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1974-05-15 第72回国会 衆議院 商工委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十五日(水曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左四郎君 理事 左藤  恵君    理事 田中 六助君 理事 武藤 嘉文君    理事 板川 正吾君 理事 中村 重光君       天野 公義君    稲村 利幸君       浦野 幸男君    小川 平二君       越智 通雄君    粕谷  茂君       木部 佳昭君    小山 省二君       塩崎  潤君    島村 一郎君       田中 榮一君    戸井田三郎君       楢橋  進君    丹羽喬四郎君       橋口  隆君    八田 貞義君       前田治一郎君    松永  光君       山崎  拓君    岡田 哲児君       加藤 清政君    加藤 清二君       上坂  昇君    佐野  進君       山崎 始男君    渡辺 三郎君       荒木  宏君    野間 友一君       米原  昶君    近江巳記夫君       松尾 信人君    玉置 一徳君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君  出席政府委員         科学技術庁原子         力局次長    生田 豊朗君         環境庁水質保全         局長      森  整治君         工業技術院長  松本 敬信君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君  委員外出席者         環境庁自然保護         局企画調整課長 新谷 鐵郎君         環境庁大気保全         局大気規制課長 石田  齋君         大蔵省主計局主         計官      禿河 徹映君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       井上  力君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     小野 雅文君         資源エネルギー         庁公益事業部火         力課長     伊藤 栄一君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   天野 公義君     山崎  拓君   近藤 鉄雄君     戸井田三郎君   塩崎  潤君     楢橋  進君   米原  昶君     荒木  宏君 同日  辞任         補欠選任   戸井田三郎君     近藤 鉄雄君   楢橋  進君     塩崎  潤君   山崎  拓君     天野 公義君   荒木  宏君     米原  昶君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第二七号)  発電用施設周辺地域整備法案内閣提出、第七  十一回国会閣法第一一七号)      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出輸出保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  ほかに質疑申し出がないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  3. 濱野清吾

    濱野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。  本案原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  4. 濱野清吾

    濱野委員長 起立多数。よって、本案原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  5. 濱野清吾

    濱野委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  7. 濱野清吾

    濱野委員長 第七十一回国会内閣提出発電用施設周辺地域整備法案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がございますので、順次これを許します。稻村左四郎君。
  8. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 発電用施設周辺整備法案につきまして、選挙区に電源立地対象地点を持つ議員といたしまして、大臣並びに関係当局にお伺いいたしたいと思います。  この法案は、昨年の四月四日、七十一国会に提案されておりますが、今国会において内閣修正が行なわれましたが、その理由またその経緯、法案提出の背景として電力需給実態と今後の見通し、すなわち電力需要実績及び今後の伸び想定並びに電力供給体制現状、将来計画について、まずエネルギー庁長官にお伺いいたします。
  9. 山形栄治

    山形政府委員 御存じのとおり、電力国民生活及び経済活動にとりまして不可欠のものでございます。しかしながら近年、電源立地地点におきまして、いろいろと立地上の困難が起こっておるのも御存じのとおりと思うわけでございます。このままでいきますと需給関係に非常に問題が生ずるということは歴然といたしておると思うわけでございまして、この点から電源開発は緊急の課題となってきておるわけでございます。  このような状況を踏まえて、さきの第七十一国会発電用施設周辺地域整備法案を提出いたしたわけでございますけれども御存じのとおり、その後石油危機が起こりまして、この石油危機の反省を含めまして、国産エネルギーでございます水力、地熱それから準国産エネルギーでございます原子力発電、この辺の活用を大いにはかるという必要性がより一そう増大いたしたわけでございます。前の七十一国会の場合には水力等対象としておらなかったわけでございますけれども、そういう観点から、今回電源開発範囲を拡大してこの緊急事態、これから考えられます不測事態等に対応する必要性を補充するということになったわけであります。  そこで、電源立地に関します対策を強化いたしますために、今回国税としての目的税を創設いたしまして、これを財源にこれらの事業に関する経理を明確にするため特別会計を新設するというようなことで、この発電の増強といいますか、発電用施設周辺地域整備をより一そう内容を強化して行なうというのが妥当であるというのが今回の修正趣旨でございます。  それから、今後の電源開発の動きといいますか、需給長期見通しにつきましては、なかなか推定もむずかしいわけでございますけれども、おそらくわが国電力需要国民生活向上を中心にいたしまして今後とも相当伸び率考えられるのではないかと思うわけでございます。  ちなみに、国民生活関係電力需要というのは、ここ数年で非常に大きな伸びを示しておるわけでございまして、特に夏場のピークの最大需要電力につきましては非常に伸び率が高いわけでございます。  ちなみに、昭和四十八年度の最大需要電力につきましては、六千六百九十七万キロワットであったわけでございますが、現在の想定では五十三年度にはその約一・六倍ぐらい、すなわち一億六百五十九万キロワットになるということも想定されておるわけでございます。しかしながら、一方電源立地は遅々として進んでおりませんで、四十八年度におきましては、電源開発調整審議会におきまして目標とされました新規規模千六百十万キロワットに対しまして、その実行率はわずか四四%にとどまっておるわけでございます。この辺の事情を前提にいたしまして、今後供給予備力がマイナスになるということも世間でよくいわれておるわけでございますが、そういうことになりますと、国民生活及び経済活動が大混乱におちいる可能性があると思いますので、先ほど申し述べましたような趣旨にかんがみまして周辺地域整備範囲を拡大し、ぜひ公害問題、安全問題を強化することを前提にしながらわが国における電源開発を促進するのが本法案提案趣旨でございます。
  10. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 発電所建設を促進するというためにこの法案は確かに必要であるということがよくわかります。しかしながら、原子力火力発電の場合は安全、公害問題の解決がより重要であり、先決問題であるということは言うまでもないと思います。私はこの問題に関して、この法案は、安全、公害問題をないがしろにしておる、俗にいうところの札束法案、金で地域住民を懐柔しようとするもので本末転倒であるというような意見も聞くところがあるわけであります。そういう意味で、政府としてはこれはどのように考えておるのか、ほんとう大臣に聞きたいのですが、おられませんので山形さんからお答えいただきたい。
  11. 山形栄治

    山形政府委員 電源開発推進にあたりましては、いま先生の御指摘のとおり、安全性確保環境保全がきわめて重要であると同時に大前提であるわけでございます。今後ともこの辺の対策の十全を期するというのがまず大前提であろうと考えておるわけでありまして、具体的に申し上げますと、火力及び原子力発電設置にあたりましては、通産省といたしましては、環境審査顧問意見を十分に尊重しながら厳重な審査を行なうのは当然でございますが、特に原子力発電所につきましては、科学技術庁のほうの原子炉等規制法及び電気事業法に基づきまして審査検査を行なっておるわけでございます。また、定期的な検査も当然行なっておるわけでございまして、この検査にあたりましては、わが国最高権威を集めました原子炉安全専門審査会活用をはかっておるわけでございます。いま御指摘の、この法案施設整備することにあって、環境問題、安全問題をあと回しにしておるではないかという御意見地元の一部にあるやにお話がございましたけれども、われわれといたしましてはそういうことはございませんで、むしろ安全、公害問題が最優先であって、その観点からの地元要望をむしろ最優先に取り上げてまいりたい。この環境、安全の対策と、それから地元周辺地域におきます公共施設整備、それに伴う地元福祉向上、この二つはいわば車の両輪ということで、総合的にこれを推進いたすことによりまして今後の電源開発対策を進めてまいりたいという考えでございます。
  12. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 山形長官にお願いしたいのですが、できるだけ簡単で短くひとつお願いします。  電力需給が逼迫しておるのは発電所建設がおくれておるためであるということは明らかであります。電源開発調整審議会の決定がありながら、これがおくれている地点が幾つかあるわけですね。なぜおくれておるのかというこういう問題についてちょっと簡単に説明を願いたいと思います。
  13. 山形栄治

    山形政府委員 いま御指摘の現在おくれておりますのは、火力原子力を含めまして五地点でございまして、規模は三百五十万キロワットにのぼっておるわけでございます。  この原因につきましては、いろいろな原因がございますけれども、最も大きなものは環境及び安全に対します地元住民不安感でございまして、火力におきます大気汚染問題、温排水問題、原子力発電所におきます安全性及び温排水問題があげられるわけでございますが、一方におきまして、地元に対して何の直接的なメリットもないということも一つの大きな不満原因になっておるのも確かでございます。
  14. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 発電所建設が一部の反対で難航しておるわけですが、この法案はいかなる角度からこれの解決をはかろうとするのか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  15. 山形栄治

    山形政府委員 これにつきましてはいまもちょっと触れましたように、安全、環境問題につきまして、まず地元の十分なる御理解を得ることが先決だと思うわけでございますが、反面地元におきまして何のメリットもないという不満も非常に高まっておりまして、各市町村それから県のほうから、強く本法案のような公共施設整備に伴う地元福祉向上をはかってもらいたいという要望もございますので、両々相まちましてこれから進めてまいりたいと思うわけでございます。
  16. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 科学技術庁にまず原子力関係の安全問題についてお伺いしますが、昭和六十年において六千万キロワットの原子力発電を行ない、世界第二位の原子力国になろうとするわが国で、分析化研のデータの捏造事件あるいはまた原子力委員会委員の任命をめぐるトラブル、岡山におけるところの放射能の障害事件など、国民の不安、不信感をそそるような問題が続出しておるということはまことに遺憾なことであります。科学技術庁をはじめ政府における姿勢の正し方についてお聞かせを願いたい。  また、国民の間では原子力アレルギーはやはり根強く残っておると思います。いままでの国民に対する理解の求め方がどうであったか、今後どのように考えていくのか、ひとつお伺いしたいと思います。
  17. 生田豊朗

    生田政府委員 先生指摘分析化学研究所の問題でございますけれども、これは科学技術庁監督責任の問題といたしましてもまことに申しわけない事件でございまして、先般国会でこの問題を御討議いただきましたときも、長官からおわび申し上げた次第でございます。その後新しい分析体制につきましては、現在新しい分析機関の設立を急いでおりまして、一日も早くその新しい分析センターが稼働に入りまして、分析業務に支障のないようにいたしたいというふうに考えております。  それから第二点の原子力委員の問題でございますが、これは高級人事の問題でございまして、私ども事務当局はあまり関与してないわけでございますが、先週の科学技術特別委員会で同じ御質疑がございまして、森山長官から、田島委員学識については非常に高く評価しているし、極力留任片を懇請するつもりであるというような御答弁がありましたので、円満に解決されるものと期待している次第でございます。     〔委員長退席左藤委員長代理着席〕  それから、最近の岡山県におきますアイソトープの被曝事故でございますが、これはまことに不届きな事件でございますので、警察当局も捜査をいたしておりますし、私どもも、これは労働省が労働基準法労働安全衛生法関係で取り締まりを私ども放射線障害防止法の取り締りと並行してやっておりますので、協力して進めておる次第でございまして、いろいろ問題はございますけれども、それぞれなるべく早期に解決し、間違ったものは正していくという姿勢でございます。  それから第二点でございますが、この原子力安全性についてのPRにつきましては、従来とかくそれが不徹底でございまして、地元住民の方に無用の不安を与えておりましたことを私どもは深くおわびいたさなければならないと思いますが、このエネルギー確保必要性にもかんがみまして、特に安全性につきましては政府姿勢、それから安全問題についての住民の方の御理解を深めるために極力努力をしてまいりたいということでございまして、四十九年度におきましても、科学技術庁原子力関係PRの予算を約八倍に増額するということをしていただきましたので、これからこの住民の方の御理解と御協力を得られますように極力努力をしてまいりたい、かように考えております。
  18. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 もう一度科学技術庁にお伺いしますが、原子炉設置に関し昨年公聴会制度が設けられました。福島第二原発の公聴会において、新聞論調によれば、原子炉運転中の不測事故を防ぐための安全審査日本では甘過ぎるのではないかという問題が繰り返し議論されているにもかかわらず、原子力委員会が発表した説明書によると、原子炉安全設計安全審査のやり方、資料公開等地元住民が一番知りたい、こういったところに十分に答えてないという不満があるわけですが、この点についてお伺いしたいと思います。
  19. 生田豊朗

    生田政府委員 原子炉設置許可の前に行ないます安全審査でございますが、これは私ども十分念を入れまして審査をしているつもりでございます。  ただ、先生指摘がございましたように、福島第二発電所公聴会におきまして、その点についていろいろ御疑問が提出されたことも事実でございますので、先般設置許可をいたしました際に、そのような御疑問に答えますために、かなり長文の厚い資料でございますが、検討結果報告書というものをつくりまして、いろいろ数多く出ました御疑問に対してお答えをいたしまして、その質問をされた方に対しましても私どもの意思が十分伝わるようにしている次第でございます。  それから公開の問題でございますけれども安全審査検討結果、安全審査報告書、それからただいま申し上げました検討結果報告書、それから申請書、それらの書類は全部公開しております。したがいまして、地域住民の方その他の方がこの安全審査に関しまして知りたいとお考えになりますものは、ただいま公開あるいは縦覧しております資料をごらんいただきますと、大体全部おわかりになるというように考えております。
  20. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 次に公害問題について、原子力火力を通じて温排水問題はたいへん大きな話題となっております。福島における先ほどの原子力委員会説明書でも、温排水環境に対する影響については、いまだ必ずしも十分に解明されていない現状にありますと述べられているように記憶しております。火力発電の場合も、従来から漁業権その他に対する補償によって処理しておるのが実態であります。この問題の解決を早急にはかるためには今後どのような研究を行ない、どのように実行する考え方があるのか。これは通産省にお願いします。
  21. 井上力

    井上説明員 御指摘火力及び原子力発電所におきます温排水の問題でございますが、この温排水と申しますのは、火力及び原子力発電所におきまして冷却用海水を使いますので、これが現在の技術でいきますと、取水いたしましたものが七ないし八度程度温度が上がって海水中にまた排出される。こういうことによりまして、ある範囲内に温排水拡散をするわけでございます。これに従って生物に対してどのように影響があるか、こういうことが問題になるわけでございますが、最近におきます環境保全重要性にかんがみまして、通産省といたしましては、火力及び原子力発電所立地に際しては、従来の環境審査内容を抜本的に強化いたしまして審査内容の拡充をはかってきております。  具体的には、先ほども長官から答弁がありましたように、審査にあたりましては専門的な学識経験者にお願いいたしまして、その意見を十分に聞きながら、海象の状況とか、あるいは温排水影響低減策としてどのような対策がとられているかとか、あるいは温排水がどのように拡散をしていくかという予測検討、あるいは発電所運転開始前後におきます水質変化、あるいは生物相変化等を把握するためのモニタリング計画等が十分であるかどうかといったような点について十分審査をしているということでございます。電力会社に対しましても、所要の温排水影響低減対策を講ずるよう十分指導しておるところでございますが、今後ともこういった指導をさらに強力に行なってまいりたいというふうに考えております。  温排水低減に関しますいろいろな研究につきましては、これもやはり電力会社等指導いたしまして、その影響がなるべく少なくなるよう、あるいは温排水拡散範囲予測ができるだけ少なくなるよう指導しているところでございます。  現在におきます火力並びに原子力発電所におきましても、具体的に申し上げますとなるべく低い温度の水を取水する、深層取水と申しておりますが、こういった取水方法をとる、あるいは排水する際になるべく拡散が早くなりまして、温度が早く下がるというような諸種のくふうをやっております。こういったような技術をさらに開発してまいりたい、かように考えておる次第でございます。  ただ、温排水問題につきましては、かなり前から、何十年来火力発電所温排水を出しながら運転しておるわけでございますが、具体的に著しい漁業に対する影響というものが温排水によってもたらされたということはまだ報告されておりません。先生指摘の、まだ影響が十分に解明されていないという指摘がある、こういうことでございますが、厳密に申し上げれば、確かに魚類あるいは藻類あるいはプランクトン等に対します影響につきましては、まだ十分に解明されたとはいえないということでございまして、この辺の研究も大いに推進をしておるところでございますが、実際に漁業に対する影響評価におきましては、全体の海の面積に対しまして温排水拡散範囲がかなり狭いわけでございますので、さほど大きな影響はなかろうというというような評価をしているところでございます。  外国におきます温排水の排出につきましては、発電所内陸立地でございまして、河川あるいは湖沼の水を利用するという場合が多いわけでございますので、温排水問題のシビアさというものも非常に大きいわけでございますが、日本の場合にはかなり外海に面して、開きました海洋に面して発電所がつくられるというのが通常でございますので、拡散のしかたも非常に良好である、全体の海面に対しての拡散面積はかなり小さいというようなことから、その影響につきましては厳密な意味での解明というものはなされていないとはいうものの、さほど大きくはないというふうに考えられておるのが現状でございます。
  22. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 これはもっとはっきりと、十分でないと思うとかなんとか、研究中であってあとでということになりますと、これから審議過程でいろいろ議論が出てくると私は思うんですよ。(「それがほんとうだからしようがない」と呼ぶ者あり)これから審議過程で、うそかほんとうかはっきり明確にしないと、これはたいへん重要な問題になると思います。  それでは次に進みます。  火力発電所による公害問題では、従来から硫黄酸化物による大気汚染が大きく取り上げられておりますが、現在のところ、低硫黄重油及び原油の入手につとめ、それを燃焼させることがおもな対策で、排煙脱硫の普及は思うように進んでいない実情にあると聞いております。今後の低硫黄石油資源確保供給体制見通し並びに排煙脱硫装置設置計画について、エネルギー庁からひとつ説明願いたいと思います。
  23. 山形栄治

    山形政府委員 発電所におきますSO2問題につきましては、いま御指摘のとおり二つ方法がございまして、一つは、燃料そのものを低硫黄化するということでございます。これについて申し上げますと、現在電力会社の使っております原油及び重油硫黄分は〇・八%でございます。ちなみに全産業平均で申し上げますと、全平均は、四十七年度の実績でございますが、重油で一・五六、原油で一・四六でございます。このように電力会社の低硫黄化というのが非常に進んでおるのは私は率直に認めていいのではないかと思うわけでございます。  問題は排煙脱硫でございまして、これは御指摘のとおり、進んでおりません。現時点におきまして排煙脱硫装置は十基で、設備容量が百二十万キロワット相当分ということでございます。これは全体の二%を占めるにすぎないわけでございますが、これでは現時点の要請にこたえられませんので、現在われわれのほうといたしましては、五十二年度末を目標に千三百万キロワット相当のものを設置するようにいま指導中でございます。これは相当の速度で進んでおるわけでございます。排煙脱硫のほうはそういう形で千三百万を目標に進んでおりますが、一番最初に申し上げました低硫黄化のほうは相当いいところに来ておりますので、両方の効果をまちまして、電力部門におきますSO対策につきましては相当効果が期待できるのではないかと私は考えるわけでございます。     〔左藤委員長代理退席委員長着席
  24. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 そうすると、いまの問題ですが、五十二年度までには無公害を打ち出せる、こういう自信がある、長官、そういうふうに考えていいわけですね。——先ほどと同じ質問ですが、窒素酸化物による大気汚染についてちょっとその実態をお聞かせ願いたいと思います。
  25. 山形栄治

    山形政府委員 窒素酸化物いわゆるNOx対策これは学問的に非常にむずかしいいわゆる脱硝技術の未確立という問題があるわけでございまして、世界じゅうにおきましても現在検討を進めておるわけでございますが、まずそういう基本的な技術の開発の前に、やはり燃し方において、いわゆるNOxというのは非常に高温のときに発生するものでございますので、二段燃焼を行なう方法、それから排ガスにつきまして混合法を採用するというようなことで相当程度これが解消できるわけでございます。御存じのとおり、NOxにつきましては、いわゆる工場から出るものと、それからいわゆる自動車のように船のように移動源から出るものと二つございまして、特に鉄鋼部門の、非常に高温で、千二百度ぐらいの場合のNOx対策というのが非常にむずかしいわけでございますが、電力のように七百度程度のものにつきましては、鉄鋼に比較しまして相当改善のめどがつく可能性があるわけでございます。たしか昨年ですか、環境基準ができまして、今後五年ないし八年の間にこれを世界水準以下の基準に持っていくということでございますが、電力につきましては、ボイラーの改善、燃焼方法の改善等につきまして、業界におきましても統一的な研究機構を発足いたしておりますし、また通産省といたしましても、大型プロジェクトにおきましてこの開発を進めておるわけでございますので、その環境基準目標の五年後ということにつきましては、いまの体制でNOx対策電力部門につきましては、私は大体目標が達成できるのではないかと考えておるわけであります。
  26. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 さて、この法案の運用についてでありますが、時間がなくなりましたので、重要な点を一、二点質問してみたいと思います。  いま国会に提出されているいわゆる電源三法は、電力会社が国に発電税を納め、国がそれを財源として、地元公共施設整備をはかるために交付金を交付しようとするものでありますが、電力会社は税金を払ったことで義務が終わり、それ以上地元に協力する必要がないなどと考えてはならないと思います。この意味で第六条の地元への協力義務が定められたと思いますが、政府はこの規定が守られるよう電力会社に対してどのような指導を進めるのか。なお、既存の発電所は、法律上の協議義務はないが、地元との融和をはかり、企業の社会的責任を果たす意味で、同様に地元に協力すべきであると考えますが、長官にこの点を承りたいと思います。
  27. 山形栄治

    山形政府委員 電力会社は、各地域におきまして指導的な役割りを占める企業でございます。現在のように、一つ地域、コミュニティーの創設といいますか、地元福祉向上という点につきましては、当然大きな責任を有する企業体であろうと私は考えるわけでございます。いま先生のお話のとおり、今回電力会社からいわゆる特殊な目的税を取るわけでございますが、これにとどまらず、電力会社といたしましては大いに地元に協力すべきであるということで六条の規定が置かれているわけでございます。  その内容といたしまして若干申し上げますと、発電所をつくるに際しまして、工事施行上の道路を建設する場合、それから荷揚げ用の岸壁を建設する場合等、関連施設が当然必要でございますが、発電所設置のためのこういう関連施設につきましては、地元福祉向上のための公共事業との斉合性といいますか、調和を当然にはかるべきでございますので、その辺につきましてはむしろ積極的に各府県及び市町村と協力することがこの六条の内容一つでございます。  それからもう一つは、発電所の温水とか、それから熱い蒸気が出てまいるわけでございますが、これを利用して養魚場をつくるとか、温泉プールをつくるとか、住民のふろ場にこれを提供するとか、いろいろな問題があるわけでございますが、その辺の技術協力は当然に積極的に行なうべきである、こういうことが六条で規定されております電力事業者の協力の内容でございます。
  28. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 もう一点だけ長官にお伺いしますが、第七条は最も重要な規定であると私は思います。運用については別の機会に譲ることにいたしたいと思います。この交付金は、電力会社から徴収する税金を財源とすることとしておりますが、結局これは電気料金の形で国民の負担にならないのかどうか、この点、お伺いしたいと思います。
  29. 山形栄治

    山形政府委員 今回の電源開発促進税につきましては、これはいわゆる公租公課の一部でございます。したがいまして、これは原価に組み込まれるのが当然だと私は思うわけでございまして、目下検討しております電力料金の場合におきましても、これは公租公課ということで一応申請の中に入っておるわけでございます。ちなみに、この電源開発促進税はキロワットアワー当たり八銭五厘でございまして、これは現行料金単価に対しましては一・二%、それから申請料金、これは非常に大きな値上げの申請でございますが、これとの比較におきますと〇・七四%に相当するわけでございます。私ども考え方といたしましては、一応こういうものは正当に公租公課ということで考えまして、むしろそういうことを前提に今後の電源開発の促進をはかるのが本筋であろうと思っておるわけでございます。
  30. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 最後に大臣にお伺いいたします。  大臣は留守でございましたから政府委員のほうから伺いましたが、特に今度の法案については、電源立地の予定を持っておるところの議員としてはたいへん関心を持つわけです。そういう意味から、この法案についていろいろ問題になっておるところの立地住民の方々をどう納得させるかという問題で、公害の問題、特に安全性の問題について、短い時間ではございましたが、お伺いしたわけですが、温排水の問題についても、排煙脱硫装置の問題についても、だいじょうぶであろうというふうな、電源周辺のわれわれとしてはあまり満足するような回答を実は得なかったわけです。ただし、全体を含めてみまして、まずだいじょうぶである、こういう判断の認識の上に立ちながらも、とり方の問題かもしれませんが、そういうような考え方で答弁を私は承っておったわけです。  そこで、最後に大臣に、これはたいへん重要なことになると思いますが、一つだけお伺いをして終わりたいと思います。  まず、発電所建設を促進するという必要性は当然なくらい当然なことだと思うのです。その具体策について種々の問題を提起されております。先ほど来からの話を聞いておりますと、そんなに心配ぶないと思うものをなぜ過疎地域だけに持っていかなければならぬのか。東京でもつくれるところがあるのですよ。立川なんかの大きな都市部でも広大な払い下げの場所がある。石川県にいたしましても、金沢というところのやはり一番電源を必要とするこういうところへつくれば、送電、いろいろな問題から経費が相当省かれると私は思うのです。そういう意味から、そんなに安全性あるいは公害に責任を持てるとするならば、なぜ好んで過疎地域に持っていかなければならぬのか、素朴な意見としてたいへん私は疑問を持つわけです。こういう意味で、大臣のこれに対する見解をひとつお聞かせを願って終わりたいと思います。
  31. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 経済採算的に見ましたら都会地域近傍に持ってくるほうが電力会社としては経済採算ベースはいいと思いますけれども、しかしやはり人口稠密な地帯に対しては多少、少なくともいろいろ煙の問題であるとかあるいは心理的な問題もございまして、できるだけそういうような摩擦を避けるという意味において近郊を避けるということは私は賢明な策であると思います。この問題は、単に必ずしも経済的な問題だけで思量さるべき問題でないように思います。また一方においては、過疎地域におきましては、過疎地域地帯の開発の問題あるいは固定資産税の問題とか、いろいろそういう問題で誘致を希望する向きもあるわけであります。むしろそういう誘致を希望する向きに持っていってあげることが国全体のバランスを回復するという点からも適切な政策ではないかとも思われます。そういうように総合的な勘案からこの電源立地点というものを選ぶことが適当ではないかと思っておる次第でございます。もとよりいかなる地点にせよ安全性に対して政府が責任をしょい、かつ万全の策を講じなければならぬということは当然のことでございます。
  32. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 よくわかりました。  もう一点だけ。そこで、この法案は昨年提出されたものとは内容的に根本的に違っております。しかしながら、いまお話のありました交付税の問題、還元問題、それからまた補助率アップ等々の問題は、今度の法案内容が違う関係から全部取り除かれておるわけでございますが、大臣には昨年よくいろいろ私のほうも陳情申し上げて内容が変わったわけでございますが、これで完ぺきであるというふうに考えておられるのか、それともいま私が申し上げたところのいわゆる補助率の問題も、百分の四が百分の五であるとか、百分の五が百分の六であるとか、交付税問題あるいはまた二五%がどうであるとかという問題をこれとかみ合わせて復元をするというか、ああいったことも考えてみるというお考えがあるかどうかをお聞きして終わりたいと思います。
  33. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは設置地点周辺の住民の福利厚生ということも考えてやっていることでございますから、でき得る限りそういう方面に均てんするように今後とも積極的に努力していくべきものであると考えます。
  34. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 終わります。
  35. 濱野清吾

    濱野委員長 加藤清政君。
  36. 加藤清政

    加藤(清政)委員 私は、ただいまから発電用施設周辺地域整備法案及び関連する幾つかの問題について中曽根通産大臣並びに関係各庁局長にお尋ねしたいと思います。  まず第一に、現在電気には六%の電気ガス税がかけられておりますけれども、一方鉄鋼、アルミ化学などの産業用大口需要百三十品目については免税となっておりますが、この結果、電気の場合は四十七年度の税収約九百二十億円のうち電気総消費量では全体の二〇%しか占められない家庭用がその六〇%に当たる五百五十億円を負担することになっております。中曽根通産大臣は、昨年の六月に、わが国が重化学工業を脱却して省エネルギー型の知識集約型産業への転換を目ざしている点から考えても現行の電気事業法は再検討の段階にきているという考え方を明らかにされましたが、私は、いま申し上げたように、現在免税となっている産業用の電気税をむしろ復活して税負担の公平化をはかるべきだと考えますが、この点について中曽根通産大臣はどのように考えておられるか、お尋ねしたいと思います。
  37. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 電気税の産業用非課税措置は、電気税の消費税としての性格上原料過程を避けるといういわば制度上の要請からの措置を行政上、便宜上基礎物資を生産する電力コストの高い産業に限り認めているものでございます。通産省としましては、かねてから電気税及びガス税について家庭用も含めて撤廃すべきことを主張して、その結果税率引き下げあるいは免税点引き上げを毎年実現してきたところでございますが、今後ともその軽減に一そう努力していきたいと思っておるところでございます。
  38. 加藤清政

    加藤(清政)委員 いま中曽根大臣から今後ともこの家庭用電灯料金の引き下げについては努力するというお話がございましたが、いわゆる税負担の公平という立場からも電気税の免税措置をひとつ廃止していただく半面、均衡を保っていただきたい、そのように思います。  次に電気事業の場合に、事業報酬は売り上げ高と申しますか、販売した電力量に料金をかけるということから諸経費を差し引く方式ではなくして、固定資産や運転資本などの事業資産を算定して、その額の一律八%が自動的に事業報酬として認められる方法をとっているわけでありますけれども、今回の値上げ申請においても、各社は事業報酬を限度一ぱいの八%をとっております。こうした方法発電設備の急速な拡大や高率償却と結びついて電力の浪費を促した一因にもなると考えられるわけであります。とりわけいまのようなインフレ状態の中では公共料金の値上げがもたらす影響が大きいだけに剰余金や配当金を減らして事業報酬を減額するぐらいの措置は講じて当然だろうと考えられますけれども、この点について通産大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
  39. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 現在事業報酬額の算定に用いられている報酬率は、昭和三十四年当時の電気料金制度調査会において金利水準、資本構成等を基礎に算定され、八%が妥当であるとの答申に基づいて定められたものでございます。現在の金利水準、資本構成等をもとに修正を行なった結果でも、この報酬率は八%をこえているのが実情でございます。今後これらの前提となる条件の動向を勘案した場合はなおこの傾向が続くものと見られるので、報酬率の検討は慎重に対処する必要があると考えます。
  40. 加藤清政

    加藤(清政)委員 いま大臣から事業報酬率の八%について慎重に検討するという答弁がございましたが、すでに十五年を経過しておりますので社会情勢の大きな変化というのが当然あり得る、そのように考えますから、ひとつ十分事業報酬率の再検討についてお考えを願いたいと思います。  次に、いわゆるナショナルミニマムと申しますか、電力料金の問題について三点ほどお伺いしたいと思いますが、今回の値上げ申請では、電灯料金に三段階を取り入れまして、百キロワットアワー未満をナショナルミニマムとして、これをもって福祉型料金であると宣伝しているわけでありますけれども、はたして現在のわが国国民生活実態の中で、百キロワットアワーという水準はナショルミニマムといえるのかどうか、これはたいへん私は疑問を持つわけでございます。おそらく百キロワットアワー未満で済まされるのは、せいぜい下宿住まいの独身者か共働きの夫婦ぐらいで、夫婦と子供二人という標準家庭では、とりたててむだ使いをしなくともこの百キロワットアワーをこえてしまうと思います。少なくともナショナルミニマムというからには標準家庭の平均的数値に設定すべきだと考えるのでありますが、ちなみに、私の家で、先月電気料は一体どのくらい使うのかということで料金表を見ましたら、テレビが二台あり、そして洗たく機が一台あり、電灯が七カ所つけられて、月の消費量が三百二十キロワットアワーで三千三百円の料金だったわけです。私は、なるべく電灯は夜は消すようにしますし、絶えず習慣としてすぱっすぱっと電灯を消すようなそういう節約した形をとっておるわけでありますけれども、広くない私の家で、大体月の消費量が三百二十キロワットアワーで三千三百円ということでありますので、一体この百キロワットアワーを算定した根拠、このことについて御説明願いたいと思います。
  41. 山形栄治

    山形政府委員 根拠について申し上げますと、先般電気事業審議会の中の料金算定部会でいろいろと検討していただきまして、家族四人を前提にいたしまして、電気用品の普及率が現時点におきまして八割以上の家電製品を列挙いたしたわけでございます。それの大体四人の平均的な使用量というものを全国平均等を参照してとったわけでございまして、これはいわゆる電灯それから扇風機、こたつ、冷蔵庫、洗たく機、カラーテレビ、掃除機、それからその他というのが別途にございますけれども、除かれておりますのはルームクーラー、電子レンジ、それから二台目に当たります白黒テレビ、電気毛布等が除かれておるわけでございます。問題でございますのは電気がまでございまして、電気がまは普及率が実は八割になっておりませんわけでございまして、現在五九%でございますけれども、これはガス炊飯器とのバランスの問題でございますが、この辺が若干問題ではなかろうかと考えておるわけでございます。
  42. 加藤清政

    加藤(清政)委員 その家電の八〇%普及率のものと電気炊飯器五〇%の普及率のもの、そのものの使用でありますが、大体時間帯はどのくらいですか。
  43. 山形栄治

    山形政府委員 たとえば扇風機を例にとりますと、一日平均の使用時間が四・五時間、年間使用日数が百日ということを計算の根拠にいたしております。それから非常に電力を消費いたしますカラーテレビでございますが、カラーテレビにつきましては一日平均使用時間が五・四時間、年間使用日数三百五十日ということで計算をいたしておるわけでございます。
  44. 加藤清政

    加藤(清政)委員 いま御答弁の中にも、炊飯器はほとんどいま使わない家庭はないわけでありまして、普及度は、潜在普及度を含めてまあ一〇〇%ぐらいになっているんじゃないか、そういうように私は考えるのですが、それを五九%ぐらいに見たということですが、そういう試算からして、百キロワットアワーというのはたいへん切り詰めた家庭の消費量であるということが明らかになるわけであります。  そこで通産大臣にお尋ねしたいと思うのですが、一体この基準は妥当であると考えておられるかどうか、そして、さらにこれを引き上げて数値を考慮されるお考えがあるかどうか、この点と、さらに福祉型料金という考え方に立って、ナショナルミニマム以下の料金を据え置くとか、身体障害者家庭だとか母子家庭だとか老人家庭あるいは生活保護家庭などについては料金を無料にするとか、所得が一定水準以下の家庭については無料にするとか、そういう実際に実効ある福祉型料金というものをお考えになっておられるかどうか、中曽根通産大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  45. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 まず百キロワットのナショナルミニマム問題でございますが、公聴会でいろいろ御議論を拝聴した結果を総合してみますと、これでは少ないという議論が圧倒的でございます。私も、いまあげられたようなものの普及率八割というものでは、たとえばトースターとかそのほか必需品と思われるものも抜けておりまして、そういうような面から、これはもう少し手直しすることがいいんではないか、私の見当では百二十キロワット程度を目途に手直ししたらどうかという考えを私個人として持っておりまして、そういう点についてエネルギー庁検討をいま指示しておるところでございます。  それから弱者に対する料金免除、軽減等の問題でございますが、なるほどそういうお考え一つの適切なお考えであると思っておりますけれども、むしろ弱者救済というものは、別の面から厚生省や内閣が総がかりで行なうべきことが適当ではないか、電気料金という点でこれを救済するというよりも、ほかの面で国がいろいろ援助をする、そういう形でカバーするというのが適当ではないか、そういうように考えておる次第でございます。
  46. 加藤清政

    加藤(清政)委員 ナショナルミニマムにつきましては中曽根通産大臣から手直しするという御答弁がございましたので、ひとつ弱者救済につきましても別の社会保障の立場からすべきであるというお話でございましたが、通産大臣のほうからもこのことについて一そう推進をしていただきたい、そのように思います。  次に、発電用施設周辺地域整備法案に関連いたしまして、電力危機と列島改造の問題について若干御質問をしたいと思うのですが、通産省や新全総計画では、昭和六十年、一九八五年の電力設備予想を約一億九千万キロワットと想定して今後の電源開発を進めようとしておられるようでありますが、私はまさに今日の電力危機の本質は、新全総に象徴される高度成長を前提にした政策から導き出されていると考えられるわけであります。現在の電力大口消費を見てもわかるように、鉄鋼が二五%、化学工業が二〇%、以下非鉄金属が八%、紙・パルプが五%というぐあいに、これらはいずれも火力原子力発電所とともに悪質な公害発生源として国民からきびしい批判を受けているものばかりであります。おそらく昭和六十年の一億九千万キロワットという想定は、いま申し上げました大口消費産業は今後ともかなりの水準で拡大していくことを含んだものと解釈しておるわけでありますけれども、この点について、いまの国際情勢、そして日本の経済の動向にかんがみまして、軌道修正をしない限り、今後とも電力の危機、そして発電所立地難、そして公害、そして料金値上げというパターンは繰り返されざるを得ないということが目に見えてくるわけでありますけれども、こういうことに対する反省なり、政策の転換を抜きにして、発電所等の周辺地域公共施設整備をうたい文句に発電所の建設促進をはかろうとする政府のやり方は、国民を納得させることはできないと思いますが、この点、産業構造の転換とあわせて通産大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  47. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 今回の電力需要想定によりますと、四十七年度から五十三年度の平均増加率は八・九%となっており、これは四十一年度から四十七年度の平均増加率が一一・二%を示していたのと比較すれば、比較的低い水準であると考えられております。また、今回の想定にあたっては、四十八年二月の閣議決定にかかる経済社会基本計画において想定された経済成長率九・四%に比較してかなり低い経済成長率を前提としておるものであります。こういう点からも、今回の需要見通しは特に過大ではないと考えられます。  なお、省資源、省エネルギー産業構造への転換をいま通産政策の大命題でやっておるところでございますから、そういう面におきましても、われわれは、他面、産業構造の上からも積極的に努力をいたしまして、電力需給とマッチするように努力してまいるつもりでございます。
  48. 加藤清政

    加藤(清政)委員 次に、政府として電源開発を進めていく場合に、現実に問題となっておる次のような問題点についてお尋ねしたいと思うのですが、特に法案住民福祉のあり方について主眼を置いてお尋ねしたいと思います。  この法案の目的の中で、「発電施設周辺地域における公共用の施設整備を促進することにより、地域住民福祉向上を図り、」と法案のベースとして述べておられますが、私が考えるのに、公共施設整備住民福祉向上は、火力や原発の立地とは関係なく、政府の基本政策として当然進められるべきものであろうというふうに思うわけであります。むしろ火力や原発の立地に協力した者だけに福祉向上という恩恵が与えられるとするならば、それは一種の差別行政であるといわざるを得ないわけであります。しかも、この法案では、すでに火力や原発が設置されている地域対象からはずされていることを考えますと、ほんとう電源地域福祉向上をはかるためのものというよりは、何かしらこういう福祉を与えるぞということをえさにして、住民の反対運動を分断させ、そして立地難に直面している発電所の建設の突破口を切り開こうとしているのではないかという疑念を抱かざるを得ないわけでありますが、この点、大臣の見解をお聞かせ願いたいと思います。
  49. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 電源開発を促進して国民の要求する電力の需要に合うように供給体系をつくっておくということは通産省の責任でございますが、いまの情勢を見ますと、電源をつくるという場合に、ダムをつくるとか、あるいは原子力発電所をつくるとか、そういうところの住民の皆さんは、かなりの迷惑を実は受けておるところでございます。家を移転させるとか、あるいは公害の危険性が出てくるとか、そういうようないろいろな非難がございます。しかし、それで迷惑を受けて発電所がつくられても、電気代が別に安いというわけではない。そういうような面から住民の皆さんに非常に迷惑もかけておるところであるので、そこで住民の皆さま方にある程度福祉を還元しなければバランスがとれない。また電源の開発も促進されない。そういうバランスの意味もありまして、今度の周辺整備法の上程にもなってきているわけでございます。したがいまして、これは周辺以外の一般の土地と違う事情がございますので、そういうデメリットに対してバランスを維持しようという考えに基づいて行なわれているものであり、かつまた積極的に協力してもらうという要望も込めてできておるものであります。  なお、既設の発電所所在の市町村については、今回、地方税法の改正を行ないまして、発電所にかかる固定資産税の課税標準の特例措置、つまり軽減措置の廃止または縮小を行なうとともに、大規模償却資産にかかる課税限度額の引き上げを行なうことにより発電所所在市町村の固定資産税収入の増加をはかる等の措置を講ずることといたしております。
  50. 加藤清政

    加藤(清政)委員 次に、整備計画作成にあたっての問題点についてお尋ねしたいと思うのですが、この法案の第四条で、整備計画について都道府県知事は、市町村長及び電力会社意見を聞かなければならないとされていることについて、このような形で、いわば国と地方自治体、そして電力会社が並列的な立場で整備計画の作成に当たるということは、企業による自治体行政への介入を深めるということになるとたいへん危惧されるわけですが、この点について通産大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  51. 山形栄治

    山形政府委員 本法案におきましては、公共用施設整備いたします場合に、これがあくまで発電施設または発電用の関連施設とあわせて整備する必要があるという観点でこれをつかんでおるわけでございます。電気事業者は、当然のことながら、単に電源開発促進税を負担するだけではございませんで、本法の第六条におきましても、先ほども申し述べましたとおり、工事用の道路の整備を行なうような場合に「協力」としまして、都道府県知事のつくる整備計画との斉合性を当然に配慮をすることが義務づけられておるわけでございますが、本法案におきまして、整備計画作成の際に知事が電力会社等意見を聞くということは、以上のような趣旨電力会社の協力を容易にするというために行なうものでございまして、あくまで整備計画は、都道府県知事の責任と自主性をもってつくるべき性質のものであり、いささかも電力会社からの誘導といいますか、そういうことが来ないようになさるべきものであると確信いたしております。
  52. 加藤清政

    加藤(清政)委員 立地基準の厳格化について一点お尋ねしたいと思うのですが、田中総理は、さきに国会答弁の中で、原発建設の立地基準については、これを世界一きびしいものにしたいと述べておられますが、これを受けて、森山科学技術庁長官昭和三十九年に基準をきめたが、総理と相談した上で善処したいと答弁しておるわけであります。  そこで生田次長さんにお尋ねしますが、具体的にどのような相談をし、事務当局にどういう提示をされたか。立地基準の厳格化についての尺度についてお尋ねしたいと思います。
  53. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま先生指摘の点でございますが、三月の十九日に参議院予算委員会の総括質問におきまして、辻先生の御質問に対しまして田中総理、森山長官が御答弁された点であろうかと思います。大臣からは、その答弁されましたあと、この基準の見直しにつきまして御指示がございました。ただ、私どもといたしましては、この立地基準も含めまして、技術的な審査基準全般につきまして常々検討しているところでございます。特に環境放射能の問題でございますが、原子力発電所の平常運転時におきます周辺の公衆に対します被曝につきましては、現在原子力委員会の下部機構でございます環境安全専門部会環境放射能分科会というのがございまして、その分科会で、ICRP、国際放射線防護委員会の勧告にございます容易に達成し得る限り低くすべきであるという抽象的な勧告でございますが、それを具体的にどういうふうに取り入れるべきかということを検討している段階でございまして、近々結論を得る予定になっております。  その他ただいま申しました環境放射能以外の全般的な技術基準につきましても、原子力委員会の下部機構といたしまして技術基準部会がございます。これを常設化することをただいま検討いたしておりまして、学識経験者のお知恵もかりまして検討を進めたいというように考えております。
  54. 加藤清政

    加藤(清政)委員 いま答弁をされましたが、立地基準の厳格化と全くうらはらな感があるわけでありますが、たとえば茨城県の東海村から大洗町一帯にかけては、現在建設中の施設も含めて三十一カ所もの原子力関係施設が密集しているわけであります。しかも、この中には電気出力百十万キロワットの沸騰水型軽水炉やあるいは放射性廃棄物の点からも、いま言った軽水炉の七基分に相当するといわれる再処理工場あるいは高速増殖炉、新型転換炉の実験炉など、ありとあらゆる原子炉が含まれているわけであります。福井県の場合でも美浜、敦賀など、わずか五十一キロメートルの範囲に九カ所の原発が集まっておるという過密集中ぶりであります。こうした原子力施設の密集した地帯は、核分裂生成物の蓄積密度が高いという点でも、またあらゆる種類の放射性廃棄物のばく大な量が山積される地帯という点でも、おそらく世界に例を見ない危険を内包していると考えられるわけであります。しかも、これらの施設から大量に放出される温排水は、その中に含まれる大量の放射性液体、廃棄物とあわせて海洋を汚染し、漁業の破壊をもたらしていると考えられます。たとえば軽水炉型原発の場合に、二千万キロワットの能力を持っているとすると、毎秒千六百立方メートルの温排水を排出するということでありますが、この量は日本の大きな川である阿賀野川の五倍、利根川の八倍にも及ぶ流量になっているといわれております。こうした原発施設の集中がもたらす環境汚染、放射能の危険性について政府の側ではどの程度の追跡調査をされておられるのか。さらに、その認識とあわせて科学技術庁及び環境庁から、この点について御答弁をいただきたいと思います。
  55. 生田豊朗

    生田政府委員 まず第一に集中化の問題でございますが、茨城県の東海、大洗地区、それから福井県の若狭湾沿岸におきまして、現実に原子力発電所あるいは原子力関係施設の集中化がございますことは先生の御指摘のとおりでございます。ただ、集中化はしておりますけれども、その場合、たとえば原子力発電所の建設に際しましての安全審査でございますが、これも集中化ということを十分計算に入れまして、それぞれ相互の原子力施設あるいは原子力発電所から放出されます放射能の影響、それも総体としてその影響を計算しておりますし、それから事故想定します場合につきましても、その集中化の状況前提にいたしまして基準値以下の影響しか発生しないように、これは十分計算しておりますので、集中化という状況はございましても、私どもはそれによりまして地域住民に御迷惑をかけるような事態は発生しないというように確信しておる次第でございます。  それから第二の温排水の点でございますが、この点につきましては、先ほど稻村先生の御質問に対しまして通産省から詳しく御説明申し上げましたが、私どもといたしましても、原子力発電所温排水を出す割合が一般の火力発電所よりも若干多いということにもかんがみまして、通産省それから農林省、環境庁その他の関係各省とも十分連絡をとりましてその対策検討しているわけでございますが、私どもで把握しております限りにおきましては、温排水影響と申しましても、たとえば先般福井県の水産試験場の調査の結果が新聞に発表されておりましたけれども、若干海藻類その他の分布に影響があったということはいっておりますけれども、特に特段の温排水についての大きな影響というのは現在のところまだ発見されておりません。先般福島の第二原子力発電所公聴会に際しましても、この温排水についていろいろ御意見が出されまして、たとえばワカメでございますが、ある方は、その温排水の結果ワカメの発育が非常によくなった、かえってワカメの収穫が多くなったというようなプラスの面の御指摘もございましたし、またある方はその反対に、ワカメの生育が悪くなって、ワカメの収穫が減ったというような御意見もございまして、必ずしも悪い結果だけがあるというようには考えておりません。ただ、先生指摘のように、集中地帯あるいは大規模容量の原子力発電所からは相当大量の温排水が排出されるわけでございますので、その影響調査につきましては今後とも十分検討してまいりたいというように考えております。
  56. 森整治

    ○森(整)政府委員 環境庁としての考え方を申し上げたいと思います。  四十六年から排出基準を設定すべく各省と協力いたしまして調査を進めてきておりますけれども、ただいま作業に入っておりますのは、一つ拡散予測方式、これを確立したいということでございます。従来新田式、平野式、和田式といろいろ方法がございました。それぞれの特徴もございますが、そういうことで、一体拡散がどの程度行なわれるかということの統一的な方式というものをわれわれとしてただいま作業中でございます。  それから問題の排出基準はなるべく早くこれをつくるということで、すでに各方面の意見をいろいろ伺っておりまして、早急に排出基準を設定してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  57. 加藤清政

    加藤(清政)委員 次に、再処理工場の役割りについてお尋ねしたいと思います。  現在東海村に建設されている核燃料再処理工場についてお尋ねしたいのですが、この再処理工場では、使用済み燃料をどのように処理し、またその用途は何であるか、その点お尋ねしたいと思います。ちなみに、聞くところによりますと、まず第一に使用済みウラン燃料の中でまだ燃えていないウラン二三五を分離し、これを再度ウラン燃料にするというようなこと、次にウラン二三八が原子炉の中で中性子を吸収してできるプルトニウム二三九を取り出す、このプルトニウム二三九は現在のところプルトニウム爆弾、長崎の爆弾の原料としかならないというように聞いているのですが、こういったようないわゆるウラン二三八が原子炉の中で中性子を吸収してできる、そしてプルトニウム二三九を取り出すということであります。それからさらに、いわゆる死の灰と申しますか、これを分離してコンクリート詰めにしているということは聞いているのですが、一体この核燃料再処理工場について、この使用済みの燃料をどのように処理し、またこれを他に用途を考えているかどうか、こういう点についてお尋ねしたいと思います。
  58. 生田豊朗

    生田政府委員 再処理工場につきましてはただいま御指摘のようなことでございまして、いわゆる核燃料サイクルと申しておりますが、原子力の利用の一つの特徴でございまして、使いました燃料がそのまま全部消えてしまうということではございませんで、ある程度再処理いたしまして、ただいま先生指摘のウラン二三五、つまり現存ウランと申しておりますが、それとプルトニウムがその使用済みの燃料を再処理いたしました結果として発生してまいります。これをまた新しく燃料として使うことが可能でございますので、いわば一ぺん使いました燃料をまた回収いたしましてまた使うということが、この原子力、特に原子力発電一つの特徴でございまして、またある意味では、経済性の面におきましても非常に大きな特徴になっているわけでございます。  それで、この再処理の結果また使えるようになりました現存ウラン、それからプルトニウムでございますが、これはそのままではございませんで、転換加工する必要がございますので、転換加工いたしまして、また新しい燃料として使うということでございます。ウラン二三五につきましては、また軽水炉発電所の燃料として使うことが可能でございますし、プルトニウムにつきましては、ただいまわが国で開発しております新型転換炉に天然ウランとあわせまして燃料として一部使うことが可能でございますし、さらに新しい高速増殖炉につきましてはプルトニウムを使うということでございます。  それから第二点でございますが、そういう有用物質と申しますか、またもう一度使える物質を取りまして最後に残ったもの、これは三酸化ウランの粉末、それから硝酸プルトニウムの溶液でございますが、これは再処理工場に相当大きな容量の貯蔵容器を設ける予定でございます。その貯蔵容器の中におさめまして、製品貯蔵施設といたしましてそこにためておくという計画でございます。
  59. 加藤清政

    加藤(清政)委員 次にお尋ねしたいと思うのですが、原発がすでに何基も建設され、今後続々と建設が予定されている現在、放射能災害から人類を守っていくことが緊急の課題であるわけです。わが国の場合に、率直にいって安全対策の面でもまだまだ解明されておらない部分がたいへん多いと聞いておりますし、非常に乏しい研究費の中で、不十分な施設しか提供されないままに研究に携わることを余儀なくされている研究者やあるいは放射線従事者の身体について、影響予測できないものがあります。そうした中で、少なくとも最大許容量を明確にすることは当然のことと思われますが、国際基準では五百ミリと聞いております。アメリカではその百分の一の五ミリであるというように聞いておりますが、政府も五ミリ以下の基準でこれを成文化したいとの国会答弁をされておると聞いておりますけれども、この点、成文化の作業は進んでいるのかどうか、現状についてお尋ねしたいと思います。
  60. 生田豊朗

    生田政府委員 環境放射能についての御質問でございますが、国際基準は、ただいま先生指摘になりましたように、国際放射線防護委員会で基準として出されております〇・五レム、つまり五百ミリレムでございます。ただ、この基準をもとにいたしまして、容易に達成できる限り低くすべきであるという勧告がございますので、わが国もその方針にのっとりまして、それよりも非常に低く押えております。最近の安全審査におきましては、その五百ミリレムの百分の一、五ミリレム以下に押えるように安全審査をしておりますので、現在わが国にございます軽水炉型の原子力発電所の大部分のものにつきましては、それ以下に押えられているわけでございます。ただ先生の御質問は、これを一般に基準として五百を五に下げるべきではないかという御趣旨かと思いますが、アメリカにおきましても、基準といたしましては五百ミリレムを五ミリレムにしているわけではございませんで、目標といたしまして五ミリレムというものを掲げているということでございます。わが国におきましても、先ほど御説明申し上げましたように、原子力委員会の下部機構におきまして、アメリカ同様にこの五ミリレムというものをその目標値として設定するかどうか検討中でございまして、これは近々結論を得る予定でございますので、その結果をまちまして対処したいというように考えております。
  61. 加藤清政

    加藤(清政)委員 日本では一九五六年五月に〇・〇三レムを最大許容量としたというふうに聞いているのですが、この点の御答弁をひとつお願いしたいと思います。さらに許容量の引き下げについて検討を加えているかどうか、その点もあわせて御答弁願いたいと思います。
  62. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま御質問の点でございます。一九五九年に〇・〇三レムでございますが、それを基準にしたということはございませんで、法令上は先ほど申し上げましたようにICRPの基準の〇・五レム、すなわち五百ミリレムでございますが、これを現在実際上はその百分の一以下に押えて安全審査をやっているということでございまして、〇・〇三レムを新しく五九年に基準に使ったということは承知しておりません。
  63. 加藤清政

    加藤(清政)委員 その点たいへん重要なことでありますので、私ももっと検討して勉強したいと思います。  それでは環境庁にお尋ねしますが、火力や原発の立地が国立公園とか自然公園の中に計画された場合に、自然環境の保護だとか公害防止という面から、環境庁としては、このことについて一体どう対処されるか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  64. 新谷鐵郎

    ○新谷説明員 ただいまのような情勢のもとで、発電施設設置必要性ということにつきましては理解できるわけでございますが、一方ではまた、わが国の残された貴重な自然を守るということについての国民的な要望も非常に大きいわけでございまして、その両方のいわば価値というものは、価値の体系が違うと申しますか、同じ次元で比較することのできない問題でございますので、その点に非常に問題があるわけでございますけれども、少なくとも私どもといたしましては、国立公園とか国定公園は、すでに自然景観のすぐれたところとして地域が指定されておるところでございますので、そういう場所に発電施設設置することにつきましては、きわめて慎重な態度で臨みたいというふうに考えております。
  65. 加藤清政

    加藤(清政)委員 慎重な態度をもって臨みたいというのですが、どうも慎重な態度というものが理解できないのです。そういうことは、環境庁として自然を守り、そして環境保全するという立場に立った場合に、やはりこういう火力や原発の立地の問題が出た場合には好ましくないので、むしろ反対の立場をとって自然環境を守るという考えがあるかどうか、その点重ねてお伺いしたいと思います。
  66. 新谷鐵郎

    ○新谷説明員 基本的には先生のおっしゃったとおりの考え方でございます。ただ、わが国の国立公園、国定公園はアメリカの国立公園などと違いまして、営造物ではございませんで、もっぱら公園目的だけに使う地域として指定されておるわけではございませんで、他の公共目的との調整ということを考えなければならない場合もあるわけでございます。したがいまして、個々のケースにつきまして、慎重な態度で、しかし基本的にはきびしい姿勢で臨んでいくという考え方でございます。
  67. 加藤清政

    加藤(清政)委員 時間も一時間過ぎましたので、大体締めくくっていきたいと思いますが、美浜一号機の事故についての見解をただし、これについての御答弁をお願いしたいと思うのです。  福井県の美浜原発一号機は、一昨年六月十五日に蒸気発生器の細管に穴があいて、十二月九日まで運転停止をして事故発生対策を講じ、さらに昨年三月十五日から八月十九日までの大がかりな定期検査の結果、出力を六〇%に減じて運転を再開いたしましたが、当時、それ以前の事故を含めて、国会でも欠陥炉ではないかと美浜原発についてはたいへん論議を呼んだわけでありますけれども、去る九月八日また事故が発生いたしました。さらに加圧器のスプレーバイパス弁の故障によって放射能が放出されて運転を停止したというようにいわれておるわけでありますが、こういう中で、九月八日、一号炉の格納容器内で空気中の放射能のちりを監視するダストモニターと放射能ガスを監視するガスモニターのメーターが異常値を示して、調査の結果、一次冷却水の圧力を調整する加圧器近くから蒸気が漏れているのを発見して、出力を急いで落として炉をとめた。この間、ガスモニターでは平常値八百カウント、保安規定値一万五千カウントに対して二万カウントをさらに記録して、ダストモニターは平常値三千カウント、保安規定値は八万五千カウントに対して八万カウントを示した。格納容器とはいえ、放射能は異常な状態で満ち満ちて充満してきたということであります。したがって、この事故に対して、美浜一号炉は欠陥原子炉であるというようにこの際はっきりと考えるべきであると思うのです。蒸気発生器の事故原因がわからなければ、加圧式水型炉の設置認可は取り消し、あるいは建設を中止すべきだというように考えられるわけであります。特に蒸気発生器については定期検査が五月中旬に終わるといわれておりましたが、その結果について御報告をいただきたい、そのように思います。
  68. 井上力

    井上説明員 美浜一号炉の蒸気発生器の問題でございますが、昨年だったと思いますが、定検のときに小さいピンホールから蒸気漏れがあったということがありまして、その他漏れてはおりませんけれども、減肉現象があったということがあったわけでございます。これにつきましては減肉の原因を調査する一方、減肉をしたものにつきましては、これを━━━にする、実際にふさぎまして使えないようにするということで、約九千本のうち、約二千本につきまして、健全なものに至るまで疑わしいものは全部━━━にいたしましたわけでございます。こういう措置をとりまして、さらに安全を期するため、蒸気発生器にかかります熱負荷でございますが、これをある程度下げるということで安全を期するために、御指摘の出力三十四万キロでございますが、約二十万キロで運転をするという指示をいたしまして、自来出力を落としたまま運転をしておるわけでございます。  さらに御指摘のように、ことしに入りまして、現在定期検査をやっておるわけでございますが、この際に、さらに四本の減肉がございました。これは約三割から四割程度で、前回のもの、シビアなものよりは少ないわけでございますが、発見されましたので、これにつきましては、やはりふさぎまして、━━━にいたしまして、使用しないという状態で使うというふうに現在のところ考えております。さらに運転を再開するまでには、その措置につきましては慎重に検討したいというふうに考えております。  御指摘のように、美浜一号炉につきましては、三十四万キロの出力を二十万キロに落とさざるを得ない状態で運転を余儀なくされておりますので、性能的には欠陥炉になるというふうに考えますが、安全性確保という点につきましては、ただいま御説明申し上げましたように、十分安全側にその処置を考えまして現在運転をさせておる。ただいま現在におきましては定期検査を行なっておりまして、運転を開始する際には、安全上支障がないということを確認してこれを行なうようにしたいというふうに考えております。
  69. 加藤清政

    加藤(清政)委員 いま九千本から二千本を抜いて━━━にするということばがありましたが、その━━━にするということばはどういう意味ですか。(「差別だよ、━━━とは何だ、取り消せ」と呼ぶ者あり)━━━にするという用語、そのことについて私には理解できないのです。
  70. 井上力

    井上説明員 表現が適当でなかったことはおわびいたしますが、両端をふさぎまして、細管を使えないようにするということでございます。
  71. 加藤清政

    加藤(清政)委員 ふさぐとか抜くとかいう日本語は、当然私も答弁で大体わかっておるのですが、ただ——にするということばですね、これ自体は、盲人だとか、めしいた人であるとか、いま盲人に対してのことばというものがいろいろあると思うのですね。——にするというのは、人を非常に軽べつし、しかもその人を差別することばですから、差別用語としてこのことばを使うべきでない、そのように思いますので、今後注意していただきたい、そのように思います。  時間がすでに参りましたので、本日はこの程度にしたいと思いますが、しかし単に本法について、道路とか港湾だとかあるいは都市公園だとか水道だとか、そういう公共用地の整備ということではなくして、むしろ原発及び核燃料再処理施設の問題については、安全対策とか環境対策について一そう解明されなければなりませんし、それを主眼としてもっと突っ込んで論議をしていかなければならないと思いますので、さらに次回にまた時間をいただくことにいたしまして、きょうはこの程度で質問を終わりたいと思います。      ————◇—————
  72. 濱野清吾

    濱野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  流通問題小委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいとの小委員長からの申し出がございます。つきましては、小委員会に参考人の出席を求め、意見を聴取するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後二時十一分開議
  75. 濱野清吾

    濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前中に引き続き、発電用施設周辺地域整備法案議題といたします。  この際、井上審議官から発言を求められておりますので、これを許します。井上審議官。
  76. 井上力

    井上説明員 午前中の加藤清政委員に対する私の答弁中、不穏当な言辞がありましたので、おわびするとともにこれを取り消し、その措置を委員長にお願いいたします。
  77. 濱野清吾

    濱野委員長 ただいまの井上審議官からの申し出の件は、委員長において適当に処理することにいたします。  質疑を続行いたします。佐野進君。
  78. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私は、発電用施設周辺地域整備法案審議をいたすわけでありますが、審議の具体的な内容に入る前に、通産大臣に三点にわたってこの審議の背景になるべき問題について質問をしてみたいと思います。  その第一は、今日この法案が重要法案として審議が急がれておるわけでありまして、委員長もたいへんな熱意をもってこの審議を促進するように努力されておるわけであります。私どもは、またその重要法案として審議を促進しようとする与党の委員の皆さんと立場を異にするような状態の中でこの審議をしようといたしておるわけであります。そのことの持つ意味は、この法案が現在行なわれつつある発電所建設に対する反対運動ないし建設に反対する広範な人々の立場に立ってこの法案審議しようとするとき、どうしてもこの法案をすなおにながめた形の中で審議をする以上に、その背景となる基本的な問題に対して討議をし、その中から本法案内容について具体的な検討をしなければならない、そういう状況にあるからわれわれとしては慎重に対処してきているのであります。そこで私は、そういう意味において大臣に三点にわたって質問をまずしてみたいと思うのであります。  それぞれ具体的な問題になるわけでありますが、一つは、この法案がいわゆる電力料金の値上げの問題と関連しているのではないか、このようなことが昨年のいわゆる本会議質問においてわが党の渡辺議員が本会議場においてその点を大臣に追及いたしているわけであります。したがって、その条件は今日といえどもなお変わっていないと思うのであります。いやむしろ当時は関西電力等等の状態だけでございましたけれども、今日はその関西電力を含めた九電力会社すべてがこの値上げ申請を行なっている。こういうような状況の中で、いまその決断を迫られている状況でありますが、といたしますと、この法案を通すことが電力料金の値上げに関係するのではないかという当時の危惧は、それ以上の差し迫った問題としてあらわれてきておるわけであります。しかも、この面からこの問題をながめてまいりますと、いわゆる電力料金の値上げ問題がいまや大詰めにきている、そういうような状況下においてこの法案審議が進められようとしている。となりますと、まさに二つの面におけるところのメリット、この追求が関係者によってはかられている、それに通産当局が、これとともに歩まんという姿勢を示しているんだ、こういう指摘をされてもやむを得ないと思うのであります。  そこで私は、この問題の審議に入る前に大臣に質問したいのでありますが、大臣は、昨日の閣議の前であったかあとであったか、新聞報道でありますが、わかりませんが、経済企画庁長官と話し合って二十一日に一斉に申請のあった分について認可をしよう、このような新聞報道がなされておるわけであります。はたしてそのことが、話し合いが行なわれてそのようなことになったのが事実かどうか、その日の夕刊にあらわれた記事あるいはけさの朝刊等にあらわれた記事によりますと、経済企画庁はなお検討を要する点がある、特に新田事務次官は通産省のそのような要求を受け入れて二十一日にきめることはできない、こういうような発言をしておるよう新聞に報道されておるわけでありますが、この点の事情についてまず明らかにしていただきたいと思うのであります。
  79. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 電力料の値上げの問題とこの法案の問題は直接関連はございません。電力料の問題は、去年以来の石油の危機及びこれに基づく燃料代の暴騰からきておる電気料金の改定という問題でございますし、この法案原子力水力火力等の電源開発促進という国策的な要請からきておる法案でございまして、前回は継続審査になって、前の国会に提案されて以来問題になっておる法案であるからであります。  電力料の問題は、経済企画庁長官と閣議の前に話したことは事実でございます。それで私らの希望としては、二十一日ごろまでに大体審査は終わる、したがって、そのころ両省で協議をしてきめる方向に持っていくように努力をしたい、一応そういう一つ目標というような意味で相談をかけた次第でございます。経企庁側には経企庁側の御事情があるかもしれませんが、当方の作業過程の進行状況を申し上げまして御協力をいただくようにお願いしたわけなのであります。
  80. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私がなぜこの点について質問をするかと申し上げますと、いわゆる二兎を追う者一兎を得ずということわざもございますけれども、あまりにも電力行政そのものに対して通産当局が甘いのではないか、こういうような印象を受けるわけであります。と申し上げますことは、わが党でいわゆる電力料金値上げ問題に対していろいろ検討を加えまして、一つの結論が出ておるわけでありますが、この中において電力料金値上げに対するところの一つの問題点といたしまして高い需要の伸び率想定し、その高い需要の伸びに相対応する条件の中で今日の値上げが申請されている。そういうような条件下において今日提案されましたこの法案の背景になるべき諸問題等々につきまして、私どもは通産当局の資料あるいはエネルギー庁資料等を取り寄せまして検討をいたしました。いわゆる政府側の資料に基づく検討によりましても、またわれわれの集めました資料による検討につきましても同じような内容が出てきておるわけであります。需要の伸び相当高く見る形の中において今日の電力事情緩和のための対策として電気料金の問題も出てき、さらにまた今日この法案も提案されている、こういうような形になってまいるわけでございますので、結果的にそのいずれかについての一つの方向を修正するならば、両方同時にこれらの問題についていま少しく緩和された情勢の中で対策が立て得られるのではないか、こういうような気がいたしておるわけであります。したがって、重ねてこの点について御質問申し上げますが、大臣は、今日の電力料金の申請に対する取り組みとして、いま通産当局が予定している需要の伸びと、さらに申請として出てきている需要の伸び、このようなものについてどのような判断を下されているのか。いわゆる申請をそのまま認める形の中において処理しようとしておるのか、あるいは若干の修正を加えた中において本問題の処理をはかろうとしておるのか。修正を加えんとするならばどの程度の修正率をその前提としているのか。いわゆる料金算定の基礎は、需要の伸びに対応してエネルギー源である石油その他の消費量が計算の基礎になっておるわけでございますので、この点について、これから審議を進めていく上に必要な条項でありますので、大臣の見解をこの際明らかにしてお答えしていただきたいと思うのであります。
  81. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 もちろん申請に対しましては厳格な査定を加えさせております。燃料代とか人件費の高騰とかいろいろなファクターがありまして、各社別によってまた状況も違いますので、各社別に一定の基準をもって厳重な査定をしておるところでございます。どの程度の査定になるか、まだ最終的なところまで至っておりません。しかし、厳重な査定をして厳正な料金のきめ方をしなければならぬということは肝に銘じてやらしておるところでございます。需要の伸び等々に関しましては政府委員より御答弁申し上げさせます。
  82. 山形栄治

    山形政府委員 需要の伸びにつきまして大臣の御答弁を補足的に御説明申し上げますと、四十八年度につきましては、一部推定も入っておりますが、電力の需要量の伸びは四十七年度に対しまして一一・一%の伸びであったわけでございますが、御存じのとおりの石油危機以来の総需要抑制、引き締め政策の堅持等がございまして、最近はその伸びが四十九年度の想定相当落ちてくるものと想定されます。  それで、いま私のほうの大体の推算では五、六%の伸びが妥当ではないかということを考えておるわけでございますけれども、申請ベースにおきましても、マクロ的には、全体の量といたしましてはほぼそのぐらいの伸びで出ておりますので、その点は私は妥当ではないかと思います。くどいようでございますが、四十九年度に非常に高い電力及び電灯の伸び想定して申請が出てきているということではございませんで、大体五、六%の伸びで申請がなされておる現状でございます。
  83. 佐野進

    ○佐野(進)委員 実はきょうここで大臣から国会の外で値上げの時期を二十一日、こういうぐあいにきめたという報道がなされておりますのでそのとおりかどうかという点を確認をしたかったわけであります。大臣のいまの答弁ではそのとおりだという確認がないわけでございますけれども、この点大臣の決意はどうなのか、考えはどうなのかという点を聞いて次へ進みたいと思います。
  84. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 通産省におきます作業の過程等を見まして、二十一日ごろには企画庁と相談をしてやり得る体制に入ったと私考えますので、やるなら一あまり延びるとまた相当原価に響いてきて、また次の段階で料金にも響いてくる、そういうこともございますから、準備ができれば早いほうがいい、そういう考えを持ちまして企画庁長官にはそういう要請をしたところです。しかし、企画庁はまた企画庁のお立場があるでしょうから、それに対していつがいいという正式の返事はございません。事務当局に伝えて検討させましょう、そういうことでございましたので、日はまだきまっていない状態であります。
  85. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、私はこの点は、先ほど来質問いたしておりますように、本題に関係する部門としていまの答弁をひとつ答弁したという立場において、大臣、記憶しておいていただきたいと思うのです。  そこで、この法案が出された一つの背景が明らかにされたわけでありますけれども、次の問題といたしまして、大臣は先ほど答弁の中で、昨年の五月時点における法案を提案した条件と情勢が大きく変わっており、したがって内容修正して提案した、こう言われておるわけであります。その修正点についてもわれわれつぶさに検討いたしたのでありますが、結果的に、昨年の法案に対して大臣が本会議場において、あるいは総理大臣答弁したその条件の中でこの法案を改正したという意味は、あの当時はそれで正しいのだといいながら法案を改正して提案してきた、いわゆる修正して提案してきたということは、いわゆる特別税を取り、特別会計設置し、この二つの条件を基礎にしながら地域住民の反対を緩和させよう、緩和させるべき努力をしよう、こういうようになってきたように私は見られるわけでありますが、大臣が本法案修正をはかったその考え方についていま一度、ひとつ私の考えが誤まりであるかどうかということも含めて説明をしてもらいたいと思います。
  86. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 昨年来起こりました石油危機の情勢は、日本における電源開発の事情、特にその促進をはかる必要性をさらに急増してきているように思います。そういう点から、いままでよりも法案内容を充実させまして関係周辺の市町村に対して恩恵がさらに多くなるように、そういう意味で、新しい税をつくったり特別会計をつくったりあるいはそのほかの諸般の修正をした、これは電源開発をさらに充実させようという意味において行なったものでございます。
  87. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大臣は、今日の情勢の中で昨年末の石油危機の問題等を中心にしてたびたびその見解を明らかにしておるわけであります。その見解の中心は主としていわゆる総需要抑制、節度ある成長、あるいはまたその他今日の経済活動に対してきびしい自己批判を含めた新しい考え方を発表しておるわけであります。それは私ども、いろいろなところで大臣の見解を聞いておるわけですから、その点は間違いないと思うわけであります。その状況下からするならば、この法案をこのような形の中において修正をし、法案を通そうとする考え方は、大臣が常日ごろ特に昨年暮れ以来発表し続けてきたその政策と根本的に食い違う点が出るのではないか。たとえば発電所計画の促進の状況等につきましても、事業計画と実施とは相当の多くの開きの出ておることはエネルギー庁の発表の書類においても明らかでありますが、しかしそれにおいてもなお四十六年度は八七%、四十七年度は三二%、四十八年度は四四%にすぎませんとはいいながら、日本経済のいわゆる発展の速度が電力需要においても、前年度比相当の落ち込みがあるし、将来ともその落ち込みというか安定して進むべきことは、総需要抑制策を続ける限り間違いないわけであります。とするならば、今日の状況下において、このような法案修正し、いわゆる一定の税制度、特別会計制度をつくる形の中において市町村に対して具体的なメリットを与えるという形の中で促進しようとする意図は、むしろ必要ではないのではないか、現状に逆行するのではないか、こういう考え方もあるのでありますが、あえて修正して提案したことについて、いま一度その見解を明らかにしていただきたいと用います。
  88. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 電源開発には長時間、長年日を要するものでございまして、そういう長い迂回期間を計算に入れていまから準備しないと、将来間に合わないという事態が現出するわけでございます。昨年度におきましても、電調審で認められてしかも着工がまだできないというものがたしか三百五十万キロワットぐらいのキャパシティがあったと思います。こういうようなおくれを取り返すというためにも、やはりこれを促進するある法案を準備するということは必要ではないかと思う次第でございます。
  89. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、その問題はそれでおきまして、あとで具体的な質問の中でさらにお聞きしてみたいと思うわけでありますが、いま大臣はそのようなことを言われますけれども、実際上の問題といたしまして、今日この法案の成立を急ぐ背景が出てきました条件の中に、いわゆる国会の中で日本列島改造論に結びつくといわれた国土総合開発法案が廃案という形になり、国土利用法案という形の中で国会成立を見たというその時点の中で、急遽この問題がクローズアップされてきた、こういうように私どもは受けとめるわけであります。ことばをかえていいますならば、日本列島改造論に執着を持つ田中総理大臣が、この国土利用計画法案の中においてみずからのその欲望を達成しよう、同時にこれと裏表の関係にあるこの法案審議を急ぎ、この法案もいわゆる表向き捨てたとはいいながら、実質的に執着しておる日本列島改造論の推進のためにこの法案を急遽重要法案として取り上げ、これを通産当局が必死になって通過させようとする、そういうような意図であるということが方々でいわれているわけであります。そういうような形からとらえるならば、結果的に高度成長政策の裏づけとして、それを修正するとはいいながら、実質的にはその裏づけとして本法案の成立を急ぎ、本法案によってつくられた条件の中で高度成長政策を推進する裏づけを確保しよう、こういうような意図が隠されておるのだということが明らかにいわれておるわけでありますが、この点について大臣の見解をお聞きしておきたいと思うのであります。
  90. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 列島改造とこの法案とは関係ございません。列島改造のほうは、総需要抑制策以来四国の橋も停滞しておりますし、全国的にそういう新規工事はストップしておる状態で、列島改造自体もある意味においてはストップし、あるいは延期されておる状況でございますが、電源のほうはそれとは関係なしに、日本の産業構造やそれから民間消費電力の需要、最近はルームクーラーの需要だけでも非常に多うございますし、特に八月十二、三日の甲子園の野球大会のころになると一斉にテレビをつけますから電気が不足して困る、そういう危険性が出てきておるわけでございます。現在の情勢から見ましても、五十三年になると予備率がマイナス二・八になるという危険性があります。予備率は七、八%を持っておらなければならぬのをマイナスになるという情勢が現出いたします。そうすると、五十三年ぐらいまでにようやく発電所というのはできてくるものでございますから、いま着手して工事を促進しておかないと間に合わない、それでも間に合うかどうかわからぬ、そういう情勢でありますので、本法案を急いでおる理由でございます。
  91. 佐野進

    ○佐野(進)委員 いままで質問いたした事項について、いま少し詰めてみたいのでありますが、時間の関係もございますので、具体的な質問に入っていきたいと思います。  私は先ほど来申し上げましたようなわれわれの考え方を基本にして、これから質問をしてみたいと思うのでありますが、まず第一に、今日われわれが反対する大きな理由の中で、いわゆる地域住民発電所をつくっては困る、これは原子力だけでなく火力を含めてそれぞれ発電所建設に非常に大きな反対運動があるわけであります。そして事実、今日までの発電所建設のそれぞれの経過の中において環境問題、安全問題、公害問題等々、それぞれの地域の人たちに大きな迷惑をかけた実績のあることも事実であります。したがって、これらの面を解消し得ないで、高度成長につながるであろうという、危惧される電力の無原則的な増設計画に対して、これは了解することができない、その道を開く法案に対してはこの歯どめをしなければならない、こういうような観点に立っておるわけでありますが、まず第一に大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、今日発電所建設地域住民の協力が得られないで、電力立地難が深刻化しているほんとう原因はどこにあるのか。私どもは、先ほど申し上げましたような見地に立っておるのでありますけれども大臣はどうお考えになるか、原則的な問題でありますので御答弁を願います。
  92. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり公害及び安全問題に関する政府の施策が手ぬるい、それに対する不安感があるということは大事な基本ではないかと思います。
  93. 佐野進

    ○佐野(進)委員 同じく大臣に質問しますが、そういたしますと、その問題に対する政府対策が手ぬるい、こういうものに対する不安感だ、こう言われるわけでありますが、本法案のどこの部面を見ましても安全、公害問題には触れないで素通りしているような状況であります。そしてまた、地域公共施設整備という問題について、それぞれの幾つかの具体的な事例があげられておるわけでありますが、いわゆる公共施設整備に単に金を出すというような形でこの問題の処理をはかろうとしておるような形でありますが、このような金を出して了解してくれ、施設をつくるから了解してくれというような形だけでは、なかなか地域の全体的な住民福祉向上ははかり得ないし、共感が得られないように考えるわけでありますが、その点、大臣、どうですか。
  94. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 原子力発電安全性それから発電所の公害問題等に関しては、別途の法体系におきまして、それぞれの手配をし、それぞれの改良を行なっておるところでございます。公害問題につきましては、特にNOx等を中心にして規制基準を段階的に強めていくということを現に実施しておりますし、そのほか、排煙脱硫そのほかについても鋭意努力をしておるところでございます。それから原子力発電安全性については、原子力委員会におきましてもこれを拡充強化する、そういう方向で進めておりますし、通産省といたしましても、いろいろな認可、許可に際しまするいろいろな検査等も厳重にやっておりまして、そういう点についても施策を強化しておる次第でございます。
  95. 佐野進

    ○佐野(進)委員 法案の中に触れられないけれども、具体的に施策を強化しているということについても、強化する努力をしつつあるということについては私もそれを否定するものじゃありませんが、しかしそれがきわめて不十分である、こういうような点から問題が発生していると思うのであります。しかも、この法案がいま申し上げましたような諸問題について抜本的に解決策を住民に提示し、あるいはその解決策を実行している、こういうようなことをしないで、午前中の質問にもあったように、当面を糊塗する、そういうような状況に明け暮れる中で本法案を通して、この本法案を背景にして強行しようという、そういう姿勢がもし具体的にあらわれるとするならば、いわゆる巧妙なる反対運動に対する挑戦、反対運動を押しつぶすために、その背景に、弱いところに対して切りくずしのためにこの法案がつくられる。結果的に、持っている問題の本質に対して具体的なメスを加え、これを解決するのではなくして、当面を糊塗して、ただその地域の条件の中で発電所をつくるという、そういうようなためにのみ利用される、いわゆる一口でいうならば、きわめて悪い法律、こういうような価値しか残さないような法律になってしまう、そういう危険性があるのでありますが、これらの点についてはどのように考えておられるか、この点ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  96. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その点は、われわれは見解を異にしております。原子力発電安全性の問題については、具体的に出てきている問題はたとえば温排水の問題、これについては科学技術庁におきましても実験をいまやっております。  それから、いままでの既存のデータについてどういう影響が出てきているかという過去の実績についても調査を加えております。そういうふうにして温排水に対する科学的探究は、最近非常に力を入れて、いま速度を増してやらしておるところでございます。  それからECCSの作動の問題、これも幾たびかの実験もやりましたし、また、アメリカの基準よりもさらに強い厳格な基準を日本側はつくりまして、地震の際における日本の特異性という面からも実験をしたり、あるいは施設の点検の査定基準の強化等をやっておるわけであります。  それからローレベルのエネルギーの問題もあります。これらにつきましては、長時間、検査研究を要する問題でございますが、これらももうすでに研究に着手しておるところでございます。  それから、公害その他の問題につきましては、いままで申し上げましたが、そういうように一つ一つの具体的な問題について各省が分担をいたしまして、それぞれの措置をいまやっておるのでございます。そういう面から見まして、科学的に見て少なくとも安全であるというふうに政府側は見解を持っておる次第でございます。ただしかし、遺憾なことは、そういう政府側のデータとか、あるいは資料等が関係住民に十分まだ納得させるだけの手配や努力が足りない、そういう点において非常に遺憾な点がまだあると思いますが、われわれとしましては、できるだけそういうデータを公表し、また関係住民に直接お話をして御理解を願う努力をさらにしていかなければならぬと思いますし、それから以上のような科学的な安全性の確立、公害の防除等に関しては、さらに積極的に、予算面においても行政面においても努力して実績をあげていかなければならない、そういうように考えます。
  97. 佐野進

    ○佐野(進)委員 法律が通ってもこれを悪法として住民運動を抑圧する手段としてのみ利用しない、こういうような意味答弁であろうと思いますので、次に進みたいと思います。  次は、今度の法律案は、前回の法律案をいわゆる政府修正として提案されたわけでありまするが、その際、水力発電ということは前回はなかったわけでありまするが、今回は新たに加えられたわけであります。そのことの持つ意味説明があっておるわけですからこれは了解をするわけでございまするけれども、しかし本来の意味からすると、この火力水力発電所原子力発電所というのはおのずからその性格を異にしているのではないか。それらを一緒にしてこれを一つの法律の中で処理しようとすることはむしろ間違っているのではないか、こういうような感じがするわけであります。と申し上げますことは、原子力の問題については原子力基本法という独自の法体系のもとに、それぞれいろいろな規定ないし規制が行なわれておるわけでありまするが、この原子力基本法に基づく法体系の中にある原子力、その原子力発電水力火力、おのずと違った法体系下にあるそれぞれのものを一つに取り込んでこの対象にする、こういうようなことは無理があるのではないか。したがって、もちろん火力にも水力にも反対運動がつきものでありまするけれども、特に今日大きな反対の現象は原子力発電にウエートが置かれておるわけでありますから、また、この面におけるところの安全性がきわめて乏しいという、そういうような状況の中で今日問題が発生しておるのでありまするが、これを別個に切り離す、そういうような措置は一考すべき考えではないか、こう思うのでありまするが、大臣の見解をこの際お伺いいたしたいと思います。
  98. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その事柄の性質は違いますが、関係住民が迷惑を受けるという点においては似たところがございます。水力の場合にはダムをつくる、そのために移転をさせられる、子供の学校が変わる、そういういろいろな迷惑を地元にかける。だがしかし、それだけの迷惑をかけておきながら電気料が安くなるというわけでもない。そういうような生業にまで影響するような影響水力の場合は受けておるわけであります。私の群馬県は水力県でありますから、そういう住民の非常に強い要望がございます。  それから原子力の場合には、この科学性、安全性に対する不安感というものが地元住民にはございますし、それから火力の場合には公害という問題がすでに現出しておるわけであります。いずれも迷惑をかけておる問題です。事柄の性質は違いますけれども、それらの迷惑に対して国家公共団体がしかるべき措置を行なって、住民の皆さんに納得のいくようなこれに対する厚遇の処置を講ずるということは当然のことでもあり、かつ推進のためにも必要である。いままで当然やるべかりしことをやらなかった、それをおくればせながらやる、そういうふうに私らは考えておるわけでもあります。
  99. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、やるべきことをやらなかった、その反省の上に今度の法案が出されておる、こう言われるわけでありまするが、私どもはまた、本法案の持つ一つの性格として、いま大臣は列島改造論には関係ない、こう言われておりまするが、その反省の上にこの法案が出されているという実証もまた明らかにされていない。いわゆる高度成長ないし列島改造論等々が導き出したその弊害を除去するという反省がまだ十分なされないような形の中で、ただこの法案が提案された。したがって、また高度成長の焼き直しではないか、むしろそれを促進するための法案ではないかという、そういうような危険視する考え方があるわけであります。発電所の建設が電力需要伸びに追いつかないということを理由に今国会で出されておるわけでありまするが、その伸びないという形の中で電源三法を提案している。それは今後も年率一〇%という高いものであって、通産省の言う省エネルギー型の産業構造に転換するんだという、そういう政策とは矛盾をしておる。先ほど、総需要の伸びということについて、今後、この計画の中におきましてもそれぞれ約一〇%程度だということが予想され、それに対応するために建てられているという形の中において、その危険を私どもはひしひしと感ずるわけであります。むしろ常に大臣エネルギー庁長官が口にしているように、省エネルギー政策の確立、これが今日の段階の中においては最も必要な優先すべき政策ではないか。それが確立されて、さらにこの法案がそれでもなおかつ足りないという具体的な事例の上に提案され、成立し、それに取り組むという形でないと、相変わらず高度成長政策をやろうとする意気込みの中でこの法案が提案されているんだ、こう言われてみても、大臣、答えようがないのではないか、こういうような気がするのでありまするが、そういう意味において、私はこの法案全体に対して非常に大きな冒頭から危惧を持っておると申し上げたわけでありまするが、この点の見解について、ひとつ大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  100. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 人口がふえれば、それだけエネルギーの消費も多くなります。また住宅を建設して庶民の要望にこたえよう、そういうふうにすれば電灯もふえ、ルームクーラーもふえ、テレビの使用電力量もふえ、トースターもふえるわけであります。そういうような、家庭を一つつくりあるいは住宅を一つつくるというだけでも相当電力量の消費が近ごろは要るので、いままではわりあいに家庭の電灯の量というのはそう多くございませんでしたけれども、近ごろは工場の電力量に対して家庭で使う電力量というものはめきめきとふえてきております。それは主として三種の神器とか、あるいはルームクーラーとか、そういうようなものから出てきておる。文明の利器をひとしく国民、庶民全般に及ぼすということは政治の目的であります。そういう面から、ルームクーラーはいままではわりあい金持ちが使っておったということでありますけれども、これはぜひ各家庭に夏は一台ぐらいはルームクーラーの鳴っている部屋をつくってあげたい、これはもう当然のことではないかと思うのです。それが二台、三台、子供の部屋まで別々にやるという形になるとこれは行き過ぎでありましょうけれども、そういうものはうんと高く値を取ればいい。そして禁止的な値段でやったらいい。しかし、国民一般に対しては、そういうナショナルミニマムという意味において水準を高めていくという努力はしなければならぬと思うのです。文明が進み、そういうような福祉が進むというようなことは、結局電力の消費量あるいは石油の消費量に正比例して出てくるわけであります。われわれが省資源、省エネルギーという場合には、工場とか、公害その他を及ぼすような大量消費の場合を主として考えておるので、生きていくための生活に必要なものというのは、たとえふえてもわれわれは供給しなければならぬし、それに必要な分だけは担保しておかなければならぬ、それはわれわれの責任であると考えております。
  101. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは次の質問に入りたいと思います。基本的な問題についての質問の第二点は、原子力発電所を中心にして質問してみたいと思うのです。特に安全問題その他を中心にしてみたいと思うのです。  まず第一に、大臣原子力行政の問題等について、国会答弁その他の場所においていろいろな発言をしておるわけであります。特に森山大臣はその方面の担当でありまするからそういうような発言をしておると思うのでありますが、通産大臣は、去年の暮れの特別委員会の席上でこういうことを言っておるわけであります。原子力発電は安全であり、巷間いわれているような不安なものではない、世界じゅうで原子力発電相当稼働しているが、爆発事故とか放射能による被害とか、そういう不安の事件が起きた例を知らない、日本の場合でも排水の取り扱いが怠慢であったとかバルブを締め忘れたとか、そういう程度のものはあるが、原子力発電が危険であるという考えは間違いである、こういうように答弁されているようでありますが、その点、いまも変わりはございませんかどうか。
  102. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは一般国民に向かっての発言としておくみ取りいただきたいと思うのです。絶対ということばは科学にはつけ得られませんから、だから安全であるという意味を絶対安全であるというふうには考えません。しかし、考えられる範囲内において科学的安全性は持っておる、そういうふうに解釈して差しつかえないと思うのであります。たとえばいろいろ事故や何かが起きます。美浜の一号の問題もございました。しかしこれらは、そういうものが発見され、事故が起きているから安全なのであって、それがわからなかったらなお危険である、そういうようなことが想定され得る部分であります。つまりヒューズが飛んだら危険だと考えるのは間違いである、ヒューズが飛ぶから安全なんだ、あれは安全装置なんだ、そういうふうに考うべきではないでしょうか。そういうようなヒューズに値するようないろいろな検知器が原子炉にはついております。ランプのつく場合もありますし、そのほかいろいろなメーターや計数で出てくる場合もございます。そういうようなものが出てきて、これはある限度にきたというので原子炉をストップさせて点検をする、そういうことを繰り返していく。ではストップしているからこれは不安なんだ、不安全なんだ、そういうように考えるべきではないのであります。原子炉の構造等を見ますと、私は、レントゲンやその他の場合と比べてみて決してそう危険性があるとは思いません。何しろ原子炉の場合は世界大戦の悲劇から原子力というものはできてきておるわけですから、これを装置するという場合には、ほかの機器以上に安全性に注意してつくられております。特に日本に持ってきた場合には地震という問題がございますから、その安全性の許容量というものは外国以上に非常に厳重に実はやっております。いま申し上げましたようなECCSの場合の作動の問題、こういうような問題については特に神経をとがらして、PWRの場合でもBWRの場合でも、設計上独特の設計もやらしてやってきておるわけでございます。そういう面から見て、一面において物理化学上、また一面においては安全工学上、両方の面から考えられる科学的安全性というものは確保されておる、そう私思いますので安全であると申し上げたのでございます。
  103. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大臣、たいへん苦しい答弁をしておられるのでありますが、その言わんとする意味は、私はわかります。私はわかるけれども国民一般に対しての答弁としてはまだ不適切だと思うのです。大臣原子力発電は危険であるという考えは間違いと、こう表題で出ているわけであります。大臣の話したことを私は読む必要がないのだけれども、あえて読んだことの持つ意味は、絶対安全であるとか、絶対確実であるとか、危険がないのだとかという断言は、少なくとも大臣という立場において発言でき得るものではないと思う。安全であるようにとか、絶対間違いないようにするとか、するように努力するとかという形でなければ、むしろ逆の効果をあらわす可能性があると思うのです。この原子力発電所の安全問題を討議する場合において最も憂うべき事件は、為政者が安全であるということを強調し過ぎるがゆえに、むしろそのことにおいて発生する——大臣はいま、安全弁が、事故があるから安全なのだ、こういうことを言うけれども、これは小さな事故ならそういうことは言えるけれども、大きな事故だったら取り返しがつきませんね。だからいまの答弁、放言とまでは言わないけれども大臣はときどきちょっと間違った発言をすると同じように、いまのところはちょこっとあとで言い直したほうがいいのじゃないかと私は思うのですがね。それを言い直さないと、事故があるから安全だということにはならないと思う。事故はない、ないようにしながら、かつ起きたその事故に対してそれを教訓として、それを起こさないように努力する。これでなければ、きょうのこの答弁にならないと思う。私は質問者としても、ああそうですか、事故があったからよかったですね、そんなことは言われませんね。その点は大臣あとでもう一回答弁をし直してもらいたい。
  104. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 事故と申しましたら、それは間違いでございますから訂正いたします。たしか事故とは申し上げなかったように思うのですけれども。つまり作動しておって、そしてピンホールからガスが漏れているとか液体が漏れているとか、そういうものは警報器に出てきたり表示盤に出てくるわけです。そういうものを見つけたら、それで作動を停止する。これを事故考えてはならないのだ。それはあり得べきそういう装置上の、機械工学上のそういう作動方法なのであって、それをいわゆる事故考えるのは間違いである。そういう考えがもしあるとすれば、それはヒューズが飛んだから危険だ——ヒューズというのは安全の検知器でありまして、あれが飛んで、それで電気が消える。消えたから、ああこれはヒューズが飛んで、予定量以上の電流が流れてきているな、じゃ、電熱器を一つ消そう、そういうふうに装置が自動的に行なわれるようにしてあるわけです。原子炉にしてもそういうふうな装置がしてある、そういう意味で申し上げたのでございます。
  105. 佐野進

    ○佐野(進)委員 ぼくはこの問題で時間をとる必要はないのですが、ただ大臣、そこは基本的な問題だから次に進むためにひっかかっちゃうんですよ。この前、去年の夏かな、徳山のコンビナートで爆発事故がありましたね。田中団長を中心にして私ども商工委員会で調査に行ったわけです。そのとき私どもは現地で詳しく説明を聞いたわけですよ。至れり尽くせりの装備をしていながら、ヒューズが飛ぶようにもなっていながら、あらゆることをやっていながら事故が発生して、あのような大惨事になったわけです。だからこれがあの事件であればいいけれども原子炉に爆発がないなどといっても、これはいまないといっても、将来ないとは限らないわけですから、私は基本的な考え方としてそのような点について安易な取り組みを——最高責任者である科学技術庁長官が来ればそのほうが最高かもしれませんけれども、少なくとも当面この法案の最高責任者として提案している大臣は、その点についてもう一度、絶対というのはあり得ないというくらいのことを言って、次に行ったほうがいいんじゃないですかな。
  106. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 先ほども絶対というものはあり得ないということは申し上げました。私はそう信じております。科学の世界においては、絶対というものはいまのところはまだない。したがって、われわれが原子炉のようなものを扱う場合には、これは安全の上にも安全を確かめて常に改良していかなければならぬし、扱いも厳重に取り扱っていかなければならぬ、そういうように思います。
  107. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは次に進みますが、私は近ごろ原子力の問題についていろいろな方面でたいへん不愉快なニュースを多く聞くわけです。たとえば原子力潜水艦の寄港をめぐって日本分析化学研究所が放射能の測定データーを捏造したとか、あるいは原子力委員会田島委員委員会運営上の不満で辞意を表明して森山科学技術庁長官やだれかとどうしたとかこうしたとか、あるいはまた日本非破壊検査会社の放射能管理が著しくずさんであるばかりか、禁止されている未成年者に取り扱いをさせて放射線障害を起こさせるとか、こういうような問題が毎日のように新聞紙上をにぎわしているわけです。もちろん直接的に原子力発電所関係がないといえばそれまででございますが、しかし少なくとも原子力安全性確保の問題に関してはきわめて密接な関係を持つわけであります。森山長官の発言は、大臣のいまの発言よりも、原子力の問題についての発言としてはもっと長くもっといろいろなことを言っているわけです。したがって、この発言と、いま起きつつある事件とをからみ合わせて私どもが質問を展開するならば、一日質問しても終わらないほど具体的なデータがあるわけです。したがって、この原子力発電所の安全問題について少なくともこういうような危険性がある。午前中の質問に対して審議官が取り消しの答弁をするようなことで、私もこの安全性の問題についてもし質問するということになれば、これだけできょうの時間を一ぱい使ってでも質問しなければならぬデータがあるわけでありますけれども、そういうような点について今日のいわゆる科学技術行政が非常に甘い。特に科学技術庁のやっていることは、口で言うこととやっていることは全く違う。起きてきたことに対しては地方の知事や市長に権限を移譲するとか、あるいはどうだとかこうだとか、ともかくその起きてきた原因についてその責任を感じ、その責任を感じた中で、再び問題を起こさせないという措置についての具体的な誠意を示すということでなくして、起こした人たちが悪いんだ、おれたちの監督行政に誤りはないんだ、こういうような形での問題の処理をはかろうとしていることがありありとうかがえるわけであります。こういうようなことは、結果的にいうならば、科学技術庁における行政の誤りであるといわざるを得ないわけです。私は長官を呼んで、きょうこの席においてその見解をただしたいと思ったのでありますが、きょうはお見えになっておりません。次長から、その点についての見解をひとつ示していただきたいと思うのです。
  108. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 分析研の問題やそのほかの問題は、はなはだ遺憾な事態でございまして、政府としても非常な手落ちがありまして申しわけない事態であると思います。われわれも大いに反省をいたしまして、国民の皆さま方に安心を与えるように責任をもってやらなければならぬと思います。こういうようなことがほかの分野にありはしないかという点も戒心をして、原子力をめぐるいろいろな問題点につきまして厳格にわれわれは再点検してみる必要があると思います。  それから、先般来起こりました非破壊検査会社の事故にいたしましても、あれでは取り扱いがいかにもずさんである、また人道を無視した法令違反の仕事であるというふうにわれわれも新聞を読んで感じておるところでありまして、そういうような扱いのずさんさということもわれわれは大いに戒心をして改めなければならない。これは昨年来のコンビナートの事件でもわかりますけれども、なれてくると、ややもすればそういうことが起こるのでございまして、原子力の場合には、及ぼす被害は非常にはかるべからざるものがございますから、その点については、われわれは戒心の上にも戒心をしてやらなければならない、そのように反省いたしております。
  109. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま通産大臣から御答弁いただきましたので、私から特につけ加えることはございませんけれども、もう少し具体的に御説明させていただきます。  最初の分析化学研究所の問題につきましては、たいへん申しわけない事件でございまして、どれほどおわびしても及ばないというように考えておりますが、私どもといたしましては、この分析化学研究所の問題に対します最善の対応策といたしましては、再びこういう事件の起こらないように、国民の信頼をもう一度確立いたしますために、しっかりした新しい分析機関を設けるということであろうと思いますので、分析センターの設立をいま急いでいるところでございます。そのセンターの業務の方法内容等につきましては、これまでの経験に基づきまして、再び不祥事の起きないように、たとえば第三者の監視が加えられるような制度を設けるとか、いろいろのことをつけ加えてまいりたいというように考えております。  それから原子力委員の問題でございますが、午前中稻村先生からも御質問がございましてお答えしたとおりでございますけれども原子力委員の人事問題でございまして、私ども事務当局としては十分に関知していないわけでございますが、先週の科学技術特別委員会で森山大臣から御発言がございまして、田島委員学識については十分尊敬しているし、極力慰留するように努力をしたいという御発言がございましたので、円満に解決することを私どもとしても期待しております。  それから、非破壊検査株式会社でございますが、これは先生指摘のように、非常にけしからぬ事件でございますが、私ども放射線障害防止法に基づきます取り締まりにつきましても、いろいろ問題点があったということは十分自覚しておりますので、先ほど御指摘がございましたように、地方に移譲いたしますなり、あるいは科学技術庁に地方の支分部局を設けますなり、何らかの方法を至急検討いたしますとともに、あの問題は労働省の労働基準法あるいは労働安全衛生法の取り締まりの分野でもございますので、労働省その他関係各省とも十分連絡をとりまして、万全の対策をとりたい、かように考えております。全般を通じまして、いろいろ問題がありまして、御指摘のような点は痛感しておりますが、今後再びこういうことの起きないように、十分態勢の立て直しをはかってまいりたいというように考えております。
  110. 佐野進

    ○佐野(進)委員 この問題については、きょうは質問が法案内容でありますので省略いたしますが、科学技術庁としては、いま大臣答弁にあったようにひとつ大臣にも伝えてもらって、慎重に対処してもらいたいと思います。  次に私は、そういうような一般的な原子力の問題とともに、発電原子炉安全性について、あまりにも問題が多いということを指摘しなければならないと思うのであります。これは午前中の加藤委員の質問に対する審議官の答弁の中でも問題があったわけでありますが、結果的にそういうような問題に対する処理ないし考え方というものは、何も審議官だけを追及しようということじゃないのですが、通産当局における考え方というものが結果的にあの美浜問題の処理ということに対して非常に大きな影響を与えているのではないか、こう考えるわけであります。できればその問題については具体的に質問したいのでありますが、きょうは法案審議でございますので、省略したいと思います。  ただ、私は次の点について注意を喚起するとともに、その見解を明らかにしてもらいたいと思うのでありますが、まず第一に、安全設計、特に地震や台風対策について、さっき大臣からやっておるということでございますが、簡単でけっこうですが、その対策についての基本的な考え方をお示し願いたいと思います。  次に、運転している最中の不測事故を防ぐために、安全装置は万全かということであります。先ほど大臣はこれこれこうやってヒューズが云々なんということを言っておりましたけれども、それはそれといたしまして、緊急炉心冷却システム、いわゆるECCSをめぐる国際的な論争がいまあるわけでありますけれども、これらをエネルギー庁としてはどうとらえて、どう対処しようとしているのかということであります。  それから、コンビナート問題におけるところの、施設は万全であってもあのような事故が起きたという一つの条件の中で、私ども実地調査をしてわかったわけでありますが、決して誤りがあったからどうこうということでございませんが、誤認、いわゆる軽く見た、あるいは間違って判断した、こういうような条件があるようであります。そのような点は、ハンドルの使い方一つによって大きな事故が発生するわけでありますが、こういう誤操作の防止対策についてはどうすべきかということが問題点になろうかと思うわけであります。あるいは事故があった場合、周辺への影響が押えられるか。美浜における問題のような条件の場合において、いろいろ海水浴をしてみたり、魚を食べてみたり、何だかんだと、事故が起きても安全だ、安全だといってみたって、結果的にその安全が不確定なものであったということがあるわけでございますけれども、そういうような影響を押える措置というのは、現在においてどのように行なわれておるかということであります。  さらにまた、五番目に、安全審査が甘過ぎるという意見がいまもっぱらであるわけでありますが、こういう点についてどのような対策を立てておられるか。  これらの疑問点は、この法案審議する上に、発電原子炉という問題が最も基本になるわけでありますので、これらの点について、簡略でけっこうでありますから、それぞれの項目について御答弁をいただきたいと思います。
  111. 生田豊朗

    生田政府委員 最初の地震と台風の問題でございますけれども原子力発電所の場合、台風の影響というのはほとんど無視してよろしいかと思います。  問題は地震でございますが、安全審査に際しまして、それぞれの原子炉が岩盤の上にしっかりとささえられているということを確認しております。したがいまして、相当大きな地震がありましても、岩盤によってささえられておりまして問題がないということを確認いたしまして、安全審査を行ない、許可をしておりますので、地震につきましてはだいじょうぶであるというように確信を持っております。  それから誤操作の点でございますが、一つは、従業員の教育、訓練を今後とも十分に念を入れてやってまいりたいということでございましょうけれども、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、原子炉の設計自身が幾つかの段階におきまして十分な安全装置を内蔵したものでございますので、装置といたしましても十分安全が確保される。誤操作がありますとかえって動かなくなるというような形に安全装置が施されておりますので、従業員の教育、訓練と相まちまして、その点につきましても万全を期しているというように考えている次第でございます。  それから事故影響でございます。これも先ほど大臣からいろいろ御答弁がございましたけれども事故と申しますいろいろなものが起きておりますけれども原子炉の外部、さらには原子力発電所の外部に放射能が漏れまして、それによって周辺住民影響を受けるというような形の事故は、わが国でも世界的にも、原子力発電所が商業的なものとして登場いたしましてから一件も発生しておりません。そういう事実もございますし、安全審査におきましても、その点を十分に絶対起きないように審査している次第でございます。  ECCSでございますが、ECCSにつきましては、先生指摘の点は、アメリカのアイダホの実験に基づいて論争がある点であろうかと解釈しておりますが、この点につきましてもいろいろな議論がございますが、内容につきましては省略させていただきます。  ただ、わが国安全審査におきましては、その実験の結果を取り入れまして、ECCSが働きますのは、一番太い水のパイプが、ギロチン破断と申しますが、ちょうどギロチンで首を切り落としますような形で一ぺんにすぱっと切れてしまうというような事故のときにECCSの効果があるわけでございます。効果があると申しますか、そういう極端な場合に備えましてECCSという装置を備えているわけでございますが、そういう事故の起きる可能性は非常にまれであるという点が第一と、それからかりにそういう事故が起きまして、その結果ECCSによる冷却効果が起こらないということになりましてもだいじょうぶでありますように、安全審査におきましては冷却効果がゼロであるという前提で計算、解析を行なっておりますので、先ほどの論争につきまして問題点はございますけれども、かりにそのとおりの事態が起こったといたしましても、わが国安全審査上は問題はない、かように考えております。
  112. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは、発電原子炉の問題についてはその程度にとどめまして、次に放射能、いわゆる廃棄物質の取り扱いについて質問してみたいと思うわけであります。  原子力発電に伴って生ずる放射性物質の廃棄処理については、けさほどもそれぞれ質疑があったわけでありますけれども、この点について、先ほどの御答弁の中でもいまだ基準が確定していない。こういう状況の中でこのまま建設を進めていくということについては非常に危険性があるのではないか、こう思うわけでありますが、この基準をいつごろどのようにしてきめる考えか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思うわけであります。  それから処理の過程の中で、結局でき上がったものを保管する、最終的に廃棄物になったものを保管するというところまではエネルギー庁長官から答弁があったわけでありますが、保管したあとそれをどうするのかという御答弁がないわけであります。そのあとの問題について、この際明らかにしておいていただきたいと思うわけであります。環境庁の森局長がお見えになっておるようでございますが、そのような形の中で保管の処理の方法等についてどのように対処されようとしておるか、こういう点の御答弁をお願いいたしたいと思うわけです。     〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕  さらに、それに関連いたしまして、原子力発電所及び核燃料処理工場から放出される放射能についてまだ考え方が世界的に確立されておらないようでございますが、これらについて科学技術庁電力会社は、自然に存在する放射能をはるかに下回る量しか出していないから安全である、こういう言い方をしておるようでございますけれども、しかしこれは、はたしてそうなのかどうなのかもわかりませんし、非常に危険性があるのではないかと思いますので、これまた環境庁の御答弁をいただきたいと思うのであります。
  113. 生田豊朗

    生田政府委員 数点御指摘がございましたけれども、多少順序を違えて恐縮でございますが、放射性廃棄物の処理の問題からお答え申し上げたいと思います。  ただいま御指摘の点は、原子力発電所から出てまいります固体廃棄物の処理の問題であろうかと思います。これは先生御承知と思いますが、現在は発電所の構内に貯蔵しております。ただ将来の問題といたしまして、原子力発電所の数もふえ、原子力発電所の稼働の年数もたってまいりますと、放射性廃棄物の量が非常にふえてまいりますので、その最終的な処理と処分の方法検討しなければならないというように考えておりまして、四十九年度の予算におきまして放射性廃棄物の処理処分センターという新しい機構をつくりますための調査費の予算をいただいておりますので、その調査費を使いまして放射性廃棄物を最終的にどういうふうに処理し、処分したらよろしいかという方法検討し、その処理、処分を行なうための機関を早急につくりたいというように考えております。  それから第一の基準の点でございますけれども、これは最後の点の環境放射能の問題とおそらく同じ点の御指摘であろうかと思いますので、あわせてお答え申し上げますが、基準といたしましては、午前中にもお答え申し上げましたように、国際放射線防護委員会、いわゆるICRPの基準がございまして、環境放射能の基準は五百ミリレム、つまり〇・五レムでございます。わが国の法令におきましてもその基準をそのまま取り入れておりますけれども、ICRPにおきましては、その基準と同時に、その基準で満足するということではなくて、できるだけ低く、つまり容易に達成し得る限界まで低くというような勧告をいたしておりますので、その基準を下回れば下回ったほうがよろしいという考え方でございまして、現在の原子力発電所はその大体百分の一以下の放射能の放出に押えているわけでございます。  それから自然放射能との関係でございますけれども、これは先ほど先生も御指摘になりましたように、人類は自然放射能をかなり多量に浴びているわけでございます。これは太古の昔から同じでございまして、わが国の場合、平均いたしまして年間百ミリレム程度の放射能を浴びております。これは地域差が非常にございまして、日本列島の場合で申しますと、日本の中央で東と西に分けますと東のほうが低く、西のほうが高くなっております。たとえば東京と関西、岡山、神戸あたりと比べますと、大体年間で五十ミリレムぐらいの差がございます。ですから、東京と関西との地域差と比較いたしましても、その十分の一程度あるいはそれ以下に原子力発電所からの環境放射能は押えているわけでございまして、非常に小さいと思います。  さらに自然放射能につきましては、その地域差のほかに自然の岩石その他の利用につきまして非常に差がございます。一例を申し上げますと、木造の家屋に住んでおります場合とコンクリートの家屋あるいは石でつくりました家屋に住んでおります場合とでは、その中におりますと放射能の浴び方が非常に違うわけでございまして、先般科学技術特別委員会におきまして参考人として放射能の専門家の御意見を伺ったわけでございますが、そのときも、一般の木造家屋と団地のようなコンクリートの家屋、それを比べますと年間にいたしまして二十ミリレムぐらい違うというような計算がございました。それから、多少はばかることかもしれませんけれども、この国会議事堂でございますが、特に本館のほうは御影石、大理石その他を使いました非常にりっぱな建物でございますので、放射能は非常に多いそうでございまして、国会議事堂の中と外では大体五十ミリレムぐらい、つまり原子力発電所の放射能の十倍ぐらいの差があるということでございます。自然放射能のそういう地域的あるいは構造的な差と比べますと、原子力発電所から出ます放射能は非常に少ないということでございますので、私どもはそれで問題はないと解釈してよろしいのではないかというように考えております。
  114. 森整治

    ○森(整)政府委員 放射性物質の問題につきましては科学技術庁において処理しておりますので、先ほどの答弁によって御承知をいただきたいと思います。
  115. 佐野進

    ○佐野(進)委員 環境庁のほうからおいでを願って、放射性物質のいろいろな問題について質問を申し上げたいと思っておったわけですが、時間の関係もございますのでひとつ省略をして、それでは法律案の内部の質問に入りたいと思います。法律案の具体的な問題としてこれから残された時間、質問を続けてみたいと思うわけであります。  まず第一に、本法の目的中「電気の安定供給の確保国民生活経済活動にとってきわめて重要である」とされているわけでありますが、現在、安全問題、公害問題等の理由によって、電源立地難におちいり、電源開発は遅々として進まないのが現状であるわけでございます。そこで電力需給は逼迫の度が加えられて、数年を経ずして供給予備率はマイナスになる、こういうぐあいに予測される、これを先ほど来大臣答弁をされておるわけでありますが、こういうような状況の中で本法案が提案されておるわけでありますが、この第一条に関係いたしまして、このような需給関係のもとにおいて本法が果たす役割りを通産当局はどのように見ておられるのか。本法が成立することによって電源開発促進をどのように期待し、安定供給に資するというそういうような見通しを持っておるのか、長官からこの点についての答弁をいただきたいと思います。
  116. 山形栄治

    山形政府委員 今回の法案におきましては、原子力水力火力等の周辺地域におきます公共施設整備を促進いたしまして、地域住民福祉向上をはかることを目的としておるわけでございますが、この点につきましては、関係地方公共団体からの非常に強い御要望があるわけでございます。もちろんいま先生のお話のとおり、地域住民の安全の問題、公害の問題、これが解決されませんと進まないわけでございまして、むしろそれが第一義的な問題だと私思っておるわけでございますが、反面、いま申し上げましたような地域からの強い要望もございます。むしろこれは車の両輪のような関係に相なっておると思うわけでございまして、今後の原子力発電を中心にする電源開発の進め方といたしましては、安全確保と公害を防除するということを前提にしつつ、いま申し上げましたような強い要望に沿った地域福祉向上ということをはかることによりまして、この両方が両立する限りにおいて相当効果が本法成立の暁には期待できるのではないかと考えておるわけでございます。
  117. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは次に第二条関係の質問をしてみたいと思います。  発電施設とは、一定規模以上のもの及び原子力発電に使用される核燃料物質の再処理施設その他原子力発電と密接な関連を有する施設で政令で定めるものとなっておるわけでありますが、一定規模及び原子力関連施設、こういうものはどういうように考えておるのか、この点ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  118. 山形栄治

    山形政府委員 簡単に御答弁申し上げますと、政令で定めます規模といたしましては、これはまだきまっておるわけでございませんが、一応腹づもりといたしましては、一般的には三十五万キロワット程度といたしたいと思っておるわけでございます。しかしながら、地熱とか水力につきましては、おのずからその規模につきまして三十五万は高過ぎるわけでございますので、むしろこれを一万キロワット程度ということでこまめにいろんな地点を開発するほうがいいのではないかと考えております。また原子炉につきましては十五万キロワット程度とする方針で、大体いま検討を内部的に進めているわけでございます。  なお、沖繩県の問題につきましては、これは地域の特殊性でございまして、その特殊性に応じました特例を設ける方向で検討いたしておるわけでございます。  それから原子力発電と密接な関連を有する施設につきましては、例示的に申し上げますと、新型動力炉実験炉、それから二番目が発電原子炉の安全研究用の原子炉、それから三番目が使用済み核燃料再処理施設、四番目が大型使用済み核燃料等の検査のための施設、五番目が放射性固体廃棄物の集中処理をいたしますための処分の施設、この辺が当然にみんな密接に関係する施設でございますので、さしあたりはこういう五点についていま考えているわけでございます。
  119. 佐野進

    ○佐野(進)委員 次に、第三条関係で質問をしてみたいと思います。  地点の指定にあたってはこれを慎重にすることは当然のことでありますが、指定要件を備えているものについてすべて指定される、こういうように解釈していいのかどうかということであります。また、現在電源開発調整審議会の決定を受けた地点はすべて指定される、こういうように解釈していいのかどうか、この二点について明らかにしていただきたいと思います。
  120. 山形栄治

    山形政府委員 最初に、先ほど答弁いたしましたのが若干違っておりますので、御訂正申し上げたいと思います。  規模の問題につきまして、原子力発電所が十五万キロワットと申し上げましたけれども原子力発電所も原則としては三十五万キロワットでございまして、先ほど申し上げました十五万というのは、動燃事業団で関係いたしております研究用の原子炉につきましては、むしろその性質に応じまして十五万を考えておるということでございます。一般的には原子力発電所は三十五万でございますので、御訂正申し上げたいと思います。  それから三条関係の問題でございますが、地点の指定にあたりましては、主務大臣が、発電施設設置計画が確実であること、それから移転促進地域または工業集積の程度が一定以上の地域に属さないこと、それから公共用施設整備発電施設設置の円滑化に資することという三つの指定要件を備えている地点につきまして、関係行政機関の長と協議の上これを指定するということになっておりますが、この場合には原則としてこの要件が充足されますれば全部指定いたす方針でございます。  またもう一つの御質問の、現在電調審で決定を受けているものにつきましては、これは当然にこの施設設置計画が確実であるという要件を充足いたしておるわけでございますので、あと二つの、いわゆる移転促進地域等特別な地域に属さないことと、施設設置の円滑化に資するという二つの要件は、具体的にケース・バイ・ケースでこれを見なければいかぬわけでございますが、これにつきましてもできる限りこれを指定するという方向で考えていきたいと思います。
  121. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは次に四条、六条関係について一括質問してみたいと思います。  整備計画対象となる周辺地域範囲でございますが、発電所立地により影響を受けながら計画対象外となる市町村に対してどのように配慮するか、いろいろ説明は書いておりますが、この際明らかにしていただきたいと思います。  また、発電施設関連施設というのは、具体的にどの程度発電施設に関連性を持っていればいいのか、この運用いかんによっては公共施設範囲もおのずと左右されるので、この辺の見解を明らかにしていただきたいと思います。  次に、電力会社等地元に対する協力についてでありますが、第六条においてこのことが明記されておりますが、単に発電税を納め交付金の財源としているということで協力は十分であるという考えを持っておられるのかどうか。まあ実際上はそういうことではないのではないか、結果的に電力会社もこの税を納める以上に協力するような形になっていくのではないか、こういうように考えるわけでありまするが、その点がどうであるかという点であります。  次に、地元に対しても有力な企業として地域社会の発展に対して寄与する、そういうような姿勢をもって、電力会社がもう税金を納めているんだからいいんだということだけでなく、そういう姿勢をとらせなければならないし、そう指導していくべきであると思うのでありますが、この点について見解をお聞きしておきたいと思います。
  122. 山形栄治

    山形政府委員 四条関係でございますが、整備計画対象地域範囲につきましては、原則といたしまして、水力につきましては、その発電施設が所在する市町村の区域ということになっておるわけでございます。原子力火力につきましては、この所在する市町村だけにとどまりませんで、さらに隣接する市町村の区域も含むことといたしまして、その市町村間のバランスを考えておるわけでございます。なお、特に必要があると認められます場合には、それ以上またその外に隣接します市町村につきましても、その地域実態に応じましてこれを地域範囲内に入れるという配慮をいたしておるわけでございます。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕  それから、発電施設関連施設と申し上げますのは、具体的に申し上げますと、工事用の道路、荷揚げ用の岸壁、発電所用の用水道など、発電所をつくりますときに当然に必要とされる施設でございますが、この辺につきましては、できる限りこれを広くとりまして、地域の発展、地域福祉向上にこれを実質上寄与させたいと考えておるわけでございます。なお、ケース・バイ・ケースで地元住民の意向を十分尊重いたしまして、この施設の解釈につきましては広く解釈いたしたいと考えておるわけでございます。  それから六条の関係で、電力会社は税金を納めておるだけでもう十分ではないか、ほかに何もさせない、協力をさせないということは全然ございませんで、六条の設定されております趣旨もそういうところから出ておるわけでございまして、地域の有力企業でございますので、指導的な役割りを地域開発のために当然にやるべきだと思っておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、地域社会の発展に寄与するため、工事用の道路、荷揚げ用の岸壁等の発電施設関連施設の工事計画等につきましては、都道府県知事のつくります整備計画にかかわる事業との調和がとれるように、自分かってなことでなく全体の整備計画との調和を当然考えるべきであるというのが第一点でございます。  それから二番目は、発電所の温水とか蒸気を利用いたしますたとえば養魚場の施設等につきましては、相当技術の蓄積が発電所側にございますので、この辺につきましては、地域全体のために技術的な資料の提供なり、具体的な工事の進め方に対する協力を行なうということが六条の趣旨でございます。
  123. 佐野進

    ○佐野(進)委員 最後に、法律の内容について質問をしてみたいと思うわけであります。  交付金の問題でありますが、税金の問題につきましては大蔵委員会審議が続けられておるようでありますので、交付金の内容について、大蔵省のほうと大臣に質問してみたいと思うわけであります。  この交付金制度というのは、新しく法律が修正された一つのみそというかかなめというか、そういうことになっておるのでありますが、この交付金制度の運用というものが非常にむずかしい。いわゆる税として徴収したものを交付金として交付する、そういうような形の中でいろいろな問題点が発生してくるわけでありますけれども、交付をするにあたって一応交付要領を定めているようでありまするけれども、物価とかあるいは発電所建設工事の難易等を勘案した上で、社会の実情に沿って弾力的に運営する、こういうようなことになっていくであろうと思うのでありまするが、この点について私が先ほど来申し上げておるように、わが党は、地域住民の了解がまだ十分に得られない、こういうような形の中でいまこの法案審議していくということについては反対であるという基本的な立場に立って、この点についていままでの質問をしておるわけでありまするが、しかし、交付金の運用というものが、先ほど大臣に質問したように、いわゆるあめを与える形の中においてその反対運動を軟化させる、具体的な問題解決をはかるという形でなくして、金で問題を解決しよう、こういうような形にとられやすいのでありますので、この運用についての基本的な考え方を大臣と大蔵省の禿河主計官にお尋ねをしてみたいと思うわけであります。
  124. 禿河徹映

    禿河説明員 ちょっと事務的な問題のほうから先にお答えさせていただきたいと思います。  今度の電源開発促進のための交付金の中身でございますが、現在この交付要領につきましては事務的に検討中でございまして、まだ最終的な段階に達しておりませんが、やはりその目的が、発電施設周辺地域住民福祉向上をはかることによりまして電源立地の促進に資する、そういう目的に合うようにいろいろ検討いたしてございます。現在私ども考えておりますその内容といたしましては、大体百億余りの目的税の中から約八十二億近くを所在市町村、それからそれの周辺市町村に対しますいろいろの公共施設整備に充てる金として考えております。また、八億八千五百万円ほどをその電源立地に直接結びつきますところの安全確保のための資金ということで考えてございます。  その中身につきましては、いろいろその実態を見ながら、発電施設の種類に応じてその単価をいろいろ考えて区分してみるとか、あるいはあまりに一どきに特定の市町村に行くことは、地方財政上も極端な場合には問題が起こるかもしれないという観点から、やはり頭打ちを設けたほうがいいとか、あるいは最低保障を設けたほうがいいじゃないかとかいうふうなことで、いろいろ現在検討中でございますが、要はこの法律の趣旨に最も合致するように私ども十分配慮してまいりたい、かように考えております。
  125. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いろいろ公共事業的な仕事に交付金として交付するのもけっこうでございますが、一面においてはやはり安全の確保、モニタリング、そういうような安全の確保のため、それからもう一つは保健衛生、環境の保護、こういうような目的も大いに重視して交付金をきめていきたいと思っております。
  126. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは最後に質問をいたしたいと思います。  私は先ほど来いろいろの角度から質問を続けてきたわけであります。結果的にこの法律が国民福祉に合致し、国民がこのことによって安全性や公害その他について不安のない状況の中で、時代に適合した条件の中で電力の供給が受けられる、そういう条件をつくり出す、そういうために本法律がその役割りを果たすということになることをわれわれは何も基本的に反対しているわけではないわけでありまするけれども現状の中でこの法律案が強行に審議が進められるという条件は、いままで申し上げたように非常に幾多の危険性を感ずることが多いわけであります。したがって、この点については、大臣と基本的な問題として質疑を続けてきたわけでありますが、最後に大臣に、それらの点についての考え方をいま一度総括的にひとつ明らかにしていただきたいということであります。  さらに、長官に対しましては、この発電税は結果的に会社が損をして税金に取られる、そのマイナス点だけをそのままにしておいて済むわけではございませんで形を変えて税金が料金に変わる、こういうことは当然あり得ることでありまするし、たとえばこの際やらなくても、この次の際にはそれが料金の中に組み込まれていくということになれば、結果的に目的税的な形で取られていながら料金の値上げとなって一般大衆が負担する、国民が負担する、こういうようなことになってくるわけでありまするが、そうしない方法がはたしてあるのかどうか、そういう点について研究をしているのかどうか、そうすべきではないかと思うので、この点についての考えをひとつ明らかにしていただきたいし、この点については大蔵省にもそういう点についての見解をひとつお聞きしておきたいと思うのであります。  さらにまた交付金の交付がすでにできている発電所立地周辺と著しいアンバランスを生ずる場合、これの是正をはかるような配慮が必要になってくるのではないか、これは当然のことでありましょうが、この点についてはひとつ大臣に先ほどの答弁と関連してその見解を明らかにしていただき、私の質問を終わりたいと思います。
  127. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 まず既設の発電所設置都道府県、市町村等とのアンバランスの問題については、よほど注意して不公平が起きないように努力しなければなりません。  それから一面において、固定資産税の方面において、既設の発電所設置市町村についていろいろ考慮することでございますけれども、その点と見合ってわれわれは交付基準その他において考えてみたいと思います。  それから本法案を施行するにあたって一番大事なことは、やはり安全性確保環境確保という二つの点であるだろうと思います。安全性の問題についてはいろいろと御注意をいただきましたから、いやが上にも安全を確保するように原子力委員会及びわが資源エネルギー庁が中心になりまして、さらに検討を加え、改善を加えてまいりたいと思いますし、公害問題につきましても環境基準を厳正に守って、しかもその基準を次第にきびしくしていく、そういう態度をもって進んでいきたいと思っております。
  128. 山形栄治

    山形政府委員 電源開発促進税とこれの負担の問題でございますけれども、一応われわれの考えといたしましては、この電源開発促進税は当然に公租公課の一部でございます。したがいまして、これを料金の中に入れるのが私は一応の理論上の筋であろうと考えておるわけでございます。  今回、キロワットアワー当たり八銭五厘の税額に相なるわけでございますが、これは現行料金体系全体の中で一・二%でございまして、いまの申請時を前提にしますと〇・七%のものでございます。もちろんしかし、これはその比率が小さいからといってわれわれはあれするわけでございませんが、今後一そう電力会社の合理化を要請いたしますとともに、こういう全国民の全体の力によって電源開発が進むということを期待しておるわけでございまして、これを今後全然料金の中にはね返らさないということは私は無理ではないかと考えるわけでございます。
  129. 禿河徹映

    禿河説明員 大蔵省のサイドから、最終的にちょっと一言お答えさせていただきたいと思いますが、確かに一般論といたしましては、先生指摘のとおり、ある財源をある特定の歳出目的にいわばひもつき的に充てるといういわゆる特定財源という制度、これは一般的に見まして私ども必ずしも好ましいとは考えてございません。しかし、歳出のいかんによりましては、その財源を一般の税負担とかいうふうなものに求めますよりも、受益者とかあるいは原因者等に求めるということが公正であり、かつ効率的だという場合もございまして、そういう場合には、やはり特定のものの負担によりますところの特定財源ということがむしろ望ましいという場合もあると思います。  今回のこの電源開発の促進の問題といたしましては、やはり私どもいろいろ検討いたしましたけれども、今後の電力需給状況等に照らしてみまして、やはり発電施設周辺地域の公共用施設整備促進することによりまして、地域社会の福祉向上をはかるというふうな観点から、そのための財源というものはやはり電気の安定供給を確保される利益というもの、そういうものに着目いたしまして電力会社に課税する今度の税、それによるのが適当と、かように考えたような次第でございます。
  130. 濱野清吾

    濱野委員長 上坂昇君。
  131. 上坂昇

    ○上坂委員 発電用施設周辺地域整備法案に関連をして質問をいたしたいと思います。  最近私のところへ県の役人が参りまして、とにかく早くこの法案を通してくれというのです、大臣。何で通してくれというのかと思ったら、とにかく金が来るというのです、金をもらいたいという、いろいろな施設をやるのに。私は金をもらうのはいいけれども、保育所をつくったり、道路をつくったり、いろいろなそうした環境施設をやるのは地方自治体の役目じゃないのか、わざわざ非常に安全でない不安のあるものを持ってきて、そこから生み出されたお金をもらわなくてもいいじゃないか、こういうことを言ったのですがね。ところが、やはりお金をもらえばそれでいいのだ、こういうふうに言っているわけであります。政府の思うつぼにはまってきているのではないかというふうに思いますし、たいへんこれは甘いあめであるなというふうに考えるわけでありますが、そういう法案であるわけであります。ですから、今度特別に水力発電のほうまで、これから水力発電が一体できるのかどうか見当がつかないのでありますが、そういうところまで金を出そうという行き方をしておるということについてたいへんごまかしをしているのではないかという感じもするわけであります。そういう点で、基本的にまず大臣に、私がいま述べましたようなことはどういうふうにお考えになっているか、お聞きしたいと思うのです。
  132. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 別にニンジンとかあめとかいうものを考えてやっておるわけではございません。これは先ほどお答え申し上げましたように、元来もっと早く関係府県あるいは市町村にはわれわれとしてお報いすべきものであったと思うのであります。  先ほど来申し上げましたように、水力発電のダムをつくるとなれば、住民が、ずいぶん立ちのきをやられたり、生活を失うわけであります。あるいは原子力発電設置されるという場合には、やはり何といっても不安感が絶えない、あるいは公害問題もある、そういうような面からずいぶん迷惑をかけておるわけでございますから、国としてそういう部分について当然何らかの手段を講ずるということは正しい態度であると思ったわけでございます。そういう意味で、これが原子力発電推進する一つのよすがとして使われればなお幸いでありますけれども、そういう国政の公平という観点からも必要であると考えてやっておるわけでございます。
  133. 上坂昇

    ○上坂委員 いま大臣からそういうお答えがあったわけですが、実際に私どもへ陳情に来る市町村を見ますと、これがみんな原子力発電所関係の市町村ばかりで、水力発電所のほうは来ないわけであります。どうして来ないのかと思ったら、水力発電所、さすがの只見川水系ですらダムをつくるところがないように考えられる。そういうところに、大臣はそういうようなお答えをするけれども、やはりこれはあめであるというふうに私は考えざるを得ないわけです。  そこで、あめのほうのことばかりしゃべっていてもしょうがありませんから、この法案をやはり審議する前にいろいろいま申し上げました問題、佐野委員からもお話のあった原子力発電所の問題等についてひとつお伺いをしてみたいと思うのです。  先に日米原子力協定のことについてお伺いをしたいと思うのですが、一九六八年の七月に結ばれた協定と一九七三年の三月に結ばれた協定とは基本的にどことどこが違うのか、まず御説明をいただきたいと思います。
  134. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま御指摘の日米原子力協定の改定でございますけれども、一番基本的に違いますところは、改定されました協定におきまして、六千万キロワットの規模原子力発電所に見合います核燃料の供給がアメリカ側から一応約束されたという点でございます。それ以前の協定は、別表におきまして記載されました発電所に対します核燃料の需要量を満たすという点が一番大きな相違点でございます。
  135. 上坂昇

    ○上坂委員 いまの六千万キロワット、これは昭和六十年度を予定していると思うのですが、ウランの供給をするということになるわけであります。通産省が昨年の十月に発表したものによりますと、六十年には一億から一億五千万キロワットに広げたいというふうな構想でありますが、そのことと今度の改定はどんなふうに関連をつけて考えたらいいのか、お答えをいただきたい。
  136. 生田豊朗

    生田政府委員 通産省計画は私どもよく承知しておりませんが、ただいまエネルギー調査会で検討中でございまして、私どももお手伝いをしておりますが、最終的な通産省の御計画はい、ずれ固まるかと思いますので、ただいま先生指摘の点は、あるいは中間的な検討のものではなかろうかと思っております。  原子力発電計画といたしましては、原子力開発利用長期計画がございまして、昭和六十年度で六千万キロワットという計画原子力委員会昭和四十七年に定められておりますので、現在のところ、公式のものとしてはそれが一番公式のものであろうかと考えておりますので、それを基準にいたしまして日米原子力協定の規定があるというように解釈しております。
  137. 上坂昇

    ○上坂委員 この昭和六十年代になりますと、かなり各国の原子力発電所が建設される。特にアメリカでも相当な数の原子力発電所が出てくると思うのです。そうなりますと、そこに供給されるところの原料、ウラン、これらは非常に大きな数量になってくるのではないかというふうに思うのですが、今度の協定の中では、現在、六十年度において六千万キロワットの原子力に見合う原料の供給というものはアメリカとしても可能である、こういう形での判断に基づいたというふうに解釈していいのかどうか、その点をお答えいただきたい。
  138. 生田豊朗

    生田政府委員 一応そのように御理解いただいてよろしいかと考えております。
  139. 上坂昇

    ○上坂委員 そこで、もう一つお聞きしたいんですが、この原子力発電所の工事をやる場合ですが、いまの状態の中では、アメリカのいわゆるゼネラル・エレクトリックとかウエスチングハウスとかいう電機の大資本といいますか、そういうところがすべて全体の工事を握っておって、そして日本は下請になっているというふうに思うのです。こうした状態が続く限りにおいては、日本ではいわゆる原子力基本法にあるところの自主的な研究開発ということが非常に困難ではないかというふうに考えるわけでありますが、その点の困難というものは今後解消できるものかどうか、その点お伺いをいたしたいというふうに思います。
  140. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま先生指摘になりましたように、わが国の軽水炉の発電所につきましては、アメリカよりおくれまして建設に着手したわけでございますので、先進国といたしましてのアメリカの技術導入から出発いたしましたことは、御指摘のとおりでございます。ただ、その後建設が非常に数多く進んでまいりましたし、今後も数多くの建設計画を持っておりますので、その後導入技術の消化、それから国産化を進めておりまして、現在のところでは、かなり国産化率が高くなってきております。ただいま先生指摘になりました、ほとんど全部アメリカの技術あるいは請負に依存するというのは初期の段階でございまして、現在では相当部分が国産化されまして、技術の基本はアメリカでございますけれども、国産技術によるところが相当多くなってきている段階でございます。
  141. 上坂昇

    ○上坂委員 四月の五日にも福島第一原発の第二号炉の問題について私は質問をしたわけでありますが、そのときにも、日本にあるアメリカと日本の合弁会社といいますか、その会社でつくっている燃料棒の設計ミスでガドリニアの配合を間違ったというような問題があって、私は、非常に品質管理ということについて問題があるではないかということを質問をしたわけでありますが、いまのような状態を確信を持って解消していけるというふうになるのかどうか、非常に私は疑問だというふうに思うのです。ミスが出ても故障が起きても、その故障の原因については全部アメリカに問い合わせをしないとその原因がわからない。たとえば美浜でもいまだにあの事故原因が判明をしていないというふうにいわれているわけでありますが、そうなりますと、こちらとしては全く自主性がなくてそれに対する解決方法がないという時点で、なおかつ大型化、集中化というものがどんどんはかられていくし、百十万キロワット以上の原子力発電所が建設を許可されるというような状態になっているということについて非常に疑問に思うわけでありますが、その点については、やはり絶対安全で問題はないんだ、こういうふうにお考えになっているのかどうか、お伺いをいたしたい。
  142. 生田豊朗

    生田政府委員 先生の御指摘の問題でございますが、原子炉と燃料と両方の御指摘だろうと解釈しておりますが、まず原子炉につきましても、先ほど御説明申し上げましたように、導入技術の消化につとめておりますので、現在では相当の程度までその事故の解析その他につきましても自力でできるような段階になってきております。美浜の問題につきましても、三菱重工がこの事故の分析、対策に当たっておりますので、もとはウエスチングハウスの技術のものでございますけれどもわが国原子炉メーカーの技術の消化が進んでおりますので、事故対策その他につきましても、相当程度国内の原子炉メーカーの手によって対策が講じられ、改善されるという段階でございます。  燃料棒につきましても同様でございまして、特にその燃料棒を実際に使用している状態での検査をするということが今後の技術開発につきまして非常に重要でございますので、原子力研究所に大型ホットラボラトリーという施設を設けまして、そこで原子炉が実際に使っているような状態で試験をするという装置をつくることにしておりますので、それが完成いたしますと、ますますその点の技術研究が進むというように考えております。
  143. 上坂昇

    ○上坂委員 この協定の中で、十二条のC項についてお伺いをしたいのですが、プルトニウムと濃縮ウランを日本がアメリカから購入をするわけであります。それを原発その他で利用する。その場合、日米のどちらかの国がこの協定を破棄した場合には、アメリカは、それまでに日本に売ったプルトニウム、それからウラン二三五その他の物質を適当な価格で全部日本から引き揚げる、こういう協定になっているようでありますが、もしそういう事態が一たん起こるということになりますと、日本原子力産業というのは一切がっさいストップしてしまうのではないかというふうに考えるわけでありますが、これは厳密に解釈をするとそういう解釈をしていいのかどうか、この点をお伺いしたいと思うのです。
  144. 生田豊朗

    生田政府委員 協定上の規定でございますけれども、日米原子力協定が破棄された段階になりますと、これは当然のことでございますけれども、アメリカ側からの供給の義務が消滅するわけでございますので、濃縮ウランの入手は、少なくとも協定が存続しております時期と比較いたしますとかなり困難になると考えております。ただ私どもは、日米原子力協定が破棄されるような事態はまずまず起こらないだろうというように考えております。
  145. 上坂昇

    ○上坂委員 そこで、今度は具体的に東電の福島原発についてお伺いをいたしたいというふうに思います。  この前は二号炉に、先ほど言いましたいわゆる燃料棒の中に対するガドリニアの混入のミスの問題がありました。今度は制御棒の駆動ポンプの故障があって、そして運転を停止しておるわけであります。私はいつも言うのですが、どうも原発の事故、特に東電の事故の場合、炉心に事故が起きる、あるいはミスが起きるということは非常に問題ではないかというふうに考えざるを得ないわけです。この前の質問のときにもそのことを申し上げたのですが、今度もやはり制御棒の駆動ポンプが故障しておるわけであります。この前は、ガドリニアのペレットに対する混入の問題と、もう一つは、いわゆる制御棒の取りつけの逆転の問題についていろいろ質問をし、回答をいただいたわけでありますが、こういうところにどんどんこうした事故が起こってくるということは、まだまだ技術的に問題があるんじゃないか。特に、火力発電とか何かと違って、これは燃やして熱を出すというんじゃなくて、なるべく燃えることをずっと押えながら熱を出していくということに主力を置いているところの制御棒ですね、そこに問題があるということになりますと、一番基本的な、基礎的な、初歩的なところにミスが多い。こんなことであると、一番基本的なところに問題があるんだから、そのほかのところには問題が起きないというはずがない、こう考えざるを得ないわけでありますが、この福島原発の一号炉の問題について、これはどういう点で故障が起きておるのか、そしてまた、こういう故障が起きたとき、単に電気会社のほうから報告を受けただけで判断をするのか、それともきちんと行って、立ち入り検査をやって、そして原因を追及していくのか、この辺のところを明らかにしてもらいたいというように思うのです。  それから大臣には、この前は大臣おいでになりませんでしたから質問の要旨がわからなかったと思うのですが、先ほども申し上げましたように、一番基本的なところにミスが非常に多いわけです。そうなりますと、ほかのところにもミスが多いというように考えざるを得ないのですね。そして、先ほど佐野委員とのやりとりの中で、ミスということで片づけてしまいたいようなお話がありました。故障ということを言いたくないというような話がありましたけれども、実際問題としては、この間、井上審議官は、運転中のミスといえどもこれは事故として取り扱うのである、そのぐらい慎重にやらないと原子力発電所はだめなんだ、こういうようなお答えがあったわけであります。そういう点について大臣の見解をお述べいただきたい。
  146. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 取り扱う者の心得としては、確かに運転中のミスといえども故障と心得る、そういう考え方でやることが正しいと思います。私らもそういう心がまえをもって操作を行なわせるように、いやが上にも戒心して行なうようにいたしたいと思います。
  147. 井上力

    井上説明員 福島原子力発電所の第一号機でございますが、五月三日に御指摘の制御棒駆動水系ポンプに異常が発見されまして、五月四日から点検修理のために停止中でございます。  ポンプを分解、点検いたしました結果は、軸部の損傷、軸封部の摩耗が認められまして、新しい部品に取りかえることにいたしております。予備のポンプにつきましても、この停止時にあわせて点検を行ないまして、密封リングの取りかえなど所要の調整を行なうことにいたしております。作業には約三週間が予定されておる次第でございます。  なお、本ポンプは、原子炉の起動、停止、負荷変更の際に働く制御棒駆動水圧系に高圧水を供給するものでございまして、たとえ二台停止いたしましても、原子炉を緊急に停止するために必要な高圧水は、スクラムアキュムレーター等によりまして確保されておりますので、原子炉安全性につきましては問題はございません。ただ、現在、先ほど申し上げましたように、停止いたしまして点検、修理を行なっておりまして、その結果を十分確認いたしましてから再度スタートする、安全性につきましては、十二分に確認をする、かように考えている次第でございます。
  148. 上坂昇

    ○上坂委員 こわれたり何かしたのは取りかえれば直るというような発想のしかただと思うのですが、それでは、いつでも取りかえていけばいいわけなんですね。ところが、同じ材質で同じ種類のポンプを取りかえていたのでは、いま起きたような事故というのはまた早晩起こるのではないかと私はしろうとなりに考えざるを得ない。第一原発の場合でも大体一年半か二年程度でこういう事故が起きておるわけですね。これから原子力発電所の場合には約三十年間ずっと続けてやるということに大体なっているようでありますが、同じものをつくったのでは相変わらずまただめになっちゃうのじゃないかと思うのです。そういう点はどうなんでしょうかね。これは全く違ったものを取りかえるのですか。
  149. 井上力

    井上説明員 その点につきましては、原因をよく探求いたしまして、再びかようなことが起こらないように十分注意をしたい、かように考えております。
  150. 上坂昇

    ○上坂委員 その原因追及はどこでおやりになるのですか。これはやっぱり東電なら東電にまかせて、東電でしかやらない。安全審査というものは、エネルギー庁といいますか、政府のほうではこれは全然ノータッチという形で、電力資本に一切がっさいおまかせだ、あるいは電力資本と契約している電機会社に全部おまかせなんだ、こういうふうに受けとめていいわけですか。
  151. 井上力

    井上説明員 修理につきましては、その修理の内容、やり方等につきまして、私どものほうでも十分検討をいたしたい、その結果については安全性を確認したい、かように考えております。
  152. 上坂昇

    ○上坂委員 それは向こうからの報告に基づいて書類上点検をして、あとその書類にマッチしていればそれでよろしい、こういう結果になってしまうのじゃないかというふうに私は思いますが、そういうことですか。
  153. 井上力

    井上説明員 現物についても十分検査をいたす所存でございます。
  154. 上坂昇

    ○上坂委員 現物についても十分注意するし、検査をするわけでありますが、いまのポンプについては、やっぱり同じものを使うわけですか。
  155. 井上力

    井上説明員 修理のやり方、内容につきましても検討いたしまして、もとのままではだめだという結論であれば当然変えるということになろうかと思います。
  156. 上坂昇

    ○上坂委員 これは大臣にもお聞きいただきたいと思うのですが、そういうかっこうで繰り返していくと、新しいものを生み出していくまでにかなりの時間がかかって、その間また発電を停止するしかないということになってきて、一体原子力発電所というのはどうなっているのだろうということになって、住民の不安というのはあとを絶たないというような状態が続くだろうと私は考えるわけであります。そこで、この問題はおきまして、もう一つお伺いしますが、実は二月の福島県の県会で、福島原発の一号炉についての放射能漏れの問題が提起されました。この問題を提起した私どものほうの議員にいろいろ懲罰動議が出されまして、それに引っかかったわけでありますが、これは大山鳴動ネズミ一匹で何も出なかったわけでありますが、その場合、こういう事態が起きたのであります。それは三月の十一日にその議員が一般質問をすることになっておりました。その一般質問について、三月の八日ごろから知事部局がいわゆる質問の中身を聞きにきているわけであります。それで十一日から質問が始まることになりまして、八日、九日にすでに内容を全部知事のほうに通告をした。ところが、十日になったら福島原発第一号炉がとまっちゃったのです。それは真夜中にとめたのです。その次の日の十時ごろから一般質問に入るわけだったのですが、もうそのときにはとまってしまった。とまった理由というのは、これは送電線の修理だというふうに理由づけておるわけです。ところが、実際に私どものほうで調べますと、その付近にありますところの変電所といいますか、福島開閉所というのでありますが、そこでは何らの工事もやっていなかった。したがって、これは質問があるということで、えらいことになったということでとめたのです。そして放射能漏れは絶対になかった、こういうことを主張をして、それをたいへんたくさんのビラを刷ってそして市民に訴えている。こういうやり方を実際しておるわけです。このスチーム管の蒸気漏れでありますが、この問題について、エネルギー庁のほうではこれを把握しているかどうか、お伺いをいたしたいというふうに思うのです。
  157. 生田豊朗

    生田政府委員 本件につきましては、科学技術庁で立ち入り検査をいたしましたので、私からお答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘でございますけれども、たまたま福島県議会での御質問と、この運転停止の時期とがほとんど同じような時期になりましたので誤解をされたのではないかと思いますが、私どもで調べました事実関係は次に申し述べるようなことでございます。  三月の十日から三月の二十六日まで福島の一号機の運転を停止するということでございまして、それを東京電力が発表いたしましたのは三月五日でございます。ということでございますので、県議会において御質問がありましたのが三月十一日でございますし、ただいま先生の御指摘で、その旨県庁に御連絡をされたのが三月八日と伺いましたけれども、それ以前に、三月五日に十日から二十六日まで運転停止をするということを発表しておりますので、その県議会での御質問があるということを知りまして急いで運転停止をきめたということではございません。  それからもう一つは、送電線の問題でございますけれども福島の三号機の試運転の開始に備えまして、送電線と送電線の保護装置の増強工事をことしの一月から六月にかけまして東京電力が実施中でございます。この増強工事を実施いたしますために、三月の二十一日に大熊線の一号、これは送電線でございますが、それを停止する必要がございますので、この送電線の停止に合わせまして福島の一号機を停止いたしまして、点検作業を三月の十日から二十六日まで実施したということでございまして、この大熊線、送電線の停止、それからその停止のあとの作業の日程でございますが、それにつきましては同じく三月の五日に東京電力から発表して予定どおり実施しております。これは大熊線の一号につきましては三月二十一日の八時から二十時まで、それから大熊線の二号につきましては三月二十二日の九時から十五時まで、大熊線の三号につきましては三月二十三日の八時から十二時まで、大熊線の四号につきましては三月二十三日の十三時から十七時までということでございます。  この問題につきましては、三月の十八日から二十日まで三日間、科学技術庁から職員二名を現地に派遣いたしまして、立ち入り調査を行ないまして、ただいま御説明申し上げました事実関係を調査いたしまして確認した次第でございます。
  158. 上坂昇

    ○上坂委員 いまの一号炉のほうの停止は、どういう原因でとめたのですか。いまのお答えですと、送電線は送電線のほうで別な工事でとめている。それから一号機は一号機で三月の五日にこれはとめなければならぬということで発表をしてとめた、こういうお話ですが、これはどういう故障でとめたのですか。
  159. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいまごたごたと御説明申し上げましたのでおわかりにくかったと思いますのでおわび申し上げてもう一度御説明申し上げますが、三月の二十一日に大熊線一号という送電線を停止いたしますので、それに合わせまして三月の十日から二十六日まで点検をするということで、福島の一号機を停止したわけでございます。つまりこの送電線を停止いたしますと、福島の一号機も停止する必要がございますので、それに合わせまして点検の期間を入れまして十日から二十六日までの間停止したということでございます。
  160. 上坂昇

    ○上坂委員 東電側が三月五日に発表したということですが、その発表の形式はどういう形でやられているのか。  それから、立ち入り検査エネルギー庁でやったというのですが、これは何日におやりになったのか。
  161. 生田豊朗

    生田政府委員 三月の十八日に本件につきましては立ち入り検査をいたしまして調査をいたしました。三日間やったと先ほど申しましたのは、残りの二日間につきましては、ほかの点につきましてもあわせて立ち入り検査をした次第でございます。
  162. 上坂昇

    ○上坂委員 発表はどうですか。
  163. 生田豊朗

    生田政府委員 新聞に対しまして発表をいたしましたかどうかは確認しておりませんが、科学技術庁通産省それから県当局に対しまして通報してまいったものでございますので、私どもはこれを発表したと解釈いたしましたので先ほど申し上げました。あるいは通報を受けたと申し上げたほうが正確であったかもしれませんので、その点訂正させていただきます。
  164. 上坂昇

    ○上坂委員 これは通報を受けたということになるわけですね。私は申しわけないですけれども、あんまりいまの話を信用しないわけです。というのは、この前からの答弁を聞いていても、大体東電側の報告をうのみにして、それだけで答えているような気がするのです。あと、こっちがしろうとだから、わからないところはくどくど並べればそれで何とかなるだろうというような調子の答弁にしか聞こえないわけでして、実際問題としてはなかなか信用できない。発表するというような点についても、これは報告をするわけでありますね。報告をして、その報告がそうだったという形になって、報告を受けた直後、実はその時点で蒸気漏れがあったわけです。したがって、その時点で、蒸気漏れのときに報告を受けたらすぐに飛んでいって調査をしない限りは、十八日までの間では、これはもうすでに十三日、日にちがたっているわけですよ。その間には蒸気漏れはもう全部ふさいでしまうのですよ。実は蒸気漏れをしまして、ある部屋に一ぱいたまってしまったのです。たまったのを、これはたいへんだということで、相当量の放射能の物資がたまったので、それをあけて表へ放出したのですよ。そのことについて、ではそれを証明しろというふうに私が言われると、これはニュースソースの問題でたいへんな問題になるから、生活の問題になるから、それは言わない。しかし、そのくらいのところは、ほんとうのことをいえば、三月五日に報告を受けたらすぐに飛んでいって調査をして、どういう事故で、突発的にとまるということを検査しない限り、これはやはり東電側の報告どおりうのみにするしかない、こういうふうに思うのです。そういう点はどうですか。
  165. 生田豊朗

    生田政府委員 ただいま御指摘のような点もあろうかと考えまして、先ほど申しましたように、職員二名を派遣いたしまして立ち入り検査をしたわけでございます。立ち入り検査をいたした結果、その蒸気漏れにつきましては、昨年の八月に定期検査をしておりますが、その昨年八月の定期検査以降の段階につきましても、蒸気漏れによります異常な放射能の増加があったとは認められませんでしたので、特に問題がないというように考えたわけでございます。  なお、先生十分御承知のことかと思いますけれども原子力発電所におきましては、蒸気漏れがございましても、それがコントロールされないような状態で外部に放出することがないような設計になっておりますし、今回も東電の報告あるいは立ち入り検査の結果によりましても、十分この蒸気漏れに対しまして適切な対策が講じられていたということを私ども確認しておりますので、一応問題がないという判断をした次第でございます。
  166. 上坂昇

    ○上坂委員 この問題だけでずっとやっていってもどうもらちがあかないと思うのですが、ちなみに、三月二十五日という運転開始をした時期は、福島県議会が終了したんですよ。これはまさに符節を合わせるといえば、偶然かもしれませんが、まことにうがっているのですよ。そしてその最終日のうちに、先ほど言った懲罰問題というのが立ち消えになっているのですよ。そこら辺に非常に疑問を私は持たざるを得ないわけであります。  しかし、自信をもって立ち入り検査をやって、そしてそうした蒸気漏れはなかったというのでありますから、そのことについては、また私のほうでもいろいろ調査をしたり、ある場合においてはニュースソースを明らかにして、もう一度お伺いをするようなことになるかもしれませんが、それまできょうは保留をしたいというふうに思います。  そこで、今度はもう一つお伺いをいたしますが、この福島の原発については、いま言ったような状況というのは、この前も廃液漏れのときもありまして、そのときもどこにも通知をしないで、そして液が漏れて表へ流れ出て、かなりのスペースを、芝生を汚染した。その汚染をした芝生と土を十センチくらい削り取って、そしてそれを全部ドラムかんに詰めて、しまってしまったわけです。そしてそのあとで全部きれいにして、新しい芝生を持ってきてみんなに見せるというようなやり方をしたし、そのときにたまたま県議会でちょうどこの問題について——原子力の問題についての質問があった時点でも、県はその問題については全然答えをしない。したがって、県のほうにも東電側はその事故があったことを知らせていなかった、こういうようなやり方をしておるわけです。ですから、今度の場合も私はなかなか信用ができないというのは、そういうことであるということを含んでおいていただきたいというふうに思います。  それから、五月十四日に使用済の核燃料の搬出が行なわれることになったわけでありますが、ブリティッシュ・ニュークリア・フェエル社のほうにこれを運んでいくということであります。それで再処理をすることになっておるわけでありますが、この再処理をする場合、イギリスの核燃料会社の工場に持っていって再処理をはかるわけですが、その場合においては日米原子力協定との関連でどういうふうな契約の上でこれが行なわれるのであるかということについてお伺いをいたしたいと思います。
  167. 生田豊朗

    生田政府委員 原子力発電所の核燃料、濃縮ウランでございますが、これにつきましては、現在のところ、先ほど先生の御質問にもございましたようにアメリカから供給されているわけでございますが、これは、あらためて申し上げるまでもございませんけれども、日米原子力協定によりまして供給されているものでございます。それで、その保障措置と申しますか、その核燃料が平和目的だけに利用されるということを保障される必要がございます。それは日米原子力協定の第十二条がございまして、この保障措置につきましては国際原子力機関、いわゆるIAEAでございますが、それに移管することとなっておりまして、そのために日米IAEA保障措置移管協定という協定が締結されております。この協定に基づきましてわが国といたしましては、IAEA、国際原子力機関に対しまして設計資料を提出いたしますとか、あるいは核物質の計量管理、施設の運転に関します記録の保持をその施設発電所でございますが、それに義務づけるとか、あるいは核物質の計量管理報告書施設の運転報告書をIAEAに提出いたしますとか、さらにIAEAの査察員が各施設に立ち入りましてそれらの記録、報告を調べ、検査をする、あるいは在庫の確認をするということを義務づけているわけでございます。  それで、ただいま御質問の、今度はアメリカから入手いたしまして日本原子力発電所で使いました使用済みの燃料を再処理のために英国の再処理工場に送る場合でございますが、この事実につきましては、先生指摘のとおりでございます。わが国から第三国、この場合は英国でございますが、そこにその核燃料物質、つまり使用済みの核燃料でございますが、それが移管されます場合には、先ほど申しました日米IAEA保障措置移管協定に基づきます保障措置は一応その限度内では終了することになっております。ただ、終了されることになっておりますけれどもわが国の立場といたしまして、わが国からそのような核物質、つまり使用済み燃料でございますが、それが移転される場合にはそれがあくまで平和利用に限定されるということを確認する必要がございます。そのためにわが国から英国に要請いたしまして英国とIAEA、すなわち国際原子力機関との間に別途保障措置協定が締結されておりますので、日本で使われました使用済み燃料が再処理のために英国に移されましても、IAEAが保障の責任をとりましてIAEAの手によって平和利用が担保されているという、以上申し上げました、複雑でございますが、そういう仕組みになっております。
  168. 上坂昇

    ○上坂委員 そうすると、その国際原子力機関で管理をしているいまの使用済み燃料の再処理の問題ですが、再処理をしますとプルトニウムが出てくるわけでありまして、これは再処理をしてプルトニウムができたらそれはどのくらいの期間で日本に返還をされるのか。そしてまた返還をされたものについて日本としてはどういう保管をしていくのか。その点についてお伺いをしたい。
  169. 生田豊朗

    生田政府委員 現在のところ、そのプルトニウムを日本に持ってくるという計画は固まっておりません。したがいまして、現地の再処理工場にプルトニウムが保管されている状態でございます。
  170. 上坂昇

    ○上坂委員 これは国際原子力機関のほうでプルトニウムというものは管理をしているのか、それともやはり協定によってアメリカのほうが管理をする責任を持つのか、そこのところをお伺いをしたい。  もう一つは、原子力協定の第九条のB項ですが、「移転されたプルトニウムの純量は、三百六十五キログラムをこえてはならない。」こういう協定があるわけでありますが、これとはどういうふうな関係になってくるのか、お伺いをしたいと思うのです。
  171. 生田豊朗

    生田政府委員 再処理の結果として発生いたしました。プルトニウムでございますが、所有権は日本側の電力会社にあるわけでございますが、再処理工場がそれを保管する、それでそのプルトニウムが平和利用に限定される保証は国際原子力機関が行なうという関係でございます。  ただいま先生のお尋ねの第二点でございますが、ちょっと調べておりますので、後ほどお答えさせていただきます。
  172. 上坂昇

    ○上坂委員 次の問題をお伺いをいたしたいと思います。これは大臣にお聞きしたいのですが、福島第二原発の設置が四月の三十日に許可になりました。その前に公聴会を開いたし、安全審査会のほうからの答申も出ました。そこで設置許可したということだろうというふうに思うのですが、実を言いますと、公聴会も開かれないし設置許可も全然ない、そういう時点ですでに取りつけ道路がきれいにできているのですね。福島第二原発の場合には双葉郡の富岡町というところに出ているわけですが、これはすばらしい取りつけ道路ができているわけです。その取りつけ道路も鉄道を越えている取りつけ道路なんです。これはたいへんなことだろうと私は思っておるわけですが、できております。同時にまた、発電所の敷地の整地、これはいわゆる本体を全部つくる、発電所をつくる敷地のところまではまだいっておりませんけれども、大体事務所からその付近一帯のところは敷地の整地というものは完了をしている、こういう形になっております。なお、最近においては公有水面の埋め立てが許可になりました。そして設置許可がおりないうちにもうどんどんいわゆる本体を運ぶ港が建築をされている、こういう状況であります。こうなりますと、電力会社が土地を買ったということによって、これはもう既成の事実で、当然原発は許可になるのだ、こういうことに黙認をされているのだというふうに考えざるを得ないわけであります。電力会社がそうした敷地を買ったり、鉄道の上まで道路を敷いてりっぱな道路をつくる、こういうことについて通産省としては、それはたいへんいいことである、こういうふうに考えて促進されておるのかどうか。大臣は、この点についてはどういうふうにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  173. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いいこととは思いません。やはり電調審で正式に認可が出てからやるのが常道であると思います。事情がどういう事情か、政府委員から御答弁申し上げます。
  174. 山形栄治

    山形政府委員 福島第二発電所につきましては、いまお話のとおり四月三十日に許可されておるわけでございますが、この許可以前に準備工事として進入道路、構内工事用の道路の建設、工事用水の取水設備の一部建設、用地内の土の捨て場の一部伐採などが行なわれたことは事実でございます。この進入道路の建設や用地の造成につきましては、一応形式論といたしましては設置許可等とは法律上無関係で、事前にこれをやるのは企業として一つの法律違反ではないと思うわけでございますが、いま大臣からのお話もございましたように、こういう準備工事というのはおのずから地元住民理解と協力を得なければいかぬことであろうと思うわけでございます。通常は電源開発調整審議会において決定されてから本格的な準備工事を行なっているのが実例でございまして、この点若干会社側としても反省の必要があるのではないか、地元ともう少し調整をすべきではないか、こう考えるわけでございます。
  175. 上坂昇

    ○上坂委員 地元と調整をするというのは一体どういう意味なのか私にはさっぱりわからないのですが、進入道路とか、いろいろな工事の準備のために土地を買収をして、そして問題が起きないようにしろということなのかどうか、その辺はどうも私はつかめないのですが、とにかくこうした既成事実というものをどんどんつくっていってしまうということについて、通産省はこれを取り締まることも何もできない。しかも、そうした経費というものは全部私たちの電気料金、電力料金等にかぶさってくるのではないかというふうに思うわけです。赤字赤字なんといってこういうところにどんどんお金を出していくのでは、これは赤字になるのがあたりまえだと思います。それで、たとえば原子力発電所設置が不許可になった場合には、これは遊休施設になってしまって、何にするかわからないけれども、しかし、そうした遊休施設になるとそれだけ電力資本の、会社側の経費というものがそこへ出てくるわけです。それでまだ赤字赤字だ、今度また電力料金の値上げをする、こういうようなことにならざるを得ないと思うのです。九電力がみんなやり出したらたいへんなことになってしまうのではないかというように思うわけです。したがって、私は形式論ではなくて、やはり設置許可をしないうちにこういうことをやるということ自体が、大臣が言われたように間違いなんだから、絶対今後やらないというふうに指導すべきである、こういうように思うのですが、その点いかがですか。
  176. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 そのように指導いたしたいと思います。
  177. 上坂昇

    ○上坂委員 時間がありませんからもう一つだけお伺いをいたしたいと思いますが、温排水の問題について一言だけお伺いをしておきたいというふうに思います。  それはいま温排水の問題が非常に大きくなってまいりまして、この前も北海道の岩内町に行ってきたんですが、ここでは原子力発電所ができたらいわゆるお魚がとれなくなってしまうだろうということで、日本のたん白資源を守るのだという形で漁協が中心になりまして設置反対の運動を展開しておるわけであります。しかし、ほかのところではどうも原子力発電所のほうから流れる温排水によってワカメであるとかヒジキであるとか、そうした海藻類がうんと育ったり、あるいは沿岸の漁業の魚がうんと繁殖するというようなことで賛成をする向きがあるわけでありますが、いまのような状態で六千万キロワットの原子力発電所ができるとなれば、そこから流れ出す温排水の量というものは、一体これはどのくらいの量になるものであるか。特に福島県の相双地区の沖合いの問題になりますが、これは外海だからだいじょうぶなんだというふうに言っているわけでありますが、千四百万キロワット以上の発電所ができるという計画になっておるわけでありますが、そうなりますと、どのくらいの温排水の量というものがここに流れ出すのか。そこのところをひとつ教えていただきたいというふうに思うのです。
  178. 井上力

    井上説明員 お尋ねの温排水の問題でございますが、蒸気タービンを回しました蒸気を冷却するために、多量の海水を使用いたしまして、その結果、あたためられた海水が放出されるということになるわけでありますが、原子力発電所では、出力十万キロワット当たり毎秒六立方メートル程度ということになっております。ほぼ発電所の出力に比例する、こういうことでございます。
  179. 上坂昇

    ○上坂委員 福島原発の場合には沸騰水型の発電機でありますが、これは復水器のパイプ——温排水を出す場合、いろいろパイプの中に海生物が付着をする。それを防止するためにいろいろな薬を注入をしてパイプの腐食防止、それからもう一つは、パイプの腐食防止のためにも硫酸第一鉄等を混入してこれを防止する。こういうふうな形になっておるというふうに聞いているわけであります。そこへもってきて、発電所側で使ったいわゆる放射性物質によって汚染をされた衣類あるいは器具類をしょっちゅう洗浄をするわけでありますが、その排水や、あるいはそこで働いている人たちが手を洗ったり、顔を洗ったりした水などがまざって出ていくという形になっておるわけであります。その洗ったものの中には、いま言ったように放射性を含んだ物質が入っているということと、もう一つは、いま問題になっているところの、手を洗ったり、洗たくをするわけでありますから、洗剤であるとか、そういうようなものもやはり混入をして流れていくのではないかというふうに思われるわけであります。いま合成洗剤だけでも、非常に大きな被害を湖水や川やあるいは海水等に影響を及ぼしているというような状態の中で、放射性物質と同時にこれらが流れ出していく、こういうことになるとたいへんな影響というものが出てくるのではないかというふうに私は考えるわけでありますが、そこのことについてひとつお答えをいただいて、私の質問を終わりたいというふうに思います。
  180. 井上力

    井上説明員 お尋ねの復水器に使います次亜塩素酸ソーダでございますが、これは補機冷却水系に使うわけでありますけれども、使う際には一PPM以下ということで、きわめて微量でございまして、また本薬品は化学的に分解されやすいということから放水口付近では検知ができないという程度になっております。したがって、私どものほうの環境審査の顧問の先生方の御意見によりましても、前面海域のプランクトン等に対して影響を与えることはほとんどないだろうというふうに考えられております。  それから洗たく排水の問題でございますが、洗たく排水につきましても、放水口におきまして許容レベルにあるかどうか、それから洗剤の問題でございますとか、それから放射性のものにつきましても、これは当然のことでございますが、十分許容範囲以下にあるということは放出口で確認してから出す、かような措置をとっておる次第でございます。
  181. 上坂昇

    ○上坂委員 時間でありますから私はこれで質問を終わりますが、法案内容についてもなお質問したいことがたくさんあるわけでありますが、きょうはこれでとどめたいというように思います。
  182. 濱野清吾

    濱野委員長 荒木宏君。
  183. 荒木宏

    荒木委員 政府にお尋ねしますが、今回の法案の提出にあたりまして、電源開発が十分順調に行なわれていないというふうなことが趣旨説明でも指摘をされておりますが、現在の開発が順調に行なわれていない、つまりそのことについて障害があるという御指摘なんですけれども電源開発にあたっての紛争の件数ですね、これは一体、現在どのような状態になっているか。このことを初めに伺いたいと思います。裁判になっている、そういう状態にまでなっておる件数と、訴訟にまではなっていないけれども、いろいろ反対の運動があってなかなか順調にいかない、こういうようなものの件数、概況ですね、初めに簡単に報告いただきたい。
  184. 山形栄治

    山形政府委員 電源開発関係いたします訴訟の件数は、昭和四十七年十月に提訴されました、いわゆる北海道の伊達火力の第一次建設禁止請求訴訟が初めてでございますが、その後四十八年に四地点、四十九年に一地点、合計六地点に対しまして訴訟が提起されておるわけでございます。  おもな提訴理由は、火力原子力ともに大気汚染温排水問題、放射性汚染等による住民及び漁業民に対します権利侵害というのが訴訟の理由に相なっているわけでございます。
  185. 荒木宏

    荒木委員 訴訟外はどうですか。
  186. 山形栄治

    山形政府委員 いわゆる訴訟外のことにつきましては、具体的な件数としては私のほうでいまつかんでおりませんけれども、いまの訴訟になっておる数等との比較におきましては数が相当多いのではないかと考えるわけでございます。
  187. 荒木宏

    荒木委員 裁判にまでなるというのはよくせきのことでありまして、皆さんのほうでは、電源開発をすみやかに同意を得て進めたいとおっしゃっておるわけですから、どの辺のところにその原因があるのか。現状は、むしろ裁判以外の点にも十分留意をして調査をなさるべきと思います。この点は、まだ十分把握していないというお話ですけれども、早急に調査をして明らかにする必要があると思われませんか。
  188. 山形栄治

    山形政府委員 いわゆる現実の紛争は非常に数が多いと思うわけでございますが、問題は、電源立地にあたりまして公害防止及び安全の確保というのが最大の問題であることは当然でございます。この場合に、各地元というのが、いろんな実態が各地によって違いますので、その地元との実質的なる調和をはかりますことがきわめて重要であろうと思うわけでございます。  こういう意味におきまして、電源立地に際しまして紛争訴訟が各地で見られておりますことは非常に遺憾なことでございます。電力会社は、国民に電気を供給するという重要な責務を持っておる企業でございますので、電力会社といたしましては、極力住民理解を得るよう、そして実質的な一意味表方の合意がなされますよう、われわれといたしましても努力いたしたいと思います。なお、紛争の実態等につきましても、できる限りの調査を進めたいと思いますが、大きな方向といたしましては、そういうことであろうと考えるわけでございます。
  189. 荒木宏

    荒木委員 先ほども提訴の理由についていろいろ伺いましたが、公害の問題、環境破壊の問題、こういったことが特に強調されておるわけでありますけれども、こういったいわゆる紛争電源地点といいますか、あるいは予定地点といいますか、この周辺における大気汚染による被害の状況、これはどういうふうになっておりますか。
  190. 山形栄治

    山形政府委員 大気汚染の問題が非常に大きな問題であろうかと思いますが、大気汚染の態様の把握とこの監視体制につきましては、大気汚染防止法に基づきまして各都道府県知事が大気汚染監視網というものをつくっておるわけでございます。これは相互に連絡をとりながら一つのシステムとしても進めておるわけでございますが、現実にはほとんどの工業地帯、発電所周辺につきまして、この監視網がつくられておるわけでございます。各地ごとに定められます排出基準の設定等に必要なデータを提供することを大きな目的といたしまして、いま全般的な実効を期する方向で進んでおるわけでございます。  それから、発電所周辺を含みます工業地帯の大気汚染物質の代表的な硫黄酸化物につきまして申し上げますと、燃料としての重油の使用量が非常にふえておりますが、これは四十一年及び四十二年度をピークにいたしまして、年々減少の傾向を示しておるわけでございます。これは排出規制の強化もさることながら、重油の低硫黄化の促進、それから煙突を高くする高煙突化の促進、排煙脱硫の実施の促進等の成果の結果だと思うわけでございます。  なお、窒素酸化物につきましては、四十五年度からのデータによりますと、各年度の平均値の単純平均値でございますが、各年とも四十五年以降おおむね同じ平均値を持っておりまして、これは頭打ちの傾向でございます。硫黄酸化物ほど低下をいたしておりませんけれども、少なくともこれが悪化の方向に向かってないということが確認されておるわけでございます。  以上のように、発電所周辺の環境汚染状況につきましては、悪化しているとは言いがたく、若干改善の方向に向かっておるということがいえるかと思うわけでございます。
  191. 荒木宏

    荒木委員 そういうことを伺ったんじゃないのですよ。監視の体制でありますとか、あるいは汚染状況を伺ったのじゃなくて、被害の状況はどうですかということを聞いているわけです。実態を確認することが必要だ、そういうふうにつとめたいということは先ほど長官おっしゃったとおりですから、被害はどうですかということです。
  192. 山形栄治

    山形政府委員 硫黄酸化物を例にとりますと、発電所周辺のSO2の濃度といいますか、年々非常に減少いたしておりまして、全産業平均重油段階で一・五%ぐらいであるものが発電所周辺においては〇・八という、ほぼ半分の数値を示しておるわけでございまして、特に大量の発生源でもございますので、発電所につきましてはより一そうその環境基準の厳守をはかっていきたいと考えておるわけであります。
  193. 荒木宏

    荒木委員 どうもよくおわかりにならぬようですな。人の健康というものはそんなに念頭にはないんでしょうか。私は、汚染状況を伺ったのではなくて、被害はどうですか、病人は出ておりませんか、こういうことを伺っておるわけです。もちろん疾病の発生とその電源との因果関係の問題はありますよ、複合汚染が言われておるのですから。それはそれであとで伺うとして、まず実態として病人はどのくらい出ておりますか、こう伺っておるわけであります。ひとつはっきりお答えをいただきます。
  194. 石田齋

    ○石田説明員 お答え申し上げます。  私は直接の担当者ではございませんので申しわけございませんが、私が存じておる範囲内におきまして御説明いたします。  岬町の健康被害問題につきましては、大阪府の実施いたしました住民健康調査につきまして、現在環境庁の中で検討中でございます。
  195. 荒木宏

    荒木委員 通産省に伺いますが、ことしの三月六日の予算委員会で、この被害の状況を調べていただきたい、調査をいたします、調査したら報告をしてください、報告をさせていただきますと、はっきりお約束願ったのです。今日まで二ヵ月以上過ぎておりますが、この点についていまだに報告がありません。調査をしたのかしないのか、報告をなさるのかなさらないのか、この点ひとつはっきりしてください。
  196. 岸田文武

    ○岸田政府委員 先回御質問ございましたとき私から御答弁申し上げましたが、ただしその際には、健康被害については環境庁のほうでお調べをいただくというような理解になっておったと思います。
  197. 荒木宏

    荒木委員 しかし、環境庁も何も言ってきませんよ。皆さん方の所管はどうなっているか知りませんが、要するに政府としては何も返事をしていないということです。どっちに責任があるのですか。
  198. 石田齋

    ○石田説明員 お答え申し上げます。  非常に検討がおくれておるのはまことに申しわけないわけでございますけれども、先ほど申しましたように現在庁内の部局で検討中でございますので、この結果が出た段階におきまして御報告いたしたい、こう考えております。
  199. 荒木宏

    荒木委員 しかし、その間にも電源開発は進めようとしておられるわけでしょう。いつごろ返事がいただけるのですか。そしてそれは、一般の基準に照らしていまわかっておるデータでは被害の程度が高いのかどうか、それに対してどういう対策を講じられるのか、これは政府としてひとつ責任のある答弁をいただきたい。前に約束をされてすっぽかされているのですから、口だけで幾ら約束されたって、実行してもらわなければ何にもならない。どういうふうな法案をどういうふうにおつくりになって、どんなに提案をなさろうと、病人が出ておって、そしてそれがほかよりもひどくて、電源地点ではたいへんな問題になって裁判にまでなっているというふうなことだと、それに対する対策を誠意をもってやっていただかないと、これは法案審査にも影響するのじゃありませんか。ひとつ誠実に、前にお約束いただいたことをいつ、どういう形でやられるか、それに対する対策はどうか、評価はいかがなっておりますか、この点をどなたでもけっこうですから、責任を持って答弁をしていただきたい。
  200. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私、正確には記憶いたしておりませんが、発電予定地点において既汚染の状況はどうであるか、また設置をされた場合に予想される汚染の状況はどうであるか、これを調査し検討した結果を御報告するということを申し上げておりました。なお、温排水についても調査をし、同様に扱いたいとたしかお答えしたかと思っております。  大阪府におきまして多奈川の公害対策について種々御検討になられた結果をも織り込みまして、私どもいま調査の最終的な取りまとめをいたしております。これらにつきましては、ほどなく御報告に上がれると思います。
  201. 荒木宏

    荒木委員 せっかく答弁をいただいたわけですから、もう一度誠実に履行されることを期待しまして、成り行きを見たいと思います。  ところで、その肝心の電力企業のほうですけれども、こういった紛争が起こっておる事態に対して、誠実に対処しておるかどうかという点はいかがでしょうか。
  202. 岸田文武

    ○岸田政府委員 発電所の建設を進めます上において、地元理解と協力が必要であるということは当然のことでございますし、従来とかく電力会社はその面をなおざりにする傾向があったことを反省しつつ、最近は特にその辺に意を用いるように私ども指導をいたしておるところでございます。
  203. 荒木宏

    荒木委員 ところが、現に訴訟が起こっておる事例、たとえば関西電力の岬の問題について例を申しますと、すでに裁判が起こされて、ずいぶん被害を受けておる。病人も出ている。損害賠償の請求もある。それに対して関西電力のほうでは、その事実は知らないと答えているのです。因果関係のあるなしはともかくとして、事実があるかどうかは調べればすぐわかるでしょう、病人が出ているかいないか。     〔委員長退席左藤委員長代理着席〕 それを、全く調査もしないで知らないという答弁は誠意のある態度といえますか。これはどういうふうに政府としてはごらんになりますか。
  204. 岸田文武

    ○岸田政府委員 周辺地域における健康被害については環境庁のほうでいろいろお調べになっておられるようでございますが、まだ確実なる調査が整っておりませんし、関電自体も十分把握しておらないようでございます。ただ本件、すでに訴訟の問題にかかわってまいっておりますので、その推移等も頭に置きながら今後見守ってまいりたいと思います。
  205. 荒木宏

    荒木委員 そのわかったようなわからぬような返事はひとつおやめいただきたい。被害が起こったと言っておるのですよ。調べればわかるでしょう。それについて、なるほど事実はあります、しかしそれはほかの原因もあるでしょう、そういう返事もあるかもしれません。しかし、もう十数年も前からそこで発電事業をやっておって、地元では前々から、これで病人が出る、汚染濃度も高くなった、有症率もうんと上がっている、こういっているにかかわらず、病人が出ている事実を知らないというのは誠意のある態度と思えるか、こう聞いているのですよ。それに対して、これは誠実な態度であるとか、いやこれは不誠実な態度であるとか、そういう意見すら言えないのですか、政府は。いまこれほど電源の開発を進めたいということで法案まで提案されておりながら、当の電力企業の態度についてコメントすらできないようなことで、一体どうして指導ができるのですか。事実関係ははっきりしておるのです。経過もうんと長いのです。問題になってきていることについて、電力企業の態度について、政府はどう思うか、ひとつはっきり答えていただきたい。
  206. 石田齋

    ○石田説明員 たびたび同じことを申し上げて申しわけございませんけれども、ただいまその健康被害調査の中身の検討をやっておりますので、その結果が出次第御報告をいたしたい、こう考えております。
  207. 荒木宏

    荒木委員 そういうことを聞いているのじゃないのですよ。政府のほうの調査はいま検討中だ。前に返事をすると言われたけれども、その後何の音さたもなくて、次にようやく委員会で質問をして、検討中だというのは、私は不誠実だと思います。しかし、部長がすみやかに回答すると言われたから、それは成り行きを見ましょうと、こう言っているのです。企業の態度はどうですか、こう聞いているのですよ。被害が起こっているにもかかわらず、そんなものは知らないと言っている企業の態度について、どうごらんになっているか。
  208. 岸田文武

    ○岸田政府委員 被害の事実の有無自体は環境庁のお調べに待たなければなりませんが、いまの御発言のように、それは電力会社の関知したことではないというような態度でかりにあったとすれば、適当なことではないと思います。
  209. 荒木宏

    荒木委員 御見解を伺いましたので、それじゃ事実を調べて指導されますか。そういうことでも是正をされれば、地元の了解ということをしきりに言っておられるその問題を解決していくほんのささやかな一歩になります。事実関係をまだよく御存じないようですけれども、この点は事実を調べて、私が指摘したようなことがあれば十分指導をしていただきたいと思います。どうですか。
  210. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私ども健康の問題について判断をする能力がございませんが、環境庁ともよく打ち合わせをいたしまして、事実の把握につとめたいと思います。
  211. 荒木宏

    荒木委員 どうも一々質問しなければならぬのは不便だと思うのですが、事実の把握をした上で指導するかどうかを聞いているのです。行政の対応を伺っているのですから。事実をつかんだ上で——つかみきりですか。事実をつかんで、そのとおりだとすれば指導しますかと、こう聞いているのです。
  212. 岸田文武

    ○岸田政府委員 事実をつかみました上でしかるべき指導をいたします。
  213. 荒木宏

    荒木委員 いま岬のことを伺ったのですけれども、紛争は、訴訟になっておるだけで六件あるといいます。単に大阪だけの問題ではありません。調査をして報告をしていただく、実態を把握して指導をする、これは他の電源紛争の事案についても同じことだと思いますが、それらすべてについてあらためて約束をしていただけますね。前に一ぺん約束しているのですけれども履行されないし、聞けば岬のことだけおっしゃる。そうじゃないのです。全国のことを問題にしているのです。全部調べて報告をして、的確な指導をする、間違いありませんね。
  214. 岸田文武

    ○岸田政府委員 繰り返しのお答えで恐縮でございますが、私ども健康の問題については知識が乏しゅうございます。環境庁ともよく連絡をとりながら措置をいたしたいと思います。
  215. 荒木宏

    荒木委員 まあ被害問題、健康問題は汚染の問題から起こってくるわけですけれども、汚染の状況については通産省として調査をして報告をする、こういうお約束をいただいたのですが、いまだに全く報告をもらっておりません。これはどう  いうわけですか。
  216. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いま御指摘の点が先ほどの私の答弁と結びつくわけでございまして、私ども従来いろいろ勉強してまいりました結果をいま最終的に取りまとめつつあるところでございまして、御指摘のような点について近く御報告ができるだろうという考え方でございます。
  217. 荒木宏

    荒木委員 まあいろいろお忙しいことはわかりますが、しかし、こういう法案を提案されるその前に、予算委員会で問題提起をしておるわけです。皆さんは調査して報告するという約束を国会でしておるわけですよ。答弁はあまりなおざりに考えていただきたくないのです。法案審議に入る前に、いま検討中である、大体いつごろ報告ができると、電話ででも言えるのじゃありませんか。  大臣、前にお尋ねしましたときに、大臣は担当の人が約束したことは実行させるというふうにおっしゃったのですけれども、お聞きのような状態です。ひとつこのたびは責任を持ってすみやかに回答するということを責任者としてどうお考えになっているか、お約束いただけるかどうか、はっきりおっしゃってください。
  218. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 調査ができ次第、すみやかに御報告いたします。
  219. 荒木宏

    荒木委員 前と同じような答弁をいただいたわけですから、これももう一度様子を見さしていただきたいと思います。  ところで、調査結果をいま取りまとめ中で、勉強中だというふうにおっしゃったのですけれども、たとえば光化学スモッグについて申しますと、これは発生原因についてはどういうふうにつかんでおられるか、その勉強の経過をひとつ聞かしてください。
  220. 伊藤栄一

    ○伊藤説明員 現在の火力発電所では重油、石油系燃料が主体でございますが、こういった場合には出口濃度で大体百八十PPM程度のものが出てまいります。これが環境影響いたしますときは、煙突の拡散効果等もございまして、大体〇・〇〇数PPMオーダーになるわけでございますが、光化学スモッグそのものにつきましては、固定発生源のほかに自動車等の移動発生源がございますので、その点につきましては、それらがどの程度に寄与するかということが非常に問題になるわけでございます。私ども発電所立地審査にあたりましては、固定発生源、すなわち発電用のボイラーから出ます濃度につきまして環境に大体何分の一、一けた下がったオーダーでございますが、そういったものが発電所立地によって増加いたしましても十分環境基準が達成できる、そういうことをめどにいたしまして環境の問題の審査を行なっているわけでございます。
  221. 荒木宏

    荒木委員 移動発生源の問題ともからんで寄与率はいろいろ論議されておりましょうが、それに対する有効な対策としては現在どういうことを指導しておられるのでしょうか。また、その指導の結果、汚染解消の方向としてはどういうふうな進行状況にあるか、この点をお聞かせください。
  222. 伊藤栄一

    ○伊藤説明員 NOxの対策につきましては、現在燃焼の方法の調整をするといいますか、燃焼技術の改善によって行なっております。これはまずさしあたって排出基準を十分下回る、そういう観点から行なっておりまして、技術的には二段燃焼、排ガス混合、そういった方法によって行なっております。原理的には、要するに低温でゆっくり燃焼するということが空気中の窒素酸化物を減らすということになります。それからさらに燃料中の窒素分を減らす、いわゆる燃料Nといっておりますが、そういったものを減らす方法考えられます。そのための有効な方法としては、石油燃料をLNG等、そういった軽質の燃料にすることが一つの有効な手段と考えております。  それからさらに今後の長期的な対策といたしましては、排煙中のNOxを脱離する、そういう方法考えておりまして、これを積極的に進めるように電力業界を現在指導しておるところでございます。
  223. 荒木宏

    荒木委員 SO2のほうについてはどういう対策をとっておられますか。またあわせて、汚染を解消していくための今後の方針というものを示していただきたい。
  224. 岸田文武

    ○岸田政府委員 硫黄酸化物の減少をはかるためには、いろいろの方策を組み合わせて実施することが必要であろうと思います。一つの要素としては、硫黄分の少ない燃料を確保するということ、他の方策といたしましては排煙脱硫、さらに重油脱硫、こういった脱硫施設活用といったことが中心課題になろうかと思います。
  225. 荒木宏

    荒木委員 いま低硫黄燃料の確保というお話がありましたけれども、実際にそのとおりやられて  おるかどうか、ひとつお尋ねをしたいと思うのです。たとえば関西電力の場合、四十八年六月に「関西電力の現況」というパンフが出されました。ここで四十七年実績は、サルファ〇・一二%以下の燃料は全燃料の中の何%くらい使ったということになっておりますか。——質問を改めます。四十七年度は関西電力はサルファ〇・二%以下の燃料は全燃料のうちの何%使いましたか。
  226. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いま確実な資料を手元に持ち合わせておりません。これはいろいろ調査した結果、実態が明らかになるのではないかと思っております。
  227. 荒木宏

    荒木委員 確実でなくても、おおよそどのくらいですか。
  228. 岸田文武

    ○岸田政府委員 正確な数字でなくて恐縮でございますが、私どもの勘としまして五割余りくらいではないかと思います。
  229. 荒木宏

    荒木委員 そうしますと、先ほど伺った四十八年六月の「関西電力の現況」というところでは、〇・二%以下は全燃料のうちの何%くらいだと表示されていますか。
  230. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いま見ましたら五一%というふうに報告をされております。
  231. 荒木宏

    荒木委員 大体部長の言われるので五〇%、関西電力の文書によれば五一%、四十七年度の比率ですね。今度の申請にあたってまた文書が出されておりますが、四十九年四月に出されました「最近の石油情勢と当社の電力料金」、ここでは四十七年の当該実績は何%になっていますか。
  232. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御指摘資料だろうと思いますが、これを見ますと七四%という数字が入っております。
  233. 荒木宏

    荒木委員 四十七年度の実績というのは過去の事実ですね。すでに確定をした過去の事実である四十七年度実績、これが昨年の申請のときには五一%、本年申請のときには、同じ年度の同じ対象が七四%、昨年の五一%というのは間違いありませんか。
  234. 小野雅文

    ○小野説明員 いまの先生指摘の四十八年六月  の資料によれば五一%、それから四十九年四月資料によれば七四%というのの違いでございますが、ただいま関西電力のほうにその違いにつきまして問い合わせたところでございますが……
  235. 荒木宏

    荒木委員 それを聞いてないんです。去年のは間違いないかと聞いているんです。聞いたことに答えてください。
  236. 小野雅文

    ○小野説明員 実際に関西でどういう油を使っていたかという点については……
  237. 荒木宏

    荒木委員 そうじゃない。去年の報告が間違いないかどうかを聞いているのです。
  238. 小野雅文

    ○小野説明員 それについては、ただいまちょっと資料を持っておりませんので、正しいかどうかについては、調べないとはっきりまだわかりません。
  239. 荒木宏

    荒木委員 同じ年度の同じ事実について、あるときには五一%といい、またあるときには七四%という。いまの答弁によりますと、五一%が絶対に正しいのかどうか資料がないからわからない、こういう話ですね。  それじゃ今回言い出した七四%、これは絶対間違いありませんか。
  240. 岸田文武

    ○岸田政府委員 この数字が正しいかどうかという点につきましては、一つは、申請書と照合してみなければなりませんし、また、おそらくは申請書では総括的な姿しかとらえられておりませんので、実際の油の中身に入って検討をしてみないと正確であるかどうかという点についてのお答えがしにくいかと思います。
  241. 荒木宏

    荒木委員 つまりこういうことですね。いま伺った皆さんの答弁では、同じ年度の同じ対象について二つの違った数字がある。五一%もはっきり正しいとは言えない、七四%も検討してみないと正しいかどうか言えない、こういうことを伺ったのですが、去年は〇・二%以下の超低硫黄燃料が全燃料のうち何%を占めているか、去年の値上げ申請のときには、これは調査をしましたか。調査をしたかどうかということを言ってください。
  242. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いま御指摘の点、私ども二つ比べてみた限りでは、非常にいぶかしい感じがいたします。私どもこの点につきましては、去年の資料も振り返りながら事実を明らかにしてみたいと思います。
  243. 荒木宏

    荒木委員 そんなことを聞いてはおらぬのですよ。去年皆さん方は、値上げ申請があったときに調査をしたのでしょう。調査をせずに値上げをふらふらと認めたのじゃないと思うのですね。だから、去年のときに五一%と言っている、この点は調査したかしないかと、これを聞いているのです。
  244. 岸田文武

    ○岸田政府委員 燃料の内容については別途調査をいたしております。
  245. 荒木宏

    荒木委員 去年は去年で調査をした、ことしも出かけていっていろいろ調査をしましたね。ことしもこの点の調査をやりましたか、四十七年度分についても。
  246. 岸田文武

    ○岸田政府委員 正確に申しますと、料金の算定につきましては、原価計算期間における油の使用量が適当であるかどうか、これが議論の焦点になるわけでございます。ただし、その適否を見ますためには、やはり従来の状況というものが当然一つの判断の材料になってまいります。その意味におきまして、従来の油の使用状況を当然調べたと思っております。
  247. 荒木宏

    荒木委員 そうすると、去年は去年で調べた。ことしはことしで調べた。皆さんは違いに気がついておりましたか。去年も調べた、ことしも調べて、その違いに気がついていたかどうかということをひとつ言ってください。
  248. 岸田文武

    ○岸田政府委員 料金の算定の担当者は、このような概括的に取りまとめられたものではなくて、個々の燃料の種類ごとにこまかい積算の内容審査をいたしておるわけでございます。その点、いま御指摘の点についてどういう経過があったかということは、私いま承知をいたしておりませんが、帰りまして聞いてみたいと思います。
  249. 荒木宏

    荒木委員 尋ねていることにはっきりと答えていただきたいんですがね、気がついていたかいなかったか、質問はきわめて単純、簡単なんですよ。気がついていなかったならいなかった、気がついていたならいたと、気がついていたかいなかったか、どちらも、去年もことしも、調査の終わった段階で気がついていたかいなかったかということをはっきり言ってください。それを聞いているんだから。
  250. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私この席で正確なお答えをする能力がございません。帰りましてさっそく調べてみたいと思います。
  251. 荒木宏

    荒木委員 あなたはしかし公益事業部の責任者でしょう。去年の調査はもう済んでおるんでしょう。済んで一年以上たっておるんですよ。     〔左藤委員長代理退席委員長着席〕 ことしの調査もすでに終わって、いま査定段階で、新聞の報道によれば、日にちはいろいろありますが、近いのではないかといわれている。あなたは責任があるんじゃないんですか。じゃ責任者であるあなたがそのことを知っていたのかいなかったのか、部長、どうですか。
  252. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いまお示しの資料は、会社がいわば広報用に作成した資料でございますが、私ども申請書及びそれに関連をする明細書によりまして審査をするわけでございます。油の問題は、先年も大きな問題になっておりましたし、今年は特に大きな問題でございます。従来の傾向をつかむために当然入念に審査をいたしておるわけでございまして、この辺は担当官においても意を用いておるものと信じております。
  253. 荒木宏

    荒木委員 いや、そういうあなたが信じているかいないかというようなことを聞いているんじゃないんです。あなた自身が知っていたかどうか、このことを聞いているんですよ。
  254. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私自身は知っておりませんでした。
  255. 荒木宏

    荒木委員 重要な事項で、あなたに報告もなしにあなたの部下の人がかってにきめちゃう、あるいはつかんだ事実を握りつぶす、こういうことは部内の処理の上でありますか。
  256. 岸田文武

    ○岸田政府委員 そのようなことばはございません。
  257. 荒木宏

    荒木委員 そうだとしますと、いまだもってあなたに報告がないし、あなた自身が知らないということなら、これは通産省としてはつかんでいない、こういうふうに推論をすることができると思うのです。同じ年度の同じ事項について違った数字がある、どちらもいま直ちに正確だとは言えない、こういうことですね。ところで、いまPR用の文書とこう言われたんですけれども、消費者や国民に対して、値上げを申請した企業が会社の名前を入れて発行する文書は偽りがあってもいいと思いますか。
  258. 岸田文武

    ○岸田政府委員 当然消費者に対して正確な知識を与えるよう配慮すべきものだと思います。
  259. 荒木宏

    荒木委員 だとしますと、この点については調査をもう一度やるべきではありませんか。低硫黄燃料が全燃料の中で占める比率が一体幾らか、国民に対して、消費者に対して明らかに違ったことを言っている。この点はもう一度調査をやるべきじゃありませんか。
  260. 岸田文武

    ○岸田政府委員 先ほど申しましたように、ただいま料金の改定につきまして審査を行なっておる最中でございます。油の問題につきましては、従来の実績自体がふらふらしておるというようなことでは、はなはだ適当でございません。私ども申請書内容に入りまして、よくその辺のところチェックしてみたいと思います。
  261. 荒木宏

    荒木委員 申請書内容についてチェックしてみたい——皆さんいままでチェックしてきたんでしょう。去年もチェックをしたんでしょう。ことしもチェックをしたんでしょう。チェックをしてなおかつわからなかったことをまた同じことをやってわかりますか。当該の企業について、なぜ同じ年度の同じ事項についてこんな違った数字になるのか、この点の調査をもう一ぺんやるべきじゃありませんか。やるかやらぬか、はっきり言ってください。国民に対して違った数字を言っているその企業に対して、それをそのままにして皆さんは結論を出してもいいと思っているのかどうか。調査をやるべきだと私は思いますよ。これを聞いた消費者の人は、何でこんなことになってんのや、みんなそう思いますよ。通産省はまさかこのまま見のがしはすまい、こう思うのが普通ではないかと思いますが、あなたのほうでは責任をもって調査をやり直すかどうか、ここのところをひとつはっきり言ってください。
  262. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御意見の点、まことにもっともと思います。私どもとしても十分調査をいたします。
  263. 荒木宏

    荒木委員 調査をするという御返事をいただきましたので、これは誠実に確実にやっていただきたいと思いますが、しかし皆さんの調査では、一年前にやつでもわからなかった。今回調査をして、また気がつかなかった。これは通り一ぺんの調査ではなかなかいかぬと思うのです。  そこで、一体いまあなたがおっしゃった調査というのはどういう調査をなさるつもりなのか。ひとつ調査のポイントというのを言ってください。あなた、いま調査するとおっしゃった。それは大いにやっていただかなければならぬと思いますが、どういう調査をしますか。国民や消費者に納得してもらうために、調査のポイントはどこに置きますか。
  264. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私ども料金を算定いたしますときには、たとえば重油なり原油なりについて、それぞれS分ごとにどのくらい油が必要であるか、これを総合して総合のS分はどのくらいまでが必要かという点を吟味しながら積み上げていくという作業をするわけでございます。したがいまして、個々の油の単価につきまして、従来の実績なり傾向値なり今後の予想というものをチェックをして改定をしながら、別途所要量を今後の需給計画等を勘案して決定をし、それらの二つの要素によって料金の算定が行なわれる、こういう形になるわけでございます。いまの御指摘の点は、いわば過去の実績のとり方の問題でございますが、それらについて仕上がった結果が二様にあるということもいかにも奇妙な感じがいたしますので、一体どういった根拠で先ほどお示しの資料ができてきたのか、それ自体から私どもは調査をしてみる必要があると思っております。
  265. 荒木宏

    荒木委員 実際にどういう超低硫黄燃料が入っているのか、これを一番正確に調べる方法は何でしょうか。現実に関西電力がサルファ〇・二%以下の燃料をどのくらい入れているか、これを最も的確に知るにはどういう調査方法がありますか。
  266. 岸田文武

    ○岸田政府委員 電力会社の購入の実績につきまして、帳簿等によってチェックをするということが適当な方法ではないかと思います。
  267. 荒木宏

    荒木委員 そうでしょう。申請書だけいじくり回すのではなくて、当該企業の帳簿をまず見る、これは確かにそのとおりだと思うのです。しかし、帳簿といいましてもいろいろありますよ。どういう帳簿を見ると、この同じ年度の同じ事実についてうんと違ったことを国民に平気で言っているような企業に対して正確につかむことができますか。どういう帳簿を調べれば、この矛盾を最も的確に解明できると思いますか。
  268. 岸田文武

    ○岸田政府委員 どうも私そこまでの内容については承知をいたしておりません。専門家に帰りまして聞いてみたいと思います。
  269. 荒木宏

    荒木委員 しかし、あなたは調査の責任者でしょう。今回の調査は、あなたが責任をもっておやりになったのでしょう、真実を発見するために。そうして国民の生活安定のために調査をやったというふうに私聞いておりますが、あなた自身も奇妙だとおっしゃる。そうして調査をしなければならない、こう言われる。そのときに責任者のあなたがどういう帳面を見ていいかわからない。これじゃ調査の正確性が期待できますかね。問題は超低硫黄の油でしょう。それについてどういうふうな帳面を調べたらいいか全く見当がつかない。ほんとうにそうですか。責任者のあなたが誠実にひとつ考えて、どういう帳面を調べたらいいと思われるか、はっきり言ってくださいよ。国民は納得できませんよ。だってだまされているのだから。同じことについて明らかに違った事実を言って、そうしてそれをいまから通産省は調べるとおっしゃる。それはいいでしょう、調べていただければ。しかし、調べるのはいいけれども、責任者のあなたがどの帳面を見ていいかわからない。それで済みますか。正式な名称は別として、どういう性質の帳面を見たら一番正確に当該企業の入れておる超低硫黄燃料の比率がつかめるとお考えですか。全く見当つきませんか。
  270. 岸田文武

    ○岸田政府委員 おそらく燃料の購入に関する帳簿類であろうと思いますが、それらの内容については専門家の知恵もかりてみたいと思います。
  271. 荒木宏

    荒木委員 燃料の購入に関する日にちを追うたそのつどの受け入れ帳簿ですね、これはそこまで虚偽記載があれば別ですけれども、一応商業帳簿として通常の過程に従って、一月一日はどういうのが幾ら、一月二日はどういうのが幾らと、これをずっと当たれば、まず帳簿上の実態というものは明らかになると思います。いま部長は、そういうことではないか、つまり燃料の受け入れを記載した帳面を点検するのがいいのではないかと思うが、なお専門家の意見を聞いてよく検討したい、こう言われた。これは必ずやってください。責任をもってこれは絶対やっていただかないと困ると思うのです。大体日数はどのくらいかかりましょうか。去年も調査をされた、ことしも調査をした。大体帳面はわかっているはずです。要った人数もわかっていれば、所要日数もわかっておる。これをやるのにどのくらい日数がかかりますか。
  272. 岸田文武

    ○岸田政府委員 どうも伺っておりますと、多少行き違いがあるような感じがいたします。私申し上げておりましたのは、昨年の改定あるいは今次の改定におきまして、原価計算期間における各油種別の所要数量及び所要単価が適正であるかどうかということが私どもとしては査定のポイントになるわけでございます。それの参考として、価格水準が適当かどうかということについて過去の資料も参考にするという関係にあるわけでございます。いまお示しございましたのは、油分が過去においてどのような比率であったかという点でございますが、これらにつきましては、いまお話しいたしましたようなことを頭に置きながら調査を別途いたしたい、こう考えておるところでございます。
  273. 荒木宏

    荒木委員 ところがそうはいかぬのですよ。原価計算期間の計算をするには、その超低硫黄燃料、サルファ〇・二以下の分ですね、これがふえておる、こう言うのですよ。良質の燃料をどんどん入れてきておるから、去年に比べてこれだけパーセントが上がっておるから、だからコストが上がってくるんです、こういう説明ですよね。過去と全く遮断をして当該年度だけなら別ですよ。しかし同時に、去年に比べてこれだけ上がっている——今度の申請書だって書いていますよ。去年の申請でいえば、それの前年対比ですね、まさにそのベースになった四十七年実績・それが明らかに食い違う。これは調べぬでもいいとはおっしゃらぬでしょう。これだけ料金問題についていろいろ出ておるときに、この問題について何にも調べぬままで、そして正確なところをつかまずに、国民や消費者に対して納得のいく説明もできないままで結論を出すつもりですか。それが責任ある行政の態度といえますか。あなたは先ほど調査するとおっしゃった。それで私はそれは大いにやってくださいと言った。調査方法までいまお聞きしておるのです。では皆さん方は、いつ結論が出るかもわからぬ、これはこれでやるけれども、それはそれで別だ、幾ら企業が前年に比べてこれだけ伸びたといって、その前年実績に申請を関係さしておっても、そんなことはかまわないんだ、こういう態度ですか。そういうことが国会で言えますか。いま料金の問題にからんで、低硫黄重油をたくさん入れるから値が上がる、こういう話があった。燃料がふえたというのがいま一番大きな問題でしよう。だとしたら、この点については即時、すみやかに調査をするというのが当然じゃありませんか。部長、もう一ぺんはっきり言ってください。
  274. 岸田文武

    ○岸田政府委員 繰り返しで恐縮でございますが、料金算定の方法なり考え方というのは、先ほど申し上げました方式でございます。いわばそれに関連をして起こった問題でございますが、私どもとしては、二種類の資料を用意をし、消費者に誤解を招くということは、この問題と切り離しても大きな問題である、こう考えて調査を約束した次第でございます。
  275. 荒木宏

    荒木委員 切り離しても大きな問題である、しかし、切り離せないでしょう。あなたはいま関連している、こうおっしゃった。切り離しても問題なら、このこと自体も問題なんですよ。切り離した場合にだけ問題ですか。そんなことはあり得ないのです。事態をすなおにありのままに見れば、いまこの事態に、二つの違ったことを平気で言っている。一体どうなっているのかということを調べて、そしてその疑惑を解明する、調査の方法は、先ほどあなたも一つ方法としておっしゃったとおりです。これはすぐやりますか。
  276. 岸田文武

    ○岸田政府委員 調査はさっそく着手いたします。
  277. 荒木宏

    荒木委員 そこで先ほどの質問に戻りますけれども、どのくらいの日数がかかりますか。
  278. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いま即座にお答えができません。帰りまして、調査の方法等も打ち合わせた上でお答えさせていただきます。
  279. 荒木宏

    荒木委員 およそでけっこうですよ。もう何年もやっておられるし、何カ所もやっておられるのだから、大体の見当はつくはずですよ。大体の日数としてどのくらいかかりますか。
  280. 岸田文武

    ○岸田政府委員 重ねて恐縮でございますが、どうも即答いたしかねます。
  281. 荒木宏

    荒木委員 あなた、しろうとじゃないんでしょう。調査の責任者で、そしてこの問題については、いま一番重要な問題のはずです。当該事業にも決して初めて行ったのじゃないのです。ついこの間もチームを組んで行かれたばかりだから。油の受け入れの帳面をずっと洗うのにどのくらいかかるか、見当もつきませんか。大体どのくらいかかるのです。
  282. 岸田文武

    ○岸田政府委員 責任者として評価をしていただいて恐縮でございますが、ただ調査の方法なり期間なりについては、私のほうにおまかせをいただきたいと思います。
  283. 荒木宏

    荒木委員 いままできっちりいっておればおまかせもしますよ。去年調べてわからない、ことし調べてまたわからない。それで何らの保証もめどもなしに、おまかせくださいといったって、これは常識的に無理でしょう。大体の日数、こういう方法、しっかりやります、だからおまかせください、これなら話はわからぬことはないですよ。あなたのように、方法も帰って相談をする、いままで何回もやっておきながら、日数も見当がつかない、おまかせくださいでは、ちとそれは通りませんよ。大体どのくらいの日数がかかるのです。
  284. 岸田文武

    ○岸田政府委員 率直に申し上げますが、先ほどお示しいただきました二つの種類の資料が一体いかなる根拠で作成されたのか、この辺の考え方がわかればあるいはもうたちどころに解決できる問題かもしれません。そうでなくて、やはり相当こまかく調べなければならないかもしれません。この辺は、やはりけさほど問題を御指摘になりましたばかりでございまして、即座にそこまで答えを出せと仰せられましても、私どもとしては多少むずかしい面があることを御理解いただきたいと思います。
  285. 荒木宏

    荒木委員 こういう、何%入っているかというようなことは、もういかようにでも表現できるものなんですか。つまり五〇%入っていますとか、七〇%入っているとか、結論は何通りでも出るのでしょうか。私はそういうものじゃないと思うのですがね。事実は一つですから。だから、そのことについてあなたは調査するとおっしゃった、調査については十分検討するとおっしゃったわけですから、その調査した結果を責任をもって報告をしますか。
  286. 岸田文武

    ○岸田政府委員 報告させていただきます。
  287. 荒木宏

    荒木委員 もう一つだけ伺っておきますが、この低硫黄燃料というのは、それの比率が違えば燃料費も違ってくる性質のものですか、あるいはその比率が違っても燃料費としては全く同じものですか。
  288. 岸田文武

    ○岸田政府委員 個々の油のキロリットル当たり単価ということではなくて、燃料費全体ということでございますれば、S分が違えば当然違ってくるという関係にあろうと思います。
  289. 荒木宏

    荒木委員 そうしますと、報告のときに、そのことが燃料費の計算にどういうふうに影響したか、このこともあわせて報告をしていただけますね。
  290. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御指摘の点がもし査定の内容を明らかにせよという御趣旨であるとすれば、私どもは査定が完了するまではお答えを出しにくい立場にございます。ただ、御指摘のような関係で、従来の単価の見方についてもう少し正確を期するということであれば、十分調査をいたします。
  291. 荒木宏

    荒木委員 いま指摘した問題について責任をもって回答をする、それから報告の中に、燃料費にどういう影響があるかということも含めて回答をする、そういうふうに伺いました。  そこで、燃料費に関係があれば、それをそのままにしておいて結論が出るということは、これは普通はもう当然ないと思うのですね。燃料費の計算に関係がある、関係が出てもそのままにしておいて査定の結論を出してやる、こういうことはありますか。
  292. 岸田文武

    ○岸田政府委員 先ほど申しましたように、将来の電力料をいかにきめるかという意味での査定の問題でございますと、いわばこれからの単価及び数量をいかにきめるかということが要素でございます。それについて単価の面で適正であったかどうかという点がいわば査定の参考資料として生きてくる、こういう関係にあるのでございまして、いまの点は多少混同されておられるのではないかという気がいたします。
  293. 荒木宏

    荒木委員 そうすると、あなた、それはどっちへころんでも、四十七年の単価が何ぼであろうと、そんなことはおかまいなしに査定するのだ、そういうことですね。そういうことですか、ほんとうに。いままでの経過も誠実に見て、そしてだれが見ても間違いないようにして、納得できるようにして今度の査定と、こうなるのじゃないですか。参考にした四十七年実績がどんなに違っておろうと、国民にどんなふうに言っておろうと、単価がどう違おうと、通産省の方針はそんなことにおかまいなしにきめるんだ、こう言うのですか。
  294. 岸田文武

    ○岸田政府委員 原価算定期間における単価は、いわば特定の油種につきまして特定のS分を取り上げ、それについての単価が適正であるかどうかという点が問題になるわけでございます。この単価につきましては、従来の傾向というのは一つの参考資料でございます。従来の傾向自体につきましても、特に昨年のような場合には、一月以降、じりじり油が上がってまいりまして、秋以降急激に上がり、さらに今年に入って飛躍的に油が上がった、こういった過去の実績と、それから将来に関するいろいろのファクター、これをどう見るかというような点が査定の要素になるという関係でございます。
  295. 荒木宏

    荒木委員 しかし、だんだんと皆さんのおっしゃっておることのほんとう意味、腹の中がわかってくるような気がしますが、ここでいまこの法案を出して、そして電源開発を進めたいと言っている。環境問題が非常に大きな問題になっているから、何とかして解決をしていきたい、こういうことで法案を出して審議ということになっている。そのためにはいまの硫黄含有量を減らしていく、低硫黄重油を使っていくんだということが対策の大きな柱だということもおっしゃったでしょう。そう言った。現に三年後にはいまの硫黄分を何分の一にする、あるいは何年度に比べて何分の一になりました、これが公害対策の眼目になっているじゃないですか。傾向を問題にしているじゃないんですよ。四十七年の実績がどうかと、こう言っているのです。それに比べて硫黄分を何ぼに減らしていく、そこと対比して何分の一にしていく、そのことが同時にだんだんとこれは単価がアップするから燃料費が上がるんだ、こうなっているんじゃありませんか。単なる傾向ではなくて、一番直近の実績がはっきり出ているその数字が、皆さん自身も奇妙だと言い、いま説明もできず、これから調べると言っている。それをそのままにして、それはもうどっちでもいいんだ、結論は結論で出すのです、こう言い切れるのか、こう聞いているので分。いまの通産省のやり方は、これほど公害が問題になっておっても、そのことについては何のおかまいもなしに、消費者に全く違った数字を出しておっても、納得のいくような検討もせずに結論を出すのか、こう聞いているのです。
  296. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私どもは、これからの電力事業を安定的に発展させるために、公害対策重要性を十分心得ておるつもりでございます。それにつきまして、各社ごとに使用する燃料のS分を長期的にどうするかということにつきまして検討もし、心づもりも持っております。私どもは今回の査定にあたりまして、電力会社が燃料を使用いたしますときには、たとえば重油S分一・六%のものと〇・一%のものをどういう比率でまぜて総合の目標、燃料のS分を達成するかということをチェックしながら積み上げていくわけでございます。これらにつきまして、将来の公害対策ということは十分頭に入れておるつもりでございます。
  297. 荒木宏

    荒木委員 考慮に入れるということは検討するということでしょう。これを査定にあたって検討するかせぬか聞いているのです。イエスかノーかはっきり言ってください。ほかの回りくどい答弁でごまかすのじゃなくて誠実に答えたらどうですか。査定にあたって検討するのかしないのか、イエスかノーかと言ってください。
  298. 岸田文武

    ○岸田政府委員 将来の硫黄分については検討いたします。
  299. 荒木宏

    荒木委員 それでは四十七年実績検討せぬというんですか。
  300. 岸田文武

    ○岸田政府委員 もちろん検討の中に加えております。
  301. 荒木宏

    荒木委員 料金査定にあたって、四十七年度実績の正否を検討する、こういうふうに答弁がありましたから、この点はこれでおきます。  大臣、いまの点は確認させていただいてよろしゅうございますね。
  302. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 岸田部長が申したとおりであります。
  303. 荒木宏

    荒木委員 時間がだいぶ参りましたので、あと最後の質問をさしていただきたいと思います。  簡単にお尋ねしますけれども、大阪府と関西電力の間で公害防止協定が結ばれました。御承知のとおりだと思います。この問題について、夏場に電力ピークになって光化学スモッグが起こった、防止協定に基づいて、あるいは排出規制だとか操業率規制とかいうことを府のほうから企業側に要請をした。企業のほうでは電力の供給義務がある、こういうふうなことが起こった場合に、通産省としてはどういう行政措置がおとりになれるか、このことをひとつ伺っておきたいと思います。
  304. 山形栄治

    山形政府委員 電気事業法の第十八条によりまして、いわゆる供給義務というものが電気事業者にはあるわけでございます。しかしながら、正当な理由がある場合には、その供給義務がはずされるという法律上の規定に相なっておるわけでございまして、この正当な理由といたしましては、保安上の危険がある場合、それから天災事故の場合等が入っているわけでございます。別途、大気汚染防止法の二十三条によりますと、光化学スモッグのときに県知事から使用制限命令が出された場合には、電気事業者はこれに従う義務があるという規定があるわけでございます。したがいまして、この限りにおきましては、光化学スモッグの知事からの通告がありましたときに、供給をストップするのが当然だと思うわけでございますが、同じ大気汚染防止法の二十三条の第一項の規定におきましては、若干ゆるい形の規定に相なっておりまして、電気事業者その他光化学スモッグ発生者に対する協力義務が規定されておるわけでございます。この場合におきましては、その時点における協力要請というものをどうつかまえるのか、光化学スモッグの被害の防止と、それから電力の供給不足から出る、たとえば一番ひどい場合は停電でございますが、そういうような混乱の防止とこの法域間の調整をはかるということが必要になると思うわけでございますが、いずれにしましても、知事の要請に応じまして、電気事業者ができる限り協力をいたしまして、光化学スモッグの発生というものを、そのまた被害を防止するという観点で、いわゆるピークカットの問題、特約の問題、休日の振りかえ等、その辺で協力をするのが筋であろうと考えるわけであります。
  305. 荒木宏

    荒木委員 最後にお尋ねしますが、いまの質問は、そのいただいた御答弁をお尋ねしたのじゃなくて、大気汚染防止法の二十三条の問題じゃないんです。その要件ではなくて、防止協定で別個に操業率規制とかあるいは排出規制をきめている、そういった場合に知事のほうから要請があった。一方、電力事業者には供給義務がある。そのときに、たとえば知事が通産省に対して要請権を使って法律に基づいて要請をした、そういう場合に、電気事業法の二十七条の使用規制というふうなことが行政措置としてとれるかどうか。それからまた、二十九条の四項あるいは三十二条の広域運営における供給命令という措置がとれるかどうか。このことをお聞きしたわけです。
  306. 小野雅文

    ○小野説明員 いまの都道府県知事と公害防止協定を結びました際に、その公害防止協定に基づきまして操業のダウン等の命令が出ましたときには、供給予備率等があります場合には、当然それに従いまして供給のほうは発電の出力を落とすということをすべきだろうと思います。ただし、もうフル操業に近い状態でございまして、その要請に従う場合には停電といったような事態になるかどうかといったような場合のことが御質問の趣旨かというふうに思いますが、その際に、電気事業法の二十七条に基づきまして使用命令をかけるというようなことは、法律的にはいささか疑義があろうかというふうに思います。理由としましては、法律の二十七条の規制のほうは罰則がかかるわけでございます。そういうふうなことで国の強制権に基づいてやるわけでございます。一方、知事と電力会社のほうとの公害防止協定といいますのは、これは法律的にはいろいろな性格論があるようでございますが、一応契約でございますので、非常にむずかしいかというふうに思います。ただし、知事の要請があってもそれじゃ従えないというのでは非常に問題だというふうにまた別途思いますので、昨年等におきましては、私どものほうでは行政指導によりまして電気事業者の需要のほうを押えまして、両立するような形の措置をとったわけでございます。
  307. 荒木宏

    荒木委員 答弁漏れがもう一点あります。二十九条の四項と三十二条。
  308. 小野雅文

    ○小野説明員 ただいまの二十九条及び三十二条の供給命令でございますが、いまちょっと至急ここで調べましたのでございますけれども、これはいま先生が言われましたような公害防止協定に基づきまして出力抑制を要請されたような事態にはあまり関係ないように見受けられます。
  309. 荒木宏

    荒木委員 以上で質問を終わります。  調査の件の回答、それから先ほどの関電の査定にあたっての燃料の調査、これをひとつ誠実にやられることを申し添えて質問を終わります。
  310. 濱野清吾

    濱野委員長 松尾信人君。
  311. 松尾信人

    ○松尾委員 今回の法案が提出される理由、ですから法律案内容と申しますか、そういうところで、現在いろいろ原子力発電施設、または火力発電施設水力発電施設、このようなものの設置が困難となっている現状をかんがみる、こういうことでありますが、なぜ困難になっておるかということですね。なぜそのような施設設置が困難となっておるか、このことをまず長官からお答え願いたい。
  312. 山形栄治

    山形政府委員 電源開発の進行状態が非常に悪いわけでございまして、四十八年度は電調審の想定に対しまして四四%でございます。四十七年度はわずか三二%であったわけでございますが、その原因は大きくいいまして二つと思うわけでございます。一つは、当然のことでございますが、公害問題及び安全性の問題につきまして地元との調整がなかなかうまくいかないという点が大きな一つでございます。それからもう一つは、発電所の建設もだんだん奥地に移行する傾向がございまして、特にそういう観点から見まして発電所の周辺の地域及び住民の方々が、利益の還元が非常に少ない、電気はみんなほかの地域に持っていかれてしまうのだというような意味で、何か非常に心理的な意味も含めまして、バランス論上、もう少し自分たちにメリットが与えられてもいいんじゃないかという、いわゆる福祉向上観点からの不満感が非常に高まっておるわけでございます。これは一つだけの理由ということでございませんで、この二つは両方からみ合っておりまして、いまいろいろと開発が進んでおらない原因というのは、この二つの要因のからんだ複雑な形に相なっておると私は考えておるわけでございます。
  313. 松尾信人

    ○松尾委員 いまお答えがあったのは、いろいろ問題がある、それは二つの要因である。一つ安全性の問題であり、他方は環境破壊、公害の問題である、こういうことであります。これは問題点ですね。そうしますと、今回の法案というものがこの問題点を基本的に解明するかどうかという疑問であります。そのような問題点と法律の目的というものがはたして一致しておるかどうか、この点について私は非常に疑義を持つものであります。  さらに電力の安定供給、これは全日本国民に対する問題でありまするし、公害も日本全体の問題であるし、安全性の問題は単に周辺地域の問題に限るものでもない。これは広く国民全体としてその影響を受け、そしてその結果があらわれてくるという点からいって、単に周辺地域整備というような問題で片づくものであろうかどうか、こういう疑問を大臣、私は抱くわけです。それと同時に、やはりいろいろのそのような問題がございますから、あえてこれは私が先に申すわけでありますが、電源開発の基本法、むしろそのようなものをきちっと制定をされまして、この問題点としていま指摘された分、さらには電力消費の規制の問題、これは石油の輸入等にも関連してまいります。そういう点から申しまして、やはりこの基本法的なものをつくっておいて問題点の解明の中でその除去をはかる、さらには省電力という一つの方向を堅持する、さらに周辺地域の問題を解決する、このようなものが理想的なほんとう法案じゃなかろうかと思うのでありますが、いかがですか、大臣
  314. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 確かに先生がおっしゃいますように、電源開発の遅滞というものは、一つ安全性に対する不安、もう一つは公害問題等がございますが、もう一つはやはり住民に魅力がないということがございます。あるいはダム建設をするにしても、住民は転居を命ぜられて、しかも電気料金が安くなるかといえば別に安くなるわけではなし、あるいは火力にしてもばい煙の問題その他が付近の住民には出てくる。そういう点を考えると、そういう協力しているにかかわらずほかの都市の住民と同じような待遇を受けておる、やはりベネフィットを与えなければ電源開発は促進しない。そういう意味からも、今回はこういう法律をつくりまして、いままでおそくなっておったと思われるぐらいの住民に対するベネフィットの還元という点についてバランスを回復しよう、こういう意図も実はあるわけでございます。しかし、おっしゃいますように、日本電力政策というものについて一つの基本法的思想を持って体系の根本を立て、整然と行なうというのは、これは一つの御見識でございまして、私らもそれは研究させていただきたいと思います。ただ、いまわれわれのほうはエネルギー調査会に日本のエネルギーをどうすべきかという総合エネルギーの諮問をしておりまして、それらの結果を見ましていろいろ検討を加えていきたいと思っております。
  315. 松尾信人

    ○松尾委員 総合的な大きな見地から日本の総合エネルギー政策、そういうものの一環としての電力問題、そういうことを今後は検討課題にするというお答えでありますが、どうもそれで周辺地域の人々の利益がない、公害は受けておる、そういうところで行き悩んでおるから解決するというこの端的なあり方自体が、たとえば促進税を取る、それを交付税その他で分けるといって、あめ法案みたいな感じがだから抱かれる。そして基本的な安全性の問題とかそういう問題は別問題である、別のほうでやっているというようなことでありまして、公害も、それは別の法律がありまして、そういうところでやりますけれども、現実は電力会社はどうかといえば、そのような問題にはほおかぶりしまして、やるべきことをやってないのが現状でありますから、やはりそういう方向づけをきちっとする、国民の納得するこの電源開発というものをやるというのがあればわれわれも非常に納得するわけでありまして、われわれが納得することは国民の皆さまもなるほどそうか、そこまで政府がやるのかということになるわけでありますが、くどいようでありますけれども、そういう考え方は速急に私は固めていかなくちゃいけない、単に検討課題くらいではいけないと思うのですが、もう一回大臣、お答え願いたい。
  316. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 原子力安全性の問題につきましては、原子力委員会以下が本格的に取り組んでいま進めておるところであり、われわれもまた実施にあたりましていろいろな許可、認可、検査等を通じまして厳重に励行していきたいと思っております。環境問題については、環境庁からほかの国にないぐらいのきびしい基準を達せられまして、それらをわれわれは励行するようにいま実はやっておるわけでございます。これはやはり一つ政府のもとにおのおの分業してやっておるのでありまして、われわれとしては、これを有機的に総合的に実施の部面におきましては実行しておるのでございます。まあしばらくはこういう形で見守っていきたいと思います。
  317. 松尾信人

    ○松尾委員 安定供給をはかる、その安定供給という内容でありますけれども、これはあと電力需給の問題で触れたいと思うのでありますけれども、しょっぱなにこの安定供給をはかる、国民のやはり福祉、そういうものを充実するというような一つの大きなねらいがあるわけでありますが、安定供給といいましても、この電力需給の問題であります。結局そういうところで何が安定供給かという問題ですね、ではどこまでこの発電力をふやして、そうしてどこまでいろいろなことをやっておいてそれが安定供給といえるのかどうか。むしろわれわれの考え方といたしましては、かつての十二%の伸び率、それから八・八%の今回の考え方の基本の伸び率、それから五%なり六%の伸び率が妥当であるというようなお答え、そういう面から見ましても、やはりこの電力というものの総需給というものを確定しておいて、そこにはいろいろのことを考えて確定しておいて油の輸入を押えていったように、電力のこの需要供給面というものも見合った、そうしてかくあるべき姿の電力というものに対する安定供給ならわかるわけであります。そういう意味の安定供給——ここにある安定供給という内容はいかがなものでしようか。これは長官でいいですよ。
  318. 山形栄治

    山形政府委員 安定供給といいますのは非常にむずかしい概念でございますけれども、むしろ日本経済のこれからのあり方というのが前提になると思うわけでございます。特にこれをエネルギーの観点でいいますと、望ましいあり方に即応した当然の需要があるわけでございまして、その需要に対して過不足なく安定的にエネルギーが供給される、こういう概念だと思うわけでございますが、この場合の需要面の一番の問題は、日本経済のいまの体質、非常にエネルギーを使う経済の体質になっておりますので、これを省エネルギー、省資源に切りかえていくべきである。これは通産省が現在産業構造審議会で検討いたす心づもりになっておりまして、早ければ六月中に一つのたたき台といいますか、スケルトンを出したいということで省内はいま検討を進めておるわけでございます。こういう方向で長期的に一つの需要構造、それからその中に占める国民生活の安定という両方の要素を踏まえた需要構造を考えまして、これに対応する供給というものを考えるべきだと思うわけでございますが、その場合でも、どちらかといいますと、従来の電力に即して言いますと、非常に火力偏重でございますものを、水力とか地熱とかそういうような国産エネルギーの開発も進めるべきである。また、もっと大きく言いますと、サンシャイン計画のような新しいエネルギー源の開発も当然にその対象に相なるのではないかと思いますが、この辺のエネルギー開係の長期の需給及びこれの新エネルギーの促進、開発のあり方、それから石油に即して言いますと備蓄のあり方等も含めた全エネルギー政策につきましては、これは現在、いま大臣のお話のとおり、総合エネルギー調査会で検討を進めておりまして、これも早ければ六月に中間的な形のものを出したいということで進んでおるわけでございます。エネルギー面のほうからの接近、それから全体の産業構造、需要面からの接近、両方並行して進めておる段階でございます。
  319. 松尾信人

    ○松尾委員 いろいろお答えがありましたが、結局、現在のこの法文上における、またいろいろ説明されておる資料の中の安定供給という中には、そのような頭はあるけれども、現実には電力に関する限りでも需給内容は明確でない。四十九年度をいかに見通して、四十九年度の電力はこのような需要でございます、このようにいたします、それに対応してこのように供給いたしますというような明確な、そのようなものがなくての安定供給と書かれておって、それを確保するために周辺地域整備をするのだ、こういうことでありますから、どうも納得いかない。ですから、電力はどんどん要るのだ、過去も非常に伸びたし、今後も伸びるのだ、だから必要なのだというような抽象的な説明では納得できないわけです。このように力を入れた、省資源また省電力はこういうふうにやるのだ、またはこの事業転換もこのようにやるのだ、そしてこのような面でしっかりがんばっていって、このようにわれわれは需給見通しを立ててやったから納得してくれ、このような意味の安定供給であれば、これはよくわかります。それはいま六月の審議会の答申、それを待っての政府検討ということで非常に残念に思いますが、基本法的なものをつくるべきだ。そういうことを大臣も先ほどお答えのとおりでありますので、ひとつ基本的に問題を総ざらいして、そうしてあるべき電力の姿というものをそこに明確に策定していかれる、その基本方針を堅持するということは、はっきりといま長官から答えをもらっておきたいと思うのです。
  320. 山形栄治

    山形政府委員 ただいまの御趣旨には全く同感でございまして、電力に即して申し上げますと、四十九年度につきましては、近く何らかのかっこうでの需給をはじきたいと思っております。  ただ、問題でございますのは、いま先生の御指摘のとおり、より長期の一つの需要のあり方等も関係すると思いますが、これは先ほど言いましたように、総合エネルギー調査会及び電気事業審議会の需給部会、両方で現在詰めておりまして、これは何らかの成案を近く得たいと思っております。
  321. 松尾信人

    ○松尾委員 では、その点は強く要請いたしまして、次に移りましょう。  定義の中で、この「政令で定める規模以上のもの」というようにあるわけでありますが、これはどのくらいの施設を政令で定めようとするのか、これが第一点。  それから、石炭火力発電所の問題でありますが、この政令で定める規模以下にこの石炭火力発電所はなるのじゃないかという心配について、長官、これはあわせてお答え願いたい。
  322. 山形栄治

    山形政府委員 法律の第二条によりまして、政令で定めます規模の問題でございますが、これは政令——まだ出ておりませんけれども現時点のわれわれの心づもりでございますが、原則的には三十五万キロワット程度ということにいたしたいと思いますが、地熱とか水力といいますのは、それぞれ非常に地域に限定的な要素もございます。しかし、それをこまめに開発することも必要でございますので、地熱と水力につきましては一万キロワット程度を規模といたしたいと思います。また、原子力発電につきましては三十五万キロワットでございますが、動燃事業団で研究を主にした原子炉を持ち、またこれを今後も運営する必要があるわけでございますが、これにつきましては、その事物の性質に即応いたしまして、十五万キロワット程度とする方針でございます。なお、沖繩県につきましては、この供給地域が狭いわけでございますので、これにつきましては、いまの全体の原則で当てはめますと非常におかしなことになりますので、特例を設けたいと思うわけでございます。  それから、石炭火力につきましては、最近時の石炭火力技術革新的な要素が非常に多くて、大規模な石炭火力の建設も可能に相なっております。国土の有効利用という観点、それから経済性の問題等の観点から見ましても、これからつくられます石炭火力につきましては、規模といたしましては、先ほど申し上げました三十五万を一応原則的に規模として考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
  323. 松尾信人

    ○松尾委員 今後、石炭専焼火力発電所等が建設されるわけでありますが、これは新しい技術の開発、三十五万キロワット以上の発電施設になるであろう、こういう見込みですか。かりにこれが三十五万キロワット以下であるとするならば、この政令で定められた規模以下になる。そうすると、法律で盛られたいろいろの整備計画、そういうものが一切そこには適用されないということになりまして、これは大きな問題を起こすわけであります。ですから、三十五万キロワット石炭専焼火力についてはどうか、今後設置される石炭専焼火力はすべて三十五万キロ以上のものであるかどうか。そういうものがここに明確にありませんと、なかなか納得しがたい政令の内容になるわけでありますが、いかがですか。
  324. 山形栄治

    山形政府委員 石炭火力につきましては、ただいま答弁いたしましたように、大体三十五万というのが経済性及び技術上の可能性もあるわけでございます。もちろんまだ政令が成案を得ているわけでございませんので、石炭という国産資源を活用するためのこれは専焼火力でございますし、地域のそれぞれの実態もあろうかと思います。一応政令をつくりますに際しまして、その辺も、先生の御趣旨も加味しまして関係省庁間で具体的に検討いたしたいと思っておるわけでございます。
  325. 松尾信人

    ○松尾委員 その点はいろいろの問題がありながら地元ではそういう方向に進もうとしている。そしてせっかくあなたのほうで考えたそのような地域の人たちに対するこのような整備計画等ができないということになると、これは大きな問題を起こしまして行き詰まるおそれがある。だから念のためにこれは申しておくわけでありますから、ひとつ落ちこぼれのないようにきちっとこれは処理するように念を押しておきます。  それから、先ほど一言言いました電力需給見通しと決定の問題でありますが、これはどこで基本計画みたいなものを立てて、そしてどういうところでそういうものが決定されていくか。通産省としましては、どのようにそのような問題についてタッチしておるか、最終的な電力需給の決定について通産省はどのくらい責任がそこに明確になっているか、この点を聞きたい。これは長官でいいです。
  326. 山形栄治

    山形政府委員 電力需給につきましては、いわゆる電源地点を設定いたしますときの政府審議機構でございます電源開発調整審議会、ここが一応長期の計画をきめまして、それに基づいて電源地帯がきまるわけでございます。したがいまして、正式には電調審の数字によってこれがきまるわけでございますが、電調審の数字の根拠と言いますと、いわゆる政府の経済見通し及び長期基本計画等が参考に相なるわけでございます。しかしながら、現実のたとえば四十九年度等の期近の問題につきましては、その長期の考え方と別途に、いろいろと変動もございますので、通産省のほうで各種のデータ等を参考にいたしまして電気事業審議会の需給部会等にもはかりまして短期の四十九年度等につきましてはまたつくる。長期、短期それぞれ違いがございますけれども、どちら一かといいますと、長期的なものは政府全体でやりまして、単年度的なものは通産省が責任を持ってこれを実施的にきめていく、こういうのがいまの動きでございます。
  327. 松尾信人

    ○松尾委員 次に、電力の年間の伸び率の問題ですが、家庭電力——電灯ですね。業務用、産業用、この三つに大きく分けまして、最近におけるこの伸び率と四十九年の見通しあとこのような見通しによる三つのグループにおける電力の消費量というものは大体どのようであるか、以上諸点を明らかにしてもらいたい。
  328. 山形栄治

    山形政府委員 九電力会社関係の合計でその伸び率を申し上げます。  これは全体といたしましてもそう違わないものでございますので、九電力会社関係で申し上げますと、全体の電力、電灯合計の伸び率は四十七年度が一〇・三、四十八年度は若干推定が入りますが  一〇・六、四十九年度のこれは想定でございますが、五・一でございます。それから電灯だけについて申し上げますと、四十七年度が一一・七、四十八年度が一二・〇、四十九年度が八・八でございます。それから業務用、これは小口でございますが、四十七年度が二一・三、四十八年度が一四  ・六、四十九年度が一二・七でございます。大口電力について触れますと、四十七年度が七・四、四十八年度が八・九、四十九年度はわずかに二%というような数字がわれわれのほうの試算で出て  おるわけでございます。
  329. 松尾信人

    ○松尾委員 昭和四十年以後をながめてみますると、電力の需要というものは年々大体一二%をこす伸び率、今回この政府の策定、四十七年から五十三年の想定というものは年率八・八%、このように示されておるわけであります。そうするとこの八・八%という根拠、それと重油の需要というものがそれでどのぐらい伸びてくるかという関連はいかがですか。
  330. 山形栄治

    山形政府委員 いま先生のお示しの年率八一八の伸び率といいますのは、政府側はまだ最終決定いたしておりませんので、いまお示しの数字は、日本電力調査委員会という民間の団体が昭和四十八年十月一日現在で取りまとめたものでございます。これから五十三年までが電力需要が八・八というのは少し高過ぎるのじゃないかという意見も当然にあろうかと思いますが、先ほども申し上げましたように、政府内部におきましても、長期基本計画の策定、改定作業も進んでおりますし、全体のこれからの日本経済の持っていき方、成長率のあり方等からこれは当然に検討されるべきだと思うわけでございます。総合エネルギー調査会におきましても、先ほど言いましたように、電力需給につきまして別途いま作業中でございます。  これとの即応におきます石油の問題でございますが、したがいまして非常にむずかしい問題であるわけでございますが、最近時の石油の原油の輸入はわりあいに順調に推移いたしておるわけでございます。しかしながら、長期の原油輸入がどういう動きになるのか、産油国の動きがどういう動きをするのか、この辺につきましては非常に不確定な要素が多いわけでございまして、なおOAPEC、OPECのほうの動きも、この六月を境に非常に流動的な動きを示しておりますので、その辺の要因も踏まえまして長期的な石油の原油のあり方、これとの関係における経済全体のあり方、電力需給のあり方、この辺は全体的な観点政府内部全体として検討を進めるべき事項であろうかと思うわけでございます。
  331. 松尾信人

    ○松尾委員 これは大臣聞いてもらいたいのでありますけれども、七〇年代の経済運営というものは、成長追求型から成長活用型へと、産業構造も、たびたび申し上げますとおりに、資源多消費型の重化学工業中心を切りかえていく。ところが最近、鉄鋼だとか自動車だとかカラーテレビだとか、そういう重化学工業関係の輸出が急増しているわけであります。産構審の答申もやがて出る。そういうところでいろいろ作業を進められるわけでありましょうが、他方そのような産構審の答申を待って検討大臣は約束されておるわけであります。そういう面と、現在の重化学工業中心の輸出の急増というもので、輸出は伸びたらいいな、外貨もだいぶ心配だから、国際収支も心配だから伸びたらいいなというようなかっこうで、そういうところがなおざりに付されていくのじゃないかという心配を抱くわけであります。このような基本問題を大臣検討を約束されておるわけでありますから、産構審の答申に早急に対処するというお答えが出るかどうか。それと、いま輸出の急増しておるそれらの重化学工業型というものをどういうふうに考えていらっしゃるか、大臣のお考えを聞いておきたい。
  332. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 省資源、省エネルギー型に日本の産業構造を転換させるのがわれわれの方向でございますが、そういう方向に非常に急いでやりましても、最近の石油の暴騰というものは国際収支に相当重い負担をかけてきております。そのほか国際的には食糧の値段が非常に上がりつつあります。将来もそういう可能性がございます。食糧、飼料それからいまの燃料等のことを考えますと、いかに省資源、省エネルギーを達成しても急激に達成はできないわけでございますから、やはりその分だけを輸出によって得なければバランスがとれません。だからある限度はやむを得ないと私は思っておるのです。その中において次第次第に省資源、省エネルギーのほうに構造変換をしていきながらバランスシートを合わしていく、そういうふうにしていきたいと思っております。
  333. 松尾信人

    ○松尾委員 公害対策の問題でありますけれども、これは事電力会社に関する限り、どうも私は進捗していないと思います。あらためて聞くわけでありますが、電力会社の公害防止施設設置計画、それと現状、そのズレですね、そういうところがあると思うのですが、いろいろな計画がある、現状はこうだ、ですから、それをどうするかということをまとめて長官からお答え願いたい。
  334. 山形栄治

    山形政府委員 電力におきます公害問題といたしましては、大きく分けましてこれが三つに分かれると思いますが、大気汚染温排水問題、それから騒音問題、この三つだと思うわけでございます。  大気汚染問題につきましては、低硫黄重油確保、LNGの採用、ナフサなまだきの採用、排煙脱硫設置等が進んでおりまして、これは排煙脱硫で若干テンポがおそいような感じもございますけれども、ほかの点では相当進んでおるわけでございます。現時点におきましての低硫黄化率というのは全産業平均の半分ぐらいの低さに電力会社系統は保持されておりまして、この点で、この施策は相当進んでおるのではないかと思いますが、なお一そう排煙脱硫推進等をはかってまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、大気汚染一つとしましてNOx対策にとりましては二段燃焼法、それから排ガス混合法等の燃焼技術の改善によりまして大気汚染防止法に定めます排出基準を下回ることが十分可能でございます。いまこれとの関連におきまして脱硝技術研究開発も進めておるわけでございますが、この辺につきましても排出基準を十分下回ることが可能であろうと私は考えておるわけでございます。  それから温排水問題につきましては、深層取水等の方策を積極的に採用いたしましてこれに対処いたしますよう、電気事業法の許認可に際しまして強力に指導、監督をしておるところでございます。水質汚濁防止法による排出基準がもし設定されますれば、これに見合うように電気事業法技術基準を設定して規制する方向でいま考えておるわけでございます。  それから騒音問題につきましては、機器の配置、消音器等の防止装置の取りつけ、それか騒音を出さないような設計を採用する等、これも強力に行政指導を行なっておるわけでございまして、電力会社におきます公害対策につきまして着々その成果をあげておると確信いたしておるわけでございます。
  335. 松尾信人

    ○松尾委員 大臣いかがでしょうか、油の輸入の問題でありますけれども、二億七千万キロリッター。どうも近ごろは輸入ができるだけ輸入してやろう、何かそういう需要の伸びにまかせて入ってくるだけ入れようというような考えがあるような気がいたします。そういうところも、いま大臣もおっしゃいましたが、やはり貿易収支の問題、それやこれやで一番輸入で問題になるのは石油の価格の三倍、四倍の引き上げ、それの外貨資金の充当で、輸出も、重化学工業のほうが出ても抑制することもできないというようなかっこうで産業構造の転換もおくれておる。ですから、やはり電力と同じような考えでありますけれども、石油についてもやはりき然たる需給計画、そういう一つの省エネルギーという考え方からいかなくちゃいかぬと思うのですが、最近の輸入について、大臣どのような考えがありますか。
  336. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 最近の石油の入着量を見ますとわりあいに好転しておりまして、二千四百万キロリッターあるいはそれよりふえるぐらいのものは月に期待されるようになってきております。情勢によってはやはりサウジアラビアあるいはイラン等において増産が行なわれておるのではないかと想定しております。われわれとしては、去年の九月、石油危機が起こるときには五十九・七日分あったのでございますが、それが四十九日分に減りまして、この六月ぐらいまでにいまの調子でいくと五十七日分ぐらいまで回復しそうです。少なくとも六十日分ぐらいまでは備蓄を早く持ちたい。その備蓄を持ったならば日本の経済的なポジションは安定いたします。そういう考えに立って二千四百万キロリッターぐらいの輸入は当分認めておこう、しかしその備蓄ができた場合につきましては、今後は、総需要カットとの関係もあってそれほど全部使われておりませんから、われわれはまあこれを輸入割り当て制にするという考えはございませんけれども、行政指導等によりまして、やはり石油の輸入量というものをある程度国民経済の規模に合ったように調整するということは必要ではないか。現在の規制状況を見ますと、石油でも電力でも、各産業に割り当てた数量のうち一〇%ぐらいは余しております。それは総需要カットが非常にさいてきているからであります。これはいい現象です。そういうような現象が当分続くとわれわれは考えますから、この備蓄が一定量に達したあとは行政指導等によって調整策も考える必要があるんではないか、そういうように考えております。
  337. 松尾信人

    ○松尾委員 いま総需要抑制の問題が大臣から出ましたが、総需要を抑制して、油なりまたは電力なりというものの消費がある程度規制できる、これはやはり緊急的な当面の手段でありまして、やはり基本的には政府の施策というものがきちっとなされていかなければいけません。需給というものをやはり政府がいろいろの観点から明確にした上の油の需給であり、そこにおける輸入である、また電力需給であり、その上からの電源開発だ、このようなことが基本的な姿勢であろうかと思うのです。ですから、総需要抑制によるこのエネルギーの節約ということは緊急当面の措置にすぎないんじゃないか。相なるべくは、一日も早く基本的な需給というものをあらゆる角度から明定されまして、そして油なり電力なりの総需要というものを確定して供給していく、こういう方向が望ましいと思うのですが、いかがですか。
  338. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 先生のおっしゃる方向は望ましいと思います。われわれは総合エネルギー調査会の答申を待ちまして、そういう趣旨に沿って研究を加えてみたいと思います。
  339. 松尾信人

    ○松尾委員 次は、原子力関係に対する質問を続けていくわけであります。これはいまここでお答え願うと時間をとるという心配もありますので、原子力発電所における過去における事故の発生件数、それから事故内容、こういうものを一覧表にしましてお示し願いたい。これは委員長に要求いたしますが、そのような指示をしていただきたいと思うのです。  そういうところで時間を省きながら次に進んでまいりたい。  この原子力発電というものも相当計画がなされておりますね。一九八五年の目標六千万キロワット、それからやがてそれを一億前後まで上げていきたい、そのようなものも見られます。そういう計画というものが現実になかなか実現困難であろうということは、ここで私が言うまでもないと思うのでありますが、それはあと回しにいたしまして、ウランの問題であります。  このウランの産出国の出荷の制限のような動きはどうかという心配であります。禁輸の可能性があるんじゃないか。ウランの産出国の同盟というものがある。そういうものの動きはどうか。価格も急にどんどん上がっている。こういう点についての説明をいただきたいと思うのです。長官、いかがですか。
  340. 山形栄治

    山形政府委員 御指摘のとおり、ウラン産出国におきましては、これはやはり資源ナショナリズムというような感じもありまして、最近一部に輸出制限等の動きがあるわけでございます。  豪州が四十七年に労働党政権になって以来、非常に資源ナショナリズムの線を大きく出しまして、新規の天然ウランの輸出契約に対する許可を現在凍結いたしております。それからカナダ政府は、最近天然ウラン自体の輸出を制限する方針を打ち出したやに聞いております。それからガボン政府は、最近天然ウランの価格を大幅に引き上げることを方針として打ち出したわけでございますが、わが国といたしましては、基本的にこれら産出国との共存共栄といいますか、そういう立場を堅持いたしまして、政府といたしましても、各国との積極的なる外交を展開しまして長期の安定確保をはかってまいりたいと思うわけであります。
  341. 松尾信人

    ○松尾委員 次に、このウランの経済的に採掘可能な数量はどのくらいあるかという問題です。  それから石油価格の上昇等でやがて経済的に開発可能なウランも範囲が広まってくると思うのでありますが、そういう点を押えてもこの後どのくらいと見込んでおるのか、この点いかがですか、簡単に答えてください。
  342. 井上力

    井上説明員 現在世界全体の天然ウランの確認埋蔵量は、一ポンド十ドル以下ということで表示しておりますが、約百十三万トン、これはU3O8というベースでございますが、そういうふうにされております。
  343. 松尾信人

    ○松尾委員 要するに、ウランにももう供給に限界があるということを申し上げたいと思っておるわけです。  それからもう一点は、将来の問題になりますけれども、高速増殖炉の出現の問題。現在の低濃縮ウランの燃料の利用効率、ウラン自体の持っている全熱効率、その全熱量というものが現在の原子炉型でどのくらいの効率が出ているのか。これが高速増殖炉というものになった場合には今度はどのくらいの効率に上がっていくか、その点はよく明確にしていきませんと、あわてて低効率のものを一生懸命やる必要はないじゃないかというような問題があります。  それから次に申し上げようと思いますいろいろのいまの軽水炉以外の炉型の問題にも触れますので、いま私が質問した分だけについてお答え願いたい。
  344. 山形栄治

    山形政府委員 現在世界で一番多く使われております軽水炉でございますが、これを例にとりますと、これはウランの利用率は約一%でございます。  なお、現在動燃事業団で建設しております新型転換炉の場合は約三%といわれておるわけでございますが、反面、いま御指摘の高速増殖炉というのが完全に実用化いたしますと、これは核物質の八〇%が利用できるということで、利用率では圧倒的な違いがあるわけでございます。
  345. 松尾信人

    ○松尾委員 この高温ガス炉のほうになりますと、この熱効率関係等はいかがになりますか。
  346. 井上力

    井上説明員 高温ガス炉になりますと、お尋ねの熱効率は軽水炉の三〇数%に対しまして約四〇%に上がると思います。ウランの使用効率という点でございますが、これにつきましてもかなり高濃縮のウランを使いますが、アメリカで開発されております高温ガス炉におきましては、トリウムという元素の中に一緒に入れまして、トリウムからできますウランの二三三というのがまた新しい燃料として使えるということで、燃料の使用効率はかなり向上するものと考えられます。
  347. 松尾信人

    ○松尾委員 先ほどのお答えの中で、このウランについても資源ナショナリズムの動きがある、こういうことでありましたが、このウランの濃縮工場をつくって付加価値を大いに高めて輸出しよう、こういう考えも産出国にあるわけです。それで、いまのところ、原子炉の燃料として使えるほど大規模にまた組織的に濃縮ウランの供給ができるのはアメリカだけであります。そのようにいわれておるが、これははたしてどうかということですね。  それから、この原子力発電というものが日本計画も膨大になされておる。世界でも次々とそのような計画というものが実現しますと、この供給力というものが今度は減少して、アメリカの供給能力でも追いつかないというような事態がやがてくるんじゃないか、私はこのように思うのでありますけれども、いかがですか。
  348. 山形栄治

    山形政府委員 濃縮ウランの問題につきましては、いまお話しのとおり、現時点ではアメリカがほとんど全部をあれしておるわけでございますが、別途フランス、豪州、カナダ等におきましても、濃縮ウランの動きが進んでおるわけでございます。わが国におきましても、動燃事業団が遠心分離法の開発を行なっておりまして、四十九年度にはこれが運転されるという段階に入っておるわけでございます。いずれにしましても、わが国の必要とされる濃縮ウランにつきましては、一九八二年ぐらいまでの開発テンポにつきましては大体長期契約ができておるわけでございますが、それ以上の年次のものにつきましては、これは御指摘のとおり、世界全体の需給の問題でございますので、これは一国の問題でなく国際協力的な動きも含めまして、先進国といわず産出国といわず全体で、国際共同のもとで濃縮ウラン工場の合理的な建設をはかっていくのがこれからの方向ではないかと考えるわけでございます。
  349. 松尾信人

    ○松尾委員 結局日本がウランの原鉱を手に入れましても濃縮することができない。これは委託加工するわけですね。現在は主としてアメリカで委託加工をしておると思うのでありますが、日本にそのような技術もなければ設備もない。そしてウランは何年分ぐらいか確保しておるといわれておりますけれども、そういう技術的な面、現実における施設の面というものがほとんどないという一つの現実ですね。それからこの原子力発電というものが、どんどんと日本もまた外国もというふうにできていきますると、アメリカ自体における供給力もない。やがてもうアメリカもお手上げで、要するに長期契約しておるといいましても、やがてそういうものをはるかに越えた、日本または外国の原子力発電というものになってくるおそれがある。こういうことを考えてみますると、原子力発電といいましても、やはり石油と同じくこの材料の限界、それからそういうものの加工輸入の現状、やはり将来は原料の入手難に日本が突き当たっていくんじゃないか、このように予測されるわけであります。ですから、安易にこの原子力発電というものを速急にどんどんと開発していくこと自体私はここに慎重な考え方を持って一そして現実をながめながら、やがてこの軽水炉にかわるいろいろの炉型もできてまいりますし、今度はどういう方向の原子炉日本が導入しようとするか、日本としてはどのようなかっこうでこの原子力発電というものを確立しようとするのか、そういう点は長官いかがですか。理想的な姿、それから原料に対する不安の解消の問題、そういうものはつきまとっていくと思うのでありますけれども、やはりそういうことを考えませんと、やみくもにつくってもやがて私は大きな問題に突き当たるであろう、こう思うのです。そういう問題は大臣、いかがですか。
  350. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは何といっても国際協調、国際協力のシステムをうまくつくり上げるということだろうと思います。  石油の問題でわれわれは非常に苦い経験をいたしまして、将来ウランについてそれが起こらないとは限りません。もっともOAPECのような存在とウランの産出地はちょっと違います。カナダとかオーストラリアとかアメリカとか、そういう国々が主でございますから違いますけれども、しかしやはり大なり小なり持てるものと持たざるものとの差というものはあります。したがって大事なことは、非常に長期的、安定的な供給を受けられるような相互依存の関係をつくり上げていく、それが大事だろうと思うのです。テークばかりではなくてギブという関係を一面において経済的に歯車のような関係をつくり上げていく、そういうことが安全ではないかと思います。そういう面について、それらの国々が要望しておる日本技術なり、あるいは資本力なりというものを動かして共存共栄の実をあげるような経済交流の仕組みをつくり上げて、そしてそれから脱落することはお互いに損である、そういうような仕組みをつくり上げるということを考えたらいいんではないかと前から実は考えておったところでございます。
  351. 松尾信人

    ○松尾委員 ウランの原鉱自体にも百万トンそこそこの限界がある、こういうことでありまして、やがてそういうものはだんだんとなくなっていくわけであります。ですから、安全性の問題もあるし、また、そのような将来の原料の入手の問題もありますし、これはやはり慎重にやっていかなければいけないということを強く私は申し述べておきたいと思うのです。  それから、もう時間もだいぶんたちましたので要点に入りますけれども、この発電用の原子炉の国産はここ数年間軌道に乗り始めたというわけでありますけれども、い、ずれもこれはアメリカの技術導入じゃないかと思うのでありまして、原子力発電に力を入れられるわりにはこういう面が非常に弱い、そしておくれておる。こういうものをがっちり——発電する発電する、そういう施設をつくるという前に、基礎的ないろいろの問題をやはり日本としては開発し、対応できる力がないと、全部外国にたよって、そしてアメリカの力にたよる。それも今度アメリカが供給力がなくなったらもうこないとか、いろいろ問題が起こるわけでありますが、そういう点の現状はいかがですか。簡単に。
  352. 井上力

    井上説明員 軽水炉の国産化につきましては、御指摘のように一号機につきましては、海外メーカーが主契約者になりましてかなり国産化率も低いという状況でありますが、二号炉以降につきましては国内メーカーが主契約者になり、国内メーカーが建設するということでやっております。  国産化率を具体的に申し上げますと、たとえば福島一号炉につきましては五一%でございますが、二号炉につきましては九〇%に上昇しておる。またPWR型の八十万キロワット級の一号炉、高浜一号というのがございますが、これにつきましては六二%でございますが、二号炉は八九%というふうに上昇しております。  今後原子力発電所の建設がさらに進むに伴いまして国産化率はなお上昇していくものというふうに期待しております。
  353. 松尾信人

    ○松尾委員 いろいろ押し問答したいのでありますが、時間の都合でやめましょう。  一番大事なことは、これは大臣にもよく聞いておってもらいたいと思うのでありますが、この原子炉から取り出されました使用済み燃料の再処理の問題であります。大量の放射性の廃棄物を出すものでありまして、複雑な工程がございます。わが国では、これはまだまだそのような使用済燃料の再処理ということはほとんどなされていない、こういう問題があるわけです。原子力発電所をつくる、そこには必ずいろいろのその使用済み燃料の再処理が出てくる、廃棄物の処理の問題が出てくる、そこには放射能という、そういうものが一ぱいある。こういうことから考えますると、やはりまずこういうところをがっちりと問題を取り上げて固めて、そして日本の力を、これでもうだいじょうぶだというそういうものをちゃんと見計らった上で原子力発電等に取り組んでいくべきである、このように思うわけでありますが、私がいま申し上げましたような面における日本現状、今後の計画、そういうものをはっきりさしておきたいと思いますが、次長いかがですか。
  354. 生田豊朗

    生田政府委員 使用済み燃料の再処理につきましては、ただいまは海外に依存しておりますが、動燃事業団の再処理工場がことしから試運転、明年から本格運転に入ります。それで本格運転に入りましたあとは国内の工場によります再処理が可能でございます。ただ、動燃事業団の再処理工場では能力が不足でございますので、それに続くいわゆる第二再処理工場を建設することが必要でございまして、それにつきましては、民間が主体で建設する計画を立てまして、ただいま推進中でございます。  それから、放射性廃棄物の処理、処分につきましては、原子力発電所から出てまいります固体廃棄物は現在発電所の中にためておりますけれども、今後、量もふえてまいりますことでもございますので、それの最終的な処理、処分の方法、それから処理、処分の施設の建設など含めまして、それを担当いたします新しい機関を設立する計画でございまして、四十九年度予算で若干の調査費をいただいておりますので、それをもとにしまして今後具体的な計画を進めてまいりたいというふうに考えております。
  355. 松尾信人

    ○松尾委員 大臣、いまお答えのとおり、この使用済み燃料の再処理、これも日本ではできない、やっと動燃が〇・七トンの小型の工場を来年から動かそう、こういう点でありますが、これがどんどん——使用済み燃料の再処理、こういうものは日本ではできない。現在どうしていますか。イギリスなんかに持っていってお願いしてやっておる。こういうことでありましょう。そういうことではしょうがない。やはりこういうものこそ、原子力発電をしっかりやりますという以上は、そこから出てくるこの使用済み燃料の再処理と、それからいろいろな廃棄物、これは放射性が非常に強い、そういう問題もきちっと日本の力でできるようになっていくべきであろう。  この燃料の問題、有限性の問題、やがて日本の突き当たる問題、それから原子炉自体に対する日本技術の問題、それからそのような廃棄物の問題、それから使用済み燃料の再処理の問題、こういう問題を片づけながら、そしてどうしても必要だというならば、現在最も安全性が強くて熱効率の高い、そういう方向はどういうものか、そういうことを総括的に大臣からお答え願って、そして安全性の問題等についてもいろいろお伺いしたがったのでありますが、きょうは時間の問題で、それは別の機会があればそれに譲りたい。  以上の諸点について、大臣、明確にお答え願いたい。
  356. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いろいろ問題がありますが、いまわれわれがやはり一番考えなければならぬものは、再処理の問題と、廃棄物処理の問題であると思っております。ほかのほうはわりあいに進んで外国に追いついておりますが、いまの二つの点はおくれております。  それで、廃棄物処理の問題は、いま御答弁申し上げましたように、研究所や、あるいは発電所にドラムかん等に入れて積んであるわけですが、これをできるだけ早く処理することをやりませんと、発電が進むにつれて膨大な量になってまいります。いずれそれらは国際条約、国際関係等も考えて、海中投棄であるとか、そういうような永久処分もしなければならぬということで、その基本計画をもはや確立しなければならぬ段階であると思っております。  それから再処理の問題は、実はこの法案をお願いしたのもそういう背景が一つありまして、茨城の大洗の工学センター、あそこへつくっているわけですけれども、茨城県議会、茨城県知事は、この周辺整備法を成立させろ、これができなければ許さぬ、あるいはもう一つは、水戸射爆場を返せ、それができなければ許さぬ、そういうような話がありまして、その二つとも努力して、水戸の射爆場の返還はようやくできたわけなんです。いまこの法案を御審議願いまして、茨城県もそれで非常に待っておるという、そういうことも実はあるわけなのであります。そういうようなことで、再処理の問題はおくれておりますけれども、これはいまおっしゃったようにイギリスへ持っていってやっておるわけです。これを国でやれる力は十分ございます。したがって、いまやってようやくできつつあるものを拡充して、国内で処理するという体系を燃料のリサイクルもうまく考えながらやらなければいかぬ、そういうように考えておるわけでございます。
  357. 松尾信人

    ○松尾委員 以上で質問を終わります。
  358. 濱野清吾

    濱野委員長 次回は、明後十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十二分散会