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1974-02-15 第72回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月十五日(金曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       天野 公義君    稻村 利幸君       浦野 幸男君    小川 平二君       越智 伊平君    越智 通雄君       粕谷  茂君    木部 佳昭君       小山 省二君    近藤 鉄雄君       塩崎  潤君    島村 一郎君       橋口  隆君    八田 貞義君       松永  光君    保岡 興治君       岡田 哲児君    加藤 清政君       加藤 清二君    佐野  進君       山崎 始男君    渡辺 三郎君       野間 友一君    近江巳記夫君       松尾 信人君    宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         外務省アジア局         長       高島 益郎君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         通商産業審議官 森口 八郎君         通商産業省通商         政策局長    和田 敏信君         通商産業省立地         公害局長    林 信太郎君         通商産業省生活         産業局長    橋本 利一君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         中小企業庁長官 外山  弘君  委員外出席者         大蔵省銀行局総         務課長     米山 武政君         日本国有鉄道事         業局次長    市川 静夫君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十三日  辞任         補欠選任   玉置 一徳君     神田 大作君 同日  辞任         補欠選任   神田 大作君     玉置 一徳君 同月十五日  辞任         補欠選任   玉置 一徳君     春日 一幸君 同日  辞任         補欠選任   春日 一幸君     玉置 一徳君     ――――――――――――― 二月十四日  農林水産業用燃油確保に関する請願宇田國  榮君紹介)(第一九八六号)  伝統的工芸品産業の振興に関する法律案に関す  る請願宇田國榮紹介)(第一九八七号)  中小企業の経営安定に関する請願瀬野栄次郎  君紹介)(第一九八八号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第二〇五七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月十三日  石油対策確立に関する陳情書  (第  一七三号)  灯油の安定供給に関する陳情書  (第一七四号)  中小企業資金融資に関する陳情書  (第一七五号)  中小企業設備貸与制度充実強化に関する陳情  書  (第一七六号)  工場災害防止対策確立に関する陳情書  (第一七七号)  紙類利用促進センター早期実現に関する陳  情書  (第一七八号)  流通合理化のためパレット・プールの推進に関  する陳情書  (第一七九号)  宿毛湾の原油基地化反対に関する陳情書  (第一八〇号)  喜入原油備蓄基地の再拡張反対に関する陳情書  (第一八一号)  農業機械用燃油確保等に関する陳情書  (第一八二号)  米軍基地関連業者の転業、経営安定資金制度化  に関する陳情書外一件  (第一八三号)  発電用施設周辺地域整備法早期制定に関する  陳情書外一件  (第一八四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 通産大臣企画庁長官公取委員長等所信表明に関しまして若干質疑をいたしたいと思います。  まず通産大臣にお伺いをいたします。  私は、きょうは主として石油政策について伺いたいと思っておりますが、昨年の秋以来、世界的に石油危機喧伝をされた。通産大臣は、この石油危機実態をどういうように認識をされておるか。これは今後わが国エネルギー政策立案上重要なポイントになる、こういう気持ちがいたしますからお伺いをいたすわけでありますが、この世界的な石油危機の正体というのは、国際的にはニクソン政権メジャーによって企画をされた、そしてこれにアラブ石油武器とするということによって応じたという説があります。  原油価格の年間四倍に達する異常な高騰は、この三者の利害が全く共通しておるという現実があるわけでありまして、こういう現実を見ますと、私はそうしたニクソン政権メジャーによって企画され、アラブ石油武器とすることでこれに応じた、こういう説を否定する理由が全くないという感じがいたします。ニクソン政権は、この原油の非常な値上がりによってエネルギーの自給の達成が可能となる、そして崩壊に瀕しておったドルが立ち直った、メジャーは座して非常な利潤がころがり込む、アラブイスラエル戦費を調達できて、あわせてエネルギー主導権メジャーから奪い返すことができた、こういうように感ずるわけでありまして、いわばこの石油危機最大被害者日本、EC、開発途上国民であるというふうに感じますが、大臣は、これに対してどういう所見をお持ちでしょうか。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そのような評論も私は読んだことがございます。また、結果的に見ますと部分的にそういう現象が起こったと判定せざるを得ない、結果論としてそういうことを考える要素もなきにしもあらずであります。しかし、意図的に、はたして連合してそういうことが作為的に行なわれたかということは、私はまだ疑問であると思っております。いずれにせよ、しかし日本としては最大被害を受けた国の一つでありまして、これらの経験を踏まえて将来に対する対策をわれわれとしては慎重に講じていかなければならぬ、そのように思っております。
  5. 板川正吾

    板川委員 世界的な解明は今後にまた譲るといたしまして、この石油危機を千載一遇の好機として誇大に宣伝し、膨大な利益をむさぼった国内石油業者社会的責任というものも私は追及しなければならぬと思います。同時に、この石油危機実態、虚構というものを見破ることができないで適切な対策をとることができなかった通産省責任もまた問題とならなければならないと思います。  そういう考え方を前提にして伺いますが、昨年十二月分の原油輸入がなぜあれほど大幅に見通しと狂ったのか。十月、十一月はいろいろ流動的でありましたから見通しが確定されなかったことはわかりますが、十二月の輸入は、通産省見通しでは二千百七十一万キロリットルということであったのが、実際は約二千五百万キロリットル入っておるということでありますが、こういう見通し実態の大きな狂い――多少の狂いはしかたありませんが、なぜこのような大きな差が出たのか。通産省というのは、エネルギー庁というのは、業者の言いなりになって、業者の言うのをそのままうのみにしておる、こういうような国民批判が起こるわけでありまして、一体なぜこういうように大きく食い違ったか、お伺いいたしたい。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 十月に戦争が起こりまして、十月の十七日にOAPECの国々がたしか削減をきめたと思います。それで九月の水準に対して二五%カットを行なう、そして十二月以降も毎月五%ずつそれを加算していく、そういう情報が参りまして、またそういう決定を事実行なったわけであります。そういうような基準でもしこれが行なわれた場合にどうなるかという最悪の場合をやはりいろいろ想定して、われわれとしては政策考えなければならぬわけであったわけであります。しかし、いろいろ着荷の状態やらその後の各国の情報等をとってみまして、日本国在外公館からのわが国に対する電報、あるいは産油国側からのいろいろな情報等々、それから日本石油供給しているメジャーズからの通告、そういういろいろな情報をとってみまして、これはある程度来る、そういうふうにわれわれは考えざるを得ない事態になり、行政当局としては最悪事態を想定して、それに備える立場をとらなければ責めを免れない、そういう感じを持って政策立案に当たってきたわけでございます。当時の情勢から見ますと、やはりジャーナリズムも国民の皆さんも、通産省は手ぬるい、ちょっとゆったりし過ぎているじゃないか、もっとびしびしやらぬか、そういう声がちまたに満つるような状態にもなってきたと思っております。  それで、十一月の十六日にいよいよその緊急対策本部をつくって石油規制を本格的に始める。初めは自主的な節減を求めてやったわけでございますが、十二月に入っていろいろ数量を策定してみますと、どうも下半期は一六%程度削減にいくらしい。それが十二月の中旬ぐらいになりますと、二〇%ぐらいの削減になる。それで、あるメジャーズは二八%ぐらいの削減だ、あるものは三〇%ぐらいのカットです、そういう通告も実は当時来ておったわけであります。日本の油の六〇%はそういう外国の大石油会社から供給を受けているものでございますから、現にそういう供給責任者たちからそういう通報を受けてくると、われわれとしても真剣に考えざるを得ない情勢であったのであります。しかし、諸般情勢をよくにらみ、数字を検討してみまして、大体一六%ぐらいのカットを一応想定せざるを得ぬということで施策の根拠にしたわけでございます。  ところが、十二月の二十日ごろになりまして、その後の入着ベースを各船ごとに調べてみますと、油はかなり入ってきつつある。したがって、われわれとしては一月一日から電力、石油規制を二〇%カットにせざるを得ぬだろう、そういうことで法律も通していただき、諸般の体制を整えてそういう準備をやって進めようとしておりましたけれども、十二月の二十日ごろからの入着がかなり予想と違っているということを発見いたしましたので、これはしばらく待て、正月にかけての入荷ももう少し調べなければならぬ、そういう考えに立ちまして、一月一日から二〇%カットするのを延期いたしました。その当時はずいぶん非難されまして、私はNHKの解説なんかも当時聞いておりましたが、緒方解説委員長が、驚いたことには、通産省はゆるめようとしておる、そういうことで非常に非難されました。いまから考えてみると、その非難が当たっていたかどうかわかると思うのです。そういうような情勢で、一月十六日に延期して、しかも一五%カットということにゆるめたわけでございます。それは十二月二十日過ぎの原油到着状況を見まして、これは緩和したほうがいい、そういう判断に立ったわけであります。  理由としては、やはり一つサウジアラビアアメリカ輸出禁止を食らいまして、その油が余ってきておる。それが日本に意外に多く来た。それからインドネシア産が大体二〇%近く増産して、それを日本が引き取りに非常に懸命に努力をした、そういうようなことがあり、またスポット買い日本側民族系業者商社等が非常に努力をいたしまして、それがかなりふえた。そういう、インドネシアサウジアラビアとそれからスポット買いというものが入ってきて予想以上にふえてきたのだろう、そういうように思っております。
  7. 板川正吾

    板川委員 私は、そういったのは新聞にも資料も出ておるし、大体わかるのです。しかし、私が通産省責任を問いたいという気持ちは、十二月に入着をする石油というのは、中東から出るのは二十二、三日前にもうすでに出発をしておるのですよ。だから十二月三十一日までに着くものは大体十二月十日には中東の港をオイルを満載して出発をするのです。二十二、三日かかるのですからね。出発をすれば、満タン出発をしたという情報が直ちに石油会社にも入るわけなんです。だからいま、十二月二十日ごろになって意外と入ってきたなんというのは、情報収集というのがまことにずさんだということになるのです。中東から二十一万キロですか、片道二十二、三日かかるのです。そういう足らないというときには危機危機だとあおっておって、予想より非常に多く二千百七十万トンが二千五百万トンも入った。おそくても二十日ごろには当然わかるのですから、予想より多く入ってくるからそう心配はないと言ってこの危機を静めるような発言をすべきではなかったか。そういう情報国民に知らせるべきではなかったか。それを多くなるというときには黙っていて、そして従来どおり危機危機だということを肯定している。そこにこの石油業者先取り値上げなりが行なわれ、あらゆる産業先取り値上げを行なってきたのじゃないかと思うのです。特にこれは新聞情報ですが、二十一日に国会石油二法が通るから、その前に非常に多く入ってきたことはわかったけれどもそれは伏せておこうということで、その情報国民に知らせなかったという記事があるわけでありますが、そういう事実があるのですか。それが事実なんですか。
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういう事実はございません。大体確実によけい入ってきたというふうに私の手元に来たのは二十四、五日ごろであったろうと思います。
  9. 板川正吾

    板川委員 インドネシアからは十二、三日から十四、五日で入ってくる。中東からは二十二、三日で入る。出発をすれば、満タン出発したという電報が各社に入るという実態があるわけですから、私は、こういう予想よりも多く入ったときになぜ国民にその実態を知らせなかったかということが問題だろうと思います。  それはそれとして次に移りますが、石油危機のいわば主謀者の一入といわれているメジャーというものに対して、あまりにも今回の措置は――私はメジャー行動がかって過ぎる感じがいたします。その一例をあげてみますと、全世界危機をあおった。通産大臣も先ほど言いましたように、メジャーならば日本にどのくらい十二月に入るということは見当がつくが、そうした情報を流さないで石油不足のデマを流して、値段をつり上げたらどんどん売りぬく、こういうような感じがいたします。  昨年の全世界石油生産量というのは前年比に大して八%もふえておる。一昨年の前年比は五・七%ですが、昨年は八%もふえておる。だから実際は石油危機はない。にもかかわらず、メジャーが中心となっていわば石油危機世界喧伝をした、こういうメジャー態度に対して、今回の石油消費国会議でも共同コミュニケの中でこう決議しておるのですね。「会議国際石油会社役割りを詳細に検討することで合意した。」とあって、このメジャー行動世界的にもこの石油消費国会議で問題となって検討されるということになっておるわけであります。  また、メジャーの悪どい商法は母国のアメリカ議会でも問題となっております。また、最近の新聞報道によると、最大メジャーといわれるエクソンは、七三年の決算で前年比五九%も利益をあげた、あまりもうけ過ぎたじゃないかという批判に対して、それは極東、主として日本などから利益をあげたと言っておる。ところが、日本輸入業者に対しては、従来入荷されてから決済が済むまでユーザンスの期間が四カ月ぐらいあったわけでありますが、これを一、二カ月繰り上げるという要求をしている。日本石油会社はそれをストレートに販売特約店に負担させておる、スタンドに負担させておる、こういう決済上の期間を短縮して日本早期支払いを迫っておるのですね。このメジャーというのは、いわば原油もうける、そうして国内では精製販売でまたもうける、二重のもうけをしておるのです。  これはこまかいですから事務当局でもいいのですが、私の調査によりましても、メジャー原油から利益を受ける率というのが最近非常に高くなっておるわけであります。これは七〇年八月三十一日アラビアン・ライトの中で、これは私の計算でありますが、メジャー純粋取り分マージンというのがバーレル当たり約十四セント、七一年が二十一セント、七二年の一月が二十四セント、七三年六月が三十八セント、昨年の十月で五十セント、ことしの一月一日から一ドル二十セントです。世界じゅうの六五%も扱っておるメジャーが一バーレルについて年々こういう膨大なマージンというのを高めてきておるのですね。これはもう巨大な利益になるわけであります。一ドル二十セントということは、リヤド協定によってメジャーの直接取り分が七五%、あとバイバック分ということになって割り高のものを買うのかもしれませんが、しかしいずれにしても、バーレル当たりメジャー取り分というのが年々膨大にふえてきておる。こういう実態を見て、一体通産省メジャーに対していかなる考え方を持つのかということを伺っておきたい。
  10. 山形栄治

    山形政府委員 メジャーが特に原油段階で従来もうけておるということは事実でございます。いま先生のおっしゃいましたとおり、昨年十月のOPECの価格引き上げまでの段階におきましては、われわれのほうの入手しております資料によりますと、一ドル五セントぐらいメジャー取り分があったわけでございますが、十月十六日にOAPEC値上げをいたしました段階では一これは長くなりますので省略いたしますが、結局公示価格実勢価格とを産油国が主体的にきめたものでございますので、取り分が下がりまして五十二セントぐらいに相なったかと思うわけでございます。それが最近の一月以降、たとえばアラビアン・ライトで申し上げますと、八ドル三十二というのを通告してきておるわけでございますが、この計算でございますと、産油国取り分が七ドルでございますので差額が一ドル三十二になるわけでございます。しかしながら、これはいま先生の御指摘のとおりバイバックの割り戻し分がございますので、私のほうの計算によりますと、やはりメジャー純粋取り分というのはどうも五十二セントぐらいで、十月段階とそのまま横ばいにしておるのではないかということをわれわれは――これは事務的でございますけれども、計算をいたしております。その限りにおきましては、ハドル  三十二である限りにおきましては、メジャーが特別今回また非常に取り分を一月以降ふやしたということは言えないのではないかという計算もいたして、おります。ただし、全般的にメジャーは非常に大きな勢力を持ち、非常に大きな数量の取り扱いをいたしておりますので、いま先生の御指摘のとおり、世界全体として、メジャー役割りまた使命といいますか、その辺を今後世界全体としてこれを調整する必要が私はあるんではないかと考える次第でございます。
  11. 板川正吾

    板川委員 あなたの計算は違っているんですよ。公示価格から一二・五%の利権料を払う、そうしてその残りのそれに十セントないし十二セントの生産費を加える。あなたの計算生産費が入ってない。それを足した残りに対して五五%さらに税金として納める。その残りメジャー取り分ということになるわけであって、七ドルを引いたからあとメジャーということじゃない。しかし、このメジャー取り分については、これは私のまあいわば試算であるから、通産省で過去の実績をしさいに専門家で検討してもらいたい。そして資料として出してもらいたい。ぜひそれは頼みます。  それから、メジャー石油値上げ通産省に要請をしてきた。もし石油値上げをしなければ供給のほうにおいても考慮せざるを得ないというような脅迫がましい態度で、これはまあ通産省値上げを要請した、こういうような説がありますが、そういった事実はございませんか。きょうの読売新聞にも似たような記事が出ております。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一月一日からOAPEC石油値段が上がりまして、大体十二月に対して二・二八倍上がったわけであります。しかし、われわれは十一月-十二月にかけて石油会社便乗値上げ等もうけたところもあるとにらんで、凍結してそのもうけを吐き出させなければならぬ、そういう考えに立ちまして、また物価引き下げに協力するという意味もございまして凍結しているわけです。ところが、イギリスとかドイツとかフランスあたり値上げを実施しておるといってきておる。いま私は在外公館を動員いたしまして、どの国がどの程度、いつ製品及びできたら元売り仕切り価格を上げたか厳重に調査しておりますが、ともかくそういう情勢の中に日本が凍結しておるというと、メジャーズの中に、毎日これこれ赤字が出ておる、あるいはこのまま据え置かれるというと二月には二十八億円も赤字が出るとか、そういう陳情のような書類を持ってきた会社も二、三ありまして、そうしてこれは外国との関係において日本だけでそういう措置をとられるというと、会社の経理やあるいは新しい油を買う代金がメジャー自体としても不足になってくる、そういう点で非常に困ってきておる現状である、これは何とかしてもらいたい、そうして凍結がいつまで続くか、これが続けられるということは耐えがたいことであります、そういうようなことを言ってきておるのが実情であります。だからといってほかへ回すというようなところまでは言っておりませんけれども、いままでの国際石油資本動向等から見ると、どういう措置をとるか、これはわかりません。しかし、いまのような情勢をやはり一つの要件として頭に置かなければならぬ事態ではあるのであります。  しかし、私らとしましては、メジャーもずいぶんもうけているだろう、先般大平外務大臣ワシントン会議に行くに際しまして、このメジャー問題をひとつ議題にのせてくれ、そうして特にエクソンの会長は、アメリカ国会の証言の中で、去年はだいぶもうけたと何%かの数字をあげて、そのアメリカもうけは一六%だが、東半球で八四%でしたか、もうけたんだ、そういうことを言ったのを私非常に憤りまして、これを究明してもらいたいということを今度のワシントン会議でも議題にのせるように大平外務大臣以下に頼んだところでございます。  そういうふうにして、やはり長期安定、長い商売をお互いがやって、共存共栄していくというのがわれわれの趣旨でございますから、こういうときに乗じてぼろもうけをするというようなことは、メジャーであろうが国内石油会社であろうが私たちは弄してはならぬ、そういうふうに思っておるわけであります。
  13. 板川正吾

    板川委員 そこで、通産大臣衆議院予算委員会で、価格指導を強化して値段をある程度押えていく、こういう趣旨のことを言われたので、石油会社が三月まで値上げをしなければ一社当たり百億円も収入減を来たし、損をして、来期の石油業界は壊滅的な打撃を受けるのだ、こういうようなことで反発をしたりして石油値上げを盛んに画策しておるようであります。  そこで、今度話をちょっと他に置いて、この問題を伺いますが、予算委員会でわが党の多賀谷委員からも質問がありましたが、通産省原油輸入価格上昇に伴う各産業の価格上昇率試算というのを出したわけであります。そして田中総理も、こういった指数を念頭に置いて、業界に、ひとつ先取り値上げ、便乗値上げをしておるところには値下げを要請いたしたい、こう答弁をしておるわけでありますが、通産省がつくった四十五年の産業連関表をもとにして原油が上がった場合に各産業の製品にどのような影響を与えるかというこの試算表ですね。これをその後物価引き下げのためにどういうような利用をされておるのか、その点をまず伺いたいと思います。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 産業連関表に基づくいろいろな試算をしておりまして、その産業連関表の欠点もよく認識した上で政策をきめる上の一つの参考資料としておるわけであります。  産業連関表の欠点と申しますのは、昭和四十五年の基準であるということ、昭和四十五年から四十八年、九年というものは非常に装置産業における装置性が増大しておる、そういう点が入っていない。そして第二には、操業度という問題が入っておらない。装置産業の場合には操業度というものが非常に大きくコストに響いてきております。第三番目は、賃上げ、労務費という要素があまり入ってない。そういうような欠点がございます。  しかし、一つの試算として、一つの標準として考え資料としては、やはり有力な資料であると考えて、石油値上げに伴う電気あるいはそのほかの諸物価の値上げが一応この試算を基礎にした場合にはどの程度にいくか、それを基準にして操業度であるとか、その後の賃上げであるとか、あるいは四十五年と、その後のいろいろ産業動態の変化というものを考えながら修正して考えるべきものである、そういうように考えております。
  15. 板川正吾

    板川委員 この資料にも、操業度やその後の技術構造、生産構造、そういった変化は一応同じものとみなす――四十八年なり四十九年なりの連関表がそう簡単にできませんから、そういう意味で一つの目安として使っておる、これはわかります。こういった指数が完全でないということはわかりますが、一つの指標、目標として使えると思います。  そこで私は、石油業者がこの指数を使ってどういうふうに値上げをしたかというのをちょっと私なりに計算してみました。それは昨年の八月現在、公取がとりました元売り会社資料の平均ですが、これをもとにして得率を掛け、キロ当たりの製品価格を出して計算しましたところが、昨年八月の石油製品の平均価格が約一万円です。一万七十六円という計算がありますが、一万円です。この通産省が出した上昇率試算によりますと、八月から十二月まで原油の価格が三ドル二十五セントから五ドル十三セントに上昇したとしても、石油製品は三割値上げすればよろしいという計算になります。もちろん三割一分か二割九分かは、これは問いません。三割でよろしい。ところが、石油元売り会社はカルテルを結んで、十二月には御承知のように値上げをいたしました。その値上げもまた元売りの品目別に価格を出し、得率を掛け、そして計算をいたしますと、これが一万四千六百円、四五%の値上がりということになります。通産省の試算をもとにして計算すると三割値上げをしてよろしいというのに、十二月の石油製品の価格は平均して四割五分上がっておる。一割五分いわば先取り値上げをしたという計算にもなる。この一割五分、一五%の金はどういう計算かといいますと、十二月に石油会社が販売いたしました二千二百五十八万キロリットルというのに、一キロリットル千五百円過剰に先取り値上げをしておった金額を掛けてみますと三百三十八億七千万円。とにかく三百四十億円近く十二月分だけで先取り値上げをしたという計算になります。  それで、実は通産大臣は、近い将来に諸外国でも原油の大幅値上げによって石油製品も値上がりせざるを得ない、できるだけ押えたけれども値上がりせざるを得ない、新しい石油価格もいま試算中だ、こういうように考えられておるようでありますが、一体いつから石油製品の価格を変えようとされるのか、これが一つです。  ちなみに私の計算でやってみました。この十二月一日に一五%、千五百円もキロリットル当たり先取り値上げをした。それで十二月までの原油の価格、それから原油の価格が一月一日から公示価格は十一ドル六十五セントになって大幅な倍ぐらいの値上がりになったわけでありますが、しかし、値上がった中東からの八〇%の原油が入ってくるのに二十二日間かかるというと、一月の二十日前には、少なくとも中東の油は昨年の十二月の実勢価格ですから安いやつが入るわけです。一月に入った石油の平均価格は幾らかということがきのう発表されましたが、平均六ドルであります。三分の二は五ドル圏内、三分の一は八ドル見当でありましょう。平均して六ドルということになっておりますから、この計算で見当はつきます。  そこで、十二月に三百四十億円近く先取り値上げ利益を得た。そして一月二十日まではやはり同じ率で利益をあげておる。一月二十日の在庫量が、十二月末の在庫量と同じ計算をいたしますと五十四日分、四千三百八十一万キロリットルあるわけであります。これは安い原油であります。この一月二十日までに入ってきた安い原油が五十四日分次に繰り越されていくとしますと、安い原油のために値上げによってなおもうけておる金額は、在庫量の四千三百万キロリットル掛ける千五百円で六百四十五億円、そして一月二十日までに入ったものは安いんですから、この販売の利益がいま言った計算で二百二十億円、つまり昨年の十二月にもうけた三百三十八億円、安い在庫で高く売れるので六百四十五億円、一月二十日までに安いものが入ってきているわけですから、これを計算して合わせて大体一千二百億円ぐらいいわば利益をあげている計算になります。  しかし、十ドル原油が入ってきますと、この十ドル原油をいまの値段で売ったら一体どのくらい損になるかということを計算してみましたらば、一日平均四十五億円欠損になります。この一日平均四十五億円で千二百億円よけいに取った分を割ってみますと、四月十一日までは――安い原油の在庫が終わるのが三月十六日であります。そしていままで値上げによってもうけ過ぎた分でその後吐き出していくとしますと、四月十一日まではとにかくいまの値段でも精製会社は損をしない。これは私の試算であります。一つのポイントであります私の試算でありますが、こういうふうに考えるんですね。  そういうことを考えてみますと、新しい石油価格体系を、近々通産省は何かメジャーの圧力で値上げを許可するというような空気があるようでありますが、一体その値上げの時期はいつごろを考えておられるのですか、伺いたい。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 値上げをするかしないかということは国民経済にも非常に大きな影響を及ぼすことであります。それで、これは国民経済に新しい均衡水準を設定する基礎になるということにもなります。したがって、物価体系全般及び産業構造にも響いてくる大きな問題でありますので、これは一通産省の仕事どころではない。内閣全体としても取り組み、自民党全体としても取り組むべき問題であるという認識に立って、いま通産省内部においてはいろいろ検討さしておるところであります。  私としては凍結の期間をできるだけ長引かして、そうして物価引き下げのモメントを早く出して物価引き下げ政策を成功させたい、そういう気持ちでおります。と同時に、やはり国民感情としても、十一月、十二月にかけて日本石油会社が便乗値上げで一部もうけたということは許しがたいことでもあります。そういう面から見ましてもこのもうけを全部吐き出させなきゃならぬ。そういう考えもまた一面にありまして、そういう二つの考えに立って、この凍結の時期をできるだけ長引かせるという考えを持っておるわけであります。しかし、いまお話がありますように、メジャーズから六〇%も供給を受けて、外国日本との対比という問題も一つの問題点としては浮上しつつあるわけでありまして、石油供給量がもし万一減ってくるということになると、またこれは心理的パニックを起こすという危険性もございます。そういう両方の面を勘案しつつ適正な処置をとろう、そういうことでいま鋭意検討を進めておるというのが現状でございます。
  17. 板川正吾

    板川委員 私の計算でも、いまの値段でずっといきますと、安い貯蔵された原油が底をつく、そしていままでのもうけ分を吐き出させるとすると三月一ぱいは上げなくてもいいだろう、こういう計算になるわけであります。  そこで、いずれこの製品の価格の改定が行なわれるという感じがいたしますが、その場合、石油価格は、御承知のように、これを認可しろという法的根拠はございません。しかし、石油から七五%の供給を受けておる電力あるいはさらにガス、こういった国民生活あるいは産業上重要なエネルギーは、いわば認可事項になっておる。石油の価格だけが何らの拘束を受けない、ここに私は問題があるんじゃないかと思います。しかし、これは将来の法の整備をまたなくちゃなりませんが、少なくともこの製品価格を改定しようというときには経理を公開して、国民の納得の上で価格の改定を行なうべきである。経理を公開しないで、メジャーから言われたから、各国とのバランスだとか、あるいは国民に、そういういままでのぼろいもうけはほんとうに吐き出したんだという形が示されないで値上げをすると、通産省国民の大きな批判を食いますから、ぜひその点は心してもらいたい、こう私は思います。  次に、石油業法があります。石油需給適正化法には、一年以内に見直すという規定が御承知のように入っております。私は、そういったことから関連して考えますと、石油業法と石油需給適正化法とを一つにして石油事業法というものにかえ、そうして精製、販売、価格、保安、こういったものを包括して、一つの事業法としてまとめることのほうがいいんじゃないだろうか、石油業法を別個に置き、石油需給適正化法というものを再検討する時期にそうしたことも検討をされたい、こう思いますが、どうお考えでありますか。
  18. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石油需給適正化法は、大幅削減があった緊急事態における緊急措置として内閣の告示等の手続を経た上で発動するという形になっております。片方の石油業法のほうは施設そのほかの規制という形になっておって、ちょっと性格が違うように思います。片方はある意味においては静態的であり、片方は動態的な性格を持っておるので、ちょっとなじみにくい要素があると思います。しかし、これはいずれエネルギー調査会にいろいろ諮問しておりまして、石油の位置づけというような問題もいま検討していただいておるところでございますから、将来の課題としてわれわれは受けとめていきたいと思っております。
  19. 板川正吾

    板川委員 次に、ゼネラル石油会社の販売部長の通達というものを予算委員会で取り上げられましたが、調査の結果は予算委員会には報告することになっておるようでありますが、当委員会にもぜひ調査の結果を報告をしてもらいたいということを委員長を通じて要望いたします。  それから、あの通達の中にありました、千載一遇のチャンスだ、通産省が来たらこう答えよ、マスコミや通産省情報を流す者には配給を停止せよ、こういう内容が書かれておるようであります。これは全く企業の社会的責任をわきまえない、あきれ切った内容だと思うのでありますが、しかしこれと同様の業者、同業者に聞きますと、文書こそ出さないけども大体同じことをやった、同じ気持ちでやった、こう言っておるのであります。通産省が来たらこうせいというふうなことは、いわば通産省としては非常に業界からなめられていることになるんじゃないかなと私は思います。同時に、この通達の内容は、ある意味では企業の本質といいますが、資本主義の本性というものを正直に表明した文書だろう、こういうふうに感じます。私は、これがいわば企業の本質であるということであれば、何らかの措置を講じて社会的なワクをはめなければならないという感じがするわけでありますが、これに対して大臣の所見を伺いたい。
  20. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 あのような文書が出ましたことは、通産省としては監督不行き届きでありまして、まことに申しわけない事態であると思います。お示しのように通産省やマスコミの裏をかいてやろうというようなことで、通産省もなめられたものだと思って、まことに憤慨にたえないところであります。ああいうような文書を出すこと自体が社会的責任をわきまえない言語道断のことで、ああいうことをやった会社責任者は糾弾さるべきである、そう考えまして社長を呼びまして、会社責任をとるように、そうしてこの事態を改善するようにということを指示をいたしました。その結果、社長は辞職をし、また責任のあった常務は平取に降格され、またあの指令を発した営業部長は社長付になる、そういうようにラインからはずされるという処置を会社は一応したようであり、また下部に対してもいろいろ指示をしたようであります。ほかの会社がやっているかやってないか、これも調べております。ゼネラル石油につきましては元売り仕切り価格の一千円という問題がありまして、それをはたしてやっておるかどうか、それについても特別監査をやって、本社それから支店それから特約店に至るまで、いま監査を進めておる状況でございます。ほかの会社がやっておるかどうかにつきましては、ほかの会社についてもいろいろ資料をとり、調べております。  いずれにせよ、こういうような事件が起きましたことはわれわれの監督不行き届きでございまして、まことに申しわけない次第であると思います。
  21. 板川正吾

    板川委員 時間がありませんから先に進みますけれども、いずにしても、まあ限界にきたワンマン社長が責任をとったということ、特に従来あの会社は労使間の対立が非常に激しい、こういうことで、限界に来た社長が責任をとったというくらいの責任じゃ私はほんとうの反省にはならないと思います。この際きびしい責任をとって業界全体の姿勢をただしてもらいたいと思います。  時間の関係で先に進みますが、通産大臣所信表明の中で、どうもごまかしているのじゃないかなと思う点が一つあるので、これをただしたいと思うのです。  八ページに無公害社会の前進という中で、「水銀公害については、緊急の問題として政府といたしましてもその解決に全力をつくしてまいりましたが」というくだりの下に、現在さらに五十二年度末を目標に、水銀を使用しない製法に、いわば隔膜法に転換をする、こういうことを書いてあります。これはもう前からも大臣がしばしば言明しておったように、五十一年の九月で、三分の二を隔膜法に変えていくのだ、あとのこういう企業の分は若干おくれます、こういうことであったのですが、この文面から言うと、全部が五十二年末にずれていくような感じがするわけですが、これは大臣どうなんですか。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 前に申し上げました方針は変わっておりません。その点は表現が不十分であったと思います。
  23. 板川正吾

    板川委員 これはそういう意味で、実質的には補足をする、こういうことに理解いたします。  それから、粉石けんとか紙類とか、ああいう生活用物資、家庭用品というのが、御承知のように非常に品不足をした。通産省経済企画庁や農林省で価格調査官を増員して目を光らせる。確かにそれも一つの手でありますが、私はこういう方法を通産省なりが指導したならば、少なくとも売り惜しみあるいは買い占めというのですか、売り惜しみのほうが大きいのですが、そういうことが未然に防止できると思うわけです。それはメーカーが生産年月日を粉石けんなら粉石けんの箱に記入する。そうしますと、メーカーが倉出しをして何カ月、あるいは何十日、何日で末端の消費者の手に入ったかということがわかります。品不足のときに、半年前のもの、あるいは一年前の生産年月日の書いてあるものが出回ったとすれば、その経路をたどれば、どこで売り惜しみをしておったかということがわかるわけであります。価格調査官の増員もけっこうですが、そうした知恵を働かせることが、私は流通秩序を回復する一つの手段であろうと思います。それには、御承知のように、家庭用品品質表示法という法律がございます。家庭用品の品質を表示しろということですから、その法律をそのままずばり適用できるかどうかは別といたしまして、たとえば品質等を表示するということばを入れるだけでも、製造年月日を入れさせる、あるいは日まで問題ならば、上旬、下旬でもよろしい。そういうようなことによって、流通秩序、売り惜しみというのを防止する手段をやったらいかがでしょう。家庭用品の流通秩序を確立するための知恵を働かせたらいかがか、こう思います。これはどちらの大臣でもけっこうです。
  24. 内田常雄

    ○内田国務大臣 いまおっしゃった品質に関する法律は、私どもはその成分というようなものを中心として表示をする義務を課した法律であると考えております。洗剤等の退蔵防止にこの法律を直ちに適用することがなじむかどうかということについては、必ずしも私は板川さんと同じ考えを持ちませんが、しかしせっかく増産命令まで出しておりますような、そういう日常生活関連物質が長い間隠退蔵されているということは、これは非常に大きな問題でございますので、たとえば洗剤につきましては、御承知のように、先般これを売り惜しみ買い占め防止法の特定物資に指定をいたしまして、増員された価格調査官というようなものに、随時に、あるいは計画的にその流通の状況を監視させる、ことに、たとえば洗剤につきましては、今日私どもばかりでなしに、国民全体に関心のある物資でございますので、それの生産、出荷、在庫につきまして日報ないし週報を通産当局がとるように、価格調査会議等でも打ち合わせておりますので、ただいまの品質表示法の適用をやらなくても、今後におきましては、私は十分退蔵等防止の目的は達し得るのではないかと現在は考えております。
  25. 板川正吾

    板川委員 いまごろ実は非常に古い包装の洗剤が出てきたりしておるのですよ。そういうので、明らかに売り惜しみをしておった品物が姿をあらわしておるでしょう。だから、生活安定物資として指定をされたならばそういう日にちを入れるということでも、場合によってはよろしい。とにかくそれならば調査官をふやすよりもどんぴしゃりですよ。ぜひひとつそう検討してもらいたいと思います。  それから、消費国会議石油需給の見通し等についての質問もありますが、時間の都合でちょっとあとに回します。  公取委員長伺います。釈迦に説法ですが、独禁法の目的は、公正かつ自由な競争を促進し、「以て、一般消費者の利益確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」この自由競争の競争秩序を維持することによって消費者の利益経済の民主的な発展を期するというのが独禁法の根本的な理念であろうと思います。  そこで伺いたいことは、日本の昨年十二月における物価指数、この上昇率というのは世界第一だといわれております。特に卸売り物価の値上がりというのが非常に激しい。そうして十二月一カ月の値上がりを見ましても、日本は七・一%値上がりしておって、アメリカの三倍弱、フランスの四倍、イギリスの六倍、西ドイツの七倍も値上がりをしておる。その原因は、各国とも原油の値上がりによる、こういうようにいわれておる。石油が御承知のように削減をされ、危機を迎えたのは日本ばかりではありません。ヨーロッパ各国同じように石油削減の影響を受けたわけであります。日本だけがなぜこのように卸売り物価が各国に比較して数倍の値上がりをするのですか。これは私は、この石油危機を背景に、あらゆる産業がカルテルによって先取り値上げをした、こういうふうに感じますが、公取委員長の見解はいかがですか。
  26. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 お尋ねの問題はたいへん大きな問題でございまして、私だけがどうこうするという問題ではございませんが、せっかくお尋ねでございましたので、私なりの考えを申しますと、まさに御指摘のとおり、中東石油問題に端を発しまして、石油というものが非常に日本経済の中で占めている割合が高い、それもほとんど全部が輸入であるということ、OAPECのみならずOPEC全体にも波及するわけでして、それが二五%も削減されるというのはたいへんな脅威でございます。その上に、さらに月ごとに五%ずつ減らしていくぞ、こうなりますと、そういう経済は、日本の終戦以来でも、極端な終戦直後の混乱状態を除けばかつて予想もできないことであった。それに対して国民があまりにも大きなショックを受けたのです。もちろん消費者もショックでございましたけれども、商売をしておる人、企業家、これは大企業から中小企業までといっていいと私は思うのですが、こういう機会にどうするかというあり方ですね。露骨にはっきり申せば、値上げで自分の収益を減らさない、収益を確保するためには、大幅な値上げによって自分たち利益確保しようという考え方が上から下まで非常にすばやく波及してしまった。しかし、そうなるについてはもともとは外から来たものがたいへんなショックだったということですけれども、やはり大企業等がカルテルなどによりまして――私は全部がカルテルだとは申しませんが、その中にはかなりカルテルが含まれておる。私どもが摘発したものだけではないかもしれません。  そういうときに、先ほど議論がございました原油がまるで到着しない前からその計算値上げ計画する、あるいは値上げ計画しておったのを一カ月繰り上げてやっておる、カルテルの場合にそういう傾向が見られます。そういうことで、絶対にこれなら損をしないだろうというふうな大幅な値上げをしたということが、他にもみんな安直な値上げムードをつくり上げた。つまり危機感がそのまま値上げ理由になり、何となく値上げをしないやつはばかだというくらいになってしまったというふうに、端的に申しますと私はそうであろうと思います。そこに企業家の考え方、これはもう自己防衛だといいますけれども、社会的な考慮というものが全くなかったような感じがして、それが中小に至るまでみんな便乗値上げを誘った、こういうふうに感じる次第でございます。
  27. 板川正吾

    板川委員 私は、いま公取委員長もちょっと触れましたように、日本産業界の体質があると思うのですが、寡占体制が進んで、いわば値上げしやすい構造になっておる、これが一つだと思うのです。それは戦後一貫して国際競争力強化ということで寡占体制を築いてきた結果だろうと思います。  それともう一つは、カルテルは悪だという概念が国民の中にない。独禁法は、御承知のように、第三条でカルテルを悪として、刑事罰もそれに科しておるわけであります。しかし、カルテルが悪だということが独禁法の運用上は実はあまり証明されてない、こういうところに私は問題があるんじゃないかと思うのです。それは御承知のように勧告をする、勧告を受諾すればそれでおしまい、そして刑事的責任は独禁法上はあるにしても、それは使われたことがない、こういうようなことで、カルテルを悪だということに対する、独禁法の運用上そういうものがきわめて薄いというところに問題があります。  この告発問題は別といたしまして、ここで伺いますが、違法なカルテルで値上げをした場合に、その値上げによって被害を受けた一般の消費者、国民、これに対して独禁法はどのような救済方法を持っておるのですか。違法なカルテルによって値上げをされて、高いガソリン、灯油を買わされた人は、一体独禁法上どういう救済の措置があるのでありましょうか、それを伺っておきたい。
  28. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 独禁法上は確かに無過失損害賠償責任、ですから、過失があったなかったということは関係なしに、民事訴訟によって高いものを買わされた分を請求できる、賠償責任でできるという規定があるのです。ところが、これは従来、協定を破棄しましてもその価格が協定前の価格に戻るというケースはほとんどない、したがって、皆さんから御指摘を受けるように経済効果もないというのが実態であろうと思います。  そこで、いままでのケースではたった二件訴訟を提起したという例があるだけなんです。それ以外は実際には出でこない。なぜ出てこないかという点について私なりに考えますと、一件はカラーテレビの場合で、消費者三名がほんのわずかな金額でございますけれども訴訟を起こしたわけです。これはこれでいいのですが、他の場合、たとえば石油化学製品というようなものについては、被害者がだれか、被害を受けた者でないと、損害を受けたということでないと訴えを起こせませんが、それが直接取引先、従来の取引先なんですね。これはつまり中間製品の場合なんかですと、ほとんどがメーカーに対して売っておりますから、だんだん下の段階のほうに行くわけですが、その加工品メーカーといいますか、そういうものがいままでの取引先に対して損害賠償を請求する立場にあるかといいますと、とかく下の段階になれば立場は弱いもので、そういうことで実際の被害者であるものが訴えを起こさない。私は、論理的には、これは価格がもとへ戻らなくても、損害賠償は、違法な行為によって不当な利益を得たということさえ証明すればいいわけですから、それは可能だと思うのです。ところが現実には、いわばたとえてみれば親会社に対して子会社が訴訟を提起しないというのと同じような状態でありますので、たいへんむずかしい。一般消費者に直結しているメーカー品でございますと、この場合には、もしかりに将来私どもが価格協定破棄だけでなくて、引き下げもするということになりますと、この点は幾ら不当利得を得たということが明白になりますので、訴訟を提起するのが非常に簡単である。そのかわり、場合によると、非常なマンモス訴訟にもなりかねないという問題もございますので、 たいへんむずかしい問題になりますが、いままでの経緯から申しますと、制度はあるが実際上はほとんど使われないというのが実情でございます。
  29. 板川正吾

    板川委員 公取委員長、いまのお話は、独禁法二十五条、二十六条によって、企業者がたとえばカルテルによって値上げをした、それで損害を受けたという場合には、この二十五条によって損害賠償を個人として請求できる、これが二十五条です。そして二十六条で、請求権の確定は、この審決が確定した後に請求権が確定する、こういう手続になっております。だから二十五条で不当な損害を受けた者は損害賠償の請求ができますが、しかし損害賠償をするのには公取が審査、審決をして、その期間は二年か、あるいは高裁に行けば三年間もかかるでしょう。そういうことになってしまわないと請求ができないんですね。これは損害賠償の請求ができない。そうしてしかも二十六条の二項で短期消滅事項だ。だから、たとえばある集団で訴訟を起こして勝ったとしても、似たような他の被害者というのは三年もたってしまえば請求権が失われてしまう、こういうことになってしまうわけであります。ですから、なるほど独禁法の違法な行為――違法なカルテルにいたしましょう。そういう行為によって損害を受けた人は、この損害賠償の請求はできる。しかし、実質上ではこれで救済されることは不可能だ。たとえばカルテルの場合ですよ。先ほど私がちょっと申し上げましたように、これはもう公取の破棄勧告の資料から調べたんですけれども、とにかく石油業者は、その値段について原油が上がった分を加味するならば三〇%値上げしたらよろしい。まあそのまま掛けたとしましても、それを四五%先取り値上げをして、消費者は実は一キロリットルについて千五百円先取り値上げで損しているんですよ。こういうような場合に、一体二十五条、二十六条で救済しろといっても実際上不可能じゃないですか。公取というのは御承知のように、実質的な競争制限があったかなかったかが独禁法運用の是非をきめる常に重大なポイントなんですね。カルテル行為によって、あるいは実質的な行為によって競争制限が実質的に行なわれたかという実質論というのを非常に強調しておる法律の中で、二十五条が実質的には動いていない。これで救済されると思うのはおかしい。実態もない。これはあっても空文化した法律じゃないかと思うのです。実質的に救済する方法がないとすれば、私はこの独禁法というのはおかしいのじゃないかと思うのですね。第三条でカルテルは違法な行為だ、そして刑事罪にもひっかかってきているように悪と認めていながら、違法なカルテルによって値上げを受けた消費国民に何らの実質的な救済の措置がない。こういうのは私は独禁法体系上おかしいと思うのです。  そこで、六十七条の裁判所の緊急停止命令等、ここで不当な値上げを受けた国民の損害を救済する方法がないものかな、そういう解釈ができないものかな、私はこう思うわけであります。これはちょっと申し上げますと、独禁法六十七条には「裁判所の停止処分等」と書いてあって「裁判所は、緊急の必要があると認めるときは、公正取引委員会の申立により、第三条」、これはカルテルですよ。カルテルを違法としておりますが、第三条の規定に違反する疑いのある行為をしているものに対して当該行為の一時停止すべきことを命ずることができる、こういうことに読めるわけであります。しかし、今度の石油カルテル破棄の勧告を出した、こういう場合に破棄勧告を出して受諾したところで、そのまま値段は続いていっているのです。十二月一日の水準に値下げしませんよ。だからここで、この緊急な必要があると認めて、そして公正取引委員会は、この条項を通じて裁判所に申し立てをしてカルテル行為の破棄を命ずるとともに、少なくとも値段も、カルテルによって値上げしたのですから、十二月一日の改定をしない十一月末現在の値段で売りなさい、あるいは少  なくともこの期間はそれで売りなさい、もうけ過ぎた点をひとつそこで吐き出させることにもなるかもしれませんが、とにかく――値段を幾らにしろということをきめる権限は独禁法上は公取にもない、それはわかっています。だけれども、値上げする前の料金に戻せということは、不当な行為を停止するという意味で、私はこの六十七条の解釈をそうできないものかなと思います。これは先例はそうはない。公取委員会の従来の解釈も、そういうことはできないという論理になっていることは承知しております。しかし、学者の中では全くないということではない。非常にむずかしいが、ないということではないといっているのです。そういう説もあるわけです。ですから私は、当該行為の一時停止というこの規定を、このようにあらゆる物価が値上がりしておる現状で解釈を変えて幅を持たせて、六十七条で発動できる、こういうふうにお考えになるべきじゃないかと思うのですが、公取委員長どう考えていますか。時間がありませんからひとつ簡単にお願いします。
  30. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 いまの御質問の趣旨はもっともでございますが、緊急停止命令は、私の解釈では、おそらく勧告をして審決をするその期間待つことができないというふうな緊急な必要というふうに解釈されます。ですから、審決を下した後に停止命令を出すのじゃなくて、その途中の段階で発見したときにやるという趣旨だろうと思います。としますと、これはいわば証拠も何も固めないままでやるわけですから、その点があとで非常に問題になるケースが多い。  ただし、一つ申し述べますが、いまのは損害賠償を中、心にして御質問でございましたけれども、私どもはいま価格引き下げ命令を検討しております。その中でも一番むずかしい問題は、引き下げ命令を出すのに審判を経たり、審判を請求したり、裁判に行ったりして三年でも五年でも引き延ばしをはかるものに対してどう対処するかということであります。そういう場合には、私どもの審決が少しおそくなりましても、その後の期間一定の価格まで下げておく義務を課する、そしてそれを即時発効させるにはどうしたらいいか。何年もたってからでは意味がないのです。ですから、即時効力を発するための措置はこの条文でいけるか、あるいは別な条文が必要ではないかと私は思いますが、たいへんむずかしい問題なので、専門家によってその点を検討してまいりたい。とすれば、経済的な効果も出ると同時に、それまでの期間、あるいは五十日ぐらいかもしれませんが、五、六十日の期間について損害賠償の請求の根拠もはっきりする、こういうことになると思います。ですから、この六十七条そのものでいけるかどうか、たいへんむずかしい問題がございますが、そういうことはぜひとも必要であると考えております。
  31. 板川正吾

    板川委員 この趣旨には御賛同のようであります。緊急停止命令は審決の前でも当然出せなくちゃおかしいのであります。  それから、違法なカルテルで値上げをして、それが公取の立ち入り調査を食って、違法だとわかって勧告をされておる。それでも値下げをしないのですよ。だから三百三十八億円も日本国民は昨年の十二月は不当な値上げによってよけいに支払っておるのですよ。だからそういうものを停止させるためには、いまの条文からいえば六十七条しかないのであって、六十七条の一時停止というものの解釈の中に、値下げ権まで――もとの値段まで戻させるという解釈をとるべきじゃないか。大体法律というのは社会の変化に応じて解釈も変わっていいはずでありまして、従来こういう解釈であったから、先例がないからということだけで避けるのは、私はおかしいと思う。  ただし、考えてみますと、きょう私の質問があったから、それはできるかもしれません、こういうことになったら、歴代の公取委員長はいままで何をしていたのかということになるのでしょう。そんなことわかっておるなら初めからやったらいいじゃないかということにもなりましょうから、ひとつこういう声が国会にあったということを公正取引委員会に御報告を願って、もう一ぺん検討をしていただきたいということを要請いたします。  時間がちょうどになりましたから、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  32. 濱野清吾

    濱野委員長 加藤清二君。
  33. 加藤清二

    加藤(清二)委員 お許しを得まして、私は主として物価値上げのおりから、その真犯人は一体だれであるかということを突きとめて、これに対する対策を政府がどのようにとられるかということを承りたい。これが本日の質問の趣旨でございます。  ところで、それに先立ちましてお尋ねしたいことは、さきに通産省に向かって私は警告を発しておきました。すなわち、このような状態でいくと、このままの状態が推移すれば福井人絹はつぶれる。案の定開店休業でございます。それゆえに福井人絹の商品市場関係の方々はたいへんな困りようでございます。これがやがて消費者物価、特にワイシャツとか、ハンカチとか、あるいははだ着とか、そういうことにたいへんな影響を及ぼすからでございます。どうされる予定でございますか。
  34. 森口八郎

    ○森口政府委員 御指摘のとおり、近年人絹糸の市中玉が非常に減少しておりまして、これに伴いまして取引所内部における売買出来高が著しく減少いたしております。こういう状況でございますので、元来取引所は大量の売買を行なうことによって価格形成を行なうということを主たる任務といたしておりますので、福井の取引所がはたして本来の機能を十分に果たしておるかどうかということを再検討しなければならない状況に達しておるというように考えております。  ただ、先主御指摘ように、地元におきまして取引所をどうするかというような声もございますので、近く福井人絹取引所の関係者を私のほうに呼びまして、将来どうするかということをよく相談をしてまいりたいというように考えておりますが、いずれにいたしましても、現地の関係者の意見を十分尊重して、将来の方向を決定いたしたいというように考えております。
  35. 加藤清二

    加藤(清二)委員 何を言っているんです。開店休業になってから幾日たっております。開店休業になってから何日たっておるのです。そのおかげで、材料がないために仕事ができない。機屋は休業が続出しておるじゃございませんか。機屋に糸がないということは、これは家庭に米がないということと同じことなんですよ。自転車操業もできないのです。その結果は一体どうなる。商社系列や産元系列に入れられて、系列下に入らなければ仕事ができないというかっこうになっておる。これは通産省の過去の方針と比べてまるきり逆行なんです。なぜかならば、通産省は自主独立で原料買いの製品売りを育てている。協業化を育てているじゃないか。今度のポスト構改法もやはりその精神でつくられているはずだ。にもかかわらず、それとは逆の方向に行っているじゃないか。一体いつまでほうっておくつもりなのか。現行法によれば、三カ月ほうっておけば当然消滅ということなんですよ。一体開店休業になってから十日も二十日もたって、これから民主的に意見を聞いて――何を言っているんです。きょうから着手するようやりませんか。生死にかかわる。
  36. 森口八郎

    ○森口政府委員 おことばではございますが、取引所は価格形成の場でありまして、先生に申し上げるのは確かに釈迦に説法ではございますが、物を渡す場ではございません。物は価格形成の結果として渡されるわけでございます。したがいまして、取引所を必要とするような地場の状況があるかどうかということが取引所を存在させる前提条件でございまして、その点をさらに地元と話し合ってみたいということを申し上げておるわけでございます。
  37. 加藤清二

    加藤(清二)委員 三品市場のことについてあなたに解説を受けようなどとは思っちゃおりません。私の質問に対して答えてください。そんなことは当然のことなんです。二十七日に納会が行なわれて、そこで現品が倉荷証券で交換されるぐらいのことは百も承知していることなんです。だから聞いておる。知らぬから聞いておるのではありません。どうするのです。きょうからにでも着手して、これの善後策を講じますか、講じませんか。そうしなければ、それこそまた釈迦に説法かもしれませんが、この商品取引所法五十二条並びに百二十一条によって「三月以内にその業務を開始しないとき、又は引き続き三月以上その業務を休止したときは、」これは取り消しになる。あなたはきょうからこの対策を講じて、三カ月以内に始末ができますか。だから、警告を発しておいた。こんなことは正月早々、あるいは去年の石油二法のときに、かくすればかくなるということを警告しておいた。どうします。
  38. 森口八郎

    ○森口政府委員 現在でも細々と売買が行なわれておりますから、三カ月云々の条章は私どもは適用ないというように考えております。  なお、御指摘の点につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、来週早々にも取引所当事者を呼ぶということといたしておりますので、御趣旨の線に沿って取引所当局者とよく話し合って考えてみたいというように考えております。
  39. 加藤清二

    加藤(清二)委員 国内の三品ないしはウール、人絹等々の取引所がかかる状況になっておりまするときに、何をどう間違えたのか、外国に三品市場を開設しようとする動きがある。マレーシアのクアラルンプール、一体どういうものの間違いでそういうことが行なわれるのか。この点も、私はすでに、この間朝日新聞にちらり出ましたけれども、それよりずっと以前に警告を発しておいた。これはたいへんなことになりますよ、法律違反がたくさん行なわれておりますよと。その対策の始末をまず承りたい。
  40. 森口八郎

    ○森口政府委員 御指摘の件につきましては、日本及びマレーシアの関係業者によりまして、クアラルンプールに資本金九千六百万円、このうち日本側の出資金が四九%、マレーシア側の出資金が五一%の株式会社形態の取引所を設立しようとする動きがございます。ただし、会社は現在予備登録をいたしておりますけれども、まだ取引所として正式に動くというような状況には立ち至っておりません。  ただ、ここで扱おうとしております上場商品がアズキ、砂糖等、マレーシアが産地あるいは大消費地となっていないというようなものが多いというような点、それからそういうような商品で日本の商品取引員が乗り込んでいってやりますと、市場管理等の面で十分準備ができておりませんといろいろトラブルが起こるというような点から、私どもとしては、マレーシアのほうに日本の取引員が出かけていって取引所を設立しようというような動きにはきわめて消極的であります。ただ、マレーシア政府側とのいろいろな関係もありまして、不測の事態が起こらないように将来関係各省と十分連絡をとって、関係業者をさらに強く指導してまいりたいというように考えております。
  41. 加藤清二

    加藤(清二)委員 日本人の発起人の名前、 マレーシアにおける外国人、これを受けて立つ側の名前を発表してもらいたい。言わなければこっちが言う。
  42. 森口八郎

    ○森口政府委員 マレーシア側は林振徳氏、ドナルドヨウ氏、タンスリアジス氏というように聞いております。日本側は清水、榊原、松山、金山の四氏というように聞いております。
  43. 加藤清二

    加藤(清二)委員 発起人はそれだけで法律の条文を満足させますか。  もう一つ承る。同時にこの林氏というのはほんとうのマレーシア人でございますか、それとも華僑でございますか。
  44. 森口八郎

    ○森口政府委員 中国系のマレーシア人と聞いております。
  45. 加藤清二

    加藤(清二)委員 しかもそこで扱われるものは一体何であるか。扱われるものは、日本の商品取引所法には条文に書かれていないものなんです。     〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕  それはゴムやすずなんです。まあゴムはあるとしても生ゴムだ。次に、いまあなたがはしなくもおっしゃいました大豆、アズキ、これはあの土地でとれるのですか。マレーシアで大豆、アズキがとれますか。マレーシアの国民はアズキを食べますか。何のためにそれが行なわれるのです。食べもしない。産出もしない。日本だってそうでしょう。アズキが北海道でとれるから北海道が問題になるわけなんだ。アズキはあんにするから、日本国民の嗜好物であるから上場されるわけなんです。マレーシアのどこに何の関係があります。これに対して国家の後進国援助の補助金の対象になるかならないか、これもあわせて承りたい。解説はけっこうですから、私の質問に答えてください。時間がありませんから。
  46. 森口八郎

    ○森口政府委員 後進国援助の対象にはならないと思います。ただ、本件の経緯は、マレーシア側がシンガポールに商品相場の形成を握られておるというところに不満を発しまして、シンガポール側がゴムの取引所をつくり、その他の商品市場をさらにつくりたいという考え方から出たように聞いております。
  47. 加藤清二

    加藤(清二)委員 私の質問に答えてください。まだたくさん抜けているですよ。
  48. 森口八郎

    ○森口政府委員 失礼いたしました。  上場予定商品は、アズキ、砂糖、綿糸、羊毛、生糸、乾繭、ゴム、すず、ヤシ油、木材と聞いております。  なお、御指摘のアズキ等につきましては、当然のことながら現地には産出しておらないというように考えております。
  49. 加藤清二

    加藤(清二)委員 現地で産出しない、現地の人はこれを使用しない、そういうものが商品市場に上場されるという例がどこにありますか。
  50. 森口八郎

    ○森口政府委員 そういう例はないと思います。したがって、不適格であると思います。
  51. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そのとおり。世界じゅうの商品市場にそういうことはあり得ません。あり得ないことがあえて行なわれようとしている。しかも、いま御答弁をいただきました清水さん以下は、これはほとんどオーナーなんです。実質これをやろうとしていらっしゃる人は覆面でうしろにいる。その人は、三年前に大阪で事件があって、資格を喪失した人なんです。それは商品取引所法二十四条に違反する行為となる。どうやって指導するのです。あなたは指導するとおっしゃった。違反を禁止するのか、違反を大目に、やみで目をつぶって認めるという指導をなさるのか。いわんや田中総理はマレーシアやあるいはインドネシアへ行かれてあのような仕打ちを受けていらっしゃるが、一体その原因が何であるかということに思い至れば、それこそまた日本経済侵略だと言われなければならぬ。日本への悪感情を一そう助長させる結果になることを私は非常におそれるのです。したがって、この点については大臣にお答え願いたい。
  52. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 東南アジア発展途上国との日本の友好親善関係をさらに促進して経済協力の実をあげるということは、わが国の重要な国策の一つであります。先般田中総理が現地へ伺いましていろいろ意見を伺ったのもそういう努力一つでありますが、そういうやさきにそれを阻害するおそれのあるようなことが商社等によって行なわれるとすればそれは遺憾な事態でありまして、そういうことを引き起こさないようにわれわれとしては監督しなければならぬと思って措置いたしたいと思います。
  53. 加藤清二

    加藤(清二)委員 引き起こさないように指導監督をする、こう受け取ってよろしいですね。――わかりました。  それでは国鉄の方来ておられますか。
  54. 田中六助

    ○田中(六)委員長代理 市川事業局次長が来ております。
  55. 加藤清二

    加藤(清二)委員 これからが本番でございます。国鉄の汽車の中あるいはプラットホームでものが売られておりますね。この売り値に対して、国鉄といいましょうか運輸省はどのように指導していらっしゃいますか。
  56. 市川静夫

    ○市川説明員 国鉄の旅客駅構内でいわゆる構内営業というものがいろいろなされておりますけれども、それの価格につきましては、大ざっぱにいいまして三つの方法によっております。一つは承認制でございます。一つは届け出制でございます。それからもう一つは特に規制しておりませんで、これは一般市中で販売されている商品と同じものを同じ価格で売るというような場合には特に規制をしておりません。この三段階になっております。
  57. 加藤清二

    加藤(清二)委員 公取の委員長に承りますが、国鉄の汽車の中あるいはプラットホームで売られているものの値段は適正だとお考えでございますか。それとも安いか高いかどちらかですね。その三つのうちいずれだとお考えでございますか。
  58. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私は、実はその点について何も調査をした経験がありません。ここでいいかげんな答弁をするのはまずいと思いますので、その点何ともいまはお答えできない。安いのか高いのか私は個別に比較したことがありませんので、自信のないことを申し上げるのは失礼かと存じます。
  59. 加藤清二

    加藤(清二)委員 では、私はここにメニューを持ってまいりました。ウナギごはんがついこの間六百円になりました。これは前は四百円でした。それからビーフシチューというのが六百十円になりました。これもついこの間まで四百円台でした。あとあれこれございまするが、これはどうも三社が同じ日に同じ値にしておるようです。三社とは一体何かといえば、ここに印刷されている日本食堂、帝国ホテル、ビュフェとうきょうです。同じ値にしておるようです。どうも相談があったように疑われるのですが、これについて私ども国民個人が裁判所へ訴えるわけにはまいりません。それはあなたのほうの公取の権限でございます。私はいまここであなたに訴えます。どうも相談された形跡がある。  私は年末、石油二法のときに石油の売り惜しみ、買いだめがあると申しました。だから立ち入り検査をしていただきたいと訴えました。案の定やっていただけました。効果があがりました。これは感謝しております。それは予算委員会でその結果をあなたが御報告なさったからです。  これをひとつやってもらいたいのです。  そこで、なぜ私がこんなことを申し上げなきゃならぬかと申しますと、私どもはこの年が明けてからアメリカの連邦議会の方々と会いました。クウェートの国会代表の方々と会いました。ともにこれが石油と比較されました。  国鉄のお方に聞きます。このお茶は幾らですか。
  60. 市川静夫

    ○市川説明員 三十円でございます。
  61. 加藤清二

    加藤(清二)委員 三十円ですね。量は何ぼありますか。一合ありませんですね。
  62. 市川静夫

    ○市川説明員 二百㏄でございます。
  63. 加藤清二

    加藤(清二)委員 二百㏄。それならはかりなさい。どこでそんな数字を覚えた。自分ではかったんですか。そういうことを言うだろうと思って私は持ってきたんですよ。これがどうして二百㏄あります。あなた、ここは国会ですぞ。いいかげんな答弁してよろしいか。これです。私、袋もちゃんとつけて買ってきた。どうして二百㏄あるんです。一合あったとしたって百八十㏄ですよ。これは間違いです。しかし、私はそこを突っ込むのが問題じゃありません。そこが聞きたいところじゃないんだから、あなたのおっしゃるとおり私の調査の二倍に見積もって二百㏄、それで論を進めましょう。そうすると百㏄は幾らでございますか。
  64. 市川静夫

    ○市川説明員 十五円だと思います。
  65. 加藤清二

    加藤(清二)委員 十五円ですね。ガソリンは百㏄幾らですか。値上がりして幾らですか、通産省。ついでにナフサ、灯油、プロパンの百㏄の値段、小売り値段幾らか答えてください。言えなければ私がそらで言います。
  66. 山形栄治

    山形政府委員 お答え申し上げます。  十二月のガソリン、これはハイオクで申し上げますと、リットル八十五円から九十円でございます。それからレギュラーでございますと、七十五円から八十五円でございます。
  67. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そうすると百㏄は八円五十銭ですね。山形さん、レギュラー百㏄は八円五十銭ですね。このお茶はその二倍でございますね。それからナフサは幾らですか。――こちらが言いますわ。十三円です。プロパンは幾らですか、百㏄。
  68. 山形栄治

    山形政府委員 百㏄……
  69. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それならリットルでいいですわ。
  70. 山形栄治

    山形政府委員 プロパンは大体トンないしキログラムであれしておりまして、家庭用の……(加藤(清二)委員「そんなことを言ってはいかぬですよ、個人タクシーはリットルで買うのです」と呼ぶ)自動車用の話が出ましたので申し上げますと、リットル当たり三十円ないし四十円でございます。百㏄でございますと三円ないし四円ということでございます。
  71. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そうですね。三円。そういうことですね、高い高いといいながら。ところがお茶は百㏄で三十円。そうすると、高くなった高くなったというプロパンの十倍の余です。高くなった高くなったというガソリンの何倍ですか。三十円ですから、八円ですから、三倍です。  そこでクウェートの連中が私らに言うのです。お茶と原油といずれが日本国民に貢献をするか、いずれが価値が多いか。私は、それは用途が違うから、それぞれの特徴があり、ともになければならないものだ、こういうふうにこじつけてはおきました。しかし、いわんや彼らの値段からいきますると、大臣よく御存じのとおり、出し値が一キロトンについて六千円。そうすると、これは幾らになりますか、これに入れますと。六十銭以下になりますよ。そうしたら、このお茶は三十円だったら何倍です。五十倍の余になりましょう。しかし、これも油もみんな土の中から出てきた液体です。原料は一体幾らかかっているか。これは一トンについて二十円、高いところで四十円、工業用水だったち一トンで四円ですよ。そうすると、これは何倍にしておるのですか。こういうことはわれわれ国民は日常茶飯事で、なれてしまったからまあまあやむを得ぬというものの、外国人がこれを見ると異様に感ずる。発想のしかたがわれわれと違うのですね。日本のお茶、水一立方メートル、一トンについて二十円や三十円のものを何百倍にしておるではないか、それだけ日本はインフレではないか、われわれの油はこのお茶よりももっと有効ではないか、だから少々値を上げるのは無理ないじゃないか、こういうふうに、このお茶がクウェートの方々の原油を上げる一つの口実に使われる。これはまことに遺憾です。しかも、それは国家が行なっているではないかと言うのです。国家がそれを認めているではないかと言うのです。いや、あれは国家ではありません、下請の帝国ホテルです、こう言うと、帝国ホテルはそんなに高くするか、どおりでホテル代が高いわ、こうくる。これは事実です。仲よく一緒に談笑するとそういうことが出てくる。  私は最後には言うたのです。それは国鉄だからというよりは、弘済会と言おうか、これは別です。汽車賃もたくさん入っておるんでしょう。だからお茶はわれわれが昼を食べたときはただです。うどん屋でも、すし屋でも、そば屋でも、お茶はただです。お茶に値をつけているのは、これはお茶の値ではなくて汽車賃が入っておるでしょう、そう答えておいた。  しかし、あとで心配になってよく調べてみました。そうすると、これはプラットホームでも三十円で売っておるのです。汽車賃は入っておりません。統一値段がはかられておる。私は、ほんとうはこの際、汽車の食堂で食べるものの値段は汽車賃が何ぼ入っているかを聞きたいけれども、そういうことを突っ込むのが目的ではなくて、少なくとも国家が国営でやっている建物あるいは器物の中でこれを商えば、国家がやっている、国家がこれを行なっていると認められてもやむを得ない仕儀になるということを申し上げたのです。公取委員長、これは一斉に値上かりですよ。ある日一軒ずつ上がっていったとか、一つの店ずつ上がったのじゃない。どの汽車もどの食堂も――三軒食堂がありますね。これは一体どういうことでございましょうか。
  72. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 こういう問題はたいへん私どものほうでもむずかしいのです。それは一定の取引分野における競争を自主的に制限することとなるような協定は違法である、こうなっておりますから、いま鉄道の関係で、これは弘済会ですかどこですか知りませんが、そこでおそらくコントロールしておると思いますね。三社あって、しかも一つの列車には三社入っていないはずですね。これだけは私も申せると思うのですが、一つの列車の中に二つの会社の食堂が競争して入っているというケースはあまり聞いたことはないのです。そうすると、それはもうその限りにおいては初めから独占なんですね。もうそこに行く以外に方法はないのです。ですから、どうもそれが独占だからけしからぬということになると、食堂車は廃止しなければいかぬということになるわけでして、私はいろいろ加藤さんのお話を聞いてたいへん興味深いと思いましたけれども、どうもその点競争させることができない状態にあるものに、これはどうするかというと、帝国ホテルの入っておるものはお茶は非常に高い。たとえばこれは四十円で、ほかのところが入っているのは二十円だということになったんじゃ、これは国鉄さんもお困りだろうと思うのです。そういうことをやったらお客さんのほうが黙っておりませんよ。なぜそんな不平等な値段をつけるのか、こう言うだろうと思います。  確かにいまのお話を聞いて、私は実感としてはお茶は高いと思います。これはいろいろの、言いたくありませんが、確かにほかのところではお茶はただでサービスする。そのかわり、ほかのものを食べるわけですね。お茶だけただでサービスしているところはありません。入っていって、お茶をください、ただですから、はい、さようならというのはないわけですから。つまりそれは何百円かほかのものを売り上げておるから、まあお茶をただで飲ましても、そのくらいのサービスをしなければ競争にならぬわけですよ。水だってそうです。水代を取ったら話になりません。  そういうことを考えてみますと、確かに私は実感として――昔たしか入れものが違いましたけれども、もっと分量が多くて五円か十円かという時代がかなりあったんじゃないかと思うのです。十円ぐらいでしたか。三十円になっておると聞いて、それはちょっといかにも何だと思うのですが、結局それはお茶を売っているんじゃなくて人件費を売っておるというふうに私は思います。たしか原価計算をすればそういうものはただ同然、水もただ同然ですし、お茶だってごくわずかでしょう、たいして上等なお茶を使っておりませんから。そういう点で、私は実感としては確かに高い、同感でございますけれども、人件費などを計算しますと、ああいうところで働く人の人件費が存外に高くなっておる。いまや中小企業のほうが場合によっては高い賃金を払わなければならぬということですが、帝国ホテルが採用するとしましても、ホテルの中でやっているのは知りませんが、列車に乗務したり、あるいは駅のプラットホームで売る、わりと忙しい、からだの疲れる商売だと思うのです。それで日当に直しますと数千円は払っておると思います。何千円だか私はわかりません。かなり高いものだと思うのです。そのお茶だけ専門に売っておりますと、何ばい売ったら賃金が出るかというふうな計算になる。しかし、それにしても、もっと合理化の余地がないだろうかというふうに思います。つまりサービスが行き過ぎますと、その人件費が非常に品物の値段にかぶってくるということでございますから、場合によったらお茶は自動販売ぐらいなんかにして、それで値段をうんと安くするということのほうがほんとうの姿ではないかと思いますが、あまりよけいなおしゃべりをして、たいへん失礼でございました。
  73. 加藤清二

    加藤(清二)委員 いや、大いに反論がありまするけれども、きょうこの席は労賃を論じようとは思っておりません。これはいずれ労働省を呼んであれすることですが、しかしあの食堂はセルフサービスです。ビールの仕入れは大量仕入れですから百二十円前後です、高く見積もって。ところが、あれ一本飲みますと、自分でつぐのですよ、立っておって飲むのですよ、それで一体幾らになっている、倍の余しておりますよ。お茶は人夫賃とおっしゃいましたが、プラットホームで見ておってごらんなさい。買うときに行列しなきゃ買えぬほど、汽車に乗るまぎわに行列しなければならぬのですよ。それほど売れているのです。まあしかし、そこは先へ行きましょう。  さて、一番国民と切っても切れないものは繊維、繊維のうちでもコットン、これはもうなくてはなりません。このコットンがきのうきょう買ってみまするというと、非常な値上がりです。簡単にいきまするというと、これが八百五十円、これは国会の中で買いましたアンダーシャツです。これはワイシャツです。このワイシャツ、これが何と二千五百円から三千円。合繊を入れて千七百円。私は純綿を買いたいと言ったら、純綿は高くなり過ぎたから共済組合では売れません、こういう答えです。私はけさ買ってきたのです。しからば純毛のくつ下はと言いましたところ、純毛のくつ下、これは早く破けてしまいまして国会の中では買い手がありませんから、ほう国会議員さん大ぜいみえるのに、一体国会議員さんどういうくつ下はいてみえるだろうと思ったのですが、売っておりませんということだったから、私はデパートへ買いに行きました。これが八百円。正札をつけてまいりました。ついせんだってまで一これは前に買ったものです。このハンカチは百円です。エジプト綿一〇〇%と書いてあるが、これはうそです。エジプト綿はこういうところへは使いません。三つ桃、これは百円。ところがきょうこれを買ってみまするというと何と百五十円。これじゃ主婦が困られるはずだと思うのです。レシートは出しまするけれども値札がつけられませんというのですから、いやそんなこと言わないで書いてくれと私は言った。それで書いてもらってきました。何で値札がつけられぬと言うたら、次から次へと値上がりするからですと、こう言う。これはついこの間まで百円であったものが百五十円になりました。これは百八十円です。ほんとの三つ桃でいきまするというと、大版になると二百円。これは高いですか安いですか、経企庁の長官。
  74. 内田常雄

    ○内田国務大臣 高いですな。ことにその原料価格が、私どもが見るところでは、あなたも御承知のように、最近どちらかというと頭打ちから低落ぎみであることを考えますと、その二次製品と申しますか三次製品、あまりに高過ぎます。
  75. 加藤清二

    加藤(清二)委員 通産大臣、いかがですか。
  76. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 高いように思います。
  77. 加藤清二

    加藤(清二)委員 御両所ともに、選挙区、郷里で機屋さんがいらっしゃいますからこれはよくおわかりのことと存じます。  それでは、今度このハンカチをかりに百円と見積もって、これは百五十円ですね。こっちは百円です。きのう、きょうじゃない、一カ月の違いで五十円上がっていきますけれども、かりに安く見積もって百円としたら、糸値は一体幾らになるでしょう。
  78. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 現在の綿糸価格を前提といたしまして計算いたしますと、大体十八円ぐらいかと思います。
  79. 加藤清二

    加藤(清二)委員 なかなか試算してみえたようでけっこうでございます。当たらずといえども遠からずの値です。  しからば、もう一つ経企庁にお尋ねする。きょうの前場とは聞きませんが、きのうの後場の引け値は幾らですか。
  80. 内田常雄

    ○内田国務大臣 それはたいへん恐縮でございますが、私もわかりませんが、つい先日、加藤さんも御承知のように、日本銀行の卸売り物価の一月分が発表されました。私も仕事柄、常に注視をいたしておるわけでありますが、私は物価が高くなることを何とかして押えたいと考えておるもので  ぐざいますから、安いのは何だろうかということをいつも注目をいたしておりますが、この日本銀行の卸売り物価、一月は、御承知のとおり前年に対しては全体では三四%の上がり、前月に対しても五・五%の上がりですが、その中で安くなったもので目につきますものが、綿糸が前月に比べて八・四%安くなっておる、こういうわけでありますから、綿糸に関する限りは日ごとに上がっていくの  ではなしに、月ごとに見ましても、いま申し上げるように安くなっているわけでありますから、したがって私は、それからつくられる製品も、他の条件がなかりせば、これから安くなって一般の国民が非常に安心をせられるようになることを期待をいたしております。  もっとも、原糸が高くて製品が安いという状態を放置いたしますと、今度は、私の郷里にも、綿織物はあまりございませんけれども、しかしそれは生糸の織物でも同じでありますから、これは機屋がみな閉口するということで、その辺のアンバランスがないように早くなってほしいということで力を入れたいと思います。
  81. 加藤清二

    加藤(清二)委員 与えられた時間が限られておりますので、一問一答で質問に答えていただきますよう御協力をお願いいたします。  きのうの相場は、御案内のとおりストップ安です、ウールも人絹も。しかも、これは大阪相場も東京相場も名古屋相場も三百六十三円。三百六十三円と申しますと、これは一体幾らかといえば、二十番手で十三万四千六百円、四十番手で十四万五千四百四十円と、こういうことなんです。この値段は二十年前と同じ値段でございますね。そうでしょう。通産省はかつて勧告を出された。朝鮮動乱の直後にあまり高くなったからというて勧告して、勧告値を出された。そのときに原価計算で二十番手八万円、四十番手でもって十二、三万、これはちゃんと忠実に守っていますね。二十年一日のごとく糸値は変わっておりません。しかも、きのう、おとといと下げに下げております。これは  一体どこの値かといえば三品市場です。しかし、紡績の出し値はこれより安いのです。これは三品のバイカイ値段ですから。紡績の出し値が一体どうなっているか、これは企業機密でございますから会社名は省かさせていただきますが、四十番手基準糸にとりますと、去年のいまごろの売り値は八万七千円です。これは採算割れになります。ところが、市場の売り値は十三万円をこえております。ということがずっと続いていきまして――ここが問題なんです。ここからよく聞いていただきたい。七月値段、八月値段を読み上げます。紡績の出し値は十三万一千円です。ところが、市場値段は十六万一千円です。八月に入りまして、よく似た数字でございますが、九月に入りまして、やはり紡績の出し値は十三万一千円、市場相場は十六万八千円、十月に入りましてやや紡績の出し値が上がって十四万円、ところで市場相場は、注意があったために十五万六千円と下げました。しかし、十月になりますと、が然上げました。しかし、そのときも紡績の出し値は十四万円で変わっておりません。しかし、市場相場は十八万二千円になりました。十二月になっても、なお紡績の出し値は変わりません。最高糸です。桜井とか松とかのしるしの糸でございまするから、最高の糸でございます。同じ値で出しております。ところが市場相場は十九万九千円となりました。このときに、荒尾君をはじめ森口さんあたりがたいへんな御努力をいただいて、指導よろしきを得てこれは下がってまいりました。しかし、問題はそれだけでおさまるわけでありません。市場相場をかりに二十万円と見積もっても、あるいはきのうきょうの相場で三百五十円を四百円と高値に見積もっても、一体これはどういうことになります。何倍になりますか。ハンカチだったらポンドで何枚できます、生活産業局長
  82. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ハンカチ一キロ当たりで換算いたしますと五十枚くらいできます。大体成人用の、男子用のハンカチ二十グラムといたしまして五十枚です。
  83. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そうすると五十枚ですから、幾らに売られておる。五十枚ですから五千円の余になりますね。きょうの値は百五十円です。そうすると、幾らになりますか。何倍になりますか。できなければこっちで答えます、時間がないから。
  84. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 七千円くらいになります。
  85. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そうです。七千五百円になる。そうすると元値は幾らですか、糸値は。大まけにしてポンド四百円、二十万円に見積もってけっこうです。
  86. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 キロにして約八百円でございます。
  87. 加藤清二

    加藤(清二)委員 そうでしょう。そうすると何倍になります。
  88. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 かれこれ七、八倍になるかと思います。
  89. 加藤清二

    加藤(清二)委員 冗談じゃないわ。七、八倍でたまるかね。もう一ぺん計算し直しなさい。糸相場からいって七、八倍、そんな冗談じゃないですよ。それじゃこれでいきましょうか。そんな計算しておっちゃだめだよ。
  90. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 約十倍になります。
  91. 加藤清二

    加藤(清二)委員 こういうことです。簡単にこちらから答えます。ハンカチ、はだ着、ワイシャツ、私はわざと国民生活の必需品を持ってきた。これが糸相場からいきますると、きょうポンド四百円ですよ。三百七十円だけれども四百円に見積もってポンドで何枚できますか。一ポンドでこれは何枚できますか。
  92. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 約二・五枚になるかと思います。ワイシャツでございます。
  93. 加藤清二

    加藤(清二)委員 あなた、これ何グラムについておると思います。
  94. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 約二百グラムだと思います。
  95. 加藤清二

    加藤(清二)委員 あなた、中のボール紙やら外のセロファンまで目方に入れちゃいけませんよ。
  96. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 それをはずしまして、糸量だけで約二百グラムでございます。
  97. 加藤清二

    加藤(清二)委員 糸値にはのりがついておりません。洗うとのりがとれるのですわ。
  98. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 糸量換算で二百グラムでございます。
  99. 加藤清二

    加藤(清二)委員 糸値の何倍になります。
  100. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 十数倍から二十倍近くになるかと思います。
  101. 加藤清二

    加藤(清二)委員 はい、けっこうです。そのとおりです。十五、六倍から――公取委員長、よく聞いてください。私は、糸値が禁止値段の二十万円と見積もっての計算をしておるのです。それでもなお小売りで売られておりまするこれなどは、ハンカチもはだ着もワイシャツも、少なくとも十七、八倍から二十五、六倍、ネクタイになりますと百倍の余の値になっておるのですわ。だれがもうけたんです。経企庁の長官さん、あなたのところの機屋さんですか。機屋はもうけておりませんですね。機屋はもうけておりません。五十メートルのナイロンタフタを織って六百円の工賃しかもらえませんよ、系列に入っていいところでもって。三十六インチ幅を五十メートル織るんですよ。それでもって工賃は八百円しかもらえない。だからきのう新聞にも出ているとおり、福井から、こうしてもらわなければもうやり切れません、倒産です、春、三月、四月はもう越せません、倒産続出です、こうなってきておる。じゃ染め工賃屋がもうけたか。これは染めてありません。染め工賃にひっかかるというととたんに二倍になるのです。これが二百円。染め工賃屋が生地代分も染め工賃取りますか。取っておりません。染色整理屋さんは何になっているか。いま無料倉庫業になっている。やみの、買いだめの、親方が買いだめした、はっきり言いましょう、商社が買いだめした、それの隠し倉庫になっておる。半年分から八カ月たくわえられておる。倉庫料はただです。そうすると、ここももうけておりません。  それじゃあとどこがもうけたんです。犯人はだれです。これだけいえばもうおわかりだ。最終末端のデパートとスーパー。二十年一日のごとく元値は上がらないのに、紡績の出し値は上がらない、工賃も土がらない、にもかかわらず、デパートは百貨店法で制限したときの三倍から四倍にふえておる。一番はっきりした例は中内功さんのところ、ダイエーさん。十年の間にどれだけふえたか。一日に二億の売り上げにふえてきた。ここらでだれが犯人であるかはよくおわかりだと思う。  もう一つの犯人がいる。それはどこか。さっき紡績の出し値が十万円台、十一万、十二万というときに十六万、十七万、最後は二十万に売っておる。去年の十二月、紡績の出し値は十四万円だ。にもかかわらず二十万円でバイカイされておる。六万円のさやです。六万円のさやがありますと日本全国でどれだけもうかったんですか、生活産業局長
  102. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 代表番手、二〇、三〇、四〇だけでも月間の生産量が約二十数万コリになるかと思います。それで積算いたしますと、ケースによりまして数十億の利潤を生んでおるかと思います。
  103. 加藤清二

    加藤(清二)委員 それはあなた紡績寄りの数字ですわ。私は通産省やら紡績協会がみずから出しているデータを持っております。総需要は四百万コリですね。まあ概算でいきましょう、四百万コリ。一コリで六万円の幅があると幾らになります。簡単ですね。どうぞ。
  104. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 年間ベースで申し上げて二千四百億ぐらいになるかと思います。
  105. 加藤清二

    加藤(清二)委員 さようでございます。紡績から三品市場に至るだけでそれだけの利幅を取られておる。しかし、紡績が出した四百万コリを商品にして一度計算しておいてください。そうすると、その間に幾ら利幅があったか、そうしてそれが不当利得であるかどうかということがそこからはっきり出てくる。だから証人なり参考人を呼ぼうとすると反対が出てくるということになる。これは必ず私はやります。反対が出てくる、そのときにはあなたたちのように聞いてはおりません。こちらから全部読み上げます。しかも最もひどいことは、特に両大臣が機場地帯のお方であるから申し上げますが、糸値が需要供給で下がっているほどたくさんあるにもかかわらず機屋へ渡さないのです。ウールもそうです。去年九月にすでに渡らなければならない糸がいまだに渡っていないのです。だから操短、従業員は帰休、こういうことにしなければならない。腹が減ってたまらぬ。そうすると何をするか。韓国糸でかんべんしてくれと言ってくる。韓国糸と東洋紡や近藤紡の有名銘柄の糸とではジョニ黒とサントリーの角びん以上に違うのです。そういうことをやらかすものだからどういう結果が生ずるかというと、タオルの寝巻きが一年こたえるはずのが半年で破れてしまったり、のりでごまかしてあるから、ワイシャツが縮んだり、ゆかたが二寸縮んだり、メリヤスのアンダーシャツはきゅっきゅっと縮んじゃって、洗たくすると伸ばさなければ着られぬようになる。だれが損するか。みんな国民にしわが寄っている。そういうことをして一体だれが得するのか。与えなければならない糸を、契約してある糸を渡さずにおいたら、自転車操業もできないから、ついついにせの糸でも与えられればそれで仕事にかからなければならぬということになる。だれがそれをやるんです。それは商社の系列化、産元の系列化なんです。その一番激しいのが福井を筆頭に石川から東海地区にかけて、関西にかけてです。泉南では、もう糸がないからお手あげだから先生何とかしてくださいといって、この間大ぜい私のところに陳情に来られました。これが実態です。この実態をよく把握してコストの原価計算もよく把握しなければ、通産省や経企庁が何人物価Gメンをつくったってだめです。今度Gメンを三百人にふやしたからとか、四百人にふやしたからとおっしゃるけれども、実態もわからぬ者が調べに行って何がわかります。けっこうごまかされて帰ってくるだけだ。そしてごまかしている者の裏づけ証明を国会ですることになる。両大臣に申し上げておく。ぜひGメンだけは訓練してください。見る目を養成してください。そして公取に負けないように徹底的に調査をしてください。それでなければ、きょうの新聞に自民党案として超過利潤を取りますなんていったって、どこが適正利潤やら、どこが超過利潤やらわからぬようなことでどうしてできます。  最後に、公取委員長、もし適正利潤その他の件で、通産省も経企庁もどうにもならぬ、公取に全部まかせるといったら、何人員数が要りますか。
  106. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 ちょっといまの御質問の中で、どういう範囲の仕事をまかされるとおっしゃるのか、そこがちょっとわからないのでして……
  107. 加藤清二

    加藤(清二)委員 物価Gメン。
  108. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 物価Gメンとしてですか。ちょっとそういう計算はしませんけれども、いま加藤さんがおっしゃられた繊維の組織その他を末端までばらして監視していくということになりますと、私は相当の人数が要ると思います。よくわかりませんが、大体、都道府県の協力を得るとしましても最低数百名要るし、場合によったら、ほんとうに完ぺきを期するのでしたら千名ぐらいの本官がいて、なおかつ都道府県の協力を得なければならぬ。それで同時に全部を解決するというのじゃなくて、逐次目に余るものからやるということができるのじゃなかろうかと思います。
  109. 加藤清二

    加藤(清二)委員 わかりました。  与えられた時間が終わりましたので、最後に両大臣に、かかる――不正とは言いません。暴利をむさぼる結果、少ないもので元値の二十倍、三十倍、多きに至っては小売り値では百倍の余になっている。これに対して両大臣はどのような対策を持ち、どのような措置をおとりになりますか。両大臣から承って終わりにします。
  110. 内田常雄

    ○内田国務大臣 加藤さんから非常に――私は単に大臣としてばかりでなしに、そういう産地を自分の郷里にかかえる者といたしましても関心深く聞きました。これは私は放置できないところであろうと思います。しかし、経済企画庁というものは、そういう個別の仕組みや、あるいは原糸から製品に至るまでの具体的な価格形成に参画はいたしませんけれども、幸い隣に通産大臣もおられますから、通産大臣ともよく打ち合わせまして、少なくとも繊維製品に関する価格形成の姿勢を国民が納得いくように、また関係業者が合理的に仕事が成り立つように直すような努力をいたすべきであると私は考えます。そのようにまた努力をいたしましょう。
  111. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまお話を承りまして、製造過程において安く販売過程において高く売られている、そういうことがよくわかった次第であります。販売過程は日本特有の流通の複雑性というようなことや、あるいは最終販売者が非常に優位に立っている、そういうような形からそういう現象が起きていると思います。この過程の合理化につきましては、私たちもかねて努力もしておるところでございますが、いまお示しの点をよく探査いたしまして、これを引き下げるように、そして、むしろ製造過程に利益を回していくように努力していきたいと思います。
  112. 田中六助

    ○田中(六)委員長代理 午後一時五十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時八分休憩      ――――◇―――――     午後二時四分開議
  113. 濱野清吾

    濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤清政君。
  114. 加藤清政

    加藤(清政)委員 午前中は、社会党のお二人の議員から石油の問題につきましていろいろ質問がありましたので、私も質問の問題を石油にしぼってまいりましたが、たまたまほとんどが質問し尽くされたという形でありますので、重複を避けまして簡単に御質問を申し上げたいと思います。  まず最初に、商社の活動に関する規制と申しますか、いわゆる商社に対する立法について、それから株の買い占めの問題についてお尋ねしたいと思います。  中曽根通産相は、所信表明の中で、本年の最大の課題であるいままでにない困難な事態を克服していくためには、国民的連帯と国際的協調のもとに、安定した、かつ希望に満ちた社会をもたらすことであり、そのためにはいわゆる物価上昇、物資需給の緊迫が加速化された今日において国民生活をたいへん脅かすので、まず求められるものは果断で的確でかつ迅速な施策の実施であるということと同時に、事態の内奥にひそむ本質的な要因を鋭く分析していかなければならないという所信表明があったわけでありますが、御案内のとおり、商社の実態を見ますると、元来、商社はいわゆる貿易が主体であるわけでありますけれども、国内においては土地の買い占め、あるいはあらゆる流通分野を支配して、いわゆるラーメンからミサイルまでといわれるように、商社活動が本来の目的からたいへん逸脱しておるということはいわれるまでもないわけであります。元来、外国の原材料を輸入してメーカーに売るということが本来の目的であるにもかかわらず、国内で生産から加工、さらに卸から末端の小売りまでくるめてこれを流通、支配しておるといういわゆる垂直統合と申しますか、そういう実態であるわけであります。したがって、価格騰貴の非常に大きな元凶であるといっても差しつかえないわけでありまして、さきにこういう問題につきまして、大商社によるいわゆる買い占め、あるいは売り惜しみが横行し、ために諸物価は急上昇し、国民生活はもとより中小企業に対しても原材料の大幅な値上がりなどの深刻な影響を与えており、大商社は、今日でもこのような投機行為を企業の当然の行為のようにふるまっておる、この際、総合商社の活動をきびしく規制し、商社モラルを樹立するために商社法を制定すべきではなかろうかという質問をいたしましたときにも、中曽根通産相は、われわれの考えはあくまでも自由経済を尊重するものであり、自由を撹乱して零細なものを圧迫するということが出た場合にはこれを取り締まらなければならない、このような見地に立ってこれからの推移を見守り、もし商社の活動が逸脱するようなことがあったり、あるいは社会公共性を著しく阻害するような場合には立法を行なうということを含めて検討しておるという御答弁があったわけであります。いままでも申し上げましたとおり、商社の実態というものがたいへん垂直統制というような実態まで伸びておるわけでありまして、しかも、土地の問題あるいは株の問題に商社が非常に深く入っておるということに対しまして、一体中曽根通産相は、この際、商社に対しての活動をきびしく制限する商社法を立法する意思があるかどうか、その点について第一点としてお伺いしたいと思います。  そこで、大手商社の株買いが年々活発化されておりますけれども、元売り十三社の株についてどの程度の買い集めをしておるか、この点についてお伺いしたいと思いますが、三井物産は、本格的な石油部門への進出の足がかりとして、元売り権を持つゼネラル石油に対して、四十六年に約三百五十万株の株式をひそかに買い集め、第二番目の大株主となったということを聞きました。それと同時に、各株に対しても非常に進出して、株によるいわゆる石油産業への支配をもくろんでおるということを聞いておるわけであります。したがって、商社が株の買いあさりをやっていることは既成の事実でありますけれども、通産省自体でも、これを認め、かなり出ていることが通産省の月報の中にも明らかにされておるわけでありますので、この実態について、一体どう考え、どう指導されるか、こういう点についてもあわせてお伺いしたいと思います。
  115. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 株の問題につきましては、あとで政府委員から調査の上御答弁申し上げますが、まず商社法の問題についてお答え申し上げます。  商社は昨年の春以来きびしい批判のもとにあり、特に株やあるいは土地の買い占めという問題を指摘され、また対外経済活動におきまして、裏南アジアその他の問題も提起されておったわけでございます。確かに商社がその強大な力を利用して、その力を乱用してやるという場合には非常な弊害があるということは御指摘のとおりでありますけれども、また一面において角をためて牛を殺すということがあってはならない、われわれは自由経済を信奉しておりますから、そういうようにも感ずるわけであります。商社が強大な資金力、経営力、技術力あるいは世界情報網、そういうようなものを駆使して、日本の貿易や輸出にかなり力をいたしておるという事実も否定できません。日本の輸出が伸びたという面については、一面において商社の過当競争の非難もありますけれども、やはり貢献も見のがすわけには、いかぬと思うのであります。  日本の立国の基礎条件を考えてみますと、やはり外国から資材を入れ、そしてここで加工して外国に輸出して生きていく、そういう国の性格を考えてみますと、そういう部面に優秀な性能を持った機構が存在して外国に負けないだけの力を保有しておるということは、やはり国の経済基礎条件を整える上にわれわれも考えなければならぬ要素であるだろうと思います。ただ問題は、それが行き過ぎまして、国内的には、たとえばラーメンとか、あるいは洗たく屋まで手を出して中小企業を圧迫する、こういうことは排除しなければならないと思います。そのほか、いわゆる独占禁止の思想から見まして、過度の集中とか、あるいは過度の企業的優位を利用して自由経済、自由競争を押えるようなところが出てくれば、これはある程度行政指導によって是正しなければならぬし、目に余るものがあれば法的規制も将来考える必要があると思いますが、現状におきましては、私は商社法をつくるということにつきましてはまだ慎重でなければならぬ、そういうように思うわけです。それは、つくり方によりますと、やはり角をためて牛を殺すという思わざる結果が出てこないとも限らない、そういう情勢でありますから、非常に波乱の多い国際経済の中にあって、商社の動態をもっと見きわめ、その善と悪とをよく分析して、その上に立って判定を下したらいいのではないか、もう少し時間を待つ必要があるというふうに考えております。
  116. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 ただいま三井物産とゼネラル石油の関係につきまして御質問がございましたが、先生御存じと思いますが、ゼネラル石油は三井物産の石油部門が戦後独立いたしましてできた会社でございまして、現在におきましても三井系と非常に密接な関係にございます。たとえば三井銀行あるいは三井信託銀行等々、三井系統の株主が現在でもその関係で大きなウエートを占めておるわけでございまして、設立当初からの深い関係があることは事実でございます。
  117. 加藤清政

    加藤(清政)委員 いま通産相から御答弁がありましたが、商社活動の実態というものがたいへん世論の批判を浴びて、いまお話がありましたとおり、輸出の問題あるいは外国の市場開拓の問題等について大きな貢献をしたということは考えられるわけでありますけれども、何といっても、経済の自由の前に、当然社会性、公共性の制約があるわけであります。その社会性、公共性を逸脱して商社の買い占めあるいは独占というようなことで、国民大衆が価格のつり上げによって大きな負担をこうむり、はかり知れない物価狂騰への元凶になったということはいまさら言うまでもないわけでありますけれども、しかし、現時点においては、商社法を制定するというようなことはまだ時期尚早だというお話がありました。しかし、このままでいって、もし商社がさらに市場独占への足がかりを一そう強くするというようなことになりますと、その反面、中小企業あるいは一般消費者が非常に大きな不安と焦燥にかられ、大きな迷惑をするということになると、勢い社会公共性を逸脱する商行為であるといわざるを得ないわけでありますので、そういうことを考えますと、商社法を立法して、商社の活動範囲の分割、あるいは商社に対する規制が当然あってしかるべきだと思いますが、そういう社会公共性を逸脱するような場合あるいはおそれありとする場合には、中曽根通産相がさきの本会議において答弁したとおり、商社法立法の御意思があるかどうか、重ねてお尋ねいたします。
  118. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私が最も重視しておりますのは、現時点においては、中小零細企業に対して商社が仮借なく進出して、彼らを圧迫するというポイントでございます。でありますから、洗たく屋まで商社が進出してきて、洗たく屋さんを困らせるというようなことはけしからぬ、そういうことも申し上げて、そういう部面について法の不備があればこれは考慮すべきではないかと思うわけであります。しかし、それ以外の場面においては、これは非常に経済のメカニズムに関係してきておるところであって、角をためて牛を殺すというような危険性なきにしもあらずであります。経済はかなり有機体的に動いておりますから、われわれが単にメスを入れては病人を殺してしまうという危険性がなきにしもあらずであります。そういう点をよく見きわめて、確信を持った上でないと、貿易立国で生きていく日本について惨害を及ぼすという危険性、責めをとらなければならないということも起こり得ることもおそれるわけであります。  そういうような面から、もう少し変転している国際経済の動向を見据えまして、もう少し勉強もして、その上でこの問題に相向かうということが適当であると考えますが、国内の問題につきましては、いま申し上げたような点等から、いま中小企業団体の組織に関する法律で仲裁と裁定を行なうことができることになっております。しかし、あの法律がなかなか発動されておりません。そういう点も考えてみて、これは検討していくべきポイントであると考えております。
  119. 加藤清政

    加藤(清政)委員 いま国民に対して、テレビを見ないときには消したり、あるいは電気のスイッチを小まめに切ったりしてエネルギーをできるだけ節約するようにということ、あるいは暖房温度を下げたり、マイカーに自粛しろというような覇約のすすめを非常に説いておるわけでありますけれども、一方では、石油各社は空前の利益をあげて、三月決算ではそれをどうやって少なく見せるかにたいへん苦労しておるというようなことが聞かれるわけであります。聞くところによると、通産省石油各社を呼んでそれぞれのストックの量、原油輸入価格、仕入れ先などを明らかにさせたということでありますが、それはどうなっておるか。その結果をこの際わかりましたならばお聞かせ願いたいと思います。
  120. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  現在、各社ヒヤリングをいたしまして、原油の大幅値上げに関連いたしました今後の新しい価格のあり方を検討するために作業をいたしておるわけでございます。まだ作業は途中でございますが、本年に入りまして以来の各社トータルの備蓄の数字等につきましては、総額で申し上げますと、一月末におきます備蓄は、原油が約二千万キロリットル、日数にいたしますと約二十四日分でございます。それから製品、半製品は約二千二百三十万キロリットル、これは日数にいたしますと約二十八日分に相当いたしまして、合計四千二百七十万キロリットル、五十二・六日分相当という備蓄の状況でございます。  各社のヒヤリングによりますと、私どもが当初想定しておりましたように、一月に入りましてから原油価格は逐次上がりつつございまして、一月の下旬から二月の上旬にかけましての平均的な原油輸入、FOBでございますが、これはもう九ドルをかなり上回ったところになりつつあるというような中間的な集計をいたしておるわけでございます。
  121. 加藤清政

    加藤(清政)委員 この三月の決算につきましては、三菱油化などは利益が前期の三倍で、特にその内容とするものは、営業外の費用として前期より減価償却費を九億二千九百万円、退職給与引当金を六億六千万円、試験研究費を六億五千七百万円それぞれふやして、決算案の経常利益数字に入って、いませんが、実質利益と見られるものは約三十億円にのぼると会社側も認めており、現実に前期の三倍からの利益をあげて利益隠しに苦慮しておるというようなことがいわれておるわけであります。その他プラントやタンクの修繕費、あるいはタンクを塗りかえて一社で大体五億円から十億円くらいかけておるというようなことや、子会社赤字を解消するために資金を親会社のほうからつぎ込んでおるということや、夏のボーナスを三月期に計上したというようなことで、三月決算期を控えてその利益を隠すということにきゅうきゅうとしておるというようなことがいわれておるわけでありまして、かなり国民の中から、原油削減やらあるいは原油値上げということで不安と、しかもその実態原油は余っておるのだというようなことでたいへん不信を買っております。特に十二月にはパーレビ・イラン国王の、先進工業国はいままで安い石油を踏み台にして高成長、高繁栄を得ていたけれども、大きな曲がりかどにくるのではなかろうかというような、きわめて印象的な強い発言があったわけであります。こういったようなこととあわせて、ストックの量と、それから原油輸入の価格と仕入れ先などを明らかにしていただくことをひとつ資料として提出をお願いしたいと思いますが、委員長お計らい願いたいと思います。
  122. 濱野清吾

    濱野委員長 理事会にはかりまして、そして…
  123. 加藤清政

    加藤(清政)委員 それでは質問に入ります。  DD原油は一体どのくらい輸入されているのか。また、それらの輸入先はどこで、価格面でメジャー経由のものと比べてどうなっておるか。DD原油輸入に際しての過当競争を避けるため公団をつくるということが検討されておると伝えられておりますが、公団をつくってそれらの過当競争排除の適正な流通機構をつくれるかどうか。その点、この際お聞かせ願いたいと思います。  それから、石油業界筋では、値上がり以前に輸入された原油のストックが切れた段階で、あらためて大幅な値上げを行ないたい意向のようでありますが、直上げ前に便乗値上げで得た不当な利益を吐き出させることが先決であるわけでありまして、この点について一体どう操作し、どう考えておられるか、お尋ねしたいと思います。もし原油価格の値上がり分にスライドさせて石油製品の値上げが行なわれるとすると、ガソリンはどの程度の値上がりになるか。また、この値上がりが物価にどの程度の影響を及ぼすか。この点をお尋ねしたいと思います。  さらに、時間がありませんので引き続いてお尋ねしますが、業界筋では値上げについては政府のほうでガイドラインを出してくれることを期待しているようでありますが、その意思はあるのか。また、それはいつごろになるのか。値上げの時期、値上げ幅、何を中心に上げるのかというようなことについて、産業連関表に基づいて計算されておると思いますが、予測しているものがありましたならばこの際ひとつお答えを願いたいと思います。
  124. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 けさほどもお答え申し上げましたが、石油値段の問題につきましては、物価対策考え、またこの十一月、十二月に便乗値上げもうけたと思われる部分を吐き出させる、そういう考えに基づいて、できるだけ凍結の期間を長引かせるようにいろいろ努力しておるところであります。ただ、その際も申し上げましたように、外国系のメジャー石油会社等が、われわれのこの措置に対していろいろ陳情そのほかの実情説明等をやっておりまして、石油供給をできるだけ多量にふんだんに行なって物価引き下げと民心の安定に協力したい、そう思っておる面等、いろいろ苦慮しているということを申し上げたところであります。しかし、先ほど申し上げた二つの原則をできるだけ実現するために、凍結の時間を長くしたいというのが私の考えであります。  それで、これをどの程度やるか、幅はどうなるかというようなことはいま検討中で、一切まだ熟したことでもございませんし、また、私がここでうかつに申し上げると思惑をすぐ呼びまして、また経済に反応を呼び起こすでことでもありますから、ここで申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。  要するに、先ほど申し上げましたようにできるだけ凍結を長引かして、十一月、十二月、あるいは一月に入っての便乗値上げと思われる利得を吐き出させる、そういう考えに立って、努力しているつもりでございます。
  125. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  いま先生のほうから御質問がございましたDD原油がどれくらい占めておるのかという点でございますが、昨年の十二月の実績で見ますと六十四万四千キロリットルでございまして、全体の二・六%でございます。これは昨年のたとえば九月の時期におきましては一%程度でございましたが、昨年の十二月におきましてはDD原油がふえておるわけでございます。  なお、値段でございますが、これは地区によりまして区々でございますが、いずれにいたしましてもバーレル当たり十二、三ドル以上という見当かと存じます。  それからガソリンの問題でございますが、これは現在一体どれだけの値上げ幅が妥当かという問題につきまして調査中でございますので、数字につきましては、そういう意味での数字は差し控えさせていただきたいと思いますが、一つの簡単な計算という意味でだけ申し上げますと、たとえばバーレル五ドル上がるということになりますと、これをキロリットルに換算いたしまして、なおそれを円に換算いたしますと、平均いたしまして九千四百円くらいの原油面でのアップということになろうかと存じます。これを製品化いたしますと、ラウンドで大体一万円程度のアップという計算が出てまいるわけでございます。したがいまして、リットル当たり十円ということでございます。ただ、先生御存じのように、石油の各油種ごとのコスト配分につきましては、従来からそれぞれ慣行的にとっております方式でございまして、等価比率と申しておりますが、販売された量と価格を掛け合わせたものをベースにいたしまして配分をいたす考え方でございます。たとえば、こういう考え方をとりますと、リットル当たり十円というのがガソリンの場合には大体倍近くなるというのが従来の価格構成の状態でございます。しかし、これは全く計算上だけの問題でございまして、これが値上げ幅の問題といたしまして私どもがそれを妥当だと考えているとか、そういうことを申し上げているわけではございませんので、全く一つ計算だけを申し上げたわけでございます。
  126. 加藤清政

    加藤(清政)委員 時間が参りましたので、最後に中曽根通産大臣にお尋ねしたいと思います。  いま御質問したように、各石油会社は空前の好決算が予想され、かつてない大きなもうけをしたということが世上伝わっておりますし、そのことは国民にも大きな疑惑を持たれておるわけでありますので、その利益隠しにたいへん頭を悩ましておると報ぜられておりますが、この世論の批判にこたえるためにも、国民の疑惑を晴らすためにも、各社の特別監査あるいは経理の公開など強い姿勢で臨む意思があるかどうか、また行政指導をもってこれを行なう御意思があるかどうか、中曽根通産大臣にお尋ねいたします。
  127. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昨年の末に、そうしてやみカルテル及び生産数量カルテルの疑惑をもって公取から調べを受けられまして、そうしていま聞いた情報によりますと、石油業界はこれを受諾した、そういう報告であります。  そういう事態を見ますと、これはまことに遺憾な事態でありまして、やみカルテルやあるいは生産数量制限というようなことによって値を上げた、そう言われてもやむを得ないという、そういう事態にあったとみずから認めるようなことであるだろうと思います。  そういう事態を十分踏まえまして、それらのいわゆる便乗値上げと思われるものは当然吐き出させなければなりません。私はその点については強い態度をもって臨む決心であり、いま指導しておるところであります。したがいまして、各社について、経理の内容について詳細にいま調査を進めております。各社ごとに、ミナス原油が何ぼ来たか、あるいはアラビアン・ライトが何ぼ来たが、あるいはイラニアン・ライトが何ぼ来たか、いつ来たか、その値は幾らであったか、全部積み上げさせておりまして、そして原価を調べ、また販売価格を調べ、そしてどの程度の利潤が出たか、適正利潤とすればどの程度がいいのか、石油会社の中には先取り値上げをやったところがあるわけであります。それはおそらく二五%削減というふうなことで、先き行き不安の面から操業度を維持するために、自分のところの手元のストックを多くしよう、そういう配慮のものもあるとは思いますけれども、値上げをしたという部分については、これは先取縫う点が追及されなければならぬと思っておるわけです。そういうような諸般の点を考慮して、そういう便乗値上げ利益は全部吐き出させる、そういう異常な強い決心を持って、国民の感情に合うような行政をやろうと思って、いま各社別に詳細にやっておるところでございます。  その内容の公開につきましては、これは各社の秘密に関すること等もあり、将来いろいろまた情報資料をとったりする場合のこともあり、外国石油会社の関係等もありまして、公表することは慎重にやらなければならぬと思いますが、一つのモデルを想定して、そして大体こういうようなモデルに準じたものと考えてけっこうですというようなものは出してもいいのではないか、そういうように思います。それはわれわれの計算あとをやはり皆さん方に検証していただく、そういう意味においても、そういう措置はいま検討させておるところでございます。
  128. 加藤清政

    加藤(清政)委員 時間が参りましたので、終わります。
  129. 濱野清吾

    濱野委員長 神崎敏雄君。
  130. 神崎敏雄

    ○神崎委員 私は、通産、経企両大臣並びに公取委員長の四十九年度施策に関する所信表明に対して、中小企業問題、特に日ごとに政治、社会問題化しておる小規模企業問題、これを中心として幾つかの点について質問をいたしたいと思います。  中小企業の現況は、一般的にいえば幾らか売り上げ利益の増加がある程度続きました。しかし、その一方で、大企業、大商社の買い占め、売り惜しみと価格のつり上げによって、原材料、仕入れ商品の不足、同時に大幅な値上げによって経営が急速に悪化し、困難になった。その上に金融引き締めのしわ寄せを受けております。したがって、資金繰りが悪化するものが非常に早い速度で広がっており、多くの中小企業、とりわけ小規模企業は先き行きについて強い不安におちいっております。そのことは、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫の最近の調査によっても、中小企業の資金繰りが急速に悪化しつつあるということは明白に示されております。また、東京商工興信所調べによりますと、中小企業の倒産状況を見ましても、その件数が増加しつつある点、小規模企業の倒産が八割から九割まで占めておる、こういうことを明らかにしております。  そこで、まず第一に伺いますが、大企業から原材料または商品を仕入れる中小企業に対して、大企業から、値上げと、手形サイトの短縮と、現金支払い比率を高めることを要求されておる。すなわち、支払い代金の増大とその支払い条件の悪化であります。販売先が大企業である場合、販売価格の値上げは容易に認めてくれません。また、大企業に製品を販売している場合は、その受け取り手形のサイトは引き延ばされておるのが現状であります。こうした結果、資金繰りは急速に悪化してきておる。これが今日のいわゆる中小零細企業あるいは中小企業、こういうものの実態であるということであります。  こういうことについて、当局は、この実態を十分に調査把握されておるのかどうか。これをひとつお答え願うと同時に、この現況についての見解を示していただきたいと思います。
  131. 外山弘

    ○外山政府委員 昨年の秋以来、物の不足問題という点が新たに中小企業に対してたいへんな影響を及ぼしてまいりました。同時に、金融の引き締めという点が相次ぐ公定歩合の引き上げというかっこうで、あるいは銀行貸し出しの抑制というかっこうでたいへん強化されてまいりました。物の関係と金の関係と両方の問題が中小企業にどのような影響を与えつつあるか、どのような問題点を持っているかということにつきまして、私どもとしましては、昨年の秋以来慎重に各方面の状況をいろいろな角度から見てまいったわけでございます。もちろん基本的に物の不足に対しては何とか物のあっせんというかっこうで、できるだけ適正な、円滑な需給ができるように、そういう努力をいたしております。  それからまた、金融の引き締めに対しましても、これは毎年やっておりまする年末金融対策ということで、昨年も十二月の末に政府系三機関にも融資のワクの増加をいたしました。そういったあっせん所の機能あるいは金融に対する手当てといったものがまたどのように中小企業に対して影響――影響といいますか、問題の緩和に役立っているかという点もあわせて見てきているわけでございます。通産局を通じ、あるいは三機関の窓口を通じ、あるいは各中小企業業種の代表の方を通じて、いろいろな機会に御意見なり状況なりを聞いているわけでございますが、最近の私どもの感じといたしましては、先ほど御指摘がございました現金比率が高まっているということ、つまり、物資を購入するにあたっての現金需要が非常にふえているということ、あるいは資材が高騰しているということ、こういう点からくる影響がいつもよりは非常に強くあるというふうに判断いたしまして、その辺を特に昨今状況を見てまいったわけでございます。  それから、下請企業に対しても、特に親企業がどのようなビヘービアを持つかという点につきましても、通達等を出しましてその状況を調べているわけでございますが、網羅的な調査はできませんけれども、大体の感じといたしましては、一つは、物不足問題に関する影響という点は、昨年の十一月ごろの状態に比べますと最近は若干見通しを明るくしている企業が多くなっているという感じがいたします。一方、現金比率あるいは手形サイト等の問題から、資金需要という点はだんだんとその資金繰りが悪化しまして、資金需要というものがだんだんと強くなってきているのではないか。そして業種によってはその辺の問題点をたいへん強く持っているものが出てきている。全般という感じではまだまだこれからさらに問題が出てくるのではないか、こういう感じがいたします。当面では一部の業種にそういう問題が出てきていると思いますが、全般としては今後の状況の注視をしていくのが大事である、こういうふうな判断で、今後も適時適切な対策を打つために状況把握については慎重に進めてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  132. 神崎敏雄

    ○神崎委員 一々そのことについてはこれからの質問で実例を示してまいりますが、いつもよりは悪くなってくる、そういうようななまやさしいものではないということの実例をあげていきます。  私の調査によれば、大企業からいわゆる原材料を仕入れる中小業者に対して、いま一部言われましたが、その支払いの手形は三十日短縮されるのが多いようであります。十月には支払いが四カ月の手形であったものが、十一月、十二月に手形サイトの短縮を押しつけられたといたしますと、この二月、三月には二カ月分の支払いが集中するのです。いわゆる二月、三月危機がいわれておるのもこれが根拠の一つであり、通産省は一月末緊急融資を決定して、さらに二月一日に、大蔵省銀行局長は、わが党の増本議員と中小企業家同友会の代表に対して、中小企業向け三金融機関の二-三月の融資ワク七百億円は年度内に事態を見てふやすことを検討する、こういうふうに回答されておりますが、これはいつから実施されるのか。このことをまず第一点に聞きたい。  それから続いて、このことについてのいわゆる金利、この金利については通利ではなくて特利で融資をすべきであると私は思うのですが、この二点について、大蔵省から答弁をしてください。
  133. 米山武政

    ○米山説明員 お答えいたします。  ただいま先生の御質問は、都市銀行、地方銀行、信託銀行が一月末に異常事態に備えまして中小企業の救済のための特別措置をとる、この件につきまして銀行局長が答えた、この件の御質問ということでお答えしたいと思います。  御質問のとおり、最近の石油危機に基因して非常に危機感が全般に高まりました一月の末に、都市銀行がそうした異常事態によって、たとえば大型倒産が起こって、その関連の健全な企業がそのために関連倒産するとか、あるいは原料難で業種ぐるみ非常に経営が困難な状態におちいるとか、あるいは地域全般にわたっていろいろな問題がありまして、社会的にいろいろ不安な状態が起こるというような異常事態が生ずることがあってはたいへんなので、金融機関が独自の自主的な判断で、都市銀行は二千億、それから地方銀行が一千億、信託銀行が二百億、計三千二百億につきまして、それぞれの資金をイヤマークしておきまして、もしそうした事態が生じたときには緊急に通常のコマーシャルベースを離れた融資の基準で融資をするということを決定して、それは準備しております。もしそうした事態が生じた場合には、これは緊急にそうした措置をする、こういうふうに私どものところへ連絡が参っております。
  134. 神崎敏雄

    ○神崎委員 聞いていることに答えてください。それはいつからやって、金利は通利でなく特利でやったほうがいいと言っていることについてだけ答えてもらったらけっこうです。
  135. 米山武政

    ○米山説明員 私どものところへ参りました報告によりますと、そういう異常事態が生じたときには、緊急の異常な場合の措置でありますので、通常の金利でなくて、きわめて優遇した金利でそれを実行したい。ただ、この具体的な措置については現在内部で協議会を設けて検討中、こう聞いております。
  136. 神崎敏雄

    ○神崎委員 それは非常に重大な発言なんですが、異常事態といったらどんな事態ですか。いまは経済は大狂乱だというふうに大蔵大臣は言っておるのですね。経済狂乱の危機だ、日本経済危機だと言っているのです。これが異常にならないのか、まだ検討するのですか。まだこの異常、狂乱なことを研究するのですか。この事態でいつからやって、そうしてこれは通利じゃなしに特利でやりなさいということを言って、そしてそれはもう狂乱なんだから、異常どころじゃないんだからすぐやりなさい、いつからやりますかということを聞いているのです。
  137. 米山武政

    ○米山説明員 これは銀行が独自でそういう事態に備えてつくったものでございまして、私どもに参りました連絡によりますと、先ほどお答えいたしましたように、大型倒産が起こって、それに広範に連鎖倒産が起こるというようなことがあってはならぬ、あるいは産業ぐるみ、たとえば原料難とかなんとかで倒産の危機が起こるとか、地域ぐるみそうした問題が起こる、こうしたときに備えて自発的につくった制度である、こういうことでございまして、これは政府が決定したというものではございません。
  138. 神崎敏雄

    ○神崎委員 七百億というのは、結局そういうことを銀行から言うてきた場合にはやるというプールを持っている、こういうことですか。
  139. 米山武政

    ○米山説明員 これは最初お答え申しましたとおり、銀行が相談しまして、銀行独自の施策としてそうした準備をしているということでございまして、政府が何かしているということではございません。
  140. 神崎敏雄

    ○神崎委員 では、あとでまたそのことに関連して申しましょう。  次に、都市銀行は中小企業の特別融資として二千億円のワクを設定したと言うが、外部負債が増大する一方できびしい窓口規制を受けている。そうして資金的には余裕のない都銀にはたして発表どおりの二千億、いわゆる全額貸し出すことが可能なのかどうか。現実中小企業への貸し出し抑制を強めている都銀がこのような発表を行なうことは私は欺瞞であると思う。要するに、社会的批判をかわすための宣伝でしかない。銀行局長は行政指導でやるとか、銀行がああ言っておりますからと言っておりますけれども、私はやはりこれは政府が責任を持たなければいかぬと思う。そういうようなことから見て、この二千億の中小企業に対する特別融資についてはどういうふうに考えておられるのか、明確にひとつわかるように答弁をしてもらいたい。
  141. 米山武政

    ○米山説明員 お答えいたします。  銀行も中小企業金融の面につきましては相当重点を置いておりまして、通常でも都市銀行等から見ますと、日本銀行の窓口指導によりまして全般的に相当大幅に資金の貸し出し増加額が落ちているわけでございます。その中で、中小企業に対してはできるだけなるべくその比重を落とさないように努力しているわけでございますが、ただいまの御質問のこの趣旨は、そういう一般的な融資でなくて、特に異常なときに備えて都市銀行があらかじめみずからの責任措置考えているものでございまして、特に政府が責任を持ってこれについてどうしろ、こういうことでやったものではございません。先ほどから申し上げましたように、そういう事態があったときに手おくれにならないように万一に備えた制度でございます。ですから、これを通常の事態あるいは通常の金融でまかなえるというふうなときに使うということではございませんで、るる申しておりますように緊急措置としてつくったものでございまして、現在発動されておりません。
  142. 神崎敏雄

    ○神崎委員 通産大臣中小企業特別融資二千億というのを現在の状態の中で特別に融資をするということを今度の予算の中で出されていますね。そのことと、いま言うていることとだいぶずれるのですが、これは、現況を打開するために中小企業に対する特別融資のワクとして二千億を通産当局が責任を持って準備する、こういうことなんですか。
  143. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 特別融資という意味は、政府が今度始めた零細企業に対する無担保無保証のことを意味しますか。
  144. 神崎敏雄

    ○神崎委員 はい。
  145. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 たしか四十九年度において約千二百億円ばかりワクをとっていると思います。それで、今度は条件を改善いたしまして、設備資金はたしか二百万円まで引き上げる、期間も三年、そういうことで、いままでの実績を見ますと比較的順調に推移しておりまして、私の記憶では、一月の末までに約三万一千件処理して、金額にして百七十億円ぐらいのお金がもうすでに零細企業に渡っています。一件平均がたしか六十万円弱であったと思います。  それで、申し込みからお金が出るまでどれぐらいかかっているかと見ると十三日強、約二週間弱でお金が渡っておる。申し込みに対して大体九〇%以上受け付けをやってお金を出しておるようです。これは所期の目的を達して動いているだろうと思いまして、四十九年度もせっかくこの制度を円滑に進めようと思って努力して、これは別個のシステムとしてやっていくつもりであります。
  146. 神崎敏雄

    ○神崎委員 いま大臣は、非常にスムーズにいって、中小零細企業に善政のようにやっているようにおっしゃったんですが、現状は相当違うんですね。それをひとつ事実をあげて申しますが、これはもうたくさんありますけれども、時間の制約もありますので一、二点の実例だけしか言いませんが、都銀やその他の信用金庫、相互銀行に対して、手形の割引に対するワクあるいはまた金利、こういうものについて大蔵省は何か指導しているんですか。
  147. 米山武政

    ○米山説明員 お答えいたします。  中小向けの金融につきまして一定の率なりあるいは金利を幾らにしろというふうな、そういうはっきりした指導はいたしておりません。ただ、日本銀行の窓口指導等に当たりましても、都市銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫、こういうふうにより中小企業に傾斜しているものにつきましては、都市銀行より地方銀行、地方銀行より相互銀行、相互銀行より信用金庫、こういうふうに窓口規制はゆるくなっておりまして、そういう意味では、中小企業金融のほうが大企業に対するより窓口規制の面からはやや緩和されておる、こういうふうに答えられると思います。(神崎委員「ワク」と呼ぶ)そのワクといいますのが、窓口指導というのは前年同月に比べて、たとえば都市銀行の場合には増加額で見ますと四〇%カットしろ、こういうふうにした場合には、地方銀行はそれよりカット率をやや小さく、相互銀行はさらに小さく、信用金庫の場合にはほとんどカットしないに近いくらい、こういうふうなことで指導しておりますので、中小企業向けのワクが幾らというはっきりしたことは申し上げられませんが、そういう意味ではより緩和された形になっております。
  148. 神崎敏雄

    ○神崎委員 ところが、これはこういう場席ですから名前は言いませんが、まあAというようにしましょう。私の調査の一例を言いますと、このA氏の場合は、これは大阪で相当名の通った一流銀行ですが、二月五日現在九百四十四万八千円の定期と普通預金を持っておるんです。この人たちは、従来は一千万円までのワクを許されておった。ところが、八百七十万円の金が必要なので、その銀行へ手形を割ってもらいにいった。ところが、銀行では二百七十万円しか割らない。これがもう精一ぱいだ、こういうふうに言ったのですね。ところが、この人は八百七十万円必要なので、強くこれに交渉を重ねました。そうしたら六百万円を上積みをしてくれた。しかしながら、その六百万円のうちから百七十万円はすぐ貯金せよ、こういうふうに差し引かれた。そうして、しかも割引金利は一一%である。この手形は、名前を聞かれるんだったら申し上げても、だれでも知っているくらい有名なメーカーの銘柄です。  そこで、このA氏の場合は、従来の実績の割引というものはこういう形に来ているんですね。昨年の九月は五百万円、十月からことしの一月までには四百六十万円。ところが、二月に入ったら二百七十万円。それが最高のワクになった。現在その銀行に貯金が九百四十四万八千円あるのに二百七十万円が最高になっておる。これは最高の割引率だ、こう言うのですね。これでいいのですか。
  149. 米山武政

    ○米山説明員 お答えいたします。  ただいまの例は、私どもから見ますと、これは極端なちょっと感心できないものであると思います。と申しますのは、この貸し付けを行なったときに貯金を強制してはならないということになっております。いわゆる歩積み両建ての整理というのは金融行政の一つの大きな眼目になっておるわけでございまして、貸し出したときに即座に預金を取るというのは即時両建てと申しまして、これは絶対してはいけない、こういう指導をしております。  それから、どうしても担保等の必要で貸したときにその預金を取る場合には、この預金はこういう理由で拘束しているから、これについては引き出せません、ただしその場合には、金利は普通の担保になっている預金金利の〇・二五%以上乗せてはいけません、手数料として、すなわち銀行の手取りになる金利というのは〇・二五%以上乗せてはいけない、そしてその数字は必ず大蔵省に報告しなさい、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、いまのことは、私どもの指導上ではこれはない、こういうことになっておるものでございます。  それからもう一つ、その二百七十万円の貸し出しワクに対して九百四十四万円もの預金を取っている、こういうことですが……(神崎委員「現在あるということです」と呼ぶ)現在ある、こういうことでございますが、この預金は引き出しは自由でございますので、そこを強制しているということはないと思います。
  150. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そちらのほうから歩積み両建ての話が出たんですから、私はそのことについては触れませんが、ただ、それはあなたのおっしゃる極端な例だ、大蔵省はそういう指導はいたしておりませんというところに異議がある。これは巷間もう公然と――あとで何ぼでも実例をあげます。そういうことなら、その銀行は大蔵省の指導に従っておらない、こういうことになる。大蔵省が管理している銀行が大蔵省の言っていることを聞かないような銀行なんです。名前を言いましょう。大阪銀行生野支店。それからこの出している手形は久保田鉄工。あなたはそれを極端な例だ、こういうふうに言われて、あたかも何か私がつくり上げて言っているような答弁をされたから名前を言わざるを得ないことになった。皆さん、よくわかりますね、言うていることが。私は、いまの状態の中で中小零細企業がどのような形で、資材の面で、金融の面で、あらゆる面で今日の状態であるかということを柱に立てて、あらゆる角度からこのことの政府の行政責任、政治責任、この立場に立って質問しているんだから、その点ははっきりととらまえて答弁をしてもらいたい。  さらにもう一つまたあとで例を言いますが、いま言いましたように、下請企業が代金支払い手形を大幅に延長されているのが今日の実態なんです。これはもうちまたにあふれている。そこでもう一つの例は、東京の大田区のある下請企業の話です。これは親会社から、支払いは五万円以上になると四カ月の手形でないと困ると言われた。この人は、下請代金支払遅延等防止法をもっと強化してほしいと訴えてきておるのです。  そこで、公取委員会委員長は差しつかえができたので事務局長が来ておられますね。公取委員会は百二十日から百五十日までは行政指導をする、百五十日から百八十日は行政指導と監査をする、百八十日以上は勧告ということで、この運用のしかたになっておりますね。そこで支払遅延等防止法では、明確に支払い期日を六十日以内ときめているんですね。なおかつ、できる限り短い期間に支払うようにするように明記しておる。この法律は、それなら厳格に守られているのか、運用されておるのか。されておらないことは明白であります。これが今日の実態なんですね。そしてこの独禁法の第一条では、下請事業者利益を保護しなければならぬと明記してある。もし最高の百八十日以上こえたものについてはどのような処置をとるのですか。勧告ということになっているのですが、これは百八十日が二百日になったり、いわゆる台風手形という二百十日になったり、お産手形という十カ月のものになったら、これも勧告でとめるのですか。どういう勧告をされるのか。現実はそうではないという立場から言っているんだが、どういう処置をおとりになりますか。
  151. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 確かに先生おっしゃいましたとおり、私どもではまず親事業所に対して書面調査をいたしまして、あるいはまた下請事業者に対しても調査をいたしまして、その結果、検査対象、つまり立ち入り検査の必要があると認めるものに対しては立ち入り検査をし、支払い遅延あるいは長期手形等がございますれば、勧告あるいは行政指導によってそれを是正させるという措置をとっております。  ただいまおっしゃいました百八十日をこえるというようなものに対しては、これは原則として勧告という措置をとっておりまして、百五十日をこえるものについては、まあ行政指導ということでございます。しかし、勧告に対して従わなければ公表という措置がございますけれども、勧告以上の強い措置というのは、いまのところ、法律の規定にはございません。  それから、下請代金の支払いは給付を受領した日から六十日以内の期間と書いてございますが、手形につきましては、支払い期日までに、つまり六十日、下請代金の支払い期日までに一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付してはいけないという規定がございますので、それほど困難を感じないで容易に割引を受けることができれば、これはやはり法の規定にかなっているんじゃないかというふうに思っております。
  152. 神崎敏雄

    ○神崎委員 勧告にもいろいろありますが、どういう勧告をするんだ。これからそういうことをしてはいけませんよ、やめなさいよと言っても勧告になるし、そういうことをやるんだったら徹底的に何かの措置で、法的なものでやる、それでもいいかということを含んだ言い方も勧告になる。そういうことをよく考えて、これは別の機会にまた聞きます。私は、きょうは独禁法をどう変えてくれということを主点にして質問しているのじゃないのだが、いわゆる中小零細企業が今日どのような状態で生き延びようとしているかということの現実を言って、そして金融の問題でも大臣は非常に楽観的な表現をされておったが、そうではないんだ、現実はこうだということを言っているのです。  もう一つは、こういうときはどうしますかということです。弱電メーカーです。大阪で弱電メーカーの大きなところといったらもうすぐわかるでしょう。これの第二次下請企業の場合ですが、これをB氏ということにしておきましょう。この人は下請をやって仕事をいたしますと、二〇%は現金でくれる。ただし八〇%は手形である。これが百二十日から百四十日間。その八〇%の手形をもし現金でほしければ事前に申し入れてこい、現金でかえてやる、そのかわり総額の、八〇%を一〇〇にした総額、これの四%を割引料として天引きする、このようなことを現在公然とやっているんですね。金がなくて、現金がないから手形にするというなら話はわかる。現金があるから、前もって言ってきたら現金にしてやる。しかし、そのときはいわゆる四%、百万円であったら四万円ですね、天引きしますよ。ところが、中小企業者は現金がなかったらやっていけないから、あとの八〇%を現金にしてほしいために、当然涙をのんで四%の天引き割引を認めてやっているんです。こういう形のやり方は、これはどこの所管が、こういうことをやっちゃいかぬということを監督されたり指導されるのですか。大蔵省ですか、公取ですか、通産省ですか。責任ある責任者が答えてください。
  153. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 いまおっしゃったような場合に、現金で払ってやるから手形で払うときに比べて四%でございますか、低くするというのは、私は、これは下請法第四条の「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずること。」というのに該当するおそれがあるのじゃないかというふうに思っています。
  154. 神崎敏雄

    ○神崎委員 おそれがあった場合どうしますか、これは。
  155. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 調査をいたしまして、それに該当するということであれば措置をとるということでございます。
  156. 神崎敏雄

    ○神崎委員 これもちゃんと実物を持っていますから、ここで発言いたしませんから、必要があったらあとで取りに来てください、見せますから。直ちにこういうことをやらさぬように、そこをとめてください。約束できますか。
  157. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 お約束をいたします。
  158. 神崎敏雄

    ○神崎委員 次に、金融の問題から資材の問題に入りますが、いま中小零細企業にとって大きな問題の一つは、やはり資材の不足と資材の値上がりであります。これはある建築工事の請負業者ですが、建築費は坪当たり一年前には大体十八万円から二十二万円であったものが、今日では二十五万円から三十二万円に高騰し、これで二月を過ぎれば仕事の見通しがない、こうしていま嘆いておる。また、自動消火器装置の取りつけ工事のある業者は、見積もりに基づいて契約しても、着工するまでの二カ月から一年の間に資材が急騰して、ここ一年で負債額がどんどんと急増して、そうして倒産をした。一年間どんどん仕事をやっておったら、その間に資材がどんどんと上がったために、逆に借金がふえて倒産をしているのです。こういうような状態は、非常に幅広い業種にいまあります。これはまた町では多くの人はそのことを承知している現状なんです。だから中小規模の方々が経団連などへ押しかけていって、そうして資材不足の問題は基本的には大商社あるいは大企業の原料買い占めにある、ここに問題があるのだということでいっているのだから、先ほどからの質問もそのとおりで、この間からの予算委員会でもそのとおり、これはもう明々白々となっておるんですね。なぜこういうことが一面起こっておるのか。これはたとえば洗剤パニックのさなかですが、大メーカーは通産当局の行政指導を得て原料を優先的に供給された。ところが、中小洗剤メーカーの中では、原料不足で休業に追い込まれている。しかも重大なことは、通産省の基礎産業局の化学製品課長はどういうことを言っているかといえば、関西で商社トーメンが洗剤原料、トリポリ燐酸ソーダ、これを一手に押えていることに問題があるのだ、こういう発言をしているのですが、それを知っておったら、なぜこの事態を放置しているのだ。したがって当局は、中小零細業者の資材やあるいは原料不足、こうした問題についてほんとうに根本的に解決をはかろうとしておるのかどうか。また、大企業の不当な買い占め、これを規制するということをほんとうに考えておるのか。国会質疑の中では、その責任は感ずるとか、いろいろなことをおっしゃっておりますが、真の原因は、この大企業、大商社のいわゆる原資材の買い占め、売り惜しみ、こういうところから派生しておるということが真の原因であるということであります。それがいわゆる小規模零細企業者に、第一には金融の面、第二には資材の面をいまあげているのですが、このような形でやってきているのです。こういうことについて通産大臣はどう御見解をお持ちになっておるのか、答えていただきたい。
  159. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昨年は倒産件数等を見ますと、四十七年に比べてそれほどひどい数字ではございませんでした。一時的には資材不足あるいは金融等の問題が惹起されましたけれども、年間を通じてみますと、四十七年度と比べて激甚という方向にはいっていなかったのであります。本年一月もその程度で、ややふえている程度で推移しておりますが、二月に入りましてから中小土建業等を中心に倒産等がふえてまいりました。それで、金融面及び資材面においていろいろ配慮しなければならぬ事態に立ち入ったと思っております。この上さらに、よくエコノミストたちが言っておりますけれども、卸売り物価が急落して物の放出がどっと出回ったりすると、倒産関係がまたさらにふえてくるという危険性が将来あり得ると予見しております。そういう意味からも、金融並びに資材、あらゆる面において、また労働省等とも連絡をとって万全の措置をやらなければならぬと思って、大蔵省その他ともいろいろな面でいま相談をしておりまして、そういう事態が出てくれば直ちに発動するように通産省としてはいろいろ手配しておるところでございます。
  160. 神崎敏雄

    ○神崎委員 私の言いたいところは、さきに山下次官が、今日のパニックはいわゆる石油業界に真の根源があるのだ、こういうような形で発表されたことはみな知っているとおり。ここでも、洗剤の場合は、通産省の基礎産業局の化学製品課長がこのことをはっきりと、関西で原料が一手に押えられたからこんなことが起こったんだと言っているんですね。言っていたらなぜやらないのか。犯人はあの人だということがわかっている警察官がなぜつかまえないのか、そこを言っているんです。そうしたら本気でつかまえるのをやろうとしておるのか、あえて見のがしておるのか、こういうことになる。これはまた政治問題的な角度から別に言いますが、そこを言うているのであります。  次に、資材、原料、いわゆる原材料の値上がりの入手難は小規模ほどそのしわ寄せがきつい。これはいままでも言ってきたとおりですが、小規模業者の経営を守るためには金融面だけではなくて、先ほどあげたように、この資材に対してしかるべき対策を私はどうしても講じてもらわなければならぬと思うのです。このことはわが党は前から主張しているのですが、政府は、この資材面に対して今後こうした小規模事業者、いわゆるこの業態に対してどういうような対策考えておられるのか。これは大臣所信表明とも関連があるので聞いているのですが、こういうものについては、どういうふうに対策考えておられるのか。あるいは現在ありますところの現行法で、こういうものをいわゆる保護できるような該当する法律というものがあるのかどうか、この二点について向いたい。
  161. 外山弘

    ○外山政府委員 私の立場で申しますと、いま御指摘がございますように、物の不足のしわというのが、金の不足のしわと同じように中小零細企業にとかくいきがちでございます。したがいまして、昨年の後半からも鋼材あるいはセメントあるいはビニール電線といったようなものにつきましてあっせん所の機能を活用してもらうということを要請してまいりましたし、それから石油につきましても、十二月から小口の消費に対しまして石油製品のあっせん所をつくり、これの円滑な入手のために努力をしてまいりました。こういったことはすべて各物資担当の原局に要請をいたしまして、そうして中小零細企業の立場で少しでも円滑な入手ができるようにといっているわけでございます。今後も事情が一いろいろな副資材等につきましてもそういう問題が起こっておるようでございます。私どもは実情を見た上でできるだけそういった要請を物資担当のところに申し入れまして、そうして実情に促した配慮をしてもらうように努力をしてまいりたい、こう考えております。(神崎委員「該当する法律はないのか」と呼ぶ)あっせん所は、いままでのところのものはすべて行政指導でやったわけでございまして、それを規定する法律は、石油需給適正化法の中にそういう配慮規定がもうけられております。しかし、そのほかには法律上の明文はないというふうに考えます。
  162. 神崎敏雄

    ○神崎委員 遅延等防止法にしても資本金一千万円以上という形で保護され、こういう問題にしても明確な法律上の規定はなく、そして中小企業、零細企業を守るといっているから、私は冒頭に言ったように、これはだめでありますという立場であります。  次に価格です。価格を申し上げますと、小規模企業あるいは小零細小売り商に現在新たなしわ寄せが来ているのです。それはどういうことかといえば、砂糖一キログラムを二百五円で仕入れた。ところが、二月八日以降これを百八十六円で売らなければならない。先ほどもラーメンの語が大臣から出たのですが、ラーメンを五十円で仕入れた。ところが通産省は五十円で売れ。トイレットペーパーは二百八十円で仕入れさせられて、そしていま二百四十円で売らなければならない。一般の人々、消費者はそれでけっこうですよ。ところが、あの上がったときに仕入れて、そうして高いものを仕入れさせられたのですね。ところが、いまは政府のいわゆる標準価格といいますか指導価格で、これ以上売っちゃいけないというたら、こういうかかえている小企業者は一体どうなるのか。通産省の係官は損をしてでも早く売ってしまえ、こういうふうに指導されているんですが、こういう小売り商、小規模事業者に対しては特別の対策を立ててやるのかどうか。あのパニックで高いものを仕入れて、そして高いというて、これで売れということをきめられた。いわゆる石油のときの、あるいはドルのときの差損金あるいは差益金のような性格を持っているんですね。こういうときに、いまも高いものを仕入れて、そして安く売れといわれる。一般消費者の立場はそれでけっこうですよ。私が言うているのは、その高いものを仕入れて、今度安く売れといわれているこの中間業者の差損金は、もうそのいわゆる零細企業者、販売者が全部ひっかぶって、これには何も保護してやらないのですか。ドルのときの差損金は保護されたでしょう。こういうものはもう損をしてでもいいから早いことこの値で売ってしまえ、政府のいうた値で売ってしまえといって、そういう小さな販売者あるいは業者に全部しわ寄せをさすんですか。これには新しい対策を政府は考えておられるのかどうか聞かしてください。時間が迫ってきたから簡単明快にやってください。
  163. 外山弘

    ○外山政府委員 御指摘のように、もしも高い値段で仕入れたものを安く売れということでありましたら、そういったしわが零細企業者には非常に耐えられない問題であろうと思います。もちろん末端価格を指定する以上は、その流通についての正当な配慮をした上でそれぞれの価格がきめられているというふうに私は了解しているわけでございますが、御指摘のような事情があるのかないのか、私どもとしても今後も重要な関心をもって調査をしてまいりたい。そして実際の末端価格をきめたときのきめ方、あるいはそういった点についてそのきめる当事者がその辺も頭に入れて適正な値段をきめるように私どもとしては要望してまいりたい、こう考える次第でございます。
  164. 神崎敏雄

    ○神崎委員 誤解してもらったら困るんですよ。それを守るためにまた販売価格を上げてもらったら困る。私の言うているのは、その中間を言うているのです。問題になっているのは大商社、大企業が不当利得をした。ここから特別に課徴金とかその他で不当利得は徴収せいと今国会新年早々から一貫して言われているんでしょう。先ほどからも繊維の問題ではいろいろな事実的なものを示されて言われたのもそのことでしょう。そこから徴収したもので、そういうものの業者の営業を守る、そうしていまよりも安く下げるようにするということが、その業者と一般消費者と両方守れるという立場に立つんです。そのきめたことが適当であったかどうか。そういうことで業者が困るんだったら、そんならもっと高く売りなさいといえば一般消費者は困るんです。不当利得をやった、こういう結果を生んだ原因、元凶はこれだということは、もういまここで言わぬでもわかっているんでしょう。そこからどうして取るかということをいま問題にしているんでしょう。そういうものについては、金融措置でやったら、金融ですから返さなければならぬ。無利子で貸したところで元金は返さなければならぬ。そうじゃなしに、そういうような被害を受けている小さな業者やら企業者には、大企業を守ったような形で守る特別な制度やら措置考えなさいということを言っている。誤解しないようにしてもらいたい。  次に、いままで言ってきたようなことから見ても、中小企業、小規模企業の置かれておる実態というものはきわめて深刻なんです。特に三月から四月になったら具体的にこのことが露呈してまいります。そこで、四十七年度の中小企業白書では「中小企業問題は小規模企業、とりわけ零細企業問題であるといっても過言ではない。」こう述べられておる。中曽根通産大臣も「とりわけ中小企業の大多数を占める小規模企業施策については、さらに格段の強化をはかる必要があり、」と述べられた。そして四十九年度予算案が全体として縮小している中で、中小企業、小規模企業の予算は大幅に強化したと宣伝をされておる。小規模企業対策が政府の重点の施策であるとも言われておる、その重点施策の中身が聞きたい、現状はこうだと。どうですか。
  165. 外山弘

    ○外山政府委員 今回の中小企業対策は、中身はただいまも御指摘がございましたように、小規模企業対策といったところに量的にも質的にも重点を置いたというふうに私どもも考えております。  一つは、小企業経営改善資金といった金融制度の充実という点でございます。  それからもう一つは、そういったものの背景としての中小企業信用補完制度といったことにつきましても、特別小口制度をはじめとして、そういった保険の限度額を引き上げるというふうなことも同時に考えております  それからさらには中小企業庁の設置法を改正いたしまして、小規模企業に対して特に配慮したような機構を加えまして、そこに重点を置くような、親切な窓口をつくろうというふうなことも考えている次第でございます。  いろいろございますけれども、おもな点はいまのような点に集約できるかと存じます。
  166. 神崎敏雄

    ○神崎委員 大臣、これを含めてあとでまとめて答えてください。  そこで、そういうことが重点かということになるのですが、小規模事業対策推進の中で、経営指導員の人件費の占める比重は四十八年度、四十九年度何%かということを私は質問しようと思って準備しているんですが、またくどくど言われておったら時間がもったいないからこちらから言います。四十八年度は人件費が八三%、四十九年度は七八%だ。あと残りは商工会議所の施設、それからあそこへ行きますときれいなパンフレットが並んでおりますが、それの宣伝費、それから研修費、これは人件費に類似します。それから電子計算機、これが大体の予算の中身であり、結局人件費がほとんどであるということであります。  先ほどから私がるるここで展開し、議論したような問題のところへはいかない。こういう経営指導員は、いまあげたような金融問題とか、原材料問題とか、取引条件の悪化など、大商社、大企業の支配、圧迫、こういうものから経営を守るという点で、そのようなことの経営の指導的役割りを果たせるのか。指導員の指導する中身は記帳だとかいろいろありますが、基本的な問題、新しいお正月から以降の国会でこれだけ問題になっている問題の中でも、なかんずく重点だといわれているこの中身がほとんどこういうものであって、そうして基本的な原因である元凶の大商社、大企業のいわゆる買い占め売り惜しみ、つくられたパニック、いろいろなことがいわれていますが、先ほどから並べているような中小企業被害を救えるような役割りを果たすだけの権能と機能と性格を持ったものですか、この指導員というものは。
  167. 外山弘

    ○外山政府委員 小規模企業対策として私がさっき三点あげましたのは、いずれも一般会計の費用にはそのまま反映しておりませんで、むしろたとえば小企業経営改善資金というのは大部分が財投の金でございますし、それから設置法の改正というのは、特にその小規模企業対策の費用の中には加わっておりません。むしろ御指摘のように、その中に入っているのは経営指導員の大幅な増加という点がかなり大きな部分を占めているかと存じます。  この経営指導員につきましては、いまも御指摘がございましたけれども、小企業に対する経営改善指導と申しますのは、やはり法律に基づいてやっておる事業として、また予算上人件費の補助をしている事業として、私どもとしては小企業対策の中で特に大事な仕事であるというふうに思っておりますし、これがそうであることを十分に果たすためにも経営指導員を質、量ともにその充実を期するということで毎年努力をしてまいったわけでございます。  今回も大幅な増員を予定しておりますが、その増員の反面、その内容も充実できるように、研修等の問題、あるいは小企業に対してよき相談相手になるような指導、こういった点については今後ともますます充実をはかってまいりたい、こう考えている次第でございます。
  168. 神崎敏雄

    ○神崎委員 私の言うているのは、予算の総額だとか、それが財投であるとか一般会計だからとか言うておるのじゃない。こういう人たちをたくさんつくっても、金融問題とか、原材料問題とか、取引条件だとか、いわゆる大企業、大商社の零細企業やら中小企業に対する圧迫、このようなものから中小企業そのものを守り得るような――振興とか育成とかいうのでしょう。そういうことを果たさせるような任務を与えたり権限を与えているのか。そうではございませんでしょう。だから、そういう人たちがたくさんできたところで、根本問題は解決にならないのでしょう。これが経営の不振となってくる現在の主たる要因を解決してくれない。そういうことを認めるのか。ふえることや、いろいろなことを指導するのはいいですよ。それに反対しているわけじゃないのです。しかし、そのことだけで事足れりとして、そのことが中小企業対策の重点だ、重点はこれなんだぞというのは、では、その重点を守れなかったら中小零細企業は守れないですよということを言っているのです。そのことを認めますかどうかと言っているのです。どうです。
  169. 外山弘

    ○外山政府委員 もちろん経営改善指導員があらゆる問題に対して一〇〇%の力を持っているというわけではございません。しかし、小企業者にとって、金融の問題、あるいは税の問題、あるいはいろいろの将来の仕事の展望の問題あるいは経理の公正の問題、いろいろな問題があると思いますが、経営改善指導ということはやはり小企業者にとって基本的に大事なことであり、かつ小企業者が育成され、振興がはかられていくための基礎的な問題だろうと思います。したがいまして、経営改善指導員は小企業振興対策の中でやはり重要な役割りを占めているのだろうと思います。もちろん政府の施策あるいはそのほかの税制上の問題とか、いろいろな問題を含めまして、そういったことがよく活用されることが大事でございますから、経営改善指導員がふえさえすればすべて解決するというわけではございません。私どももいろいろな制度上の改善をしていかなければならないと思いますが、経営改善指導員が重要な役割りを果たすものであるということは変わらない、今後もそういった角度で私どもとしては考えているわけでございます。
  170. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そうすると、その経営指導員なるものはどういう資格を――何か中小企業に対する特別教育を受けて――先ほども繊維の問題で、繊維もわからぬ者が繊維のところへ行ってどうなるのかというような話がありましたように、この中小企業の指導員というのは特別の教育を受けるか、どこか特別の学校を出て、中小企業のイロハは全部知った人が指導するのですか。どういう資格を持った人が指導員になるのですか。
  171. 外山弘

    ○外山政府委員 経営指導員については、もちろんたくさんの指導員がございます。その中には非常にすぐれた人もありましょうし、まず平均的にいろいろ能力の上でも若干の差がある人があるということはわかりますが、指導員の資格として、私どもとしましては経験年数といったことを一つの資格の重要な要件にしておりますし、また指導員になったことにより、新しいいろいろな施策の勉強なり、いろいろな問題点の勉強なりをするための研修というものも一定の時間義務づけておりますし、そういったことと両々相まちまして経営指導員が資格も持ち、また内容もりっぱな人になるということを今後も努力してまいりたいと思っております。  ただ、現在でも五千有余の人がおりますし、そしてその人たちがいろいろな範囲でいろいろな相談にあずかっているわけでございまして、もちろんその中の得意、不得意もあるでしょう。しかし、私どもとしましては、経営指導員の指導資格というものも最低限度確保すると同時に、その研修と育成ということについては今後も努力してまいる、こう考えている次第でございます。
  172. 神崎敏雄

    ○神崎委員 いろいろ言われたけれども、それは私の求めている答弁には当たらないのですね。これから研究していろいろさがされるのでしょうが、たとえばどういう人がそういうことになるのだということになるし、また、経営指導員の指導を受けること、この指導を受けて、そうして商工会議所の推薦を受ける、あるいは商工会の推薦を受けなかったら小企業経営改善資金というものの融資を受けられないわけです。この指導員なるものが中小企業の今日の状態を改善し、好転させ、そしてよみがえらすような万能薬のような能力のあるものなら、なぜこういうような形であらゆる手続や条件を踏まなければ改善資金の融資を受けられないのです。一体それはどういうことなんですか。中小企業、零細企業が金を借りようと思えば、そういうものを全部受けなければならないのでしょうか。
  173. 外山弘

    ○外山政府委員 先ほどから申し上げておりますように経営改善指導、そういった仕事の一環としまして資金需要というものを考えまして、それに結びつけるための小企業経営改善資金というのが発足したわけでございます。したがいまして、その前提となります経営改善指導ということが私としては一番基本的に大事なことであり、それを完全に履行する意味で資金制度がそれに結びつくというふうな運用で今後もやってまいりたい。こう考えておる次第でございます。
  174. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そうすると、通産省は、いわばそういう小さな企業をあらゆる面から守ってやる、あの手この手を使って中小企業、零細企業を守る、小規模企業を守る、このことが重点ですね。どうです、守るのですかつぶすのですか。
  175. 外山弘

    ○外山政府委員 小企業にとりましてやはり経営改善が大事であり、それにつきまする金融が大事であるという判断で、私どもとしては、そういった面から一番大事なことをやることによりまして小企業の人たちのための振興をはかっていきたい、こう考えているわけでございます。
  176. 神崎敏雄

    ○神崎委員 大臣に聞きますが、大臣所信表明で「さらに格段の強化をはかる」というふうに言明をされた。ところが、先ほどからあげているように、大商社、大企業の支配に小規模企業が非常に圧迫されたり、先ほどから聞いておられるようなことになっておるのですが、これに対していわゆる重点的に通産当局は守る、その重点は何に置いておられるのか、重ねて聞かせてください。
  177. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ことしは経済変動の年で、中小企業苦難の年であるという予想を持っておりますから、中小企業対策については大蔵省と直談判をいたして、特に予算面でもいろいろ配慮したものであります。中小企業関係の予算が一千億を突破いたしまして、大体通産省の予算の二一%、去年に比べて二一%増というのはかなり画期的なことであります。それから三機関の融資のワクも昨年に比べて二七%増を配慮してやっておるものであります。それと同時に、零細企業に対する手当てが非常に重要ですから経営改善指導員も一千名ふやしまして、たしか六千百名を突破したと思います。これで各企業の中へ入っていって懇切な指導ができるように、そういう考えに立ってせっかくいま政策を進めておるところでございまして、この景気の波動に伴って苦難を受けられるであろうと予想する中小企業に対して血の通った指導といろいろな資金供給その他をやらせていただく考えで、とくと精励してやらせるつもりであります。
  178. 神崎敏雄

    ○神崎委員 それは所信表明で言われていることとあまり変わらないのですが、その中で起こった今日の現況を先ほどから資金一切、経済面、いわゆる営業面、置かれている立場をそういういろいろな側面から私はここで紹介し、そうして政府に、この点を見てやらなければならぬ、こういうことをほうっておくのは政府の政治責任である、こういう立場から言っているのですが、いまなぜそのことを大臣に重ねて聞いたかといえば、大臣はそうおっしゃるが、通産省はありとあらゆることをやってそういう中小零細企業を守ろうとしていないのですよ。たとえば、これは仙台のある印刷業者ですが、いままで出先の通産局から月に数十万円の注文を受けておった。ところが、紙がないので仕事ができぬようになったのです。そうすると、ここの通産局では、従来ずっとやらせておった印刷業者に紙を回す手だてをしてやるのじゃなしに、その印刷屋から、もう紙がなかったら通産局は仕事をさせないといって大手の印刷所に仕事を回しているのですね。私がここで言いたいのは、ほんとうに中小企業を守ったり、そういう小規模の業者を守るなら、従来ずっと仙台の通産局が印刷を出して毎月数十万円の事業をやらせておったら、お前のところは印刷をする紙がないのか、そうしたらこちらから紙を回してやろうといってやるのが、あっせん所をつくったことでもあり、いろいろなことをやられてきたことなのでしょう。それを一つも手を打たずして、紙のないような印刷所にはもう印刷をやらせないと言うて通産局が大手の印刷屋へ仕事を回しているのです。これで小規模業者を守ってやる、こう大臣はおっしゃるけれども、違うことが仙台の通産局で起こっているのです。これは一体どういうことなんだ。国民は納得しませんよ。何ぼ自民党政府が中小企業の守り手だとか、あるいは小企業対策を強化するとか、いろいろ宣伝されますが、事実がこういうことであって、これを私たちのところへ訴えてきていたらどうするのですか。こういうことが行なわれているのだったら、一般的にも紙のないときは紙の手当てをせなければならぬ、洗剤がなかった洗剤の手当てをしなければならぬ、いわんや通産局が注文して長年やっているところに紙がなくて通産局の注文に応じられないときには手を打って、そこで仕事を続けさせてやっていくのがいままで局長大臣がおっしゃったことでしょう。それを、そこをぶった切って――中曽根さんがよく言われるぶった切って、そうして大企業のところに回して仕事をさせておったら、これは一体どうするのです。
  179. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは考えようにもよるのでして、もし通産局が紙をくめんしてその印刷所でやらせたら、お手盛りでやった、官憲の力を利用して紙を調達させて、自分のほうのいいことをやったと言って共産党にしかられるのじゃないか、そういう場面もやはり考えなければいけない。やはりどういう事情でそういうことが起きたか、これをよく精査する必要があると思うのです。やはり通産局がそういう立場を利用してというようなことを言われることがわれわれ官当局としてはおそれなければならぬことでありまして、商人あるいは製造会社としてはできるだけ自分の努力で紙も集めるし、サービスもよくするし、消費者本位にやってもらう。その場合、通産局は消費者ですからね、官という立場じゃないですね。そういうこともやはり考えてもらわなければいかぬ。あまり過保護にしてだっこにおんぶというやり方も、これは考えなければいけない。やはり正常な努力をして、一生懸命努力して、それでも零細なるがゆえにやりきれぬというものについては、私たちも側面から一生懸命協力申し上げなければならぬと思いますけれども、やはり元来サービスを主とする商売の方は、最大限の努力をしてお客さま本位にやってもらうという精神もまた必要じゃないかと私は思います。
  180. 神崎敏雄

    ○神崎委員 中曽根さんらしくもない苦しい答弁をされたと思うのですが、そこは通産局の直営やら通産局の仕事だけをしているのと違うのですよ。一般の仕事も一緒にやっているのですよ。そこへ通産局が長年一部の仕事をさせているのです。だから、そこの経営を守るということは、通産局の注文しているところを守るということは、これは仙台のことをあげただけですね、仙台の通産局。大阪にもありますし、至るところにあるのですから、そこはそこで、仙台のその印刷所まで注文しませんから。そういう規模の、通産局が注文を出している先でも、こういう目にあっておるという一つの例を言っておるのであって、そういうように答弁されたら一般で言うへ理屈とか苦しまぎれのなにやらとか言いまして、それはちょっと通らないと私は思います。だから、そういうことではなしに、通産局が注文しておるようなところでもこういうような目にあっておる。それなら、一番目に見えた、血の通った、手の届いたところで、そういうことになっておるのだから、調査せぬでもすぐわかっているのですね。そういう印刷所がそういう目にあっていると思うなら、そういう業態の、そういうレベルの印刷屋全部に紙を回すようことをざあっとやってやるようなことをやるために、通産局が出先にあって目を光らせて、それからあっせんもするのでしょう。だから、そういうことを言っているのであって、何も通産局がやっているものだけをやればそういうことを言われるというように言われるのは、私は違うと思うのです。  せっかく経企の内田さん来られているので、内田さんに伺います。  内田さん、現在のこの物価高とか、あるいは石油がない、こういうことについては、政府に責任があると思っていらっしゃるか、思っておらないか、ここらは一体だれにその責任があるのでしょうかね、具体的に端的に言って。これをひとつ聞かしてください。
  181. 内田常雄

    ○内田国務大臣 いろいろ言い方はございましょうが、私はそれはやはり政府の政治的な広い意味の責任があるのだ、だから政府はこの問題の処理を政治上の大きな課題として取り組むべきであると私は考えます。
  182. 神崎敏雄

    ○神崎委員 政府に責任がある、こういうことですね。  いま言われた広い意味でということは、その広い意味でというところに問題があるのですが、その広い意味の中身を教えてください。
  183. 内田常雄

    ○内田国務大臣 一億国民の生活を守り、また将来の産業経済の構造を設定をいたしてまいるのが政府の役目だと考えますので、そういう意味におきまして、私は、この問題は、物価の騰貴というものは、政府の大きな政治的課題として責任を持って処理すべきだということを申し上げておる。  具体的に、先ほど聞いておりましたが、仙台の通産局の仕事の発注にかかわるような具体的な問題とはおのずから別の問題でございます。
  184. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そうすると、石油の入らなかったことも、あるいはいま物の――政治もそうですが、物の高いのも、あなたの言われる広い意味では政府の責任ですね。
  185. 内田常雄

    ○内田国務大臣 神崎さんのおっしゃり方には、そう念を押しておいてあとでいろいろ出てくるようでありますが、しかし、電信柱が高いのも郵便ポストが赤いのも政府の責任だ、そういうわけではなしに、電気通信事業を盛んにしたり、あるいは郵政に停滞がないようにすることは、まさに私は政府の責任であると考えます。
  186. 神崎敏雄

    ○神崎委員 私は、電信柱が高いのも郵便ポストの赤いのも政府の責任などというような、そんなスケールの問題を質問しようと思ってない。  これは政府のいわゆる総理府のパンフレットですね。総理府が編集して大蔵省で印刷をしている。大蔵省印刷局発行ですからね。これの二月一日号で、あなたは毎日新聞編集局顧問の松岡英夫さんと対談をされているのですね。覚えていらっしゃいますね。「これからの暮らしを語る」というこの中で、あなたは、「国民をしあわせにするための政府ですから、事態は違っておっても政府が全責任を持って国民の生活を安定させる、」こう言われている。「何といっても失業とか倒産というものが進行しないようにするということは、当然の政府の責任だと思っていますから、国民にお説教したりご協力だけ願って、政府として事足りるというつもりは毛頭ない。政府はこうやるべきだということは、どうぞひとつ、どんどんおっしゃってください。」こうおっしゃっている。ここまでは、いま私が読み上げたところだけは、私も同感ですよ。そのとおりだと思う。内田さんのところへはどんどん言うていかなければいかぬな、こう思って読んでおった。このどんどん言うていくのは、電信柱が高いのも郵便ポストの赤いのもおまえのところの責任やというようなことを言うていこうと思ってないのですよ。もっと基本的なことなんですがね。  その中で私が問題にあげたいのは、この本の、――もしいまお持ちになってなかったらお帰りになって、ごらんなさい。十一ページのちょうどまん中で「物価が高いのも石油が入ってこないのも、みな政府が悪いというようなことを言う特殊の人々もおります。」と言うている。国民の中で特殊の人々というのは一体どういう人々かということを説明をしてもらいたい。
  187. 内田常雄

    ○内田国務大臣 私は逃げも隠れもしないで、物価が高いことも、国民生活が圧迫されるのも、これを解決するのが政府の政治的課題であると心得て、大いに努力をいたすつもりでありますが、いま神崎さんのお読みになった、つまり私が話したことでございましょうが、そういう一部の人々があったとすれば、それはやはりその人々は、私がいま申したような政府が政治的の課題として取り組んでおりますことを正しく理解してくれていない人々である、まあこういう意味でございまして、そういう人々のことをそこで言う一部の人々、こういうわけでございます。
  188. 神崎敏雄

    ○神崎委員 一部の人々がと言わないのです。特殊の人々と言うのですね。一億国民の中で特殊の人々なんてどんな人々かと思ってずいぶん考えるのですが、石油の入らないことやら物価の上がることは政府の責任である、これからよくするからどんどんと言うてきてくれ、私は引き受けると前で言うているんだ。だから先ほど言ったように、この点では同感だ。ところが、最後になってくると、石油の入ってこないことも、物が上がったということも、みんな政府が悪いというようなことを言うのは特殊の人々だけやと言う。このいわゆる思想的根源というか、あなたのものの考え方というか、いやしくも大臣国民に向かって言うべきことなのか、特殊の人々と。私は全力を尽くしておりますけれども、一部の人々ではまだ御理解が深まっておりませんとか言うならわかりますけれども、こういうことを何でもかんでも政府が悪いというようなことを言うのは特殊の人々だ。これは普通の本屋で売っておる本じゃないから訂正しておいたほうがいいか、私は、これ一ぺん変えさしたほうがいいと思うのですが、大臣、これ何か変えさすか、言い直すかしませんか、特殊の人々、国民の中におる特殊の人々。
  189. 内田常雄

    ○内田国務大臣 その意味は、私がいまここで述べましたような、まあ言い方の問題でございましょうけれども、ことさらにすべてを政府の責任だということだけに持ってきて、そしてまた政府のあり方を理解しないような一部の人々と、こういう意味に御理解をいただきとうございます。
  190. 神崎敏雄

    ○神崎委員 訂正しますか。
  191. 内田常雄

    ○内田国務大臣 いま私がここで申し上げているとおりでございます。
  192. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そのことは、このことを訂正したというふうに理解していいですね。
  193. 内田常雄

    ○内田国務大臣 その文章やそのページを刷りかえるというようなこととは別にいたしまして、私がここであなたと問答をいたしておりましたように、ことさらに政府だけに問題をなじるようなそういう一部の人々、こういうふうに解釈をしていただくように、ここで私が訂正といいますか、ことばを尽くしておきたいと思いますので、御了解をいただきとうございます。
  194. 濱野清吾

    濱野委員長 松尾信人君。
  195. 松尾信人

    ○松尾委員 最初に、通産大臣所信表明につきまして逐次質疑を重ねたいと思います。  まず大臣は、基本的態度といたしまして「戦後これまでに経験したことのない困難な事態」というようにおっしゃっておるわけでありますけれども、これはどういう事態をさしておるのかということであります。
  196. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石油危機という未曽有の事態が起きまして、世界じゅうがこの前途がどういうふうになるか、かたずをのんで見守っているという非常にむずかしい外部的要件がここで発生いたしました。加うるに、国内におきましては物価騰貴の現象が出てきておりまして、この間に非常なアンバランスが生まれつつあります。そして一つの基礎をなす石油の価格というものが、まだ世界的に安定しておりません。これがどういうふうに将来あおられて動いていくものかということによって、各自の生計やあるいは企業の基礎自体が立たないという状況であります。であります上に、石油の支払い代金が膨大な額にのぼって、国際収支の上においても警戒を要するような事態が出てきております。このような事態は、日本経済としても未曽有の事態で、私は、明治以来いまだかつてない重大な事態で、よく昭和二年の金融恐慌といわれますけれども、あのときよりもはるかに複雑なむずかしい問題をはらんでいる事態であると考えております。
  197. 松尾信人

    ○松尾委員 そのような認識のもとに、今度は「新たなる国民的連帯」というようにおっしゃっているわけでありますが、まことにこれはごもっともだと思います。しかし、この「新たなる国民的連帯」ということは、大臣の頭でどのような構想を持っていらっしゃるのですか。
  198. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本が三十年間、敗戦の焦土の上から立ち上がって、今日まで経済的にも成長し、国民的にも統一を保持してきたということは、それなりのいいところがあり、国民的自覚があったからであるだろうと思います。しかし、今日石油のこういう問題が出まして、一部の大企業においては不徳の仕事をいたすというものも現出しておる。また、流通段階においては、一次問屋、二次問屋において物を滞留させて便乗値上げをたくらんでおるのではないかという誤解あるいは猜疑心が国民の間にも広がってきておる。また、労使の間におきましてもいろいろ問題がございます。そういう意味において、国民的亀裂が経済問題等を中、心にして発生しかけているというのが現代であります。  これを直す方法は何であるかと考えますと、いろいろなほかの要素もございますけれども、われわれ為政者として考えなきゃならぬものは、正直者がばかを見ない、お国のため、みんなのために一生懸命やる者は報いられるのだ、そういう単純明快なことを国民の目の前にお示しして、そうしてみんなでもう一回ユニティを回復しなければいかぬという、日本的なコミュニティというものを、ある意味において民主的なりっぱなコミュニティを回復してやらなきゃならぬ、そういう大事な時期にある、そう考えておるわけであります。
  199. 松尾信人

    ○松尾委員 そのように思います。結局産業界、金融界またあらゆる流通段階、消費者、そういうものを含めて、すべての国民の深い理解と協力というものがやはり土台にならなければならないと思いますけれども、残念ながら現実はどうか。これは産業界がいろいろのことをやって、そしていま超過利潤の問題、また証人喚問の問題、いろいろそのように起こっておるということは、このような大臣国民的連帯からいえば、現実はうんとかけ離れておるわけであります。でありますから、中小企業なり消費者というものは、どうも信用ならぬということでそれぞれ防衛的なことをやっていきまするし、現実の原材料不足だとかいろいろな問題で、これは大臣の期待に反しました、要するにかけ離れておる、これが実態じゃないかと私は思うのでありますけれども、そのような点から、今後は、現状と、そして国民的な理解、協調というものを調整して、大臣の言われる方向にきちっと持っていかなくてはとてもこれは望めない、こう思うのでありますけれども、いかがですか。
  200. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 現実事態は、われわれのそのような理念にもかかわらずいろいろな摩擦が起きておりまして、それはわれわれの政治や行政の不行き届きのところから来ている要素もだいぶありまして、まことにじくじたるものがあります。しかし、そういう理念をもってできるだけ手を差し伸べて、社会的公平、社会的均衡を保持しなければならない。政治かそういう強い立場を失ったら、国民は支離滅裂する以外にはない。そういう重大な局面にあるということを強く認識いたしまして推進していきたいと思っております。
  201. 松尾信人

    ○松尾委員 じゃ、しっかりやっていただきます。  次には、「物価の安定と需給の円滑化」ということをおっしゃっておるわけでありますけれども、この中で、先ほどもお答えがありましたけれども、まず物資のあっせんの問題でございます。これは非常に切実な問題でございまして、中小企業の原材料、このようなものは国民生活に直結しているわけであります。でありますからドル・ショック、いろいろ前回は、このようなときには法律を制定いたされまして中小企業対策が一応確立されておったわけでありますけれども、今回のこの石油危機、それに伴ういろいろのショック、この面におきまして特に中小企業考えますると、いま問題になっておりますのは、所要とする原材料がどんどん値段がはね上がったということであります。それから原材料が手に入りにくくなったということであります。このようなことでありまするので、これはもう少ししっかり考えていきませんと、いま大臣のおっしゃったこと、そういうことからいいましても、現実に困っておるこの中小企業の原材料の問題、それに対して資金手当ての問題、それから原材料の価格の安定の問題、この三つの点は、何としてもこの石油危機ショックから中小企業を守る三つの大きな要素だと思うのでありますけれども、大臣のお考えはいかがですか。
  202. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まことに同感に存じます。  そこで、まず原材料の問題では昨年の四月以降セメント、小棒、鋼材、塩ビ電線、塩ビパイプ、紙、板紙並びに石油製品についてあっせん所を開設してまいりました。いままでのあっせん実績は約三十四万件でありまして、これらはいずれも小口需要を中心にしてかなり需給の円滑化に貢献したものと考えております。  資金の面につきましては、去年のドル・ショック、それから昨年起こりました水銀の問題に関する緊急融資、それから年末に約三千四百億円の特別の融資を三機関を通じてやりましたが、ことしは予算でも、例の小規模経営改善零細融資を約千二百億円のワクを設けましたし、そのためにまた経営指導員を一千名もふやす、そういうような措置も講じ、また今後出てくるいろいろな事態に備えまして政府関係機関の融資のワクをふやそうという大蔵省ともいろいろ準備をしておるところでございます。  ことしは、ともかく中小企業にとりましては非常に試練の年であるとも考えますので、われわれは万全の措置を講じて即時受け入れ体制をつくっておかなければならぬと考えております。
  203. 松尾信人

    ○松尾委員 いまお話がありましたけれども、これは現実の問題でありますが、昨年の十二月であります。九州に大川というところがあります。家具の生産地でありまして、これは日本でも有名なる家具の生産地であります。人口約五万。その市の人々はほとんどが家具とその関連というものによって生活しているわけでありますが、ここにおきまして接着剤と塗料が非常に何倍も値段が上がりまして、おまけに物が入ってこない。このような事態になりまして、ベニヤ板もうんと上がる。調べてみると、倉庫とか港頭には相当その当時あったのでありますけれども、連合会等が隠しまして出てこない。そういうことで現地で大会が開かれまして代表が三名上京してきました。われわれ中に入りまして、中小企業庁または通産省の原局といろいろ折衝を重ねまして帰った。帰ってまた現地でそのような報告会を開いた模様でありますけれども、何かその後まあまあというところまで行っておる。このような事態の解決がなければ約五十億の不渡り手形を出しまして、大川全市が大きな問題になるところであったのです。これは一つの例であります。  いま大臣は、このような物資あっせんにつきましていろいろやっておるというお答えでありますけれども、いまおっしゃった中で、現在あっせん相談所というものがどのくらい活用されておるのか、現在活用されておるのはどれか、こういうことでありますけれども、これは大臣でなくてけっこうですから、はっきり教えてください。
  204. 森口八郎

    ○森口政府委員 現在あっせん所で一番活動いたしておりますのは、現下の状況にかんがみまして石油製品でございます。鋼材、小棒等につきましては現在はあまりあっせん活動を行なっておりません。なお、石油製品につきましては、袋詰めのセメントのあっせん活動を活発に行なっております。  念のために申し上げますと、石油製品のあっせん件数は四十九年の一月末までに十六万五千件でございますし、セメントは五万九千五百十五件でございます。おもなものはこの二点でございます。
  205. 松尾信人

    ○松尾委員 いま石油製品に対するあっせんの問題をお答えになりましたけれども、それでは石油の問題に入ります。  灯油、軽油、A、B重油、これは最高一件当たり二キロリッター、C重油が十キロリッターまでというふうになって、十二月分の総量としては二十五万キロリッターの一応配分割り当てなんであります。この二十五万キロリッターというのは、石油製品出荷量のわずか一%にすぎない。このようなことで、数量は一応別にいたしましても、このあっせんのやり方でありますけれども、都道府県の石油商業組合、窓口といたしましては都道府県、通産局、商工会、これは単なる窓口でありまして、書類を受け付ける、そうしていろいろ協議会等にはかりまして証明書を交付する、こういうものであります。ですから、まずそこに、いま十六万五千件等とおっしゃいましたけれども、そのようなものが参りますと、あっせん協議会でやる。あっせん協議会のメンバーというのは元売り会社、販売業者、あっせん相談所の所長、こういうもので構成されております。そこでよかろうということになりますと、証明書の交付になりまして、あっせんの指定店に行く、これは元売りの系列会社に入っていくわけであります。そうしてここで品物を出すわけであります。  それで十二月-一月のあっせん状況はどうかということでありますけれども、これは総体的にいままでの累計がここにきておるわけであります。ですから、一応はその累計で話を進めてまいりますけれども、現実にこのあっせんの申し込みの締め切りの問題であります。これは東京は一月の十二日、神奈川は一月の十日、千葉が一月の十二日、埼玉が一月の十日、近県だけを調べたわけであります。それから協議会というものが次に開催されるのでありますが、これが東京が一月の十八日、神奈川が十六日、千葉も十六日でありました。そしてよろしいということで証明書の交付になるわけでございますけれども、これが協議会開催日から延びまして、大体一月の下旬、二十日前後にきまりますね。そしてそろそろ二十四、五日ごろから現物を取りにくるわけです。  こういうことでありまして、あっせんの申し込みというものからこの製品の供給というものまでの間に相当の時間的な間がある。それはさておいても、この一月分の申し込みにつきまして月末になってきまる。そこで取りにいかなくちゃいけない。そして時期を失する、入手できないというようなうらみもあるわけですね。それで、このようなことは結局あっせんというものがずれてきておる。それで買えなくて、これはもう月末取り残されてはいけないというわけでみんながごたごたしておるわけでございますけれども、こういう方法を考えていくことは必要じゃないかというのが第一点ですよ。  それから、あっせん料の問題であります。手数料を取ります。これもあっせん所の自主的判断で実費程度である。このくらい取ってよろしい、このような指導になっておるわけでありますけれども、大体事務費として五百円ぐらい取られておる。  一応これをおくといたしましても、今度は製品のあっせん価格でありますけれども、この点はどうですか。現実の市場価格とあっせん価格、そういうものについてお調べになったことがあるのかどうか、違っておればどれくらい違っておるのか。すべてこれは現金店頭渡しになっております。  以上三点申し上げましたけれども、担当のほうではどのような回答が出ますか。
  206. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  あっせん相談所は昨年の十二月十七日から石油製品につきまして開設いたしまして、先生指摘のとおり、まず第一の手続面で申し込みから実際の玉が回るまでにたいへん時間がかかる問題につきましては、私のほうもできるだけ早くこの処理を行なうよう今後努力をいたしたいと存じます。ただ、問題点が一つございますのは、従来の石油をもらっておりました流通経路との関係がございまして、もよりの、あるいは従来の取引店との関連等の問題もございまして、あっせんの協議会において議論いたしました結論を、当該者、需要者のほうに渡すまでの間の流通経路の問題がからむものですから若干時間がかかっておる点がございますが、この点は今後さらに一段と改善をして迅速化につとめたいと存じております。  それから価格の問題でございますが、私どもとしましては、これに乗せていわゆる便乗値上げというのがいやしくも行なわれては困るということで、できるならば一般市価で入るよりは安く、こういうふうに考えておるわけでございますが、通常適正な価格、市価の一般の値段よりは著しく高まるようなことがないようにと、こういう点は十分注意して行なっておるつもりでございます。  手数料の問題につきましては、事務経費等がかかりますので、若干の手数料を徴収をいたしておるわけでございますが、本件につきましては、もう少し事務手続のなれが出てまいりますれば今後さらに改善する余地が十分あるだろうと考えております。
  207. 松尾信人

    ○松尾委員 あっせん価格の問題でありますけれども、いま市場価格よりも高くならないようにというお答えでありますけれども、現実をお調べになったことがありますか。市場価格とあっせん価格、いかがです。
  208. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 実際の価格につきまして網羅的にまとめた資料はとっておりません。しかしながら、私どもとしましては、昨年の開設時におきまして、当時需給が非常に逼迫しておりました状況から、当初は通常の市価自身がかなり十一月から十二月にかけまして上がった時期でございますので、あるいは一部には高いのもあったかもしれないと存じますが、冒頭申し上げましたように、この価格につきましてはあっせん所を通じての販売でございますので、適正な値段でということを十分徹底さしておるつもりでございます。今後問題の点がございますれば直ちに改善をするよう努力いたしたいと存じます。
  209. 松尾信人

    ○松尾委員 これは実態を調べなくては、あなたのお答えは少しも地に足がついたものではないですね。おまけにあっせん価格というものは店頭渡しでありますから別に配送料が要るわけです。市場価格というのは大体こちらの持ち込みですからそういうものも要らない。私のほうでは、この市場価格とあっせん価格というものを調べたものがあります。現実は違っておるのです。あっせん価格のほうが高くなっておる。こういうことは、もうあとは追及いたしませんから、あなたのほうで力を入れているあっせん相談所で力を入れて、現実に件数が多いのは石油製品だとおっしゃっておるわけでありますから、これをきちっと生かしていかないことには――物価抑制のためと大臣がおっしゃって、その中でこのあっせん相談所のことをきちっと言っておるわけです。  それで、その中でどういうものがやっているのかといえばこういうものがいま中心だ、石油製品だ、それを石油製品のあっせん相談の問題を私が言いましても、現実はよくおわかりにならぬ。そして価格の点もおわかりにならない。おまけに、ある県では、申し込んだ、そして答えが出たというのでありますけれども、四十何%の人々が現実にはその品物を取りに来ないというのですね。これは実態調査があります。せっかく手数料も払って、そしていよいよの段階になってなぜ取りに来ないのかということがありますけれども、ここにいろいろの伏在した問題があるということは認識されなければいけないのです。もうこれ以上言うと次の問題に入れませんので、一応あなたに対してはこのくらいにいたしますけれども、今後ともしっかりやっていきませんと、一番目玉商品のあっせんがこのような実態である。それですから、しっかりやっていきますか。私の言ったことを含めて、一言だけおっしゃい。
  210. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 ただいま御指摘いただきました点につきましては、今後十分改善の措置を講じたいと存じます。
  211. 松尾信人

    ○松尾委員 大臣もおっしゃっているこのあっせん相談所の問題でありますけれども、現実にはいまお聞きのとおりでありまして、あまり機能を発揮していない。そうしますと、期待というものが相当はずれておるということであります。いま中小企業が一番困っておるのは原材料なんです。それが上がって、おまけに手に入らないという問題。そこにはいろいろな品物があります。先ほど大川の問題を言うたのは、そこにはボンドと塗料があるということです。それからいま久留米がすりでも、これは伝統工芸品、いろいろなふうになってまいりますけれども、色をつける顔料というものがない、非常に上がっている。これはもう非常に重大問題でありまするので、この石油ショックに対する政府の施策というものを、ひとつすべての中小企業の原材料についてもう少し勉強されまして、そしてそれぞれ地方にある中小企業の団体というものは、東京に中央会がありますが、そういうところで問題を一ぱいかかえておってどこへ行ったらよかろうかと、ただ油だったらこういうものしかありませんから、その他の物資で非常に困ったものが一ぱいあるわけであります。でありますから、これはもう少し考えて広げる。そしてほんとうに困っているものを取り上げる。その苦情処理を広げて取り上げていくという苦情処理機関というものをもう一つあっせん所の上に、下請にまかせっぱなしではなくて、中小企業庁なり通産省なりでぱちっとひとつ固めて、業界の代表というものとタイアップしながら、あっせんの品目をふやし、そこであっせんの実効をあげ、そして資金に困っておる者は助けてあげるというようにやっていかれることが私は一番大事である、このように思うのであります。いかがですか、大臣
  212. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 お説のように、その人たちの身になってみますと資材、それから金融、そういう面でとほうにくれる、どうしていいかわからない、そういう方々が多いと思います。これからは特にそういう必要性を感じまして、これは通産局ごとにこまかい指導をするようにこちらからも監督いたします。特にいまお示しのような資材面の問題というものはこれからも重要な位置を占めると思いまして、先般来これは需給懇談会というものをやりまして、それはかなりその当座、去年の八月ごろは有効でございました。それをさらにこまかく、きめのこまかい指導のしかたでやっていきたいと思っております。
  213. 松尾信人

    ○松尾委員 そこで要望でありますけれども、地方通産局単位でもけっこうでありますけれども、やはりこれは全国的な問題としましてもう一つ上の段階でとらまえて、そして地方通産局と、そしてそのような個々の中小企業の団体、困っておる人の原材料の確保というほうにすうっと一本はっきり筋を通していかれるようにと、このように、これはそのとおりやろうというお考えのようでありますけれども、念を押しておきます。  それから次は、大臣は、「買い占め、売り惜しみ、便乗値上げ、その他不公正な価格形成に走ることのないよう厳に自粛を求めるとともに、政府としても必要に応じ関係法律の厳格な運用を行なっていく所存であります。」というようにおっしゃっているわけであります。でありますから、この点につきましてはいろいろ私たちも政府にも提案いたしておりまするし、実態を申し上げておるわけでありますが、この不況カルテルに入る前に、先般二月の十三日でありましたけれども、大臣に再販の関係商品の実態調査を差し上げました。同時に、このような申し入れをしたわけであります。化粧品、薬品、洗剤、石けんの再販の指定品が四十八年の十月一日以降、ついに八百八十品目というものがメーカー側によって取り下げられたのであります。そしてその結果は、はなはだしい値上げというものになりました。それで、このように調べまして、化粧品の再販取り消し後に値上げされたものについて、通産大臣はすみやかに調査して、メーカーに値下げ指示をすべきである、また再販指定品以外の化粧品についても、値上げが激しいので同様指示すべきである、このように申し入れをしたわけであります。  そして内容といたしましては、この化粧品につきまして再販取り下げ後に値下げしたもの十二社、五十五品目であります。二割以下の値上げはありません。五十五品目の中で二割から五割のものが二十三品目、五割から七割までのものが三十品目、七割から十割というものが二品目ありまして、これが合計五十五、このようになるわけであります。それから再販製品の製造を中止して新製品として値上げした分、これが二社。十二社もこの二社も、はっきり会社名もあげてあります。そして品種は十二種、値上げの幅がそれぞれここに二五%から一〇〇%まで、片方の店は三三%から一〇〇%までと、このように上げておる、こういうことを申し上げておるわけでありまして、この再販制度というものを不景気のときには利用するだけ利用しておいて、再販制度をやめたらもう値段がかってに上げられるんだという時期にくれば再販制度からもうはずれていく、このようなことをやっておる。これは非常に不公正であります。これは公取としても何ともできない問題であるかどうか、このように思うのでありますが、せめて、まずこのような実態調査に基づきまして、二月十三日の申し入れに対して大臣措置をとっておられたと思うのでありますけれども、そういう措置をどのようにおとりになったのかということが一点。  それから、大臣のそのように指示された措置でありますけれども、それが末端価格までどのようにして及んでくるのか、現実に末端価格というものが大臣の指示されたほうにきちっと出てくるのはいつだ、このようにわれわれは期待しておるわけでありますけれども、いかがですか。
  214. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先般公明党の竹入委員長名の申し入れ書を松尾委員、黒柳先生等からいただきまして、いまの化粧品、歯みがき、石けん等の再販取り消し、それに伴う便乗値上げと思われる値上げの問題について処理をしろという御要請を受けまして、さっそく関係会社の社長を呼び出しましてその案件を調査し、またその内容を追及いたしまして、実態をきわめまして引き下げを行政指導いたしました。  それで、大体われわれのほうの言い分を認め、かつわれわれの行政指導に従いまして、再販のいまの問題については今後は大いに自粛をいたしますし、将来、値上げの問題につきましては、当局の指導に従って慎重にやります、そういう答弁を得て実行したところでございます。その中でも、実はあの再販取り下げ及び値上げをやったのは中堅の数社でありまして、大手と思われる資生堂その他がいままでやっていなかったのでちょっと安心していた向きがあるのでございますが、大手の資生堂その他もいわばモデルチェンジみたいに新製品を出すということによって値上げ考えていたのではないかという御示唆もありまして、その点も強く会社に対して警告を発して、これもそういうことをやらない、やりません、そういう答弁を得まして、そのとおり実行さしておるところでございます。  それで、将来にわたりましても再販を取り下げて値を上げるということは、消費者に対する非常な背信行為である。いまおっしゃいましたように、値くずれを防止するというところは適当に利用しておいて、上げるというときになったらさっさと弊履のごとく捨てる。これは全く公取というものを利用しているにすぎない。そういう精神は断じていかぬ。そういう考えも徹底いたしまして、そのような考え方に立って当局の指導に従う、こういうことでございました。さっそく指示いたしまして励行させておりますので、各会社会社ごとにその値下げの通知は小売店にまでもう行っていると思います。この点は今後も監視してまいるつもりでございます。
  215. 松尾信人

    ○松尾委員 いま小売り店まで大臣の指示、勧告というものが徹底するだろう、このようなお答えで期待して、われわれの実態調査というものが役に立った、よかったな、このように思うわけであります。きちっと末端の小売り価格まで、いまおっしゃったように早くなるように推進していくように今後ともにお願いをしておきます。  それから、新製品の問題でありますけれども、これははたして新製品であるかどうか。従来のものを製造中止した、新しい製品でございます。こういう認定の問題でありますけれども、これはいろいろ、厚生省なんかが中心かもしれませんが、公取、いかがですか。化粧品だとか薬品、これがそれぞれ新製品だというと、旧製品と新製品、この判定ですね。そういうものに対しては大体どういうことをやっておるのか、こういうことでありまして、何をもって新製品として認定していくか、こういうことまで見ていらっしゃるかどうか。見るとすれば、どこがどういうふうに見ていくのか、こういうことを答えてください。
  216. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 新製品というふうに称しまして、実際中身は、旧製品、製造中止した商品と変わりないようなものを出しているという例が見受けられます。私どもは、やはり新製品につきましても、再販商品は値上げについて、これは実質的にそれが旧製品と同じであれば、旧製品の値上げと同様にチェックをしていく、合理的な理由がなければ値上げを認めないというふうにしておりますが新製品であるかどうかを見るためには、やはり成分表とか原価、それから私どもだけで手が回りかねますところは厚生省とか関係各省の意見も聞きましてこれは厳重に見ていきたい、チェックをしていきたいというふうに考えております。
  217. 松尾信人

    ○松尾委員 お答えはわかりましたけれども、現実に新製品だ、このように出てくるわけでありますが、それを識別していく、そういうことをやっていらっしゃるのですか。そうしてこれはおかしいな、これはもう旧製品の在庫じゃないかとか、またはちょっと香料をどうしたとか、あるいは容量を変えて値段を上げているのが普通でありますけれども、この新製品の名前がおかしいのですよ。これは明色アストリンゼンと言っておったのが旧です。新製品というのはそれにスペシャルとつけました。名前がスペシャルになりまして中もスペシャルか、こういうことでありますけれども、その中のスペシャルをあなたのほうでやりましたか。ソフトの乳液、これも新製品はスペシャルとついております。そのようにして、あるメーカーはスペシャル、スペシャルで六つのスペシャルを新製品として売っておるわけでありますが、こういうものは、あなたのほうでどのようにやっていらっしゃるか。まず現実と、それが不十分であれば今後どうしていこうというそのやり方まで聞いておきましょう。
  218. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 確かにいま先生がおっしゃいましたように、旧製品の名前に新とかニューとかいろいろな名前をつけまして、実体的には同じものを売っているという例はございます。  それで、その調べ方でございますが、これは原価構成あるいは成分表というものをとりまして、こちらだけでわからないときは、先ほど申し上げましたように関係各省の意見を聞いて、現在までに、いま正確な数は覚えておりませんが、実質的にはこれは旧製品と同じじゃないかということで指摘をしまして、これは正当な値上げ理由がないということで値上げ幅を押えた、旧製品並みにしろというふうに指導した例はございます。今後もこれは名前にとらわれず中身のほうをこちらで十分に監視、検査をいたしまして、自分でできないところはほかに頼むというようなことで厳重に監視を続けていきたいというふうに考えております。
  219. 松尾信人

    ○松尾委員 公取委員長のほうにもこの実態調査を差し上げてあります。そして製造を中止して、今度は新製品だと言うたメーカーと品種も差し上げてあります。こういうものについてはまだあなたのほうではできていないと思うのでありますけれども、しっかりやっていかれるかどうか。いまおっしゃったことをやっていく。いつもあとから追っかけるものですから、向こうは所期の目的を果たしましてもうかるだけもうかっている。あとで公取が調べて文句を言う。それも資料が入ればいいですけれども、資料が入らなければいつまでも文句を言う機会がない、こういうことになっておるわけでありますから、これ以上もう追及いたしませんけれども、せっかくの実態調査であります。不公正な取引であるということはいま通産大臣もおっしゃった。そのとおりです。こういうものをなくしませんと、結局この社会的な連帯ということをせっかく大臣が言っておりましても、連帯どころじゃなくて、消費者だとかそういうものはどんどん離れていくんだ、不信というものが増すんだ、それをきちっと取り戻すのが公取のこういう部門である、こういうことを申し上げておるわけでありますから、これはしっかりやっていただきたいと思います。
  220. 吉田文剛

    ○吉田(文)政府委員 御趣旨に沿いまして今後ともしっかりやっていきたい。先生のほうからいただいておりますいろんな消費新製品につきましては、至急全部調べるようにいたしたいと思います。
  221. 松尾信人

    ○松尾委員 基本的に私が一番疑問に思いまするのは、ドイツではことしの一月一日から出版物等を残しただけですべて再販をやめたわけであります。公取委員長もいろいろのことから、日本もドイツに準じてそういうものの制度を全部やめていくんだ、このようなお答えであります。どうもいまごろ全部やめる、出版物を残すということですが、ドイツのほうは一月一日にやめまして、電気製品等は一部値下がりが出ている、実効があがっている、このように私は聞いております。ところが日本のほうは、値段をどんどん上げるために再販からはずれていっている。おまけにすべてをはずしてまいるというようなことになりますると、いまの実態からいえば野放しにどんどん値段が上がっていく、公取の監視網からはずれていく、このようなことを私心配するわけであります。  ですからドイツのあり方ですね、これを見てひとつ反省されまして、そしてはずれた以上は少なくとも一般物価がこういうものについては下がっていくんだという方向にならなくてはいかぬ。これはまた通産省の連関がそこに出てくるわけでありますけれども、いま申しておりますとおりにドイツはやめる。これは物価を引き下げるためにやめる。日本は全部はずれていく。そしてはずれたものは全部上がっていく。逆な再販のあり方で、これはまことに残念だと思うのでありますけれども、ひとつこれは通産大臣から、ほんとにそうだと思うならばどのように考えていこうというのか、その辺、明快なるお考えを聞かしてもらいたいと思うのです。
  222. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま問答を聞いておりまして、松尾先生のおっしゃることはそのとおりであると私も拝聴いたしておりました。企画庁並びに公取等とも連絡をいたしまして、そういう点の選別については厳重にやるようにいたしまして、遺漏のないようにいたしたいと思います。
  223. 松尾信人

    ○松尾委員 経済企画庁長官、いま再販問題につきましていろいろやりとりしましたことは聞いておられたと思うのです。まことに残念な方向に進んでいるわけですね。長官も物価安定長官でありますけれども、これについては非常に関心がなければいけません。いま通産大臣がお答えになりましたが、長官いかがですか。
  224. 内田常雄

    ○内田国務大臣 通産大臣がお答えになったとおりで、私も、最近の動きのように再販の認可をはずしておいて高値のほうへ持っていくような動きはそのまま放置し得ないと思います。  ただ、松尾さんも御承知のように、再販制度というものは、独禁法ができましたしばらく後に改正したわけでありまして、今日のような物価上昇の事態におきましてはあれが機能するところはないわけでありますけれども、まあ私どもは、目標といたしますようなところに物価が安定して、そしてお互いに競争をさせるといったような場合に、零細販売業者というものが過当競争におちいって共倒れになるような事態を防ぐという意味でこの制度ができたことを考えますときに、ドイツのまねをして本だけ残してみな制度としてやめてしまっていいかどうかという若干の問題があって、そのところを将来の問題としてどう考えるかというような気持ちはございますが、現況におきましては、私は最近の業者のやり方をきつく批判しておるものでございます。
  225. 松尾信人

    ○松尾委員 批判だけでなくて、現実に物価が下がるという方向に御努力願います。次に、大臣は、所信表明の中で、石油偏重のエネルギー体制から脱却する、このようにおっしゃっておりまするし、それからサンシャイン計画、このようなことを言われておるわけでありますけれども、この点で、この石油偏重のエネルギー体制から脱却する、その大臣の構想の内容は、ぱっとおっしゃったら何々になりますか。
  226. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石油問題がこういうふうに大きな変動をもたらしまして、代替エネルギーの研究開発というものが焦眉の急になってまいりましたが、エネルギーに依存するのをなるたけ多面的に、そして各地域からも安定性を得た供給を得ると同時に、エネルギー資源の内容自体をいろいろ多様性を持たせるようにしていきたい。そういう意味で、いままでの石油に依存しておったものを水力あるいは原子力あるいは太陽エネルギーあるいは石炭あるいはさらに石炭のガス化あるいは液化、そういうあらゆる面について可能性を探求しながら、これぞと思うところを見つけ出して多様化を推進していきたい。このためにサンシャイン計画をことしから始めたいと思って、予算面におきましても二十数億円のお金を計上してお願いしておるところでございます。
  227. 松尾信人

    ○松尾委員 筋道はそういうことを理解するわけでありますけれども、現実にこのサンシャイン計画または原子力等の問題になりますると、これは石油危機のもとで当面の対策にはなりませんね。やはり長期になります。そうしぼってまいりますと、石油価格も八ドル、九ドルというふうになってまいりまして、外貨の面からは、これは今後大きな制約を受けるであろう、日本の貿易自体も、そして日本の社会経済の発展も大きく様相が変わってくるんじゃなかろうか、このように私は思います。  四十九年度の予算等でいろいろ政府が基本計画考えられた中で、この石油の四十九年度における輸入量というものも策定されていらっしゃる。そのときの単価は幾らか、どのくらいの原油単価を見込んでおいてあのような計画をされたのかということになるわけでありますけれども、それは次の問題にいたしまして、時間があったらそこまで触れてまいりますけれども、ここにしぼりまするのは、いまおっしゃったようなサンシャイン計画等が当面の間に合わぬであろう。油も、この値段の点からほしいと思う分の計画量がはたしてそのとおり入るのかどうか、量は入っても払う金がうんと要るから、外貨準備の面から大きな制約を受けていくんじゃなかろうか、こう思います。そうしますとサンシャイン計画はおくれる、油のほうはいろいろ問題がある。そうしますと、何といっても当面の重点のエネルギー政策としては国内炭を活用する以外になかろう、こう思うのでありますけれども、大臣の認識はいかがですか。
  228. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 同感であります。
  229. 松尾信人

    ○松尾委員 同感であるならば、過去三十八年からきょうまでの石炭政策――六百八の炭鉱がもう四十になりました。十六万人の炭鉱労務者が現在三万人であります。それから春闘春闘だと叫ばれていまいろいろの運動が起こっておりますけれども、全炭鉱労働者はいま五万七千四百円の賃上げをかちとろうというような動きでありますが、これは炭鉱労務者の環境が非常に悪くて賃金が安いというような点が重点になっております。ですから、石炭政策に移るとしましても、この移る体制というものが日本にもうなくなったような感じがする。労務者が減った、技術者がいない、石炭ガス化の問題はどうか、こういうことを考えますと、同感だとおっしゃった以上は、もう少しこの石炭政策というものを反省されました上に基本的に変えてまいりませんと、これは当面の日本エネルギー問題の解決にはならぬであろう、こう思うのですが、あわせてお答えください。     〔田中(六)委員長代理退席、委員長着席〕
  230. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 当面促進して見込みがありそうなものは原子力と石炭の二つだろうと思います。原子力については安全性の問題がありますが、これらについては国民の皆さま方によく周知徹底すると同時に、安全性の確保についていろいろさらに構想をめぐらし実行していく必要があると思います。  それから石炭の問題につきましては、油の値段がだんだん上がってまいりまして、いまは大体四十九年度においてはバーレル九ドル前後を予想しております。そういうふうになりますと、バーレル九ドルといいますと、一キロリットルにして五十四ドルから五十五ドルぐらいになりますね。五十五ドルということになりますと、三百円としても一万六千円ぐらいになりますか、そういうような原油値段に対して石炭の対抗力は次第に生まれてきつつあるように思うのであります。その動向を見据えつつ、一面において国内炭の活用を主として専焼火力発電所を中心に考えて推進していきたいと思っております。これにはやはり排煙脱硫の問題がございまして、この問題をさらに積極的に相ともに推進するという必要があるように思います。それと同時に、石炭のガス化、液化も工業技術院でもやっておりますけれども、民間でも三井大牟田あたりでかなり成果をあげております。これらを助成し、官と一体になって石炭のガス化ということを今後大いに推進していきたい、そう思っておるわけであります。
  231. 松尾信人

    ○松尾委員 もう閉山に次ぐ閉山であります。五千三百五十万トンの出炭が三十八年にあったわけでありますが、これは残念ながら現状は二千三百万トンになりました。第五次答申でも、二千万トンを下らざる、このようなことになっておりまして、すべて石油にたよった石炭の切り捨て政策であったわけであります。それがいま大きく今度は方向転換を迫られておる。好むと好まざるとにかかわらず、またいま値段の点もおっしゃいましたが、そのようにして石炭のほうまで有利になってきております。でありますから、今後見込まれておるような閉山が若干まだ残っておりますけれども、これはほんとうに経済炭量が行き詰まったというところは、もうほんとうにそうかともう一回見直しをされまして、もう少しそこに国家的な援助というものがあれば閉山せぬでも済む。残念なのは端島炭鉱であります。日本一のよい原料炭を出します。それがついに閉山いたしました。一月一ぱいで閉山になりました。先般解散式をあげたわけでありますけれども、あれは非常に深い、海底千メートル近くなった、ですからこれ以上掘ったら危険があろう。まだ先には一ぱい炭量があるんです。そういうことで経済炭の行き詰まりになっていくわけでありますけれども、いままでのそのようなおっしゃり方をやめて、そうしてそういうところはまだうんとやりようではあるんですよ。技術は、私はまだ日本はそのような深層採掘もできると思います。ただ金を入れるか入れぬかです。石炭政策というものをあらためてしっかりやっていただきまして、そうして今後当面のエネルギー危機というものを脱していく、このようにしっかりやっていただきたい。  いま当面の問題ともう一つ原子力の問題をおっしゃいましたけれども、これは公害防止、無公害社会の前進というようなことをおっしゃっています。あわせて申し上げますけれども、いま排煙脱硫の問題をおっしゃいました。これは技術も、工業技術院でも長らく六型プロジュクトでやってきておりますし、そういうことを踏まえて、では現在、開発されたこの排煙脱硫技術というものをどのくらい電力会社が備えて、自己の公害というものをどのくらい防いでおるか、これは会社別にお答えできますか。時間がないから総体だけでけっこうです。
  232. 岸田文武

    ○岸田政府委員 ただいま電力会社が設置しております排煙脱硫装置は五基でございまして、その設備容量は約五十八万キロワットでございます。今後の計画につきましては、約一千万キロワットの計画を別途用意いたしております。
  233. 松尾信人

    ○松尾委員 お聞き及びのとおりであります。現在の電力さえそのような五基のわずかなことしかできていない。公害だ、公害だと、今度はいろいろ法案を出されようとしているが、突かれるのはここですよ。ここのところをきちんとやらないでおって、また電源だ、足らないんだ、原子力だ、このようにいこうとされるから、私たちは残念ながら反対せざるを得ない。現実はそうなんです。今後は一千万とかなんとかいまおっしゃいましたけれども、それは今後でありまして、いつどうなっていくかということはさっぱり答えはない。これはまことに残念であります。でありますから、エネルギーは要るんだ、ですから、そこは公害をなくしていくんだ、排煙脱硫は何年間もかかって勉強してきた、政府は金も入れた、それを民間にやはり備えさせていって、そしてそういうものを減らしながら、これだけ努力しているから認めてくれ、このような筋道に持っていきませんと、いまのような電力会社における現状からいいましても、私は納得できません。大臣、われわれの納得いくようにこれは御指導をされまして、きちんとしませんと、大臣日本にそういうものを早くつくっていきたい、資源エネルギーというものを日本で自給できるようにしたい、そのためにはああしたい、こうしたいと構想がありましても、このような現実の問題で全部が突き当たりまして、御希望に沿えない実態になっていく。地域が反対いたします。いかにそこに法律をつくろうとも、そういうものに乗りがたいものがあるじゃないかということを指摘しておるわけでありますが、いかがですか。
  234. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 確かに言うはやすく実行になると非常にむずかしい要素がございます。排煙脱硫にいたしましても、まず用地がかなり要りますし、それから相当な費用がかかります。そういう面を一々克服して進めていくというについては、よほどの地元の御理解やら、あるいは企業体の決意がなくしてはできないし、国家的なあと押しも必要であります。しかし、ともかく北海道、九州を中心に排煙脱硫を伴って石炭専焼火力を進めていきたいという熱意を私はかねがね持っておるのでありまして、ぜひこれはことしは強力に推進していきたいと思っております。
  235. 松尾信人

    ○松尾委員 その御決心のとおりにひとつりっぱな成果をあげていただきたい。  もう時間がなくなりましたので、ここで私の要望だけを申しておきます。やってもらいたいということであります。  廃棄物の問題でありますが、これは所要の調査、研究、啓蒙をやる、このようにおっしゃっております。ですから、これは具体的にどうなんだということが一つ。  それから過剰包装、使い捨てに対する措置というものを具体的におやりにならなくちゃいけない。これを今後どういうふうにやっていかれるか。そういうのはひとつ見通しというものを立てて、政府できっちりやっていただきたいと思うのであります。  それに一言お答え願って、なお残念ながら時間の関係で、私は海外立地の問題、それからコンビナートの問題、このことを質問する時間がなくなりました。また、せっかくお見え願っておる経済企画庁長官には、物価の問題、それから外貨準備の問題、それとあなたたち見通していらっしゃる貿易の問題、そういう問題を時間をかけて質問したいと用意してまいりましたけれども、残念ながらできません。ですから、廃棄物の処理の問題、過剰包装、使い捨ての問題、それからコンビナート建設の凍結の問題、これは申し入れもしてありますので、大臣も頭に入っていらっしゃると思いますので、一言だけお答えを聞いて質問を終わりたいと思います。
  236. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 廃棄物の問題は、最近大型ごみ等消費されて出てきておりまして、テレビであるとか、あるいはアイスボックスであるとか、そういう問題の処理にも困り、PCBの問題もそれに付随して出てきておるわけでございます。これは一応所管は厚生省ということになっておりますけれども、通産省も非常に半面の責任を持っておりまして、そういう意味で、両省で連絡をとりまして、これは結局企業体とそれから国と地方公共団体が一緒になってやらないとできない問題でございます。特にその土地を出してもらって、それを解体処理する、そういうためには住民の協力がなければできません。そういうためにも、地方公共団体が積極的に手をかしていただかないとできない情勢であります。そういう意味で、国及び企業家、それから公共団体、これが三者連絡して、これらの大型ごみ廃棄物の処理を促進するようにいま政策を進めておるところでございます。  それから、過剰包装の問題は前から先生が御指摘になっておる点で、過剰包装の問題のみならず過剰加工というものがある。たとえばリンゴにしても、あるいはミカンにしてもワックスできれいにして、何もあんなところに手をかけなくてもいいというものがあります。そういうものを含めて、ともかくむだなことや余分なことはやらぬほうがいい、もっと素朴な自然なものがいい、そういう主義にのっとったやり方を業界指導をやりながらやっておりますが、業界のほうも、それにだいぶ近ごろは随順して自粛はしております。しかし、その程度だけでいいかどうか、これもひとついま検討しておるところでございます。  コンビナートにつきましては、昨年来、爆発事故等を起こしまして、非常にわれわれも恐縮に存じておるところでございますが、これか建設については工業立地法との関係もあり、今後慎重に対処していかなければならぬと思っております。
  237. 濱野清吾

    濱野委員長 宮田早苗君。
  238. 宮田早苗

    ○宮田委員 私は大臣所信表明演説に関連をいたしまして若干の質問をいたします。  ここで、あえて指摘するまでもなく、石油供給不足に端を発しましたまさに狂乱的な物価の上昇は、多くの企業が石油危機に悪乗りした結果であります。OAPEC石油供給削減通告されて以後、いわゆる石油関連二法が成立したのでありますが、年末から年始にかけまして生活必需品の価格はすさまじいばかりの勢いで上昇をしまして、悪徳企業の暴走に歯どめをかけるために成立した石油二法並びに投機防止法でありましたが、臨機応変な運用を政府が怠ったために何ら見るべき効果をあげ得なかったのが実情だと思います。  一月の卸売り物価指数の動きを見ましても、依然史上空前のテンポで上昇しているわけでございますが、二月に入りますとメーカーや流通段階値上げの修正をするところが出てきております。これは通産省や農林省の行政指導に企業がいやいやながら従っているような印象を与えているのでありますが、国民が疑問を持っておりますのは、われもわれもと値上げをしている時期にどうして行政指導で値上げを抑制できなかったのかということであります。  石油二法の審議過程で通産大臣は、法律ができるまでは行政指導でなどとおっしゃっておりましたが、いまになって行政指導の効果が出てくるというからくりに国民は強い不信感を抱いておると思うのであります。生活必需物資の値上げ修正額には不満足でありますが、通産大臣は、国民の疑問や不信感についてどうお考えになっておりますか、まずお聞きをする次第であります。
  239. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昨年の暮れからことしにかけまして、石油製品にからみまして、その二次生産物、三次生産物等について便乗値上げが行なわれましたことは、まことに恐縮にたえないところでございます。われわれの監督の及ばざるところで、われわれとしてもまことに遺憾の意を表する次第であります。  ただ、この標準価格制度というものを今度の生活安定法できめましたけれども、この標準価格制度を直ちに適用するということが賢明であるか、あるいは行政指導の発動によって押えることが賢明であるか、これはそのときの状況によると思うのであります。今度のように、石油値段が非常に不安定で流動もしておる、また、一部では相当な物資がため込まれておって、これが放出され始めて暴落するという気配が出てくる、そういう場合を考えますと、標準価格制度のきめ方によりましては、それが高値安定の押えになってしまうという危険性もございます。そういう意味において、これは行政指導価格で迅速に手を打っておいて、そしてこれが安定性を持ってきたというときに標準価格に移行するというのも一案で、LPGや灯油の場合はそういう形でやったものであります。  今後ともわれわれは、石油問題を中心にいたしまして、この便乗価格を押えるために全力を注いでまいりたいと思いますが、その対象品目、そのときの環境によりまして、行政指導価格でいくか標準価格でいくか、最も適切な方法でやっていきたい、こう念願しておるところであります。
  240. 宮田早苗

    ○宮田委員 今日耳にしておりますのは、法律が成立をしたから行政指導のきき目が出たんだ、こういうことがよくいわれておるわけでございますが、私はこれは間違いではないかと思っておるのであります。生まれた法律国民生活を安定せしめるためには最大限運用しなければならぬというのが国民の皆さんの一致した要望、希望というふうに思っておるわけであります。これを活用しないとなりますと、何の意味もないじゃないか、石油関連二法が成立するまでの間には消防法や倉庫法で流通段階でのガンを発見しようとすればできたわけでございますが、事ここに至りまして法律をつくったわけでありますが、この法律の活用をどうして思い切ってされないのか、さらに、されないとすると、この運用に何か問題点があるのか、こういう点について疑問を持つわけでございますので、この点についてまずお考えを聞かしていただきたいと思います。
  241. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはりあの法律をつくっていただきまして、もし行政指導価格を言うことを聞かない場合には標準価格に無理にでも移行するぞ、標準価格の場合は一方的にやれます、そういうにらみがうしろにありますから、行政指導価格に服従して指導力が発揮されているのが現状だと思います。そういう意味においては、法律をつくっていただいたことはやはり伝家の宝刀としてかなりきいているんだろうと私は思います。どちらが適切であるかということは、そのときの情勢、今後の物価の値下がり、値上がりの予想、そういうものを考えてみまして、そのときの適切なことをやるのがいいのではないか、そう思っているわけであります。
  242. 宮田早苗

    ○宮田委員 ただいまの大臣の答弁の中で、考え方につきましてはわかるわけでございますが、今日のこの法律をつくった最大の原因といいますのは、複雑怪奇ともいわれます流通機構の段階と申しますか、その中にいろいろ思惑から思惑で問題を起こしております、その点をきちっとして規制をしよう、それでないと、さっきも質問がありましたように、素材を受けて工作しております中小企業、メーカーの出し値と受ける側の中小企業の価格は、極端にいいますと倍になっておるわけでございますので、そういう問題からいたしますと、いまこそこの法律の適用で、その点をすっきりしてやることによって、この素材を受けて仕事をしております、経営をしております中小企業を助けることにもなるのではないか、私はこう思っておるわけでございますが、その点についてはどういうお考えをお持ちか、お聞きします。
  243. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 やはりある程度、一カ月とか二カ月とかという長期的な経済運営を考えてみますと、一時的に押えつけるということよりも、物資を豊富にして自然に値段を下落させる、あるいは物資が出回る、そういうほうが得策であり上策であるだろうと思うのであります。やはり長い目で見るというと、市場の機能、価格のメカニズムというものを生かすほうがいいのであって、役人の知恵よりも商人の知恵のほうが発達しておりますし、必ず裏回りがやられて、そうして逆の現象が起こる、役所と反対のことをやっていればいいのだという、そういうことばすら町にはある情勢であります。そういう面から見て、役所の力というものは限度があると私は思うのです。結局経済の原則に従って物を豊富に、そうしてできるだけ自由に物が移動できるような体制をつくってやるということが、長い目で見て、また社会を健全にしながら経済を発展させるもとになる、私はそう思います。そういう意味から、行政指導という形で、多少ゆるい感じがいたしますけれども、基準を押えつつ、それによって品物を豊富にするという努力を実はやっているのがわれわれの心情でございます。
  244. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、政府のエネルギー政策全般について若干の質問をいたします。  まず第一点は、今後の供給見通しと省エネルギー資源政策の展開であります。当面石油の量はまあまあ確保できるといたしましても、省エネルギーという産業政策はいささかも変更すべきでないと思うのであります。  昨年末来の石油パニックを踏まえて、さらには今回行なわれました消費国会議、こういう考えを踏まえて、産業構造の転換と今後どう取り組んでいくのかということをまずお聞きいたします。
  245. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 省資源、省エネルギー政策は、これはもうわれわれの不動の方針として確立されておるのでありまして、この機会にますます推進していくべきものであると思います。現に石油値段にいたしましても、おそらく四十九年度はバーレル九ドル前後だろうと思います。そういう高い油が入ってき、石油を消費しなければならぬという形になりますと、これはやはり省資源、省エネルギーに必然的に立ち向かわざるを得ない、国際収支、外貨の面からもそういう要請が強くくることでありまして、日本産業体系を考えてみると、この機会にその方向を強く打ち出していく、結局エネルギーや資源を多く消費するところは高くつく、そういう経済の原則で持っていくのも大事な一つ政策ではないかと思っております。
  246. 宮田早苗

    ○宮田委員 第二点は、わが国エネルギー政策そのものについてであります。  総合エネルギーあるいは石油、さらには電力など、それぞれの長期の需給に関する予測があります。政策はこれらの予測を根拠にして立てられているわけでありますが、事ここに至っては、需要の伸びをベースにした各種エネルギー供給計画立案するという従来のパターンは通用しなくなったと思うのであります。そこで、高値安定は大問題でございますが、国民一般は灯油、ガソリン、さらにはLPガスにしても、量は確保できるという一種の安心感をいだいているのではないかと思われます。いまこそエネルギーに関する従来の見通しを修正して、国民各層の協力を仰ぐべきだと思うのでありますが、大臣のお考えをお聞きします。
  247. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石油供給量はおかげさまで漸次明るくなってまいりまして、心配しておりました一月も大体二千四百万キロリットル程度入るものと想定されております。これは関税の統計によりますと二千二百七十万キロリットルでございましたか、通産の速報ベースでは二千四百万キロリットルであります。これは、一、二日のズレがあるわけであります。したがいまして、特に一月下旬から入荷量がかなりふえてきております。そういう情勢を踏まえまして、もう少しOAPEC情勢を見て――ワシントン会議情勢は大体わかりましたが、これに対するOAPECの反応を見まして、その情勢判断の上に立って、三月の供給量を諮問したいと思っております。私としては、そういう状況を踏まえて、できるだけ供給量を多くしてゆるめる方向に持っていって、少なくとも物価下落の引き金になり得るように持っていくのが適当ではないか、そういう考えを持っております。
  248. 宮田早苗

    ○宮田委員 石油の長期見通しに関連するわけでございますが、海外及び日本近海でのいわゆる自主開発原油を昭和六十年に全体の三〇%まで持っていくという構想は今後も貫く方針であるかどうか、四十七年度の実績と、四十八年度の見通しもあわせてひとつ答弁できればしていただきたい。これをお尋ねいたしますのは、今後、取引あるいは海外での融資の見返りとして油を買い取る、いわゆる融資買油のような形態が多くなると思うわけでありまして、当然、自主開発原油という定義も変えざるを得ないということになるのじゃないかというふうに思いますので、その点をお聞きしておるところであります。
  249. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昭和六十年に三〇%程度の自主開発原油を獲得したいという方針は、当分堅持していくつもりであります。  それからそのほかに、最近は二国間取引、それからDD原油というものが出てまいりまして、この面もやはり国際的な調整を考えつつ努力していくべき考えを持っております。いままでのDD原油その他の数量については追って政府委員から御答弁申し上げますが、まだまだごくわずかな量でありまして六〇%以上はメジャーからまだ買っておる、そういう状況であります。日本政府が直接相手方と交渉して手に入れている油というものは、インドネシアの場合、サウジアラビア、中近東、イランにおいて商社がDD原油を買うという場合、そういう場合が主でありまして、まだまだ微量です。  ただ、ここで問題になるのは、DD原油は値が高いということであります。これは量が少ない上に入札でやりますから、結局値が高い。また、いわゆるパーティシペーションによって産油国メジャーから獲得した油を売り出す、そしてそれを産油国メジャーに戻す、いわゆるバイバックオイルといわれるものも値が高い。DDに近いくらい値が高い。そうなりますと、そういう直接買いのものは値が高い。メジャーバイバックの油を一般のメジャー石油と混合して平均単価で出しますから、メジャーから買ったほうが安いわけです。ここにいま問題があるわけです。  そこで、あまり高いDD原油を買うなと私たちはいまもうすでに十二月末ごろから業界を指導しておるわけでありますが、そこに問題があります。しかし、いずれ将来はメジャー石油とDDの石油は平準化されるべきものでありまして、この点はヤマニ石油大臣にも私から強く要請したところでございます。
  250. 宮田早苗

    ○宮田委員 四十七年度の実績と四十八年度の見通し、これをあとかちお聞きしたいと思います。  立ちましたから、ついでに質問を続けますが、四十九年度の予算を見てまいりますと、エネルギー関係の予算が拡充されておりますが、石炭及び石油対策特別会計についてお聞きします。  石油勘定で三百二十二億円、石炭勘定で千四十一億円の原重油関税歳入を見積もっているわけですが、積算のベースとなります原重油の輸入量は幾らかということであります。そして現在の状態から原油供給量をどう判断しているかもひとつお聞きしたいわけであります。関税収入だけでなく、ガソリン税、それから航空機燃料税などの石油消費税の収入に影響することになると思うわけです。そうなりますと、石炭会計予算に狂いが生じる心配はないのかどうか、こういう点についてお答えをお願いをいたします。
  251. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石炭及び石油対策特別会計の歳入は、御存じのように原重油関税収入等をその財源としておりますが、同特別会計の昭和四十九年度の予算措置にあたっては、二億七千万キロリットルの原油輸入を前提としております。現下の石油情勢のもとにおいては、この輸入水準は確保できるものと考えております。万一不足が生じた場合には、石炭勘定につきましては、石炭及び石油対策特別会計法第十二条の規定に基づいて、一時借り入れ金をするとか、また国庫余裕金を繰りかえて使用する。当該借り入れ金を当該年度内に償還することができない場合は、償還することのできない金額について一時借り入れ金の借りかえを行なうことができる、こういうような措置考えられるところであります。石油勘定については、石油開発公団出資金に不足が生じたときは、石油開発公団の財投資金の借り入れ等により対処することになると思います。
  252. 宮田早苗

    ○宮田委員 今国会に、いま大臣がおっしゃいました石油開発公団法の改正が出されておるわけでございますが、その改正内容については法案審議の際に検討するといたしまして、私は、今回の石油パニックで原油は十ドル時代に入ったと思います。供給は依然不安定な要素が残っているということだと思うのであります。このような時期に石油公団の機能を強化することは当然の措置でございますが、この際、公団に探鉱、試掘事業の実施、直接利権の取得などができるような措置を講じたらどうかというふうに思いますが、この点はどうですか。  続いて質問をいたしますが、石油公団の業務拡大に関しても質問をいたします。  政府が現在推進しております原油の備蓄量増強計画では、四十九年度末で六十日分ということになっております。今回の石油危機の体験からいっても、最低九十日分は必要だというのが私どもの考えでございます。この差し引きいたします三十日分を公団が独自に備蓄できるように石油公団法を改めたらどうかと思うのでございますが、この点の見解を一応承っておきます。なお、六十日分達成いたしました後、同じような手法で増強していくというような政府のお考えでもございましたら、あわせてひとつ答弁をしていただきたい。
  253. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 まず、石油公団法の改正強化は全く同感でございます。私も、利権の獲得及び開発、そういうところまで公団が直接やられるようにやりたいと思ってずいぶんかけ合いましたが、非力のいたすところ、大蔵がとうとうそこまで承知しませんで、相手が国営石油会社の場合に融資をする、そういうところまで手が届くという程度に終わりました。しかし、この問題は、私は御趣旨と同感でございますから、今後とも機会あるごとに努力してまいるつもりでございます。  それから、備蓄の問題は全く同感でございまして、九十日を目標にすべきであると思っております。今回の石油危機で非常に痛感したところでございます。その差をどうするか。これは財投であるとか、いろいろな措置をもって助成策を講じてきたところでございますが、石油公団に一役買わせるということも、これは一つのりっぱな案であると思いまして、検討してまいりたいと思います。
  254. 宮田早苗

    ○宮田委員 石油パニックに便乗して製品価格を引き上げた企業の三月決算は、空前の利益となるという予想が非常に多いわけでございます。石油精製メーカーもその例外ではないようでございます。  その決算についてはあとで触れるといたしまして、日銀がこのほど手元資金に余裕が見られる石油業界輸入資金の貸し出しを抑制するように東銀などへ通告しておるわけであります。まず、通産当局は、日銀のこのような措置をどう受けとめておいでになるか、お聞きいたします。
  255. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  昨年の十一月、十二月ごろからの値上げがございまして、この間にかなりの収益増があったと推定されるわけでございますけれども、当面、この一月に入りましてからの大幅の原油の値上がりということがございまして、この決済期がまいります三月末あるいは四月ごろから原油価格の支払いが実際に行なわれるということになりまして、増加運転資金にたいへん悩むであろう。私どもとしましては、そういった面の対策を十分考えておかなければならないというふうに考えているやさきでございまして、ただいま手元資金繰りが一月の段階には一時ゆっくりしている会社もあろうかとは思いますが、今後を考えました場合にはそういった配慮も十分お願いいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  256. 宮田早苗

    ○宮田委員 関連して質問いたしますが、原油の備蓄をふやさなければいけないということで、政府は四十九年度、引き続き五年間五割増しの割り増し償却制度を適用するほか、新たに原油備蓄施設について固定資産税の軽減を講ずる方針と聞いております。また、石油開発公団は、わが国に立地しております精製メーカーに対して、四十七年度から総額百八十億円の原油備蓄融資を行なっておるのであります。この融資は三年間据え置きということでございますから、まだ償還の時期には入っておりません。このほか、設備資金にしましても、開発銀行融資などを多額に受けるなど、非常に恵まれている環境の中で製品値上げをして、好決算案を出しておるのであります。例をあげるまでもないと思いますが、ある石油会社の十二月決算を見ますと、二〇%もの配当を維持しておるのが実態でございますが、私は、油を確保するという基本的姿勢に異論はありませんが、企業の決算にあらわれたこの実態をどう見るかということについて大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思うのです。
  257. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昨年末、公取の調査手入れを受けまして、石油業界はやみカルテルをやっておったという疑いをかけられたところで、われわれとしても非常に遺憾に思っておるところでございます。この石油危機に乗じた便乗値上げは断じて許してはならない、これは石油企業についてまず最初にそういうことをやるべきである、そういう考えを持っておりますから、今後の石油の価格処理について、いまやっておる凍結を活用いたしまして、そういう便乗値上げの分は吐き出すような政策をとりたい、こういうことでいま鋭意検討しておるところでございます。
  258. 宮田早苗

    ○宮田委員 公団の原油備蓄融資額は、いま申し上げましたように、これまで百八十億円になっておるわけですが、各社別の融資額がわかっておりますなら示していただきます。もしここで答弁ができませんでしたら・何か資料でもけっこうですが、あとから御送付願いたいと思います。  それから四十九年度の備蓄増強ですが、三年目の五日分増強が今日の状態では無理かもしれませんが、かりに達成できた場合、どれだけ融資するのか、その金額もあわせて答弁をしていただきたい。
  259. 熊谷善二

    ○熊谷政府委員 お答えいたします。  先生御存じのように、備蓄増強の公団融資につきましては、四十九年度末を終わって六十日を目標といたして行なっておるものでございます。今日まで、四十七年度から始めまして、四十七年上下、四十八年の下期、ここまでは計画どおりに実はそれぞれ二・五日分ずつ積み増しをするということで融資を行なってまいりましたが、昨年の下期以降につきましては、原油につきましては逐月減少をいたしております。そういった状況を考えまして、来年度の備蓄の増強というのは当面期待できない、こういう考え方でございまして、来年度におきましては、今年度の備蓄の減少の傾向が続いた中で四十五日の目標というのを割り込まない期間、つまり三カ月程度、それに対する必要資金ということで計上いたしたわけでございます。
  260. 宮田早苗

    ○宮田委員 大臣も時間に制約があるようでございますから、あと一つで終わらせていただきます。  さっき申しました二〇%の配当をするこの会社、聞いてみますと、二十億の融資をしておるわけでありまして、約一割ということになるわけでありますが、相当の余裕があるわけでありますから、備蓄増強については設備資金面で配慮するにとどめて、今後はむしろこういう金を海外での投融資資金に回すなど、公団の機能強化に結びつけたほうがいいのじゃないか、こう思うわけであります。また、決算で見る限り、いわゆる過剰利得なんでございますから、償還条件を変更するぐらいの措置はやはりこの際とってよろしいのじゃないか。四十九年度に原油の備蓄を挽回できなかった場合、六十日計画は五十年度以降にずり込ませるというふうに、これはさっきの答弁に対する私の理解でございますが、こういうふうに思っておるところでございます。  いずれにいたしましても、備蓄をふやした量に対しまする融資でございますから、民族系と外資系企業の比率はいまのところ三二対六八ということなんですが、こういう問題についてもあわせて考える必要があるんじゃないか。やはり民族系のほうをより育成をするということでなければならぬと思いますが、その面について大臣の御見解をお聞きいたします。
  261. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 備蓄政策は、会社の経理に関係なく、国家的要請に従って一律に各社にやってもらう、こういう方針でやっておりますから、その方針を貫いていくことがやはり適当であると思います。ただ、今回のような石油危機で便乗値上げでかなりもうけをした、そういうような場合は、正常な経営努力によるものとは違いますから、その金をどういうふうに処理するかということは、これは別個の問題として処理すべきであって、私らはこれはできるだけ吐き出させよう、そういうような考えに立っていま政策を進めておるところでございますが、しかし、いま御示唆になりました点も、いまのようなお金に関する限りは検討の対象にもしてよろしい、そう思いまして、検討してみたいと思います。
  262. 宮田早苗

    ○宮田委員 終わります。
  263. 濱野清吾

    濱野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十二分散会