運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-03-26 第72回国会 衆議院 商工委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十六日(火曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    浦野 幸男君       小川 平二君    越智 伊平君       越智 通雄君    粕谷  茂君       木部 佳昭君    近藤 鉄雄君       塩崎  潤君    田中 榮一君       丹羽喬四郎君    橋口  隆君       八田 貞義君    前田治一郎君       松永  光君    岡田 哲児君       加藤 清政君    加藤 清二君       上坂  昇君  、 佐野  進君       山崎 始男君    渡辺 三郎君       柴田 睦夫君    野間 友一君       近江巳記夫君    松尾 信人君       宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁長官         官房参事官   有松  晃君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         通商産業審議官 森口 八郎君         通商産業省通商         政策局次長   大石 敏朗君         通商産業省産業         政策局長    小松勇五郎君         通商産業省基礎         産業局長    飯塚 史郎君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君         資源エネルギー         庁次長     北村 昌敏君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         中小企業庁長官 外山  弘君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 三月二十六日  辞任         補欠選任   島村 一郎君     丹羽喬四郎君   保岡 興治君     前田治一郎君   米原  昶君     柴田 睦夫君 同日  辞任         補欠選任   丹羽喬四郎君     島村 一郎君   前田治一郎君     保岡 興治君   柴田 睦夫君     米原  昶君     ————————————— 三月二十六日  石油開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第五三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第五三号)  通商産業基本施策に関する件  中小企業に関する件  資源エネルギーに関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、中小企業に関する件、資源エネルギーに関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智通雄君。
  3. 越智通雄

    越智(通)委員 きょうは、この委員会をおかりいたしまして、石油の問題についてあらためてまたいろいろと伺いたいと思っております。  昨年以来、この委員会におきまして石油問題が非常に議論されてまいりました。世間も非常に関心を持っておりますが、今日になりますと、率直にいいまして世間では何か石油危機が去ったかのような、ややほっとしたような雰囲気になっている点があると思います。つくられた危機だというようなことばもありました。この問題については、私はほっとしていられない非常に深刻な問題だと思いますので、ぜひ通産省のほうでもっと国民に対して正確な情報を提供して、よく国民に誤りなきを期することができるよう誘導してもらいたいと心から思うものであります。ことに、石油需給適正化法案が国会を通りますときに第三条が加えられておりまして、法律によりまして、政府国民石油に関する正確な情報を提供せねばならないということになっておりますので、その趣旨におきましても、ぜひ通産省によろしくお願いいたしたいと思うものであります。  最初に、あらためてまたお伺いしたいのでありますが、四十八年度の石油というのは一体どのくらい入ったのでありますか。それは実績として、四十七年度の実績に対し、私は、減っていない、かなり潤沢に入っているというふうに認識いたしておりますけれども、どのくらい入っているか、まずお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  4. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  四十八年度の原油輸入実績でございますが、上期は一億四千五百万キロリットル、下期におきましては、三月実績見込みでございますが、供給目標どおり三月、二千四百五十万キロ輸入が達成できたといたしまして、一億四千二百万キロの輸入が見込まれるわけでございます。したがいまして、年度といたしましては二億八千八百万キロ程度、これは対前年度に比較いたしまして、通産省指定統計ベースにいたしますと一七%のアップになるわけでございますが、先生承知のように、通産省の四十七年度の指定統計には沖繩の分が入っておりませんので、これを試みに通関統計と比較いたしますと一二%程度アップになるのではないかというふうに考えられます。  以上でございます。
  5. 越智通雄

    越智(通)委員 大体二億八千万キロリットルというと、もともと日本経済が四十八年度、非常に盛んにいくだろうと思っていたときに計画した数字に合っているわけでございまして、かなりの量が入っている。四十七年度の実績に対してともかく一二%か何か知りませんが、一割以上の増が入っている。おまけに実際に石油使用量というのは、経済かなり計画よりも停滞している面がありますので、使用量は落ちているのではあるまいか。したがって、この三月には、そういうことなれば日本のこの国の中にある石油というものはかなり量がふえているのではないかという気がするのでございますが、三月現在、あるいはできなければ二月末現在でもけっこうでございますが、一体わが国の石油備蓄量はどのくらいあるのか、お教えいただきたいと思います。
  6. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答え申し上げます。  在庫の量でございますが、四十八年度末、三月末におきましては、私ども見込みといたしましては、原油が千七百九十七万八千キロ、それから製品、半製品が千九百九十八万九千キロ、合計いたしますと三千七百九十六万七千キロでございます。これは日数計算えたしますと、今期の事業計画ベース計算をいたしますので四十六・六日分の在庫ということになるわけでございます。  ちなみに四十七年度末の数字を申し上げますと、原油が千六百七十二万キロ、それから製品、半製品が千七百十三万九千キロ、合計したしまして三千三百八十五万九千キロでございます。日数の点で申し上げますと、これは四十七年度の下期の計画ベースにしておりますので、日数では五十三日ということになるわけでございますが、絶対数量におきましては、いま先生指摘のように約四百万キロ程度在庫が多いという数字になるのではないかというふうに考えております。
  7. 越智通雄

    越智(通)委員 いまの数字で私の感じが当たっていたと思うのですが、一割からの備蓄量がふえている、去年の分の一割以上のものが備蓄としてふえているという感じですけれども、ただちょっと解せないのは、日数で減った、こうおっしゃるのですが、一日当たり消費量というのはどういう計算をしてそんなにふえたとおっしゃるのか、四十八年度のほうが一日当たりそんなによけい使ったという実績があるのかどうか、あるいはいまの計算は、単に何か通産省のほうで仮定した消費量なのか、一日当たり消費量計算を教えていただきたいと思います。
  8. 熊谷善二

    熊谷政府委員 四十八年の三月分につきましては、一日当たり備蓄計算基礎になっております数字は、原油七十万六千キロ、それから製品、半製品につきましては六十二万一千キロをベースにいたしております。四十八年十月以降、三月を含めました数字につきましては、原油は八十四万一千キロ、製品、半製品が七十九万三千キロをベースにして計算いたしております。これはそれぞれ当該期初の予定されております事業計画ベースにして備蓄の量を計算するというのが従来慣行になっておりますが、期によりましてベースになる数字が変わるというのが従来の計算考え方でございます。
  9. 越智通雄

    越智(通)委員 その点はなかなか納得しにくいのでございますけれども計画ベースでやっているというわけですが、本来は消費規制しているわけでありまして、一日当たり消費量は、原油でいえば七十が八十四に上がるというふうに二割上げていますけれども、そんなに上がっているということはどうも納得しがたい、このように思うわけであります。その点は、さらに実績ベースでよく調べていただきたい。  それでは、これからの輸入見込みはどうなっているかということもこれらの議論前提として伺っておきたいのですが、政府のほうの予算その他では、大体二億七千万キロリットルを前提として四十九年度の見込みを立てているようですが、そういう見込みでよろしいのかどうか。また、それはどういう根拠から通産省として考えられたのか、お教えいただきたいと思います。
  10. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  四十九年度の輸入の見通しは、御指摘のとおり二億七千万キロでございますが、私どもとしましては、昨年末来の消費規制の結果によりまして節約のムードがかなり定着をしてきておるものと考えておりますが、他面、また本年に入りまして以降の原油大幅引き上げに伴います製品価格高騰というようなことからも、消費につきましては節約がさらに促進されるということが考えられるのではないか。加えまして代替エネルギーの活用にいたしましても、この石油価格高騰に対応して促進される効果が期待できるのではないか、こういうような考えも織り込みまして、この二億七千万キロでほぼいけるのではなかろうか、こういう考え方で積算をしたものでございます。  なお、蛇足かと思いますが、四月の供給目標につきましても、私ども現在計算をいたしておりまして、閣議決定をしていただく予定でございますが、四月のベースは二千二百五十万程度で済むのではなかろうかというふうに私ども考えているわけでございます。これは偶然でございますが、二億七千万のほぼ十二分の一ぐらいの数字になろうかと思います。私どもは、この二億七千万キロの数量で、冒頭申し上げましたように、四十九年度は国内の需要にマッチした形で混乱を起こさないで何とか済ましたいという感じでございます。
  11. 越智通雄

    越智(通)委員 そこら辺になると、どうも理解がしにくいのです。四十八年度で二億八千八百万キロリットル入った、こういうわけですね。来年は少なくとも実質経済成長は二・五で、ともかく上がるというのです。だけれども石油の分量は二億七千万キロリットルで済むのだ、間に合うのだ、ほかにいろいろ燃料があるのだという、そういう話はどうも納得しがたい。片一方で、それじゃ一日当たり消費量はそんなに落ちているのか、少なくとも日本経済はぐるぐるうまいこと回るようにできているのかといったら、いや一日当たりは二割ぐらいふえていますと言われると、通産省計算というのは一体どこで合ってくるのだろうか、もうちょっと私どもしろうとわかりといったらおかしいですが、国民一般がわかるようなつじつまの合った説明をぜひお願いいたしたい。  さらに伺いたいのは、それだとすると、二億七千万キロリットルで四十九年度できるならば、五十年度も、これはともかく実質成長二・五なんというのじゃ困るので、もっと上げなければいけない、もっと明るい経済にしなければならぬと思うのですが、五十年度に至って、それから先に至って石油輸入量はふやすことはできるのかどうか、できないとするならば、その状態のもとで日本経済をやっていけるのかどうかということは、これは失礼ですが、石油部長さんと議論してもしようがないかもしらぬけれども、非常に大きな問題だ。私は、これは今後通産大臣なり何なりがお出になった段階で、日本のこれからの経済構造の問題として大いに議論していかねばならない非常に大きなことだ、この石油法案が通ったときの附帯決議でも、そういうこれからのエネルギー対策を見直そうじゃないか、省資源経済をつくろうじゃないかということになっておるはずでございまして、その点については、ぜひ石油部長さんから通産省最高幹部のほうにもよくおっしゃっていただきまして、いずれこの場をかりて根本的議論をしてみたい、このように思うわけであります。いまの消費関係で、ちょっと行政の第一線の話を少し伺いたいのですが、いま消費規制をやっていらっしゃるわけですね。一月にやって、それから三月からやって、四月からまたこの節目が来るわけです。一体こういう消費規制法的根拠によるものとよらないものといろいろあるように思うのですが、四月からの消費規制についてどういうお考えでいらっしゃるのか、その線をお漏らしいただくようお願いする次第でございます。
  12. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  石油需給適正化法によります規制につきましては、三月に引き続きましていわゆる原則一五%の従来の規制方式ベースにいたしまして規制を引き続き行なってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。行政指導ベースで従来やっておりますのは、いわゆるガソリンスタンドの日曜、祝日休業、平日の夕方六時までの営業時間の短縮というようなことでございますが、これにつきましても引き続き実施してまいりたい。つまり従来までの規制を引き続き四月につきましても実施をし、五月以降につきましてはまたその時点で検討をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  13. 越智通雄

    越智(通)委員 そういう規制をされると、ほんとう石油使用量節約できるはずなわけですね。節約するためにやっているわけですから、どのくらい節約しているという腹づもりでおやりになっているのでしょうか目見当でもいいですから教えていただきたい。
  14. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  石油につきましては統計その他の制約がございまして、なかなか実態が把握できないわけでございますが、先生承知のように、いわゆる大口需要者につきまして、特に使用節減を確認しておるものにつきましては、報告を聴取した結果、実績を確認したところによりますと、一月につきましてはほぼ一〇%の減、二月につきましても前年同期対比一〇%減という実績になっておるわけでございますが、二月につきましては現在なお集計中でございます。  ちなみにガソリンスタンド販売がどの程度になっているかということを申し上げますと、四十八年の十月には前年同月に対比いたしまして一四%の増でございました。これは販売実績でございます。十一月にはこれが一六・八%の増ということになっておりました。御承知のように、十二月から行政指導実施いたしまして、十二月は対前年同月比一一・四%というふうに少しダウンをいたしまして、ことしの一月に入りましてこれが対前年同月比一・八%増というふうにほぼ横ばいになっております。  これを実数で申し上げますと、昨年の十一月は先ほど一六・八%の対前年同月比増と申しましたこの実数は二百四十万キロでございます。一昨年の十一月が二百万キロでございますから、それに対比いたしまして一六・八%の増になったわけでございますが、一月の数字は、十一月の二百四十万キロが一月には二百八万キロと約二百万キロに落ち込んでおりまして、これが昨年の一月は二百四万キロでほぼ横ばいという数字になっておるわけでございます。これは一昨年の十一月の数字に対応するものでございます。
  15. 越智通雄

    越智(通)委員 このガソリンスタンドというのは非常に象徴的な話でございまして、石油危機が叫ばれたときに、ほかの国でもみんな締めておるぞ、ガソリンスタンドの前には行列をつくっておる、あるいはこの委員会でも当時タクシーの問題やら何かいろいろ出たわけですが、このガソリンスタンド規制というのはいまでも行政指導で行なわれているわけですが、法八条では、こういうものは法律に基づく規制もできるように思うのですが、行政指導のまま今後も続けていかれるというその考え方根拠といいますか、その点について御説明いただきたいと思うのです。
  16. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、法律による規制ということを当然私ども考えたわけでございますが、日曜日、それから祝日におきます一斉休業ということになりますと、たとえば救急自動車用のガソリンをどこで給油するか、あるいは消防その他警察、公安関係の必要な油を緊急の場合にどうするかというようなことを考えますと、特定の自動車につきましてはいつでも給油できる場所を全国各地で確保しておく問題がございます。この点は、実は法律によります一律的ないわゆる個々の販売店の承認という手続を踏ませますと、なかなか円滑にいかない等の事情もございまして、私ども、当初、本件を法律による規制をするにあたりまして実は技術的にたいへん苦労したわけでございます。  それでは、行政指導で実際にどうやっておるのかという点があろうかと思いますが、これはそれぞれの地元におきましていわば輪番制で店を開きまして、緊急のものにつきましては対応できるようなくふうを実はやっておるわけでございますが、ごく例外分として、そういった臨時救急の措置を講ずることをやっております。こういったことを法技術的にどのような形でチェックするかという問題が一つございます。  なおまた、全国のスタンドにつきまして実施していなかった場合の監視体制の問題につきまして県当局等の協力を得なければならない問題がございますが、そこらあたり県当局の人手の問題等もございまして、なおまだ今日合意を見ていないわけでございます。そうなりますと、たとえば東北全地方につきまして仙台通産局が全部監視できるかどうかという実際上の問題もございまして、とうとう事務的な手続の面で法律による実施という段階に直ちに行きがたい点がございまして、今日まで行政指導という形で行なわれてきておる実情でございます。
  17. 越智通雄

    越智(通)委員 いまの御説明で、やや何か語るに落ちたような感じがするのですが、法律でやると、違反者が出たときに取り締まるのがたいへんだから行政指導でやっておるというのですが、そうなると今度は、行政指導で違反した人はほったらかされているのではないかという議論がありまして、実際問題としても、私どもほんとうに見聞きし、また業者の方々から陳情を受けるのですが、実はやっておるわけです。朝の八時から夕方の六時といいますけれども、私ども東京住宅街などでは、その時間に通る車と、その時間では全然ガソリンスタンドに寄るひまのない人たちとありまして、環状七号線、環状八号線では夜八時過ぎてもこうこうと電気をつけてやっておるガソリンスタンドがたくさんある——たくさんとは大げさかもしれませんが、一つや二つではない。そういうものに対するやっちゃいかぬということのチェックですね。それに対して、行政指導ですから、実はここ一月以来何ぼいろいろ申し上げても、実は野放し状況になっている。その結果、実際の問題としては、そういう地域のあたりまえの、まじめにやっている業者は、ひどいところは売り上げが半分に落ちておるわけです。そういう問題を実は通産省に見のがしにしてもらいたくない。ことに、それらの夜堂々とやっている連中は、値段をまたつり上げるわけです。八時を過ぎてからは、リットル当たり十円、二十円上のせして、これは働いている人の夜勤手当だということで上げているという話がありまして、通産局のほうにもいろいろお話がいっていると思いますが、そうした問題については、さっきのお話のように、四月以降も五月もいままでどおりずっとそのままやるのですということで私は済まされないと思っておりますので、ぜひ抜本的にこの対策をお考えいただきたい。いろいろ知恵の出し方もあろうと思います。営業時間を一定しておいて、その始まりと終わりをずらすという手も地域によってあるかもしれません。あるいはいろいろな制限のしかたについては考えられる点がありますので、業界ともよくお話しいただいて、ぜひその問題についての不公平、片手落ちな状況がこのまま存続しないよう御検討願いたいということを重ねてお願いする次第であります。
  18. 熊谷善二

    熊谷政府委員 御指摘実態につきましては、さらに私ども実態を精査いたしまして諸般の対策を講ずるようにいたしたいと思います。
  19. 越智通雄

    越智(通)委員 時間があまりないらしいので、取り急ぎまして次の問題を伺いたいと思います。  それは、一番心配なのは、そうした油、ないようでいてあると思われるこの油について、またみんなが一生懸命使うのを節約して大事に大事に使っている油について、実際には値上げが行なわれているわけでございまして、この値上げがどうしても不可避的なものであったかどうか、そして、その値上げがほかのいろいろな値上げを誘発しないかどうか、この点については通産省が一番深刻にその責任を感じてもらわねばならないことだと思っております。  今回の三月に行なわれました値上げ計算について実はこまかく伺いたいと思ったのですが、時間がございません。率直に言って、原油が上がったから製品を上げるという考えの中に、一つ伺いたいのは、そうした場合に、石油各社におけるいろいろな企業努力によって原料高というものを吸収することは行なわれているのかどうか、その点を部長にお伺いしたいと思います。
  20. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  御承知のように、今回の原油価格高騰に伴います製品価格キロリットル当たり八千九百四十六円でございますが、これを平均的な値上げ幅として指導することになったわけでございますが、これは大部分がいわゆる原油代の値上がりに伴うものでございます。一つは、原油そのものについては、原油の代金が上がったものに伴います金利のアップあるいは運んでくる船の燃料代アップという、こういった原油に直接関連する部分以外には、いわゆる精製管理費といった経費につきましてはごくわずかでございます。しかも、この原油代計算につきましては、二月の一日から二十日までの一船ごとのインボイスによりますチェックによりまして計算をした、その加重平均価格で出しておるわけでございます。したがいまして、各社がまず原油の購入の面でどれだけ安い原油を購入するかという企業努力が今後ますますその面で要請されることになると思います。  また、今回の決定いたしました価格も、いま申し上げましたように、経費その他は、たとえば昨年上期とことし、四十九年の上期を比較いたしますと、一〇%そこそこのアップしか認めていない非常に切り詰めた査定をいたしておりますので、各社におきましてもそういった経費節約努力が行なわれなければ、採算の面で非常に苦しくなるということは自明のことかと存じます。私どもは今回の価格決定に伴いまして、各社に一そうの企業努力を要請いたしておる次第でございます。
  21. 越智通雄

    越智(通)委員 ほんとうはそこはもっとこまかく議論したいところであります。正直いいまして、石油会社の管理販売費というのは、従来は大体九%ぐらい売り上げ高の中でかかっていたと私は認識いたしておりまして、そうした管理販売が各石油会社の何と申しますかシェア競争という意味でも非常に業界に問題があったというふうに考えておりまして、シェア競争によるそうしたコストアップと間接経費アップというものを今後とも石油会社がもっと節減して、国民により安い石油を提供する精神的義務を感じてほしい、このように思うわけであります。ことにその点について通産省はお得意の行政指導で十分やっていただきたい、こういうことを心からお願いする次第であります。  ほんとうは、価格の問題から実は国際収支の問題も議論し、あわせて将来の国際収支からくる石油輸入の限度という問題についても申し上げたいと思っておりましたが、割り当ての時間が過ぎますので、最後に一つ、目下一番心配いたしておりますそうした石油製品値上げが他の産業へどのように影響するかということでありますが、ことに他のエネルギー源でございます電力、ガス、これらの問題をそのまま置いておくということがはたして可能なのかどうか、あるいはそうしたことによりましてそれらの各社石油値上げしなければ石油会社に大きな赤字が生ずると同様に私企業として大きな赤字が生じてくるわけであります。そういう問題について、他の大臣の方からもいろいろお話が出ている向きがございますが、通産省として一体どのようにお考えになっているのか、その点についての御意見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  22. 岸田文武

    ○岸田政府委員 電力会社の経費の中で燃料費の割合を見てまいりますと、四十八年度上半期で二三%から二五%でございました。この燃料費が御承知のとおり昨年の秋から急激に上昇いたしまして、その結果、下期の推定では三十数%のウエートを占め、また四月以降は四〇%をこえるウエートを占めるというような形になろうかと思っております。これらの状況は、いわば電力会社の経理に直接影響を与えまして一収支の面でも相当苦しくなっているということは御指摘のとおりでございます。ただ、申し上げるまでもなく、電力料金は、家庭生活の必需品であり、また産業活動の源でもあるということで、影響するところが非常に大きいものでございますから、軽々に値上げできない、こういった感じも他面ございます。その意味におきまして、その取り扱いということについて私どもも苦慮をいたしておるところでございます。ただ、最近のような経理状況からいたしますと、いつまでも上げないでおくというわけにはまいらないと思います。問題は、時期及び幅の問題でございまして、これらにつきましては、先般石油値上げ実施いたしましたが、それらの影響等も見きわめつつ判断をいたしたい、かように考えております。
  23. 越智通雄

    越智(通)委員 伺いたいことが山ほど残りましたので、また次の石油の問題の機会にぜひお時間をいただきたいということを重ねてお願いいたしまして、終わります。ありがとうございました。
  24. 濱野清吾

    濱野委員長 佐野進君。
  25. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私は、石油問題、電力問題を質問する予定でおりましたが、あしたから石油問題についての審議が始まるようでございますので、きょうは電力料金の値上げ問題にしぼりまして質問をいたしたいと思います。  まず最初に、政府側から通産、経企お二方の政務次官が見えておられますから、二人の方に御質問申し上げたいと思いますが、電力料金は、いま答弁がありましたように、時期はともかくとして、値上げをするというように方針がきめられたというような印象を受けておるわけでございますが、それに対して通産、経企両政務次官はどのように考えておるか、この際、御見解をお聞きしておきたいと思うのです。
  26. 森下元晴

    ○森下政府委員 原油値上げによりまして、全産業製品に影響があることはもちろんでございます。ただ、全製品になりますと、原油が二倍になった場合に約三%である、数字的には少ないような数字でございますけれども部分的には非常に大きな影響を及ぼすものがございます。そのうちで、一番大きなウエートを占めておるのが電力料金である。現在の電力料金に占める石油製品、いわゆる燃料の重油とかナフサ、それの割合が二〇%くらいであると聞いております。今回の石油の値上がりによりまして、それが一挙に四七%くらいに上がるであろう、こういうようなことでもございますし、電力企業はいわゆる公共料金で制約をしておりますし、また社債の発行とか、いろいろな面から考えましてできるだけ押える方針ではございますけれども、いつまでもこれを押えるわけにいかない、そういう感じでございます。ただ、問題は、これを庶民大衆の電気代としてどの程度負担してもらうか、現状のままで据え置くか、また少しくらいの負担をしていただくかというところに、電気料金体系とあわせて考えなければいけない方向にはあるけれども、これが直接消費者または大衆消費者に対して、どの程度負担を願うか、いわゆるこの計算の問題、料金体系の問題を配慮しながら検討をしていく、こういう方針でございます。
  27. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 企画庁といたしましても、基本の認識はただいま通産政務次官がお述べになったと同じでございますが、しかし、今日物価の抑制が最大の緊急課題となっておる現状にかんがみまして、私どもとしては、現段階では、電力会社に対しましてはより一そうの経営合理化等を求めまして、コスト上昇の吸収をはかり、料金改定を極力抑制するような指導をしてまいりたいと存じます。
  28. 佐野進

    ○佐野(進)委員 きょうは大臣が参議院の予算案貝会のため出席しておりませんので、責任ある答弁は両政務次官から伺わざるを得ないわけですから、これから質問することについては、そういう意味で質問しますから、ひとつそういう意味で答弁をしてもらいたいと思います。この問題は国民生活に重大な影響を持っておりますから、腹を据えて御答弁を願いたいということです。  そこで、私はこの問題を質問するについて、いろいろの事項について研究したわけでありますが、冒頭に、私はここで質問する意味についてはっきりしておきたいと思うわけであります。電力料金の決定は、いわゆる電気事業法の第十九条に、「一般電気事業者は、電気の料金その他の供給条件について供給規程を定め、通商産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」こういうことになっておるわけであります。したがって、この認可を受ける際、「通商産業大臣は、前項の認可の申請が次の各号に適合していると認めるときは、同項の認可をしなければならない。」そしてその一として、「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」二番目に、「料金が供給の種類により定率又は定額をもって明確に定められていること。」四号に、「特定の者に対して不当な差別取扱いをするものでないこと。」こういう形の中で通商産業大臣がこの料金の認可をする権限を持っているわけです。したがって、いわゆる料金は、国会審議を行なわないで、通商産業大臣の認可事項になっておりますから、通商産業大臣が決定した、認可したということをもって発効することになるわけです。したがって、通産省のこれから行なわんとする行為は、国民生活に非常に重大な影響を与えることになるわけでございますから、そういう意味で私は質問してみたい、こういうことで、先ほど申し上げましたように腹を据えて御答弁をしていただきたいと申し上げたわけであります。  さらに経済企画庁については、いわゆる物価抑制の見地から、これらの問題についてはいま政務次官が言われた見解を私は認めるわけでありますが、その見解と、通産省の見解をどのように調整するのかということがこれからの重大な課題となってくると思うのであります。したがって、その課題を解決せずしてこの問題の解決はあり得ない、こういう観点に立つわけでございますので、その意味で政務次官は答弁をしていただきたいと思うわけであります。  そこでまず最初に、これは大臣がいないとなかなか見解の表明がむずかしいと思うのでありますが、さっき言ったとおり、大臣だということで私は質問しますから、大臣だということで答弁していただきたいと思うのであります。いわゆる石油製品値上げ問題の結着がついてから、電力料金の値上げは不可避である、こういうような条件が発生し、さらに通産当局は昨年の十一月五日に電気事業審議会の料金制度部会に対して諮問をいたしているわけであります。その諮問に対する答申がこの三月二十日に出ているわけであります。したがって、私ども考えられることは、石油製品  が値上がりしたから当然経営が悪化する、したがってこの問題が発生してくる、こういうことが予想せられると同時に、通産当局はすでに去年の十一月五日の段階において、本問題が発生するであろうということを予測し、諮問をし、さらに石油製品値上げ直後の三月二十日に答申が出されている。したがって、この答申が出されているという条件の中で一定のプログラムが設定されている、こういうぐあいに私どもは認識するわけでありますが、そのように理解していいかどうか、これは公益事業部長でもいいですから御答弁を願いたい。
  29. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いま御指摘のございました料金制度の改定は、実は昨年関西電力及び四国電力の料金値上げを認可をいたしました際からの、いわば宿題になっておりました項目でございます。当時ございました議論は、従来の電気料金の算定方式がいわば純粋に原価主義に徹するということを基本といたしておりましたのに対して、諸般の経済情勢の変化、社会情勢の変化といったものを料金制度の考え方の中に取り入れていく必要があるのかないのか、こういった点について十分吟味をした上で、新しい制度を打ち出すことにつきこの際検討すべしということが当時の宿題であったかと思っております。これを受けまして、いまお話ございましたように、十一月以降料金制度部会、これは通産省の諮問機関でございます電気事業審議会のさらに下部機構として設けられました組織でございますが、ここに学識経験者その他の専門の方々にお集まりいただきまして、中には消費者代表の方も参加をお願いいたしまして、かれこれ十数回にわたる審議を重ねてまいったわけでございます。当時、発足以来大体半年ぐらいで仕上げようということを当初から言っておりました。この意味合いは、やはり新しい制度というものをつくり上げることによって通産省としての考え方を明示したい、それをなるべく早くやりたいという気持ちでございまして、決して料金の値上げの前段階というような含みでなかったことは御理解いただきたいと思います。
  30. 佐野進

    ○佐野(進)委員 御理解いただきたいということは答弁としては理解できるわけですが、タイミングがまさによ過ぎるわけです。しかも、そのよ過ぎるタイミングが、新しい料金体系という形の中で当然通産当局がこの方針に基づいて措置してくるであろう、こういうことが予測されるとすれば、他意ないということは単なる答弁であって、他意ないどころか来たるべき事態を想定して、十一月五日というあの時点の中でエネルギー問題が非常に大きな課題になったとき、この課題にこたえる意味においてこれの検討を始めた、こういうぐあいに答弁することのほうがむしろすなおな答弁ではないか、こう思うわけですが、通産政務次官、どうですか。
  31. 森下元晴

    ○森下政府委員 現時点で流れの中で考えました場合には、先生指摘のような結論的な考えもございますけれども、十一月五日ごろの時点におきましては、そこまで通産省としても考えておらなかった、そのように実は思っております。しかし先ほど申しましたように、電力のコストに占める割合の中で、重油またはナフサ等の燃料が非常なウエートを占めておる、他の物資に比べまして一番影響を受けるのが電力料金、それに次いでガス料金であるといわれるぐらいこれとの関連が非常に深いわけでございまして、この事態をわれわれは見過ごすわけにはいかないし、やはり近い問題として、電力料金を含めての料金体系まで含めて考えていかなければいけない、このように思っております。
  32. 佐野進

    ○佐野(進)委員 この問題にこだわっていると時間がなくなりますから、そのことを前提にして質問を進めてまいりたいと思います。  そこで、この答申のいままで行なってきた作業は、料金改定を前提としたものではないとはいいながら、実際上料金改定というものを予測して考えられ、作業が進められたということは、これは否定することのできない現実だと思うのであります。それは公益事業部長が四国電力の問題、関西電力の問題等の発生からと言うことにおいても、そのことが明らかだと思うのです。しかし、これに対して何とか料金を上げないで済ませようではないか、こういう考え方があることは、これは当然のことであります。また、それでなければならぬと思うのであります。したがって、そういうことについて全力を尽くして行政当局が努力をしていることについては私ども認めるわけでありまするが、その中で理解でき得ない点が幾つか起きているわけであります。したがって、このことが実際上可能なのかどうか、これは公益事業部長でけっこうですから、この際ひとつ明らかにしておいてもらいたいと思うのです。  その一つは、いわゆる田中総理の国会答弁等において明らかにされている日銀特融、いわゆる特別融資という形の中で電力料金を上げることを避けたい、こういう発言が行なわれているわけです。これは政治的な発言なのか、いわゆる行政的な発言なのか、実際上実行でき得る発言なのか、非常に大きな問題を含んでいると思うのであります。政治的発言であり、その場を糊塗しようとする意味における発言であるとすれば、これはまた重大な国会軽視というか、国会答弁としては不見識のそしりを免れない、しかし、このことが実際でき得るとすれば、行政当局はこれに対して積極的に取り組まなければならぬ責任があろうと思うのであります。したがって、公益事業部長は、この点について、特融ということにおいて当面この問題に対する措置が行なわれ得るのかどうか、その点について明確なる答弁をこの際聞いておきたいと思います。
  33. 岸田文武

    ○岸田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、いまのままの料金水準で今後推移をいたしますと、電力会社として当面直面する一番大きな問題は資金対策をどうするかということでございます。特に電力会社としては、これから増大する電力需要を控えまして、かなりの額の設備投資を必要としておるということは御承知のとおりでございまして、これらがどうなるかということが私どもとしては最大の関心事でございます。この資金繰り対策の一環として、私どもとしても、これからいろいろの知恵を出していかなければならない状況でございます。油の値上げがそうたいした額でない段階でございますれば、通常の金融対策を強化するという方策によって適応できますが、これがさらに大幅になりますと、さらに一歩進んだ対策が必要であろうということを考えまして、目下部内でいろいろの検討をいたしておるところでございます。私、総理のおことばを伺っておりませんのでよくわかりませんが、おそらくはこういった意味での資金対策として特段の措置を講ずるというようなお考え一つの例としてあるいはおあげになったのではないかというふうに理解をされるわけでございます。
  34. 佐野進

    ○佐野(進)委員 理解する、答弁を聞いてないというが、あなたは現場にいないから答弁を聞いていないけれども、責任者とすれば、速記録を取り寄せるなり、あるいは大臣を通じてなり、あるいはあなたが直接総理大臣の真意をはかるなりする方法は幾らでもあると思うのです。私のいま聞いていることはそういうことでなくして、電力料金の値上げの問題と関連して、このことを行なうことによって値上げ問題を回避することができるのかどうかということを聞いておるのです。
  35. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私は総理のお考えの内容を承知しませんので、あるいは推察にわたるかもしれませんが、特別融資の問題は、いわば先ほど申しましたように、直接的には資金繰りの問題に関係が出てまいりますが、この資金繰りの問題と決算の問題とはやはり正確には区別して考えたほうがいいのではないかという感じがいたします。資金繰りをつけましても、やはり赤字は赤字として残るということでございますれば、赤字の解消のためにはそれ以外にもっと別の手がないかというようなことが問題になってくるのではないかと思います。
  36. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そうすると、いわゆるこの日銀特融という形の中で、当面発生しつつある電力会社の赤字問題解消の手段としては万全でない。こういうように万全でないということは、はっきりあなたから言えないだろうけれども、総理大臣の言っておることは、そんなことはできはしない、こういうぐあいに理解していいかどうか。理解していいかどうかだけちょっと答弁してください。あとの問題に関連があるから。
  37. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いま申し上げましたように、特融と言われましたことの考え方の中身が問題であろうかというふうに思います。
  38. 佐野進

    ○佐野(進)委員 だからできないならできないと言えばいいのですよ。できないことなんだから。だれが常識的に考えても研究すればするほどできないということになるわけですからね。  そこで、通産政務次官にお尋ねしますが、いま私と公益事業部長のやりとりを聞いておわかりだと思うのですが、さらにこれらの問題に関連して、中曽根通産大臣は、この問題についていわゆる早期に解決を要する問題である、こういう総理大臣の見解とは若干異なった見解を表明しているわけです。これについて政務次官の見解はどうなのか、この際聞いておきたいと思います。
  39. 森下元晴

    ○森下政府委員 石油価格問題以上にこの電気の料金問題は深刻でございますし、早急に解決しなければいけない問題でございます。特に国民需要に対する電気料金の値上げという問題は、これもまた油の値上がり以上に直接国民大衆に響くというようなことで、内容的には慎重に考えなければいけませんけれども、非常に急を迫られた問題である。これは中曽根大臣の言われたとおりでございます。  そこで、生活必需的な部門に対して料金の内容においていかなる検討を加えていくか、これが問題であると思います。ただ、現在の電力会社の内部事情を見ました場合に、できるだけ節約をしてコストを下げるようにしなければいけませんけれども、四十九年度の上期で燃料の占める割合が四七%と非常に大きなウエートを占めるというようなことを考えましても、このままいつまでも放置もできないし、また、いまお話ございましたように、日銀の特融という問題も一案であって決定的な案ではないし、貸借対照表等の関係におきましてやはり借り入れ金は負債として計上されるから、電力債の問題も、また増資の問題もこれに非常に関連してくる。何かたな上げのようなかっこうにでもすればまた話は変わってきますけれども、どうも私総理の御発言の内容も十分承知しておらないし、まあ一案として発言したような感じも実は受けております。先生の御質問に対しましては、早急にこれをきめなければいけないというのが御答弁でございます。
  40. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、次へ進みますが、いま政務次官が御答弁になったように、この問題の波及するところ、国民生活に大きな影響を与えるわけでありますから、したがって慎重を要する。しかし慎重を要するが、結論を急がなければならぬ、こういうようなことがいま指摘をされておるわけです。そこで、私はその問題の発展の必然の姿として、今日石油製品値上げがいまだ一般消費者へ非常に大きな影響を直接的に、あるいは間接的に与えているわけであります。したがって、この石油製品値上げによる影響の最たる部面として電力料金がその影響を受ける。電力料金が値上げされることによって、さらに国民生活に非常に大きな影響を与えていく、こういうことになるわけでありまするが、この電力料金の値上げを機会にして、それに籍口して物価の騰貴をはかり、あるいはまた便乗値上げを行なおう、こういうような動きがもうすでにあらわれているやに聞いておるわけであります。これらの影響をどのように把握しているのか、あるいはまたこれらに対して、その影響を押えるためにどのような措置をとろうとしているのか、これは両省にそれぞれ答弁を願いたいと思います。
  41. 岸田文武

    ○岸田政府委員 電力料金の値上げが社会経済一般に大きな影響を及ぼすという御指摘はまさにそのとおりであろうと思います。ただし、ただいまの段階ではまだ申請も出ておりませんし、具体的にどうこうという段階ではないと承知いたしております。  参考までに、私ども各産業の生産コストの中で電力費がどのくらいになっておるのかということも見ております。約一%ちょっとでございます。それから家計の中での電力費支出が一・六%か七%であったかと思っております。もちろん産業用の中でも業種によっていろいろの差がございます。したがいまして、かりにという前提をつけてお聞きいただきたいと思いますが、電力料金の値上げというような措置になりましたときには、冬産業の実態に即しながらそれぞれ便乗値上げを許さないというような措置が相伴うべきことは当然であると思っております。
  42. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 先生承知でもございましょうが、電気代のウエートが卸売り物価で見ました場合、全国で一万分の百九十七、また消費支出の中のウエートは、四十七年の数字でございますが全国平均で一・八%、このようになっておりまして、かりに電力料金の値上げが行なわれますと、それなりの影響があるわけでございます。しかしながら、私どもとしては、今日の段階では、たとえば電力値上げの問題はまだ予想の段階でございまして、具体的に各九電力から幾らの幅という申請も出ておりませんので、実はそういったものに基づいての想定はまだしていないわけでございますが、やはりいま申し上げましたような民生、産業両方面にかなりの影響を持つと思われますので、具体的な申請があった場合には関係各省庁とも協議して極力最小限の幅に押えてまいりたいと存じます。
  43. 佐野進

    ○佐野(進)委員 きわめて軽微な影響だと言われるわけでありますが、しかしその軽微な影響が案外データで出されたものよりも実際的な場合において大きな影響を与えてきているのがいままでの例でありまするし、そのようなことがなければ、そう大きく電力料金の値上げについて新聞記事になり、さらに通産大臣やあるいは総理大臣がたびたび言明をするほどのことではないと思うのであります。大きな影響を与えるという設定——想定ではなくて、現実にそうなるということが前提になっておればこそ、今日これほど大きな問題になっていると思うのであります。しかも、そのことが結果的にいうならば、狂乱物価といわれている今日の物価問題にさらに大きな悪影響を与えるであろうということが予想されているから、私はそういうことが報道されていると思うのであります。あるいはまたわれわれも心配していると思うのであります。そこで、軽微なものであるという認識でなくして、重大な影響を与えるであろうという認識に基づいて、万全の措置をひとつ講じてもらいたい。いま言われたのは、電力料金の生産段階における、消費段階における単なる機械的な予測であって、その波及的な条件を加えた予測ではないということは、あなた方も否定しないと思うのです。そういう意味においてひとつ万全の対策を立てておいていただきたいと思うのです。  そこで私は、いまのこの問題に関連して三つの点について質問をしてみたいと思うのです。いわゆる影響を与えるということ、それから影響を与えるということが今日のそのままの状態、あるいは将来への対策を含まれた状態、この二つを予測しながら質問をしてみたいと思うのであります。  たとえば、このままの状態で、総理大臣の言われるように参議院選挙後にまでこの状態を続ける、いわゆる赤字を繰り延べてそのまま処置していった場合において、供給量に関連して国民生活に与える影響はどのようにとらえているのか、これは公益事業部長に質問をします。  さらに価格体系が現状の場合、すなわち、料金体系がそのままの状態の場合は、このまま引き続いて数カ月、約半年なら半年と想定していいのですが、そうした場合において何ら矛盾点が発生しないで済んでいくのかどうか。これも公益事業部長でけっこうです。  さらにその次に、四十八年度上期において原料費の割合が、さっき公益事業部長は二三%ないし二五%だと言っておられたのでありまするが、四十八年度上期の占める割合がどの程度なのか、四十八年度下期の割合がどの程度なのか、四十九年度上期は原料費として油の占める割合がどの程度になると予測されておるか。このことは三つ関連いたしますので、一括して質問を申し上げます。これは公益事業部長でけっこうです。
  44. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御指摘のような前提に立ちまして、このままで推移していわば電力会社が赤字経営に転落するというような場合の影響でございますが、私どもが一番心配しておりますのは、先ほども多少触れましたが、これからの設備投資がどうなっていくかという問題でございます。その前提といたしまして、いま電力会社の資金調達は大半が社債という形で行なっております。社債の発行は、電気事業法によって一定の限度がございまして、資本金及び資本準備金等の合計額の倍というのが限度額になっております。したがいまして、これから資金調達をするために社債を発行しようとすると、やはりその前提となる資本金の額ということが問題になってまいりまして、今後設備投資を継続するためには増資ということが必然的に必要となってまいります。赤字経営になりますと、この増資がまず大きな影響を受けるということになりまして、ひいては設備投資自体に打撃を与えるということが心配でございます。  いま電力設備は全国で約七千万キロワットの設備を持っておりますが、今後増大する家庭生活の需要あるいは産業用の需要にこたえるためには、やはり今後とも千二百万キロワットないしはそれ以上の設備投資を行なっていきませんと需給のギャップを生ずるということがおそれられておりますので、いま申し上げましたような点から、赤字の問題点というのは、最大の点はその点ではないかと思っております。  それから第二の問題でございます油のコストが電力経営の中でどのくらいの比重を占めておるのかという点でございますが、これは電力会社によりまして多少の差がございますので、とりあえず平均的な姿で御報告させていただきます。  四十八年度上期が大体二三%から二五%、これは先ほど申しましたとおりでございます。それから四十八年度下期でございますが、実はこれはいま各社別にヒヤリングをいたしておる最中でございます。ただ、私どもがラフに推定をいたしましたところでは三四、五%ではないかと思います。それから四十九年度につきましても同様推算でございますが、大体四五%から四七%くらい、平均的にはそのくらいの姿になるのではないかと予想されております。
  45. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、いま答弁がございましたように、結果的に赤字の繰り延べが行なわれるということは供給に重大な影響を与えるということになるのだ、こういう説明があり、四十九年度上期は四十八年度上期に対して倍近くの原料費の上昇が見込まれるのだ、こういうことになってまいりますと、四十八年度の上期における各社総合の決算が出ておりまするが、結果的にその決算においてすでに五十九億円の赤字が発生している。こういうことになりますると、この条件下においてどのようにして料金体系等含めてこれらの問題に対処するかということは、冒頭質問申し上げましたとおり、たいへん重大な課題になってきていると思うのであります。  そこで私は、その対策一つとして、電力会社に対して通産当局が指導しているやに聞いておる問題でありまするが、いわゆる料金値上げ前提として合理化を徹底的に行なう、さらにその次に株式配当の減配を指導している、こういうように聞いておるわけでありまするが、この株式配当の減配という問題についてこれをどのようにとらえているのか、この機会に質問してみたいと思うのであります。  いわゆる電力会社の株主構成というものがどの程度の分布になっているのか、あるいは減配というものの持つ意味が今日の条件の中でいわゆる一般利潤を追求する会社と電力という公共性を持つ企業とのその対比をどのように位置づけて指導されようとしているのか、この点についてひとつ御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  46. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いまお話の中で、私どもが合理化について極力指導しておるという点は御指摘のとおりでございますが、減配指導というようなお話につきましては、私どもまだそのような指導をいたした覚えはございません。ただ、正直に申しまして、ことしの四十八年度下期の期中における油の上昇、これがすでに電力会社の経営に対して相当の影響を及ぼすであろうということは容易に予想されるところでございます。従来十数年間の経営にわたりましてその間蓄積してまいりました内部留保をこの際一挙に吐き出すというような形が当面予想されるわけでございまして、それだけで済むか、あるいは配当の問題に響いてくるかどうか、この辺の見きわめがたいへん微妙になっておるという現在の状況でございます。そこで、かりに減配云々というようなことになりましたときの影響について引き続きお尋ねがございましたが、正確な数字を持ち合わせておりませんので、数字の正確さについては多少御容赦をいただきたいと思いますが、たしか株主数を見てまいりますと、個人株主で約百万人ぐらいございましたかと思います。その全体のウエートが四〇%ぐらいでございます。いわば非常に広い層の大衆株主にささえられている点が、一般の株式と比べますと特色ではないかという感じがいたします。特に昭和三十四年以来一割配当を完全に安定させてまいりまして、投資家としてはいわば固定的な収入を当てにして、資産株として持つというような性格が非常に強い。この点も一つの特色ではないかと思っております。したがいまして、これの配当率の維持ということにつきましては、単に投資家だけではなくて、証券界あるいは金融界等も非常に関心を持つようなそういった性質ののではないかという感じがいたします。したがいまして、配当率の水準がどうなるかというような点につきましては、それぞれ経営に当たる電力会社の首脳がいろいろ苦心をしておるというのがいまの状況ではないかと推察をされます。
  47. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで次の問題に入りたいと思うのでありますが、私は、まだ申請が出ていない段階議論するということについてはいささか早い、こういうような答弁もさっきあったように聞くのでありますが、すでに現実的な問題になり、さらに冒頭申し上げたとおり、これは通産大臣の認可事項でございますから、この際明らかにしておかなければならない問題点について質問してみたいと思うのであります。  まず第一は、電気事業審議会の答申によると、料金制度が変わってくるということがこの中に明らかにされておるわけであります。いわゆる原価制度の原則を確保しながら現状に合った福祉的な面においてのものも取り入れてこれを改正するのだ、こういうような答申がなされたやに聞くのでありますが、この制度が実施された場合、通産当局として具体的なメリットはどのようにとらえているのか。この点、要点だけでけっこうですから御説明願いたいと思うのであります。
  48. 岸田文武

    ○岸田政府委員 今回の答申の骨子は、いわば原価主義の骨格というものを維持しながら、その中で今日の置かれております社会情勢、経済情勢を反映さしていこうという考え方でございまして、具体的には、第一の柱といたしましては、これから次第に資源が貴重になっていくという時代において、料金体系自体についても省エネルギーの方向を目ざすようなくふうはないものかというのが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、福祉の向上ということが国民的課題になっております際に、一般的な福祉向上に寄与するというようなことが、料金体系の中でもくふうによっても可能になりはしないかという点が第二点でございます。
  49. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、二つの面について、いわゆる原価主義の原則に基づいてこれを取り扱う、こういうことになりますれば、原価主義とは、すなわち家庭の場合をとれば幾段階かの施設を経由して各家庭に配給される、大口需要者については直接配給される、したがって、大口需要者に対しての料金は安く、いわゆる家庭、一般消費者向けの料金は高いというのがいままでの料金体系だったと思うのであります。この原価主義をそのまま採用し続けるということであれば、今日の状況の中においても、新しい料金体系として想定されることは、やはり一般庶民家庭電気料金が相当大幅に値上げされるのではないか、こういうようなことに考えが帰着いたしまするし、同時に、大口、いわゆる大会社、大企業等に対しての料金はきわめて低廉の状況の中で供給される、設備費は同等であっても、その設備から発生する電力についてはいままでと同じような形の中でこれが行なわれるということになる可能性を私どもはたいへん心配しておるわけですが、これに対して、通産当局としてはどう対処されようとしているのか、政務次官、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  50. 森下元晴

    ○森下政府委員 戦後、物のなかった時代からの日本経済産業政策は経済成長率を中心にいたしまして、高度経済成長をはかってまいりました。しかし、今日の段階に至りまして、いわゆる省資源、省エネルギー、できるだけ資源は使わない、エネルギーを使わない、消費節約型の方向に進まんとしております。言うならば、経済成長は使い捨て経済、また、安い資源を大量に外国から入れて、その基盤の上に経済成長があったように思っております。石油が一〇%削減されれば日本経済成長は五%下がるといわれるくらい、この資源経済成長に非常に強い関係があったようにわれわれは承知しております。その大転換期が参りまして、これからは資源はできるだけ使わない、高い資源節約しろという方向にまいりますと、節約こそ美徳である、ですから、いままでの料金体系、使う方にはできるだけ安くするという考え方はこれからは改めなければいけない。むしろたくさん使うことに対して、税金のように累進的にたくさんな税金をかけていく、それが節約を奨励するための政策でもございまして、いま先生のおっしゃいましたように、やはり福祉ということを同時に考えなくてはいけない。だから何段階かに分けまして、たとえば、答申にございましたように、百キロ以内につきましては従来と変わらないような電気料金でいきます、また、五百キロ以上の場合にはかなり高率の料金をいただこう、そういう新しい体系のもとで、企業としてもできるだけ高い資源を使わないような方向にいってもらう、こういう方向に実はいっておりますので、この料金体系を通じて、国民大衆に迷惑をかけない。すでに事態がそういう方向に転換しておりますので、そういう料金体系におきましても当然その趣旨に沿ってきめていかなければいけない。  それと、電力の株主構成を見ました場合に、他の企業に比べまして非常に大衆化されておるようにわれわれは聞いております。また、九ブロックに分かれまして非常に地域性のある企業でもございますし、他の企業と違った認識を持っております。また同時に、電気事業法とか、公害等のかなり強いワクも入れられておりますし、したがって、この経理内容も他の企業に比べてかなり公開されておるようにわれわれ認識しております。そういう中で、やはり公営企業としての電気料金は上げる方向にいかなければいけない、しかし考え方として、いま申し上げましたような、いわゆる福祉ということを中心に考えて、あまりたくさん使わない方々、いわゆる庶民の電気代というものを上げないという方向でいくべきであると思っております。
  51. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、これからは想定になってくるわけですが、しかし想定とはいいながら、この答申の中に盛られている内容から見ると、当然そうなるであろうと予測される面について質問してみたいと思うのでありますが、家庭用電灯の三段階制ですね。ここのいわゆる報告の中にそれぞれ書かれているわけですが、これが採用された場合、採用されるであろうと私は想定するわけでありまするが、そうした場合、少ない量の使用者に対しては割り安になるという計算が必然的に出てくるといわれている、また、そうではない、これらに対しても約三五%程度は上昇するであろう、こういうふうにもいわれておるわけでありますが、これらはどのような予想がなされるか。検討の段階としてでけっこうですからお示しを願いたいと思います。  さらに、これらのいわゆる家庭用電灯が、平均的なランクとして需要家全体の中で一体どの程度の割合を占めておるのか。全体の需要量に対して家庭用電灯の占める割合はどの程度と予測しておるのか。この点もひとつ、あわせて御答弁を願いたいと思います。
  52. 岸田文武

    ○岸田政府委員 電灯料金の三段階制というのは今回の答申の一つのポイントになっておるのでございますが、この基本的考え方は、電灯料金の平均に対しまして使用量の少ない層、具体的には百キロワットアワー以下の層につきましては、平均の値段に対しまして八掛けか九掛けか、そういった形で安い料金を適用する、第二段目の使用量、これは会社によっておそらくいろいろ差が出てまいるかと思いますが、百キロワットアワーから二百キロワットアワーまで、あるいは百キロワットアワーから二百キロワットアワーまで、こういった階層につきましては、いわば平均的な料金を適用する、それを過ぎました、家庭でも特に大口の需要家といった対象に対しましては割り高な料金を適用する、こういう考え方でございます。  いま百キロワットアワーということを申し上げましたのは、制度部会の中でいろいろ検討いたしまして、家庭に対して、いろいろの家庭電気器具が使用されておりますが、その使用状況を見てまいりまして、普及率八〇%以上の家庭電気器具の使用量を積み上げてまいりますと、約百キロワットアワーになるというようなことから、一つの区切りとして、いわばナショナルミニマムとして線を引いてみたわけでございます。  この適用対象がどの程度の範囲かというお尋ねでございますが、たとえば東京電力とか関西電力とかいう、いわば消費量の多い家庭が多い電力会社の場合には大体全体の三〇%程度、それから四国電力とか北海道電力のようにわりあいに少ない消費量の家庭の多い電力会社におきましては四〇%程度になろうかと思っております。
  53. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、そういうような条件が予想されるわけでありまするが、しかし先ほど答弁にもありましたとおり、今回のこのままの条件で引き続いていくと、四十九年度上期が四五ないし四七%の上昇だ。その原因は、C重油のいわゆる原料の値上げ幅が六五%程度だといわれ、それをそのまま電力に移した場合、いまお話のあったようなところになるといわれるわけでありますが、こういうような条件の中で、すでに三月二十三日に東京電力の木川田会長が七〇%弱の値上げを申請する、こういうようなことを発表しているわけでありますけれども、こういうような条件下において七〇%弱ということが妥当であると考えられるのかどうか、いまの御答弁に関連して、この際ひとつ御見解を聞いておきたいと思うわけであります。
  54. 岸田文武

    ○岸田政府委員 いま御指摘の中で重油の値上げ率六五%というお話がございましたが、私ども価格の推移を調べてまいりますと、昨年の上期の場合ですと、中近東の油はまだ二ドルちょっとという段階でございました。これが最近は八ドル三十二とか五十とかいうような水準に上がっております。それから、電力会社が使用しております油の中で主体を占めておりますミナスの油、これは公害対策上引いておるわけでございますが、これの例で見ますと、昨年の上期が三ドル五、六十であったかと思いますが、最近一月以降は十ドル八十というような数字が出てまいっております。したがいまして、電力会社の使う油の水準は、昨年の上期に比べますとすでに三倍ぐらいの水準になっておるわけでございます。私どもは、かりに申請があった場合には、これらの油の状況につきましては、石油について十分慎重に検討したと同様の慎重さをもってコストの中身を十分詰めて査定をする所存でございますので、御懸念なくやれると思っております。
  55. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、この答申に盛られている中で重要な変更点が一つあるわけです。  先ほど来聞いてまいりましたけれども、そのほかに、このことの持つ意味が非常に重要だと思う点についてただしておきたいと思うのでありますが、それは、算定期間はいままで三年であったわけであります。安定価格による安定供給が原則であるにもかかわらず、この答申によれば一年というように変更されておるようでございますけれども、われわれは、そうたびたび料金変更が行なわれるということは需要家にとってたいへん迷惑なことである、こう考えざるを得ないわけでございますが、これについてわれわれはやはり長期に安定したほうが望ましい、こう考えているわけですが、当局はどのように判断されておるか、この点ひとつお伺いしたいと思うのです。
  56. 岸田文武

    ○岸田政府委員 答申の中でも、やはり基本的な考え方としては、料金の長期安定を目ざして三年のほうがより好ましいということは申し述べられております。ただし、それにつきまして昨今のように原価要素が非常に不安定である、将来の予測が三年という先についてはなかなか立てがたいという事情があるときには、特に例外として一年にする道も開くというのが答申の趣旨であろうかと思います。  現実にはそういった新しい道を開きました背景といたしましては、特に私どもとして問題がございましたのは油の価格でございます。中近東の油につきましても、四月−六月は一応据え置きということになりましたものの、その後の情勢はまだ掌握できておりませんし、またインドネシアの油につきましても、四月以降どうなるかというような点も不安定でございます。それらの事情を的確に反映できるような制度というものも、場合によってはあり得てよいのではないかというふうに思っております。  なお、値上げ率との関係でございますが、三年を原価計算期間にいたしますと、いわばこれから後三年間の各種の物価上昇をその中に織り込んでいかなければなりませんが、一年の場合には一年分を織り込むということで、過程の議論値上げ率に引き直してみますと、三年を織り込みました場合、三年を原価計算期間としました場合のほうがより高くなるというような傾向になるわけでございます。
  57. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私はいままでずっと質問を続けてきたわけでありまするが、時間もあと残り少なくなりましたので結論に入りたいと思うのであります。  そこで、中小企業庁長官に質問をいたしたいと思いますことは、いま私がずっと質問してきたことについて長官もわかったと思うのでありますが、結果的には、この答申を原則にし、さらに政治的な配慮を加え、さらに当面する電力会社の経営内容、政府首脳部の見解、こういうものを総合いたしますると、早期にこの問題についての結論を出さざるを得ない状況下にあると思うのであります。そしてその状況下においてだれが一番得をし、だれが一番損をするかという問題が結果的に出てくるわけです。総体的には料金が上がるわけですから、軽微であるとはいいながら大きな影響を国民各層に与えるのでありまするが、私はこの答申を見、さらにいまの質疑を通じて考えられることは、結局大会社、いわゆる大企業と称するものに対する対策が、相変らず原価主義という名のもとに甘い措置をとられるのではないかというおそれを抱きます。  同時にまた、家庭料金については、福祉という形の中において一定の政治的な配慮、また現実的な配慮と申しましょうか、そういう配慮が加えられます。そういうことが考えられるわけでありまするが、中小企業者、中小企業の経営者という立場で電力を使用する人たちにそのしわが寄せられていく。原価主義という原則に基づいて、中小企業、小規模零細企業に対する供給の原価は非常に高くなるわけでありまするから、そこにしわ寄せされる。いわゆる家庭用電力でないという形の中においてしわ寄せされてくるということが当然予測されるわけでありまするが、中小企業庁としては、この点についてどのような配慮をもって取り組もうとされるのか、このことについて質問をしたいと思います。  さらに、時間がございませんから、政務次官に見解をお聞きいたしたいと思うのであります。これは両政務次官でありまするが、一つには、電力業界全体については、問題の総需要抑制の中において節電という形で一定の協力がいま行なわれているわけでありますけれども、このことが経営に対していろいろな影響を与えているわけであります。しかし、その影響を与える中においてこの問題の解決をはからなければならないところにいま追い込まれてきている、こういうような状況になっているわけですが、ただ政府は、参議院選挙という政治的目的のために、その処置については選挙終了後これを行なうんだというようにあらゆるところでたびたび言明がなされておるようにも聞いておるわけであります。冒頭にもその点をただしましたが、このような考え方でこの問題に対処することが適当なのかどうか。この点について、政府当局として明快なる御見解をお示し願いたいと思うのであります。  さらに最後に、低廉なる油を購入することによって火力発電に偏重し、火力発電施設を拡充してきたことが今日の料金値上げ一つの大きな条件にもなってきている。こういうようなことを考えたとき、多目的−多目的というのは適切かどうかわかりませんが、いろいろな発電設備、これらについてもっと積極的な指導ないし対策がとられるべきではないか、こう考えるのでありまするが、このことについて政務次官の見解をお伺いいたしたいと思います。  さらに経済企画庁の政務次官に対しましては、これらの問題の中で、国民生活に与える影響下において積極的なる対策を、物価抑制の見地からどのように私の質疑を通じてはかるべきだとお考えになったか、最後に、この点について御見解をお聞きし、私の質問を終りたいと思います。
  58. 外山弘

    ○外山政府委員 諸般の情勢から見まして電力料金の引き上げということが近く実現を見るでございましょうし、また、それに対する考え方が電気事業審議会の答申というかっこうで一つの案が答申されているわけでございます。原価主義が骨格であり、かつ原価が上がるという以上当然のことながら影響が需要家に出てくるわけでございまして、御指摘のように、小口需要を中心としての影響というのを私どもは基本的に心配をしなければならない立場にあるわけでございます。  今回の電気事業審議会の答申で見ますと、原価主義を骨格としつつも逓増制というのをとっておるわけでございます。これは一つの考慮だと思いますが、その際に逓増制の働き方を需要の面によってそれぞれ違えているというふうに理解いたすわけでございまして、たとえば小口需要考えて、需要家への影響ということを頭に入れて、その逓増制については新規増設需要についての基本料金にだけ逓増制を使うことにして、小口需要については、そのほかについてはそういうことをしないというふうなことで若干その小口需要に対する配慮を需要家への影響を考慮してやっているというふうに考えているわけでございます。私どもは、基本的に原価主義をとり、かつ原価の上がるという段階で上げないようにするというわけにはまいりませんけれども、その小口需要への影響ができるだけ軽減されるように、基本的なプリンシプルが失われない範囲で、できるだけ小口需要家への配慮が払われるように今後も関係当局と話し合いをしてまいりたい、こう考える次第でございます。
  59. 森下元晴

    ○森下政府委員 中小零細企業に対する問題は、いま長官がお答えしたので御了承願いたいと思います。  参議院選挙用のためにあえて料金問題を云々するのではないだろうかというような御質問でございますけれども、これは絶対にあり得ない問題でございます。国民大衆は油の非常な値上がり、また電気料金が幾らになるか、これに対して政府はどういうふうに考えておるかというようなことはもうすでに承知しておりまして、小手先だけで、参議院用のためにこういう重要問題をその道具にすることは絶対に許されないし、またそういうことをすること自身が政府にとっても大きなマイナスになるということはよく承知しております。その必要がございましたら、参議院選挙の前でございましても了解を得まして料金の改定をする場合もあり得るはずでございまして、その点はっきり申し上げたいと思います。  それからいままで火力を主にしてきた、非常に安く原油が入ったものですから、そういう方法をとったことは当然でございましたけれども、しかし資源政策という大きな観点から見ました場合に、これが現在の産業政策のいろいろな欠陥を生じておる、これは事実でございまして、やはり資源のない国が経済成長のみに追われまして、ふんだんに資源を入れてその上に経済成長を成り立たしたというところに現在のいろいろな問題があることも承知をしております。だから、こういうときこそ海外からの資源というものを根本的に考えまして、やはり民族資源と申しますか、国内の資源開発にこれから重点的に切りかえていくべきである。たとえば水力の見直しとか、石炭の見直しとか、すでにいまこの原油関係燃料とするカロリー当たりのコストよりも石炭のほうが約半分で済むようなことが数字的に出ております。それ以外に新しいエネルギーとして太陽熱とか、また地熱発電、それから潮流発電、将来は原子力の平和利用による発電、そういう問題も含めて、できるだけ資源を多く使わないような、また国内資源を重点的に開発してそのほうに切りかえていくことこそが電力を安定する長期の目安、また長期的な計画として通産省がサンシャイン計画という名のもとに四十九年度の予算を組んで御承認を得たわけでございますけれども、そういう方向で、前向きで新しい資源政策の中で安定した料金体系、そして国民大衆に安定した安価な燃料また電気というものを供給することによって、福祉面も考えた新しい政策、政治をやっていくのが通産省の使命である。非常な強い決意でやります。
  60. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 かりに電力料金の改定がやむを得ないものとしました場合でも、私どもとしましては、まず電力会社に対しましてより一そうの経営合理化の努力を求め、そこでできるだけコスト上昇を吸収するようにし、料金改定は極力抑制をしてまいりたいと思います。また、当然波及が懸念されるわけでございますが、その波及も産業、企業によりまして相当に明暗の差もあろうかと思いますが、そういうものにつきましても、今回の石油価格の改定の措置のあったような関連物資の対策もその際にあわせまして関係省庁と十分に協議をいたしまして、いやしくもこれが第二の物価アップの引き金にならないよう最大の努力を傾けてまいりたいと思います。  なお、この機会に、先ほど先生に対する答弁中電力のウエートの数字を申し上げましたが、その際、卸売り物価の中で云々と申しましたのは、実はCPI、消費者物価の中でのウエートでございますので、この際おわびを申し上げて訂正させていただきたいと思います。
  61. 濱野清吾

  62. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ことしの一月十六日に千葉県の市川市にあります京葉瓦斯が東京通産局に対してガス料金の値上げ申請を出しました。この京葉瓦斯は、東京都の一部と千葉県内の五市二町に供給をしており、需要家数は四十八年度で十七万戸の会社であります。このことについてお伺いするわけですが、まず料金値上げ申請に対する手続上の問題で、値上げ申請以後認可権を持っております東京通産局は、京葉瓦斯に対して値上げ理由を十分にアピールするように、こういう行政指導を行ないました。これに対して京葉瓦斯は、説明会を開いていない船橋の高根だとか前原団地など幾つかをあげて、こういうところで説明会を開いたとして、通産局に対してうその報告をいたしました。さらに京葉瓦斯は、市川の住民が説明会をもっと開くべきであるという要望に対して、去年の秋ごろから通産局に経営悪化の状態を報告していたが、通産局から突然一月十六日に申請を出すようにと指導されて出したために十分な説明ができなかった、こう会社側で答えました。いま申しましたのは、値上げに反対する千葉県の人たち通産局や京葉瓦斯との交渉の中で明らかになったことでありまして、京葉瓦斯は三月十五日付でいまの点につきましては、「当局から直接PRした状況を尋ねられたのに対し、当社が直接PRでないことまでを混入し、まぎらわしい説明をしたことが誤解の原因となったものであります。」さらに「申請の経緯については、昨年秋頃より当局に対し、当社の企業努力、合理化の範囲を超える外的要因によるコストアップと経営悪化の状況につき説明して参りましたが、加えて、昨年末におけるナフサの大幅な値上り等により、このまま推移すれば経営は極度に悪化し、公益事業者としての社会的責任の遂行に多大な支障をきたすことになりますので、料金の改訂申請を決意し、急遽一月十六日申請書を提出することにしたものであって、この間の事情を当社の発言者が間違えたものであります。」という釈明文を住民のほうによこしたわけです。会社が言っていることがうそであるということが明らかになったわけですけれども、これらの虚偽の報告などについて、当局のほうで何らかの措置を講じられたかどうか、まずお伺いします。
  63. 岸田文武

    ○岸田政府委員 ただいま御指摘のように、当初地区住民に対して積極的にPRをしたというような話がございまして、それが十分徹底していなかった、この辺の御指摘から、私どもとしても、会社を呼びまして、一体どういう経緯でそういう話になったんだということを調査をし、どうもその申し分が徹底を欠いておりましたので、厳重に注意をいたしました。その後、会社のほうとしましては、あらためて各自治会等に対しまして、いま得ております報告では、十九回開催をしたということがいわれておりますので、注意を受けてその後やっておるのではないかというふうに思っております。  また、通産省から提出を徒慫慂したというようなことは、私ども公共料金の値上げを抑制するために一生懸命やっているわけでございまして、そのようなことは決してなかったわけでございます。その辺の事情は御了承いただきたいと思います。
  64. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 時間がありませんので次に進みますが、次は、公聴会の問題で、ガス事業法の四十八条で、公聴会を開き、そしてその場合に、広く一般の意見を聞かなければならない、こういうことがきめられているわけです。ところが、実際に開かれた公聴会におきましては、百六名の人が公述人に応募しながら、意見を述べ、あるいは意見書を提出した者は九十三名であった。十三名が欠席していて、この欠席率は、いままでの経験からすると非常に多い。これは通産省も言っておられるわけです。特にこの公聴会につきまして、公聴会があるということを住民に知らせる方法、告示ということになっておりますけれども、大部分の住民は知らないままこの公聴会が迎えられた、こういうことになっております。そういう関係で、関係住民の間では、通産局がガス事業法に基づく公聴会をより民主的に開くべきである、こういうことを要望しておりますし、いま、公聴会が不十分であったということから、もう一度公聴会を開いてもらいたい、こういうように要求しているわけです。この住民の要望が強いということ、それから行なわれた公聴会に異常な欠席者があらわれたということ、それからその説明会自体も虚偽の報告をするくらいで不十分であったというようなことから考えてみました場合に、広く一般の意見を聞くという点で不十分であるということから、公聴会をもう一度開くというような考えはないかどうか、ただしたいと思います。
  65. 岸田文武

    ○岸田政府委員 公聴会に欠席をした方々からは、それぞれ意見書をちょうだいいたしまして、私どもは出席した方々と同様にそれらの意見もしんしゃくをし、私どもの認可に反映をさせるという考え方を持っております。  なお、公聴会の開催通知につきましては、官報に掲載をするほか、市川市、松戸市ほか関係の八地方公共団体あてに写しを添付して通知をいたしております。  重ねて公聴会を開催する用意はないかという点でございますが、いわば所定の手続を経て開催をいたしたものでございまして、いろいろまだほかに御意見のある方もあろうかと思いますが、そのつどまた公聴会を開くというわけにもまいりません。一応所定の手続をもって満足できるのではないかというふうに思っております。
  66. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いま、欠席した人から意見書が出たということでありましたけれども、意見書も出していない人が十三名あるというふうに私たちは聞いているわけです。そして各関係自治体に対して写しを送付したということでありますけれども、そのことが住民の間に知らされていないということでありまして、この公聴会なりあるいは住民の意見を聞くことをもう一度真剣に検討すべきであるということを要望しておきます。  次に、値上げ申請の申請理由が申請書にありますけれども、その中で、変だと思う点をちょっと指摘したいと思うのです。  一つは、一番目の資本費の高騰の中で、「更に前に述べました天然ガスの採取規制の強化から第三号基の建設が必要であります。これは当社の昭和四十一年から昭和四十五年までの五カ年間の製造設備の年平均投資額六千八百万円に比し、十数倍にのぼる巨額なものであります。この結果、製造設備の減価償却費は飛躍的に高騰することがまぬがれません。」、この三号基の建設、それから投資額が十数倍にのぼるという問題であります。  それから、申請理由の三の中の中央輸送幹線の資本費の高騰という中で、第一期工事として中央輸送幹線を昭和五十二年完成を目ざして計画を推進中である、そしてその工事費は二十二億円という巨額にのぼる、こういうことがいってありますけれども、このくだりは、ガス供給規程の改正をする場合において、その認可の申請をする場合において、適正な原価を算定する上での根拠になる内容にはなっていない、こう思うわけです。オーバーな説明をしているのだ、こう思うのですが、この点についてはどういうお考えですか。
  67. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御指摘の点について事実を調べてみました。一号基、二号基はできておりますが、三号基の建設につきましては、五十年以降の計画になっておりますので、今回の原価計算には直接関係がないというふうに判断をされます。  それから第二に御指摘いただきました中央輸送幹線の問題につきましても、工事費二十二億という数字は、いわば第一期工事と第二期工事を合わせた額でございまして、原価計算との関係ではまぎらわしい表現のように考えられます。
  68. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 申請書に出ております北柏のガスホルダーのことですが、四十七年の有価証券報告書では、北柏のガスホルダー用地として九千万円の計画で四十八年六月に取得する、こういう計画になっております。それから四十八年の有価証券報告書を見ますと、二千万円が建設仮勘定として計上されております。実際は、京葉瓦斯では四十八年一月八日に地元の農業委員会に農地転用の申請を出しております。この申請書では、権利者は菊池仁、これは京葉瓦斯の社長ですが、そうなっておりまして、譲渡価格は七千万円、こういうようになっております。ところが実際には、三月六日にこの農業委員会は周辺の同意書をつけなければ裁定できないというようにして、未処理ということになっております。このことで柏市当局にあっせんの依頼をしましたけれども、柏市でもほかの土地を取得するように、こういうことをいってこのあっせんを断わり、柏市議会では住民から出ておりましたガスホルダーについての反対請願を柏市議会では採択する、こういうことになっております。ですから、この北柏のガスホルダーの建設というのはいま不可能の状態にあるわけですけれども計算の上では建設仮勘定で計上しているわけですけれども、これは計算する上で必要経費の中に含ままれるおそれがある、こういうように見られますし、そういう意味で、原価計算をする上において実際かからない金がかけられたというようになされるおそれがあると思うのですが、これに対して見解をお伺いします。
  69. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御指摘ございました土地の利用計画につきましては、まだ私どもの手元にガス事業法による許認可の申請が提出されておりませんので、具体的内容は私ども承知をいたしておりませんが、おそらくはこれらの周辺地区における供給力を増強するためのホルダーの用地として予定をしていたのではないかと思われます。ただ、いま御指摘ございましたように、私どもも聞いてみますと、地元でいろいろな反対運動があるということでございまして、私どもといたしましては、地元と十分話し合いをし、その納得を得られた上で、ある程度見通しをつけて申請をしてもらいたいという考え方でございます。ここの土地に限らず、最近各地でホルダーの建設をめぐって地元住民との間の紛争がございます。ただ、その地区としては、どこかには必要であろうかと思いますが、そのどこにするかということについての問題でございまして、広い意味での地元との話し合いを進めながら、これらの問題について前進をはかってまいりたいと思っております。御指摘の建設仮勘定について、私どもは認可までの段階でいまのような御意見を頭に入れながら処理をいたしたいと思います。
  70. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この京葉瓦斯の株式を持っている関係の問題ですが、一つは株式会社南悠商社、これが六百六十九万八千株、全体の二七・五六%この会社は資本金が五千万円の会社であるわけです。それが三億円以上の京葉瓦斯の株を持っている。それから望海炭砿株式会社、四百二十万八千株、二億円以上の株を持っている。それから高萩炭砿株式会社。この望海炭砿は資本金百万円で、高萩炭砿は五千百万、ここに五十八万八千株がある。そのほかに京葉瓦斯の社長個人が百六十万八千株、こういうふうに持っているわけです。そしていま言いました株式会社南悠商社とそれから望海炭砿株式会社、高萩炭砿株式会社、この三つの会社の社長は、やはり京葉瓦斯の社長を兼ねている、こういう関係になっております。そしてこうした資本金額の小さい会社が京葉瓦斯の多額の株を持っているということは、一見すると、この京葉瓦斯の利益がこういう会社に移されているのではないか、こういう疑念が生じてくるわけです。いろいろの経過はあるようでありますけれども、この株を大口に持っている三つの会社、これは京葉瓦斯の社長の一族がまたその会社の株のほとんどを持っているということであるわけです。としますと、この京葉瓦斯から出ます株の配当金、一割二分とか一割の配当というのが実際上はこの社長の一族のものになっている、こういうように見ることができるわけですが、その点についてどういう考えであるか、お伺いします。
  71. 岸田文武

    ○岸田政府委員 ただいま京葉瓦斯について株主構成が菊地社長一族に片寄っているという御指摘でございましたが、歴史をたどってみますと、昭和三十二年当時、京葉瓦斯が非常に経営上の危機に直面しました際に、菊地社長が非常な苦心をして会社を建て直され、ごく最近でこそ燃料費、資本費の値上がり等によりまして非常に経営が苦しくなっておりますが、その間長い年月にわたりまして料金水準の安定に努力したという経過はそれなりに評価をする必要があるのではないかという感じがいたします。一般的に申しまして、ガスの料金は能率的な経営のもとにおける適正原価を基準として算定をし、それをもとに安定供給をはかるというしかけになっておりますことはいまさら御説明するまでもないわけでございまして、これが株主構成が片寄っているからということで特別の取り扱いをすることはいかがかという感じがいたします。  なお、一割配当につきましては、京葉瓦斯程度の中堅の企業につきまして、増資によって資金調達をはかっていくということを円滑に進めてまいりますためには、やはりある程度必要な水準ではないかという考え方を持っております。
  72. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この株主構成の片寄り云々の問題ではなくて、事実上、この社長、また社長の一族が一割の配当の、全体では五八・三三%の株の配当を受ける、こういう結果になっているわけです。  そこで問題は、この京葉瓦斯の供給を受ける人は千葉県また東京の一部の人が非常に多いわけで、この料金の値上げの申請に対し、先日調べたところでも一万三千四百二十人の人が署名を集めて提出する、また市川、柏、松戸、船橋、鎌ヶ谷の各市長、浦安、沼南の町長が一緒になって、この改定の延期の申し入れをしております。千葉県知事もまた同じような申し入れをしているわけです。何といっても公共料金でありますし、経営の合理化あるいは経費の節減ということによって、価格値上げを極力押えるということは当然であろうと思うわけです。特にいま物価の狂乱状態といわれる中でありますし、これが上がればまた物価にも大きな影響を及ぼす、こういうことから私たちは、いまの時代における公共料金の値上げを凍結すべきである、こういうように主張しております。そしてこのガスについていえば、製造設備あるいは供給設備の減価償却の期間を延長することについての検討をするとか、あるいは経費節約、また特にこの会社が、社長の関係、その一族がこの大部分の配当を受けているというような問題を考えた上で、このガスの製造原価の計算を押えることで公共料金を値上げしないようにというのが多くの関係者の要求になっているわけです。このガス料金の値上げを押えるということについての当局の見解を最後に伺います。
  73. 岸田文武

    ○岸田政府委員 ガス料金も公共料金の一つの代表でございまして、私どもとしても従来からこれを低位に安定をするということのために一生懸命努力をしてまいりました。ただ、ガス料金はなかなかむずかしい問題がございまして、無理に据え置きまして経営が赤字になるというようなことに追い込みますと、一方では保安工事が十分行なわれ得るかどうかというような問題がございます。また、都市ガスをぜひ引いてほしいという周辺の需要にどうこたえるかという問題が出てまいります。もっと進んでまいりますのは、原料手当ての資金確保というような問題にも波及するわけでございます。こういった意味から、私どもとしては個々の申請につきまして、いまのようなことを頭に置きながら最大限のきびしい査定をするというやり方で今後処理してまいりたいと思っております。  御指摘のございました中で、たとえば償却方法等についてもっとくふうの余地はないかというような点、私ども考えてみたいと思います。そのほか経費の内容等につきましても、内容をよく見ました上で査定をするように東京通産局を指導いたしたいと思います。
  74. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまの点についての政務次官の見解を伺いたいと思います。
  75. 森下元晴

    ○森下政府委員 ガス事業につきましては、電気事業と同じように非常に国民生活に関係がございます。特に煮たき用のガスというものは食糧と同じ、またそれ以上重要なものでございまして、これのいわゆる量的な確保の問題とか、また値上がりの問題というものは、非常に生活に強い関係がある。ただ電気事業と違いまして、ガス事業は非常に多くの企業から成り立っておる。約二百五十の企業がございますし、またこれ以外にも大体七十戸単位で簡易ガス事業が認可制になっております。まあ私企業もございますし、公営企業等でもやられております。ここらに指導等におきましても電気事業と違った複雑な面がございまして、特に石油原料確保ということで、量的にも価格的にも通産省としては規制の方向に行っておる現状で、ガス事業に対しては電気事業以上にこの指導にいたしましても難点が実はございます。  いま御指摘の京葉瓦斯についても、御指摘のように内容は同族会社でございますし、しかも性格は公益事業でなくてはいけないというところに、地域住民の不満も出てくるであろうし、また将来の不安もあると思うのです。そういう点われわれは今後の問題として、やはり電力以上にガス事業、特に東京周辺の千葉県とか埼玉県では急に人口がふえて団地化されておりまして、ガスに対する生活の必需的な燃料、暖房用としての重要度というものはますます出てきておるように私は思うのです。今回の京葉瓦斯の公聴会、また柏市とか市川市その他の市からもいろいろな意思表示もあったようにも聞いておりますし、いま先生指摘の点もよくわれわれも検討し、また将来の問題としてもこのガス事業につきまして、特に東京周辺のガス事業につきましては、検討だけではなしに前向きに対処していきます。  なお、この内容につきましては、実は残念ながら私も十分承知しておりませんので、なおよく勉強さしていただきたい。いろいろこういう問題が昨年の十二月には関東ガス等で時間制限をする——電気と違いましてガスは途中でとめるわけにいきません。爆発いたします。慎重にこれも取り扱いをしながら通産省としても強力に指導していきたい。  また、いろいろ再編の問題等も、おそらく私は将来の問題として出てきそうな感じもします。非常に経営規模も違うし、資本形態も違うし、個人企業的な内容もございまして、原料の削減また値上がりに対処して規制の方向に行くためには、再編等も含めて検討すべき重要な内容を持っておる、このように私は思っております。
  76. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 終わります。
  77. 濱野清吾

    濱野委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後雰時四十八分休憩      ————◇—————     午後四時八分開議
  78. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出石油開発公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  79. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 提案理由の設明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣
  80. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 石油開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  石油開発公団は、創立以来六年余にわたり、海外における石油、可燃性天然ガスの探鉱資金の投融資業務、開発資金の債務保証業務等を通じ、文字どおり海外石油開発の中核的推進母体となって活動してまいりました。  昨年来の石油危機に直面いたしまして、石油の安定供給の確保がわが国国民経済の円滑な運営の前提であることをあらためて痛感したわけでありますが、この安定供給の確保をはかる方策として最も効果的なものは、言うまでもなくわが国企業による自主開発の推進であります。  政府といたしましては、この自主開発の推進役である石油開発公団の役割りの重要性にかんがみ、来年度におきまして、その投融資規模の拡大、融資金利の大幅引き下げ等、資金面での強化をはかるとともに、業務の範囲を拡大し、石油開発の一そうの推進をはかることとした次第であります。  この法律案は、石油開発公団の業務の範囲の拡大を目的とするものでありますが、その要旨は、次のとおりであります。  第一に、石油開発公団の業務に、産油国国営石油会社が行なう探鉱、採取等に必要な資金を供給するための資金の貸し付けを加えることといたしております。  近年、産油国は、資源主権の見地から、有望鉱区をナショナル・リザーブとして確保し、これを国営石油会社の手で自主開発する方式をとることが多くなってきております。このため、わが国としても、今後このような自主開発に協力し、見返りに石油の供給等を受けるという方式をとることがぜひとも必要でありますので、そのための融資を石油開発公団の業務として追加するものであります。  第二に、石油等の範囲にオイルサンド及びオイルシェールを含ましめることといたしております。  オイルサンドとオイルシェールは、石油をしのぐ埋蔵量を有する石油系の未利用資源として注目され、特に、最近の原油価格高騰によってその開発の経済性が現実のものとなってまいりました。このため、わが国としてもぜひともその開発を急ぐ必要がありますので、石油開発公団の業務の対象となります石油等の範囲にこれらを含ましめることとするものであります。  第三に、わが国の領海と周辺大陸だなにおける探鉱を石油開発公団の投融資の対象とすることといたしております。  わが国周辺大陸だなは最も安定的で、かつ、将来性の見込まれる石油、可燃性天然ガスの供給源であり、今後急速にその開発を進める必要があります。このため、現在では目的達成業務として助成対象となっております大陸だなにおける探鉱を、石油開発公団の本来の投融資対象として明確にするとともに、従来対象外とされていた領海内における探鉱についても石油開発公団の投融資対象とするものであります。  以上、この法律案提出の理由及びその概要を御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  81. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 以上で提案理由の説明は終わりました。      ————◇—————
  82. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 午前中に引き続き通商産業基本施策に関する件、中小企業に関する件、資源エネルギーに関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑を続行いたします。中村重光君。
  83. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間の制約がありますので、意見を申し上げないで、端的に大臣にお尋ねをしてまいります。  石油製品値上げ政府は踏み切ったわけですが、キロリットル平均価格が八千九百四十六円ということになりまして、きょうの本会議でも大臣は述べられたのでありますし、当委員会におきましても、大臣が石油製品値上げについての姿勢と申しましょうか、考え方を明らかにしてこられましたのは、便乗値上げでもうけたものをみんな吐き出させるんだ、また物価の問題等々を考え値上げを慎重にやっていくということであったわけです。従来の大臣のそうした考え方というものからいたしますと、今回の石油製品値上げというのは、便乗値上げのもうけを全部吐き出させてしまったという認識の上に立っておられるのかどうかということを考えていたわけですが、きょうの本会議における答弁を伺っておりますと、必ずしもそうではないというように私どもは伺ったのであります。それらの点に対して、大臣からひとつこの際明確にしておいていただきたい。
  84. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 便乗値上げを吐き出させるという考えをもってそれを実行いたしたつもりであります。
  85. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうなってまいりますと、八千九百四十六円の算出根拠というものがどうなっているのかという点について、事務当局からでもけっこうですから伺いたい。
  86. 山形栄治

    ○山形政府委員 八千九百四十六円の算出根拠でございますが、これは大きく申し上げまして、原油代の値上がりと諸経費の査定と二つから成り立っておるわけでございます。  ちょっとこまかくなりますが、原油代につきましては、四十八年上の実績、これは円で申し上げますとキロリットル五千百九十二円でございますが、四十九年の四—九の見通しにつきましては、一万九千二百八円とこれを見込んでおります。  この根拠は、ごく最近時の通関を大蔵省当局とも打ち合わせの上で、油種別、会社別に全部積み上げまして、平均を出した数字でございます。われわれのほうは総平均法でこれをやっておりますので、若干古い油の在庫がこれに関係いたします。したがいまして、その在庫の評価調整を行ないまして、結局四十八年上に対しまして、四十九年上が一万二千四百八十九円、原油代で値上がりするという計算をはじいたわけでございます。われわれといたしましては、原油代の値上がりは、これは査定をするというのはおかしいわけでございます。それで、これはこのまま認めるという形をとったのが大きな一つの原則でございます。  しかし、別途、精製費それから販売管理費等、いわゆる諸経費の問題につきまして、われわれといたしましては、十二月水準におきましては、いわゆる世間でもうけ過ぎがあったのではないかといわれておりますので、これを公正なる時期に置きかえるべきであるということの考え方から、四十八年上、四十八年の四月−九月のいわゆる元売り仕切り価格ベースに置いたわけであります。  なお、この四十八年上のわりあいに正常だと思われております時期におきまして、この元売り仕切り価格の中に約五百円の利潤が入っておりましたので、こういう時期でございますので、これを半分の二百五十円吐き出させまして、ある意味で若干低いと思われますが、キロリットル当たり二百五十円の利益を見て、かつ四十八年上と四十八年十二月の元売り仕切り価格の差の四千八百円程度のいわゆるもうけ過ぎということに見合うべき経費の増を差し引いたわけでございます。  非常にくだくだいたしましたが、原油代及び原油代関係するユーザンスの増等をそのまま認め、そこからいわゆる四十八年の十二月にもうけ過ぎたと思われます経費の増四千八百円程度を差し引きまして、しかし別途四百円程度のプラスは認めておりますけれども、大まかにいいまして四千四百円ぐらいをここから引きまして、その結果がキロリットル当たり八千九百四十六円、こういうことになったわけでございます。非常におわかりにくかったかと思いますけれども、そういうことになっております。
  87. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、今回の値上げで、民族系五社も含めて赤字は出ないということになりますか。
  88. 山形栄治

    ○山形政府委員 赤字といいますのは、大部分の会社が三月決算及び九月決算でございまして、この三月決算におきましては、結論から申し上げますと、千三百億円程度の赤字が出ると思うわけでございます。これにつきましては、内部留保の吐き出しとか、その他資産の処分等を当然会社としては迫られる次第でございます。  それから、四月から九月のいわゆる九月期の決算といいますのは、私のほうといたしましては、先ほど御説明いたしましたように、キロリットル二百五十円の利益は一応見込んでおるわけでございます。これはちなみに過去六期の利益の平均が三百四十七円でございますので、それよりもっと低い利益の幅でございますが、こういう段階でもございますので、一そう企業としては企業努力もしていただきまして、二百五十円の利益で、諸経費節約等もはかることによりまして、四—九におきましては、今後の原油価格が異常にまた再値上げするというようなことがなかりせば、私は九月決算というのは非常にひどい状態でなく推移できるんではないか、また、そういう考え方で八千九百四十六円をはじいたわけでございます。
  89. 中村重光

    ○中村(重)委員 いま上期の元売り仕切り価格の中身だろうと思うのですが、五百円利潤が入っておったということですね。九千七百九十四円であったわけですから、関税と精製費と販売管理費でもって四千六百二円になるのです。ところが、十二月になってまいりますと、元売り仕切り価格は一万四千三百五十七円、関税、精製費、販売管理費は五千五百十七円というようになるわけです。この関係と、いまお答えになりました上期に利益が五百円入っておったということだと、十二月段階においては利潤は幾ら入っておったことになるのですか。
  90. 山形栄治

    ○山形政府委員 お答え申し上げます。  十二月の一万四千三百五十七円と、それからいわゆる十二月の原価が一万二千五百十八円と私のほうははじいておりますので、利幅が三千七百円程度という計算に相なります。
  91. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまのは違うんじゃありませんか。そういうことにならぬでしょう。
  92. 山形栄治

    ○山形政府委員 ちょっと恐縮でございました。  いま先生の御質問は、十二月ということでございますが、私のほうのいろいろな計算が、十月から十二月までの三カ月でどのくらいもうけたかという計算をとっておりまして、全然数字が違いましたので、もう一回訂正いたしますが、十—十二月の元売り仕切り価格の三カ月間の加重平均といいますか、全体の平均が一万二千四百十六円でございます。これに対しまして十—十二月のいわゆる原価といいますのが一万一千五百四十一円でございます。この差額の、いわゆる利幅といいますか、十—十二のそれが八百七十五円でございます。これに対しまして販売量が六千九百二十万キロリットルであったわけでございますので、これを掛け算いたしたものが、税引き前の利益で十月−十二月で六百五億円の利益があったはずである、これを全部吐き出す、こういうことに相なるわけでございます。
  93. 中村重光

    ○中村(重)委員 わかりやすく尋ねますから、わかりやすく答えてください。上期の元売り仕切り価格というのは九千七百九十四円であったわけです。この中には原油代と関税、精製費、販売管理費というものが入っている。その関税、精製費、販売管理費というのは四千六百二円になるわけです。十二月段階になってまいりますと、元売りの仕切り価格は一万四千三百五十七円ですから、これの中に私が試算してみると関税、精製費、販売管理費というのが五千五百十七円になるようです。この上期の四千六百二円の中に利潤は幾ら入っているのか。十二月段階におけるこの一万四千三百五十七円、私の試算をいたしております関税、精製、販売管理費が五千五百十七円といたしますと、これの中に利益が幾ら入っているのか。同時に今回平均八千九百四十六円になったわけですから、今回の値上げにあたって元売り仕切りの価格というのは幾らになるのか。そしてその中には利益は幾ら入るのか。その三つに対してそれぞれお答えください。
  94. 山形栄治

    ○山形政府委員 四十八年の上期の九千七百九十四円、この中には利益が五百五円でございます。  それからいまお話しの、これはちょっと後ほど、間違いましたら訂正いたしたいと思いますが、十二月の一万四千三百五十七円、この中にはその五百五円に見合います金額は千八百三十九円ということに相なると思います。
  95. 中村重光

    ○中村(重)委員 だから四十八年上期は一キロリットル当たり五百五円のもうけなんだ。十二月段階においては千八百三十九円のもうけだ。今度値上げをいたしましたから、仕切り価格というものが出るわけですね。原油とそれから関税、精製費、販売管理費を含めましたもの、この関税、精製費、販売管理費の中にはいわゆる利益も入っているわけなんだから、今回八千九百四十六円を値上げいたしまして、そこでその中にはいわゆる仕切り価格が出てまいりますから、その仕切り価格の中にもうけは幾ら入るのかということです。
  96. 山形栄治

    ○山形政府委員 これは先ほど申し上げましたように二百五十円でございます。
  97. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、二百五十円ということになってまいりますと、十二月段階においての千八百三十九円というもうけがあった、これは便乗値上げであるというように考えていいですか。これはいわゆる先取り値上げなんだから、この値上げというものはもう認めないという態度をとったわけですか。
  98. 山形栄治

    ○山形政府委員 石油の企業といいますのは、結局日本原油の安定供給をはかる責務を持っておる企業でございますので、二百五十円分の利益は認めたわけでございますが、それを前提にいたしまして、今後正常なる企業運営をはかっていただきたいという考えでございます。したがいまして、いまの千八百数十円のものは先取りといいますか、そういう異常なる利益幅というのは認めない、二百五十円を前提に今後の企業運営をはかっていく、こういう考え方でございます。
  99. 中村重光

    ○中村(重)委員 千八百三十九円先取り値上げと申しますか、そうした値上げをやっておった、これは認めないという態度をとったとすると、通産省も適当な利潤はこの程度だというようにはじかれたのであろう、こう思うのですが、四分の三のバルクライン方式を今度は通産省としてはお考えになっておられた。ところが、いろいろと各省と折衝し、通産大臣、総理大臣の段階に至って平均法という方式をおとりになったんだろうと思うのですが、四分の三のバルクライン方式と平均法との格差はどういうことになりますか。
  100. 山形栄治

    ○山形政府委員 ちょっと具体的な数字はいま手元にございませんが、いま御質問のとおり、バルクラインといいました最初の発想のときは四分の三の、バルクラインでやったわけでございまして、したがって、四分の一の企業がその価格よりも高い原油を入れておるということに相なったわけでございます。その後資料をより一そうインボイスの段階で精査いたしまして、日にちもふやして数多いインボイスを集計いたしましたところ、いわゆる各社のばらつきというのが思いのほかに接近しておることも判明いたしたわけでございます。もちろん一番高い油を入れておるところと一番低い油を入れておるところはキロリットル四千円くらいの差は依然として残ったわけでございますが、わりあいにばらつきもならされたという考え方で、できる限り低位に価格を置くという考え方で総平均法をとったわけでございますが、バルクラインの方法をとりましたときのいわゆるバルクラインからはずれる企業というのは八社だったわけでございますが、総平均でとりましたとき、この平均値から以上といいますか、不利になっている企業数というのは十二でございました。その四つの企業数がバルクラインと平均法をとった結果による差異でございます。
  101. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、バルクラインでいきます場合にははずれるのは八社、平均法でいったら十二社ということですから、平均法のほうが低く出るということになるわけですね。ところが、バルクライン方式で計算をした場合の諸経費は一千十円というように出たと伝えられているが、平均法では千二百七十円。平均法のほうが諸経費が高くなったということはどういう算出の方法からそうなるのでしょうか。
  102. 山形栄治

    ○山形政府委員 当時はいろんな案が計算及び作成されておったわけでございます。確かにある一時期のバルクライン、これは一月二十五日から二月の六日までのインボイスではじいた原油代で作成いたしましたバルクラインであったわけでございますが、その当時は非常にきびしい形も考えられたわけでございます。この平均法によりまして結局いまも言いましたように、バルクラインですと八社、平均法ですと十二社ということで、結局不利になります会社の数が平均法のほうが多く出る、したがいまして、そこの経費の内容につきまして若干平均的な概念でこれをとって、これはバルクラインと逆な考え方になりますけれども、非常にきびしく影響を受ける企業の数がふえますので、一番最初に計算しましたものよりも若干経費の査定がそういう点でのかげんが出たということに相なるわけでございます。
  103. 中村重光

    ○中村(重)委員 どうもいまのでは歯切れの悪い答弁なんではっきりしないのですよ。いずれにしてもバルクライン方式でいったらはみ出るのが八社だ、平均法でいったら十二社ということは、平均法でいったほうが低くなるということはこの数字が明らかなものだと思うのです。これは裏づけですよ。にもかかわらず、バルクライン方式でいった場合に諸経費が一千十円だ、低く出るはずであるのにかかわらず、平均法でいったのが千二百七十円、とたんにあなたのほうでは平均法をとるようになったところが、いろいろときびしく査定をしておったのだというような意味のお答えになったわけなんだね。それはおかしいのであって、あなたのほうでお考えになっておったいわゆるバルクライン方式でいくであろう、こう考えておったところが、そういかない、そこで平均法になった。ところが、最悪の場合はあなたのほうは平均法でいくこともあり得るのではないかという考え方の中で、その場合はこうしようというように考えておったのじゃありませんか。そうして適当に査定がえをしたというのが真相ではありませんか。その点はどうですか。もう見当をつけておったのでしょう。
  104. 山形栄治

    ○山形政府委員 これは見当をつけておったのではございませんで、さっき非常にわかりにくかったのでございますけれども、バルクライン方式をとろうとしておりましたときのある時点のインボイスの統計等は若干の日数も少なかったわけでございます。その後そのインボイスのとり方をふやしまして、その結果総平均法に切りかえたわけでございますが、そのときのいわゆる輸入代金金利の増、ユーザンスの金利、それから精製、管理販売費等につきまして、これはその時点でわれわれのほうでいろいろと実態に合わせまして、たとえば人件費等によりますと、四十八年上期に対しましてキロリットル当たり五百二十円の増というのを、毎勤調査がそのころはっきりいたしまして、これによってこれを二割に査定するというようなことの積み上げを人件費、修繕費、それから触媒、薬品費、国内運賃等について行なったわけでございます。
  105. 中村重光

    ○中村(重)委員 いずれにしても、あなたのほうはバルクライン方式でいった場合諸経費が幾らだ、平均法でいった場合はどうだというようなことを十分計算をして、そうしてバルクライン方式でいったならば、あなたのほうで当初考えておったようなこの諸経費で処理していこう、そうお考えになった。平均法になったならば今度はこうしようということをあらかじめあなたのほうは二つの案を持っておったのでしょう。そうして平均法でいったものだから、とたんにその諸経費、いわゆる精製費であるとか、あるいは管理販売費というようなものにさじかげんをやって、そうして千二百七十円というような数字を出したのじゃありませんか。そういうやり方はでたらめですよ。平均法をとったときにどうも非常にきびしいからというような言い方なんというのはおかしいですよ。こういうことを考えると、あなたのほうで五百円の利潤を見込んでおったけれども、今度はそれを半分に削って二百五十円にしたというのもまやかしものですよ。こういう露骨なことをなぜおやりになるのです。あなたのほうが業界と癒着をしているということを指摘されるのはこういうところにもある。姿勢を一向に改めようとしておられないということをこれは明らかに立証しておるじゃありませんか。大臣、この点はどうですか。
  106. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 初め、第一回バルクラインで計算していたころは九千百六十四円でありましたか、たしかそういう数字が出たと思います。その後いろいろまたデータのとり方を変えて、もっと新しい、期間のより長い、確度の強いデータでまた計算をし直して、そうして今度は平均法でやってみた。そういうやり直しをあのとき政治的な最高決断によってやって、バルクライン方式から二分の一平均法に変わったわけでありまして、そういうような数字の基本的な差があっていまのような差が出てきたのでありまして、癒着というようなことは毛頭ございません。現に、バルクラインで四分の三というものが二分の一に減らされているということ自体が、厳正な査定をしているという一つの表現でもあります。
  107. 中村重光

    ○中村(重)委員 そのようにお答えになりましても、平均法でいった場合とバルクライン方式でいった場合とでは平均法でいったほうが低く出ることはあたりまえなんだから、先ほど来何回も来り返しましたように、また答えがございましたようにはみ出るものが八社、一方は十二社ということによってこれは立証されているわけですね。初めから八千九百四十六円、九千円内外と考えておった。バルクライン方式でずっと諸経費計算しておった。ところが平均法になった。そうなってくると、八千六百四十六円というよりもずっと低くなる。これでは業界が利益が少なくなるというところで査定がえをやったというふうに私どもは受け取らざるを得ません。しかし、この点をついていきましても同じような答弁が返ってくるでございましょうし、私の指摘をお認めにはならぬだろうと思う。  時間の関係もございますから続いて質問をいたしますが、大臣、産業界は、石油製品値上げに対して追随値上げのかまえを見せているようでございますが、この点をどう処理なさいますか。抑制されますか。
  108. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 もちろん抑制するつもりです。けさほど、何かアルミのほうで値上げの動きがあるという新聞報道がありましたが、これもわれわれのほうとしては、アルミは一月に上げて、国会でもいろいろ追及されまして、われわれのほうもさらに国会の御議論を受けて引き下げさせたということもあり、アルミの値段について、やはりわれわれのほうとしては従来どおり抑制しておく。それからナフサからの中間品について、これは原油値段が上がれば当然ナフサも上がる。それから出てくるプロピレンとか、ああいうようなものは上がる。これはそのころから予想されておったことですが、ただし、最終製品についてはこれを押えさせる。だから、ナフサが上がってもポリバケツは上げさせないようにする、そういう方針で臨んでおり、それは実行しているつもりでおります。
  109. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、今回の値上げに対して石油需給調整審議会の意見を聞かなかったのは、どういう理由によるのですか。
  110. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 価格の問題は非常にデリケーートな問題で、幾らにするかということは最終の段階まで総理大臣に預けられておった問題であります。これが不用意に外へ出ますと、売り措しみが起きたり消費者に非常な迷惑を及ぼすことがありましたから、われわれ閣僚でも、最終段階までは総理大臣の判断に預けておきました。合議体でそういう問題を事前にいろいろ論議することは好ましくない。これはあの法律を通していただくときも、そういうやむをえないというものは事後報告でよろしいというふうに御了承いただいておったはずでございます。しかし、その前の審議会におきまして、方針についてはいろいろ御議論を承っておりました。そうして、原則的な方針を承っておいて、そういう方針を実践するということで具体的な処分を行なったわけで、それは事後において報告をいたしたわけでございます。
  111. 中村重光

    ○中村(重)委員 審議会の意見を聞かなかった。ところが、その前の審議会のときであったんだろうと思いますが、十分な情報を提供するという約束をしておったということとも関連をして、審議会の委員から、審議会を軽視しているということの指摘を受けて、エネルギー庁の北村次長が三拝九拝して、悪かったといって平あやまりをしたというように新聞には報道されているようでございます。平あやまりということは書いておりませんが、頭を下げておわびをしたということが伝えられている。大臣が自信を持ってお答えになったようなことでありますならば、それを説明すればよろしいのであって——これは私はそれで納得する意味ではありません。私どもは審議会の意見は聞かなければならないと思っておりますから、大臣のいまの答弁に対しましては見解を異にいたします。いたしますが、少なくとも政府側としては、大臣がいま答弁されたことが正しい、それでなければならないということであるならば、そのとおりに説明すればよろしいのであって、適当ではなかったということで、頭を下げておわびをするということだと、いまの大臣の答弁を聞かれた審議会の委員は憤慨されるだろうと私は思う。腹の中では大臣がいま答弁されたような考え方を持ちながら、まあ適当に頭をなでておけばよろしい、頭を下げておけばよろしいといったようなことで悪かったといったんだったら、かえって審議会の委員人たちを侮辱することになっていくではありませんか。そういうことは、私はけしからぬことだと思いますよ。その点いかがですか。
  112. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 北村君が遺憾の意を表したというのは、一月の審議会のことであったと思います。今回の問題ではないと私は思います。今回の問題につきましては、事前に大体原則的なお話を承って、そして価格に関する問題は非常にデリケートであるので政府側でやらしていただくという方針を前から持っており、また申し上げておったこともあるわけであります。ただ、一月の場合においては、たしか事後に報告したことがあって、それはけしからぬじゃないかというような御議論があったやに——私はイラクへ行っている留守でございましたが、たしかそういう御議論があったやに聞いておりました。
  113. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣、新聞をあらためて読んで下さい。一月のことではありません。今回の値上げに対して地婦連の田中事務局長その他から指摘をされて、北村次長が悪かったといってわびているということは事実なんだから。私どももそういう軽率な質問はしないわけで、よく新聞を読んで、これはけしからぬことだと思っている、私ども考え方として。  次にお尋ねをいたしますが、石油製品の小売り価格値上げをするんですか。いかがですか。
  114. 山形栄治

    ○山形政府委員 今回八千九百四十六円平均で上げましたのは元売り段階でございます。小売り段階につきましては、これは御存じのとおり、原油というか、製品値上げとそれから流通マージン、流通経費等の合成で小売り価格ができるわけでございますが、今回は元売り仕切り価格の油種別の上昇分以外を値上げすることをやめていただきたいということを通産局を通じまして各流通業者といいますか、流通段階の業界にも指導、要請をいたしておるわけでございます。特にガソリンと軽油とA重油につきましては、もちろん値上げするつもりでございますけれども、その値上げ幅を、マージンを、従来のマージンに切り込みを加えまして低めに押えて、これの上限指導価格を設定いたしたわけでございます。
  115. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、各流通段階におけるマージンの意味だろうと私は思うのですが、各流通段階におけるマージンにはどの程度切り込みましたか。小売り段階において幾らのマージンになるんですか。卸はどうなるんですか。
  116. 山形栄治

    ○山形政府委員 これは資料を提出してもけっこうでございますが、ガソリンのいわゆるレギュラーといわれているものでございますが、ハイオクじゃないレギュラーを一応標準品としておりまして、これの四十八年三月の小売り価格リットル当たり八十五円でございます。これに対応いたしまして、今回のガソリンの元売り仕切り価格の上昇が十七円十銭でございます。したがいまして、足し算をいたしますと百二円十銭に相なるわけでございますが、これを九十四円二十銭に押えたわけでございます。したがいまして、差し引き七円九十銭、約八%弱の流通段階の切り込みを行なったわけでございます。
  117. 中村重光

    ○中村(重)委員 それで、わかりやすく尋ねますが、私がこの委員会において指摘をいたしましたように、ガソリンは小売りが一リットル当たり約三十円の利益だったのですから、今度は幾らになるのですか。
  118. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  ガソリンの並み級の店頭現金売りでございますが、四十八年の十二月には流通マージンは二十九円六十銭、リットル当たり約三十円あったと考えております。これが今回の私どもの積算によりますと、これを二十一円七十銭程度に切り込みまして、七円九十銭の切り込みという計算になろうかと思います。十二月は、先ほど長官が申し上げましたように、販売価格が八十五円、これが今回の新価格におきましては九十四円二十銭、こういうことになっているわけでございます。
  119. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、石油危機石油ショックが起こります前は幾らだったのですか。
  120. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  いま手元にございますのは四十八年三月の時点の数字で私ども計算いたしておりますが、これによりますと、流通マージンは十五円七十銭と計算いたしておりまして、四十八年の三月の販売価格は六十一円というふうに考えておるわけでございます。
  121. 中村重光

    ○中村(重)委員 どこをお調べになったか、十五円のところをお調べになったか、私は、この委員会で私なりに調査をいたしまして、八円から十円であった、それが三十円に値上げをしたんだ、こう言いました。それは八円、十円が適当であるか適当でないかということは問いません。必ずしも私はたいしたマージンであったとは思わないのです。思わないのですが、一挙に十円から三十円に上がったというのは、これは先取り値上げになるのか、便乗値上げということになるのか、これは小売りの段階においても問題があるだろうし、ましてやその他の卸の段階、メーカー段階のもうけも、先ほど五百円程度であったものが千八百三十九円になったというようなこと等、政府がお調べになっておわかりのとおり、各段階において相当便乗値上げ、先取り値上げをやったということは事実であるわけですね。ですから、大臣がお答えになりましたように、もうけを全部吐き出させるんだ、あるいは吐き出させたんだという認識は、いまの答弁からも、まだまだそういうことにはなっていないということになると私は思います。したがいまして、あとでこの行政指導価格の問題について私は触れてまいりますが、いま二十九円六十銭の利潤があったものが二十一円七十銭と切り込んできたということでございますが、それが適当なマージンであったのかどうかということ等も十分検討しなければ、これは大臣がお答えになりましたように、各流通段階におけるところのこの先取り値上げというようなものを十分吐き出さしたんだということにはならないというように私は考えます。  次にお尋ねをいたしますが、このプロパンや灯油はいつまで据え置きますか。
  122. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  灯油につきましては、昨年の十月一日に九月の平均価格で今需要期を通じて元売り仕切り価格を凍結するということで行政指導を行ないまして、今年に入りまして標準価格といたしたわけでございます。現在の元売り仕切り価格キロリットル当たり一万三千円弱でありますが、今回の私ども計算によります新しい原油の代金だけでもキロリットル当たり約一万九千円になるわけでございまして、原油が一万九千円で、それを精製いたしました灯油が一万三千円というような状態に今日来ておるわけでございますが、原則としましては三月から四月にかけまして灯油の今年の需要期は一応終わりますので、五月に入りましての新しい備蓄が始まりまして、九月ごろまで備蓄をしてそれを需要期に使っていく、こういうパターンでございますので、その新しい備蓄を始めます際に支障が生じないように適当な価格についての判断をする必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございますが、現段階におきましてはこの需要期が続いておりますので、今需要期の価格は据え置くということでまいっておるわけでございます。したがいまして、需要期が終了いたします段階におきまして、今後この価格につきましてどのように判断をすべきか、国民生活に与える影響もございますので、今後私のほうとしても慎重に判断をいたさなければならぬというふうに考えておるわけでございます。  次にプロパンガスでございますが、プロパンガスにつきましては昨年の十二月から指導価格が始まりまして、今年に入って標準価格にいたしたわけでございますが、この価格につきましては、私どもここしばらくは、灯油ほど季節性がございませんので、現在の価格の据え置きということを考えてまいっておるわけでございますけれども、最近、先生承知かと思いますが、ガルフその他からプロパンの輸入価格につきまして値上げの通告が参っておりまして、現在なお業者間の値ぎめ交渉がさらに続いておる段階でございまして、今後どのような価格でなければ輸入できないか、そこら辺の事態の推移をさらに見守る必要がございますので、私どもとしましては、そういった最近の輸入価格の動向というものも踏まえまして、輸入に著しい支障が生ずるような事態になってまいりました場合には、供給の確保という観点から現在の価格についての見直しは場合によれば必要になるかもしれぬと思いますが、現段階ではまだそのような事態の確認はいたしていない。したがって、ここ当面現行の価格で据え置いていくという方針に変わりはないというのが現状の考えでございます。
  123. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 灯油とプロパンは、国民生活に影響するところが非常に大であります。したがいまして、灯油は、需要期においてはいままでの政策をずっと継続していく、こういうことで間違いありません。しかし、需要期が終わった場合に、これから秋にかけてどういう政策をとるかということは、これは需要期の終わるその段階において、諸般の情勢を見ながら検討を加える、そういうことにいたしたいと思います。私としては、やはり生活必需品であるから、極力低位に安定させるという考え方に立って処理すべきであると思います。  それからプロパンにつきましても、いわゆる狂乱物価が安定する間、いままでの石油価格あるいは諸般の価格を抑制しているということでありますから、この政策を狂乱物価が安定するというところまではもちろん継続すべきであります。それより将来のことにつきましては、原料の値段あるいは今後の備蓄の政策、そういう諸般の問題を考慮してまた新しく取り組むべきことで、まだ白紙の状態である、そう申し上げていいと思います。いずれにせよプロパンや灯油のような国民生活の必需品というものについては、できるだけ低く抑制するという方針を貫いていきたいと思っております。
  124. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣は狂乱ということばをお使いになったのだが、狂乱物価が安定するまでは小売り価格は上げない、その点は、狂乱物価がおさまるまではということと違うのか。私は物価が安定するまでは上げないんだというような大臣のお答えであるというように理解をいたしますので、もし違っておればお答えをいただきたいと思います。  それから灯油並びにプロパンは卸価格も押えますね。いかがですか。
  125. 山形栄治

    ○山形政府委員 それはいま大臣が答弁いたしました範囲内におきまして当然のことでございますが、卸も当然押えるわけでございます。
  126. 中村重光

    ○中村(重)委員 卸は押えるということですが、十二月から一月にかけましてプロパンの場合に一万五千円上がっているわけですね。十月に三千円で一万八千円。これは十キロでいきますから百八十円と私申し上げますが、百八十円値上げをしているわけです。その一月の値上げ以降の値上げというものはないんでしょうね。そして今後も上げないということですね。
  127. 熊谷善二

    熊谷政府委員 プロパンにつきましては、私ども現在標準価格で指導をいたしておりますが、小売り店への卸値段につきましては十キロボンベにつきまして五百五十円ないし五百九十円、このラインでとどまるように各府県を通じまして行政指導を行なっておるわけでございまして、これを逸脱するような仕切り価格につきましては当然指導をしてまいるというように考えておるわけでございます。
  128. 中村重光

    ○中村(重)委員 私が質問をしたことに対して的確にお答えをいただきたいことは、十月に三十円上がり、十二月に七十円上がり、一月に八十円上がって百八十円上がっているわけですから、それによって十キロの卸価格というものはきまっているわけですから、もう値上げはしないのですねと聞いたわけですから、そことおりにお答えになればよろしいわけです。  次に、通産大臣は電気料金について、徳島で緊急度の高いところから実施するというように述べていらっしゃるわけですが、この緊急度という意味は私なりにはわかっているのですが、大臣がおっしゃる緊急度というものはどういう意味なのか。特に大臣の頭の中に、緊急度ということをおっしゃったのでしたら、どういうところを緊急度としてお考えになっていらっしゃるのか、伺いたいのです。
  129. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 電気料金の問題につきましては、石油価格が上がりましてこれがどういう反応を国民経済に及ぼすか、そういう反応をよく見きわめた上で、いずれ政府の最高首脳部、党の最高首脳部等とも協議して本格的に取り組むべきものであると考える、まだその段階ではない、こういうことを申し上げておるのです。  それで、もし将来電気料金に手をつけるという必要がある場合には、それは全国一斉に手をつけるということよりも緊急度の高いものから順次やるということが妥当であろう、そういう意味のことを申し述べたのです。緊急度という意味は、具体的に言えば、赤字がはなはだしくて経営上非常に苦難の状態がひどいものというものを緊急度というんだろうと思います。具体的には、それがために社債の発行もできないとか、いろいろな問題が起きてまいりますが、そういうような要素も考慮して緊急度というものも判定するものだと思います。
  130. 中村重光

    ○中村(重)委員 ところが、各社は一斉に値上げ申請のかまえを見せているようですが、値上げ申請が出たものは受理するということになりますか。
  131. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 われわれは、いまのような電気料金に対する考え方を持っておりますから、申請につきましてもできるだけ自重してもらいたいと思っております。まあ受け付けるか受け付けないかということは、われわれのそういう自重の要請をどの程度聞いてくれるかどうかということにもかかっておりますが、われわれとしてはできるだけ自重してもらう、そういう考え方でおります。
  132. 中村重光

    ○中村(重)委員 自重をしてもらうということは、緊急度のあるものはまあやむを得ないとしても、大臣が緊急度があると判断していないような会社からの値上げ申請はさせないように押えていく、そういう指導で臨むというようなことになるわけですね。
  133. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 現段階においては、まだ党としても内閣としても電気料金に取り組む段階でないと私は先ほど申し上げました。われわれはそういうふうに考えておりますから、緊急度の高い会社といえども、申請をすぐやってもらうということについては自重を要望したいと思っております。
  134. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、原油輸入量価格の見通しはどうなんでしょう。
  135. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 価格の見通しには楽観と悲観と両方の材料がございまして、最近来ているものは、たとえばミナスのようなものは、いままでバーレル十ドル八十セントといわれておったのが十四ドルぐらいの値になって追徴金が要請されてきておる。そのほかの各油種につきましても、同じように追徴金のようなものが各メジャーから日本石油会社等にきておる。そういう意味において、これは困った問題として出てきております。  また、一面においてOAPECの情勢等を見ますと、サウジアラビアを中心にして値を下げるという動きもあります。しかし、サウジアラビアが単独で自分で下げるかというとそうでもないので、OAPEC全体としての行動を見ると必ずしもそう楽観はできないという情勢ではある。アメリカに対する禁輸が解けたということは、これは朗報のようにも聞こえますけれども、また考えようによっては、日本やヨーロッパへ回ってきたその分がアメリカへ行ってしまうから不足してくる危険性も出てくるし、値も上がるという可能性もそういう面からなきにしもあらずであるということで、われわれから見れば悲観材料になりかねない。ポイントは増産に踏み切ってくれるかどうか、そういうようなことが大事なポイントで、その辺はまだ不明確であります。それで、OAPECの国々は六月までは現状維持で行くということをこの間きめたようでありますから、一応そういう考えを基準にして私たちは取っ組んでいくべきだと思っております。
  136. 中村重光

    ○中村(重)委員 増産に踏み切ってくれるかどうか、これは不確定であるという見通しはそのとおりであろうと私は思うのです。ところが、経済の安定成長政策を推進するという立場から原油輸入を抑制すべきであるという意見もありますが、通産大臣の御見解はいかがでしょう。
  137. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは総需要抑制をかなり厳格にやっておりますから、その面からも石油に対する需要は昨年とは様相を異にしてくるだろうと私思います。建設業や民間設備投資がこれだけカットダウンされておる情勢でありますから、必ずしも漫然と石油需要が伸びるという情勢ではない、そういうように思います。また、そういう総需要面からの需給関係の調節が間接的に行なわれるようなことも望ましい、そういうように考えております。
  138. 中村重光

    ○中村(重)委員 狂乱物価を押えるためには経済の成長そのものをやはり低くしていく、低成長政策をとっていくということの必要性については、大臣はどのようにお考えになりますか。
  139. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり成長力をある程度減殺して需要をカットする、そういうことが現在の物価を鎮静するために非常に有効であると思っております。少なくとも四十九年度において物価鎮静というものが行なわれるまでは総需要カットというものはやむを得ざる政策である、またそういうことによって省資源、省エネルギー型の産業体系に日本の産業体系を進め、あるいは国民の内部において石油資源の浪費を節約してもらうという方向にも持っていければ幸いであると思います。
  140. 中村重光

    ○中村(重)委員 福田大蔵大臣が衆議院予算委員会の第二分科会で、狂乱物価が鎮静をし、石油製品値上げに伴う新価格体系が確立したあとの長期の経済運営のあり方について言っていることですが、この混乱以前の状態に復元することなくして——かなり思い切った低い成長に押える必要かある、こう述べているのですね。このことは長期的な考え方として福田大蔵大臣は述べているわけです。先ほどの私の質問に対する大臣のお答えは、狂乱物価を抑制をするというために総需要抑制政策をとっているのであるからという短期的な考え方から石油輸入の問題についてはお答えになったわけですが、福田さんのこの長期的な考え方の上に立った原油輸入の抑制ということについては、通産大臣はこれを肯定されますか、どういう考え方でしょうか。
  141. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 過去に日本が六〇年代にやってきましたような超高度成長というようなものは適当でないと思います。しかし、安定成長といわれる成長力はやはり必要であるだろうと思います。ということは、ある意味において完全雇用政策を維持していくということは大事であります。そういう限度において、雇用政策という面から見ましてもある程度の成長力を維持していくということは大事である。しかし、過去にあったようなああいう超高度成長というようなものは適当でない、そう思います。
  142. 中村重光

    ○中村(重)委員 福田さんの考え方と中曽根通産大臣考え方には若干の開きがあるというように私は思いますが、この問題はあらためてまたお尋ねをすることにいたします。  この行政指導価格の問題で公取と政府の見解け違っているわけですが、どうなんですか。あくまでこの行政指導価格は公権力の発動として、これでいくべきであるということで押し通していく考え方ですか。
  143. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私は違っていると思わないです。公取当局は公取当局の立場から、またそのニュアンスでものを言っております。われわれ行政当局は行政当局としての立場から、またそのニュアンスでものを言っております。しかし、落ちつくところは同じじゃないか、実際実行して出てくるところは同じではないか、そういうように思います。この間も総理大臣と公取委員長と話をされて、ある了解点ができたようでありますから、それを守っていけば同じラインが出てくる、そういうように私は思います。
  144. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は全く違うと思うのです。同じであれば、公取委員長は、予算委員会におきましても、徹底的に独禁政策の立場から、独禁法の立場から、あのように強い主張をされないであろう、また、行政指導価格というものを長く続けるようであれば抗議をするといったようなことも言われないであろうと私は思うのです。ですから、行政指導といったようなことでやっても、標準価格という法律に基づいたやり方をしても、たまたま価格が同じであったということであるから同じだということにもなるのですね。あなたのほうでプロパンの価格を千三百円とおきめになった、そしてそれをそのまま標準価格に移行して千三百円にした。これは公取が適当ではないと言っている行政指導価格も、国民生活安定法に基づくところの標準価格も同じなんだから落ちつくところは同じではないかという論法になる。それはたいへんな問題だ。むしろ私は、放言というのか暴言というのか、適当な考え方ではないと思います。これは公取委員長がそこにいらっしゃるわけなんですから、公取委員長からおっしゃっていただくことが一番いいのですが、公取委員長は、この行政指導価格というのはカルテルの疑いというものが十分あるんだと言っている。私もそのとおりだと思うのです。行政指導ということになってまいりますと、暗黙の合意というものが私はできると思う。暗黙の合意があるということは、カルテルが成立をするということになると私は思うのです。ならば、私は行政指導価格というようなことで法を犯すようなやり方をするということは、法治国家として、あるいは法治主義としてとるべきではない、そのように考えます。これは政府が公権力の発動と落ちつくところは同じじゃないか、いいじゃないかというような形でいかれることは、少なくとも法治国家の政府の態度ではない、そのように考えます。その点に対して結果的には同じではないかという大臣のお答えもあったわけですから、公取委員長から、この際いまの大臣の答弁に対してお答えをいただきたいと思います。
  145. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 いま通産大臣が言われた、結果的に同じじゃないかということをその価格が結果的に同じじゃないかということと解しますと、これはだいぶ話が違うわけでございますが、私は聞いておりまして、そうではなくて、結局標準価格でいくのが本則なのである、本則はそうであるが間に合わないから、あるいは非常に不確定な要因が多い、そこでとりあえずは標準価格を用いないで行政指導でやって、私のほうの解釈では適当な時期にではなくて可及的すみやかにということですから可及的すみやかに標準価格に移行するんだ、こういうことになれば、その点は同じじゃないかというニュアンスで言われたものと思います。  ただこの場合、いろいろ考えなければならぬ問題がありまして、ある程度はしかたがないということで、まあ悪く言えば妥協したようにとられておりますが、私どもの本旨は少しも変わっておりません。法律に定められた標準価格でいくのが——そのために石油の問題から出発して国民生活安定法ができたのです。そうしますと、その本家本元の製品価格をきめる場合に、本来法律でなくてもいいんだということであると、これはだいぶ意見が違う。そうではないんで、やはり標準価格でいくところをとりあえず行政指導でいってということだと思うのですが、その何が流動的であるかという問題については、やはりこれは慎重にお考えいただきたい。というのは、為替相場が動いておる。それは直物と先物と違っておるというふうなことを言われましても、これは常にあることなんですね。もう常にそういうことがあるのです。だとすると、これは永久に浮動しているのですから、国際通貨ですね、IMFでほんとうのもう一ぺん新しい国際通貨体系が、固定レートに近いものができた場合に初めてその流動性、浮動性はなくなるんだけれども、いま現にフロートしているわけです。フロートしているから動揺というのは絶えないし、それから石油価格の見通しにつきましても、これも当分の間こうだときまったというふうな姿になかなかならないんじゃないか。  そこで私は、これはもう皆さんにも十分御理解いただきたいと思うのは、標準価格を一ぺんきめたら、もう半年や一年は絶対動かさないんだ、ガラス張りでやるのはけっこうなんだけれども、動かすべからざるものだというふうに政府側を追い詰めてしまいますと、きめられませんよとなってしまうのです。ですから私は、そこは重要な事情の変更があったら標準価格は変わったっておかしくないんだというふうに思います。そういうことであれば、これは標準価格を使っていっても何ら支障はないし、あまりこの標準価格をやると、よく高位安定だということが出るのですが、標準価格はすなわち高位安定だというなら、そうじゃないということを十分説明すれば納得していただけるわけでございますから、標準価格は高位安定で行政指導価格は辛いんだということにはならない。その点は差異はないので、したがってガラス張りで——ガラス張りということばは適当てないかもしれませんけれども法律によってやられるようにできるだけつとめていただきたい、こういう考えを基本的に持っているわけでございまして、カルテルなんかに対しても、一方で行政指導が介入した、したがってカルテルは消えたという考えは絶対に取り得ないわけでございますから、そういう点でひとつ十分御了解を得て、早く標準価格にしていただきたいという考えを依然として持っておるわけでございます。
  146. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣もお聞きのとおりですが、また予算委員会でもこの問題はずいぶん議論されたと思うのです。大臣、いつまでこの行政指導価格を続けますか。
  147. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私の前の発言も、定性的意味で言ったので定量的意味で言ったのではありません。  それから行政指導価格をいつまで続けるか、こういう御質問でございますが、ともかくいまは追徴金みたいなものがぽつりぽつり来ておりまして、そういう点でもまだ不確定な要素がございますし、ある程度安定性が出てきたらなるたけ早く移行したいと考えております。
  148. 中村重光

    ○中村(重)委員 公取委員長、これは私が申し上げなくとも、ともかく暗黙の意思の連絡と行政指導というのはうらはらの関係なんですね。ですから今回の、あなたが適当ではないと言われたこの行政指導ということで価格をきめた、このことはカルテルの疑いは私は十分だと思う。これに対して公取委員長はどういう態度でお臨みになりますか。
  149. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 つまり行政指導というのは、私のほうで申しますと、行政指導価格と俗にいいますが、価格の設定は行政指導では行なわれない、事業者自身が価格をきめることになるわけです。  そこで、いまおっしゃられた暗黙の合意がなければきまらないんじゃないか。非常に意地の悪い言い方をすれば、個々別々に同じ価格を説得した、横の連絡が全くなかったというのも少し強弁になりゃしないだろうか。  それで、どういう態度をとるかとおっしゃるのですが、これについては参議院の予算委員会ですでにその指摘がございましたので、事実具体的な会合を行なったということについて、通産省の課長の方が出席して、というよりむしろ招集して、説明会でしょう、それはしかし、価格の問題は具体的に言ったわけではないということは、私どもいま調査をしておるのです。四十条による調査ということにしております。というのは、これを四十六条でやりましても、その日の話のことはおそらく記録はないと思うのですね。結局いかなる話が行なわれたかということを非常に詰めて、どういう時間にだれがどれだけしゃべったということを全部脈絡がつくように調査する、こういうことで現にやっておるわけでございます。その結果はもう少したたないと何ともいえません。通産省の方にも来ていただいて、その民間の業者の方の言い分と食い違いがないかどうか、その辺、実は平平仄が業者間で非常に合っておりまして、実態をきわめることはなかなか困難と思いますが、私どもやはり調べるものは調べなければいかぬということで、四十条による半分強制的な調査ということを現に行なっておる次第でございます。
  150. 中村重光

    ○中村(重)委員 だから公取委員長、私は端的に伺うのだけれども、やるべきではない、独禁法違反の疑い十分なんだから、そういうことをやるなということで、強くあなたは主張された。ですけれども政府はついに強行した、押し通した。それに対してあなたは、それを黙しておるわけにはまいりますまい。やはり公取委員長としてあなたはやらなければならない義務があるんだから、その点に対してはき然たる態度をもってお臨みになる、そういう考え方だと理解をしてよろしいですか。
  151. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 その点はおっしゃるとおりです。ですけれども、一般論としまして、私どもは総理と話をしまして、やむを得ないというふうな両方の合意によるものを予算委員会でもってちゃんと表明いたしました。     〔稻村(左)委員長代理退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕 私は、それに対して読み方はこういうふうに読むと言ったんですが、要するに緊急避難的なものとしてはやむを得ない、緊急避難ということを使うというのは適当かどうかわかりませんが、しかし要するに万やむを得ず間に合わない、もしも私のほうがあくまで標準価格にいかなければカルテルだとみなすぞということで強く抵抗いたしました場合どうなるか、おそらく石油値上げはもっともっと延びてしまう、そうなるとどういう反応が起こるのかという点について、実は私どもある程度説明は承っておりますし、非常にその点デリケートな問題があるんですね。ですから私どもが、ただ横になっていればいいという考えじゃなくして、できるだけ早く正規のルートに乗せてもらうというふうに努力するのが本筋じゃないだろうか、こう考えまして、まあ万やむを得ない範囲だけはしかたがありませんと言っただけで、しかしいまおっしゃった疑いのある点については私はそれをきわめるべきものはあくまでもきわめるというふうにちゃんとやっておるわけでございまして、いささかもその点について妥協的な考えを持っておるわけではございません。たいへん困難だとは思いますが、調査は続けております。
  152. 中村重光

    ○中村(重)委員 まあ行政指導というものは各省設置法に基づくところの公権力の発動であるということを言う考え方の上に立っておやりになっておる。このことについては、私どもは無限にそういう行政指導というもの、行政権というものが発動してくることはこれは乱用になる、そのことはいわゆる立法機関であるところの国会を軽視するものであるという考え方の上に立ちます。したがいまして、この点はまたあらためてお尋ねをしていくことにいたしたい。これは論争をしなければならないというように考えております。  他の委員諸公が二人まだ質問をいたしますので、あと二間程度で終わりたいと思いますが、三菱油化はエチレン増設を強行する方針を打ち出しましたが、どうなんですか、通産省はこれをお認めになる考え方ですか。
  153. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 先日の新聞に三菱油化の設備の上期着工という記事が出ておりました。その後、私のほうに会社のほうから連絡がありましたところでは、会社としては上期着工ということをきめたわけではないという返答もございました。ただ、今後のエチレンの需給等を考えますと、まあ五十  一年の末くらいにはやはり増設を必要とするという考え方は持っておるようでございますが、しかしながらそれに間に合わせるためにも、しいて上期の間に着工しなければならないというふうにも考えていないようでございまして、会社当局の説明によりますと、あの新聞に出ておりたほど明確な態度を持っているわけではないようであります。
  154. 中村重光

    ○中村(重)委員 だから、そういう新聞に出たような、そこまではっきりした考え方は持っていないようだからといういまのお答えなんだけれども、あなたのほうでは、いままでこれに対しては行政指導をやってきたわけだ。ところが、新聞に書いておりましたことがそのとおりでないにいたしましても、その考え方を報道されていることに間違いはないわけなんだ。今後とも依然として行政指導で対処していくという考え方を持っているわけですか。これは企業の自由意思としてやむを得ないんだという考え方ですか。いかがですか。
  155. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 エチレンの設備等のように非常に懐妊期間が長い設備で、かつその工事に相当多額な資金を必要とするようなものにつきましては、やはり将来の需要見通しというものを相当正確に把握した上で実施することが投資の効率化という面から考えまして必要ではないかと考えておるわけでございます。従来からエチレンの設備につきましては、協調懇談会等の場におきまして、将来の需要見通し並びに投資の基準等をつくりまして、これに基づきまして行政指導をやっておるわけでございますが、やはりこういう指導というのは当面の需給関係等に影響を与えるわけではございませんので、将来の需要見通しをできるだけ正確度を高くして検討し、かつ効率的な投資を考えるという上から見まして、ある程度行政指導は必要ではないか、かように考えておるわけでございます。
  156. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはりいま政府が全力をあげてやっております総需要抑制の政策には、設備投資の面においても協力してもらいたいと思っております。
  157. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは、基礎産業局長からは、この標準価格行政指導価格を引き上げまたは引き下げようと考えている品目はないのかどうかという点が一点。  小松局長から、百何十品目かにわたって価格凍結をおやりになる、ところがその価格凍結は百貨店とかスーパーを対象としているのであって、八 〇%を供給しているところの小売り店は対象になっていないようであります。その点は適当であるとお考えになっていらっしゃるのかどうか。問題は、価格を凍結をするために、メーカーとか卸がそれに見合って価格を幾らか押えるという態度をとるかもしれぬ。いわゆる安くおろすということですね。しかし、価格凍結の対象となっていないところの小売り店に対しては比較的高い価格でおろすというような形になってまいりますと、小売り店は犠牲を受けるという形になってまいりましょう。そのことは消費者の利益を阻害することにつながってまいります。それらの点をどのようにお考えになっていらっしゃるのか、それぞれお答えをいただきます。
  158. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 基礎物資につきましては、現在標準価格を設定しているものはございませんが、今回、政府できめました価格抑制措置によりまして、全体で五十三品目でございますが、その中で、私ども基礎産業局の所管では約六割ぐらいになるかと思いますけれども、これにつきましては、石油の値上がりに伴いましてコストの上昇ということが考えられる物資がたくさんあるわけでございますけれども、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、できるだけ値上げの時期を引き延ばす、かつ、ものによりましては、過去において便乗的な値上げのあったものもございますので、そういうものも吐き出した上で、かつ、値上げの幅についてはいささかも便乗的な要素を入れないような、きわめて適正な幅の値上げしか考えないということで指導してまいりたいと考えております。
  159. 小松勇五郎

    ○小松政府委員 百貨店及びスーパーマーケットに対しまして、値上げをしないように、百数十品目につきまして行政指導をいたしておるわけでございますが、別途、商工会議所あるいは商工会等を通じまして、その他の流通段階につきましても値上げをしないように要望をいたしておるわけでございます。  御指摘のように、これを一歩間違えますと、百貨店、スーパー等が必要以上に納入中小卸業者をたたいたり、また中小小売り店をいじめたりする結果になるおそれがございます。そういう点につきましてもできるだけの配慮をするつもりでございまして、まず五十三品目の価格引き上げ抑制は、こういう基礎物資値上がりが次々に物価の騰貴を引き起こすということのないように、もとのほうでまず押えたつもりでございます。  また、卸の段階におきましては、この卸の大きな部分を占めます商社につきまして、引き上げをしないように、できれば引き下げ品目を極力見つけるようにという行政指導をいたしまして、各商社それぞれに協力を依頼しております。  また、百貨店、スーパー等に対しまして、この百数十品目につきまして協力を依頼いたしました場合にも、特にこの協力にあたり、仕入れ価格の上昇があっても、極力自分の会社の企業努力によって吸収するよう配慮し、仕入れ先その他の関係企業、特に中小零細のメーカー、卸売り業者などに不当なしわ寄せをしないように十分措置してくださいということを特に念を押しておきました。もしそのようなことがございますれば、いろいろなモニター、また価格調査官その他の監視機構もできるだけ整備しつつありますので、実情に応じまして、そういう不都合なことの起こらないよう留意するとともに、起こったら敏速に是正する措置を講じたいというふうに考えております。
  160. 中村重光

    ○中村(重)委員 小松局長、私が申し上げたように、小売り価格が百貨店とかスーパーというものは凍結をされているのだからというので卸価格を安くする。ところが、小売り店はそういうことになっていないのだからというのでこれは高くする。そこで卸価格、買うほうの仕入れ価格というものの格差が生ずるということになってまいりますと、小売り店が八〇%というものを供給しているのだから、そこいらに問題が起こる、混乱が起こってくる。そのことはひいては消費者の利益を阻害するということになる。中小企業も困るし、消費者も困るという形になってまいります。ですから、そこらあたりを十分勘案して行政指導をおやりにならなければいけないのだということを指摘しているわけです。十分検討をしてもらわなければなりません。  それから、基礎産業局長には、私は標準価格だけを申し上げたのではございませんでした。行政指導あるいは標準価格ということで申し上げましたが、あなたのほうの関係で、たとえばくぎの例をとります。くぎは行政指導価格で百九十円かでおきめになっていらっしゃいます。そうですね。ところが、もうかり過ぎて困ると言っているのだ。この間、中小企業庁に、このユーザーの人たち、小売り店の方々が陳情に行った。その際に、そのくぎの販売をやっている金物屋さんがおいでになった。どうしてこんなに高い行政指導価格をおきめになるのでしょうか、もうかってしょうがないんですよ、だから十円下げて売っているのです、こういうことを言っているのです。だからこういうことは、いかにあなたのほうでおやりになる行政指導価格というものが高位価格になるかということを立証しているのです。(「高値安定価格だ」と呼ぶ者あり)ほんとうにもう、いま発言がありましたように、あなたのほうの行政指導価格というものは、プロパンの例しかり、いまのくぎの例しかり、私はたくさん例をあげたいのですが、時間の関係上申し上げませんが、ほんとうに高値安定ですよ。われわれの耳に入っているのだから、あなた方の耳にも入っていないはずがないのだ。なぜにこれを下げないのかと言いたい。下げさせないのか。行政指導価格というものは、高値安定をさせるための行政指導ではありませんか。値段を上げるということはカルテルが起こるのです。値段を下げさせることにはカルテルというものは起こってまいりません。そういう点を十分ひとつ検討される必要がある。検討だけでなくて、実情というものを十分に調査して、適切な指導、これは価格の指導と言っているのではありません。あらゆる点についての役所としての必要な指導をしていかなければならないということを申し上げるのです。セメントの問題しかりです。セメントはあなたのほうの所管ではありません。セメントにいたしましても、あっせん所をおつくりになった。そのあっせん所のセメントの値段が一般の特約店で販売している値段よりも高いということは何というやり方だろうか、これも行政指導でおやりになったのです。それを私どもほんとうにけしからねことだとやかましく言って、ようやく特約店で売っている価格と、あっせん所が売っている価格がいま同じになりましたよ。同じになりましたが、特約店は配達をしてくれるのです。あっせん所のセメントはとりにいかなければならないのです。ここに値段の違いがあるのです。私はこれを基礎産業局長のみに申し上げるのではないのです。通産省が厳に反省をしてもらわなければならないという点はそういうことなんです。独禁法違反になるようなカルテル行為を強引に押し通すようなやり方をやって、その結果というものは、いま申し上げておるように、価格は高値安定をやらせて、そして消費者に対して高いものを売らせる、こういうような弊害をかもし出しておるという事実を十分銘記をしていただきたいということを強く申し上げまして、私の質問を終わります。大臣から最後にお答えをいただきたい。
  161. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 各物資の価格の抑制につきましては、できる限り御趣旨を体して努力してまいるつもりであります。
  162. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員長代理 神崎敏雄君。
  163. 神崎敏雄

    ○神崎委員 最近、石油値上げに関連いたしまして、いまも問題になっておりましたが、近く九電力が一斉に値上げをするという動きが出ております。そこで、きょうは大綱的に幾つかの点を聞いておきたいと思うのですが、まず初めに、電気事業審議会の料金制度部会の検討の結果、中間答申を受けて、現在当局では新しい料金制度作成の準備を進めている、こういうことを聞いておるのですが、この答申に対する通産大臣の基本的な評価と見解をまず明らかにしていただきたい。
  164. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 この間の中間答申はおおむね妥当な線をいっている、あれを尊重していきたいと思います。
  165. 神崎敏雄

    ○神崎委員 いま大臣は、おおむね妥当な線をいっているので、それを尊重していく、こういう冒頭の答弁でしたので、これに関連して続いて聞きますが、この答申によりますと、家庭用電灯料金に対しても逓増料金の制度を拡大することになっておる。もともと電力消費の約六割は産業用大口であるにもかかわらず、料金は家庭用が割り高になっておる。これは先般来よく言っておることですが、現在の料金制度はきわめて不公平である。先ほどからも大臣しばしば言われますが、いわゆる高福祉社会の実現、エネルギー浪費型産業構造の転換、こういう見地から料金制度を改定するよう検討されたはずだ、いままで言われていることから見たら。ところで、家庭用にも逓増料金制度を拡大する、これがおおむね妥当な答申である、こういうことが言えますか。
  166. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 電力と電灯の比率をある程度是正し、また電灯の内部におきましても、多消費と普通の標準的家庭の間に落差を設けよう、そういうような方向はおおむね妥当だろうと思います。
  167. 神崎敏雄

    ○神崎委員 きょうは大綱的なことだけを聞くのですから一々反論はしませんが、あとでそのことは数字をあげてまた証明いたします。  次に聞きますのは、審議会の中間報告では、家庭用電灯料、いわゆる電灯料金に格差を設けて、月間使用量百キロワットアワー、これを最低基準に設定しておりますね。これは私は実態に合わないと思う。ほとんどの一般家庭が百キロワットアワーではもたない。家族四人でも百キロワットアワーは使用いたします。それ以上になりますから、そういたしますと、生活水準の引き下げと、より高価な料金を支払わされることになる。なぜ百キロワットアワーに基準を置かれたのか、これは適切だというふうに大臣は思われますか。
  168. 岸田文武

    ○岸田政府委員 家庭用電灯の消費量実態を見てみますと、これは都会地とそれから農村部等で消費量程度は違っております。電力会社別に見ましても、東京電力、関西電力あたりでは平均百五十キロワットアワー、四国電力等におきましては百二十キロワットアワー、こういった数値が平均値としてあらわれております。先回の答申におきまして、三段階制を採用することにいたしまして、第一段階は百キロワットアワーで切り、第二段階は二百ないし二百五十キロワットアワーで切る、それ以上を第三段階とする、こういった仕分けにいたしました背景といたしましては、全国の四人家族の世帯におきまして、各種の家庭用電気器具が普及しておる、それらの普及率を個別に調査をいたしまして、普及率八〇%以上であるような電気機械器具、たとえばテレビであるとかあるいは洗たく機であるとか電灯であるとか、こういったものの消費量を集計いたしますと百キロワットアワーという数字が出てまいったわけでございます。この意味におきまして、ミニマムの生活を営むために必要な電力量としては、百キロワットアワーがとりあえずの目安として適切なのではないかと当面判断をいたした次第であります。この第一段の消費量に対しましては、平均のコストよりも低い料金を適用するという考え方でございます。第二段階は百キロワットアワーをこえる部分について、平均的な料金を適用するという考え方でございますので、従来の、先ほど申しました百二十とか百五十とかいった消費量の家庭につきましては、料金水準が据え置きであるという前提に立ちますればやはり引き下げになるというような試算がございます。
  169. 神崎敏雄

    ○神崎委員 それがいつも見せかけで、いわゆる百キロワットアワー以下のものは何かこう恩恵をこうむって、それ以上のものは違うんだ——ほとんどそれ以上のものなんですよ。われわれの家庭だって百キロではとどまらないですね。だから、そういうような形から見て、この前のときにもいろいろ意見があったように、いわゆるより低量のものを保護する、また盛んにいわゆる省エネルギーの問題から考えても、そういうような形から見ても、これはやはり見せかけの、一応こういうところにランクを置いてそれ以下のものならいい、何かそれ以上のものだけは特別に使うからやむを得ないんだ、こういうような印象を与える、こういうことでこの問題についても私は妥当ではない、こういうふうに思います。  そこで、先ほどの質問の中でも、大臣は——私徳島での談話を読んだときにもそう思ったのですが、順序をつけて緊急時のところから上げていくという談話を徳島でせられた。これはいまの時期からいって非常に重要な発言であるというふうに私も思って、尋ねるつもりでおりますが、先ほどの答弁を聞いておったら、できるだけは押えるんだ、そして申請があっても、できるだけそういうことのないようにしてほしいというような大臣の答弁を先ほどここで伺っておったのです。ところが大臣、この二月二十一日に電気事業連合会の加藤乙三郎さん、この人は中部電力の社長ですね。この人はこう言っておるのです。電力九社は、これまで備蓄した内部留保金を全部吐き出させば三月一ぱいは何とかなる、しかし、政治情勢が許せば、できるだけ早く値上げを申請したい、こういうふうに言って、そして中部電力では平均七〇%の大幅値上げを申請する、こういう考えを明らかにしておるのです。さらに、中部電力の場合は家庭用が三〇%、産業用が一〇〇%の値上げになる、ところが、ことし値上げしても来年再値上げをしてもらわぬともたない、こういう考えを発表しているのです。これが電気事業連合会の会長さんの言っていることですね。これと先ほどから大臣が中村さんに答弁されていたことと考えあわせたときに、私はよほど通産当局は甘い、こういうふうに思うのですが、これはどういうことになりますか。
  170. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 加藤電事連会長の発言に私は責任を持ちません。私は行政の責任者としての立場をもって私の考えを述べておるのであります。
  171. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そういう挑戦的な答弁を大臣はされないほうがいいと思うのです。私は実例として、言われていることを記事で読んで、そうして電気業界がこういう態度でおる、ところが通産省はそういう申請はあまり早くしてもらっても困るとか、あるいはせぬほうがいいというような希望を持っておられて、私は何も加藤さんの発言を中曽根さんに責任を持てと言っておるのではない。たまたまいわゆる連合会の会長で中部電力の社長がこういうふうに見解をいま発表している、そこについて通産当局がそういうようなことでおられることは非常に甘いのと違うか、業者はこういう姿勢でおるということを言っておるのです。そういうときの質問に対して、私は加藤さんの発言に責任を持たないというような態度はどういうことですか。
  172. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 加藤さんは業界の代表者としての発言でありましょう。また、それがほんとうに代表しているかどうかも確かめたわけではありませんが、業界人のことばであります。私は行政官庁の責任者のことばであります。私の発言は責任をもって国会で正式に答弁していることばであって、それに重点を置いてもらいたいと思うのです。
  173. 神崎敏雄

    ○神崎委員 それはもう当然そのとおりで、そんなことはあなたに言われなくてもよくわかっているんだが、私の言っておるのは、ニュアンスの問題で、通産当局はそういうふうに考えていても、業界はこういう形でいっているのだ、それほど強力に進められるから、毎日のように新聞には一斉に石油値上げと電力の値上げが載らない日がないくらいに載っているのです。それが一般社会に対して大きな不安と脅威を与えておる。そういう立場から私は聞いておるわけです。そういうときに、たまたま業界の代表である加藤さんがそういうことを発表しておる記事を読んで、いよいよこれは一斉に上げるな、しかも、ことし上げてもまた来年上げなければならない、ここまで言っておるのですね。だから、長期的な問題どころか、もうすでにそういうことまで言っておる。そこで、それほど電力事業というものが破産をするとか、三月一ぱいになったらもたないとかいうような発言を見たので調べてみた。そうすると、四十八年の九月期の電力九社の総支出は一兆一千二十三億円、このうち燃料費の割合は二千六百三十七億六千三百万円、これは二三・九%です。かりに原油が二倍になっても四七・八%を占めることになる。また東京電力の場合は、同社の燃料の八割を占めるミナス原油ですが、これは先ほどからも言われているように、一月一日から一バーレル十ドル八十セントだということも承知しておりますが、それがまた上がって、先ほど本会議でも言われているように、何か課徴金のようなこともいわれてきているようなことでありますけれども、昭和四十四年までは原油というものは下がる一方であった、ところが下がっていく一方のときは値下げをしないで、少し上がると、すぐ燃料が上がったからといって電力代を上げる。こういうようなところから、しかも、いまの上げようとしておる段階で、もうことしだけではなしに、来年も上げる、もたない、こういうふうに言っておるのですね。そうして一方では、先ほど大臣もいわゆる内部留保の問題にも触れておられたが、内部留保というものを調べてみたら、非常にたくさんありますね。東京電力の場合は二千百九十八億円、これをはじめとして九社でどれだけあるかといえば八千六百五十三億円も内部留保がある。関西電力の場合は、昨年の三月期で千七百五十億円、これだけ内部留保を持っている。それでも昨年の九月に値上げをした。したがって、電力業界は九社全体の一月から三月期の負担増は大体三千億円だといわれております。このように膨大な内部留保の三分の一を吐き出せば、破産をするとか、直ちに上げなければならぬとかいうようなものではないと私は思います。ざらに政府は、長期低利の金融措置、こういう形で手厚い財政面の措置をとっていってでも何とか値上げを抑制したいというようなことも発表されておりますが、こういう現状を通産当局はよく御承知の上で中間答申なるものは非常に妥当な線である、こういう形でいまでも思っていらっしゃるのか、もう一度伺っておきたいと思うのです。
  174. 岸田文武

    ○岸田政府委員 電力会社の経理の内容は、私ども常日ごろから注目をして見ておるところでございます。昨年上期は石油危機以前の状態でございますから、一応それを基準にしていろいろ最近の動きと対比をいたしてみますと、昨年の上期におきましてはミナスの油もまだ三ドル六十五、それから中近東の油も二ドルちょっとという水準でございまして、それが最近では、先ほども指摘ございましたように、ミナスの油で十ドル八十、中近東の油で八ドルとか九ドルとかいうような水準まで上がってきております。このことは、すべて電力会社の経理に響いてまいるわけでございます。先ほどお話しの中に、総経費の中で燃料代の比率は、四十八年上期で二十数%というようなお話がございました。私どもの試算では二三%から二五%程度であったかと思います。これが四十八年下期になりますと、これはいま各社で詰めております最中で、私どものいわば試算でございますが三四、五%に上がる。さらに四十九年度になりますと、四五%から四七%程度に達するというようなことが予想されております。このようなことの結果、すでに四十八年下期につきましては、収支上各社とも非常に苦しい立場に置かれております。  先ほど社内留保が非常にたくさんあるというようなお話がございましたが、その中には退職給与引当金等、通常取りくずしの不可能な金額がかなり含まれておりまして、最近のような経理状況からいたしますと、取りくずし可能な準備金ないしは繰越金等は、まずこの赤字のてん補に充てるというようなことは当然のことではないかと思っております。それをしてもなお経営に非常に問題があるというのが昨今の状態ではないか。さらに四十九年度になりますと一そう問題がむずかしくなってくるということが実情のような感じがいたします。もちろん、そうは申し上げましても、このような経理の実情と値上げの問題というのは切り離して考えなければならない面もございます。お話にもございましたように、電力の問題は、家庭生活にも、あるいは産業活動にも非常に大きな影響を及ぼすものでございますから、私どもとしては、なるべく低位に安定をさせていく、こういった努力は今後とも引き続きやってまいりながら、電力会社の経理状況ともにらみ合わせまして今後の方針をきめていきたいという気持ちを持っておるところでございます。
  175. 神崎敏雄

    ○神崎委員 私は内部留保の問題について一銭もなくなっていいなどと思っていません。ある程度退職引当金も要ります。ただ、赤字で破産をするようになったら困るから、あれでいつまでも押えるわけにはいかないというような御意見があったから、すぐ赤字になって破産するような状態ではない、内部留保だってこれだけあるということの実例としてあげたわけです。あなたは退職給与引当金のことをおっしゃったが、私は関電のときには一八四%もあるということを指摘したのです。それだけじゃないのです。たとえば退職引当金は九社で何ぼあるかというと三千九十三億四千九百八十五万一千円ある。それからあといわゆる渇水準備引当金とか、あるいは原子力発電の工事償却準備引当金、こういうようなものが七百六億八百万円あります。それから納税充当金、資本剰余金のごときは二千四百九十九億四千九百七十一万五千円ある。それからまた利益剰余金が千五百八十七億五千万円ある。こういうもので八千三百十六億あるのです。九つの社で、こういうような膨大な一応の留保金を持っている。だからすぐ赤字になって倒産をして三月もたないというようなものではないという実例としてあげているのであって、そういう形でひとつ行政指導もやってもらいたい、こういうふうに私は申しておきたいと思うのです。  それから前に昨年の関西電力と四国電力の料金値上げの問題をたびたび取り上げましたが、そのときに、当時の経企庁の橋口政務次官が、私が現在の審議会が民主的な構成でないということを言ったときに、電気の場合は米価などに比べると民主的でないと思う、そこで消費者代表の参加などもっと民主的にするように検討する、こういうふうに答弁された。いろいろの肩書きを持った人がたくさん集まって、会合をしてもなかなか出席もできないし、それは改編すると理解してよいかと言ったら、全部一ぺん洗いがえてみたいと思う、こういうふうに物特で答弁をされているんです。そこで、今度審議会をかえられたので名簿を見ました。そうすると、なるほど消費者団体の代表の方と思われる方は二名お入りになっております。ところが、これが小委員会のメンバーにはなっておらないんですね。依然としてこういう前とあまり変わらない部会の方で、しかも小委員会のメンバーは主としてそういう方々が占められておる。これは前から見たら相当民主化した審議会になったんですか。
  176. 岸田文武

    ○岸田政府委員 電気料金制度の問題は、いわば電気事業のこれからの運営の根幹にかかわる問題でございまして、この審議のためにはやはり最も専門的知識を有する方、あるいは一般的な常識から見てこれが妥当であるかどうかということを判断するに適当な方々にお集まりいただくことが最もふさわしい姿であろうと思います。従来から電気事業審議会の委員の方々はそれぞれこのような見地から選ばれておったわけでございますが、特に料金制度の問題になりますと、この問題が特に重要であろうというふうに考えまして、当時学識経験者の委員の方若干名、それから消費者代表の委員の方若干名を追加をしたという経緯になっております。これらの方々は昨年十一月以来十数次にわたりまして終始熱心な御討議をいただきました。  お話しの中に消費者代表が小委員会に入っていないという御指摘がございましたが、小委員会の審議の経過はそのつど、数回おきに委員会へはかつてその内容を報告をし、今後の方向づけについても示唆をいただいた上で次へ進むというような作業のしかたをいたした次第でございます。
  177. 神崎敏雄

    ○神崎委員 きょうは根幹的なことだけ聞くという意味から、またあらためてこの問題についても触れます。  そこで、次に今度の答申で産業用大口電力の料金と家庭用料金との差が若干縮小されたということは、先ほど言うたように、言えます。しかし、依然として家庭用料金は大口料金の約二倍である。これは他の先進資本主義諸国と比べて、なおわが国は大企業優位の料金制度ですね。これはやはり根本的に転換すべきではないか。これが転換されれば家庭用料金の値上げは避けられるものと違うか、もし申請をしてきた場合ですね、そう言えば、まだ申請がないのでそれは申請を見てから考えるということを答弁されるということを予測しますから、先に言っておきますが、こういうような形で転換されていくような考えは全然お持ちでありませんか。
  178. 岸田文武

    ○岸田政府委員 電灯料金と電力料金の料金格差の問題というのは、昨年来いろいろ議論の的になってきた問題でございます。従来までの日本の電気料金制度におきましては、主として家庭に適用になります電灯料金は電力料金の大体二・三倍でございました。  諸外国の例は、統計的に正確に把握できておるかどうか問題があろうかと思いますが、フランスで二・六倍というような例もございます。ドイツ等では二倍を若干切るというような水準、またイギリス等は一・五倍というような形で各種さまざまな姿でございます。これはそれぞれの国の原価構成、電源構成の違いを反映したものではないか、制度としてはいずれの国も原価主義をたてまえとするというような制度になっているように私どもは理解をしておるところでございます。  ところで、最近問題になっております石油のコストアップの問題を電力の経営面に当てはめてみますと、いわば発電の部門でコストが非常に大幅に上昇しておるというような結果になるわけでございますので、したがいまして、コストとしては、電灯にも電力にもほぼ同一の額に近いような比率でかかってくるというような関係になるのではないかというふうに思われます。従来は電力料金のほうが非常に低位でございましたので、このコストの上昇率の面で見ますと、今回は電力のほうにかなり重点的にかかってくる、こういうような関係が予想されるというような事情でございます。
  179. 神崎敏雄

    ○神崎委員 いま大口電力は全体の何%を使用して、そしてそれの消費料金は大体何%ぐらいになるか小口電力は全体の何%を占めて、料金は何%ぐらいに該当するか、これを聞かせてください。——お調ベになっているのだったらこちらから言いましょうか。大口電力は全体の五一・七%を使っている。そして料金は三一・五%しか払っていない。小口電力はいわゆる家庭を含んで三六・八%を使用しているのです。ところが料金は五五・四%を払っているのです。こういうのが現状なんです。  そこで続いて聞きますが、九電力会社の原油、C重油、これを購入するときは同年度同期といいますか、九電力はそれぞれ購入価格は大体似たものですか。
  180. 岸田文武

    ○岸田政府委員 これは電力会社によりまして低硫黄重油を必要とする程度によって差がございます。硫黄分が低ければ当然原油にしても重油にしても割り高になってまいりまして、特に東京電力、関西電力等のように過密地域を控えておりますところでは必然的に低硫黄重油の比率が高くなる、その分の差が各社の購入石油単価の違いになってあらわれているのではないかと思います。
  181. 神崎敏雄

    ○神崎委員 過密地域は油を買うときにはなぜ過疎地域と比べて高くつくのですか、それを教えてください。
  182. 岸田文武

    ○岸田政府委員 ただいま申し上げましたように、過密地域におきましては、公害規制におきましてもいわゆるK値規制の値が非常に低く定められております。この排出基準に適合いたしますためには、一方では排煙脱硫等の手段もございますが、過密が進んでまいりますと、排煙脱硫等の装置では間に合いませんで、いわば特に硫黄分の低い油をたかざるを得ないというような事情にございます。S分が〇・一以下の油を使うということが、法律の上でも、あるいはその地区地区におきます協定の上でも必要とされております発電所がかなりの数にのぼっておるというような事情でございまして、これらが過密地域周辺の発電所に集中的にあらわれておるというような事情でございます。
  183. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そうすると、それは同じC重油であっても全部違うのですか。
  184. 岸田文武

    ○岸田政府委員 公害規制に対応するために必要な硫黄分というものを各発電所ごとに想定をいたしまして、低硫黄の油と一般の油とをブレンドして使用するというような使用形態になっております。
  185. 神崎敏雄

    ○神崎委員 たとえば、これは関電の場合ですが、四十八年三月のいわゆるC重油、これは一キロリットルですが、これが七千八百十五円、それが九月になりますと千五百二十六円上がって九千四百四十一円になった。それから原油の場合は、四十八年三月が七千五百六十六円が、九月になったら千六百六十一円上がって九千二百二十七円になっている。それから東京電力の場合は、C重油は三月が七千七百八十円、それが九月になると大体千円上がって八千七百七十円、原油の場合は七千三百七十円が八千九百円。ところが九州の場合、C重油は七千四百五十円、そうして三月と比較いたしますと、これは四百四十円しか上がっていない。原油の場合は六千二百六十五円で、三月と比較しましても百八十円しか上がっていない。同じ九電力の中で関西電力とか東京とか、あるいは中部とか——中部の場合は、これはまた特徴がありますね。この場合は四十八年三月に七千九百五十円、それが八千二百八十円で三百円しか上がってない。同期で百八十円しか上がってないところもあり、三百円しか上がってないところもあり、そうして千五百二十六円も上がっているところもある。中部のほうは三百円しか上がってないのは、これは過密地帯じゃないからとか、あるいは公害のほうではあまりいい油を使ってなかったからということになるのですか。この関係はどういうことになるのですか。
  186. 岸田文武

    ○岸田政府委員 先ほど申したことをもう少し具体的に御説明申し上げますと、いま電力会社の使っております油の中で、やはり大宗はミナスの関係の油でございます。ミナスの原油のFOB価格の推移を見てみますと、四十八年一月が三ドル三十、四月一日で三ドル七十三、十月一日で四ドル七十五、十一月で六ドル、ことしの一月から十ドル八十というような上がり方をいたしておりまして、このミナス原油はいわば硫黄分の一番低い分野でございまして、これらを地域地域の公害規制の実情に合わせながら他の油と混合して実際に使用する油をきめていくというような関係でございます。  先ほど御指摘ございました各社ごとの値段の上がり方の相違といいますのは、一つはこのような低硫黄重油とその他の油との混合比率の差ということが考えられます。それから他の一つといたしましては、電力各社の油の値段といいますのは、各月ごとに仮仕切りをいたしまして、それらを期末に全部精算するというような形でございまして、この辺の仕切りの値段のきめ方によるものではないかというような気がいたします。
  187. 神崎敏雄

    ○神崎委員 これも燃料が上がったらすぐ電力代が上がる、そうしてそれが当然だというように連合会長も言っている、そういう立場からこれを伺っておるのであって、こまかい試算とか、そういうことについては後日にまた言いますが、そうすると千五百円も上がっているところと三百円しか上がらないところ、あるいは百八十円しか上がらないようなところは、いわゆる燃料代が上がったから即電力代値上げということにもならないというふうに理解しておきます。これはまた後日、九電力から一つずつ聞いていきますが、きょうのところはそれにとどめておきます。  それから次に、通産省は総合エネルギー政策に新しく着手することになった、こういうふうに報道されているのですが、その総合エネルギー政策に新しく着手することにしたということはどういうことになるのか、これをひとつ構想を伺いたいと思います。
  188. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これはエネルギーのソースのバランスの問題それから質的充実の問題、それから省資源、省エネルギー政策への転換の問題、そういうような諸般の問題を考えながら、妥当な線をつくっていくべきであると考えております。
  189. 神崎敏雄

    ○神崎委員 新聞報道によりますと、「通産省石油製品価格値上げ決定によって当面の石油問題は一段落したとして、新価格体系に基づく長期的な新総合エネルギー政策の具体化に本格的に取り組むことになった。」こういうことから、総合エネルギー調査会は通産相の諮問機関ですね、会長は植村さんですが、「総合エネルギー調査会の場を中心に石油危機後の石油の長期的な需給見通しを立て、それに基づき脱石油の観点から原子力など他のエネルギーを位置付ける」これが一つ。二番には、「石油に関しては産油国との直接取引、自主開発に重点を置き、メジャー依存からの脱却を打ち出す。三、このなかで国内の民族系石油会社再編成の具体的な姿を描く。四、一方、エネルギー全体に対する国の管理を強めていくなど。同省では六月をメドに中間的な取りまとめを行うが、これに合わせて産業構造の省エネルギー化の推進、石油価格を踏まえた貿易構造の転換などの問題を検討、エネルギー政策全体を立て直したいとしている。」こういうふうに報道されているのですが、六月といったらすぐ目の前でありますが、こういうような構想を進めていかれるということになりますと、わが国のいわゆる総合エネルギー体系といいますか、こういうものはどういうふうに発展をしていくのだろうか、こういうことを伺っているのです。
  190. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いまエネルギー調査会にそういう総合エネルギー政策の諮問をしておるときで、たぶん六月ごろにその答申が出てくるであろうと予想されています。その答申を受けてわれわれの考えをまとめていきたいと思います。
  191. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そうすると、その答申が出るまでは白紙ですか。答申を基礎にしてお考えになるのか、大臣などお考えになっていることをその意見などを反映された中で、その委員会なるものは答申を出そうとしているのか。白紙委任ですか。
  192. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 委員会は独自に委員会のお考えをおまとめになると思いますが、われわれはまた通産省としてやはり政策は常に研究しておかなければなりませんから、諸般の情勢を調べ、資料も集め、われわれとしての考えもまた勉強していくつもりであります。
  193. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そのわれわれの考えを聞いているのです、どういうふうな考えをされているのかと。
  194. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これはまだまとまったものでもありません。省議として固めてきているものでもありません。ただ、いままで私が答弁申し上げましたように、資源のソースの問題、それから資源間のバランスの問題、ウエートの問題、それからその開発取得の方法の問題そういういろいろな問題があると思います。そういうような問題について一方やると同時に、今度は産業構造に対する影響の問題価格の問題、そういう問題も出てまいります。あるいは石炭等にも必ず関係が出てくると思いますが、そういう場合にはこの開発の問題、それら全般を含めて、企業形態等について何か考慮すべきものありやなしや、そういう諸般の問題がやはり対象として浮かんでくるだろうと思います。
  195. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そうすると大臣、その中でエネルギー全体に対する国の管理を強めていく、こういう方針を打ち出されるのですか。また電力の国有化構想、こういうようなものも検討されようとしておるのか、そういうものも含まれておるというふうに理解していいですか。
  196. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その点はまだ白紙です。電力国有化というような考えはまるきり私は持っておりませんし、最初におあげになった点もまだ白紙であります。
  197. 神崎敏雄

    ○神崎委員 それでは、きょうはこの程度でおいておきます。
  198. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員長代理 松尾信人君。
  199. 松尾信人

    ○松尾委員 きょうは大臣に二、三お尋ねしますが、焦点は石油の使用節約の点であります。どうして石油消費を少なくしていくかという問題が一つと、もう一点は、いま問題になっております電力料金の点であります。逐次大臣の所信をただしていきたいと思います。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、塩川委員長代理着     席〕  石油輸入量というものもなかなか今後の見通しが困難でありましょう。また石油価格という点も、大臣お答えのとおり上がる傾向にありまして、なかなかこれも見通し困難でございましょう。他面、貿易収支の面からもこの石油輸入量というものをきびしく見直したい、このように通産大臣は先般お答えになりました。そしてさらに環境の面から申し上げますと、もうわが国はこれ以上の環境の汚染、破壊というものは許されない、それを防いで国民の生命の安全を保障できるよい環境をつくっていきたい、そういう点で国内のコンビナートについても十分見直していきたいのだ、このような大臣の所信の表明がありまして、私もなるほどと納得しておる次第であります。そういう点から、結局資源の面と環境の面から、重化学工業化の路線というものをもういやおうなしに軌道修正せざるを得ない、このように大臣も思っていらっしゃると思うのでありますけれども、念のため大臣の所信を聞いておきたいと思います。
  200. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 そのように思っております。
  201. 松尾信人

    ○松尾委員 それはまことにけっこうな軌道修正と思うのであります。それで、そういう点から石油使用を減らしていこう、これはしっかり御検討なさっていると思いますけれども、そういう面から二、三私は質疑をしていきたいと思うのであります。  最初に、どういうところから減らしていけるかなというような点でございますけれども、何としても石油の多消費型の産業、これをやはり抑制していこう、減らしていかなくちゃいけないでありましょう。次にはやはり石油を少し使っていく消費型産業の生産というものを伸ばしていかなければいけない、とってかわる、そのような方向が必要だと思うのでありますけれども通産省はそういう面で取り組んでいらっしゃいますか。
  202. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 先生のおっしゃいますように、省資源、省エネルギー型の産業を助成していく、伸ばしていく、それから多消費型の産業を海外へ持っていくとかあるいはこれをチェックしていく、そういう両方の面が必要でございましょうし、また国内的には、先生が先般おあげになった交錯輸送の問題とか、そういうようなエネルギーのロスをどうして防いでいくか。長距離の問題は、この前も先生おっしゃいましたように、鉄道に転換せよというようなことは、深く私の頭に残っておることであります。
  203. 松尾信人

    ○松尾委員 そこでお尋ねしていくわけでありますけれども石油化学工業の問題であります。京葉臨海工業地帯で、非常に石油化学各社の工場新増設の問題が起こっておるわけであります。伝えられるところによれば、四十九年初頭から一斉にこれは開始されるようなかっこうであります。千葉県の公害防止協定の細目というものが今度改定作業で煮詰まったというようなことで、いままで延ばしておった建設について県が同意を与える方針を決定したようなことでありますけれども、それで三井石油化学、または住友千葉化学、丸善石油化学というものが、そこでさっと出ていこうとしている。増設工事についてこのような動きがあるんでありますが、他方通産省としては、工場新増設の着工延期という方針を出して、民間の設備投資を極力総需要抑制の面から押えていらっしゃる。千葉の臨海工業地帯には、現実にそのような動きがある。こういうことでありますが、いかがですか。
  204. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 千葉県の場合には、一つは環境の問題があると思います。環境調査をいたしまして、許容量の限度内にまだあるようではありますけれども、そういうような問題点をわれわれとしては今後留意していかなければならぬところがございますし、それから東京湾におきまするタンカー輸送の問題もまだ出てくるだろうと思います。そういうような諸般の情勢も踏まえまして、慎重に検討していかなければならぬと思います。
  205. 松尾信人

    ○松尾委員 次に、海外立地の問題であります。いま大臣も、そういうことを考えていかなければできぬとおっしゃいましたけれども資源国では、自分のところで工業というものを興していきたい、また相なるべくは資源を工業化していろいろの製品をつくっていきたい、このような活発な動きがあると思います。大臣は、海外諸国を調べられてよく御存じのはずでありますが、そういう面で、ここにも私ある点調べたものを持っておりますけれども、海外におけるいろいろの石油資源その他に関するもので、相手の国の要請、または相手の企業との合弁等によって、今後、進んでそこへ出ていこうとするようなものについて調べられたものがありますか。あればひとつ簡単に、時間がありませんので、詳しいものはあとで資料をもらうということで、代表的なものを一つきょうおっしゃってもけっこうであります。
  206. 大石敏朗

    ○大石政府委員 お答え申し上げます。  いろいろなものがございますけれども、概要を申し上げますと、石油精製のプロジェクトといたしましては、イラン、イラク、サウジアラビア、クウェート、カタール、アブダビ等というような国から要請がございまして、それにつきまして話し合いがいろいろ進んでおります。  それから石油化学につきましても、たとえばイラン、サウジアラビア、それからアルミに関しましてはインドネシア、それからあと化学肥料、鉄鋼等というような問題につきましてもいろいろ要請がございまして、一般的に話し合いを進めておるわけでございます。
  207. 松尾信人

    ○松尾委員 いま代表的なものの説明がございましたが、こういうものは、国でどんどんつくっていくというよりも、油の輸入を減らしていこう、公害面からも規制をがっちりしていこう、いい還境をつくろうということからいけば、需要があるからといって油の輸入を一生懸命やるんじゃなくて、やはり減らしていくという方向で海外立地の問題を考える。そのときに、公害を日本から輸出するというようなかっこうになってはまずいから、やはり資源国の要請の強いもの、または何としても日本と相手の国が両々相まって、そうして伸びていくようなもの、そういう傾向のものを取り上げて、しっかり海外立地の問題を検討していかなくちゃならない。そして少しでも油の輸入量を減らす、このような方向を確立すべきである、こう思うのであります。いまお話がありましたけれども、三井グループがイランで、三菱系がサウジアラビア、住友系がシンガポールその他でコンビナートをつくるというような準備がある、こういうものはいかがですか。もうどんどん積極的にこれはやるように支援していらっしゃるのか、話の段階というものがまだまだそこまで来ていないのか等について、これだけでいいですから伺いたい。  それからアルミニウムの話がありました。アルミ製品は電力のかたまりであります。こういうものをどんどん日本でつくるということは、電力の消費がいつまでたっても伸びる一方である。電力の使用の抑制という方面にも触れていきたいと思うのでありますが、そういう面においても、これは主原料のボーキサイトをブラジルとかニュージーランドに求める、現地合弁のアルミの工場を建設中、このようなことを聞いてよかったなと私は自分の心で思っております。そういう方向に定着させていかなくちゃならない。そういうことについてもう一回、念のためにはっきりおっしゃってください。
  208. 大石敏朗

    ○大石政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたような諸計画につきましては、一般的に申しまして、われわれといたしましてもこれを促進する方向で実現したいということでいろいろやっております。先ほど例をいろいろ申し上げましたけれども、製油所につきましては、たとえばイラク、イランの場合につきましても、それぞれ交渉中でございます。いろいろ問題点はまだございますけれども、早期実現の方向で努力してまいりたいと思っております。  それから石油化学につきましても、サウジアラビアの件、それからイランの件、それぞれ問題がございますけれども、これを促進する方向で政府としても努力しております。
  209. 松尾信人

    ○松尾委員 いま担当責任者のほうから、そのような決心の表明がありましたが、大臣いかがですか。そのような面におけるやはり最高責任者としての大臣の決意を聞いておきたい。
  210. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 民間におけるそういうネゴシエーションが結実いたしまして、われわれのレベルのほうへのぼってくることを期待しております。できるだけ私たちは、海外の方向に日本のそういう重化学工業を出して、公害を出さないで、しかもそういう方向に持っていくことは適切であると考えています。
  211. 松尾信人

    ○松尾委員 先ほども、これは中村委員からの質問でありましたが、三菱油化のエチレンの増設の問題であります。そういうことはいま急にやろうと思っていない、これは五十一年年産四十万トン、今夏着工して五十一年秋に完成というような記事できちっと書いてあるわけでありますけれども、これは会社の真意を聞いたらそうでもなかったというようなことでありますけれども、この官庁主導という型から離れておいて、そして業界がそういういままでの官庁との協調に訣別するんだというところまで書いてあるわけです。そしてこれはやはりことしの夏の着工というものはかりに若干延ばしたにしても、時が来れば強行したいというような考えがあるんじゃないかという疑念があります。ですから、エチレンという、これはやはり基礎物資でありますけれども、こういうものも、いろいろ海外立地の問題で、日本に入ってくる油を減らして、そうしてそういう製品を向こうにつくらせて、喜んで向こうがそれをつくると言っているのなら協力してあげて、そうして日本がほしいものをいただくというようなかっこうでいくべきであります。こういう一つのものの考え方につきまして、大臣、いかがですか。
  212. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり共存共栄で、日本の持っておる技術力、資本力、情報力、現地が持っていらっしゃる労働力あるいは資源力、そういうようなものを有無相通じて活用し合うということは、やはり人類の理想だろうと思います。
  213. 松尾信人

    ○松尾委員 そこで、国内におけるエチレンの増設の問題につきまして、かりに問題が具体化して出てきた場合、これに対してどのように抑制していくかということでありますが、大臣、いかがです。
  214. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これはまだ正式に申し出たわけでもありませんし、先ほども申し上げましたように、総需要抑制という、当面のわれわれのほうの大きな目的がございますから、そういう意味で、やはり民間設備投資についても抑制を願っているところでございますから、そういう考え方に従ってわれわれは検討もしてみたいと思います。
  215. 松尾信人

    ○松尾委員 特にこういうものは必要な基礎物資であるからというような考え方だけで国内における増設を安易に認めていきますと、これはあとへ大きな問題を残すものである、こう思いまして、私は念には念を入れて大臣の考えを聞いておるわけであります。ですから、いままで申し上げましたとおりでありますけれども、結局、基本的な産業構造の転換ということは、なかなか急にはできません。ですから、当面の問題として、もうこういうものにはあまり石油を使ってもらわぬほうがいい、こういうものは延ばしていこうというぐらいの割り振りを早くなさいまして、そうして油の輸入というものを極力減らす、こういう方向を定着させるということはお答えがあったと思うのでありますが、この問題の最後として、もう一回大臣から聞いておきたいと思うのです。
  216. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いま通産省内部におきましても、知識集約型産業、省資源、省エネルギー型産業というものの勉強をやらせておりまして、そういうような答申と申しますか、答えが、いずれ私のところへ出てくるだろうと思います。いま鋭意青写真をつくらせておりますから、それはおそらく先生のおっしゃる方向と同じ方向であるだろうと思っております。
  217. 松尾信人

    ○松尾委員 電気料金のことで、先ほど大臣から、まだまだいま党としても政府としても取り組むべきではないような答えがありました。しかし問題は、やはり何といっても、石油の値段も上がってきた、そういうことで電力会社も苦しいということで、先ほども質疑が出ましたとおりに、この電力料金の問題が毎日非常に騒がれておるわけであります。そういうことで、いま取り上げるべき問題ではないとおっしゃいますけれども、やはりそういう中で、われわれの基本的な考え方というものははっきりここで十分論議を尽くしていって、そうして大臣にもそういう点を納得してもらって、今後適正なる電力料金というものの決定をしてもらいたい、このようなことで申し上げる次第であります。ですから、こういうことはちょっとつけ足しになりますけれども、この公共料金というものが国民消費生活に占める比重は非常に大きい。総理府の調査でも家計支出の二〇%も占めておるといわれております。おまけに、ほかの品物だったら安いものへ切りかえができますけれども、この公共料金の分は代替性がないわけですね。そういうところで、非常に安いものというようなかっこうに家庭はいかないわけであります。他方、物価の面からながめてみましても、卸売り物価もどんどん上がっている。それから消費者物価も、二月は前年同月比二四%と終戦直後の混乱期のような状態になっておりますときに、この電力料金というような公共料金が上がりますると、先般の石油製品値上げ、ああいうものと相乗作用といいますか、両方ぶつかりまして、物価は急上昇して非常に憂慮されるというような状態になります。そういう値上げの要素の分というようなものは他方確かにありますが、そういうものを消費者にいきなりそのまままるまる転嫁するというようなことではつまらぬわけでありまして、やはり電力もうんと消費節約していくんだ、石油と同じく電力もそのような考え方が基本的になくちゃいけませんでしょうし、それは当然政府もそのお考えでありましょう。  それからもう一つは、福祉型というようなものへ今回は転換していこう、今回の料金改定を一つの境にして、福祉型の料金制度をとっていこう、このような動きが出ておりまして、これは電気事業審議会の中間報告でありますけれども、われわれも納得できる線は出ております。方向はそのような方向でわかるのでありますけれども、その内容がはたしてどのようにきめられていくかとなりますと、われわれは非常に疑問の点が多いわけであります。特に大口の電力と家庭用の電灯とでは、約二倍というふうに家庭電力のほうが高いわけですね。この理由も先ほど説明をされておったようでありますけれども、どうしても私は基本的にそこに問題があるのじゃないかと思うのです。  そしてまた、最近、発電所をつくらなくちゃいけないというようなことは、産業用の需要がふえたから、それにこたえるために発電所をつくらなくちゃいけないというような要素が非常に多いわけですね。そうして発電所ができた。そこで、電力料金を算定する。そのとき、何としても、この流通段階の末端におる家庭というものは、いろいろこの流通経費がたくさんかかりますものですから、ほんとうは自分がほしくてその発電所をつくってもらったんじゃない、もともとは産業用のためにつくらなくちゃいけなかった発電所なんですが、その電力料金の割り振りになった場合には、一対二というような比率で家庭用にそれが割り振られてくるということです。新しい電力料金の改定だとか、また新しい発電所ができたというようなときには、基本的にそういうものを見直していく。流通の過程からいえば、ある程度家庭電力のほうが産業用大口等に比べて高くなることはわかりますけれども、今度は、その発電所をなぜ建てなくちゃならぬのかといえば、それは大企業だとか、そういう大口電力のための需要を満たすためだという大前提があるんですね。そのときにつくった発電所の電力料金というものが、結局家庭の電灯のほうへ一対二の比率でかかっていく。こういうことは非常におかしいのじゃないか。ですから、今度大口料金は割り増す、いままでの逓減とかがない、これは使ったその使用量に応じてうんと電力料金は取りますよ、このようなかっこうでいわれておりますけれども、方向はわかりますが、現実にはやはり一対二というような大きなこの基本的な比率というものは変わるものじゃない。そうすると、幾らその方向づけがされましても、結局は家庭の電灯料金というものによってその大口の電力というものを満たしておる、建設も引き受けておる、料金も高く払っているというようなことは、当然これはもう免れ得ない、こう思うのでありますけれども、そこをどのように今後そのような福祉型の新しい料金、使えば使うほどたくさん料金を取っていこうという考え方、そういう点からひっくるめてどのようにお考えになるのか、この点をはっきりお答え願いたいと思うのです。
  218. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 松尾先生がおっしゃいました線は、私たちも大いに傾聴し尊重していきたいと思います。  具体的な料金を算定するというような場合には、またいろいろ原価等の計算やら、いろいろなファクターの問題もあると思いますけれども、政治の理念としてはそういう方向に進んでいくべきであると思います。
  219. 松尾信人

    ○松尾委員 ひとつ責任のある、具体的にそういう会社と折衝して、それで料金等を煮詰めていくそういう政府の方々は——いま大臣の重大な発言であります。何のために新しいこの発電所を必要とするのか。それは家庭の電灯のためじゃない。産業用のためにそこに新たな供給というものが必要になってくる。需要と供給、そしてそこで今度発電所ができて、こう電線が引っ張られていきますと、それは全部流れていきますから、要するに、流通過程の末端における家庭電灯料金というものが上がるような仕組みになっているのです。これはひとつよくよく心にとどめて、そこに大臣のおっしゃいましたことを思い切って実現する方向を堅持してもらいたいと思うのです。  それからもう一つでありますけれども、福祉型の問題で、この百キロワットアワーですね。これ以下のものについてはどうするのですか。据え置くのか、下げるのか。なぜ百キロワットアワーというようなものを基準にしたのか。それはもう少し上まて——標準家庭で平均的な電力の使用量というものはいまどのくらいなんだ、こういった点もあわせてお答え願いたい。
  220. 岸田文武

    ○岸田政府委員 今回の電気事業審議会の料金制度に関する答申におきましては、電灯の料金につきまして三段階制をとるということになりましたことは、先ほど御報告申したとおりでございます。第一段階は百キロワットアワー、第二段階は二百ないし二百五十キロワットアワー、ここで線を切りまして、第一段階につきましては、電灯の平均コストよりも割り引いた料金を適用するというような考え方でございます。第二段階は、第一段階をこえた部分についてほぼ平均的な料金を徴収する。第三段階は、かなり大口の需要家でございますので、これは新設発電所がかなりコストが高くなっているというような事情も反映いたしまして割り高な料金を徴収する。こういった考え方を基本にして私ども制度を検討するようにということが答申の内容でございます。  この際百キロワットアワーをなぜとったかという点でございますが、私ども各地の家庭の電気の使用状況を調べてみまして、家族四人のところをモデルにとりまして、そこにどのような家庭電気器具が置かれて、どういうような使用状況になっておるか、これらの状況を見てみますと、大体普及率八〇%以上の家庭電化器具、たとえば電灯であるとかあるいはテレビであるとかアイロンであるとか洗たく機であるとか、こういったもののそれぞれの使っております電力量を合計いたしますと約百キロワットアワーになるというような試算がとりあえずございましたので、これを一つの節といたしまして、この程度以下の需要というものはいわば国民生活をささえるための必要最小限度の電力需要というふうに考えまして、これに対しては割り安の料金を適用するということにいたした次第でございます。この線の引き方につきましては、今後時間がたちまして家庭における消費需要の動向が変わってまいりました場合には、さらに見直しをするというようなことが必要になってまいるわけであります。
  221. 松尾信人

    ○松尾委員 福祉型というのですから、そういう点はいまおっしゃたような割引とかなんとかいうような考え方はおかしいのでありまして、もとよとそのような家庭電灯の料金が高いのです。コストを計算すれば、それは末端ですから高くなる理由はわかりますけれども、いまの電力需要というものは、やはり二対一の比率で産業は使っているわけですから、おまけに今後の建設される発電所というものは産業用のためにつくられていく。これは大臣十分に胸におさめて先ほどの回答があったわけですから、割り引くとかなんとかじゃなくて、もともとそういうことでありますから、きちっとした福祉型の料金というものをきめていく、大臣のいまの指示をよく守る、このような態度でやってもらいたい。  それから、これは大臣ちょっと聞いておってもらいたいのですが、すでに現在の電力料金の中には適正利潤といって八%の利潤が込めてあります。おまけに法人税というものまで電力利益の中にもう込めてあるのです。確保されておる。金融、税制上の優遇もございましょう。ですから、これは油の値段が上がった、すぐ上げます、そういうことじゃなくて、やはりあなたたちのコストを吸収する、経営を合理化する、このようなことでしっかり指導をやってもらいたい。これは私は強く要請する次第であります。  それから、先般の石油製品価格の引き上げは、ずいぶん問題になりました。大臣もこれは御苦労でありました。ずいぶんいろいろと問題がその中で出てきておるわけで、難航しておるわけです。やはりこれは石油各社が昨年末に便乗、先取り値上げというようなことで暴利をとっている。そこに国民の不信感があるわけですね。今度は電力か、こういうわけであります。電気料金というものは、やはり米価と国鉄運賃、そういうものと並んだ公共料金の大きな目玉であります。ですから、いわば電気料金の改定というような問題は、この石油製品価格の引き上げ以上に国民に関心がある、こういう認識をまず大臣持ってもらいたい。でありますから、何としてもこれは国民の納得と理解、そういうものを前提としてきちっとしていきませんと、やったなというようなことがうらみの的になるようなかっこうになります。でありますから、やはり電力会社の経営の実態というようなものを国民の前に示す、いろいろなことを教える、石油の問題で隠したりなんかしたようなことがないようにきちっと示す、公共料金なるがゆえにこれはそういう腹がまえが必要であると思いますが、大臣いかがですか。
  222. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 まことにごもっともな御議論であり、国民の前に明らかにすべき点であると思いますから、そのようにいたしたいと思います。
  223. 松尾信人

    ○松尾委員 それで、やはり公共料金なるがゆえに、会社としては、利潤の確保、または税金の確保、そういういろいろな優遇を受けておるわけでありますから、電力会社自体も姿勢を正さなければいけません。そういう面において、まず一つの問題でありますけれども、交際費の問題これはどの社が幾らというようなことをいま申し上げませんけれども、やはり公共料金として政府から手厚いいろいろの保護を受けておる、そういう経営の実態でありますから、やはりその企業体自体はきちっとする。まず交際費の問題で、大臣は、しっかりおまえたちは自粛していけ、こういうことを言ってもらわなければいかぬ。  もう一つそれと並んで、政治献金の問題でありますけれども、いま私は手元にあります。毎月電力会社が幾ら献金しているのか、わかっております。それを今回幾らぐらいですというふうに、それもわかっておりますけれども、そういう手厚い政府の保護を受けながら、かりに今度はまた大幅に値上げするというようなことが出てくるということになると、納得しがたいものがある。国民にも企業の経営実態とかいうようなものをできるだけ知らせていこうという立場からすれば、私がいま申し上げました交際費と政治献金の問題については、これは自制さるべきである、自粛をきちっと命ずべきであると思うのですが、大臣いかがですか。
  224. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 先生の御説をよく留意いたしまして、自制するように処理していきたいと思います。
  225. 松尾信人

    ○松尾委員 質問を終わります。
  226. 塩川正十郎

    ○塩川委員長代理 次回は、明二十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二分散会