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1974-03-05 第72回国会 衆議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月五日(火曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 田中 六助君    理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    稲村 利幸君       浦野 幸男君    小川 平二君       近藤 鉄雄君    塩崎  潤君       島村 一郎君    田中 榮一君       橋口  隆君    八田 貞義君       松永  光君    保岡 興治君       岡田 哲児君    上坂  昇君       佐野  進君    渡辺 三郎君       野間 友一君    近江巳記夫君       松尾 信人君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         通商産業省基礎         産業局長    飯塚 史郎君         通商産業省生活         産業局長    橋本 利一君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         中小企業庁長官 外山  弘君         中小企業庁指導         部長      栗林 隆一君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      梅澤 節男君         厚生省環境衛生         局環境衛生課長 北村 和男君         林野庁林政部林         産課長     下川 英雄君         林野庁業務部長 須藤 徹男君         労働省労働基準         局賃金福祉部福         祉課長     森  英良君         労働省職業安定         局雇用政策課長 鈴木新一郎君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   近藤 鉄雄君     久野 忠治君 同日  辞任         補欠選任   久野 忠治君     近藤 鉄雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。岡田哲児君。
  3. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私のきょうの主題は、ゼネラル石油で問題になりました灯油のその後の措置ということについてでありますが、その前に、昨日あたりの報道を見ますと、相当予定された石油が入ってこないというような事情あるいはメジャーなどの値上げの問題等出ております。それとあわせて、石油製品値上げ問題がようやく通産の中でも検討をされて、その詰めの段階に入ってきているというふうにいわれておるわけでありますが、これは非常に重大な問題でございますので、一応その基本になる考え方骨格というようなものについて報告をしていただきたい、こういうふうに思います。
  4. 森下元晴

    森下政府委員 石油製品値上げの問題でございますけれどもEC諸国等におきましては、もう一月から値上げをしておる国もございますし、一応国際価格として原油価格というものが非常に基本的な物価の構成をなしている。わが国におきましては、物価抑制また総需要抑制、こういう時期に際しまして、石油製品値上げということは非常にそういうものとからみ合わせて慎重にしなければいけないし、また国際的な問題としては、いわゆる国際価格としての一つ方向が打ち出されておる非常に微妙な時期を迎えております。  いろいろ新聞等におきましては、憶測で近く値上げされるであろうというようなこともいっております。また一面では、四月までは値上げしないとか、また七月以降になるであろうとか、いろいろな新聞等報道は見られますけれども通産省としても、この問題は通産省だけの問題ではなしに、やはり政治全般の問題として慎重の中にも早期に上げるか上げないかの決断を実は迫られておるわけでございます。  詳細につきましてはエネルギー庁長官が参っておりますのでお答えをさせていただきます。
  5. 山形栄治

    山形政府委員 御質問の中にございましたいわゆる国際石油資本動きにつきまして簡単に補足的に御説明申し上げますと、国際石油資本、いわゆるメジャーズは、非常に世界全体で御存じのとおり商いをしておるものでございまして、いま政務次官からお話ございましたように、いま世界じゅうを通じましていわゆるOAPECの大幅値上げに即応する値上げを行なっていない国は日本とベルギーだけということでございます。ヨーロッパ、アメリカ、それから東南アジア等みんな値上げを完了いたしておりますので、そういう関係で、私まだ正式に聞いておりませんけれども、私の推測でございますけれども、現在メジャーズというのは原油段階でバーレル大体五十セントの利益をあげておるわけでございます。これはキロに直しますと三ドルでございますので、円換算を三百円といたしますとキロリットル九百円の利益をあげておる計算に相なるわけでございますが、製品販売段階では約一万円近い価格のアップが実現できないということで完全な逆ざやに相なっておるわけでございます。もちろん日本市場というのは世界でも非常に有数の有力な市場でございますので、メジャーズとしてこれを捨てるというようなことは絶対ないと思いますけれども、若干数量で調整するという動きが出ることは考えられるわけでございます。私のほうは正式にまだそういうことを聞いておりませんけれども、そういう動きがあるということは考えられることでございます。  なお、石油製品価格値上げにつきましては、現在政府内部、各省の調整が済んでおりませんで、成案を得るに至っておりませんので、具体的なことはまだ申し上げる段階でございませんけれども、われわれといたしましては、石油があらゆる産業、あらゆる国民生活関係するものでございますので、できる限りこれを低く押えるべきであるというのが第一原則でございます。そういう観点から、原油価格及び製品価格になりましてからの価格形成等につきまして、現在厳格なる査定を行なっておる段階でございます。いま申し上げましたように、まだ政府内部におきましても意見の統一がとれておりませんので、現在検討中の段階でございます。
  6. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 検討中ということでございますが、考えてみますと、大体その骨格になるべきものというのは通産が考えられておると思うのであります。私どもも、値上げを極力押えていく、民生用産業用との関係の中ではできるだけ民生用値上げ幅を少なくしていこうという考え方、それから石油関連物資への波及を食いとめるために基礎物資価格をできるだけ凍結して押えていこう、こういうようなことはいままでもいわれておりましたし、そういう方向だと思うのです。  そこで、この機会考え方として聞いておきたいと思うのでありますが、この前、灯油のときにも私、長官にお伺いしたのでありますが、民生用産業用と分ける、灯油自体でも机の上では何分の一が民生用、どれだけが産業用というふうに分けられるのでありますが、実際売る場合の状態から見ますと、民生用産業用と分けることは困難ではないか、事実いろいろ混乱が生じているという話をしたことがございます。しかし、それは強力な行政指導でそういうことのないようにという話もございました。しかし、いま考えてみますと、たとえば例を引きますとナフサだとか重油のようなものは、これは産業用に使うわけでありますが、しかし、最終的な製品になってあらわれてくる場合には、これは当然消費者といいますか、民生用として消費者が買うことになってくるわけであります。そういうふうにしますと、いま考えられておる民生用値上げ幅を、たとえば産業向けよりも小幅にする、そういうようなことを考えたときに、いまいかなることをどういう具体的な方法で、これをそういうふうにしていくことを考えておられるのか、私はこの機会にちょっと聞いておきたいと思うのです。
  7. 山形栄治

    山形政府委員 考え方を申し上げたいと思います。  先生指摘のとおり、石油製品の中で民生専用であれされているものは、民生用灯油とそれから家庭用LPGが非常に多いものでございます。なお、タクシー用LPG等も直結しておるものであろうと思いますが、これ以外で民生に非常に関係の多いものといたしますと、一番多いのはガソリンでございます。それから軽油及びA重油につきましては、どちらかといいますと産業用でございますけれども、これを使っております農業、それから中小漁業、それからバス、トラック等が非常に民生関係度合いが強いものであるわけでございます。いま御指摘のとおり、C重油等はいわゆる産業用に使われておるものでございますが、そこの製品は回り回って、これは民生にいくわけでございますけれども、油の点だけから民生度合いというものを考えますと、灯油LPG、それからガソリン軽油A重油というのが民生度合いの高いものであろうかと思うわけでございます。  私の考え方といたしましては、これらのものにつきましては、できる限りほかの油種の上がりよりも上がり幅を少なく押えるという方向で考えるべきであろうかと思います。ただ、石油製品というのは連産品でございますので、すべてのものが一斉に出てくるわけでございます。  なお、補足的に言いますと、たとえばA重油C重油というものは同じ重油でございますけれどもサルファA重油は非常に低いいい重油でございます。それから非常にさらさらいたしておりまして、処理も非常に便利な高級重油というようなものの性質があるわけでございまして、現時点におきましては大体キロリットル四千六百円の値幅がついて売られておるわけでございます。したがいまして、価格A重油を非常に低く押えますと、いい油が相対的に安くなることによりましてわれがちにこれを力づくで持っていく可能性もあるわけでございます。おのずからのバランスというのが保持されないと、かえってA重油の相対的な不足ということが生ずるおそれがあるわけでございます。今後、価格形成を行ないますにあたりましては、いま申し上げましたような民生用のものは、一般の上げ幅よりもこれを少なくして、できる限り末端でその価格を維持するという方向で考えたいと思いますが、その場合に、若干そういう油種間の品質上のバランスというものは配慮しなければいかぬ問題になるのじゃないかと考えておるわけでございます。
  8. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 非常にわかりにくい説明なんですが、考え方としては、いま言いましたように、頭の中であるいは机の上では民生用産業用と分けられるのです。しかし、実際問題としては、なかなかこれは説得力ある分け方ということにはむずかしさがあると思うのでありますが、やはり、いまの段階では十分これが説得力ある裏づけをもってやっていかないと十分な成果をあげることはできぬのじゃないか、こういう気がいたしますので、一そう御検討されたいということだけつけ加えておきます。  いよいよゼネラルの問題に入るわけでありますが、私自身二月二十日にゼネラル本社会社の幹部に会いましていろいろ話をいたしました。その中で不当利得と思われるものについては、現金で返還する分と、それからそのほかの原油値上げ分等の実施時期をずらすというような形の中で間接的に還元をするという二つの方法があると思うが、とにかくゼネラルについてはその具体的返還還元方法を早急に出せ、こういう話をいたしました。そのときの回答は、二、三日のうちに通産省行政指導を十分得ましてその指導に従いたいと思います、ですから返事を二、三日待っていただきたいということであったわけであります。その二日後の二十二日にやはり返事がありまして、昨年十一月、十二月でもうけた分については、灯油チェーン向け仕切り価格を引き上げた事実が確認されたとして、同社の行為は灯油価格凍結行政指導に反する、こういう通産省の判断でこれが明らかになってきたと思うのであります。  そこで、ゼネラルのほうは通産省指導に従いまして、こう言っておるのでありますが、一体通産省は、この問題についてどのように行政指導をしたのか、具体的な内容を明らかにしてもらいたい、こういうことであります。
  9. 熊谷善二

    熊谷政府委員 御指摘の点につきましては、各方面からも同様の御指摘がございまして、私どもとしましては、具体的な措置といたしまして会社側指導いたしまして、昨日付で私の手元のほうに次のような報告がございました。御報告申し上げます。  通産省灯油に対する指導価格違反いたしまして値上げした分が約八千四百万円相当ございますが、これにつきましては、二月分の各チェーンストア向けの販売した灯油価格からまず引き下げまして、対顧客への措置といたしましては、ゼネラル灯油看板を掲げておりますチェーンストアに対しまして、顧客が三月中にその店から灯油を購入いたします際に、その代金から一かん当たり二十円を値引きするというのが一つでございます。ただ、三月中に購入の予定がないお客さまにつきましては、そのお申し出があった場合に二十円を値引きをいたします。  蛇足かと思いますが、大体ゼネラル石油灯油の店という看板を掲げているチェーンストアでございますが、固定客が大部分でございまして、大体の過去の仕切り伝票等がございますので、それで確認ができるはずでございます。ただ、ふりの客で過去にその店から買ったかどうかがわからない方をどうするかという問題があるのでございますが、ここはそういうエビデンスが何らかの形で確認されれば、その方には値引きと申しますか、二十円をお返しいたします、こういう措置をとりますということが第一点でございます。  それからこのチェーンストアには、それぞれ店頭値引きをいたしますということを表示するということをいたします。その状況につきまして通産省にまた報告をする、こういう内容報告が参っております。  私どもとしましては、一般消費者方々にどの店でこういった商社の還元をするかがわからないということもございますので、店頭表示をすること、それから今後の値下げの中でうやむやの形で還元するということがないように、けじめをはっきりつけてくれ、こういう指導をいたしまして、それははっきりけじめをつけてお返しをいたしましょう、三月中に取引がありました場合には市価よりさらにその分を下げます、取引がなかった場合に、そのお申し出があればその方にはお返しをいたします、なお、チェーンストアには、指導といたしまして、顧客方々に、うちはこういうことをいたしますというチラシその他でのPRもいたしたいというふうに考えているという報告が参っております。  以上でございます。
  10. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私、聞いておってどうも不審に思うのですが、ゼネラル側通産省行政指導に従いますということを言っているんですが、いまあなたのお話を聞くと、そういうふうに報告があった、こういうふうに言われておる点、それから私の知る限りにおきましては、通産省東京支店扱い特約店、それからチェーンストア調査の結果、違反している、こういうふうに私は確認をしているのでありますが、その点二つあわせて御回答願いたいと思います。
  11. 熊谷善二

    熊谷政府委員 先ほど申し落としましたが、私どもは、この返還の問題につきまして指導いたしまして、チェーンストアの現在申し上げました措置につきましては会社を呼びまして指導して、その結果、会社側としましてこういうことをいたしますということを確認的な意味で報告に参ったわけでございます。  それから、第二点目のゼネラル石油につきましては、いわゆる指導価格違反があったのかどうか、こういう事実につきまして、御指摘のとおり、東京支店も、それから特約店も合わせまして、立ち入り調査をいたしまして確認をいたしたわけでございます。
  12. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 実はこれは二十日にゼネラルPR部長ですか、これと一般の方とが電話でやりとりをしたその記事なんですが、会社側がここで言っておりますのは、正確にこの二十円にはならないということが一つです。それから特約店については便乗値上げの事態はなかった、ですからこれは問題外である、今回の問題は、チェーンストアを通じたもののみである、こういうことを会社側が言っているわけであります。そのために新聞その他で見た一般の方と相当トラブルが起こってきている。こういう事実は石油部長御存じだと思うのでありますが、こういう食い違いが起こってきている中で、いまも申し上げましたように、通産省東京支店扱いのところの特約店チェーンストア、こういうふうになっているにもかかわらず、ゼネラル側特約店は別だ、これは違反がない、こういうふうに言っている事実と、それからいまあなたは二十円と言っているのだが、二十円ではありませんで、問題になった灯油は七万キロリットル値上げ幅が一キロリットル当たり千円強のために返還金額が出てくるが、それは二十円というふうにきちっとならない、こういうふうに言っているのでありますが、その辺の事情はどうなっているのでしょうか。
  13. 熊谷善二

    熊谷政府委員 いま先生がおっしゃいました七万キロリットル相当分は確かにそのとおりでございます。ただ、金額につきましては三月中に一かん当たり二十円を値引きするということを会社側から正式に私どものほうも承知をしておりますし、それで実施させるつもりでございます。  特約店につきましては、実は今回の引き下げの対象といたしましてははずしておりまして、ゼネラル灯油看板を掲げております店だけに限定をいたしまして実施する。特約店は、ゼネラル石油との間の契約関係によりまして違反の事実が必ずしもはっきりいたしておりませんで、それからまた、他の私の承知しております範囲では、この当時のエビデンスが明らかになっておりませんで、返還対象となる顧客というものはあまり確認できない、そういった技術的な問題があるように承知しておるわけでございます。  ゼネラル石油灯油の店という、これはもうはっきりその灯油の店に対しますいわゆる二者と申しますか、末端小売り業者に対する価格としてゼネラル石油指導価格より上がった価格で販売した、この点が問題になっているわけでございまして、特約店につきましては段階一つチェーンストアより上でございまして、そこまでの措置はとられてない。それからまた、先ほど申しましたように、特約店には、ゼネラル石油だけでございませんで他の特約店も掲げておりますし、実際問題としてこのフォローはできないという事情があったかと承知いたしております。
  14. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 石油部長、私の言っておりますのは、通産省東京支店扱い特約店チェーンストア調査の結果、違反するというふうに打ち出されているわけです。そういうことはこれは明らかなんでしょう。その特約店にも違反事項があったということが明らかになっているにもかかわらず、会社側特約店にはなかった、ここに通産食い違いが起こっている。私は確かにチェーンストアだけでなしに、実際問題とすると特約店の場合も灯油のようなものについては当然あり得るというふうにこれは常識的に考えるのでありまして、その辺を通産省としては明確にしないと国民の間に疑惑を生む、こういうふうに思うのです。
  15. 熊谷善二

    熊谷政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたことをもう一度整理をして申し上げますが、通常元売りから特約店に仕切りまして、それからその特約店がさらに末端小売り業者に仕切るという形になるわけでございますが、私ども調査をいたしました結果、いわゆるこれは需要者に直結しております、つまり小売り相当の機能を営んでおりますチェーンストア、これがゼネラル石油灯油の店として看板を掲げている店でございますが、この店に対して売った価格指導価格違反になっていたわけでございます。特約店に売りました価格につきましては指導価格違反の事実はございませんでした。この特約店末端小売り業者にどういう値段で売ったかという点は確認をいたしておりませんが、ほかとの違反事実は、いわゆる通産指導価格違反事実はございませんでした。したがいまして、今回のいわゆる消費者への還元という問題は、この末端顧客に直結しておりますチェーンストア、このチェーンストアにおきまして還元を行なうということが今回の措置内容でございます。
  16. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 二十二日に出されました発表を見ますと、いま言ったように特約店も入っているわけでありますが、これはいまの回答が正確で、その当時発表された特約店が入っていることは間違いであった、こういうことなんですね。
  17. 熊谷善二

    熊谷政府委員 二十二日の発表というのは、ちょっと先生恐縮でございますが会社側発表でございますでしょうか。——私のほうは、ただいま申し上げましたように理解をいたしております。
  18. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 それではこの問題はそういうふうに理解をいたしておきますが、あとの領収書の点ですね、実際問題それは固定客領収書のようなものを出しているかもしれませんが、そうでないお客もこれは全然ないというわけにはいかぬと思うのです。そういう不満がもし出てきたとするならば、これまた非常に疑惑を生むわけでありますので、あくまでそこで買ったというお客が来た場合にはその二十円の支払いはする、こういうふうに理解をしていいんですか。
  19. 熊谷善二

    熊谷政府委員 たてまえは、そこで買ったということが何らかの形で確認されるということでございまして、実際問題としては、それで円滑にいくのではないかと承知をいたしておりますが、もう少し申し上げますれば、通常先生の御指摘のように固定客でございます。したがいまして、伝票が店には残っております。したがって、いわゆる受領証といったようなものを消費者が一々持っていかなくてもおそらく済むんではないかというふうに考えられますが、いわゆるふりの客というのがどれだけあるかということでございまして、記憶その他でもなるほど買ったということがわかれば、それはお返しするということだと思いますが、そうでない場合まで、一般にどういった形でお返しするか、ここはなかなかむずかしい問題だと思います。しかし、できるだけ混乱のないように指導はしてまいりたい、かように考えております。
  20. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私は、行政指導の場合、一番その問題は、いま言ったように、考えてもむずかしいという辺をどのように措置するかということにかかってくると思うのです。いま当然伝票領収書が出されているものについては、売ったことははっきりするわけでありますが、こういうチェーンストアのような場合、特にあの時期というのは、御存じのように選別販売はいかぬ、途中に困っている人があったらやりなさいということで、ずいぶんこの席でやっている段階でしたから、ずっと固定客でない人たちも当然あるというふうに判断しなければならぬ。それがいま言っているように、顔見知りで、あああなたは顔を知っている、こういうことならばいいんですが、全然顔を知らないような場合に、おれはおそこで買ったんだがというようなものが出てまいりますと、これはやはりトラブルのもとになるという心配をするわけであります。ですから、行政指導の一番重点というのは、そういう混乱を起こさせずに、しかも信頼されるというような方法を打ち出さなければならぬわけですから、確かにゼネラル側はそういうことを言ったとしても、通産側はその辺を明確に指導しないといかぬのじゃないか、私はこういうふうに思うのですが、どうですか。
  21. 熊谷善二

    熊谷政府委員 対象になっておりますところは炭屋さんとか、末端ではよくなじみのお客ばかりでございます。ふりの客というのは非常にレアケースだと思いますが、必ずそこで買ったといった心証が得られたものにつきましては、当然払うべきだろうというふうに考えております。そのように指導いたしたいと考えております。
  22. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 店頭に表示するという方法は、この間、板川先生も提案をしたところでありまして、その方法は私はまことにやってもらってよかったというふうに思うのでありますが、この公表のしかたも十分手抜かりのないようにしていただきまして、この問題をほんとうにきれいな形で収拾をしていただきますように強く要望して、終わりたいと思います。
  23. 濱野清吾

    濱野委員長 上坂昇君。
  24. 上坂昇

    ○上坂委員 通産大臣の所信表明にからんで、一つ質問申し上げたいと思いますが、通産大臣はその所信表明の中で、わが国が戦後他国に例を見ない経済成長をなし遂げた反面、社会福祉のおくれや公害等、高度成長のひずみが表面化するとともに、国際的にも種々の問題が発生している。しかし、その中で、ことに国内的には物価高が強まり、昨年秋の石油危機に直面をして物価上昇、物資需給の緊迫が加速された。こう言っておられます。そうしてこのような事態に対処するために、果断、的確、迅速な施策の実施が求められる。同時に、事態の内奥にひそむ本質的な要因を深い洞察力をもって鋭く分析し、長期的ビジョンのもとに基本的な対策を講じなければならない。こう述べられているのでありますが、どうも少しそらぞらしい感じがするわけであります。事実は一体どうであるかというと、経済大国の威信もどこへやら、昨年秋以来国際的にはアラブ産油国ないしは国際石油資本に完全に踊らされて、石油問題に対する深い洞察がないまま国内的にはいたずらに石油危機を喧伝しただけでありまして、そればかりでなく、大商社、大企業にすら手玉にとられてその無策を国民の前にさらけ出さなければならなかったというふうに考えざるを得ないのであります。私たちはそうした認識に立っているのでありますが、そうしたことに対する反省が少しも通産の政策の中では見られないという感じがするわけでありますが、そのことについてひとつ次官から所信をお示しいただきたいというふうに思います。
  25. 森下元晴

    森下政府委員 資源の乏しい国は経済大国といえない、私もそのとおりだと思います。いままでは世界各国から経済大国といわれまして、多少うぬぼれもあったかもわかりませんけれども内容は生産大国であり消費大国であったけれども、残念ながら資源的には大国でなかった。これが私は日本の現実の姿だろうと思います。そういうことを踏まえまして、資源の中でも一番あらゆる産業経済に影響を持つ石油資源というものの見通し、それから生産、価格動向というものは国民経済に最も影響を与える、そういうことで、昨年から原油がどんどん上がりまして、そうして年末から品不足、それがあらゆる物価の高騰に原因した。これについての通産省、また政府の考え方、見通しは、いま先生おっしゃったように、見通しの甘さも事実ございましたし、これはわれわれは率直に認めたいと思っております。  ただ、石油の問題につきましては、中曽根通産大臣は中東につとに参りまして、この状況を調べたり、またいろいろ手を打った点もございます。昨年の七月には資源エネルギー庁をつくりまして、一応対策は立てたはずでございましたけれども、あまりにも世界的な石油の削減による経済混乱、また物価高というような大きな波の中で日本だけが安泰というわけにいかなかった点もわれわれは認識しなければいかぬわけでございます。それと、ことしになりまして、いよいよ十ドル原油が入ってまいりまして、大体三月十日で安い石油は一滴もなくなるであろう、こういうことで、将来の価格体系をいかにするか、先ほど岡田先生にも申し上げましたけれども一つの決断を近々のうちにしなければならない重大な段階に私は入っておるように思っております。だからいろいろと、先ほどのゼネラル石油の問題、そういう消費者に御迷惑をかけたり、また行政指導で多少甘さもあったかもわかりませんけれども、今後はそういうようなあやまち、また認識の甘さを繰り返さないように、やはり世界経済の中で、また石油という資源の実態、また価格動向をよく見きわめながら、いわゆる日本価格を形成する、価格のほとんどすべての要素になっているであろうこの原油価格、また石油製品価格ということの重大性を認識して、過去のそういうような見通しの甘さというものを十分反省しながら国民の負託にこたえなくてはいけない、そういうように実は決意をして、私ども通産省一体になりまして努力をしていきたい、そういう非常に強い決意でございます。
  26. 上坂昇

    ○上坂委員 見通しの甘さ等を反省しながら今後に対処をしていきたいということでございますが、それは率直にそう受けとめてこれからの施策に期待をいたしたいと思うわけでありますが、実はこうした状態が出てきていることについて、私はここに「通商産業」という書物を持っておるわけです。これは通産省の広報課から出ている書物であります。それの昨年の四月号によりますと、「大手商社の営業活動の実態調査」というものが出ております。せっかくこうした実態調査をやりながら、その調査の根本的な問題に触れなかったためにいまのような状態が出て、まあ言ってみれば大商社に踊らされているというような印象を国民に与える形が出てきているのではないかというふうに思うのであります。この調査発表を四月の三日にしているわけでありますが、実はこの調査というのを三月の十三日から十五日にかけて行なって、そうしてこれだけの調査をまとめたということに、もうすでに私は疑問が生ずるわけであります。そんな簡単な調査で一体この大手商社の営業活動の実態などというものがわかるものかどうかということに非常に疑問を持つのであります。そうしたところに今度の根本的な施策の問題があるし、調査をしても、その調査の資料というものはほとんど商社側から出ておって、それに基づいて調査をするだけにすぎないというような、通産省のそうした姿勢といいますか、あり方といいますか、そういうものが非常に問題になるのではないかというふうに考えざるを得ないわけであります。  この調査対象物になっておりますのは羊毛、毛糸、綿花、綿糸、大豆、木材、生糸という形であります。もう一つは、この商品のほかに有価証券と土地、こうなっております。  その調査の概括的な点がこの本に書いてあるわけでありますが、商社の段階で明白に買い占め及び売り惜しみが行なわれたと断定できるものはない、こういっておるわけであります。しかし、羊毛や毛糸、綿糸、生糸については買い占めあるいは商品取引所における投機が行なわれる疑いがある、こういうふうにいっておるわけであります。こうしたやはり認識の違いといいますか、間違った調査判断というものが今日の結果を招いているのではないか、こういうふうに考えるわけであります。こうした調査について、一体通産省としてはどの程度の調査というものをやったのか、このことについてお答えをいただきたいというふうに思います。
  27. 森下元晴

    森下政府委員 石油の問題だけではなしに、大豆とかまた羊毛、あらゆる資源の輸入、またその輸入したものの流通段階におきまして、いわゆる買い占め、売り惜しみが行なわれたのではないだろうか。また、適正な在庫の問題と買い占めの問題とのからみ合いがどうなるのだというふうな趣旨のお尋ねだろうと思います。自由経済下では、やはり適正な在庫、またときには、これは善意の意味でいわゆる横の流通というものが行なわれてまいったことも事実でございます。その横の流通、すなわち買い占めとか、また売り惜しみと誤解されるような内容のために、結局、消費者が大きく迷惑する、倉庫に入っております品物をそのままで売り買い売り買いでものがつり上がっていく、そういう実態も過去においてないとはいえないと私は思います。  ただ問題は、その価格の高騰によって、またそういう取引によって大衆に迷惑がかかる、また非常に物価高騰に影響する、そういうような面で、過去におきます自由経済とこれからの新しい自由経済の中で、やはり一つの秩序の上に立って、ただ通産行政が業者の育成、また大企業の育成、産業の育成だけではなしに、真に消費者のための通産省であるのだ、また福祉という大きな政策のために通産行政はあるんだというような大きな方向に転換をしております。いま先生おっしゃったような、ただ自由経済の中だからといって、横の流通が行なわれたりして消費者に迷惑をかけることはいけないということをわれわれはよく認識して、いわばいままでの自由主義から新しい一つの自由主義、一つの秩序を持った、介入と参加が行なわれるような新しい自由主義に行くべきである、こういうような強力な指導を今後していきたいと思っております。  ちょうど大臣がおいでになりましたので、大臣からもあとでお答え願いたいと思います。
  28. 上坂昇

    ○上坂委員 この中で木材のことについて言いますと、こういうふうに書いてあるのです。その著しい値上がりについては三つ理由をあげておりますが、その前提となっているのは、世界的な木材の需給関係の逼迫にあるのだ、こういっておりまして、実は予算委員会等でも明らかになっているように、この逼迫をもたらした元凶が日本の商社にあるということを洞察できなかったのではないかというふうに考えざるを得ません。また土地については、商社の土地取り扱い量が相当増加している、しかしこれは営業用のものだ、こう断定をしております。これもやはり商社の報告をそのまま受け取って通産省独自の分析がない、こういうふうに考えざるを得ません。  そこへもってきて対策になるわけでありますが、この対策になりますと、なおひどいのであります。現段階では大手商社が流通を阻害し、国民生活に影を落とすような行為をしていたとは二、三の物資を除いてはいえない、こういったぐあいであります。そうして商社の持つ過剰流動性の大幅増加の大きな原因である金融機関の貸し出しの問題、商社の企業責任について商社と通産省の懇談会を常設をするという提案、あるいはまた商社みずからの物資の融通あっせん等の供給確保の体制をつくるように努力をする、さらに流通段階の問題解決のためには、問屋あるいは小売り店の代表者と通産省との間に物資別の懇談会を設置して、その具体策を立てる、こういうことをいっておるわけでありますが、はたしてこういうことが実施されたのかどうか、その点非常に疑問でありますが、お伺いをいたしたいというふうに思います。この実施をしたとするならば、その成果がどういうふうにあがってきているのか、その点についてもお示しをいただきたいというふうに思います。
  29. 森下元晴

    森下政府委員 商社の機能は非常に多角的になりまして、木材の輸入も入っておりますし、また土地の購入、またそれを商品としての売り買いまで入っておるようにわれわれも聞いております。そういう中で、たとえば木材輸入につきましては、昨年また一昨年の暮れから昨年にかけて外材輸入等でいわゆる買い占めが行なわれたというような一つの横の流通が行なわれたために非常に暴騰したわけでございますけれども、これとても、やはり商社に対する従来の自由主義的な考え方の上に立って、それがそういう悪影響を与えたんだというふうにわれわれも解釈しております。たとえばある商社におきましては、いわゆる総合商社だからある品物では非常に赤字が出るかもわからない、だから他の品物でうんともうけてもいいんだ、だからわれわれはプールして考えておるんだ、そういうような無責任なことを言っておった例もございます。だから、赤字を埋めるために、たとえば木材が非常なマージンをとられて売られた場合に、その木材を原料とするいわゆる住宅建設、またその他の住の問題とか、また衣の問題、そういう国民生活に非常に影響があると思うのです。そういう面で、先ほども申し上げましたように、商社にいたしましても、大企業にいたしましても、従来の自由主義という、ただその上に立って資源は幾らでもあるんだ、また物は幾らでも売れるんだというような観点では今後はいけないと思っております。  なお、それに対して通産省がどういう指導をしているか、またいろいろ業界とのそういう面で懇談をしてきたその実績につきましては係から説明をさせたいと思います。——ちょうど係が来ておらぬようでございますからさっそく呼び寄せまして、先生の御質問の具体的な商社とか、また企業とのそういう指導、懇談会等について報告させます。
  30. 上坂昇

    ○上坂委員 それではいまの問題については、係の人が来てからお答えをいただきたいというふうに思います。  いまの全般的な問題について最後に一言だけ申し上げておきたいのですが、実は最近どうも私たちが資料を要求いたしますと、通産省だけではないと思うのですが、なかなか出したがらない。あまり出すと突っ込まれるというふうな心配があるのかどうかわかりませんが、どうもそういう傾向があります。それで、これは調査をする人もかなり困っておりますし、私たちも困るわけであります。そういうことのないようにやってくれるのかどうか、ここで明言をしていただきたい。
  31. 森下元晴

    森下政府委員 いろいろこの資料の提出につきましてはずいぶん要求もございますし、できるだけ資料の提出をするつもりでございますけれども、中には、業界等からの資料の中で、これを公表したり、また事前に資料として出すことにおいてやはり国家公務員としての一応禁止事項に抵触する問題も実は出てまいりますし、ただ一企業のそういう内容をみだりに公表しては、自由経済の中でいわゆるその企業に非常にあとあとの営業にいろいろな問題を及ぼすという問題もございまして、実は私の手元でその内容につきましては検討もさせていただいております。しかし、でき得る限り資料の提出をして御迷惑をかけないという趣旨には変わりございません。そういうことで今後でき得る限りにおいては資料は提出したいと思いますけれども、しかし内容によっては、いま申し上げましたような理由で出せないものもございます。
  32. 上坂昇

    ○上坂委員 いまの問題ですが、実は先般丸紅と交渉をしたわけでありますが、そのときやはり取引上の問題について、商業上の道義の上からここでは提出できません、しかし、国会等で要求があればこれは出さざるを得ません、こういうふうに商社自身が答えているわけであります。そういう点を含んでひとつわれわれの資料提出の要求に十分こたえていただくように努力をしていただきたいというふうに思います。  次に、具体的な問題について入っていきたいというふうに思いますが、いま一番困っているのは住宅の問題であります。衣食住の問題が私たちの生活の基本でありますが、その中で物価の値上がり、資材不足でいま政府が進めている住宅政策そのものがもう行き詰まるような状況にきているということは御承知のとおりであります。そういう点で、私は建築資材の木材とくぎについて、ひとつ代表的なものをとらえて質問をしてまいりたいというふうに思うのであります。  御承知のように、材木、合板、トタン板、くぎ、サッシ、セメント、あらゆる建築資材が値上がりをしております。一例をあげますと、ベニヤ板では東京のある問屋の仕入れ価格は二・七ミリもので四十七年の一月に百八十円だったものが四十八年の一月には二百九十五円、倍近くの値上がりをしておる。ことしの一月ではこれがまた五百円になっております。これが今度業者に渡る場合には六百六十円ぐらいになる。これではもうどうにも家が建てられないという状況であります。私の知っている団地では、昨年の暮れに十六戸の住宅建設の契約があったわけでありますが、そのうち十三戸が取り消しをしなければならない、キャンセルをする、こういうような状態が出てきておるわけであります。坪当たりまさにいまは二十万から三十万円かかるわけでありますから、勤労者が家を建てるということはもう夢物語りになっているような状況でございます。建築資材の価格の暴騰と品不足のためで、全国では、人口十万以上の都市をとりますと、百七十三の都市で二五%以上、三〇%近くの建築工事が停止をされているというような状況であります。こうした状態になったのは大商社の悪徳商法によるものであるということは予算委員会ですでに明らかになっているとおりでありますが、先ほど申し上げましたように、先般丸紅に全建総連の建設業者たちが交渉をいたしまして、三井物産と二社に交渉したわけでありますが、五項目の要求を出したのであります。その中で木材の輸入価格、メーカーへの引き渡し価格及びその取引先の名簿の公開を要求したのでありますが、先ほどもありましたように、取引上の道義からこれはできない、こういうことでございました。しかし、国会の要求があればこれはやります、こういう話なんです。  そういう点で、これはぜひひとつ通産省としてもこうしたものをとってもらいたいというふうに考えるわけでありますが、問題なのは、こうした建築資材の価格操作の追跡調査をやる上にこれはどうしてもやはり必要であります。その点で、通産省は、こうした商社の動き、そういうものを具体的にどのようにつかんでおられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  33. 森下元晴

    森下政府委員 木材の問題は林野庁のほうの係が参っております。なお、くぎ等の問題につきましては通産省の製鉄関係の係から御説明するわけでございますけれども、たとえば木材が輸入される場合に幾らの価格で入っておるか、それがどういう機構を通じて末端まで流れておるか、この問題は非常に複雑でございますし、いわゆる通関統計とかいろいろ統計資料を通じまして通産省としてもできるだけ正確に把握するように努力はしておるわけでございます。  たとえば構造材でございますけれども、これは実はほとんどアメリカ、カナダから入っております。これも商社が直接入れる場合もあるし、また木材問屋が協定して商社に頼んで一定のマージンを払って入れる場合などいろいろなケースが実はございます。また、その検寸の方法でございますけれども日本は立米建てでございますけれども、アメリカでは違った方法でやっておりまして、この容積を換算するために多少の差があるようでございます。必ずしもアメリカが出した容積と日本に着いた容積の完全な一致がないために、そこでこの価格の多少の変更も実はございます。アメリカのほうの木材の容積をはかるやり方は、製材にして、いわゆる利用材積によってこれをはかっております。日本のたてまえは、いわゆる丸太としての全体の量をはかっておる、そういうところに多少向こうから出された場合の検寸と日本に着いた場合の検寸との相違もございまして、これが価格にはね返ります。  それから、いまアメリカから木材を持ってくる場合には、以前と違いまして規制をされております。アメリカもずいぶん木材が少なくなりまして、無制限には日本に売らないというようなことを去年から実施いたしまして、従来の実積の約八割程度の量が入ってきておる。そのために多少日本の木材需給のバランスがくずれまして、高騰を来たした。しかし通産省も、やはりこの住の一番大きな資材である木材を安定的に確保するために、これからいわゆる木材の備蓄をいたしまして、たとえば二カ月、一カ月の備蓄をして、供給量が非常に不足した場合、また価格が高騰した場合にこの備蓄の木材を放出することによってコントロールする、そういうふうなことを前向きでやっておりまして、木材につきましては万遺憾なきような体制をつくりつつございます。  実は私も先般、大工さんとか左官さん、いわゆる建設関係の組合の方にそういうふうな強力な陳情を受けました。いろいろくぎも上がったし、また木材も上がった、また塩ビの水道管も上がったし、また電線も上がった、せっかくのマイホームが建たないのだというような非常に強い陳情も受けまして、いま申し上げたような木材についての御説明もしたりしたわけでございますけれども、住の問題も食の問題と同じように非常に大事な問題でございまして、全力をあげて、この確保につとめていきたいと思っております。  係より説明させます。
  34. 下川英雄

    ○下川説明員 ただいま価格の変動の実態を御指摘いただいたわけでございますけれども、この合板の価格につきましては、御承知のように非常に変動の激しい商品でございまして、ただいまお話がございましたような四十七年の一月時点におきましては、非常に下がっておった時期でございます。これは指数で申し上げますと、四十五年を一〇〇といたしました場合に四十六年で八五・五、四十七年で八八・八というふうに非常に下がっておりまして、合板工場が赤字にあえいでおったというときでございます。その後、四十七年の暮れから昨年にかけまして、御承知のような非常な建築ブームといいましょうか、建築着工が非常にふえたということもありますし、それからまた、その原木でございますところのラワン材が産地価格が上がった、あるいは運賃が上がったといったようなコストを引き上げる要因も手伝いまして現在のような価格になってきたわけでございますが、この最近の動きにつきましては、御指摘がございましたように、昨年の十二月あるいは本年の一月にかけまして五百円をこしたという事態があったわけでございますけれども、二月に入りまして、これが大幅に今度は下落を始めております。ただいま御指摘ございました二・七ミリについて申し上げますと、現在一枚当たり四百三十円から四百五十円といったようなところまで下がってまいっております。そういうふうな状況でございます。
  35. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 くぎにつきましては、昨年の秋十月ごろまでトン十万円で推移したわけでございますが、これは百ミリの丸くぎをベースにしての価格でございますが、その後猛烈に価格が上昇いたしまして、一月末にはトン十五万円になったわけでございます。末端の小売り価格ではこれが二十二万円程度になったわけでございますが、主たる価格高騰の理由というのはやはりくぎの品薄ということが大きな原因になったと思います。  そこで通産省といたしましては、市況鎮静対策といたしまして一月の末に千四百トンのくぎの緊急増産並びに緊急出荷を実施いたしまして、二月の五日から出荷を開始したわけでございます。千四百トンと申しますのは大体毎月の需要の八%くらいに当たるわけでございます。そのために、これを契機といたしまして市況が軟化いたしまして、現在の市況というのは十三万五、六千円くらいというふうに考えております。しかし、これでもなお昨年の秋の十万円台から比べますとまだ三万円以上も高いわけでございますので、さらにくぎの緊急増産並びに緊急出荷をメーカーに対して要請をいたしておるわけでございますが、三月の一日に線材メーカーの大手七社に対しまして、くぎ用としまして緊急出荷の要請を行なったわけでございます。現在、数字等につきまして詰めておりますが、おそらく前回と同じ程度の数量の緊急出荷が行なわれると思いますので、これを契機にいたしまして、また価格の鎮静化に役立つものと考えております。
  36. 上坂昇

    ○上坂委員 ベニヤの問題ですが、丸紅の責任者の話によりますと、合板メーカーから買って、そのまま問屋に渡す、そして問屋がその仕入れ価格の二%を口銭として商社にくれるんだ、こういうふうに言っておるわけでありますが、この辺のところが非常にのみ込みにくいわけであります。販売ルートが一体どういうふうになっているのか、このことを考えますと、合板メーカーから問屋が仕入れたものに商社はそのまま二%の手数料をかけて、手つかずに取っているという感じがするわけであります。この辺のメカニズムといいますか、この辺をひとつ解明していただきたい。
  37. 下川英雄

    ○下川説明員 合板の流通の中で、ほぼ半分、五〇%くらいは、お話がございましたように、商社を通じて問屋に流れるという形でございますが、これは商社は何も物流にタッチしておるというわけではございませんで、信用保証をしておるという形で一%ないし二%商社が取っておるというのが実情でございます。あとの半分につきましては、直接メーカーから問屋あるいは小売りあるいは実需者というところに流れております。
  38. 上坂昇

    ○上坂委員 信用保証ということは、一体どういうことなんですか。
  39. 下川英雄

    ○下川説明員 御承知のように、合板メーカーあるいは合板の流通にタッチしておりますところの問屋等につきましてはほとんど大部分が中小零細企業でございますが、その取引の面で安全を期するといったような関係であろうというふうに私どもは考えておるような次第でございます。
  40. 上坂昇

    ○上坂委員 そうすると、輸入ベニヤの場合にはどういうふうな形になっていくわけですか。
  41. 下川英雄

    ○下川説明員 輸入品につきましては、商社が輸入をいたしまして、そのほとんど大部分は、たとえば二次加工メーカーあるいは直需者といったようなところに売っているようなものでございまして、これの手数料も、私ははっきりした実態をここに持ってきておりませんので、はっきりしたことはお答えいたしかねますけれども、ほぼ国内の流通の場合と同じようなマージンではなかろうかというふうに考えております。なお、実態を、必要がございますれば後ほどはっきりしたことをお答え申し上げたいと思います。
  42. 上坂昇

    ○上坂委員 その場合、この値段をきめるのは一体どこがきめるのですか。
  43. 下川英雄

    ○下川説明員 これは国内の実需者、たとえば二次加工する合板——まあこの輸入合板といいますのは、品質の面で国内の生産のものとは差があるということで、その多くは二次加工に回されるというものでございます。たとえば床板の材料——台板に使うとか、あるいはその上にプリントするとかいったような形で、いわゆる特殊合板をつくる原料に使われるものが大部分でございます。そういうことで、国内のそういう二次加工メーカーが商社に、どこの国からどれだけ買ってくれといったような指示をいたしまして、それで商社が輸入業務をするといったような形でございます。その場合に、価格につきましては、国内のそういったような合板の二次加工メーカーは、韓国あるいは台湾におきますところの製品価格、合板の価格というものはほぼ調べております。情報をキャッチしておりますので、価格は商社から引き取りますところの二次加工メーカーがほぼつかんでおりますから、その辺は適正に行なわれておるものであろうというふうに考えております。
  44. 上坂昇

    ○上坂委員 輸入ベニヤの場合には見当もついたわけですが、そうしますと、国内産のベニヤの場合にもやはりそういう形になって、いわゆる合板メーカーが値段をつけていくのか、それとも問屋が値段をつけてこれを仕入れるのか、そこのところをひとつ明確にしていただきたい。
  45. 下川英雄

    ○下川説明員 国内流通の場合に、メーカーがきめるのか、買い手がきめるのかということにつきましては、そのときどきの需給の事情によってきまると思いますが、その場合に、メーカーとしました場合には、原料が非常に上がっておる、原木が上がる、あるいは接着剤等の資材が値上がりしておるといったような状況も加味しながら、そこで売り手と買い手の間の交渉が行なわれてきまっておるだろうというふうに考えております。
  46. 上坂昇

    ○上坂委員 そうしますと、価格の面では商社の入るすきがないというかっこうになってくるというふうに思うのですが、それにもかかわらずだいぶ商社のもうけが激しい。これは昨年の予算委員会等でも出たと思いますが、六大商社が木材だけでもうけている金額が、丸紅は四十七年の下期に三十二億五千万円ももうけている、こういう状態が出てくるわけでありますが、こういうのは一体どこからこうした形が出てくるのか。これは数量が非常に多いからという形だけで判断ができるのかどうか、その辺をひとつ解明をしていただきたい。
  47. 森下元晴

    森下政府委員 このベニヤの問題は、一昨年の夏ごろまでは非常に価格が安かったように私承知しております。それで、合理化カルテル等申請してカルテルのもとにあったように思いまして、合板のメーカーは非常に不振におちいっておった。それを商社がかなりラワン材を買ってきて、それをベニヤ工場に入れて、買った製品を商社が引き取らなければいけないような現状にあったように承知しております。それが一昨年の秋からの木材の高騰でベニヤもそれにつれて上がった。だからベニヤにしても木材にしても、また新建材にしても、そういう建築資材、木工資材につきましては大体横の連絡で、木材が上がれば合板もつれて上がっていく、また同じように新建材も上がっていく、そういう関連性が私はあるように思います。そういう中で合板だけが特に商社の価格指示で上げられない商品であるというふうにも承知しておりますし、今後暴騰とか高騰の場合には、売り惜しみ買い占め防止法にも木材、合板全部入っておりますから、そういう面で木材と同じように暴騰しないように、また買い占めが行なわれないようにいわゆるコントロールをしていくべきである、このように思っております。私の承知しておる範囲では、商社等も特別の価格指示をしたようなことはないと思います、いろいろな他の製品に関連しておりますので。そういうことでお答え申し上げておきます。
  48. 上坂昇

    ○上坂委員 時間があまりありませんので、ひとつまとめてお答えをいただきたいと思うのです。  最近の報道によりますと、国有林野事業特別会計で二千四百九十三億円の収入があって、前年度比では七百十五億円の増収になっているというふうにいわれている。歳入歳出では六百十三億円の黒字が出たということでありますが、この収入がふえているのは、林産物の売り上げ高が非常に多くなった。昨年度に比して三六・三%もふえている。販売量はほぼ横ばいでありますから、もっぱら木材価格の高騰によってこれだけの収益が上がった、こういうふうに報道されておるわけであります。実勢価格だと一口に言ってしまえばそれで終わりでありますが、こうした木材の価格の値上がりが非常に激しい時代には、国の事業としてやはり価格安定に寄与する態度が私は必要ではないかというふうに考えるわけでありますが、こうした形がとられていなかったということについては、これはいささか政治の怠慢ではないかというふうに考えるわけであります。こういうことについての所信をひとつお伺いをいたしたいというふうに思います。  それからもう一点、くぎのことにつきましてはなお質問をあとでする機会を持ちたいというふうに考えておるわけでありますが、洗剤のことについて一言だけお聞きしておきたいというふうに思います。  通産大臣は、その所信表明の中で、物価の安定と需給の円滑化のためにいろいろな手を打って、特に合成洗剤の増産の指示を行なっている、こういうふうに言っているわけであります。合成洗剤については、予算委員会でも、花王石鹸あるいはライオン油脂等が非常に問題になっておるわけであります。私は、いまの環境問題の中ではもう合成洗剤については増産体制をとる必要はないのではないか、むしろこれをやるよりは石けんの増産に力を入れるべきではないか、そしてそのことが石けんのメーカーである中小企業を救う道につながるのではないか、そしてまたそのことが国民の健康と生活環境を非常に大きく守っていくということにつながるものであるというふうに考えるわけであります。そういう点で合成洗剤に対する通産省考え方、あるいはまた石けんに対するところの通産大臣の考え方、それをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  49. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 合成洗剤に対しましては国民の選好性というものがかなり強うございまして、非常に便利である、落ちがよろしい、そういう点で何か神話的な選好性があるようであります。商品の場合にはそういう国民の嗜好というものを必ずしも無視できない。しかし、私はどちらかといえば上坂さんと似た考えを持っているものであります。合成洗剤については、使用方法を適正にやれば害はない、そういうことになっておりますけれども国民が膨大な合成洗剤をみんな使って、それが川へ流れていったということを考えると、まあ適量にしても自然との関係において必ずしもいい結果ばかりではないであろうという気が私しております。そういう意味から、むしろ石けんを使うほうが自然でもあるし好ましいという気持ちがしております。ただ、合成洗剤について有毒性、有害性というものが立証されない限り、われわれのほうからそれを強くそちらへ持っていくように指導するということは、なかなかむずかしいところであると思うのです。しかし、いまお話しのように、私もそういう点については共鳴するところがございますから、そういう方面の行政指導につきましていろいろ検討も加え、でき得べくんばやってみたいと思います。
  50. 須藤徹男

    ○須藤説明員 国有林材によって価格の安定ができないかという御趣旨の御質問でございますが、これに対しましてお答えいたします。  まず量の問題でございますが、実は国有林材は国内の全体の需要量の一三%のシェアを持っておるのでございます。また国有林は北海道、東北あるいは九州の南部等に偏在をいたしておりまして、いわゆる価格決定の主とした市場、たとえば東京でございますとか愛知、大阪、そういう大きな市場におきます比率はまことに微々たるものでございまして、たとえて申し上げますと、東京市場では外材が九六%を占めておる、愛知では八六%、大阪では九六%、非常に外材の比率が高いわけでございます。そこで量的にはなかなか安定に寄与する力が残念ながらないということがいえると思うのでございます。  それから価格の問題でございますが、これは先生も御承知のとおり、現在財政法あるいは予決令等によりまして、いわゆる時価、市価以下に売ることができないという問題がございます。  そこで国有林としての対応策でございますが、やはりこの量、いわゆる伐採量をふやすという問題が一つございますけれども、これは御承知のとおり最近自然保護あるいはその他の問題で、国有林は伐採量を年々減少いたしております。年率約五%で現在減少しておるのでございまして、一挙にこれを増伐するというわけになかなかまいらない。国土保全上問題があるということで増伐はできないという問題がございます。そこで私どもといたしましては価格高騰時に繰り上げ販売するというような方法をとるしか方法がないわけでございます。これも先ほど申し上げましたように、そのときの市価によります販売でございますので、このような異常な高騰時にはそれほど効果が発揮できないということでございます。そこで、やはりこれは国有林材だけではなくて、外材も含めました備蓄制度を発足するのが一番の策であろうということで、四十九年度から御検討をいただいておるところでございます。  以上でございます。
  51. 上坂昇

    ○上坂委員 質問を終わります。
  52. 濱野清吾

    濱野委員長 中村重光君。
  53. 中村重光

    ○中村(重)委員 通産大臣にお伺いいたしますが、私は本委員会におきましても大臣にお尋ねをしたのでしたが、例の四十六年の公取の価格カルテルに対するところの問題に対して、密田石連会長が予算委員会に参考人として出席をした際に、通産省指導でやったということについてお尋ねをいたしました。ところが大臣は、みずからお答えにならないで、山形エネルギー庁長官をして答弁をさせたわけです。大臣も御承知のとおりに、密田会長がその後予算委員会においての発言は間違いであった、通産省指導によってやったのではないということでこれを取り消しをいたしております。私自身も、密田会長の予算委員会における発言のときは、先般の委員会でも申し上げましたとおり、ちょうど予算委員会に傍聴に行って、それを聞いておった。楢崎君がたしか二、三回にわたっての質問に対して、よどみなくきっぱりと通産省指導であるということで言い切ったわけですね。それがたいへん問題となりまして、密田会長が後日これを取り消したということは、通産省の圧力でやったという感じをぬぐい去ることはできないと思う。予算委員会におきましても、私はこの問題が取り上げられたのであろうと思うのですが、大臣は御調査になったと思うのです、あなたが大臣のときではありませんから。ほんとうに四十六年段階においては通産省行政指導というものがなされてなかったという確信をお持ちなのかどうか、その点について大臣から、調査をされたみずらかの確信についてはっきりお答えをいただきたいと思うのです。
  54. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 あれは四十六年の二月二十二日のやみ価格協定について公取で摘発された事件でございますが、通産省はそれに関与した事実はございません。二月二十二日にそれが行なわれたということで摘発されましたが、当時OPEC、特にテヘラン協定によって石油の値段が上げられたために、その石油の値段を消費者に転嫁しよう、そういう動きがあったので、通産省としてはその対策についていろいろ検討はしておったようでございます。それが、二月二十二日にあったことについてこれは事実かどうか、これは公取が主張しておることでありますけれども通産省としては、その後の、たしか四月の二十二日であったと思いますが、この問題について痛み分けでやることがよろしい、それで石油関係の業者も負担をいたしなさい、消費者のほうもこの程度の値上げはがまんしてもらおうということで、各企業ごとに、通産省としてはこういう方向でいくということを示達した、そういう事件でありまして、まず時期的に二月の時点と四月の時点では違う。それから四月の時点におきましては、通産省はいまのような痛み分けの政策を企業に指示したので、業界としてこれを横に連携をとって、そういうことでいくというようなことを指示したことは全然ない、こういう報告を私は受けております。したがいまして、私は、通産省がそれに一緒になって参画したという事実はないと考えております。
  55. 中村重光

    ○中村(重)委員 公正取引委員会に対する異議申し立ても、公取委員長が先般の委員会でお答えになりましたように、通産省指導でやったということをはっきり言っているわけです。それから予算委員会では、密田石連会長は、当時指導した担当課長の名前をはっきり言っているのです。これらの事実を考えてみるとき、いま大臣がお答えになりましたように、何もなかったということが言い得るでしょうか。ならば、密田会長が名前をあげた課長を大臣はお呼びになって、そのときの経過について御調査になりましたか。
  56. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 あれは宮澤大臣のときであったということがあとでわかりましたけれども石油関係の担当者の意見を聞いて、その当時の事実を洗ってみまして、いまのような報告を私は受けたのでございまして、通産省のやり方がカルテルに関係したということはないと確信しております。  なお、予算委員会で間違った記憶によって密田会長が発言したことによって、行政の公正さを疑われるようなことを放置しておいてはよろしくありませんから、私は密田会長に、事実を明らかにして、間違っていたら通産省に対してそのように措置してもらいたい、通産省が間違ったことをやっているということをそのままに国民の誤解を与えておいては遺憾である、そういうことを私は密田会長に言いまして、会長自体から、それは自分の記憶違いであったという疎明があったわけであります。
  57. 中村重光

    ○中村(重)委員 楢崎君の突然の質問に対して密田会長が答弁をしたのなら記憶違いということも考えられます。しかし、公正取引委員会の異議申し立て、これは記憶違いとかなんとかという問題は起こってこないと思う。実態を十分調査をして石連としては公正取引委員会に異議申し立てをしているんだから、何もないのに石油連盟が公正取引委員会に対して異議申し立てをするということはあり得ぬ。私はそう思う。だから、それらの事実に目をおおうた、あるいは耳をおおうておられるのかもしれませんけれども、予算委員会における楢崎君の質問に対しての答弁ということだけをとらえてあなたが記憶違いの発言をしたなら云々ということを言われることが、ちょっとおかしいんじゃありませんか。そういうことであるならば、もう長期間にわたった公正取引委員会の異議申し立てということについて、その事実ということについて通産省は十分調査をしておかれるはずではなかったのですか。私は、おかしいと思うのですよ。
  58. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私が報告を受けたことはいままで申し上げたとおりでありまして、密田氏はおそらく、四月の時点で通産省価格政策について痛み分けの方針をきめた、それを企業に対して通達した、そういうことがあったものですから、二月の時点におけることもそれによって不当性とかあるいは違法性を阻却されるのではないか、そういうように密田氏は自分で推察したのではないかという疑いがあります。したがって、そういう感じを本人が持っているという考えから、行政指導があったというような、あるいは答弁を間違ってやったのかもしれません。これは、本人の正確な弁明をやってみないとわかりませんけれども、私は、あるとすればそういうことではないか。しかし、二月の時点と四月の時点とは違うのであって、二月の時点にかりにあるとすれば、それは業界内部のことであり、四月の時点は公権力の発動としての行政指導というものがあって、それは企業に対し個別的に行なわれたことである。そういうことでありますから、性格が非常に違うと私は思います。
  59. 中村重光

    ○中村(重)委員 公正取引委員長にお尋ねをいたしますが、四十六年の事件ですから、もうすでに三年前の事件だということになる。石連は明らかに通産省行政指導であるという申し立てをしているということは、先般のあなたの答弁で明らかになっているわけですが、公取は通産省にその事実について御調査になったんだろうと思うのでございますが、その点いかがですか。
  60. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 通産省について調査するということは特に行なっていない模様であります。これは、すでに審判そのものは、公開された審判は終結しております。いまや審決の段階に入っているわけでございまして、近いうちに私のほうから審判を経た後の正式な審決が行なわれる予定でございます。  いまの点ですが、向こうの被審人、つまり石連でございますね、それほうの主張を申しますれば、この問題には二つあるわけです。  二月二十二日に会合を行なった。これを公取は、その場でカルテルの協定を行なった、決定をしたというふうに見ておるが、その事実はないというのですね。一つは、その事実についてこれを否定的に述べておる。意見の交換をした、有志の会合で意見交換をしただけだから、別段カルテル行為をそこで行なったわけでないのだというのですけれども、私ども公取としては、それは事実に反する、事実としてカルテルを行なったものとみなされるというふうに認定したわけですね。  それからもう一点の相違点は、ちょうどこの二月二十二日から二カ月おくれた四月の二十二日に通産省指導があった、そこでそれに従ったまでだから、その後はカルテルはないのだ、こういうことです。この点、法律的に実はたいへんむずかしい問題を含んでおります。行政指導があって、それに従ったのだからというのですが、私どものほうの臨検といいますか、立ち入り調査は、その間における三月十二日に行なわれているわけです。(板川委員「十四日」と呼ぶ)三月十二日でございます。臨検、立ち入り調査は三月十二日に行なわれている。というのは、三月一日から値上げが行なわれたわけです。ですから、その前の二月二十二日にはちゃんとカルテルの申し合わせが行なわれた、談合が行なわれたということで、三月一日から実施されたのを見て三月の十二日に立ち入り検査をしている。だからすでに着手していることは明らかであるということなんです。  その勧告を行なったのがちょっとこれはまたおくれまして——これは普通そのくらいかかるのです。こういう異議申し立てのあったような事件でございますから、勧告を行ないましたのは七月の六日でありますか、七月の六日は——ちょっと待ってください。七月の六日に勧告を応諾しないという通知がありますから、そのおそらく——これにちょっと書いてありませんが、一週間ないし十日前に勧告を行なっています。  四月の二十二日に通産省指導があった、だからこれに従ったまでだからカルテルはもうないのだという主張をしておる。この点について、わがほうの見解は異なっております。それでもカルテルは存在するということであります。審判は四十六年の九月の九日に第一回をやりまして、十二回に及ぶ審判を繰り返しております。まあ近いうちには決着をつけなければならないことになっておりますが、向こうの場合には、二月二十二日の会合は有志の会合で、これは決定じゃない、そのカルテルをきめたんじゃなくて意見交換を行なっただけだということを主張しているという実態的な問題と、もう一つ、形式の問題として——私はあえて形式と言いますが、四月の二十二日に通産省指導を受けたんだから、その後、カルテルは存在しない、そうしますと勧告を受けた時点においてはカルテルは存在しなかったというのが被審人の主張であります。私どもはまだここで意見を申し上げるわけにはいかないのです。審判のあとを受けて正式審決を行なうのには、公正取引委員会の決定が必要でございますので、いまここでどうだという意見を申し上げることはまさに法律違反になりますから、その点はごかんべん願いたい。
  61. 中村重光

    ○中村(重)委員 通産大臣、いま公取の答弁をお聞きになっておられたわけですが、私は、審判段階で公取が通産省にその事情を十分調査をしていないということについては問題を感じるのですが、石油連盟が着手をしたというこの事実は、私もそのとおりだと思うのです。通産省は、審判段階において公取が出席を求めたのに対して出席をしない。異議申し立てがなされているという事実を知りながら、出席をしてその事情を明らかにするという態度をとるべきであったと思うのですが、それをなぜにおやりにならなかったのでしょう。
  62. 山形栄治

    山形政府委員 審判中の問題でございまして、公取当局と石連との間でいわゆる司法的な手続が進んでいる段階でございますので、行政府として慎重なる態度を持することが妥当だという判断のもとに、発言その他は差し控えた事情があるやに聞いております。
  63. 中村重光

    ○中村(重)委員 どうもおかしいですね。まことに不明朗ですよ。通産省の出席をおそらく公取は求めたであろうし、出る予定であった、だけれども出なかったというように私どもは伺っているわけです。石油連盟が着手したというこの事実と、通産省行政指導をやったかやらないかということはおのずから別の問題なんです。行政指導をやってカルテルをやらすべきでないのにもかかわらずこれをやったということになってくると、これはきわめて重大な問題であると私は思う。そのことは明らかにしなければならない、そのように考えます。いまそれぞれお答えを伺いましても、何か割り切れないもの、すっきりしないものを感じます。もう少しそれらの点について通産省からも公取からも御答弁をひとつ明快にしていただきたいと思う。
  64. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 いま公取の委員長に、通産省の出席を要請されましたかと聞きましたら、委員長は知らない、そういうことであります。通産省側のほうについてはそういう出席要求があったかどうか、いま調べさせております。
  65. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私は先ほどもよく詳しく知らないと申しまして、いまたまたまその担当の者がほかの委員会に分散しておりまして来ておりませんので、いま電話でその事実、通産省に出席を要求したけれども出てこなかったという事実があるのかどうか確かめさせておりますから、それは電話でわかると思います。それまでその事実はお預け願いたいと思います。何しろこれは非常にデリケートな面もございますから、私も発言については相当慎重にならざるを得ません。これはむずかしい問題を実は含んでおるものですから、この点についてはまたいずれ十分考えて、検討した上で公正取引委員会の意見としてまとめた上で発言したいと思います。
  66. 中村重光

    ○中村(重)委員 もっと突っ込んでお尋ねしたいのですが、この問題は保留をいたして私は次の質問に入りますが、板川委員から関連質問がありますから……。
  67. 板川正吾

    ○板川委員 関連して。この事実は、私も実は審判の資料等も見せてもらって、いろいろ実態を調査をしたんです。こういうことですね。これは通産大臣、よく聞いてもらいたいんですが、二月二十二日に石連の営業委員会で、三月一日からガソリン値上げをしよう、そのほかは四月一日から値上げしよう、こういう取りきめをした。これが二月二十二日です。三月十二日に公取の立ち入り調査があった。立ち入り調査があったから、当然通産省としても何らかの心配をしたろうと思います。予算委員会の発言は、この二月二十二日までに通産省がタッチしたかのごとき発言をした。これは密田会長も思い違いでした、こう言ったことであろうと思うのです。三月一日にすでに値上げが行なわれた。四月一日から石油以外の製品値上げが行なわれるということになっておった。しかし、三月十二日に公取が入ってしまった。こうなると通産省等もなかなか心配したんじゃないですか。そして三月二十九日、三十日ごろ、日にちは若干その前のところもあったようですが、ここで通産省が四月一日から値上げする分について千百十三円値上げするというのを八百六十円にしなさい、二百三十五円は業者が泣きなさいという形の内示をして、そして四月一日からやはり値上げを実質的に認めたのですね。四月一日から実質的に値上げが認められた。問題は、この二十九日と三十日に通産省がこの業界に連絡したのは、縦の、通産省から業者に個々に連絡したんじゃない、通産省から出光石油連盟会長、出光石油に連絡をして横の協議をさせた。本来なら大臣がいつも言っているように、通産省行政指導という公権力の介入は個々の業者に縦に縦断的に行なわれる、こう言っておったのですが、実際はそうじゃない。出光石油連盟会長に言って各業界に横の連絡をとらせておる、これは実質的にカルテルを認めたような事態になっておるんじゃないか。そして四月の十五日に、通産省ではこの石油問題についての、この値上げ問題についての協議をして、そして方針をきめて四月二十二日に正式に介入したという事実がある。これは審判の記録を読めばそういうことが明らかになっているわけです。四月の二十二日に介入したときに千百十三円値上げしておるやつが八百六十円に下がったのかというと、そうじゃないですよ。結局四月一日から値上げをしたものをあとから追認したという形をとったというだけなんですね。だから、結局通産省行政指導した、縦の個々の業者に通産省が個々に連絡したんじゃなくて、石連の会長に連絡をして横の連絡をとらした。これはいわばカルテル行為の幇助に当たるんじゃないかというのが一つ問題がある。四月二十二日に、じゃ正式に介入したときに千百十三円で値上げしたものを八百六十円に値下げさせたのか、そうじゃないのですよ。問題は、値下げさせたならまだ一つの意義があったのですが、そうじゃないのです。これは四月一日に値上げしたものをそのままあとから入って追認したという形をとった。だから密田石連会長が——その当時は密田氏ではなかった、出光ですが、錯覚をして、あの当時は通産省が介入したんだから、介入したことに従ったんだからわれわれは何らやみカルテルでない、こういう錯覚を起こすのですね。  これはもちろん中曽根大臣のときじゃないけれども、大臣はよく公権力が介入して一つの政策を押しつける場合には縦に個々に縦断的に介入するのだ、こういうことで、これはいわゆるカルテルではない。カルテルというのは私利私欲を追求、利潤追求のために横に連係するというのがカルテルだ、こうしばしば言っているんですが、実際は石連の出光会長を通じて横の連絡をさせておる、こういうところが通産省もカルテルに協力したという結果が出ている。ここにわれわれは問題がある、こう言っているわけなんです。この点、どう思うんですか。
  68. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 まず通産省に対して審判の際事情聴取の出席要求があったかどうかということでございますが、いまの公取委員長のお調べでは、審判の際には通産省に対しては事情聴取等は一切やっていない、ただし、勧告書を出す前の段階では通産事情聴取を行なっている、こういう御報告を得たわけであります。  それから、三月末から四月に至る事態につきましては、エネルギー庁長官から御説明申し上げさせたいと思います。
  69. 山形栄治

    山形政府委員 いま先生の御指摘のとおり、四月の十五日に通産省は幹部会を開きまして方針を決定いたしまして、これを四月の二十二日に通告いたしたわけでございます。ところが、いま先生の御指摘のとおり、各社は値上げ動きを着々と進めておりましたので、通産省といたしまして、これを事前に、四月前に考え方を示しておくということが、その後に行なわれることが予定されておりました通産省の正式の決定の事前の通告ということでスムーズにこれを円滑に進めるという必要もありましたので、御指摘の三月の末、考え方を石連の会長に示したわけでございます。その後、いま申し上げましたように、四月の二十二日に正式に通産考え方を示したわけでございまして、これはあくまで元売りの千百十三円を八百六十円に押えるべきであるということを強く要請したわけでございまして、その中のガソリンとかナフサとか、そういう油種別の問題は全然われわれのほうの勧告といいますか、指示には内容に入っておりませんで、二月二十二日にカルテルをやったといわれておりますのはあくまで油種別の問題でございまして、通産省は従来から油種別の問題には立ち入らないということで、あくまで元売り段階の値下げといいますか、元売り段階抑制ということを四月二十二日に打ち出したわけでございまして、油種別問題はこの際も全然触れておらないわけでございます。
  70. 板川正吾

    ○板川委員 もう一言。二月二十二日の石連の営業委員会は、三月一日からガソリン値上げをする、その他の製品は四月一日から行なう、こういう決定をしておったんですよ。その決定をしておったのを、四月一日の第二回目に行なう寸前に通産省は各社に言ったんじゃなくて、石連を通じて、いわば二月二十二日のカルテル行為を是認するような態度をとった、石連を通じて各社に通達をした、ここに一つ問題がある。千百十三円という二月二十二日の申し合わせを——申し合わせは四月一日から値上げすることになっておった。だから、正式に四月二十二日に入ったときに千百十三円が八百六十円になったわけじゃないんですね。そうでしょう。統計を調べましても四月二十二日に値下がりはしてないですよ。四月一日と同じなんです。だから、結局は通産省がそういう形式をとったと言いながら、実際は石連と共同して共同行為に加担した、こういう非難が出ておるということを私は考えなくちゃいけないと思うのです。われわれはそこが問題だと言っているのです。  それから通産省関係者も、ほんとうはこの審判の中で出席をして意見を求める予定でおったのが、どういう理由かそれが意見を求めることがなかったという事実があることも事実だ。  こういう点から考えますと、その辺に通産省と業界の癒着の姿というのがあるだろう、私はこう思うわけであります。これはどう思われますか。
  71. 濱野清吾

    濱野委員長 ちょっと委員長から発言いたします。  速記をとめてください。   〔速記中止〕
  72. 濱野清吾

    濱野委員長 速記を始めてください。
  73. 中村重光

    ○中村(重)委員 それぞれ答弁を伺いましても、業界と通産省との癒着というか、この問題に対しての行政指導もあったでありましょうし、あるいはまた公取と通産省との間にこの問題について、私はある種の共通の意思を働かせているのではないかという疑いすら持たざるを得ません。したがいまして、いま委員長が言われましたように、この問題についてはもっと真相を究明するために後日集中審議の形で審議をいたしたい、そういう取り計らいをひとつしていただきたいと思います。
  74. 濱野清吾

    濱野委員長 承知しました。  では引き続き質問願います。
  75. 中村重光

    ○中村(重)委員 きょうの新聞報道によりますと、「エクソン、シェルなどの国際石油資本(メジャー)の一部は、わが国の石油精製各社に対し、日本政府の石油価格凍結指導を不満として今月の対日供給を二月より二五%カットすると通告してきた。また民族系トップの石油会社、出光興産は経営上の理由から早ければ今週末にも単独で見切り値上げに踏み切る構えを表明、」しているということが報道されているわけですが、こういう事実があるのかどうか、また、これに対する対応策をどのようにお考えになっておられるのか、伺いたいと思います。
  76. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 メジャー側が日本石油精製業者等と長期契約をやっておるわけでございますが、この長期契約の一定量供給の契約に対して、やはり何%くらいは少なくなるというような通告を日本側の石油業者に対してやっている向きがあるようであります。それは一〇%の場合もあり、あるいは一五%の場合もあるやに私は聞いております。  それからメジャーのある者が、やはり通産省の担当者に対して、大体こういう意向を持っておる、各旬ごとにいま石油の供給計画をつくっておるところであるけれども、このままの状態ではどの程度縮減されるかしれない、それは石油需給状況あるいは世界石油情勢等ともからんで、そういう可能性なきにしもあらず、そういうようなことを言ってきている。そういう事実はあるやに聞いております。
  77. 中村重光

    ○中村(重)委員 二月の入荷量は通産省計画よりも八%減である。これはやはり価格を凍結しているということに起因しているというような判断をしておられるのかどうか、その点いかがですか。
  78. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その点は正確にわかりません。二月の統計は、税関によるものは三月の十八日ごろに出てくるわけでございます。これは業者の入着の報告をしさいに積み上げてみて、通産が行政ベースの資料としていろいろつくっている、そういう情勢から見ますと、二月の供給目標は二千二百七十万トンでありましたが、それから下回っておるというのが現在の推測であります。
  79. 中村重光

    ○中村(重)委員 メジャーは日本に対して石油の供給をやる、同時にメジャー自身が製油所を経営しているということから、この石油製品価格の凍結に対して抵抗してくるということは多分に考えられるわけです。しかしながら、先般の委員会でも私は申し上げましたが、日本政府としては一、二の業者から圧力をかけられるということで政策の変更をするようなことがあってはならない。き然たる態度をもって臨まれることを強く要請いたしておきたいと思います。  次に、公正取引委員長にお尋ねをいたしますが、あなたは当委員会におきましても、あるいは予算委員会におきましても、あるいは記者会見等においても、このカルテルに対する破棄勧告ということだけではだめだから、価格引き下げ命令を行なうための独禁法の改正をできるならば次の通常国会に提案をしたいというような意思を表明をしておられるわけですし、また寡占企業の分割、このことについても検討しているということが伝えられているわけですが、もう一度委員長から考え方についてはっきりしておいていただきたいと思います。
  80. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私どもは今日のような異常な物価狂乱といわれる状態を実は予想してはいなかったのです。その前の段階で、すでに卸売り物価などがかなり目立って上がっていたということは事実でございます。消費者物価も上がっておりました。それが石油でまた非常なたいへんな押し上げになったわけですが、そういうことになる以前から価格と独禁法の関係、それはそもそもは、本来の考え方としては、公取委員会というものは独占禁止法のたてまえから言えば、価格をどうこうするという、その価格政策を云々するところじゃない、それはいまでもそう思っております。競争政策を維持することがたてまえでございますから、特にカルテルの場合にはそれを破棄すれば十分である。ところが、実態はどうかといいますと、そうでないんですね。破棄をしたけれども、その後何一つ変化をしない。ことにごく最近の状態ではむしろ値上がりをするということさえある。そうすると、公取がやっているそういう司法上の活動、行政処分の主たる目的——目的というか扱っているほとんどがその価格カルテルなどである。にもかかわらず、その効果が経済的に何も出てこない。協定を破棄すればそれで満足するというのが私はどうもすっきりしない。やはり経済効果がそれによって何か各経済層に及ぶということ、発揮されることが必要ではないかという観点から、これはずっと前から実は昨年何回か、三回くらいかかりましたか、独占禁止懇話会にも寡占の問題と同時にそういう問題をおはかりしている。それで、基本的なラインについては大体の御賛成を得た。私どもだけの考え方でもないということで、今度は専門にその問題を改正問題として取り扱う独占禁止法研究会を発足さしていただきまして、目下その問題について検討をしていただいている。ですから、競争政策というものは本来自由な価格形成ということでございますから、端的に言えばそういうことなんです。それがそうでなくて業界ごとのカルテルだけでいって、しかも破棄を命じたが何の効果も出ないというのでは、一体何のために働いているのかということになります。はっきり申し上げればそういうことになる。  それで、その引き下げ命令というものを持ったらどうか、この引き下げ命令につきましては、たいへんむずかしい問題がございます。私どもが望ましいのは、その違法なカルテルに関する限りにおいて、違法なカルテルでないものは、これはもう全く別のことでございますが、法律によって価格設定権を持ちたいということでございます。ということは、その価格を原点に戻すのが一番いいのです。協定前に戻すのが一番いいのですけれども、これはそういかない場合もある。いかない場合には、裁量権という問題がある。裁量権というのは、実はその価格に関する限りは、一つ価格設定権を法律によって与えられる、授権されるということでございます。それを公取が持つことがいいかどうか、たいへんむずかしい問題でございますが、そういうことが必要であるというふうに私どもは十分感じ、先ほど申したように、独禁懇にもおはかりしたところが大体賛成であるということでございますから、そういう方向でただいま検討中でございます。  寡占企業の分割命令につきましても、企業の分割とか資産の譲渡という問題は、民間のいわば私権に対しては重大な影響をもたらすものでございますが、これもたとえば現在における管理価格というものに対して、ただディスクロージャーというような方法だけで足りるとするか、そうではなくて、企業の分割権を持つ、ただし、私はこれを乱用する気持ちはもちろんございません。そういうことは十分慎んでまいりたい、こう思いますが、そういう権限を法律上与えられているかいないかは、たとえば私どもがディスクロージャーをするとか、いろいろな指導、一種のやみカルテル的な行為、証拠のないやみカルテル的な行為を助長させるものを防ぐためには、そういう法律的な背景を持っていたほうがいい、こういう考えでございまして、それを法律が通ったらどんどんそれをやるというふうな手荒い考えに基づくものではありませんが、制度的にかつてあったものを復活させてもらったほうが、私どもとしては非常に有効な措置がとり得るのではないか、こういう考え方でございます。
  81. 中村重光

    ○中村(重)委員 公取委員長のお答えのように、破棄勧告をやって価格の引き下げ命令をやらないということは、国民の納得するところではありませんよ。当然のことなんです。それから、私どもは、この寡占企業の分割の問題に対しましても、八幡、富士の合併の際に強く主張したところなんです。必ず合併というものは大きな弊害をもたらすであろうということで、私どもは強くこれに反対をしてまいりましたが、当時、山田委員長が公取委員長のときでございましたが、強引にこれを押し切ってしまった。しかし、その合併をしたものが、寡占体制、いわゆるシェアを非常に拡大して弊害をもたらすということが具体的な事実としてあらわれてまいりました際に、これを分割させることは当然だと私は思うのです。必ずこの独禁法の改正は次期国会に提案をするということを実行していただきたいということを強く要請いたしておきます。  通産大臣にも、この独占禁止法の改正に対する考え方について、端的に申し上げると、私は通産大臣としては当然だという考え方をお持ちだろうと思いますが、御見解をひとつ伺っておきたいと思います。
  82. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やみカルテルが発生することはきわめて遺憾な事態でありまして、そういう点については公正取引委員会がびしびしおやりになることをわれわれは歓迎するものでございます。また、そういうやみカルテル行為が発生することを防止するために、法律ないし行政的措置をおきめになるということも、必要な範囲内においてわれわれも歓迎するところであります。
  83. 中村重光

    ○中村(重)委員 法律をおきめになるということを私が独禁法の改正ということで申し上げたわけですから、おきめになるということは、改正といったようなことについて歓迎をするというような考え方であるということで、私は理解をいたしておきたいと思います。  時間の関係もありますが、他の省からもお見えでございますので、他の省に関連をするものにしぼって二、三お尋ねをいたしたいと思います。  先に中小企業庁長官にお尋ねいたしますが、年度末融資については大蔵省と合意をされたのだと思うのですが、どういうことになっておるのか。
  84. 外山弘

    ○外山政府委員 年度末融資と申しますと三月末までの融資でございますが、本日の閣議に御報告をいただきまして御決定いただきました。三機関に対して五百億、沖繩を含めまして五百五億の融資ワクの増加を財投措置とあわせて御決定いただいた次第でございます。
  85. 中村重光

    ○中村(重)委員 私どもは、いま政府三機関に対して金融引き締めでもって借り入れ申し込みが殺到しておるという事実の調査をいたしておりますが、五百億ということではどうにもならないというように考えます。しかし、この問題については次の信用保険法案の審議の際に、中小企業全般の問題としていろいろ意見を申し上げることにいたしたいというふうに思います。  それから、通産大臣が一時解雇や失業懸念の問題について意向表明もしていらっしゃるわけですが、金融引き締め、また石油ショックでもって倒産が激増しておる。倒産が起こることになりますと、失業者が出てくるということは間違いない。倒産までいかなくても、一時帰休といったようなこと等が起こっておりますし、今後も増加していくであろうというように考えるわけです。これらの点について、大臣は、どのように対策をお考えになっていらっしゃるのか、伺いたい。
  86. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 そういうような事例が起こり得る、また起こりつつあるのは、地方の小企業建設会社に出始めております。すでにいままで心配した問題は、ネオン業者とかあるいは広告塔業者でございました。これらはストレートに受けておったわけでございますが、おのおの金融その他の措置をしたところであります。  それから、最近は自動車が生産不振でありまして、それらのことが必然的に下請の諸産業、自動車関係の下請に圧力が来るのではないか。それから機械産業がきわめて不振で、機械受注の情勢を見ますと三割減ないし五割減ぐらいが出てきております。そうなりますと、地方の鉄鋼業とか鋳物業とか、そういう関係の、機械関係関連産業にかなりまた圧力が出てくるのではないか、そういうような点をわれわれよく注意して見守りながら、金融そのほかの措置で当面を切り抜けるようにいろいろ手当てをしていきたいと思っておるところでございます。  今回は年度末として五百五億円の緊急のワクを大蔵省から認めてもらいましたけれども、一番ひどくなるのはやはり五、六月ではないかという予感がしておりますが、それらにかけて、新しい予算の成立に伴いまして、強力な政策を打っていかなければならぬ、そういうように思っております。
  87. 中村重光

    ○中村(重)委員 労働省からもお答えをいただきたい。
  88. 鈴木新一郎

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  金融引き締め、景気の後退によって失業情勢がどうなるか、雇用の安定は国民方々にとりまして何よりも一番基本的な問題でありまして、私どもとしましても、十分事態の推移を慎重に見守っておるところでございます。部分的には先ほど通産大臣から申し上げましたように、いろいろございますけれども、いまのところ全般的な失業情勢はそれほど悪化いたしておりません。たとえば総理府統計局の完全失業者も現在五十五万程度でございまして、昨年同期に比べましてやや減っておりますし、また私どもの失業保険者の数も昨年に比べてなお減っておる状況であります。これはこの数年間、高度成長によりまして非常に人手不足の現象が数年間続きまして、現在もなお求人と求職との割合は、求職一に対して求人が一・七%という状態がございまして、全般的な失業情勢はそれほど悪化してないというのが現在の姿であろうと思います。  しかしながら、今後の事態につきましては、推移によりましてはいろいろ問題が出てくるかと思いますので、私どもとしても失業の防止に十分な配慮をしたいと思っております。すでに昨年からことしにかけまして全国の職業安定課長会議を二回ほど開催いたしまして、できるだけ失業、離職の事態が発生しないように、できるだけ労働時間等の短縮等によって雇用調整策をとりまして、失業を発生しないように各県の職業安定所に努力するように指導しておりますので、今後ともそういう失業の事態が起こらないようにやっていきたいと思っております。
  89. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまあなたがお答えになるように甘くないと私は思う。十二月段階で職場を離れた失業者が百七十三万、その中で婦人の労働者が百四十万ということは、あなたのほうの発表でも明らかになっているわけですね。ですから、それは十二月における失業の状態であろう、今後金融引き締めというのは相当きびしくなってくる、それが中小企業に対するしわ寄せという形になることは避けられないのです。だから通産省も、失業救済のために失業保険も現行の六〇%を八〇%に支給額を引き上げる、そうして成案を得たならば、成案を得たというのか、通産省中小企業庁としての考え方がまとまったならば関係各省と話し合いをするというようなことが、これはお答えもいただきますが、そういう考え方を持っているのではないかと思うのです。その点に対する通産省中小企業庁としては検討の結果はどうなっているのか。労働省からいまお答えになったように、たいして心配するようなことではないということで検討しておられたのを中止をしているのかどうか、そのあたりいかがですか。
  90. 外山弘

    ○外山政府委員 労働行政の進め方につきましては労働省としばしばお打ち合わせをしているところでございますが、先ほど御指摘の問題も検討をしているところでございます。ただ、現在の情勢判断から見ますと、たとえば求人倍率の問題にいたしましても、過去の例から見まして、労働省の御判断から見ますと、まだそこまでいっていないというような御判断もございますし、私どもとしましては、いろいろな情勢判断をしました上で労働省とも十分御相談を進めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  91. 中村重光

    ○中村(重)委員 甘く考えないように、火がついてから対策を立てておったのでは間に合いません。私どもは、通産省検討しておるということが伝えられた失業保険八〇%というのもむしろ一〇〇%支給をする、これは被害者なんだから、これは当然だというようにすら考えているわけであります。  次に、通産大臣にお尋ねをいたしますが、大臣が本委員会でもあるいは物特でもお答えになったように伺っているわけですが、この中小企業の分野の確保、総合商社、なかんずく大企業の中小企業の分野に対するところの進出は目に余るものがある、これは何とか規制をしなければならないということをしばしばお答えになっていらっしゃるわけです。具体策としてはどのようなことをお考えになっていらっしゃるのか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  92. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 商社の批判の中で顕著に私らが受けとめた一つは、商社が巨大な資本力あるいは情報網等を利用して中小企業の分野に進出してきて、ラーメン屋から洗たく屋までやる、こういうことは、取引の公正化といいますか、あるいは中小企業対策の面からいたしまして私は好ましくないと思います。これには中小企業団体法による一つ調整行為が可能になっておりますけれども、適用されているという例が少ないのであります。そこで、団体法との関係その他もにらみ合わせながら、商社が中小企業の分野に進出してきて、そしてその優勢な地位を誇って中小企業関係を圧迫することがないように、これは検討すべき大事な問題であると心得ております。  そこで、それを具体的にどういうふうに規制すべきであるか、そういう点についていまいろいろとつおいつ考えているのが実情でございまして、これは自民党の政策にも関係することでございますから、党とも相談をして進めていきたいと考えておるところでございます。
  93. 中村重光

    ○中村(重)委員 これは願望だけではしようがないですね。大臣は、気持ちとしてはいまお答えになったようにお考えになっていらっしゃるだろうと思うのですよ。この問題で大臣の答弁を私伺ったのも昨年からもうこれで四回目くらいじゃないかと思うのですね。もっとかもしれません。ならば具体策を講じろというくらいに強い指示をなさることが当然ではありませんか。中小企業庁が中小企業の事業分野に関しての法律案を出すということが新聞報道で伝えられまして大いに歓迎をしたところですが、どうもお出しになる気配がない。  私どもは昨年の通常国会が終わりましたあと、田中団長でもって中国、九州方面の視察に参りました。政府がみこしを上げなければ、議員立法でも中小企業の事業分野の確保に関する法律案を共同提案しようじゃないかということで話し合いをいたしまして、これは必要だということで実はただ一人として異議がなかったくらい、これは大臣がいまお答えになったように、大企業が洗たく屋を始めるとかラーメン屋を始めるとか、行き過ぎにもほどがあると思う。もうかりさえすれば何でもやってよろしい、モラルも何もあったものではないですよ。これは大臣、願望だけではなくて、事業分野の確保のための法律をつくらなければどうにもならないということだったら、進んでひとつつくってもらいたい、現行法で可能な限りやれる点はやってもらいたい、こう思うのですが、さっそくそのことについて、自民党との関係もありますがというようなことでお逃げにならないで、あなたの責任でおやりにならなければ中曽根通産大臣の見識を疑われることになるのではありませんか、いかがですか。
  94. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 前向きに検討を進めまして、私もぜひ妥当な成案を得るようにいたしたいと考えております。
  95. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまの答弁で不満だということになると、これはまたいつまでも尽きるところがありませんが、きょうは、いままでの答弁より前進して、具体的な方策を講ずるものであるということでその点は理解をいたしておきたいと思うのです。  厚生省の北村環衛課長にお尋ねをいたしますが、いま通産大臣に質疑をいたしたことについても御理解のとおりですが、大企業が洗たく屋に進出をするなんということはけしからぬことだと思う。その点から手短なところで対策を考えてみなければならないことは、取次店にクリーニング師を置くためのクリーニング業法の改正をやるのは常識だと私は思う。厚生省もなかなかみこしをお上げにならない。このことはなぜにやれないのか、どうしようとお考えになっていらっしゃるのか。
  96. 北村和男

    ○北村説明員 お答え申し上げます。  いまお話しの業法改正の問題でございますが、これは最近クリーニング業界の中で取次店を規制するようなお考えがいろいろあるようでございますが、私どもといたしましては、業界内部でもまたいろいろな御意見があるようでございますので、それらのお話し合いを少し進めていただいて、そして成案を得次第ひとつ法改正その他の動きがあろうかと思います。ただ、クリーニング業法は、沿革的には議員立法でおつくりいただいた経過もございますので、その辺の関係も十分調整しながら、当面は業界内部の意見の統一を急いでいるところでございます。
  97. 中村重光

    ○中村(重)委員 知っていてお尋ねしているようなかっこうでどうかと思うのだけれども、業界にいろんな声があるということは知っている。しかし、これに反対しているのは大きい業者なんです。大多数の零細業者、少なくとも関心を持っている業者というものは全部業法改正を望んでいるわけです。これは議員立法だからというのではなくて、あなたのほうでいろいろ問題があるからということで足を引っぱっていることも事実なんだから、進んで議員立法というようなものがほんとうに生かされる、中小零細企業を守るという考え方でつくられている法律であるわけだから、これが悪用されているということについては、これは政府としての対策というものをお考えになることが当然なければならぬ。だから足を引っぱるのではなくて、積極的に零細業者を守るという観点——通産大臣もいまお答えになったように、ともかく大きい業者が洗たく屋までやるなんということは行き過ぎじゃありませんか。進んで中小零細企業を守っていくんだという考え方の上に立って行政指導もやっていただきましょうし、法律の改正案もお出しになる、またそういう方向関係方面にも働きかけるぐらいの気概と責任を持っていただきたいということを強く要請いたしておきたいと思うのです。  それから、いま経済企画庁の物価局長が帰られたのですが、これは零細業者との関連がありますから通産大臣に伺います。  物価対策として佐藤内閣当時から生協の育成ということを強く強調してこられたわけですが、この点に対しての具体的な考え方があるのかどうか、伺ってみたいと思うのです。
  98. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 生協は相互組織で市民が自分たちの生活を守ろうという行為から出てきたことでありまして、私たちはこれが健全に成長することを願っております。ただ、中小企業との関係がありまして、相互にこれらが共存共栄をはかるような考え方に立って進むことが望ましい。員外利用とか、そういうような問題で中小企業をあまり圧迫しないように、また中小企業側も生協をあまり目のかたきにしないで両方で共存共栄をはかるような形で健全に発展していくことを希望しております。
  99. 中村重光

    ○中村(重)委員 私も通産大臣と同じ意見なんです。これは両者が共存共栄、協調していかなければならぬということになって、私はいろいろと検討するならば協調し得る道はあると思っているのです。ただ、大臣がいまお話しになりました員外利用なんということはということでは、これはなかなかむずかしい。農協が員外利用をやっているじゃないか。農協が員外利用をやっているのに生協に員外利用を認めないということはどうしたことなんだという問題が出てくるのです。だから大臣が前段お答えになりましたように、大衆の消費生活を守っていくという観点からするならば、この生協を育成していかなければならぬということになってくるのです。では、いま私が指摘をいたしましたように、農協が員外利用がよくて生協が員外利用はいけないというのはどういうことなのかということに対する回答が与えられなければならない。地域制限撤廃の問題もしかりであると私は考える。だからして、中小企業庁は関係各省とこの問題についても十分話し合いをされて、そうして両者が協調し得る面はないのかどうか、これはもう零細業者としても、生協ということよりも、農協の小型百貸店あるいはスーパーのようなやり方については悲鳴をあげていることも事実なんだ。だからして、零細業者を守るという観点からこれは利害相反する面も出てくることはもう避けられない。しかし、大臣がお答えになりましたように、両者が協調し得るという面も見出していかなければならないし、また見出し得るであろうというように私は考えるわけでございますから、その点は十分ひとつ検討をして、早くこれに対する結論を出していただきたいということを要請いたしておきたいと思います。  それから、環衛資金の独立開業資金、これは労働省からもお答えをいただきますが、この環衛資金というのは雇用対策か労働者対策かという点であります。どのようにお考えになってこの独立開業資金というものの融資を運用しておられるのですか、それぞれ伺いたいと思います。
  100. 北村和男

    ○北村説明員 環衛資金の制度のお尋ねかと存じますので、厚生省から便宜お答えさせていただきます。  いまお尋ねの独立開業資金と申しますのは、たとえば一般の現在すでに営業をしている環衛業者に対する貸し付けと異なりまして、そこで多年従業員として働いていた人が、いわゆる俗に申しますのれん分けによって新しく独立する際に貸し付けをするという制度が環衛公庫を通じて現在存在しているわけでございまして、大体今年度の昨年末までの実績でも、全体の貸し付け金の三%程度の実績を持っております。これは逐年わずかではございますが増加しているような制度でございます。この制度は、従業員サイドから見れば確かに先生おっしゃったようなことでございますが、環境衛生業の健全な発展、それからそういう励みによりまして従業員の確保がはかれるという観点から申しますと、やはり私どもといたしましては、これは環境衛生営業の健全化のための資金、そのように心得て今後とも運営をしてまいるつもりでございます。
  101. 森英良

    ○森説明員 お答えいたします。  環境衛生公庫が環境衛生事業に従事する労働者が独立して営業しようとする場合に設備資金を融資するという制度があることは承知しておるのでございますが、労働省がこれまで労働福祉対策ということでやってまいりましたのは、労働者が労働者としてその生活を送るにつきましていろいろな福祉面を総合的に職場の内外を通じて考えるということをこれまで中心に考えてきておりまして、その意味では、これまでの労働福祉対策の範囲にはあまり考えていなかった事項でございます。したがいまして、厚生省のほうにおいてこういうことをお考えになってきたことはそれなりに不都合はないのではないかというふうに考えております。
  102. 中村重光

    ○中村(重)委員 労働省にはこの制度をつくるときには合い議はなかったわけです。これは私は当時の事情をよく承知をしているわけです。これは厚生省と大蔵省とで実は話し合いをされた。独立開業資金が雇用政策か労働政策かということは重要な問題だと私は思うのです。雇用政策ということになってくると、いま厚生省もお答えになりましたが、この同一店舗に八年以上勤務をして、そして二十八歳、今度は十年の場合は、現在おる店に五年以上勤続をして三十歳ということになるわけで、これはのれん分けということで実はやるわけですね。業者のほうは、業者というよりも、厚生省も同じような考え方だろうと思うのだけれども、雇用政策としてこれを考えている。労働者が二十八歳になったならば、八年勤務したならば自分はのれん分けで開業することができるのだという楽しみ、あるいはどこかの店に行きましても、また同一店舗に五年間ぐらい勤務して十年になって三十歳になる。そうするとこの独立開業資金というものを借りれるのだということで楽しみにして働くのですよ。しかし、実際そうしようという場合に、業者はこれの足を引っぱる。組合が推薦制になっておりますから、足を引っぱるのに手伝いをするというような弊害が実はあるということです。これは労働政策ではありません。むしろこれを悪用するという形になるということです。この点は、雇用政策か労働政策かということによってこの制度の改善をどうするかという問題が実は出てくるわけなんです。この制度も発足をいたしましてからもうずいぶん長くなるわけですから、労働政策なら労働政策という観点から、労働福祉の面からもっとこれを改善する。八年というのではなくて、これを六年にするとか七年にするとか、あるいは年齢も二十八歳というのではなくて二十五歳にするとかいうように、労働政策的立場からいろいろと改善をしていく必要がある。大蔵省が予算をつけられる場合におきましても、これは梅澤主計官が所管されるのだろうと私は思うのでありますけれども、やはりこれは労働省の意見も聞くというような形に、労働政策ならばなってくるのではないか。しかし、これが雇用政策ということになってまいりますと、大蔵省は厚生省とだけ話し合いをするということになってくる。これでは私は、労働者は浮かばれないと思う。だからこの点に対しては、雇用政策にウエートを置くのか、労働政策にウエートを置くのか、これは両者を対立させろという意味で申し上げるのではありません。しかし方針としては、ここではっきりしたものが私は必要ではないかというように考えるわけです。喜んで労働者もそこで働く、そしてまた独立開業という形になったならば喜んでのれん分けをしてやる、足を絶対に引っぱらない、そういうことでなければならないというように思うわけであります。ですから、この点に対してはひとつ大蔵省からここではお答えをいただきましょうか。
  103. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 ただいま先生の御指摘の問題でございますが、労働政策あるいは雇用政策にどういうふうに関連するかという非常にむずかしい問題があると思います。現在労働省のほうのサイドで開業資金に対するいろいろな援助、これは失業いたしました中高年等の労働者が、雇用労働者としてではなくて、自立の営業を始める場合にいろいろな援助の施策を労働省のサイドでやっております。環衛サイドの話でございますが、これは先ほど厚生当局からも御説明がございましたように、企業対策の面と、同時に副次的にそこに働く従業員の方々ののれん分けと申しますか、自立の援助という両側面があるわけでございまして、これを労働省でやるか厚生省でやるかというのは、私は本質的な問題じゃないと思うのです。やはり従来のせっかくの制度があるわけでございますから、双方が相補ってやっていく、それを調整する際に、私ども予算編成をする立場にあるわけでございますので、先生指摘のような点につきましては、今後も十分に留意いたしまして、相互に調和のとれたやり方で両省がそれぞれの仕事をやっていただく、こういうことに現段階では考えております。
  104. 中村重光

    ○中村(重)委員 環衛公庫をつくります際に、この独立開業資金というものは非常に前進した制度として評価をされたわけです。これは確かにいい制度なんですよ。これは有効に働いていくということでなければならない。ところが、これは統計がありましょうが、独立開業資金というのがどうもあまり高い比率を示してないということになっているのではないかというように思うのです。それから家族労働者のことも考えてやらなければいけないと思うのですよ。いまはどうしても、環衛業なんかの場合、人を雇うということになりましてもなかなか若年労働者を求めることができないということで、自分のせがれに、たとえば理容業であるとかそれに類似するような仕事に従事させようとする。ところが、使用人はそれだけの年数おりましたならば独立開業資金を借りることができるけれども、家族従業員、長男、次男がかりに働きましても独立開業資金を借りることができないということです。働いておった人は独立開業資金を借りて堂々と店を張ることができた、しかし子供であるがゆえに自己資金が二分の一必要だということになってまいりますと、私は、今日の情情の中では気の毒だというふうな感じがしてなりません。家族従業員に対しましても、親の店を子供が引き受ければよろしいんだといいますが、やはり父親も健全に、零細、細々ながら経営していく、せがれがどこか店を出す、のれん分けですね、それからまた次男もそうだ、こういう形にもなってくるというように思うのです。だから、家族なるがゆえに自分は独立開業資金を借りることができないんだというのは、家族労働者としても耐え得られないものがあるんじゃないでしょうか。やはり家族労働者に対しも何らかの配慮というものが必要になってくるような感じがいたしますが、この点いかがでございましょう。
  105. 北村和男

    ○北村説明員 いま御質問の件につきましては、今後十分検討さしていただきたいと思いますが、ただ、多くの場合、家族従事者の場合でございますと、その本店のサイドから見ますと、むすこに一軒店を持たせるというのは、お尋ねの趣旨と若干違うかもしれませんが、多くの場合は支店の増設といったような形をとる場合が間々ございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、既存業者の借り入れ、貸し付け制度の中で現在はまあ支障なく運用しているつもりでございます。
  106. 中村重光

    ○中村(重)委員 だから、どうもあなた方の答弁を聞いていると型どおりの答弁で困るんだな。それは、運用しているなんていっても事業資金の二分の一しか貸さないんだからね。それはテクニックをやって、五百万円の資金が必要なのを八百万円か一千万円かかりますといったようなことで、実際は自分の金がなくてやれるような道もないこともないでしょう。しかし、国民金融公庫の窓口というものは、そういうように甘くはない。それは大蔵省もきちっとやっていますからね、そんなに甘くないのですよ。だから、やはり相当な無理をしている。零細業者というものが自分の子供に命令でもって働かせる、これが独立でもって開業するといったような場合に、そんなに簡単なものじゃないんです。だからして、長男に対してはどうだ、次男に対しては他人労働者と同じような扱いをするといったような、いろいろな配慮というものがきめこまかに考えられなければいけないんじゃないでしょうか。梅澤主計官、この点いかがでしょう。
  107. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 率直に申しまして突然の御質問で、私いまだ不勉強でございますが、先生指摘の点、今後十分参考にさしていただきまして検討いたしたいと思います。
  108. 中村重光

    ○中村(重)委員 環衛課長にお尋ねいたしますが、環衛指導員というのが四十九年度から予算が計上されているわけですが、この環衛指導員というのは商工会の指導員と同じようにお考えになっていらっしゃるのか、これが商工会との関係というように、摩擦が生ずるというようにはお考えになってはいらっしゃらないか。また、環衛指導員の手当というのは、予算を見ますと五万円、二分の一の補助だということになっていますが、専従で働かせる場合の五万円というのはいささか無理ではないか。ほんとうに確信をもって厚生省はこの予算要求をされて、大蔵省との予算折衝の中で納得をされたのかどうか、そして、将来の展望としてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、この点いかがです。
  109. 北村和男

    ○北村説明員 いまお尋ねの環衛指導員でございますが、私どもといたしましては、これは環適法で規定されております各都道府県の環境衛生同業組合、これは先生承知のとおり、それぞれ十八種類の業種に分かれておりますが、それの横のつながりでございます県段階の環同組合の連絡協議会というのが多くの場合には知事の認可の公益法人として置かれているわけでございます。そこに、私どもの現在の考え方では、その指導員を配置いたしまして、環境衛生関係営業の指導に当たってもらおう、そのように思っております。  それから金額、人数等についてのことでございますが、私どもといたしましては、最大の努力をいたしまして、財政当局とも御相談しながら、当面四十九年度からこれを発足させるつもりで五万円というような予算を要求したわけでございます。  なお、他制度との関連で、将来これはなお一そう充実していくべき性質のものだというように心得ておりますので、明後年以降また努力してこの制度の発展をはかりたい、そのように感じております。
  110. 中村重光

    ○中村(重)委員 環境衛生という立場から、私は経営指導員といったようなものも必要であろうというように考えているわけです。ですけれども、置くなら置くように、この予算の面においても十分専従職として働くことができるという待遇というものが必要であるということです。  同時に、いま環衛公庫ができたために、商工会に入っておってもメリットがないということで、その商工会に入るものもあるが、どうも商工会から抜けるというような点もあるわけです。この指導員というものができるならば、ますますもってこの商工会から離れていくのではないか、そのことが商工会の運営に支障を来たすのではないかといったことの心配も実はあるわけでありますから、先ほどの生協の問題でありませんが、両者十分協調していくように配慮される必要があるということを申し上げておきたいと思うのです。  同時に、この商工会は特定政党を支持しないというようなことから、経営指導員に対して国が助成をするという意義は私はあると思う。しかしながら、環境衛生法にはそういうものが明記してない。特定政党を環境団体というものが特に支持するという傾向——環衛金融公庫がつくられます際、私の所属する社会党には、自民党支持に環衛団体はさらに強まってくるということになっていくのではないか、いわゆる権力的な運営をしていくことになるのではないかというような声があったことは事実であります。しかし私は、当時環衛公庫が生まれる際に、零細な環衛業者が銀行から事実上締め出されている、金融の道がない、業種別金融というものは好ましいことではないけれども、今日の自民党の政権下においては環衛業者の金融の道を開いていくということを考えるならば環衛金融公庫はつくらなければならないという点から、積極的に環衛金融公庫をつくるために私は党内において動いた。最終的には満場一致をもってこれに賛成をするという形に実はなったわけであります。ところが、私の党内にありましたように、自民党支持という傾向が非常に強まってくる、そういうきらいがあることは事実であります。そういう特定政党を支持するところの団体に対して、今度は経営指導員というものを国から助成をしていくということになって、そういう傾向をさらに強めてくるということになってまいりますと、私は問題が起こってくるような感じがしてなりません。これは自民党を批判するとか、団体を批判するとかいうことではなくて、少なくとも国の助成によって運営される団体は特定政党を支持するという姿があってはならないというように考えます。ですから、この予算をつけるという場合、これらの点の配慮というものが当然なければならない、そのように考えますが、それらの点に対して通産大臣からひとつ、これは環衛関係の問題ではありますけれども、中小企業の中におきましても、先ほどの独立開業資金の問題も、環衛団体だけではなくて中小企業にもこの種の融資の制度が考えられなければならない、しかしこれが一般のプロパーの中小企業にはないという点等もあるわけでありますから、いまの私がお尋ねをいたしました国から助成を受ける団体はどうあるべきかという観点でひとつお答えをいただきたい。
  111. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 やはり政治的には中正な態度をとって、そして普遍性を持つということが必要であると思います。商工会につきましてはそういう規定もあり、また商工会議所についてもそういう規定があったと記憶しておりますが、こういう精神はすべての企業団体について適用さるべきものであると思います。
  112. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は、大臣の答弁はまあ公正な答弁であると思います。そうでなければなりません。しかし、実態はそうではないということです。そして商工会等においても脱法行為がありますよ、大臣。商工会ということではやらないで、同じメンバーが政治連盟を結成して直ちに推薦をするというやり方、これはごまかしであります。決して公正妥当なやり方ではないということであります。ひとつ通産省としてもこの点は十分指導していただきたい。それから大蔵省も、いま大臣のお答えになりましたことは当然の答弁であるわけですから、予算をつけられる場合は、少なくとも国から助成をされる団体、地方自治体から助成を受ける団体が特定政党を支持するというような方向を露骨にいたしますと混乱が起こってくるということは避けられないと私は思いますから、健全な運営という面から十分配慮をしていただきたいということを、これは答弁は要りません、その点を強く求めておきたいと思います。  時間がたいへん過ぎましたので、保留をいたしまして、きょうはこれで終わります。
  113. 濱野清吾

    濱野委員長 次回は、明六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十八分散会