○高橋(俊)政府
委員 私
どもは今日のような異常な
物価狂乱といわれる状態を実は予想してはいなかったのです。その前の
段階で、すでに卸売り
物価などがかなり目立って上がっていたということは事実でございます。
消費者物価も上がっておりました。それが
石油でまた非常なたいへんな押し上げになったわけですが、そういうことになる以前から
価格と独禁法の
関係、それはそもそもは、本来の
考え方としては、公取
委員会というものは独占
禁止法のたてまえから言えば、
価格をどうこうするという、その
価格政策を云々するところじゃない、それはいまでもそう思っております。競争政策を維持することがたてまえでございますから、特にカルテルの場合にはそれを破棄すれば十分である。ところが、実態はどうかといいますと、そうでないんですね。破棄をしたけれ
ども、その後何
一つ変化をしない。ことにごく最近の状態ではむしろ値上がりをするということさえある。そうすると、公取がやっているそういう司法上の活動、行政処分の主たる目的——目的というか扱っているほとんどがその
価格カルテルなどである。にもかかわらず、その効果が
経済的に何も出てこない。協定を破棄すればそれで満足するというのが私はどうもすっきりしない。やはり
経済効果がそれによって何か各
経済層に及ぶということ、発揮されることが必要ではないかという観点から、これはずっと前から実は昨年何回か、三回くらいかかりましたか、独占
禁止懇話会にも寡占の問題と同時にそういう問題をおはかりしている。それで、
基本的なラインについては大体の御賛成を得た。私
どもだけの
考え方でもないということで、今度は専門にその問題を改正問題として取り扱う独占
禁止法研究会を発足さしていただきまして、目下その問題について
検討をしていただいている。ですから、競争政策というものは本来自由な
価格形成ということでございますから、端的に言えばそういうことなんです。それがそうでなくて業界ごとのカルテルだけでいって、しかも破棄を命じたが何の効果も出ないというのでは、一体何のために働いているのかということになります。はっきり申し上げればそういうことになる。
それで、その引き下げ命令というものを持ったらどうか、この引き下げ命令につきましては、たいへんむずかしい問題がございます。私
どもが望ましいのは、その違法なカルテルに関する限りにおいて、違法なカルテルでないものは、これはもう全く別のことでございますが、法律によって
価格設定権を持ちたいということでございます。ということは、その
価格を原点に戻すのが一番いいのです。協定前に戻すのが一番いいのですけれ
ども、これはそういかない場合もある。いかない場合には、裁量権という問題がある。裁量権というのは、実はその
価格に関する限りは、
一つの
価格設定権を法律によって与えられる、授権されるということでございます。それを公取が持つことがいいかどうか、たいへんむずかしい問題でございますが、そういうことが必要であるというふうに私
どもは十分感じ、先ほど申したように、独禁懇にもおはかりしたところが大体賛成であるということでございますから、そういう
方向でただいま
検討中でございます。
寡占企業の分割命令につきましても、企業の分割とか資産の譲渡という問題は、民間のいわば私権に対しては重大な影響をもたらすものでございますが、これもたとえば現在における管理
価格というものに対して、ただディスクロージャーというような
方法だけで足りるとするか、そうではなくて、企業の分割権を持つ、ただし、私はこれを乱用する気持ちはもちろんございません。そういうことは十分慎んでまいりたい、こう思いますが、そういう権限を法律上与えられているかいないかは、たとえば私
どもがディスクロージャーをするとか、いろいろな
指導、一種のやみカルテル的な行為、証拠のないやみカルテル的な行為を助長させるものを防ぐためには、そういう法律的な背景を持っていたほうがいい、こういう考えでございまして、それを法律が通ったらどんどんそれをやるというふうな手荒い考えに基づくものではありませんが、制度的にかつてあったものを復活させてもらったほうが、私
どもとしては非常に有効な
措置がとり得るのではないか、こういう
考え方でございます。