものは電力会社の負担でつくるべきものではないかということで、私ども考えているのはそれとは違って、その地域の住民が望んでいるような道路をつくるというふうに考えたいと思っております。
  103. 神崎敏雄

    ○神崎委員 それでは一般的な公共事業ということになるのであって、ことさらにここでそういうことに関連したものまで含まなくても——私はそれは必要がないと思うのですね。特にここでそういうふうに触れているということは、それが基準であるということを裏づけている、こう思うのです。  そこで、いまの問題について少し関連して申しますと、地域の開発整備は、やはりこれは独自の必要性から生まれるものであって、地域住民の意思に沿って独自に行なわれるべきものである。これがいまも言われたように原則ですね。発電用施設関連施設と結びつけることは、やはり地方自治に対する侵害あるいは干渉、こういうものにもつながる。結果としては、地方自治体の自主性というものを奪うことになる。したがって、そういうこととこれとはやはり完全に切り離すべきだと思うのですが、いまあなたのおっしゃったことは、切り離したこと炉を意味するのか。いわゆるこれとの関連なしにやることは、それはこれには関連ありませんから、そういうものであるなら私は一般論として承っておくが、特にこういうことをうたっておることはどういうことなのか、その意味を聞きたい。
  104. 小野雅文

    ○小野説明員 たとえば水力発電の場合ですと、非常に大きな市町村があるわけでございます。それで、発電所のできる地域から山を越してかなり離れたところでも同一市町村になるわけですが、そういうふうなところの道路といったようなものはあまり関係がないというようなことで、あまり極端なものは排するといったような観点でございまして、いま先生がおっしゃいましたように、その地域の人たちの自主性でその地域を開発したいというそういう気持ちは、私どもでも十分尊重したいというふうに考えております。
  105. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そうすると、地方自治を尊重して地域住民の意思を尊重する立場に立つというなら、発電用施設関連施設の計画に関して意見を述べるだけでなくて、計画の変更などについて、命令権などを自治体に与えたらいいと思うのですが、これは与えないのですか。
  106. 山形栄治

    山形政府委員 発電所の建設認可にあたりましては、その地元との調整等も考えて最も合理的な形にまず行なうわけでございます。いまの問題に即して申し上げますと、各地に地域開発計画が存在するわけでございますが、これは各地方地方の実情に応じてつくられておるわけでございます。しかし、当然にここに盛られた精神というのは、今回の法律で予定しております整備計画との調整をはかるべきであり、むしろこれは切り離すよりは相互に関連をつけて、その地域で最もいい形がとられるように運営するというのが筋であろうと思うわけでございます。特に整備計画につきまして、各省大臣が全部責任を持ってこれに関係しておりますのは、やはり全国的な規模を踏まえて一つの大きな公共事業の計画を進める、それと地域計画を関連させながらその地域福祉の向上をはかる、こういう趣旨でございますので、そういうふうに御理解を願いたいと思います。
  107. 神崎敏雄

    ○神崎委員 それについての反論はあとで具体的な実証をあげて申しますが、第六条において「発電用施設を設置する者は、整備計画に基づく事業が円滑に実施されるように協力しなければならない。」ということになっておりますが、このような訓示規定でほんとうに実効があがるというふうにお考えになっておりますか。
  108. 山形栄治

    山形政府委員 電力会社は、従来から発電を行ないます場合に、工事用道路、これは自分の責任でつくりまして、これをむしろ最終的には地域に還元するという形をとっておるわけでございます。その他温排水等は、当然に公害を除去することを前提に、それをもとにして養魚場をつくるなり、その他の協力をするわけでございますが、私のほうとしましては、従来の電力会社の協力にも増しまして、この条文を置きました趣旨は、法律上もその協力義務が発生するということで、従来にも増してそういう意味で監督指導を行なってまいる所存でございます。
  109. 神崎敏雄

    ○神崎委員 答弁はいろいろと言い方があって、そうして反論はいろいろしなければならぬですが、もう時間もありませんので、具体的なことに入りますが、では、関西電力の昭和五十六年までの発電所建設計画について、通産当局は掌握されておりますか。
  110. 小野雅文

    ○小野説明員 いま私どものほうで会社のほうから計画を聞いておりますのは、年度当初に施設計画ということで聞いておりますが、これは法律的には一応二年間の計画を出すことになっております。したがいまして、四十九年、五十年の計画を聞くことになっております。ただ、あと一年くらい足しまして事実上は三年間を聞いているというのが実情でございます。   〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕
  111. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そうすると、先般来からおっしゃっている五十三年危機説というのは、どこから、何を根拠に言われているのですか。
  112. 小野雅文

    ○小野説明員 いま先生のおっしゃいました、私の先ほどお答えいたしましたのは電源の開発計画でございます。  それから五十二、三年の危機の問題でございますが、これは電力の需給問題でございまして、これにつきましては、別途日本電力調査委員会のほうで、電力の需給問題等需要想定を行ないまして、それについて供給がどのようにくっついていくかというようなことを現在工事が始まっております発電所だけで見た場合には、その時点で危機がおとずれるということで私どもが計算したものでございます。
  113. 神崎敏雄

    ○神崎委員 長官も同じ意見ですか。
  114. 山形栄治

    山形政府委員 同じでございますが、若干あれしますと、五十三年までのものは各社別の積み上げでございませんで、一応今後の経済成長の推定及びそれに関連します電力の需要の伸びということをまずマクロ的につかみまして、供給力のほうといたしましては、いま課長から答弁いたしましたように、既設のもの及び電調審決定分のみを供給力として考えまして、その結果の計算が五十三年で供給力はマイナス二・八となる、こういうことでございます。
  115. 神崎敏雄

    ○神崎委員 五十三年になったらマイナスになる、だから電力は危機になる、だからいまから発電所をつくらなければならない、だからこの法案を出すのだ、こういうことを繰り返し繰り返しこの法案審議の過程で言われてきたのですが、いまになると二年先しかわからない。こういうことになると、きょうまで言われてきておったことは、二年先になってからしかわからないということになると、この計画なるもの、あるいは法律でつくらなければならないもの、こういうものは空中分解するのですか。
  116. 山形栄治

    山形政府委員 発電施設の設置につきましてはいわゆる電調審で決定するわけでございますが、電調審は毎年六月に開くのが慣例でございます。したがいまして、各社がこれからそれぞれの地域における電力の需給を前提にいたしまして毎年電調審に一つ申請をいたす、こういう段階でございますので、その辺の推移はこれからの問題でございますけれども、そういう関係で需給をなるたけ合わせていくというのがわれわれの考え方でございます。
  117. 神崎敏雄

    ○神崎委員 これはおたくのほうにもあると思うのですが、関西電力は五十二年に六十万キロワット、それから五十三年には百二十万キロ、それから五十六年には二百四十万キロ、合計四百二十万キロの火力発電の計画を持っていますね。これは御存じですか。
  118. 小野雅文

    ○小野説明員 いま先生のおっしゃいました数字が私の聞いております数字とはっきり一致しておりますかどうかちょっとわからないのですが、一応先のほうの地点についてまで私ども聞くだけはいろいろ聞いております。ただ、非常に不確定要素が多くて、はたしてそこに立地できるものかどうかわからないような地点も多々含まれているように記憶しております。
  119. 神崎敏雄

    ○神崎委員 正確でないかどうか。そうしたらわれわれに入っているものが通産省には出してないことになるのですが、知っておられることは知っておられますね。知っているなら知っていると答弁してください。
  120. 小野雅文

    ○小野説明員 いまの数字そのものが私どもの聞いた数字そのものかどうかはっきりわからないと申し上げただけでございまして、聞いておることは聞いております。
  121. 神崎敏雄

    ○神崎委員 非常に奇異な答弁で、知っておることは知っておるけれども数字がどうかというなら、聞くときついでに数字も聞いたらどうか。数字を言って初めて聞いたことになるのと違うのですか。私が問題にしたいのは、先ほどからいわゆる地方自治体、地域住民との問題に関連して法案との関連で言っているのです。たとえば五十二年に反対はしておりますし、知事も一応公害の限度額を示して、認めてもいいというような方向へいきそうだ。あなたもよく知っておられる。しかしながら、五十二年の六十万キロとそして五十三年の百二十万キロ、五十六年の二百四十万キロというものは地域が書いてないのです。多奈川第二とか第三、第四あるいは奥吉野、そういうような形で、地名は、できるできぬは別にして明記しているのです。ところが、いま申し上げた四百二十万キロには地点を明記してない。明らかにしてない。これが七カ所あるのです。それをこういう法律でどう規制していくのかという心配が起こる。そうすると、あなたのほうは地点なるものをつかんでおられるのかどうか。それともあなた方のほうにないしょにして、そういうことは聞いておるけれどもキロワットまではわからないというような程度ですから、これは非常に重大な問題だと私は思う。そうすると会社と該当する地域の首長、この人たちと裏で話をしているのかどうか。そういうようなことが事実起こっておるのに、この法律がどうして該当するか。どこに施設を保証してやるのだ、周辺整備をどうするのだ、こういうところが明確にならないから、さらにうわさなり、そういうようなものが流れてくるときには、あちらにもこちらにも、来ない地点の人まで、明記しないからまず不安な空気が起こって、至るところで火の手が上がる。そういうことを事前に通産当局にも言うていないようなこと自体、電力会社に通産当局はなめられておるのではないか、いつでもあと追いじゃないか、こういうふうに思うのですが、もしわかっておったら、何だったらこれをあなたにお貸ししてもいいですが、火力発電所計画なるものは出ているのです。ところが、いまあげた七カ所だけは地域が不明確なんだ。地域不明なのにちゃんとキロワットまで明記してやっている。これは非常に間違ったやり方だ。こういうものを相手にしてこういう周辺整備なる計画をして、政府がこれについて行政的にも財源的にもあるいは施設的にも保証していく、これは私は全く納得できない。また、当局もそんなことは知らぬということになったら、一体どういうことなんだと思うのですが、ひとつ責任のある方から答弁していただきたい。
  122. 山形栄治

    山形政府委員 発電所の設置につきましては、先ほど来申し上げましたように、電調審でこれが最終決定に相なるわけでございます。  それから二年先のものは、通産省としまして地点もつかんでおるわけでございます。ただ、それから以上のものにつきましては、各社の事情で、需給関係等から一応はじくわけでございまして、大体このくらいのものが必要だということを想定するわけでございますが、いま先生指摘のとおり、最終決定は電調審でございますけれども、一つの計画がある程度具体化して地点がきまるような場合には早目に地元とよく話し合うべきで、それをいつまでも状せておいて突如として電調審にこれをかけるというようなことは非常におかしな態度であると思います。もしそういうことでありましたら非常にいかぬと思いますが、いまの五十六年等につきましては、おそらく会社側といたしましても、まだ地点その他につきまして不明の点があるのではないかと思いますが、いまの先生の御指摘もございましたので、その辺、会社側に私のほうといたしましてもなおよく調査をいたしたい、こう思うわけでございます。
  123. 神崎敏雄

    ○神崎委員 調査をされるというなら、その地点を調査されたらすみやかにこの委員会に報告をしてもらう。そうして事前にはっきりしたいと思うのですが、いつごろまでに報告されますか。
  124. 山形栄治

    山形政府委員 いつごろまでということはちょっとお約束できませんが、早急に具体的な計画がございますればこれを確認いたしまして、地点その他も含めて御報告申し上げたいと思います。
  125. 神崎敏雄

    ○神崎委員 行政指導と精神指導とは別で、行政指導の責任者が、聞いておるけれども数字はわからない。そして、可及的すみやかということばは便利なことばですが、やはりこれは地域住民にとっては命にかかわる問題との関連で、先日来そのことだけで、安全性の問題で論議がこれだけ重要法案となって出ているのですから、あとで一緒に答えてもらいたいのですが、できるだけ早いということばについては、私はそういう抽象的なことばを受け取れないから、めどをひとつ明らかにしてもらいたい。というのは、関西電力のほうによりますと、こっちのほうの説明は、公表はしないが、こういうところでできるということを確信しているというのですね。確信しているというのですから、話は進んでいるというわけだ。ところが、それを行政指導し、これから法案までつくってそれをやろうとする当局がわからない。これから調べて発表する、それも、できるだけ早目にするとは何事だ、こう言わなければならない。もうすでにあなた方が知っていて、このマルじるしのあるところは、実はそこではマルじるしになっておりますけれども、これは実はどこそこですというぐらいなことの答弁をするような状態でなかったら、行政指導なんてできっこないのです。そんなことをやっておるから、いつでも大企業や独占資本や商社に政府は振り回されておる。  そこで、建設予定地ではこういうことまできまったのですよ。水力は二十七万三千キロワット、揚水は六十七万五千キロ、それから火力は四百二十万キロ、原子力は四百八十万キロ、合計九百九十四万八千キロワット、こういうことになっておるのですね。このような膨大なことの計画がすでに明らかになって、その場所ではいわゆる出力量まで明確にしているのです。それに地点がわからないということは、やろうと思うところに反対運動があったら困るから、通産省は知っているか知らないが、あなたは知らないと言うているんだが、そうしたら、通産省は隠しておる。それで、電力会社は、その該当地の市長と話を進めているから、確信を持っております。できないところにキロワットまで明確にすることはできないと私は思うのですね。だから、これは非常に不安定であり不明確だ。こういうようなことは早く知って、明確にしてほしいと思うのですが、できるだけすみやかというのは——先ほど言うたように、向こうはここまで内容を明らかにしているのですから、当局は、知りません。調べますでは適切な答弁ではないと思うので、これは責任問題にもかかわる問題ですから、まず、いつごろまでに調べられて、この委員会に報告できますか。
  126. 山形栄治

    山形政府委員 これは誠意をもってできるだけ早く私やりたいと思います。ただ、いまの先生のお示しの地点——地点といいますか、出力その他がマクロ計算で出ている場合もあろうかと思いますが、その辺も含めまして、実態を至急に聞きまして御報告申し上げたいと思います。
  127. 神崎敏雄

    ○神崎委員 先ほど言うているように、会社側は、もう出力のキロワットアワーまで出しているのです。だから明確であると思うので、調査をするにもそう時間はかからない。電話一本でいま聞かれても、関西電力は、行政当局である主管省、また主務大臣のところへ報告しなければならない、そういう立場にあるのですから、報告するでしょうし、また、そのくらいのことは聞き出されると思うのです。したがって、関西電力のように、いまあげたような具体的な事実から見ましても、その電力会社が公害環境対策、地域整備についても十分な配慮があるという保証は全くないのですね。このような電力会社の体質を改めなければ、いかに安全だ、心配ない、こういうようなことを言われても、国民はそれで納得しません。また、納得さすだけの説得力もない。森山長官ですか、おととい中曽根大臣と並んで御答弁されているのをあそこで聞いておりましたけれども、中曽根大臣は、一応のたてまえとしての話をされているが、森山長官は、その答弁の前提が違うのですね。いわゆる基礎理念といいますか、原子力問題についての安全性の理念についての前提と基礎が違う。だから、中曽根大臣の話を聞いておるときと、森山長官の話を聞いておるときと——もう森山長官の場合は、とにかく安心せい、心配ありません、これ以外に一歩も出ていない。あれはまことに、科学長官じゃなしに非科学長官です。だから、そういうことから見まして、こういうような設備に対するのは、単なる公共施設の整備を手段として環境、自然——よく答弁しましたね、札束でほっぺたを張るようなことではない、こういうふうなことを繰り返して言うておられましたけれども、結果としてはそういうことになる、こういうふうに思うのですが、大臣が来られたので、最終的にひとつ大臣のこの問題についての見解をお聞きしたい、こう思います。
  128. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 原子力発電につきましては、私が先回申し上げましたように、未知の新しい分野に挑戦しておるものでございまして、科学技術一般の開発の場合と同じように、深甚の注意をしてやっていく必要があると思います。国際的な基準を守ることはもちろんのこと、地震そのほか、日本には日本的な特性がございますから、それに合うように規格を厳重にして、住民の皆さんに心配をかけないようにやっていく必要があると思います。そしてこれに臨む態度も、科学的に許容できる分、それから住民の皆さんに理知的な協力を求むるという必要性、そういう問題について政府は謙虚な立場に立ってやっていく必要があると思います。  それから新しい開発地点等につきましては、事情の許す限り、早期に住民の皆さんにお知らせして、早期のときから協力を求むるような態度がフェアであると思います。ただ、そういう場合に不用意にやりますと、いろいろな地価を高騰させたり、あるいは地面師が入り込んだり、そういうような危険性もありますから、そういう点の配慮は、また一面において十分してやらなければならぬと思っております。
  129. 塩川正十郎

    ○塩川委員長代理 近江巳記夫君。
  130. 近江巳記夫

    ○近江委員 核燃料再処理工場の問題でありますが、これは非常に取り扱う放射性物資あるいはまたここから放出される放射性廃棄物の量は、普通の原発に比べますともう格段に多いわけであります。また、故障があった場合、これは修理が非常に困難である。しかも、大量の死の灰を貯蔵しておくことになるわけでありますし、そういう点におきましても、この危険というものが非常に大きいと思うのです。そういう安全対策が確立されずに、こういう不備のまま設置を進めておるという問題があるわけですが、こういう問題についてはどういう見解をお持ちでありますか。   〔塩川委員長代理退席、委員長着席〕
  131. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 再処理施設につきましては御指摘のとおりでございまして、出る放射能の量も、普通の原電の場合よりも倍近く出るという数字にもなっておると思います。ただ、許容量の範囲内には十分ある、そういうことでありますけれども、施設それ自体は、厳格な科学的な吟味を経た上で、万全が上にも万全を期してやらなければならぬと思います。しかし、やはり日本のエネルギーソース、エネルギー開発の自主性という面から見ましても、外国にのみ依存しているということは必ずしも適切ではないのでありまして、自主技術の開発及びこの開発に応じまして自主的な施設を万全の措置を講じながらつくっていくということが必要であると思います。
  132. 近江巳記夫

    ○近江委員 いわゆる死の灰の最終処理方法というものがこれまた世界的にも確立されておらないように思うわけでありますが、これについての見通しは日本としてはどういうようになっておるわけですか。
  133. 生田豊朗

    ○生田政府委員 再処理工場から出てまいります低レベルの放射性廃棄物につきましては空中あるいは海中に放出するわけでございますが、中レベル、高レベルのものにつきましてはとりあえず再処理工場に貯蔵することにしております。その後の最終的な処理につきましては、ガラス固化その他の処理、処分の方法につきまして研究を進めている段階でございます。
  134. 近江巳記夫

    ○近江委員 研究を進めておられるということでありますが、こういう面が非常におくれているわけですね。おくれておることを放置したままで進めていくというところに非常に大きな問題があると思うのです。それであればさらにおくれておるこういう面につきまして、どれだけ政府としては力を入れて取っ組んでいくかということが非常に大事だと思うのです。そういう点の取っ組み方が、事務当局の答弁でありますが、あまりにも事務的過ぎるのですね。もう一度答弁し直してもらいたい。
  135. 生田豊朗

    ○生田政府委員 先生御承知のように、中レベル、高レベルの放射性廃棄物の最終的な処理につきましては、世界的に見ましてもまだ最終的な処理、処分の技術が完全に確立されてはいない段階でございます。したがいまして、わが国におきましても各国との技術の交流、共同研究その他を通じまして、国際的なレベルにおきましてもさらに技術研究を深めたいと考えまして、それを進めている段階でございますし、また、わが国の動燃事業団、原子力研究所その他の研究機関におきましても独自の技術開発を進めておりますので、最終的な処理、処分の方法がなるべく早く確立できますように努力している段階でございます。
  136. 近江巳記夫

    ○近江委員 温排水の問題でありますが、特に原発から出る温排水というものは火力に比べましても非常にばく大な量にのぼろうかと思うのであります。今後かなりこの新増設が続いていくということになってきますと、きわめて大規模なこういう温排水の汚染というものが拡大すると思うのです。ところが、この種の問題につきましては政府電力会社も取り組みが非常に弱いと私は思うのであります。排出口付近だけ、いわゆる狭い範囲の水域だけを一応調査して、そして漁業補償をして一応片をつける、こういうパターンを繰り返しておるわけであります。これは排出口周辺の魚類に与える影響だけではなく、今後どんどん新増設が進んでいくということになってきますと、生物全体に及ぼすそういう影響というものは非常に大きいと思うのであります。ところが広域的な、しかも全体的なそういう調査というものが非常におくれておると私は思うのです。こういうことを放置して原発だけ進めていけばいいんだ、発電所を進めていけばいいんだ、こういう行き方は非常によくないと思う。もっと真剣な取り組みがなかったらいかぬと思う。きょうは環境庁も来ておられるわけでありますし、大臣としてもどのように思われるか、ひとつお伺いしたいと思います。まず環境庁答えて、それから大臣答えてください。
  137. 太田耕二

    ○太田説明員 温排水の問題につきましては、環境庁といたしましては、水質汚濁防止法に基づきまして基準をつくるのが役目でございます。基準をつくります場合に、とりもなおさずその影響の範囲、それから具体的に水産物等にどういった影響が出るか等についてまだ基準をつくるまでのデータが実は集まっておらないわけでございます。四十六年度から関係各省庁とともにおのおの持ち分持ち分に応じて拡散の状況、それから水産物に対する影響の度合い、それから各事業場から排出されます温排水の状況等をいろいろ調べておりますが、何ぶんそういったものがまだ基準設定のために十分なデータが集まっておりません。鋭意今後ともその辺の調査研究を進めまして、できるだけ早くその基準設定に持ち込みたいというのが現状の段階でございます。
  138. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 原子力発電の容量が大きくなってきております現在においては、温排水の問題は非常に重要な問題として登場しつつあると思います。しかし、いままでこれに対する研究、証明されたデータというようなものはまだ少ないわけでございます。これらについては純科学的に究明して実験を重ね、あるいは研究を重ねてこれに対する万全の対策をやる必要があります。単に漁業補償をして済むという問題ではないと思います。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣もそのようにおっしゃっておられるわけでありますから、それをやっていくためには予算の裏づけであるとか研究体制の問題であるとか、これはやはり具体的なそういう総力戦がなければいけないと思うのです。その辺の具体的なお考えがあればお伺いしたいと思います。
  140. 井上力

    井上説明員 温排水の問題につきましては発電所あるいはその他の工場いろいろあるわけでございますので、先ほど環境庁から御答弁がありましたように、全般的な基準の問題等につきましては環境庁で調査をしておりますし、あるいは魚類に対する影響等につきましては水産庁でやっておられるわけでありますが、われわれのほうといたしましても、実際の温排水がどう拡散していくかというような点につきましては、現実にすでに施設をしております発電所につきまして種々の調査をやっておりますし、今後具体的に発電所の設置が計画されておるような地点につきましては、その発電開始前あるいは開始後等につきまして具体的に現地調査をするというようなことで進めておるところでございます。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 そんな答弁は答弁になっておらぬわけですよ。ですから、たとえば環境庁なり水産庁なり通産省とばらばらなんですよ。大体こういうばらばらのことでは一つも研究は進まないわけです。ですから、プロジェクトチームでも政府はつくるとか、あるいはまた先ほど私が指摘したように、原発周辺だけは調べるけれども、私が言っておるのは、これからどんどん新増設になってくれば、これは広域的に大きな影響が出てくるわけですよ。そこに総合的に取り組むという体制ができてないじゃないですか。こういうことを放置したままでとにかく法案を通す、どんどんと新増設をやるんだ、新設ばかりに力を入れていく、こういう点を私たちは指摘しておる。あなたのは答弁になっていませんよ。今後そういう一貫した強力な体制をとるべきですよ。これはひとつ大臣にお伺いしたいと思うのです。
  142. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 科学技術庁を中心にしましてそういう諸般の影響について研究をしていると思っております。私が在任中はそういう点についてもやらしておきました。ただ、各局部、局部の問題は、水産庁にこの問題はお願いする、この問題は農林省にお願いする、あるいは通産省にお願いする、そういうようにやってきたと思っておるのであります。ただ、先ほど申し上げましたように、火力発電の場合の容量は三十万キロとか五十万キロでございますが、そういう大容量になってきた場合の温排水についての研究というものははなはだ不足しております。それで温排水が何キロ拡散した場合に温度にどういう影響があって、それがエコロジカルに生物にどういう影響が出てくるかというようなポイント、それから放射能の分布、そういうような問題に関しては単に理論値だけではなくして、実験データがやはり必要であります。そういを点については科学技術庁を中心にしまして的確なデータを重ねていくようにいたしたいと思います。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 この点は、特に大臣も、いわゆる政府のばらばら行政の一番の弊害がこういうところに出てくると思いますので、いまおっしゃったよように、科学技術庁を中心に全力をあげてやっていただきたいと思います。  それから法律の運用問題でありますが、本法の対象とする発電所は、一般には三十五万キロワット以上のものとする考えのようであるというころを聞いておるわけでありますが、それ以下のものを認めないということは、いわゆる経済効率の面ばかりから見た考え方であるのではないかと思うわけです。いわゆる小規模の発電所であるならば、設置しても地域環境を破壊しないような場合もあるかもわからないわけですが、こういう場合どうなのかという問題があるわけです。この辺につきましては運用としてどのようにお考えですか。
  144. 小野雅文

    ○小野説明員 一応原子力と火力発電所については、いま先生おっしゃいましたように三十五万キロワットを考えております。それから水力と地熱発電につきましては、一万キロワットといった規模を考えております。三十五万キロワットという数字を考え出しましたのは、一つには、今後小さい発電所が建ちますと、ますます場所はふえるわけでございますが、国土が残された地点が非常に少のうございますので、規模の小さいものを建てて、あちこちに発電所ばかり建つようなことのないようにというような点を考えたわけでございます。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 それだったら、私が指摘したいわゆる経済効率ばかり考えているわけですよ。そうでしょう。だから三十五万というような、そういう線の切り方は当然再検討しなければいけない。そうでしょう。一律にとにかく大きいものばかりを求めていく、そういう点は非常によくないと思いますね。そういう点は再考しますか。
  146. 山形栄治

    山形政府委員 一応施設の規模を設定いたしましたのは、いま答弁いたしましたとおり、経済性とそれから土地の有効利用、それから現時点におきます技術水準の達成度合い、この三つの点で一番効率のいいのをやるのが筋だと思うわけでございますが、いま先生のおっしゃいますように、若干それより下がっているというような場合で、しかも妥当であるという場合も当然あると思いますので、これから政令をつくります段階等、その辺につきましては弾力的に運用ができますように配慮するつもりでございます。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、この整備計画を定めようとするとき、市町村と電力会社との意見を聞くことになっておるわけですが、これは当然市町村を主にすべきであります。こういう電力会社の意見に左右されることがあってはならないと考えるわけでありますが、その問題について運用はどのようにしますか。
  148. 山形栄治

    山形政府委員 電力会社の意見を聞くという趣旨が入っておりますのは、電力会社は、発電をしますときに自分の責任と自分の負担におきましていろいろな施設をつくるわけでございます。特に工事用道路、揚げ地の施設等をやるわけでございますが、そういう意味で、国または県が進めます計画との調整をはかるという意味でこの規定が入っておるわけでございます。電力会社の意見に振り回されるなんということは、それは絶対あり得ないわけでございまして、むしろこういうことに基づいて電力会社が自分の考えています計画を変えるということもわれわれは要請をいたしたいということでございますので、御了承願いたいと思います。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから交付金の交付要領の中で、原子力発電所は五年、火力発電所は三年を建設期間と見ているようでありますが、これにとらわれまして、安全面であるとか公害対策を手抜きにして建設を急ぐというようなことがありますと、これは非常に重大問題であると思うのです。この問題につきまして、これを防ぐためにはどういう点をお考えになっておりますか。
  150. 小野雅文

    ○小野説明員 いまのは単に金額の総額を計算するときだけでございまして、実際に建設期間はそれよりも長くなるということは一向差しつかえないわけでございます。
  151. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう問題も非常に大事なわけですね。これをきちっと聞いておかないと、それ、工事を急げというような追い込み方を皆さんするにきまっておる。だから私はこれを念を押したわけであります。こういう一つの運用問題を出したわけですけれども、いろいろな問題があるわけです。そういう点であくまでもこういう安全性の問題、環境汚染の問題等もきびしく言っておるわけでありますし、政府としては重大な反省をして、今後こういう面についてひとつ強力な推進をしていただきたい、これを強く要望しまして質問を終わります。
  152. 濱野清吾

    濱野委員長 井上泉君。
  153. 井上泉

    井上(泉)委員 大臣にめしを食わせという意見があったけれども、大臣はぼくより若いから、お互いにしんぼうしましょう。  そこで大体この法律というものは、電源開発地域を円滑に確保する、こういうことが目的であり、そのことは過去の発電地域にいかに被害をもたらしたか、こういうことに当然論理は帰着すると思う。いままでやったのがよかったら、何もこういう法律をつくる必要はない。過去が悪いから現在こういう法律をつくる。やはり政治というものは過去、現在、未来を展望してのことであるわけですから、その過去の発電所を建設したことによってもたらされた被害に対して、この法律は何も救済措置を講じてないのでありますが、こういう地域についてはどういうふうに考えられるのか、大臣の見解を承りたいと思います。
  154. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは税法の面におきまして固定資産税の改正をやりまして、既設の発電所設備に対して、いままで固定資産税の得べかりしものを押えられていたのを回復する、そういう措置を講じておりまして、固定資産税の面におきまして改革が加えられていると思います。私はそれでもまだ必ずしも十分ではないと思いますが、この法律の運用の施行等の経験を通じまして、いまの既設発電所の地元のためにもう少しわれわれが努力して、得べき福祉を還元する、そういうことに積極的に努力してまいりたいと思います。
  155. 井上泉

    井上(泉)委員 大体この法律は、電源開発をやっていくために、だれかも言っておりますように、札束で地元をなでる、金さえやればどうでもなる、こういう田中内閣の本質をこの法律の中でも明らかに示しておる、こういわれてもしようのないような状況というものが生まれておると思います。  そこで、たとえば福島県の富岡では三十五億の漁業補償、あるいは新潟県の柏崎で四十億、それから近くできる九州の川内では十九億、こういう膨大な漁業補償によって地元との調整がなされておるわけですが、そのことは、それだけ金を支払わなければたいへんな被害を地域にもたらすということであるから、いかにこの原子力発電が地域に対して被害をもたらすものであるかということを証明しておると思います。  そこで、そういうふうな状態の中で、一昨日ですか新聞では、さらにこの原子力発電を七千万キロワットにし、廃棄物処理を各電力会社に義務づける、こういうとてつもない構想が打ち出されておるわけであります。そうなりますと、たとえば柏崎なら柏崎の場合において、漁業権の消滅した区域が約一千ヘクタールという。日本は領海が三海里ですから、領海三海里のところで一千へクタールといったら、どれだけの水面が、漁業権がなくなるのか。そういうことを考え、さらにそれだけではなく、温排水の被害地域となりますとこれの倍、つまり二千ヘクタールから三千ヘクタールになると思います。ここらだけでもそうなんです。そうすると、日本全国で七千万キロワットという膨大な原子力発電、これは主として海岸地帯になるわけですが、こうなった場合に一体どれだけの数字になるのか、全く予測のできない状態になるわけです。これについて、原子力発電に伴う漁業権の問題、そしてさらには日本の海が原子力発電のためにおかされて、漁業水域というものがなくなっていくことについての水産庁の見解を承りたいと思います。
  156. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 私どもといたしましては、今後のわが国漁業のためには沿岸漁業の振興というものをはかっていかなければならぬというふうに考えておりまして、今国会で沿岸漁場整備開発法を御審議いただいて、法律として成立したわけでございます。したがいまして、沿岸漁場の開発につきましては、いろいろな地域開発、埋め立てとかあるいは電源開発という問題と直接ぶつかる面があるわけでございます。そこで水産庁といたしましては、そういった面につきましては、開発担当の関係方面と十分連絡をとりながら、沿岸漁場の振興開発に遺憾なきを期したいというふうに考えておるわけでございます。  そこで、それはでは現実にどうやっているのかということでございますが、かいつまんで申し上げますと、電源開発審議会の各省連絡会議というものがございます。そこで新規着手候補地点というものが私どもにわかりますので、その地点がわかった場合におきまして、関係の県に対しまして、そういった電源開発と漁業との関係について県から情報を聴取するわけでございます。どういうことを聴取しているかと申しますと、当該地域の電源開発に関する経緯とその地域の漁業の動向、それから電源開発に関連いたしまして漁業にどういう問題が起こってくるかというようなことについて資料を集め、さらに県の意見を聞くわけでございます。そこで水産庁として審議会にいろいろ意見を申し上げているわけでございますが、私どもといたしましては、最初に申し上げましたように、今後沿岸漁業の開発につきましては大いに力を入れていきたいと思いますので、こういう点についての調整についてはさらに関係方面と御連絡をいたしまして、遺憾のないようにやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  157. 井上泉

    井上(泉)委員 水産庁長官関係方面と話し合って、こう言われるわけでありますけれども、事実においては、関係方面の話よりも連絡よりもむしろ通産省のサイドにおける原発計画というものが先行しておる。そのことはまた農林水産委員会で論議をするわけですけれども、これは大臣、日本の沿岸の領海が三海里だということ、そこへもってきて七千万の原発をつくって、そこで漁業権を消滅させて、そしてまた温排水で被害をもたらす地域をつくると、日本の沿岸漁業というものはまさに壊滅をするわけですが、それについて大臣はどういう見解をもって電発計画というものを進められておるのか、承りたいと思います。
  158. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 七千万キロワットというのは誤報でございまして、そういうことをきめたわけでもございません。いままである数字は、六十年六千万キロワットというのが出ておる一応の数字でございます。しかし、日本のエネルギー事情というものを考えてみますと、石油に依存する部分というものをできるだけ減らして、それにかわるべき自主的エネルギー源というものを考えていく段階になってきていると思うのです。そういう面を見ると、石油から原子力に代替していくという方向に国策を進める必要があるので、そういう意味においては原子力の方向へ進むことが歴史の流れであると私らは考えます。その場合に、原子力発電も日進月歩でだいぶ進歩しております。いままでは十五万キロワット程度の発電所でスタートいたしましたが、いまは百万キロワット程度のものになりますから、かりに六千万といっても六十という地点になります。そういうような点を考えてみると、この日本列島全般を考えてみた場合に、必ずしも無理な数字であるとは考えません。しかし、それには条件があるのでありまして、一つは、公害や温排水の問題に関する不安を全面的に解消しなければならない。特に放射能の問題については、われわれは不安を全面的に解消する必要がある。それから技術的な向上をはかって、いままでのような大型の場所、建物、そのほかについてもっと効率的なやり方をわれわれとしては日夜研究開発していく必要がありますし、それに特にいわゆるファーストブリーダー、こういう方向にできるだけ早く前進する必要があります。増殖炉に前進した場合には、いままで以上の恩恵が燃料面からも出てくると思います。これは必ずしも夢ではない状態で、現に大洗の工学センターにある常陽という日本がつくった五万キロの原型炉はもはや臨界に入ろうとしておるところまで進んでおる状態であります。
  159. 井上泉

    井上(泉)委員 七千万キロワットと新聞が誤って書いておるのかどうか知りませんけれども、これは権威ある新聞に七千万キロワットと書いてあったから、私はそれが真実だと思って申し上げた。六十年はなるほど六千万であったけれども、今度は七千万に増強するように電力会社に強く働きかける。そこで私の問うたのは、このことによってもたらされるもの、いまたとえば高岡でも消滅した漁業権の水域だけで一千ヘクタール、こういう膨大なものが消滅するわけですから、その関係の漁協だけでこの問題が話し合いをされて、そこで漁業権を買い上げたから、漁業権がなくなったから、はいもうようございますという形で工事が進められるということでなしに、海は単に漁師だけのものではないし、広く日本の国民の大切な海だと私は思うわけであります。そういう点からも漁業権を買い上げたということだけで海の占有をはかるというようなこと、さらにはまたこの計画で進められると日本の沿岸漁業というものはたいへんなことになるわけだから、日本の海をきれいにする、漁業権を守るという中で原発計画を推進していくについて、大臣としてしかるべき考慮というものが払われていなければならないと思うわけでありますけれども、そのことについて寡聞にしてまだ承知をいたしておりませんので、大臣の見解を承っておきたいと思う。
  160. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 原子力発電所ができて温排水が出ても漁場が消滅するという問題ではないと思うのです。多少そういう面はあるかもしれません。しかし、それは全面的に消滅するという問題ではない。また、ある研究によれば、温度が一度上がることによって新しい魚群が集まるとか、あるいは魚群の成長力が強まるというような研究も一面にはございます。そういう面から見まして、必ずしもマイナスばかりではないのであって、そういう点については漁業家やあるいは漁業権と適切に調整をして進むべきものと思います。
  161. 井上泉

    井上(泉)委員 漁業権を十九億とか四十億あるいは五十億とかいうような形で買い取るということは、もうそこでは漁業をしてはならないということになるし、実際に海をそれぞれの電力会社の私有物に転化すると同じような結果が生まれてくるわけで、そこで魚をとってはならないということではないけれども、そこのところで魚をとっておって、その魚に被害があっても、それはもう文句なし、こういうことに位置づけるために漁業権というものを買い上げよう、補償しよう、こういうことでないと理屈が立たぬわけでしょう。そこで私は、単に該当する区域の水面だけの漁業者の意見で漁業権を買い上げて、そこで工事を進めるとかいうようなことはちとむちゃな話だと思うので、そういう点について、これは水産庁のほうではどういう対策を立てておるのか、このことを私は水産庁の長官に承ってあと一問で終わりますので、よろしくお願いします。
  162. 内村良英

    ○内村(良)政府委員 電源開発に伴う埋め立ての場合に、当該関係の漁協その他に対しまして漁業権の補償をする、その補償を受けた漁協以外の漁協の漁場あるいは漁民の漁場というのは汚染するのじゃないかという問題でございます。その点につきましては、確かにそういった面もないわけではございませんので、水産庁といたしましては、ケース・バイ・ケースと申しますか、それぞれの具体的な事例に照らしてやはり対策を考えるべきではないかというふうに考えております。漁業権補償の場合のような一律の措置というのはケースが非常に違いまして問題がございますので、私どもといたしましては、具体的事例に即してその関係漁民が困らないようにしなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  163. 井上泉

    井上(泉)委員 政府原子力発電というものを強く推進をしていくためにいわばこの法律というものを考え出しておることだと私は思うわけですが、この原子力発電によってもたらされる被害というものをここで論議をする時間もありませんし、だんだん先輩の方が指摘をしたと思うのであります。  最後に、政府のそういう方針に力を得て、たとえば四国電力なんかは方々の町村へ、佐賀である、あるいは中村である、あるいは徳島であるというように、方々の地域に札束で誘いの手をかけて混乱を起こしておるわけですが、そういうふうな動き方というものに対して、これはやはり通産省サイドにおいて私はチェックすべきだと思うのですが、こういうふうなことであまり札束攻勢をかけた話し合いというものをなすべきでないと思うのですが、これについての大臣の見解を承って、私の質問を終わります。
  164. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 お説のとおりであると思います。資本の威力を使って関係住民の意思を無視して一方的に押しまくるというようなことは厳に慎むべきことでありまして、必要やむを得ざる範囲において謙虚にやるべきものであると思います。そういう点についてはわれわれも所要の監督をいたします。
  165. 濱野清吾

    濱野委員長 板川正吾君。
  166. 板川正吾

    ○板川委員 二十分ということでございますから、二、三お伺いをいたします。  われわれこの法案に重大な関心を持ち、その危険性を指摘して反対の態度をとっておるというのは、原子力というもの、その科学性というものを否定しよう、それに背を向けようという気持ちじゃないのであります。しかし、いま政府が中心になって行なわれようとしておる軽水炉型原子力発電というのはまだ非常に危険性がある。その危険性が国民の理解を得ないうちに、どんどんつくられていく、こういうところに私ども反対の立場をとるわけであります。  そこで、いままで質疑を通じて安全性の問題について論争が行なわれた。私どもがどうしても不安に感ずるのは、これは森山長官のことばの中にも、中曽根大臣のことばの中にもあったかと思うのでありますが、飛行機と同じようにある種の危険は避けがたいんだ、こういうような言い方があったと思うのであります。しかし私は、住民の側からいうならば、飛行機と原子炉の危険性というのは全く本質的に違うと思う。なぜかというと、飛行機に乗る人は万々が一というある種の危険を承知して、覚悟して飛行機に乗るわけであります。しかし、原子力発電所がつくられたその地域の住民は、決して万が一そういう事故があるということをあらかじめ承知してそこに住んでいるわけじゃなかったわけであります。ですから、飛行機に万々が一があると同じように原子力にも多少のものがあってもしかたがないかのごとき発言は、私は非常に本質を見誤っておる、こういうふうに考えるわけであります。  御承知のように、十年間で三十七件の故障事故があった。四十七、四十八の二年間で十四件の故障事故があった。もちろんこれは大事に至らなかった。しかしそれが万一処置を誤るならば大事故になりかねない事件もあったはずであります。万一大事故になれば、放射性の物質、死の灰というのは一千年間も危険な放射能を出すという状況でありますから、慎重に原子力発電というのは進めなければならない、飛行機や乗りものと同じような気持ちであってはならない、こう思いますが、大臣の御意見はいかがですか。
  167. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 原子炉の場合と飛行機や乗りものの場合とは異なるという御指摘はまさにそのとおりであると思います。それは関係者の立場から見て、原子炉のまわりの住民と飛行機のお客さんの心理というのはまるで別のものできているということはまさに御指摘のとおりでありまして、その点われわれも考えなければならぬ点があると思います。  ただ、原子炉の事故とか故障とかいうものにつきましては、原子炉の初期においては、ウインズケールのような例で、放射能が出て、牛が草を食べて、その牛乳を飲んで放射能が入ったというような非常に初期的なミステークがありましたけれども、最近は技術的にも科学的にも非常に進んでまいりまして、そういう点は二重、三重の安全装置を施すようにして、科学的に許容される範囲内においては安全である、そういう立場で開発、研究が進められておるのであります。われわれとしては、あくまでもそういう立場を堅持して、くれぐれも安全圏内を絶対的に確保しなければならぬ、そういう立場で開発等を進めていかなければならぬと思います。
  168. 板川正吾

    ○板川委員 日本は原爆の被爆を受けた唯一の国なのです。総理もよく本会議で、外国でもどんどんやっているから安心なんだ、こう言われておるのですね。しかし、日本はアメリカやソ連や英国などと地形や地質や人口密度が根本的に違うわけです。そういう立地の条件が違うのを同一視して、外国でもどんどん原子力発電をやっているのだから心配ないんだ、こういうような言い方は、安全性に注意を払っている言い方じゃない。日本は日本の条件の中で安全を確保していくという腹がまえを持たなくちゃならないと思います。  そこで、日本の特殊な条件であります大地震が起きた場合に、この原子炉あるいは原子炉を包むケース、こういうものは安全だといわれておるのです。関東大地震の三倍の強度を持っておる、こういわれておるのでありますが、一体地震に対していま日本でつくられておる百十万キロワットなどの大きい軽水発電炉はどういうことがあっても安全なのかどうか。  それから三倍とよくいわれるのでありますが、ロサンゼルスの地震は東京震災のときのマグニチュード七・九の六倍の地震があった例がすでにあるわけでありますから、この三倍の強度を持つというのはどういう意味か、その点の技術的な説明をしていただきたいと思います。
  169. 森山欽司

    ○森山国務大臣 原子力の安全性につきまして、先ほど来るるお話がございましたが、すでにこの委員会で前に申し上げましたし、飛行機の安全性との関係につきましては中曽根大臣からお話がございましたから、私はあえてここに繰り返しません。  ただいま御質疑のございました地震との関係でございますが、わが国の場合、この原子炉の建設につきましては、わが国の特別の事情等を勘案していろいろくふうをこらしておることは申すまでもございませんが、特に地震につきましては、ただいまお話がございましたように、関東大震災の三倍ぐらいの地震があっても耐え得るような、それだけの強度を持たして原子力発電所はつくっておる。だから、あの小松左京さんの「日本沈没」みたいになくなっちゃえばどうにもなりませんが、大地震の際に、よそは全部やられても原子力発電所だけは残るんじゃないかというふうに思っておりますし、ある意味で一番安全なのは原子力発電所じゃないかというふうなことを私どもの間では笑い話に実はしておるようなわけでございます。(「笑い話とは何だ、笑い話の答弁なんかこの際する必要はない」と呼ぶ者あり)  それで、ただいま関東大震災の三倍とはいかなるものかというお話でございますので、その問題につきまして事務当局から説明いたさせます。
  170. 生田豊朗

    ○生田政府委員 御説明申し上げます。  関東大震災の三倍程度の強度と申しますのは……(「マグニチュード幾つだ」と呼ぶ者あり)マグニチュードではございませんで、地震の場合に起きます重力の大きさとお考えいただいてよろしいかと思います。  地震は、ただいまおっしゃいましたようにマグニチュードで一般的にはかられておりますが、関東大震災のときのマグニチュードではございませんで、一番被害の大きかった東京の下町でございますが、下町の場合、この程度の重力がかかったであろうということを想定いたしまして、その重力の三倍程度の重力がかかる規模の地震がございましても安全なように設計してあるわけでございます。  ただ、この関東大震災の三倍と申しますのは、いわばその最低限というように御理解いただいたほうがよろしいかと思います。と申しますのは、原子炉が設置されます各地点によりまして、地殻、地質、岩盤の形状あるいは断層の位置、形その他を全部計算いたしまして、その強度を確かめますと同時に、その地点におきます過去の地震歴でございますが、これは大体、記録のあります限り、古いものは過去千年間ぐらいの地震の歴史の記録をとりまして、両方勘案いたしまして最大限の考えられる地震が起きましてもだいじょうぶなように安全施設をしているわけでございまして、それと先ほど申しました関東大震災の三倍の規模と、どちらか強いほうを想定いたしまして、大きいほうに対しても耐えられるということで安全審査をしている次第でございます。
  171. 板川正吾

    ○板川委員 時間がないから次に進みますが、この安全性を今後いかに確保していくかということは政府の重大な責任だと思いますが、特にいわれておりますのは、わが国では公聴会のあり方がどうもこの法律上では明らかではございません。また、原子力発電所をつくろうというときに、公聴会を開かなければならぬという明文もございません。アメリカでは、御承知のように、公聴会というのを何回も開き、あるいはこの原子炉あるいは廃棄物処理あるいは緊急炉心冷却装置、こういったものを別々に公聴会の議題として安全性の追及をしておる、こういう状況であるそうでありまして、どうもわが国では、そういう点では公聴会が単なるおざなりの言いっぱなし、聞きっぱなしという感じがいたします。もっとこの安全性の問題を究明していく公聴会としては、質疑応答ができたり、学者も一般関係者も十分出られて、それも一日や二日でなくて、議論を相当続けて安全性を確保する上に実効のあるような公聴会制度を確立をすべきじゃないか、こう思うわけですが、通産大臣いかがですか。
  172. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 公聴会で住民や関係者の意見が如実に反映されるということは非常に大事であり、原子力委員会がそれに踏み切って最近実施したということは一歩の前進であると思います。  ただ問題は、やり方が次に検討されなければならぬと思いますが、日本の風土として、いままでややもすると、公聴会というと、もう始め意見をきめて、賛成派だ、反対派だ、赤組、白組というような形でえっさえっさ公聴会が行なわれるという風土は、これは改めていかないといけない。やはり冷静に科学的にものを判断をして、理詰めでものを考える、また言論を行なう、そういう公聴会が活発に行なわれることが望ましいし、また公聴会以前に、ほんとうの専門家の間におきまして冷静な論争が行なわれることは大いに望ましい。日本の風土として、両方ともどうもあらかじめ前提が先に出たような感じのものが多過ぎる。ほんとうに原子力のことを思うなら、われわれ政府側も謙虚に反対論に耳を傾けなければならぬし、論争においても正直にぶつかり合ってやる必要があると思います。そういうような点で、われわれは改革すべき問題点を両方とも持っていると思います。
  173. 板川正吾

    ○板川委員 もう一つ伺いますが、この原子力発電を昭和六十年に六千万キロ、全体の発電量の二五%、こういう目標を政府が一応立てて開発スケジュールを組んでおると思うのでありますが、私は、この原子力を開発するよりも、まず国内のエネルギー資源というのを開発すべきじゃないかと思うのです。  これは通産省の調査によるわけでありますが、わが国では、まだ水力発電の開発可能量というのが二千五百万キロワットあるといわれる。それから夜間余っておる電力、使わない電力というのが二千二百万キロワット分ぐらいある。この夜間余っておる電力をもって揚水発電をすると、その七割は水力電気にかわり得るということであります。ですから、二千二百万キロワットの余剰電力の七割というと千五百万キロワットぐらいになるわけであります。この千五百万キロワットの揚水発電というものを開発すべきじゃないだろうか。揚水発電の開発規模というのは、これも通産省の研究によりますと、日本全国で二百三十七カ所、一億五千万キロワットも開発可能な地点があるのだ、こういわれております。しかし、揚水発電は火力発電ですから、遊んでいる火力がなければ意味がない。現在遊んでいる火力を合わせても千五百万キロワット、水力発電の開発をすれば二千五百万、合わせて四千万キロワットという水力発電可能の条件があるんですね。これは百万キロワットの原子力発電の四十基分に当たるわけであります。なぜ当面こういう水力発電という国内産のエネルギーを開発しないのか。しかもこれはクリーンエネルギーであります。この軽水炉発電の燃料は濃縮ウランで、アメリカから一〇〇%輸入されるわけであります。石油の場合は中東が八〇%でありますが、この場合にはアメリカが一〇〇%であります。いざというときには、有澤先生の話じゃないければも、突然とめるようなことはないだろうとおっしゃるかもしれませんが、しかし日本の自主性というのは失われてくるのじゃないだろうか。日本外交、日本経済の自主性というのは、アメリカに一〇〇%依存という状態になりますと失われる可能性があるのじゃないでしょうか。こういう点に対して通産大臣の御見解はいかがですか。
  174. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 深夜電力の活用、揚水発電力の強化という点については全く同感でありまして、これこそわれわれが第一に着目して拡充強化すべき分野であると思います。原子力発電に依存し過ぎることも危険性があるということも御指摘のとおりで、濃縮ウランというものが全く外国に依存しているという今日は、われわれは安全だとは思っておるけれども、いざというときにどうなるかという危惧はやはり腹の底にはあるものであります。そういう面から、ウラン鉱及び濃縮作業、そういう問題についても順次国産化の方向に向けていかなければならぬ、一面においてそういう努力も必要であると思いますが、何といっても最も効率的なものは、いまあいている深夜電力を使って揚水発電をやるということが最も効率的であると思います。
  175. 板川正吾

    ○板川委員 以上解明いたしておきますが、原子力の発電コスト、これは建設単価が百万キロワット規模ですが一千二百億近くかかる。ところが水力の揚水ですと四、五百億くらいでよろしい、あるいは一般のダムをつくって貯水水力になりますと原子力と同じ程度、百万キロワットの発電に対して一千億ほどかかります。それで、単価の点においても揚水発電というのは原子力発電よりも費用がかからない。もっと安くできるはずなんです。だから、ほんとうに外国に一〇〇%依存する高い原子力発電、しかも安全性についてまだ十分確信が持たれないというときには、この原子力発電の増強というのはなるべくテンポをおくらせて、まず国内開発をはかるべきだ、しかもそのほうがコストが安い。これをやらないというのはおかしいということを申し上げて、実は割り当てられた時間が過ぎましたから、以上をもって終わります。
  176. 濱野清吾

    濱野委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  177. 濱野清吾

    濱野委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がございますので、順次これを許します。板川正吾君。
  178. 板川正吾

    ○板川委員 私は、日本社会党を代表して、発電用施設周辺地域整備法案に対して反対の討論をいたします。  反対理由の第一は、本法案は、政府が発電所建設に対する地域住民の真意を理解せず、悪税といわれる電源開発促進税を新設し、札束で住民の反対運動を切りくずし、原子力発電所の建設を促進しようとするものであり……   〔発言する者あり〕
  179. 濱野清吾

    濱野委員長 静粛に。
  180. 板川正吾

    ○板川委員 このやり方は金権万能、悪質な土建屋的発想で人間の尊厳を無視した悪法であるという点であります。  私は、政府電気事業者が円満に電源立地を促進しようとするならば、原子力発電施設の安全確保や公害防止施設を整備し、誠意をもって忍耐強く地域住民を説得し、納得と信頼を得ることが先決であると存じます。しかるに、本法案は、電源立地地域が過疎地帯であり、住民の権利意識が弱いという弱点につけ込み、安全性に問題のある原子力発電や公害の発生源となり得る火力発電の建設を安直に促進しようとするものであり、われわれは断じて容認することはできません。  反対理由の第二は、本法案による電源整備促進税は、目的税という名目で結局は国民大衆の負担に転嫁される悪税であります。いかなる名目があろうとも、新税は悪税であります。  御承知のように、政府は、このたび電力九社の一斉値上げを認め、国民は電気料金の大幅値上げによって年間一兆五千億にのぼる金額を直接、間接に負担することとなりましたが、その際、従価税である電気税が自動的に六百億円も増徴された上に、電気料金に組み込まれた電源開発促進税として平年度三百億円を増税されるのであります。このように、電力消費に比例して課税される電気税や電源開発促進税は、本来生活費に課税せずという原則を無視するものであり、狂乱物価にあえぐ国民生活を破壊する悪税であるといわなければなりません。  反対理由の第三は、本法案の真のねらいが石油危機、電力不足に名をかりて危険な原子力発電所の建設を促進しようとする点であります。現在開発されている軽水炉原子力発電の安全性については、日本学術会議、日本科学技術者連盟その他多くの良心的学者間において数々の問題点が指摘されておるのであります。すでに現在稼働中の発電用原子炉六基中、実に五基までが故障または事故の実績を持ち、稼働率が四五%に落ち込んでいるものもあり、十年間三十七件、昭和四十七年、八年の二年間で十四件という頻発する故障事故の中には、万一その処置を誤れば重大事故につながるおそれなしとしないことが指摘されておるのであります。  さらにまた、原子力の事故防止上重要な装置である緊急炉心冷却装置の有効性については、いまだ国際的論争が続き、結着がついておりません。また、放射性廃棄物の処理についても処理計画が立っておらず、トイレのないマンションと同じだといわれており、また、環境放射能の規制基準も確立しておりません。  このように原子力発電の安全性は、多くの不安要素が山積している状態で、その建設を急ぐことには強く反対せざるを得ないのであります。  反対理由の第四は、政府は国内にあるエネルギー資源の開発を放置し、せっかちに原子力発電の建設を強行しようという点であります。  われわれも電力の供給力増加が国民生活の向上や、国民経済の伸展に不可欠であることは承知しております。しかし、だからといって直ちに原子力発電の開発を急ぐという結論を持たないのであります。なぜなら、御承知のように、わが国は、まだ未開発の水力発電可能量を二千五百万キロワットも持っており、さらに夜間余っておる電力を揚水発電に利用すれば、千五百万キロワットの発電余力があるはずであり、これを合計すれば百万キロワット原子力発電の四十基に相当するのであります。  さらに、政府石炭火力の発電もこの際見直すべきであります。政府は、こうした国内エネルギーの開発余力が十分あるのに、なぜアメリカから一〇〇%輸入する濃縮ウランを燃料とする原子力発電の建設を急ぐのか、全く理解に苦しむところであります。  反対理由の第五として、私は、政府原子力行政に対する国民の不信感に基本的な問題があることを指摘しておきたいと存じます。  政府がいかに原子力発電は安全である、政府が責任をもって厳重に監視しているから安心してほしい、こう言いましても、科学技術庁における汚職事件、放射能測定データの捏造事件、放射性物質のずさんな管理事件が相次いで起きている現状や、原子炉設置に関する公聴会の制度がいまだに法的根拠を持っておらず、重要なデータはすべて企業の秘密として公開されない。企業の利益が国民の安全より優先するという、行政と企業の癒着に対して、国民がどうして政府の言うことを信用するでしょうか。公害、環境破壊の歴史を見ても、政府が過去において真剣に国民の健康と命を守ってきたならば、今日世界に冠たる公害日本列島はなかったはずであります。したがって、政府は、この際、原子力発電の建設を急ぐより原子力基本法に示された自主、民主、公開の原則を厳守し、国民の信頼を回復すべきであります。  最後に、われわれは原子力の平和利用に反対するものではありません。原子力の発電も安全性に対する国民の理解と信頼が得られたならば、わが国エネルギーの安定供給に大きな役割りを果たすであろうことを評価するにやぶさかではありません。しかし、日本は世界で唯一の原爆被爆国であります。また地形や地質、人口密度、立地条件が米英ソ等の諸国と異なり、その安全性の確保には念には念を入れるべきであり、単に外国でやっているから心配はないはずだと安直な決断をもって性急にその建設を進めるべきではありません。したがって、本法案は、すみやかに撤回されることを強く要望し、反対の討論を終わります。(拍手)
  181. 濱野清吾

    濱野委員長 神崎敏雄君。
  182. 神崎敏雄

    ○神崎委員 私は、日本共産党・革新共同を代表いたしまして、発電用施設周辺地域整備法案について反対の討論をいたしたいと思います。  まず最初に述べておきたいことは、五十二年電力危機説についてであります。  今日一般にいわれている電力危機は、歴代自民党政府が一貫して推し進めてきた高度経済成長政策によるものであることは、これまでの審議の中でも明らかにしてきたとおりであります。すなわち、電力多消費型である鉄鋼、化学、機械、紙パルプなど独占資本の育成のため、巨大な工業地帯の建設や、また特約料金などに見られる電力料金制度など、政府が一貫して大企業優先政策を推進してきた結果、大企業電力需要は急激に伸びてきております。  一方、これらの高度成長政策を進めてきた政府と独占資本が住民に与えたものは何であるかといえば、それは自然破壊であり、公害汚染であります。また国土の不均衡な開発による過疎過密等であります。そうして重要なことは、現在に至って政府がこれらのことを顧みず、さらに超高度経済成長政策を促進しようとしていることにあります。工業再配置促進法などによる公害の拡散、自然破壊の国土開発は、ますます日本全土を公害の渦と化していこうとしています。  以上のような背景のもとに提出された本法案についていえば、次のような問題点を指摘することができます。  第一に、発電所の建設にあたっては、本来民主的な国土開発やエネルギー計画のもとに地域住民が十分納得の上で推進すべきにもかかわらず、これまでの高度経済成長政策を推進していく土台となるべき電源開発を推し進めようとするものであります。  第二に、政府も認めているように、現在発電所建設を困難にしている最大の原因は、環境破壊の問題や原子力の安全性の問題にあります。しかし、本法案には、これらについては何ら触れてはおらず、依然として公害など環境破壊の問題については、現行の法のワク内でしか規制できず、公害防止どころか環境破壊が進行するとともに、国民の生命と健康はますます脅かされることは必死であります。  第三に、発電所がすべて対象となるのではなく、一定の規模以上の大型発電所のみに限られる。また、発電所の種別によって交付される交付金に格差があり、公害反対の住民運動の強いもの、すなわち原子力、火力などに有利になっていることを見れば、交付金は公害反対の住民運動を懐柔する意図のものだということが露骨にあらわれております。  第四に、住民の生活基盤となる公共施設の整備についていえば、これらの計画作成の段階から住民代表や地域開発の専門家が参加し、民主的に協議し、地方議会の承認を得て決定べききにもかかわらず、主務大臣の承認を要することになっている。市町村長については意見を述べるだけという、全く自治体や地域住民を無視したものであります。  以上、四点にわたって指摘してきましたように、本法案は、結局のところ、国民の最も切実な課題である公害の防止や原子力の安全性をなしくずし的に形骸化し、公共施設の整備を手段としてのみ扱い、大企業、とりわけ電力多消費型産業への供給を最大の目的とした電源立地を進める、まさに大企業本位の発電所立地促進法の性格を持つものであることを指摘いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
  183. 濱野清吾

  184. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、公明党を代表し、発電用施設周辺地域整備法案に対し、反対の意を表明するものであります。  今日、政府は、エネルギー政策のこれまでの無為無策をたなに上げ、原子力、火力発電所の建設を強行しようとしておりますが、地元住民は強く反発する姿勢を示しております。安全性についての問題の多い原子力発電所や公害発生源となる火力発電所の設置計画に対し、住民が反対運動を起こすのは当然の権利であります。  しかるに本案は、このような反対運動を正面から受けとめようとせず、安全、公害問題には何ら触れることなく、単に札束をちらつかせて住民の意思をそらそうとするにすぎないごまかし法といわなければなりません。  以下、具体的に理由をあげて、本案に反対するものであります。  反対理由の第一は、いま申し上げたとおり、本案が安全、公害問題を全く無視していることであります。  地域住民が発電所の建設に不安を抱く大部分の原因が、安全、公害問題にあることは、政府でさえはっきり認めるところであります。それにもかかわらず、この問題をないがしろにして、公共施設の整備という全く別個のものですりかえようとするのは、まことに誠意を欠いたやり方であります。  政府が本案の提出にあたって、安全確保、公害防止に決意を新たにして取り組む考えがあるならば、提案と同時に、あるいはそれ以前に、その計画を国民の前に明らかにすべきであります。それを怠って、とにかく安全です、公害は出しません、政府を信用しなさいというだけではとうてい納得できないのであります。  安全研究体制に例をとりましても、予算をつければ研究が進むだろうなどという政府の認識不足ぶりが暴露されました。この状態では国民が不安を持つのは当然であります。  第二は、特に原子力発電所や核燃料再処理工場の建設について、政府の施策は慎重さを欠いていることであります。  わが党は、国民の幸福のために原子力の平和利用が進められることについて確とした政策を持っております。原子力発電につきましても、将来においてはエネルギー安定供給の有力なにない手になるものと期待しているのであります。しかしまことに残念ながら、いまの政府がその期待を裏切り、外国から輸入する軽水炉の設置をやみくもに急いで、その結果、故障、事故を続発させ、将来への基礎固めをむしろおくらせているのでありまして、きわめて軽率といわなければなりません。関西電力美浜原子力発電所のトラブルは、これを端的に示すものであります。  原子力について、世界のいかなる国も味わったことのないおそろしい体験をしているわが国におきましては、原子力の開発にあたっては世界最高の慎重さが必要であります。しかるに政府は、これを忘却して、ひたすら発電規模の拡大へと暴走しようとしておりますが、これは原子炉の暴走事故とは異なり、いまからでも十分阻止できるのでありまして、ぜひとも深い反省を求めたいのであります。  その意味におきまして、原子力発電は火力や水力発電とは切り離し、原子力基本法の精神のもとに別個の体系として独自の対策を講ずべきであるにもかかわらず、いずれも同列に扱っているのは本案の重大な欠陥であります。  そもそも原子力発電は、国民に信頼される科学技術行政を母体としなければなりませんが、最近、その行政をめぐる幾多の不祥事件が相次ぎ、逆に不信感を植えつけそうになっている実態は遺憾にたえないところであり、この姿勢の正し方が何よりも先決問題であることをここで警告したいのであります。  第三に、本案は、政府がどのように説明しようと、あくまで産業の利益を追求するための開発法案にすぎないことを指摘いたします。  本案は、発電所の周辺において、道路、港湾その他の施設を若干整備することによって地域住民の賛成を求めようとするものでありますが、このようなねらいは見当違いもはなはだしいのであります。現在、周辺が多少便利になるなら、安全、公害をやかましく言うまいなどと考えるのは、目先の利益しか念頭にない一部の企業か、それを擁護しようとする一握りの為政者だけであります。  電力需給の見通しにおきましても、政府は、高度成長政策の反省がないまま産業向け電力を優先的に考え、これが不足しそうだというのであわてて本案のような小手先の策を思いついたのであります。このような企業本位、経済優先の政策は時代に逆行するものであり、とうてい賛成しがたいのであります。  第四は、本案が決して地域住民の福祉向上にならないということであります。  本来、過密過疎の解消、地域格差の是正を通じて住民福祉の向上をはかることは国の固有の責務であります。その政策が満足でないのに、発電所を建設しようとするところだけに金を回そうというのは筋が通らないばかりか、発電所が設置された周辺の市町村は、将来にわたって金では解決できない心配をかかえるのであります。これはもちろん住民福祉とは逆のものであります。さらに、損得を考えても、発電所設置後に市町村が必要とする巨額の安全監視対策費、公害防止対策費は、もらった交付金を上回る負担にならないかどうか、疑わしいのであります。  しかも、本案による交付金の財源は、電気料金に織り込まれるところの電源開発促進税であり、国民が大幅な電気料金値上げとともに負担するものでありまして、完全な政府の責任転嫁であります。  以上、基本的な反対理由だけをあげましたが、要するに、本案は、金で片づけようとするものであり、金で人間の生命、健康、生活環境を買えるはずがないのに、あえて挑戦しようとしているように感ずるのであります。  昨日、本院におきまして福田大蔵大臣は、金さえ出せば何とかなるという風潮は困ったものだ、特に政治の世界にそれが多いといった意味のことを語っております。  政府は、この考えに立ち戻って、本案に再検討を加え、出直すよう強く要求いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
  185. 濱野清吾

    濱野委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  186. 濱野清吾

    濱野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  187. 濱野清吾

    濱野委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  189. 濱野清吾

    濱野委員長 次回は、来たる二十八日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時三十三分散会