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1974-02-26 第72回国会 衆議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月十五日(金曜日)委員長の指名 で、次の通り小委員及び小委員長を選任した。  エネルギー・鉱物資源問題小委員       天野 公義君    稲村 利幸君       小川 平二君    越智 通雄君       近藤 鉄雄君    左藤  恵君       田中 榮一君    橋口  隆君       松永  光君    板川 正吾君       竹村 幸雄君    中村 重光君       野間 友一君    近江巳記夫君       玉置 一徳君  エネルギー・鉱物資源問題小委員長                 左藤  恵君  流通問題小委員       稲村 利幸君    浦野 幸男君       越智 伊平君    粕谷  茂君       近藤 鉄雄君    塩崎  潤君       田中 榮一君    松永  光君       武藤 嘉文君    加藤 清政君       佐野  進君    中村 重光君       神崎 敏雄君    松尾 信人君       宮田 早苗君  流通問題小委員長       武藤 嘉文君  沖繩国際海洋博覧会に関する小委員      稻村左四郎君    越智 伊平君       木部 佳昭君    小山 省二君       左藤  恵君    塩川正十郎君       島村 一郎君    田中 六助君       橋口  隆君    八田 貞義君       保岡 興治君    岡田 哲児君       加藤 清二君    上坂  昇君       山崎 始男君    渡辺 三郎君       神崎 敏雄君    米原  昶君       近江巳記夫君    宮田 早苗君  沖繩国際海洋博覧会に関する小委員長                稻村左四郎昭和四十九年二月二十六日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左四郎君 理事 左藤  恵君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       稲村 利幸君    浦野 幸男君       越智 伊平君    越智 通雄君       木部 佳昭君    塩崎  潤君       橋口  隆君    八田 貞義君       保岡 興治君    加藤 清政君       加藤 清二君    上坂  昇君       竹村 幸雄君    渡辺 三郎君       米原  昶君    小川新一郎君       松尾 信人君    玉置 一徳君       宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         公正取引委員会         事務局経済部長 熊田淳一郎君         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         通商産業省立地         公害局長    林 信太郎君         通商産業省機械         情報産業局長  齋藤 太一君         工業技術院長  松本 敬信君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君         資源エネルギー         庁次長     北村 昌敏君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         中小企業庁長官 外山  弘君         中小企業庁指導         部長      栗林 隆一君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   森  郷己君         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       小林 育夫君         外務省アメリカ         局外務参事官  角谷  清君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         運輸省自動車局         整備部公害防止         課長      北川  清君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 二月二十日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     栗原 祐幸君   近藤 鉄雄君     高見 三郎君 同日  辞任         補欠選任   栗原 祐幸君     越智 伊平君   高見 三郎君     近藤 鉄雄君 同月二十二日  辞任         補欠選任   近藤 鉄雄君     林  大幹君 同日  辞任         補欠選任   林  大幹君     近藤 鉄雄君 同月二十五日  辞任         補欠選任   近藤 鉄雄君     高見 三郎君   野間 友一君     不破 哲三君   玉置 一徳君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   高見 三郎君     近藤 鉄雄君 同月二十六日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     野間 友一君   近江巳記夫君     小川新一郎君   小平  忠君     佐々木良作君 同日  辞任         補欠選任   小川新一郎君     近江巳記夫君   佐々木良作君     玉置 一徳君     ————————————— 二月十五日  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ  き、工業品検査所の出張所の設置に関し承認を  求めるの件(内閣提出承認第一号) 同月二十二日  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六二号) 同月十八日  中小企業の経営安定に関する請願外一件(瀬野  栄次郎紹介)(第二二〇三号)  同(松本忠助紹介)(第二二〇四号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第二二七四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣お尋ねをいたしますが、予算委員会で私が関連質問石油製品は、新聞報道によると五〇%ないし六〇%値上げをするということが報道されている。また、その後の新聞でも大体六五%程度値上げをしなければならないのではないか、通産省としては、その値上げが固まったような報道であるわけです。私は、予算委員会関連質問でも申し上げたように、便乗値上げでずいぶんもうかっているんだから、これをまだ相当長い期間にわたって吐き出させる必要がある、また、それだけの余裕があるんだという考え方の上に立っていますから、この際、通産大臣から考え方をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 値上げはまだ固まったわけではございません。この石油問題は、物価全般に関する大きな根幹であり、また、日本経済構造の基幹に影響する大きな問題でありますので、これは一通産省ではとても手に負えないぐらいの大きな問題の性格を持っております。したがいまして、大蔵省や経済企画庁関係各省と十分整合しながら、大局的に将来を見つめていま作業を進めつつあるところでありまして、値上げが固まったとかなんとかという段階にまだ至っておりません。  しかし、通産省サイドの見解を申し上げますと、石油業者は大体十一、十二月ごろかなりのもうけをしたと見られますので、このもうけを全部吐き出させる、そして石油業者自体内部留保を吐き出すとか、あるいは減配をやらざるを得ぬ、それぐらいの誠意を示さなければ国民値上げを許さない国民感情にあると私は思っております。したがって、そういう措置をどういうふうにしてまず石油業界に対して行なわせるか、それから第二に、それが関連物価にどういう影響をしてきてどうしてそれを押え込むかという方策を立てるということ、さらには、一体為替相場がどの程度変動しているものか、為替が一円上がるというと、一キロリッターについてたしか六百円でありましたか、それぐらいの影響が出てくる要素がありますから、為替の変動というものは石油の値段に非常に甚大な影響を持ってくるものでもあります。為替が三百一円であるのか、あるいは二百八十円台にまた戻るのであるか、あるいは三百八円程度にまた行くのであるか、そういうこともよく見据えてやる必要がありまして、それらのいろいろな諸般の情勢を目下精査しておるというのが現状でございます。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 いま大臣お答えになったことは当然だと思うのですが、その考え方が固まる期間というのは大体どの程度期間なんですか。いつごろ考え方が固まるんですか。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これはまだ各省間におきましてブレーンストーミングをやっておるという段階で、まだ受胎したかどうかわからぬという情勢であると思います。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 大臣感触としてはどうなんですか。やはり上げてやらなければならないであろうという考え感触を持っているわけですか。
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私の考えは、物価に対する基本的な問題といたしまして、方法は簡単である。一つは金をしぼるということである。もう一つは物資を豊富にすることである。これを日銀、大蔵当局あるいは関係各省が一生懸命やれば物価は下がってくる。それと同時に、この石油のような国際性を持っておる問題につきましては、やはり国際的な一つ基準水準というものに日本経済もさや寄せしておくことが将来的によろしい。そして早く新しい均衡水準の基点をつくって企業努力目標を示す、そして国民経済をできるだけそこに早くアジャストして経済的努力目標というものを示すということが大事ではないか。一時的な小手先の細工をやっても、それは将来について大きなゆがみをまた招来するという危険性もあります。だから石油業界その他についても、苦しい措置をわれわれはやらせなきゃならぬと思いますけれども、この際は、やはり業界も、あるいは官庁も、あるいは国民の皆さまもひとつ汗をかいて、そしてこの基準国際経済に乗り出していくという基準を早くつくるほうが結局は子々孫々のためになるというふうに、私は一般論として考えておるわけであります。  しかし、当面の問題として、三月という月は業界のほうも物価を上げないように政府に協力すると言っておる月でもあり、いろいろ政治情勢も微妙な段階でもあります。そういうような別のファクターもまた政治家としては考えなきゃならぬ要素もございまして、そういう基本的な原則を現実の諸条件にどう適合さしていくか、これは閣議や自民党の政治的、大局的判断にゆだねていかざるを得ぬ、そういうふうに思っております。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 基本的な点でまた大臣お尋ねをしてまいりますが、具体的な点で、石油元売り仕切り価格というのは、上半期幾ら、これは平均になるわけですが、それから十二月現在が幾らになっているか、お答えをいただきたい。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 元売り仕切り価格は、四十八年度上半期平均キロリットル九千七百九十四円、下半期は四七%アップの一万四千三百五十七円、こういうことになっております。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 お答えのように上半期平均が九千七百九十四円、十二月が一万四千三百五十七円。これは平均ですから個々の商品によってはなかなかむずかしいだろうと思うのですが、いまガソリンの一リットルの価格が七十五、六円ないし八十五円から九十円ですが、この価格の仕組みはどういうことになっているのか、お答えをいただきたい。
  12. 松村克之

    松村説明員 先生の御質問意味がちょっとはっきり、恐縮でございますが、わかりづらいのでございますが……。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 わかりづらいはずはないんだけれども、あなた方の取り組みが少し弱いからわかりにくいのだ。元売り仕切り価格が一万四千三百五十七円、これから卸の価格になるのですね、私は一リットルで言ったのだから。それからガソリン小売り業者幾らでおろされて、小売り利潤が大体どの程度で、卸の利潤がどの程度になるのか、一万四千三百五十七円の中に元売り利潤というのは幾らになるのか、そのことをひとつお答えをいただきたい。
  14. 松村克之

    松村説明員 現在元売り利潤ガソリンの中に幾ら入っているのか、あるいはガソリンの中でどれだけ入るのか、あるいは軽油の中にどれだけ入るのかというのは、それの利潤の配分というのは非常にめんどうな問題でございまして、現在その点についても分析を進めているところでございますが、恐縮でございますが、いまここで御説明できないわけでございます。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 これは内田長官にも関係があるんだけれども標準価格灯油が三百八十円、プロバンガスはまあ石油製品の中にあるともあるいはないともいえる。まあこれは石油製品といっていいのでしょうが、これを千三百円ときめているんだが、これは通産大臣主務大臣だろうけれども、実際は国民生活安定法でいっているのだから、実質的には共管ということになる。これから標準価格対象品目をふやしていこうとする考え方経済企画庁長官は立っておられるようなんで、そういうことが新聞報道等を通じて伝えられておりますから、この標準価格をきめるためには元売り価格幾らであって、それから卸が幾らだ、その他の経費がどの程度入るということにならなければ、私は小売り価格標準価格の決定というものはなし得ないであろう、できないであろうというような考え方の上に立っていまの質問を実はしたわけですがね。  それでは私から申し上げますが、これは平均で言うわけです。一万四千三百五十七円ということは十四円三十五銭、四捨五入で十四円三十六銭ということになりますね。これに二十八円の税金がかかることになるわけでしょう。そうなると十四円三十六銭プラスの二十八円は四十二円三十六銭ということになる。この四十二円三十六銭に卸の利益——通産大臣も聞いておってくださいね。卸の利益を十二円六十四銭——ほんとうはこれはもっと安かったのです、石油騒動が起こるまでは。そうすると五十五円になるのです。いまガソリンスタンド利益が大体一リットル三十円なんです。そこで八十五円という小売り価格が出る。これはいま課長答えられたように得率というのがあって、ガソリンにどの程度にするか、あるいは灯油にどうするか、軽油にどうするか、A重油あるいはB、C重油をどうするかというようなことは、これは業者がきめますから、私がいま申し上げたように、ガソリン平均価格をそのまま当てはめるということになりましても、そのとおりする業者もありましょうし、そうでない業者もあるかもしれない。しかし、少なくとも政府の資料が、元売り価格として平均価格がここに出ているわけですから、この平均価格の中には関税とか、精製費とか、販売管理費というので、元売り価格利益はここに入っているわけです。して見ると、平均でもって、いまガソリン価格を私が出しましたが、これで利益は十分出ているわけですね。このような小売りの三十円であるとかあるいは卸の十二円六十四銭、十三円といったようなことは、いつごろからこの程度利益というものがきめられたかということは調査しておられましょうから、いつごろからこういった小売り利益というものがきめられたのか。このことが石油製品値上げをするか、値上げをしなくてもいいかという問題と関連をしてくるわけです。ですからその点を御説明いただきたい。
  16. 松村克之

    松村説明員 お答えいたします。  先生からいま御指摘がありましたように、ガソリン元売り段階においてどういう利益考え方をするかというのは非常にいろいろな考え方があると思うわけでございますが、ただ、小売りの点について申し上げますと、小売り、卸売りの段階について申し上げますと、いま先生からお話がありましたように、これは十月以降の石油危機になりまして、原油値上げに伴ってガソリン小売り価格が上がったわけでございますが、それにつれまして小売り段階での値幅と申しますか、小売り段階での取り分もある程度大きくなっているということは事実でございます。ただ、どの程度であるかということは、まだ統計的には私どもでもちょっと詳細な数字は持っておりませんが、実態論からいいますと、確かに幅は上がっているわけでございます。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど私は通産大臣考え方をお伺いをしたところですが、石油製品を上げる必要があるのか、上げる必要がないのかということは、小売り段階がどうなのか、卸はどの程度利潤というものを得ているのか、この石油騒動というものが起こる前はどうであったのか、そういったものを調査をして総合的に判断をしなければ、石油製品を上げるとか上げないとかいう答えは私は出てこないと思う。いまの段階にどの程度小売り利益というものがあるのだ、その利益というものはこの石油騒動が起こってから値幅は確かにふえているであろうけれども、その点は調査をしなければわからないなんというあいまいなことでは話にならぬ。ガソリンスタンドは、これは石油騒動が起こる前は、一リットル八円から十円だったんですよ。それがいま三十円になっているんですよ。メーカー元売り仕切り価格だって、上半期平均は九千七百九十四円の中に占める精製費関税販売管理費、この販売管理費というのにも精製費の中にも利益が入っているわけなんだから、それが一キロリットル四千六百二円だったわけですよ。それが現在は五千五百十七円と大幅にふえているのです。一キロリットルに対しまして、いま申し上げたように大幅の伸びであるわけですから、これはもうメーカーというのはものすごい量を消化をしていくわけですから、その利益というものはばく大なものなのです。なぜにこれだけの値幅というものが、価格の差が出てきたのか、これに対してメーカーというものはどの程度利益を得ているかということをまず押えなければいけないじゃありませんか。これはあまりもうけ過ぎている、確かにこれは便乗値上げだ、まずこれを押えなければならないというその適当な価格というものをまず判断しなければ標準価格なんというものも生まれてこないわけなんです。石油製品を上げるとか下げるとかといったような問題これを押えておくか上げるかなんというようなものは、しさいにそうした内容の検討をしなければ答えは出ないのです。だから私は、先日の予算委員会関連質問でも申し上げたわけですが、九ドル原油になっても上げる必要はないという考え方の上に立っているのです。これは私がお尋ねいたしましても通産大臣から同じような答えが返ってくるんだろうと思うのですが、経済企画庁長官からもひとつお答えをいただきたいのです。  それともう一つは、独占禁止法との関係も実はある。私は予算委員会関連質問でも、覚書というものがどこかで頭を出してくるんじゃないかというように思っているのですが、先ほど大臣お答えの中にも許可というお答えが出たわけですね。許可をする。許可というような考え方はどこから出てくるのか、私はわからないのです。通産大臣値上げ許可することができるのかどうか。許可をするということになってくると、法的根拠は何なのか。その問題も、これは公正取引委員長からも通産大臣からもお答えをいただかなければならない。  それから経済企画庁長官からは、先ほど具体的な標準価格関連をして申し上げましたから、その点に対するお答えをいただきたい。
  18. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほどの元売り仕切り価格に込められておりまする諸経費につきましては、私も表を見たことはございますが、関税とか精製費とか販売費用とかいうようなものが積み重なって四千円ないし五千円に上がったと承知しております。具体的なこまかい数字は、いまエネルギー庁の次長がこっちへ参ります。長官石油部長予算委員会に急に呼ばれましてそちらへ参りましたので、次長をいま呼び寄せておりますから御説明申し上げたいと思います。  それから私が許可と申し上げましたのは、これは間違いでございまして、安易に許可ということばを使いましたが、これは行政指導によって事前に届け出させて、いわゆる事前審査制ということで、当方が了解した場合にこれは認める、そういう行政指導という形で実行していきたいと思っておるわけであります。
  19. 内田常雄

    内田国務大臣 石油製品価格の引き上げに関連する問題、また現在の石油精製会社平均元売り出し値一万四千幾らというものと標準価格とにつながる関連でありますが、私は、通産省課長さんか部長さんかの御答弁が少し足りなかったように思います。それはこういうことだと思います。  石油製品の各精製会社を通ずる平均出し値価格というものが一万四千五百数十円だろうと思いますが、それは、それを各得率によって、いろいろな油の種類に分かれるわけでありますが、そうした場合に、油の種類によりまして元売り出し値価格というものは違うはずでございます。たとえばいま標準価格がついております灯油というようなものは元値が一万四千幾らでなしに、たしかキロリットル一万二千幾らというように安くなっているはずでありまして、それからいろいろ中間経費利潤を足しまして最終小売り価格が十八リットル三百八十円、こうなっておりますが、元値はさかのぼっていきますと一万四千円ではなしに一万二千円。ということは、ほかの油種によって、ガソリンなどは一万四千円ではなしに高い出し値価格になっているはずでございます。そのかわりまたナフサは安くとか、あるいはC重油は安くとか、そういうぐあいになっておりますので、いま中村さんがいろいろ税金まで加えられまして、そうして小売りマージン、卸のマージンまで加えてみても、いまの一リットル当たり八十円ないし八十五円という価格十分利益があるんだから、したがって、原油が高くなりましてもその製品価格を引き上げる必要がないのではないかということにつきましては、油種ごと元値というものを通産省がもう少し御説明くださらないと十分なお答えにならない、私はかように考えますので、まずその点を申し述べる次第でございます。
  20. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 昨年十二月の法案審議に際しまして問題になりました例の覚書、ここにありました指導価格みたいなもの、これは末端価格については、法律ができれば標準価格、私ども考えはそうでございます。法律ができない間はそのつなぎとして行政指導価格がある、末端価格について行なわれなければ意味がない場合ですね。それを守らせるために、上の段階がそれを守るように協力するという場合は独禁法違反にはならない、こういうことを申してありまして、その点はいまも変わりありません。といたしますと、今度問題になっておりますのが元売り価格である。もちろんこれは石油二法のうちの国民生活安定法の中に標準価格の定めがございます。これは何も末端価格でなくて上の段階でも定め得るというふうになっておりますから、標準価格を定める分には問題ない。  そこで、行政指導価格というのは一体何だということは、たいへん微妙な問題がある。なぜかと申しますと、これは一長一短あると私は思うのです。というのは、その出し値が、現実にメーカーのもとでは——末端価格は同じであるとします。かりに末端価格が規制されたとして、では卸の元売り価格は同じかというと違っている場合もあるかもしれません。コストが違うから、それぞれの系列に流す第一次の問屋——問屋といいますか、卸商に流す場合は違ってくるかもしれません。私はその実態をよく調べてないです。けれども、同一価格であるか違った価格であるかというと、コストが明らかに違います。概していえば、外資系のほうが企業が強いですから、コストが低い。したがって、その低い値で出し得るという立場になる。標準価格を定めます場合は、これはあくまで最高価格と私は理解します。最高価格を定めるのであるから、人よりも低い価格で出すことは一向差しつかえないのです。しかし、うっかり標準価格を定めると低いものが高いほうにさや寄せするおそれがあるからという御懸念がおありで、それで行政指導ということを言われるかもしれません。  しかし、その行政指導価格というのは一体何だ、法律上の根拠はあるのかというと、これは法律上の根拠というのはない。それからいまのような時期にいろいろな手段を使わなければならぬから、したがって行政指導でいったほうがいいんだということがはっきり立証されるような場合は、私どもはそういう方向に対して、ばらばらの値段であるということは競争状態にあるわけですから、それを一律にしなければならぬということを私どもが言うよりも、実質が値上げを押える方向で有効に働いているということがはっきりするならば、そういう行政指導というものをいざとなれば標準価格に切りかえますよということでそれをバックにしておられるんだろうと思いますけれども、しかし、標準価格になれば、言ってみれば統一価格でなければならぬ。地域的に差を設けたりすることはいいですけれども、会社別に差をつけた標準価格というものはないわけでございます。  そういう点は私ども非常にむずかしい問題でありますけれども、私どもの立場から申せば、そういう根拠のないようなものであれば、これはむしろ短所はあるでしょうけれども標準価格ではっきりなされたらどうであろうかという感じがどちらかというとしないわけではないわけです。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 私も、いま許可も問題がある、法的根拠はない——これは通産大臣から訂正された。行政価格ということも独禁法上いかがなものであろうか、実は見解をお尋ねしたかったわけです。いま、おかしいというお答えが実は出たわけです。これは独禁法上どういうことになりますか。また、覚書との関連ということで、通産大臣行政指導価格ということを進めておられるのか、それはひとつそれぞれお答えを願いたい。
  22. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 独占禁止法上カルテルの疑いを持たれておる場合は、たとえ行政官庁の指導がありましても、法律基づかない場合は原則としてこれは違反であるというふうに私どもは解釈をとっております。現に、そういうふうなものが全くないわけではありません。だけれども行政指導がありましても、それならば行政指導だけで適用除外になるということになります。行政指導をすればカルテルでなくなるというならば、それは法律基づかないで適用除外を認めたということになるのですから、私どもはそれはとても容認できないということでございます。
  23. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 公権力が介入いたしまして、行政権の発動としてこれを指導する、それに対して業者がこれに従う、そういう事実上の従うという行為、それでやっておるので、独禁法とは関係がないと思います。
  24. 中村重光

    中村(重)委員 いや、それはおかしいと私は思うのです。行政指導価格というものは公権力に基づいてやっておられる、独禁法とは関係がないという答えが出てくることはおかしいのじゃありませんか。行政指導価格というものは公権力に基づいてやっているということになってくると、その根拠は何ですか。
  25. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは通産省設置法に基づく官庁としての一般的な権限ではないかと私は思います。
  26. 中村重光

    中村(重)委員 いまの問題は保留をしておいて、あらためて時間をじっくりかけてお尋ねします。石油問題とも関連があります。  先ほど、内田経済企画庁長官は、灯油は一万二千円程度仕切り価格ガソリンはもっと高くなっているのだと言われた。私もそう思うのですが、それで問題をすりかえてはだめなんですよ。私は具体的な根拠をあげたのですから。ガソリンの場合においても、小売りの場合は、石油危機ということがいわれる前は八円か十円のマージンだったのだ。ところが、この石油危機の問題が大きくクローズアップされるようになりましてから三十円になったのだ。しかも、それは小売りが恣意的にきめているのじゃないのですよ。メーカー、卸の指導によってこれはやっているのですよ。明らかにこれもカルテルなんですよ。八円か十円であったものが、三倍の三十円になってよろしいかどうか。これは、ガソリン元売り価格灯油以上になっているであろうというようなことで判断がつかないというような問題じゃない。具体的に卸のマージンガソリンの場合にもふえている。小売りも明らかにふえている。値幅がこの石油危機以来少し広がっているであろうなんという簡単なものじゃないのですよ。明らかにこれは便乗値上げですよ。しかも、その便乗値上げというものが、メーカー、卸の指導においてなされているということは重大な問題です。そういうことを経済企画庁長官が安易にガソリンの場合、元売り価格というものが灯油以上に開いているであろうから、高いのはやむを得ないなんというような考え方で処理しょうというようなことではお話にならない。あなたの職責がそれではっとまらないのですよ。
  27. 内田常雄

    内田国務大臣 もう一度ことばを添えさせていただきます。  私の手元にちょっと資料がありますから、こまかい数字は違うかもしれませんが、私が心得ている資料として見ますると、各油種によりまして元売り出し値価格が違っておりますことは申し上げたとおりでありますが、ここに私が持っておるところによりますと、ガソリンキロリットル当たり出し値が二万七千円ぐらいのようであります。したがって、平均の一万四千三百五十七円よりもかなり高い。そのかわりにまた、C重油というようなものは一万一千円というような、これは発電用の重油であることは御承知のとおりでありますが、そういうような元値出し値でそういうものを平均すると一万四千幾らというふうに私は理解をいたしておるわけであります。  ところで問題は、あなたが指摘されましたように、そのことはそのこととして、最近のものの値上がりの中に、メーカー出し値価格に先取りや便乗がある場合が多いのみならず、中間の卸あるいは、まあ私は小売りなどとはあまり言いたくないのでありますが、要するに、そういう流通過程におきましても、やはりそこに取り分のふくらみというものが一種の便乗のような形で、これは石油だけではなしに、いろいろな物資についてあると考えなければならない場合もありますので、私どもは、その中間のそういう便乗的なマージンの膨張というようなことも十分監視をしなければならないと思うわけでありまして、これはそれぞれ物資の主務官庁のほうにもお願いをいたしまして、縦の過程における水増し利益というようなものも十分排除させるように監督をお願いいたしておるわけであります。このことを申し上げておきます。
  28. 中村重光

    中村(重)委員 両大臣ともこの際考えていただかなければならないことは、中東の原油が二ドルから四ドルになった、五ドルになった、そして今度は九ドルになった、そのことだけをお考えになってはだめだということです。小売り段階において、卸段階において、メーカー段階において、どの程度便乗値上げになっているのか、この石油危機の問題が起こる前はどうだったのか、それをしっかり押えていただきたい。そうしなければ適正な——行政指導法的根拠の有無は別といたしまして、行政指導をするにいたしましても出てこないです。だから、いま長官がお話しになりました灯油にいたしましても、これは先般も触れたのですが、一リットル十七円でしょう。かりに小売りが十円取ったといたしましても二十七円。十七円で十八リットルですから三百六円、これは店頭渡しなんです。三百八十円ということになってまいりますと、七十四円これでも利益があるわけです。そこで九ドル原油になっても値上げをする必要はない。あらゆる段階便乗値上げを押えていったらいい。元売り段階、卸段階、それから小売り段階でこの便乗値上げを押える。しかし、石油業というものは、これは俗なことばで言えば、薄利益といっておった。ある程度これを是正をしたといたしましても、FOBで九ドル原油、CIFということになってくると九ドル五十セント。メーカーの卸をかりに十五円といたしましてメーカーの卸も押えていただく。卸段階で十五円、小売りでいまの三十円を、前は八円か十円だったのだから、かりにこれが十八円から二十円ということになってまいりますと、いまの八十五円を九ドル原油になっても上げる必要はないのだと言っているのです。これが正常な姿だ。押しつけのようなことを言いますけれども、これで平均利益と  いうものが出てきているのだ。ガソリンの場合も大きく動かす必要はないのですよ。五〇%とか六〇%なんということになってまいりますと、いまのガソリンは百二、三十円になってしまうのです。だからよくよく考えていただく。どうも政府考え方は、中東原油のもとの価格が九ドルになったのだからこれだけこうしなければならぬというようなことばかりいっている。便乗値上げが各段階においてなされておるということはちっとも念頭にないような気がしてなりません。それを根本的に改めてもらいたいということを私は提言をいたしておきたいと思います。いまのにお答えをいただいてからその次の問題に移ります。
  29. 北村昌敏

    ○北村政府委員 先ほどガソリンを例に先生流通段階マージンの御指摘でございましたが、私手元の資料で申し上げまするが、その前に先生御指摘の十二月一万四千三百五十七円、これは元売り出し値平均値でございまして、一般通常はこれを油種別に等価比率で開いておるわけでございます。したがいまして、先生はリットル当たり十四円三十六銭に税金以下をお足しになりましたが、手元の資料では四十八年十二月の元売り仕切り価格ガソリンにつきましてはハイオクタン三十一円から三十二円五十銭、レギュラー二十六円から二十七円四十銭でございます。  流通段階におけるマージンの幅の移動につきましてちょっと申し上げますると、昨年六月の数字と昨年十二月の数字がございまして、ガソリン、レギュラーの元売り出し値は六月が十六円から十七円九十銭、十二月が二十六円から二十七円四十銭でございます。片や末端小売り価格は、四十八年六月が六十円から七十円、昨年十二月が七十五円から八十円でございます。そういたしますると、かりにレギュラーにつきまして下限のほうの数字で十二月と六月と比べますると、六十円から十六円引きまして四十四円、これは六月の卸及び小売りを含めました流通段階マージン総計でございますが、さらにそれに二十八円の税金が入っております。片一方十二月では七十五円と二十六円の差でございまするので、その差四十九円ということで、六月現在と十二月現在、この半年間に卸、小売りを含めまして四十四円から四十九円、五円の差がふえております。しかし、先生御指摘のように元売り出し値平均で足していかれますと、卸、小売りマージンが四十何円、こうなりまするが、実際の商慣行は油種別に等価比率で開いておりまするので、それほど大きな流通段階における利幅の上昇はないものと考える次第でございます。
  30. 中村重光

    中村(重)委員 あなたは何で調査をして答えているのです。私は現場に行って調査をして指摘をしているのですよ。そういったようなあいまいな調査をするから便乗値上げばかり、むしろそれを育成をすることになるわけだ。
  31. 北村昌敏

    ○北村政府委員 私が申し上げました昨年六月及び昨年十二月の元売り仕切り価格は、石油業法に基づきまして各油種別に元売り仕切り価格を届け出さしておりまするその数字をそのまま採用した次第でございます。  そういたしますと、先生、十二月は元売り出し値が十四円三十六銭だ、こういう御指摘でございまするが、これは元売り出し値の各油種平均でございまして、ガソリンにつきましては、先ほど申し上げましたように、十二月は元売り出し値で、ガソリン、ハイオクタンで三十一円から三十二円五十銭、レギュラーで二十六円から二十七円四十銭と相なっておる次第でございます。
  32. 中村重光

    中村(重)委員 私が申し上げたように、小売りマージン幾らであったのがいま幾らになっているのだということを私は小売りに直接当たって申し上げているわけだ。それは一万四千三百五十七円が平均であるということは私も申し上げたとおり。それをそのままここへ引っぱってきて数字をあげることはいささか問題があるであろうけれども、一万四千三百五十七円には関税精製費販売管理費といったように、元売り利益というものが入っているわけだ。そして、内田長官から灯油のお話がありましたから、灯油にしても最低これだけの利益というものはあるじゃないか、こう具体的に申し上げているわけだ。あなた方は、何か業界が出したいろいろな機関紙であるとか、業界から出ているところの資料だけをもとにして話をされるから、実態というものをつかんでおられない。そこに問題がある。標準価格をきめるにしても行政指導をされるについても、実態をつかんでおやりにならなければ、現実というものを無視してしまうという結果になるということを私は申し上げておきます。  次に、標準価格の問題について通産大臣からお答えをいただきますが、石油製品値上げするということになってまいりますと、プロパンの価格というようなものも当然問題になってくるでございましょうが、行政指導価格として十二月十三日にプロパンを千三百円におきめになりました。そして標準価格ではそのままそれを追認されたわけであります。このこと自体も問題がありますが、これを値上げするということになってまいりますと消費者に与える影響が非常に大きいわけでございますから、どうして千三百円の行政指導価格をおきめになったのか、どうしてこれを標準価格として追認されたのか、その経過と根拠についてひとつお答えをいただきたい。
  33. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昨年の秋千三百円をきめましたのは、大体その前の段階における安定的な値段がどの程度であったかという考えも参考にし、それからその当時どの程度の値段がばらつき始め、あるいは大宗になろうとしておるかということを考えますと、千六百円とか、あるいは高いところで千八百円ぐらいの値も出てまいりました。特に一月一日からプロパンは三・三倍の値上げをメジャーズから通告されてきておった情勢で、これは非常に心理的にも急に上昇するという危険性があったわけであります。そういう情勢全般を踏まえまして、当時の低値の大体その事態が起こる前の安定性と見られる千三百円というものに——これはまああの当時なたでぶった切るようにして、ともかく押え込むんだということを申し上げましたが、それでやりました。当時ずいぶん業界小売りあたりからは文句がありましてむずかしい事態で、従わない人もありましたけれども業界を説得してそれに随順、励行してもらうということになってきたのでございます。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 つくられた価格指導価格としてきめたというようにいま反省はしていらっしゃいませんか。
  35. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大体一応の試算的な標準価格の基礎というものはある程度あるわけであります。これは前提となる元売り仕切り価格をキロ三百五十円というふうに押えておりまして、それに人件費、輸送費、保安費、一般経費、租税公課、減価償却、販売経費、そういうようなものを加えまして、そして利益率を小売り価格の六%と考えて、大体十キロ千三百八円という数字が出ているのを千三百円に押えている、そういうことであります。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 あなた方のほうでお調べになって、そして都道府県別に価格表をつくって価格の動向というものを記載をしたプリントを実は私はいただいているわけです。これを見ると千三百円というのは足して二で割ったという印象を私は受けております。これは行政指導価格段階までは百歩譲るといたしましても、標準価格としてこれを追認したことに私はたいへん重大な問題があると思う。その法的根拠というものを尋ねられたならば、答えができないのではないか。いまのような抽象的なことでは答弁にならない。このプロパンの価格については私はつくられた価格ということを具体的な事実をもって申し上げますから、大臣お聞き取りをいただきたい。  大臣、十一月までの価格は七百円から千円であったわけです。地域によって若干の違いがあります。しかし、大体そうであった。メーカーは十二月からトン一万五千円の値上げを通告をいたしました。そこで、小売り販売業は、メーカー段階において一万五千円の値上げがなされるということになってくると、卸段階においては五千円程度これに上のせされるであろうから一トン二万円になる。そこで十キロ千三百円ないし千三、四百円ぐらいにしなければならないであろうというような、そうした値上げの動きというものが出てきたわけです。その段階通産省行政指導をやって、メーカー等を呼んで、値上げをするな、値上げを撤回しろ、そうした指導をされたはずであります。その事実についてお答えをいただきたい。
  37. 北村昌敏

    ○北村政府委員 確かに一月から三倍からのプロパンの製品輸入価格値上げの通告を受けまして、それを受けてメーカーからのまた値上げ通告がございまして、当時末端のプロパンの小売り価格は非常に大きな混乱を呼びまして、千五百円千六百円というような声もあちこちに出てまいるような混乱の情勢になりましたので、大臣の御裁断もございまして、この際、指導価格の線を打ち出して騰勢をまずとめるというようなことで、その試算につきましては先ほど大臣が申し上げたとおりでございますが、月間の販売量が十トン、大体四百世帯くらいを受け持つ店を標準小売り店というふうに設定をいたしまして、その標準小売り店の人件費以下諸経費を算出いたしまして、それにこの輸入の値上げ通告を受けた分を織り込みまして、小売り店の仕入れ価格を十キロ当たり五百五十円と想定いたしまして、先ほどの諸経費を乗っけまして、及び若干の小売り利益を見込みまして千三百八円、まるめて千三百円という指導価格で、まずは騰勢をとめるという措置に出た次第でございます。
  38. 中村重光

    中村(重)委員 通産省メーカー、卸等を呼んで値上げを撤回しろという指導をされた段階は、まだ全国的にプロパンの小売り価格というものは千三百円とか千四百円とかということにはなっていなかった。あなたのほうで指導されたのは十一月の末の段階なんです。そういう値上げの動きというものが出たことは事実であった。そこで、十一月の末に、あなたのほうは、それぞれ関係業者を呼んで値上げをするなという指導をされて撤回を約束をさせたわけです。ちょうど灯油と同じようなことだったのですが、業者を呼んで指導したのだけれどもそれが徹底しないで、そして末端で高い価格で売ったということでこれが問題になって、まあうろたえてあなた方のほうでは指導されたことがあります。プロパンの場合でもちょうど同じようなことだった。卸であるとか大元卸を呼んで指導されたのはよかったわけです。これを撤回させるということは、小売り段階において値上げをさせないことにつながっていかなければ意味がないわけでしょう。ところがどうしたことか、あなた方が指導された大元卸であるとか、あるいは卸であるとかいうようなそうした連中は、末端に指導しなかったのです。上の段階においては、メーカー、卸の段階においては、十一月に値上げをしようと考えておったのを一応撤回をしたのだけれども、下部にこれが徹底をしなかった。通告をしっぱなし。そこで今度は一斉に小売り価格の値上がりということになった。申し上げたように七百円から千円であったものが、千三百円とか千四百円、ある場所においては千五百円という高値の小売り価格というものも出たわけです。  それから先に、メーカー、卸の段階においてはどのような動きを示したか、その点をお答えいただきたい。値上げをしなかったのかどうか。
  39. 北村昌敏

    ○北村政府委員 確かに十一月から十二月上旬ごろにかけまして、日刻みに末端プロパンの小売り値が急騰を続けるという情勢下でございましたので、製品輸入の三倍近い値上げ分を織り込みまして、先ほども申し上げましたように、小売り店の仕入れ価格を二百円上げを見込んだ形で、十キログラム千三百円の指導価格を設定した次第でございます。
  40. 中村重光

    中村(重)委員 私の質問お答えになっておられないのだ。あなた方は、十一月末にメーカーに対しましてもあるいは卸に対しましても値上げを撤回しなさいと言って撤回をさせたのだが、一応十一月末においては値上げをしなかった。それは撤回したのだけれども、その後値上げをしなかったのか、したとすれば、いつ値上げをしたのかということです。小売りは上がったのだから。小売りは十二月一日から、あなた方の指導にもかかわらず千三百円ないし千五百円ぐらいに上がったわけだから。卸は撤回をしたはずなんだ。あなた方の指導によって一応撤回をした。撤回をしたのにもかかわらず小売りは上がったんだ。その後、十二月十三日、あなた方は上がったからこれはたいへんだというので、足して二で割るような形で千三百円の行政指導価格をきめたのだから、その間のメーカー、卸の動静はどうであったのかということを尋ねているわけだ。
  41. 北村昌敏

    ○北村政府委員 標準価格が出ました時点でメーカー出し値を上げております。
  42. 中村重光

    中村(重)委員 そういう実にでたらめなあなた方の調査だから話にならないんだ。公正取引委員長は知っておられると思うんだけれども、私から申し上げるんだが、第一、千三百円ないし千五百円に小売り価格が上がった。十一月末にあなた方はメーカーとか卸を呼んで、十二月一日からの値上げはひとつ押えてもらいたい、撤回をしてもらいたいという行政指導はしたのはよかったんだ。一時的にそういうように撤回をしたのはよかったんだけれども小売りは、にもかかわらず上がったということは問題である。その上がったのをあなた方は行政指導価格ということでこれをきめちまったんだ。何の根処もないんだ。足して二で割って千三百円にしたんだ。実にでたらめな行政指導価格なんです。ましてや、これは両大臣お尋ねをするんだけれども標準価格でこれを追認をしたというに至っては、これはまことに不見識きわまると私は思っている。いま標準価格をきめた段階において、十一月末に撤回した卸であるとか、あるいはメーカー出し値が上がったというならば、あなた方は、もとは上がっていなかったにもかかわらず小売りを認めたということになるんですよ、いまの答弁は。でたらめな価格をあなた方は行政指導価格にしたということをはっきり認めたことになるんですよ、いまの答弁からしたら。標準価格がきまってから上げた、出し値を上げたといまあなたは答えたんだから。それならば千三百円できめたのは、なぜきめたんだ。標準価格をきめる前に、十二月十三日行政指導価格はきめたんだから、そんなに高くきめる必要がなかった価格行政指導価格としてきめたということになるじゃありませんか。不見識きわまる行政指導価格であったということを認めたことになったではありませんか。
  43. 北村昌敏

    ○北村政府委員 標準価格をきめます時点におきまして、製品輸入価格の値上がり通告も事実でございまするので、その分のうち適正な分と思われるものを織り込んだ次第でございます。
  44. 中村重光

    中村(重)委員 答弁があいまいだ。十二月の十日に、メーカーは当初の一万五千円、十一月末の一万五千円の値上げ計画を七千円上げました。十二月十日です。一月に八千円上げた。そして一万五千円という十一月末現在において値上げをしようという計画を二カ月かかってメーカーというのは一万五千円に値上げをしたんです。ですから一万五千円、卸がこれに五千円をプラスしたら二万円になる。だからしてそれだけ小売りを上げなければたいへんだというので、あなた方が行政指導したんだけれども、その指導は下部に徹底させなかったから小売りはどんどんどんどん上げちまった。その間、もとは上がってこなかった。小売りだけが上がった。小売りはもう大喜びなんだ。笑いもとまらぬようなその間の利益になったんですよ。あなた方が千三百円に行政指導価格で追認をしてくれたから。その追認をされたときは七十円だけですよ。私は一トン七千円上がったということを申し上げた。その通りなんだから。そうすると、十キロで七十円なんです。しかし、小売りはすでにそのとき三百円上がっておったんだ。それだけさあ値上げになる、値上げになるということで、品薄だ、値上げだというようなことで政府までしり馬に乗って盛んに宣伝したから、そういう価格がつくられてきたではありませんか。それを御丁寧にあなた方は行政指導価格として追認したではありませんか。そしてその次には、そうしたつくられた不見識きわまる行政指導価格標準価格として、法律基づいてこれを認めたではありませんか。第三条の「標準価格は、当該標準品目に係る指定物資の価格の安定を図ることを旨とし、標準的な生産費輸入価格又は仕入価格に標準的な販売費用及び利潤を加えて得た額、取引の態様及び地域的事情、当該標準品目に係る指定物資の需給の見通し並びに国民生活又は国民経済に及ぼす影響を総合的に勘案して定めるものとする。」この根拠に基づいて権威ある標準価格の決定をされなかったではありませんか。こういうでたらめなことが許されてよろしいのですか。内田長官、いかがですか。  私がいま指摘をいたしましたのは、私は小売り業者の方々あるいは団体と十分話し合いをいたしました。その実態を調査をいたしております。権威ある問題の指摘であります。あなた方の答弁によってごまかされるそんな不見識なものではありません。どうですか。
  45. 内田常雄

    内田国務大臣 行政指導価格は、通産省行政指導価格でありますし、また標準価格も、中村さん御承知のように、国民生活安定緊急措置法上は主務大臣がこれを定めるということであります。しかし、私のほうは物価をなるべく上げさせたくないという見地から、高い標準価格主務大臣がつけないようにいつも協議に応じているというたてまえにあるわけであります。しかし、先ほどからの問答にありますように、昨年の十一月から十二月にかけて石油製品価格が非常に狂騰する過程において、これはまだ国民生活安定緊急措置法ができる前でございますけれども通産省は消費者のために、いま仰せられたようにいろいろなことはあったでありましょうけれども、とにかくなたでぶった切るつもりで十キロ当たり千三百円という行政指導価格をつくられた、こういうことできておるわけであります。しかし、だんだんことしの一月に入りますと、これももうよく御承知のように、LPガスは国内で生産されるものもございますが、大体同じくらいの数量は輸入もございますし、そういうものがだんだん上がってきているような事態でありましたので、そこで行政指導価格というようななまぬるい価格よりも、せっかく法律もできたわけでありますから、標準価格できっちりきめるのがいいと通産省もお考えになり、私ども考えたわけでありますけれども、そういう石油が、輸入のプロパンにおいてもまた原油においても上がる過程にありましたので、前の行政指導価格で、それでフラットで押えるということは、これは平たく申しますと、通産省もよく勇気を出されたと実は私は考えてまいりました。しこうして、この標準価格というものは、いま法律をお読みになられましたように、そのきめ方というものはそういうきめ方でなければなりません。また、そのきめ方の根拠につきましては、通産大臣が先ほどここで説明をされた、こういうことになっておると私は了解をいたします。
  46. 中村重光

    中村(重)委員 半ば正直なことをお答えになったのですよ。どんどん上がってきたから早くこれをきめなけばならぬだろうこういうことできめた。見識も何もないのですよ。つくられた価格を追認していくのですよ。だから、高値価格を決定したという消費者の批判というものが非常にものすごい勢いであなた方のほうに浴びせられたというのはそのとおりなんだ。私が非常に心配しているのは、あなたも通産大臣も、標準価格の対象となる品目をふやしていこう、こう言っておられる。それはほんとうに物価を押えて、高値でこれを追認していくのではなくて、この第四条に基づいてほんとうに権威のある、根拠のあるところの価格が決定されるならばけっこうなんだけれども、先ほど来事務当局がお答えになりますような、ほんとうに不見識な、あいまいなことでは、これは市場の価格、操作される価格便乗値上げ、そういうものを追っかけてきめていくにすぎないというのです。たいへん心配なんです。標準価格だ、標準価格、いかにも安くこれをきめていくんだ、見せ場だけをつくって、中身というものは、これを高い価格で追認をしていくという形になってまいりますからたいへん問題だということを申し上げるわけでございます。  まだお尋ねしなければならないことがたくさんありますが、板川委員から関連質問の申し出がありますから、ここでひとつ関連質問をしていただきます。
  47. 濱野清吾

    濱野委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。板川正吾君。
  48. 板川正吾

    板川委員 関連して大臣に二、三点伺いますが、中村委員からの質疑がありましたように、新聞報道石油製品値上げを六五%程度値上げするのじゃないか、こういうことがございます。まあ大臣は、まだそれは固まっていないということのようでありますが、察するに、いずれにしても近々決断せざるを得ない事態になるのじゃないかと思いますが、伝えられるような六五%ということになりますと、これは昨年の八月現在から比較して二・四倍になりますね。製品価格として二・四倍になる。すでに昨年の十二月に先取り価格四五%上がっておりますから、これに六五%さらに値上げをいたしますと二・四倍になる。通産省はこの原油価格上昇に伴う各産業の価格上昇率試算表というのをつくっておりますが、この通産省の試算表によりましても、十ドルに原油価格が上がったとしても、これは倍、一〇七%上がればよろしいという計算が出ております。これは詳しく聞きますと四十五年の産業連関表を使っておること、ラスパイレス方式で計算しておるために実情に合わぬという考え方もあるようであります。しかし、確かに影響力というのが四十五年と四十九年では違うことは事実でありますが、しかし当時は、四十五年には石油はわずかに二億トンしか使っていなかった。これが三億トンの計算になる。生産性も上がっておるというプラス面もあるわけであります。したがって、十ドルに計算してもこの試算でいって一〇七%程度影響を受けるというのに、六五%上げるとすると二・四倍になる。一四〇%値上げということになります。伝えられるようなことがもし事実となりますと、まさに通産省業界の資料をうのみにして、業界と癒着しておるという国民の批判を受けるだろうと思いますが、これについて通産大臣、どう考えておられますか。
  49. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、石油値上げの問題はまだきまったわけでもなく、また六五%というような数字もわれわれは根拠のある数字であるとは必ずしも思っておりません。いろいろな試作の数字は事務当局においてやっておりますけれども、それが選択の対象としてきまりたものでもありません。われわれとしては、やる場合にはできるだけ低目にきめなければならぬし、それから石油会社自体がもうけは全部吐き出して、内部留保ぐらいまでも出すとか、あるいは場合によっては減配までさせる、そういう程度のきつい査定をしなければ、石油値上げというものは国民は許さぬだろう、そういう考えに立ってやっていきたいと思っておるところであります。
  50. 板川正吾

    板川委員 それから業界が盛んに赤字を宣伝しておるわけであります。私の聞くところによりますと、業界では赤字を誇大に宣伝するために、いわゆる三月の決算のたなおろしに原油の先入れ先出しという方式をとらないで、あと入れ先出しをとって、あとから入った高値の原油をこの三月期までの中に決算に織り込んで、いかにも赤字を出す、こういうような企てがあるやに聞いております。しかも、それは一つ一つのタンクを見て、どうしても高値の原油をブレンドしなくちゃいかぬというような理屈をつけて、高値の原油を三月期までに使ったということで赤字を誇大に宣伝しよう、こういう動きがありますから、私は、業界からの事前通告といいますか資料をもらう場合には、実態とそれをよく調査の上でなければ、この業界の資料をうのみにしてはいかぬということを予想しておるのでありますが、こういう点は大臣、ひとつ慎重に実態調査の上にごまかされないような検算をひとつしてもらいたいと思います。  それから通産大臣から、事前通告制によって行政指導価格をきめるというお話が先ほどありました。これはどういう意味でしょうか。事前通告によって業界から経理の資料を出させて、それを公開するということも含まれておりますか。業界の経理資料を公開するということも含まれておりますか。
  51. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石油会社の決算や経理につきましては、いままでやってきたすなおな方法を見比べてやるべきであって、今回、利益を隠そうというがためにそういう変わった方法をとるべきではない、このことはもちろん当然のことであります。それから、通産省がいままで計算したのは、大体移動平均法といわれるやり方で試算をしてみております。石油業界からの資料をいろいろとってみておりますが、これは業者によって入ってくる油の値段、量がみんな違うわけです。みんな石油を引いているところは十ドル八十セントもしておりますし、アラビアン・ライトやその他は少しは安い。したがって、各業者別にどの石油をどの程度、いつのものを引いているか、そういう積算を全部積み上げてみまして、そうして総原価が幾らになるか、そういう精査をやって大体会社ごとの経理状況を正確にいま把握しつつあるところでございます。そういうような考え方で一応試算してみますと、この間、たしか各社から出た三月末の経理状況を見ますと、約四千百億円の赤字が業界としては出る。これは十一月、十二月の利益を吐き出して、全部吐き出した上でプラス・マイナスしてみると、四千百億円ほど赤字が出るという一つの資料が出てきておりますが、われわれがそれを試みにいろいろ査定してみまして、移動平均法その他によってやってみて、これは大体三千三百億円程度ではないか。四千百億円は多過ぎるというような、そういうような一応の計算というものを先日してみたわけであります。  そういうようにしていろいろ会社経理の内容を正確に探査しておりますが、その内容を直ちに公開するということは適当でないと思っております。しかし、国民の皆さま方に納得してもらう必要はありますから、これは民族系あるいはメジャーについて一つのモデルとなるべきようなものを国民の皆さま方にお示しして、あるいは国会の皆さま方にもお示しして実態を正確に知っていただくというようなことは必要ではなかろうかと考えております。
  52. 板川正吾

    板川委員 いずれにしても、国民の理解を受けないようなことで値上げをされるということは、私は今度の場合には非常に問題だろうと思いますから、その点はまたあとで論議を詰めたいと思います。  大臣は、さっき行政指導でやられる、それは設置法によるというのです。設置法の三条かあるいは四条、三条で通産省の任務、四条で権限というのがある。行政指導でも価格の決定というのは、私は三条、四条にどこにもないように思います。ですから、もし通産大臣、どういう権限で値上げを認めようとするのか、その根拠を伺いたいと思うのです。いま各社の資料をとって統一的に価格をきめるということになれば、これは独禁法に抵触するんじゃないかと思うのです。石油各社の資料をとって統一的に一つ価格を定めてこれで値上げをせいということになると、設置法のどこにも通産省にそういう権限があるということはない、したがって、これはことによると独禁法に違反するおそれが私はあると思います。経済企画庁ではそういう点を考慮されて、生活安定法に基づ標準価格で各製品の値段をきめたらどうだ、こういう考え方があります。これは法的に根拠がありますから、一体どちらをとられるのですか。これは経企庁、もう一ぺんここで見解を述べてください。
  53. 内田常雄

    内田国務大臣 まず原油の値段が高いのが入着してきている現実の状況に対応して石油製品価格をどの程度上げるかということ、その上げ幅、時期等については通産大臣お答えになっているとおりでございまして、いま慎重にいろいろ検討されております。  また、その上げる場合におきましても、一体、いま行政指導で押えているのと同じような形で石油製品の総合的な価格で押えるのか、あるいは各企業別に、油種別にそれを開いてさらにそれに政策を加味して、これは多少言い過ぎになるかもしれませんが、たとえばの話でありますが、たとえば油種別に開いて、ガソリンは高くするとか、ナフサは安くするとか、あるいはC重油も安くするとか、そういうような政策を加味してやる必要が、あるかもしれないし、その辺も検討いたしておるわけであります。  最後に、でき上がったものを行政指導価格でやるのか、標準価格でやるのかというような点がお尋ねの点でございますが、これは公取のほうの意見もございますし、また公取の意見ばかりでなしに、私どもは現実に行政をやってまいる上から標準価格でやれるのか、あるいは原油価格が上がる場合もありましょうが、下がる場合もあり得るようないろいろな流動的な面をも考えてまいりますと、標準価格できめるのがいいか、行政指導価格できめなければ実際の運用がうまくいかないかというような問題もある。そのときの法律の適用、解釈をどうするかというような問題ももちろんあるわけでありますので、それらを総合的に十分検討してきめてまいりたい、かように考えます。経済企画庁長官であるからといって、その標準価格を押しつけてということでいけるもの、それだけでいけるとも考えておりません。しかし、いったほうがいいかもしれませんし、検討させておるところでございます。
  54. 板川正吾

    板川委員 通産大臣、どうです。
  55. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 独禁法の場合は私的独占禁止ということで業界が私的に横断的に共同謀議的にやる、そういうことが対象ではないかと思うのです。しかし、通産省は、設置法の中に、私よく条文をまだ読んでおりませんが、国民経済の発展とか安定とか、そういう省設置の目的、それからたしか所掌物資にかかわる統制に関する事項とか、そういうような条文がありたように思います。そういうような根拠をもとにして行政権力が介入して、一つ行政指導の対象としてこれを選んで公権力の意思を浸透させていく、そういうことで行なうということであると思うのであります。それはいままで鉄鋼の自主調整に対して通産が介入するとか、そのほか幾つか例があると思います。そういうふうに公権力が介入して個々の会社ごとに指導する、そういうようなことは独禁法には関係のない、これは行政指導の分野に属することであって、業者がまず自分たちの意志をきめて共同謀議するというような事柄ではないわけであります。したがって、それは許されている部分である、そのように私たちは解釈しております。
  56. 板川正吾

    板川委員 最後ですが、鉄鋼の行政カルテルは独禁法上問題があるというので今日行なわれないことになっているのですよ。それから石油の需給法ですか、このときに独禁法に関する特別決議がある。それは大臣もあのときに御承知のように、法律的根拠かなければ、これは独禁法の——それで値段をみんなが上げるということになれば独禁法に抵触するということがあの際明らかになっておるんです。設置法の第三条でも、四条でも、法律基づかなければ通産大臣はこの指導のあれができない。ところが、法律にないものをやるということになりますと、これは越権になりますし、独禁法にも触れるおそれがあるということだけ指摘しておきたいと思います。  関連ですから、以上で終わります。
  57. 濱野清吾

  58. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど申し上げたように、大臣のいまの答弁はたいへん問題がある答弁ですかち、あらためてこの問題については意見も申し上げ、またただしてまいりたい、このように思います。  時間が参りましたから保留をいたしまして、あらためてまた質問をすることにいたしますが、プロパンの価格の問題も、先ほど申し上げたように、通産省の指導というものを受け入れたようなポーズを示して、そうして小売りには指導しないで小売り価格を上げさせて、しかも上げることはメーカーや問屋が指導して上げさせたんです。通産省には、通産省の指導を受け入れたようなポーズを示しておいて、実際は小売りが上げるのを押えなかった。上げた。そうして上がったころを見計らって一万五千円の半分のトン当たり七千円を上げる。そうしてまた一月に入って八千円上げて当初計画の一万五千円を上げたということ、実に悪質なやり方をやっている。こういうことを通産省は追認する、こういう不見識きわまるやり方をやっておるということです。ですから、これから先の行政指導価格の問題あるいは標準価格の問題についても十分ひとつ反省をして、根拠のある、権威のある決定をしてもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  公正取引委員長お尋ねをしたいんですが、検察庁に石油のやみカルテルに対しまして告発をしたのは私は高く評価をいたしたいと思うのですが、この個人の名前をここで公取が明らかにしたということは、たいへん問題がある。証拠隠滅をやる、あるいは海外逃亡といったようなことだって起こるだろう。なぜこのように具体的な氏名を明らかにされたのか、その点についてひとつお聞かせをいただきたい。
  59. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 この点について、私としては、まあほとんど絶対と申し上げていいほど、わがほうからは出ておりません。これは新聞が——はっきり申し上げてわかっております。朝日新聞の昨日の夕刊でございます。他の新聞には出ておりません。ですから、いわゆる特だね的なスクープでございますが、私に関する限り、もちろん部下に対しては、この問題について知っておる、名前まで書いたものを持っておる者は限られておるのです。それらの者から出るはずはありません。それから私の知っておる限りでは、先週の木曜日に、私のほうで非常に関係の深いある者の自宅に、司法クラブの記者が参りました。それから続いて、委員のうちでこの問題に特に関係の深い人の自宅に来ました。それから、土曜日の晩、九時過ぎでございますが、やはり司法記者クラブ所属の朝日新聞社会部という肩書きの方が、名前は申しませんが、来られました。そうして私は、玄関払いと言っては変ですが、私全然会っておりません。私は家内に、名刺を見て、もしもこれは告発に関連するような問題であれば、私は絶対にお話ししません、むだですからお帰り願いますと、丁重に帰してくださいと言ってお帰り願ったのです。立場上やむを得ないでしょうと帰られたわけです。  そうしたら昨日の夕刊に、だあっと出ておる。これは、書いたものをそのまま写し取るか、書いたもの自体を入手しなければ書けないはずです。それは、ある程度当たりはつけられるでしょう。それで、私はあのことについては、いまこの場でも、あのとおりだということは絶対申し上げられません。検察庁のほうで正式に発表したものであれば、一紙にだけ出るということはないはずです。  私も、多少新聞界の実情も知っておりますが、記者会見をしてちゃんと発表したものであれば、あのような形になって出るはずがないのでございます。だからと言って、私は検察庁はけしからぬという気持ちはありません。そういうものは、ときどき抜かれるということは現実にあるわけですから、相当な極秘文書でも実際はスクープされるということがあって、そういうことは大きな事件になったこともありますけれども、私としては、あの書き方から見て、くろうとの方が見たら、公正取引委員会が機密にしておったものが「明らかになった。」と書いてあるはずです。公正取引委員が明らかにしたとは書いてないはずですが、「明らかになった。」と書いてある点は、巧みにその点はのがれておるわけです。私は新聞のことには、かなり自分としては詳しいつもりです。ですから、出どころは、どこか公取でない——むしろ逆にそういう書き方をすれば公取でないというふうに推定されますが、しかし私は、一〇〇%の自信を持ってわがほうから絶対出ていないということは申せません。だから、そのことは、絶対にこれは検察庁だときめつけるわけではありませんけれども、その確認に来ているわけですね、私どものほうに、こういう名前で。これは現実に会った人がいるのです。わがほうの責任者の一人が会ったところが、名前を並べまして、これで間違いないかというふうに取材を確認をしてきた。そこで、その者は、もしも人の名前が間違っていたりすると重大な責任になりますよ、とにかく私としてはノーコメントであるということでお帰り願ったといういきさつでございます。ですから、私は事実をそのとおり申し述べたのでありまして、わがほうが明らかに一紙にだけ漏らすというようなことはあり得ないことだと私は信じております。
  60. 中村重光

    中村(重)委員 率直な答弁ですから重ねて追及をすることはいたしません。あなたのほうで正式に発表したものではない、そのとおり理解をいたしたいと思います。しかし、これは報道機関ということになってまいりますと、取材に努力をするのは当然の話です。一〇〇%自分のほうから出ていないということは言えないのだ、出ておるということが多分に考えられる。十分注意をしてもらいたいということを求めておきたいと思います。  通産大臣に、調査もしてもらわなければならないし、注意を促してもらいたい、また問題を解決してもらいたいということで、多く私どものほうには陳情であるとか投書が参っておりますが、その一つを申し上げます。  熊本のナショナル・ユニット・バスについてのことですが、昨年の八月に三十一台でもって六百五十一万円で契約して、二十一万円の手付を実は打っておった。ところが、十月にナショナル九州販売店の会議で、本社から一台当たり七万円、プラスの二百十七万円になるのですが、これだけの値上げを要求してきた。応じない場合は手付を返し、これを解約するという、何といいますか、もう決定的な意思表示をしてきたわけです。それで、これを買うことになっておった業者はたいへん困ってしまった。そしていま何とかして契約は履行してもらいたいというので、百三十万円だけはそれではしかたがありません、値上げを認めます、こういうことで二百十七万円の値上げの要求を百三十万円ということで今度は買うほうの業者が弱い立場にありますが、それを打ち出して、目下百三十万円という値上げで話し合いがつくかどうかという段階にあるようであります。こういう例がたくさんあります。ある大メーカーが、半年くらい前に契約をした。もちろん業者が入札をしてです。私はきょうは特に、その問題は解決をいたしましたから名前を言わないのですが、半年ぐらい前に契約をして、何回品物を入れてもらいたいということを言っても聞かない。そうして半年くらいたちましたあとに、五割の値上げ要求をしてきた。これをいれなければ、もう解約だ、品物は入れません、こういう態度をとってきた。こういう事例というものは非常に多いわけです。いま折衝中なものですから一具体的に名前をあげましたから、この点についてどういう態度をおとりになるか、お答えをいただきたい。
  61. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど私が板川委員お答えした中で、鉄鋼の問題に触れましたが、あの自主調整と申し上げたのは、価格の自主調整や量の自主調整ではなくして、設備の自主調整のことが頭にあって申し上げたのであります。  それから、いま中村委員からお話しになったナショナルの何の製品ですか。
  62. 中村重光

    中村(重)委員 ユニット・バス。
  63. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ユニット・バスというのは、おふろのことですか。——物価が騰貴するときには、よく契約者間にいろいろと紛争が起こるものでありますが、もしそれが便乗値上げに類するようなものであれば、それは押えなければならぬと思いますから、実情を調査してみます。
  64. 中村重光

    中村(重)委員 実情を調査するということだけではだめなんです。これは具体的な名前を私はあげたわけですが、もちろん調査はしなければならぬが、調査をするということだけにとどまってはいけない。こういう事態は非常に多いわけです。そんなことを単に調査をするというようなことで通しておったのでは、これはますますこういうことがはびこってくると私は思います。やはりそれこそ行政指導でもってこの契約を履行させる、そういう態度をき然としてひとつおとりになる必要がある。結果的には、これは消費者にはね返ってくるわけですから、もう一度ひとつお答えいただきたい。
  65. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私契約に対して公権力が介入するということは自由主義経済においては、できるだけ回避することがいいと思っておるのです。ただ、先ほど申し上げましたように、便乗値上げに類するようなことがあれば、これはいかぬ。したがって、もしそういう便乗値上げに類するようなことがあれば、これは差し控えるように私ら行政指導したいと思いますが、ともかく実情調査の上、善処いたしたいと思います。
  66. 中村重光

    中村(重)委員 これは値上げムードの中で明らかに便乗値上げですよ。そして石油値上げというようなものが必ず頭についているのです。これは予算委員会において、あなたが、これはけしからぬことです、これは必ずその利益を吐き出させます、契約を解消させます、約束を履行させますとかと言ってお答えになっていることと同じことなんです。同じケースです。予算委員会では低姿勢で、商工委員会では高姿勢では話になりません。明らかに便乗値上げです。もしあなたが予算委員会では低姿勢で臨まれて、商工委員会は自分の内輪だからというような気持ちで、これは適当に答弁をしてそれで済まそうなんという考え方がありますと、これは私たちもそういう態度で臨まざるを得ません。いかがですか。
  67. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 商工委員会だから適当にするなんて考えは毛頭ございません。恭順の意を表しながら実はやっておるわけであります。  いまの熊本の話は、ともかく便乗値上げであるかどうか調べまして、便乗値上げがその中に入っておるとすれば改めさせます。
  68. 中村重光

    中村(重)委員 それでは保留をいたします。
  69. 濱野清吾

  70. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 大臣の時間もあまりないようでございますので、できるだけはしょってお話をいろいろ申し上げながら、できる限り将来に向かっての建設的な方向も見出していきたいと思います。  そこで、きょう午後一時から国民生活安定緊急対策本部で、いろいろこの石油価格の、いま論議されております値上げの問題についても議論がなされると思うのでございますが、まず先ほど来いろいろお話がございましたのは、いわゆる石油価格は上げるべきではないという御議論であったと思います。私も正直今日の国民の感情といたしましては、昨年末のオイルショックにおいての石油会社のいろいろのやり方というものに対しては非常に憤慨をし、そして全く信用できない、こういう立場にあると思います。また、いま議論がございましたが、公取がいままでかつてないような例で、その石油会社のいろいろの価格引き上げのいわゆるやみカルテルについて告発までされておる。こういう状況において、はたして原油の国内への輸入価格が上がっておるといたしましても、少なくとも日本の国の政治を行ない、国民の生活をより安定をしなければならない立場にあるわれわれといたしましては、これに対して、原油が上がったから石油製品価格を上げることはやむを得ないというようなわけにはなかなかいかないと思うのです。  しかし、また一方その原油の値上がりに伴って、通産省行政指導によって極力石油製品価格を押えてきておられる。それにたとえば外資系の会社、またそのバックのメジャー、こういうものが、そんなに日本石油製品価格を上げてくれないんだったら、原油の供給を削減するぞというおどしだと思いますけれども、そういう態度が出てこないとも限らないし、ちらほらそういう動きが出てきておることも私は聞いております。そうなってくると、そのようなことになって、いま一度石油の供給が、十二月はまぼろしであったけれども、今度は現実に石油の輸入がほんとうに削減をされてくるとしたならば、日本の国内は、またまた混乱を起こすんではないかという心配から、一体これをどうしたらいいだろうかという心配をされておることも、私はよく理解をいたします。そういう両面において、一体この石油製品価格をどうしていくのか、これはほんとうに真剣に考えていかなければならない問題だと思います。そこで、そういう観点に立って、いろいろこれから御質問を申し上げたいと思います。  まず第一でございますが、私は日本のこういう石油におんぶしておる状態をもっと早く脱却をしていかなければならない。しかし、それはすぐにはできない。そうなれば、石油を原料としていろいろの製品がつくられておるものを極力使わないようにする、あるいはまたエネルギーを節約する、こういうことになっていかなければならない。大臣も、十二月ごろと現在と国民の気持ちが非常に違っておることは、はだで感じておられると思います。町を走っておる車だって、あの正月初めのころといまと比べれば全く違ってきております。そしてすでにガソリンスタンドは、ガソリンの販売競争を始めております。  こういうようなことでは私はいけないと思うのですけれども、たまたま今度需給審議会に通産省がかけられ承認を受けられた、いわゆる三月の供給目標でございますけれども、三月は原油輸入量を二千四百五十万キロリットルとして、これは前年同月に比べて四・三%の増加である。そして、それに伴って国内への石油の供給量は大体七・二%ふやす、こういうことでございます。ところが、去年の三月のころはほとんどの業種がフル活動して、物資が足りないということで非常にやかましくいって、通産省行政指導されて、フル活動をほとんどしておった時期だと思います。そういうときに比べて、なおかつ七%の石油供給量をふやしていくということは、なぜそうやらなければならないのか。片方においては依然として一五%、そのほとんどを今度は一〇%に緩和されるわけでございますけれども、いずれにしても相当のカット率をやっていくときに、しかも去年の三月はほとんど生産はフル活動しておる。こうなるときに、何も今度三月に七・二%の増加の供給目標を立てなければならないことはないんではないかと思うのですけれども、まずこの点について、どうしてそういう七・二%の供給目標をお立てになったのか、承りたいと思います。
  71. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 原油の入荷量が二千四百五十万キロリットルでありましたか、そういうふうになりますのでも、四十八年度の当初に計画した三月の入荷量から見ればまだ少ないわけであります。昨年から見ればことしは住宅もふえておるし、あるいはそのほかの産業活動も拡大しておるわけでありますから、自動車の台数もふえておるし、テレビの台数もふえておるし、必然的に需要は多いわけであります。しかし、そのまま全部認めるというわけにはいかない。そういうわけで、いろいろあんばいをいたしまして、当面の一番大きな仕事は物価を下げるということであります。物価を下げるという一番の基本は、金を引き締めて物を豊富にするということであります。  そこで、物の中でも、生活関連物資並びに生産にとって非常に重要な物資の石油、電力の割り当て量をふやす。しかし、石油多消費型に属する自動車とか、あるいは需要の倍数効果の強い土建業であるとか、あるいは家電とか、そういうものは量はふやしません。一五%にしておく。あるいはボーリング場とか、そのほかも規制は従来どおり。ただ、生活関連あるいは生産のために必要だと思われる重要部分に、いままでより五%よけいふやして物を豊富にして物価を引き下げる、そういう考え基づいて配当しておるものでございます。
  72. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 物を豊富にすれば物価は下がってくる、これは当然のことだと思うのでございます。ただ、わが国の場合には、そのエネルギー源のほとんどを石油に依存しておる。その石油価格が従来と同じように安く買えるときであれば、私はその議論は成り立つと思うのです。しかしながら、今日、石油のその原油が現実に上がってきておる、今後それが下がる見通しはあまりない、そういうときには、やはり日本国民生活も、産業構造も、できる限りエネルギーを節約し、いわゆる省エネルギー型、省資源型の国民生活産業構造に変えていかなければいけないのじゃないか。これは大臣の所信表明の中にもあるはずでございます。そういう観点からいけば、何も去年の三月のときと比べて、ことしの三月の生産活動を、去年の三月よりもより多くのフル活動をさせる必要がどこにあるのだろうか。せっかく片一方において一〇%なり一五%なり、五%なりのカット率をやっておられるわけですから、そういうときに、片一方で供給目標としては七・二%もふえますよ、国内に対して石油は七・二%、それぞれの製品、これは油種別にいろいろあると思いますけれども、トータルとして七・二%のものがふえますよというようなことは、私は必ずしもやる必要はなかったのではないか、こういうことでお聞きしておるのでございますが、いかがでございましょうか。
  73. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 わりあいに現在物があるように考えられますのは、去年の十一月二十日からいろいろ規制を始めましたが、十二月におきましても、電力も石油も大口のものについて一〇%、一月も電力は十六日から一五%にしましたが、石油は一〇%、そういう蓄積があるがゆえに、物資の生産がかなりあって、それで、いまもう少し金融を引き締めればざっと吐き出すというような情勢にまで来つつあるように思うのであります。そこで二月は一五%にいたしましたが、やはり物資の保有というものをもう少しふやして、そうして一月、十二月というものは一〇%の行政指導であったがゆえに、かなり物が実質的には増産されておったのだ、だから三月もその増産の体制でストック量を減らさないようにして、そうして吐き出させよう、そういう気持ちもありまして、これは生活必需物資や重要産業物資にのみそういう措置をとろう、こういう考えでおるわけです。
  74. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 これはおきめになったことでございますから、議論しておっても、それぞれ考え方をどうしても主張しなければなりませんので……。ただ私は、三月の問題はともかくといたしまして、これからこういう供給目標をお立てになっていく場合に、油が入ってくる量を想定をしてから供給目標を立てるのではなくて、また、現在の生産がなるべくフル活動をして、物を潤沢にしてやれば物の値段が下がるからということだけでお考えにならないで、やはり日本人はだんだん、先ほど申し上げたように、いま油はあるのじゃないかという気持ちを持ってきておると思うのです。これはよくないことだと思うのです。やはり日本はこれから省資源、省エネルギーでいくということであれば、国民全体がせっかくあの十一−十二月で困難をしまして、これは石油会社が非常に悪徳であったということはありますけれども、結果的にはあれが一つの転機となって、日本人は何とか、油をもう使ってはいけないのだという気持ちを持ってきたと思うのです。これは私はたいへんよいことだったと思うのです、そういう意味においては。そういうせっかくの気持ちを、いま国民が忘れつつある。これだとまたもとに戻っていってしまうのじゃないか。そうなってくると、また高い油を買い、それによって物をつくり、またそれが高くなってくる、そしてそれがまた物価にはね返って国民生活がまた不安におちいる、こういう悪循環を繰り返していくのじゃないか。だから、本来ならば、これから将来に向かって、日本が省資源、省エネルギーという産業構造に転換をし、国民生活もそういう姿になっていったときに、それでも最低一体どれだけのエネルギーは要るのであろうか。そのエネルギーを確保するためには、石炭も十分でない、あるいは新しいエネルギーもできない、そうなれば石油にどれだけ依存していかなければいけないか、その石油は、そうすると最低これだけは必要なのだ、こういう観点から、それではそれをどういう形で入れたらよいか、こういうふうに私は政策を転換していくのがほんとうではないかと思うのでございます。これは三月のことはともかくといたしまして、将来はぜひそういう方向へ日本のこの石油政策というものは転換していっていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  75. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は同感です。私もそういう考えに立って、ある程度正常化したら持っていこうと思います。ただ、三月は、いま物価問題が一番重点のときでありますから、心理的なことも考えてみまして、いまのような措置をとったわけであります。
  76. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 それから三月からだと思いますが、ネオンの点灯を六大都市はそのまま押えていただきましたが、地方都市については、九時までは点灯できるようにされたわけでございますけれども、これはネオン業者その他の死活の問題だということにおいては、中小企業対策として私は理解はできるのでございますけれども、ほんとうならば、いまのような節約ムードというものをやはり維持していく面からいけば、ネオン業者の死活問題は、たとえば転廃業の資金を出すとか、いろいろ別の観点から救済策を考えていって、そうしてやはり節約ムードというものを緩和をしないように、そういうものはやはり押えられたほうがよかったと思うのでございますけれども、これに対しては、御意見を聞く時間がないので承りませんが、それと関連しまして、最近、温泉地などにおいても、正月ごろはあまりお客さんがなかったというのが、最近は、どんどんお客さんがふえておる、あるいはけっこうマイカーもどんどんどんどん遠隔地に出ていっておる、こういうことをよく私ども自分自身の目でも見るわけでございますけれども、そういう面からいくと、私は、これもガソリンスタンドの死活問題という点からいって非常にむずかしいとは思いますけれどもガソリンスタンドのいわゆる日曜祝日だけの休業だけでは、結果的にマイカーのそういう休みのときのレジャー用のガソリンは規制ができないのではないか。もし土曜日もあわせて規制をしてしまうならば、完全に押えられるわけでございますけれども、これはほんとうにガソリンスタンドの死活問題というようなこともあろうと思いますが、それは別に何か考えるといたしまして、たとえば休業補償を出してやるとか、何かいろいろ考えるといたしまして、将来においてもガソリンの節約という意味においては、そういう意見もあったわけでございますが、この点については、もう全く土曜の休日ということは考えられないのか、いかがでございましょう。
  77. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日曜日、祝日は休業させましたが、土曜日はどうであるかという点もずいぶんいろいろ議論をし、しさいに検討もしてみましたが、土曜日は、二日になると、灯油の配給とか、それからトラックやそのほかの軽油の販売というものもあるらしいのです。そこで、二日完全に休みにしてしまうと、そちらのほうに非常に支障がくる。大体軽油や何かは、土曜日にみんなぐるぐる舞いで、自動車で配給、届けや何かやっているようです。そういうようなところから、土曜日完全休日にするということはどうであろうかという考えもありまして、その辺の調節をいま検討しておるところであります。
  78. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 私はそういう面からいけば、国民生活の必需品、たとえば灯油、あるいはまた、国民生活物資を運ぶための輸送業者、そのための軽油、こういうものについては理解できるわけでございますが、だからそれは販売をある程度ガソリンならガソリンについて押えるということは、これは技術的に不可能ではないんではないかと思うのです。だから、そういう点もあわせてひとつ御検討いただいて、たとえばガソリンの営業は土曜日はストップさせるということは私は不可能ではない、可能であろう、こう思うわけでございます。  それともう一つ、営業時間もいま規制をしておられるわけでございますけれども、このごろガソリンスタンドが販売競争になってまいりましたものですから、あるスタンドは六時できちんとやめる、あるスタンドは、七時も七時半までもやっておる、こういう現象がいまあらわれてきておるわけでございます。せっかく石油需給適正化法もできまして、法律において規制ができることになっておるわけでございますから、そういう業者行政指導でお互いに守ってくれるならばいいけれども、片っ方においてまじめにやっている連中もあれば、片っ方においてはまじめにやっていない連中もある、こういう現在の時点においては、もうこれは法律基づいて規制をやったほうが私は効果があがると思うのでございますけれども、この点ひとつ法律基づいて規制をされるお考え方がないかどうか、承りたいと思うのです。
  79. 北村昌敏

    ○北村政府委員 大臣にかわりましてちょっとお答え申し上げます。  先ほどガソリンスタンドの営業時間の規制の問題につきまして、大臣からいろいろな意見があって検討しているところだというお答えがございましたが、いまの節減の気持ちがゆるむことが問題であるという御指摘もございまするので、休日閉店にプラスいたしまして、土曜日の午後、半日休業という方向で検討を急ぎたい、こういうふうに考えます。大臣の御指示でもございますので。
  80. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 半日、土曜日休業、それはけっこうなんです。それは前の質問でございまして、法律基づいて規制をする考え方はないか、これをひとつ。結局いまは行政指導ガソリンスタンドの営業を休ませているわけですね。それだから、たとえば時間なんかも、六時なら六時で規制しているわけなんです。ところが、このごろ競争が激しくなったものですから、どんどん七時、七時半までやるやつが出てきたわけなんです。そうすると、六時でまじめにやっているガソリンスタンドは、営業上これは不利益をこうむるわけでございますね。そういうことからいけば、せっかく石油需給適正化法でやれるんですから、法律でもって規制をされたほうがいいんではないか、これについてはいかがですか。
  81. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いままで行政指導によってやりまして、これは業界がおのおの監視をやって自粛しないと効果があがらぬものでありますから、いたずらに法律だけつくってみても、監視員とか、そういうものが徹底しないとなかなかうまくいきません。この際は一応行政指導でやって、業界に注意を与えて、もし違反をする者があとを断たないという状態なら法律に移行することもやむを得ない、そういうことを通告して情勢を見てみようと思います。
  82. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 次に、こういうことでエネルギーを何とか削減をして、省エネルギーにしていこうということと同時に、新しいエネルギーを開発していこうということで、今度も二十四億幾らの、いわゆるサンシャイン計画を実行に移されることに四十九年度からなったわけでございますが、この四十九年度の二十四億幾らの使い方については、どういう形で使っていこうとされるのか、その具体的な計画がもうそろそろできつつあると思うのでございますが、ひとつぜひその方向を教えていただきたいことと、また、たしか審議会で太陽エネルギーなり水素エネルギーなり、それぞれ昭和何十何年までに開発をするという方向で答申が出ておったと思いますけれども、一体通産省といたしましては、こういう現在のような事態を踏まえて、その審議会の答申は答申として、太陽エネルギーなり、水素エネルギーなり、そういうものをいつごろ開発をし、いつごろそれを実用化するか、こういう方向について、お気持ちでけっこうでございますから、具体的にひとつ教えていただきたいと思います。
  83. 松本敬信

    松本(敬)政府委員 工業技術院が計画しておりますサンシャイン計画の内容でございますが、現在精緻な計画については詰めを行なっておりますが、概略を御報告申し上げますと、まず四つの柱を立てまして、太陽エネルギーにつきましては八億七千三百万、これは内容としましては、太陽エネルギーコレクターの開発、太陽熱発電システムそれから革新的冷暖房システムの開発等というのでございます。  それから第二番目は地熱でございまして、これには約五億五千百万円を計上しておりまして、主として地熱蒸気発電の開発等を計画しております。  それから第三番目は石炭のガス化、液化等でございまして、これに約四億三千五百万円を充てております。このうち約一億七千二百万は石特からの予算でございまして、計画としましては、まず石炭のガス化プラントの開発を計画しております。  第四は、水素エネルギーでございまして、これは約三億三千二百万計上いたしまして、高能率の電解プラントの開発を目ざしております。  そのほか、総合研究といたしまして、その他考えられるエネルギー技術の問題を検討してまいるために、約一億九千五百万計上しております。その他、いろいろな諸経費を五千六百万程度で、総計二十四億四千二百万ということで計画を立てておるところでございます。  それで、この目標といたしましては、現在お話しのございました産業技術審議会の答申に基づいて中間目標を立てたわけでございますが、これの考え方は、太陽エネルギーにつきましては、まず革新的な冷暖房システムということで一九八〇年ころを目ざしております。それから小規模発電システムは、十万キロワットクラスを一九八五年ころと考えております。それから次に地熱エネルギーでございますが、これは超深度地熱発電システムの十万キロワットクラスのものを一九八五年ころを目ざしております。それから石炭ガス化、液化等につきましては、ガス化プラント四万立米パーデークラスのものを一九八〇年ごろ、それからガス化発電プラントの二十万キロワットクラスを一九八〇年ごろ、さらに水素エネルギーにつきましては革新的な水素製造技術というものを一九八五年から九〇年ごろというような目標でいま計画を検討しておるわけでございますけれども、いまお話のございましたようにこの計画を早める必要も出てまいっております。  なお、この長期あるいは中期計画の策定を現在進めつつありますので、この過程でそのスピードアップというようなものを検討してまいりたい、 こう考えておるわけでございます。
  84. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 だんだん時間もなくなってまいりましたが、大臣ひとつこういうことで極力押えていくべきだし、また正直、一月の原油の輸入価格が大体六ドルといわれておりますし、二月になって九ドルになってきた。そうなってまいりますと、一月末が五十日ちょっとの在庫、これは製品も全部入れてでございますけれども、在庫があるわけでございますし、また、一月中に約二十日分くらいはタンカーで途中輸送しておった分もあると思います。そういうことになれば、六ドルのところくらいは、いままでもうけ過ぎたのですからひとつしんぼうさせるとして、そういうことで約七十日間ということになれば、何もここで三月、四月に石油製品価格を上げなくてもできると思うのでございます。  時間もないので、この辺議論しておるとまたなかなかあれでございますが、いずれにしても、そういうことをやっても、まあ先へ行ってもいつかはこれは上げなければならない。いわゆる九ドル原油が主として国内に回るようになってきたときには、これは上げざるを得ないということは理解ができるわけでございますけれども、そういうことでやむを得ず値上げをせざるを得なくなった場合、これがほかの物価へのはね返りということがたいへん心配されるわけでございます。  聞くところによれば、たとえば、重油だとかあるいはナフサだとかいうようなものの値上げを押えてガソリンを上げたらどうかというような意見もあるやに聞いておりますが、いま片方で超過利得税という問題をいろいろ各党で議論しておるわけでございます。超過利得税というものは、とにかくもうけ過ぎた企業から少し税金として取り上げよう、法人税以外に、いわゆるペナルティ的にひとつ税法を使って取り上げよう、こういう考え方で、これは税法の理論としてはいろいろありますけれども、いずれにしても、そういうことを考えておるわけです。国民は、企業からそういうものを取り上げてくれるのはたいへん気持ちがいい、やってくれ、しかし、それを取り上げて政府が持ってしまったのでは何にもならない、せっかく取り上げたんなら、やはりそれを国民に還元してくれてこそ、そしてそれによって物価が少しでも安定してくれてこそいいんだ、政府のほうへ持っていかれたんでは何にもならないというのが逆にまた国民の気持ちだろうと思うのです。私は、超過利得税、まだこれからわかりませんが、これが各党で論議されておって、何らかの形でこれが実現をした場合には、この超過利得税をもとにした一つのいわゆる物価安定対策特別会計とか何かそういう特別会計をつくりまして、それを使って石油精製メーカーに対して、原油価格がこれだけ上がってきた、しかし国内の価格に対してこれを押えろ、それでその差額の半分なら半分はひとつ補給金で見てやるということになってくれば、国民は、なるほど上がらなければならないものが、結局企業のもうけたものを吸い上げたことによって、いろいろ自分たちの製品が上がらないのだ、なるほど国はやってくれたということになると思うのでございます。そういう超過利得税がひとつ実現をして、実際にはそういう別の収入が入ってきたとなればそのときには補正予算を組むのかどういうことになるのか、これもわかりませんが、そういうことになった場合に通産大臣としては、せっかくそういうものがあるのならそれを利用して、石油価格差補給金というような形で出すことを考えてもらいたい。そういうことでがんばってひとつ実現をしていただくような方向に持っていっていただけないか、その考え方はないかどうか、承りたいと思います。
  85. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 超過利得税はいま党のほうで御検討願っておるので、超過利得税というものがどういうものができ上がるか、またどの程度税収入があるか、そういうことを見きわめた上で、いまの御提案も検討してみたいと思います。
  86. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 超過利得税がどれだけ出てくるか、確かにわからないと思います。そして片一方は、もし価格差補給をしていくと、半分にしたってそれこそ五千億かそこら、あるいは一兆になるのかもしれません。もちろんそれだけが原資というわけではないのですけれども、そういうものをまず用意してそれに加えていくというような形で特別会計をつくるということは、私は決して不可能ではないのじゃないかと思う。そしてそれは日本経済の将来を考え日本国民生活を考えた場合に、石油製品価格を押えることによってこれをやることは、決してマイナスではないのじゃないか。これはひとつ真剣にお考えをいただきたいと思います。  もう一つ、先ほどもこれは議論になりましたけれども、最近プロパンなんかも標準価格を下回って現実に売ってきておる、あるいは灯油も下回って売ってきているものがあるわけです。だから、標準価格をきめられたときの議論がさっきいろいろございましたけれども、この際、そういう実勢からいって、実勢価格よりも高く標準価格が置かれているというようなことはたいへんおかしなことではないか。もちろん先ほどのお話ですと、石油製品価格のこれからの問題とのからみ合いがございますからむずかしい問題があろうと思いますけれども石油製品価格がいま上がらないとした場合には、もういまのような標準価格というものはやめてしまったほうがいいと思うのでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  87. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 標準価格物価の下落の妨害になっているというような場合には、これは撤廃するか値引きしたほうがいいと思います。
  88. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 最後に、これからの日本石油政策の方向でございますけれども、現在DD原油が、メジャーの手を通じて入ってくるものよりも現実には高い、これは私どもどうも理解ができないわけでございます。この間のクウェート原油の応札がなかったというようなことから見ると、どうも過去においては、日本石油精製メーカーあるいは日本の商社、そういう方々が非常に競争して応札していたんじゃないか、だから結局は上がってしまったんじゃないかという感じを私は受けております。将来メジャーの油よりもDDのほうが多くなることは、向こうの国のいろいろの状況からいっても当然推察されるわけでございますけれども、そういう点でDD原油が、いまはパーセンテージは低いですが、だんだんふえていく、直取引のものがどんどんふえていく場合には、いままでのような形での過当な競争によって向こうの値をつり上げるようなことのないようにするためにも、あるいは向こうはだんだん国営なんでございますから、こちらが民間というよりも、こちらも国である、そして両国が経済協力その他すべていろいろの角度から総合的に判断をして、お互いに油を入れていく、向こうに対してこういう協力をするというようなことからいっても、そういう石油政策の一環としてこちらの窓口を一元化していくということが、私はたいへん大切なことだと思うのでございます。いますぐというわけにはいかないかと思いますけれども、近い将来の問題として、こちらの窓口の一元化ということを考えていただく、場合によれば輸入のための公団をつくっていただくということが必要かもしれません。あるいは石油開発公団を改組することもいいでしょう。そういうことに対して大臣のお考え方を最後に承りたいと思います。
  89. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これはDD原油の場合のみならず、開発とかあるいはプロジェクトの問題にもあることでございますが、一つの貴重な御示唆をいただいたものといたしまして、よく検討してみたいと思います。ともかくDD原油そのほかがあまり暴騰するということは、国民経済的にも国際的にも波紋が多いことでありますから、われわれとしてもよく慎重に対処しなければならぬと思っております。
  90. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 終わります。
  91. 濱野清吾

    濱野委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時一分休憩      ————◇—————     午後二時四十六分開議
  92. 濱野清吾

    濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。米原昶君。
  93. 米原昶

    米原委員 外務省の方見えておりますね。昨年十二月、石油需給適正化法案が本委員会にかかりましたときに、アメリカ軍の石油調達の問題について私は若干質問しました。その問題について、まあ当時の事情からすれば、ことに政府が新アラブ政策をとったという段階、そういうことを考えましても、アメリカ軍にいままでのように石油を出していることは、日本の国内事情とあわせて問題だということで質問したわけですが、ことしになりまして、一月二十日以降在日米軍の石油調達が中止になったということが外務省のほうから発表があって、新聞記者が私のところにも意見を聞きに来たりしたんです。その点について最初にまずお伺いしたいのです。  アメリカ軍から来た連絡ですね、どういうことをアメリカ軍がいってきたのかということを正確に項目を知らせていただきたいということと、そういうことに至るまでの日本とアメリカとの交渉の経過、こういう点についても簡単でいいですから知らせていただきたいと思います。
  94. 角谷清

    ○角谷説明員 お答え申し上げます。  石油の問題につきましては、これが日本におきまする重要なる問題であります事実を累次の機会にアメリカ側、特に米軍のほうには十分伝えてございまして、昨年来、たとえば十一月二十日に行なわれました第七回の安保運用協議会というような機会、あるいはキッシンジャーさんが見えたときにもたしかお話があったのでございますが、要するに、われわれといたしましては、この問題点をよく米側に説明いたしまして協力を求めた次第でございます。  事実関係といたしまして、その話の上に立ちましてアメリカ側より、昨年の十二月二十四日でございますけれども、大使館より、米国は日本以外の他の石油供給先が見つかり次第、日本における石油調達を中止する、調達中止の見通しは明年、つまり本年でございますが、一月中旬ごろである、こういう連絡があったわけでございます。その後本年に至りまして、先般、一月十八日でございますが、当地のアメリカ大使館を通じまして、一月二十日より日本における調達を事実上すべて中止する、このように連絡してまいった次第でございます。
  95. 米原昶

    米原委員 昨年質問しましたおりに、米軍は、これは在日米軍と限らず全体としてのアメリカ軍ですが、石油の調達を一四%削減するという方針が実施されていて、本年度、つまり七月一日以降は在日米軍も一四%削減しているんだというふうにこの委員会で角谷さん自身が発言しておられますが、その後調べてみますと、少なくとも日本にある商社から在日米軍が調達している分を見るとそういう気配がほとんど見えないのですが、そういう点、確実に在日米軍は当時言った一四%の削減というのはやっておったのですか、やってなかったのですか。
  96. 角谷清

    ○角谷説明員 米軍は全体といたしまして一四%削減という方針を本会計年度から打ち出しておりまして、日本におりますアメリカ軍もその一環としてその方針に従っておるというふうにわれわれは了解いたしておるわけでございます。
  97. 米原昶

    米原委員 方針はそうだったかもしれないけれども、たとえば通産省調査統計部で、アメリカ軍が日本の商社からどのくらいの石油を調達しているかはずっと統計が発表されているわけです。発表は二カ月後になりますけれども。そういう統計を見ましても、いままでのところ、十二月末までは大体わかっているのです。それを見ましても、七月以降、前年度と比べてみて一四%削減されているという気配が見えないわけです。そういう点で非常におかしいと思っていたわけですが、その点は外務省のほうではつかんでおられないのですか。
  98. 角谷清

    ○角谷説明員 外務省といたしまして了知いたしております統計でございますが、昨年の七月から十二月までの米軍の石油製品調達の契約量というものといたしましてJP4ジェット燃料約三十万キロリットル、それからJP5ジェット燃料約八万キロリットル、これは同じ七月から十二月でございます。それからその他の軽油、自動車用ガソリン、重油等約一万キロリットル、これは四十八年五月から四十九年六月までの契約量でございます。そのような数字でございますが、ただいま申し上げました最後の数字は四十九年度にかかりますから、これは途中である部分がカットということになると思います。  それから四十九年に入りまして、本年の一月から六月までの調達は一応約三十万三千キロリットルを予定しておったようでございますけれども、この数字は、先ほど申し上げました日本国内における調達中止ということに伴いましてこれは調達を中止する、すなわち三十万三千キロリットルというのは調達しないというようになるとわれわれ了解しております。
  99. 米原昶

    米原委員 この連絡がアメリカ大使館から外務省にありまして、そういう場合に外務省としては——こういう通達をよこしても、今後、日本石油商社にアメリカ軍から買いにくるかもしれないわけです。こういうことに対する措置は、これは外務省じゃなくて、外務省が通産省に話してやることになるのじゃないかと思いますが、こういう通達を受けて、それ以後に日本側としてとられた措置はどういうことであったかということです。
  100. 角谷清

    ○角谷説明員 外務省として承知いたしておりますところは、大体、企業といたしましてはエクソン、アジア・オイル、日本鉱業、沖繩オイル、キグナス、三井オイル等の会社がアメリカ軍と従来契約関係にあったと了知いたしております。ただ、先ほど申し上げましたとおり、今後契約を中止するということでございますから、したがいまして、これらの会社と米軍との契約は、すでに結ばれたものは破棄されるし、今後は結ばれないと了解いたしております。ただ、外務省といたしましては、直接これらの企業にアプローチして、というようなことはいたしておりません。ただ、そのような話が、たとえば何かの都合で行なわれていないというようなことが明らかになりますれば、これはどこの官庁がなさるかわかりませんけれども日本側としてはやはり何らかの措置をとるべきだと思います。
  101. 米原昶

    米原委員 そうしますと、通産省のほうにこの点を聞かなくちゃならぬわけですが、これは新聞にも出ておるし、外務省に正式に来たものだから、通産省のほうでも、アメリカ軍としては、自主的にこの石油会社からの調達をやめにした——ただし、これを見ると若干例外はあります。例外的に、国内各施設区域への移送システムをアメリカ側が有しない少量の自動車ガソリン、ディーゼルオイル、灯油及び潤滑油においては、わが国において一時代替方式で調達するということがあるようですけれども、これはそんなに大きな量じゃないと思うのです。こういうように通達が来ていたとすると、石油会社に対して通産省のほうから何らかの指示を与えられる必要があるのじゃないか、こう考えますが、何か通産省のほうでやっておられますか。
  102. 山形栄治

    ○山形政府委員 米軍の調達の問題につきましては、外務省当局が明確に米軍の意向を確認いたしておるわけでございまして、われわれのほうといたしましては、商社に対して米軍との契約等を結ばないようにというような指導はいたしておりません。ただ、その事実の確認はいたしておりまして、一月の二十日以降米軍からの引き合いはないということの確認は受けておるわけでございます。
  103. 米原昶

    米原委員 そうすると、この点はそういう引き合いがないということになるわけでしょうが、実際にアメリカ軍から来たらどうしますか。その場合には、政府の方針としたって、当然この約束を守ってもらわなければならないはずだと思うのであります。その場合、通産省は何ら指示も指導もされないのですか。
  104. 角谷清

    ○角谷説明員 万一、先生御指摘のようなことがございますれば、外務省といたしましては、アメリカ側に、不都合ではないか、おかしいではないかということで話を進めたいと思います。
  105. 米原昶

    米原委員 少なくとも、いまおっしゃったように、もしもそういう事実があったら、おかしいじゃないかといわれるのが当然の筋だと思うのですが、しかし、それに対して、こういうものが来ているのに何ら通知がないとなりますと、これは、一方的にアメリカ側のほうが調達しません、一月二十日以後は原則として全部、事実上すべて調達を中止するという通告があったというだけのことで、日本側の商社にもしも現実に来た場合に、売っているということですね。いや、私は幾つか知ってるからなんです。実際には来ていますよ。来ていた場合にこれはどういうことになりますか。
  106. 角谷清

    ○角谷説明員 ひとつ補足的に申し上げさせていただきたいと思いますのは、先ほど私が申し上げましたとおり、一月二十日より日本における調達を事実上中止する、この事実上と申し上げる意味は、先ほど先生もお話ございましたけれども、若干の少量の自動車用のガソリン、ディーゼルオイルそれから灯油及び潤滑油、このものにつきましてはきわめて少量、大体七千キロリットルぐらいと思いますが、それを日本側から買いまして、そのかわりにそれに見合う分をアメリカ側から日本側に供給する、そういう形で、これは主として輸送、石油の現地における米側の自給対策というものがございませんので、輸送等も加えまして困難がございますので、それらの少量のものは日本側から買う、しかし、それに見合うものはアメリカが日本側に返すということを申しております。それが事実上という意味でございます。  先生いま仰せになりましたような事実は、私どもといたしましては現時点では存じておりませんけれども、もしただいま私が申し上げましたようなことを越えるようなことでございますれば、これは何らかアメリカ側と話をする必要があると思います。しかし、少なくとも現時点におきましては、われわれといたしましてはそのようなことは一切聞いておらない次第でございます。
  107. 米原昶

    米原委員 いまおっしゃいましたごくわずかな自動車用のガソリンとか、ディーゼルオイルとか、灯油とか、その他ですね、こういうのはアメリカ軍からの連絡文書にも書いてありますし、もちろんこういうものを買っているだろうということはわかりますから、そのことを私たちが調べたわけじゃないです。ジェット燃料を買っているという事実がありますから、それだからちょっとこのものとは違うということを感じたわけです。これはぜひ自主的に調べていただきたいのです。おそらく通産省のほうで、ずっと調査統計部でアメリカ軍にどれだけ売ったというのは統計で毎月出しておられるわけで、一月の二十日過ぎのものはまだ発表されてはおりませんが、しかし、もうすでに連絡で入っているはずです。これは通産省のほうでお調べになれば当然わかると思いますが、少なくともアメリカ軍がいってきた連絡事項というものとは違う、ジェット燃料のようなものが一部の会社では売られているという事実があります。これは当然通産省のほうでわかるはずです。これはぜひ調べていただきたい。  それから、もっと重大なのは新規に契約もしているということです。これについてもわれわれのところに知らせが入っております。たとえば、だれでもこれは考えるわけですが、いまもお話があったけれども、沖繩にある石油会社ですね、沖繩石油精製株式会社とか南西石油会社あるいは東洋石油会社ですか、こういうふうな沖繩にある石油会社というのは、そもそもが主として米軍に供給するためにつくられた会社ですね。こういうものが、ただ一片のこういう通告があっただけで売らなくなるというようなことは常識的にも考えられないのです。こういうところがすでに来年度の契約を結んでいるんじゃありませんか。こういうこともぜひ調査していただきたいんです。でないと、これはただ一方的にアメリカ軍が一月二十日以後は一切在日商社からは調達しないと文書で来ただけで、これに応じて日本政府のほうが、こういう文書が来ているから基本的にはもうアメリカに売らないんだから、もしもそれを売ってくれといってきたとしたらこれは約束違反なんだから、そういうことは簡単にはやらないで少なくともそのことは政府に知らしてほしい、そういうことがあってしかるべきだと思うのですが、こういう点幾つかあります。私ここでいまの段階では一つずつの会社の名前を言いません。これはぜひ調べて自主的に解決してもらいたいんです。もちろん一時と比べると石油の需給の見通しというものが、いろいろ個々に問題がありますが、大きく初めの予想よりも狂って、石油は現在はかなりあります。あるからといって、午前中の質問でも出ておりますが、今度は値上げという問題が起こっている。だから依然として石油の需給の問題というのは今後の日本経済全体にとっても重要なポイントだと思うのです。こういう事情の中で在日米軍に無制限に石油を出すというようなやり方は許されないというのが世間の常識でもあります。ところが、アメリカ軍からは一月二十日以降は一切在日商社から調達しない、こういう通知が来ているのに、事実は依然として同じようなことが行なわれている。公然とではないようですが、こういう事実がありますから、少なくとも自主的に調査していただきたいんです。そういうことがないということだったら、私幾つか証拠を出しますけれども、いまの段階でそこを言う段階でないと思うので、自主的にひとつ外務省と通産省のほうでこれを解決してもらいたいんです。せっかくこれが来ているのに、実際はアメリカ軍に同じように売っているということになりますと、値段の問題からしましてもこのジェット燃料は特別安いわけです。こういうことはこの前の委員会のときにも言いましたけれども、そういうところに以前と同じように出しているということになると大問題です。一部じゃ、ああいうことは出たけれども、この三月一ぱいで、結局アメリカ軍には今後も売ることになるんだというようなうわさが飛んでいるようであります。そういうことでは、私たちが要求し、また一応こういう結果になったということだって台なしになると思う。この点を切に要望するものですが、何かその点でおわかりの点があったら答弁をしてもらいたいと思います。
  108. 山形栄治

    ○山形政府委員 御趣旨に沿いまして至急に調査をいたしたいと思います。その結果、そういう事実がございましたら、通産省といたしまして、外務当局と相談して機敏に是正の措置をとりたいと考える次第でございます。
  109. 米原昶

    米原委員 それから次にお聞きしたい点は、これは通産大臣に聞きたいのです。  通産大臣が、昨年この石油危機が始まった時期に、各政党を訪問されて、そして政府のとる措置に協力してもらいたいという、内容的にそういう意味の申し出がありました。中曽根大臣が共産党に来られたときに、私は野坂議長と一緒に会ったのです。そのときにも、中曽根通産大臣の意見では、そんなに悲観的な見方じゃなくて、むしろある意味で正しかったと思うのですが、アラブのほうで削減されるけれども、ほかからも買えるのだし、そう極端に悪くなるようじゃないという見通しも若干話されました。もちろん非常に重要な事態だということを強調されたけれども。ところがその後に、石油の需給の見通しというものが何回か政府からも発表されたり、業界からも発表された。これが実際とはかなり食い違って、石油がないないといいながら実際はだぶつくほどあったということで、あとで大問題になってくるわけですが、実際はこの点でどうだったのかという点は一応はっきりさしておいでもらいたいのです。というのは、政府で発表された十一月十五日の時点で、計画よりも一六%減というような見通しを立てられた。これが実際には違ってきたわけですが、世間の受け取り方はまた別なんですね。つまり、何%削減ということがいろいろな形で発表される。ところが、政府がいっておる文章を読みますと、確かに計画に対して何%減ということであって、一年前の実績と比べて減なんてはいっていないわけです。しかし、そのあたりが、削減といいましても何をもとにして削減するのか、いろいろな点がありますね。そういう点が、新聞でもそういうことをしきりに報道しておりますけれども、つまり、原油の供給削減率が何を基準にしているのか、これが非常に不明瞭で、計画量に対しての削減率なのか、あるいは契約量に対しての削減率なのか、消費見込み量に対しての削減率なのか、供給予定量に対しての削減率なのか、いろいろなものが出ております。そのためにそれがあいまいにされてしまって、そのあたりが非常に悪い効果を与えたと思うのです。この点についてどういうふうにいま考えておられるか。一応、大臣の御意見を聞いておきたいのです。
  110. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 十一月の十六日に緊急対策をやりましたが、その基礎にしたのが計画に対する一六%削減という数字であったと思います。十月六日に戦争が起こって、それから十月の十六日にアラブのほうで削減の通告が始まり、初めのうちは五%程度であると思っておったのが、十一月に入りまして二五%削減、それから毎月さらに五%ずつ削減、そういうような通知が参りまして、当時石油会社から船団ごとの情報もとっておりましたが、十二月に入りますと、ある会社は二八%削減をメジャーから通告された、ある会社は三〇%に及ぶというような通知を言ってくるのもありまして、十二月の時点におきましては二〇%くらい削減になるのではないかという非常な危機感を持ったというのも事実であります。  いままで石油計画をつくるに際しましては、大体本年度の入荷予定量、供給目標、その供給目標に対して何%減というのがいままでの策定のやり方でございましたから、そういう基準基づいてやってきたのであります。
  111. 米原昶

    米原委員 一応そういうことは知っておるわけです。実際の受け取り方はいろいろにとられて、そしてそこが整理されてないで足りない足りないということがいわれるものだから、問題になった面がかなりあると思います。実際には十二月、一月は予想された削減率よりもずっと上回って石油が輸入されたわけですね。しかし、それでも石油が足りないという宣伝は十二月の終わりごろまで続きました。十二月の少なくともあの法案がかかっている時点では、通産省にある程度わかっていたはずです。ところが、あの法案を通す手前上言われなかったのかどうか知りませんが、あの時点で一体石油は予想よりもかなり入るということがわかってなかったのでしょうか。私、非常にふしぎに思う。この点についてどうですか。
  112. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石油がややよけいに入ってきたと知ったのは十二月の二十日過ぎであります。法案が成立したのがたしか二十日か二十一日であったと思います。法案が成立して、そして一月の計画をつくらなければならぬというときに、いろいろ最終集計をしておるときに、あっ、これは待てよ、だいぶ入ってきているようだな、そういうふうに察知したのであります。
  113. 米原昶

    米原委員 私がこんな問題をいまになって繰り返すというのは、実際には、あの石油危機といわれた騒ぎの中で大企業が石油の売り惜しみと便乗値上げをやったということは、もういまでははっきりわかってきておるわけです。実際はある程度感づきながら、政府もこれに便乗してそういう宣伝をされたのじゃないかということを疑わざるを得ないのです。速報を見ればすぐわかったはずだと思うのです。そうでなかったとしても、政府自身がメジャーの流す情報に踊らされていたということは事実じゃないか。この点、全然そういうことはなかったと言えますか。
  114. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 速報がわかるのは大体翌月の十五、六日ごろではないかと思います。税関のやつがわかるのが十八日ごろでありまして、われわれとしてもその過程にある間にはわからないものであります。
  115. 米原昶

    米原委員 とにかく実際には思った以上のもの、たとえば、私、ある会社の社長に、昔の友人ですから、尋ねて聞いたところが、こう言っているのですね。石油の削減の通知が十二月段階に来て、これじゃもうとてもやっていけないというので、実際にその工場は三月までの三割操短をやったという。この調子ではもう一月もだめだろうというので、いっそのこと休みを長くしようというので正月休みを十日までとらせた。十日過ぎて出てみたら、石油を持ってくるわ、持ってくるわ、もう要らないといったって持ってくるというのです。置き場所がないというのです。結局、あり余るほど持ってこられて近所の工場に全部分けたと言っていました。それは特殊な会社かもしれませんけれども、そこに何か大きなからくりがあったのではないかというのはだれしも思うところなんです。そういう中で、私は政府のとられたことに対する責任というのは決して軽視できない。メジャーなどが意識的に大幅な削減を通告してきた。そして密田石油連盟会長も、メジャーの削減通告どおり計算すれば二〇%以上の石油不足になったのだと言っておりますが、確かにそんなことがあったんだろうと思うのです。そういうことで石油不足を誇大に宣伝して、実際はそこで売り惜しみと計画的な値上げが行なわれてきたということが実情だと思うのです。この点でメジャーに対する態度というものが今後の政府の対策としても特に重要じゃないかと私痛感するのです。エネルギーの大半が石油、その石油の多くをメジャーに依存するようなエネルギー構造を打破しなければならぬということがこの委員会でも各委員からいろいろ意見が出されております。そういう立場からいっても、この問題を徹底的に考え直していく必要があるんじゃないか。  そこでお聞きしたいのは、リヤド協定などによっても今後産油国所有の原油は増大する見通しだし、その後クウェートその他国有化のテンポが早まっております。この点で私は、どうしてもDD原油などの直接取引を推進してメジャー依存から脱却すべきだという方向を考えますが、しかしこれにももちろんいろいろ問題がある。先日、予算委員会における中曽根通産大臣の答弁を聞いておりましたら、DD原油にしても、いま買えば逆にメジャーから買うよりも高くついているんだという話もありました。しかし、そういう点を考えても、今後この取引をどのように考えていくべきか再考しなくちゃならぬところに来ております。その点について大臣の意見をまず聞きたいと思うのです。
  116. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 方向としては自主開発原油あるいはDD原油を漸次ふやしていくという方向がいいと思いますが、当面の問題としてはメジャーから入ってくる石油とDD原油の間にはかなりの値の開きがあって、DD原油の場合は入札でありますから非常に高いようです。クウェートでこの間やったのも公示価格以下ということはないというようなことをクウェート政府から発表になりました。普通の石油は公示価格の九三%ぐらいがDD原油の値段で、メジャーが買う石油はそれよりさらに安い。大体一・四分の一といわれる数字ですから、かりに十ドルとか十一ドルといっても八ドル三十五セントとか八ドル五十セントぐらいでメジャーのものは入っておる。そういう面からすると価格問題というものが起こっておりまして、そういう面からメジャーを無視するということもできない情勢であるわけです。
  117. 米原昶

    米原委員 DD原油というのは結局競売にかかるわけでしょうから、そうすれば若干高くなるということはいまの情勢だとわかるわけです。しかし、それだけの状態がいつまで続くかということもいろいろ考えてみなくちゃなりません。とにかくいまの状態は、一方では国有化の方向ですね。新しく民族独立をかちとった国々が民族主権を擁護する立場から、天然資源の主権を主張して国有化の方向あるいは大幅な経営参加の方向という問題が強まってくるのは、これは歴史の必然だと思う。  そういう中で確かに現状では幾つか矛盾があります。直接取引をやったほうがいいということはメジャーの支配から脱するためには必要だけれども、現実にはそれをやると実際メジャーから買うよりも高くなるというような問題があります。  しかし、これにはいろいろ考え方があると思うので、これはあとで質問しますが、政府が新アラブ政策を打ち出した十一月二十二日の段階で、親アラブ外交と並行して今後DD原油のアラブ産油国からの買い付けを年々拡大して、わが国の原油輸入に占めるDD原油の比率を昭和六十年には四〇%まで高めるという方針を通産省が固めたということがいわれております。これは四十八年十一月二十三日の日本経済新聞に出ておりますが、当時こういう方針を固められたとすれば、この方針は現在でも変わりがないかどうか聞きたいと思うのです。
  118. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう方針を固めたことは ございません。
  119. 米原昶

    米原委員 そうしますと、当時日経新聞報道したのは間違った報道だ、こういうことですね。そうすると、ヤマニ石油相が来日されたときに、アラブ産油国と原油供給の長期協定を結ぶことを求めたという報道もありましたが、これはどうなんでしょうか。これに対して日本側はどのように対応されるのか聞きたいと思うのです。
  120. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は、私とヤマニ石油相がテレビ対談をしているときに私からそういう話をしたわけです。お互いに彼此相融通するという意味でわれわれのほうは経済協力をやる、あなた方のほうは石油を供給する、そういうことで長期協定みたいなものを結んで共存共栄をはかることはどうですかと私が聞きましたら、彼は、それは賛成です、そういうふうに言いました。ただ、これを実行するについては、その国のいろんな諸条件、当面する問題等もあってにわかにそれがすぐ進むというものではないが、方針としては賛成ですということを私に答えたのであります。
  121. 米原昶

    米原委員 そうしますと、政府間で協定を結んで政府で買う、こういうことですか。
  122. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは民間に引き取らせるということであります。
  123. 米原昶

    米原委員 DD原油のほかに、いまの政府間で協定を結んで政府が買っていくGG原油というのがあるそうですが、そういうやり方でやればいま言ったような矛盾がなくなるんじゃないかと一応考えるのですが、この点どうでしょう。
  124. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 GG原油というのはいまはDD原油をカバーする表紙、ページのことであって、実態、中身は民間が商談に応じて引き取る、あるいはビッドに応じて引き取る。ビッドをやらぬ場合も大体ビッドに準ずるような値段を先方がいってくる可能性はありますが、そういうネゴシエーションによって民間が引き取る、政府はその口ききをする。政府経済協力についてかなり国のお金を使ったり輸銀のお金を使ったりいたしますから、その見返りとして油は日本にどれくらい売ってくれ、そういう話をして引き取りは民間が契約でやる、そういう形になるわけです。
  125. 米原昶

    米原委員 現実にはその方向がいま必要なんじゃないかと思いますが、その方向に進んでいかれる考えはありますか。
  126. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 方向としてはその方向も必要であって、私がイラクへ行って実行してきたのはそういうことであります。
  127. 米原昶

    米原委員 そこで必要なのは、一方で政府がいろいろな形の経済援助をするという中での話し合いが行なわれるわけですが、その前に非常に重要なのは、発展途上国の立場を認め、尊重するということだと思うのです。どうしてもこの問題にからんでくるのは天然資源に対する主権の主張です。これがいままで昨年十二月の委員会のときにもこの点は言いましたけれども、国際連合でいままで天然資源の主権に関する決議案が出るたびに日本はこれに反対するか棄権するかという立場をとってこられたわけです。しかし国有化の方向、これはもう必然だと思うのです。あるいはそれが大陸だなにまで及んでいくというようなことが棄権された理由にもなっているわけですが、一定の範囲の大陸だなの上部水域というのですか、こういうことの主権を主張してくるのも当然の方向だと思うのです。こういう方向に対していままでのようなアメリカ、イギリスと一緒になってこれを拒否していくというような態度は正しくないのじゃないか。いまの発展途上国の進んでいく大勢、これは歴史の必然の方向だと思うのです。これに対して中曽根通産大臣はどう考えられますか。
  128. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 歴史の方向については私も心得ておるつもりであります。ただ、具体的な問題になると非常に大きな急激な変化が起こるということは国益上も困るという問題も起こりかねません。したがって、そういう部分については慎重な配慮をしながら歴史の方向に理解を示し、あるいは同調していく、そういう態度を持っておるところであります。
  129. 米原昶

    米原委員 通産大臣がそういう見解ならば、いままで国連の総会や国連におけるいろいろな委員会でこの問題に対して日本政府のとってきた態度というのは非常に不徹底だと思うのです。当然一定の時期に賛成の立場に切りかえられるべきだと思うのです。通産大臣はそういう意見を閣議で主張して、そういうふうにさせられるつもりですか。
  130. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 すでにそういうことをやっております。この間、たしかアルジェリアが出した天然資源主権に関する決議案というのがあったと思いますが、日本はたしか小さい留保をやったかどうか記憶にありませんが、今度は賛成の票を投じたはずです。
  131. 米原昶

    米原委員 ちょっとそれは十二月の委員会にかかった決議のことでしょう。それはアラブ占領地域という限られた範囲の決議じゃないですか。そうだとすると意味がちょっと違ってくると思うのです。アラブ占領地域からのイスラエル軍の撤退を日本政府としては要求する立場からすれば、それに賛成しなかったら、それこそアラブ諸国から袋だたきにあうほど攻撃されるでしょう。それと違って一般的な天然資源の主権要求の決議、これを混同しておられるのじゃないかと思うのですが、間違っているんだったら訂正していただきたいのです。
  132. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私が申し上げたのは、十二月の占領地域における云々という、それに関係したことであったと思います。しかし、だいぶ接近してきたとお考え願っていいと思うのであります。一般的な問題についてはどういう決議文が出てくるか、その内容をよく読んだ上で、その場その場で慎重に判断していくべきであると思います。
  133. 米原昶

    米原委員 もう時間があまりありませんから、最後に、先ほども委員から質問がありました新しい石油値上げの問題について、ことに中村委員から重要な質問がありましたので、私はその点は繰り返しませんが、この値上げについてメジャーのほうから日本側に値上げを要請して、いろいろ言ってきているという話でありますが、この点について一体どういうことを言っているのか、つかまれておりますか。
  134. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 メジャーがどういうことを言ってきておるかという御質問ですか。——メジャーの一部は陳情書に類する書類を持ってまいりまして、石油価格の問題について配慮を望む、世界的にいろいろ各国ともやっておる水準というものがあるので、日本もその点について深い考慮を望む、もしそういうものが世界並みに行なわれない場合には石油の供給について障害が起こるやもしれずということを懸念する、そういうような内容のものが一部にあったと思います。
  135. 米原昶

    米原委員 そうしますと、つまり石油の国際価格に近づけてほしいんだということのようにとれますが、国際価格と比べて日本石油は安いのですか。そんなことはないと思うのですよ。国際価格と比べると、いままで発表されている資料を見ましても、日本石油の値段はちっとも安くない、むしろ逆に高いくらいです。そういうことを言うのは根拠がないことだと一ぺんにはねつけられるような内容じゃないかと思うのです。その点どうでしょう。
  136. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 メジャーのほうはもう一月一日から値上げしまして、そして日本にどんどん油も送ってきて、その値段の伝票を切っておるわけです。ただ、ユーザンスもありましたり、支払いが延びておる。ただ、メジャーの中で一部日本でいろいろ仕事をしているのがあります。ガソリンスタンドを持ったり、あるいは出資したり、そういうようなものがありますが、ガソリンスタンドを持っているものは、確かに国内価格を押えつけておるものだから収益はあがっていない。そうすればイタリアやフランスでガソリンスタンドを持っているよりも収益があがらない、そういう現象はあると思いますが、私は日本には日本の事情がある、そう言って彼らを説得して、変えさしているわけです。
  137. 米原昶

    米原委員 この値上げについては中村委員が非常にはっきりその理由を言われた。私は値上げする理由は全くないように思うのです。原油は確かに高くなったでしょうけれども値上げする理由は全くないとはっきり言えると思うのです。  もう一つはメジャーのほうの問題ですが、国際価格と比べても決して日本石油が安いというわけじゃないわけです。あるものは国際価格よりも高いのだってある。これは政府が発表されておる統計の数字を見てもわかります。そういう点からしますと、むしろいまその点でも何もメジャーのそういう要請に屈服する必要はない、こういうふうに考えます。何か値上げしなければとうていやっていけないような印象を与えているような空気が出ておりますけれども、絶対にそういうものじゃないというふうに考えますので、私はその点を特に主張しまして、質問を終わりたいと思います。
  138. 濱野清吾

  139. 小川新一郎

    小川(新)委員 中曽根通産大臣の所信表明の中で、無公害社会への前進という一項がございます。確かに時宜を得た政策であり、政治家として取り組む大きなテーマであることは同感であります。  そこで、その中で、「大気汚染問題についても、」云々というところがございますが、私はこの中に、中曽根大臣が、自動車公害、自動車が発生する大気汚染問題を述べておられないという点を踏まえて——ことばじりをとって追及するわけではございません。でありますが、これに関連いたしまして、自動車問題で質問させていただきます。  そこで、当然、自動車の許認可につきましては運輸省が主体でございますが、そういった中曽根さんのお考えの中から、本日は質問の主力が運輸関係に走るおそれもございますが、どうかひとつ御了解をいただきまして、その業界との体質の中で通産行政も合い間にはさんで質問させていただきますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。  第一点、お尋ねいたします。  運輸省にお尋ねいたしますが、運輸省は昭和三十九年九月、自動車排気有害ガス防止対策長期計画を策定いたしております。それによりますと、環境基準の明確化、整備不良車両対策、新型自動車についての審査、補助装置による清浄化対策、燃料対策、原動機対策と六つございます。そして、それを一期から五期までにそれぞれ分けて、その中の自動車の補助装置による清浄化対策の各種補助装置の効果の確認、第一期となりますが、これは何年をさすのでございますか。
  140. 北川清

    ○北川説明員 お答え申し上げます。  自動車排気ガス対策につきましては、先生御指摘の昭和三十九年ごろより長期計画を作成いたしまして、いろいろ対策を進めてきておるわけでございますが、御指摘の浄化装置の問題につきましては、その当時より装置の開発に対しまして助成をすべく指導をしてきておるものでございます。民間におきますそういう装置の開発に対しまして、科学技術研究補助金等を交付しまして助成を進めてきております。それらが第一期の対策であるということでございます。
  141. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、第一期のときに、昭和四十五年の八月から新車、使用過程車に対してCOの規制が行なわれだしました。これはそのとおりですね。昭和四十五年から昭和四十七年までは行政指導になっております。その間は、このあなたの言われた第一期に当たるんですか、当たらないのですか。
  142. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  一酸化炭素につきます排気ガス規制といたしましては、昭和四十一年から新車につきましての規制を開始いたしました。昭和四十五年八月からは使用過程車につきまして車検時において一酸化炭素の検査を開始いたしました。これらにつきましては、検査のときに、それに合格しなければ当該車についての使用ができない、検査に不合格ということになる措置を講じております。
  143. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、ここで第一期の各種補助装置の効果の確認ということをいっておりますね。そうすると、効果の確認ということは、昭和四十五年から四十七年の中古車、使用過程車におけるところのあらゆるCOのいろいろな機械に対して確認をしなければならない。これは通産省お尋ねいたしますが、この期間昭和四十七年から昭和四十八年の四月三十日までに売り出されております各種メーカーのCO対策機なるものは御存じだと思いますが、これは一体確認されている条項なんでありますか、ないのでありますか。
  144. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 昭和四十七年中のCO対策機の販売状況につきましては、数量等については確認をいたしておりません。
  145. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、おかしいじゃありませんか。運輸省では長期に従ってそういった補助機械の効果の確認をしなければならないといっているのにもかかわらず、昭和四十五年から昭和四十八年の四月三十日までにCO対策で各種メーカーが出されている機械に対して通産省は確認してない。この売り出された機械に対して効果の確認を運輸省は行ないましたか。
  146. 北川清

    ○北川説明員 お答え申し上げます。  運輸省といたしましては、先生御指摘のそういう清浄装置、単体による性能確認と申しますよりも、自動車全体としての一酸化炭素の排出状況、これにつきまして、使用過程車につきましては、東が停止してエンジンが低速で回転しておる状態、こういう状態における一酸化炭素の排出状況、  これによってチェックをし、当該車全体といたしまして機能が果たせる、こういうことを規制いたしておるわけでございます。
  147. 小川新一郎

    小川(新)委員 それが運輸省の抜け穴じゃないのですか。そのために、私はさっきから言っているように、全体のことに対して六カ所に分けて、さっきから整備不良車両対策とか、新型自動車に  ついての審査とか、その次に、補助装置による清浄化対策という中に、一期から五期まで分けて、第一期目は各種補助装置の効果の確認を行なうのだとあなたのほうでいっているじゃないですか。二番目は補助装置の改良、開発、そうして最後に補助装置の型式認定ということをうたっているじゃありませんか。だから私は自動車全体のことを言っているのではないのだ。昭和四十五年から四十八年の四月三十日までのCO対策がうまくいかないから、各種メーカーが、部品工場がこういった補助装置を売り出した。それに対する効果の確認がなければ全く野放しに行なわれたということになるのですが、この点について、今度は通産省お尋ねしますが、何ら指導は行なわなかったのですか。
  148. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 昨年の五月かち法律によります規制が行なわれまして、排気対策が強化されまして、機器の装着が義務づけられたわけでございますが、それ以前につきましては、そういった機器の性能等に対する確認はいたしておりません。
  149. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは重ねてお尋ねしますが、何社で、何台、一台の価格幾らぐらい、どれぐらい市中に出回っていることを通産省では確認しているのですか。
  150. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 過去におきましては大体五十社くらいが生産をいたしておったようでございますが、昨年の五月から運輸省の規制が義務づけられまして、装着をする機器は運輸省の指定を受けたものに限るということになりましたので、その後その指定を受け得ない機器につきましては生産を中止する企業がだんだんふえてまいりまして、昨年の七月で二十六社生産いたしておりましたが、現在では四社に減少を見ております。
  151. 小川新一郎

    小川(新)委員 なぜ四社に減ったのですか。いままで五十社以上の会社がCO対策器をつくってもうけておった。それが何のために四社に減ったのですか。国民には必要のないものだったのですか。中曽根大臣お尋ねいたしますが、いま私の話を聞いておりまして、昭和四十五年から四十七年までの間に使用過程車、要するに中古車に対してCOの規制が行なわれました。排気中どれぐらいの量をこの車は出してはいけないんだ、これに対しては警察が取り締まっております。そのために各ユーザーは自動車整備工場にこれを持っていきまして、点検、チェックを行なうわけであります。その際に約五十社、私が調べたところによりますとこんなにたくさんあります。五十社以上です。約八十社近い会社があった一つの清浄器をめぐってわずか二年間の間に乱立するほど金もうけをする材料としてこれが出た。しかも、これに対しては性能の検査をしたことがない、機能も検査したことがない、そして急に昭和四十八年の五月一日から窒素酸化物と一酸化炭素ともう一つありましたHC、この三種類について大気汚染のおそれがあるといって政府はこの問題に対して法律によって規制をすることになった。どうして昭和四十八年の五月の一日以前は八十社も九十社もこのようにずらずらある会社がいまは四社しかなくなったか。それに対して通産省は何の指導をしたのか、運輸省はどういうテストを行なったのか、あったらデータを出してもらいたいです。
  152. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 ただいま私四社と申し上げましたが、その後ちゃんと運輸省の試験を受けられまして、正式に指定を受けてつけるような機器を装置しているものはまだございます。私申し上げました四社は、指定を受けられないで指定を受けないままに現在生産を行なっておりますものが四社ということでございます。
  153. 小川新一郎

    小川(新)委員 では運輸省にお尋ねしますが、これらに対しては行政指導をし、検査をし、販売を許可し、いつそんなことをやったのですか。いつ運輸省はこのCO対策器にそういう認可を与えるようなことをやったのですか。私はいまだかつて聞いたことがないです。あなたがないとおっしゃったのだから……。
  154. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。先生御指摘の一酸化炭素の低下方法といたしましては、補助装置をつけて減らす方法とエンジン自体の点検整備を十分行なう、特に気化器、燃料と空気のまぜぐあい、この混合化の調整を適切に行なうことによりまして低減することができます。したがいまして、その減らす方法としましては、どちらの方法を使っても結果の性能といたしましては、アイドリングの濃度が四・五%以下、こういうことで性能の良否が車全体として判断されるという方向で運輸省としては進めておるわけでございます。
  155. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで私がお尋ねしたいのは、車全体の機能の中で調整するならば、八十社も九十社もこういう会社が一台五千円から一万五千円の清浄装置なるもの誇大広告し、何にも意味のないものをただ出したというのですか、これに対する検査のデータがあるのですか。それに対してあなたのほうでは、いま言ったように、こちらで言えば、四社か五社許可したと言ったじゃないですか、そういう機械に対して。どこですか、その許可した会社は。
  156. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 運輸省の正式の指定を受けまして有効な機器ということで装着をしておる機器のメーカーは別といたしまして、その指定を受けないで現在生産をいたしておりますものが四社ございます。それはAPOジャパン、新興物産三陽機器、東京乗用自動車LPG研究会、この四社でございます。ただ、この四社は、いずれも車両検査協会のテストを受けまして、排気ガス対策として効果があるかどうかの結果が最近出てまいりましたので、その結果をもちまして、そのうち新興物産につきましては近く運輸省に指定の申請をする、準備中というふうに聞いております。それから東京乗用自動車LPG研究会はすでに運輸省へ申請中でございます。それからAPOジャパンにつきましては、私どもが昨年市中からその販売品を買いまして、私どもの試験所等でテストをしました結果、テスト結果が芳しくございませんでしたので、昨年の十月に販売を自粛し、公的な機関でテストをしてもらうように、そういう指示をいたしまして、その後、車両検査協会等の機関で現在テストを行なっておるという段階でございます。それから三陽機器の製品は、総合的な排気ガス対策と申しますよりもCOだけをねらりたものでございまして、テストの結果によりますとCOの低減には効果があるといったようなテスト結果が出てまいっております。
  157. 小川新一郎

    小川(新)委員 このCO対策の問題については、運輸省ではそういう補助機械は要らないのだ、車全体の中から調整すればいいのだということで、九十社もあったメーカーの品物に対して育成も助言も、ましてその性能も調査しないでほったらかしておいた。たまたまいまあなたの御答弁では、CO対策機械の四社が今度許可を受けるのだ、それじゃ全く運輸省の言っていることと逆の対策になるじゃないですか。必要がないから、九十社も八十社もある会社が自然消滅になった、だから国民は、自動車を持っているユーザーは、マイカー保持者はむだな金を払わされてきた。これが私は第一の憤りであります。それをあなたのほうでは許可をするのですか。おかしいじゃないですか、四社だけ残して許可ということは。これはどっちが責任があるのですか。
  158. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 排気ガス対策として中古車の車に取りつけます機器は、昨年の八月からは運輸省の指定制がしかれておりまして、運輸省に指定申請いたしますと、非常に厳密な試験の結果、有効な機器であるということが認定されますと指定を受けることになっております。ただいま申し上げました四社はまだ指定を受けておりませんけれども、現在市販がされております。ただし、そのうち二村は指定を申請中ないし申請準備中でございます。
  159. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、効果もわからない、指定も受けていない、九十社もあったものが自然淘汰された、法律が改正になって、こういうものは必要ないのだ、ところが四社は生き残ろうとしておる。このCO対策というのは、あなたも御存じのとおり、無公害社会に対する大事な問題です。そういういまのような問題について引拠考えでございますか。
  160. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 このアタッチメントに対する検査や監督がちょっとルーズのような気がいたします。
  161. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、ルーズであったということは、今後通産省としては、この四社に対してはどういう考えを持っておるのですか。必要のないものについての許可ですよ。CO対策は必要がない、全体の中から調整すればCOは防げるんだ、そういう機械は必要ないんだという態度をとってきたのは運輸省なんだ。だから保護育成もしなければ行政介入もしない、検査もしなない、野放しにしておく。だから昭格四十八年五月一日から法律が改正になったら九十社もあるものがなくなってしまって、残ったのは四社だ、COについてはそう理解している。だから事CO対策補助器というのは必要ないんだと理解していた。それをいま認可申請が出ている。これはどうなんですか。
  162. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 このアタッチメントにつきましては、それが運輸省の指定を受けましたものはまさに有効な機器であると考えられます。指定を受けていないものにつきましては、もし効果がなくて逆に有害等のものでございますれば、これを取り締まる等のことを考える必要があろうかと存じますが、ただいま市販されております四社のものにつきましては、APOジャパンはその効果が判然といたしませんでしたので、昨年の十月に消費者行政の一環といたしまして、行政指導の形で販売を自粛するように会社のほうに申し入れたわけでございます。その他の三社の製品につきましてはテスト結果を見ましたところ、運輸省の指定に該当するには、たとえば三陽機器の製品はCOだけをねらった製品でございますので、COその他のものも条件を満たさなければ指定になりませんので、そういう意味では指定は受けられませんけれども、テストしました結果では効果ありというような結果が出ておりますので、私どもとしてはその販売を押えるといったようなことはいたしていない状況でございます。  なお、先ほど来申し上げておりますように、こういうものにつきましては、機器等の販売についての許可制等の法律上の規制はございません。
  163. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  先生お話しの浄化装置につきましては、対象とするガスとして一酸化炭素を減らすもの、それから炭化水素と窒素酸化物を減らすもの、目的によりましてこう大別されるのが普通でございますが、昨年四十八年五月から光化学スモッグ対策として実施いたしましたのは、炭化水素と窒素酸化物を減少させるのを主体としました装置で、一定水準に入るものを指定をいたすという道が開かれたわけでございます。  一酸化炭素を減らすものといたしまして、たとえば触媒式浄化装置につきましては、一酸化炭素と炭化水素と両方減るものでございまして、炭化水素を減らす要件が一定条件以上というものについては指定をいたしております。それからさらに吸気系に付加する装置で、従来一酸化炭素を減らすものを主目的にしていたような装置がございますが、これに水噴射を付加したり、あるいは点火時期の制御装置、こんなようなものを付加した組み合わせ方式、こういう装置によりまして炭化水素及び窒素酸化物につきましての光化学スモッグ対策の条件に合うような装置が最近出てまいりました。これにつきましては、昨年の五月から運輸技術審議会のほうにおきまして、従来認めましたものと同等程度以上の装置の方式のものがあるかどうか御審議をいただきました。四十八年八月に、従来認めましたものと同等程度以上の性能のあるものは、従来のNOx対策の装置と同じように認めていっていいという答申を踏まえまして、そのための規則を改正いたしました。ただ、現在のところ、まだその基準に合って指定したものはございませんが、その前段階措置をしておるのが二社ほどございます。
  164. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、私が整理いたしますと、いずれにいたしましても、CO対策においては試験もしないし許可もしなかった、そういう野放しの状態にあったのだ、だから今後一切自動車の浄化装置については、国の基準に合うように実験をし、検査をし、きびしく判定をした後採用する、こう一切のものについて理解してよろしいのですね。でなければ一切のそういう国のテストを受けないものについては売らせないんだ、これは、通産省どうですか、そうなんですか。
  165. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 運輸省の指定を受けますには、単にCOだけではございませんで、NOx並びに炭化水素の面でも排気ガスの減少のために効果があるということが指定の要件になっておりますので、その三つを目的とするアタッチメントにつきましては、極力運輸省の指定を受けますように指導してまいりたい。受けないものにつきましては、私どもが市場から商品を買ってまいりまして、私どもの試験所等でテストいたしまして、効果がおかしくて期待できないようであれば、販売を自粛するように指導してまいりたい、さように考えております。
  166. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、いずれにいたしましても、運輸省の指定を受けるか、受けないものでも通産省がテストをする。この運輸省が指定するということは、通産省、ただ業者の言いなりのデータを見て、検査も何もしないで指定することを指定というのか。あなた方のように当局が効果を確認した上で指定とするのか。どっちなんですか、通産省。これは運輸省じゃない。通産省に聞きたい。
  167. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 運輸省の指定を受けるには非常に厳密な試験をしまして、その試験のデータによって指定されるかどうかがきまるように聞いております。
  168. 小川新一郎

    小川(新)委員 間違いないですね。運輸省の厳密な試験を受けたものが指定になるのですね。重ねてお尋ねいたします。
  169. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 運輸省の指定の場合の申請でございますけれども、その効果があるかどうかというテストにつきましては、運輸省がみずからテストをされるわけではなくて、申請者のほうでみずから、あるいは第三者検査機関に委託をいたしましてデータをとりまして、そのデータを添えて申請をして、そのデータによって運輸省のほうは判断をされる、かような手続のようでございます。
  170. 小川新一郎

    小川(新)委員 それじゃあなたの最初の答弁と全く違うじゃないですか。あなたは、厳重な運輸省の資格審査を受けてやるのが要するに許可の対象になると言ったじゃないですか。それじゃいままでのだってみんな業者の言いなりで許可したらいいじゃないですか。効果に疑問があるからCOに対してあなたはしないとさっき言ったじゃないですか。全く運輸省と通産省のやっていることが違うじゃないですか。だから業界の体質が改まらないといわれるんだ。おかしいじゃないですか。どこの入学試験にしたって、私は英語もできます、数学もできます、国語もできます、だからあなたの学校の基準に合います、試験しなくてもいいんです、そして入学させてみたらできなかった。それじゃ全くしり抜けの資格審査じゃないですか。そういうことがあるから、私がさっきからCOの九十社もある会社が淘汰されて、あなたのほうで四社だけいましぼっている、それは厳重な試験を受けてやるのかと言ったじゃないですか。この四社に対しては試験をやるのでしょう。やらないのですか。それともこの四社の言い分をそのまま聞いて運輸省の指定を受けさせるのですか。これは通産省に聞きたい。
  171. 齋藤太一

    ○齋藤(太)政府委員 先ほどの御答弁、ちょっと私取り違えた点がございましたが、厳密なと申しましたのは、そのデータの提出につきましての基準が非常に厳密でございまして、たとえば一車種について三台のエンジンについてテストをするとかといったようなテストのやり方について非常に厳密にこまかくきまっておりまして、そういうテストの結果を提出する、こういうことになっておるようでございます。  ただ、そのテスト自体をどこでやるかにつきましては、運輸省の手続の場合には業者がみずから走行テストをするなり、あるいは第三者機関に委託をしましてテストをするなりしたデータでもかまわない、こういうことになっておるようでございます。     〔委員長退席、稻村(左)委員長代理着席〕  なお、私どもとしましては、運輸省の指定を受けないで売られているものにつきましては、公的な第三者検査機関でテストをなるべく受けるように指導いたしまして、そのデータが効果がないというようなデータが出てまいりました場合には販売を自粛するように指導をいたしたい、かように考えております。
  172. 小川新一郎

    小川(新)委員 この問題は分析化学研究所の原子力潜水艦の汚染問題から端を発した最近の一連の私たち生活問題におけるところの基準問題、このデータに対する疑惑が国民の間に出てきた。そこでいま私は取り上げているのです。  一例を申し上げますと、国会議員に対して提出する書類に運輸省はこのような書類を出してきている。こういうのを厳格と言うのですか。これは運輸省交通安全公害研究所における点火時期制御装置の実験データ、昭和四十八年五月の一日からいま申しました三つの大気汚染に対する測定を行ない、その基準を行なうのに対する私の要求、国会議員の要求に対して、三十四種のメーカーを要求したのです。それに対して、どこで調べたのか、だれがやったのか、どんな種類で検査をしたのか、何にもわからない。ただA社、B社、COパーセント、HCPPM、NOxPPM、これが装置前と装置後、低減率、たったこれだけです。たったこれだけの資料しか私にくれない。こういう不親切な運輸省のあり方では、私は納得できないのです。だから私はいまから順を追って申し上げます。  昭和四十七年八月一日に運輸省が光化学スモッグに対する自動車排出ガス対策について運輸技術審議会に答申をいたしました。昭和四十七年十月十二日に運輸技術審議会の答申が行なわれました。初めてここで運輸省は答申を得たわけです。そして昭和四十八年、昨年の一月の八日に運輸省令公報が出たわけです。運輸省令公報が出るにあたって一体どういうデータがあったのかということを何回要求しても出してくれません。そして一月の二十五日に触媒方式の装置試験法が発表になり、二月の十日に点火調整方式の装置試験法の原案が発表になった。そして二月の十八日に正式にこの点火調整方式によるところの、いま申しました三つの基準についてやりなさい、こういうように試験をしなさいとメーカーに指示をして——いいですか、ここからが大事ですよ。二月の十日に点火調整方式の装置の試験の原案ができて、二月の十八日に正式なプランができて、そこから三月の三日に合格しているわけですね。  その合格した会社を申し上げますと、トヨタ、スバル、マツダ、三菱、いすヾ自動車、それから日産自動車、ダイハツと、これだけあるわけです。三十四種類が、二月十八日から三月三日までの間に合格したわけです。厳格なる試験を行わねばならない、そういう疑いがある、いままでのように、自動車業界の慣行であるような資格審査でなくて、新しい大気汚染に対する答申をはかって、まずわずかに半年間、新しい点火装置をやるについてメーカーの言い分だけを聞いて、たったの十三日間で許可をしてしまった。  これは運輸省にお尋ねしますが、三月三日の合格になるまでの運輸省自体の試験をした各社別のデータがございますか。
  173. 北川清

    ○北川説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の点火時期制御装置の点につきましては、四十七年十月の運輸技術審議会の答申によりまして、使用過程車につけるべき装置を、要求性能、それからそれに対しますいろいろな性能要件が答申をいただいております。この答申はさっそく外部にも発表いたしまして、それ以後、担当の、関係のあります装置の製作者におきましては、その準備を進めたわけでございます。最終的な試験方法につきましては、二月の十七日に実施要領、試験方法を決定したわけでございますが、それまでにも、いま申し上げますような答申にうたわれました要求性能の試験結果があれば、これをつけて提出したものによって処置をしたわけでございまして、これにつきましては、答申によりましてあらかじめ技術的効果、こういうもののあるものを、しかもそれについての性能基準、テスト方法というようなものを裏づけとして明確化して処置したということでございます。  なお、これらにつきましては、それを取りつける自動車製作者自体でございますので、それを取りつけることによるその車の性能上の問題、こういうものも総合的にチェック、判断をできるわけでございまして、それを踏まえまして、なお、新車などにも、それ以後取りつけておる装置の知識を使用過程車用の装置の作成にも十分技術開発の効果を反映させてつくられて、それのデータが出されたわけでございまして、それにより技術的チェックを行ない、処分をしたわけでございます。
  174. 小川新一郎

    小川(新)委員 重ねてお尋ねいたしますけれども、二月の十八日から三月三日までの十三日間に、あなた方は業者から出されたデータをチェックした、しかし実際の実験はやらなかった。実際に排気ガスの機能について三十四種類の各メーカーから出された機械一台一台について厳密なテストを運輸省は行なったんですか。行なってないじゃないですか。ただ書類審査だけでしょう。ただ一言でいいです。書類審査だけなのか、実験したのか、それだけ聞きたい。
  175. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  この三月三日に処置しましたもののデータについては書類審査でございます。ただ外車につきまして、国産車の浄化装置を取りつけたりしたもの、これらについてその性能チェックと並行いたしまして私どもの研究所でデータ確認をし、それにつきまして十分性能がある、こういうことの確認のあれをいたしております。  なお、事後ではございますが、これらの装置の代表的なものについてのチェックもいたしております。まあこれは少数台数でございますが、これの性能その他は十分あるものと思っております。
  176. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、三月三日許可をしたものについては、まず実験はしなかった、そのまま、業者の言いなりのデータのまま出ている。  警察庁おりますか。大体中古車何台につけるんですか、日本全体で。——私は警察に聞いている。取り締まる対象である警察庁に聞いている。
  177. 森郷己

    ○森説明員 千百五十二万台と聞いております。
  178. 小川新一郎

    小川(新)委員 千百五十二万台。大臣、いまお聞きになったように千百五十二万台の自動車に国で定めた機械をつけるんです。これをつけてないものに対しては、どういうふうにするんですか。もしもつけてないものについてはどうするんですか。警察庁どうするんですか。
  179. 森郷己

    ○森説明員 御承知のように、私どもといたしましては、道路交通法の六十二条の「整備不良車両の運転の禁止」の規定に当たるかどうかということで指導取り締まりをいたしております。具体的には警察官が街頭におきまして車両を停車させまして検査をいたしております。その際、自動車の整備を要するものにつきましては、必要に応じて整備通告を行ないまして、そういったものの整備を義務づけるようにいたしております。
  180. 小川新一郎

    小川(新)委員 千百五十二万台の自動車に対して機能を検査するだけの機械、人員、整備等が警察庁にはあるんですか。あなた方警察庁には、一台一台の車にCOとか窒素酸化物とか炭化水素について機能をはかる機械があるんですか。なかったら何で判断するんですか。
  181. 森郷己

    ○森説明員 COにつきましては検査機器がございますので、それを使いましてやっております。
  182. 小川新一郎

    小川(新)委員 昭和四十八年五月一日からCOだけじゃないですか。あとの一種類調査する機械があるんですか。
  183. 森郷己

    ○森説明員 HCとNOxにつきましては、いわゆる排出ガスの減少装置を講じているもの、具体的に申し上げますと、ステッカーをつけているかどうかということで検査をいたしておるという実情でございます。
  184. 小川新一郎

    小川(新)委員 いまお聞きのとおり、大臣、機能を検査してないんです。できないんです。ステッカーで判断する。このステッカーは公文書ですか。これは警察庁にお尋ねしたい。取り締まる側に。
  185. 森郷己

    ○森説明員 いまのステッカーは減少装置を講じたということの証票でございまして、いわゆる公文書ではないと解しております。
  186. 小川新一郎

    小川(新)委員 公文書でないステッカーをあなた方が判断をして、検査もしない自動車に対して整備不良車とどうして判断するのですか。しかも、整備不良車と判断するステッカーは公文書ではないじゃないですか。国家公安委員会が出しておるステッカー。しかも、この二種類のステッカーについては、自動車工業会、自動車整備振興会の出したステッカーじゃないですか。メーカーの出したステッカーを張って検査もしない。しかも、それを張らないものに対しては警察は罰金の対象にする。それも合格した各メーカーに対しては、合格時点には何の試験もしない。はたしてこれが正当であるか正当でないのかということは、一体どこに証拠があるのか。少なくとも一千百五十二万台の自動車につく。こんなばかげたことを許可している運輸省や通産省、それを取り締まる警察庁は、自動車工業会や自動車整備振興会のステッカーを張らして、なぜ国家公安委員会や警察や運輸省や通産省の主務官庁のステッカーにしないのですか。ここにまず問題がある。大臣、これはどうお考えですか、こういう問題は。
  187. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま話を聞いておりまして、最初に監督管理がずさんなような気がすると申し上げましたが、どうもそういう気がいたします。やはり検査するならちゃんとオーソライズされた機関が検査をして、それを張るのもオーソライズされた機関が委任するとか、その機関の名においてやるほうが一般のお客さんは安心するだろうと思います。
  188. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、さすがに中曽根大臣の御見識が正しいと思います。検査もしないで合格をした会社も、自信がないから国家公安委員会のステッカーも張れない。通産省でも、経済企画庁でも、また環境庁でも、当該運輸省のステッカーでもない。メーカーのつくったステッカーを見て、警察では取り締まる、判定をする機械がないから、その張られたステッカーによって判断をして不良車となる。警察庁では、昨年取り締まった結果が出ておりますが、何台取り締まって、何台不良車であって、どういう処置をとったのですか。
  189. 森郷己

    ○森説明員 COとNOxにつきましては、昨年の五月から十二月までの間について一応調べておりますけれども、その調べた結果によりますと、検挙件数が六千二百十九件、整備通告の件数が一万四千五十八件。それから、これは具体的な警告になりますが六万一千五百三十七件。合わせまして八万一千八百十四件でございます。
  190. 小川新一郎

    小川(新)委員 私がいただきました一斉取り締まりの結果は、昭和四十八年七月二日警察庁が取り締まった対象車両三十五万五千七百九十両のうち、このステッカーを張っていない未処置の車が七千五百二十四台、実施率九七・九%であります、こういうふうにいただきました。これに間違いありませんね。そういたしますと、まあ多少の違いはあったにいたしましても、三十五万五千七百九十台のうち九七・九%はもうつけたわけですね。  そこで、私は重ねて不審をお尋ねいたしますが、これは運輸省にお尋ねしたいが、二月十八日に正式の点火調整法式の装置試験が発表になって、三月三日に合格になった時点からメーカーは機械をつくるのか。三月三日以前に機械をつくるということはまさかあり得ないでしょう、試験を受けてないのですから。また、あなたのほうで合格を出していないのですから、そんな機械を出すはずがない。当然昭和四十八年三月三日、合格をした時点から、これでよろしい——非常に残念ですが、実施されてはおりませんけれども、一応運輸省の、百歩譲って資格審査に通ったトヨタ、日産、ダイハツ、いすゞ、スバル、大メーカーの製品はだいじょうぶなんだというあなた方の確信のもとに三月三日、合格させた。その時点からそれぞれの機械を製作するわけでございますが、五月の一日、ステッカーを張って、もう実際にはその機械をつけた車が走らなければならない。少なくとも四月の十七日現在、たった二十日間しかない間に、一体警察庁では何台の車についたとあなた方は調査したのですか。何台の車に、五月の一日に一斉取り締まりの対象になるところの車が、四月十七日現在ついたのですか。これは新聞でも非常にふしぎに書かれております。私がふしぎに思うことは、一台五千円の機械が、さっき申しました一千二百万台近い、ざっと計算しても七百億近いお金が出るのです。その出る車について検査もしないで、ノーパスで合格をさせたが、その時点から発表して、私がふしぎに思うことは、昭和四十八年の一月の十五日に東京都整備振興会が都内の整備業者六千五百五十社を対象として装置の見本を持ってきて取りつけ方の説明会を行なっております。三月の上旬から取りつけを開始する、そうしなければ間に合わないという趣旨の説明が行なわれました。しかも、トヨタ系統のあるディーラーには三月の十日前後に大量に品物が入っております。三月の三日に試験をした機械が三月の十日にもう商店に品物があらわれ、三月の上旬にはつけなければならないと自動車整備振興会で指導している。一体これらの機械はいつつくられたのか。技術屋さんがどんなに急いでも三カ月はかかるしろものであります。それをわずかに十日間ないし十五日間で何万台、何十万台の機械が市中にはんらんする。私は全くふしぎな現象としてこれをとらえておる。しかも、ノー試験の機械、三月の三日にならなければ合格しない機械が、一月の十五日の東京都整備振興会では三月の上旬から取りつける。三月の三日と三月の上旬というのは一体何日かということを判定して、三月の十日としてもたったの一週間しかない。日本全国一千二百万台の車につけるということを考えたときに、神わざとしか思えない。そこで、私はふしぎなことは、デッドストックがあるのではないかという考え方をしております。そんなばかなことがないというのだったら、あなたのほうでその反論する証拠を出してください。——いまそこで首を振られた方、何という方ですか。あなたです。そんなばかなことがないというお顔をしておられる。反論してください。
  191. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 小川委員に申し上げます。  申し合わせの時間が過ぎましたので、結論を急いでください。
  192. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは国民にとって重大問題です。もうしばらくお時間をいただきたい。結論が出ない間は、国民は、いま一千二百万台の車についている機械が公害を発生しているのかしていないのか非常に大事な問題でございます。御見識ある委員長、お願いいたします。もうしばらく時間をかしてください。
  193. 小林育夫

    ○小林説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の言われましたのは、全国の対象となる自動車の総数でございまして、私どもが承知しておりますのは、この規制は排気量あるいは地域別に車両を区切りまして、段階的に規制を行なっておるわけでございまして、その一千数百万両の車両に直ちにつける、そういうことではないと、私はそういうふうに了解いたしておるわけでございます。
  194. 小川新一郎

    小川(新)委員 そんなことは私もわかっております。だから東京、大阪については何万台なんだ、そんなことはわかった上で御質問しております。少なくとも三十五万台から五十万台の間の車じゃないですか。三十五万台の機械を一週間でつくれるのだったら、どうやってつくるんです。あの中のゴムも——あなたは専門家だからよくわかるけれども、その中のゴムでさえも三カ月かかるといわれているのです。あらかじめ業者がつくっておったものが出たとしか言いようがない。その辺のところは自動車の専門家として、担当課長、どうですか。この二点は新たに通産省の方にも聞きたい。
  195. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  この排気ガス浄化装置につきましては、先ほども申し上げましたように、四十七年の十月に使用過程車につけるべき排気ガス減少装置の性能とか技術基準、こういうものが答申になっております。その基準に合うべきものをもうすでにそのときからスタートさせて準備を重ねてきておるはずでございます。この件につきましては、答申の中にも大都市の排気量の大きな車から順次取りつけるように措置せよ、こういう実施方法についてまでの指示がございますので、先生御指摘の三カ月云々というものは、そのころより準備をし、そして最終的に性能のあること、これの証明の出たもの、これについて最終的な検査を行ない、そして市場に出して、そして時間に間に合わせた、こういうふうに承知いたしております。
  196. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、試験をする必要なんかないじゃないですか。答申のときにもうメーカーはつくった。合格するかしないかわからないものを——答申というのは昭和四十七年の十月十二日に答申があったのでしょう。その時点からメーカーはつくり出したんですね。テストも資格審査も、四十七年の十月十二日はまだ審議会の答申の段階じゃないですか。そのときにつくった品物が、あなた方のほうで三月三日に合格したのが三十四機種、だから私は当然、三十四機種の資格審査を通ったもの——これはもう百歩譲って言っているんですよ。資格審査なんというものは私は気に食わないのだけれども、あなた方が言うから資格審査で、まあ百歩譲って認めても、その時点から、これは合格ですよという合格証書が出たんです。そこからつくるのが当然じゃないですか。前につくっていたものがぱあっと出ているんだったら、資格試験も何も要らないじゃないか、それが一つ。それも公害が除去されているというデータが出たんなら、私は何も文句を言わない。昭和四十八年の九月に東京都公害局規制部が「自動車排出ガス減少装置に関する調査結果」、こういうものを発表した。その実に一一ページに「日産VM六(自公一−〇二〇)、トヨタVD一(自公一−〇〇一)」これはあなた方の言っている試験に合格したこれの中の車であります。これをテストしましたら、日産に至ってはNOxが平均二〇%以上なければならないものが、一番ひどいのはマイナス二〇%、HCにおいても同じくマイナスの一〇%になって、全然減少しないどころかふえちゃった。そういう事例が十三例これにあがっております。これは私はどう理解していいのかわからない。だから資格試験だけではこういう問題が起きてくる。だけれども、百歩譲って東京都の公害局規制部がつくったこのテストは、いろいろな条件があるのでまだまだ未完成であるというならそれもけっこうでしょう。しかし、こういうものが出た。一千二百万台のうち、いま六十万台くらいつけられているはずです。その自動車に対して警察はどういうふうに取り締まるんだと言ったら、取り締まる機械がなくてただステッカーで許可をしているんだというのです。じゃ東京都のこの公害調査資料はでたらめなのかということになっちゃう。しかも東京都は、あなた方が絶対に試験しなかった昭和四十八年五月一日以前の、さっき私が言った八十社以上のメーカーの出しているCO検査機の調査さえしているのです。それに対して不良製品が続出しているということを東京都公害局では発表しているじゃないですか。私は、そのような一公共団体の姿勢の中から企業の問題というものをいま掘り下げてみたときに、最も真剣にならねばならない当局が一体どうなんだといってあなた方を責めたら、あなたのほうでこういう資料をくださった。そうしたら、これは五月の十五日、三月三日の試験が終わってから二カ月十二日間かかってあなた方はたったこの紙っきれ一枚、これを国会議員の私に示して、これで信用せいというわけです。東京都のほうはこんなに、あらゆる角度から、メーカーの名前まで出し、そのときの気温から、調べた人から、条件から、十三台の車まで示して公表しているのです。あなた方はこんなもので、一体何ですか、これは。これを信用せいというほうがおかしいじゃないですか。だから、さっきから何回も言っているように、こういう問題が起きていることについて中曽根大臣は、まことに遺憾であるということを表明しているじゃないですか。そういたしますと、私は信用したくないのでありますけれども、また信用しなければいけないのでありますけれども、きょう現在このような無検査の各メーカーの装置は何台つけられたか、正式にここで聞きたいのです。自動車局長さんにお尋ねしたい。正式にいま何台ですか。先ほど私が一千二百万台ということでたぶん御気分をこわされたようですから、現時点では何台ついているのですか。
  197. 北川清

    ○北川説明員 お答え申し上げます。  四十八年十二月現在におきまして九十五万台の車についております。
  198. 小川新一郎

    小川(新)委員 九十五万台の車についているわけです。しかも東京都は、たったトヨタと日産の車だけ例をとっても合格してないというデータが出ている。そこで、東京都公害局規制部のつくった「自動車排出ガス減少装置に関する調査結果」という昭和四十八年九月のデータは信頼していいんですか、信頼しちゃ悪いんですか。それともあなたのほうの出した完ぺきな資料とどっちを信頼したらいいんですか。大臣、いま私はこういうことを申しております。これは通産大臣の範囲ではないんですが、あなたの所管なさっておりますメーカーのつくったものが、このように片方の東京都公害局では不合格、運輸省のものは合格、しかも警察庁、警察には二種類についての試験機械がない、こういう状態の中で九十五万台の車につけられておる。しかも、一千二百万台の車があと一年後に昭和五十年マスキー法、日本版のマスキー法が施行されるまでにつけなければならないといわれている、こういう状態ではたしていいのでしょうか。本来は運輸大臣お答えをいただくところでございますが、当委員会には運輸大臣が来ておりませんので、最も実力大臣であり、見識の高い中曽根通産大臣の御答弁を私はぜひともお聞きして、この質問を終わらしていただきます。
  199. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは政府各省間において調整させまして、権威のある信頼できるような検査の機構並びにその証明、そういう措置についてできるだけ早期に事態を改善させる必要があると思います。
  200. 小川新一郎

    小川(新)委員 たいへん時間が過ぎましたことをおわび申し上げまして私終わらしていただきますが、そういたしますと、大臣、新しい方法の検査もしくは先ほどのような無検査の状態ではない、これから運輸省が厳格な検査をするということを私了解してよろしいんでございましょうか、この一言をお聞きして終わります。
  201. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は運輸大臣じゃありませんから、運輸大臣の権限をお答えすることはできませんが、要するに、政府内部において各省間の調整をして、そうして権威のある、国民が信頼するに値するような措置を講ずるようにいたしたいと思います。
  202. 小川新一郎

    小川(新)委員 終わります。
  203. 稻村佐近四郎

    ○稻村(左)委員長代理 玉置一徳君。
  204. 玉置一徳

    玉置委員 最後にお願いをしまして皆さんに御迷惑をかけたんですが、去る二十一日、二十二日ですか、私どもの大会がございまして、理事懇談会でもって、本日ときのうの日程をつくりたいということでございましたので、どうぞひとつやってくださいと申し上げましたが、その理事懇談会には、私は大会でもございますので出席を御遠慮申し上げました。     〔稻村(左)委員長代理退席、委員長着席〕  したがって、本日の質問のことを通知できておりませんでしたので、無理にお願いを申し上げたような次第であります。御了承いただきたいと思います。  なお、簡単に大臣並びにエネルギー庁長官に御質問申し上げたいと思います。  まず、電気並びに石油の需給の今後の見通しでありますが、したがって削減率をどうするかという問題でございますが、その前に、それを聞くために、十一月から実施されましたいわゆる行政指導による大口電気並びに石油の需給及び一月十六日、電気、ガスの事業法並びに石油需給適正化法、この二つに基づいて実施されました本日までの削減率並びにそれの成績と申しますか結果というものを長官からお示しをいただきたいと思います。
  205. 山形栄治

    ○山形政府委員 石油につきましては、十二月は、十一月十六日からでございますが、十二月はいわゆる行政指導でございまして、一〇%行なったわけでございます。電気につきましても同じようなやり方をやったわけでございますが、一月に入りまして、一月の十六日から、電力につきましては、先生の御指摘のとおり、電気事業法の規制にこれが移りまして、石油のほうは若干準備の都合がございましたので二月から石油需給適正化法に基づいて規制に入った。両方ともいわゆる一五%の節減、これは優先業種がございますので、いろいろと中が割れておりますけれども、そういう経過をたどったわけでございます。  その効果でございますが、十二月におきまして石油は、われわれのほうのいろんな調査によりますと約七割がこの一〇%を大体守っておるということがいわれておるわけでございます。一月以降につきましては、石油のほうはなかなかむずかしいわけで、現在集計中でございますけれども、少なくとも一月につきましては十二月とほぼ同じような七割ぐらいの達成率であったのではないかと思うわけでございます。それから二月に入りまして、二月以降は、石油につきましては、月二千キロリットルをこえるものにつきましては通産大臣の個別指導をやっておりますので、十二月、一月に比較いたしましてその達成率はより向上いたしたのではないかと考えるわけでございます。  電気のほうを申し上げますと、これはメーターで非常にはっきりわかる、つかみいいものでございますので、十二月中の行政指導の効果におきましても相当程度の効果をあげておりまして、当時の大口電力につきましては一〇%の行政指導を上回りまして一〇・一%の実績が出ておるわけでございます。一月十六日から二月中行なっております現在の法規制につきましては、まだこれも集計中でございますけれども、これは先ほど言いましたように検針で相当程度早くつかめますので、一月の節減効果について申し上げますと、当初全体を平均して九・四%ぐらいの節減効果が出るのではないか、これに対しまして実際は一一・八%の効果が出たことが確認されておるわけでございます。
  206. 玉置一徳

    玉置委員 いまのお話によりますと、電力の規制効果は非常に成績が思ったよりも上回っておる、こういうあれでございますね。石油は約七割方の成績があがっておるんじゃないか。なるほど石油そのものは非常に効果のあげにくい問題だと思いますが、そのぐらいのあれにいたしまして、それは目の子算でけっこうですから、日本の総需要の何%ほどの減になっておるか。  聞こうと思うのはこういうことです。こちらから申し上げておきますが、各業界、業態によりまして削減率等々が違います。大まかに一律一五%減、こういうことでありまして、これでやりますと総需要の何%に当たるのか。それから電気でありますと、たとえば五百キロワット以下は放置されております。石油とても零細企業もしくは民需のほうはあまり手を触れておりません。そういうような中で、それが〇%になるのか、つまり総需要のちょうど一〇〇%になるのか、総需要を押えるだけの効果にはなっておるかどうか、その点をお伺いしたいのですから、きちっと数字が出なくてもけっこうです。
  207. 山形栄治

    ○山形政府委員 お答え申し上げます。  電力は五百キロワット以上の契約をしております企業のカバー率が五五%でございます。それから石油のほうは、いわゆる二千キロリットル未満はすそ切りになっておりますが、これもそのすそ切り分というのがほぼ四割でございまして、両方ともが約六割がカバーされておるわけでございます。そのカバーされておりますものに対しまして、先ほど言いましたように一五%の電力の削減に対しまして、当初九・八%くらいと思っておりましたのが一一%きいておるわけでございますので、総量で申し上げますと六割の一一%、すなわち六・六%ぐらい総量で電力はきいておる。  それから石油のほうは、もし七掛けということになりますと一五%の七でございますので、約一割これで五五%の一割ということで、五・五%くらいの総量の節約がなされておるのではないか。なお、これ以外に規制外の小口のもの、それから一般家庭のものがこれにつけ加わりまして、この評価がなかなかむずかしいのでございますけれども、われわれのほうの想定では大体二、三%、いわゆる一般の節約というのが効果があるというふうに聞いておりますので、いまの数字にそれを足しますと大体一〇%程度のカットが効果が達成されておるのではないか。ちょっと数字基づきませんで恐縮でございましたけれども、そういうふうに考える次第でございます。
  208. 玉置一徳

    玉置委員 そこで長官にお伺いしたいのですが、石油の輸入の見通しその他によりますことでございますから、いま急に需給をゆるめることは困難であるということも存じておりますし、将来ともこの需給を相当長く現状でとどめておかなければいけないこともわかっておりますが、たとえば一〇%減を一律にやりましていまのような——いま一五%減ですが、業界、業態によりまして一〇%減、五%減、もしくはフル運転してもちって増産をしてもらわなければいかぬ、こういうのが続いておりますが、民間のやつをそのままにしておきまして、一五%減を一律一〇%に下げまして、その他を五%ずつ下げますと大体どの程度になる勘定になりましょうか。
  209. 山形栄治

    ○山形政府委員 これは厳密にいいますとそれぞれの分類ごとに計算しなければいかぬ。ウエートは若干違うと思いますが、大まかにいいまして五五%ないし六割の全体のものが五%動くわけでございますので、五%の削減が緩和されるわけでございますので、五五%の五%といいますと、一・二ぐらいでございますすれども、おそらくそのウェートのシフトその他の問題がございまして、大まかにいいまして二%程度の緩和ということが全体の総量としての関係からいいますと実効になるのじゃないか、こう思うわけでございます。
  210. 玉置一徳

    玉置委員 そうしますと、原油の輸入量はそう将来とも無制限に入るということは考えられぬし、もう一つは、価格の点におきましても国民経済的に自然に放任するということはにわかにはでき得ない。こういう点を考えながら、しかもある程度石油を見通しがつけば、物価上昇の抑圧等々考えれば、生産がフルに運転されることはいいわけでありますから好ましいことでありますので、そういうような点を考えまして削減率を一般に下げるというようなことになりますときに、いまのお話では大体いまの現状のワク内ではいけそうな、つまり増加率が〇%になるくらいな感じはするのでございますが、重ねてこの点をお伺いしておきたいと思います。
  211. 山形栄治

    ○山形政府委員 現在、油の入着は割合に順調であるということがいわれておるわけでございますが、それでもわれわれが当初想定いたしましたものよりは約一割近く少ないわけでございます。対前年で申し上げますと、これはふえておるわけでございますけれども、おそらく本年下期通期で九%くらいのやはり当初想定に対しまして減があらわれると思うわけでございます。今後の油の事情というのはなかなか端倪すべからざるものがあるわけでございますが、もしわが国の在庫量をこれ以上備蓄を一日も減らさないで、需要と供給がマッチするというような状態まで供給量がふえますならば、これは先生のおっしゃいますように、削減の実質的な緩和ということはかられるべきだと思うのでございます。現在、ここのところ数カ月、大体平均二・二、三日分ずつ備蓄を食いつぶしておりまして、三月末は大体四十八日分くらいになるのではないかといわれておるわけでございます。御存じのとおり、危機ラインというのが三十九日分でございますので、そうしますとあと九日分しか余裕がないという状態でもございますので、今後輸入の状況も見つつでございますけれども、私の私見でございますが、やはりここのところは慎重に、全体的な価格問題も含めた輸入量の推移を見守るべき時期であろうかと考えるわけで  ございます。
  212. 玉置一徳

    玉置委員 そうしますと、通産大臣にお伺いしたいのだが、問題は需給の見通しは国際的ににわかに楽観を許さないことは事実であります。先ほども申しました国民経済的な見地から申しましても、あるいは今後日本の産業構造の思い切った転換という点から考えても、気分的にゆるやかにするということは、これは時期尚早であることはよくわかりますけれども、そのかわりに、内容によりましてある程度の緩急よろしきを得た削減率の弾力的な運営は、やはりその際でもやらなければならないのじゃないだろうかということを痛感するのでありますが、現在の国際的な石油の需給状況の見通しのもとでどちらをおとりになりますか。私はあとは気分的な問題でして、内容はそう隔たりのないことだと思うのですが、弾力的な運用をするか、削減率の減少その他の問題を内容によりまして緩急よろしきを得るか、一率のトップの線を一五に置くか一〇に置くか、あるいは内容でいくか、この二つだと思いますが、現在の国際情勢をごらんになって、通産大臣はどちらをおとりになりますか。
  213. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御質問の趣旨がまだよく飲み込めませんが、まず申し上げますことは、玉置委員予算委員会における御提言を入れまして、三月の需給計画におきましては、生活関連物資並びに国民経済の重要物資については、一五%を一〇%に緩和して、電気並びに油の増量をやって物資を豊富にする、そういう措置をきょう自民党及び政府会議できめていただいた。一五%に残しておくものは自動車、それから土建、家電、あとは装飾品とかあるいはボーリング場とかビルとか、そういうようなものは一五%にして、生産の大事な部面は一〇%に緩和した、そういうことでございます。  それから、今後の政策と規模でございますが、これはもう少し各省との間で話を詰めてみませんとわかりませんが、私はやはり四十九年度の石油の輸入量というものはふえてきたからといって、めたらやたら入れていいというものではないと思うのです。やはり産業構造の転換とか、国民の消費は美徳というのがようやく倫理的にも価値基準が変わりつつあるときでありますから、そういうものはやはり促進する必要がある、そういうことを考えながら、石油の配給、電力の配給というものをアジャストしていく必要があろう。余分なものを供給するという必要はない、むだ使いもやめたほうかいい、できるだけ引き締めておいたほうがいい、ただし必要なものは十分回すようにする、それでもし石油がかなり入ってくるような事態ですと、これは国際収支のことも考えなければなりませんが、むしろ余分なほうへ回すよりも備蓄に回したほうがいい。備蓄が約九日間落ちておりますから、これを回復するということのほうが大事ではないか、そう思っております。
  214. 玉置一徳

    玉置委員 エネルギー庁長官、いまお話しの備蓄でありますが、九日間ほど食ってしまったわけであります。これはいまのような状況で推移しますと、三月、四月かからぬと前の状況に戻らぬと思うのですが、何日ぐらいかかるのでしょうか。
  215. 山形栄治

    ○山形政府委員 先ほどもちょっと触れましたように、備蓄は現在刻々に下がっておるわけでございますけれども、いま大臣の答弁にもありましたように、これから需要面を定着させる、総需要政策の定着をはかりまして、それとの見合いで供給量をアジャストしていくというかっこうで、まず備蓄の減るのを今後はとめるべきであろう、こう思います。今後、備蓄の増強につきましてはこういう情勢でございますのでなかなかむずかしい点もございますけれども、世界全体の産油国の動き等も考えながら、また、現在財政融資の活用等で備蓄の促進もはかっておりますけれども、そういう既存の制度及び新しい発想に基づくいろいろな対策も研究しながら、備蓄はこれから日本全体としてふやす方向で考えるべきだと考えておるわけでございます。
  216. 玉置一徳

    玉置委員 よけいに減りだしますと、それを押えるのにどういう手が打てるか、もしくは打つだけでなしに、備蓄そのものも在来の手当てだけでは好ましぐないかもわからないですから、両方合わせて何らかの新規の発想が要るのだと思いますが、何か御発想がございましたらお答えをいただきたいと思います。
  217. 山形栄治

    ○山形政府委員 これは現在まだ検討中でございますが、備蓄は一番端的に言いますと、いわゆる国家備蓄という概念が一つあるわけでございますけれども、これに直ちにいくべきではなくて、やはり当面は民間の機能を活用して推進すべきであろうと私は考えるわけでございます。ただ、この場合に、今後における備蓄用地の問題、それからDD原油等非常に高い原油を引き取るということ、そのファンクションにからめた発想等が今後その場合におきましても必要ではないかと思いますが、現在総合エネルギー調査会の石油部会で備蓄問題のあり方につきまして検討いたしておりますので、その成案を待ちまして、またわれわれとしても具体的に考えていきたいと考えるわけでございます。
  218. 玉置一徳

    玉置委員 通産大臣にお伺いしたいのですが、いまお話しのDD原油は、今後とも総需要の安定、ものの安定と金の安定がからまってまいるわけでありますが、DD原油が非常に値が高い場合がこれから想定されるわけです。国民なり日本の産業界にこれを回しますときに、バランスがとれないようなかっこうになります。この問題の処理ということがこれから一つ頭に入れなければいかぬ問題になりますが、そういう意味では輸入公団というようなものをお考えになるかどうか、あるいはもっと違う発想でこの処理をどのようにするようにお考えになっておるか、お答えをいただきたいと思います。
  219. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これはやはり当面は民間輸入ということで現状を続けていくのがいいだろうと思います。いずれDD原油も、メジャーから輸入している油と平準化されていくだろうと思うのです。いまのような時代が過渡期で、去年の十二月をトップとしてDD原油が非常に高かったのでございますが、次第にその落差は狭まっていくだろう、将来は同じになるだろう、そう私感じておりますから、急にあわてていろいろなことをやるよりも行く末をよく見ながらじっくり取り組んでいったほうがいいと思います。
  220. 玉置一徳

    玉置委員 一つ考え方で理解できるわけでありますが、そこで、この間も少し質問の際に申し上げたのでありますが、DD原油と、それからメジャーから来る原油と値段が違います。しかも、こちらの日本石油精製会社値上げしなくとも、二十二日間の船便を考えずにメジャーそのものが産地原油の値を上げられたと同時に上げてしまうような形もあり得ると思います。なかなか複雑多岐にわたっておるのが日本石油業界だと思いますが、この間も申し上げましたとおり、このいろいろな要素のものを全部つかまえながら、しかも、卸もしくは流通の段階、末端に至るまである程度動向を承知しておらなければ、この問題点が処理が非常にしにくいというのが現状であります。こういう意味では電気、ガス事業法というのがございますけれども、電気、ガス事業法よりもさらにこれのほうがよほど基礎産業のうちの基礎産業だということがわれわれにも今度いやというほど見せつけられたわけでありますが、こういうような意味では何らかの意味の公社、公団にするのか、それでDD原油その他の値段の違うものまで何らかの形で均等にしながら国民諸君にこれをさあというときでも送り得るようにするのか、もしくは電気、ガス事業法のように石油業法を改正いたしまして、そして改正したものをもちまして平素も通産省でチェックできるような形をとっておる、さあというときだけは、非常事態の宣言が行なわれた後には、それが直接指導もでき得るようにやっていくのかどうか。どちらをおとりになるのかということを承っておきたいと思います。
  221. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは大問題でありまして、この石油の混乱が落着しましたらひとつじっくり取り組んでよく検討してみたいと思っております。ただ当面は、石油業法によりまして届け出義務、あるいはこちらがそれに基づく諸般の行政指導等ができますから、灯油その他についてもああいう行政指導でやれたわけでございますが、当面はこれでいいと思いますが、しかし今回の石油危機全般をしさいに分析、検討してみまして、われわれの現在の、いままでの政策ではたしていいかどうか、将来を見通してそういう点も検討してみたいと思います。
  222. 玉置一徳

    玉置委員 重ねて大臣にお伺いしたいのですが、今度の石油そのものは石油精製メーカーのいろいろな不手ぎわもございましたとおりでございまして、いま国会で問題になっておるとおりでありますけれども、流通の段階にも、日商岩井石油株式会社とか、ゼネラルの指令とか、いろいろな問題が私はあったんであろうと思います。こういうような意味では流通の段階もひとつ若干の余裕ができますれば、あるいはまた別個の班をつくりましてあとづけをしていただいて、今度の総反省のあれにしていただきたい。  それからもう一つは、石油以外のその他の物資におきましても、値段が上がるというなら先に買い込みたいのは人情であります。そこにも問題があったと思います。と同時に、流通の諸段階においても、同じような国民全般、消費者全般の気分が動いたことも同じであります。こういうところで三つともあまり感心せなかったことがこの事態を引き起こしたんじゃないだろうか。  それから、きのうきょう予算委員会等でもいろいろ明らかになっておりますように、物の改定をするぞ、あるいはいままでのいい業者を、こうなればいい相手の消費者を選択しろとかいうようないろいろな指令がある場合の局所においては、全く五〇%減というようなひどいものがあらわれて、それが全部にぐっと大きく火をつけたんじゃないだろうかという感じもいたします。  こういうような意味で、精製メーカーのことはもちろんのことでありますけれども、流通の諸段階、そういう問題についてもひとつ鋭くメスを将来の参考のために入れていただきたいと思うのですが、どうでありますか。
  223. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 同感であります。
  224. 玉置一徳

    玉置委員 もう一つ大臣にお伺いしたいのは、その場合キッシンジャー——これは外務省の所管のことをあまり大臣に言いたくありませんけれども、どうしてもニュースのソースがあまり感心しなかったということは、これはひとしく認めなければならないと思います。だから、今後これだけのでかい国民の生活なりあるいは産業全般の基盤をゆるがすようなこういうものについて、そういったニュースをしょっちゅう先々を見通した取り方をするために、何か心に期するところがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  225. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 外交関係の情報というものは非常に貴重でありまして、それが一歩誤ると非常な国難を招来するということでございます。アラブや石油関係、資源関係に関する従来のそういう配慮は非常に足りなかったように思います。これは人的配置の問題、機構の問題、それから政策の重点化、そういうさまざまな点において、この間うちの事態は改善されなければいかぬ、そう思っておるわけであります。
  226. 玉置一徳

    玉置委員 最後に、長官にお伺いしたいのですが、私のほうの京都の端のほうに丹後というのがございまして、零細な機業者一万人近くが機をお織りになっております。そこで、四つの共同加工場をもちまして、共同で製品にするところがございますが、これが一五%カットでまいりましたときに非常に操業度が落ちております。いずれも零細な方々ばかりでありますので、困っておいでになります。  もう一つは、共同加工場の部門の中で公害処理場がございます。それがいずれも五〇%、五三%——そこの工場の公害処理の施設だけで電力を五〇、五三、そういうようなのを私はもう直接行ってその方にすぱっと聞いたんです。間違ったらいかぬ、うそ言われたら困ると思ったもんだから。いずれも五〇から五三、四のところで使っております。したがって、公害処理部門だけは別ワクで考えてあげていただく方法があるんじゃないだろうか。  もう一つは、零細な機業の集まりの共同処理部門の工場でありますので、零細企業と見るか、もしくは中小企業団地における特別な扱いがございますが、あれと同じような扱いをやっていただくわけにはいかぬだろうか。  私は一月ほど前見てまいりまして、さっそく通産省へ参りましてお願いをし、大阪の通産局にもお願いをしてまいりました。ややゆるめていただいたような感触でみんな喜んでおるのですが、さらに次の改定の場合にそういった尺度を、一般的にも考えられることでございますので、お考えをいただくことができないかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  227. 岸田文武

    ○岸田政府委員 丹後の工場のうち三つが五百キロワット以上の規制の対象となる工場でございます。いまの規制によりますと、御指摘のように一五%カットになっておりますが、これはかりにお話の中にありましたような中小企業団地であれば適用除外になるべきところがやや法律的な形を異にしておるということが理由でございます。  また、公害防止施設につきましては、私どもは、いわば産業活動のまさに大事な部分である、これだけ別にするというわけにはまいらないというような従来の解釈で、いま申し上げましたような措置をとってきたところでございますが、工場のほうから通産局へお申し出がありまして、実質的には中小企業の共同施設に準じた面もあるというような点を配慮して、お話にございましたように若干の緩和をいたした次第でございます。三月以降につきましては、制限率自体も若干の緩和になりますことに加えまして、いまお話しのような点を私自身も少し勉強いたしまして、緩和策等について研究をいたしたいと思っております。
  228. 玉置一徳

    玉置委員 終わります。
  229. 濱野清吾

    濱野委員長 次回は、明二十七日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十一分散会