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1974-05-10 第72回国会 衆議院 商工委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十日(金曜日)    午前十一時二分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君    理事 田中 六助君 理事 武藤 嘉文君    理事 板川 正吾君 理事 中村 重光君    理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    稲村 利幸君       浦野 幸男君    小川 平二君       島村 一郎君    田中 榮一君       丹羽喬四郎君    橋口  隆君       八田 貞義君    松永  光君       岡田 春夫君    加藤 清政君       上坂  昇君    竹村 幸雄君       山崎 始男君    渡辺 三郎君       荒木  宏君    野間 友一君       近江巳記夫君    松尾 信人君       宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         経済企画庁長官         官房参事官   有松  晃君         通商産業省通商         政策局長    和田 敏信君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         中小企業庁次長 小山  実君         消防庁次長   森岡  敞君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察官  山本 貞雄君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス事業課長   川崎  弘君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   佐野  進君     岡田 春夫君   野間 友一君     荒木  宏君 同日  辞任         補欠選任   岡田 春夫君     佐野  進君   荒木  宏君     野間 友一君     ————————————— 五月九日  中小企業者事業分野に参入する大企業者の事  業活動調整に関する法律案峯山昭範君外一  名提出、参法第九号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  中小企業に関する件  資源エネルギーに関する件  経済計画及び総合調整に関する件      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、中小企業に関する件、資源エネルギーに関する件、経済計画及び総合調整に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がございますので、これを許します。近江巳記夫君。
  3. 近江巳記夫

    近江委員 通産大臣がまだお見えになっておられませんが、経企庁長官がお見えになっておられますので、質問を始めたいと思っております。  きょうは、まず初めに電力値上げの問題あるいは公共料金引き上げ問題等につきましてお伺いしたいと思っております。  それで電力料金改定の問題につきましては、先日各地におきまして公聴会が開かれたわけでありますが、この公聴会につきまして、きょうは公益事業部長も来られておりますので報告を聞きたいと思います。
  4. 岸田文武

    岸田政府委員 電気事業法の定めるところによりまして、電気料金改定をいたします場合には、広く一般意見を聞く意味におきまして公聴会開催することになっております。今回の電力料金改定に際しましては七日、八日、一つの局について九日も続行いたしましたが、このような日程で公聴会開催をいたしました。私も東京の公聴会議長に出てまいりました。昨日各地からそれぞれ議長が帰ってまいりましたので、各地で出ました意見を目下取りまとめておるところでございます。ただ出ました意見の概要をとりあえず私ども承知しております範囲で御報告をさせていただきたいと思います。  さまざまな意見陳述をされておりますが、おもなものを御紹介申し上げますと、賛成反対それぞれの意見がございましたが、反対意見といたしましては、電気料金改定を行なうと一般物価上昇に拍車をかけるのではないか、それから依然として家庭用料金産業用料金に比べて割高ではないか、さらにまたナショナルミニマムを百キロワットアワーにしておるのは、一般家庭使用状況から見て低きに失するのではないか、さらにまた電気事業者が過大な内部留保を持っていること、あるいは燃料費を過大に見積もっているのではないか、これらの点が反対理由としてあげられておると承知をいたしております。これに対して賛成意見としましては、石油が大幅に値上げされた以上、値上げ自体はやむを得ない、特に公害の防止なりあるいは今後の円滑な電気の供給をはかるということは基本的に非常に重要な課題であること、さらにまた電気事業者が従来電気料金を長い期間にわたって安定のために努力をしてきた、これらの点は十分評価できること、これらの理由値上げ自体はやむを得ないということを述べられながら、なおあわせて値上げ幅を縮小してほしい、またナショナルミニマム百キロワットアワーをある程度の引き上げをはかってほしい、さらにまた他物価への波及という点について、そういうおそれのないように最大限の努力を払ってほしい、これらの意見が付されておりまして、いわば条件つき賛成といった形の意見が多かったように承知をいたしております。
  5. 近江巳記夫

    近江委員 この公聴会あり方の問題についてお聞きしたいと思うのですけれども公述人選定につきまして、これは一体どのようにされておられるのか、また募集方法につきましてどういうようにやっておられるのかという問題、それからさらにこの内容につきまして、これは公開すべきじゃないかと思うのですが、この辺についてはどのようにお考えですか。
  6. 岸田文武

    岸田政府委員 公聴会開催は官報によって告示をされ、その内容一般紙等に報道されておったわけでございますが、所定の期日を定めまして、その期日までに陳述人から陳述申し出を受けるということになっております。その申し出のあった方々の中から各電力会社ごとに百人の陳述人選定をいたしました。この百人の選考方法でございますが、陳述人の数をまず賛成反対五十人ずつの均等に分けまして、ただし賛否意見が五十人に満たないという場合には残余を他の意見陳述にあてるというルールをとったわけでございます。また賛否それぞれにつきましては、地方公共団体なりあるいは一般団体はより広い階層を代表する意見を聞けるのではないかということを予定をいたしまして、一定数の優先的なワクを与えるという形をとったわけでございます。それぞれのワクごと申し込み陳述人予定数をオーバーいたします場合には、抽せんによって選定をするという方式をとった次第でございます。  公聴会の結果を公表すべきではないかという御意見につきましては、私ども公聴会はその性格からして、やはり公開の席で行なわれるということがまず基本的な性格であろうというふうに考えまして、公聴会の席には一般の方から抽せんによって選定をされた傍聴人がある程度の数が出席できるようにいたしました。また、陳述された内容自体は別途記録をとっておりまして、この記録は公表することを予定いたしております。
  7. 近江巳記夫

    近江委員 数多くの公聴会におきます意見が出ておるわけでありますが、これをどのように取り入れていくかという問題であります。従来値上げの前にいつも公聴会を開くわけでありますが、一般の感覚としては、非常に形式的ではないか、結局そういう形式で開いてただ聞くだけに終わっておるじゃないかという、そういう見方が非常に強いわけです。そこで、こういう公聴会におけるそういう意見を今後どういう形で取り上げていくかということが非常に私は大事な問題だと思うのです。いままでのそういう公聴会あり方というものがいいということは決して言えないと思うのです。そういう点におきまして、今後この公聴会についてどのように持っていくか。これは当然改善すべき問題が多々あると私は思うのです。その辺の考え方についてお伺いしたいと思います。
  8. 岸田文武

    岸田政府委員 電気料金の場合におきましては、料金改定申請がありました後、私どもが事務的にその内容を整理し、また実態についての調査を進めるわけでございますが、それらの作業が一区切りした段階公聴会を開くというやり方をとっております。公聴会意見を頭に置きながら事後査定作業に入るというやり方でございまして、やはり公共料金としての電力料金というものの性格からいたしまして、なるべく各方面意見を参考にし得るようにしたいという気持ちで私どもはおるわけでございます。特に今回の料金改定の場合には、単なる値上げの問題のほかに制度改正の問題を含んでおるわけでございまして、先ほど御紹介いたしました各種陳述の中にもこれらの点に触れられている問題がかなりあるわけでございます。私どもはこれらの意見をそれぞれ頭に置きながら、なるべく広い範囲影響なりあるいは問題点なりというものを頭に置いて今後の査定作業に入りたいと思っておるわけでございます。  公聴会あり方自体については、私どもも何度か公聴会を重ねながらいわば試行錯誤の形で逐次改善をして今日に参ったわけでございます。今回は特に九電力一斉という形でございまして、いろいろの意見が聞かれたわけでございますが、その中には、公聴会をもっと改善するくふうはないかというような意見もございました。これらの点もさらに今後公聴会のチャンスがあったならば頭に置いて、そのあり方というものについては勉強してまいりたいと思います。
  9. 近江巳記夫

    近江委員 一斉値上げが二十年前の昭和二十九年に行なわれまして、これが一一・二%という点から考えますと、今回の申請値上げ幅というものは実に大幅であるわけですね。これは物価への影響あるいはまたそれによる家計あるいは中小企業への打撃というものは非常に大きいわけであります。こういう点におきまして、きょうは経企庁長官もお見えになっておられるわけですが、経企庁長官としては、通産省と同時にいろいろと検討になっておられると思うのですが、確かに原油引き上げに伴う燃料費高騰ということもわかるわけでありますが、しかしそれが原価に占める割合であるとか、価格的にいろいろと検討していきましても、あまりにも値上げ幅というものが大き過ぎるわけです。こういう点におきまして、今日の物価狂乱というさなかにこれだけの大幅の値上げを認めていっていいかどうかという問題であります。  通産大臣がお見えになりましたらまたお聞きしたいと思いますが、経企庁長官としては、国民生活を守る点におきまして、この点についてはどのようにお考えでありますか。
  10. 内田常雄

    内田国務大臣 近江さんも御承知のように、公共料金改定につきましては、経済企画庁はもちろんのこと、政府全体といたしましても極力これを抑制する、こういう態度を貫いてきておるわけでございます。したがいまして、値上げにあたりましても、その値上げ幅をどうきめるかということにつきましては厳重に審査をして、全く真にやむを得ないという要素だけを抜き出して、そして値上げ認可をするという方向をとることはもちろんでございますし、またこれが国民生活影響のある事柄でございますので、各種公共料金改定を、その時期的な判断につきましても、いろいろな面から合理的なその時期にこれをあんばいをしていくようなこともやるのがよかろうと思います。  ただ、公共料金はいつまでも押え得るかというと、あるいはまた低ければ低いだけいいかというと、そういうわけにもまいりません。公益事業でありますために、それに対する資源配分を妨げるような結果になりまして、かえって国民生活に支障を来たすようなことになることをも考慮しなければなりませんので、その辺のことも十分配慮をしながら合理的なきめ方をいたしたいと思います。  さらにまた、おことばの中にもございましたが、電気料金につきましては、一番長いものは二十年近くもこれを据え置かせております。手近の東京電力などにつきましても、たしか十年ぐらい据え置いてきておるはずでございますが、従来はどちらかというと石炭火力などよりも石油発電のほうが——石油価格が国際的に安い方向にいっておりましたそういう時期がしばらく続いておりましたので、だんだん石炭火力というものを石油火力に切りかえてきた過程にあったわけであります。しかし、今日におきましては、火力発電の七、八〇%は石油にたよっているような事態になっておりますところに、御承知のような原油の国際的な値上がりを来たしましたので、その関係がはなはだ従来と趣を異にしている面、それが今度の大幅な申請一つ理由になっておると思いますが、石油値上げそのものにつきましても、先般政府が、これは公共料金ではございませんけれども国民生活の安定とか、あるいはその他の方面に波及する影響をも考えまして、極力押えた国内的な値段というものの設定を行政的に指導をいたしておるようなことでございますので、同じ趣旨のことは電力値上げの場合についても考えられることではなかろうか、そういうふうに思います。
  11. 近江巳記夫

    近江委員 公聴会も終わりまして、政府もこの引き上げの腹を相当固めてきておるように思うわけであります。当然、そういう時点におきまして、通産省経企庁は私は相当な煮詰めをやっておられると思うのですよ。  それで、いま長官石油にたよる割合というものが非常に多くなってきたということをおっしゃっておられるわけですが、それはわかるわけですけれども、各電力会社を見てまいりますと、たとえば北海道電力の場合等は石炭が大半を占めておりますし、四国電力等もこの間値上げしたところでありますし、しかも水力の使用が大きいし、関電も引き上げた直後でありますし、こういう点からいきますと、各社とも相当中身を検討していきますと、これはチェックできる要素というものが相当あると思うのです。実に一斉引き上げ平均六二%強、たとえば原価の中で重油が占める割合を見ましても、いままで重油割合というものは二四、五%、今回の引き上げによって四四、五%になるわけです。これが、今回の上昇幅というものがなぜ六二%強になってくるのか。こういう点からいきましても、あまりにもこういう便乗値上げ的な要素が織り込まれておると私は思うのです。経企庁としては、こういう煮詰めの段階に来ておりまして、相当私は検討されておられると思うのですよ。これだけ大幅な——これは認められるのですか。その点ひとつ聞かせていただきたいと思うのです。
  12. 内田常雄

    内田国務大臣 最終的な査定と申しますか、煮詰めの段階まで、実は経企庁としてはまだ通産省から話を持ち込まれておりません。これは事実そのとおりでございますが、しかし通産省といたしましても各社申請が、これはいまお話がございましたように、社によっていろいろな燃料事情どもございましょうから、申請そのものも違っておりますけれども、それがそのまま認められるとは私も考えておりません。十分な適正な査定をいたしまして、経企庁にも協議があるはずでございますので、その段階において私ども十分納得のいくような査定通産省とともに打ち合わせ、さらにその結果は政府に設けられております物価問題閣僚協議会でも相談をいたしたい、あるいは物価安定政策会議というような方面にも相談をいたしまして、合理的で納得のいくようなものに煮詰めた上で正式の認可、こういうことになります。認可の時期はともかくといたしましても、認可内容はもとより各社によって違うわけでございますので、一本ではないことは当然でございます。
  13. 近江巳記夫

    近江委員 通産大臣がお見えになってから料金の問題を聞きたいと思いますが、電気税の問題であります。今回の大幅料金改定が実施された場合自動的に電気税もアップされることになるわけでありますが、特に家庭電灯につきましては、消費者負担軽減の見地からも、この際、電気税引き下げ等につきまして決断すべき時期じゃないか、私はこのように思うのですが、経企庁長官はどのようにお考えですか。
  14. 内田常雄

    内田国務大臣 実は私も近江さんと同じような考えを持つものでございます。ことに電気ガス税と一口に申しますが、今回の改正電気税ガス税と二つに分けまして、ガス税のほうは本年度の税率を一%下げることにいたしておるはずでございます。電気税のほうはそのまま据え置きになっておるはずでございますので、こうした機会に電気税のほうも適当に税率を下げてよいのだろうと私は思います。ことに御承知のように、これはとどのつまりは消費者負担になると思いますが、電源開発税といったような新しい、とどのつまりは電気消費者負担にならざるを得ない税金制度を設ける提案もいたしておりますので、それとの関連におきましても、従来の電気税はこれを引き下げることが消費者にとっては当然だと私は考えられると思います。ただ、電気税収入帰属は、国税ではございませんで地方公共団体、それも御承知のように府県の段階税金ではございませんで市町村税になっておりますので、これらの市町村財政というものの関係から、この税率引き下げました場合に非常に広範な影響を生ずるわけでありまして、このことにつきましては自治省とも十分打ち合わせを遂げなければならないことでございまして、自治省においても検討を進められておるはずでございます。
  15. 近江巳記夫

    近江委員 今日地方自治体におきましても、これは超過負担の問題であるとか、そういうことで非常に苦しんでおるわけです。そういう点におきまして電気税引き下げイコール地方自治体にマイナスになるという点は、これはやはり政府においてその引き下げた分についてはバックアップすべきだと思うのですね。四十八年度の税収にしましても二兆数千億というものがやはり見込み違いしておるわけですね。当初から完全に見込むということはむずかしいにしても、やはり相当な——特にそういう税収の伸びというものは企業のいわゆる買い占め、売り惜しみ等からくるところの税収というものは非常に多いわけでありますし、だから財源は相当あると私は思うのですよ。ですから、それはぜひともひとつ閣議等におきましても経企庁長官のほうから、さらに地方自治体におけるバックアップは当然考えていただきたいと思うのです。長官のおっしゃった引き下げ方向ということは非常にけっこうであると思いますが、ただ、そのバックアップもあわせてひとつ閣議等において強力にまた言っていただきたい、これは強く要望したいと思います。  それから、この電気料金値上げというものが、あとは時期の問題、幅の問題ということになってくると思うのでありますが、いわゆる電気料金引き上げということが他物価への上昇という非常に心配すべき点があるわけですね。本委員会等におきましても、この問題については何回も質疑もしておるわけでありますが、電気料金がそういう生産費に占めるウエートというものは非常に低い、一・〇数%である、だからそういう点はあまり心配がないのだというような答弁もあるわけでありますが、必ず便乗というものがあるわけです。水道料金がちょっと上がりますと、たとえば町で食べるどんぶり等にしても、水道料金が上がったからということでもう二割、三割上げてくる、こういう便乗があるわけですよ。ですから、こういう点におきまして、この物価狂乱のさなかにおいてこれはもうほんとうに歯どめをかけないと、国民生活は、少々ベースアップをしたとしても、これは物価上昇に追いつかれてさらに赤がふえてくる、こういうほんとうに夢も希望もない社会になってしまう、こういう点におきましてこの電気料金引き上げというものがさらに物価上昇の引き金にならないようにこれはもう歯どめが非常に大事だと私は思うのです。この点は経企庁長官も非常に心配をされておられると思うのですが、この点についてはどのようにお考えでありますか。
  16. 内田常雄

    内田国務大臣 おっしゃるとおりのことを私ども心配をいたしておるわけであります。幸い、今回の電気料金の立て方というものは、近江さんも御承知のように、家庭用電力につきましては三段制をとるとか、あるいはその引き上げ幅工業用電力料金よりも低く押えるとかいうようなことで、直接その電灯料金家庭にはね返るといいますか、家計影響を及ぼす分は極力これを押えるような考え方というものを政府もとっておるわけでございます。また、これがかりに何%上がるにいたしましても、家計消費の中における電灯料金の全国的な平均支出ウエートというものを見ますると、これは消費者物価におけるウェートが一万分の百九十七くらいでございます。つまり、一万分の百九十七ということは百分の一・九七、二弱、それに対して電灯料金値上がり率を掛けてまいりますから、直接家計にはね返る分ももちろんありますけれども家計にはね返る分は消費者物価全体については一%に達しない、おそらく〇・六七%以下ぐらいでとどまると思います。また、あなたがいま御指摘になりました他の製品コスト影響を及ぼすであろう工業用電力料金につきましては、これはもういろいろの製品ごと電力料金の占める割合が違うわけでございますが、平均してみますと、これはいまおっしゃるとおり一%をちょっと出たところでございますので、影響はもちろんありましょうが、それらはでき得る限り現在の価格の中で吸収をさせるように、私どもは、通産省から担当の業界のほうにも協力を求めるようなことを要望をいたしておるわけでございます。ただ、それがある種の化学工業とかあるいは鉄鋼の一部とか、ことにまた非鉄金属と申しますか、化学製品になりますか、アルミ製品というようなものになりますと、これは電力コストが一%ではございませんで、かなり大幅なものもございますので、そういうものにつきましてはいろいろ他の要素と兼ね合わせながらいろいろ配慮しなければならない問題も出てくるであろうということは、とどのつまりは、全面的に影響が押え込めるというような状況ばかりではないことを私は憂慮するものでございますので、したがって、他の一方におきましては、従来とってまいっておりますところの総需要の抑制とか、あるいはその他の引き締め政策とかいうようなものもでき得る限り堅持して、物を高くしても購買力がそれについていけないというような、そういう環境をつくってまいることが、いまの物価がおさまったというようなことはありましても、いまの状況のもとにおいては必要であろうと私は判断をし、そういう政策をとるように政府部内におきましても進めてまいりたいと思います。
  17. 近江巳記夫

    近江委員 製品コストへの転嫁ということにつきましては企業努力で吸収するようにさせるということをおっしゃっておられるわけでございますが一これは非常にけっこうだと思うのです。それが、ただ長官がおっしゃっておられることが現実に行なわれるかどうかという問題なんです。確かに一・〇数%ということであれば、たとえばアルミであるとか、そういう非常に電力消費の場合は別としまして、これは企業合理化等によって真剣にやれば十分吸収できると私は思うのです。そういう点、長官がいま姿勢、決意ということについて表明されたわけでありますが、具体的に、この前の石油高騰に伴いますあのときに、いわゆる一般消費物資等について通産省は、これはひとつ協力してもらいたいということで、各品目ごと小売り段階等におきましても指導通達、そういうものを出されたわけでありますし、これは具体的なそういう動きを当然していただく必要があると思うのです。そういう具体的な点について長官はお考えでございますか。
  18. 内田常雄

    内田国務大臣 先ほど私が申し述べたことは、電力料金が上がりますと、これは算術的には企業製品のコストにはね返ってくるわけでありますけれども、その割合は幸い少ないものも多いので、その少ないものにつきましては企業努力その他で極力吸収をしてもらって、そして先般石油のときに設けました事前了承制というものをその段階で破ってしまうということが極力ないようにやってまいる。ただし、これも私が述べましたように、電力コスト要素が非常に高い物資につきましては、またそういう企業の製品につきましては、これはまたその点をも考えて、他の要素もございましょうけれども、そういうこととあわせながら考えて、そして事前了承制の運用にたよらざるを得ないものも私は出てくるのではないか、こういうことを一部のものについては想定をいたしております。しかし、それらの運用につきましては、それはあるものは農林省、あるものは通産省でございますので、同じ私どもとともに政府の中におるものでございますから、電気料金が上がって、そのまたコストに占める割合が多いものは、この際どんどん事前了承制の運用によって引き上げを手放しで認めるんだというおつもりでは通産大臣もないと、私は期待をいたすものであります。
  19. 近江巳記夫

    近江委員 通産大臣、きょうは参議院ですかに出ておられてお見えにならなかったので、またダブったことを申し上げなければならぬわけでありますが、公聴会が終わりまして、それでいろいろ意見を聴取されたわけであります。先ほどは、それをどういうように反映していくのかということを事業部長にお聞きをいたしました。それで今回の申請を見ましても、六二・数%という実に大幅な値上げ申請でありますし、この前にも申し上げたわけですが、火力の場合は、重油の占める原価というものが二四・五%であったのが今回の石油引き上げによって四四・五%、実質二十数%の引き上げが直ちになぜ六十数%のそういう大幅な引き上げに通じなければならないのか、また個々の電力会社を見ましても、北海道は石炭が大半でありますし、あるいは四国や関西はこの間引き上げたところでありますし、しかも四国等においては水力が非常に多いというようにいろいろな点があるわけであります。そういう点におきまして、通産省で厳密にいろいろとなさっておられると思うのでありますが、一体こういうような大幅な引き上げを基本方針として認めていかれるのかどうか、これをさらにどの程度引き下げ方向でいま検討されておられるのか、この点についてお聞きしたいということと、この値上げのいわゆる日程という問題になってこようかと思うのですが、大臣は、たびたび緊急度の高い会社から認可するということをおっしゃっておられたわけでありますが、その辺の事情につきましてはどのようにお考えであるか、こうした問題についてお伺いしたいと思います。
  20. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 電気会社の経理状況を見ますと、石油の値段が著しく上がってまいりました。去年の初めは、大体たとえば一バーレル二ドル五十セントぐらいのものが、今日の時点では十ドル五十セントとか十ドル八十セントぐらいに上がっておるものもございます。九ドル五十セントから十ドル五十セントぐらいが、いま入荷しているものの平均価格ぐらいではないか、十ドル五十セント近くのものに来ているのではないかと、私の荒算用ではそういうような考えで計算しております。それを見ましても、原油の値段がもう暴騰というぐらいに高くなってきておりますから、電力会社の経理から見ますとこれは全く異常事態で、いままでの常識を越えた変化、激変が起こっておるわけであります。この激変の打撃というものは九電力ほとんど同じように受けております。もちろん北海道のように石炭を使っておるところの多いところは東電や関電とは多少状況は違いますけれども、しかしやはり相当量の石油を使っているということでございますから、同じように受けておる。したがいまして、九電力から申請が出まして、これを審査し、また公聴会も行ないまして、いま整理しているという段階でございますから、ある程度の値上げは、これは認めざるを得ない。さもないと、電力会社自体が存立し得なくなる、そういう危機に立っておると思うのであります。  けさの新聞をごらんになりましても、東電あたりでも、ほとんど全部の資産を吐き出して、重役賞与はもちろん辞退をする。そして配当も、一割ぐらいの配当のものが、三月期においては四分減になって六分ぐらいになる、しかし無償交付で何とかそれをカバーして、それによって将来の増資あるいは電力債を発行するための基盤を失うまいと そういう努力をしていると新聞に報ぜられておりますが、そういうような情勢であるわけでございます。したがいまして、電力会社も私企業でございます。公益事業ではあるけれども企業でございますから、この私企業としての存立ははかってやらなきゃならぬし、それによって電気の安定供給を行なえるようにすることも通産省の責任でございます。  そういう面から見まして、いろいろ総合勘案をして査定を行なっておるところでございます。しかし、物価等に対する関係もございますから、値上げ率はできるだけ圧縮するという方針で最終的な査定にこれからも入っていきたい、そう思っておるわけでございます。
  21. 近江巳記夫

    近江委員 それで、この九電力一斉にそれを認められるのか、あるいは各社によって事情が違うということは大臣もおっしゃっておられるわけでありますし、それは緊急度の高いものからなさっていかれるのか、その点についてはどのようにお考えですか。
  22. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 審査の考え方としては、緊急度の高いものから行なうという考え方でやっておりますが、最近の燃料事情等を見ますと、九電力の打撃は多少大小ありますけれども、大きな打撃を受けているということが判明しておりました。たとえば四国電力のような場合を見ますと、去年上げておりますからそれほど大きな影響はないだろうと思っておりましたところが、やはり含み資産のほとんどない会社であるようでございまして、そういう面からもほとんど吐き出しをやらなければならぬ、そういうような情勢であり、その上に春闘によるベースアップという問題も今度は入ってきております。そういうことも考えなければならぬという情勢でもあります。そういう意味から、やはりこの決断は一時に同じ時期に行なう。しかし、電力会社の経理状況によって率は違うだろうと思います。  それから実施の時期をどうするかという点は、いまいろいろ最終的な経理の詰めを見ておりまして、それによって実施の時期をずらすか、あるいは同時に実施をするか、それは経理状況の厚薄を見ながら最終的に決断をしたい、そういう情勢で、いま最後の詰めをやらしておるところでございます。
  23. 近江巳記夫

    近江委員 大臣もしばしば申されておるように、こういう電力会社の台所が苦しいといっても、これは前の石油引き上げのときに伴う石油業界のああいう状態を見ましても、やはりそういう疑惑のベールというものは私どうしてもかぶっておるように思うわけですね。そういう点におきまして、ほんとう政府は国民にかわってこれはシビアにチェックもしていただき、こういう大幅な上昇についてはもう極力ひとつカットをしていただきたい。これは特に要望したいと思います。そういう極力押えるという方針でいっていただいておるわけですね。もう一度念を押します。
  24. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 物価やあるいは民生に対する影響考えまして、できるだけ値上げ率を押えていきたい、こういう方針でやりたいと思っております。
  25. 近江巳記夫

    近江委員 それから公聴会等におきましても、特に反対される意見の中で、いわゆるナショナルミニマムの限界が百キロワット、実際には平均百五十ぐらい使っておるじゃないかという声が圧倒的に多かったように思うわけです。そういう点につきまして、これは大臣もテレビ等を通じましてその方向考えたいということもおっしゃっておりましたし、この辺についてはどの程度引き上げをしようとお考えになっておられるのか、ひとつお伺いしたいと思うわけです。
  26. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その点については、当委員会でも私の考えを先般申し上げましたが、百キロワットでいいかどうか検討を要する、そういうことを考えております。公聴会の情勢を見ますと、百五十あるいは百三十、いろいろな御議論もあったようでございますが、大多数の声は基準を上げなければいけない、そういう考えのようであります。私のいまの目見当では、まだ通産省としてきめたわけでも何でもございませんが、大体百二十見当というもので考えてみたらどうであろうか。その場合、これは東京の生活と北海道の生活とあるいは島根県の生活ではだいぶ電気の消費量も違うわけでございます。しかし、これはナショナルミニマムという意味においてやはり全国一律でやるのが正しいのではないか、そういう考えに立って、それはまあ、いま私の頭の中で考えている一つの構想でございますけれども、その辺で検討してみたらどうかと考えております。
  27. 近江巳記夫

    近江委員 それでナショナルミニマムの基準を引き上げていくということになってきますと、その引き上げた分のしわ寄せというものが電灯料金の中で操作をするというふうなことになってきますと、ナショナルミニマムの限界以上に消費者というものが非常に大幅な高料金を払わなければならぬということになってくるわけです。こういう問題を避けるためには、どうしてもやはりこの点について考えていかなければならぬと思うのです。そういう点からいきますと、そういうしわ寄せというものは大口電力方向にやはり向けるべきじゃないか、また、いわゆるこの電灯料金電力料金の格差という問題は、先進諸国に比べましてもまだ非常に大幅であると思うのです。この点の是正についてはお考えでありますか。
  28. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは先般の中間答申がございまして、われわれはそれを妥当であると考えておりますから、その線に沿って査定もし、考え方もきめてやっていきたいと思っております。省資源、省エネルギー型に転換していく、そして家庭の福祉というものも相当考えなければいかぬ、そういうことであります。  いまのように百二十というものにする場合に、じゃそれをオーバーしてうんと使うものに逓増料金が高くなるかという御質問でございますが、私は多少影響が出ると思うのです。しかし、それがどういうふうに響くか、これもよく試算をしてみないとわかりませんから、よく正確に計算をした上で検討してみたいと思います。
  29. 近江巳記夫

    近江委員 大臣の福祉型に転換するということ、私、非常にけっこうなことだと思います。ですから、大臣のその理想というものをさらに具体的にもう一歩広げていただきたいと私は思うのです。  具体例といたしまして、特に母子家庭あるいは老人ホーム、療養所等につきまして、これは特別に配慮する必要があるのじゃないか、このように思うわけです。このような面におきまして配慮するための政策料金がこれは許されるべきじゃないかと考えるわけですが、この点は原価主義とのかね合いにおきましてどのようにお考えであるか。また、たとえば大都市圏におきましてはアパートというものが非常に多いわけです。そうした場合、メーターが一個で何十戸という家がそのメーターでやっておるわけですね。そうしますと、ナショナルミニマムの限界を越えることはもう当然のことでありますし、しかも、数十戸という家が集まりますとこれはもう非常な使用量になるわけです。そうしますと、これは各戸に割り当てますとたいへんな高料金ということになってくるわけです。こういう点、このようなメーター一つのアパート等につきましては特段に考えてあげる必要があると思うのです。こういう問題についてどのようにお考えでございますか。
  30. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 前段について私がお答えして、後段は部長から御答弁申し上げますが、母子家庭や老人ホーム等の料金の問題ですが、電気料金の算定は電気事業法の規定によって原価主義の原則に基づく、そして需要家間の負担の公平を旨として算定されることになっておりますが、特定の需要家について政策的見地から割り安な特別料金を適用するということになりますと、それによる収入減少を他の需要家が負担しなければならない、こういう問題もあり、料金体系の改善によって多くの社会的要請に対応することにはおのずから限界があるのはやむを得ないと考えられます。もちろん母子家庭や老人ホーム等における福祉の向上をはかることは大きな国民的要請であり、政府としても社会福祉政策を一そう拡充することによって、そういう面からこれは国家として考うべきものであって、電気料金という面でこれを考えるということは現在の状態においてはどうであろうか、そういうように考える次第でございます。
  31. 岸田文武

    岸田政府委員 共同住宅等におきまして、家主が契約当事者になり、親メーターを持っている、個々の居住者については子メーターによって測量しながら、料金としては家主が一括して支払うという形態がやはり幾つかのケースで見受けられるわけでございます。従来の一本料金であれば問題はなかったわけでございますが、今回提案されておりますように一段、二段、三段というような段階制をとりますと、先ほど申し上げましたような形の場合には、実質的な個々の家計からしますと、使用量は少ないのに結果としては割り高の料金負担せざるを得ないというようなことが新しい問題として起こってまいるわけでございます。私どもは、やはりこういった場合にはそれぞれの家計ごとにメーターをつけるというような形でカバーするのがほんとうであろうという感じがいたしておりますが、制度的にもっとくふうの余地はないかというようなことをいま部内でいろいろ検討をしておるところでございますので、しばらく検討の時間をいただきたいと思います。
  32. 近江巳記夫

    近江委員 それで四戸とか五戸とかいうような小さなアパートもあるわけですね。こういう場合はもうメーターは完全に一つなんです。ですから、個々にメーターをつけるという一つの方法をおっしゃったわけですが、これだって短時日に全国一斉につけるということは不可能だと思うのですね。そうしますと、電気料金引き上げられると、たちまちこれは当面する問題になってくるわけです。ですから、いますぐに答弁が出ないのはやむを得ないと思いますが、これは生活する者にとっては非常に深刻な問題でありますので、ひとつ守ってあげるという立場において早急に考えていただきたいと思うのです。そうしないと、これほど不公平な問題はないと私は思うのですよ。ですから、これは特に強く申し上げておきます。  それから、この電力料金引き上げ問題をはじめといたしまして公共料金引き上げというものがメジロ押しに来ておるわけですね。国鉄や米は半年間凍結ということになっておりますが、これだけの異常な物価狂乱のさなかにおいて半年間の凍結でいいのかどうかという問題があるわけです。この点について経企庁長官はどのようにお考えであるか。  さらに郵便の値上げにつきまして、十二月から封書が四十円、はがきが三十円、こういうべらぼうな引き上げの意向を郵政省は示しておるわけです。あるいはまた公社の総裁は、来年度から度数料を七円のものを十円に引き上げる、電報代も引き上げる、そういう電話料金値上げも示唆しております。あるいはいま私鉄の引き上げの問題も出ておりますし、航空運賃にいたしましても国際線の値上げ申請というものが出ておりますし、こういうように公共料金がこれだけメジロ押しに来ておる。こういうものを安易に認可していくということになってきますと、これはもうたいへんな問題だと思うのです。郵政省にしても電電公社の総裁にしても、最高責任者がこのようにおっしゃっているわけですから、この影響というものは非常に大きいと思うのです。これにつきましての経企庁長官の強い決意を私はお伺いしたいと思うわけです。
  33. 内田常雄

    内田国務大臣 公共料金につきましては、先ほども申しましたように、全般としては極力これを抑制するという方針に変わりはないわけであります。しかしながら、公共料金は、公益事業であるということで料金要素の変動にかかわらずいつまでもこれを抑制し続け得るかということになりますと、これも先ほど申し上げましたとおり、そういう分野に対する人的、物的資源が十分投入されなくなりまして、その事業そのものの運営が崩壊するという問題もございますので、そのようなかね合いのもとに、ことに一番大きくは、近江さんがおっしゃられますような国民生活あるいは物価全般とのかね合いを考えながら適当な処理をしなければならないものと私は思うわけでございます。でございますから、国鉄につきましても消費者米価につきましても、この春から値上げをいたす法律ができておったり、あるいはそのような予算の編成ができておりましたのを、昨年の暮れからの狂乱物価全体の中においては、物価が鎮静するまでの間、その状況を想定をしながらしばらくこれを延期するのがよかろうという判断政府は立ちまして、わざわざ国会にその料金引き上げの法律を今回直していただいたり、また財政投融資等の運営によりまして値上げをこの秋まで抑制をいたしておるわけでありまして、米などにつきましては、これも近江さん御承知のように、今度は四十九年度出来秋の生産者米価の引き上げの問題が新しく起こってまいるわけであります。そうなると、四十九年度の生産者米価の引き上げがあったにもかかわらず、消費者米価の改定というものは一度きまったものをさらにこの秋まで延ばしておるわけでありますから、この秋の生産者米価の引き上げというものに対応する消費者米価の改定——まあ近江さんかそういう御意向であるわけではないんでございましょうが、かりに何らかの考慮をしたりといたしますならば、これは食管会計に対する一般会計からの税金をもってする繰り入れというものは非常な額にのぼることになりまして、財政のあり方といたしましても、あるいはまた米の価格づけといたしましても、これまたあらためて研究しなければならないことが提起をされるわけでございます。国鉄につきましてもその後新しい要素も起こっておりまするし、これの値上げの再延長というものは、料金要素の構成から見ましても財政の面から見ましてもなかなかむずかしい点が生じておりますので、目下の私ども考え方では、米と国鉄に関する限りは、その料金あるいは価格引き上げ停止の再延長というものは考えられないわけでございます。  そのほかに私企業の、いまの私鉄でありますとかあるいは電気料金でありますとかあるいは航空運賃、まあこれは海外のものでございますが、そのほかにまたバスとかトラックとかいうような全体的のものもございますので、これらにつきましては、先ほど来申し述べておりますような一般の原理、原則、各種影響等を十分配慮に置きながら、しかもその態度としては、極力この時期なり引き上げの値幅なりというものにつきましては慎重にして適正な配慮をしながら対処をしてまいる、こういうことに相なるわけでございますので、お含みおきをいただきたいと思います。
  34. 近江巳記夫

    近江委員 米や国鉄は再延長はむずかしいということをいまおっしゃったわけでありますが、いろいろお聞きしますと、それなりにはいろいろ事情はあるように思うわけであります。しかし、国民生活の防衛という点からいきましてこれは最も基本的な問題でありますので、ひとつ長官を中心に、政府としてはさらに再延長の方向検討していただくということを強く要望しておきます。  それから公共料金があまりにも多過ぎまして、どれ一つ取り上げてもこれは非常に重要な問題でありますが、特に郵便料金値上げと電話料の値上げの問題について私はもう一度お尋ねしたいと思うのです。  手紙が現行二十円のものが四十円、一〇〇%アップですね。はがきが三十円、これは現在十円なんですよね。これだけの大幅なこういう案を郵政省の事務当局は考えておる。実際上、これはあまりにもめちゃくちゃじゃないですか。この点については経企庁長官、どう思われますか。これは異常ですよ。どう言うか、あまりにも世間をおそれないといいますかね。それなりの理由が内在しておることは私たちもわからないことはないわけです。しかし、これはあまりにもべらぼう過ぎますよ。こういうようなむちゃくちゃな、こういうような考え方をこのまま放置しますと、それぞれ所管のところが全部それなりの理由があるんだということで安易な各省のそういう姿勢が出てくれば、これはたいへんな問題ですよ。一つの構想を練るにしても、こういう姿勢はあまりにも無謀過ぎますよ。これは許せませんよ。長官はどのようにお考えでございますか。
  35. 内田常雄

    内田国務大臣 郵便料金あるいは電話料金等の値上げの問題は私も全然知らないわけではない。そういう動きがあることはうすうす感じておるわけでございますけれども、これは近江さんも御承知のとおり、四十九年度の、郵政は特別会計、電電は政府関係機関でございますが、そういうものの予算編成のときにすでに実はその動きを押え込んできておるわけでございます。これについては、その関係企業当局においては非常に不満もあるようでございましたが、とにかく一ぺん法律できめました国鉄料金や、またその予算の中に織り込むことにきまっておりました米価さえもひっくり返してもとに戻すというような状況にございました時期でございましたので、いまの郵政、電電については事柄が起こる前にそれを持ち出していただかないように押え込んできたことは御承知のとおりでございます。そういう事情にありますし、また今回の公共企業体等の仲裁裁定等の問題もからんでおりますので、当該企業当局におきましては、経理上のいろいろな問題が生じるだろうということも想像はいたしますけれども、しかしこれはいまだ正式に経済企画庁協議が出たわけでも、閣議で持ち出されたものでもございませんので、明年度の予算編成にかけましていろいろ検討をしなければならない問題であろうと思います。  その際の私どもの心がまえといたしましては、これは絶対に押え込むというわけでもございませんし、また引き上げを認めるんだというわけでもございませんが、先ほど来申しました幾つかの公共料金対策の原則にのっとりまして、また国会で近江さんからそういう論議も出ておりますことも十分念頭に置きまして慎重に処理すべきものであると私は考えております。
  36. 近江巳記夫

    近江委員 こういう動きにつきまして、どうかひとつ閣議等におきましても——国民のそういう生活というのをあまりにも無視して、こういうめちゃくちゃな、何でも出せばいいんだ、このまま通るわけはないんだ、どっちみち削られるだろう、だったら大幅に出しておけば、また政府もそれだけ態度も変わってくるだろう、いろいろ含みがあると私は思うのですよ、こういう態度は許せないですよ。これは閣議におきましても、各省大臣にもひとつ大臣から強硬に申し入れてもらいたいと思うのです。そうしないと、こんな安易な、こんなむちゃくちゃな、たとえ事務局の構想にしたって、これは大臣の意向が入っておるのは間違いな  いのです。ですから、これは強硬に各大臣に言ってもらいたいと思うのです。これは言っていただけますか。
  37. 内田常雄

    内田国務大臣 御意見十分伺いました。
  38. 近江巳記夫

    近江委員 それから中小企業の問題でございますが、三月度の倒産は、大臣御承知のように千三十六件、一千二百十七億というような非常に大きな負債額にもなっておりますし、また四月の倒産におきましても九百七十件台で、一千件を若干割ってはおりますが、負債額は一千百億六千九百万円で、これはデータに出ておる負債総額一千万円以上のところの統計なんですね。こういう異常な状態が続いております。  それでさらに心配されることは、この四月、五月、六月と、さらにこれは異常な状態になるんじゃないかといわれておるわけです。御承知のように、こういうような異常な状態になったのは、やはりいろいろな原因があろうかと思います。総需要抑制で金融も引き締まり、いろいろなことがあろうかと思うのですが、結局これは大企業のあまりにも横暴なそういう姿勢というものが今日これだけの大きな荒波となって中小零細企業を巻き込んできておるわけです。言うなれば、企業の弱者ですよ。ですから、こういう中小零細につきましては、今日の異常な事態を招いた責任というものにつきましては、大企業ウエートからしますとこれはほんとうにわずかなものですよ。これはないわけですよ。それにもかかわらず、これだけの犠牲をしいられるということは、企業の倒産ということは即多くの家族が生活のそういう不安にほうり出されるということです。社会的な不安をたいへんつくっていっているわけです。このままに放置することは、私はできないと思うのです。政府におかれましても、いろいろな対策はおとりになっていらっしゃるわけでありますが、たとえば政府系三公庫につきましては五千五百億、いわゆる乗り切りのワクを設けていらっしゃるわけです。四十八年度末には五百五億と財投の追加をなさっておられるわけです。しかし、こういう形で手を打っておられることはわかるわけですけれども、これだけ心配される四月−六月に向かう状態で救えるかどうかという問題なんです。この辺につきましては大臣はどのようにお考えですか、具体的な構想をお聞かせいただきたいと思います。
  39. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その点は私も心配しておりまして、特に六月にかけてどういう事態が出るか、いまから十分手配しておかなければならぬと思っております。  そこで四−六の三機関のワクを五千五百億円にしてもらっておりますが、そのうち千五百億円は主として繊維に向けよう。いま苦しいのは繊維とか建設とか鉄鋼業とか、そういうところにきております。そういうように重点的に考えていかなければならぬと思っております。そのほか民間銀行につきまして三千二百億ほどの用意をしてもらっておりますが、その中でもかなりの部分を繊維そのほかに回そう。それから四−六のワクをさらに増ワクしよう。これもいま大蔵とかけ合っておりますが、われわれのほうはかなりの相当数をいま要求しておりまして、ここ一週間ぐらいの間にはきめたい、そう思っております。そのほか万一の際の税金の延納とか、あるいはいまの借金の返済猶予とか、そういう点につきましても個々具体的に指導しておりまして、それらの事件についてはケース・バイ・ケースで十分相談に応ずるようにわれわれのほうからも指導しておるところでございます。しかし、事態の推移によってはわれわれとしてはいつでも機宜の措置をとるように十分事態の推移を見守ってまいりたいと思っております。
  40. 近江巳記夫

    近江委員 打つ手は大臣何点かおっしゃったわけですが、どうかそういう点につきましてきめこまかな把握と同時に生きた対策をひとつやっていただきたい、これは特に要望しておきます。  それから最近中小企業の分野に大企業の食い込みというものが非常に多いわけですね。そういうことで、そういう点からも中小零細企業は追われているという感じが非常に強いわけです。こういう点につきまして、分野調整の問題についてでありますが、これは中小企業庁も相当考えておられると思うのですが、この点についてはどのようにお考えでございますか。これは事務局でもけっこうですし、どちらでもけっこうです。
  41. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 大企業中小企業固有の分野に進出して侵略的にこれをやるということは、これは十分自制すべきものであると考えております。そういう点から、私が先般申し上げましたように、商社のようなものが洗たく屋、ラーメン屋まで出てくるということはいかがなものか。商社というものは貿易商社というところからきておるのであって、貿易について発展させるために国内の流通機構にまで手を伸ばすということは考えられるけれども、しかし末端の小売りの仕事のようなところまで入ってくるということは邪道ではないか、そういうように私らは思います。  しからば、それを法制的に取り締まるかどうかという点は、いま団体法がありまして、これで申し立てを行なって裁定をするという形になっておりますけれども、それ以上に法律をつくるかどうかという点は、これは研究課題である、そう思ってもう少し事態を見守ってまいりたいと思うわけでございます。
  42. 近江巳記夫

    近江委員 その点は、わが党としても法案を参議院のほうから提出しておりますし、十分ひとつ検討していただいて、この中小零細がはじき出されないようにひとつ大臣守っていただきたいと思うのです。  それから田中総理が中小企業省をつくるんだということをおっしゃっておられるわけです。この点につきましては、これはもう総理がおっしゃっておられるわけでありますし、中曽根大臣として真剣にこの問題はお考えになっておられると思うのですが、田中総理とは全く同じ立場に立たれておられるわけですね。ひとつお聞きしたいと思います。
  43. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 中小企業省の構想というものは、もっともな構想であると思っております。  ただ、具体的にどういう省をつくるかという形になりますと、これはなかなかむずかしい問題がありまして、たとえば農林省系統の八百屋さんとかそのほかもありますし、あるいは厚生省系統の薬屋さんとかいろいろな問題があります。そういうようなものをどういうふうにひっくるめられるかという点で、かえって角をためて牛を殺すような結果になりかねまじきものでもあります。したがいまして、これは十分な用意をもって非常に各省庁間の調整をうまくやってやりませんと逆の現象を生ずる。今回はともかく中小企業庁を強化して、そして商工会議所や商工会や、あるいは実業組合等に対する現実の指導力を強化しようということで指導員を増員するとか、顧問税理士をふやすとか、あるいは例の無担保無保証の資金ワクを千二百億円に広げるとか、そういう足腰を強くするという点に重点を置いて、実質的な面をいま推進しておるわけであります。しかし、省の構想というものは傾聴に値する構想でありますから、それをどういうふうに具現化するかという点については、われわれもよく検討して、党とも相談してみたいと思っておるところであります。
  44. 近江巳記夫

    近江委員 委員長にお願い申し上げておきますが、通産大臣の出席が少しおくれておりますので、若干の延長はお許しいただきたいと思います。  それから次に、私は、いま問題になっておりますシベリア開発の問題でございますが、若干お聞きしたいと思うのです。  いろいろなプロジェクトが出ておるわけでありますが、各プロジェクトに対する政府の基本的なお考えを簡潔にお伺いしたいと思います。
  45. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 シベリア開発については、たしか五つのプロジェクトがあったと思います。ヤクートの炭田、それからガス田、それからチュメニの油田、それから第二KSといわれる森林開発、それからサハリン沖の大陸だな油田調査というような仕事があったと思います。そのほか、最近、紙パルプの問題等も出てきておりますが、原則的には、田中総理がブレジネフ氏あるいはコスイギン氏等と会いまして、いろいろ話し合った線に沿って経済協力を進めていくという線でやります。  ただし、日本の場合は、海外投資というようなものは民間活動が先行してやって、その民間活動の成熟を待って政府が出ていく、そういうふうな自由主義体制をやっておるものですから、それらの民間活動を積極的に激励しながらいまやっておるところでございます。  最近、炭田について基本的了解、金融的了解が達せられまして、非常にけっこうなことであると思っておりますが、そのほかのガスあるいはその他についても、これが続々として前進するようにこいねがい、かつわれわれも協力してまいりたいと思っております。
  46. 近江巳記夫

    近江委員 問題になっております第二シベリア鉄道とこのチュメニ開発に対する政府の基本方針をお伺いしたいと思います。
  47. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 この点も先ほど申し上げましたように、民間が先行して、話が成熟するのを見て政府が出ていくという基本的な自由主義的態度はやはりとらざるを得ないと思うわけであります。したがいまして、それに関係している関係者の積極的な努力をわれわれはこいねがって、われわれのところへそれがあがってくるのを見まして判断をしたい、そういうように思っておるわけでございます。
  48. 近江巳記夫

    近江委員 特にこうしたシベリア鉄道の問題であるとか、チュメニ開発の問題等につきましては、米国の資金参加ということが非常にかぎになっておるのじゃないかという見方もあるわけであります。そういう点におきまして、この日米交渉の見通しであるとか政府の対米交渉のポイント、こういう点についてお考えがあればお伺いしたいと思います。
  49. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これらの仕事を国際協力をもって行なうということは好ましいことであると思っております。それらの各プロジェクトについて、アメリカ側の参加を勧誘する、要請する、そういう動きもありまして、新聞にありますように、安西東京瓦斯の会長がアメリカへ渡って努力しているとか、いろいろな努力をされておられるようであります。われわれはそういうことが成就するように希望して、その推移を見守ってまいりたいと思っております。
  50. 近江巳記夫

    近江委員 次は、石油関係について若干質問したいと思います。  五月の石油電力消費規制が引き続き実施されまして、一部百貨店あるいはスーパーの営業時間と、ガソリンスタンドの営業につきまして例外的な緩和措置がとられたわけでありますが、五月の実施状況、六月以降の見通し等につきましてお伺いしたいと思うのです。  また、この四月、五月の石油の輸入状況と今後の見通し等につきまして、あわせてお答えいただきたいと思います。
  51. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 最近における石油の入着状況を深い関心をもって見守っておるわけでございますが、わりあいに好転しておるようでございまして、たしか四月が二千四百万キロリットル台、五月も二千四百万キロリットル前後には到達するのではないか、そういうように思います。しかし総需要規制をやり、それから石油二法によって消費規制をやっておるわけでございまして、これは中近東の情勢等を見ますと、またいつ逆転するかわからぬ情勢でもあり、ジュネーブ会議も動向がまだよくわかりません。ゴラン高原における兵力引き離し事態も、まだいつどういうふうに動くかわかりません。そういう情勢でございますから、当分規制は続けざる得ぬと思いますが、それで出てきている油は、これを備蓄の方向に向けていく。かつて五十九日分ぐらいございました備蓄の量は、四十九日ぐらいまでに減りました。これを徐々に回復していく、そういう方向に持っていって国の安定性を確保することが適当ではないかと思っております。  具体的には部長から申し上げます。
  52. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 ただいま大臣がお話を申し上げましたとおりでございまして、最近の原油の入着状況を見ますと、五月は供給目標では二千三百万キロ考えておりましたのですが、これはまだ最終の数字は出ませんが、私どもの見込みとしましては二千四百万台にはまいるであろうというふうに考えております。四月の供給目標は二千二百五十万、これは実績としまして二千三百八十万入るであろうというような見当になっておりますので、いずれにいたしましても、供給目標をやや上回る原油の輸入状況が最近続いておるということが言えると思います。  これは最近の国際的な石油の需給につきましてやや緩和ぎみになってきている、こういう事情が背景になっておると思いますが、ただいま大臣から申し上げましたように、今後の国際的な状況はなお流動的な点がございますので、私どもとしましては、今後の石油の消費規制問題につきましては、なお慎重に検討をしつつ対処をする必要があろうというふうに考えておるわけでございます。
  53. 近江巳記夫

    近江委員 この価格の問題でありますが、現在混乱しております原油価格体系というものは次第に整備されて下がるのではないかという、そういう見通しを立てておる人も相当出てきておるわけでありますが、これについての大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  54. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 外国の観測筋の大体大かたの意見は、長期的にはいまよりも下がる方向に動くであろう、こういわれております。私もそういうような予感がしております。やはり相当の増産が行なわれる可能性があります。しかし、短期的に下がるかどうか、これはまだ予断を許しません。最近は、御存じのように追徴金も出てまいっておりますし、それから産油国とメジャーとの関係というものもどういうふうに変動していくかわかりません。メジャーの取り分が多いではないかという産油国の考え方はございますが、その分だけ税金で取り上げようという産油国の構想も伝えられております。そういうようないろいろの情勢を考えてみると、短期的に下がるということを予断することは早いと思いますが、長期的に見たら、やはり増産効果という面から見まして私は国際的な見方に同調したいと思います。
  55. 近江巳記夫

    近江委員 そういうことも織り込んでいただいて、電力料金問題等につきましては大いにひとつ参考にしていただいて押えていただきたい、これを申し上げておきます。  それから総合エネルギー調査会が答申案ということでいろいろと審議しておられるということを聞いておるわけですが、六月に中間答申を得たいということを聞いておるわけです。そうしますと、当面の石油企業体制のあり方あるいは石油管理体制のあり方につきまして、この中身というものは若干の前進は見られるわけでありますけれども、抜本的な改善につきましてはほとんど将来の課題とされていないように思うわけです。すぐに抜本的な改善策を講じられない理由は何であるのか。また、将来の課題とするにしましても、具体的なスケジュールが明示されなければならないと思うわけでありますが、この点について大臣の考え方をお聞きしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  56. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その点は総合エネルギー調査会の答申を待って、私たちは考えをまとめてまいりたいと思っております。いろいろ巷間伝えられておりますが、やはり効率をよく、そしてある程度強固な基盤を持った民族系を育成していくということは、メジャーとの関係から見ましても必要であると私らは思っております。しかし、総合エネルギー調査会で今日の時点に立脚してどういう答申が出ますか、その内容を見つつ、われわれは検討を加えていきたいと思います。
  57. 近江巳記夫

    近江委員 終わります。
  58. 濱野清吾

    濱野委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ————◇—————     午後一時四十分開議
  59. 田中六助

    田中(六)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡田春夫君。
  60. 岡田春夫

    岡田(春)委員 二月二十三日の予算委員会で、私は、欠陥のガス湯わかし器の富士C4号の問題について取り上げまして、東京瓦斯が通産省と結託をして虚偽不正な行為を行なった疑いがきわめて濃厚であるということを指摘いたしました。これについての回答の文書は、その後予算委員会の終了直前に配付されたのであります。したがいまして、予算委員会でこの通産省の答弁をあらためて質問することができなかったわけであります。したがいまして、きょう商工委員会において続いてこの点について質問いたしてまいりますが、虚偽不正の行為が行なわれた疑いが濃厚である、私のこのような指摘に対して、はたせるかな、その後の事実を明らかにするような幾つかの事実が出てまいりました。たとえば東京瓦斯は四月三日付の東京の各新聞に大きな広告を出しまして、YA—104ガス湯わかし器にも欠陥があるので、すでに市販されている二十二万台を四月から二カ月間にわたって巡回総点検を行なうという発表をいたしました。そしてこの総点検が現在行なわれているわけでございますが、すでにその総点検の期間は三分の一経過いたしておりますので、この点について中間の報告をしていただきたいと思います。この点から質問いたしてまいりたいと思います。
  61. 岸田文武

    岸田政府委員 東京瓦斯が消費機器の巡回総点検をしております際に、ある消費者家庭におきまして、いま御指摘ございましたYA−104型湯わかし器の内胴の水管取りつけ部付近にひび割れの発生しているものが発見されたれたわけでございます。これにつきまして、東京瓦斯総合研究所で調査をいたしました結果、内胴の水管取りつけ部を加工いたします際に、プレス加工によりまして、金属顕微鏡でわかる程度のわずかな傷ができるものがあり、その機器につきまして、使用頻度が多い場合にはひび割れの生ずる可能性があるといった点が突きとめられたわけでございます。このひび割れは中毒なり火災なりの事故に直ちに結びつくものではないというような判定もできるかど思いますが、消費者の安全を考えまして総点検をし、ひび割れの発生しているものについては取りかえたいという申し出が、四月一日でございましたか、私どもにもございました。これに対しまして、翌二日付をもちまして、公益事業部長名をもって、ひび割れ発生原因を私どもとしても究明をするということで、工業品検査所に対してテストの依頼をいたしました。それと同時に、四月三日付で、同じく公益事業部長名をもちまして、東京瓦斯及び機器の製造を担当いたしました磯村機器両社長に対しまして厳重に注意するとともに、東京瓦斯に対しましては、巡回点検をし、その結果について報告するように指示をいたしたわけでございます。  いまお話のございましたように、中間的な段階でございますが、とりあえず状況を聞いてみました結果によりますと、調査対象が二万一千七百台余でございまして、そのうち約十万九千台程度が調査を完了しておるそうでございます。(岡田(春)委員「二万というのは二十二万だよ」と呼ぶ)失礼いたしました。二十一万七千台余でございます。うち、ひび割れの発見されたものが千百二十台。そのひび割れの発生したものを態様別に見ますと、家庭用で八百七十二台、業務用で二百四十八台というふうに報告されております。
  62. 岡田春夫

    岡田(春)委員 その点についてもまたあとで伺ってまいりますが、YA−104湯わかし器、こういうように言いますと、一般的には富士C4号湯わかし器と全く別の製品であるように受け取られる。ところが、実際にはこれは富士C4号なんです。富士C4号を一部改良した。富士C4号という形では、前に欠陥品といって騒がれたものだから、それでは売れないということで、あたかも新製品をつくったような形で実はYA−104を売り出した。こういう形で消費者を瞞着するようなやり方が東京瓦斯の常套手段なんだ。その証拠にYA−104というのはどういうものか。富士C4号はどういうものか。ここへ現物を持ってきた。これは同じものでしょう。同じものですよ。中が幾らか違っておるだけなんだ。ここのどこが違っておるか。ここのところ、あなた見えないかもしれないが、水管の位置が少し違うというだけなんだ。大臣よくごらんなさい。これは同じものですよ。富士C4号だったら売れないから、YA—104と名前を変えて、これによって新たな販売をやったのだ。中身は富士C4号なんですよ。改良したというのはこの部分だけなんです。大臣見えるでしょう。間隔が違うということだけですよ。これは同じものですよ。二十二万台全部再検査すると言っておるのだが、もちろんこれが不十分であったから、こっちのほうに幾らか直した。こっちのほうがもっと問題があるのですよ。根本的な改造ではない。新製品ではないのだということをあなたお認めになりますか、どうですか。
  63. 岸田文武

    岸田政府委員 後発の機械は、水管と内胴との接合方法を改善するために、内胴にみぞを設けて一そう熱の伝導をよくするといった点の改善を加えたものであると承知をいたしております。
  64. 岡田春夫

    岡田(春)委員 みぞの分というのはこれのことを言うのですよ。このことですよ。何も変わってないですよ。このことと言ったら速記に残らなければおかしいから、いわゆるパイプの部分にみぞをつけたというだけですよ。それ以外に何か変わっておるところがありますか。
  65. 岸田文武

    岸田政府委員 修正点はそこであろうと思うのでありますが、ただ御指摘の中で、問題の発生しました原因が新しいみぞをつける加工をすることに伴って発生したものでございまして、従来の場合とは別の問題であるというふうに承知をいたしております。
  66. 岡田春夫

    岡田(春)委員 はっきり答弁してください。これはあなた見たと同じものでしょう。違いますか。大臣どうですか。同じものじゃありませんか。委員長、大臣に答弁求めてください。同じものじゃないですか。どういうように違うのですか。富士C4号とどう違うのですか、YA−104は。     〔田中(六)委員長代理退席、稻村(佐)委員長代   理着席〕
  67. 岸田文武

    岸田政府委員 水管の取りつけ部分だけが修正されているという点は御指摘のとおりでございます。
  68. 岡田春夫

    岡田(春)委員 その部分だけ違ったなら、富士C4号のそこの部分だけ変わった改良型でしょう。違いますか。
  69. 岸田文武

    岸田政府委員 そのとおりでございます。
  70. 岡田春夫

    岡田(春)委員 大臣、聞いておいてください。そのとおりだと……。富士C4号と同じものですよ。だから、富士C4号に問題があるのですよ。私ここで言いますが、欠陥の起こった場所も同じ場所です。しかも、どういうところに欠陥が起こったかというと、富士C4号についてはこの部分に欠陥が起こっているのですよ。穴があくのです、内胴の前の部分。今度のYA−104もここにみぞをつくったといいますが、みぞの部分にひびが入るのですよ。内胴の同じところですよ。欠陥の発生する部分は同じところです。したがって、私の言いたいのは、構造上に根本的な欠陥がある、設計上に欠陥があるということですよ。たとえばほかの湯わかし器をごらんなさいよ。安全装置がついていますよ。これは安全装置がついていますか。安全装置がついてないじゃないですか。ついているならついていると答えてください。
  71. 岸田文武

    岸田政府委員 安全装置とおっしゃる意味がちょっと私、理解できかねますが、ただ、先ほどの点について少しく補足をさせていただきたいと思います。  水管と内胴との関係が問題であるという点は、ある意味では御指摘の点に当たるわけでございますが、しかし現実の問題として、その改良型の場合には水管を接着させるためのみぞを加工する、その加工の方法が問題であるという点におきまして前の場合とは違っておるというふうに理解をしております。
  72. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなた、苦しい答弁をするけれども、それじゃ何も富士C4号の改良型という名前を使えばいいじゃないですか。富士C4号という名前では売れないからYA−104という方法で売る、しかも東瓦斯というのは、販売ルートはほとんど半強制的に消費者に売っている。これ以外のものは扱いませんといって売っている。あまりこまかい点をやっていると先に進めませんから進みますけれども、富士C4号の改良型でありますねと言ったら、そうですということをさっき答弁されているから、その前提に立って私は質問を続けてまいります。  次の問題ですが、先ほど申し上げましたように、私の質問に対して通産省が予算委員会で答弁ができなくて、あとで文書の回答が行なわれました。その文書の回答はここにございます。  委員長、おはかりしますが、この文書の回答は予算委員以外の人には配付されておりませんので、これで質問いたしますから、たしかここにこの文書を持ってきておるはずですから、政府のほうから配付さしていただきたいと思います。  それじゃ、通産省の文書回答に基づいて若干の質問を続けてまいります。  私はこの文書回答を拝見いたしましたが、この回答はきわめていいかげんな回答である。したがって、この回答では信用ができない。たとえば、私は予算委員会で、東京瓦斯がガス事業法に基づいて行なった通産省あての報告は不正、虚偽の報告であって、したがってガス事業法四十六条違反である、五十九条の罰則が適用されるべきだと述べました。これに対して文書回答ではどういう回答をしているか。いま配付されました資料をごらんいただきたいのですが、一番うしろの一〇ページの一番下のところに三行、これだけ書いてある。「そうなりますと、通産省に対する報告自体の信慢性が問題になって参りますが、すでに述べてまいりましたように、これが偽造であると疑わしめる根拠は見出すことができませんでした。」こういうように書いてある。すでに述べてありますようにとありますが、前のほうに述べてあるのは、信憑性をくつがえすための、偽造であるということを偽造ではないという反証ですね、偽造であるということに対する反証、これについての事実は全然書いてありません。したがって、これだけが「偽造であると疑わしめる根拠は見出すことができませんでした。」という、これが回答であります。  この回答はなかなか通産省らしいやり方なんです。たった三行こう書いておいて、偽造であるとは疑えないということから、だから、偽造とは疑えないから正確であるという飛躍的な結論を出そうとしている。だが、私たちはこれをよくたんねんに見ると、なかなか通産省というのは、役人というのはうまいことを考えるなと思うんだが、正確であるとも言ってない。通産省が見出すことはできませんでした、こう書いてある。通産省が見出すことができないということは、通産省自身がみずから能力を持っておりませんでしたと告白をしたことなんです。無能力でありました、こういうことをみずから告白をしたことなんです。  そこで、偽造であるということを見出すことができなかったならば、私は通産省に協力しましょう。偽造であるという新しい事実を明らかにしましょう。この間の予算委員会でやらなかった部分を新たに取り上げますから、あなたのほうで少し答弁をしてください。  まず第一点は、この富士C4号の欠陥を巡回点検をしたときに、あなたのほうでも持っているはずだが、「富士C4号湯沸器作業手順」というものがある。     〔稻村(佐)委員長代理退席、委員長着席〕 この手順に基づいて、しかも各戸の巡回点検の場合には器具の修理受付票というものを使った。この受付票、いわゆる点検カードですね、この点検カードに、内胴の欠陥を調べて欠陥があるかないかということを七つの段階に区別をしてチェックすることにしておる。これは岸田さん、あなた御存じですね。七つの段階でチェックしておる。ところが、東京瓦斯が通産省に提出をした報告書によれば、七段階のチェックではなくて四段階のチェックになっている。それじゃ残りの三段階はどうなっているのか。残りの三段階にはこういう手口を使った。この三つは「支社統一判定異常なし」という新しい分類をつくって、この統一判定異常なしという中で欠陥品ではないという数を異常にふくらましたのです。そこにごまかしがあったのですよ。七段階のものを四段階に圧縮して、残りの三段階は全部これは欠陥品はございませんというようにごまかして、そして全体としては欠陥品は少なかったのですというごまかしをやったのです。ここに実は東京瓦斯のいわゆるごまかしの根拠があるんです。そこで、この点はあなたのほうについてもいろいろ見解があるかもしれないから、あとでお伺いしましょう。しかし私は、この点がまさに偽造の基礎になっているということを指摘をいたしておきます。  それから、これに関連して、点検カードの七段階について、それでは一つ一つ伺います。  第一段階の「穴あき」第二段階の「著しい変形」この中に欠陥品でないものがありますか。すなわち、ことばをかえていうなら、「支社統一判定異常なし」に該当するものは「穴あき」「著しい変形」の中にありますか、どうですか。この点からまず伺ってまいりましょう。
  73. 岸田文武

    岸田政府委員 当初の作業手順で示された点検基準と統一判定基準を対比してみますと、当初のときには、「穴あき」「著しい変形、わずかな変形」といった三つに分けられておりましたものが、統一判定基準では「破損・変形」という一項目にまとめられている関係にあるわけでございます。  問題は、それぞれのチェックをいたしますときに、これは先ほどお話がございました報告書にも書いてございますが、それぞれの点検員の判断の基準にそれぞれ誤差があるというような点から、必ずしも統一的に判定がなされていない。それに加えまして、消費者家庭に行きました際に、こういう問題のあった商品はすぐ取りかえてほしいというようなことで回収されたものがあった。これらのことについて統一的に判断をするために統一判定基準が設けられたわけでございますが、現実問題としては、先ほど申しました穴あきの程度の問題あるいは変形の程度の問題ということについての判断を統一的にするというところに意味があったのではないかというふうに考えられます。
  74. 岡田春夫

    岡田(春)委員 岸田さん、あなた答弁ちょっと間違っておる。さっき私が聞いたのは、「穴あき」と「著しい変形」と言ったんだが、あなたもう一つ何か言いましたね。それも「破損」の中に入るのですか。入るということはあなた間違いだと思うが、どうですか。間違いの根拠は幾らでも出しますが、そんなことしたらますますあなた困るように、数が多くなりますよ。いいですか。何か間違っているんじゃないの。ちょっとうしろと相談してごらんなさい。間違っておるはずだよ。
  75. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほど七つの項目というふうにお話がございましたのは、「穴あき」以下「わずかな変色」まで七項目、これは点検票に書いてある項目だろうと思いますが、それを一方に置きながら、統一判定基準との対比をしてみますと、「穴あき」「著しい変形」「わずかな変形」を含めて、統一判定基準では、別途の立場から、「破損・変形」という観点でチェックし直したというふうな統合ができ、また、変色の問題につきましても、変色の程度について個人差が多いので、いわば統一判定基準による変色のルールをつくって、もう一度見直しをしたというようなくくり方がなされたのではないかと思います。
  76. 岡田春夫

    岡田(春)委員 「わずかな変形」もその中に入るのですか。「わずかな変形」は入らないことになっているのですよ。きのう担当課長の話を聞いたら、「わずかな変形」は入らないことになっているのですよ。入るのですか。
  77. 岸田文武

    岸田政府委員 分類としては私が先ほど申し上げたとおりでよろしいかと思いますが、問題は統一判定基準で「破損・変形」を見直しをいたします際に、内胴の穴の有無、それから指で押して穴があく、大きくゆがんでいる、こういった点を基準にして判定をしたということから、結果としては、わずかな変形の部分は、これは非常に個人差があるものですから、除外される部分が多かったというような形になったのではないかと推測されます。
  78. 岡田春夫

    岡田(春)委員 だめだな、もっと勉強しておかなくちゃ。それではだめですよ。  それじゃもっと私言いますが、報告書のほうにある「破損・変形」は、あなたの御答弁は、「破損・変形」は大部分が「穴あき」と「著しい変形」で、「わずかな変形」というのはごく少数が入っている、こういうことですね。
  79. 岸田文武

    岸田政府委員 現物が再チェックができないので、これがどのくらいの比率であるかということを計数的には申し上げられませんが、考え方としては、いまお話しのような形であったろうというふうに想像されます。
  80. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃもう一つ伺います。「水管はなれ」というのがありますね。これが一番問題の点です。この故障で、ハンダがついていたかどうかの問題のところです。この「水管はなれ」の中で、異常なしというものと異常ありというものと二つに分かれるわけですか。この点はどうなんですか。
  81. 岸田文武

    岸田政府委員 結論から申し上げますと、「水管はなれ」の中にも異常のあるものと、ないものと、二つがあったのではないかと想像されます。具体的に申しますと……(岡田(春)委員「いや、具体的にはわかっています」と呼ぶ)内胴のコーナーの部分であるとか、これはある程度離れることはやむを得ないという面がございましょうし、また、離れるすき間の有無といった場合にも、これをどの程度から問題商品として取り上げるかという基準の問題があろうかと思います。
  82. 岡田春夫

    岡田(春)委員 だめだ、岸田さん。もういいというのに答えるから、かえってミスが出る。コーナーの部分は初めからつけてないのですよ。だから、離れたか離れないかなんて、問題じゃないのですよ。  それじゃ、「水管はなれ」の中で異常ありというものと異常なしというものの割合はどれぐらいになりますか。
  83. 岸田文武

    岸田政府委員 数量的には把握できません。
  84. 岡田春夫

    岡田(春)委員 概略的にはどのくらいですか。半々ぐらいですか。
  85. 岸田文武

    岸田政府委員 問題は、異常なし、特に支社統一判定基準による異常なしというものの中身がわかりませんと、いまの御質問についての的確な答えが出ないのではないかという気がいたします。
  86. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そんな答弁じゃ、あなた何を調査されたかわからないじゃないですか。  それじゃ、この点は間違いございませんか。「水管はなれ」で、支社統一判定異常なしというものもあったのだが、異常のあるもの、すなわち欠陥品ももちろんあった、それは言えるでしょう。
  87. 岸田文武

    岸田政府委員 それは言えるわけでございます。
  88. 岡田春夫

    岡田(春)委員 この「手順」をひとつごらんください。これの二六ページにこう書いてある。いいですか、巡回点検のときに——岸田さん聞いておいてください、「水管はなれ」を巡回点検者が発見した。この場合にはどういうことをやれということが書いてある。二六ページに、「水管はなれ」があった場合には、まず湯わかし器に小さなシールをつける。二六ページをごらんなさいよ、いいですか。二六ページにはシールをつけたときに消費者にはこう言いなさいといってある。「調査の結果、全く異常がございません。」異常はないといっているのだ。安心して御使用くださいと、こう言っているのだ。「ただし部分を交換致しますと更に長期間御使用いただけますので、後日交換部品を持って伺いますのでよろしくお願いします。」と言っているのです。異常なしといっておるじゃないですか。あなた、さっき「水管はなれ」の中にも異常のあるものがあるといっている。異常がありませんといっているじゃないですか、これ。どうですか、これ。これは明らかに消費者をごまかしたのじゃないですか。まさに消費者をごまかして、消費者を瞞着して、故障品を異常ありませんといって、東京瓦斯は回答しているのじゃないか。これは明らかにガス事業法の四十条の二、これに該当する。四十条の二違反です。明らかにそうでしょう。どう思いますか。あなた、異常のある品物があると言ったのじゃないですか。「水管はなれ」に異常があるものがあるのに、消費者に対して異常がないと答えている。どう思いますか。
  89. 岸田文武

    岸田政府委員 いまの御指摘の点でございますが、確かに表現からいいますと多少適切であるかどうかという感じもいたします。ただ、私もこの点について聞きましたところ、消費者に無用の心配をかけないという配慮から、こういう表現をとったということでございまして、特に言いたかったのは、長時間使用いただくということは問題であるということで、なるべく早目に交換部品を持っていくことによって問題を解決しようという配慮から、こういう表現がとられたというふうに聞いております。
  90. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなた、この発言はそれは正当ですか。どう思います。無用の心配をかけないなんといったけれども、あなたそれで事故を隠蔽しておいて、あと火事になったら無用の心配じゃないじゃないか。あなた、これ適当な言い方だと思いますか。大臣どうです。あなた、寝てないで聞いてください。どう思いますか、こんなこと言わしていいのですか。
  91. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 技術的な問題が非常に多いので、私のようなしろうとにはよくわかりません。しかし、一部始終はよく聞いております。
  92. 岡田春夫

    岡田(春)委員 どうですか、岸田さん、このことばは適当かどうか。
  93. 岸田文武

    岸田政府委員 私自身であればもっといい表現方法があるのではないかという気がいたします。
  94. 岡田春夫

    岡田(春)委員 適当かどうかと聞いている。もう一度聞きますが、適当なんですか、どうですか。不適当か適当かどっちかです。どっちです。
  95. 濱野清吾

    濱野委員長 適当でないと答弁しなさい。
  96. 岸田文武

    岸田政府委員 適当そのものであるかというと、そうではないという感じがいたします。
  97. 岡田春夫

    岡田(春)委員 適当でないんでしょう。あなたこれだけではないんだよ。八ページ開いてごらんなさい。委員長、ガス湯わかし器ですね、これでガス点火するのです。点火しない場合にも、調査の結果全く異常はございませんので御安心くださいと言いなさいと書いてある。これも適当ですか。火がつかないのに、故障はないというんですか。八ページごらんなさい。それも適当ですか。火がつかないのですよ。
  98. 岸田文武

    岸田政府委員 この問題も先ほどと同様でございます。ただ、私申し上げておきたいのは、いずれの場合にも問題のある商品については取りかえをするという措置だけは完全に励行されておるという点は御理解いただきたいと思います。
  99. 岡田春夫

    岡田(春)委員 しかし文書はどうなの。異常ありませんということは適当なんですか。もう一度言いましょう。時間がないからつい詰めますが、点火をしない場合、それ以外にありますよ。七ページごらんなさい。ここに手で動かして水を流すバルブがあるのです。水せん弁です。それを下位のほうに動かしたときに水が出ない。水が出ないそのときに回答するのは、調査の結果全く異常がございませんと言いなさいと書いてある。これも故障でないのですか。どうなの。あとで直すからいいんだなんという、それで通るの。でたらめにもほどがあるじゃありませんか、あなた、
  100. 濱野清吾

    濱野委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  101. 濱野清吾

    濱野委員長 速記を始めて。
  102. 岸田文武

    岸田政府委員 確かに御指摘のように、表現として適当を欠いている面が私もわかるような感じがいたします。ただ見ますと、「穴あき」なり「著しい変形」については電話連絡し、わずかな変形以下について別紙発行しておるというその辺の使い分けをする気持ちがおそらくあったのではないかという気がしますが、いずれにせよ。表現の問題からいいますと適当を欠いておるという感じがいたします。
  103. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたは適当ではない。東京瓦斯を守り切れぬから正直に言ったほうがいいですよ。それをあなた、何で、別に東京瓦斯から給料もらっているわけじゃないんだから、そんなことを言う必要はないでしょう。事実でなければ、あなた監督の責任があるんだもの、こういうことを言わしちゃだめですよ。  それから話をもっと進めます。  この通産省報告文書を見ますとこう書いてある。電算機による集計をやっていたんだが途中でやめた。何ページに書いてあるかというと八ページに書いてある。欠陥の調査をコンピューターで集計したんだが途中でやめました。そしてそのあと何でやったかというとそろばんでやったというんだ。ずいぶんそろばんのうまい人がたくさんいるのですね。コンピューターよりうまいらしいんだ。ところが、いつからやめたんですか。何月何日からやめて、そしてそれまでの電算機の集計はあるのですか。コンピューターによってはじき出した数字はあるのですか。そしてこのコンピューターの集計というものを通産省は見たことがありますかどうですか。
  104. 岸田文武

    岸田政府委員 その辺、東京瓦斯に聞いてみましたところ、記憶によりますと、大体十二月中旬ぐらいにやめたということを報告しております。私ども電算機の集計の結果につきましては、全体の資料が残っておりませんので一部試算をした資料を現物を見ております。
  105. 岡田春夫

    岡田(春)委員 全体の資料は残っておりませんというのは、点検カードが全部そろってないということですか。
  106. 岸田文武

    岸田政府委員 全部そろっておりませんでした。
  107. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それはあなた、四十条二の五項に違反するでしょう。どうですか。罰則の規定ありますよ。「保存しなければならない。」という義務がありますよ。どうですか。
  108. 濱野清吾

    濱野委員長 岡田さん、説明員から詳細聞いて、それから論旨を進めてください。
  109. 川崎弘

    ○川崎説明員 お答え申し上げます。  いま先生おっしゃいましたのは四十条の二の五項だと思いますが、四十条の二の五項は、「第二項の規定による調査及び第三項の規定による通知に関する業務に関し通商産業省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。」この点検状況に関します調査報告書はこの規定には該当いたさない、そういうふうに判断いたしております。
  110. 岡田春夫

    岡田(春)委員 何条に該当する。
  111. 川崎弘

    ○川崎説明員 この報告は、報告徴収権に基づく報告と申しますよりも、行政指導に基づきまして問題のあるものは回収をしろという指示をやりまして、その結果を報告しなさいという一般的な行政指導範囲でやったもの、そういうふうに解釈されます。
  112. 岡田春夫

    岡田(春)委員 全部そろってないのは行政指導、それは適当だと思いますか。
  113. 川崎弘

    ○川崎説明員 われわれといたしましては、当時のことを推察いたしまするに、ともかく事が消費者の安全に関する問題でございますので、できるだけ早期に点検が行なわれ、回収が行なわれ、その結果が報告されるということが最大のポイントでございまして、その後その資料がどうしても残っていなければならない、そういうふうには考えておりません。
  114. 岡田春夫

    岡田(春)委員 その問題に疑義がある場合に、それが残ってないということは適当ですか、どうですか。
  115. 岸田文武

    岸田政府委員 私ども疑義がありというような御指摘を受けたのはかなりたちました後でございまして、報告を受けましたときには、実態の状況についての報告であるというふうに受け取った次第であります。
  116. 岡田春夫

    岡田(春)委員 岸田さん、あなた疑義があるのは相当後だって言うけれども、その点疑義があるというのはあなた知っているでしょう。この間、予算委員会で言ったじゃないの。東京瓦斯の井上専務が二人の代議士の前で、広瀬電機の社長からこれは偽造だと言われて、井上専務がまことに申しわけありませんと言ったじゃないの。あれは事件の直後だよ。だからごまかすために東京瓦斯はカードを焼いてしまったんですよ。その事実をあなたは知っているじゃないの。この報告書、偽造ですよ、通産省あてに出した東京瓦斯の報告書は。あとになってからじゃないですよ、その直後ですよ。おわかりでしょう。その事実をあなたは知っていますね。——知っているでしょう。知らないですか。
  117. 岸田文武

    岸田政府委員 報告書が提出されましたのは二月でございます。予算委員会——いまお話がございましたのは七月でございまして、特に私、予算委員会の席で御指摘がございましたときにもお答えいたしましたが、井上専務でございますか、との会談の経緯については、先生のお話しになりましたことと私どもの理解とは違っておるようで  ございます。
  118. 岡田春夫

    岡田(春)委員 続いてまたあとその問題をやりますが、注目すべきことは、いま皆さんのところへ配付しましたこの資料、コンピューターで集計した資料はこれなんですよ。あなたのところへ資料が行っているでしょう。あなたないないと言ってごまかしているけれども、あるんだよ。通産省はこれほど本気でやってないということですよ。わかりましたか。コンピューターで計算しているんだよ。これは。こういう事実がわかりましたか、あなた。あなたのほうの調査がいかにずさんないいかげんなものかというのがわかったでしょう。  その中で特に問題なのを私ここで指摘します。裏のページをひっくり返してごらんなさい。東京瓦斯から通産省にあてに報告書、それが左の欄にありますね。その中で「破損・変形」という部分が二千十六だ。ところがいまあなたのところにあげたコンピューター集計あるでしょう。コンピューター集計で「穴あき」と「著しい変形」。さっき岸田さんは、これ以外にわずかな変形も含むと言った。わずかな変形も含めばまだこれ以上になるが、少なくとも二千八百七十一。しかし皆さん、いいですか、二千八百七十一というのはたった一カ月間の調査なんだ。ところが通産省に出している資料というのは、二千十六というのは四カ月間の調査なんだ。こんなばかな話ありますか。一カ月の調査で二千八百あるのに四カ月調べたらかえって数が減って二千十六になった。こんなばかな話がありますか。これは明らかに偽造の根拠じゃありませんか。どうです。はっきりしなさい。あなた方本気で調べてないからだよ。東瓦斯にだまされているんだよ。明らかに偽造でないか、これは。事実じゃないか。
  119. 岸田文武

    岸田政府委員 いまお渡しいただきました資料が電算機による集計結果であるというお話でございましたが、私これは初めて拝見する資料でございまして、特にこれが電算機で集計された結果であるかどうかということをこの席で判断する能力がございませんので、その辺は御容赦いただきたいと思います。
  120. 岡田春夫

    岡田(春)委員 要するに、いま判断できないというのは、わからないということでしょう。わからないならわからないとはっきり言ってください。
  121. 岸田文武

    岸田政府委員 いまもお話ししましたように、この資料だけで私ども判断することはできませんので、その辺は御理解いただきたいと思います。
  122. 岡田春夫

    岡田(春)委員 通産省は反証を具体的にあげることは一つもできないじゃないの。私が具体的な事実を出したのに反証を一つもあげられないじゃないか。見なさいよ。だれでもこういうように聞いているし、みんなわかるよ。あなたのほう、具体的な反証なんかだれもあげてないじゃないか。私のこの証拠をあなたどうしますか。調査しますか。
  123. 岸田文武

    岸田政府委員 もちろん調査をいたしますが、できますことならば、この数字の根拠等について少しくお示しをいただければというふうな感じがいたします。
  124. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなた、一から十まで全部おれに聞くの、そんなわけにいかぬですよ。あなた方何百人も役所におって、そんなこと私一人に聞かなければわからないの。冗談じゃないですよ。ともかくもこの点については、具体的な内容については、私必ずしもいまここで説明するとは言いません。あなた方努力しなさい。東京瓦斯を呼んで調べなさい。監督権あるのでしょう。どうです、調べますか。
  125. 岸田文武

    岸田政府委員 調査をいたします。
  126. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなた、ともかくこの一つを見ても通産省に出した東京瓦斯の報告書がいかにインチキであるか明らかでしょう。しかもそれだけじゃありません。委員長もここでちょっとお聞きいただきたいんだが、あの報告書が偽造であるということを承認する人がいる。自民党の代議士だ。おれ了解を取りつけてある。松永代議士は、あの報告書は偽造であるとはっきり言っている。この事実まではっきりしている。野党だから言っているんじゃないのですよ。松永君というのは青嵐会なんだ。青嵐会であっても、あの通産省に出した東京瓦斯の報告書は偽造であるとはっきり言っている。必要があれば証人として出ていいと言っている。ここまで言われているのに、あなた、通産省調べないの。責任をもって調べなさい。こんな報告書じゃだめですよ。だめですよ、こんなものじゃ。松永代議士にも聞いてごらんなさい。必要があれば裁判に出ても証言をすると言っている。東京瓦斯の報告書は偽造なんだ、インチキなんだ。その事実をはっきりあなた腹の中へ確認した上で、もっと真剣に調査しなさい。こんなごまかしの——私はこれ東京瓦斯が書いたんじゃないかと思うよ。それを通産省でございますと出したんじゃないかと思いますよ。こんなインチキな資料。もっと正確に調べなさい。もっと正確に調べますか。
  127. 岸田文武

    岸田政府委員 繰り返しお答えいたしますが、十分調査をいたします。
  128. 岡田春夫

    岡田(春)委員 まだほかにもある。偽造であるという証拠は幾つでも出しますよ、あなた。この事件が起こったのは四十六年の九月ですね。調査を始めたのは十月二十日ですね。いいですか、その翌月の十一月、東京瓦斯にすでに納入されている検査済みの合格品二万台、この二万台を東京瓦斯の倉庫から引き出してきて、故障の部分を修理してくれといって契約をした事実がある。そしてその契約は六千百六台を修理したときに、残りの修理は自分のほうでするからいいといって、二万台の契約にもかかわらず六千台だけは修理した、こういう事実がある。これだって磯村の品物がいかに故障の多い品物であるかというのははっきりしている。私は、きょう時間の関係で予算委員会と重複するような点は言わない。こういう事実。ここに見積もり書と契約書まである。磯村の商品だってこういうインチキなんですよ。東京瓦斯の倉庫から引き出したんですよ。東京瓦斯の了解なしに倉庫から引き出せますか。こういう事実をあなた知っていますか。
  129. 岸田文武

    岸田政府委員 そのような事実、いま初めて伺いましたわけでございます。
  130. 岡田春夫

    岡田(春)委員 こういう事実を、私はこの問題に関してはもう少し具体的に資料を見せますから、調査してごらんなさい。調査しますか。
  131. 岸田文武

    岸田政府委員 調査をいたします。
  132. 岡田春夫

    岡田(春)委員 富士C4号について東京瓦斯はこの間の巡回点検をやりましたあと、すなわち四十七年の二月、三月ごろまで点検をしたのだが、それ以降には事故は全然起こってないということを盛んにいっていますね。事故は起こっていますよ、たくさん。いいですか、事故が何ぼ起こっているか。ある新聞社の社会部に、二月の二十三日に私が予算委員会で取り上げて以降四月の初旬まで、すなわち一カ月半の間に、私のところにも事故が起こったといってきたのは二十七件ある。二十七件の中には商工委員長の分が入っていないから二十八件といってもいいかもしれない。商工委員長はおれのところもあったのだというのだから二十八件といってもいいかもしれない。一つの新聞社だけでも二十七件連絡があったのですよ。それならもっともっとあるはずです。その具体的な例を言いましょう。こういうことまでやっているのですよ。  東京都北区王子本町、その人の名前は私ここで言えません、名前を秘匿してくれといわれましたから、ABCのKということにしておきましょう。その内容はこういっています。富士C4号型ガス湯わかし器が四十八年秋、昨年の秋ですね、過熱のため内胴に空胴を生じた。もよりの東京瓦斯営業所に通報して巡回を依頼したところ、巡回員は欠陥器具と認定されたメーカーの製品ではない、したがって東京瓦斯としては器具の交換費用について責任は持てないという返事があった。そこで、消費者のほうはやむを得ず自分のお金でこれを買いかえた。ところが、おもしろいことに、一月ばかりしたあと、東京瓦斯から先日はどうもすみませんといってロースターを持ってきてプレゼントしていったそうだ。こういう事実がある。第二点、板橋区のMという人。自宅で使用中の富士C4号型はかなり以前から不調で、使用の際妙な音が出るほか、数分間使用するだけで外側カバーが過熱し、手にさわれなくなる。巡回員が来たときに聞いてみたが、メーカーの表示を見ただけでおたくのはだいじょうぶですと答えた。ところが二、三日前、というのはこの電話のあった二、三日前、自分でカバーをはずしてみたところ、この内胴に大きな穴があいておった。これが第二点。第三、港区のOという人。欠陥品であるということが問題になった四十六年の秋、巡回に来て内胴を詳細に調べた。そのときには異状なしといわれた。ところが、ことしの三月にまた巡回員が来て、この器具はもう耐用年限が来ております、危険だから取りかえなさい、費用は東京瓦斯では負担できないと言った。通報者が欠陥品なのではないかと聞いたところが、巡回員は答えて、そういうことはわれわれ末端では御返事できません、本社で口どめをしておりますので、不満ならば本社に直接聞いてくださいということでございました。そしてしかたがないので自分はこの品物を自費で出して取りかえました。こういうのも幾つもありますよ。全部読んでいると時間がなくなっちゃうからやめますけれども、こういう事実がある。こういう事実を、あなた東京瓦斯のあれで故障は一件もないなどといって平気でおれますか。さっきあなたは表現の問題だなんといってごまかしたね。点火しないとか、あるいは水管はなれ、あるいはさっき言ったバルブを動かしても水が出ない、故障品でしょう。故障品をそのまま置いてあるからこういうことが起こるのでしょう。こんなことをそのまま置いておけますか。こういう事実についても二十七件ありますから通産省、東京瓦斯をもう一度調べてごらんなさい。こういう事実が続々起こっているのですよ。調べてごらんなさい。どうです。
  133. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもといたしましても、ガスの安全ということは特に力を入れてやってまいりたいと思います。その意味におきまして、いま御指摘のような点について調査をいたします。
  134. 岡田春夫

    岡田(春)委員 まだある。ことしの二月二十日午前九時二十分ごろ、練馬区上石神井一の二〇五二、市川泰三さんの台所から火が出た。そして五むね二百五十七平方メートルが焼けました。市川さん方では富士C4号型湯わかし器を使っておって、一年半くらい前から点火の調子が非常に悪い。火がつかないのですよ。点火ができないのですよ。いいですか。調子が悪く、最近は外側カバーが熱くなってさわれないなどの異常な過熱状態になっておりました。出火の日には、午前八時四十分ごろ火をつけて朝食のあと片づけなどに使ったあと、午前九時十分ごろ市川さんの奥さんが二階に上がってふとんを干そうとしておったところ、突然瞬間湯わかし器から猛烈な火が吹き出した。そしてこの市川さんの奥さんは二階からおりることができなくて飛びおりた。まあ命は救われた。こういう火事が起こった。これは明らかに瞬間湯わかし器から火が起こった。そこで石神井警察では、湯わかし器が火元であると断定して、警視庁科学検査所に鑑定を依頼した。同検査所では、鑑定の結果、湯わかし器自体の欠陥が火事を起こしたと断定するに足りる根拠がないという結論を出したそうだ。  きょう消防庁からだれか来ていますね。こういう事実がありますね。まずそこから聞きましょう。
  135. 森岡敞

    ○森岡政府委員 本年の二月二十日の練馬区石神井市川経師店における火災の模様は、ただいま御指摘のとおりでございます。  なお、出火原因につきましては、いろいろ調査がされたわけでございますけれども、最終的には原因不明ということに相なっております。
  136. 岡田春夫

    岡田(春)委員 原因不明ということになっているのですから、それじゃ伺いますけれども、この鑑定をしたときに、磯村機器の協力を求めて鑑定をしたでしょう。どうですか。
  137. 森岡敞

    ○森岡政府委員 私どもこの件につきまして昨日来報告を徴しましたが、東京消防庁を中心に報告を徴しましたので、警視庁の鑑定の際の状況、経緯につきましては、十分現段階では承知いたしておりません。
  138. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いや、警視庁の科学検査所でやったのですよ。
  139. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いま申し上げましたのは、この火災の原因なり火災状況について、東京消防庁の報告を徴しましたので、警察における鑑定の経緯等については、現段階では私ども承知いたしておらないわけでございます。
  140. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃ言いますが、消防庁の次長、森岡さん、あなた調べてください。科学検査所では、磯村機器の会社と一緒になってこの事故を検査しておる。ところが、この機械は磯村の機械だ。犯人に、どこに事故があったかといって頼んで調べてもらった。これは一体どういうことですか。犯人に、これの事故はどこでしょうかといって聞いた。こんなインチキな検査がありますか。磯村機器の機械を、どこに事故が起こったかというのを磯村に聞いたそうだ。東京瓦斯というのはこういうことまで手を回しているのです。もっとこれはお調べください。お調べいただけますか。
  141. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いま申しましたように、全く私ども検査の状態というのを承知いたしておりません。御質問でございますので、その時点における状況をさらに警察当局を通じて十分承知してまいりたい、必要に応じてまた御報告してまいりたい、かように思います。
  142. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃあとの質問があるようですから続いて進めますけれども、いま大臣お聞きいただいたように、東京瓦斯の湯わかし器の問題というのは、単なるこういう問題じゃないのです。こういう消費者を瞞着するような、しかもでたらめなことをどんどん東京瓦斯がやって、通産省報告ほんとうにでたらめな偽造品を出している。  それだけじゃない。もう一つ言うのは、パテントを盗用して、パテントの料金まで払わないということを東京瓦斯がやっている。こういう例がある。北区中里町三百八十七、タツミ技研株式会社の塩谷欽一という人、これは社長だ。この人がガス炊飲器の実用新案権をとっている。登録番号は八五四七五七号。ところが、このタツミ技研に、東京瓦斯が四十三年から自動炊飲器の生産を発注契約した。ところが、その契約の条件として、東京ガスの全額出資であるガスターと共同をしなさい、ガスターと共同してガスターブランドとして納入するならば東京瓦斯は発注してあげますといった。そこで塩谷さんは、ガスターと共同してやるというのならばやってもらえるのだということで、生産ができるのだということで、三年間つくった。ところが四十六年の春になると、突然タツミ技研に対しては発注を打ち切った。そしてガスターだけで自動炊飲器をつくるようになった。そしてその場合に、塩谷さんは、そういうことをやるのなら、せめて実用新案のパテント料だけでも払ってもらいたいということを言った。一台百円のパテント料だそうです。そのパテント料さえ払ってない。いつの間にかかスターのブランドという形で塩谷さんの実用新案の権利はガスターが握ってしまった。こういう手口を使うのですよ、東京瓦斯は。自分自身がやると問題になるから、子会社にやらせるのですよ、これは。この前、予算委員会で私が取り上げたのは、廣瀬電機工業に難くせをつけて下請会社をつぶそうという状態に追い込んだ。今度は東京瓦斯はタツミ技研という会社を——これはこのために倒産しました。中小企業者をこうやっていじめ、殺しているのが東京瓦斯ですよ。こういう事実をあなたは知っていますか、岸田さん。
  143. 岸田文武

    岸田政府委員 特許権の問題をめぐって紛争があったことは承知をいたしております。
  144. 岡田春夫

    岡田(春)委員 承知しているということは、どういうことをしたのですか。
  145. 岸田文武

    岸田政府委員 昨日、その点についてのお問い合わせがございましたので、東京瓦斯に照会をいたしましたところ、紛争の事実がありということを報告されまして、私ども内容をさらに詰めてみたいと思っております。
  146. 岡田春夫

    岡田(春)委員 知っているといっても、昨日というのは私に聞いたのでしょう。それまで知らなかったのでしょう、あなた。そうでしょう。違うのですか。私に聞いたのでわかったのでしょう。
  147. 岸田文武

    岸田政府委員 そのとおりでございます。
  148. 岡田春夫

    岡田(春)委員 何ですか。話にならぬでしょう、あなた。通産省のこれはもうちょっと笑う以外はないわけです。大臣、どう思いますか、あなた。
  149. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 東京瓦斯は公益事業でありまして、料金認可その他において通産省が監督をしております。安全性、ガスの取り扱いという面からもまた監督もしておりますが、しかし、下請との関係その他の問題は、これは私法上の、契約上の履行の問題であって、そういうことの適否ということは、安全上とかあるいは料金問題とかにかかわらないという部分については、私法上の争いをもって私会社の間で決着をつけてもらうのが適当であって、官庁がそこまで介入するということは、契約自由の原則や日本の商業行為の上から見て適当ではないと私は思います。ただし、料金認可の問題とか、安全上の問題については、わわれわれはガス事業法その他に基づいて監督しなければならぬと思っております。ですから、廣瀬電機の問題についても、これは両方の会社でいろいろ利益をどうするとか、損をどうするとか、廣瀬電機が東京瓦斯に対して金を貸せとか貸すとか、時期がおくれたとか、やらなかったとか、もっとよこせとか、そういうような二つの法人の間の私益上の争いの問題が中に非常に介入しておったわけです。これは岡田委員も御存じのとおりであります。ですから、そういう問題は、最終的には裁判行為で決着してもらうということが最終的な行為としてあり得ると思うので、そういうところまで通産省が介入するということは適当ではないと思うのです。ただし、虚偽の報告をするとか、そういうことについては、つまり行政上の処分あるいは法律に関する部分については、われわれとしてはこれを調べなければならぬ、そして監督をしなければならぬ。その分界をやはり明らかにするということは大事であります。それらの点については、予算委員会で私もお答えいたしましたように、私はあなたからの御要請があって、東京瓦斯に対して廣瀬電機と私法上のそういう問題については話をつけなさいと、そう言って勧告もし、あなたも御努力なさった経緯があります。したがいまして、そういう部分は、最終的には民事上の訴訟において解決してもらうということ以外にはないのではないか、そういうように私は思います。しかし、先ほど申した行政処分やあるいは法律に関する部分については、われわれとしてはこれを取り調べて明らかにしなければならない、そういうふうに思っております。
  150. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたは一番前段のところで、東京瓦斯について、そういうパテントの問題については私は関係しない、こうおっしゃいましたね。通産省の中には特許庁があるのじゃありませんか。特許庁の特許権の侵害についてあなたはどうでもいいとおっしゃるのですか。それはどうなんですか。
  151. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 特許権も財産権でありまして私権です。それに対する侵害というものについては、これは財産権侵害をもって争うべきことは最終的に行なわれるものだと私は思います。
  152. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたはそれの監督の大臣じゃありませんか。侵害の事実があったらそれを調べるのはあたりまえじゃありませんか。
  153. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 われわれが監督しているのは、そういう私法上の問題まで一々やっているというものじゃないのじゃないかと私は思うのです。そうじゃなくて、行政処分に関する部分とか、あるいは安全とか、あるいは料金認可とか、そういう点についてやはり第一義的にわれわれはやるべきものである。そう考えております。
  154. 岡田春夫

    岡田(春)委員 どうですか、委員長、お聞きになって。特許権を擁護するために特許庁の中には擁護のための機関があるじゃありませんか。それもやっちゃいけない、こうおっしゃるのですか。大臣は、そんなことをやる必要はないとおっしゃるのですか。特許庁というのはあなたの管轄外なんですか。どうなんですか。
  155. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 特許庁は私の管轄下にありますけれども、それは特許権の申請に対して、これを処分をする、そういうところであるだろうと思うのです。特許権を認定したり、あるいは特許上の訴訟が起こった場合にいろいろな問題をやる審判というようなものがあるかもしれません。しかし、財産権の争いというような問題は、これは民事上の訴訟をもって争うべきものである。そう私は観念いたします。
  156. 岡田春夫

    岡田(春)委員 審判権はあるのですよ。あなたはこの問題について、松下電器といま審判してタツミ技研のほうが勝ったのですよ。審判権はあるからやっているのです。東京瓦斯の問題だって、これを特許庁に出したら当然審判しなければならない義務があるのですよ。あなたはそんなことをやる必要はないとおっしゃるのですか。
  157. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 つまり財産権を侵したとか……。
  158. 岡田春夫

    岡田(春)委員 財産権の問題じゃないです。特許権の問題ですよ。
  159. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 特許権というものは財産権なんです。その財産権を侵したか侵さないかという利益の問題をめぐっての仕事については私らは関与すべきでない、しかしいま言ったように、そういう行政処分に関することとか、あるいは法律的監督にかかわる電気事業法であるとか、ガス事業法であるとか、そういう部分についてはわれわれは責任はあります。そういう意味のことを申し上げておるわけであります。
  160. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私はこればかり議論しませんが、新説を伺いました。特許権の侵害は財産権の問題であるから、特許権の侵害についてはことさらどうこう言わないというのが大臣の方針である、こういうように私は承りました。財産権の問題だけであって特許権の侵害ということは成り立たないのだ、こういうようにも理解できるような御答弁であったと私は理解いたしまして進めたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  161. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 それでよろしくはありません。つまり審判の問題は審判の問題、財産権の問題は財産権の問題、財産権の問題についてはわれわれは関与すべきでない、そういうことを申し上げておるのです。
  162. 岡田春夫

    岡田(春)委員 だいぶ訂正をされたから次に進めましょう。  もうこれで最後になりますが、私がきょうだいぶ取り上げてまいりましたのをもう一度要約をいたしますと、第一点は、富士C4号と同じ製品をYA−104号という名前に変えて、富士C4号は売れないから名前を変えて、あたかも新製品のごとく、そういうごまかしをやって東京瓦斯は品物を売り出した。ところがYA−104というものは依然として故障品であった、欠陥品であったという事実が明らかになった。これが一つ。  第二点は、通産省に対する報告書ですね。これは予算委員会で問題になった。これを偽造するために電算機の集計では正確でないといって、東京瓦斯はわざわざそろばんで集計をさせて数字を適当につくり上げた。第三点、この機械の点火しないもの、水の出ないもの、水管はなれのもの、それらのものも全部、消費者に対しては異状ございませんといって消費者をごまかして、しかも故障品が出た、欠陥品であるということを消費者がいってきたら、それに対してそでの下まで贈るようなことをした。ロースターを贈ったのでしょう。こういうことをやっている。第四点、東京瓦斯の倉庫にある故障品をこっそり持ち出させて修理をさせて、またそれを売り出した。こっそり修理をさせているから数字の上では合っている。こういうことまでやっている。第五点、パテントまで盗用して、パテント料を払わないで、そういう形でいままでごまかしている。こういう点を見て、通産省は監督上これが適当だと思いますか。私は行政管理庁に伺っておきたい。こういう幾つかの事実を見た場合に通産省の監督行政というのは適当だと思いますか。こういう事実の上に立って率直な意見を行政管理庁から伺いたい。
  163. 山本貞雄

    ○山本説明員 いまお話を伺っておりますと、いろいろ重要な問題が含まれておると思います。安全上の問題等につきましては、技術的な問題も含まれておりますので、まず通産省で十分措置していただきたいと思っております。行政管理庁がこの問題を解明しますためには、単に通産省だけではなしに東京瓦斯等の企業調査する必要があるかと思います。しかしながら、行政管理庁の監察の権限は、設置法上行政機関及び公社、公団等でございまして、民間企業には及ばないわけでございます。いろいろな問題がある中で特にこの問題を取り上げて監察をするのかどうかにつきましては、先ほど申し上げましたような設置法上の権限の問題もあり、まず通産省等からこれにつきまして事情を聴取いたしまして、今後検討してみたい、こういうふうに思っております。
  164. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私は行政管理庁に要望しておきますが、通産省は、私が二月にやってから報告書も出しているのだけれども、あんな報告書じゃ話にならないのですよ。私はきょうの質問でまだ全部出したのじゃないのですよ。通産省がはっきりしなければまだ出しますよ。国会は五月までだけれども、五月が済んでそれまでに調査しなかったら、秋の予算委員会でまたやりますよ。ほかのものを出しますよ。岸田さん、忘れないでおいてくださいよ。いいかげんでこれで済んだなんて思われたら困るよ。大臣も忘れないでください。まだまだほかにありますよ。この資料全部そうなんですよ。通産省に出した報告書は偽造でないなんて言ったら、偽造であるという証拠をまず出しますよ。まず第一にあなたは、こういう事実があるのですから、徹底して調べてください。まさに監督不十分です、通産省の監督は。大臣忘れないでおいてください。こんな不十分なことでいいのですか。消費者がそのために火事になって、類焼した人までいるじゃないですか。こういうことでは私は納得できません。東京瓦斯だけを守るために、消費者は火事になって焼かれてしまって泣いている事実を通産大臣、まさかほうっておくわけにいかぬでしょう。行政管理庁に徹底して調べていただくことを要求します。  東京瓦斯というのは、一言でいえば弱者いじめの代表的な会社だと思う。消費者をごまかし、中小企業者をいじめる、まさにごろつき会社ですよ。こういう会社に対して、何だか近いうちに五〇%のガス料金値上げを認めるんですか。こういう問題も解決しないうちにガス料金値上げなんか絶対だめですよ。サンデー毎日にこう書いてある。都留社長はこう言っている。しかも東京瓦斯のPR版だ。「モノみな値上がりのいまなら楽なんでしょう」「乗り遅れるわけにもいきません」ので値上げします、こう言っている。便上値上げだ。これははっきりしているじゃないか。都留自身が言っている。都留社長の写真まで出ている。便上値上げをやりましょうとまで言っている。あなた、便上値上げを認めるのですか。こういう問題も解決しないうちに値上げを認めるなんて絶対許しません。値上げ問題について、最後に通産大臣からひとつはっきりした御返事を伺っておきたい。
  165. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 便上値上げは許しません。しかし、まだ申請も出ておりませんから、申請が出ましたら厳正にそれを審査いたします。
  166. 岡田春夫

    岡田(春)委員 ここに、大体八月の末ごろに出そうと思っていると書いてありますよ。これは選挙が終わったあとに出そうと思っているのです。選挙が終わったあとに出したら自民党のほうでも上げやすいだろうと思って、都留社長はちゃんと考えているんですよ。こういうような事件を起こしながら値上げをするなんて、私ら絶対認めるわけにいきません。こういう問題を解決したあとでなければ値上げを認めるべきでないと思いますが、あなたどう思いますか。
  167. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ガス会社の経理というものとその点とはまた別個のものがあると思います。これは春闘によるベースアップもありますし、あるいは原料代の値上がりもありますし、いろいろ別の事情もあると思います。しかし、いま申し上げたようなこちらの法律上あるいは行政処分上にかかる問題については、われわれは厳重に監督していかなければならぬと思っております。値上げの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、申請を待って厳重にこれを審査いたしたいと思います。
  168. 岡田春夫

    岡田(春)委員 ちょうど一時間半になりましたから、これで終わりますけれども、先ほど言ったような事実を徹低的にお調べになって——経理状態だって、こういうインチキをやっているなら、東京瓦斯の経理状態というのはわからないですよ。さっき言ったような繰作をやっている会社ですもの、経理は赤字になりましたなんて、幾らでも書きますよ。通産大臣は厳正に調査をするとおっしゃるのですが、そういう点にわたるまで厳正な調査をやって、ひとつ値上げ問題はぜひやめてもらいたいと思います。そういう点を希望いたしまして、私の質問を終わります。
  169. 濱野清吾

    濱野委員長 荒木宏君。
  170. 荒木宏

    荒木委員 昨日わが党は電力料金値上げを押える緊急政策というのを発表いたしました。いま大臣にもお手元に差し上げたのでありますけれども、その内容は、たとえば燃料費を厳密に査定をして費用の過大計算を是正する、こういったような内容を含んでおるのでありますけれども、いま差し上げたばかりでございますが、政府としてもぜひ誠実に検討されるよう求めたいと思います。まずこの点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
  171. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 政党の緊急政策でございますから、十分検討さしていただきます。
  172. 荒木宏

    荒木委員 電力料金値上げの問題につきましては、すでに公聴会も終わりまして、ずいぶんたくさんの公述人の方が熱心に意見を述べられましたが、たてまえ上賛否はそれぞれ同数ずつ、こういうことになっておるようであります。  ここで政府にお尋ねをいたしますが、反対意見を述べられた方の中で特徴的な御意見、それを参加しておられた政府委員の方から簡単にお伺いしたいと思います。
  173. 岸田文武

    岸田政府委員 反対意見ということでございますが、まだ各地報告を最終的に整理をいたしておりませんので、とりあえずの私ども聞きました限りでのお答えとさせていただきたいと思います。  反対意見といたしましては、電力料金値上げすると一般物価上昇に拍車をかけるのではないかという点の懸念、あるいは依然として家庭用料金産業用料金に比べて割り高であること、さらにナショナルミニマムを百キロワットアワーにするということは一般家庭電気使用状況から見て低過ぎるのではないかというような意見、あるいは電気事業者が過大な内部留保を持っているという指摘、さらに燃料費を過大に見積もっているのではないか、これらの点が反対理由として掲げられておるかと思います。
  174. 荒木宏

    荒木委員 電力会社が政治献金をしておるのはうなづけない、こういう趣旨の御意見は出ませんでしたか。
  175. 岸田文武

    岸田政府委員 私、東京の公聴会議長をいたしておりましたが、公述人の中にそのような点に言及された方がございました。
  176. 荒木宏

    荒木委員 いま出たとおっしゃるその点についてお尋ねをいたしますが、電力会社がしておる政治献金はコストの中に入っておるのか入っていないのか、その点はいかがでございましょうか。
  177. 岸田文武

    岸田政府委員 電力会社の支出の中に入ると思いますが、料金の算定の問題とは一応切り離して考えられるだろうと思います。
  178. 荒木宏

    荒木委員 皆さんのほうでおつくりになっております算定要領によりますと、営業費の中に諸費という項目があります。政治献金は性質上、企業会計的に考えますとこの中に入ると思いますけれども、しかし皆さんのおつくりになった算定要領では、政治献金は除外するという明確な規定がありません。取り扱い上その点はいかがなっておりますか。
  179. 岸田文武

    岸田政府委員 諸費は、いわば燃料費、人件費、その他等々の各種の種目の「その他」に当たるわけでございまして、中には交際費あるいは寄付金等が入っておるわけでございます。これらの査定の扱いにつきましては、先ほど申しましたように、これから方針をきめるところでございます。
  180. 荒木宏

    荒木委員 電気事業会計規則の上では、この政治献金の取り扱いはどうなっておりますか。
  181. 岸田文武

    岸田政府委員 特に言及はされておりません。
  182. 荒木宏

    荒木委員 電気事業会計規則の別表第一によりますと、その中の「諸費」という項目に「寄付金」というのがあります。御案内のとおり「事業に直接関係のない者に対して反対給付を期待しないで任意に給付した場合の金額」。政治献金の場合は、考えてみますと、電力会社と献金をする相手方、これは通常は直接関係がないと考えられます。また、政治献金をすることによって反対給付を期待している、こういう考え方もあるかもしれません。しかし、皆さんのほうでそうではないともしおっしゃるのなら、明らかにこの規定の上では寄付金の中に入り、電気事業会計規則の中では、それを先ほど申し上げた諸費として処理をしなさい、こういうことになっておりますが、この点はいかがですか。
  183. 岸田文武

    岸田政府委員 私、手元に会計規則の別表を持っておりませんので、どうも正確なお答えになるかどうかわかりませんが、処理としては諸費の中に入るのではないかという感じがいたします。
  184. 荒木宏

    荒木委員 そうしますと、皆さんのおきめになった規則の上では諸費として費用に含まれる、算定要領では特にその点の指摘がなくて、諸費は費用ですよと、こうなっている。たてまえ上含まれることになっているのにそれは別だとおっしゃるのは、取り扱い上少し不明確なんではないでしょうか。もしこれが違うとおっしゃるのなら、取り扱い要領の上ではっきりしていただきたい。もし含まれておるとおっしゃるのなら、その点についての理由を伺いたい。
  185. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほど申し上げましたのは、寄付金であれば諸費の中に含まれる。これは支出の事後的な会計処理の問題でございます。これに対しまして私ども算定ないし査定の問題は別だと申しましたのは、それを諸費としてどういうふうに処理するかということにつきましては、いわば私どもの審査なり査定の問題にかかわってくるという形ではないかと思います。
  186. 荒木宏

    荒木委員 具体的な査定を伺っているのじゃない。たてまえとしてどうなすっているのですか。いままで皆さん方は、昨年も四国電力、関西電力査定をなさったでしょう。そのときの皆さんの政治献金に対する、コストに入れるか入れないかというたてまえはどうでしょうか。
  187. 岸田文武

    岸田政府委員 関西電力、四国電力の例では、政党に対する寄付金につきましては原価に算定いたしておりません。
  188. 荒木宏

    荒木委員 では皆さん方の基礎になすっておる算定要領にそのことを明確にするべきではありませんか。担当者のそのときそのときの扱いによって取り扱いが変わるというのは、本来基準となるべき算定要領の性質に全く沿わないと思います。私はいまここで政治献金全体の問題を取り上げておるのではありません。コストとの関係で問題にしておるのですけれども、大臣、いま論議はお聞ききのとおりでありますが、公聴会でさまざま出ておりましたこの問題について、通産省として取り扱い要領の上で政治献金はコストに入れないのだ、このことを明確にすべきではないかと思いますが、いかがですか。
  189. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 経理区分の問題は公益事業部長が専門家で、私らよくまだ勉強しておりませんので私からは御答弁しにくいので、公益事業部長の申されるとおりであります。  ただ、政治献金にしてもあるいは文化、宗教あるいは学術献金にいたしましても、これは電力会社も社会性を持っておる社会的存在でありまして、そういう意味で社会的に貢献するということにおいては認められるべきものであると思います。特に日本の民主政治を健全に発展さしていくために、そのために、政治的にも協力するということは認められることであると思っております。
  190. 荒木宏

    荒木委員 お尋ねしたのはそういうことじゃないわけです。政治献金をコストに入れるか入れないか、大臣の方針はいかがですか。
  191. 岸田文武

    岸田政府委員 繰り返しお答えするような形になりますが、支出の処理の問題としては電気事業者の支出の一部でございますから、やはりこれは経費の中に入ると思います。
  192. 荒木宏

    荒木委員 皆さんの算定の中でどう取り扱うか。公聴会意見が出て、それに対してどういう方針を出すか、これを伺っておるわけです。算定要領の中に、政治献金そのものの取り扱いを明確に定めた規定はありませんね。だとすれば、公述人が述べた意見に対して取り扱いを明確にすることは、その意見を尊重するというたてまえからいえば当然じゃありませんか。いま皆さんがおっしゃったその方針を取り扱い要領として明確にするかどうか、これを伺っておるわけです。いまのように入るか入らないか、いまのままでいくとおっしゃるのか。それとも規定の上で基本的な方針として要領の中に明確にするといわれるか、どちらですか。
  193. 岸田文武

    岸田政府委員 算定要領は、いわば算定に際しての基本的なルールをきめたものでございまして、各費目についてそれぞれいろいろの内容を含んでおるもの、統一的な大づかみなルールとして定めたものでございます。こまかくきめれば切りがないことでございますが、それらにつきましては、査定の際の方針としてそのつど打ち出してきておるというのが従来の扱いでございます。いま御指摘のございました点につきましては、査定の方針にわたるところでございますので、この席でお答えをするのはいかがかと思いますが、御指摘の点も頭に置きながら考えていきたいと思います。
  194. 荒木宏

    荒木委員 公述人のほうで出された意見を十分尊重して取り扱いを厳正にやられることを希望しまして次の質問に移りますが、出た意見の中で内部留保の問題があったということでした。私は退職給与引当金の問題をお尋ねしたいと思うのですが、初めに、私どもは労働者の権利を何よりも重視している、そのことをまず申し上げておきたいのであります。それにもかかわらずここでお尋ねするゆえんは、電力企業が退職給与引当金という一見労働者保護の装いをとりながら、その実、実際は労働者を食いものにしている、こういうことであります。  例を関西電力にとってお尋ねをいたしますけれども申請書によりますと退職給与引当金というのは四十九年度約百十二億円であります。この退職給与引当金がどの程度まで積まれているか。申請書の中で積まれている限度についてどのようにごらんになっておるか。それからたてまえはどうなっているか。この点をまずお伺いしたいと思います。
  195. 岸田文武

    岸田政府委員 退職給与引当金は、事の性質からしまして将来予想される従業員の退職に備えましてふだんから逐次引当金の形でその原資を積み立てておくというものでございまして、いわば引き当て性のある内部留保であるというふうに考えております。これは広い意味での従業員の福祉対策という形で考えてよいのではないかと思いますが、ただし税法上の扱いといたしましては、現在従業中の職員の予想される退職金の二分の一までが税法上の限度として認められておるわけでございまして、私ども算定基準におきましても、その税法上で認められておる限度を査定の根拠にするというルールをとっておるところでございます。
  196. 荒木宏

    荒木委員 二分の一といいますと、全従業員が一度に退職する場合に必要な金額の二分の一、こういうことになるわけですね。ところで、いま例を関西電力に引きましたけれども、関西電力の最近の実際の退職者数はどのくらいになっておりますか。
  197. 岸田文武

    岸田政府委員 いま即座の資料がございませんので、調べましてあとで御報告いたします。
  198. 荒木宏

    荒木委員 皆さんはすでにヒヤリングと監査をなさったと伺っておりますが、これは当然コストとして査定の対象になっておるわけですからすぐにわかるんじゃありませんか。いまわかりますか。
  199. 岸田文武

    岸田政府委員 帰りますれば正確な資料は持っておるわけでございますが、いま手元の資料でざっと見たところで大体二千三百人程度ではないかということを申しております。
  200. 荒木宏

    荒木委員 退職者は関西電力新聞という新聞に毎月氏名が表示されています。それによりますと、四十八年の上期は百八十六名であります。四十八年の四月から九月まで、会社発行の新聞に表示されております分は百八十六名であります。それ以外の月もずっと見てみますと大体三十名ないし四十名が表示されておりました。年間で約三百七十名、この退職者の数を従業員二万二千人で見てみますと、比率は約六十分の一であります。先ほど部長が言われた実際に退職する場合の引き当てとして積んでおるということになりますと、六十分の一と六十分の三十ですから三十倍の開きがある。いまかりに部長が言われた二千二、三百人としても一割にしかなりません。そうすると実際の退職者の数から見ますとあまりにもかけ離れている。その差が実際の退職率から見ますとずいぶん多いのではないか。むしろ多過ぎるのではないか。実際の退職者の数と、それから引き当て用として積んである退職予定者の人数との開きが多いという事実はお認めになりますか。
  201. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほど少し数字を間違えましたので訂正させていただきます。  私ども手元にございます資料ですと、関西電力の場合、四十八年上期の退職者は、定年退職者が百二十二名、一般退職者が百七十七名、計二百九十九名でございました。(荒木委員「先ほどと十倍も違うじゃないか」と呼ぶ)失礼いたしました。  いまのお話で、実際に現にやめておる人の退職金とそれから積み立てておる額との間にかなりの差があるという点は、確かに一見しますとそのような感じに受け取られる面がございます。ただ、これは一応ルールに従って限度をきめ、それに必要な退職給与引当金を積んでおくということがいわば労働者の福祉の面から望ましいルールとしてしかれておる、それを適用したものであるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
  202. 荒木宏

    荒木委員 一般的な考え方と、具体的に当該企業は何をしているか、いまどういう社会情勢のもとにあるか、具体的な問題の結論を出すのが査定作業だというふうに思います。関西電力は、ほんとうに労働者の権利、労働者の生活を守っておるのでしょうか。私ども調査よりますと、昭和三十四年から十年余りの間に、関西電力で殉職された人の数が百八十一名おられます。御案内の黒四のあの建設作業の中で、あの作業のためになくなられた人は、関電自身が出しました黒四の案内書の中で百七十一名おられます。その案内書の中では、こういうふうに言っております。黒部ダム管理所のすぐそばに黒四工事のとうとい犠牲者百七十一柱の祈念像、これがありますというふうに書いてありますが、毎年十数人も殉職をされていくというふうな状態が放置されている。そしてそういうところが約三十倍もの退職給与引当金という名目での留保を持っている。実際に支出しておる退職の金額というものは積んでおる金額の三十分の一です。去年おととしだけじゃありません。五年も十年も十五年も二十年もそれで続いてきているのです。しかもこの制度は、会社の都合で全部一ぺんに退職するというときには御案内のように取りくずしの対象にはなりません。だとしますと、部長が一般的に言われたこの制度目的そのものはそれとして、こういった電力企業やり方の場合に、はたして法律できめておるこの限度一ぱいまで、筒一ぱいまで認めるのが妥当な扱いかどうか。御案内のように、これは天井にすぎませんで、その範囲内で適正な額といっているわけです。いまのような事情を考慮して、必ずしも限度一ぱいまでを認定することなく実情に合わすように検討をなさる御用意があるかどうか、この点をお伺いいたします。
  203. 岸田文武

    岸田政府委員 退職給与引当金につきましては、やはり労働者の将来を考えまして一般的なルールとしては十分な積み立てを用意するということが好ましい、私はこう考えております。ただし、それはそれだけ費用につながってくるという面がございます。これはいわば査定のルールをどうきめるかという問題でございまして、私ども一般的な状況一般的なルールと、それから今日の置かれた環境をどうすべきかという点についてさらに吟味してみたい、こう思っておるところでございます。
  204. 荒木宏

    荒木委員 限度額以下にこれを引き下げた事例はありませんか。
  205. 岸田文武

    岸田政府委員 これは退職給与引当金の算定方法の内容に入らなければいけませんが、これは毎年増加分として計算上出てまいります額と、それから限度全体の増加額のいずれか低いほうをとるというやり方で算定をしておるわけでございます。従来の例を見てみますと、場合によりましてはこの限度以内にとどめた例は確かにございます。この辺がございますので、先ほど申し上げましたように、私どももいろいろ検討をしておると  いうことになるわけでございます。
  206. 荒木宏

    荒木委員 関西電力の場合には、労働者の権利保護のためには退職金だけでしょうか。退職をする労働者の保護としてほかにどういう制度をとっておりますか。
  207. 岸田文武

    岸田政府委員 いまのお尋ねは一般従業員でございますか、退職者についてでございますか。——私とも退職給与引当金のことは一応経理上承知をしておりますが、その他の内容については、いまちょっと手元に資料がございませんので的確な答弁ができかねる事情でございます。
  208. 荒木宏

    荒木委員 どういうふうな監査、どういうふうな調査をなさってこれからどういう査定の方針で臨もうとしておられるか、少し問題があるように思います。私は通産省のほうにもこの問題について検討されるように指摘をいたしました。皆さんはすでに調査をされたわけでしょう。ここには退職金のほかに退職年金の制度があります。これは退職年金の基金として別に積み立てをされております。五十六歳から六十歳まではこの退職年金基金から支払いを受け、その後六十一歳から六十五歳までは厚生年金に引き続いて連続をするようなシステムになり、さらに退職時には再雇用の制度があります。労働者のほうが手厚ければ手厚いほどいいというのは私どももちろん賛成であります。しかし、いまの公共料金抑制という声が非常に強いときに、当該の企業が労働災害死亡者をこれだけ出すほどに労働条件について放置しながら、しかも三十倍をこえるような大きな積み増しをして、それは一体何に使っているんでしょう。労働者のためにこれはきちっと社内で保管をしておいて、さあいつでもお渡しできますよと——会計上の取りくずしについての拘束は別として、現実の運用についての法律上の歯どめがありますか。皆さんはこういった退職金以外の制度についての検討をされたかどうか。それから現実の運用について保管形態についてどういうようにごらんになっているか、はっきりお答えください。
  209. 岸田文武

    岸田政府委員 引当金と申しますのは、いわば会計処理上のルールでございまして、実際の資金の運用とは別問題でございます。社内留保として計上されました資金は、実質的には資金コスト全体として引き下げまして、安い資金の調達によって次の電源工事であるとかあるいは関連工事であるとか、こういった資金を低廉に確保できるという役割りを果たしておるわけでございます。
  210. 荒木宏

    荒木委員 あるときには発電用の資産になり、あるときには普通土地になり、あるときには株式になり、あるときには関係会社に対する投資になる。つまり現実の運用については法律上全く歯どめがありませんね。しかも、現実に運用されているものについて、たとえば銀行に対してそれを担保に入れる、抵当権がつく、あるいは有価証券に対して質権が設定される、労働者の権利はどうなりますか。銀行がとっている担保権のほうが強いでしょう。幾ら帳簿の上で数字だけあっても、現実の運用についての保管形態がきちっと法律上の歯どめがないから、それは電力会社が思うままに使える。しかも、一たび銀行の手に渡らんか、またそれが他の債権者の手に渡ってそこに優先権が設定されれば、皆さんのおっしゃる数字だけは帳簿の上に残るけれども、労働者の持つ一般先取り特権よりも先に取ってしまうという可能性だってないとは言えません。退職給与引当金というものが現在そういう性質のものであるとするならば、労働者の保護のためのシステムは、これはその面からもっとやらなければいかぬでしょう。しかし、いま料金問題で内部留保公聴会でもいろいろ意見か出る、こういうときに——過去に下げた実例がある。法律はただ天井をきめたにすぎないというときに、料金値上げを抑制するために内部留保の問題の検討を誠実にその方向を踏まえて進められる用意があるかどうか、これはひとつはっきりと伺いたいと思います。
  211. 岸田文武

    岸田政府委員 退職引当金のほかに年金制度等の御指摘がございましたが、私はやはり労働者の職場を安定したものにし、そこで十分な能力を発揮していただくということが電気事業の健全な発展のためにやはり必要なことであるということを感じておるわけでございます。いま御指摘ございましたようないろいろのファクター、これはいわば査定の問題としてどう扱うかという問題として別途検討いたしたいと思います。
  212. 荒木宏

    荒木委員 適正な扱いを期待しまして、私が本日特にお伺いをしたいと思っておりました問題に移りますけれども、先ほどお尋ねしましたように、皆さんのほうでは一応ヒヤリングと監査を終わったとこうおっしゃっておる。その中では、部長の事前の説明では、大体四人ぐらいの係官がそれぞれ電力企業に行かれて大体四日ぐらいずついろいろ調査をしました、こういうお話でありました。そのときには、財政あるいは企業の財務計算に関連をして各種資産の工事、こういったようなことについても当該企業から報告を徴収されましたか。
  213. 岸田文武

    岸田政府委員 監査のおもな主眼点といたしましては、固定資産の内容及び工事費、修繕費等でございます。
  214. 荒木宏

    荒木委員 その中で法律違反の事実はなかったでしょうか。
  215. 岸田文武

    岸田政府委員 いま監査に行きました者が報告書をまとめております段階でございますが、まだ私どもそういう事実は聞いておりません。
  216. 荒木宏

    荒木委員 皆さんは現在法律違反の事実がまだ届いていないとおっしゃる。実際に現場へ行って、そして工事費だとか、あるいは配電関係の実際のところをごらんになり、電力企業の担当者から話を聞いて、そして本省へ戻ってこられた。その中で、法律違反の事実はまだ聞いてないとおっしゃる。ほんとうにそうでしょうか。実際はそういったようなものではありません。  ここに、電力企業公共料金値上げを抑制してほしいと国民があれほど願っておるこの時期に、国民をだまし、政府をだませと指示をした文書があります。そういうことをせよといった電力会社があります。関西電力であります。  この文書は、昭和四十九年四月二日、関西電力本社の指示に基づいて、京都支店長から全傘下の営業所長あてに出された、政府をだませと命じた緊急文書であります。会合の場所は下請会社の近畿電気工事株式会社、招集の範囲は営業所の外線係長、計画担当者全員であります。  ここにその文書の写しがありますが、政府はこういう事実が行なわれたということを御存じですか。
  217. 岸田文武

    岸田政府委員 内容をまだお話しいただいておりませんのでわかりませんが、その会合については私まだ承知いたしておりません。
  218. 荒木宏

    荒木委員 これは「京支配一号」をもって通達された文書であります。この四月二日という時期に、関西電力申請書を出しましたのは四月八日であります。その直前に当たるこの時期に、一体何のために緊急会議が行なわれたか。この文書の中にその記載があります。「四十八年度末の最終月に於ける電線(高低圧)の出庫量の適否について通産の特別会計監査(本省)が四月十日前後に実施されると予測されるので、」「処置対策を確立する。」電線の出庫量の適否について監査があるぞ、処置対策を確立する、こういうのであります。  電力会社にとって電線の出庫とは一体どういう意味を持つでしょうか。電力企業は電線のメーカーではありません。もちろんブローカーじゃありません。電力企業が電線を出庫するということは、下請企業に電線を渡して工事をさせるということであります。つまりこの時期に関西電力は配電工事の量について緊急対策をせい、こういったのであります。形の上でなされたこの配電工事が、はたしてほんとうに実際にそのとおりやられたのかどうか。皆さんは、この関西電力の配電工事の実態を監査なさいましたか。そのことについて報告を徴し、実際にその形の上の配電工事のとおりにやられているかどうか。調査をされましたか。
  219. 岸田文武

    岸田政府委員 特別監査の目的は、先ほど申しましたように、電気料金査定に際しまして必要な資産内容を会社に行きまして帳簿に現実に当たって調べるというところが目的でございまして、個々の現地の実情との照合というところまでは事実問題として手が及びかねておるという状況でございます。
  220. 荒木宏

    荒木委員 皆さんの手が及びかねている。その間にこういうことがやられた。実際にこういう形の上の配電工事が現実にやられたかどうか、これはこの文書を見ればすぐにわかります。「対策」の(3)項にこう書いてあります。「期末処理のために特別に作成した設計書(材料片のみで出庫等)」これについては、正式な設計書に変更するとともに、期日超過をするものについては確実に実施する。つまり設計書を変更せよといっているのです。正式な設計書を早くつくれ、こういっているのです。  政府にお尋ねしますが、この電気工事というものは、配電工事というものは設計書なしにできるのでしょうか。いつどこでどういう電柱を使い、どのぐらい掘っていつまでに仕上げる、そういうきちっとした設計書なしに形の上で配電工事をやるということができるのでしょうか。そうしてまた法律上そういうことは許されるのですか。これは通産省いかがですか。
  221. 岸田文武

    岸田政府委員 私、常識的にはやはり設計書というものが前提になるというふうに判断をいたします。
  222. 荒木宏

    荒木委員 そうすると、常識的ではないことがあった、こういうふうにうかがえますが、法律的にはどうですか、電気事業法の上でどうなっておりますか。
  223. 岸田文武

    岸田政府委員 お示しの電線がどういう使い方をされるかという点がわかりかねると、正確な答弁になりにくいかもしれませんと思います。と申しますのは、私どもに施設変更の認可を要しますのは一定規模以上の送電線の建設関係でございまして、それ以下の部分の特に配電部門等になりますと、これは私どもの施設変更認可にはかからないという関係にございます。
  224. 荒木宏

    荒木委員 高圧もかからない場合があるのでしょうか。電気事業法の四十一条では通産大臣認可を受けて電気工事、配電工事をやる。これは政令で通産局長というふうになっておりますけれども、高圧の配電については法律上認可が要るのじゃありませんか。常識的にはそういうことはないとおっしゃったけれども、その点いまの事例について高圧について法律的にはどうですか。
  225. 岸田文武

    岸田政府委員 私、手元に施設に関する基準の省令を持ち合わせませんので、どれどれ以上が認可を要するかということについて的確な答弁ができませんが、高圧の場合にはほとんどの部分が認可の事項にかかってくるであろうという感じがいたします。
  226. 荒木宏

    荒木委員 それは当然であります。法律的に許されない。だから設計書なしに実際の工事はできないわけであります。しかし、形の上では電線出庫という形で配電工事が行なわれておる。形の上で行なわれておって、実際は行なわれていない。だからあわてて設計書をつくらなければならない、こういう仕儀になるのですけれども、これには理由が要ります。理由なしに形の上で行なわれておって、実際に行なわれていないことをあとから設計書をつくれば、なぜそうなったかという理由をつくらなければならぬ。この理由についてこの文書ではどういっているか。第二項でこういう指示をしております。二月、三月に出庫した電線関連設計書で長期未処理あるいは要注意のもの、つまり設計書をつくっていなかったもの、実際にやっていなかったもの、これについては、内部の理由ではいけない、社内の事情でできなかったということではだめだ、第三者の要因で、外部の理由でできなかったということを書きなさい、こういっているわけであります。こういうことが是認できるのでしょうか。
  227. 岸田文武

    岸田政府委員 特に目的を持って作為をするということは、私どもとしては好ましくないことだと思います。
  228. 荒木宏

    荒木委員 好ましい、好ましくないというよりも、事実と違う理由を書いて、そしてやってもいない工事がやられたようにして設計書をつくる、こういうことは是認できますか。
  229. 岸田文武

    岸田政府委員 御意見の点は、法律的な問題とそれから一般的な、常識的な判断の問題と、二つに分かれるのではないかと思います。  法律的な面で申しますと、出庫する、あるいは設計をするということが当面認可事項になっているのではなくて、実際の工事をするという段階で押えておりますので、いま文書の内容を私正確に存じませんのでわかりませんけれども、そういう点に触れる問題があるのかどうかという点が一つの問題であろうかと思います。それを離れた一般的な問題として、特に監査を控えてというような前置きをつけてそのような作為が行なわれたということがかりに事実であるとすれば、これはやはり事情をよく究明をする必要がある、こう感じておるところでございます。
  230. 荒木宏

    荒木委員 どういう理由を書けとこの文書ではいっているか。それもちゃんと書いてあります、こういうふうにやりなさいと。七項に、一般的に考えられる理由は、先方要因、相手方の都合でできませんでした、用地に苦情が出て電柱を建てる工事ができませんでした、停電の都合がうまくいかなくて、それでできませんでした、こういうふうなことで、しかもこれを時系列的に順序よく整理をする、これが肝要である、こういっているのです。こういうふうな虚偽の報告をするということ、これは電気事業法の上で許されているのですか。
  231. 岸田文武

    岸田政府委員 できますことならば、私、帰りまして、いま御指摘の文書、現物を見て、その判断を正確を期したいと思っておりますが、虚偽の内容ということであるとすれば、一般的なルールとして好ましくないものであるということは私もうなずけるような気がいたします。
  232. 荒木宏

    荒木委員 電気事業法の百二十条ではどうなっていますか。あなたがおっしゃるように、好ましくないというふうなことになっておりますか。
  233. 岸田文武

    岸田政府委員 百二十条は罰則を規定しておるわけでございますが、いまお尋ねの事項がどの条文の違反に該当するかということは、いまお話しいただいた範囲ではどうも的確な判断ができかねる状況でございます。
  234. 荒木宏

    荒木委員 百二十条の十号に、虚偽の報告をした者、これは罰則の対象になるということが書いてあるじゃありませんか。通産省が監査に行っていろいろ調べて、そして報告を求める、そのときに虚偽の報告をするということが好ましいものでないということはあなたもお認めになった。しかし、単にそれで済まされる問題かどうか。電気事業の安全という問題があり、しかも公共料金の、供給規程の変更の査定という問題があり、そのときに、いまのように内部の理由ではいけません、ほかの理由をつけて、そうして設計書をあわててつくって、まだ工事をやっていないということがこの文書の中ではっきりしているにかかわらず、そういうことをやるということは、法律違反ということが十分考えられるじゃありませんか。しかも、そのことについて、この文書ではこういっています。監査に通産省の皆さんが来たときには、理由については理論武装しておくこと、つまり関電の側では、虚偽の理由をつけて、そうしていまの点について通産省のほうに理論武装して対抗する。皆さんのほうはどういう心がまえでおいでになったのか、まだ伺っておりませんけれども、こういう虚偽の報告で理論武装せよというふうなことについて、いままでの経過は政府委員のほうから御見解を求めたとおりですけれども、大臣は四時に退席されるというふうにいま伺いましたが、こういうふうなことについてどのようにお考えになりますか、ひとつ御意見を聞かしていただきたい。
  235. 岸田文武

    岸田政府委員 私、率直な感じでございますが、いま御指摘のようなことがかりに事実であるとすれば、遺憾なことであるという感じがいたします。
  236. 荒木宏

    荒木委員 大臣はどうお考えになりますか。
  237. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 公益部長が申されたとおりでありますが、ともかく審査にあたりましては厳正公平に審査をいたしたいと思います。
  238. 荒木宏

    荒木委員 いま部長が言われた遺憾な事実について、しかも法律的に虚偽の報告は罰則の対象になっておる、こういう事態について、厳正な調査をして調査結果を報告をしていただきたいと思います。部長いかがですか。
  239. 岸田文武

    岸田政府委員 さっそく調査をいたします。
  240. 荒木宏

    荒木委員 大臣は退席をされる予定と伺いますので、重ねてお尋ねをしておきますけれども、こういった問題についてここで明らかにしました以上は、これは料金査定に大いに関係があります。言うまでもなく、配電工事はたなおろし資産でありまして、それは即償却費として費用になりますし、また、それ自体が資産として今後投資をどんどんしていく必要があるといっている意味での値上げ理由関係をしてきます。このことがここへ報告をされて、はっきりした上で結論を出さるべきだ。これがうやむやなままで、こういう事実がはっきりしないままで結論は出さるべきではないと私は思いますが、責任者として大臣はいかがお考えになりますか。
  241. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ともかく厳正に審査をいたしまして、納得のいくような結論を出します。事後におきまして御報告もいたします。
  242. 荒木宏

    荒木委員 いま大臣は事後に報告とおっしゃいましたけれども、この問題について法律違反だということがはっきりすれば、これは罰則の規定の対象になります。同時に、責任者に対して責任をとるように求められるべきだと思いますけれども、大臣はどうお考えになりますか。
  243. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 よく調査をいたしまして、調査の上われわれは結論を出したいと思います。調査未済の上で軽々な発言は控えたいと思います。
  244. 荒木宏

    荒木委員 調査をして、そして事実がはっきりしましたら——この点について実際にやっていない工事を申請まぎわに年度内でやられたような形で申請をしてくる、そしてそれによってまだやられていないのに償却費として費用が水増しをされる、これだけ実際に配電工事がうんと多くなりましたよという形で値上げの必要の一つに使われるということが考えられますが、私は、そういった事態が明らかになれば当然消費者、国民に対して償いをするべきだと思いますが、大臣はどうですか。
  245. 岸田文武

    岸田政府委員 いま御指摘の問題につきまして、私ども率直に申していかなる目的でそういう措置がとられたのかちょっとこの席におりましてはわかりにくい感じがいたします。私どもは、昭和四十九年度につきましてはいわば原価算定期間でございまして、私ども査定いたしますときには申請内容もさることながら、従来からの工事費の支出状況なり、あるいは全体の資産に対する標準的な修繕費の率なり、さまざまの問題を総合的に判断しながら、一定のルールに従って処理をするというやり方をしておるわけでございます。さっそく調査をいたしまして、その内容を明らかにしてみたいと思います。
  246. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 部長が申されましたように、ともかく調査をして、その上に厳正公平な査定を行ないます。そしてその結果につきましては後刻御報告いたしたいと思います。
  247. 荒木宏

    荒木委員 私は、この事実を解明されて、そしてそのことがこの料金査定の上で一体どういう意味を持つか、そのことについてあと若干の時間をいただいて質問を続けたいと思います。  御案内のように、この問題については、前にわが党の神崎議員が本委員会で質問をいたしました。そのときに示された金額は十七億三千万円であります。あの質問の中で明らかにされました事実は、当該の関西電力自身が経費節減、そして投資もうんと抑制をするというふうな方針をとっている。そのために例年夏から秋にかけて行なわれる追加予算も組まずに抑制を続けてきた。ところが年度末のことしの二月になりまして、あわててあと一月ほどの間にこれだけの金を使え、こういって指示をしたのだということが前の質問で明らかになりました。私はこの十七億の支出がもし適正なものでないとするなら、その分については当然申請書の計算の対象から除外さるべきだと思います。これが減価償却費の形でなり、あるいはたなおろし資産の計算上の水増しというふうな形でなりとらえられるとしますと、たとえば今度の申請書によりますと、農事用電力値上げ幅が四円五十八銭であります。従来の十円四銭から今度は一キロワットアワー当たり十四円六十二銭になりました。関西電力自身の見ております農事用電力の需要総量は四百九十万キロワットアワーでありますから、この値上げによって見積もられる増収見積もりは二千二百万円であります。ですから、今度の分を扱うことによって農事用電力値上げをせずに済ますことができる。部長、この問題をよく調査をされて、そして問題の性質が指摘をしたようなことだとすれば、たとえばこういうふうな形で農事用電力を据え置くというような形でごく一部で済むわけです。そういうふうな形で償いをするということで検討をなさるべきだと思いますが、いかがですか。
  248. 岸田文武

    岸田政府委員 先回神崎委員から御質問になりました十七億の工事費の問題は、私もさっそく帰りまして調べてみました。配電工事予算は、関西電力の場合、年度当初五百七十一億を予定をいたしておったわけでございますが、その後需要が急増したり、あるいは物価上昇したりということで、この予算では非常に窮屈になりながら、何とかこのワク内でやっていこうということで処理をしてきたわけでございますが、年度の末になりまして低圧線の過負荷をカバーするということが早急に必要になってきて、また変電所の建設工事をかなり圧縮しましたために、その部分を補うための配電工事が必要になってきたというような事情から十七億を復活したという経緯のようでございます。いわば全体の圧縮の中で需給の均衡をはかっていこう、また夏場の需要に備えていこうといった趣旨から、これが復活を見たという経緯のようでございます。私ども料金査定にあたりましては、能率的な経営のもとにおける必要な原価を最小限にしぼっていくということが基本的な  ルールでございまして、その意味におきまして、各社の工事費関係については特に厳格に見てまいりたいと思っております。それによりまして、総括原価引き下げ料金を少しでも低く押え得るような努力をしてまいりたいと思います。
  249. 荒木宏

    荒木委員 いま部長がおっしゃったような趣旨の返事が前回の神崎議員の指摘に対して、関西電力側の意向として新聞で報道されておることは私も読みました。しかし、それならなぜ実際に工事がやられていないということを認めておりながら、年度を越して未着工であるということを文書自体で書いておきながら設計書をつくり、しかもそれと違う理由まで書けということを監査に備えて指示をするのでしょうか。いま夏場について急に電力需要がふえるというふうな話がありました。昨年の申請のときに出された昭和四十九年の電灯の需要見積もりは七百三十三億キロワットアワしであります。ところが、ことしになって四月に出された申請書によりますと、昭和四十九年は七百三億キロワットアワーにダウンしております。つまり関電が公式に発表したこの申請書によりますと、去年の段階の見積もりよりも、ことしになってむしろ需要は下がった、こういっているわけです。もちろん部門別の問題はありましょう。しかし、この中請書の数字で見る限りは、いま私が指摘したようなことがあわててやられなければならないような理由は見当たりません。しかも、ことしの四月になりまして、関西電力が昨年に続いてまた供給規程の変更を申請した。四月二十四日の朝日新聞の報道によりますと、消費者団体の代表者が関電を訪れ、吉村社長らとひざ詰めで話し合った。会社としてはどんな経営努力を払っているのか、これに答えて社長の回答として、電源工事以外の設備投資は繰り延べている、紙一枚の節約にもつとめて値上げ申請書の質まで落とした、現場では一センチの電線も大切にしているというのです。一センチの電線も大切にしているといいながら、なぜ十七億円もの電線を設計書もつくらずに、しかも、理由も虚偽のことを言って、通産省に対しては理論武装をせよとまで言って、どうしてそれを形の上で出したことにする必要があるのでしょう。この点について、この鉛筆一本、紙一枚と言われますことが、この関西電力新聞の社報の上で再三繰り返されている。そして申請書の中でまでそういうふうな指摘があって、なおかつこういう指示が出されている。ですから、この料金査定の問題にあたって、先ほど農事用電力の問題をあげましたけれども、たとえば定額用の電灯は値上げ幅が今度一円十三銭であります。それの需要見積もりは申請書によりますと一億八千九百万キロワットアワーでありますから、これを据え置くとすれば要るお金は二億一千三百万円であります。この十七億をきっちり皆さんがいまのような方向で、現場でどうなっておるかわかりませんというようなことじゃなくて、ほんとうにきっちりと調べるならば、それの七分の一のお金で定額電灯は据え置くことができます。また、従量電灯にしましても、このうち百キロワットアワーまでしか使っていない人、これは今度ナショナルミニマムということできざみができましたけれども、かりにこの線をとってみますと、関西電力の第十六回のモニタリング調査によりますと、従量電灯の消費量全体の中で百キロワットアワー以下しか使ってない人は一八・二%であります。従量電灯全体の需要の見積もりは六十六億キロワットアワーでありますから、これの一八・二%ということになりますと十二億キロワットアワーになります。これの値上げ幅は今度三円八十八銭ですから、これを据え置くとすると、要る費用が四十六億円ということになります。私が先ほど言いました退職給与引当金をかりに私どもが先ほど大臣にお見せしたように、いまのような過大計上をやめて、そして労働者の者のほうも考えながら一割というところで置くならば、それでも実際に比べてはまだ三倍もの計上になるわけです。そういうふうにするならば百億のお金が浮いてきて、十七億と合わせ百十七億です。半分以下の分でもってこの百キロワットアワー以下のところは据え置くことができるわけですよ。また、先ほどのモニタリング調査によりますと、百五十キロワットアワー以下しか使っていない人は、消費量が従量電灯全体の中の四六・九%であります。ですから、これは従量電灯全体の需要見通しの中で約三十億キロワットアワーになります。約半分弱ですからね。値上げ幅は、先ほど申し上げたとおり三円八十八銭ですから、全部これを据え置くとすると、要る費用は百二十億であります。この百億と十七億をきっちり皆さんが査定をすることによって、いまあれほど公聴会の中で据え置きをしてほしいというふうな意見が出て、また私どもの党をはじめずいぶんと据え置きの陳情がありますが、その分を皆さんが誠実に査定をなさることによって実現をすることができるわけです。先ほど部長は調査をして報告をすると言われました。調査の結果によっては、いま私が提案したような方向でそれを考慮に入れて検討なさるべきだと思いますが、誠実にひとつお答えをいただきます。
  250. 岸田文武

    岸田政府委員 私ども原価計算期間において能率的な経営を最大限に追求して、必要な経費というものがいかにあるべきかということについては極力細心の注意を払って審査をし、査定に反映をさしていきたいと思います。
  251. 荒木宏

    荒木委員 いまそういうことを聞いているのじゃありません。具体的な事実を指摘しました。皆さんは調査するとおっしゃった。調査した結果明らかになればこういうことができると言いました。どうです。
  252. 岸田文武

    岸田政府委員 御指摘の中で電気事業にほんとうに使われてもいない、形の上だけの支出があるというようなことがかりに事実であれば、これはもう料金に入れるべきでないことは当然でございます。私どもも、こういった電力料金の及ぼす社会的な影響、国民の家庭への影響ということは十分心得ておるつもりでございます。少しでも下げられる要素があれば下げていくということで審査をしていきたいと思っております。ただ、それを処理いたします際には一定のルールがございます。そのルールを尊重しながら、なおかつそれをうまく使っていくという形で処理をしていきたいと思います。
  253. 荒木宏

    荒木委員 実際にそういうことがあれば入れるべきではないとおっしゃった。この申請は四月八日付であります。その時点で関電が、確かにこれでありますよと代表者の判を押して責任を持って出してきたこの申請書について、そこのところで使われていない分があれば、それは入れるべきではないとおっしゃった。入れるべきではないとすれば、それは一体どこへ使いますか。いろいろな方法がありましょう。私が提案したのは、公聴会で出た意見をもとにして、そうしてわが党が出しておる政策も含めて具体的な提案をしておる。大臣はそれについて誠実に検討すると言われました。事務当局として、大臣の答弁を受けて誠実に検討なさる御用意があるかどうか。いまの具体的な提案について検討される用意があるかどうかということをおっしゃってください。
  254. 岸田文武

    岸田政府委員 いまちょうだいをいたしましたので、私もこれは一つの提案として十分勉強さしていただきたいと思います。
  255. 荒木宏

    荒木委員 先ほど申しましたように、記者会見で鉛筆一本一紙一枚まで節約している、一センチの電線も粗末にしていない、こういう新聞記者の皆さんに対する社長の話であります。そうして申請書を見てみますと、この申請にあたっての変更を必要とする理由というところにこう書いてあります。「工事資金・諸経費を大幅に節減して」しかし、このままいくと「必要な工事資金の調達はますます困難となり、」——大幅に節減するという人がどうしてこういうふうな扱いをするのでしょうか。このままいくと工事資金の調達が困難になると言うような人がどうしてこういうふうなやり方をするのでしょうか。申請書は通産省あてに出されたものであります。記者会見での発表は、報道界の皆さんの仕事を通して国民に対して発表したことになります。そして同時にあの申請書は、この委員会での論議の基礎として政府の皆さんのほうからも私どもはいただきました。この委員会での論議の基礎になっているものであります。国民に対して偽りを言い、政府に対して真実でないことを言い、この国会の論議の基礎になっておる部分についてまでいまのようなことがあるとしましたら、私どもは、政府調査調査として厳格にやっていただきたい。そうしてその結果は、先ほどの提案も含めて報告をしていただきたい。  あわせて、この問題は国会としても明らかにする必要があると思います。審議の基礎になっておる申請書、そして国民に対して向けられたことばに問題があるからであります。委員長にお願いをいたしますが、どうか理事会でおはかりをいただいて、直接この企業の代表者を国会にお呼びいただいて、このことの真否と是非、経過を国民の皆さんの前に明らかにするよう、ぜひお計らいをいただきたいと思います。
  256. 濱野清吾

    濱野委員長 ただいまの申し入れば理事会で十分協議いたしまして、趣旨にできるだけ沿うよう努力いたします。  荒木さん、まだ述べますか。
  257. 荒木宏

    荒木委員 最後に、一言だけ申し上げておきます。  初めに大臣にわが党の政策をお示しいたしました。誠実に検討するというお約束もいただきました。公聴会も終わりまして、いろいろな意見が出されて、その中で、先ほど指摘しましたような公述人としての強い意見がある。皆さんよく御承知のとおりであります。それを尊重して誠実に査定を進められて、この物価高のおりに値上げを抑制すべきであるという国民の要望にこたえられるように期待をいたしまして、私の質問を終わります。
  258. 濱野清吾

    濱野委員長 次回は、来たる十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十分散会