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1973-12-12 第72回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十二日(水曜日)    午後七時二十八分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君   理事 稻村左四郎君 理事 左藤  恵君    理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君    理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君       愛野興一郎君    天野 公義君       浦野 幸男君    越智 伊平君       越智 通雄君    大石 千八君       小林 正巳君    小山 省二君       塩崎  潤君    田中 榮一君       田中  覚君    八田 貞義君       松永  光君    宮崎 茂一君       保岡 興治君    加藤 清政君       加藤 清二君    上坂  昇君       佐野  進君    竹村 幸雄君       渡辺 三郎君    木下 元二君       米原  昶君    近江巳記夫君       松尾 信人君    玉置 一徳君       宮田 早苗君  出席国務大臣         通商産業大臣 中曽根康弘君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 十二月十二日  辞任         補欠選任   小泉純一郎君     愛野興一郎君   近藤 鉄雄君     大石 千八君 同日   愛野興一郎君     小泉純一郎君   大石 千八君     近藤 鉄雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油需給適正化法案内閣提出第四号)      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油需給適正化法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稻村左四郎君。
  3. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 きのう、おとといと二日間、参考人の御出席をいただきまして、いろいろ意見の開陳を受けたわけでございいますが、石油問題という問題がいかに重要であるかということを再認識をいたしたわけであります。本日は、石油適正化法案審議するにあたりまして、私の考えておることを通産大臣並びに政府委員の各位にお尋ね申し上げたいと思います。  去る十月の十七日より石油産出国生産制限に伴う供給制限は、経済大国資源小国といわれるわが国国民生活及び経済全般に大きな影響を及ぼしているばかりか、混乱状態であるといっても、私は過言でないのではないかと思います。十一月二十二日の官房長官談話によるわが国中東政策により、とりあえず十二月の削減五%の上積みは免除されたというものの、OAPECの発表によりますれば、一月からの五%の上のせ削減実施される見込みで、国内におけるところの情勢は悪化をいたしまして、九月の実績に比べれば二八・七五%の大幅削減となります。  そこで、まず大臣にお伺いいたしますが、中東情勢も刻々と変化いたし、需要動向調査段階とは思いますが、国内需要に対して最低限どれだけ油の確保を計算されておるのか、また予測されておるのか、大臣の見通しをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 中東情勢はきわめて流動的でございますが、しかしOAPEC動向を見ますと、やはり和平交渉を監視し、牽制するという立場もございますから、この事態がにわかに解除されるということはきわめてむずかしいと思いまして、厳格なラインを基本に考え政策をしなければならぬと思っております。  それで、ことしの輸入量考えてみますと、下半期におきまして大体一億六千万トンを当初予想いたしておったのでございます。それが初めの予想では、大体一六%程度削減で済むであろうと考えておりましたところ、OAPECの最近の情勢等から見まして、二〇%削減考えなければならぬ事態に立ち至ったと思っております。そうしますと、上半期に一億四千五百万トン入っております。下半期にはおそらく一億二千八百万トン程度に下がる。二〇%削減とした場合でございます。二〇%でなくて、一六%のときの数字が一億三千四百万トンでございました。したがいまして、二〇%削減を下期と考えまして、両方合わせますと、たしかに二億七千三百万トンの数字になると思います。それがことしの年間輸入数量になるであろうということを計算しておるわけでございます。
  5. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 今回の石油危機は、わが国のみならず、世界全体に大きな影響を及ぼしております。報道によりますれば、西ドイツオランダ等々では日曜のドライブ等禁止したかのように聞いておりますが、世界各国のこれに対するところの対策はどういうふうになっておるか。また、わが国対策は、節減節減といいながらも全くから念仏にひとしいのではないか。いま申し上げたように、現在のいろいろな問題についてなまぬるいように思うんだが、大臣にお伺いしたいと思います。
  6. 山形栄治

    山形政府委員 最初に、諸国の石油消費規制の現状について申し上げます。  アメリカにおきましては、国家防衛生産法及び経済安定法の二法を基盤といたしまして、十月二日からプロパンガスの割り当て、十一月一日からガソリンを除く燃料油割り当て、かつ十一月中旬から行政指導によります消費抑制策を呼びかけております。別途、エネルギー緊急法案が可決され次第、ガソリン販売規制及び自動車の速度制限などを実施する見込みで、現在準備が進んでおると聞いております。  イギリスにおきましては、非常事態特別権限法が前からございまして、これに基づきまして、十一月三日、エリザベス女王非常事態を宣言して、この法律権限発動いたしたわけでございまして、現在、昨年実績に比較いたしまして約一〇%減の出荷制限指示いたしております。なお、ガソリン配給切符につきましては、郵便局を通じまして十一月二十九日に配付を開始いたしておる現段階でございます。  フランスにつきましては、法令がもちろんあるわけでございまして、現在消費呼びかけをやっておる段階でございますが、ガソリン配給切符の各県庁への配付等準備が進んでおると聞いております。  ドイツにおきましては、本年十一月九日に非常に緊急にエネルギー確保法案というのを通しまして、現在マイカーの日曜日運転禁止を決定いたしております。その他全般的な消費抑制を呼びかけておりますが、現在政府内部におきまして全般的なる消費規制の案を作成中と聞いております。  イタリアは特別の法律がいまございませんが、ちょうど日本と同じように特別立法を現在立案中でございます。別途、石油業法ガソリンスタンド規制法等がございますので、それに基づきまして、ガソリンスタンド指導等を行なっておるわけでございます。  オランダ配給法という法律がございまして、これは有名なるマイカーの日曜日運転禁止を十一月四日から実施いたしておりますが、引き続いて各種の措置を検討しておるように聞いております。  ベルギーにおきましても、十一月十八日からマイカーの日曜日運転禁止を行なっております。  以上申し上げましたように、現在特別立法がございませんのがイタリア日本でございます。ちなみに、日曜日におけるマイカー運転禁止をしております国は現時点で六カ国でございまして、オランダドイツベルギー、スイス、デンマーク、それからイタリアでございます。  それから、日本現時点行政指導効果がなまぬるいのではないかというお話でございますが、確かにそういう面がございますが、産業界におきます一〇%の需要カットというのはわりあいに守られておりまして、かつ産業面におきます工場等の電力及び石油節減につきましてもわりあいに守られておると思うのでございますが、はっきり申し上げまして、一般国民全体に対する呼びかけにつきましてはまだ十分でない感じがいたしております。この辺につきましては今後法案成立等も前提にいたしまして、より一そう強化してまいりたいと考えておるわけでございます。
  7. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 そこで、本法案の第二条第二項の、石油製品範囲政令で定めるに始まり、また法案全体を通じて、政令で定めるところにより云々という条文が目立っておりますが、石油危機のような非常事態行政権限のみで処理することには問題があるのではないか。また、立法府の承認を得てやることも必要ではあるまいか。特に十一条には、石油配給または割り当て制実施するという国家統制的な内容まで政令できめておるが、これは立法権の侵害にはならないのか、大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 政令に委任しておるところが多いように御指摘でございますが、そのとおりでございます。ただ、石油適正需給ということは非常に機動的な、その場の臨床的な判断を要しますことが多いものでございますから、基本的な大綱を国会できめていただいて、施行的なことは行政官庁に御委任いただいたほうがこの急場に問に合う、そういうような考えをもちまして、弾力性を持たしていただいたわけでございます。  御指摘の十一条には、配給割り当て使用制限等条文が盛られておりまして、これはかなりの拘束を与えるわけでございますが、それらのやり方あるいは結果等につきましては、われわれとしてもいろいろ委員会に御報告を申し上げ、またいろいろ御批判を受けたいと思っておるところでございます。
  9. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 次に、第五条の生産販売計画でありますが、四項により公表されるということをおそれるあまり、計画を低目に見積もり提出してくることも考えられますが、ほんとうに細部まで供給のチェックはできるのか、第二項及び第四項の運用はどのように考えておられるか、ひとつ政府委員にお伺いしたいと思います。
  10. 山形栄治

    山形政府委員 第五条の一項で計画の届け出をしてくるわけでございますが、これは石油精製業者及び大手の石油販売業者等でございます。これらはいわゆる大企業が多いわけでございまして、企業責任及び全体が監視しておるわけでございますので、御指摘のようにこれを低目に出してくるということは最終的にはチェックできるのじゃないかと私は思いますが、万が一にもそのような事態が生じますときには、われわれといたしまして別途、いわゆるメジャー情報、これは刻々に入っておりますし、その他の情報も十分に考えましてこれをチェックし、必要があれば第五条第二項の変更の指示を行なうつもりになっております。ここで狂いますとすべての計画が狂うわけでございますので、これにつきましては、二項の規定の活用を十分にはかることによりまして万全を期したいと考えるわけでございます。
  11. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 日本メジャーから石油を買っているのでありますが、先日聞いた話によりますと、ある国が供給削減をされたためメジャーに対して執拗に供給を要請したために、感情を害して逆に供給カットを上積みされたということを聞いております。日本メジャーとどのような関係にあるのか、また、ある国のような危惧はないのか、大臣にお伺いいたします。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先般メジャーの八社の東京の最高責任者通産省へ招致いたしまして、日本石油事情を説明して、最大限に供給をしてくれるように強く要請をいたしました。メジャーは、大体世界的スケール石油需給関係をあんばいしているようでありまして、日本を特に疎外するとか不利におとしいれるというような考えはないように見受けられます。しかし、最大輸入者であり、また最大消費者であるこの日本というものを無視して適正を欠く供給をやるということは、私はメジャーとしてもなかなかできにくいのじゃないかと思います。将来のことを考えてみますと、この最大の市場を放棄したり、あるいはほかの社によって奪われるという危険性もなきにしもあらずであります。そういうポジションにわれわれのポジションがあるということで、いたずらにメジャーに哀願するような態度をわれわれはとりたいとは思っておりません。むしろ将来長く共存共栄していくためにこういうときに安定供給をやることがおためですよ、そういう立場に立ってメジャーズとも私話してきたところでございます。
  13. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 この法案量規制が中心でありますが、価格について少々お尋ねをいたしたいと思います。  標準価格は、別法の国民生活安定緊急措置法案を適用するのでありますが、価格設定をいたしましても、はたしてうまくいくのかどうかという問題であります。通産大臣は先日、灯油は三百八十円ですよと国民の前に約束されたわけでございますが、三百八十円はおろか四百五十円あるいは五百円、もっと高い話もあるのでございます。これは余談になりますけれども、私の石川県は、ことしは異常な寒波であります。会う人ごとに、あいさつがわり石油の話が出るわけであります。特に私に対して、通産大臣灯油は三百八十円と言われておるが、その灯油は一体どこで買えるのか、その値段で売ってくれるところはどこにもないがという話が出るわけであります。私は足りないなら足りないでけっこうでございますが、ひとつできるだけ公平に分配をしていただくという行政の姿勢と申しましょうか、この点についてひとつ大臣に御答弁を願いたいと思います。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 三百八十円店頭裸売り価格ということで指導価格をきめ凍結いたしました。そこで、若干混乱が起こりましたが、その後全石連石油連盟及び全国石油商業組合連合会あるいは各県における同じく販売系統小売りの皆さん、こういう方々ともよく連絡をとってもらいまして、全国の各府県から協力するという承知の手紙が全部参りました。それで、いま石油連盟や全石連等中央団体と地方の小売り団体とが協力して、三百八十円店頭裸売りを励行するように動き出しておりまして、そういう効果は最近は顕著に出てきております。けさの新聞にモニターの調査で四百三十二円というのが出ておりましたが、これはおそらく大体五十円くらいが運賃と見て、それで三百八十円プラス五十円で四百三十円程度になるのではないかと私、新聞を見て想像したわけであります。灯油は店へ行けば三百八十円で買える、そういうことを今後とも徹底的に実現していくために関係業者とも連絡をとって強く努力していくつもりであります。
  15. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 価格設定に際してでございますが、十二月一日付の読売新聞紙上大臣は、物価全体の動きとコスト、賃金などを考えた上で業界と話し合ってきめる、こういうふうに言われておりますが、石油危機重要性にかんがみ、学識経験者とか、あるいは需要者等もまじえて広く検討して価格を決定するというようなことはいかがなものであろうか、また審議会を設置するという気持ちは一体あるのかないのか、ひとつこれをお伺いいたしたいと思います。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 冒頭に申し上げましたように、非常に臨床的な、スピードを要する、また火急の場に合うような仕事でございますから、できるだけ通産省責任においてきめさせていただいて——きめるまでは、通産省関係業界意見やあるいは消費者団体意見あるいは一般物価趨勢等もよく勘案いたしますが、何しろ物価戦争に対決していくためにはある程度機動性を要しますので、これは通産省責任においてきめさせていただくようにお取り計らい願えればありがたいと思います。
  17. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 一般論に戻るわけですが、わが国は原油の九九・七%は輸入に依存をし、また第一次エネルギーの七三%が石油エネルギーであるという日本にとっては、今回のような事態が生じても十分対処できるような供給源多角化、すなわち水力、石炭あるいはまた原子力等は早く一般実用化させてエネルギー多元化をはかることが私は必要であろうと思います。  田中総理は、田中構想として資源スワップ構想なるものを申されましたが、この構想について通産省では検討されておるのか、また、大臣はどのようなお考を持っておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  18. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 田中総理ヨーロッパ等へ参りましたときに、石油その他のスワップを提唱されまして、私もその報告を承りました。これも一つやり方でありまして、資源を輸送を用いずに活用し得るという点において、これは大いに検討し活用すべき制度であるだろうと思います。日本のように極東の一番東に位置している国というポジションから考えますと、資源から一番離れたところにあるわけでございますから、そういう意味において、有無活用という方法としては一つの妙案であると考えます。
  19. 稻村佐近四郎

    稻村(左)委員 もう時間が参りましたので最後にいたしますが、いずれにいたしましても、現在の石油不足による混乱は事実であります。十八日から中東平和交渉も始まるようでありますが、ひとつ早急な対策、解決を望みますとともに、特に民生への、弱い人たちに対する一つ影響ということを最小限に食いとどめていただくように、また便乗値上げ等についても十分目を光らせていただきたいということをここであらためてお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  20. 濱野清吾

  21. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 与えられた与党の時間がもうわずかでございますから、私は三点と、最後大臣エネルギー源に対する決意をお聞きしてやめたいと思います。  第一点は、共給目標でございまが、共給目標は、こういう事態から考えれば、この法案が成立すれば、いっときも早くこれはつくらなければいけない。それに基づいて、生産販売計画がそれぞれきまっていくわけでございましょうから、これは少なくともいつやるという心がまえ通産省は進んでおられるのか、それをはっきりおっしゃっていまだきたいと思いますし、また、この共給目標は、たとえば一カ月分やるのか、三カ月先までやるのか、その辺はっきりひとつお答えを願いたいと思います。  それから、生産計画販売計画、これは油種別にやられると思いますが、それの受け入れ業界は、たとえば第六条で使用制限がございますけれども、実際その売るほうと買うほう、こういうほうでうまくそれがいくだろうか。そこで、公取との覚書という問題が起きたと思います。この公取との覚書の(ロ)でそういうものをやることは一体いいのかどうか、これは公取委員長からひとつお話しをいただきたいと思います。  それから三番目は、マイカー規制は、先ほどお話がございましたが、やるとすれば第十一条の発動をやらなければこれはできないだろう。そうなると、場合によれば第十一条の発動ということを結果的には早くやらなければならないのじゃなかろうか。その辺の心がまえをお聞かせいただきたい。  それから、先ほどお話がございましたが、特に第十一条は官僚統制のきらいがございますから、政令中身は、できればこの法案審議中にお示しをいただければたいへんありがたいと思います。  それから最後に、こういう事態でございます。日本は九九・七%を石油にたよってまいりましたが、早急に新エネルギー開発というようなことはやっていかなきゃならないのじゃなかろうか。その意味で、たとえば太陽熱エネルギーを来年度から思い切って早くやろうという計画のように承っておりますが、一体その実用化はいつごろをめどに置いて通産省はやろうとしておられるのか、これはぜひ大臣からその御決意のほどを承りたいと思います。  以上でございます。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 条文に関することはエネルギー庁長官から御答弁申し上げますが、太陽熱その他やはり資源を多面的に開発して、しかも質的に転換していく必要があるように非常に痛感されるところであります。通産省としましては、サンシャイン計画という名のもとに、来年度からかなり大規模な予算をとりまして、太陽熱、地熱、石炭の液化、ガス化あるいは水素の直接還元、原子力等々の開発を大々的にやるつもりであります。  太陽熱につきましては、いままでのところ必らずしもまだ成功はしておりません。太陽のようなものは集中的に何十万キロという熱量をとることは非常にむずかしいようであります。しかし、各家庭に分散しますと、いま屋根に載っかっている温水器のようなああいうシステムでやるとかなり有効的で、ああいうような太陽熱をとるという仕組みを通産省としても、業者にまかしておかないで、来年からもっと大々的に積極的に開発して、そうして簡単に屋根とか、あるいはビル窓下とかビルの屋上とか、そういうところで熱をとって、その熱を使えるようにするように開発していくつもりであります。
  23. 山形栄治

    山形政府委員 お答え申し上げます。  第四条の供給目標作成の問題でございますが、これはわれわれのほうとしては鋭意いま準備を進めておりまして、こういう情勢でございますので、法案が成立いたしましたら直ちにこれを示す方向に相なるかと思います。ただ、月ごとの策定ということに相なりますので、おそらく一月からということに相なるのじゃないかと思うわけでございます。  それから期間は、こういう非常に流動的でございますので、一カ月または二カ月、長くても三カ月ぐらいのところでこれをきめざるを得ないのではないかと考えております。  それから四条と六条との関係でございますが、当然のことながら四条の供給側と六条の需要側とのフィットの問題につきましては、後ほど公取委員長からお話があろうかと思いますが、この公取側覚書にあります実質的な運用とあわせまして、各省大臣がそれぞれ需要業界の実態を非常に詳しく握っておられますので、大きな供給目標ワクの中で、こまかい個別的な実施につきましては各省のお力を借りまして、政府全体としてこれをやっていきたい、こう思います。  それからマイカーにつきましては、御指摘のとおり十一条の消費抑制というところでこれをやることに相なろうかと思います。その前でもできる限りやるべきことはやるべきだと思いますが、現実問題といたしまして法律の根拠がないとなかなかやりにくい点があろうかと思いますが、この辺は今後の検討課題であろうかと思うわけでございます。  それから十一条の政令中身につきましては、いま寄り寄り詰めておりまして、審議の途中におきまして、その基本的な考え方につきまして御披露申し上げたいと考えておるわけでございます。
  24. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 覚書にあります特に(イ)、(ロ)の分でございますが、これは当然、その石油製品について申しますれば、需要する側とそれから供給する側との間にかなりのギャップが存在する、これはもう現にあるわけでございまして、どれにどれだけ配分を多くするとか、どれを多く削減するとかいう問題、これは通産当局がやはり自分でおきめになることでございますが、そういったワクの中で法律実施、ことにいまは法律実施前でございますけれども、この法律実施にからみまして、通産省が一々中に介入いたしまして、具体的につまり介入する、必要な指示を与えながら進める需給の調整ということは、実際問題としてそれをやらなければおそらくうまくいかないと思いますので、その必要最小限度範囲において話し合いをすること自体はカルテル行為ではない、そういうふうに解釈しております。
  25. 濱野清吾

  26. 板川正吾

    板川委員 石油需給適正化法案について質疑をいたしたいと思います。  公取委員長は老齢でもありますし、いまちょうど答弁に立ったあとですから、先に、公取通産省で結んだこの覚書について質問をいたしたいと思います。  公取は、通産省事務局同士石油需給適正化法案実施に関する覚書というのを結びました。内容は読みません。しかし、この公取措置は、この法の運用上から言いまして、また独禁法の運用上から申しまして非常に問題があるだろう、こういうふうに私は感じます。世評一般は、公取は名を取って実を放棄した、通産省は名を捨てて実を取ったということですが、公取は、いままで価格安定カルテルのごときは非常に反対しておったのですが、形はそれをはずしたように見えるが、事実的には放棄したのじゃないかという心配があるわけであります。     〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕  そこで伺いますが、きのう参考人意見の中でも言われたのでありますが、公取委員長がこういう覚書をもって公取の法令の適用について意見を外部に発表するということは独禁法三十八条に違反しないのかどうか。違反しているのじゃないかということであります。この覚書には、これこれの政府のとった措置に協力するものはカルテルではない、こういう見解を発表しておるわけであります。独禁法三十八条では「委員長委員及び公正取引委員会の職員は、事件に関する事実の有無又は法令の適用について、意見を外部に発表してはならない。但し、この法律に規定する場合又はこの法律に関する研究の結果を発表する場合は、この限りでない。」といっておるのですね。研究の結果ではないことは明らかでありますから、この覚書を結んだということは、意見をあらかじめ発表するということになりませんか。この点、公取委員長どうお考えですか。
  27. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 この点は、昨日の参考人がどういう根拠でおっしゃったかわかりませんが、私は全く誤りであると思います。三十八条にあります。いま読み上げられましたところに関して、事件に関する事実の有無とか法令の適用、この場合の事件とは、他の条文の場合にも出てまいりますが、具体的な事件について、つまり私どもがわかりやすく言えば立ち入り調査をする等、事件として私どもこのことを具体的に、一々立件と称しておりますが、その点ではあたかも検察庁のような立場にありますから、立件手続をいたします。これは私までが決裁いたします。そういった事件については、一たん事件として調査を開始した以上は、その具体的な内容をしゃべる調査中の段階でですね。疑いを持ってやるものですから、立ち入り調査をした事実は、これは公表しております。しかし、その後の取り運びにつきましては、事件に関しては一切その事件が解決するまで、つまり勧告の段階なり不問の段階に至るまでは、それに対して有無と書いてありますが、事実関係及びそれに対してどういう法令を適用するのか、早く言えば、排除命令に値するか、しからずかというふうな点について、それぞれの人が、これは委員長以下職員に至るまで意見を発表してはならないという趣旨でございます。それでありますので、今度の場合の覚書は、事実関係でなく、一般的な基準を明らかにしたということでありまして、本来なら覚書でなくても、それは解釈上可能なわけでございます。しかし、それでは誤解を招くから、念のためにそれを書いて公表する。もしその三十八条が参考人意見のごとく解釈されるとしますと、一般の職員あるいは委員が独禁法の解釈を述べることも禁止されることになります。これはそういうことでございませんで、独禁法の解釈を一般的に行なうことは許されております。
  28. 板川正吾

    板川委員 ここに書かれておりますのは、(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)と五項目があって、(イ)なり(ロ)なりは、あるいは(ハ)、(ニ)も標準価格ですから、この覚書内容からいいますと、こういうことを一般にやられたら確かに独禁法違反と思われるようなことが、「上記の協力措置とは、政府の施策に対する協力措置であって、カルテルを意味するものではない。」こういっておるのでありまして、確かにこれは個々の事件についての意見発表ではないけれども、総括的、包括的には、やはりこの三十八条が規定する解釈に類似しているのじゃないか。狭く解釈すればいまおっしゃるとおりかもしれません。しかし、これはどうも公取の説明にはやや弱さがあるという感じがいたします。しかし、これはこれでけっこうです。  そこで伺いますが、この覚書によって公取の従来の独禁法の解釈というのが変わったかどうか、これを伺いたい。
  29. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 独禁法の解釈は何ら変わっていないものでございます。
  30. 板川正吾

    板川委員 公取の独禁法に対する従来の態度、解釈、これは、公取委員会は中立性、独立性を付与されており、独禁法の適用除外の規定を置かない限り、他の法令のいかなる条項も独禁法の適用または同法に基づく公取権限の行使を排除することはできずというたてまえを従来とっておりましたね。いまでも、この覚書によっても、この基本的な独禁法の解釈というのはいささかも変わっていない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  31. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 全くそのとおりでございます。
  32. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、従来この独禁法の解釈と、各官庁、政府側のとった措置との関係で、誤解のないように注意規定がございますね。たとえば、外国為替及び外国貿易管理法の六十五条、外資に関する法律の二十五条、証券取引法の百九十五条の二、船主相互保険組合法の五十五条。この代表的なものが外為法の六十五条の規定ですが、これは、こういう規定がございます。「この法律のいかなる条項も、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用又は同法に基き公正取引委員会がいかなる立場において行使する権限をも排除し、変更し、又はこれらに影響を及ぼすものと解釈してはならない。」たとえば、この石油需給適正化法の運用については、当然こういう注意規定が入っても、公取としては、覚書上、何といいますか、信義則に反しませんか。これが入っても、公取としては、その相手方に対して約束を破るということになりませんか。
  33. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 ただいまの御質問については、たいへん古い条文なんでございます。いまの規定は、いわゆる外為法にしても、これは昭和二十四年、外資法は二十五年、証取法が二十三年、もう一つの船主相互保険組合法も昭和二十五年でございますが、ちょうどGHQがございまして、その管理下に実際上は政治の運営といいますか、行政の運営が行なわれたという時代でございます。しかし、法律というものはやはりそのころつくられておったわけです。そこでこの規定が入りました。これは私どもにとっては、公取だけの立場から申せば、こういう規定があれば文句ないわけですから、たいへんけっこうだと申し上げたいのですけれども、法制局等の見解、これは私だけの意見じゃなくて、現在の法制局等の見解によれば、このような条文は、当時のGHQの力でいやおうなしに押し込まれたんじゃないか、これは要するに書かずもがなのことではないのかというふうな意見のように聞いております。ですから、現段階考えた場合に、二十何年か前の法律をそのまま踏襲するかどうかという点については、法制局としてはそう簡単にオーケーを言うべきでないんではないか、こういう感覚のようでございます。  私どもはいま適用除外ということを法律にうたわない限りは、いかなる場合においても独禁法は変わらない、その運用のあり方は少しも変わるべきじゃない、こう思います。明らかに適用除外をうたってない限り、独占禁止法違反の行為は許されないというふうに解釈しておりますので、このような条文があるとないとでは、関係がない、こういうふうに考えております。
  34. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、この諸法律は、戦後独禁法がまだ定着をしないときにGHQの要請もいれて念のために書いた、しかし、公取の独禁法運用の基本原則からいえば、独禁法に適用除外の規定がない限り、あるいは個々の法律に適用除外の明確な規定がない限り、これは公取権限にいささかも影響を与えるものではない、排除するものではない、これはいまになってみれば書かずもがなの条文である。しかし、書いても決しておかしくないんですね。現に生きている条文ですからね。ですから、私は覚書がこういう形で取りかわされてなければ、書かなくてもいいと思うのです。いまの説に同感です。しかし、覚書が書かれて、一般に発表されて、そして実際産業界では、これは実質的には公取が安定カルテルを認めたのだ、こういうふうに解釈しておりますから、やはりこの場合は念のために六十五条的な注意規定を書くのがほんとうだと私は思います。しかし、これは公取の口からけっこうですとは言わなくてもいいですが、これは書くのがほんとうじゃないかと思います。  それでは次に、石油関係に入りますが、通産大臣、実は一昨日来参考人に来てもらっていろいろ意見を聞きました。石連の代表が来られましたので質問したのですが、通産省が下期通期一六%くらいの輸入減になるだろうと言うと、直ちに石連は、いや、一六%は甘い、二四%だ、こういうふうに通産省に対抗して反発をする、あるいは灯油を何とか確保しますと言うと、灯油確保すればA重油がゼロになりますよ、それでもいいのか、こういう言い方で反発をするわけでありますが、特にこの間聞きましたら、備蓄の問題では、通産省の言うのと石油連盟が言うのとでは違うんですね。どういうふうに違っているかといいますと、十二月初めの備蓄について、原油が通産省は二十九日だと言うと、向こうは二十八日である、それから製品について、通産省が三十一日だと言うと、向こうは二十一日である、さらに十二月末の在庫のいわば備蓄日数についても、向こうで言うのと通産省の発表したものと大きく違うのですね。大体石油業界というのは、なるべく削減が大きいぞ、足らないのだ、こういうことを盛んにあおって、実はその陰では値上げを盛んに指導しておるという感じが私はするわけであります。この通産省の発表と石連の発表とがなぜこういうふうに食い違うのですか。これでは国民は信用できないですね。片一方は何とかソフトランディングでやっていきますと言っているのに、片一方はそんなことじゃない、たいへんなことになる、こう言っておるのでは、どうも国民はいずれを信用していいかわからない。この点はどういうふうに考えられておりますか。
  35. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 おそらく私の想像では、石連の諸君は供給のサイドに立っておりますから、安全率をとって、そしてできるだけ安全計数を大にした考え方を持つのではないかという気がいたします。しかし、最近いろいろ照合した結果、完全に数字は一致したという報告を私は聞きましたので、こまかいことはエネルギー庁長官から御報告申し上げます。
  36. 山形栄治

    山形政府委員 一昨日の参考人意見の開陳のときに、石連の会長が十二月末の推定備蓄量を述べたわけでございますが、十二月末の備蓄につきましては、まだきっちりと明確にはなっておりませんけれども、われわれのほうの感じとは非常に食い違っておったわけでございます。この真相を調べましたところ、石連側の備蓄数量の中に半製品を脱落いたしておりまして、原油と製品だけの足し算で備蓄計算をいたしたために、非常に少ない備蓄数量が出たわけでございます。この点につきましては、石連側にも非常に厳重に注意を喚起いたしまして、今後こういう間違いの起こらないように、正当なる備蓄をはじくようにということを厳重に注意したわけでございますので、今後はそういう間違いが起こらないと思います。
  37. 板川正吾

    板川委員 商売をやるほうは、間違っても、少な目に発表したほうが、値上げをやるのには都合がいいわけであります。  そこで、これはついでですが、石油製品価格を私調査をいたしました。この「石油製品価格調査」を皆さんのお手元に差し上げてありますが、ガソリンの場合はことしの六月一日から十二月一日、半年間に一五七・五%ですから五割七分値上がりをいたしております。ナフサの場合には約七割近い。それから灯油の家庭用だけが一〇六・八ですか、六・八%の値上がりです。工業用は五五・五%、軽油は五四%の値上がりです。A重油が一五三、B重油が一三七、C重油が一四一、こういうふうに値上がりいたしておりまして、大体ガソリンでキロリットル当たり一万円からの値上がりをいたしております。ナフサが五千円、ジェット燃料が五千円、そして軽油が五千八百円、A重油が五千三百円、B重油が二千八百円、C重油が三千六百円です。大産業が使うC重油は比較的上がらない。しかし、一般が使うガソリンや軽油は大きく値上がりをいたしておりますが、私が調べましたならば、ことしの六月のアラビアン・ライト・オイルの実勢価格というのは二ドル三十セントであります。それが十月十六日に三ドル六十五セントになりまして、十二月現在、今日では四ドル三十セントに原油が上がったそうであります。ですから、二ドル値上がりをいたしております。この二ドル値上がりというのは二百七十円で計算いたしますと三円四十銭です。これはバーレル当たりの値段ですから、リットルに直すと三円四十銭、キロリットルにすれば三千四百円であります。船賃が多少値上がりしておりますから、これが五割値上がりと計算しましても約四千円、四千円見当は確かに値上がりしたといえると思うのでありますが、その他こう見ますと、C重油、B重油以外はすべて五千円以上値上がりをしておる。どうもこの価格は元売り仕切り価格でありますから、精製会社が同時に卸に出す金額であります。私は、通産事務次官が諸悪の根源は石連にあり、やらずぶったくりだ、こう言ったのもこの数字を見ますとある程度理解できると思うのであります。どうも最近の原油の暴騰は、まあ長官の説によるとアメリカ系あるいはメジャーとOPECのいわばなれ合いによる値上げだ、こういう説すらあるのですね。それは値上がりによってOPECも利益を受ける、アメリカも値上がりによって国内に眠っておるエネルギー資源開発できる、そして自主的に自給率を上げることができるということで、お互いにそれは共通した利益に立っているという説があるわけであります。ですから、どうも今度の値上がりはメジャー系がそうしたエネルギー値上がりの一役をかついで値上げを盛んにあおっているという感じがいたしますが、これに対する大臣の見解はいかがですか。
  38. 山形栄治

    山形政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生のお話がありましたように、六月及び十二月の対比の価格上昇率は、灯油の家庭甲を除きましてこれはほとんど据え置きでございますので、あと大体四〇%くらいから六割くらいにばらついておるわけでございます。この間に原油価格が御存じのとおり非常に上がりまして、これも先生がお話しございましたけれども、六月から十二月までの間の原油の価格アップ及びその間における円の切り下げの問題、円相場の変動の問題等を加味いたしますと、円手取りといいますか、円払いのベースでは大体七七%原油価格は上がっておるわけでございます。この原油価格の上昇を前提に各油種にばらまくわけでございますが、御存じのとおり得率というのがございまして、たとえばC重油は四二%、ガソリンが一〇%でございます。各精製会社といたしましては、そういう得率上の製品の量と、それから全体のコストのアロケーションとを考えまして、それぞれの油の価格をはじいておるわけでございます。原油の上昇等から見まして著しい上昇、便乗上昇とは私は考えておりませんで、こういう中で灯油を九月水準で据え置いておるというところは、むしろわれわれとしては非常に要請を願っておるわけでございます。今後こういう点につきましては各油種ごとの問題までばらしまして、今後はそれぞれについて便乗が行なわれないようにわれわれとしては検討してまいる所存でございます。
  39. 板川正吾

    板川委員 答弁になっていないね。灯油は八・二%の得率なんですから−家庭用の灯油がこの中で三分の一なりを占めておると思う。それが値上がりをしないからといったって、これは全体にそう大きく影響してないですよ。わずかですからね。だけれども、全体としてやはりこの石油危機を機会に便乗値上げの傾向がある。これは公取も手を入れているんですから、いずれその結果もわかると思いますけれども、石油連盟精製会社二十九社ですか七社ですか、実際は十三社ぐらいでしょうけれでも、どうも私はこういう石油危機に便乗してやや私腹を肥やし過ぎる傾向がある、こういうことだけは警告をしておきたいと思います。  それから、これはきょう実は配られたんですが、「米軍の石油消費について」という外務省の資料が配付をされました。この二を見ますと、「在日米軍に対するジェット燃料の納入単価は、平均〇・〇三七ドル/リットルである。」こういう値段である。これを二百八十円で計算しますと一万三百六十円見当であります。われわれの調査によれば、いま外務省に聞いたところが、これは七月から十二月までの民間との契約値段だというんですね。六月一日現在では大体一万二千円から一万二千五百円、現在ではジェット燃料が一万七千円から一万八千円に値上がりしている中で、実は米軍のほうにはたいへん安く売るんだな、こういう感じがしておりますが、時間の関係がありますから、これも指摘しておくだけにとどめます。  そこで通産大臣に伺いますが、今度の石油危機によって従来政府がとっておったエネルギー政策というものをどういうふうに反省をされ、また今後どういうふうな対策といいいますか、転換をされようとされるのですか。そのエネルギー危機に対して反省と今後の方針というものを大臣からお示しを願いたいと思います。
  40. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一九六〇年代にアラビアその他から大量の安い油が発見されましたために、六〇年代は油の値段がほとんど上がらない、むしろ原油価格が下がるという現象もありました。それに乗じまして日本経済は油の多消費型の経済として成長して、そして臨海工業地帯にはコンビナートをつくり、その安い油を大型タンカーで運び、そして安い鉄をつくり、安い船をつくり、安いテレビをつくり、自動車をつくり、外国に売りまくって経済成長を遂げたということであったと思います。しかし、それが大きな罰金になって出てきたのが、一つは公害であると思います。国民的コンセンサスがこれで失われました。もう一つは、今度の石油に偏食した肥満児型の日本経済というものがいかにこういうときにもろいものであるかということを証明されたようなものであります。イギリスやアメリカやドイツの例を見ますと、石炭に依存している部分あるいは天然ガスに依存している部分等がかなり大きなパーセンテージを占めておりまして、そういう面からも非常な安定性があるわけであります。日本はほとんどが油にたよっておるという面から、非常に脆弱な部面がここに出てきたと思います。  そういう意味におきまして、これを機に、石油偏食による肥満児型の日本経済というものをぜい肉を削減して、もっと均斉のとれた質的に高い経済型に転換すべきときであると思います。それは一面において、いわゆる知識集約型に産業構造を転換していくということであると思います。と同時に、やはりいま起こってきている公害問題について厳重な態度をもって臨んでいかなければならぬということであると思います。それと同時に、 ○APECの問題から見まして、中東に偏した石油の摂取の方法ということ自体がまた問題であります。やはり世界的に供給源を分散化してセキュリティーの問題も考えておく必要がある。それから資源的にも石炭太陽熱、地熱、原子力あるいは水素の直接還元、そういうような多元的なエネルギーを補給する道を強力に進めていかなければならぬと思うわけでございます。そういう諸般の点について大いなる反省をいたしました。
  41. 板川正吾

    板川委員 われわれも大臣考え方に共鳴を感じます。やはりこれは公害を防止するという基本的な姿勢を貫いていかなくちゃなるまいというのが大きな教訓の一つであります。同時に、この石油なりエネルギー供給源多元化といいますか、あるいは自主開発エネルギーを持つということが大切だと思うのです。従来、たとえば石油政策について申し上げますと、イギリスなりフランスなりドイツなりイタリアは、国が確固たる石油政策を持っておる。フランスではフランス石油が、イタリアではENIが中心になって、そして国のエネルギー政策のいわば牽引力になっておるのですね。ところが、日本では従来一切メジャーまかせ、民間まかせ、政府がこういった面について積極的な取り組みを示さない。わずかに公団ができましたけれども、公団はわずかな予算内で片すみでやっておる。おそらくこれはメジャーにいわば遠慮をした形で、育ってないのだろう、こう思います。備蓄についても、諸外国から見るとはるかに少なかった。もう少し備蓄があれば、今日のこの混乱はもっと緩和されているはずであります。  こういった石油一つにしぼりましても、私は、自主的な開発原油というものを将来持っていかなくちゃならぬ、こう思います。ところが、自主開発原油というのは、昭和四十一年には全体の消費の中で一五%あったのが、今日では一二%と、比率は下がっておりますね。再三、石油調査団なんか行きまして、三割程度は自主開発原油を持つべきであるということを答申しているんですが、政府は従来、依然としてこれに積極的ではなかった。こういうことで、将来国がエネルギー政策の推進力になる、イタリアのENIのごとく、フランスのフランス石油のごとき機構を持つべきだ。それは、石油公団をそういうふうに改組してもいいのでありますが、私は、この機会に政府もそういう方向に大きく一歩踏み出すべきだと思いますが、いかがですか。     〔田中(六)委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 板川委員の御議論には非常に共鳴するものがあります。まず、とりあえず石油公団を強化していきたいと思いますが、これだけ石油消費していく日本経済にとって、これをメジャーにおんぶしているだけで将来もよろしいかという点はこれは重大な検討ポイントであると私、思います。確かにいままでの石油行政というものは、日本列島沿岸における精製所政策あるいは民族系育成政策にとどまっておったように思います。これを日本列島の沿岸から世界じゅうに手を伸ばし、かつ、もう少し国が主導型でものを推進していくという形がどうしても必要であると思います。それを具体的にいかにしていくか、フランス型にするかあるいにイタリア型にするか、その辺については大いに検討してみたいと思います。
  43. 板川正吾

    板川委員 次に、石油の最近における国際情勢とにらみ合わせて、需給の見通しというのを伺いたいと思うのです。  実は、一月は五%削減というのは決定をされております。しかしベイルートからの電報ですか、これによりますと、消息筋では、「クウェート会議では原則的に日本を英、仏、スペインとともに、この措置の適用から除外することで秘密の合意をみた」と語っている。これは消息筋の情報ということで、確たる情報じゃないのですが、それは、日本と英、仏などアラブに友好的な国は五%の上積みを免除される可能性を示唆する記事を載せている、こういうことが十一日の外電報道として報道されております。また、最近日本訪問中のハダーム・シリア外相が帝国ホテルで記者会見をして、「イスラエルと共存する意図があるか」という質問に対して、「イスラエルが六七年戦争前の境界線まで撤退し、パレスチナ人の権利が実現されば新しい情勢が生まれるだろう。われわれが求めているのはこの二つであって、中東のいかなる国家をも破壊する意図はない。」ということは、イスラエルを破壊することを目的としてないと今日言っているわけであります。そして「第四次中東戦争の停戦決議を受諾したシリアは自動的に六七年の国連決議を受諾したことになるか」との問いに対して、「われわれが六十七年十一月の決議の受諾を拒んできたのは、その解釈について従来誤った解釈(撤退は必ずしも全面撤退を意味しないという解釈の仕方を指していると見られる)があったからだ。もし、さきに述べたわれわれの二つの要求が実現すれば六十七年決議を受諾する。」「六十七年決議が実現したあと、パレスチナ人が新しい事態の下でパレスチナ国家の実現などによって権利の回復に満足することができたら、われわれもそれで満足する。」という意味のことが記者会見で言われているんですね。それからイスラエルのダヤン国防相がアメリカで、国の安全が保障されれば占領地帯から撤退してもいい、こういうようなことも外電の報ずるところであります。  こうしたこと等をかみ合わせて、一体今後のアラブの出方が、はたして一月五%削減の上積みをするかどうか、あるいはその後の出方というものについて、最近大臣もアラブ側の要人としばしば会っていると思いますが、どういう感触をお持ちでありますか。
  44. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 われわれは、政府が十一月二十二日に出しました政府声明の線に沿って、この問題がなるだけすみやかに解決され、平和が回復するように希望しておるものであり、日本政府としても、あの十一月二十二日の政府声明の線に沿って事態が早く落着するように積極的に努力をしていきたいと思っておるわけであります。三木特使を中東に派遣したのもその目的のためにやっておるわけであります。石油供給がどういうふうになるかということはよくわれわれも確信あるお答えを申し上げることはできません。いろいろうれしそうな話もあり、また悲しそうな話も舞い込んできまして、一喜一憂しているというのが実情であります。しかし、概して言えることは、事態はきびしいのである、中東戦争に関するアラブ各国の決意というものは、いわゆるアラブの大義、正義の解決なくしてはそう簡単に手を引くものではない、そういう認識を持っております。そういう考えから、われわれの対策というものはやはりきびしい線を基準にして行なわないと間違うと思っております。
  45. 板川正吾

    板川委員 私は、これが好転するかいなかは、政府が決断を持って、二四二号の解釈をすなおにとり、その上に立って、口先ばかりでなくて行動で示すことが大切だろうと思います。とりあえず、三木特使の現地における成功を祈りたいと思います。  そこで次に、エネルギー問題について、いままでわが国政府は、石油業法で、向後五年間の生産計画需給計画というものは発表していますが、一般に国民にそれは問いかけられていません。エネルギー重要性というのを政府自体が国民に語っていない、こういううらみがあったと思います。したがって、これはこの石油問題のまつ最中すぐというわけにいかないでしょうが、いずれ政府が、エネルギー需給に対して長期、中期、短期の需給計画というものを国民に発表して、これから中東からはいままでのように入らない、しかしこういうふうにやっていきましょう、さらに他の開発あるいは代替エネルギー開発はこういうふうにやりましょう、こういうことを私は政府がもっと国民に問いかけるべきじゃないだろうかと思うのです。いわばもっと具体的な、この間のエネルギー白書というのは、われわれがつくった資料と同じような資料を並べているだけでありますが、実は生きた国民に問いかける白書を出してもらいたいと思うわけであります。  特に先ほど大臣もちょっと触れましたが、サンシャイン計画にはわれわれも実は賛成でありますが、これは二〇〇〇年という目標でありますから、どうもやや時間が長過ぎるのですね。サンシャイン計画は二〇〇〇年というより十年ぐらい短縮をして、しかも二十五、六年で一兆四千億かの予算だなんというけちなことを言わずに、防衛費でも年間一兆円ぐらい使っておるのですから、これはもっとたくさんこの点では金を使って、新しいクリーンエネルギーというものを開発していくべきじゃないだろうか。こういう問題が進まない限り、私は日本エネルギー問題というのは解決しないと思うのです。サンシャン計画は四十九年から政府もやろうということのようでありますが、一兆四千億、二〇〇〇年じゃなくて、十年間ぐらい短縮をし、そしてもっと膨大な資金を投じてやることが私は国民の生活安定にも経済の発展にも今後つながっていくのじゃないかと思いますが、この考え方について御意見いかがでしょうか。
  46. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 資源の豊富なアメリカのニクソン大統領が十年間に二百億ドル計画を出しておるのを見ますと、日本計画がいかにも貧弱であるというふうに、うすらさびしい気持ちが実はしたのであります。したがいまして、お説のようにサンシャイン計画にはもっと力を入れまして、来年度予算につきましても、私個人としては思い切った予算をとって時間も短縮してコンパクトにやっていきたいと思っております。
  47. 板川正吾

    板川委員 コンパクトと言わずに、雄大な計画でやってもらいたい、こう思っております。そこで次に、先ほど大臣エネルギー産業構造の転換をしよう 知識集約型あるいは省エネルギー産業の育成、実はいろいろ政府はいままでも、大臣の就任あいさつの中でもそう言っていますが、しかし、実際にはなかなか手をつけてないのですよ。そういうことを政府は希望するという旗をあげているだけで、実際はみずからはそれを歩き出そうとしていないのですね。私はこういう事態になったならば、省エネルギー産業の構造転換をしなくちゃならない。その中で、いわば一番手っとり早いといいますか、わりあいにきき目のある方式は、電力料金の根本的な改正だ、こう思うのです。  この電力料金を私調べてみますと、どうも家庭用一〇〇に対して産業用が実は日本は四二、イギリスは、非常に電力不足といわれている国になりまして、八八です。それからアメリカが六三、西ドイツが五三、イタリアが五三、フランスが非常に低い、日本と似たようなものでありますが、いずれにしましても、電力料金が産業優先、生産第一主義、こういう戦後の経済高度成長というものを進める体系としてできておるのですね。外国でも、産業用と一般の家庭用の電力というのはこんなに違っていないのですよ。日本だけが非常に安い。私はこれを家庭用を下げて産業用を上げるなりすると、エネルギー消費というのがたいへん進むのじゃないかと思う。電力は、石油エネルギーと違いまして、いわば石油エネルギーのうちの四〇%しか電力とならないのです。そして、送電のロス等を入れますと、三五%程度でありますから、よく石油が足らないから電気ごたつにするのだということになりますと、実は石油を三倍近く食うのと同じことに、同じカロリーを出すものでも、なるはずでありますから、そう考えますと、私は、この電力料金、特に家庭用には高い上に御金をかけており、産業用には税金をかけてない、こういういままでと逆な傾向に今度していかなければ、省エネルギー政策というものは進まない、こういう感じがいたしますが、大臣の見解はいかがですか。
  48. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いま電気事業法の再検討を行ないますと同時に、電気料金の算定に関する調査会をもちまして検討を始めておるところでございます。方向としては板川委員がおっしゃった方向に私も同感でございまして、民生とのバランスを考えるということ、それから電力をよけい消費するものは高くつく、そういうような原則を取り入れるときにきているのではないかと思います。  もう一つ、多消費型をチェックする一つの大事なポイントは、今度の石油危機で感じたことでございますが、要するに、経済成長という問題は石油消費量に比例して出てくる。だから石油輸入量をチェックすれば、そのかんぬきを締めておけば経済成長率をチェックできる。いままでは日本の産業のバイタリティーにまかせて無限大の輸入が可能であるような野方図なやり方できて、それが結局、高度の経済成長につながったものでございますけれども、これから七%とか八%とかの安定的経済成長をはかろうとした場合には、この石油輸入量を予算編成のときにチェックしていく。それによって経済成長をコントロールする。そういうことも一つの検討すべき重大なポイントではないかと感じております。
  49. 板川正吾

    板川委員 それも一つであります。またもう一つは、私は国際収支の面から石油輸入というものが制約をされてくるだろうと思います。去年は四〇億ドルであります。ことしはおそらく六〇億ドル近いのじゃないでしょうか。来年は、このままでいくならば原油の支払いは一〇〇億ドルということになるかもしれません。非常に値上がりをし、石油を多消費すれば国際収支の面から問題が出てくるだろう、私はこう思うのでありまして、いずれにしましても、石油をできるだけ節約していくということは、これからの産業政策の上からいっても私は大きなポイントになるだろう、こう思います。  それでは、この法案について質疑をいたしたいと思いますが、第一は、政府法律の中には、どうも石油供給不足が生じるのだから、使用制限したりすることはやむを得ない、実は頭からしょうがないというように感じるわけであります。私は政府案の中に、何としても民生といいますか、国民生活に必要な量というのは政府責任をもって確保するということをこの法案の中にうたわなければ、これはもういかに協力してくれといってもなかなか国民は協力できないと思うのであります。それはこの第一条の中で需給の適正化ということで読めるという考え方もあるかもしれませんが、私は、政府責任をもって国民生活に必要な限度のエネルギー石油確保する、こういうたてまえをこの法律の中に置くべきではないだろうか、こう思いますがいこれに対してのお考えはいかがですか。
  50. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御趣旨はわかりますが、この第一条の「国民生活の安定と国民経済の円滑な運営を図るため、」という点で、われわれは意図が盛られていると思っておるわけであります。やはり国民生活及び国民経済というのは唇歯輔車の関係にありまして、たとえば国民経済の中には中小企業も農漁業もあります。これは一種の生計でもありますし、そちらのほうに油を円滑に供給してやるということが国民生活の安定にもすぐつながるところでもあります。  それから大企業云々、こう申しても、鉄鋼に対する油の供給が円滑にいかない場合には丸棒にすぐそれがはね返ってくる、あるいはくぎの値段も高くなる。これはすぐ大工さんの生活にも影響する。そういうことにすぐ響いてまいりまして、やはり調和ということが非常に大事であるように思うのであります。国民の大部分はそういう中小企業、農漁業で食べている人がほとんど九〇%、さもなければサラリーマンであります。そういう面から考えてみますと、そのたつきを助けるという意味においても経済という問題を無視することはできない。しかし、経済を優先するという考えはございません。これは国民生活に奉仕するために国民経済があるんだ、そういう観点に立って両方並べておるわけであります。
  51. 板川正吾

    板川委員 国民生活の安定と適正な供給確保するということで読めるという考え方もあるわけでありますが、私は、これだけ国が国民に協力をしてもらうのですから、そのかわりこれは必ず確保しますよという宣言的な規定が必要じゃないかと思っておりますが、そういう必要性を私どもは主張しております。  次は、時間の関係がありますから申し上げますが、第三条の問題であります。  第三条で、いわば非常事態を宣言することになるわけでありますが、これは閣議で決定をして告示をするということになり、その解消をするときも同様であります。私は閣議決定はいかぬという意味じゃないのです。しかし、閣議で決定したならば国会に承認を求めるべきではないだろうか。イギリスにおける非常事態の宣言、これは同様であります。あるいは休会中こういう事態が生じたならば、閣議で決定をし告示をして、やる、しかし開会後国会にはかって承認を求める、その事態において承認されなかった場合にはそれ以降の効力はない。たとえばこういうような国会の議決を受けたほうが私は国民の協力が得られるだろうと思います。これは政府責任だ、おれがやるんだ、こういう言い方よいも、以下のいろいろの統制や規制がありますが、そういう統制や規制は結局は国民から協力をされなければうまくいくはずがないのであります。そういう意味において私どもは国会の承認を求めるというべきであろうと思いますが一第三条についての御見解はいかがですか。
  52. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この法案は、私たちの考えでは行政処理の法案という考えに立ちまして、行政官庁権限をいただく、そういう考えに立って内閣、つまり行政最高責任者である内閣総理大臣責任においてこれを実行するという考えに立って、内閣の告示という線でチェックしておったわけでございます。板川委員がおっしゃいましたお考えは、国会側としては無理もないお考えであると私は国会議員としてまた思うわけであります。その点はよく検討してみます。
  53. 板川正吾

    板川委員 私も別に内閣の責任を否定しようというのじゃない。権限を拘束しようという意味じゃないが、しかしできる限り国会が開会中の場合には国会の議決を得るべきだ、休会のときには国会開会後すみやかに承認を受けるべきだ、こういう形にしたほうが、私はより国民の協力が得られるものというふうに感じます。  その他のこまかい点については、いずれ同僚の専門家からあとで質問があると思います。  次に、十条について伺います。この十条はたいへんわかりにくい規定でありますが、具体的に十条が運用される場合にはどういうことになるのか。これはエネルギー庁長官でけっこうです。具体的にこれはひとつ説明してください。
  54. 山形栄治

    山形政府委員 御説明申し上げます。  この法案の全体の仕組みは、先ほど来出ておりましたように、四条及び五条で供給側をきめまして、六条で使用側のことをきめるわけでございますが、この間、需給がフィットしないおそれもあるわけでございます。そこで全般的には、先ほど公取委員長お話もございましたように、各団体間の協議会等もつくりましてすり合わせをしていくわけでございますが、特に一般消費者、中小企業、農漁業その他公益性の強い鉄道、通信等、どうしても優先的に数量の確保をはからなければいかぬというものに対しまして、石油関係におきましては、石油連盟、それから全石商運、これは販売段階でございます。それから各府県におりますその下部団体、それからLPG等につきましては日本LPG協会、その他やはり四団体くらいがございますが、そういう業界団体等を使いましてあっせん業務を行なわせようということでございます。具体的には各府県にあっせん所を設けましてそれぞれの申し出を受けて、これは石油といいましても非常に油種が複雑でございますので、相互に玉のさがし合い、それの融通ということを当然前提といたしますが、機敏なるあっせんを各府県ごとにやっていきたいというのがこの十条の趣旨でございます。
  55. 板川正吾

    板川委員 この場合、供給の優先順序はどういうことになりますか。たとえばここに書かれております一般消費者あるいは中小企業、こういう順序に優先順序があるのですか。たとえば、一般消費者といってもこの中に不急不要のものもありましょうし、公益性という中にも不急不要のものもあるだろうと思うのですが、この書かれておるのが一種の優先順序というふうに考えていいのかどうか。  それから、石油需給関係に鉄道というのはどういうことなんです。電力の場合に鉄道というならわかるのであります。鉄道事業を重要視しておるようでありますが、鉄道事業の石油需要というのは少ないのでありまして、これはどっちかというと交通事業とか運輸事業とか、こういう言い方のほうが私は適切であろうと思います。  それから、これはわれわれの中でも議論されたのでありますが、たとえば、こういう場合に身体障害者とか、石油でなければ通えないとか行動ができないとか、こういう人たちに対する配慮というのはどういうところで読めるのかと思います。とりあえずその点について答弁を願います。
  56. 山形栄治

    山形政府委員 この十条の「一般消費者、中小企業者」と書いてございますのは、それぞれみんな例示でございまして、書いてある順序に優先があるわけではございません。  それから「鉄道事業」というのも例示でございまして、鉄道事業に使いますのは主として地方の軌道で、いわゆるディーゼルで軽油を使っておるのがございます。この鉄道は一般公共交通機関でございますので、そういうディーゼル関係の軽油ということでここにあげておるわけでございます。ただ、これは例示でございますので、鉄道とか軌道とかその他、これは当然に同種概念のものは含まれると思うわけでございます。  それから、身体障害者等のどうしても特殊な用具を必要とするようなものにつきましては、当然にこれは「公益性の強い事業及び活動」の中に入ると理解していただいてけっこうだと思います。
  57. 板川正吾

    板川委員 ここで私は問題になるのは、先ほどもちょっと触れましたように、石油販売業者を構成員とする団体に対して「その他必要な措置を講ずるよう指導するものとする。」といっておるわけでありますが、この「その他必要な措置」ということはどういう範囲まで含んでおるのでありますか。まさかここで独禁法に触れるようなことまで「必要な措置」に入るんじゃないと思うが、しかしこの辺が怪しいわけでありまして、「必要な措置」という範囲をひとつ明確に示してもらいたい。
  58. 山形栄治

    山形政府委員 このあっせん業務といいますのは、ちょっと先ほども申し上げましたように石油の種類が非常に多いものでございますので、どこの店に行けばすぐあるというものではございません。したがいまして、これらの団体の構成員が、どこの店にどのぐらいどういうものを在庫で持っているかということがわかりませんとできないわけでございます。したがいまして、こういう団体を強く指導するわけでございますが、「あっせんその他必要な措置」といいますのは、あっせん及びこれに類似する行為ということでございまして、たとえば紹介とか、相互に融通をするとか、相談に乗るとか、そういうあっせんに類似する行為というふうに御理解願いたいと思います。これは先ほどのいわゆる談合とかそういうことではございませんで、ある目的に応じてそれを最も円滑に実施するための措置と御理解願いたいと思います。
  59. 板川正吾

    板川委員 そうしますと、各県にこういう業者団体に対して、その中で協議会というのをつくらせる、何とか審査会ですか協議会ですか、その団体の中に一つの会をつくらせて、そこが窓口になる、こういうことになるわけですか。そこであっせんのほかに、いま言ったあっせんと同じような行為である紹介とか、相互の融通とか、相談とかを受けますということになるわけですか。
  60. 山形栄治

    山形政府委員 まだ詳細にはっきりしないところもございますが、たとえば鉄鋼におきます鋼材あっせん所といいますのは、これは動いておるわけでございますけれども、これはメーカーと流通業者と、いわゆる商社といいますか、それの協議会をつくりまして、そこで玉のあっせんを行なっておるわけでございます。おそらくこの石油につきましても生産段階と販売段階とが、いま先生のお話しのような協議機構をつくりまして、それで審査といいますか、玉のさがし合い及びこれのはめ込みということを行なうことに相なろうかと思います。
  61. 板川正吾

    板川委員 私は、この点はいずれあとで質問したいと思いますが、十一条に入ります。  この十一条は従来の、前段でとってまいりました行政指導では十分じゃない、そして割り当て配給をしよう、しかし、割り当て配給をするについては一切政令にまかしてくれ、こういうのがこの十一条の提案の趣旨であります。政令にまかしてくれといっても、これだけの割り当て配給または製造、使用もしくは譲渡、譲受の制限禁止、こういったことまで含むといわれるのでありますが、一切政令にまかしてくれというのは、先ほどもちょっと発言がありましたように、われわれ立法府に対して、いわば白紙委任状を出してほしい、こういうことにつながるんですね。どうもわれわれとしてはこの十一条をこのままにのむわけにいかない感じがいたします。そこで伺いますが、割り当てまたは配給とありますが、一体割り当て配給とどういうふうに違いますか。
  62. 山形栄治

    山形政府委員 割り当てと申しますのは、いわゆる切符制のように、これを個別に数量を明確にして割り当てるということでございます。配給といいますのは、いわゆる切符制等でなく、一定の実績割り等の計算方法を確定いたしまして、それに基づいて計算上それぞれが公平に実績割りで割り当てられるというような場合であろうかと思います。
  63. 板川正吾

    板川委員 実績割り当てられるものが配給で、個別に切符で割り当てるのが割り当てなんですか。どうもその辺がさっぱりわからないのですが……。
  64. 山形栄治

    山形政府委員 まことに恐縮でございますが、これは用語の使い方でございまして、従来、割り当てということばは生産財的なものをいわゆる割り当てするときに割り当てといい、配給というのは、配給切符ということばのように、消費者に対していわゆる割り当てをするときに配給という日本語を使っておるんだそうで、まことに恐縮でございました。これは対象の違いでございまして、実質の意味は同等だそうでございます。
  65. 板川正吾

    板川委員 ある説によりますと、割り当てという場合には数量を割り当てるんだ、配給という場合にはその数量のほかに価格が明示される、くっついていく、こういうような定義があるそうでありますが、この配給の場合には価格がくっついていきますか。
  66. 山形栄治

    山形政府委員 ことば自身の中に当然に配給といいますれば価格が入るということではございませんで、いま申し上げましたように、一般消費者といいますか、多数の人間を対象に割り当てを行ないますときには、当然にそういうことが必要とされる事態におきましては、公平の観念も含めまして、価格面におきましても相当公正なる価格形成が裏側にございませんと、非常な不公平が起こるというようなことで、従来配給切符等を行ないますときには、価格がこの裏に実質上背景としてくっつくという例が多かったということだそうでございます。
  67. 板川正吾

    板川委員 いずれ文章で割り当て配給の差をあとで説明してください。  そこで、もしこの法律が通って、この割り当て配給をする場合に、どういう方法で割り当て配給をやるんでしょう。どういう方法でやるのか、これは政令に一切まかせてくれといって去りますが、すでに政令の骨子もできていると思うのです。だとすれば、割り当ての方法、またそれを通じて行なう機構、手続、準備の期間、こういうようなことについてどういうふうな構想を持っておられますか。
  68. 山形栄治

    山形政府委員 これは先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、現時点で明確にこの政令内容ができておるわけでございません。いま鋭意検討を進めておるわけでございますので、審議の途中におきましても逐次御紹介ができると思いますが、一つ考えられます基本的な項目につきまして申し述べますと、まず割り当てまたは配給をいたします対象の油種をどうするか、何を行なうかということをきめなければいかぬと思います。そうしますと、この十一条に基づいて正式に届け出を受けまして、その届け出の手続、それからそれに基づく供給量の確定、これを前提にしました需要割り当てまたは配給基本計画作成というのが当然に必要に相なるわけでございます。この場合に、一般消費者に対しましては、一般の家族構成、日本の家族構成等の資料も整備いたさなければいかぬわけでございますが、これに対してどういう形式の割当書といいますか、証明書を渡すかというフォームをきめるようなことも当然にこの中に入ろうかと思います。それから産業用につきましては、どういう経路でこの割り当ての証明書を交付し、それを回収するかということでございまして、この辺は配給機構の性格も明確にしなければいかぬ問題だと思います。  なお、これに関連しまして販売業者の登録が必要になるのかどうか、その場合の現在の販売業者全体をどう再統合するのか、及び指定販売業者以外の者に対する販売制限とか譲渡、譲受の制限とか、その他不服の申し立て、帳簿の整備等をきめることに相なろうかと思いますが、現在それらを含めまして検討している段階でございますので、詳細なことはその成案ができ次第御披露いたしたいと思います。
  69. 板川正吾

    板川委員 いつごろまでに成案ができますか。
  70. 山形栄治

    山形政府委員 いつごろというのは非常にむずかしいのでございますけれども、この法律が通りますと、まず四条から十条までの第一段階実施に入るわけでございまして、その後に、より著しい事態及び非常に激しくいろんな情勢が動いております油種等につきまして十一条の発動に相なるわけでございまして、若干その十条までの実施の成果も見つつ、その推移も勘案しつつその政令をつくっていくつもりでございます。
  71. 板川正吾

    板川委員 どうもこれはどろなわよりも実はひどいような感じがしますが、これはいずれまた他の議員からこの問題については追及もあるだろうと思います。  次に、私は大臣と議論してみたいと思ったのですが、この統制という問題ですね。この統制は、国民の合意といいますか、国民の協力がなければどんなにやっても絶対に成功するものじゃない、これは原則だ、こう思うのです。実はわれわれのほうの仲間でも、統制の是非というものについてるる議論があります。たとえば、価格は元売りから卸から小売りまで全部統制しておかないようにしろ、こういう意見があると同時に、また一面、官僚統制はいかぬ、こういう議論がありまして、統制というものについてどうもいろいろ感じ方が人によって違う。まあわれわれも聞いた話でありますが、西欧のほうでは、この統制というものに国民的なコンセンサスができ上がっておる。そして、たとえば石油がこのように三割近く激減するような場合には、これはお互いに公平を守るために統制してもらって、そうして公平を保っていこう、こういうようなことで統制というものがわりあいにすなおに受け入れられるということのようであります。それはある意味では私は政治に対する国民の信頼というものがあるからだろうと思いますね。政治に対する国民の信頼があるからそういう統制についても一時がまんしようということだろうと思うのです。ところが、どうもわが国には、この統制というものについて国民的な合意がまだでき上がっていない。交通が混乱したならばお互いに交通整理をする、交通のルールをつくって守るということはお互いの利益だと思うのですが、なかなか戦時中の統制のイメージも残っておりまして、その統制に対する考え方の混乱がお互いにあるようであります。  そこで、やはり根本は政治に対する信頼だ。だから大臣がたとえば灯油は三百八十円、必ずそれで売ります、確保いたしました、約束もしましたと言っても、実際町に行ったならばどこにも売ってくれるところがないということでは、私はほんとうの信頼というのは生まれてこない、こう思います。ですから言ったことは必ず守ってもらいたいと思うのですが、しかし、物がこういうふうに、石油が二割近く削限をされる、あらゆる物資の生産が激減をする、こういう状態になってまいりました際に、どういう統制が一番いいのだろうか、こう考えてみますと、一つは、きのう学者先生なども盛んに言っておりましたが、価格メカニズムを通じて適正な配分をはかる、こういう方式が一つあります。これはアメリカがいまそういう態度をとっておりまして、石油価格なんかも、ちょっと見ましても大体このところ一・八倍くらいに上がっております。日本でこの価格メカニズム、自由な価格制度の中でやったならば、公取は弱いし、独禁法の姿勢というものも弱いものですから、結局買い占めや売り惜しみが行なわれ、そして金持ちだけに物が入る、貧乏人には入らないということになるだろうと思います。  次に、統制の方法のあり方としては、これは産業界の稲山鉄鋼連盟の会長などが盛んに主張しております産業界のいわゆる価格カルテル、これは産業界が上から下へ垂直的なカルテルで価格を安定しよう、こういう方式がいわれております。しかし、これもこういう方式が実現をしますと、結局独占大資本だけが太って、国民はやせ衰えてしまう、結論としてはそういう形になります。  いま言った一と二がだめだとすれば、残されているものは何か。これは国の統制によるほかはないのじゃないか。ところが、国の統制というのは、わがほうの中にも官僚統制けしからぬ、こういう声もありますし、各党にもそういう感触を持って発言する人もあります。それでは他に方法があるかというと、どうしても他に方法がないとすれば国の統制以外にないが、官僚統制が悪口を言われるのは、官僚と産業、民間とが癒着をして国民の方向を向かない、こういうところに官僚統制の弊害ということを指摘されているのだろうと私は思うのです。だから統制のあり方としては結局国の統制によるが、国民の監視機構を設ける。官僚統制といわれるものと同じような統制のしかたをするかもしれませんが、その上に国民の監視機構をつくる。ですから、民主的な国の統制ということでなければならない、こういうふうに感じます。  この石油需給適正化法案が成立をして、そしていろいろの点で、いわば官僚の統制といわれるものが経済の仕組みの中に、生活の仕組みの中に入っていくわけでありますから、そういう面では、安全装置をつけた車を走らせる、この安全装置とは国民の監視機構である、そして国民の監視機構ということは、これはすなわち国会である、最高の監視機構としては国会である、こういうふうに感じますが、大臣の見解はいかがですか。
  72. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 お互いに戦時統制を知っておるものですから、やはりやみとか経済警察とか、そういうようなものを回避しようという気持ちは一致しておるだろうと思います。  板川さんのいまのお話を承りまして私が思い出しましたのは、各党首をおたずねいたしましたときに、成田委員長が私に、官僚統制はいかぬ、おっしゃるには、自分が社会党へ入って政治家になったのは、戦時中三井化学の文書課長をしていて、通産省へお百度参りをやらされて、係長に頭を下げなければ物をくれなかった、こんなばかなことがあるかと思って一自分は民間にいるのはもういやだから政治家になって立とうというので政界に入ったんだ、戦時中の経験からして自分はつくづくそう思っているのであるから、官僚統制はいかぬ、そういうことをおっしゃっておりました。もしああいう官僚統制がなかったら成田委員長というのは今日なかったのじゃないか、そうとも思えますが、まあとにかくいずれにせよ、社会党の中にもそういう官僚統制排撃という方がいらっしゃるわけで、これは各党にも大ぜいおられるのではないかと私は思うわけです。  そうなると、私は民主的調整と呼んでいるわけでございますけれども、そういうことで言いたい。民主的調整とは何ぞやと言ったら、これは業者、官庁、それから消費者、全部が総ぐるみで協力して一つの新しい挑戦をやってみよう、そういうことでありまして、そういう意味において、経済警察とか官憲ずくめで権力ずくめでやるということをやめるために、業者にまず政府に協力してもらって、業者相互が自粛して政府の方針に協力してもらって、そうして有無融通するとか、あるいはもし違反した者については供給を停止するとか、そういうような内部規制のもとに協力してもらう、そういうような形を一面においてやりつつ、消費者の監視、こういうような形で、それが適正に行なわれているかどうかということを監視する、そういうような、官庁、業者消費者ぐるみの新しいやり方に挑戦するのがいいのではないかという気がしたわけです。と申しますのは一やはり民族的体質というものがありまして、ドイツ民族みたいなものは非常にシステマチックですから、別に国に信頼するとかなんとかということよりも、そういう民族的体質から秩序を好んで、統制とか配給とかいうものになじみやすい性格を持っております。アングロサクソンもそうだと思うのです。しかしラテン系、フランス人とかイタリア人になると、そういうことはこんりんざいきらいで、個性の強い民族であります。日本人はどっちかといえば南欧系で、甘えの構造といいますか、やはり労働組合にしても企業内組合とか、年功序列順とか、非常に甘ずっぱい感情を好むところがあります。少しぐらいはいいやという、そういうところがあるわけです。これはまたいいところでもあるけれども、また社会公徳精神というような面から見ると非常にマイナスがある。そういう面から見ますと、官僚的な統制をやった場合には、との民族的体質になじみませんから、どうしてもやみとか、あるいは権力的にごつごつしたことでやらなきゃとてもやりきれない体質を持っているのではないか、そういう気がいたしまして、民主的調整という考えを持っておるわけです。しかし、それでもまだ足らぬという事態に至った場合には、これはある程度配給切符というような事態にも至らざるを得ぬのではないか、それは板川さんおっしゃいましたように、弱い人たちを守るためにはやはり公平に分け合うという何かの手段を講じなければならぬ。だから切符という制度は、その一つの制度であろう。しかし、いかに切符制度を維持していくか、運営していくかという点については、これは民主的に考えて、戦時中のやり方を改革していかなければならぬ、そういうふうに考えます。
  73. 板川正吾

    板川委員 官僚統制というのは、それぞれ過去の自分の体験から、成田委員長もそう言われたというのは私も承知しております。しかし、官僚統制でないうまい方法があるかというと、どう考えてもなかなかない。官僚統制がいやがられるのは、いわば官民癒着の弊害がある、だからその弊害をなくするような統制でいくほかはないというような結論を下したわけでありますが、その民主的な監視機関として、この中に審議会という制度を取り入れるべきじゃないだろうか。これはいまの大臣お話からいうと、おそらく反対じゃないようであります。すべて政令にまかしてくれ、政令はいつできるか、そのうちできますという形の中で、われわれがこれを非常事態だからやむを得ないというわけにまいりません。そこで、この政令案についての事前の諮問をしてもらうとか、あるいは実態をこの審議会において調査をして、本法の運用を誤らないような建議をするとか、そういう審議会の制度を設けたらどうだというのがわれわれの考え方であります。ただし、従来政府の機関がつくっておる審議会というのは、大臣は、消費者業者政府で民主的にとおっしゃいますけれども、この審議会の従来のメンバーを見ると、消費者を代表するような者、すなわち弱い者を代表するような人はごくわずかで、二十五人のうちに一人か二人、出ても発言する機会もなかなかない。形式的には消費の代表といいながら、実質的には消費者を代表していない。だからわれわれは審議会をつくって、実質的にそういう弱い人を代弁する人に入ってもらって、そしてその人たちすら、この案にわれわれは賛成だと言えば、国民は喜んでそれに従うという気持ちも、協力する気持ちも生まれてくるだろう、形式的なメンバーではだめだ、こういう感じがいたします。従来通産省で幾つかの審議会がありますが、これは私は、この際そういう反省を願いたいと思いますが、今度のこの法律運用についても、私どもは、審議会をつくり、そして自主的な、民主的運営ができるようにチェックすべきであるという考え方を持っておりますが、いまの趣旨からいいまして、大臣、御賛成でありますか。
  74. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この法案は、緊急事態に対処するために機動的に能率的に行政官庁行政裁量でやれるというところに特色があると思いますので、審議会という考えにはなじまないと私は思います。しかし、国会がいろいろ御監督なさるということは、国権の最高機関として当然でもあり、国会の監督が最も有効に行なわれるのではないかと思います。それから行政官庁がその責任において行なった結果に対するチェックという問題は、これはまたいろいろな構想考えられるのではないか。そのときに消費者あるいはそのほかの皆さま方の意見を徴する、あるいはその批判あるいは改革に対する意見を、われわれがそれを心をむなしくしてお聞きするとか注意を受けるとか、そういうやり方考えてしかるべきであると私は思います。
  75. 板川正吾

    板川委員 これは国会の意思として決定をしていきたいと私どもは考えております。  そこで、この法律は恒久法の形をとっております。私どもは、この法律は時限法にすべきだ——これは私ですが、各野党が一致しているわけじゃないのですが、時限法にすべきだ、こう考えております。なぜかといいますと、先ほど審議の中で明らかになりましたように、とにかく政令事項があまりにも多過ぎる。しかし政令事項がどういうふうに運用されるかということについて、われわれも事態の進展が予想できないものですから、どうもこの内容について全部承知の上で通すことも無理かなという感じがいたします。そうしますと、たとえば西ドイツとどこですか、北欧のある国ですが、西ドイツは、一年間の安定法という、エネルギー安定法ですか、西ドイツでは一年間の法律、時限法ですね。過去にフランスのように実績を持っておるところならば、実績を通じてこの法律のいいところと悪いところとかいうのがすでに形ができておると思うのです。しかし、この種の法律はまだわが国では実績がないんです。だから少なくとも一年なり、あるいは若干の日限については注文はつけませんけれども、時限法にして、そうしてこの間運用をして、いいところと悪いところがあったらば、ひとついいところを取り入れ、悪いところを捨て、そうしてなるべく政令事項を少な目にして、将来その上に立って恒久法とすべきだ。恒久法という概念をわれわれは否定するわけじゃないが、今度の法律だけは時限法になるべきじゃないだろうか、そのほうが私は適切であろうと思いますが、大臣の見解はいかがでございますか。
  76. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私たちの見解は、やはり普通の法律にしていただきまして、発動を内閣の告示、及び終結を内閣の告示という形でチェックして、その機能をあんばいするということが適当であると思っております。日本のように、これだけ石油というものが国民生活に非常に影響が大きいという事態考えてみますと、こういう法律は常時持っておって、いざというときに国民全体に公平な負担が行なわれるようなことを考えなければならぬ国ではないかと思います。
  77. 板川正吾

    板川委員 あと三分ですから、一つだけ伺います。  先ほど私は、公団法を改正して石油公団を強化すべきだという考え方を申し上げましたが、石油中心にメーカーのいわば市場支配力乱用といいますか、どうも横暴があると思います。この横暴を押えて政府の指向するエネルギー政策というものを始動させるためには、この石油公団というものを強化すべきだ。そうして海外開発、経済協力、石油精製、国内販売、こういうところに一定のシェアをもってフランス石油イタリアのENIのごとく指導的な役割りを果たさせることが適切だ、こう思いまして、この点は先ほども触れましたけれども、大臣のこれに対する前向きな取り組みをぜひ要望いたしたいと思います。  以上で終わりますが、公取委員長がおいでになりましたから、一つ伺います。  この間、石油連盟の手入れをやりまして、その結果については、これはまだ事件についての予断を発表することはできないようですからいいのでありますが、しかし、いつごろあれについての結論が出る予定でありますか。これは内容についてじゃないから、三十八条で言えませんか。
  78. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 いつごろとはっきり予測することはむずかしいのですけれども、私はそういうこともありまして、迅速に解決しなければならぬという観点から審査部に人員を無理やり振り向けておりますから、できるだけ早い機会に答えが出せるように督促し監督していきたいと思っております。
  79. 板川正吾

    板川委員 石油の元売りの価格が急速に値上がりしております。一般物価から見れば、こんなに上がった物価はない。ぜひこの結論を早くして、そうしてその結果によって石油製品の便乗値上げというのをひとつ阻止するように要望いたしたいと思います。  時間となりましたから、以上をもって終わります。
  80. 濱野清吾

    濱野委員長 神崎敏雄君。
  81. 神崎敏雄

    ○神崎委員 今日の石油危機は、すでに広く国民生活に重大な影響を与えています。したがって、適切な緊急対策、緊急措置、これを講じる必要があると思います。この点で多くの国民が非常に期待をしているわけなんですが、そこで、政府提案の本法がはたして国民の期待に沿った法律なのかどうか、このことをはっきりさせるために、私は幾つかのことについてお尋ねをいたします。  まず第四条で、通産大臣は閣議決定を経て石油供給目標を定めるということになっております。  そこで、こういう供給目標とは、原油から精製されるそれぞれの製品の量だけをきめるということなのか、それとも石油製品をどのように配分するということをきめられるのか、またそれとも、それ以外のことをさすのか。第四条は、何をどこまできめるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  82. 山形栄治

    山形政府委員 第四条は、石油輸入動向、在庫状況等を見まして、一つのガイドラインとして供給の目標を定めるわけでございますが、何はともあれ一番大事なことは、各油種別供給の目標を定めるわけでございます。ただいま御質問にございましたように、その油種別をきめますときに、その用途別の要素をどう加味するのか、入るのか入らないのかということでございますが、これは、たとえば灯油を絶対確保しなければいかぬというような目標が非常に定まっております前提におきましては、その油種別としての灯油供給目標というのはおのずからそれによって規定されるわけでございまして、われわれといたしましては、できる限り優先度の高いものについてはこれを確保できるような供給目標を定めたいと考えておるわけでございます。
  83. 神崎敏雄

    ○神崎委員 輸入量と在庫量をプラスすれば原油の総量は出てきます。また得率もきまっておるのです。そうすよと、重油がどれだけ供給できるか、灯油がどれだけ供給できるかというようなことは閣議決定するまでもなく、およそ明らかなことです。さらに、供給の優先順位をきめることを検討しているということも聞きますけれども、ここでいう省令はそういうことをきめるのか。そうでなかったら、ここでは何を省令できめられるのか、明確にしていただきたい。
  84. 山形栄治

    山形政府委員 この四条で申しております省令といいますのは、私のほうでいま考えておりますのは、油種とそれから期間でございます。期間は、先ほども言いましたように、この供給目標は現在の状況から見まして一番短い場合は一カ月、若干安定してきますれば三カ月ということも考えられますが、いずれにしましても、期間を定めないといかぬわけでございますので、その辺をこの省令で定めたいと考えております。
  85. 神崎敏雄

    ○神崎委員 製品の得率の実績も、たとえばガソリンは何ぼ、ナフサは何ぼ、何は何ぼということは、得率だってちゃんと表ができているのですね。ところが、ここでは閣議決定するということになるのですが、こうきまっていることをさらに閣議決定されるということは、優先順位をきめられる、そういう閣議決定をされることなのかということを聞いているわけです。
  86. 山形栄治

    山形政府委員 ただいま先生のおっしゃいました得率でございますけれども、これは留分の非常に軽いもの、ガソリンとナフサとジェット燃料、これは大体同じグループでございます。それから灯油、軽油、A重油というのがその次のグループでございます。それからあと重油でございますが、このグループとグループとの間ではなかなか融通無碍にはいかないわけでございますが、グループの中におきましては若干の得率の変更が行なわれ得るわけでございまして、現在も灯油確保という観点から灯油の得率を上げております。そういう関係で必ずしもぴしっときまったわけではございません。この閣議決定を経なければならないといいますのは、そういう得率の若干の変更も含め、非常に重要な本措置の、四条が始まりでございますので、今後これを含めて生産計画消費計画等が全部出ますので、内閣全体としてそれを斉合性のある確認を行ないたいという趣旨でございます。
  87. 神崎敏雄

    ○神崎委員 時間が制約されているので、尋ねていることにひとつ的確に答えていただきたい。省令で何をきめるのだ。こういうふうにちゃんともうきまっているじゃないか。それをまた閣議できめる。だから、省令では一体何をきめるんだ。先ほどからの質問では、省令はまだ何も準備されておらないと言われているので聞いているわけです。  そこで、次に、本会議やその他で田中総理や中曽根通産大臣は、国民生活の安定に必要な部門については優先的に供給いたしますと繰り返して言明されておられる。しかし、実態はそうなっておらない。灯油供給もタクシー、トラック等の燃料あるいは製紙業界への重油も、大幅に供給削減がされている。重大な影響をこれには与えておる。言論、出版においてもしかり。大臣がよく言われる公平負担あるいは公平な配分、これは結局どういうことなのか。力の強いものが勝つ、いわゆる弱肉強食、こういう倫理からなっておるのかどうか。国民は体験を通じてそう理解せざるを得ないのですね。しかも、法案条文上は、国民生活安定に必要な部門は優先的に供給する。これについて政府責任、義務は何ら明確になっておらない。供給目標をきめるというだけで何の縛りもないのです、ここでは。最も重要な緊急対策のポイント、すなわち国民生活本位の緊急対策、こういう対策なのかどうか、ここが欠落をしておる。このことがこの法案のきわめて重大な問題であると私は思うのです。大臣はどう考えられますか。
  88. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この法案は、第一条に書いてありますように、国民生活の安定、それから国民経済の運営、この両輪でいっているわけでありますが、国民生活の安定というために国民経済の運営も必要であるわけであります。そういう意味におきましては、国民生活安定が優先していると考えて差しつかえないと思うのであります。  それで、いままでいろいろな問題が起こりましたが、日本はまだ戦争中みたいな戦時封鎖経済ではなくして、大東亜戦争の間ですと、潜水艦に取り囲まれて完全に封鎖経済で飢えていったわけでありますけれども、いまは石油を除いては資源は自由に流入してきておるわけでありまして、余裕は十分あるわけです。したがいまして、戦時統制経済のような統制行為、ああいういまわしいことはやる必要はない、そういう考えに立って民主的調整という形で前段階をやっていこう、後段階におきましても、民主的調整の精神を生かした配給とか割り当てのことを考えておるわけであります。  それで、できるだけ業者、官庁、住民、みんなが総ぐるみで、これはそう長い間、一年も二年も続くわけじゃありませんから、協力し合って、お互いに悪い記憶、思い出を残さぬようなやり方でこの時期を乗り切ろうという考えに立っておるわけであります。それには、やはり国民の皆さんがある程度の自制心を持って協力してくれなければできないことです。トイレットペイパーを一年分買い込んだという人があるそうでありますけれども、そういう人ばかりではトイレットペイパーは一年分が一カ月でもう足りなくなってしまうという現象が起きます。量はあるんですから、みんなが自制心を持っていただいてやっていただくやり方で調整をしていこう、そういう考えに立ってこの法案を提出しておるわけでありまして、国民生活優先ということは、事実上、われわれは一番関心事として実現しなければならぬことであると思っておるわけです。  今回におきましても、タクシーの問題が起きましてたいへん恐縮でございましたが、運輸省との間で、通産政務次官と運輸政務次官の間でタクシーに対するLPGの供給について協定をいたしました。また農林省との間にも、同じように農林政務次官と通産政務次官の間でビニールハウスから漁船の油に至るまでそれをやっておるわけであります。そういうふうにして中小企業、農漁民、一般市民の生活を確保するために努力してまいるつもりであります。
  89. 神崎敏雄

    ○神崎委員 しばしばそういう論旨はテレビその他で大臣はPRにこれつとめておられます。当然そういう答弁があると思うので、私は具体的な実列を申し上げたい。  これは川崎市多摩区生田の灯油小売り業者叶商事に対して共同石油は、十二月一日、一八リットルの卸売り値を三百七十八円に値上げすると通告をしてきた。その小売り業者は、卸売りは九月の水準に凍結を言われ、店頭の裸売りは三百八十円にという通産省の指導からしてこれはおかしい、そこで東京通産局燃料課へこれを申し出た。すると共同石油側は——通産省側じゃないのですよ、共同石油側は、役所へ訴えるなど政治的な動きをするような小売り商には出荷できないと、十二月の六日以降出荷を完全にストップしてきた、今日もとめられておる、こういう事態を当局はどう解決されるのか。  さらに、こうした大手元売り会社の値上げを目的としたいわゆる売り惜しみの横暴を本法では何ら規制できないのではないのか、国民生活本位の供給政府の義務と責任をなぜ法文上明確にできないのか、すべきであると私は思いますが、この問題について重ねて答弁を求めます。
  90. 山形栄治

    山形政府委員 灯油につきましては、九月の卸の元売りの段階を凍結いたしまして、かつ、先般、小売りを三百八十円ということに指定したわけでございます。  ただいまのお話は私、存じ上げませんで非常に恐縮なんでございますが、おそらく元売りの一次卸または二次卸が三百七十八円を押しつけたのではないかと思います。もしそうだといたしますれば、これは非常にけしからぬ話だと思います。御存じのとおり、現在、府県及び通産局に苦情処理の窓口を開いてございます。さっそくにこれを調査いたしまして、至急に改善方を善処いたしたいと思います。
  91. 神崎敏雄

    ○神崎委員 共同石油が言って、そうしてその小売り業者がおかしいといって通産局の燃料課へ申し出ている。そうすると通産局は、大臣の言うとおりやらすというたてまえをとる、そういうふうに国民は思いますよ。ところが、その共同石油側から、そういうことを役所へ訴えるとはけしからぬ、そういう政治的な動きをするような小売りらにはもう荷を出さぬ。それから完全にストップしているのですよ。今日なおストップしている。そのためにその地域ではいま大混乱が起こっておる。こういうような企業の横暴を、第三次あるいは第四次卸でやって、私のほうは存じません、調査いたします——よそへ言っているのじゃないんだよ。通産局の燃料課へ言っている。そうしたら、そういうような形で圧力をかけるということは一体どういうことなのか。調べなければわからぬというような、この緊急なときに、この法律を急いでいるときに、どういう申し入れがあっても、まだあなたの耳には、手元には届かないのですか。
  92. 山形栄治

    山形政府委員 まことに恐縮でございますが、私、まだ存じ上げておりませんけれども、先ほども申し上げましたように、もしこれが事実としましたら非常に遺憾の行為だと存ずるわけでございまして、至急に個別に行政指導したいと思います。  なお、灯油につきましては、先般、大臣の御指示で三百八十円にきまりました。全国十三万軒の小売り商でいま鋭意調整を行っておるわけでございまして、各地に種々トラブルがまた起こっていることは事実でございます。われわれといたしましては、一日に大体二十件ぐらいの苦情が入ってきておりますけれども、そのつど、直ちにこれを処理する体制をとっております。いまの具体的な件につきましては私存じ上げませんで恐縮だったわけでございますけれども、より一そう戒心してそういう方向で進みたいと思っております。
  93. 神崎敏雄

    ○神崎委員 もしそのことが事実でありましたらというようなことは取り消しなさい。事実でないことをこんな公のところで私は言っておらない。ただ、これに対する処置をどうするか、大臣の言っていることと事実は違うじゃないか、こういうことを言っておるのですから、責任を持って発言をしているのですから、もし事実でありましたらということは質問者に対して失礼だ。そういうことがありますかと、直ちに行って、そういうことのないように適切な処置をとりますという答弁にするべきだということを強く申しておきたい。  次に、行政指導では不徹底だ、だからその根拠となる法律が必要だ、そこに本法案提出の趣旨があったはずです。そして、もしほんとうに先ほど大臣が言うように、国民生活本位を貫くというならば、家庭用、中小企業、農民、漁民、教育、医療、福祉、公共交通機関、言論、出版など国民生活と基本的人権に重大な影響を及ぼす分野をまず最優先的に確保する、こういう政府の義務を供給目標で定める、そういうことを法文上私は明記すべきではないかと思う。これについて大臣はどういうお考えがあるか、お答えを願いたい。
  94. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 われわれの対象とすべき重点は、いま神崎委員がおっしゃったようなものが大事な相手でありまして、先ほどから言明しているとおりであります。したがいまして、運用にあたりましては、いま申し上げたような精神に沿って実行してまいります。
  95. 神崎敏雄

    ○神崎委員 では次に、十条に関して申します。  第十条で石油供給あっせんを指導することが明記されておりますが、あっせんということでいえば、これまで紙や鉄鋼、綿糸など行政指導でやってきたのです。今回法律で定める意図、目的はどういう点にあるのか、これは大臣どうですか。
  96. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いままでは行政行為として法律的根拠を直接持たなくして行ないましたが、今回は法律的根拠を持ちまして正面からやれるようにしたというわけであります。
  97. 神崎敏雄

    ○神崎委員 では「販売業者を構成員とする団体」とは具体的にどういう団体をさすのか。また、その団体はあっせん指導に応じる義務は法主上明確ではないと思うのですが、そういうふうに理解していいのか。この二点についてお伺いしたい。
  98. 山形栄治

    山形政府委員 まず第一の「販売業者を構成員とする団体」でございますが、石油類につきましては、生産段階団体でございます石油連盟、それから販売段階でございます全国石油商業組合連合会及びそれらの地方組織としての団体でございます。それからLPGだけは別途の団体を構成しておりまして、LPGにつきましては日本LPガス協会、それから全国LPガス元売協議会、それから日本LPガス連合会及び全国LPガススタンド協会を考えております。これらの団体につきまして、この法律で、いま大臣からもお話がございましたように明確に、通産大臣がその必要があると認めるときには、これらの団体に対しまして、法律に基づいて必要な措置を講ずるよう指導するということが明確にされたわけでございますので、法律上の義務及びこれに対する違反の場合の罰則というのはございませんけれども、われわれといたしましては、法律上、明確に一つのあっせん業務の実質上のオブリゲーションというのが発生し、われわれはそれを期待してこのあっせん業務を円滑に行ないたい、こう考えております。
  99. 神崎敏雄

    ○神崎委員 法律上明確にしないで、こういう団体はそういうような政府の言うこと、あるいは指導、そういうものに応じますか、法律上の義務を負わさないで。
  100. 山形栄治

    山形政府委員 これらの団体というのは、それぞれ公益法人、社団法人、財団法人でございまして、公益性を一応前提として結成されている団体等でございます。われわれといたしましては、従来からも当然に団体としての責務というのがあるわけでございますが、緊急立法までできます。こういう全国民的な石油危機段階におきまして、これらの団体の自覚と責務に応じまして、従来にも増しましてその実効があがることを期待しておるわけでございます。
  101. 神崎敏雄

    ○神崎委員 期待をしているようなことでは、そういうことにはならない。先ほどあげた共同石油がすでにこういうことなんですから、そういうようなことだけではだめである。法律で、法文で明確にすべきだと私は強くそのことを主張しておきます。  次いでこれに関連して、ここでいう「その他必要な措置」、これは一体具体的に何を意味するのか。あっせんとは全く違うことをさすのか、それとも何かほかにその他の措置の中には中身があるのかどうか、これをまず明らかにしてください。
  102. 山形栄治

    山形政府委員 これは先ほども申し上げましたように、あっせんに類似する行為でございまして、相談に応ずること、紹介すること、それから業者間で相互に玉を紹介し合って融通すること等を含んでおります。
  103. 神崎敏雄

    ○神崎委員 先ほどからいろいろなことを聞きましたけれども、あっせんが確実性のあるものでないということは、先般からのやってきたことについても、それはよく証明されることなんです。したがって、先ほどから言われるように、国民生活に必要なものを確保供給するためには、第九条においていわゆる保有命令ができるように一定量を保有し、必要なときは売り渡し命令が出せる、このようにしてこそ確実に保証されると思うのですが、そういうことは考えておられませんか。
  104. 山形栄治

    山形政府委員 全体的にこの法律の性格といいますか、立て方でございますが、四条から十条までの全体の感じは、現在のわれわれが行なっております行政指導を法文上明確にし、かつそれに関連して違反者に対する社会的な制裁としての公表等をかぶせたかっこうに相なっておるわけでございます。現在は行政指導段階で行なっておりますのを、法文に従う正式の指導というかっこうで行なうわけでございます。  いまの御質問の趣旨でございますが、全体の立て方といたしまして、六条で「使用制限」というのがございまして、簡単に申しますと、大手の人間には一定の使用制限の数量がきまるわけでございますが、中小企業なり一般消費者等には一応七条で石油使用節減の努力目標が定まるわけでございます。われわれといたしましては、その全体を通じまして、これらの消費制限範囲内におきまして、あっせんを業界に指導するわけでございます。  第九条といいますのは、九条は「国民の生命、身体若しくは財産の保護」等に不可欠な事業であって、そこに非常に支障が生じておるような場合の緊急出荷でございます。これは全部の九九%ぐらいを占めます大きな流れの問題とは別に、緊急の措置の問題でございますので、この九条のほうでは売り渡し指示命令というのを設定しておるわけでございまして、全体の条文の立て方、その目的の立て方が違いますことを御理解願いたいと思います。
  105. 神崎敏雄

    ○神崎委員 先ほどからも問題になりましたが、通産省は、公取委との間で独禁法適用除外の覚書をかわしています。そのことに関して伺いますが、通産省の指導、指示を受けて業者が協議、協定を結び、政府の施策に協力する措置をとる際、当局の指示についてだけでなくて、他の件でも協議、協定を結ぶ可能性があると思うのです。当局はその可能性はない、こういうふうに認められますかどうですか。これは通産当局公取と両方でひとつお答えを願いたい。
  106. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 ただいまのおことばで、業者が協定を結ぶ、こうおっしゃいましたけれども、そういうことを認めるものではございません。覚書にも、単に政府政策に対して、この今回の緊急立法ですね、それの実施に必要な段階においてその政府の施策に対する協力である、こういっておりまして、そういう協定を業者間でする、それをどう使うかは別といたしまして、そういう場を認めるという考えは私どものほうには少なくともない。ただし、どんな話し合いもしてはならないといったら、協力も実はできない場合もございます。だからその必要な限度において政府に対して、書いてある文句もそういう趣旨で書いてあるわけでありまして、増産その他いわゆる円滑を期するということの目的だけでありますから、価格のカルテルはもちろん認めておりませんし、いわゆるカルテルまたはこれまがいの行為はしないことを十分これは期待しております。しかし、実際問題として起こらないという保証は、私どもとしてそれはいまここで何とも申し上げかねる。しかしながら、そういう事実問題についていまここであれこれ申すべきではなく、それは具体的な事態が発生したときに、私どもは、これは違法であると認定すればそれに対して適切な措置をとる、こう申し上げるほかないわけでございます。私どものこの覚書については、いまの適用除外というふうなことはございません。全く独禁法自体のただ解釈を示したにすぎませんから、その点はよく誤解されておりますけれども、はっきり申し上げておきたいと思います。
  107. 山形栄治

    山形政府委員 通産省といたしましても、いま公取委員長お話しのとおり、これはあくまで政府の施策に対する協力措置のものでございまして、カルテルを意味するものでないことははっきり認識いたしておるわけでございます。したがいまして、この覚書の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に書いてありますような内容につきまして、あくまで政府の施策に対する協力の措置範囲内でこれを行なうよう、これは当然の前提として取り計らいたいと思います。
  108. 神崎敏雄

    ○神崎委員 政府の指導、施策に協力することと引きかえに他の件で政府に協力を迫る、そういう事態が起こる可能性も私は強いと思うのです。そういう事態にはならないということも、公取委員長、保証ができますか。そういう事態にならないということを何によって保証されるのか、これは非常に重要なことですから明確に答えてもらいたい。政府の施策に協力するということと引きかえに他の件で政府に逆に協力を迫るというような事態が起こる可能性がある、こう思うのですが、そういう事態が絶対に起こらないという保証はあろかないか、この点を聞きます。
  109. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 ただいまの御質問の点は、事実上どうなるかという事実の問題でございますね。事実としてそういうことが起こり得るかというふうなことでありますので、私としてはその点については何ともお答えがいたしかねる。そういう懸念を持てばやはりあり得るかもしれません。しかし、そうならないということを私どもは業界にも期待いたしたいし、また、監督官庁の厳重な指示、監督のもとにおいて行なわれる協力行為を容認——それは独禁法に触れないのだ、こう申し上げただけでございますから、事実においてどういうことが起こるかということは、保証はあるのかと言われましても、私としては何ともその辺はお答えいたしかねるということでございます。
  110. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そういうことは起こり得ないと思います。政府に対して協力したからといって、逆の面で政府に協力を要請するとか要望するというようなことがかりにあったとしても、そのことがもし正しいことであって、国益に合致して適法なことであるならば、政府は当然めんどうを見てやっていいと思うのです。しかし、それが国益に合致せず、業界の利己主義を助長するというようなことだったら、そういうものは断然はねつけるべきであります。したがいまして、自分の理不尽な要望を通すために、行政官庁が負い目を感じてそれに協力するというようなことはいたしません。
  111. 神崎敏雄

    ○神崎委員 その点は、いまの中曽根大臣のお答えは、後日にやはり大きな証言になると私は思います。  そこで、政府の施策に業界が協力をするという措置と、業界の方針に政府が協力するという措置と、これを実体的に区別ができますか。これは政府の言うたことを聞いておる、あるいは政府業界から言われたことは、これは政府が負い目をもって聞かなければならぬというような区別は、話の段階では何で区別できますか。そういうことは起こり得ないと言われるが、話をしておったら、話の中までは干渉できないというのでしょう、公取委員長は。話の中まで干渉できないということは非常に重大なことなんです。それは独禁法とのかかわりで重大なことだ。干渉できないところに問題があるのですね。どうですか。
  112. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 私はその話の中にまで干渉できないということを先ほど申し上げなかったつもりです。どういうふうにお聞きになったか知りませんけれども、その話し合いについても具体的に監督官庁の、いわば通産省指示、介入がなければいけないということを申し上げたのでありまして、業者に話をまかしてしまう、重要な事柄の決定のもとになることをまかしてしまうようなことは、これは覚書で抵触しないといっておることの中に入らない、こういうふうに申し上げた趣旨でありまして、業者まかせというふうなことは最も好ましくない。それはへたに間違えれば違法行為になるおそれがあります、こういう趣旨でございまして、何か業者によって、たとえば通産省はいろいろなあれを受けるというふうな点は、通産大臣の言われたとおり、それはないものと私どもは確信しておりますし、そういうふうにあってはならない。どこまでもき然たる態度をもって、そういうことがないように主務官庁が臨まれることを私どもは期待しておるわけでございます。しかし、万一あった場合にどうするかと言われれば、それはそのときになって私どもの態度をきめるほかないのだ。仮定でございますから、そうならないことを切に期待しております。こういうことでございます。
  113. 神崎敏雄

    ○神崎委員 一昨日も、参考人の中に石連の会長さんがおられて、そして公取が先般立ち入り検査等をおやりになった。このことについて、そういう疑いのおそれのあることをやっているのかどうかと言うたら、全然そんなことはございません、こういうことを言っているのですね。やっていますということは、こういう場所では答えられないかもわからない。そういうことを全然やっていないところを公取は立ち入り検査等をやったのですね。あれは何でやったんですか。
  114. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 独禁法違反の疑いをもって調査をしたわけでございます。
  115. 神崎敏雄

    ○神崎委員 その独禁法の疑いという中身は何ですか。
  116. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 それは価格をめぐる問題等でございまするが、先ほど申しましたように、すでに事件として取り調べ中のものでございますので、いまそのことについて触れることは、先ほど意見公表、事実の有無についての規定に反しますので、もうすでに新聞に発表したことはいいんですが、現段階においては、これについてとやかく私が申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  117. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そういうふうな答弁をされるから聞きたくなるのですが、相手方とそういうような覚書を結ぶ、いわゆる政府に協力せいという立場から覚書を結ばれるのですが、その覚書なるものの三の標準価格など通産大臣指示する石油製品価格を順守するための協力措置、これは価格カルテルとは関連ないのです。それで、政府に協力する限りは、価格協定をやろうが、あるいはどのような申し合わせをしようが、これは独禁法には触れない、こういうことですか。
  118. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 覚書の(ハ)に書いてあることは、たいへんできが悪かったということになるかもしれませんが、(ハ)だけを独立して読むのではなくて(ニ)とつなげて読むものであるというふうに御理解願いたい。御理解でなくて、私どもはそういうつもりであったのです。ですから、(イ)(ロ)(ハ)の(ハ)の次に出てくる(ニ)に「違反者に対する出荷停止等、」となっていますが、これは同列では読めないわけですから、その点は両方合わせて読めば、末端価格政府が定めた場合、特にその標準価格というふうな法律ができた場合には標準価格になりますが、それを定めた場合に、それと取引ある上位のメーカー等が、それに対して政府に協力するために制裁措置を加える、それは独禁法に触れない。なぜかならば、政府の定めた価格は、契約で定めたいわゆる再販的なものとは違うんだ、それでありますので、これは協力措置として合法的なものである、こういうふうな読みでございますので、価格カルテルを認めるような趣旨は全くございません。
  119. 神崎敏雄

    ○神崎委員 結局、いろいろおっしゃいますけれども、独禁法を覚書という前例のない措置で骨抜きにするということです。事は非常に重大です。  先ほど大臣が言われていたように、法律は立法府である国会できめるものであります。憲法四十一条には「國會は、國權の最高機關であって、國の唯一の立法機關である。」先ほど大臣が答えておられたとおり、こうきめておりますね。ところが、行政府が一方的にその法律の抜け道をきめるということは国会無視、憲法違反の暴挙につながる、私はこういわざるを得ないのですが、これは今後に非常に重要な問題を残しますので、中曽根大臣の明快な答弁を求めます。
  120. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 政府は憲法に従いまして、憲法を順守して行政を行なわなければならぬものでありまして、立法権を侵害するというようなことはみじんだにもやってはならぬことであります。ただし、これは憲法に従って国会から委任された場合には、その委任の範囲内において誠実に執行するということは可能であると思います。今回の政令に委任していこうという仕事は、そういう考えに立ちまして御委任願いたい、こういう意味政令案件として提示しているわけでございます。
  121. 神崎敏雄

    ○神崎委員 何といいますか、第四条及び第十条に関する質疑だけからいたしましても、どうも本法は国民の期待に沿うというようなことにはならないな、こういうことが私は明確になったと思うのです。  そこで政府は、根本的にこの際姿勢を改められて、はっきりと国民生活本位の緊急措置を講ずるために、さきに発表いたしましたいわゆる野党四党の要綱といいますか、骨子をすみやかにひとつ取り上げられて、そうして法律的にもあらゆる面からも国民が安心をして、これならわれわれも安心ができるというような形に取り上げられるかどうか、中曽根大臣どうです。
  122. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 よく検討してみたいと思います。
  123. 神崎敏雄

    ○神崎委員 時間がきましたから終わります。
  124. 濱野清吾

  125. 近江巳記夫

    ○近江委員 石油需給適正化法ができるわけでございますが、今回のこの石油危機によりまして、国民生活に与えております影響というものは甚大なものがあるわけであります。今回のこの法律によってどういう効果が出るかということは非常に疑問な点もあるわけでございます。  そこで私は、この法案中身に入る前に、最近のものすごいインフレ状態、さらに今回の石油危機ということでたいへんなショックを国民にいま与えております。そういう点におきましてこの法律ができますと、産業界は言うに及ばず国民一人一人におきましても、非常に協力を求めなければならぬことになるわけであります。そういう点におきまして、前提として今回の衆参におきます予算委員会等におきまして、いろいろな論議が行なわれておるわけでありますが、政府の率直な反省というものが非常にないように思うわけです。たとえば、インフレの問題にしましても、憂慮すべき状態であるとか、率直なそういう姿勢というものがない。たとえば、こういう追い詰められた状態において、石油危機であるとか、もちろんそうでありますが、国際的なインフレであるとか、あるいはいままで賃金が上がってきて、国民が非常に消費に走ったとか、こういうような何かなすり一つけるような答弁があるように私は思うわけです。  この石油の問題にしましても、いままでのそうした外交姿勢あるいは海外協力にしましてもいろいろな問題がありますし、自主開発等も、本委員会におきましてもさらに積極的に進めてもらいたいということは、何回も申し上げてきたわけでございます。そういう点において、中曽根大臣はアラブ諸国を訪問されたわけです。あのときの雰囲気は、必ずしも政府部内において拍手で送り出したという雰囲気ではなかったけれども、中曽根さんは行かれた。私は非常にその点は評価をするわけです。そういう点、政府全体が非常にそういう姿勢において欠けておったという問題もあるわけです。そういう点において、この法案についてこうやって審議に入っておるわけでございますが、いままでのそういうとってこられた点に対する率直な反省がやはりあってそれを表明され、そして初めて国民の協力も得ることができるんじゃないかと思うわけです。そういう点において大臣の率直な御感想また反省点をひとつお聞かせいただきたいと思うわけです。
  126. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 従来の政府の内政、外交に関する諸施策は必ずしも万全の措置ではなかったと深く反省して、そして新しい見地に立って国民の期待にこたえるように誠心誠意実行していかなければならぬと思います。
  127. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは法案の何点かについてお伺いしたいと思いますが、まず石油供給目標の問題でありますが、これは石油業法に基づく石油供給計画との関係はどうなっておるか、まずこれを初めにお伺いしたいと思います。
  128. 山形栄治

    山形政府委員 石油業法におきましては、長期の見通しのもとに五カ年間の需給を組みまして、日本にとって必要なる設備の計画的なる設置についての許可を行なっておるわけでございますが、今回の石油危機に対応して作成されました本法案供給目標は、期近の緊急時に対応する供給目標でございまして、当然にこの第三条の告示が出ました暁におきましては四条の供給目標のほうが優先すると考えるべきだと思います。
  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから石油供給目標内容として、これは油種別に行なわれるものかどうか、これが一つであります。これについてはどうですか。
  130. 山形栄治

    山形政府委員 お説のとおり油種別に行なうものでございます。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、この石油生産計画等につきまして省令で定める特定石油販売業者の規模というものについてはどの程度のものをお考えになっていらっしゃるのか、それから公表の措置だけでありますけれども、これで実効が得られるかということなんです。この二点につきまして伺います。
  132. 山形栄治

    山形政府委員 第五条の「石油の販売量が一定の数量以上であることその他の通商産業省令で定める要件に該当する石油販売業者」といいますのは、いまわれわれのほうで俗にいいます元売りを考えております。すなわち、大口の販売業者考えておるわけでございます。  それから、四条から一〇条までを全般的に違反者に対する制裁を公表でつかんでおりますのは、十一条のきちっとした割り当ての前段階でございますので、どちらかというとゆるやかなる規制でこれをつかんでおるわけでございますが、最近の世論の動き等を考慮いたしますと、公表するということは非常に大きな制裁効果を生むわけでございまして、少額の罰金よりもむしろ非常に大きな社会的な制裁効果が出ることが期待されるわけでございます。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、六条の「石油使用制限」のところでありますが、「特定石油」として予定しております油種ですね。これは何と何であるかという問題です。それから政令でこの数量を定める際の基準、使用実績の算定の根拠というものはどういうようにお立てになるのですか。
  134. 山形栄治

    山形政府委員 第六条の「特定石油」といいますのは、現時点考えておりますのは灯油とLPGでございます。これは民生用で、最も重要な意−味を持っている石油類でございますので、われわれとしては、一般の石油類を規制いたしますよりも、よりきびしくこの特定石油の産業で使いますものをカットしてでもこれを民生用に回すという趣旨で特別に特定石油という概念を措定いたしまして、一般石油とこれを区別いたしたわけでございます。  それから政令で定める数量でございますが、これはそのときの、この法律が通りました暁におきますいわゆる供給目標生産計画等々を考えまして、そのつど期間を定めまして必要なる妥当なる数量をそれぞれにきめていきたいと考えておるわけでございます。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 それはことばで妥当なるということをおっしゃっておるわけですが、非常にこれはむずかしい問題もあるわけです。こういう点は公平に正確な把握をしないと、これまたたいへんな混乱が起きると思うのです。  それで、ここで灯油なりプロパンの特定石油としてのそれが出たわけでありますけれども、ここで大臣に私お伺いしたいんですが、先ほど灯油の問題が出まして、価格が守られておらない。さらにプロパンの問題等におきましては、これはもうほんとうに七、八百円のものが高いところは千八百円。なるほど原価が上がってきておるということもわかりますけれども、そういう原価と小売りの差というものは、もうあまりにもべらぼうな値段がついておるわけですね。もう全く便乗値上げとしか思えない価格であります。当然配達料とかいろんなことはわかるわけでありますけれども、この間も参考人に私聞いたんですけれども、特に小規模の薪炭店等で問題が多い。業界としてそういう統一、指導、連絡徹底ということはなかなかできにくいということもおっしゃっておったわけですけれども、この法律ができましても、やはりあらゆるそういう業界連絡体制あるいは指導体制というものはがっちりやっていかなければならぬ問題です。しかしながら、現実はそういうようにべらぼうなことが放置されておる、こういう問題があるわけです。これはいま現実に起きておる問題なんです。この問題については、大臣はどのように処置されますか。
  136. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 便乗値上げは許してはなりませんので、それは断固として取り締まっていけるようにしたいと思います。ただ、われわれはまだそれをやる権限がございませんので、いま生活確保法案を提出いたしまして御審議を願っておるわけであります。しかし、その前といたしましても、行政措置でそういうことを回避するように私たちは全力を注がなければなりません。プロパンの値段につきましても、そういう点で目下行政指導を進めておる最中でございまして、できるだけ早期に指導価格をきめたい、そう思っております。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは大臣、非常に緊急のことでありますので、すみやかに実現をしていただきたいと思うのです。  それから第八条の「揮発油の使用節減」について聞きたいと思うのですけれども、揮発油だけを特記した理由は何であるかということ、それから「その他必要と認める販売方法の制限」の具体的な内容というものについてお伺いしたいと思います。
  138. 山形栄治

    山形政府委員 八条の趣旨は、各国でも行なわれておりますように、マイカー規制石油危機に対応する一つの手段であるわけでございます。今般この八条の趣旨でございますが、不要不急の揮発油の使用節減するというのが目的でございまして、ガソリンスタンドに対しまして給油量の制限、営業時間の短縮等が主だと思いますが、その他必要と認めるものとしましては日曜の、たとえば休日というようなものが一つ考えられるのじゃないかと思います。各国の現実の規制のしかたを見ましてもいろいろのものの組み合わせでやっておりますので、一番適切なる販売方法の制限を今後考えていきたいと考えるわけでございます。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 その日曜、休日のほかにいま何かお考えになっているのですか。
  140. 山形栄治

    山形政府委員 いまのところ、各国の実情を見ましても、大体給油量と営業時間、たとえば八時から以降やめるという時間の制限と、それから日を限ってこれをやめるというのが大体三つの形だと思います。ただ、考えられますのは、日を限った場合におきましても、日曜、土曜をやめるというやり方と、偶数日、奇数日で、これを車の番号と合わせて規制するとかいろいろな具体的なやり方考えられようかと思います。日本にとってどういうのが一番いいのか、これからそういう点も考えていきたいと思います。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから「石油の保有の指示等」につきまして、保有すべき数量、この問題についてはどのようにお考えですか。
  142. 山形栄治

    山形政府委員 いずれにしましても、この保有の条項は、非常に限られたる緊急事態に対する出荷命令ということに相なると思うわけでございますが、現時点のように石油そのもの自体が非常に枯渇しておりますときには、それぞれの国民生活国民経済上ぎりぎりで石油を回しておるわけでございますので、この保有義務に回るべき数量もおそらく非常に少量しか期待できないのじゃないかと思います。これをあまり大量にとりますと一般的に必須でございます石油の運行というのが非常に滞るわけでございますので、われわれとしては、そう多くこれを望めません。非常に僅少の保有を緊急事態に適切に放出するということで運営せざるを得ないのではないかと考えるわけでございます。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 同じく第九条の石油の売り渡しの指示、その事態の判断基準ですね。また、あっせん必要量の算定方法とか、そういうことについてはどのようにお考えですか。
  144. 山形栄治

    山形政府委員 あっせんのことでございますが、これは第六条でそれぞれの大口需要家等の使用制限額がきまるわけでございますが、中小企業等につきましては、それより比較いたしましてゆるやかなる使用節減目標に従って努力を要請しておるわけでございます。したがいまして、それぞれが各地におきまして自分の所要数量につきまして入手困難な場合がありましたときには、各府県に設置されますあっせん所で、各団体が協力いたしまして、通産大臣の指導に従いましてこれを行なっていくわけでございます。このあっせん所に数量を保有しておくという概念でございませんで、それぞれの需要者と供給者側とをあっせんでくっつけて調整するという意味でございます。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからいよいよこの「割当て又は配給等」の最後段階ということになるわけでありますが、こうなってきますと、これはもうほんとにあらゆる国民消費生活、産業界すべての根本を左右していくほどの大きな問題であると私は思うわけです。この問題につきまして、これはもう当然国会での承認事項とすべきであるということをわれわれは言っておるわけでありますが、大臣も、その点については非常に同調されておるように私は思うわけです。  そこで、かりにこの制度が実行された場合、実際にこれはいまの政府の機構でできるかどうかというような問題があるわけですね。機構の問題あるいは人員等そういう一ここに至るということは非常に不幸なことでありますし、もう何とかこれは避けてもらわなければならぬことでありますが、万やむを得ない場合におけるそういう措置ということについて、これはやはりここにうたってある以上はそれだけの体制をとらなければならぬわけです。そういう点について具体的にはどのようにお考えでありますか。
  146. 山形栄治

    山形政府委員 ただいま先生からお話のございましたように、十一条の直接的な割り当て発動というのはできる限り避ける方向で、その前段階運用、これでもって万全の効果をあげることがわれわれのねらいでございます。しかしながら、万やむを得ないときには十一条発動に相なるわけであります。この場合には、本省機構は当然のことでございますが、それぞれの省の下部機構、これは通産省だけではございませんで、農林省、運輸省、それぞれ関係省の地方支分部局、それから都道府県、市町村等の職員の方、全体を体系的に集中的に動員する方法をとる以外に対応する方法がないと考えるわけでございますが、先ほど来出ておりましたように、戦争中の強度な官僚統制でなく、大臣お話にもありましたように、民主的調整的な機能も入れまして、それを仕組みにも反映させることによって非常に効率のいい一つの全体の仕組みも考えていかざるを得ないのではないか、こう考えておるわけでございます。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまでもやはり行政の機能の停滞ということは随所に出ておるわけです。それをどういうようにやっていくかということは、われわれとしては実際上非常に大きな不信があるわけですね。そういう点で総定員法の問題とか、いろいろな問題もまたかかってくるのじゃないかと思うのですが、そこまでいろいろ検討なさっておるのですか。
  148. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この点は、ただいま山形長官が御答弁申し上げましたように、この前の売り惜しみ買いだめ規制法のときには価格調査官というのがありまして、価格調査官がいろいろやりましたけれども、今度はやはり全通産省あるいは各省それから地方団体——地方団体にも権限が委任されます。そういう意味におきまして、あとう限りの人員配置をし合いながら総がかりで、やるという場合には断行しなければならぬと思います。なるたけそういう事態がこないように希望いたしますけれども、やるときには実効性を持たせなければなりませんから、そういう意味において、現在許された人員の範囲内において融通し合い、最大限の力を発揮するようにして行なうべきであると考えております。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 主務大臣の問題でありますけれども、この石油需給事業を所管する大臣をすべて主務大臣となさっておられるわけですが、そうなってきますと、実際の運用の際、業界ごとの配分の調整が、非常にいろいろな点の圧力といいますか、困難になってくるんじゃないか、このように思うわけです。圧力のきついところに配分するという、ともすればいままでそういう弊害が見られたわけでありますが、そういうことであってはならぬと私は思うのです。大臣としては、そういった調整というものにつきましてはどのようにお考えですか。
  150. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これはやはり生活安定及び国民経済の運営のために行なうというのが本旨でございますから、業界のエゴに対して屈するようなことは断じていたしません。あくまで公益を守り公共の福祉を守る、そういう観点に立って適正な処理をいたしたいと思います。
  151. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう点は非常に大事な問題でありますから、大臣がおっしゃったようにやっていただきたいと思います。  それから、今後産業を省資源型産業に転換をしていかなければならぬわけであります。そういう新規の省資源型の産業が今後はどんどん進んでいかなければならぬわけでありますけれども、何といいましても、こういうエネルギーというものを全然使わないというわけではないわけです。ところが、いまは必要にも足らないということで、もう割り当て割り当て、配分ということできゅうきゅうとしておる。しかし、将来を考えていったときに、そういう新しい方向も育てていかなければいけないと思うのですね。そういう点についての覚悟についてはどのようにお考えですか。
  152. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは先ほど板川委員の御質問に御答弁申し上げましたように、日本の産業構造の転換のときでもあり、かつまたエネルギーの質的転換、質的充実を目ざすときである。そういうときがまさに来たということで、来年度予算編成以降そういう基本的かまえをもって私たちは実行していきたいと思います。
  153. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、この石油の問題につきましては、一月にまた五%カットというようなことで、先ほど大臣も非常に見通しは暗いということをおっしゃっておられるわけですが、それじゃエネルギーという問題になってきますと、いろいろな今後開発すべき分野があるわけですが、やはり現実のものとなっておるのは原子力というところに目が向いてくるんじゃないかと思うのです。  御承知のように六十年、六千万キロワット——ほんとうは昭和四十八年で三百万キロワットまでいかなければならぬ政府のあれが百八十二万ということを聞いておりますが、この六千万をさらに一億くらいに持ってこようという話も聞いたこともあるわけですが、いまのようなこういう安全性の問題であるとか、あるいは環境汚染の問題であるとか、こういうことがなおざりにされておりながら、とにかくエネルギー危機になったから原子力開発していくんだ、総理以下そういう姿勢では、私はもう重大なことになるんじゃないかと思うのです。中曽根大臣は科学技術庁長官もなされておりましたし、そういう点につきまして具体的に政府としてどういうお考えでおられるのか、お伺いしたいと思うのです。
  154. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 当面やはり原子力石炭問題というものを再検討すべきであるだろうと思います。原子力につきましては、お示しのとおり昭和六十年、六千万キロワットの計画から見るとまだはるかに下位に立っておるわけであります。昭和六十年、六千万キロワットのときの原子力の比率は発電の約二五%に当たっています。現在三%です。だから一二%から二五%に引っぱり上げるというのはよほどの苦労でありまして、その点については安全性の問題その他諸般の問題でわれわれは政策を推進していかなければならぬと思います。  もう一つ石炭の評価の問題でありまして、これについてはいま石炭審議会において新しい事態に立った中間勧告のようなものをつくっていただいております。これが出ましたならばその線を尊重いたしまして見返りをやっていきたいと思います。特に石炭専焼火力という問題について、われわれは強く推進しなければならぬ時代であるだろうと思います。そのためにも公害の防除その他に関する研究や手配をやはりやっていくべき必要があると思っております。
  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、こういう燃料が足らないということになってきますと、硫黄分が多くても何であっても燃料であればいいのだという追い詰められた気持ちになってくるのじゃないかと思うのです。この前いつだったか、私ちらっとテレビを見たときに、あれはたしか深夜だったと思うのですが、中曽根大臣が、とにかくこの公害については法律において全国的に網がかぶしてある、地方においてはまた条例等でさらに二重の網がかぶしてある、いまこういう事態になったときには地方におけるその二重の網ははずしてもらわなければいけないのじゃないか、たしかこういうような発言をされたと思うのです。私はエネルギー危機はわかりますけれども、公害という問題は、これはやはり私たちの命をむしばんでおるわけですから、いかなる時点になろうとも、この公害問題には私は真剣な姿勢がなければいけないと思うのです。そういう点におきまして、大臣がそういうようにテレビでおっしゃったわけですが、あれはほんとうに大臣はそう思っておられるわけですか。
  156. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 法律による公害の規制基準はもちろん守られければいけませんが、地方によってはその規制基準、法律の基準以上にかさ上げをしてやっておるところがあるわけであります。しかし、現在LPG、灯油とかあるいはプロパンガスとか、家庭における要求等も考えてみますと、もうぎりぎりの段階にきたら、じゃあどっちを選ぶか、家庭のほうがどうしても足りないという場合に、ナフサやあるいは灯油やあるいはLPGというものを家庭に回したほうがいいのか、あるいはそのかさ上げの分だけはかんべんしてもらって、しばらくの間、補給ができるまでこの際しばらくがまんしてもらうというほうがいいのか、そういう判断の場合がくると思うのです。もし万一そういう場合においては、やはり私は家庭を大事にすべきである、だから将来そういうことも起こり得る、ただし法律による規制基準だけは守っていくつもりである、そういうことをお答えしたのであります。
  157. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう事態に立ち至って、いまさらわれわれが言うのもほんとうに残念であるわけですが、脱硫装置等のこうした開発、また発電所等における義務づけとか、こういうことはもう当然やっていかなければならなかった問題なんですね。ところが、ほんとうは二カ所くらいしかつくっておらないというような問題になってきておりますし、こういうことで今後日本列島が、公害対策で一歩前進しかけたのがまた停滞するというような、そういう公害という非常に新たな心配が、また暗雲が漂ってきたわけです。  私はここで時間があれば大いにもっと論議したいと思うのですけれども、やはり公害という問題についてはあくまでもこれはシビアにやっていく、しかし大臣おっしゃった、ぎりぎりに立たされた場合はどうするかという問題もあるわけでありますが、いずれにしても、公害については、そこにはあらゆる真剣な努力、戦いというものがなけりゃならぬと思うのです。大臣みずからが何となしにこうなった場合はもうゆるめざるを得ないというようなそういう姿勢であれば、大臣がこう思っておるのだから、そんなものはいいじゃないかというようなことが浸透しますよ。やはりそういうことにつきましては少し大臣は早過ぎたのじゃないか、軽率だったのじゃないか、このように思うわけです。こういう点につきましては、私は納得できません。そういう点におきまして、エネルギー危機があってもこの公害はあくまでもクリーンにほんとうにしていく、やはりこれをあくまでも大臣は守っていただきたいと思うのです。  きょうは約束の時間が来ましたので、次に譲りたいと思います。そういうことで、きょうはこれで終わりたいと思います。
  158. 濱野清吾

    濱野委員長 次回は、明十三日午後六時から理事会、午後六時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後十一時一分散会