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1974-03-12 第72回国会 衆議院 商工委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月十二日(火曜日)    午前十時五十分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    稲村 利幸君       浦野 幸男君    小川 平二君       越智 伊平君    越智 通雄君       粕谷  茂君    木部 佳昭君       小山 省二君    近藤 鉄雄君       塩崎  潤君    橋口  隆君       八田 貞義君    保岡 興治君       岡田 哲児君    加藤 清政君       加藤 清二君    佐野  進君       山崎 始男君    渡辺 三郎君       野間 友一君    近江巳記夫君       松尾 信人君    宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君  出席政府委員         経済企画庁長官         官房参事官   有松  晃君         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         通商産業省生活         産業局長    橋本 利一君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君         中小企業庁長官 外山  弘君         中小企業庁次長 小山  実君         中小企業庁計画         部長      吉川 佐吉君  委員外出席者         議     員 左藤  恵君         議     員 板川 正吾君         議     員 野間 友一君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         中小企業信用保         険公庫理事   黒津兆太郎君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 三月十二日  辞任         補欠選任   玉置 一徳君     佐々木良作君 同日  辞任         補欠選任   佐々木良作君     玉置 一徳君     ————————————— 本日の会議に付した案件  伝統的工芸品産業振興に関する法律案左藤  恵君外八名提出、第七十一回国会衆法第六五号)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六二号)      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  第七十一回国会左藤恵君外八名提出の自由民主党、日本社会党日本共産党革新共同、公明党及び民社党共同提案にかかる伝統的工芸品産業振興に関する法律案議題といたします。  質疑申し出がありますので、これを許します。宮田早苗君。
  3. 宮田早苗

    宮田委員 伝統的工芸品産業振興に関する法律案に関しましては民社党も異存のないところでありますが、不明な点を二、三ただすとともに、法の運用について簡単に要望をいたします。  まず一点は、第二条の「伝統的工芸品指定」、第三条の「振興計画作成」及び「認定」並びに第八条の「表示」、この三つの条文の関連についてであります。通産大臣によって指定されて、金融、税制上の優遇措置を受けるための振興計画が妥当であるという認定を受けなくとも、その製品に表示を付することができるような法の運用はできないかどうかということであります。  なお、この法律制定の動機の一つに産地の振興とか品質確保というねらいがあったと思います。振興計画認定という段階を踏まえなくとも伝統工芸品としてのマークをつけられるようにすべきだと思うが、この点についてお伺いいたします。
  4. 板川正吾

    板川議員 お答えいたします。  この法律は、もちろん伝統工芸品指定を受け、そして振興計画作成して通産大臣認定をしていただく、その上に立ってこの振興計画に対する国や県の自治体の援助がある、こういうたてまえに立っておるわけであります。しかし、伝統的工芸品の第二条によって、二条の要件を満たしておれば、まず第一に指定を受けるわけでありますから、指定を受けて振興計画作成あるいはその認定を受ける期間、第八条の表示が必要だ、こういう協同組合等があると思います。法のたてまえから考えましても、二条の認定を受けた後、この振興計画作成する段階でまだきまらない段階でも表示ができ得るというふうに私ども立案過程では考えておったわけであります。当然さようになる、こう思います。
  5. 宮田早苗

    宮田委員 もう一つは、振興計画認定を受ける協同組合等という第三条の一項の表現でございますが、伝統工芸品業界によりましてはその組合が資材の共同購入方式をとっている場合があります。このような原材料を供給する業者協同組合を組織したとします。そうしますと、この法律の適用を受けられるものかどうかということでございます。特に伝統工芸品を製造する事業者が直面しております最大の難問は、後継者をどうするかということと、もう一つは、原材料安定的手当てをどうするかということであります。谷間の中小企業者を救済するための法律なのでございますから、原材料供給業者育成という大局的見地から協同組合組織化育成化をこの法律に沿ってやったらどうかという希望もあるわけでありますが、その点について一言お答え願いたいと思います。
  6. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 お尋ねの点でございますが、伝統工芸品に使います原材料そのものが本法案第二条の指定要件に合致しておるという場合には、伝統的工芸品としての指定を受け、直接この施策対象になるかと思います。ただ、一般的に申し上げますと、原材料というものが幾つかの指定要件の中で日常生活の用に供するという要件に合致する場合はむしろ少ないのではなかろうかという気がいたすわけでございます。しかし反面、その伝統工芸品振興計画の中に原材料確保対策等もございますので、指定された伝統的工芸品育成過程において原材料事業者もそれだけ育成されていくということも考えられますし、またかたがた、より積極的にその原材料業界育成する必要がある場合には、一般的には諸般の中小企業対策を活用するということもございますし、また糸だとか織物といった繊維品につきましては、現在御審議いただいております繊維の新しい法律に基づきまして十分その育成もはかり得る、かように考えておるわけでございます。
  7. 宮田早苗

    宮田委員 最後でございますが、伝統工芸品の範囲についてでございます。「日常生活の用に供されるもの」の中に、日常生活にとけ込んだ伝統ある民芸品というものもあるわけでございますので、これも入るというふうに解釈をしてよろしいのですか。
  8. 板川正吾

    板川議員 民芸品といわれるものが第二条の指定要件に該当していれば、もちろん当然であろうかと思います。
  9. 宮田早苗

    宮田委員 終わります。
  10. 濱野清吾

    濱野委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  11. 濱野清吾

    濱野委員長 内閣提出中小企業信用保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。
  12. 佐野進

    佐野(進)委員 私は、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について質問をいたすわけでありますが、実は大臣質問をしたかったわけでありますが、予算委員会の開会中でもありますし、この法案は一刻も早く成立を期したいという大方の希望等もありますので、審議を促進する意味において、大臣が出席していないのでありますが質問をいたし、もし大臣にどうしても聞かなければならぬ点につきましては質問を留保しておきまして、大臣質問をするようにいたしたいと思います。そういう意味でありますので、答弁される政務次官あるいは長官等におかれても、ひとつ責任ある立場においての御答弁をお願いいたしたいと思います。  まず第一に、私はこの法案審議するに際して、全体的な情勢について御質問をしてみたいと思うのであります。大蔵省の方、来ていますね。実は過日の予算分科会の席上におきまして、私は大蔵大臣にも質問をいたしたのでありまするが、今日の金融情勢はきわめて逼迫をしておる、特に中小企業金融については非常にきびしい情勢下に置かれている、こういわれておるわけであります。しかしその反面、過剰資金はまだ偏在をし、これが一部投機資金となって株価の引き上げをはじめ、一連の経済混乱の要素の原因になっている、こういう点はいなめない事実であろうと思うのであります。まず大蔵省当局に、金融引き締め見通しについては当分これをしていくんだ、こういうような見解の表明がなされておるようでありまするが、原則的に、現下の金融情勢と将来への見通しについてひとつ答弁をしていただきたいと思います。
  13. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 お答えいたします。  御承知のように、昨年の一月から金融引き締めにつきまして数々の措置をとってまいりまして、特に金融引き締めの典型的な姿といたしまして、公定歩合の五回にわたる引き上げとか、あるいは準備率引き上げとかをやってまいったわけでありますが、最近の状況を端的に申し上げますと、金融機関貸し出し抑制が非常にきいてまいりましたこと、それからそういうことを反映いたしまして、企業手元流動性と申しますか、私どもの判断では、マクロ的には手元流動性比率というものは、急速に金融の緩和前の姿に立ち戻っているのではないかと考えられるくらいの数字まで落ち込んでおりますし、一時非常にいわれておりました日銀券発行高、これも一四十八年五月をピークといたしまして、この当時は対前年同月比で見まして二七・九というように高い数字でございましたが、二月にはこれが二一・八というように急速に落ち込んでおります。したがいまして、金融引き締めに関する限りはかなり効果が出始めてきておるということがいえるのではないかと思います。ただ、ここに来まして、それでは経済を全般的に見まして平均的にそういう引き締めがきいておるかと申しますと、必ずしもそうもいえない。一種の跛行現象が見られるという状況でございます。これは大企業中小企業を問わず跛行現象があるという感じでございます。一部にはやはり依然として資金ゆとりが見られるということは現実の姿だと思っております。したがいまして、これからの対策といたしましては、つい最近とりました二回にわたる選別融資規制というものを踏まえて、実は金融機関を通じての企業実態特別調査というのを開始いたしております。これは、そういう跛行現象だけじゃなくて、在庫の偏在だとかあるいは資金偏在だとか、そういうものを実態的につかもうというために始めたものでございますが、こういうものを通じまして金融引き締めの現在までの状況並びにこれから一体どういう手法を用いたらいいかということについての手がかりを持ちたいと考えております。ただ、一般にいえますことは、もう相当きいてきたから金融引き締めをいまから解除するのじゃないかということにつきましては、金融引き締めはまだ当分続けていく、堅持するということは、もう基本的な姿勢でございます。  ただ、先生がいつも御心配になっておられますいわゆる健全な中小企業、こういうものを金融引き締めが強化されればされるほどきめこまかく見ていかなければならないという点は、これはもう御指摘のとおりでございますので、つい先般も政府関係中小機関から資金追加を行なうというような措置もとりましたし、またネオン業界のように特別に打撃をこうむっていると見られるものにつきまして資金の特別の配慮を行なうというようなことをこれからも続けていかなければならない、より一そう必要な状況ではないかと思っておりますが、一般的には、金融引き締めをこれからまだ堅持して続けていくということの中で、私どもとしましては、この二、三カ月が非常に長期にわたりました金融引き締めのいわば仕上がりと申しますか山場だというふうに観念いたしております。
  14. 佐野進

    佐野(進)委員 金融引き締めを引き続き強化していくんだ、こういうことでありまするが、金融引き締め産業界に与える影響は非常に大きいわけであります。私は、いま審議官答弁したように、いわゆる跛行性というか、そういう面が存在していて引き締め影響を受けてきわめてきびしい状況に立ち至っている部面と、きわめてまだゆとりのある部面とにはっきり分かれていると思うわけであります。  そこで私は、この問題になりますると一番大きな影響というか、今後将来への課題として出てくる場合に、公定歩合の問題がどうしてもからんでくると思うのであります。仄聞するところ、政府日銀とではこの問題についての見解を異にしている。私は、今日の狂乱物価と称される物価情勢を鎮静させるために、金融引き締めをなお引き続き強化していくということについては、過剰流動性が存在するといわれているときにおいて必要であるということを認める立場質問したいと思っているわけですが、そういうような場合、当然公定歩合引き上げが、いま鎮静化しつつあるといわれている状況の中においてなお鎮静化していない部面も存在しているわけでありまするから、これが非常に大きな問題の焦点に据えられると思うわけであります。私は、もう一気に鎮静させるために、もう一度公定歩合引き上げをやって金融引き締めを強化して過剰流動性をなくする形の中で、中小企業をはじめ一般経済界が安定した状況の中で運営されるようにしたらいいんじゃないかという、極端ともいえるような考えを持っておるわけであります。しかし、そういう考え方を持つ根拠には、やはり今日の情勢の中で、一般的にいわゆる大商社、大企業を中心にして多くの株式を保有している。ところが、この株式を保有しているにもかかわらず、この株が年度末を控えて二月、三月は相当金詰まりになってたいへんだろうといわれているにもかかわらず、法人株売りというものが依然として行なわれていない、むしろ大手証券会社等を通じて買い進みが行なわれている、こういうような条件が存在する。その中で、短期決戦と称する政策に大きな支障を来たしているという部面も見られるわけでありまするが、しかしこれには両面がありまして、これをやると、中小企業金利引き上げあるいは中小企業金融逼迫、こういう形になってくるおそれがあるわけであります。この相矛盾した二つの面における総合調整をしながら効果をあげていくという意味において、大蔵当局の果たさなければならぬ役割りは非常に多いと思うわけであります。  私はこの点について、公定歩合引き上げ等を通じての過剰流動性の吸収、それからこのことを行なおうとする形の中において、中小企業金融に非常に大きな悪い影響を与えるのではないか、この二つの面について大蔵当局の、これから審議する必要がございますので、前提としてのお考えを承っておきたいと思うのです。
  15. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 お尋ね公定歩合引き上げ関係でございますが、日本銀行も大蔵省も、現在の経済見通しにつきましては全く意見が一致いたしております。間々新聞で食い違いというようなのがあったかと思いますけれども、私どもそう考えておりません。特に大蔵大臣日銀総裁も、参議院、衆議院のつい先週の御答弁でも、同じように、公定歩合を現在いじるつもりはございませんというふうな御答弁を申し上げております。その背景は、やはり指標の上におきましてもそうでございますが、公定歩合というようなもので総体的な総需要抑制をさらにかけていくという段階はもはや幾ぶん遠のいたのではなかろうか、設備投資意欲の減退とか、そういうものがかなりはっきり数字の上において出ておりますので、企業家の心理を押え込むという関係から一つのねらいがございますが、そういう関係からも公定歩合をいじるという必要はもはやないのではないか、むしろいま跛行現象といわれておりますいろいろな実態をこまかく見ていくということによって、金融政策の上においてもきめのこまかい施策というものがこれから要請されてくるのではないか。資金ゆとりのあるものを対象にして公定歩合を全般的にかけたときに、それによって不当なしわ寄せが、現在でも非常にもう窮屈なところに来やしないかという懸念がございます。したがいまして、そういうことにつきましては、わりにはっきりと公定歩合的なものを考えることは現在いたしておりません。そこを申し上げておきます。  それから、大企業状況でございますけれども、実は金融が詰まってまいりました一つの姿といたしまして、法人預金がどんどん減っております。これは結局、先ほど申しました企業手元流動性というものが、金融機関に行きましても企業が金を借りられない。これは大企業に対する指標をごらんいただきますとおわかりのように、かなり日銀窓口規制がきつうございますから。そういたしますと、企業がどうしても自己資金といいますか、法人の、自分預金を取りくずして、それでもって金融をつけていくというかっこうにならざるを得ない、そういう形でやはり金融引き締めがきいている証拠であろうかと思いますけれども株式投げ売りと申しますか、そういうものがないということにつきましては、あるいは株式市場が非常に冷えておりますので、いま売れば売却の損が出てくるという点を考慮した各企業のいろいろな配慮があるのではなかろうかと思いますが、私どもとしては、いまの傾向といたしまして、金融機関からの大企業への資金の流れというのは非常に押えておる、同時に、企業が困ってきておるので自分法人預金をおろして使っておる、こういう状況でございます。ただ、一部にはやはり末端消費需要が強うございますから、つくれば売れるというような状況から、一部中小企業におきまして、先生指摘のように、金融をつけなくても、売り上げが非常に上がっておるために手元資金が非常に豊かであるというような状況というものが一部にございます。これはやはり全般的な姿とは違いまして跛行的な現象である。それが物価の動向にどういうように影響してくるかということについての非常なこれからの注目が要る段階だと考えております。
  16. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、審議官がいま御答弁になった問題に関連するわけでありますけれども、私は、いわゆる企業手元流動性がだんだん窮屈になってくる、したがって、そういう面からする効果が逐次あらわれつつある、こういう点については、あらわれている度合いがどの程度かということについて若干の認識の差がありまするけれども一般的な見方としては、そういうような傾向になりつつあると思うのです。したがって、この問題については、一番最後に、あなたに対する一番最後質問でひとつ締めくくっていきたいと思うのでありますが、その前に、そういうように引き締めが強化されている、だんだん浸透してきている、したがって、その影響が具体的に各方面にあらわれてきている、特にきびしい条件としてあらわれてきているのが中小企業関係である、こういうように結論づけることは、あなたも何も否定することがないと思うのです。中小企業関係がきびしい条件にさらされつつある状況の中で、幾つかの面があるわけです。一つには、公定歩合引き上げに関連して借り入れ金利が上昇して困っている。二つには、引き締めが特定の業者に集中される、いわゆる重点引き締めが施行される形の中において、その業者金繰りに困る、いわゆる借り入れに困るという問題が出てきているわけです。三つ目には、大企業が、それぞれの立場において金繰りに困ってきたということを条件にして、手形サイトを短縮するとか、現金比率を高めるとか、こういうような形の中でますます窮迫していくということになってくるわけであります。  そこで私は、この三つの点について大蔵当局質問したいと思うのでありまするが、一つには、引き締め重点がいま不動産建設業という形の中で施行されておるわけですが、不動産業あるいは建設業、これは大手と小規模、零細と、こう分けることができると思うのでありますが、一律にこの対策がなされている。したがって、不動産という名がつく、建設業という名がつくがゆえに金融引き締めの最重点業界として指定せられて、これに対する貸し出しはきわめてきびしく措置されている。こういうように指導されていると思うのであります。そこで、その面からくる、大手はともかくとして、小規模、零細企業者の苦しみは、今日まさに、もうことばでは言いあらわせないような状況になりつつあるわけでありまするけれども、この重点施行という金融引き締めの方針については今後とも変更しない考えであるのかどうか、この点をまずお伺いしておきたいと思うのです。
  17. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 お答えいたします。  中小企業に対しまして一律に引き締めをやるということにつきましては、私どもは、やはりきめこまかく実態に即してやっていくということが選別融資の趣旨でございますから、そのように全部こう並べて同じような調子でやるという考えは毛頭持っておりません。御指摘不動産建設業の中でも特に中小建設業は非常に困っておるという状況は、私どもも承知いたしております。したがいまして、たとえば建設規制の中でも五千平米以上の建物を建てる場合とそれ以下の建物の場合とでは、五千平米以下につきましては規制からはずすとかいうような措置をとっておるわけでございます。したがいまして、先般出しました中小機関追加融資にいたしましても、健全経営をやっておるけれども実態上は非常に苦しいというような金繰りにつきましては、この中小建設業者に対しても十分めんどうを見るつもりで用意しておるわけでございますが、一方におきましては、やはりまだ投機的な面で、不動産業が全般的に土地に対する投機——われわれから見ますと、本来ならばもうすでにこれだけ金融が締まってくれば土地投げ売りとか、あるいは土地の手放しというものがもっとあってしかるべきなのにそれが行なわれてないという点につきまして、やはり一方ではその点を注目して見ていかなければならない、こう考えております。
  18. 佐野進

    佐野(進)委員 私も、その点については全く同感であります。したがって、きめこまかな対策を立てて、健全なる企業が存立することのできるような対策をひとつ積極的にとってもらいたいと思うのです。  そこで、それに関連して、本来大蔵省は、信用組合信用金庫等に対しては、これら業種に対する貸し出しについても、一定の責任はない立場に立っておられるようでありまするけれども現実にはきめこまかな指導をやっておられるという実例を私も幾つか知っておるわけでありますが、こういうような形の中において、下級中小企業——下級ということばは適切じゃございませんが、一般中小企業金融の専門のところで、たとえば信用金庫信用組合等においても、中小企業であるといっても、一律に建設業であるというワクの中において貸し出しをしてはならないという指導が行なわれておる、こういうように聞いておるわけでございます。これは私が聞いておるわけでありますけれども、そういう事実があるのかないのか、あった場合には、それら末端における中小企業金融部面についてはそのようなきびしい措置は緩和する考えがあるのかないのか、この点についてお伺いしておきたいと思うのです。
  19. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 中小建設業者に対しまして、選別融資対象には加えておりません。したがいまして、そういうことは現実にはやっておりません。
  20. 佐野進

    佐野(進)委員 現実にはやっていないけれども、私は聞いておるわけだ。しかし、これは水かけ論でありまするし、やっていないというのが正しいと思うけれども指導としてはそのようになっているわけです。それは単に建設業だけでなく、末端にいきますると指導が相当違ってくるわけでありますから、これは中小企業庁等を通じてさらに私ども深めていきたいと思いますが、大蔵当局としても、それらの点については本来あるべき姿において運営するようひとつ指導をお願いしたいと思うわけであります。  そこでもう一つ、これは中小企業庁と関連をするわけでありまするが、三つ目の問題といたしまして、大企業金繰りに困ってくる、こういうことになりますると、結局、そのしわ寄せを中小企業に持ってくるわけであります。たとえば、金融公庫は今回五百億の緊急融資をする、昨年来二千数百億の緊急融資をするというような形で融資が行なわれる。しかし、行なわれた金が本来中小企業の手元に存在し、潤う形の中で事業が運営されてしかるべきであるにもかかわらず、これが手形サイトの短縮、さらには現金比率引き上げ、こういうような形の中において吸収されていく、こういう形があるわけでありまするが、これは大蔵当局としてはいかんともしがたい、中小企業庁の範囲に属するというように大蔵大臣も答えておられるわけでありまするけれども、これはひとつ私どもこれから中小企業庁のほうに質問を続行する中で深めていきたいと思うのでありまするが、行政的な措置として、大蔵当局としても、これらの面については単に金を出すというだけの形で、あとは大企業へそれがストレートで流れてもやむを得ないという形ではたいへん不親切な措置ではないかというような気もいたしますので、どのように措置される考えなのか、この際ひとつお伺いしておきたいと思うのであります。
  21. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 たとえば先般出しました五百五億でございますが、中小企業向けの融資に対しまして申し上げますと、やはり全体的に見て中小企業の苦しい面に対してこたえようというわけでございますから、これはやはり資金繰りを見てやるということでございます。したがいまして、その資金繰りを見た結果、その金が一体どこに流れるかという点は、それがすぐストレートに大企業に行ってしまうというふうに観念すべきかどうかについては、私どもは必ずしもそう思っておらぬわけでございます。  たとえば最近の傾向を見ますと、これはおしかりを受けるかもしれませんけれども、大企業中小企業手元流動性比率というのを見てみますと、大企業のほうはもうかなり正常に戻っておりますが、中小企業はマクロで見ますとまだゆとりがあるというような姿で来ております。にもかかわらず、こういうふうな五百億という追加をいたしますのは、やはり先ほど申し上げました跛行現象に対してこたえよう、いわば困っておる中小企業のほんとうの健全な姿に対してこたえよう、こういうことでございます。したがいまして、その辺は、資金のめんどうを見た結果それが借金の返済に充てられるとか、あるいは資材購入の買い掛けに対して払われるとか、いろいろな形になると思いますが、少なくともそれは中小企業にとってはプラスであるはずでございまして、その結果大企業にその資金が流れるというようようなことには必ずしもいかないのではなかろうかと思います。  ただ、最近のパターンといたしまして、御指摘のように、昔の形でございますと金融引き締めをやりますと大企業はすぐ下請への支払いをとめてくる、したがって手形のサイトが延びるとか、いろいろな関係中小企業に対して非常にしわ寄せが目立ってきておったわけですが、最近はその点はわりあいに改善されておりますのと、都市銀行を含めましてやはり中小企業金融に対してかなりそういうような配慮をするようになってきておるというふうな感じがいたしておりますので、大企業中小企業との関係というものは昔のように上から締めつけるというかっこうには必ずしもなっておりません。
  22. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは大蔵審議官には、要望を含めて最後質問をいたしたいと思うわけであります。  中小企業金融の問題はきわめてむずかしいわけでありまして、しかもこれから倒産数の増加が相当程度予測されるわけであります。新年度予算の中にもそれらの対策が当然盛り込まれておるわけでありますが、今後ともひとつ、大蔵省当局は積極的に中小企業金融に対してきめこまかな対策をとっていただくよう要望をしたいと思うわけであります。要望と同時に、それについての見解をお伺いしたいと思うのです。  それから通産政務次官、いま私の質問したのはこれからの法案審議に対する前提としての質問をしたわけでありますが、この質問を通じての考え方を認識していただいて、通産省当局としてはひとつ大蔵省当局と積極的な折衝の中で、中小企業金融の原則を確立していただきたい。こういうことについてのお考えを、簡単でけっこうですから、両者からお伺いして、この問題の質問を打ち切りたいと思います。
  23. 森下元晴

    ○森下政府委員 物価抑制のために昨年の秋以来総需要抑制、またそのためには金利を上げ、またかなりこの金融引き締め効果を期待し、続けておりますけれども、そのしわ寄せが先生指摘のように中小企業のほうへ来て倒産もふえておるし、むしろ大企業よりも中小企業のほうが出血をしながら非常な危機を迎えておる、特に昨年十二月に振り出した手形もこの三月期に期限が来て、非常に資金繰りが苦しいのだというようなことの陳情も実はわれわれもずいぶん受けております。そういうことで全般的な流れの中の、いわゆる物価を押えるための金融体制とは別に、やはり中小企業というものは通産省としては特に救済すべきである、いわゆるオーバーキルにならないような中小企業対策をしなければいけないというような観点から、この法案が出されたのもそういう目的でございますけれども大蔵省ともよく連絡いたしまして、角をためて牛を殺さないように、中小企業育成のために万全の対策を講じていきたい、このように思う次第でございます。
  24. 岩瀬義郎

    岩瀬政府委員 金融引き締めをこれからもまだ当分続けてまいりますので、中小企業はこれからたいへん苦しい状態が出てくるかと思います。したがいまして、私どもの行政面から見ましても、より一そうきめこまかく指導をやっていきたいと考えております。  ただ、四十九年度の措置をすでにきめておりますのでちょっと申し上げますと、政府の三機関貸し出し規模を相当大きく拡大いたしました。それから国民公庫の無担保無保証の制度を採用して拡大いたしておりますので、こういうものも含めまして、いま御指摘のような中小企業へのきめこまかい配慮をこれからも続けていくつもりでおります。
  25. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは次の質問に入りますが、中小企業庁長官と熊谷石油部長に質問をいたします。  今回の法律案は、この提案理由の説明にありますとおり、保険限度額の引き上げ、倒産関連中小企業者の範囲の拡大ということで、結論から言うならば、いわゆる今日の情勢に対応して保険限度額を引き上げるし、範囲を拡大して中小企業の救済に当たるんだ、こういうことになっておるわけでありまするが、私は本題に入る前に前提としての条件一つ取り上げまして、この問題について長官とエネルギー庁の見解をお伺いしておきたいと思うわけであります。  今日の中小企業問題を考えるとき、いわゆる大企業の進出によって中小企業がその分野を侵される、あるいは大企業の支配によって中小企業がこれに抵抗することなく埋没するというか流されていく、こういうような形の中で、その存立の基盤を失って倒産あるいはその他の条件の中で新陳代謝をしてしまう。こういうような状況が見られるわけであります。特に今日の情勢は、それに加えていわゆるドル・ショックとかエネルギー問題とか、いろいろ新しい課題が頻発する中で中小企業者はその存立の基盤が大きくゆらいでいるのが現状であります。したがって、中小企業問題を今日の時点の中で取り上げようとするならば、どうしても中小企業者が存立していくことのできるような条件幾つか取り上げて、積極的な対策を立てていかなければならないと思うのであります。ところが、今日の情勢は相変わらず小手先の手段と言えば言い過ぎでございまするが、税制、金融指導という形の中で起きつつある事態に対して前年度の実績に相対比しながら対策を立てていく、こういうような中小企業対策であることをわれわれは本質的に感ずるわけでありまするけれども、もはやその条件中小企業問題を処理することは不可能になりつつある、こういうようにわれわれは考えるわけであります。  そこで、今日一番大きな課題になっているエネルギー問題、石油問題に問題をしぼりまして質問をしてみたいと思うわけでありまするが、まず第一に、このエネルギー問題の中における石油問題、石油問題の中の大企業中小企業との分野におけるところのいろいろな問題点、こういうものがあるわけでありまするが、石油部長は大企業中小企業との分野の中における石油業界の混乱、争い、こういうものが存在していると認識しているのかいないのか、この点をまず最初にひとつ聞いておきたいと思うのです。
  26. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  今回のエネルギー危機の中で大企業中小企業の争いといいますか、そういったものがどういうふうにあらわれていると思うか、こういう御質問と承ったわけでございますけれども、石油業界の中で大企業中小企業が併存しているというところは、主として元売りと特約店及び、私どもサブと申しますが、いわゆる小売り店の関係、つまりガソリンスタンドのあたりで出てくる問題かと思うわけでございますが、元売りからガソリンスタンドまでの系列を簡単に申し上げますと、現在ガソリンスタンドが四万四千軒ぐらいございます。その中で元売りが直営しているもの、それから元売り系列の特約店が営んでいるもの、また特約店からさらにその下の段階、いわゆるサブといいますか、小売り店に品物がおろされているもの、こういった系列ができているわけでございますが、いずれにしても、いま申し上げましたようなものは、たとえばモービルでございましたならばモービルの小売りといったようなしるしがついているわけでございます。そのほかに無じるしと申しますか、元売りのサインポールの出ていないそういったものも若干はございます。いま申し上げましたのは元売り系列から特約店、小売りの段階でございますが、このほかに元売りから大商社というものがございまして、その商社が小売りを持っているといったような系列もあるわけでございます。  それで、今回の石油問題危機の中で一体どういったことが起きたかと申しますと、無じるしの小売り店、これが第一に、ガソリンあるいは軽油の供給を確保することについて非常に困難を生じた面がございました。この点は現在では解消いたしております。  それからそれ以外の系列店につきましては、それぞれの元売り会社からの購入ということで量的にはそれほどの不公平はなかったわけでございますけれども一般的にいいまして、御承知のとおり元売りが、メジャーズ等からのシッパーズユーザンスのカットということもございまして、若干と申しますか、元売りのうちの相当の数のものが特約店あるいは特約店に対するサイトの短縮をいたした面がございます。これが一種の小売りに対する経営の悪化というものを来たしているわけでございます。  また商社の問題でございますけれども、特に、大体四十五年ごろから商社が持っている小売り店のシェアといいますか、この割合はほぼ固定いたしております。まあ徐々にふえておりますが、大体固定しているといったようなことでございまして、この面で、特に今度の石油危機で大きな問題があったということは聞いていないわけであります。  それで、それでは小売り店の小売りマージンというものが今度の石油危機で一体どういうふうになったのかという点につきましては、現在までのところ、元売り仕切りの高騰に対して流通段階のマージンが圧迫されたという観点は私どもはとっていないわけでございます。これはせんだっての商工委員会でもむしろ拡大したのではないか、こういう御意見があったようでございますが、私どもも事態は同様に認識しております。ただ、それはそういった事態においての話であって、基本的に申しますれば、元売りと小売り店の段階考えてみますと、やはり政策意図と申しますのは中小企業育成する、こういった立場で進むべきであるということは当然考えているところでございます。
  27. 佐野進

    佐野(進)委員 いま、あなたの答弁で問題の存在は明らかになったと思うのでありますが、結局この前の石油危機の状態の中でいわゆる無じるしと称する方々が非常に窮地におちいった。今日なお、量は確保されたとしてもり、非常に苦しい諸条件の中に置かれているわけであります。したがって、これらの問題をどのように防ぐのかということは、石油という今日の状態の中における最大の課題の業界一つ取り上げたわけでございまして、単にこれは石油だけでなく、中小企業界全般について言えることでありますけれども、象徴的な面としていま取り上げて質問をしているわけであります。そうした場合、あなた方のほうでは商社で経営している、元売りが経営している、あるいはまた系列化として経営している、そういうような数をいま明らかにされておるわけでありますが、全国四万五千店弱の全小売り販売、いわゆるガソリンスタンドの中で三千七百、約四千がそれらの系列下にある、こういうことでありますけれども、これが将来さらに増大していく。過日中小企業分野の問題についてもここで議論がなされておるわけでありますが、そういう面からいって、これらの事業分野に対して、いわゆる商社、元売りという関係における進出が好ましいものであるとお考えであるかどうか、この点をひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  28. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  石油の流通過程におきまして、これまでは元売り、それから特約店、小売りといった系列が大部分であったわけでございますが、近年、商社系列といったものが四、五年前から非常に大きな比率を占めてきたわけでございます。これについてはいろいろな見方がございまして、元売りの直接の系列にある場合と、あるいは元売りにかわって大商社が幾つかの元売りから原油の供給を受けて、それで小売り店を持っている、こういう体制のいずれがよいかという点につきましては、私どもはまだはっきりした見解といいますか、非常に好ましいとか、あるいは非常に好ましくないとかいったような判断はいたしておりませんで、どちらかといえばむしろ中立といった感じでいるわけでございます。
  29. 佐野進

    佐野(進)委員 山形長官、すわったばかりでまだ事情がわからないだろうと思うのですけれども、いまの問題について質問してみたいと思うのです。それから中小企業庁長官にも聞いてみたいと思うのですが、いまの答弁では、どちらかといえば中立的だ、こう言っておられるわけであります。しかし私は、大商社がいわゆる末端のスタンドまで直接経営する、あるいは間接的に経営する。中小企業の分野において一つ一つのスタンドの営業状態を皆さんも見ておられてよくわかっておると思うのでありますが、せいぜい四人、五人あるいは三人という小規模のスタンドが大商社の支配下に置かれていくということが、中小企業という問題を論ずる際、どちらかといえば中立的だというような認識のもとに解釈していいのかどうかということであります。  私は、いまここに資料があるわけでありますが、たとえば伊藤忠商事、これは伊藤忠燃料というものを直接的に資本金十億円でつくって、これが共石、九石、キグナス、昭石、大協と提携して全国で九百十二店を営業しておるわけであります。さらに、この伊藤忠燃料が子会社をつくりまして、その子会社がそれぞれの地域においてこれまたそれぞれの販売店を経営しておるわけであります。いわゆる直営ないし子会社という形の中において、総数でするならば九百、いわゆる千以上の店を持って運営をしているという実態がこの際明らかにされておるわけであります。さらに丸紅は、丸紅燃料として東京に本社を置き、資本金は少ないのでありますが、九石系として百五店あるいは日石丸紅として百十店、こういうような形の中において系列店を持っております。さらに三菱商事におきましては、三菱商事として第二部、支店として二百四十一店、あるいは子会社という形の中で五十六店、その他を含めますとこれまた約四百店近い店舗を経営いたしておるわけであります。さらに三井物産におきましては、直営として三百九十店、系列といたしましてこれまた約四百店以上の店舗を経営しております。日商岩井が六十四店、トーメンが六十七店、兼松江商が約百店、日綿実業がこれまた約百店、こういうような形、これは安宅産業等々を加えますると結果的に系列の小売り店が約四千店近く存在するということになるわけであります。  このような大商社が町のスタンドと称せられるところまで進出する形の中において、小売り店舗に有形、無形の圧迫、影響を与えている。いわゆるスタンドに影響を与えておる。今日石油製品の価格問題等と関連いたしまして、この業界におけるいわゆる無じるしと称せられた店の倒産はいまや必至であるのではないかといわれるほどの状況になりつつあるわけでありまするが、これはこれら大商社がみずから経営する、あるいはまた系列を通じて経営する、そういうようなことを除くことによって中小企業として安定した経営が行なわれるのではないかと考えるわけでありまするが、両長官のこの問題についての御見解をお伺いしたいと思うのであります。
  30. 山形栄治

    ○山形政府委員 ガソリンスタンドにつきまして、いわゆる系列、また商社系列等がふえておりますことは、いま先生指摘のとおりでございます。これはだんだんと投下資本が大きくなりまして、町かどにスタンドをつくるというようなことで、土地代の問題も含めて投下資本が非常に大きくなって、現実の動きとして系列が進んでおるのはやむを得ないといいますか、それを認めざるを得ない方向であるわけでございます。  それからまた、もう一つの原因といたしまして、特に商社系がこのごろ若干ふえておりますのは御存じだと思いますが、中近東のDDオイルを引いている比率は商社が非常に多いわけでございます。ちなみに去年の九月と十二月を比較いたしますと、商社がDDオイルを引いております増加率が実に五五%九月から十二月までふえておるわけでございます。これはある意味では当時の石油危機に応じて商社が数量の確保をはかったということかとも思いますが、そういう傾向で今後DDが非常にふえてくるに応じて、商社系列が自分のガソリンスタンドを持つという傾向も当然出てくることではないかと思うわけでございます。  いまお話しのとおり、無じるしといいますか、いわゆる非常に小規模の人間で従来からやっておりましたガソリンスタンドが異常に圧迫されるのは避けるべきでありまして、われわれは現在ガソリンスタンドにつきましては新設を認めないという方向であるわけでございますが、今後認めます場合におきましても、区間距離を当然保持いたしまして、中小企業のやっておりますようなスタンドの近く、また勢力圏内に新しい強力なスタンドをつくらないような指導は当然続けていきたいと思いますが、なお、商社活動全体のあり方ということも当然からむと思いますので、ガソリンスタンド行政の観点からも一、われわれといたしまして、今後もう一回これをよく精査いたしまして、今後の行政のあり方につきまして検討してまいりたい、こう考えるわけでございます。
  31. 外山弘

    ○外山政府委員 御指摘の問題は、いわゆる大企業中小企業の分野の調整はいかにあるべきかという問題に触れてくる問題でございます。  この問題につきましては、御承知のように、ずいぶんと前から中小企業振興対策という面からいろいろな方策なり考え方なりが打ち出されているわけでございます。しかし、現実問題として現行法がございまして、それを利用していろいろ分野の問題について適切な処理が行なわれるように私どもとしては行政指導をすべき立場にございますけれども、なかなかこれも活用されないというふうな状況にございますが、御指摘のように、この問題は最近そうその重要性を帯びてきたし、またこれについてどう考えていくかということが今後の大事な中小企業政策の課題であるというふうに私自身考えるわけでございます。  商社のピヘービアあるいは大企業の社会性といったようなものが一そう議論される中で、また一方、中小企業の分野がとかく侵されがちである。大企業末端中小企業しかやってない分野に初めて出てくるというふうなケースが頻発するような昨今におきましては、この問題について真剣に取り組まなければいかぬ、分野調整に関する適切な方途というものを私どもとしても考えたいということで、いま現行法の活用という面と、あるいは実態がどうなっているかということ、また、現行法にはどういう不備があるかということ、こんなようなことを実際の問題に当てはめながら勉強しているところでございますが、何とかして適切な方途を見つけて、そして行政措置なり、要すれば立法措置考えられるようなところまで勉強してまいりたい、こう考えているわけでございます。  ただいま御指摘のような問題につきましては、やはり一般的に中小企業、大企業の分野調整と申しましても、業種、業態によりまして、また、その業種、業態の受けている課題によりまして、いろいろ一般的に処理しきれない問題点が業種ごとにはあるんだろうと思います。いま山形長官がお答えになりましたように、投下資本が大きくなるとか、扱う原油が非常に高くなるとかいうふうなことから、なかなか中小企業分野ではやりきれない面が新たに出てきているのだというふうなことも大事な要素だと思います。しかし、同時に、中小企業の販売業者がいままでりっぱにやってきているということも十分考えなければいけない。業種、業態の問題としては、私どもはやはり御指摘の点を具体的な問題点として、そして今後も勉強の材料にしていきたい。そして、いま一方的にこれがこうあるべきだということを言うにしてはまだ勉強が不足であるということを申し上げまして、お答えにかえさしていただきたいと思います。
  32. 佐野進

    佐野(進)委員 勉強が不足では困るのですが、その程度しか答弁できないというぐあいに理解しておきたいと思うのです。  そこで、私、エネルギー庁長官に御質問を続けたいと思うのでありまするが、結局、商社活動の限界というものをどこに置くかという、これは商社問題に帰結すると思うのでありますが、少なくとも大商社の進出によって末端小売り販売店がその支配を受ける。支配を受けるという形はいろいろあろうと思うのでありますが、結果的に自分の子会社をつくって店をどんどんふやす、それに対してどうこたえるのかというと、いまの長官の答弁でけっこうだと思うのでありまするが、それでなくして、資本の支配の中で系列化していく。たとえば、いま一つの店を持つにいたしましても相当の金がかかる、したがって、なかなか単独では開店できない、そこで、その会社の、いわゆる商社の下に入って店を経営する、こういうような方法もあろうと思うのでありますが、これは新しく持つ場合と既存の店との関連があると思うのであります。既存の店に対しては、いわゆる原油価格の高騰その他諸経費の値上がり、こういうことで、増担保の強い働きかけの中で系列化を促進しようとしている、あるいは油の供給という面からその系列下に組み入れ、やがては直営の方向に持っていこうとする動き、こういうことは明らかに商社の持つ巨大なる資金力と、いわゆる原材料を確保しているという形の中における巨大化しようとする欲望のあらわれの行動である、こうぐあいに理解するわけでありますが、これでは中小零細企業者は救われないわけでありますので、これらの点については積極的な歯どめが必要ではないか、こう思いますので、この点についていま一度御答弁を願いたいと思うわけであります。  さらに、時間がだんだんなくなってまいりますから、引き続き答弁を求めたいと思うのでありますが、今日いわゆる石油製品の価格の問題がたいへん大きな課題になっております。これは予算委員会でやっておりますから、私はここで取り上げてこの問題を議論しようとは思いませんが、しかしこの問題に関連いたしまして、いわゆる商社等の系列下にあって経営している企業と、そうでない小売りを専業としている企業との間においては大きな格差が生じてくると思うのでありますが、この点につきまして、行政指導によって価格を決定しようとされているエネルギー庁といたしましては、どのような観点に立って対処されようとしておるのか、いわゆる一般石油製品については、受け取った利益を吐き出させるという観点に立って措置をしておられると思うのでありますが、いわゆるマルじるしその他の企業においては受け取った利益と称するものが微弱であり、失なおうとする損失のほうが非常に大きいと目されているとき、きめこまかな対策が必要であろうと思うのでありますが、この点を含めて御答弁をお願いいたしたいと思うわけであります。
  33. 山形栄治

    ○山形政府委員 御指摘のとおり、これからの動きから見ますと、だんだんと油が上がりますし、金融引き締めが行なわれておるわけでございます。私、率直に、そういう先生の御指摘のとおりの傾向が出る可能性があるということは認めざるを得ないと思います。  非常にむずかしい問題でございますけれども、先ほどもちょっと触れましたように、商社の実質上保有しておりますスタンド、その近辺のスタンド、その辺の実態をぜひ一回、私、調査してみたいと思います。これは実際の動きと契約の動き、または金銭の貸借の問題等、なかなかつかみにくい点があろうかと思いますが、そういう点も含めまして、一回、調査をいたしたいと思うわけでございます。  それから、現在石油価格の値上げについて政府内部で検討を進めておるわけでございまして、現時点ではまだ各省間の調整がついておらない段階でございます。  ただ、私の現在の感じを申し上げますと、非常なる値上がりになりますので、これを物価対策という観点からできる限り低く押えるということが一つの原則でございます。それから末端価格につきましては、これまた非常に複雑な様相を呈しておりますけれども、特に民生に非常に直結いたしております灯油、LPG等につきましては、当面の価格の据え置きを考えたいと考えております。また、できましたらガソリン等につきましても、これは非常に競争の激しい業種でございますし、末端で非常に数多くのドライバー及び中小企業、農業等が使う油種でございますので、この辺につきましても、指導価格を設定して、それで当面指導していくのが一番妥当ではないかという考えを持っておるわけでございます。  受け取った利益の吐き出しというような問題につきましては当然のことでございますが、去年の十−十二で非常にもうけたといわれておりますものは当然これを吐き出していただく、それで新しい価格体系の設定の中でこれを調整していくという考え方で進んでおるわけでございます。なお、いま御指摘中小零細なガソリンスタンドにつきまして、こういう異常なる石油価格の高騰の中でこれをどうするかということにつきましては、おそらく金融措置で当面何らかの措置を必要とすることではないかと思いまして、現在その辺につきましても検討を続けておるわけでございます。
  34. 佐野進

    佐野(進)委員 いまの最後の点でありますが、私が申し上げたいことは、いわゆるマルじるしをはじめとする中小経営者が今日の政策の犠牲においてその存立の基盤を失う、こういうことのないようなきめこまかな配慮が必要ではないか、こういう点を強く指摘いたしまして、今後ともどれらの部面について積極的な対策をひとつ立てていただきたい、取り組んでいただきたいということで質問を終わりますので、エネルギー庁長官には退席をしていただいてけっこうであります。  そこで、本題に入りますが、中小企業信用保険法改正問題につきまして中小企業庁長官を中心にいたしまして御質問をしてみたいと思うわけであります。  まず第一に、今回の法案は提案理由の説明にもありますとおり、「保険限度額の引き上げ」さらに「倒産関連中小企業者の範囲を拡大する」こういうことでございますが、この提案の真のねらいは一体どこにあるのか。すなわち昨年のオイルショックに対応してとられた措置として認識していいのか、あるいはそうでないのか、この点質疑に入る前提としてお答えを願いたいと思います。
  35. 外山弘

    ○外山政府委員 今回の法律改正につきましては、その提案理由でその事情について申し上げてございますが、中小企業信用補完制度ということの内容から見まして、中小企業資金需要に応ずるための保険限度というのは、それぞれの状況の中でできるだけ適切な限度にしていかなければいけない、実際の中小企業資金需要借り入れの残高というふうな点で見ましても逐年上がっているわけでございますが、それを反映して保険限度を引き上げるというようなことが非常に大事なポイントであるというふうなことで、限度の引き上げというものは常に私どもとしては実情に合うような検討をしているわけでございますが、今回もいろいろな状況から見て今回のような限度の引き上げをしたいということが一つでございます。  もう一つは、いま御指摘の問題点が重なってくるわけでございますが、最近のように中小企業に対するいろいろな環境の激変ということからくる特別な資金需要というものがやはり出てくるわけでございます。そういったときに適時適切な保険限度の引き上げということをやるにしては現行法は決して十分なかっこうにはなっていない。ことに最近のような原材料不足というような問題を契機に中小企業がどういう影響を受けるかというようなことをいろいろ見てまいりますと、やはりこの際、倒産関連保険というようなことと同じような考え方、つまりその考え方を豊富にいたしまして、そしてやはり適時適切な保険限度の引き上げが個別企業ごとにできるような根拠を設けることが現在の状況あるいは今後の展望される状況の山で必要ではないか、こういうふうに考えたわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、もうすでに起こりつつある事情、あるいは今後に起こるかもしれないという中小企業をめぐる困難な事情、そういったことに備えて今回の保険法の改正はぜひ早く実行に移したい、こう考えます。したがいまして、先生指摘のようにオイルショックのために考えたのかといわれれば、そういうことにも役立つという自信はございます。しかし、それだけが動機のすべてではないというふうなことでお答えしたいと存じます。
  36. 佐野進

    佐野(進)委員 そういたしますと、毎年のように改正をしているわけですね。もう少しひとつ長期の見通しに立って日本経済の中における中小企業者の置かれている立場、これはその条件が悪化する方向に大きく動いておるわけでありますけれども、その長期的な展望に立っていま少しく勇断を持って改正をする、小手先で、毎年少しずつドルショックが来たらこうだ、何が来たらこうだということでなく対策に取り組むことが最も必要ではないか、こういうように考えるわけでありますが、この点についての見解と、それから中小企業信用保険公庫のほうから理事が来ているようでありますけれども、これらの改正が中小企業保険についてどのような役割りを果たすというふうに見通しておるのか、その点についての見解をこの際聞いておきたいと思うわけであります。
  37. 外山弘

    ○外山政府委員 確かに御指摘のように、各保険種別につきまして、毎年とは申しませんが、引き上げているケースがここ数年続いているわけでございます。この点は先ほども申しましたように、やはり実情に合った保険限度の引き上げというふうなことで私どもはそのつど措置をしているわけでございますが、いま御指摘のように、それではもう少し長期に考えて、やがてこのくらいの限度にもなるのではないか、したがって四、五年分、極端に申しますと、借り入れ残高の伸びというものはある程度過去の時系列から見てもわかるわけでございますから、それである程度先を見た限度にしたらどうか、こういう御提案だと思うのです。しかし、よく考えてみますと、私どもから見ますと、やはり中小企業者立場だけを見ますと、保険限度が高ければ高いほどいいかもしれません。しかし同時に、これはやはり信用保証というふうなことを通じて中小企業のためのささえをするわけでございまして、そのためのいろいろな経費と申しますのは国の財政資金も役立ちますし、地方公共団体の金も役立ちますし、それからまた全国の保証協会が健全な運営をしながらそのときの実情に合った信用保証業務をやれるようにこれを応援する、しかも必要にして十分な応援であり、かつまたオーバーでない応援でなければならない、こういうふうな角度も必要であろうと思います。したがいまして、やはり適時適切な限度ということをもってそれに対応したいろいろな財政政策なり金融政策で保証協会を応援する、こういったことがやはり政策としては大事なのではないだろうか、こういうふうに考えるわけでございまして、それがまた法律ではっきりと限度というものを数字で書いているというふうな事情にもつながっているのではないか、こう考えるわけでございまして、できるだけ先のことを見越した考え方をとりたいとは存じますが、同時に信用保証業務に対する国の関与のしかたという面から見ますと、やはり適時適切な限度ということが大事なポイントにもなるだろう、こう考えるわけでございます。
  38. 黒津兆太郎

    ○黒津説明員 私ども全国にございます五十二の保証協会の保証に対応いたしまして保険を実施しておるものでございますが、現在の情勢といたしまして、私どもの扱います各保証協会の行ないます保証につきましても、一件ごとの金額というものが非常にふえてまいっております。最近で申しますと、全体の平均でございますが、一件当たり二百万円程度でございましたものが、最近は二百四、五十万円になっておる、こういうふうなことでございまして、それぞれの保険種別ごとに相当金額の大きな需要が出てまいっておるということでございまして、御承知のごとく、私ども運転資金の占める割合が大体八割くらいでございます。運転資金は、現下の動向といたしましてやはり相当かさ高になってまいります。こういう情勢はやむを得ないところだと存じます。私どもとしましては、明年度の予算要求にあたりましても、中小企業庁並びに銀行局と御相談いたしまして、やはり最小限度このくらいの限度上げが必要であろうということで、現在御提案申し上げているような限度上げを行なうということが時宜にかなった適切な措置ではないかというふうに考えたわけでございます。  さらにまた、倒産関連保険の拡大でございますが、倒産につきましては、前々から現在の規定でもってある程度の実績をあげておりまするが、今後いろいろ予想されまする諸般の中小企業に対する特殊事情の反映というふうなこともございます。エネルギー危機も含めまして、そうしたことの適切な対策をとるという意味合いにおきまして、私どもとしましても倒産関連の範囲が拡大されまして、タイムリーな施策がとられることが非常に喜ばしいことと存じます。私どもとしても、今回の法案につきまして全面的に歓迎すべきものということで御相談にあずかりまして、本法案の一日も早い成立を待望しておる、こういう状況でございます。
  39. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、具体的な質問に入りますが、その次の問題としましては、今日いわゆるオイルショックが中小企業に与えている影響はきわめて激しいものがあるわけであります。長官は、まあそれだけではございませんと言っておられますけれども、私どもはむしろそこに焦点を当てて、あたたかみのある対策中小企業政策として実施していっていただきたい、こういうふうに考えざるを得ないわけであります。特に今日オイルショック、引き続いての金融引き締めの強化、それに基づく金詰まりの影響は各企業に、先ほど版行性があるとは言いましたけれども、激しい影響を与えているわけでございますので、そういう面から各企業はそれぞれみずからの存立を守らんとするために積極的な対策を立てて手を打っているわけであります。  その一つといたしまして、先ほど大蔵省当局にも質問申し上げましたけれども、結果的に大企業は手形のサイトを短縮する、さらにまた現金比率を高める、こういうような形の中で大企業金融の緩和——緩和と申しましょうか、大企業金融を行なっておるわけであります。私は一つの例といたしまして製陶業界の中でもそのようなことが行なわれておるということを聞いておるわけであります。これが事実であるか、ひとつお調べになっていただいて、そのような事実があるならば具体的な対策を立てていただけるものであるかどうか、この際御見解をお聞きしておきたいと思うのであります。このことの持つ意味は、将来政府資金が多く出される、さらにまた限度が上がる、こういうような形をとりましても、結果的に中小企業を素通りして大企業のところへその資金が流れていく、それをどうやって食いとめるかということについて重要な意味を持っている、こう思うから質問を申し上げるわけでありますが、東洋陶器の場合、いままでは納品して買うなら買った場合、三十五日間の期間を置いて締め切りをする、さらに支払いについては百二十日の手形をもって支払いをする、こういうような形になっていたのが、十五日縮めて締め切りは二十日、そして短縮については二カ月、こういうような形の中で短縮をして、中小企業の方々がその条件に合わざる限り品物を売らない、こういうようになってきている。いわゆる現金比率を高める点については、いままでオール手形であったのに、その上にさらに二〇%の現金を積まなければ品物を売らない。今日原材料の不足が叫ばれているとき、そういう条件を整えてでも買わなければ仕事にならないという小規模企業がたくさんあるわけであります。そういうようなことが現実の面としていま行なわれているわけでございまするけれども、これは単にこの業界だけでなく、相当広範にわたっているようであります。中小企業庁のお調べになった資料によっても幾多の短縮の実情が明らかにされておるようでございまするけれども、一体これらについてどのような対策を立てて対処せられんとしておるのか、長官からひとつ御答弁を願いたいと思うのです。
  40. 外山弘

    ○外山政府委員 御指摘のように、せっかく中小企業のために金融上の配慮をしたのが大企業の資金繰りに役立つような機能しか営まないというふうなことになることは、実は資金というものが転転と流通するものであるだけに、ある程度はそういうことが起こることは十分わかるわけでございますが、しかし私どもの目的はそこにあるわけではなくて、本来そういった手形サイトの短縮とか現金比率を高めるということについて中小企業に対する不当な強制がありはしないかというふうなことが、私どもから見れば常に問題になるわけでございます。したがいまして、少なくとも下請企業がそういう意味の圧迫を受けはしないかということから見る下請動向調査ということを始終やっておりますけれども、実際の取引関係でそういうふうな手形サイトの問題や現金比率がどうなるかということにつきましては、金融機関の窓口なり、あるいは業種別の実態業界団体の人から聞くとかいうふうなことでいろいろ調べております。ただ、なかなか力関係が左右する問題であるだけに、また取引のディテールに及ぶ問題であるだけになかなか的確な事情がわからず、かつそれに対する対応策もなかなかむずかしいわけでございます。しかし、いま御指摘のような事情が具体的な名前とともにはっきりしておりますならば、これはやはり関係の、たとえば東洋陶器ですと生活産業局が業種としての所管をしているわけでございますが、そういうところを通じまして実態を見きわめ、そして不当な圧迫をしているのではないかというふうな角度から、そういう問題意識を持って事情を調査し、適切な対策が打てるように計らいたい、私どもとしては少なくともそういう意味配慮はいたしたい、こう考える次第でございます。
  41. 佐野進

    佐野(進)委員 この法案が提案された背景の中にオイルショックが当然あるわけでありまするけれども、そこで現在通産当局は、いままでのこの経済情勢の中でどれだけ倒産が増加しているというぐあいに判断されておるのか。あるいはこれから四月、五月どういうような情勢があらわれると予測されているのか、この点を簡単でよろしゅうございますからひとつ御説明願いたいと思います。
  42. 外山弘

    ○外山政府委員 倒産件数は、昨年の上半期がわりあいに少なく推移したわけでございますが、下半期から逐次ふえてまいりまして、秋口からかなりの高さになりつつある、そして十二月には九百件の大台をこえるというふうなところにまで至りました。一月は若干少のうございましたけれども、また二月は、二月としては最高の件数になりまして八百五十七件というふうなことで、かなり高い水準が生じつつあるわけでございます。もちろんまだ四十三年のころのような一千件をこえるというところにまで数字上はいっていないわけでございますけれども、この現在のふえ方というのはやはりかなり注目に値する。と申しますのは、いまもう一つの御指摘でございまする今後どう考えているかということでございますが、いままでの倒産の推移、その中身等を見ますと、何と申しましても新しい要素である原材料の問題というふうなことが大きな影響をしている面がございます。今後この問題がなくならないうちに、もう一つ需要抑制効果が働いてきまして、そして製品面の需要という面で影響がさらに出てきやしないか、それは現在すでに建設業とか繊維業にある問題がさらに機械工業に全般的に波及してくるということになりますと、倒産件数についてはかなり懸念が持たれるわけでございまして、私どもとしましては、今後三月、四月、五月、六月、この辺の状況について十分注意してこれを見守っていきたい、こう考えている次第でございます。
  43. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、そういうような情勢の中で、昨年末からこれまでいろいろな対策がとられてきておるわけでございますが、特に本年度は、これらを受けて財投その他の融資も相当大幅に増額を見られておるわけでございますが、この際、特に中小企業関連に対して貸し付け規模五百五億円の特別融資が行なわれておるわけであります。この特別融資の対象としての業種が幾つかあげられておるわけでございますけれども、これらの業種と一般業種との関連をこの五百五億の中でどのように位置づけられているのか、いわゆる五百五億というのは、重点的にそれら指定された業種に対してやるのであるのか、あるいは一般的な形の中においてそれを消化しようとしておられるのか、その点についての見解をこの際明らかにしていただきたいと思いますし、さらに新年度から行なおうとする融資の方法につきましては、どのような方法をもってこれを処理されようとしておるのか、この緊急融資と相関連いたしまして、その点の御見解を明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  44. 外山弘

    ○外山政府委員 まず第一点の五百五億についての業種上の関連でございますが、私どもは、政府系三機関に五百五億の追加をするにあたりまして、最近やはり業種別の状況について、他の業種よりはいろいろ問題が深刻に起こっているのではないだろうかというふうな感じのする業種を幾つ重点業種としてはあげたわけでございます。これはしかし、五百五億をこの業種の全部に割り当てるとか分配するとかいった性質のものではございませんで、今回の追加にあたっては、こういう性質のケースあるいはこういうふうな業種、こういったものに特に注意をしながら、具体的な事情をよく見きわめて適切な融資をしてほしい、こういっているわけでございまして、決して業種的な割り当てとか、一般業種と指定した業種の区別とかいうことを画然として指導しているわけではございません。ただ重点を指向してほしい、こういっているわけでございます。  それから第二の新年度の問題をどうするかという御指摘でございますが、今回の五百五億も、そのとき発表いたしましたように、とりあえず三月はこうしたい、こういっているわけでございまして、今後状況の変化に応じて適時適切な対策を機動的にとっていきたい、弾力的にとっていきたいということをあわせていっているわけでございます。それは四月以降、新年度になりまして政府系三機関の融資のワクというのがまた出てくるわけでございますが、その実行にあたっても、たとえば三月と同じような事態が予想されれば、四−六のためにあるいは七−九に用意していた分を若干繰り上げて使用するとか、あるいは通常のベースでは不十分であるということからワクの追加をするとかいうふうなことも考えなければならない。そういう事態でないことが望ましいと思いますけれども、ただ事態によってはそういうことを考えるということをあらかじめ申し上げながら、今回の措置を行なったわけでございます。したがいまして、四−六につきましては、状況に応じて適切な措置金融機関の融資についても実行してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  45. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、そういうような形の中でこれから取り組まれるわけでありますけれども、具体的に今回のこの措置がいわゆる第二の提案の説明としてなされておるところに「現行法の倒産関連中小企業者の範囲を拡大することであります。」ということになっておるわけでございますが、今回のこの法案が成立した形の中において倒産関連中小企業者の範囲を拡大しようとする、そういうことになっておりまするけれども、その理由として原材料等の供給の減少というような事態を想定し、これを倒産関連のワクの中に入れようといたしておるわけでございまするけれども、そのようなことがはたして原材料等の供給の減少という、そういう状況の中において入れられ得るものであるかどうか、若干ここに疑問があるわけであります。いわゆる倒産関連で、原材料の供給が減少したから倒産するという事態が予測せらるることは当然予測されるのでありまするけれども、この法律としての提案説明の中におけるところの措置として、そういうようなことに入れるのは若干無理ではないか。したがって、これらの問題については特別立法なりあるいは倒産関連というのと別にして対処する、こういうようなことでなければならないのではないか、こう思うわけでございますが、この点、こういうような形の中において提案した趣旨と、それは無理でないという考え方についての具体的な例をひとつお示しただきたいと思うのであります。
  46. 外山弘

    ○外山政府委員 今回の改正条文につきましては、ただいま御指摘原材料の減少という点は、「著しい減少」というふうな字句を使っておりまして、一つのポイントは、通常予想されるような変動ではなくて、その大きさということが一つ問題であるというふうなことで「著しい減少」ということが書いてありますが、同時に、これだけが原因ではございませんで、中小企業者の経営が非常に不安定になっている、業種別に見て非常に不安定な業種になっているというふうなことが重要なポイントになるわけでございます。したがいまして、ある原材料の著しい減少が原因ではございますが、結果としてある特定の業種の中小企業者の経営が非常に不安定になる、たとえば売り上げ高が全面的に大きく後退するというふうなことも一つ現象だろうと思いますが、そういった点が非常に大事な判断ポイントになるわけでございます。これは、原材料の減少というふうなことが通常予想されるようなものでしたら、何らこういう措置は要らないと思います。しかし、今回のようなことを考えますと、やはりこういった著しい減少と中小企業の経営の不安定というふうなことがはっきりすれば、その業種を指定いたしまして、そしてその業種に属する人に対する保険限度の拡大ということをやることが倒産関連の現在の一号、二号の規定と同様の意味において私どもとしては必要な対策ではないだろうか、こう判断したわけでございます。  御指摘のように、特恵対策とかあるいは先般のドル・ショックのように、中小企業の特定の分野に非常にきわ立って出てくるということ、しかもその特定の分野がかなり広範であるというふうなことになりますと、これはもう完全な別ワクとしての保険限度が必要だろうと思います。こういう際には、御指摘のように立法措置が必要だろうと思います。しかし、今回のような場合、たとえば電力制限でネオンの工事業者だけが非常な影響を受けてしまう、そういうことになりますと、その人たちにとっては、その売り上げの不安定という点が顕著に出てくるわけでございましょう。あるいは今後建設業が、公共事業の抑制とか総需要抑制とか設備投資の抑制ということで、とりわけ大きな影響を他の業種と違って受けるんだろうと思います。その受けるときに、建設業実態が非常に不安定な企業経営になるという実態であれば、これを建設業の問題として処理するということがやはり中小企業の信用補完政策としては大事なんではないだろうか、こう考えているわけでございます。したがいまして、今回のような条文を用意したわけでございますが、経営の不安定というところに私どもとしては重要なポイントを置きながら適切な運用をしてまいりたい、こう考える次第でございます。
  47. 佐野進

    佐野(進)委員 しかし、そういたしましても、今回の措置だと、原材料の供給、製品需要の減少ということによって指定を受け、倒産関連保証を受けている中小企業者が、かりにその後親事業者が倒産して指定されても、これまでの倒産関連保証は受けられない、こういうぐあいに解釈されると思うのですが、この点はどうですか。まことにどうも微妙なところの見解になるわけですが、その点についての見解をひとつお聞かせ願いたいと思うわけであります。  さらに、倒産関連保証とは別に、こういうことについては特例措置にしておけば、このような事態が起きても何ら心配することなく直ちに対処できる、こういうぐあいにこれまた考えられるわけでありまするけれども、この点が非常に微妙かつ、何といいますか、解釈上の問題になってくるわけでございまするけれども法律のたてまえ上、そういうような措置をされておかれたほうがよいのではないか、こういうぐあいに解釈するわけでございまするけれども、長官のひとつ見解をお聞かせ願いたいと思うのです。
  48. 外山弘

    ○外山政府委員 御指摘のように、倒産関連保険の一号、二号、三号ということでやっておりますので、確かに一つのケースではめればその残高の範囲でしか限度に余裕はないということになるわけでございます。もちろん限度ワクに余裕があれば再度指定することは意味があるわけでございますけれども、片ほうで限度一ぱいに使ってしまっておればその意味がないということは御指摘のとおりだと思います。  ただ、私どもといたしますと、これをさらにもう一つ別ワクというふうなことにするような深刻な状況であれば、これはそういうふうな状況が広範に起こっている際だろうと思います。したがいまして、単なる補完措置だけではなくて、いろいろな措置をもって対応策を講じなければならぬというふうなケースではないかというふうな感じもいたします。したがいまして、ドル・ショック対策のときにもそうでございましたし、特恵問題についての対応策をとるときにも総合的ないろんなことを考えたわけでございますが、先生指摘のようなケースがあれば、おそらくその必要性を満たすような事態であればむしろ特別立法でやるべきであるというふうな実態が多いのではないかというふうに考えるわけでございます。抽象的なお答えで恐縮でございますが、私どもとしてはそういう考えで、やはり倒産関連保険の中で、その事情だけ多様にいたしまして、そして適用されるケースを豊富にしたわけでございまして、限度そのものはこの中でやってもらおう、こういうことを考えたわけでございます。
  49. 佐野進

    佐野(進)委員 長官、そうすると、結果的にそのような事態が出た場合は、特別な状態として立法措置が必要と考え、立法に踏み切る、こういうぐあいに理解してよろしいのですか。
  50. 外山弘

    ○外山政府委員 そのケースだけをとらえて申し上げているわけではなくて、そういうケースが起こるような事態、それは中小企業者から見れば、多ければ多いほどいいのかもしれませんが、客観的に見て、これは従来のワクと全然別のワクの保険限度を設ける必要があるというふうなことであれば、それはそれだけ事態が深刻であるというふうに判断すべきだろうと思いますし、したがって、その際にはもっと広範にそういう問題が起こるのではないだろうか、こう考えるわけでございます。したがいまして、そういうときには過去の立法措置が講ぜられたように、私どもとしてはそういう深刻な事態に対応する措置としてはこれでは不十分であるというような事態ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
  51. 佐野進

    佐野(進)委員 政務次官、いままでの長官と私のやりとりを聞いておられて、結果的に私どもが心配していることは、この法律法律として、緊急を要する問題であるから、これはできるだけ早く成立をさしたい、そういうことできょうもこうやって長時間かかって論議をしておるわけですけれども、結果的に、長官と私の質疑の中で明らかにされているように、いわゆる二月危機、三月危機と叫ばれてきたけれども、当面、小康を保ちつつある、しかし倒産件数は相当増加している、四月、五月においては相当程度増加するという予測であるということは先ほど来明らかにされておるわけです。そういう状況に対して、この法律だけではともかく足りない点が多いのではないか。したがって、それらの条件を想定するならばこの際いわゆる立法措置を講ずる必要があるのではないか、こういう点を私は主張をからめながら質問をしておるわけですが、この点についての長官の御答弁がいまあったのですが、政務次官としての見解をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  52. 森下元晴

    ○森下政府委員 中小企業育成のためには金融だけの問題がすべてではないと私は思います。そういうことで、先ほどから先生の御質問等を通じまして、いわゆる大商社の中小企業等における活動の限界、いわゆる進出問題等、こういう問題もからめて考えなければ、中小企業に金を有利に出しましてもこれがすぐに大企業に流れていく。たとえば手形サイトを縮める方法とか、現金のケースをふやす方法等によって、せっかくの中小企業対策効果があがらないということは、先生の御指摘のとおりだと思います。いろいろ石油問題等の販売方法を見ておりましても、過去においては非常に乱売の状況がございまして、いろんな系列からいろんな形で石油が売られてきた。その中にあって中小企業はその競争に耐えられない、非常に成績が下がる、そういうところに大企業が直接販売に乗り出してくる。また近代化、合理化に名をかりて、また過当競争に名をかりて小売り店までその傘下におさめる。こういうケースは石油だけではなしに、自動車販売とか他のいろいろな商品でも私はかなり見られるように思います。  そういうことで、この法律の趣旨は、先ほどから長官がるる申し上げましたように、これはこれなりの効果があるし、またこれはますます強化しながらやっていかなければいけませんけれども、何か他の方法によっていわゆる大商社の活動の限度を押える必要もあるのじゃないだろうか、そうしなければこの法律効果もない、私もそのように思っております。  そういうことで、将来の問題として、いわゆる商社法等を立法することによって大商社の活動の限度も押えながら中小企業に対する金融効果をあげていく方法、やはりこういう総合的な中で中小企業を育てなければいけないし、特に今回のオイルショックの場合は急性的な問題でございまして、その中でもネオン業者とか、プロパンの削減のために個人タクシーが非常にお困りになった。そういう問題を適時適切に取り上げ、優先的に出していって救済しなければいけない、そのように思っております。四十九年度の予算でもかなり三金庫からの貸し出しワクをふやしておりまして、またこの弾力条項の財政投融資のワクもかなりふえておりますし、また、これときょう審議いただいておりますこの保険の問題もからめて、いわゆる金融政策を通じて中小企業育成につとめていきたい、このような覚悟でおります。
  53. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは長官、いままで質問した条項を受けて、たとえば長官の言われるように、特別立法ということは先の問題だとして考えて、いま当面この法律に基づいて緊急的な対策を立てていく、こういたしましたとき、現状から見て、先からではなく、いまの状態から見て、この特例措置をすぐ適用する対象業種としてはどのようなものが予想されるのか、今後は——今後というのは一月、一月半でもよろしいですが、今後はどのような業種が予想されるのか。この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  54. 外山弘

    ○外山政府委員 先ほども一つ考え方としてネオンの話あるいは建設業の話などを申し上げましたけれども、もちろんこの立法が実現する場合に、中小企業の経営の不安定とはどういうふうに基準を設けるべきか、あるいは「中小企業者の相当部分」が云々と書いてある「相当部分」とはどう考えるべきかという問題についての一つ考え方をはっきりとお示しすべきでありますし、それはまた同時に一つの議論の問題であると思いますが、私どもはそれにつきましての大体の常識的な考え方から見まして、先ほど申しましたような、現状で見ますと、一つ建設業などは十分考えられるケースではないだろうかと思いますし、今後のことで申しますと、たとえば機械工業がそういう業種がかなり多くなるのではないだろうか、こんな感じがばく然としておるわけでございます。
  55. 佐野進

    佐野(進)委員 この点について中小企業信用保険公庫の黒津さんはどう考えますか。
  56. 黒津兆太郎

    ○黒津説明員 私どものほうといたしましては、先ほど申し上げましたごとく、第一線の保証協会の仕事を助ける立場にあるわけでございます。総合いたしまして、私ども並びに保証協会におきまして、現下の実情に応じまして、どういう資金需要があるか、どういう業種に需要があるかということにつきまして常々注意をいたしているところでございますが、これに対する保証、保険ということにつきましては現在の法律のもとにおいて運営されております。先ほど申し上げましたごとく、状況の推移によりまして、ただいまの経済変動に関連いたしました倒産関連というふうなことで、政策御当局の御判断によりまして適切な措置がとられますれば、それに即応して十分協力する体制をつくってまいりたいということで考えております。
  57. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは長官に質問します。  当面、中小建設業あたりが対象として考えられる、こういうようなお話があったわけですが、私も全く同感だと思うのです。今日、中小、特に中よりも小以下の建設業界の置かれている立場はまさに深刻であるわけでございますから、したがって、これらの方面に対し融資をするということは当面しなければならぬ重要事項でありまするけれども、これは融資の問題を議論しておるわけですから、それ以上どうだとかこうだとかいうことになりませんけれども、実際上の問題といたしまして、それだけでは足りないたくさんの条件が存在していると思うわけです。融資だけでは足りないたくさんの条件が存在していると思うわけでございまするが、この指定する要件、こういうものを具体的に把握していないと、たとえば建設業界だと、抽象的にこれこれこうだろう、こういうところだけではやはり親切な指導にはなっていかない、したがって、いま少しくそれらの要件については、対象業種に対して指定する要件というものを提示するというか、示す、こういうようなことが必要であろうと思うのでありますが、この点についての見解をお伺いしておきたいと思うわけであります。
  58. 外山弘

    ○外山政府委員 建設業の場合、もちろん金融だけではございませんで、建設工事に対する発注態度というものが非常に大事でございまして、これは中央、地方を通じまして中小建設業に対する配慮が行なわれるように、またそういう発注工事の内容についても、原材料高騰等を反映した考慮が払われるように、こんな点もあわせて大事なポイントではないか、こう考えているわけでございまして、決して金融だけがすべてであるというふうなことでは私どももないわけでございます。  それからもう一つの御指摘で、たとえばどういうことで建設業などをあげているのかという御指摘でございますが、これは私もばく然と申し上げたわけでございますが、一つ考え方として、いまだ実ははっきりときめたわけではございませんが、私ども考え方としては、中小企業の相当部分の経営が不安定になるというふうなことをどうつかむかということになるわけでございます。これは、たとえば建設業に属する中小建設業の、数でいったら半分以上の人たちが、もう全部売り上げ高について二割以上の減退をしているというふうなことがあるとすれば、これは一つの重要なポイントではないだろうか、一つの尺度ではないだろうか、つまり、半分以上のものが二〇%以上の売り上げの減少になる、こんなことは一つの境目としてのものさしではないだろうか、こんな感じがいましているわけでございます。
  59. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは次に質問を進めまして、各種保険の限度額の引き上げについて質問をいたしたいと思います。  まず第一に、特別小口保険を百万円から百五十万円、こういうぐあいに五十万円上げたわけです。さらに小企業経営改善資金融資制度は、特別小口保険と同じく無担保無保証であり、四十九年度は百万円から二百万円に引き上げられているわけであります。そうすると、この特別小口保険は百万円から百五十万円にいたしました。小規模経営改善資金は百万円から二百万円までにいたしました。これはどう考えても調子が合わないのではないか。バランス上からいっても、この限度額は二百万円にすることが正しいと考えるにもかかわらず、小口保険を百万円から百五十万円にしたというその根本的な理由はどこにあるのか、この際、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  60. 外山弘

    ○外山政府委員 まず第一の、小企業経営改善資金制度と今回の特別小口保険制度の限度の引き上げとの関係の御指摘でございます。これは言ってみますれば、両制度は相補い合うと申しますか、補完する立場にあるわけでございまして、ぴたりといろいろ金額等が一致する必要は必ずしもない、私はこう考えているわけでございます。小企業経営改善資金の場合は、御承知のように経営改善指導というものの延長として金融措置がついてくるわけでございますし、それから二百万円に引き上げたのは、これは設備資金だけでございまして、運転資金については従来の限度が、そのまま五十万という限度があるわけでございます。そういった角度で小企業経営改善資金は運営されるわけでございますし、一方、これは無担保無保証ということでございまして、特別小口保険はよけいの資金需要が要る際にはさらに特別小口保険を活用して金融機関から金を借りるということが可能になるわけでございます。つまり小企業経営改善資金にプラスして特別小口保険を利用するということもできます。したがって、これは今度は無担保無保証でございますけれども、他の金融機関から借りる場合の保証になる。つまり相補っていくという意味で、私としては両制度の特徴がそれぞれ生かされて、小企業者のために適切な使用ができるように望んでいるところでございます。  もう一つの、それではなぜ今回二百万まで特別小口を上げなかったのかという御指摘でございます。特別小口制度と申しますのは、保険のたてまえから見ましても無担保無保証、たいへんな、何といいますか、中小企業者から見れば異例の優遇措置でございまして、これを五十万から八十万に、それを百万にして、今回百五十万というふうに拡大していく過程ではいろいろ問題もございましたけれども、小企業対策として、私どもとしてはやはり限度の引き上げということが非常に大事であるということで、機会があれば常にこれをやってまいったわけでございます。その際の引き上げの考慮すべきファクターとしては、一つは、やはり特別小口の対象となれる零細企業者がどのくらいの平均の借り入れ残高を持っているだろうかということが一つのポイントでございます。これは従業員五人以下の人たちがどのくらいの平均で借りているかと申しますと、たしか四十六年でございますか、九十九万円ぐらい、それが過去の伸び率、つまり四十三年から四十六年ぐらいの伸び率で類推しまして、そしてこの五十年にはどうなるだろうかというふうな判断をいたしますと、百三十四、五万円ぐらいのところになるというふうなことが一つの考慮要素でございます。  それからもう一つは、先生も御承知だと思いますが、特別小口の保証限度というものにつきまして、信用保証協会が各地で独自の方法でその限度を引き上げているケースがございます。つまり国の保険公庫が応援する範囲を越えて、特別小口保険ということで限度を引き上げているケースがございます。これはそれ自体、保険制度との関係では必ずしもすすめるべきことではございません。しかし同時に、実態がそこにあるんだという認識のもとに地方自治体がいろいろの応援をして、そして国の保険政策の範囲を越えて若干の協会が限度を上げているわけでございます。そうしますと、そういう実態も私どもが頭に入れなければいけないもう一つの要素だろうと思います。したがいまして、今回百五十万円にいたしますと、いま限度を越えてやっております協会の相当部分がこれで救われると思います。まあ若干限度オーバーしているところがあるかと思いますが、保証協会全体のバランスを考え、かつ先ほど申しましたような借り入れ残高の伸びというふうなことも考え、そういう点を考えますと、まあ百五十万円ぐらいがいいところではないだろうか、こう私どもは判断したわけでございます。
  61. 佐野進

    佐野(進)委員 長官だいぶ調子よく答弁しているが、だれが考えても、一般のほうは二百万円で特別小口保険は百五十万円、ちょっとこの保険については百五十万円では少ないんじゃないかという印象ですね。それはいまのようなお話があれば、今日の状況の中で百五十万円ということで、さらに二百万円を相補いながらやるんだということでありますから了解できるわけでありますけれども現実の問題といたしましては、せっかく特別小口保険を上げるのであるから、無担保無保証の小企業経営改善資金が百万円から二百万円に上がったならば二百万円に上げたほうがよかったのではないかという印象は、今日の金融情勢の中でだれしも考えることであります。したがって、いまの説明は了といたしますけれども、将来この点については逐次改善していくんだということでございますから、その点については改善がなされると思うのでありまするが、いま一度この点についての見解をお伺いしておきたいと思うわけであります。  さらに、これに関連いたしまして、今日は普通保険が三千五百万円、組合が七千万円でありまするけれども、これが五千万円、組合が一億円に引き上げられるのでありまするけれども、こちらのほうは千五百万円、あるいはそれぞれ相当大幅に引き上げられていくわけでありますから、まだまだ不足であるとは言いながら、いま長官の話のように地方におけるそれぞれの事情に基づくところの上積み等もありますから、相当要望にこたえられると思うのでありまして、特にこれの引き上げは小口に比較して、いわゆる中小企業とは言いながら中の上のほうの部類に対処しておるのではないか。そうすると、小の小のほうというのはおかしいのでありまするが、百五十万円というそういう層に対してはきわめてあたたかみが欠けているのではないか、相関連した形の中でそういう解釈が出てくるわけでありまするが、この点の見解をひとつお聞かせ願いたいと思うわけであります。
  62. 外山弘

    ○外山政府委員 まず第一の特別小口保険の限度の拡大でございますが、私どもも過去にもいろいろそのつどやってまいりましたことでございます。今後も情勢の判断を的確にいたしまして、機会があれば必ずまた特別小口保険の限度の拡大に努力をしたい、こう考えます。  それからその次に、もう一つの普通保険の限度のほうはむしろ中小企業の上の部だけに奉仕するような引き上げではないのかという御指摘でございます。それで、経済規模が拡大してきたことも反映いたしまして、平均的にもそうでございますが、中小企業資金需要は大口化の傾向が露骨に出ているわけでございまして、今後ともそういった大口化の傾向というのは出てくると思います。現在の一企業者当たりの平均借り入れ残高という点を調べますと、四十六年度ですでに製造業で三千八百万、それから卸売り業で四千四百万ということで現行の三千五百万という金額をこえているわけでございます。そして四十四年度から四十六年度の平均伸長率ということでいまの数字の四十九年度を推定いたしますと、製造業では五千百万、それから卸売り業で五千九百万というふうなことになりまして、大口化の傾向の中では五千万は決して特定の人だけを有利にするというものではなくて、そういった借り入れ残高の推移から見ましてむしろ適切な対応策ではないだろうか、こう考えているわけでございます。  それからもう一つ、これは大きなものだけが使っているのではないかというふうな御指摘でございます。これはいろんな統計がございますけれども、最近は、やはり何と申しましてもこういう事態を反映していると思いますが、小さな零細企業でもかなり大口の借り入れをしているケースがございます。そういう人たちにとっても、今回の三千五百万円から五千万円への引き上げはかなり役立つ面があるということをあわせて申し添えておきます。
  63. 佐野進

    佐野(進)委員 相当多額の借り入れが行なわれているということであるからいわゆる上位の中小企業対策ではない、一般的なものである、こういうぐあいに言われているわけですが、一般的なものであるといたしますると、三千五百万が五千万になり七千万が一億になる、こういう形の中で、しかも需要が非常に大きいという情勢の中におきましては、結果的に総予算の占める割合から貸し出し対象会社が縮小していく、こういうような懸念はないのかどうか。その場合におけるところのいわゆる歯どめというか、そういうものについてはどのような措置を講じようとしているのか、あるいは講じているのか。この総額についての見通しの中においてこの法律が通った場合におけるところの条件、たとえば遡及措置が講ぜられる、こういうような形になっておるようでございまするけれども、その間におけるところの条件は、金額の引き上げ等と関連して予算的にどのように対策を立てておられるのか、この際ひとつお聞かせをいただきたいと思うわけです。
  64. 外山弘

    ○外山政府委員 現実数字を見ますと、平均の保険限度というのは必ずしもワク一ぱいまでいっておらないわけでございます。先ほど大口化の傾向と申しましたけれども、それはあくまでも金額の大きいことを望む企業がふえてきていることは間違いございませんが、保険契約の内容を履行するための保険限度がどの程度満たされているかということになりますと、まだ平均は限度よりかなり下回っているわけでございます。したがいまして、予算上きめられまする保険契約の範囲に対してはかなり余裕がある。したがいまして、いま御指摘のように、大口化の傾向があるばかりに特定の人に集中してしまってほかの人が借りられなくなるんじゃないか、こういう点は、いまのような数字の状態でございますと全く心配はない、こう考えます。
  65. 佐野進

    佐野(進)委員 約二時間にわたって質問をしてきたわけでありまするけれども、私、聞きたいことはまだたくさんありまするが、一時までということでございますので、質問を終わりたいと思います。  最後に、政務次官と長官に見解を聞いておきたいと思うのでありまするが、冒頭申し上げましたとおり、この法律案につきましては大臣出席のない状況の中で審議に入ったわけであります。したがって、早期に通したいという気持ちはだれしも持っているところでありまするが、しかし、その運用につきましては、ただいままで指摘いたしましたように幾多の補強すべき面あるいは是正すべき点等々もあるやに私ども考えるし、中小企業全体に対する冒頭御質問申し上げましたような観点からするところの要望もたくさんあるわけであります。そういう点につきまして、私の質問申し上げました点等を含めまして、先ほどの答弁と違った角度において、同じになる場合もありますけれども、もっと全体的な立場に立った中小企業対策政府として行なうことについての決意をこの際政務次官からお伺いをしておきたいと思うわけであります。  さらに、中小企業庁長官に対しては、私ども多年にわたって中小企業対策の充実をはかるべきだという形の中で中小企業省の設置を要求してまいりました。今年度においてはこれが実現するものと確信をいたしておりましたところ、いわゆる組織の一部を改正するという形の中でこれが処理されてきているようであります。したがって、この点については私どもたいへん不満なのでありまするけれども、この組織法の一部を改正して小規模対策を重視するという形の中において中小企業問題に対して多年の各方面の要求がどの程度受け入れられるような形になるのか、この点については私どもたいへん疑問視いたしておるわけでございまするけれども、当面の責任者としての中小企業庁長官の決意をこの際お伺いしておきたいと思います。  なお、若干時間があるということをここに言ってきましたので、大臣が来るまでというようなことで連絡がありましたから、時間があればさらにそれらの点について政務次官にもあとで御質問をしてみたいと思います。
  66. 森下元晴

    ○森下政府委員 中小企業の内容につきましては、慢性的な危機対策またオイルショックのような急性的な危機対策両方の問題がからみ合いまして、今回の法案提出の理由もその一つであると私は思います。ただ、先ほど申し上げましたように、金融の保証をすればすべて中小企業対策に万全を期することができるかどうか、また他の金融対策でそうであるかどうか、われわれはこの観点につきましてはすべてだと思っておりません。やはり一つの流通過程におきまして大商社というものが中小企業のワク内まで非常にがめつく入ってきておる現状を考えまして、せっかく金融をいたしましても、また保証金融をいたしましても、これが瞬間的に大企業に吸い上げられるような流通の体質では困ると思います。そういうこともよく勘案して、あくまでも中小企業育成するんだ、また中小零細企業こそが日本の産業の中心であるんだということの精神また趣旨を体しましてこの法案を十分生かすように努力をしていきたい、こういう所存でございます。
  67. 外山弘

    ○外山政府委員 御指摘のように、今回中小企業庁の設置法の一部を改正する法律案ということで国会におはかりを申し上げているわけでございます。中小企業省問題を私どももいろいろ検討いたしましたが、やはり何と申しましてもいろいろな問題点もあるわけでございまして、これを強行することよりも、むしろその目的である小規模企業対策ということを中心とした行政機構の強化をはかることがまず必要ではないだろうかというふうな判断に立ちまして今回の改正案を考えたわけでございまして、御指摘のように、小規模企業者に対する対策の強化をはかろうということでございます。  この点は、小規模企業政策がいろいろな課に分かれていたものを集中しようということが一つでございます。  それからさらには部長を設け、参事官を設けることによって人的な強化をはかると同時に、量的にも中央地方合わせまして五十人の増員をすることによって仕事を進めようということが第二点でございます。  それからもう一点は、それらを反映いたしまして、小規模企業実態をよくつかみ、そして小規模企業者からの苦情あるいはいろいろな問題点に対する処理、こういったことについての親切な窓口になろう、こういうことがもう一つのねらいでございます。  その点について必ずしも十分な機構であるかどうかにつきましては、私どもこれが通りましたら万全を期して運営したいと思っておりますが、これはやはり今後そういった趣旨でできるだけ実態を勉強し、できるだけ親切に小規模企業者の相手となり、そうしてその苦情の処理を行ない、また振興措置の推進をはかる、そのためには通産本省はもちろんのこと、各省に対してもどんどん問題を提起する、こういうことも非常に必要だろうと思います。そういった気持ちで一つの部をつくり、人間をふやし、そうして政策を集中するということでございますので、私どもとしては、この運営に全力を尽くしましてその目的の達成に邁進したい、こう考えている次第でございます。
  68. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣が来るまでということで質問を続けているわけでありまするけれども、先ほど来御質問申し上げましたように、今日の中小企業者の置かれている立場は非常に重大な段階に置かれている。したがって、こういう法律をつくられてそれに対応しようとしているわけでありまするから、私はその努力に対しては敬意を表するものでありまするし、より積極的に御協力を申し上げたい、こういう気持ちであるわけであります。しかし、何としてもそれらの仕事を遂行する上に一番大きな問題は、やはり責任大臣中小企業専任の大臣がいるということといないということでは、問題の処理について非常に大きな差が出てくる、こう考えざるを得ないわけであります。したがって、多年にわたって通産省の中における中小企業庁が省としての形になるか、あるいは中小企業庁として専任大臣を設けるか、いずれにせよ、少なくとも刻々として発生してくるあらゆる条件に対応できる中小企業対策に取り組む政府の姿勢を示す意味において、これらの問題に積極的に取り組むべきだという主張を続けてきておるわけでありまして、去年は、本会議の席上、総理大臣は省を設置しますと言い、また中曽根通産大臣は前向きに取り組みますという答弁がなされておるにもかかわらず、いま長官の言われたような形になってきておることは私どもたいへん残念であります。大臣がいないのに通産政務次官にその点についてこういう発言をしたらどうかと言っても、これはどうかと思うのでありまするが、この点につきまして、中小企業庁の長官として一体それらの点についてのいわゆる省をつくり、庁の中において専任大臣を置くのと、小規模対策の部局を置くのとでは本質が違うわけですね。一体どこに省を設けることについての最大の障害があるのかという点について、事務当局としての形からひとつ御答弁願いたい。それから政務次官からは、それらを政治的な立場に立ったとき、総理大臣の本会議における言明にもかかわらず今回省を置き得なかった政治的な事由についてひとつこの際答弁をお願いしたいと思います。
  69. 外山弘

    ○外山政府委員 中小企業省をつくります場合、二つの行き方があると思います。事務的な検討として二つの形が考えられましたが、一つは各省のやっておりまする中小企業行政、いろいろな業種別行政にまたがると思いますが、そういったものを全部集中するということが一つ考え方でございます。それからもう一つ考え方は、各省の行政はそのままにしておいて、そうして中小企業庁を省に昇格させて、そうして大きくするということがもう一つ考え方だろうと思います。  前者につきましては、やはりそれぞれの業種別行政が大企業中小企業とに分かれて行なわれる、省がまたがって行なわれるということは分断の行政になるし、それはかえって業種別の振興行政をやるにあたって問題が多いというふうな判断がございます。それからもう一つは、やはり省間にまたがりますから、その辺についてのコンセンサスが十分に得られないと、かえってできたものはうまくいかないということになりがちでございましょう。そういった意味での事務的な検討の上でのそういう分断行政に対する批判がございました。  それから後者の問題につきましては、今度は行政機構の能率化とか簡素化という点から見まして二重行政をふやすだけではないかという批判を強く受けたわけでございます。したがいまして、両者の理由から見まして、事務的に中小企業省問題の成案を得るにはなかなか困難な点が多かったということを申し上げさせていただきます。
  70. 森下元晴

    ○森下政府委員 政治的判断といたしましては、総理大臣また大臣が本会議答弁いたしましたように、あくまでも中小企業育成のために専任の大臣を置くべきである。ただ問題は、いま長官から発言がありましたように、事務的にいろいろ各省とのつながり等の関係考えました場合に、いま直ちにつくるということにつきましては少し難点もある、しかし、あくまでも政治的には専任大臣を置くべきである、このように思っております。
  71. 佐野進

    佐野(進)委員 一時十分になりましたから質問を終わります。      ————◇—————
  72. 濱野清吾

    濱野委員長 第七十一回国会左藤恵君外八名提出の自由民主党、日本社会党日本共産党革新共同、公明党及び民社党共同提案にかかる伝統的工芸品産業振興に関する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は先ほど終了いたしております。  この際、本案について、国会法第五十七条の三の規定により内閣の意見を聴取いたします。中曽根通商産業大臣
  73. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 最近の伝統的工芸品に対する国民の欲求の高まりを背景として、伝統的工芸品産業振興の必要性にかんがみ、その産業の振興をはかろうとする伝統的工芸品産業振興に関する法律案については、政府としても特に異議はないものと認めます。     —————————————
  74. 濱野清吾

    濱野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  75. 濱野清吾

    濱野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  76. 濱野清吾

    濱野委員長 本法案に対し、塩川正十郎君外四名より、自由民主党、日本社会党日本共産党革新共同、公明党及び民社党五党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。塩川正十郎君。
  77. 塩川正十郎

    ○塩川委員 附帯決議案につきまして、提出者を代表して私からその趣旨を御説明申し上げます。  まず案文を朗読いたします。     伝統的工芸品産業振興に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、十分な予算の確保に努めるとともに、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、 伝統的工芸品産業審議会の構成にあたっては、各地域の伝統的工芸品産業関係者の意見が十分反映されるよう配慮すること。  二、 伝統的工芸品産業振興協会については、伝統的工芸品を製造する事業者の全国的な支援と協力を得られる形で設立されるよう指導すること。  三、 伝統的工芸品産業の従事者について、功労報奨制度等の創設を検討すること。  四、 伝統的工芸品原材料の確保を図るため、その賦存、需給関係等を十分に調査し、価格及び供給の安定対策を推進すること。  五、 伝統的工芸品の取引の安定等のための事業について、税制上の優遇措置を検討すること。  六、 政府関係中小企業金融機関伝統的工芸品産業に対する貸付制度について、その拡充を図ること。  七、 伝統的工芸品類似の外国製品の輸入及び販売に対しては、伝統的工芸品産業の存立がおびやかされることのないよう十分対処すること。  八、 伝統的工芸品に類似した工芸品の産業については、その実態と必要性に応じ積極的振興を図ること。 以上であります。  附帯決議案の各項目の内容につきましては、審査の過程及び案文により御理解いただけるものと存じますので、詳細の説明は省略させていただきます。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  78. 濱野清吾

    濱野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  79. 濱野清吾

    濱野委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。中曽根通商産業大臣
  80. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 附帯決議に対しましては、御趣旨を尊重して、万遺憾なきを期する所存でございます。     —————————————
  81. 濱野清吾

    濱野委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  83. 濱野清吾

    濱野委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時二十八分休憩     —————————————     午後二時四十七分開議
  84. 濱野清吾

    濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出中小企業信用保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑を続行いたします。加藤清政君。
  85. 加藤清政

    加藤(清政)委員 私は中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして質問をしたいと思います。  まず第一点として、今回の信用保険の保険限度額の改正は、前国会引き上げをされましてからわずか一年しかたっていないわけでありますが、このような短期間の間に再度の引き上げを提案された根拠についてお尋ねしたいと思います。
  86. 外山弘

    ○外山政府委員 保険の限度額の引き上げにつきましては、一つは財政事情を検討する、あるいは中小企業者貸し出し残高を検討する、こういった点の四囲の状況を判断してきめるべきものであると思います。景気の著しい変化あるいは急激な経済事情の変化あるいは中小企業者資金需要、こういった点が当面の検討事項になるわけでございますが、私どもの判断から見ましても、それから従来の経緯から見ましても、中小企業者資金需要というのは逐年大口化の傾向を示しております。そして中小企業者資金確保の面におきましてもこの信用補完制度が大きな役割りを果たしているということにつきましては異論のないところでございますから、そういった点を反映いたしまして事態に即応するように限度額の引き上げということを常に考えてきたわけでございます。  ただ、いま毎年毎年やっているようなかっこうでやるのは少しおかしいのではないかという御指摘でございますけれども、やはり私どもといたしましては、そのときの事情に最も適切な限度の引き上げが一番適当である。冒頭申しましたように、財政事情も考えなければいけない、そしてまた信用保証協会の財政的基礎ということも考えなければいけない。中小企業者から見れば、大きければ大きいほどいいのかもしれませんが、そうもばかり言っておられない。いろいろな点を考えますと、やはり事態に即応して適時適切な引き上げをするのが一番望ましい、こう考えているわけでございまして、情勢の変化がやはり逐年進みます関係から毎年変化をするというふうなこともありがちでございますが、やはりそういったかっこうで限度の引き上げをすることが最も正しいやり方ではないだろうか、こう考えておる次第でございます。
  87. 加藤清政

    加藤(清政)委員 いま御答弁がありましたが、財政事情あるいは中小企業の動向あるいはそういう経済動向に合わせて、適時適切なる措置として勘案して限度額の引き上げというようないまのお話でありましたが、すでに七十一国会でこの改正質疑の際、私も質問したわけでありまして、今後大口需要傾向がたいへん出てくると思うけれども、この程度の限度額では、いわゆるこれから変転きわまりない情勢の変化に対応していくには限度額が低過ぎるのではなかろうかということでただしたと思うわけでありますけれども、そういう点につきまして見通しが甘かったというようなことが言えないかと思うわけでありますが、その点、いかがでしょう。外山政府委員 それぞれの保険の種類ごとに中小企業者借り入れ残高といったものを検討いたしまして、そのつどの限度を考えているわけでございます。  普通保険につきましては、たしか当時の検討結果から申しますと、三千五百万円ということがやはり借り入れ残高の推移から見まして適当であったし、それから無担保保険につきましても三百万円ということが、やはり借り入れ残高と実際に持っている固定資産の状況、その無担保保険を必要とする限度という辺から見ましても適当であったし、また特別小口につきましても、零細な人たちの借り入れ残高という点の平均から見ましても適当であったというふうに判断して当時はきめられたわけでございます。  そして、その後の情勢を過去の借り入れ残高の伸びと類推して推定いたしますと今回のようなかっこうになるわけでございまして、普通保険につきましては五千百万をちょっとこえたところにその推定の借り入れ残高の見通しが出てくる。無担保保険につきましても、平均借り入れている人たちのその無担保保険の限度が五百万ぐらいのところにくる。特別小口につきましても、百三十万から四十万ぐらいのところにくるというふうな計算が実際上あるということが、私どもの今回の引き上げに際して考えました一つの技術的な考え方でございます。  そしてもう一つは、実際問題として、無担保保険あるいは特別小口につきましては、実際の信用保証協会の窓口でどういうふうな動向を示しているかということも参考になるわけでございまして、実際問題として特別小口等につきましては百万をこえる運用をしている協会が幾つかあったというふうなこともこの際の考慮事情であったというふうなことでございます。
  88. 加藤清政

    加藤(清政)委員 公定歩合を五たび引き上げ預金準備率を上げ、総需要を押えて極力過剰流動性を吸収して金融引き締めを一そう強化していくということに関連いたしまして、生活関連物資の異常な値上がり、そして物価の狂騰、これにあわせて石油が非常に上がったわけであります。バーレル当たり約十ドルぐらいに上がりました。昨年一月には大体二ドル五十セント、昨年の十一月には五ドル強でありまして、そのときに、たしか十二月にイランのパーレビ国王がこういうことを言いました。いままで先進工業国は安い石油を踏み台にして高成長、高繁栄を得ていたけれども、この石油の値上がりによってまさにピリオドを打たれるのではないかという印象的な発言があったわけでありますけれども、それがさらに一月から十ドルに値上げされたわけであります。したがって、いままではどっちかというと便乗値上げあるいは先取り値上げといわれておりましたけれども物価の値上がりは、むしろ本格的なのはこれからではなかろうかというように考えられるわけでありまして、これらにつきまして倒産の状況を調べてみましたらば、一昨年の四十七年の末におきましては、四千七百三十九件で大体三千二百六十三億三百万円というような倒産あるいは負債総額の合計でありましたけれども、昨年の四十八年の一月から十二月までにおきましては、その二倍の倒産件数で、全国で八千二百二件、負債総額が七千五十三億五千六百万円というように、加速度的に負債総額と倒産がばたばたとふえてきたというような状況であるわけでありまして、こういう中で、この情勢に対応して適時適切なる引き上げ限度額を出されたというお話でありますけれども、こういう急転きわまりない経済情勢に対応して、引き上げ限度額がむしろ低過ぎるのではなかろうか、そのように考えられるわけでありますけれども、この点についてさらに御答弁願いたいと思います。
  89. 外山弘

    ○外山政府委員 確かに原材料の入手不円滑は原材料価格の高騰というふうなかっこうで中小企業者に対していろいろな影響を与えているわけでございまして、その辺が最近の、特に去年の秋口以降の倒産件数にも反映していると思います。御指摘の点は、そういったことを反映してさらに資金需要が大型化するのではないだろうか、そのための保険限度の引き上げが適当なのではないだろうか、こういう御指摘だろうと思います。  私どもも、今後の価格動向等がもう少し長い目で見まして今回の限度に対して問題を提供するような上がり方であるならば、これは次の機会に保険の限度額の引き上げについてまた実態を反映した措置をとらなければいけないと思います。私どもの従来までの借り入れ残高の伸び率というものを通常の時系列で見ますと、今回のような限度引き上げで十分であるというふうに判断しているわけでございますが、いま御指摘のような点、つまり経済情勢についてやはりいつもと違った状況があるということは今後も注意深く見守りながら、いろいろな政策についてやはり新しさを加えなければいけないということがあれば十分それに対応していかなければいけない、こう考える次第でございます。
  90. 加藤清政

    加藤(清政)委員 いま御答弁がありましたが、こういう社会情勢の大きな変化に対応して、やはり思い切ってそれに合わせた保険限度額というものを出していくべきではなかろうか、そういうことが物価抑制とあわせて中小企業者に対する倒産を抑制する大きな一つのいしずえになるのではなかろうか、そのように私は考えるわけであります。  そこで、次に質問いたしたいのは、今回の改正にあっても、現在当面しているこの苦境を乗り越えるための手だてとしてはそれなりの効果はあると思うが、こうした措置中小企業育成強化、体質改善という長期ビジョンとどのようなかかわりを持っているのか、それが第一点であります。  さらに、中小企業庁あるいは通産省は、所管の法改正の場合、それらが長期的な施策を実現する上でどのようにかかわりを持つかという体系的な検討をしているのか、この点疑わしいわけでありまして、それぞれの法改正、臨時的な措置を講じようとする際に省内の意見調整が十分行なわれているのかどうか疑わしいわけでありまして、この点についてひとつ見解お尋ねしたいと思います。
  91. 外山弘

    ○外山政府委員 確かに中小企業の長期的な育成のためのいろいろな施策と、もう一つは当面のいろいろな緊急事態に対応した緊急対策、両面は違った面があるかと思います。しかし、問題は、やはり中小企業の長期的な育成策と申しましても、これは中小企業の不利を補正し、そして中小企業が健全な経営を遂行し続けられる、そして安定した方途を見つけ得る、そのための緊急の克服策でございますし、それが同時に長期的な安定策にもつながっていくわけでございます。本来、政策は両面必要でございます。高度化政策とかあるいは体質強化のためのいろいろな設備投資の振興策、知識集約化といった方向に対する助成策、いろいろな点についてもちろん金融面でも助成しておりますし、税制面にもいろいろな配慮を加えておる、あるいは中小企業組織化という基本的な育成策についてもいろいろな指導行政なり法制上の措置なりを用意しておるわけでございます。ただ、そういうことに対応しながら、同時にいろいろ起こる経済環境の変化の中で当面圧倒的に来るいろいろな問題に対して対応しなければいけない。つまり、短期的にいろいろ克服することが同時に長期的な育成にもつながっていくわけでございます。その意味では、私は共通の土俵の中で、共通の考え方の中で施策考えるべきだろうと思いますが、ただ、その働く面あるいは施策の程度、あるいは施策の緊急性、そういった点がいろいろ違ってくる、要は先ほど申しましたような基本的な考え方に立って緊急対策もやるべきであろうし、長期的な育成策もやるべきである、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。
  92. 加藤清政

    加藤(清政)委員 それから三月、四月は金融引き締め、そして三月には確定申告による納税、手形の決済、年度末などの条件が重なって企業倒産の急増が予想されるわけでございます。本年の一月には、全国で倒産が八百二十一件、負債総額が八百五十一億一千九百万円、二月がさらに増加いたしまして、八百五十七件の倒産で、実に九百九十八億五千二百万円の負債総額を出しておるわけでございまして、一千億からの負債総額を出しておるというような倒産のテンポの急上昇を見ておるわけでありますが、これについてはどういう見通しを持っておられるか、その点についてお尋ねしたいと思います。  さらに当初は中小建設業あるいは中小不動産業、こういった倒産が火柱でおもなものでありましたが、この倒産の急増とその関連がさらに波及いたしまして、繊維だとか機械あるいは自動車部品、電気機器下請まで参りますと、連鎖反応が起きまして、中小企業はまさに危殆に瀕するということになるわけであります。最近の倒産企業傾向と特徴的なものが見られるわけでありますが、これに対しての見通しと今後の対策についてお尋ねしたいと思います。
  93. 森下元晴

    ○森下政府委員 先生指摘のように、非常に倒産がふえております。一月の倒産件数は八百二十一件で、これは前年同月比八二・九%増、二月につきましても、いま御指摘ございましたように八百五十七件で九百九十八億、これも前年同月比七三・五%と非常に驚異的な急増でございます。インフレ対策としてデフレ的な政策を現在やりまして、金融引き締め、また預金準備率引き上げ、また現金決済の非常な急増、そういうような要因がすべて中小企業にしわ寄せが来ておるということは事実でございまして、非常に心配をしております。その他銀行取引の停止等も加わりまして、通産省といたしまして、特に中小企業庁もこの対策に鋭意努力をいたしておるわけでございますけれども、今後の倒産の動向を考えまして、金融面等においても十分これについて配慮をしていかなければいけないし、また、今回の法案の御審議願っておる理由もそこにございます。もちろん金融だけでは、また保証だけでは中小企業育成、また倒産防止にはならないと思います。必然的に企業診断とか、またいろいろ内部的な指導によりまして健全な体質強化もはからなければいけない。同時にまた、大企業等のいわゆる中小企業に対する悪意な介入と申しますか、幾ら中小企業金融をいたしましても、これが直ちに大企業に吸い上げられるようなことでは何の効果もない、そういうこともよく見きわめながら、信用保証補完制度という今回の法律案は、その他の金融問題と総合的に中小企業育成のために対処していきたい、そう思っております。
  94. 加藤清政

    加藤(清政)委員 新聞報道によりますと、通産省は産業構造の転換促進のための法制定の方針を固めて、その作成作業を開始したということでありますけれども、この方針は中小企業の知識集約を目ざすための基本的なものであるのか、それとも物不足だとか、あるいは金融難という情勢に対応するための臨時的な措置法として考えられているのか、この点について信用保険の限度額引き上げと関連づけてどう考えておられるのか、この点お尋ねをしたいと思います。
  95. 外山弘

    ○外山政府委員 産業構造の知識集約化への促進をはかるためのいろいろな措置、特に法的なことも含めての諸措置の検討という点につきましては、実は私どもではなくて、産業政策局のほうで勉強をしておるわけでございまして、その点についての御説明はできかねるわけでございますが、ただ、いまたとえばそれが中小企業の問題あるいはいまわれわれが考えております中小企業の諸政策とどういう関係にあるのだろうかという点になりますと、これもまだ実態がはっきりしない段階であえて関連づけるというようなことはできないわけでございますが、私どもとしましては、もともといま申しておりますような知識集約化の方向とか、あるいは高加工度化というような方向は、こういうふうな事態になる前から中小企業にとっては基本的な大事な方向だと思います。それで、そういうことについての諸施策ということは少しずつやはり中小企業政策の上でも強化を加えておるわけでございまして、そういった点の配慮は今後ますます強化していきたい、こう考える次第でございます。
  96. 加藤清政

    加藤(清政)委員 このような法制定を含めての政府側の知識集約化、産業構造転換への意気込みにもかかわらず、中小企業サイドの対応は必ずしもよいものとはいえないわけであります。たとえば、いま手もとに大和銀行の経営相談所が中小企業経営者を対象に行ないました石油問題と産業構造の転換についてという意識調査の報告書があります。この調査は、京阪神あるいは京浜地区の製造業を中心とした四百八十二の中小企業から寄せられた回答をもとに分析をしているわけですが、この中でも、産業構造の転換は困難な要因が多く、そう簡単には進まないであろう、特に技術開発あるいは人材不足、経営情報の収集力などが大きなネックになっているという指摘がされておるわけであります。このような問題が解決されない限り、知識集約化あるいは産業構造転換という課題は机上プランに終わってしまうわけでありまして、このような意味からしても既存の法律の一部改正の積み重ねだけでは無理ではないかと考えます。この点について率直な御答弁をいただきたいと思います。
  97. 外山弘

    ○外山政府委員 ただいま御指摘の知識集約化の方向への促進でございますが、私ども中小企業振興策という面では、いま考えております幾つかの施策があるわけでございまして、これは立法措置と申しますよりも一つの行政施策として三つ四ついろいろ考えているわけでございます。たとえば構造改善制度ということを従来から推進しておりますが、その中に、もう少し内容につきまして知識集約化のための具体策として、技術センターをつくるとか、新商品の開発をするために共同事業を行なうとか、そういうことに対してはより有利な配慮をいたしましょうというふうなことをやるとか、第二には中小企業金融公庫にそういった特別融資制度を設けておりまして、若干ほかの制度とは区別して優遇をしているわけでございます。それからさらには新技術の企業化といった制度を設けまして、これもやはり中小企業金融公庫の中に特別融資制度として金利ワク上の特別の配慮をしてるわけでございますし、さらにいま御指摘がございましたが、情報の提供ということが非常に大事である。中小企業自分の努力でそういった方向を見つけていかなければいけない。それに対して政府施策を用意するというふうなことがたてまえでございますから、まずそういった意味での情報提供も非常に大事であるということで、中小企業振興事業団にそういった面の強化をはかっておりますし、それに基づく指導、診断といったことも強化するといった諸措置を具体的に講じながら知識集約化のための中小企業への手引きをできるだけやっていこう、こういっているわけでございます。  そういったことを進めている半面、もちろん税制上の配慮とか金融上の配慮ということが大事でございますから、そういった意味で、たとえば信用補完制度の充実ということは基本的に、一般的に大事でありまして、こういった方向づけに対する一つのささえにはなると思います。しかし、それ自体が、いま御指摘のような知識集約化のための方向と密接にマッチした制度であるというには当たらないということになるわけでございまして、先ほど申しましたような幾つかの具体策が、私どもがいま考えておりまする中小企業の知識集約化のための促進策であるというふうに御理解願いたいと存じます。
  98. 加藤清政

    加藤(清政)委員 昨年の四月二十五日に中小企業信用保険法の一部改正案につきまして附帯決議をつけまして全会一致賛成を見たわけでありますけれども、そのときに附帯決議の内容について三点あげられております。その実行についてこの際お尋ねしたいと思います。  まず第一点は、「中小企業金融の円滑化を図るため、無担保保険の付保限度額の引上げを検討すること。」にしておりますが、委員会の総意によって、もっと社会情勢、現時点に合った付保額の引き上げをすべきであるといったわけでありますが、この程度の引き上げによって中小企業実態に即応しておると思われるのかどうか。私は先ほども触れましたが、物価狂乱といわれるようなまさに経済混乱のこういう事態の中で、この引き上げ額の根拠、考え方について、たいへん甘かったのではなかろうかと思うわけでありますが、この附帯決議の実行について長官のお考えお尋ねしたいと思うのです。
  99. 外山弘

    ○外山政府委員 御指摘の附帯決議におきましては「中小企業金融の円滑化を図るため、無担保保険の付保限度額の引上げを検討すること。」というふうに記載されております。私どもは、今般の法改正におきまして、これを受けまして三百万円から五百万円に引き上げることにしたわけでございますし、その五百万という数字をはじく根拠は、先ほど申しましたような借り入れ限度額と固定資産額の比較において無担保保険の必要性をかようにはじいた次第でございます。無担保保険は、実は昨年は引き上げておりません。ほかの種類の保険は引き上げましたけれども、無担保保険はここしばらく引き上げていなかったわけでございます。そこで、この附帯決議におきましてそういう御示唆をいただいたわけでございまして、私どもとしましては、今回はこれを受けまして三百万円から五百万円に引き上げることができた、しかもその内容も、先ほど申しましたような御説明で一応数字的な根拠はかように考えているわけでございます。この附帯決議については、そういう意味で趣旨を尊重して措置をとったというふうに考えている次第でございます。
  100. 加藤清政

    加藤(清政)委員 いま長官の御答弁がありましたが、限度額につきましては現時点の社会情勢の変化に即応して引き上げていくというお話であります。今日のような物価の異常な値上がり、かてて加えて石油ショックによる生活関連物資の物不足、あるいは異常な経済混乱という情勢の変化に対応して、やはり限度額は思い切って上げて、中小企業の倒産を未然に防ぎ、中小企業育成していくという立場を強く推進しなければならないと思うわけであります。こういう点におきましても限度額はやはり情勢の変化に対応して思い切って適切なる引き上げをしていくという運びに今後お願いしたいと思います。  さらに、附帯決議の中で特に「信用保証協会の保証料率の引下げについて指導すること。」になっておりますけれども、それについてどのような指導を具体的にしておるか、その点お尋ねしたいと思います。たとえば、全国平均一・二八%、これは一般的に高いものではないだろうか。すなわち、附帯決議の意向をくんでどのように中小企業の金利負担の軽減について考えておられるのか、また、保証料引き下げについてのビジョン、行政指導についてお尋ねしたいと思います。
  101. 外山弘

    ○外山政府委員 御指摘のように、先ほど申し上げました附帯決議におきましては第三項に「信用保証協会の保証料率の引下げについて指導すること。」というふうに記載されております。それで私どもも、融資の金利のほかに加わる中小企業者への負担でございますから、できるだけこれを低くするようにすべきであるという立場から、従来も努力は怠らずやってまいったつもりでございますけれども、いまも御指摘のように、まだ四十九年二月末現在でも平均一・二八%ということでございまして、これは四十八年二月、ちょうど一年前の平均に比べますと、一年間で約〇・〇八%の引き下げが行なわれておるわけでございます。そういうことで、努力はしておりますけれども、いまだに一%以上になっている。これは私どもとしましては、なお引き下げについて各方面の努力をしたい。たとえば保険公庫の融資基金ということにつきましての努力も一つでございましょうし、地方自治体がどういう出損をするかということも一つでございましょう。あるいは保険公庫の保険料率をどのように引き下げるかということも一つ措置でございます。いろいろな措置を併用いたしましてこの一・二八%というのをできるだけ早い機会に一%ぐらいまで持っていきたい、年次計画とまではいかないにしても、できるだけステップ・バイ・ステップにこれを下げるための努力を各保証協会がするように強力な指導をこれからしてまいりたい、その裏づけとなる措置についても充実を期したい、こう考えて、ことしからその強化をはかってまいりたい、従来も下げ続けてはおりますけれども、今後一そうその点についての配慮した措置をこれからやってまいりたい、こう考えている次第でございます。
  102. 加藤清政

    加藤(清政)委員 十一月に太平洋中小企業会議が開催されるということを新聞で見ましたが、わが国とアメリカを中心に、中小企業政府機関、団体などがこの会議を開くということでありますけれども政府考え方を伺っておきたいと思います。大体、今度の会議での主要なテーマとして「日米両国の中小企業問題と両国の経済における中小企業の役割が主要テーマとなっており、中小企業問題では組織化金融、経営問題などを中心に話し合う予定である。」ということで、人選まで大体あがっておるわけでありますけれども、このことについて、アメリカと日本とでは、同じ中小企業といっても、置かれている条件が全く異っておるわけでありますし、また、かりにもそうした前提を抜きにした場合でも、この会議が将来の東南アジア進出への一つの新たなステップとして、東南アジア諸国に波紋を投げかけることは十分予想されることでありまして、政府はこの会議をどういう性格のものと考えておられるか、主要テーマとしての金融の問題あるいはまた組織化、経営問題などについて、政府はどのように考えておられるのか、その点お尋ねしたいと思います。
  103. 外山弘

    ○外山政府委員 御指摘の汎太平洋中小企業会議、これにつきましては現在日米の民間準備委員会が中心となりまして、太平洋の沿岸諸国にも呼びかけ、中小企業関係の団体、金融機関、それから研究者及び中小企業者、こういった方々相互間の理解と親善をこれらの国々の間にわたって深めようということで計画されております民間ベースの会議でございます。現在、本年秋の開催を目途に準備が進められておると承知しております。現在準備計画の段階でございますが、この会議では、日米の中小企業にかかわる諸問題を中心としてセミナー等の討論会を行なうことが中心でございまして、たとえば御指摘のような中小企業の海外進出問題というふうなことが中心テーマになるというふうには承知しておりません。かりにそういうふうなことになる場合でも、ただいま御指摘のような点は十分注意しなければいけないように考えます。それからまた、こういった諸問題についての相互の意見交換、討論会をやるということ自体、私はやはりかなり有益なことではないかというふうに考えておりまして、この会議につきましても、私どもとしても後援をしたいというふうに考えておるわけでございます。と申しますのは、目下はアメリカが中心でございますし、また、日本以外ですとアメリカという国には比較的中小企業問題があるし、それから中小企業庁的な役所もある唯一の外国でございますし、そしてまた、向こうが学者も含めて、いろいろたいへん熱心に日本の問題も勉強しているというふうに聞いております。それから当方も、アメリカが何を考え、どういうふうな問題を持っているかということについても、専門家同士が意見の交換をするということはこれまたわりあいにいままでなおざりにされていた大事なことではないだろうか、こういうふうにも考えるわけでございまして、この計画が円滑に進むことを私どもとしては願っているわけでございます。
  104. 加藤清政

    加藤(清政)委員 経企庁の有松参事官に物価の問題についてお尋ねしたいと思います。  一体物価がどうなるであろうということで、いま日本の国じゅうが混乱のるつぼ、不安のどん底におちいっておるわけでありまして、何としても物価を安定させ、生活関連物資を確保させなければならないと願うことは国民ひとしく願うことであろうと思うわけでありまして、目下のところ物価の問題が大きな焦点としてあげられておることは御案内のとおりでありますけれども、四十九年度の経済見通しが卸売り物価が一四・六%、消費者物価が九・六%ということで、経企庁では四十九年度の経済見通しを立てたわけであります。ところが、四十九年の一月にはすでに卸売り物価が前年同月比三四%、また消費者物価指数が本年の一月には二三・一%、二月には二四%というように、この四十九年一、二月を平均すれば、今後の見通しと合わせてかなり高くなるのではなかろうかというように考えられるわけであります。特に、先ほども触れましたが、原油が一月から十ドルからに、一バーレル当たりの値段が値上がりになりまして、この原油の値上がりが引き金になってすべての関連物資というものの引き上げが予想されるわけでございますが、したがってこの物価がどうなるであろうということに対して国民がたいへん不安になっておると思うわけでありますけれども、この物価見通しと申しましょうか、どうなるであろうという、この物価についての考え方、見通しについてひとつお尋ねしたいと思います。
  105. 有松晃

    ○有松政府委員 物価の現状と見通し並びに対策でございますが、先生指摘のように、本年に入りましてから消費者物価並びに卸売り物価とも非常に高騰と申しますか、上昇の勢いが加速されております。消費者物価につきましては、特に一、二月では、指数で見ますと野菜の値上がりが大きく出ておりますけれども、そのほかに石油危機に関連いたしましていろいろな品物が品不足になって、それに伴って便乗的な値上げが行なわれたというようなことの影響も相当出ておるというふうに見ております。それから卸売り物価でございますが、これも一月から、いま発表になっております二月中旬にかけましての値上がりでございますが、やはり石油危機に関連いたしまして、紙あるいは金属、セメント、それから最近では機械、こういったような品目が値上がりをしております。こういった傾向に対しまして、先生指摘のように、さらに近く石油製品の値上げというような問題もいま日程にのぼっております。  今後の見通しでございますけれども、先ほど申しましたように、いままでの値上がりについては、すでに先行きの値上げを見越しての先取り的な値上げというものもかなりあるというふうにも見受けられますし、政府、特に物価担当の部局といたしまして、物価の安定にいま全力をあげて取り組んでいるわけでございますが、まず第一には、総需要抑制、これは引き続いて堅持をしてまいりたい。そのほかに個別物資の対策といたしましてもいろいろ対策を講じておるわけでございます。具体的には、最近も関係各省の行政指導によりまして、個別品目の値下げ等をやっておりますが、近く予想されます石油関連製品の値上げに際しましても、最近値下げの指導をした物資については引き続いてその抑制をはかる、あるいはそれ以外の物資についても価格の抑制を強力にはかっていきたい。また、最近成立いたしました国民生活安定緊急措置法の運用によりまして、標準価格等を設定するとか、そういったような対策を含めまして、あらゆる政策努力によって物価の安定をはかってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、総需要抑制等の効果もあろうかと思いますが、卸売り物価につきましては、二月の中旬になりましてやや鎮静化のきざしが見えてきております。具体的には製材とか、あるいは天然繊維あるいは化学品、鉄鋼、こういったようなものは反落に転じておるわけでございます。こういったような傾向もとらえまして、今後引き続き強力に諸般の対策を展開することによりまして、できるだけ早期に物価の安定に持っていくように努力を続けてまいりたいと考える次第でございます。
  106. 加藤清政

    加藤(清政)委員 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして大体質問を終わったわけでありますけれども、限度額の引き上げの問題、関連倒産対策の問題につきましておもに質問をしたわけでありますが、特にいままで、たとえば三百万だったのが五百万になったので、この程度で適切な限度額の引き上げではなかろうかというようなことや、あるいはこの関連倒産の問題につきましても、中小企業あるいは零細企業は絶えず経済の波のしわ寄せを受けるわけでありまして、大企業や大きい資本はびくともしなくても、アシがなびくような中小企業零細企業はえてして経済の波にさらわれるということでありまして、日本の産業構造をになっておる中小企業あるいは零細企業育成発展がなければ、ほんとうに日本の企業のしっかりした土台というものはささえることができないわけであります。したがって、関連倒産につきましても思い切ってこういう物価の問題とあわせて中小企業あるいは零細企業にはひとつできるだけの配慮をして、ただ金融引き締めれば過剰流動性を吸収して鎮静するのだということだけではなくして、物価抑制とあわせてやはり何といっても関連倒産の対策を思い切ってしなければならない、そのように考えるわけでありますので、限度額の引き上げについてはさらに一そうの努力をすると同時に、関連倒産対策につきましても格段の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  107. 濱野清吾

    濱野委員長 次回は、来たる三月十五日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開催することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後、三時三十五分散会