○稻村(左)
委員 日本の
繊維産業発展という、こういう共通の立場からたいへん長時間審議がなされてまいったわけであります。私は一、二質問を申し上げたいと思いますが、時間の
関係もござい・ますので、私のほうで申し上げて、まとめてひとつ御
答弁をちょうだいいたしたいと思います。
昭和四十二年、
特定繊維工業臨時
措置法が審議をされたわけです。そのときの
通産大臣は菅野さんでありました。あるいはきょうお見えになっておりますところの
橋本局長は原紡
課長であったと思います。この審議の中で、この
政府の
施策を講ずるならば、必ず五年後には一人歩きができるような、すなわち
繊維産業の基盤が強化をされるという、きわめて的確なお答えをされてまいったわけであります。ところが現状は、もちろん内外
情勢の変化の激動、激変と申しましょうか、そういう事情はあるにせよ、いま
繊維はいまだかってないほどの
不況に見舞われておるわけであります。過去の
不況でございますと、これがよければこれが悪いという、こういうでこぼこがあったわけでございますけれども、今度の
不況は、
繊維という名前のつくものがほとんど地盤沈下をしてしまっておる。これはどこに
原因があるか。こういう問題は、先ほど来から同僚議員が質問されたのにほとんど尽きておりますけれども、私は、何としてもやはり
金融、この
不況を切り抜けるには
金融対策が当面の適切な処置であろうと思いますが、
金融だけでは解決できるものではない、そういう意味から、現在の
輸入超過というのは二千億——ちょうど
政府間協定時代にはやはり
アメリカに二千億という
繊維が
日本から輸出をされておりました。そういう
関係から
アメリカの
業界はたいへんに被害が大きい、こういうような形から
自主規制から
政府間協定というものに迫ってまいったわけであります。いまちょうど思い起こしてみますれば、二千億で縁があるようでございますが、いま
日本も二千億の
輸入超過というこの現状をここで正しく直視しなければならぬというように私は
考えておるわけであります。
そこで、まず私がここで申し上げたいと思いますのは、わが自由民主党の
繊維対策特別
委員会でも明日
輸入制限小
委員会というものが発足いたします。そして真剣にこの
輸入問題について取り組んでみたいと思います。そういう意味でひとつ
大臣にお伺いいたしたいと思いますが、先ほど来の
答弁で納得できるところもあると思いますが、私はガットの精神に抵触しないというとなかなかむずかしいと思いますが、どの
程度までにガットに抵触しないままに
輸入制限をチェックできるのか。先ほど来から
海外投資問題がたくさん出ております。
海外投資が逆
輸入されておるという事実は、これは事実としてあるのですよ。そこで、
輸入制限をしなくして
日本の
繊維業界は立つあたわざるものだと私は判断をいたしております。
日本の
繊維産業が大事なのか、それとも
近隣諸国の
繊維産業が大事なのか、たいへん重要な場所に来ておると私は思います。そういう意味から、ばく大な国費を構造改善につぎ込んでおります。また六月に切れる、こういう意味から新たに五カ年を延長いたしまして、膨大な国費をつぎ込もうといたしておりますから、
通産大臣としても、陣頭に立ってこの問題に積極的に取り組んでいただかなければならぬと思います。
金融の問題でございますが、先ほど来からいろいろな御
意見をお伺いいたしておりますと、大体二千五百億、こういったものが
繊維に振り向けられると私は確信をいたしております。しかしながら、いかに
金融の
措置がされたといたしましても、いま
繊維業界は身一ぱいの担保であります。たとえば二千五百億が
繊維に
融資をされたといたしましても、担保問題には
一つも触れなかったのでございますが、
政府三行においては担保を見直すというところにひとつ
大臣は積極的に取り組んでいただかなければならぬと思います。いかに
金融が張りつけされたといたしましても、担保問題で過去においてほとんど消化ができなかったのでございますから担保問題の見直しをする、こういうところに
大臣に積極的に取り組んでいただきたい、こういったことをひとつお願いをしなければならぬと思います。
最後に、特に私はお願いをいたしたいと思いますのは、この
輸入超過によるところの
滞貨物資というものはきわめて数量がつかみ切れないといわれております。これが
日本の市場にはんらんをしつつあります。これはたいへんなことだと私は思います。それからまた、これが
海外にダンピングで流れようとしております。私はやはりこれが
海外にダンピングをされ、
国内にダンピングをされた——
海外にダンピングをされたという場合におけるところの国際信用、こういったことを
考えますときに、これは
政府の
施策の誤りのあることもここで追及しなければならぬと私は思います。なぜならば、外貨減らしというような
関係から
輸入を促進したというこの事実はきわめて多いわけであります。そういう意味から、いま
滞貨されておるところの物資に対して
凍結をしなければならぬと私は思います。そういう意味で、
滞貨買い上げというようなことは申し上げませんが、
凍結資金をここで特に特
ワクで出す
考え方があるかどうか。これを出さなければ、おそらく
繊維業界はどのような
施策を講じても、これは決して立ち向かうことはできないと私は思います。そういう意味で、今度の
繊維構造改善臨時
措置法は前の
特定繊維と違いまして、四
業種にとらわれず、
繊維業種を全体の
ワクの中に大幅に広げていった、しかもまた、小規模零細に対してもたいへんな、税制面においても
金融面においても、また振興事業団から二分六厘という低利長期という
一つの貸し付け等を
考えた場合、今度の
法案は
業界にとっても、また
繊維業界全体にとってもたいへんよい法律であると私は思います。しかしながら、何ぼ法律がよくても五カ年後にどういうバラ色の展望に立つことができるかということを私はたいへんこの
法案の審議の過程の中で痛切に
感じてまいったわけであります。そういう意味から、先ほど来申し上げたところの諸政策なくしてこの
法案をかりに通過させたといたしましても、五年後のバラ色の展望ということが約束できるかどうか。私はいま申し上げたところの政策をきめこまかく実現をしなければ、せっかくのこの構造改善の臨時
措置法案も、第一次の
特定繊維工業の臨時
措置法案と同じことになるのではないかという心配をいたしておるわけであります。
そういう意味から、時間の問題がありますので、
大臣にいま三つの点をお伺いしたわけでありますが、たとえばガットの問題に抵触しないという範囲内でどの
程度まで——あなたが勇断をもって陣頭に立ってもらわなければならぬと思います。勇断をもってどの
程度まであなたが行政指導できるかどうかという問題であります。
また、
金融の問題でございますが、
金融はり張つけをされたといたしましても、
繊維業者には担保がありません。その担保を
政府三行に限ってけっこうでございますが、担保をどういうふうにして見直しをさせていくのかというこの問題であります。
それからもう
一つは、
最後に申し上げたところの
凍結資金の問題であります。これは大事であります。この物資がいま町にダンピングで出されております。また
海外にも出されております。
海外の場合は国際信用の問題、また
国内においては
繊維のたいへんな
不況に輪をかけるということに
なりますので、この
凍結資金の低利長期の問題についてどう
考えるか、もちろんこれは
業者がある一定の期間に責任をもって販売をする、こういう責任はとらせなければならぬと思いますが、この三つの点について特にひとつ簡単に明快に御
答弁を願いたいと思います。
それからもう
一つは、時間がありますとたいへんいいのでございますけれども、時間が制約されておりますので、今度の大手三社の問題でございますが、たいへんな利益を計上しております九月決算、それから三月決算において九十億、もちろん世間受けを
考えまして内部保留を相当額とっておるわけです。特に全繊同盟との
交渉においては三二・六%、
日本の花型産業であるところの自動車産業よりも早く妥結をしているこの事実は、私は
中小企業に与える影響はきわめて大きいと思います。こういった問題については、これはお答えは要りませんが、参考までに御
意見をお伺いしておきたいと思います。
以上三つの点について御
答弁を承って、私の質問を終わりたいと思います。