運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-04-09 第72回国会 衆議院 商工委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月九日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君       天野 公義君    稲村 利幸君       粕谷  茂君    木部 佳昭君       近藤 鉄雄君    塩崎  潤君       島村 一郎君    田中 榮一君       丹羽喬四郎君    橋口  隆君       八田 貞義君    松永  光君       保岡 興治君    岡田 哲児君       加藤 清政君    加藤 清二君       佐野  進君    渡辺 三郎君       米原  昶君    松尾 信人君       玉置 一徳君    宮田 早苗君  出席政府委員         科学技術庁原子         力局次長    生田 豊朗君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         通商産業省機械         情報産業局長  齋藤 太一君  委員外出席者         環境庁大気保全         局大気規制課長 石田  齋君         工業技術院標準         部長      佐藤淳一郎君         工業技術院計量         研究所研究企画         官       飯塚 幸三君         工業技術院計量         研究所第二部長 高田 誠二君         工業技術院電子         技術総合研究所         放射線研究室長 森内 和之君         工業技術院電子         技術総合研究所         標準計測部長  菅野  允君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       井上  力君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君 委員の異動 四月九日  辞任         補欠選任   越智 通雄君     保岡 興治君 同日  辞任         補欠選任   保岡 興治君     越智 通雄君     ————————————— 四月五日  京葉ガス料金値上げ反対に関する請願(小濱  新次君紹介)(第三六二六号)  中小企業の経営安定に関する請願大久保直彦  君紹介)(第三六二七号) 同月八日  繊維産業に対する緊急救済対策に関する請願  (渡部一郎紹介)(第三九六八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  計量法の一部を改正する法律案内閣提出第六  三号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 田中六助

    田中(六)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、委員長指定により理事の私が委員長職務を行ないます。  連合審査会開会申し入れに関する件についておはかりいたします。  外務委員会において審査中の内閣提出国際協力事業団法案について、同委員会連合審査会開会申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中六助

    田中(六)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会日時につきましては、委員長間において協議の上決定いたしますので、御了承願います。      ————◇—————
  4. 田中六助

    田中(六)委員長代理 参議院から送付されました内閣提出計量法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤清政君。
  5. 加藤清政

    加藤清政委員 私は、計量法の一部を改正する法律案についてお尋ねしたいと思います。  過般、上坂議員から日本電気計器検定所の問題について質問がありましたが、私も本案の最大目的である消費者利益保護という立場から、検定機構あり方という問題からまず若干の質問をいたしたいと思います。  電気計器検定につきましては、計量法八十六条以下に定められているわけでありますが、いま申し上げました日電検昭和三十九年の第四十六国会で可決されました日本電気計器検定所法に基づいて設置された特殊法人であります。そして私がこれからお尋ねしたいと思いますのは、この法律の可決にあたっては衆参商工委員会附帯決議がつけられているわけでありますが、その中に、「新法人設立後は、電気計量追跡検査を十分に行なうよう努めること。」という一項があるわけであります。つまり電気計器については、単に当初検定するだけではなくして、自分たち検定して適正と判断した計器につきましては後々まで責任を持ってチェックしなさいよという意味であろうと思うわけであります。  そこで、本題に入るわけでありますが、まず第一にお尋ねいたしたいのは、これまで検定所のサイドで家庭用普通電力計一般にはハウスメーターと呼ばれているものについて、これまでに追跡検査をされたことがありますかどうか。その点お尋ねしたいと思います。
  6. 井上力

    井上説明員 お答えいたします。  衆参両院商工委員会におきまして日本電気計器検定所法が採決されました際につけられました附帯決議によります追跡調査をやっているかというお尋ねでございますが、昭和四十三年から四十四年にかけて日本電気計器検定所に対しまして、ハウスメーターについて、ハウスメーターだけではございませんが、ハウスメーターを主体にいたします電気計器器差、それから始動電流、それから潜動及び絶縁抵抗に関する追跡調査を行なわせております。その結果については、型別に若干のばらつきがございましたけれども、比較的良好であったというふうに報告されております。  それから、その後、昨年から同じく同検定所に対しまして検定後三年を経過した計器、それから五年を経過した計器及び有効期間を満了した計器につきまして上記と同様の検査項目で現在追跡調査を行なわせております。
  7. 加藤清政

    加藤清政委員 それでは、もし一般消費者が、私のうちのメーターがどうしてもおかしいから一度検査してほしいと申し込んだら、日電検は調べにきてもらえますか。
  8. 井上力

    井上説明員 電力会社の窓口に、おかしい場合には申し込んでいただきますれば、計器正確度についてのチェックはいたすことになっております。
  9. 加藤清政

    加藤清政委員 なぜ私がこんなことを質問するかと申しますと、電気については、先日の委員会での中曽根通産大臣答弁でも明らかにされましたように、五月の下旬ごろまでには料金値上げの結論が出されるようでありますけれども、そしてまたハウスメーターについてはすでに昭和三十七年に使用期限が五年から七年に延ばされております。電力会社にとってはまことに延ばされたということはけっこうなことかもしれませんが、しかし私は、どうしても消費者のほうが置き去りにされているような感が深いわけであります。電力会社計器メーカーは、たとえばそういう計器検定をこれまでの全数検定から抽出検定に切りかえまして能率向上をはかりたいという意向を持っていると聞いておりますが、私は、もしメーター性能が向上したというのであるなら、検定公差及び使用公差をもっとシビアにして、消費者が余分な金を払わなくても済む方向に指導すべきだと思うのです。現在のハウスメーターではプラス、マイナス三・〇ないし三・七の使用公差が認められているわけでありますけれども、もしかりに使用公差プラス三・〇といたしますると、月に二千円の電気代を払っている人は、その料金のうちの三%、つまり六十円はメーターの誤差によって支払わされるということになるわけであります。全国で三千万世帯に取りつけられているそうでありますから、そうすると、月に十八億円、年にすると、実に二百億以上が電気料金として支払わされることになるわけであります。これは仮定の計算でありますけれども、実際にはこうなるかどうかは別にしても、あるいはこのプラス三ということだけではなくて、それ以上支払わされているかもしれませんが、いずれにしても、こういう余分な支払いを極力なくなしていくことが消費者のほうに顔を向け、いわゆる消費者利益立場に立ったということで非常に重要な問題であろうと思いますし、またそういう行政だと思うのでありますけれども、この使用公差圧縮ということが考えられないかどうか、その点お尋ねしたいと思います。
  10. 井上力

    井上説明員 お尋ね使用公差圧縮の問題でございますが、昭和四十二年に御指摘のように政、省令改正いたしまして、ハウスメーター有効期間を五年から七年に延長しております。これはハウスメーターの技術的な内容の進歩によるものでありますが、この際に同じく計器内容を十分検討いたしまして、従来検定公差が三%、それから使用公差が四%であったものをこの同じ四十二年の政、省令改正の時期に検定公差を二%、使用公差を三%というふうに公差についても一%ずつ圧縮しておる次第でございます。  さらにこれを圧縮できないかという問題でございますが、検定公差及び使用公差を縮めるということになりますと、計器価格が非常に高くなる。それから最終的にはこれはやはり消費者負担になるということがございます。さらにメーター精度を上げますと検定手数料も値上がりするということにもなります。それから、現在のハウスメーターの技術的な水準でございますが、こういった点も十分検討いたしておるわけでありますが、外国におきますハウスメーター検定公差あるいは使用公差等の例も十分参酌いたしまして、経済的な点あるいは技術的な水準というような点から考えまして、四十二年に改正されました検定公差二%、使用公差三%という水準は、現時点においては適当ではないかというふうに判断しておる次第でございます。
  11. 加藤清政

    加藤清政委員 ただいまの答弁を承っておりますると、どうも釈然としないのでありますけれども、検定公差三%あるいは使用公差四%、それが二%ないし三%に圧縮したという話でありますが、しかし、この一番眼目である消費者利益保護という立場に立ちますると、極力この使用公差圧縮というものをはかっていかなければならないと思うのですが、たとえば計器価格が高くなるとか、あるいは消費者にそれだけ転嫁されるというような問題、あるいはメーカーのこの性能を上げるということになると、それだけ手数料を上げなければならないというお話がいまあったわけでありますけれども、公差の多寡によって、いま一つの例を取り上げましたが、それだけはかり知れない大きな負担というよりもロス消費者にかけるという立場に立ちますると、極力使用公差圧縮をしていかなければならない。そうして計器優秀性、そういうものをやはりつくっていかなければならない、そのように思うわけでありますけれども、ほかにもまだ質問いたしたいことがありますので、この問題について最後にひとつ政務次官お尋ねしたいと思います。  検定所のようなところは、ふだんはあまり目立たないじみな存在ですが、実は非常に大切な機構であると考えられるわけであります。先ほども使用公差のいわゆるロスによっては消費者にはかり知れない負担をかけるというような一例をあげましたけれども、こういうところは、非常に大事な機構であり、大切なところであるにもかかわらず、独立採算制を採用している。それがゆえに経営が苦しくなり、それを打開するために、抽出検定に切りかえようとしたり、あるいは新規採用を減らすことによって人件費人減らしをはかっていくというようなことは、これはもう大きな間違いであろうと思うわけであります。この点一体どう考えておりますか。さらに、検定所機能充実させるために、政府資金をもっと投入するというような積極的な機能強化策というものを考えられないか、そのように思うわけであります。  そこで、さらにお尋ねしたいのは、いわゆる独立採算制をやめて、むしろ消費者保護検定機能充実というようなことをあわせて考えなければならないと思いますが、この点について政務次官の御所見を承りたい。
  12. 森下元晴

    森下政府委員 計量行政消費者本位でなくてはいけない、そういう法の精神でございまして、電気計器検定所におきましても、この公差等によって電気をお使いになる消費者の方に迷惑をかけないように、先生指摘のように月間で十八億とか、かなりの膨大な金額が算定されるわけです。これは極端な例だと思いますけれども、ともかく消費者本位とした計量行政でなくてはいけない、そういう観点から、やはりこの精度というものは厳重にチェックすべきでございます。また、いま係から説明いたしましたけれども、あまり精度を追及するあまり、いろいろコスト等また手数料等が上がることも電気料にはね返るような問題もある。いろいろ矛盾点もございますけれども、機械のことですから、全然零というわけにはいきませんけれども、できるだけこの差を縮めまして、消費者の方に御迷惑をかけないように指導していきたい。  なお、政府出資によってそういう検定所の赤字を補う必要があるかどうか、またそうすべきであるというような御意見でございますけれども、現在のところは、いろいろ償却等内容を見ましても、まだ政府からそういう形で出資しなくても十分いけるだけの合理化の要素もございます。また、いろいろ定員等のことを考えましても、人員整理の問題とか、そういうことはわれわれは考えておらないし、手数料も先般上げまして、何とかめどをつけておりますし、そういう関係もよく勘案いたしまして、計量行政、特に電気計器計量行政が十分に行なわれますように努力をしていきたい、そういう指導をしていく所存でございます。
  13. 加藤清政

    加藤清政委員 いま政務次官から、できるだけ公差を縮めて、消費者利益立場に立ってやっていきたいという御答弁がありましたし、さらに精度をチェックして検定機能充実をはかりたいという前向きの御答弁があったわけでありますので、ひとつ検定所機能充実させていただきたい。そのためにはどうしたらよいかといいますると、やはり何といっても、私も過日現場を見ましたけれども、計器がたいへん重いわけでありますけれども、重い計器をおろしたり上げたりするたいへんな労働がされておるというのをまのあたり見たときに、検定機能充実させる前に、それを扱う人員の充足が実に必要だなあということを目で見て実感したわけであります。いま政務次官から、検定所機能充実させ、公差を縮めていきたいと、消費者保護立場に立って前向きな御答弁がありましたので、さらに一そう検定所機能充実させるようにひとつ御配慮をお願いしたい、そのように思います。  次に、今回の計量法改正の中にもあります計量士についてお伺いしたいと思います。まず、この計量士職務はどういうものであるのか、また、現在計量士はどのような面で活用されているのか、この点をお尋ねしたいと思います。     〔田中(六)委員長代理退席委員長着席
  14. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 計量士職務でございますけれども、計量法の第百五十九条で計量士職務規定いたしております。計量士は、計量器の整備、計量の正確の保持、計量方法の改善その他適正な計量実施を確保するために必要ないわゆる計量管理職務とする、こういうふうに規定をいたしておりまして、平たく申しますならば、工場あるいは店舗等、非常に計量器をたくさん使いますところにおきまして、計量器を整備し、正確に保持し、そして計量方法を改善していく、こういうのが主たる任務となっております。  具体的にどういう面で計量士が使われておるかということでございますけれども、法律規定いたしております計量士の具体的な職務といたしましては、一つは、計量器につきましては定期検査というのをいたしておりますが、その定期検査につきまして、計量士が、府県なり特定の市といった定期検査を行なう権限のある公共機関にかわって検査をすることができるというふうになっております。  それから二番目は、計量証明事業者という、公に、あるいは第三者に取引計量証明をする事業者がございますけれども、これらの事業者が使用いたします計量器につきましては、一年に一回検査を受けることになっておりますが、この年一回の検査計量士が同じく代行できることになっております。  それから非常に大量に計量器等を使用いたします工場事業場あるいは店舗等におきましては、いわゆる計量器使用事業場という制度がございますが、この使用事業場におきましては、やはり一年に一回計量器検査を受けることになっておりますけれども、この計量器検査も、計量士公共機関にかわって行なうことができる、こういうふうになっておりまして、そこら辺が計量法に定めております計量士の仕事のおもなものでございます。
  15. 加藤清政

    加藤清政委員 ただいま御答弁がありました中に、計量器使用事業場制度という御答弁がありましたが、その計量器使用事業場制度というものはどういう制度であるのか、現在これが全国でどのぐらいあるか、そのうち販売業の占める比率はどの程度になっておるか、その三点についてお尋ねしたいと思います。
  16. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 計量器使用事業場制度と申しますのは、計量器を大量に使っております工場あるいはデパートあるいはスーパーマーケットあるいは大型店舗といったようなところにおきまして、計量管理を助長し適正な計量実施を推進するための制度でございます。  具体的に申しますと、この事業場指定を受けますには、全国的な地域であれば通産大臣府県事業場がございます場合には都道府県知事指定を受けることになっておりますが、計量士がおること、それから一定検査設備を持っておることというのが指定の要件になっております。この計量器使用事業場になりますと、一年に一回計量器検査を受けなければなりませんが、それにつきましては、ここに所属しております計量士がこの検査を行なうことができるということになっておるわけでございます。  全国に現在どれぐらい計量器使用事業場があるかという御質問でございますが、国が指定をいたしておりますものが現在二万五千五百九事業場ございます。内容郵便局あるいは国鉄あるいは専売公社ガス電気事業場といったようなものが主たるものでございます。それから知事指定をいたしておりますものが五万一千五百八十一事業場ございます。これは一般製造業でございますとか、販売業が主たる内容でございまして、合計いたしまして七万七千九十事業場が現在指定を受けております。この中で販売業の占めております割合は、販売業が三万一千八十五事業場でございまして、全体の約四〇%を占めております。
  17. 加藤清政

    加藤清政委員 いま御答弁がありました、大体販売業については七万七千九十事業場の中で三万一千八十五事業場で、全体に占める割合が四〇%を占めておるというたいへん高い率を示しておるわけでありますけれども、販売業かなり事業場がこういう申請を出しておるようでありますが、販売業のうち、デパートスーパーなどの大規模小売り店について計量器使用事業場になることを義務づけてはどうかと考えますが、この点いかがですか。
  18. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 計量器使用事業場は、御指摘のように大量に計量器を使用する事業場指定制度でございまして、その事業場におきましては、特に計量士を置きまして正確な計量を期するようにいたしております。そういう意味合いからいたしますと、特に取引用計量器を大量に使っておりますデパートあるいはスーパーといったような大型小売り業等特定業種一定規模以上のものにつきまして、計量器使用事業場になることを義務づけて正確な計量なり適正な計量を確保するという必要があるのではないかという御意見は、私どもも従前から承っておるところでございます。この問題につきましては、実は昨年の八月に計量行政審議会に今後の計量行政あり方を諮問いたしまして、二年計画で現在審議中でございます。今回そのうちの一部につきまして中間答申が出まして、きょう御審議をお願いいたしております本改正案におきましては、公害計測関係充実等々の一部の改正をいたしておりますが、ただいま先生指摘の点につきましては、なお引き続きこの計量行政審議会におきまして検討をいただきまして、答申が出ますことを期待いたしたいと考えております。
  19. 加藤清政

    加藤清政委員 私は、これらデパートだとかスーパーなどは、非常にたくさんの種類の品物を取り扱い、しかも対象が一般消費者であることから、これらの業種において適正な計量が確保されるということは、今回の改正の中心でもある消費者保護という観点からもたいへん好ましいことであろうと思いますし、計量というものに対する国民の認識を高める上でもいいのではないかと考えるのでありますけれども、そういう点についてひとつお答え願いたいと思います。
  20. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 適正な計量を確保するという目的から、特に大量に計量器を使用いたしますデパートスーパー等大型小売り商につきまして、一定規模以上のものにつきましてこの計量器使用事業場指定を義務的に受けさせるようにしたらどうかという御意見につきましては、計量行政審議会で今後慎重に検討いたしてまいりたいというふうに考えております。
  21. 加藤清政

    加藤清政委員 時間が参りましたので、質問を終わります。
  22. 濱野清吾

  23. 板川正吾

    板川委員 計量法の一部を改正する法律案について若干質疑をいたします。  計量法は、特許法鉱業法とともに、通産省所管の三大法律といわれておるそうであります。確かに膨大な内容を持った法律であります。法律を概観いたしますと、われわれの日常生活経済取引に不可欠な事柄を定めておりまして、たいへん重要な法律であります。物象の基本を定めており、まことに多岐、複雑、難解な条章ばかりであります。幸い本日は専門家を招いておりますから、しろうとにもわかりやすい説明をしていただきたいと思います。  そこで、まず改正点質疑に入る前に、計量法一般について若干の質問をいたしたいと思います。  お伺いしたいことは、計量といわれる意味、これはどういうふうに説明願えますか、計量法のいう計量という意味をひとつ御説明願いたい。
  24. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 計量法におきます計量と申しますと、計量法第二条に規定をいたしておりますが、長さをはじめといたしまして七十六の物象状態の量をはかることを計量というように規定をいたしております。
  25. 板川正吾

    板川委員 従来、度量衡という一般的なことばがありますが、この度量衡計量というものとの違いがありますか。
  26. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 ことば意味といたしましては、計量度量衡は同じ意味合いだと存じます。ただ、実質的な違いといたしましては、いわゆる戦前の度量衡法時代物象状態の量は数が少なうございましたけれども、昭和二十六年以後の新しい計量法におきましては、ただいま申しましたように、たくさんの種類物象状態の量が計量として規定をされております。
  27. 板川正吾

    板川委員 それでは度量衡法時代から、計量法が制定されて今日に至るまでの沿革について、若干説明をしてもらいたい。
  28. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 わが国での計量制度でございますけれども、古くは千数百年前の大宝年間に一応の形態が整えられたといわれておりますが、法律といたしましてきちんといたしましたのは、明治二十四年に成立を見ました度量衡法からでございます。この明治二十四年にできました度量衡法では、全体が十五条から成り立っておりまして、非常に簡素な法律の形をなしております。単位といたしましてはいわゆる尺貫系を採用いたしておりましたが、その後メートル条約に加盟をいたしまして、メートル原器キログラム原器を受領いたしましたので、メートル法と尺貫法の併用の形になったのでございます。  なお、その法律内容におきましては、誘導単位、補助計量単位の規定、それから計量の標準の保管の責任の規定、製造事業、修理事業、販売事業の免許制といったような規定、それから計量器検定、取り締まりを地方長官が行なうといったような規定を置いておりまして、条文数は簡素でございましたけれども、法律の体系といたしましては、現行法体系と構成としてはあまり変わっておりません。  その後、明治四十二年に大改正が行なわれましたけれども、この改正の一番大きな要点は、ヤード・ポンド法の単位をこの度量衡法の上で認めたかっこうになった点でございます。このヤード・ポンド法、メートル法、尺貫法と三つが計量単位として存在しましたことが、その後の単位統一を非常に妨げてまいりました点は御承知のとおりでございます。その後若干の修正がございましたけれども、この大綱にあまり変革がなくて約半世紀を経過したわけでございますが、終戦を契機といたしまして、いろいろ行政制度等も変革がございましたので、昭和二十六年に現在の計量法が制定をされました。  現行の計量法と、それ以前の旧度量衡法とを比べてみますと、条文の数なり、規定の詳細さという点におきまして、現在の計量法はきわめて詳細かつ緻密でございます。これは国民の権利義務に関係するような問題はことごとく法律事項として定めるという戦後の立法の方針を反映したものであろうかと存ずるわけでございます。
  29. 板川正吾

    板川委員 確かに過渡期的には、わが国では尺貫法をとり、メートル法を入れ、ヤード・ポンド法をとり、しかも英トン、米トンというように、アメリカとイギリスのトン数も若干違いがある、こういうことで計量単位というのが非常に複雑であったわけでありますが、いまやこの計量法によって、メートルを中心とした単位に統一をされた、そういう意味で非常に便利になったとわれわれも思います。メートル条約に基づいて国際度量衡総会の決議があり、その決議の集積が国際憲章的に取り扱われているそうでありますが、この国際度量衡総会でいままで決議してきたおもなる点はどういう点がありますか。
  30. 高田誠二

    ○高田説明員 御質問のように、計量単位に関しましては国際的な統一ということが非常に重要視されておるわけでございます。それにつきましても、古来さまざまないきさつはございますけれども、近年では、御指摘のとおり、すべてメートル法を基本とした国際的な計量単位制度がおよそ世界中の国の過半を占めた国において採用されておるわけでございます。その国際間の協定の基本になりますものがメートル条約でございますが、これは一八七五年五月二十日に結ばれまして、したがいまして、明年その百周年を迎えることになっておりますが、このメートル条約のもとにさまざまな国際機構が設けられておりまして、それの最高決議機関は国際度量衡総会と申します。これはメートル条約加盟各国の政府代表によって構成される国際的な総会でございます。  御質問計量単位に関しましても、国際度量衡総会の決議が最も重要視されまして、これが各国の法律に逐次採用されていくという形態になっております。ただし、その内容は、すでに御議論のありましたように学術、産業の各分野にわたって非常に広範にわたりますので、内容の詳細な審議は、国際度量衡総会のもとに置かれました国際度量衡委員会、あるいはさらに専門的な各種の諮問委員会という諸機関によって議論されて、総会に提出され、決議されるという形態になっております。  各分野の計量単位の内容につきましては、また後に御説明する機会もあるかと思いますが、全体の仕組みといたしましては、国際度量衡総会、国際度量衡委員会及び各種の諮問委員会の席における研究者、学者、産業界の人々の意見等が集約されて、国際度量衡総会においてあるいは勧告され、あるいは決議され、それが各国の法律に逐次採用されていくという形態になっているということをお答え申し上げておきます。
  31. 板川正吾

    板川委員 では次に、この計量法目的についてお伺いをいたしたいのです。  計量法目的にはこう規定してあります。「この法律は、計量の基準を定め、適正な計量実施を確保し、もって経済の発展及び文化の向上に寄与することを目的とする。」こうあります。計量法は、運用上では、最近正確な計量、正味量の表示、家庭用品の計器検定、さらに今回は環境計測の規定などが追加されておりまして、こういった計量法内容は、目的の中に消費者保護という大きな目的、使命というのが課せられておると思うのです。この法律全体が消費者保護目的を持っておると思う。ところが、この目的の中に「文化の向上に寄与する」とありますが、消費者保護規定がない。これはどういうわけでありますか。「文化の向上」ということと計量法の整備ということにどういう理由づけがあり、消費者保護規定が抜けておるのはどういうことですか。この点の説明を願いたい。
  32. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 ただいま先生指摘のように、計量法は、従来度量衡法時代にいろいろメートル法以外のものも計量単位としてございまして混乱を来たしておりましたが、現在の計量法になりましてからはメートル法一本にしぼられまして、各国との共通の制度ということで単位が定められつつあるわけでございます。このメートル法に基づきまして正確な計量を行なうということによりまして、一面では経済の発展に寄与するわけでございますが、もう一面は、いわゆる国民生活の向上、消費者保護といったような効果もあろうかと存じます。そういった面を総合いたしまして、これは古い法律でございますので、昭和二十六年でございますが、「文化の向上」といったようなことばで総称をしたというふうな経緯がございます。したがいまして、この「文化の向上」の中に消費者保護も入っておる、こういうふうに私ども了解をいたしておるところでございます。
  33. 板川正吾

    板川委員 「文化」というのを広辞苑で調べてみましたら、「世の中が進歩し文明になること。」もう一つは「自然を自然のままに委ねておくことなく、技術を通じて人間の一定の生活目的の達成に役立たせること。」という解説があります。「自然を自然のままに委ねておくことなく、技術を通じて人間の一定の生活目的の達成に役立たせること。」これを広く解釈すれば、ぐるぐる回って消費者保護も含ませるということになるかどうか知りませんが、私は、経済の発展と文化の向上に寄与するというばかりでなくて、明確に消費者保護という規定目的項目の中に入れるべきじゃないだろうかと思いますが、いかがですか。
  34. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 立法当時の経緯といたしましては、「文化の向上」ということばで、国民生活の向上、消費者保護といった両面をあらわしたつもりであったようでございますけれども、御指摘のように、消費者保護というのが非常に重要な問題になっております今日におきましては、ややこのことばは舌足らずという感じがないでもございません。そういう意味合いにおきまして、今度の計量行政審議会におきまして、計量法の全面的な見直しをいたしておりますけれども、ただいま御指摘のような点もあわせて審議会におきまして検討をしていただきたいと考えます。
  35. 板川正吾

    板川委員 昭和二十六年は消費者保護などという社会概念が実はなかったのですよ。その後ですからね。その後しばしば改定が行なわれてきたのだから、やはり目的規定も、この際、明確に消費者保護という規定を置くべきだと思います。次の機会にはその点を考慮されたいと思います。  次に、この計量法の三条と五条と六条で、基本単位、誘導単位、補助計量単位という規定がございますが、基本単位、誘導単位、補助計量単位というこの関係説明願いたい。
  36. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 計量法では、第三条におきまして基本単位というものを定めておりますが、これは六つございまして、長さ、質量、時間、電流、温度、光度といった、いわば一番計量単位の基本になるものでございます。それからその次に、第五条に誘導単位というものを四十九種類定めておりますが、この誘導単位と申しますのは、面積、体積といったようなものでございまして、基本単位の長さ等をかけ合わせましたりして、そこから誘導されるものがこの誘導単位でございます。それから六条に補助計量単位というものを定めておりますが、補助計量単位は基本単位、誘導単位の倍量あるいはそれをこまかく割りました分量、あるいはこれに準ずるもの、こういうものでございまして、三十六種類ございます。この基本単位と誘導単位と補助計量単位を合わせまして法定計量単位と称しておりまして、取引上または計量上、証明上の計量の場合には、この法定計量単位の使用が現在義務づけられておるわけでございます。
  37. 板川正吾

    板川委員 そこで伺いますが、第三条の基本単位で一から六まで規定されております。そこでこの長さ、いま言いましたように、一として「長さの計量単位は、メートルとする。」「二 質量の計量単位は、キログラム」「三 時間の計量単位は、秒」「四 電流の計量単位は、アンペア」「五 温度の計量単位は、ケルビン」「六 光度の計量単位は、カンデラ」こういうふうに基本単位が示されておりますが、この基本単位の中身をわれわれしろうとにわかるようにひとつ専門家の方から、どういうことなのか、説明を願いたいと思うのです。この機会でありますから、計量法を理解する意味専門家の御高見を承りたいと思います。
  38. 高田誠二

    ○高田説明員 御質問の基本単位の内容について御説明申し上げます。  いずれも最も基本的な計量単位であるということは局長からお答え申したとおりであります。したがって、六個の基本単位は計量法の中の核心となる計量単位でございますが、それだけにその内容はきわめて緻密に構成されておりまして、先ほどもお答えいたしましたように、国際的な研究、討論の場から出てまいりました成果を国際的な討論を経て決議し、それを各国の法律に取り入れていくという形態をとっておりますので、その学問的内容は、近代の科学技術にふさわしい非常に高度かつ緻密なものになっております。それを法律の文面に書きますと、計量法第三条に示されておりますような形になるわけでございますが、御質問の趣旨がそれを平明に説明せよということでございますので、できるだけ御趣旨に沿って御説明いたしたいと思います。  第一に、長さの単位はメートルとするということになっておりますが、長さの単位というものは幾通りでも考えられまして、たとえば人間のからだの寸法を基本にして長さの単位をきめるというような古来からの考えもあり得るわけでありますし、また、つい先年まではメートル原器と申しまして、世界じゅうただ一つの基準のものさし、尺度がメートルの単位をきめるのに利用されていた時代もございますが、それも今日の緻密な科学技術の要請にこたえるには精度が不十分であるという認識が生まれまして、一九六〇年以後は現行の計量法に示されておりますような「クリプトン八六の原子の準位」云々という、たいへん科学的な内容を盛り込んだものになっているわけでございます。これの内容は、クリプトンと申します特別な原子を選びまして、それに刺激を与えますと、そこから光が出る。これは一般の螢光灯などに使用されております光源の原理と通ずるところがあるわけでございますが、クリプトン八六という元素を持ってまいりますと、これが発するある光、これは目に見える感覚としては、だいだい色をした光でございますが、そのような波長を選びますと、波長と申しますものはきわめて一定でありまして、あらゆる精密な計測の目的に対して適当な精度を与え得るということが十数年前に確認されております。そのことを古来のメートル原器と結びつけるために、たいへん複雑な換算係数を計量法の中にも盛り込んでおりますが、その数字は古来から広く用いられてきたメートル原器によるメートルという単位と合わせるために協定した数字でございまして、内容的には古来のメートル原器と現今のクリプトン八六云々という定義とは少しも変わっておりませんが、ただ、その精密度が従来よりもはるかに向上しているというふうに御理解いただきたいと存じます。  次に、質量の単位、キログラム、これは比較的わかりやすいものだと存じますが、先ほど話が出ましたメートル条約関係の国際機構の中に、国際度量衡局という国際中立の研究機関がございまして、そこに保存されておりますキログラム原器と申しますものが全世界のキログラムという単位を現示する役目をしておりまして、これは平たく申しますと分銅でございますが、その分銅の持つ質量が一キログラムであるというふうに定めておりまして、それを基本にしまして各国には各国のキログラム原器というものが配られ、各国の国内法においては、各国のキログラム原価を基準にして、国の内部の質量の計量規定しているということになっております。  次に、第三番が時間の単位、秒でございますが、時間の単位と申しますのは、御案内のように、古くから天文学的な現象をもとにしてきめられてきておりまして、かつてわが国でも一刻というような時間の単位のきめ方も採用されておりましたが、そのような素朴な考え方では、今日の精密な計量目的には不十分であるということで、これにもさまざまな変遷がございましたけれども、現今では第三条に示されておりますように、セシウムという原子を利用した時間の単位を規定する仕組みが採用されておるわけでございます。これも先ほどのメートルの単位と同様に、内容的には現代物理学の知見を採用した非常に高度なものでございますけれども、それの意味するところは、セシウムの特定な原子が発する電磁波の周期、振動数、周波数というものが一定状態をきわめて長時間保つということが研究の結果として知られておりますので、それをもとにして、古来の天文学的な秒という単位と合わせるための換算係数を導入しまして、きわめて緻密な形で時間の単位、秒というものをきめているわけでございます。その成果として、お気づきと存じますが、天文学的な時間のほうの狂いを修正するために、うるう秒というようなものが近年何回か導入されておりまして、これはいま御説明いたしました原子物理学的な単位から割り出した場合に、地球や太陽の運行のほうに多少の狂いがあるということを修正するために導入されているものでございます。  次に、第四番目の電流の単位、アンペア、これは電気を利用する科学技術において基本的な単位として採用されているわけでございますが、これは電流が流れる場合に、それが及ぼす力の作用をもとにしてきめるという仕組みになっておりまして、計量法の中に書かれております内容を簡単に申しますならば、ある一定の条件で平行に置いた針金にある電流を流したときに、そこにどれだけの力が作用するかということの法則をもとにしまして、一アンペアという電流の単位を規定しているわけでございます。  次に、第五番の温度の単位、これにもさまざまな議論がございますけれども、現在の考え方といたしましては、温度の計量の基本は熱力学温度という考えによるべきものであるとしておりまして、その単位をケルビンと称しているわけでございます。それをきめますためには、一定の温度の状態を基準にする必要がありますので、そのために水の三重点という状態を採用いたします。これはわれわれが日常水を利用するわけでございますが、水にもさまざまな状態がございまして、固体の氷、液体の水、気体の水蒸気という三つの状態がございますが、そのような状態が同時に同じ場所に存在しているという状態を考えますと、これはきわめて安定した一定温度を現示するということに役立つわけでございます。その温度を基本にいたしまして、それの二百七十三・一六分の一という大きさを考えまして、これを熱力学温度の単位ケルビンと称することにしているわけでございます。この場合にも、二百七十三・一六分の一というはんぱな数が出てまいりますが、これはやはり古来から広く利用されておりましたセルシウス温度というものとの関係をつけるために採用されている数値でございます。  最後に、光度、光の明るさの単位がカンデラでございますが、これは照明光学その他においてきわめて重要な基本単位でございますが、その光の明るさの単位をきめます場合には、やはり一定の明るさを持った光源というものを考える必要がございます。そのためにも多年の研究がございましたが、その結果として黒体放射という考えを採用いたしまして、しかもある一定の温度において光を発する黒体放射というものを考えの基本にとりまして、それの出す光をもとにしてカンデラという単位を現示するわけでございます。その詳細は法文にも書いてございますように、ある圧力をきめまして、その圧力のもとで純粋な白金という金属が凝固する温度というものを採用いたしまして、その温度において黒体というある特別な条件に置かれた物体が発する光の六十万分の一平方メートル当たりの表面の垂直方向の光度というふうに明細な規定を設けまして、その明るさを基準にしてカンデラという光度の単位を現示するという仕組みになっております。  以上、法文に書かれておりますことを御説明申し上げたわけでございますが、これらはすべて先ほどお答え申し上げました国際的な度量衡総会の決議をほぼそのまま採用いたしまして、わが国の法律にふさわしい法文の形に整えたものであるというふうに御理解いただきたいと存じます。
  39. 板川正吾

    板川委員 ありがとうございました。  どうもわかったようなわからないような気持ちですが、この長さの単位は光で計算するというのですが、これは長さが目に見えるのですか。  それと、かつて秒をきめるのに明治三十二年十二月三十一日午後九時における地球の公転の平均角速度という規定があったかと思うのですが、いまはそれはもう使われていないのですか。
  40. 高田誠二

    ○高田説明員 第一点の長さの単位でございますが、これは目に見えると申し上げてよいか悪いかわかりませんが、一つ意味においては目に見えるわけでございます。といいますのは、先ほど御説明したクリプトンという原子が出す光のうち、だいだい色の光と申し上げましたことからおわかりになりますように、目に見える光を利用しておるわけでございますが、その光が持っております波長といいますのは非常に小さい長さを代表するものでございまして、一メートルから申しますならば、百万分の一を下回るほどに小さい波長でございますから、そのものをじかに目で見るということはどなたにも不可能でございます。  それから第二点の時間の単位でございますが、御指摘のとおり先年までは明治三十何年現在における地球の運行というような規定になっておりまして、これも国際的にも一時広く採用されておりました定義でございますが、研究の進展に伴いまして、そのような天文学的な時間の単位のきめ方にはやはり精密さにおいて限界があるということが逐次明らかになりまして、一九六七年以後は、ただいまの計量法に載っておりますような、セシウム原子を利用したいわゆる原子時計の考えによる時間の単位が全世界的に採用されているわけでございます。
  41. 板川正吾

    板川委員 温度のケルビン度というのは、これはわかりやすくいいますと、摂氏とか華氏とかという関係と結びつけた説明ができるのですか。
  42. 高田誠二

    ○高田説明員 先ほども申し上げましたように、温度の単位のあらわし方にも幾通りもございますけれども、かつては、また現在でもセルシウスという名前のついた摂氏度というものが広く用いられております。これは歴史的に申しますと、温度計というものを考案した時代、すなわち現在から三百年も昔の時代に考えられ、かなり広く普及したあらわし方がいわゆる摂氏度でございまして、われわれの日常生活においても今日なお広く使われているわけでございます。その考えももちろん合理的なものでありますけれども、あらゆる学術分野、あらゆる産業分野を統一して、全体に共通な温度という量を計量する場合の基本にするべき単位のきめ方はどのようなものであるかということを考えてまいりますと、古来からのセルシウス度、摂氏度と申しますものは、やや一般性が乏しいという認識がございます。そこでより一般性の高いあらわし方として、法文にございますような、熱力学温度の単位ケルビンというもののほうを基本といたします。ただし、古来から用いられ、また現在でも日常生活に欠くことができない摂氏度というものも、ケルビンという基本の単位から、ある簡単な数式をもって導入できるようになっております。
  43. 板川正吾

    板川委員 換算の割合、摂氏百度はケルビン度幾つになりますか。
  44. 高田誠二

    ○高田説明員 単位の大きさとしましては全く同じでございます。一対一でございます。ただし、その基準点がずれておりまして、ケルビンという単位の基準点のゼロといたします温度は、いわゆる絶対雰度、これは学問的に申しまして、これより低い温度は絶対にあり得ないという限界をゼロときめております。したがって、その意味でケルビンという温度が学問的な一般性を持っておるわけでございます。それに比べまして、セルシウス度、摂氏度と申しますほうは、ゼロの点をずらせまして、二百七十三・一五ケルビンというところをゼロ摂氏度というふうにずらして考えます。その二百七十三・一五という数字も、たいへんはんぱな印象をお持ちかと存じますが、そこに古来からの伝統と合わせるための原点をずらす数値が導入されているというふうに御理解をいただきたいと存じます。
  45. 板川正吾

    板川委員 体温計や何かは古いからわかるのですが、たとえば原子力あるいは核融合、こういう熱を計算する場合に、普通の本なんかはケルビン度何度といってなくて、摂氏三千度あるいは一億度という計算になっているので、どうしてケルビンというのが温度計の基準に一般的に使われないのですか。
  46. 高田誠二

    ○高田説明員 核融合、原子力等の例が出てまいりましたが、そのような方面でも、私どもが接しまする学術文献におきましては、主としてケルビンが使われております。特に核融合の研究のような場合におきましては、何百万度、何千万度というような、きわめて高い温度が問題にされますので、そのような場合におきましては、何百万ケルビンと申しましても、何万百摂氏度と申しましても、事実上少しも差はないわけでございまして、その意味では少しも不都合はないと存じます。  それから学術文献においてはそのような扱いにすでになっておりますが、一般の市民生活、消費生活においては、御承知のように摂氏度が用いられておるわけでございます。それば伝統的な意味もあり、また日常用に普及しているという意味もございますので、計量法においてもこれを併存して利用しておりますので、最もわかりやすく申しますならば、学術的な意味で、熱力学温度という概念によって表現しなければならない場合には、ぜひともケルビンという単位を用いるべきである、そして日常生活等、古来から摂氏度で表現しているものについては、摂氏度をもって表現して少しも差しつかえないということになります。ただし、繰り返し申し上げますが、考え方の基本としては熱力学温度の単位ケルビンというもののほうを基本といたしまして、摂氏度のほうは、それから副次的に誘導定義されるものであるということを明らかにしておく必要はあると存じます。
  47. 板川正吾

    板川委員 この計量法十条では、法定計量単位以外のものを使ってはいけないという禁止規定があるわけですが、このメートルとかキログラムとか秒とかアンペアとか、こういうものは完全に使われているのですが、温度は、このケルビンというせっかく基本計量単位が法定されているのにどうもあまり使われないのはどういうわけでしょう。これはいまのお話ですと、摂氏というのも併用して法律上よろしいということになっておるのですという話ですが、このメートル法に統一をするという計量法の第十条の関係からいっても、併用というのはかえって統一を欠く。この点、その両面の使用を許しているというのはどういう意味なんでしょうか。その関係がちょっとわからないのです。
  48. 高田誠二

    ○高田説明員 適切な例でないかもしれませんが、長さの単位、メートルのほうについてはそれが広く使われておるというお話に加えまして申し上げたいのは、それから派生しますそのほかの単位、たとえばセンチメートル、ミリメートル、キロメートルといったようなものも補助計量単位として計量法で併用を認めておるわけでございます。ただし、その場合にはメートルからセンチメートル、キロメートル、ミリメートルを取り出す関係は非常に単純で、百分の一とか千分の一とか千倍とか、きわめて単純な関係において導き出されますので、さほど奇異な感がないかと存じますが、それと同様に温度の計量の表現の場合にも、基本はケルビンであるが、それと平行移動させたあらわし方であるところの摂氏度というものも併用を認めるということにおいては、メートルという長さの単位の場合と同様に考えていただいてもよろしいのではないかと考えます。  さらに、先ほども申し述べましたが、計量の単位のシステムと申しますか、単位系という議論におきましては、やはりケルビンという熱力学温度の単位を基本にとっておく必要がございますので、これは理論的にそういう必要がございますので、基本単位としてケルビンを採用する。しかしながら、それだけでは日常生活における表現にあまりにも煩瑣なものがあらわれがちであるという意味で摂氏度の併用も認めておるということかと存じます。なお、それ以前に用いられておりました華氏度、これはヤード・ポンド系の単位でございますから、今日では全く使用しないということになっております。
  49. 板川正吾

    板川委員 どうもその辺が、この六条の四号にも「第三条第五号のケルビンの補助計量単位は、度とする。度で表わされる温度の数値は、ケルビンで表わされる温度の数値から二七三・一五を減じたものとする。」こういう意味で、この摂氏度というのは使ってよろしいということになっているという意味ですか。どうもその辺がわからないのです。
  50. 高田誠二

    ○高田説明員 御指摘のとおりでございまして、二百七十三・一五という数字は、先ほども御説明いたしましたように、ケルビンという単位であらわされる温度の計量と摂氏度という単位であらわされる温度の計量の結果を関係づけるための数値でございます。
  51. 板川正吾

    板川委員 どうもわからぬが、まあ時間を食いますから先にいきましょう。その点はあとでよく伺います。  第五条の誘導単位の中で、次の三つについて説明を願いたいと思うのです。本法の改正にも関係がある条項でありますが、第五条の十九号一濃度の計量単位というものと、それから四十一の放射能の計量単位、四十四の騒音レベルの計量単位という規定がございますが、この三つの計量単位について、濃度の場合はこれこれである、放射能の計量単位の場合にはこれこれである、騒音レベルの計量単位はこれこれであるということをもう少しわかりやすく説明をしていただきたいと思います。
  52. 高田誠二

    ○高田説明員 御質問の第一点の濃度の計量単位について御説明いたします。  濃度の計量単位は、かねてからさまざまな物質の取引においても重要視されておりましたが、近年においては公害に関連するさまざまな計量、計測の単位としてもきわめて重要度を増しておるものでございます。  濃度と一般的に申しますと、ある全体の中に特定のものがどれだけの割合で含まれているかということをあらわすものでございますけれども、それの計量学的な意味づけをこまかく考えていきますと、さまざまな表現が出てまいりまして、第十九号にありますように、現在では質量百分率、体積百分率、モル濃度、規定、キログラム毎立方メートル及びPHと、これだけのあらわし方を採用しているわけでございます。  それぞれについてごく簡単に申し上げますならば、質量百分率と申しますのは、その全体の質量に対して特定の含有物質の質量が何%を占めるか、つまり百グラムの中に一グラムあれば一%でございますから、その場合には質量百分率が一%であるというふうに表現するわけでございます。  次に体積百分率は、同じくパーセントであらわすものでございますけれども、質量ではなくして体積に着目するわけでございまして、ある体積たとえば百立方メートルという大きな体積の中にその物質が何立方メートル含まれておるかというような比率をパーセントであらわしたものが体積百分率でございます。ただし、一般に液体、気体などを問題にする場合が多うございますので、体積はその周囲の圧力に依存いたしますから圧力を規定しておく必要がありますので、法文におきましても、同じ圧力のもとで比較した体積の比率をいうというふうに明確に置いているわけでございます。  次に、モル濃度は、やや意味が前のものとは違っておりまして、これは化学的な意味から規定される濃度でございまして、さまざまな物質、元素、化合物も含めまして諸物質にはそれぞれ一モルという考えであらわされる物質量の単位というものがございます。これにつきましては国際的な議論がありまして、今日まだ計量法には採用されておりませんが、物質量の単位モルというものも将来計量法の基本単位の対象として次の機会に御議論いただくべきものと考えておりますが、その物質量の単位モルというものに関係した濃度の表現がモル濃度でございます。現今の表現としましては、それとはやや違いますけれども、ある体積、ここでは一立方メートルという体積の中に溶け込んだ物質が千グラム分子という場合の濃度を一モル濃度と規定するという考えを採用しております。  それから規定と申しますのは、さらに化学的な意味でこまかく規定した概念によるわけでございますが、当量という概念を導入して物質の濃度をきめるわけでございまして、溶液の一立方メートル中という点、それから溶質千グラムという点は前のモル濃度と同じでございますけれども、今度は溶質千グラム当量というふうに各物質に固有な当量というものに着目して溶液の濃度を規定したものが規定という濃度の計量単位でございます。  次に、キログラム毎立方メートル、これは比較的簡単でございますが、物質が一立方メートルあるときに、そこに含有される成分が一キログラムであれば、その濃度は一キログラム毎立方メートルというふうに表現いたします。  最後に、PHはいままでのものと全く表現の方法が違いまして、水素のイオン濃度というものを基本にして濃度を表現するわけでございますが、さらに、その場合にイオン濃度の何倍というふうな表現ではなくして、先ほどありました規定という単位を一ぺん経由しました後に、そこであらわされる数値を逆数をとりまして、さらに、それの常用対数をとるというたいへん複雑な表現内容になっておりますが、これは酸性、アルカリ性ということを簡単に表示するためにきわめて便利な数字でございまして、酸性でもないアルカリ性でもないという場合には、このPHという計量単位であらわした数字が七になるというごく簡単な関係になっております。それより大きいか小さいかによって、その溶液が酸性であるかアルカリ性であるかということが一目でわかるようにつくられた計量単位でございます。  以上、濃度の計量単位についての御説明を終わります。
  53. 森内和之

    ○森内説明員 その次に、放射能の御説明をさせていただきます。  まず、簡単に申しますると、放射線関係の物理では非常に複雑でございまして、大きく分けまして三つに分かれまして、放射線の発生する発生源の物質自体に関する量と、第二番目に真空中であろうと物質中であろうと、ともかくある地点を通過している放射線の流れ自身に関する量と、最後の第三番目は、放射線が、物質、生物も含めまして、相互作用をいたしまして、どんな発現効果を及ぼすかというその効果の発現能力をあらわす量に分かれます。このうち、最初に申し上げました放射線の発生源自身の能力をあらわすものが放射能といわれる単位でございます。これは、実は原子核が自然にこわれまして他の原子核種に変わる場合のそういうこわれ方の激しさをあらわすものでありまして、この放射能が強い、弱いと申しましても、そこから出てくる放射線が多いか少ないか、あるいは強いか弱いかということには関係ございません。それで、それをあらわす単位にはDPSと申しまして、壊変毎秒という単位が使われております。これは一秒間に何個こわれるかというこわれ方の単位だけでございます。なお、この補助計量単位といたしまして、世上一般に使われておりますように、歴史的な用語としてキュリーという単位がございますが、これは補助単位でございます。これは歴史的に、ラジウム一グラムがこわれるのに一秒間三・七かける十の十乗個という、三百七十億個という非常にたくさんの原子核がこわれる場合にこれを一キュリーというように昔から大体きめてあったものですから、先ほどのケルビンと摂氏と同じような関係におきまして使われておる次第であります。
  54. 菅野允

    ○菅野説明員 それでは、騒音レベルの単位について御説明申し上げます。  これは昭和四十年に国際的に国際標準会議できめられた単位を導入しているものでありまして、いままでの単位がすべて物理量をあらわす単位でございましたが、この騒音の大きさ、騒音のレベルと申しますのは、人間の耳にどれだけ強く感ずるかという、人間の耳の特性を加味した単位で、全く物理量だけではありません。それにしましても、まず物理的に音の大きさをきめなければいけません。音は、御承知のように、非常に低い音から高い音までありますが、人間に感ずるのは一秒間に二十回振動ぐらいから大体二万回振動ぐらいまでの、ヘルツと申しますが、二十ヘルツぐらいから二万ヘルツぐらいまでを感じますが、一番感度のよろしいのが大体千ヘルツぐらいであります。  それで、音の基準をまず物理的にきめますのに、千ヘルツできめてあります。それで、条文に幾ら幾らの圧力の変化と書いてありますように、千ヘルツで音の強さをきめまして、それで、それといろいろな種類の騒音が参りますから、低い音とか高い音とか、まじったものが参ります。それを総合して、その千ヘルツと同じエネルギーであった場合をゼロデシベルと規定しているわけです。ただ、低い音も高い音も同時に参りましたときに、人間の耳の感度が低い音、高い音で悪いわけですから、その耳の感度を重みづけをするわけです。千ヘルツの場合は一の重みづけをしますと、たとえば百ヘルツぐらいになりますと、同じ大きさに感ずるといたしますと、十倍ぐらい強い音でないと同じに感じないというような耳の特性があります。耳の特性といいますのは個人差がございますので、一々やっていたのではきりがないので、全世界的には標準の耳の感度というものを長い議論の上できめまして、それを全世界で使うことにしております。  騒音計には、マイクロホンの次に、その重みづけを電気的にやる回路が入っておりまして、そういうことをして千ヘルツの基準と同じエネルギーになったところをゼロデシベルとあらわして、十倍、百倍、千倍となったのを十デシベル、二十デシベル、三十デシベル、これを対数尺度といいますが、十倍、百倍、千倍と言いませんで、十倍のときは十デシベル、百倍のときば二十デシベル、千倍のときは三十デシベルというふうに、対数尺度で呼ぶことにしております。したがって、八十ホンの騒音に比べまして、百ホンの騒音は耳では八十と百という感じが当たりますが、物理的には八十と百とでは百倍のエネルギーを持っていることを示します。このホンをきめる基準になりますのは、実用的には標準マイクロホンの感度であります。標準マイクロホンの感度をきめることによって、これをもとにして騒音計を値づけすることができます。なお、世界的にはホンよりもデシベルのほうが一般に用いられております。
  55. 板川正吾

    板川委員 ホンとデシベルとの関係はあれですか、換算率といいますか、一ホンと一デシベルとはどういう比率になっておるのですか。
  56. 菅野允

    ○菅野説明員 全く同じでございます。
  57. 板川正吾

    板川委員 同じだけれども、呼称が違うということですね。
  58. 菅野允

    ○菅野説明員 そのとおりでございまして、実は昔といいますか、いまでもホンは許されているわけですが、世界的にはデシベルしか使われておりません。ホンと申しますのは騒音の大きさといいまして、この騒音計の、先ほど申しました基準がきまる前の、ちょっと違った意味で使われていたときの単位でございます。
  59. 板川正吾

    板川委員 これは通産省ですか——いま濃度、放射能、騒音の誘導単位を伺ったわけですが、騒音レベルを計量する場合には、それほどむずかしい設備は必要はないという感じがいたしますが、濃度の計量をする場合、放射能を計量する場合は、相当な装置、設備というのが必要かと思いますが、検査する設備というのはどういう程度のものでありますか。大きさとか、金額とか、広さとか、そういう点について説明を願っておきたい。これはあとの質問関係するものですから、伺っておきたいと思います。
  60. 飯塚幸三

    ○飯塚説明員 まず最初に、濃度関係の設備について申し上げます。これには、対象とする物質によりまして非常に違いがございますけれども、たとえば一例として、現在私どもで設備を始めておりますSO2関係の標準ガス検査する装置一式の開発に、研究費で申し上げまして、当年度約千五百万、このあと四年間の計画で、トータルで約六千万から八千万程度要するものというふうに考えております。  それから、水質関係でございますと、たとえば溶存酸素の基準を私どもでつくるわけでございますけれども、この基準をつくるのに同じく四年間で五千万から六千万ぐらいの設備を要する。装置の大きさ的に申しますと、実験室がそれで大体二つあるいは三つぐらいの広さをとるというふうに考えております。
  61. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 実際に分析をいたします分析業者が使います分析機器の値段でございますけれども、濃度計の関係では、一番よく使われておりますガスクロマトグラフというものが、そのはかります対象の精密度によりまして違いますが、一台当たりでございますが、百万から三百八十万円ぐらいでございます。それから原子吸光光度計というのがございまして、これが八十万から二百万円ぐらい。それから先ほどお話の出ました酸アルカリ度をはかりますPH計、これは六万円から十五万円くらいでございます。それから騒音計は五万円から二十五万円といったようなものでございます。また、大体濃度をはかります場合に普通備えます化学てんびんでございますけれども、二十万から四十万円といったところでございます。
  62. 板川正吾

    板川委員 それでは、今度の法律改正点で、計量証明事業の登録の範囲に新たに濃度、騒音レベルというものが指定されるわけでありますが、その他「政令で定めるもの」という規定が今度新たに入りましたが、その他「政令で定めるもの」というのは、濃度、騒音レベルのほかにどういうものを予定されておるのか、伺っておきたい。
  63. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 当面考えておりますのは、濃度と騒音レベルでございますけれども、さらに将来の対象として考えられますのは、振動レベルでございます。
  64. 板川正吾

    板川委員 それから、この計量士の区分が今度省令で行なわれることになりますが、この濃度測定という環境計測のほうになりますと、いろいろ多岐にわたっておると思うのでありますが、この計量士の区分を省令で定めるというのですが、どのように区分をされるのですか。
  65. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 従来の計量は、主として長さでございますとか質量といったような物理関係計量でございましたが、今度濃度関係計量証明事業の対象になってまいりまして、同時に、そういった物理的でない、いわゆる化学的な計量士が要請されるようになってまいりましたので、いわゆる従来の物理系の計量士と、今度の仮称濃度計量士と呼んでおりますが化学系の計量士、こういった区分を考えております。
  66. 板川正吾

    板川委員 物理、化学という大分類でなくて、その中でさらに小さく区分することは考えてないのですか。
  67. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 一応物理系の計量士と濃度計量士という二つを考えておりまして、その中での細分化は考えておりません。
  68. 板川正吾

    板川委員 環境庁に伺いますが、計量法に環境計測が今度追加されることになりました。特に人間の健康や生活に重大な影響を持つ環境計測の証明事業者は、正確な計測を保持することが必要だろうと思います。日本分析化学研究所が放射性物質の分析データを捏造した事件のように、事業者がでたらめな証明を行なったら、国民の生活や健康に重大な影響を及ぼすわけであります。こうした点、この法律ができた後、不正を防止する措置をどういうふうに考えられておりますか、伺いたいと思います。
  69. 石田齋

    ○石田説明員 お答え申し上げます。  従来から工場事業場から出てまいりますばい煙あるいは排出水につきましては、各事業者が自主的にそのばい煙の濃度あるいは排出水の濃度といったものを測定いたしまして、これを記録するという義務を課してございます。したがいまして、都道府県につきましては、この排出状況測定記録の報告を求めることができますし、また随時立ち入りをいたしましてその排出状況あるいは帳簿等の検査を行なうこと、こういうことによってチェックをしておるわけでございます。
  70. 板川正吾

    板川委員 法律的には、そういう措置は何条によって行なわれますか。
  71. 石田齋

    ○石田説明員 たとえば大気汚染防止法でございますと、その二十六条に明記してございます。
  72. 板川正吾

    板川委員 通産省に伺いますが、この環境計測の証明事業者ですが、これがいまいった証明をする場合に、でたらめな検査をして証明を交付する、こういうことも、日本分析化学研究所の例じゃないけれどもあり得ると思うのですね。それをチェックして、そういうことをさせないように防止する方法は、この法律のどこでチェックするのか伺いたい。
  73. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 従来は、そういった分析業者は全く野放しでございまして、自由に営業を営んでおったわけでございますが、本改正法が施行されることになりますと、経過規定は別といたしまして、原則として、業として分析をしまして第三者に証明をしたり、取引上それを証明する、こういう事業を営む者は、都道府県知事に登録をしなければ事業を営むことができないことになります。登録の要件といたしまして、濃度計量士を備えておること、必要な計量器を備えておること、店舗を持っておること、こういうことが登録の要件になっております。さらに事業規程というものを事業を営みます場合に知事に提出することになっております。その事業規程の中に、計量器の保管整備の状況、計量証明事業の組織なり人の配置の問題、計量実施の基準、証明書の発行関係、記録の保存方法、事業活動の範囲、こういった事業の内容につきましてこまかく書かせまして提出をさせることにいたしております。これを見ながら、府県がいわゆる立ち入り検査なり報告徴収をいたしまして、事業活動の内容をチェックしてまいるわけでございます。もし正確な計量等に違反するようなことがありました場合には、事業登録の取り消し、あるいは事業の一時停止、こういった罰則がかかることになっておりまして、事業者としては、事業登録の停止をされますと事業が営めなくなるわけでございますので、そういった監督規定のもとに正確な計量を担保してまいりたいと考えております。
  74. 板川正吾

    板川委員 環境計測を頼まれて証明をする事業者が、いま言ったように不正なことをやれば確かに登録を取り消されるということになりますけれども、どうも最近、企業における公害のデータを隠すとか捏造するとかいうことがあらゆるところで行なわれておる感じがするわけであります。ですから、悪いことをしたら罰則で取り消すぞというだけじゃ十分じゃないと私は思います。特に計量法で環境計測というのが今度追加されたわけです。計量法体系で見ますと、百三十二条で計量器検査を年一回はやるということになっておる、百五十三条で報告を求めることができるということになっており、百五十四条で立ち入り検査ができるということになっておりますが、必要があれば報告を求めることができるというのは、環境計測のような場合には何か十分じゃない感じがいたします。これは、報告を毎年一ぺんなら一ぺん必ず書類で出させるということでないと、企業に頼まれてインチキなデータを捏造するということもあり得るんじゃないだろうか。そして見つかったら取り消されるという事後の処分だけじゃなくて、事前にこれを防ぐという考え方が必要じゃないだろうか、こう思いますが、この点、どうお考えですか。
  75. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 取り締まりの体制につきましては、本法施行までにまだ若干時間もございますので、十分検討いたします。一般証明事業と違いまして、濃度等の公害計測関係につきましては特にその結果が重要な意味を持ちますので、御指摘のように、報告等も定期的にとるといったようなこともあるいは必要かとも存じます。十分検討いたしまして、万遺憾なきを期したいと存じます。
  76. 板川正吾

    板川委員 それは要望いたしましょう。  この濃度計量の場合に、計量する計器類は相当な施設が必要のようですね。騒音レベルなんかは簡単なようですし、簡単なものもありますが、水質やSO2の検査などでは数千万の設備が必要だ。そして計量証明事業ができるわけでありますが、こういう施設を検査する場合には、これは地方の都道府県検査をするわけでありますが、地方自治体、特に県なんかにおける計量行政人員ですね、そういう体制は、資料をちょっと見てみますと、この五、六年間はほとんどふえてない、千人そこそこのところでずっと足踏みをしているわけであります。この法律が通った後、環境計測という証明事業が行なわれることになっておる。しかも、環境計測の証明事業者というのが年々ふえておる。こういう事態を考えますと、監督をする地方庁における計量行政人員の整備が必要じゃないかと思いますが、その点をどう対処されるつもりでありますか。
  77. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 計量関係の取り締まりは、度量衡法の時代から府県なり市で担当していただいておりますが、現在こういった関係の取り締まりの職員数は、四十八年度におきまして、県と特定の市で合わせまして千四百七十九人の職員が計量器の取り締まりに従事をいたしております。昭和四十年に千二百十七名でございましたので、その間約三百人弱の増員は行なわれております。最近の府県行政では公害関係の取り締まりが非常にふえておりますけれども、それに非常に人手をとられるかたわら、やはり計量関係もこういうふうに増員はずっと行なわれてまいっております。今回、濃度関係計量証明事業の登録制をしくことにいたすわけでありますが、私どもの調査いたしましたところでは、この事業者が大体三百から四百ぐらい現に活動いたしておるようでございまして、今後一年間にまたふえるかと思いますけれども、当面のところ、数としましてはそう多数ではございません。府県別に割りますと、平均にはいきませんけれども一府県当たり十事業者ぐらいということになります。それにいたしましても、非常に新しい仕事で、内容がむずかしい内容でございますので、十分府県のほうにお願いいたしまして、この関係の取り締まりのために人員の増加、設備の増強等も遺憾のないように府県と相談して充実をしてまいりたいと考えておりますが、同時に、この府県の担当職員を研修いたしまして、こういった新しい仕事に遺憾のないようにしたいと考え、計量教習所で昭和四十八年から公害計測の特別教習を実施いたしておりまして、四十八年が七十四名、ことしが約八十名の研修をいたす予定にいたしております。
  78. 板川正吾

    板川委員 濃度計あるいは放射能の検査、こういうものに対する高度な設備が生まれてきます。これに対する年一回の検査をしなくちゃならない。研修も積み重ね、ひとつ事業者がごまかしをしないような、やったらおまえは登録を取り消すというのではなくて、事前にできないような体制をとっていく必要があるということを強調して、要望いたしておきます。  そこで伺いますが、この計量法十条に非法定計量単位の使用禁止という規定があります。四十一年の改正のときだったと思いますが、メートル法を完全に実施するんだ、そして従来ものさしなんかで尺貫法であったものは一切製造を禁止する、こういう措置がとられてまいったと思います。その当時、土地台帳だけはどうしてもメートル法が実施できないんだということで、猶予を願おうということになった。民間にはメートル法を強制して、国のほうだけは当分尺貫法で坪数表示も許してくれということであったのですが、その後、土地台帳の整備というのはどういうふうになりましたか。
  79. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 御指摘のように、土地建物に関します計量につきましては、昭和四十一年三月三十一日までで尺貫法によりますいわゆる坪といったような単位は使用が禁止になったのでございます。昭和四十一年四月一日以後は坪は計量証明には使ってはいけないことになっております。ただ、土地台帳につきましては、一時に従来の坪表示から平方メートル表示に書きかえることが事務的に非常に困難でございましたので、順次書きかえることにいたしまして、ずっと書きかえが進んでおりましたが、法務省に伺いましたところでは、昭和四十七年度一ぱいで内地と申しますか、沖繩県を除く区域につきましては書きかえが全部終了したというふうに聞いております。なお、沖繩県につきましても現在書きかえが進行中でございまして、なるべく早く完了することを期待いたしておる次第でございます。
  80. 板川正吾

    板川委員 沖繩はいつごろまでに完了する予定ですか。
  81. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 法務省の話によりますと、大体三年から四年かかるというお話でございます。
  82. 板川正吾

    板川委員 通産大臣計量法の全面改定を目下計量行政審議会に諮問中だと言われておりますが、その諮問のポイントといいますか改正したいという方向、ポイントというのはどういう点にありますか。計量法というのは非常に複雑多岐、精密な規定であります。これをさらに精密化していく方向であるのか、あるいはこの体系を変えてもっとわかりやすく簡素化する方向にあるのか、そういう点などについて承っておきたいと思います。
  83. 森下元晴

    森下政府委員 御指摘のように、計量法は二百三十九条という長文の法律でございまして、内容も複雑多岐にわたっております。昭和二十六年から現在まで十三回、大小改正をいたしまして、計器種類につきましても、また計量の範囲、目的につきましても時代の変遷とともに非常に大きく変わっておるというような事態もございますし、計量行政審議会においても、学術的な計量単位に関する規定は法体系として別に分離して整備すべきである、こういうような案も実は出されております。それとこの法律が非常に長くて、しかも複雑に分かれておるその一つの原因は、計量法の体系が計量単位と計量行政の二つに大別されており、この二つが混在する形をとるというのも一つの理由である。こういうことから消費者行政ということも目的でもございますし、非常に多様化する計量行政の中で法体系もすっきりしていくのが将来の方向であるということで、計量行政審議会意見もよく聞きましてその方向に持っていきたい、このように思っております。
  84. 板川正吾

    板川委員 まだ若干ありますが、時間が参りましたから、私の要望点などを考慮して、次の計量法整備の場合にはひとつしかるべく入れ込んでもらいたい、組み入れてもらいたいということを要望して、私の質問を終わります。
  85. 濱野清吾

    濱野委員長 午後一時四十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後一時四十五分開議
  86. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。米原和君。
  87. 米原昶

    ○米原委員 本法案によって環境計量士の資格登録制度が新しく設けられ、また環境計量証明を業とする者の届け出、登録制度も加わったわけでありますが、まず、その必要性、法改正の理由をごく簡単にお伺いしたいと思います。
  88. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 環境問題に対する社会的な関心が高まってまいりまして、それに応じまして、たとえば有害物質の濃度でございますとか、あるいは騒音といったような環境についての証明事業を業として行なう者が最近たいへんふえつつございまして、毎年百社くらいの割合で実はふえつつあるようでございます。  こういった環境計測を業として行なう事業者につきましては、現在は何にも法的な規制がございませんので、自由にそういう事業が行なわれておりますけれども、そういう事業者の設備の問題あるいは事業の実施の方法といったような面におきまして問題なしとしない事業者も見受けられるわけでございまして、環境計測の適正化をはかっていくためには、こういった業として環境計測を行なう事業者につきまして一定の基準を設けまして、登録制を実施して、こういった計測能力の向上、業務の信頼性の確保ということをはかる必要があると考えまして、今回の改正をお願いすることにいたした次第でございます。
  89. 米原昶

    ○米原委員 おっしゃるように、最近非常にこの業者がふえておりますが、その中にふつつかな者もだいぶいるということも聞いておりますし、あるいはこの委員会でも先日問題になったような公害たれ流しだけじゃなくて、それを通産省の目から隠していたような会社が、この環境分析センターなどという子会社をつくっていますね。相当私は問題があるだろうと思うので、その規制は厳重にやっていただきたいと思うのです。  そこで、環境計量証明事業を行なおうとする者は都道府県に登録をしなければならないわけでありますが、この場合の登録の基準というのはどういうものでしょうか。
  90. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 登録の基準でございますけれども、大まかに申しますと三つございます。  第一は、使います計量器一定の基準に適合する計量器を使っておることということでございます。  それから第二番目は、事業者としての社会的な信用を確保するためにも必要な事業所を持っておる者であることということでございます。  第三番目は、計量器の取り扱いなり計量器の整備、計量方法の正確な確保、こういう面から必要な知識、技能を有する者が置かれておること、つまり計量士あるいはこれに準ずる者が置かれていることで、この三つの観点から登録するかいなかを検討することにいたしております。
  91. 米原昶

    ○米原委員 大体三つの基準はわかりましたが、そうすれば、その第一におっしゃった基準ですが、証明事業を行なおうと思えば一定以上の測定分析機器をそろえていなくてはだめだ、こういうことですね。この場合一定の機器というのはどの程度のも一のでしょうか。
  92. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 具体的にはその営みます事業の内容によりまして必要とする計量器が変わってくるわけでございまして、届け出の際に、営む事業の範囲等を、事業規程を届け出させてチェックすることにいたしておりますが、その中におきまして、それぞれその営む事業の内容に応じて、それに相応した計量器を備えさせる、こういう考え方でございます。具体的な細目につきましては、この法律の施行が今後一年以内ということになっていますので、この準備期間中に、これから学識経験者、それから府県の分析センター、産業界、各省等々からなります登録基準委員会といったようなものをつくりまして、そこで登録基準の細目を検討していただきまして、最後には、計量行政審議会審議を経まして決定をいたしたいというふうに考えておりまして、まだ細目まで現在きまっておりません。
  93. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、正確なデータを得るために最低これだけのものは必要だというようなものを審議会の答申に基づいてきめられるわけだと理解していいわけですね。
  94. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 そのとおりでございまして、私どもが昨年の暮れに調査をいたしましたところでは、約百八十社くらいが回答がございましたが、そういった方々の現在保有しております機器の投資額の平均残高が大体一千万円といったような統計結果が出ております。
  95. 米原昶

    ○米原委員 実は、そういう業者の協会である日本環境分析協会で発行している「日環協ニュース」という雑誌がありますが、この二月号を見ますと「測定分析業務に於ける計測機器の占める重要性は、ますます増大する傾向にあり、所要機器も自動化・精密化・大型化の一途をたどり、その価格も逐次数百万円から数千万円と高額になりつつある。」こういうことがこのニュースの中に出ております。そうしますと、いまも若干金額についておっしゃったようですが、数百万円から数千万円と高額になりつつある、こういうふうにいわれている。このような値段の高い機器をそろえることのできるところは、当然大企業の会社組織となっている分析機関ないしはその系列会社だろうと思うのです。しかし、中小企業といえどもまじめにやっているところもなきにしもあらずだと思うわけです。そういう点では、まじめに環境分析をやろうとしているような中小企業は機器をそろえるだけでも容易でないわけでありますが、やはりそういうのを育成するために何らかの補助を出すとか、いろんな措置をとるべきだと思うのでありますが、その点どうでしょうか。
  96. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 昨年末に調査をいたしたところ、百八十社ぐらいから回答がございましたが、三百から四百社ぐらいもうあるんじゃないかといわれておりまして、その全体の実態はまだ必ずしも明確になっておりません。  そこで、私どもとしましては、この法律が国会で成立いたしましたならば、一年以内に施行いたすことになっておりますけれども、その間に再度詳細な実態調査をいたしまして的確に実情をつかみたいと考えておりますが、その上で現在事業を営んでおる方々は極力この登録が受けられますように、いろいろ助成等も考えてまいりたいというふうに実は考えておるところでございます。たとえばガスクロマトグラフという分析機器一つでも三百万近くいたしますし、確かに相当資本が必要でございます。それでおもな分析センター等につきましては、実は競輪から機器の整備用に毎年補助金を交付をいたしておりまして、四十九年度は十機関に対しまして四億六千九百万円の競輪補助金の交付を現在予定いたしております。ただ、これはどっちかといいますと、その業界の中でも公益法人的な、しかも良心的な大きな機関のほうでございまして、先生のお話しの小さな業者につきましては、まだこういった補助金を交付した例がございません。こういうものにつきましては国民金融公庫の融資に乗せますとか、あるいは債務保証制度みたいなものを何かつくりまして、それによって金融を受けやすくするとか、そういった仕組みを実は考えたいと考えておりまして、これからそういった対策を急いで整備をいたしたい、かように考えておるところでございます。
  97. 米原昶

    ○米原委員 機器の問題と並んでちょっと聞きたいのは委託料の問題なんです。こうした会社に測定分析を委託した場合に、その委託料の算定などの基準というものはどのようになっているかということを聞きたいのであります。
  98. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 この濃度等の分析の手数料でございますけれども、現実には個々の契約当事者の話し合いによりまして、その料金はきまっていっておるようでございます。  たとえば、一例で申し上げますと、ある財団法人の会社の手数料の表によりますと、酸・アルカリ度をきめますPHいわゆるペーハー度の分析は一件あたり二百円とか、それからシアンとか六価クロム等の水質の分析が一件二千円とか、トータル水銀の分析ですと一件三千円、それから有機水銀になりますと八千円から一万円、PCBの分析は一万円から二万五千円、ばい煙関係ですと三万円ないし四万五千円、それから排ガスの分析は一件当たり大体三千円、こういったふうに、それぞれ各社が自分で料金はきめまして、それを委託者との話し合いで実際上は決定をする、こういうふうなことでやられておるようでございまして、統一的な料金の基準といったものはございません。     〔稻村(左)委員長代理退席田中(六)委員長代   理着席〕
  99. 米原昶

    ○米原委員 この委託料の問題がなかなか重大じゃないかと思うのです。先ほど言いました日環協の創刊号にこれは出ているのですが、ここにこういう会社の四十八年度における調査結果か出ております。四十八年度における売り上げ高は五十三億五千四百六十三万円、一人当たりにすれば約百八十九万円の売り上げである。大阪、福岡などでは一人当たりが百六十万円となっている。これでは人件費もままならぬ状態で、機器の整備、技術の向上など望めない、このような環境のもとで十分な測定分析ができるわけがない、こういうふうに私も思うわけですが、いま言ったような状態で、委託料というものが全体として非常に安いということを感ずるわけです。もちろん、特に測定分析だけを業としてやっているところでは、ほかの収益がないので単価が安いということは、それだけ数をたくさんこなさなければならないということになります。したがって、測定分析についても十分なことをやれないのじゃないか、この点が非常に問題だと思うのです。私はある人から、政府や自治体が委託する場合、データの正確さを求めるのではなくて、できるだけ予算のかからない、安いところへ委託しようとしている、こういうようなことを聞いているのです。このようなことを聞いたわけですが、もちろん国民の税金を使ってやるわけでありますから、高い値段がよいというのじゃないのでありますけれども、金を惜しんで、いろいろ問題になったようなでたらめなデータをつかまされたのでは、国民の命は守られない、こういうことになります。そういう点で、この委託料の問題をどう考えておられるか、聞きたいのであります。
  100. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 先ほど委託料の見本の料金を申し上げましたけれども、確かに現在こういった分析業者の中にいろいろ過当競争かございまして、現在、実際行なわれております手数料と申しますか委託料が適正かといいますと、必ずしもそうであるとは言い切れない面もあろうかと存じます。  ただ問題は、料金の統一ということになりますと、独禁法の問題もございますので、私どもとしましては、こういった分析の場合にはこれだけの工数がかかりますというような分析の内容、種別別の標準工程数と申しますか標準工数といったようなものを日本環境測定分析協会あたりで統一的におきめいただいて、その標準工数に即して料金が折衝されるというふうなことになればある程度の基準ができるのじゃなかろうか、こういうふうに考えておりまして、そういった調査、研究をこの環境測定分析協会に実はお願いをいたしておるところでございます。  それから国の機関あるいは公共団体からの委託が非常に安過ぎて、全体としてこういった環境分析の料金体系を乱しておるのではないか、こういう御質問でございますけれども、官公庁の委託の場合には最低料金を見積もりをさせまして、一番安いところに委託するというものも中にはあろうかとも思いますけれども、どちらかといいますと、この委託先の技術レベルに重点を置きまして、安い料金で請け負うところというよりは、確実な分析をしてくれるところという技術能力を中心として委託をしている場合が多いように実は聞いておるところでございます。しかし、もし御指摘のように非常に競争させて、安いところに委託をする、それがいろいろ弊害が出ておるというようなことがありますれば、関係の省庁に手数料の適正化につきまして通産省としましても要望してまいりたい、かように考えます。
  101. 米原昶

    ○米原委員 何としてもこの問題は正確なデータを得るということが目的ですから、やはりそれを保証するために適切な価格も保障しなければ、ほんとうにまじめなデータがとれなくなるのじゃないかということを心配するわけです。もちろん設備の充実しているところがいいとは必ずしも限らないのでありますが、もう一つその点で聞きたいのは、登録の基準として一定の機器を定めるということは必要だろうとは思います。しかし、一定の機器を持っていたら測定分析が正確になるということが言えるかどうか、この点はどう考えておられるか聞きたいのです。
  102. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 この公害等の分析の場合には、サンプルの採取の方法でございますとか、それからそのサンプルの前処理の問題、それから測定の技術の問題、最後のそれの評価の問題等々、機器のほかにいろいろまだ要素がございまして、それが総合的に適正に行なわれまして、適正な結果が出てまいるわけでございますけれども、何と申しましても機器の精度が悪いものでございますと、いい結果が得られないことは当然でございまして、そういう意味では、公害計測に使われます機器につきましては、それが計量証明用に行なわれる計測でありますならば、検定に合格した計測器が使われるということが必要であろうと考えます。
  103. 米原昶

    ○米原委員 それはわかります。一定の機器がなければ一定の正確なデータといえないということもいえるだろうと思います。しかし、必ずしも機器さえ正確なら結論も正確だとはいえないというのも、いままでの実情でたくさんその例がありますから私は聞いているので、一定の機器を備えさせるということはどうしたって必要だと思うのです。  ただ、それと関連してお聞きしたいのは、公害の問題で各地に住民運動が起こっておりますが、その中で公害から自分たちの身を守るために、住民自身がいままで大学教授とかあるいは高等学校の先生とか科学者、お医者さんその他の人たちに頼んで調査団をつくったりして、独自に企業から排出する汚染物資の測定分析をやったり、そういうことは方々で行なわれてきました。それはそれなりに二定の意義を持ってきたと思うのです。もちろんその場合に問題になるのは、企業が出した測定分析のデータ、住民側が測定した分析、これが食い違うというようなことが方々で問題が起こりました。しかし、ではその場合に企業が測定したのがはたして正しかったかというと、必ずしもそうでない。企業のほうは、どっちかというと、公害を隠そうとする意図、これが露骨なところと、そうじゃなくて比較的公平にやるところとありますから、一がいには申せませんが、どうしても企業としては、公害があまり目立つようなことをしたくないという気持ちが働くのは、ある面では当然なんです。そこで、公害を受けている被害者のほうが測定したデータというのは、それはどちらかというと被害のほうを誇大にしようとする意図が働くかもしれませんけれども、とにかくそういうものが出るために、それが動機になって、さらに精密な測定をやれというようなことにもなってきて、問題の解決に進んでいったというようなこともいままでにあるわけです。ですから、今度の法律の場合、一定の機器を使って、一定の資格を持った技術者が出したデータだ、だからといってそれが絶対正確だとはいえないことはいままでもたくさんありますし、住民の出したデータのほうは、そういう機器も持っていたり、あるいは持っていても非常に不完全だったり、それかといってそれが全然無視されるものでもない。これは実際の事実を——たとえば私の住んでおる東京都の大田区では、かんから運動といいまして、かん詰めに穴をあけて測定する運動が、これはたいへんな人数、おそらく一万人以上の人が参加しているでしょうね。そういうところで出るデータというのは、道具自身は素朴な簡単なものでありながら、これが一定の意義を持ってくるわけですね。それは精密な機器ではなかったのとは、別の意味で、やはり少なくともこういうところは精密な機器でもう一ぺんはかり直す必要があるというようなものをつくり出すだけでも私は重要だと思うので、今度のこの法律で何か一定の機器を持った、一定の機器を使ったデータ、そして一定の技術者がやったデータ、これだけが正当化されて、そうして公害反対の住民運動を押えつけるようなことに使われてはならない、そのことを心配するわけであります。     〔田中(六)委員長代理退席委員長着席〕 ですから、この計量法改正というのはそういう意味ではないということが言えるんじゃないかと思いますが、その点をお聞きしたいと思います。
  104. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 今回の計量証明事業の登録制は、自分ではなかなか測定ができないような中小企業等の事業者が他に委託をして専門家に分析をお願いする、そういう場合に、事業として他人のためにそういう分析をやってやる人たちにつきまして、社会的な信頼性を確保するという観点から技術、能力なり設備面をチェックいたしまして、登録制をしくことにしたわけでございます。したがいまして、事業として他人のために証明事業を行なう場合でなければ自由に分析等をやっていいわけでございまして、たとえば企業がみずからの排水なりみずからの排気ガス、煙等につきまして自分で分析することはちっともかまわないわけでございます。と同様に、住民の方がどこかに依頼をして分析をしてもらわれる場合でも、この登録業者に分析を依頼することを義務づけるものでもございません。そういう意味におきましては、住民運動の芽をつむようなことは今回の改正によってはなかろうかと思います。
  105. 米原昶

    ○米原委員 私は特にそのことが必配だったので強調したわけですか、結局いろいろな機器を備えたり形の上ではでき上がっても、問題は、ほんとに良心的にやるかやらぬかということが決定的であります。  わが党の不破書記局長が予算委員会指摘した分析化研の問題にしましてもそうですが、その後あそこの実情を調べてみましても、実際は消化しきれないほどの仕事を持ち込まれていたとか、いろんなことがありますね。それで私は、審査する場合の料金の問題も非常に重要だと思った。それから、技術者の生活を十分に保障するものでないと結局ああいう問題が起こってくると思ったわけでありますが、何としてもこれまでの科学技術行政、公害行政について政府が抜本的に考え直してもらわなきゃならない。あの事件は、そういう問題を提起していると思うんです。  特に、国民の命と安全にかかわる調査や分析を民間の機関に安易に委託していたこと、そのチェックさえ十分されていなかった、こういうことがわかったので、どうしてもああいうやり方は改善していかなければならない。その点で、今度の問題にしましても、日本の科学技術者の英知を結集してチェックの体制が十分保障された国立の総合的な分析機関をつくる、分析結果については資料の公開を原則とする、そうして堂々と公開して他の科学技術者による検討の可能性を与える、そういったような体制をとっていくことが特に重要じゃないか。この点について、できたら政務次官の見解をお聞きしておきたいのであります。
  106. 森下元晴

    森下政府委員 人間が機械に差配されたり支配されることはどうかと思いますけれども、しかしながら現在のような物質文明、機械文明が進んだ社会情勢におきましては、やはり計器というものがいわゆる安全を保障したり、また命や暮らしを保障する、そういう仕組みになっております。計器というものは絶対的な存在として、そのデータによって白黒がきまっておる。非常に重大な影響を及ぼす計量の問題は、まあ生活上の物の売り買いという問題も大事でございますけれども、それ以上に、いま先生指摘ございましたように、公害問題等における計器の質というもの、またこれを扱う人々の保護とか、また、あまり忙しいためにそのデータが乱雑になって、いろいろな問題を起こして社会的な害悪を流さないように、こういう趣旨で今回の改正法案は出されておるわけでございます。そういうことで、計器にしても、またこれを扱う計量証明事業者にいたしましても、質的な向上もはからなくてはいけないし、ある程度の規制もしながらこういう方々が十分立ち行けるように財政上、金融上の保護政策も加えなければいけない、こういうことで、今回の法案にそれは盛り込まれております。  なお、もう少し権威を持たすためにやはり国の機関においてやるべきであるという点は、私もそのとおりだと思います。ただ、現段階におきましては、そういうような登録制度とか、またそれを業としておる方もたくさんおいでになりますので、それを一挙にやめて国が全部やるという段階まではいかぬと思いますけれども、考え方としては、やはり大きな立場に立って絶対の権威の持てるような、採算なんかを度外視してやるような強い機関がほしいということにおきましては同感でございます。
  107. 米原昶

    ○米原委員 最も権威ある国の機関としてやるべきだとおっしゃられたので、私そのことを必ず具体的に実行されるようにお願いしたいんです。いままでのところでは、私たちがあの問題提起をしたにもかかわらず民間の団体に委託する、何か責任を回避されているような印象を受けるのです。必ずそういう責任を持った体制で——少なくとも日本にも世界一流の優秀な科学者がたくさんいるんですから、その英知を結集すればできないはずはないと思うのです。このことを切にお願いします。  環境の問題はますます重大になっております。昭和四十五年の九月に日弁連から提起されたところでは、自然は国民すべての共有財産であり、よい環境を享受する権利は国民すべてに与えられていなくてはならない、こういっておりましたし、四十七年六月の人間環境問題についての初めての国連における国際会議でも人間環境宣言を採択するなど、いまや環境権は基本的な人権の一つとして国際的にも広く認められております。  しかしわが国の実情は、公害対策基本法をはじめ各種の公害防止法や自治体の条例があるにもかかわらず、形だけはできてきても実際の公害は依然としてふえる一方であります。政府が認定している公害病患者の数を見てもわかるように、環境汚染は拡散され、国民の命はむしばまれ、基本的人権はないがしろにされております。こういう点を考えましても、私はいままでのようなやり方ではだめだと思うのであります。環境分析の点で思い切ったメスを入れていく必要があります。大企業が環境分析の問題にまで乗り出して、公害を引き起こしている大企業の子会社が環境分析などという仕事をやっているところがたくさんあるようでありますが、私はそのこと自体悪いことだと言っているわけじゃないけれども、信用できないのです。一方で公害をたれ流したり隠蔽したりするようなところが、そこの会社の資金で今度は公害環境分析センターなんていうような名前の会社を方々につくっておりますが、はたしてそれで良心的な分析ができるんだろうかと気づかうわけなんであります。そういう点で、政府が責任を持った仕事ができるようなそういうセンターをぜひつくっていただきたい。そうして公害のたれ流しを許すことのないように規制を強めていただくことを切に希望します。今度の計量法改正についてはもちろん賛成ではありますが、そういう点について十分留意されるように希望するものであります。  これをもって私の質問は終わります。
  108. 濱野清吾

    濱野委員長 松尾信人君。
  109. 松尾信人

    ○松尾委員 計量法の一部を改正する法律案につきまして、若干質疑を重ねてまいります。  まず最初に、今回の改正によりまして消費者保護するというその立場から項目が改正をされておるわけでありますが、そういう点につきましては評価をするものであります。しかしながら、この七十条の二における訓示規定、こういうことはやはり政府行政指導というものが非常に重大である、このように強く感ずるわけであります。特に生活必需品につきましては将来指定するというような方向でありますけれども、現在このような「質量又は体積を計って販売する」というようなことを現実にやっているものがあるのかどうか、あるとすれば、どういうものをやっており、どういうところがそのようなことを実施しておるのかということをまず聞いておきたいのでありますけれども、いかがですか。
  110. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 商品の価格の判断をします上で計量販売というのは消費者にとりましては非常にその判断の基準となるものでございます。そういう意味で、いわゆるはかり売りと申しますか、質量等をはかりまして販売するという方法がだんだん普及することが望ましいわけでございますが、ただ、生鮮食料品等につきましては、品質の違いの問題でございますとか、あるいは鮮度の問題とか、いわゆる規格化されていないものについてはいろいろむずかしい面がございます。したがいまして、一挙にはかり売りを強制というところにはなかなかいきがたい面もございまして、漸次手順を踏んで進めていくしかないと思いますが、現に行なわれておるものとしましては、最近たいへん普及してまいっておりますのは、たとえば肉屋さんの食肉の販売等はたいがい最近ははかり売りになってまいっておるようでございます。
  111. 松尾信人

    ○松尾委員 現実にはあまり行なわれていないわけですね。肉屋さんのはかり売り、そういうものが自動ばかりにはかられて、それを包装して渡しておる。そうすると、将来こういうものはどのように——今度は行政指導等としていくわけでありますけれども、この品目という問題と、その行政指導をして「質量又は体積を計って販売する」という方向へだんだんだんだん誘導するわけでありますね。どういうものが今後考えられるのか。そして肉屋さんなんかでやっているのはあまり大きく手をとりませんし、コストに響くというようなことはありませんでしょうけれども、ものによればやはり手が込んできたり、特別の包装を要するとかなんとかということになりますると非常に問題点もあるかと思います。そういう点の行政指導を今後やっていこうというあなたたちの基本的な考え方はどういうことを考えていらっしゃるのか。これを聞いておきたいのですけれども、いかがですか。
  112. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 この七十条の二で書いております「長さ、質量又は体積を計って販売するのに適する商品」でございますけれども、具体的にはその商品の特性でございますとか、あるいは品質が標準化されておるかどうか、あるいは計量販売が相当に普及しておるかどうかといったような実情の進みぐあいによりまして、これをもっと広く普及させるかどうかという商品を選んでいく基準になってまいるわけでございまして、ただいま具体的にどの商品がどうということは申し上げかねますけれども、この規定をもとにいたしまして、小売り業界等と十分話し合いをいたしまして、いわゆるはかり売りの必要性を十分PRをしまして、御協力を仰いで漸次実施に移してまいりたいと考えておりますが、あくまでこの条文はいわゆる訓示規定でございますので、当面は強制等のことは考えておりません。
  113. 松尾信人

    ○松尾委員 訓示規定でありますからただいまはそれでいいわけでありますけれども、これがだんだんだんだんと品目がかりに指定されていくということになりますると、それをそのまま実行できる中小企業と実行できないような中小企業というのが出てくるのじゃないか。スーパーなんかはできましても、零細小売り業者というものは、出たけれどもそれが実行できないというようなことになりますると非常にぐあいが悪いわけでありますから、そこが訓示規定であり、行政指導にまかせられている範囲であるから、そういう面はよく考慮して、そうして手の込まないように、そのために経費がかからないように、値段にも悪影響がないように、このような配慮をしてこれはやっていく、こういうことでありますか、あらためて念のためにこれは聞いておくわけであります。
  114. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 ただいま先生のお話のとおりでございまして、この法律をもとにいたしましていろいろ業界にPRをいたしまして、はかり売りをなるべくしていただくようにお願いをする、そういったことの根拠条文にこれをしたい、こういう趣旨でございます。したがいまして、消費者団体のユニットプライシング運動を応援をいたしましたり、スーパー、百貨店等にまずはかり売りをお願いをいたしましたり、あくまでPRと啓蒙によりましてはかり売りの普及をはかっていこうというのが当面のねらいでございます。具体的には、生鮮食料品等は、いろいろただいま申しましたように、鮮度の問題あるいは産地による品質の違いでございますとか、あるいは一般の小売り商の場合にははかり売りによりますための労働が非常に強化されるとか、機器が必要であるとか、あるいはその計算の端数の問題とか、いろいろ問題がございまして、一挙にこれを強制あるいは義務的な形で進めることにつきましてはたいへんまだ問題がございますので、PRと啓蒙によりまして普及をはかっていくというふうなことで順次はかり売りを広げてまいりたいと考えております。
  115. 松尾信人

    ○松尾委員 現在生鮮食料品等は、野菜、くだもの等は、一山幾らとか一皿幾ら、このように売られておりますが、そういうものは見ればまあわかる。しかし今度はその重量ですね、こういうものが表示があったりなかったり、一山のところにちょっと書いてあったり、一皿のところに書いてあるものもあれば、書いてないものもある。こういうまちまちでありますけれども、そういう点は今後どのようにしていこうと考えておるんですか。現在行なわれておるその計量ですね、一山とか一皿というような販売方法、それに対する量目の表示というものをあわせてやったほうが消費者としては一目でわかる。ですから、そのような一山とか一皿でないものが個々に買えばどうなるかということが比較できるわけでありますけれども、いまそういうふうにうまくなっていないというふうな感じもするから聞くわけであります。
  116. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 はかり売りをなるべく普及させるということからかんがみますと、一山売りとか姿売りというものはあまり望ましくないわけでございまして、かりに一山の場合でも目方を表示し、同時に、百グラム当たり幾らといったような単位当たりの価格をなるべく表示する、こういうことを進めてまいりたいと考えます。
  117. 松尾信人

    ○松尾委員 ですから、現実はそういうふうにされておりますから、そういういまおっしゃった消費者がわかる表示を与えて買いやすくする、安心して買えるようにする、これをひとつ徹底してもらいたいのです。それはそのような私の要望を申し上げてその点は終わります。  次は、この計量器検査体制でございますけれども、新しく品物をつくった、計量器をつくった、そういう品物はどのような検査体制を経て販売されるのか、大まかでいいですけれども、大体の経路というものをお知らせ願いたい。
  118. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 計量法によりますと、計量器でございまして、それが取引とか計量証明に使われる場合には、必ずその計量器検定を受けたものでなければ使ってはいけないことになっております。これは全品検定でございます。  実際にはそれを使いますユーザーが検定を受けるたてまえではございますけれども、これは取引証明に使わない場合もあるからということで、計量証明に使う場合にはユーザーが検定を受けるというたてまえになっておりますが、特に商業用のはかり、それからタクシーメーターガスメーター、水道メーター、それからガソリン量器、こういうものはほとんどが取引証明用に使われることが明らかでございますので、メーカーで出荷する前に検定を受けさせまして、合格品のみを販売させる、こういった仕組みを現在とっております。
  119. 松尾信人

    ○松尾委員 そのような計量証明に使われるような計量器、それはメーカーの段階において全量検査ですね。それで合格したものが市販される、こういうお話でありますが、たとえば計量証明に使われないもの、温度計というような場合は、これはどうなっているのですか。この温度計をメーカーがつくった、そしてそれはどういう検定を経て市販されるのか、こういうことを念のために聞きたいのでありますけれども、計量証明関係のないいろいろな計量器です。
  120. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 温度計の場合に、計量証明に使われない温度計につきましては検定はございません。ただ、これをつくる場合に、メーカーのほうは事業の登録を受けなければならないことになっております。  登録の要件といたしましては、その温度計をつくります場合に、それが一定のちゃんとした温度計ができるかどうかという社内検査をやってもらう必要がございますので、検査設備を持っておることということと、それから検査規定、どういうやり方で検査をするか、こういうものを通産大臣に届け出させることが義務づけられておりまして、それによりまして、検定は行ないませんけれども一定水準の温度計ができますように、社内検査をさせるような監督を通産省としてはいたしておるわけでございます。
  121. 松尾信人

    ○松尾委員 そうしますと、メーカーのほうに登録の要件というものをきめておいて、その要件に合致するような品物をつくらせる、そしてメーカーが自信のある、いわば登録要件を満たしたものが市販される、こういうことだと理解するわけでありますけれども、そこに非常にいろいろまやかし的なものが出てくるおそれがある。自分の製品を自分で登録要件に合うようにやるわけでありますから、そういう心配はないかというわけでありますけれども、なぜこんなことを言うかと申しますれば、それには当然検定合格だとか、そういうマークもないわけでしょう。メーカーがつくって、そして自分のほうで要件に合致している、このような判断のもとに出すわけですからね。何か特別にそういう品物については表示がありますか。
  122. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 計量器でございまして取引証明用に使いますものは検定をいたしますので、検定済みの証印がつけられます。それからそれ以外のものは検定はございませんけれども、特に家庭でよく使われます計量器につきましては家庭用計量器制度というものがございまして、一定の監督をいたしておりますが、その場合には家庭用計量器という表示をメーカーがつけて、その表示がついておるものでなければ販売業者は販売してはいけない、こういう規制が別途ございます。温度計の中で板つきのいわゆる寒暖計は、家庭用温度計ということで家庭用温度計の表示をつけなければ販売してはいけないという品種に入っております。
  123. 松尾信人

    ○松尾委員 これはどういう温度計か私よくわからないので聞くわけでありますけれども、これはある人のわれわれに対する一つの申し出であります。これはある計量器の問屋でアルコール温度計、上は五十度、下はマイナス三十度まで、これは室内用、事務所用でしょうかね。何か私はよくわかりませんか、このような温度計が一ダース買ったわけであります。そして一度から二度ぐらいの差はあってもしかたがないと思って家に持って帰って調べましたところが、びっくりした。もう並べただけで三度の誤差があったというんですね。一ダースの温度計をずっと包装を破って並べただけで三度の誤差があった。だんだん熱を加えてみたところが、さらにびっくりしたのは、するするっと上がっていくのもあれば、ゆっくりゆっくりと上がっていくのもあった。そして最後には、一ダース買ったその品物の中で誤差が七度にもなってしまった。ですから、一ダース買ったからこのようなことがわかったけれども、一本だけしか買わなかったというような場合は、気づかずにそういう人が何かそれを使用しておるわけでありますから、実験とか観察にも誤ったデータが出てくるであろう、このようなことであります。ですから、インチキな計量器が使われているんじゃなかろうか。ですから、このようなことをお知らせいたします、こういうことでありますが、要するに、実態は政府が目を届かせませんものですから、そしてメーカーの自主規制みたいなものでありますから、いろいろなものが出回ってきておる。それを買ってこういう結果があった、こういうことでありますけれども、こういうことをどのように受けとめて、どのように反省していったらいいわけでしょうか。こういう場合には返品は当然できるだろうと思うのですけれども、そういう問題ですね。そういうところまでこまかく行政指導ができませんと、実態としては買った人が大きな不測の損害を受ける、こういうことであります。いかがですか。
  124. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 この気温測定用の板つきの温度計でございますけれども、いわゆる寒暖計ということで広く使われているものでございますが、これは現在、昨年の五月から、四十七年の法律改正によりまして家庭用計量器制度というのができまして、これに指定をいたしたのでございます。この指定をいたしますと、メーカーはその製品をつくります際に一定の技術基準に合うものしかつくってはいけないということになっておりまして、別に技術基準がこまかくきまっております。  温度計の場合でございますと、四十度からマイナス二十度までの間では誤差はプラス、マイナス一度というのがこの技術基準になっております。と同時に、このガラスが板にくっついておりますので、よくこのガラス棒がショック等ではずれたりいたします。そのために目盛りが狂うことがございますので、ガラスが板からはずれないようにし、もしはずれた場合には、もとのところに、正しい位置に修正できるような標識を、板に目盛りを打つだけでなくて、ガラス管にも標識をつけるというのか、現在技術基準で義務づけられておる点でございます。そしてもしこの技術基準に適合しないような商品が市中に出回っております場合には、通産大臣がそのメーカーに対しまして改善命令を出しまして、技術基準に合うような商品をつくるように指示をいたします。なお、この命令に従わない場合には、事業の一時停止とか、あるいは製造業の登録の取り消し、こういったことも行ない得るようになっておるわけでございます。  現実にはどうやってそういった不良品が出回っておるかを確かめるかという点でございますけれども、別途通産省に予算をとりまして、町に出回っておる一般商品を買いまして、誤差が大き過ぎるかどうか、別途調べておりまして、それによりまして、そういった不良品を見つけてはメーカーに改善命令を出す、こういったことをいたしておるところでございます。
  125. 松尾信人

    ○松尾委員 一種のモニターですね。ですから、現品を買わせておいてはかる、こういう自己監査ですよね。これは事前に何もないのですから、せめて事後にはそういうものをやりませんといけない、こう思うのです。ですから、私は一つの温度計を取り上げてやったわけでありますが、そういうふうにして誤差が一度ぐらいじゃなくてはいけないというのが七度もあるということは明らかに不良品でありまするし、これは問題になります。たまたまこういうのが一つのモニターみたいに出てきたわけでありますから、政府も実態がわかるわけであります。モニターというものは、生活必需関係、特に家庭に普及しておるというものを広範に選ばれまして徹底的にやる必要がある、こう思うのですが、将来の方向について政務次官、お答え願いたい。
  126. 森下元晴

    森下政府委員 計器というものは、人間の命と暮らしまで左右する非常に絶対的な計器でなくてはいけない。もちろん人間がつくったものでございますけれども、複雑多様化した社会下におきましては、計器の絶対というものが人間の幸福まで影響する、そのように私は考えております。  先ほど先生から御指摘のございましたアルコール温度計が、一ダース買って七度も上下の差があった、いつか新聞で読んだわけでございますけれども、狂った温度計を信用してふろの温度を適温と思って赤ちゃんをつけて、かなり温度が狂っておったために大やけどをしたという例も聞いておりますし、また冷蔵庫等で安易に狂った温度計を使ったために魚を腐らしてしまったとか、やはり機械というものは精度が精密でなくてはいけな  いし、また、それを使う人の機械に対する認識と申しますか、そういうものも必要であろうかと思います。  そういう意味で、この計器につきましては慎重の上にも慎重を要するものでございまして、先生の御指摘のように、やはりこういうものの管理というもの、特に計器事業者等につきましてもよく監督また規制の中で保護政策も同時に加えていかなくてはいけない。非常に多様化した世相でございますし、やはり計器というものの存在価値というものが非常に絶大である。私どももこの法案を通していただくことによりまして、より正確な精度を持つ計器、またその監督によって、国民の生活また命に関する問題、特に公害問題環境問題についても十分この計器を有効に使用することによって配慮していきたい、このように思っております。
  127. 松尾信人

    ○松尾委員 要するに、追跡という関係でモニターを利用して、そうして生活の中にうんとこう浸透しておるものをできるだけたくさん検査する、そうして悪いものを正していく、そうしてメーカーをそこで反省せしめて、先ほど言われた技術基準と申しますか、そういうものを厳重に守らせる。それで聞かないものは、いろいろ法律の基準に合致するようにしていく、こういうことでありますので、ぼくが言っていますのは、そういう予算をうんととって、そうしてモニターをうんとやって、そうしてから結果をどんどん出して、そして不良品を一掃して消費者保護を一そう高めていくための努力を今後政府はどうされるかということを聞いているわけですから、もう一回政務次官、その方向でお答え願いたい。
  128. 森下元晴

    森下政府委員 どうも失礼いたしました。  先ほど申し上げましたような精神にのっとりまして、いま先生指摘のモニター制度、通産省でもいろいろな関係でモニター制度をつくっておりますけれども、やはりこの計量関係のモニターについてはまだ十分でないかもわかりません。こういう制度を十分とりまして、やはり国民の中からこの計量にする御批判等をいただいて、通産省の指導方針に盛り込んでいきたい、このように思っております。
  129. 松尾信人

    ○松尾委員 次は、この計量証明事業者の現状でありますが、これは大体どのようになっておるのかというのが一つと、今回追加される中の、たとえば濃度とか騒音等の公害測定分析事業者の現状はどうか、こういうことでありますけれども、わかっておる範囲内でこれをお教え願いたい。
  130. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 現行計量法によります計量証明事業者の登録をしてやらなければならぬ範囲は、質量、長さ、体積、面積、熱量、この五つのものにつきまして計量証明事業者の登録制をしいておるわけでございますが、この関係の登録事業者が、現在二千八百八十六業者おります。一番多いのは、トラックスケール等、目方をはかります関係の業者で、二千七百社ぐらいございます。九割方はこの質量関係でございます。その次に多いのが貨物の検量、体積をはかります関係で百二十二社ございます。それから、いわゆる環境分析業者の実情でございますけれども、三百社から四百社ぐらい全国でおるのではないかといわれておりますが、正確な実情はまだわかっておりません。私どもことしの一月に、日本環境測定分析協会の会員二百数十社ございますが、これにつきまして調査をいたしましたところ、百八十七社から回答がまいりましたが、その調査の結果の概要を申し上げますと、事業開始年度は昭和四十六年度以降が七二%でございまして、非常に最近開業したところが多いということがまずうかがわれます。資本金で見ますと、資本金百万円以下というのが八〇%をこえておりまして、どちらかといいますと小さな企業が多いという結果が出ております。技術者の数でございますけれども、十五名以下というのが四九%ございます。五名以下というのも、その中で三七%もございまして、わりに規模は小さい。それから、設備の保有状況は平均で一千万円くらいでございますけれども、非常に企業格差がございまして、大きいところと小さいところがございます。業務の実績は、年々四倍、五倍というふうに、売り上げが伸びておりますが、過去一年間の売り上げは、四十八年が五十一億円という結果が出ております。一社当たり約三千万円くらいの売り上げになります。
  131. 松尾信人

    ○松尾委員 このようにしまして、要するに公害測定分析事業者というものも新しい営業形態に属するわけですね。それから、公害の問題が社会的に取り上げられてやかましくなってきます。今後はこのような面におきますいろいろの分析事業というものがやはり盛んになっていくであろう。工場にいたしましても、四十九年度、公害防止機器の製造が一兆円になるだろう、こういわれております。ですから、公害関係というものは、この分析関係にいたしましても今後伸びていくことは間違いありませんし、また内容を聞いてみますと、比較的零細な中小企業の方がたくさんいらっしゃる。そこでは責任あるデータをつくらなければいけませんし、やはりもう少し公害測定の分析事業者というものを完全に掌握しませんと——公害行政というものがこのような計量関係を通じて、またいろいろの面を通じて、また公害防止の機器をつけさせていくとか、いろいろ総合的に公害防除というものをやっていくわけでありますから、やはり測定の分析業者というものを完全に掌握して、そしていい方向にこれを使っていくというふうにやらなくてはいけないと思うのでありますけれども、お考えはいかがですか。
  132. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 ただいまは公害計測関係の事業は全く自由でございまして、法律的な規制が何もございません。したがいまして、その実情もやや不分明なところがあるわけでございます。今回、この法律改正案によりまして事業登録制を敷くことになりますと、実態が正確に関係当局のほうにキャッチできることになろうかと存じますので、それによりましていろいろ助成その他の措置もとりやすくなってまいるのではないかと考えております。
  133. 松尾信人

    ○松尾委員 それから濃度とか騒音につきましては、測定の方法がいろいろあるのじゃないか、このように思うのです。ですから、そのような計量器というものをどのように見ていくかということでありますけれども、たとえば公害防止の機械を備えつける。企業は、おのおの自分がこれはいいと思うものを注文しまして、そしていい機械と思うものを備えつけていくわけでありますが、そこに計量関係が及ぶのでありませんけれども、やはり測定方法というものがいま三百社も四百社もある、こういうお答えでありますが、騒音関係の測定方法、または濃度等の測定方法というものがまちまちじゃないかという気もするわけです。ですから、そのような三百社、四百社の濃度なら濃度、騒音なら騒音という共通的な測定の内容については、一つのガイドラインといいますか、それも現在はわからぬわけでありますから野放しでしょうが、そういうものの今後の行政指導のあり方というものについてはどのように考えていくのか、聞いておきます。
  134. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 現在濃度計は御指摘のようにいろいろな種類のものがございます。ただ、これから計量法によりまして濃度計が検定を受けることにいずれなるわけでございますけれども、その場合には標準物資によってチェックすることになりますので、統一的、整合的に濃度計の検定を行なうことになろうかと存じます。なお、こういった濃度計を使いまして具体的な測定をいたします場合の大気汚染の測定あるいは水質汚濁の測定というものの測定の方法がまちまちでございますと、御指摘のように違った結果が出たりして、公害防止上万全ではございませんので、測定の方法につきましてもいわゆるJIS化を進めております。測定の目的ごとにJISをきめまして、統一した測定をやるということが望ましいと考えまして、いまJIS化を進めておるところでございます。
  135. 松尾信人

    ○松尾委員 その点はほんとうによく勉強をされて一つの基本をおつくりなさいまして、測定の結果がまちまちにならないように、よく指導してもらいたいと思います。  さらに聞くわけでありますけれども、公害関係の計測器の検定であります。そういう人々が計測器を持っているわけですね。三百社、四百社というものは、それぞれ自分の専門分野における公害の計測器を持って、それからデータを出すのでありましょう。そうすると、そういう事業者が持っている公害の計測器の検定というものはどこがやっているのかという問題です。どこが責任を持ってやるのか、そしてこれはPPMの計算等が出てくるわけでありますから、このような現在の事業者が持っている計測器自体の検定はどうなっているのかということを念のため聞くわけでありますが、いかがですか。
  136. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 公害計測機器の検定でございますけれども、現在公害計測機器関係では、騒音計を昨年の七月から検定を開始をいたしております。騒音計の場合の検定の機関は国でございませんで、指定検定機関という制度計量法にございますが、機械電子検査検定協会という機関を検定機関として指定をいたしまして、そこに検定をゆだねておるのでございます。ただ、検定のしかた等につきましての技術面の指導は、通産省の工業技術院の電子技術総合研究所がこれに当っております。それから濃度計でございますけれども、これは逐次これから検定を開始する予定にいたしておりまして、当面はPH計、それからシアン計、こういったものをなるべく早く検定を開始し、そのほかのものもことしから来年中に全部検定の体制を敷きたい、こういうふうに考えております。その場合に、検定の基準等は通産省の計量研究所でございますとか、あるいは化学の標準の場合は東京工業試験所、電気系統の場合はただいまの電子技術総合研究所、こういったところで基準の設定あるいは基準器の開発等をいたしまして、実際の検定はただいま申しました機械電子検査検定協会というものを活用してまいりたいというふうに考えております。
  137. 松尾信人

    ○松尾委員 ある程度実行しておったり、濃度計なんかは、今後そのような検定機関という制度をひっくるめての検定機関というものを検討する、こういうお話でありますが、非常にこれは高度の技術を要するわけでありますから、やはり何としてもそのような国の力でやりませんといけないわけでありますから、工業品検査所なんかのお話もありましたが、ひとつ厳格に、そしていいデータの出る、そういう方向へ向かって政府も速急に、おくれておると思いますので、これはがっちり固めるように強く要請しておくわけであります。  それから計量証明事業の登録につきましてもいろいろ要件というものを今後考えなくてはいかぬのじゃないかと思うのです。ですから、従来ともに要件はありますけれども、今後新たにいろいろ公害その他の問題で広くこの計量というものを考えていった場合には、登録要件というものをがっちり固める必要があろうと思うのでありますが、政府の考え方はいかがですか。
  138. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 計量証明事業者の登録の場合の登録基準でございますけれども、おおむね三つございまして、必要な計量器を備えておること、それから事業を営むわけでございますから、必要な店舗を持っておること、それにもう一つ計量主ないしはこれに準ずるような知識経験を有する者を有しておること、この三つが登録の要件でございます。ただ、従来と違いまして改正法でもう一つ加えておりますのは、登録を受けた者は、事業規程というものを知事に提出をいたしまして事業内容を届けることになっております。その中におきまして、その事業者計量器の整備、保管に関する事項でございますとか、どういう計量器を使うことになっておるかとか、人員の配置、組織、計量実施の基準、それから記録の保存の方法あるいは事業活動の区域といったようなものを書かせまして、監督をそれによって十分いたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  139. 松尾信人

    ○松尾委員 現在計量士の登録制度の実態、これは大体どういうふうになっておるかとか、どのくらいとか、そういうことをちょっと聞いておきたいのであります。それから今後の国家試験の問題でありますけれども、その実施概要というものはどのように考えておるのか、この二点、お答え願いたい。
  140. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 現在計量士として登録いたしておりますのが六千二百二十六名おります。これらは独立の計量士としていわゆる府県あるいは市が行ないます検定の代理検査を行ないましたり、あるいは計量証明事業者に所属しまして計量証明事業を行ないましたり、あるいは企業にありまして工場事業場あるいは百貨店、スーパー等でいわゆる計量の管理者として計量証明事業の中で適正な計量のために活躍をいたしておる、こういう状況でございます。従来の計量士は主として質量とか長さとかでございましたので、物理系統の仕事でございましたが、今回濃度計量士という制度を新たに設けることにいたしましたので、これは従来の計量士と別の区分にいたしまして、国家試験も別にいたしまして、それに見合った試験を実施いたしたいと考えておりまして、試験の科目としては、計量法規のほかに化学等の基礎知識とか化学分析あるいは濃度計に関する知識等々を加えまして、従来の計量士とは違った国家試験を実施をいたしたいというふうに考えております。
  141. 松尾信人

    ○松尾委員 環境計測の問題でありますけれども、これにはいろいろ政府にも考えがあるようであります。試料の採取方法、試料の前処理の方法、それから計測器の操作法、これは当然でありますが、保守点検方法等の問題がありまして、こういうことをがっちりやりませんと計測の結果を誤るおそれがある、このような誤った計測の結果を生ずる危険性が内包されておるわけであります。ですから、先般も東邦亜鉛の対馬の鉱業所のほうでいろいろ計測をしたわけであります。環境計測、試料の採取方法、その前処理、それから計量管理の知識ということも必要だと思うのでありますけれども、会社と一緒になってごまかされたり、管理がずさんである、これはもういかにここで論議を尽くしていい計測器をつくりましょうとか、それによって誤りのない計測をやりましょうとか論議しても、今度いよいよ現場で計測する人のそのような基本的な問題点があります。検量管理の問題、そういう点はだれが普及徹底させていくのかということでありますが、基本的にはやはりあなたのほうでがっちりしたものをつくって、そして指針というか計量を実際に行なう者の腹がまえというか、そういうものを具体的にきめていかなくちゃいけない。そうしますと、そういうきめたものに対する違反ということになりますから、今後ともにお互い検量をやる人、実地にそういう試料を採取する人等の腹がまえも変わってまいりますし、企業に癒着した姿勢はとれないような結果にも相なるわけであります。そのような面をがっちりと固めていきませんといけないのではないか。それから見本を二通りとった、そして片や衛生研究所、片や工業品検査所とかやっておいて、そしてデータが異なった結果が出るようなことも、これはまた不信のもとであります。そういうことがないようにするためには、基本的にはやはり指導要綱とか、そういうものでがっちりと現品をとって、そしてその後持って帰る、それから検査するという段階が一貫して必要だと思うのですけれども、これはやはり局長と、最後には締めくくりとして次官のお答えを願いたいと思うのです。
  142. 森下元晴

    森下政府委員 機械精度また使用等についても非常に重要な問題であるけれども、それ以前の問題として、いま先生の御指摘いただきましたように、対州鉱山等の問題等でも、いわゆる検査前に水を増したり、また水を割るというようないろいろないわゆる反道義的な問題を引き起こして正確なデータを出さない。いわゆる機械にたよるべきものでございますけれども、それを運用する人の精神状態にも大きな関心を払うべきだという先生の御意思であろうかと思います。そういう点もあわせて計量行政、特に今回の法の改正の趣旨というものは特に消費者のためだということの第一点に加えまして、証明業者も十分規制しながら、同時に、これにかなりの責任も持ってもらいながら保護政策も加えていこう、こういうような法改正の趣旨でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  143. 濱野清吾

    濱野委員長 宮田早苗君。
  144. 宮田早苗

    ○宮田委員 ものの価格が上がりますと、消費者は量質ともにたいへん気にするわけでございます。そこで、まず計量法質問に入ります前に、通産政策に関しまして一般的なことでまことに恐縮でございますが、次官お見えでございますから御意見を承りたいと思います。  石油製品の値上げの実施に続きまして、電力各社の値上げ申請が出そろったわけであります。電力料金については五月の末までに結論を出す方針とのことでございますが、石油、電力の値上げはコストへのはね返りが大きいことは申すまでもありません。さらに今春闘の動向をながめてみますと、二万五千円から三万円の賃上げを回答する企業が多いわけでありまして、夏場にかけて、このような種々のコストアップ要因を製品価格に再び転嫁するところが続出してくることが懸念されるのであります。政府は卸売り物価が鎮静化しつつあることを評価しているようでございますが、一般国民は夏以降の物価狂乱第二ラウンドを憂慮していると思うのでございます。そこで、電力料金値上げ認可に臨みます基本的な姿勢を含めて、今後の通産行政をどう展開されるのか、まず次官にお聞きをいたします。
  145. 森下元晴

    森下政府委員 昨年末来の物価上昇という問題は非常な社会問題、また経済問題等を引き起こしまして、民生安定上非常に憂慮すべき状態にあったわけでございます。しかしながら、最近の物価情勢は総需要抑制の効果が出てまいりまして、また行政指導等による値下げ、また事前了承制の効果、そういうこともございまして、ある程度の鎮静化の方向に向かっていることは事実でございます。ただ、そういう時期に今回電気料金の値上げの問題が出てまいりまして、九電力会社が一斉に申請をした。これは五十五日から六十日くらいの日数がかかりまして、いろいろ公聴会等も開きまして、最終値上げの決定が行なわれるわけでございますけれども、一応いまのめどでは五月の終わりか六月の上旬には値上げは必至である、こういうふうにいわれておりますし、通産省としては否定はしておりません。ただ問題は、その料金体系の問題でございまして、電力会社が示しておる内容がはたしてどうかということで今後の問題にかかわっていくと思います。問題は、やはり庶民大衆の生活に直接影響しないようにということと、同時にいままでのようにいわゆる資源は使い捨てでいいんだ、いわゆる消費経済を奨励してまいりました過去の路線と違いまして、これからは節約時代である、資源は有限のものだというような原則に立って、できるだけ多く使う人にはうんと電気料金を逓増式に払ってもらおうじゃないか。それから電灯料金、電灯部門を含めた庶民の電気、また電力の使用に対してはできるだけこれを押えて、直接庶民の物価値上げに影響させないように、そういう配慮をしながら料金体系を定めなければいけない。たとえば一カ月で大体百キロワットくらいの使用の方が全世帯の三〇%ぐらいございます。その中には電気こたつの問題とか冷蔵庫の問題とか、大体八〇%以上普及しておるような電気製品を使った場合に、クーラーなんかは普及率が非常に低うございますのでそういうものはのけて、八〇%の普及率を示しておる電気製品を使った場合に、大体百五キロぐらいのようでございます。通産省が調べましたデータでは百五キロぐらいであります。そういうことで、そういう範囲の方々には料金があまり上がらないように、生活上の問題があまり起こらないように、その点を百キロにするか、百三十キロにするか、百五十キロを一応基本的ないわゆる値上げの影響のほとんどないような水準にするか、まだその点については確定はしておりませんけれども、そういうような考え方で、料金体系を通じて物価問題にあまりはね返らないような方向でいきたい。  それと春闘の問題ですが、春闘の賃上げの問題と公共料金の値上げの問題がちょうどからみまして、何か呼応してやっておるような印象を受けておるというようなことも新聞に書いてございましたけれども、春闘のほうは一応労働者の一つの権利で経済的な闘争、生活のためにいろいろ賃上げをやっておるわけでございまして、これは各企業の中で合理化その他の点において物価の上昇につながらない範囲で値上げをしていただくことには影響がないわけでございますけれども、そういうことを勘案せざる賃上げになりますと、かなり物価にはね上がるかもわかりませんし、また、電気料金の中には、もうすでに春闘の値上げを織り込んだ料金が入っておるんじゃないだろうかというようにも実はいわれております。それと、電気が上がりますとどうしても次は私鉄とか電力を直接使う、特にアルミなんかは非常に電力——電力をかん詰めにしたようなものがアルミであるといわれるぐらいで、そういう物資にもはね返るわけでございまして、御指摘のように、これから第二段のまた物価騰勢が始まるんじゃなかろうかという御心配、われわれもそういう心配の上に立ってできる限り電気料金の値上がりが波及的に他の物資にはね返らないように、せっかく総需要抑制の政策が効果をあらわし始めたときに、そういうものが引き金になって再び物価狂乱の第二弾を出発するようなことがないように、これは最大の努力をしながら、電気料金をきめる場合にも通産省としてはいま申し上げたような趣旨に立ちまして検討していきたい、こういうことでございます。
  146. 宮田早苗

    ○宮田委員 そこで、計量法の一部改正案に関しまして若干質問をいたします。  今回の改正案で、公害行政に寄与する目的のもとに計量証明事業に環境計測部門が追加されますことは時宜を得たことだと思います。  さて、計量行政審議会答申を見ますと、環境計測の適正化のためには、測定方法の標準化の必要性を力説しているわけでありますが、公害関係のJISの制定状況がどうなっておりますか、まずお伺いいたします。
  147. 佐藤淳一郎

    ○佐藤説明員 公害関係の日本工業規格につきましては、汚染物質の測定方法、それから測定の機器等につきまして、従来から重要な課題として規格化を進めてまいりまして、現在五十九規格が制定されております。このうち大気汚染関係といたしまして、測定方法につきましては、二酸化硫黄等現在問題になっております物質についてはほほ規格化が終わっておりますが、なお今後新たに規制の対象になりますところの物質につきまして逐次規格の整備を進めてまいる考え方でございます。  それから水質汚濁関係につきましては、現在規制の対象となっております物質につきましては、工場排水試験方法等によりまして大部分の物質が規格化の対象にすでになっておりまして、今後はまだ規格化されておりませんところのPCB等の問題につきましての測定方法につきまして現在規格化について鋭意検討を進めておる状況でございます。
  148. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、国の環境基準あるいは地方自治体独自の公害規制が年々きびしくなっております。それだけ一そう計測の正確さ、迅速性が要求されてくるわけでございますが、今後のJIS制定のスケジュールはどうなっておりますか。
  149. 佐藤淳一郎

    ○佐藤説明員 四十九年度中に規格を制定予定のものが、大気関係といたしまして十五規格、水質汚濁関係で、先ほど申し上げましたPCBの関係一規格、その他一規格でございまして、十七規格でございます。それが分析方法でございます。  それから分析に使いますところの計測機器の関係では、大気関係の自動計測の機器を開発いたしまして、それのJIS化を四十九年度中に進める予定でございまして、これが五規格でございます。  それから五十年度以降につきましては、大気関係が十四規格、標準物質関係等で五十八規格でございます。それから計測機器の関係では大気関係、これも自動的にはかってまいりますところの自動機器が大半でございますが、とれが九規格、水質関係では一規格、騒音、振動等の関係の七規格、合計八十九規格を五十年以降に予定いたしております。
  150. 宮田早苗

    ○宮田委員 JISの制定にあたりましては公害防止や消費者保護に重点を置くべきだと思うのでございますが、長期的にはどう考えておられますか、その点お聞きします。
  151. 佐藤淳一郎

    ○佐藤説明員 工業標準化法の目的でございますところの生産、流通あるいは使用の合理化等をはかるため、広範囲な分野にわたりましてJISの制定を行なってまいりまして、現在七千三百八十の規格をつくっております。しかし、今後の工業規格の力点といたしましては、最近の社会的の諸情勢に対応するため、まず第一に公害防止等の良好な環境を確保するためのJISの制定、第二番目に消費者の安全衛生の確保等、国民生活の質的向上に資する規格の制定、第三番目に安全で快適な労働環境を確保するための規格の制定、第四番目といたしまして、最近の新しい情報処理に伴いますところの新しい産業の発展の基盤に資するもの、大体こういうような長期的な考え方で規格の制定の力点を置きまして進めてまいる所存でございます。
  152. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に私は、家庭用計量器の問題についてお伺いいたします。  前回の改正計量法に家庭用計量器制度が導入されたわけでございますが、この制度指定されているものは何と何で、それぞれの機種、適用事業所数はどうなっておりますか。
  153. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 家庭用計量器の機種の指定計量法の政令で指定をいたしておりますが、ただいままでのところでは四つの機種が指定をされております。ヘルスメーター、ベビースケール、調理用のはかり、ガラス製の板つきの温度計でございます。  なお事業所でございますが、製造業者の数で申し上げますと、ヘルスメーターが九社、ベビースケールが六社、調理用のはかりが八社、それからガラス製の板つきの温度計が九社という数でございます。
  154. 宮田早苗

    ○宮田委員 政府といたしましては、これからどんな商品を家庭用計量器として指定をされる考えですか、それもお聞きします。
  155. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 家庭用計量器ということになりますと、製造業者に対して技術基準を示しまして、その基準どおりに製造するということが必要になりますが、そういう意味での技術基準作成のための検討をいたしますための調査をいたしておりますものといたしましては、竹、木及びプラスチック製の直尺、布製の巻き尺、バイメタル式の温度計並びにてんぷらメーターの四つの機種を現在調査中でございまして、この調査の結果を待ちまして、この中から今後の家庭用計量器として指定するかどうかを選んでまいりたい、当面はそういうふうに考えております。
  156. 宮田早苗

    ○宮田委員 最後にお尋ねしますが、家庭用計量器の監視体制はどうなっているかについてお伺いいたします。この制度導入後、メーカーに対し改善命令を出したり、事業登録取り消しなどのケースがあったのかどうかについてお答えいただきたいと思います。
  157. 齋藤太一

    齋藤(太)政府委員 家庭用計量器につきましての取り締まりでございますけれども、まず通産省令で技術上の基準を定めまして、そのとおりに製造されておるかどうかをチェックすることが必要でございます。また、その製品につきましては、家庭用計量器であるという表示をつけさせることにいたしておりまして、その表示のないものは販売業者は販売してはいけない、こういうことになっております。こういう辺を監督いたしますために、計量法の百五十三条の報告徴収、百五十四条の立ち入り検査、こういう規定に基づきまして、家庭用計量器製造業者、輸入事業者に対しまして、通産大臣府県知事あるいは特定市といったところがそういった法律に基づく立ち入り検査実施することにいたしております。  なお、いわゆる試買検査と申しますか、モニター制度によりまして、町に出回っております商品を試験的に買いまして、それが技術基準に合致するかどうかテストをしてみる、こういうこともあわせて並行してやっておるところでございまして、その結果もし違反がございますれば改善命令を出し、改善命令が聞かれなければ業務の停止あるいは登録の取り消し、こういったところまで進むわけでございますが、御質問のそういった違反の事実があったかという点につきましては、この制度が四十七年の改正でできまして実際に動き出しましたのは昨年の五月からでございますので、まだ改善命令等を出した事例はございません。
  158. 宮田早苗

    ○宮田委員 それじゃ終わります。
  159. 濱野清吾

    濱野委員長 次回は、明十日午前十時理事会、午前十時三十分委員会開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十一分散会