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生田政府委員 数点御
指摘がございましたけれ
ども、多少順序を違えて恐縮でございますが、放射性廃棄物の処理の問題からお答え申し上げたいと思います。
ただいま御
指摘の点は、
原子力発電所から出てまいります固体廃棄物の処理の問題であろうかと思います。これは
先生御承知と思いますが、現在は
発電所の構内に貯蔵しております。ただ将来の問題といたしまして、
原子力発電所の数もふえ、
原子力発電所の稼働の年数もたってまいりますと、放射性廃棄物の量が非常にふえてまいりますので、その最終的な処理と処分の
方法を
検討しなければならないというように
考えておりまして、四十九年度の予算におきまして放射性廃棄物の処理処分センターという新しい機構をつくりますための調査費の予算をいただいておりますので、その調査費を使いまして放射性廃棄物を最終的にどういうふうに処理し、処分したらよろしいかという
方法を
検討し、その処理、処分を行なうための機関を早急につくりたいというように
考えております。
それから第一の基準の点でございますけれ
ども、これは最後の点の
環境放射能の問題とおそらく同じ点の御
指摘であろうかと思いますので、あわせてお答え申し上げますが、基準といたしましては、午前中にもお答え申し上げましたように、国際放射線防護
委員会、いわゆるICRPの基準がございまして、
環境放射能の基準は五百ミリレム、つまり〇・五レムでございます。
わが国の法令におきましてもその基準をそのまま取り入れておりますけれ
ども、ICRPにおきましては、その基準と同時に、その基準で満足するということではなくて、できるだけ低く、つまり容易に達成し得る限界まで低くというような勧告をいたしておりますので、その基準を下回れば下回ったほうがよろしいという
考え方でございまして、現在の
原子力発電所はその大体百分の一以下の放射能の放出に押えているわけでございます。
それから自然放射能との
関係でございますけれ
ども、これは先ほど
先生も御
指摘になりましたように、人類は自然放射能をかなり多量に浴びているわけでございます。これは太古の昔から同じでございまして、
わが国の場合、
平均いたしまして年間百ミリレム程度の放射能を浴びております。これは
地域差が非常にございまして、
日本列島の場合で申しますと、
日本の中央で東と西に分けますと東のほうが低く、西のほうが高くなっております。たとえば東京と関西、
岡山、神戸あたりと比べますと、大体年間で五十ミリレムぐらいの差がございます。ですから、東京と関西との
地域差と比較いたしましても、その十分の一程度あるいはそれ以下に
原子力発電所からの
環境放射能は押えているわけでございまして、非常に小さいと思います。
さらに自然放射能につきましては、その
地域差のほかに自然の岩石その他の利用につきまして非常に差がございます。一例を申し上げますと、木造の家屋に住んでおります場合とコンクリートの家屋あるいは石でつくりました家屋に住んでおります場合とでは、その中におりますと放射能の浴び方が非常に違うわけでございまして、先般
科学技術特別委員会におきまして参考人として放射能の専門家の御
意見を伺ったわけでございますが、そのときも、一般の木造家屋と団地のようなコンクリートの家屋、それを比べますと年間にいたしまして二十ミリレムぐらい違うというような計算がございました。それから、多少はばかることかもしれませんけれ
ども、この
国会議事堂でございますが、特に本館のほうは御影石、大理石その他を使いました非常にりっぱな建物でございますので、放射能は非常に多いそうでございまして、
国会議事堂の中と外では大体五十ミリレムぐらい、つまり
原子力発電所の放射能の十倍ぐらいの差があるということでございます。自然放射能のそういう
地域的あるいは構造的な差と比べますと、
原子力発電所から出ます放射能は非常に少ないということでございますので、私
どもはそれで問題はないと解釈してよろしいのではないかというように
考えております。