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1974-03-15 第72回国会 衆議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月十五日(金曜日)     午前十時四十八分開議 出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 板川 正吾君 理事 中村 重光君       天野 公義君    稲村 利幸君       浦野 幸男君    越智 伊平君       粕谷  茂君    木部 佳昭君       近藤 鉄雄君    塩崎  潤君       田中 榮一君    松永  光君       保岡 興治君    加藤 清政君       加藤 清二君    上坂  昇君       佐野  進君    渡辺 三郎君       野間 友一君    近江巳記夫君       松尾 信人君    宮田 早苗君  出席政府委員         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         通商産業審議官 森口 八郎君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         中小企業庁長官 外山  弘君         中小企業庁計画         部長      吉川 佐吉君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部第         一審査長    妹尾  明君         大蔵省銀行局中         小金融課長   吉野 良彦君         通商産業省基礎         産業局製鉄課長 島田  仁君         通商産業省生活         産業局紙業課長 村岡 茂生君         中小企業庁計画         部金融課長   若杉 和夫君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 三月十二日  発電用施設周辺地域整備法案内閣提出、第七  十一回国会閣法第一一七号) は議院の承諾を得て修正された。     ————————————— 三月十四日  中小企業経営安定に関する請願瀬野栄次郎  君紹介)(第二六〇九号)  京葉ガス料金値上げ反対に関する請願板川  正吾紹介)(第二六五六号)  同(近江巳記夫紹介)(第二六五七号)  同(田中武夫紹介)(第二六五八号)  同(中村重光紹介)(第二六五九号)  同(松浦利尚君紹介)(第二六六〇号)  伝統的工芸品産業の振興に関する法律案に関す  る請願瀬長亀次郎紹介)(第二六八五号)  灯油値上げ反対等に関する請願多田光雄君紹  介)(第二六八六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六二号)  通商産業基本施策に関する件  中小企業に関する件  資源エネルギーに関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、中小企業に関する件、資源エネルギーに関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。上坂昇君。
  3. 上坂昇

    上坂委員 三月五日に質問をしましたが、そのとき少し残っている問題もありますので、それを先に質問をいたしたいと思います。  いま建設が非常におくれている一つの原因として、やはり末端ではくぎの問題が非常に問題になっています。不足をしているわけでありますが、実は最近予算委員会でもかなり取り上げられて、商社特約店にいろいろな文書といいますか、指示文書を流して、買い占め値上がりをあおっていることがたいへん暴露されたわけでありますが、このくぎについても、十二月ごろに回状特約店商社から回っている。その回状によりますと、在庫をふやせ、値上がりを待て、こういう文書であります。これは特約店をずっと当たってみますと、一様にそういうことを言っているわけでありますから、商社がかんでいることはもう明らかであります。その結果が、あのくぎ不足状態ができ、値上がり状態が出てきたというふうに考えます。商社がこうしたくぎにまで入り込んで値段をつり上げているということは、まことに言語道断でありますが、さきに通産省指示をいたしまして緊急にくぎ放出をやりました。そのときの値段トン当たり十九万円という指示価格を示したわけであります。それを各県別に協会が割り当てをいたしまして、くぎの組合のほうで割り当てをいたしました。その値段がどうも非常に高いような気がいたします。   〔委員長退席田中(六)委員長代理着席線材ですと、素材メーカーからくぎメーカーに渡すときには四万五千円以内で渡されているのが、くぎになりますと十九万円になってしまう、こういう価格というのは一体どういうところから算出をさせたものであるか。このことについてお伺いをいたしたいというふうに思います。  先ほど言いました商社くぎにまでかんで特約店値上がりを要請する、指示をするということに対する通産省見解、あるいはそういう事実に対する調査、それからいま申し上げました十九万円という金額についてはどういう根拠でこれを出したのか、その点についてお伺いしたい。
  4. 島田仁

    島田説明員 お答えいたします。  まず商社の件ですけれども商社がそういう指令を出しているかどうかについては、私のほうでは現在まだ承知しておりません。このくぎ流通経路というのは非常にはっきりしておりまして、商社というのは実はトンネル口銭、トンネル的に一応通っておりまして、くぎメーカーから一次問屋、それから二次問屋金物屋という流通経路を通っております。したがって、現在においても商社はほとんどくぎそのもの流通に直接関係しているような状況にはありません。この点については全建総連その他の方にも実態をよく御説明して、いまかなり御理解いただいております。今度のくぎ値上がり問題というのは、末端の二次問屋金物屋というところで相当投機的な動きで起こっているものではなかったかと思います。  第二の十九万円の点ですが、一月に入りましてくぎが相当大幅に値上がりしまして、その当時の市中価格が二十二、三万円まで上昇したわけです。それに対応してとりあえず緊急放出ということで二月早々に千四百トンの増産をしまして、これを市中に流した。そのときの価格十九万円というのは、実はこれを上限価格ということで流しておりまして、それ以下では幾ら安くてもかまわない性格のものであったわけです。その結果市中価格は急激に下がりまして、十九万円以下で、大体十七、八万円の取引価格になってきました。現在さらに三月の時点でもう少し下げたいということで若干の行政指導をいま行なっているところです。
  5. 上坂昇

    上坂委員 一次問屋については大体十一万八千円でおろしている。それから二次問屋上限が十四万円でおろすようになっている、調査をすると大体そうなっているようです。したがって、金物店で扱う場合には十六万円ぐらいで実際は売れたはずなんです。それをやはり通産省指示で十九万円という数字を出しているものですから、やはり高いので売ったほうがいいということで、各地ではこれをキロに直して、そしてその価格で販売をしているという状態が出てきているわけであります。したがって、こうした場合には、いま言っているような一次問屋、二次問屋状況というものを十分つかんで、そしてできるだけ安いところで押えていって、そして指示価格を出していくという形にしないと、やはりいたずらに上がってしまう。答弁では上限をきめたので、その結果値段が最近下がってきた、そういう御説明でありますから、そのことも言えると思いますけれども、しかし非常に困っているときにはやはり買わなければならない。そういう場合には高くてもどうしても買う。最近出回ってきたから下がってきているのであって、もしこれが依然として出回ってこなければ、やはり十九万円という線が維持されてしまう、こういうふうに考えるわけです。そういう点でこれらのこうした問題については十分注意をしてもらわなければならないというふうに思います。  問題は、いま非常に出てきたといわれても、一億円くらいの年商をやっている会社で、いままで二百箱なら二百箱注文をすればそれが入ったものが、いまでもやはり最高十箱程度しか入らないという状況にあります。こういう状況は私は非常にふしぎに思うわけです。というのは、生産状況を見ますと決して落ちていない。四十七年の統計では十九万六千百トン生産されておる。これを月別にずっと見ますと、四十八年は十一月までですが、少し減っておりますけれども、大体十八万トンから十九万トンの線を維持しているわけです。これだけ生産をしているのに出回らなかったということは、やはり先ほど申し上げました買い占め売り惜しみの問題が十分考えられる、こういうふうに思うのです。  そういう点についてなかなかつかみきれないということのようですが、これは生産量から見ればメーカーに対して指示をするということもできるのではないか、私はこういうふうに考えるわけです。その点についてもう一度お答えをいただきたい。
  6. 森下元晴

    森下政府委員 くぎにつきましては、住宅建築の場合に重要な商品でございますし、衣の問題、食の問題と同じように住宅政策にも非常に必要である。特に建築を業としております方々に対しましては、やはりくぎを安価に提供するということが住宅政策をスムーズに進める要因でもあると思っております。  御指摘のように、一月にはトン当たり二十三万円以上の価格に暴騰いたしまして非常に迷惑をかけたことは事実でございます。その後、通産省としても増産を指導したり、また価格の低下についても非常に努力をいたしまして、二月には大体十八万円から十七万円の線、それと今後は増産をするとともに強力に指導いたしまして、トン当たり十六万円台に下げるようにも努力をしていきたい。かなりめどもつき始めました。先生おっしゃるように、やはりかなりの量を確保しなければ下がらないということもよく承知しておりまして、十七万円台から十六万円台へ、それでだんだん下げていきたい、こういうような方針で強力にやっております。
  7. 上坂昇

    上坂委員 くぎの問題は以上で終わります。  次に、大蔵省から来ていますね。実は今月の十三日の新聞に「窓口規制中小向け強める」という記事が出ておりました。都銀のほうのワクの圧縮をまずやって、それを今度は地方銀行、相互銀行、信用金庫のほうに及ぼしていく。そして中小企業向け貸し出しの抑制を強化したい、こういう日銀方針発表されておるわけであります。問題なのは、その中にこういうのがあるのです。都市銀行に対する窓口規制は大体効果を示している。ところが、中小企業の場合にはいままで予想したより倒産が少なかった。少ないから、このことは中小企業資金繰りが非常に余裕を持っている、こういうふうに判断をしているということなんですね。したがって一—三月、それ以上に四—六月にかけては、この資金繰りに非常に余裕を持っている中小企業に対して窓口規制を強化する、こういう方針を出しておるわけです。一体どういう判断からこういうのが出てくるのかということです。十二月から一月、二月にかけて中小企業倒産というものはかなり多くなっているはずであります。統計では一千万円以上の中小企業を対象にとって統計を出しているわけですが、実はそれ以下の企業に至ってはたいへんな恐慌を来たしているというふうに思うのです。ですから、中小企業を一様に資金繰り余裕があるというような判断をされたのでは、これはとんでもないことになってしまうのではないかというように私は思うのです。こういうことに対して政府としてはどういう判断をしておるのか、お伺いをしたいと思います。
  8. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 お答えいたします。  先ほどの御指摘新聞記事政府といたしましては全く関係ございません。新聞報道として書かれたものと御承知いただきたいと思います。  私どもは、中小企業に対する対策としましては、従来から全く同じような姿勢で今日まで来ておるわけでございます。過去一年数カ月引き締めをかなり強硬にやってまいりましたけれども、その間におきましていろいろな意味中小企業に対する配慮というものを加えております。これはもう先生よく御存じのように、たとえば準備率にいたしましても、それから窓口規制にいたしましても、中小企業に対しては特別の対策を別途開いておるわけでございます。  さらに、一番新しい例といたしましては、この年度末に中小向け政府関係機関特別融資を五百五億追加いたしましたのも、いま御指摘のような金融引き締め下における零細な中小企業対策ということでとられた措置でございまして、いまのような記事は私ども考え方とは違った意味を持っていると思います。  窓口指導につきましての四—六月のワクでございますが、これは三月の下旬になりませんと——その状況を見まして日本銀行判断するわけでございまして、まだ未定でございます。
  9. 上坂昇

    上坂委員 政府はこのことについては関知をしていないというお話でありますが、しかし少なくとも日銀がこういう発表をするということになると、これはたいへんな影響を起こすと思うのです。そのことは間違いないと思うのです。こういうものが新聞報道されたときに、政府はやはりこのことについていち早く手を打つ必要があるのではないか。日銀政府が全く違ったような考え方政策をとられるということになると、これは困るわけですね。黙っていれば日銀のほうは、政府のほうも承知をしているものだと思って窓口規制を締めていくと思うのですよ。そうして新聞に出ただけで、おそらく金融機関のほうは先取りしてどんどん締める方向に進んでいく。それでなくても公定歩合が上がったり、いろいろな金融引き締めの問題が出ているわけでありますから、やはり貸し出し規制していく、こういうかっこうになるかと思うのです。あるいはまた貸し出し規制ばかりじゃなくて、引き揚げるというような状況も起こってこないとも限らないと思うのです。そうなりますと、それでなくとも倒産が非常に問題になっているおりからたいへんな問題になる。こういうことについて大体ぼやっとしていたのでは困るのであって、知らないから、新聞発表だから、それはそれで私のほうはわかりません、こういうことでははなはだもってわれわれとしては承服しかねる。これについては、こうした記事についてはその信憑性なり日銀方針なりというものについて、どういうふうな形で対処をされるか、このことをお伺いしたいと思います。
  10. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 新聞記事につきまして政府といたしましてすぐそれに対して反応いたすというようなことばケースバイケースだと思いますけれども、いまの御指摘記事につきましては、日本銀行政府金融政策につきましては一致した方針を持って相互に緊密な連絡をとってやっておりますので、そのような考え方日本銀行発表したということはございません。したがいまして、そういう事実がございませんので、それにつきましてあらためて政府から特別措置を講じたり発表いたしたりという必要を認めなかったわけでございます。ぼんやりしておったということではございません。
  11. 上坂昇

    上坂委員 しかし、これは非常に影響が大きいわけですから、やはり何らかの措置をとらなければならぬと思うのですね。これは日銀が総裁の談話なり何なりで、そういうことはないということを訂正するなりしないと、これは日本経済新聞に出ていたわけでありますから、かなり大きな反響を及ぼしていると思うのです。日銀のほうはそうした政府と同じ考え方があるならば訂正をしていく。記事訂正するわけにはいかぬでしょうから、そういうことはないということを表明をしていく、あるいは政府のほうで、こうした問題があるけれども、そういうことはないということを出すような形にしないと、かなり動揺すると私は思うのです。そういう点は一体やる気があるのかどうか、これをお伺いしておきます。
  12. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 新聞報道につきまして私どもから発言いたしますのは、非常に慎重にお答えしなければならないと思いますのでお許しをいただきたいと思いますが、新聞記事に一々政府のほうがすべてお答えするということの意味は、いい場合と悪い場合とあるかと思います。特に経済関係記事につきましては、かなり予測を含めた記事も入ってまいりますので、それをまともにお答えするということはかえってその信憑性を助けることにもなりますので、それはかえって国民を混乱におとしいれることも考えなければなりませんので、記事を見た場合に、私どもはそれをそのままにほっておく場合と、それに対して強く政府訂正なりあるいは見解を示す場合とございます。したがいまして、記事そのものについて私どもはとやかく申しませんが、今回はその必要なしというふうに認めたわけでございます。
  13. 上坂昇

    上坂委員 そうすると、このことについてはケースバイケースという話でしたが、ケースバイケースだけれどもこれはあまり重要でないから対処する必要はない、こういうふうに考えていいわけですか。
  14. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 中小企業対策というのはたいへん重要な問題でございます。したがいまして、中小企業金融機関を監督いたしております私どもといたしましては、この際かえって誤解を招かないように実際の政策のほうの運営をしっかりするということで足りると考えたわけでございます。
  15. 上坂昇

    上坂委員 はっきりとここにこういう方針である、こういうふうにぴしっと出ているわけです。そして近く二十日ごろに細目をきめてこれを通達する、こういうふうに出ているわけです。ですから、私は非常に重要だと思って取り上げたわけであります。  もう一つ、二月の二十八日に銀行局長金融機関に対して三項目にわたる通達をしていると思うのです。この通達の中にもいろいろ書いてありますが、「なかんずく、流通段階在庫保有等が問題となっている実情にかんがみ、この面に対する融資を更に抑制するため、卸・小売業に対する融資については、必要最少限資金にとどめるよう特に厳格に審査を行うこと。」こういうふうな通達を出しておるわけでございますね。私は前の日銀考え方と何か一脈相通ずるような感じもしないわけではないのです。こういうものを受けたのかどうかはわかりませんけれども、そういう感じもする。私はここで一つ伺いしたいのは、この卸・小売り業という範囲をどういうふうに考えているのか、お答えをいただきたいと思うのです。
  16. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 卸・小売り業でございますが、卸売り業というのは商社その他でございまして、その他の中には卸の大企業中小企業も入ります。それから小売り業、これは大きいのは百貨店でございます。それから飲食店、それからその他とございまして、その他の中にも大企業中小企業が入っております。お答えが長くなって恐縮ですが、よろしゅうございましょうか。
  17. 上坂昇

    上坂委員 卸・小売り業、私も大規模小売り店、こういうふうに解釈したいわけでありますが、ただこれだけ出ますと、やはり中小企業にもかなり影響を及ぼしてしまうという意味で非常に疑問に思ったわけです。その点は、いまのお答え大体大規模小売り店である、こういうふうに  考えていいわけですね。
  18. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 必ずしもここでは大規模と完全に規定してはおりません。中小規模のものであっても資金の偏在あるいはこれらの通達が、読み上げると長くなりますので恐縮でございますが、実際に買い占めあるいは売り惜しみ在庫の積み増しというようなものがあります場合には、これは中小企業といえどもその事実についての範疇外でないというふうに考えてわれわれとしては措置する通達を出したわけでございます。
  19. 上坂昇

    上坂委員 いまの問題についてはこの委員会でもやはり取り上げられたというような面で、先ほどの問題を含めてこれは日銀等十分意思の疎通をひとつはかってもらいたいと思うのです。そうして少なくとも倒産を助長していくような形の窓口規制というものは十分注意をしてやるように要請をしたいというふうに思います。
  20. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 健全な中小企業金融につきましては、私どもは万全の措置を講じたいと思っております。
  21. 上坂昇

    上坂委員 去る三日の新聞でありますが、やはり二日に丸紅が事実上倒産状態にあるヤワタ鋼機株式会社に対して融資の援助をして再建計画に乗り出す、こういうことを明らかにしているようであります。この会社負債総額は四十一億円で、二千万円以下の小口の債権者が百七十社ある、資産の評価額では大体四十一億円をこしている、そういうことで、これは倒産するとたいへんだということで丸紅が乗り出して融資をする、資本参加はしない、こういうふうに報じております。しかし代表権を持つ専務等を三人送り込むというふうにいっているわけです。これは一つはやはり商社支配力といいますか、系列化の問題に入ってくると思うので、倒産を防止していく、そういう点ではこれは非常に効果があると思いますけれども、こうした行き方がどんどんとられていくということについてやはり疑問を持たざるを得ないし、不安を抱かざるを得ない。いろいろ資本集中化ということも出ておりますし、やはり非常に問題ではないかというふうに思うわけであります。本来ならば、銀行等がこうした点については何らか措置をしてこれを救済していくという方向が普通のやり方じゃないかというふうに思うのですが、これはどの程度関係があるかということについてはまるきりわかりませんけれども、新たに代表権を持つ専務丸紅から三名送り込むというのでありますから、いままで取引はあったかもしれないけれども、いわゆる会社同士関係というものは取引上の関係だけだったのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。そういう点でこうした問題について通産省ではどういうふうにお考えになっておられるか、お聞きをしたいと思います。
  22. 森口八郎

    森口政府委員 総合商社情報収集機能その他いろいろの能力を持っております。そういうような関係で一方ではいろいろ御批判も受けておりますが、他面経済を動かす原動力として活躍をしてきたということは事実でございますが、御指摘のように、最近商社系列企業あるいは関係企業に対して、過度の支配力を行使したり、あるいは系列化動きを強化するというような動きがあるのではないかという指摘がありまして、私のほうでも批判を受けることがないよう常日ごろから指導しておるところであります。今回のような、経営のおかしくなった会社ないしは倒産企業に対しまして融資をして、それが系列化の一環としまして、融資から株式取得あるいは役員派遣、事実上の経営支配というような方向へ意図的に操作をされるというようなことであれば、もちろんこれはきびしく糾弾をされなければいけないというように思うわけでございます。ただ、中小企業の中には放漫経営のために会社をつぶすというような事例が間々見受けられるところでありますし、中小企業の中でも、わりあい中堅企業に近いような会社には関係企業が非常に数多くあるわけでございます。そういうような会社倒産をいたしますと、やはり社会的に非常に大きな影響を及ぼすというような点から、商社取引先等関係から一時的に融資をして経営参加をするということは、それ自体必ずしも排除すべきものではないというように考えております。  御指摘がありましたヤワタ鋼機の件につきましては、丸紅とかあるいはその他の関係者当該会社も含めまして事情を聴取いたしておるところでございまして、現段階でどうであるかという決定的なことは言えないわけでございますが、内容を取り調べましてもし問題になるような点がありましたならば、私どものほうでは十分指導いたし、問題のないような措置をとりたいというように考えております。
  23. 上坂昇

    上坂委員 いまの点は、そういう形でやってもらうことについて了解をいたします。  具体的に倒産の問題で例を一つ出したいと思うのですが、日本電気株式会社が地方に下請工業を持って数字管の組み立て製作をやっておるわけです。その下請業者が、これはサカエ電子株式会社というのでありますが、これがまたその地元の個人経営に下請を出して、主要なところはほとんど全部そこで組み立てが行なわれる、 こういう状態が出ております。その下請の下請は錦電子というのでありますが、最初のうちは現金で払っていたのでありますが、昨年の十月から納品代を未払いにして、そのあと今度は、十一月、十二月分については四カ月、五カ月にわたる手形を出しておる。そのことのために、働いていた十五名の人が非常に困ってしまった。賃金がもらえないような状態が出てきて、錦電子の責任者が四苦八苦して賃金だけは払った、こういう状況が出てきておるわけです。下請代金支払遅延等防止法の適用が資本が少ないためにないわけですね。第一次の下請業者の資本も非常に少ないために防止法の適用ができないということで非常に困っておるわけです。こういう具体的な倒産の例が出てきておるわけでありますが、こうした問題が出た場合に、NECになるとかなり大きな会社でありますから、そうしたことに対して通産省としては、少なくとも賃金と材料費は支払いをさせるというような方向でこういうものを指導していただけるものかどうか、その点についてお伺いをしたいと思うのです。
  24. 外山弘

    ○外山政府委員 私ども中小企業行政の立場で申し上げますと、いま御指摘のような事態が昨年の秋以来のいろいろな経済環境の変化から見て非常に予想されるというふうなことから、下請企業に対する正当な取り扱いが助長されるようにという配慮のもとに、下請事業団体にも、それから関係の親事業者の団体あるいはそれを所管する通産省はじめ各原局の方々あるいは全体の産業団体、つまり親関係の団体、下請関係の団体両方に対して、下請代金支払遅延等防止法あるいは下請振興基準といったようなものを順守するように、そして、特にこういう際であるからそういう点の配慮を怠らないようにということを実は再三にわたって出しているわけでございます。これは昨年の秋もいたしましたし、ことしに入りましてもしているわけでございます。  いま具体的な事例になりまして日本電気関係のお話がございましたけれども、確かに下請代金支払遅延等防止法の法的な関係規制する前提はどこかで線を引かないといかぬということもございまして、いま御指摘のような事態に対しては、親も小さいし子も小さいわけですが、一千万円以下になりますと親に対しての規制もないわけでございます。その辺は法的な立場はどうかといえば、下請代金支払遅延等防止法は、実は独占禁止法における不公正取引方法の特別法であるというふうな角度で私どもは公取と協力してこれを運用しているわけでございまして、もしも下請代金支払遅延等防止法の規定が働かないところにつきましては、これは不公正取引方法の法益が働いてくるというふうに法的には理解するわけでございます。しかし実際問題として、御指摘のような事態に対してどれだけきめのこまかい指導ができるかという問題は残るかと思います。なお、いませっかくいろいろ御指摘をいただきましたので、関係の原局を通じまして、つまり日本電気という会社を通じての指導が有効であるならばそういうような指導をするように、関係の原局にもお取り次ぎしたい、こう考える次第でございます。
  25. 上坂昇

    上坂委員 いまのお答えで満足します。これは、具体的にあとで係の人を通じて申し上げますので、ぜひ御指導いただきたいというふうに思います。  次に、先般中小企業信用保険法の一部改正法案が出ておるわけでございますが、そのことに関連をして、保証協会の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。  第一番は、保証の申し込みをやってから保証書が発行されるまでかなり時間がかかるので、これを迅速にやるように指導をしてもらいたいというふうに思うわけであります。もう一つは、新規開業についてはなかなかお金が借りられない。借りる方法はあるというふうにいわれておりますけれども、なかなか借りられない。環衛資金のほうではのれん分けの制度がある。商店のほうにもそうしたものは必要ではないかというふうに私は考えるわけでありますが、こうした金融の方法があるのかどうか、それから、あればその実績をお示しいただきたいと思います。
  26. 外山弘

    ○外山政府委員 第一点の、保証申し込みがあってからそれが果たされるまで時間がかかるという御指摘でございます。これはやはり金が緊急に必要であるから資金需要があることが大部分でございますから、なるべく早く、迅速に実行できるように私どもも指導をしてまいりたいと思います。確かに、五十二協会ございますし、若干の協会につきましてそういう御指摘をいただくことがときどきございます。この点は今後も遺憾のないように指導してまいりたいと存じます。  それからもう一つの御指摘でございまする開業資金の問題でございますが、開業資金というのは、どうしても金融当局者の判断が、その新規参入ということが非常に適した分野であるかどうかというふうな、全体的な見地から判断せざるを得ないという問題もございましょう。それから経営実績がないというふうな事業者であることが普通でございますから、したがって、その経営手腕についての不安と申しますかそういう点があると思いますし、それから担保物件も著しく足りないというふうなことも多いと思います。したがいまして、そういう難点だけあげていますと、確かに金融ベースに乗りにくいケースが多いかと思います。しかし、やはり私どもから見ますと、中小企業の隆替興亡というのは非常に多いわけでございまして、常に新規開業に対する配慮というものが金融上必要であるというふうに思います。したがって、政府金融機関につきましても、まだいまのところあえてそういう制度、つまり特ワクを設けるとか特利を設けるとかいうことはいたしておりません。しかし、実際にこういった新規開業資金が、この政府系三機関についてはどのようなケースについてどの程度運用されているかというぶうなことについては常に注意を怠らないつもりでございますが、たまたま昨年の十二月、開業実態等に関する調査というのをいたしております。それによりますと、四十一年以降に開業しました中小企業者の一八・五%のものが開業資金政府金融機関からの借り入れに依存しております。したがいまして、三機関につきましての利用が相山あるのではないだろうかというふうに考えます。また、信用保証協会におきましても、五十二協会の約半数ちょっとこえたところが開業資金の保証を現実には実行しておるわけでございまして、その数も逐年増加しているというふうに聞いております。  もちろん中小企業者の実情に応じたきめのこまかい配慮、つまり中小企業者のいろいろな層のいろいろな考え方金融が適応するように努力するのが私どもの仕事のまた重要な部分でございます。今後もこの開業資金につきましていろいろなくふうをすること、勉強をしてまいりますことをお約束しまして、現状だけ申し上げさしていただきます。
  27. 上坂昇

    上坂委員 次に、工場再配置法が実施になっておるわけでありますが、そうなりますと、工場の再配置とか、それから誘導するような状態が起こってくるだろうというふうに思います。そこで、いままで事業をしていた県からほかの県に移る場合、その場合に保証協会間の連絡調整といいますか、そういうものが問題になっているところもある。こういうことについての調整はどういうふうにやられるのか。  それから、もう一点お答えいただきたいと思いますが、商店街の近代化、共同化が進められておりますし、そういう指導をしておられるわけであります。そうなりますと、車庫であるとか、それから自動車の置き場であるとか、共通施設、そういうものをかなり拡大をしていかなければなりません。したがって、いままでの商店街を改造するわけでありますから、スペースの面で、共通施設の部面にとられる部分が非常に多くなってきますと、住宅の問題が必ず出てくると思うのであります。その住宅の場合も、やはり中小企業者が健全な経営をやっていくのにこれは必要なわけでありまして、どうしてもやはりこれは一体として考えていかなければならない問題ではないか、こういうふうに思います。しかし、現在の状況では、住宅の件に関しては別な形で金融が行なわれるというふうに思うのですが、私は、中小企業対策として早急にこうした方針というものを確立していく必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。そういう点で、経営の一環としてこれを取り上げていくというような考え方についてどういうふうに考えておられるか、御答弁をいただきたいというふうに思います。  それからもう一点は、最近、都市再開発法によるところの駅前の商店街の再編成が出ておるわけであります。その場合の駅前改造なり商店街の改造なりで小企業の住宅移転という問題が起こってきます。これに対する住宅移転あるいは建設の費用、このことも中小企業対策として進めていかないと、実際にはせっかくの都市改造ができなくなる、こういうふうに私は考えるわけです。その場合、もう一つ問題になるのは、そこに事業をやっていないいわゆるサラリーマンであるとかそういう人がおります。そういう人たちも追い出されっぱなしになってしまうような状況が出てまいります。大体駅前等に住んでいる人は、商売をやっていようといまいと、これはおそらく何代もそこに住んでいる人たちであって、だれもそこから離れたくないわけであります。そうした者が都市再開発ということで離れなければならないということになりますと、これはやはり一種の犠牲者になる場合が出てくる。こういうことも十分考えながら対策を立てるべきではないか、こういうふうに考えますが、これらの問題について、もし都市開発等でそうした実例があればお示しをいただきたいというふうに思いますが、それを含めて御答弁をいただきたいと思います。
  28. 外山弘

    ○外山政府委員 まず第一の御指摘でございまして、これは私どもも、御指摘のとおり問題がある、適切な指導をしないと、せっかく適用できる信用保一証の機能が働かないという心配があることは事実でございます。つまり五十二協会に、各県にそれぞれ分かれているというところからくる問題でございます。それで、私どもといたしましては、その工場移転ということはやはり非常に大事なこととして進められているわけでございますから、それが信用保証業務の上でマイナスになるということではいけないので、やはりそのもともといるところの土地を担当する保証協会、行き先の保証協会、この両方がよく連絡し合って、どちらかで分担するとか、あるいは共同してやるとかいろいろなケースがあると思いますけれども、少なくとも両方が逃げ合うというようなことがないように、これはケースごとにそういう指導をするようにしているわけでございます。いろいろなケースごとにそういう点についての問題点を解決してまいりたい。保証協会側もそういうことについては理解を示す態度になっていると思います。したがいまして、ケースごとに指導してまいりたい、こう考えるわけでございます。  それから第二番目の、住宅問題を中小企業経営の一環として、施策の対象として配慮したらどうだろうかという御指摘だろうと思います。やはりこれはなかなか、ことに中小零細企業の場合には生業的な経営が多うございますし、したがって住宅問題を切り離した施策では決して行き届いた施策ではないというふうなことにもなるかと存じますが、しかし同時に、住宅問題につきましてはやはり建設省がそれなりの配慮をそういうケースにつきましても住宅問題というとらえ方でやっているわけでございます。確かに住宅が分離しているのと、それから一緒になっているのと両方ございます。しかし、一緒になっていても、住宅部分について中小企業政策が働くということには現在はなっていないわけでございますが、その点につきましていま用意されている住宅対策が一緒に働くような配慮、少なくともこれがあれば、いまよりは前進になる、こういう感じもいたします。これは、もう少しその辺の具体的な事情というものについての勉強をさしていただきたい。  それから第三番目の都市再開発に伴いまして、やはり住宅問題についての配慮をしないと、ほんとうの意味の商店街の近代化等ができないのではないかというふうな御指摘でございます。これは私ども、先般、国会におはかりして通過さしていただきました小売商業振興法におきまして、都市再開発に基づくような商店街近代化に対しましては、できるだけ有利な条件でそれを促進するようにつとめているわけでございます。ただ、これに関連する住宅問題ということになりますと、やはりどうしてもこの手の優遇した措置をそのまま働かすわけにはまいらないのが現状でございます。いま御指摘のようなことが非常に問題になっていく場合に、建設省の住宅行政との関係でどういうふうに一緒の機能を働かすような、連絡を密にするかっこうでいくか、あるいはどういう政策を新たに考えるか、あるいは住宅政策の中にどういうふうなお願いをこちらからしでいくかというようなことも含めまして、今後、御指摘の機会に私どもとしても施策上の前進をするようにつとめてまいりたい、こう考えるわけでございます。いま私自身実例について承知しておりませんので、これはまたもしもわかりましたときに御連絡させていただきたい、こう考えます。
  29. 上坂昇

    上坂委員 いま申し上げた点については、これはそうした商店街の改造であるとか、近代化をはかっていく上で仏つくって魂入れずのようなかっこうになってしまっては何にもならないので、何といったって生活の本拠がなければ商売はできないわけでありますから、そういう点でこれは建設省にまたがり、通産省にまたがるというようなやり方をしますとそれだけおくれるし、手続は非常にめんどうだし、零細企業がそういうところまで直ちに対応するというような状況にもなかなかない、そういう点を十分考えられて、今後こうしたことがスムーズにできるような方向にこれは進めていただくことを要請したいと思います。  それから次は、いま通産省が進めております知識集約型の事業への移行ということがあるわけでありますが、これに関連いたしまして、そうなりますと小企業でもやはり技術研究開発というようなものに進んでいかないと、これはどうしても時代におくれてしまうと思うのです。そうなりますと、さしずめそうした研究開発費というようなものが、これはやはり具体的に通産省の予算等でも十分はかられていくような対策がとられなければならないんじゃないかというふうに思います。私はそうした時期に来ているというふうに思います。なお、これについては技術改善費補助金というようなものが出ているようでありますけれども、これとの関連でひとつこの辺に対するところの政策をお示しいただきたいというふうに思うのです。
  30. 外山弘

    ○外山政府委員 御指摘のように、中小企業のまた小さな零細企業の面でも知識集約化という方向に行くことが今後の経済に対応する行き方であるということは、私どももしばしばいろいろな機会にそういうことの助長をやっているわけでございますが、これに対しましてその知識集約化を推進するということは、結局個々の企業の何と申しますか、技術開発力あるいは商品開発力ということを強化することが一番大事でございまして、そういった活動を支援するということが重要であり、その支援をするために中小企業者がどういうふうに団結すると申しますか、個々の企業ではやれないことを団結してやるということも大事だし、あるいは産地全体の事業として一つ方向を見つける、知識集約化の方向に新しい行き方を見つけるというふうなことも大事であり、こういったような大事なことをわれわれとしてはできるだけ助長いたしましょうという意味でのいろいろな助成策を用意し、強力な指導を行なおうということにしているわけでございます。  助成策の幾つかを申し上げますと、一つは、業界あるいは産地ぐるみの知識集約化事業に対する中小企業振興事業団の資金融資がございます。従来、中小企業振興事業団というのはかなりハードウエアに関する助成が多かったわけでございますが、昨年から、そういったことに加えてソフトウエアの面、つまりたとえば製品研究センターをつくるというふうなことに対しても助成をしていこう、あるいはそういったことの運転資金についても配慮しようというふうなことを一つ事業団の仕事として考えております。  それから第二は、企業または企業グループが行なうことでございまして、その場合に御指摘の技術改善費補助金、これはいろいろなアイデアに対するいろいろな助成でございまして、補助金としてその人たちにいろいろな検討をしてもらうわけでございますが、さらにもう一つは、ある程度技術のできたところでこれを企業化する、そのための融資、これは中小公庫の融資がございます。この二つをこういった企業または企業グループの知識集約化事業に対する助成としてやっておるわけでございます。技術改善費補助金につきましても、あるいはこの新技術の企業化にいたしましても、かなり零細な方々がこれを利用しておられるということを私どもは心強く思っておるわけでございます。  それから第三番目には、現在これから御審議をいただくかと思いますが、特定繊維工業構造改善臨時措置法、これに基づきましても、知識集約化事業について中小企業振興事業団資金による特別融資を行なおうということの検討をいま進めておるところでございます。私どもは、こういったことの背景にさらに知識集約化の推進をする指導のためとしましても、一つは、都道府県における指導診断事業あるいは技術指導事業、こういったものをそういった方向に強化する、あるいは振興事業団に中小企業情報センターというものを設けて広く知識を提供するということ、それからさらには都道府県や事業団に技術者研修事業をやらしておりますが、それを充実する、こういったことで、指導の面での強化策も進めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  31. 上坂昇

    上坂委員 時間があまりありませんけれども、もう一つ養鶏業が最近非常に盛んなわけでありますが、この養鶏業になりますと中小企業のペースに乗らないわけです。金融の道が農林中金の豚鶏資金しかないんですね。それで養鶏の場合には農業で、それが商店のほうに行って卵になるとこれは通産ベースになる、ここに非常に問題がある。ところが、最近は農業の副業としてやっている人はいないので、養鶏はもう完全に独立したいわゆる生産と同じだと私は思うのです、工場生産のような状況になってきている。鶏はいまやもう機械と同じであります。そういう点で、こうした養鶏等の資金というものを通産ベースに乗せる、商業ベースに乗せるというふうな点についてどういうふうに考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  32. 外山弘

    ○外山政府委員 養鶏業はいまの農業のほうの信用保証というふうな制度が別にございますので、たしかそちらのほうでやっているかと思います。  それから信用保証協会の対象業種、つまり信用保険公庫の対象保険業種に入れたらどうかというふうな話を私も数年前に聞いたこともございます。ただ、その後の状況から見ますと、農林省のほうの御指導でそういった保証措置あるいは金融措置が進められているだろうと思います。しかし、いま御指摘のように、養鶏業の面から見ても、もう少し中小企業の全体の施策が行き届いたほうがいいのではないかという御配慮だろうと思いますが、その点私もさっそく農林省のほうとも御相談いたしまして、もしもそういう私どものやることについての適用余地が養鶏業にとってプラスになるということの判断があれば、農林省ともよく御相談いたしまして前向きに考えてまいりたい、こう考えます。
  33. 上坂昇

    上坂委員 この問題は、たとえば鶏ふん等の公害防止の施設は機械が必要であり、あるいはまた選卵機といったそうした機械が必要なわけです。ところが、そういうものも買えないわけなんですね。ですから全く困ってしまうわけです。そういうものを農林中金だけでやるということは、一本しかありませんから非常にむずかしい。ところが、中小企業対策としては各県にはかなり多くの金融措置があるわけであります。そういうものに乗せてやると、いまの倒産とかなんとかいうものを未然に防ぐことができるし、これは早急に対策を立てるべきである、こういうふうにいま私は考えるわけです。その点で、これについてはひとつ十分これからの対策を進めていただきたい、そういうふうに考えます。  それから保証協会の問題ですが、七十一国会で、この法律の一部改正の場合に保証料率の引き下げがありました。決議が行なわれたわけであります。この実施の状況についてお答えをいただきたいというふうに思います。  それから保証限度額というのは一体どのぐらいの料率にしたらいいのか、どの程度の目標にしたいというふうに考えておられるのか、この辺をお伺いしたいというふうに思います。  それから保証協会で保証貸付の保証をする場合、私は金利は引き下げるべきだと思うのですね。金融機関は貸してもリスクがないわけですね。貸しても、ちゃんと保証協会で保証してくれるし、それに対する保険もあるというような状況でありますから、金融機関のほうはあまり腹は痛まないわけです。ほとんど痛まないと言ってもいいだろうと思います。ところが、零細企業のほうは金利にプラス保証料というかっこうになってくる。しかも、これは御承知のように歩積み両建てなどというものが必ず裏のほうではついてくるし、あるいはまた金利の面でも、小口金融の場合には金利も高い、大企業に比して非常に不利になっている、こういう問題もあるわけです。したがって私は、本来ならば金融機関が保証料を負担をしたほうがいいのではないか、こういうふうにいま考えているわけです。そのぐらいにやらないと中小企業対策にはならない、零細企業対策にはならない、こういうふうに考えておるわけであります。そういうことがいま直ちにできないということになれば、保証協会で保証したものについては金利を引き下げて手当てをする、こういう方向が望ましい、その点についてお伺いをいたしたいというふうに思います。  それからもう一点は、今度二百万に、無担保毎保証の金融が百万円上がるわけでありますが、しかしこれは設備資金であります。そこで問題なのは、いまこうした経済変動の状態においては、特に総需要抑制とかなんかで、設備に対しては少しとどめおいたほうがいいだろう、少し押えたほうがいいだろうというような状況のところでは、一番困るのは何といっても運転資金だと思うのです。その運転資金を五十万円にとどめておいたのでは、これは逆じゃないかという感じがするわけであります。その点で、少なくともこの五十万円を百万円にすべきである、こういうふうに考えますが、その辺についてお答えをいただきたいというふうに思います。
  34. 田中六助

    田中(六)委員長代理 答弁を簡単に願います。
  35. 外山弘

    ○外山政府委員 まず第一の保証料の引き下げの問題についてどのようなことになっておるかということでございますが、これは現実の問題として私どもも非常に引き下げの努力をしているわけでございまして、昨年でも一・三六%が一・二八%ぐらいまで下がるような結果にはなっております。  第二番目にどのくらいの目標にするのかとおっしゃるわけでございますが、これは私どもも実は一%以上というのはなるべく早く一%ぐらいまでに持っていきたい、こう考えておるわけでございます。それをできるだけすみやかに実現するように今後もいろいろな努力をしてまいりたい、こう考えております。  それから第三点の保証料のあるものに金利が同じようにつくのはおかしいじゃないかということでございます。これは確かに金融機関のほうもリスクが少ないし、中小企業者は二重に払うという意味でございますから、金利は下がるほうがいいにきまっているわけでございまして、私ども大蔵省とは共同通達で各金融機関にそういうことの指導はしております。若干下がっているかとも思います。若干は保証がついているものについては金利は下がっていると聞いておりますが、まだまだ不十分であると思います。  それからもう一つの無担保無保証を二百万にしたけれども、運転資金五十万のほうもいじったらどうかという御指摘でございますが、これは私どもとしましては、制度発足間もないことでございますし、できるだけ多くの人に五十万円の運転資金が行き渡るように、そしてこれが制度的に安定したところで、さらに現実に合った引き上げを逐次考えてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  36. 上坂昇

    上坂委員 まだ法案そのものについても質問したいことがたくさんあるわけです。しかし、時間が来ているようでありますし、本会議もあるようでありますから、これはあとに回したい、保留したいというふうに思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  37. 田中六助

    田中(六)委員長代理 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ————◇—————    午後一時三十四分開議
  38. 田中六助

    田中(六)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野間友一君。
  39. 野間友一

    ○野間委員 私は、最初に紙パルプの問題について質問をいたします。  ことしの三月九日付の新聞報道によりますと、アメリカの生計費委員会が紙パルプの価格規制を撤廃する、こういう報道がなされておりますけれども、このことについて通産省に、事実あるのかないのか、最初にお答えをお願いいたします。
  40. 村岡茂生

    ○村岡説明員 お答え申し上げます。  アメリカ大使館からの報告によりますと、十日、御案内の生計費委員会委員長は記者発表いたしまして、現在アメリカの価格統制フェーズフォーの段階にございます紙及びパルプの価格統制を撤廃するということだそうでございます。撤廃をした結果、ダンロップ委員長の談によりますと、紙製品で約一〇%の価格上昇、パルプにおきまして約三五%の価格上昇がこの八月までの間に起こるのではないかという感触を述べておられます。それと同時に、同委員会は撤廃後の価格につきまして、売り上げ高一億五千万ドル以上の企業に対しまして、フェーズフォーの規制解除と引きかえにその後の価格の自発的なコミットメントを求めるということを行なっておるようでございます。なお、それに付帯いたしまして、輸出量についても四十八年の輸出量を上回らないような自粛を求めるということだそうでございます。
  41. 野間友一

    ○野間委員 紙というものは文化のバロメーター、こういうふうにいわれておりますけれども、昨年の公害問題あるいは原材料の入手難というようなこともからみましてたいへん深刻な状態が続いたわけでありますけれども、この価格規制の撤廃によってさらに、いまの話にもありましたけれども、この報道の中にもあります国内価格の引き上げ、それから輸出の規制、こういうことが今後アメリカにおいてなされていくということになりますと、アメリカからの輸入に依存しておる日本の場合、たいへん深刻な打撃、影響を受ける、このように考えるわけであります。  そこで順次お聞きしていくわけでありますけれども、最初に国内におけるパルプ用材の需給動向についてお伺いするわけですけれども、昨年あるいは一昨年の国内あるいは外材の供給量並びに四十九年度の供給見込み、これは一体どういうようになっているのか、ひとつ御説明を願います。
  42. 村岡茂生

    ○村岡説明員 紙の需要増加に伴いましてパルプ用材の消費も急激にふえてまいっております。四十五年が約二千七百万立米でございましたが、四十六年に三千万、四十七年にまたほぼ三千万でございますが、四十八年三千二百万、四十九年三千四百万、概略でございますが消費が増加しております。このうち国産材は四十六年の約二千四百万立米をピークにいたしまして漸減傾向にございます。これは御案内の、そもそも国内森林の蓄積量の問題、さらには環境保全等の意味合いをこめまして伐採量が逐次減少していることに伴うものでございます。したがいまして、需要が増加している反面、国内の供給が減ってまいりましたために、近年外材に対する依存が急激に上昇しております。四十六年六百万立米、四十七年七百五十万、四十八年一千百万と非常に増加しておりまして、外材依存率は、四十六年に五分の一でございましたが、四十七年に四分の一、四十八年にほぼ三分の一と逐次上昇しております。なお、四十九年の見通しにつきましては、紙の需要に関する見通しがかなり流動的でございますが、この段階で思い切って見通しを立ててみますと、まず国内材でございますが、四十八年二千百三十二万という端数がございますが、これに対しまして四十九年はほぼ横ばい、二千百万立米前後と見込まれております。これに対しまして外材のほうには一千三百万立米と約二百万立米の増加の依存を、すなおに言えばせざるを得ないかと存じますが、御案内のように古紙の回収とのバランスもございますので確定的ではございません。合計いたしまして三千四百万立米程度必要であろうかと思う次第でございます。
  43. 野間友一

    ○野間委員 確かに統計によりますと外材に対する依存度が三一二・三%、これは四十八年の見込みのようでありますが、そのうちで北米材の占める割合はかなりの比重を占めていると思うのですね。これも年々ずっと輸入度がふえている。七百万立米ですか、北米材の場合。ところで、先ほど申し上げたように、その一方では国産材は頭打ちで年々減っていく、いまのお話でもありましたけれども、四十九年度は横ばい状態という見通しですね。にもかかわらず、先ほどの価格規制の撤廃で、しかも輸出が規制されていく、こうなりますと、北米材が従前のような伸び率でさらに伸びるかどうかということになりますと、これはいまの委員会の報告からしても最大限七三年度のワクを出ない、こういうことが言われておるわけであります。そうしますと、先ほど四十九年度の供給の見通し等についてのお話がありましたけれども、四十八年よりもさらに伸びることが予想される。そうしますと、これについての手当てをどうするかということが非常に深刻な問題になってくる。ほんとうにこれの手当てをしなければ、紙パルプの事情が昨年のあの状態、まああれは一時的な状態でありますけれども、さらにこれは長期継続的にこういう状況が続いていくということになりますとたいへんな事態になると思うのですね。これについていまの見込み、予想については数字をあげていま答弁がありましたけれども、これらについてどのようにこの北米材の規制をカバーする方向で検討されておるのか、その点についてお答え願います。
  44. 村岡茂生

    ○村岡説明員 このたびの生計費委員会価格統制解除の問題は、実は紙とパルプの統制解除でございます。そのほかに、アメリカにおきましては、御案内の原木の輸出禁止措置につきまして太平洋岸について実行をしたようでございます。   〔田中(六)委員長代理退席、稲村(佐)委員長代理着席〕 私ども日本が入れておりますアメリカのチップ、  これは主としてアメリカの西海岸で製材所の廃材をチップとして利用しているケースがほとんどでございまして、この原木の輸出禁止措置は具体的には直接的に影響はないかと存じます。  なお、アメリカの生計費委員会の統制解除に伴いまして、そのチップにどの程度影響があるか。これはアメリカで価格の統制が解除されたわけですから、紙の価格が上がり、それに伴ってチップも上昇し、あるいは量的にアメリカ国内で余分に消費されるのではないか、こういう間接的な影響があろうかと存じますが、実はただいま私ども調査中でございますが、現段階においてはアメリカの紙が価格上昇によってそう消費がふえることにはならないだろうということから、チップ材そのものに対する悪影響はそれほど大きくないのではないか、こう考えております。ただ、パルプにつきましてはいろいろ影響が出てくるのではないか、こう考えております。
  45. 野間友一

    ○野間委員 パルプについて若干お聞きをしますけれども、そのパルプの輸入の量及び輸入の価格、これはどうなっておるのか。国別の輸入量、これは四十八年の一月以降の価格の推移ですね、これらについてもひとつ答弁をお願いいたします。
  46. 村岡茂生

    ○村岡説明員 パルプの輸入価格でございますが、非常に急激な上昇を見せておりまして、ちょっと手元に資料がないのでございますが、年初百五、六十ドルであったものが十月には二百六十五ドルでございましたかに上昇いたしまして、それが本年一月に入りましてさらに三百ドルに上昇しております。  なお、先ほどの統制解除に伴いましてさらに約一割程度は日本に影響があるのではないか、こう考えております。  先ほどアメリカ国内では約三五%値上がりする、こう申し上げました。そのアメリカの国内価格が二百六十五ドルということになりそうでございます。それからいろいろフレートその他を逆算いたしますと、大体日本のCIFベースにいたしましてほぼ三百三、四十ドルくらいになるのではないか。現在が三百ドルでございますので、ほぼ一二、三%高になるものと存じております。  なお、パルプの輸入量は全体で約百万トンでございますが、そのうちアメリカには二十万トン依存しております。残りはカナダ等でございます。
  47. 野間友一

    ○野間委員 大体資料をいただいておりますので、そのように出ておると思うのです。  そこで、パルプを一トン製造するのに必要な木材は大体四立米というふうに聞いておりますけれども、間違いありませんか。
  48. 村岡茂生

    ○村岡説明員 これは樹種によってかなり開きがございます。現在日本が使用しております輸入材の大宗はダグラスファーと言います比較的重さが重い樹種でございまして、これでまいりますと、平均いたしますと三・二、三立米になります。なお、四立米程度を消費するものも多いかと存じます。
  49. 野間友一

    ○野間委員 パルプの輸入実績は、いま話がありましたアメリカに対しては四十八年で約二十万トン、そういう数字が出ておるわけですが、パルプ一トン製造するのに四立米要る、こういう前提で計算しますと、輸入しておるパルプを木材に換算いたしますと約四百万立米になるわけですね。これを昨年度輸入しておる。これを外材で計算してみますと、外材輸入量の約二五%に当たる。こういう数字が出てくるわけです。この二五%というのは非常に大きいと思うのですね。木材に換算すると約二五%を占めておるということになりますとね。しかも、このパルプが、先ほどの話にもありましたし、また新聞報道などによりますと、なぜこの規制を撤廃したかといいますと、国内価格は凍結されておる、したがって、妙味のある外にそれが出ていく、こういう結果になっておるわけですね。そういう点から、国内の需給が逼迫しておる、そういう点で規制を撤廃したのがこの撤廃の趣旨なんですね。そうすると、価格はどんどん上がっていく、しかも国内価格が上がりますと、これは必然的に国内に回して、その点価格の点からも、アメリカからいいますと、輸出が規制される。さらにその上に、七三年度の輸出の実績を上回らない、しかもこれが大手メーカーに対して念書という形でとって行政指導的な性格を強めた、こういう報道もあるわけですね。そうしますと、先ほどの話に出ておりますけれども、このような、アメリカの国内にどんどん落ちていって、しかも価格が高騰する。さらにその上に新聞報道によりますと、カナダからのアメリカ向けの紙パルプが非常に大きな値上げが通告されておる。それがさらにアメリカ国内のこの紙パルプの価格にはね返りまして、これは早晩この行政指導価格をさらに値上げしなきゃならぬ。こういう状況におとしいれられるということがこれまた報道されているわけですね。そういうことが、あれもこれもと二乗、三乗の作用をしまして、そのことがさらに深刻に日本の国内にはね返ってくるということは当然だと思うのです。その点で総合的、抜本的にこの点に対する検討をしなければたいへんな事態が生ずるんじゃないか、こういうふうに思うわけです。これについて、きょうは大臣はお見えでありませんけれども、次官、どのように考えられ、どのように対策を立てようとしておるのか、ひとつ構想をお聞かせ願いたいと思うのです。
  50. 森下元晴

    森下政府委員 紙の使用は文化のバロメーターである、そのとおりだと思います。石油製品に次ぎまして、畜産に関係あるえさの問題は非常に深刻でございますけれども、それと同じように海外からチップを求めたり、また直接パルプとして輸入したり、それが量がどんどんふえていくに従いまして、価格も向こうの一方的な上昇にゆだねなければいけない、これはゆゆしき事態でございます。いろいろ商社等では、日本とブラジルの間で両方の合弁会社でユーカリ等を植えまして将来の資源対策を考えておるようでございますけれども、私は、もう少し国内のパルプ資源の見直しをする必要があるんじゃないかと思うのです。  いまいろいろ紙業課長からパルプ材の価格の報告がございましたけれども、国内のチップ業者から非常にわれわれのところにも陳情がございまして、昭和四十二年以来、昨年の十月ごろでございますけれども、ほとんどチップ材が上がっておらない。むしろチップにするよりも川に流すほうが得だというような陳情も実は承っております。十二月ごろになりまして、立米でいままで七千円ぐらいであったものが、やっと九千円ぐらいになったというようなことで、この輸入価格と国内のチップの価格の差がかなりあることは事実でございます。そういう意味で、外国から安く買えるうちは国内の資源はできるだけ温存するほうがいいんだ、これも一つの理屈でございますけれども、あまり温存しているうちに、結局チップ材につながります広葉樹等、また針葉樹等の植林の意欲もなくなるし、またときには杉の木を植林するためにせっかくのパルプ資源を伐採して腐らせてしまうという例も非常に多いのです。  先般も私は九州に出張しましたけれども、九州の南部とか奄美大島、また沖繩等にはかなりパルプ資源の濶葉樹がありますけれども、残念ながら、パルプ会社があまり高く買ってくれないというようなことで、せっかくのパルプ資源がありながら、その保護も行なわれておらないし、また林業的な集約的な手段も講じられておらない。そういうことを見まして、私は、外国の資源にたよることも大事でございますけれども、もう少し国内のチップ資源、パルプ資源を見直して、どうも全国的にこの価格が、これはおそらくそういうカルテル行為が行なわれておらぬと思いますけれども、いわゆる買い上げの段階におきまして全国大体よく似た価格で買い上げられておるような傾向も実は見られます。そうして紙の値上がりは、どうもチップの値段が高いんだとか国内の木材が非常に高騰した——実際はあまり高騰しておりません。そういう実態をよく踏まえて、国内のパルプ資源の確保、特にこのチップ材の確保のために、もう少し林業政策を通じて、この文化のバロメーターを左右する紙の原料であるパルプ材の確保というものを見直すと同時に保護もしなければいけない、こういうように実は非常に私自身も危機感を持って見ております。だから将来は、海外での開発も開発輸入の形で考えなければいけないと思いますけれども、それと同じように、国内林業の発展を通じましてパルプ資源の確保のためにやっていかなければなりません。  なお、戦後二十八年ごろから非常に植林が進みました。その杉、ヒノキ等の間伐期がいまちょうど来ておるように聞いております。非常に密植をいたしまして、いま間引きしなければいけない。従来は杉、ヒノキのパルプ材としての使用はほとんどしておりませんし、そういうような設備の工場も非常に少ないのですが、これの開発をやれば、かなり杉、ヒノキの針葉樹としてのパルプ資源が確保できるし、これもかなり良質でございます。そういう研究、検討も同時にやっていけば、外国からのパルプ資源の輸入をかなり防げるような見込みも私は立てておりまして、これは林野庁等とよく相談して、通産行政を通じて進めていきたい、このように思っております。
  51. 野間友一

    ○野間委員 やはりこの問題については、長期的な問題と、短期、緊急の場合にどうするかという、二つの問題についての具体的な施策をいま早急に立てなければならぬ時期に来ておる、こう思うわけですね。なるほど長期的な一つの展望として、これもある新聞の話ですけれども、安宅とかあるいは伊藤忠、丸紅、こういうところが引き取り保証金に見合う資金を提供して、アメリカの総合木材メーカーのジョージア・パシフィックから年間二十万トンを輸入する、これは十カ年にわたる契約のようでありますけれども、こういうような具体的な計画もあるやに報道されておるわけですね。この年間二十万トンといいますと、これはちょうど四十八年度にアメリカから輸入しておる数量に見合うわけです。しかしこれは、日本への初回の入荷は五十一年の暮れから五十二年の初めになる、こういうこともいわれておるわけですね。ところがこれは、いまの国内資源の確保の問題がありましたけれども、いまの状態で国内資源を見てみますと、もう二十数年間たてば紙パルプの資材は枯渇する、こういうふうにいわれているわけですね。もちろんその国内資源をどうするかということについて抜本的にこれの対策を立てなきゃならぬ。これはいままでおざなりにされておりました。と同時に、外にどうやって手当てをしてこれを持ってくるか、これはどうしても不可欠になってくるわけですね。長期的な見通しの上では、いま指摘をしました商社がこのような資金融資の見返りとして年間二十万トンあたりを入れてくる、こういう話もありますけれども、たちまちアメリカの価格統制の撤廃ですね、これから七四年当初から直ちに影響を受けるわけですね。しかも、パルプの輸入は木材に換算して約二五%占めておる。たいへんな深刻な状態だと思うのです。七三年よりも、これはアメリカから見ますと輸出の量はふやさない、こういうことですから。しかも、その紙の需要は年々ふえていく。一体七四年から緊急にこれをどうやってカバーしていくか、この長期と短期の見通しを抜本的に立てなければならぬと思うのです。きょうはこの長期の見通しの上に立っての議論は控えますけれども、さしあたりこれをどうするか。これは九日の新聞発表されているわけですね。  先ほど紙業課長が、大使館からそういう情報を受けたという答弁がありましたけれども、これはもう七四年からもろに直ちに響いてくるわけですから、早急に対策を立てなければおそいと思うのですね。石油で後手後手に回ったが、これはメジャーとかあるいは業界のこういう情報だけを当てにして、そうして不必要な誇大宣伝をすることによってあのようなパニックを起こした。こういう実態を考えた場合に、通産省はもっと先手先手をとりまして、こういう記事があれば、もう当然早急にこれに対する対策を立てなければならぬ、これは当然だと思うのです。ところが、先ほど課長の話もありましたけれども、いまなお検討中である、これでは私はおそいと思うのです。新聞にこれだけ報道される以前にこういう動きが現地にあるわけですね。なぜもっとこのような情報活動、これに対する手当てが事前にできないものか。後手後手に回る通産行政というふうにいわれておりますけれども、この点について私はやはり政府の責任は免れないと思うのです。私の言い分が間違っておるのかどうか。次官、このように発表されてからいまなお検討中であると言われるが、もう三月ですよ。七四年度から直ちに影響を受ける。ひとつこの点についての所見をお伺いしたいと思います。
  52. 森下元晴

    森下政府委員 海外からのパルプの輸入につきましては、実はアラスカパルプが長い歴史を持ってやっておりますけれども、ほとんど原木代はただ同様安く手に入れたようにわれわれは聞いております。しかし、いろいろコストの点で、いま入っておるパルプは予想以上に高い、合弁でやりましてもそういうことで非常にパルプ代が高くなっておるというようなことを聞いておりまして、いま御指摘のように海外からのパルプ輸入というものは将来とも上がる傾向にある。それと、最近、原木を含めてアメリカからのパルプ、またチップも、アメリカとしても非常に国内資源保護という立場でやっております関係で、やはりその輸入を期待しておるわが国としては非常に深刻な打撃を受けるわけでございますけれども、この実態も、原木等はワイアット法という法案が出されまして経度百度以西の国有林からは一切日本に売らないとか、また、民間で民有林を出した場合に代替の国有林の材を売らないとか、いろいろの規制措置をやっておりまして、ことによるとアメリカから日本に入る原木の半分以上は制限されるかもわからぬ、一時は木材業者も、また、実需者でございます製材関係も非常に動揺をしたわけでございますけれども、最近の情報では一応いままでどおりの量は確保されるであろう、こういうような情報を実は入れております。しかし、傾向としてはやはり木材資源も上がりつつございますし、また、運賃等も油の関係で上がりつつあるというようなことで、御指摘のように、非常にまだ心配をしております。また同時に、紙の使用等につきましても、もう少し節約、むだがないだろうかということの面でも指導していかなければ、なかなかいまの需要に追いつくだけの供給が、もちろん国内国外を問わず資源の確保はむずかしいというのが偽らざるわれわれの気持ちでございまして、やはり両面やらないと、このままのような紙の使用、また使い捨て、いろいろ新聞等の広告の問題ですね、こういうことを考えました場合に、やはりむだを省くということも一つの消極的な資源の確保になる。それと、いろいろ古紙の回収等にもかなり力を入れておりますけれども、古紙もかなり上がってきたようでございますし、こういうものも含めて量の確保と同時に価格があまり上がらないように、そういう短期計画の上にやはり長期計画を求めて、紙資源いわゆるパルプ資源の確保につとめていきたい、このように思っております。
  53. 野間友一

    ○野間委員 パルプの輸入価格の推移を見ましても、昭和四十四年度がトン当たり百四十三ドル、これが先ほどの話にありました四十八年度の十月には二百六十五ドル、ことしになりますともう三百ドルあるいは三百三十ドル、これはCIR価格ですが、こういうふうにもう急激に上がっておるわけですね。しかもこれが、先ほど申し上げたように、アメリカの国内でどんどん使われていく。しかも、この規制が撤廃されますと価格がずっと上げられるわけですね、上限価格はもう撤廃されましたから。しかも、カナダからの値段のつり上げがアメリカの国内においてもはね返ってさらにまたこれが上がっていく。ですから、日本の立場を考えた場合に、一つは量の面で規制され、一つ価格の面でまた急騰する。そうすると、さらに日本の製紙業界がこれに便乗して値上げをするというような悪循環が出てくる、このように私は思うわけです。これは石油の例で私たちはもう痛いほど経験したわけですね。しかも、製紙業界を見てみますと、たとえば四十八年度の上期の売り上げ高が、これはパルプ・紙業界、十億円以上の大企業ですけれども、売り上げの伸び率が一六%、ところが純利益が八〇・六%。売り上げが一八%しか伸びていないのに利益が八〇・六%も伸びておる、こういう企業であるわけですね。しかもこれらは、これは公取に聞けばわかるわけですけれども、その後四回にわたるやみカルテルで不当な利益を積み増ししておる、こういうのは周知の事実であります。このように無反省なやみカルテルを繰り返す業界、それによって、売り上げの伸びに比べてはるかに高い利益を積み増しするような業界ですから、パルプの値上げによって紙製品をさらに拍車をかけて便乗値上げするということについての、これはしないという保証はどこにもないと思うのです。ですから、量の面から、価格の面から、これはほんとうに国民生活を著しく破壊するようなことが到来しないとも限らぬと私は思うのです。そういう意味において、石油で痛いほど経験しましたあの便乗値上げ、これをどうしても製紙業界においても厳重に規制していかなければならぬ、私はそのように考えるわけです。これらに対してどのような手だてを考えておるのか。あるいは考えておるのか、おらぬのか。おるとすればどういうふうに考えておるのか。これをひとつ次官のほうからお聞かせ願いたいと思います。
  54. 森下元晴

    森下政府委員 パルプの価格につきまして非常に上がってきておるから、国内の紙の価格も上げるのだ——私は、特にこの国内のチップ材なんかの上がりように比べて紙価格がそれに多少便乗しておるような傾向もなきにしもあらず、これは個人的な感じでございますけれども、それはあるような気もいたします。チップ協会なんかの資料を見ましても、案外上がっておらないにもかかわらず、チップが何倍にもなったから紙を上げるのだというような事実もあるのではないかと私は感じております。この点、製紙業界に対してもやはりコスト的にもう少し調べて、いわゆる正当な原料コストによる紙の価格というものを指導していくべきである、このように実は思っております。国外から高騰したパルプを入れて、国内の安いものとプールしてやるのだというようなことでは、実は国内の林業も困るわけなんです。それに輪をかけて、原料が上がったから紙も上げるんだというところにもう少し一もう少しというよりも積極的に紙業界に対しましてもメスを入れる必要があるというふうに私は実は感じております。  先ほど申しましたように、それと同時に節約の方面でも、広告が半分以上あるような新聞等に対しても、これはかなり注目する必要もあるのじゃないか、そういうように、実は非常に貴重な紙資源、パルプ資源は大事な問題でございます。石油と同じように、また食糧、えさ等と同じように、いわゆる消費の面においてもやはり指導すべきである、このように思っております。
  55. 野間友一

    ○野間委員 それでは、紙については最後のお尋ねですが、長期、短期にわたって将来の方針、具体的な手だて等についてひとつ資料をおつくりいただいて、当委員会にお出し願いたい、このことをひとつ約束していただきたいと思うのですけれども……。
  56. 森下元晴

    森下政府委員 お約束いたします。
  57. 野間友一

    ○野間委員 それでは、それが出てきた段階でさらにこれについての質問を続けることにして、次に石油の問題について若干お尋ねをいたします。公取はお見えですね。それから石油部長。  予算委員会のあの集中審議の一番最後の再喚問——参考人として調べたときに、わが党の増本議員が、富士興産の石井販売部長から七月二十七日  付で各支店、営業所に出しておる文書をお示しして、これの持つ問題点についていろいろと聞きただした、このことについてはもう御承知だろうと思うのです。これは公取もエネルギー庁も御承知のとおりだと思うのです。これに関連して私は若干のお聞きをするわけですが、この文書の中では、かもめ会という一つの組織がやみカルテルの一これは特に海上重油、A重油だと思いますけれども、これの値上げについての首謀者であるわけですね。この点については公取はもうすでにお調べになっておると思うのですが、そのかもめ会、この文書にも「元売会社の海上部会」、こう書いてある。かもめ会とは一体どういう組織であるのか、その組織構成、役員構成ですね、それらを含めて最初にまず、これは通産省でも公取でも、どちらでもけっこうですからお答え願いたいと思います。
  58. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  かもめ会の内容につきましては、先般御指摘がありましたとき初めて承知をいたしまして、内容等につきまして十分な内容をまだ確認をいたしておりません。業者の任意なグループとして理解をいたしておるわけでございます。
  59. 妹尾明

    ○妹尾説明員 かもめ会の問題でございますが、かもめ会の存在は確かに承知いたしておりますが、どういうメンバーがこれに入っておったかということはちょっとただいま正確なところを私覚えておりませんが、先生御指摘のとおり、A重油の販売に関する元売り業者の組織である、こういうことは御指摘のとおりでございます。
  60. 野間友一

    ○野間委員 わが党の増本議員があれだけ国会の中で明らかにしたにもかかわらず、まだなおかつこれの調査がなされていないということは、私はやはり怠慢だと思うのです。  さらに質問を続けますが、富士興産がかもめ会の中でどういう役割りというか、位置づけにあるのか、このことをひとつお答え願いたいと思います。
  61. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 私が承知しておりますところでは、たしか富士興産はかもめ会の正式のメンバーではないように承知をいたしておりますが、先般、増本先生の御指摘がありましたようなケースで明らかでございますように、ときどきは参加をしている、そういった状況のものではないか、正式のメンバーではないようでございます。
  62. 野間友一

    ○野間委員 この文書の中身について通産省はいまに至るも調査をしていない理由はどこにあるのか、お答え願いたいと思います。
  63. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 本件につきましては、カルテルの存在の有無というのがポイントになっているようでございますので、本件につきましては公正取引委員会のほうですでに取り調べが進んでいるかと思いますし、そちらのほうでの御調査によって実態が明らかにされるべきものかと実は考えておりまして、私どもとしまして、内容の評価等につきましては、あまり立ち入ったことは差し控えたほうがいいのではないか、こういう感じがいたしております。
  64. 野間友一

    ○野間委員 それでは公取にお聞きしますけれども、この富士興産が例のやみカルテルで摘発されたわけですけれども、この中で、協定破棄ですね、勧告の対象となっておったのか、あるいは告発されたのか、これは全然ないと思うのですが、さらに確認をとります。
  65. 妹尾明

    ○妹尾説明員 先日の予算委員会におきまして増本先生が問題とされましたのは、たしかに四十八年の八月からの値上げに関する文書であったかと思いますが、実はかもめ会につきましては、その存在は私どもも承知いたしておりまして、先般、勧告を行ないまして、それから続いて告発も行たいました石油元売り業者の事件に関連いたしまして一応の調査をいたしたわけでございますが、このかもめ会の行為は、私どもとしましては独立した事件とは見なかったわけでございまして、これは一応A重油の価格協定、八月の事件も実は事実の中に記載しまして、さらに最終的に破棄勧告の対象にいたしました十一月中旬ないし十二月一日からの販売価格の引き上げの決定の内容にもA重油の価格協定の問題が入っておりまして、私どもはこの基本となる協定の破棄をもちましてA重油の問題は実質的に排除された、かもめ会の問題はこの協定の実施段階の問題である、本件につきましては、すでに一応私どもとしましては実質的な措置は終わった、こういうふうに考えているわけでございます。
  66. 野間友一

    ○野間委員 石油部長、いまの答弁にもありましたけれども、やみカルテルの問題については公取が独自に調査をして、しかるべく措置をしておる、これで一応その点については処理は済んでおる、こういうことなんですね。しかも、その中に富士興産が入っていないのは事実明らかなんですね。そうすると、これは公取がやるまでもなく、こういうような単に元売り十二社だけでなしに、精製会社あるいは石商を含めてあらゆる企業ぐるみで露骨にカルテルをやっておる。これは事実なんです。これについては、公取がやっておるから通産省はあずかり知らないということでは済まない。しかも、これは公取のやったものとはまた違うわけですね、出ていないわけですから。これについて事実を指摘された場合に、通産省としては当然きびしい行政指導をしなければならぬ。これは当然の任務だと思うのです。いま公取が調査中であるという答弁がありましたけれども、なぜ通産省独自でこのような行政指導をしないのか、私は理解に苦しむんです。  しかも、その前文にはこのようなことが書いてあるんですね。これは千載一遇のチャンスと同じような発想です。「最近の石油業界のおかれている環境下では、市況は自然発生するものではなく、意識的に造ってゆくべきものです。」これは富士興産の販売部長が書いた文書の中の前文に書いてあるんですね。「市況は自然発生するものではなく、意識的に造ってゆくべきものです。元売各社、石油販売業者、両系統団体など独自に行っても効果が上らない為、各位が協調して活動を行っているのです。」そして七月二十六日の午後二時より全石商会議室で、かもめ会セントラルと石商の農林漁業部会理事と協議して意見交換をして、その内容を報告する、こういうことになっておるわけですね。ですから、一応のおきゅうをすえられたものはともかくとして、すえられていないものについては何らの行政指導もなされていない。これは一体どういうことなんですか。
  67. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  もちろんこういったやみカルテルという問題につきましては、私どもいやしくもそういうことのないようにと、日ごろから業界には厳重に実は申し渡しているのでございますが、行政指導が徹底いたしませんで、その点はたいへん遺憾に存じておるわけでございます。いま先生の御指摘になったような諸点につきましても、増本先生御指摘のことでもございますし、私どもとしましては、富士興産につきましては、こういった世間に対する、みずからの行動に対する反省ということを強く促しておるわけでございまして、会社側におきましてもその点はまことに申しわけないということで、私どもが責任者を呼んだ際に陳謝をいたしておるわけでございます。
  68. 野間友一

    ○野間委員 それでは、いつ、だれに対して、どこで、どういう内容の行政指導をしたのか、お答え願います。
  69. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 私ども業務の都合で必要に応じ会社を招致しておりますが、本件につきましては、カルテルの存在そのものに対する評価は差し控えさしていただきたいと思って先ほど申し上げたとおりでございますが、たまたま会社の社長を数日前他の用件もございまして招致いたしまして、会社の社長には社会的なそういった責任という点もございますので、私から社長に対しまして口頭をもちまして注意をしてございます。
  70. 野間友一

    ○野間委員 そんななまぬるいことじゃだめですよ。大体こういう文書を真正なものであるかどうか確認し、この文書を入手しておりますかどうか。   〔稻村(佐)委員長代理退席、田中(六)委員長代理着席
  71. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 資料につきましては、並行いたしましてただいま調査をいたしておるところでございます。
  72. 野間友一

    ○野間委員 ちょっとすみませんが、聞き漏らしましたので……。
  73. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 資料につきましては、私ども実務ベースにおきまして内容をさらに確認いたしたいということで、調査をいたしておるところでございます。
  74. 野間友一

    ○野間委員 いや、私がお聞きしておるのは、この文書を入手されておるかどうかという点です。
  75. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 私自身はまだ確認はいたしておりませんが、そういう資料があるかどうか、会社側から私ども担当のところに資料を提出するよう要求してございます。  なお社長は、増本先生御指摘の資料につきましては、私の記憶ではそういう会合が、会合と申しますか御批判を受けるような、あるいはまた世間に疑惑を招くようなことにつきまして申しわけないという陳謝をいたしておるわけでございます。
  76. 野間友一

    ○野間委員 歯切れが悪いですね。いま、口頭で陳謝云々という話がありましたけれどもね。あなたのほうではまだ文書を入手していないというふうにいま答えましたが、その実態、中身について何の吟味もせずに、予算委員会の中で指摘されたんで口頭で注意せい、私がお聞きしておるのはそういうことじゃないんです。これは単に富士興産だけの問題じゃないのですよ。石商、それからかもめ会、これらがぐるになってやっておるんですよ。あるいは日鰹連、カツオですね。それから全漁連、これらもみなぐるになってやっておるんですよ。そういう実態を踏まえた上でこの文書を位置づけなきゃならぬ。ところが、いまに至るもまだこの文書を入手していない。その気があれば増本議員のところへでも来て、一ぺん文書を見せてくれ、写しをとらしてくれ、厳重に中身を吟味した上でそれなりのしかるべき措置をとるというのが公務員のとるべき態度だと私は思うのです。まあ忙しいせいもあるでしょう。しかしながら、そういうようななまはんかな態度でおられるから業者がなめるんですよ。白昼公然とこういう文書がまかり通るんですよ。違いますか。ですから、至急にこの文書を取り寄せて、文書の中身を吟味した上で——これは氷山の一角ですから、こういうようなものが出るその素地そのものにどうやってメスを入れるかということを真剣に検討しなければだめだとこの文書は物語っておりますよ。そういうことをやりますかどうか、ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  77. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 現在やっております調査をまとめまして、必要な措置をとりたいと思います。
  78. 野間友一

    ○野間委員 えらいあっさりした返事で、あなた自身こういう内容についてほんとにおこっておるのかな、これはけしからぬと思っておるのかなと私が疑うような返事です。  この「かもめ会の価格政策」の中には、これは重複は避けますけれども、「末端価格是正について」、これは八月一日から上げる。しかも、これによりますと、七月一日から中間留分について値上げをしようとしたけれども通産省行政指導によって一カ月おくれをとったので八月一日から各系列ごとに仕切り価格アップを行なう、こういうことを書いておるんです。これが事実であれば、七月一日から上げるのを八月一日からに一カ月待てということで、価格についてもそのまま通産省行政指導によってこれとぐるになったと思われるような文章でしょう。「七月より実施予定の、中間留分値上げは、例の通産行政指導により一ケ月遅れとなったが、原油価格は」云々、上がっておる。だから八月一日から上げる。ですから、一カ月間おくらすのをあたかも通産省行政指導したような記載内容にこれはなっておるわけですね。しかも、この末端価格について、「末端価格是正についての阻害要因を撤廃することについては、元売会社一致団結して解決することを約束する。」この阻害要因というのはここに幾つか書いてありますけれども末端でそういう安売りの販売会社が若干ある、これは阻害要因だ、元売り会社は一致団結してこれらの解決をしなきゃならぬ、こういうことまで書いてあるのですよ。そうでしょう。ですから、通産省がそういう姿勢でおる限り、こういことはあとを絶たないです。次官、どうですか。
  79. 森下元晴

    森下政府委員 この問題につきましては、いま部長からいろいろ説明がございましたけれども、いろいろ石油業界を取り巻く背景といたしましては、もうすでに公取の破棄勧告また検察庁の動き等もございまして、われわれも指導の段階においていろいろと反省させられる点もございます。ただ、この富士興産の問題につきましては、やはり時間的に現在の段階ではやみカルテルでない、こういう判断のもとにおるわけでございますけれども、いま先生から、資料があるんだ、確かな資料である、こういう内容だ、そのお話を聞きまして、そういうような内容でございましたらいろいろ考えさせられるような問題もあるし、また私どもも、いままでの態度ではなしに前向きで調査させていただいて、やはりこういう問題は公取にすべてまかすのでないというような方向で進めていきたい、ひとつ資料の点はお見せいただくようお願いもしたいと思います。
  80. 野間友一

    ○野間委員 時間の関係ではしょりますけれども、こういう例もあるのですよ。丸善石油は、自分の系列の三国商事という、これは特約店ですか、販売会社があるわけですが、ここに対して圧力をかけて、そしてその販売をストップさせろ、こういうことまで書いてあるのです。これは石商の農林漁業部会の中での話し合いの中であれこれ話が出た。その中で、これは勝浦とか高知とか関門とかいろいろありますけれども、石商関係の会合のときに、関門関係の農林漁業部の理事がこういうことを言っておるわけです。三国商事という特約店がありますが、これが洞海湾で株式会社共同組、これに突っ込み販売をして市場が混乱しておる。先方調査結果によると、従来よりゼネラル系の希望石油が販売しており、当初安値の、これは価単一万二百円ですから一キロリットルだと思うのですが、その後一万八百円に訂正したが、完全なる安値販売によるシェアの移動であり、系列元売りの当社が責任をもって解決してほしい、こういう要請がこの農林漁業部会の中から出された。これに対して富士興産が何と答えているか。これも書いてある。「先方説明が一〇〇%事実であれば、シェア返上し、今後販売は中止する。」「早速、当社支店、三国商事、ゼネラル福岡、希望石油、かもめ会支部長、地元石商代表との話し合いの機会を持つようにし検討する。」こういうことなんですね。つまり富士興産の系列会社が油を安く売っておる。このことが石商から指摘されて、これはたいへんなことだ、それが事実であればこれは販売を中止いたします、こういうことまで言っておるわけですね。つまり自分の系列の販売店の販売を中止させてまでやみカルテルに忠実である、このことをこの文書は物語っていると思うのです。ここまで、石商も含めたこの石油の元売り会社がぐるになって一気に値上げをはかっておるということは事実だと思うのです。これは出ておると思うのです。ですから、石商についても、この文書の中では農林漁業部会ですけれども、これにメスを入れて、しかもこの文書の中では日鰹連、全漁連、これらについてもいろいろと話し合いをなされた事実があるわけです。ですから、こういう業界がぐるになってやっておるということ、これはおそらく元売りのいろいろなあれがあると思うのです。いずれにしても、自分の特約店の足を切ってまでやみカルテルに忠実であらねばならないという、これはまさにやくざの世界ですね。石油の業界の姿、実態はこうなんです。この富士興産というのは、おそらく資本金三十億程度の小さな会社です。しかしながら、この富士興産のこの行為は単にここだけの問題じゃない。業界ぐるみ、しかも他の業界とぐるになってこういうことを平気でやっておる。この事実は一ぱい書いてあるわけです。先ほど次官もぜひこれについては資料をお貸し願って検討したい、こういう話がありましたから、これについて私は、この根本に触れてひとつ検討して当委員会にその調査した結果を報告していただきたい。  もう一つ、時間がありませんから勝浦の例を具体的に一つ指摘しておきますが、勝浦といいますとこれは和歌山、私の地元ですが、これは捕鯨ですね、鯨とかあるいはマグロ、これらの母港ですね、ここでも「七月六日石商及び漁連系統と話し合い七月より値上げに踏み切り実施中である。カツオ、マグロA一万三千円、五十キロリットル未満A一万四千円と堅調ベースであり、他港価格も早急に是正してもらわないと遠洋船について問題がでる。」つまりここでは価格つり上げをして堅調ベースでずっときておる、ここの船に積む油ですね。ところが、他港の価格も早急に上げてもらわないとこれは矛盾が残るのだ、こういうことまで、これは石商の農林漁業部会から問題の提起がしてある。私は、このころ勝浦の漁民の皆さんから油が高いということを聞きました。これを読んで、なるほどなと思ったんですね。こういうのが勝浦だけではなしに、高知、関門それから釧路から、東北から、三崎、それから清水、焼津、愛知、大阪、もう一ぱい書いてあるわけですね。だから、ぜひこれらについて根本的にやはりメスを入れる、他の企業をつぶしてまでやみカルテルに忠実であるようなそういう企業については、もうきびしくおきゅうをすえる、こういう姿勢でやはりやってもらわないと、この種のカルテル行為があとを絶たない、こう思うのです。  最後に、石油部長とそれから次官、この点についての所見を承りまして、質問を終わります。
  81. 森下元晴

    森下政府委員 資料をお貸し願いまして検討したいと思います。いろいろ先生の御発言の中でかなり、年数がたっておりますけれども……
  82. 野間友一

    ○野間委員 去年です。
  83. 森下元晴

    森下政府委員 四十六年……
  84. 野間友一

    ○野間委員 四十八年。
  85. 森下元晴

    森下政府委員 勝浦の問題ですね、勝浦の問題につきましても検討をさせていただきます。
  86. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 いま政務次官からお話がございましたように、私どもも内容につきましては、ただいまの御指摘の点も含めましてさらに調査を深めまして必要な措置をとりたいと考えております。
  87. 野間友一

    ○野間委員 これで終わりますが、一つ落ちておりましたけれども調査した結果を当委員会へ報告していただきたいということを言いましたので、その点について……。
  88. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 ただいま御指摘の点につきましては理事会でおきめいただけるならば、私のほうで提出するよう善処いたしたいと考えております。
  89. 野間友一

    ○野間委員 理事会でぜひ協議していただきたい。
  90. 田中六助

    田中(六)委員長代理 善処いたします。  近江巳記夫君。
  91. 近江巳記夫

    ○近江委員 石油製品の値上げが非常に追ってきておるわけであります。いよいよ大詰めの段階に来ておるわけでありますが、この値上げ問題につきまして、政府は、石油業界の昨年来の便乗あるいは先取り値上げによる過剰利益を吐き出させる、また今回の値上げ幅というものをできるだけ圧縮させるために行政指導によって適切な時期及び幅になるようにしたい、こういうことをずっと言っておられるわけであります。ところが、行政指導による石油製品の価格決定の介入をめぐりまして、行政指導の限界、その法律的な根拠、国民生活安定緊急措置法による標準価格との関係、独禁法との関係等、今日非常に論議を呼んでおるわけであります。この問題につきましては、十二日の閣議で法制局長官が基本的な説明を行ないまして、同日の予算委員会で、総理は、この線に沿って見解を表明したわけであります。ところが、公取委員長は、独禁法上問題があるということを表明いたしまして、考え方にかなりのそういう差異というものを残しておるわけであります。  そこで、政府部内におきましてこういうような重要な基本問題に関する見解が統一されておらないということは、国民一般にとりましてきわめて理解に苦しむ事柄であると思うのであります。こういうような状態では、政府は真剣に物価抑制に努力をするということを言っておられるわけでありますが、その具体的なそういう行政指導も国民一般あるいは業界に対するそういう説得力というものを当然失ってくる、したがって、その実効も十分期すことができなくなるのじゃないか、このように思うわけです。  そこで、この問題につきまして、私は何点かのそういう問題点を申し上げたわけでありますが、これにつきましては通産省、なかんずくエネルギー庁としてはどのようにお考えでありますか。
  92. 森下元晴

    森下政府委員 石油の値上げの問題は近々のうちに決定されるはずでございますけれども、この問題は、ただ石油価格が上がった、またそれがいかに物価に影響するかという問題以上に非常に深刻な問題もはらんでおるように私は思います。  ただいま先生からいろいろ御指摘ございましたように、いわば戦後最大の一つ経済の転換期と申しますか、また石油の価格というものが国際的にも国内的にも一つの新価格体系をつくる新しい情勢また時代にもなっておる、そういう中でわが国の経済における今回の値上げというもの、そういうものが多少の波乱の中で行なわれていくであろうというところに私どもの悩みもございますし、また今後の指導につきましても、これは真剣にしかも国民の負託にこたえなくてはいけないというような非常な決意があるわけでございます。資源を海外に求め過ぎたと申しますか、資源のない日本の国として、油だけではなしに、飼料の問題にしてもまた木材等の問題にいたしましても、現在資源対策というものが非常に迫られておる。その一環として石油の問題、しかもそれが値上げをしなければいけない、そういう事態を踏まえて私どもは反省すべき点は反省しながら、しかしやはり値上げに踏み切らざるを得ない、そういうことの理解もよく求めて、そして混乱を少なくして民生安定につとめなくてはいけないと思っております。  なお、詳細につきましては、その経過、また値上げの具体的な理由等につきましては石油部長より発言をさせます。
  93. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 政務次官からお話がございましたので重複は避けたいと思いますが、今回の原油引き上げに伴います製品価格の引き上げ問題につきましては、石油が国際商品であるという点を私どもは念頭に置きまして、他方また、物価政策上の要請、こういう点にも配慮をしながら必要な時期に値上げをするのはやむを得ない、こういう考え方政府部内でコンセンサスを得るべく今日まで作業を続けてきているわけでございます。  昨年までの原油価格の値上げは段階的に行なわれていたわけでありますが、今回の値上げは従来のものとは全く質が違うと申し上げてよろしいと存じます。それだけに物価への影響がたいへん重大なものであろうということで、内閣全体の問題として本件が取り上げられておるわけでございまして、もはや一エネルギー庁の問題ではなくなっているわけでございますが、私どもとしましては、国際商品でもございますし、供給の確保ということも念頭に置く必要がございます。そういったいろいろな要素を総合的に判断いたしまして、現在鋭意必要な最小限の値上げ幅がどれくらいかということで作業を続けておりまして、今日ただいままだ政府全体としての結論は出ていないわけでございます。  なお、先ほどの私ども並びに政府価格に対する介入という問題につきましては、今回の石油危機はいわば緊急事態でございます。私ども何らかの形で価格に介入するのはやむを得ないと考えて今日まで参っておるわけでございまして、これが業者の共同の価格操作であるというようなものでありますれば、これはもう当然政府価格指導とは別個に指弾さるべきでありますし、また独禁法違反として摘発される性質のものであろうと存じます。私どもとしましては、そういうような業者の共同価格操作というようなものにつきましては、従来からいやしくもそういったことをやってはならぬということで指導してまいっておるわけでございまして、私どもがいま進めております価格への介入につきましては、これが直ちに独禁法違反になるというようなこととは考えておりません。先般政府の統一見解が示されておりますとおり、私どもとしては必要な行政の責務であると考えまして、現在作業を続けておるわけでございます。
  94. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで公取委員長指摘しております問題点を解消していく、そういう点からいきますと、これは標準価格による方式を採用して、必要に応じて機動的にこれを変更する、こういう方式が一番妥当じゃないか、このように思うのですが、それについてはどう思いますか。
  95. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 御指摘の点は、私どもも十分実は念頭に置いているわけでございます。御承知のように、原油の価格は現在メジャーから通告してきておりますのが暫定価格でございまして、すでにメジャーから昨年にさかのぼってのものも含めて追徴の通告が一部に参っております。今後これがどの程度波及するのか、日本全体としての影響はどうかという点はさらに見定める必要があろうと考えております。また他方、OAPECあるいはOPEC諸国におきまして現在の価格の水準が高過ぎるのではないかという考えを持っている少数の国がございます。今後もっと適正な価格に引き下げられるべきである、こういう考え方のグループがあるわけでございますが、これがどういうタイミングで、どういう程度までなるのかというのは現在まだにわかには判断できない状況でございます。  さらに加えまして、為替の変動相場制におきます円レートがどの程度に落ちつくかという点につきましても、この価格に非常に大きな影響を与えるという点がございます。  他方また、国内的需給の面を見ましても先行きの原油の入着状況をベースにいたしまして、国内需給がどのように推移するかという点もあわせ考える必要があろうと思います。  こういった諸種の点を考えますと、ベースになります標準的な価格というものはにわかにはつくりがたいという点がございまして、今日急がれておる政策の緊急性を考えますと、私どもとしては指導価格でいかざるを得ないというのが現在の判断でございます。将来もし安定した実行を確保できるというような段階になりました際には、標準価格についてもその段階で十分検討すべき問題であろうというふうに考えております。
  96. 近江巳記夫

    ○近江委員 その辺の問題につきまして公取委員長がまだすっきりしていないですね、いままでのそういう姿勢を見ておりますと。やはりそういう中で指導価格で突っ走ってしまうということも私は非常に問題があると思うのです。そういう点、よく政府部内で検討されて、すっきりした形でいってもらいたい、こう思うわけです。多くの問題をあまり積み残しをしますと、それがあとあと非常に大きな問題になるわけですし、その点は、きょうは政務次官も来られておりますし、政府部内でよく検討していただきたいと思うのです。それはどうですか、次官。
  97. 森下元晴

    森下政府委員 公取との問題につきましては、いろいろと石油業界等のいわゆるカルテルといわれる疑いにつきまして私どもも心配しておるわけでございますけれども、しかし現状のまま放置すれば、これはいわゆる現在の凍結価格をかりに解いた場合、無制限に油は上がるであろうし、また、これを長期に凍結するということは、石油会社等の経営にも非常に根本的に影響する。そういうようなことで、通産省の指導の目的というものは、いわゆる消費者のためにあるんだというようなことでやっておりまして、やはり法の精神というものは、独禁法でもあらゆる法律でも、消費者行政ということを常に頭に置きまして、また、沖の精神に置いておくところに理解も求められますし、また、われわれも自信を持ってやれるところでございます。なお、そういう疑点につきましてはでき得る限り晴らすように、また公取とも常によく連絡をとりながらやっていきたい、こういう姿勢でいきたいと思っております。
  98. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから石油製品の値上げ幅の問題でありますが、この通産省案ですが、聞くところによりますと、キロ当たり九千百六十円というのを検討されておるような模様であるわけです。この値上げ幅の妥当性という問題でありますけれども、いわゆる算定根拠というものがどういうものであるかということが知らされてないわけであります。したがって、国民にとりましては高いのか安いのかさっぱりわからぬわけですね。そういう判断のしょうがないという問題であります。  それから、さらに石油業界の昨年来の便乗先取り値上げによります過剰利得につきましては、非常にまちまちなんです。業界は三百億といっておりますし、通産省は六百億程度といっておられますし、あとで私申し上げますが、まあ一千億を上回っておるんじゃないかという数値がわれわれが算定をしますと出てくるわけであります。あるいはまた、九ドル台原油を石油製品に転嫁し得ないことによる損失は業界は一日八十億円ともいっておりますが、これはわれわれが計算しますと八十億にいかない。とにかくいま納得できるそういう根拠というものは全然示されてないんですね。もちろんこういうような背景というものは昨年数回にわたります値上げ問題、あるいは原油価格の推移、あるいは在庫量の動き、あるいは得率、コストの動向等のそういう把握のしかたによって、ある程度の開きが出てくることはやむを得ないと思いますが、しかしあまりにも大きいんですね。ですから、そういう点にとりまして、国民としては政府がその実態というものをどのように把握しておられるかということが非常に聞きたいんじゃないかと思うのです。そういう点におきまして、その数字的な根拠をあげてよく説明してもらいたいと思うんですね。なぜこういう数値に大きな差が出るんですか。石油部長からひとつきめこまかに御説明をいただきたいと思うのです。
  99. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  伝えられております通産省案というものはございますが、政府部内でまだ結論が出ておりません。したがいまして、内容につきましてここで詳細御説明を申し上げるのは差し控えさしていただきたいと存じます。  ただ、考え方といたしまして、私どもが昨年のとりわけ重点としましては、年度後半から今日に至りまして、また先行き九月ごろまで想定いたしまして、原油価格値上がりが実質どれだけの値上がりがあったかというのを精査をいたしておりまして、今日まで最近におきます税関を通りましたインボイスの確認を通じて必要な原油の値上がりの実態の把握につとめてまいりました。一方また、昨年来今日までの取引の諸条件、とりわけユーザンス金利等、諸経費のアップという点もございます。  第三番目には、国際的な今回の製品値上げの実態がどういうふうになっておるかという点につきましても必要な限りの調査をいたしたつもりでございます。たとえばヨーロッパ等におきましては、主要国はいずれもすでに九千円前後から一万円前後といったところの値上げを実施いたしております。主要国で残っておりますのは、現在では日本とベルギーだけであるという状況かと存じておりますが、そういった国際商品としての石油の価格の動向につきまして最大限の努力をいたしてまいったつもりでございます。そういった諸要素を勘案し、かつ企業の継続性という点については、やはり、ミニマムを考える必要がございます。もとより昨年の十月−十二月の間の超過利得につきましては、私どもとしては、これを吐き出させることはもちろんでございますが、それがことしに入りましてからの、今日まで値上げを引き延ばしてきた過程におきまして現在大幅な業界全体としての赤字が出ておるわけでございますが、そこら辺を考えまして、これをいつまでもこのまま据え置くことは、今後の安定供給という点を考えますと支障が生ずる、こういう判断もございまして、近いうちに必要な最少限度の引き上げを行なう必要があろうということで政府部内に働きかけまして、今日は内閣全体の問題として慎重に審議されているというのが実態でございます。まことに重ねて申しわけございませんが、数字をあげてのこまかい計算につきましては遠慮さしていただきたいと思います。  なお、先生御指摘の一日八十億円の赤字というのは確かに流布されておるわけでございますが、これはごくラフな計算でございます。大体原油価格は、私どもの計算では、年末の十二月ごろにはFOB四ドル四十五程度になっているかと存じますが、これがかりに五ドル上がる、九ドルなり九・五ドルというFOB価格になるというようなことになりました場合には、バーレル当たり五ドルの差というのは約一万円のキロリットル当たりの差になるわけでございますが、こういった原油の価格値上がりがあるといたしますれば、一日の原油処理量は平均八十万キロリットルでございますので、それを掛け合わせますと八十億という計算になるわけでございますが、一つのめどでございますが、ほぼそれに近いような赤字が計算上は出ているはずであるというふうに私どもも理解いたしております。
  100. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたのそういうような説明であれば、国民はやはり納得と理解ができないと思うのですね。原油がこれだけ上がっておるのですから値上げはやむを得ないということは、国民もわかっているわけですよ。だけれども、昨年からの石油危機ということで、先取り、便乗、すさまじいものが行なわれまして、それが国民生活のあらゆる点に波及してきているわけですね。そういう点を思いますと、値上げを認めてほしいというならば、先取り、便乗した分もこれだけありました、これはこういう形で還元をいたします、そこでエネルギーの安定供給という大きな立場もあるわけでありますから、どうかひとつ理解もしてもらいたい、これである程度協力も得られると思うのですね。ところが、そういう先取り、便乗の利得につきましても、業界は三百億、通産省は六百億くらいだろうと言う。私たちがはじいたら、一千億こえるのですよ。そういうベールに包まれた中で、ただ原油が上がってきたから値上げをしてくださいといっても、それほど甘くはありませんよ。だから、そういう資料を出すことを勘弁してほしいというのは、立場もあるし、よくわかりますけれども、何らかの形でそういう理解を求めるという立場において、やはりある程度納得できるものを出さないといけないのと違いますか。私がざっと計算してみたあれですけれども、四十八年の八月から十二月まで、これは価格が上昇していますね。これは実質計算でいきますと、約三〇%ちょっとですよ。そうしますと、キロリットル一万円から一万三千円。ところが、この価格を見ますと、実際の価格というのは一万四千五百円になっているのですね。そうしますと、四五%ということでありまして、この計算値からいきますと三〇%、差の一五%、これはすなわち一万四千五百円から一万三千円を引きますと、キロリットル当たり千五百円ですね。そうしますと、四十八年十二月販売量の過剰値上げによる利益は、十二月の石油製品の販売量二千二百五十八万キロリットルに千五百円かけますと三百三十八億七千万という数字があがってくるのです。それから、四十九年一月二十日現在の在庫量の過剰値上げによる利益ですね。これは十二月末と在庫量はほぼ同じだと私は思うのですが、原油が二王五十八万キロリットル、製品で二千三百二十三万キロリットル、合計四千三百八十一万キロリットル、日数換算で五十四日分、そうしますと、四千三百万キロリットルに千五百円掛けますと六百四十五億。それから四十九年一月二十日までの販売量の過剰値上げによる利益が、一月の石油販売量を四十八年十二月とほぼ同様と仮定いたしますと、二十日でその三分の二、過剰値上げ額が一応千五百円といたしますと、二千二百万キロリットル掛ける三分の二掛ける千五百円、そうしますと二百二十億。これを足しますと一千百九十八億七千万、こうなってくるのです。通産省が出した六百億というのはどこから出したのですか。また、業界がなぜ三百億ということをいっておるか、私ども、これは当てずっぽうで言っているのと違いますよ。あらゆる数値からこれを出している。得率だって全部出しましたよ。言いましょうか。それからバーレル三ドル二十五セントですね。これから一応十ドルにはね上がったといたしましても、そうしますと試算価格の上昇率というのは一〇七%ぐらいになるのです。先ほどお話しましたように、過去に四五%上げておるわけです。そうしますと、一〇七から四五引きますと六二%、こうなるのです。そうしますと二万七百円。これから一万四千五百円引きますとキロリットル六千二百円、こうなるのです。二千二百万キロリットルを三十日で割りますと七十三万キロリットル。いま部長は八十万ということをおっしゃったけれども、一応七十三万、これに六千二百円をかけますと四十五億二千六百万。八十億とこれはあまりにも差があり過ぎるのですよ。現在も赤字になっているなんていっていますけれども、四十九年一月二十日現在の在庫量が五十四日でしょう。そうすると、三月十六日までは在庫量はいままでの価格で入っているわけですよ。これは何も赤になっていませんよ。そうでしょう。そこで今度は社会に還元をするという意味からいきまして、過剰値上げによる利益の合計を一日当たりの損失額で割りますと、三月十六日以降、製品値上げの繰り延べ日数というものが出るわけです。千百九十八億七千万を四十五億二千六百万で割りますと、二十六・四八日、四月十一日まではいけるわけですよ、いままでの不当利得をはき出させれば。計算上からこうなる。通産省がおっしゃっている六百億ということからいきますと、また業界がいう一日八十億の損失、これも一応すんなり受け入れたとして計算をしますと、七日半の余裕があるわけですね。そうしますと、三月十六日から七日半ですから、三月二十四日までは、その利益をはき出させれば何も値上げしなくていけるのですよ。これは私が試算したわけですけれども、そういうように何らかの形で、国民がなるほど不当利得もこのように還元するのか——そういうものを出さないで、ただもういま業界は赤字になっているのです、そんなことでは通りませんよ。いままでやってきた業界のために、どれだけ国民はこれで迷惑を受けているかわからぬです。そうでしょう。もっと納得のできるものを出しなさいよ。政府部内でいま話し合われておるから一エネルギー庁ではできないなどと言っていますけれども、これはエネルギー庁が主体じゃないですか。その点はどうお考えですか。
  101. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 いまの先生御指摘の計算も私どももよくあとで教えていただきたいと思いますが、私どもとしましては、今回、値上げがある幅で政府として決定いたしました際には、その積算の根拠につきまして、国会でも、また国民の皆さんにも十分理解をしていただかなければならないと考えております。その積算の根拠につきましては、できるだけ御理解いただくように明らかにいたしたいというふうに思っておるわけでございます。ただ、今日ただいまの状況では幅がまだ確定いたしておりませんので、内容につきまして御説明するのは恐縮でございますが差し控えさせていただきたい、かように存じております。
  102. 近江巳記夫

    ○近江委員 じゃ、いま部長がおっしゃったように、何らかの形で納得を得れるようなそういうものをつくっていただいて、国民にひとつよくそれを示していただきたいと思うのですね。  それから石油製品の値上げ幅はまだ決定しておりませんが、伝えられるいわゆる九千百六十円ですか、九千円以内に押えるということも言っておりますけれども、そうしますと、各油種別の製品価格の値上げ幅は大体どの程度になるわけですか。この元売り仕切り価格あるいは末端小売り価格についてはもう何の説明もなされていないわけですが、こういう点についてはどのようにお考えですか。
  103. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  ただいまの御質問につきましても、幅がまだきまりませんのでごく抽象的に申し上げさせていただきたいと思いますが、私どもとしましては、日本全体といたしましての元売りの仕切り価格を一体どれくらい最少限上げる必要があるかという点をめどにいたしまして、元売り段階での油種別の展開もいたしました上で、どの程度の幅で各油種にアロケーションをするかということを検討いたしております。従来の油種別展開の考え方と申しますのは、やはり従来からの長い市場の伝統がございますので、あまりかってなことはできないわけでございます。従来はいわゆる等価比率という一つの方式で価格がきめられてきておる例が多いわけでございますが、しかしながら、たとえばすでに標準価格を設定している灯油あるいはLPGといった問題もございますし、また消費者に直結する製品、たとえば軽油とかA重油等々がございます。こういったものにつきまして、必要な限度の政策配慮というものは行なうべきではないかというふうに考えておるわけでございます。  この元売り段階価格をきめますと同時に、その際に、いわゆる末端小売り価格につきましても、油種によりましてはやはり指導価格をきめる必要があるのではないかという考え方を私どもは持っておるわけでございます。これをどの程度の幅にいたしますかという点が、とりわけこの流通の過程というのは非常に取引や何か複雑でございますのでなかなかむずかしい点はございますが、これも経済の実態にフィットするような、しかも便乗値上げが行なわれないという目張りをした上で、小売り価格のある種の油種につきましての価格設定、指導というものも行なう必要があるのではないかということで現在作業をいたしておるところでございます。
  104. 近江巳記夫

    ○近江委員 特にガソリン、軽油、A重油のこの三種類につきましては、末端小売り価格行政指導規制する、あるいは元売り仕切り価格の値上げ幅以内に圧縮する方針であるということを伝えられておるわけでありますが、これは具体的にどういう形で処置をなさるわけですか。また、この圧縮はどの程度にお考えでありますか。
  105. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 まずミニマムな条件といたしまして、元売りの油種別の値上がり幅というものにさらに流通段階でマージンをプラスして末端に転嫁するといったことは、これをもう絶対認めないという考えでおります。私どもとしましては、流通の面におきましても可能な限りの合理化を要請したいという気持ちでございまして、今日ただいま具体的な数字はまだきまっておりませんので御容赦をいただきたいのでございますが、考え方としましては、ただいま申し上げましたように、末端への影響をできるだけ少なくするというふうに配慮を十分いたしたいというふうに努力中でございます。
  106. 近江巳記夫

    ○近江委員 この値上げ幅についてはできるだけ低位に押えるということは表明されたわけでありますが、油種別に政策的な配慮ということは当然お考えになっておられると思うのですけれども、こういう問題につきましては、そういう製品を使用するところの波及ということもいろいろ考えられるわけですね。その辺の斉合性という問題、こういうことはどういうようにお考えですか。
  107. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 一例を申し上げたいと思いますが、先ほど、従来伝統的に形成されております市場での価格というものについても念頭に置かざるを得ないということを申し上げたわけでございますが、それはたとえばA重油は、漁船なりあるいは農業その他中小企業に使用されますので、政策的な配慮からこれらなりの価格を、たとえば灯油について極端に行なっておりますように、低い価格で提供をしたい、たとえばそういう政策的な要請があったといたしましても、そうなりますと、ただいま先生御指摘のように、油種間の斉合性という面で見ますと、重油の中で最も精度の高いA重油がそうでないC重油よりも値段が安くなるというようなことになった場合、A重油の確保が市場ではできなくなるおそれがございます。   〔田中(六)委員長代理退席、塩川委員長代理着席〕 従来ABCと同じ重油の中でも一つ価格によるバランスができ上がっておるわけでございまして、この供給の安定という面において支障が生じない限度において政策的な配慮を行なうのが妥当かというふうに考えておるわけでございます。
  108. 近江巳記夫

    ○近江委員 これだけ原油が上がってきておるわけでありますし、今後の経済運営という問題は非常に大きな問題になるわけであります。たとえば輸入額にしましても四十八年の輸入額は約六十億ドル、四十九年度二億七千万キロリットルとして、約百五十億ドルになる。そうしますと、総輸入額の約三〇%を占めるということにもなってくるわけです。そうなってきますと、当然外貨の問題から考えてもそうやたらに輸入もできない。こうなってきますと、いままでたとえば産業構造の転換等をやりますやりますということも言っておられたわけでありますが、何となしにことばだけの感があったわけでありますが、これは真剣に今後は考えていかなければならぬ緊急の問題じゃないか、私はこのように思うわけです。そういう点におきまして、今後の産業構造の転換等も含めまして非常に大きな問題があるわけです。こういう問題を詰めていきますと、これだけでも一時間、二時間はかかってしまいますので、それはこの次にしたいと思いますけれども、いままで何となしにことばだけであったというそういう感じ、これはもうよく了解されると思うのですね。その点については真剣に通産当局でも検討なさっているのですか、どういう取り組みをやっておられるか、その姿勢だけひとつお聞きしておきます。これは次官にひとつ伺います。
  109. 森下元晴

    森下政府委員 今回の石油の削減問題、また値上がりの問題等によってわが国の経済は、世界的にもそうであると思いますけれども、産業革命とまではいかぬにしても、かなり産業改革が行なわれるし、またそうでなければいけないと思っております。従来は金が物の価値の基準であった、また日本では米の価格が基準であったというような時代もございましたけれども、これからは石油の価格というものが物の基準になるような方向にいくかもしれない、そういうことすらわれわれは考えております。  それと、いままでのように湯水のごとく石油を使ってその上に日本の経済発展がなされておった、その点はアメリカとか他の国と違った事情も実はございまして、日本は決して経済大国でなしに生産大国、また消費大国であったけれども、資源小国であった、そういう反省の上に立って慎重に輸入問題を考えながら、やはり同時に節約ということを考えなくてはいけない。それでないと需給のバランスがくずれると私は思うのです。幾ら石油を売ってくれましても、高い価格のものではとうてい日本の外貨では間に合わない。石油ばかり入れますと、ほかのせっかくの入れたい資源も入らない。ある程度のユーザンス等の利用はできますけれども、そこにある程度の制限というものが必ず出てくる。だからこれからの資源対策ということにつきましては、油の問題、またその他のえさとか、また食糧の問題も含めて、特に通産行政の中で慎重に検討しなければいけないし、特に国内資源の開発、これはもう急には間に合わないかもわかりませんけれども、少々コストが高くてもやはり国内資源の開発のために前向きで進んでいきたいという、そういうような気持ちでもございます。
  110. 近江巳記夫

    ○近江委員 この問題は非常に大きな問題でありますし、またこの問題は次にしたいと思いますが、いずれにしましても、今回の石油製品の値上げはもう必至だろうと思いますし、あとはその幅、時期ということですが、それも目前に来ておるわけであります。  そこで、そういうことが国民生活あるいは産業に及ぼしていく影響、中でも中小企業、農林漁業におきましてこれを円滑に吸収して消化していくということはたいへんな問題であると思うのです。特に原材料価格の高騰、これはもうさらに拍車がかかると思うのですが、こういう点で中小企業に与える影響というものは非常に大きいと思うわけです。こういう点につきまして、長官としては、どういう対策をお考えになっておられますか。
  111. 外山弘

    ○外山政府委員 中小企業、特に製造業の相当部分はいわゆる加工産業でございまして、原材料が上がるということはやはりたいへん大きな影響があるわけでございます。もちろん今回の石油製品の値上げが行なわれましても、関連する原材料関係については極力値上げを抑制するというふうなことで、全般への影響波及というものをできるだけ防ぐという措置がとられるわけでございまして、今回のことを契機に急速に具体的な影響がすぐに出てくるというようには至らないと思いますが、しかし、全般的な原材料価格の値上げ傾向の中で、中小企業はやはり困難な局面を次第に加えてくると思います。したがいまして、それの状況というものを私どもは注視しながら、健全な中小企業がそのことのゆえにあまりにも大きな影響を受けるということであれば、それに対する対応策として四月以降の状況についても十分見ながら手を打っていきたい、こう考えておるわけでございまして、先般三月五日にやりました金融措置の際にも、四月以降も弾力的、機動的にそういった点についての配慮をしてまいりたい、状況をよく注視していきたいというふうなことをあわせ述べているわけでございまして、そういう点についても万遺憾のないように今後進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  112. 近江巳記夫

    ○近江委員 この年度末には五百億を予定されておられるわけです。こういう手当てはわかるわけでありますが、いまの状況からしますと、決して十分ではない。そうしますと、さらに次の手当てということになりますが、当然これは新年度ということになるわけです。  そこで、この予算は衆議院を通過して、いま参議院に回っておるわけでありますけれども、やはり今後の動向を見てみますと、物価の鎮静にしましても、総理の発言がもうどんどんと後退してきておる、こういう状態から考えますと、私は今後先行きさらに一そう不安な状態が予想されるわけであります。そういう点、長官はいま全般的な中小企業庁としてのそういう姿勢あるいは考え方をお述べになったわけでございますが、年度末に対してそういう準備をなさった、また今後悪化するようなことがあればどういうような対策をお考えになっておられるか、さらにひとつ具体的なお考えがあればお伺いしたいと思うのです。
  113. 外山弘

    ○外山政府委員 先ほども若干触れましたが、四月以降につきましても、やはり状況の変化と申しますか、状況の進展と申しますか、いろいろむずかしい事態がほかの業種、機械工業等を中心に起こってきはしないか、現在建設業、繊維業等にあるような問題が次第にその程度を増してきはしないか、こんなふうな問題意識を持っておるわけでございますが、先ほど申しましたように、やはりその際に政府金融機関貸し出しワクがそれに対応してふえていくということが大事だろうと思っております。新年度になりましたら、もちろん通常の融資ワクを確保することは当然でございますが、さらに状況によりましては、その融資ワク自体を平年度に此べればふやすというふうなかっこうでこれに対応することがまず考えられますし、それからまた現在中小企業信用保険法の改正をお願いしておりますが、これが通過した場合には、これに基づきましてそれらの影響に対しても保険限度の引き上げというふうな措置も可能になるわけでございまして、今後の事態に備えて私どもとしましては信用補完の面からも、あるいは融資ワクの確保の上からも、できるだけ具体的な事態を見守りながら手を打ってまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  114. 近江巳記夫

    ○近江委員 あと松尾委員がまた質問をしますから、一応これで終わりますが、いずれにしても、中小企業という問題につきましては、これは業種も非常に多岐にわたっておりますから、従来のような大ざっぱなつかみ方であれば対処できないと思います。そういう点、各地方通産局にもあるわけでありますし、都道府県にもいろいろそういう担当の部局もあるわけでありますから、よく連携をおとりになって実際のそういう実情というもの一を把握し、そしてきめこまかな対策をとっていただきたい、これを強く思うわけです。ですから要望しまして私の質問を終わりたいと思いますが、最後に、政務次官の決意を聞いて終わります。
  115. 森下元晴

    森下政府委員 先生の御趣旨のようにきめこまかく指導していきたい、そしてこの混乱期を乗り切っていきたいと思います。      ————◇—————
  116. 塩川正十郎

    ○塩川委員長代理 内閣提出中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。松尾信人君。
  117. 松尾信人

    ○松尾委員 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして若干の質問をいたしたいと思います。  最初に、これは長官からお答え願うものと思うのでありますけれども、この信用補完制度です。これは経済政策であるのか社会政策であるのかというような議論がたびたび出てきておるわけでありますけれども、この政府の立場というものは保証料とか保険料は極力低いほうがよろしい。そして保険の収支差損が出た場合には財政支出によってカバーをする。ですから、この信用補完制度というものは、まあ現実にはどうかといえば、社会政策的な色彩の強いものと、一般金融ベースの中間的なもの、そういうところで制度を運用するという考え方である、このように思うのでありますけれども、この基本方針というものは、はたしていまぼくの申し上げたとおりであるのかどうか、違っておるのかどうかということと、今後はどのような基本方針で運営されていくのかということであります。それではこれは政務次官にお願いします。
  118. 森下元晴

    森下政府委員 私は、政治というものは自由も大事でございますが、また平等ということも大事である。したがいまして、経済機構は、あるときは自由経済にウエートをかけなければいけないし、ある時代においては公平という原則にウエートをかけなければいけない、その時代、時代によって当然違うべきであろうと思います。たとえば産業界、経済界におきまして今日のようにあまりにも大企業中小企業とのアンバランスが生じました場合には、やはり社会政策的に中小企業対策、特に信用保証等の制度を通じましててこ入れをするのが、私は近代的な国家の政治の姿勢である、こういうことで社会政策経済政策、これが国情によって、また経済の事情によって常にその重心というものは移行すべきである、このような観点でおります。特に先ほど申しましたように、現状におきましてはやはり中小企業政策とかまた社会福祉政策、これに政治の重点はかけなければいけない。そういう時点でこの信用保証制度のウエートというものはかなり重いし、中小企業対策の一環としてのこの制度は重みを加えなければいけない。また通産省もそれに力を入れていかなければいけないのでありますが、なおまた別の観点から長官にお答えをしていただきます。
  119. 外山弘

    ○外山政府委員 基本的にはいま政務次官がお答えなさったとおりだと思います。  ただ、中小企業政策と申しますのは、やはり何と申しましても他の経済政策に此べますと、御指摘のような要素が非常に豊富になければならない面が多いと思います。一口に中小企業政策と申しましてもいろいろな面がございますけれども、この信用保証制度のような中小企業政策の部分は、先ほども指摘のように無担保無保証とか、零細な人たちに対する保証需要というものに対応する。そういう点でどうしてもそういう社会的な要素を豊富に盛って、施策の内容を充実していかなければいけない。そういう意味で先生の御意見、私も全くそのとおりだと思います。  今後の方針はどうかということでございますが、やはり信用保証需要というものに対する適切な対応策、まあ一件当たりせいぜい二百五十万平均のそういう資金需要に対してりっぱな対応をしていくということがやはり中小企業政策の重要な部分をなすと思います。したがいまして、そういう角度から保証料を引き下げるとか無担保無保証、保証についても適切な配慮を行なうとか、こういった点についての努力を今後もし続けていくのが私は保証政策並びに中小企業政策のこの部分についての考え方、基本的な今後の対処のしかただ、こういうふうに考えます。
  120. 松尾信人

    ○松尾委員 いま政務次官並びに長官からお答えがあったわけでありますけれども、そうしますと、どうも一般的に見まして保証つきの金利と、今度保証のない貸し出し金利、こういうものを此べてみますると、どちらが低いか、この現実の問題でありますけれども、いかがですか。
  121. 吉野良彦

    ○吉野説明員 保証つきの場合の貸し出し金利と、それから保証のない一般の貸し出し金利とを比較いたしました場合には、保証があります場合には、保証料を払ってリスクをカバーしているわけでございますから、保証のない場合に此べまして保証つきの場合のほうが一般的には当然金利が低くあってしかるべきものというふうに私ども考えております。  そこで、この問題につきましては従来から私ども努力を続けてまいったわけでございますが、ごく最近におきましては、去る四十五年に私ども銀行局長のほうから、この保証つき貸し出し金利の引き下げにつきまして、ある程度具体的な考え方も示しました通達を各金融機関に出しまして、引き続き努力をさせているというのが現状でございます。
  122. 松尾信人

    ○松尾委員 いまお答えがございましたけれども、これは大蔵省からいただきました「貸出約定平均金利の推移」であります。これは都市銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫、このような種別に貸し出し約定の平均金利の推移をいただいておるわけであります。これはあとにいたしまして、今度は中小企業庁からいただきました資料、これは「保証付貸出金利の推移」であります。これによりますと、四十六年の九月期、四十七年の九月期、四十八年の九月期、このように決算決算の時期の金利が出ておりますけれども都市銀行が四十八年九月期で年率七・九七九%、地方銀行が八・〇一〇の年率、相互銀行が八・六二二の年率、信用金庫が八・五〇五の年率、信用組合が九・一四四の年率、平均八・三一二、こういうものをいただいておるわけであります。同じく四十八年の九月期の都市銀行は七・三七五、地方銀行が七・四八——この数字が不明ですね。相互銀行七・九五七、信用金庫八・一一八、このようにあるわけでありますけれども、これはどういう関係になっておりますか。
  123. 吉野良彦

    ○吉野説明員 ただいまの、それぞれの期日におきます保証つきの貸し出し金利の水準、それからまたそれに対応いたしております時期のいわゆる貸し出しの約定平均金利や数値は先生御指摘のとおりでございます。ただ、先生も御承知のとおり、貸し出し約定平均金利と申しますのは、たとえば期間の長いものも短いものも、それからまた大口の貸し出しも小口の貸し出しも、いわば全部突っ込んだものの平均でございます。これは事柄の性質上、そういうような数値として統計的にも処理をされているわけでございます。ところが、一般に貸し出しが小口になりますと、どうしても債権管理等につきましてもかなり手数がかかるということで、同じ貸し出しでございましても大口の場合に此べまして小口の場合にはどうしても金利が高目にならざるを得ないという実情にございます。そこで、この貸し出し約定平均金利と保証つきの金利とを単純に比較をいたしまして問題を分析するのは必ずしも問題なしとしないわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、実は昭和四十五年当時も調査をいたしたわけでございますけれども、いわば同じ借り入れ者に対しまして保証つきの貸し出しと保証のない貸し出しとがある場合に、そのそれぞれの金利を此べまして、そこにどの程度の差があるかというアプローチのしかたがあろうという観点からそういう調査をいたしました。四十四、五年当時におきましては、保証つきの場合は保証のない場合に此べまして、大体〇・三五%程度低いというのがサンプルの調査の結果出てまいっております。  しからば、最近の実情はどうかということになろうかと思いますが、私どもも昨年全国の財務局を使いまして、ただいま申しましたと同じようなアプローチのしかたで実は調査をいたしました。ところが、一部に資料の不備な点等もございまして、まだ調査の結果が全体としてまとまってはいないわけでございますけれども、四十四、五年当時〇・三五%程度の差でありましたものが、四十七、八年には大体〇・四ないし〇・五%保証つきの場合のほうが低くなっているというような、一応中間的な数字で恐縮でございますが、そういうような事情を私ども現在のところ把握をしているということでございます。
  124. 松尾信人

    ○松尾委員 結局いまの説明では、保証つきを必要とするような零細な弱小の中小企業に対しては非常に危険のおそれもあるし手数も込む、大口でぽんぽん貸せるようなところは比較的簡単にいける、ですから金利も高くなってきておるというように、私はあなたのお答えを理解したわけでありますが、違いますか。結局、零細なものは危険もそれだけ大きい、手数も込む、なかなか安心して貸せない、だからこの金利負担というものも変わってくるんだというように理解するわけです。また、現実にはそのような金利の動きになっているわけですね。ですから、あなたの言う中小企業質問している私が言う中小企業とは違うんですね。私は保証つきを必要とするような零細な中小企業のことを中心に論じておるわけですが、あなたは中小企業でも大口だとかなんとかおっしゃいますが、そういうものよりも、ほんとうにいま一番件数が多くて事業所数が多いのは零細な企業でありますから、そういうところにおける金利負担というものはどうなっておるのか、こういうことをお答え願いたいと思うのです。
  125. 吉野良彦

    ○吉野説明員 一般に金融でございますから、貸し出し金利の水準といいますのは、貸し出し先の業況なり、あるいはその信用度とか、それからまた個々の貸し出しの事案が大口か小口かといったような点で、金融機関で自主的にきめられるわけでございます。私先ほど申し上げましたのは、一般に中小企業になればなるほど貸し出しの一件当たりの金額も小さいというのがやはり実情でございます。一件当たりの金額が小さくなってまいりますと、それだけにそれぞれの案件ごとに貸し出しのための手数、それからまた債権管理上必要になりますコストも、大口の貸し出しの場合に此べまして高くならざるを得ないということは事実だと思います。  そういうこともございまして、これはやや話が横道にそれますけれども、一般に中小企業を専門に取り扱っております金触機関として相互銀行とか信用金庫があるわけでございますが、そういう中小金融機関貸し出し金利は、やはりそういう貸し出しの性質に従いまして、都市銀行や地方銀行に此べまして貸し出し金利の水準も高くなっているというのが現状でございます。それもやはり、小口零細の貸し付けというものがどうしてもコスト的に割り高にならざるを得ないというような実情に基づいているのではないだろうかというふうに理解をしているわけでございます。
  126. 松尾信人

    ○松尾委員 結局もう手も込むし、信用もなかなかようわからぬし、調査もしなくちゃできないし、高くなってくるんだ、一番安くしなければいけないところが、これは政務次官もお聞きのとおり、一番高くなってきておるわけですね。  それから、これはどちらでもいいのでありますけれども、保証料というものはこの保証つき貸し出し金利の中に入っているのですか、入っていないのですか。
  127. 外山弘

    ○外山政府委員 先ほど先生が御指摘になった数字の中には入っておりません。
  128. 松尾信人

    ○松尾委員 そうしますと、利率の格差というものが厳然とありながら、またおまけに保証料というものを平均して一・二%取られる、こういうことでますます零細な中小企業は高い金利になるわけですね。これは政務次官もよく聞いておってもらわぬといかぬ。そして保証つきということは、かりに地方銀行が金を貸す場合にしても、保証があるわけですからね。都市銀行にしても地方銀行にしても、金を貸す場合に保証料というものがそこに取られて、そして銀行は担保を受けるわけでしょう。そうしておいて金利が高くなってくる。だから銀行は、何の調査をするのか、どういう危険の負担をするのか、そういうことは一切この保証協会にまかせておきながら、そしてそのために保証協会というものは手数料を取るという余分な負担を中小企業はしておりながら、一般金利よりも高い。これはどうも理解に苦しむわけでありますけれども、これは私の質問が的をはずれておるのかどうか。はずれておればはずれておる、ぼくの疑問はそれはこういうところでおかしいんだ、違っておるとおっしゃるなら、そこをはっきり、大蔵省のほうですか、これはどちらがいいですか、どちらでもいいですからおっしゃってください。
  129. 外山弘

    ○外山政府委員 零細企業者が金融を受けるにあたって、いま御指摘のような関係の問題点があるわけでございまして、それは一つには、いまの保証料をよけい払うという問題、もう一つは先ほども指摘のように、金利そのものが高いじゃないかという問題、この二面において影響を受けているではないか、こういう御指摘だと思います。前者の問題につきまして、全体の金利の差につきまして、先ほど大蔵省のほうからお話がございましたが、これはこれなりのやはり金融上の一つの問題点なり立場というのがあるんだろうと思います。しかし、私どもから見ますと、やはり保証料を払って借りる以上、銀行はそれだけリスクが軽減されるわけでございますから、その分は少しでも金利を安くするようにしてほしいということを大蔵省とも御協力していままでもたびたび言ってきておるわけでございます。現実に成果は少しずつ上がっている。先ほども〇・三五ぐらいの成果が上がっているという御指摘がございました。もともとの問題といまの保証料の問題と両方あるわけでございますから、これは私どももできるだけ有効な金融が負担の軽減のもとに行なわれるように努力はいたしますけれども、やはり金融という問題に固有の問題点があって、一挙に先生の御指摘のような方向に行くにはなかなか問題が多いんだろうと思います。しかし、今後も保証料の引き下げということでまず努力をしたいし、その次には保証料のついた金利はもう少し安くするようにということに引き続き努力をしたい。両面において私ども努力は今後も強めてまいりたい、こう考える次第であります。
  130. 松尾信人

    ○松尾委員 保証料を取るということは、結局責任はどこにあるかといえば保証した保証協会にあるわけですね。だから保険の公庫が最終的な責任を持つわけでありまして、この地方銀行等は何も苦労もなければ責任もほとんどない。そして利率だけ高い。せめてこれは普通の保証のないものと同じくするか、むしろ普通の保証のないものよりも保証がある分だけは安くしていいんじゃないか。これは私は理の当然だと思う。長官はいろいろ大蔵省と折衝して徐々にいくというようなお話でありますけれども、これはなかなか不当な問題と私は思うのです。いわば中小企業というものをばかにしている、金融機関の横暴というものにつながる問題でありますから、これはしっかり大蔵省も一あなたはほんとうに責任の担当者ですからね。ですから、どこに大きな力があって思うとおりいかぬのかわかりませんけれども、これは速急に是正してもらいませんと、これはほんとうにガンなのですね。通産省における中小企業庁の中小企業政策末端はここに来ておるわけですよ。そうして保証協会が一生懸命やってくれておる。これはあとで申しますけれども、それもなかなかうまくいかないで困っておるのですからね。うまくいって保証料を取られて、そうして高い金利になっておる。これは何としても中小企業金融政策の中の末端に及ぼす大きな影響がありますから、まずここを速急に是正するようにしてもらいたい。これはひとつ大蔵省と長官、やるのかやらぬのか、これは速急にやりませんと——これはわれわれも大蔵省に対して強い要望をもって打ち破っていかなければいけない大きないままでの封建的な壁であろうというぐあいに思うのです。いかがですか。
  131. 吉野良彦

    ○吉野説明員 保証がついております場合の金利が、保証がない場合に此べまして当然金利として低くあってしかるべきだという先生の御指摘は、私どもも全くそのとおりだというふうに考えております一従来からもそういう考え方金融機関に対して指導を続けてまいったわけでございますが、御指摘でございますので、私どももさらに一段と強く指導をして努力をしてまいりたいと考えております。
  132. 松尾信人

    ○松尾委員 全く同感であってそのように指導するとおっしゃいますけれども、結局は結果が出ないということは同感じゃないのですよ。どこかに圧力があるか何かで負けて、金融機関というものに押されて、それで言うべきことを、大事なことを言わない、中小企業のための金融政策の土台が狂っている。ですから、いまのようなお答えでは、また何年待ってもこれは解決できないのじゃないか、私はこう思うのです。それで政務次官いかがですか。
  133. 森下元晴

    森下政府委員 信用補完制度が、いわゆる社会保障的な意味もございまして、やはり中小企業、零細企業を育成するためにあるわけでございまして、保証料だけ高いということ自身が私もおかしいと思います。ただ内容的に、市中銀行から保証協会を通じないで金を借りられる方々の実態がまたいろいろあると思うのです。いろいろ取引があって——歩積み両建てという意味じゃございませんけれども、そういう中で金利体系がきまっておるような例もございますし、また、信用保証協会を通じて借りられる方がその銀行を通じて取引がいままであったのか、またこれからかなりあるのか、そういう内容もかなりそれぞれのケースがあって一がいに安い、高いということが言えない点も実はあると思いますけれども、やはり考え方としては私は社会保障的に保証料はそれだけ低くあるべきだというような基本的な考え方は同感でございます。
  134. 松尾信人

    ○松尾委員 同感ということはもうきまっているわけでありまして、それで最初から経済政策か社会政策か、こういうことを聞いているわけです。そうしたら、時に応じてきちっきちっとやっていきますと、長官はむしろ社会政策という意味合いがだんだん濃くなってくるようなお答えもあったわけでありますが、それはもう同感はきまっておるわけでありまして、ただ、こういうほんとうに現実に大きな矛盾のあるところを早く是正していくのが社会政策的な政策の推進だ、だから同感じゃなくて、これはばちんと早くそういう方向できめる、このようなお答えは出ませんか。
  135. 森下元晴

    森下政府委員 同感でございますし、その方向に指導をしていきたい、このように思っております。
  136. 松尾信人

    ○松尾委員 大蔵省のほうにちょっと聞いておきますけれども貸し出し約定平均金利、これで都市銀行、地方銀行、相互銀行、信金、これはだんだん利息が高くなってくるわけですね。都市銀行、地方銀行なんかは安い。相互銀行、信金のほうが高くなってきている。これは社会政策的な意味合い等からいってどういうことになるのか。先ほどあなたがおっしゃった、だんだんいろいろ資本規模だとか大口貸し付け等が減ってくる、そういうところにいけばいろいろまたコストが高くなってくるというようなことになって金利が変わってくるのか。それならば都市銀行相互銀行、ここに金利の開きがあるというのは、一般金利でありますけれども、これはどういうわけですか。中小企業に関する限りの分でけっこうです。
  137. 吉野良彦

    ○吉野説明員 御指摘のように、都銀、地銀それから相銀、信金と比べました場合には、約定平均金利といいますのは、相銀、信金にいけばいくほどやや高目になっているというのが実情でございます。この原因は、まず相銀、信金といいますような中小金融機関の場合には、まず受け入れます預金のコスト、預金の受け入れのためのコストが都銀、地銀等と比べまして割り高になっているということがございます。と申しますのは、やはり相銀、信金と申しますのは、御承知のように中小企業専門金融機関ということで、できるだけ小口、そうして零細な方々から預金を集め、そうしてそれをまたできるだけ小口零細な方々へ融資という形で還元をしていくというのを使命としている金融機関でございます。ですから、もともと預金を集めますコストもどうしても割り高にならざるを得ない。それからまた貸し出しの面におきましても、貸し出し先が都銀の場合には大企業が非常に多いわけでございますが、相銀、信金となりますと、どうしてもいわゆる零細な小口の中小企業が圧倒的に多くなる。そうなりますと、貸し付けも小口にならざるを得ないということでございますので、どうしても貸し出しに伴うコストも割り高にならざるを得ない。そういうことで中小金融機関はいわば経営を維持しているというのが実情であろうか、こういうふうに承知しております。
  138. 松尾信人

    ○松尾委員 そうしますと、そこには少しも社会政策的な配慮がないということです。要するに、資本主義のただそういう原利原則にのっとって、集めてくる金がコスト高だ、だから貸す場合にもコスト高になるのだ、こういうお答えでありまして、それならば少しも社会政策的な配慮がないじゃありませんか。この点ぼくはやはりこれは政務次官も考えていくべき問題だと思うのですよ。それは資金コストが高いでしょう。だから相互銀行の預金金利と貸し付け金利というものがどうなっておるか、都市銀行、地方銀行と比べてどのくらい高くなって、貸し出し金利がこうも高くなければできないのかということを私はいま詰めておりませんので、資料を持ちません。持ちませんが、これはそういうところも詰めていきたいのだし、いま大蔵省お答えがそのまま私もそうじゃないかと思いますけれども、そうであればあるように、そこにもう一つ社会政策的な意味合いで金利というものを考えていく必要があるのじゃないか、こういうことをぼくはむしろ言いたい。この点について政務次官はどのように考えますか。
  139. 森下元晴

    森下政府委員 市中銀行と相互銀行、こういう関係を見ましても、確かに相互銀行のほうの金利は一般的に高いわけでございます。また、信用保証協会を通じて借り入れをする場合に保証料だけ高いという御指摘ですが、われわれも社会政策面から考えました場合に非常な矛盾を実は感じます。過去におきましてできるだけ保証料を下げていこうというので、四十七年に少し下げましたし、また、この保証協会は保証保険のほうにかかっておりまして、八〇%は保険でまかなえるという、だから保険料は四〇%も占めておるというので、四〇%のうちで八〇%だけを下げて保証料を下げていく。これはほんの微々たるものでございますけれども努力はしておりまして、その度合いをかなり心配しなければいけないし、最終的にはなくする方向でいくべきである、またそのように指導していきたいと思います。
  140. 松尾信人

    ○松尾委員 大蔵省のほうに聞きますけれども、二月二十八日に銀行局長通達が出ておりますね。これは選別融資の強化であります。この通達の中で、零細な中小企業に対してどのような配慮をするか、中小企業に対する配慮についてどのように通達が出ておりますか。
  141. 吉野良彦

    ○吉野説明員 二月二十八日の銀行局長通達は、最近のいわば一種の異常事態に対処いたしますために、主としては過剰な在庫の積み増しとか、あるいは過剰ないわば土地の抱き込みというようなものに対処するために、各金融機関に協力をお願いしたものでございますが、この通達におきましても、特にいわゆる健全な中小企業に対します選別融資の強化が結果的に不当なしわ寄せを生ずるようなことがあってはならないというのが大前提になってございます。そういう意味におきまして、この通達の本文の中におきましても、「健全な中小企業経営に不当にしわ寄せされることのないよう配意しつつ、」ということで、特に前文に文言を掲げまして、金融機関の注意を促しているということでございます。
  142. 松尾信人

    ○松尾委員 いま一口に中小企業とおっしゃいましたけれども、あなたたちの頭に描いておる中小企業というものと、質問している私の言っている零細な——保証も必要とするようなそういう人のことをわれわれは中心に論じている。だから、スーパーだとか、百貨店等に対する資金の選別融資、こういったものはわかります。ある点わかりますけれども、零細なるそういうものに対することはどうなっていくのか。そういうところは配慮があるのかどうか。ぼくはこの通達の内容をあとで資料要求したい。そしてあなたたちの考えがほんとうに末端ということを考えているのか。末端というのが一番多いわけですから、もう五十人以下、卸、小売り業、これは九九%はそういうものが占めておるわけです。ところが、あなたたちはそういうことは頭になくて大きな中小企業を考えておるじゃないか、これが一つですよ。  それから通達の内容がぼくにはわからぬ。あとでちょうだい。  それからもう一つあわせて聞いておきますけれども、さらに最近窓口規制中小向けを強めていこう、このような方針がとられておりますね。これはどうですか。四、五、六の三カ月間の窓口規制を一−三月より中小企業に対しましてさらにきびしくする、そういうことを言っておるわけでありますけれども、この中小企業というのはどこですか、どういう中小企業ですかということをあわせてお答えください。
  143. 吉野良彦

    ○吉野説明員 日銀窓口規制の問題でございますけれども、これはもちろん日銀が実施をするわけでございますが、まだもちろんのこと四月−六月分について日銀のほうで方針を決定したというようなことは私ども承知をいたしておりません。しかも、これは当然のことでございますが、中小企業に対する金融を一段と引き締めていこうというような考え方日銀側にもあろうとは私ども思われないというのが率直なところでございます。
  144. 松尾信人

    ○松尾委員 それは特別にあるんじゃなくて、都市銀行等においては中小企業への貸し付けをもうやめようというような方針らしいのです。そうして中小企業専門機関にだんだん移していこう、もう都市銀行なんかは資金余裕はないんだというので、要するに都市銀行中小企業向け融資を締める、それは全部かぶるじゃありませんか。あなたはそういう金融関係でありますから、動きというものはよく見ておかれませんといけないということですね。そして日銀考え方は、都市銀行の分で中小企業向け資金余裕はもうないんだ、ですから専門機関のほうへだんだん移していくんだ、そこをがっちりと押えますと、都市銀行のほうもだんだん窮屈になってきますし、それが零細にいけばいくほどきびしくなってくる、こういうことをぼくは言っている。知らなければ知らないでいいから、そういうことがあるということは、きょうひとつこの質疑の中で心にとどめて、それでがっちりと守ってもらいたいという立場から申しておるわけです。いいですか。
  145. 吉野良彦

    ○吉野説明員 先生おっしゃいますように、金融引き締めの過程におきましてもやはり中小企業には特段の配慮を加えるべきことは、私ども当然のことというふうに考えております。先生の御指摘でございますので、今後とも私どもそういう考え方をよく念頭に置きまして、誤りのないようにしていきたいと考えております。
  146. 松尾信人

    ○松尾委員 このように、かねがね選別融資、差別金融ということで、中小企業は非常に高金利ということで苦しんでおる。一月、二月の倒産件数はやはりふえております。三月−六月にかけての倒産件数というものが心配されておるわけでありますけれども、きめのこまかいということをいつも長官おっしゃるわけでありますけれども、いま単にこの金利の問題を申しましてもいろいろ問題があるわけでありますが、倒産問題をひっくるめて、金利の問題も含めてどのように対処されていこうとされるか、聞いておきます。
  147. 外山弘

    ○外山政府委員 私も、四月以降やはり中小企業に対してきびしい環境がますます加わってくるのではないかという懸念を持っております。したがいまして、先ほども申し上げましたように、金融上の配慮というのは引き続き必要だと思いますし、さらに信用補完制度というかっこうでも中小企業に対する支援を強化するということが大事である。今般の法改正は、その上で今回の措置にも非常に貢献するというふうに私自身考えているわけでございます。結局いまのところ倒産件数は確かに十二月に最高になりまして、一月、二月と、一月、二月としては非常に多い数字でございますが、八百件台にとどまったわけでございます。しかし、一月、二月としては非常に近年になく高い件数を示しておりますし、三月以降はますますその件数上でもわれわれにとって非常にきびしい姿を示すのではないかと思うわけでございまして、いま申しましたような金融措置あるいは信用補完の措置を含めまして中小企業に対する、中小企業のそういったきびしい環境に対応する配慮をしてまいりたい。その際に金利の問題をどうするかということがどれだけ必要かという問題がございます。確かに特定の分野について特別の金利でやるということは、あるいは必要な面が出てくるかもしれません。先般もネオン等についてはそういう配慮を若干でもいたしたわけでございますが、しかし一般的には、やはり倒産を防止するための金融としては、なるべくその需要に応ずるような配慮が広く行くほうが大事かもしれない、こういう点も考えるわけでございます。政府系三機関が窓口で適切な判断のもとに配慮をして中小企業に対するあたたかい措置を講じてもらう、私どもはそれに対する原資の供給について大蔵当局とよく御相談するということでいったらいいのではないか、こう考えておるわけであります。
  148. 松尾信人

    ○松尾委員 そういうことにからみまして、保証協会の体質の問題でありますが、これはどうもやはり代位弁済をできるだけ少なくしよう、これはまた、保険事故がかりに起きても回収率をいい状態にしておこうというようなかっこうで、おれは保証をやってやるんだというような姿勢が非常に見受けられるのであります。せっかくたよりにして保証協会に行った、苦しくて相談に行った、そうすると、どうも保証協会自体の体制というか、体質ですね。資金というものを背景に、おれは貸してやるんだというような、そういう態度が非常に強い。そして、代位弁済を少なくしよう、かりにひっかかっても取りやすいような状態でなくちゃいけないからというので、非常にきびしいのですね。いわば普通銀行のような立場をとられておるように感ずるわけです。これは、皆さまは強い権力のもとにおられるから実情は御存じないと思うのですね。実情というものは非常にきびしいものがある。ですから、これはほんとに中小企業者の、保証協会にかけ込むような人々の立場、そういうものを深く理解しておいて、そして中小企業政策の最前線におる、その政策を実行する機関であるというような認識がないのじゃないか。中小企業の立て直しをあらゆる面からひとつ応援してあげましょうというような、相談を受けて、そしてあたたかい気持ちでこたえていくというようなものが欠けておると思うのです。このようなことでは、この石油ショックで非常に困っている、その最前線が保証協会等という金融機関でありますが、どうも政府のここで答弁されておる、一生懸命やっていきます、社会政策でも考えておるんだ、このようなお答えと最前線というものはどうもぴしっとつながっていない感じが非常に濃厚であります。ですから、やはり政府の基本姿勢というものをほんとうに理解をさせて、そして一体となって中小企業というものを育成強化していく、その立場における資金の供与であるというようなものがありませんと、ほんとうにこれはトラブルのもとになっておるわけでありますけれども、これは政務次官なりまたは長官からお答え願いたいと思うのです。
  149. 森下元晴

    森下政府委員 保証協会の使命は、やはり中小企業、零細企業の方々の味方になって貸し出し保証をするところにあると思いますし、また通産省といたしましても、社会政策ということで指導しておるのでありますから、この趣旨をよく徹底費せまして、ここが障害にならないようによく指導監督いたして、できるだけ多くの方が便利に、しかも安い金利で利用できるように、そうして中小零細企業企業的に伸びるように、そういう指導をしていきたいと思います。
  150. 松尾信人

    ○松尾委員 当然と思います。  この信用補完制度自体は、かりにその中で信用保証の例をとりましても、事務をスピード化するということがいまお答えの中の一環として大事であろうと思うのです。非常に時間がかかるということ、それから何やかやむずかしい資料を要求したり、むずかしいことを言うわけですよ。どうかすると指導員とかなんとかで、どんぶり勘定のところを指導までしていかなければできないような、そういうところが一ぱいあるわけでしょう。だから今度ふやしたわけですね。現実にはそういう人が来るわけです。ですから、いわば手間もかかるし、めんどうはめんどうでありますけれども、そういう中からいかにスピードアップをするかという問題については、一件当たり処理の時間とか日数等はよく把握していらっしゃいますか。これはなかなかむずかしい問題でありまして、もうやけくそになりまして、もうそんならいいや、こういうむずかしいことを言うし、うるさい、そうしてわかりもしないことをいつまでも聞かれるということで、高い金利のほうへ走って、また体質を弱めるというような実例がたくさんあるわけですよ。この点はいかがでしょうか。
  151. 若杉和夫

    ○若杉説明員 かなり保証協会によって、また種類によってばらつきがあることはいなめません。平均だけを申し上げますと、担保つきの場合三十日くらい、無担保無保証のやつだと一週間前後、七日くらいというのが出ていますが、これは平均でありまして、確かにおっしゃるとおり二、三カ月かかるという苦情があるのも耳に入ってきております。したがって、われわれとしては、そういう面についてできるだけ強力な指導をこれからも絶えずしていかなければならないと思っています。
  152. 松尾信人

    ○松尾委員 大体その都市、都市に借り手がおればいいんですけれども、遠方におるわけです。そうしますと、忙しい仕事の中から、それをやめて、往復の時間に三時間も四時間もかかるわけです。そうしてその窓口ではああでもない、こうでもないと言われて、またいらっしゃい、こんなものを持っていらっしゃいというわけで押し問答しているうちに、一週間とか十日とか一カ月たってしまう。これではもうたまりませんよ。即戦即決で何が何でもあいまいなものを貸せとは言いません。しかし、そこのところへ何とかばちっとした一つ審査基準というものがあって、それでやっていくというくらいのことはできませんか。
  153. 若杉和夫

    ○若杉説明員 担保をとるのが一月くらいかかるわけですが、二つありまして、初めてお目見えするのと、毎回やっているのとあります。毎回やっているのはずっと早いわけです。初めて来る人というのは聞いてもわからぬということで、地元に大体企業を見に行くわけです。そういう問題もありまして、やや長期化するきらいがどうしても出ます。いまおっしゃるのは全国的に何か統一した指導でも出さないのか、こういうことでございます。拝聴すべき御意見だと思います。いろいろ多様性がありますので、あれは一律に強制することはできませんけれども、研究会を設けまして、一定の何か標準みたいなものをつくって、できるだけ各協会それに合わせていこうじゃないかということを指導することは非常にいいことだ、こう思いますので、努力してみたいと思います。
  154. 松尾信人

    ○松尾委員 大いに努力してもらいたいですね。  それから保証協会別に業務方法書、また定款というものによりまして保証の条件に違いがあります。これは地域によるばらつきという問題になるわけでありますけれども、こういうものをできるだけスムーズにやるような方法、それから保証基準についても、弾力的な運営をしていく、このような行政指導がいまこそなされていいのじゃないか、こう思うのであります。  それから、あわせて申しておきますけれども、この保証料の率も、この基本料率というものについて、これは全国的にできるだけ統一していく。資金コストがどのように違うのか。そういうものは行政指導等によって調整しながら、中小企業貸し出しの基本料率くらいはばらつきのないような保証料率、それから非常に高いものが各県にあるわけですが、そういうものの調整という面における考え方はいかがでしょうか。
  155. 外山弘

    ○外山政府委員 まず第一点の保証条件審査基準、これがばらばらではないだろうか、こういう御指摘でございます。協会ごとの経営基盤あるいは地方公共団体の運営の援助の差、地域の特性、こういったことがございますので、御指摘のように差があるわけでございます。保証協会というのは、もともと地域の実情に即応した弾力的な運用をやっていくということになっておりますから、ある程度そういったことはやむを得ないと思いますし、また逆に保証条件とか審査基準が著しくきびしいというふうなことがあれば、これは中小企業者に対する十分な信用保証を与えていないかもしれない。もちろん保証協会の経営の健全性を保つことも必要でございますけれども、やはり中小企業者の信用保証事業にこたえるということも大事でございます。したがいまして、両者の点を踏まえながら、できる限り中小企業者の立場に立って保証条件の緩和あるいは弾力的な運用ということをやるように指導していかなければならない、こう考えております。また、従来もそういったつもりでやっておるわけでございますが、やはり協会ごとの差があるということはどうもいなめない事実だろうと思いますが、できるだけ先ほどのような判断のもとに指導してまいりたい。  それから、もう一点の御指摘でございます保証料を全国的に統一したらどうだろうか、こういうことだろうと思います。いま申しましたように、保証協会はいろいろその運営に差がございますから、全国的に一本の統一保証料金ということは困難でもございますし、また必ずしも適当ではないと思います。ただ、中小企業者の負担の軽減をはかるということがたいへん重要でございますし、保証料の引き下げについては、先ほども申しましたように今後も努力をいたしまして、できるだけ一%くらいまでに早く持っていきたい、こう思っておるわけでございます。したがいまして、保証料率の高い協会で自己努力ではなかなか引き下げられないというところに対しては保険公庫からの応援をもっと行なうというふうなことも含めまして、なるべく全国的に低い保証料が普及するように努力を今後も続けてまいりたい、こう思います。
  156. 松尾信人

    ○松尾委員 この新規事業開始に対する融資の問題でございますけれども、これは非常に金融機関がきびしい。ですから、信用保証協会の窓口もやはり同じくきびしいわけでありますけれども、課長さんからは、初めてのお方はなかなかわからぬからいろいろ聞くことも多いのだ、それでおくれるというお話でありますけれども、これは中小企業が新規事業をやろう、また、何か事業へ転換をやろうというわけで新規になっていくわけでありますけれども、こういうことはやはり政策的な意味政策金融というものを生かす意味からいっても、信用保証協会等がそのような新規事業の融資の突破口になるというぐらいの気持ちがありませんと、これは育成にもなりませんし、強化にもならぬ。新規だから内容はわからぬ、徹底的に調べてからやるのだというのが普通でありまして、それをほんとうに何とかして伸ばしてあげようというのが政策金融になるわけでしょう。そういう点の考え方というものはどうかということと、最後のその前の質問になりまするけれども、まあ今回の改正の根拠はよく納得はできるわけであります。しかし、今回の改正というものが、中小企業の範囲の改正というものに伴いまして借り入れ金額が上位のものにだいぶ吸収されてしまうんじゃないか、平均値というものを高めていくから。このように今回のいろいろの改定というものがなされていく、しかし、ほんとうに困っておる、保証を要するような零細中小企業というものに対する配慮というものからいえば、私はかけ離れているような感じもするわけです。ですから、今回のこの保証額の引き上げだとか、借り入れ限度額の引き上げ等がありますけれども、そういうものを含めて、何といってもこの網の目から漏れていくもの、ほんとうに事業所の数からいっても九〇%もあるような、そういうものをほんとうに対象にしまして、これこそきめがこまかくて強い網の目をそこに張っていかなくちゃできない、こう思うのですが、あわせてお答え願いたい。下のものがほんとうによかったというそういうものに今回の改正がつながっていかなくちゃ意味がないじゃないか、こういうことであります。
  157. 森下元晴

    森下政府委員 中小零細企業の中でも、中小企業等においては大企業に負けないような体質のものもあると思います。そういうところにそういう資金が吸収され過ぎまして小企業とか零細企業に回らなくならないように、そういう心配をしながら、この法案の目的はやはり政策金融的な、いわゆる社会政策的な意味を持っておるのだ、いわゆる弱い立場にある方々をお助けするのだ、そういう趣旨に徹しまして指導をしていきたいということを申し上げたいと思います。
  158. 松尾信人

    ○松尾委員 これが最後でありますけれども、非常に総需要の抑制、それから原材料価格の急騰、また原材料の入手難、こういうことで、これは石油ショックの大きな影響をやはり受けております。ですから、政府もいろいろの対策を考えてお  るわけでありますけれども、むしろこれは地方自治体のほうが地元の金融機関を利用して各種の、これこそきめのこまかい手を打っておるわけです。地方の自治体がそのようなきめのこまかい手を打っておる大きな理由は、国の対策がおくれぎみである、間に合わない、こういうことですね。ですから、要するに中央におけるこのような金融対策が地方に浸透する、その間のギャップが早くなくなっていけば地方の自治体でもいろいろまた別に助かっていくわけでありますけれども、このような傾向が非常に強うございます。結局は、きめのこまかい中小企業金融施策というものは、政府の施策よりも地方自治体がいつも先行しておる。これはドル・ショックの場合もありました。それからいろいろの場合に出ております。そういう中央と地方とのズレというものをできるだけなくする。特に今回は石油ショックの問題でありますから、これに対してきめのこまかい手を打つ、原材料の面で手を打つ、それから資金の面で手を打つ、物と金を彼らにきちっと与える、そして中小企業を育成強化するというのが、私は今回の石油ショックの基本的な中小企業対策だと思うのです。それにズレがあるとかなんとかでは、ぼくはそれは非常に心細いことであるし、それはもうやるべきことじゃない。そういうことをどうしていくかということ、これが最後の私の質問であります。政務次官がお答えになりますか。
  159. 森下元晴

    森下政府委員 ただでさえも中小零細企業は非常に行き詰まっておるところへ、今回の石油ショック、それにしたがいまして総需要抑制ということで銀行は金融引き締めておりますし、また、資材の仕入れ先からは手形のサイトを縮められる、また現金化を迫られる、非常に苦しい内容になっておることは事実でございまして、この保証協会等を通ずる融資につきましても、いま先生のおっしゃったような趣旨にのっとって指導していきたい。同時に、これだけでは私は十分でないというようなことを考えまして、いわゆる中小三金庫で貸し出ししておりますものの、これも御承知のようにワクを広げる、また全体のワクも広げる、こういうのを併用して万遺憾なきを期して、そして政策金融的な役割りを果していくように指導していきたい、こういうことを申し上げたいと思います。
  160. 松尾信人

    ○松尾委員 このような法律の改正、いろいろ貸し付け限度の引き上げ等がなされるのはけっこうでありますけれども、やはりそういう網の目から漏れておるたくさんの人が現実におる、そういう人を救っていく。倒産件数等も、やれ何千万とかいうような、大きなところの計算でありますけれども、ほんとうに事業所の九九%を占めるような零細中小企業統計にも載らぬわけですよ。それらがほんとうに浮き沈みしまして苦しみを味わっておるわけでありますから、このような政策の面に載らない、法案の改正にも載らないようなところが一ぱいあるのだ、そういうところにひとつ納得のいく政策を今後おとりになるように、これを強く要請しまして、私の質問を終わります。
  161. 塩川正十郎

    ○塩川委員長代理 次回は、来たる十九日午前十時より理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十八分散会