○森山国務大臣 ただいま
お話がございましたが、先ほど中曽根通産大臣から
お話がありましたように、
石油危機以後におけるわが国の
エネルギー問題、特に
電力の問題に関連をいたしまして、いろいろな方面から多角的に
エネルギーを求めるということの必要がございますから、そのことは否定いたしません。水力も見直す必要があろうと思いますし、また石炭についても従来の方式ばかりでなく、新しい方式で、できるならばそういうやり方も
考えていかなければならないことはもとよりでございます。しかし、そういう
エネルギーの多角的利用を
考えましても、本命は
原子力ということでやっていかなければならないわが国の
情勢であるということについては十分御理解を願えることと私は確信をいたしております。
日本は、
アメリカのように石炭は三百年分で、露天掘りみたいなところで入っていくとやたらに掘れるというわけには、数量的にも品質的にもまいらない
状況でございますし、また
アメリカのように油を持っておりません。一九六〇年代まで
アメリカは油は全部自給自足、七〇年代に入って輸入したわけでありますが、
アメリカの
消費量が非常に大きいために、わが国の輸入量全体をオーバーするくらいの量になっておるわけでございます。また天然ガスを非常に大量に産出する。これらの国、たとえば
アメリカなんかに比べてみますと、わが国の場合は、石炭につきましても、また
石油につきましても、天然かるにつきましても、さらにまた水力
資源につきましても、従来の
電調審の
計画によりまして、
昭和四十八年から五十三年ぐらいの
計画であったと思いますが、新規の水力
資源の
開発というのは百万キロワット
程度でありまして、
あとは大部分が揚水
発電というようなことでございますから、どうしてもこの際は
エネルギーの多角的利用ということを考慮しながらも、しかし現実的には当分の間、少なくも今世紀一ぱい近くは
原子力によらざるを得ないという状態につきましては、
石野委員もその
情勢については十分御認識であろうかというふうに
考えておる次第でございまして、そういう意味で、
原子力というものにたよらなければ
日本の
エネルギー、特に
電力需要にこれから対応することが大局的にもできませんし、また来年の七月、八月の
電力の最
需要期につきましては、すでに
電力需要に対する供給予備率は安全度八ないし一〇%を割って、来年の夏の
電力最
需要期は非常に窮屈な
情勢になってくる、なかなかやりくりがつかぬという
情勢になりつつあるわけでございまして、局地的、局部的にいろいろ問題になります。
それから、いまの状態からまいりますれば、
昭和五十三年には供給が
需要を下回るというような状態になってまいりまして、ゆゆしき事態に相なると思うのであります。
電力会社は
電力の供給責任がございますけれども、われわれ政治家もそういう点を
考えていかなければならぬと思います。そういう前提に立ちまして
安全性の問題について私の所見を申し上げたいと思いますが、
原子力の利用というものは、御案内のとおり、軍事利用から出発して平和利用に入り、実用
段階に入ってまだ二十年足らずでございまして、きわめて新しい科学であり
技術であり
産業であるわけでありますが、それだけに未熟な面があるという面が一方においてあるかもしれませんが、反面におきまして、新しいだけに新しい
技術の手法を用いて進んでおる、すなわち
技術の発展
段階として
産業革命とか、あるいは
技術革新とか、あるいはテクノロジーアセスメントというような
段階が
考えられるわけでありますが、その中で
原子力の平和利用はテクノロジーアセスメントの
段階を実現しているほとんど唯一の
産業、ほとんど唯一の
技術あるいは科学であると
考えて差しつかえないと思うのであります。でありますから、たとえば原子炉
一つとりましても、
機械でありますから、局部的な故障があります。人間が操作するわけでございますから、ミス操作はあるわけでございますが、そういう
機械であるから故障があるとかミス操作がございましても、とにかくかわりの
機械が動くとか、最悪の場合
機械がとまるのであります。
機械がとまるから安全のしるしなのでございまして、とまってから一々たいへんだというふうにテクノロジーアセスメントの
技術段階においては
考えるべきでないというふうに私どもは
考えておるわけでございますし、また先ほど美浜の炉の燃料棒の
問題等について
お話がございました。それにいたしましても一年十二カ月のうち、二カ月半くらい国が
監督して行ないます定期検査があるから、そういう問題の
問題点がわかってきたわけでございまして、もちろんたとえば燃料棒にふぐあいがあり、それにせんを詰めるとか、燃料棒の鼻の先が曲がっておったとか、そういうことにつきましてどう処理するかという問題は残りますけれども、そういうものがわかったのは現在のシステムでもって国が
監督してやる定期検査があるからそういうことがわかるのであって、ある意味においては、これは
問題点であると同時に、それだけ安全度を証明しているというふうに
考えて差しつかえはないと私は思っておるわけでございます。
そんなことを
考えまして、毎々いつも
お話をいたしますように、
技術の
段階において念には念を入れる、そういう仕組みにはなっておりますが、しかもなお先ほどから申し上げましたように、実用化に入りまして二十年足らずということでございますから、念には念を入れてその
安全性の確保のために努力しなければならない、そういう角度から
昭和四十九年度の予算につきましては、皆さまのいろいろな御批判、御叱正あるいは御賛同を得まして、
昭和四十八年度の
安全性の予算は七十億円でございましたが、四十九年度はこれが百五十億円に、倍以上増加になりました。御案内のとおり、公共事業費は四十九年度は四十八年度の額で内容は四十七年度並みといわれるこの時期に、額において倍以上の増加をしておりますし、これは私どもの心づもりでは三年
計画の中の一年目でございまして、二年目、三年目というふうにこの方面を充実してまいりたいと
考えております。