○林(信)
政府委員 お答え申し上げます。
海外で事業をやります場合は、現地尊重あるいは現地融和ということを基本といたしまして現地の
開発、発展に貢献するということが目標でなければならぬわけでございまして、こういう要請というのは、一般工場活動と同様に
鉱山開発の場合もきわめて重要な要請だと考えております。特に
鉱山の場合、ただいま近江
先生御
指摘のように、保安の問題、それから鉱害の問題が特につきまとっておるわけでございます。したがいまして、現地におきます
関係法規を厳守することは当然でございますが、
日本側といたしまして公害を輸出しないということが絶対の要請だと考えております。こういった趣旨で、昨年六月、経済
関係五団体が発展
途上国におきます
海外投資活動のあり方と指針という一般的な方針を発表しておりまして、その中で、受け入れ国の環境
保全に十分つとめるという趣旨も盛り込んでおるわけでございます。
私ども通産省といたしましては、こういった
方向を前提にいたしまして、より具体的に
鉱山開発の場合に保安と鉱害防止に万全を期するという
方法をとってまいっておるわけでございます。
具体的に申し上げますと、先進国に出ます場合には、相手国に法規及び監督体制が完備されておりますので、一般的には問題がないかと思われますが、問題は発展
途上国の場合でございまして、この場合には、鉱害
関係の諸法規がございましても不備である、あるいは監督体制が十分でないというふうな例が一般的でございます。したがいまして、ただいま私どものほうでは、こういったやり方で未然に防止をすべきではなかろうかということで検討しておる
段階でございますが、
一つは、事前に計画をチェックいたしまして、
国内の諸法規に準ずる程度以上のことは少なくとも現地でもやって、保安の確保あるいは鉱害の防除に協力をさせる。それから第二番目といたしまして、大使館あるいは
金属鉱業事業団あるいはその他の
関係の現地の
政府及び
政府関係機関の者が機会がございますたびに現地に参りまして、そういった事前の計画と現地とのチェックを行なう、あるいは必要に応じまして現地から専門家より構成されました調査団を派遣いたしまして、その操業状況を指導監督するというふうなやり方が考えられる
方法でございます。
ただいままでに私どものほうがチェックいたしておりますのは、自主
開発の一番大きなプロジェクトでございますムソシ
鉱山の場合でございますが、この場合は、一応鉱業法規が現地にございますし、大統領令あるいは大統領の演説といったようなものがその根拠法規になっておるようでございますし、
政府組織といたしましても、
鉱山局もあり、あるいは自然保護局もあり、監督官あるいは鉱害調査官というふうな
制度も一応はあるようでございます。ただし、排出基準が具体的にございません。したがいまして、ムソシ
鉱山では、
日本の
国内法規に準じた排出基準を援用して安全、鉱害防除に当たっておるわけでございます。たとえばここは精鉱までの
段階でございますので、煙よりはむしろ水が問題でございまして、PHにつきましては八、銅につきましては〇・五、あるいは懸濁物につきましては一〇〇というふうな数値で、
日本のこういった数値と比べまして遜色のない、それ以上の数値を基準にして鉱害防除をやっておる。なお、この危害防止のための安全規定も、
日本の場合とほぼ同様な規定を設けて実施しておりますし、こういった基準は、ザイールにおきますベルギー等諸
外国の事業所の場合に比べましてすぐれた基準になっておるというふうな評価を受けておるように聞いております。